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    魔王「強くなりすぎた」

    8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 20:23:21.36 ID:dpVERaKv0

    魔王「勇者に敗れてはいけない。そう思って、毎日鍛錬をしてきた」

    魔王「日に日に強くなっていくのを感じて、無邪気な子供の様に喜んだ」

    魔王「ある日、自分の限界に達したと悟った」

    魔王「それでも鍛錬をやめなかった」

    魔王「結果、限界を遥かに超えた力を得た」

    魔王「これでもう勇者に敗れる事は無い。そう思った日の夜の事だった」



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    9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 20:26:46.67 ID:dpVERaKv0

    ───魔王城 大広間

    魔物A「いやはや魔王様、本当にあなたは強くなりました……」

    魔王「うむ」

    魔物B「これで勇者なんて怖くありませんね!」

    魔王「そうだな、だが、油断はならぬ」

    魔物A「世界征服が完了したら、僕を高い位の者にしてくださいね!」

    魔王「ははは、こやつめ、調子に乗りおって」ペシッ

    そう言って、私は魔物Aの頭を軽くはたいた。
    軽くはたいた、つもりだった。


    11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 20:31:45.26 ID:dpVERaKv0

    魔物A「ぎゃッ」

    ゴロゴロゴロゴロ......ゴトンッ

    魔王「はは……は?」

    魔物A「………」ビクンビクン

    魔王「な、なんだ、これは」

    魔物B「ま、魔王様・・・?」

    魔王「私が……やったのか?」

    魔物C「僕の目には……軽く叩いたようにしか見えませんでした」

    魔王「では、何故、こやつの頭は……無いのだ」

    魔物C「恐らくですが………魔王様が、強くなりすぎた為、かと」

    魔王「私が……強くなりすぎたせい、か」


    15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 20:33:46.84 ID:dpVERaKv0

    魔王「………すまぬ、少し気分が悪い、部屋で休ませてもらう」クルッ

    魔物D「ひっ…」ビクッ

    魔王「………お主」

    魔物D「!!! は、はいィッ!!」

    魔王「お主は、私が怖いか」

    魔物D「そ、そんな、ことは……」

    魔王「そうか」スタスタスタ

    魔物D「ひっ、ひっ………」ガクガクガク


    16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 20:38:04.14 ID:dpVERaKv0

    ───魔王の部屋

    魔王「………」

    魔王「私は、あれほどまでに強くなっていたのか」

    魔王「………………」

    魔王「は、はは」

    魔王「何を感傷的になっているのだ、私は。これが、願い続けた『強さ』ではないか」

    魔王「そうか、そうだ、私は強くなったのだ」

    魔王「………強く、なりすぎたのだな」

    魔王「このままでは仲間が危険だな………そうだ、私に近付くな、と命令を出しておけば大丈夫だろう」


    18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 20:41:03.72 ID:dpVERaKv0

    翌日───大広間

    魔王「──諸君、今回集まってもらったのは、昨日の件についてだ」

    魔王「諸君らも少なからず知っているであろう。私は、強くなりすぎた」

    魔王「そのせいで、昨日、仲間を殺してしまった」

    魔王「私は、この力のせいでお前達を失うのが怖い」

    魔王「なので」

    魔王「私には近付くな。以上だ」

    魔物達「チカヅクナッテ... ソンナヤベーノカヨ... ザワザワ...」

    魔王(これで、良いのだろう)

    魔王(少しさびしくなるが……そんな事は気にしていられぬからな)


