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    綾波「綾波レイの消失」

    1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 00:15:39.46 ID:0F+UGHIsO

    シンジ「ん……」

    シンジ「う…うわぁ!こんな時間だぁ!」

    シンジ「今日は朝からシンクロテストだったんだ!急がないと遅刻しちゃう…」

    シンジ「ミサトさんとアスカは…先に行っちゃったのか…。」
    シンジ「…リツコさんにまた嫌味、言われちゃうんだろうな。」

    ネルフ本部内

    ミサト「あーら、遅かったわね。シンジ君」

    リツコ「32分18秒の遅刻…重役出勤ね。」

    シンジ「す…すいません…」

    リツコ「でも、シンジ君が遅刻するなんて珍しいわね。」

    リツコ「起こさなかったミサトの責任もあってよ。」

    ミサト「だってぇー」

    マヤ「シンジ君、早くプラグスーツに着替えてね。」

    マヤ「はい、これ。」




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    2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 00:16:52.35 ID:0F+UGHIsO


    ミサト「着替え終わったー?」
    シンジ「終わりましたよ。」

    ミサト「そいつは結構。」

    ミサト「じゃあ、今日も一発!リツコを唸らせる数値、期待してるわよー!」

    シンジ「そんなこと言われても…。」

    アスカ「あ、バカシンジ。アンタ今更来たの?」

    アスカ「本当、無自覚。無警戒。おまけに無計画ね。」

    シンジ「ごめん……」

    アスカ「ほら。さっさとしなさいよ。」

    アスカ「全く…ここが空軍ならアンタ、三食抜きの上に戦闘機の燃料にされても文句言えないわよ。」

    シンジ「ごめん……」

    アスカ「あぁ!もうさっきからごめんごめんうるさいのよ!」

    アスカ「日本人は謝れば良いとでも思ってんのかしら!」

    シンジ「……………」

    シンジ「………………ごめん」


    3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 00:20:47.65 ID:0F+UGHIsO

    マヤ「それじゃあパイロットは搭乗準備して下さい」

    シンジ「あれ………」

    ミサト「どうしたの?シンジくん?」

    シンジ「今日は僕とアスカだけですか?」

    ミサト「え?」

    シンジ「いや、エントリープラグが2つしかないんで」

    ミサト「ちょ………やぁねぇwwwシンジくんwwwwwwww」


    5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 00:22:02.87 ID:0F+UGHIsO

    アスカ「アンタ…まだ寝ぼけてんの…?」

    シンジ「もしかして綾波は…呆れて帰っちゃったんですか?」
    アスカ「アヤナミ?」

    ミサト「アヤナミって誰よwwwwww」

    シンジ「綾波レイですよ。」

    マヤ「…ここにいるパイロットはあなたとアスカだけよ。大丈夫?」

    シンジ「え………」

    リツコ「アヤナミレイなんてパイロットは存在しないわ。」

    リツコ「遅刻した上に寝ぼけてるなんて…ミサト、監督不行き届きもいいところよ。」

    ミサト「ちょwwwなんで私の責任になんのよwwwwwwww」


    7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 00:23:34.34 ID:0F+UGHIsO

    ガチャっ

    リツコ「………?」

    ???「ごめんなさい!遅れてしまいましたわ!」

    シンジ「…………!」

    ???「全くあなたが中々起きないから…」

    ???「皆さんごめんなさいね。」

    シンジ「綾波!綾波じゃないか!」

    アスカ「…アンタ本当に大丈夫?風邪でもひいてんじゃないの?」

    シンジ「でもアレはどうみたって…!」

    マヤ「さっきから言ってる様にアヤナミなんて子は居ないし、第一……」

    リツコ「第一、あの女性はあなたのお母さん、碇ユイ副司令よ。」

    シンジ「母………さん?」


    8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 00:27:44.79 ID:0F+UGHIsO


    ユイ「ほら、あなた。」

    ゲンドウ「す……すまなかった。」

    ユイ「シンジ、おはよう。」

    ゲンドウ「おはよう。」

    シンジ「母………さん」

    リツコ「それじゃあシンクロテスト、始めるわよ。マヤ。」

    マヤ「はい。センパイ!」

    シンジ「…………」

    ミサト「親子で遅刻wwwwwwww」



    9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 00:29:13.96 ID:0F+UGHIsO

    マヤ「シンジ君のシンクロ率下がってますね…」

    リツコ「あら。本当ね。最近ずっと調子よかったのに」

    ミサト「さっきのやりとりの影響かしら…」

    リツコ「まさか。寝ぼけた位じゃシンクロ率はそう変わらないわ。」

    ユイ「さっきのやりとり?」

    ミサト「シンジ君が、いるはずのないパイロットの名前を何度も言うんです。」

    ミサト「確か…『アヤナミ』…」

    リツコ「『アヤナミレイ』ね。」

    マヤ「各国のネルフ支部のデータベースで調べて見ましたが『アヤナミレイ』などという人間は…」
    マヤ「言い間違えの可能性を含めてもパイロット、パイロット候補共に存在しませんでした。」

    ユイ「……あなた」

    ゲンドウ「ああ。」

    ミサト「何か心当たりでも?」
    ゲンドウ「いや。今日はもう切り上げよう。」

    ゲンドウ「ご苦労だったな。」

    ミサト「…………」


    10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 00:34:38.93 ID:0F+UGHIsO

    更衣室

    シンジ「……なんで綾波が居なくなって………母さんが………」

    シンジ「もしかして綾波が居なくなったって嘘ついて僕をからかってるんだとしたら」

    シンジ「…でもあれは似てるけど…綾波じゃない。」

    ミサト「シンジ君?ちょっといい?」

    シンジ「……なんですか。」

    ミサト「その…調子…悪いみたいだから」

    シンジ「別に…大丈夫ですよ。」

    シンジ「それより、聞いていいですか」

    ミサト「ええ。」

    シンジ「本当に…『綾波レイ』をミサトさん達は知らないんですか?」


    11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 00:35:34.82 ID:0F+UGHIsO

    ミサト「知らないわ。」

    シンジ「からかっている訳でもなく?」

    ミサト「…ネルフのデータベースも調べたわ。間違いなく『アヤナミレイ』は存在しない。」

    ミサト「もちろん。からかってもいない。」

    シンジ「じゃあ…彼女は何だったんでしょう」

    シンジ「間違いなく、綾波はいたんだ!僕に笑ってくれたんだ!綾波は………」

    シンジ「綾波はここにいたんだ…。」

    ミサト「シンジ君。貴方、本気なの?」

    シンジ「もちろんですよ」

    シンジ「綾波が居なくなって、死んだはずの母さんが居る。」

    ミサト「アヤナミレイ…か。」

    ミサト「…わかったわ。シンジ君。私はあなたを信じる。」

    ミサト「シンジだけにwwwwwwww」


    12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 00:36:27.56 ID:0F+UGHIsO

    ユイ「あなた、さっきの話…」

    ゲンドウ「何故シンジが『アヤナミ』『レイ』を知っていたか。」

    ユイ「男の子なら『シンジ』、女の子なら『レイ』」

    ゲンドウ「そして人工パイロット育成計画『アヤナミ』」

    ユイ「でもあの計画は廃案になったはず。『アヤナミレイ』はやはり存在しないわ」

    冬月「しかし、お前の息子は存在していたと主張しているが。」

    ユイ「シンジは一体…」

    ゲンドウ「ああ。シンジは多分、本気で言っていたのだろう。」

    冬月「シンクロ率の大幅な低下が証拠か」

    ゲンドウ「……。」


    14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 00:41:22.05 ID:0F+UGHIsO

    ミサト「シンジ君。とにかく今日は学校へ行きましょう。」

    ミサト「アスカも待ってるわ。」

    シンジ「…はい。」


    第三新東京市第一中学校

    トウジ「シンジーうらやましいなぁ!ミサトさんに送ってもろうて!」

    シンジ(綾波……綾波の席……)

