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    【デレマスSS】モバP「職場の電話じゃ言えねーよ」まゆ「……」トライアド「……」

    1: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:21:09 ID:xsj

    事務所にて

    P「分かったって。言うから。拗ねるな拗ねるな……俺も好きだよ(小声)」

    千川ちひろ(電話中のPさん……その会話の内容で、奥の談話スペースのメンツに緊張が走りました……)

    渋谷凛「…………」

    北条加蓮「…………」

    神谷奈緒「…………」

    佐久間まゆ「…………」

    P「は? 自分が大を付けてるのに俺は付けてない? だから恥ずかしいんだっつーの。
    事務所の電話なんだからこれで許せって。
    ……えっ? だからこそ?
    何言ってんだよ、お前。
    ……はいはい。……大好きだよ(小声)」



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    2: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:21:22 ID:xsj

    ちひろ(……まゆちゃんも含めて4人で仲良くお茶会をしていた数分前とは一転。
    みんな真顔で、ひと言も言葉を交わしません。
    あ。まゆちゃんの握ってたクッキーが砕けた)

    P「じゃあ切るぞ? はいはい。分かってる分かってる。それは明日な明日。
    ……はぁっ!? あ、愛って……おまっ、お前、何言ってんだ!?
    いや流石にそれは言えねーから。もう切るからな。はいはい。またなー」

    ガチャ

    P「ふぅ……」

    ちひろ「……あ、あの。Pさん?」


    3: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:21:47 ID:xsj

    P「あっ。すみません。休憩時間とは言え、職場の電話で。聞こえてましたよね?」

    ちひろ(私だけでなく、奥の親愛度カンストメンバーにもね!)

    ちひろ「い、今の電話は……そ、その……?」

    P「ああ、明日俺、休暇貰ってるじゃないですか。
    その時、ある人に会うため出かける予定でして……。それに関係して、ちょっと確認みたいな電話ですよ。
    言われなくっても忘れるわけないのに……何を心配してるんだか……」

    ちひろ(と、微笑を浮かべるPさん。
    ……いい笑顔です。
    いや、いい笑顔ではあるんですけど……)

    まゆ「Pさぁん……?」

    ちひろ「ひっ……!?」


    4: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:22:15 ID:xsj

    凛・奈緒・加蓮(まゆが動いた……!)

    P「お。まゆか。凛たちとお茶してたんだよな。紅茶の良い香りがしてたぞ。
    あっ。もしかして、さっきの俺の電話、聞こえてたか?」

    ちひろ(走り幅跳び並の勢いで地雷に踏み込んだーっ!!)

    まゆ「いいえー。凛ちゃん達とお話をしてたので聞こえませんでしたよぉ」

    奈緒(嘘つけやぁぁぁぁっ!!)

    凛(天使みたいな笑顔で、さらりとよく言えるね。……やっぱ侮れない)

    加蓮(くるみちゃんや乃々ちゃんなら、そばにいるだけで脂汗浮かべて禿げ上がりそうなレベルの邪悪なオーラがこっちまで届いてるけどね)


    5: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:22:48 ID:xsj

    まゆ「Pさん、明日はお休みですよねぇ。まゆも偶然、お休みなんです。
    良かったらお買い物とか、ご一緒して下さいませんかぁ?」

    P「あー。ごめん。明日はちょっと用事があってさ……」

    まゆ「そうですか……残念です……。
    ちなみに、どんなご予定か聞いても平気ですか?」

    P「うーん……。ちょっと仕事の関係でな。大切な人に会う予定なんだ」

    ちひろ(仕事、ダウトォォォ!!)

    まゆ「大切な人……ですかぁ……」

    加蓮(あ。あのオーラでちょっと気あたり起こしてきたかも)

    奈緒(大丈夫かよ? 紅茶のめ、紅茶)

    凛(魔界の瘴気に慣れたちひろさんでも、あの距離はキツそうだね)

    加蓮(常務も裸で逃げ出すレベルだね)

    奈緒(裸足な)


    6: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:23:18 ID:xsj

    まゆ「お仕事関係なんですねぇ。
    ……まゆ、Pさんのために何かお手伝いしたいんですけど。
    ご一緒したらお邪魔ですかぁ?」

    ちひろ(攻めるわねー)

    P「うーん……」

    まゆ「ご迷惑なら……いいんです。
    営業とかなら……お手伝いできるかなって……思って……」

    加蓮(顔を伏せ、消え入るような声!)

    凛(両手で合わせる指先は震え、控えめな自己主張が保護欲を誘う!
    これは断れない! 断っちゃいけない! 連れて行かなきゃ!)

    奈緒(無理に決まってるだろっ!)

    ちひろ(下手したら血を見ますよ!)

    P「よし。いいぞ」

    ちひろ・凛・奈緒・加蓮「えっ!?」

    まゆ「…………」

    まゆ「……いいんですかぁ?」


    7: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:24:05 ID:xsj

    P「ああ、正直なところ、いつか皆に紹介する必要があるかもしれないな、と思ってはいたし、
    ……まゆならしっかりしてるから、問題ないだろう」

    奈緒(あるわボケェェェェェッ!!)

    ちひろ(節穴かぁぁぁっ! 他称『瞳を持つ者』! お前のその眼は節穴かぁぁぁっ!)

    P「ああ。けどまだ皆には内緒な。正直、俺のプライベートなことだから、どう伝えるべきか迷ってるんだ。
    まぁ、皆、気にもとめないかもしれないけどな!」

    奈緒(仕事じゃなかったんかいぃぃ!)

    ちひろ(気にするに決まってるでしょう! 下手したら事務所が空中分解しますよ!)

    P「あとついでに、今度出すCDに付けるオフショット写真でも何枚か撮っておくか。
    周りにバレない程度のアイドルっぽい私服で来てくれよ。
    後日ちゃんとプロの人にも撮ってもらうけど、使えれば儲けモノで。
    あっ。アイドルっぽいって言っても、あんまり派手なのはダメだぞ。周りにバレてデートだと勘違いされたら厄介だからな」

    まゆ「…………はい。わかりましたぁ」


    8: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:25:00 ID:xsj

    加蓮(……空気が重くて呼吸がままならないんだけど)

    凛(部屋の隅っこでアッキーとヒョウくんがひっくり返って硬直してるね)

    奈緒(あとで清良さんとこに連れてって診てもらおう)

    加蓮(晶葉博士の方がいいんじゃない?)