    20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 20:43:47.13 ID:dpVERaKv0

    ───魔王の部屋

    コンコンッ

    魔王「……誰だ」

    側近「側近です、魔王様、お菓子を……」

    魔王「いらぬ、それより、この部屋に入ってくるな」

    側近「………」

    魔王「お前まで失ってしまうのは、たまらなく悲しい事だ」

    側近「………わかりました、では私は失礼します」

    魔王「………すまぬな」ボソッ


    22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 20:49:17.90 ID:dpVERaKv0

    翌日───魔王城 城門

    魔王「では、行ってくる」

    側近「目的地は東の果ての山──目標物は、伝説の魔女が作ったという超魔力石、でよろしいですね?」

    魔王「うむ、それで合っている」

    側近「では、早速転送魔法を発動させます」

    側近「──…………………──」

    側近「───転送魔法」シュンッ

    魔王「む」シュンッ


    24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 20:51:41.18 ID:dpVERaKv0

    ───東の果ての山

    魔王「……ここか」

    側近「恐らく間違いはないはず……」

    魔王「ではお前はここで待っていろ。すぐに戻ってくる」

    側近「いえ、それでは魔王様が危険──「待っていろと言っている」

    魔王「私と一緒にいるだけで危険なのだ。これ以上近くにいるわけにはいかぬ」

    側近「……わかりました」

    魔王「………」スタスタスタ


    26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 20:55:18.69 ID:dpVERaKv0

    ───東の果ての山 道中

    魔王「ふむ、これが噂に聞く山守のドラゴンか」

    ドラゴン「ガアアアアァァァァァ────ッ!!!」

    魔王「鱗は鋼鉄よりも遥かに堅く──吐く炎はどんなものでも溶かすと言うが……」

    ドラゴン「グルルル………」

    魔王「さて、私は今、どこまで強いのだろうな」

    魔王「参るッ!!」ダッ

    ドラゴン「ガアァッ!!」ブンッ

    魔王(右からか、避け───いや、)

    魔王(この腕を、押さえつけることは出来るのか?)


    27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 20:57:56.96 ID:dpVERaKv0

    魔王「ふんっ」ガシッ

    ドラゴン「ガ、ガァァ……!!」

    魔王「ふむ、案外軽く押さえつけられるものだな」

    魔王「思っていた以上に強くなっているのか」

    魔王「───おい、ドラゴン」

    ドラゴン「………グ、ガ、ガガァ……」

    魔王「お前に恨みは無い。よってお前を殺したくもない。だから──」

    魔王「そこをどいてはくれぬか」


    28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:00:13.13 ID:dpVERaKv0

    ドラゴン「……………」バサッ

    魔王「羽ばたき──どいてくれるか、そうか」

    ドラゴン「……………」クルッ

    魔王「………? こちらに背中を向けて──?一体なんのつもりだ?」

    ドラゴン「ガァ、ガァ」

    魔王「…………乗れ、ということか」

    ドラゴン「ガアッ!」

    魔王「そうか──では、遠慮なく載らせてもらうぞ」ドンッ

    ドラゴン「ガアアアァァァ────!!」バサッ バサッ バサッ


    29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:02:53.39 ID:dpVERaKv0

    ドラゴン「……………」バサッ バサッ バサッ

    魔王「ふむ、これは便利だな」

    ドラゴン「ガア、ガアァ」

    魔王「どこまで──ああ、すぐそこの山頂でいい」

    ドラゴン「ガアッ」

    魔王「ははは、地上があんなにも小さいぞ」

    魔王「側近は……あのあたりだな」

    魔王「超魔力石は山頂にあると聞いたが──」


    32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:05:08.02 ID:dpVERaKv0

    ドラゴン「ガアッ!!」

    魔王「む、山頂か、降ろしてくれ」

    ドラゴン「………」バサッ   バサッ

    魔王「おっと……」スタッ

    ドラゴン「ガアアアァァァ───!!」

    魔王「うむ、助かったぞ、伝説のドラゴン」

    魔王「さらばだ」

    ドラゴン「グガアアアアァァッ!!」バサッ バサッ バサッ

    魔王「───さて、山頂に来たはいいが、どこにもそれらしきものは無いな」


    34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:07:28.65 ID:dpVERaKv0

    魔王「これは……火口か?活火山では無いと思うが……」チラッ

    魔王「………何と」

    魔王「ふはははは、なるほど、そういうことか」

    魔王「伝説の魔女とやら、なかなか大層な真似をしてくれるではないか」

    魔王「ここは火口ではなく───」

    魔王「山───否、超魔力石の核だった、という訳か」


    36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:10:50.77 ID:dpVERaKv0

    魔王「ならば話は早い」

    魔王「この核を壊し──ただの魔力と化した魔力石を私が吸収すればいい」

    魔王「はぁッ!」バッ

    魔王「ふんっ」スタッ

    魔王「これが核か──普通の魔力石の核とは比べ物にならぬ大きさだ……」

    魔王「では早速壊すとしよう」

    魔王「すぅ────っ………」

    魔王「覇ッ!!」バキャア


    38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:14:21.45 ID:dpVERaKv0

    魔王「おお、おお、おおお………」

    魔王「魔力が吸収してもしきれぬほど溢れ出て来る──!!」

    魔王「ふははははは!!すばらしい!すばらしいぞ!」

    魔王「そして力が───魔力が、溢れてくるぞ!」

    魔王「最早───私は、最強という領域に踏み込んだのかもしれぬぞ!」

    魔王「はははははは!!!」

    魔王「ははははは───おっと、そろそろ戻らなくてはな」

    魔王「ふーむ……核を壊したことでだいぶ小さくなったな、この山も」

    魔王「この高さなら飛び降りても問題なかろう」バッ


    41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:16:22.54 ID:dpVERaKv0

    側近「魔王様、無事でしょうか──」

    ヒュウゥゥゥゥゥゥ………

    側近「……ん?」

    ドゴォォォォォォ!!!

