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    さやか「見滝原の悪夢」

    1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:05:09.05 ID:xG3pAjx60

    --見滝原中学校の食堂--

    仁美「私、上条恭介君の事、お慕いしてましたの」

    仁美「私、決めたんですの。もう自分に嘘はつかないって」

    仁美「あなたはどうですか?さやかさん。あなた自身の本当の気持ちと向き合えますか?」

    仁美「私、明日の放課後に上条君に告白します」

    仁美「丸一日だけお待ちしますわ。さやかさんは後悔なさらないよう決めてください。上条君に気持ちを伝えるべきかどうか」

    さやか「…」



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    2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:06:15.23 ID:xG3pAjx60

    さやか「…うーん…」

    さやか「……うーん…」

    QB「いつになく悩んでいるね。美樹さやか」

    さやか「うわっ!?びっくりしたー。突然出てこないでよ」

    QB「君の悩み事、僕なら力になってあげられるかもしれないよ」

    さやか「…また契約の話?」

    QB「魔法少女になれば、その時の願いで上条恭介の目を君に向けさせる事も、志筑仁美に恭介を諦めさせる事も出来る。そういう意味では、確かに契約も選択の一つと考えることは出来るだろうね」

    さやか「…あたしがそんな理由で契約すると思ってるの?」

    QB「僕は君の願いについて干渉する権利はない。ただ、君にはいつだってそういう選択が選べるってことは忘れないでほしい」


    3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:06:49.24 ID:xG3pAjx60

    さやか「魔法少女ってそんなに人手不足なの?」

    QB「この街には多くの魔法少女がいる。人手不足ってことはないね」

    さやか「なら、あたし別にいらないじゃん」

    QB「魔女と戦う人間は常に死と隣りあわせだ。少なすぎる事はあっても多すぎるという事はない。それに、君は既に叶えたい願い事を持っているんじゃないのかい?」

    さやか「…もう少し考えさせて」

    QB「仁美は明日にも告白するんだろう?だったら、君が悩める時間もそんなに残ってはいないと思うんだけどね」

    さやか「…わかってるよ…」


    4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:08:14.65 ID:xG3pAjx60

    --恭介の家--

    恭介「…やぁ…さやか…」

    さやか「恭介…」

    恭介「何だい、また僕を馬鹿にしに来たのかい?」

    さやか「ねぇ、恭介。…もしその腕が治す方法があると知ったら、その為なら何だって賭けられる?」

    恭介「…決まってるだろう?僕にとって音楽は全てなんだ。そんな事君が一番知っているはずなのに…そうやってまた君は僕をいじめるんだね」

    さやか「その言葉に嘘偽りはない?」

    恭介「当然だろ…いい加減にしてくれ!」

    さやか「わかった。その言葉だけ聞きたかったんだ…じゃぁね」パタン

    恭介「…」

    ゴン!

    恭介「…くそ!僕は…!さやかに当たってもしょうがないのに…!!」


    5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:08:51.54 ID:xG3pAjx60

    QB「決心がついたようだね」

    さやか「あたしの願いは恭介の腕を治すこと。叶えられる?」

    QB「大丈夫。君の祈りは間違いなく遂げられるだろう…でも、本当にその願いでいいのかい?その願いでは、君が報われないと思うのだけれど」

    さやか「何、心配してくれてんの?」

    QB「疑問に思っただけさ」

    さやか「大丈夫。…あたしはこの願いを叶えたら、見滝原を出て行く」


    6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:10:05.81 ID:xG3pAjx60

    さやか「魔法少女になるってことはさ、つまり命がけなんだよね。そんな人間と付き合ってほしいなんて言えないよ」

    さやか「でも、仁美と恭介が一緒にいるのは、あたしが耐えられない…だからあたしは見滝原を出て行く。多分、それが一番いいんだと思う」

    QB「…それが君の願いだと言うのなら、僕は何も言わない」

    さやか「ありがと。キュゥべぇ。…いろいろ引っ掻き回しちゃって、ごめんね」

    QB「言っただろう?僕に君の願いを干渉する権利はない」

    QB「さて、美樹さやか。改めて聞くけど…本当にいいんだね」

    さやか「うん。やって」

    QB「受け取るといい。これが君の運命だ」


    7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:10:45.89 ID:xG3pAjx60

    まどか「…」

    マミ「鹿目さん…どうしたの?何か調子が悪いみたいだけど」

    まどか「マミさん…さやかちゃんが、さやかちゃんがいなくなっちゃったんです」

    マミ「さやかちゃんって確か…鹿目さんの友達の」

    まどか「はい、美樹さやかちゃん。…朝、さやかちゃんの家から電話がかかってきて…昨日の夜から、帰ってないって」

    マミ「そんな…キュゥべぇには聞いてみた?」

    まどか「キュゥべぇは、『美樹さやかがどこにいるかは知らない』って。探してみるって言ってくれたけど…」

    マミ「…鹿目さん。あと数日でワルプルギスの夜が現れる。今、美樹さんを探している余裕は私達にはない」

    まどか「…でも!」

    マミ「それとも鹿目さんは、見滝原がどうなってもいいっていうの?」

    まどか「…!」


    8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:11:49.78 ID:xG3pAjx60

    マミ「ごめんなさい。でも、今のあなたは見滝原を守る魔法少女なの。それだけは自覚して」

    まどか「…はい…」

    マミ「…キュゥべぇに任せておけば大丈夫。あの子はあれで結構頼りになるんだから。私だってキュウべぇのおかげで助かったのよ」

    まどか「マミさん…そうですよね。キュゥべぇがさやかちゃんの為に頑張ってるんだから、私も見滝原の魔法少女として…頑張ってワルプルギスの夜を倒します!」

    マミ「その意気よ。鹿目さん」


    9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:12:33.58 ID:xG3pAjx60

    --どこかの街の銀行--

    強盗A「いいから早く金を出せ!」

    銀行員「も、もう少し待ってください。せめて後5分…」

    強盗A「もういい…あんた、死にたいってことだよな。それ」

    銀行員「っひ!」

    ?「もう少し待ってあげてもいいんじゃない?短気は損気ってね」

    強盗A「あん…何だ餓鬼んちょ。変なコスプレしやがって」

    ?「コスプレ言うな!さやパンチ!」

    強盗A「ベボァ!」

    強盗B「な、何だ?」

    強盗C「こいつ!」

    さやか「…あ、つい手が」


    10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:14:06.93 ID:xG3pAjx60

    強盗B「手をあげろ!」

    さやか「いやーそのーなんっていうか」

    強盗C「いいから早く上げろ!」

    さやか「わかりました…なんてね!」ダッシュ!

    強盗B「な…ウベボォ!」

    強盗C「てめバベェ!」

    さやか「ふっふっふ。魔法少女界最速を誇るさやかちゃんのスピードに人間がついてこられるかっての」

    QB「君が最速ということはないね。…こんなところで何をやっているんだい?」

    さやか「…キュゥべぇ?」

    QB「…いいからすぐ外に出て。警察が来たら面倒だ」

    さやか「わかった」ヒュン


    11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:14:40.79 ID:xG3pAjx60

    QB「つまり、君は魔女を倒しつつ正義の味方の真似事をしていたと…前例がないわけではないけど、あまりお勧めは出来ないね」

    QB「魔女と戦う為の魔力を他の事に使えば、それだけ魔女と戦う時の致死率が高くなる」

    さやか「…あんたは、なんだかんだであたしを心配してくれるんだね」

    QB「事実を言っているだけさ」

    さやか「大丈夫。あたしは自分でこの生き方を選んだんだ。それで魔女に殺されたとしても、後悔なんてしない」

    QB「…わかったよ。さやか」

    さやか「…ところでキュゥべぇ。あんた、あたしを探してくれてたの?」

    QB「そうだよ。時間はかかったけど、なんとか君を見つけることができた」

    さやか「…ありがと。キュゥべぇ」

    QB「礼を言われる話じゃないさ」


    12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:15:22.91 ID:xG3pAjx60

    --織莉子の家--

    織莉子「…」

    キリカ「織莉子ー紅茶まだー?」

    織莉子「あ…ごめんね。すぐ持っていくから」

    キリカ「…ねぇ、織莉子。もうすぐワルプルギスの夜が来るけど…本当に私達、何もしなくていいの?」

    織莉子「大丈夫。私の『未来予知』では、巴マミ・鹿目まどかの2人でワルプルギスの夜は倒せる。私達が下手に干渉をして、彼女達の邪魔をしてはいけない」

    キリカ「うーん…大勢で挑んだほうが楽だと思うんだけど」

    織莉子「キリカ。貴女は見ず知らずの魔法少女と一緒に魔女と戦う事になったら、どうする?」

    キリカ「邪魔だから一緒に刻むね」

    織莉子「…キリカ、めっ!」ピシィ!

    キリカ「痛!」


    13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:16:11.06 ID:xG3pAjx60

    キリカ「織莉子ーごめんよー嫌いにならないでー」

    織莉子「なら刻むとか言わない!…信用できない魔法少女と一緒に戦うというのは、非常に難しい。私達2人が彼女達と一緒に戦ったほうが、不確定要素が高くなり結果として勝ちの目が確率が薄くなってしまう。今は下手な手は打たないのが最善ね」

    キリカ「でも、何もしないなんてさー。私達2人のコンビは、あいつらより断然強いよ!」

    織莉子「…もし、巴マミと鹿目まどかが敗れるような事があれば、その時は私達の出番よ。準備だけはしておいて」

    キリカ「…わかった!任せておいて!」

    織莉子「(…とはいえ、私の『未来予知』では巴マミと鹿目まどかの勝利は確定している。恐れる必要は何もないはず…)」


    14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:17:02.71 ID:xG3pAjx60

    --数日後--

    テレビ「見滝原でスーパーセルが発生しました。現場には近づく事すら出来ない状況で…」

    さやか「…何これ」

    さやか「キュゥべぇ!これは一体どういう事!?」

    QB「ワルプルギスの夜が現れたんだよ」

    さやか「ワルプルギスの夜?」

    QB「最強の魔女さ。今、ワルプルギスの夜と見滝原の魔法少女達が戦っている。もし魔法少女達が負けてしまえば、見滝原に未来はないだろうね」

    さやか「…なんでそんな話をだまってたの!」

    QB「話せば君は見滝原に帰っただろう?君の実力ではワルプルギスの夜に傷一つつけられない。こんなところでいたずらに魔法少女の犠牲を増やしたくはない」

    さやか「…今から見滝原に帰る」

    QB「君が帰ったところで、何の力にもなれやしない」

    さやか「ワルプルギスの夜と戦えなくても、避難の手助けぐらいは出来る。何の力にもなれないってことはないと思う」

    QB「…君がそこまで言うのなら、もう止めはしないさ」

    さやか「ごめん。キュゥべぇ」


    15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:17:52.59 ID:xG3pAjx60

    --見滝原--

    織莉子「キリカ!左!」

    キリカ「了解!」ヒョイ

    ワルプルギスの夜「アハハハハハ アハハハハハハ」

    織莉子「(未来予知を過信した!…未来は絶対ではない事は理解していた。それでも自分が手を加えない限り未来が変わることはないと思っていた)」

    織莉子「(…もしその未来予知が魔女によって意図的に見させられたものだとしたら?未来を変えることが出来る能力を持った魔女がいるだとしたら?…未来が変わる理由なんていくらでも考えられたはずなのに…!!)」

    マミ「」

    まどか「」

    織莉子「(…彼女達が殺されたのは、私の責任だ…!)」

    キリカ「織莉子!?前!!」

    織莉子「…わかっているわ!」スィ

    織莉子「(悔やんでも仕方がない。…せめて彼女達の犠牲を無駄にしない為にもワルプルギスの夜は…私達の手で倒す!)」


    16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:18:42.55 ID:xG3pAjx60

    さやか「そいっと」

    住民「助かったよ…さやかちゃん。これはどういうことだい?家出したと聞いたかと思えばそんな不良みたいな格好して…」

    さやか「これにはいろいろ事情が…とにかくここを真っ直ぐいけばもう避難所ですから!気をつけて!」タタッ!

    住民「ちょっと!さやかちゃ」

    さやか「(ひどい風…魔女を肉眼で捉えられない地点でこれだけの影響が出るなんて…)」

    さやか「…とにかく他に逃げ遅れた人がいないか探そう…ってあれって」

    恭介「…!!…!!」

    さやか「恭介!?どうしてこんな所に」

    恭介「…さやか!やっと見つけた!」

    ッギュ!

    さやか「…え?」

    恭介「馬鹿…すごい心配したんだからな」


    17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:19:59.75 ID:xG3pAjx60

    キリカ「一手で…十手!」ザシュスパァ!

    ワルプルギスの夜「アハハハハハハ!!アハハハハハハハ」

    キリカ「…ふん。木偶の坊の割に硬いか」ブン!

    キリカ「それにしても…ほんっとうに燗にさわる笑い方だね。さぞかし生前は男にも女にも縁がなかったんじゃないかな!」シュン!ヒュン!

    織莉子「(…駄目だ。私達では火力が足りなすぎる。もうどの未来でもワルプルギスの夜の最後の一手には届かない。見滝原は壊滅する)」

    織莉子「(…せめてキリカだけは…でも、この子は私が死んでしまえばそのまま絶望してしまう。何か方法を考えないと)」


    18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:21:29.47 ID:xG3pAjx60

    さやか「…じゃぁ恭介はいるかどうかもわからないあたしの為にこの風の中一人で探し回ってたの!?」

    恭介「…悪い?別に僕が誰を探そうと僕の勝手だろ」

    さやか「勝手じゃないよ!…すぐに避難しないと」

    恭介「…あんな思わせぶりな事言っていなくなったさやかがいけないんだろ!」
    さやか「…恭介?」

    恭介「あの日の夜、突然僕の腕は治ったよ。それこそ奇跡か魔法みたいにね。…そしてさやかがいなくなった」

    恭介「これをただの偶然と捉えられるほど僕は馬鹿じゃない」

    さやか「…それは…」

    恭介「それに…今日は流石に僕しか探してないけど、昨日まではさやかのお父さんやお母さん、鹿目さんや『暁美さん』、志筑さんだってみんな君を探し回っていたんだ」

    恭介「さやか、何で何も言わずにいなくなったんだよ。僕達がどれだけ心配したか君にわかるかい?」

    さやか「…ごめんなさい。あたしそんなつもりで…」

    恭介「…いや、僕のほうこそごめん。話したいことはいっぱいあるけど…一緒に避難所に行こう。みんな待ってる」

    さやか「…それはできない」

    恭介「…どうして?」


    19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:22:26.76 ID:xG3pAjx60

    ワルプルギスの夜「アハハハハハ!アハハハハハハハハハ!」

    キリカ「まずい。もう人形が最上部に到達しそうだ」

    キリカ「…こうなって来るとあまり形振り構ってはいられないか。魔力全開で叩き込んでそのまま魔女化して纏わりつけば或いは…どうする?織莉子」

    ダキィ

    キリカ「織莉子…?…嬉しいけど、何で今私を抱きしめるの?」

    織莉子「…キリカ。私から貴女に命令します」

    キリカ「織莉子?」

    織莉子「この世界を守りなさい」

    キリカ「…!?」


    20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/09/30(金) 19:23:13.04 ID:xG3pAjx60

    さやか「あたしは魔法少女だから。みんなの為に最後まで力を尽くさないと」

    恭介「…まさか、それが僕の腕を治した対価?」

    さやか「…」

    恭介「…確かに僕は音楽が全てだった」

    恭介「でも、君をそんな風に追い詰めてまで、僕はそれを貫き通したかったわけじゃない!!」

    さやか「…恭介。それは違う。あたしは…」

    アハハハハハハハハハハ!!アハハハハハハハハハハハハハハ!!

    さやか「…!…あれがワルプルギスの夜…?」

    恭介「…さやか?」

    ピカ!


    28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/25(火) 20:43:12.42 ID:X3d57kXU0

    目を開けた瞬間強烈な激痛が襲い、美樹さやかは慌てて癒しの魔法を使った。
    辺りは瓦礫の山。その中でさやかは懸命に恭介を探す。

    さやか「恭介!大丈夫!?」

    結局のところ、さやかは恭介を探しだす事には成功した。だが……

    恭介「」

    さやか「……ねぇ、恭介。何で何も喋ってくれないの?さっきのことまだ怒ってるの?」
    恭介「」

    さやか「ごめんね恭介。でもあたしはさ、恭介のヴァイオリンをもっと多くの人に聞かせたかった。ただそれだけだったんだ」

    さやか「追い詰められたのは……そりゃないと言えば嘘になるけどさ。仁美なら仕方がないと思ったんだ。恭介には勿体無いぐらいのいい子なんだよ」

    恭介「」

    さやか「だからね……恭介……」

    恭介「」

    さやか「……守れなくて……ごめん……」

    恭介は、既に腕しか残っていなかった。


    29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/25(火) 20:43:59.75 ID:X3d57kXU0

    さやか「……」

    さやか「…」

    さやか「このままじゃ……駄目だ」

    さやか「……仁美やまどか、ほむらだって生きてるかもしれないんだ。頑張らないと」

    さやか「避難所に行こう」


    30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/25(火) 20:44:33.63 ID:X3d57kXU0

    --避難所--

    避難所は既に地獄絵図であった。
    ワルプルギスの夜の攻撃によって壊滅状態になっていたという事もあるが、それだけではない。
    施設内を数え切れないほどの魔女が行き来していたのである。

    さやか「……これは何!?何でこんなに魔女が」

    その時、さやかは立ちすくんでいる人間を発見した。
    ……否、人間ではない。ソウルジェムを片手に持っている姿は、
    紛うこと無き魔法少女だ。

    魔法少女「……」

    さやか「……!?……大丈夫?しっかりして!」

    魔法少女は何も答えないかわりに、さやかに対して微笑みかけた。
    そして、彼女のソウルジェムが割れた。

    さやか「……え」

    キリカ「どいて!」

    さやか「!?」


    31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/25(火) 20:45:21.06 ID:X3d57kXU0

    そこに現れたのは、片目に眼帯をつけた黒髪ショートの少女。
    その両手に装備したかぎ爪は、魔法少女だったものを瞬時に切り裂いていた。

    キリカ「成り立てならこんなものか。大したことはないね」

    さやか「……あんた、なんて事を!!」

    キリカ「……ん?魔女を倒しただけだろ。責められるような事はしていないつもりだけど」

    さやか「何を言っているの!あの人は魔法少女で」

    キリカ「何かかみ合わないな……」

    魔女の鳴き声が聞こえる。

    キリカ「魔女が集まってきた。長居は無用だね」

    さやか「でも、もしかしたら誰か逃げ遅れた人が」

    その言葉に対して、キリカはさらりと告げた。

    キリカ「0だよそんなの。全員死んでた」

    さやか「!!」


    32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/25(火) 20:46:10.86 ID:X3d57kXU0

    結局さやかとキリカは2人で避難所から脱出した。

    キリカ「ふー……ドン臭いように見えて、意外と早いね。君」

    さやか「そろそろ教えてくれない?あれは何だったのか」

    キリカ「いちいち説明しないとわからない馬鹿にも見えないけど」

    さやか「……!」

    キリカ「見たままの話だよ。ソウルジェムが魔女を産む。私達魔法少女は、皆等しく魔女の卵なのさ」

    さやか「……嘘だ!」

    キリカ「いや、嘘って言われても……他にあれをどう解釈できるっていうの?」

    さやか「……それは」

    キリカ「別に受け止められないならそれもいいと思うけどね」

    さやか「……つまり、みんな魔法少女達に殺されたっていうの?」

    キリカ「『元』ね。……確かにワルプルギスの夜も元魔法少女だったことも考えれば、その解釈は間違ってはいないかな」

    さやか「……そん……な」


    33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/25(火) 20:46:48.11 ID:X3d57kXU0

    呆然としているさやかに対して、キリカは淡々と会話を続ける。

    キリカ「私は見滝原を出る。もうこんな所いる意味もないしね。君はどうするの?」

    さやか「……生存者を探す」

    キリカ「……本気で言ってるの?」

    さやか「どういう意味?」

    キリカ「……そりゃ可能性の話をするなら0ではないのかもしれないけど、避難所の惨状を見る限り、とても生きている人間がいるとは、ね」

    それは、さやかにとって受け止めることが出来ない現実であり

    さやか「……黙れよ」

    キリカ「現実が直視できないなら伝えてあげるよ。もう見滝原に生きている人間は」

    さやかが怒りで我を忘れるには充分すぎる言葉だった。

    さやか「黙れぇええええ!!」

    気がつけば、さやかは剣を手に取り、キリカを斬りつけていた。
    ……少なくともさやかは斬りつけたつもりでいた。だが

    キリカ「危ないなぁ」

    キリカは美樹さやかの真後ろに立っていた。

    さやか「速い!?」

    キリカ「君が鈍いんだよ」

    キリカの足蹴りがさやかの背中に直撃する。

    さやか「ぐ……!」

    キリカ「まだ近くに魔女が大勢いるんだよ。こんな状況で私に喧嘩を売るなんて正気なのかい?」

    さやか「……」

    キリカ「……まぁ、些細か。君が私に勝てるわけないし」


    34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/25(火) 20:47:17.55 ID:X3d57kXU0

    戦いは一方的だった。
    さやかが懸命に攻撃するも、その全てをキリカは回避し、カウンターにもっていく。
    ずっとその繰り返しだ。さやかが既にボロボロなのに対して、キリカは傷一つついていない。

    さやか「強い……」

    キリカ「こんなのんびりした気持ちで戦うなんて初めてだね」クスクス

    さやか「馬鹿にして……!」ギリ!

    キリカ「……少しは落ち着いたらどうだい?ここで私を倒しても何もならないことは、君だって理解はしているのだろう?八つ当たりされても困るんだよね」

    さやか「……あんたは……」

    キリカ「何?」

    さやか「あんたは何でそんな簡単に諦められるの!?見滝原に大切な人が一人もいなかったの!?」

    キリカ「……いたよ。大切な人が一人」

    さやか「だったら……!」

    キリカ「私自身が見取ったんだよ。その人の最後を」

    さやか「……!!」


    35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/25(火) 20:47:43.36 ID:X3d57kXU0

    --回想--

    キリカ「織莉子!」

    織莉子「この世界の為、私は貴女を守りました。だからあなたにはこの世界を守る義務があります」

    織莉子「まず手始めに……魔女になった私を倒しなさい。今の私の魔力を使い、魔女になった瞬間の私に対して拘束をかける」

    織莉子「それを貴女が倒し、グリーフシードを手に入れれば、見滝原を脱出する為の魔力が、補充できる」

    キリカ「無茶苦茶だよ織莉子!」

    織莉子「……いい。キリカ。私の目標を、貴女が引き継ぐの。これは、世界で、貴女にしか、でき、な、」

    キリカ「……」

    織莉子「もう、このままじゃ、私は、頃氏」

    キリカ「……織莉子。君の頼みを私が断るわけないじゃないか」

    その言葉を聴き、織莉子は満足げに微笑んだ。
    ……そして、織莉子のソウルジェムは、砕け散った。

    キリカ「……あははははは!」ブゥン!

    --回想ここまで--


    36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/25(火) 20:48:16.49 ID:X3d57kXU0

    キリカ「後にも先にも私にとって大切なのは彼女一人だ。その彼女にこの世界を守れと言われた。……こんなところで立ち止まるわけにはいかないんだ」

    さやか「……」

    さやかの戦意は、既に喪失していた。

    キリカ「……どうしたんだい?青い子」

    さやか「美樹さやかだよ。……ごめん。あたし自分の事ばっかであんたの事何も考えてなかった」

    キリカ「……君の言う事も一理はある。確かに可能性が0でないのならそこに時間をかける事事態は悪いことではないと思う。魔女を全く考慮しなければ、だけどね」

    キリカ「ワルプルギスの攻撃で魔法少女が魔女になったというのもあるけど、それ以上に元々いる魔女への影響がまずい。使い魔達が呪いを吸い込んで一斉に魔女になっている。もうこの街の魔女は飽和状態だ」

    キリカ「一刻も早く立ち去るべきというのが、私の見解だね」

    さやか「……あんたはそれでいいと思う。でもさ、あたしは自分の目でいないって理解するまで諦めたくないんだ。だからあたしは見滝原をもう少し探索しようと思う」

    キリカ「そうか、残念だよ」

    さやか「……じゃぁ、あたし行くね」


    37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/25(火) 20:50:37.96 ID:X3d57kXU0

    さやか「って何でついてくるの!?」

    キリカ「最初から手伝わないとはいってなかったよ。この状況下で一人で動きまわりたくはなかったし、仲間は欲しいと思っていたんだ」

    キリカ「……要は生存者がいるかどうか確認できればいいんだよね?だったら一人より二人の方が早い。脱出だって一人より二人の方がやりやすい。その辺は利害が一致するんじゃないかな」

    さやか「……あんたの名前は?」

    キリカ「?……そういえば言ってなかったっけ。キリカだよ。呉キリカ」

    さやか「キリカ。……ありがとう」

    キリカ「いちいちお礼とかいらないよ。所詮見滝原を出るまでの関係だし。……ま、でも、そうだね。暫くはよろしく、さやか」

    さやか「よろしく、キリカ」


    38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/25(火) 20:52:16.48 ID:X3d57kXU0

    キリカという魔法少女がどういう人間なのかはまだわからない。
    ただ、親友の約束を守る為に戦い、こうして自分も助けてくれる辺り、
    恐らく善人なのだろう。

    さやか「じゃぁ、行こう!」

    キリカ「その前にこれ」ポン

    さやか「……グリーフシード?」

    キリカ「さやか、自分のソウルジェムを確認してごらん?」

    さやか「……嘘、真っ黒」

    キリカ「ソウルジェムが濁ると精神状態にも影響するんだよ。さっき襲い掛かってきた時にちょっと引っかかりを覚えて見てみたら……案の定だ」

    さやか「でも、このグリーフシードはキリカの」

    キリカ「それはさっき倒した魔女のものだよ。あと、この状況下で誰が倒したとかそういうのも一切気にしないように。多分これからいちいちカウントするのも馬鹿らしくなるだろうし」

    さやか「う……で、でも」

    キリカ「魔女と戦ってる最中に魔女になった君に後ろから殺されましたなんて展開はごめんだからね」

    さやか「……」

    恐らく善人なのだろうが、もう少し言い方があるんじゃないかなぁ……と、さやかは思った。


    45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/26(水) 23:49:07.34 ID:BameyvSX0

    --住宅街--

    キリカ「首なし死体発見。さっきの首とくっつくかな」

    さやか「……」

    キリカ「……うん。全然合致しないね。いや、むしろこの右手がさっきの左手と……」

    さやか「キリカ……真面目にやってよ……」

    キリカ「最初の数時間は真面目にやってたじゃないか。いもしないであろう生存者の呼びかけとかね」

    さやか「……」

    キリカ「……それで、いつまで続ければいいんだい?こんな事」

    さやか「生存者が見つかるまで、だよ」

    キリカ「……それは大変だ」

    正直、キリカはさやかの事を舐めていた。
    数時間探し回ればさやかも現実を直視せざるをえない。
    そうなれば、すぐにでも脱出できる。それぐらいに考えていた。
    が、一向にさやかが諦める様子はない。
    ……ひょっとしてひどい思い違いをしていたのではないだろうか。
    さやかは本当のところ生存者を探しているのではなく、ただ生存者を探すという行為を続けることで、自分の心を保っているだけなのではないだろうか。

    「あたしは自分の目でいないって理解するまで諦めたくないんだ」

    聞こえがいいこの言葉も、そういう読みをすると全く別の解釈が見えてくる。
    つまりは、ソウルジェムが真っ黒になるまで永遠に見滝原をさまよい続けるという…
    さやかを見限る事も視野に入れるべきかもしれないな、そうキリカは考えた。


    46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/26(水) 23:51:41.94 ID:BameyvSX0

    だが、その時

    さやか「あれ、ひょっとして人の足!?」

    キリカ「死体だろ?その辺に転がってた胴体部分とでもくっつくかもね」

    さやか「違うよ!何か動いてる!!」

    キリカ「……え?」

    そんな馬鹿な……そう思いさやかの方を見ると、確かに動いている。
    瓦礫に覆い隠されてしまい足しか見えないが、どうもまだ生きているようだ。

    キリカ「まさか……本当に生存者が?」

    さやか「待ってて!すぐ助けるから!」

    ……いや、待て。
    この辺はこんな状況になる前は、確か歩道だったはず。
    その足は何故スケート靴なんかを履いている?

    キリカ「さやか。様子がおかしい。少し離れて様子をみよう」

    さやか「このままじゃ死んじゃうかもしれないんだよ!早く助けないと!」

    キリカ「そういう意味じゃなくて……」

    その時キリカは気づいた。
    その足のすぐ近くに、同じようにスケート靴を履いた集団がいる事を。
    彼らは埋まっている足と同様の靴を履いており、下半身より上が存在しなかった。
    そしてそのすぐ後ろには地面に落ちた蜘蛛のように歩き回る首のない六本手の人間が……

    キリカ「さやか!それは魔女の使い魔だ!!」

    さやか「……?」

    振り向いたさやかを見て、キリカはようやく自分の愚かさを悟った。
    さやかの首には特徴的な意匠……『魔女のくちづけ』が描かれていたのだ。


    47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/26(水) 23:52:33.13 ID:BameyvSX0

    キリカ「全く世話のやける……!!」

    さやか「キリカ…?」

    キリカ「……本来は結界を蜘蛛の糸のように構成して空中から襲うタイプの魔女なのかな。そういえば避難所にいた魔女達も結界を張っていなかったな……何か理由でもあるのかもしれないな」

    さやか「何をしようとしているの?キリカ」

    キリカ「そうだね。君には早く正気に戻れと言いたいけど、一度魔女の口づけに捉われたら自力での回復は難しいか。なら……」

    キリカ「当然、大元を叩くのみだね!」

    キリカは衝撃波を繰り出した。その魔女本来のスタイルで戦えればまた違ったのかもしれないが、地面に這い蹲ってる状態では逃げ道がない。
    が、

    さやか「キリカ?その人はまだ生きているんだよ?」

    その攻撃はさやかによって防がれた。


    48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/26(水) 23:56:41.09 ID:BameyvSX0

    さやかのスピードは厄介だ。
    さやかと一対一で戦った時、技術面は置いといて、キリカの『速度低下』をかけてもある程度その能力を維持していたスピードは非常に脅威だった。
    もっともさやかの場合、ワンパターンに突進を繰り返すからひたすらにカウンターをとるだけで事はすんだが、今回のように防御主体の戦い方をされるとまた状況が変わってくる。
    つまりはさやかを無視して魔女を攻撃するというのが極めて難しいのだ。

    キリカ「……仕方ない。さやか、短い付き合いだったけど、つまらなくはなかったよ」

    一手で十手
    キリカは必殺の一撃を放った。
    これならば、さやかを貫通してそのまま魔女も貫ける。……が、放ったものの、一向に衝撃波が現れない。

    さやか「キリカ、折角生き残った人を攻撃しちゃいけないよ……?そんなことしたら、殺さないと」

    キリカ「しくじった?こんな時に!!」

    さやか「……もらったぁ!!」

    さやかの剣がキリカを貫いた。
    貫かれた状態でキリカはさやかを抱きしめる形をとりながら後方に飛ぶ。

    さやか「…?」

    キリカ「こんな三文芝居、さやかぐらいにしか通用しないんじゃないかな」

    キリカの能力は『速度低下』だ。
    当然それは技の発動についても例外ではない。

    キリカが後ろに飛び跳ねるのと、必殺の衝撃波が魔女に飛んでいくのはほぼ同時であった。


    49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/27(木) 00:02:01.11 ID:Ww0r+5IO0

    さやか「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」

    キリカ「自分の意思で攻撃したなら怒りもするけどね。魔女のくちづけに関してはどうしようもない。取り敢えず魔女本体に怒りはぶつけたし、気にする必要はないよ」

    さやか「でも、あたしキリカに迷わいたたたた……何するんだ!」

    キリカ「ほっぺたをつねった。これでおあいこってことで」

    さやか「……キリカ、そういうのってちょっとずるいよ……」

    キリカ「こずるい手は得意な方でさ。それより、治癒魔法とか持ってないかな。グリーフシードでもいいんだけど、少し回復に時間かかるし」

    ほとんど冗談で言ったのだが、

    さやか「うん。任せて」

    さやかは治癒魔法の使い手だったらしい。
    ……なるほど。つまりはその再生能力でワルプルギスの夜の攻撃をのりきったのか。

    キリカ「あのさ。さやか」

    さやか「……何?」

    キリカ「生存者探索。まだ諦められない?」

    さやか「……ごめん」

    キリカ「……まぁいいさ」

    さやか「本当にごめん。キリカ」

    無論、キリカは見滝原から脱出して織莉子の意思をつがなければならない。
    その為にはさやかには何としてでも生存者探索を諦めてもらなければならないし、かなり強引な手段をとる必要もあるかもしれない。
    ……というより、このままでは確実にそうなるだろう。その時さやかがどうでるか……

    今の時点で考えて答えが出るものでもない。
    なので、取り敢えず今はこう伝えることにした。

    キリカ「ま、飽きるまでは付き合うよ」


    53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/27(木) 22:34:49.32 ID:Ww0r+5IO0

    --夜--

    キリカ「結局見つかったのは死体だけだったね」

    さやか「・・・・・・まだ探してない所もいっぱいある。諦めるのは早いよ」

    キリカ「そうかい。・・・・・・あの辺がいいかな」

    さやか「キリカ、何してるの?」

    キリカ「今日の寝床探しだよ。あの家とかうまい具合に形が残ってるし、そのまま使わせてもらおう」

    さやか「でもそれって不法侵入・・・・・・」

    キリカ「この状況下で気にする必要はないんじゃないかな」


    54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/27(木) 22:36:58.71 ID:Ww0r+5IO0

    --誰かの家の中--

    キリカ「冷蔵庫の中見てみなよ!ケーキが入ってるよ!!」

    さやか「キリカはしゃぎすぎ!!・・・・・・でもすごい、綺麗な部屋・・・・・・」

    キリカ「しかしここまで綺麗に残ってるとなると・・・・・・案外この部屋は元魔法少女の部屋だったのかもしれないね」

    さやか「え?」

    キリカ「用心深い魔法少女の中には、自分の家に結界を張っている子もいる。寝ている時に魔女に襲われたら大変だしね・・・・・・そのおかげで、ワルプルギスの攻撃を食らってもここまで綺麗に残ったのかもしれない」

    さやか「・・・・・・ひょっとするとうまくこういうところに逃げ込んだ子が!」

    キリカ「ワルプルギスの攻撃を予測して事前に魔法少女の家に忍び込んだ子ねぇ・・・・・・いないいない」

    さやか「むむむ・・・・・・」

    キリカ「しかし本当に不思議な部屋だ・・・・・・この三角形のテーブルとか、侵入者撃退用かな」

    さやか「それはないと思う」

    キリカ「あの花瓶はきっとボタンを押すと発射・・・・・・」

    さやか「絶対ない」


    55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/27(木) 22:38:28.37 ID:Ww0r+5IO0

    キリカ「冗談はさておいて、念のため結界は張っておくか」

    さやか「ねぇ、キリカ」

    キリカ「なんだい?」

    さやか「その・・・・・・本当にごめん。刺したとこ、痛くない?」

    キリカ「・・・・・・流石にそろそろ答えるのが面倒になってきたんだけど。君の回復魔法が効いたからほら、見ての通り傷一つない」ピラピラ

    さやか「でも、刺した時は痛かったんじゃ・・・・・・」

    キリカ「・・・・・・そういえばちゃんと説明してなかったね」

    キリカ「魔法少女は魂をソウルジェムに変換させられる。言うならば肉体は外付けのハードウェアみたいな扱いになっている」

    キリカ「これを利用して、ソウルジェムと肉体の感覚を一部遮断する事が可能になるんだ。今回私が使っていたのは『痛覚遮断』だね。正確に言えば刺された部分が把握できる程度の傷みは残していたけど、まぁこれで君の攻撃に関する痛みはほぼ完全にシャットアウトしてたというわけさ」

    さやか「そんな・・・・・・自分の体を物みたいに」

    キリカ「別に魔法少女じゃなくても体は物だろう。大事なのはその物を使って何を為すかだと私は考えているけどね」


    56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/27(木) 22:43:58.97 ID:Ww0r+5IO0

    さやか「・・・・・・キリカは、魔法少女ソウルジェムに変化させられていて、最後は魔女になるって話。最初から知ってたの?」

    キリカ「ん?いや、織莉子から教えてもらったよ」

    さやか「その、キリカは魔法少女が魔女になると知った時どう思った?」

    キリカ「葬式がいらないから手軽でいいなぁと思ったね」

    さやか「真面目に答えてよ・・・・・・」

    キリカ「割と本気だったんだけど・・・・・・そうだなぁ。確か、これが織莉子の為にどんな役に立つだろうって考えた気がする」

    さやか「え?」

    キリカ「例えば私が魔女になって織莉子がその内に逃げれば、時間稼ぎぐらいにはなるじゃないか。他にもうまく魔女としての性質をコントロールできれば、織莉子の敵となっている存在を狙い撃ちで撃退する事が出来るかもしれない」

    キリカ「いうなれば『魔女』とは魔法少女の持つ最後の切り札。そう私は解釈したね」


    57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/27(木) 22:45:43.04 ID:Ww0r+5IO0

    さやか「でも、こんな石っころにされちゃったんだよ!私達!しかもそれでいつか魔女になるなんてそんな事!」

    キリカ「石ころにされたとか魔女になるとかそんな事は些細な事だ。もう一度言うけど、大事なの事はそれによって手に入れた力で何をするかということじゃないの?」

    キリカ「私はその力を今まで織莉子の為にどうするかという事だけを考えて使ってきた。織莉子は死んでしまったけど・・・・・・だからこそ、今後は織莉子の願いの為にこの力を使っていきたい。私はそう考えているよ」

    さやか「・・・・・・キリカは、強いね」

    キリカ「私は強くなんかない。だからあんな願いを・・・・・・ってそれはいいか。そもそも私より、織莉子の方がよっぽど凄かったよ。織莉子は全てを知って、その上で世界の為に戦っていたんだから」

    さやか「世界の為に?」

    キリカ「そうさ。・・・・・・案外、君と似たとこはあったのかもしれないね。もっとも織莉子がそういう所で精神的にブレたりしたのは見た事がなかったけれど」

    キリカ「織莉子が精神的にブレるのは・・・料理とか、掃除中とか・・・・・・意外と多かったかも」

    さやか「えぇと・・・・・・ドジっ娘?」

    キリカ「かなりね。でも、それでも彼女は一生懸命だったし尊敬できた。・・・・・・案外その辺なのかな。彼女に惹かれたのは」

    さやか「好きだったんだね。その人のこと」

    キリカ「そんな言葉では表せないぐらいにね。彼女は私の全てだった。それぐらいに、大切な人だったんだ」


    58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/27(木) 22:46:28.44 ID:Ww0r+5IO0

    キリカ「・・・・・・大切な人といえば、聞いていなかった」

    さやか「?何を?」

    キリカ「さやかの大切な人の話さ。私に大切な人がいるか聞いたぐらいなんだから、当然君にもいるわけだよね」

    さやか「・・・・・・うん。いるし、いたよ」

    キリカ「私だって喋ったんだから、今度は君の話を教えてくれよ」

    さやか「・・・・・・わかった。じゃぁまず恭介との出会いから・・・・・・」

    キリカ「・・・・・・出会いって・・・・・・嫌な予感が」

    --省略--


    59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/27(木) 22:50:02.36 ID:Ww0r+5IO0

    キリカ「まさか生い立ちから話しはじめるとは・・・・・・」

    さやか「で、その時にほむらが勉強についていけなくてあたしがノートを」

    キリカ「うん。大体わかった。つまり恭介、まどか、仁美、ほむら。その辺が君の大切な人なんだね」

    さやか「うん。恭介は死んじゃったけど・・・・・・まどかや仁美やほむらは生きてるかもしれない。特にまどかはなんだかんだで生き残ってそうな気がするんだよ。あの子、いい子だし、何かちゃっかり誰かに助けられたりしてさ」

    キリカ「・・・・・・ふむ」

    キリカ「そうだね。ひょっとしたら生きているのかもしれない」

    さやか「そうだよ、だからあたしは、決して諦めない!」

    キリカ「・・・・・・さて、そろそろ遅いし、君は少し休んだほうがいい」

    さやか「キリカは?」

    キリカ「外の様子を見てくる。少し街を回っていて気になる事があってね」

    さやか「気になる事?」

    キリカ「今の段階では何ともいえない。確証が得られたら話すよ」

    さやか「・・・あたしもついて行」

    キリカ「魔女の口づけを喰らったり、その前にも私にボコボコにされたりで肉体も精神も相当やられてるんだから、君は少し多めに休んでおいたほうがいい。まだ先は長いんだから」

    さやか「う・・・・・・」

    キリカ「今君に倒れられるのは、私としても困るんだよ」

    さやか「・・・・・・わかった」

    キリカ「素直でよろしい」


    60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/27(木) 22:54:42.66 ID:Ww0r+5IO0

    --外--

    キリカ「キュゥべえ!」

    QB「気づいていたんだね」

    キリカ「こんなに魔女が大量発生しているんだ。エントロピー回収業者の君がいないわけがない」

    QB「確かにワルプルギスの夜のおかげで僕としては大助かりさ。まだまだノルマにはほど遠いけどね」

    キリカ「ときに、君とちょっとした取引がしたいんだけど、いいかな」

    QB「相談?君が僕に何を」

    キリカ「美樹さやかの希望から絶望への相転移、それによって発生するエントロピー・・・・・・欲しくないかい?」

    QB「詳しく聞きたいね」


    61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/27(木) 22:56:07.39 ID:Ww0r+5IO0

    --家の中--

    さやか「何かキリカに迷惑かけてばっかりだなぁ、あたし・・・・・・せめてもっと強くならないと」

    さやか「・・・・・・そういえば、さっきから気になってたけど、あのノートなんだろう」

    さやか「・・・・・・持ち主に悪いけど、ちょっとだけなら・・・・・・いいよね」

    さやか「・・・・・・『必殺技帳』・・・・・・何でそんなものを」

    さやか「どれどれ・・・・・・」

    さやか「・・・・・・!!?こ、これは!?」


    67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 08:43:41.83 ID:F95Hs19w0

    --早朝--

    キリカ「流石に一晩では無理があったか」

    キリカ「まぁ、今夜には準備が完了するかな。後は実行に移すのみ・・・・・・だけど」

    キリカ「・・・・・・全てが徒労に終わればいい。私はそう考えているのか・・・・・・」

    --家の中--

    キリカ「さやかがいない!?・・・・・・特に戦闘のあった形跡もない。自発的に出て行ったと考えるべきか。・・・・・・何かをつかまれたかな」

    キリカ「仕方ない。それならそれで一人で脱出する手段を」

    チュドォォォォォォォンン!!

    キリカ「・・・・・・爆発!?」


    68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 08:44:52.10 ID:F95Hs19w0

    --外--

    キリカ「確かこの辺で・・・・・・さやか!!」

    さやか「キリカァ・・・・・・ごめん。グリーフシードを・・・・・・」

    キリカ「さやか!魔女にやられたの!?」

    さやか「いや、自分に・・・・・・」

    キリカ「・・・・・・?」


    キリカ「今はこれだけ魔女がいるからね。グリーフシードなんて貴重品でもなんでもないんだけど・・・・・・何故こうなったか、詳しく説明してもらいたいな」

    さやか「その・・・・・・まずは、これを・・・・・・」

    キリカ「・・・・・・『必殺技帳』?何これ」

    さやか「それの22ページ辺りを読んでみて」

    キリカ「どれどれ・・・・・・『遠距離を征するものは魔女を征する』・・・・・・何だこれは」

    さやか「魔女戦において、いかに遠距離戦が有利かって事がその辺にずぅっとかかれてるんだ」

    キリカ「・・・・・・まぁ理屈ではある。近距離タイプは常に相手の攻撃を受け流しつつ敵に接近しなければならないリスクがあるのに対して、遠距離タイプはダメージを受けず封殺させる事も可能だ」

    キリカ「こと、対魔女戦においては近距離より遠距離が有利というのは、実のところ私も考えたことがあるよ。・・・・・・遠距離攻撃を持っているなら、だけど。さやか、君にそんなものあった?」

    さやか「実は、ある」

    キリカ「ふむ」


    69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 08:47:31.60 ID:F95Hs19w0

    さやか「これで、とどめだぁああ!!」ピシュゥゥゥン!!ドカァアアアアアン!!

    キリカ「一発目にとどめもなにもない・・・・・・ってこれは!?」

    さやか「実はこの剣。トリガを引くと刀身だけ飛ぶように設計されているんだ。一応爆砕させないように飛ばす事も可能だよ」

    キリカ「間違っても私が戦ってる近くで爆発させないでくれよ。・・・・・・しかしスペツナズナイフとは、また随分トリッキーな」

    さやか「スペツナズナイフ?」

    キリカ「旧ソ連の特殊部隊が使っていた刀身の射出が可能なナイフさ。主に不意打ち・奇襲に使われていたらしいよ。・・・・・・その遠距離攻撃、射程・攻撃力は充分実戦に耐えられる域に見える。前に私と戦った時は何故使わなかったんだい?」

    さやか「あたしは近接戦の方が性にあってるし、そもそもキリカの場合照準を合わせてる暇もなかったよ」

    キリカ「ふむ・・・・・・。でも、さっきの爆発はそれじゃないよね。今の君の起こしたものと比べても、もう少し大きかったはず」

    さやか「答えはそのノートの126ページ目を見てほしい」

    キリカ「随分長いノートだねっと・・・・・・」

    キリカ「・・・・・・」

    キリカ「(何てもの書き残してるんだあの黄色!!)」


    70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 08:49:36.80 ID:F95Hs19w0

    キリカ「(鹿目まどかについてはのっていないか・・・・・・しかしよくもまぁこんなものを)」

    さやか「一晩中練習してやっとこの剣の照準を合わせられるようになってきたから、ためしにその魔法を使ってみようと思ったら暴発しちゃってさ・・・・・・それで、こんな感じに」

    キリカ「一晩程度でそんな武器の照準合わせられるようになるのはそれはそれで凄いけど・・・・・・そうだね。その魔法について少し解説をしてあげよう」

    さやか「キリカ、知ってるの?」

    キリカ「私も結構な新入りだけど、その魔法は知ってる。というか、魔法少女界隈では相当に有名なものらしい」

    キリカ「武器に対して魔力を集中させ、そのエネルギーをそのまま敵に向けて射出する。言葉で言えばそれぐらい簡単な魔法さ。実際この魔法を使おうとした魔法少女は結構な数がいたらしい」

    さやか「そうなんだ」

    キリカ「噂では、それで死傷者が出たとも言われている」

    さやか「え」


    71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 08:52:29.44 ID:F95Hs19w0

    キリカ「この魔法を使うには、集めた巨大な魔力に耐えられるだけの巨大な受け皿が必要だ。ようするにそれだけの膨大な魔力をコントロールするだけの技術が要求される」

    キリカ「そこを理解していなかった魔法少女達がポンッだよ。そんなギャグ漫画みたいな怪我ですんだ君は幸せものだ。自分の頑丈さに感謝したほうがいい」

    さやか「・・・・・・」

    キリカ「ま、君のスタイルに遠距離攻撃を加えるってのは正しいと思うし、そういう意味じゃその剣の射出を使いこなせるようなレベルに持っていくのはいいと思う。ただ、その魔法はまだ君に扱えるような代物ではない」

    さやか「・・・・・・なら、キリカには扱えるの?」

    キリカ「無理だね。だから手数を増やす方向で考えたのが、『一手で十手』というわけさ」

    キリカ「まぁ技術を積んでから再挑戦すればいい。何、案外君ならすぐにできるようになるかもしれないよ」

    さやか「え・・・・・・そ、そうかな」

    キリカ「多分その魔法、『正義を信じる心』とか『悪を許さない心』とかそういうものが大切な気がするし。君にぴったりだよ。うん」

    さやか「・・・・・・何か馬鹿にされてる気がする」


    72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 08:55:09.44 ID:F95Hs19w0

    キリカ「さてっと。そろそろ怒ってもいいかな」

    さやか「ん?」

    キリカ「ちゃんと休めって言ったじゃないかこの馬鹿!」ポカ!

    さやか「痛!何だよ!キリカだって寝てないじゃんか!」

    キリカ「私は慣れてるからいいけど、君がそんな事をやったら・・・・・・ちゃんと教えなかった私のミスでもあるのか。例によってソウルジェムを見てごらん」

    さやか「さっきグリーフシード使ったばっかだしまだ全然・・・・・・ってあれ?」

    キリカ「ソウルジェムが濁ると精神状態に影響を及ぼすように、精神状態に影響が及ぶとソウルジェムにも影響が出来るんだ。つまり今の君は寝不足によりソウルジェムの濁りが早まっているというわけ」

    キリカ「いくら外付けハードウェアといっても、魔法少女はこの外付けハードウェアが正常に機能していないと生きていけないんだから。ちゃんと大切にしないと駄目だよ」

    さやか「でも、回復魔法を使えば」

    キリカ「寝不足解消とかそんな事を願いにした魔法少女の回復魔法なら何とかなるだろうね。で、そんな願いを君はしたのかな?」

    さやか「そりゃ・・・・・・違うけど」

    キリカ「とにかく早く寝る。今日の活動は昼から!」

    さやか「でも生存者を」

    キリカ「いきなり仲間が背後で魔女になられたら」

    さやか「わかったよ・・・・・・」


    73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 08:57:30.31 ID:F95Hs19w0

    --昼--

    キリカ「さやか、起きて」

    さやか「恭介・・・・・・行かないで、恭介・・・・・・」

    キリカ「ていやぁ!」パコ!

    さやか「痛!・・・・・・キリカ?」

    キリカ「そろそろ行くよ」

    さやか「あ・・・・・・うん」

    キリカ「これ、使う?」ポン

    さやか「・・・・・・薬?」

    キリカ「睡眠薬だよ。夢すら見られずぐっすり寝られる類のね」

    さやか「・・・・・・ありがとう。でも、何でこんなものを」

    キリカ「いや、鬱病とかが即死要因になりやすい魔法少女界において、意外とこの手の薬を持ってる子はいるよ」

    さやか「・・・・・・ごめん。変なこと聞いた」

    キリカ「(もっとも私が持ってるのは別目的だけど、それを言ったらさやかに怒られそうだし、黙っておこう)」


    74: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 08:59:37.16 ID:F95Hs19w0

    キリカ「この家が残ってるのは・・・・・・単純に作りがいいからかな」

    さやか「・・・・・・恭介の家だよ。ここは」

    キリカ「あぁ、君の大切な人の・・・・・・大丈夫?」

    さやか「うん。大丈夫。行こう」

    --恭介の家--

    さやか「・・・・・・ない!恭介のヴァイオリンがない!!」

    キリカ「知り合いに見てもらうのが一番だと思ったけど、これで確定だね」

    さやか「・・・・・・キリカ?」

    キリカ「昨日の夜、気になる事があるって言っただろう?昨日探し回った家々の中にも同じように貴重品が盗まれているような箇所があったんだ」

    キリカ「とはいえ本人でもなし、断言できるような証拠はなかったんだけど・・・・・・これで確定だ。今この街には空き巣が徘徊してる。そしてこんな状況下でわざわざ空き巣を働ける余力があるとすればそれは・・・・・・」

    さやか「魔法少女・・・・・・!」

    キリカ「運が回ってきたかもしれない。もしその魔法少女がまだ見滝原に残っていて、味方につけることが出来れば」

    さやか「街の人達から物を盗むなんて、絶対に許せない!!」

    キリカ「・・・・・・ん?」


    75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 09:03:32.99 ID:F95Hs19w0

    キリカ「確かに道徳的にはどうかと思うけど、今はそんな事を言っている場合じゃないし・・・・・・上条恭介のヴァイオリンなら、まぁ織莉子がこんな時の為に残したお金があるから、交渉次第で」

    さやか「そういう問題じゃない!!」

    キリカ「・・・・・・なら、どういう問題だっていうんだい、君は」

    さやか「泥棒だよ!みんなが大変な事になっちゃったのに、平然とそんな事をやってる連中をキリカは許せるの!?」

    キリカ「許すも何も・・・・・・正直、どうでもいいね」

    さやか「キリカだって、織莉子さんの物が盗まれたら怒るんじゃないの!?」

    キリカ「言ってる事が無茶苦茶だ・・・・・多分怒る。でもそれと現状分析は全く別に考えるべきだと思うよ。今は一人でも多くの仲間が欲しい」

    さやか「そんな奴と仲間になんかなりたくない!!」

    キリカ「君のくだらない正義感でこれだけの好機を見逃せっていうのかい!?」

    さやか「・・・・・・キリカ、そんな風に考えてたんだ」


    76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 09:06:47.12 ID:F95Hs19w0

    さやか「もういい。生存者はあたし一人で探すよ。キリカは空き巣を働いてる魔法少女と一緒にいればいい」

    キリカ「・・・・・ふん。好きにすればいいさ」

    さやか「バイバイ、キリカ」

    キリカ「・・・・・・」

    キリカ「・・・・・・キュゥべぇ」

    QB「はいはい。今度は何だい?」

    キリカ「空き巣に来ている子は、『佐倉杏子』。そして佐倉杏子は現時間においても見滝原の中にいる。それで間違いない?」

    QB「その通りだ。何故わかったんだい?」

    キリカ「勘みたいなものだよ」

    QB「なるほどね」

    QB「まぁ、僕としては君が美樹さやかのエントロピーを取り出す事を忘れないでくれていれば構わない。そのかわりに僕は君に情報を提供する。そういう取引だからね」

    キリカ「一応はやるよ。でも、今回に関して言えば結果はあまり保障できないかもしれない」

    QB「確かに、今の君を見る限りあまり期待はできそうもないね」モワン

    キリカ「・・・・・・成功しようと失敗しようとどっちでもいいってところか。相変わらず何を考えているのか読みにくい・・・・・・或いは何も考えていないのか?」

    キリカ「さて・・・・・・どうする?もし佐倉杏子が私の知る通りの人物なら、美樹さやかを捨てれば確実に協力は取り付けられる。逆に美樹さやかにつくなら、相当に分の悪い賭けをしなければならない」

    キリカ「・・・・・・考えるまでもないか」


    77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 09:12:19.21 ID:F95Hs19w0

    杏子「そんなところで何してるんだい?」

    さやか「・・・・・・あんたが空き巣の犯人?そんな小さい子まで誑かして!!」

    ゆま『キョーコ。後もう一人。近くで様子を伺っている』

    杏子『ありがと、ゆま』

    杏子「・・・・・・で、あたしが空き巣をやっていたらどうだっていうんだい?」

    さやか「今すぐやめろ。やめないなら・・・・・・!!」

    杏子「へぇ、あんたがあたしに?・・・・・・やめときな。あんたじゃ無理だ」

    さやか「・・・・・・あんたが盗んだものは、街の人達がとても大切にしていたものなのかもしれないんだよ!!」

    さやか「あのヴァイオリンだって・・・・・・あのヴァイオリンを恭介は一度は諦めて、それでも諦められてなんていなくて、やっと手が治って、それでやっと前に進めたはずだったのに・・・・・・!!」

    杏子「・・・・・・で?そんなお涙頂戴の話がどうしたって?」

    さやか「・・・・・・あんたは!!」


    78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 09:14:46.19 ID:F95Hs19w0

    ゆま『キョーコ。このお姉ちゃん悪い人じゃ・・・・・・』

    杏子『ゆまはもう一人の方の警戒を頼む。あたしはこいつを叩く』

    ゆま『・・・・・・わかった』

    さやか「あんたは・・・・・・あんただけは、絶対に許せない!!」

    杏子「来なよ。遊んでやるから」

    さやか「馬鹿にし」

    シュン!!

    ゆま「・・・・・・は、速い!?キョーコ!!」

    キィィン!!