    凛(じゃあそれで)

    P「ん。明日が楽しみになってきたな。けど、なんかちょっと緊張するな!」

    まゆ「……そうですねぇ」

    ちひろ(コーヒーの味がしない)

    P「じゃあ、俺は仕事に戻るな。まゆ達は……」

    まゆ「まゆはそろそろお暇しますねぇ。


    9: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:25:40 ID:xsj

    凛ちゃん達も……お先に失礼します」

    P「ん。お疲れ」

    凛「お、おつかれー」

    加蓮「き、気をつけてー」

    奈緒「ま、またなー」

    ガチャ……バタン

    P「うし。仕事仕事っ!」

    凛「ね、ねぇ……」

    P「お、どうしたお前達、三人揃って」


    10: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:27:06 ID:xsj

    凛「明日……大丈夫なの?」

    P「ああ、お前達も聞いちゃってたか。
    けどまぁ、大丈夫じゃないか?
    お前達には華奢で頼りなく見えてるのかもしれないけれど、まゆはあれでしっかりしてるし、精神的にも大人だからな。
    ……案外あいつともあっさり仲良くなったりしてな」

    凛(頭おかしい」

    加蓮(鈍感にも程がある」

    奈緒「二人共、本音が声に出てるぞ」

    P「明日トライアドは三人揃って仕事だっけ?」

    凛「……そうだね」

    加蓮「……だからまぁ、今回の件はまゆに任せるよ」

    奈緒(仕事じゃなかったら絶対ついていくよな、こいつら……)

    P「? おう。俺だけ休み貰っちゃって申し訳ないな。何か土産は買ってくるよ。
    ……あ。そうだ!」

    凛・奈緒・加蓮「?」


    11: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:27:36 ID:xsj

    P「明日撮る予定のまゆのオフショット写真。面白いのが撮れたらお前達にも送ってやるな。話のネタくらいにはなるだろ」

    凛・加蓮(いや、デートの写真送ってこられてもねー)

    奈緒「送るのはいいけど、血染めの腹部とか、血塗れの手のひらとか、警官に取り押さえられるまゆの写真とかはやめてくれよ」

    P「ははっ。なんだよそれ」

    凛・加蓮・ちひろ(あり得そうだから怖い……)

    P「あ、そうだ。忘れるところだった。あれメモしとかないと。
    明日の朝ごはん用に買って帰るものっと……玉子と砂糖。あと牛乳も。食パンも買い足しとくかな。それから~……」

