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    狼男「勇者達に相談がある」

    715: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:21:06.21 ID:2DniCj+/o

    女勇者(以下、勇者)「ワンコが……相談?」

    女魔法使い(以下、魔法)「どうしたの、ワンコ」

    女僧侶(以下、僧侶)「ワンコちゃん?」


    狼男「……確かに、仲間になる時に好きに呼べと言った」

    狼男「……」

    狼男「いや、その話は今は置いておこう」

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    716: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:24:09.35 ID:2DniCj+/o

    狼男「相談というのは、戦闘中の事だ」


    勇者・魔法・僧侶「戦闘中の事?」

    勇者「別に……問題なんてある?」

    魔法「無い、いつも安定してると思う」

    僧侶「私も、そう思いますけど……」


    狼男「君達にとっては問題では無いかも知れない」

    狼男「……」

    狼男「しかし、私にとっては改善したい事がある」


    717: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:28:02.18 ID:2DniCj+/o

    狼男「手間を取らせてしまって済まないが……」


    勇者・魔法・僧侶「……」

    勇者「良いよ! ワンコは、大事な家族だから!」

    魔法「私も。家族を大事にするのは、当然」

    僧侶「はい!……あっ、家族会議ですね!」


    狼男「……仲間で」

    狼男「パーティー会議という認識で頼む」


    718: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:30:57.57 ID:2DniCj+/o

    狼男「まず、勇者」

    勇者「えっ、僕?」

    狼男「ああ、そうだ」

    勇者「えっと……何かな?」


    狼男「私が、敵に効果的な攻撃を与えた時」

    狼男「――その都度、小さな干し肉を放らないで欲しい」


    魔法「そんなことを……」

    僧侶「……してたんですか?」


    勇者「……え、えへへ!」


    719: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:35:35.63 ID:2DniCj+/o

    魔法「でも、そんな素振りは見られなかった」

    僧侶「いつの間にそんな事を?」


    勇者「こう……ナイス! ってさ」


    魔法「親指を立てて……」

    僧侶「……よく言ってますね」


    勇者「あれ……親指で、干し肉をワンコの方に弾いてたんだよね」


    魔法・僧侶「……」


    721: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:39:32.51 ID:2DniCj+/o

    勇者「でも、本当に小さい干し肉だよ!?」

    魔法「そういう問題じゃない」

    僧侶「そうですよ! 危ないです!」


    狼男「勇者、二人の言葉をよく聞いてくれ」


    魔法「オヤツのあげすぎは、良くない」

    僧侶「ちゃんとゴハンが食べられなくなります!」


    狼男「勇者、二人の言葉は聞かなくて良い」


    722: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:48:43.50 ID:2DniCj+/o

    狼男「戦いの最中、隙を作るべきではない」

    勇者「……うん、そうだね」

    狼男「ありがとう、わかって貰えて良かった」


    勇者「今度から、一匹倒した毎にするね!」

    勇者「だから、今までよりも大きめな干し肉で!」


    狼男「勇者、そうではない」

    狼男「頻度と、干し肉の大きさは関係ない」


    723: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:53:40.48 ID:2DniCj+/o

    狼男「……次に、魔法使い」

    魔法「私も?」

    狼男「ああ、そうだ」

    魔法「何?」


    狼男「敵のモンスターを火の魔法で倒した時」

    狼男「――その都度、焼き加減を報告しないで欲しい」


    勇者「焼き加減を……」

    僧侶「……報告?」


    魔法「……」


    724: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 19:58:34.65 ID:2DniCj+/o

    勇者「確かに……何か、言ってるよね」

    僧侶「小さな声で、戦闘中だから……」


    魔法「ワンコなら、聞こえるから」


    勇者「ワンコ、耳良いもんね!」

    僧侶「はい! ピンと立った耳が、可愛いですよね!」


    魔法「でも、食べてくれた事はない」


    勇者・僧侶「……」


    725: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 20:03:09.17 ID:2DniCj+/o

    魔法「どれだけ上手に焼けても、食べてくれない」

    勇者「上手に焼けたは関係ないって!」

    僧侶「そうです! 魔物を食べるなんて、駄目ですよ!」


    狼男「魔法使い、二人の言葉をよく聞いてくれ」


    勇者「オヤツじゃなくて、ゴハンじゃん!」

    僧侶「ワンコちゃんには、ちゃんとゴハン買ってるんですから!」


    狼男「魔法使い、二人の言葉は聞かなくて良い」


    726: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 20:07:01.07 ID:2DniCj+/o

    狼男「魔物には、体内に毒を持つものも居る」

    魔法「……確かに」

    狼男「ありがとう、わかって貰えて良かった」


    魔法「今度から、しっかり中まで火を通す」

    魔法「ベリーウェルダンなら、大丈夫」


    狼男「魔法使い、そうではない」

    狼男「よく焼けば良い、という話ではない」


    727: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 20:11:30.59 ID:2DniCj+/o

    狼男「……最後に、僧侶」

    僧侶「わ、私もですか!?」

    狼男「ああ、そうだ」

    僧侶「な、何ですか……?」


    狼男「回復魔法を詠唱中、私がカバーに入っている時」

    狼男「――その都度、撫で回さないで欲しい」


    勇者「魔法を唱えてる間……」

    魔法「……撫で回してる?」


    僧侶「……あ……あははは……!」


    728: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 20:18:11.50 ID:2DniCj+/o

    勇者「えっ? 何? ズルくない!?」

    魔法「ズルい、卑怯千万」


    僧侶「ま、マイナスイオン! マイナスイオンです!」


    勇者「わかるけど! 僕だって撫でたい!」

    魔法「私も、詠唱中は撫でる権利がある」


    僧侶「じゃあ――今度から皆で撫でましょう!」


    狼男「駄目に決まっているだろう」


    729: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 20:21:18.41 ID:2DniCj+/o

    勇者「ワンコ、すっごく毛並みが良いもんね!」

    魔法「毎日のシャンプーの甲斐があった」

    僧侶「はい! 栄養にも、気を使ってますもんね!」


    狼男「三人共、私の言葉を聞いてくれ」


    勇者「尻尾もさ、フワッフワだし!」

    魔法「ブラッシングも完璧」

    僧侶「癒やされますよねぇ~」


    狼男「三人共、頼むから聞いてくれ」


    730: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 20:25:21.36 ID:2DniCj+/o

    狼男「僧侶の撫で方は、最近本格的になりすぎている」

    僧侶「……そう、ですね」

    狼男「ありがとう、わかって貰えて良かった」


    僧侶「……詠唱中、無防備な私」

    僧侶「撫でられて、お腹を上に向けてゴロンとなったワンコちゃん」

    僧侶「――こうなれば、仲良しですね!」


    狼男「僧侶、そうではない」

    狼男「仲良くあの世行きになりはするが、そうではない」


    731: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 20:33:23.63 ID:2DniCj+/o

    狼男「勇者、魔法使い、僧侶」

    狼男「君達の行動は、とても危険だ」

    狼男「戦闘中は――戦闘に、集中するべきだろう」


    勇者・魔法・僧侶「……」


    勇者「――うん、わかったよ」

    魔法「――ワンコが、そこまで言うなら」

    僧侶「――今度から、気をつけますね!」


    狼男「ありがとう、わかって貰えて良かった」


    732: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/23(金) 20:47:40.58 ID:2DniCj+/o

      ・  ・  ・

    勇者「ほ~ら、干し肉だよ! 頑張ったねー!」

    魔法「ホネは残した、好きに噛んで良い」

    僧侶「ワンコちゃ~ん! モフモフさせて~!」


    狼男「三人共、そうではない」

    狼男「戦闘が終わったら良いと言う話では無い」


    勇者・魔法・僧侶「……えっ?」

    勇者・魔法・僧侶「言われた通りに我慢して……」

    勇者・魔法・僧侶「……勝ったのに?」


    狼男「……わかった」


    狼男「今回は、私の負けだ」



    おわり


    739: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:11:43.46 ID:5O1+d0Eno


    勇者「仲間を三人、全員男で」


    740: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:13:47.00 ID:5O1+d0Eno

    店主「全員……男、ですか?」

    勇者「ああ、全員男で頼むよ」

    店主「職業の指定……ではなく?」

    勇者「ああ、まずは男が第一条件だ」


    勇者「女は駄目だ、絶対に」


    店主「は、はあ……そうですか」


    女達「……」


    741: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:16:20.10 ID:5O1+d0Eno

    女戦士「――待ちなよ、勇者の坊や」

    女戦士「女は駄目って、どういう意味だい?」


    勇者「……そのままの意味だが」

    店主「も、揉め事はやめてくださいよ!?」


    女戦士「それは……そこの坊やの返答次第さ」


    勇者「……」


    742: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:19:17.94 ID:5O1+d0Eno

    女戦士「坊や、もう一度聞くよ」

    女戦士「アタシは、剣の腕ならそこらの男に負けない」

    女戦士「……それでも不服かい?」

    女戦士「女だからって――舐めるんじゃないよ!」


    勇者「……じゃあ、こっちも言わせて貰う」

    勇者「男の性欲――舐めんじゃねえよ!」


    女戦士「……」

    女戦士「えっ?」


    743: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:22:18.73 ID:5O1+d0Eno

    女戦士「そりゃ……どういう意味だい」

    勇者「アンタは美人だし、それにセクシーだ」

    女戦士「お、おう」

    勇者「鍛え抜かれた肉体も、美しいの一言だよ」


    勇者「そんなアンタがパーティーに居てみろ!」

    勇者「前かがみになっちゃって、戦いにならないだろうが!」


    女戦士「……」

    女戦士「はあ」


    744: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:25:15.67 ID:5O1+d0Eno

    女戦士「何だい……そんな事かい」

    勇者「そんな事!? 一大事だろうが!」

    女戦士「はっは! なら、アタシが夜の相手もしてやるよ!」

    勇者「馬鹿な事を言うな!」


    勇者「そんな事をしたら、好きになっちゃうだろうが!」

    勇者「好きになったら、帰りを待ってて欲しくなるだろうが!」


    女戦士「……」

    女戦士「はい」


    745: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:28:39.67 ID:5O1+d0Eno

    女戦士「体だけ、って訳にはいかないのかい?」

    勇者「無理だ! 好きになっちゃう!」

    女戦士「隣で戦って支え合う、って訳には?」

    勇者「無理だ! 危機に陥ったら、ハラハラする!」


    勇者「とにかく、アンタは駄目だ!」

    勇者「これ以上話しかけないでくれ、好きになる!」


    女戦士「……」

    女戦士「お、おう」


    746: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:32:41.82 ID:5O1+d0Eno

    勇者「……という訳で、全員男で頼む」

    店主「勇者様の仰ること、少しわかりますよ」

    勇者「女だと、途中でパーティーを抜けて貰う事になる」

    店主「なら、最初から男だけの方が……ですか」


    勇者「女は駄目だ、絶対に」


    店主「男のメンバーを……見繕ってみます」


    女達「……」


    747: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:35:40.00 ID:5O1+d0Eno

    女魔法使い「――待って」

    女魔法使い「私なら、その心配は無い」


    勇者「……どういう意味だ?」

    店主「あの、私に聞かないで頂けますか?」


    女魔法使い「私は、他人に好かれるような性格じゃない」


    勇者「……」


    748: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:39:11.78 ID:5O1+d0Eno

    女魔法使い「好きになるのは、性格も考慮するはず」

    女魔法使い「……女戦士は、性格も良い」

    女魔法使い「けれど、私は彼女の様に優しくはない」

    女魔法使い「――笑わない女なら、問題ない」


    勇者「……性格が悪い? 笑わない?」

    勇者「そんなの――笑顔が見たくなるだろ!」


    女魔法使い「……」

    女魔法使い「えっ?」


    749: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:41:52.32 ID:5O1+d0Eno

    女魔法使い「私は、決して笑ったりしない」

    勇者「ああ、今まではそうだったのかも知れないな」

    女魔法使い「……」

    勇者「性格も、どういう風に悪いかはわからない」


    勇者「だけどキミがふとした瞬間笑ってみろ!」

    勇者「そんなの、絶対に好きになっちゃうだろうが!」


    女魔法使い「……」

    女魔法使い「はあ」


    750: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:45:00.98 ID:5O1+d0Eno

    女魔法使い「私は、笑ったりしない」

    勇者「もういい! もう、やめてくれ!」

    女魔法使い「戦闘だけでなく、探知の魔法も使える」

    勇者「やめてくれって言ってるだろ!」


    勇者「笑わないと言っておいて、笑っちゃう恋の罠だろ!」

    勇者「そんなの、恋と言う名の落とし穴に落ちちゃうだろうが!」


    女魔法使い「……」

    女魔法使い「そう」


    751: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:51:44.25 ID:5O1+d0Eno

    女魔法使い「なら……万が一笑う時は、顔を隠す」

    勇者「逆効果だ! 好きになっちゃう!」

    女魔法使い「性格が悪いのは、良いの?」

    勇者「逆効果だ! 俺はどっちかと言うとMだ!」


    勇者「とにかく、キミは駄目だ!」

    勇者「これ以上話しかけないでくれ、好きになる!」


    女魔法使い「……」

    女魔法使い「……残念」


    752: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:54:14.04 ID:5O1+d0Eno

    勇者「……という訳で、全員男で頼む」

    店主「勇者様の仰ること、物凄くわかりますよ」

    勇者「旅って言うのは、人間を変えるものだからな」

    店主「やはり、最初から男だけの方が……ですね」


    勇者「女は駄目だ、絶対に」


    店主「すぐに、男のメンバーを見繕います」


    女達「……」


    753: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 21:59:52.91 ID:5O1+d0Eno

