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    朝倉「あなたを夕食に招待して涼宮ハルヒの出方を見る」

    1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 21:55:28.69 ID:iaJDSdT1P

    キョン「冗談はやめろ」

    朝倉「冗談だと思う?」

    キョン「意味が解らないし、笑えない。だいたい俺達は一緒に飯を食うような仲でもないだろう」

    朝倉「あら、あたしはこれからそんな間柄になりたいと思ってるんだけど」

    キョン「何にせよとりあえずその手を離してくれないか」

    朝倉「うん、それ無理。だってあたしは本当にあなたに来て欲しいんだもの」

    キョン「でもな……」

    朝倉「ちなみに今夜はあなたの大好きなカレーよ」

    キョン「ご馳走になります」



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    2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 21:56:06.50 ID:iaJDSdT1P

    キョン「お邪魔しまーす……ってやけに静かだが、家の人は?」

    朝倉「ああ、いないわよ。あたし一人暮らしだから」

    キョン「一人暮らしの女子が親しくもない男をかんたんに部屋に入れるのはどうかと思うぞ」

    朝倉「あなたが性欲に流されてまだ親しくもない女の子を押し倒すような人なら警戒するけど、そうなの?」

    キョン「俺は紳士だからそんなことはしない」

    朝倉「つまんない男ねー」

    キョン「……」

    朝倉「冗談よ。洗面所そっちだから先に手洗ってきて」

    キョン「はいはい」


    4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 21:56:52.29 ID:iaJDSdT1P

    キョン(洗面所に置いてある歯ブラシは一本。髭剃りやシェービングフォームなども無し……)

    キョン(って何を考えてるんだ俺は! 一人暮らしの女子の家だからって意識しすぎだろ!)

    キョン(手も洗ったんだしさっさと朝倉のところに……ってこれは!)

    キョン(この、洗濯機に無造作に突っ込まれているこれは、一般的にブラジャ一と呼ばれるものではないだろうか)

    キョン(……制服だと目立たないけど朝倉って意外と胸あるんだな)

    キョン(ってこれじゃただのヘン夕イだ! さっさと戻らねば)


    5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 21:57:23.28 ID:iaJDSdT1P

    朝倉「ずいぶん遅かったわね?」

    キョン「そ、そうか?」

    朝倉「私の下着どんな匂いだった?」

    キョン「な! そ、そんなことしてないぞ!」

    朝倉「そういう反応をするってことは少なくとも下着は見たんだ」

    キョン「ぐっ……」

    朝倉「……工ッチ」

    キョン(うっ、自分から突っ込んできておいてそこで顔赤くして俯くとか反則だろ)

    朝倉「で、どんな匂いだった?」

    キョン「だからそんなことしてないって!!」

    朝倉「ふふっ」


    6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 21:57:59.02 ID:iaJDSdT1P

    朝倉「もうすぐできるからお皿出してくれる?」

    キョン「はいよ。って随分と出来るの早いな」

    朝倉「うん、カレーは昨日の内に作ってあったから温めるだけだしね」

    キョン「一晩寝かせたカレーか。最高だな」

    朝倉「辛いのは大丈夫な方?」

    キョン「常識の範囲内の辛さなら問題ない」

    朝倉「よかったー。今更だけど『甘口しか食べれない』なんて言われたらどうしようかと思ってた」

    キョン「甘口のカレーも食えなくはないが、やはりカレーというからにはある程度は辛くないとな」

    朝倉「そうよね! あたしも同じ考え! ふふっ、気が合うね」

    キョン(……かわいい)


    7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 21:58:50.97 ID:iaJDSdT1P

    朝倉「それじゃあ食べましょうか」

    キョン「意外と普通のカレーだな」

    朝倉「なんだかすっごく失礼なことを言われた気がするんだけど」

    キョン「いや、悪い。そういう意味じゃなくてだな。わざわざ人を夕食に誘うくらいだからもしかしたら物凄く手の込んだ、本格的なインドカレーでも出てきたりするのかと思ってたんだよ」