    トウジ「そこは空席やで。だれも座っとらん。」

    シンジ「やっぱり……そうなんだ」

    トウジ「机の中漁っても工ッチな本は出てきぃへんでー。」

    シンジ「そんなこと位分かってる!」

    ケンスケ「おおーこわっ」

    シンジ「…………!」



    15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 00:42:32.74 ID:0F+UGHIsO


    シンジ(封筒…。)

    封筒には『碇君江』と書かれている。

    ケンスケ「碇ー!何か見つけたのか?」

    トウジ「工ッチな本かいな!」
    シンジ「違うよ。大したもんじゃない。」

    トウジ「見せてみろや!」

    シンジ「大したもんじゃないって言ってるでしょ!」

    トウジ「………」

    ケンスケ「おおーこわっ」


    アスカ「………」


    18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 00:45:41.48 ID:0F+UGHIsO

    アスカ「ちょっと、バカシンジ」

    アスカ「あんた何か変よ。」

    シンジ「別に大したことじゃないよ。」

    アスカ「『アヤナミレイ』って一体誰なのよ。」

    シンジ「…アスカには関係ないよ。」

    アスカ「アンタ………人が折角心配してるのにその態度はなんなのよ!」

    シンジ「……言ったってどうせ信じてくれない。」

    アスカ「…………信じるか信じないかは私が決める事よ」

    シンジ「…………」

    アスカ「そ。いいわ。別に他人に干渉してもろくな事ないしね。」

    アスカ「心配して損したわ。」

    シンジ「…………」


    19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 00:48:47.84 ID:0F+UGHIsO

    本当に綾波レイは居なくなってしまった。
    トウジ達にも確かめて見たけど「そんな奴知らへん」の一点張り。
    クラス名簿も見てみた。
    でも『綾波レイ』なんて文字は印刷すらされていなかった。
    ミサトさんも知らない
    アスカも知らない
    でも、この世界には代わりに『母さん』が存在する。
    父さんも何だか優しい。
    僕は『母さん』をもっと良く知りたい。
    優しい父さんと一緒にいたい。
    だから僕は何となく封筒を開けることを躊躇ってしまった。

    もしかしたらこの封筒はまた綾波に会えると言う希望なのかもしれない
    でもまた…あの嫌な世界に戻る絶望でもあったから。


    20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 00:54:11.31 ID:0F+UGHIsO

    委員長「碇君。」

    シンジ「何?」

    委員長「お母さんとお父さんが迎えに来てるそうよ。」

    シンジ「父さんと母さんが?」

    委員長「6時間目のプリントはアスカさんか鈴原に渡しておくから。」



    校門に出ると黒塗りの車が止まっていて、その前に二人の男女が立っていた。

    ユイ「ごめんなさいね、シンジ。急に呼び出したりして。」

    ユイ「ちょっと、今朝の事で話があるのよ。」

    シンジ「………?」

    ゲンドウ「とにかく、乗れ。」


    21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 00:57:56.92 ID:0F+UGHIsO

    車内

    ユイ「こうしてゆっくり話すのも久しぶりね。」

    ユイ「研究が忙しくて…なんて言い訳にならないわね。ふふ。」

    シンジ「…………」

    ユイ「どうしたの?ボウッとしちゃって。」

    シンジ「いえ。母さん……なんだなって。」

    ユイ「ふふ。当たり前じゃないシンジ。」

    これが母さん。あんまり記憶は無かったけど、
    やっぱりこの人は母さんなんだな、と懐かしくなった。

    ユイ「さて、本題よ。あなた。」

    ゲンドウ「…ああ。」

    ゲンドウ「シンジ、お前は何故『アヤナミレイ』の名を知っている。」

    シンジ「………!」


    23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 01:04:00.29 ID:0F+UGHIsO


    シンジ「父さんは綾波を知ってるの!?」

    ゲンドウ「シンジ、まずは私の質問に答えろ。話はそれからだ。」

    ゲンドウ「何故お前は『アヤナミレイ』を知っている」

    シンジ「何故って…」

    シンジ「昨日まで一緒にエヴァに乗って使徒と闘ってたから…」

    ゲンドウ「『アヤナミレイ』と、か。」

    シンジ「はい。」

    ゲンドウ「しかし、この世界に『アヤナミレイ』たる人間は存在しない。」

    ゲンドウ「いや。…してはならなかった」

    シンジ「…?」


    25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 01:13:50.52 ID:0F+UGHIsO


    ユイ「当初、エヴァに乗るパイロット候補者が少なかった」

    ユイ「だから人工的にパイロットを育成する計画が提案された。」

    ユイ「受精卵の段階からパイロットに適する様に子供を育てる、というもの。」

    ユイ「しかし、どこからか情報が漏れた。」

    ユイ「非人道的だと言う意見がかなり出て…その計画はやむ無く中止された。」

    ユイ「で、その計画が『アヤナミ計画』よ」


    27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 01:24:18.90 ID:0F+UGHIsO

    ユイ「そしてその計画の被験者の受精卵の卵子と精子は」

    ユイ「私達のものだった」

    シンジ「……………」

    ユイ「ごめんなさいね。ちょっと嫌な話だろうけど…」

    ゲンドウ「私達はお前が生まれる前、子供に何という名前をつけるか話し合った」

    ゲンドウ「男なら『シンジ』女なら『レイ』」

    ユイ「だから私達はその被験者に『アヤナミレイ』と名付けるつもりだったの」

    ユイ「『アヤナミ計画』については私達の他にも知る人はいたけれど」

    ユイ「『レイ』に関しては私とゲンドウさんしか知らないわ』

    シンジ「そう…なんだ。」

    ユイ「シンジ、今度はあなたが私達に知っている事を喋って欲しいの」

    ユイ「いいかしら?」

    シンジ「…はい」


    29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 01:32:15.53 ID:0F+UGHIsO

    僕は母さんと父さんに昨日までに起こったことを全て話した。
    母さんは死んでいてほとんどの母さんのことを忘れていたこと、
    父さんが僕を捨てたこと
    そして父さんにいきなりエヴァに乗せられたこと
    ケガをした綾波と出会ったこと
    エヴァに乗って痛かったこと
    ミサトさんと同居することになったこと
    ネルフを逃げ出したこと
    トウジ達と友達になったこと
    またエヴァに乗って痛い思いをしたこと
    綾波が僕を守ってくれたこと
    作戦が上手くいって使徒を倒したこと
    綾波が笑ってくれたこと
    アスカが日本にやってきたこと
    加持さんがカッコイイこと
    アスカと同居してたこと
    綾波が肉が嫌いだったこと