    女僧侶「――待ってください!」

    女僧侶「私を仲間に……パーティーに入れてください!」


    勇者「……」

    店主「彼女は、顔も性格もスタイルも……実力的にも完璧ですね」


    女僧侶「お願いします、勇者様!」


    勇者「じゃあ、彼女が一人目で」


    女僧侶「……」

    女僧侶「えっ!?」


    754: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:04:28.78 ID:5O1+d0Eno

    女僧侶「あれっ……い、良いんですか!?」

    女僧侶「えっ、と……あ、あれっ?」

    女僧侶「さっきまでみたいに、問答をしなくても?」

    女僧侶「ええと……や、やったぁ~……?」


    店主「宜しいんですか?」

    勇者「ああ、全然タイプじゃない」


    女僧侶「……」

    女僧侶「な、なんか……なんかなんか!」


    755: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:08:00.25 ID:5O1+d0Eno

    女僧侶「そ、そんなに私って魅力ありませんか!?」

    勇者「えっと、その……ごめん」

    女僧侶「謝らないでいただけますか!?」

    勇者「……しょうがないだろ!」


    勇者「なんか、パッと見で全然ピンと来ないんだから!」

    勇者「好きになっちゃう可能性は無いな、って思うんだから!」


    女僧侶「……」

    女僧侶「……ぬぐうう……!?」


    756: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:14:32.31 ID:5O1+d0Eno

    女僧侶「あっ……貴方みたいな失礼な人、初めてです!」

    勇者「ごめんって! 謝ってるから良いだろ!」

    女僧侶「やっぱりやめます! 仲間になりません!」

    勇者「えっ、マジ? オッケ!」

    女僧侶「~~っ! ちょっとは食い下がってくれませんか!?」


    勇者「店主、やっぱり男三人で頼む」

    店主「はい、こちらがリストになります」


    女僧侶「そんなに!?……そんなに!?」


    757: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:20:18.68 ID:5O1+d0Eno

    店主「しかし……淫魔の類の対策は?」

    勇者「ああ、男を惑わすってアレだろ」

    店主「男だけだと、最悪全滅の可能性が」

    勇者「大丈夫だ、ちゃんと考えてある」


    勇者「仲間になった男三人の内、一人の玉を潰す」

    勇者「これなら――何の心配も無いだろ?」


    男達「!!?」


    758: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:24:48.91 ID:5O1+d0Eno

    店主「それは……また……」

    勇者「だけど、確実な方法だ」

    店主「まあ……そうですね」

    勇者「一人の玉を潰すだけで、全滅を免れるしな!」


    勇者「さあて……」

    勇者「だ、れ、に、し、よ、う、か、な……」


    男達「……!!?」


    759: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:27:44.48 ID:5O1+d0Eno

    女僧侶「――待ってください」

    女僧侶「勇者様のやり方では、誰も着いてきませんよ」


    勇者「……何?」

    勇者「そんな事無いよな!?」

    勇者「世界と玉を天秤にかけるような男は、此処に居ないよな!?」


    男達「……」フイッ


    勇者「……」

    勇者「あれっ!?」


    760: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:32:42.58 ID:5O1+d0Eno

    勇者「おい、どうしたんだよ皆!」

    勇者「まさか……玉を潰されるのが嫌なのか!?」


    男達「……」


    勇者「……おい、おいおいおいおい!」

    勇者「お前ら、それでも男か!?」

    勇者「我こそは、って奴は居ないのか!?」


    男達「……」フイッ


    勇者「……クソッ! 計画が水の泡だ!」


    761: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:41:26.53 ID:5O1+d0Eno

    女僧侶「勇者様、諦めちゃ駄目ですよ」

    勇者「えっ? いや、だけど……」

    女僧侶「勇者様のさっきの言葉、とても感動しました」

    勇者「は? さっきの言葉……?」


    女僧侶「――世界と玉を天秤にかけるような男は、此処には居ない」


    勇者「……」


    女僧侶「……誰かさんの玉を潰せば、色々と問題が解決しますね?」


    勇者「……」

    勇者「ピンと来なかった理由がわかった」


    762: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/24(土) 22:53:36.13 ID:5O1+d0Eno

    勇者「店主……全員キャンセルで、一人で旅立つよ」

    店主「一人で……ですか?」

    勇者「ああ、俺の玉の安全が第一だ」

    店主「旅の安全が犠牲になりますが」


    勇者「俺の玉は駄目だ、絶対に」


    女達・男達「……」

    …ガタッ!


    勇者「……店主、囲まれたぞ!?」


    店主「敵は男女、全員ですね」



    おわり


    766: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:23:21.71 ID:IBZFFyZFo

    書きます


    盗賊「止まれ、前方に魔物が二匹居る」


    767: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:25:04.04 ID:IBZFFyZFo

    勇者「凄いな、わかるのか?」

    僧侶「何も見えませんけど……」

    戦士「アタシもサッパリだ」


    盗賊「俺の目を甘く見るなよ」

    盗賊「あの二匹は……番だな」


    勇者・僧侶・戦士「……」


    768: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:27:35.04 ID:IBZFFyZFo

    勇者「番ってことまでわかるのか」

    僧侶「魔物の恋人……ですか」

    戦士「恋人ねぇ……ただの番だろ?」


    盗賊「あれは群れの戦士と、ボスの娘だな」

    盗賊「どうやら、許されざる恋みたいだ」


    勇者・僧侶・戦士「そこまで正確に!?」


    769: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:30:10.87 ID:IBZFFyZFo

    勇者「どこでそんなの判断するんだよ」

    僧侶「ゆ、許されざる恋……?」

    戦士「待ちな、変に食いつくんじゃないよ」


    盗賊「雄の方は、少し困ってるみたいだな」

    盗賊「雌の方が、雄に縋り付いてやがる」


    僧侶「ちょ……ちょっと様子を見ましょう!」

    勇者・戦士「……」


    770: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:31:56.00 ID:IBZFFyZFo

    勇者「様子を見るっつったって……」

    僧侶「ちょっとだけ! ちょっとだけですから!」

    戦士「はぁ……全くアンタって子は」


    盗賊「! 待て!」

    盗賊「雄が……雌を抱きしめたぞ!」


    僧侶「! やりましたね!」

    勇者・戦士「何が!?」


    771: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:34:40.71 ID:IBZFFyZFo

    勇者「なあ、さっさと倒しに行こうぜ」

    僧侶「勇者様!?」

    戦士「ああ、もう良いだろう?」


    盗賊「そうだな……雄の方は死を覚悟してるようだ」

    盗賊「だから、今まで雌の気持ちに応えられなかったらしい」


    僧侶「そんな……!」

    勇者・戦士「や、やりにくい……!」


    772: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:37:11.16 ID:IBZFFyZFo

    勇者「俺たちが来るって知ってたのか」

    僧侶「魔物にとっては、死活問題ですもんね」

    戦士「そんなの気にしてたらやってられないだろう」


    盗賊「……チイッ!」

    盗賊「奴ら、甘く……とろけるようなキスをしてやがる!」


    勇者・僧侶・戦士「……」


    773: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:39:15.61 ID:IBZFFyZFo

    勇者「……ちょっとだけ、待ってやるか」

    僧侶「勇者様……! はいっ!」

    戦士「……やれやれ、アンタ達は甘いねぇ」


    盗賊「! 待て!」

    盗賊「奴ら……交尾を始めるつもりだぞ!」


    勇者・僧侶・戦士「!?」


    774: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:42:08.97 ID:IBZFFyZFo

    勇者「こ、交尾……!?」

    僧侶「あ、あうあ……!?///」

    戦士「なあ……どうするんだい?」


    盗賊「雄の奴、本能のままに交尾するかと思いきや……」

    盗賊「――なんて丁寧な愛撫をしやがるんだ」


    戦士「そっちの方は聞いてないよ!」

    勇者「……」

    僧侶「……///」


    775: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:45:39.03 ID:IBZFFyZFo

    勇者「魔物にも、そういう理性はあるんだな」

    僧侶「……///」

    戦士「丁寧かどうかなんて、どうでも良いんだよ!」


    盗賊「……なんてこった」

    盗賊「雌の方が、焦らされて雄を押し倒しやがったぞ!」


    戦士「アタシに喧嘩売ってるのかい!?」

    勇者「落ち着け! 落ち着け、戦士!」

    僧侶「お、女の子の方から……!?///」


    776: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:50:07.80 ID:IBZFFyZFo

    勇者「あまり大声を出すと、敵にバレる!」

    戦士「だ、って……ああもう、悪かったよ」

    僧侶「そ、それから?/// それから?///」


    盗賊「あれは……始まったな」

    盗賊「遂に、本格的に交尾を始めやがった」


    勇者・戦士「……」

    僧侶「……!///」


    777: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:54:12.40 ID:IBZFFyZFo

    勇者「まあ……雌の方が力が強い場合も多いしな」

    僧侶「雌の方が体が大きい事も、少なくありませんしね」

    戦士「……ふんっ! 情けない雄だねぇ!」


    盗賊「いや……そうでも無いみたいだ」

    盗賊「あの雄、下から雌を突き上げて――主導権を握ってる」


    戦士「……や、やるじゃないか」

    勇者「? どうした僧侶?」

    僧侶「し、下から……!?/// 突き上げ……!?///」


    778: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 14:58:22.00 ID:IBZFFyZFo

    勇者「……終わった瞬間を狙おう」

    僧侶「……は、はい///」

    戦士「……さっさと倒したい」


    盗賊「凄い……流れるように体位を変えたぞ」

    盗賊「今度は、雄が雌の上に――」

    盗賊「っ!? なんて、ねっとりした腰使いなんだ……!」


    勇者・戦士「……」

    僧侶「……!/// ……!///」


    779: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 15:04:04.03 ID:IBZFFyZFo

    勇者「……おい、冷静になるんだ」

    僧侶「ね、ねっとり……!?///」

    戦士「……駄目だね、聞いちゃいないよ」


    盗賊「あの雄、緩急もつけてるな……」

    盗賊「っ!? いや、待て!」

    盗賊「雌の方も、負けじと腰を振り出したぞ!」


    僧侶「そ、そそっそ、そんなっ……!?///」

    戦士「勇者、この子をなんとかして正気に」

    勇者「……俺がか!?」


    780: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 15:06:21.20 ID:IBZFFyZFo

    勇者「僧侶」

    ぽんっ!

    僧侶「うひゃうっ!?/// ゆ、勇者様……?///」

    戦士「……アンタらが始めたら、たたっ斬るからね?」


    盗賊「……お前達、何をやってるんだ?」

    盗賊「あの激しさ――そろそろ終わりが近そうだぞ」


    勇者・僧侶・戦士「……」


    781: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 15:11:28.84 ID:IBZFFyZFo

    勇者「相手は魔物だが……まあ、最期だからな」

    僧侶「そ……そうですね。これも、神の慈悲ですから」

    戦士「アンタ達……準備は良いかい?」


    盗賊「よし、同時に果て――」

    盗賊「――っ!? 何っ!?」


    勇者「っ! どうした盗賊!?」


    盗賊「そのまま、二回戦が始まった!」


    僧侶「そ、そのまま……!?///」

    戦士「ああもう、さっさと行くよ!」


    782: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 15:18:52.22 ID:IBZFFyZFo

      ・  ・  ・

    盗賊「――まあ、コイツらも最期に愛を確かめ合ったんだ」

    盗賊「そして、俺たちもやるべき事をやった」

    盗賊「だから……そんなに自分を責めるな」


    勇者「あれだけ、細かに実況するから……!」

    僧侶「動物系の魔物だとばかり思ってましたけど……!」


    盗賊「? どうして俺を睨んでるんだ?」


    戦士「植物系の――まんま樹の形の魔物じゃないか!」


    盗賊「! 見ろ!」

    盗賊「倒れた雌から、もう子供が――新芽が出てる!」


    勇者・僧侶・戦士「知らねえよ!」



    おわり


    789: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 20:56:23.21 ID:IBZFFyZFo

    書きます


    女勇者「パーティー内の性の乱れ」


    790: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 20:59:58.59 ID:IBZFFyZFo

    女勇者(……いつから、こうなってしまったか)

    女勇者(今となっては、もう思い出せない)

    女勇者(私達は、命がけの旅をしている仲間同士)


    『もう……アタシ、我慢出来ない』

    『おいおい、しょうがないな』


    女勇者(……こうなる事は、必然だったのかも知れない)


    791: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:02:03.14 ID:IBZFFyZFo

    女勇者(今日は、久々に街で宿泊)

    女勇者(高級な宿じゃないけど、ベッドがある)

    女勇者(昼間には、皆で浴場にも行った)


    『ふふっ……もうビンビン』

    『ああ、何せ溜まってたからな』


    女勇者(……この宿、壁が薄いな)


    793: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:04:33.39 ID:IBZFFyZFo

    女勇者(声を抑えてって、注意した方が良いかな)

    女勇者(……ううん、多分無駄だよね)

    女勇者(だって……)