    朝倉「それでもよかったんだけど、インドカレーは苦手っていう人も多いからね」

    キョン「そうなのか?」

    朝倉「うん。ものによってはクセの強いスパイスが入るのもあるから。白いご飯に合わないものも多いし」

    キョン「へえ、一口にインドカレーって言っても色々あるんだな」


    8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 21:59:35.10 ID:iaJDSdT1P

    朝倉「まぁね。興味があるなら今度作ってあげようか?」

    キョン「いいのか?」

    朝倉「簡単なので良ければね。とりあえず今日のところは普通のカレーで我慢してもらえると嬉しいなぁ」

    キョン「あ、長々とすまん。それじゃいただきます」

    朝倉「はいどうぞ」

    キョン「んっ……うまい! うまいぞこれ!」

    朝倉「本当?」

    キョン「ああ。市販のルーを使っているはずなのに家のカレーとは全然違う。隠し味の差か?」

    朝倉「そうね。愛情が一番の隠し味よ」

    キョン「お前が言うと凄く胡散臭く感じるな」

    朝倉「ひどーい!」

    長門「あなたの言う通り。そのカレーの隠し味は愛情と呼ばれる概念などではない」


    11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:00:59.70 ID:iaJDSdT1P

    キョン「長門!?」

    朝倉「ちょっと長門さん! いつの間に入ってきたのよ!」

    長門「市販のカレールーをそのまま使うと脂質が多くなり胃もたれの原因となる。栄養バランスも悪い。
       それを回避するためにルーの使用は通常の半量に留め、香味野菜を6時間煮込んで作ったスープストックと
       クミン、ターメリック、パプリカパウダー等を独自に調合したスパイスを加えることで脂っこさを抑えかつ
       コクのあるカレーに仕上げた。
       隠し味というレベルではなく、まして愛情などという曖昧な一言で片づけてはいけない」

    キョン(こ、これはもしかして怒られているのか?)

    朝倉「長門さん! よ、余計なことは言わなくていいの!」

    長門「彼は女性の感情に対して鈍感な部分がある。伝えるべき点ははっきり伝えた方がいい」

    朝倉「だから! そこは伝えるべき部分じゃ……」

    長門「朝倉涼子。ちょっとついて来て」

    朝倉「ちょ、ちょっと引っ張らないでよ!」

    キョン(何が起こっているんだ……)


    14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:01:58.56 ID:iaJDSdT1P

    朝倉「わざわざ隣の部屋まで引っ張ってきてどういうつもり!?」

    長門「一つ一つのアプローチが甘い」

    朝倉「!」

    長門「彼を夕食に誘う時の台詞も、彼が部屋に入ってからのやり取りも甘い。だから彼の心を掌握できない。このままではただの『良いお友達』止まり」

    朝倉「……」

    長門「あなたはとても優秀」

    長門「今日のために、あなたがどれだけの準備をしてきたのか私は知っている。だからこそ、あなたの気持ちが彼にしっかりと伝わって欲しいと思っている」

    朝倉「……なんでよ」


    16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:02:38.38 ID:iaJDSdT1P

    長門「……?」

    朝倉「なんで、応援するような真似をするの? あたしが彼と特別な関係になれば高確率で涼宮ハルヒの精神は乱れ、情報爆発が起こる」

    朝倉「統合思念体がそれを望んでいないのはあなただってわかっているはず。なのになんで? それとも口ではそんなことを言っていながら心の中では私のことを嘲っているの!?」

    長門「それは違う」

    朝倉「じゃあなんだって言うのよ!!」

    長門「……私はあなたと違って社交的な性格に作られていない」

    長門「私にプログラミングされた性格は涼宮ハルヒの気を引くためであるとともに、積極的に他者とコミュニケーションを取らないことで、観察者として常に第三者的な観点を保つことが目的」

    長門「最初から人間とは一線を画した存在」

    長門「だから、人間の持つ『感情』というものを理解しつつあるあなたのことが少し羨ましい」

    朝倉「長門さん……」


    17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:03:12.92 ID:iaJDSdT1P

    長門「あなたが彼に特別な感情を抱いて、変わっていくのをずっと見ていた」

    長門「私にもいつかそんな日が来るかも知れない。だから、私という個体は今はあなたのことを応援したいと思う」

    朝倉「うっ……うっ……ごめんなさい……あたし……」

    長門「泣いてはいけない。せっかく彼と二人で過ごせるのだから、泣き腫らした目では勿体ない」

    朝倉「うん……うん……」

    長門「泣いた後に目を擦ると眼球が充血する。涙の後だけ拭いておけば問題ない」

    朝倉「何から何までありがとう、長門さん」

    長門「別にいい」


    20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:04:00.72 ID:iaJDSdT1P

    朝倉「……で、なんで長門さんまで一緒にカレー食べてるワケ?」

    長門「朝倉涼子の作ったカレーが目の前にある以上食べない訳にはいかない」

    キョン「ま、まぁまぁ。こういうのはみんなで食べた方が美味しいってよく言うだろ?」

    朝倉(さっきは彼と二人で過ごせるように応援する、なんて言ってたくせに……)

