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    SS宝庫

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    ('A`)が投獄されてしまったようです

    1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 22:15:40.90 ID:YhL432ap0

    ~十二月二十五日~


    ('A`)「クーリスマスに、今年も、遺書を書くー♪」

    ('A`)「まあ結局びびって毎年死ねないわけだが」

    ('A`)「へくしっ! あーくそ、今日はいっそう冷える」

    ('A`)「もうすぐ〇時回るから寒いのは当然だけど……」

    ('A`)「はーしかし人生詰んだな」

    ('A`)「職も見つかんないし、友人知人もいないし、恋人なんてもってのほか」

    ('A`)「親父が残した貯蓄が尽きたら、いよいよ死ぬしか」

    ('A`)「はあ……」

    ('A`)「コンビニで売れ残りの半額ケーキ買って帰るか……」


    4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 22:21:15.57 ID:YhL432ap0

    アリガトゥーゴザッシター

    ('A`)「ケーキ買ったはいいが……家で食うのも寂しすぎる」

    ('A`)「どうしたもんかな」

    ('A`)「……」

    ('A`)「……海だな。一人の夜は海に限る」

    ('A`)「塩辛い風に当たりながら甘ったるいパサパサのケーキを食うか」

    ('A`)「カブを飛ばすぜ! インサートキー!」

    ('A`)「そしてアクセルグリップ!」

    ブロッ ギギギ プスス 

    ('A`)「くそが……エンジンかからねぇ……キックしなきゃ……」


    6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 22:28:58.92 ID:YhL432ap0

    ブロロン キー

    ('A`)「近場の海に到着っと」

    ('A`)「やー、やっぱ夜の海はいいな。穏やかで」

    ('A`)「真っ黒い水が溜まってるぜ」

    ('A`)「そして取り出したるは純白のクリスマスケーキ」

    ('A`)「やけ食いといきますか……ん?」

    ('A`)「浜辺小屋のほうに煙草の火がちらちら見えるな」

    ('A`)「……誰かいるのか?」

    ('A`)「はっ、俺と同じ寂しい男たちの集まりかも知れない……」

    ('A`)「急速に親近感が涌いてきた……」

    ('A`)「ケーキの差し入れぐらいしてやるか……それが現代に生きるサンタの役目……」


    7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 22:37:34.59 ID:YhL432ap0

    ('A`)「ちわーす、フィンランドから来ましたデリバリーでーす」

    ミ,,゚Д゚彡「あ? 誰だてめぇ?」

    ('A`)「ふっ、通りすがりの切ないサンタさ」

    ( ^Д^)「おいコラ、舐めた口聞いてんじゃねぇぞ、ああ? 殴られてぇのか!?」

    ('A`)「え、やだ、怖い。なにこの人たち」

    ( ・∀・)「おいおいそんなに怖がらせるなよ。萎縮させてるだろう?」

    ミ,,゚Д゚彡「す、すみません」

    ('A`)(おお、話がそれなりに通じそうな人物が……救世主か……)

    ( ・∀・)「いや悪いね。どうにもうちの若い衆は血の気が多くてね」

    ('A`)「いえいえこちらこそ」

    ('A`)「僕としてはケーキを一緒に食べませんかっていう軽いお誘いだったんですけど」

    ( ^Д^)「うぜえ……」


    8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 22:40:51.48 ID:YhL432ap0

    ( ・∀・)「ケーキ、ねぇ……」

    ('A`)「どうです? 甘いお誘いでしょう?」

    ('A`)「ケーキだけに? ケーキだけにぃ?」

    ミ,,゚Д゚彡「いわしていいっすかね」

    ( ・∀・)「そう気を立てるな」

    ( ・∀・)「いやいや……しかし、これは果報な来客だな」

    ('A`)「んじゃ一切れおすそわけ……」

    ( ・∀・)「いやそっちじゃない」

    ('A`)「はい?」

    ( ・∀・)「お前が来たこと自体が幸運だ」


    9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 22:45:14.52 ID:YhL432ap0

    ('A`)「そりゃどういう……」

    ( ・∀・)「なあ、この場にいるのは何人に見える?」

    ('A`)「どう見ても四人ですけど」

    ( ・∀・)「目線が高いな。それに近い。暗いせいもあるけど」

    ( ・∀・)「ちょっと奥のほう見てみようか? 俺らの後ろをさ」

    ('A`)「奥?」

    ( ・∀・)「そう。で、今度は視線を下げてみようか」

    ('A`)「下……ひっ!?」

    ('A`)「こ、こ、これって……し……死……」

    ( ・∀・)「さっきまで生きてたんだけどねぇ」


    11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 22:51:58.12 ID:YhL432ap0

    ('A`)「ま、まさか、あんたらが?」

    ( ・∀・)「こいつさー、うちらの事務所の金持ち逃げしようとしちゃったんだよね」

    ('A`)「事務所ってことは……」

    ( ・∀・)「プギャー。逃げられないようにこいつの背後に回れ」

    ( ^Д^)「うっす」

    ('A`)「あんたたち、やくざか!?」

    ('A`)(いやいやそんなわけない。そんなの実際に遭遇するわけない)

    ('A`)(これは俺を脅してるだけ……)

    ミ,,゚Д゚彡「現実逃避してんじゃねぇよ。おら、俺の手見やがれ」

    ('A`)「ぶっ!? 小指と薬指がない!?」

    ミ,,゚Д゚彡「分かったかコラ。ハッタリじゃねぇんだよこっちはよ」

    ('A`)「あ、あはは。あはははははは……」


    13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 22:56:21.06 ID:YhL432ap0

    ( ・∀・)「詳しく話そうか」

    ('A`)「なんで詳しくなんか……僕は口封じに殺されるんじゃないですか……」

    ( ・∀・)「そう悲観的になるな。理由はおいおい聞かせる」

    ( ・∀・)「さて、そこで転がってる奴の話だ」

    ( ・∀・)「金庫暴いて逃走を図ってたところを、俺が追跡して始末したんだけどさ」

    ('A`)「……」

    ( ・∀・)「まあそれはいいんだよ。ここまでは日常茶飯事。ほのぼのニュース」

    ('A`)(こんなことが日常かよ……)

    ( ・∀・)「ただ問題があってねー」

    ('A`)「問題?」

    ( ・∀・)「そう。こいつの担当してた仕事に関する話だ」


    16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 23:07:07.70 ID:YhL432ap0

    ( ・∀・)「こいつ、ヤク売ってうちの組の資金稼いでたんだけどさ」

    ( ・∀・)「馬鹿に出来ない収益になってたわけよ」

    ('A`)「はあ……」

    ( ・∀・)「当然警察にも目付けられててさー」

    ( ・∀・)「いや顔は割れてないんだけど、運営してたサイトがマークされてて」

    ( ・∀・)「手が回るのは時間の問題なわけ」

    ('A`)「つまりどういうことだよ?」

    ( ・∀・)「こいつの身元がバレるとうちの組にまで波及しちゃうのよ」

    ( ・∀・)「どこの組織に籍を置いてるかなんていくらでも警察側にデータがあるしな」

    ( ・∀・)「しかも、死んじゃってるから実行犯は行方不明扱い」

    ( ・∀・)「これはもう事務所への捜査は確実、みたいな」


    18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 23:11:12.57 ID:YhL432ap0

    ('A`)「理屈がわかんないんですが……」

    ('A`)「つーか、別に生きてても一緒じゃ?」

    ( ・∀・)「こいつ自身がパクられても、上が知らぬ存じぬを突き通すって道はある」

    ( ・∀・)「ところが生存が確認できないとなると粛清が疑われる」

    ( ・∀・)「そこで、だ」

    ('A`)「な、なんでこっちを見るんだ?」

    ( ・∀・)「要するに売人が生きてればなんの問題もないということだ」

    ( ・∀・)「おまけにうちの組と無関係の人間ならばなおグッド」

    ('A`)「まさかとは思うが……」

    ( ・∀・)「そう」

    ( ・∀・)「この死んでる男の代理をやってくれ」


    19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 23:15:14.66 ID:YhL432ap0

    ( ・∀・)「まとめると、ヤクを売ってたのはお前ということになってもらう」

    ('A`)「で、でも、その人は死んでるままなんだろう?」

    ('A`)「だったら別の事件でしょっぴかれるんじゃ……」

    ( ・∀・)「ああ、こいつが死んでること自体は大したことない」

    ( ・∀・)「ただの内輪揉めで済む」

    ( ・∀・)「ヤクの件にはうちの組が関与していないことになるからな」

    ('A`)「……」

    ('A`)「えーと、イヤなんですが」

    ( ・∀・)「フサ」

    ミ,,゚Д゚彡「うっす!」


    20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 23:20:20.95 ID:YhL432ap0

    ミ,,゚Д゚彡「なあ、察しがついてないとは言わせねぇぞ?」

    ミ,,゚Д゚彡「断ったらどうなるかがよぉ」

    ('A`)「この場で殺されるんですかね……」

    ( ^Д^)「なんだ、分かってんじゃん」

    ミ,,゚Д゚彡「一人殺すのも二人殺すのも変わらねぇんだよ、ああ!」

    ('A`)「い、いや、ですがね」

    ( ^Д^)「ごちゃごちゃうるせぇぞコラァ!」

    ミ,,゚Д゚彡「こっちはカタギじゃねぇんだぞ! やるっつったらやるんだよ!」

    ( ^Д^)「甘ったれたことほざいてんじゃねぇよ!」

    ('A`)(ち、ちびる……ってか既に若干の尿が漏れた……)


    21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 23:24:38.73 ID:YhL432ap0

    ( ・∀・)「まっ、そういうわけで……」

    ( ・∀・)「今すぐ死ぬか、ひとまず生きて代理を務めるか」

    ( ・∀・)「好きに選びな」

    ('A`)(なんて理不尽な二択……)

    ('A`)(画面端のダッドリーなんて比較にならない……)

    ミ,,゚Д゚彡「おら、さっさと答えろ」

    ('A`)「やめて! 背中によくわからない硬い金属質の物体を当てるのはやめて!」

    ( ^Д^)「てめぇがちんたらしてるのが悪いんだろうが」

    ('A`)「……やりますよ、やります」

    ('A`)(やらざるを得ない……)


    23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 23:31:58.66 ID:YhL432ap0

    ( ・∀・)「そうかそうか」

    ( ・∀・)「それじゃ、これ持っておいて」ポイッ

    ('A`)「これは……携帯?」

    ( ・∀・)「これと、これもだ。そこの奴が生前売買契約に利用してた携帯」

    ( ・∀・)「どうせ適当な名義で作ってるだろうからお前が所持しても問題ない」

    ( ・∀・)「実際に薬物の管理と受渡をするのは前任者が飼ってるチンピラだしな」

    ('A`)「はあ……」

    ( ・∀・)「お前は客から注文が来る度にそいつらにメールで指示を送るだけでいい」

    ('A`)「だけど警察にマークされてるって……」

    ( ・∀・)「うーん、まあその辺はうまくやってくれ」

    ( ・∀・)「上手にこなせばこなすほどシャバにいられる期間は延びるからな」


    26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 23:35:41.98 ID:YhL432ap0

    ('A`)「シャバって……」

    ('A`)(いつか捕まるのかよ……)

    ( ・∀・)「でも気楽なもんだろ?」

    ( ・∀・)「ヤクの売人っていっても手元に薬物の類は一切ないんだから」

    ('A`)「それが逆に現実感ないというか」

    ( ・∀・)「健闘を祈るよ」

    ( ・∀・)「……そういえば、ケーキの差し入れに来てくれたんだったな」

    ('A`)「ああ……好きなだけどうぞ……」

    ( ・∀・)「それじゃ、クリスマスの後夜祭といこうか」

    ( ・∀・)「幸福を運んできたサンタさん?」

    ('A`)(詰んだ……俺の人生完全に詰んだ……)


    30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 23:41:47.56 ID:YhL432ap0

    ブロロロ キキー


    ('A`)「やっと自宅か……」

    ('A`)「……はああああああああああああ」

    ('A`)「なんだこれ……夢じゃないのか……」

    ('A`)「クリスマスは誰もがハッピーになる日じゃないのか……」

    ('A`)「……」

    ('A`)「……もう寝るか……」

    ('A`)「……」

    ('A`)「起きたら全部夢でしたー、なんてことには、ならないよなぁ……」


    33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 23:46:59.24 ID:YhL432ap0

    ~十二月二十六日~


    ピッピリリー ピッピリリー

    ('A`)「……」

    ('A`)「昨日もらった携帯のアラームで目覚めてしまった……」

    ('A`)「寝起きの初っ端から現実確定とかやめてほしいわ……」

    ('A`)「ん? よく見たらアラームじゃなくてメールの受信じゃん」

    ('A`)「どれどれ……『渡し忘れたものがあった』」

    ('A`)「『場所を指定するから今日の午後一時に来てほしい。場所は――』」

    ('A`)「どう考えても昨晩の男からだよな……」

    ('A`)「……行かなきゃダメだよな……」


    38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/27(火) 23:54:55.34 ID:YhL432ap0

    ~廃病院前~


    ('A`)「やくざだけあって胡散臭い場所に来させるな……」

    ('A`)「薄気味悪い……夜だったら完全心霊現象に震えてたわ」

    ('A`)「お、来た来た」

    ( `ハ´)「アイヤー、遅れてすまんアル」

    ('A`)「って誰だよ」

    ( `ハ´)「長い付き合いでも顔を合わせるのは初めてアルな」

    ('A`)「いやいや何の話だ」

    ( `ハ´)「何せトップのアナタが直々に来るの今日が初アルからなー」

    ('A`)「トップ? どういうことだ?」


    40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 00:01:21.83 ID:lsn2FAIu0

    ( `ハ´)「ちょっと日本語聞き取りづらいからちゃっちゃと終わらせるアル」

    ( `ハ´)「はいこれ。今月分の品アルよ」ドサッ

    ('A`)「黒革のバッグ? って重っ!」

    ( `ハ´)「そろそろ半年分の契約切れるから更新するヨロシ」

    ( `ハ´)「ワタシもいい加減前金なくなってきたアル」

    ('A`)「だからあんたは誰なんだって……」

    イクゾー! オサエロー!

    ('A`)「な、なんだ、今の声は?」

    ( `ハ´)「ややっ!? マ、マズイアル、サツが来るアル!」

    ( `ハ´)「ワタシ本国に突き帰されたら死刑アル!」ダッ

    ('A`)「おい待てっ! 俺を置いていくな! おいっ!」


    42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 00:09:26.62 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「つーか、こっちに走ってきてる連中……」

    ('A`)「警察じゃねーか!?」

    警官A「取り押さえろ! 地面に伏せさせろ!」

    警官B「現行犯だ、現行犯!」

    警官C「麻薬及び向精神薬取引の現行犯で逮捕する!」

    ('A`)「えっ? えっ?」

    ('A`)「どういうことだこれ?」

    警官A「とぼけるな!」

    警官D「主任! カバンの中から大量にブツが見つかりました!」

    警官C「レツはどうやら逃がしてしまいましたが……」

    ('A`)(レツってなんだ? この状況はなんだ? 訳分かんねぇ……)


    45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 00:19:44.39 ID:lsn2FAIu0

    警官A「本部、本部、こちら刑事課。件の薬物売買グループの主犯を身柄を確保しました」

    警官A「ただちに留置所に――」

    ('A`)(まさか俺……いやもう、そうとしか考えられないんだが……)

    ('A`)(はめられた?)

    警官B「しらばっくれるなよ、証拠はそこにあるんだからな」

    ('A`)「ち、違うんです、無実なんです!」

    ('A`)「推定無罪! 推定無罪!」

    警官B「寝言をぬかすな! 貴様の携帯を漁れば一発だからな!」

    ('A`)「いやあれは……」

    ('A`)(ど、どうする? 真実を語ればこの場はしのげるのか?)

    ('A`)(だが証拠がないから信じてもらえるかは分からないし……)

    ('A`)(仮に助かっても……確実に報復がくる……)


    49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 00:26:51.99 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)(やっぱり詰んでるじゃねーか……俺……)

    警官D「直近のメールで現場に来るように言われてたみたいです」

    警官A「逃走した男か……」

    ('A`)(違う……あのやくざからだっての……)

    ('A`)(でもあの文面ならそう捉えることも可能か……)

    警官B「先程の会話を傍聴する限り、接触自体は初のようですね」

    警官C「自宅からの押収は期待できそうにありませんが」

    警官A「だからといって家宅捜査を欠かすわけにもいくまい。早急に部隊を回せ」

    警官D「はっ!」

    ('A`)(遺書を書くたびにハードディスク消しておいたのがこんな時に役に立つとは……)


    52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 00:31:16.59 ID:lsn2FAIu0

    警官A「十三時二十九分確保……と」

    警官A「おい、そいつが今現在着服してる物の確認は済んだか?」

    警官B「ただいま完了しました」

    警官A「よし。では、被疑者を留置所まで護送しろ」

    警官C「了解しました! ほら、両手を出せ」

    ('A`)「ああ……例のアレですか……」

    ガチャン

    ('A`)(冷たい……実際の温度以上に冷たく感じる……)

    警官C「よし、歩け!」

    ('A`)(終わった)


    54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 00:38:20.56 ID:lsn2FAIu0

    ~VIP刑務所~


    (,,゚Д゚)「称呼番号千九十番!」

    ('A`)「はい」

    (,,゚Д゚)「本日より貴様にはこの刑務所で服役してもらうことになる!」

    ('A`)(ガチガチすぎるだろこの看守……)

    (,,゚Д゚)「一意専心に刑期満了まで勤め上げるすることを命じる!」

    ('A`)「はあ」

    (,,゚Д゚)「それではこれより貴様の居住区域となる雑居房へと連行する!」

    ('A`)「分かりました……」


    57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 00:46:30.67 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)(しかし妙な造りの刑務所だな)

    ('A`)(一階が丸ごと広間なのはともかく)

    ('A`)(そこから上の階……たぶん牢のある階が全部吹き抜けになってんだもんな)

    ('A`)(なんつーか意外とおしゃれでキレイ)

    (,,゚Д゚)「止まれ、千九十番!」

    ('A`)「あ、はい……」

    (,,゚Д゚)「この檻の向こう側が貴様の属する監房である!」

    (,,゚Д゚)「ではこれより解錠する! 慎んで入れ!」

    ('A`)(大袈裟な……)

    (,,゚Д゚)「他の囚人たちと協力して共同生活を送るのだぞ!」ガチャン

    ('A`)「鍵がかかった……いよいよ牢屋暮らしが始まるのか……」


    58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 00:52:02.64 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)(とりあえず座るか……畳に尻をつけるのも久々だよ)

    ('A`)「ふう……」

    ('A`)「……」キョロキョロ

    ('A`)(二段ベッドが四つ……部屋の中央に机か)

    ('A`)(壁は一面真っ白。んで小さい棚か。部屋の隅の電話ボックスみたいなのはなんだろ?)

    ('A`)(んーやっぱりキレイだよな。なんか微妙にイメージと違う気が)

    ('A`)(しかもなんかテレビまであるし……)

    ('A`)(とりあえず大人しくしておくか……他の受刑者に目を付けられてもいけないしな……)

    ( ゚∀゚)「よう、兄ちゃん」

    ('A`)「……なんすか」

    ( ゚∀゚)「ああ俺、長岡ってんだけど、新入りに挨拶しておこうと思って」


    59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 00:56:59.86 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「なんか質問あったら答えるけど、どうだ?」

    ('A`)(やたらフランクな奴だな……)

    ('A`)(しかし兄ちゃんって……俺とあんま歳変わらないっぽいのにおっさんくせぇな)

    ('A`)「質問ってか疑問なんだけど」

    ( ゚∀゚)「ほう、なんだ」

    ('A`)「刑務所って割に綺麗じゃね?」

    ('A`)「最初に入れられた留置所よりいいんだけど」

    ( ゚∀゚)「ああそれ? ここ、A級刑務所だからな。民営の」

    ('A`)「民営? 国が作ったんじゃないの?」

    ( ゚∀゚)「最近じゃ民間委託も結構多いみたいだぜ。ニュースや新聞で見なかったか?」

    ('A`)「そういうのまったく見ないしな……」


    61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 01:01:38.15 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「じゃあこの機会に見とけばいい」

    ( ゚∀゚)「ここにあるテレビだって特定の時間帯は国営放送しか映らないしな」

    ( ゚∀゚)「新聞だって工場に行けば読める」

    ('A`)「あーあとそれ。入所前の説明でも聞かされたけど」

    ('A`)「工場での仕事ってなにするの?」

    ( ゚∀゚)「それは配属先によって違うから、俺からはなんとも言えないな」

    ( ゚∀゚)「一応、俺は木工品の組み立てをやってるが」

    ( ゚∀゚)「兄ちゃんも同じだとは限らないし」

    ('A`)「なるほどね」

    ('A`)(なれなれしい奴だと思ったら純粋に人当たりのいい奴だな……)

    ('A`)(人間って素晴らしいな……)


    62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 01:07:33.42 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「他にここでの暮らしについてなんかないか?」

    ('A`)「そうだな……やっぱり気になるのは食事だな」

    ( ゚∀゚)「飯は普通に三食出る。昼飯は工場の食堂で食って」

    ( ゚∀゚)「朝と晩はきっちり時間になったらここに運ばれてくるぜ」

    ( ゚∀゚)「土日の休日は全部こっちだ」

    ('A`)「三食……外にいた時よりまともな食生活ができるんだな……」

    ( ゚∀゚)「油っ気の少ない禅僧が食うみたいな飯だけどな」

    ( ゚∀゚)「一応肉も出るからそこまでじゃないか」

    ('A`)「肉も出るのか!」

    ( ゚∀゚)「おうよ。米は麦飯だが、一汁三菜ちゃんと付く」

    ('A`)「ありがてぇ……あったかい食事ありがてぇ……」


    65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 01:11:25.82 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「あ、でも、よく臭い飯とかって言うし」

    ('A`)「品質はひどいもんだったりするんだろうな……」

    ( ゚∀゚)「ぷっ、わはは! 古い知識だな兄ちゃん」

    ('A`)「古くないだろ。普通にそんなふうに形容されるぞ」

    ( ゚∀゚)「いや臭い飯の『臭い』って部分があまりにも現代と乖離してるからよ」

    ( ゚∀゚)「昔はな、牢獄の中のトイレって行ったら適当に置かれた木桶だったり」

    ( ゚∀゚)「床に掘られた穴だったりしたんでな」

    ( ゚∀゚)「そこに糞だのションベンだのが溜まって部屋中ひでー臭いが漂ってたらしいぞ」

    ( ゚∀゚)「そんな部屋で食うから、臭い飯」

    ('A`)「うへぇ……想像したくねぇ……」


    66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 01:15:12.87 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「今は水洗だし、芳香剤も置いてるし、換気扇もあるしな」

    ( ゚∀゚)「露骨に臭ったりはしねぇ」

    ('A`)「ちょっとタイム。トイレ自体は部屋についたままなのか?」

    ( ゚∀゚)「そうだぜ。そこの角にあるだろ」

    ('A`)「え、あれ? あの電話ボックスみたいなの?」

    ('A`)「上側ガラス張りじゃんか……何この●●プレイ……」

    ( ゚∀゚)「下半身は隠れるから我慢しな。あれでもかなりいいほうだと思うぜ?」

    ( ゚∀゚)「看守がいつでも監視できるようにしておかないとダメらしいからな」

    ('A`)「常に監視下にあるのか……」

    ('A`)(変な性癖に目覚めそうだな……)


    68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 01:21:03.51 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「ま、こんなところかな」

    ('A`)「あっ待ってくれ。最後に一個、一個だけ」

    ('A`)「俺は今までの会話であんたを信頼するに足る人間だと判断してる」

    ( ゚∀゚)「そりゃありがたい」

    ('A`)「そんな長岡を見込んでラスト一つ聞いておきたい」

    ( ゚∀゚)「なんだ?」

    ('A`)「オ●ニーってどうすんの?」

    ( ゚∀゚)「こっそりしろ。全員が黙認しあってるから」

    ('A`)「まるで再婚したての若い母親と中学生の息子の関係のようだ……」

    ( ゚∀゚)「ただ厳しい看守にはバレるなよ。陰部摩擦罪で糾弾されるから」

    ('A`)「ひどい罪名だな」


    69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 01:27:23.24 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「罪ってことは、何かしら罰則があったりするわけ?」

    ( ゚∀゚)「そうだなー、刑期が延びたりとかはしないと思うけど」

    ( ゚∀゚)「俺の知る限りじゃ数時間保護房で正座させられるとかだな」

    ( ゚∀゚)「あとはまあ罰金か」

    ('A`)「罰金って、金なんてないじゃんか」

    ( ゚∀゚)「いや手元のじゃなくて、将来的な」

    ( ゚∀゚)「出所すると際に服役中稼いだ工賃貰えるんだよ」

    ( ゚∀゚)「さすがに一銭もない身でシャバに送り出されても困るしな」

    ( ゚∀゚)「で、それをちょびっと減らされる」

    ('A`)「ほほう」


    71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 01:35:20.98 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「しかし、給金か……悪いことばかりじゃないな」