    そして…父さんに初めて誉められたこと

    全部を話した。


    30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 01:39:56.77 ID:0F+UGHIsO

    話終えると父さんはうつ向いていた
    母さんはいきなり
    …僕を抱き締めた。

    ユイ「…シンジ、よく頑張ったわね。」

    ユイ「そう。そうね。世界には多くの選択肢や世界があるもの。」

    ユイ「ごめんなさい。こんな事しか言えなくて。」

    その後、母さんは更に僕をギュッと抱き締めた
    懐かしくて懐かしくて仕方なくなって、
    どうしたらいいか分からなくなった。


    33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 01:50:25.42 ID:0F+UGHIsO


    ゲンドウ「この世界はお前の話す世界とは違う」

    ゲンドウ「ユイも生きている。私もそんな無茶はさせない。」
    ゲンドウ「それに私はお前を愛している」

    父さんの口から昨日までの父さんでは考えられない言葉が出る。

    ゲンドウ「お前の言葉を信用した上で言おう。」

    ゲンドウ「お前はどうしたい?」

    シンジ「どうしたいって…?」

    ゲンドウ「『アヤナミレイ』が消えたと言うより、『お前』がここに『来た』のだろう」

    ゲンドウ「戻りたいのか、ここに留まりたいのか」

    シンジ「それは………」

    シンジ「…………分かりません」


    34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 01:56:55.05 ID:0F+UGHIsO

    父さん達はこれから仕事がある、
    と言うのでこの件についてはまた夜に話し合うことになった。
    それまで僕はネルフ本部に待機。
    この後シンクロテストも無いので適当にブラつく事にした。

    加持「やあ、シンジ君。」

    シンジ「加持さん。こんにちは。」

    加持「探したよ。」

    シンジ「僕を…ですか?」

    加持「ああ。ちょっといいかな?」

    シンジ「…はい」

    加持「じゃ、いい所にいこうか」

    シンジ「いいところ?」


    35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 02:06:11.84 ID:0F+UGHIsO


    加持「いい所だろう!」

    シンジ「…ははは」

    僕の予感は的中した。
    毎度お馴染みのスイカ畑である。

    加持「なんだ、『またか』って顔してるな?」

    シンジ「そんな………」

    加持「そっちの世界の俺はもう君を連れてきてたのか。ここに。」

    シンジ「加持さん……?」

    加持「葛城から相談されてね。『シンジ君が大変だ』って」

    シンジ「ミサトさん…朝は僕の話を笑って…」

    加持「こっちの葛城はそう言うヤツなんだよ。」

    加持「まあアレだ。俺なりに色々調べて……」

    加持「いや、誤魔化しても仕方ないな。」

    加持「君とご両親の会話を聴かせて貰ったよ」


    36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 02:12:14.93 ID:0F+UGHIsO

    シンジ「聴いてたん…ですか」

    加持「ただ、一応俺なりに調べた結果だ。」

    加持「『アヤナミ計画』に行き着いたのは良いものの、どうしても『レイ』の出所が分からなくてな。」

    加持「だからそれに関わっていた」

    シンジ「父さんと母さんを?」
    加持「すまない。ただあの葛城が尋常じゃなくてな…どうにか力になってやりたかった」

    シンジ「…………」

    シンジ「…ミサトさん、僕を心配してくれてたんですか。」

    加持「ああ。」

    シンジ「加持さんはどう思います?」

    加持「戻るか、留まるか?」

    シンジ「はい」


    40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 02:21:48.46 ID:0F+UGHIsO


    加持「それは君自身が決める事だ。俺には口出しする権利はないよ。」

    シンジ「…………」

    加持「…君はこの世界に愛着はあるかい?」

    シンジ「愛着?」

    加持「好きか嫌いかとはまた違う。愛着さ。」

    加持「愛着があるものは忘れられないし、手放すのは嫌だろう?」

    シンジ「綾波と…もう一度会いたいです。でも」

    加持「元の世界は辛いから、嫌か。」

    シンジ「はい。」

    加持「そうか。…どちらにせよ、きちんとどちらかを選んで、そこで生きる」

    加持「『仕方がないからこっちだ』とか『仕方がないから』ってのは一番いけない。」

    加持「どちらかに決めろ。」

    加持「俺は君が決めた世界で君が生きられる様に協力するまでだ。」

    シンジ「……………」


    42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 02:31:57.25 ID:0F+UGHIsO

    シンジ「どちらかに決める…か」

    アスカ「シンジ」

    シンジ「アスカ…」

    アスカ「暇ならご飯、付き合ってよ。」

    アスカ「おばさん、スペシャル定食2つ」

    アスカ「私が奢るんだから、残したら許さないわよ」

    シンジ「はい。」

    アスカ「美味しいでしょ。私のオススメよ。」

    シンジ「うん」

    アスカ「もうちょっと美味しそうに食べなさいよ」

    シンジ「うん」

    アスカ「…あんたさぁ、朝からずっとつまんなそうな顔、してるわよ」

    シンジ「そう…?」

    アスカ「もういいわ。はい、コレ」

    シンジ「なにこれ」


    43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 02:37:16.16 ID:0F+UGHIsO

    アスカ「プリントよ。ヒカリから預かってたの。」

    シンジ「…ありがとう」

    アスカ「鈴原達もその…心配してたわ。」

    アスカ「アンタね。いくら悩んでるからってそういう顔するもんじゃないわ。」

    アスカ「アンタがつまんない顔してると…周りもつまんないのよ。」

    シンジ「ごめん」

    アスカ「謝んなくていいわ」

    シンジ「………うん」

    アスカ「とにかく、アンタがそんな顔してる原因はなんなのよ。」

    アスカ「周りも迷惑なのよ。そんなことも分かんないなんて」

    アスカ「アンタバカよ」


    45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 02:45:59.31 ID:0F+UGHIsO


    シンジ「………アスカ」

    シンジ「これ……」

    アスカ「なにこれ。封筒?堅いもんが入ってるわね。」

    アスカ「開けていい?」

    シンジ「うん」

    アスカ「これって…」

    封筒の中から出てきたのはIDらしきものとメモ用紙だった。

    アスカ「綾波……レイ。」

    IDには綾波の写真と名前が印刷されていた。

    アスカ「やっぱり……いたんだ」

    メモ用紙を広げる。


    「あなたがもしも帰りたいなら、あなたと『3人』で約束の場所へ」



    46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 02:54:52.34 ID:0F+UGHIsO


    それは紛れもなく封筒に書かれている「碇君江」の文字と同じであり…
    つまり綾波の字だった。

    (元)綾波の机の中に入っていたのだから綾波が書いたであろうと予想は着いたのだが、
    まさか…。

    紙の続きにはこう書いてあった。

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

    あなたが望めばあなたはそこに留まる事ができるわ。
    またあなたが望めば戻る事もできる。
    でもそれはあなたが嫌でもエヴァに乗らなくちゃならない世界。
    もしそれでも戻りたいなら
    あなたがそちらに行った次の日の日が暮れるまでに。

