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    【ぼく勉】成幸 「桐須先生と結婚か…」

    1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 20:44:05 ID:TrYEpSoQ

    成幸「はあ…何だか騒がしい風呂だったなあ」

    和樹「今日は面白かったなー。兄ちゃん」

    成幸「こっちは色々大変だったけどな! 先生の下着を返すのにどれだけ苦労したと思ってんだ」

    和樹「ごめんなさーい! …でも本当にキレイだったな真冬ちゃん。おᘄぱいもでかかったし、兄ちゃん頑張ってお嫁さんにしよーぜ」

    成幸「(おᘄぱい…)バカ言うな、相手は先生だぞ。俺なんか相手にされねーって」

    葉月「えーでも真冬ちゃんはお嫁に来てくれるって言ってたよ」

    成幸「ブッフォ! げほっげほっ。お前らなー。ラムネ吹き出しちまっただろ! ったく…本当に先生が言ってたのか?」

    葉月「うん、いつか嫁に来てくれるって」

    成幸「そうか(ああ、葉月に気を遣ってくれたんだな)」

    葉月「良かったね。兄ちゃん」ニコッ

    和樹「そうだな…」ハハ…
     
     てくてくと家路を歩いていく三人。

    成幸(葉月の事はともかく、桐須先生と結婚か…絶対有り得ないだろうけど、何となく想像がつくよなあ…)フフッ



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    2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 20:45:06 ID:TrYEpSoQ

    --起床

    成幸「ふわあ~あ…もう朝か。真冬さん、朝ですよ」

    真冬「ん…」zzz

    成幸「(寝顔まで可愛いんだよなこの人は…)ほら、起きて下さいよ、『桐須先生』」

    真冬「ん、『唯我』くん…? じゃなかったわね。成幸くん…もう朝かしら?」

    成幸「ええ、そろそろ起きないと」

    真冬「了解。でも…」ギュ

    成幸「え?」ドキッ

    真冬「もう5分だけ…このまま…」ギュ…

    成幸「う、わ、わかりました…」カァアア

     --結局15分間このままだった。後悔はしていない。


    3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 20:45:55 ID:TrYEpSoQ

    --朝食

     もきゅもきゅ(咀嚼音)

    真冬「ど、どうかしら?」ドキドキ

    成幸「うん、今日も美味しいですよ。だけど、毎回きっちりレシピ通りに作るのって大変じゃないですか?」

    真冬「基本第一。レシピをおろそかにするなと言ったのは君よ、成幸くん」

    成幸「でもそろそろ卵焼きくらいなら…」

    真冬「駄目、不許可。料理は愛情って言うでしょう。多少手間でも、夫となった君にはちゃんとしたものを食べさせてあげたいもの」

    成幸「ジーン ま、真冬さん…ありがとうございます」


    4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 20:46:28 ID:TrYEpSoQ

    真冬「…そ、そのかわり、後片付けの方はお願いできるかしら」カァアア

    成幸「チラッ 今日も嵐のような惨状ですね…ちなみにお皿やコップは?」

    真冬「杞憂。聞いて驚きなさい。何と1枚に収まったわ」ドヤァ

    成幸「すごい! 新記録じゃないですか。この調子でいきましょう」

    真冬「そうね、この調子でいけば明日には--」コツン

     ガシャーン(コップが割れる音)

    成幸「…また明日頑張りましょうか」ハヘンフマナイデクダサイネ…

    真冬「…ええ」ゴメンナサイ…


    5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 20:47:15 ID:TrYEpSoQ

    --通勤

    成幸「(シートベルト締めて、と…)それじゃあ出発します。忘れものは無いですか?」

    真冬「問題無いわ。だけど今日は時間が押してるし、何なら私が運転しても」

    成幸「キリッ いえ、急ぐので是非とも俺に運転させて下さい。俺の寿命のためにも」

    真冬「そ、そう…じゃあお願いするわね」


    6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 20:47:55 ID:TrYEpSoQ

    --10分後

    成幸「…全然動きませんね」

    真冬「スマホスマホ… 把握。どうやら事故で渋滞しているみたいね」

    成幸「とりあえずUターンしましょうか」チカッチカッ

    成幸「何とか引き返せたのはいいですけど…まずいな。このままじゃ遅刻ですよ」

    真冬「そこの路肩に止めて貰えるかしら」

    成幸「え、ええ…」キキィッ

    成幸「止まりました…って何でシートベルト外してるんですか!?」

    真冬「交代。運転を変わるわ」

    成幸「いや、でも…」アセアセ


    7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 20:49:07 ID:TrYEpSoQ

    真冬「教師は生徒の模範とならなくてはいけない。遅刻なんてもっての外よ。学校への近道ならいくつか知っているから任せて頂戴」

    成幸「うう…わ、わかりました。くれぐれも安全運転でお願いしますよ」

    真冬「当然。法定速度はいつも遵守しているもの。問題無いわ」

    成幸(それ以外が問題だらけだから言ってるんですが…)ブワワッ

    真冬「(シートベルトをして、と)そういえば…運転席に座るのも久しぶりね」

    成幸「そ、そういえばそうでしたね。ブランクもあることだし、ここはゆっくりと」アセアセ

    真冬「腕が鳴るわね。久しぶりに…愉悦を感じられる気がするわ」フフッ

    成幸(終わったーー!)サァァーッ

    真冬「じゃあ行くわよ。舌を噛まないようにしなさい!」ルパンルパーン!

    成幸「ギャーーッ! 何とか保ってくれ俺の心臓ーー!」

     ――その後、僕のいくばくかの寿命と引き替えに、遅刻せず学園に着くことができました。


    8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 20:49:57 ID:TrYEpSoQ

    --仕事中

     休み時間、廊下にて

    成幸「フラフラ… うう、まだ吐き気が…明日からはもっと早く家を出よう」

    中木「(あ、成幸先生だ)おはよーです、成幸先生」

    成幸「ああ…おはよう中木。鞄を持ってるってことは移動の最中だな。B組は確か…世界史か」

    中木「そうです世界史。あの超怖い真冬先生の。こないだうっかり寝ちゃったら、めちゃくちゃ叱られちゃいました」ズーン

    成幸「(さ、流石だなあ…)ま、まあ、中木も今年は受験だからな。きっと心配してくれてるんだと思うぞ」

    中木「ふーん」ジロジロ

    成幸「な、何だ?」

    中木「いえ、やっぱり自分の奥さんのことだから良くわかってるのかなーって」

    成幸「そ、それとこれとは話が別だろ?」アセアセ

    中木「そうかな? まあ細かいことは置いといて…家の中での真冬先生ってどんな感じなんですか? やっぱり授業中みたいにビシッとしてるとか?」

    成幸「そうだな…(ここは正直に話して親近感を持ってもらうべきか!)いや、ああ見えて実は--」


    9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 20:50:33 ID:TrYEpSoQ

    真冬「成幸先生?」ジャーン ジャーン!

    成幸「…すごくビシッとしててな。いやもう料理も掃除も車の運転も完璧なんだ。そうですよね、真冬先生」ダラダラ…

    真冬「ええそうね。結婚したからには妻として最善を尽くす必要があるもの」

    中木「そ、そうですか…(もしかして今すっごく惚気られてる?)」

    真冬「ところで、中木さん」

    中木「は、はいっ(お、怒られちゃうの?)」アセアセ

    真冬「…受験に向けて頑張っているようだけれど、授業中に寝てしまうのは本末転倒よ。夜は早めに切り上げて、その分朝に勉強してみなさい。その方が脳に入ってくるわ」

    中木「え…?」

    真冬「返事は?」ジロリ

    中木「は、はい! ありがとうございます…………あの、成幸先生」

    成幸「ん?」

    中木「ボソッ 真冬先生のこと悪く言ってしまってすみません。素敵な奥さんですね」ニコッ

    成幸「あ、ああ…ありがとう」


    10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 20:51:11 ID:TrYEpSoQ

    中木「それじゃ先に教室に行ってます。今日は寝ないように頑張りますね、真冬先生!」タッタッタッ

    真冬「ハア… 出来れば廊下も走らないでほしかったのだけれど…」

    成幸「はは…でも中木の奴、立ち直ったみたいで良かったですよ」

    真冬「彼女が良く頑張っているのは知っているもの。『努力を惜しまぬ者に常に最善を考える』…それが、教師の役目でしょう?」

    成幸「ええ、そうですね!」

    真冬(そして、それを私に教えてくれたのは…)チラッ 

    成幸「真冬先生?」

    真冬「コホン …何でもないわ。ところで成幸『くん』? さっきの中木さんからの質問に、何を言いかけたのか、後で詳しく訊かせてもらいたいのだけど?」ゴゴゴゴ

    成幸「ひいいいっ! すみません」

     --この後めちゃくちゃ怒られた


    11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 20:54:32 ID:TrYEpSoQ

    --仕事後

     放課後、廊下にて

    中木「成幸先生、さようならー」タッタッタッ

    成幸「おー、気を付けて帰れよー」

    真冬「失礼。成幸先生」

    成幸「あ、真冬先生。早いですね。今日はもう帰るんですか?」

    真冬「ハア… 成幸『くん』、今日が何の日なのか忘れたのかしら?」

    成幸「え? あ…そうでしたね」タハハ…

    真冬「全く…新米の教師だからって予定を忘れるほど働き詰めでは困るわね。中木さんのことを言えないわよ」

    成幸「はは…気を付けます。とりあえずあとは学園長に書類を提出したら帰れそうなので、車で待っていて貰えますか?」

    真冬「ええ。では速やかにお願いね」カッカッ

    成幸(真冬さん気合入ってたなあ。まあ、お互い忙しくて延期を重ねてたからな…)


    12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 20:55:43 ID:TrYEpSoQ

    --10分後

    成幸「ふう…書類も提出できたし、駐車場まで急がないとな…ん?」

    沼畑「…………」キョロキョロ

    成幸(あれは2年の沼畑じゃないか。空き教室の前で何やってるんだ?)

    沼畑「……」スッ

    成幸(入っていったな。様子が変だったし…ちょっと見てくるか)スタスタ

    沼畑(………はあ)

    成幸「よう沼畑。何やってるんだ?」

    沼畑「え? あ…な、成幸先生!?」

    成幸「そのプリントの束…もしかして、この前の中間テストの答案か?」

    沼畑「あ、そうなんです…でもその…点数が」

    成幸「あーまあ確かに…全教科とも平均より大分低いな」

    沼畑「頑張って勉強してはいるんスけど、ずっとこのザマなんです。この学園も補欠入学でギリギリ浮かったくらいだし、俺…勉強向いてないのかなって」ハハ…


    13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 20:56:30 ID:TrYEpSoQ

    成幸「そうか………なあ沼畑。敢えて訊くけど、今どんな気持ちだ?」

    沼畑「え?(何言ってるんだこの先生)そ、そりゃ勿論、悔しいに決まってるじゃないですか! だからここで集中して復習しようと思ったんスよ」

    成幸「そうか…その気持ちがあるなら大丈夫だ。お前ならきっと成績が上がるよ。俺がそうだったように、な」

    沼畑「成幸先生が?」

    成幸「俺も昔は笑っちまうくらい勉強ができなくてな。何度も何度も悔しい思いをしてきたんだ。けど諦めずに勉強し続けて…今はこうやって先生なんて呼ばれてる」

    沼畑「そうなん…ですね。凄いっス。でも俺なんか、高校の2年で未だこんな成績だし…」

    成幸「『未だ』じゃないぞ。『まだ』2年だろ?」

    沼畑「え?」


    14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 20:57:02 ID:TrYEpSoQ

    成幸「…昔な、高校3年の一学期にもなって、数学と国語と英語のテストが一桁の奴らがいたんだ。しかも進学する大学の志望がそれぞれ理系に文系に国際留学だぞ。お前だったらどうする?」

    沼畑「そ、そんなの無茶っスよ。諦めて他の進路先に変えます」

    成幸「まあそれが普通だよな。だけど…あいつらは諦めなかったんだ。最後の最後まで自分を信じて努力し続けて…ついには合格しちまったんだ」

    沼畑「……」

    成幸「ほんと、凄いよな………そんな瞬間を見てしまったからにはな、『諦めろ』なんて軽々しく言ってやれないんだ。俺は」

    沼畑「…先生って結構スパルタだったんですね」

    成幸「ははっ『できなくても、努力している奴には最善を尽くす』のが俺の教育方針だからな」

    沼畑「…ありがとうございます。俺も腐らずに、もう一度頑張ってみますね。あ、そうだ。せっかくだからついでにここの問題、訊いても良いですか?」

    成幸「(やる気になってくれたみたいだな)そうだな。これはまず--」


    15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 20:57:55 ID:TrYEpSoQ

    --駐車場、車内

    真冬「遅延…やけに時間がかかっているわね。様子を見てこようかしら」バタン

    真冬「…? 疑問。空き教室に電気がついているようだけど、あれは…成幸くんに、沼畑くん?」

    真冬「(…沼畑くんは確か成績が芳しくなかったわね)ハア…理解。全く君は…」カッカッ バタム

    真冬「相変わらずなんだから」ブロロロロン


    16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 20:58:44 ID:TrYEpSoQ

    --夕暮れ、空き教室にて

    成幸「…まあ今日はこんなところか。大体おさらいできたな」

    沼畑「ありがとうございます成幸先生。まさか担当教科以外も見てもらえるなんて…しかも、めちゃくちゃわかりやすかったです」マジカッケー

    成幸「ははは、まあ、昔とった杵柄って奴でな」

    沼畑「けど、すっかり時間が経っちゃいましたね。先生用事とか大丈夫だったんですか?」

    成幸「ああ、幸い今日は何もな………あったんだったあああっ!! すまん沼畑! 俺、先帰るから!」ドタドタ

    沼畑「は、はい! 先生ありがとうございます。俺も先生みたいになれるよう頑張ります!」

    成幸「ああ! 気を付けて帰れよー! (うう…真冬さん怒ってるだろうな…)」


    17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 20:59:31 ID:TrYEpSoQ

    --駐車場、車内

    真冬「遅刻。予定時刻をおよそ2時間30分ほど過ぎているのだけど?」ゴゴゴゴゴ

    成幸「すすすすすみません…『桐須先生』(うう、この懐かしい威圧感…)」

    真冬「ハア… 誤謬。口調が昔のものに戻っているわよ。『唯我』くん」

    成幸「は、はあ…(あれ? 怒ってない?)」

    真冬「それで、沼畑くんの勉強はどうだったの?」

    成幸「ええ、基本の徹底と、いくつか勉強のコツを教えたら理解できたみたいで…って何で知ってるんですか!?」

    真冬「窓越しに勉強している姿が見えたわ。妻を放っておいて随分盛り上がっていたようだけど…」ジロリ

    成幸「うう、すみません…」ショボーン

    真冬「…冗談。君がそういう人間だってことぐらい理解しているわ。お節介で、困っている人がいれば世話を焼かずにはいられない。そんなところが私は…好きだから」プイッ

    成幸「ま、真冬さん」


    18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 21:00:22 ID:TrYEpSoQ

    真冬「………」トクン トクン

    成幸「………」トクン トクン

    成幸「か、帰りましょうか」

    真冬「ど、同意。それじゃあ」ブロロン

    成幸「(ん? そういえば俺、今助手席…)ま、真冬さん! 運転は俺が--」

    真冬「安心しなさい成幸くん。夜の愉しみはまだ始まったばかりよ」ニヤリ

    成幸「ギャーーーッ」ルパンルパーン!

     ……今日の教訓 急にスケジュールを変更するのは良くないと、身をもって知りました。 かゆ うま


    19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 21:01:08 ID:TrYEpSoQ

    --夜、マンション

    真冬「到着。着いたわよ、成幸くん」

    成幸「い、生きてる。俺はまだ生きてるぞー…」ゾンビィィ

    真冬「やけに顔色が悪いようだけど…? 先に入るわね」ギィ…バタン

    成幸(結局…今日もこんな時間か)ギイ…バタン

    成幸(俺のせいですっかり遅くなってしまったし、また中止だよな…次はいったいいつになるやら)ガチャッ

    成幸「…え?」


    20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 21:01:59 ID:TrYEpSoQ

    真冬「着席。座って、成幸くん」

    成幸「ど、どうしたんですかこの料理? それに、ケーキまで…」

    真冬「予見。勉強している様子からして時間がかかるだろうと思ったから。先に買い物を済ませておいたわ」

    成幸「ま、真冬さん…」ジーン

    真冬「…時間がないから出来合いのものばかりになってしまったけれど」

    成幸「そ、そんなの気にしないで下さい。本当に…ありがとうございます」

    真冬「じゃあ、随分遅れてしまったけど…成幸くんの教師生活一周年を記念して…乾杯」

    成幸「乾杯」チンッ


    21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 21:03:08 ID:TrYEpSoQ

    --就寝

    成幸「わ、もうこんな時間か。そろそろ寝ましょうか、真冬さん」

    真冬「同意…だけどその前に」ギュッ

    成幸「(う…すごく良い匂い…)ま、真冬さん…?」

    真冬「限界…もう5日間もご無沙汰よ。身体が疼いて仕方が無いの。お願い成幸くん。私に…して…」ウルウル

    成幸「わ、わかりました…」ゴクリ…


    22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 21:03:51 ID:TrYEpSoQ

    真冬「ギッギッ ひゃうん! き…気持ちいいの! 成幸くん!」

    成幸「ギッギッ ま、真冬さん。声が大きいですよ」

    真冬「ギッギッ む、無理! こんなの…我慢できな……はひゃあん! そ、そこ! そこが…」

    成幸「ギッギッ 良いんですね。わかりました、もう少し激しくいきます」ギシッギシッ

    真冬「あ、そ、それはダメ! 許して成幸くん、私…もう、もう…! ふ、ふわあああああん!!」クリムゾン! クリムゾン!

    成幸「はあ、はあ。ふう…………そ、相当凝ってたんですね。ベッドがきしむくらい、久しぶりに指圧で本気を出しちゃいましたけど、どうでした? 真冬さん」

    真冬「グッタリ… はあ、はあ。た、堪能…私、もう成幸くん無しでは生きていけない身体になってしまった気がするわ…」

    成幸「(さらっととんでもないこと言ったな、この人は)じ、じゃあそろそろ本当に、寝ましょうか」


    23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 21:04:36 ID:TrYEpSoQ

    真冬「え、ええ。あの…成幸くん…」

    成幸「はい…んっ!?」

    真冬「………」

    成幸「………」

    真冬「感謝。お礼…いつもありがとう」カァアア

    成幸「いえ、俺の方こそ…こうして『桐須先生』と結婚できて本当に嬉しいです。真冬さんは?」

    真冬「…愚問。そんなの訊ねるまでもないわ『唯我』くん」

    成幸「あ…(笑っ…て…?)」

    真冬「幸せよ…とても」


    24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 21:05:20 ID:TrYEpSoQ

    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


    成幸「痛ててて…」

    葉月「兄ちゃん大丈夫ー?」

    成幸「あ、ああ…何とかな…」

    和樹「ったく…兄ちゃんは頑張り過ぎなんだよ。寝ながら歩いて電柱にぶつかるとか有り得ないって」

    成幸「あー、そうだよな。最近は根詰め過ぎてたし…今日は流石に早く寝るわ」

    和樹「やったー!俺兄ちゃんの横で寝よーっと」

    葉月「私もー」

    成幸「ははは…」テクテク…


    25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/06(木) 21:06:08 ID:TrYEpSoQ


    成幸(…想像してたつもりがいつの間にか寝ちゃってたんだな。それにしてもリアルな夢だった…)テクテク…

    成幸(桐須先生と結婚して、俺が教師に。有り得ない話だけど…でも)チラッ

    成幸(文化祭の花火のとき…この手をとって引き上げてくれたのは、先生だったんだよな。疲れてたからか、一瞬チャイナ姿で見えてしまったけど)テレッ

    成幸(まあ、その後先輩にジンクスのことを突っ込まれて、すぐに離れたんだけど…もし、あのジンクスが本物だったとしたら、俺は--)

    和樹「兄ちゃん立ち止まってないで早く帰ろうぜー」

    成幸「え? あ、ああ悪い、今行くから」

     --まさか、な。


     了


    28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/07(金) 21:19:22 ID:BnawkEiM


    【ぼく勉】真冬「このカップがどうかしたの?」


    29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/07(金) 21:20:53 ID:BnawkEiM

    --真冬の部屋

    カリカリカリ…

    カリカリカリ…

    カリカッ……

    カチカチ…カチカチ

    成幸「すみません、シャーペンの芯が無くなっちゃいました」

    真冬「頃合…そろそろ休憩にしましょう。コーヒーで良かったわね?」

    成幸「あ、はい。ありがとうございます」


    30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/07(金) 21:22:48 ID:BnawkEiM

    --5分後

    成幸「そういえば、このカップいつも同じのを使ってますね」

    真冬「そうね。それがどうかしたの?」

    成幸「いえ…随分大事に使ってるなあと思って。キッチンが汚れまくっていてもこれだけはきちんと洗ってるみたいですし(あと割らないし…)」

    真冬「し、失礼。…けどそうね。これは友人の結婚式で貰ったものだから……何? 唯我くん、その顔は」

    成幸「いえ、先生にも友達がいたのかと……すみません、考えてみたら当然のことですね。また調子に乗ってしまいました」ガクガク ブルブル

    真冬「ハア… まあ、否定はしないわ。ずっとフィギュア付けの毎日で、交友を深めようなんて思いもしなかったから」


    31: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/07(金) 21:25:18 ID:BnawkEiM

    成幸「で、でもその友達とは今も交流があるんですよね」

    真冬「結婚式以来、顔も見ていないわね」

    成幸「………」

    真冬「………」

    成幸「………(く、空気が重い…)」ズーン

    真冬「…もちろん全く交流が無いわけではないわ。年賀状のやりとり程度はするし、連絡先だって知ってるわよ」

    成幸「じ、じゃあ…」

    真冬「だからこそ、これ以上は不要よ。向こうは家庭だってあるもの。用も無しに連絡してこられても迷惑なだけでしょう?」


    32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/07(金) 21:26:36 ID:BnawkEiM

    成幸「……本当にそうっスかね?」

    真冬「何が?」ジロリ

    成幸「あ、いえ、桐須先生がさっき言った言葉…確かにそうかもしれないんですけど、それって先生が勝手にそう思ってるってことですよね」

    真冬「ええ。それが?」

    成幸「その…つまり、友達の方はそう思ってないかもしれないって事です。考え過ぎて一人相撲になってるというか…」

    真冬「…かもしれないわね。だけど式以降、お互い連絡したことがないのは事実だもの。きっと忙しいに違いないわ」


    33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/07(金) 21:28:07 ID:BnawkEiM

