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    穴掘り勇者

    1: ◆CItYBDS.l2 2018/01/10(水) 20:19:27.70 ID:2xp0zG6O0


    大魔王「・・・困ったなあ」


    側近「おや大魔王の旦那、ただでさえシワだらけな顔をしてるのに眉間にまでしわが寄っちゃってますぜ」


    側近「略して、むちゃくちゃしわくちゃだ」


    大魔王「略せてないよ。まったく腹の立つ男だねえ・・・まあいいや、こいつを見ておくれよ」


    側近「ん、こりゃあ何ですか?」


    大魔王「ここ10年の世界崩壊数の推移表だよ、見てみろ右肩下がりもいいところだ」


    側近「ん、右肩がどうしやした、凝ってんですか?」


    大魔王「違うよ、ほら儂の右肩を見てみろ。右肩を下げると、どんどん下がっていく様子がわかるだろう?」


    大魔王「グラフも同じさ右に行くほど下がっていく、こういうのを右肩下がりっていうんだよ」


    側近「あっしから見ると、大魔王の方は右に行くほど上がって行ってやすけどねえ・・・」


    大魔王「・・・」


    大魔王「そりゃ、向かい合ってるからだよ・・・アンタ、妙なところに気が付くねえ」


    側近「旦那ぁ、右ってのは箸を持つ方の手で・・・」


    大魔王「わかっているよ!うるさいねえ」


    大魔王「そんなことより、このままじゃあ平和な世界に溢れちまう。どうしたもんかねえ」


    側近「そりゃあ旦那、早急に原因を解明して改善に取り組まにゃあならんですぜ」


    大魔王「そういうのはアンタの仕事だと思うんだけど・・・」


    大魔王「そういやお前さん、現世のことには詳しかったねえ。私はずっと冥界に引きこもっているから、不慣れなんだ」


    大魔王「最近の地上の様子を教えちゃあくれないか」


    2: ◆CItYBDS.l2 2018/01/10(水) 20:19:59.44 ID:2xp0zG6O0


    側近「しかたねえなあ、旦那の頼みとあらあ断れねえぜ!よっし任せられた!まずは何からいきましょうか!?」


    大魔王「もう一度言うけど、お前さんの仕事だからね?」


    側近「へえ、それじゃあ最近のテンプレートからいきやしょうか」


    大魔王「たのむよ」


    側近「まず魔王は女だ。そして人間の勇者と恋に落ちる!更には、人類と魔族の架け橋となっちゃう!いやあたまらんねえ、青春だねえ!」


    大魔王「はえー、そんなのがテンプレになっているのかい。世界崩壊そっちのけで人間の男とイチャらぶかい?そりゃあ世界が平和になるわけだ」


    側近「へえ、ただ女魔王が幼女ってパターンも結構ありやすねえ。幼女魔王ってやつでさあ」


    大魔王「そ、そんな需要もあるのかい?」


    大魔王「幼女が求められているなんて、まったく世の中どうなっているんだ・・・」


    側近「まあちょっと供給過多な気もしやすが。まあ幼女魔王の場合は、勇者に父性が芽生えちゃう感じが多いですね」


    大魔王「親子のほんわかストーリーみたいになるのか・・・いや、それとも幼女を・・・?」


    側近「おっと、みな迄いうめえ。これが意外と、幼女魔王で世界が破滅する話は多いんですぜ」


    大魔王「どういうことだい?」


    側近「幼女魔王に鬼畜属性がついてるんでさあ。推測ですが、幼女と鬼畜。このミスマッチで攻めていくって寸法でしょう」


    大魔王「な、なるほどのお・・・みんな、それなりに考えておるんじゃなあ」


    側近「みんな?」


    大魔王「きにするでない」


    大魔王「じゃあ、女魔王を撲滅すれば世界崩壊数も改善できるというわけじゃな?」


    側近「いやあ、それがそう簡単な話でもねえんでさあ」

    3: ◆CItYBDS.l2 2018/01/10(水) 20:20:26.41 ID:2xp0zG6O0


    大魔王「もったいぶらずに話しておくれよ」


    側近「・・・」


    大魔王「仕方ないやつだねえ、ほらお駄賃だよ」


    側近「へへっ、ありがとうございやす!」


    側近「実は、人間の勇者と和解しちまうのは女の魔王に限ったことじゃあねえんです」


    大魔王「なんと・・・」


    側近「男の場合は、知能派魔王が女勇者に恋しちまうのが多いイメージですぜ」


    大魔王「知能派?」