    キョン「ん? 朝倉どうかしたのか?」

    朝倉「な、なんでもないわ。それよりキョン君、おかわりする?」

    キョン「じゃあせっかくだしもらおうかな」

    朝倉「ふふっ。じゃあちょっと待っててね」

    長門「私もおかわり」

    朝倉(空気読めよこの宇宙人)


    24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:04:54.11 ID:iaJDSdT1P

    キョン「あーうまかった。ごちそうさん」

    朝倉「お粗末さまでした」

    長門「空腹を満たすという目的は果たした。私がここに存在する意味はもう無い」

    朝倉「そりゃあ5杯も食べれば満足するでしょうよ!」

    長門「よって私は部屋に帰る。後は二人の時間を満喫するといい」

    キョン「ふ、二人の時間って!」

    長門「がんばって」グッ

    朝倉(さりげなく女握りして去っていくな!)


    25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:05:44.09 ID:iaJDSdT1P

    朝倉「じゃ、じゃあ簡単に後片付けしてくるからテレビでも見て待っててくれる?」

    キョン「あ、手伝おうか?」

    朝倉「いいわよ。お客様にそんなことさせるわけにいかないわ。適当にくつろいでて」

    キョン「そうかい。そういうことならお言葉に甘えさせてもらう」

    朝倉(とりあえずの足止めは成功! でもこのままじゃいつ『帰る』って言われてもおかしくない状況ね)

    朝倉(このままではジリ貧は確実。どうにかして彼の気を惹かなきゃならないわけだけど)

    朝倉(何をすればいいのかしらね。はぁ……)


    27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:06:32.29 ID:iaJDSdT1P

    朝倉「お待たせ。ごめんね、お招きしておきながら放置しちゃって」

    キョン「いや、気にするようなことじゃないさ。じゃあ俺はそろそろ帰るわ」

    朝倉「え? もう帰っちゃうの?」

    キョン「あぁ。時間も時間だしあんまり長居するのも悪いだろ?」

    朝倉「そ、そんなことないわよ! 一人暮らしだから基本的に退屈だし!」

    キョン「でも高校生の夜遊びは親にもあなりいい顔をされんしなぁ」

    朝倉「あなたって変なところで優等生なのね。勉強もそれくらい真面目ならいいのに」

    キョン「余計なお世話だ。じゃあそういうことで帰る。今日はありがとな」

    朝倉「ううん。こっちこそありがとう。急に誘ったのに来てくれて」

    朝倉(なんとかして引き止めたいけど……きっと無理よね……)

    朝倉(元々たった1日で急に関係を進展させようなんて無理な話だったのよね)

    朝倉「はぁ……」


    30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:07:20.69 ID:iaJDSdT1P

    キョン「えーっと、朝倉よ。ドアが開かないんだがこれどうなってるんだ?」

    朝倉「え?」

    キョン「なんか引っかかってる感じで押しても引いてもびくともしないんだが」

    朝倉「あれ、ホントだ。開かない。鍵は開いてるのになんでかしら?」

    朝倉「うーん……」

    キョン「……なぁ、朝倉。このドアよく見ると歪んでないか?」

    朝倉「何言ってるのよ。入ってくる時は普通だったのにそんなことある訳が――」

    朝倉「って! なんかよく見たら金具がありえない形してるし!」

    キョン「なんか外から人間離れした力で殴りつけられたらこんな風になります、って感じだな……」

    朝倉(まさか、長門さんの仕業……?)