    杏子「・・・・・・衝撃波!あたしの動きを止めに来ただけ!?・・・・・・ゆま!!」

    ゆま「大丈夫!キョーコの足手まといにはならない!!」

    キリカ「・・・・・・このタイミングで仕掛けても無駄か」

    スト

    さやか「キリカ・・・・・・あんた何をしに」

    キリカ「本当は今の衝撃波のタイミングで一気にしとめにいって欲しかったんだけどね」

    キリカ「・・・・・・さやかとしては不本意だろうけど、私も参戦させてもらうよ。佐倉杏子は君一人でどうにかなる相手じゃない」

    さやか「でも、あんたは」

    キリカ「くだらない正義感といった事だけは訂正する。今回、君の正義は間違えていない。ただ単純に正義の話をするのなら、間違えているのはあいつらだ」

    さやか「・・・・・・キリカ?」


    79: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 09:23:58.00 ID:F95Hs19w0

    杏子「また、うざいのが出てきたね」

    キリカ「言うね小悪党。巴マミの為に何もするわけでもなく、のうのうとすごしていたくせに」

    杏子「・・・・・・!てめぇ!!」

    さやか「・・・・・・巴マミ?誰?」

    キリカ「どうせ巴マミが死んだかどうか諦め切れなくてここまできたってところじゃないのかい?で、あれば教えてあげるよ。巴マミは死んだ。私が死体まで確認しているんだから間違いない」

    杏子「・・・・・・!!」

    ゆま「キョーコ!落ち着いて!」

    さやか「え?え?」

    キリカ「大体、あの時君は何をしていたのかな?そこの青いのですら救助活動ぐらいはやっていたというのに、当時コンビを組んでいたはずの君はそこの緑とおままごとってわけか。いやぁ、本当に馬鹿だね。これでは巴マミもうかばれない」

    さやか「キリカ!よくわからないけど何か言いすぎだよ!!」

    杏子「・・・・・・うぜぇ」

    ゆま「キョーコ!キョーコー!!!」

    キリカ「(さて、取り敢えず挑発はしてみたけど、これで佐倉杏子が冷静さを欠いてくれれば多少は勝機がうまれるか・・・・・・?)」


    81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 20:16:53.40 ID:F95Hs19w0

    さやか「キリカ・・・・・・」

    キリカ「これだけ派手に挑発かませば、今更私だけ除け者って展開にはならないよね」

    さやか「・・・・・・何で?キリカはあたしなんていらないと」

    キリカ「正直、今回の戦いに利は何もない。・・・・・・でも、君の正義感ではここは通すべきだと判断したんだろう?ならもう仕方がないさ」

    さやか「・・・・・・」

    キリカ「ま、こういう事は、慣れてる。織莉子ともよくぶつかったしね」

    杏子「さて・・・・・・覚悟は出来たか?」

    キリカ「覚悟?君が刻まれる覚悟、かな」

    杏子「・・・・・・っへ」

    キリカ「・・・・・・」

    まず動いたのはキリカ。
    キリカのかぎ爪は一直線に佐倉杏子を目指し、しかし杏子はそれを後退して回避する。

    キリカ「!?」

    そして、杏子が後ろに下がったことにより、必然的に前衛になった千歳ゆま。
    もう既にゆまは衝撃波を打つ体制に入っている。

    キリカ「しま・・・!!」

    さやか「キリカ!!」

    しかし、もうこの時点でさやかも攻撃の態勢に入っていた。
    近距離での斬撃ではなく、遠距離からの攻撃。
    刀身の射出ではなく、投剣。
    これに対し、ゆまはそれを防ぐ形をとらざるをえない。

    キリカ「爆砕しない方って今の?また随分原始的な」

    さやか「キリカ、油断しないで!」

    杏子「油断しているのはどっちだよ」

    さやか「!?」

    キリカがゆまとの間合いを詰めた段階で、
    杏子は既にさやかへと間合いを詰めていた。
    最初から佐倉杏子はキリカではなくさやかを狙い撃ちにするつもりだったのだ。

    キリカ「(あれだけ挑発してのらないなんて・・・・・・。いや、むしろ挑発した事で逆にこちらの行動が読まれたのか)」

    これにより状況はゆまとキリカ、杏子とさやかが一対一で向かい合う構図となる。

    キリカ「(仕方がない。こっちの緑を速攻で蹴散らしてさやかに参戦しよう)」

    キリカはゆまに向かって速度低下をかける。
    が、それをゆまは何かが見えているかのような動きで回避した。

    キリカ「・・・・・・馬鹿な!?」

    思わずキリカは声をあげた。
    魔法を別の魔法にキャンセルされるならわかる。
    だが、不可視の魔法を回避できるとすれば・・・・・・

    キリカ「魔力察知か!?」


    82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 20:19:30.49 ID:F95Hs19w0

    『魔力察知』
    巴マミという魔法少女が、別の魔法少女に対して契約前の段階で、
    その潜在能力を言い当てたという事があったらしい。
    これの応用で本来不可視の魔力を形として認識する技術。
    無論こんなものは巴マミクラスの強大な魔力がなければ使えるような代物ではない。
    しかし、それをこの幼い緑の魔法少女はやってのけた。

    キリカ「君、名前は?」

    ゆま「・・・?ゆまは、千歳ゆまだよ。お姉ちゃんは?」

    キリカ「・・・・・・呉キリカ」

    キリカ「ゆま。君は強いね。なら私も全力で応じるしかなさそうだ」

    ゆま「・・・!!」

    慌ててゆまが防御の体制をとる。
    ・・・・・・魔力は化け物だが、経験はさやか並ってところか。
    キリカはここで攻撃に全ての力を注ぎ込む。

    キリカ「一手で二十手。線ではなく面による攻撃。君の防御ごと弾き飛ばしてあげよう」


    83: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 20:22:28.07 ID:F95Hs19w0

    杏子「とっととくたばれこのウスノロ!!」

    杏子の多節槍による中間距離からの連撃。しかしこれをさやかは回避と投剣を駆使してぎりぎり凌いでいた。
    無論本調子の佐倉杏子なら、この守りはあっけなく崩すことも可能だろう。だが、明らかに杏子は焦っており、それにより本来の調子が出せなくなっている。

    さやか「・・・・・・あの子のことがそんなに心配?」

    その言葉に対して、杏子は投槍で答えた。
    これをさやかは片方の剣ではじき、そしてもう片方の剣のトリガを引いた。

    杏子「!?」

    予想外の攻撃だったが、杏子はなんとかそれを回避する。
    ・・・・・・正確には命中していなかったのだが、それでも杏子に回避という動作をとらせることには成功した。
    さやかは迷わず間合いを詰める。二刀流から一刀流に切り替えての上段からの斬撃。
    だが、この判断が既に佐倉杏子の術中にはまってしまった。

    杏子「トーシロが!」

    斬撃を完全に回避され、横からの槍一閃。近距離を狙っていたのは佐倉杏子も同じだったのだ。


    84: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 20:25:02.74 ID:F95Hs19w0

    キリカは悩んでいた。
    このままこの攻撃をゆまに当てるべきか。それとも、予定通り佐倉杏子の方に向けて放ち、さやかを援護するか。
    キリカの見る限り、さやかは今確実に押されていた。
    杏子の横一閃を受けて以降さやかは防戦一方。
    スピードも明らかに落ちている。
    だが、それがおかしい。
    自分と戦った時は芸もなく突進を繰り返すだけだったが、それでも速度が落ちるなんてことはなかったのだ。
    つまり、何か狙いがある。ここで杏子を攻撃するのは、逆にさやかの策を崩す事にはならないか・・・・・・。

    ゆま「あの!」

    キリカ「?」

    ゆま「巴マミの事、知ってるの?」

    キリカ「私は聞いただけだよ。ま、私にはいくつか情報網があってね」

    それは織莉子であったり、キュゥべえであったりするわけだが。

    ゆま「・・・・・・マミは、キョーコの師匠だったんだ。でも、キョーコはその人と喧嘩別れをして、でもずっと仲直りをしたかったんだよ」

    キリカ「・・・・・・」

    ゆま「キョーコはマミが死んでずっと苦しんでた!ただの異常気象としか言われてなくても、マミの安否の確認しにいくべきだったとか、そんな風にずっと自分を追い詰めて・・・・・・!!」

    キリカ「・・・・・・あちらもそろそろ終わりそうだ。そしたら、少し話をしようか」

    ゆま「・・・・・・?」

    ゆまの方を見つつ、照準は佐倉杏子に合わせる。
    ソウルジェムは狙わない。だが、戦闘不能は狙う。
    全員が生存出来れば、交渉の道はまだ残されているのかもしれない。


    85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 20:27:42.91 ID:F95Hs19w0

    杏子「流石に拍子抜けだね!」

    さやか「ぐっ!!」

    佐倉杏子の中間距離からの多節槍。もうさやかにそれを避けるだけの気力はない。
    ただ、さやかには思惑があった。
    昨日の夜に読んだ必殺技帳に書かれていた一つの剣技。
    速度向上の魔法を自身にかけ、そのまま相手を斬る必殺技。
    まだ完全にマスターしたわけではないし、そんな未完成な技がこの赤い魔法少女に通用するとは思えない。・・・・・・普通ならば。
    現状、さやかは自らの速度を意図的に落としている。
    全てはその必殺の一撃の速度を、その速度以上のものに体感させる為に。

    杏子「これで、終わりだよ!」

    さやか「必殺・・・・・・」

    さやか「スクワルタトーレ!!!」

    蒼い光が、佐倉杏子を貫いた。


    86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2011/10/30(日) 20:32:43.87 ID:F95Hs19w0

    さやか「やった・・・・・・!!」

    杏子「今のは良かった」

    さやか「!?」

    さやかの後ろ首に槍が突きつけられる。

    さやか「そんな!?だってあたしは確かに・・・・・・」

    杏子「幻覚だよ。あんたの一撃は完全に読めてた。読めてさえいれば当然その対応策は練るさ」

    杏子「・・・・・・あんたはどうする。まだ続けるかい?眼帯」

    キリカ「・・・・・・正直、君に勝つ手段は思いつかない。私は降参だ。さやかも、もういいよね」

    さやか「・・・・・・まだだ」

    キリカ「さやか・・・・・・」

    さやか「まだ負けて(てぇーい)(バッ!)・・・・・・きゃあああ!!」

    さやか「ななななんでスカートめくるんだよ!!」

    ゆま「お姉ちゃんは誤解してるよ!キョーコは悪い魔法少女じゃない!!」

    さやか「空き巣する魔法少女のどこが悪くないんだよ!!」

    ゆま「うるさい!キョーコをこれ以上いじめるならあたしが許さない!!」

    さやか「こ、こいつぅぅうううう!!」

    杏子「・・・・・・終わりで、いいよな?」

    キリカ「あぁ、うん。もういいんじゃないかな」


    92: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 00:11:45.69 ID:0sLMXYfK0

    --夜--

    さやか「・・・というわけで、女の子のスカートをめくっちゃ駄目なんだよ。ゆまちゃん」

    ゆま「うんわかった!さやかお姉ちゃん!」

    さやか「・・・くぅぅぅぅいい子だぁああ!!」ダキィ

    ゆま「わ、さ、さやかお姉ちゃん」

    キリカ「何かすごく仲良くなってるね」

    杏子「精神年齢近そうだもんなぁ。あの二人」

    さやか「む・・・・・・、あんな赤い奴捨てて、あたしと一緒にいよう?」

    ゆま「・・・・・・ごめん。さやかお姉ちゃんも好きだけど、キョーコはもっと大好き!」

    さやか「ぐぐ・・・・・・」

    杏子「子供は残酷だねぇ」

    さやか「うるさい!今度こそ決着つけるか!?」

    杏子「今のあんたじゃ何度やっても結果は同じだよ」

    キリカ「確かに、あの幻覚技を破れないと・・・・・・そういえば、あれってひょっとして『ロッソファンタズマ』?」

    杏子「・・・・・・あんた、何か独自の情報網でも持っているのかい?」

    キリカ「いや、途中の家にあった『必殺技帳』に書いてあった。ほら、これ」

    杏子「・・・・・・マミのやつ、何でこんなもん書いてるんだよ・・・・・・」

    キリカ「さぁ?」

    さやか「あたしの『スクワルタトーレ』もその本に書いてあった技だよ」

    杏子「・・・・・・イタリア語の時点でまさかとは思っていたけどさ・・・・・・あたしのあれはただの『幻覚技』だ。『ロッソ・ファンタズマ』と名乗れるような代物じゃない」

    キリカ「性質は似たようなものに見えたけどね」

    杏子「まぁな。・・・・・・いつかきっと、取り戻してみせるさ」


    93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 00:13:28.78 ID:0sLMXYfK0

    ゆま「Zzz」

    さやか「うーん。ゆまちゃんは本当にかわいいなぁ、それにひきかえ・・・・・・」

    杏子「あーうぜぇ。超うぜぇ」

    杏子「・・・・・・そういや、あんた。戦闘前に結構好き勝手言ってくれたよな」

    キリカ「ん?あぁ、言ったね。・・・・・・君を怒らせる為に言ったんだけど、全く効果がなかった」

    杏子「いや、効果はあったよ。ただ、それをそのまま戦いに反映させない程度には、いろいろ経験したのさ」

    キリカ「・・・・・・なるほど、ね」

    キリカ「一応言っておくと、あれは君の事情を全く考えないからこそ言えた挑発だし、いちいち気にしなくていいよ」

    杏子「いや、結構的は射ていたよ。・・・・・・ゆまが巨大な魔力を感じ取ってはいたんだ。だけど、あたしは巴マミなら大丈夫とか、今更どんな面して会うんだとか、あたしが死んだらゆまはどうするとか、そんな事ばっか考えちまって・・・・・・結局動けなかった」

    杏子「・・・・・・なぁ、知ってたら教えてほしいんだけどさ」

    キリカ「なんだい?」

    杏子「巴マミは、出会えたのか?あいつにふさわしい仲間に」

    キリカ「・・・・・・その質問の答えになるかどうかはわからないけど、巴マミには相棒がいた。あの二人は多分、見滝原で二番目ぐらいには強かったと思うよ」

    杏子「・・・・・・そうか。・・・・・・二番目?一番目は?」

    キリカ「私と織莉子さ!」

    杏子「突っ込まないぞ。・・・・・・それだけが気がかりだったんだ。良かった」


    94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 00:16:48.61 ID:0sLMXYfK0

    キリカ「さやか、どうしたのさ」

    さやか「いや、その・・・・・・あんた、そこまで悪い奴じゃなかったんだね」

    杏子「あんたの悪い奴がどういうものかわかんないけど、空き巣やってる時点で充分悪党だろう」

    キリカ「小悪党ぐらいじゃないかな」

    杏子「茶化すな。・・・・・・こいつの言ったとおりだ。あんたの正義は間違えてない。窃盗は悪だ。だから許さない。正義ってのはそうあるべきさ」

    さやか「・・・・・・ねぇ、巴マミってどんな人だったの?」

    杏子「正義の味方にして、見滝原最強だな。あいつに勝てる奴なんて想像がつかなかった」

    キリカ「最強は織莉子だけどね」

    杏子「あんたの言う織莉子ってのがどれぐらいか分からないけど、本調子のあいつに勝てる奴なんかいないよ。・・・・・・精神状態がやたら揺らいで本調子が出し切れないところがあるのが、結構問題ではあったんだけどさ」

    キリカ「それでも、織莉子の『未来予知』には通用しないさ」

    杏子「食い下がるなぁ、あんたも。まぁ少なくともあたしの知る限りでは最強の魔法少女だったな。能力とかそういう類の強さではなく、ただ強かったんだ」

    さやか「・・・・・・あんたがそこまで言うなんて、凄い魔法少女だったんだね」

    杏子「あぁそうさ。・・・・・・どうせワルプルギスの夜だって、ついうっかりで負けたんだぜ。あいつ。普通に本気出してりゃどんな魔女だってマミの奴に勝てるもんか」


    95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 00:19:39.23 ID:0sLMXYfK0

    杏子「さて、あたしとゆまは明日、見滝原を出る。もうあらかた盗れるものは盗ったしな」

    さやか「・・・・・・あんたはどうしていちいちあたしに喧嘩うるのさ!」

    杏子「別にそういうつもりで言ったわけでもなかったんだけどな」

    キリカ「そろそろ、じゃないかな」

    さやか「ん?」

    キリカ「もう、無理だよ。実は昨日の夜のうちに街から出るルートを探してみたけど、多分明日の朝ぐらいが『限度』だ。これ以上魔女に増えられたら、とても対応しきれない」

    さやか「・・・・・・」

    キリカ「佐倉杏子達と一緒に、街の外に出るべきだ。4人がかりなら、なんとかアレも突破できる」

    さやか「・・・・・・3人で行ってくれないかな。キリカだって杏子やゆまちゃんがいればもう脱出できる。あたしがいる必要なんてない」

    キリカ「さやか!!」

    杏子「・・・・・・生きている人間はあたしも探した。ゆまもな」

    さやか「!!」

    杏子「ゆまの魔力探知は人間がいるかどうかぐらいは大よそつかめる。・・・・・・この街にはもう、人間はいない。いるのは魔法少女と、魔女だけだ」

    さやか「・・・・・・あたしは、自分の目で見るまで諦めない」

    杏子「そうかい。なら、あたしから言える事ももう何もない」


    96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 00:22:20.53 ID:0sLMXYfK0

    やか「・・・・・・あたし寝る。・・・・・・少し疲れた」

    キリカ「あまり眠れていないんだ。仕方ないよ。・・・・・・渡した睡眠薬を使うといい。深い睡眠に入れるだけで、随分疲れもとれるはずだ」

    さやか「・・・・・・ありがと。使わせてもらうよ」


    キリカ「・・・・・・さて、それじゃぁ脱出計画を練ろうか」

    杏子「それでいいのか?あんたは」

    キリカ「ん?何がだい?」

    杏子「いや、あいつ・・・・・・さやかの事だよ。あんた、あいつの事結構気に入っているように見えたけどな」

    キリカ「私にとっての一番は、織莉子だけだよ」

    杏子「・・・・・・?いや、そういう話じゃなくて」

    キリカ「そういう話なんだよ、これは」

    杏子「・・・・・・そうか」

    キリカ「明日の朝、説得はしてみる。それで応じないようなら置いていく。もともとこの街の中限定での仲だったんだ。いなくなったところで何も感じないね」

    杏子「・・・・・・」


    97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 00:23:58.17 ID:0sLMXYfK0

    キリカ「さて・・・・・・と」


    102: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:26:34.20 ID:0sLMXYfK0

    --朝--

    さやか「視界がぼやける・・・・・・キリカの睡眠薬、しっかり使ったのにな・・・・・・」

    キリカ「おはよう。さやか」

    さやか「あ、キリカ・・・・・・もうおきてたの?」

    キリカ「君に見せておきたいものがあるんだ」


    103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:28:50.41 ID:0sLMXYfK0

    さやか「・・・・・・何、これ」

    キリカ「探し回ったよ。『君の大切なものの死体』。全部揃ってよかった」

    キリカ「鹿目まどか。志筑仁美。暁美ほむら。親族一同もついでに探しておいた。後はクラスメイトの皆様。・・・・・・いくつかパーツがかけてるけどね。ま、これで全部だ」

    さやか「あ・・・・・・」

    キリカ「君が信じた希望、探していた大切な仲間、それはワルプルギスの夜によって既に全て失っていたのさ」

    さやか「あはは・・・」ペタン

    キリカ「どうしたんだい?さやか。全部見つかってよかったじゃないか」

    さやか「・・・・・・あたしさ。別の街で正義の味方とかやっててさ。でも、見滝原のみんなはそんな中でもきっと幸せにやってるって、そう信じていたからやってこれたんだ」

    キリカ「・・・・・・」

    さやか「こんな事になってから気づくなんて、馬鹿だよね。あたしにとって・・・・・・あたしにとって本当に守りたかったのは、この街だったんだ・・・・・・」

    キリカ「(・・・・・・やはり駄目、か)」


    104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:29:47.37 ID:0sLMXYfK0

    キリカ「・・・・・・いいかい、さやか。よく聞くんだ」

    さやか「・・・・・・?」

    キリカ「この人達は誰にやられたと思う?」

    さやか「え・・・・・・ワルプルギスの夜?」

    キリカ「そう、ワルプルギスの夜、つまり魔女だ。人間を食いつぶす化け物さ。・・・・・・憎くないかい?」

    さやか「・・・・・・え?」

    キリカ「君の全てを奴らは奪ったんだ。君は奴らに復讐する権利がある」

    さやか「・・・・・・権利?」

    キリカ「そう、権利だ。君はこれだけの事をやった魔女が許せるか?」

    さやか「・・・・・・許せない」

    キリカ「そう、許せない。ならば幸いにして、君には力がある。その憎しみを余すところなく奴らにぶつけるんだ」

    さやか「・・・・・・ぶつける、そう、か」

    キリカ「そうさ。憎むべきは全て、君の全てを台無しにした魔女なんだ。違うかい?」

    さやか「・・・・・・うん。そうだ。その通りだよ。キリカ」

    キリカ「(簡単に誘導できそうだな。流石さやか。単純馬鹿だ)」


    105: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:30:54.54 ID:0sLMXYfK0

    杏子「・・・・・・結局、説得はできたのか?」

    キリカ「ご覧の通りね」

    さやか「キリカ?魔女はどこなの?はやく殺そうよ」

    キリカ「さやか、もう少し待つんだ。ここから先に行けばすぐに大量の奴らに出会える。そしたらめいいっぱい殺せるよ」

    さやか「あはは」

    ゆま「・・・・・・さやかお姉ちゃん?」

    杏子「・・・・・・おい、なんだよこれ」

    キリカ「何だって?」

    杏子「てめぇ、こいつに何をした!!」

    キリカ『念話で喋ってくれ。あまりさやかに聞かれたくない』


    106: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:31:50.63 ID:0sLMXYfK0

    キリカ『別に何をしたわけじゃない。さやかを導いてあげたんだよ』

    杏子『導いてって・・・・・・どういう意味だ!』

    キリカ『簡単な心理誘導だよ。普通に生きてたらまず引っかからない。でも、自分の全てが崩れていたら、あっけなくかかる事もある、そういう類のね』

    杏子『・・・・・・あんたまさか!?』

    キリカ『さやかの探していた大切な人。その全ての死体を見せてあげた。多少悲劇的になるよう、演出はさせてもらったけどね』

    杏子「てめぇ!!!!」ガシィ!!

    さやか「いきなり何してるの?・・・・・・そうだ、魔法少女が魔女になるんだから、今殺しちゃってもいいんじゃない?」

    キリカ「さやか、それは駄目だ。魔女になるまでゆっくり待つんだよ」

    キリカ『大体こういう事は、君の方が専業だろ。『聖女様』?』

    杏子「!!!!!!」


    107: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:32:21.50 ID:0sLMXYfK0

    キリカ「にしても、魔法少女の魔女化のほうはそれほど驚かないんだね」

    杏子「ここに来るまでに散々見てきた。今、そんな話はどうでもいい」

    杏子『・・・・・・いつから、こんな事を考えていた?』

    キリカ『最初さやかに会った時に喧嘩になってさ。その時思ったんだよ。こいつは使えるって。そもそもワルプルギスの夜に生身で耐え切るほどの強度だ。ソウルジェムさえ回復させておけば、いい囮になる』

    キリカ『最初の計画は、さやかを魔女の真っ只中に放り出し、それを陽動にして私は逃げる。それぐらいの単純な策だったんだよ』

    キリカ『ところが、どうにもさやかは生存者を見つけるまで外に出たくないという』

    キリカ『正直焦ったね。まぁ私一人で脱出してしまうという手もあったんだけど、やはり安全性は担保したい。そこで思いついたのが今回の作戦さ』

    キリカ『これだけ魔女を殺したいと思うように仕向けてしまえば、魔女を殺してる分にはソウルジェムも中々濁らない。囮としてはうってつけだろう?』

    キリカ『ま、うまく外に脱出させることが出来たなら、適当に魔女にする方針でキュゥべえとの取引材料にしてしまうもよし、君みたいな幻惑系魔法少女に頼んで駒に仕立て上げるもよし、どちらにしろ私にとっては実にうまい話だ』

    杏子『もういい、充分だ』

    キリカ『そう。ま、君も頑張って働いてね。私の脱出の為に』

    キリカ「さぁ、さやか。そろそろ行くよ。思う存分魔女を殺すんだ」

    さやか「うん!キリカ!」


    108: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:33:02.46 ID:0sLMXYfK0

    杏子「・・・・・・ゆま。最悪、キリカとさやかは見捨てるぞ」

    ゆま「キョーコ!何でそんな・・・・・・」

    杏子「さやかはもう無理だ。・・・・・・そして多分、キリカもその死に惹かれてる。こっちまで巻き込まれるのはごめんだ」

    ゆま「・・・・・・キョーコ?」

    杏子「・・・・・・」


    109: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:34:29.23 ID:0sLMXYfK0

    薔薇の魔女。影の魔女。箱の魔女。お菓子の魔女。鎧の魔女。猫の魔女。玩具の魔女。
    ありとあらゆる魔女がそこには集結していた。
    まるで外に出るのは決して許さない。そういった何者かの意思があるかのような配置だ。

    キリカ「・・・・・・まさか。魔女にそこまでの意思があるわけがない。多少弱気になっているのかな」

    さやか「あはははははは!!!」

    さやかは一気に突進していった。最初にキリカと戦った時と同じようなやり方。
    ただ、怒りに任せた真正面に突進するだけの戦法。

    キリカ「・・・・・・もう少し頭を使ってくれるといいんだけどね。ま、フォローしつつ、かな」

    杏子「おい、キリカ。何で囮を助けながら戦ってるんだ?」

    キリカ「ん?やばくなったら見捨てるさ。でも、そこまで焦る必要もない」

    杏子「・・・・・・あんたは・・・・・・」

    杏子「分かった。あたしはゆまをフォローしつつ戦うから、そっちの援護にはあまりまわれない。悪いけどね」

    キリカ「別に構わないさ」


    110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:35:36.99 ID:0sLMXYfK0

    戦局は劣勢だった。
    杏子はゆまのフォローをしつつ、ゆまの攻撃を生かすような戦い方をしている。
    対してキリカはさやかが完全に防御を無視して突進している為、
    さやかの盾となるような戦い方しか出来ていない。
    そしてさやか自身にそれほどの攻撃力がない以上、実質さやかとキリカはお互いの持ち味を殺してしまっている。
    これでは、それこそキリカとさやかは囮程度にしか使いようがない。

    杏子「・・・・・・何としてでもさやかを脱出させたかったのかもな。キリカは」

    ゆま「キョーコ?」

    杏子「・・・・・・なんでもない」

    杏子は、この時点でキリカとさやかを見捨てることにした。
    自分にとって大切なものはゆまだ。それだけは何としても守りきらなければならない。


    111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:36:29.43 ID:0sLMXYfK0

    さやかは最早傷だらけだ。
    それなのにいつまでも笑い続けている。
    恐らく痛覚遮断を使っているのだろう。・・・・・・痛覚遮断を使うと感覚が鈍るから、状況を見て使えって教えるべきだったかな。
    いや、教えたところでこんな状態じゃ使いようがないか。

    キリカ「・・・っつ!」

    影の魔女の攻撃か。・・・・・・あの砲台戦法は厄介だ。
    しかし・・・・・・心なしか自分の動きが鈍くなっているように感じる。
    そういえばソウルジェムの濁りも心なしか早い。
    特に身体的に影響が出るような事をやっているはずもないのに。

    衝撃波を飛ばそうにも・・・・・・あの鎧の魔女が邪魔か。
    あのぬいぐるみは・・・・・・ぬいぐるみ?何だあれ。

    さやか「あはははは!死ね!死ね!」

    さやかがそのぬいぐるみを切り裂こうとした時、ぬいぐるみの口から蛇のようなものが現れ、

    キリカは咄嗟にさやかを庇っていた


    112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:37:54.65 ID:0sLMXYfK0

    ・・・・・・つまりはこういうことか。
    いつの間にか、私はさやかに対して情を持っていたらしい。
    織莉子以外に私が情を持つなんて、ありえないと思っていた。
    たまに感じていた感覚も、全てこんな状況になれば消え去ると思っていた。
    ・・・・・・甘かった。人に興味がないフリをして生活していたのが長かった分、
    そういう感覚を軽視していた。
    というか、そんな生活が長かったからこそ、逆に情を持った時自分がどうなるかは、既にサンプルケースがあったじゃないか。
    織莉子に対する自分を見て、私は何も学べていなかったのか。

    キリカ「・・・ま、片腕をとられた程度ですんだのは奇跡だったね。ただ、もうほぼ手詰まりかな」

    ・・・・・・さやかに衝撃波でも当てて、杏子のところまで弾き飛ばすか。
    なんだかんだで情に熱そうな人みたいだし、ひょっとしたら助けてくれるかもしれない。
    ・・・・・・どうせあんな適当な心理誘導だ。憎しみがどうとかいったって、そんなものはそれこそそういう能力をもった魔法少女が念入りに暗示でもかけない限り、誰か周りに支えてくれる人がいさえすれば少しずつ癒されるはず。
    さやかはまだ、生き延びる望みはある。私はもう無理そうだけど。

    ・・・・・・それはそれとして、あの世で織莉子にどんないいわけをしたものか。
    ちょっといい案が思い浮かばないな。


    113: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:38:47.45 ID:0sLMXYfK0

    杏子やゆまが戦っている。あっちも相当に傷だらけみたいだ。
    魔女になったら殺してあげるのにな。
    そんな事を考えながら、あたしは目の前の魔女を斬りつける。
    ふとキリカの方を見ると、キリカの手と足がなくなっていた。
    ・・・・・・まぁいい。あたしは魔女さえ殺せれば満足なんだ。
    この憎しみを魔女にぶつければ・・・・・・

    あれ?

    そもそもあたしはそんな風な戦い方をする魔法少女だったっけ?
    それは確かにみんなを殺した魔女は確かに憎いけど・・・・・・
    でも、それって今戦っている仲間を見殺しにしてまでやることだっけ。
    ・・・・・・いや、待て待て。いろいろおかしい。
    大体わたしの根幹はなんだ?こんな憎しみに任せて魔女を倒すことだったか?
    ・・・・・・違うだろう。あたしの剣は本来・・・・・・


    114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:39:29.26 ID:0sLMXYfK0

    お菓子の魔女が口を開いた。
    キリカには動くための足がない。かろうじて片手が残っているが、もうそれも満足には動かせていない。
    ただ、キリカはぼんやりとその口を見つめ・・・・・・

    その時、いくつもの青い刀身がお菓子の魔女の口の中に吸い込まれていった。

    さやか「それでも食べてろ!!」

    お菓子の魔女の中で大爆発が起こる。その隙を見てさやかはキリカを背負った。

    さやか「ゆまちゃんパス!!」

    さやかはキリカ思いっきりゆまに向かってぶん投げる
    ゆまは慌ててキリカを受け取り、キリカに回復魔法をかける。
    状況が見えていないのはキリカだ。

    キリカ「え・・・・・・何でさやかが私を助けて・・・・・・?」

    杏子「あんたが思っていたより、さやかがずっと強かったってことだろ?」


    さやか「さて・・・・・・と」

    さやかは痛覚遮断を解除した

    さやか「っつううううう!!」

    キリカ「・・・・・・!?何をやっているんだ!さやか!」

    さやか「・・・・・・よし!目が覚めた!さやかちゃん完全復活だ!!」

    さやかは不敵に微笑んだ。


    115: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:41:37.34 ID:0sLMXYfK0

    キリカ「ゆま!ごめん、早く戻らないと」

    杏子「ほんの少しでいいから待て。・・・・・・ゆまの回復が待てないとか、どんだけ追い詰められてるんだよ」

    杏子「それにほら、あいつを見てみろ。結構普通に戦えてるぞ」


    さやか「でぇやぁ・・・ってよっと」

    さやかは鎧の魔女の斬撃を、お菓子の魔女の手前で回避した。
    その結果として、鎧の魔女の剣がそのままそのお菓子の魔女を切り裂く。
    さらに影の魔女の攻撃が、鎧の魔女を貫いた。
    その影の魔女を、さやかの放った刀身が貫く。
    この時点で、さやかを狙っているのは薔薇の魔女。あの鞭のような攻撃は、自分の後ろにいる魔女に誘導できそうだな。そうさやかは考えていた。


    116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:42:56.75 ID:0sLMXYfK0

    ゆま「さやかお姉ちゃん凄い!あれだけの魔女をあんな簡単に!!」

    杏子「・・・・・・ひたすらに魔女の同士打ちを狙ってるんだな。なるほど、魔女同士の連携はひどいものなんだから、あーいう戦い方でいいのか」

    キリカ「さやかはどこであんな戦い方を・・・・・・」

    杏子「さぁなー。でもあいつ、結構自分勝手な正義感で好き放題喧嘩うってるみたいだし、結構やばい連中を相手にした事もあったんじゃないか?」

    杏子の指摘は事実その通りで、さやかはワルプルギス前に正義の味方をやっている最中、強盗だのヤクザだのを相手に戦う事も多かった。
    その為、一対多の戦いには慣れていたのである。しかも、人間は連携を考えて動くし、魔女だって使い魔達とは連携をとるものもいるが、魔女同士となると、それがまったく成立していない。
    こうなると、そういった戦いに慣れているものにとっては独壇場となる。

    ゆま「回復完了!」

    キリカ「・・・・・・さやかに一つ問わなきゃいけないことがある。・・・・・・行ってくる」

    杏子「まったく・・・・・・今度は無茶すんなよ」


    117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:44:19.50 ID:0sLMXYfK0

    キリカ「さやか!一つ聞きたい!」

    さやか「キリカ?こんな時にどうしたの?」

    キリカ「何故戻れた?君は魔女を憎んでいた。そう考えていたからこそ、あの心理誘導は通用したはずだ」

    さやか「ん・・・えぇと、そりゃ確かに魔女を憎んではいたけどさ」

    さやか「それって守るべき人間を捨ててまでやる事じゃないよね」

    キリカ「君の守る人間はもう全員死んでしまったじゃないか!」

    さやか「そういう事言わないでよ!・・・・・・今はいるじゃん。守るべき人間」

    キリカ「・・・・・・」

    さやか「キリカに、杏子に、ゆまちゃん」

    キリカ「!・・・・・・そんな行きずりの仲間を!?」

    さやか「そりゃキリカは何考えてるかよくわかんないし、杏子は小悪党っぽいし、ゆまちゃんは可愛いけどさ。じゃぁここで死んでいいかっていったらそれは違う」

    さやか「だから、それは充分に守る理由たりえる」

    キリカ「そ、そんな生き方通用しない!この街を出たら君はどうするんだ!!」

    さやか「新しい守る対象を探すよ。多分、そういう事が必要な人って結構いると思うし」

    キリカ「無茶苦茶だ!守られる人間に裏切られるかもしれない!自分が何を守っているかわからなくなるかもしれない!そんな生き方したらソウルジェムがもたない!!」

    さやか「うーん・・・・・・裏切られたらそりゃしょんぼりするし、何を守っているのかわからなくなるかもしれない。後悔なんてずっとするような人生になるのかなーとは思うよ」

    さやか「でも、そんな生き方を、あたしが選びたいんだからしょうがないじゃないか」

    キリカ「・・・・・・!!」

    さやか「ほら、また魔女が来るよ!」


    118: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:45:20.11 ID:0sLMXYfK0

    キリカ「・・・ふふふ、くふふふふ、あはははははは!!」

    さやか「キリカ!?」

    キリカ「面白い!君は本当に面白馬鹿だね!いいじゃん、やってみなよ!!どうせどっかで挫折するだろうけどね!!」

    さやか「そういう事言うな!・・・・・・あと、キリカ。朝のあれ、後で説教ね」

    キリカ「いいさ!ここを生き延びられたら説教でも何でも聴いてやるよ!!」

    杏子「これでやっとまともに連携がとれるな」

    さやか「・・・・・・杏子!」

    ゆま「キョーコ!もうさやかお姉ちゃん達を見捨てる必要ないんだよね!!」

    杏子「ゆ、ゆま。・・・・・・あ、あぁ。まぁな」

    さやか「杏子も説教ね」

    杏子「いや、あたしの場合仕方ねーだろ!あんたらがあんな」

    キリカ「さて、そろそろ馬鹿はやめといて・・・・・・あれ、どうしようか」

    杏子「誰が・・・・・・っとまぁ、確かに、こんな事言ってる場合じゃないよな」

    さやか「・・・・・・うん」


    119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:46:19.42 ID:0sLMXYfK0

    影の魔女10体。
    それが魔女達の最終防波堤だった。
    近寄ることすらできない。
    さやかの投剣も、杏子の槍も、ゆまやキリカの衝撃波も全て弾かれた。
    完全なる防御。同士打ちを狙うにも、まず近寄れないことにはどうしようもない。

    さやか「一つ、試したいことがある」

    キリカ「何だい?」

    さやか「あれだよ。『必殺技帳』126ページ」

    キリカ「無理・・・・・・でもないな。攻撃威力としてもあの魔女達を突破できる可能性はあるし・・・・・・試してみる価値はある」

    杏子「何の話だ?」

    キリカ「あの『必殺技帳』の中に、『悪を許さない心』とか『正義を信じる心』とか、そういうのをそのまま具現化したような必殺技がのっていたんだよ。君なら当然知ってる魔法だと思うけど」

    杏子「あーあれかー」

    ゆま「なになに?」

    杏子「ま、すごい技だよ」


    120: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:47:13.98 ID:0sLMXYfK0

    キリカ「さやかが魔力を作り出して、杏子が受け皿になる。多分それでこの魔法は成立する」

    ゆま「ゆまはー?」

    キリカ「ゆまと私は魔法が完成するまで、さやかと杏子を守るんだ!」

    ゆま「了解!」

    杏子「・・・・・・ま、やるしかないか」



    さやか「いくよ、杏子!!」

    さやかは巨大な剣を召喚した。
    それを杏子がコントロールする。

    杏子「・・・・・・結構な魔力じゃん。全くゆまといい、さやかといい、ルーキーってのはこんな奴らばっかなのか」

    キリカ「私もルーキー。混ぜておいて」

    杏子「あんたは知らん」

    キリカ「む・・・・・・」


    121: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:48:48.95 ID:0sLMXYfK0

    ゆま「ていぃ!やぁ!!」

    キリカ「・・・・・・まだ!?」

    さやか「よし、もういける!」

    キリカ「ゆま!横に避けろ!!」

    ゆま「わかった!!」

    杏子「じゃぁ・・・・・・ぶちかますぞ!!」

    杏子「ティロ・・・・・・!!」

    さやか「・・・・・・フィナーレ!!!!!」

    凶悪サイズの刀身が影の魔女達の中心に突き刺さり、爆砕した


    122: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:50:17.41 ID:0sLMXYfK0

    さやか「・・・・・・やったの・・・・・・?」

    キリカ「まだやってない!奴らが動揺してる今しかチャンスがないんだから、今すぐ突破しないと!!」

    杏子「・・・・・・ま、よくやった」

    ゆま「さやかお姉ちゃんかっこよかったよ!もちろんキョーコも!!」


    123: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:52:12.07 ID:0sLMXYfK0

    --見滝原外--

    さやか「・・・・・・やったああああ!」

    杏子「全く・・・・・・まさか魔女だらけになってるとか想像もしなかったもんなー。あんたらに出会えて本当によかったよ」

    キリカ「私はいろいろ学ぶ事が多かったかな。人の感情って難しいね」

    杏子「何キュゥべえみたいな事言ってるんだか・・・・・・」

    ゆま「・・・・・・キョーコー!!」

    杏子「よしよし・・・・・・よくやったぞ。ゆま」

    キリカ「ここからだと、かざみのが近いかな。・・・・・・正直、お腹すいたよ。実はカロリーメイトとかそういうのしか食べてないからさ」

    杏子「あたしらはお菓子ばっか食べてたなー」

    ゆま「キョーコは普段全然食べさせてくれないし!」

    杏子「いいか。お菓子ばっかり食べてると大きくなれないんだぞ」

    さやか「どこの保護者だあんたは・・・・・・」

    キリカ「『かざみのの赤い保護者』・・・・・・うん、これでいいんじゃない?」

    杏子「お前そっち側の人間かよ!!冗談じゃねぇぞ!!」

    キリカ「いや、でもきっと他の魔法少女にそんな事言われてるんじゃないかな。この辺の魔法少女に会ったことないけど、間違えない気がする」

    さやか「・・・・・・で、どっか食べにいくんじゃないの?」

    杏子「そうだなぁ。・・・・・・ジャンクフードでいっか」

    ゆま「いこー!」

    キリカ「はいはい、・・・・・・いくよさやか」


    サヤカチャン ガンバッテ


    さやか「!?」

    キリカ「・・・・・・どうしたの?さやか」

    さやか「・・・・・・いや、何でもない」

    さやか「(・・・・・・さようなら、見滝原)」


    124: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:54:30.02 ID:0sLMXYfK0

    さやかは金がない。杏子のお金は出所が怪しい。
    そこであーだこーだいいあったあげく、結局織莉子のお金をそのまま使えるキリカが払う事になった。

    さやか「おいしい・・・!生きて食べれるハンバーガーがこんなにおいしいなんて・・・!!」

    キリカ「織莉子のお金だって、実のとこ不正な金であるとかそういう説があったりするんだけど・・・・・・っと織莉子のお父さんを疑うなんて駄目駄目だ私!め!」

    杏子「何をやってんだか・・・・・・ゆま、ゆっくり食べろよ」

    ゆま「うん。キョーコ。・・・・・・あーん!」

    杏子「いや、あーんって・・・・・・これでいいか?あーん」

    さやか「おあついですなぁ」

    杏子「・・・・・・てめぇ!覚えてろよ!」

    さやか「そういえば、これからみんなどうするの?」

    杏子「あたしはこのままかざみのに残るよ。いつも泊まってるホテルがあるからな」

    ゆま「ゆまもゆまもー」

    キリカ「私は適当にこの辺の織莉子の別荘を借りるよ」

    杏子「適当にって・・・・・・」

    キリカ「大体この辺の町には、どこにでも一つは織莉子の隠れ別荘があるからね」

    杏子「待て。どんだけ金持ちだったんだよ。その織莉子って奴は」

    キリカ「さやかは?」

    さやか「あたしも元いたところに戻るけど・・・・・・うーん。まだ家、残ってるかなぁ」

    キリゆまあん「?」

    さやか「いやー川の下にダンボールで家作ったら、ここは俺の場所だって別の住民に怒られちゃってさー」

    さやか「それで、公園のとある一角を領土にしてる人に一部譲ってもらってたんだけど」

    キリゆまあん「・・・・・・」

    さやか「いい人だったよ?たまにあたしを何かいやらしい目で見てる気がしたのが少し嫌だったけど。まぁ男の人だししょうがないのかな」

    杏子「キリカ」

    キリカ「さやか。今日は私の家に泊まろう。いろいろふかぁく君に、一人暮らしについてレクチャーしてあげるから」

    さやか「え?何で?」


    125: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:56:52.59 ID:0sLMXYfK0

    --夜--~エンディング的な話~

    さやか「Zzz」

    キリカ「まったく、髪すら洗ってなかったとは。ダンボールハウスねぇ・・・・・・たくましいといえば、その通りなんだろうけど」

    キリカ「別荘をあげるといっても納得しないだろうし・・・・・・どっかのアパートでも探してあげようかな」

    QB「さやかを魔女にするんじゃなかったのかい?」

    キリカ「・・・・・・君か。その件は大失敗だった。ま、そういう事もあるさ」

    QB「君には最初から、さやかを魔女にする意思なんてなかったように見えたけどね」

    キリカ「大体私は『欲しくはないかい』と聞いただけで、ほんとうにあげるとは一言も言ってないよ」

    QB「そんな事だろうとは思っていたよ」

    キリカ「・・・・・・がめついなぁ。ワルプルギスの夜で、君は盛大に稼いだんだろう?なら、たかだか一人の魔法少女ぐらい見逃してもいいじゃないか。どの道遅かれ早かれって話になるかもしれないんだし」

    QB「ところで、君がさやかに見せた死体。いくつかは完全な偽者だったよね。大体『暁美ほむら』は死んですらいない」

    キリカ「さやかには全ての希望を捨ててもらう必要があったからね。暁美ほむらに生きていられるのは、少し都合が悪かったのさ。他にもいくつか死体がなかったものもあったけど、ま、顔を潰してしまえばなかなかバレない。ましてあの精神状態じゃね」

    QB「なるほどね」

    キリカ「そうだ。さやかを魔女化しなかった代わりと言っては何だけど、君にプレゼントがある」

    QB「・・・・・・これは?」

    キリカ「織莉子が持っていた切り札の一つ。魔法少女になれるだけの素養を持った子一覧。その1ページさ。どう扱うかは君次第だ」

    QB「いいのかい?そんな真似をすればさやかが黙っていない」

    キリカ「無論内緒さ。バレたら残りのページについては全て焼却処分するからそのつもりで」

    キリカ「・・・・・・君とは、もう少し長く付き合いたいからね。先行投資とでも思ってほしい」

    QB「君の考え方が少し分かった気がするよ」


    126: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:57:46.78 ID:0sLMXYfK0

    QB「君は好きになった人間の価値観を尊重はするけど、自分自身の価値観については、全く人と相容れる気がない。自分と好きな人間の利益以外は考えないし、その為には道徳なんてものは最初から捨てている」

    キリカ「その通りだけど、君にだけは言われたくないね。この利益最優先型異星人」

    QB「『変わりたい・・・・・・違う自分になりたい・・・・・・』それが君の願いだったよね。君の願いは確かに成就された。だが、それによって生まれたのは君とは全く違う別の君だ。そんな偽者である事を知ったら、さやかはどう思うだろうね」

    キリカ「・・・・・・君は、私を追い詰めたいのかい?少なくとも私は君に対してもう少し利益を提供してあげる気持ちはあるけど、そっちがその気ならこちらだって君とは手を切らせてもらうよ」

    QB「別に、ただ疑問だっただけさ。そんな自分のまま生きていける君という人間の感情がね」

    キリカ「君に知りたいと思われるなんて光栄だね。私の知る限り、君ほど人の感情を熟知している生物はいない」

    QB「僕には人の感情は理解できないよ」

    キリカ「だからこそ、君にしか辿り着けない域もあるということさ。感情がないからこそ、だ。そこは君自身も理解できていると私は思っていたけど?」

    QB「君とは長い付き合いになりそうだね」


    129: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 13:04:17.10 ID:0sLMXYfK0


    キリカ「そうだ、君は当然他の国の言葉も話せるんだろう。今後、通訳を頼みたいんだけど」

    QB「?どういう意味だい?」

    キリカ「『ワルプルギスの夜』と今回戦ってみて分かった。奴は強い。でも他にも何かある。奴のルーツ、過去の撃退方法、そもそも自然災害の一種なのか・・・・・・調べなければならない事は山ほどある。それも書物ではなく、実際に『魔法少女』に会わなければ分からないような情報が。・・・・・・君が教えてくれればはやいんだけど、どうせ教える気なんてないんだろう?」

    QB「ワルプルギスの夜については、僕もよくわかっていない」

    キリカ「過去にワルプルギスの夜を倒した者は?」

    QB「倒したともいえるし、倒していないとも言えるね」

    キリカ「倒したとして、いかにして倒した?」

    QB「僕自身、何がきっかけで倒せたかは理解できていないんだ」

    キリカ「ありえる可能性全てを羅列しろ」

    QB「その羅列する情報を選定できないから、話す事はできないね。地球の創生からでも話せばいいのかい?」

    キリカ「・・・・・・ま、こうなるよね」


    127: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 12:59:12.79 ID:0sLMXYfK0

    キリカ「もしかすると私の時代にはもう来ないのかもしれない。ただ・・・・・・予感はある。もし奴が再び現れたなら、その時は織莉子の敵をとらせてもらう」

    QB「それは君の感情かい?偽りの君の感情かい?」

    キリカ「知らないよ、そんなこと。で、通訳の件、頼めるかな」

    QB「構わないよ」

    キリカ「なるべく私の意図を読み取ってくれよ。いちいち君の利益を絡まされて通訳に手間取るような展開は避けたい」

    QB「保障はできないね」

    キリカ「結局最終的には、現地の言葉を覚えていくしかないってことか・・・・・・」


    128: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/03(木) 13:00:00.80 ID:0sLMXYfK0

    その次の日、キリカは旅立った。
    さやか、杏子、ゆまは自分達の街に戻り、それぞれの戦いを続けていくこととなる。

    つづく


    134: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/06(日) 14:21:53.56 ID:XHqTiikM0

    ~杏子とさやかの話~

    杏子「ロッソ・ファンタズマ!!」

    杏子がそう叫ぶと同時に2人の分身が生まれた。

    ゆま「すごい、キョーコ!」

    喜ぶゆまを見て、少し杏子も調子にのってしまう。
    よし、今日は3人目まで挑戦してみよう。

    杏子「3人目・・・・・・!!」

    世界が 暗転した


    135: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/06(日) 14:22:49.26 ID:XHqTiikM0

    父親「お前は魔女に魅入られたのか?」

    ・・・・・・父さん?

    父親「娘を魔女に変えられてしまって、何を語れと言うのか!!」

    ・・・・・・そうだ。今になって思えば父さんの言うとおりだった。
    あたしは魔女に変えられてしまった。
    それなのにこんな風に生きていて、巴マミを助けることができなくて。

    杏子「なんであたしは生きているんだろうな」

    ゆま「キョーコ!!!」

    杏子「・・・・・・ゆま?・・・・・・しまった!!」


    136: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/06(日) 14:23:36.39 ID:XHqTiikM0

    杏子「あたしは、あたしの魔法に魅入られていたのか・・・・・・」

    ゆま「キョーコ!しっかりして!!」

    杏子「もう大丈夫だ。心配かけた」

    ゆま「キョーコ・・・・・・ごめんなさい。ゆまがあんな事いわなければ」

    杏子「ゆまのせいじゃないよ。調子にのったあたしが悪い」

    それに、このトラウマを乗り越えない限り、ロッソファンタズマの復活はありえない。
    一度は捨てた魔法。
    だが、ゆまという守るべき対象ができ、杏子にとって生きる目的ができた今となっては事情が変わった。
    たとえゆまの回復魔法がどんなに強くても、回復魔法では対処できないような即死系の攻撃は防ぐことができない。
    ソウルジェムの秘密が分かった今となってはなおさらだ。
    戦う為ではなく、守る為。
    杏子は再びロッソファンタズマに手を出した。


    137: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/06(日) 14:24:15.46 ID:XHqTiikM0

    --夜--

    ゆまが眠ったのを確認した杏子は、一人外を歩いていた。

    杏子「・・・・・・くそ!昔はあんな簡単にできたのにどうして・・・・・・!!」

    トラウマが原因なのは分かっている。
    乗りこえなければいけないのもわかっている。
    だが、そもそもトラウマを乗り越えるとはどうすればいいのか。

    杏子「・・・・・・正義の味方の真似事でもしてみるか?」

    かつて自分自身が憧れ、巴マミの中に見た正義の味方。
    或いはあの時の自分を取り戻せば、ロッソファンタズマも使えるようになるかもしれない。

    杏子「・・・・・馬鹿馬鹿しい」

    今更すぎる。
    正義は捨てた。巴マミも死んだ。あの時の自分に戻るなんて事、とても自分自身が耐えられない。

    さやか「動くな!そこの不審人物!!・・・・・・って杏子じゃん」

    杏子「・・・・・・」

    そこには当時の自分以上に甘っちょろい正義の味方がいた。


    138: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/06(日) 14:25:09.01 ID:XHqTiikM0

    さやか「さてはATM強盗を!」

    杏子「やってねーよ。何でさやかがかざみのにいるんだよ。人の巣に入るってのが魔法少女にとってどういう意味がわかってんのか?」

    さやか「いやまぁ・・・・・・でも、杏子がいるし」

    杏子「そりゃあたしは別に構わないさ。ただ、他の魔法少女が黙っていないだろ?」

    さやか「最近では杏子の知り合いということで素通りできるようになりました」

    杏子「・・・・・・なんだそりゃ」

    さやか「この街じゃ有名だよ。『かざみのの赤い保護者』『子連れ狼』連れている子供に手を出すと家族諸共殺されるとかなんとか」

    杏子「よし、構えな」

    さやか「噂だよ噂!・・・・・・でも実際杏子ってゆまちゃんに手を出したら、そんなきれかたしかねないと思う」

    杏子「・・・・・・ま、生かしちゃおかないかもな」


    139: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/06(日) 14:26:09.22 ID:XHqTiikM0

    杏子「で、結局何でさやかがここにいるんだ?」

    さやか「うちの街で無差別殺人を起こした奴が、かざみのにいるって情報が入ってさ。それでついさっき生きているのを後悔させる勢いでボコボコにして自首させてきたところだったんだよ」

    杏子「・・・・・・そんな仕事、警察に任せろよ」

    さやか「それがその事件を起こした奴の親が偉い人でさ・・・・・・。警察も動きにくかったみたい」

    杏子「・・・・・・」

    くだらない。一ヶ月前の自分ならそう言っていた。
    魔女が人間を食い、その魔女をあたし達が食う。
    そんな弱肉強食の世界で、人間同士が殺しあっていたところで知ったことか。
    だが・・・・・・もしその殺されたのがゆまだったなら?
    あたしはそんな理論を振りかざす事は到底できないだろう。

    杏子「・・・・・・用はすんだんだろ。出てけよ」

    さやか「む……すぐ出てくつもりだったけど、その言い方はすごい腹がたつ」

    杏子「あんたとは見滝原で共闘しただけの関係なんだ。いちいちなれなれしくされても困るってだけだよ」

    さやか「……キリカは1日1回電話してくるのになぁ」

    杏子「あいつと一緒にするんじゃねぇ。・・・・・・そういや、あいつ、元気なのか?」

    さやか「元気そうだよ。・・・・・・たまにすごい事言うけど」

    杏子「へぇ、どんな?」

    さやか「この前は『全人類皆殺しにすれば、結果的に世界は救済されるんじゃないかな』とか言ってた」

    杏子「相変わらずぶっ飛んでるな・・・・・・」


    140: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/06(日) 14:28:21.42 ID:XHqTiikM0

    さやか「後、『さやかは無理をしすぎる傾向があるから、何かあったら絶対に私か杏子に相談するように』、ってよく言われる」

    杏子「あたしに相談されてもな・・・・・・。ただ、あいつの言いたくなる気持ちはなんとなくわかる。さやかの正義はあぶなっかしぃんだよ」

    さやか「そりゃまぁ、変な団体とかヤクザとかいろんなものに敵視されてるという自覚はあるけどさ・・・・・・」

    杏子「そこじゃないよ。キリカにも言われてただろ?さやかの正義は簡単に揺らぐ。信じていた人間に裏切られたら、さやかはさやかではいられなくなってしまうかもしれない」

    さやか「確かにへこむことは多いよ。子供の護衛の仕事したら、その子供にいきなり後ろから刺されたりとか、何か強盗の片棒担がされそうになったりとか。……キリカが聞いてくれなかったら気づかなかったな。あれは」

    杏子「……そして、あんた自身がちょろすぎるんだよな……」

    さやか「なんだとー!」

    杏子「いや、自覚しろよ。本当に」

    そりゃキリカも一日一回電話したくなる。


    141: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/06(日) 14:31:28.97 ID:XHqTiikM0

    さやか「この世界には救いのない絶望や避けようのない悲劇が溢れてる。そんなものに襲われてる人達を助ける為に戦ってる人が、一人ぐらいいてほしい。少なくとも、あたしはそう思う」

    さやか「だからあたしはこの生き方を選んだ。やってることは後悔だらけだけど、この事に関しては今のところ後悔はしてないよ」

    杏子「……さやかは、そういう強さがあるよな」

    もし、昔の自分にそんな強さがあったら、マミと一緒にいられたのだろうか

    さやか「うーん……たまに考えるんだけどさ」

    さやか「多分あたしって、見滝原で全部失っちゃったから今がある気がするんだよ」

    さやか「……少し話をしてもいいかな」

    杏子「別に構わないよ。どうせ何かあてがあったわけでもないし」

    さやか「……あたし、好きな人がいたんだけど、友達がその人の事好きになっちゃってさ。今住んでるとこってその恋愛から逃げてきて、そのままいついちゃった場所なんだよね」

    さやか「もしあの時見滝原にとどまっていたら、ワルプルギスの夜を待つまでもなく魔女化してたんじゃないか。なーんて考えたりする時がある」

    杏子「……好きなら、奪いとっちまえば良かったんじゃねぇの?その友達からさ」

    さやか「あんたならそうするんだろうけどさ。あたしはできなかった」

    さやか「その好きな人が、ヴァイオリニストでさ。でも、事故にあって弾けなくなっちゃって……その事をずっと引きずっていたんだ」

    さやか「あたしはそれが見ていられなかった。その人の為になんとかしたいと思った。
    その人のヴァイオリンをもう一度聞きたい。そのヴァイオリンをみんなに聞かせてあげたい。そう考えた」

    さやか「あたしの魔法少女としての願いは、そういうものだったんだ」


    142: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/06(日) 14:33:41.41 ID:XHqTiikM0

    さやか「そんな願いをして、その人にそのまま告白なんてできないよ。なんか願いでその人を振り向かせようとしたみたいで、あたし自身が許せない。……ま、その友達には絶対勝てないっていう諦めのような気持ちもあったんだけどね」

    さやか「後は、もう知っての通り。見滝原のみんなは死んじゃって、それで全てが真っ白になって……杏子やゆまちゃんに会ったり、キリカに変な事吹き込まれたりいろいろあって今があるわけで」

    杏子「何だよ、その願い」

    さやか「え?」

    杏子「そいつの為に願っておいて、何でいなくなってるんだよ!そんな願い、何の意味もねーじゃんか!!」

    さやか「い、いきなりひどい事言うな……。でも、そうかもしれない。その好きな人からも言われたんだ。あたしを追い詰めてまでヴァイオリンを弾きたくなかったって」

    杏子「……」

    さやか「あたしの願い自体、実は大切な人を傷つけてしまっただけなのかもしれない。そういう風に考える事はあるよ」

    杏子「……なぁ、今度はあたしの昔話を聞いてくれるか?」

    さやか「ん?何さ、突然」

    杏子「大切な人を傷つけるどころか、大切な人を潰してしまった願いの話さ」

    杏子は語った。己の過去を。忘れられない過ちを。


    143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/06(日) 14:36:34.95 ID:XHqTiikM0