    奈緒「仕事しろよ……」

    凛「主夫かっ!」

    加蓮「毎日私にお味噌汁作ってよ」

    凛・奈緒「はいはい。撤収~」

    加蓮「いやぁぁぁぁ。引きずらないで~」

    P「仲良いな~。あいつら」

    ちひろ「……せやな」


    12: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:28:19 ID:xsj

    ※ ※ ※ ※ ※

    某スタジオにて

    はい。休憩入りまーす。

    奈緒「あー。疲れた。バラエティー番組はいつまで経っても慣れねー」

    加蓮「奈緒は特にイジられるからねー」

    凛「いい隠れ蓑になって助かるよ」

    奈緒「おいこらチクショー、泣くぞ、おい。
    ……って、あれ?」

    加蓮「どうしたの?」

    奈緒「いや、Pさんからメールが来てる。昨日言ってたオフショット写真、本当に送ってきたのか」

    加蓮「えーっ。なんで奈緒?」

    凛「私には来てない……。どうして?」

    奈緒「知らねーよ。加蓮達だと拡散とかしそうだからじゃないか?」


    13: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:28:57 ID:xsj

    凛「一番信頼されてるのは私だと思ってたのに……」

    加蓮「一番大切にされてるのは私だと思ってたのに……」

    奈緒「あ、あたしだって……って、なんの話だよっ! いいから画像開くぞ。
    ……ニヤニヤすんな!」

    奈緒「…………」

    奈緒「おーっ……」

    加蓮「淡いピンク基調のワンピースに白のフリル。そしてリボン。薄手のシックなコートで目立ち過ぎないように微調整。ガーリッシュでまゆらしいファッションだね」

    凛「変装用の眼鏡も大きめな帽子も、まゆがまゆである事を隠しながら、しかし全体的な調和は乱さない、完璧なチョイス。やはりあなどれない」

    奈緒「何よりポーズが凄いな。カメラを向けられた時、自分がどう振る舞えば可愛く写るかを完全に把握してる。
    さすが元読モ。かっわいいなー、おい!」

    加蓮「奈緒のテンションが上がってきた……」

    凛「なんで奈緒に送ってきたのか、なんとなく分かった気がするよ」


    14: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:29:39 ID:xsj

    奈緒「お。次のが来た。あれっ? まゆ、顔真っ赤だ! ほらほら」

    加蓮「へー。ほんとだ。珍しい。カメラの前ではいつも完璧なまゆらしくないね。何があったんだろう?」

    奈緒「大方、Pさんが耳元で『よく似合ってる。可愛いよ……まゆ』とでも言ったんだろう!」

    加蓮「あー、ありそう。基本、タラシ…っていうかナチュラルボーンジゴロだからね。あの人。……タチ悪い」

    凛「……羨ましい」

    加蓮「…………」

    奈緒「お。次は……えっ!? なんかまゆ、真っ青なんだけど!? なんでだっ!?
    と、連続で来た。えええっ!? 今度は半泣きだぞ! 大丈夫かっ!?」

    加蓮「何があったらそうなるのよ……」

    凛「…………」

    凛「あれ?」

    奈緒「ん? どうした、凛?」


    15: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:30:15 ID:xsj

    凛「いや、なんか直観というか、違和感というか……。
    ねぇ、奈緒。画面ちょっとタップしてみていい?」

    奈緒「へ? 別にいいけど、何を……?」

    凛「よっ……と」

    加蓮「そこは……メールの差出人? それがどうかした……のっ!?」

    奈緒「へ? おいおい。どうしたんだよ、二人共」

    凛「いや……ね。メールのノリというか軽さに違和感があってさ。
    ちょっと確認してみたんだけど……。
    ねぇ、奈緒……このアドレス……私知らない」

    奈緒「!?」

    加蓮「私も……知らない。……初めて見た。
    ……私のに入ってるPさんのアドレスとは……違うね?」

    奈緒「!?」

    凛「もしかしてこれさ……Pのプライベート用のアドレスだったりしない?
    確か色々使い分ける為にスマホ2台持ちしてるとか言ってたような……」

    加蓮「……へぇ。初耳。私も仕事用のアドレスしか知らない。
    そういえば、あんまり遊びとか、ふざけた感じの内容は送っちゃ駄目だって釘をさされてたっけ……」


    16: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:30:48 ID:xsj

    奈緒「…………」

    凛・加蓮「……ねぇ、奈緒?」

    奈緒「ひゃいっ!?」

    凛・加蓮「お話、聞かせてくれるかな?」

    奈緒「ひぃっ!?」

    休憩あがりまーす。

    奈緒「おっ! ほ、ほら。撮影再開だって!
    こんなことしてる場合じゃねーよ。ほら。なっ! なっ!」

    凛「…………」

    加蓮「…………」

    凛「……それもそうだね」

    加蓮「……お仕事は大事だよね」

    奈緒「おう。そうだろっ! が、頑張ろうぜっ! よしっ!」


    17: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:31:14 ID:xsj

    凛「そうだね。全力で頑張ろう。……加蓮?」

    加蓮「ん? 何?」

    凛「次の撮影……罰ゲーム、芸能人の恥ずかしい秘密暴露のコーナー。
    ……奈緒には台本にない追撃といこう」

    加蓮「よし来たガッテン」

    奈緒「おい、やめろっ!っていうか、加蓮のキャラで、ガッテンって……」

    加蓮「よし来たどっこいしょ!(ウサミン感)」

    奈緒「やめて差し上げろっ!!」

    ※ ※ ※ ※ ※


    18: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:31:41 ID:xsj

    某所商店街

    P「おう。まゆー、おまたせ。結構待ったか?」

    まゆ「いいえー。今来たところですよぉ」

    P「そっかー。何となく予感がして待ち合わせの一時間半前に来てみて正解だったな。まゆを待たせずに済んだみたいだ」

    まゆ「うふふ。待ち人がPさんなら、待ち時間も至福のひとときですよぉ」

    P「そう言ってもらえると光栄だな。
    ……よし行くか!
    と、その前に写真一枚撮っていいか?
    程よく華やかでいいな~その服。まゆに良く似合ってる」

    まゆ「ありがとうございます。じゃあ、こんな感じで……撮って下さい♪」

    カシャッ

    P「ん。いい感じいい感じ。可愛いよ」


    19: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:32:15 ID:xsj

    まゆ「……そういえば詳しくは聞いていなかったんですけど、今日はどこへ……どなたと会われるんですかぁ……?」

    P「あれ? 言ってなかったか? 俺の実家だよ。会うのは俺の母親だな」

    まゆ「…………」

    まゆ「…………」

    まゆ「…………はい?」

    P「母親。俺の実家。俺の実家にご挨拶」

    まゆ「…………」

    まゆ「…………」

    まゆ「…………」

    まゆ「~~~~~~!!」////

    P「おーっ……」

    カシャッ


    21: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:33:16 ID:xsj

    まゆ「じ、じじじじっ」

    P「……セミかしら?」

    まゆ「じっ、じっかってっ!
    …………はっ!?」

    P「お?」

    まゆ「あああああ……」

    P「おお。今度は真っ青に」

    カシャッ

    まゆ「ま、まままゆ、し、失礼な、こんな失礼な格好でっ!」

    P「まが多いな。いや、別に失礼ではないんじゃないか? よく似合ってるし可愛いぞ」

    まゆ「よ、嫁がヒラヒラした派手な服着てるのを見て許せる寛容な姑なんて、そうそう居ないんですよぉ」

    P「嫁て」

    まゆ「あああ、どうしましょう。今から着替えに……でもお待たせするのも失礼ですし。
    これが原因で嫁姑問題がこじれでもしたら……」

    カシャッ


    23: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:33:54 ID:xsj

    まゆ「て、手土産もありません。今日はどこぞの女狐に土産じゃなくて引導を渡すつもりで来ましたから……。
    お義母様にいびられて、蹴られて、この*乱女がっ!って言われるのは嫌です。
    まゆ、Pさんのお母様は手に掛けたくありません」

    P「一方的にやられる気は毛頭ないんだな……。
    いや、まゆ?
    服はともかく、ここ商店街だから手土産には困らないぞ。そもそも、今から何かお菓子でも買って行こうかな、と思っていたし。
    それに、実はな……」

    まゆ「ああ、……商店街。お、お土産屋さん……」ふらふら

    P「ちょ、ま、まゆ? そんなおぼつかない足取りで……」

    ガッシャーン

    P「土産屋の店先に突っ込んだーっ!?」

    ※ ※ ※ ※ ※


    24: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:34:33 ID:xsj

    まゆ「す、すみません。お土産、和菓子ばっかり買い込むことになって……」

    P「いや、構わないよ。怪我がなくて何よりだ。そもそも俺のいたずら心が原因だし。
    和菓子だとおせんべいとかしょっぱいヤツも結構あるしな。朝飯が甘ったるかったから俺的にはちょうどいい」

    まゆ「でもケーキとか、もっとハイカラなものでなくても大丈夫でしょうか。デパ地下のスイーツとか……。
    ……え? いたずら心?」

    P「ハイカラって……。
    いやな、まゆのリアクションが予想外に良過ぎて言い出しにくかったんだが……実家云々は冗談だ。
    さすがに俺も事前に何も言わずに女の子を実家には連れて行かないぞ」

    まゆ「で、でもPさん、意外におちゃっぴぃなところがありますし……」

    P「おチャッピーって……。 動揺のせいか言語センスが菜々さんみたいになってるぞ。
    ほんとに冗談だから安心してくれ。
    そもそも今日は最初から、お仕事関係って言ってあっただろう。あれに嘘はないよ」