    『ほら見て、アタシも……』

    『ははっ、こりゃ凄いな』


    女勇者(こういうの、本当に久々だから)


    795: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:09:49.52 ID:IBZFFyZFo

      ・  ・  ・

    男戦士「さあ、今日も張り切って行きましょ!」

    男僧侶「……元気だねぇ」

    男戦士「勿論よ! アタシ達、あんなに愛し合ったじゃないの!」

    男僧侶「……そのせいで、こっちはクタクタだよ」


    女勇者「ねえ、大丈夫?」

    女賢者「ちょっと腰が……手、繋いで良い?」

    女勇者「うん、勿論」


    女勇者(パーティー内の性は乱れている)


    女勇者(だけど、そんなに悪くない)



    おわり


    796: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:25:27.77 ID:IBZFFyZFo

    書きます


    勇者「俺、実は武道家なんだ」


    797: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:27:06.78 ID:IBZFFyZFo

    戦士「えっ!?」

    賢者「はっ!?」

    僧侶「へっ!?」


    勇者「明日の魔王との決戦の前に、話しておこうと思って」


    戦士・賢者・僧侶「遅い!!」


    798: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:29:51.00 ID:IBZFFyZFo

    戦士「お前、今までは本気じゃなかったのか!?」

    勇者「そんな事は無い」

    戦士「! そうだよな! 何せ、伝説の剣も持ってるし!」

    勇者「……その事なんだけどな」


    勇者「……戦士」

    勇者「明日は、お前がコレを使ってくれ」


    戦士「やめろよ勇者! 伝説の剣を差し出すなよ!」


    799: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:32:42.22 ID:IBZFFyZFo

    賢者「勇者、貴方……本当に武道家なの?」

    勇者「ああ、実は」

    賢者「でも、伝説の鎧を装備出来てるじゃないの」

    勇者「……ああ、これな」


    勇者「……伝説の鎧」

    勇者「正直、重くて動きにくいと思ってたんだ」


    賢者「謝って! 手に入れるため苦労した私達に謝って!」


    800: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:35:36.24 ID:IBZFFyZFo

    僧侶「ほ、本当に武道家なんですか!?」

    勇者「ああ、ごめんな」

    僧侶「だ、だって! 伝説の盾もあんなに使いこなして!」

    勇者「……ああ、あれか」


    勇者「……実を言うとな」

    勇者「見えないように、コッソリ手で捌いてたんだ」


    僧侶「使いこなしてたのは、盾じゃなく体って事ですか!?」


    801: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:40:58.94 ID:IBZFFyZFo

    戦士「だが! お前は、剣も使えるだろう!?」

    勇者「使えなくは……無いけれども」

    戦士「だろ!? 今まで、剣で敵を倒してきたじゃないか!」

    勇者「……ああ、それは」


    勇者「……こう、パッと剣から手を離してな」

    勇者「ドカッと殴って、死んだ所を追撃で斬ってたんだ」


    戦士「お前、そんな曲芸を今までやってたのかよ!?」


    802: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:44:49.70 ID:IBZFFyZFo

    賢者「ねえ……伝説の鎧、邪魔なの?」

    勇者「邪魔って程じゃ……無いけれども」

    賢者「邪魔なのね!? あの苦労は何だったの!?」

    勇者「……それには感謝してる」


    勇者「……だから、ほら」

    勇者「傷がつかないよう大事に保管しないと……な?」


    賢者「決戦に着ていくつもりは無いって事ね!?」


    803: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:50:34.34 ID:IBZFFyZFo

    僧侶「じゃ、じゃあ……私をかばってくれた時も!?」

    勇者「こう、クルッと回し受けしてた」

    僧侶「伝説の盾が役に立った事は無いんですか!?」

    勇者「……いや、そんな事は」


    勇者「回し受け出来ない攻撃とか、あるしな」

    勇者「そういう時は……ほら、丈夫だし」


    僧侶「傘感! いえ、正しい使いみちなんでしょうけど……傘感!」


    804: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:53:19.22 ID:IBZFFyZFo

    戦士「お、お前は伝説の剣に選ばれたんだろう!?」

    勇者「……あー」

    戦士「その剣を引き抜いて、勇者になったんだ!」

    勇者「……実は、さ?」


    勇者「刺さってた台座が普通の岩だったから、さ」

    勇者「……あ、誰にも言うなよ?」


    戦士「砕いたんだな!? 台座の岩を砕いたんだな!?」


    805: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 21:58:37.23 ID:IBZFFyZFo

    賢者「あの時の苦労は何だったの……!」

    勇者「ごっ、ごめん……ごめんて」

    賢者「謝らないで! 明日は、皮の鎧でも着るつもり!?」

    勇者「……あ、いや」


    勇者「皮の鎧もアレだし……」

    勇者「少し前に買った、お気に入りの布の服で行こうかな、って」


    賢者「決戦に、そんなカジュアルな感じで臨むつもり!?」


    806: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:03:23.47 ID:IBZFFyZFo

    僧侶「で、でも! 伝説の盾は役立つんですね!?」

    勇者「まあ……時には」

    僧侶「絶対! 絶対、明日の決戦は役に立ちます!」

    勇者「……そう、かな」


    勇者「左手に持った盾で、攻撃を塞ぐよりも……」

    勇者「左のジャブで、攻撃させる暇を与えない方が……」


    僧侶「左のジャブで、平和な世界を勝ち取るんですか!?」


    807: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:06:36.78 ID:IBZFFyZFo

    戦士「岩を砕いたんなら、お前は勇者じゃないのか!?」

    勇者「あ、それは大丈夫だ」

    戦士「わかってるのか!? 伝説の剣の重みを!」

    勇者「……勿論だ」


    勇者「この……伝説の剣が、俺に語りかけてきた」

    勇者「――もう貴方が勇者で良いよ」

    勇者「ってな」


    戦士「伝説の剣、軽い!!」


    808: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:10:50.04 ID:IBZFFyZFo

    賢者「どれ!? どの布の服!?」

    勇者「この服だ」

    賢者「これは、体に張り付くような服で……動きやすそうね」

    勇者「……それだけじゃない」


    勇者「体にフィットして、動きを阻害しないだけじゃない」

    勇者「この布の服、なんと……汗の吸収性も凄いんだ」

    勇者「更に――通気性も、抜群だ」


    賢者「運動着じゃないの!!」


    809: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:15:43.34 ID:IBZFFyZFo

    僧侶「じゃあ、剣も盾も! 鎧すら要らないんですか!?」

    勇者「まあ……うん」

    僧侶「勇者様は、身一つで決戦に臨むと!?」

    勇者「……いや、違う」


    勇者「俺には、皆という仲間が居る」

    勇者「仲間との絆が……最大の武器だ」


    僧侶「勇者様……!」

    僧侶「……」

    僧侶「あ、違う! 結局、勇者様は身一つですよね!?」


    810: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:22:38.99 ID:IBZFFyZFo

    戦士「……決戦前の緊張を和ますための、冗談だろ!?」

    勇者「戦士?」

    戦士「俺には信じられねえ! 武道家だって、証拠を見せてくれ!」

    勇者「……わかった」


    勇者「はぁぁぁっ……!」

    勇者「アァッタタタタタタタタタ! ホワチャァッ!」

    勇者「……どうだ? 今の拳の連打は」


    戦士「確かに凄まじい、が……掛け声はそんな感じなのかよ!」


    811: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:27:52.33 ID:IBZFFyZFo

    賢者「……でも! 万が一、攻撃を受ける事もあるわ!」

    勇者「賢者?」

    賢者「不意をつかれたら、どうするつもり!?」

    勇者「……その時は」


    勇者「――硬っ!」

    勇者「こうやって、己の生命エネルギーを高め、肉体を鋼と化す」

    勇者「……伝説の剣なら、ギリギリ刃が通るかな」


    賢者「伝説の剣でもギリギリなの!?」


    812: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:34:48.90 ID:IBZFFyZFo

    僧侶「本当に……武道家なんですね」

    勇者「ごめんな、今まで黙ってて」

    僧侶「でも、どうして今になって……?」

    勇者「……それは」


    勇者「明日の決戦で、誰も失いたくないから……」

    勇者「伝説の剣は――戦士」

    勇者「伝説の鎧は――賢者」

    勇者「伝説の盾は――僧侶」

    勇者「……こう、それぞれ装備して欲しいんだ」


    戦士・賢者・僧侶「……」


    813: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:38:57.82 ID:IBZFFyZFo

    戦士「ま……そういう事なら、しょうがねえか」

    勇者「戦士」

    賢者「あ、この鎧って体型に合わせて形状が変わるのね」

    勇者「賢者」

    僧侶「この盾があれば、庇われなくても大丈夫です!」

    勇者「僧侶」


    勇者「……皆!」

    勇者「明日の決戦は……絶対に、生きて帰るぞ!」


    戦士・賢者・僧侶「おーっ!」


    814: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:42:40.27 ID:IBZFFyZFo

      ・  ・  ・

    魔王「その伝説の剣……貴様が勇者か!」


    戦士「いいや! この剣は借りてるだけだ!」


    魔王「何? ならば……伝説の鎧を装備している、貴様か!」


    賢者「いいえ! 私のこの鎧も、借り物よ!」


    魔王「? な、ならば……伝説の盾を持つ、お前か!」


    僧侶「違います! この盾は、私のじゃありません!」


    魔王「!?」


    815: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/26(月) 22:48:42.51 ID:IBZFFyZFo

    魔王「ぬうう、誰が勇者なのだ!」

    勇者「魔王! 俺が勇者だ!」

    魔王「何、貴様が!? ええい、何とカジュアルな!」

    勇者「……行くぞ、魔王!」


    勇者「人々の願いが乗った、この拳で!」

    勇者「必ずお前を――」


    勇者「――撲殺してみせる!!」


    戦士・賢者・僧侶「せめて『倒す』って言って!?」



    おわり


    818: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 20:53:00.93 ID:jObjrYRwo

    書きます


    勇者「魔王、こっちも切り札を使わせて貰う!」


    819: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 20:55:14.89 ID:jObjrYRwo

    魔王「はっはっは! 切り札だと?」

    魔王「――笑止!」

    魔王「ワシの真の姿の前では……全てが無力!」


    勇者「来いッ!!」

    ―バッ!

    勇者「勇者ロボォ――ッ!!」


    魔王「……」

    魔王「ロボ?」


    820: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 20:57:14.16 ID:jObjrYRwo

    ゴゴゴゴゴッ!


    魔王「な、何だ……この地響きは!?」


    ゴガァァンッ!


    魔王「な、何だ!? 城の壁が!?」

    魔王「きょ……巨大な手!?」


    勇者「――とうっ!」


    魔王「えっ、えっ、えっ、えっ!?」


    821: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:00:08.04 ID:jObjrYRwo

    勇者ロボ『待たせたな、勇者!』

    勇者「いいや、良いタイミングだ!」

    勇者ロボ『さあ、早く乗り込め!』

    勇者「おうっ!」


    パシュィ~ン…


    勇者『――さあ、魔王!』

    勇者ロボ『ここからが――』


    勇者・勇者ロボ『本当の戦いだ!』


    魔王「待て待て待て待て!!」


    822: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:04:32.45 ID:jObjrYRwo

    魔王「何だそれは!?」

    魔王「巨大なゴーレムか!?」


    勇者『違う! コイツは、俺の真の友!』

    勇者ロボ『――熱き魂を持ち! 正義を愛する!』

    勇者『――鋼鉄の勇者! その名も、勇者ロボ!』


    勇者・勇者ロボ『悪を倒しに、只今参上!!』


    魔王「世界観が違う!!」


    823: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:08:29.16 ID:jObjrYRwo

    魔王「さっきまで、剣と魔法で戦っていただろう!?」

    魔王「何だ!? 踏み潰すつもりか!?」


    勇者『……剣なら――あるッ! 勇者ロボ!』

    勇者ロボ『オーケー、勇者!』

    バッ!


    勇者・勇者ロボ『来いッ! ブレイブ・ソォ――ドッ!!』


    ――キランッ!


    魔王「何!? 何何何何!?」


    824: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:11:31.59 ID:jObjrYRwo

    魔王「な、何だ……!?」

    魔王「魔王城の上空の暗雲が晴れて――」


    …ズドシュウッ!!


    魔王「――きょ、巨大な剣が降ってきた!?」


    勇者ロボ『……ふんっ!』

    ガシッ!


    勇者・勇者ロボ『――待たせたな、魔王!!』

    ジャキィィンッ!(キラーンッ!)


    魔王「待て待て待て待てちょっと待て!!」


    825: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:15:49.94 ID:jObjrYRwo

    魔王「その剣の巨大さ……城も真っ二つになるぞ!?」

    魔王「えっ、えっ……えええっ!?」


    勇者ロボ『勇者! 魔王が混乱しているぞ!』

    勇者『――騙されるな、勇者ロボ!』

    勇者ロボ『何っ?』


    勇者『あれは恐らく……俺達を油断させるための演技だ!』


    勇者ロボ『何だって!? それでは、迂闊に手が出せない!』


    魔王「……」

    魔王「…………」


    魔王「ふ、ふははははっ! よくぞ見破ったな、勇者よ!!」


    826: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:22:31.00 ID:jObjrYRwo

    魔王「そ、その程度の鉄の塊なぞ、ワシの敵では無いわ!」

    魔王「剣を振り下ろした時が、お前達の最期よ!」


    勇者『くっ……! さすがは魔王……!』

    勇者ロボ『――諦めるな、勇者!』

    勇者『勇者ロボ……!?』


    勇者ロボ『この地上の愛と平和を守るのが、私達の使命!』


    勇者『……ああ、そうだったな!』

    勇者『俺達は、負けるわけにはいかないんだ!』


    勇者・勇者ロボ『――勇気と希望がある限り!!』

    …パァァァッ!