    さやか「……杏子……」

    杏子「その時以来、あたしは自分の為だけに魔法を使っていこうと決めた。願いで得た魔法も、いつのまにか使えなくなってた」

    さやか「願いで得た魔法が使えなくなる?そんな事が」

    杏子「ひどいフラッシュバックが襲うんだよ。……あんたと前に戦った時に幻術を使ったことがあったろ。あれの発展系があたしの魔法だ」

    杏子「本来は大量の分身を出して相手をかく乱する。そういう魔法なのさ。あんなちゃちな技じゃない」

    さやか「……杏子はさ。その願いをしたことが間違いだったと思ってる?」

    杏子「当たり前だろ?あたしの願いが家族をみんな潰しちまったんだ」

    さやか「でも、ゆまちゃんは凄い大切にしてるよね。なんだかんだで人の為に魔法を使ってることにならないのかな」

    杏子「……何が言いたい」

    さやか「……そりゃあんたの願いは家族を滅ぼしてしまった。そういう意味では願いそのものは確かに間違えていたのかもしれない。でも、家族を救いたい、そういう思いからあんたは願い事をしたんだ。その思いは決して間違いなんかじゃない。あたしにはそう思えるんだけど」

    杏子「……!」

    さやか「……ごめん。なんか説教みたいな言い方になっちゃったね」

    杏子「……はは」

    さやか「……杏子、どうしたの!涙流して笑い出して……大丈夫?……よかったら一緒に病院まで」

    杏子「あたし達魔法少女が病院行ってどうするんだよ。でも……そうか。あんたはそんな風に言ってくれるんだな」

    あんな馬鹿だったあたしを、認めてくれるんだな

    さやか「……」


    144: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/06(日) 14:37:57.34 ID:XHqTiikM0

    さやか「よし、夜遅くなったし、杏子のところに泊まっていこうかな!」

    杏子「おい。なんでそうなるんだよ」

    さやか「いいじゃん。たまにはさ」

    杏子「……あんたの嫌いな、ATM強盗や空き巣で稼いだ金で泊まってるホテルだぞ?」

    さやか「今日だけは目をつぶる。……ちょっと今のあんたは放っておけない」

    杏子「……さやかにそんな事言われるなんてね」

    さやか「てかあんたが悪事をやめてくれればいろいろ解決なんだけど。なんとかならないの?」

    杏子「今更あたしの生き方変えろって言われてもな」


    145: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/06(日) 14:39:03.00 ID:XHqTiikM0

    杏子「そうだ、あんたに渡さなきゃいけないものがあったんだ」

    さやか「何?」

    杏子「上条恭介のヴァイオリンだ」

    さやか「……!!」

    杏子「少し破損がひどかったから修理してもらったが……迷惑だったか?」

    さやか「そんな事ない!……ありがとう。ありがとう、杏子」

    杏子「……いや、あたしは盗んでいたものを返しただけだしな……」

    さやか「少し、弾いてみてもいいかな」

    杏子「あんたの好きにすればいい。……でも、あんたヴァイオリンなんて弾けたのか?」

    さやか「昔好きな人……恭介に憧れてちょっとだけ……ね」

    ギィーギァー

    さやか「あれ、確かこんな感じだったはずなのに……」

    杏子「……貸してみな」

    ♪~♪~

    さやか「……すごい」

    杏子「すごくねぇよ。あんたと同じで、少し昔弾いたことがあるってだけだ。……しっかしいい音でるなぁこれ。上条恭介はプロか何かだったのかい?」

    さやか「同じようなものだよ」

    杏子「す、すごい奴だったんだな」

    さやか「恭介の音はね。すごく綺麗で……どんな大人も子供みたいになっちゃうんだ」

    杏子「ふーん。……一度聞いてみたかったな。そいつの弾くヴァイオリン」


    146: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/06(日) 14:40:19.10 ID:XHqTiikM0

    --数日後--

    杏子「ロッソファンタズマ!!」

    ゆま「1人、2人、3人……やったよキョーコ!。3人いった!!」

    さやか「こ、これは……こんな技を出されたら、とても杏子には……」

    杏子「……ふぅ」

    今更生き方は変えられない。
    あの時の願いも、思いも間違っていた。
    今でもそう思っている。
    でも……その思いを肯定してくれた人がいた。それは、少しだけあたしにとって救いになったのかもしれない。

    杏子「多分あんたのおかげだ。ありがとな、さやか」

    さやか「ま、負けないよ!!」

    杏子「……?」

    おしまい


    151: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/08(火) 18:59:51.07 ID:zv93PzVX0

    --1年後--

    QB「あと1ヵ月後にワルプルギスの夜が現れる。出現地点は見滝原。ただ、今回のワルプルギスの夜は1年前とは比較にならない。かざみのも、君の街も巻き込まれるだろう」

    さやか「……ワルプルギスの夜ってこんなに早く出現するものなの?」

    QB「前例はない。こんな事は僕の知る限りはじめてだ。何か理由があるのかもしれないけれど、僕にはわからない。この話はキリカにも杏子にも伝えている。キリカはワルプルギスの夜を調べていたし、何かしらの回答を持っているのかもしれない」

    さやか「キリカがワルプルギスの夜を……?」

    QB「そういえば、キリカは君にその事を伝えていなかったね。何か理由があったのか、それとも何も考えていなかったのか」

    さやか「……」

    QB「いずれにせよ。これでまた多くの人命が失われるだろう。戦うか、逃げるか、選ぶのは君達自身だ」


    152: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/08(火) 19:02:05.88 ID:zv93PzVX0

    さやか「……選択肢なんかないの、分かりきってるくせに……」

    あたしが今住んでいる街も、杏子の街も消える。
    見滝原の惨劇が再び訪れる。
    そんな事をあたしが許すわけにはいかない。
    ただ……勝てるのか?今のあたしがワルプルギスの夜に。
    とにかく何とかしてみんなを先に脱出させないと……

    が、その心配は杞憂に終わる
    政府から住民に直接退去命令がでたのだ


    153: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/08(火) 19:03:59.04 ID:zv93PzVX0

    キリカからメールで呼び出しがあった。

    --織莉子の別荘--

    キリカ「ひさしぶりだね。元気にしてた?」

    さやか「物凄い頻度で電話かけてるくせに……知っての通り、元気だよ」

    キリカ「しかし、これだけ人がいないと寂しいものだね」

    さやか「……キリカがやったんじゃないの?これ」

    キリカ「こんなこともあろうと、この1年でコネクションを拡大させておいたのさ」

    どう拡大すれば国が動くほどまでにコネクションを拡げられるのか

    キリカ「ちなみに魔法少女総動員をしかけようと思ったけど……流石に、こんなネタに乗る魔法少女は1人もいなかったな」

    さやか「……そう」

    キリカ「ま、あの2人を除いて、ではあるけどさ」

    杏子「キリカ、ひさしぶりだな。さやか、あんたも来てたか」

    さやか「杏子!」

    ゆま「キリカお姉ちゃん!ひさしぶり」

    キリカ「ゆま。……全然大きくならないね」

    ゆま「……」

    キリカ「うーん。魔法少女になったら成長が止まるなんて話も聞いたことがないんだけど……やっぱり食生活のバランスの問題なのかな。まったく保護者は何をやっているのやら」

    杏子「キリカ。喧嘩うってんなら喧嘩うってるって言え」

    さやか「キリカの皮肉に全部付き合ってたらきりがないよ……」


    154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/08(火) 19:05:13.21 ID:zv93PzVX0

    キリカ「さて、それはさておきっと。……来るらしいね。ワルプルギス」

    さやか「らしいねって……」

    キリカ「もう少し遅くてもよかったんだけどね。笑い方が下品な上に謙虚さもない。彼女にしたくない候補トップ10ぐらいだったんじゃないかな」

    さやか「流石にそれは言い過ぎなんじゃないかな……」

    杏子「……で?ワルプルギス退治の作戦会議で私達を呼び出したんだろう?」

    キリカ「うん。まず、これを見て欲しい。私が調べたワルプルギスの夜のデータだ」

    キリカが指をならすと、それは現れた。
    宙に無数のパネルが現れ、そこにいくつもの情報が記載されている。

    ゆま「すごい……」

    杏子「この無意味な演出はさておき、よくここまで調べたな。キリカ」

    キリカ「何、それなりに情報提供者もいたしね。……じゃぁま、はじめようか」


    155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/08(火) 19:07:07.71 ID:zv93PzVX0

    さやか「ねぇ、キリカ。何で他の魔法少女は誰も助けにこないんだろう」

    キリカ「利が少ないからだよ。今回のワルプルギスの夜は、前回以上の強敵だ。たかだかグリーフシード一つの為に戦う理由がない」

    さやか「でも、街がみんな消えちゃうんだよ!」

    杏子「魔法少女ってのは何かしらどこか歪んでいるからな。あんたみたいに、一直線の見方ができる奴のほうが少ないのさ」

    さやか「……キリカや、杏子や、ゆまはどうなの?」

    キリカ「無駄話はここまでにしよう」

    さやか「キリカ!」

    キリカ「意味のない問いだよそれは。何で私達がそのグリーフシード1つしか手に入らない、利のほぼない戦いに挑もうとしているのか。それは四種四様に理由はある。君の気に入る理由じゃなければいちいちそれに突っかかるつもりかい?」

    さやか「……!」

    キリカ「まったく……1年前から少しは成長してきていたと思っていたのに」

    さやか「ごめん……」

    杏子「こいつは基本孤独だったんだよ。誰も正義なんて掲げるような魔法少女はいなかったからな。そこは察してやれ」

    キリカ「ん?杏子やゆまは正義の味方だろう?」

    杏子「誰がだ!」

    キリカ「ダークヒーローなんて言葉もあるんだよ」

    杏子「そりゃどちらかというとあんただ!」

    キリカ「む……」

    さやか「その、悪かったからさ。話を進めようよ」


    156: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/08(火) 19:10:12.76 ID:zv93PzVX0

    キリカ「……ワルプルギスの夜に弱点はない。正確に言うと弱点はあるが、今回それを使う事はできない」

    さやか「どういう事?」

    キリカ「それを説明するには、まずワルプルギスの夜がどういう魔女かを説明しなくてはいけない」

    キリカ「ワルプルギスの夜は、『舞台装置の魔女』。いま、その舞台で演劇されている題目は『ファウスト』。奴の目的は全人類をその『ファウスト』の世界に引きずり込むのが目的だ」

    さやか「……ファウスト?戯曲の?」

    杏子「それで、ワルプルギスの夜か……」

    ゆま「???ファウストって?」

    キリカ「残念な男が死んだら、昔の女に救済されましたって話だよ」

    さやか「……待て。それはいくらなんでもはしょりすぎだ」

    キリカ「詳しい話は『ファウスト』を読んでくれ。その辺に転がってる。……すこし、ゆまには……というより、いろんな人にとってあれは難解というか、結構げんなりするストーリーだけどね」

    キリカ「今回の話で重要なのは、このファウストにおける最後の救済についてだ」


    157: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/08(火) 19:12:39.33 ID:zv93PzVX0

    キリカ「ファウスト第二部、第五幕。メフィストフェレスとの契約に従い主人公ファウストはその魂を奪われそうになる。だが、それは天使達によって阻止され、かつてファウストが愛した女性、グレートヒェンの祈りによって救われる」

    キリカ「……が、この舞台はそれがおこらない。結末に辿り着けない。ゆえにこの舞台を終わらせるには、誰かこの魔女でない別の誰かが終わらせてあげる必要がある」

    キリカ「……グレートヒェンによる救済を行う。これがワルプルギスの夜の弱点さ」

    さやか「……つまり、どうすればいいと?」

    キリカ「簡単な話さ。救済を訪れさせるだけの願いと素養を持った子を連れていってあげればいい。その子がこの魔女を倒せばその子は救済の魔女、いわゆるグレートヒェンになって舞台は終焉する」

    キリカ「ただし、そんな結末を選べば、世界そのものが終幕を迎えかねない。その魔女はワルプルギスの夜以上の脅威となるだろう。さらに、ワルプルギスの夜は『舞台装置の魔女』だ。舞台が一度終わったぐらいで劇場が破壊されることはありえない」

    キリカ「つまり、この弱点は絶対突いてはいけない類のものなのさ……さて、君達の願い事を一つずつ確認していきたい。君達は何を願いに魔法少女になった?」


    158: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/08(火) 19:15:41.62 ID:zv93PzVX0

    キリカ「……とどめを刺すべきは、私だね。ゆまは論外。さやかや杏子も人の為の願いというのが危ない。私なら、あれは正真正銘の自分の為の願いだったから、少なくとも救済の魔女なんてものになる心配はない」

    さやか「……キリカの願いって何だったの?」

    キリカ「自分の為の願い、さ」

    杏子「おい、あんた。人に願いを聞いておいて自分だけ言わないっていうのはないんじゃないか?」

    さやか「杏子!」

    キリカ「……変わりたい。違う自分になりたい。これが私の願いさ。織莉子に振り向いてもらう自信がなかった私は、振り向いてもらえる自分になれるよう、そんな契約をしたんだ」

    杏子「……」

    さやか「……」

    ゆま「……」

    キリカ「幻滅したかい?今まで君たちが見ていた私は、偽者だったんだ」

    さやか「……そんなことない。誰かに振り向いてもらいたいって気持ちは、あたしにも分かる」

    ゆま「……私も」

    杏子「……あたしの願いの根底だって、本質的にはそれなのかもしれない」

    キリカ「……ごめん。その、少しだけ不安だったんだ。そう言ってもらえるといろいろ救われるよ」

    さやか「大体キリカはキリカ。それに本物も偽者もないさ!」

    キリカ「君は本当にシンプル思考だね。ちょっと羨ましいかな」

    さやか「……このこのー!」

    キリカ「痛い痛い」

    杏子「そろそろ話を続けないか?」


    159: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/08(火) 19:19:52.38 ID:zv93PzVX0

    杏子「とどめを刺すのがあんただとして……だ。肝心の策はあるのかい?」

    キリカ「一応、とどめをさせるだけの切り札はある。ただ……恐らくこのワルプルギスの夜は、以前より比較にならないほど強くなっている。それを撃てるだけの状況に持っていくのは、厳しいかもしれない」

    杏子「キュゥべえの話でも気になってたんだけどさ……何でワルプルギスの夜が以前より強くなってるんだい?」

    キリカ「どうもワルプルギスの夜というのは、出現する度にその場所の呪いを吸い取って強くなっていくものらしい。ただ……以前に現れたわずか一回でこれだけの力の格差が発生したというのは、過去の事例から重ね合わせても少し考えにくい」

    さやか「どういう事?」

    キリカ「一つ仮説にすらならない仮説はある……1年前のあの日、ワルプルギスの夜は平行世界でも同じように出現していた可能性がある」

    ゆま「平行世界?」

    杏子「……何を言っているんだ?」

    キリカ「多世界解釈。つまりはワルプルギスの夜はパラレルワールドを移動していたんじゃないか?という説さ。なんらかの理由で、ワルプルギスの夜は1年前のあの時間に固定されていた。その時間をなんども別世界をいききすることになり、魔女としての力をここまで蓄えてしまった。また、その影響でその時間の周辺は非常にワルプルギスの夜が出現しやすい時間帯と化してしまい、それが今回の早期出現の原因となった……とかね」

    さやか「でも、キリカはそのパラレルワールドを見たわけじゃないんだよね」

    キリカ「そうだね。見てはいない。ゆえにこれは一つの仮説にもならない仮説なわけだ……どの道、考えても答えはでないところか」


    160: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/08(火) 19:21:21.58 ID:zv93PzVX0

    キリカ「後はワルプルギスの夜自体の攻撃方法か。前回のワルプルギスの夜で私が確認されているのは、炎、黒い光線、あとは地震、暴風等の自然現象だね。ビルを飛ばしてきたりとかもあったか。使い魔も出してはいたが、抱きついてくるのが面倒なぐらいで、直接的な攻撃はなかった。近寄られたら対処するぐらいでいいのかもしれない」

    キリカ「ただ、今回強くなってこれ以外の攻撃が増えているかもしれない。あくまで私が見た限りの情報ということで、こちらはとどめておいてくれ」

    キリカ「話としては以上だ」


    161: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/08(火) 19:25:36.93 ID:zv93PzVX0

    ゆま「つまり、どういうこと?」

    杏子「要約すると、だ」


    世界の救済に近い願い事・素養を持った魔法少女はワルプルギスの夜を倒しやすい。ただ、その魔法少女が魔女になってしまうので、その魔法少女で倒すのは駄目。

    ・ワルプルギスの夜は出現するたびに強くなっている。
    多世界移動しているかもしれないけど、そっちは確証なし

    ・ワルプルギスの夜の攻撃方法は炎、黒い光線、地震・暴風等の自然現象、建造物の投撃、使い魔の抱きつき戦法等。ただし今回のワルプルギスの夜は攻撃手段が増えている可能性がある


    杏子「こんなとこかな」

    キリカ「……うん。まぁそんなとこ」

    さやか「となると……結局キリカがとどめを刺すまで、力押しでもってくしかないってことか」

    キリカ「ま、この4人で連携を強めれば勝算はあるかもしれない。私だってあの時と比べれば相当強くなってるはずだしね。……君達がどの程度の実力になっているのかはわかってないけど」

    さやか「あたし達からしても、キリカがあの後どれぐらい強くなったのか分かっていないわけで……ま、これからしばらく特訓だね」


    162: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/08(火) 19:26:54.84 ID:zv93PzVX0

    ----そして、一ヶ月の月日が流れた


    163: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/08(火) 19:28:28.81 ID:zv93PzVX0

    --見滝原--

    ゆま「あっちこっちにグリーフシードが転がってる……」

    杏子「魔女も昔と比べるとほとんどいないな」

    さやか「これはどういうことなんだろう」

    キリカ「充分に予測できた話だと思うけどな」

    キリカ「希望と絶望は差し引き0。それが魔法少女世界の基本原理だ」

    キリカ「……絶望を生み出すには、当然それ相応の希望が必要となる。見滝原はあの後人間も侵入不可能な立ち入り禁止区域となった。あの後魔女が獲物にできるものなんて、たまに訪れる魔法少女ぐらいだ」

    キリカ「そうなれば、魔女はそのエネルギーをどうやって手に入れればいい?……とも食いだよ。そうやって魔女はどんどんグリーフシード化して、数を減らしていったというわけさ」

    キリカ「無論、今残ってる魔女はそうやった戦いを勝ち抜いてきた言うならば猛者だ。決して油断はできない。……それはさておいて落ちてるグリーフシードはしっかり回収していこう。こっから先消耗戦になるだろうしね」


    164: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/08(火) 19:30:01.22 ID:zv93PzVX0

    杏子「まぁそりゃ簡単にはいかないよな」

    さやか「何でワルプルギス出現予測地点だけあんなに魔女が……」

    キリカ「ワルプルギスの夜を歓迎でもしてるつもり…なのかね。ちょっとあれは私にもわからないな」

    ゆま「どうしよう」

    キリカ「どうするも何も……ワルプルギス戦で他の魔女まで相手にするわけにもいかない。やるしかないね」

    さやか「じゃぁま、いきますか!」

    キリカ「さやか。試してみる?」

    さやか「OK。いくよキリカ!」

    キリカ「二手で!」

    さやか「百手!」

    さやキリ「スクワルタトーレ・インフィニート!!」

    青と黒
    2つの光が複雑に交差し、魔女達を貫く


    168: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/09(水) 22:22:57.49 ID:RPZZBqOn0

    さやか「今の一撃でどれぐらい倒せたかな!」

    キリカ「5人は逝ったかな。もっとも魔女の全体数が全く把握できていないけどね」

    杏子「ま、ようは全部倒しちゃえばいいんだろ?こんな奴ら楽勝さ!」

    ゆま「杏子、油断しないで!」

    杏子「……わかってるよ。ゆま」

    杏子「しかし……後ろに影の魔女。前方に鎧の魔女……1年前の再現か」

    さやか「なら、こっちも一年前の再現といきますか!みんな、時間稼ぎお願い!」

    突進してくる鎧の魔女に対して、キリカ、杏子の連携で向かい打つ
    影の魔女の遠距離攻撃に対してはゆまが衝撃波で弾き飛ばす
    ……対影の魔女対策。見滝原突入前に予め打ち合わせしておいた連携だ
    そして、さやかの術が完成する

    さやか「前衛2人。退避して!!」

    キリカ「意外と早いね」

    杏子「ぶっぱなしてやれ!」

    さやか「ティロ・フィナーレ!!」

    放射される巨大な蒼い刀身
    魔女という魔女が消し飛んでいく

    キリカ「前よりも威力が増している?」

    杏子「あの時に比べればさやか自身の魔力も精度が格段に上がっているからな」

    ゆま「せいやぁ!」

    さらにゆまの衝撃波が追い討ちで残った魔女を弾き飛ばす

    杏子「ま、うちのゆまも負けてないんだけどな」

    キリカ「……何もいわないよ」


    169: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/09(水) 22:24:16.51 ID:RPZZBqOn0

    その時、一人の魔女がさやかに単身突撃をしかけた

    杏子「!!さやか、そいつは気をつけろ!」

    その魔女は趣の魔女。杏子にとっては苦い思い出のある強敵だ

    さやか「な!?」

    さやかは二刀の剣で切り裂く。魔女からどっと血が溢れた

    キリカ「……!?さやか、避けて!!」

    その血はさやかにまとわりつき、爆ぜた

    ゆま「さやかお姉ちゃん!今すぐ」

    さやか「大丈夫。今のは予測できた」

    ゆま「……え?あれ?」

    さやかはいつの間にか別の場所に移動しており、趣の魔女はそのままキリカと杏子の連携攻撃で倒された

    杏子「……幻術か!」

    さやか「どうだ杏子!名付けてブル・ファンタズマ!」

    杏子「たった一人の分身で何をいってるのやら」

    さやか「二人まではいけるぞ!」

    キリカ「それより……予測できたってどういうこと?そちらのほうが気になったよ」

    さやか「え?……うーん。目かな?」

    キリカ「……目?」

    さやか「何かさ。あたしって相手の目を見ると何となく相手の思考が読み取れるんだよ。今回の場合、突進してきた魔女の『目』が明らかに裏を狙ってる気がしたから、それで幻術魔法を使ったんだ」

    キリカ「……両方に眼帯をつけたほうがいいかな」


    170: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/09(水) 22:25:16.67 ID:RPZZBqOn0

    さやか達は戦い続け、次第に魔女の数は減っていく
    倒されているのもあるが、明らかに魔女が何かが現れるのを察し、場を退いていく

    そして、夜が訪れた


    171: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(仮鯖です)(神奈川県) 2011/11/09(水) 22:28:12.25 ID:RPZZBqOn0

    さやか「ついに来た……!」

    杏子「さて……やってやろうじゃん!」

    ゆま「頑張るよ!」

    キリカ「打ち合わせどおりに、一気に仕掛ける!」

    まず、キリカが仕掛ける
    極限まで増やした爪での衝撃波、ワルプルギスの夜が揺らぐ
    さらに、今度は杏子の複数召喚による投槍とゆまの衝撃波
    そして最後はさやかの、巨大な剣の大量召喚
    つまりは

    さやか「ティロ・フィナーレ!!」

    ティロフィナーレの連打。現状さやか達4人で遠距離では最大の攻撃力を誇る連続攻撃
    だが、これでワルプルギスの夜にとどめがさせるなどとは4人とも考えていない
    さやかは撃ち終わった剣に再びマガジンを込め、杏子とゆまは突進の姿勢をとる
    キリカはさやかに攻撃をあわせる。ここからの永続攻撃

    だが、それは2つの技によって打ち崩された

    ?「ティロ・フィナーレ!」

    ?「フィニトラ・フレティア!!」

    その2つの魔法はさやかを弾きとばし、杏子とゆまの体制を崩し、キリカの攻撃を踏みとどまらせた
    魔法そのものも脅威だが、それ以上にこの2人が今ここで現れたということは、少なくともさやかと杏子の動揺を誘うには充分であった

    さやか「……まどか!?」

    杏子「何であんたがそこにいるんだよ……巴マミ!!」

    まどか「アハハハハハハハ!!アハハハ!!」

    マミ「アハハ!アハハハハハハハハ!!」

    キリカ「……死んだ魂を呼び出した?か。これは……」

    織莉子「・・・アハハハハハハ!!!」

    キリカ「……く!!」

    死んだ筈の三人の魔法少女
    舞台に招かれた魔法少女達は、たださやか達を殺す為に呼び出された
    もう、彼女達に意思はない。もう、何も届かない


    174: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 22:47:22.58 ID:PXMpa3+00

    さやか「まどか!あたしだよ!わからないの!!」

    杏子「マミ……畜生!マミに何をしやがった!!」

    さやかと杏子の声は、銃弾と矢で答えられた

    キリカ「さやかと杏子が動けなくなると……厳しいな」

    最もキリカ自身、織莉子に碌に攻撃ができていないので何も言えない部分はあるのだが
    攻撃していないのではない。攻撃が当たらない
    織莉子お得意の未来予知。敵に回すとここまで厄介か

    キリカ「こんなところで」

    こんなところで終わってしまうのか

    ゆま「……終わらない!」

    ゆまの一閃がマミとまどかを弾き飛ばした

    杏子「マミ!」

    さやか「まどか!」

    そしてそのまま織莉子へと向かっていく。
    が、その動きは織莉子の未来予知によって完全に読まれている。

    キリカ「……」

    キリカの速度低下を放った。狙いは織莉子ではなく味方であるゆま。
    織莉子の攻撃はゆまが来るはずだった場所を狙い、そのまま空を切った。

    キリカ「……?これは?」

    ひょっとすると……

    杏子「ゆま!なんであんな無茶を!」

    ゆま「ゆまね……いつかは、今日なのかなと思ってた。あの『魔女』はゆま達には勝てない。それでも、四人一緒なら……そう思ってた」

    ゆま「でも、こんなの違う。こんな死に方は嫌だ。だからたとえみんなにどう思われても、ゆまは生きる」

    杏子「……ゆま」

    ゆま「キョーコ……マミも、まどかも、織莉子も、ワルプルギスも、ゆまが倒すよ」


    175: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 22:48:17.86 ID:PXMpa3+00

    杏子「……ハ!いっぱしきどってんじゃねぇよ。巴マミはあたしが倒す。……そういや、決着もつけてなかったしな」

    杏子「正義の味方のあいつがワルプルギスのせいでこんな事させられてるんだ。……解放してやらないとな」

    さやか「……でも、まどかはここに……」

    キリカ「幻覚のようなものだよ。大体君は既に一年前に見ているはずだ。鹿目まどかがどうなったのかを」

    さやか「……」

    キリカ「ワルプルギスの夜を倒さない限り、みんなあの中で救われない役者を演じ続けるんだ。……君はそのまま、役者に加わるつもりなのかい?」

    さやか「……」


    176: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 22:51:28.39 ID:PXMpa3+00

    杏子「マミ!あの時はお互い本気じゃなかった。今なら決着がつけられそうだよな!あんたとあたし、どっちが上かをさ!!」

    マミ「アハハハ!!」

    杏子の槍とマミの銃が交差する。『発射』をさせない。『狙い』の段階で潰していく。

    さやか「……ごめん。まどか。あたしは前に進む」

    さやかの中で全てが納得できたわけではない
    まだ、まどかを救う道は残されているかもしれない
    でもそのためには、ワルプルギスを倒さなければならない
    なら、ここで立ち止まっているわけにはいかない

    まどか単体の能力としては、弓矢に多少の追尾性能はあるが、それだけだ
    ……魔法少女としての経験がまだ浅い

    さやか「遅いよ、まどか」

    魔法少女になって1ヶ月にも満たない当時のまどかと、魔法少女を1年以上やっているさやか
    『狙い』にかける時間から既に差があった。
    まどかの弓がさやかを狙う前に、さやかの刀身がまどかを弓を弾き飛ばした

    キリカ「ゆま、さっきの突進をもう一回頼むよ」

    ゆま「キリカお姉ちゃん…?わかった、いっくよぉ!!」

    ゆまは織莉子に向けて突進をかける。当然これは織莉子に読まれ、反撃の手を撃たれる
    それに対してキリカは衝撃波を送り、織莉子の攻撃のことごとくを打ち落とす
    これによりゆまを攻撃する手段は何もない。織莉子はそのまま回避を選択しようとする
    だが、それを読んでいるキリカが回避する方向に向かって速度低下を飛ばす
    最終的にゆまへの回避手段を失った織莉子はそのままゆまの攻撃で弾き飛ばされた

    キリカ「やっぱりか……この織莉子の未来予知は一手先と十手先しか見ていない。当時の悪癖そのままだ。これだから三、四手辺りでドジふむんだって」

    ゆま「……キリカお姉ちゃん?」

    キリカ「なんでもない。昔の話さ」


    177: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 22:53:13.37 ID:PXMpa3+00

    杏子「戦術を変えてきたか」

    ワルプルギスの夜はマミとまどかと織莉子を後ろに下げ、大量の使い魔達を召喚し、そちらを接近戦に当ててきた
    以前キリカがあった時は抱きしめてくる程度だったが、今度の使い魔は杖や槍、様々な武器をもっている

    キリカ「或いはあれも魔法少女の成れの果てなのか?」

    杏子「こう使い魔が多いと厳しいな……」

    一応さやか達は全員遠距離攻撃は使えるものの、基本スタイルは近距離だ
    マミやまどか等の遠距離特化型魔法少女に距離を置かれると途端に厳しくなる

    さやか「……杏子、一つ仕掛けよう」

    杏子「それしかないな」

    キリカ「……よし、ゆま。援護にまわるよ」

    ゆま「らじゃー!」


    178: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 22:54:45.88 ID:PXMpa3+00

    杏子「ロッソ・ファンタズマ!」

    さやか「ブル・ファンタズマ!」

    杏子の幾重にもわたる幻影、そしてさやかの2つの幻影がワルプルギスの夜に近づく
    杏子の幻影はいくつもまどかやマミの遠距離攻撃に潰されるが、杏子本体には当たらない
    さやかは使い魔が大量にいる地点に故意に移動することで、まどかやマミの攻撃を利用し、使い魔を撃破していく

    キリカ「姑息だなぁ、相変わらず」

    さやか「あんたにだけは言われたくない」

    マミ「ハハハ!・・・ハ?」

    杏子「よう、巴マミ」

    マミ「ティロ・フィナーレ!!」

    杏子「……」

    それも、杏子の幻影だ

    杏子「……なったんだよ。ロッソファンタズマは無敵の魔法技にさ」

    杏子の無数の槍が巴マミを貫いた


    179: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 22:55:56.23 ID:PXMpa3+00

    巴マミはワルプルギスの夜の魔力で復活する

    が、杏子やさやかは既に空中を浮かぶビルを移動し、ワルプルギスの夜のすぐ近くまで来ている
    そして同様に後ろからゆまとキリカも近づく
    ワルプルギスの夜を、詰めた

    さやか「スクワルタトーレ!!」

    キリカ「一手で十手!」

    杏子「ロッソファンタズマ!!」

    ゆま「え?…えぇと、ていやぁ!!!」

    4人の攻撃がワルプルギスの夜に襲い掛かる


    180: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 22:57:21.55 ID:PXMpa3+00

    壮絶な連続攻撃
    召喚された使い魔や魔法少女達も必死でさやか達を引き離そうとするも、
    ワルプルギスの夜本体に張り付かれては、うかつに攻撃もできない

    まどか「フィニトラ・フレティア!!」

    さやか「悪いけど、当たれないよ」

    さやかの避けた先にいたワルプルギスに、まどかの弓は直撃する

    その時、ガクン。という音がなった
    ワルプルギスの上で大暴れしている杏子やゆまは状況がつかめていない

    さやか「……離れて!」

    ワルプルギスが一気に反転しようとしている。杏子やゆまはその衝撃で弾き飛ばされた

    キリカ「……!させるか!」

    キリカがワルプルギスの夜に速度低下をかける。これでいきなりの全滅は避けられた

    さやか「杏子!ゆま!」

    まどか「ゴメンネ!サヤカチャン!!」

    さやか「……ぐ!」

    まどかの弓がさやかを貫いた。さやかはそのまま落下していく
    キリカもそれを追いかけるようにワルプルギスから距離をとった


    181: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 22:58:45.14 ID:PXMpa3+00

    キリカ「さやか、大丈夫?」

    さやか「かすり傷……とは言わないけど。ゆまちゃんお願い」

    ゆま「わかった!」

    ゆまはさやかに回復魔法をかけた
    ちなみに杏子とゆまは既に回復済みだ

    さやか「ふぅ……」

    さやか「でも、どうしよう。もう一回あそこまで近寄るのは……もう無理かな」
    さっきまでの比にならない使い魔が襲い掛かってくる
    これらの対処はできるが、もうワルプルギスの夜への攻撃は難しいだろう

    キリカ「ただ、一匹一匹の動きは鈍くなっている。そこそこにあちらも追い詰められてはいるみたいだ」

    杏子「……たく、おっしぃなぁ!あと少しだったのに!」


    182: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 22:59:50.69 ID:PXMpa3+00

    杏子「ごめんな。ゆま。あんたは置いていくべきだった」

    ゆま「キョーコ。怒るよ。……ゆまは、大丈夫だよ。キョーコと一緒に死ぬなら、それでもいい」

    さやか「まだ諦めないけどね!後一撃で案外倒せちゃうかもしれないし」

    さやかもそう言いつつ、気づいていた。
    もう、時間がない。
    ワルプルギスの夜のあれが来る。
    以前の比にならないほどの威力を伴うであろうあれが。
    もう、4人全員助からないだろう。それでも、最後まで意地は通す

    杏子「いくぜ、ゆま!」

    ゆま「うん。キョーコ!!」

    さやか「キリカも……キリカ?」

    ただ、他の3人とは明らかに違うものを、キリカは見ていた

    キリカ「……ここまで計算どおり。いや、計算以上か」


    183: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 23:03:26.58 ID:PXMpa3+00

    キリカ「よくやってくれたよ。ワルプルギスの夜のダメージは顕著だ。ここまで召喚している使い魔達の能力を落としてくれたなら、やっとあれが発動できる」

    杏子「……何か策があるのか?」

    キリカ「あるよ。最後の切り札がね」

    さやか「キリカの最後の切り札……」

    さやかは以前、聞いていた。キリカにとって最後の切り札というのは……

    さやか「キリカ!それは駄目だよ!!!」

    キリカ「君達はよく動いてくれた。ワルプルギスの夜、予定通りとどめは私に殺らしてもらう」

    キリカはソウルジェムを手元に呼び寄せ

    ソウルジェムを自らの鍵爪で切り裂いた
    ソウルジェムを破壊せず、それでもソウルジェムに大きなヒビが入る
    キリカのソウルジェムが濁り始める


    184: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 23:09:00.38 ID:PXMpa3+00

    そういえばさやかに以前問われたことがあった
    こんな石っころになってしまった事が嫌だとか確かそんな内容
    それに対して私は手に入れた力を何に使うかの方が重要だとかそんな事を言った気がする

    ずっと疑問だった
    石っころになろうと、所詮は自分の命だ
    たかだが自分の命程度のものをどうして他の人はそんなに大切に考えられるのだろう?

    かつて、私は全てが嫌いであり、興味がなかったフリをしていた。
    まぁ実のところ妬んでいただけで、私を気にしてくれる人なんかいないという自信のなさの現われだったわけだけれど
    ……或いはこの自信のなさが、そのまま自分に対する価値観になっていったのかもしれない
    それとももっと昔に何かあったのか……

    願いによって手に入れた『速度低下』
    私は自身のコンプレックスであった動きの鈍さを解消させ、自信を得ることができた。
    これによって私は変われたのか、それとも願いによって私が変わったのかはわからない。どちらにしろ、私は以前より前向きに、物怖じせず人と話せるようになった
    だが、結局私の私自身に対する価値観はそのままだ
    役に立たない駒から役にたつ駒に変わった程度
    それは本当に変われたといえるのだろうか


    185: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 23:10:41.18 ID:PXMpa3+00

    キリカ「なんて答えが、案外ここにあるかもしれないと思ってたんだけどね」

    GRAVE YARD。そう書かれた立て札に、中にあるのは殺風景な部屋
    そして、自分と織莉子の2つの墓標

    キリカ「……魔女は確か、一番手に入れたいものが手に入らないと聞く。……織莉子の墓は分かるとしても、私の墓……か」

    或いは世界の救済なぞお前達には成し遂げられないという意味合いなのか
    だとしたらお笑いだ
    私は今からその救済を成し遂げるのだから

    何故人は自分を大切に考えられるのか?その答えは結局よくわからないままだ
    まぁでもそれでいいのだろう。こうしてあれを倒せるのは、今の価値観のおかげでもあるのだから

    キリカ「しかし、墓場で笑い続けるというのは少し不謹慎じゃないのかい?お客人。それでも大切なお客様には無礼がないようにしなければいけないんだっけ?」

    相対するはワルプルギスの夜、使い魔、魔法少女の魂
    ただ、こちらももてなしの準備は充分だ

    キリカ「ではご堪能を。私の『絶望』、とくと味わうがいい。『最強の魔女』」

    キリカの使い魔が一斉にワルプルギスの夜へと襲い掛かった


    186: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 23:11:48.53 ID:PXMpa3+00

    杏子「ワルプルギスの夜が消えた……どういうことだ?」

    さやか「キリカは使ったんだよ。最後の切り札……魔女の力を」

    杏子「……!……確かに魔女の結界を使えば、ワルプルギスの夜のあれは防げるかもしれない。でもそんな事をすればキリカは……」

    杏子「……あれの攻撃を防げるとしても、あれを倒しきるだけの武器はないはず。それともまだ何かあるのか?……」


    187: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 23:14:04.64 ID:PXMpa3+00

    キリカは自らの墓標に腰をかけた
    単純に立っているのがきつくなってきたわけだけど
    まぁ今からの術式を構築するのに支障があるわけでもない

    キリカ「強いから結界に隠れる必要がないってのも理屈だけどさ。魔女の結界って言うのは自分の願いとか人生とか、そういうものの結晶なわけさ。それを捨てておいてよくも『最強の魔女』なんて名乗れるよね。君も」

    もしワルプルギスの夜が結界を持っていたら、見滝原の他の魔女たちと同様に、私の結界は形すら保てなかっただろう

    キリカ「……や、そう名づけたのは別の誰かなのか。確か君の性質は『無力』だっけ。うん、実に今の君をよく現しているね」

    キリカの結界の影響か、ワルプルギスの夜の魔力が正常に通達されていない
    使い魔も魔法少女も動きがさらに散漫になっている
    そしてキリカの使い魔は質より量だ。その圧倒的数でワルプルギスの夜をねじ伏せる
    使い魔も、魔法少女も、そしてワルプルギスもこれに全く対処が仕切れていない

    織莉子「アハハハハハハ!!」

    キリカ「しかし、こうして織莉子がここにいる時点で私の願いはある意味成就していることになるんじゃないかな。そうなると魔女の一番大切なものが手に入らないというのもまた微妙な……手に入ってはいないのだからいいのかな」

    そんなどうでもいいことを話しつつ、術式は確実に構築する
    魔女の結界に閉じ込め、その中でワルプルギスの夜の最終攻撃を撃たせる
    魔女の結界は魔女が倒されない限り消えることはない
    ひっくり返される文明は、私の結界の世界だけだ
    まずこれで見滝原の惨事の再来は防げる
    が、ここまでいったなら当然その上を目指すべきだろう


    188: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 23:15:25.11 ID:PXMpa3+00

    何者も成し遂げられなかったというワルプルギスの夜打倒
    ……倒せないのであれば止めてしまえばいいのだ

    自分の持つ速度低下の延長線上にある速度の永久停止

    無論自分の魔力量では足りないが、そこは魔女結界
    ようは魔法少女としての希望のエネルギーに、魔女の絶望のエネルギーを足して撃てばいい

    ワルプルギスの夜の炎がキリカに襲いかかる
    キリカはそれを使い魔を使って防ぐ
    巴マミのティロ・フィナーレ、鹿目まどこあのフィニトラ・フレティアもキリカには届かない

    キリカ「そんな偽りの正義で、私の絶望が倒せるものか」

    ワルプルギスの夜「……ガガガガガガ!!」

    キリカ「……なんだ?」

    ワルプルギスの夜が小刻みに震える
    そして、新たな魔法少女が召喚された。その姿は……

    キリカ「……なんだ、これは」

    さやか「アハハハハハ!!」

    杏子「アハハハハハハハハハハ!!」

    キリカ「ハハハハハハハ!!」

    ほむら「アハハハハ!!」


    189: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 23:16:47.38 ID:PXMpa3+00

    キリカは必死に使い魔を召喚する。
    しかし、ワルプルギスの使い魔だけならいざしらず、相手の魔法少女は7人

    キリカ「さやかの遠距離攻撃や、杏子がロッソファンタズマがないだけましか……でも、これは一体?」

    ふと、よぎる。
    パラレルワールド説。
    これらはひょっとして、別の世界で死んだ杏子やさやかなのではないか
    そして、あの盾の魔法少女は恐らく……

    キリカ「まだだ。あと少しで術式が完成する、そうすれば……」

    キリカの使い魔を突き破り、さやかの剣がキリカのソウルジェムに襲い掛かる。

    キリカ「……君か」

    さやか「アハハハハハハ!!」

    さやか「さっぱり状況はわかんないけどやらせるかぁああああ!!」

    さやかの剣をさやかが防いだ

    キリカ「……え?」


    190: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 23:17:21.61 ID:PXMpa3+00

    キリカ「さやか、何でここにいるんだ」

    さやか「キリカが苦戦してるんじゃないかと思ってさ。案の定じゃん。来て見てよかったよ」

    さやか「それにしても……いやーあたしが増えているとは思わなかった。あれは杏子?キリカもいるし、もう一人は……誰?まぁ、いずれにしても、あたしとキリカの敵じゃぁないね」

    キリカ「そういう事じゃない!!」


    191: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 23:18:49.89 ID:PXMpa3+00

    キリカ「何故ここに来た?まさか私の命が救える可能性があるとか、そんな事を考えてきたんじゃないよね。もしそうなら、君は一年前から何も変わっていない。本当に救えないよ」

    さやか「……一年前と変わってないのはキリカだって同じだよ」

    キリカ「……?」

    さやか「キリカはいつだってそう。一年前の見滝原でだってあたしに一切黙って自分勝手に動きまわってるし、終わったらあたしに相談もせずに旅に出ちゃうし。今回だってそうだよ。魔女化するなら、一言言ってくれてもいいのにさ」

    キリカ「……言ったら間違えなく止めてたろう。君は」

    さやか「止めはしなかったかもしれないけど、一緒にいたいと言ったと思う」

    キリカ「……さやか?」

    さやか「……キリカ。あんたが命を張っててさ。それでのうのうと生き延びて、そういうのは嫌なんだよ。それならあたしはここで死ぬ道を選ぶ」

    キリカ「……君は」

    さやか「それに、キリカ一人にワルプルギスをもってかれるのも癪だしね」

    キリカ「……」

    ふと気づいた。
    ……人を大切に思うのなら、自分を大切にしないといけない。
    そうでなければ自分を大切に思う人が、その分まで自分を大切にしようと考えてしまう
    そうなれば結末は……
    なるほど、これが答えだったのかもしれない。……気づくのが遅すぎた

    キリカ「ひょっとすると、織莉子が死んだのも私の責任なのかもしれないね」

    さやか「?」


    192: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 23:19:41.52 ID:PXMpa3+00

    襲い掛かる7人の魔法少女。
    さやかはキリカの使い魔をうまく使いつつ、巧みにそれをさばく。
    だが、そう長くはもたないだろう。

    キリカ「……」

    だが、キリカは術式を新たに再構成する。速度停止ではなく、さらにその向こう側へ

    キリカ「さやか。君に一つ頼み事をさせてほしい」

    さやか「……ここから出てけとか、そういうのは嫌だよ」

    キリカ「私も助かる。君も助かる。うまくいけば見滝原住民全員復活も夢じゃない。そんな手札を私は持っている」

    さやか「…!??」


    193: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 23:22:04.31 ID:PXMpa3+00

    キリカ「『時間逆行』。ワルプルギスの夜と君を1年前まで戻す。もっともその世界は私達の知る世界ではないかもしれないけど、そんな事は問題にならない」
    キリカ「大事なことは、ここにいる私達が既に今のワルプルギスの夜と遭遇しているという事実だ。もし、君が1年前のワルプルギスの夜を倒したりした場合、今のワルプルギスの夜はどうなると思う?」

    さやか「えぇと……どうなるの?」

    キリカ「……君は……まぁいいけどね。当然因果破綻が発生するはずなんだ。既にワルプルギスの夜は死んでいるのに、今ワルプルギスの夜が現れるはずはない」

    キリカ「さらに言うと、ワルプルギスの夜って随分昔から出ているみたいだけどさ。『ファウスト』をゲーテが書いたのってそこまで昔じゃないはずなんだよ」

    キリカ「にも関わらず昔にも出現しているという事は……ワルプルギスの夜は過去も未来も飛び回っている可能性がある」

    キリカ「そうなると、因果破綻の行き着く先は、相当に大きい。それこそ見滝原の住民全員復活なんてこともありえるぐらいに」

    さやか「でも……そんな事したら、大変な事になりそうな気が」

    キリカ「ま、宇宙の再構築ぐらいは発生するかもね」

    さやか「スケールでかいね!」

    キリカ「時間移動ってそれぐらいスケールの大きな話なんだよ」


    194: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 23:25:55.49 ID:PXMpa3+00

    キリカ「少なくとも私は助かるはず。ワルプルギスの夜がどんな道を辿っているのであれ、その前に倒されてしまえばここのワルプルギスの夜は存在しなくなるわけだから」

    キリカ「で、だ。さやか。挑戦してみる気はないかい?私が挑戦してみたい気持ちもあったんだけど、あいにくこの魔法、自分には撃てないしね」

    さやか「でも…1年前でも、あたしに勝てるのかな。……こんな化け物」

    キリカ「これよりはいくらか弱体化しているはず。それに」

    キリカ「君の行った先には、私達と同じ時間を生きていた、君の良く知る人物がいるはずだよ」

    さやか「……?」

    キリカ「疑問ではあったんだ。その魔法少女の願い、キュゥべえに確認したけど、もし正しく叶えられたとすればあの場で彼女も戦っていなければおかしい事になる。ただ、そんな魔法少女の名前は私自身全く聞いたことがなかった。そんな事が起こりえるのか……」

    キリカ「そのことと、今回ワルプルギスの夜に召喚された魔法少女を見る限り、パラレルワールドというのもそれなりに現実味を帯びてくる。一年前にワルプルギスの夜が固定されてしまったのも、ひょっとするとこの辺りが原因かもしれない」

    さやか「その魔法少女って?」

    キリカ「行くのであれば、行った先で君が確かめるといい。……ま、私はちょっと後ろめたさもあって言いにくいというのもある」

    さやか「……?」

    キリカ「……辿り着く先は因果の最終地点。彼女の最後の戦いだ。どうもこの世界において彼女は結局負けてしまったみたいだけれど……。案外君ならその運命を変えられるかもしれないね」

    キリカ「さて、どうする?」

    さやか「わかった。やってみるよ。ワルプルギスの夜に勝てるかわからないけど……それでも頑張る。キリカを助けてみせる」

    キリカ「……魔女というのは一番大切なものは手に入らないようにできているらしい。だけど」

    二番目ぐらいは救えたっていいはずだ

    さやか「……キリカ?」

    キリカ「これを持っていくといい」

    さやか「石?」

    キリカ「さっき私がソウルジェムを切り裂いた時にできた欠片だよ。いくつか魔法もかけといたし、何かの役にたつかもしれない」

    さやか「……わかった。大事にする」


    195: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 23:28:16.30 ID:PXMpa3+00

    さやかの剣が弾き飛ばされた
    魔力も底を突きかけている
    だが、ここでキリカの術が完成した

    キリカ「いくよ!呉キリカ、最後にして最大の魔法だ!!」

    まず、時間逆行。その基本となる術式を残り全ての魔力を使って放つ。
    無論それだけでは魔力の総量が足りなすぎるので、速度低下を使い、発動のタイミングを遅らせる。ここで、キリカのソウルジェムは完全に砕け散った

    さやか「キリカ!」

    だが、そこからが本番だ。これにより発生する希望から絶望への総転移。宇宙の寿命すら延ばせる力。これをキュゥべえのところに行く前に、こっちで総取りする
    そして魔女化したキリカ、こちらについてもそのエネルギーを全て自らの放った魔術に吸収させる
    キリカの一年。元々速度低下の魔法を持っていただけあって、時間逆行までの理論については簡単に辿り着いた
    問題はそのエネルギーをどうやって確保するか、だ
    これに対してキリカが出した答えがこの方法であり、その為の術式に1年を費やした
    希望と絶望、そして希望から絶望への相転移
    キリカの全てをかけた魔法が、今解き放たれる

    『時間逆行』

    ワルプルギスの夜の逆行に巻き込まれるようにさやかの空間も捻じ曲がる
    薄れ行く意識の中、さやかは最後にキリカの顔を見た
    既に魂は消え、肉体だけとなったそれは、確かに笑っていた


    196: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/12(土) 23:30:21.12 ID:PXMpa3+00

    --エピローグ (改変されてしまうかもしれない出来事)--

    ゆま「あの魔女、弱かったね……」

    杏子「全ての魔力を使い果たした後って感じだったな……」

    杏子の手にしたグリーフシード。これは恐らく、呉キリカのものだ

    結局ワルプルギスの夜を、キリカは倒せたのか
    さやかはどうなってしまったのか
    それはもう佐倉杏子には分からない
    さやかがキリカを助けに行くといった時、杏子もゆまも行こうとしたのだ
    だが、さやかは自分の街を頼むと杏子達に頼み、一人で行ってしまった

    かくしてワルプルギスの夜の脅威は去った
    第二の見滝原の悲劇は、避けられたのだ

    杏子「……畜生!あいつら……」

    ゆま「……キリカお姉ちゃん。さやかお姉ちゃん……」

    QB「やってくれたね。キリカに、さやかも」

    杏子「……キュゥべえ!てめぇ今更!!」

    QB「まったく……僕達の手に入れるはずのエネルギーまで使って、どんな魔法を使ったのやら」

    杏子「……?」

    QB「ま、君達はここからが大変だよ。見滝原の悪夢の再来だ」

    ワルプルギスの夜が現れ、離れていた魔女
    それらが、少しずつ間合いをつめている

    杏子「ハ!あんな奴ら今のあたし達の相手になるかよ!」

    ゆま「キョーコ!」

    杏子「ゆま、生き抜くよ!あいつらの分まで!」

    --おしまい--


    209: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/22(火) 23:59:11.80 ID:tfKA9j0a0

    まどか「おはよう!仁美ちゃん!さやかちゃん!」

    仁美「おはよう、まどかさん」

    さやか「……」

    まどか「……さやかちゃん?」

    仁美「大丈夫ですか……?お体の調子でも……」

    さやか「うぅん大丈夫!ちょっと目にゴミが入っちゃってさぁ!あはは……」

    まどか「さやかちゃん……?」


    210: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/22(火) 23:59:53.61 ID:tfKA9j0a0

    和子「目玉焼きとは、固焼きですか?それとも半熟ですか?はい、中沢君!」

    中沢「えっ、えっと……どっちでもいいんじゃないかと」

    和子「その通り!どっちでもよろしい!」

    さやか「……変わらないなぁ」

    まどか「さやかちゃん。なんか今日、変だよ?」

    さやか「え!?……いや、ちょっと……」

    和子「はい、あとそれから、今日はみなさんに転校生を紹介します」

    さやか「あ、ほらまどか!転校生だってさ!」

    まどか「……」


    213: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/23(水) 00:01:11.82 ID:bTtFtOF40

    ほむら「暁美ほむらです。よろしくお願いします」

    さやか「……誰?」

    まどか「……さやかちゃん?」

    ほむら「……」ジロ

    まどか「…え?」

    さやか「まどか。……あの転校生には気をつけて」

    まどか「……え?」


    214: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/23(水) 00:02:50.27 ID:bTtFtOF40

    --休憩時間--

    仁美「不思議な雰囲気の人ですよね、暁美さん」

    さやか「……そうだね。普通の人間には見えない。……まどか、あんな奴に狙われる心当たりは……ないよね」

    まどか「さやかちゃん、狙われるって……」


    ほむら「ごめんなさい。何だか緊張しすぎたみたいで、ちょっと、気分が。保健室に行かせて貰えるかしら」

    女子A「え?あ、じゃあたしが案内してあげる」

    女子B「あたしも行く行く」

    ほむら「いえ、おかまいなく。係の人にお願いしますから」

    ほむら「鹿目まどかさん。あなたがこのクラスの保健係よね」

    ほむら「連れてって貰える?保健室」

    まどか「え?えっと……」

    さやか「……まどか、あたしも体調悪くなった。保健室連れてってもらえないかな」

    まどか「さ、さやかちゃん……」

    ほむら「……」


    215: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/23(水) 00:05:02.18 ID:bTtFtOF40

    まどか「私が保健係って……どうして」

    ほむら「早乙女先生から聞いたの」

    まどか「そ、そうなんだ」

    さやか「じゃぁそれを早乙女先生に確認させてもらうけどいい?」

    まどか「さやかちゃん!」

    ほむら「……あなたの好きにするといい」

    まどか「えっと保健室は……」

    ほむら「こっちよね」

    さやか「すごいね転校生。保険係とか全くいらないじゃん。気分が悪いってのも何か嘘っぽいし」

    まどか「さやかちゃん!いい加減にして!」

    ほむら「……」


    216: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/23(水) 00:08:20.87 ID:bTtFtOF40

    まどか「ごめんね、暁美さん。……さやかちゃん、どうしたの?普段はこんな事しないのに……」

    さやか「あたしは別に何も悪いことなんか」

    まどか「さやかちゃん!」

    さやか「……ごめんまどか。……暁美さんも」

    ほむら「……ほむらでいいわ」

    まどか「え?」

    ほむら「呼び方、ほむらでいい」

    まどか「……ほむらちゃん」

    ほむら「何かしら?」

    まどか「あぁ、えっと……変わった名前だよね」

    ほむら「……」

    まどか「変な意味じゃなくてね。その、カッコいいなぁなんて」

    ほむら「鹿目まどか。あなたは自分の人生が、貴いと思う?家族や友達を、大切にしてる?」

    まどか「え……?えっと……。私は、大切だよ。家族も、友達のみんなも。大好きで、とっても大事な人達だよ」

    ほむら「本当に?」

    まどか「本当だよ。嘘なわけないよ」

    ほむら「そう。もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね」

    ほむら「さもなければ、全てを失うことになる」

    まどか「え……?」

    ほむら「あなたは、鹿目まどかのままでいればいい。今までどおり、これからも」

    まどか「……」

    ほむら「美樹さやか。あなたもよ」

    さやか「……何さ」

    ほむら「本当に大切な人の事を考えるなら、ただ、その人の傍に居てあげればいい。自分を捨てる必要なんて、ない」

    さやか「……!!」

    ほむら「まどかに言った話、それは全てあなたにも言えることよ」

    さやか「……」


    217: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/23(水) 00:09:20.25 ID:bTtFtOF40

    --授業中(数学)--

    ほむら「……」カキカキカキ

    オオーーー

    先生「……正解だ。次の問題を……美樹さやか」

    さやか「え?は、はい」カキカキカキ

    ナン…ダト…?

    先生「……正解!?」

    ほむら「……!!??」

    まどか「さやかちゃん!保健室!」

    さやか「いや、何でだよ!!」

    --授業中(体育_走り高跳び)--

    ほむら「……」ピョン

    先生「県内記録じゃないの?これ……」

    さやか「……授業中に魔法?」

    まどか「さやかちゃん、次だよ!」

    さやか「あ、うん」ピョン バキィ!