    側近「な、何です!?」

    魔王「私だ」

    側近「ま、魔王様!──魔力が……桁違いに増えていますね」

    魔王「うむ、この山自体が超魔力石だったようでな」

    側近「………なるほど、伝説の魔女、恐ろしい人物ですね」

    魔王「まあ、既に死んでいるだろうがな」


    42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:18:25.30 ID:dpVERaKv0

    魔王「さて、帰るぞ」

    側近「はい、わかりました、転送魔法の準備を──」

    魔王「いらぬ、私が転送する」

    側近「い、いえ、それでは──」

    魔王「転送魔法ッ!」シュンッ

    側近「ま、まおうさ」シュンッ


    44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:21:06.67 ID:dpVERaKv0

    ───魔王城 大広間

    魔王「諸君、という訳で、私は力と魔力、双方を極めた事となった」

    魔物達「オオォォーーー……」

    魔王「だが、強くなった半面、諸君に及ぼす危険も増えたということだ。私に近付く時には細心の注意を払う事。以上だ」

    側近「………よろしいのですか?」

    魔王「構わん。奴らを失うのは、惜しいことだ」

    側近「相変わらず、仲間想いの良い方ですね」

    魔王「世界を征服しようなどという男に、良い奴などいるか」

    側近「謙遜しちゃって」


    46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:23:26.77 ID:dpVERaKv0

    翌日───魔王の部屋

    魔王「しかし、いくら強くなったとはいえ、油断すれば死あるのみだ」

    魔王「──そうだ」

    魔王「結界を張ればいいのだ。範囲は……広範囲は無理だろう。精々私の周り程度だ」

    魔王「効果は──そうだな、結界の中にいる者の生命力をひたすら奪う、というものにしよう」

    魔王「では早速………」

    魔王「結界魔法ッ!!!」カッ


    51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:25:51.21 ID:dpVERaKv0

    魔王「おお、魔力が増えただけあって………かなり強力な結界が完成したな」

    側近「魔王様」コンコン

    魔王「!! 側近、こっちへ来るな!今、試験的に結界を張ったところなのだ!」

    側近「っ! わかりました、結界を解いたらお知らせください!」

    魔王「了解した!」

    スタスタスタ

    魔王「さて、一旦解除するか」

    魔王「解除───む?」

    魔王「解除出来ない?いや、そんな訳が無い。解除!」

    魔王「……………」


    55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:28:41.72 ID:dpVERaKv0

    魔王「側近よ!」

    側近「どうしました?」スタスタスタ

    魔王「結界が解けぬ。どうやら、魔力が強すぎたようだ」

    側近「……今の魔王様に解けない結界は──さすがに私でもどうにもなりません。自然に消えるのを待ちましょう」

    魔王「うむ……それしかないな」

    側近「もし、解けなかったら──」

    魔王「いや、必ず解く」

    側近「そうですね、そうですよね。では、また後ほど。」

    魔王「───さて」

    魔王「実は………なんとなくわかるのだ、この結界は解けない」

    魔王「範囲は狭くできるのだろうが……」


    57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:30:54.74 ID:dpVERaKv0

    翌日───大広間

    魔王「諸君。今日はあまり良くない知らせがある」

    魔王「昨日、私は試験的にとある強力な結界を、私のすぐ周りだけを範囲として発動させた」

    魔王「しかし、超魔力石の魔力を吸収したせいで強力過ぎた結界となってしまい、解除ができなくなってしまった」

    側近「…………!!」

    魔王「側近ほどの者ならすぐ死ぬことはないだろうが、諸君らは結界に触れただけで死んでしまうだろう。」

    魔王「それほど、効果が跳ね上がっている」


    60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:33:35.92 ID:dpVERaKv0

    魔王「率直に言おう」

    魔王「この城から──出て行ってくれ」

    魔物達「…………………」

    魔王「これは、お前達を思っての事だ。だが、恨んでくれてもかまわない。私は、お前達に死んでほしくない」

    魔王「これは命令だ。魔王城、城主として、お前達に言う、最後の命令。」

    魔王「城から出ていった者には、平和な生活を約束する。だから、頼む、城から出ていってくれ」

    魔物達「………………………」

    魔王「さあ、早く出ていけ」

    魔物達「…………………」ザッ ザッ ザッ ザッ

    魔王「これで、いい。これで………」


    62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:35:39.26 ID:dpVERaKv0

    魔王「側近よ」

    側近「───はい」

    魔王「お前も出ていくといい」

    側近「イヤです」

    魔王「命令だ」

    側近「逆らいます」

    魔王「死んでもいいのか」

    側近「構いません。私は、魔王様に一生をささげると誓った身ですから」

    魔王「………迷惑かけるぞ」

    側近「はい」


    65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:39:25.72 ID:dpVERaKv0

    それから、私と側近、2人だけの生活が始まった
    2人だけでは、この城はとてもとても広く感じた
    勇者は攻め込んだりしてこなかった
    とても、平和な時が過ぎていった。そんな時だった