    ( ゚∀゚)「最初の説明であっただろ?」

    ('A`)「正直後半は飽きて聞いてるふりしてただけだった」

    ( ゚∀゚)「頼むぜ兄ちゃん」

    ('A`)「で、どのくらいもらえるんだ?」

    ( ゚∀゚)「そうだなぁ、以前面会に来た奴に調べてもらったら」

    ( ゚∀゚)「相場は時給十円二十円くらいっぽいな」

    ('A`)「じゅ、十円だと……? ブラック企業ってレベルじゃねーぞ……」

    ( ゚∀゚)「見習い工の間は一桁がざらだぜ」

    ('A`)「うまい棒も買えない……」

    ( ゚∀゚)「ムショじゃ労働基準法なんて大層なものは適用されないしな」


    72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 01:37:54.97 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「だが安心しな。祝日は休める!」

    ('A`)「休みにはなってるけど気休めにはなってない……」

    ( ゚∀゚)「生活費捻出しなくていいだけマシだと思いな、兄ちゃんも」

    ('A`)「まあ……そうだな」

    ( ゚∀゚)「ところで兄ちゃん」

    ('A`)「なんだ」

    ( ゚∀゚)「どんな犯罪でパクられたのよ?」

    ('A`)「……麻薬の売買だよ。営利目的の」

    ('A`)「そういうことになった」

    ( ゚∀゚)「『そういうことになった』なんて、ずいぶん他人事だねぇ」

    ('A`)「いいだろ別に」


    73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 01:47:42.51 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「何年?」

    ('A`)「二年半」

    ( ゚∀゚)「営利だから一発実刑なのはともかく、初犯で減刑してもらってそれか」

    ( ゚∀゚)「今のご時勢じゃヤク絡みの刑罰は厳しいわな」

    ('A`)「なんで初犯だって知ってんだよ?」

    ( ゚∀゚)「いやだって、ここA級刑務所だぜ?」

    ( ゚∀゚)「A級は初犯の人間が入れられる。常識だ」

    ('A`)「そうだったのか……」

    ( ゚∀゚)「民営だったり設備が整ってたりするのもA級のおかげだぜ?」

    ('A`)「またひとつ賢くなってしまった」


    75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 01:54:04.38 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「でもまあ、その年月なら使われたのは麻向精だけだろうな」

    ( ゚∀゚)「麻薬特例法なんかだとすげーキツい判決になるらしいし」

    ('A`)(何喋ってるかわからん)

    ( ゚∀゚)「それでも初犯だし、真面目に過ごしてれば早めに出られるだろうよ」

    ('A`)「マジか!」

    ( ゚∀゚)「おう。真面目に働いて、規則正しく生活して、人付き合いよくしてれば」

    ( ゚∀゚)「模範囚認定されて刑期は短くなるぞ」

    ( ゚∀゚)「難しいことじゃないよな。シャバじゃ当たり前にやることだし。むしろ楽か?」

    ('A`)「……」

    ( ゚∀゚)「どうした?」

    ('A`)(言えない……ずっとニートで、夜型で、ぼっちだったなんて……)


    76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 02:02:05.68 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)(夕飯にあたる食事が朝マックだなんて言えない……)

    ( ゚∀゚)「そんなわけで、頑張りな、兄ちゃん」

    ('A`)「そうだな……とりあえず当面は模範囚を目指すか……」

    ( ゚∀゚)「そうそう、もう一人同居人がいるんだけど、盛岡って奴なんだが」

    ( ゚∀゚)「俺は今日は早めに仕事上がれたけど普段は五時まで仕事だからさ」

    ( ゚∀゚)「まだお仕事中」

    ( ゚∀゚)「帰ってくる前に、ちょいとばかし寝ておくか悩むね」

    ('A`)「……ところでさ」

    ( ゚∀゚)「ん?」

    ('A`)「長岡はどんな罪を犯してしまったんだ」

    ( ゚∀゚)「俺か? 俺は……殺人」


    80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 02:08:48.61 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「っ!」

    ( ゚∀゚)「……未遂だ」

    ('A`)「脅かすなよ……」

    ('A`)(いやでも……本質的には変わらないか……?)

    ( ゚∀゚)「付き合ってた女がいたんだよ」

    ( ゚∀゚)「俺はそいつのことを死ぬほど愛してたし、それ以上に相手からの愛を感じてた」

    ('A`)「……」

    ( ゚∀゚)「だけど、ある日ケンカになっちまってね」

    ( ゚∀゚)「ケンカ自体は別によくあることなんだが、その日はちょっと大規模で」

    ( ゚∀゚)「あいつ、俺に向かって食器投げてきたんだ。こんなでっけぇの」

    ( ゚∀゚)「で、それが額にすこーんと見事に命中して」

    ( ゚∀゚)「プッツンきちゃったんだよな、俺も。お互い精神状態がまともじゃなかったよ」


    81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 02:14:35.43 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「……それで……」

    ( ゚∀゚)「思いっきりブン殴った。力の限りあいつの顔殴り倒してやった」

    ( ゚∀゚)「床に転がって、馬乗りになって、血を吐いても、何度も何度も」

    ( ゚∀゚)「女の声が出なくなるまで拳を振り下ろした」

    ( ゚∀゚)「気づいたときには動かなくなってたよ」

    ('A`)「……」

    ( ゚∀゚)「殴ってる最中に上がってた悲鳴を聴いてた近所の人らに通報されて、ハイ、おしまい」

    ( ゚∀゚)「幸い息はあったみたいだけど」

    ( ゚∀゚)「なんだ、ほら、『明確な殺意』ってやつが認められてさ」

    ( ゚∀゚)「あえなく御用ってわけだ」

    ('A`)「それで……ここにいるのか」

    ( ゚∀゚)「そうさ。初犯だし、ある程度は叙情酌量もしてもらえたけどな」


    82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 02:18:52.99 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)(そんな男には見えないけどな……)

    ('A`)(人間、本気でキレたらそんなもんなのかも知れないか)

    ( ゚∀゚)「俺が馬鹿だっただけだよ」

    ( ゚∀゚)「だから今はこうして心を入れ替えて罪を償ってる」

    ( ゚∀゚)「ま……あいつが許してるかどうかは俺にゃ知る由もないがな」

    ('A`)「面会に来たりしないのか?」

    ( ゚∀゚)「一度も。手紙さえない。完全に愛想尽かされたってことかもな」

    ( ゚∀゚)「だとしたら俺は一生許されないってわけだ。ははは」

    ('A`)「そうか……」

    ( ゚∀゚)「あ、言っておくけど、俺は面会の回数自体はかなり多いぜ?」

    ( ゚∀゚)「差し入れにもらったもん、隠れて兄ちゃんにもやるよ」


    87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 02:22:39.65 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「差し入れか……いいなそれ」

    ('A`)(身寄りのない僕には関係のない話ですが)

    ( ゚∀゚)「ムショの敷地内にある売店で売ってるもんだけだけどな」

    ( ゚∀゚)「それでも雑誌だとか桃缶だとかは貰える」

    ('A`)「へえ」

    ( ゚∀゚)「食料品はその場で看守が見てる前で処分しなきゃいけないがね」

    ( ゚∀゚)「それでも、なんとかして裾にでも隠して持ってくるさ」

    ( ゚∀゚)「俺、これでも勤労態度認められてんだぜ? だからチェック緩いの」

    ('A`)「そいつはありがたい。期待しておくか」

    ( ゚∀゚)「任せな!」


    90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 02:28:36.04 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「さて……それじゃあ昼寝すっか」

    ( ゚∀゚)「ああ俺は、東側の二段ベッドの下ね」

    ( ゚∀゚)「北側の上は盛岡のだから、兄ちゃんは空いてるほうどっちか使いな」

    ('A`)「了解」

    ( ゚∀゚)「そうだ、兄ちゃん。聞きそびれたんだけど」

    ( ゚∀゚)「兄ちゃん、名前なんてぇの?」

    ( ゚∀゚)「喋りたくなかったら喋らないでいいけど」

    ('A`)「……」

    ('A`)(長岡は頼りになる人間だと思う。思うんだが……)

    ('A`)「悪い。それは内緒にさせてくれ」


    92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 02:34:45.18 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「そうかい。兄ちゃんの好きにしたらいいさ」

    ('A`)「悪いな」

    ( ゚∀゚)「いやー、個人的なことだからな。それは兄ちゃんの自由だ」

    ('A`)(……なんでだろうな)

    ('A`)(プライバシーのない空間で)

    ('A`)(何かひとつでもプライベートな部分が欲しかったのかな……)

    ( ゚∀゚)「じゃあニックネームとかどうよ?」

    ('A`)「ニックネーム?」

    ( ゚∀゚)「おう。例えば兄ちゃんだったら、そうだな」

    ( ゚∀゚)「昆虫のナナフシに似てるからナナフシってのはどうだ?」

    ('A`)「それだけは拒絶させていただきたい」


    93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 02:40:24.32 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「そうかー。外見上の特徴なんて、痩せてるところぐらいだしな」

    ('A`)「ごめんなさいねつまらない男で」

    ( ゚∀゚)「あっ、そんじゃ、兄ちゃんの囚人番号で語呂合わせするか」

    ( ゚∀゚)「俺、学生時代年号暗記の語呂合わせ好きだったからよ」

    ( ゚∀゚)「さっき看守が叫んでた数字は……千九十だったな」

    ('A`)「そうだけど」

    ( ゚∀゚)「千九十……1090……10、9、0。ト、ク、オ」

    ( ゚∀゚)「こりゃダメだ。お得な奴みたいだし」

    ( ゚∀゚)「うーん、トクオ……トグオ……ドクオ……『ドクオ』か」

    ( ゚∀゚)「兄ちゃん、『ドクオ』ってのはどうだ」


    97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 02:47:49.64 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「ドクオか……なんかしっくり来るな……」

    ( ゚∀゚)「決まりだな。俺は兄ちゃんのことドクオって呼ぶぜ」

    ('A`)「把握した」

    ( ゚∀゚)「それじゃ、しばらく寝させてもらうぜ。ドクオ」

    ('A`)「言ったそばから眠ってやがる……このぐらい寝つきが良かったら幸せな人生だろうな」

    ('A`)「いや……そうでもないか」

    (,,゚Д゚)「称呼番号四百四十七番、入れ!」ガチャン

    ('A`)(うるせぇよバカ!)

    ('A`)(今の声で寝息立ててる長岡も凄いが……)

    ('A`)「ん? というか入れってことは誰か来たのか?」


    98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 02:52:28.54 ID:lsn2FAIu0

    (´・_ゝ・`)「戻ってきたというのに出迎えもないとか……」

    (´・_ゝ・`)「おん? あんた誰? 長岡は?」

    ('A`)(いつの間にやら五時半……こいつが長岡が言ってた盛岡か)

    ('A`)「ああ、俺、今日からここに収容されることになったんだ。長岡は仮眠中」

    (´・_ゝ・`)「あっそ。んじゃ俺も寝るから飯来たら起こしてな」

    ('A`)「さ、最速で寝やがった……」

    ('A`)「どんだけマイペースなんだよこいつは……」

    ('A`)「まあ……無駄に干渉してくる奴よりはマシかな……」

    ('A`)「……長岡ぐらいいい奴なら別だが……」

    ( ゚∀゚)「ありがとよ!」

    ('A`)「起きるな! 寝てろ!」

    ( ゚∀゚)「おう!」


    104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 03:21:34.69 ID:lsn2FAIu0

    ~翌日~


    (,,゚Д゚)「ここが本日より貴様に作業してもらう工場である!」

    ('A`)「いや、あのですね」

    (,,゚Д゚)「どうした?」

    ('A`)「工場って……だだっ広い部屋に机が並んでるだけなんですが……」

    (,,゚Д゚)「ここは検品場である!」

    ('A`)「検品?」

    (,,゚Д゚)「いかにも検品に励む場である!」

    (,,゚Д゚)「扱う品物は種々様々であるが基本は同様!」

    (,,゚Д゚)「特別な技術がなくとも可能ゆえ、短期収容者には大概ここに就く!」


    105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 03:27:13.82 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「自分そんな短いですかね……二年半なんですけど」

    (,,゚Д゚)「貴様は調べによると職歴が一切ないらしいではないか!」

    (,,゚Д゚)「そういった者に修練のいる作業をさせるのも酷なのでな!」

    (,,゚Д゚)「というより、不可能と思われる!」

    ('A`)(死にたい)

    (,,゚Д゚)「仕事内容は担当の看守と、熟練の囚人に聞け!」

    (,,゚Д゚)「それと、明日からは他の囚人と同じように集合し」

    (,,゚Д゚)「担当看守に付き従って収容所から工場までを行き来するように!」

    ('A`)「はあ、承知しました」

    (,,゚Д゚)「ではな!」スタスタ

    ('A`)「……朝七時半だっての」


    106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 03:32:51.95 ID:lsn2FAIu0

    (´・ω・`)「それじゃ、持ち場についてくれるかな」

    (´・ω・`)「千九十番の君は、あそこ。四列目の卓の右通路側でやってね」

    ('A`)「分かりました」

    ('A`)(優しそうな人で良かったぜ……)

    (´・ω・`)「仕事の内容だけどそう難しいことじゃない」

    (´・ω・`)「運ばれてきた品の中から不良品を見分けるだけ。本当にたったこれだけだ」

    ('A`)(それなら俺みたいなチンパンでも出来るな)

    (´・ω・`)「不良品の基準は同封されている用紙に書いてある」

    (´・ω・`)「言うまでもなく正規品として出荷できるものが大半だから」

    (´・ω・`)「多数の中に混じってるごく少数の見落としがないように」

    ('A`)「はい」


    107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 03:39:13.39 ID:lsn2FAIu0

    (´・ω・`)「詳細は近くの受刑者に聞いてくれ」

    ('A`)「了解です」

    (´・ω・`)「それじゃ、持ち場に向かってくれ。八時になると同時に笛を吹くから」

    ('A`)「へーい……」

    ('A`)「……ふう」

    ( ^ω^)「見ない顔だお。新入りかお?」

    ('A`)「そうだけど」

    ( ^ω^)「僕は内藤ってんだお。よろしく頼むお」

    ('A`)「こっちこそよろしく」

    ( ^ω^)「で、お前さんの名前は?」

    ('A`)「名前は……名前じゃあないけど、ドクオって呼ばれてる」


    108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 03:44:04.36 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「だから内藤もドクオって呼んでくれ」

    ( ^ω^)「ドクオかお。変な名前。とりあえず覚えたお」

    ('A`)(なんだかんだで気に入ってんじゃんか、俺……)

    ('A`)(そりゃま、ちゃんとしたあだ名なんて付けてもらったの初めてだしな……)

    ('A`)(小学校の頃に付いたあだ名は『メダカ殺し』だったし……)

    ('A`)(まさか墨汁で死ぬなんて……)

    ('A`)(俺だって……あんなにメダカが儚い生き物だなんて知らなかったんだ……)

    (´・ω・`)ピー

    (´・ω・`)「作業、開始!」

    ('A`)(はっ、いかんいかん。思考から復帰しないと……)


    111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 03:51:07.09 ID:lsn2FAIu0

    ドン ドン

    ('A`)「なんかダンボール箱が運ばれてきたんだが」

    ( ^ω^)「その中に今日扱う商品が入ってるんだお」

    ('A`)「それじゃ遠慮なく開封して……」

    ('A`)「何これ? シャーペン?」

    ( ^ω^)「敷地内にある他の工場で組み立てられたものだと思うお」

    ('A`)「これをチェックすりゃいいのか」

    ( ^ω^)「えーと基準は……ふむふむ」

    ('A`)「芯が正常に出ることが第一……」

    ('A`)「ちゃんとクリック感があるか……ペン先の歪み……組立のガタの有無……」

    ('A`)「め、めんどくせぇ……思った以上にめんどくせぇ……」


    112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 03:56:54.97 ID:lsn2FAIu0

    (´・ω・`)ピー

    (´・ω・`)「正午を迎えたので一時間休憩!」

    ('A`)「やっと休憩か……」

    ('A`)「目が痛い……それに単純作業の繰り返しは精神的に堪える……」

    ('A`)「案外疲れるな……まともに働いたのが生涯初というのもあるが」

    ( ^ω^)「まだ半分終わったところだから、この一時間で鋭気養っとくお」

    ('A`)「これで半分かよ!」

    ('A`)「つーか不良品なんて三本しか検出できなかったんだが……」

    ( ^ω^)「そんなもんだお」

    ('A`)「そんなもんか……」


    113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 04:03:21.03 ID:lsn2FAIu0

    (´・ω・`)「これより昼食を配る! 座席から離れないように!」

    ('A`)「あれ昼飯って食堂でとるんじゃないの?」

    ( ^ω^)「ここは作業場で食べるんだお」

    ( ^ω^)「機材なんて使わないから、別に汚れたりだとかはしないし」

    ('A`)「へー」

    ('A`)「配給されたのは……三角おにぎりがふたつ入ったプラスチックパックと」

    ('A`)「カップに注がれた味噌汁だけか……」

    ( ^ω^)「よく見るお。パックの中にたくわんも入ってるお」

    ('A`)「劇的に変わらんがな」

    ( ^ω^)「味気ない人生にささやかな彩り」

    ('A`)「比喩になっとらんがな」


    115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 04:08:09.49 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「とはいえ腹が減ってるから」

    ('A`)「こんな麦飯に海苔巻いただけのおにぎりでもうまい……」

    ( ^ω^)「ドクオと同意見だお」

    ( ^ω^)「ところで、どうしてお前さんはここに」

    ('A`)「薬物販売の容疑で実刑くらった」

    ( ^ω^)「うわ、もしかして薬中かお」

    ( ^ω^)「前に薬中と同室にさせられたけど、騒ぐわ些細なことで怒るわで酷いもんだったお」

    ( ^ω^)「さすがに保護房に入れられてたけど」

    ('A`)「断言するが俺自身は薬なんて一回もやってないからな」

    ( ^ω^)「仕入れて売ってただけかお」

    ('A`)「そういうことになってる」

    ( ^ω^)「ふうん」


    120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 04:26:27.92 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「内藤は?」

    ( ^ω^)「僕は交通犯だお」

    ( ^ω^)「死亡事故だし、僕の前方不注意が原因だから実刑判決のもしゃーないお」

    ('A`)「……本当か、それ」

    ( ^ω^)「何がだお?」

    ('A`)「死亡事故を起こした人間の口ぶりじゃないぞ、それ。軽すぎる」

    ( ^ω^)「分かるかお」

    ( ^ω^)「実際は飛び出しだったお狭い路地の、右から左に移ろうとしたのかな」

    ( ^ω^)「僕も徐行して走ってたんだけど、なにせお年寄りだったから……」

    ('A`)「そう強くない接触でも打ち所が悪いとなぁ」

    ( ^ω^)「ところが僕が普通に歩いてるところを轢いたことになったお」


    122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 04:32:00.21 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「は? なんでだ?」

    ( ^ω^)「そっちのほうが遺族にとって都合がよかったんだろうお」

    ( ^ω^)「いつの間にかそういうことに仕立てられてたお」

    ('A`)「ああ……そういうことか」

    ('A`)「でもよ、なんで異議を申し立てなかったんだ?」

    ( ^ω^)「遺族の人が望んでるんだから、まあ、従うしかないお」

    ( ^ω^)「僕が死なせたことは事実だし、そもそも立証手段もないし」

    ('A`)(諦めが良すぎるだろ……それとも人が良いのか?)

    ('A`)(でも事故起こしたのは本当だしな……訳分かんねぇよもう……)

    ( ^ω^)「賠償金は保険が下りたからなんとかなったけど……」

    ( ^ω^)「僕には禁固刑が言い渡されたお」


    123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 04:36:50.95 ID:lsn2FAIu0

    ( ^ω^)「懲役とほとんど変わらんお。違うのは就労がないだけ」

    ('A`)「じゃあ俺らと違って働かないでもいいってことか?」

    ( ^ω^)「そうだお。別にこの時間僕は監房で寝転がって」

    ( ^ω^)「今日のタモさん元気だなーとかぼやきながら過ごしても構わないんだお」

    ('A`)「だったらお前がここで仕事してるのはおかしいだろ」

    ( ^ω^)「希望を出せば他の囚人と同様に働けるお」

    ('A`)「必要ないじゃん。ってか俺なら絶対グータラ生活を選ぶけど」

    ( ^ω^)「ううん、なんだかそうするのも落ち着かないんだお」

    ( ^ω^)「周りの流れに沿って行動するほうが楽っていうか」

    ('A`)「よく分からん奴だな、お前って」

    ( ^ω^)「言われ慣れてるお」


    124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 04:41:38.95 ID:lsn2FAIu0

    (´・ω・`)ピー

    (´・ω・`)「休憩やめ! 作業再開!」

    ( ^ω^)「さーて、もうひと頑張りいくかお」

    ('A`)「ダルいな……」

    ( ^ω^)「根性出せお」

    ('A`)「根性とか湧き出たそばから捨ててるしな……」

    ('A`)「大体、今日が初仕事だし……」

    ( ^ω^)「見た感じドクオに足りないのは経験じゃなくてやる気だお」

    ('A`)「自覚しとるわ」

    ('A`)「はあ、しかし……やるしかないわな」

    ('A`)(不真面目に取り組んでたら模範囚なんて無理だろうから……)


    128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 04:48:41.25 ID:lsn2FAIu0

    ガチャン

    ('A`)「ただいまー……って、俺が一番早かったか」

    ('A`)「それにしても……働くってのは大変だな」

    ('A`)「まさか刑務所の中でそんなことを教えられるとは……」

    ('A`)「あとは飯食って寝るだけと考えれば、ちょっとはマシかな」

    ガチャン

    (´・_ゝ・`)「うぃーす。お疲れー」

    ('A`)「おう、お疲れ」

    (´・_ゝ・`)「寝るからアレがアレしたら起こしてなー」

    ('A`)(なんなんだこいつは)


    129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 04:56:32.36 ID:lsn2FAIu0

    ~一週間後~


    ガララララ

    (,,゚Д゚)「四百四十七番! 六百一番! 千九十番!」

    (,,゚Д゚)「本日の夕食を運搬してきたゆえ、台車からトレイを持っていくように!」

    ( ゚∀゚)「どれが大盛りかなっと」

    (,,゚Д゚)「どれも大差ない! 手早く済ませ!」

    ( ゚∀゚)「了承したであります」

    (,,゚Д゚)「あえて言うならばこちらから見て北北西に置かれたトレイは米の量がいささか多く映る!」

    ( ゚∀゚)「ではそれをもらいますかねぇ」

    ('A`)(こいつら冗談言い合えるくらいなんだな……)

    ('A`)(ある程度看守に認められてるってのはマジってことか……)


    131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 05:03:01.18 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「二人とも席ついたか? それじゃ、いただきます」

    ('A`)「いただきます、と」

    ( ゚∀゚)「ムショでの飯にはもう慣れたか?」

    ('A`)「そうだな……普通の食事とあんまり変わんない感じだな」

    ('A`)「例えば今晩なんか、麦飯、油揚げの味噌汁、白菜の浅漬け」

    ('A`)「ほうれん草と豚肉の炒め物、切り干し大根……味も全然いける」

    ('A`)「なんか小学校の給食を思い出す感じ」

    ( ゚∀゚)「妥当な表現だな」

    ('A`)「さすがにあれよりは質素だけど」

    (´・_ゝ・`)「麦飯に味噌汁かけるのうまー」

    ('A`)「やめんか」


    133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 05:09:26.84 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「あとパンが出るのにもびびった」

    ( ゚∀゚)「たまにしか出ないけどよ、でもこういうのも食えるってなると嬉しいだろ?」

    ('A`)「ほんのわずかだけどな」

    (´・_ゝ・`)「時々うどんもメニューに入ったりするんで」

    ('A`)「マジか……俺の外での食生活なんかクソみたいに思えてきた……」

    ('A`)「少なくとも栄養価では完敗している……」

    ('A`)「ただ嗜好品の類がまったくないのは、分かっちゃいたけどやっぱり物足りないな」

    ( ゚∀゚)「拘置所は今振り返ると天国だったもんな。自分で買ってもいいし」

    (´・_ゝ・`)「そう! 拘置所はマジ神! 留置所は終わってるけど拘置所は素晴らしい!」

    ( ゚∀゚)「ハッピーターンとかルマンドとか色々食えるしな」

    (´・_ゝ・`)「ああやばい。口がチーズおかきの口になってきた。俺こうなると中々止まらないからなー」

    ('A`)「知らんがな」


    134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 05:15:36.81 ID:lsn2FAIu0