    -------------------


    47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 02:58:35.27 ID:0F+UGHIsO


    アスカ「『約束の場所』ってどこなのよ」

    約束の場所…

    約束 した 場所

    シンジ「ミサトさんと…向こうのミサトさんと約束した場所なら心当たりがある」

    アスカ「『3人』ってのは?」

    シンジ「多分、ミサトさんとアスカと…」

    アスカ「私と?」

    シンジ「多分だけど…綾波じゃ…ないかなって。」

    アスカ「はぁー?」


    48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 03:04:47.92 ID:0F+UGHIsO

    アスカ「でもそんな子いないってマヤが言ってたわよ」

    シンジ「でも…でもそれしか僕には心当たりが…」

    アスカ「ふぅ…」

    アスカ「まぁ、いいわ。戻るとか戻らないとか良くわかんないけど協力してあげる。」

    アスカ「第一、アンタがそんな顔してると皆迷惑だしね。」

    アスカ「アンタの為じゃないわ。私と…そう。ヒカリとか鈴原とか相田とかの為によ。」

    シンジ「………アスカ。」

    アスカ「そうと決まったら行くわよ」

    シンジ「どこに?」

    アスカ「こういう事は大人に頼るのが一番よ。」

    アスカ「アタシが交渉したげるわ」

    シンジ「はは……よろしくお願いします」


    49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 03:11:17.33 ID:0F+UGHIsO

    アスカ「って訳でミサト、頼んだわよ」

    ミサト「そんな事言われても、存在しない人間を探すなんてムリよー。」

    アスカ「そこを何とかしてって言ってるんじゃない!」

    ミサト「そんなぁーん…」

    加持「おう。葛城か。お困りの様ですね?」

    ミサト「あーんたにだけは頼んないわ。」

    加持「シンジ君に頼まれたんだろ?多分…実在するはずのない人物を探して欲しい…とか」

    ミサト「む…盗み聞きしてたわね」

    加持「いいや。皆目見当はついてたんでね。な、シンジ君?」

    シンジ「は……はい!」

    加持「よし。協力するか。俺、こう言うの得意だしな」

    ミサト「別にアンタに…」

    加持「葛城の為じゃないさ。シンジ君と約束しちゃったからな。」

    シンジ「お…お願いします!」


    50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 03:14:29.93 ID:0F+UGHIsO


    加持「とりあえずここからは大人の出番だ。」

    加持「君達は帰っていいぞ。」

    シンジ「でも…」

    加持「お父さんとお母さんが待ってるんじゃないのか?」

    シンジ「………はい。」

    加持「言って、話をつけてこい。」

    シンジ「はい。」

    アスカ「何かよく分かんないけど頑張んなさいよ。」

    ミサト「私達はシンジ君の味方だから。」

    シンジ「…はい。」


    51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 03:22:02.54 ID:0F+UGHIsO


    司令室

    ユイ「シンジ。お待たせ。」

    ゲンドウ「待たせたな。」

    ゲンドウ「座れ」

    シンジ「はい。」

    ゲンドウ「もう一度問う」

    ゲンドウ「お前は、どうしたい」

    シンジ「戻りたいです」

    ゲンドウ「アヤナミレイに会いたい…からか。」

    シンジ「はい。」

    ゲンドウ「もしも…だ。」

    ゲンドウ「この世界でもアヤナミレイに会えるなら」

    ゲンドウ「お前はどうする」


    53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 03:26:39.77 ID:0F+UGHIsO


    シンジ「父さん…もしかして綾波は…」

    ゲンドウ「親の立場…として。お前の話を聞いて…だ。」

    ゲンドウ「お前にこれ以上辛い想いをさせたくないのだ」

    ゲンドウ「この世界で綾波レイに会えればお前がこの世界に留まるのか」

    シンジ「いえ。」

    シンジ「僕は綾波だけに会いたいんじゃありません。」

    シンジ「僕は僕の知ってる綾波に、アスカに、ミサトさんに会いたいんです。」

    ゲンドウ「どうしても戻りたいのか。」

    シンジ「はい。」

    シンジ「戻る為には綾波が必要なんです。」

    シンジ「父さん、僕を綾波に合わせて下さい」

    ゲンドウ「そうか」


    56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 03:33:43.60 ID:0F+UGHIsO


    ゲンドウ「ならば…」

    ゲンドウ「お前にレイを引き合わせる訳にはいかない。」

    シンジ「……父さん?」

    ゲンドウ「お前に辛い想いをさせたくないのだ」

    シンジ「でも僕は戻りたい!」

    ゲンドウ「黙れ。」

    ゲンドウ「私はお前を守る。そう決めたのだ。」

    ゲンドウ「もう今日は帰れ。送らせる。」

    シンジ「父さん!僕は!」

    ゲンドウ「お前は無理矢理諜報部の連中に引き摺られながら帰りたいのか?」

    シンジ「………」

    シンジ「………わかりました」
    ゲンドウ「帰れ!」



    その時の父さんの口調は
    あの時の父さんと同じだった


    57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 03:37:25.71 ID:0F+UGHIsO


    葛城宅

    ミサト「お帰りしんちゃーん!」

    ペンペン「オックゥワエリィ~」

    シンジ「………」

    ミサト「どしたの?」

    ペンペン「クェ?」

    シンジ「…………寝ます」

    ガラッ

    ミサト「お父さんと何かあったのかしら」

    ペンペン「アッタノクゥワシラ」


    アスカ「……折角手伝うってのに」

    アスカ「…またあの顔してる」


    59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 03:45:25.75 ID:0F+UGHIsO


    前の父さんとは違う優しい父さんが…
    前の父さんと同じに見えた。
    自分でも何を言っているか良くわからないけど
    とにかく、ショックだった。

    綾波さえ見つかれば、もう立ち去るだけの世界。
    関係なくなる世界なのに
    父さんとまたこんなことになるのが凄く悲しかった。

    ミサト「シンちゃん。どうしたの?」

    ミサト「お父さんと話して来たんでしょ。」

    シンジ「…はい。」

    シンジ「でも…ダメでした。」
    シンジ「綾波に合わせて貰えないそうです」

    シンジ「父さんは…僕の気持ちなんてどうだって良かったんです」

    シンジ「親のエゴです。父さんは僕を愛してるんじゃなくて」

    シンジ「僕を愛している父さん自身が好きなんですよ。きっと」

    ミサト「………それは違うわ」


    60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 03:49:22.20 ID:0F+UGHIsO

    ミサト「シンジ君は…元々あんまりお父さんの事が好きじゃないのね。」

    シンジ「父さんは…僕のことを分かってくれないから」

    ミサト「シンジ君は分かろうとした?」

    シンジ「しました。向こうでも」

    シンジ「こっちでも。」

    ミサト「いいえ。『した』つもりなんだわ。」

    シンジ「………そんなことありません。しました。」

    ミサト「じゃあ、お父さんが言った言葉の本当の意味が分かるはずよ。」

    シンジ「…本当の意味ですか?」


    61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 03:54:36.92 ID:0F+UGHIsO

    ミサト「お父さんはどうして『アヤナミレイ』と引き合わせないつもりなのに」

    ミサト「『アヤナミレイ』は存在するって明言したのかしら。」

    シンジ「………えっ」

    ミサト「本当に『アヤナミレイ』に引き合わせたくないだけだったら」

    ミサト「そんな人間はいない!って言い張って隠しちゃえばいいのよ?」

    シンジ「でも…明言したのは…僕が元の世界に戻るには綾波が必要だって言う前だし…」

    ミサト「ネルフの施設には、全ての場所に監視カメラや盗聴機なんかがついてるわ」

    ミサト「つまりネルフ施設内で喋ったことは司令に丸聞こえってワケ」

    ミサト「勿論。私達とあなたの会話もね。」


    62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 03:59:07.80 ID:0F+UGHIsO


    ミサト「シンジ君。多分お父さんは貴方にその覚悟があるのか試したかったのよ」

    ミサト「そこには確かに親のエゴも絡んでるだろうけど」

    ミサト「親が子供の幸せを願ったり、心配したりするのは当然よ?」

    シンジ「…………」

    ミサト「シンジ君はそこまでちゃんと考えた?」

    ミサト「今のお父さんに対しても」

    ミサト「昔のお父さんに対しても」

    シンジ「………」

    ミサト「明日は早いんだから今日はもう寝なさい。」

    ミサト「タイムリミットは日が暮れるまでなんでしょ?」

    シンジ「……はい」

    ミサト「おやすみなさい。」

    シンジ「…………おやすみなさい」


    63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 04:05:15.12 ID:0F+UGHIsO

    ガラッ

    ミサト「これで…明日には立ち直ってくれてるかしら…」

    アスカ「…全く。手間のかかる奴ね。」

    ミサト「まあ、仕方ないわよ。彼は色々辛いことを経験してきた見たいだし。」

    アスカ「親のココロ子知らずか。」

    アスカ「日本人も上手いこと言うわね」

    ミサト「日本人の心情は察しと思いやり」

    ミサト「……なんだけどそれが中々難しいのよね。」

    ミサト「さ、アスカも寝なさい。明日は4時起きよー!」

    アスカ「えーー…」

    ミサト「協力するって言っちゃったんだから」

    アスカ「…分かったわ。おやすみなさい。」

    ミサト「おやすみ。」


    65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 04:10:09.85 ID:0F+UGHIsO

    なんだか眠れなかった。
    父さんのことがぐるぐる頭の中に回って
    いつの間にか新聞配達のバイクの音が聞こえた。
    僕は父さんを分かろうとしていた。
    のではなく「分かったふりをしようとしていた」のだ。
    もしかしたら向こうの父さんとも少しは解り合えるのだろうか。
    そんなことを考えていたら朝になった。