    魔王「む……?強力な魔力を感じるが」

    側近「……!! あ、あれは……」

    魔王「む!巨大爆破魔法か!!」

    魔王「相殺魔法!」ヴンッ

    ドゴォォォォォォン!!

    魔王「あ、危なかったな……」

    側近「助かりました……」

    魔王「しかし、今の攻撃──まさか、勇者か」

    側近「恐らくは」

    魔王「ようやく攻めてきたか、この私が、攻め込んできた事を後悔させてやろう」


    66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:41:40.71 ID:dpVERaKv0

    側近「いえ、魔王様は安全な場所で待機していてください。勇者どもは私が片付けます」

    魔王「危険だ、下がっていろ」

    側近「私だって、鍛錬を積みました。魔王様ほどではありませんが、だいぶ成長したと思います」

    魔王「───ならば、任せたぞ」

    側近「はい」



    勇者「行くぞォォォォォォ──────ッ!!!!!!」



    側近「……来ますか」


    69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:43:59.66 ID:dpVERaKv0

    側近「いらっしゃい、勇者御一行。この私が相手しましょう」

    勇者「……お前、側近か?なぜ手下どもはいない」

    側近「お答えする義務はありません」

    勇者「そうか……まあ、そんな事はどうでもいい」

    勇者「そこをどけ」ギロッ

    側近「嫌です」

    勇者「ならば、死んでもらうしかないな」

    側近「ふふっ、こんな所で死ぬ訳にはいきませんから」


    70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:46:34.27 ID:dpVERaKv0

    勇者「戦士!前衛を任せた!魔法使いと僧侶はサポートを頼む!」

    戦士「おう!任せろ!」ダッ

    魔法使い「わかりました!……筋力増加魔法!」

    僧侶「把握しました。防御魔法──」


    側近(なかなかのチームワークですね)

    側近(さて、どう片付けてくれましょうか)

    戦士「うおおおォォォォォォ!!!」

    側近(戦士が厄介ですね、まずは強力魔法で眠っていただきましょうか)

    側近「凍結魔法」

    戦士「ぐあァッ!!な、なんだ!?足が……腰が!凍っていくぞ!」


    71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:48:39.15 ID:dpVERaKv0

    勇者「まずい!僧侶、早く回復魔法を!」

    僧侶「了解、回復魔──」

    側近「広範囲火炎魔法」ゴオオォォォォォ

    勇者「ぐっ……!」

    魔法使い「きゃあっ!!」

    僧侶「くっ……詠唱を中断させられた」

    戦士「う、おお、ああ……」パキ、パキ、パキンッ

    勇者「戦士!!……くそっ、魔法使い!爆破魔法だ!」

    魔法使い「わかりました!──爆破魔法っ!!」


    75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:51:50.90 ID:dpVERaKv0

    側近「甘いですね……幻影魔法」

    ドゴォォォォォォォン!!!

    魔法使い「や、やりました!!」

    勇者「……!! 魔法使い!!!」

    魔法使い「へ?」

    勇者「さがれッ!!上だッ!!!」

    魔法使い「上───」

    側近「幻影魔法に気付かないとは、まだまだ鍛錬が足りないのではないですか?」

    魔法使い「あ、ああ、……」


    76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:55:07.82 ID:dpVERaKv0

    側近「凍結魔法」パキンッ

    魔法使い「…………」パキッ パキンッ

    勇者「魔法使いィィィィ!!!」

    僧侶「早く、蘇生魔法を………いや」

    勇者「どうした僧侶!早くしてくれ!」

    僧侶「勇者」

    勇者「なんだ!?」

    僧侶「せめて、生きて逃げるくらいはしてね」

    勇者「ま、まさか、お前!やめろ!」

    僧侶「自爆魔法」

    側近「じ、自爆──!!まずい!!防御ま──」

    ドオオオォォォォォォォォォォン


    77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:57:09.53 ID:dpVERaKv0

    勇者「僧侶、僧侶!僧侶ォォォォ!!!」

    側近「ぐ、はぁっ、はぁ、はぁ、うぐっ、………」ズルズル

    勇者「お前……許さねえ!」

    側近「ま、魔王、さま……今、向かいます……」

    勇者「待て!逃がすかぁ!」

    側近「そ、束縛魔法……」

    勇者「ぐっ!こ、こいつ!」

    側近「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」ズルズル

    側近(どうやら、私はここまでのようです)