    魔王「な、何だ……胸のクリスタルが光りだした!?」


    827: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:26:10.75 ID:jObjrYRwo

    魔王「な、何をしても無駄だぞ!」

    魔王「諦めて、ここから立ち去るが良い!」


    勇者『――勇者ロボ!』

    勇者ロボ『オーケー、勇者!』

    バッ!


    勇者・勇者ロボ『来いッ! ブレイブ・バァァ――ッドゥッ!!』


    ――キランッ!


    魔王「……え、ええい! ちょこざいな発音を!!」


    828: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:31:47.41 ID:jObjrYRwo

    魔王「んんんんまた来た!」

    魔王「空の彼方から――」


    …バサァァッ!!


    魔王「――巨大な鋼鉄の鳥が現れた!!」


    勇者ロボ『――チェィィンジッ!!』ガキンガキンッ!

    …ガッシィィンッ!


    勇者ロボG『勇者ロボ・グレェェ――ト!!』

    ピキュァァンッ!(キラーンッ!)


    勇者『――待たせたな、魔王!!』


    魔王「……ふ」

    魔王「ふーん!?」


    829: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:40:25.28 ID:jObjrYRwo

    魔王「た、たかが翼を持った程度で!」

    魔王「ワシには、お前達の攻撃など通用せんわ!」


    勇者『……勇者ロボ』

    勇者ロボG『……ああ、勇者』


    勇者『一撃に、全エネルギーを集中するんだ!』


    勇者ロボG『わかっているとも!』

    勇者ロボG『――とああっ!』

    ブワアァッ!!


    魔王「空に飛び上がって……」

    魔王「……か、帰るのか!?」


    830: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:46:47.63 ID:jObjrYRwo

    魔王「ふ……ふはははっ!」

    魔王「良かろう! 見逃してやろうではないか!」


    勇者『――俺たちは、逃げないッ!』

    勇者ロボG『――例え、この身が砕けようともッ!』


    勇者・勇者ロボG『――勇気ある限りッ!』

    勇者・勇者ロボG『ブレイブ・ソォ――ドッ!!』

    ジャキィィンッ!(パァァァァッ…!)


    魔王「な、何だ……!?」

    魔王「巨大な剣が、輝いている……!?」


    831: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:51:25.08 ID:jObjrYRwo

    魔王「よ、よせ! 何をする気だ!?」


    勇者『勇者の剣よ……力を貸してくれ!』

    勇者ロボG『――!』


    勇者ロボG『ブレイブ・ロォォ――ド!!』


    ブワアアアッ!!


    魔王「ぬ、ぬおおおおっ!?」

    魔王「ま、魔王城が!」

    魔王「魔王城が、巨大な力の渦に飲み込まれた!?」


    832: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 21:55:29.50 ID:jObjrYRwo

    魔王「よせ……よせ、やめろ!!」


    勇者『いくぞおおおっ!! 魔王おおおっ!!』

    勇者ロボG『――!』


    勇者ロボG『ブレイブ・スラァァ――――ッシュ!!』


    グワアアアッ!


    魔王「ひ、ひえええっ!?」

    サッ!


    ―スパァァァンッ!!


    魔王「……ま」

    魔王「魔王城が真っ二つに!?」


    833: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 22:00:18.33 ID:jObjrYRwo

    魔王「……!?」

    魔王(あ……あんなものを食らったら、ひとたまりもない!!)


    勇者『どうだ、魔王――む……無傷!?』

    勇者ロボG『……ぐっ!』

    …ズシィンッ!

    勇者ロボG『全てのエネルギーを注ぎ込んだ一撃が……!』

    勇者『大丈夫か!?』

    勇者ロボG『ああ……だが、私はもう戦えそうにない……!』


    魔王「!」


    834: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 22:06:29.42 ID:jObjrYRwo

    勇者ロボG『……すまない、私の攻撃は奴に通じなかった』

    勇者『……いや、後は任せてくれ』


    魔王「……!」ドキドキ!


    勇者『俺が、この手で奴との決着をつけてくる!』

    勇者ロボG『――任せたぞ、勇者!』

    勇者『――ああっ!』


    パシュィ~ン…


    勇者「――さあ、魔王! ここからが本番だ!」


    魔王「うむ!! うむ!! そうだな!!」


    835: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/27(火) 22:14:29.88 ID:jObjrYRwo

    魔王「やはり、こうでなくてはいけないな!!」


    …キィィィンッ!!


    魔王「……何だ、この音は」


    勇者ロボG『! あれはっ!』


    戦士ロボ『――だらしないぜ、勇者ロボG!』

    忍者ロボ『――使命を果たさず、膝をつくなど!』

    賢者ロボ『――こんな事もあろうかと、燃料は積んできましたよ!』


    勇者「皆……来てくれたのか!」

    勇者「ようし……――合体だッ!!」


    ロボ達『オーケー、勇者!!』


    魔王「もういいよ!!」




    おわり


    841: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:10:37.38 ID:A5ybnzRno

    書きます


    魔王「ワシの真の姿を見せてやろう!」


    842: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:13:19.79 ID:A5ybnzRno

    勇者「何!? 真の姿だって!?」

    魔王「フハハ! もう、遊びは終わりだ!」

    勇者「くっ……まだ、力を隠していたのか!?」


    魔王「……フフフ」

    ―バッ!


    勇者「な……何だ!?」

    勇者「あの、腰に光る銀色のベルトは!?」


    843: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:16:29.99 ID:A5ybnzRno

    勇者「あのベルトから、もの凄い力を感じる……!」


    魔王「!」

    シュピンッ!

    魔王「変んんん……」

    スウゥッ―

    魔王「……身ッ!」

    キュワアアアッ!

    魔王「――トアッ!」

    トンッ―


    ―スタッ!

    真・魔王「――真・魔王!」


    勇者「何だその変身の仕方は!?」


    844: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:20:36.68 ID:A5ybnzRno

    真・魔王「ワシがこの姿となったからにh」

    勇者「ちょっと待て、魔王!」

    真・魔王「何だ? 命乞いでもする気か?」

    勇者「違う! 俺はそんな真似はしない!」


    勇者「お前の変身は、今の方法で良いのか!?」

    勇者「今のだと……何と言うか……」

    勇者「――お茶の間の子供の応援を受けるぞ!?」


    真・魔王「何!?」

    真・魔王「絶望に落ちるべき、人の子に応援されるだと!?」


    845: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:24:03.87 ID:A5ybnzRno

    真・魔王「馬鹿な! そんな事は有り得ん!」

    勇者「いいや、ある! 男の子なら、特にそうだ!」

    真・魔王「ええい! 根拠でもあるのか!」

    勇者「……根拠は、ある!」


    勇者「根拠は、俺だ!」

    勇者「幼き頃の俺が、お前の変身を見たら……」

    勇者「――勇者の俺でなく、お前を応援してしまう!」


    真・魔王「ば……馬鹿な!?」

    真・魔王「魔王であるワシが……人の子に希望を与えるだと!?」


    846: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:30:29.96 ID:A5ybnzRno

    勇者「今だって、正直変身のポーズを真似したい!」

    真・魔王「何だと……!?」

    勇者「良いのか、魔王!? 今の変身の方法で!」

    真・魔王「ぬ……ぐうおお……!」


    真・魔王「――ハァッ!」

    バサァッ!

    魔王「……しばし待て、やり直す!」


    勇者「ぐああっ! マントを翻して変身解除だと!?」

    勇者「お、俺の少年の心をくすぐりやがる……!」


    847: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:33:42.76 ID:A5ybnzRno

    魔王「勇者よ、今の変身の何がいけかったのだ!?」

    勇者「いけなかったというか、凄くいけてた!」

    魔王「答えろ、勇者! どうすれば、希望を与えない変身になる!」

    勇者「そう……だな……」


    勇者「こう……変に無駄な動作をいれて」

    勇者「変身の声も、手短にすれば……あるいは」


    魔王「……フハハハ! かかったな!」

    魔王「再び変身し、絶望を与えてやろう!」


    勇者「っ!? し、しまった! つい!!」


    848: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:38:12.13 ID:A5ybnzRno

    勇者「クソッ! 図ったな、魔王!」


    魔王「!」

    バッ!

    魔王「――!」

    バッ! ババッ! バッ!

    魔王「……――変身」


    キュワアアアッ!


    真・魔王「――見よ、これが絶望だ」


    勇者「格好良い!!」


    真・魔王「何ぃっ!?」


    849: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:42:29.93 ID:A5ybnzRno

    真・魔王「お前の言う通り、無駄な動作を入れたぞ!?」

    勇者「馬鹿! あの手の動き、最高だった!」

    真・魔王「変身の声も、短く! 聞こえない程度に抑えた!」

    勇者「阿呆! 激しい手の動き――動! からの静、最高だ!」


    勇者「ああ、クソッ! チクショウ!」

    勇者「魔王! 今の手の動き、もう一回やってくれ!」


    真・魔王「や、やめろ!」

    真・魔王「魔王であるワシをキラキラした目で見るな!!」


    850: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:47:18.45 ID:A5ybnzRno

    勇者「仕方がないだろ! 格好良かったんだから!」

    真・魔王「ぬうおお!? 夢と希望に溢れた視線が!」

    勇者「! 必殺技! 必殺技とかあるのか!?」

    真・魔王「ま……まずい! このままでは!」


    真・魔王「……ぐうっ!?」

    ―パキィンッ!

    魔王「……くっ、何という事だ……!」


    勇者「変身が……勝手に解けたのか!?」

    勇者「大丈夫か!? 魔王!!」


    851: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:51:37.82 ID:A5ybnzRno

    勇者「おい、しっかりしろ! どうした!?」

    魔王「ワシは、恐怖と絶望を力としている……!」

    勇者「!? お、俺が……キラキラした目を向けたからか!?」

    魔王「そうだ……!」


    魔王「――だが、この魔王は負けぬ!」

    魔王「この世を闇とする、その時まで!」

    魔王「何度でも蘇り、お前達を苦しめ続ける!」


    勇者「そうだ、魔王! その意気だ!」


    852: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 22:56:47.95 ID:A5ybnzRno

    勇者「立ち上がれ、魔王!」


    魔王「……ぬおおおおっ!」

    バッ!

    魔王「――変身ッ!!」

    キュワアアアッ!

    真・魔王「――真の力、見せてくれる!!」


    勇者「うわあああっ! か、格好良いいいっ!」


    真・魔王「ぐあああっ!?」

    ―パキィンッ!

    魔王「へ……変身があああっ!?」


    853: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 23:01:33.61 ID:A5ybnzRno

    勇者「まっ、魔王!? 大丈夫か!?」

    魔王「ゆ、勇者め……! ワシに、変身させぬつもりか!」

    勇者「そんな事はない! 出来る限りの協力はするぞ!?」

    魔王「……ほう、その言葉に偽りは無いな?」


    魔王「――ならばっ!」

    魔王「ワシが変身を終えるまで、向こうを向いていろ!」


    勇者「な、何だって!?」

    勇者「俺に、お前が変身する所を見せないつもりか!?」


    854: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 23:06:08.73 ID:A5ybnzRno

    勇者「その言葉は、受け入れられない!」

    魔王「出来る限りの協力をすると言ったではないか!?」

    勇者「出来ないものは、出来ない! 見たいからだ!」

    魔王「……ならば、仕方あるまい」


    魔王「――玉座の裏に回り!」

    魔王「隠れて変身してくれるわ!」


    勇者「な、何だと!?」


    855: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 23:12:06.12 ID:A5ybnzRno

    勇者「よせ! やめろ、魔王!」


    魔王「ふはは! もう遅いわ!」

    ―サッ!


    「変身ッ!!」


    「――トアッ!」


    ――クルンッ――ズシャァッ!


    真・魔王「……待たせたな、勇者」


    勇者「ひいいいっ! な、なんて格好いい登場の仕方を!」


    真・魔王「ぐあああっ!?」

    ―パキィンッ!

    魔王「ま、またもや変身があああっ!?」


    857: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 23:20:13.84 ID:A5ybnzRno

    魔王「ぬうう……ぐ、おおっ……!」

    ズシャッ!