    さやか「いたた……県内記録の高さのまま飛んだらこうなるか……」

    まどか「よかった……いつものさやかちゃんだ」

    さやか「いやだから何でだよ!!」


    218: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/23(水) 00:11:54.43 ID:bTtFtOF40

    --放課後--

    さやか「『今とは違う自分になろうなんて考えるな。さもなければ全てを失うことになる』か……」

    まどか「わけわかんないよね」

    さやか「……まどか、魔法少女って知ってる?」

    まどか「魔法少女って……たまにテレビでやってる?」

    さやか「……ごめん。知らないならいいや」

    仁美「まどかさん。本当に暁美さんとは初対面ですの?」

    まどか「うん…常識的にはそうなんだけど」

    まどか「……あのね…昨夜あの子と夢の中で会った…ような…」

    さやか「夢?どんな?」

    まどか「えぇと大きな歯車のついた人形が……」

    さやか「……ワルプルギスの夜!?」

    まどか「わるぷるぎすのよる?」

    仁美「……ヨーロッパのお祭り、でしたかしら?」

    さやか「まどか!その夢を詳しく!!!!」

    まどか「さ、さやかちゃん。揺さぶらないででで」

    仁美「さやかさん落ち着いて!!」


    219: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/23(水) 00:13:08.66 ID:bTtFtOF40

    まどか「……ほとんど覚えてないけど、たしかこんな夢だった……と思う」

    さやか「……別の世界のまどかの出来事だった、とか」

    まどか「え?」

    さやか「いくつもの平行世界が存在するとするならば、そのどれかの世界のまどかが体験した一つの結末だったのかもしれないよ」

    まどか「へ、平行世界って……」

    仁美「さやかさん。それは流石に……」

    さやか「……悪い。あたし変な電波受信してるみたい」

    まどか「さやかちゃん。しっかりしてよぉ……」

    仁美「こほん。……もしかしたら、本当は暁美さんと会ったことがあるのかもしれませんわ」

    まどか「え?」

    仁美「まどかさん自身は覚えていないつもりでも、深層心理には彼女の印象が残っていて、それが夢に出てきたのかもしれません」

    さやか「確かにそっちのほうが現実的かも」

    まどか「そうなのかな……」


    220: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/23(水) 00:14:48.00 ID:bTtFtOF40

    まどか「あれ、さやかちゃん。上条君のCDは……?」

    さやか「あー……今日はいいや。真っ直ぐ帰るよ」

    まどか「……わかった。じゃぁまたね。さやかちゃん」

    さやか「またね、まどか」




    ?『助けて』

    まどか「え……?」

    ?『僕を、助けて』

    まどか「誰か、助けをよんでる……?」


    221: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/23(水) 00:15:56.58 ID:bTtFtOF40

    まどか「どこにいるの?あなた……誰?」

    QB「助けて……」

    まどか「あなたなの?」

    QB「助けて……」

    ほむら「そいつから離れて」

    まどか「ほ、ほむらちゃん!?」

    まどか「だってこの子、怪我してる」

    まどか「ダメだよ、ひどいことしないで!」

    ほむら「あなたには関係無い」

    まどか「だってこの子、私を呼んでた。聞こえたんだもん!助けてって」

    ほむら「……あなたは傷つけたくないけど、どかないというのなら」

    さやか「そこまでだよ。転校生」

    まどか「え?……さやか、ちゃん?……その格好は?」

    ほむら「……あなたは……」


    222: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/23(水) 00:16:50.46 ID:bTtFtOF40

    ほむら「あなたが何故、魔法少女に?」

    まどか「魔法少女?」

    さやか「……あんたが何者なのか、あたしには分からない。でもこれだけは言える」

    さやか「まどかを傷つけようとするのなら、あんたはあたしの敵だ!!」

    ほむら「……!」


    231: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/24(木) 00:32:08.97 ID:LeB5Kmze0

    暁美ほむらについて、さやかは三つの可能性を考えていた
    一つはこの平行世界では、暁美ほむらが全く別の人生を歩んでいる可能性
    一つは全くの別人が暁美ほむらに摩り替わっている可能性
    そしてもう一つが、キリカの言っていた、自分と同じ世界の良く知る人物である可能性
    以前見滝原壊滅時、暁美ほむらの死体をさやかは確認していたが、
    その死体は顔面が潰されており、とても本人だと断定できるようなものではなかった
    ……死体のでっちあげぐらい、キリカならやる
    後ろめたいと言っていた理由も、これで説明がつくし

    だが、その三つのいずれであろうと、まどかを傷つけようとした以上、さやかとしては現時点において転校生が敵であると考えざるをえなかった

    さやかは二つの剣を召喚し、その内の一本の剣を暁美ほむらの頭上に投げつけた

    ほむら「……」

    ほむらはそれに対して回避行動をとる。そこで二刀流スタイルから一刀に切り替えたさやかは、一気に突撃する
    だが、これは暁美ほむらに横に回避され、逆に背後を晒すこととなったさやかは、後ろから盾の横一閃の直撃を受ける
    ……この攻撃方法は、初めての杏子との戦いでさやか自身が使い、失敗したものだ
    ただ、その時のさやかと今のさやかでは手札の数に大きな差がある

    ほむら「……消えた?」

    さやか「幻術だよ!」

    杏子のロッソファンタズマから考案した、さやかのブル・ファンタズマ
    杏子に言わせれば分身が2人までしか出せない必殺技とも呼べない代物だが、それでも囮としては、充分に使える
    本当のさやかはその分身の後方
    盾が回避されたほむらは、逆に完全に無防備な姿をさやかにさらすこととなってしまう
    今までの平行世界でのさやかの戦術から動きを読んでいたほむらにとって、
    これは完全に裏をかかれる形となった
    ……が、ほむらにはこの局面を一発で覆せる魔法がある
    ほむらは自身の盾に手を触れ、時間停止を使った


    232: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/24(木) 00:35:18.30 ID:LeB5Kmze0

    ほむら「……」

    時間の停止した世界。ほむらはさやかの背後に移動しつつ思考していた
    今までこれほど早期にさやかが魔法少女になっていることはなかった
    今の幻術を見る限り、この世界の美樹さやかは願いそのものが違うのかもしれない
    ……いずれにせよ、今はキュゥべえを鹿目まどかから引き離す事が先決だ
    美樹さやかには早々に気絶してもらおう
    さやかの背後をとったほむらは、時間を再び動かした

    ほむらの盾による攻撃がさやかの背後へと襲いかかる
    しかし、まるでそれを予測していたかのように召喚されたさやかの剣によって、ほむらの攻撃は弾かれた

    ほむら「……!?」

    呉キリカの速度低下、佐倉杏子の幻術
    この2人の魔法少女に鍛えられたさやかにとって、
    死角をとられる状況は日常茶飯事であった
    当然その中で対抗策も身につけている
    目の前のほむらが消えた瞬間、さやかは攻撃から死角への防御に一瞬で方針を転換していた

    自身の剣の弾かれた音からさやかはほむらの位置を瞬時に察知し、
    反転しながらほむらに向けて剣を放つ
    これをほむらは背後に跳びつつ、盾で防御する
    だが、これもさやかの予測範疇
    投げた剣の数個をほむらの盾に辿り着く寸前で軌道変化させる

    ほむら「……!」

    その動きに対応しきれず、ほむらの盾は弾きとばされた
    さらにさやかは投剣での追い討ちを仕掛ける

    ここに来てほむらは、相手が巴マミ、佐倉杏子クラスの相手だと認識した
    全力で挑まなければやられる
    そう考えたほむらは、盾とは別のところに隠していた一丁の銃を取り出した


    233: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/24(木) 00:36:27.87 ID:LeB5Kmze0

    さやか「……な!?」

    ほむらの取り出した銃はデザートイーグル.50AE
    自動式拳銃の中では世界最高を誇るとまで言われる代物だ
    過去に暴力団との抗争に何回か巻き込まれているさやかは、その威力を痛いほど味わってきている
    魔力を帯びさらにその力を増した銃弾は、さやかの剣を弾き飛ばしつつ、さやか自身にまで襲いかかる

    さやか「……どっからそんなものもってきたんだよ!」

    さやかは再び攻撃から防御に転換した
    これほどの遠距離武器を平然と出してくる相手に、まどかを守りながら戦いきれるのか?
    本当ならまどかをすぐにでもこの場から逃がしたいのだが……


    234: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/24(木) 00:38:26.18 ID:LeB5Kmze0

    だが、さやかがまどかを守るべくほむらとまどかの間に移動したと同時に、ほむらの攻撃は止んだ

    さやか「……?」

    ほむら「……何故、あなたがここにいるの?」

    さやか「……魔女の気配を追いかけてきたら、何故かまどかとあんたがここにいたんだよ」

    まどかに逃げろと言えなかった理由がこれだ
    逃げた先に魔女がいれば、そのまままどかは魔女によって殺されてしまうだろう

    ほむら「私はその白いのさえ渡してもらえればそれでいい。他に用はない」

    まどか「だ、駄目だよ!この子、放っておけない!」

    ほむら「……そう」

    さやか「……」

    ……まさか、あたしが転校生の銃弾を避けてまどかに当たる事を危惧して攻撃を止めた?
    ここまでの戦闘で、転校生はまどかを攻撃していない
    それどころか、まどかへ攻撃しないように配慮している様子すら見える
    ……さっきの発言はただの脅しで、本当はまどかを攻撃する気なんてなかったのかもしれない
    だとすると……

    さやか「目的は何?キュゥべえへの復讐?」

    ほむら「……あなたに話す必要はないわ」

    さやか「……ノートを貸してあげようと頑張った恩も忘れやがって」

    ほむら「あれは志筑仁美のノートであってあなたのものでは……!?」

    この世界、さやかからほむらにノートを貸したなんて事は当然ない
    まして、仁美のノートをこっそりほむらに渡したなんて事も

    さやか「……やっぱりあんたは……」

    ほむら「そんな……まさか……!?」

    まどか「……?」


    235: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/24(木) 00:40:39.28 ID:LeB5Kmze0

    その時、空間が歪んだ

    ほむら「……!?こんな時に……」

    さやか「……あっちから来たか!まどか、気をつけて!」

    まどか「え?え?」

    ほむらは再度盾を召喚した
    さやかも剣を構えなおす

    さやか「薔薇の魔女の使い魔か……」

    ほむら「……」

    まどか「なに、これ」

    さやか「まどかは、あたしの後ろにいて」

    さやか「転校……ほむら。左半分任せていい?あたしが右半分を片付ける」

    ほむら「……わかったわ」

    ほむらは盾からミニミ軽機関銃を取り出した
    ……本当にどこからそんなものを持ってきているのだろう
    さやかは疑問に思ったが今は深く考えないこととし、空中に無数の剣を召喚した

    ほむら「……!?これはまるで……」

    さやか「いっけぇえええ!!」

    さやかの刀身が一斉に発射された
    発射された刀身は着弾点で爆発を引き起こし、使い魔達は木っ端微塵に弾けとんだ

    ほむら「……美樹さやかが、これほどの魔力を?」

    さやか「ほむら!左半分!」

    ほむら「え、えぇ」

    使い魔は瞬く間もなく消滅した

    まどか「ふ、二人とも、すごい……」


    236: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/24(木) 00:42:41.73 ID:LeB5Kmze0

    魔女結界解けていく最中、さやかは再び剣をほむらに向けた
    ほむらもさやかに銃を向ける
    ……だが、お互いに戦意はほぼ喪失していた

    さやか「……もう一度聞いてもいいかな。ほむらは何故、こんな事を?」

    ほむら「その白いの……キュゥべえとまどかが接触する前にケリをつけたかったの。……でも、もう手遅れね」

    さやか「?」

    ?「私の友達に何をしているの?」

    そこには、マスケット銃をもった魔法少女が立っていた

    ほむら「巴マミ……」

    さやか「巴、マミ?」

    巴マミについては、キリカから一通り話を聞いている
    まどかと一緒にワルプルギスの夜と戦い、敗れ去った魔法少女
    かつてあたしが熟読した『必殺技帳』の作者で、相当な魔力を持った魔法少女だったらしい
    杏子がいうところの見滝原最強で、正義の味方
    さっきの魔女を探していたのか。それとも……

    マミ「あなたは私の友達を守ってくれたのよね?」

    さやか「友達……キュゥべえの事?」

    マミ「そうよ」

    さやか「……まぁ、結果的には、そういう事になると思う」

    まどかが持っていたから守ってしまっただけであって、別にキュゥべえを守る気は全くなかったのだけれど

    マミ「なら、私が相手にすべきは貴方のようね。私の友達にこれだけの事をして、覚悟は出来てる?」

    そういうと、マミはほむらに対してマスケット銃を構えた

    ほむら「……」

    さやか「ほ、ほむら!待っ……!」

    ほむらは立ち去った


    237: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/24(木) 00:44:21.88 ID:LeB5Kmze0

    マミ「自己紹介はいらないかもしれないけど……私の名前は巴マミ。あなた達と同じ、見滝原中の三年生。そしてキュゥべえと契約した魔法少女よ」

    マミ「さて……キュゥべえをこちらに返してもらえる?」

    まどか「あ、はい」

    さやか「待って。まどか」

    まどか「え?」

    さやかはキュゥべえに回復魔法を使った

    マミ「……治癒魔法。それもかなり高度なものね」

    さやか「……そうなんですか?」

    前は自分を遙かに超えた治癒魔法の使い手がいたので、全くそんな実感はなかったが

    QB「ありがとう。でも……美樹さやか。何故君が魔法少女になっているんだい?僕は君と契約した覚えはないのだけれど。これはさっきの暁美ほむらにも言えるけどね」

    マミ「……あなたは何者?あの魔法少女について何を知っているの?」

    さやか「あたしの素性については伏せさせてもらう。……それを言えるほど、あたしはあなたを信用していない」

    マミ「……そう。まぁ、無理にとは言わないけど」

    さやか「……あの魔法少女、暁美ほむらは昔の友人です。……今は、よくわかりません」

    マミ「昔の友人……ね」


    256: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/27(日) 15:17:34.25 ID:BDCJ0rCW0

    マミ「まぁ、キュゥべえを助けてくれたことには感謝するわ」

    さやか「……どうも」

    ただ、これは良かったのか悪かったのか……

    QB「……僕の名前はキュゥべえ。鹿目まどか。僕、君にお願いがあって来たんだ」

    まどか「お……お願い?」

    QB「僕と契約して、魔法少女になって欲しいんだ」

    さやか「……」

    まどかにはキュゥべえが見えていた
    ほむらは多分、キュゥべえとまどかの契約を阻止したいのだろう
    あたしは……あたしはこんな世界にまどかを引き入れたくない
    何としてでもまどかの契約を阻止したい
    ……でもそれは、まどかの意思とは無関係の話だ


    257: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/27(日) 15:19:46.68 ID:BDCJ0rCW0

    --マミの家--

    巴マミ……マミさんとキュゥべえは、まどかに対して魔法少女の説明をしてくれている
    ……重要な内容が随分省かれている気はするけれども
    マミさんが隠していると考えるよりは、単純に知らないと考えるべきなのだろう
    キュゥべえからあれを知らされた魔法少女は、あたしの知る限り、いない
    ……後でまどかには、補足で説明しておこう

    さやか「しかし、何というおいしいケーキ……」

    そういえば以前、キリカとこの家にお邪魔した時にも冷蔵庫に別のケーキが入っていたっけ
    あの時、マミさんはもう死んでいて……
    『必殺技帳』、今もどっかにしまってるのかな

    マミ「美樹さん。ケーキをおいしいと言ってくれるのは嬉しいけど、ちゃんと話聞いてる?」

    さやか「え、あぁはい!……でも、あたしはほとんど知ってる話ですし」

    というより、杏子からほぼ全く同じ話を聞いた
    あの一年、杏子とはぶつかった事は多かったけど、それでも大切な事はしっかり教えてくれた
    決して気の抜ける相手ではなかったけど、それでもいい友人……だったんだと思う
    杏子があたしの事をどう見ていたのかまでは分からないけど

    マミ「知っている知識であっても、新しい発見があるかもしれない。ただ同じ意見として聞き流すのはあまり誉められた話ではないわ」

    さやか「……すいません」

    それも、杏子に言われたなぁ……この言葉に対して当時のあたしは自分なりに魔法少女を続けてきた意地もあって杏子に反発してしまった
    それをキリカに電話で話したら、逆にキリカに馬鹿にされたっけ……
    ……思い出して、少し涙が出そうになる
    あの世界のキリカも、杏子も、この世界にはいないのだ

    マミ「……そこで提案なんだけど、鹿目さん。しばらく私の魔女退治に付き合ってみない?」

    まどか「えっ!?」

    さやか「……な!?」

    マミ「魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめてみればいいわ」

    マミ「そのうえで、危険を冒してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」

    さやか「待ってください」


    258: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/27(日) 15:22:12.56 ID:BDCJ0rCW0

    マミ「どうしたの、美樹さん」

    さやか「あたしは反対です。魔女との戦いに一般人を連れていくなんて危険すぎる」

    マミ「私が守るから大丈夫。……なんだったらあなたもついてくればいいじゃない」

    さやか「……」

    この人は魔女との戦いで、自分が絶対死なないとでも考えているのだろうか

    さやか「……まどか。一つ聞いてもいいかな」

    まどか「な、何、さやかちゃん」

    さやか「まどかはさ。顔を食われたり、生きながら両腕、両足をもぎ取られたり、溶かされて骨だけになったりする覚悟ってある?」

    まどか「え……」

    マミ「美樹さん!!」

    さやか「マミさんがどれほど強い魔法少女かわからない。でも、たとえ相手がどんなに弱い魔女であっても、常に魔女に殺される可能性はついてくる。
    もし仮にあたしがついていったとしても、結局それ自体は変わらない」

    さやか「あたしもマミさんも殺されてしまったら、まどかが生き抜く方法はない。だから確認しただけだよ。何かおかしい事ある?」

    マミ「それは……」

    さやか「まどかが契約するかどうかについてまであたしが口を挟む権利はないと思う。でも、それが魔女に襲われてそうせざるをえない状況に追い詰められてなんて事だけは、あたしはごめんだ」

    まどか「さ、さやかちゃん」

    人も、魔法少女も、死ぬ時は簡単に死ぬ
    危険を冒してまでと言っているにも関わらず、その最も基本的な考え方がマミさんからは抜けている
    元から強かったのか、今が強すぎて忘れてしまったのか……
    いずれにせよ、とてもこの人にまどかを任せられない

    さやか「……残りの魔法少女に関する話はあたしからまどかに聞かせる。この件について、あんたにもう用はない」

    さやか「行くよ、まどか」

    まどか「さ、さやかちゃん!待って!!」

    マミ「……」


    259: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/27(日) 15:24:04.13 ID:BDCJ0rCW0

    --帰り道--

    ……自分の言葉が間違えていたとは思わない
    決して譲ってはいけない一線。そうであったとも思っている
    ……でも……自分以上に長く魔法少女をやっているはずのマミさんが、何故そんな結論に辿り着いたのか
    ……正義の味方は孤独だ
    他の魔法少女の誰からも理解してもらえないし、理解してもらう必要もない
    そんな道を歩まなければならない
    それでも自分は、理解してくれる友人がいた
    時に利害さえ合えば一緒に戦ってくれる仲間がいた
    ……マミさんはどうだったんだろう
    ただ一人、孤独のままあたし以上の年数を正義の味方として歩んでいたんだとしたら……
    ひょっとして、マミさんは同じ思いで戦ってくれる魔法少女が欲しかったんじゃないだろうか
    だとすれば、あたしはそんな思いを踏みにじってしまった?
    正義の味方の辛さはあたしだっていくらかは分かっていたはずなのに

    さやか「最低だ。あたし……」

    今すぐ戻ってマミさんに謝るべきか?
    でも何を?
    そもそも、自分の言葉は間違っていない
    そう自分が考えている以上、マミさんに歩み寄る道がない
    大体マミさんのプライドをズタボロに引き裂いておいて、今更何を言うのか

    まどか「……さやかちゃんは、わたしが魔法少女になる事反対……なのかな」

    さやか「……まどか?」

    ……そうだ。あたしがマミさんの代わりに、魔法少女について教えると言ったんだ。
    まどかにいろいろ伝えてあげないと……


    260: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/27(日) 15:27:42.38 ID:BDCJ0rCW0

    さやか「……あたしは反対だよ。こんな危険な事、まどかにやらせたくない」

    まどか「……そ、そうだよね」

    さやか「でも、さっきも言ったけど、それでも魔法少女になりたいって言うなら、あたしにまどかを止める権利はない」

    まどか「……」

    さやか「魔女の元に連れて行くなんてのは論外だけど……マミさんの言っていた事はそういう意味じゃそこまで間違えてはいないと思う。結局魔法少女になるかどうかも、何を願うかもまどか自身の問題だよ」

    まどか「……さやかちゃんは、どんな願いで魔法少女になったの?」

    さやか「あたしの願いなんて……考えるまでもないじゃん」

    当時、そこまでの考えはあたしにはなかった
    でも、例えソウルジェムの真実を知っていたとして、あたしはやはりこの願いを叶えただろう

    まどか「上条、君?」

    さやか「正解!……ただ、昔仲間だった魔法少女のいうところによると、魔法ってのは自分の為に叶える方がいいとは言ってた。そうすれば全て自分のせい。後悔なんてあるわけないって」

    まどか「自分の為……」

    さやか「ま、あたしの願いも、あたしが恭介のヴァイオリンをもう一回聴きたかったってのが理由だしね。自分の為の願いでもあったわけでさ」

    まどか「さやかちゃん……」

    さやか「でもね。それは同時に恭介を諦めるって事とイコールにもなっているんだよ。少なくともあたしにとっては」

    まどか「え?」

    さやか「理由は三つある。一つはそんな願いをして、恩人として取り入るなんて行為を、あたしは絶対に許せない」

    まどか「でもさやかちゃんは上条君の為に」

    さやか「……恭介をあたしに振り向かせたい。正直に言えば、あたしの願いにそんな思いが少しもなかったわけじゃないんだ」

    まどか「……」

    さやか「……そしてもう一つ。こっちの方が魔法少女としては重要な話になる。……『ソウルジェムの真実』。マミさんが伝えなかった話」

    さやか「あたし達魔法少女は、魂をソウルジェムという形に変えられる。その瞬間、肉体はただの外付けハードウェアという扱いになる。……まぁ、あたしは今、この石ころが本体になってるってこと」

    まどか「……え?」

    さやか「これは口で言っても分かりにくいから、実演するね。そうだなぁ…」

    丁度草むらがある。あの辺なら大丈夫だろう

    さやか「まどか。あたしが倒れたのを確認したらしっかり脈を確認しておいて。後、……ちゃんと目立つように光らせておくから、絶対に取って来てね。頼んだよ」

    まどか「え?え?」

    さやか「じゃぁいきますか。……ピッチャーさやか!第一球!投げたぁ!!」

    ソウルジェムを草むらにむけて放り投げた
    意識が暗転する


    261: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/27(日) 15:28:45.88 ID:BDCJ0rCW0

    …ちゃん!さやかちゃん!!

    さやか「ん……流石に第二球はやりたくないなぁ」

    まどか「さやかちゃん!」

    おもいっきりまどかに頬をひっぱたかれた

    さやか「……いたた……まどか?」

    まどか「今の説明をするのに、どうして投げる必要があったの?」

    さやか「え?……そりゃ、実演だし。魂であるソウルジェムが外付けハードウェアとしてる肉体から離れるとこーなりますよーという……」

    まどか「充分分かったよ……さやかちゃんが、自分の命をどれだけ粗末に考えているのかも含めて」

    さやか「……いや、まどかなら絶対大丈夫という信頼があっての」

    まどか「こんな事は金輪際、絶対にやめて。約束して」

    さやか「……は、はい」

    思わず気圧されてしまった

    まどか「……さやかちゃん、本当に死んじゃったかと思ったよ……」

    そしてまどかに泣きながら抱きしめられてしまった

    さやか「……ごめん、まどか」


    262: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/27(日) 15:30:34.18 ID:BDCJ0rCW0

    さやか「でも今の説明をするとどうやっても最終的にこの流れに辿り着くんだから、じゃぁ最初からやっちゃえばいいじゃんっていう考えもないこともなくてですね」

    まどか「そこはちゃんと説明してからやってよ!……それに、何も投げなくても、わたしがどこか安全なところに置いて、そこからさやかちゃんに離れてもらってとか、いろいろやり方があったと思う」

    ……言われてみれば

    さやか「……まぁ、でも今のでわかったよね。ソウルジェムが魂にされる意味。肉体が外付けハードウェアにされるって意味。……そして、あたしが恭介を諦めている理由。こんな石ころになっちゃって、今更恭介に告白なんてできないよ」

    それは、多分キリカなら鼻で笑うぐらいの理由
    でも、あたしにとっては非常に重要なことだ
    ……まぁ、この真実を知った時、恭介は既にこの世にいなかったのだけれど

    まどか「……」


    263: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/27(日) 15:33:20.07 ID:BDCJ0rCW0

    さやか「後、もう一つ。最初に持ってきてもいいぐらいの簡単な理由だったんだけど……」

    さやか「魔法少女はあっさり死ぬ。あたしだって、今日帰りに魔女と戦ってあっさり命を落とすかもしれない。そんな身の上で、恋人とか……ねぇ」

    まどか「あっさり命を落とすとか言わないでよぉ……」

    またまどかに泣かれてしまった
    ……さっきの実演。魔法少女の命はこれぐらいあっけないというのを見せる意味合いもあったんだけど……やりすぎてしまったかもしれない

    さやか「まどか。でも、それが魔法少女なんだよ」

    さやか「今日保健室に行く時ほむらが言ってたのも多分その事なんだろうけどさ。魔法少女になるって事は、全てを失うけど、その変わりに願いを叶えるってことなんだ」

    さやか「だからちゃんと考えなきゃいけない。誰の意思でもない、まどかの意思で。魔法少女になるべきか否か。魔法少女になるというなら、全てを犠牲にしてまで何を願うか」

    まどか「わかったよ。わかったよさやかちゃん……」

    ……自分の片腕一本落として外付けハードウェアだから大丈夫的な実演も考えていたんだけど……今それをやったら、まどかとの友情に深刻な影響を与えてしまいそうな気がする

    さやか「分かればよろしい。さやかちゃん流魔法少女説明コース第一はこれで終了!第二はもっとハードだぞー」

    まどか「……もう、充分だよ」

    さやか「……そっか」

    まぁ、これでまどかが思いとどまるなら、それでもいい


    264: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/27(日) 15:34:43.07 ID:BDCJ0rCW0

    まどか「マミさん……ソウルジェムの話、知ってて教えてくれなかったのかな」

    さやか「多分知らないんだと思う。キュゥべえ、基本この話は教えてくれないんだよ」

    まどか「……そんなの、あんまりだよ……」

    さやか「……まぁ、キュゥべえにもキュゥべえなりの理由があった……ような……」

    確かエントロピーだとか、宇宙がどうだとか……

    さやか「今の話、マミさんには内緒だよ。……タイミングを見て、あたしから話す」

    ソウルジェムが本体
    実にショッキングな内容ではあるものの、それを知っているかいないかは魔法少女の生死を大幅に分ける
    ソウルジェムさえ守りきればある程度無敵だし、痛覚をいじれるというのは非常に大きい
    何よりワルプルギスの夜と戦おうなんて時に、この事実を知らないで挑むのは危なすぎる
    ……その前にマミさんと仲直りしないと、か

    まどか「……ところで、さやかちゃん」

    さやか「何、まどか」

    まどか「さやかちゃんって随分昔から魔法少女をやってる風な言い方してたよね」

    さやか「え?……まぁ、うん。一年ちょっとぐらいだけど」

    まどか「上条君の怪我治ってないし、そもそもその時まだ上条君怪我してないよね」

    さやか「……あ」


    265: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/11/27(日) 15:38:22.82 ID:BDCJ0rCW0

    まどか「さやかちゃんの話、全然辻褄があってない。でも、今までの話が嘘だとも思えない。……どういうこと?」

    まどか「そもそも今日、朝からおかしかったよね。あたし達と会った瞬間涙ぐんだり、先生に向かって変わらないなぁとか言ったり、ほむらちゃんを見た時物凄い警戒したり、他いろいろ」

    さやか「ま、まどか、落ち着いて……」

    まどか「ちゃんと説明してよ。さやかちゃんに、何があったの?」

    ……さっき、やりすぎたから、かな
    まどかが、凄く怒っているような……

    さやか「えぇと……説明しなきゃ、駄目?」

    まどか「駄目」

    さやか「絶対に?」

    まどか「絶対に」

    さやか「信じられないような内容だけど」

    まどか「さやかちゃんが嘘を言わないなら、ちゃんと信じるよ」

    それはどうやって判断するんだろう……

    さやか「……内容的に、さっきのソウルジェムの秘密とかどうでもよくなるぐらいハードだけど、それでもいい?」

    まどか「え……、だ、大丈夫だよ!」

    さやか「……本当に?」

    まどか「本当に!本当だよ!!」

    ……なるべくやわらかめに話そう

    さやか「わかったよ。とはいえ、どこから話せばいいのか……」

    さやか「とりあえず。うん。……あたし、実は未来から来たんだよ」

    まどか「」

    さやか「びっくりした?それとも信じられない?……まぁ、これは聞くも涙、語るも涙な話でさ……」

    なるべくやさしめに、話した
    あたしがやってきた事
    一ヵ月後、見滝原に何が起こるのか
    その後一年、あたしがどんな風に生きていったのかを


    301: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/03(土) 14:30:13.66 ID:WHUgstMa0

    まどか「……そんな話って……」」

    さやか「……とても信用できる話じゃないよね」

    まどか「……うぅん。さやかちゃんはそういう嘘つかないし、信じるよ。でも……」

    まどか「……じゃぁわたし達、みんな死んじゃうの?」

    さやか「そうならない為にあたしがここにいる。まぁ仲間にもあてはあるし、なんとかなるよ」

    まどか「あてって……話に出てきた、キリカさん?」

    さやか「そもそもこの世界でキリカは魔法少女になっているかどうかも怪しいけど……そっちじゃなくてさ。ほむらだよ。暁美ほむら」

    まどか「え……で、でもさやかちゃん。ほむらちゃんと喧嘩になっちゃって」

    さやか「ほむらが何を考えているのかはよくわからない。でも、まどかを助けたいって気持ちは一緒みたいだし、多分仲間になってくれる」

    キリカの話だと、ワルプルギスの夜とずっと戦っていたみたいだし

    さやか「それに、ゆまちゃんや織莉子さんはわからないけど……佐倉杏子がいる。マミさんだってちゃんと仲直りすれば仲間になってくれるかもしれないし。ワルプルギスの夜が弱体化してるって事も考慮すれば、4人でも充分倒せる相手だと思う」

    まどか「……わたしも契約すれば」

    さやか「……まどか!」

    まどか「でも、ワルプルギスの夜って凄い強い魔女なんだよね。見滝原全てをどうにかしちゃうぐらいに。だったら、わたしも戦いたい!」

    さやか「……まどか……契約するとして、叶えたい願いは何?」

    まどか「そんなの決まってるよ。さやかちゃんの力になりたい!!こんな役立たずなわたしでも、さやかちゃんの力になれるならそれでいいいひゃいいひゃい!」

    さやか「自分を粗末にしてるのはどっちだー!!」

    さやかはまどかのほっぺたをつねった


    302: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/03(土) 14:31:06.95 ID:WHUgstMa0

    さやか「大体考えてもみてよ。あたしの為にまどかが魔法少女になったりして、それでまどかが傷ついていくのをあたしが耐えられると思う?それこそワルプルギスの夜が来る前に魔女化しちゃうよ。」

    そもそもまどかの場合、ワルプルギスの夜の弱点にばっちり当てはまってしまい、見滝原壊滅どころの話じゃ話がすまない気がする……

    まどか「……」

    さやか「それに……なんで、自分の事が役立たずだとか思ってるのさ」

    まどか「だって……わたしって鈍くさいし、何の取り柄もないし」

    さやか「……」

    まどか「人に自慢できる才能も何もなくて……さやかちゃんみたいになれたらって」

    さやか「まどか。まどかを馬鹿にするなら、それがたとえまどかであっても、許さないよ」

    まどか「!」

    さやか「……ごめん、言い過ぎた」

    さやか「でも……さ。あんたは優しくて、いつも人の支えになってくれる。……今だってそうだよ。ソウルジェムの秘密も知った。魔女化に事実も知った。……最後に絶望しかないとわかっているのに、あたしの為に全てを捨てようとした」

    さやか「そんな事が出来る奴を何の取り柄もない奴なんて、あたしにはとても言えない」

    まどか「さやかちゃん……」

    さやか「だから、その優しさをこんなところで使わないでよ。……まどかにはもっと長く生きてほしいんだ。それで、その優しさをもっといろんな人に分けてあげてほしい」

    あの日までずっと、まどかがあたしに分けてくれていたように

    まどか「さ、さやかちゃん。その言い方じゃまるで……」

    さやか「魔法少女って、2年もやっていればベテランと言われる世界なんだよ。……それってどういう意味だと思う?」

    まどか「……」

    さやか「つまりは、その程度しか生きられないんだよ。魔女にやられるのか、魔女になるのか。同じ魔法少女に殺されるかもしれないし、案外ヤクザや米軍にズドンとかもあるかもしれない」

    まどか「そんなの、嫌だよ」

    さやか「……まぁでも、10年20年生きる人も稀にいるらしいけどね!あたしもそんな風に生きてみたいかな」

    多分あたしの生き方じゃ、長生きは難しいだろうけど

    さやか「……ま、ワルプルギスの夜はあたしがさくっとやっつけちゃうからさ。その後、ゆっくり考えなよ。全てを犠牲にしてまで、魔法少女になる必要があるかどうか」

    さやか「駄目、かな」

    まどか「……わかったよ、さやかちゃん」


    303: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/03(土) 14:32:39.93 ID:WHUgstMa0

    さやか「……じゃぁ、あたしはこっちだから。また明日、だね」

    まどか「……さやかちゃん!」

    さやか「な、何?」

    まどか「さやかちゃんはさやかちゃんだよ!石でもなんでもさやかちゃんなんだからね!絶対自分を投げたりなんかしちゃ駄目なんだからね!!」

    さやか「……す、ストレートな」

    というか、まだ根にもってたのかまどか……

    まどか「ご、ごめん」

    さやか「……ううん。ありがとう。うん。そうだよね。もう少し自分を大切にしなきゃ、だよね」

    杏子もゆまも、キリカだって何かあれば戻ってくるだろうから、最悪あたしがいなくなってもなんとかなる
    そう考えていて、いつの間にか命の大切さとかそういった事を忘れてしまっていたのかもしれないな

    ……にしても、あいつ。ずっと近くにいたんだからまどかがあたしのソウルジェムを探していたのを、手伝ってあげてもよかっただろうに……


    304: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/03(土) 14:37:16.41 ID:WHUgstMa0

    さやか「さて、と」

    ワルプルギスの夜までそれほど時間はない。そうなると今日中にやらなきゃいけない事がいくつかある

    さやか「織莉子さんの住所は、確かキリカに前にもらってたはず……」

    杏子のお菓子の隠し場所、ほむらでいうと、多分あの盾
    魔法少女は、大抵物を格納できるスペースを持ち合わせている
    ちなみにあたしの場合、それがマントの中だったりする
    魔法少女化して、マントの中から以前キリカに教えてもらった、織莉子の住所の書いてあるメモを取り出した

    さやか「よし、行ってみるか」

    ?「その必要はないわ」

    さやか「……最後まで、出てこないつもりかと思ったよ。ほむら」

    ほむら「……呉キリカ。美国織莉子。2人に会いに行く必要はない」

    さやか「どういう意味?」

    ほむら「……この2人が魔法少女になれば、まどかを殺そうとする。だから、魔法少女にさせるわけにはいかなかった」

    さやか「……」

    ほむら「……彼女達の魔法少女化は、私が阻止した。彼女達が魔法少女になる事は、もうない」

    さやか「2点聞きたい。1点目。まどかを殺そうとするってどういう事?」

    ほむら「この世界のまどかの魔力は非常に高い。最強の魔法少女になって……最悪の魔女になる。美国織莉子と呉キリカは、それを防ぐ為にまどかを殺してしまう。……それだけは、避けなければいけない」

    さやか「待ってよ。あたしのいた世界ではまどかはそこまでの魔力を持っていなかったはずだよ」

    ほむら「あなたがいた世界と、この世界は違う。……巴マミにでも確認しなさい。彼女は相手の魔力を正確に測れる力をもっているはずだから」

    さやか「……2点目。どうやって、キリカ達の魔法少女化を阻止したの」

    ほむら「美国織莉子の願いは、『私が生きる意味を知りたい』。呉キリカの願いは、『違う自分になりたい』。願いの内容だけ聞けば全く異なる2つの願いだけれど、その思いをかなえる方法は別に魔法少女に拘る必要はないの」

    さやか「……キリカと織莉子をくっつける?」

    ほむら「呉キリカの願いをかなえるのはそれで充分。彼女の魔法少女化は、実はタイミング良く線路に置石一つ置くだけで阻止することができる」

    さやか「……え?どういうこと?」

    ほむら「ようは美国織莉子が呉キリカを発見するだけの時間があればいいの。美国織莉子が呉キリカを忘れていることなど、あるわけがないのだから」

    さやか「……全然話が見えないのだけれど」

    ほむら「むしろ問題は美国織莉子の方。あの父親が誰に恨まれていて、誰に陥れられそうになっているか、探すのに苦労したわ……」

    さやか「……全然わかんないけど、つまりあの二人の願いは魔法少女にならずして、叶えられたってこと?」

    ほむら「……少なくとも、あの2人が魔法少女なるだけの理由は、もうなくなった」

    さやか「……そっか」


    305: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/03(土) 14:38:33.03 ID:WHUgstMa0

    さやか「ゆまって知ってる?千歳ゆま」

    ほむら「彼女は高い魔力を持っていても、ワルプルギスの夜と戦うには技術が不足している。……彼女の両親には非常に問題があり家庭内暴力を繰り返されていた。何もしなければ最後は両親が魔女に殺され、彼女は佐倉杏子に出会うのだけれど……」

    ほむら「千歳ゆまは今、児童養護施設に預けられている。彼女の願いは佐倉杏子を助ける事。佐倉杏子と会わなければ、彼女が魔法少女となる事はない」

    さやか「……趣の魔女、は?」

    ほむら「あれはもう始末したわ。確かに強い魔女ではあるけれど、対抗策さえ知っていればそれほど脅威ではない」

    さやか「……ほむら、頑張ってたんだね」

    おもわずほむらの頭をなでてしまった
    そして思いっきり振り払われた

    ほむら「やめて」

    さやか「つ、つれないなぁ……」

    ほむら「……あなたに聞いて欲しい事がある」

    さやか「奇遇だね。あたしもほむらに聞いてほしい事があったんだ」

    さやほむ「ワルプルギスの夜を一緒に倒してほしい」

    さやか「だよね」

    ほむら「……えぇ」


    316: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/04(日) 22:36:12.13 ID:LE1rHS1b0

    --ほむらの家--

    さやか「す、すごい部屋だ……」

    ほむら「いつから私の尾行に気づいていたの?」

    さやか「え?……えぇと、マミさんの家を出て少ししてから……かな」

    さやか「まぁ、マミさんの家にあたし達がいた段階からほむらは確実にどこかで監視していると考えていたから、尾行に気づくのもそれほど難しくはなかったよ」

    ほむら「……何故、そう考えたの?」

    さやか「いや、だってほむらってまどかの契約阻止が目的なんだよね」

    ほむら「……えぇ、そうよ。あの子を魔法少女になんかさせない」

    さやか「なら、マミさんの部屋の中にあたし達がいた時間。あの場で契約される危険性を考慮すれば、ほむらとしては監視せざるをえなかったんじゃないかなって」

    ほむら「……」

    さやか「……実のところ、あの部屋盗聴器でも仕掛けてあったんじゃないかと、あたしはふんでいた」

    ほむら「……でも、盗聴器だけ仕掛けていても、そこに私が干渉できなければどうしようもない」

    さやか「でも、ほむらの能力って『時間操作』だよね」

    ほむら「!?何故それを?」

    さやか「今のはカマかけ」

    ほむら「……」

    さやか「ごめん。……ただ、あたしの幻術技に対してあまり対応できてなかったじゃん。同じ幻術使いならあれを見切るのはそこまで難しくないんだよ。そうなると、あんな風に死角をとれる技が、あたしの知ってる限り時間系ぐらいしかなかったってだけ」

    ほむら「……あなたとの戦いで使ったのは『時間停止』。時間を止めて、その間にあなたの死角に移動したの」

    さやか「……『時間停止』!?キリカの上位互換ぐらいに考えてたけど、そんな能力を……」

    さやか「そうすると、死角なんてとらずとも、そのままとどめも狙えたってことか」

    ほむら「いろいろ制約はあるの。それにそれを言い始めるなら、私とまどかが話していた時、あなたの武器の性質を考えれば、あそこで私を狙う事もできたはず」

    さやか「……ソウルジェムの真実を知っているかどうか、あの段階では判断できなかったし。もし本物のほむらだったら殺すわけにはいかないし、そもそもあたしは人を殺したりとか、そういう事はしない主義なんだよ」

    ほむら「……甘いわね」

    さやか「……ほむらだって、あのデザートイーグル。明らかにあたしのソウルジェムからはずして狙ってたじゃん」

    ほむら「あなたの投剣もね。大体刀身爆破の方が、ソウルジェムを狙うなら理想的なはず」

    ……つまりあの局面。お互い本気で、相手を殺さないで事態の収拾させる方法を探していたという……

    さやか「……ちなみに、能力発動条件は盾に触れる事、であってる?」

    ほむら「正解よ。やたら盾を狙ってきたのもそこに気づいていたからだったのね……なるべくばれないように使ったつもりだったのだけれど」

    さやか「むしろそれが気づいた理由。ばれないようにやろうとされれば、当然そこに何かあるっていう目星ぐらいつける。……あたしの幻術で焦っていたんだろうけど、ちょっと露骨すぎたね」

    ……今話をしているのが本当にあの美樹さやかなのか?
    思わず、ほむらはそう考えてしまった


    317: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/04(日) 22:40:44.86 ID:LE1rHS1b0

    さやか「話を戻すよ。盗聴器さえ仕掛けていれば、後は勘付かれないほど遠い距離にいたとしても関係がなくなる。それっぽい会話になったところで、『時間停止』で近寄って、ご破算にさせてしまえばいい」

    ほむら「……私の『時間停止』は制限がある。いつまでも時間が止められるというものではない」

    さやか「そうなんだ。……とすると、マミさんの部屋の構造、あのすごい大きな窓」

    さやか「……あの辺りから考えて、ほむらは遠くから狙撃銃で狙いをつけていた?とか」

    盗聴器で音を、狙撃銃の照準器で映像を捉える
    ……魔法少女同士の争いで狙撃銃を持ってこられる展開なんて、常識的に考えてほぼありえないと思ってもいいような気はするけれど、ことほむらの使っている武器を考えれば、それぐらいの常識は覆してくるのではないかとさやかは考えた

    ほむら「……まどかとの話を聞いた限り、あなたは呉キリカと、佐倉杏子から教えを受けたのよね」

    さやか「こういうノウハウはどちらかというとキリカかな。『魔法少女は魔法以外への対処ができていない子が多い』とか、『ベテランの魔法少女は、その行動全てに意味がある。常に一つ一つの行動について解釈をしながら戦え』とか、『舞台を演出しろ。相手の感情を操作することで、相手の行動もある程度限定させることができる』とか……」

    さやか「まぁ最後のは『でも君には無理だろうから、せめて相手の狙いを読み取りながら戦うようにすること。この手の手合いは、それを逆手に取られていたなんて展開に弱かったりするから』って続く」

    そういえば初めて杏子と戦った時も、わざと挑発したって言ってたなぁ
    杏子はそれにのせられたふりをして、逆にゆまちゃんの攻撃へと誘導していた

    ほむら「……すごい魔法少女になっていたのね。呉キリカは」

    さやか「うーん……魔法少女になる前から結構凄い人だったんじゃないかな。キリカは。魔法少女としての経験はあたしと同じぐらいのはずだったんだし」


    318: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/04(日) 22:44:05.45 ID:LE1rHS1b0

    ただ、こうなってくるとほむらとしては一つ疑問があった。
    そこまで思慮が及ぶのであれば、あの愚行が逆に納得いかなくなる

    ほむら「なんであの時、あなたはソウルジェムを草むらにむかって投げたの?」

    さやか「あぁ、あれ?あれはほむらがいるから大丈夫だと思っていたし。……あの場面。ほむらにさりげなく出てきやすい状況を作ることで、まどかとほむらをうまくくっつけるという狙いもあったんだよ」

    ほむら「今更、あの子と慣れあう気はない」

    ……実はまどかの見つけやすい位置に、さやかのソウルジェムを移動させたりはしていたが

    さやか「でも、ほむらはまどかに」

    ほむら「何故、私なら大丈夫だと判断したの?少なくともそこまで信じられる判断材料はあの時点ではなかったはず」

    ほむらがさやかの世界にいたほむらである事がわかったとしても
    それが信用に足る人物であるという保障はどこにもない
    そこがほむらはひっかかっていた

    さやか「ん?だって親友じゃん。親友を信用しないでどうするのさ」

    ほむら「………他には?」

    さやか「……それだけ」

    ほむら「ちょっと待って。本当に、それだけなの?」

    まさか、ただ過去に親友だったからというだけで、信用したと?

    さやか「……一応、あの後マミさんとの会話中に狙わなかったとか、あたしとまどかが二人きりになっても殺しにかかってこなかったとか、そういう理由もないことはなかったけどさ。そもそもほむらがあたしと一緒にいたほむらだと分かった時点で、疑う必要もないかなー……と」

    ほむら「……」

    元々美樹さやかは敵対した相手にはやたら厳しくあたるくせに、
    友人になると途端に優しくなり、相手の行動を全て好意的に捉えてしまったり、無条件で相手を信用してしまうところはあった
    呉キリカや佐倉杏子が指導しても、そこはそのまま残ってしまったということか……

    ほむら「……あまり、人を信用するものではないわ」

    さやか「でも、ほむらは変わったように見えて、実は結構昔のままに見えるけどな。相変わらずまどか至上主義みたいだし」

    ほむら「そう見せかけているだけかもしれない。それに、別にあなたのことまで、私は気を遣うつもりはない」

    さやか「……こんな話をしている時点で、結構気を遣ってると思うけど」

    ほむら「……ここに関してこれ以上問答しても無駄ね」

    この甘さは、少し用心する必要はあるかもしれない
    そう、ほむらは考えた


    319: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/04(日) 22:47:40.06 ID:LE1rHS1b0

    さやか「……気になってた事があるんだけどさ。ほむら」

    ほむら「何?」

    さやか「髪型変えて眼鏡とったのはまぁ戦いやすさを考慮してって事だと思うけど……雰囲気、随分変わったよね」

    ほむら「……何度も何度も時間を繰り返して、その数だけ失敗してきた。その中で性格も変わっていった。それだけの話よ」

    さやか「それだけって……」

    ほむら「……そういえば、あなたは最初会った時から私を警戒していたわね」

    さやか「……ごめん」

    ほむら「わたしだって、あなたが数学の問題をすらすら解いた時に、危うく時間遡行するところだったわ」

    さやか「まじかよ!」

    ほむら「冗談よ。この時間遡行は一ヶ月たたないと使えないし。……ただ、そうね。思わずワルプルギスの夜が来たのかと思って外を見てしまったわ」

    さやか「どういう意味だよ!」

    ほむら「気になるといえば……美樹さやかのそれ」

    さやか「ん?指輪?」

    ほむら「何故、指輪が2つあるの?」

    さやか「あぁ……まどかとの話、聞いていたんだよね」

    ほむら「……えぇ。聞いていたわ。……ひょっとしてそれって」

    さやか「キリカのソウルジェムの欠片。それをあたしの魔法で指輪にしてるんだよ」

    ほむら「そう……あなたの時代の呉キリカの魔法がかかっているのよね」

    さやか「……うん。そう聞いたけど……使い方もろくに説明しなかったからなぁ、あいつ……」

    ほむら「少し調べさせてもらってもいい?このコンピューターと接続してみる」

    さやか「接続って……そんな事できるの?」

    ほむら「できるわ。少しその欠片を貸してもらってもいい?」

    さやか「……壊さないでね」

    ほむら「……どの定義をもって壊さないというのか難しい代物だけど……わかったわ」


    320: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/04(日) 22:48:38.73 ID:LE1rHS1b0

    ほむらが奥でいろいろ設定をしている

    さやか「それにしても……いろいろあるなー。見滝原の魔女のデータまで勢ぞろいだ」

    さやか「……これがキーボードか、どれどれ……」

    さやか「……いた、お菓子の魔女。こいつは嫌な魔女だったなー」

    さやか「影の魔女に、鎧の魔女もいるな。……あれ、こいつ知らないな。人魚の魔女か。これに関してのみ妙に詳細なデータがあるけれど……って消えた!?」

    ほむら「何を見ているの」

    さやか「や、ほむらが設定してる間暇だったからちょっといろいろ調べてみようかと」

    ほむら「変にいじらないで。あなたが触ると壊れそうだし」

    さやか「そんな漫画じゃあるまいし……」

    ほむら「……接続はできた。データを解析するわ」


    321: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/04(日) 22:51:41.18 ID:LE1rHS1b0

    ほむら「……これは、ワルプルギスの夜のデータ!?」

    さやか「キリカ、あの一瞬でそんなもの……いや、キリカの事だからそういう展開も最初から予測していた……!?」

    ほむら「知らないデータも多いわね……すごい。ここまで調べあげるなんて」

    さやか「なんか、ヨーロッパまで行って資料を集めたとか行ってたよ」

    ほむら「……呉キリカ。……魔法少女にならない方がいい事がわかっていても、少し惜しいわね……」

    さやか「ほむら。思っていても、それは……」

    ほむら「ごめんなさい。……このデータは使えるわね。コピーさせてもらう」

    ほむら「……含まれているデータは3つ。抽出できるのはワルプルギスの夜のデータのみね。後は暗号化されている」

    さやか「……暗号化?」

    ほむら「必要な鍵がなければ抽出できないような仕組みの事よ。……ソウルジェムの欠片にデータを仕込んだり、それに暗号化を行う事事態とんでもない事だけど」

    ほむら「ただ……2個の暗号化ファイルのうちの1個はひょっとすると……」

    ほむら「……なるほど」

    さやか「何かわかったの?」

    ほむら「美樹さやか。その欠片を一度指輪に戻して」

    さやか「え、……はい、戻したよ」

    ほむら「それに魔力を注ぎ込んでみて」

    さやか「……え?魔力って言われても」

    ほむら「そのソウルジェムの欠片自体に、回復魔法辺りをかけてみなさい」

    さやか「それでソウルジェムが復活することなんて」

    ほむら「そういうことじゃない。いいから、やってみて」

    さやか「うん。……ってえ!??」

    ほむら「わかった?」

    さやか「なんか頭の中に情報が……」

    ほむら「暗号鍵の一つは、あなたの魔法よ」


    322: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/04(日) 22:58:14.73 ID:LE1rHS1b0

    ?『偶然見つけられたのか、誰かに助けてもらったのかは知らないけどね。この中には私の魔法の基本構成を入れてある。これで君はソウルジェムの欠片を系由して、私の魔法を使う事が可能になったはずだ。私の『速度低下』、それなりに便利だから、うまく使うといい』

    ?『後、このソウルジェムの欠片にはワルプルギスの夜のデータが含まれている。君には絶対使いこなせないだろうから、暁美ほむらにでも渡してしまうといい。それとももう渡しているのかな?……このデータを先に見ている可能性もあるので一応いっておくと、まさか髪型が変わったとか、眼鏡を外したとかその程度の情報で、暁美ほむらを別人だとか誤認しないように。あれは私達の時代にいた暁美ほむらそのものだ。多少性格は変わっているかもしれないが、まぁそういう事は往々にしてある。君だって1年前と比べればいろいろ変わってはいるだろう?』

    ?『間違っても喧嘩売ったりしないように。……そこが一番不安だな。さやか、基本喧嘩っぱやいから。とにかく状況をしっかり見極めた上で行動を起こす事。意見が多少食い違ったからっていきなり喧嘩売るのではなく、相手の話を全部聞いた上で判断する事。喧嘩しないですみそうなら、そちらの道を選択する事……私の予想では、君は暁美ほむらとも、巴マミともぶつかりそうな気がするんだよ。この情報を先に見ているなら大丈夫だとは思うけど……いや、見ていても駄目かな』

    ?『巴マミといえば、その頃の巴マミはキュゥべえと一緒に行動しているはずだ。ま、改めて話をするまでもないだろうけど、キュゥべえは魔法少女が魔女になった際に発生するエネルギーを集めている。ただ、あいつの行動原理を見る限り、魔女化よりか、人を魔法少女に変える事の方を優先する傾向があるね。質より量って考え方なのかな。この辺はキュゥべえとも話した事があるけど、結局はぐらかされてしまったな』

    ?『何が言いたいかといえば、キュゥべえは魔法少女の契約の為なら嘘こそつかないけど、それ以外なら結構えぐい手も平気で使うということさ。あいつの利益とぶつかるような事があった場合、あいつの言葉は途端に信用できないものとなる。あいつの断定口調は信用できるけど、断定しない場合は情報の信用性は低く扱うこと。……キュゥべえの人心操作術はいろいろ学べる事も多いんだけど、君の場合そこから得られるものは、あまりないだろうなぁ……ま、この辺は聞き流してくれ』

    ?『……最後の3つ目は、どうだろう。そもそもデータとしてうまく入っているのかな。一応この情報打ち込み時には、最後の魔法を発動した段階で上書きするような仕組みは作っているけれど……ま、データとして含まれていないなら。この部分も忘れてくれ。』

    ?『だらだらと書き残してみたけど、これ使う事あるのかな……。まぁ、使わないですむなら、それに越したことはないんだけど。ちなみに、今ワルプルギスの夜と抗戦中。使い魔達もうまくやれているし、多分最後の魔法は無事発動するだろう。……基本私の嫌な予感は当たらないだろうし、この情報を残す意味あまりないんだろうな。ワルプルギスの夜が来るとかそんな予感がぴたりと当たっちゃったから、神経質になっているのかな。……最後の魔法発動時に消去しよう。万が一にでもこれを見られるのは、少し恥ずかしい』

    ?『以下、情報の上書き部分。まさか本当に来るとはね……。結果的に、恥ずかしいと書いたことが恥ずかしくなってしまったね!まぁ君に自分の命の大切さとかそんな事は教えなかったし、大体にして自分の命の重さとか一切考えた事なかったけど……実のところ、少し今はわかった気はするんだよ。それこそ恥ずかしいから言わないけど』

    ?『とはいえ、大体言いたい事は全て書き残してるし……あぁ、最後の三つ目。あれはデータとしては含まれているだろうけど、無視していいよ。……消せと言ってるわけじゃないよ。無視しろ、だからね』

    ?『うーん……やっぱ遺言かな。……命を粗末にするな。かな。命を大切にする人間に対しては、逆に命を粗末に扱えって言うんだけどね。こんな所来ちゃってる時点で君にはやっぱこちらであっているのだろう。つまりは、命を使うなら状況を見ろって話。私としてはここが命の使いどころだと判断したけど……君が来るとわかっていたら間違っても使わなかっただろうな!いや、怒っているというよりは、ある程度予想はしていたくせに後悔してしまっている自分への……この辺はよく纏まらないな』

    ?『っと、そろそろわれる。そうだな……折角だから絶対普段言わないような事を……。一応、私は君に頼っていたんだよ。実のところ、世界の救済と言っても何をやっていいかわからなくてさ。君の意見は結構参考にしていたんだ。君の言葉がなければ、私は今頃世界人類皆殺し計画を練っていたと思う、といえば分かるかな。それぐらいに私の正義は的を外れていたのさ』

    ?『だから、そうだね。君と出会えた事は私の人生にとってはプラスだった。かけがえのないほどに。織莉子が一番なのは揺るがないけど、ま、君は二番目ぐらいにはいたと思う。こっから先いろいろ大変だろうけど、健闘を祈るよ』


    323: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/04(日) 23:04:58.72 ID:LE1rHS1b0

    さやか「キリカの奴、最後にわざわざこんなメッセージ残してたのかよ……あはは……」

    ほむら「さやか……」

    さやか「何が二番目だよ。何が頼っていただよ。そんな事、あいつ生きてる内に一言も言わなかったじゃないか……」

    ほむら「……」

    さやか「……あたしは何もできなかった!キリカを助けにいったのに、結局またキリカに助けられて!キリカの為に何もしてやる事はできなかった!!」

    ほむら「それは違う。この世界のワルプルギスの夜を倒せば、救えるとキリカは言った。それならば、あなたのできることはまだあるはず」

    さやか「……何、慰めてくれてるの」

    ほむら「本人が言った事実よ。これに関しては私も同意見。パラレルではなく純粋に時間を戻しているのであれば、確かにそのパラドックスは発生するはず。……ワルプルギスの夜を倒しさえすれば、あなたの世界のキリカは復活する」

    ほむら「一緒に倒しましょう。ワルプルギスの夜を」

    さやか「……ほむらぁあ!」

    さやかはほむらに抱きつき、泣きじゃくった
    それを無碍に振り払う事は、ほむらには出来なかった


    324: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/04(日) 23:07:17.81 ID:LE1rHS1b0

    さやか「その、ごめん……」

    ほむら「別に洗濯すればいいし……少しは落ち着いた?」

    さやか「うん……もう大丈夫」

    ほむら「では、そろそろ本題に入りましょうか。……今後、どういう行動をとっていくか」

    さやか「その事だけど……マミさんと、佐倉杏子。この2人は味方につけるべきだと思う」

    ほむら「佐倉杏子に関しては賛成だけど……巴マミは、判断が難しいところね」

    さやか「というと?」

    ほむら「魔女化の真実を隠し通せるなら問題ない。ただ、もし隠し通せなければ……最悪、巴マミは敵に回る」

    さやか「……どういう事?」

    ほむら「……そういえば、あなたも正義の味方思考よね。ソウルジェムが魔女を産む事を知ってどう思……いえ、なんでもないわ」

    さやか「そこまで言って止めても……成程。魔法少女が魔女となるんだから、魔法少女も倒してしまえって考え方?」

    ほむら「……そうよ」

    さやか「魔女を倒した事で救えた人数が、自分が魔女となったことで犠牲となる人数を上回ればいいんじゃないかな」

    ほむら「……その発想は、いろんな意味でなかったわ」

    さやか「冗談だよ……。実はそれ、キリカとも話をした事があるんだけどさ」

    さやか「ゾンビ映画で、ゾンビになる前の善良な一般市民を殺す奴は害悪以外の何者でもないよね。と言われた」

    ほむら「その発想も、すごいわね……」

    さやか「そりゃいつかは魔女になるかもしれないけど……それはそれとして、そこまでに何ができるか、だと思うんだよ。少なくとも、あたしはそう考えてる」

    ほむら「『いつかは、今じゃない』か……」

    さやか「あ、それゆまちゃん理論」

    ほむら「あなたの世界でも言っていたのね」

    さやか「というか、そんな事を杏子は言われたらしいよ」


    325: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/04(日) 23:10:59.94 ID:LE1rHS1b0