    側近(せめて、貴方の近くで、死にゆきたい……)


    79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 21:59:40.82 ID:dpVERaKv0

    側近「はぁ、はぁ、………」

    魔王「側近」

    側近「ま、魔王、さま」

    魔王「すまぬ」

    側近「魔王様、は、何も悪く───」

    魔王「すまぬ、私がお前を信用しすぎたばかりに」

    側近「魔王様───」

    魔王「見たところ、内部の破壊が激しいようだな……」

    側近「は、はい……おそらく、蘇生は、不可能かと………げふっ」ボタボタッ

    魔王「もうよい、喋るな」

    側近「い、イヤ……です……最後くらい、貴方と、話していたい……」


    80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 22:02:53.53 ID:dpVERaKv0

    側近「最初に、貴方が側近にならないか、と──あの頃は、まーくん、なんて呼んでいましたっけ……」

    側近「とても、嬉しかった、ですよ──はぁっ、はぁっ」

    側近「あなたは、仲間想いのとても良い魔法に、はぁっ、なりました───」

    側近「側近として、誇らしい限りです……げふっ、げほっ」

    魔王「……側近」

    側近「ははは、魔王ともあろう者が、そんな悲しい顔しないでください、よ……はぁ、はぁ…」

    魔王「側近!側近ッ!!」

    側近「さ、最後に………あなたの、楽しそうな笑い声と───高らかな野望を、聞きたい、です───」

    魔王「………側近……」


    83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 22:05:22.66 ID:dpVERaKv0

    魔王「ふ、ふは、ふはははははっ!!この世界!!この私が征服してくれよう!!ふはははははは!!」

    側近「ああ、それです、それでこそ、まおう、さま───」

    魔王「ふははは、はははは」ポロポロ

    側近「さいご、に、ひとこと、だけ………」

    魔王「側近ッ………」ボロボロボロ

    側近「あり、が、とう──────」

    魔王「ッ─────!!!」

    勇者「……やっと追い付いたぞ」


    85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 22:07:25.03 ID:dpVERaKv0

    魔王「勇者か」

    勇者「お初にお目にかかるな、魔王」

    魔王「……私は、恨みの無い者は殺さぬ。だが」

    魔王「お前には既に恨みが──側近の恨みがある。」

    魔王「私は、お前を殺す」

    勇者「はっ、やってみろ」

    魔王「ゆくぞ」


    87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 22:10:01.90 ID:dpVERaKv0

    魔王「凍結魔法」

    勇者(凍結魔法だと?その距離から当たるとでも思っているのか?)

    バキバキバキバキバキバキバキィ!!

    勇者「!!!!!」

    勇者(な、なんだこの範囲は!ありえない!伝説の大魔道師ですら、こんな事はできないぞ!)

    魔王「火炎魔法」

    ゴオオオオオオオオォォォォォォォッ!!

    勇者「ぐ、が、があああああぁぁぁっ!!!」

    魔王「爆破魔法」

    ドォォォォォォォォォォォォォン!!

    勇者「く、そっ……こんな、ところで……」


    91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 22:13:22.54 ID:dpVERaKv0

    魔王(どうだ側近、美しいだろう)

    魔王(凍った大地は大きな炎が反射し、煌めく)

    魔王(その上で弾ける爆発は、花火のようだ)