    ミサト「しんちゃーん!」

    ミサト「良く眠れた?…って」
    ミサト「クマが出来てるわよ」
    シンジ「ミサトさん」

    シンジ「おはようございます」

    ミサト「はい。おはよう!」


    66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 04:13:31.03 ID:0F+UGHIsO


    シンジ「おはようアスカ」

    アスカ「…おはよう」

    シンジ「どうしたの?」

    アスカ「眠れなかったのよ。」

    ミサト「シンジ君が立ち直ってるか心配で?」

    アスカ「ち…違うわよ!…ゲーム」

    アスカ「そう!徹夜でレベル上げてたのよ!」

    ミサト「そーう」

    アスカ「そうよ。」

    ミサト「じゃあ、二人共さっさと支度してね」

    ミサト「迎えはもう下に居るみたいよん」


    67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 04:22:19.31 ID:0F+UGHIsO

    加持「よぉ、シンジ君。眠そうだね」

    ミサト「そんなことは良いから、『綾波レイ』の居場所。分かったの?」

    加持「ああ。徹夜で調べてたら何かメールが来てさ」

    ミサト「メール?」

    加持「まあ詳しく説明すると時間喰うから割愛するけど、とにかく、そのメールが役に立ってね」

    加持「居場所が分かったよ」

    ミサト「どこよ?」

    加持「ここさ」

    ミサト「ここって…」

    加持「ネルフの中さ。」

    加持「まあ、AAA級職員しか入れない様になってる。」

    加持「つまりは司令か副司令しか…場合によっちゃリッちゃんしか入れない場所、かな。」

    加持「とにかく、詳しい事は車で話す。乗ってくれ。」

    シンジ「………よろしくお願いします」

    加持「ああ。よろしくお願いされた。」


    69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 04:36:23.39 ID:0F+UGHIsO

    加持「『アヤナミレイ』は実在していたんだよ。」

    シンジ「でも最初母さんが話してくれた時は『存在しちゃいけない』って…」

    加持「たしかに、アヤナミ計画は世界中の研究者や人権団体からものすごい非難を浴びて廃案に追いこまれた。」

    加持「表向き…はね。」

    加持「しかしやはりそれではパイロットが不足する。一人ケガをしただけでも敵にヤられかねない。」

    加持「だから秘密裏に計画は遂行された。」

    ミサト「それで作られたのが『アヤナミレイ』ってワケね。」

    加持「そう。それと彼女ともう一人存在するらしいが、そっちはからっきし。」


    71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 04:43:40.63 ID:0F+UGHIsO

    加持「とにかく、このことが世に出たら間違いなく世間は騒ぐ。」

    加持「組織解体どころの話じゃない。下手したら」

    加持「君のお父さん、お母さんだけじゃなく関わった人間は全員死ぬかもな。」

    加持「僕達ネルフ職員や君達パイロットもタダじゃ済まない。」

    シンジ「そんな…」

    加持「まあ、だから『存在してはならない』んだろうけど」

    加持「しかしまさか彼女が自分の職場の地下に居たなんてなぁ…」

    ミサト「で、メールはどこから?」

    加持「フリーメールさ。追跡してみたけど無限フリーメール地獄。一晩じゃ追いきれない」

    ミサト「そう。まあいいわ。彼女を探すのが先決よ。」

    シンジ「…………」


    72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 04:48:37.29 ID:0F+UGHIsO


    ネルフ本部内
    エレベーター

    加持「いいか。くれぐれも離れるなよ。」

    加持「特に子供二人は気をつける様に。」

    アスカ「はーい」
    シンジ「…はい」

    ミサト「ターミナルドグマ…か。」

    ミサト「シンジ君が言う『約束の場所』って…」

    シンジ「リリス…リリスの前です。」

    ミサト「私、その時どんな事してた?」

    シンジ「僕にネルフの皆さんの覚悟みたいなのを話して…」

    シンジ「手を握ってました。」

    ミサト「そう。」

    加持「そろそろ…だな。」


    73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 04:56:13.39 ID:0F+UGHIsO


    ネルフ本部
    ターミナルドグマ内

    加持「ここだな。」

    ミサト「間違いないの?」

    加持「多分。」

    ミサト「多分って…どういう事よ。」

    加持「流石に行ってみるまで本当に居るかどうか確認は出来ないからな。」

    加持「シンジ君。例のID。」

    シンジ「は…はい!」

    シュッ…
    …ピッ
    「ニンシキシマシタ」

    加持さんは拳銃を構えていた。

    加持「いいか。離れるなよ。」
    少し歩くと見覚えのある空間があった。

    シンジ「綾波の部屋に…そっくりだ…」


    76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 05:04:01.62 ID:0F+UGHIsO


    シンジ「ここは…」

    ???「僕の部屋だよ。」

    シンジ「………?」

    カヲル「渚カヲル。僕の部屋さ。」

    ミサト「………加持くん」

    加持「そんな…もう一人の方かよ…」

    シンジ「綾波は…綾波は?」

    カヲル「昨日まではいたけどね。今はここにはいない。」

    カヲル「君達は騙されたんだよ。」

    シンジ「そんな…」


    79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 05:15:40.19 ID:0F+UGHIsO


    カヲル「ちなみに…だけどあと数分で戦闘員と諜報部の皆さんがやってくる」

    カヲル「多分、ここAAA級職員以外立ち入り禁止区域だから」

    カヲル「もしかしたら『始末』されちゃうかもね。」

    アスカ「…えー!そんな………」

    カヲル「(ボソッ)碇…シンジ君。」

    シンジ「どうして僕の名前を……」

    カヲル「この世界は既に歪んで来ている。『君が戻りたい』と思った時からね。」

    カヲル「もう後戻りは出来ない。迷わず進んでくれ。」

    シンジ「………君は一体」

    カヲル「そのうち分かるさ。」
    カヲル「とにかく、逃げるなら排気口からがいいよ。」

    カヲル「あそこは逃げ道としてマークされてないから。さぁ、後は僕に任せて」

    加持「分かった………頼む」

    シンジ「ありがとう…」

    カヲル「…僕はいつでも君の味方さ」


    80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 05:21:32.46 ID:0F+UGHIsO


    排気口内

    ミサト「しっかし加持、とんだミスしてくれたわね」

    加持「おいおい…だから『多分』って言ったじゃないか」

    加持「だが…まあ、あのメールがなきゃここには来てなかった…な。」

    アスカ「バカシンジ、パンツ見たら(自主規制)わよ。」

    シンジ「命拾いしたばっかりなのに…」

    アスカ「…今パンツ見たでしょ?」

    シンジ「いや…パンツというより毛糸の……」


    トンッ

    ミサト「着地成功!」

    加持「…俺を踏み台にしてか?」

    アスカ「…………あれがいいかしら」

    シンジ「…………えっ」


    82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 05:27:39.82 ID:0F+UGHIsO


    アスカ「それにしても、さっきの男の子なんだったのかしら」

    加持「『もう一人』の被験者さ。まさか情報がないハズレの方を引くなんてなぁ…」

    ミサト「で、あんたこれからどうすんのよ…もう12時回ってるわよ。」

    加持「日暮れまであと6時間。それまでに探してターミナルドグマまで持って来られるか…」

    シンジ「やります。もう後戻りは出来ません。」

    加持「……そうだな。」

    シンジ「とにかく、父さんの所に行ってみます。」