    まゆ「ほ、本当ですか? まゆを安心させる為の優しい嘘だったりしません?」

    P「本当本当。マジマジ。優しい嘘でも厳しい現実でもないよ」


    25: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:35:07 ID:xsj

    まゆ「…………」

    まゆ「も、もーっ! 本気で心配したんですからね!
    性質の悪い冗談はやめて下さい!
    もー!もーっ!」

    P「ははは。どすこいどすこい。
    って、いって、痛っ! 痛いっ!
    叩き方は可愛いのにっ! て、的確に急所をっ! ご、ごめんなさいっ! 許してっ!!」

    まゆ「ふーっ。ふーっ……」

    P「いや、ほんと。スンマセンでした……」

    まゆ「……うー。お陰でPさんの両手、和菓子の紙袋でいっぱいですよぉ」

    P「まー、それはいいだろ。手土産が必要だったのは事実だし。先方に迷惑になるようだったら一部は凛達に持って帰ろう」

    まゆ(これじゃ、手を繋げません……)

    P「よし。じゃあ、そろそろ行くか。少し歩くけど、ここから徒歩で行ける距離だからさ」

    まゆ「……はい。しつこいかもしれませんけど、本当にさっきのは冗談なんですよねぇ?」

    P「ああ。冗談だよ。今日会うのは母親じゃない……別の家族だからな」

    まゆ(ということは……)

    まゆ「お、お義父さまぁぁぁっ!?」

    ガッシャーン

    P「まゆぅぅぅぅぅっ!?」

    ※ ※ ※ ※ ※


    26: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:35:41 ID:xsj

    P「と、ここが今日の目的地だ」

    まゆ「この建物は……幼稚園ですか?」

    P「んー。養護施設ってやつかな。今年のクリスマス、ボランティアとしてここのクリスマス会に参加する予定でな。
    その時に向けて既に何回か訪問させてもらってるんだ」

    まゆ「なるほど……?」

    P「クリスマス、その時だけっていうのもなんだかアレじゃないか?
    だから今までも他のアイドル達を……当日パーティーに参加する予定の子達を連れてきて一緒に遊んだりしてたんだ」

    まゆ「そうだったんですか……」

    P「……で、だ。まゆとは別に、ここの入り口で待ち合わせてる相手がひとり……」

    「お兄様~」

    P「お、来たか。おーい!」

    まゆ「えっ?」

    里美「お待たせしました~。お久しぶりですぅ~、お兄様♪」


    27: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:36:06 ID:xsj

    まゆ「…………」

    P「ん。久しぶり」

    まゆ「お、お兄様……?」

    P「ああ、まゆにも紹介しておくな。俺の妹の里美だ。
    今日は……ていうかここに来る時はいつもなんだが……俺達の補助的なことをしてくれてる。
    天然で、ややブラコン気味だが、基本良い子だ。よろしく頼む」

    まゆ「い、妹さん……」

    里美「お兄様の妹の里美っていいます~。帽子と眼鏡で分かりませんでした~。
    佐久間まゆさんですね~。初めましてぇ~。よろしくお願いしますぅ~」

    まゆ「は、はい! よろしくお願い……します」

    まゆ(どこがとは言いませんが……おっきい……)

    里美「好きなものはアメとかハチミツとかぁ、甘いものですぅ~。あとお兄様も大好きですぅ~。
    今日は主に小さな子達と遊ぶだけですけど~、結構大変ですからぁ、頑張りましょ~」

    まゆ「は、はい。頑張ります」

    まゆ(ブラコンを否定しないどころか、大好き宣言されました。なるほど、あの電話の相手はこの娘ですか)

    まゆ「……こほん。既にご存知頂けてるようですが……私は佐久間まゆ、Pさんの事務所でアイドルをしています。
    今日はPさんのお手伝いで来ました。色々教えて頂けると嬉しく思います」


    28: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:36:30 ID:xsj

    まゆ(彼女もPさん好きには変わりません、けど……妹さんでしたか。少しほっとしました)

    P「よし、自己紹介は済んだな。じゃあ、行くか。
    里美が言ったように、今日は特別なことはしなくていいが……子ども達の相手は体力を使うぞ。覚悟しろよ~」

    まゆ「は、はい! ……がんばります!」

    ※ ※ ※ ※ ※


    29: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:36:56 ID:xsj

    まゆ(それから時間は慌ただしく過ぎました。
    まず園内の職員の方々……先生達数人に挨拶を済ませ、同時に、一緒にいた十数人の小さな子どもたちとも互いに自己紹介を済ませました)

    まゆ(そのままその子達の相手をすることになるのかな、と思っていると、今度は奥から年配の女性が現れ、やはり挨拶と自己紹介を行うことに)

    まゆ(どうやら彼女がここの責任者、園長先生らしいです。
    柔和そうな笑みを浮かべる彼女は、やや骨張った手で、そっと私に握手を求めます。
    私がそれに応えると、やはり嬉しそうな、温かい笑顔を浮かべ、一言。
    「私の子ども達をよろしくお願いします」
    そう言い残して部屋の奥へと戻っていってしまいました)

    P「これで大体挨拶は済んだかな。年長組はまだ不在の子が多いから、見かけた時につど、していけばいいだろう」

    まゆ「はぁ~。なんだか緊張しましたぁ……」

    P「そうか? 上手くできてたと思うぞ。特に子どもたちの受けは良かった。さすがだな」

    まゆ「そうですかぁ?」

    P「おう。あとは小さな子たちの遊び相手をしてくれたら助かる。
    まぁ。まゆなら今までここに連れてきたメンバーと比べても、特に安心して任せられそうだ」

    まゆ「他には誰を連れてきたんですかぁ?」

    P「イヴと薫と桃華、あとは時子様と、ありすと亜里沙先生かな」

    まゆ「今さらっと意外な人が……」


    30: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:37:40 ID:xsj

    P「ちなみに回数はイヴが1回、
    ありす、薫、桃華は既に3回、
    確か、時子様は7回で、
    あと、亜里沙が2回って感じかな」

    まゆ「待って下さい。おかしいです」

    P「いやまぁ、言いたいことはわかるぞ。
    けど、イヴはなんだかんだで当日の主役になる予定だし、あんまり来過ぎてもありがたみがなくなるかな、と」

    まゆ「そこじゃありません。そこじゃなくて」

    P「亜里沙先生か? 確かに亜里沙先生は先生だけに子ども好きだし、本人ももっと来たがってる。
    なにより子ども達からの要望も多いんだが、いかんせん、最近スケジュールが厳しくてな……」