    魔王「………」ザッ ザッ ザッ

    勇者「……はっ、とどめってわけか」

    魔王「………」シャキンッ

    勇者「………やれよ」

    魔王「さらばだ、勇者」

    勇者「……できるだけ、綺麗な死体にしてくれよ」

    魔王「承知した」ブンッ


    93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 22:16:08.12 ID:dpVERaKv0

    数日後───魔王の部屋

    魔王「───とうとう、一人になってしまった」

    魔王「これから──何人もの勇者を殺さねばならぬのだな」

    魔王「ははは、世界征服など、容易いことだろうな」

    魔王「ははははは………」

    魔王「………側近………」


    96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 22:18:16.16 ID:dpVERaKv0

    『目標、魔王討伐!!』

    魔王「……新たな勇者か」

    魔王「城を破壊されては面倒だ、城門で片付けてしまおう」


    ───城門

    魔王「……貴様ら、勇者か」

    勇者「いかにも」

    勇者「お前を、殺しに来た」

    魔王「そうか」

    魔王「ならば死んでもらおう」


    98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 22:21:56.25 ID:dpVERaKv0

    魔王「──雷撃魔法」

    勇者「か、はっ………」

    魔王「ここまでのようだな」

    勇者「ち、くしょ……」

    魔王「どう殺してほしい」

    勇者「……俺は、負けた。あんたの好きなように殺せ」

    魔王「そうか」

    魔王「では、一瞬で楽にしてやろう」

    勇者「………そうか」

    魔王「さらばだ、勇者」ブンッ

    勇者「くそぉっ………」

    ズバッ


    100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 22:25:11.89 ID:dpVERaKv0

    ───明くる日も、明くる日も、勇者と戦い、そして殺した

    魔王「何か言い残すことはあるか」

    勇者「はっ……死んじまえ、クソヤロー」

    魔王「……良い勇気だ」ブンッ

    勇者「じゃあな、お袋……」

    ズバァッ

    ただひたすら、殺した。

    勇者「来るな!バケモノ!怪物!!うわああぁぁぁぁっ!!!」

    魔王「醜いな」

    勇者「み、醜いのはお前だ!!くそっ!!なんでこんな事に!!」

    魔王「死滅魔法」

    勇者「か…ぁっ……」バタンッ


    102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 22:28:21.71 ID:dpVERaKv0

    どの勇者も、私の足元にも及ばなかった。

    勇者「わ、私は、諦めない……この命、尽きようとも!!」

    魔王「立派で、良い覚悟だ」

    勇者「はああぁぁぁぁぁッ!!!」ダダダダッ

    魔王「せめて、楽に逝け」ブンッ

    ズバッ

    勇者「く、そ…っ 正義は……まけた、のか」バタン


    その非現実的な日常が崩れ去ったのは
    最早、勇者に投げかける言葉すら無くなりかけていた時だった


    104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 22:30:24.51 ID:dpVERaKv0

    魔王「また勇者か」


    ───城門

    魔王「勇者か、貴様で何人目だろうな、30を超えたところから数えるのをやめてしまったからな」

    勇者「公式の勇者なら59人だ」

    魔王「ほう、覚えているのか」

    勇者「同僚だったからな」

    魔王「では、記念すべき60人目は貴様ということになるな」

    勇者「待て、早まるな」

    勇者「別にお前と争いに来たわけじゃない」

    魔王「……なんだと?」


    106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 22:33:38.57 ID:dpVERaKv0

    勇者「ひとつ、質問をする」

    魔王「何だ」

    勇者「お前、『限界』を超えたな?」

    魔王「……それは、どういう意味だ」

    勇者「そのままの意味だ。己の限界を超えてしまったな?」

    魔王「そうだ」

    勇者「……俺もなんだよ」

    魔王「そうか、だからどうしたというのだ」

    勇者「お前ならわかるだろう、強すぎる者の辛さが」


    108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 22:35:59.91 ID:dpVERaKv0

    魔王「………わかる、が」

    勇者「俺はもううんざりなんだよ」

    勇者「3年間だ」

    魔王「何がだ」

    勇者「俺が鍛錬した期間だ」

    魔王「私もその位だが」

    勇者「違う」

    勇者「3年間、一度も休まずに剣を振った」


    109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 22:38:10.99 ID:dpVERaKv0

    勇者「50人、回復魔法に長けている僧侶を雇った」

    勇者「一定の間隔で回復魔法を使わせて、ただひたすら、3年間剣を振るった」

    勇者「その結果、限界を超えた先の限界に到達したよ」

    魔王「超えた先の、限界───」

    勇者「尤も、強大な魔力を持っているあんた相手なら、俺は勝てない」

    勇者「だけど、勝ち負けの前に、俺は戦わない」

    魔王「意味がわからぬな」

    勇者「俺はさ、もう嫌なんだよ」


    111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 22:40:42.11 ID:dpVERaKv0

    勇者「強大すぎる力を手に入れたら、周りからバケモノって言われたよ」

    勇者「国からも追放された」

    勇者「わかるか?国を守る為に強くなろうとしたら、国から追い出された」

    勇者「悔しかったさ」

    勇者「もう、そこで俺はこの世を諦めた」

    勇者「自殺もしようとした。だけど」

    勇者「強過ぎたんだ。昔に使った防御魔法が、未だに消えない」

    魔王(私と──似ているな)


    114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 22:42:43.01 ID:dpVERaKv0