    (´・_ゝ・`)「やばいわー何食ってもチーズおかきの味になるわー」

    (´・_ゝ・`)「大根がチーズおかきの味してくるわー」

    ('A`)「単に便利な口じゃねーか」

    ( ゚∀゚)「拘置所はここより更に綺麗だったし、いいとこだったよ」

    ( ゚∀゚)「でさ、生活面はどうよ?」

    ('A`)「うーん、こっちはまだ慣れないっていうか……勝手が分からないというか……」

    ('A`)「正直まだふわふわしてる」

    ('A`)(朝起きて夜寝ることは留置所時代から徐々に適応できていったが……)

    ( ゚∀゚)「なんかあったら相談すリャいい」

    (´・_ゝ・`)「いくらでも我々を頼ってくれて構わない」

    ('A`)「お前にだけは絶対相談しないから安心しろ」


    136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 05:23:40.88 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「まあ辛いことっていったら……やっぱり風呂だな」

    ('A`)「さすがに週二回はちょっと……」

    ( ゚∀゚)「七月八月と一月二月は週三回になるから、期待しときな」

    ('A`)「拘置所で二ヶ月過ごさなきゃ三回入浴できたのか……」

    ('A`)「あと風呂で思い出したんだが……」

    ( ゚∀゚)「なんだ?」

    ('A`)「というか、これが一番気にかけてることなんだが……」

    ( ゚∀゚)「もったいぶるなって」

    ('A`)「風呂って大浴場じゃん?」

    ( ゚∀゚)「だな」


    137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 05:28:34.91 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「全員裸じゃん?」

    ( ゚∀゚)「自然とそうなるわな」

    ('A`)「その時はっと思い出したんだが……」

    ('A`)「刑務所でゲイに●●●されるって、よく聞くだろ? そういうのってマジなの?」

    (´・_ゝ・`)「ぷっwwwwばーかwwwwなにこいつwwwwww」

    (´・_ゝ・`)「自意識過剰wwwwフィクションの読みすぎwwwwぷきゃきゃきゃwwwww」

    ('A`)「突然草生やすなうぜぇ!」

    ( ゚∀゚)「その手の噂は俺がここに入ってから聞かないな」

    ( ゚∀゚)「だからないだろ、たぶん」

    ('A`)「推定かよ……」


    141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 05:35:10.38 ID:lsn2FAIu0

    (´・_ゝ・`)「むしろwww裸でそれ想起しちゃうお前が素質ありwwwww」

    ('A`)「やめろ! 冗談でもやめろ!」

    (´・_ゝ・`)「俺wwww事前にいろいろ調べたけどwwwwそんなのまずないからwwwww」

    (´・_ゝ・`)「強●とか超絶懲罰wwwww独居房で監禁確定wwww刑期延長wwwwwww」

    (´・_ゝ・`)「おまけにすぐバレるwwwwwリスク高すぎwwwwwwww」

    (´・_ゝ・`)「しかも相手男wwwww完全に選択肢としてアリエナイッティwwwwwww」

    ( ゚∀゚)「今度の面会で芝刈り機とか受け取れねぇのかな」

    (´・_ゝ・`)「つーか俺らがお前襲うとか考えてたのwwwwwwww」

    (´・_ゝ・`)「腐女子の股間が濡れとるがーwwwwwww」

    ('A`)「もうやめてくださいお願いします。もう滅多なことは口にしません」


    142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 05:40:44.52 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「でもよ、性犯罪者とか異常性欲だったりするじゃん」

    ( ゚∀゚)「性犯罪者ねぇ。ああいう連中って、刑務所だと大人しくしてるぜ、案外」

    ('A`)「そうなのか?」

    ( ゚∀゚)「性犯罪者っていったら、犯罪者の中でも特に下衆扱いされるからさ」

    ( ゚∀゚)「むしろイジメの標的になったりするから、目立たないように生きてるぞ」

    ('A`)「そうなのか……」

    ( ゚∀゚)「再犯率高いからB級刑務所は性犯罪者がかなり多いらしいぜ」

    ( ゚∀゚)「そこではどんなふうに立ち回ってるかなんて想像つかないがね」

    ('A`)「前の話にも出てたけどB級刑務所ってなんだ?]

    ('A`)「ここがA級ってのは知ってるんだが」

    ( ゚∀゚)「B級は再犯の囚人を収容するとこだ。こっちが初犯、あっちが再犯」

    ('A`)「なるほど」


    143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 05:46:18.94 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「だからB級刑務所には性犯罪者が多いそうだ」

    (´・_ゝ・`)「そーそー。あと薬中な。あれも再犯率半端ないから」

    (´・_ゝ・`)「ドクオちゃん責任感じてんの? 薬売って捕まったんでしょ?」

    ('A`)(又聞きのあだ名を使いこなすのがムカつく……)

    (´・_ゝ・`)「あーあとやくざな」

    ('A`)「やくざ?」

    (´・_ゝ・`)「そういうのに現役で籍があるとは初犯でもB級って決まってるから」

    ('A`)「……盛岡ってやけにその手の事情に詳しいな」

    (´・_ゝ・`)「まあな。犯罪起こす前に刑務所行くこと想定してたし」

    ('A`)「ん? それってどういう……」


    144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 05:52:54.06 ID:lsn2FAIu0

    (,,゚Д゚)「食器の回収である!」ガチャン

    ('A`)「うおっ!?」

    ('A`)(心臓止まるかと思った……唐突の訪問はやめろ)

    (,,゚Д゚)「迅速に! 至急持ってこい!」

    ( ゚∀゚)「はいさっさ」

    (´・_ゝ・`)「だりぃ……サービスが悪い……」

    (,,゚Д゚)「声に出すな!」

    (,,゚Д゚)「では二十一時の消灯まで好きに過ごすことを推奨する!」ガチャン

    ('A`)(消灯っていうけど明かり減らすだけなんだよな……真っ暗じゃないと眠りづらい)

    ('A`)「あれ、なんの話してたんだっけ?」

    ('A`)「まあいいか」


    256: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 15:57:24.84 ID:lsn2FAIu0

    ~一ヵ月後~


    ('A`)ボケー

    ( ゚∀゚)「どうしたよ、せっかくの土曜日だってのに呆けくさって」

    ('A`)「だって暇じゃん」

    ('A`)「俺、入所直後は休日最高終日ゴロゴロうっひょっひょーって感じたけどさ」

    ('A`)「でもいい加減飽きてきた」

    ('A`)「何もしない、出来ないってのもな……」

    ( ゚∀゚)「一歩も外に出られないからなー」

    ('A`)(内藤が禁固拒否する気持ちが分かるぜ)


    259: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 16:06:12.36 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「あんまり動かれると腹を減らされるってのもあるだろうな」

    ('A`)「なんだそれ」

    ( ゚∀゚)「ほら、ムショの飯って量は多くないだろ? 食費軽減とかで」

    ('A`)「だな。それにカロリーの高そうなものはほとんどないし」

    ( ゚∀゚)「あまり食わなくても大丈夫な体質に変化させられてるんだよ」

    ('A`)「確かに……先日脱衣場の体重計で体重測ったら三キロ痩せてた」

    ('A`)「元々五十キロちょっとしかなかったのに四十キロ台に突入しそうだ」

    ( ゚∀゚)「あと性欲を抑える効果もあるだろうな」

    ('A`)「一日二回オナるのがノルマだったのに一日一回で十分になってしまったぜ」

    ( ゚∀゚)「いやそれハイペースすぎるから」

    ('A`)「えっ」


    265: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 16:13:39.78 ID:lsn2FAIu0

    (´・_ゝ・`)「だが安心するといいドクオちゃんよ」

    ('A`)「急に話に割り込んでくるな。なんだ?」

    (´・_ゝ・`)「来週の日曜は半年に一度の球技大会だ」

    ('A`)「なにそれ」

    ( ゚∀゚)「そのままの意味だよ。外のグラウンドでスポーツするの」

    ('A`)「マジかい! そんなレクリエーションがあるとは……」

    ('A`)「というかそんな施設があるのか……」

    ( ゚∀゚)「普段は出所直前の受刑者が体を慣らすためにしか使われてないけどな」

    (´・_ゝ・`)「ちなみに今回は工場別対抗野球大会ドンドンパフパフだ」

    (´・_ゝ・`)「大会前日には練習時間も与えられてるぞ。やったねドクオちゃん!」

    ('A`)「やばい。無駄に燃えてきた……この俺もイベントに飢えていたのか……」


    270: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 16:22:10.04 ID:lsn2FAIu0

    ~翌週の土曜日~


    ('A`)「つーわけで僕たち検品班の練習の時間になりました」

    (´・ω・`)「この部署には四十七人いるので四チームに分けたいと思う」

    (´・ω・`)「まずは二十三番から……」

    ( ^ω^)「一緒のチームになったお。よろしくだお」

    ('A`)「やるからには優勝な」

    ('A`)「ところで優勝の賞品があったりだとかは」

    ( ^ω^)「あるわけない」

    ('A`)「知ってた」

    ( ^ω^)「いいからさっさとグローブ取ってくるお。キャッチボール始めるお」

    ('A`)「へーい」


    276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 16:28:21.38 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「いくぞー!」

    ( ^ω^)「こいおー!」

    ('A`)ブンッ!

    ( ^ω^)パスッ

    ( ^ω^)ヒョイッ

    ('A`)ズガラメキャラブザブブーン!!

    ('A`)「ちょっ、おまっ、球速すぎ! 殺す気か! ってか手首傷めたわ!」

    ( ^ω^)「僕、これでも肩には自信あるんで」

    ( ^ω^)「それより、ぷっ、なんだお今のヒョロヒョロ球は。チャバネゴキブリが止まるお」

    ('A`)「うっせ死ね。あとせめて止まるのはハエにしてくれ」

    ('A`)(しかしまあ、なまった体を動かすってのは気持ちがいいな……)


    279: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 16:34:52.15 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「そりあっ!」ブンッ!

    ( ^ω^)バシッ!

    ( ^ω^)「ふむふむ。マダカスカルゴキブリが止まれるかどうか躊躇するレベルにはなったお」

    ('A`)「いい加減ゴキブリで俺の球筋を評価するのはやめろ」

    ( ^ω^)「それより、そろそろ打撃練習が始まるお」

    ( ^ω^)「倉庫からバットが運ばれてきてるお」

    ('A`)「打撃か……全打席バントヒット狙いだな……どうせ素人の守備だし……」

    ( ^ω^)「小さい男だお」

    (´・ω・`)「集合! 只今よりシートバッティングを始めようと思う」

    (´・ω・`)「打撃投手は……そうだな、七百十番がやってくれ。いい球を放っていた」

    ( ^ω^)「分かりましたお」


    282: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 16:42:21.17 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「ところでシートバッティングってなんですかね」

    (´・ω・`)「ああ、普通のフリーバッティングと違って実戦形式でやる打撃練習さ」

    (´・ω・`)「ちゃんと守備にも入ってもらうし、カウントもつけて、一打席で交代」

    (´・ω・`)「守備の練習にもなるし、試合の感覚も掴めるだろうしね」

    ('A`)「なるほど」

    (´・ω・`)「順番の遠い者から自由に守備位置に就いてくれー」

    (´・ω・`)「それでは始めるぞー! 二十三番!」

    ('A`)「俺の番まで遠いな……守備とかやる気しないからその辺でぼーっとしておくか……」


    カキーン

    ('A`) ←20cm→ ザシュッ!


    (´・ω・`)「そこファールになった打球がくるから危ないよ」

    ('A`)「寿命が確実に縮みました」


    285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 16:48:26.69 ID:lsn2FAIu0

    カキーン カキーン ボテッ

    ('A`)「ぷげら。キャッチャーゴロとかないわー」

    ( ^ω^)「そういうドクオは外野まで飛ばせるのかお」

    ('A`)「あれ、お前さっきまでピッチャーやってたんじゃないの?」

    ( ^ω^)「もうすぐ僕の番だからしばらく変わってもらったお」

    ('A`)「ほう」

    ( ゚∋゚)ブンッ! ブンッ!

    ('A`)「うわ、あいつスイングやべぇな……風を切る音がこっちまで聴こえてくるんだが……」

    ('A`)「経験者だったりすんのかな?」

    ( ^ω^)「いや……あれは……なんていうか……」


    290: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 16:54:25.74 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「なんで口ごもるんだよ」

    ( ^ω^)「ドクオはニュースで見なかったのかお」

    ( ^ω^)「あいつ、バットで人殴り殺して刑務所に送られた囚人だお」

    ('A`)「ぐほっ」

    ( ^ω^)「ニュースで顔見たことないのかお? 殺人犯鳥田の名前も」

    ('A`)「そういうの疎いんで……」

    ( ^ω^)「あいつがバットを振るだけで……なんというか……」

    ('A`)「ああ……全員引いてるな……」

    ('A`)「未曾有の恐怖を感じる……」

    ( ^ω^)「おそらくプロでもあいつが打席に立ったら動揺するお……」

    ('A`)「もはや野球関係ない本能の部分でな……」


    291: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 16:58:39.36 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∋゚)「……」

    ( ^ω^)「打席に向かうみたいだお」

    ( ^ω^)「キャッチャーがありえないくらい後ろに下がってるお」

    ('A`)「ピッチャーより遥かに危険な位置にいるからやむを得ない」

    ('A`)「それにしてもあの殺人スイング……リアルな意味での……」

    ('A`)「ガタイもいいし相当飛ばしそうだな……」


    ストライーク ストライーク ストライーク バッタアウト


    ( ゚∋゚)「……」

    ( ^ω^)「しょんぼりして帰ってきたお」

    ('A`)「やだ、ちょっとかわいいかも……」


    296: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 17:07:16.01 ID:lsn2FAIu0

    ( ^ω^)「やっと僕の番だお。一発かっとばしてくるお」

    ( ^ω^)「軟球破壊する勢いで」

    ('A`)「デカい口叩く前に結果で示しな」

    ガッキーン!

    ('A`)「左中間まっぷたつ……」

    ( ^ω^)「まあ二塁打ってとこかお」

    ('A`)「お前……運動神経いいんだな……」

    ( ^ω^)「それじゃ、打撃投手に戻らせてもらうお」

    ( ^ω^)「お前さんとの対決楽しみにしてるお」ニヤニヤ

    ('A`)「ふっ、調子に乗れるのは今のうちだ。吠え面かかせてやるぜ」

    ('A`)「俺の美しきバントでな」

    ( ^ω^)「バントかよ」


    297: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 17:11:08.26 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「さて俺の出番だ。内藤、手加減はいらないぞ」

    ( ^ω^)「言われなくてもそのつもりだお」

    ('A`)「さあこい!」

    ( ^ω^)「そいっと!」ピュンッ

    ('A`)「はあああああああああああっ!!」

    コンッ 

    コロコロ....

    コロン

    ( ^ω^)「線上で完璧に静止……」

    ( ^ω^)「無意味にセンスを感じる……」

    ('A`)「これが俺の『打球殺し(ノッキングブレイカー)』だ……」

    ( ^ω^)「そっちのセンスは壊滅的……」


    307: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 17:21:57.12 ID:lsn2FAIu0

    ~大会当日~


    ( ФωФ)「……でー……あるからして……」

    ('A`)(所長の挨拶なげぇよ……)

    ( ゚∀゚)(我慢しな。こういうところで態度を正しておけばポイントアップだ)

    ( ゚∀゚)(それと、噂じゃ球技大会で活躍した服役者は模範囚として選ばれやすいらしいぜ)

    ( ゚∀゚)(協調性とかなんとか言われて)

    ('A`)(本当か。これは俺のバントが火を噴くな……)

    ( ゚∀゚)(なんの話だよ)

    ( ФωФ)「……というわけで……」

    ( ФωФ)「以上をもって、VIP刑務所前期球技大会の開会の宣言とする!」

    パチパチパチパチ


    311: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 17:28:29.07 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「しかし全三十二チームのトーナメントとはかなり気合入ってるな……」

    ( ゚∀゚)「ベストエイトまではグラウンドの対角ふたつを使って二試合ずつ行われるぜ」

    ('A`)「俺の所属する検品Cチームは手前側の第四試合か」

    ('A`)「それまで観戦だな」

    (´・_ゝ・`)「さっき元プロ野球選手の人が慰問に来てたぞ」

    ('A`)「すげーなそれ! ちょっと握手頼んでみよっかな……」

    ( ゚∀゚)「誰よ?」

    (´・_ゝ・`)「オリックスの選手だったって」

    ('A`)「オリックス……」

    ( ゚∀゚)「オリックスか……」

    (´・_ゝ・`)「行かんの?」

    ('A`)「いや……やめとくわ……」


    317: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 17:37:10.57 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「おっ、始まるみたいだな」

    ('A`)「野次がうるさい……」


    三百七十九番「痛いのー。デッドはあかんぞデッドはー」

    千百三十一番「盗めっぞ! 明らかに隙だらけやぞ! 盗み放題!」

    十五番「そんな離れとったら牽制で死ぬぞオラ。あー調子こいとるから確実に死ぬわこれ」

    二百四番「あー打った。どぎついの打たれたわこれ。致命的だわ」

    八十六番「おら本塁で殺せ! 本気で刺したれや!」

    九百二十二番「しゃあああああ、殺した~殺したった~」

    場内アナウンス「ただいまのプレーで捕手の五百九十八番に刺殺が記録されます」


    ('A`)「深い意味とかないよな?」

    ( ゚∀゚)「ないない」


    321: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 17:44:51.09 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「さて、俺はちょっとウォーミングアップしてくるわ」

    ( ゚∀゚)「次、俺の工場のチームの番だからな」

    (´・_ゝ・`)「俺も試合だ。お互い勝ち進んで、決勝で会おう」

    ('A`)「お互い勝ち進んだら準々決勝で当たるわ」

    (´・_ゝ・`)「うるちゃいうるちゃい!」

    ('A`)「泣きながらダッシュしていきやがった……」

    ('A`)「おふざけだからどうでもいいな」

    ( ^ω^)「ここにいたのかお」

    ('A`)「お、内藤じゃん。どした」

    ( ^ω^)「さっきチームの人らと話し合ってスタメンを決めてきたんだお」

    ( ^ω^)「それ伝えておこうと思って」


    323: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 17:49:10.35 ID:lsn2FAIu0

    ( ^ω^)「ええと、僕は三番ピッチャーで、ドクオが二番ライト」

    ('A`)「おっ結構いい打順与えられてるんだな」

    ( ^ω^)「大変不本意ながらあのバント技術は認めざるを得ない」

    ('A`)「あー僕、一芸特化だからなー」

    ( ^ω^)「ついでに鳥田が四番」

    ('A`)「あの特大扇風機が主砲だと……?」

    ('A`)「なぜだ。血迷ったか」

    ( ^ω^)「あれは打席に立ってるだけで投手に悪影響を及ぼすお」

    ('A`)「実に選手の特徴を活かした采配だと思います」

    ( ^ω^)「試合の順番が回ってきたら頑張るお!」

    ('A`)「そうだな……予選突破は超えるべき最低ラインだからな……」


    326: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 17:55:59.86 ID:lsn2FAIu0

    キーン

    コンッ

    カキーン!

    スカッ

    ピュンッ!

    バシン!

    (,,゚Д゚)「ゲームセット! 八対一で、客観性に基づき、検品Cの不変的勝利と見なす!」

    (,,゚Д゚)「礼!」

    ('A`)「あっしたー」

    ('A`)「なんか……予想外に楽に勝てたな……」

    ( ^ω^)「予選はこんなもんだお。本気でやる囚人が少ないチームは早々に脱落するお」

    ('A`)「全員が全員燃えてるわけじゃないんだな……そんなもんか」


    330: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 18:01:53.34 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)(その後、俺たちは第二試合も順調に勝利し)

    ('A`)(無事ベストエイトに残ることが出来た)

    (´・_ゝ・`)「っしゃー、次は俺たちとの勝負だぜ」

    ('A`)(昼休みを挟んで行われた準々決勝も、内藤の好投もあって難なく突破)

    (´・_ゝ・`)「えっ、ダイジェストとして編集されたの?」

    ('A`)(だが……)

    (´・_ゝ・`)「おーい」

    ('A`)(準決勝の開始と同時に、不安と騒動の種が見つかりだした)

    (´・_ゝ・`)「ちょっとー、ディレクター?」


    334: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 18:10:02.74 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「いよいよ準決勝か……」

    ('A`)「俺たちは二試合目で、長岡のチームの試合が先か」

    ( ^ω^)「どちらが勝ち上がってくるか……しっかり見定めておくお」

    ('A`)「戦力分析も兼ねてな」

    ( ゚∋゚)「……」

    ('A`)(こいつが無言で背後に立ってるだけで背筋が凍える……)

    ('A`)(打率一割のくせに……)

    ボコッ!

    (´・ω・`)「デッドボール!」

    ( ゚∀゚)「いってーなこの野郎……」

    爪'ー`)y‐「へへっ、すまんね」


    338: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 18:20:57.44 ID:lsn2FAIu0

    ボコッ

    ('A`)「……なあ内藤」

    ( ^ω^)「なんだお」

    ('A`)「あいつ当てすぎじゃね? わざとじゃねーの」

    ( ^ω^)「ああ、あいつかお……」

    ('A`)「知ってるのか」

    ( ^ω^)「名前は知らないけど、どういう奴かは聞いてるお」

    ( ^ω^)「詐欺で逮捕されたらしいけど……」

    ( ^ω^)「とにかく評判の悪い囚人だお。僕らと同じ工場で働いてる奴が同室なんだけど」

    ( ^ω^)「平気で嘘をつく。食料を勝手に奪う。噂じゃ工場では他人のノルマまで奪ってるみたいだお」

    ( ^ω^)「うまいこと看守にバレないように……立証する手段がないものばかりだから」


    341: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 18:24:32.87 ID:lsn2FAIu0

    ( ^ω^)「だけどキレて手を上げようにも、さすがにそれは監視の目をごまかせないから」

    ( ^ω^)「どうしようもないみたいだお」

    ('A`)「ほう」

    ('A`)「でも死球連発とそれは関係ないよな」

    ( ^ω^)「さあ……打ちそうな奴だけ狙ってるんじゃないかお」

    ( ^ω^)「ルールの中では何やってもいいって考えてるとしたら、らしいっちゃらしいお」

    ('A`)「でもよー、見た感じ前の試合では普通だったぜ?」

    ('A`)「それにこの試合でも、長岡と、もう一人ギョロ目の奴にしか当ててない」

    ('A`)「あいつら八番と九番なのに」

    ( ^ω^)「ううん、僕の理解が及ぶ範囲ではないお」


    343: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 18:29:22.20 ID:lsn2FAIu0

    ボコッ

    ('A`)「あっ、またギョロ目に当てた」

    ( ^ω^)「あーあれは完全に怒ってるお。顔が赤いお」


    爪'ー`)y‐ポイッ

    ボテッ ゴロゴロ

    爪'ー`)y‐「ふーやっとスリーアウトか。またランナー溜めちまったなあ。やれやれ」

    ( ゚д゚ )「おい」

    爪'ー`)y‐「ん?」


    ('A`)「おいおい、なんか絡みに行ってるぞ。剣呑な」

    ( ^ω^)「攻守交代の時間を利用してかお」

    ('A`)「確かに今なら十数人が交差してるから、看守も気づきにくいだろうけど……」


    344: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 18:35:54.77 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚д゚ )「……」

    爪'ー`)y‐「……」


    ('A`)「なんの会話をしてるんだろうな」

    ( ^ω^)「あっ、離れていったお」

    ( ^ω^)「思ったより短く済んだお。大事にならずによかったお」

    ('A`)(でもなんか……あのギョロ目……)

    ('A`)(去り際に詐欺師じゃなくて……その向こうにいる奴を睨んでなかったか……?)

    ( ^ω^)「もう九回だお。この回で追いつかないと奴のチームの負けだお」

    ポコンッ フラフラッ ポス

    (´・ω・`)「試合終了。五対二で、第四工場Bチームの勝利! 礼!」

    爪'ー`)y‐「ありがとやんした。あー、負けた負けた。悔しいなー」

    ( ゚∀゚)「……」


    346: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 18:41:22.68 ID:lsn2FAIu0

    ( ^ω^)「なんだか微妙な雰囲気のまま終わったお」

    ('A`)「お? 長岡が詐欺師に話しかけてやがる」

    ('A`)「……またすぐ終わった」

    ( ゚∀゚)「チッ……」

    ('A`)「おーい、長岡」

    ( ゚∀゚)「……なんだ、ドクオか」

    ('A`)「あんた、あいつと何話してたんだ?」

    ( ゚∀゚)「ん、ああ、大したことじゃねぇよ。全然」

    ('A`)「ホントか? さっきめちゃくちゃぶつけられてたじゃん」

    ('A`)「その文句を言いに行ったんじゃないのか?」


    349: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 18:47:42.50 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「まあ言ったんだけどよ」

    ('A`)「なんて返ってきた」

    ( ゚∀゚)「『チームの主将張ってる紗木に命令されてやった』ってさ」

    ('A`)「は? ってか誰よ紗木って」

    ( ゚∀゚)「あいつのいる工場で模範囚に選ばれてる男だ」

    ( ゚∀゚)「『自分は汚れ役をやらされただけ』とかぬかしてたぜ」

    ( ゚∀゚)「誰が信じるかそんなもん。話にならねーからさっさと切り上げてきた」

    ('A`)「そうか……」

    ( ゚∀゚)「あんなくだらない言い訳、馬鹿しか信じな――」

    ワアアアアアアアア!!

