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    めぐみん「サキュバス!?」カズマ「!?」

    1: ◆xW69XHZIXl2A 2016/03/21(月) 19:48:40.87 ID:30+Y0kZq0

     今日はどこで爆裂魔法を使おうか?という有意義な事を考えながら散歩をしていると、私の仲間の姿を見かけた。
     その仲間---カズマは明らかにソワソワしている。
     トイレにでも行きたいのだろうか?

     するとカズマは路地裏に入って行った。
     ソワソワするカズマの様子が気になって、私も距離を置いて行く。
     すると……。

    「路地裏の……小さな喫茶店に入っていきましたね。そういえばちょうどお昼時でした。運が良かったです。カズマにご馳走して貰うことにしましょう」

     なんだかんだ味にうるさいカズマの事だ、きっとこのお店は美味しいのだろう。
     私は何をご馳走して貰おうと胸を躍らせながら、カズマを追いかけるようにお店に入った。



    「いらっしゃいませ」

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    2: ◆xW69XHZIXl2A 2016/03/21(月) 19:49:33.96 ID:30+Y0kZq0

    ------チャームの力

     あくまでも例えばの話。
     もし、私がその力を持っていて、チャームの力をカズマやダクネスに使ったとする。
     これでカズマは私の恋人に。ダクネスは私の大親友になってしまう。
     ここまで聞くと大した力ではないように聞こえるが、警戒心や猜疑心が消えてしまうのが大問題なのだ。

     親友や恋人から「お金を貸して。明日返すから」と言って、貸す人はほとんどいないだろう。
     でも、このチャームの力で親友になっていまうと、『明日返してもらう』という言葉を簡単に信じてしまう。
     普通なら「本当に返してもらえるの?」「明日? 無理でしょう」と人を疑う気持ちや警戒する気持ちが優先されるのだが、チャームの力ではこれがなくなる、これがとても厄介。



     なぜ私がこんな話をするかというと、後から知ったのだが、この時の私はチャームの力によって、こともあろうかサキュバスを親友と思っていたらしい。


    3: ◆xW69XHZIXl2A 2016/03/21(月) 19:50:49.47 ID:30+Y0kZq0

      *  *  *


    「あら?こんにちは。迷子の小さな魔法使いさん」
     そこには私の無二の親友のサキュ……人間のお姉さんが働いているお店だった。

    「こんにちは、お姉さん。さて、小さい魔法使いとは誰の事か聞こうじゃないか」
     紅魔族は売られたケンカは絶対に買う。
     それは相手がお姉さんでも同じことだ。

    「ふふふ。ごめんなさい、冗談よ。………で、今日も紅茶でよろしかったかしら?」
    「いえ、今日は知り合いの人がこのお店に入ってくるのを見まして。それで奢ってもらおうかと」
    「あら? 来ていないわよ。そんな人」
     あれ?カズマを見かけたはずなのだが---

    「お姉さんがそう言うのならそうなのでしょう。私の見間違いのようですね。では、紅茶を一つお願いします」
     ここは私のお気に入りのお店。そしてここの紅茶を私はいつも飲んでいる。
    「ええ。少し待っていてね」


    4: ◆xW69XHZIXl2A 2016/03/21(月) 19:51:45.36 ID:30+Y0kZq0

     待っている間、暇だったので周りを見渡した。
     よくよく見るとこのお店は男性客が多い。
     いや、多いというより私以外は全員男性客だ。
     しかも、その男性客たちは料理も頼まずに、何かを必死に書いている。何を書いているのだろう?
     私が物珍しそうにキョロキョロしていると。

    「魔法使いさん。ごめんなさい。この席、次の予約が入っていて--」
     親友のお姉さんが申し訳なさそうに言ってきた。
     いつの間にか長居していたのだろう。さっさとお店から出ることにしよう。

     ………………あれ?そんなに長居していたのかな?紅茶も飲んだ記憶が……?