    シンジ「多分父さんなら綾波の居場所を知ってるハズですから。」


    83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 05:33:22.81 ID:0F+UGHIsO


    司令室

    冬月「AAA地帯で侵入者騒ぎ、だそうだ。」

    ゲンドウ「ああ。」

    冬月「被験者がセキュリティシステムを動かしただけだったらしい。」

    冬月「侵入者も侵入者の痕跡も発見されんかったよ。」

    ゲンドウ「……そうか」

    職員A「失礼いたします。」

    ゲンドウ「何だ。」

    職員A「ファースト、セカンド、葛城作戦部長、加持氏が司令にお会いになりたいと。」

    ゲンドウ「……通せ」


    84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 05:42:20.25 ID:0F+UGHIsO


    シンジ「父さん。綾波に会わせて下さい。」

    ゲンドウ「…先刻の侵入騒ぎはお前達か。」

    シンジ「はい。」

    ゲンドウ「犯罪行為だぞ。死んでも文句は言えない」

    シンジ「分かってます。でも僕は綾波を探さなきゃならない」
    シンジ「戻るって決めたんです。」

    ゲンドウ「またその話か。…出ていけ。」

    シンジ「父さん!」

    ミサト「司令、シンジ君は!」
    ゲンドウ「葛城君。これは親子の問題だ。」

    シンジ「父さん!お願いだから綾波に…」

    ゲンドウ「出ていけ!」

    シンジ「父さん……」


    85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 05:47:37.28 ID:0F+UGHIsO


    シンジ「…………」

    ゲンドウ「冬月」

    ゲンドウ「今は何時だ。」

    冬月「午後2時35分42秒…だが」

    ゲンドウ「人工進化研究所跡地まで所要時間は」

    冬月「一時間と言ったところか」

    ゲンドウ「往復で二時間か。」

    ゲンドウ「…出ていけ。」

    加持「……急ぐぞ!シンジ君!」

    シンジ「は…はい!」

    シンジ「と…父さん。ありがとう…」

    ゲンドウ「………早く行け」


    87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 05:57:03.20 ID:0F+UGHIsO


    人工進化研究所跡地

    加持「シンジ君。IDを」

    シンジ「………はい」

    加持「今度こそ…居てくれよ。」

    扉を開けると、一日会ってなかっただけなのに酷く懐かしい
    青髪赤目の華奢な少女が座っていた。


    ???「やっと……迎えにきたの。」

    綾波「碇司令から話は聞いたわ。」

    綾波「ネルフに…ネルフに行けばいいのね。」

    シンジ「綾波………」

    綾波「あなたの名前は?」

    シンジ「…碇シンジ」

    綾波「そう。」


    88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 06:03:21.63 ID:0F+UGHIsO

    綾波「碇司令に似てるのね。」

    シンジ「ど…どこが?」

    綾波「分からない。」

    シンジ「そう。」

    シンジ「それと綾波…これ。」
    綾波「封筒?」

    シンジ「向こうの綾波かもしれないけど…助かった。ありがとう。」

    綾波「ID…カード…」

    綾波「…………。」

    加持「さあ、急ぐぞ!」

    ミサト「シンジ君!」

    シンジ「は…はいっ」

    アスカ「あんたもモタモタしないで!」グイッ

    綾波「あっ………」


    89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 06:15:53.51 ID:0F+UGHIsO


    ネルフ本部内
    ターミナルドグマ
    16:42

    ミサト「意外と余裕があったわね。」

    シンジ「…加持さん、ミサトさん、アスカ、それから綾波。ありがとう」

    ミサト「別に…いいのよ。」

    加持「そうさ。スイカを収穫した仲だろ?」

    アスカ「アタシも必要だってなら…仕方ないわよね」

    シンジ「じゃあ」

    ミサト「開けるわよ」


    シュッ
    ……ピピッ

    ミサト「………あれ」

    シュッ
    ……ピピッ

    ミサト「開かない?」


    91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 06:21:19.57 ID:0F+UGHIsO


    加持「俺のIDでも開かない…」

    綾波「……私のも」

    リツコ「それはそうよ。そうなる様に設定したから。」

    ミサト「……リツコ」

    リツコ「お話が上手く進んでハッピーエンド…」

    リツコ「なんてあるはずないのよ。」

    ミサト「まさか…あんた」


    リツコ「加持君にメールを送ったのも」

    リツコ「アヤナミレイをAAA地帯から移動させたのも私よ」


    93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 06:28:14.16 ID:0F+UGHIsO

    リツコ「でも私はこう言う流れが嫌いだってだけで」

    リツコ「自発的にやってる訳じゃないわ」

    リツコ「……全部命令よ。」

    ミサト「誰からの?」

    ???「私です」

    シンジ「…………!」

    ミサト「まさか…!」

    リツコ「約束したの。私が彼女に協力すれば」






    リツコ「司令と…関係を持っても構わないと。」


    98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 06:38:05.26 ID:0F+UGHIsO

    リツコ「そうよね。」



    リツコ「碇副司令。」

    ユイ「ええ。」


    シンジ「母………さん」

    ユイ「私が赤木博士と共に妨害しました。」

    ユイ「AAA地帯の件ではパイロット以外の生死は問わないと命令したわ。」

    ミサト「まさか…副司令…私たちを」

    ユイ「ええ。消すつもりだったわ。」

    ユイ「『シンジのため』ですもの」


    100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 06:42:42.79 ID:0F+UGHIsO

    ユイ「最初はあの人も…レイの存在も居場所も明かさないつもりだった」

    ユイ「シンジをここに留めて置きたかったから。」

    ユイ「でも…あの人は」

    ユイ「シンジの気持ちを理解した『つもり』になってシンジを元の世界に戻そうとした。」

    ユイ「あの人はシンジの気持ちなんてこれっぽっちも理解してないわ」

    ユイ「今までシンジがどれほど辛い思いをしてきたか」

    ユイ「そんな世界にシンジを…シンジを行かせたくなかったの」

    ユイ「たとえシンジが望まなくとも」

    ユイ「シンジはここにいるべきだわ」


    101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 06:47:04.82 ID:0F+UGHIsO

    ユイ「たった一人の人間の為にシンジに辛い思いはさせたくないのよ」

    ユイ「今日の夜から…好きなだけ綾波レイに会わせてあげるつもりだったわ。」

    ユイ「なのに。どうしてシンジは元の世界にこだわるのか理解できないのよ。」

    ユイ「それに元の世界では…私は死んでいます。」

    ユイ「戻れば…私は…シンジを…」

    ゲンドウ「失う、とでも思ったのか」


    103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 06:51:26.54 ID:0F+UGHIsO

    ゲンドウ「しかし、もう遅い。」

    ゲンドウ「シンジが『帰りたい』と願った時からもう全ては崩壊し始めた。」

    ゲンドウ「お前がどんなに足掻いても最早なんの意味もないのだよ」

    ユイ「足掻いても無駄…ではないわ。」

    ユイ「経験値くらいは…あがるでしょう?」


    107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 06:56:57.22 ID:0F+UGHIsO