    ('A`)「な、なんだ!?」


    351: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 18:53:47.81 ID:lsn2FAIu0

    (´・_ゝ・`)「おいやばいぞ! 祭……じゃなかった、囚人同士のケンカが始まったぞ!」

    ('A`)「どんな間違え方だ」

    ( ゚∀゚)「それよりどこで、どいつが起こしてやがんだ?」

    (´・_ゝ・`)「紗木と河内だ」

    ( ゚∀゚)「あ?」

    ( ゚∀゚)「河内って、俺と一緒に死球攻めされてた人じゃねぇか」

    (´・_ゝ・`)「第七工場と第四工場の模範囚同士ってことで、カーニバル……じゃなくて大騒ぎよ」

    ('A`)「だからその間違え方はなんなんだよ」

    (´・_ゝ・`)「騒動に便乗して、興奮した他の囚人も殴り合ってる」

    (´・_ゝ・`)「中には紗木のシンパと河内のシンパもいるっぽいが」

    (´・_ゝ・`)「とにかくひでー。看守もそっちに気を取られちまって大会どころじゃねー」


    354: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 18:59:31.63 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「野次馬が移動を始めてる……」

    ( ゚∀゚)「あーあ、いろいろと終わったな」

    (´・_ゝ・`)「ちょっと僕も後学のために見物してきます」

    ('A`)「やめろ」

    (´・_ゝ・`)「襟を引っ張るのはやめて! 首絞まる! 割と絞まる!」

    ( ^ω^)「えらいことになったお」

    ('A`)「内藤」

    ( ^ω^)「……試合後に、例の男が紗木さんに詰め寄られてるところを見たお」

    ( ゚∀゚)「おい、ちょっと詳しく聞かせてくれ」

    ( ^ω^)「そうするつもりだお。紗木さん、『あのプレーはモラルに反する』って怒ってたお」

    ( ^ω^)「ほら、紗木さんって人格者だって収容所内で評判だから」


    360: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 19:06:34.55 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「人格者ねぇ……刑務所に入ってる時点で人格者も糞もないような気が」

    ( ゚∀゚)「正義感が強いがゆえに起こしちまう犯罪なんて、いくらでもあらあ」

    ('A`)「ううむ」

    ( ^ω^)「そうしたら、あいつ身振り手振りを交えて」

    ( ^ω^)「『あの連中は日頃から紗木さんに嫉妬している』」

    ( ^ω^)「『酷い陰口を叩いているのを聞いて以来、許せなくて……』とかなんとか」

    ( ^ω^)「わざとらしい表情まで作って言いくるめてたお」

    ( ゚∀゚)「そうか……そういうことか」

    ( ゚∀゚)「ドクオ、俺ちょっと騒ぎの元の現場に行ってくるわ」ダッ

    ('A`)「長岡? おい、待てって!」

    ('A`)「どうしたんだ?」


    365: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 19:11:28.09 ID:lsn2FAIu0

    (´・_ゝ・`)「俺もちょっと行ってくる!」

    ('A`)「ああどうぞどうぞ」

    (´・_ゝ・`)「止めてよ」

    ('A`)「もうお前の相手するのも億劫になった」

    (´・_ゝ・`)「じゃあ心置きなく行ってきまーす」ピュー

    ('A`)「……はあ」

    ('A`)「とにかく、大会は中止だろうな……」

    爪'ー`)y‐「本当にこの肥溜めは呆れるくらいの馬鹿が多いとは思わないかい?」

    ('A`)「なっ、お前!」

    爪'ー`)y‐「ケンカだなんて、いったい何が火の種なのやら」

    ('A`)(白々しい奴め……)


    366: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 19:16:36.88 ID:lsn2FAIu0

    ( ^ω^)「ふん、どうせ原因が究明されたらお前のところに行き着くお」

    爪'ー`)y‐「原因? なんのことだよ。それにどうやって?」

    ( ^ω^)「そりゃ両者を詰問して……」

    爪'ー`)y‐「ひゃひゃ。本当に馬鹿だな。野次馬じゃない馬鹿もいたんだねぇ」

    ( ^ω^)「むっ」

    爪'ー`)y‐「騒動の引き金件主犯なのは自明なんだから、責任は全部当事者にある」

    爪'ー`)y‐「人のせいになんて出来ない。だって、真実起こしてるんだから」

    爪'ー`)y‐「それにあいつらは保護房送り。刑期も延びて、しばらくは常時監視下に置かれる」

    爪'ー`)y‐「そんな奴の言い分なんて誰が聞くわけ? うわ言として処理されらぁ」

    爪'ー`)y‐「第一証明のしようがないんだから、俺が知らないって答えるだけでおしまいさ」

    爪'ー`)y‐「俺にリスクなんて何もないわけよ」


    368: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 19:23:44.98 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「リスクはなくてもリターンもねぇじゃんかよ」

    爪'ー`)y‐「リターン? あるじゃん」

    爪'ー`)y‐「俺の囚人ランクがこれで二段階アップってね」

    ('A`)「はあ?」

    爪'ー`)y‐「模範囚とか言ってさあ、結局は投獄されてる時点でダメ人間じゃん」

    爪'ー`)y‐「そんな奴が俺より上の立場ってムカつくじゃん?」

    爪'ー`)y‐「所詮頭のよろしくない輩のくせにさ。現にこんなことを巻き起こしてる」

    ('A`)「……」

    爪'ー`)y‐「頭のいい奴がいい思いをする。その他大勢はそいつに仕えるクソ虫」

    爪'ー`)y‐「それがどこでも変わらない社会の仕組みってもんだろ」

    爪'ー`)y‐「その慣例にならってるだけさ」


    369: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 19:27:06.11 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「てめぇだって……収監されてるんだから一緒だろ」

    ('A`)「見下せる立場か」

    爪'ー`)y‐「おいそれ以上は喋るなよ」

    爪'ー`)y‐「俺が悪かったのは頭じゃない……運が悪かっただけだ」

    爪'ー`)y‐「こんな糞が集う場所はさっさと抜け出してやる……」

    爪'ー`)y‐「なんでも、模範囚ってのになれば刑期は減るらしいじゃないか」

    爪'ー`)y‐「ただ一生懸命なんてのは俺の流儀に背く……楽にいかしてもらうよ」

    爪'ー`)y‐「頭のいいやり方で」

    ( ^ω^)「分かったからどっか行けお。イラつくんだお」

    爪'ー`)y‐「そうさせてもらうさ。看守がいない間に、適当に敷地内の散策でもするかね……」テクテク

    ('A`)「……消えたか」

    ( ^ω^)「消え失せてほしいお」


    373: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 19:34:22.94 ID:lsn2FAIu0

    ~午後七時~


    ('A`)「結局大会は中断」

    ('A`)「俺らと、俺らと準決勝で当たる予定だったチームが繰上げで同率優勝」

    ('A`)「優勝は優勝だがすっきりしないな……」

    ( ゚∀゚)「あの二人の処罰は明日には決まるだろう」

    ( ゚∀゚)「ま……かなりの日数保護房で監禁された後」

    ( ゚∀゚)「協調性なしと見なされて独居房に移されるだろうな」

    ('A`)「止められなかったのか?」

    ( ゚∀゚)「無理無理。口を差し挟める余地なんてなかったぜ」

    ( ゚∀゚)「看守連中も聞く耳持たずだったしな、ったくよー」


    375: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 19:41:52.30 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「今にして思えば俺が狙われたのも」

    ( ゚∀゚)「次期模範囚に選ばれるとアテをつけてたんだろうな」

    ('A`)「それであんたも挑発していたのか」

    ( ゚∀゚)「みたいだな。アホくさ」

    (´・_ゝ・`)「まだ電気ついてるけどもう寝ていい?」

    ('A`)「二度と目覚めないでも許す」

    (´・_ゝ・`)「おやすー」

    ('A`)(だけど……鬱陶しい奴がいるんだな、この刑務所にも)

    ('A`)(俺をはめたあのやくざどもと一緒じゃないか……)

    ('A`)(もしも俺が模範囚に近づいた時は……)

    ('A`)(あいつは俺も潰しにかかるんだろうか?)


    376: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 19:47:07.90 ID:lsn2FAIu0

    ~七月一日~


    ('A`)「なあ」

    ( ゚∀゚)「どうしたよ」

    ('A`)「暑いんだが」

    ( ゚∀゚)「もう七月だしな」

    ('A`)「いやそういう風物詩的な感じじゃなく」

    ('A`)「物理的に堪えかねるんだが」

    ( ゚∀゚)「我慢しな。冷房はなくてもうちわはある」

    ( ゚∀゚)「それに夏本番になったらもっと暑いんだぞ?」

    ('A`)「これは死ぬな……」


    378: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 19:55:31.36 ID:lsn2FAIu0

    (´・_ゝ・`)「だがしかし! 本日より風呂が週三回になる!」

    (´・_ゝ・`)「ありがたやー」

    ( ゚∀゚)「風呂か……」

    ( ゚∀゚)「そういえばもうすぐ俺たちの階層に風呂の順番が回ってくる頃だな」

    (´・_ゝ・`)「もう股間が蒸れ蒸れでかゆくてたまらん」

    ('A`)「口にすべきではない」

    ガチャン

    (,,゚Д゚)「急げ! 貴様らの入浴の時間だ! これより連行する!」

    ( ゚∀゚)「はーい」

    (,,゚Д゚)「持ち時間はきっちり十五分! 一刻たりとも越してはならぬ!」

    ('A`)「なぜ毎回言うんだよ」


    382: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 20:04:08.04 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)バシャー

    ('A`)「石鹸で髪洗うのにもすっかり慣れちまった」

    ('A`)「なんせ丸刈りにさせられるから体洗うのと大して変わらないっていう」

    ( ゚∀゚)「女囚は髪型は自由に出来るそうだぜ」

    ('A`)「政府にはジェンダーフリーを目指してもらいたい」

    (´・_ゝ・`)「あー浴槽でちん●掻くの気持ちいー」

    ('A`)「お前そのお湯に何百人もが漬かることを意識したことはあるのか」

    ( ゚∀゚)「まだいいほうだぜ。大昔の浴槽なんて白く濁って酷い有様だったそうだ」

    ( ゚∀゚)「バレにくいからってオナる奴が続出したらしい」

    ('A`)「なんという地獄絵図……」


    386: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 20:08:31.16 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「さて、と」プシュプシュ

    ('A`)「なにやってんの」

    ( ゚∀゚)「なにって、液体石鹸をちょいと拝借してるのさ」

    ( ゚∀゚)「こうやって手の平に隠してさ」

    ('A`)「なんでまた」

    ( ゚∀゚)「ああ、臭い消しになるからよ。夏場は臭気が立つだろ?」

    ( ゚∀゚)「そんな時はこいつを言ってきたらして消臭するんだ。ここじゃ常識だぜ」

    ('A`)「なるほどな……んじゃ俺もそうしよう」

    (´・_ゝ・`)「あなたは夏じゃなくても常備すべきです」

    ('A`)「へ? なんで?」

    (´・_ゝ・`)「とてもとても布団がイカ臭いから」

    ('A`)「不徳の致す限りです」


    390: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 20:13:43.02 ID:lsn2FAIu0

    ガチャン

    ('A`)「もう八時か……あと一時間何するかな」

    ('A`)「一時間じゃ出来ることも限られるし……」

    ( ゚∀゚)「別に一時間ってわけじゃないぜ。消灯じゃなくて正しくは減灯だから」

    ( ゚∀゚)「本を読んだりは可能だろ?」

    ( ゚∀゚)「手記をつける囚人もいたりするしな」

    ('A`)「俺活字アレルギーなんで……」

    (´・_ゝ・`)「俺みたいに妄想をノートに書き殴るのオススメ」

    ('A`)「なんじゃそら」

    (´・_ゝ・`)「出所後こんなことしたいなー、とか、こんなもの食べたいなー、とか」

    (´・_ゝ・`)「抱きたい女のランキングをつけるのもグッド」


    393: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 20:17:34.23 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「中学生かよ」

    (´・_ゝ・`)「ともかくそんな感じで希望を書きまくるの」

    (´・_ゝ・`)「先のことを考えるのが楽しいんだよね、俺」

    ('A`)「先のことか……」

    ('A`)「あっ、そういやお前」

    (´・_ゝ・`)「なによ」

    ('A`)「犯罪起こす前に牢屋暮らしを下調べしてたって言ってたよな?」

    (´・_ゝ・`)「言ったかも」

    ('A`)「どういうことだ? 捕まることを想定して罪を犯すって変じゃないか?」

    (´・_ゝ・`)「変じゃないだろ。大体、捕まること自体が目的だったし」

    ('A`)「はあ?」


    398: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 20:24:28.05 ID:lsn2FAIu0

    (´・_ゝ・`)「俺、生活保護申請受理されなくて」

    (´・_ゝ・`)「あーもうこれは生きていくの大分きっついなって悟ったわけ」

    ('A`)「うん」

    (´・_ゝ・`)「でさ、いろいろ悩んでみた挙句」

    (´・_ゝ・`)「このまま外で暮らすより、刑務所の中のほうはマシかもしんねーって思っちゃって」

    ('A`)「それで犯罪かよ。なんていうか、本末転倒な……」

    ( ゚∀゚)「そういうのは結構あることだぜ」

    ( ゚∀゚)「自衛官が自衛隊を辞めるために街頭で露出したりだとか」

    ( ゚∀゚)「学生が退学したくてその辺に灯油撒いたりとか」

    ( ゚∀゚)「なるべくすぐに通報されて、人に迷惑のかからないような罪で逮捕されるってケースは」

    ('A`)「なんだかなぁ……」

    ( ゚∀゚)「妙な話だけどな、本当に」


    401: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 20:29:02.29 ID:lsn2FAIu0

    (´・_ゝ・`)「ま、俺の場合はその後の衣食住目当てだったけどな」

    (´・_ゝ・`)「無職とホームレスは即刻刑務所に行くべきっすわ」

    (´・_ゝ・`)「必要最低限の生活は保証されてるし」

    ('A`)「物騒なことは言うな」

    ('A`)(でもまあ……一理ある話だが)

    ('A`)「ところでなんの罪で逮捕されたんだよ」

    (´・_ゝ・`)「ああ俺? 偽札」

    ('A`)「偽札ぅ?」

    (´・_ゝ・`)「入所すると決めたら調査を始めたんだが、どうもこれが特にいいらしかったんでー」

    (´・_ゝ・`)「初犯でも確実に実刑受けられて、五年は懲役つけてもらえるから」

    (´・_ゝ・`)「くっそ下手糞な印刷の偽札をコンビニで使ったら即警察が飛んできて」

    (´・_ゝ・`)「一瞬で捕まったぞ」


    406: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 20:34:16.50 ID:lsn2FAIu0

    (´・_ゝ・`)「そして今に至る」

    ('A`)「景気の悪い話だなまったく……」

    (´・_ゝ・`)「全部不況が悪いんだ! ぷんぷん」

    ('A`)「……で、服役期間を終えたらどうするつもりなんだよ」

    (´・_ゝ・`)「そうだなー、なるべく刑期が短くならないよう適度にサボってるんだが」

    (´・_ゝ・`)「いずれ出ちゃうのは明らかだわな」

    ('A`)「まさかまたやるのか?」

    (´・_ゝ・`)「冗談。B級刑務所じゃ俺みたいな弱者はすぐ食い物にされる」

    ( ゚∀゚)「前科者が職にありつくのは厳しいぞ?」

    (´・_ゝ・`)「なんとかしてみるって」

    (´・_ゝ・`)「まあ最悪、B級で我慢するかね」


    409: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 20:38:27.31 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「……」

    ('A`)「……なんか、やりきれない気分だわ」

    (´・_ゝ・`)「外の世界の俺なんてくっだらない男だったしさ」

    ('A`)「いやまあ、俺も似たようなもんだったけど」

    (´・_ゝ・`)「友よ!」

    ('A`)「やめろ! 抱きつくな! 玉掻き毟ってた手で俺の顔を撫でるな!」

    ( ゚∀゚)「お前ら静かにしろっての。ほら」ポイッ

    (´・_ゝ・`)「おっ? こいつは……」

    ( ゚∀゚)「みかんの缶詰。昨日の面会で袖に隠して監房まで持ってきてた」

    ( ゚∀゚)「みんなで食おうぜ。空き缶はいつもどおり、明日工場に行く途中でこっそり捨てておく」

    (´・_ゝ・`)「ひゃっほい」


    415: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 20:47:20.28 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「手づかみでシロップに漬けたみかん食うのって変な気分だ」

    (´・_ゝ・`)「インド人的なアレで」

    ( ゚∀゚)「バレないよう警戒しとけよ。足音が聞こえたら背後に隠せる用意をしておけ」

    (´・_ゝ・`)「しっかし、長岡は面会多くて羨ましいな」

    (´・_ゝ・`)「そのおかげで俺たちはおこぼれにありつけてるわけだが」

    ('A`)(そうだな……確かにこいつの面会の回数はやけに多い)

    (´・_ゝ・`)「一方ドクオちゃんは未だゼロ! 役立たず!」

    ('A`)「うるせぇ! お前も月一回程度だろ!」

    (´・_ゝ・`)「ああ? 昔の恩師が買ってきてくれたおやつの味はまさにお袋の味だぞ?」

    ('A`)「母親じゃない上売りもんじゃねーか」

    (´・_ゝ・`)「残念! ミルキィだからママの味というオチでした!」

    ('A`)「早く獄中死しないかなぁ」


    418: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 20:52:50.17 ID:lsn2FAIu0

    (´・_ゝ・`)「はー、俺とドクオと長岡、どこで差がついたのやら」

    (´・_ゝ・`)「あ、説明するまでもなく長岡>>>俺|||||||ドクオな」

    ('A`)「ほっといてくれ」

    ('A`)「つーかせめて不等号をつかってれ。なぜ壁なんだ」

    ( ゚∀゚)「はっは、人徳ってやつか」

    (´・_ゝ・`)「言うねぇ」

    ( ゚∀゚)「俺も捨てたもんじゃないよ」

    ('A`)(ううむ……ただ多いってだけじゃないんだよな……)

    ('A`)(定期的というか……)

    ('A`)(……でも付き合ってた女の人は一度も来てないって語ってたな……)

    ( ゚∀゚)「よし、風呂上りのデザートも食ったし……消灯も近いからベッド整えておくか」

    (´・_ゝ・`)「ういっす」


    424: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 20:57:41.60 ID:lsn2FAIu0

    ~八月一日~


    ('A`)テキパキテキパキ

    ('A`)「ふぅ、暑い……額の汗がヤバイぜ」

    ('A`)「あっ、知らん間にノルマ終わってた」

    ('A`)「すみませーん、千九十番補充お願いしまーす」

    (´・ω・`)「前に取りに来て」

    ('A`)「ついでに給水も願い出たいのですが」

    (´・ω・`)「ああ、ヤカンにまだ残ってると思うから、手短に」

    ('A`)「はい」

    ('A`)ゴクゴク

    ('A`)「ふー、生き返る……」


    430: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 21:02:49.71 ID:lsn2FAIu0

    (´・ω・`)「最近仕事が早いね。うちの部署でトップじゃないかな」

    ('A`)「そ、そうですか?」

    (´・ω・`)「今後も精進してくれよ」

    ('A`)「はい!」

    ('A`)(やべー褒められちまった……)

    ('A`)(俺もまさかこんなに手先が器用で集中力を持続させられるとは思ってなかったぜ)

    ( ^ω^)「なにニヤついてるんだお」

    ('A`)「うお、びびった。急に話しかけるなよ」

    ( ^ω^)「しっかし、ドクオもずいぶんと検品作業に慣れたものだお」

    ('A`)「まあな。さすがに半年近くもやれば仕事も覚えるさ」


    435: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 21:09:10.23 ID:lsn2FAIu0

    ( ^ω^)「ということは穴は埋まったってことだお。一安心一安心」

    ('A`)「は?」

    ( ^ω^)「実は……僕、今月の末に出所が決まったんだお」

    ('A`)「えっ、マジか! 十月半ばってこの前話してなかったか?」

    ( ^ω^)「職務内容と共同生活への適応性が認められて」

    ( ^ω^)「模範囚認定とはいかずとも、それなりに刑期を短縮してもらったんだお」

    ('A`)「そうかー、よかったじゃん。おめでとう」

    ( ^ω^)「ありがとだお」

    ('A`)「なんつーか……寂しくなるな。あ、すまん」

    ('A`)「こういうこと言うべきじゃないよな。やっと刑務所暮らしからおさらばできるってのに」

    ( ^ω^)「いや、そう言ってもらえるのは嬉しいお。僕も少し名残惜しいし」


    442: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 21:15:43.56 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「そっか……しかしまあ、内藤もいよいよ外の世界に戻るのか」

    ( ^ω^)「僕ここを出て最初に食べるものはもう決めてあるんだお」

    ('A`)「ほう、なによ?」

    ( ^ω^)「牛丼」

    ('A`)「はあ? もっといいもの食えよ。せっかくの歓喜の瞬間なのに」

    ( ^ω^)「白いご飯と牛肉。どっちもこの刑務所で一番縁が遠かったものだお」

    ('A`)「つってもなあ」

    ( ^ω^)「その代わりちょっと贅沢してらんぷ亭に行くから」

    ('A`)「それなら許可」

    ( ^ω^)「お前さんの基準は結局理解できないままだったお」


    448: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 21:21:21.72 ID:lsn2FAIu0

    ~午後五時~


    ('A`)「ただいま●こ」

    (´・_ゝ・`)「おかえりんこのま●こ」

    ('A`)「言いたいだけじゃねーか」

    ( ゚∀゚)「ほれ、ドクオの分のうちわ」シュンッ

    ('A`)パシッ

    (´・_ゝ・`)「おーナイスキャッチ」

    ('A`)「ふっ……これが二指真空把」

    ( ゚∀゚)「この一週間、毎日のように練習した甲斐があったな」

    (´・_ゝ・`)「暇人」

    ('A`)「お前はいつものように寝てろ」

    (´・_ゝ・`)「いやん、夏は寝苦しい」


    451: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 21:29:13.04 ID:lsn2FAIu0

    (,,゚Д゚)「夕食の時刻である! 大至急受け取りに急げ!」ガチャン

    ('A`)(こいつは年中これなのか……?)

    (,,゚Д゚)「……む? 無線に通信がきておるようだ」

    (,,゚Д゚)「しばし直立して待て!」

    (´・_ゝ・`)「なぜ立ちっぱ」

    (,,゚Д゚)「ふむ……ふむ…なにっ!? 本当か!?」

    (,,゚Д゚)「貴様ら! しばらくそこで待っておれ! 急を要する用事である!」ダダッ

    ('A`)「はあ? なんだ一体……」

    (´・_ゝ・`)「おっ、鍵開いたままじゃーん。出られるぞ」

    ( ゚∀゚)「やめときな。遊び半分でも真っ先に脱獄が疑われるぜ」

    (´・_ゝ・`)「もやもやすんなー」


    461: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 21:38:18.61 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「あっ戻ってきた。全力疾走で」

    (,,゚Д゚)「ぜぇ、ぜぇ、ま、待たせた職務怠慢を、はぁ、恥じる! はぁ……」

    ('A`)「いや息上がってるじゃないですか……どこが怠慢ですか」

    (´・_ゝ・`)「なんかあったんすか?」

    (,,゚Д゚)「貴様らが知ったところで益は皆無!」

    ( ゚∀゚)「そうは言いますけどね、大事ならどうせ明日にでも所内で公表があるでしょう」

    (,,゚Д゚)「う、うむ……確かにそうではあるが!」

    ( ゚∀゚)「教えてくださいよ。あれだけ慌てた看守さんの姿、初めてでしたよ」

    (,,゚Д゚)「うぬぬ……どうせ遅かれ早かれ発覚することだ……致し方あるまい……」

    (,,゚Д゚)「実はな……」

    (,,゚Д゚)「獄中で自殺者が出たのだ……」

    ('A`)「!」


    472: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 21:47:36.66 ID:lsn2FAIu0

    ~翌朝~


    ザワ...ザワ...