    33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:08:22.68 ID:iaJDSdT1P

    朝倉「これはちょっと、私たちじゃ直せそうにないわね。業者を呼んで対処してもらわないと」

    キョン「しかしこの時間じゃ業者が来るのは明日になっちまうんじゃないか?」

    朝倉「そうね。さすがに電話しても今から来ますってことにはならないでしょうし」

    キョン「ということは何か? 俺は今日ここから出られないってことか?」

    朝倉「そうなるわね。ついでに言うとあなただけじゃなくてあたしも出られないわよ」

    キョン「そうだ、窓から外に出られたりしないか?」

    朝倉「ここ5階だけど」

    キョン「うん、無理だな」


    35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:09:10.86 ID:iaJDSdT1P

    キョン「しかし困ったな。これじゃ家に帰れん」

    朝倉「こんな状況だし今日は泊まっていけば? 幸い明日は休日だし」

    キョン「いやそれはちょっと……」

    朝倉「あら、何か不満があるの?」

    キョン「年頃の若い男女がひとつ屋根の下で夜を明かすってのは一般的に考えて問題だろ」

    朝倉「だって仕方ないじゃない。それとも他に何かいい案があるの?」

    キョン「いや、思いつかないが……」

    朝倉「はい。じゃあ決定ね」

    キョン「まぁ、しょうがないか。じゃあ今晩は世話になるよ」

    朝倉「ふふっ。こんな状況でなんだけど、なんかお泊り会みたいで楽しみね」


    36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:09:55.52 ID:iaJDSdT1P

    キョン「しかし寝るには早い時間だし何かしないと暇だな。なんかゲームでもないのか?」

    朝倉「ごめんね、あたしテレビゲームはやらないの。あ、オセロならあったと思うけどやる?」

    キョン「そうだな。じゃあ一勝負願おうか」

    朝倉「言っておくけどあたし強いわよ」

    キョン「なら俺も言っておくがオセロなら無敗記録を更新中だぞ。まぁ主に相手は古泉だが」

    朝倉「へぇ。じゃあいい勝負になりそうね」


    38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:10:50.92 ID:iaJDSdT1P

    キョン「ぐっ……また俺の負けか」

    朝倉「ふふっ、これであたしの5連勝ね。あーあ、もっとしびれる勝負を期待してたんだけどなぁ」

    キョン「朝倉が強すぎんだよ。ふぅ、しかしさすがにオセロにも飽きてきたな」

    朝倉「うーん。でも他に遊べるようなゲームって持ってないのよねぇ」

    キョン「テレビもこの時間じゃニュースくらいしかやってないしな」

    朝倉「じゃあ何か話しましょうよ。あたしたちって普段クラスではあんまり喋ったことないし」

    キョン「別に構わんが……」

    朝倉「じゃあ何か面白い話をして?」

    キョン「いきなり無茶振りするなぁおい」

    朝倉「いいじゃない。お願い♪」

    キョン「……よし、では俺のとっておきの面白い話をしてやろう。あれは俺が中学生だった時の話だ……」


    39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:11:34.63 ID:iaJDSdT1P

    キョン「……というお話だったのさ」

    朝倉「……」

    キョン「おい。何かしらリアクションをしてくれてもいいんじゃないか?」

    朝倉「ごめんなさい……こういうときどんな顔したらいいかわからないの」

    キョン「さすがにここで謝られるとは思わなかったぜ」

    朝倉「いやー、なんか微妙すぎてツッコむべきなのか苦笑いするべきなのか……」

    キョン「どっちにしろロクなリアクションを生み出せないってことかよ!」

    朝倉「あなた芸人には向いてないわね」

    キョン「芸人で食っていくつもりはさらさら無いが微妙にヘコむコメントだな」


    41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:12:24.30 ID:iaJDSdT1P

    朝倉「それでね、そこで阪中さんったら間違えてキャットフードを買っちゃってね」

    キョン「マジかよ。あいつ結構ドジだったんだな」

    朝倉「でもレシートもなくしちゃって返品できないから試しに飼ってる犬にあげてみたら案外喜んで食べたんだって」

    キョン「ドッグフードの存在意義が揺らいだ瞬間だな」

    朝倉「犬って結構なんでも食べちゃうからね。猫は好き嫌いがハッキリしてるイメージだけど」

    キョン「そうだな。うちでも猫飼ってるけど嫌いなメーカーの餌は全然食わないからな」

    朝倉「やっぱりそうなんだ。ふふっ、今度キョン君の家の猫さん見てみたいなぁ」

    キョン「あぁ、いつでも来いよ。人懐っこい猫だからきっと喜ぶぞ」

    朝倉(よっしゃ! 自然な流れでキョン君の家に行くアポが取れたわ! この調子でファイトよ涼子!)