    勇者「!? どうした、魔王!?」

    勇者「何てこった……どんどん力が弱まってる!」


    魔王「ゆ、勇者よ……!」

    魔王「ワシの真の力を抑え込むとは……み、見事だ……!」


    勇者「何言ってるんだ! 立て、魔王!」

    勇者「お前の力は、そんなもんじゃない筈だ!」


    858: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 23:24:10.37 ID:A5ybnzRno

    勇者「死ぬな! しっかりしろ、魔王!」


    魔王「ふ、ふははは……!」

    魔王「――ワシは死なぬ!」

    魔王「人の心に闇が有る限り、何度でも蘇る!」


    勇者「本当か!? 良かった……良かった!」


    魔王「ぐあああっ!?」

    シュウウウッ…


    勇者「ああっ!?」

    勇者「ま……ま……魔王おおおおおおっ!!」


    859: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 23:31:06.55 ID:A5ybnzRno

      ・  ・  ・

    そして、月日は流れた……


    勇者「……」


    勇者(そろそろ……お迎えが来たみたいだな)

    勇者(魔王……お前が消えて、世界は平和になった)

    勇者(だが、俺はお前が復活するのを待ってたんだぜ……)

    勇者(……いや、俺だけじゃない)


    勇者(世界中の子供が、お前の変身を見たいと思ってるんだ)


    勇者「俺が……ちゃんと、語り継ぐ様に言っておいたぞ」


    860: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/28(水) 23:36:30.42 ID:A5ybnzRno

    勇者「お前の変身は……物凄く格好良い、って」

    勇者「人の心に闇が有る限り、お前は蘇る、って」


    勇者(皆……お前が復活するのを待ってるんだ)

    勇者(世界中が……魔王の復活を待ってるんだ)

    勇者(お前の変身を見たくてしょうがないんだ……)


    勇者「……もしも、あの世で会えたなら」


    勇者「見せてくれよ……お前の……」


    勇者「変……身……」

    …トサリ



    おわり


    863: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 20:54:36.47 ID:hgM56IV4o

    書きます


    勇者「皆、忘れ物は無いな?」


    864: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 20:56:11.53 ID:hgM56IV4o

    戦士「当たり前だろ、子供じゃねえんだから」

    僧侶「いえ、あの」

    勇者「ははっ、それもそうだな!」

    僧侶「すみません、あの」


    勇者・戦士「よし、出発するか!」


    僧侶「賢者さんを置いていく気ですか!?」


    865: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 20:59:12.01 ID:hgM56IV4o

    勇者「僧侶、この旅はとても辛いものだ」

    僧侶「はい、それはわかってます」

    戦士「賢者は、気が強いがあれでも女だからな」

    僧侶「はい、私も女です」


    勇者・戦士「よし、出発しよう!」


    僧侶「!? 待ってください待ってください!」


    866: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:01:47.02 ID:hgM56IV4o

    勇者「俺だって、黙って別れたくはないさ」

    僧侶「だったら」

    戦士「だが、顔を合わせたら辛くなる」

    僧侶「その、ですから」


    勇者・戦士「よし、出発しよう!」


    僧侶「宿屋に置いてきちゃっただけですよね!?」

    僧侶「それで、怒られるのが怖いだけですよね!?」


    867: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:06:30.24 ID:hgM56IV4o

    僧侶「私は、教会に寄ってから合流するって言いましたよね!?」

    勇者「……ああ」

    僧侶「それで、どうしてお二人だけが街の入り口に!?」

    戦士「……いや」


    勇者「こう……門に背中を預けて、さ」

    戦士「――よう、遅かったじゃねえか……ってのをな」


    勇者・戦士「偶然……俺たち二人共、やりたくなっちゃって」


    僧侶「なんでそんな所で息ピッタリなんですか!」


    868: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:09:26.15 ID:hgM56IV4o

    僧侶「じゃあ、賢者さんはまだ宿に居るんですね!?」

    勇者「……ああ、多分」

    僧侶「だったら、すぐに迎えに行きましょうよ!」

    戦士「……それは、アレだ」


    勇者「……多分、察してると思うんだよ」

    戦士「宿前で待ち合わせだったのに、俺達が居ない理由な」


    勇者・戦士「……確実にブチ切れてる」


    僧侶「当たり前じゃないですか!」


    869: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:12:51.24 ID:hgM56IV4o

    僧侶「ほら! 早く賢者さんを迎えに行きましょう!」

    勇者「僧侶!? 今の話を聞いてなかったのか!?」

    僧侶「聞いてましたよ! ほら、行きますよ!」

    戦士「待て! 待ってくれ、僧侶!」


    勇者「賢者の怒り方は、何て言うか……賢いんだよ!」

    戦士「理詰めで、反論も出来ずに……なんか、こう!」


    勇者・戦士「泣きそうになるんだよ!!」


    僧侶「……成る程」

    僧侶「――だから!?」


    870: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:18:47.36 ID:hgM56IV4o

      ・  ・  ・

    賢者「……」オオォォ…!



    勇者「ほらあああ! めっちゃ怒ってるものおおお!」

    戦士「何て眼光だ! 真っ直ぐ勇者を射抜いてやがる!」

    勇者「はあ!? 俺じゃなくてお前だろ!?」

    戦士「馬鹿言うんじゃねえよ! 絶対にそっちだっての!」


    勇者・戦士「……!」


    勇者・戦士「どっちを睨んでるか、街の外で決闘で決めるぞ!」


    僧侶「戦いに逃げないでくださいよ!」


    871: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:22:28.41 ID:hgM56IV4o

    賢者「……」オオォォ…!



    勇者「……戦士、俺はわかってるんだぞ」

    戦士「あぁ!? 何をだよ!?」

    勇者「お前――賢者に惚れてるんだろ?」

    戦士「なっ……!?」


    勇者「惚れた女を置いて、お前は何をしてるんだよ!」


    戦士「っ……!」


    僧侶「えっ!? えっ、そうなんですか!? ええっ!?」


    872: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:29:03.03 ID:hgM56IV4o

    賢者「……」オオォォ…!

    ちょいちょい



    勇者「ひっ!? 指で『来い』ってやってるよおおお!?」

    戦士「ゆっゆゆゆ、勇者! お前の出番だ!」

    勇者「好きなんだろ!? お前が行けよ! 告れよ!」

    戦士「今じゃないだろ! 今は無理だろ! 死ぬよ!」


    勇者・戦士「……!」


    勇者・戦士「僧侶、頼む!」


    僧侶「二人が悪いんですから、駄目ですよ!」


    873: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:32:38.07 ID:hgM56IV4o

    賢者「……」オオォォ…!

    ポイッ…ドサッ!



    勇者「あ……あれは、俺の盾!? どうして!?」

    戦士「はぁっはっはぁ! 馬鹿め! 今頃気付いたのか!」

    勇者「っ!? おい、どういう事だ!?」


    戦士「忘れ物だよ、勇者!」

    戦士「おら! さっさと忘れ物を取りに行けやぁ!」


    勇者「そ……そんなっ!?」


    僧侶「えっ、ちょっと!? 伝説の盾を忘れてたんですか!?」


    874: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:37:09.47 ID:hgM56IV4o

    賢者「……」オオォォ…!

    ポイッ…ドサッ!



    勇者「嫌だ! 嫌だ、死にたくな――……ん? あれは?」

    戦士「装備は、旅に必須! さあ、行け! さあさあさあさあ!」

    勇者「……おい、あれを見ろ」


    戦士「……」

    戦士「お、おおお、俺の剣じゃねえか!?」


    勇者「かっかっか! お前も忘れ物か、戦士ぃっ!」


    僧侶「二人共、大事な物を忘れすぎでは!?」


    875: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:43:53.24 ID:hgM56IV4o

    賢者「……」オオォォ…!

    ――ハ――ヨ――コ――イ



    勇者「く……口の動きだけで『はよ来い』ってやってるよおおお!」

    戦士「ぅ慌てるな勇者ぁい! 何かの暗号の可能性もある!」

    勇者「! さすがは戦士! 何の暗号か聞いてきてくれ!」

    戦士「いや、俺は戦う事しか出来ない不器用な男だ!」


    勇者・戦士「……」


    勇者・戦士「――僧侶!」


    僧侶「……!」

    僧侶「もうっ! わかりましたよ!」


    876: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:47:33.29 ID:hgM56IV4o

      ・  ・  ・

    賢者「――」

    僧侶「――」



    勇者「おい、戦士……二人の会話が聞こえるか?」

    戦士「いや、自分の心臓の音がうるさくて聞こえねえ」

    勇者「奇遇だな、俺はそれに加えて耳鳴りもしてきた」

    戦士「恐怖でか? 何言って――あ、俺もしてきた」


    僧侶「――」

    ちょいちょい


    勇者・戦士「……手招き?」


    877: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:50:52.93 ID:hgM56IV4o

    賢者・僧侶「……」



    勇者「なあ……どう思う?」

    戦士「賢者が、僧侶を使って俺達をおびき寄せようとしてるな」

    勇者「成る程、恐ろしい程に思考が冴え渡ってるな」

    戦士「生きるってのは、戦う事だからな」



    僧侶「――」

    ちょいちょい



    勇者・戦士「……」


    878: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 21:58:00.90 ID:hgM56IV4o

    賢者・僧侶「……」

    …スッ



    勇者「二人が持ってる袋……あれは……」

    戦士「財布に……道具袋!?」

    勇者「お前、持って出なかったのかよ!?」

    戦士「後から来るお前が持ってくると思ったんだよ!」

    勇者「俺だってそうだよ! 何やってんだ!?」

    戦士「そりゃこっちの台詞だ! それでも勇者か!」


    賢者・僧侶「……」ニコリ

    ちょいちょい


    勇者・戦士「……!」


    879: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 22:05:43.05 ID:hgM56IV4o

      ・  ・  ・

    賢者「――本当、男ってどうしてああなのかしら」

    僧侶「全くです! まさか、あんなに忘れ物をしてるなんて!」

    賢者「格好つける事ばっかり考えてたからでしょ」

    僧侶「二人共、反省してくださいね!?」


    勇者・戦士「――すみませんでした!」


    賢者・僧侶「……」

    賢者・僧侶「……はぁ」


    880: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/29(木) 22:19:07.75 ID:hgM56IV4o

    賢者「忘れ物をして怒られそうだからって……」

    僧侶「はい! それで、賢者さんを置いて行こうとするなんて!」

    賢者「ん? 私を……置いて行こうと?」

    僧侶「はい! 逃げようとしてたんですよ、二人共!」


    賢者「……」


    勇者「忘れちまったよ、そんな昔の事」

    戦士「振り向いてばかりいちゃ、真っ直ぐ進めないぜ」


    賢者「……わかったわ」


    賢者「――思い出させて」

    賢者「忘れられないようにしてあげる」



    おわり


    881: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/30(金) 23:32:31.37 ID:AwOcixrmo

    書きます


    男「先生、勇者と魔王に挟まれてます」


    882: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/30(金) 23:35:45.51 ID:AwOcixrmo

    勇者「魔王……まさか、お前も生まれ変わったのか」

    男「左隣が勇者みたいです」

    魔王「勇者……まさか、この様な形で相見えようとは」

    男「右隣が魔王みたいです」


    勇者・魔王「……!」


    先生「それじゃ、最初のHR始めるぞー」


    男「先生、俺の最期が始まりそうです」


    883: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/30(金) 23:38:15.42 ID:AwOcixrmo

    勇者「その様子だと、お前も普通に暮らしているらしいな」

    男「先生」

    魔王「当然だろう。今の余は、普通の女子高生よ」

    男「先生」


    勇者・魔王「……!」


    先生「今日から、俺がお前達の担任だ」


    男「先生、俺の担任は今日で最後かも知れません」


    884: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/30(金) 23:41:50.64 ID:AwOcixrmo

    勇者「ふん! 世界を震え上がらせたお前が、普通?」

    男「先生」

    魔王「そう言う貴様も、以前の勇猛さは欠片も見られんぞ」

    男「先生」


    勇者・魔王「……!」


    先生「それじゃ、出欠を取りがてら自己紹介をして貰おうかな」


    男「先生、両隣の情報が嫌でも入ってきます」


    885: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/30(金) 23:44:53.29 ID:AwOcixrmo

    勇者「……まさか、同じ高校、同じクラスになるとは」

    男「先生」

    魔王「……ふふっ、運命とは皮肉なものだな、勇者」

    男「先生」


    勇者・魔王「……!」


    先生「出席番号一番からだから、こっちからだな」


    男「先生、俺の明日はどっちですか」


    886: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/30(金) 23:47:37.96 ID:AwOcixrmo

    勇者「だが……見過ごすわけには行かない」パァァ…!

    男「眩しい」

    魔王「ほう……ここで、先の戦いの決着をつけるか?」ボォォ…!

    男「熱い」


    勇者・魔王「……!」


    先生「全員に聞こえるよう、大きな声で頼むぞー」


    男「勇者と魔王に挟まれてるの助けてええええええっ!!」


    887: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/11/30(金) 23:53:05.71 ID:AwOcixrmo

    勇者「そのつもりで、結界を張ったんだろう」

    男「ちょっとおおお! ねえええ!」

    魔王「貴様も、余と同じ結界を張っているではないか」

    男「聞いてえええ! 助けてえええ!」


    勇者「結界内で起こっている出来事は――」

    魔王「――外には、一切影響を与える事は無い」


    先生「……はい、拍手ー!」


    男「凄いねええええええ!!」

    パチパチパチパチ!!


    888: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:02:23.27 ID:m3Ry9jdko

    男「ねえ、どうして俺を巻き込んだの!?」

    勇者「すまない、咄嗟の事で……つい」

    男「やっぱり、俺の事は無視してただけなんだね!?」

    魔王「旧知の人間と出会ったのだ、許せ」


    勇者「……魔王、話は後だ」

    魔王「……ああ」


    魔王「もうすぐ――余の自己紹介の番だからな」


    先生「……はい、拍手ー!」


    男「くそったれええええええ!!」

    パチパチパチパチ!!