    ( ФωФ)「えー、おほんおほん。所長の杉浦である」

    ( ФωФ)「今朝臨時集会を開いたのは諸君らに重要な報告があるからである」

    ( ФωФ)「一部の者には既に連絡が回っているかも知れぬが……」

    ( ФωФ)「昨晩未明、称呼番号百七番が第五工場のトイレにて、遺体で発見された」

    ( ФωФ)「近辺には大学ノートにしたためられた遺書が残されており」

    ( ФωФ)「自殺と推察される」

    ザワ...!

    ( ФωФ)「我々は取り急ぎ原因を調査し……」

    ( ФωФ)「そして二度とこうした不幸が収容所内で起きぬよう」

    ( ФωФ)「最善を尽くしていく次第である。以上」


    480: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 21:52:12.19 ID:lsn2FAIu0

    ~四百四十七番・六百一番・千九十番の雑居房~


    ('A`)「大変なことになったな、改めて……」

    (´・_ゝ・`)「……百七番って言ったら、門奈さんだ」

    ( ゚∀゚)「知ってんのか?」

    (´・_ゝ・`)「第五工場っていやあ、俺の持ち場だ」

    ( ゚∀゚)「ああ……そうだったな」

    (´・_ゝ・`)「……いい人だったんだよ」

    (´・_ゝ・`)「俺みたいなクズが人を評価するのもおこがましいけどさ」

    ( ゚∀゚)「続ける必要はないぜ」

    (´・_ゝ・`)「いや続けるさ。それに……意外ってわけじゃない」


    484: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 21:58:29.38 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「そりゃどういうこった」

    (´・_ゝ・`)「何回か身の上話をしたことがある」

    (´・_ゝ・`)「あの人の罪状、三人を殺害したことなんだよ」

    ('A`)「ちょっ……ヘヴィすぎだろ……」

    (´・_ゝ・`)「二回に分けてな。一回目は借金苦で一家心中」

    ( ゚∀゚)「うへ」

    (´・_ゝ・`)「ガス充満させたんだけど失敗して、一人だけ生き残っちゃったんだ」

    (´・_ゝ・`)「で、二回目の対象は、今度は積年の恨みを抱いてた元上司」

    (´・_ゝ・`)「もう身寄りもなくなったし、いずれ心中を図ったことも警察に知られる」

    (´・_ゝ・`)「だったら最後に全部精算しようとしたんだろうな」


    489: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 22:02:16.88 ID:lsn2FAIu0

    (´・_ゝ・`)「でもこれも失敗」

    (´・_ゝ・`)「無理やりしがみついて、二人で海に飛び込んだんだけど」

    (´・_ゝ・`)「片や溺死、片や沖を漂ってるところを早朝漁に出てた漁船に拾われちまった」

    (´・_ゝ・`)「警察で事情聴取を受けて、その後はまあ、察しの通り」

    ( ゚∀゚)「なるほど、だったら盛岡の意外じゃないって言葉も分かるな」

    ( ゚∀゚)「弱い人間だったってことか」

    ('A`)「酷薄な言い方だなおい」

    (´・_ゝ・`)「まあそのとおりっちゃそのとおりっしょ。それに、どうせ他人だ」

    (´・_ゝ・`)「一緒の刑務所にいるだけで赤の他人だよ」

    (´・_ゝ・`)「他人なのによぉ……なんで悲しいんだよ……くそっ……」


    496: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 22:09:06.78 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「俺らとは関係のない人間が死んだだけだよ」

    ( ゚∀゚)「だからそんなに落ち込むなって」

    ('A`)「おいおい、冷たくねぇか?」

    (´・_ゝ・`)「……いや、長岡が正しいんだと思うわ」

    (´・_ゝ・`)「こんなこといちいち気にしていたら仕方ねーわ」

    (´・_ゝ・`)「身辺の出来事じゃなく、ニュースとして捉えねーとな」

    ('A`)「ううん、精神衛生上はそっちのほうがいいか……」

    ( ゚∀゚)「それよりだ。兆候みたいなのはあったのか?」

    (´・_ゝ・`)「わっかんねぇな……それっぽい空気は纏ってなかったしな」

    ( ゚∀゚)「となると工場は関係なし……」

    ( ゚∀゚)「工場内で死んでるのも、そちらのほうが安寧できるってことかも知れないしな」


    501: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 22:14:28.64 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)(だけど長岡は割り切ってやがるな……)

    ('A`)(同僚の死だから、盛岡がショックを受けるのは当たり前だとしても)

    ('A`)(俺でさえちょっと胸が塞がる話だってのに)

    (´・_ゝ・`)「少なくとも俺には門奈さんが死を選ぶ理由なんて見当がつかない」

    ( ゚∀゚)「そうか……まあ、看守が解決してくれることを願おうか」

    (´・_ゝ・`)「そうだな……」

    ('A`)「しかし、急に休みが出来たから暇だな……」

    ( ゚∀゚)「囚人の中には喜んでる奴もいたぜ」

    ( ゚∀゚)「不謹慎極まりないけど、でも、そういう奴らの気持ちは分からないでもないな」

    ('A`)「やっぱりそんなふうに受け取るのが普通なんだろうか……」

    ('A`)「でもな……ううん」


    505: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 22:20:19.60 ID:lsn2FAIu0

    ~翌日~


    ('A`)「おはよっす」

    ( ^ω^)「おはようだお」

    ('A`)「あんなことがあっても二日後にはいつも通りの生活か……」

    ( ^ω^)「僕の出所もしばらく先になりそうだお」

    ('A`)「は? なんでだ? つい先日話してくれたばっかじゃんか」

    ( ^ω^)「百七番の自殺の原因が断定できるまでは外に出せないって」

    ( ^ω^)「関係ないって言っても証明する手立てがないからしゃーないお」

    ('A`)「そうか……」

    ( ^ω^)「だからもうしばらくよろしく頼むお」

    ('A`)「分かった」


    513: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 22:25:49.73 ID:lsn2FAIu0

    ~八月末、土曜日~


    ('A`)「暑い……」

    ('A`)「冷たいビールが飲みたい……」

    (´・_ゝ・`)「暖かいエールならいくらでも送れっけど」

    ('A`)「お気持ちごと叩き返すわ」

    ( ゚∀゚)「はっはっは!」

    ('A`)(……)

    ('A`)(結局、俺たちもすっかり元通りか……)

    ('A`)(胸のうちは知らないけど、少なくとも表面上は……)


    519: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 22:33:11.61 ID:lsn2FAIu0

    ガチャン

    (,,゚Д゚)「本日昼の主食は中華めんである!」

    (,,゚Д゚)「変質する前に食することを強く推奨する!」

    ('A`)(普通に伸びる前に食えって言えよ)

    (,,゚Д゚)「それと貴様らに報告がある!」

    ( ゚∀゚)「お?」

    (,,゚Д゚)「これは巡回している監房すべてで伝えていることなのだが」

    (,,゚Д゚)「月頭の自殺事件の原因が解明された!」

    (,,゚Д゚)「看守による陰湿ないじめ行為があったと確認されたのである!」

    (´・_ゝ・`)「マジかよ」


    527: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 22:38:51.90 ID:lsn2FAIu0

    (,,゚Д゚)「三日前、同室であった者どもからの申告によって」

    (,,゚Д゚)「ベッドの木枠の隙間に一冊のノートが隠されていることが発覚した!」

    (,,゚Д゚)「そこに仔細が書き込まれてあったのである!」

    (,,゚Д゚)「そして今日ようやく、該当する看守が行為の存在を認めたのだ!」

    (,,゚Д゚)「我々の中にそうした不逞の輩が混入していたことを大いに恥じる!」

    (,,゚Д゚)「看守一同反省が必須であろう!」

    ('A`)「はあ」

    (,,゚Д゚)「ではな!」ガチャン

    ( ゚∀゚)「……だ、そうだ」

    (´・_ゝ・`)「なんだよ、上の人間のせいかよ。ひでー話だ」

    ('A`)「まったくだぜ……」


    532: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 22:42:56.43 ID:lsn2FAIu0

    ~翌朝~


    ('A`)「……」カチャカチャ

    ( ^ω^)「……」カチャカチャ

    ('A`)「あ、この電球接触悪いな、ボツっと」ポイッ

    ('A`)「……」カチャカチャ

    ( ^ω^)「……」カチャカチャ

    ('A`)「なあ」

    ( ^ω^)「なんだお」

    ('A`)「自殺事件の原因、突き止められたみたいじゃん」

    ( ^ω^)「らしいお」


    537: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 22:50:36.06 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「よかったな。これですっきりと出られる」

    ( ^ω^)「……」

    ( ^ω^)「確かに、ちょっとずれるけど九月の序盤には出所できるようになったお」

    ( ^ω^)「だけど……」

    ('A`)「だけど?」

    ( ^ω^)「前、話したことがあったと思うけど」

    ( ^ω^)「あの詐欺師……名前は狐井っていうそうだけど」

    ( ^ω^)「この工場にそいつと同室の奴がいるんだお」

    ('A`)「ああ、なんか聞いたかも」

    ( ^ω^)「そしてその二人と同じ雑居房にいたのが……百七番だったんだお」

    ('A`)「なんだって!?」


    543: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 22:56:19.29 ID:lsn2FAIu0

    (´・ω・`)ピッ!

    (´・ω・`)「千九十番、私語は慎むように」

    ('A`)「す、すみません……」

    ( ^ω^)「声がでかいんだお、ドクオは」

    ('A`)「それより、続きを話してくれよ」

    ( ^ω^)「うん。そいつが言うには、ノートを見つけたのは狐井だったそうだお」

    ('A`)「おいおいなんか怪しくなってきたぞ」

    ('A`)「まさか狐井って奴の捏造じゃ」

    ( ^ω^)「いやそれはないお。看守はいじめを認めてるそうじゃないかお」

    ('A`)「ああ、そっか……そうだよな……」


    549: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 23:02:19.36 ID:lsn2FAIu0

    ( ^ω^)「ただ一個引っかかって」

    ('A`)「どこが?」

    ( ^ω^)「そいつの情報だと……どうもいじめをしていた看守に」

    ( ^ω^)「狐井がことあるごとに舐めた態度をとっていたらしいお」

    ('A`)「はあ? なんだそりゃ」

    ( ^ω^)「挑発的だったというかなんというか」

    ('A`)「ぶん殴られるぞ」

    ( ^ω^)「殴ったら看守が咎められるお」

    ( ^ω^)「それに聞いた話じゃ、狐井は相手のちょっとしたミスをすかさずつくような」

    ( ^ω^)「そういうやり方だったっぽいだお」

    ( ^ω^)「責められても仕方ないみたいな。言い方は嫌らしかったようだけど」


    551: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 23:09:17.06 ID:lsn2FAIu0

    ( ^ω^)「だから看守はむしろあの雑居房じゃ同情されてたみたいだお」

    ('A`)「ふうむ……」

    ( ^ω^)「なんか気にならないかお?」

    ('A`)「気にはなるけど、そんだけだな……」

    ('A`)「なんにも見えてこない」

    ('A`)「……ノートの中身はどうだったんだ?」

    ( ^ω^)「それは誰も覗かなかったみたいだお」

    ( ^ω^)「いじめの存在はノートを提出してから明らかになったみたいだし」

    ('A`)「でもよ、たぶん狐井は前もって一人だけ読んでたと思うぜ」

    ( ^ω^)「その可能性はあるお」


    553: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 23:12:01.76 ID:lsn2FAIu0

    ( ^ω^)「とりあえず、僕が知ってる情報はここまでだお」

    ('A`)「うーむむむ……」

    ( ^ω^)「なにか推測できたことはあるかお?」

    ('A`)「ごめん、悩んだポーズだけだったわ」

    ( ^ω^)「無能が」

    ('A`)「こういう時は俺らみたいなお馬鹿さんじゃ答えに辿り着くのは無理だ」

    ( ^ω^)「一緒にすんなお」

    ('A`)「一緒だろ」

    ('A`)(こういう時は……長岡だ)

    ('A`)(あいつは頭が切れるし、冷静な物の見方が出来る)

    ('A`)(長岡に頼ってみるか)


    558: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 23:15:32.53 ID:lsn2FAIu0

    ~午後九時半~


    (,,゚Д゚)「消灯後の見回りである!」

    (,,゚Д゚)「四百四十七番よし! 六百一番よし! 千九十番よし!」

    (,,゚Д゚)「無事、確認!」スタスタ

    ('A`)「……行ったか」

    ( ゚∀゚)「おう」

    ('A`)「いつも思うんだが、あの点呼は俺たちへの嫌がらせなのか?」

    ( ゚∀゚)「その可能性が否めないのが腹立つな」

    ('A`)「で、さっき話したことについてなんだが……」

    ('A`)「なんか推理できることはないか?」


    562: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 23:21:51.31 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「ま、十中八九門奈はその看守……今朝の連絡じゃ斉藤だったか」

    ( ゚∀゚)「そいつのストレスの捌け口にされてたんだろうな」

    ('A`)「そうか……」

    (´・_ゝ・`)「斉藤っていったら第五工場の担当看守でもあるぜ」

    (´・_ゝ・`)「そっかー、あいつ、実は相当イライラしてたんだな」

    ('A`)「そんな空気はあったか?」

    (´・_ゝ・`)「全然。イジメですっきりってことだったんかな」

    ('A`)「じゃあさ、間接的に狐井が遠因となってたってところか?」

    ( ゚∀゚)「間接的……とは断定できない」

    ( ゚∀゚)「関連性が認められるとは思えないしな」


    569: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 23:30:37.06 ID:lsn2FAIu0

    ('A`)「看守が狐井のいびりを喋れば……」

    ( ゚∀゚)「ないな。看守からしたら囚人に舐められてるだなんて口が裂けても言えないだろう」

    ( ゚∀゚)「減刑されるわけでもない」

    ( ゚∀゚)「それに、八つ当たりだと知られらたら知られたで人格が疑われるしな」

    ('A`)「ああ……」

    ( ゚∀゚)「今のままなら、単に職務上の精神的負担があったということで処理されて」

    ( ゚∀゚)「ある程度酌んでくれるだろう。だから黙ってたほうがマシだ」

    (´・_ゝ・`)「やーな感じ」

    ( ゚∀゚)「そんぐらい計算してるんだろうな」

    ( ゚∀゚)「ただなぁ、いじめに発展することまで計算できるとは思えないし」

    ( ゚∀゚)「矛先が門奈に向かうと予測することも絶対無理っしょ」

    ( ゚∀゚)「第一門奈と狐井の関係も一切不明だしな。共同生活で仲違いでもあったのか……」


    575: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 23:39:16.50 ID:lsn2FAIu0

    ( ゚∀゚)「唯一判明してるのは……」

    ( ゚∀゚)「俺らにゃどうしようもない問題で」

    ( ゚∀゚)「俺らにゃ関係のない問題だってことだ」

    ('A`)「結局同じじゃないか」

    ( ゚∀゚)「仕方ねぇだろ。堂々巡りなんだよ。どうあがいても」

    ( ゚∀゚)「お前が狐井を嫌ってるのは分かるけどよ」

    ( ゚∀゚)「でも、門奈の自殺と結びつけるのは無理だろ?」

    ( ゚∀゚)「看守が狐井にいびられてたからって、他の囚人を標的にしていいって大義名分にはならねー」

    (´・_ゝ・`)「ま、そうだろうな……残念ながら」

    ( ゚∀゚)「もう寝るぜ。そろそろあのやかましい看守が二週目に入る。おやすみな」

    ('A`)「分かったよ……おやすみ」


    583: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 23:49:31.99 ID:lsn2FAIu0

    ~九月一日、朝~


    ('A`)「……」

    ('A`)「あの、すみません」

    (´・ω・`)「どうかしたか、千九十番?」

    ('A`)「七百十番の姿が見えないんですが」

    (´・ω・`)「彼は一週間後に出所を控えてるから、今日からは外で体を慣らす行程に入ってる」

    ('A`)「えっ?」

    (´・ω・`)「元々禁固囚だったし、いつでもそうできたんだよ本当は」

    ('A`)(そんなこと言ってなかったじゃねぇか)

    ('A`)(九月の初め頃とは聞いてたけど……具体的には……)


    585: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 23:52:10.85 ID:lsn2FAIu0

    (´・ω・`)「本当は黙っておくように言われてたんだけど、今のは特別だからね」

    ('A`)「はあ……」

    ('A`)(内藤の奴、昨日はそんな素振りなかったのにな……)

    ('A`)(誰かが去る時ってのは……なんか……虚しい気分になるな……)

    ('A`)「あの、会ったりだとかは」

    (´・ω・`)「そんな自由があると思うかい?」

    ('A`)「ですよね」

    (´・ω・`)「そんなことよりもうすぐ始業時刻だから、定位置に向かって」

    ('A`)「はい」

    (´・ω・`)「あ、そうそう、今日から新しくこの部署に人員が追加されたから」

    ('A`)「新入り?」


    595: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 23:59:22.78 ID:lsn2FAIu0

    (´・ω・`)「千九十番が指導してやってくれ」

    (´・ω・`)「君は今や、ここで一番仕事の出来る人間だから」

    ('A`)「まあ、いいですけど」

    (´・ω・`)「よしじゃあ……千四百十二番!」

    / ,' 3「はいはい」

    ('A`)(爺さんじゃねぇか)

    (´・ω・`)「あなたにはここで検品作業に励んでもらう」

    (´・ω・`)「詳しくはこの囚人に聞いてくれ」

    / ,' 3「すまないねぇ、しばらく世話になるよ」

    ('A`)「はあ」

    (´・ω・`)「それじゃ全員持ち場について……作業開始!」


    600: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:04:11.14 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「えーと、そうだな」

    ('A`)「そんな難しい作業じゃない。基準通りに不良品を弾いていくだけだ」

    / ,' 3「なんだそんだけかいな。これならわしにも出来そうじゃのう」

    / ,' 3「あ、わし、荒巻と申すんじゃが、そちらの兄さんは?」

    ('A`)「俺は……知ってる人間にはドクオって呼ばれてる」

    ('A`)「囚人番号の千九十を語呂合わせして、ドクオ」

    / ,' 3「ドクオさんかい。面白い名前よの」

    ('A`)「ドクオでいいよ。刑務所で気遣いなんてむず痒いだけだ」

    / ,' 3「じゃあわしもドクオと呼ばさせてもらうよ」

    ('A`)「へいへい」


    604: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:10:35.95 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「ただし俺は荒巻さんと呼ぶぞ」

    / ,' 3「なんでじゃ」

    ('A`)「年寄りを呼び捨てにするような教育は受けてないから」

    / ,' 3「別に構わんのにのう」

    ('A`)(俺が構うんだよ)

    ('A`)(しかしこんな爺さんが囚人とは……世間は広いな)

    ('A`)(こういう人に何をやっちまったか聞くのは躊躇われるな……)

    / ,' 3「もうやっていいかね?」

    ('A`)「よし。それじゃ、始めるぞ」

    / ,' 3「はいはい」


    607: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:12:42.52 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「……」カチャカチャテキパキ

    / ,' 3「……」カチャ...カチャ...モチョモチョ

    ('A`)「荒巻さん、それ、組立がずれてるから正規品にならんよ」

    / ,' 3「おお、そうか」ポイッ

    / ,' 3「」モチョ...モチョ...

    ('A`)イライラ

    / ,' 3「あ、シール剥がしてしもうた」

    ('A`)「それぐらいなら直せるからちょっと渡して」

    / ,' 3「悪いのう」

    / ,' 3「……」モチョ...ムーン

    ('A`)「あああああ! 半分よこせ! 俺がやる!」

    / ,' 3「すまんねぇ」


    613: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:16:50.75 ID:a9IAH+Ku0

    ~午後五時~


    ガチャン

    ('A`)「……」

    (´・_ゝ・`)「おっつー。どうしたよドクオちゃん。疲れ切った顔して」

    ('A`)「……ああああああああ!! うがあああああああ!!!」

    (´・_ゝ・`)「ちょっ、落ち着け! 拳を納めろ! 座布団に罪はない!」

    ( ゚∀゚)「どうしたんだよ」

    ('A`)「いや……新人の手際があまりにも悪くてイラついて……」

    (´・_ゝ・`)「きゃー大変」

    ( ゚∀゚)「でもさ、そういう役目が回ってくるっつーことは、認められつつあるってことだぜ」

    ( ゚∀゚)「好意的に受け止めときな」

    ('A`)「そんなもんかね……お爺さんだったんだけど」


    618: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:20:52.91 ID:a9IAH+Ku0

    (´・_ゝ・`)「え……爺さん……だと……?」

    ('A`)「なんで固まってんだよ、盛岡」

    (´・_ゝ・`)「お前、その爺さん邪険に扱ったりとかしてないよな?」

    ('A`)「はあ? 邪険かどうかは知らんけど、まあ普通だよ」

    ('A`)「お前らに対する接し方と同じくらい」

    (´・_ゝ・`)「同じくらい……。ドクオ、死んだなお前」

    ('A`)「何を意味不明なことを」

    ( ゚∀゚)「その爺さん、シベリア組三代目組長の荒巻だぜ」

    ('A`)「え?」

    (´・_ゝ・`)「俺の工場じゃその話題で持ち切りだったんだけど」

    ('A`)「マジデスカー」


    626: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:25:19.19 ID:a9IAH+Ku0

    (´・_ゝ・`)「泣く子も黙る武闘派シベリア組! その頂に立つ男!」

    (´・_ゝ・`)「俺でも顔を知っていた人物だ……まさかここに来るだなんて」

    ('A`)「え、ちょっとタイム。そっちの人ってA級には入れられないんじゃなかったのか?」

    ( ゚∀゚)「最初はB級にいたようだが、そこでの服役態度が評価されて」

    ( ゚∀゚)「A級に移しても問題ないとされたんだろうな」

    ('A`)「うええ」

    ( ゚∀゚)「でもよ、そんな怖がる必要はないぞ」

    ( ゚∀゚)「態度がよかったってことは、皆とうまくやれてた証左だからな」

    ('A`)「そうは言いますがねぇ……」

    ('A`)「いつも思うんだが長岡は肝が据わりすぎなんだよ」

    ( ゚∀゚)「褒め言葉か? だったらありがたいぜ」


    634: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:29:44.91 ID:a9IAH+Ku0

    (´・_ゝ・`)「で、実際問題、どんな感じ? どんな感じ?」

    ('A`)「顔寄せるなよ、まだ残暑厳しいってのに暑苦しい……」

    ('A`)「そうだな……確かに仕事は全然だったんだが」

    ('A`)「どことなく愛嬌のある爺さんだったな」

    ('A`)「長岡の言うように、あの感じならお上がA級でも大丈夫と判断するのも分かるな」

    ( ゚∀゚)「そうか……」

    (´・_ゝ・`)「それでも私は関わらない」

    ('A`)「チキンめが」

    (,,゚Д゚)「夕食であるところのハムカツである!」ガチャン

    ('A`)「厳粛な言葉遣い適当になってんじゃねぇよ!」


    642: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:35:32.42 ID:a9IAH+Ku0

    ~九月七日、大浴場~


    ('A`)ザバーン

    ('A`)「はー……なんだかんだ刑務所での一番の楽しみは風呂だな……」

    ('A`)「これが週二回に戻るだなんて信じたくない……」

    ( ゚∀゚)「風呂は相当金食ってるみたいだから仕方ねーよ」

    ('A`)「まあな」

    (´・_ゝ・`)「よーし上がるかー」

    (´・_ゝ・`)「今夜はテレビ何チャンネルつけるかなー」

    ('A`)「つけるだけかよ。見るわけじゃないのか」

    (´・_ゝ・`)「BGM効果があるだけで全然違うしな」


    647: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:38:42.46 ID:a9IAH+Ku0

    (´・_ゝ・`)「そいじゃ先上がるっす」

    ('A`)「うーい」

    ('A`)「俺は制限時間いっぱいまで湯船でくつろぐか……」

    ( ゚∀゚)「あの爺さん、もう手間かけなくて大丈夫になったか?」

    ('A`)「ちょっとずつは前進してるかな……」

    ('A`)「牛歩もいいとこだけど」

    ( ゚∀゚)「気苦労が絶えないねぇ」

    ('A`)「まったくだ」

    (,,゚Д゚)「十五分経過した! 早急に退室しろ!」

    ('A`)「へーい……おん?」

    ('A`)「あれは……」


    651: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:44:49.71 ID:a9IAH+Ku0

    爪'ー`)y‐「早く棚空けてくんない? 貴重な入浴時間が奪われるしさ」

    (´・_ゝ・`)「うっせーな。待つ余裕ないんかお前にはよ」

    ( ゚∀゚)「どれどれ……ありゃ狐井じゃんか」

    ('A`)「盛岡となんか言い合ってるな」

    (´・_ゝ・`)「あーそうそう、お前、この前更迭された看守の斉藤」

    (´・_ゝ・`)「あいつおちょくって遊んでたらしいじゃん。性格カスだねホント」

    爪'ー`)y‐「斉藤? ……ああ、あいつか」

    爪'ー`)y‐「ま、更迭されるくらいの人間だから、俺が馬鹿にするのも仕方ない感じ?」

    (´・_ゝ・`)「どの口で言ってんだか」

    爪'ー`)y‐「俺さ、自分より知能が足りてない奴に見下されるのが大っ嫌いなの」

    爪'ー`)y‐「だから、ま、俺の美学に沿って行動しただけの話」


    657: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:51:06.99 ID:a9IAH+Ku0

    爪'ー`)y‐「その辺の意識は斉藤ってのも同じだったに違いないさ」

    爪'ー`)y‐「だから自分より弱い門奈をターゲットにしたんだろうね」

    (´・_ゝ・`)「なんだと?」

    爪'ー`)y‐「俺が斉藤に粘着して、斉藤が門奈を暴行する」

    爪'ー`)y‐「食物連鎖と一緒じゃないか」

    爪'ー`)y‐「弱い奴が、より弱い奴を食い物にする……自然の摂理だよ」

    (´・_ゝ・`)「てめぇ……!」

    ('A`)「おい盛岡、落ち着け!」

    (´・_ゝ・`)「ドクオ」

    ( ゚∀゚)「そうだぜ。こんな奴殴ったって、何の得にもならないだろ」

    ( ゚∀゚)「口を開けるたびにゴミを撒き散らす機械なんだからよ」

    爪'ー`)y‐「言うじゃん」


    661: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:57:10.35 ID:a9IAH+Ku0

    爪'ー`)y‐「もしかして俺に憤り感じちゃったり?」

    ('A`)(何様だよこいつ)

    爪'ー`)y‐「本当にマヌケだな、お前って。そこの。盛岡だっけ?」

    (´・_ゝ・`)「なんだよ」

    爪'ー`)y‐「ライオンがシマウマを食うこととシマウマが、牧草を食うことは個別な関係」

    爪'ー`)y‐「食われる代わりに食うのはダメだなんて、ぷひゃっ、どこで通じるよ? その理論」

    (´・_ゝ・`)「俺らは全員人間だろうがよ……草とかじゃねぇ」

    爪'ー`)y‐「いやあ、草だよ。あの門奈って奴は」

    爪'ー`)y‐「使えないくせに、最年長だからって監房のまとめ役面しちゃって、恥ずかしくないのかね」

    (´・_ゝ・`)「あ?」

    爪'ー`)y‐「そんなんだから、あんな女々しい文章の日記を書いて……」


    664: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:59:53.31 ID:a9IAH+Ku0

    (´・_ゝ・`)「てめぇ……やっぱりノートの中身見てるんじゃねぇか!」

    ('A`)「おい、盛岡、やめろ! おいっ!」

    ザワッ...!!