    42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:13:17.16 ID:iaJDSdT1P

    キョン「ふぁぁ……さすがに眠くなってきたな」

    朝倉「じゃあそろそろ寝る? 寝るならお客様用の布団出してくるけど」

    キョン「あぁ。それじゃ頼むわ」

    朝倉「うん。じゃあちょっと待っててね」

    朝倉(えーと布団布団っと。って――)

    朝倉「きゃあああああああああああああああああああ!!」

    キョン「あ、朝倉?! どうした?」

    朝倉「ふ、布団にカビが!」

    キョン「うわ……こりゃすごいな……虫干しとかしてなかったのか?」

    朝倉「2週間前にしたばっかりよ!」

    キョン「2週間……で生える量のカビじゃないなこれ……」

    朝倉(まさか……これも長門さんの仕業……?)


    43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:14:04.91 ID:iaJDSdT1P

    朝倉「と、とりあえずお茶でも飲んで落ち着きましょう」

    キョン「落ち着くのは主にお前の方だがな」

    朝倉「さて、どうしたものかしらね……」

    キョン「俺は別に布団無しでも構わんぞ」

    朝倉「ダメよそんなの! 強引に家に連れ込んでおいて固い床の上で寝かせるなんてあたしのポリシーに反するわ!」

    キョン「また変わったポリシーをお持ちで」

    朝倉「こうなったら最後の手段ね」

    キョン「嫌な予感がするが一応聞いておこう。どんな手段だ?」

    朝倉「あたしのベッドで一緒に寝ましょう!」

    キョン「やっぱそうくるのか!」


    44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:15:16.86 ID:iaJDSdT1P

    キョン「いや、いくらなんでもそれはないだろ」

    朝倉「じゃあ何? あたしに床の上で寝ろって言うの?」

    キョン「そうじゃない。だから俺が床で……」

    朝倉「だからそれはダメって言ったでしょ!」

    キョン「だがしかしだな」

    朝倉「『紳士』なんでしょう? だったら一緒の布団で寝ても問題ないじゃない」

    キョン「紳士はそもそも女子と一緒の布団で寝たりしないと思うんだが」

    朝倉「だって予備の布団はこんな有様だし……寝られるところって言ったらもうあたしのベッドくらいしか……」

    キョン(うっ! そんな悲しそうな顔をされると何故かこっちが悪者になった気分だ!)

    朝倉(ここよ! きっとここが正念場! がんばれ涼子!)


    45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:16:06.92 ID:iaJDSdT1P

    キョン「……わかった。条件を飲もう」

    朝倉「わかってくれたのね。よかった」

    キョン(まぁこの調子なら間違いは起こさないだろう。たぶん……)

    朝倉「じゃ、じゃあシャワー浴びてくるから!」

    キョン「ブハァッ!」

    朝倉「ちょっと! いきなりお茶噴き出すなんてどうしたのよ!」

    キョン「この流れで『シャワー浴びてくる』なんて言われたら誰だってお茶くらい噴き出すだろうよ!」

    朝倉「だって……一緒に寝るのに汗臭かったりしたらイヤでしょ?」

    キョン「いやそんな気を遣わんでも……」

    朝倉「え? あ、ごめん……もしかして汗フェチだった?」

    キョン「さっさとシャワー浴びてこい」


    47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:17:02.68 ID:iaJDSdT1P

    キョン(おいおい成り行きでこんなことになっちまったがいいのか?)

    キョン(やっぱり朝倉を説得して一緒に寝るのは無しってことにできないか……)

    キョン(いや、議論をしているうちに朝になりかねないな)

    キョン(しかし風呂場から結構離れているとは言えこのシャワーの水音がまた無駄に想像力をかきたてるな……)

    キョン(谷口なら全力で覗きに行くんだろうな。だがそんなことをしたら確実に嫌われるだろうし……)

    キョン(ん? なんで俺は朝倉に嫌われることを怖がってるんだ?)