    成幸「それだって同じことですよ。向こうも『教師の仕事が忙しそう』だと思ってるから連絡しにくいのかもしれませんし」

    真冬「……」

    成幸「もちろん、それだって自分の想像でしかないですけど…肝心なのは、自分がどうしたいかって事なんだと思います」

    真冬「自分が…どうしたいか…」

    成幸「ええ、連絡したいと思ったから連絡する。それで十分じゃないっスかね。俺はずっと携帯を持ってなかったから、好きなときに連絡できるのって、当たり前だけど、すごく良いことだなって思いますよ」ニコッ

    真冬「…そうね、一理あるわ。さ、そろそろ勉強にもどりましょう」

    成幸「(露骨に話そらしたなこの人…)あ、はい…」


    34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/07(金) 21:31:37 ID:BnawkEiM

    --成幸帰宅後、カップを洗う真冬

    ジャー… ザブザブ…

    真冬「まったく…お節介ね」

    真冬「軽々しく言って…学生と社会人では立場が違うのに…」

    キュッ フキフキ…

    真冬(でも…)ジッ…


     --今日はありがとう真冬。私、一足先に幸せになるからね。真冬も良い人に出会えたら、ぜひそのカップ使ってあげてね。

     --連絡したいと思ったから連絡する。それで十分じゃないっスかね。


    真冬「…………」ピッピッ…


    35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/07(金) 21:35:06 ID:BnawkEiM

    赤ちゃん「zzz…マァマ…zzzz」

    「やっと寝てくれた…やれやれ、子育ても楽じゃないわね。さて、夕飯は作ったから、夫が帰って来るまでドラマでも…」

    ♪♪♪~

    「着信かあ。どうせまた勧誘の類で…え…真冬!?」パアァッ

    「もしもし! うわぁ~久しぶり、元気だった? うん…うん。こっちも変わりないよ。それにしてもどうしたの急に……うん、うん! わかるよ。私もまた真冬に会いたいなあって思ってたから……え? あ、大丈夫。この時間は
    いつも暇してるんだ……何言ってるの。迷惑なわけないでしょ! だって…」

     --友達なんだから。



    36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/07(金) 21:36:40 ID:BnawkEiM

    幕間

    「……うん、大丈夫。その日は夫がいてくれるから。じゃあその日に……あ、そうそう、結婚式のときに送ったカップってどうなった? ……そっかそっか。おめでとう! で、どんな人? ……うわ~掃除までしてくれるなんてすっごく良い人じゃない。絶対離さないようにしなきゃだめよ! …うん、そう。私はもう叶ったからさ。次は真冬が幸せになれるよう、応援してるからね!」


    43: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/11(火) 21:04:23 ID:.5Xh0nFs


    【ぼく勉】真冬「奇遇。何をしているの? 唯我くん」


    44: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/11(火) 21:05:22 ID:.5Xh0nFs

    --本屋『赤堀Books』

    成幸「うーん」ジロジロ…

    成幸「いつもながら参考書っていい値段だよな。どっちにするべきか…」

    真冬「奇遇。何をしているの? 唯我くん」

    成幸「あ、どうも。桐須先生。世界史の参考書を買おうかと思っているんですが、どちらにしようか悩んでいて…」

    真冬「感心。そうね、なら--」スッ


    45: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/11(火) 21:06:31 ID:.5Xh0nFs

    真冬「できればこちらの出版社がおすすめね。絵や写真は少ないけれど背後要因の解説が豊富で理解しやすいわ」

    成幸「ありがとうございます。もしかして先生も参考書を買いに来たんですか?」

    真冬「ええ。円滑に授業を行うには参考書や資料の内容も頭に入れておく必要があるもの」

    成幸(そういや先生の部屋、いつも読み終えた本が大量にあったな…)

    成幸「(あれだけ勉強しているからすらすらと教えられるのか…)なるほど、さすが先生ですね」

    真冬「事前準備は職務の一環。特に褒められるようなことじゃないわ」ツンッ

    成幸(こういう人なんだよなあ…)

    真冬「では先に行くから。頑張りなさい」カッカッ…

    成幸「あ、はい」


    46: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/11(火) 21:08:27 ID:.5Xh0nFs

    成幸「さて、とりあえず先生のおかげで参考書は決まったな。あとは…」スタスタ…

    大森 --唯我すまん! 本屋に行くなら今月の『EROいんぐ』買ってきてくれないか。一生のお願いだー!

    成幸「(ったく大森のヘタレめ。この間の時といい、もしかして毎回頼むつもりじゃないだろうな…)--ええと、これか…」

    月間EROいんぐ『同級生三人とのキケンな勉強会』

    成幸(…先輩の時といい、狙ったかのようなタイトルだな。後回しにしておいて正解だった)ホッ…


    47: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/11(火) 21:10:29 ID:.5Xh0nFs

    --本屋レジ

    成幸(良かった。おじいさんの店員だ)

    本屋店員「……ひいふうみい。はいち
    ょうどだね。ブックカバーは付けとくかい?」

    大森 --唯我ありがとうー! じゃあ明日学校で待ってるからなー!

    成幸「(参考書はともかく、あの本を剥き出しで渡すのはちょっとな…)あ、じゃあ、その本だけお願いします…」


    48: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/11(火) 21:12:53 ID:.5Xh0nFs

    --翌日。登校後の教室にて

    大森「おはよー唯我-! 例のヤツ持ってきてくれたー?」

    成幸「馬鹿…! 声がでかいって!」ボソボソ

    大森「スマンスマン、いやーもう待ちきれなくってさあ」フンス フンス!

    成幸「はあ……ったく。今回限りだからな。ほら、これ--」ゴソゴソ…


    49: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/11(火) 21:20:45 ID:.5Xh0nFs

    理珠「唯我さん。おはようございます」

    文乃「おはよう成幸くん」

    うるか「成幸に大森っち。おっはよー!」

    成幸「--を渡すのは次の休み時間な」ボソボソ…

    大森「そ、そうだな……」スゴスゴ…


    50: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/11(火) 21:22:30 ID:.5Xh0nFs

    成幸「--って、なるわけだ」

    理珠「なるほど、ようやく理解できました」フンス!

    文乃「わ! もうこんな時間だ。りっちゃん、うるかちゃん。そろそろ戻らないと…」

    うるか「了解。じゃあねー成幸。また昼休みに」バタバタバタ…

    成幸「ああ、三人ともまた後でな。--さて、俺も自習するか……ん?」


    51: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/11(火) 21:24:11 ID:.5Xh0nFs

    ガラガラ、ピシャ、 カッカッ…

    成幸(え? 桐須先生?)

    真冬「着席。みんな自分の席に座りなさい」

    生徒たち「何だ何だ?」ザワザワ…

    真冬「……着いたかしら。ではこれより持ち物検査を始めます。全員、カバンを机の上に置くように」

    生徒たち「え~~!?」

    成幸(な…なにィーーーー!!)ドドドドド


    52: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/11(火) 21:26:17 ID:.5Xh0nFs

    成幸(ま、まずい…! こんなもの(EROいんぐ)を持ってきていることが先生にバレたら--)

     --卑猥! 破廉恥! こんなものを学校に持ち込むなんて反省以前の問題よ唯我くん! 彼女たちの教育係についても、もう一度考える必要がありそうね?

    成幸(ああああ…まずい…まずいぞ。どうにか先生の目を盗んで隠さないと)オロオロ…

    真冬「--そこ! 動かない! あなたも! 大人しく机にしまったものを出しなさい! それから一番奥、まさか靴裏で踏みつけたから隠しおおせるとでも?」 ゴゴゴゴゴ

    成幸「あああああ…(スキが無さ過ぎる…!)」ガーン!


    53: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/11(火) 21:27:55 ID:.5Xh0nFs

    大森(ゆ、唯我…)チラッ

    成幸(お、大森…頼む! 何とか助けてくれ!)チラッ!

    大森(…………)コクッ

    成幸(お、大森…)ジーン

    大森(………グッドラック b)ニコッ

    成幸(あの野郎…あとで覚えてろよ)ゴゴゴゴ


    54: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/11(火) 21:29:15 ID:.5Xh0nFs

    真冬「--これと、これね。では後で反省文を提出するように。次、君の番よ。唯我くん」

    成幸「(き、来た…)は、はい…」ドサドサ…

    真冬「拝見…教科書にノートに弁当ね。それ以外のものはもう無いかしら?」

    成幸「はい…」

    成幸(な、なんとか教科書の間に挟み込むことはできた。このままどうにか--)

    真冬「疑問。教科書の間に何か挟まっているようだけど…」ペラッ

    成幸(あっさり看破!)ガーン

    真冬「これは……?」

    成幸「そ、それは…(すまん…古橋、うるか、緒方)」


    55: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/11(火) 21:31:25 ID:.5Xh0nFs

     --おまえらのこと、幸せにしてみせるから。

    成幸(……そうだ。何を悪い方に考えてたんだ俺は! ちゃんと正直に話そう。桐須先生ならきっとわかってくれるはず…多分)

    成幸「その、先生。実は……」

    真冬「……ブックカバーね」

    成幸「……え?」

    真冬「確か、赤堀Booksのブックカバーだったわね。把握。昨日購入した参考書かしら?」

    成幸「あ、え…?」

    真冬「違うのかしら?」ジロリ

    成幸「は、はい! さ、参考書…です」ドキドキ…

    真冬「そう。なら結構ね」カッカッ…

    成幸(た、助かった…?)


    56: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/11(火) 21:36:40 ID:.5Xh0nFs

    --持ち物検査終了後

    大森「わーん、唯我ごめんよー。お前を信じてたから俺はー!」

    成幸「うん…わかったから。お前もう喋るな」

    小林「それにしても…よく桐須先生から見逃してもらえたねえ。成ちゃん」

    成幸「はは、まあ…昨日たまたま本屋で出会ったからさ」

    大森「これも唯我がブックカバーを付けてくれていたおかげだって! ありがとう唯我。ようやくこいつ(EROいんぐ)と出会うことができたー!」ギュウッ

    成幸「お前な…」ハア…


    57: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/11(火) 21:37:42 ID:.5Xh0nFs

    小林「う~ん。でも…あの桐須先生でも見間違えることがあるんだね」

    成幸「何が?」

    小林「ほら、よく見たらあのブックカバー、中身がうっすら透けてるでしょ?」

    成幸(…え?)


    58: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/11(火) 21:44:51 ID:.5Xh0nFs

    --職員室

    真冬「ふう…」

     --その、先生。実は……

    真冬(自ら申し出なければ没収も考えるところだったけど…)

    真冬(まあ…個人の趣味嗜好はともかく、普段の彼の素行からはあんな物を学校に持って来るとは思えない。何か理由があったのでしょうね…何にせよ)

     --演劇部の顧問なんです。

     --それじゃさっさと終わらせちゃいましょうか。

     --俺がいなきゃ、先生いつも大変なことになってますからね!

    「…今日はいつもと逆だったわね。でも、次は無いわよ。唯我くん」



    59: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/12/11(火) 21:47:18 ID:.5Xh0nFs

    幕間

    --数日後、真冬宅

    真冬「いらっしゃい。その…ほんの少しばかり散らかっているけれど、上がって頂戴」モジモジ…

    成幸「…いつも思うんですけど、これを少しと言いきるのは無理があるのでは?(足の踏み場が無い…)」

    真冬「し、辛辣…これでも整理整頓の技術は徐々に進歩してきているわ」

    成幸「とりあえずいつものように片付けましょうか。…あ、それと」

    真冬「?」

    成幸「この前は助けてもらったので、今日は気合いを入れて掃除させてもらいますね」

    真冬「……何のことかしら」ツンッ

    成幸(こういう人なんだよなあ…)フフッ

    成幸「いえ、何でもありません」


    67: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:32:12 ID:5NBlKidM


    【ぼく勉】成幸「ボウリングの無料券?」


    68: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:32:49 ID:5NBlKidM

    --唯我家

    成幸「ふわあ~あ。おはよう、母さん」

    花枝「おはよう成幸。あんたまた徹夜してたの?」

    成幸「はは、大丈夫だって。しっかり3時間は寝たからさ」

    花枝「しっかりって言わないわよそれは。はあ…わかった。じゃあ、これを持っていきなさい」

    成幸「なんだこれ…ボウリングの無料券?」

    花枝「職場で貰っちゃったのよ。明日は休日だし、これでりっちゃん、ふみちゃんを誘って目いっぱい羽を伸ばしてきなさい」キラキラ

    成幸「いや、それより勉強が…」

    花枝「い・い・わ・ね?」

    成幸「(母さん目がマジだ!)は、はい…」


    69: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:33:23 ID:5NBlKidM

    水希「ダ、ダメよそんなの! お兄ちゃんとボウリングに行くのは私しかいないってもう私の中で決めて--」

    花枝「葉月、和樹」

    葉月「はーい」

    和樹「ほらほら水希姉ちゃん、この揺れる5円玉を見て見て」

    水希「なあんだ。お兄ちゃんは図書館に勉強に行くんだ。ソレナラアンシンダネ…」

    成幸「……」


    70: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:34:15 ID:5NBlKidM

    --放課後、教室

    成幸「--てことで明日は昼から締め出しをくらうことになってな…」

    理珠「何というか…」

    文乃「流石はおばさま…ことの持っていきかたが豪快だね」

    成幸「しかも夜まで帰って来るなって言われてな…そういう訳で、よかったら明日付き合ってくれないか? あ、もちろん用事があれば断ってくれて構わないぞ」

    理珠「わかりました。球技はあまり得意ではないですが協力したいと思います」

    文乃「りっちゃん…うん、わかった。私もついて行っていいかな? 成幸くん」

    成幸「え? い、いいのか?」

    理珠「ええ。成幸さんにはいつも世話になっていますし」

    文乃「うん。それにおばさまの言う通り、たまには息抜きも大切じゃないかな」

    成幸「すまん緒方、古橋。恩に着る。じゃあ明日昼の2時に集合ってことで」


    71: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:42:33 ID:5NBlKidM

    うるか「ごめーん遅くなっちゃった。ねーねーいま何の話してたの?」

    文乃「あ、うるかちゃん」

    理珠「お疲れ様ですうるかさん。先ほど成幸さんから(ボウリングに)付き合ってと言われたので承諾したところです」

    うるか「つ、付きっ…!?」ガーン!

    成幸「あー…うるか?」

    うるか「ソ、ソウ…ヨカッタネ。ウン、成幸モリズリンモオ幸セニ。ソ、ソレジャ、今カラ部活ニ行クカラ!」

    成幸「ちょっと待て」ムンズッ

    うるか「離してー! 部活、部活がー!!」ジタバタ

    成幸「お前こないだも同じこと言って逃げただろーが! どこに行くんだよ」

    うるか「だ、だって…成幸がリズりんに告白したってことだよね。うんわかってる。私に構わず二人でブルースプリングをエンジョイしてきたらいいよ。応援してるから」グスン

    成幸「いいから話を聞け! あと青春はブルースプリングじゃなくてyouthだ」

    文乃「とりあえず説明するね…うるかちゃん」


    72: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:43:06 ID:5NBlKidM

    --説明後

    うるか「なーんだ。そーだったんだ! もう、人が悪いなリズりんも。ちゃんと説明してよー」パアアッ

    理珠「確かに主語を明確にしなかった点については謝りますが…早合点したうるかさんも大概では?」ジロリ

    うるか「まー細かいことは言いっこなし。ねえねえ成幸。私も行っていいかな?」

    成幸「そりゃもちろん構わんが…うるかは母さんと家で面識がなかっただろ。悪いがチケットはもう無いぞ」

    うるか「大丈夫大丈夫。だってそのチケットあたしも持ってるから」ゴソゴソ

    成幸「は?」


    73: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:43:56 ID:5NBlKidM

    うるか「ほら、二枚。ママからもらってさ。その…つ、使わないのも勿体ないし、せっかくだから成幸を誘おうかな~と…思って」カァア

    成幸「そ、そうか…」テレッ

    文乃(乙女だねえ、うるかちゃん)(=v=.)

    理珠「ではうるかさんも参加ですね。この4人で全員でしょうか?」

    成幸「とりあえずそうなるかな。じゃあ明日2時に現地集合ってことで」

    理珠「はい」

    文乃「うんっ」

    うるか「オッケー!」


    74: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:44:49 ID:5NBlKidM

    --唯我家

    カリカリカリカリ
    カリカリ… ~♪♪

    成幸(電話か。誰だろう…って先輩?)ピッ

    成幸「もしもし」

    あすみ「もしもし。悪いな勉強中に」

    成幸「(何でわかるんだ…)あ、いえ大丈夫です。何かあったんですか?」

    あすみ「あーまあ、な……ちょっと親父の奴がまた余計な世話を焼きやがって」

    成幸「はあ」

    あすみ「ボウリングの無料券を貰ったから彼氏と明日行って来いって言うんだわ。すまんが後輩、明日どうにか時間作れねーかな?」

    成幸「(凄い偶然だな…)あ、大丈夫です。ていうか実はですね--」


    75: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:45:36 ID:5NBlKidM

    --ボウリング場

    成幸「…というわけで先輩も来ることになったんだ」

    あすみ「ようお前ら。全員で会うのは文化祭以来だな」ニッ

    理珠「こんにちは小美浪先輩」

    文乃「お久しぶりです」

    うるか「今日はよろしくお願いします」

    あすみ「ああ、今日は気晴らしも兼ねて楽しむことにするよ。あ、でも」チラッ

    成幸「?」


    76: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:46:09 ID:5NBlKidM

    あすみ「1番楽しめるのは後輩かもな。女4人囲ってボウリングデートとか、どこのハーレムだ?」ニマ~

    成幸「せ、先輩! 人聞きが悪いですよ!」

    あすみ「ひっひっひ、冗談だよ。本気にしてる奴もいるみたいだけどな」チラッ
     
    理珠(……か、考えてみればそうかもしれません)アセアセ

    うるか(そ、そうだよね。これだってデートの一種で…ひゃああ~)カァアア

    文乃(………意識しない、意識しない)ブツブツ…

    成幸(初っぱなからこの人は…)ハア…


    77: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:46:47 ID:5NBlKidM

    あすみ「ま、冗談は置いとくとして、これで全員か? まだチケットが一枚余ってるんだが…」

    成幸「そういやうるかも一枚余ってなかったか?」

    うるか「あ、私のはママに返しておいたから。せっかくだし誰かいないか探してみようか?」スマホスマホ…

    文乃「あ、じゃあその間に皆の飲み物買ってくるね」スタスタ

    理珠「では私も文乃を手伝ってきます」スタスタ

    成幸「ああ、よろしく…ん?」

    真冬「--ご迷惑をお掛けしました……ええ、それでは」

    成幸「桐須先生?」

    あすみ「ん? ああ、まふゆセンセだな。こんにちは、まふゆセンセ」

    真冬「ゆ、唯我くんに小美浪さん? どうしてここに?」

    あすみ「ボウリングの無料券を貰ったんで一緒に来たんですよ。まふゆセンセの方こそ、こんな場所に来るなんて珍しいじゃないですか」

    成幸「何かあったんですか?」


    78: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:47:49 ID:5NBlKidM

    真冬「不祥事。うちの学園の生徒が夜遅くまでここに入り浸っていたそうだから、話を聞きに…」ハア…

    成幸「そうだったんですか」

    真冬「ええ、もう済んだから帰るけど、君たちもあまり遅くならないように--」

    うるか「駄目だー海っちも川っちも捕まらなかったよ、成幸も誰かーーって、桐須先生?」

    真冬「え、ええ。こんにちは武元さん。その…武元さんも唯我くんたちと?」

    うるか「はい、たまには息抜きにってみんなで。あ、もしかして桐須先生もボウリングしに来たんですか?」

    あすみ「!!(その手があったか!)」

    成幸「!!(あいつらと先生の仲を改善させるチャンスかも!)」

    真冬「そ、そんなわけないでしょう。私は--」

    あすみ(いくぞ、後輩!)キュピーン

    成幸(はい、先輩!)キュピーン


    79: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:50:45 ID:5NBlKidM

    あすみ「いやいや、せっかくここまで来たんだし、ボウリングしていきましょうよ。まふゆセーンセ」ニコッ

    成幸「ちょうど先輩が無料チケットを一枚持ってるんです」

    うるか「えー何それ!? 先生が混ざってくれるなんてチョー面白そう! 一緒にやろーよ! 桐須先生!」

    真冬「え? え?」

    成幸「誰かもう一人いないか探していたところなんです。せっかくなので先生に参加してもらませんか?」ツカツカ

    成幸「今度部屋に行ったら徹底的に掃除させてもらいますから」ボソッ

    真冬「~~~~っ!」


    80: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:51:23 ID:5NBlKidM

    --レーン後方。待機スペース

    真冬(何でこんなことに…)ムスッ

    理珠(何でこんなことに…)ガクガクブルブル

    文乃(何でこんなことに、だよ)ガクガクブルブル

    あすみ「お前らな…いい加減後輩の背中から出てこいよ」ハア

    うるか「おーっし、シューズも履いたし 次はボールボールっと! 桐須先生も一緒に行きましょう!」グイグイ

    真冬「ちょ、ちょっと武元さん」


    81: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:51:57 ID:5NBlKidM

    あすみ「…武元の奴すげーな」

    成幸「はは…なんか前に先生から水泳でアドバイスを受けたのがきっかけみたいで」

    あすみ「ま、センセにとっちゃ良いかもな。二人とも武元の言う通りだ。とっととボール取りにいこーぜ」

    成幸「大丈夫だって。今日は遊びなんだし先生だって厳しくしたりしないと思うぞ」

    理珠「そ、そうですね…ほら文乃。うどんでも食べて元気を出しましょう」サッ

    文乃「うう、さっきお昼ご飯食べたとこなのに…けどおいしい」ズルズルッ

    成幸・あすみ((食うんかい))


    82: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:52:42 ID:5NBlKidM

    --ボール置き場

    文乃「うわ、りっちゃんのボール12ポンドって、結構重くない?」

    理珠「大丈夫です。重い方が倒れやすいと聞きましたので。そういう文乃は5ポンド…随分軽いのを使いますね」

    文乃「あはは、あんまり力が無いから。この方が取り回しが楽だし」

    あすみ「おー、お前ら選んだかー?」

    成幸「あ、はい決まりました。先輩は7ポンドですか?」

    あすみ「ああ。アタシの体格じゃこれくらいがベストだな」

    うるか「あ、成幸たちも決まった?」

    成幸「ああ。うるかたちは?」

    うるか「桐須先生にアドバイス貰ったからねー。もうばっちり!」

    成幸「うるかが9ポンドで…先生が10ポンドか」

    真冬「適度。重い方が当たったときに物は倒れやすいけれど、あまり重くても身体のバランスが崩れてしまうから」

    うるか「そうそう。だから実際にボールを持ってチェックし合ってさ。先生すっごい真剣に選んでくれるからびっくりしちゃったなー」

    真冬「た、武元さん…!」


    83: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:53:31 ID:5NBlKidM

    成幸「へー。ボール一つとっても重要なんだな、古橋」

    文乃「……(えっと…うん。整理すると、だよ)」

    文乃…5ポンド

    小美浪先輩…7ポンド

    うるかちゃん…9ポンド

    桐須先生…10ポンド

    りっちゃん…12ポンド

    理珠「文乃。どうしました…?」

    文乃「う、うん! 先生のいう通り、やっぱり体格に合ったボールを使うのは大事だよね。あー最近力がついちゃって。今なら10ポンド! いや12ポンドくらいいけちゃうかなー」ブンブン

    あすみ「古橋のやつ、いきなりどうしたんだ?」

    成幸「そっとしておいてやりましょう…」


    84: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:55:00 ID:5NBlKidM

    --レーンにて

    パッカーン!!