    (´・_ゝ・`)「離せよドクオ! 門奈さんのためとかじゃねぇ!」

    (´・_ゝ・`)「俺がこいつにムカついてるんだ!」

    ('A`)「だからって手は出すな!」

    ('A`)「ここがどこか分かってんのか?」

    (´・_ゝ・`)「けどだな!」

    爪'ー`)y‐「へっ、へへ、結構骨のある奴じゃんか」

    爪'ー`)y‐「だけど致命的に頭が悪いね」

    (´・_ゝ・`)「この野郎……!」


    672: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:06:29.41 ID:a9IAH+Ku0

    (´・_ゝ・`)「くそっ、離せ! 一発殴らなきゃ気が済まん!」

    ザワザワ...!

    ('A`)「やめろ! それはお前の望むところじゃないだろ! 保護房送りになるぞ!」

    爪'ー`)y‐「そこの奴のほうが懸命だな。天秤にかければ猿でも分かる」

    ザワ...ザワ...

    ( ゚∀゚)「そうだ。お前はここで平穏に暮らすことが目的だったんだろうがよ」

    (´・_ゝ・`)「でもっ!」

    ザワ...ザワ...

    (,,゚Д゚)「おい、そこ、そこにいる者ども! 貴様ら何をしておる!? 何を騒いでおる!」

    ザワッ...!

    ( ゚∀゚)「だからさ」

    ザワ...


    675: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:07:40.65 ID:a9IAH+Ku0

    ( ゚∀゚)「――俺が代わってやるよ」



    ('A`)「えっ……?」

    爪'ー`)y‐「なっ……!?」










    ガァンッ!!


    694: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:15:17.39 ID:a9IAH+Ku0

    ザワッ.!

    (´・_ゝ・`)「お……おい、長岡……お前……」

    ( ゚∀゚)「盛岡の要求どおり、一発な」

    爪'ー`)y‐「が、ぎ、て……めぇ……!」

    ( ゚∀゚)「なにぶっ倒れてんだよ。みっともねぇな」

    (´・_ゝ・`)「長岡……」

    ( ゚∀゚)「盛岡、気にすんな。俺もこいつがウザかったしさ。俺の拳だ。やったのはお前じゃない」

    ( ゚∀゚)「……悪ぃなドクオ。しばらくお別れになりそうだ。しばらくってか永遠かもな」

    ( ゚∀゚)「もう俺は世話を焼いてやれないけど、まあ、お前はもう平気だろう」

    ('A`)「……お前……」

    (,,゚Д゚)「ろ、ろ、ろっぴゃくいちばぁぁぁぁぁん! こっちに来い! 連行する! そこの二名もだ!」


    713: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:19:44.98 ID:a9IAH+Ku0

    ~午後十時~


    ガチャン

    ( ゚∀゚)「……」

    ('A`)「なっ、長岡!?」

    ( ゚∀゚)「なんだ……起きてたのか。寝たふりが上達したな」

    ('A`)「あんた、無事だったのか? 処罰されなかったのか?」

    ( ゚∀゚)「いや、そういうわけじゃない。個別に取調べしてるだけだ」

    ( ゚∀゚)「今は盛岡に事情を聞いてるから、その次は俺かな」

    ( ゚∀゚)「その後はもう……おそらく帰ってこれないだろう。保護房暮らしだ」

    ( ゚∀゚)「これが最後の挨拶になるよ」

    ('A`)「……」


    719: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:24:02.73 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「……長岡」

    ( ゚∀゚)「なんだ、兄ちゃん」

    ('A`)「初めて会ったときも、あんたは俺を兄ちゃんって呼んだ」

    ( ゚∀゚)「そうだったっけな」

    ('A`)「長岡、俺な、工場で仲良くなった奴がいたんだよ」

    ( ゚∀゚)「へえ」

    ('A`)「そいつ、明日出所するんだ。けど俺……何も言えずに別れることになっちまった」

    ( ゚∀゚)「ムショじゃよくあることだ、そんなに落ち込むな」

    ('A`)「でも、なんていうか、すげぇ胸の奥だとか腹の中だとかがモヤモヤするんだよ」

    ('A`)「だから、お前との別れだけは、後悔したくない。最後に言っておきたいことがある」

    ( ゚∀゚)「なんだ?」

    ('A`)「俺は……無実なんだ」


    728: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:26:57.95 ID:a9IAH+Ku0

    ( ゚∀゚)「無実?」

    ('A`)「俺、やくざの奴らにはめられたんだ」

    ('A`)「あいつらが粛清した薬の売人、そいつからアシがつきそうだからって」

    ('A`)「俺がそいつの代理にさせられたんだ」

    ( ゚∀゚)「……」

    ('A`)「そんで……次の日、呼び出された。忘れ物があるって」

    ('A`)「でもそれは忘れ物なんかじゃなく、薬の受け取り現場だった」

    ('A`)「俺は訳も分からぬまま現行犯で逮捕されたんだ」

    ( ゚∀゚)「……それ、本当の話か?」

    ('A`)「本当だ。こんな時に嘘なんて吐かねぇ」


    747: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:32:49.63 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「だけどさ……たとえ真実でも、証明する手段がないから」

    ('A`)「俺は取調室でも法廷でも何も口答えできなかった」

    ('A`)「……報復も怖かったし……」

    ('A`)「長岡」

    ( ゚∀゚)「どうした」

    ('A`)「あんたは、俺の言うことを信じてくれるか?」

    ('A`)「こんな夢物語みたいな話、俺でもありえないって思ってるぐらいだが……」

    ( ゚∀゚)「信じるよ」

    ('A`)「ほ、本当か!」

    ( ゚∀゚)「いくらでも信じてやる。その代わり……」

    ( ゚∀゚)「これから俺が話すことも、信じてほしい」


    759: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:36:09.57 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「え……?」

    ( ゚∀゚)「俺も殺人未遂なんか犯しちゃいないんだ」

    ('A`)「なんだって?」

    ( ゚∀゚)「その前に、俺がドクオの話を信じる理由も教えてやるよ」

    ( ゚∀゚)「俺はな……カタギじゃねぇんだ」

    ('A`)「じゃ、じゃあ……」

    ( ゚∀゚)「やくざなんだよ、俺は」

    ('A`)「!」

    ( ゚∀゚)「正式には、元やくざ、か」

    ('A`)「元ってことは……」

    ( ゚∀゚)「そう。入所前に除名されてる。だからA級に送られたってわけよ」


    774: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:43:53.51 ID:a9IAH+Ku0

    ( ゚∀゚)「そしてドクオの今しがたの話」

    ( ゚∀゚)「ありゃあ、間違いなくうちの組の人間の仕業だ」

    ('A`)「マジかよ……」

    ( ゚∀゚)「ドクオをはめた男は、網羅。こいつで確定だ」

    ( ゚∀゚)「ヤクの担当をしていた奴を始末したのはこいつだからな」

    ('A`)「なんでそれを……あんたが知る由なんてないだろ?」

    ( ゚∀゚)「俺を個人的に慕ってる若い衆が、登録されてるカタギの面会人に」

    ( ゚∀゚)「暗号文にして言伝を頼んでるんだ」

    ( ゚∀゚)「だから組の内情を塀の中で知ることが出来たってこと」

    ('A`)「面会の回数がやたら多いのはそういうことか……」

    ('A`)「だけどあんた『元』なんだろ? 今更そんなこと教えられたって……」

    ( ゚∀゚)「それは……そうだな、順を追って話すよ」


    777: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:47:45.49 ID:a9IAH+Ku0

    ( ゚∀゚)「まず、なぜ俺が投獄されたかってとこだな」

    ('A`)「そうだ。長岡はやってないんだろ」

    ( ゚∀゚)「ああ。俺はただ、女と普通に惚れ合って、普通に愛し合っただけだ」

    ( ゚∀゚)「ただ手を出した相手が良くない……オヤジの女だったんだ」

    ('A`)「オヤジって……」

    ( ゚∀゚)「組長だよ」

    ( ゚∀゚)「その件がバレちまって、俺は何かしらの処分が下ることを覚悟した」

    ( ゚∀゚)「知り合いの医者から麻酔と注射針を譲ってもらったりしたよ」

    ('A`)「……」

    ( ゚∀゚)「ところが俺にはなんのお咎めもなかった」

    ( ゚∀゚)「俺はオヤジにかわいがられてたからな」


    783: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:53:51.99 ID:a9IAH+Ku0

    ( ゚∀゚)「代わりにオヤジは自分の愛人……俺がツバつけちまった女を罰したんだよ」

    ( ゚∀゚)「俺をたぶらかした無闇に美しい顔がいけないって理屈つけて」

    ( ゚∀゚)「顔面が変形するまでタコ殴りにした」

    ('A`)(すげぇ話だ……)

    ( ゚∀゚)「それで俺は窮地を脱したんだが……」

    ( ゚∀゚)「これをよく思わない人間も当然身内にいたんだよなあ」

    ('A`)「まさか……」

    ( ゚∀゚)「ドクオにも因縁のある網羅だ」

    ( ゚∀゚)「こいつは少々可哀想な人間でね。組の中でも特にろくでもない奴を束ねてる」

    ( ゚∀゚)「だからくだらない役割ばかり与えられて」

    ( ゚∀゚)「俺みたいな寵愛を受けてる奴が許せなかったんだろう」


    786: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:58:56.99 ID:a9IAH+Ku0

    ( ゚∀゚)「件の女と結託して、警察とマスコミにリークしたんだ」

    ( ゚∀゚)「うちの組、その手の機関とも少しはパイプがあるからな」

    ( ゚∀゚)「オヤジも弱ってたよ」

    ( ゚∀゚)「痴情のもつれだなんて世間様に公表できないからね」

    ( ゚∀゚)「それで仕方なく、俺が腹くくってムショのお世話になることになったんだ」

    ('A`)「……」

    ( ゚∀゚)「元々俺が招いた結果だし、観念してたがな」

    ('A`)「……そうか」

    ('A`)「俺らは似たもん同士だったんだな」

    ( ゚∀゚)「ああ。網羅に足を掬われた、とびきりついてなくて、とびきり情けない男たちさ」


    796: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:05:23.30 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「だな」

    ( ゚∀゚)「ドクオの場合は俺より更についてないけどな」

    ('A`)「……」

    ('A`)(まあ『みんなで一緒にケーキ食べゆ☆』なんてマヌケに近づいていったんだが)

    ( ゚∀゚)「だけどさ、本気で逃げ出せば良かったんじゃないか?」

    ( ゚∀゚)「人間その気になれば凄まじい力が出るぜ」

    ('A`)「びびっちゃったんだよ……だって指が二本もないんだぜ……」

    ( ゚∀゚)「そんなもん平気だって。いいか? 指を詰めるということはヘマこいたってことだ」

    ( ゚∀゚)「しかも二本も欠けてる。こいつは相当なヘボだ」

    ( ゚∀゚)「こういう奴は何回も同じミスをする。取り逃してた可能性が高い」

    ('A`)「ああ……そうだったのか……」


    803: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:09:10.05 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「じゃあ、牢屋に送られてるのもヘマしちゃったってことか」

    ( ゚∀゚)「いや、それはまったく別問題だな。よくお勤めって表現するだろう」

    ( ゚∀゚)「出張みたいなもんさ」

    ( ゚∀゚)「むしろ、義理を果たしに来ているんだから立派な男だぜ」

    ( ゚∀゚)「義理は任侠の道にまっすぐに通じているからな」

    ('A`)「はあ……」

    コツン...コツン...

    ('A`)「足音」

    ( ゚∀゚)「どうやらお迎えみたいだな」

    ( ゚∀゚)「これが本当の最後だ。ドクオ、ベッドに戻ってな」

    ('A`)「ああ……そうする」


    806: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:14:05.20 ID:a9IAH+Ku0

    ( ゚∀゚)「もう会話を続けることは出来ない。お前にまで厄介が及ぶ」

    ( ゚∀゚)「半年ほどの付き合いだったけど、ここでさよならだ……」

    ('A`)「……」

    ( ゚∀゚)「おっと、その前に」

    ('A`)「……なんだ?」

    ( ゚∀゚)「なあ、ドクオ。いや兄ちゃん」

    ( ゚∀゚)「ここまで腹を割って話し合った仲だ。最後くらい、名前聞いてもいいか?」

    ('A`)「……ああ」

    ('A`)「鬱田だ。忘れないでくれよ」

    ( ゚∀゚)「鬱田か。いい名前だ。胸に刻んだぜ」

    ガチャン

    (,,゚Д゚)「六百一番。これより聴取を始める。ついて来い」

    ( ゚∀゚)「――じゃあな」


    812: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:19:20.56 ID:a9IAH+Ku0

    ~翌朝、検品場~


    ('A`)「……」

    ('A`)(結局、盛岡の奴も戻ってこなかった……)

    ('A`)(一人で迎える朝ってあんな寂しかったんだな……)

    / ,' 3「……」カチャ...カチャ...

    ('A`)(相変わらず荒巻さんは仕事の覚えが悪いし……)

    ('A`)(しかし長岡の言い分だと)

    ('A`)(トップの身でありながら刑務所に出向いているこの人はかなりの大物ということになる)

    / ,' 3「むうう、老眼は辛いのう……」

    ('A`)(とてもそうは見えないが……)


    819: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:22:52.31 ID:a9IAH+Ku0

    / ,' 3「おお、そうじゃ、ドクオや」

    ('A`)「なんすか」

    / ,' 3「聞いたぞ聞いたぞ。なんでも来月、球技大会があるそうじゃないか」

    ('A`)「あー、そういやそんな季節なのか」

    / ,' 3「楽しみじゃのう。ドクオと一緒のチームになれたらええのう」

    / ,' 3「なんせここで構ってくれるのは兄さんだけじゃからのう」

    ('A`)「球技って、荒巻さんもう結構な年齢じゃん。動けるの?」

    / ,' 3「失敬な。これでも若い頃は健脚で鳴らしておったぞ」

    ('A`)「なるほど。それではそのエピソードを加味した結果、荒巻さんのポジションは」

    ('A`)「監督で」

    / ,' 3「ぶー」


    828: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:28:21.02 ID:a9IAH+Ku0

    (´・ω・`)「千九十番!」

    ('A`)「うおいっ、突然なんですか?」

    (´・ω・`)「ちょっと作業を中断して、こっちまで来てくれ」

    ('A`)「はあ……」

    ('A`)(工場の外にまで出るとかなんだろ)

    ('A`)「……えっ……?」

    ( ^ω^)「ドクオ……」

    ('A`)「内藤…・・・! なんでここに!?」

    (´・ω・`)「あっ、やばい! コンタクト落とした!」

    (´・ω・`)「しまったー! 監視できないなー! 探してる間何も見えないなー!」


    837: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:31:13.20 ID:a9IAH+Ku0

    ( ^ω^)「ぼ、僕は単純に、最後に敷地内の散歩でもしようと思って」

    ('A`)「俺は……その」

    (´・ω・`)「困るなー! 僕、規則厳守の看守なのになー!」

    ('A`)「あの人に連れられて」

    ( ^ω^)「そうかお……」

    ('A`)「……なあ、内藤。なんで何も言わずに去ろうとしたんだ?」

    ( ^ω^)「それは……別れの瞬間って、なんだか照れくさいじゃないかお」

    ( ^ω^)「今も相当恥ずかしいお」

    ('A`)「そうかい。ま、お前らしいわな」

    ( ^ω^)「……悪かったお、黙ってて」

    ('A`)「いいよ」


    843: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:34:22.64 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「それでもさ、せめて別れの挨拶ぐらいは言わせてくれ」

    ('A`)「もう二度と会えないんだからさ」

    ('A`)「刑務所じゃすべてが一期一会だ」

    ('A`)「こんな刹那的な関係、他にないよ」

    ( ^ω^)「うん……」

    ('A`)「じゃあな、内藤……シャバでも元気でやれよ」

    ( ^ω^)「そっちこそ……早く出所できるよう頑張るお」

    ('A`)「お前なんかに言われなくても、そうするさ」

    ('A`)「そいじゃな」

    ( ^ω^)「バイバイだお」

    ('A`)「ああ!」


    847: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:37:30.87 ID:a9IAH+Ku0

    (´・ω・`)「あーやっと拾えたー! コンタクト拾えちゃったぞー!」

    ('A`)「看守さん」

    (´・ω・`)「ん? どうかしたかい?」

    ('A`)「どうして自分なんかにこんな計らいを?」

    (´・ω・`)「はて、なんの話かな?」

    (´・ω・`)「僕はただ、最近の君の働きぶりを認めて」

    (´・ω・`)「ちょっとだけ休憩時間をプレゼントしただけなんだけどな」

    ('A`)「そう、ですか」

    (´・ω・`)「さて休憩は終わりだ。そろそろ工場内に戻るよ」

    (´・ω・`)「まだまだチェックが済んでない品が大量にあるんだから」

    ('A`)「了解しました」


    852: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:41:29.69 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)(……)テクテク

    ('A`)(……あれだな)

    ('A`)(ちっぽけな奇跡なんて、意外と簡単に転がってるもんなんだな)

    ('A`)(もう会えないと思ってた内藤に)

    ('A`)(最後の最後に別れを交わすことが出来た)

    ('A`)(だからきっと……)

    ('A`)(長岡にも……)

    ('A`)(いつか必ず……会える!)

    ('A`)(会ってやる! いや!)

    ('A`)(救ってやるんだ!)


    855: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:43:27.32 ID:a9IAH+Ku0

    ~午後五時~


    ガチャン

    ('A`)「……ん?」

    (´・_ゝ・`)「おう、ドクオか」

    ('A`)「盛岡! いつ戻ってたんだ?」

    (´・_ゝ・`)「今日の午前中。で、一日だけ禁固くらった」

    ('A`)「な、長岡は?」

    (´・_ゝ・`)「長岡はいつまで保護房で監禁されるか分かんない」

    (´・_ゝ・`)「まあそれを終えても、ここには戻ってこないよ。独居房行きさ」

    ('A`)「そうか……そうだよな……」


    860: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:47:48.55 ID:a9IAH+Ku0

    (´・_ゝ・`)「ドクオ」

    ('A`)「なんだ」

    (´・_ゝ・`)「俺さ……刑務所ってシャバと違ってフェアだと思ってた」

    ('A`)「……」

    (´・_ゝ・`)「でもそうじゃない。結局一緒だ」

    (´・_ゝ・`)「正しいことをした奴が損をして、あくどい奴が得をする」

    (´・_ゝ・`)「こんなの一緒だよ。外の社会と何が違うんだよ……」

    ('A`)「……」

    (´・_ゝ・`)「うんざりだよ……俺の考えてたことなんて、所詮甘えだったんだよ……」

    (´・_ゝ・`)「刑務所は世界の一部だ……世界が小さくなっただけだ……」


    861: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:52:44.84 ID:a9IAH+Ku0

    ~球技大会、当日~


    カキーン! カキーン! カキーン!

    (,,゚Д゚)「見るに耐えない一方的虐殺のため検品Cの強制敗戦とする!」

    ('A`)「内藤がいないとやっぱりうちのチームは弱いぜ……」

    ( ゚∋゚)「……」

    ('A`)「お前がちょっとだけ使い物になってくれたのは嬉しいけどな」

    ( ゚∋゚)テレテレ

    / ,' 3「なんじゃーもう終わりかいな。つまらんのう」

    ('A`)「お爺ちゃん一打席だけ立てたでしょ」

    / ,' 3「なんとか当ててやったわい」


    866: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:56:14.12 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「はあ、あとは見物客か……」

    ('A`)「午前中で終了しちまうと暇もいいとこだぜ……ん?」


    ( ゚∀゚)


    ('A`)(あっ、あれは……長岡!)

    ('A`)(だけど四方を看守に囲まれてる……身動きはできそうにないし)

    ('A`)(近寄るのも無理だろうな……)

    ('A`)(一応、大会見学ぐらいは許されてるってことか)

    ('A`)(……もどかしいな)

    ボコンッ!

    ('A`)「ん?」


    871: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 03:01:36.77 ID:a9IAH+Ku0

    爪'ー`)y‐「あちゃーまたコントロールが狂っちゃった」


    ('A`)(狐井の奴……またやってんのか)

    / ,' 3「あの小僧気に食わんのう」

    ('A`)「荒巻さん」

    / ,' 3「あれは人を不快にさせる顔をしとる」

    ('A`)「死球攻めじゃなくて顔のせいですかい」

    / ,' 3「嫌いじゃー」


    (´・ω・`)「ゲームセット! 四対一で第一工場Dチームの勝利!」

    爪'ー`)y‐「ふー負けた負けた」

    【+  】ゞ゚)「おい、そこのお前」


    ('A`)「あっ……なんかこれ、以前にも見た光景……」


    875: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 03:06:25.98 ID:a9IAH+Ku0

    / ,' 3「昼食はまだかのう。野球観戦はホットドッグ片手がいいのう」

    ('A`)「そしてこのひと時の静寂……」

    ワアアアアアアアアアア!!