    キョン「うーむ……」


    49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:17:54.81 ID:iaJDSdT1P

    朝倉「難しい顔してどうしたの?」

    キョン「い、いや! なんでもないぞ! ちょっと哲学的なことを考えていただけだ!」

    朝倉「あら、哲学なんかに興味があるの?」

    キョン「ちょ、ちょっとな」

    キョン(うわー、風呂上りのシャンプーのほのかな香りがするー。正気を保て俺!)

    朝倉「あなたもシャワー浴びてきたら? 今日体育の授業あったから汗かいてるでしょう?」

    キョン「そういやそうだったな。じゃあ俺もシャワー借りるわ」

    朝倉「あ、バスタオルは出してあるの適当に使っていいから」

    キョン「了解」


    51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:18:41.56 ID:iaJDSdT1P

    朝倉(あああああ成り行き任せでこんなことになっちゃったけどいいのかしら)

    朝倉(やっぱり一緒に寝るって提案はやり過ぎだったかな? 節操なしの女って思われたかも……)

    朝倉(それにしても自宅のお風呂場から自分のじゃないシャワーの水音がするって変な感じね)

    朝倉(し、しかも使ってるのがキョン君だなんて……! なんか恥ずかしくなってきた!)

    朝倉(どうしようどうしよう! 顔赤くなってないかな!)

    朝倉(ハッ! こ、ここで落ち着きを無くしたらダメよ)

    朝倉「こうなったら……アレの出番ね」


    52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:19:44.24 ID:iaJDSdT1P

    キョン「ふぃー、さっぱりした」

    朝倉「お帰り。喉乾いたでしょ? はい、冷たい飲み物」

    キョン「お、サンキュ」

    キョン「って甘っ! なんだこれ?」

    朝倉「自家製の梅酒よ」

    キョン「高校生が自宅で梅酒作るな! てか人に飲ませるな!」

    朝倉「何よ、梅酒くらいいいじゃない。あたしお風呂上がりにはいつもこれ飲んでるわよ」

    キョン「なんか風呂上りにビール飲むオッサンみたいだな」

    朝倉「ひどい! 花の女子高生に向かってなんて暴言!」

    キョン「花の女子高生と自分で思ってるなら酒じゃなくてジュースくらいに留めとけよ!」


    54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:20:32.05 ID:iaJDSdT1P

    朝倉「でも美味しいでしょ? 今年のは結構美味しくできたと思うんだけど」

    キョン「まぁ確かに美味い。しかもあんまり酒って感じがしなくてゴクゴク飲めちまうな」

    朝倉「口に合ったみたいでよかった。こういうのってあんまり人に振舞う機会が無いから感想を聞けて嬉しいわ」

    キョン「まぁ今のは振舞うって言うよりかは騙されて飲まされたって感じだけどな」

    朝倉「まぁまぁ固いこと言わないの。それよりもう一杯どう?」

    キョン(そうだ。酒で理性をある程度なくしちまえば一緒に寝るという恥ずかしさを忘れられるかもしれん!)

    キョン「じゃあもう一杯だけもらおうかな」

    朝倉「はぁい」


    55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:21:27.26 ID:iaJDSdT1P

    キョン「うぅ……なんだかんだで結構飲んだな」

    朝倉「そうね……さすがに調子に乗って飲み過ぎたわ」

    キョン「もうなんか耐え切れないくらい眠くなってきた」

    朝倉「あたしも。そろそろ寝ましょうか。キョン君歩ける?」

    キョン「この程度で歩けなくなるほど酒に弱くはないぞ」

    朝倉「じゃあ寝室までおぶってって……」

    キョン「はぁ?」

    朝倉「あたしお酒弱いのよ……もうまっすぐ歩ける自信がない……」

    キョン「全く……酒に弱いなら先に言っといてくれよ。ほら、こっちに腕まわせ」

    朝倉「ん、ありがと」

    朝倉(キョン君の背中意外とおっきいなぁ。一見頼りなさそうだけどやっぱり男の子なんだよね)

    キョン(この背中の柔らかい感触……まさかノーブラ?!)