    さやか「まぁ、少なくとも魔女化の真実が分かったからといって、魔法少女を殺すって発想はあたしはないと思う。そりゃ少しは考えた事もあるけどさ」

    ほむら「……魔女化の真実を知る状況によっては、巴マミはその考え方をもって暴走し、味方殺しを始めるの」

    さやか「そ、それは……。ちなみに、その状況というのは」

    ほむら「それは…………仲間内に、魔女が発生した時は大抵そのパターンね」

    ほむら「敵の魔法少女が魔女になった場合は、まだそれなりに理性を保ってくれるケースも多いわ。その状況化であれば、説得も聞くこともある。……でも、これも敵味方纏めて皆殺しってケースもあったわね」

    さやか「……最初に話してしまって、しっかり説得するというのは」

    ほむら「あなたは人から魔女化の事を説明されて、納得できる?」

    さやか「まどかやほむらや杏子やキリカやゆまちゃんに言われれば、信じる」

    ほむら「で、巴マミから言われたら?」

    さやか「……確かに、仲間になったばかりの人間にそれを言われて、とても信用できる話じゃない、か」

    ほむら「戦力としては、欲しい。でもその戦力が敵に回られる事を考えると、判断が難しい。それが、巴マミという魔法少女なのよ」

    さやか「うーん……取り敢えず明日会いに行く予定だし、ちょっとあたし自身、いろいろ探りは入れてみるよ」

    ほむら「さっき喧嘩したのに?」

    さやか「やっぱ聞いてたんじゃん……仲直りと、ほったらかしにした魔女の討伐。マミさんの実力も、この目で見てみたいし」

    ほむら「そうね。……巴マミの実力は、初めて見るなら誰しもが感動するほどのものだ、とだけ言っておくわ」

    さやか「……」

    ひょっとしてほむらも、マミさんを師事していた時期があったりするんだろうか……


    326: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/04(日) 23:12:52.67 ID:LE1rHS1b0

    さやか「じゃ、そろそろ帰るね。まだやる事もあるし」

    ほむら「こんな時間にやる事……ね」

    ほむら「……上条恭介の、治療?」

    さやか「正解」

    ほむら「……仁美の事は、知ってるはずよね」

    さやか「ん?仁美が恭介が好きってことは知ってるよ」

    ほむら「多分また同じ事を言われると思うのだけれど、あなたはそれに対して何か対策を打っているの?」

    さやか「……そこまでに、グリーフシードを集めまくる事、かな」

    ほむら「……手の怪我が治らなくても、退院自体はしてしまうのよね……」

    さやか「ま、大丈夫だよ。恭介が仁美と付き合うのはショックだけどさ。でも、それ以上に」

    あれを繰り返す方が、もっと嫌だ

    ほむら「……気をつけて。恋愛の悩みは、魔女化の理由としては、かなり多い部類に入る」

    さやか「一応策がない事はないんだよ。結構自信もある。まぁ成功しても、グリーフシード大量消費展開は間逃れないだろうけど……また泣きついてもいい?」

    ほむら「まどかに頼みなさい。あの子の方が、あなたの傷を癒してあげられる」

    さやか「つれないなぁ……」


    327: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/04(日) 23:14:24.11 ID:LE1rHS1b0

    --恭介のいる病院--

    さやか「この手の隠密行動も随分慣れたよなぁ……と、ここだ」

    恭介「Zzz」

    さやか「……恭介のヴァイオリン。また聞きたいけど」

    恭介に近づいても、恭介と一緒になる事は出来ない
    なら、近くにいればいるほど、辛くなってしまう

    さやか「ひょっとしたら、ほむらにとってのまどかも同じ感じなのかな」

    さやか「……考えても仕方ない。回復魔法っと」

    願わくば、この世界ではこの魔法が無駄にはならないように


    328: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(新鯖です)(神奈川県) 2011/12/04(日) 23:19:28.22 ID:LE1rHS1b0

    --マミさんの家--

    マミ「……」

    QB「美樹さやかの言っていた事は気にしなくていいと思うよ。少なくとも今日のレベルの魔女なら、君が負けるなんて事はありえない」

    マミ「うぅん。美樹さんの言っていた事は正しい。一般人を危険に晒すなんて、私は魔法少女失格ね……」

    マミ「決めた。明日美樹さんに会って、ちゃんと謝る」

    QB「……ワルプルギスの夜がもうすぐ現れるって事は前に話したよね」

    マミ「えぇ。それがどうしたの?」

    QB「君と一緒に、暁美ほむらや美樹さやか、それに佐倉杏子が一緒に戦ったとしても、ワルプルギスの夜の打倒は、難しいだろう」

    マミ「……!?」

    QB「そうなれば、君達は死に、見滝原は壊滅する。多くの人間が犠牲になるだろうね」

    マミ「……そん、な」

    QB「鹿目まどかの素質は君も気づいているだろう?あの力があれば、ワルプルギスの夜を倒す事は充分に可能だ」

    マミ「……でも、鹿目さんは」

    QB「見滝原住民全ての命がかかっているんだよ」

    マミ「……鹿目さんを犠牲にしろと?」

    QB「別にそこまでは言ってないよ。ただ、鹿目まどかが魔法少女となれば、多くの人間を助けることができる。もし彼女が最終的に自分の意思でそれを望むのであれば、拒否するのもおかしな話なんじゃないかな」

    マミ「……」


    360: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 21:31:39.36 ID:d/kwIbnw0

    ほむら「……美樹さやか」

    実力としては申し分ない
    ……だが、精神的な部分はどうだろう
    ソウルジェムの真実を既に知っていてそれでも自分を保っている
    見滝原の壊滅なんてものを乗り越えた上でここにいる
    その時点で大丈夫だと考えてもいいのかもしれないが……

    ほむらは浮かんでいる映像の一つを見る
    そこには一人の魔女が映っていた
    ……人魚の魔女 その性質は恋慕
    愛も正義も、全てを失った美樹さやかの姿

    ほむら「……まどかだけが、私の友達。そう考えていたはずなのに……」

    転校してきたばかりの自分に、お節介を焼いてくれた
    今の変わり果てた自分を見て、それでも親友だと言ってくれた
    自分と同じ時間を生き、方法は違うとはいえ同じように時間をわたってきた魔法少女
    ……この美樹さやかを失いたくない

    ほむら「……」

    ほむらは頭を振った
    たとえどれだけ時間がずれていこうと、まどかを絶望の運命から救い出す
    それが、それだけが私に残っている最後の道しるべ
    そこに、美樹さやかは一切関係ない

    ……情を持ってはいけない
    持てば、その死に引き寄せられてしまう
    そうやって死んでいった魔法少女達をどれほど見てきたか

    ほむら「……とはいえ、美樹さやかに頼らざるをえない状況なのも事実」

    どの道さやかの魔女化は避けなければならない
    さやかに魔女になられれば、また『詰み』だ
    ……それに今回、美樹さやかが戦力としてカウントが出来るというのも大きい
    これだけの好機。これを逃したら、次はないと考えてもいいのかもしれない

    ほむら「……今度こそ、まどかの運命を変えてみせる」

    その為に、美樹さやかを利用する
    ……そう考えなければいけない


    361: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 21:33:26.86 ID:d/kwIbnw0

    さやか「これで今日出来る事は粗方終了かな」

    上条恭介の腕を治した後、さやかは本来の自分の仕事、『正義の味方』をこなしていた
    今の時点で対処が打てるものは対処する
    ワルプルギスの夜対策も重要だが、自身の本業を疎かにするわけにもいかない

    さやか「……それにしても……ほむら、すごい変わっちゃってたな……」

    まどかにべったりで、引っ込み思案
    それでいて、名前の通り炎のような情熱も同時にあわせもっている
    これがさやかの持っていた当時の暁美ほむらへの印象だった

    今のほむらは……その炎を持ち合わせていない
    乾ききっている
    全てを諦めている
    そんな目をしている

    何度も何度も時間を繰り返したと言っていた
    それはつまり、それだけ、あの絶望を見てきた事を意味する
    ……一体どれだけの絶望を、ほむらは経験してきたのだろう

    さやか「……もうほむらに、絶望を見せてはいけない」

    ほむらの目に、希望を取り戻す
    全てを諦めたあの目に、今一度希望の炎を灯らせる

    さやか「よーし!頑張るぞー!!」

    朝日に向かってさやかは決意を新たにした
    ……この時点のさやかは、学校の存在を完全に忘れ去っていた


    362: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 21:34:47.10 ID:d/kwIbnw0

    まどか「おっはよう~」

    仁美「おはようございます」

    さやか「おはよ……Zzz」

    まどか「さ、さやかちゃん……。どうしたの、大丈夫?」

    さやか「うぅん、単純に寝てないだけだから……Zzz」

    仁美「歩きながら、寝てますわね……」


    363: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 21:37:38.58 ID:d/kwIbnw0

    キリカの魔法の中に、ひょっとして寝不足対策みたいなものはないかとソウルジェムの欠片を探したが、そんな都合の良い魔法はなかった

    さやか「……でも、キリカ初めに会った時、ほとんど寝ないで動きまわってたよな……」

    つまりあれは魔法を使ったわけでもなく、本当に自力でこなしていたというわけか
    ソウルジェムを無駄に濁らせるわけにもいかないし、そうなるとここで取るべき道は

    さやか「Zzz」

    まどか「さやかちゃん……」

    学校に着くと同時に、さやかは机を枕代わりに、そのまま眠りに入った


    364: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 21:38:27.25 ID:d/kwIbnw0

    --昼--

    さやかちゃん!

    さやか「……おはよう、まどか」

    まどか「さやかちゃん……もぅ……」

    さやか「今何時?」

    まどか「もう、お昼だよ……」

    さやか「そうなんだ……起こしてくれてありがとう、まどか」


    365: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 21:42:50.62 ID:d/kwIbnw0

    --屋上--

    さやか『ほむらもこよーよー!』

    ほむら『私は巴マミとそいつの動きを監視しているだけ』

    さやか『いや、確かにこいつが何でこんな所にいるのかは謎だけどさ……』

    一触即発。今の状況を一言で言うとそんな感じだった
    あたしとまどか 何故か屋上にいたキュゥべえ そしてそれを遠くで監視しつつお互いに牽制しあっているマミさんとほむら
    まどかはマミさんとほむらには気づいていない
    ……あたしとしては、まどかを連れてすぐに逃げてしまいたいたかった
    何故、昼ごはんを食べにきただけでこんな状況になってしまったのだろう

    QB「願い事は決まったかい?まどか」

    まどか「……キュゥべえ。わたしは契約なんてしない。少なくとも今は、まだ」

    QB「……美樹さやか、君はまどかに何を吹き込んだんだい?」

    さやか「ソウルジェムの正体」

    QB「……まどか、君は美樹さやかの言う事をそのまま鵜呑みにするのかい?」

    まどか「するよ。さやかちゃんは嘘つかないもん」

    ……や、まどか。流石にあたしも、今までの人生何回かは嘘ついてると思うよ……

    QB「まぁ僕としても無理に契約をするつもりはない。契約がしたくなったら、いつでも声をかえてくれればいいよ」

    まどか「……」

    さやか「……あれ?キュゥべえってそんなキャラだっけ。もっとこう、契約!契約!みたいな感じだったような」

    QB「……美樹さやか。君は本当に何者なんだい?」

    さやか「……まぁ、いずれ話すよ」

    既にまどかやほむらに口に出して説明した以上、キュゥべえには気づかれていると考えていいだろう
    逆に気づいていたとして、今あえてこういう聞き方をする理由があるとすれば……マミさん、か?


    366: SS寄稿募集中 SS速報でコミケ本が出るよ(三日土曜東R24b) 2011/12/11(日) 21:44:08.22 ID:d/kwIbnw0

    キュゥべえがいなくなり、マミさんの気配も消えた
    この場にはまどかとあたし……そして、隠れているほむらの気配だけが残る

    さやか『ほむら。いい加減出てこようよ』

    ほむら『まどかに契約する意思がない以上、まどかにそこまで干渉する気はない』

    さやか『……ほむら。話さなきゃ伝わらない事だって、あるんだよ』

    ほむら『伝える必要なんて、ない』

    さやか『……』

    まどか「さやかちゃん、どうしたの?」

    さやか「……ううん。なんでもない」

    ほむらはいつの間にか、立ち去っていた


    374: SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 20:19:00.00 ID:PEEzB+1I0

    --夕方--

    マミ「……いつまでそんな下手な尾行を続けるつもり?」

    さやか「尾行していたわけでもないんだけどね……」

    マミ「私を後ろから不意打ちでもしようとしていたの?」

    さやか「あぁいえ、全くそういうつもりはなくて……えぇと……その……」

    さやか「ごめんなさい!」

    マミ「!?」


    375: SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 20:20:36.56 ID:PEEzB+1I0

    さやか「昨日のあれは完全に言いすぎだった!まどかはあたしの大切な親友で絶対失いたくないんだけど、それでもマミさんの言ってる事だってしっかり聞いてあげるべきだったのにあんな別れ方しちゃって、だから、えぇと……」

    マミ「……その事はもういいわ」

    本当は、謝らなければいけないのは私だったはずなのに

    さやか「マミさん……」

    マミ「それで?今日は何の用?魔女のグリーフシードを独り占めしたいから、ここから出て行けとかそういう話?」

    さやか「そういうのではなくて……あたしは、見滝原に家もあるし、学校もある。というわけで、ここから出て行くわけにはいかない」

    ……自分のいた世界では家出してたけどね

    さやか「で、マミさんも見滝原に家もあるし、学校もある。つまりマミさんもここから出て行くわけにはいかない」

    マミ「何がいいたいの?」

    さやか「共同戦線張らない?同じ街にいてかつ、お互いそこから出られない以上、あるとすれば共存の道しかないと思うんだけど」

    マミ「……共存、ね」

    マミ「グリーフシードを奪うのが目的なら、相手を殺してしまう方が共存よりも手っ取り早い。共存を提案しておいて、油断したところを……ってところかしらね」

    さやか「あたしはそんな事考えない」

    マミ「怪しいものね。魔女との戦闘中、いきなり背後から刺されれば私だって対処のしようがないわ」

    さやか「む……」


    376: SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 20:21:41.13 ID:PEEzB+1I0

    さやか「そこまで言うならこうしよう。今からの魔女の戦い、好きな時に相手を狙っていいことにする」

    さやか「ただし、あたしは絶対マミさんを狙わない。でもマミさんは好き放題あたしに向かって撃てばいい。さぁこれでどうだ!」

    マミ「そんな言葉をそのまま信じると思う?」

    さやか「あーもう……マミさん。拘束魔法もってる?」

    マミ「え?……えぇ」

    さやか「まずそれであたしを拘束してよ」

    マミ「えぇ!?何を言っているの?」

    さやか「いいから!」

    マミ「……」

    巴マミの拘束魔法。リボンが美樹さやかを完全に拘束した

    さやか「……凄い。これだけのスピードで拘束されたら、かわす気だったとしても対処できたかどうか……」

    マミ「……それでどうするの?」

    さやか「マスケット銃を召喚して」

    マミ「?」

    さやか「信用できないならそれであたしを打ち抜けばいい。マミさんはこれで後顧の憂いなく魔女退治に集中できる……これでどう?」

    マミ「……」


    377: SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 20:22:46.20 ID:PEEzB+1I0

    マミは拘束魔法を解いた

    マミ「無茶苦茶ね。本当に撃ち抜かれたらどうするつもりだったの」

    さやか「その時は見る目がなかったってことで……」

    マミ「よくあなた、今まで生きてるわね」

    マミ「……でもどうしてそこまで?グリーフシード狙いでないとしたら、あなたの目的は何?」

    さやか「それは……」

    マミ「……言えないってわけね」

    さやか「……すいません……」

    マミ「……ついてきなさい」

    さやか「マミさん?」

    マミ「あなたの実力、見せてもらうわ」


    378: SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 20:24:21.60 ID:PEEzB+1I0

    ソウルジェムを使って魔女探索を行う
    地味な作業ではあるが、こればっかりは仕方がない

    さやか「マミさん」

    マミ「何?」

    さやか「その……ほむらの事、どう思ってます?」

    いい機会だし、うまくほむらが悪い奴ではない事を説明できれば

    マミ「私の友達を攻撃した敵ね」

    さやか「……ははは……そうだよね……」

    取り付く島もなかった

    マミ「そういえばあなた、暁美さんと友達だったのよね。あの子、前からあんな感じだったの?」

    さやか「前は……自信なさげでいつも自分を責めてるような、ちょっと内気なところもあるけど、優しい子だった」

    マミ「……あの暁美さんが?意外ね……」

    さやか「……いえ、過去形じゃなく現在進行形か。今もあいつは自分を責めながら戦い続けている」

    マミ「……あなたは、暁美さんと仲直りできたのかしら?」

    さやか「え?……まぁ、はい」

    マミ「私の友達を攻撃した暁美さんと仲直り、ね……」

    さやか「……ほむらにとって、まどかは特別なんだよ。ほむらは、まどかを危険な目にあわせたくない。だから魔法少女にもさせたくない。キュゥべえに攻撃をしたのも多分そういう事情があったんだよ」

    マミ「本当にそうなのかしら。……鹿目さんは物凄い素質を秘めている。そんな魔法少女が現れるのが邪魔なだけのように思えるわね」

    さやか「そんな言い方……!!」

    マミ「……ごめんなさい。私にはどうしてもあの暁美さんって子が信用できないの。あの子は底が見えなさすぎる」

    さやか「……」

    この話はもうやめよう。これ以上話を続けても薮蛇だ。

    さやか「まどかが物凄い素質を秘めているって、どれぐらいのものなんですか?」

    マミ「……そうね、私の見る限り、あの子は最強の魔法少女になると思う」

    さやか「最強?具体的に言うと?」

    マミ「低く見積もっても、一撃で見滝原を焦土にかえる程度の魔力は持っているでしょうね」

    ……

    さやか「いやいや!そんな魔法少女危険すぎるよ!」

    マミ「とはいえ、鹿目さんがそんな事に魔法を使う事はありえない。私の見る限り、彼女はそんな風にはならない」

    ……そりゃ確かにまどかはそんな事に魔法を使う事はないだろう
    だが、そんな魔法少女が魔女になれば?

    マミ「彼女が魔法少女になれば多くの人を救う事が出来る。……ワルプルギスの夜だって彼女の力があれば」

    さやか「……え?」

    マミ「着いたわ」


    379: SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 20:25:42.45 ID:PEEzB+1I0

    さやか「……!!マミさん!屋上!」

    マミ「任せて!!」

    屋上から女性が飛び降りてきた
    それをマミさんがリボンをクッションにして受け止める
    ……マスケット銃が主体の魔法少女だと思っていたけど、どちらかというとリボンが主体なのかもしれない

    さやか「命に別状はなさそうだけど、少し応急処置は必要そう」

    マミ「回復魔法についてはあなたの方が優秀みたいだし、頼んだわ」

    さやかは応急処置をその女性にすませ、巴マミと一緒に廃ビルの中に入っていった


    380: SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 20:28:12.84 ID:PEEzB+1I0

    --魔女結界--

    さやかは剣を召喚し、マミはマスケット銃を召喚する
    マミさんの武器を見る限り、まさか近距離主体ということはないだろう
    ……そういえば、遠距離型の魔法少女と組んで戦うのは初めてだ
    キリカもゆまも杏子も、基本近距離だったし
    なら、あれを試してみるのもいいかもしれない

    刀身を使い魔に向けて放つ
    そして剣から刀身を放ったことによって空になった弾層を排出する
    それと同時にマントから新しい弾層を取り出し、剣に装慎する
    これにより刀身は復活するので、それを再び使い魔に向けて放つ
    この動作を高速で繰り返すことにより、刀身発射を連続で行うことが可能となる
    あたしの剣。わざわざ弾層で刀身が復活するような仕様になってる事を考える辺り、これが本来の使い方なのかもしれない
    ……杏子やキリカやゆまちゃんが一緒の時は、刀身の爆発が危なくてあまり使う機会はなかったけど

    マミ「……不思議な剣ね」

    さやか「えぇ、あたしも何でこんな風になっているのかよくわかりません」

    マミ「……魔法少女の武器はある程度その人の性質が現れるって話を聞いたことがあるけど……」

    さやか「……飛び出して、爆発するのがあたしの性質……なのかな」

    そう間違えてもいない気がする

    マミ「ま、まぁでも一概にそうとも言い切れないかも。過去に私の会った事がある魔法少女にもいろんな子がいたし!」

    さやか「へぇ、どんな?」

    マミ「それはまた話す機会があれば……ね」

    マミもまたマスケット銃を連続召喚しながら使い魔を撃破していく


    381: SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 20:31:47.86 ID:PEEzB+1I0

    マミの射撃技術
    それはさやかにとって驚嘆に値するものだった
    狙う、撃つ、銃を再召喚する
    言葉にすればそれだけだが、その行程が恐ろしく速い
    さらに、マミは自身への攻撃態勢に入っている危険度の高い敵を優先的に排除し、態勢に入れていない敵については優先度を低くして対処している
    これだけの精密な射撃を的確な判断の元、高速に行っているのだ

    ……成程、杏子やほむらが絶賛するわけだ
    あたしもあの一年で射撃には相当自信をつけていたつもりだったけど、それでもマミさんにはついていくだけで精一杯だ

    しかしながら驚いているのはマミも同様だった
    マミが敵に対してつけている優先度を完全に把握し、その上でマミにとってなるべく優先度の低い相手を狙い撃ちにしている
    それと同時に自身に迫っている使い魔に対しても的確に対処している
    つまり、さやかはマミの動きを完全に把握し、その上で自身に迫る使い魔の動き、マミに迫る使い魔の動き等複数要素から優先度をつけて戦っているのだ
    この魔法少女は相当にマクロな視点で戦闘を行っている

    マミ「……!!」

    さやかの目の前に使い魔が出現した
    だが、さやかはそれを無視してマミを背後から狙っていた使い魔を投剣で撃破する
    さやかの目の前にいた使い魔は巴マミの手によって撃破された
    ……既にマミの狙いに入っていたのが見えていたので、あえてさやかは目の前の敵を無視したのだ

    マミ「……呆れた。もし私が撃たなければ使い魔の攻撃が直撃していたわよ」

    さやか「?マミさんの背後にも敵が迫ってたし、今のが最善の判断だったと思うけど」

    マミ「……本当に、呆れた子」

    グリーフシード云々言っていた自分が、少し恥ずかしい


    382: SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 20:33:35.67 ID:PEEzB+1I0

    --魔女の結界最深部--

    さやか「薔薇園の魔女、か」

    マミ「知ってるの?」

    さやか「鋏や蔦を使った攻撃を得意としている魔女。かなり強いから気をつけて」

    マミ「あなたこそ」

    まず、さやかが先手必勝とばかりに剣を複数召喚し、刀身を発射した
    しかし、それを薔薇園の魔女は空を飛んで回避する

    さやか「……くっ!」

    魔女の結界の中にいるせいか、前に戦った時より数段動きがいい
    多少の調整は必要か

    空をとぶ魔女に対しマミが銃を撃つが、ことごとくが回避されている
    逆にマミに対して使い魔が纏わりつく

    さやか「マミさん!」

    さやかは一刀を召喚し、そのまま自らに速度向上の魔法をかけ高速の剣撃を放つ

    さやか「スクワルタトーレ!!」

    使い魔は一瞬で切り裂かれ、マミは解放された

    マミ「ありがとう」

    ……?マミさん必殺技帳の技なんだから、それに対して少しぐらい突っ込みがあってもよさそうなものなのに

    さやか「……ひょっとすると」

    マミ「どうしたの?」

    さやか「いえ……しかしあの魔女。意外とすばしっこい。なら、ここは」

    『速度低下』
    呉キリカの魔法をさやかは使った
    薔薇園の魔女の速度が大幅に低下する

    マミ「……やるじゃない。なら私も。レガーレ・ヴァスタアリア!」

    マミは空を飛ぶ薔薇園の魔女の真下に向けて銃弾を撃ち込んだ
    ……なるほど。マミさんのマスケット銃。構成しているのは恐らくリボン
    さやかは銃弾から何かが産み出されるのを確認し、必殺の魔法の準備に入る

    銃弾から幾重にもわたるリボンが現れ、薔薇園の魔女を拘束する
    マミは、必殺の魔法を放つべく、巨大な銃を召喚した
    それとほぼ同時で、さやかも同じように巨大な剣を召喚している

    マミ「……まさか」

    さやか「多分思ってる通り!いっせーのでお願いします!」

    マミ「……わかったわ。いっせーの……」

    さやマミ「ティロ・フィナーレ!!」

    巨大な銃弾と刀身が薔薇園の魔女を貫いた


    383: SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 20:35:18.73 ID:PEEzB+1I0

    マミ「まさか、私以外のティロ・フィナーレを見る事になるなんてね」

    さやか「あたしも本家本元ははじめて見たよ」

    マミさんの本家本元ティロ・フィナーレ
    攻撃力こそ同等だが、精度と発射までにかける時間があたしのものと格段に違う……まだ、この魔法には上があるってことか

    マミ「他の子には、その魔法は危険だから使わないように言ってきかせてるんだけど。……あなたにはそれは言う必要はなさそう。初めてよ、ここまで完璧に再現されたのは」

    さやか「あたしのはまだまだ未熟ですよ。マミさんのものに遠く及ばない」

    マミ「……私も追いつかれないように精進しないとね」

    流石に自分の考えた魔法を自分以上に使いこなされてしまっては立つ瀬がない

    マミ「さて、グリーフシードを落としたけれど」

    さやか「む……いらない。何かグリーフシード目的で倒したと思われるのは嫌だ」

    マミ「……今回の戦いはあなたの手柄でもあるわけだし……半分こ、しない?」

    さやか「……う……」

    マミ「今日の戦いを見て分かった。あなたはいろいろ私に隠してるみたいだけど、いい子であることは間違いない。……仲直りの意味もこめて、ね?」

    さやか「……そういうことなら」


    384: SS速報でコミケ本が出るよ[BBS規制解除垢配布等々](本日土曜東R24b) 2011/12/31(土) 20:36:27.24 ID:PEEzB+1I0

    マミ「……それにしても、キュゥべえから聞いた限りあなたはつい最近まで魔法少女じゃなかったみたいね。それなのにこの実力……」

    さやか「……」

    いっそ未来から来たと言っても信じてもらえるんじゃないだろうか
    それでほむらの事も話してしまえば……ただ、信じてもらえなければ一気に不信感が増してしまう。ここでそれはあまり得策ではないようにも思える

    マミ「それも、何か言えない理由があるのね。……まぁ、いいわ。今度私の家に遊びにこない?あなたと鹿目さんで。歓迎するわよ」

    さやか「え……いいの?」

    マミ「えぇ。もう今更、あなたに関して信用できないとか言う気はないわ」

    さやか「……その、できればほむらも……」

    マミ「……ごめんなさい。暁美さんは別」

    さやか「……そう……だよね……」

    マミ「でも、いずれ……そうね。今回は無理でも、暁美さんには私から、少しずつ話しかけるようにしてみる」

    さやか「マミさん!」

    マミ「その……暁美さんの気持ちもあるし、あまり期待しないでね」

    さやか「大丈夫だよ。マミさんならきっと」

    マミ「そうだったらいいんだけど……ね」


    396: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/11(水) 23:22:04.62 ID:n9OxnUSp0

    --夜 ほむらの家--

    ほむら「何故当然のように私の家に上がりこんでいるのかしら」

    さやか「今回は友達の家に泊まりに行くって家族に伝えてから来たから、ばっちり!」

    ほむら「何がばっちりなのかよく分からないけど」

    ほむら「……それで、巴マミとはどうだったの?」

    さやか「取り敢えず協力関係は築けそう。ほむらの事も許してくれそうな雰囲気だったよ」

    ほむら「……流石ね。あれだけ険悪に別れておいて友好関係が築けるなんて」

    さやか「……それを言うなよぉ。これでも反省してるんだからさ」

    ほむら「言い方が悪かったわ。でも、あの警戒状態に入った巴マミと友好関係が築けるってすごいことよ。どんな手を使ったのかしら」

    さやか「どんな手って……その場のノリ、かな」

    ほむら「……それで何とかできてしまう事がすごいのよ」

    そういう事が出来るのは、美樹さやかの強みだと純粋に思う
    ……私とは大違いだ

    さやか「それとワルプルギスの夜の事なんだけど……ってほむら?どうかした?」

    ほむら「何でもない。……ワルプルギスの夜がどうしたの?」

    さやか「あ、うん……今日話を聞く感じ、ワルプルギスの夜の事をマミさんも知ってる風だった」

    ほむら「恐らくキュゥべえから聞いたのね」

    さやか「……ひょっとするとマミさんのまどかへの勧誘は、ワルプルギスの夜対策の部分もあるのかもしれない。願い次第な部分もあるとは言え、本来ルーキーをあれに挑ませるなんて愚策なんだろうけど……」

    ほむら「まどかならば、ワルプルギスの夜を一撃で撃破する事も可能。そういう意味では、確かに対ワルプルギスを想定する上でまどかを魔法少女に勧誘させるという方法は間違えてはいない」

    さやか「……あれを一撃、か」

    それだけの力を持った魔法少女が魔女になった時、どれほどの絶望を産み出すのか……

    ほむら「無論まどかを魔法少女になんか絶対にさせないし、魔女化の事を考えれば対ワルプルギスを想定していてもさせるわけにはいかない。……とはいえ、魔女化の事を巴マミに話すわけにもいかない」

    さやか「でも、マミさんはワルプルギスの夜と戦うことに選ぶと思うよ」

    ワルプルギスの夜のような存在を前にして、マミさんが逃げるようなことは考えにくい
    あの人は多分一人になろうとワルプルギスの夜に立ち向かうだろう
    ワルプルギスの夜が来る事を知らないのであれば、やり方はいくつかあったのだが……

    さやか「少なくとも対ワルプルギスの夜に向けてマミさんと協力関係を結ぶ事は、もう避けるわけにはいかないと思う」

    ほむら「……魔女の話を隠しつつ、まどかの勧誘は阻止しつつで付き合っていくしかないわね」


    397: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/11(水) 23:23:32.88 ID:n9OxnUSp0

    さやか「……それにしても……」

    ほむら「どうしたの?」

    さやか「魔女化の事を抜きにして考えたとしても、ワルプルギスの夜と戦う為にまどかを勧誘する……なんて手をとる人にも思えなかったんだよ。……ちょっと贔屓目入ってるのは認めるけどさ」

    ほむら「……巴マミがまどかを勧誘する理由はそれだけではない。……けど……」

    巴マミは孤独さ故に仲間を求めている部分がある
    ……が、今回巴マミは魔法少女となった美樹さやかに出会った

    ほむら「ひょっとすると今回は本当に、巴マミと友好的な関係を築けるかもしれないわね」

    さやか「お!ほむら、何か策が?」

    ほむら「策はあなたよ」

    さやか「……マミさんは孤独だから、まどかを求めてる。ならあたしが仲間になれば、それは解消されるってこと?」

    ほむら「そう」

    さやか「……理屈はわかるけど、そういう打算めいたやり方はあまり好きじゃない」

    ほむら「もしワルプルギスの夜の事がなかったとして、あなたは巴マミと協力関係は組まないの?」

    さやか「それは……そりゃ、組もうと考えるだろうけどさ」

    ほむら「難しく考えなくていい。あなたはあなたのまま巴マミと接すればいいのよ」

    さやか「……わかった」


    398: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/11(水) 23:26:35.17 ID:n9OxnUSp0

    さやか「そういえばほむらは今日何をやっていたの?」

    ほむら「かざみのに行って佐倉杏子を探していたわ。……結局見つからなかったけど」

    いつもならこの時期はキュゥべえ狩りを実施していた
    その上で巴マミとコンタクトを取り、仲間にする
    ……その後佐倉杏子とも、場合によっては美樹さやかも仲間にしていた
    そして美樹さやかの魔女化を避けることが出来た時、辿り着いた結末は……

    ほむら「……」

    さやか「ほむら……ほむら!!」

    ほむら「……どうしたの?」

    さやか「どうしたのじゃないよ!突然真っ青な顔になって」

    ほむら「……なんでもないわ」

    さやか「なんでもなくないよ。少し横になる?」

    ほむら「なんでもないと言ってるじゃない!!」

    さやか「……ごめん」

    ほむら「いえ……今のは私が悪い。不快な思いをさせてごめんなさい」

    さやか「ほむら……うん。何でもないならいいんだよ」

    ほむら「……」

    ……巴マミは美樹さやかに任せる
    マミに関して言えば、明らかに私よりさやかの方が相性がいい
    そう考え、佐倉杏子の勧誘を前倒しで実施すべく探していたが……

    ほむら「結局私は、あなたにばかり負担をかけているわね……」

    さやか「いや、一日探して見つけられなかったぐらいで何言ってるのさ。あいつは居場所を転々としてるし、そう簡単に見つけられるような奴じゃない」

    ほむら「それは分かっているのだけれど……」

    まどかにソウルジェムの真実を伝えることが出来た
    巴マミとも友好的な関係を築くことが出来そうだ
    全て未来から来た美樹さやかのおかげで

    さやか「ほむら、まさか自分が今何の役にもたってないとかそんな事考えてない?」

    ほむら「……事実よ。これだけ時間を繰り返してきたのに、一体私は何を」

    さやか「さやパンチ!(弱)」

    ほむら「痛!」


    399: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/11(水) 23:30:14.91 ID:n9OxnUSp0

    ほむら「……くない。むしろ心地いい。ってそんな馬鹿な」

    流石にそんな気質は私にはない……はず

    さやか「そりゃ回復魔法併用してるからね……ってそんな事はどうでもいい」

    さやか「あたしが今までやった事を話してみるよ。まどかに魔法少女の真実を伝えた。自分やほむらが未来から来た事も伝えた。マミさんと喧嘩した。その後仲直りした。これぐらいかな」

    さやか「うまくいってるからいいけど……もし、まどかがあたしの言う事を全く信用しなかったら?マミさんとの件だって完全に嫌われてしまう可能性だってあった。うまくいってるのは、ただそれが結果としてうまくいっただけの話だよ」

    さやか「で、今回のほむらの杏子探索。結果見つからなかったらその行動が正しくなかったなんて言ったら違うよね。この段階で佐倉杏子が見つけられて、仲間にできるならそれに越したことはないんだから」

    さやか「役にたつとかたたないとか、結果だけで見ればそりゃそうかもしれない。でもそれって全く意味がない事なんだよ。大事なのはその行動の内容。その観点で見た場合ほむらの行動は全く間違えていないし、役にたっていないとは言えない」

    ほむら「……それは誰かの受け売り?」

    さやか「……うん。実はこれもキリカの受け売りです」

    良手が悪い結果を生み出す事もあるし、悪手が良い結果を生み出す事もある
    大事なのは結果ではなく、その結果を生み出すに至った手段であるべきだ
    悪手で成功した人間は、その悪手で後に手痛い失敗を経験する事になる
    だ か ら 例えうまくいってもちゃんと振り返りを実施して、自分の行動に反映していかなきゃ駄目だよ!というキリカの教え
    ……多分、あたしの行き当たりばったりな行動に対する戒めの意味で伝えてくれた話なんだとは思う

    ほむら「本当に、あなたに大きな影響を与えていたのね。キリカは」

    さやか「あたし自身、このキリカの話をしっかり生かせていないと思うけどね」

    結局今回も行き当たりばったりである


    400: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/11(水) 23:32:13.25 ID:n9OxnUSp0

    ほむら「あなたの言うとおりね。少し弱気になってたみたい」

    さやか「ほむら……その、さ。あたしじゃ頼りないかもしれないけど、相談事ぐらいには乗ってあげられるかもしれないよ」

    薄々気づいてはいた
    ほむらの精神状態は相当に不安定だ
    ……こんな悪夢のような時間を永遠と繰り返したのだから、当然だろう
    むしろ今の状態を保っている事の方が奇跡に近い
    何とか支えになってあげたいのだけれど……

    ほむら「……心配かけてごめんなさい。でも、大丈夫だから」

    さやか「……そっか」

    ほむらは強いのだ
    それを一人で支えきれてしまうほどに
    そしてそういうあり方は、崩れてしまえば、脆い
    普通の人間ならそこから建て直しもできるけど、魔法少女はそれがそのまま致命傷になることだってある
    ……見滝原が壊滅した時。キリカや杏子やゆまちゃんがいなかったら自分などとっくに魔女になっていただろう
    支えてくれた人達がいたから、今自分はここにいることができる

    さやか「ま、今ほむらとあたしは同じ目的の為に頑張ってるんだからさ。お互いの荷物はお互いで背負っていこうよ」

    ほむら「……ありがとう。気持ちだけ受け取っておくわ」


    401: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/11(水) 23:33:44.70 ID:n9OxnUSp0

    ほむら「荷物といえば……あなたの持ってきた荷物。随分大きいけど」

    さやか「ん?そりゃワルプルギス戦までずっとここに泊まる予定だからね」

    ほむら「……はい?」

    さやか「家族の許可は貰ってきたから大丈夫だよ」

    ほむら「あなたの家族に一度会ってみたくなってきたわ……じゃなくて!」

    さやか「ワルプルギス戦まであまり時間がない。本当は学校もさぼっちゃいたいけどそんなわけにもいかないし……せめて最低限の時間は節約して行動したい」

    ほむら「……別にいいけど。布団そんなに数あったかしら……」

    さやか「大丈夫だよ。床があれば寝れるから。外でダンボールで寝るのに比べたら、それで充分だよ」

    ほむら「……未来のあなたに何があったのか問い詰めたいところね……」

    ……そういえば、私が最初にいた時間。美樹さやかは行方不明になっていた
    魔女に殺されたのかもしれないと考えていたけれど、こうして生存しているわけだから……

    さやか「寝袋もばっちり買ってきたしね」

    ほむら「……良かった。布団あった。ほら、寝袋に入らないで、ちゃんと布団使って」


    402: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/11(水) 23:36:46.15 ID:n9OxnUSp0

    その後、今後の方針等を話しあった。
    結局引き続きあたしはマミさんと一緒に行動し、ほむらは杏子を探索するというところで決着した

    ほむら「さて、明日も早いし、そろそろ寝るわよ」

    さやか「なんか友達の家に寝泊りとかひさしぶりだよ。ちょっとドキドキするよ」

    ほむら「ドキドキ、ね……」

    私は毎ループあなたの行動にドキドキしっぱなしだ
    ……今回も例外ではないが

    さやか「そうだ、ほむら。これは聞いておきたかったんだけどさ」

    ほむら「何かしら」

    さやか「『人魚の魔女』ってあたしだよね」

    ほむら「……」

    さやか「後、あたしって魔法少女になったら大抵魔女になっていたのではないだろうか」

    ほむら「…………」

    さやか「よし、ビンゴ!」

    ほむら「何で、こんなタイミングで」

    さやか「ごめん。……多分気を使って隠してくれてそうだったからさ。そういう気遣いは不要だよって言いたかったんだ」

    ほむら「……」

    さやか「それだけ!おやすみ!」

    ほむら「……まったく」


    403: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/11(水) 23:40:17.15 ID:n9OxnUSp0

    この美樹さやかについて、理解できてきた
    美樹さやかは強い
    戦闘面でも、精神面でも
    何よりちゃんとその場その場で考えて行動してくれているのが心強い
    ……が、反面今までの美樹さやかの抱えていた甘さや、感情での行動も目立つ
    しかもさやかはそれを自分自身で理解をしてはいるのだ

    ほむら「面倒な仲間を持ったものね」

    そう思いつつ、それほど嫌でもないなと思っている自分がいる
    ……危険な傾向だ。私は多分、このさやかに好意を持ちつつある
    この子を失った時、私はそれに耐え切れるのか……

    さやか「Zzz」

    ……人の気もしらないで……

    さやか「……恭介、まどか、仁美、ほむら……みんな死んじゃうよ……誰か、助けて……」

    ほむら「……」

    ほむら「……大丈夫です。ここにいますよ。美樹さん」

    さやか「ほむら……よかった……Zzz」

    ……本当に、危険だ


    418: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/23(月) 21:50:45.99 ID:yD/IKsm50

    まどか「な、何かドキドキするよ……」

    さやか「うーん……本当はほむらも連れてきたかったんだけどねぇ……」

    --回想--

    ほむら「あなた達だけで行きなさい」

    ほむら「……巴マミに誘われたのはあなたとまどかだけ。下手に私がついて行って険悪になれば、今後に影響が出る」

    --回想終わり--

    さやか「気にしすぎだと思うけどなぁ……」

    まどか「スーハー」

    さやか「……てい!」

    まどか「わわわ!さやかちゃん!びっくりさせないでよー!」

    さやか「いやーちょっとリラックスさせようと思って」

    まどか「うー……さやかちゃんは未来から来てもさやかちゃんだよ……」

    さやか「どういう意味だー!このこのー!」

    まどか「やめてよさやかちゃん。やめてー」


    419: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/23(月) 21:52:44.18 ID:yD/IKsm50

    まどか「……そういえばさやかちゃん。……上条君のお見舞いって行ってる?」

    さやか「ん?行ってないよ。……恭介に何かあったの?」

    まどか「上条君の手が突然治ったって。今はまだ足のリハビリ中だけど、それが終われば退院できるんだって」

    さやか「……そりゃ、あたしが治しちゃったし」

    本当は足も治してしまいたかったけど……腕の方と違い、恭介の足はしっかり全快する。折角ここまでリハビリを頑張って後少しというところなのに、それを魔法で治してしまったらそれまでの恭介の努力を全否定しまうような気がした

    まどか「……さやかちゃん。上条君の事好きなんだよね」

    さやか「……好きだよ」

    まどか「なら、お見舞いに」

    さやか「あたしはもう恭介の事と一緒になる気はないんだけど……今恭介に会ってしまえば、その決意が揺らぐ。そうなった時に、仁美が恭介に告白した時のソウルジェムへの影響が怖いんだ」

    まどか「あ……」

    さやか「……それに……気恥ずかしくてさ。ほら、あたし一年間恭介と会ってなかったし。眠ってる姿ぐらいならまだ大丈夫だけど、おきてる姿なんか見たらもうね」

    どんな形であれこの気持ちに決着はつけるべきだとは思ってる
    ……でも、それをやるべきは今じゃない

    まどか「ごめん……」

    さやか「謝らないでよ。あたしの勝手みたいなもんなんだし」

    まどか「……」

    さやか「……この話はもうやめよう?それより今からマミさんちに行くんだからその事について話そうよ」

    まどか「……うん」


    420: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/23(月) 21:54:07.25 ID:yD/IKsm50

    まどか「……マミさん。わたしの事怒ってたりしてないかなぁ」

    さやか「?どうしてさ」

    まどか「だって……さやかちゃんがマミさんと喧嘩した時、わたしすぐにさやかちゃんを追いかけちゃって、マミさんの事全然考えてなかったし……」

    さやか「やー……あれはあたしの責任だし。もうそこは仲直りしたんだから、まどかの事だって気にしてないと思うよ」

    まどか「本当かな……」

    さやか「……ケーキの量が半分こになってたり」

    まどか「そんなのあんまりだよ!」

    さやか「ぅぉぅ」

    ……おいしかったもんね。あのケーキ

    まどか「あ……えぇと、別にケーキの為にマミさんの家に行くわけじゃなくて……」

    さやか「よし、それならまどかの分まであたしがマミさんのケーキを食べてあげよう」

    まどか「……さやかちゃんのいじわる」

    さやか「あはは」

    --マミの家--

    マミ「待ってたわ。さぁ、上がって」

    まどか「お邪魔します」

    さやか「お邪魔します!」

    まどか「マミさん。この前は本当にすいませんでした」

    マミ「……あの件は私が悪かったと思ってる。美樹さんの言う通り、まだ魔法少女にもなっていない子を魔女との戦いに巻き込もうとするなんてどうかしてた。……本当にごめんなさい」

    まどか「マミさん……」

    マミ「……だから今日はその仲直り会の意味も込めて、いつもよりはりきってみました!」

    さやまど「おー……」

    ケーキにクッキーに紅茶にその他お菓子もろもろ……
    以前来た時よりラインナップが豪華だ

    マミ「おかわりもあるから、遠慮せずに食べてね」


    421: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/23(月) 21:55:51.07 ID:yD/IKsm50

    いろんな話をした
    それはまどかとあたしの出会いの話だったりまどかの演歌論だったりマミさんの昔の話だったり……
    特に心に残ったのがマミさんの昔会った魔法少女の話、
    その時の苦い経験……
    多分これって杏子の事なんだろうな
    ……あいつにそんな可愛い時期があったなんてなぁ……

    さやか「じゃぁその魔法少女は今、かざみのにいるんですか?」

    マミ「いえ……あの子はもうかざみのに拘る理由がない。いろんな街を転々としているんじゃないかしら」

    さやか「……」

    あたしが会った時はゆまちゃんが一緒にいた
    ……あの頃の杏子はゆまちゃんに気を使ってあえて同じ場所に留まっていたのかも
    そうすると、佐倉杏子は今現在かざみのにいない可能性もでてくる
    ほむらに相談してみて、場合によっては探索規模を拡大させたほうがいいのかもしれない
    ……

    さやか「マミさん。……ワルプルギスの夜の事、知ってるよね」

    マミ「……えぇ。後一ヶ月……いえ、数週間もしない内にワルプルギスの夜が現われる」

    さやか「マミさんの言ってた友人だった魔法少女。彼女やほむらと力を合わせて戦うのが、ワルプルギス戦では最善かと思う」

    マミ「いえ、それは最善ではないわ」

    さやか「……というと?」

    マミ「鹿目さんに契約してもらい、ワルプルギスの夜を撃つ。それが最善策よ」

    まどか「!?」

    さやか「マミさん、まどかを……」

    まどかを犠牲にするような案は賛成できないと言おうとして
    それを言い切る前に視界が歪んだ

    さやか「……あれ?」

    まどか「さやかちゃん、どうしたの?」

    さやか「うぅん。特に何かしたわけでもないのに、眩暈が……」

    いや、この感覚は……

    さやか「……やられた」

    さやかは剣を召喚し左手に突き刺した
    さらに痛覚を若干強化する
    痛覚で一時的に眠気がはじけ飛ぶ

    マミ「……」

    そのまま右手に剣を召喚して
    その剣はマミのマスケット銃で撃ち弾かれた

    マミ「動かないで」

    空中に複数召喚されたマスケット銃。それらは全てさやかに向けられている

    さやか「……流石」

    足元からリボンが発生し、さやかは完全に拘束された


    422: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/23(月) 21:57:40.79 ID:yD/IKsm50

    マミ「まさかそんな方法で眠気を消そうとするなんてね……私の部屋を汚さないでほしかったんだけど」

    さやか「……」

    まどか「え?え?」

    マミ「……悪いけど。鹿目さんをここに呼び寄せる為に、美樹さんを利用させてもらったわ」

    まどか「……!」

    マミ「鹿目さんにお願いがあるんだけど、いいかしら」

    マミ「キュゥべえと契約をして、魔法少女になってくれない?」

    まどか「!?」


    423: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/23(月) 21:59:52.01 ID:yD/IKsm50

    さやか「……マミさん……」

    さやか「……全部、演技だった?」

    さやか「ほむらと仲良くするといった事も、仲直りといった事も、……今日、ずっと楽しそうに話をしてきた事も全て!」

    マミ「そうよ。全ては鹿目さんをここに誘き出し、あなたを油断させる為の布石。……まさかここまでうまく踊ってくれるなんて思ってなかったけれどね」

    マミ「……剣を消して、回復魔法を使ったら?拘束されててもそれぐらいはできるでしょう?」

    さやか「……」

    今痛覚がなくなれば確実にそのまま眠り落ちてしまう
    ここでひくわけにはいかない

    マミ「……まぁいいわ」

    マミ「鹿目さん。ワルプルギスの夜についてどのくらい知ってるのかしら?」

    まどか「……さやかちゃんから一通りの事は聞きました」

    マミ「なら、話は早いわね。……ワルプルギスの夜を倒す為、あなたの力がほしいの」

    さやか「マミさん。魔法少女になるってことがどういうことか」

    マミ「私達……友達だったあの子の力を借りたとしても、ワルプルギスの夜は倒せない。このままでは見滝原は終わりを迎えてしまう。……でも鹿目さんの力ならその運命を変えることが出来る」

    まどか「……わたしの力で?」

    マミ「そうよ。救いのない絶望も、避けようのない悲劇も、あなたの力で覆す事が出来る。……鹿目さん。あなたの力をこの街の為に捧げてほしいの」

    さやか「……キュゥべえがはっきり言ったの?あたし達ではワルプルギスの夜を倒せないって」

    マミ「うぅん。難しいといっただけ」

    さやか「……可能性が0じゃないのなら……」

    マミ「可能性が0じゃないのなら立ち向かうつもり?1%でもあるのなら、99%無理だといわれても。絵に描いたような正義の味方ね」

    マミ「……でも私は違う。私達にワルプルギスの夜を倒せる可能性が薄いのであれば、確実にワルプルギスの夜を倒す方法をとる。……その為には鹿目さんの力に頼るしかない」

    まどか「でも、魔法少女は、ソウルジェムは……」

    さやか「まどか!駄目!!」

    今この状況で言っても信じてなどくれない
    もし仮に信じてくれたとしても、この状況化では最悪の結末にしか繋がらない

    まどか「でもさやかちゃん!このままじゃ……!!」

    マミ「美樹さんに何か吹き込まれたのね。……鹿目さんの願い事を私が決めてあげる」

    マミ「『美樹さんを蘇えらせてほしい』それが、あなたの願い。これでどう?」

    まどか「!?」

    さやか「……あんたはどこまで……」

    マミ「そうね、その願いを叶える為には……」

    マミは浮いていた銃の一つを手にとった

    マミ「この銃を撃つ必要があるわね」

    まどか「待って!……マミさん、待ってください……」

    さやか「……まどか。大丈夫、策はある」

    まどか「?……さやかちゃん?」


    424: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/23(月) 22:03:15.73 ID:yD/IKsm50

    マミ「へぇ……この状況でどんな策があるというのかしら」

    さやか「……ほむらをこの場所に呼ばなかった理由が分かる?」

    マミ「……」

    さやか「今、ほむらは遠くから狙撃銃でマミさんの部屋に狙いを定めている。もうあたしをマミさんが殺そうとしているのは見えている。今はテレパシーで止めてるけど、あたしを殺せばほむらはマミさんを撃つ」

    嘘だ
    今回ほむらに一緒に遊びに行かないかと誘ったけれど、ほむらをそんな風に待機するようには一言も言っていない
    ……マミさんはほむらに対して警戒している
    なら、このハッタリは充分に有効なはずだ

    マミ「……なるほど、ね。流石にあなたもそこまで馬鹿ではなかったというわけ」

    マミ「でもね。別に相打ちでもいいの。最終的に鹿目さんが魔法少女にさえなってくれればいいんだから。鹿目さんが美樹さんを救う。ワルプルギスの夜も倒される。……私の命一つで全てがまるく収まる……違う?」

    さやか「……!?」

    つまりマミさんは自分の命を捨てる覚悟でこんな策を……

    マミ「さようなら。美樹さん」

    まどか「マミさんやめて!わかった!わたし魔法少女に……!!」

    さやか「まどか!」

    ほむら「その必要はないわ」

    一瞬だった
    浮かんでいた銃は全てへし曲がり、あたしを狙っている銃はマミさんの手に持っている銃ただ一つとなる

    マミ「え!?」

    ほむら「……」

    最後の銃を盾で弾き飛ばし、ほむらの膝蹴りがマミさんの腹部に直撃した

    マミ「ぐ!!」

    さやか「ほむら……どうしてここに?」

    ほむら「私はあなたほど甘くはない」

    そういいながら、ほむらはあたしの手に突き刺さっていた剣を引き抜くと、その剣を使ってリボンの拘束を解いた


    425: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/23(月) 22:04:45.69 ID:yD/IKsm50

    実のところ美樹さやかのハッタリはそれなりに的を射ていた
    さやかは完全にマミを信用しきっていたが、私はあの一件以来巴マミを常に信用していない
    ……そもそも本当の意味で信用している人間なぞ私にいるのかと問われると疑問ではあるが
    万が一にでも巴マミが凶行に及べばまどかの命が危ない
    そう考えて近くに潜んでいた
    結果、今回はそれが表に出たようだ

    ほむら「さやか、回復魔法を使って少し休みなさい。このままではソウルジェムへの負担が大きい」

    さやか「ん……でも、ほむら」

    ほむら「ここはもう大丈夫。私を信用して」

    さやか「……わかった。じゃぁ、後は任せ……」

    と言いながら、さやかは崩れおちた

    まどか「さやかちゃん!」

    まどかが慌ててさやかを支える
    ……本当にぎりぎりのラインで耐えていたのだろう

    ほむら「……さて」

    ほむらは巴マミに向き直り……デザートイーグルを向けた


    426: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/23(月) 22:06:54.26 ID:yD/IKsm50

    マミ「……痺れをきらして出てきたって訳?」

    ほむら「美樹さやかの名誉の為に言うわ。さやかは何も考えてなどいなかった。ただ友人の家に遊びに行くと、まどかと一緒にはしゃいでいた。……こんな事が待っているなんて欠片も考えてなどいなかった」

    ほむら「私がいたのは最初からあなたが信用できなかっただけ。私だけの意思であり、美樹さやかは一切関係がない」

    マミ「……」

    ほむら「……分かっているの?あなたはあなたを信用してくれた仲間の信頼を踏みにじったのよ!他ならぬあなた自身の手で!」

    ……私はいつの巴マミに向かって、この言葉を投げかけているのだろう

    マミ「……私に本当の仲間なんて必要ないわ。あの子と別れて以来、今までだってずっと一人でやってきた。そしてこれからもずっと。美樹さんは利用した。鹿目さんもワルプルギスの夜を倒す為に利用する。ただそれだけよ」

    ほむら「……!!」

    衝動的に巴マミの頬を殴っていた
    ……『利用する』か
    私だって巴マミとやってる事は対して変わらないのに

    マミ「銃は使わないの?」

    ほむら「あなたなんかに使う弾が惜しい」

    マミ「……甘いのね。あなたも、美樹さんも」

    ほむら「……何とでも言いなさい」

    ふとテーブルを見た
    ケーキは砕け散り、ティーカップがあちこちに四散している
    ……やめよう。考えたところでもうどうしようもない

    ほむら「まどか。帰るわよ」

    まどか「……うん」


    427: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/23(月) 22:09:29.55 ID:yD/IKsm50

    --ほむらの家--

    さやか「……ここは……」

    ほむら「私の家。ついさっきまでまどかもいたけれど、遅くなったからもう家に帰らせた」

    さやか「……完全に下手打ったね。あたし」

    ほむら「あれの予測は不可能よ。私だって今日見張ってはいたけど、その実こんな事が起こるなんて想定もしていなかった」

    友達をあれだけ欲している巴マミが友達を裏切るような行動をとるなんて……
    恐らくキュゥべえに誘導でもされたのだろうが

    ほむら「むしろそこよりも……手に剣を突き刺して眠気を抑えるなんて……無茶がすぎるわ」

    さやか「……無茶しなきゃ、まどかは契約してたよ」

    ほむら「それは……」

    その通りだ。……私は何を言っているのだろう

    さやか「……魔法少女は痛覚がコントロールできる。とはいえ分かりやすく痛みが発生している箇所がないと痛覚を発生させる事は難しい。……結局その一手分の遅さでマミさんにマスケット銃を召喚されてしまった」

    でも仮に最初から剣を召喚していたとしてあのスピードに対処できただろうか
    ……厳しかっただろうな
    マミさんからすれば確実性をとって睡眠薬を使ったんだろうけど……?

    さやか「……でも、あれ?」

    マミさんは全てが演技だったと言った
    仲直りも、ほむらと仲良くすると言ったことも
    ……でも、本当にそうなのだろうか
    そうであれば薔薇園の魔女との戦いの前、あたしにあれだけきつく当たってきた必要性が見えない
    あそこであたしがきれてしまえばそれで終わりだったわけだし
    マミさんが知りえる情報内で、普通あんな手を打つか?
    ……ひょっとしてマミさんの中でも、考えがゆれている?