    ('A`)「この歓声も聞いたぞ! デジャヴじゃない!」

    ('A`)「また同じことが起きてやがる!」

    ('A`)「たかりに行く野次馬の様子も一緒だ!」

    ('A`)「大会どころじゃない……」

    / ,' 3「おおなんじゃこれは? 民族大移動かいな?」

    ('A`)「ちゃいます。ケンカが始まったんです」

    / ,' 3「なにぃ?」

    ('A`)「クソッ、またかよ!」


    879: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 03:10:58.06 ID:a9IAH+Ku0

    爪'ー`)y‐「学習しないよな、囚人も看守も。馬鹿の群集だ」

    ('A`)「狐井……!」

    / ,' 3「お前さん、ずいぶん知ったような喋り方じゃのう」

    爪'ー`)y‐「おっ、これはこれは、シベリア組の組長さんじゃないですか」」

    / ,' 3「む……」

    爪'ー`)y‐「念のため確認しておくが、塀の中じゃ俺とあんたは対等なんでね」

    / ,' 3「口の利き方だけは一人前よの」

    / ,' 3「ただ論客としては少々感情的になりすぎる気配があるわい」

    爪'ー`)y‐「好き放題言ってな」

    爪'ー`)y‐「さあて、手持ち無沙汰もいいとこだし、俺はまた散歩にでも出かけるよ」


    882: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 03:17:45.14 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「行っちまった」

    ('A`)「落ち着きのねぇ奴だぜ」

    ('A`)「うん……? これも以前と等しい気が……」

    / ,' 3「ああ腹立つ! ちょっと気持ちを鎮めるために立ちションしてくるわ!」

    ('A`)「いってら」

    ('A`)「さて……俺はどうするかね」

    「ドクオ」

    ('A`)「ん?」

    ( ゚∀゚)「こっちだ……こっちに来てくれ」

    ('A`)「な、長岡!?」


    887: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 03:21:22.33 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「な、なんで自由に?」

    ('A`)「さっきまで看守に囲まれてたじゃないか?」

    ( ゚∀゚)「一時的に離ていったんだ。起きてることがことだからな」

    ( ゚∀゚)「その間にここまで走ってきた」

    ('A`)「長岡……」

    ( ゚∀゚)「おっと再会を喜んでる暇はねぇぞ。どうせすぐに散り散りになるんだ」

    ( ゚∀゚)「俺もすぐに戻らないといけないからよ」

    ('A`)「あ、ああ、そうだな」

    ( ゚∀゚)「だからなるべく手短に済ますぞ」

    ('A`)「済ますって……なにを?」

    ( ゚∀゚)「これは俺の推理になるんだが……聞いてくれるか?」

    ('A`)「もちろんだ」


    894: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 03:26:52.98 ID:a9IAH+Ku0

    ( ゚∀゚)「なあドクオ、おかしいと思わないか?」

    ('A`)「どの辺がだ? 正直、判別がつかねぇ」

    ('A`)「全部が胡散臭く見えるんだが……」

    ( ゚∀゚)「それはもっともな意見だ。いいか。よく聞け」

    ( ゚∀゚)「これはドデかい目くらましだと俺は考えている」

    ('A`)「はあ?」

    ( ゚∀゚)「よく考えろ。有力囚人を失脚させるのなんて」

    ( ゚∀゚)「別にこの機会に実行しなくたっていいだろ?」

    ('A`)「どういう……」

    ( ゚∀゚)「現に、模範囚一歩手前から保護房行きにまで堕ちた服役囚がいる」

    ('A`)「あっ!」

    ( ゚∀゚)「そう、俺だ」


    897: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 03:31:11.44 ID:a9IAH+Ku0

    ( ゚∀゚)「あいつはやろうと思えば小競り合いで人を貶められる」

    ('A`)「それは……長岡で証明されてる……」

    ( ゚∀゚)「にもかかわらず、わざわざ球技大会なんて一大イベントの日を選んで」

    ( ゚∀゚)「変だろ? リスクも大きくなるのに。あいつはリスク回避型の人間なのは知っての通りだ」

    ('A`)「つまり……なんだ?」

    ('A`)「俺はあんたと違って頭の回転がよくないんだよ」

    ( ゚∀゚)「オーケイ。簡潔に教えるぜ」

    ( ゚∀゚)「まずひとつは、全員の注目がそっちに向くこと」

    ( ゚∀゚)「そしてもうひとつ。俺たちが外に出られていることだ」

    ('A`)「ってことは……まさか!」

    ( ゚∀゚)「そうだ。あいつの狙いは脱獄だ」


    903: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 03:37:34.79 ID:a9IAH+Ku0

    ( ゚∀゚)「誰の注目も受けない中で、忽然と姿を消した」

    ( ゚∀゚)「不審極まりねぇよな、こりゃ」

    ('A`)「そ、そういや前回も散策とかぬかしてどっかに行ってた……」

    ( ゚∀゚)「あれはおそらく、逃走経路の探査と確保を図ったんだろうよ」

    ( ゚∀゚)「おかしいと思ったんだよ。普段から、模範囚を目指す、刑期を減らすとか吹聴してさ」

    ( ゚∀゚)「あれは周囲に、何がなんでも正当に出所するつもりだとアピールしてたんだろう」

    ( ゚∀゚)「この騒動が大きな目くらましだとしたら、平素の発言は小さな目くらましってとこか」

    ('A`)「……クソッ、俺は追うぞ!」

    ('A`)「なんでもかんでもあいつの思い通りになんてしねぇからな!」

    ( ゚∀゚)「俺もそろそろ戻る……あまり無理はするなよ」

    ('A`)「おうよ!」


    910: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 03:42:07.45 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「……」ダッダッ

    ('A`)「無理はするなよ、か……」

    ('A`)「長岡、悪い。ちょっと無理するわ」

    ('A`)「もしかしたら……あんたを助けることに繋がるかも……」

    (,,゚Д゚)「おい貴様! 千九十番! 何をしとるか!」

    ('A`)「看守さん! ちょうどよかった!」

    (,,゚Д゚)「な、なんだ、気持ちが悪い……」

    ('A`)「脱獄囚が出たかも知れないんだ!」

    (,,゚Д゚)「はあああ!? 本当かそれは!!」

    ('A`)「今探してる! 狐井って男だ! 看守さんも来てくれ!」

    (,,゚Д゚)「収容所内の治安を保つ者として職務を全うする!」


    912: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 03:44:35.90 ID:a9IAH+Ku0

    (,,゚Д゚)「で、どこだ? どこにおるのだ?」

    ('A`)「それが……ちょっと見当はまだついてなくて」

    (,,゚Д゚)「貴様は看守を愚弄しとるのか!」

    ('A`)「ですから一緒に探して欲しいんですって!」

    (,,゚Д゚)「頼まれんでも分かっておる!」

    ('A`)「おーい、誰かー! 狐井を見なかったかー!」

    ('A`)「あのいけすかない面の詐欺師野郎だー!」

    ( ゚∋゚)アッチアッチ

    ('A`)「お前今最高に輝いてるぞ!」

    ( ゚∋゚)テレテレ


    917: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 03:49:49.06 ID:a9IAH+Ku0

    (,,゚Д゚)「しかし貴様はどこでそのような情報を得たのだ?」

    ('A`)「長岡だ……」

    (,,゚Д゚)「はあ?」

    ('A`)「長岡が全部教えてくれたんだ……」

    ('A`)「あいつは……本当に頼りになる男だ……」

    (,,゚Д゚)「長岡……六百一番か? あいつは常時見張られておったはずだが……?」

    ('A`)「一生頭にハテナを浮かべててくださいよ」

    (´・_ゝ・`)「ちょっ、なにこの異様なツーショット。お前なんかしでかしたのか?」

    ('A`)「盛岡! ちょうどいいところにいた! お前も来い!」

    (´・_ゝ・`)「えっ、ちょ、説明をプリーズ!」


    922: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 03:56:25.80 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「盛岡、真剣に聞いてくれ」

    (´・_ゝ・`)「どうしたのよ」

    ('A`)「狐井が脱走を企ててる」

    (´・_ゝ・`)「はあ!?」

    ('A`)「何もかも……全部……狂言なんだ」

    ('A`)「あの野郎が全部このために仕掛けたことなんだよ」

    (´・_ゝ・`)「で、看守さん連れて捜索してるってわけか」

    ('A`)「ああ」

    (´・_ゝ・`)「よっしゃ、把握! 俺もついていくぜ!」

    ('A`)「おうよ!」


    928: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 04:00:55.54 ID:a9IAH+Ku0

    (´・_ゝ・`)「あ、そうだ、看守さん」

    (,,゚Д゚)「なんだ?」

    (´・_ゝ・`)「協力ついでに一個だけ質問いいすか?」

    (,,゚Д゚)「構わんが」

    (´・_ゝ・`)「門奈さんの日記に書かれてたこと、少しでいいから教えてくれないか?」

    (,,゚Д゚)「拒否! 出来るはずがなかろう!」

    (´・_ゝ・`)「頼むぜ! もしかしたら狐井を精神的に追い詰められるかも知れないんだ!」

    (´・_ゝ・`)「この通りだ!」

    (,,゚Д゚)「ううむ、そ、そこまで強く言われるとだな……」

    (,,゚Д゚)「……内緒だぞ?」

    (´・_ゝ・`)「きゃー看守さんかっこいいー」


    930: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 04:04:52.10 ID:a9IAH+Ku0

    (,,゚Д゚)ゴニョゴニョ

    (´・_ゝ・`)「ふむ……ふむ……」

    (´・_ゝ・`)「……はっはっは! そうか! 門奈さん、あんたやっぱりか!」

    (,,゚Д゚)「うごっ!? この距離で高々に笑うでない!」

    (´・_ゝ・`)「そうだよな! そうに決まってたんだよ! へっへっ!」

    ('A`)「なんだあいつ……耳打ちされて突然笑い出したりなんかして……」

    ('A`)「……おっ」

    ('A`)「はは……どうやら袋のネズミが見つかったようだぜ」


    爪'ー`)y‐「……チッ……」


    ('A`)「狐井……!」


    957: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 05:16:40.78 ID:a9IAH+Ku0

    (,,゚Д゚)「きっ、貴様あああああ!! そこで何をしとるか!!」

    爪'ー`)y‐「看守付きか……面倒なことになったな」

    爪'ー`)y‐「せっかく、巡回警備員の目もすり抜けたってのに……」

    ('A`)「おうおう狐井よ。まさに大ピンチってやつだぜ?」

    爪'ー`)y‐「ピンチ? 冗談はよせ。あとはもうこの塀を越えるだけなんだぜ?」

    爪'ー`)y‐「むしろフィナーレと言ってもらいたい」

    (´・_ゝ・`)「その塀に開いた穴が自信の根拠か」

    爪'ー`)y‐「よく見てやがるな。前期の球技大会の騒動の間に発見した」

    爪'ー`)y‐「おそらく何年か前の脱走者が開けたものだろう……」

    爪'ー`)y‐「どうやったかまでは察しが及ばないがね」

    爪'ー`)y‐「切り取った部分をちゃんと型をはめるように戻しておくあたりがまた憎い」

    爪'ー`)y‐「いずれにせよ、ありがたく利用させてもらうよ」


    959: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 05:20:52.94 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「詐欺師だけあって、人を欺くのが得意なのは本当のようだな」

    爪'ー`)y‐「会話で間を持たせる気か? アホくさ。もう行くんで」

    ('A`)「させてたまるか! 看守さん! 銃を!」

    (,,゚Д゚)「そんなもの常備しておらんぞ」

    ('A`)「え」

    (,,゚Д゚)「貴様囚人に強奪された際の危険性を考えるべきである!」

    ('A`)(つ、使えねぇ……)

    爪'ー`)y‐「ひゃっひゃっひゃー! 腑抜けもいいとこだ!」

    爪'ー`)y‐「やはりここは肥溜めだ! 糞しかいやしない!」

    爪'ー`)y‐「俺がいるべきところじゃなかったんだよ!」


    961: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 05:24:39.74 ID:a9IAH+Ku0

    爪'ー`)y‐「思えば入所以来ずっとそうだった」

    爪'ー`)y‐「俺が目的に向かって邁進するだけで、多くの副産物が生まれた」

    爪'ー`)y‐「邪魔な奴らは勝手にいなくなってくれるし最高だったぜ」

    (´・_ゝ・`)「いやまったく。その通りっすわ」

    爪'ー`)y‐「あ?」

    (´・_ゝ・`)「いろいろなところに被害が波及してたけど」

    (´・_ゝ・`)「ぜーんぶお前は無関係だもんな。偶然。たまたま」

    (´・_ゝ・`)「お前の手が及んでた場合なんてゼロ。傍観者だったもんなー」

    (´・_ゝ・`)「いやー本当に運のいいお方だ。というより運だけと評していいかも」

    爪'ー`)y‐「……何言ってんだてめぇ」

    ('A`)(い、いいぞ。そうやって相手の感情を逆撫でして隙を作るんだ)


    964: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 05:32:10.56 ID:a9IAH+Ku0

    爪'ー`)y‐「ふん……少なくとも、てめぇがご執心な門奈の死は当然の帰着だったぜ」

    爪'ー`)y‐「人間の習性だ。弱い奴がより弱い奴を探すのは。そこは読めた」

    (´・_ゝ・`)「はあ? 自惚れんなよ!」

    (´・_ゝ・`)「お前と門奈さんの自殺なんて、ほんっとーに無関係だからな!」

    爪'ー`)y‐「なに?」

    (´・_ゝ・`)「お前、門奈さんの日記に何が書かれてあったか、全部読んでないだろ」

    爪'ー`)y‐「それがどうかしたか?」

    (´・_ゝ・`)「俺はなあ、ちゃーんと詳しく教えてもらったから知ってるぜ」

    (´・_ゝ・`)「あの日記にはいじめの内容の他に、お前のことも書かれてた」

    (´・_ゝ・`)「でもそれは同室の人間を気遣うそれだったそうだ」

    (´・_ゝ・`)「お前のことなんかちっとも疎んじてないってこった」


    966: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 05:36:26.72 ID:a9IAH+Ku0

    (´・_ゝ・`)「つまり門奈さんの中では、死を決断するにあたってあんたが与えた影響は無」

    (´・_ゝ・`)「ただの同居人の一人」

    爪'ー`)y‐「……」

    (´・_ゝ・`)「お前と斉藤の間には関係があったかもしれないが」

    (´・_ゝ・`)「斉藤と門奈さんの間にあった関係とはまったく相関性がない」

    (´・_ゝ・`)「この前風呂場で頭のいい狐井さんが言ってたようにな」

    (´・_ゝ・`)「……もしかして、自分が間接的に殺したみたいに思ってたりして?」

    (´・_ゝ・`)「いやいや、まっさかー! あの狐井さんにとってそんな!」

    爪'ー`)y‐「黙れよ……」

    (´・_ゝ・`)「それとも前言はハッタリで、本心では俺の功績みたいに感じてたのか?」

    (´・_ゝ・`)「バッカじゃねーの」


    967: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 05:40:31.76 ID:a9IAH+Ku0

    (´・_ゝ・`)「なあおい。なんで門奈さんが工場で自殺したか分かるか?」

    爪'ー`)y‐「……そんなもん知るかよ」

    (´・_ゝ・`)「俺には想像できる! あの人はあれで結構執念深いから」

    (´・_ゝ・`)「絶対に恨みを果たすつもりだったはずだ!」

    ('A`)(そういや、死ぬ際に長年憎んでた上司を巻き込もうとしたんだよな)

    (´・_ゝ・`)「第五工場で自殺したのは、ここの担当看守が原因だと暗に示すため!」

    (´・_ゝ・`)「遺書にいじめのことを記さなかったのは」

    (´・_ゝ・`)「真相を暴かれるまでの間犯人の精神をいたぶるためだったんだろうよ!」

    爪'ー`)y‐「……」

    (´・_ゝ・`)「弱い人間ってのは強いんだぞ」

    (´・_ゝ・`)「結局門奈さんは、最後の最後まで自分の意思だけで行動した!」

    (´・_ゝ・`)「裏で糸を引いてるなんてのはお前の妄想に過ぎないのさ」


    968: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 05:43:58.15 ID:a9IAH+Ku0

    爪'ー`)y‐「……チッ、好き勝手ほざきやがって……!」

    ('A`)「いやその通りだ。お前は運がよかっただけの男」

    ('A`)「全部幸運に導かれただけで、お前自身は空虚も同然」

    ('A`)「バカヅキを引きまくっただけだ」

    爪'ー`)y‐「んだと?」

    ('A`)「前、俺は不運のせいで捕まってしまったって言ってたよな?」

    ('A`)「ありゃお前の勘違いだ。単に幸運のおかげで今まで捕まらずに済んだんだ」

    爪'ー`)y‐「黙れ!」

    爪'ー`)y‐「……もう茶番は終わりだ。こんな馬鹿ども相手に余裕見せても無為だ」

    爪'ー`)y‐「俺は……行くぞ……!」


    971: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 05:48:34.48 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)(くっ……地味に距離を詰めていったが。まだ遠い……)

    (,,゚Д゚)「動くな! 止まれ!」

    爪'ー`)y‐「止まれと言われて止まるかよ……」

    爪'ー`)y‐「ふ……ふひゃ、そうさ。俺が運だけの男だっていうならな」

    爪'ー`)y‐「俺は神に選ばれた人間ということだ!」

    ('A`)「……頭イカれちまったのか?」

    爪'ー`)y‐「いや、この上なく冴えてる。だからさっさと逃げるのが正解だとも導き出せてる」

    爪'ー`)y‐「グッバイ、糞どもめ」

    (,,゚Д゚)「うぬぅ、無線が繋がらん! 騒動の鎮静にまだ時間を割いておるのか?」

    ('A`)「ダメか……」

    / ,' 3「ひいひい、やっと追いついたわい」

    ('A`)「荒巻さん? なんでここに?」


    973: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 05:54:08.18 ID:a9IAH+Ku0

    / ,' 3「いやあ、兄さんを探しておったんじゃが、中々見つからんでな」

    / ,' 3「鳥田とかいう大男に聞いてようやくどこにいるか分かったんじゃよ」

    爪'ー`)y‐「ジジイの見送りは嬉しくねぇな」

    / ,' 3「ん? さっき会った小僧じゃないか」

    ('A`)(あー、また余裕綽々モードに入ってるなあいつ)

    ('A`)(どうも頭に血が上ってる時と、こういう状態の時は足を止めるらしいな)

    / ,' 3「あれは塀際で何をやろうとしとるの?」

    (´・_ゝ・`)「脱獄っすよ」

    / ,' 3「脱獄! はああ、えらいことじゃないかい」

    ('A`)「だからなんとか釘付けにしようとしてるんだが……」

    / ,' 3「ふむ」

    / ,' 3「よう分からんが、あいつの足を止めればええんか?」


    976: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 05:56:23.10 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「まあ、そんなところだけど……」

    / ,' 3「おっしゃおっしゃ。任せてもらおうか」

    爪'ー`)y‐「あ?」

    / ,' 3「なあ小僧。あんた自分のことを『神に選ばれた』とか口走っておったの?」

    / ,' 3「大声じゃから道中で耳にしてしもうたよ」

    爪'ー`)y‐「そうだ」

    / ,' 3「じゃあわしらは?」

    爪'ー`)y‐「お前らは糞だ。そしてここは、糞を集めた肥溜めだ」

    / ,' 3「ほう、糞か」

    / ,' 3「ならあんたは、糞にたかる蝿ってところかのう」


    979: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 06:03:32.11 ID:a9IAH+Ku0

    爪'ー`)y‐「ああ? ふざけてんのか?」

    / ,' 3「だってそうじゃろう。糞の間をぶんぶん飛び交っとる」

    / ,' 3「こりゃ蝿としか呼びようがないじゃないか」

    爪'ー`)y‐「……飛べているだけマシだ」

    爪'ー`)y‐「実際、俺は今から大空へと飛び立つようなものだ!」

    / ,' 3「大空? 愚かなことを口にするのう」

    / ,' 3「あんた、地域が地域なら、ごじゃぬかせとか、わやほざくなやとかきつーく言われとるわ」

    / ,' 3「地上よりちょっと高いところを飛んでるだけじゃろ」

    / ,' 3「そして自分より下を見て優越感を覚えとる」

    / ,' 3「よく見つめなおしてみ。あんたは地を這っておるのとさして変わらんわい」

    / ,' 3「虚栄心がある分むしろ惨めじゃ」


    980: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 06:07:18.87 ID:a9IAH+Ku0

    爪'ー`)y‐「……」

    ('A`)(気圧されてる……というか)

    ('A`)(言葉以上に荒巻さんの放ってるプレッシャー半端ねぇ……)

    爪'ー`)y‐「糞の分際で……」

    / ,' 3「小僧」

    爪'ー`)y‐「ひっ!?」

    / ,' 3「よう聞いときな。糞は肥料になる。土壌を豊かにする」

    / ,' 3「気づかぬところでひっそりと何かの役に立っておる」

    / ,' 3「ところが糞にたかっていた蝿はどうじゃ? ただやかましく飛び回って鬱陶しいだけ」

    / ,' 3「人様に迷惑かけるばかりじゃないか」

    / ,' 3「分際とか偉そうに糞を馬鹿に出来た立場か、小僧が」


    985: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 06:11:45.60 ID:a9IAH+Ku0

    爪'ー`)y‐「……」

    ('A`)(狐井の奴、足が竦んでる……)

    / ,' 3「のう小僧」

    爪'ー`)y‐「よ、寄るな! 俺に近づくな!」

    / ,' 3「だったらその分下がればいいじゃろう。それすら出来んのか? とんだ臆病者よの」

    爪'ー`)y‐「ひぃっ……」

    / ,' 3「小僧や、わしはあんたの腐った面が反吐が出るほど嫌いじゃ」

    / ,' 3「可能ならば作り変えてしまいたいわ」

    爪'ー`)y‐「来るな……!」

    / ,' 3「最後に言っておくぞ小僧」

    / ,' 3「貴様のような小賢しい蝿ごとき、いくらでも叩き潰せるんじゃからな」


    987: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 06:16:47.07 ID:a9IAH+Ku0

    爪'ー`)y‐「……」ドサッ

    ('A`)「おっ、おい、腰抜かしたぞ! 今のうちに突撃だ!」

    (,,゚Д゚)「ジェイルブレイクを企てた容疑で貴様を連行する!」

    爪'ー`)y‐「あ……あひゃひゃ……」

    ('A`)「あー廃人だこれ」

    ('A`)「……長い監禁になりそうだな」

    (´・_ゝ・`)「いやはやお見事です」

    / ,' 3「なあに。理屈の通じん相手を、理屈以上の圧力でねじ伏せるのがわしの職分じゃ」

    / ,' 3「誇るようなことでもないがの」

    ('A`)「荒巻さんのおかげでなんとかなったよ。感謝するぜ」

    / ,' 3「照れるからやめ」

    (,,゚Д゚)「四百四十七番! 千九十番! 貴様らからも聴取するからな! 後で呼びに行くぞ!」

    ('A`)「ですよねー」


    990: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 06:22:33.85 ID:a9IAH+Ku0

    ~翌週、日曜日~


    ガチャン

    (,,゚Д゚)「称呼番号六百一番、入れ!」

    ( ゚∀゚)「……よっ」

    ('A`)「長岡! ……待ってたんだからな」

    ('A`)「無事保護房から出られたみたいで……良かったぜ」

    ( ゚∀゚)「お前らの口添えのおかげだよ」

    ( ゚∀゚)「まさか俺が一人だけ狐井の計画に気づいてたってことにされてるとはな」

    ('A`)「だってさ、立証手段がないからいくらでもでっちあげられるんだろ?」

    ( ゚∀゚)「はっは、ああ、そうだったな」


    992: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 06:27:47.92 ID:a9IAH+Ku0

    ( ゚∀゚)「血気に任せて暴行をはたらいた出来の悪い囚人から」

    ( ゚∀゚)「いきなり唯一悪徳を見抜いていた正義の切れ者だ」

    ( ゚∀゚)「大いに情状を酌んでもらえたよ」

    ( ゚∀゚)「お前らには感謝が尽きないよ、まったく」

    ('A`)「何言ってやがんだ、気づけたのはあんただけって部分は本当じゃんか」

    ( ゚∀゚)「それにしても、この監房も二ヶ月ぶりか……」

    ( ゚∀゚)「このイカ臭い感じが懐かしいぜ」

    ('A`)「これでも石鹸でごまかしてんだぞ」

    ( ゚∀゚)「ところでさ、盛岡の奴は?」

    ('A`)「ああ……あいつなら独居房に移ることを希望して出て行ったよ」

    ( ゚∀゚)「なんだって?」


    993: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 06:31:25.12 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「あいつ、先週から出所まで日記をつけることにしたらしいんだ」

    ('A`)「なんか、日記はその人間を反映するとか」

    ('A`)「気でも触れちまったんじゃねーかってこと言い出し始めて」

    ( ゚∀゚)「別にこの雑居房で書いてもいいってのにな」

    ('A`)「絶対俺たちが盗み見るからだってさ」

    ( ゚∀゚)「信用ないねぇ、俺らって」

    ('A`)「実際覗くだろ?」

    ( ゚∀゚)「当然」

    ( ゚∀゚)「まあ、会えないってことはないだろう」

    ('A`)「そうだな、同じ階層だし、風呂の時には会える」

    ('A`)「その時は存分に弄り倒してやろうぜ」

    ( ゚∀゚)「そりゃいいな」


    9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 06:40:22.62 ID:a9IAH+Ku0

    ( ゚∀゚)「あ、そうだ」

    ( ゚∀゚)「ドクオ、お前にいい報せがあるぜ」

    ('A`)「なんだ?」

    ( ゚∀゚)「いやさ、実はさっきまで面会人と会って話してたんだけどよ」

    ('A`)「保護房出て即面会かよ。どんだけ人望あるんだあんた」

    ( ゚∀゚)「だから人望というより定期連絡だって。言ったろ?」

    ('A`)(あの時のやり取り、今思い返すと赤面しちゃう……)