    まゆ「そこでもありません! ていうか、分かってて言ってますよね。もう! もう!」

    P「ははは。すまんすまん……あれ?」

    まゆ「? どうかしましたぁ?」

    P「いや……な」

    まゆ(不意にPさんが目を細めます)

    P「……まゆ。ちょっと動かないでいてくれるか?」

    まゆ「へ?」


    31: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:38:13 ID:xsj

    まゆ(誰も見ていないことを確認したのでしょうか。
    周囲を見回したのち、Pさんは、おもむろに私との距離をつめ、手を伸ばしてきます)

    まゆ「えっ? えっ!?」

    P「すぐ終わる」

    まゆ(真剣な目をしたPさんが伸ばした手はまゆのすぐ横、耳の辺りを通り過ぎ……)

    まゆ「…………っ!!」

    まゆ(こ、これは! かの有名な壁ドンというヤツではないでしょうか?
    でもどうして? なんで急に? なぜ急にまゆに興奮を!?)

    まゆ(思わず目を瞑ったその瞬間、)

    P「よし、とれた」

    まゆ「へっ?」

    P「芋けんぴ、髪の毛についてたぞ」

    まゆ「……はい?」

    里美「ダメェェェェっ!!」

    P「ぐっはあぁぁっっっ!?」

    まゆ(笑顔でまゆの髪の中から取り出した芋けんぴを見せるPさんは、突然飛び込んできた里美さんに吹き飛ばされ、ごろんごろんと転がって行きました)

    まゆ「…………」

    まゆ(もう、何が何だか……)

    ※ ※ ※ ※ ※


    32: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:38:43 ID:xsj

    P「いやほら、待ち合わせの時、まゆ、和菓子屋に突っ込んだじゃん? たぶん、あの時についたんだと思うんだよね」

    まゆ(Pさんがまゆを襲ってると勘違いし、突進してきた里美さんは、今は泣きながら謝り、Pさんの腰に縋り付いています)

    まゆ(そんな里美さんの頭を撫でながら、Pさんは先の様に滔々と解説したわけですが)

    まゆ「なんでそんなもの回収するんですかぁ!」

    P「え? 付けっ放しの方が良かった? 芋けんぴ」

    まゆ「そっちじゃなくて、伏線の話です」

    P「何の話っ!?」

    まゆ(憤懣やる方ないまゆの理不尽な言葉に、Pさんは目を白黒させます)

    まゆ(いえ、まゆ自身も自分で何を言っているのかよく分かっていないのですが……)


    33: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:39:09 ID:xsj

    P「と、とにかく、今からまゆは里美と一緒におチビ達と……。
    ああ、もう! 怒ってないから、里美は一旦離れなさい!
    って、涙はともかく鼻水を俺の服に付けるな! もういい歳なんだから、子ども泣きはやめなさい!」

    里美「ふぁい……」

    P「怒ってないどころか、むしろ、とっさにまゆじゃなくて俺を吹っ飛ばしたところは褒めてやる。
    ナイス判断。良くやった」

    まゆ(と、言いつつPさんは里美さんの頭をより一層強くガシガシと撫でつけます。
    ……ちょっと甘すぎないですか?)

    里美「ほわぁ~。えへへ」

    P「ほら。泣き止んだら、向こう行って、まゆお姉ちゃんと遊んでもらえ」

    里美「はい~♪」

    まゆ「里美さん、まゆより歳上ですよね!?」

    ※ ※ ※ ※ ※


    34: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:39:35 ID:xsj

    まゆ(ともあれ、ここまで色々とありましたが、それ以降はあらかじめ言われていた通り、特別なことはなく、
    園内のお子さん達とママゴトをしたり、絵を描いたり、お庭に連れ出されたりして遊んでいるうちに時間は過ぎて行きました)

    まゆ(ちなみに、昼食のあとに出されたPさんが買ってきた和菓子のお土産はイマイチ不評でしたが、
    苦し紛れに披露された、まゆの醜態、お土産屋さん突っ込み事件が予想外に受け、場の空気を和ませたりもしました)

    まゆ(Pさんの隣の席で「まゆさん、おっちょこちょいですぅ~」と笑っている里美さんを見ると、黒い感情が湧き上がってくるのを自覚せざるを得ませんでしたが)

    里美「まゆさん、お疲れですかぁ~?」

    まゆ(今はまた自由時間。園内のお庭で砂遊びをしている子達を、ぼんやりと眺めていた所でした)

    まゆ「そうですねぇ。少し疲れたかもしれません。
    亜里沙さんからも聞いたことがありましたが、小さな子ども達のパワーは計り知れませんねぇ……」

    まゆ(視線を巡らし、園内へと向けます。部屋の奥の方、明暗の加減で分かりにくいですが、そこにはPさんの姿が)

    まゆ(今は順々に年長組の皆さんとお話をしていってるそうです。
    日常的なお悩み相談から、各々に迫る進路相談まで、結構手広く対応しているようで、(特に女の子から)人気があるっぽいです)

    まゆ「…………」

    まゆ(さすがPさんですねぇ……)

    里美「……まゆさんのお顔がちょっと怖いですぅ」

    まゆ「気のせいですよ……」


    35: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:40:03 ID:xsj

    「ねぇねぇ、まゆちゃん!」

    まゆ「はぁい?」

    まゆ(まゆのスカートの裾をちょっと引っ張り、可愛らしい女の子が話しかけてきました)

    女の子「まゆちゃんはPセンセーのこと、好きなの?」

    まゆ「はい。大好きですよぉ」

    里美「即答ですぅ~」

    女の子「じゃあ、結婚するの?」

    まゆ「う~ん。今のまゆはアイドルですからぁ。すぐには難しいかもしれませんねぇ。
    けど、将来的にはそうなるかもしれません。
    まゆとPさんは運命の紅いリボンで結ばれていますから♪」

    女の子「へぇーっ……」

    まゆ(表情明るく、目をまんまるにしたその子は、とてもとても愛らしく感じられました)