    「それはすいませんでした。お会計をお願いしたいのですが」
    「いえ。今日はお姉さんが奢ってあげる。だから、このお店の周りに二度と近づいたらダメよ?」
    「ありがとうございます。また今度奢ってください。なんなら今日の夕ご飯でも。見ての通り育ち盛りなのでカロリーが高いものがいいです」
    「う、うん。またそのうちね。とにかくお店に近づいたらダメよ?」

    「はい」
     素直に返事をした私がお店を出ようとした時に----




    「カズマ----?」

    「げっ」


    5: ◆xW69XHZIXl2A 2016/03/21(月) 19:52:59.57 ID:30+Y0kZq0

     そこには良く知る男、カズマがいた。
     あれ?さっきお姉さんに「来ていないわよ。そんな人」って言われたはずなのに……。
     あれ?じゃあ、なんでカズマがここに……?
     あれ?あれ?あれ?


    「常連さん!早く逃げて!彼女はまだ混乱しているから大丈夫なはず!」

     よくわからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。わからない。


     どういうことなのか。わからない。

     そうだ。こんな時はいつもみたいにすっきりしよう。






    ----爆裂魔法を使って----








    「めぐみん!やめろーーーーー!!!」


    6: ◆xW69XHZIXl2A 2016/03/21(月) 19:53:40.57 ID:30+Y0kZq0

     私が詠唱をしているとカズマが止めに入ってきた。
     爆裂魔法を止める事に定評があるカズマでも、今回の私は止められませんよ。
     なぜなら、状況がよくわからないから。
     でも、きっと爆裂魔法を使えば、何もかもすっきりするはず。だから私は----





     ----あれ?私はなにをしてるの?


    「チャームを解きました。お願いします!誰か!誰か早く止めてください!」

    「めぐみん!」

     カズマが私の口を塞いできた。
     紅魔族は頭が良い。
     混乱していた私だが『チャームを解きました』を聞いて、私がどんな状況だったのか全て理解できた。


    7: ◆xW69XHZIXl2A 2016/03/21(月) 19:55:37.88 ID:30+Y0kZq0

     
      *  *  *



    「で、どういう事でしょうか?」
    「いや、その……あの……だな」
     カズマは正座している。

    「で、どういう事でしょうか?」
    「いや、その……このお店は素敵なお姉さんとお茶できる、素敵なお店で……」
    「で、どういう事でしょうか?」

    「あー! もうわかってるんだろう!? ああそうだよ! ここはいかがわしい店だよ! なんか文句あんのか!? 誰か迷惑してんのか!? ああ!?」
    「開き直りましたね。この最低男は」

     ちなみに、「おい、この店を消されたくなかったら、どういう店か教えろ」と脅し……頼んで、サキュバスから事情を聞いた。
     だから、まぁ、何のお店か知ってるし、男性冒険者にこういうお店が必要なのも理解しているつもりだが……
     カズマがこのお店を利用するのは、なぜか納得がいかない----


    8: ◆xW69XHZIXl2A 2016/03/21(月) 19:58:49.60 ID:30+Y0kZq0

    「あ、あのー」
    「なんです?」
     近くでこの状況を見守っていたサキュバスが、私に近づいて来て耳打ちした。

    「見逃して貰えるならば、あなたに無料で夢をお見せしますが。ちなみにあなたは女性なので精をとったりはできないので、無料でデメリット無しです」
     まさか私を買収しようと?
     残念ながら私はそんなに安い人間じゃない。
    「考えが変わりました。やはりこのお店は消し飛ばします」
    「あ、あの、よかったら常連……カズマさんの夢を見せる事も」
    「!?」


     な、ななななななな何を!?
     私が軽く……本当に軽く、悪魔のささやきに動揺しているとサキュバスがニヤリと微笑み。


    「なんなら、今度からカズマさんの夢の相手を、ずっとあなたにする事も----」


     悪魔が悪魔のささやきをしてくる。
     なにを言ってるんだろう?この悪魔は。
     私がそれを言われたからと言って、なにを悩むというんだろう?
     そう、何も悩むことはなかった。

     私は立ち上がり何も迷うことなく。

    「はぁ……。仕方ありませんね。そこまで言うのなら、このままにしておきましょう」


    11: ◆xW69XHZIXl2A 2016/03/21(月) 20:02:21.67 ID:30+Y0kZq0

     里を出る前に注意されていた事がある。
     それは夜に男性冒険者に襲われる危険性。
     奴らは家だろうが部屋だろうが、どこでも襲ってくる。モンスター以上に危険な奴らと注意を受けていた。