    あすみ「いえーい! ストライクでしゅみー!」サッ

    うるか「さっすが小美浪先輩! 完全にガーターと思ったのにすっごいカーブですね」パシン

    あすみ「ま、学園にいた頃は部活の仲間とよく通ってたしな。昔取った杵柄って奴だ。そういう武元もやるじゃねーか」

    うるか「あはは、私も部活帰りにたまに来てたんで。えーっと次は」

    真冬「……」スッ

    うるか「あ、桐須先生か。が、頑張って下さいね(すっごい真剣)」

    真冬「………!」ゴロゴロゴロ

    パッカーン!!


    85: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:56:00 ID:5NBlKidM

    あすみ「またストライク…予想はしてたけど、すっげーなまふゆセンセ」タラ-

    成幸「……」スッ
       
    あすみ「どうした? 後輩」

    真冬「……ふう」スタスタ

    成幸「先生」

    真冬「唯我くん? まだ君の出番ではないようだけど?」

    成幸「先生はボウリングの経験はありますか?」

    真冬「皆無。テレビでプロの試合が映っているのを見た程度ね。それが?」

    成幸「ちょっと両手を出して、手のひらをこっちに向けて貰えますか?」

    真冬「こうかしら?」


    86: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:58:09 ID:5NBlKidM

    成幸「はい。では」パシン

    真冬「キャッ! な、何故手を叩くの…!?」アセアセ

    成幸「ストライクおめでとうございます」ニッコリ

    真冬「…え?」

    成幸「その、今は競技じゃなくて、レジャーですから。こういうときは誰かが良い結果を出したら喜び合うんですよ」

    真冬「そ、そういうものなの?」ポカーン

    あすみ(…ああ、そういうことか。つい気迫に呑まれちまってたけど、そういやセンセってこういう人だったな)ニヤッ

    あすみ「セーンセ、やるじゃないですか連続ストライクなんて」パシン

    うるか「初めてなのにストライク連発とか、マジですごいです。先生!」パシン

    真冬「え、ええ…」


    87: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 09:59:40 ID:5NBlKidM

    理珠「桐須先生」スタスタ

    真冬「緒方さん…?」

    理珠「…成幸さんの言う通り、今はみんなでボウリングを楽しむべきかと思いましたので。その…おめでとうございます」パシン

    文乃「わ、私もそう思います。ナイスストライクでした」パシン

    真冬「……」

    理珠・文乃「「で、では…」」

    真冬「緒方さん、古橋さん」

    理珠・文乃「「は、はい」」

    真冬「その、ありがとう……二人とも次の投球、頑張って」ボソッ

    理珠・文乃「「--はいっ」」パアアッ

    あすみ「…何笑ってんだよ? 後輩」ニヤニヤ

    成幸「いえ、気のせいですよ」クスッ


    88: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:00:28 ID:5NBlKidM

    パッカーン!!

    文乃「あー、これは…」

    うるか「文乃っちスプリットかー。しかも端と端だし、こりゃ難しいかも」

    理珠「こういうときはどうするのですか?」

    成幸「まーどっちか片方を狙うしかないだろうな」

    文乃「どっちか、片方か…」チラッ

    文乃(りっちゃんもうるかちゃんも、やっぱり成幸くんと話してる時は良い顔してるんだよね…私はどっちを応援すれば…ううん)

    --お前が本当にやりたいこと、俺が全力で応援してるからな。

    文乃(あの時から…成幸くんを見る目が少しずつ変わってしまってる気がする。りっちゃんうるかちゃんのこともあって、意識しないようにしてるけど…でも)ズキン

    文乃(わからない…どうしたいのか、でも、いずれ選ぶときが来るのかも。このピンみたいに)

    成幸「古橋のやつ…凄く集中してるみたいだな」ゴクリ…


    89: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:02:15 ID:5NBlKidM

    文乃(うん…委ねてみよう。私の思いを乗せて、この一投に!)ゴロゴロゴロ

    パッカーン!!

    成幸「おお! 当たった」

    文乃(うん! …え?)

    コンッ!  コンッ、コン…カンッ! コロン

    うるか「す、凄いよ文乃っち! まさか両方倒すなんて」

    理珠「片方のピンが転がってもう片方も倒れたのですね。凄いです! 流石は文乃!」

    文乃(あああああ! ホッとしたけど、ホッとしたけど! 私は一体どうすればいいのーー!)ズーン

    成幸(古橋のやつ、なんで倒したのに落ち込んでるんだ?)

    真冬「えっと、この場合手を叩きに行くべきなのよね…」ソワソワ

    あすみ「あー、今は止めといた方が良いですよ。センセ」ニヤニヤ


    90: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:03:37 ID:5NBlKidM

    あすみ「…で、次は後輩だな。頑張れよ。もしストライク取れたらハグしてやるからな」ニヤニヤ

    うるか・理珠「「!!」」

    成幸「せ、先輩! 何を」

    うるか「な、成幸! あああああたしもね。ストライク取ったらハグしてあげるから!」カァアア

    理珠「成幸さん…私の身体でよかったらどうぞ!」フンス!

    成幸「その言い方は誤解を生むから止めろおお!」

    文乃「(そ、そこかしこにフラグが…)な、なんか凄いことになってきちゃいましたね」ハワワワ…

    真冬「そうね…全く。くだらないわ」ツンッ

    文乃(よかった。さすがに先生はまともみたい)ホッ

    真冬「………」


    91: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:05:59 ID:5NBlKidM

    真冬(…そういえば、カレエゴにもボウリングの話があったわね)

    --俺がストライクを取ったら、クリスセンセーは俺にハグしてくれるかい?

    --だ、だめよそんなの! でも…結人くんがどうしてもと言うのなら…

    真冬「………」ポワーン

    --俺がストライクを取ったら、桐須先生は俺にハグしてくれるんですよね?

    --だ、だめよ唯我くん。私たちはあくまで教師と生徒! で、でも……

    真冬(…………)カァアア

    文乃(…? 桐須先生なんだか嬉しそう。声かけない方がいいのかも)


    92: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:07:01 ID:5NBlKidM

    あすみ「…で、あれだけ盛り上げたのに結局ガーターかよ。しっかりしろよ後輩」ハア…

    成幸「あんだけプレッシャー与えといてそれを言いますか!? あんたは」

    うるか(いや取れや)ギロリ

    理珠「……」プクプクゥ

    成幸「(む、無言のプレッシャーを感じる…)で、次は?」

    文乃「次はりっちゃんだね」

    理珠「はい。頑張ります。ガーター続きの成幸さんには負けません」

    成幸「いや、そういう緒方だってさっきガーターだったが…」

    理珠「認識が甘いですね成幸さん。先ほどの反省を活かし、うるかさんたちの投球フォームを隅々まで観察していました。もう失敗はしません」

    うるか「マジで? リズりんすごい!」

    文乃「さすがだね。りっちゃん」


    93: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:07:51 ID:5NBlKidM

    理珠「ではいきます。えいっ!」ゴロゴロ--ゴトン

    理珠「……」

    成幸「……」

    理珠「紙一重といったところでしたね」キリッ

    成幸「いやガーターまっしぐらだっただろーが!」

    理珠「しかし困りました。これではゲームになりません」

    成幸「確かに。転がすだけなのに、なんでか真っ直ぐ行かないんだよな。みんな一体どうやって投げてるんだ?」

    うるか「んっと…バッと振りかぶってホイって投げたらパカーンって感じかな」

    理珠「なるほど。了解しました」

    成幸「わかったのか!?」

    理珠「ええ、うるかさんが致命的に教えるのが下手だということは」

    うるか「ひどっ!」ガーン!


    94: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:09:14 ID:5NBlKidM

    成幸「古橋は?」

    文乃「え? ど、どうかな…多分あんまり考えてないと思う」

    あすみ「あたしも感覚で何となくだなー。まふゆセンセは?」

    真冬「特に意識はしていないけど…でも」

    成幸「でも?」

    真冬「指摘。どこがおかしいのかは見ていてわかったわ。ボウリングは再現性を高めるのが肝要。にも関わらず唯我くんはさっきと違う位置から投げているし、緒方さんはボールを投げる直前に手元が狂ってしまっている」

    成幸「は、はい(よく見てるんだな、先生)」

    理珠「わ、わかりました。とはいえどうすれば…」

    真冬「掌をピンに向けたまま投げるよう意識することね。武元さん、二人の前でフォームを見せてあげてもらえるかしら?」

    うるか「あ、はい。わっかりましたー!」


    95: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:09:46 ID:5NBlKidM

    ワイワイガヤガヤ

    文乃「……」

    あすみ「どうしたんだ? 古橋」

    文乃「あ、いえ…桐須先生って学校以外じゃ随分イメージが違うんだなって」

    あすみ「ああ…ま、学校でのインパクトが強烈だからな。あたしもああいう一面があるって知ったのはつい最近だ」

    文乃「それまではどんな印象だったんですか?」

    あすみ「お前や緒方と一緒だよ。ビビるまではいかないけど、口うるさい先生だなって思ってた。人が決めた進路に最後の最後まで反対してきたしな」

    文乃(う…目に浮かんできそう)

    あすみ「で、結果は不合格。どん底の気分で報告に行ったら、ほら見たことかとまた小言だ。さすがにムカついてきてな。何か言い返してやろうと前を向いたら--先生の顔…すげー悲しそうにしてたんだ」

    文乃「…え?」


    96: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:10:28 ID:5NBlKidM

    あすみ「あの時の先生が何を思ってたのかはわからねー。けど先生があれだけ最後まで反対してたのは、あたしの事を真剣に心配していたんだってことは理解できたよ」

    文乃「そうですか……」

    文乃(…うん)スクッ

    あすみ「なんだ、トイレか?」

    文乃「違います! 私も桐須先生に教えてもらおうかなと思って…あの、桐須先生!」スタスタ

    あすみ「………」ニッ


    97: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:11:31 ID:5NBlKidM

    文乃「こ、こうですか?」

    真冬「ええ。振り子の動きをイメージしながら腕を前に出していくの」

    文乃「(わかりやすいし丁寧に教えてくれる。成幸くんやうるかちゃんが言ってたように、ただ冷たいだけの人じゃないのか…な)こ、こんな感じでいいですか?」

    真冬「ええそうね。もう少し脇を締めて--」

    うるか「ほらリズりん、また脇が空いてるよ」

    理珠「は、はい。しかしあまり脇を締めると胸が腕にぶつかってしまって」

    うるか「そんな極端にしなくても大丈夫だって。てかそんなに締めたらあたしだって当たっちゃうよ」ハハハッ

    文乃「……」スカッ…スカッ…

    真冬「そ、そこまできつく締めなくても大丈夫よ古橋さん。ところで何故涙を?」

    文乃「気にしないで下さい。無抵抗な自分の身体に、ほんの少しだけ、憂いを覚えただけですので…」キラリ


    98: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:12:15 ID:5NBlKidM

    パッカーン!!

    理珠「わ、わわ!? また倒れました。しかもたくさん」

    うるか「7本だね。やるじゃんリズりん。成幸も普通に倒れるようになったし、十分ゲームになってたよ」グッ

    あすみ「とりあえずこれでこのゲームは終わりだな。スコア見てみようぜ」ピッ

    うるか  157

    あすみ  182

    まふゆ  205

    ふみの  118

    なりゆき 93

    りず   71

    あすみ「まあ順当なところだな。確かあと1ゲーム無料でできるんだっけか?」

    成幸「そうですね」


    99: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:13:26 ID:5NBlKidM

    あすみ「じゃー次はペアを組んでやってみようぜ。1位と6位、2位と5位、3位と4位が組んで、それぞれの成績を合計する。1番スコアが高かったペアが優勝だ」

    成幸「面白そうですね。やりましょう」

    あすみ「(掛かったな)で、もちろん優勝ペアには賞品を付けないとな。そうだな…後輩に何かお願いできる権利とかってのはどうだ?」ニヤリ

    うるか・文乃・理珠・真冬「「「「!!」」」」

    成幸「ちょ、ちょっと! いきなり何言ってんですか!? 先輩!」

    あすみ「そりゃ、アタシも含めて、ここにいる女は全員後輩と関わりが深いんだし、賞品としては妥当じゃねーか? あ、ちなみにアタシが勝ったときはお店のオプションをフルコースで振る舞ってやるから、張り切って投げろよ」ニヤニヤ

    うるか・文乃・理珠「「「!!」」」

    成幸「い、いやそんなこと言われても…俺が賞品とかみんなに却って迷惑ですよ。だよな? うるか」

    うるか「……」ゴゴゴゴ

    成幸「……うるか?」


    100: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:14:38 ID:5NBlKidM

    うるか「し、仕方ないなー! 先輩が決めたルールだし、従わないわけにはいかないもんね! よーし文乃っち、本気出して、絶対勝とう!」

    文乃「あ、う、うん」

    理珠「わ、私も。お二人には負けません!」フンス

    成幸「えええええ!?」

    あすみ「みんな乗り気みたいだな」ニヤニヤ

    真冬「……」

    成幸(い、いやまだだ。先生…先生なら!)

    成幸「せ、先生。生徒を賞品に差し出すなんて行為、先生は許さないですよね?」


    101: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:15:48 ID:5NBlKidM

    真冬(……)ポワワン

    --いつも悪いわね、唯我くん

    --いえ、ボウリングで負けてしまいましたから仕方ありません。でもエアコンのフィルター掃除なら俺が

    --このくらいなら問題無いわ。いいから君は椅子を支え--きゃっ!

    --危ない、先生!

    --あ、唯我…くん

    --良かった。今度は無事に受け止めることができましたね。全く。俺がいないと危なっかしい先生なんですから


    102: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:16:30 ID:5NBlKidM

    真冬「……唯我くん」コホン

    成幸「先生…」

    真冬「許容。あくまでゲームの一環であるならば問題は無いわ」キリッ

    成幸(ええーーー!?)ガーン

    あすみ「決まりだな。じゃあセンセは緒方と。武元は古橋と。でアタシは後輩とだな。わかりやすいように投げる順番もペア同士にしておくからな」ピッピッ

    ふみの
    うるか

    あすみ
    なりゆき

    まふゆ
    りず

    あすみ「これでOKと。じゃあ頑張ろーぜ後輩。もし手抜きしやがったらきっついお仕置きが待ってるからな」

    成幸「ああああ…」プルプル…


    103: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:17:17 ID:5NBlKidM

    --1時間後

    成幸「それっ!」ゴロゴロゴロ

    パッカーン!

    うるか「うええっ!? 成幸が最後にストライク取った 」

    文乃「すごいよ成幸くん!」

    あすみ「やるじゃねーか後輩」

    成幸「はは…緊張しました。これで逆転。どうにかうるかたちには勝ったな」ピース

    文乃「残念だったね。うるかちゃん」

    うるか「ううっ…悔しい(でもカッコイイ成幸が見られたから幸せかも…)」

    あすみ「後輩が思ってた以上に活躍してくれて助かったな。ったく…そんなにあしゅみぃちゃんのオプションフルコースを堪能したかったのか? このスケベ」ニヤニヤ

    成幸「どっちにしてもからかう気なんですね、アンタは…」グッタリ…

    あすみ「ひっひっひ。冗談だよ。けどまあ…最後の真剣だった姿はちょっと、カッコ良かったぞ」ボソッ

    成幸「え?」

    あすみ「何でもねー。ま、これでとりあえずアタシたちが暫定1位だな。けど…」


    104: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:17:48 ID:5NBlKidM

    パッカーン!!

    理珠「ま、またストライク! すごいです先生」サッ

    真冬「当然。同じ課程を再現すれば良いだけのことだもの」パシン

    うるか「桐須先生すっごいですよね。ほぼスペアかストライクだし」

    あすみ「緒方が調子を崩してるから拮抗してるけど…まずいな。センセがこれ連続で取ったら1位確定じゃねーか」

    文乃「今のもストライクだったし、波に乗ってるって感じですよね。このままじゃりっちゃんが投げる前に終わっちゃうかも…」

    成幸「そうなってもおかしくないかもな。先生だけ全然乱れないし」

    文乃「うん。まさに氷の女王って感じだね…そういえば、もし1位になったら先生は成幸くんに何をお願いするつもりなのかな?」

    あすみ「あんまり想像つかねーなー。勉強を教えたりとか?」

    うるか「それじゃ学園でやってることと変わらないですよね…あ、じゃあ先生の家に成幸が掃除しに行くっていうのはどうですか?」


    105: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:18:36 ID:5NBlKidM

    成幸「ブッフォッ!」

    真冬「ブッフォッ!」ゴトン

    理珠「せ、先生? どうしましたか?」

    真冬「い、いえ…なんでもないわ、緒方さん。少し手を滑らせてしまっただけで」ソワソワ

    あすみ「さすがにそれはやり過ぎじゃねーか? 武元。いくら何でも、教師が生徒をそんな目的で家に連れ込むなんざ問題だらけだろ?」

    うるか「あはは、そうなったら面白いかなーとか思っちゃいましたけど、常識的に考えればそうですよね」

    文乃「そうだようるかちゃん。もし誰かに見つかりでもしたら、二人とも処罰されちゃうかも」

    うるか「あれ? 成幸どうしたの? 顔色が優れないけど」

    成幸「い、いや…何でも」ビクビク

    理珠「せ、先生。何だか顔色が優れないようですが…」

    真冬「も、問題無いわ緒方さん…この通りいつもと変わらぬ集中力で…って、ああっ!」ゴロゴロ…ガタン

    文乃「わっ! 先生がミスしちゃった」

    うるか「先生でもさすがにこういう場面はキンチョーするんだねー」

    成幸「……」ドキドキ


    106: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:19:09 ID:5NBlKidM

    理珠「正真正銘、これが最後の一投ですね」

    真冬「も、申し訳ないわ。緒方さん…」ズーン

    理珠「いえ、先生は十分に活躍してくれました。あとは私が頑張れば」

    あすみ「とはいえどうだろうな…逆転するには9本以上倒す必要があるが、緒方の最高記録は8本。しかも一投目はガーターで、すっかり悪いイメージがついちまってる。果たして上手くいくかどうか…」

    理珠(小美浪先輩の言う通りです。一投目のガーターは気負い過ぎてしまったことによるもの。ならば…以前の私に戻ればいい。心の機微に疎い、機械仕掛けの私を、今は--)

    うるか「! リズりんが動いた」

    理珠「(ボウリングは再現する球技。8本倒した時の足運び、腕の振り方をよく思い出して。あとは--集中力!)えいっ!」ゴロゴロゴロ…

    全員「------!」


    107: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:20:37 ID:5NBlKidM

    --緒方うどん、店内

    あすみ「では1位になった緒方、真冬センセペアを祝して! かんぱーい!」

    うるか・文乃・成幸「「「かんぱーい!」」」

    うるか「…ふう、楽しかったなー。今日のボウリング」

    文乃「1投目のガーターから、まさかのスペアだもんね。すごかったよ、りっちゃん」

    理珠「い、いえ…たまたまです。もう一度やれと言われてもおそらく無理でしょう」

    あすみ「ま、気合いでもぎ取った勝利ってとこか。でも良かったのか? せっかく後輩を好きにできたのに、『みんなでうどんを食べたい』なんて言って」

    成幸「そういやそうだな。俺としてはホッとしたのは事実だけど…賛成してたときの態度と随分違わないか」

    理珠「そうですね。正直、最初は成幸さんに色々としてもらいたいことがあったのですが……」

    成幸(あったのかよ)タラー


    108: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:21:07 ID:5NBlKidM

    理珠「--ですが、途中からはそれがどうでもよくなるくらいに楽しくなってしまいました。だからその…この雰囲気や時間を、少しでも長く皆さんと共有したいと思ったんです。わがままを言ってしまってすみません…」

    文乃「りっちゃん…」

    うるか「リズりん…」

    あすみ「緒方…」

    成幸「…ばかだなあ、理珠は」

    理珠「は、はい…すみま--え?」ナデナデ

    成幸「そんな誰でも賛成するようなことをわざわざ願いごとにするなんてさ。お前は本当に良いやつだよ。理珠」ニコッ

    理珠「(な、名前で…っ!)~~~っ!」カァアア

    うるか「成幸の言う通りだよ。リズりんの家のうどんは美味しいからね。一言誘ってくれたら勝敗関係なくみんな食べに来てたと思うよ」

    文乃「うん、私もうるかちゃんの意見に賛成だな。ちょうどお腹も減ってきてた頃だったから」

    理珠「うるかさん、文乃…ありがとうございます」

    真冬「…じゃあ、私からも一つお願いしていいかしら?」


    109: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:23:03 ID:5NBlKidM

    成幸「せ…先生?」

    理珠・文乃・うるか・あすみ((((すっかり忘れてた。い、一体どんな願いごとを?))))