    勇者「だけど、59人もの勇者を殺したあんたの噂を聞いて、確信したよ」

    勇者「あんたなら、俺を殺してくれる、って」

    魔王「……つまり、私にお前を殺せ、と」

    勇者「そうだ」

    魔王「ふん、珍しい勇者もいたものだな」

    勇者「勇者、か───もう、そう呼んでくれるのは魔王、お前くらいだぜ」

    勇者「さて、そんな話はいい」

    勇者「早く、殺してくれ」


    116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 22:46:56.02 ID:dpVERaKv0

    魔王「断る」

    勇者「なっ…!」

    魔王「要は、生きる希望をなくしたから死のうなどと考えたのだろう?」

    勇者「……そういう事だ」

    魔王「ならば、希望を与えてやろう。」

    魔王「強すぎて、辛い思いをする者が現れない───そんな、平和な世界を築こう」

    魔王「どちらが上とか、そんなものはない」

    勇者「はっ……この騒乱の世を平和に、ね」

    魔王「面白いとは思わぬか?」

    勇者「はー……冗談にしちゃあ行き過ぎてるぜ」

    勇者「だが」

    勇者「乗った」


    126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 23:12:43.51 ID:dpVERaKv0

    ───その一言から、世界の変動は始まった
    私達は、最初は力、つまり暴力を使った
    その内に、力を使わなくてもいいようになってきてから、ゆっくりと世界を治めていった
    日に日に世界は良くなっていった
    気がつくと、私達は世界征服を達成していた

    魔王「ふはははは!中々良い世界になったではないか!」

    勇者「ああ、ほんとだよ……良い世界だ」

    魔王「平和で──争いも無く、素晴らしい世界だな」

    勇者「生きててよかったと、今以上に思った事はないな」


    131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 23:22:07.34 ID:dpVERaKv0

    魔王「のう、勇者よ」

    勇者「何だ?」

    魔王「昔に、超魔力石の魔力を吸収したという話はしたな?」

    勇者「ああ、聞いたな。ありゃあすげえ話だった」

    魔王「実はな」

    魔王「あの頃の私なら、心身ともに強く、その魔力を制する事ができていた」

    魔王「だが平和になり、鍛錬する必要がなくなってしまった今、とても弱くなった私では」

    魔王「この魔力を制する事が、難しくなってきた」

    勇者「……おい、それってどういう」

    魔王「つまり、このまま行けば魔力は暴走する」


    132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 23:24:08.86 ID:dpVERaKv0

    魔王「暴走した魔力は、何の魔法に変化するかもわからない。だが、あの量の魔力であれば、世界中を混沌の渦へ巻き込んでしまう」

    勇者「……冗談も大概にしろよ、縁起でもねぇ」

    魔王「冗談ではない。これは本当に危うい事態なのだ」

    勇者「仮にそうだとしてよ、俺にどうしろってんだよ」

    魔王「率直に言おう」

    魔王「私を殺せ」


    134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 23:26:18.82 ID:dpVERaKv0

    勇者「断る」

    魔王「………そう言うと思っていた」

    勇者「昔、あんたに同じセリフを言われたからな」

    魔王「そういえば、そんな事も言ったな」

    勇者「とにかくお断りだね。どうにかしたいなら今から鍛錬するなりすればいいじゃないか」

    魔王「間に合わぬ」

    勇者「おい、そんなに時間ってやべーのかよ」

    魔王「私も、必死に暴走を食い止めてきた。だが、そろそろ限界なのだ」

    勇者「………………」


    135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 23:29:35.93 ID:dpVERaKv0

    魔王「死者の魔力は何にもならぬ、故に私を殺せば、世界は平和なままだ」

    勇者「ふざけんなよ」

    勇者「俺は絶対に嫌だ。悪以外は絶対に斬らない。昔、国に誓ったんだ」

    魔王「悪以外は斬らない───か」

    魔王「なるほどな」

    魔王「ならば私が悪となろう」

    勇者「…………は?」

    魔王「はははは、悪の大魔王、再臨か。滑稽だな」

    勇者「おい」

    魔王「止めるな」

    魔王「私は再び悪の魔王に戻る。そして私を殺せ。名誉を勝ち取れ」


    136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 23:31:45.47 ID:dpVERaKv0

    魔王「さらばだ、勇者。魔王城跡地にて待つ」

    勇者「………止めねえよ」

    勇者「アンタが悪事を働くまで俺は何もしねえ」

    勇者「だが、何かしでかしたら、それはもう、いままでの関係なんかどうでもいい」

    勇者「俺はアンタを殺すだろう」

    魔王「良い決心だ」

    魔王「───私は、平和な世界を、もっと見ていたかったよ」

    魔王「転送魔法」シュンッ

    勇者「………………」


    137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 23:34:33.71 ID:dpVERaKv0