    889: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:07:24.96 ID:m3Ry9jdko

      ・  ・  ・

    魔王「――待たせたな」

    勇者「魔王、お前は……変わったな」

    魔王「人の身になったのだ、変わらぬ方が不思議と言うものよ」

    勇者「いや、そう言う事じゃない」


    先生「……終わりか? あー……はい、拍手ー!」


    男「あはっはっはっは! 声ちっさ! 照れ屋かよ!」

    パチパチパチパチ!!


    魔王「殺すぞ」


    890: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:12:50.15 ID:m3Ry9jdko

    勇者「魔王、お前に何があった?」

    魔王「たかが人間と見下して生きてきたら、こうなっていた」

    勇者「お前も、人の身になったと言うのに……」

    魔王「パパとママは、無理をしなくて良いと言っている」


    先生「……はい、拍手ー!」


    男「あはっはっは! っひっひっひ!」

    パチパチパチパチ!!


    魔王「……本当に殺すぞ」


    891: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:17:51.55 ID:m3Ry9jdko

    勇者「……ふん! 随分とだらしないな!」

    魔王「何だと?」

    勇者「この勇者が、お前に手本を見せてやろう」

    魔王「……ほう、面白い」


    先生「……はい、拍手ー!」


    男「もうすぐ俺の自己紹介なんだけど、結界解いてくれる?」


    勇者「すまないが……この事は、黙っていて貰えるか?」

    魔王「喋ればどうなるか……わからないとは言わせぬぞ?」


    男「……うい」


    892: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:23:52.72 ID:m3Ry9jdko

      ・  ・  ・

    勇者「……次が、私の番だな」


    魔王「家が学校の近くと言っていたが?」

    男「うん、チャリで10分。って言うか、普通に話せるのな」

    魔王「この口調ならば、造作もない」

    男「その口調で喋ったら、物凄く浮くだろうな」


    先生「……はい、拍手ー!」


    勇者「あの……見ていろ? 魔王?」


    893: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:28:07.23 ID:m3Ry9jdko

      ・  ・  ・

    勇者「――どうだ、魔王」

    魔王「勇者、貴様……まさか!?」

    勇者「ふっ……私はもう、以前の私では無い」

    魔王「っ……!?」


    先生「……はい、拍手ー!」


    男「ギャルっぽく喋ってたけど、高校デビュー?」

    パチパチパチパチ…


    勇者「何っ!? 何故、それを見破った!?」


    894: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:34:08.42 ID:m3Ry9jdko

    魔王「くっくっく……高校デビューだと?」

    勇者「くうっ!? しまった……!」

    魔王「はっはっは! 愚かなり、勇者!」

    勇者「特訓をしたと言うのに……!」


    先生「……はい、拍手ー!」


    男「まあでも、かなりそれっぽかったよ」

    パチパチパチパチ…


    勇者「……下手な慰めはよしてくれ!」


    895: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:40:23.92 ID:m3Ry9jdko

    魔王「……確かに、余も貴様がギャルと錯覚したぞ」

    勇者「本当か!? モテそうか!?」

    魔王「モテ? 勇者よ、貴様……それが目的か?」

    勇者「そうだ! 私は……恋が! 青春がしたい!」


    先生「……はい、拍手ー!」


    男「勉強しろよ」

    パチパチパチパチ…


    勇者「良いじゃないか!……良いじゃないか!」


    896: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:50:52.82 ID:m3Ry9jdko

    勇者「あの頃は、そんな余裕なんて無かったんだ!」

    男「でも、多分クラス全員が高校デビューって見抜いたぞ」

    魔王「……当然、余も見抜いていたがな」

    男「錯覚したって言ってたじゃねーか」


    勇者・魔王「……!」


    先生「……はい、拍手ー!」

    先生「さて、それじゃあ自己紹介も終わったことだし……」


    先生「早速、席替えでもするか?」


    男「!!」


    897: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 00:56:23.72 ID:m3Ry9jdko

      ・  ・  ・

    魔王「――くっ! まさか、勇者に背を向ける事になるとは!」

    男「前の席が魔王です」

    勇者「魔王、おかしな真似をしたら……わかっているな?」

    男「後ろの席が勇者です」


    勇者・魔王「……!」


    先生「黒板の字が見えないとか、問題ある奴は居ないなー?」


    男「先生、勇者と魔王に挟まれてます」



    おわり


    900: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:07:51.54 ID:m3Ry9jdko

    続けてみます


    勇者「買い食い……」魔王「だと……!?」


    901: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:11:03.72 ID:m3Ry9jdko

    勇者「馬鹿な! 何を考えている!?」

    魔王「貴様! 何を購入するつもりだ!」

    勇者「魔王!? まさか、お前まで!?」

    魔王「慌てるな、勇者。参考までに、聞いておくだけよ」


    男「アイス食べたい」


    勇者「この寒空の中……!?」

    魔王「アイスを……!?」


    902: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:16:46.30 ID:m3Ry9jdko

    勇者「確かに、この世界のアイスは美味い!」

    魔王「うむ……様々な味覚で舌を楽しませてくれるな」

    勇者「だが! 校則では、買い食いは禁止されている筈!」

    魔王「! 見ろ、勇者!」


    勇者「――もう、店内に入っているだと!?」


    魔王「奴め……この魔王をも凌ぐ程の力を持っているのか……!」


    903: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:22:15.09 ID:m3Ry9jdko

    勇者「……私も店内に入り、何か買う」

    魔王「!? 一度、家に帰ってからではなく……!?」

    勇者「ああ、そうだ!」

    魔王「ば、馬鹿な……!」


    勇者「――今の私は、ギャルJK!」

    勇者「学校帰りにコンビニに寄る事に、躊躇う必要は無い!」


    魔王「この気迫……本気のようだな」


    904: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:26:51.70 ID:m3Ry9jdko

    勇者「……私は、今まで勇者として正しくあろうと生きてきた」

    魔王「確かに、予習復習もキッチリとやってきているな」

    勇者「規則を破る等、あってはならないと思ってきた!」


    勇者「――だが、私は生まれ変わった!」

    勇者「ギャルならば、買い食い一つ出来ずしt」


    男「それじゃ、お先~」


    勇者「待って待って待って待って!」

    がしいっ!


    905: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:33:11.87 ID:m3Ry9jdko

    勇者「お前は、私を見捨てるというのか!?」

    男「意味がわからない」

    勇者「私に、学校帰りに一人でコンビニに寄れと!?」

    男「そんな事は一言も言ってない」


    勇者「頼む! 私と一緒に戦ってくれ!」

    勇者「同じ人間……仲間だろう!?」


    男「クラスメイトだ」


    906: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:38:08.93 ID:m3Ry9jdko

    魔王「ふはははは! 臆したか、勇者よ!」

    男「なんで偉そうなの」

    魔王「所詮は、貴様のギャルなど付け焼き刃にすぎん!」

    男「付け焼き刃って」


    魔王「貴様は、買い食いなど出来はせぬわ!」

    魔王「そこに居る、余の配下の足元にも及ばぬ!」


    男「クラスメイトだ」


    907: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:44:01.00 ID:m3Ry9jdko

    勇者「頼む! 私と共に、店内に!」

    魔王「聞くことはない! 捨て置け!」

    勇者「魔王!? 私の邪魔をするつもりか!?」

    魔王「ふはは! その絶望の表情、実に心地良いぞ!」


    男「……じゃあ、このパピコあげるから」

    男「二つに割って、二人で食べてろよ」


    勇者・魔王「何ぃっ!?」


    908: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:48:56.20 ID:m3Ry9jdko

    勇者「お……お前は、戦利品を私達に!?」

    男「戦利品て」

    魔王「貢ぎ物のつもりか? 貴様、何を考えている!」

    男「貢ぎ物て」


    男「……大したことじゃない」

    男「アイスを持って外に出たら『あっ、寒い』って思った」

    男「その瞬間――肉まんの気分になっただけさ」


    勇者「肉まん……!?」

    魔王「だと……!?」


    909: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 14:58:09.18 ID:m3Ry9jdko

    勇者「くっ……肉まんなら――食べたい!」

    魔王「貴様……! 余をどこまで惑わすつもりだ!」


    勇者・魔王「……!」


    男「……一つだけ言っておく」

    男「さすがに、二人に肉まんは買ってこないからね?」

    男「アイスをあげるのだって、どうしようか迷ったんだから」


    勇者・魔王「そんなっ!?」


    910: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 15:06:56.52 ID:m3Ry9jdko

    勇者「ど、どうして買ってきてはくれないんだ!?」

    男「お金が無いからだ」

    魔王「ええい、嘘を申すな! 高々数百円だぞ!」

    男「無いものは無い」


    男「……男子の小遣いってのは、女子よりも低いんだ!」


    勇者「……あー」

    魔王「……うむ」


    911: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 15:12:20.81 ID:m3Ry9jdko

    勇者「それなのに……手に入れたパピコを」

    男「ああ、そうだ」

    魔王「寒さを感じたからと言って、手放すとは……」

    男「勿論、それだけじゃない」


    男「今日のこの出来事が尾を引き……」

    男「明日、俺を挟んで前後でやりとりされると嫌だなぁ、って」

    男「……そう、思ったんだ」


    勇者・魔王「……」


    912: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 15:18:00.12 ID:m3Ry9jdko

    勇者「……約束しよう、そんな事はしないと」

    男「勇者」

    魔王「……うむ、余とてそこまで狭量ではない」

    男「魔王」


    勇者・魔王「――この、パピコに誓って!」


    男「それじゃ、肉まん買ってくるけど……」

    男「二人も買うなら、とりあえず店内入ろう」


    勇者・魔王「!?」


    913: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 15:26:08.87 ID:m3Ry9jdko

    勇者「い、一緒に店内に入ってくれるのか!?」

    男「うん、寒いし」

    魔王「……良かろう、余の手を引く事を許可する」

    男「えっ?」

    勇者「! わ、私も頼んでいいだろうか!?」

    男「……」


    男「――恥ずかしいから、嫌だ」


    勇者・魔王「っ……!?」


    914: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 15:34:07.21 ID:m3Ry9jdko

    勇者「恥ずかしい!? 買い食いは出来るのにか!?」

    男「普通はそうだ」

    魔王「己が身を恥ずかしがるとは、人間にしては良い心がけだ」

    男「違う、そうじゃない」


    勇者・魔王「ならば、何故だ!?」


    男「いや……なんて言うか、ほら」

    男「……なっ?」


    勇者・魔王「……」


    915: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 15:37:48.83 ID:m3Ry9jdko

    勇者「……ならば、仕方ない」

    ガシッ!

    男「!? 左の手首を……!?」

    魔王「うむ、致し方あるまい」

    ガシッ!

    男「!? 右の手首まで……!?」


    勇者・魔王「――いざ、買い食い」

    ガァキィ!


    男「りょ、両方の腕の関節が……!」

    男「ぐうっ、お、あああっ……!?」


    917: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 15:44:54.22 ID:m3Ry9jdko

      ・  ・  ・

    勇者「え、え~っとぉ、どれにしよっかなー」

    魔王「……」

    ガァキィ!

    男「……」


    店員「あの……痛く、無いんですか?」


    勇者「やっぱりぃ、温かいの食べたいよねぇ~!」

    魔王「……」

    ガァキィ!