    真冬「…短い時間でいいわ。全員、帰ったら必ず机に向かうこと。それが願いごとよ」

    成幸「え?」

    真冬「楽しかった時間や思い出というのは強く記憶に残りやすいの。今日勉強することでうまく紐付けることができれば、必ず君達の力になるわ」

    成幸「は、はい! ありがとうございます」

    あすみ「センセらしい願いごとですね。でも、『楽しかった時間』とか。そんな言葉が出てくるってことは、まふゆセンセも今日はそんな風に思ってたってことですかね?」ニヤニヤ

    真冬「そんなわけがないでしょう。でも、そうね……私がいることで君達が楽しい時間を過ごせたのであれば…無意味ではなかったかもしれないわね」

    成幸「…ありがとうございます。先生」クスッ


    110: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:24:21 ID:5NBlKidM

    理珠「それではうどんを取ってきます。おかわりもありますからどんどん食べて下さい」

    文乃「ありがとうりっちゃん。けど、うう…また体重が増えちゃうよ」ズーン

    うるか「文乃っち細いから気にすることないって」

    あすみ「あ、そーいやセンセも始めたんでしたっけ? ダイエット」ニヤリ

    真冬「な、なぜ貴女がそれを知っているのかしら!? 小美浪さん」アセアセ

    ワイワイガヤガヤ

    成幸(さ、騒がしいな。でも、はは……)

    --面白かったな。本当に


    111: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/01(火) 10:24:57 ID:5NBlKidM

    --唯我家

    葉月「あれ? 兄ちゃんがいない?」

    和樹「風呂から上がったら遊ぶ約束してたのに」

    水希「だめよ。今日はお兄ちゃん図書館で勉強してきて疲れてるんだから」

    花枝「珍しく先に寝たわよ。あんたたち、悪いけど二人で遊んでなさい」

    和樹「ちぇー、まあしょーがないか」

    葉月「兄ちゃんいつも頑張ってるもんね。たまにはゆっくり休まないと」

    水希「そうよ。今日はぐっすり寝かせてあげなさい」

    葉月・和樹「「はーい」」

    花枝(それにしても、今日はよっぽど楽しかったんだろうねえ)ニヤニヤ

    水希「ここのところ無理してるみたいだったけど…今日は安らかな寝顔で良かった。お休みなさい。お兄ちゃん」バタン

    成幸「zzzz」



    118: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 22:53:16 ID:dZYike.M


    【ぼく勉】真冬「どこにいるの? 緒方さん!!」


    119: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 22:54:30 ID:dZYike.M

    --ザアアアア…

    真冬「はあ…はあ…」タッタッタッ

    真冬「……どこに」ガサガサッ

    真冬「どこにいるの? 返事をして! 緒方さんっ!!」


    120: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 22:55:04 ID:dZYike.M

    --数時間前

    理珠「ゆ、唯我さんには関係ないでしょう!? 放っておいて下さい!!」ピシャーン

    成幸(ええええ俺確か…君の教育係だよね!?)ズガーン

    理珠「ささささようならッ!!」

    成幸「えっどこ行くの!?(外出禁止だけど…)」

    理珠「少し外の空気を吸ってくるだけです! 美味しいらしいので!」ダーッ

    成幸(え…何? 急な反抗期…?)


    121: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 22:56:13 ID:dZYike.M

    --宿泊所・ロビー

    ウイーン ガシャン

    真冬「……」カシュッ ゴクゴク

    真冬(休息。やっと一息つけたわね。この後の予定は何だったかしら…)ペラッ

    真冬(16時半からミーティング…その後は教師同士での夕食を兼ねた懇親会ね。陰鬱…正直気乗りがしないけど…」ハア…

    --ダダダダダダッ

    真冬「何かしら…足音? あの姿は--緒方さん?」

    理珠「………」ガーッ ダダダダッ

    真冬(呼び止めたのすら気付かずに外に出て行ってしまったわ。今は外出禁止時間のはず。至急追いかけて--)


    122: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 22:57:15 ID:dZYike.M

    --見捨てるってことですか?

    真冬「………っ!?」ビクッ

    --見捨てる? 否。私は教育係として、最初から現実的な提案をしていたのだけれど?

    --あれは提案ではなく、押し付けに過ぎません。私の人生を決めるのは私です。才能の有る無しで勝手に人生を決めないで下さい!

    --責任。他人の人生に口を挟むからこそ半端なことは言わないし、させられないわ。理想を貫きたいのであればまずは実績、そう先日も告げたはず。だけど結果はどうだったかしら?

    --ぐっ…!

    --この間のテストで判明済み。あの点数で文系ですって? 笑止千万。緒方さん、あなたにはそんな才能はないわ。あきらめなさい


    123: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 22:57:48 ID:dZYike.M

    真冬「…………」スッ…

    真冬(--あれを最後に、彼女たちとは袂を分かった。あれだけきついことを言ったもの。きっと顔すら合わせたくないでしょうね)

    真冬(静観。冷静な彼女なら、そんな遠くに行くはずもない。帰ってきた後に言い含めておけば、それで…)

    藤田先生「あ、桐須先生。ここにいたんですね。もうすぐミーティングが始まりますよ」

    真冬「藤田先生…ええ、わかりました。至急伺います」

    真冬「……」


    124: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 22:59:35 ID:dZYike.M

    --1時間後

    司会「--では他に質問などあれば………無いようですね。ではこれにてミーティングを終了します。お疲れ様でした」

    佐藤先生「やれやれ、やっと終わりましたな」

    鈴木先生「一日中立ちっぱなしで、もうくたくたですよ…あ、いつの間にか雨が降ってきてますね」

    真冬(雨…?)

    佐藤先生「山の天気は変わりやすいからなあ。ま、この天気であれば、わざわざ外に出ようとする生徒もおらんでしょう」

    鈴木先生「この後は夕食っスね。桐須先生。良かったら僕らの近くでご飯を食べながら教育論について--」

    真冬「……いえ、ちょっと小用がありますので。もし遅くなった時には先に始めておいて下さい」スタスタ…

    佐藤先生「くっ…今日も相変わらずクールだ。桐須先生は」

    鈴木先生「ええ。けど…そこがいいっス」グッ


    125: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:00:12 ID:dZYike.M

    真冬(胸騒…やはり気になるわ。単なる杞憂であれば良いのだけど…)スタスタ

    真冬「…? あの娘は?」

    関城「……」キョロキョロ

    真冬「関城さん?」

    関城「あ、桐須先生」

    真冬「何か探しているみたいだったけれど。落とし物か何か?」

    関城「あ、いえ。緒方理珠を探しているんですけど、どこにも見当たらなくて」

    真冬「----!!」サァーッ

    関城「桐須先生は見かけませんでしたか? 緒方理珠」

    真冬「い、いえ…見かけなかったわね」

    関城「そうですか。では」スタスタ

    真冬(--緒方さんっ!)ダッ!


    126: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:00:48 ID:dZYike.M

    --教員部屋

    真冬(不覚…あのとき躊躇せずに、すぐに緒方さんを追いかけていれば…)ギリッ…

    真冬(いえ、過ぎた事を後悔している暇は無い。今は緒方さんを見つけることが先決…!)

    真冬「レインコートに、懐中電灯。正直、雨の山道に入るには心許ないけど…最後に見かけてから既に1時間半ほどは経っている。急がないと」ダッ!


    127: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:03:06 ID:dZYike.M

    --宿泊所、玄関

    --ザアアアア…

    真冬「これは…(思ったよりも雨脚が強い…)まずいわ。誰か応援を呼ぶ必要が--」

    --またかしら緒方さん。難しい単語が目に入るとすぐに思考停止してしまう。まずはその癖を何とかしない限り、文系など到底無理よ

    --言われずとも十分に理解しています。確かに今はできないかもしれませんが…それならば、諦めずにやり続けるだけです!

    真冬「……」

    真冬(…もし応援を呼んだら? 当然…騒ぎが大きくなるでしょうね。そうなってしまえば緒方さんには厳しい処分を下さざるを得ない。成績が良くない彼女にとっては致命的に…)

    真冬「……」ギュッ…

    真冬(1時間…1時間だけ捜索して駄目だったなら応援を呼ぶわ。だから、それまでに何としても--)タッタッタッ


    128: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:03:39 ID:dZYike.M

    --現在

    --ザアアアア…

    真冬「どこにいるの? 返事をして! 緒方さんっ!! …っ!」

    真冬「…ったあ」ポタッ… ポタッ…

    真冬「平気……これくらい」ギリッ

    真冬「でも……」チラッ

    真冬(既に探し回って30分。やっぱりこんな山の中を闇雲に捜索するのは…)

    真冬「…っ」パシン!

    真冬(諦めては駄目よ真冬! 仮にも元教育係。こんな時こそ、冷静に彼女を分析して答えを見つけないと)

    真冬「……」スッ…


    129: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:04:38 ID:dZYike.M

    真冬(そう…最後に見かけた時、彼女は慌てていた。いつもは私の姿が見えた瞬間に姿を隠すのに、そのそぶりすら見せていない。テストの時と同じように思考が停止していたと考えるべき)

    真冬(加えて、彼女は体育の成績があまり良くない。体力が無いのだからそう遠くまで出歩けないし、ましてや山奥の方になんて行くわけがない。以上の要素を合わせば--)

    真冬(何らかの原因で緒方さんは冷静さを失っていた。外に出たのは頭を冷やすためだったのかもしれない。だけど思考が停止していたから--朝に来たのとは逆の方向に進んでしまい、道に迷ってしまった)

    真冬「指針。仮説が全て正しいわけではないでしょうけど、目処は立った。山頂目指して進んでいけば…きっと見つかるはず」

    --ザアアアア

    (雨もいまだ止む気配がないわ。急がないと。たとえ--)

    --理珠「……」ギリッ…

    --文乃「……」ズーン

    真冬「不変。たとえどう思われようとも…私の大事な生徒であることに変わりはないから」


    130: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:05:08 ID:dZYike.M

    --30分後

    真冬「はあ…はあ…」ガサガサ

    真冬「(もうすぐ1時間…これ以上引っ張るわけにはいかない)緒方さん。どこなの?」スゥ…

    真冬「おが--」

    「--へくしっ」

    真冬「--っ!(くしゃみの音!? 見つけた!)」

    真冬「お--」ガサッ!


    131: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:05:46 ID:dZYike.M

    成幸「さ…帰ろうぜ」

    真冬「---!?」バッ!

    真冬「あの子は教育係の…唯我くん?」

    真冬(不可解。何故この場に彼が? それに今の言葉…もしかして緒方さんは彼と待ち合わせを? なら、何故わざわざこんな場所を--)

    成幸・理珠「え……?」

    真冬「----!?」


    132: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:06:39 ID:dZYike.M

    真冬(だ、抱き締めてキス……を? や、やはり不純異性交遊だったのかしら?)ソワソワ…

    理珠「それでは戻りましょう」スタスタ…

    成幸「えっ、ちょっ緒方…! そっち宿と逆!!」ダダッ!

    真冬「何故宿と反対方向に…? でも…唯我くんもいたのなら迷っていたわけではない。なら私の…単なる早とちり…で」

    ドサッ…

    真冬(疲弊…無理をしていたのは私の方だったのね。足が棒のよう。手も…いつの間にか傷だらけで。でも--)

    真冬「本当に…良かった。大切な生徒が無事で」ギュッ…


    133: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:07:10 ID:dZYike.M

    宿泊所・食堂

    佐藤先生「あ! 桐須先生。随分遅かったじゃないですか」

    鈴木先生「もう解散しようかと思っていたところなんですよ。一体何があったんですか?」

    真冬「いえ、何も。小用を済ませたあと、生徒が外出していないかを確認していました」

    佐藤先生「律儀ですなあ。しかしこの天候で出て行く生徒がいるとは」

    真冬「いえ。雨は先ほど上がりました。その影響か、F組の緒方理珠とB組の唯我成幸、2名の生徒が先ほど宿を出て行くのを見かけたという報告が」

    鈴木先生「え?」


    134: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:07:40 ID:dZYike.M

    真冬「…幸い、すぐに帰ってきたようです。気分転換に散歩でもしてきたのかもしれません…が、規則は規則。外出禁止を破った2人に対しては何か罰を設けるべきかと」

    佐藤先生「そ、そうでしたか…桐須先生ばかりに負担をおかけしたようで申し訳ない。では2人には明日、授業が終わったら風呂掃除を行うよう言付けておきましょう」

    真冬「ええ、ではそのように」クルッ

    鈴木先生「あれ? 桐須先生。どちらへ?」

    真冬「少々疲れたので、先に部屋に戻らせていただきます。では」スタスタ…

    佐藤先生「こんな時ですら決して気を緩めないなんて。さすがは桐須先生だ…」ゴクリ…

    鈴木先生「付け入る隙なしって感じッスね…」


    135: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:08:32 ID:dZYike.M

    --教員部屋

    ヌリヌリ…

    真冬「うっ! ……ったあ」

    真冬「……」グス…

    真冬(終了…まだ痛みが強いけど。仕方ないわね)

    --ドサッ

    真冬(疲弊。今日は疲れたわ。不純異性交遊の件は置いておくとしても、結局は私の一人相撲…)

    真冬(いえ…相違。緒方さんが無事であることが確認できたもの。それで十分。それ以上は…何も望まない)

    --けれど、もし……


    136: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:10:46 ID:dZYike.M

    ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

    成幸「--その手…虫さされと枝葉で切った傷だらけ…先生がなんであの事故のこと知ってたのか、やっとわかりました」
     
    真冬「!」

    成幸「--あの時緒方のこと心配して、雨の山の中探しまわってたんじゃないですか?」

    真冬「----!!」ドクンッ

    --けど、もし……気付いてくれる人がいたとすれば

    成幸「伝えましょうよ! このこと知ったら緒方や古橋も先生のこと…」

    真冬「……」トクン…

    --理解してくれる人がいたとすれば、こんなに嬉しいことはない。
     だけど、今は私に甘えは許されない。だから少しの感謝を胸に、こう言おう。

    真冬「絶対にやめて」



    137: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:11:20 ID:dZYike.M

    幕間・コンビニ前にて

    成幸「じゃあお寿司のわさびとかパスタのタバスコとか」

    真冬「論外、その単語を口にしないで」

    成幸「(子供か…)あ、そういえば最近辛くないカレーラーメンが発売されたらしいですけど、それならいけるんじゃないですか?」

    真冬「…考えておくわ」

    後日買いました。


    139: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:34:23 ID:dZYike.M

    先生の話は隙を生じぬ二段構え!
    ということで、もう1本投下いきます

    【ぼく勉】真冬「こ、これがル〇バなのね」


    140: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:34:56 ID:dZYike.M

    --真冬の部屋

    『俺……もうクリスセンセーの家に来ない方がいいのかもな』

    『結人くん! お願い、待って!』

    真冬(ゆ、結人くんが。こ…これから
    どうなってしまうのかしら)ドキドキ…

    真冬「……」ペラッ

    --ピンポーン

    真冬「……カレエゴがいいところだったのに」ムスッ

    真冬(この時間なら宅急便は…ないわね。唯我くんかしら?)ガチャッ

    成幸「こんにちは先生。今日もよろしくお願いします」ニコッ

    真冬「ええ。どうぞ上がって」


    141: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:35:29 ID:dZYike.M

    成幸「お邪魔します…今日もいつも通りの惨劇ですね」

    真冬「さ、惨劇は辛辣。これでも日々頑張っているのよ」

    成幸「す、すみません…あ、でも最近はこの状態がかえって安心できるようになったというか…」

    真冬(フォローになってないわよ。唯我くん…)ズーン

    成幸「前に来たのが3日前でしたっけ…やっぱりこれくらい(の日数)がベストですね。これ以上間隔が空くと掃除も大掛かりになってきちゃいますし…」ハハッ

    真冬「そこまで部屋の状態を完璧に把握されていることに、何とも言えない屈辱を感じるのだけど…」

    成幸「とりあえずいつものように片付けてしまいましょうか。えーっと」

    真冬「あ、ゴミ袋なら--」

    成幸「キッチン横の引き出しでしたね。確か買い置きが…ああ、あったあった」

    真冬「……」


    142: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:36:02 ID:dZYike.M

    --拭き掃除中

    真冬(不覚…最近はますます唯我くんに頼りきりになってしまってる気がするわ…)

    真冬(とはいえ私一人ではなかなか掃除が捗らない…何とかならないかしら)フキフキ ーーピッ

    『--さあ始まりましたショップテレビ! 今日もさっそく素敵な商品を紹介していきたいと思います』

    成幸「先生、テレビがつきましたけど」

    真冬「リモコンが触れてしまったのね。すぐに消すから--」

    『さあまず最初の商品はこちら! 全自動で動く掃除機。ルソバのニューモデルです!』

    「ーーっ?」ピタッ


    143: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:36:48 ID:dZYike.M

    『もうすっかりお馴染みのルソバ。今回も更なる進化を遂げて帰ってまいりました。見て下さいこの吸引力。余裕の音だ。馬力が違いますよ』

    『取り扱いも至って簡単。充電器を床にセットし、コンセントに繋いでおくだけ! あとはルソバが全てやってくれます。この通り、段差も絨毯も何のその。そして部屋をきれいに掃除したあとは? そう、賢いワンちゃんと同じ、充電器まで戻ってくるのです。あなたはただ見ているだけ』

    真冬「……こ」プルプル…

    成幸「あの…先生?」

    真冬「これ! これよ! 唯我くんっ!」ビシィッ


    144: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:38:40 ID:dZYike.M

    --数日後

    ゴゴゴゴゴゴ…

    成幸「こ…これがルソバですか」ゴクリ…

    真冬「ええ…ルソバよ唯我くん」ゴクリ…

    成幸「思ったよりこじんまりしてますね。本当にこれだけで大丈夫なんでしょうか?」

    真冬「試験。さっそく作動してみましょう。このために既に部屋は散らかしてあるわ」

    成幸「それ絶対意図的じゃないですよね」

    真冬「発進! 行きなさいルソバ」ポチッ


    145: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:39:12 ID:dZYike.M

    ウイイイイン ズゴゴゴゴ

    成幸「お、おお……!」

    真冬「み、見なさい唯我くん! ルソバが塵芥を次々と飲みこんでいくわ!!」

    ウイイイイン サッ

    真冬「え?」

    ウイイン サッ

    真冬「不可解…何故途中で曲がるのかしら? 故障?」

    成幸「大きいゴミは障害物だと判断してしまうのかもしれませんね」

    真冬「そ、そうなの。ならこのゴミを撤去してみれば…」ヒョイッ


    146: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:39:52 ID:dZYike.M

    ウイイイイン ズゴゴゴゴ

    成幸「やっぱりそうでしたね。今度はちゃんと進んでいきますよ…って、あ、また」

    真冬「承知。これも回収ね。どう? 唯我くん」

    成幸「だめです。今度はこっちが」

    真冬「こ、これかしら?」

    成幸「そっちも」

    真冬「それね」

    成幸「ete」

    真冬「…」


    147: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:40:22 ID:dZYike.M

    --30分後

    ウイイイイン ズゴゴゴゴ

    真冬「こ、今度こそ大丈夫かしら…唯我くん」ゼェ…ハア…

    成幸「は、はい…もう大丈夫みたいです。というか…」ワナワナ…

    ピカッ キラキラー

    真冬「こ、これは…?」

    成幸「凄いです先生! はじめて…はじめて先生一人だけの力で掃除ができたじゃないですか!!」ジーン

    真冬「こ、これを私が…一人で?」プルプル…

    成幸「ええ! ルソバの進路を妨げないようゴミを撤去していったのが、結果的に掃除に繋がったんですよ!」パアアア

    真冬「なんてこと…たったそれだけで部屋がきれいになるなんて。私…天才かもしれないわ」


    148: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:41:10 ID:dZYike.M

    成幸「天才かどうかはともかく、解決策を見つけられたのは大きいですよ先生! これならもう--」

    成幸(…え?)

    真冬「どうしたの? 唯我くん」

    成幸「……あ、いえ、何でもありません。あとは今の状態をキープできるかですね。3日後くらいにまた様子を見に来ます」

    真冬「了解。感覚だけど、今回は何だか上手くいきそうな気がするわ。期待して待っていなさい。唯我くん!」メラメラ

    成幸「はは…わかりました」


    149: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:42:00 ID:dZYike.M

    --3日後

    成幸「お、おお……!」

    キラキラ… ピカー

    成幸「か、変わってない。3日前と同じ状態ですよ! 先生!」

    真冬「ええそうね。軽く本気を出してしまったもの。造作もないわ」ファサッ

    成幸「(すっかり調子に乗ってるなこの人は…)そ、そうですか。良かったです。これなら、もう俺が出る幕は無さそうですね」

    真冬「ええ、そうなるわね。今まで掃除してくれたこと、本当に感謝しているわ。唯我くん」

    成幸「ええ。なら、もう先生の部屋に来ない方がいいですよね」

    『俺……もうクリスセンセーの家に来ない方がいいのかもな』

    真冬「え…?」ドクン


    150: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:42:36 ID:dZYike.M

    成幸「あ、いえ、もともと教師と生徒の関係ですし、先生が一人で掃除できるようになったのなら、控えた方がいいんじゃないかな、と…」

    --私達はあくまで教師と生徒ッ!!

    真冬「あ…」

    成幸「先生…?」

    真冬「……そ、そうね。はれて掃除ができるようになったのだし、これ以上君に迷惑をかけるわけにはいかないものね」

    成幸「そ、そうですね……じゃあ、俺はこれで。今までお世話になりました。先生」クルリ

    『結人くん! お願い、待って!』

    真冬「ゆ、唯我くん! 待って!」

    成幸「え?」

    真冬「あ……」

    成幸「…先生?」

    真冬「あ…その……い、今までありがとう。しっかり勉強するようにね」

    成幸「はい、ありがとうございます。それじゃあ」バタン…

    真冬「……」ズキン


    151: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:43:25 ID:dZYike.M

    --1週間後

    成幸「……」カリカリカリ

    成幸「……」カリカリカリ

    葉月「わーい」ダダダダ

    和樹「待て待て--」ダダダダ

    水希「こらー! あんたたち、お兄ちゃんが今勉強中でしょ!」

    葉月「はーい」

    和樹「なあなあ、お絵かきしよーぜ。これなら兄ちゃんの邪魔にならないし」

    葉月「うん、そうだね」


    152: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:43:56 ID:dZYike.M

    成幸「……」カリカリカリ

    和樹「♪~」

    葉月「♪~」

    水希「もう! お絵かきしていても歌いながらじゃ、お兄ちゃん集中できないじゃない!」

    葉月「できた!」

    和樹「何書いたん?」

    葉月「ほら、怒ってるときの水希ねーちゃん」

    和樹「はは、似てるー」

    葉月「やったー!」

    水希「あ、あんたたち…! 今日という今日は許さないわよー!」

    和樹「水希ねーちゃんが怒ったー」

    葉月「逃げろー」

    ドッタンバッタン…

    成幸(し…集中できん。こ、こうなったら…)


    153: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:45:15 ID:dZYike.M

    --風呂場

    成幸「……」カリカリカリ

    成幸「うん。久しぶりだけどやっぱりここなら集中できるな。よし、本腰入れていくか…は……はーっくしゅんっ!」ブルルッ

    成幸「湯が温くなってきてるな。ちょっと足すか…」ドバー

    --5分後

    成幸「う……」ブルルッ

    成幸(や、やっぱりあかん。最近寒くなってきたもんだからすぐに冷めてしまう。かと言って気軽に足し湯できるほど我が家に経済的余裕はない……くっ!)