    57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:22:18.88 ID:iaJDSdT1P

    キョン「ほ、ほら着いたぞ」

    朝倉「ありがとう。ごめんね、迷惑ばっかりかけて」

    キョン「美味いカレーを食わせてもらったお礼だ。これくらいなんともない」

    朝倉「そう。……ありがとう」

    キョン「一応確認しておきたいんだがやっぱり一緒に寝るのか?」

    朝倉「今更な質問ね。一緒に寝るってことで合意したじゃない」

    キョン「今一度確認しておきたかっただけだ。じゃあ電気消すぞ」

    朝倉「うん。おやすみ、キョン君」

    キョン「あぁ。おやすみ」


    59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:23:19.39 ID:iaJDSdT1P

    キョン・朝倉(ああああああああああ! やっぱ眠れない!!)

    朝倉(うぅ……お酒飲めば恥ずかしさなんて吹っ飛ぶと思ったんだけどやっぱり恥ずかしい!)

    キョン(あー、酒の勢いでなんとかなるかと思ったけどやっぱり恥ずかしいもんは恥ずかしい)

    キョン・朝倉「……」

    朝倉「あ、あの、キョン君?」

    キョン「……」

    朝倉「あれ、もう寝ちゃった?」

    キョン「……」

    キョン(そうだ! 俺は寝た! 俺は寝たぞ!)


    61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:24:28.18 ID:iaJDSdT1P

    朝倉「寝ちゃったか……なら、これくらいいいよね」

    朝倉「……チュッ」

    キョン(今! 今左の頬になんか柔らかい感触が!)

    朝倉「ふふっ、キスしちゃった。って言ってもほっぺにだけど」

    朝倉「……でもここまで。これ以上はきっと許されないから」

    朝倉「今日は本当に楽しかったなぁ。毎日こんな風に過ごせたらきっともっと楽しいんだろうなぁ」

    朝倉「でも、キョン君には涼宮さんがいるもんね。きっと……もう……次は、ないんだよね……」

    朝倉「うっ……ぐすっ……わかってたはずなのにね。なんでこんな……」

    朝倉「こんなに辛いなら……恋なんて……知らなければよかったのに」


    62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:25:09.29 ID:iaJDSdT1P

    キョン(…………)