    ほむら「……とにかくこれではっきりした。巴マミは敵よ。ワルプルギスの夜が来るまでひたすらに勧誘してくるだろうから、私がそれを徹底して妨害することにする。……あなたは私の変わりに佐倉杏子をお願い」

    さやか「……わかった」

    全ては楽観的な推測だ
    大体キュゥべえからワルプルギスの話を聞いたタイミングがいつかも分かっていないわけだし
    ……あたしは失敗した。マミさんの手に完全に踊らされた
    そう考えるべきだろう

    ほむら「……その、ショックだろうけど。あまり無理はしないようにね」

    さやか「……ありがとう、ほむら」


    428: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/23(月) 22:10:49.74 ID:yD/IKsm50

    --マミの家--

    QB「失敗したね。マミ」

    マミ「……えぇ、そうね。……でも、これで良かったのかもしれない」

    QB「マミ?」

    マミ「だってそうでしょ?ワルプルギスの夜の為に鹿目さんを犠牲にして、美樹さんや暁美さんまで傷つけて、こんな作戦成功するべきじゃない」

    QB「見滝原はどうなってもいいというのかい?」

    マミ「……そんなわけない。そんなわけないけれど……」

    成功しなければいけなかった
    でも失敗してほしかった
    だから美樹さんにあんなに辛くあたったのに、それでもあの子はそんな私を信用してくれて……
    暁美さんの言うとおり
    私は自分を信頼して一緒に戦ってくれた仲間を、裏切ったんだ

    マミ「……そうね。もう後にはひけない」

    鹿目さんを契約させ、見滝原を救う
    それしか道がないのだから仕方ない。でも……

    マミ「……本当にこれでよかったのかな……」


    485: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 14:39:54.64 ID:TUhPfVSl0

    --ほむらの家--

    さやかを先に寝かせ、ほむらは一人スクリーンを映していた
    その中には今までの巴マミが映っている

    ほむら「……これだけ早い段階でまどかが魔法少女の真実に辿り着くことは今までなかった」

    それが巴マミの今回の行動に結びつくとしたら、間違いなくキュゥべえの仕業だろう
    けれど……

    ほむら「あの時の巴マミの指はトリガにかかっていなかった」

    「さようなら。美樹さん」と巴マミは言った
    だがその後本当に巴マミは引き金をひいただろうか
    考えるまでもない
    錯乱してもいない巴マミが仲間を殺すわけがない
    つまりは、完全なブラフだ
    あれで鹿目まどかが契約すると言えば儲けものといったところだったのだろう
    契約しなければ「気が変わった」だの、「死体を処理するのが面倒だ」だの「部屋を汚したくない」だの適当な理由をでっち上げてまた別の手を打てばいい
    美樹さやかの蘇生なんて願いに拘る必要性はどこにもない
    ただ、まどかに願いを叶えさせてしまえば契約としては事足りる

    ……おかしな点は他にもある
    私の不意打ちに対して巴マミは本当に何の反応も出来なかったのか?
    その前に美樹さやかが狙撃銃なんて警戒を煽るような事を言っていたのに?
    大体あの後普通に素手で殴ってしまったが、いくらなんでもあれは避けれる
    そもそもまどかの契約を狙うのであれば、あの場面私達を逃がす理由がない
    いくら不意打ちが成功したとはいえ局面としてはまどかと眠っているさやかを抱えている以上、あちらの方が有利だったのだ
    では何故逃がしたのか?
    ……巴マミにはこちら側に状態が気になってしかたがない怪我人がいた
    私の不意打ちをそのまま受けたのはその怪我人が治療できるような状況を作り上げる為
    逃がしたのは、その怪我人の回復魔法がどこまでのものか断定できない以上、ここでの追撃はその怪我人を最悪危険にさらす事態になると判断した……
    大方こんなところだろう
    そもそも巴マミと戦って巴マミからの攻撃によるダメージを全く受けていないというのがおかしいのだ

    ほむら「……どっちが甘いのよ」

    巴マミが睡眠薬を使ったのは事実だし、美樹さやかの信頼を踏みにじったのも事実だ
    巴マミは敵となった。それは間違いない
    ……ただ、巴マミが守りたかったものは見滝原の住民もあるだろうけど、それ以上に……


    486: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 14:41:42.06 ID:TUhPfVSl0

    --マミの家--

    QB「ところでマミ。疑問があるんだけど」

    マミ「……何。キュゥべえ」

    QB「何故、美樹さやかを殺そうとしたんだい?君のやろうとしている事と矛盾しているじゃないか」

    マミ「……殺す気はなかったけど殺すように見せる必要はあった。これであの子達は私の目的が何なのか絶対に辿り着くことは出来ないはず」

    暁美さんの奇襲
    確かに作戦は失敗したけれど、ある意味において大成功だった
    美樹さんのブラフに乗った形とはいえ、結果としてこれ以上ないほどの演出となった
    これで実は殺そうとしてなかったなどと気づく人間は誰もいない
    もし仮に気づいたとしても、それを断定できる根拠は何もない

    QB「でも、別にいちいち目的を隠す必要なんてないじゃないか」

    マミ「……あなたはあなたの命を守る為にあなたの親友を危険な運命に巻き込むと言われたらどう思う?」

    QB「……どうだろうね。ただ君達の価値基準で考えるなら命より重いものはないんだろう?なら親友を危険な運命に巻き込む方をとるべきじゃないのかな」

    マミ「……あなたはそう考えるのね……」


    487: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 14:42:37.98 ID:TUhPfVSl0

    --次の日--

    マミ「……もう、こんな時間。……パトロール、行かなくちゃ……」

    今だって魔女に襲われている人がいるかもしれない
    ……気持ちを切り替えないと

    マミ「まずは優先度の高いところから……歓楽街……病院……」


    488: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 14:44:35.28 ID:TUhPfVSl0

    --病院--

    恭介「……さやか!?」

    まどか「ごめんなさい……」

    恭介「鹿目さんか……どうしたんだい?」

    まどか「その、少し話があって……」

    恭介「……入って」

    恭介「……さやか。僕の腕が治ったって聞いてどうだった?」

    まどか「……喜んでたよ。さやかちゃん、ずっと上条君の腕が治るよう祈ってたんだもん。喜ばないわけないよ」

    恭介「……そうか」

    さやかが恭介の事を諦めたといった日
    お見舞いに行く事をやめた日
    それ以降、まどかはこうして上条恭介のお見舞いに来ていた
    ……さやかちゃんは諦めたといっていたけど、好きなのに諦めるなんてそんな終わり方は悲しすぎる
    何とかできないのだろうか
    そう考え、病院のロビーをうろうろしていた所を、上条恭介に発見されたのが始まりだった

    恭介「本当のことを教えてくれないかい?」

    まどか「……本当のこと?」

    恭介「さやかはもう、僕の事が嫌いになったんじゃないかな」

    まどか「そんなこと……!!」

    恭介「……無理もないさ。いつも沈んでいて、時に八つ当たりだってしたこともあった。そんな僕の傍にいつまでもいるほうがおかしいんだ」

    恭介「……それに、思うんだ。怪我をする前から……いくら親友といっても、さやかは僕と一緒にいすぎた。ヴァイオリンだけが生きがいのような僕とずっと一緒にね」

    恭介「こうして腕は治ったけど……さやかは僕の為に人生を縛られすぎている。……さやかにはもっと自由に生きてほしいんだ。僕なんかに構うべきじゃない」

    まどか「……違うよ上条君!さやかちゃんは上条君の……」

    看護婦「ごめんなさい。そろそろリハビリのお時間ですよ」

    恭介「うん。わかった。……鹿目さん。それじゃまた」

    まどか「……」

    --病院の外--

    まどか「……このままじゃ……」

    上条君はさやかちゃんの事を大事に思っている
    さやかちゃんだって上条君の事が好きなのに……

    まどか「……なんで、うまくいかないのかな」

    ……まどかは気づいていなかった
    孵化寸前のグリーフシードから発生した黒い霧が、まどかを包み込もうとしていることに


    489: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 14:46:23.72 ID:TUhPfVSl0

    ほむら「……!!」

    まどかの反応が途絶えたのは病院のすぐ外……恐らく魔女だ
    しかもあの位置に現われるとするならば、現状一番厄介なあの魔女……

    ほむら「迂闊だった……!!」

    美樹さやかが上条恭介のお見舞いに行かなければ、どうなるか?
    この可能性を全く考慮できなかったなんて……!!
    とにかくすぐに魔女結界まで

    ほむら「……」

    ……ここからではテレパシーが届かない。ほむらは携帯電話を使った

    さやか「やっほーほむ」

    ほむら「魔女結界にまどかが捉われた。場所は見滝原の病院……上条恭介のいる場所よ」

    さやか「!!」

    ほむら「私は今から魔女結界まで向かう。あなたもお願い」

    さやか「もう向かってる!」


    490: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 14:48:31.68 ID:TUhPfVSl0

    --魔女空間--

    マミ「チョコレートにレーズンにクッキー……さながらお菓子の魔女といったところかしらね」

    まだ魔女の結界は完全に完成しきっていない
    今ならまだ病院に影響が出る前に対処する事が可能そうだ
    ……後ろに気配を感じマミは振り返った

    マミ「……暁美、さん」

    ほむら「……巴マミ」

    マミ「……この前の決着でもつけるつもり?」

    ほむら「今回の獲物は私が狩る。あなたは退いて」

    マミ「……そういうわけにもいかない。魔女を倒すのが、私の役目よ」

    ……これぐらいしかもう、私には縋れるものがない

    ほむら「今のあなたにこの魔女を任せるわけにはいかない……どいて」

    今の巴マミは精神状態が不安定だ。まさか負けるとは思えないが、万が一がありえる

    マミ「……」

    ほむらに無数のリボンが絡みつく

    ほむら「……巴マミ……!!」

    マミ「そこで大人しくしていなさい。……結界も張ってる。使い魔程度なら近寄ることすら出来ないはずよ」

    ほむら「……今回の魔女は今までの魔女とはわけが違う!!」

    マミ「……そう。心に留めておくわ」

    ほむら「待って!この先には……この先にはまどかが……!!

    マミ「……」

    巴マミは無言で去っていった

    ほむら「……く……」

    ……最悪だ


    491: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 14:49:21.61 ID:TUhPfVSl0

    まどか「嫌……やだ……!!」

    2度目の魔女結界
    でも、今はさやかもほむらもいない
    一生懸命隠れていたが……ついに見つかってしまった

    使い魔「キキキ」

    まどか「誰か、助けて……」

    銃声が響きわたり、使い魔は一瞬で弾けとんだ

    まどか「……あなたは……」

    マミ「……」


    492: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 14:50:32.62 ID:TUhPfVSl0

    まどか「……マミさん……」

    マミ「……何?」

    まどか「わたしの契約……まだ諦めてないんですよね……」

    マミ「……ここで強引に迫れば、あなたは契約してくれるのかしら?」

    まどか「……」

    マミ「……」

    マミ「取引をしましょうか。私が魔女を倒したら、あなたには契約をしてもらう」

    まどか「!?そんなのって……!!」

    マミ「どうするの?あなたの答えに、病院の人間全ての命がかかっている」

    ……鹿目さんが断ろうと契約を決めようと、魔女を倒す事に変わりはないが

    まどか「……」

    マミ「答えられないなら、そうね。特別に別の条件を提示してあげる」

    いつぞや、屋上で美樹さんが鹿目さんに話したと言っていた
    ……あの美樹さんが話した事だ。恐らく本当の事なのだろう
    美樹さんは教えてくれそうになかったが、或いは鹿目さんなら

    マミ「ソウルジェムの正体を私に教えてくれれば、この魔女は私が倒す」

    まどか「え!?で、でもそれは……」

    さやかちゃんにも口止めされていて……でもこのままじゃ……

    マミ「どうするの鹿目さん。全てはあなた次第よ」

    まどかは迷い、決意し、そして口を開いた

    まどか「ソウルジェムは魔女を産むんです。ソウルジェムが完全に濁りきった時、ソウルジェムはグリーフシードへと変化を遂げ魔女へと産まれ変わる。それがソウルジェムの真実です」

    マミ「……!?」


    493: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 14:51:58.48 ID:TUhPfVSl0

    信じられなかった
    いや、信じたくなかった
    ……でも、一方で……

    マミ「……それが事実として、私の体はどうなるの?普通の人間に戻るとも思えないけど」

    まどか「……魔法少女になった時点で魂はソウルジェムに変化しているんです。つまりソウルジェムがなくなれば、魔法少女は死ぬ」

    マミ「……突拍子がなさすぎて、とても信じられない」

    ……でも、あの美樹さんがそんな嘘をつくとも思えない

    マミ「……約束は約束。魔女は私が倒す。……今からあなたを結界の外に移動させる時間的な余裕もない。ついてきなさい」

    まどか「……はい」


    494: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 14:52:56.44 ID:TUhPfVSl0

    マミ「あれがお菓子の魔女、ね」

    ぬいぐるみ……のようにしか見えない
    まったく動きがないのが逆に不気味だ
    ……これまでの魔女とはわけが違う、か
    ……使い魔相手にいくらか手傷を負ってしまったあたり、
    自分が本調子ではないのはもう見えている
    ……時間を長引かせれば、それだけ戦いが不利になる

    マミ「一気に決める」

    一連の連続攻撃の後、マスケット銃でお菓子の魔女を空に打ち上げ、必殺の魔法を放つ

    マミ「ティロ・フィナーレ!!」

    巨大な銃弾はリボンへと変化して、お菓子の魔女を絡みとり、
    一瞬で絶命させる……はずだった
    だがしかし、お菓子の魔女の口から大きな蛇のような化け物が現われ……


    495: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 14:53:45.70 ID:TUhPfVSl0

    巨大なケーキにティーカップ
    まるで不思議の国のような空間
    ……さっきまでいたお菓子の魔女の結界とは違う。ここはどこだろう?
    ……あの赤い髪は

    マミ「佐倉、さん……?」

    ……違った
    微妙に似ているが造詣が歪な……使い魔だ
    よく見ると佐倉さん以外にも、美樹さんや鹿目さん、暁美さんにそっくりな使い魔もいる
    ふと自分の姿を確認する

    マミ「……」

    異形のそれは、魔女そのものだった


    496: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 14:56:19.99 ID:TUhPfVSl0

    マミ「……死ぬ間際に見る夢……というわけでもなさそうね……」

    ……恐らくこれがソウルジェムの真実
    魔法少女の末路

    マミ「魔法少女が魔女になるなら……もう死ぬしか……」

    遠くで話声が聞こえる

    QB「願い事を決めるんだ!まどか!」

    まどか「……」

    マミ「……キュゥべえ?」

    何故こんなところに……
    いや、待て
    つまりは……そういうことか

    QB「早くしなきゃ君が死んじゃうよ!!」

    まどか「……きゃあああああああ!!」

    マミ「……」

    鹿目さんの悲鳴が聞こえる
    ……無理もない。こういうものは聞かされるのと実際に見せられるのでは全く違う
    お菓子の魔女の標的は、いまや私から完全に鹿目さんに移っている
    今の私なぞ興味にも値しないといったところか

    ……この魔女結界が完全に動き出せば病院の人の多くは犠牲になるだろう
    何より、このままでは鹿目さんが殺されてしまう
    ……大丈夫、まだ動ける

    QB「さぁ契約を!!」

    マミ「その必要はないわ」

    まどか「……え?」

    QB「マミ!?」

    つい最近誰かが言っていた台詞をそのまま使い、銃を空に向けて撃った
    まだ自分は戦えるという意思表示
    お菓子の魔女が再びこちらを振り向いた
    体が痛い。というよりもさっきの魔女の攻撃で体が半分近くなくなっている
    左手、左胸、左足……左半身の大部分はもっていかれた
    ……だが、今の一撃で終わっていた可能性も考慮すればこれでも充分ましだ
    本調子ではないし、動揺もあった
    だけどソウルジェムがもし魂だとすれば、それさえ守りきれば一撃死は避けられるかもしれない。そう判断した上での回避行動が、吉と出た
    私の魔法、命を繋ぐリボンを体に直接結びつけ、なくなった箇所の代用品とする
    まどか「マミさん!!」

    マミ「鹿目さん、もう大丈夫。……あなたは私が守る」

    魔法少女が魔女となる
    つまり、鹿目さんは最強の魔法少女となると同時に最悪の魔女となる
    こんなもの、最善の策でも何でもない
    まんまとキュゥべえに乗せられた……いや、判断したのは自分か
    鹿目さんを魔法少女にすれば誰も死ぬ事はない
    見滝原の住民を……鹿目さんも、美樹さんも、暁美さんも、そして佐倉さんも確実に死なずにすむ選択肢。それを私は選んだつもりだった
    だが、そんなものはなかった
    もし鹿目さんの魔力から魔女が産まれれば、世界が終わる
    ……みっともない愚行の挙句が、この様だ
    せめて美樹さんや、鹿目さん、暁美さんに謝りたい
    私が馬鹿だったと 本当に悪かったと
    でも、もうそんな時間は残されてはいない
    ……ならば、私が最後にすべきことはそんな泣き言ではない


    497: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 14:57:43.48 ID:TUhPfVSl0

    さやか「ほむら!」

    さやかはほむらを拘束しているリボンを一気に切り裂いた

    さやか「……どうしてこんなことに?」

    ほむら「話は後!私につかまって!!」

    さやかはほむらの手を掴み
    ほむらは時間停止を発動させた

    さやか「これがほむらの……」

    ほむら「私の手を離さないで。あなたの時間まで止まってしまう」

    さやか「ほむら、マミさんはどこに?」

    ほむら「この結界の最深部。魔女のところよ」

    さやか「……ほむら、これって触れてさえいればいいんだよね」

    ほむら「……そうだけど」

    さやか「ならさ。ほむら、ちょっと私に背負われてくれないかな」

    ほむら「?こう?」

    さやか「よし。じゃぁ、一気にいくよ!!」

    速度向上魔法を自身にかけ、さやかは一気に加速した


    498: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 14:59:42.12 ID:TUhPfVSl0

    さやか「……魔力の残り香?」

    点々とソウルジェムが反応するレベルの魔力が塊となって放置されている。
    これは一体?

    ほむら「……それは恐らく巴マミのものよ。それを伝っていけば魔女の元に……まどかの元にも辿り着けるはず」

    さやか「……でも、何故こんなものを?」

    ほむら「最悪のケースの為の保険。でしょうね」

    もし巴マミが死ねばあのリボンは外れる
    そこで魔力の残り香を辿れば最短ルートで魔女の元に辿り着ける
    ……最悪の場合、私にお菓子の魔女を任せるつもりだったのだろう

    ほむら「本当にあの人は……」


    499: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 15:01:29.83 ID:TUhPfVSl0

    マミ「私を食べ残したのが仇となったわね。好みのお菓子とは違ったのかしら?」

    お菓子の魔女「!」

    お菓子の魔女が急接近してくる
    ……さっきの噛み付き攻撃だ
    一度見た手は二度と……と言いたいが、この代用品を使っている体では完全に回避する事は難しいか
    また体の一部を食いちぎられる
    だが当然ただでは終わらせない

    お菓子の魔女「!?」

    お菓子の魔女の口の中にマスケット銃を放りこんだ
    ……というより、お菓子の魔女が噛み付こうとした地点にマスケット銃を配置していた
    今の状態では痛みでまともな射撃すらままならないが、
    これならば外しようがない
    マスケット銃をお菓子の魔女の口の中で撃ち放つ

    マミ「……」

    痛みがひどい上にリボンに魔力をまわしている状況では、マスケット銃の生成は精々一本ずつといったところか
    ……この魔女を倒すには充分だ

    お菓子の魔女が再び襲い掛かる
    だが、今度はさっきより遅い
    恐らく噛み付く瞬間にまたマスケット銃を召喚される事を警戒しているのだろう
    ……狙い通り
    お菓子の魔女の横につき、マスケット銃の銃口をその体に突きつけ、撃ち放つ

    お菓子の魔女「!!」

    怒った魔女が再び噛み付きにかかる
    それを寸前までひきつけ、回避する
    ……直撃こそ避けれたものの、また攻撃を受けてしまった
    ……が、攻撃を受けた部分はリボンで再構成をした箇所。今お菓子の魔女は私のリボンを食べてしまったことになる。つまりは

    お菓子の魔女「!?」

    再びお菓子の魔女の口の中で爆発が発生した

    ……完全にこちらの手の上だ
    何をすればいいか分からなくなっている魔女に対し、確実に手を打っていく


    500: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 15:03:15.55 ID:TUhPfVSl0

    さやかは思わず呆然としてしまった
    マミさんの体はもう6割がた残っていない
    足りないパーツを全てリボンで代用している
    そしてそのリボンも既に真っ赤に染まっているような状態
    ……マミさんは痛覚遮断を知らないはずだ
    いくら魔法少女の元々の痛みがかなり抑えられているとはいえ、あんな状態で動けるはずがない
    でも、それなら今あたしが見ているものは何だ?

    「まぁ少なくともあたしの知る限りでは最強の魔法少女だったな。能力とかそういう類の強さではなく、ただ強かったんだ」

    かつての佐倉杏子の言葉を思い出す。見滝原最強、正義の味方巴マミ……

    まどか「さやかちゃん!ほむらちゃん!」

    さやか「まどか!?」

    その声で我に返った

    さやか「ほむらはあの魔女を頼む!あたしはマミさんの回復にまわる!」

    ほむら「わかった」

    ほむらは手榴弾を魔女に向かって投げつける
    魔女の標的が巴マミから、暁美ほむらに変更される

    ほむら「……来なさい」


    501: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 15:04:59.81 ID:TUhPfVSl0

    マミ「美樹さん?……良かった」

    今、魔女と戦っているのは暁美さんのようだ
    ……あの魔女を圧倒、か
    まさかあそこまで強いなんて

    マミ「……どうやら、何とかなりそうね」

    そういいながら、巴マミは崩れ落ちた

    さやか「マミさん!今グリーフシードと回復魔法を使うから!」

    マミ「……無駄よ。今の私の体が見えてないの?」

    さやか「それは……!」

    マミ「……そのグリーフシードはあなたの為にとっておきなさい。私なんかの為に使うのは勿体無い」

    さやか「マミさん……」

    マミ「……ちょっとだけ話を聞いてくれる?」

    マミ「……魔法少女は魔女になる。ソウルジェムの正体ってそういう事よね?」

    さやか「……!!」

    マミ「でもこの事実が確信できた時、ショックではあったけど……少しほっとしちゃった。だってもうこれで鹿目さんを強引に魔法少女にするなんて事を考えなくていい。こんな馬鹿みたいな事はやめる事が出来るって」

    さやか「マミさん……?」

    マミ「……ワルプルギスの夜を倒す為に鹿目さんを魔法少女に巻き込むなんて手は取るべきではないとわかっていた。それでも……」

    それでも、振り払う事が出来なかった
    魔法少女になったあの日。家族を全て失ってしまったあの瞬間
    ワルプルギスの夜によってそれが再現される
    そんな事だけはどんな手を使ってでも避けたかった

    マミ「……なんでもない。忘れて」

    今更話して、何になるというのだろう


    502: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 15:06:09.55 ID:TUhPfVSl0

    魔女結界が消え去った
    暁美さんがお菓子の魔女を倒したのだ

    ほむら「……もう虫の息だった。あなたがあのまま戦っていても、勝つことはできたでしょうね」

    マミ「あら、気を使ってくれているの?」

    ほむら「……まさか」

    まどか「マミさん!」

    マミ「……美樹さん。……鹿目さんに、暁美さんも。ごめんなさい。私がどうかしてた。もう少しで……取り返しのつかない事を、私はしてしまうところだった」

    マミ「謝ってすむ問題じゃない事もわかってるけど……本当にごめんなさい」

    さやか「マミさん今はそんな事……!」

    マミ「うぅん。今だからこそ、よ」

    まさか本当に謝れるなんて
    悪人の結末にしては恵まれすぎている


    503: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 15:08:12.40 ID:TUhPfVSl0

    マミ「ソウルジェムの濁りがひどい。これをこのまま放置すれば、私は魔女になる」

    さやか「……!!」

    ほむら「……自分でやるのがつらいなら……」

    マミ「そこまで面倒を見てもらう気はないわ。これぐらい一人でやれる」

    マミはマスケット銃を手にした

    マミ「……最後は一人で逝きたい。悪いけど、ここから立ち去ってもらってもいいかしら」

    ほむら「……わかった。行くわよさやか……さやか?」

    さやかはマミのマスケット銃を切り捨てた

    さやか「いつぞやのお返しってことで」

    マミ「……こんな時に何を?」

    さやか「はい、グリーフシード。これでもう少しもつよ」

    マミ「……美樹さん……」

    ほむら「さやか。もうあなたの回復魔法でも巴マミを回復させる事は不可能よ」

    さやか「確かに、あたしの回復魔法なら不可能だろうね」

    あたしのならね

    ほむら「……!?この魔法は……?」

    さやか「あたしの魔法で不可能でも……ゆまちゃんの回復魔法なら!」

    ほむら「!?」

    確かに千歳ゆまの魔法は回復魔法というよりは、肉体の再構成レベルまで達していた
    あれならばひょっとしたら巴マミの傷を癒す事も可能かもしれない
    でも、あれは千歳ゆまの膨大な魔力があったからこそ成立する魔法だ
    もしさやかが使えば

    さやか「こんな終わり、あたしは認めない。あたしの力で覆してやる!」

    ほむら「馬鹿!やめなさい!!!」

    千歳ゆまの回復魔法が、美樹さやかの手によって発動した


    504: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 15:09:24.47 ID:TUhPfVSl0


    深い水の中にいる
    ……実のところこの経験は別に初めてというわけではない
    というより、無茶をした時は大抵このパターンだ
    この光景についてずっと疑問に思っていたけど、
    これってあたしの魔女となった姿が『人魚の魔女』だったからなんだ……
    ……まぁそんな事はどうでもよくて、問題は今回、結構深いところに沈んでいるということである
    ちょっと自力での回復は難しいかもなぁ……どうしたものか……

    まどか「さやかちゃん!!」

    ほむら「さやか!!」

    マミ「美樹さん!!」

    声が聞こえる
    ……水が引いてきた


    505: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 15:12:41.18 ID:TUhPfVSl0

    目が覚めたら3人が目の前にいた

    さやか「……おはよう」

    まどかに抱きしめられ、ほむらには……殴られた

    ほむら「あなたを大切に思っている人のことも少しは考えなさい」

    ほむらの手にはグリーフシードが握り締められていた
    多分あれであたしのソウルジェムを浄化してくれたんだろう

    さやか「ごめん。助かったよ、ほむら」

    さやか「……え?でも大切に思ってる人って」

    ほむら「まどかよ」

    さやか「……そうですか」

    本当につれない……

    マミさんは終始困ったような顔をしていた
    ……マミさんの体は見る限り、元に戻っているようだが……

    さやか「マミさん、もう大丈夫?」

    マミ「えぇ、大丈夫なんだけど、その……」

    ほむら「ついさっきやっとまともに歩くことが出来るようになったところよ。……千歳ゆまの回復魔法を完全再現することは出来なかったようね。そのおかげであなたは助かったようなものだけど」

    さやか「あー……」

    見よう見まねではあったけど、何回も使ってるところは見てたし大丈夫だと思ったんだけどなぁ……

    さやか「ごめんなさい。うーん……次使う時はもう少し構成を工夫して」

    まどか「さやかちゃん!」

    さやか「……ごめん。流石にこの魔法は封印だね」

    マミ「そういう事じゃなくて……なんで私の為に、こんな事を……?」

    さやか「……?マミさんは困った人がいたら、手を差し伸べようとするよね」

    マミ「……そんな感覚でこんな無茶を……」

    さやか「ところで、さ。少なくとももうまどかを無理やり魔法少女にするって事は考えてないんだよね。なら提案があるんだけどさ」

    さやか「マミさん。あたし達と一緒に、ワルプルギスの夜を倒そう!」

    マミ「……」

    あんなにひどい事を言われて
    銃まで突きつけられて
    信頼を完全に踏みにじられたのに

    マミ「……本当に凄い子ね。あなたは」

    さやか「え?」

    マミ「わかった。私の力でどこまで役に立てるかわからないけど……できる限りあなたの力になってみせる」

    一度は捨てた正義
    もう取り戻せるなんて思ってはいないけれど
    ただこの優しすぎる正義の為に、何か出来ることはあるかもしれない


    506: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 15:14:41.24 ID:TUhPfVSl0

    --マミの家--

    さやか「というわけで再び仲直り会!!」

    まどか「わー!!」

    ほむら「再び、ね」

    さやか「……こら。そこを突っ込まない」

    マミ「じゃぁ紅茶と食べ物を買ってくるわね。……誰かついてくる?」

    さやか「?冷蔵庫の中に食べ物はあるし、紅茶はそこの戸棚にあるじゃないですか」

    マミ「何で人の家の事情に精通してるの!!じゃなくて……えぇと……」

    ほむら「また睡眠薬や毒を入れるのを疑わないのか?と巴マミは言っているのよ」

    さやか「……マミさん。それじゃ意味がない」

    マミ「え?」

    さやか「マミさんが入れた紅茶に、マミさんが作ってくれた料理。それをあたし達が食べる。これでやっと仲直りが成立する」

    さやか「……信頼っていうのはさ。お互いにしっかり歩みよらなきゃいけないと思うんだ。毒だとかそういうのを恐れて食べないとかやってるようなら、いつまでたっても信頼なんてできないよ」

    ほむら「……で、こんな子をあなたは仲直り会と称して嵌めたわけだけど」

    まどか「ほむらちゃんそれは……」

    マミ「……本当にごめんなさい」

    さやか「ほむらもしつこい!てかお腹すいたし今から買ってきてとか待てない!!」


    507: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 15:16:14.41 ID:TUhPfVSl0

    まどか「おいしい!」

    さやか「んーマミさんが作るものは本当においしいや。ほむらの家カップばっかだし……」

    ほむら「……じゃぁここに住めば?」

    さやか「冗談だってば。……でもご飯だけここに食べに来るというのはありかもしれない」

    まどか「さやかちゃん、そこまでするならちゃんとお家に帰ろうよ……」

    ほむら「それにしても……確かにおいしいわね」

    マミ「あなたも普通に食べるのね……」

    ほむら「これで毒が入ってなければあなたを信用することにするわ」


    508: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 15:17:56.05 ID:TUhPfVSl0

    ほむら「……で、あの時の会話についてそろそろ解説がほしいわね」

    さやか「……ほむら、流石に引きずりすぎだよ」

    マミ「うぅん。全部私が悪いんだし。……でも解説って何を?」

    ほむら「そうね。『部屋を汚さないでほしかった』発言がその後一切攻撃してない事に対する目くらましのつもりだったとかそういうところからかしらね」

    マミ「!!!!」

    さやか「え?……あー」

    ほむら「美樹さやかを殺そうとしたのもブラフ。違う?」

    マミ「……その通りよ。美樹さんを殺す気なんて最初からなかった」

    さやか「じゃぁ、『さようなら、美樹さん』とか言ったのは?」

    マミ「あれはあなたの狙撃銃発言を受けて、そう言えば確実に暁美さんが動くと判断しての行動。暁美さんが攻撃してくれれば本当に殺そうとしたかどうかは有耶無耶にできる」

    マミ「……それにあまり時間があるようには見えなかったし。早めにあの状況を区切りたいという考えもあった」

    まどか「時間がない……ですか?」

    さやか「どういうこと?」

    ほむら「さやか、あなたがそれを……。単純な話よ。誰かが手に剣を突き刺していたから、それを即急に手当てする必要があったということ」

    さやか「……あ」

    ほむら「大方美樹さやかを眠らせて、それでさやかをうまく使いつつまどかを魔法少女に誘導するつもりだったんだろうけど……その骨格がいきなり崩れた」

    マミ「……そうね。その通り」

    さやか「……」

    つまり、「剣を消して、回復魔法を使ったら?」は割と本心だったということか……


    509: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 15:20:56.34 ID:TUhPfVSl0

    ほむら「大体1パーセント云々もよく言ったものね。あなたはたとえ0パーセントでも街を守る為に突っ込む性格でしょうに」

    マミ「……」

    さやか「そういえばよく考えたら、あそこでいちいち浮かせてる銃を手に取る必要性もないよね」

    ほむら「そもそも殺すつもりならさっさと撃ってしまえば良かった」

    マミ「……浮かんでる銃を傾けるだけだと演出としては弱いし。銃を手にもった方がいろいろ小細工がやりやすかった」

    まどか「ひょっとして相打ちの話も……」

    マミ「その場のでっち上げ。美樹さんを殺す気がないんだから相打ちなんて狙えない。ただその後の発言を自然に見せる為の演出」

    さやか「……」

    ベテランの魔法少女の行動にはその一つ一つに意味がある、かぁ……

    まどか「でも、何でさやかちゃんを殺そうと見せかける必要があったんですか?」

    さやか「あ、それあたしも気になった」

    そもそもそんな事をしたところでマミさんになんの利益もないはず

    マミ「それは……」

    ほむら「美樹さやかを殺そうとしていた場合と殺そうとしていない場合の『見滝原住民』の意味合いの違いを考えてみなさい」

    さやか「え……つまり」

    ほむら「巴マミは守ろうとしている対象に私達が含まれている事を悟られたくなかったのよ。多分分かりやすい悪役になった方が私達がやりやすいとかそんな理由で」

    マミ「……」

    さやか「あー……」

    あたしを殺そうとしていた場合だと、見滝原住民を守る為にあたし達を犠牲にする魔法少女
    あたしを殺そうとしていない場合だと、見滝原住民とまどかを含むあたし達みんなの命を守る為に、まどかを魔法少女にしようとする魔法少女……
    確かに前者の方が悪役っぽい


    510: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/01/28(土) 15:24:02.13 ID:TUhPfVSl0

    ほむら「……そんなところかしらね」

    さやか「何かほとんど全てほむらが語ってた気がするんだけど……」

    マミ「……ところで私も気になることがあるんだけどいい?」

    さやか「え?どうぞ」

    マミ「暁美さん。あなたの能力って『時間操作』であってる?」

    ほむら「……何を根拠に?」

    マミ「足跡よ。……あなたはこの前土足で入ったから、靴の跡が家の中にそのまま残っていた。この時点で空間移動はない」

    マミ「ついでに言うと……鍵穴を銃で破壊して入ったでしょ?銃弾の音と同時にあなたが家の中に現われた……まず時間操作は疑うわよ」

    マミ「後は今の会話ね。大体にしてあなたとは会ったばかりのはずなのに、少し情報を知りすぎている」

    美樹さんを殺せない
    この情報を断定できるだけの根拠は一切ない
    でも、もしそれを感情論だけで持つのであれば
    それはただ『情報を知っている』だけのレベルではありえない

    マミ「美樹さん。あなたもよ。『スクワルタトーレ』。ずっとひっかかってたけど……あれは私が考えていた剣の必殺技じゃない。私の頭の中にしか入っていないはずの技を何故あなたが使っているの?とてもあんな言葉が偶然の一致で出るとは思えない」

    さやか「……」

    やっぱりこの時間ではまだマミさんの必殺技帳に『スクワルタトーレ』は記載されていなかったんだ……

    マミ「あなた達は何らかの方法で私を知っていた。……例えば未来から来た、とか?」

    さやか「!?」

    ……何でたったこれだけの情報でそのキーワードが導きだせるんだこの人は!

    さやか「……ほむら、全部話しちゃっていいよね」

    ほむら「……そうね。もうこの状況なら」


    542: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/02(木) 00:12:00.52 ID:6wK+w1qk0

    マミ「……普通なら、とても信じられない話ね」

    マミ「でも……確かにそれなら、一応の辻褄は合う。……信じるわ」


    543: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/02(木) 00:14:20.47 ID:6wK+w1qk0

    --帰り道--

    さやか「……何かさ。今回の件、自分はやっぱりまだまだだなーって思えたよ」

    ほむら「あなたの実力も巴マミ程じゃないとはいえ、相当なものよ」

    さやか「いや、そういう実力とかじゃなくて……なんていうんだろ。精神的なものっていうか」

    ソウルジェムの真実を自力で乗り越え
    痛覚遮断も知らないのに肉体の大部分を失っても戦い
    まどかや恭介……病院の人達の為に戦った正義の味方
    ……いつかはあれほどの領域に自分も辿り着けるのだろうか

    ほむら「……そうね。私は彼女をいろいろ勘違いしていたのかもしれない」

    美樹さやかが魔女になってその魔女を私が倒した後、すぐに巴マミは発狂した
    他にも呉キリカが魔女になった時、本来の実力が出せなくなった事もある
    前者は仲間が魔女になり、後者はゆまや杏子がいたとはいえ彼女が本当の意味で仲間と思える相手はいなかった
    そして今回の件、あの場にはまどかが、守るべき仲間がいた
    つまり、巴マミは仲間を守る事を意識した時にこそ本来の力を発揮するタイプだったのだろう
    ……薄々気づいてはいたが、しかしこれ程とは思っていなかった
    ただ……

    まどか「マミさん凄いかっこよかった。まるで昔見た……」

    ほむら「でも、その魔法少女がやがて災厄を撒き散らす。それが魔法少女の真実よ」

    まどか「!!」

    ほむら「あなたが見た強さも、優しさも、最後はそれと同じだけの災いとなって返ってくる。それは巴マミとて例外ではないわ」

    まどか「……そんな言い方」

    さやか「事実だよ、まどか。あたし達魔法少女はそういうものだ」

    まどか「さやかちゃんまで……」

    さやか「……ま、でもあたし達魔法少女がいなかったらまどかは助かっていなかった。それもまた真実なんじゃないの?ほむら」

    まどか「……さやかちゃん……」

    ほむら「……それを否定はしない。私達魔法少女から産まれた魔女がいなければ、こんな事にならなかった事も含めて」

    さやか「それはその通りだけどさ……」

    ほむらはまどかを絶対に魔法少女にするべきではないと考えている
    あたしはまどかを魔法少女にしたくはない。でも正しく魔法少女を理解し、その上で完全に自分の意思で魔法少女の道を選ぶなら、それはそれでしょうがないのかなと思っている
    多分そこに関して、ほむらとあたしの考え方にはずれがある
    ……ほむらはまどかを魔法少女にしない事に固執している
    世界が滅ぶこととは別に、もっとほむらの根本となっている理由があるのかもしれない


    544: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/02(木) 00:15:30.88 ID:6wK+w1qk0

    --マミの家--

    QB「帰ったみたいだね」

    マミ「キュゥべえ……」

    思わずマミはキュゥべえを睨みつけてしまう

    QB「……君達はいつもそうだね。事実を知ると決まって同じ反応をする」

    マミ「何故教えてくれなかったの?」

    QB「聞かれなかったからさ」

    マミ「人は知らない事まで聞くことはできないわよ」

    マミ「でも、そうね。……あなたがいろいろな事を隠している事には気づいていた。気づいていながら、私は今までそのことに気づかない振りをしてきた」

    QB「どういう意味だい?」

    マミ「人の願いを叶え魔法少女にし、魔法少女は魔女と戦う宿命を背負う。……でも、その魔女は何故現われるのか。魔法少女とは何なのか。……そのことは今回の件ではっきり理解できた。でもまだ一つ、肝心なところが分かっていない」

    QB「美樹さやかや暁美ほむらに聞けばよかったじゃないか」

    マミ「うぅん。この事だけはあなたから直接聞きたかったの」

    マミ「あなたの目的は何?あなたはこのシステムでどんな利益を手に入れているの?」

    マミがずっと疑問に思っていたこと
    それは、キュゥべえが魔法少女を作りそして魔女と戦わせる事に対して何を得ているのかということだ
    まさか世界を守る為に慈善事業でやっているなど、とても考えられない
    何か理由があるはず……でも、それを今までずっと聞くことができなかった
    今の関係が崩れてしまいそうで、それがとても怖かった
    でも、もうそんな事を言っていられる時期はとっくに終わりを告げている

    QB「……君はエントロピーという言葉を知っているかい?」

    キュゥべえは語った
    彼らの作り出した、魔法少女システムの全てを


    545: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/02(木) 00:17:59.04 ID:6wK+w1qk0

    マミ「なるほど、ね。つまりは魔法少女が魔女になる際に発生するエネルギーをあなたは回収しているというわけね」

    QB「そうだよ。流石マミ。理解が早くて助かるね」

    マミ「……でも今回。私が魔女に食べられてしまったら私のエネルギーの回収は出来なかったように思えるけど」

    QB「別に全ての魔法少女のエネルギーを貰おうなんて考えてないさ。ただより多くの人間と魔法少女の契約をすれば、それだけ魔法少女が魔女になる回数も増える。……それに今回の場合、鹿目まどかという一番優先すべき人間がいた」

    マミ「……美樹さんの話や、暁美さんの話を聞いて疑問に思った事があったんだけど、聞いてもいい?」

    QB「何だい?」

    マミ「美樹さんや暁美さんが最初にいた世界と今の世界を比較した場合に、鹿目さんの魔力が明らかに強くなっている。その原因は何?」

    QB「それは僕にも理解できていない。でも一つ仮説はたてられる」

    マミ「……」

    QB「恐らく暁美ほむらがループを繰り返す度に鹿目まどかは強くなっていったんだろう。いくつもの絡まるはずのなかった並行世界の因果が鹿目まどかに集中した。そして今回、美樹さやかというもう一つの因果が加わり、鹿目まどかは最強の魔法少女となり、最悪の魔女となる素質を得た」

    マミ「……やっぱり、そういう事なのね」

    美樹さんが言っていた2回目のワルプルギスの夜。
    キュゥべえの言うことから考えるなら、ワルプルギスの夜もまたいろんな人間の因果を吸い上げ、強くなっていったのだろう
    だが、最初ワルプルギスの夜に、私と二人がかりで戦って負けた鹿目さんが、今やその強くなっているはずのワルプルギスの夜なぞ比較にならないだけの素養を手に入れている
    疑うなら、暁美さんや、美樹さんしかいない
    ……いや、実質暁美さんのループこそが最大の原因なんだろうけれど……

    QB「しかしこんな事、ループを繰り返していた本人である暁美ほむらはとっくに気づいているはずだよね。どうしてこんな無駄な事を繰り返すことが出来るのか、マミには理解できるのかい?」

    マミ「……恐らく、暁美さんにとって鹿目さんが大切な友達だからよ」

    QB「その結果その大切な友達が最強の魔女となり、世界を滅ぼす事になってもかい?……やっぱり僕には人間の感情は理解できないね」

    マミ「……」

    あぁ、もうキュゥべえと元の関係を築く事は出来ないんだなと
    そう感じた時、マミは少しだけ泣きそうになった


    546: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/02(木) 00:20:53.53 ID:6wK+w1qk0

    --次の日 ほむらの家--

    マミ「大したものね。これだけ調べあげるなんて……」

    ほむら「この資料はかつてあなたが調べたものも含まれている。……他にも呉キリカの物も」

    マミ「呉さん……確か美樹さんの言ってた」

    さやか「……うん」

    マミ「……」

    さやか「マミさん?」

    マミ「うぅん、なんでもない。それよりも今後どうするか、だけど」

    ほむら「……佐倉杏子。彼女を戦力に加える」

    マミ「佐倉さん……そう、よね」

    さやか「……マミさん」

    対ワルプルギスの夜。失敗すれば見滝原も、あたし達も終わる
    ……だがその場合であっても、佐倉杏子はあたし達に巻き込まれない限り、何事もなく生きていることができる

    さやか「……やっぱりあたし達3人で倒す作戦を」

    ほむら「ないわね。元々勝ち目の小さな戦いなのに、さらに勝ち目を薄くする理由なんてない。……あなたもわかっているはずよ。巴マミ」

    マミ「……えぇ」

    もうこうなった以上、私情を挟むわけにはいかない

    ほむら「……巴マミが仲間になった今、さやかに杏子を任せる必要性がなくなった。佐倉杏子の勧誘は私がやる」

    ほむら「さやかは見滝原をお願い。魔女の討伐の意味もあるし、ワルプルギスの夜に向けてグリーフシードを確保したい」

    さやか「わかったよ……ってマミさんは?」

    ほむら「巴マミはその体を何とかワルプルギスまでに使いこなせるレベルまでもっていって」

    さやか「……あ」

    あたしの回復魔法。やっぱり……

    マミ「あなたが気をおとすことじゃないわ。これは全部私の責任なんだから。それに……大丈夫。たとえ本調子じゃなくても魔女相手に遅れなんてとらない」

    ほむら「あなたが最も怖いのはその油断よ」

    マミ「油断をするほど余裕はないわ。それにブランクを空けてワルプルギスに挑むような事だけは避けないとね」

    ほむら「……あなたがこの時期に欠けると非常に痛いの。本当に気をつけて」

    マミ「暁美さんこそ。……うっかり佐倉さんと戦いになれば、あなたの命だって危ない」

    ほむら「……えぇ。それは良く知っている」

    伊達にループを繰り返してきたわけじゃない
    佐倉杏子の強さは身にしみている


    547: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/02(木) 00:22:31.31 ID:6wK+w1qk0

    結局話し合いの末、あたしとマミさんが見滝原の魔女を狩ってグリーフシードを確保し、ほむらがかざみのとその周辺の街をまわり、杏子を探す
    そういうところで纏まった

    ほむら「じゃぁ任せたわ。……何かあったら知らせて」

    さやか「うん。まぁ、こっちは何かある要素もないとは思うけど」

    お菓子の魔女も、趣の魔女も倒した。後この時期の見滝原で厄介な魔女というと、影の魔女ぐらいか

    さやか「とはいえ、油断もできないか」

    ワルプルギス前に、別の魔女に殺されましたなんていう落ちだけは避けないと

    さやか「そうだ、ほむら。佐倉杏子の事なんだけどさ」

    ほむら「何?」

    さやか「お菓子の魔女騒動であたしは途中で打ち切っちゃったけど……多分あいつ、あたし達が探している事に気づいている上で立ち回っている気がする。ただの勘みたいなもんだけど……一応気をつけて」

    ほむら「……分かったわ」


    548: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/02(木) 00:24:15.45 ID:6wK+w1qk0

    マミ「二人で別れて行動して、魔女を発見したらもう片方に連絡。……それでいい?」

    さやか「うん。無理に仕掛けないで。マミさんは万全じゃないんだから」

    マミ「それぐらいわかってるわ。……頼りにしてるわよ。美樹さん」

    さやか「任せて!」

    マミ「……」

    1年後の未来から来たという意味では、佐倉さんと大体同じぐらいキャリアということになる……もし、佐倉さんにあの出来事がなければ、同じような魔法少女に育っていたのかも……

    さやか「マミさん?」

    マミ「うぅん。なんでもない。……それじゃぁ魔女探し、開始しましょう!」

    さやか「了解!」


    549: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/02(木) 00:26:27.14 ID:6wK+w1qk0

    --郊外の裏路地--

    さやか「……いきなり遭遇ですか」

    魔女ではない。恐らく使い魔……にも関わらず結界が作れるまで成長している
    ただこの程度の相手ならマミさんを呼ぶまでもない
    ……むしろ、問題は何故あいつがここにいるのか……いや、今はそれを考えるのはよそう

    さやかは剣を召喚し、使い魔に投げつけた
    その投剣は真っ直ぐ、正確に使い魔に向かって飛んでいく
    だがその正確さ故に、守る側としては実に容易い
    さやかの剣は、槍によって弾かれる

    杏子「ちょっとちょっと。何やってんのさ」

    さやか「!?」

    隠れているのは気づいていた
    だが、まさかこのタイミングで動いてくるとは思っていなかった
    使い魔を助けた……でも、何の為に?

    さやか「どういうつもり?」

    杏子「どういうって……あれは魔女じゃなくて使い魔だよ。グリーフシードなんて持ってるわけないじゃん」

    さやか「それでも人間を襲う事に変わりはない」

    杏子「だから、4、5人食って魔女になるのを待てっての」

    杏子「弱い人間を使い魔が食う。それが育って魔女になったらあたし達が食う。これが当たり前のルールなんだからさ」

    さやか「……」

    千歳ゆまと会わなかった佐倉杏子
    それが今、目の前に立っていた


    550: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/02(木) 00:28:28.92 ID:6wK+w1qk0

    実のところ、この佐倉杏子の考え方自体に異論はない
    使い魔を倒すのにだって魔女ほどではないにしろ殺されるリスクはついてまわるし、そうでなくても魔力の消費は避けられない
    にも関わらず倒したとしても、何の見返りも得る事が出来ない
    だから魔女になるのを待って、その上でしっかり見返りが得られる状態になってから倒す
    ……千歳ゆまと会うことがなく、ただ一人で生きてきた魔法少女
    それ故の理屈だ。間違っているとは思えない。だけど……

    杏子「まさかとは思うけど、あんた、やれ人助けだの、正義だのお茶らけた冗談かます為にキュゥべえと契約したわけじゃないよねぇ」

    さやか「……」

    さやかは無言で剣を投げつけた
    杏子はそれをあっさりかわす

    杏子「いきなり何すんのさ」

    さやか「弾かれなくてよかった」

    杏子「何……まさか!?」

    悲鳴が聞こえた
    杏子が避けた先には先ほどの使い魔の結界が広がっており……使い魔にさやかの剣が突き刺さっていた

    杏子「てめぇ……!!」

    さやか「……その通りだよ」

    杏子「……?」

    さやか「さっきの話。契約した理由とは少し違うけど……人助け。正義。そんなお茶らけた冗談を、お茶らけた冗談にしない為にあたしは戦っている」

    杏子「!!」


    551: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/02(木) 00:31:11.94 ID:6wK+w1qk0

    さやか「まぁ、あんたは多分魔法少女とは何かってのをあたしに教えてくれる為に言ってくれたのかもしれないけどさ……。一応それ、理解はしてるつもり。でもその上であたしはこの道を選んだんだ」

    杏子「……」

    甘ったるい正義
    かつて自分が目指そうとして、挫折した道
    その道を進んでいる魔法少女が目の前にいた
    ……その事に対して、ひどい苛立ちを覚える

    さやか「いきなり剣を投げたのは悪かったよ。でもそのままの位置でも当たらないぎりぎりのところを狙ってってぇえ!?」

    杏子の投槍がさやかに襲い掛かった
    完全に予想外の攻撃だったが、さやかはあわててそれを回避する

    さやか「な、何するんだよ!!」

    杏子「さっきのお返しだよ。……あんたの考え、あたしが叩きなおしてやる。もう二度とそんな下らない正義なんてものを言えなくなるぐらいにな」

    さやか「……杏子。あんたにはあんたの考え方があるように、あたしにはあたしの考え方がある。そこを踏み越えるような行為は」

    杏子「……何であたしの名前を知っている?」

    さやか「……あ。えぇと、それは」

    杏子「……巴マミを知っているのか?」

    さやか「え?……うん。よく知ってる」

    杏子「……そういう事かよ……」

    巴マミとあたし、考え方はどんどんずれていっているのは気づいていたし、いつかはこんな日が来るとは思っていた
    ATM強盗や空き巣を繰り返す日々。……そんな魔法少女を巴マミが許すはずはない
    見滝原から魔法少女が来ている事に気づいた時、何となくそういう事なのかと気づいてはいたけれど……認めたくはなかった。だから逃げ回っていた
    けど、もうこうして巴マミの仲間である魔法少女にここまでちょっかいを出してしまった以上、今更引き下がることはできない

    杏子「もう逃げるのはやめだ。あんたを倒して、巴マミも倒す。あの黒い奴もその後ぶちのめす。それで見滝原との関係はしまいにする」

    さやか「……ストップ。何か勘違いをされている気がするんだけ」

    ぞっとするような殺気
    ……佐倉杏子とは何度か戦ったことがあるが、恐らくこれほどの殺気は最初に会った時のただの一度きり。とはいえその時はこの殺気を正しく読み取るほどの技術はなかったが……
    駄目だ。杏子がこうなったらもう引くことはできない

    さやか「……一つ、提案があるんだけど。負けた方が勝った方の言う事を一つ聞くというのはどうだろう」

    杏子「……なんだそれ。……別に構わないさ。もっとも終わる頃にはあんたは口を開くことすら出来なくなってるだろうけどな!!」


    565: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/12(日) 10:32:55.26 ID:BWNbakE/o

    杏子「くらいな!」

    杏子の多節槍による連撃
    最初に杏子と戦った時はこれの対処がうまく出来ずいいようにやられた気がする
    ……昔の話だ
    さやかは杏子の多節槍を的確に剣で防ぐ

    杏子「大口叩いた割にこの程度かい!正義の味方!」

    さやか「……」

    中途半端に攻めに転じたところを潰す
    その為の挑発だろう
    ……とはいえ、このまま守りつづける理由もない
    さやかは速度向上の魔法を使い一気に杏子との間合いを詰める

    杏子「……!?」

    杏子は慌てて後退しつつ槍を通常モードに切り替えた

    さやか「遅いよ」

    その後退する杏子に向かってさやかは投剣を放つ
    杏子は投剣を槍を回転させて弾き返す
    だが、さやかは投剣の一本だけ杏子の近くで速度を上げ、杏子の槍を突破させた

    杏子「ぐ!!」

    杏子の右足に、さやかの剣が突き刺さった

    杏子「やるじゃん……少し舐めすぎたか?」

    杏子は刺さった剣を引き抜く
    ……こんな状況でなければすぐにでも回復魔法を使いたいのだが
    でもそれは杏子への侮蔑になってしまう
    なら、あたしに今出来ることは一つしかない

    さやか「……きなよ杏子。全力で相手してあげるからさ」


    566: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/12(日) 10:34:00.34 ID:BWNbakE/o

    杏子の槍とさやかの剣が交わる
    杏子の攻撃、その途切れ目をさやかは的確に狙って潰しにいく

    杏子「……ちぃ!」

    幾度目かの斬撃
    杏子は確実に手傷を負っていくのに対し、さやかはここまでノーダメージだ

    杏子「畜生……なんであんたみたいな奴に……!」

    さやか「……あんたはあたしを知らないけど、あたしはあんたをよく知ってる。だからこれは当然といえば当然の展開なんだよ……」

    技術の差でも、まして思いの差なんてものでもない
    ただ、相手の技を知ってるか知らないか
    本当にそれだけ

    杏子「……わけわかんねぇこといいやがって」

    さやか「まだ続ける?もう結果は見えてる気がするんだけど」

    杏子「ふざけんな!……まだあたしはやれる!」

    さやか「……」


    567: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/12(日) 10:36:55.58 ID:BWNbakE/o

    杏子「っが!!」

    杏子の動きは明らかに鈍っていた
    杏子の槍をかいくぐって放たれたさやかの回し蹴りが杏子の腹部に直撃する
    杏子が後ろに弾き飛ばされた
    さやかはこれを追撃を誘う罠と判断し深追いをしない

    杏子「……っち、かからねぇか……」

    杏子はちょくちょく罠をさやかに向けて仕掛けている
    だがそれを全て読まれ、裏をかかれてしまっている
    ……あたしをよく知ってるか。あながち嘘でもなかったのかもしれない
    でも……

    杏子「それでもあたしは、あんたを認めるわけにはいかない……!!」

    かつて切り捨てた正義
    その正義に負けるような事はあってはいけない
    そうでなければ、巴マミを振り切ってまで通した覚悟が何の意味もないものになってしまう

    さやか「……」

    ……手加減はできない
    なら、せめて次の一撃で終わらせる


    568: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/12(日) 10:39:02.76 ID:BWNbakE/o

    さやかは一刀流に切り替え、速度向上魔法をかける
    さやか必殺の剣技、『スクワルタトーレ』
    対する杏子も突撃の構えを取る

    杏子「……そういや聞いてなかったな……あんたの名前、なんていうんだ?」

    さやか「……さやかだよ。美樹さやか」

    杏子「……じゃぁ、いくぜ!さやか!」

    杏子の突進。ただ、もう明らかに速度が落ちている
    さやかのスピードに対応できるものではない

    さやか「スクワルタ……」

    だが、さやかはこの杏子に妙な違和感を覚えた
    そうだ。これはあたしが初めて杏子と戦った時にとった……!
    杏子は途中で一気に加速してきた
    つまりは最後の一撃を速度以上に見せる為の戦法
    なら、かつての杏子と同じように幻術で……
    ……それは駄目だ。ここは槍を避けて、そのまま反撃に持っていく


    569: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/12(日) 10:41:19.44 ID:BWNbakE/o

    以前さやかは杏子の願いについて話を聞いていた
    かつて家族を救う為に願いをしたこと
    その願いが、家族を壊してしまったこと
    そして、そのトラウマで杏子は自身の幻術技が使えなくなってしまったこと
    その知識があったから、さやかは杏子がこの技が使える可能性を頭から外してしまっていた
    それが完全に裏目に入る

    さやか「ロッソ……ファンタズマ……!?」

    さやかのところまで辿り着いた槍は、そのまま杏子ごと消失した
    反撃を狙ったさやかの剣は完全に空を切る
    トラウマを克服できていない杏子に幻術技はない
    確かにそれは事実ではあったが、杏子はこの一時だけそれを乗り越えたのだ

    本物の杏子は上空
    既に一撃必殺の槍撃が、さやかに向けて放たれている

    さやか「っく!」

    そうだ、こういう事が出来るのが杏子だった
    頭では理解していたはずだったのに……!!
    さやかは体制を崩しながら、それでも防御の体制をとる


    570: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/12(日) 10:45:03.01 ID:BWNbakE/o

    --マミの家--

    杏子「……ここは?」

    凄く懐かしい気がする
    そうだ、ここはマミの……

    杏子「……っつ」

    頭が痛い。……そうだ。あたしはロッソファンタズマを使い……そのまま気絶したのか
    ……あんな魔法。もう二度と使う気もなかったけど
    だからこそこの魔法ならば裏をとれる。そう考えた

    杏子「……これはマミのベッドか」

    そしてすぐ近く。そこにはついさっきまで戦っていた相手が椅子に座りながら眠っていた

    杏子「……おい!!」

    さやか「!?」

    さやかは慌てて目を覚まし、杏子が起きている事を確認してほっと胸をなでおろす

    さやか「よかった。目を覚まさなかったらどうしようかと思ったよ……」

    杏子「何であんたがそんなに心配してんのさ……」

    杏子「……ここはマミの家だろ?マミの奴はどうした」

    さやか「マミさんなら今、外に買出しにいってるよ。いろいろあんたと話したいことがあるって言ってた」

    杏子「……そうかい」

    特に拘束されているわけでもない
    ……てっきり巴マミがあたしを殺そうとしてるぐらいに考えていたが、誤解だったようだ
    まぁ、実のところこの青いのと戦ってる最中に薄々気づいてはいたが
    こっちが殺気を放ってるのに、さやかの殺気は何ひとつ感じ取れなかった

    杏子「……結局、あんたとの戦い。最後はどうなったんだ?」

    さやか「……杏子の勝ちだよ。杏子の槍は確実にあたしを捉えていた。……もしマミさんが止めてくれなかったら、あたしはやられてた」

    杏子の最後の攻撃とあたしの剣がぶつかる前に
    駆けつけたマミさんの拘束魔法があたし達を包んでいた
    あれがなかったら多分、杏子の槍はあたしの剣を弾き飛ばし、見事あたしの体を貫いていただろう
    ……最初に戦った時も幻術、今回も幻術
    つくづくあたしって進歩のない……

    杏子「……負けた方が勝った方の言う事を一つ聞く。だったか?」

    さやか「う……その、出来る限りの方向で。使い魔を倒すなとかそういう生き方そのものをひっくり返しかねないような話はやめてほしいな……」

    正直に言って、負けるケースを全く想定していなかった
    杏子はあたしに何を要求するのだろう……

    杏子「……あんたさ。馬鹿ってよく言われない?」

    さやか「……?何だよ突然」

    杏子「別に」

    この状況なら勝敗なんていくらでもでっち上げられただろうに
    どうして馬鹿正直に自分が負けたなんて事を言う必要があるのか


    571: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/12(日) 10:47:39.03 ID:BWNbakE/o

    杏子「何故あんたがあたしをここまで知っていたか。それを教えてくれ」

    さやか「……え?熱?」

    杏子「何でだよ……そもそもあんたが勝手にした約束だし、あたしがあんたに求めてる事なんかそうあるわけないだろ」

    さやか「……あたしは未来から来ていて、未来の杏子と何回も戦ったことがあった。だから杏子の手の内も知っていた。……というのが答えだったりするんだけど」

    杏子「……でもあんたの能力、時間系にも思えなかったけど?」

    さやか「あたしの友人が時間系の能力をもっててさ。その人の力で飛ばされてきて、あたしは今ここにいる……という」

    杏子「なるほどね。……未来から、か。確かにそれなら一応の説明はつく」

    さやか「……え!?信じるの!?」

    杏子「嘘ついてんのか?」

    さやか「いや、そういうわけでもないけど……」

    普通いきなり言われたら疑うと思うんだけどなー……

    杏子「あんたのあたしを知っているのレベルが何回か戦ってる相手って話じゃないと説明がつかなかったんだよ。マミの奴だって別れて以降あたしと戦った事なんてなかったしな」

    杏子「後は幻術魔法か。マミから聞いているならあんたは当然あたしの幻術魔法を知っていたはず。なのにあの時、あたしの幻術魔法を考慮から外していた」

    しかもマミは、あたしが幻術魔法が使えなくなった事に気づいていなかった

    杏子「……あんたは使えない事情がある事を知っていた。違うか?」

    さやか「……正解。あんたが幻術魔法が使える事は知っていたけど、だからこそ今のあんたが使えるなんて思っていなかった」

    ロッソファンタズマ
    あれを杏子がまた使えるようになるまでどれだけ苦しんだか知っていたから
    たとえ土壇場であろうと、あれが使えるようになるなんて想定をしていなかった

    杏子「……あそこでのあたしの策は結果として大当たりだったわけだ」

    さやか「でも無茶だよ……あんた、あれで気絶してたじゃん。もしマミさんがリボンで止めてくれなかったらあたしを巻き込んで地面に激突だよ」

    杏子「それぐらいやんなきゃあんたには勝てないと思った」

    さやか「……どうしてそこまで」

    杏子「……あんたという存在を、認めたくなかったんだよ……」

    甘っちょろい正義
    そんなものを掲げてここまでの強さを持つ魔法少女なんてのを認めたくなかった
    ……もうあそこまでやられた時点で認めざるをえなかったが


    572: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/12(日) 10:49:09.17 ID:BWNbakE/o

    杏子「でも何でわざわざ未来から?何か理由があるんだろ?あんたが隠してること含めて全部話しなよ」

    さやか「え……うーん……でも……」

    杏子「……負けた方は勝った方の言う事を何でも聞くんだよな」

    さやか「……話すけど……この辺はあまり楽しい話じゃないよ。ひどい話のオンパレードだし」

    マミさん死んだり、魔法少女の真実だったり……

    杏子「いいから話しな」

    さやか「……後悔してもしらないよ?」


    573: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/12(日) 10:52:12.36 ID:BWNbakE/o

    さやか「……という話」

    杏子「……」

    さやか「……大丈夫?」

    杏子「待て。……ちょっと整理させろ」

    杏子「……つまり、今の話を総合するとだ」

    杏子があたしを睨みつける
    ……まぁ、全部話せばそうなるか

    杏子「あんたはさっき全力を出していなかったどころか、ほとんどの技を封印して戦ってたってわけか?」

    ……そこ!?