    男「肉まん三つください」


    店員「……かしこまりました、少々お待ち下さい」



    おわり


    919: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 23:42:41.75 ID:m3Ry9jdko

    書きます


    男「友達は?」勇者「欲しい」魔王「要らぬ」


    920: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 23:45:59.30 ID:m3Ry9jdko

    勇者「そう思い続けているのに、出来ない」

    男「うん」

    魔王「そう思い続け、孤高の存在でいる」

    男「うん」


    男「ここで、二人にお知らせがあるんだけど」

    男「キミら――二人は、セットの扱いを受けている」


    勇者・魔王「……セット?」


    921: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 23:48:59.70 ID:m3Ry9jdko

    勇者「……確かに、勇者と魔王は表と裏」

    男「いや」

    魔王「対極ではあるが、光と影と言うべきものだな」

    男「違くて」


    男「いつも二人は一緒に居るじゃん?」

    男「つまり――女同士のゴニョゴニョだと思われている」


    勇者・魔王「……ゴニョゴニョ?」


    922: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 23:51:57.06 ID:m3Ry9jdko

    勇者「ゴニョゴニョ? それは、流行の言葉か?」

    男「ううん」

    魔王「女同士の? 性別に、何の関係があると言うのだ?」

    男「そうじゃなくて」


    男「学校に、何故か一組は必ず居る……」

    男「――あれ? もしかして、そうなの?」

    男「……と思う、二人組だと思われてるんだ」


    勇者・魔王「……?」


    923: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 23:55:35.05 ID:m3Ry9jdko

    勇者「ハッキリ言ってくれ、皆にどう思われているんだ?」

    男「言いにくいんだ」

    魔王「申してみよ。余と勇者は、どう見えているのだ?」

    男「まあ、ぶっちゃけ」


    男「女同士で、付き合ってると思われてる」

    男「だから皆、何となく遠慮して近づいて来ないんだ」


    勇者・魔王「……」

    勇者・魔王「!?」


    924: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/01(土) 23:57:55.82 ID:m3Ry9jdko

    勇者「私と魔王が!? 馬鹿な、有り得ん!」

    男「うん」

    魔王「何故、そう思われている? 理解出来ぬ」

    男「うん」


    男「例えば、授業中に二人でペアになる時」

    男「二人は、誰を相手に選ぶ?」


    勇者「魔王」魔王「勇者」


    925: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:00:44.80 ID:5+VAiEZTo

    勇者「魔王から、目を離す訳にはいかないからな」

    男「うん」

    魔王「勇者ならば、余の相手も務まるというもの」

    男「うん」


    男「じゃあ、休み時間中」

    男「二人は、誰と一緒に過ごしてる?」


    勇者「魔王」魔王「勇者」


    926: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:03:10.15 ID:5+VAiEZTo

    勇者「魔王から、目を離す訳にはいかないからな」

    男「さっき聞いた」

    魔王「勇者ならば、話し相手も務まるというもの」

    男「それも聞いた」


    男「それじゃあ、帰る時」

    男「二人は、誰と一緒に帰ってる?」


    勇者「魔王」魔王「勇者」


    927: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:06:37.54 ID:5+VAiEZTo

    勇者「帰り道が、途中まで一緒なんだ」

    男「普通の理由だ」

    魔王「ふっ、余の方が此奴よりも家が学校に近い」

    男「それは聞いてない」


    男「勇者と魔王」

    男「――いつも一緒に居ると思わない?」


    勇者・魔王「思う」

    勇者・魔王「……」

    勇者・魔王「ああっ!?」


    928: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:10:50.27 ID:5+VAiEZTo

    勇者「そんなっ!? まさか、それだけで!?」

    魔王「腹立たしい限りだ! 余が、勇者と!?」


    男「――結界を解いている時」

    男「二人は、どんな風に呼び合ってる?」


    勇者「まおちゃん」

    魔王「ゆうちゃん」


    男「……」

    男「うん、そうだね」


    929: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:14:46.12 ID:5+VAiEZTo

    勇者「勇者と魔王だと、知られる訳にはいかないからな!」

    男「うん」

    魔王「余とて、無闇に騒動を起こそうとは思わぬ」

    男「うん」


    男「その呼び方をしてるの、お互いだけだよね」


    勇者・魔王「そうだ」

    勇者・魔王「……」

    勇者・魔王「ああっ!?」


    930: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:20:09.96 ID:5+VAiEZTo

    勇者「待ってくれ! 私の見た目は、ギャルなんだぞ!?」

    男「うん」

    魔王「見よ、この眼鏡を! 伊達ではあるが、清楚そのもの!」

    男「うん」


    男「表と裏、光と影とかじゃなく……」

    男「陰キャと陽キャで、付き合ってると思われてる」


    勇者「陽キャと……!?」

    魔王「陰キャだと……!?」


    931: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:24:39.17 ID:5+VAiEZTo

    勇者「私は、誰とでも喋るぞ!?」

    男「一番話してるのは、魔王だ」

    魔王「余は、誰とも話さぬ!」

    男「唯一話してるのは、勇者だ」


    男「俺も、たまにこうやって会話に加わるけど、さ」

    男「その時は、結界が張られてるのがほとんどだもの」

    男「百合ップルの間に挟まれてる被害者扱い受けてるもの」


    勇者・魔王「……!?」


    932: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:27:47.96 ID:5+VAiEZTo

    勇者「ごっ、誤解をとかなくては! 今、すぐに!」

    男「どうやって」

    魔王「人と人とは、わかり合えるものだろう!?」

    男「いやいや」


    男「ムキになって否定すると、余計怪しい」

    男「それに、実際? ただならぬ関係だし?」


    勇者・魔王「違う! そうだが、違う!」


    933: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:36:35.01 ID:5+VAiEZTo

    勇者「私は、彼氏が欲しい! 恋がしたいんだ!」

    男「……頑張れ!」

    魔王「余は、静かに過ごしたい! おかしな噂になるなど!」

    男「……頑張れ!」


    男「二人の気持ちは、痛い程伝わってきた!」

    男「……頑張れ! 頑張れ!」


    勇者「そんな、無責任な!」

    魔王「ええい、応援なぞ要らぬ!」


    934: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:42:13.97 ID:5+VAiEZTo

    勇者「魔王の正体を知る仲間じゃないか!」

    男「仲間じゃない」

    魔王「余の配下ならば、何とかしてみせよ!」

    男「配下じゃない」


    男「……それで、何なんだけどさ」

    男「昼休み、俺は友達と弁当を食べたいんだ」


    勇者・魔王「……友達と?」


    935: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:46:07.47 ID:5+VAiEZTo

    勇者「そ、それは……お、男友達という事か?///」

    男「うん、男友達だ」

    魔王「と、友だと?/// 貴様、何を言っている?///」

    男「昼休みの過ごし方だ」


    勇者・魔王「……///」


    男「だから、この結界を解いて欲しい」

    男「……友達が、待ってるんだ」


    勇者・魔王「……」

    勇者・魔王「うん?」


    936: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:48:59.28 ID:5+VAiEZTo

    勇者「それは……私とお前は、仲間ではなく――」

    勇者「――友達として過ごしたい」

    勇者「……という意味では?」


    男「無い」


    魔王「貴様……余の配下では、満足出来ず――」

    魔王「――余の友になりたい」

    魔王「……という意味では?」


    男「無い」


    勇者・魔王「……」


    937: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 00:55:41.56 ID:5+VAiEZTo

    勇者「今日のお弁当のオカズは何か、楽しみだ」

    魔王「貴様、そんな事も知らぬのか?」

    勇者「どういう意味だ?……まさかっ!?」

    魔王「その、まさかよ」


    魔王「余は……ふふっ!」

    魔王「ママに、料理を習いだしたのだ……!」


    勇者「ば……馬鹿なっ!?」

    勇者「魔力だけでなく、女子力までも高めようと!?」


    男「いやあの、結界」


    938: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 01:02:52.18 ID:5+VAiEZTo

    魔王「見るが良い……この、美しく焼かれた卵焼きをな!」

    勇者「これを魔王が!? チョー美味しそうなんだケド!」

    魔王「ふはは! どれ、一つくれてやろうではないか」

    勇者「どれどれ……んっ、美味しい! 甘い卵焼き好き!」


    魔王「卵に砂糖を加えるなど、菓子だけだと思っていたが……」

    魔王「――この世界は、和食の素晴らしさを余に教えてくれた」


    男「だから、結界」


    939: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 01:07:58.79 ID:5+VAiEZTo

    勇者「私は……あっ、青椒肉絲!」

    魔王「ほう、貴様の弁当も中々やるではないか」

    勇者「……私は、幼い頃はピーマンが苦手だった」

    魔王「うむ、苦味と青臭さが鼻につくからな」


    勇者「だが、青椒肉絲と、ピーマンの肉詰めに出会った」

    勇者「――この二つが、私の世界を広げてくれた」


    男「それより、結界」


    940: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 01:16:25.71 ID:5+VAiEZTo

    勇者「魔王、一口どうだ? 美味いぞ」

    魔王「余に施そうというのか?」

    勇者「違う。借りを作りたくないだけだ」

    魔王「ふむ……そういう事にしておくか」


    男「勇者と魔王」

    男「俺に嫌がらせをして、悪いとは?」


    勇者・魔王「思わない」


    勇者・魔王「友達じゃないから」



    おわり


    942: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 21:58:07.35 ID:5+VAiEZTo

    書きます


    勇者「この戦いが終わったら、プロポーズするんだ」


    943: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:00:11.36 ID:5+VAiEZTo

    戦士「うお、そりゃ本当か!?」

    勇者「ああ、まあな」

    戦士「はっは! そいつぁ死ぬわけにはいかないな!」

    勇者「そうだな」


    勇者「魔王を倒したら」

    勇者「――故郷の幼馴染に、プロポーズするんだ」


    戦士「……」

    戦士「……故郷の幼馴染?」


    944: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:02:18.44 ID:5+VAiEZTo

    戦士「故郷の?」

    勇者「ああ、小さい頃はいつも一緒でな」

    戦士「幼馴染?」

    勇者「旅立つ時も、ずっと手を振ってくれてた」


    勇者「――帰ってくるのをいつまでも待ってる」

    勇者「そんな風に、笑いながら……な」


    戦士「……」

    戦士「……!?」


    945: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:04:49.91 ID:5+VAiEZTo

    戦士「なあ、勇者?」

    勇者「? どうした、戦士」

    戦士「お前にとって、僧侶はどんな存在だ?」

    勇者「? 決まってるだろ」


    勇者「僧侶は、大切な仲間だ」

    勇者「旅が終わっても……そう、いつまでも、な」


    戦士「……」

    戦士「……!!?」


    946: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:08:36.87 ID:5+VAiEZTo

    戦士「……勇者、お前に大事な話がある」

    勇者「? どうした、戦士」

    戦士「今の話をしたのは、俺だけか?」

    勇者「いや、戦士だけじゃない」


    勇者「さっき、僧侶にもこの話をした」


    戦士「!?」

    戦士「……!!?」


    947: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:11:06.49 ID:5+VAiEZTo

    戦士「僧侶に!? 言ったのか!?」

    勇者「? ああ」

    戦士「僧侶は、何て言ってた!?」

    勇者「いや、特に何も言われなかったな」


    勇者「……あ、そういえば」

    勇者「何故か突然、神に祈りを捧げてたぞ」


    戦士「ですよね!!」


    948: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:13:52.19 ID:5+VAiEZTo

    戦士「なんで、今の話をする流れになったんだ!?」

    勇者「いや、何でって……」

    戦士「勇者、これは大事な質問だ!」

    勇者「……ああ、何かな?」


    勇者「魔王との戦いに生き残ったら、伝えたい事がある」

    勇者「……って、真面目な顔で言われたんだ」


    戦士「……」

    戦士「……そっ……かぁ」


    949: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:17:32.33 ID:5+VAiEZTo

    戦士「そう言われたら、お前も幼馴染の事言うよな」

    勇者「ああ、大切な仲間だしな」

    戦士「……どんな風に、祈りを捧げてたんだ?」

    勇者「それが、かなり本格的でな」


    勇者「こう、胸の十字架を握りしめてだ」

    勇者「地面に額をこすりつけて」

    勇者「――神よー!」

    勇者「……って感じだった」


    戦士「……なるほ……ど~」


    950: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:21:21.60 ID:5+VAiEZTo

    戦士「……それから、どうなったんだ?」

    勇者「ん? ああ、いくつか質問されたな」

    戦士「僧侶……」

    勇者「だが、意味がわからないものが多かったんだ」


    勇者「幼馴染を狙ってる、意地悪な村長の息子が居ないか」

    勇者「……とかな?」


    戦士「アイツ、何を期待してんだ!?」


    951: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:25:56.32 ID:5+VAiEZTo

    戦士「居るのか!? そんな奴が!」

    勇者「意地悪、ではないと思う」

    戦士「居るのか!? 幼馴染を狙う村長の息子が!」

    勇者「……まあ」


    勇者「俺が村長の息子だ」

    勇者「狙ってると言うか……もう、射止めてるな」


    戦士「……」

    戦士「お前、次期村長だったのな!」


    952: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:31:40.52 ID:5+VAiEZTo

    戦士「……他に、どんな事を聞かれたんだ?」

    勇者「幼馴染は、どんな人か……って聞かれたな」

    戦士「あ、それは俺も気になる」

    勇者「あー……何て言うか、な」


    勇者「二つ年上だけど、可愛くて……」

    勇者「あ、眼を見張るほどの美人って訳じゃないんだぜ?」

    勇者「だけど、俺にとっちゃ世界で一番なんだ」

    勇者「しっかり者ぶってるけど、抜けてる所もあっt」


    戦士「おうけい、ストップ勇者」


    953: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:38:55.75 ID:5+VAiEZTo

    戦士「今みたいな事を僧侶に言った、と」

    勇者「ああ、笑いながら最後まで聞いてくれたぞ」

    戦士「最後まで語っちゃったのか」

    勇者「ああ、そしてだ」


    勇者「――僧侶は、そういう相手は居ないのか?」

    勇者「って、聞いてみたんだよ」


    戦士「……」

    戦士「……ワーオ」


    955: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:42:10.59 ID:5+VAiEZTo

    戦士「お前は、凄い所で会心の一撃を出すな」

    勇者「? どういう意味だ?」

    戦士「……いや、何でもない」

    勇者「まあ、そうしたらな?」


    勇者「――内緒です」

    勇者「って、笑った後にな?」

    勇者「――幼馴染さんに、是非会ってみたい」

    勇者「……なんて言われてなぁ」


    戦士「アイツ、何するつもりだ!?」


    956: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:46:45.88 ID:5+VAiEZTo

    戦士「勇者! お前、それを了承したのか!?」

    勇者「? ああ、勿論だ」

    戦士「絶対にやめておけ! 良いか、絶対にだ!」

    勇者「ははっ、どうしてだよ?」


    勇者「……まあ、せっかくだからさ」

    勇者「僧侶に、結婚式の司式を頼んだんだ」


    戦士「……」

    戦士「はー……はーはーはー」


    960: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 22:56:09.17 ID:5+VAiEZTo