    154: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:45:49 ID:dZYike.M

    --次の日

    成幸「おはよう」ゲッソリ…

    理珠「おはようございます成幸さん。何やらすごく眠たそうですが?」

    文乃「目の下、すっごいクマだよ成幸くん。どうしちゃったの?」

    成幸「あー…ちょっと馴染みの勉強場所が閉鎖してしまってな。うちは何かと騒がしいから、夜中だけしか集中して勉強できなくてさ」フワァ~ア…

    理珠「そうですか…な、なら今日は私の家で勉強してみてはどうでしょう?」

    文乃(わっ! りっちゃん大胆)

    成幸「い、いいのか?」

    理珠「ええ。成幸さんにはお世話になりっぱなしですから。これくらいは」

    成幸「緒方…サンキュー。じゃあ悪いけど今日さっそく--」


    155: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:46:29 ID:dZYike.M

    --緒方うどん

    理珠父「--さっそくで悪いけどよセンセイ。何時ごろ家に帰るのか教えちゃくれねーかな? ウチのアルティメット天使(エンジェル)理珠たまに、もしものことがあっちゃならねーからよお」ゴゴゴゴゴ

    成幸「ごめん…やっぱり帰らせてもらうわ」ズーン…

    理珠「すみません成幸さん。あとお父さんは調理場に引っ込んでもらえますか。とりあえず10時間ほど」ゴゴゴゴ

    理珠父「それもう営業終わってるよね!? 理珠たま!!」ガーン!


    156: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:47:18 ID:dZYike.M

    --次の日

    成幸「というわけでな…」フラフラ…

    文乃「あはは…大変だったね。じゃあ私の家はどうかな? うちならお父さん帰ってくるの遅いし」

    成幸「そ、それは…かえってまずくないか?」

    文乃「え? あっ…だ、大丈夫! だってほら、成幸くんだから…」カァア

    成幸「(どーいう意味で言ってるんだ…)わ、わかった…じゃあ厄介にならせてもらえるかな」


    157: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:47:50 ID:dZYike.M

    --文乃の家

    成幸「……」カリカリカリ

    文乃「……」カリカリ…

    成幸「……」カリカリカリ

    文乃「……」

    成幸「……」カリカリカリ

    文乃「……うう」ズーン

    成幸「……手が止まってるけど、どっかわからないところでもあるのか?」

    文乃「あ、うん…ここの問題なんだけど…」

    成幸「ああ、これはまずこの公式を頭に入れたうえでだな--」


    158: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:48:32 ID:dZYike.M

    --数時間後

    成幸「--ってなるわけだな」

    文乃「そっかあ…ようやくわかったよ。ありがとう成幸くん」ニコッ

    成幸「ああ、お安いご用……で」

    文乃「……」

    成幸「……」

    成幸「しまったあああああ! 教えるのに夢中で自分の勉強がちっともできなかったあああ!!」ズガーン

    文乃「ごごごごめんね成幸くん。私が余計なこと訊いたから…」ハワワワ…

    成幸「い、いや古橋が悪いわけじゃない。完全に俺のせいだから…」

    成幸(だめだ…一緒にいるとついつい教えることに気がいってしまう。ほ…ほかにどこか良い場所は…)


    159: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:50:39 ID:dZYike.M

    --七緒図書館

    成幸「……」カリカリカリ…

    成幸(さすがにここなら集中できるけど…家から結構遠いんだよなあ)

    成幸「っと、また間違ってた…どうにも効率が悪いよなあ」

    --誤謬。そこ間違っているわよ唯我くん

    成幸「えーっと、どこに載ってたっけ…」パラパラ…

    --いい? 歴史は暗記の前にまず出来事の因果関係を捉えなさい

    成幸「……」パラ…

    成幸(そうか……)


    160: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:52:57 ID:dZYike.M

    --某アパート・201号室

    成幸(結局、ここに戻ってきてしまった…)

    --私たちはあくまで教師と生徒ッ!!

    成幸(わかってます。だけど…俺はやっぱり--)ギュッ…

    バターン! ドガシャーン!

    成幸「は?」

    シーン…

    成幸「え? ちょっ! せ、先生!?」バターン!

    ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

    成幸「せ、先生ーーー!!(ゴミ袋と本の山に押し潰されとる!)」ズガーン!


    161: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:54:03 ID:dZYike.M

    --数分後

    真冬「感謝…助かったわ、唯我くん」

    成幸「いえ…それよりも」

    グチャアアア…

    成幸「この部屋の惨状はいったい…(すっかり元に戻っとる)」

    真冬「そ、それが…」カァア


    162: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:54:41 ID:dZYike.M

    --数日前

    ウイイイイン ズゴゴゴゴ

    真冬「今日も部屋がきれいだわ…これならもう唯我くんに頼ることもないわね」

    真冬(これで良かったのよ。私たちは教師と生徒。漫画とは…違う)

    ウイイイイン ズゴゴ…ゴゴ…ゴ……

    真冬「? 異変。ゴミを吸わなくなったみたいだけど…」ヒョイッ

    真冬「……ああ理解。ダストボックスが一杯になってしまったのね。なら、これを掃除すれば--」


    163: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:55:34 ID:dZYike.M

    --現在

    真冬「不可解…ダストボックスを水洗いしたら、その後なぜか動かなくなってしまって…」

    成幸「いえ…モーターが付いてるから水洗いしないで下さいと、思いっきりラベルが貼ってあるんですが…」タラーッ

    真冬「あ、後で気付いたのよ。それで…動かないから少しばかり放置していたら、気付けばこんなことに…」ズーン

    成幸「……」

    真冬「……」

    成幸「……ふ、ふふっ」

    真冬「し、失礼! 何がおかしいの? 唯我くん」


    164: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:56:11 ID:dZYike.M

    成幸「す、すみません。その、可笑しくって。本当に、桐須先生らしいなあって…」ハハハッ

    真冬「わ、笑わないで頂戴。今回は失敗したけど、また新しくルソバを買えば…」プイッ

    成幸「……それなんですけど、先生」

    真冬「?」

    成幸「ルソバじゃなくて…また俺が掃除しに来るのはダメですか?」

    真冬「え……?」トクン


    165: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:56:59 ID:dZYike.M

    成幸「あんなことを切り出しておいて虫がいいのはわかってます。でも…ようやく気付きました。俺が一番勉強できて落ち着けるのは、やっぱりここしかないんだって」

    真冬「!!」

    成幸「だから…お願いします。またここで…勉強させて下さい!!」バッ!

    真冬「~~~~っ!!」

    成幸「……やっぱり、ダメ…ですか?」シュン…

    真冬「い、いえ、違っ……違うわ!」

    成幸「!?」

    真冬「そ…そうね。そこまで勉強熱心な生徒を、教師として放っておくわけにはいかないわ。だから、その……い、いい…わよ」カァアア

    成幸「せ、先生…! ありがとうございます!」パアアア


    166: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/07(月) 23:58:58 ID:dZYike.M

    真冬「コホン…じゃあ勉強するためにも、至急この部屋を片付けなければいけないわね。唯我くん。悪いけど手伝ってもらえるかしら?」

    成幸「はい先生。また…よろしくお願いします」ニコッ

    『色々面倒かけたけど……またよろしく頼むよ、クリスセンセー』

    真冬(やっぱり、リアリティに溢れてるのね。カレエゴは。なら…この後に言う言葉は--)

    真冬「--ええ! こちらこそ。唯我くん」



    175: sage saga 2019/01/10(木) 11:43:57 ID:2s6f0s4g


    【ぼく勉】あすみ「ドハっちゃん祭りだって!?」


    176: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 11:48:22 ID:2s6f0s4g

    --メイドカフェ・ハイステージ

    あすみ「じゃあ。先にあがりまーす。お疲れでしゅみー(はあと)」ニパッ

    マチコ「あしゅみーお疲れさま。唯我くんもそろそろ上がってくれたらいいよ」

    成幸「わかりました。それじゃお先に失礼します。お疲れさまでした」ペコリ


    177: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 11:50:13 ID:2s6f0s4g

    --帰り道

    あすみ「さて、と。バイトも終わったことだし、気合入れないとな」スタスタ

    成幸「そうですね。…あ」

    プラーン

    成幸「そのカバンに付けてるドハっちゃん。俺の作ったやつですよね。嬉しいです」

    あすみ「ん? ああ、ちょうど手頃なサイズだったからな。彼氏からの手作りプレゼントなんだから、身近に置いとくのがベストだろ?」ニヤー

    成幸「またあんたはそうやって…」ハア…

    あすみ「ひっひっひ。ま、半分は本気だから安心しろよ、後輩」

    成幸「それって半分は冗談ってことじゃないですか。大体--ん?」クルリ


    178: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 11:51:53 ID:2s6f0s4g

    あすみ「……」ワナワナ…

    成幸「どうしたんですか先輩? ゲームセンターの前なんかで止まっ…て……」

    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ…

    『ドハっちゃん祭り開催中! UFOキャッチャーをはじめ、店内アミューズメント景品に大人気のドハっちゃんを大量入荷! ぜひこの機会にゲットしよう!』

    成幸「こ、これは!?」

    あすみ「……ふ、ふ」

    成幸「せ、先輩?」

    あすみ「ふおおおかわいすぎるううう! 後輩すまん! ちょっとだけ、ちょっとだけ付き合ってくんねーか? 頼むよ、なあ」ギュウッ

    成幸「(う、かわいい…)わ、わかりました…」


    179: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 11:53:15 ID:2s6f0s4g

    成幸「……で、どうするんですか?」

    あすみ「とりあえず軍資金はなけなしの千円を両替してきた。店内を見たら色々なゲームでドハっちゃんが景品になってるみたいだが…素人のアタシらでも手を出せそうなのはこれくらいしかねーな」

    成幸「UFOキャッチャーですね」

    あすみ「ま、早速やってみるか。穴近くに転がってるやつを上手いこと拾えれば……」ウイーン

    成幸「やった。掴んだ!」

    あすみ「うっし! このまま穴まで持っていければ……って、ああ!」

    成幸「惜しかったですね。でも、あと少しでしたよ。もう一回やればもしかしたら…」

    あすみ「そ、そうだな。次だ。次。今度こそ--」


    180: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 11:54:58 ID:2s6f0s4g

    --七百円投入後

    あすみ「よ、よし…そのまま行け…行けえ…ってあああああ!」ガクーッ

    成幸「い、今のは本当に惜しかったですよ先輩! つ、次こそ絶対に!」アセアセ…

    あすみ「後輩お前…天然で人を破滅に導こうとしてるんじゃないだろーな?」ギロリ

    成幸「い、いや! 滅相もないです!」

    あすみ「わかってる。冗談だよ。悪かったな」ハア…

    あすみ「しっかし取れねーもんだな。気付いたらあと三百円しか残ってねーし。こりゃ諦めるしかねーか…」

    成幸「そ、そうですか…残念でしたね。俺が作ったやつよりよっぽどいいものが手に入りそうだったのに」

    あすみ「は? 何言ってんだよ?」

    成幸「へ?」


    181: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 11:57:18 ID:2s6f0s4g

    あすみ「どんな高級なもんだろうが、彼氏にもらったものより勝るものなんて、無いに決まってんだろ?」ニコッ

    成幸「!!」ドキッ

    成幸「そ、それも冗談…ですよね。先輩?」

    あすみ「さあな。自分で考えてみたらどうだ?」ニヤニヤ

    成幸「はあ…(本当に掴み所のない…)あ、でもそれなら何で新たに取ろうなんて思ったんですか?」

    あすみ「あー…その」

    成幸「?」

    あすみ「まあ…アタシは一人っ子だったからな。こんなぬいぐるみでも、やっぱ一人だけじゃ寂しい思いをしてるんじゃないかって思ったんだよ…」

    成幸「……」


    182: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 11:58:37 ID:2s6f0s4g

    あすみ「ったく…この年にもなってガキくせーこと考えるよな。アタシも」ハハッ

    成幸「いえ、そこまで先輩に想われて、きっとぬいぐるみも喜んでると思います。作ってあげましょう。家族を」グッ!

    あすみ「っても残り三百円じゃなあ。到底取れそうにないんだが…」

    成幸「ひとつ方法があります。俺たちでダメなら、助っ人に頼むんです」

    あすみ「助っ人?」

    成幸「はい。クレーンゲームが得意なやつに、一人心当たりがあるんです。ちょっと待っててください」スマホスマホ…

    プルルル… ピッ

    --もしもし?


    183: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 12:00:27 ID:2s6f0s4g

    --30分後

    紗和子「来てやったわよ。唯我成幸」

    成幸「すまん関城。ほんっとーに恩に着る」ペコリ

    紗和子「まあちょうど予定も無かったし別にいいけど…。で、こっちの小さい女の子は誰?」

    あすみ「あ?」ゴゴゴゴ

    成幸「せ、先輩。抑えて」ギュウッ

    成幸「あー…この人は小美浪あすみ先輩。うちの学園のOBで緒方や古橋とも顔見知りなんだ」

    あすみ「なんだ、あんた緒方たちの知り合いだったのか」

    紗和子「いえ、知り合いじゃないわ。私は関城紗和子! 緒方理珠とは共に認め合った、かけがえのない親友よ!」キラーン

    あすみ「ああ、なんつーか…一言でキャラがわかる自己紹介だな」ハハ…

    成幸「ま、まあ、緒方が好きすぎること以外は普通の奴なんで」ハハ…


    184: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 12:02:10 ID:2s6f0s4g

    紗和子「それで、用件はこのクレーンゲームのぬいぐるみが取りたいんだっけ? こんなの簡単じゃない」

    あすみ「ま、マジか!?」

    紗和子「ええ。小美浪先輩…でいいのよね? 一度やらせてもらえないかしら? 失敗したらお金は返すわ」

    あすみ「別にいいよ。わざわざ来てもらったんだ。気にせずやってくれ」チャリン

    紗和子「…………うん、ここがいいわね」ポチッ

    ウイーン ガチッ

    成幸「お、おお!」

    あすみ「いや、持ち上げるまでは上手くいくんだ。そこからが…」

    紗和子「大丈夫よ。上手くいくわ」

    ガーッ ポイッ ゴトン

    紗和子「ほら、問題ないでしょ」

    あすみ「お…おおおおお!? 関城といったか? すごいなあんた!」

    紗和子「どういたしまして。お役に立てて良かったわ」


    185: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 12:04:17 ID:2s6f0s4g

    成幸「ありがとう関城。助かったよ」

    紗和子「ええ。それよりちゃんと約束は守ってね? 唯我成幸」

    成幸「緒方と三人で遊ぶ約束だっけ? 本人に出会ったら聞いてみるけど…それくらい直接誘ったらどうなんだ?」

    紗和子「も、もももちろん誘うことくらいわけないんだけど…ほら、緒方理珠にもサドゥンリーな予定が入ってるかもしれないじゃない!? だ、だから念には念を入れてね!」

    成幸「わかったわかった。今日は世話になったからな。何とか緒方に来て貰えるよう頼みこんでみるよ」

    紗和子「--!」パアアアッ

    成幸「上手くいって良かったですね。先輩」

    あすみ「ああ。関城と、後輩のおかげだよ。ありがとな! ほーらドハっちゃん。家族ができたぞー」ニコニコ

    成幸「ははは。--ん?」


    186: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 12:05:33 ID:2s6f0s4g

    女子大生1「今日はツいてたねー」

    女子大生2「まさかの大ドハっちゃん人形ゲットだもんねー。やるねーあんた」

    女子大生1「そりゃまーあんだけつぎ込んだらねー。あ、取れた記念のインスタしよっか?」スタスタ

    女子大生2「あ、いいね。やろやろー」スタスタ

    成幸「もっと大きいやつがあったんですね…」

    あすみ「コンビニの景品だったのと同じくらいのサイズだったな」

    成幸(前に先輩が子供にあげたやつか。まさかの葉月へのプレゼントになって返ってきたけど…)

    紗和子「~♪」クルクル~

    成幸「………ご機嫌なところ悪いけどさ、関城」


    187: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 12:07:30 ID:2s6f0s4g

    紗和子「ななな何!? 唯我成幸」

    成幸「あと一つだけ取ってもらいたいのがあるんだけど…だめかな?」

    あすみ「!?」

    あすみ「お、おい後輩。余計なことすんなって。これだけでもう十分だから」

    紗和子「私は構わないわよ。緒方理珠がお世話になっている先輩を無碍にすることなんてできないしね」

    成幸「せっかく『家族』を作るんですから。やっぱり夫婦そろっていた方がいじゃないですか」ニコッ

    あすみ「わかったよ…ったく、こういう時だけやたら強引になるよな。お前」

    成幸「はは…すみません」

    あすみ「ま、そこがいいんだけどな…」ボソッ

    成幸「え?」

    あすみ「何でもねー。早く店内に入ろうぜ」スタスタ

    成幸「あっはい」


    188: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 12:08:39 ID:2s6f0s4g

    紗和子「…で、今度はあれを取ればいいのね?」

    成幸「ああ、あの大きいドハっちゃんだ」

    あすみ「あ、金はアタシが」

    成幸「いや、俺が言い出したことですから。俺に出させて下さい。つーわけで頼むな。関城」チャリン

    紗和子「まあ、とりあえずやってみるけど……うん、ここね」ポチッ

    ウイーン ガチャン

    あすみ「おお! がっちり掴んだ!」

    ウイーン ポロッ…

    成幸「あっ!」


    189: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 12:09:52 ID:2s6f0s4g

    紗和子「あー…やっぱりダメね」

    あすみ「やっぱりって、何がだ?」

    紗和子「おそらくクレーンの掴む力を弱めてあるのよ。これを取ろうと思ったら何回もチャレンジして偶然にかけるしか無理ね」

    あすみ「マジか。そんな金もう持ってねーよ。後輩だって似たようなもんだろ?」

    成幸「う、その通りです。すみません先輩…あんなこと言っておいて」ズーン

    紗和子「私も…期待に応えられなくてごめんなさいね」

    あすみ「何言ってんだよ。既に一個貰ってんだし十分だって。二人ともありがとな」ニカッ


    190: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 12:12:01 ID:2s6f0s4g

    --ゲームセンター入口

    紗和子「じゃあ私はこれで。約束の件忘れないでよね」

    成幸「ああ、わかってる。今日は助かったよ関城」

    紗和子「ええ。あ、ちなみに日取りはいつでも構わないから。あと当日は割と歩くことになりそうだから動きやすい服装をした方が良いと伝えておいて。途中でネット評価の高いスイーツ店にも寄るつもりだから朝ご飯も控え目にしておいた方が--」キラキラー

    成幸「ああもう心配し過ぎだろ! 母親かお前は! …って聞いてないなこりゃ」

    紗和子「~♪」スタスタ…

    あすみ「…さて。帰るか。お前らのおかげで家族も増えたことだし、こいつも喜んでるだろ」ポンッ

    成幸「そうですね。できれば『父親』も加えてやりたかったんですけど」

    あすみ「まーだ気にしてんのかよ。仕方ねーな。キスして励ましてやろうか? 今回でまた借りを作っちまったしな」キラーン

    成幸「アンタまだ引っ張ってたんかい! いいって言ってるでしょう? そもそもキスというのはもっと神聖なもので、特別な人とですね--」

    あすみ「…それがお前だ、って言ったら。どうする?」

    成幸「え!?」ドクン


    191: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 12:14:00 ID:2s6f0s4g

    あすみ「お前がアタシの特別だったら、問題は無いってことだよな…」ポッ…

    成幸「え…えええええ!?」

    あすみ「ほら…神聖なものなんだろ? 目、瞑れよ」ググッ…

    成幸(せ、先輩が俺のこと? 何で? じゃあ今までのことは? も、もうよくわからないーー」

    --チュッ

    成幸(う…柔らか…それに何だかふかふかしてて……ふかふか?)パチッ

    あすみ「お、どうだった? 柔らかかっただろー」ニマ~

    成幸「柔らかいも何も! これぬいぐるみでしょーが! キスってあーもうそーいうことですか!」

    あすみ「お、もしかして期待してくれてたのか? じゃあ次は本番いっとくか?」クイッ

    成幸「もうその手には乗らないですからね。まったくアンタって人はーー」


    192: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 12:16:24 ID:2s6f0s4g

    真冬「--稀有。こんなところで出会うなんて珍しいわね。唯我くん、小美浪さん」

    成幸「え?」

    あすみ「ま、まふゆセンセ?」

    真冬「何をしていたの…って聞くまでもなかったわね。そのキャラクター、テレビで見たことがあるわ」

    あすみ「ま、ちょっとした息抜きってところで。センセの方はどこに行くんですか?」

    真冬「図書館に借りていた本を返しにいくところよ。早めに返さないとつい忘れてしまうもの」

    あすみ「あーありますよね。そういうこと」

    成幸(……そういえば先生って確か)ハッ!?


    193: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 12:17:23 ID:2s6f0s4g

    真冬「不便。車を点検に出しているものだから、一苦労で」

    あすみ「だからその荷物なんですね。ってか、かなり重そうじゃないですか。それ」

    真冬「ええ、けど問題ないわ。図書館までもう少しだから」フウ

    成幸「あの…良かったらその荷物持ちましょうか? 先生」

    真冬「え?」

    成幸「そのかわり一つお願いしたいことが」

    真冬「?」


    194: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 12:19:09 ID:2s6f0s4g

    --ゲームセンター店内・射的コーナー

    パンッ パンッ パンッ パンッ

    ビシッビシッビシッビシッ--コロン…

    真冬「……」フゥ…

    あすみ「す、すげえ…」ポカーン

    真冬「はい、これで良かったのかしら。小美浪さん」ポン

    あすみ「あ、ありがとうございます。センセ」

    成幸「すみません先生。助かりました」

    真冬「ええ。でも言っておくけどこれっきりよ」

    成幸「わかってます。ちょっと事情があって、どうしてもこれだけは手に入れたかったもんです。本当にありがとうございました」ニコッ

    真冬「……」チラッ

    あすみ「……」パアアア

    真冬「(まあいいか…)……ええ、じゃあ約束通り、荷物の方はお願いするわね。唯我くん」

    成幸「はい、先生」


    195: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 12:20:58 ID:2s6f0s4g

    --七緒図書館

    真冬「じゃ、私は本を返したら先に帰るから。二人ともしっかり勉強しなさい」

    あすみ「ありがとうございますセンセ。また今度ウチの店にも来て下さいよ」

    真冬「…考えておくわ。それじゃあ」スタスタ…

    あすみ「さてアタシたちもやるか。悪いな後輩。今日はアタシのわがままに付き合ってもらって」

    成幸「いえ、俺もモヤモヤしてたことでもあったんで。何より、今日は先輩の喜んでる顔が見られて嬉しかったです」ニコッ


    196: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 12:23:59 ID:2s6f0s4g

    あすみ「……///」カァアア

    成幸「先輩?」

    あすみ「あ、いや。なんでもねー。それより、せっかくだからこのぬいぐるみたちに名前を付けてやらないとな」

    成幸「あ、それ葉月もやってましたね。女の子ってやっぱりそういうのが好きなんですね」

    あすみ「そうだな。じゃ大きいのが『成幸』で小さいのは『あすみ』な?」ニヤッ

    成幸「ブフゥッ! あんた何言ってるんですか!」

    あすみ「いやいやアタシは本気だぜ。で、後輩にもらった手作りはアタシたちの子供だな。名前は何にしよっか? ダーリン」ニヤニヤ

    成幸「あーもうこの人は! 勉強しますよ! 勉強!」



    197: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/01/10(木) 12:24:54 ID:2s6f0s4g

    幕間

    受付員「申し訳ございませんが、お貸ししていた本はこれだけのようです。残りはお客様の私物のようですのでお持ち帰りいただけますでしょうか?」

    真冬「え”!?」


    205: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/24(日) 23:36:47 ID:zhT3IHVw


    【ぼく勉】真冬「占いカウントダウン?」


    206: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/24(日) 23:37:38 ID:zhT3IHVw

    --朝・真冬の部屋

    『--では、きょうのお天気です。今日は発達した雨雲が東日本を中心に広がり、午後から天気が崩れる見込みです。傘を持ってお出かけして下さいねー』

    真冬(…いつもより家を出る時間が遅いわね。急いで身だしなみを整えないと)サッサッ

    真冬「完了。問題ないわね。あとはテレビを消して--」スッ

    『それでは、最後に今日の占いカウントダウンです』

    真冬(占い?)