    ユイ「動かないで。」

    ユイ「一歩でも動いたら…」

    ユイ「マギの自爆システムを起動します。」

    ユイ「シンジを…元の世界に返すくらいなら死んでもらった方がマシ」

    ミサト「そんなの…ただの親の都合じゃない…」

    ユイ「都合でも構わないわ。シンジの幸せが……一番ですもの」

    ミサト「あなたの幸せじゃなくて?」

    ユイ「私の幸せはシンジの幸せよ」 にこっ

    ミサト「…………」


    111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 07:03:35.78 ID:0F+UGHIsO


    ユイ「ああ…それと赤木博士」

    ユイ「お疲れさま」

    …バンッ

    リツコ「…………えっ」

    ユイ「あなたは優秀な科学者よ。」

    ミサト「リツコ………!」

    ミサト「あんた今リツコに何を!」

    ゲンドウ「ユイ…!」

    ユイ「『あの人』は私のものよ。奪われる前に…ね」

    ユイ「もう嫌なのよ。何かを失うのは」

    ミサト「その為には人のモノを奪っても…」

    ユイ「構わないわ。」

    ミサト「…歪んでる」


    113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 07:10:43.30 ID:0F+UGHIsO

    シンジ「母さん…やめてよ…」

    シンジ「母さんは…僕の母さんは…もっと優しくて…」

    ユイ「こんなに優しいわよ」

    シンジ「もっと強くて…」

    ユイ「私がこのボタンを押せば…本部ごと吹っ飛ぶわ」

    シンジ「違う!違う!違う!」

    シンジ「とにかく、こんなの母さんじゃない!」

    シンジ「僕の会いたかった母さんじゃない!」

    ユイ「ですって。あなた。」

    ゲンドウ「………ユイ」

    ゲンドウ「………お前は、私の知ってるユイではない」

    ユイ「じゃあ…私は誰なのかしら」

    ゲンドウ「…………」

    ユイ「答えられないのね。じゃあ私は…」

    シンジ「違う。お前は母さんじゃない。」


    114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 07:14:24.08 ID:0F+UGHIsO


    ユイ「私は…碇ユイよ。」

    ユイ「碇ユイ!碇ユイ!碇ユイ!碇ユイ!」

    ゲンドウ「違う。お前はユイじゃない」

    ユイ「碇ユイ!碇ユイ!碇ユイ!碇ユイ!碇ユイ!」

    シンジ「違う!違う!違う!」

    ユイ「碇ユイなのよ!碇ユイなの!」

    シンジ「違う!お前は母さんじゃない!」

    ユイ「いや…いや…いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

    加持「まずい…!スイッチが…」

    ユイ「みんな…みんな壊してやる…壊してやるわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


    117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 07:18:03.81 ID:0F+UGHIsO


    …ピッ

    加持「スイッチが…」

    ミサト「入ったわ…」

    ゲンドウ「…………」

    ユイ「終わったわ…皆…終わったのね」

    …………………………
    ……………………
    ………………
    …………
    ……

    ユイ「…………?」



    否決
    否決
    可決

    ユイ「否決…」

    ユイ「一体………どう言う…」


    118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 07:20:26.84 ID:0F+UGHIsO



    カヲル「だから、言っただろう?この世界は既に歪んでるって」

    カヲル「碇シンジ君。」

    シンジ「君は……」

    カヲル「カヲル。渚カヲル。さっきAAAで会っただろう?」

    カヲル「言ったはずさ。『僕は君の味方だ』って。」


    120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 07:24:03.71 ID:0F+UGHIsO

    カヲル「彼女は君のお察しの通り、君のお母さん『碇ユイ』じゃないよ」

    シンジ「じゃあ…一体」

    カヲル「それは後でもいいじゃない。」

    カヲル「もう日が暮れるよ」

    シンジ「う…うん。」

    シンジ「でもドグマの鍵は…」
    カヲル「心配いらない。」

    …ピッ

    カヲル「ほら。入って。」

    シンジ「…………!」


    121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 07:27:42.25 ID:0F+UGHIsO


    シンジ「えっと…皆、協力してくれてありがとうございました」

    アスカ「あんたコレ、二度目よ?」

    シンジ「そうだったっけ…」

    アスカ「アンタバカぁ?」

    ミサト「じゃ、手を…繋ぎましょうか。」

    シンジ「えっ」

    ミサト「シンジ君と私…こうしたんでしょ?」

    ミサト「なら忠実に…ね」

    加持「さよなら…とは言わないぞ。」

    加持「きっと向こうでも会うんだろうからな。」

    加持「向こうで俺が生きてれば…の話だけどなw」


    122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 07:32:53.91 ID:0F+UGHIsO


    シンジ「あと…綾波。」

    シンジ「初対面と同じ感じなのに協力してくれてありがとう」

    綾波「……命令だから」

    シンジ「それと…」

    カヲル「碇ユイ(仮)は大丈夫。もう邪魔出来ないはず。」

    シンジ「うん。ありがとう。」
    カヲル「どういたしまして」

    ゲンドウ「もうすぐ日が暮れる」

    シンジ「父さん…」



    ゲンドウ「シンジ」

    ゲンドウ「よくやったな」



    123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 07:36:46.17 ID:0F+UGHIsO

    この後、意識が遠退いた。
    グラグラフワフワ
    さまよっている感覚。

    「………じくん」

    「……んじくん」

    「シンジ君」


    カヲル「シンジ君、起きた?」

    シンジ「ここは?」

    カヲル「心の中さ。」

    シンジ「君の?」

    カヲル「違う。」

    カヲル「君をこんな目に合わせた真犯人の、さ」


    124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 07:39:43.76 ID:0F+UGHIsO


    シンジ「僕は…僕は元の世界に戻れるの?」

    カヲル「もちろんさ。でもその前に…」

    カヲル「今回の犯人が君に謝りたいそうだ。」

    シンジ「犯人…?」

    ???「…そう。私。」

    シンジ「………!」

    綾波「…私が原因なの。」


    129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 08:01:47.31 ID:0F+UGHIsO

    シンジ「綾波……どうして」

    綾波「わたしにも…分からない。」

    カヲル「そりゃそうさ。」

    カヲル「彼女の深層心理つまり『心の一番深い所』でそう願ったんだから。」


    ミサト「つまり彼女は、『碇ユイ』の存在を願わったのよ。」

    アスカ「『自分は碇ユイが死んだ事で生まれた』と知っていたから」

    リツコ「同時に自分の存在の抹消をする必要があった。」

    シンジ「どうしてそんなこと…」

    マヤ「あなたに『幸せ』になって欲しかったからよ」

    シンジ「幸せに?」

    ミサト「『碇ユイ』が居ないことが『不幸』なのだと彼女は知っていたから」

    マヤ「でも、同時に彼女は心のどこかで『あなたに必要にされる』ことも望んだ」


    133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 08:12:06.42 ID:0F+UGHIsO


    トウジ「だから綾波は手紙をシンジに託したんや」

    ケンスケ「君が気づき易い様に自分の席の机の中に入れて、ね。」

    委員長「でも、碇君は中々手紙を開けようとしなかった」

    ミサト「だから碇ユイ(仮)はあなたに『前日までの出来事』を貴方に喋らせた。」

    アスカ「もしかしたら自分の事を思い出してくれるかもしれないしねー」

    リツコ「で、案の定あなたは封筒を開けた。」

    シンジ「じゃあまさか…あの母さん(仮)は…」

    カヲル「消失した『綾波レイ自身』だよ」


    134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 08:22:56.14 ID:0F+UGHIsO