    戦士「勇者は、本当に勇気があるな」

    勇者「? どうしたんだ、突然」

    戦士「……僧侶は、それを受け入れたのか?」

    勇者「勿論、二つ返事で了承してくれた」


    勇者「――本当に、楽しみですね」

    勇者「なんて、見たことのない笑顔をしてたぞ」


    戦士「アイツ、挫けなさすぎだろう!」


    961: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 23:01:40.22 ID:5+VAiEZTo

    戦士「……僧侶の伝えたい事って、何だと思うよ?」

    勇者「魔王との戦いに生き残ったら……だからな」

    戦士「そうだ、アイツにとって大事な事だろうよ」

    勇者「……っ!」


    勇者「僧侶も惚れてる相手が居る、と!」

    勇者「それを……仲間である俺に伝えようと!?」


    戦士「鋭い! が、鈍い!」


    962: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 23:08:21.69 ID:5+VAiEZTo

    戦士「そこまで察せるのに、どうしてだ!?」

    勇者「! そうか……!」

    戦士「……わかったか、勇者」

    勇者「……ああ」


    勇者「僧侶は、戦いが終わった後に伝えようとしてくれてたのに!」

    勇者「俺は、戦いの前に幼馴染の事を言っちまった!」

    勇者「あー……俺も、全部終わった後に言うべきだったなぁ!」

    勇者「な!」


    戦士「本当にな!」

    戦士「お前の考えてる事とは違うが、本当にな!」


    963: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/02(日) 23:18:35.89 ID:5+VAiEZTo

    戦士「こんなんで、明日の決戦は大丈夫なのかよ……!」

    勇者「俺たちなら――絶対に勝てるさ!」

    戦士「ちょっと前まで、俺もそう思ってたよ!」

    勇者「おいおい、弱気になるなよ」


    勇者「僧侶なんか、凄いやる気だったぜ?」

    勇者「――必ず手に入れてみせる」

    勇者「……ってな」


    戦士「……はい」


    勇者「明日の戦いに勝って、必ず生きて帰るんだ!」

    勇者「――平和をこの手に掴むぞ!」



    おわり


    967: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 21:58:51.30 ID:aqq4kDa3o

    書きます


    男勇者「古い装備を買い取ってくれるってよ!」


    968: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:02:12.35 ID:aqq4kDa3o

    女戦士「へえ、そいつは助かるね!」

    女武道家「うん、捨てるのも何だしね!」

    女賢者「それで、どの人が買い取ってくれるのかしら?」

    男勇者「あの人だ!」


    男商人「ぐふふ! 高値で買い取りますよぉ、ぐふふふ!」


    女戦士・女武道家・女賢者「……」

    女戦士・女武道家・女賢者「勇者、本気?」


    969: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:05:07.18 ID:aqq4kDa3o

    戦士「アンタ、何考えてるんだい!」

    武道家「ねえ、本当に売るの!?」

    賢者「あの顔、良からぬ事を考えてるわよ!?」

    勇者「えっ!?」


    商人「いやいや、そんな事はありませんよぉ!」

    商人「……ぐふ! ぐふふふふっ!」


    戦士・武道家・賢者「……」

    戦士・武道家・賢者「絶対、嫌!」


    970: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:09:46.07 ID:aqq4kDa3o

    戦士「売る位なら、捨てた方がマシさね!」

    武道家「そうだよ! ねえ、売るのやめよう!?」

    賢者「勇者、もう少し考えて行動してくれる?」

    勇者「いや、でも!」


    商人「相場の三倍……いや、五倍出しますよぉ!」

    商人「何せ、世界を救う勇者様達御一行ですから……ぐふふ!」


    戦士・武道家・賢者「ご……」

    戦士・武道家・賢者「五倍……!?」


    971: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:13:07.11 ID:aqq4kDa3o

    戦士「ふ、古くなった剣もかい?」

    武道家「あ、あたしの鉄の爪も?」

    賢者「わ、私の杖もかしら?」

    勇者「どうなんですか?」


    商人「いえいえ、さすがに持ちきれませんので……」

    商人「布製の防具だけ、ですね……ぐっふふふひょう!」


    戦士・武道家・賢者「ぬ……」

    戦士・武道家・賢者「布製の防具だけ……!?」


    972: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:15:34.07 ID:aqq4kDa3o

    戦士「あるには……あるねぇ」

    武道家「あー……あたしの、結構ある」

    賢者「私も……布製のは多いわ」

    勇者「本当に、相場の五倍なんですか?」


    商人「ぐふふ、勿論ですともぉ!」

    商人「ぐふふっふ! ぐふっ、ぐふふふふ!」


    戦士・武道家・賢者「……」


    974: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:20:32.51 ID:aqq4kDa3o

    戦士「……どうする?」

    武道家「どう、って言われても……」

    賢者「……五倍で売れる機会なんて、滅多に無いわ」

    勇者「五倍で買って、儲けは出るんですか?」


    商人「ぐふふ、儲けようとは思っていませんよ」

    商人「個人的……そう、個人的な……ぐふっ! ぐふふっ!」


    戦士・武道家・賢者「……」


    975: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:25:44.82 ID:aqq4kDa3o

    戦士「じゃあ……こいつなら、いくらだい?」

    武道家「あっ、それって――昔着てたやつじゃん」

    賢者「懐かしいわね……本当に、初期の物よね」

    勇者「戦士の、最序盤の布の服――おいくらですか?」


    商人「ぐふふ、そうですねぇ……戦士様の物でしたら」

    商人「――相場の、六倍は出しましょう! ぐふふふ!」


    武道家・賢者「ろっ……!?」

    戦士「六倍だって!?」


    976: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:29:42.64 ID:aqq4kDa3o

    戦士「あ、アタシの布の服が……六倍!?」

    武道家「じゃじゃじゃじゃあ! あたしの、これは!?」

    賢者「それは……二つ前に着てた、武闘着ね」

    勇者「武道家の、二つ前の武闘着――おいくらですか?」


    商人「ぐふふ、武道家様で……二つ前の物でしたら」

    商人「――相場の、七倍は出しましょう! ぐふふふ!」


    戦士・賢者「なっ……!?」

    武道家「七倍!? えっ、ウソ! ホントに!?」


    977: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:34:42.59 ID:aqq4kDa3o

    戦士「聞いたかい、七倍だってよ!?」

    武道家「きっ、聞いた! なっ、ななな七倍だって!」

    賢者「なら、私が一つ前に着てた、水の羽衣は!?」

    勇者「賢者の、一つ前の水の羽衣――おいくらですか?」


    商人「ぐふふ、賢者様で……一つ前の物でしたら」

    商人「――相場の、三倍は出しましょう! ぐふふ!」


    戦士・武道家「さっ……!?」

    賢者「……」

    賢者「……三倍?」


    978: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:43:22.00 ID:aqq4kDa3o

    戦士「凄いじゃないか、三倍なんて!」

    賢者「あ……いや、凄いんだけどね!?」

    武道家「うんうん! かなりの高額になるよ!」

    賢者「そうなんだけど! そうなんだけれども!」

    勇者「どうしたんだ? 何が不満なんだ?」


    賢者「なんか……なんか、なんかー!」

    賢者「六倍で、七倍で、それなのに三倍って……なんか!」


    勇者「どうした賢者!?」

    勇者「賢さが大幅に下がってるぞ!?」


    979: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:52:48.59 ID:aqq4kDa3o

    戦士「どうしたんだい!? らしくないじゃないか!」

    賢者「だって、なんか! なんか……なんかー!」

    武道家「ごめん賢者! あたしにも、わかるように言って!?」

    賢者「なんか、なんか……なんかなのよ!」

    勇者「良いじゃないか、三倍だぞ!?」


    商人「ぐふっふっふっふ! わかりました!」

    商人「――相場の、四倍は出しましょう! ぐふふ!」


    戦士・武道家「よっ……!?」

    賢者「……」

    賢者「四倍でも……なんか!」


    980: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 22:59:07.97 ID:aqq4kDa3o

    戦士「さすが賢者、交渉も上手だねぇ!」

    武道家「うんうん! 賢者、これを狙ってたんだね!」

    賢者「いや、でも! 六、七ときて……四は、なんか!」

    勇者「じゃあ、俺の昔着てた旅人の服――おいくらですか?」


    商人「ぐふふ、そうですねぇ……勇者様の物でしたら」

    商人「――相場の、十倍は出しましょう! ぐふふふ!」


    勇者「じゅっ……!?」


    戦士・武道家・賢者「……」

    戦士・武道家・賢者「……十倍?」


    981: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:02:15.17 ID:aqq4kDa3o

    戦士「アタシのが……六倍」

    武道家「あたしのが……七倍」

    賢者「私のが……四倍」

    勇者「おっ、俺のは十倍!? 本当ですか!?」


    商人「はぁい、勿論ですとも! ぐふっふっふっふ!」

    商人「勇者様の身に付けていた物ですから! ぐふふ!」


    戦士・武道家「……」

    賢者「……今の気持ちは?」

    戦士・武道家「……なんか……なんか、なんか!」


    982: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:07:34.49 ID:aqq4kDa3o

    戦士「いや、わかるんだよ!? 言ってる事は!」

    武道家「わかるけど……なんか! なんかー!」

    賢者「でしょう!? なんか……なんかでしょう!?」

    勇者「さっ、さすがに悪いですよ!」


    勇者「俺のは――多くても、二倍で良いです!」


    商人「ぐふふ、何ですって? 二十倍ですってぇ?」

    商人「――よろしい! 相場の二十倍は出しましょう! ぐふふ!」


    戦士・武道家・賢者「にじゅっ……!?」

    勇者「二十倍!?」


    983: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:15:13.75 ID:aqq4kDa3o

    勇者「そんなっ!? これ、母さんが作った物ですよ!?」

    商人「何と!? 二十五倍は出します! ぐふひょう!」

    勇者「破れた所は、俺が繕って不格好になってますし!」

    商人「何と!? 三十倍出させてください! ぐふっふっふ!」


    勇者「も、もう! もう、結構ですから!」


    商人「結構ですと!? ぐふふっ、私も覚悟を決めましたよ!」

    商人「――よろしい! 相場の四十倍は出しましょう! ぐふふ!」


    勇者「ああっ!? そっちの意味の『結構』じゃなくて!」


    戦士・武道家・賢者「……」


    984: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:24:01.85 ID:aqq4kDa3o

    戦士「アタシも……六倍じゃあ売れないね」

    武道家「うん……あたしも、七倍じゃ無理かな」

    賢者「私は、最初から売る気なんか無かったわ」

    勇者「えっ!? ど、どうしたんだよ皆!?」


    商人「何と!?」

    商人「で……では! せめて、勇者様の物だけでも!」

    商人「……ぐふふ! 五十倍! 五十倍なら、どうでしょう!」


    勇者「ごじゅっ!?」


    戦士・武道家・賢者「……」

    戦士・武道家・賢者「なんか……なんか――っ!!」


    986: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:28:34.82 ID:aqq4kDa3o

      ・  ・  ・

    勇者「――なあ、どうして買い取りの話を断ったんだ?」


    戦士・武道家・賢者「……」


    戦士「やっぱり、変に甘えるのは良くないからねぇ」

    武道家「うんうん、商人さんに悪いもんね」

    賢者「いくら高額でも、あの場合は断るべきよ」


    勇者「そっ……か」

    勇者「うん! 確かに、皆の言う通りだよな!」


    戦士・武道家・賢者「……」


    987: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:34:31.10 ID:aqq4kDa3o

    戦士「でも、さすがに五十倍は惜しかったねぇ」

    武道家「元の値段を考えても、そこそこの値段だもんね」

    賢者「勇者、あの旅人の服はどうしたの?」


    勇者「……商人さんには、期待させるだけさせちゃったしさ」

    勇者「また次に会った時にサービスしてください、って……」

    勇者「……ははは、タダであげちゃったよ」


    戦士・武道家・賢者「……」

    戦士・武道家・賢者「本当、お人好しなんだから」


    988: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:42:50.32 ID:aqq4kDa3o

      ・  ・  ・

    商人「――ぐふっ! ぐふふふふっ!」

    商人「勇者様が、旅立ちの日に身に付けていた!」

    商人「さらには、勇者様の母上手製の装備が手に入るとは!」

    商人「これは、物凄い価値が出ますよぉ! ぐふふっふっふ!」


    商人「――ぐふふ、誰にも売るつもりはありませんがねぇ!」


    商人「個人的なコレクションに加えるつもりでしたからね! ぐふふ!」

    商人「これは、コレクションでも、一番の価値ある品になるでしょうな!」

    商人「……ぐふっ! ぐふふっふっふふ!」


    商人「正に、タダより高い物は無い!」



    おわり


    989: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:46:50.51 ID:2EgH1SVMo

    うまいこといいやがって
    純粋なコレクターと純粋な勇者同士のイイハナシダナー


    991: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:54:18.72 ID:R1qKQhauO

    なんだ邪心は無かったのか…


    992: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/03(月) 23:58:12.70 ID:jcRqEfaDO

    賢者が安かったのは非とかそういう話かと思った
    おつです


    993: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/04(火) 05:21:40.28 ID:FmMbFYlUo

    所詮、賢者は勇者パーティーの中でも最弱(適当)


    994: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/04(火) 19:25:00.38 ID:SapOAm2F0

    ただの勇者一行のファンだったか


    引用元: 地の四天王「光の勇者よ、助けてくれ!」

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