    207: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/24(日) 23:39:36 ID:zhT3IHVw

    『さて今日の1位は--おめでとうございます。□□座のあなたです。運気は絶好調。積極的に人と関わることにより更にハッピーなことが起きるかも。とはいえ羽目の外し過ぎには注意してくださいね! では2位以下の発表でーす』

    真冬「くだらないわね。こんなもの、なんの根拠もないじゃない」ハア…

    『--そして今日の最下位は? ごめんなさい。〇〇座のあなたです』

    真冬「!」ピクッ…

    『今日は何をやってもイマイチな日。数々の災難があなたに襲いかかるかも。失敗が続かないようくれぐれも注意してください。そんなあなたに送るラッキーアイテムは--』

    真冬「(私の星座か…)不愉快。特に理由もなく朝からイマイチと言われるなんて…気分が良くないわね」

    『以上、今日の占いカウントダウンでした--では次』プツン

    真冬「無為。時間を無駄にしたわね。急がないと」スタスタ…


    208: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/24(日) 23:40:54 ID:zhT3IHVw

    --駐車場

    真冬「(シートベルトはよし、と)…今からだと生徒達の通学時間帯と被ってしまうわね。失策。明日はもう少し早くに--」キュルルル プスン…

    真冬「?」キュルルル プスン…

    真冬「おかしいわね。どこにも異常は--ああ理解、ガス欠だったのね」

    真冬「……」

    真冬「ろ、論外! 教師が遅刻なんてあってはならないわ」サアーッ

    --今日は何をやってもイマイチな日。数々の災難があなたに襲いかかるかも
     
    真冬「!?」ハッ!

    真冬(…た、単なる偶然。そんなこと非科学的なことが起こり得るはずないわ!)ブンブン

    真冬(と、とりあえず急がないと。走っていけば何とか間に合うはず…)タッタッタッ…


    209: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/24(日) 23:42:30 ID:zhT3IHVw

    --一ノ瀬学園。職員用玄関

    真冬「ま、間に合ったわ…」ゼエ…ハア…

    真冬(ひ、久々に走ったものだから足が…もう少し運動した方が良いのかしら…)フラフラ…

    ツルッ! ドテーン!!

    真冬「…ったあ! な、何事…?」バッ!

    『注意 ワックス塗り立てです。気を付けて歩いて下さい。 byガリオレ清掃会社』

    真冬「……」プルプル…

    --今日は何をやってもイマイチな日(ry

    真冬「ぜ…絶対に違うわよ! 信じるものですか!」


    210: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/24(日) 23:43:44 ID:zhT3IHVw

    --2時間目終了後・職員室

    鈴木先生「では今日の出前は緒方うどんで。頼まれる方は注文票とお金をこちらに渡して下さい」

    ワイワイガヤガヤ

    真冬「こちらでお願いします」スッ

    鈴木先生「ああはい。ええっと桐須先生は大葉天うどんだから…640円ですね」

    真冬「ええ、では」ゴソゴソ

    真冬「……」ゴソゴソ…

    鈴木先生「桐須先生?」

    真冬「……撤回。うどんは昨日食べたことを思い出したので。失礼しました」クルリ

    鈴木先生「そ、そうですか…」

    真冬(不覚。まさか財布を忘れてしまうなんて。出前どころか何も食べられないじゃない…)プルプル…

    --今日は何をやっても(ry

    真冬(まさか…本当だというの? あの占いは…)ズーン


    211: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/24(日) 23:46:45 ID:zhT3IHVw

    --放課後

    真冬「よ、ようやく終わったわ…」ヨロヨロ…

    真冬(結局あれからも、授業中にゴ…が現れて大騒ぎになったり、プリントを落として廊下にばらまいてしまったり…本当に散々な一日に)

    --数々の災難があなたに襲いかかるかも。失敗が続かないようくれぐれも注意して下さい

    真冬(占いを信じるわけではないけれど…今日は速やかに家に帰るほうが良さそうね…)スタスタ

    ザザアアア--

    真冬「……」

    --発達した雨雲が東日本を中心に広がり、午後から天気が崩れる見込みです。

    真冬「傘のこと…すっかり失念していたわ…」ズーン


    212: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/24(日) 23:48:02 ID:zhT3IHVw

    真冬(待機。雨がましになるまで校内にいるしかないわね。図書室辺りで時間を潰していようかしら)スタスタ…

    成幸「あ、お疲れさまです桐須先生」

    真冬「ゆ、唯我くん? …ええ、お疲れさま。これから彼女たちと勉強を?」 

    成幸「あ、はい。今日は図書室でみっちりやろうと思って。準備もあるんで俺だけ先にやって来たんですけど。先生の方も図書室に用事が?」

    真冬(…私がいると邪魔になってしまうわね)

    真冬「…いえ、ちょうど済んだところよ。それじゃ失礼するから。勉強頑張りなさい」

    真冬(図書室は駄目…と。仕方ない。職員室に戻って今度の小テストでも作成しようかしら…)スタスタ…


    213: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/24(日) 23:49:11 ID:zhT3IHVw

    --数時間後。職員室

    真冬「ふう…完成ね」トントン

    真冬「あとは保存するだけね。今回はコンセントもきちんと刺さっているし、問題ないわ--」カチ…

    --ドオオーン ブツンッ!

    真冬「…え?」

    佐藤先生「何だ!? 停電か?」

    鈴木先生「さっきの雷が原因っぽいですね」

    パッ パッ

    鈴木先生「あ、復旧したみたいですね。どうやら問題は無さそうです」

    佐藤先生「パソコンの方は…と。こっちもどうやら大丈夫のようですな。他の先生方はどうですか?」


    214: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/24(日) 23:51:11 ID:zhT3IHVw

    藤田先生「私の方は大丈夫です」

    滝沢先生「こっちも問題ありません」

    佐藤先生「そうですか。どうやら皆大丈夫のようで--」

    真冬「いえ…相違」

    佐藤先生「ん? 桐須先生?」

    真冬「故障…電源がつかなくなってしまったみたいで。すみませんが修理に出してもらえますか」

    佐藤先生「災難でしたなあ。わかりました。作成中のデータなんかは大丈夫でしたか?」

    真冬「ええ、問題ありません。USBメモリの方に保存を」

    佐藤先生「さすがは桐須先生。バックアップも完璧といったところですかな」ハハハ

    真冬(…しているわけがないわ。うう…数時間の努力がパーに…)ズーン

    --数々の災難があなたに襲いかかるかも

    真冬(占いも…さすがにここまで続けば当たっていると言わざるを得ないわ。雨も弱まってきたようだし、このまま帰りましょう)トボトボ…


    215: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/24(日) 23:52:27 ID:zhT3IHVw

    --同時刻・図書室

    文乃「はあーすっごい雷だったね」

    成幸「光と音がほぼ同時だったから、すぐ近くに落ちたんだろうな。というわけで緒方、そろそろ離れてもらえるとありがたいんだが…」

    理珠「も、もう暗くなったりしませんか?」ギュウウ

    成幸「ま、また近くに落ちない限りは大丈夫だろ。(というか緒方さん、当たってますから!)」

    文乃(うんうん、わかるよ成幸くん。ついでにそのまま雷に打たれるといいんじゃないかな)ピキピキ…

    うるか(い、今からでも成幸にしがみついたら…うん、やっぱ不自然だよね…タイミング逃したああ)ズーン…

    理珠「わ、わかりました。では……」スッ

    成幸「ふう…とりあえず、今日のところはこれくらいにしとくか。また夜にかけてがっつりと降ってくるらしいからな」


    216: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/24(日) 23:53:46 ID:zhT3IHVw

    理珠「この天候では仕方ありませんね。ではこれにて解散ということで」

    うるか「うんオッケー! ねえねえリズりん。帰りにうどん食べに寄っていい?」

    文乃「うるかちゃん…成幸くんの話聞いてたよね?」タラーッ

    成幸「ったく…まあ窓の外を見るに、止めといた方が無難だと思うぞ。またぽつぽつと降り始めているみたいだし…ん?」

    うるか「どうしたの? 成幸」

    成幸「あ、いや何でもない…」

    成幸(今窓から見えたのって…桐須先生だよな。傘もささずに走って行ったけど…)

    成幸「……」

    理珠「どうしました? 成幸さん」

    成幸「あ、ああ! そういや今日母さんに早く帰って来るよう言われてたんだった!」アセアセ

    文乃「そ、そうなの?」

    成幸「すまん、そういうわけで先に帰るから。お前らも気を付けて帰れよ!」ダッ!

    うるか「あ、うん! また明日ねー成幸」

    成幸(とりあえず傘の用意だな。取り越し苦労ならいいんだけど…)


    217: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/24(日) 23:55:54 ID:zhT3IHVw

    --バス待合室

    真冬「っくしゅん」

    真冬「……」チラッ

    ザアアアアー

    真冬(全然止みそうにないわね…)

    真冬「はあ……」

    真冬(不覚。雨が強まってきたから走って転んでしまうなんて。しかも足を捻ったうえにヒールまで取れて…)

    真冬(あの占いの言うとおりね。今日は最悪の1日だった…)

    真冬(他の人だったらこんな時…誰かに助けてもらうのかしら。けど…私にそんな人なんて…)

    真冬「……」グスッ…


    219: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/24(日) 23:57:59 ID:zhT3IHVw

    --俺がいなきゃ、先生いつも大変なことになってますからね!

    真冬(唯我くん…なら?)

    真冬「--!?」カァアア

    真冬(ろ、論外! 生徒に何を期待しているというの? 大体彼は勉強中で…)

    真冬「…………」ハア…

    真冬(でも…私が困っていたとき、いつも唯我くんが助けてくれたのは事実。なら…もしかしたら今回も?)

    真冬「…なんて、考え過ぎね」

    「何をですか?」

    真冬「だから唯我くんのことを--え?」


    220: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/25(月) 00:01:03 ID:HQ7xIc.A

    成幸「ど、どうも。先生」

    真冬「ゆ、唯我くん!?」ドキッ

    成幸「すごい雨ですよね。ところでその…俺のことって一体…」

    真冬「そ、空耳よ。忘れなさい」コホン

    真冬「それより…どうしてここに? みんなで勉強をしていたんでしょう?」

    成幸「雨が強くなりそうなので早めに切り上げたんですけど…先生が傘も無しに歩いて帰るのが見えたので…その…」

    真冬「私を…探して…?」


    221: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/25(月) 00:02:03 ID:HQ7xIc.A

    成幸「ええ。近所だし家に帰りがてらならそれ程手間でもないですから」ニコッ

    真冬「--っ!」

    真冬(やっぱり、君は…)トクン…

    成幸「どうかしましたか? 先生」

    真冬「…何でもないわ。その……ありがとう」///

    成幸「ええ。じゃあ帰りましょうか。あ、これ予備の傘です」スッ

    真冬「ええ、助かるわ…うっ!」グラッ

    成幸「先生危な!? うわっ--」ドンッ

    バターン!!


    222: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/25(月) 00:03:28 ID:HQ7xIc.A

    成幸「---!」プルプル…

    真冬「---!」プルプル…

    成幸「あ、あの…大丈夫ですか? 先生…」アセアセ

    真冬「え、ええ…ごめんなさい。さっきこけた時に足を捻ってしまって。と、とりあえず離れるから…」

    成幸「は、はい……」

    成幸「…………(あ、危なかった…あと数センチ近付いてたら、先生と…キスを)」チラッ

    真冬「…………(あ、あと数センチ近かったら…唯我くんと…)」チラッ

    成幸・真冬「----っ!」カァアア

    成幸「(おおお落ち着け…こんなこと前だってあったろ? ど、どうにか平常心で)と…とりあえずここを出ましょうか。俺が何とかしますから」

    真冬「(ど、どうにか落ち着いたわ…)え、ええ。でも…どうやって」

    成幸「えっと、それは--」


    223: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/25(月) 00:05:10 ID:HQ7xIc.A

    --ザアアアア

    真冬「お、重くないかしら? 唯我くん」

    成幸「先生は軽いから大丈夫ですよ。それより傘のほう、しっかり支えてて下さいね」

    真冬「と、当然。けど…また生徒におんぶしてもらうだなんて…」ズーン…

    成幸「(実際はおんぶだけに留まらないけど)ま、まあ他に方法も無かったですし。仕方ないってことで」

    真冬「…………そうね。仕方ないこと…ね」

    成幸「……もしかして、何かあったんですか?」

    真冬「何でもないわ。ただテレビで今日の運勢が良くなかったことを思い出しただけよ」プイッ

    成幸「あ、先生もそういうの気にするんですね」

    真冬「そ、相違! 今日はたまたまで。何か問題かしら?」ムスッ

    成幸「あ、いえ…気にしたって全然いいと思いますよ」

    真冬「?」


    224: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/25(月) 00:12:57 ID:HQ7xIc.A

    成幸「ほら、今日はついてないなと思うときって、大体の場合は慌てていたり疲れていたり…自分に原因があることが多いですよね」

    --いつもより家を出る時間が遅いわね

    真冬「……」

    成幸「だからまあ…テレビで警告してくれてるんだから、いつもより慎重に行動していれば失敗することもないんじゃないかな…と」

    成幸(って! それって『先生はできてないですね』って言ってるも同然じゃねーか! 何言っちゃってんの俺!)

    真冬「……」

    成幸「あ、あの先生、今の言葉は…」ビクビク…

    真冬「……そうね」

    成幸「え?」

    真冬「自分の行動次第で結果が決まる。本当にその通りよ。運なんて非科学的なもので片付けてしまおうなんて、どうかしてたわね」

    成幸「そ、そうですよ先生」

    真冬「…でも」ギュッ

    成幸「せ、先生!?(せ、背中に何やら当たってますけど!?)」

    真冬(今日だって、困っていた時に来てくれたのは君だった…運勢じゃなく、運命であれば存在するのかもしれない…)


    225: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/25(月) 00:15:05 ID:HQ7xIc.A

    --マンション・201号室玄関前

    真冬「感謝。今日は本当に…面倒をかけたわね」

    成幸「いえ、先生が無事でよかったです。風邪をひかないように暖かくしてくださいね。あ、そうだ」サッ

    真冬「ハンカチ?」

    成幸「そのまま部屋に入ったら床が濡れちゃいますから。これで髪の毛を拭いてもらったら」

    真冬「あ、ありがとう…」

    フキフキ…

    真冬「完了。問題ないわ」

    成幸「よかった。じゃあハンカチを」

    真冬「…………」

    成幸「先生?」

    真冬「拒否。これだけ話になっておいて、汚れたものを返すわけににはいかないわ。新しいのが家にあるから少し待ってなさい」ガチャ

    成幸「は、はあ…」


    226: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/25(月) 00:16:24 ID:HQ7xIc.A

    10分後

    真冬「待たせたわね…」

    成幸「いえ…多分これくらいはかかるだろうなと予測してたので。また近いうちに掃除しにきます」

    真冬「お、お願いするわ。で、これを」

    成幸「わ、これ有名なメーカーのやつじゃないですか。いいんですか?」

    真冬「当然。君には世話になったもの。遠慮せずに受け取りなさい」

    成幸「わかりました。ありがとうございます」

    真冬「……」フゥ…


    227: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/25(月) 00:17:48 ID:HQ7xIc.A

    翌日・昼休み教室にて

    大森「なあ放課後本屋に寄ってこうぜ。最近知識欲が抑えきれなくってさあ」

    成幸「お前の知識欲は工口限定だろうが。ったく…わかったよ」

    小林「成ちゃんほんっと付き合い良いよねえ」

    成幸「まあ、参考書も買うついでにな。ん?」

    スタスタ…

    うるか「やっほー成幸」

    成幸「うるかか。どうしたんだ? 勉強でわからないとこでもあったか?」

    うるか「ううん、用事があるのはあたしじゃなくて--」


    228: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/25(月) 00:19:35 ID:HQ7xIc.A

    海原「あ、あの…陽真くん」

    小林「どうしたの? 智波ちゃん」

    海原「うん、突然ゴメンね…余ったペンとか消しゴムとかあったら欲しいんだけど…駄目かな?」

    小林「ん、ちょっと待っててね」ゴソゴソ

    小林「はいこれ。買い置きしていたボールペンだけど、これでいい?」

    海原「うん、ありがとう! 大事にするね」パアアア


    229: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/25(月) 00:20:12 ID:HQ7xIc.A

    うるか「--てなカンジで」

    大森「う、うらやましい…けど何でボールペン?」

    川瀬「今日のテレビでやってた占いであの子の星座が最下位だったのよ。で、ラッキーアイテムをゲットしに来たってわけ」

    うるか「でもあのアイテムって、いつも同じこと言ってるよね」

    川瀬「そうそう『大切な人からもらった物』だっけ? まあそれがあれば多少落ち込んでも元気が出るってことなんだろうけど。ね、うるか?」

    うるか「な、なんであたしに聞くわけ?」

    川瀬「そりゃあもちろん、ねえ? 海原隊員」

    海原「一番効果がありそうな人物がすぐ近くにいるからで。川瀬隊員」

    うるか「うがー! 二人ともからかうなー!」

    ワイワイガヤガヤ…

    成幸「ラッキーアイテム…か」

    --汚れたものを返すわけににはいかないわ

    成幸(まさか…な)フフッ



    230: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/02/25(月) 00:22:48 ID:HQ7xIc.A

    幕間

    佐藤先生「あ、桐須先生」

    真冬「何か?」

    佐藤先生「これ、こないだお預かりしたノートパソコンです。無事修理が終わったみたいですよ。データの方も綺麗に残っていたそうです」

    真冬「そうですか。ありがとうございます」

    佐藤先生「いえいえ、じゃあ机に置くのでスペースを空けて下さい。そこのハンカチは片付けなくても?」

    真冬「ええ、これはそのままで。大事な…お守りですから」


    237: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:20:53 ID:Tfu534GU


    【ぼく勉】成幸「お姉さんを助けたいんです!」


    238: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:21:32 ID:Tfu534GU

    美春「で、でも姉さまは諦めると約束してくれるなら…ッ」///

    成幸「お姉さんとのことで協力してほしいんです!!!」

    美春「へっ!?」

    成幸「お姉さん、今もマンションにこもっているんですよね。ならこのまま悩み続けるよりも、とりあえず一度滑ってみれば考えもまとまると思うんです」 

    美春「そ、それで私が協力…ですか?」

    成幸「はい! 美春さんならフィギュアができる場所も衣装も詳しいと思って」

    美春「~~~っ!」プルプル…

    成幸「美春さん?」


    239: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:22:17 ID:Tfu534GU

    美春「姉さまのために協力!? 当然至極ッ!! 美春に全ておまかせあれですっ!! 最高の衣装とリンクを貸し切り提供しちゃいますよぉ!!」

    成幸「え!? いやそこまでは…」アセアセ…

    美春「迅速果断。そうと決まればただちに手配です!! さっそく関係者と連絡を取ってきますから待っていて下さい唯我成幸さん!」ダッ!

    成幸「あ! ちょっと!?」

    成幸(行ってしまった…相変わらずやることが完璧主義というか…)

    成幸「でも、美春さんのおかげで場所は何とかなりそうだ。あとは…あの人か」


    240: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:24:49 ID:Tfu534GU

    --音大なんて最初っから…受けなければよかった…

    成幸(先生の話に出てきた日野さん…とにかくあの人と一度連絡を取らないと。うちの学園のOGなら、まずは……)ピッピッ


    プルルルル-

    あすみ「もしもし。どうした後輩?」

    成幸「突然すみません先輩。ちょっと訊ねたいことがあるんですが」

    あすみ「何だよ藪から棒に。仕方ねーな。スリーサイズだったら上から--」

    成幸「違いますって! それ以上言っちゃダメですからね!」

    あすみ「わかってる。冗談だよ。で、えらくマジな様子みたいだが何を訊きたいんだ?」

    成幸「ちょっと事情があって学園の卒業生を探してまして。先輩が現役時代だったときの上級生で、『日野』って女生徒に心当たりはありますか?」

    あすみ「日野…日野なあ………悪いが、ちょっとアタシの記憶にはないな」

    成幸「そうですか…」

    あすみ「そんなガッカリすんなって。アタシは知らないけど部活…軽音部の先輩なら知ってるかもしれないからな。ちょっと訊いてみてやるよ」

    成幸「あ、ありがとうございます!」


    241: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:25:22 ID:Tfu534GU

    --10分後

    プルルル ピッ!

    成幸「唯我です。どうでした? 先輩!」

    あすみ「ああ、『悪いが名字だけじゃ情報が少なすぎる。連絡先を教えるから直接電話してこい』ってさ。そういうことでいいか? 後輩」

    成幸「はい。それで十分です。本当に助かりました先輩。また今度お礼をさせて下さい」

    あすみ「いーって別に。最近は店の方でも世話になりっぱなしなんだからな。今回はツケといてやるよ」ニッ

    成幸「ありがとうございます。先輩」

    あすみ「ああ。じゃそろそろ仕事だし切るな。連絡先はすぐに送っておくから」プッ…


    270: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 17:42:15 ID:Tfu534GU


    ♪♪♪~

    成幸「はやっ! もう来た」ピッピッ

    成幸「ええと…これが番号だな。なんか先輩からのメッセージも続けざまに来てるけど…」ピッピッ

    『後輩のことだから、どうせまた女が関係しているんだろ? まったく悩みが尽きないな、このたらし野郎が ( *゚∀゚)⊃) ‘ д’)』

    成幸「あーもうあの人は…(しかも決して間違ってはないんだよな…)」ズーン…

    成幸(でも…これで取っ掛かりを作ることはできた。感謝します先輩。あとは俺が--)ピッピッ…

    「もしもし?」

    成幸「もしもし…あ、はい。そうです。小美浪あすみさんの後輩で唯我といいます。突然の電話ですみませんが、どうしても訊きたいことが--」


    243: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:26:42 ID:Tfu534GU

    --数分後

    成幸「わかりました。じゃあそちらの方に訊ねてみます。番号はさっきのもので? ……わかりました。本当にありがとうございます。では」プッ…

    成幸「ふう…」

    成幸(結局わからなかったけど、同級生の番号を教えてもらうことはできた。これを繰り返していけば、必ず日野さんにまでたどり着けるはず)

    成幸「………」フゥ…

    --わからない。わからないの、唯我くん。私は…どうしたらいいの…?