    里美「…………」

    女の子「でも大変だね!」

    まゆ「大変? 何がですか?」

    女の子「ここに遊びに来たアイドルのお姉さん達、みんなPセンセーと結婚するって言ってたよ。
    まゆちゃんのコイガタキ、すごくいっぱいだね!」

    まゆ「…………へぇ」


    36: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:40:33 ID:xsj

    女の子「里美お姉ちゃんもPセンセーのお嫁さんになるんだよね!」

    まゆ「!?」

    里美「はい~。なりますよぉ~。……絶対に」

    まゆ「!!?」

    まゆ(なぜか一瞬、背筋が寒くなったのですが……)

    まゆ「……里美さんもPさんのこと、大好きですもんねぇ」

    まゆ(動揺は隠し、先に宣言されたことを繰り返すにとどめます……が)

    里美「はい~。愛してますぅ~」

    まゆ(カウンターでいいのが返ってきました。薄々感じてはいましたが、この子の愛は……重いですねぇ……)

    まゆ(そういえば、昨日の電話口、Pさんに好きだの大好きだの言わせるよう仕向けてたのはこの子でしたか。
    妹さんとはいえ、油断はし過ぎない方が賢明かもしれません)

    お~い。

    まゆ(ふと、後方から呼ばれたような気がして、そちらに顔を向けてみると、Pさんが手を振りながら庭へと出て来るところでした)


    37: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:40:55 ID:xsj

    P「よっ、まゆ。お疲れ様。チビ達の面倒みてくれて、ありがとうな。少し休憩しな」

    まゆ「うふ。全然大丈夫ですよぉ」

    P「まぁ、そう言うなって。
    ほら、軒下で園長先生がお茶とお菓子用意してくれてるから、ちょっとひと息ついてこい」

    まゆ「……そうですねぇ。では少し……お休みさせてもらいますね」

    まゆ(スカートに着いた砂を払い、Pさん達に背を向けます。後ろで嬉しそうな声をあげ、Pさんにじゃれ付いているらしい女の子に微笑ましさを感じつつ、
    一方でその場に残るらしい里美さんの存在に多少の不安を感じながら……まゆは軒下で手招きしている園長先生のもとへと歩みを進めました)

    ※ ※ ※ ※ ※


    38: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:41:25 ID:xsj

    園長「お疲れ様、子ども達の相手は大変だったでしょう」

    まゆ「いえいえ。とても楽しかったですよぉ」

    まゆ(出されたお菓子を摘み、続けて細い湯気を立てる湯のみへと手を伸ばします)

    まゆ「普段から事務所の小さな子達と触れ合う機会は多いですし、ああいう良い子達ばかりだと、大変さよりも微笑ましさや喜びの方が大きいですねぇ」

    園長「…………」

    園長「良い出会いに、恵まれましたねぇ……」

    まゆ「? それはどういう……?」

    まゆ(まゆは園長先生が小さくこぼしたその言葉に疑問符を浮かべます。しかし、)

    園長「……佐久間……まゆさん?」

    まゆ「は、はい?」

    まゆ(園長先生は軒下から遠方、砂場で遊ぶ子ども達の方へと視線を移し……)

    園長「これからも……私の子ども達をよろしくお願いします」

    まゆ(いつか聞いた……その言葉だけを繰り返したのです)

    そして、まゆは

    まゆ(園長先生の視線の先、子ども達に囲まれ、笑い、じゃれ合う、姿……、Pさんや里美さん達を含めたみんなの姿を見て……その愛おしい姿を見つめて……)

    まゆ「はい。もちろんです」

    迷わず、そう答えました。


    39: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:41:50 ID:xsj

    ※ ※ ※ ※ ※

    里美「今日は1日、どうもありがとうございましたぁ~」

    まゆ(夕方になり、私達をお見送りしてくれる里美さんを見ながら、ふと、そう言えばこの妹の里美さんは、待ち合わせの時も園内から走り出てきたなぁ、と益体もないことを考えます)

    里美「みんなとても楽しかったって言ってましたぁ~。ぜひまた来て下さいね~」

    まゆ(先程、園内でお別れする時、小さな子達にはいっぱい泣かれてしまいました)

    まゆ「そうですねぇ。きっと、またお邪魔します」

    里美「そ、それで……そのぅ~……」

    まゆ(と、何かを言いかけると、里美さんはゴニョゴニョと尻すぼみに言い淀みます。
    何でしょうか? その様子は、まるで私に告白でもしようとしてるかのようです。
    ……いえ、それはさすがに冗談ですが)

    P「なぁ、まゆ」

    まゆ(そんなタイミングでPさんが少し屈んで、まゆに耳打ちをしてきます。
    ……ちょっとくすぐったいです)

    まゆ「なんですかぁ?」

    P「まゆは里美のこと、どう思う?」

    まゆ「へ?」

    まゆ(ちょうど考えてた雑念のせいで、まゆとあろうものがPさんに間抜けな声を返してしまいます)


    40: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:42:16 ID:xsj

    P「いやな。前々から里美をうちの事務所にスカウトしようと思ってたんだ。
    しかし、俺も立場が立場だろう?
    変に他の娘に……何ていうか贔屓の疑いとか、やっかみとかかけられないかな?と心配もしてるんだ。
    あとは、俺の見る目について、身内の……兄馬鹿的な補正がないかな……とか?」

    まゆ(少し照れた様子で呟くPさんに、まゆは何かムズムズとした感情を覚えながら、ふと、昨日のことを思い出します)

    「大切な人」「皆に紹介する必要があるかもしれないな、と思ってはいた」「俺のプライベートなことだから」

    まゆ(なるほど、そう言うことだったんですねぇ。……もう! 言い回しが紛らわしいです)

    まゆ「大丈夫ですよぅ。事務所のみんなはそんな事、考えません。
    優しい人、良い子ばかりですから……」

    まゆ(少し、ほっとした様子のPさんに、忘れず大切な言葉をつけ加えます)

    まゆ「あと、自分の見る目を疑わないで下さい。貴方は、まゆを……まゆ達を見出した人なんですから……」

    まゆ(その言葉に目を見開き、やがて頬を染めるPさんに、またムズムズとした感情が湧き上がります。そんなタイミングで)

    里美「あ、あのっ!」

    まゆ(ずっとモジモジとしていた里美さんが声をあげ、まゆに何かを差し出します。
    ……紙切れ……でしょうか?)

    里美「わ、私とお友達になって下さいっ!」

    まゆ「……ふぇ?」


    41: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:42:45 ID:xsj

    まゆ(差し出されたそれを、つい反射で受け取ってしまいます。
    これは……電話番号?)