    シンジ「でも…綾波が手紙を託したって…」

    シンジ「『3人』はともかく『約束の場所』は僕とミサトさんしか…」

    ミサト「だから『約束の場所』なんて何処だって良かったの」
    アスカ「『3人』だって自分が含まれてりゃ『2人』は誰だって良かったのよ。」

    シンジ「そんな………」

    カヲル「それほど彼女は君に必要として欲しかったのさ。」

    カヲル「でも、君が『帰りたい』と願う事で世界は崩壊していった。」

    ミサト「シンジ君が願うことで『シンジ君に必要とされている綾波レイ』と『シンジにとって必要な碇ユイ』が」

    アスカ「同時に存在しちゃうってわけ。」

    加持「そうなると大変だ。世界に歪みが起こってくる。」


    135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 08:34:01.92 ID:0F+UGHIsO


    カヲル「だから世界を構成していた碇ユイ(仮)は歪んでしまった。」

    カヲル「まあ元々歪んだ願望だったから仕方ないんだけどね。」

    ミサト「シンジ君をここから出したくない。エヴァに載せたくない」

    アスカ「でも戻って来ても欲しい。そんな感情がごちゃまぜになって極端になっちゃったのね。」

    冬月「でも、君の『帰りたい願望』と碇の」

    カヲル「よく分からない、とにかくごちゃごちゃした『願望』でギリギリ世界は保たれていた。」

    シンジ「…なんだか…良くわからないや。」

    ミサト「わからなくてもいいわ。」

    アスカ「とにかくアンタは」

    カヲル「彼女を許してやって欲しい。」


    136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 08:38:50.43 ID:0F+UGHIsO


    綾波「ごめんなさい碇くん。」

    シンジ「許すも何も…謝らなきゃいけないのは僕の方だ」

    シンジ「ごめん、綾波」

    シンジ「それと…色々ありがとう」

    綾波「ええ。私こそ。」

    カヲル「仲直りが出来たところでもう…帰る時間かな。」

    シンジ「君は…君は一体…」

    シンジ「今の説明でも君がいなかったら困っていた事なんてたくさんあるのに…」

    カヲル「僕は…」

    カヲル「単に君の味方。それだけ。」

    ……………………
    ……………
    ………
    ……


    137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 08:42:02.45 ID:0F+UGHIsO

    「…じくん」

    「………んじくん」

    「……………しんじくん」

    ミサト「シンジ君!」

    シンジ「………。」

    ミサト「良かった………」

    シンジ「僕は……」

    ミサト「零号機との相互実験の途中、急にトラブルが起きたのよ。」

    ミサト「このまま…目が覚めないかと思ったわ…」


    139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 08:47:10.50 ID:0F+UGHIsO


    シンジ「あの……ミサトさん、あの………」

    シンジ「……あれ」

    ミサト「どうしたの?シンジ君」

    シンジ「何か言おうと思ったんですけど……」

    ミサト「いいわよ。そんなの。とにかく無事だってだけで十分。」

    シンジ「綾波とアスカは?」

    ミサト「アスカは売店にレイは花瓶の水を交換しにいったわ。」

    ミサト「そろそろ戻ってくるでしょ」


    140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 08:59:35.28 ID:0F+UGHIsO


    ミサト「それよりシンジ君、S-DAT、そろそろ棚に置いたら?」

    シンジ「えっ…」

    ミサト「ずーっと握りしめてたのよ。」

    シンジ「…そうだったんです…か」

    アスカ「バカシンジ…起きたの」

    シンジ「アスカ!」

    アスカ「二日も寝てるなんて本当にバカね!」

    シンジ「そ…そんな」

    ミサト「アスカ、憎まれ口叩かないの!」

    ミサト「シンジ君、アスカってばここに泊まってたんだから」
    アスカ「ちょ…ミサト!」

    ミサト「意外にアスカは献身的よねーw」

    アスカ「な…私は一応女の子なんだしレイに何かあったら困るからって…」

    ミサト「あらぁ~逆じゃなかったかしら」

    アスカ「…ミサト!」


    141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 09:05:11.25 ID:0F+UGHIsO


    ミサト「あ、噂をしてたらレイが御帰還よ」

    シンジ「あ…綾波…」

    綾波「…よかった。」

    シンジ「へ?」

    綾波「良かったわ。無事で。」
    シンジ「あ…ありがとう」

    綾波「それと…ごめんなさい」
    シンジ「…なんで?」

    綾波「碇君が零号機で…」

    シンジ「いや、綾波の責任じゃないよ。事故だしね。」

    シンジ「でも何でかな。凄く懐かしく感じる。」

    アスカ「たった二日なのに?」

    シンジ「アスカとミサトさんはそうでもないんだよなぁ…」

    アスカ「じゃあレイには会いたくて私には会いたくなかったってわけぇ?」

    シンジ「いやぁ…そういう訳じゃ…」

    アスカ「ふん。どうだか。」


    142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 09:15:00.71 ID:0F+UGHIsO


    とにかく、今日一日検査の為に入院することになった。
    ミサトさんとアスカと綾波は家に帰ることに
    僕は病室に一人きりになった。
    S-DATを眺める。
    何となく、何となくだけど
    綾波と父さんに電話したくなった。

    綾波の方は…3コール目で出た。

    綾波「碇君。どうしたの?」

    シンジ「いや、なんか…いろいろありがとう」

    綾波「いいの。私にも少し、責任はあるもの」

    シンジ「それと…」

    綾波「それと?」

    シンジ「これからも…よろしく。」

    綾波「ええ。」

    綾波「こちらこそ」

    そこで電話は切れた。
    短いけれどなんとなく充実した内容…
    いや。そうでもないか。
    とにかく、胸の支えが一つ取れた気がする。


    144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 09:19:40.61 ID:0F+UGHIsO



    次は…シュミレーションを何回かしたにも関わらず


    案の定留守番サービスに繋がった。
    何度掛けてもだ。

    でも、言わないより言っておいた方がいい。
    留守番に残して置くことにした。


    シンジ「あ…あの…」

    シンジ「その…えっと…」

    シンジ「父さん」

    シンジ「…………」

    シンジ「…………」


    シンジ「…ありがとう。」




    146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 09:21:17.37 ID:0F+UGHIsO

    長い時間お付き合いありがとうございました。
    後半自分でも眠くて眠くて何を書いているのか分からない状態でした。
    今も良く解りません
    なのでねます
    おやすみなさい


    147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 09:22:59.85 ID:ZHKEzGWrO

    いちおつ!


    149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 09:29:20.88 ID:0me9fR+mO

    >>1

    朝から良いのを読ませてもらった。


    152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 10:00:11.49 ID:9SxLkgiN0

    乙 ここ最近のSSのなかではダントツに面白かったぞー


    153: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 10:23:21.72 ID:w7Ng+pra0

    なんでユイが生きている世界で
    シンジがミサトの部屋に居るのかわからんかったwww


    154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 10:29:56.08 ID:0F+UGHIsO

    >>153
    ユイとゲンドウは忙しいから
    ミサトに預けてるって設定です


    163: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 14:46:11.91 ID:w7Ng+pra0

    >>154
    ありがとう。
    それはそれでダメな親じゃねぇかと思ったが面白かったwwww


    158: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 11:56:25.88 ID:I35Zdy8aO

    秀作でした
    これからもなんか書いて下さい


    159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2009/09/06(日) 12:20:12.96 ID:BwJQ7ZUh0

    楽しませてもらったよ
    乙でした。


    引用元: 綾波「綾波レイの消失」

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