    成幸「先生……」

    --「できない」自分を認め、向き合えること--それが、君の長所でしょう?

    --この子の前には無限の未来が広がっているのだものね----君もよ、唯我くん

    成幸(先生は…悩んでいた俺に道を示してくれました。今度は俺が、先生を助ける番です!)ピッピッ…

    プルルルル……

    「--はい、もしもし」

    成幸「もしもし。いきなりの電話すみません--」


    244: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:27:14 ID:Tfu534GU

    --某所・音楽スタジオ

    ♪~~♪♪~~♪♪♪~♪

    「……ふう。ま、こんな感じかな」

    (新曲の演奏も大分サマになってきたし、もうそろそろライブでお披露目してもいい頃かな。次の音合わせでメンバーに相談してみようか)ニッ

    ♪♪♪~

    「はいはい。ちょっと待ってよ、って…わお! 懐かしい名前」ピッ!

    日野「もしもし日野だけど。久しぶり、元気してた? ……うん、そっか。で、突然どうしたの? …え? 私を探してる男の子?」

    --5分後

    「--うん、わかった。じゃあまた連絡よろしくね。それじゃ」プッ…

    日野(一ノ瀬学園の男の子が私に用…か。一体何だろ?)


    245: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:28:17 ID:Tfu534GU

    ♪♪♪~

    日野「…と、早速かな」ピッ

    日野「…もしもし日野です。君が私を探している男の子?」

    成幸「はい。一ノ瀬学園三年の唯我といいます」

    日野「うん、初めまして。聞いたよ。なんか私を探す為に色んな人に掛け合ってたんだって?」

    成幸「はい。どうしても日野さんとお話がしたかったんです」

    日野「そ、それってどういう…」ドキッ

    成幸「桐須…真冬先生を覚えていますか?」

    日野「え!?」ドクン…


    246: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:28:49 ID:Tfu534GU

    成幸「…桐須先生が話してくれました。昔、自分のせいで一人の生徒の人生を狂わせてしまったと。それが日野さんのことだと聞いて……間違いないですか?」

    日野「ちょ、ちょっと待ってよ。桐須せんせーが私の人生を狂わせた? 一体どういうこと?」

    成幸「先生は…日野さんが音大に落ちてしまったことをずっと後悔していました。安易に応援なんてせずに、最初に引き止めておけばって…」

    日野「え……」

    成幸「だから日野さんが卒業した後、先生は指導方針を180°変えたそうです。今では才能や能力だけで判断を下すリアリストな教師になって…いえ、そうなろうとして自分を偽り続けてるんです」 

    日野「……」

    成幸「先生が最近、動画サイトで有名になったのは知ってますか?」

    日野「あ、うん……せんせー、昔はフィギュアなんてやってたんだね。びっくりしたよ」

    成幸「ええ。それで…今回の騒ぎがきっかけで先生にアイスショーのオファーが来たらしくて」

    日野「そうなんだ。せんせー可愛かったもんね。フィギュアに戻ってもまた人気出るかも」

    成幸「そうかもしれません。けど先生は、どちらも選べないまま悩んでるみたいで…」


    247: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:29:28 ID:Tfu534GU

    成幸「先生は…教師になるためにそれまでのフィギュアのキャリアを全て捨て去ったそうです。両親や周囲からの猛烈な反対を押し切って教師になり、一ノ瀬学園に帰ってきました。けれど--」

    日野「私が…せんせーを追い詰めて…」

    成幸「……第三者の俺には正直、何が正しかったなんてわかりません。でも先生が、今も日野さんのことを引き摺っていることは確かなんです」

    日野「!」

    成幸「お願いします日野さん。どうか桐須先生を…助けて下さいっ!!!」バッ!!

    日野「…………」

    成幸「…………っ」ギュッ…

    日野「……顔、上げてよ」

    成幸「え…?」


    248: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:29:59 ID:Tfu534GU

    日野「電話越しでもわかるよ。必死に頭下げてるんだよね。お互い顔なんて見えっこないのに」

    成幸「す、すみません。つい」

    日野「ううん。それだけ人の為に一生懸命になれるってことだよ。本当に真っ直ぐなんだね。桐須せんせーと、おんなじ」

    成幸「え?」

    日野「…………私、今インディーズバンドでピアノやってるんだ。めちゃくちゃ忙しいし毎日色んなことがあって大変だけど。すごく充実してる」

    成幸「……」

    日野「あの日…せんせーに酷い言葉を言ったことに、後で気付いたんだ。何度も謝ろうと思ったけど、結局きっかけが掴めずに卒業してしまって…」

    日野「私のせいでせんせー…ずっと苦しんでいたんだね」

    成幸「日野さん……」

    日野「……唯我くん」

    成幸「はい」

    日野「私を探してくれて本当にありがとう。私からもお願い。桐須せんせーと話をさせてほしい。協力してくれる?」

    成幸「はい! 任せて下さい!」


    249: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:33:16 ID:Tfu534GU

    成幸「--ええ。じゃあその手筈でよろしくお願いします。では--」プッ…

    美春「唯我成幸さん!」

    成幸「あ、美春さん! どうでしたか?」

    美春「はあ…はあ…ええ、準備万端。ばっちりです。七緒アイスアリーナを貸し切りにして、姉さまの現役時代の衣装もこのバッグに」ポンッ

    成幸「ありがとうございます美春さん。それじゃ早速お姉さんを迎えに--」

    美春「…………いえ」

    成幸「え?」

    美春「私は…遠慮しておきます。姉さまを迎えに行くのは唯我成幸さん。あなたお一人でお願いします」

    成幸「な、なんで…?」

    美春「……私がいると、きっと姉さまは本当の気持ちをさらけてはくれません。悔しいですがそれができるのは、きっと--」ギュッ…


    250: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:33:56 ID:Tfu534GU

    --生徒思いのとことか可愛らしいとこもたくさんあって。俺はいい先生だと思ってますよ

    --優しくて頑張り屋さんの、先生自慢の生徒よ

    美春(唯一無二。唯我成幸さん。あなたしかいないと思いますから…)

    成幸「美春さん?」

    美春「で、ですが! まだお二人の禁断の仲を認めた訳ではありませんので。勘違いしないで下さいね!!!」ビシッ!

    成幸「は、はい(え、何のこと!?)」

    美春「ではそろそろ行きましょう。姉さまのマンションの前まで送りますから車に乗って下さい」

    成幸「わ、わかりました」


    271: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 17:48:25 ID:Tfu534GU


    --数時間後・七緒アイスアリーナ

    成幸「俺は先生を…幸せにしたいです!」

    真冬「--っ!」/// ハッ!?

    \\チャーン チャーッチャ チャーチャッ チャーチャッ//

    日野「色々茨の道だと思うけど…ちゃんと卒業してからお幸せにね、せんせー!!」ヒャーッ!

    成幸「ウェディングテーマ!?」

    真冬「誤解ッ!!! 決してそういうのではないわよ日野さんっ!!」カァアア

    日野「そんなこと言っても。顔が赤くなってるよ。せんせー」ニヤニヤ

    真冬「きっ禁止! からかうのは止めなさいっ!!」

    日野「あははっ…! 懐かしーねそれ。確かせんせーが初めて教壇に立った時にも言ってたっけ」ハハッ

    以上です。


    252: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:35:45 ID:Tfu534GU

    日野「……………うん、もう大丈夫かな(--唯我くん)」チラッ

    成幸(--わかりました)コクリ

    成幸「先生」

    真冬「?」

    成幸「ちょっと喉が渇いたので飲み物を買って来ようと思います。先生はコーヒーで良かったですか?」

    真冬「え、ええ…」

    成幸「わかりました。では(頑張って下さい。日野さん)」


    日野「…さてと」

    真冬「?」

    日野「唯我くんも気を遣ってくれたことだし、そろそろせんせーに伝えておかないとね」スッ…

    日野「………ずっと、言いそびれてた。桐須先生、あの時は本当にごめん」

    真冬「日野…さ」

    日野「音大に落ちたこと、先生に八つ当たりしちゃったこと…ずっと、後悔してたんだ。卒業した後もしばらく何も考えられないくらい。けれど--」スッ…


    253: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:37:09 ID:Tfu534GU

    ♪♪~

    真冬「その…曲。確か…」


    日野「うん。せんせーとずっと練習したよね。ある日、たまたまピアノが目についてさ、何となく弾いてみたんだ。そしたら…思い出せた。自分が何のためにピアノを続けてきたのかを」

    --上達。この前よりずいぶんと良くなったわ

    --毎日練習につきあうから頑張りましょう!!!

    日野「…どんなに下手でも、自分の演奏を聞いてくれる人がいた。上手くなったわね、と褒めてくれる人がいた。だから自分はピアノが本当に好きになれたんだって!」

    --いつも頑張っていてえらいわね! 
    日野さん!

    日野「ありがとう! 桐須せんせーと出会えて、本当に良かった!」

    真冬「………っ」


    254: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:37:43 ID:Tfu534GU

    日野「……言いたかったことはこれで全部。なんかしんみりさせちゃったかな。ごめんね、せんせー」テヘッ

    真冬「いえ………私も、感謝。ありがとう日野さん」

    日野「うん……ずいぶん長引いちゃったけど、これでようやく胸のつかえが下りた気がする。唯我くんのおかげだね」

    真冬「……そうね」

    日野「彼…本当にあちこちに電話をかけて私を捜してたみたいでさ。そんなことしなくても学園にある卒業アルバム見たら簡単に連絡つけられたのに。要領が悪いって自分で言ってたから、不器用なのは間違いないんだろうけどね。でも……」フフッ

    真冬「?」


    255: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:38:20 ID:Tfu534GU

    日野「それが却って良かったのかな。クラスメートにも彼から電話がかかってきたみたいでさ。それがきっかけで連絡を取り合って、今度同窓会やろうって話になったの」

    真冬「そ、そうなの」

    日野「なーんか私に片思いしてる男の子がいるって、すっかり盛り上がってるみたい。いい迷惑だよね。こっちはたった今その子がせんせーにプロポーズしてる光景を見せられたのに」ニッ

    真冬「なっ!? そ、相違! 彼はたまにああいう誤解を招きやすい物言いをするのよ!」

    日野「あはは、せんせー。たまにしか出てこないような特徴まで知ってるとか、もう仲が良いって自白してるようなものだよ」

    真冬「~~~っ!」カァアア

    日野「…まあ、その話はおいとくとして。連絡を取り合ってるときにみんな言ってたみたい『同窓会やるんだったら、桐須せんせーも呼ばないと』って」

    真冬「え…?」


    256: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:38:53 ID:Tfu534GU

    日野「みんな覚えてるんだよ。ちょっとドジだけど、いつも一生懸命に私たちのことを想い続けてくれた、優しい先生のこと」

    真冬「……っ」

    日野「だから、せんせーも同窓会に来てね。私たちの過ごしたあの青春は、桐須先生も確かに入ってるんだから」

    真冬「……………ええ」

    --もう一度、ちゃんとやり直せるだろうか。ずっとずっと憧れ続けた。青春の学園生活を

    真冬「約束。その時は…きっと顔を出すようにするから…!」

    日野「うん…………せんせー、やっと笑ってくれた。やっぱりせんせーには、笑顔が一番よく似合ってるよ!」


    257: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:39:27 ID:Tfu534GU

    --七緒アイスアリーナ出口

    店員「ありがとうございましたー」

    成幸「ふう…なんだかんだで、結構滑ってたんですね。すっかり日が落ちてますよ」

    真冬「不吉。滑るとか落ちるとか、そんな言葉を受験生があまり口にするものではないわよ。唯我くん」ジロッ

    成幸「あはは、気を付けます。それで…少しは気が楽になれましたか? 先生」

    真冬「そうね…とりあえず、明日は学園に復帰するつもりだから。課題の方はしっかりやっておくように」

    成幸「はい! 先生」ニコッ

    真冬「………」フゥ…


    258: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:40:04 ID:Tfu534GU

    --間違ってるかどうかなんて、本当に終わっちまうまでわからねーもんさ

    --楽しいかどうかも選択が間違いかどうかも…結局、終わってみなきゃわからないじゃないですか

    真冬(…ほんと、そうね)フッ…

    真冬「………唯我君」

    成幸「はい……え?」

     --黄昏を過ぎた空は暗くなりつつあり、ともすれば見間違えたのかもしれない。けれど

    真冬「感謝。ほんとうに--ありがとう」

     --そう告げた先生の表情は本当にきれいで…どこか笑っているようにも見えた



    259: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:42:12 ID:Tfu534GU

    幕間

    --もしもの話

    美春「で、でも姉さまは諦めると約束してくれるなら…ッ」///

    成幸「お姉さんとのことで協力してほしいんです!!!」

    美春「…してくれるのならっ、返事をして下さい! 唯我成幸さん! !」///

    成幸(だめだ、聞いていない…よくわからないけど、とりあえず美春さんに同調すればいいのか?)

    成幸「わ、わかりました! だからとにかく話を聞いて下さい! お姉さんのことなんです!!」

    美春「へっ?」


    260: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:42:45 ID:Tfu534GU

    --数分後

    成幸「…というわけで美春さんに協力を」

    美春「わかりました。他ならぬ姉さまの為にも、最高の環境を用意しちゃいますよぉ」フンス!

    成幸「良かった…じゃあよろしくお願いしますね、美春さん!」

    美春「はい…確かに言質は取りましたから。こちらこそよろしくお願いしますね。唯我成幸さん」

    成幸「……? は、はい」


    261: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:43:34 ID:Tfu534GU

    --数日後

    うるか「そういえば、桐須センセー元気になったんだってね。よかったー!」

    成幸「だいぶ例のブームも落ち着いたみたいだし。何よりだな」

    真冬「そうね、唯我君」

    うるか「わっ!?」

    成幸「せ、先生!?」

    真冬「喧騒。二人とも声が大きいわよ」


    262: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:44:07 ID:Tfu534GU

    うるか「すみません。先生もう体調は大丈夫なんですか?」

    真冬「ええ、問題無いわ。ありがとう武元さん。唯我君も」チラッ

    成幸「はい。先生」

    真冬「それと…話は聞いたわ。正直かなり驚いたのだけれど」

    成幸「へ?」

    真冬「………」フッ

    成幸・うるか「!」

    真冬「……美春のこと、よろしく頼むわね。唯我君」ボソッ

    成幸(…え?)


    263: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:45:14 ID:Tfu534GU

    --下校中

    うるか「しかし今日はびっくりしたなー。桐須先生が笑うところ見たのって初めてかも。けど…なんか寂しそうな感じだったよね。成幸何か知ってる?」

    成幸「え? いや…さっぱり心当たりがないけど…」

    成幸(でも先生が言った言葉…美春さんを頼むって、どういう--)

    うるか「あり? こんな時間内に校門前に誰かいるよ……って、なんか成幸に手を振ってるみたいだけど?」クイッ

    成幸「え? …ってあの人は!?」


    264: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:45:48 ID:Tfu534GU

    美春「一日千秋。お待ちしておりました。唯我成幸さん」ニコッ

    成幸「え?(変装してるけど…美春さん?)ど、どうしてここに!?」

    うるか「(年上かな? キレイな人)やっぱり成幸の知り合いだったんだ。初めまして、武元うるかです。お姉さんのお名前は?」

    美春「名乗るほどの者ではありません。ですが、彼との関係を説明するのであればそうですね。婚約者(フィアンセ)…と言うべきでしょうか」ポッ…

    成幸「はあっ!?」

    うるか「くぁwせdrftgyふじこlp」ズガーン!!!

    成幸「ちょっ! 何言ってるんですか美春さん! うるかが誤解するでしょ--はっ!?」クルッ


    265: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:46:23 ID:Tfu534GU

    ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

    うるか「…………」グッ …グッ…

    成幸「えっと、うるか…さん?(何故ストレッチを?)」タラーッ

    うるか「う…………うわあああああん。成幸のばかああああああ! でもお幸せにいいいいいいいい」ダッーー

    成幸「う、うるかああああ!!!」ズガーン!

    美春「諸行無常…彼女には申し訳ないことをしましたが仕方ありません。とにかくこれで私達を遮るものはなくなりました。それでは行きましょうか。唯我成幸さん」

    成幸「え? ど…どこへ?」


    266: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/01(月) 16:46:55 ID:Tfu534GU

    美春「私の実家です。お付き合いを始めたのですから、まずは父さま母さまに報告しないと」

    成幸「お付き合いッ!? 何で!?」

    美春「両親を説得するのは中々骨が折れると思いますが、比翼連理。これから二人で力を合わせて頑張りましょう! …それと、言い遅れましたが」

    成幸「?」

    美春「ふつつか者ですが…これからよろしくお願いしますね。唯我成幸さん」/// ポッ

    成幸「……どうしてこうなった」ズーン…

    美春エンド -完-


    276: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:07:06 ID:dJxVpxUY


    【ぼく勉】水希「キスマーク作戦よ!」


    277: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:08:47 ID:dJxVpxUY

    --朝・唯我家、玄関前

    花枝「それじゃあ先に行くから。成幸のこと頼むわね」

    双子「水希姉ちゃん行ってきまーす」

    水希「うん、行ってらっしゃい。心配しないでお母さん。お兄ちゃんのことは全て私に任せてくれれば。ふふ、ふふふ…」

    花枝「一番心配なのはあんたの将来なんだけどね……まあいいわ。じゃあよろしく」ガラガラ- ピシャン

    水希(ええお母さん。私の将来のためにも、必ずやお兄ちゃんを救ってみせるわ!)スタスタ…


    278: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:11:23 ID:dJxVpxUY

    --居間

    成幸「zzzz…」

    水希(また今日も机で寝ちゃってる…成績が伸びなかった中学時代もこういうことはあったけど…)チラッ

    水希(ノートの束に多くの参考書…今のお兄ちゃんならここまでする必要はない。理由はわからないけど、それもこれもあの人【古橋さん緒方さん】たちに勉強を教えているから…)プルプル…

    水希(やっぱり顔なの!? それともあの極悪なサイズのアレなの!? それなら私にだってまだまだ十分な余地が--)ハッ!?

    水希(……危ない危ない。今の私はSAKUSHI。そんな事を考えている場合じゃなかったわ。ここは素数を数えて落ち着かないと)2,3,5,7,11,13…

    水希「…よし落ち着いた。というわけで、かねてからの計画をいよいよ実行するときが来たわね」サッ

    水希「こっそり拝借したお母さんのリップ。これを唇に塗って…」ヌリヌリ…


    279: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:12:13 ID:dJxVpxUY

    水希(そう--私は気付いたの。古橋さんも緒方さんも、決して押しの強い性格じゃない。そしてそれが私との決定的な差!)キュピーン!

    水希(リップを塗った唇でお兄ちゃんにキスマークを付ける。首裏辺りなら鈍感なお兄ちゃんは気付かないだろうから、それをあの二人が目撃すれば…?)


    文乃『うぺえっ!? な、成幸くん…それって…まさか…?』プルプル…

    理珠『な、なな成幸さん…』プルプル…

    成幸『…? どうした? 二人とも』

    文乃『な、何でもないの! あーっといっけない! 私そろそろアレがアレする時間だからっ!!』ダダッ-!

    理珠『酷いです。成幸さん不潔ですっ!!!』ダダッー!

    成幸『ふ、古橋! 緒方ーー!!!(風呂ならちゃんと毎日入ってるんですけどーー!?)』ガーン!


    水希「ふ、ふふ…完璧。完璧だわ」


    280: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:14:39 ID:dJxVpxUY

    水希「よし、リップの準備もOK。あとは想いを乗せた私の唇を…たっぷりと受け取って。お兄ちゃん…」ググ…

    水希「………」プルプル…

    水希「…ッはあ! はあ…だ、だめ。いざとなると緊張しちゃう。仕方ないわ。こうなったら直接お兄ちゃんの首裏に!」スッ

    ヌリヌリ…

    水希(うん、それらしくなった。これならお兄ちゃんが鏡を見てもバレないうえに、他の人からは目立ちやすい)

    水希「これで準備は万端。あとはお兄ちゃんを起こすだけね」ニコッ


    281: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:15:25 ID:dJxVpxUY

    成幸「んん…」

    水希「おはようお兄ちゃん。早く起きないと遅れちゃうよ」ニコッ

    成幸「悪い。寝坊しちまったんだな…母さんたちは?」

    水希「今日は早く家を出ないといけなかったから、もう出発しちゃったよ。じゃあ私もそろそろ学校に行くから、お兄ちゃんも遅れないようにね」

    成幸「ああ、ありがとう。水希」

    水希(計画通り)ニヤッ


    282: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:16:40 ID:dJxVpxUY

    --洗面所

    ジャー…バシャバシャ…

    キュッ

    成幸「ふう。さっぱりした…けど、今日は寝癖がしつこいな(机で寝てたせいか?)」

    成幸(仕方ない。一度全部頭を流してしまうか。水道代がかさんでしまうけど)ジャー…

    成幸「うん。今度は大丈夫だな。そういや洗ってる途中で赤い塗料みたいなものが流れていったけど…?」

    --ねーねー兄ちゃん、ここでお絵かきしてていい?