    さやか「ちょっと待って。そこ以外にもいっぱい重要なところが」

    杏子「あたしの最後の突撃。あんたは剣で捌かなくても、幻術を使って避けるという選択肢があった。……何故幻術を使わなかった?」

    さやか「……それは……」

    あたしの幻術技は杏子の使っていた魔法のコピーだ
    ……下手に使えば、それは杏子のトラウマを想起させてしまう
    だから使えなかった……などと言えるわけもなく……

    杏子「あたしに気を使ったわけか」

    さやか「……!」

    言うまでもなく、読まれた

    杏子「つまり、あんたは相手に気を使って自分の技を封印し、その相手に危うく殺されるところだったわけだ……本当に馬鹿だな。あんた」

    さやか「……」

    杏子「……なぁ、一つ聞いてもいいか?」

    さやか「うん」

    杏子「魔法少女が魔女になるって話。あんたはどう考えてる?」

    さやか「いつか魔女になるにしたって、今すぐってわけでもないしね。それまではあたしのやりたいように生きる。それがあたしにとっての正義の味方」

    杏子「やりたいように……か」

    さやか「そうだよ。あんたとおんなじ。かなり方向は違うけどさ」

    杏子「……どおりで、強いわけだ」

    人の為の魔法を使う
    願いに裏切られようと、魔法少女の結末が魔女だと知っていてもそれが貫けるのなら
    絶望に負け潰れてしまったあたしなんかより、強くて当然ってわけか


    574: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/12(日) 10:56:48.79 ID:BWNbakE/o

    さやか「別に強くなんかないよ。現実、あたしは負けたわけだし」

    杏子「手加減した上での話だろ?普通にやりゃあんたが勝ってた」

    さやか「手加減というか……ポリシーというか……」

    杏子「……あたしを仲間に引き入れる為に戦ったんだから、殺せなかったのは仕方ないと思う。でも、だからって相手の気を使ったり、変なポリシーで技を封印する必要はないだろ。相手を知ってる事も含めて、全てあんたが持ってる手札なんだからさ……なんて話は、多分未来のあたしもしてるんだろうな」

    さやか「……うん」

    杏子にも、キリカにも言われた
    ……今回の戦い、キリカに見られてたらどう言われたんだろう……

    杏子「……ベテランなのか、トーシロなのかよくわかんないよな。あんた」

    さやか「うー……自覚はあるんだよ。あるんだけど……こう、譲れないものが……」

    杏子「お仲間の魔法少女も、さぞかし頭が痛かっただろうさ」

    さやか「……返す言葉もない」

    杏子「まぁ、でもそんなあんただから……」

    未来のあたしも、その仲間の魔法少女もあんたに惹かれたのかもしれないな

    さやか「……?」

    杏子「……何でもないよ」

    さやか「言いかけてやめるなよー!」

    杏子「うぜぇ!……付き合ってやるよ。ワルプルギス退治。それなりに見滝原には世話になってたしな」

    さやか「!?……本当!?」

    杏子「嘘言ってどうすんだよ」


    575: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/12(日) 10:58:34.06 ID:BWNbakE/o

    --マミの家の外--

    ほむら「……自分の部屋の前で何をしているの?巴マミ」

    マミ「別に。ただ、外の空気がおいしくてね」

    ほむら「……今日も、佐倉杏子を見つけられなかったわ。明日はさらに探索範囲を広げてみようと思う」

    マミ「もうその必要はなくなったみたいよ」

    ほむら「……?」


    583: saga 2012/02/19(日) 16:43:39.02 ID:tYvV9aiSo

    --マミの家--

    マミ「佐倉さん……」

    杏子「……別に今更正義の味方に戻る気はないよ。ワルプルギスの夜を倒すまでの関係だ」

    マミ「えぇ、わかってるわ。でもそれまでは、チーム復活ね」

    杏子「……っけ」

    マミが杏子に手を差し出し、杏子がその手をとる

    さやか「あたしもいるぞー!」

    ほむら「……」

    4人揃った
    ……揃ってしまった
    これであのワルプルギスの夜に……

    ほむら「……」

    さやか「……ほむら!?」

    倒れそうになるほむらを、あわててさやかが受け止める

    さやか「ほむら!どうしたのさ!!」

    ほむら「……なんでもないわ」

    マミ「……大丈夫なの?少し横になったほうが」

    ほむら「今は杏子が寝てるじゃない。いいから私はほっておいて」

    杏子「あたしはもう大丈夫だよ。この青いのがしつこいぐらいに回復魔法かけてたみたいだしな」

    ほむら「……別にいい。頼むから今の私に構わないで」

    さやか「……」

    さやかの電話の着信音が響き渡った

    ほむら「……あなたのよ。出たら?」

    さやか「……うん」

    ……まどかだ

    さやか「どしたの?まどか」

    まどか「さやかちゃん!助けて!!」

    さやか「!?」


    585: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/19(日) 16:45:48.65 ID:tYvV9aiSo

    まどか「仁美ちゃんの様子がおかしいの!他のみんなも……」

    さやか「まどか、落ち着いて。今の周りの状況を詳しく……うん、わかった……すぐ向かう」

    ほむら「まどかに何かあったの!?」

    さやか「魔女の口付けを受けた人達にまどかが捉われてる。仁美……あたしの親友も魔女の口付けにやられてるみたい。すぐに助けにいかないと」

    マミ「……佐倉さん。あなたはどうするの?」

    杏子「チーム組んでる間はあんたらに従うよ。それに複数人に魔女の口付けを使えるような奴なら間違いなく『魔女』だろ。狩らない理由はないさ」

    ほむら「……まどか……!」

    マミ「暁美さん待って!チームを二手に分けましょう。暁美さんと美樹さんは魔女の口付けを受けた人達を止めてもらってもいい?私と佐倉さんで魔女を叩く」

    さやか「わかった。……ほむら、大丈夫?」

    ほむら「大丈夫よ。あなたが何を心配しているかわからないけど」

    さやか「……」

    いろいろ心配だよ……

    杏子「あたしも別に異論はねぇよ。とっとと片付けちまおうぜ」


    586: >>584 thank!書き込んだ後気づいた 2012/02/19(日) 16:50:23.17 ID:tYvV9aiSo

    ほむら「……恐らくあなたなりの意図はあるのでしょうけど」

    さやか「?」

    ほむら「あなたは佐倉杏子と戦って負けた。本来なら、あなたはそこで終わっていた」

    さやか「……」

    ほむら「それだけではない。もしマミがあの時入れたのが睡眠薬ではなく、毒薬だったら?あなたの回復魔法でもおいつかないものであったなら、あなたは死に、まどかは契約していた」

    ほむら「あなたは睡眠薬にも薄々気づいていたし、佐倉杏子にも本気を出せば何の手を打たせずに勝つことだってできたはず。違う?」

    さやか「後の方は違う。もしもあたしが全ての力を駆使して戦っても、あの杏子に何の手も打たせずに勝つなんて事は不可能だよ」

    さやか「……それに、あたしは本気だった。あたしがあの時持てる最高の状態で戦ったつもりだよ」

    速度低下や幻覚を使わなかったのは自分の我侭という理由もあるけど
    これを使って杏子と戦った場合、自分の精神的な揺らぎが予測不可能という問題もあった

    ほむら「……」

    さやか「……見えてきたよ。まどかに……街の人達。仁美もいる」

    ……それにしても、これだけの人間を一度に操るなんて……

    ほむら「ハコの魔女の仕業ね」

    さやか「ハコの魔女?」

    ……見滝原にそんな魔女いたっけ?
    まぁあの時数多くの魔女に会ったけど、あれで見滝原の全ての魔女だったわけでもない
    あたしの知らない魔女がいたってそれは不思議な事ではないか


    587: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/19(日) 16:52:02.42 ID:tYvV9aiSo

    仁美「邪魔をしてはいけません。あれは神聖な儀式ですのよ」

    まどか「だって、あれ危ないんだよ?ここにいる人達、みんな死んじゃうよ!」

    仁美を止めようとしたまどかを、仁美は殴りつける
    まどかが苦しみ悶え……

    さやか「……ほむら、落ち着け」

    ほむら「落ち着いているつもりだけど」

    仁美がまどかを殴った瞬間
    威圧感だけで人が殺せそうなレベルの殺気がほむらから放たれていた
    ……どこが落ち着いているんだ……

    さやか「あたしは仁美込みであの辺一帯を。ほむらは『それ以外』を。任せたよ」

    ほむら「……わかったわ」

    今のほむらに仁美を任せるのはまずすぎる
    それに今回仁美がこの中に混ざっているのはひょっとして……


    588: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/19(日) 16:54:01.90 ID:tYvV9aiSo

    仁美「そう。私達はこれからみんなで、素晴らしい世界へ旅に出ますの」

    仁美「それがどんなに素敵なことかわかりませんか?」

    さやか「へぇ、恭介のいない世界にね。……どういうつもりだよ。仁美」

    仁美「!?さやか、さん?」

    まどか「さやかちゃん!ほむらちゃん!」

    ほむら「まどかは私の後ろに隠れていて」

    まどか「う、うん!」

    さやか「ほむら、操られてるだけで普通の人達なんだから。間違えても銃乱射とかやらないでね」

    ほむら「安心して。殺さない程度には抑えるつもりよ」

    あたしは衝撃波、ほむらは対人用麻酔銃を使って相手を気絶させていく。……ておい!

    さやか「それ!大丈夫なの!?」

    麻酔銃だって場合によっては人死ぬよ!

    ほむら「魔法で調整はかけてる。大丈夫なはずよ」

    そもそも対人用麻酔銃なんて、日本じゃ正式には使われていないはず……
    ……もう何も言うまい


    589: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/19(日) 16:56:55.63 ID:tYvV9aiSo

    仁美「さやかさん……あなたにはこの素晴らしさが理解できないんですか?生きてる体なんて邪魔なだけですのに」

    ……ひどい皮肉だよ、それ

    さやか「欠片も理解できない。大体……仁美の言う素晴らしい世界に、恭介はいないんだよ。仁美は恭介が好きなんじゃないの?」

    仁美「……上条君の事なんて、何とも思っていませんわ」

    さやか「……」

    この時点で仁美が恭介を好きになっていない可能性もあるけど……

    さやか「なら、仁美が死んだ後あたしが恭介の事もらうことにするよ」

    仁美「そんなの駄目!!!」

    ……仁美はあたしよりよっぽど強い
    少なくとも魔女の口付けなんかにやられるような子じゃない
    でももしやられるとするなら……

    仁美「いぇ……でも上条君にはさやかさんが……」

    あたしのいた世界でも、仁美が病院で検査を受けていた時期があった
    確か夢遊病だったとか……
    あれはこの魔女の仕業で、まどかかマミさんが倒していた?
    そしてその後に何か仁美の吹っ切れるような出来事があったのかもしれない
    ……今となってはもう確かめようのない昔話

    さやか「大丈夫だよ。恭介の事、あたしは何とも思っていないから。仁美は何も気にせず、恭介と付き合っていいんだよ」

    仁美「嘘ですわね」

    さやか「……」

    仁美「まどかさんほどじゃないかもしれないけど、私はあなたをずっと見てきました。上条君をあなたが見る目も。……あの事故があった日の事も。なのにどうしてあなたはそんな事が言えるんですの?」

    さやか「……仁美、それは」

    それはもう、あたしが人じゃないからだよ……


    590: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/19(日) 16:59:36.81 ID:tYvV9aiSo

    杏子「そりゃ魔法少女4人で突入かけりゃ、並の魔女なら逃げの一手に出るか。……マミ、分かるか?」

    マミ「えぇ、……こっちよ!」

    杏子「……」

    まるで昔みたいだな。そういいたくなったが、ぐっと堪える
    その言葉はお互いを傷つける結果にしかならない

    杏子「そういえば、マミ。体の方は大丈夫なのか?」

    マミ「心配されるほどのレベルではないわよ。……でも何故あなたがそれを知ってるの?」

    杏子「……キュゥべえから聞いたんだよ。マミが重傷を負ったってな」

    マミ「……」

    杏子「……見滝原の魔法少女がかざみのに来ていた時、てっきりあたしはあんたがあたしを殺そうとしてると思った」

    マミ「!?……そんな事、私がするわけないじゃない……あなたは私の……」

    杏子「そうだよな。あんたはそういう奴だった。……ごめんな。……まぁ、もしあたしを殺すなら、いの一番であんたが来ると思ってたからね。何かあると思ってた矢先にキュゥべえから話を聞いて、まず直接あんたと話がしたいと思ったのさ」

    マミ「それがあなたが見滝原にいた理由だったのね……」

    杏子「その途中で青いのと会って、うっかり喧嘩ふっかけちまったけどな。……あいつ、マミの次ぐらいには強いんじゃないか?仮にあいつがあたしの事を何も知らなかったとしても、勝てるとは思えねぇ」

    マミ「……あの甘さがなければ、だけど」

    杏子「あんたがそれを言うかぁ?あたしと戦った時手加減しまくりだったじゃねぇか」

    マミ「あれから、いろいろ考える事もあったのよ」

    もし、あの時佐倉さんが一切の加減もなく斬り込んでいたとしたら
    私はあのまま終わっていた


    591: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/19(日) 17:01:24.92 ID:tYvV9aiSo

    杏子「……でも、さ。あたしはあの時覚悟とかいったけど、あんたはあんたで必死に止めようとしてたんだよな」

    あの時いっちょ前に覚悟といったけれど、そもそも覚悟といったっていろんな種類がある……そんな事もあたしは見えていなかったのかもしれない

    マミ「……その話はもうやめましょう。……ここね」

    魔女結界を前にし、巴マミは戦闘態勢に入る

    杏子「……なぁ、下らない話をしてもいいか?」

    マミ「何?」

    杏子「魔法少女が魔女になるならさ。……魔女になった奴を、元に戻すことだって出来るんじゃねぇか?こう、魔女を倒したらぽーんとソウルジェムが出てきたりしてさ」

    マミ「……私がその事実を知った時。似たような事を考えてキュゥべえに聞いてみたの。キュゥべえは『前例はない』と言っていた」

    杏子「それはつまり、あいつの知らない事もあるって」

    マミ「つまり不可能ということよ。キュゥべえと魔法少女との関係はここ数十年なんてレベルじゃない。何千年。いえ、何万年の話になる。その中で過去にただの一度も成功した事例がない。それはそのまま不可能と受け止めていいと思う」

    杏子「……悪い、本当に下らない話だったな」

    マミ「……あなたは変わったようで、変わらないのね」

    根本に優しさがあるから、悪に徹しきれない
    美樹さんを殺そうとしてたという話は聞いたし、確かにあの最後の一撃は美樹さんを的確に捉えていたけど……私があのまま止めなかったとして、美樹さんを佐倉さんが殺すような事はなかったと思う

    杏子「……うっせぇ」

    マミ「じゃぁ、先輩としてあなたがこの一年。どこまで強くなったのか見せてもらおうかしら」

    杏子「今更そういう事言わないでくれよ……ま、あんたは万全じゃないし、そこまで無理もできないんだろ。後ろでのんびり紅茶でも飲んでりゃいいさ」


    592: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/19(日) 17:06:27.55 ID:tYvV9aiSo

    さやか「と、とにかく。仁美が死ぬ必要なんて全くないんだって。ただ仁美は自分の幸せだけを考えればいいんだよ」

    仁美「話を逸らさないで!……そうやってあなたは笑って、自分の気持ちに目を背ける。……そうなるだろうと思っていた。だから私は前に進む事も出来なかったのに……」

    さやか「……仁美?」

    仁美「あなたは臆病者です。人の幸せを願ってるようなことを言って、自分が幸せになれない事の言い訳にしている」

    さやか「……そ、それは」

    仁美「いつまでそんな事を続けるんですか。この『偽善者』」

    さやか「……!!」

    さやかは仁美を引っぱたいた

    さやか「……いいたい事ばっかいって。あたしがどんな気持ちであんたに恭介を……」

    仁美「……!」

    仁美はさやかを引っぱたき返す

    仁美「その気持ちを話してくれないから!!……いい加減にしてください。あなたのその自分勝手な善意がどれだけ私を傷つけてきたか、考えたことがあるんですの!?」

    さやか「……今更だよ。今更、本当の気持ちなんて言えないし、言う気なんてなかった。もう諦めてたのに……!」

    仁美「それで私の気持ちも……上条さんの気持ちもないがしろにして。貴方は何がしたいんですか!!」

    さやか「……『魔法少女』でもないあんたに、あたしの気持ちがわかるのかよ!!」

    さやかは仁美を殴りつける
    仁美がそれに応酬する形になって……

    まどか「仁美ちゃん!さやかちゃん!やめ」

    ほむら「いえ……多分この二人はこれでいい」

    まどか「……ほむらちゃん?」

    ほむら「……」

    結局仁美以外をほとんど自分が相手する羽目になってしまった
    それほど苦でもなかったから別に構わないが……
    以前美樹さやかはこの『上条恭介問題』に関して策があるといっていた
    美樹さやかがどんな策を用意していたのかは今となっては知りようがないけれど
    でも、今この状況はそれほど悪いものとは思えない

    ほむら「それにしても、こんな状況化でもしっかり手加減は忘れないのね。美樹さやかは……」

    仁美の首筋から、魔女の口づけは既に消えてなくなっていた


    593: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/19(日) 17:11:50.98 ID:tYvV9aiSo

    --魔女結界内部--

    杏子「……最後のおいしいところだけ持っていきやがって……」

    マミ「それは失礼。でも、紅茶を飲んでいるだけというのも退屈なものよ」

    マミが使い魔、杏子が魔女を相手する形になっていたが
    杏子がとどめに投槍で決めようとしていた直前で、全ての使い魔を倒し終わったマミのマスケット銃の連射が魔女を貫いていた

    マミ「……以前に隠し弾を持った魔女にやられたことがあってね。これも同じ類ではないかと思って警戒したんだけど……」

    佐倉さんの投槍
    仕留めきれなければ、佐倉さんは槍のない完全に無防備な状態を晒す事になってしまう

    杏子「あまりに動きがないから、ブラフで撃つつもりだった。ちゃんと反撃を受けた時の対抗策は考えていたよ。……いたんだけどな……」

    ……まさか、あれだけの人間の心を操作できる魔女が
    戦闘面でこんなに弱いとは……

    杏子「ま、まぁあんたのリハビリには丁度よかったんじゃないか?」

    マミ「そうね。これで感覚にどれぐらい誤差があるかは調整できた。次の魔女戦では万全な状態で挑めると思う」

    杏子「そんな事考えながら戦ってたのかよ。あんた」

    相変わらず無駄だらけのようで無駄のない戦闘スタイルだ

    魔女結界が消えていく
    その場にはマミと杏子と、グリーフシードだけが残された

    杏子「……悪いな。いつかあたしもそっちにいくだろうから、不平不満はその時に言ってくれ」

    マミ「佐倉さん。早く美樹さん達と合流しましょう。魔女の口づけが解けても全ての人間の心がそのまま正常に戻るとは限らない」

    杏子「あぁ。わかった」


    594: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/19(日) 17:16:22.34 ID:tYvV9aiSo

    さやか「……ごめん。ちょっとやりすぎた……」

    仁美「いえ……でも、本当の話が聞けてよかったですわ……。『魔法少女』、ですか。……ひどい詐欺もあったものですわね」

    さやか「でも、そのおかげで恭介の腕は治ったし、あたしはあたしの正義を貫くことが出来てる。……本当にもう、諦めていたつもりだったんだよ?」

    仁美「……キュゥべえさん!いらっしゃいますの!!私を魔法少女に変えてください!!願いは『上条さんが二度とヴァイオリンが弾けなくなる事がないようにすること』!」

    さやか「!?ひ、仁美。何を言って……」

    仁美「貴方の言う石ころになって。魔法少女の宿命を背負って。それで私は上条恭介さんに告白します。……私は貴方と違って上条さんを信じていますから」

    さやか「……あたしが、恭介を信じていない……?」

    仁美「えぇ。……私は自分が石ころになろうと、願いが何であろうと、それを上条さんが受け止めてくれると信じている。……貴方はどうなんですか?勝手に一人で悩んで、私にも上条さんにも何も言わなかった貴方は。上条さんの事を少しでも信じる事が出来なかったんですか?」

    さやか「……」

    あたしは……

    仁美「……キュゥべえさん?いないんですか?」

    さやか「……」

    ほむら「……キュゥべえ。仁美に魔法少女になる事は可能なの?」

    QB「不可能だ。残念ながら彼女に素質はない。僕を見る事もできない人間の願いを叶える事は出来ないね」

    QBは今、まさに仁美の正面にいた
    にもかかわらず、仁美にキュゥべえは見えていない

    ほむら「……でしょうね。……消えなさい」

    QB「僕を呼び出しておいてそれかい。本当にわけがわからないよ」

    まどか「……仁美ちゃん……」


    595: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/19(日) 17:19:57.65 ID:tYvV9aiSo

    さやか「魔法少女は誰にでもなれるものじゃない。……あたしもよくわかってないけど、素質とか因果の量とか、いろんなものが関係して決まってるみたい」

    仁美「……そん……な……じゃぁ、私は永遠にさやかさんと対等には……」

    さやか「……後数週間もしたら、最強の魔女が現われる。仁美はなるべく多くの人を説得して、見滝原から避難させてくれないかな」

    さやか「そして、最強の魔女を倒したら……そしたら、あたし達も決着をつけよう。あたしと仁美、どっちが恭介を愛しているのかを」

    仁美「……さやかさん?じゃぁ」

    さやか「ワルプルギスの夜を倒したら、あたしは恭介に告白をする。魔法少女の事も、あたしの思いも全て打ち明ける」

    仁美「さやかさん!……負けませんわよ」

    さやか「あたしだって!」


    杏子「……で、何であの二人はあそこで少年漫画みたいなノリをやっているのか、説明してくれないか?」

    マミ「私はどちらかというと、この死屍累々な状況を説明してほしいんだけど……」

    まどか「えぇとそれは……あれ、ほむらちゃん……?」

    ほむら「……」

    これで、最後の問題も解決した
    ワルプルギスの夜と戦う上でこれ以上ない状況が、『また』出来上がった
    ……いや、美樹さやかが戦力になる分、前よりさらに上
    もうこれ以上の好機は二度と訪れない
    つまり、これが最後の……

    ほむら「……」

    さやか「なんか恥ずかしいところ見せちゃったね。ほむら……ほむら?」

    ほむら「」

    さやか「ほむら!!」


    603: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/24(金) 00:32:05.40 ID:i/FYKF2/o

    --ほむらの家--

    ほむら「……」

    さやか「ふぅ……これでよし、と」

    あたしはほむらを布団に寝かしつけた

    さやか「ここ最近大変な事続いたからね。少し疲れが溜まってたんだよ」

    ほむら「……さやか……ごめんなさい」

    さやか「いいって。……それより、さ。少し嫌な事聞いてもいいかな」

    ……勘みたいなものだ。外れている可能性の方が高い
    でももし真実だった場合、ワルプルギスの夜との戦いまでにこれを聞いておかないのはまずい

    ほむら「……えぇ」

    さやか「あたし達4人がこういう風に団結してワルプルギスの夜に挑んだ事、別に初めてってわけじゃない……の?」

    ほむら「……えぇそうよ。あなたが上条恭介の事を乗り越えたのだってはじめてではないし、杏子やマミが一緒に戦ってくれたのだって初めてではない」

    ほむら「そして、その周でも」

    さやか「……」

    ほむら「その周でも私は……あいつに勝てなかった」


    604: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/24(金) 00:33:04.80 ID:i/FYKF2/o

    杏子「おいマミ。あいつら残して帰っちまって大丈夫だったのか?」

    マミ「私達が集まって問い詰めるような話でもない。美樹さんに任せましょう」

    杏子「?何を言ってるんだ?」

    マミ「暁美さんは何度もループを繰り返し、その数だけ失敗を繰り返してきたそうよ」

    杏子「ん?あぁ、確かさやかがそんな話を言ってたな。……それがどうしたんだ?」

    マミ「……そのループの中で暁美さんが私達と力を合わせて戦った未来が一度もないと思う?」

    杏子「……どういう意味だ」

    マミ「……ワルプルギスの夜はループの回数ごとに強くなっているそうよ。恐らくその私達4人が揃って勝てなかった時よりもさらに」

    杏子「……つまりマミは、あたし達はワルプルギスの夜に勝てはしないと、そういいたいのか?」

    マミ「少なくとも今まで勝てた未来はないようね」

    杏子「……」

    マミ「……あなたは元々かざみのの魔法少女。こんな戦いに巻き込まれる理由は」

    杏子は槍を召喚し、マミに突きつけた

    杏子「それ以上言ったらあの時の決着をここでつける」

    マミ「……佐倉さん?」


    605: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/24(金) 00:34:32.44 ID:i/FYKF2/o

    杏子「馬鹿にするんじゃねぇ!あたしは誰の意思でもない、あたしの意思でここにいる。その程度の理由であたしが引き下がると本気で思ってるのかよ!!」

    マミ「……そう、ね。ちょっとだけ引き下がってくれたらいいかな、って思っただけ」

    杏子「……」

    杏子は槍をおろし、ため息をついた

    杏子「くだらない事言ってんじゃねぇよ……あたしは戦う。あんたが何を言おうとな」

    マミ「……あなたがこの戦いに拘る理由は何?」

    杏子「あんたには言いたくない」

    マミとかつて一緒にすごした
    その見滝原をマミごとなくすなんて事はとても耐えられない
    それに……美樹さやか。あいつはここで終わっていい奴じゃない
    実力に伴わない未熟な正義だけど……あいつはあたしとは違う
    かつてあたしが目指せなかった道をあいつなら貫きとおすことが出来る

    マミ「……ねぇ、ワルプルギスの夜の作戦会議も兼ねて、今日は私の家に泊まっていかない?」

    杏子「明日、さやかとほむらが揃ってから一緒にやりゃいいだろ。……あたしは適当にその辺のホテルに泊まるよ」

    マミ「その……いろいろ話したい事があるの。魔女が出てきたせいで話そびれちゃったけど」

    杏子「……前にも言ったけど、あたしはあんたと馴れ合う気はない」

    マミ「……」

    杏子「……」

    そんな顔すんなよ
    ……とくに何も悪い事してないのに、あたしが悪いみたいじゃんか……

    杏子「……でもま、一緒に戦うんだからある程度お互いを知っておく必要はあるしな。……今夜だけだぞ」

    マミ「佐倉さん……ありがとう」

    杏子「別にあたしは何もしていない。……今からホテル探すのも面倒だしな」

    ……まぁたまにはいいか


    606: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/24(金) 00:35:24.06 ID:i/FYKF2/o

    --ほむらの家--

    ほむら「私はあなた達を集めてワルプルギスの夜に挑もうとしていたけど……同時に、揃わなければいいとも思っていたの」

    ほむら「だってそうじゃない。全ての力を出し切っても、またあの結末が待っているだけ。でも力が出し切れなければ、次は、次こそは、そう考える事が出来る。その数だけまどかを失ったとしても」

    ほむら「……私はとうの昔に全てを諦めていたの。どんなに手をつくしても、どんなに戦力を揃えようとまどかを救えないことは既に理解していた」

    さやか「ほむら、落ちついて」

    ほむら「私はただ出口のないと分かっている迷路を永遠にさまよっているだけなの。でも、それでも……私はまどかを……」

    さやか「ほむら」

    あたしはほむらを抱きしめた

    さやか「……こうされると、少しだけ落ち着かない?」

    ほむら「……」


    607: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/24(金) 00:36:57.22 ID:i/FYKF2/o

    ほむら「……もう大丈夫よ」

    さやか「……うん」

    ほむら「ごめんなさい……情けない姿を見せたわね」

    さやか「うぅん。情けなくなんかない。……それに、実を言うとあたしは嬉しいんだ。ほむらって初めて会った時からずっと悩んでたくせに、全然話してくれなかったから。……少しはあたしの事、信用してくれたと思っていいのかな」

    ほむら「……失態ね。本当に」

    さやか「……むぅ」


    608: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/24(金) 00:37:56.60 ID:i/FYKF2/o

    さやか「……でも、多分今までのあたしより、今回のあたしは強いんじゃないかなーと思うんだけど」

    ほむら「そうね……」

    でも、それすらも誤差の範囲。ワルプルギスの夜に私達は勝てないだろう
    それでも……

    さやか「……ねぇ、その……負けた時のデータってあるの?」

    ほむら「?……ある、けど」

    さやか「それを分析しよう。明日杏子やマミさんにもその話をしてさ。ほむらの絶望を全員で見て、その上で打開策を探そう」

    ほむら「!?……でも、そんな事をすれば」

    さやか「多分マミさんも、杏子も薄々そういうループがあったことは気づいてると思う。これが元々勝ち目なんてほとんどない戦いだって事はとっくに理解してるだろうし」

    さやか「でもね。ほむら……あたしは勝つよ。ワルプルギスの夜を倒す。その為にこの世界に来たんだから」

    ほむら「……」

    さやか「だから、さ。ほむら。そんな絶望的にならなくてもいいんだよ。どーんとさやかちゃんに全て任せてくれたまえ!」

    ほむら「……馬鹿ね」

    さやか「何だよー!」

    ほむら「本当に、馬鹿よ。あなたは」

    さやか「……ほむら……?」

    ひょっとしたらこの世界なら……そう考えてしまう
    それがどれほど危険な事だと理解していても

    ほむら「……そうね。私も覚悟を決めないと。ワルプルギスの夜を、この手で倒す。……いつだって私はその為に戦ってきたんだから」

    さやか「その意気だよほむら!」

    ほむら「……そうね」

    多分、私が耐えられるのはこのループで最後となる
    ……このループで全てを終わらせよう
    それがどんな結末になるとしても


    609: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/24(金) 00:42:09.47 ID:i/FYKF2/o

    --魔女結界--

    あたし達は影の魔女と相対していた
    使い魔の攻撃に邪魔されて中々本体に近づくことが出来ない
    ……考えようによっては対ワルプルギスの夜にはうってつけの相手と言えるかもしれない

    さやか「くらえ!!」

    あたしの刀身発射が炸裂するも、使い魔を突破することが出来ない

    さやか「とすると遠距離からの大技か、近距離に接近して……」

    杏子「……どいてな。ここはあたしがやる」

    さやか「え?」

    杏子が一気に影の魔女に突進をかけた
    当然それに対し使い魔が迎撃を図る

    さやか「!?……ほむら!マミさん!杏子の援護を!!」

    ほむらの機関銃、マミさんのマスケット銃、あたしの投剣で杏子のサポートをかける
    ただ、それでも杏子への使い魔の攻撃は防ぎきることができない
    一匹の使い魔の攻撃が、杏子を貫いた

    さやか「杏……」

    ……いや、これは

    さやか「あいつ、また無茶を!!」

    杏子の幻術魔法だ
    使い魔の攻撃は何もない地面を貫いた

    杏子「……ぐ!!」

    頭がミキサーでかき混ぜられているんじゃないかというぐらいの痛み
    それでも、ロッソファンタズマをワルプルギスの夜までにせめて使える領域まで持っていかなければ
    勝てない相手に勝つ為に、手数は増やしておく必要がある

    杏子「……でも、今度は気絶せずにすんだか。少しずつマシにはなってるな」

    杏子の槍は影の魔女に到達し、そのまま首を跳ね飛ばした


    610: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/24(金) 00:43:24.26 ID:i/FYKF2/o

    さやか「杏子、大丈夫?」

    杏子「大丈夫だよ……一人までなら、充分使うことが出来そうだ。ワルプルギスまでにあんたの幻術技程度の域までは到達させたいところだな」

    さやか「……あたしは一年かかったんだけどね……」

    まぁ元々の願いで使えた杏子と、あたしでは差がある。……そう考えよう

    マミ「……」

    佐倉さんのロッソファンタズマ
    ……考えれば分かるはずだったのだ
    あんな出来事があったら、佐倉さんがあの技が使えなくなる事ぐらい
    それなのに私はあんな事を

    杏子「あんたもそこで変な落ち込み方するんじゃねぇ。勝手に使えなくなってそのまま放置してたあたしの責任なんだからさ」

    マミ「……佐倉さん」

    ほむら「それにしても、凄い技ね。美樹さやかに使われた時も思ったけど……本物と寸分の見分けもつかない」

    さやか「あたしのはコピー品。……この技の極致はそんなものじゃない」

    五感全てを支配したロッソファンタズマは、実質複数人の杏子が同時に襲い掛かってくるのと大差ない
    あれを破る手段は、あたしには見つけられなかった

    杏子「……ま、今のこれは必殺技と呼ぶにはちょっと頼りないかもな」

    さやか「それで負けたあたしの立場は……」

    杏子「あれはあんたが技を出し惜しむから悪いんだろ?……いつか、再戦しようぜ。今度は負けねぇよ」

    さやか「む……」

    マミ「勝った奴はいない、負けたと思った奴がいただけだ……なんてね」

    杏子「わけわかんねぇよ」


    611: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/24(金) 00:44:48.87 ID:i/FYKF2/o

    --ほむらの家--

    ほむら「……これで、今いる見滝原の大方狩りつくした事になる」

    さやか「そこそこにグリーフシードも溜まったね」

    杏子「……じゃぁま、作戦会議といくか」

    さやか「その事なんだけど……」

    マミ「暁美さん。私達が死んだ時のデータを見せてくれる?」

    さやほむ「!?」

    杏子「……また、ストレートに言ったな」

    マミ「遠まわしに言うよりはいいと思って。それに美樹さんとも、そういう話をしているかと思っていたけれど?」

    さやか「お見通しですか……」

    ほむら「……先に言っておくけど、すごく後悔する事になると思う。……それでもいいのね」

    マミ「覚悟は出来ているつもりよ」

    杏子「あたしもなー。ま、どーせ碌な死に方はしないと思ってたし」

    ほむら「じゃぁ……」


    612: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/24(金) 00:46:37.59 ID:i/FYKF2/o

    杏子「……マミ……」

    マミ「ごめんなさい、佐倉さん……」

    さやか「いやほら、別の世界だし……それいったら、あたしなんて……」

    杏子「……なるほど、確かにこれは結構へこむな」

    ほむら「……これらは同時に、私の失敗の記録でもある。助けられたはずの貴方達を、私は助けることが出来なかった」

    さやか「……なんてことは置いといて!ワルプルギスの夜対策だよ!!ちゃんとワルプルギスの夜まで辿り着いてやられたパターンを探さないと」

    杏子「……何だかんだであたしとマミが結構生き残ってるんだな」

    さやか「あたしは……」

    杏子「……別の世界なんだろ。あんたが気にする事じゃない。てか自分でそう言ってたじゃねーか」

    さやか「そうなんだけどね。でもこれは……」

    あたしがワルプルギスの夜に辿り着いてやられるパターン
    ①何もできないままに炎攻撃を耐え切れず死亡
    ②何もできないままに剣を使い魔に弾き飛ばされ、そのまま使い魔に殺され死亡
    ③何もできないままに(ry

    さやか「そういえば、昔キュゥべえに『君の実力ではワルプルギスの夜に傷一つつけられない』って言われたっけ……」

    そりゃ強くなったワルプルギスの夜と当時のあたしが戦えばこんなものか

    杏子「……気になるのはこのマミのやられ方だな」

    マミ「えぇ、私も気になってた」

    拘束魔法を使い、その隙をつかれ死亡

    ほむら「……まどかが弓で注意をひきつけ、巴マミが拘束魔法を使う。そして私が時間停止でとどめを狙う。……この連携を狙ったところを巴マミの拘束魔法が破られたことで全てが破綻し、巴マミは……。別に気になるところは何もないと思うけど」

    マミ「……あのワルプルギスの夜を相手に何故拘束魔法を使ったの?炎攻撃も、使い魔攻撃も、何も止めることが出来ないのに」

    杏子「ワルプルギスの夜がわざわざマミのリボンを引き裂いているのも気にはなるな。ただ単にうざいからってだけかもしれないが……」

    ほむら「……言われてみれば」

    いつもどおりの連携攻撃。それぐらいに考えていた
    でも、もしその時の巴マミが何かしらのワルプルギスの夜の情報を持っていたとしたら

    マミ「……魔女を倒す方法は一般的に2つある。一つはその魔女の願いを満たす事。もう一つは、その魔女の存在そのものを否定する事……つまりは実力行使ね」

    マミ「……ワルプルギスの夜は舞台装置の魔女。この歯車を止める事がこの魔女の存在を否定する事に繋がるとすれば……」


    613: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/24(金) 00:49:41.47 ID:i/FYKF2/o

    マミ「私のリボン。佐倉さんの多節槍の二重掛けで何とかこの歯車を止められない?」

    ほむら「恐らく無理だと思うけど、弱らせた状態なら或いは……」

    さやか「ちょっと待って。拘束魔法ならあたしも使える」

    さやかは自分の剣を召喚し、多節剣モードに切り替える

    杏子「そんな技まで隠し持ってたのかよ……」

    さやか「一応言うけど杏子との戦いでこれを使わなかったのは、単純に無謀だと判断したからだよ」

    杏子の多節槍は万能すぎる。あたしのにわか多節剣で挑めば逆に窮地に立たされる

    ほむら「……まず出会いがしらにありったけの攻撃をぶつける。その上で拘束魔法を使い、再度連続で攻撃を食らわせる……作戦としてはこんなところかしらね」

    さやか「や、多分それだけでは無理」

    ほむら「根拠は?」

    さやか「出会いがしらにありったけの攻撃をかます方法は、実はあたしもやってる。しかもタイミングをずらして永久に攻撃をし続けられるようなフォーメーションで」

    あの時、キリカが考案した作戦第一案がそれだった
    だが……

    さやか「途中で使い魔に邪魔をされる。奴らはワルプルギスの夜からの命令で動いているみたいだけど、ほぼ独立してると言えるレベルの動きが可能みたい」

    いくらワルプルギスの夜を拘束しても、攻撃を加えても使い魔との戦いは避けられない
    となるとその作戦は途中で破綻する

    ほむら「でも、市街地に入られてしまえば避難所がある。避難所に突入されてしまえば打つ手はない」

    さやか「む……」

    確かにそれはそうだ


    614: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/24(金) 00:53:20.47 ID:i/FYKF2/o

    杏子「そもそも何でワルプルギスの夜は避難所を狙うんだ?」

    ほむら「多分……こいつは人の多いところに向かって動いているんだと思う。理由は……さやかの友人の資料だと、『公演を多くの客に見せる為』となっているわね」

    杏子「はた迷惑な話だなぁ……」

    さやか「えぇと……これか。『ダメージを受けるとワルプルギスの夜の劇場内に雑音が入る』これがあたし達が攻撃するまで反撃してこなかった理由か……」

    さやか「後、この魔女は過去に死んだ魔法少女を使って攻撃してくる。あたしが戦った時は……まどかとマミさんと、織莉子っていう……あたしの友達の魔法少女の親友が襲ってきた」

    杏子「……胸糞悪い魔女だな。本当に」

    さやか「さらにやっかいな事に、あいつは別のパラレル世界から死んだ魔法少女を呼び出せるみたい。最終的にあたしたちは7人の魔法少女を相手する羽目になった」

    マミ「7人?」

    さやか「うん。……織莉子にキリカ。まどかにあたしに杏子にマミさんに……」

    ほむら「……私、かしら?」

    さやか「……そう、その7人。ただそこまで連携がうまいわけではなかったし、今回はほむらが出てくる事はありえないから実質6人。あたし達4人で崩せないほどの相手ではない」

    さやか「ただ、問題は今回市街地が戦場として使いにくいということ」

    マミ「何とか避難所以外に誘導できれば……」

    ほむら「それが出来るなら苦労はしないわ」

    さやか「とはいえ短期決戦は不可能に近い。……最初に大技を当てて、拘束。これで無理なら市街地での戦闘も覚悟するしかない。避難所に近づかれそうになったら大技を当ててワルプルギスの夜の本体を弾き飛ばし、避難所から遠ざける」

    杏子「……それぐらいしかないだろうな。……別世界のあたし達が出てきた後、それをいかにうまくやるかが問題だが」

    さやか「……誰かが大技を撃つ時に誰かがその人のカバーに回る。これを臨機応変にやってくぐらいしかないと思う」


    615: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/24(金) 00:53:58.21 ID:i/FYKF2/o

    杏子「結局厳しい戦いには違いないか」

    さやか「でも、絶対勝つよ。その為にあたしはここにいる」

    ほむら「私だってそうよ。今度こそ、あいつとの決着をつける」

    マミ「私達も同じよ。……では、細部を詰めましょうか。打倒ワルプルギスの夜。前人未踏の快挙を、私達の手で成し遂げる」


    622: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:08:27.24 ID:yr6Sh+pdo

    --避難所--

    仁美「信用してくれなかった人が多くて……」

    さやか「むしろあんな無茶振りによくここまで対応してくれたよ。……でも、出来れば仁美も避難してほしかったんだけどなぁ」

    仁美「あら、まどかさんだけ残って私だけ避難するなんてできませんわ」

    まどか「仁美ちゃん……ごめんね」

    仁美「私が好きでやっていることですから」

    さやか「……まどかを避難させることが出来ないってのがなぁ……」

    ほむらの話によると、まどかを避難させた場合ワルプルギスの出現位置が予測不能になるらしい
    ……何故ワルプルギスの夜の出現位置にまどかが関わってるのかは分からないけど
    ある種の魔力に惹かれる性質でもあるのだろうか

    まどか「さやかちゃん……頑張って!」

    さやか「任せて!まどか!」

    仁美「さやかさん。これが終わったら私達の勝負ですわよ」

    さやか「……勿論!こんなところで負けてなんかいられない!」


    623: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:09:29.16 ID:yr6Sh+pdo

    --避難所外--

    ほむら「……終わった?」

    さやか「ほむら……せめてまどかに挨拶ぐらいしてもいいじゃんか……」

    まどか、絶対ほむらの事も待ってたと思うんだけどなぁ……

    ほむら「私は言葉ではなく、行動で示す。……今度こそ、ワルプルギスの夜を倒す」

    さやか「……うん。ま、あたしにどーんと任せておきなさい!」

    ほむら「頼りにしてるわ」

    さやか「おう!まかせ……ほむら、大丈夫?」

    ほむらにそんな毒もなく返されると逆に不安が……

    ほむら「あなたは私をどういう目で見ているの……あなたに頼っているのは本当よ。勿論佐倉杏子や巴マミも。もしワルプルギスの夜を倒すとしたら、結局あなた達に頼るしかないわけだし」

    さやか「うん。……そりゃまぁ、そうなんだけど」

    ほむら「馬鹿言ってないで早くいくわよ。……マミも、杏子も待ってる」


    624: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:10:18.47 ID:yr6Sh+pdo

    --ワルプルギスの夜発生予測地点--

    杏子「遅ぇぞ。ボンクラ共」

    さやか「ごめんごめん。話が長くなっちゃって」

    杏子「全く……少しは緊張しろよ。あんたは」

    さやか「緊張はしてるけど、しすぎるのも問題かなーと……」

    マミ「後数分といったところかしら……魔力がどんどん大きくなっていくのを感じる。出現する頃にはこれがどこまで膨れあがっているのか」

    ほむら「……どの道、倒さなければならない相手よ」

    マミ「えぇ……そうね。どんな強大な敵であっても、私達がやるべきことは変わらない」



    ………そして
    ワルプルギスの夜が訪れる


    625: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:12:12.15 ID:yr6Sh+pdo

    ほむら「打ち合わせ通りに!」

    さやか「あいよ!」

    マミ「任せて」

    杏子「よし!」

    杏子の投槍、マミさんとあたしのティロ・フィナーレ、ほむらの重火器
    それらの全てをコンビネーションでワルプルギスの夜にぶつける
    基本戦術はキリカとやった時と特に変わるものではないが、
    今回遠距離のスペシャリストが2人もいる為、以前のそれとは初撃の威力が比較にならない
    ……とはいえ、当然これだけで倒せるほど甘い相手ではない
    次の手を打ちにいく

    マミ「レガーレ・ヴァスタアリア!!」

    さやか「多節剣!」

    杏子「くらいな!」

    マミさんとあたしと杏子による三重拘束
    だが、これをワルプルギスの夜は意図もたやすく弾き飛ばした

    マミ「……く!」

    杏子「やるじゃねぇか……」

    さやか「流石にまだきついか……!!」

    もう少し弱らせないと拘束はきつい
    とはいえ、当然ワルプルギスの夜もただひたすらこちらの攻撃を受けてくれるわけではない

    さやか「……来た!!」

    使い魔達が大量に舞ってきた

    さやか「マミさん!」

    マミ「えぇ」

    マミさんとあたしの剣と銃の大量召喚。出てきた使い魔を片っ端から潰す

    マミ「無限の魔弾……といったところかしらね」

    杏子「余裕たっぷりだなぁおい……」

    マミ「まだ今は……ね」

    出現する使い魔を撃破しつつ、空いた隙間を縫ってワルプルギスの夜を狙う
    もしくは避難所に接近しようとするところをさやかと杏子が接近戦で迎撃
    ……以前は見滝原に誰もいなかったため、こちらからワルプルギスの夜に接近する必要があった
    そういう意味では今回、避難所まで移動しようとされるのは逆にやりやすいといえるかもしれない

    そして幾度目かの攻撃をワルプルギスの夜に当てた時、彼女達が現われた


    織莉子(影)「アハハハハハ!」

    キリカ(影)「アハハハハ!」

    さやか(影)「アハハハハハハハハ!!」

    マミ(影)「アハハハハハ!!」

    まどか(影)「アハハハハハハハハハハ!!」

    杏子(影)「アハハハハハハハ!!」


    626: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:13:47.80 ID:yr6Sh+pdo

    さやか「ついに来た……」

    あの時、キリカと一緒に戦った相手
    別の世界のあたし達

    マミ「さて、別の世界の私の実力どれほどのものか、見せてもらうわよ」

    杏子「自分の相手をする日が来るとはね……!負ける気はしないけどさ」

    マミと杏子はそれぞれの影と相対する

    さやか「……あたしには二人がかりで来たか」

    まどかと……あたし
    まどかは以前と特に変わらないから置いといて、あたしは一刀流スタイルか
    ……あの時キリカに出会って、あいつの影響を受けなければあたしは一刀流に完全に切り替えていたかもしれない

    ほむら「私の相手は、あなた達というわけね」

    以前にも何回かはここまで辿り着いていたし、予測もしていた
    ……美国織莉子に、呉キリカ。恐らくはかつて鹿目まどかを彼女達に殺された周の……

    ほむら「……容赦はしないし、する気もない」


    627: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:15:16.56 ID:yr6Sh+pdo

    さやか(影)「アハハハハ!!」

    さやかの影による攻撃を、さやかは受け流しつつまどかの影を刀身発射で弾き飛ばす

    まどか(影)「キャァ!!」

    さやか(影)「グ!!」

    さやか「……」

    ……まどかはまぁ、うん。以前戦ったしどれほどのものか想像はついていた
    ただ、あたしは……

    さやか「……弱いなぁ……」

    いや、一撃一撃は結構重いんだけど
    狙いも何もあったものじゃない、ただひたすらに振り回してるだけ
    魔女戦ならいざしらず、魔法少女戦でこれは完全な『鴨』だ

    さやか「まどか、覚悟……てところでよっと」

    さやか(影)「!?」

    まどか(影)「キャ・・・」

    あたしの影とまどかの影の間に入り
    あたしの影の攻撃をまどかの影へと誘導させる
    あたしの影はまどかの影へ攻撃しそうとなり慌てて攻撃を止めてしまい、お互いにお見合いするような形となってしまう
    当然ここを見逃す気はない
    二本の剣を多節剣モードに切り替え二人を拘束し、そのまま剣ごと爆破する

    さやか「とはいえ、一瞬で復活しちゃうんだよなぁ……」

    さやか(影)「ネェ・・・」

    さやか「……?」

    さやか(影)「コノセカイッテマモルカチアルノ?ネェ、アナタガオシエテヨ」

    さやか「……人に聞くことじゃないよ。それ」

    その答えは自分自身で見つけるもの
    他人に求めたって何も得られやしない

    復活したあたしの影の斬撃を避け、逆にカウンターの形で再び切り捨てる
    ……あたしが一番楽な相手と戦ってるとみた
    明らかにあたしよりきつい相手とあたっているほむら達を援護しよう


    628: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:17:38.97 ID:yr6Sh+pdo

    マミ「流石私といったところかしら。普通に戦えばそう簡単には崩せそうにないわね。でも……」

    マミは自らの影に接近戦を挑む。マミの影はそれを嫌がって遠距離を取ろうとした
    その一瞬のブランクを利用し、マミは大砲を召喚する

    マミ「ティロ……!!」

    マミの影はワルプルギスの夜への射線を塞ぎに行った
    マミの影を倒すのに火力は必要ない。故にこれはワルプルギスの夜を狙ったもの……そういう読みをしたのだろう
    それをマミは狙った
    作り出した大砲を杏子の影に対して投げつける

    杏子(影)「ナ・・・!?」

    杏子「ナイスマミ!!」

    ほぼ互角の戦いを続けていた杏子と杏子の影の均衡が一気に崩れた
    杏子の槍が杏子の影を貫く
    そしてそのまま投槍に移行し、ワルプルギスの夜を攻撃する

    マミ(影)「!?」

    マミの影は予測が外れて動揺し、一瞬硬直してしまった
    当然それを見逃す巴マミではない
    マミの召喚したマスケット銃がマミの影の頭部を貫いた

    マミ「……恐らく自分と戦っているという自覚がないのでしょうね」

    確かに能力は互角だが、自分の弱点は自分が知り尽くしている
    そこを突けるか突けないかというのは、実力差以前の問題だ
    今度こそマミは、ティロ・フィナーレをワルプルギスの夜に向かって撃ち放つ


    629: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:19:54.14 ID:yr6Sh+pdo

    ほむら「……ぐ!!」

    時間停止をして銃で攻撃しても、そのことごとくが速度低下・未来予知のあわせ技で避けられる
    織莉子とキリカのコンビネーション攻撃
    流石に一人でどうにかなるものではない
    が、幾度目かの攻撃時、ほむらの攻撃がそのまま織莉子を貫いた

    ほむら「……え?」

    キリカ(影)「ナニ!?」

    さやか「『速度低下』は今となってはあんただけの魔法じゃないよ。キリカ」

    キリカから授かったさやかの速度低下
    これを使うことで、キリカの影による速度低下は完全に潰される形となる
    そうなれば残るは織莉子の未来予知だが、あれはそこまで万能な代物ではない
    速度低下さえ潰してしまえば手数で押し切れる

    ほむら「……そっちは楽そうね。さやか」

    さやか「負ける気がしないね。……気持ちとしては複雑だけどさ」

    あたしの影が突進してしまい、それが邪魔でまどかの影が本来の性能を発揮できていない
    そのぼろぼろの連携をさらに崩すように動いてあげれば、実質魔力消費0でもこちらの魔法少女2人は倒せそうな気がした
    マミさんと杏子は何とかなってるみたいだし、ここはほむらの援護に全力を注ぐ


    630: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:21:19.91 ID:yr6Sh+pdo

    さやか「拘束魔法……今度はどうだ!!」

    幾度目かの束縛
    ワルプルギスの夜はそれを再び弾き飛ばすが……

    マミ「最初より時間がかかるようになってきてるわね」

    杏子「見た目だけだと分からないけど、こういう尺度があるとダメージがわかりやすいな」

    さやか「ダメージは確実に通ってる!いけるよ!」

    ほむら「……」

    まさかあのワルプルギスの夜を相手にここまでやれるなんて

    ほむら「ひょっとして、今回は本当に……?」


    631: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:22:17.98 ID:yr6Sh+pdo

    --避難所--

    仁美「……美樹さん達。大丈夫でしょうか……」

    まどか「……ごめん仁美ちゃん。ちょっとトイレ」


    まどか「……キュゥべえ。今更何の用?」

    QB「ひどい言い草だね。……さやか達は頑張ってる。あのワルプルギスの夜を相手に大善戦と言ってもいい」

    QB「でもね。ワルプルギスの夜を今までずっと見てきた僕だからいえる。この程度ではワルプルギスの夜は倒せない」

    まどか「……え?」


    632: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:23:11.00 ID:yr6Sh+pdo

    ワルプルギスの夜「ガガガガ」

    さやか「……嘘だよ、こんなの……」

    杏子「おい、なんだよこれ……」

    ほむら「こんなの、私も知らない……!!」

    マミ「……でも……そう、ね。考えてもみれば他世界の私達を召喚できるのだから……つまりはこういうことも出来るということになる」

    ほむらの繰り返してきたループ
    そのループの回数分ワルプルギスの夜は死んでいった魔法少女の魂を吸収していた
    ループの中で死んでいった杏子・さやか・マミの数はそれぞれ十を軽く越える
    全ての魔法少女の魂の具現化
    ワルプルギスの夜はまだ手札を隠していたのだ


    633: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:23:56.31 ID:yr6Sh+pdo

    --避難所--

    QB「まどか、今こそ願いを決める時だよ」

    まどか「でも、わたしが契約したら……」

    QB「このまま何もしなければ、マミも、杏子も、さやかの命もないだろう。ほむらがどうするのかはしらないけどね」

    QB「でも君が契約すれば万が一はある。ワルプルギスの夜を倒し、見滝原を救い、マミも杏子もさやかもひょっとしたら助かるかもしれない。勿論君が魔女となって世界が終わってしまう可能性もあるけど」

    QB「でもね。もし真に君が友達の事を思っているのなら、迷うことはないはずだよ」

    まどか「……」


    634: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:24:46.27 ID:yr6Sh+pdo

    さやか「ぐ……!!」

    杏子「大丈夫か!さやか!!」

    さやか「足をやられたけど、この程度ならすぐに修復できる」

    杏子「無理すんな!あたしがフォローにまわるからお前は少し休んでろ!!」

    さやか「……まずいね。マミさん達と完全に分断された」

    杏子「ハ!……手ごたえがなさすぎると思ってたんだよ。やっぱこれぐらいじゃなきゃなぁ!」

    さやか「……杏子」

    薄々杏子も気づいているはず
    これはとても勝てる相手じゃない
    でも、もし勝てなければ見滝原も、キリカも、そしてほむらも

    さやか「諦めてたまるか……!!」


    635: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:26:39.17 ID:yr6Sh+pdo

    マミ「流石にきついわね……!!」

    ほむら「……まだよ!まだこの程度……!!」

    マミの影達による大砲の連撃
    それを何とか寸前で回避する
    だが、ほむらはこの状況化で失念していた
    ワルプルギスの夜自身の持つ攻撃手段。巨大なビル郡がほむらの頭上へと迫る

    ほむら「く、『時間停止』」

    ……発動しない!?こんな時に……!!