    側近「そうそう、魔族の近代化を図るんでさあ」


    側近「魔族に農耕をやらせたり、市場経済をとりいれたり、魔王軍の近代化を図ったりとまあやり方はいろいろでさあ」


    大魔王「魔族の近代化・・・まあ、それを世界破滅に生かしてもらえるといいんじゃが」


    側近「とはいかないんですねこれが。このパターンだと、人間との争いはあっても極力人死には出さない」


    側近「まあつまり、人間は魔族の文明化を図るうえで大切な教科書がわり、魔王としてもなるべく傷つけたくない」


    側近「そんな感じの魔王と、女勇者が乳繰り合うってな具合です」


    大魔王「まったく、嘆かわしい話だよ・・・」


    大魔王「一昔前の魔王と言ったら、男なら殺し、女なら犯し、貧しき者からも根こそぎ奪う」


    大魔王「そんな一本筋の通った魔王が多かったというのに」


    側近「なんか、どっかの犯科帳にでてきそうな文言ですねえ・・・言ってることは真逆だけど」


    大魔王「よし、側近。アンタ、ちょっと地上に行ってきなさいよ」

    4: ◆CItYBDS.l2 2018/01/10(水) 20:20:53.27 ID:2xp0zG6O0


    大魔王「それで、とりあえず女魔王と知能派魔王をクビにしてきなさい」


    側近「クビですか?」


    大魔王「そうだよ、おめえさんが首を斬ってきなさい。私は、ここでお茶を飲んで待ってますから」


    側近「へえ・・・」


    大魔王「なんだよ・・・早く行きなさいよ」


    側近「・・・」


    大魔王「・・・ほら、お駄賃だよ!」


    側近「へい!行ってまいりやす!」


    大魔王「ふてぶてしい野郎だよ、まったく」


    ――――――

    5: ◆CItYBDS.l2 2018/01/10(水) 20:21:20.60 ID:2xp0zG6O0


    ――――――


    大魔王「おいおい、アンタねえ。確かに、私は首を斬ってこいと言ったよ」


    側近「へえ、確かに聞きやした」


    大魔王「じゃあ、この猟奇的な光景は何だい?」


    側近「へえ、斬ってきた魔王たちの首でございやす」


    大魔王「馬鹿野郎、本当に首を切り落として持ってくる奴があるかい!」


    大魔王「私が言ったのは、軟弱な魔王たちをクビにしてこいってことなんだよ!」


    側近「へえ、ですから首に・・・」


    大魔王「・・・もういいよ、それで世界はどうなった?」


    側近「そりゃあもうひっちゃかめっちゃかですぜ」


    大魔王「ほお」


    側近「まず、女魔王の伴侶となってた勇者達がもうものすごおおい怒り狂いやして。『魔王を殺したのは誰だ』って叫びながら魔族を大虐殺して回ってやす」


    大魔王「んん?」


    側近「遂には、大魔王の側近であるアッシが手を下したことがばれやして。奴ら、大魔王である旦那をぶっ殺してやるって大騒ぎです」


    大魔王「雲行きが怪しくなってきたねえ・・・でもまあ、私がいる冥界は現世の地下深く。そうそう居場所はバレやしないか」


    側近「ところがどっこい、アッシの魔力を追っているようでして。やつら、物凄い勢いで穴を掘りだしまして」


    大魔王「穴を掘りだして?」


    側近「アッシの見立てですが、ありゃあ、ほんの数刻もありゃココまでたどり着いちまうだろうなあ・・・」


    大魔王「そういうことは早く言いなさいよ!」


    大魔王「なに落ち着いてるんだよ!ほら、早く支度をなさい、よそに逃げるよ!」


    側近「へい!」


    ――――――

    6: ◆CItYBDS.l2 2018/01/10(水) 20:21:47.09 ID:2xp0zG6O0


    ――――――


    側近「いやあ、なんとか逃げ切ったようですねえ。参った参った」


    大魔王「『参った参った』じゃないよ、元はと言えばアンタのせいじゃないか」


    側近「ええ・・・?首を斬ってこいって言ったのは旦那じゃ・・・」


    大魔王「だまらっしゃい!」


    大魔王「・・・ふう、しかし上手くいかないねえ」


    側近「何がです?」


    大魔王「いやあ現世の事だよ、軟弱な魔王をクビにすれば統制のとれなくなった魔族が大暴れしてくれると思っていたんだが」


    大魔王「まさか、怒った勇者に逆に大虐殺をされてしまうとはねえ・・・」