    キョン「おい、朝倉」

    朝倉「へっ? キョン君起きて……きゃっ!」

    キョン「すまん。狸寝入りだ」

    朝倉「寝たふりしてたってこと?! ってちょっと、なんであたしのこと抱きしめてるの?」

    キョン「俺がこうしたいと思ったからだ」

    朝倉「し、紳士なんでしょ? それともあれは嘘だったの?」

    キョン「泣いてる女の子がいたら抱きしめるのも紳士の仕事だ」

    朝倉「そんなの詭弁よ……」


    64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:25:48.58 ID:iaJDSdT1P

    キョン「なぁ朝倉。お前から見て俺とハルヒはどんな関係に見える?」

    朝倉「っ……! お、お似合いだと思うわよ」

    キョン「本当にそう見えるならお前の目は曇ってるな」

    朝倉「……どういう意味?」

    キョン「俺はハルヒのことを抱きしめたいとは思わない」

    キョン「でも、こうやってちょっと強引に家に連れてきて、一緒に飯を食って、遊んで、話して……」

    キョン「そんな女の子を、俺はこうやって抱きしめたいと思う」

    朝倉「……それって同情? それとも慰め?」

    キョン「どっちも違う」


    68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:26:45.37 ID:iaJDSdT1P

    キョン「俺とお前は昨日まではただのクラスメイト程度の関係だった。それは紛れもない事実だ」

    キョン「でも、今日お前が晩メシに誘ってくれたとき、正直俺は嬉しかった」

    キョン「その時はなんで嬉しいのかよくわからなかった。けど今ならわかる気がするんだ」

    キョン「俺は、お前と、昨日までの関係以上の関係を築いていきたい」

    朝倉「!」

    キョン「なぁ朝倉。お前の考えを聞かせてくれないか?」

    朝倉「……あたしは、ううん、あたしも、キョン君ともっと深い関係になりたい。でも――」

    キョン「『でも』はいらない。それだけ聞ければ十分だ」


    72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:27:33.70 ID:iaJDSdT1P

    朝倉「……なんか卑怯な感じね」

    キョン「そうかい」

    朝倉「けど、嬉しい。あたし、キョン君の傍にいてもいいの?」

    キョン「むしろ頼みたいくらいだ。頼む朝倉。俺の傍にいてくれ」

    朝倉「ありがとう……ぐすっ」

    キョン「なんだ結局泣くのかよ」

    朝倉「ふふっ、だって泣いてたらキョン君は抱きしめててくれるんでしょ?」

    キョン「あぁ、いつまでだって抱きしめててやるさ」


    74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:28:48.24 ID:iaJDSdT1P

    朝倉「ふぁ……もう朝?」

    朝倉「なんだかあんまり寝た気がしないわ。あれ、メールが来てる」

    『from:長門有希 sub:おめでとう 本文:後の処理は私に任せてくれて構わない。あなたはあなたの幸せを掴んで。』

    朝倉「長門さん……ありがとう」

    キョン「んん……朝倉……?」

    朝倉「あら起きた? おはようキョン君」

    キョン「あ、あぁ。おはよう朝倉」

    朝倉「な、なんか照れくさいね」

    キョン「そ、そうだな」

    朝倉「……昨日の寝る前のこと、夢じゃないんだよね」

    キョン「あぁ。夢オチなんて陳腐なものでは絶対にない」

    朝倉「……よかった。夢だったらきっとショックで数日は寝こんでたもの。ふふっ」


    75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:30:09.47 ID:iaJDSdT1P

    ハルヒ「キョン! 部室行くわよ!」

    キョン「悪いなハルヒ、今日は用事があるんで団活は休ませてくれ」

    ハルヒ「ハァ? SOS団より大事な用事なんて――」

    キョン「おーい涼子ー」

    朝倉「なぁに? キョン君」

    キョン「今日スーパーの特売日だろ。荷物持ち手伝うぞ」

    朝倉「ありがとう。ところで今晩は何が食べたい?」

    キョン「そうだな……今日はメンチカツな気分だな」

    朝倉「メンチカツね、了解♪ じゃあ行きましょ」

    キョン「あぁ。そういうことなんだハルヒ。悪いが今日は帰らせてもらうな」

    ハルヒ「え? あぁ、うん」


    77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:31:22.14 ID:iaJDSdT1P

    ハルヒ「全くキョンったら彼女できてから団活サボるの多すぎよ! 信じらんない!」

    古泉「まぁまぁ涼宮さん。彼も健全な男子高校生ですし恋愛くらい大目に見てあげては」

    朝比奈「ふぇぇ、キョン君に彼女さんですかぁ。今知りましたぁ」

    長門「『人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえ』と言う言葉がある」

    古泉「あぁ、都々逸ですね」

    ハルヒ「別に邪魔するつもりはないわ。下っ端が1人いなくなったところでSOS団の活動には問題無いんだから!」

    古泉「彼の穴を埋められるよう我々も一層の努力を惜しみませんよ。ねぇ長門さん?」

    長門「努力する」


    78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:32:23.48 ID:iaJDSdT1P

    谷口「キョンのやつAAランク+の朝倉を彼女にするなんてどんな魔法を使いやがったんだぁ?」

    国木田「谷口はがっつき過ぎるから女の子に避けられるんだよ。少しはキョンを見習ってみたら?」

    谷口「キョンのどこを見習えばいいんだ? 無気力そうなところか? 常に倦怠感を醸し出してるところか?」

    国木田「うーん、どこからでもいいんじゃない?」

    谷口「よっしゃあ! じゃあ明日から俺は無気力に生きることにするぜ!」

    国木田「まぁ無理だと思うけどがんばって」


    80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/25(水) 22:33:34.49 ID:iaJDSdT1P

    朝倉「キョン君、これお皿に盛りつけてくれる?」

    キョン「あいよ。というか涼子。いつまで俺のことを『キョン君』と呼ぶつもりだ?」

    朝倉「だってなんだかしっくりくるんですもの。嫌なの?」

    キョン「嫌というワケじゃないが……ほら、恋人同士なんだから下の名前で呼んで欲しい願望とかもあるんだよ」

    朝倉「ふぅん。そういうものなんだ」

    キョン「そういうものなんだ」

    朝倉「じゃあ試しに下の名前で呼んでみようか」

    キョン「おぅ。頼むぜ」

    朝倉「……」

    キョン「……」

    朝倉「……」

    キョン「……どうした?」

    朝倉「……キョン君の下の名前ってなんだっけ?」

    キョン「それくらい知っておいてくれよ!!」


    終わり


    引用元: 朝倉「あなたを夕食に招待して涼宮ハルヒの出方を見る」

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