    まゆ(戸惑い、思わず隣のPさんに視線を送ると……)

    P「おー。夕焼けが綺麗だ。カラスがいるぞー」

    まゆ(あからさまに視線をそらし、空々しく独り言。
    ……私に判断を任せる、という事でしょう。
    ちなみにあれはスズメです)

    まゆ「ふぅ……」

    里美「あっ、あのっ……」

    まゆ「あ。すみません。もちろん構いませんよ。まゆからお願いしたいくらいです」

    まゆ(そう答えた上で、ポケットから名刺を取り出し、Pさんに向かって言葉をかけます)

    まゆ「あの、Pさん?」

    P「ほい。ボールペンでいいか?」

    まゆ「ありがとうございます」

    まゆ(今度は間も置かずに、まゆの意をくみ、ボールペンを手渡してくれました)

    里美「ほわぁ……?」

    まゆ「ちょっと待ってて下さいねぇ……」

    まゆ(里美さんの見ている前で、まゆの名刺、事務所の電話番号の下にサラリと一筆書き加えます)


    42: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:43:10 ID:xsj

    まゆ「これがまゆの個人的な電話番号です。ぜひ登録しておいて下さい♪」

    里美「ほわぁ~。ありがとうございますぅ~。う、嬉しいですぅ~」

    まゆ(大袈裟に喜び、涙ぐむ里美さんに、まゆも嬉しくなります。
    あえて見ませんが、きっとPさんも優しく笑っているはずです)

    里美「お、お電話かけますねぇ~」

    まゆ「はい。お待ちしています。まゆからもかけますねぇ」

    P「うし。じゃあ、帰るか。まゆ、送って行くよ」

    まゆ「はい。ありがとうございます」

    里美「さようならぁ~」

    まゆ「はい。さようなら」

    P「またな~」

    まゆ「…………」

    P「…………」


    43: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:43:38 ID:xsj

    まゆ(しばらく歩いたところで、ふとPさんがつぶやきます)

    P「あ、悪い。ちょっとだけ商店街のスーパー寄ってもいいかな? 晩飯の材料だけ買って帰りたい」

    まゆ「はい。いいですよぉ」

    まゆ(2人で商店街に……朝待ち合わせた場所に差し掛かり、まゆは、また思い出します)

    「私の子ども達をよろしくお願いします」

    「優しい嘘でも厳しい現実でもないよ」

    まゆ(…………)

    まゆ(……という)

    まゆ「優しい嘘……ですねぇ」

    P「ん? 何か言ったか?」

    まゆ「いいえ」

    まゆ(まゆの好きな人は、いたずら好きで嘘つきです。
    でも、そんなあなたのことが……そんなあなただからこそ、まゆは……大好きなんです)

    まゆ(いえ……愛しています)


    ※ ※ ※ ※ ※


    44: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:44:04 ID:xsj

    翌日、事務所にて

    奈緒「だぁーかぁーらぁー! やましい事はないって言ってんだろっ!
    Pさんも、うっかり間違ってプライベート用のアドレスを教えちゃっただけだって!」

    凛「……ふーん?」

    加蓮「あやしい……。ねぇ、ちひろさん、何か知らない?」

    ちひろ「…………」

    ちひろ「……知りませんねぇ」

    加蓮「……その妙な間は何?」

    凛「……スタドリ100本、定価で買うよ」

    ちひろ「独り言ですが……。奈緒ちゃん、余った(笑)アニメ映画のチケットをPさんに渡して、よく一緒に観に行ってるみたいですよ」

    奈緒「ちょっ!?」


    45: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:44:29 ID:xsj

    加蓮「私も……150本買うよ、定価で」

    奈緒「待て待てっ!」

    ちひろ「しかも大抵がテレビシリーズの続編映画だったりするから、予備知識をつけるためと称して、偶然持ってた(笑)BOXを夜通し一緒に観たりするとかしないとか」

    凛「……1000本までなら即金で買えるけど」

    加蓮「……私も」

    奈緒「おいこら、売れっ子どもぉっっ!!」

    ちひろ「しかもPさんを自分の部屋に招いて泊まらせてるみたいですよ。やましいところはない(笑)らしいですが」

    奈緒「鬼っ! 悪魔っ! ちh…」

    ちひろ「果たしてお部屋にベッドはいくつあるんですかねぇ(暗黒微笑)」

    奈緒「ああああああっ!!」

    凛「……ギルティ」

    加蓮「……真っ黒だね」

    奈緒「ひぃぃぃぃっ!?」


    46: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:45:00 ID:xsj

    ちひろ「二人と比べたら微妙に一歩引いてますよ~って風を装いながら、その実、一歩も二歩も先を行く。
    駆け引きとはこうでありたいものですねぇ。素晴らしい」

    奈緒「もうやめてくれぇっっ!!」

    まゆ「賑やかですねぇ……」

    奈緒「ぎゃああぁぁぁっ! 出たぁぁぁっ!!」

    ちひろ「あっ……やっべ」

    奈緒「遅いわぁっ!!」

    凛・加蓮「あ、ちょうどいいところに、まゆ!」

    まゆ「……ハモらないでくれませんかぁ?」

    凛「奈緒が抜け駆けだよ。しかもかなり悪質な」

    加蓮「どうする? 処す? 処す?」

    奈緒「嫌だぁぁぁっっ!!」

    まゆ「…………」

    まゆ「……ふぅ。お二人とも、奈緒さんをいじめ過ぎです。泣いちゃってるじゃないですか」

    凛・加蓮「!?」

    まゆ「こんなに怯えちゃって……可哀想な奈緒さん……」

    ちひろ(それ多分8割方まゆちゃんに怯えてます)