    成幸「……大方寝ている時にあいつらに落書きでもされたんだな。危ない危ない」ホッ…

    成幸「さて、無事に準備も済んだし、そろそろ出掛けるか」クルッ

    成幸「それじゃ、今日も頑張ってくるよ。親父…行ってきます」ニッ


    283: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:17:10 ID:dJxVpxUY

    --昼休み・一ノ瀬学園・3-B教室

    大森「あー暑い。秋なのに今日はえらく気温が高くねぇ?」パタパタ

    小林「大気の影響で今日は夏日に戻るらしいからね。だから今日は夏服」ニコッ

    成幸「小林が正解だよなあ。さすがにこんな暑さじゃブレザーなんざ着てられん……ん?」パタパタ


    284: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:18:46 ID:dJxVpxUY

    --ワイワイガヤガヤ

    「これとかどう?」

    「いいけど、ちょっと派手過ぎない?」

    「大丈夫っしょ。お祭りなんだし」

    大森「隅っこの方でなんか盛り上がってんなあ。おーい! そこで何やってんの?」

    うるか「おーっす大森っち。成幸にこばやんも」タタッ

    成幸「なんだ。うるか達だったのか。何やってんだ?」

    うるか「今度水泳部の皆で街のハロウィンパーティーに行くことになってさあ。そのときに付けていくタトゥーを選んでるんだ」

    成幸「タトゥーって…入れ墨のことだろ? そんなことして大丈夫なのか?」

    うるか「あはは、違うって。あたし達の選んでるのはシールだよ。シール」

    成幸「シール?」

    うるか「そうそう。例えばこんなのとかさ」サッ

    成幸「うん? キスマークか? それ」


    285: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:19:58 ID:dJxVpxUY

    うるか「そうそう。ものは試しにやってみよーか。ちょっと腕借りるね。成幸」ヒョイッ

    成幸「お、おい!」///

    うるか「ん。こうやって…と。はい完成。どうかな?」

    成幸「うわすげえな。本物そっくりだ」

    うるか「でしょー♪ 種類も色々あるからねー。どれを選ぼうか絶賛悩み中ってわけ」

    成幸「なるほどな。で、これを消すにはどうしたらいいんだ?」

    うるか「え? あ……」タラーッ

    成幸「……おい」

    うるか「えーっと、その……結構強力なやつだから、すぐには消えないかも」テヘペロ

    成幸「お、ま、え、は~!」

    うるか「いだだだだ! 成幸ギブギブギブ!」ヒャーッ♪

    小林「本当に仲いいよねえ。あの二人は」ニッ

    大森「ちくしょー! 俺も武元さんとあんなスキンシップしてみたいぞーーー!」シクシク


    286: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:21:08 ID:dJxVpxUY

    --放課後・図書室

    成幸「--てなことがあってな…」

    理珠「成程。いかにもうるかさんらしい適当さですね」

    文乃「あはは。でもそれ、本当によくできてるよね。誰かに付けられたみたい」

    成幸「そうやって既に散々いじられたから勘弁してくれ。おまけに当の本人は部活だし……」ズーン

    理珠「まあ、うるかさんのやることなので、事故にでも遭ったと思うしかないですね。そろそろ切り替えて勉強を始めませんか?」ガサゴソ

    成幸「そうだな…って、何やってんだ? 緒方」

    理珠「ええ。赤マーカーのインクが切れてしまいましたので、ここで交換をと」

    成幸「へえ。マーカーなんてインクが切れたら使い捨てだと思ってたな。ちょっと見てみてもいいか?」ヒョイッ

    理珠「あ、成幸さん! そこを握っては!」


    287: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:21:48 ID:dJxVpxUY

    成幸「え? うわっ」ピュッ パシャッ

    理珠「…インクが飛び出てしまうので気をつけて下さいと」

    成幸「すまん…一歩遅かった」ズーン…

    文乃「シャツに掛かっちゃったね…しかもこれ…」

    成幸「キスマークだな…どこから見ても…」

    文乃「……」

    成幸「……」

    文乃「も、モテモテだね。成幸くん」アハハッ…

    成幸「過程が全然嬉しくないんだが…」ズーン

    理珠「とりあえず水洗いをした方が良いのでは?」

    成幸「いや、水洗いだとかえってシミになるしな。このまま家に帰って水希に頼んでみるよ」


    288: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:22:21 ID:dJxVpxUY

    --30分後

    カリカリカリカリ

    カリカリカリ

    カリカリ…カリ…

    文乃「……はっ!?」

    成幸「どうしたんだ? 古橋」

    文乃「え? あ、ううん。何でもないよ」アハハ…

    文乃(ううっ…昨日は夜遅くまで頑張ったから、数式が私を眠りにいざなってきちゃう。でもここで寝るわけにはいかない………いかな……いか…)


    289: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:23:25 ID:dJxVpxUY

    --キラキラキラキラ

    文乃「ん? ここ…は?」

    「ようこそいらっしゃいました。古橋文乃さん」

    文乃「あ、あなたは!?」

    「私は神です。主に食と乳を司っています」

    文乃「食と…父?」ホエ?

    「そのちちではありません。胸です胸。バスト、二つの双丘」

    文乃「なるほど、平原は対象外と?」ピキッ

    「いえ、神は常に平等です。平原はおろか水平線でもクレーターでも。とにかく突起さえ付いていればそれは乳なのです」

    文乃「突起って…(///)いやそうかもしれませんけど(ていうかクレーター? 一体どんな…)」ゴクリ

    「まあ意義について語り合うのはまた今度にいたしましょうか。さて、古橋文乃さん」

    文乃「は、はい」


    290: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:24:58 ID:dJxVpxUY

    「あなたの飽くなき食への追求と巨*への渇望に、私はいたく感心しました。よって、あなたの望みを叶えるべくこの地に連れてきたのです」

    文乃「ほ、本当ですか?」

    「ええもちろん。これまで本当によく耐えてきましたね。まな板、つるぺた、胸部装甲、大陸棚、ニューホライズン、永遠のゼロ、Dr.ストーン、地球の重力に逆らいし者。数々の蔑称はさぞやあなたの心を苦しめたことでしょう」ヨヨヨ…

    文乃「ほとんどが今はじめて浴びせられた言葉なんですが…」

    「それも今日で終わりを告げるのです!」バッ!

    文乃「スルーしやがった。だよ」

    「さあ古橋文乃さん。そこにBからJまでのアルファベットを付けたお饅頭を用意しました」

    文乃「わ、いつの間に」

    「想像の通り、食べたお饅頭がそのままあなたのバストサイズへと変わるのですが…果たしてどれを選びますか?」


    291: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:26:26 ID:dJxVpxUY

    文乃「じゃ、じゃあG…いえ、Jです! Jを選ばずして何を選べと!?」キリッ!

    「流石は古橋さん。まさに渇望の女王と呼ぶに相応しい選択です。しかしよろしいのですか? 副作用として酷い肩凝りや、イミテーション(パッド)疑惑があなたを待ち受けているのですよ。ここは現実的にC~E辺りで手を打ってみては?」

    文乃「いえ…私の周りは既にGまでが日常の一部と化しています。それでは私は戦えません。JはジャンプのJ。今の私には、大いなる飛躍が必要なんです!」キリッ!

    「そうですか…あなたの覚悟、しかと承りました。ではこれを授けましょう。あなたに希望の未来があらんことを」

    文乃「ありがとうございます神さま、いえ…乳神さま! このご恩は一生忘れません!」ウルウル

    乳神「ええ……それでは」ニコッ

    スゥーッ…

    文乃「……行っちゃった。あとはこれを食べるだけ。長い道のりだったけど、これでようやく一緒にブラを買いに行けるよ。りっちゃん、うるかちゃん!」

    文乃「いただきまーす!」パクッ!

    --痛あっ!

    文乃「へっ?」パチッ


    292: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:29:02 ID:dJxVpxUY

    文乃「ほ、本当にごめんね成幸くん…」ハワワワ…

    成幸「い、いや大丈夫だよ古橋。幸い耳たぶだし、噛まれたといっても一瞬だったからさ。それにもう痛みは引いてきてるし」ハハ…

    理珠「とはいえ歯形がしっかり残ってますね。少し血も滲んでますし、絆創膏などで隠してみては?」

    文乃「そ、そうだね…成幸くん、動かないでね」ピトッ-

    成幸「あ、ああ…悪いな」///

    理珠「それにしてもいきなり成幸さんに噛みついたのでびっくりしました。一体どんな夢を見たというのですか? 文乃」

    文乃「………」

    成幸「古橋?」

    文乃「……うん。とっても良い夢だったよ。だけど…その分だけ起きたときの現実は辛くなるの。だからさあ、聞かないでくれると嬉しいなあ。りっちゃん…」ウルウル

    成幸(一体どんな夢を見たんだ…)タラーッ


    293: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:30:43 ID:dJxVpxUY

    --数時間後、メイドカフェ・ハイステージ

    あすみ「悪いな後輩。急に呼び出しちまって」

    成幸「いえ、大丈夫です。それにしても今日はかなり混雑してますね」

    あすみ「ああ。イベント期間中なうえにウェイターが一人病気でダウンしちまったからな。マジで助かったよ。悪いが予備の服も無いんでエプロンだけ付けたら早速入ってくれ」

    成幸「わかりました。ならもうOKです。運ぶのはこのオムライスでいいですか?」ヒョイッ

    あすみ「ああ、15番テーブルまで運んでくれ。ケチャップはアタシが向こうでかけるから」スタスタ…

    成幸「わかりました」スタスタ…


    294: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:31:40 ID:dJxVpxUY

    あすみ「お待たせしました~。あなたのピクシーメイドあしゅみぃがお料理をお届けにあがりました~♪」キラキラ-

    客1「待ってました。あしゅみーちゃん!」パチパチ

    客2「んほぉ~今日もよろしく頼むね」

    あすみ「はい! 精一杯ご奉仕させていただきましゅみ~♪ それでご主人様。本日はオムライスにどんなメッセージをご希望されましゅみ?」

    客1「あ、じゃあ俺は名前で」

    客2「僕はハートマークをお願い」

    あすみ「了解でしゅみ♪ じゃあ早速……っ!?」ピタッ

    客1「どうしたの? あしゅみーちゃん」

    あすみ「ご、ご主人様…そ、そのTシャツは…?」

    客1「あ、気付いてくれた? この間こいつと例のあのランドに行ってきたんだよねー。そこで買ったTシャツなんだけどほらほら、かわいいでしょ」

    あすみ「ひっ!?(げっ歯類!)」バッ!!!

    成幸「え? わっ!」ドンッ!!

    ドガシャーン!


    295: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:33:09 ID:dJxVpxUY

    客2「う、うわ? だ、大丈夫? あしゅみーちゃん」

    あすみ「……だ、大丈夫でしゅみー。ちょっと足を滑らせちゃって。こんな粗相をしてしまった私を叱ってもらえますか? ご主人様」ウルウル

    客1「も、もう仕方ないなー、あしゅみいは…」

    客2「こ、今度から気をつけるんだよ」

    あすみ「はい! ありがとうございますご主人様。次はちゃんとできるよう頑張りましゅみ~♪」ニパッ

    客1・2「んほぉ~! あしゅみいちゃん最高ぉぉッ!!」

    成幸「……」ホッ…


    296: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:34:23 ID:dJxVpxUY

    --控え室

    あすみ「すまん後輩! 大丈夫だったか?」

    成幸「あ、はい。何ともないです。先輩の方こそ大丈夫でしたか?」

    あすみ「ああ、後輩が受け止めてくれたおかげだよ…っておいおい!? 袖にケチャップ付いてんじゃねーか」

    成幸「あ、本当だ。いやでもこれくらいなら家で染み抜きすれば大丈夫ですから。気にせんで下さい。今は時間も無いですし」

    マチコ「あしゅみー! お呼びだよー!」

    あすみ「ちっ、アタシが洗いたかったけど、そんな暇も無さそうだな。すまん後輩、もし取れなかった時はクリーニング代払うから。またアタシに言ってくれよな」

    成幸「わかりました。ありがとうございます」


    297: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:35:18 ID:dJxVpxUY

    あすみ「しっかしそのケチャップ跡、まるでキスマークみたいな形してんのな」

    成幸「あ、やっぱりそう見えますよね…」ズーン

    あすみ「まあな。よく見たら服にも手首にも付いてるじゃねーか。もしかして耳たぶの絆創膏もソレ系か? 全くモテる男は辛いな後輩」ニヤニヤ

    成幸「う、その…言っときますけど、決して先輩が思ってるような経緯で付いたものじゃないですからね」ジロッ

    あすみ「どうだか。お前なら全部本物って言われてもおかしくないと思うけどな」

    成幸「何言ってるんですか。そんなことあるわけないでしょう?」

    あすみ「なんなら一つくらい本物作ってやろうか? アタシなら一向に構わないぞ?」クイクイッ

    成幸「あーもう! 時間ないんですよね!? 仕事に戻りますよ先輩!」///

    あすみ「ひっひっひ。やっぱカワイーな。後輩は」ニコッ


    298: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:36:18 ID:dJxVpxUY

    --数時間後・帰宅途中

    成幸「ふう…疲れた」

    成幸(結局あれから休む暇なく動いてたなあ。制服のシャツも洗わないといけないし、今日はさっさと--)スタスタ…

    真冬「………」チョコン

    成幸(……うん、何となく予想はしてた。予想はしてたけど)ハア…

    成幸(先生…またトラブルに巻き込まれて…? いや、でもたまには先生自身の力で解決してもらわないと。ここは心を鬼にして)スタスタ

    真冬「ぁ……」

    成幸(見ないフリ、見ないフリ、見ない……)チラッ

    真冬「………っ」グスッ…

    成幸「~~~っ!」


    299: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:37:36 ID:dJxVpxUY

    成幸「…で、今日は何があったんですか? またゴキブリとか」ハア…

    真冬「き、禁句。その忌まわしい言葉を口にしないで! …でもその通りよ唯我君。あの虫と地下で遭遇してしまったの」

    成幸「ん? 地下」

    --説明後

    成幸「……つまり、明日はゴミの日だから今日中に地下のゴミ置き場に捨てに行ったんですよね。だけど途中にゴ…がいたから慌ててゴミを置いて逃げ帰ってしまったと」

    真冬「その通りよ唯我君。結構な量だったから、そのまま放置していては近所の人に迷惑がかかってしまうわ」

    成幸「それにしたってずっとマンションの前で待ち続けているとか…今日だってたまたま俺が通りかかったから良かったですけど」ハア…

    真冬「ほ、他に方法が思いつかなかったのよ。それに…あそこに座っていれば唯我君に会えるような気がしたから…」ボソッ…

    成幸「え…?」ドキッ

    真冬「っ!」ハッ!?


    300: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:38:09 ID:dJxVpxUY

    真冬「も、勿論! できれば助けてもらえたらと思っていただけよ。他意は無いわッ!」///

    成幸「そ、そうですよねッ! 勿論心得ておりますっ!!」///

    真冬「コホン…そういうわけで、一緒に地下へ来てほしいのだけれど…お願いできるかしら? 唯我君」

    成幸「ええ、わかりました」


    301: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:39:15 ID:dJxVpxUY

    --下り階段・踊り場

    成幸「(そういやこの時間に来るのは初めてだな…)結構暗いんですね」

    真冬「電灯。階段を降りた先の通路に明かりのスイッチがあるわ」

    成幸「じゃあまずはそれですね。それと先生、そんなに袖を引っ張られると歩きにくいんですが…」チラッ

    真冬「ご、ごめんなさい。アレがどこから出て来るのかわからないから、つい…」ギュッ

    成幸「(参ったな…)わかりました。じゃあせめて袖じゃなくて俺の手を握っててもらえますか?」

    真冬「え?」

    成幸「こっちの方がまだ動きやすいですから。退治するなら片手で事足りますし」ヒラヒラ

    真冬「唯我君…」

    成幸「そういうわけなんで。さっさと行って終わらせてしまいましょう」スッ…

    真冬「え、ええ…」スッ…

    ギュッ-


    302: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:43:03 ID:dJxVpxUY

    --地下

    …カチッ

    パッ、パッ、パッ-

    真冬「完了。電気がついたわ」

    成幸「見たところ異常は無さそうですね。先生が持ち込んだゴミはどこですか?」

    真冬「もう少し奥の方ね。確かそこの角を曲がった辺りだったと思うけど…」

    成幸「わかりました。じゃ行きましょうか」キュッ-

    真冬「ええ」


    303: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:44:40 ID:dJxVpxUY

    成幸「……」スタスタ…

    真冬「……」スタスタ…

    真冬(…………唯我君の手、大きくて暖かい。普段はあんな様子でも、やっぱり男の子なのね…)

    真冬(……不思議。さっきはあれだけ震えていたのに、今は心が落ち着いている。そういえば…以前銭湯に行った時も--)

    --何かしら…この包まれるようなほっとする感覚…心地いい……

    真冬「……」トクン…

    成幸-「…先生?」

    真冬「ひゃっ!? な、何かしら? 唯我君」ビクッ!

    成幸「着きましたよ。このゴミ袋の束ですよね?」

    真冬「え、ええ。間違いないわ…」ドキドキ…

    成幸「結構ゴミ置き場に近かったんですね。これなら早く終わりそ--」ヒョイッ


    304: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:48:30 ID:dJxVpxUY

    ゴキブリ「……」コンニチハー

    成幸「あ」

    真冬「~~~~っ!?」ギュウウッ!!!

    成幸「いだだだ先生強い強い! 背骨! 背骨折れちゃうって、あっ!?」グラッ

    真冬「きゃっ!」

    ドガシャーン!! --CHUッ

    成幸「!?(いま首の裏に柔らかい感触が!?)」


    305: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:49:01 ID:dJxVpxUY

    真冬「ご、ごめんなさい…怪我はない? 唯我君っ」ムクッ

    成幸「え? は、はいっ…! そ、それよりゴキブリは?」キョロキョロ

    ゴキブリ「……」ココダヨー

    真冬「ひっ!」ゾワワッ!!

    成幸「(まずいっ! 雑誌を手放したうえに下敷きになったこの体勢じゃ!)手! 手を離して逃げて下さい! 先生!」

    真冬「手…?」ハッ!?

    ゴキブリ「--♪」カサカサカサー

    真冬「…っ!」ギュッ…

    真冬「拒否…そのまま握っていて。唯我君っ」ヒョイッ

    成幸「(それ、俺の持ってた雑誌!?)先生ッ!?」


    306: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:50:03 ID:dJxVpxUY

    真冬「え、えいっ!!!」ブンッ!

    ゴキブリ「グフゥッ!!」キュウ…

    シーン……

    成幸「……あ」

    真冬「……や」

    ギュッ!

    真冬「や、やったわ唯我君! 初めてあの虫を退治できたわ!」パアアア

    成幸「す、すごいです! やりましたね、先生!」パアアア

    成幸・真冬「…っ!?」ハッ!?

    真冬「ま、まあ…あまり浮かれるようなことでも無いのだけれど…」パッ!

    成幸「(お、思わず両手で握り合ってしまってた)そ、そうですね!」パッ!


    307: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:51:06 ID:dJxVpxUY

    真冬「………」ドキドキ… ///

    成幸「………」ドキドキ… ///

    真冬「……か、解決。元凶も退治したことだし、そろそろ作業を再開しましょう」プイッ

    成幸「は、はい…」


    308: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:54:14 ID:dJxVpxUY

    ゴソゴソ…

    成幸「よいしょっと……ゴミ袋集め終わりましたよ、先生」

    真冬「ええ、いまゴミ置き場の扉を開くわ。……あとその、唯我君」

    成幸「はい」

    真冬「謝辞。こんなこと頼めるの君しかいなかったから、その…いつもありがとう」///

    成幸「いえ、いつも先生にはお世話になってますから」ニッ

    真冬「ええ。それじゃ開けるわね」ガチャ

    ゴキブリ「……」カサカサカサカサ

    成幸「………」タラーッ

    真冬「………っ」グラッ

    バターン!

    成幸「し、失神!? しっかりして下さい先生! 桐須先生ーーー!!!」ガビーン!!


    309: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:55:17 ID:dJxVpxUY

    --数十分後・唯我家

    成幸「ただいまー」ガラガラー ピシャッ

    葉月「あ、兄ちゃん帰ってきた」

    和樹「兄ちゃんおかえりー」

    成幸「おー、ただいま」

    水希「お帰りなさいお兄ちゃん♪ 今日は学校どうだった?」ニコニコ

    成幸「ああ、まあいつも通りだったかな。とはいえ今日はやけにトラブル続きだったけど」ハア…

    水希「そっかあ。大変だったねお兄ちゃん(よし!)」キュピーン


    310: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 17:57:26 ID:dJxVpxUY

    成幸「ああ…で、そのことで水希に頼みがあるんだが」

    水希「何なに? 何でも言ってお兄ちゃん! そ、その…お、お兄ちゃんが望むのだったら私の方はいつでも--」

    成幸「サンキュー。いや実はさっき言ったトラブルで制服のシャツがあちこち汚れちゃってな。悪いけど染み抜きしてほしいんだ」

    水希「(なーんだ…)うんわかった。早速洗ってくるから、まずはブレザーを脱がないと」

    成幸「お、おい…自分でやるって」

    水希「いーのいーの。お兄ちゃん疲れてるんだから私に任せ……て…?」

    成幸「……水希?」


    311: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 18:00:31 ID:dJxVpxUY

    水希「おおおおお兄ちゃん……そ、そのシャツに付いてるのって……もしかしてキ、キキキキスマーク?」

    成幸「へ…? あ! いやこれは違うぞ! 近くでよく見てみろって」グイッ

    水希「て、手首にまで!? そ、それに…その耳たぶに張られた絆創膏も…もしや…?」

    成幸「あ、いやこれはその…」

    水希「(ま、まさか消えてたの? 私の付けたマークが!)お、お兄ちゃん、ちょっとだけ後ろ向いてみて!」

    成幸「ん? あ、ああ…」クルッ


    312: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 18:01:22 ID:dJxVpxUY

    水希「ブッフォ!!!」バターン

    葉月・和樹「うわああっ? 水希姉ちゃんが倒れたー!?」

    成幸「ど、どうしたんだ水希!? しっかりしろー!!!」

    水希(ふ、ふふ…。私の付けたキスマークを消すどころか上書きするなんて…やるわね。緒方さん、古橋さん、そして…まだ見ぬ嫁候補たち。だけど、次こそ…は……)ガクッ

    成幸「み、水希ーー!!!」ガーン!



    313: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/10(水) 18:02:52 ID:dJxVpxUY

    幕間

    --水希が倒れた同時刻・真冬の部屋

    真冬「ふう…久々に部屋がすっきりしたわね。けど…」

    真冬(疑惑。あの虫に驚いていたからよく覚えていないけど…唯我君の上に倒れこんだ時に、唇に触れたのって…)スッ…

    真冬「………」トクン…

    真冬「……っ!」ブンブンッ

    真冬「さ、些事! こんなこと気にしていてもしょうが無いわね」///


    320: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/11(木) 06:19:24 ID:GiPOfnJU


    幕間2

    --深夜

    --キラキラキラキラ

    乳神「またお会いしましたね。古橋さん」ニコッ

    文乃「おととい来やがれ! だよ!!!」#


    317: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/11(木) 02:16:42 ID:hdcl2HDk

    おつんここ
    一回の更新量多くてええな


    321: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/04/11(木) 17:02:30 ID:io5vwtwM

    おつおつ


    326: 以下、名無しが深夜にお送りします 2019/06/14(金) 13:13:34 ID:QFeHNXPc

    好き♡


    引用元: 【ぼく勉】成幸 「桐須先生と結婚か…」

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