    数日後、私は国を一つ消した
    住民は全て転送魔法で他の国へ移しておいたので、死傷者は0のはずだ
    だが、国を一つ消した罪は重い
    やがて彼が来るだろう
    私を討ちに


    勇者「よぉ」

    魔王「何日ぶりだろうか」

    勇者「そんなもんどうでもいい」

    勇者「国を一つ消したってな」

    勇者「アンタはもう仲間じゃねえ。ただの───魔王だ」

    勇者「殺すぜ」

    魔王「ふははははは!!それでいい!!さあ、踊ろうではないか!結末の確定しているラストダンスを!!!!」


    138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 23:36:43.18 ID:dpVERaKv0

    魔王「火炎魔法ッ!!」ゴオオォォォォッ

    勇者「水流魔法!甘ぇな!」

    魔王「自ら視界を悪くしてどうする!」ダッ

    勇者「…直接斬ってくるか!ならば!」シャキンッ

    魔王「ふんッ!」ブンッ

    勇者「はァッ!!」ブンッ


    キィンッ!


    139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 23:39:55.15 ID:dpVERaKv0

    魔王「剣が──」

    勇者「両方、折れた、か」

    魔王「はははははは!!いいぞ!互角な勝負!実に久しい感覚だ!!」

    勇者「さっきから……へらへら笑ってんじゃねぇよっ!!爆破魔法!」

    魔王「ふははははは!!相殺魔法!!」

    勇者「しぶといヤローだな!氷結魔法!」

    魔王「ふんっ!!」バキィッ

    勇者「な……魔法を素手でぶっ壊すか──めちゃくちゃだな、おい」


    144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 23:43:49.02 ID:dpVERaKv0

    勇者「って、話してる場合じゃねえよなっ!雷撃魔法っ!!」

    魔王「………………」

    魔王「防御ま」バシイイィィィィィィィィンッ!!!!

    魔王「が………はっ………」

    勇者「や、やった、か……?」

    魔王「ふ、はは、やるようになったではないか、勇者………」

    勇者「……おい、まさかお前」

    勇者「最後、わざと詠唱を遅らせて………」

    魔王「はははは……何を言っているのだ、お前は。さあ、早く殺すがいい」

    勇者「……悪いな」

    魔王「何を敵に向かって謝る必要がある」


    145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 23:46:11.44 ID:dpVERaKv0

    勇者「本当、悪いと思ってるよ」

    勇者「お前は、仲間想いの本当良い奴で」

    勇者「俺達が危険な目に遭うのを避けようと、死のうとしてよぉ……」

    勇者「最後の最後で、殺されるってのに手加減とかさぁ……」ポロッ

    勇者「本当………ごめんな」ポロポロポロ

    魔王「勇……者…… 英雄となる者が……無様に無くんじゃない…ぞ…」

    勇者「………魔王、俺は、アンタを殺す」

    魔王「……………やれ」


    147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/03(水) 23:51:37.11 ID:dpVERaKv0

    勇者「……一瞬で楽にしてやる。苦しみは味わわせない」

    魔王「あり……がとう……」

    勇者「──俺は、あんたに敬意を表す」

    勇者「友として──仲間として、パートナーとして」

    勇者「あんたをすごいと思ってなかった日はないぜ」

    魔王「ふはは……それはそれは、嬉しい事じゃ……ないか……」

    勇者「だから………一瞬で殺す」

    魔王「………たのむ」

    勇者「さらばだ!!!!」

    勇者「俺の、最高の戦友よ!!!!」

    魔王「………さらばだ」

    勇者「火炎魔法ッ!!!!!」


    154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/04(木) 00:10:17.37 ID:Qkniazmz0

    あの後、国は落ちついたよ
    お前が死んで、脅威は去った、ってな
    ───俺は、寂しいよ
    最高のパートナーを、この手で殺してしまった。
    頼まれていたとはいえ。
    殺した。


    勇者「平和で、いい世界だ」

    勇者「人々も楽しそうに暮らしている」

    勇者「なのに、お前はいない」

    勇者「なんで、お前がいないんだよ……」


    156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/04(木) 00:13:16.89 ID:Qkniazmz0

    お前が残してくれた、この平和な世界を、死ぬまで守り抜くと約束しよう。

    魔王。

    俺が尊敬した、最高の友へ、約束する。

    勇者「さて、今日も平和だといいんだがね」


    おわり


    159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/04(木) 00:14:49.95 ID:7TCSG5MP0

    勇者と魔王が協力し合っている描写も欲しかったな


    引用元: 魔王「強くなりすぎた

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