     だがアクセルの街では、女性冒険者が襲われた話を全然聞いたことがない。このお店のおかげのようだ。
     私がアクセルの街に来る前の街ではセクハラが凄かったのにだ。


     このお店のお陰で、この街の女性は襲われる心配がなく夜ぐっすり眠れる。
     そういう事であれば、いちいちサキュバスを倒す必要もない。
     共存生活とは素晴らしいものだと思う。

    「え!?め、めぐみん、大丈夫か? ケンカの早さだけでは誰にも負けないめぐみんが何もしない? お前まだチャームが残ってるんじゃないか!?」
     カズマからびっくりする声が。
     この男は私をなんだと思っているのだろう? 一度しっかり話し合う必要がありそうだ。
     でも、今日の私は機嫌がいいのだ。
     サキュバスに今晩お願いしますと耳打ちして、今後のカズマとの進展を願いながら、私は宿に向かった。


    12: ◆xW69XHZIXl2A 2016/03/21(月) 20:03:12.53 ID:30+Y0kZq0

     
      *  *  *



     良い朝だった。
     昨日から同じ紅魔族であり同級生のゆんゆんがいる宿に泊まった。


     それにしても夢があんなにすごいなんて。
     カズマたちがハマる気持ちがわかるかも----
     そんな事を考えながら朝食をとっていると、ゆんゆんが不思議そうな顔で。

    「ずっとニヤニヤしているけど、何かいい夢でも見たの?」
    「み、見てません! 見ていませんよ!」
    「ふーん?」


     これはヤバい。夢の内容を思い浮かべただけで……積極的なカズマもなかなか……。だ、ダメだ。私がダメ人間に……。
     さっさと家に帰って、自室でゆっくり夢の内容を思い出そうと決意し。

    「さて、私は帰ります。今日は泊めてくれてありがとうございました」
    「うん、いいよ。だって私たち、しっ、親友だからね! いつでも歓迎だよ。いつでも泊まりに来ていいよ。だって親友だし!」
    「はい。これから好きな時に好きなだけ泊まらせてくださいね」
    「うん。いいよ。いつもで好きな時に好きなだけ-----ってあれ? 私都合よく使われているだけのような……。ね、ねえ? めぐみんにとって私って都合の良い親友とかじゃないよね?」
    「あたりまえじゃないですか」
    「ねえ! 今の棒読みだよね!? もっと感情を込めて言ってよ! ねえ!」


     騒々しいゆんゆんを後にして宿を出た。
     帰路でゆっくり夢の事を思い返そうかと思ってたら、なぜかゆんゆんもついてきた。


    13: ◆xW69XHZIXl2A 2016/03/21(月) 20:04:47.75 ID:30+Y0kZq0

    「まだ朝早いし、変な人がいたら危ないから」
    「私くらいのレベルになるとその辺のゴロツキくらい楽勝ですよ」
    「いや、だから相手が危なくて----って、痛い。髪を引っ張らないで!」
    「あっ」


     カズマ。カズマがいた。
     そうか。ここは宿が密集している地域。
     きっとカズマも宿に泊まって----え? 宿に泊まって何をして…………たの?

    「おはようございます。カズマさん」
    「あ、ああ、おはよう。ゆんゆん……めぐみん」
    「カズマさん。風邪ですか? 顔が真っ赤ですよ?」


     なっなななななな!!!?や、やっぱりこの男!?


    「あれ? なんでめぐみんも顔が真っ赤なの? もしかして風邪が流行ってるの? 私も気を付けたほうがいいかな? 痛っ。なんで!? なんで杖で打つの!? 痛い! 痛いから!」


     こうして、私たちは顔を合わせるごとに赤くなり……意識して----
     仲は進展するどころか。見事に停滞するのであった----








           終わり


    14: ◆xW69XHZIXl2A 2016/03/21(月) 20:05:13.24 ID:30+Y0kZq0

    これにて終わりになります。
    また機会があればよろしくお願いします!


    引用元: めぐみん「サキュバス!?」カズマ「!?」

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