    側近「そりゃあ、そうですよ。ちゃんと流行ってのを抑えないと」


    大魔王「流行かい?」


    側近「そうそう、なんでもかんでも昔みたいに戻せばいいってもんじゃあありません」


    大魔王「ほお」


    側近「いいですかい旦那。世界ってのは目まぐるしく変わっているんだ」


    側近「女魔王が流行ったり、人類と魔族の和平ENDが流行ったり、幼女の需要が上がったり」


    側近「こういう流れには真っ向から逆らっちゃあいけねえ」


    大魔王「何か策があるってえ言いようだねえ」


    側近「もちろんでさあ。まず、基本は王道。悪逆非道で膂力、魔力に長けた戦闘特化でガチムチの男魔王を用意しやす」


    大魔王「しかし、それは流行に逆らうんじゃあ?」

    7: ◆CItYBDS.l2 2018/01/10(水) 20:22:13.89 ID:2xp0zG6O0


    側近「いやあ、旦那。王道ってのは流行に関係なく受け入れられるものですぜ」


    側近「魔王で言うなら、外道こそが王道!」


    大魔王「へえ。アンタ、なかなか良いこと言うじゃあねえかい」


    側近「へへっ。そして、ここからが重要でさあ」


    側近「この王道の魔王に、ちょいと流行のアクセントを一つだけ足すんでさあ」


    大魔王「具体的に言うと?」


    側近「『属性』です」


    大魔王「『属性』か」


    大魔王「じゃあ、魔王に何かしらの『属性』を与えればいいわけだね」


    大魔王「たとえば、悪逆非道だが『猫好き』とか・・・『現代社会風サラリーマン』魔王とか・・・」


    側近「お、うめえじゃねえですか。こいつの良いところは、用意する魔王は基本王道ベースで。あとの『属性』は、流行にのったものを加えるだけという、扱いやすさです」


    側近「属性はあくまでアクセントで、用意するのは王道の外道!このやり方なら、どんな流行でも世界を破滅に導けるって寸法でさあ」


    大魔王「ほお、アンタにしては良い考えじゃあないか!早速、それで進めてみようじゃあないか」


    側近「へい、汚名挽回!アッシにお任せください!」


    大魔王「返上な。汚名は挽回しないでいいよ」


    大魔王「まあいいや、よし、アンタに任せるよ。今度こそ、うまくやりなさい」


    側近「へい!」


    ――――――

    8: ◆CItYBDS.l2 2018/01/10(水) 20:22:41.70 ID:2xp0zG6O0


    ――――――


    側近「だんなあ!だんなあああああ!」


    大魔王「おお、側近。具合はどうだ?」


    側近「それが、ちょいと失敗しちまったみたいで・・・」


    大魔王「まあ、そんな気はしていたよ。で、どうなった?」


    側近「それが魔王と勇者がカップルになっちまう事例が増えちまって・・・」


    大魔王「そいつあオカシイ話じゃないか、最近溢れていた女魔王は駆逐したのだからカップルが増えるわけがない」


    大魔王「いったい、魔王たちにどんな『属性』を加えたんだい?」


    側近「それが、最近、地上では『ホモ』が流行っているらしくて・・・」


    大魔王「そ、そりゃあ本当かい?『ホモ』なんてもんが流行るなんてことがあるのかい?」


    側近「それが近頃の若い連中は、こぞって『ホモ』を求めるらしく・・・子供たちにも人気という話です」


    側近「アッシは、こいつは受けるっと思いやして。属性を付与してみれば、あらびっくり」


    側近「魔王と勇者のホモカップルが世界中に溢れちまったってわけでさあ」


    大魔王「ひどい世の中になったもんだねえ・・・しかし、そんなもんを加えた日にゃあ魔王と勇者のホモカップルが増えるのも納得だよ」


    側近「どうしやしょう・・・この間みたいに、ホモ魔王たちの首を切り落としてきやしょうか?」


    大魔王「いやあ、そいつはやめておこう」


    側近「そいつはどうして?」




    大魔王「怒ったホモ勇者に、穴を掘られちゃたまんねえ」

    9: ◆CItYBDS.l2 2018/01/10(水) 20:23:08.64 ID:2xp0zG6O0


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    引用元: 穴掘り勇者

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