    47: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:45:33 ID:xsj

    まゆ「奈緒さんだってPさんのことを慕ってるんですもの。たまには甘えたくもなりますよねぇ……」

    凛・加蓮・奈緒「…………」

    凛「だ」

    加蓮「だ」

    奈緒「だ」

    凛・加蓮・奈緒「誰だお前ぇぇぇっ!?」

    まゆ「……失礼ですねぇ」

    凛「だっていつものまゆなら、既に刃物の5本や6本取り出して、奈緒を壁際まで追い詰めてるハズじゃん!」

    加蓮「なんで! なんで今日はそんなに寛容なの? おかしい! 偽物でしょう!」

    まゆ「本物ですよぉ。なんですか人をタチの悪いヤンデレみたいに……」

    凛・加蓮・奈緒「タチの悪いヤンデレだよ!」

    まゆ「まゆはヤンデレじゃありませんよぉ。ちょっと愛が深くて想いが強いだけの一途な女の子です」


    48: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:46:08 ID:xsj

    凛「昨日Pさんの朝ごはんは?」

    まゆ「フレンチトーストですね」

    加蓮「お昼ご飯は?」

    まゆ「カレーでした」

    奈緒「晩御飯は?」

    まゆ「スキヤキだったはずです」

    凛・加蓮・奈緒「ヤンデレじゃん!!」

    まゆ「さっきまでいがみ合ってたのに、仲良しですねぇ……。
    これはたまたま知ってだけで、別にこっそり調べたりしたわけでないですよぉ」

    凛・加蓮・奈緒「信用できるかっ!!」

    まゆ「ええぇ……?
    それなら、Pさんの1日の予定や毎日の体重まで調べて記録している穂乃香さんはどうなるんですか。
    まゆなんかよりも、よっぽどヤンデレになってしまいますよぉ」

    奈緒「マジでっ!?」

    凛「真面目な子だと思ってたのに……」

    加蓮「見る目変わるわー」

    ちひろ(風評被害が酷い……)


    49: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:46:38 ID:xsj

    ガチャ

    美優・留美・瞳子「おはようございます」

    響子・智絵里「おはようございまーす」

    ちひろ「あら。そう言えば今日はミーティングでしたか。おはようございます」

    凛・奈緒・加蓮・まゆ「おはようございます」

    凛「で? 何でまゆはそんなに寛容……っていうか優しいの?」

    加蓮「何か理由あるよね?」

    まゆ「そんなにいつもと違うでしょうか……?
    そうですねぇ、強いて理由をあげるなら、『余裕』……でしょうか?」

    奈緒「余裕?」

    まゆ「そう、余裕……これは油断などではない……余裕というものです。
    Pさんとの愛を信じ、確たるものと認識したからこそ生まれた、心の余裕です……」

    楓・愛梨・蘭子「おはようございまーす」

    ちひろ「あら、続々と……。おはよう皆さん」


    50: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:47:03 ID:xsj

    まゆ「まゆはPさんとの繋がりにおいて、皆さんにはもう負けない。そう思えるだけの自信がついたのです……」

    凛・奈緒・加蓮「……更にその理由は?」

    ありす・雪美・千枝「おはようございます」

    P「おはよう。おおっ。みんな揃ってるな」

    まゆ「なぜなら、まゆは昨日、Pさんのご実家のお義母様に挨拶を済ませましたから。Pさんといっしょに♪」

    P「…………」

    一同「…………」


    阿鼻叫喚地獄絵図エンド。


    52: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:47:43 ID:xsj

    ※ ※ ※ ※ ※

    おまけの蛇足。

    ※ ※ ※ ※ ※


    53: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:48:05 ID:xsj

    少し戻って、Pとのお出掛けから帰宅後

    まゆ自室にて


    まゆ「あら? 着信……この番号は……」

    ぴっ。

    まゆ「里美さんですか?」

    里美『はわぁ。繋がりましたぁ~』

    まゆ「それは繋がりますよぉ」

    里美『えへへぇ~。実は私、こういうの苦手でぇ~、折角お電話番号教えてもらっても、ちゃんとメモできてなかったり、かけ間違えちゃったりするんですよぉ~』

    まゆ「……そうなんですかぁ」

    里美『まゆさん、今日はありがとうございましたぁ。特に用事はなかったんですけどぉ、もう一度、お礼が言いたくてぇ』

    まゆ「いえいえ。こちらこそ。楽しかったですよぉ」

    里美『あ、あの。またこうやって、お電話してもいいですかぁ~?』


    54: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:48:38 ID:xsj

    まゆ「ええ、いつでもして下さい。まゆ達は、もうお友達ですからぁ」

    里美『ほわぁ~、ありがとうございますぅ。私、同年代のお友達が少ないので、すごく嬉しいです~』

    まゆ「うふふ。……あっ、でも……」

    まゆ(ふと、思い出してつけ加えます)

    まゆ「昨日みたいにお仕事中のPさんに無茶な電話をかけて困らせるのは感心しませんよぉ。
    お兄さんにおねだりするにしても、時と場合は選ばないと……」

    里美『……なんですかぁ、それ~?』

    まゆ「…………」

    まゆ「……えっ?」

    里美『私、昨日はそんな電話してませんよぉ~』

    まゆ「えっ? でも、会社の電話に、自分を好きと言えとか、大好きと言えとか……、そんな感じの、甘くてピンク色な電話を……」


    55: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:49:06 ID:xsj

    里美『……してません。そもそもお兄様の事務所の電話番号は知らないですよぉ~。
    電話をする時はいつも携帯の方ですぅ~』

    まゆ「事務所の電話番号ならさっき渡した私の名刺にも書いてありますが……。
    ……えっ? 本当にかけてないんですか?」

    里美『……はぃ~』

    まゆ「…………」

    里美『…………』

    まゆ「…………」

    里美『……ほわぁ~(攻撃色)』

    まゆ「……うふふ(臨戦態勢)」

    里美『……どうやら~』

    まゆ「……イケない泥棒猫がいるようですねぇ」


    56: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:49:28 ID:xsj

    里美『……まゆさん』

    まゆ「……はぁい」

    里美『ご協力を~』

    まゆ「ええ。任せて下さい」

    里美『ありがとうございますぅ~』

    まゆ「Pさんに」

    里美『お兄様に』

    まゆ・里美「近づく者は容赦しません」


    まゆ達の戦いはこれからだ!エンド


    57: 名無しさん@おーぷん 2016/09/07(水)01:49:59 ID:xsj

    電話の相手ついて。自分は寄生イヴか同棲もりくぼか、極甘時子様を想定してますが、お好みにあわせて好きなキャラで脳内補完よろしくお願いします。


    引用元: 【デレマスSS】モバP「職場の電話じゃ言えねーよ」まゆ「……」トライアド「……」

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