    マミ「暁美さん!!」

    ほむらはかろうじて直撃は回避したが、足が挟まれてしまい動くことが出来ない
    マミの影達はマミとほむら、同時に狙いをつける
    ……この状況化。仲間の命と自分の命、どちらを優先するべきか
    その答えはマミにとって考えるまでもなかった

    マミ「暁美さん。後は任せたわよ」

    ほむら「巴マミ!あなたはどうして……!!」

    マミはほむらの挟んでいた瓦礫を狙い撃った
    そしてそのまま影達の砲撃が直撃し


    巴マミのソウルジェムは砕け散った


    636: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:29:09.42 ID:yr6Sh+pdo

    杏子の影達と、さやかの影達の連撃が続く

    杏子「通すかよ!!」

    今ここを通してしまえばさやかがやられてしまう
    ここは何としても

    だが、その時横からの銃撃が杏子を襲った

    杏子「……何で、そっちにはマミとほむらが」

    杏子が見たその先には高笑いをうかべる黒いマミの姿があった
    そしてその傍にはマミだったものの体が転がっている

    杏子「……そうか。マミはもう逝っちまったか……」

    さやか「マミさん、そんな……」

    杏子「……さやか。あたしのグリーフシードやるよ。あたしが持ってるより役にたつだろうしさ」

    さやか「杏子!?何で」

    杏子「……あたしのソウルジェムを見てみなよ」

    さやか「……あ」

    杏子のソウルジェムにヒビが入っている
    今のマミの攻撃は杏子のソウルジェムを掠めていたのだ

    杏子「ほんっと狙いつけるのうまいよなぁあいつ……」

    杏子「ま、安心しなよ。あんたの怪我が回復させるぐらいまでは、持たせてみせるからさ」

    杏子は自らのソウルジェムに魔力を注ぎ込む

    さやか「杏子…………」

    杏子「防御は苦手なんだけど。全ての魔力を注ぎ込めば壁ぐらいにはなれるだろうさ」

    マミ達の影もこっちに迫ってきた
    ほむらももうやられてしまったのだろうか
    確認しようにも影達が多すぎて確認できない

    杏子「さやか……生き残ってくれよ……」

    あんたは、マミやかつてあたしが掲げた正義そのものなんだからさ……

    さやか「杏子!!」

    影達は杏子とさやかを飲み込んだ


    637: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:30:35.33 ID:yr6Sh+pdo

    ほむら「そん……な……」

    血まみれになって倒れている巴マミ
    目を開けたまま、事切れた佐倉杏子
    折れた剣を片手に横たわる美樹さやか
    また、この結末だ
    また、私は

    ほむらはもう完全に戦意を喪失してしまった
    これだけの状況を作り上げても、ワルプルギスの夜は倒せなかった

    QB「惜しかったね。ほむら」

    ほむら「……キュゥべえ!!」

    思わずキュゥべえに銃を向ける

    QB「危ないね。もし、鹿目まどかに当たったらどうするんだい?」

    ほむら「!?」

    まどか「ほむら、ちゃん……」

    ほむら「まどか、どうしてここに!!」

    まどか「ほむらちゃん……わたし、魔法少女になるよ。今はもう、それに賭けるしかない」

    ほむら「まどか……駄目!!」


    QB「なら他に手はあるというのかい?このままでは見滝原も何もかもが終わってしまう。でも、鹿目まどかならその運命を変えられるかもしれない」

    ほむら「……でも、それでも」

    ……それでも、何だというのだろう
    今回以上の状況はもうありえない。かつて自分でそう言ったじゃないか
    もう私にワルプルギスの夜を倒す手段はない
    なら、……いっそ魔女になったまどかに救済されてしまうのも、悪くないのかもしれない


    638: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:31:29.71 ID:yr6Sh+pdo

    ……攻撃がやんだ?
    もう死んだと思われたか、最早戦力外と見なされたか
    ……まどかとキュゥべえが見える
    このタイミングでキュゥべえはまどかに契約を持ちかけたか
    なんとかして阻止しないと……

    さやかはその剣をキュゥべえに向ける

    『違うだろう?』

    ……え?

    『今狙うべきはキュゥべえではない。鹿目まどかだ』

    ……!!


    639: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:33:03.59 ID:yr6Sh+pdo

    『まずは鹿目まどかを殺し、世界の滅亡を回避する』

    『そこで呆然としている暁美ほむらの隙を狙い気絶させて、そのまま暁美ほむらを連れ見滝原を脱出する』

    『暁美ほむらには適当に希望を持たせるような事を言って次のループにまわしてしまえばいい。見滝原壊滅は以前にもあった事だし、これはもう仕方ない』

    『ここで死ぬのは君を必死に守った佐倉杏子の意思にそむくことになるんじゃないのかい?彼女の考えを汲み取るなら、君は何としてでも生き延びてその正義を守り続ける事を最優先に考えるべきなんじゃないかな』

    ……そうか、あんたならそう考えるのか
    確かに今この状況化ならそれは正しすぎるほどに正しいのかもしれない
    でも、さ

    さやかは剣を投げ放った
    狙いはキュゥべえではない
    かといって鹿目まどかでもない
    まどかとキュゥべえの間
    ……冷静になって考えればキュゥべえをここで殺したところでまた沸いてでるわけだし、あまり意味を見出せない
    と考えると、キュゥべえを無意味に殺すのも考えものだ

    悪いけどさ
    あたしはまだ、諦めたくない
    ほむらも、勿論キリカも、見滝原も、みんなを救う為にここに来たんだ
    杏子には悪いと思うけどさ。それでも……ここで折れてしまったら、もうあたしは自分の正義なんて貫けないよ

    『面倒な性分だよね、君も』

    ごめん

    『いや、それでこその君だ。大体君ならそう答えると思って聞いただけだしね』

    ……え?

    『今の行動をもって君の覚悟と受け止めさせてもらう』


    640: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:34:27.85 ID:yr6Sh+pdo

    『そりゃ客観的に考えて今の状況を君の力で覆すのは難しいだろうさ』

    『……君だけの力なら、ね』

    それはどういう?

    『私の魔法を使えるようになったとちゃんと説明したはずなんだけど。私がワルプルギスの夜と戦う際に使った魔法は『速度低下』だけだったかな?』

    ……!!

    『私に言える事は以上だよ。ま、その、何だ。君ならこの程度の未来は容易く変えられると思うけどな』

    ……
    自分の指を見る
    そこにはキリカのソウルジェムの欠片で作った指輪があった
    ……そうか
    あんたはずっとあたしをこんなに近くで見守ってくれてたんだ


    641: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:37:44.37 ID:yr6Sh+pdo

    さやかは杏子からもらったグリーフシードを自らのソウルジェムに使った

    QB「無駄だとわかっているくせに、まだ続ける気かい?美樹さやか」

    さやか「うん。別に無駄なんて考えてないけどね」

    まどか「さやかちゃん!でも……!!」

    さやか「まどか。……今からあたしは全てを賭けてワルプルギスの夜を倒す。だから、まどかが契約する必要なんてない。……あたしを信じて」

    まどか「……さやかちゃん……」

    さやか「ほむらもだよ。ちょっと諦めるには早すぎる。そこで見てなよ、このさやかちゃんの逆転劇を」

    ほむら「さやか……?」

    QB「……では、見せてもらうよ。君がワルプルギスの夜を相手にどこまでやれるのかをね」

    影達が一斉にこちらの方を向く
    でも、影達が備えてなかった分こちらの一手の方が早い

    さやか「この世界の杏子とマミさんは返してもらうよ」

    マミさんの正義も、杏子の意地も、それはあんたなんかが好き勝手扱っていいものじゃない

    さやか「……『時間逆行』!」

    マミさんと杏子のソウルジェム・肉体を、破壊される前の状態まで時間を戻す

    マミ「……あれ?私」

    杏子「……何だ?どうなってるんだ?」

    QB「……それでどうするんだい?今更状況を元に戻したことに意味があるとも思えない。それに、今のたった一度で君のソウルジェムは真っ黒じゃないか。もういつ魔女になってもおかしくない」

    さやか「そうだね。……でもね。この状態じゃなきゃ使えない魔法もあるんだよ」

    それはかつてキリカが使ってみせた技
    一発逆転が狙える最後の切り札

    ほむら「……それは!!」

    さやか「開け!あたしの『絶望』!!!」


    642: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:38:55.18 ID:yr6Sh+pdo

    コンサートホールの魔女、か
    しかしほむらの資料で見てわかってはいたが、凄いとこだなぁ
    こんなところで恭介の演奏が聞けたらどんなに……
    いやいやいや!それって恭介を魔女結界に引きずりこむってことじゃん
    それに……この魔女結界はどうも、恭介は絶対引きずりこめないようになっているらしい
    それは魔女としては悲しいことなんだろうけど、あたしにとっては救いでもある

    などと感傷に浸っている場合ではない
    魔女結界を作りあげる事には成功した
    ならば後はもう、最後までやり通すだけだ


    さやか「……演奏開始!」


    643: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:40:53.55 ID:yr6Sh+pdo

    ワルプルギスの夜
    ダメージを受けるとワルプルギスの夜の劇場内に雑音が入り、それを嫌がってあたし達を攻撃してくるらしい
    ……ということは、何もそれは攻撃に拘る必要はない
    幸いにして、ここはコンサートホールという性質上、全方位から雑音を出す事が可能だ
    もっともそれはワルプルギスの夜にとって雑音というだけで、演奏そのものは結構あたし好みのものではある

    さやか「へぇ……いい趣味してるじゃん。あたし魔女」

    それはとても悲しい音色ではあるけれど、聞くものを惹きつける
    もっともそんな事をワルプルギスの夜も、周りの魔法少女達も理解をしてくれはしなかったが

    ワルプルギスの夜はこの音楽がどのように流れているか正しく理解できていないようだ
    ……所詮魔女
    ワルプルギスの夜は音の出所を、コンサートホールそのものと捉えた
    実際には音の反響のせいでコンサートホール全体から聞こえてるだけなのに
    そして、その程度ではあたしの魔女結界は揺るがない
    コンサートホールの破壊に魔法少女達を裂いてしまい、ワルプルギスの夜の防御が手薄になる
    ……これを待っていた

    さやか「廻れ!運命の車輪!!」

    冷徹に廻り続ける運命の車輪
    それは決して未来へと廻ることもない、何も届かない、何も知ることはない
    その運命そのものをワルプルギスの夜の歯車とは逆に回転させ、複雑にからみ合わせる

    ……散々拘束魔法を使って痛めつけた今なら、たとえワルプルギスの夜であろうと

    ワルプルギスの夜「アハ・・・アハハ・・・・・・」

    ワルプルギスの夜の歯車がついに停止した


    644: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:42:59.71 ID:yr6Sh+pdo

    ワルプルギスの夜が観客席に落下した

    さやか「演奏中はお静かに……なんてね」

    あたしは剣を召喚する
    ……後はワルプルギスの夜にとどめを刺すだけだ

    さやか「……ブル・ファンタズマ!」

    痛覚は完全に遮断する
    回復魔法も当然停止
    魔法は極力節約し、ただワルプルギスの夜への攻撃に全てを集中させる
    散漫となった魔法少女達の攻撃を潜り抜け、ワルプルギスの夜の元へと到達した

    さやか「終わりだ!ワルプルギス!!」

    連続して斬りつける
    魔法少女達が慌ててワルプルギスの夜を庇おうとこちらに攻撃してくるので、さらにそれもうまく回避し、ワルプルギスの夜本体へとぶつける
    後はもう、時間との勝負だ
    あたしが魔女になるか、ワルプルギスが終わるのが早いか

    だが、ワルプルギスの夜にはまだ最後の力が残っていた

    さやか「……人形が最上部に到達してなくてもそれ!撃てるのかよ!!」

    魔力がワルプルギスの夜に集中する
    間違いない。この魔女結界ごとあたしをかき消すつもりだ

    さやか「……まだだ」

    確かにこの攻撃は脅威だ
    ……でも、もしこれに耐え切れれば?
    魔力を使い果たしたワルプルギスの夜は、もう打つ手は残されていないはず
    ……この一撃を耐え切りさえすれば、あたしの勝ちだ!

    さやかは結界を張る
    あまりこれに自信はないけど、ないよりはマシ

    さやか「さぁこい、ワルプルギスの夜!!」

    マミ「無茶苦茶ね」

    杏子「てかあたし達ほったらかして何やってんだよ」

    ほむら「……本当に愚かね。あなたは」

    さやか「……って杏子、マミさん、ほむら!?」


    645: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:44:04.69 ID:yr6Sh+pdo

    杏子「ま、よくあそこからここまで持っていったよ。……結界魔法ならあたし達も使える。そんな半端なものよりよっぽどマシなのがな」

    マミ「ワルプルギスの夜の攻撃が防ぎきれるかは怪しいけど、試してみる価値はあるわね」

    さやか「杏子、マミさん。こんなことに付き合わなくても……って痛!」

    ほむらに殴られた

    ほむら「これはあなたの戦いでもあるのでしょうけど、私達の戦いでもあるの。一人で全てを決めようなんて考えないで」

    さやか「……ほむら」

    ほむら「……かつて、私は魔法少女に契約した時願った。『まどかに守られる私じゃなくて、まどかを守れる私になりたい』とね。そして手に入れたのがこの盾。……ワルプルギスの夜の攻撃。たとえそれがいかなものであろうと」

    あの時の私の願いを、覆せるほどのものであるはずがない……!!


    646: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/02/26(日) 11:47:00.94 ID:yr6Sh+pdo

    最後の一撃を放ったワルプルギスの夜にもう力は残されていなかった

    生み出した魔法少女や使い魔達は維持できず消え去り
    炎も、重力操作も使えない
    まさにその性質そのものの存在へと成り果てた

    さやか「……これで本当に、おしまいだ」

    さやかはその剣を手に取り、ワルプルギスの夜の歯車へとつき立てた
    ワルプルギスの夜の歯車は全体にヒビが入り、砕け散った
    ……ワルプルギスの夜の最期だ

    マミ「……やったわね」

    杏子「あぁ……最期はあっけないもんだったな……」

    ほむら「……さやか。早くグリーフシードを使いなさい。このままじゃあなたは魔女に……!?」

    さやか「や……もう無理だよ。さすがにこれを出せるほどまで引きずり込まれちゃったら、元に戻る事は出来ない」

    マミ「……え?」

    杏子「おい!!」

    さやか「でも運がよかったというか、何と言うか……」

    さやかの姿は少しずつ消え去ろうとしていた

    ほむら「これはどういう……」

    さやか「パラドックス……なのかな。あたしがいた未来にワルプルギスの夜がいたから、あたしはこの世界に来た。でも、この世界でワルプルギスの夜を倒してしまえば、あたし達のいた世界にワルプルギスの夜はもう現われるはずはない。そうなると、あたしがここに存在する事事態が矛盾する」

    さやか「どうなるのかなと思ってたけど……これなら魔女になる心配もないね」

    ほむら「さやか!……そんなことって」

    杏子「……ちょっと待った。だとすると何でほむらまで消えかかってるんだよ」

    ほむら「……え?」

    さやか「……あれ?」

    マミ「私達も消えかかっているわね……」

    さやか「……」

    ワルプルギスの夜は過去も未来も飛び回っている可能性がある。そうなると因果破綻の行き着く先は、相当に大きい

    かつての友人の言葉、もしそれが真実だとするならばその行き着く先は

    さやか「……宇宙の再構築?」


    おしまい


    661: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/04(日) 21:57:22.28 ID:1vjZYEo0o

    --『見滝原の悪夢』エピローグ的な話--


    --織莉子の家--

    織莉子「……未来が、変わった」

    キリカ「……」

    当然だ
    それが起こる程にこの宇宙は大きく捻じ曲げられた
    今私と織莉子がここにいるぐらいだから、それはもう数え切れないほどの矛盾を
    この宇宙は抱えている事だろう
    ……今の状況はありえる可能性の一つとして考えてはいたが 
    実のところ到達できるとも思ってなかったし
    出来ないなら出来ないでそれでいいとも思っていた
    それでも、『あの子』は見事成し遂げたのだ
    ……非情に危ない橋を渡っていた気もするけど

    キリカ「……誉めてあげるべきか、叱るべきか微妙なところだね」

    織莉子「キリカ?」

    キリカ「……織莉子。一つだけ聞いてもいいかな」

    織莉子「何かしら?」

    キリカ「今のこの時間。私達は凶悪な魔女が迫っている事を君の未来予知で知ることが出来た」

    キリカ「……ところで、その魔女は遙か昔に幾度も出現し、『ワルプルギスの夜』という名前で恐れられてる。これは合ってる?」

    織莉子「……ワルプルギスの夜なんて聞いたこともないし、それが過去幾度も出現したという事例もない。キリカ、それは貴女も把握している知識のはずよ」

    キリカ「そうだね。私も『ワルプルギスの夜などいなかった』という情報を記憶している。……うん。成程」

    何となくこの世界に何が起こったかは把握できた
    無論推測でしかないし、間違っている可能性もあるが

    織莉子「……帰ったら、その辺りの話を詳しく教えてもらってもいい?貴女がどのような道を歩んでここにいるのかも含めてね」

    キリカ「勿論!織莉子の頼みを私が断るわけがないじゃないか。……でもまずは取り合えず」

    この舞台劇の幕を引こう


    662: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/04(日) 21:59:47.10 ID:1vjZYEo0o

    黒猫「ニャー」

    ほむら「エイミー。ありがとう。もうここまででいい」

    黒猫「ニャァ?」

    ほむら「大丈夫よ。もう、私は自分で歩ける」

    黒猫「ニャァ!」

    どこかしら満足したような表情を浮かべ、その黒猫は立ち去った

    ほむら「……本当にありがとう。エイミー」

    エイミーがいなければ、私は今の道を選択することすら出来なかっただろう
    それは途方もない道のりではあったけど……
    その最果てで、私はもう一人の親友と再び出会うことが出来た

    ほむら「……それにしても、まさかまたこの世界に帰って来ることになるなんてね」

    かつて私が魔法少女になった世界
    ……今の私ならば彼女達の助けになる事が出来るはずだ


    663: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/04(日) 22:01:22.05 ID:1vjZYEo0o

    さやか「……ん」

    目を覚ますと、そこは見知った景色だった
    見滝原が滅んだ後ずっと住み続けた街
    ……ただ、ここは正確に言うと滅びる少し前
    確かキリカに住居を提供してもらう前に使っていた公園で……

    さやか「……これは、どういうことだろう」

    あたしは確かにワルプルギスの夜を倒し、そこで消滅したはず
    とすると、ここは……キリカの言った通りなら宇宙の再構築後の世界ということ?

    さやか「……でも宇宙が再構築したのなら、あたしの記憶も再構築されてないとおかしいはず……だけどなぁ」

    とはいえ答えが出ないのなら、考えてもしょうがないか
    ……待て、それよりもっと重要な事を忘れていないか?
    もし、これが見滝原が滅びる前だとするなら

    さやか「た、確か街頭にテレビがあったはず!」


    テレビ「見滝原でスーパーセルが発生しました。現場には近づくことすら……」

    さやか「……まずい」

    これはあたしのいた世界
    つまりはこの時間、見滝原にワルプルギスの夜が出現している……!!


    664: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/04(日) 22:03:09.39 ID:1vjZYEo0o

    QB「美樹さやか。見滝原に向かうつも」

    さやか「ごめんキュゥべえ!あんたと会話してる時間が惜しい!!」

    速度向上の魔法を使う
    ……今まで習得した魔法はそのまま使える
    速度低下は……キリカのソウルジェムの欠片が消えてる為使えないみたいだ
    流石にあれはこの世界に持ち越せなかったのか
    ……少し、いやかなり、心細い

    さやか「……とにかく急がないと!!」

    トップスピードまで上げ、見滝原を目指す

    ……もしあの状況化にそのまま戻っているとするならば、今戦っている魔法少女はマミさんにまどか。
    ワルプルギスの夜の強さはほむらのループ以前のものであるところから
    相当な弱体化はしているはずだけど、それでもあの二人だけで勝つことは出来ない
    あたし一人が加わっても相当に厳しい相手のはず

    ……

    心の中でごめんなさいと何度も呟きつつ、街の人から携帯電話を奪い取った
    ……本当にごめんなさい。後で、その、なんとかして返すから
    この時期の杏子の電話番号は確か……

    杏子「……誰だあんた」

    さやか「見滝原の魔法少女。美樹さやか」

    杏子「……見滝原……か。で、その見滝原の魔法少女が何のようだよ」

    さやか「……『最強の魔女』が見滝原に現われた。このままじゃ巴マミが死ぬ」

    杏子「!?」

    さやか「……助けてほしい。一緒に戦って欲しい。あたしが伝えたいのはそれだけ」

    杏子「おい!何を言って……」

    携帯電話がきれた
    これだけの高速移動。むしろよく今まで繋がってくれた
    ……これをただのいたずらだと杏子は捉えないとは思う
    仮に捉えたとしても巴マミのことで悩んでいる杏子の決定打にはなるはず
    これで杏子が動いてくれるか……いや、動いてくれると信じるしかない


    665: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/04(日) 22:04:04.89 ID:1vjZYEo0o

    ゆま「……キョーコ。どうしたの?」

    杏子「……ゆま、準備しろ。今から見滝原に向かう」

    ゆま「キョーコ!!」

    杏子「見滝原に『最強の魔女』が出たって話らしい。最強って何だよって気はするし、眉唾物に思えるけど……。まぁこんなところで燻ってるのもあたしらしくなかったね」

    杏子「……ひさびさにマミの顔を拝みにいくか」

    ゆま「うん!!」

    最強の魔女とかいうのが本当にいるのかどうかは怪しいものだが、いずれにせよゆまが強大な魔力を感じ取っているのも事実
    見滝原には世話になった事もあるし、借りを返すには絶好の機会だ


    666: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/04(日) 22:06:23.84 ID:1vjZYEo0o

    マミ「……強い」

    恐ろしい魔力をかなり前から察知していた
    そこで鹿目さんと一緒に予測発生区域で構えてはいたけど……

    私の魔法も、鹿目さんの魔法もダメージが通っているようには見えない

    マミ「ティロ・フィナーレ!!」

    幾度目かの攻撃。今までの魔女なら一撃でしとめられたはずなのに

    マミ「レガーレ・ヴァスタアリア!」

    リボンによる拘束もあっさり弾き飛ばされる
    ……これ程の相手か……!!

    まどか「きゃ!」

    魔女の炎がまどかを襲う
    弓で狙いに入っていたまどかはそれを回避する事が出来ない

    マミ「鹿目さん!」

    マミはまどかを庇う形になり……
    だが、その時盾をもった魔法少女が魔女の炎を受け止めた

    マミ「え!?あなたは!?」

    まどか「……ほむら……ちゃん……?」

    ほむら「助けにきました。巴さん……まどか!」

    今度こそ巴マミを、そしてまどかをこの手で守る!


    667: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/04(日) 22:08:47.92 ID:1vjZYEo0o

    まどか「ほむらちゃんがどうして魔法少女に……!」

    ほむら「話は後。今はあいつを倒しましょう」

    マミ「……確かに今はこんな所でおしゃべりをしている場合ではない。鹿目さん!構えて!!」

    まどか「は、はい!!」


    ほむら「あいつの本体は歯車!歯車の方を重点的に狙って!!」

    まどか「う、うん!!」

    マミ「……これがあの暁美さん?」

    魔法少女になった瞬間に才能を開花する子もいるけど、どうもこの子はそういうタイプには思えない
    ……一体どういうこと?
    とはいえこれだけの力を持つ魔法少女が仲間として戦ってくれるのは心強い
    今はあの魔女を倒すことだけに集中するべきか

    ほむら「……なんて堅さ……!!」

    3人による同時遠距離射撃
    これでも火力が足りない
    ……最初で既にこれほどの力の差があったか……!!

    使い魔「アハハハハ!!」

    ほむら「く、邪魔!!」

    まどか「ほむらちゃん!!」

    ほむら「大丈夫よ。まどか」

    と、その時突然頭の中に情報が入って来る
    ビルに潰される自分
    それに巻き込まれる形で死ぬまどか
    何故かそれが近い未来自分に襲い掛かってくると確信を持って受け入れることが出来た

    ほむら「危ないまどか!!」

    まどか「え!?」

    ほむらはまどかを連れ、その場から退避する
    そのすぐ後にワルプルギスの呼んだビルがほむらたちのいた場所を潰していた

    ほむら「……あなたの力?今のは」

    ?「正しく理解していただけたようで僥倖。最も私の手助けなぞなくても今のはなんとかなりそうでしたね」


    668: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/04(日) 22:12:04.23 ID:1vjZYEo0o

    ほむら「……美国織莉子!!」

    かつて殺し合い、一度は完敗した相手

    織莉子「初めまして。鹿目まどか。巴マミ。暁美ほむら。もっとも暁美ほむら、貴女にとっては『初めまして』というわけでもなさそうね。……私は貴女達と同じ見滝原の魔法少女、美国織莉子。この脅威に対し私達の力も使わせていただきます」

    キリカ「……え?私も!?……苦戦しているね魔法少女諸君!私の名前は呉キリカ。正直私からすれば君達がどうなろうと知ったことではないけど、あの舞台装置には思うところがあるし、何より織莉子があいつを倒すというからには当然私も参戦させてもらうよ」

    織莉子「キリカ……もう少し言い方をオブラートに」

    キリカ「え?……うーん。……」

    キリカは数秒悩んで

    キリカ「……別世界の話だと考えればほむら以外は直接関係ないんだけど、『あの子』を手助けしてくれた事は感謝してる。これぐらいじゃ全然足りない気もするけど、恩返しってことで」

    マミ「……?」

    まどか「……全く意味がわからないよ……」

    ほむら「……」

    心当たりはありすぎるほどにある
    彼女の言っている『あの子』とは恐らく

    ほむら「美樹さやかのこと?」

    まどか「……え!?さやかちゃん!?」

    キリカ「大当たり。流石に冴えてるね」

    ほむら「……やっぱり」

    呉キリカは記憶を継承していると見てよさそうだ
    ……美樹さやかの持っていたソウルジェムの欠片、……そういえばあれには三つの情報が含まれていたはず。その三つ目の正体が、もしも……

    ほむら「あのソウルジェムの欠片。あなたの記憶が含まれていたというところかしら?」

    キリカ「!?……いやご明察の通り!君にさやかを託したのはそう間違いではなかったようだ。ちなみに暗号鍵は、『私のソウルジェム』。……正確に言えば複数鍵でいろいろ小細工は入れていたけどね。この世界で私のソウルジェムの存在を認識し、最後の鍵が解かれたというわけさ」

    ほむら「……本当に妙な事をいろいろ思いつく魔法少女ね。貴方は」

    キリカ「魔女に実弾兵器で挑む君だって相当……少し喋りすぎたかな。あの舞台装置だってそう長く待ってはくれないだろうし、早く倒してしまおう」

    ほむら「そうね」

    まどか「ほむらちゃん。さやかちゃんが関係してるってどういう事なの!!」

    ほむら「ま、まどか落ち着いて……大丈夫。多分さやかも今ここに向かっている真っ最中だから」

    まどか「え……まさかさやかちゃんも」

    舞台装置の魔女「アハハハハハハハハ!!」

    舞台装置の魔女の炎による攻撃が再びまどかを襲う

    まどか「!!」

    織莉子「させない!!」

    織莉子の結界がまどかを包んだ
    舞台装置の魔女の攻撃はそれでも完全に防ぎきれるものではなかったが
    織莉子の結界が炎を防いでいるうちにほむらがまどかを抱きながら横に回避する

    マミ「気をつけて!」

    まどか「は、はい!!」


    669: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/04(日) 22:13:41.90 ID:1vjZYEo0o

    美国織莉子が作りだす魔法球。それを足場にし、近接戦を仕掛けるキリカ
    その合間を狙うマミとほむら

    キリカ「……流石だな。あの二人は私の攻撃の合間をしっかり見て、その上で攻撃してくれている。彼女達に関して心配することはなさそうか。……問題は」

    ただ一人。鹿目まどかはキリカの攻撃のタイミングがつかめていない
    誤射を恐れてどうしても攻撃が遠慮がちになってしまい本来の力が発揮できない

    キリカ「……織莉子!ちょっとだけ離れてもいい?」

    織莉子「えぇ!頼んだわ、キリカ」


    キリカ「そこの弓使い」

    まどか「はははい!!」

    キリカ「や、そんなに緊張しなくても……。君、私に遠慮して攻撃を控えてるね」

    まどか「え……そ、それは」

    キリカ「君は強い。だからこそこの魔女を倒すには君の力がどうしても必要だ。……そこで、なんだけど。君と私で合体技を使ってみようか」

    まどか「え!?が、合体技?」

    キリカ「やる事は簡単だ。君は私の真後ろから私めがけて狙い打ちしてくれればいい。後は全てこっちでなんとかする」

    まどか「え!?で、でもそんな事したら」

    キリカ「じゃぁ頼んだよ!!」

    キリカは再び前線に跳んで行った

    まどか「え、ど、どうしよう」

    ほむら「撃ちなさい。まどか」

    まどか「ほむらちゃん?」

    ほむら「大丈夫。あの魔法少女は考えなしにそういう事を言う人間ではない」

    美樹さやかの言葉をそのまま信じるなら、だが

    マミ「どの道このままあなたの力を出し惜しみしてしまうような状況を続けてしまうのは好ましくないと思う。試してみて」

    まどか「マミさん……わかりました!やってみます!!」


    670: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/04(日) 22:15:39.84 ID:1vjZYEo0o

    まどか「フィニトラ・フレティア!」

    まどかの矢がキリカを一点に狙う

    キリカ「……よし、来た!!」

    キリカはそれを回転しながら鍵爪に魔力を吸い取らせる

    まどか「……ぇええ!?」

    そのままキリカはまどかの魔力を、自身の衝撃波を上乗せして舞台装置の魔女に放った
    舞台装置の魔女が大きく揺らぐ

    キリカ「うん。やっぱり強いね。狙いも正確。いい魔法少女に育ちそうだ」

    織莉子「あらあら。貴女からそんな言葉が聞けるなんて。貴女は人を育てるなんて性分ではなかったはずだけれど」

    笑みを浮かべながら織莉子が言う

    キリカ「……意地悪言わないでくれよ、織莉子……」

    確かに昔の私ならあのまどかを邪魔者としか考えなかったのかもしれない

    キリカ「……ほらまどか!!どんどん撃って!!」

    まどか「は、はい!!」


    671: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/04(日) 22:19:57.21 ID:1vjZYEo0o

    さやかは今一つ状況がつかめていなかった
    杏子が間に合っていないのはまぁ、わかる
    だからここにはマミさんとまどかしかいないものと思っていた
    実際にはマミさんとまどかの他に、ほむらとキリカと白い魔法少女……多分織莉子さんがいる
    しかもあのほむらはひょっとして……

    ほむら「遅かったわね。さやか」

    さやか「ほむら!?ひょっとしてあのほむらなの!?」

    ほむら「他にどのほむらがいるのか聞いてみたいところね」

    さやか「……」

    そうか、ほむらもあたしと同じ世界出身だ
    ならばあたしがここに戻っているならほむらも戻っていても不思議はないのか

    まどか「さやかちゃん!!」

    さやか「まどか!……無事でよかった!」

    思わずまどかに抱きついてしまう
    あの時救えなかったまどか
    今回あたしは間に合ったんだ

    まどか「さやかちゃんこそ……心配したんだよ……」

    心配?……そういえばこの世界だとあたし、家出してたんだった……
    お父さん、お母さんにも謝らないと

    キリカ「感動の再会しているところ悪いけどさ。今が戦いの真っ只中って事を忘れてもらっては困るんだけど」

    さやか「え!?……あ、ご、ごめんなさい。……」

    キリカ「本当に変わらないな、君は。強くなっても弱いままだ」

    さやか「え……キリカ……さん?」

    キリカ「考えた挙句が『さん』付けなんだね。『美樹さやか』」

    さやか「……!!」

    キリカには、あたしの記憶がある!!

    さやか「キリ……!」

    キリカ「だから、戦いの真っ最中である事を忘れるなと何度言えばいいのかな?私は」

    さやか「……うぐ……」

    キリカ「少しは成長しているところを見せてほしいね」

    さやか「……わかった。このパワーアップしたさやかちゃんの実力!見せてやるさ!!」

    いろいろな事があった
    言いたい事も聞きたい事も沢山ある
    でも、全てはこの舞台を終わらせた上での話だ

    キリカ「……うん。今はそれでいい」

    織莉子「キリカにとってさやかは大切な人なのね。妬いてしまうわ」

    キリカ「……私にとっての一番は織莉子だよ」

    そこは揺るがない
    でも、さやかだって大切なのもまた事実で
    ……この答えは後で考えよう

    織莉子「ふふ」

    実のところ、織莉子は嬉しかった
    キリカは閉鎖的で、織莉子しか好きだと言える人がいなかった
    今は違う
    恐らくは美樹さやかという存在から外に目を開き、世界を認識したのだろう
    さっきの鹿目まどかへの対応といい
    孤立していたキリカの世界は明らかに大きく広がっている

    織莉子「美樹さやかに感謝しないといけませんね」


    672: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/04(日) 22:21:32.54 ID:1vjZYEo0o

    さやかとキリカ。お互いに織莉子とまどかの魔力を利用し、コンビネーションで確実に舞台装置の魔女に傷を負わせていく

    まどか「さやかちゃん、すごい……」

    マミ「少なくともここ数日で魔法少女になったという動きではないわね」

    ほむら「……その辺は後で本人に直接聞くのがいいと思う」

    そして、最後の2人が到着した

    杏子「おいおい、マミが死にそうって聞いたから来てみたけど、随分余裕そうじゃないか」

    ゆま「キョーコ。油断大敵だよ」

    杏子「あぁ、勿論分かってるよ。ゆま」

    マミ「佐倉さん!それに……子供!?」

    ほむら「……揃った。8人全員」

    最早これで負ける道理はどこにもない


    673: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/04(日) 22:23:46.25 ID:1vjZYEo0o

    ワルプルギスの夜がひっくり返ろうとする
    最期の一撃を放とうとしているのだろうが……

    キリカ「往生際が悪いね」

    キリカは速度低下を発動させる

    さやか「それだけは撃たせるか!!2人共!あの人形を思いっきり攻撃するから援護を!」

    杏子「了解!……何か大技を撃つつもりだったみたいだけど、させないよ!」

    ゆま「くらえー!!」

    さらにさやか・ゆま・杏子の同時攻撃により、人形が強制的に一番下に弾き戻される

    ワルプルギスの夜「ハハハ・・・」

    キリカ「いい加減君のその高笑いも聞き飽きたよ、舞台装置。いや、あえてこう呼ぼうか。『ワルプルギスの夜』、君に恨みはないけど将来的に君は私の恨みを買う予定でね。つまりは君の命運も」

    一手で二十手
    キリカの鍵爪が変貌を遂げる

    キリカ「これで終いだ」

    上からの強烈な一撃
    それは舞台装置の魔女を一撃で倒せるほどのものではなかったが
    地面にたたきつけることに成功する

    まどか・ほむら「いけぇええ!!」

    その落下した舞台装置の魔女に対して追い討ちをかける
    それでも舞台装置の魔女は人形を上部へと体制を変えようとするが

    織莉子「させると思いますか?」

    舞台装置の魔女の付近にいくつもの魔力球が展開している
    もし人形を移動させようとすれば触れて爆発する位置に
    今の舞台装置の魔女の力ではこれを突破するだけの力はない
    完全に動きを止めた

    マミ「さて……本当にこれで終わりのようね」

    満身創痍となった舞台装置の魔女
    もう抗うだけの力は残っていない

    マミ「ティロ・フィナーレ!!」

    正義の一撃が舞台装置の魔女を打ち砕いた


    674: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/04(日) 22:26:16.24 ID:1vjZYEo0o

    さやか「キリカ……キリカ!!」

    キリカ「……」

    さやか「え、えぇと……」

    呼びかけてみたものの
    いざ目の前にすると何を言っていいのか分からない
    いろいろ言いたいことがあったはずなのに

    キリカ「……ま、その、なんだ」

    対するキリカも何を言っていいのかよくわからない
    遺言とか言って結構恥ずかしい事も言った気がする
    ……ま、今思った事を素直に言おう

    キリカ「正しく強くなったと思うよ。君は」

    さやか「……!キリカぁ!!」

    さやかは思いっきりキリカに抱きつき
    キリカはその勢いを押さえきれず倒れこんでしまう

    さやか「き、キリカ。大丈夫?」

    キリカ「全く後先考えないなぁ」

    強くなろうと、何も変わらない
    多分この子はずっとこのままで成長していくんだろうなぁ……

    キリカ「……でもね、今君が今抱きつくべき相手は私ではない事に気づいていないのかな」

    さやか「……え」

    キリカ「何で私の方が気づいてるんだという気もするけど……この時間、君をずっと探し回っていた人間がいるのを忘れたのかい?さらに、あれだけどんぱちやってれば何が起こったのか確認に来ていても不思議ではないだろうに」

    さやか「え?え?」

    恭介「……さやか」

    さやか「……ぇええ!?」


    675: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/04(日) 22:28:12.24 ID:1vjZYEo0o

    さやか「きょ……恭介!えぇと……これは違うんだよ!」

    恭介「……違うって何が?」

    さやか「……コスプレ大会!そうそれ!!」

    恭介「スーパーセルが引き起こされている中こんなところで火薬を使ってコスプレ大会……」

    恭介「……君は馬鹿かい?」

    さやか「うぐ!!で、でもこんな嵐の中探し回ってた恭介だって……」

    恭介はさやかを抱きしめた

    恭介「……すごい心配したんだからな」

    さやか「……」

    かつてと同じ言葉。あたしはこの言葉に対してまともな事は何一ついえなかった
    でも……


    貴方はどうなんですか?勝手に一人で悩んで、私にも上条さんにも何も言わなかった貴方は。上条さんの事を少しでも信じる事が出来なかったんですか?


    ワルプルギスの夜を倒したら、あたし達の戦いに決着を着ける。
    ……別の世界の仁美との約束だけど、でもこの世界の仁美だって同じような状況だったら多分同じ事を言ったんだろう

    さやか「……ねぇ恭介。大切な話があるんだ。あたしの願いと……そして過ちの話」


    685: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/07(水) 10:50:06.29 ID:sBSdqAZqo

    --マミの家--

    キリカ「……まさかあそこで『でも、いろいろ気持ちの整理もしたいから2日後に改めて話をさせて』と続けるとはね。……2日後の根拠って何?」

    さやか「……特にありません」

    ほむら「完全にヘタれたわね」

    さやか「だっていきなりすぎたし、何よりみんながいる前で話すって完全な公開処刑じゃん!もう仁美だって告白してるだろうし、玉砕するならみんなの見てないところでやりたいよ……」

    ほむら「念のため言っておくけど、この周回ではまだ仁美は告白してないわよ」

    さやか「……え?そうなの?」

    ほむら「友達が謎の失踪を遂げて探し回ってる中告白する度胸がある人がいたら逆に見てみたいわね」

    さやか「あ……あー」

    マミ「まぁまぁ……今日は美樹さんを攻める為に集まったわけじゃないんだから」

    さやか「そ、そうだよ!ワル……舞台装置の魔女を倒したお祝いでみんな集まったんだから」

    杏子「ま、そうだよな。ほら、マミ」

    マミ「え?私?……えぇと、舞台装置の魔女を無事倒せた事のお祝いということで」

    8人「かんぱーい!!」


    686: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/07(水) 10:51:37.92 ID:sBSdqAZqo

    杏子「おいさやか!何がマミが死ぬだよ。てんで余裕だったじゃねぇか」

    さやか「8人で戦えばそりゃね……。まどかとマミさんだったら……そういう未来もあったんだよ」

    杏子「ふーん……未来ねぇ……」

    あたしとほむらとキリカは一通りそれぞれの持っている未来の情報をみんなに話した
    織莉子やまどかはあっさり信じたけど、他は半信半疑といったところだ

    杏子「……ま、いいさ。確かに2人だけならきつい魔女ではあったしな」

    ゆま「キョーコ!おかわりー!」

    杏子「こらゆま!ジュースばっかり飲んでないでちゃんとご飯も食べるんだぞ!!」

    ゆま「はーい」

    さやか「……保護者してるなぁ」


    マミ「……そういえば、呉さん。あなたひょっとして見滝原中3年の呉キリカさん?」

    キリカ「あれ?君は他クラスの生徒の事まで把握しているのかい?」

    マミ「いえ……その……学校に行ってない子がいるって」

    キリカ「あぁ、意味も感じなかったからね。……でもま、たまには行ってみてもいいかもね。さやか達をからかいに行く為だけに遊びに行くというのも面白そうだ」

    マミ「学校って本来学習の場なんだけどね……」

    織莉子「キリカは頭がいいから……それが拗ねてしまった理由でもあると思うのだけど」

    キリカ「織莉子!そこはあまり突っ込まないで!」


    まどか「……ほむらちゃんなんだよね」

    ほむら「えぇ、そうよ。……もう別人に見えると思うけど」

    まどか「うぅん。今のほむらちゃん凄くかっこよくなったけど……やっぱりほむらちゃんだよ!優しいし、意思が強いし」

    ほむら「……この世界でのあなたも含め、あなたがいなければとっくに崩れていたわ。だから私は……」

    まどか「……ほむらちゃん?」

    ほむら「なんでもない。今日は楽しみましょう」


    687: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/07(水) 10:52:35.17 ID:sBSdqAZqo

    ただひたすらに続くドンチャン騒ぎ
    やがて一人、また一人と眠りについていき……


    --数時間後 マミの家--

    ほむら「……」

    みんな眠っている
    まるで誰かが途中で酒でも混ぜたんじゃないかというぐらいに
    ……本当に混ざってなかったんだろうか

    ほむら「……でも、楽しかった。こんな楽しかったのは本当にひさしぶり。これで……」

    --マミの家の外--

    ほむら「……」

    キリカ「こんばんは、暁美ほむら。いい夜だね」

    ほむら「!?どうしてあなたがここに」

    キリカ「どうしてって……夜風を浴びたくなったんだよ。どうにもああいうみんなで大騒ぎってのは中々慣れないものでさ」

    元々一人っきりの時間の方が多かったし

    ほむら「……そういえばあなたに聞きたいことがあったの」

    キリカ「何?」

    ほむら「この世界。『ワルプルギスの夜』という名前は消えていた。いえ、ワルプルギスの夜が存在したという歴史そのものが消えていた。……どういう事?」

    キリカ「そんな事私が知るわけない……けど一応仮説はあるよ。聞く?」

    ほむら「えぇ、お願い」


    688: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/07(水) 10:54:04.03 ID:sBSdqAZqo

    キリカ「ワルプルギスの夜は君達の手によって倒された。これはあってるよね」

    ほむら「えぇ」

    キリカ「それが本来ありえないことだったんだよ。ワルプルギスの夜は本来君達を倒して未来の私達の世界に現われる。そこまでが確定されたシナリオだったんだ」

    キリカ「ところがそれが君達がワルプルギスの夜を倒したことによって崩れた。……ここからが推測になるけど、もしその後過去や、未来にもワルプルギスの夜が飛んでいて歴史に影響を与えていたとしたら?」

    ほむら「……その歴史も消えてなくなる」

    キリカ「そう。消えてなくしまうんだよ。……影響範囲がでかすぎる。この修正を解決する手段の一つとして『リセット』が考えられる」

    ほむら「……リセット?」

    キリカ「そう。ワルプルギスの夜の発端まで話を戻して、その上でそれを基準として歴史を再構成する。過去は残し、未来を完全に消失させる。恐らく今回宇宙に働いたのはそんなところなんじゃないかと思ってる。……本当のところはよくわからないけどね」

    ほむら「なら、今回私達が戦ったのは」

    キリカ「最強の魔女などと呼ばれる前のワルプルギスの夜さ。あの戦い、私達が勝った瞬間過去が確定されたはずだよ」

    ほむら「……でも、そうなると今までワルプルギスの夜が起こした被害は?」

    過去に起こった出来事は流石に修正不能なはず

    キリカ「恐らく似たような魔女がいたことになったんじゃないかな。ひょっとすると魔女ですらないのかもしれない」

    ほむら「未来は?」

    キリカ「念のため一年後用心はするつもりだけど。多分何も起こらない。再編された段階で未来は完全に作り直されているとするなら、その作り直された未来を観測している人間が誰もいない以上未来は固定されない」

    ほむら「私やさやかがこの世界に戻された理由は?」

    キリカ「元々この世界の住民だったからだよ。ワルプルギスの夜との戦いに関わった人間として、本物がいるなら代用品よりかはそちらの方がいい」

    ほむら「……仮にそれが事実だとして、私達の記憶が残っている理由は?」

    なくなった未来の記憶を私達が持っているというのはおかしいんじゃないだろうか

    キリカ「そうだね。わざわざ小細工を入れてた私はともかく……ほむらやさやかの記憶が残っているのは本当に謎だ。……宇宙再編時に因果の中心点にいたから?かな。ちょっとそこはよくわからない」

    ほむら「……私は今まで生きていた記憶が消えるなんて嫌」

    この何度も巡ってきたいくつもの時間軸の記憶
    つらいこともあったけど楽しいことだって確かにあった
    これを私が忘れてしまえば、私は私ではなくなる

    キリカ「……そういう意思の強さも関係していたのかもしれないね」


    689: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/07(水) 10:54:44.05 ID:sBSdqAZqo

    キリカ「私の仮説はこんなところかな。いくつか間違ってるかもしれないし、少しは合っている事もあるのかもしれない」

    ほむら「さやかを過去に送った時、こうなる事がわかっていたの?」

    キリカ「……あの時はたださやかを助けたかった。だからさやかに生きる目的を与える必要があると思った」

    それはかつて、織莉子が私にしたように

    キリカ「……私の話はこれで終わりだ。……さて、本題にうつろうか」

    ほむら「……」

    キリカ「君はここで何をしようとしていたのかな?」


    690: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/07(水) 10:55:35.85 ID:sBSdqAZqo

    さやか「Zzz……ん……」

    キリカ「ほら、起きて」

    さやか「え?……キリカ……先輩?」

    キリカ「その言い方はやめて。そういう風に呼ばれるのが嫌でわざわざ年齢を明かさなかったのに」

    さやか「冗談だよ。キリカはキリカ。今更それを変えるつもりはないよ。……でも、どうしたの?」

    キリカ「うん。……暁美ほむらが最後に君をご指名だ」

    さやか「ほむらが……最後ってどういうこと!?」

    キリカ「最後は最後さ。彼女はこの世界を捨て、時間遡行を行い別の世界へ旅立つつもりだ」

    さやか「何でだよ!ほむらのまどかを守るって目的は達成できたんじゃ……!」

    キリカ「……それは本人に聞いてくれ。私はもう寝るよ」

    さやか「そんな……」


    691: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/07(水) 10:57:22.07 ID:sBSdqAZqo

    --マミの家の外--

    さやか「……よう、ほむら」

    ほむら「来たわね。美樹さやか」

    さやか「そりゃだってあんたが呼んだんじゃないか」

    ほむら「えぇ、その通り」

    さやか「……何でだよ。あんたの目的はまどかを助けることじゃなかったのかよ」

    ほむら「その通りよ」

    さやか「じゃぁ何で!!」

    ほむら「……今までずっと伏せていた話があったの。聞いてもらってもいいかしら」

    さやか「……」

    ほむら「それは私が魔女化の真実を知った次のループ世界。巴マミが杏子を撃って、そのマミをまどかが撃った時……あの時もワルプルギスの夜は私達の前に現われた」

    ほむら「その戦いで私達は破れ、私もまどかもソウルジェムが濁りきっていた」

    ほむら「それで全てが終わるはずだった。でも、まどかは私にグリーフシードを渡してくれて、こう言ったの」

    ほむら「『キュゥべえに騙される前の馬鹿な私を助けて欲しい』と」

    さやか「!!」


    692: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/07(水) 10:59:04.30 ID:sBSdqAZqo

    さやか「そ、そんな……じゃぁそのまどかとの約束を果たす為には」

    ほむら「この世界のまどかはもう契約している。私はまどかとの約束を守る為、止まるわけにはいかない」

    さやか「……じゃぁ、この世界のまどかはどうなるんだよ!見捨ててもいいって話になるの!?」

    ほむら「それをあなたにお願いしたいの。……この世界のまどかを、あなたに任せたい」

    さやか「ふざけないでよ!何で、あんたはそんな事を……」

    ほむら「ごめんなさい。でも、あなたなら……絶望の淵で完全に諦めていた私を救ってくれたあなたなら、まどかを任せられる」

    ほむら「私がこうやって次の世界に行こうと決意できたのも、あなたのおかげなのよ」

    さやか「そんなのあたしは……!!」

    あたしはそんなの望んでなかった
    ほむらやみんなと、もっとずっと一緒に戦っていけるって……

    ほむら「勝手な話なのは分かってる。でも……お願い」

    さやか「……」

    嫌だ
    ほむらと離れたくない
    折角別の世界にまで行ってもう一度出会えた親友なんだ
    それにここで別れればもう二度と会う事はない
    ……でも、ほむらだってそんな事は分かっているはず
    その上でこの話をあたしにしてくれたんだ
    なら……あたしがすべき事はここで駄々をこねることじゃない……

    さやか「わかったよほむら。まどかの事はあたしに任せて!」

    ほむら「ありがとうさやか」

    さやか「でも……まどかには会っていかないの?」

    ほむら「まどかとこの話をしたら、多分私は踏みとどまってしまう。……この話はあなたぐらいで丁度いいのよ」

    さやか「どういう意味だよそれ!」

    ほむら「ふふ」

    さやか「……何かほむらが笑ったのを凄いひさしぶりに見た気がする」

    というより、結局別の世界ではほむらの笑った顔を見ていなかったような

    ほむら「えぇ、笑えるようになったのよ。あなたのおかげでね」

    さやか「言うじゃんか」

    ほむら「貴方には言われっぱなしだったしね」

    さやか「……むー」


    693: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/07(水) 11:00:27.42 ID:sBSdqAZqo

    ほむら「一応言うけど……まどかもマミも杏子もゆまもソウルジェムの真実を知らない。いつ何時知られてもいいように、知らせるなら細心の注意を払うようにね」

    さやか「うん。わかってる。ほむらこそ……ワルプルギスの夜がいなくなったとはいえ、大変な事には違いないんだから。頑張って」

    ほむら「えぇ、私もわかってるわ。……じゃぁ」

    さやか「うん」

    ほむら「……あなたにまた会えて本当に嬉しかった」

    どうしようもない絶望も抗えない運命も跳ね除けられる事を見ることが出来た
    もう二度と会うことはないだろうけど
    私はこの世界のあなたを忘れることはないだろう

    さやか「……あたしもだよ。あんたに会えてよかった」

    いくつもの世界を移動しまどかの為に一生懸命戦ってくれた
    ほむらがいなかったらあのワルプルギスの夜だってどうしようもなかった
    ……あたしはほむらの為に、何かできたんだろうか

    ほむら「じゃぁ……さようなら」

    そう言ってほむらはにっこり微笑むと
    盾に触れ時間を遡行した


    694: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/07(水) 11:01:26.44 ID:sBSdqAZqo

    キリカ「……大丈夫かい?さやか」

    さやか「キリカ……寝たんじゃなかったの?」

    キリカ「20秒寝た。……ま、少しだけ気になってさ」

    キリカはさやかを抱きしめる

    さやか「……あたしは、少しぐらいほむらの力になれていたのかな」

    キリカ「なれてなきゃ会えてよかったなんていわないよ。……君の思いは確かに届いていた。よく頑張った。さやか」

    キリカ「……もう泣いて、いいんだよ」

    さやか「う……うああああああああ!!」

    さやかの泣き声が、夜の闇に響き渡った


    695: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県) 2012/03/07(水) 11:02:38.06 ID:sBSdqAZqo

    その後、あたし達は見滝原とかざみの、あたしが住んでいた街の3つを管轄することになった
    その事や、ソウルジェムの真実とかでいろいろ紆余曲折あったけど……
    今もなんとか、魔法少女をやれている

    さやか「……今頃ほむらも別の世界で頑張っているのかな」

    ふとそんな風に時々思いだす
    あの時もう一度出会えた親友の事を

    恭介「さやか、どうしたんだい?」

    さやか「ん?……うぅん。ちょっと昔の事を思い出してただけ」

    恭介「……暁美さんの事?」

    さやか「うん」

    恭介「……止めなかった事を後悔しているのかい?」

    さやか「まさか。ほむらが行くと決めたんだ。むしろ止めちゃいけなかったんだと思ってる」

    恭介「……そうか」

    一応恭介と付き合ってる……事にはなっている
    なっているというのは、あたしが付き合い始めてすぐに仁美も告白したからである

    「恋愛に先も後もありませんわ」

    とは仁美談
    一応恭介は断ったらしいのだが
    結構しつこくアプローチを続けているらしい
    ……流石は我がライバル。恐るべし

    さやか「……恭介。ちょっと先に帰ってもらってもいいかな」

    恭介「……!魔女かい?」

    さやか「それも結構大型みたい。他のみんなと連絡をとって撃破する」

    恭介「わかった。……さやか、気をつけて」

    さやか「任せて!!」

    かくして今日もあたしは魔女を狩る
    ひょっとすると今日には命を落としてしまうかもしれないし
    意外と何十年も長生きできたりするのかもしれない
    ま、あたしなりに頑張ろう
    キリカがキリカの道を突き進むように
    ほむらがほむらの道を歩んでいったように
    あたしはあたしの道を貫く
    自分の生き方を貫いたならそれがどんな結末であろうと

    さやか「後悔なんてあるわけない!」

    --『見滝原の悪夢』おしまい--


    697: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/03/07(水) 11:39:40.65 ID:YxqZQ5yO0

    完結おつです!
    まどか魔法少女になってるけどほむらどうすんだろ、と思ってたら……
    でもまあ納得の展開。さやかちゃんカッコよかった!


    703: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/03/07(水) 15:44:22.91 ID:P63hTqpDO

    おつ
    限りなくおつ
    僕はすっかりキリさや好きです。


    705: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長野県) 2012/03/07(水) 17:21:12.04 ID:YRKAMOnTo

    乙でしたー
    全編通して言えることはさやかちゃんカッコイイ!だった
    またどこかでカッコイイさやかちゃんを書いてくれるならさやかスキーの俺ときっとどこかで会うだろう
    とにかく素敵なSSありがとう!


    706: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(宮城県) 2012/03/07(水) 19:42:07.22 ID:C9e4Y0Vno

    このさやかさんとキリカさんはさん付けが合うな


    707: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/03/07(水) 19:53:06.96 ID:2Yh0toaOo

    完結おめでとうございます&お疲れ様でした!
    ここまでカッコいいさやかちゃんとキリカさんを読めて良かった。
    というか最もカッコいいキリカさんの居るスレだったよねここ。
    そして旅だったほむほむに幸在らん事を。


    711: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/03/09(金) 06:42:52.31 ID:Nc/PrK3IO

    最高だったよ
    全部読めて幸せだった


    713: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(関西・北陸) 2012/03/09(金) 21:29:21.64 ID:81jgiX7AO


    話の展開の仕方も文章もうまくて引き込まれるSSだった


    引用元: さやか「見滝原の悪夢」

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