    ( ゚∀゚)「でさ、そこであった対話のなかにあったんだけど」

    ('A`)「ふむふむ」

    ( ゚∀゚)「お前、もうすぐここから出られるかもな」

    ('A`)「!}


    13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 06:46:33.64 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「おい……ちょっと、どういうことだそれ?」

    ('A`)「俺がここから出られるって、それは本気か!?」

    ( ゚∀゚)「ヤクを密売してた外国人が身柄を拘束されて」

    ( ゚∀゚)「本国に強制送還しない代わりにいろいろとゲロったらしい」

    ( ゚∀゚)「その中で話題に上がったのが、お前が逮捕されたっていう当日」

    ('A`)「ふんふん、それで?」

    ( ゚∀゚)「呼び出したんじゃなくて、呼び出されたって答えたそうだ」

    ( ゚∀゚)「これは辻褄が合わないとなって、携帯に残った履歴と、お前のそれまでの行動予測」

    ( ゚∀゚)「それらを改めて細部まで照合したところ、整合性が見受けられなかったみたいで」

    ('A`)「なんでそのことを知ってたんだ?」

    ( ゚∀゚)「だから言ったろ。うちの組は警察とも繋がりがあるって」


    16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 06:51:51.27 ID:a9IAH+Ku0

    ( ゚∀゚)「それでもう一度洗い直してるらしいんだ」

    ( ゚∀゚)「事務所じゃ網羅の奴らが新しくヤクの売買組織を立ち上げたとの噂がある」

    ( ゚∀゚)「そちらが暴かれたら、お前の無罪が証明されるに違いねぇ」

    ('A`)「おお……」

    ( ゚∀゚)「網羅とその取り巻きなんて大したグループじゃない」

    ( ゚∀゚)「だからすぐお縄が回るだろう」

    ('A`)「……非現実のお返しが非現実だったぜ」

    ( ゚∀゚)「だからって、ムショの勤めを蔑ろにしていいってわけじゃないぞ?」

    ( ゚∀゚)「まだ確定してはいないんだから」

    ('A`)「重々承知してる。そのつもりはないさ」

    ('A`)「俺はその日まで普段どおり過ごすだけだ」


    20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 07:01:12.55 ID:a9IAH+Ku0

    ~十一月二十二日、朝~


    ガチャン

    (,,゚Д゚)「朝食中失礼する!」

    ('A`)「ぶほっ、食ってたもん喉に詰めかけた」

    ( ゚∀゚)「せっかくのパンの日なんだからじっくり賞味させてくださいよ」

    (,,゚Д゚)「本日からこの監房で共に生活してもらう囚人を連れてきた!」

    ('A`)「ん? 誰?」

    (,,゚Д゚)「称呼番号千五百五十六番! 慎んで入れ!」

    ( ><)「どうも……しばらくの間よろしくお願いします」

    ('A`)「よろ」

    ( ゚∀゚)ペコ


    23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 07:04:07.05 ID:a9IAH+Ku0

    (,,゚Д゚)「ではな! また食器の回収の際にに赴かせてもらう!」ガチャン

    ( ><)「……」ソワソワ

    ('A`)「まあ座れよ。そんな萎縮するようなもんでもないし」

    ( ><)「は、はい!」

    ('A`)「分からないことだらけだろうけど、まあ、なんでも俺たちに聞いてくれ」

    ( ><)「ありがとうございますなんです、先輩!」

    ('A`)「先輩て……」

    ガチャン

    (,,゚Д゚)「忘れておった! おい、貴様! 千九十番!」

    ('A`)「俺?」

    (,,゚Д゚)「ちょっとこちらに来い! 所長が呼んでおる!」


    26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 07:10:50.99 ID:a9IAH+Ku0

    ~所長室~


    ( ФωФ)「……」

    ('A`)「……」

    ( ФωФ)「鬱田くん」

    ('A`)「はっ、はい。なんでしょう」

    ( ФωФ)「……非常に申しづらく、また非常に申し訳ないことなのだが……」

    ( ФωФ)「君の麻薬売買の容疑が今になって無罪だと判明した」

    ('A`)「!」

    ( ФωФ)「君が虚偽の供述をしたのは、やくざの報復を恐れてのことだね?」

    ('A`)「……そうです」


    31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 07:16:01.19 ID:a9IAH+Ku0

    ( ФωФ)「先日、君が主犯だと思われていた薬物売買組織の」

    ( ФωФ)「参謀ともいえる人物が逮捕されたのである」

    ('A`)「……」

    ( ФωФ)「その者が語るには、リーダーは鬱田という男ではないらしい」

    ( ФωФ)「新しくリストに上がった容疑者の行方を調べると、ぷつりと途絶えている」

    ( ФωФ)「そして昨夜未明、白骨化した遺体で発見された」

    ( ФωФ)「さらにこの男は指定暴力団に在籍していたのである」

    ( ФωФ)「事件は異なる方向に動き始めたようである」

    ('A`)「はあ……」

    ( ФωФ)「君はずっと真実を隠し通してきたのか?」

    ('A`)「はい。まあ」

    ('A`)「とてもじゃないけど言い出せませんでしたし……」


    35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 07:20:35.36 ID:a9IAH+Ku0

    ( ФωФ)「刑事課に先立って詫びる。本当にすまなかった!」

    ('A`)「いやいや頭下げなくてもいいですって!」

    ('A`)「元はといえば僕が全肯定したわけですし……」

    ('A`)「警察にも刑務所にも非はないですよ」

    ( ФωФ)「しかし君にも非はない」

    ( ФωФ)「あのような状況では、虚偽申告もやむを得なかったのであろう」

    ('A`)「……」

    ( ФωФ)「……来月の一日には君に出所してもらおうと思う」

    ( ФωФ)「それまでは禁固及び外出訓練ということになるが……よろしいか?」

    ('A`)「いや、今までどおり働かせてください」

    ('A`)「もう体に染み付いちゃってるんで」


    38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 07:25:19.34 ID:a9IAH+Ku0

    ( ФωФ)「そうか……」

    ('A`)「人員足りてなくて、僕がいないと回らないんですよ」

    ('A`)「今日もこれから向かって構いませんか?」

    ( ФωФ)「君の自由に任せる」

    ('A`)「っしゃ。それじゃ、失礼します」

    ( ФωФ)「ああ、その前にひとつ。仕事が終わったらしばらく指示する独居房にいてくれ」

    ( ФωФ)「それで、夜十一時頃になったら看守を迎えにいかせるから」

    ( ФωФ)「それまで生活していた雑居房に足を運んで荷物を持っていくように」

    ( ФωФ)「就寝時間以外に所内を出歩かれると贔屓を疑われるからである」

    ( ФωФ)「君にとってもよろしくない」

    ('A`)「はあ、了承しました」


    40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 07:28:27.88 ID:a9IAH+Ku0

    ~検品場~


    ('A`)「……」ババババババ!

    / ,' 3「なんちゅうスピードじゃ……」

    ('A`)「いやね、今日いいことがあって、気分が乗ってるんだよ」

    / ,' 3「ほう、なんじゃ」

    ('A`)「俺、来月ここ出ることになったのよね」

    / ,' 3「そりゃめでたい!」

    ('A`)(それまでに荒巻さんに能率を上げてほしいんだけど……)

    / ,' 3「……」カチャ...カチャ...

    ('A`)(相変わらずおっせぇ……)


    43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 07:33:43.00 ID:a9IAH+Ku0

    ~午後十一時、廊下~


    (,,゚Д゚)「気まずいのである! 囚人として扱うべきなのか逡巡する!」

    ('A`)「今までと同じでいいっすよ」

    (,,゚Д゚)「では称呼番号千九十番! 急ぎ身辺の整理を済ませてこい!」

    ('A`)「はーい」

    (,,゚Д゚)「……二十分後に来るのである!」スタスタ

    ('A`)「なんだ、気が利くじゃないかあの人も」

    ('A`)「しっかし、この監房で過ごしたのも九ヶ月弱か……」

    ('A`)「長いようで短いような」

    ('A`)「思い出に浸るってのもオツだな……」

    ('A`)「長岡は……起こすのも悪いしな……ん?」


    49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 07:38:45.69 ID:a9IAH+Ku0

    ( ゚∀゚)「……よう」

    ('A`)「なんだ、起きてるんじゃないか」

    ('A`)「聞いてくれよ。俺、無罪放免が決まったんだぜ!」

    ('A`)「あんたの言ってた通りだった!」

    ( ゚∀゚)「そうか……なら、お別れだな……」

    ('A`)「今生の別れみたいに言うなよ。縁起でもない」

    ('A`)「手紙出すよ。あんたも刑期を終えたら、どっかで落ち合おうぜ」

    ('A`)「そしてうまい酒でも飲もう」

    ('A`)「俺にとって、あんたは特別な存在なんだ。長岡に会えて本当によかったと思ってる」

    ( ゚∀゚)「酒か……いいな」

    ('A`)「盛岡を誘うのもいいな……あいつ、いつ頃出るのかな……」


    52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 07:42:12.47 ID:a9IAH+Ku0

    ( ゚∀゚)「……ドクオ」

    ('A`)「なんだ?」

    ( ゚∀゚)「そうじゃないんだ。お別れってのは、本当にお別れなんだ……」

    ('A`)「え?」

    ( ゚∀゚)「もう二度と会うことはないよ、俺とお前は……」

    ('A`)「なんでだよ」

    ( ゚∀゚)「北側のベッドを覗いてみな……」

    ('A`)「北側? めんどくせぇな……うおっ!?」

    ('A`)「こ、この男、今朝の?」

    ('A`)「だって……そんな……」

    ( ゚∀゚)「息がないだろ……殺したんだよ、俺が……」


    63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 07:46:43.22 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「ど、どうしてだ。どうしてこんな……」

    ( ゚∀゚)「先月末の面会でな、ちょっと聞かされてたんだ」

    ( ゚∀゚)「この収容所には荒巻がいるだろ?」

    ( ゚∀゚)「うちの組の人間が飼い慣らした刺客が」

    ( ゚∀゚)「そのタマを取りにわざわざムショに潜入してくるって話をさ」

    ('A`)「じゃ、じゃあ、あれか」

    ('A`)「あんたの組とシベリア組が敵対してるとかいう……」

    ('A`)「そういう構図か?」

    ( ゚∀゚)「違う。そうじゃない」

    ( ゚∀゚)「俺もシベリア組の人間なんだよ」


    64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 07:50:49.91 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「なっ……?」

    ( ゚∀゚)「組の人間が内部反乱を起こそうとしている」

    ( ゚∀゚)「お家騒動ってやつだ。情けねぇ」

    ('A`)「それじゃ、あんたが話の中で語ってたオヤジってのは……」

    ( ゚∀゚)「荒巻だよ」

    ('A`)「……」

    ('A`)「……でも、なんでこの男が刺客だって分かった?」

    ('A`)「どう考えても変だろ。エスパーかよ」

    ( ゚∀゚)「盛岡のおかげだ」

    ('A`)「はあ?」

    ( ゚∀゚)「盛岡が独居房に移ったおかげだぜ」


    67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 07:56:06.41 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「……ダメだ。全然接続できない」

    ( ゚∀゚)「今この収容所にある雑居房の中で、二人だけで利用してるのはここだけだ」

    ( ゚∀゚)「他はきっちり三人、四人埋まってる」

    ( ゚∀゚)「自然と新しい収監者はここに入ってくることになるだろ?」

    ( ゚∀゚)「ドクオの時もそうだったしな。覚えてるか?」

    ('A`)「……けど、人違いの可能性だって」

    ( ゚∀゚)「あるにはある。だけど、賭けてみる可能性だって同じくらいある」

    ( ゚∀゚)「組の内部の者でないならば俺の顔も存在も知らないはずだしな、幸いなことに」

    ( ゚∀゚)「だから俺は今晩、同性愛者を装ってベッドに潜り込んだ」

    ( ゚∀゚)「そうしたら……案の定小刀を隠し持ってやがった。大当たりだ」


    72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 08:02:19.62 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「なんでそんなもん抱えて入所できて……あっ」

    ('A`)「そうか……お前の組って警察と通じてるんだったな……」

    ( ゚∀゚)「勤勉で将来の模範囚候補だとか言って、チェックを緩めるように通達してたんだろう」

    ('A`)「……でもよ、長岡」

    ( ゚∀゚)「なによ」

    ('A`)「別に……こいつを無視しておいてもよかったんだろう」

    ('A`)「狙いはあんたじゃなくて、荒巻さんだ」

    ( ゚∀゚)「そんなのは許されない。いや、俺が許さねぇんだよ」

    ( ゚∀゚)「オヤジが俺を守ってくれたように」

    ( ゚∀゚)「俺もオヤジを守る義理がある」

    ( ゚∀゚)「それがやくざの世界なんだよ」


    79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 08:08:37.00 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「……」

    ( ゚∀゚)「どうしたんだよ」

    ('A`)「違う」

    ( ゚∀゚)「泣いてるのか?」

    ('A`)「違うんだ」

    ( ゚∀゚)「……そんなに俺を哀れまないでくれ」

    ( ゚∀゚)「どうせ、一瞬の関係性だったんだ。俺のことは気にするな」

    ('A`)「……無茶言うなよ……」

    ( ゚∀゚)「俺はたぶん、そうだな、服役中は一生保護房だ」

    ( ゚∀゚)「面会なんて絶対に出来ない。おまけに、刑期も大量に上乗せされる」

    ( ゚∀゚)「だから……もう最後だ。これ以上ないくらい最後なんだ」

    ( ゚∀゚)「俺とお前の付き合いも……」


    87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 08:14:50.62 ID:a9IAH+Ku0

    ( ゚∀゚)「さっ、もうすぐ看守が迎えに来る頃だろ」

    ( ゚∀゚)「早く俺のベッドから離れな。お前までいらぬ疑いがかかるかも知れない」

    ( ゚∀゚)「ああ、なんなら、人が死んでたって報告してもいいぜ」

    ('A`)「……しねぇよ、そんなこと」

    ( ゚∀゚)「そうか……悪い、最後まで迷惑かけちまったな」

    ( ゚∀゚)「じゃあな、これが本当に……本当の本当に最後だ。達者でやれよ」

    ('A`)「……うん」

    ガチャ

    (,,゚Д゚)「護送である! 千九十番、もうここに置き残したものはないな?」

    ('A`)「……」

    ('A`)「はい」


    ( ゚∀゚)「あばよ――鬱田」


    94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 08:21:19.41 ID:a9IAH+Ku0

    ~翌朝~


    ('A`)「……」ホケー

    / ,' 3「……」カチャ...カチャ...

    / ,' 3「ん? どうした兄さん、今日はいきなり元気がなくなっとるぞ」

    / ,' 3「昨日の威勢はどうしたんじゃ」

    ('A`)「……聞かされてるだろ、ここで殺害事件があったて」

    / ,' 3「ああ、長岡がやらかしたっていう、あれかいな」

    ('A`)「長岡の奴、あんたの組の組員だったんだな」

    / ,' 3「なんじゃ知っとったんか。あいつから聞かされたんか?」

    ('A`)「ああ……」

    / ,' 3「ほう、そうか」


    97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 08:26:38.21 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「荒巻さん……一度も長岡と会話を交わさなかったよな」

    / ,' 3「そうじゃな」

    ('A`)「寂しくなかったのか?」

    ('A`)「長岡言ってたぜ。『俺はオヤジにかわいがってもらってる』って」

    / ,' 3「しゃあなかろう。あいつはシベリアと縁のない人間として入所しとるんじゃから」

    ('A`)「あんたのいないところでも、長岡は最後まで荒巻さんと関係がないように振舞ってた」

    / ,' 3「さすがじゃな」

    ('A`)「俺……自分と親しい人間を他人のように語ることなんて出来ないよ」

    ('A`)「それにこんな場所だ。知ってる奴に会えたら絶対喜びを隠せない」

    ('A`)「友人知人が外の世界にほとんどいない俺でもそう思うんだ」

    / ,' 3「まあ……自制心次第じゃよ、結局は」


    98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 08:31:01.30 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「……荒巻さんは、自分が狙われてることは知ってたのか」

    / ,' 3「そりゃもちろん」

    / ,' 3「わしだって面会の際にいろいろと情報を仕入れておったわ」

    / ,' 3「なんならあいつよりも詳しいぞ?」

    ('A`)「……」

    / ,' 3「ま……そういった情報を逐一得てないとわしの身は持たんて」

    ('A`)「え?」

    / ,' 3「B級刑務所におった頃はのう、それはそれは他事務所との抗争が多かった」

    / ,' 3「いつ寝首を掻かれるか分からんから、入所者のリストを面会でもらっておったわ」

    / ,' 3「堂々とした行為もさすがに黙認されとったよ」


    102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 08:35:56.22 ID:a9IAH+Ku0

    / ,' 3「とはいえど限界はある」

    / ,' 3「数的不利になった場合わし自身の力で防衛しないとならん」

    / ,' 3「しかしもうこの歳じゃ。いくらなんでも無理があろうて」

    / ,' 3「そこで、その手の者が入ってこれぬようA級刑務所に移してもらったんじゃよ」

    / ,' 3「シャバにおるもんにあれこれ口利きしてもらってな」

    ('A`)「そうだったのか……」

    / ,' 3「大体、こんなへっぽこ工員がA級に移送なんてされると思うか?」カチャ...カチャ...

    ('A`)「なんという説得力……」

    / ,' 3「わしにはここが一番安全なんじゃ」

    / ,' 3「ただ、よもや……身内が刃を抜いてくるとは予想だにせんかった」

    / ,' 3「そのせいで手痛い犠牲も出てしもうたよ」

    ('A`)「……」


    106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 08:40:06.92 ID:a9IAH+Ku0

    / ,' 3「それと、あの差し金を仕向けたのは網羅の一派らしいの」

    ('A`)「なんだって?」

    / ,' 3「なんじゃ、それは長岡は知らんかったのか」

    ('A`)「たぶん……」

    / ,' 3「まあ、あいつらは今窮地に立たされとるから、一発逆転を狙う気持ちも分かるがな」

    ('A`)「……」

    / ,' 3「どうした?」

    ('A`)「俺、悔しいよ、荒巻さん……」

    ('A`)「全部網羅って奴のせいで、俺と長岡の人生が狂ってしまった……」

    ('A`)「俺はまだいいよ。無実が認められたんだから」

    ('A`)「だけど、だけど長岡は……救われなかった……俺には救えなかった……!」


    109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 08:45:13.63 ID:a9IAH+Ku0

    / ,' 3「そうかい、そうかい」

    / ,' 3「ううむ。そうじゃのう」

    / ,' 3「ドクオや」

    ('A`)「……なに」

    / ,' 3「どうしても長岡の仇を取りたいっていうなら、わしにも提案があるぞ」

    ('A`)「ほ、ホントか!?」

    / ,' 3「先に告げたように、わしに入ってくる情報は多くて、しかもピチピチでの」

    / ,' 3「どうやら網羅一派はラウンジ町に潜伏しとるらしい」

    / ,' 3「詳しい住所も掴めとる」

    ('A`)「そこまでか……なんでも耳に入ってんだな……」

    / ,' 3「出所したら、こいつらの居場所、マスコミと警察に売れっ」


    114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 08:52:08.42 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「へっ?」

    / ,' 3「豚箱にブチこんでやったらええ」

    ('A`)「いいのか?」

    / ,' 3「わしか? どうせ網羅の派閥は爪弾き者で構成されとるグループじゃ」

    / ,' 3「どんな目に遭わせてやっても構わんわい」

    / ,' 3「……どうせ取調べでなんでも吐くだろうから、内紛も世間様に知られてしまうがの」

    ('A`)「大丈夫なのか? 長岡から聞いたけど、お家騒動って恥なんだろ?」

    / ,' 3「そりゃもう恥じゃ。内部で争っとるだなんて馬鹿げとる」

    / ,' 3「でもまあ、別にどうでもええ。組長の命狙う奴が出るなんぞけしからんわ」

    / ,' 3「要するに所詮その程度の組ってことじゃ」

    / ,' 3「わしはシャバに出たらさっさと隠居したる。四代目なんて誰でもなったらええわい」

    / ,' 3「まっ、死ぬほど大変だろうがな」


    117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 08:57:39.98 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「荒巻さん」

    / ,' 3「なんじゃいな?」

    ('A`)「どうして、俺のためなんかにそこまで?」

    / ,' 3「重荷かいな?」

    ('A`)「そういうわけじゃないけど……」

    / ,' 3「ううむ、じゃあ、こうするか。わしのためじゃと思うてくれ」

    ('A`)「はい?」

    / ,' 3「わしはあんたのために復讐に使える情報を提供する」

    / ,' 3「そしてあんたはわしのために溺愛してた長岡の無念を晴らしてきてほしいんじゃよ」

    ('A`)「義理、ってやつですか」

    / ,' 3「よう理解しとるの。兄さん素質あるぞえ」

    ('A`)(嬉しくはない)


    119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 09:01:48.16 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「……でも、俺に出来るだろうか」

    / ,' 3「不安かい?」

    ('A`)「一年前、俺はあいつらにびびってなすがままだった」

    ('A`)「そんな俺が再び対峙することになるんだ……」

    / ,' 3「出来るさ」

    / ,' 3「当時のことは知らんが、今のあんた、ええ面構えしとるぞ」

    ('A`)「保証してくれるか、組長さん?」

    / ,' 3「ああ。男の顔じゃ」

    ('A`)「……よし、分かった」

    ('A`)「俺。やります」

    / ,' 3「頑張るんじゃぞ。わしも獄中で成功を祈っとるからの」

    ('A`)「はい!」


    120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 09:05:29.86 ID:a9IAH+Ku0

    ~十二月一日~


    ('A`)「……」

    ('A`)「いよいよ……VIP刑務所を去る日が来たか……」

    ('A`)「案の定出迎えはゼロだけどな」

    (,,゚Д゚)「この門をくぐった瞬間より貴様は囚人ではなくなる!」

    (,,゚Д゚)「いや、無罪なのだから最初から囚人ではなかったのか?」

    (,,゚Д゚)「だとすると囚人でない者が囚人から解放されるとは……うごごごごご!」

    ('A`)「いやもう、なんでもいいっす」

    (,,゚Д゚)「九ヶ月間に及ぶ服役ご苦労であった!」

    ('A`)「なんかまとめに入ってるし……」


    124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 09:07:50.11 ID:a9IAH+Ku0

    テク

    ('A`)「いやあ、しかし……感慨深いな……」

    テク

    ('A`)「いろいろなことがあった……」

    テク

    ('A`)「事件の多い刑務所暮らしだったよ、ホント……」

    テク

    ('A`)「いろんな人と出会ったし……いい奴も、悪い奴も……」

    テク

    ('A`)「門まで……あと一歩か……」

    ピタッ


    127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 09:11:59.60 ID:a9IAH+Ku0

    (,,゚Д゚)「む? どうしたのだ? 急に立ち止まったりなどして?」

    (,,゚Д゚)「振り返ったところで刑務所があるだけだぞ?」

    ('A`)「……」

    ('A;)「……う……」

    (,,゚Д゚)「どうしたというのだ……」

    (;A;)「うわあああああああああああ!!」

    (,,゚Д゚)「びょっ!? な、なにを大声で泣き出しておる!?」

    (;A;)「わから、わからねっけど、なんだか……うわあああああああ!!」

    (;A;)「あふれてっ……うわああああああああああああ!!!!」

    (,,゚Д゚)「沈着を命ずる! と、と、とりあえずハンカチを譲渡しておく!」


    130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 09:13:05.61 ID:a9IAH+Ku0

    ~十二月二日~



    ~十二月三日~



    ~十二月四日~



    ~十二月五日~



    ~十二月六日~



    ~十二月七日~


    134: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 09:14:25.62 ID:a9IAH+Ku0

    ~十二月八日~


    ~十二月九日~


    ~十二月十日~


    ~十二月十一日~


    ~十二月十二日~


    ~十二月十三日~


    ~十二月十四日~


    138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 09:15:27.52 ID:a9IAH+Ku0

    ~十二月十五日~

    ~十二月十六日~

    ~十二月十七日~

    ~十二月十八日~

    ~十二月十九日~

    ~十二月二十日~


    ~十二月二十一日~



    ~十二月二十二日~




    ~十二月二十三日~


    139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 09:15:55.69 ID:a9IAH+Ku0







                   ~十二月二十四日~





     


    144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 09:22:29.79 ID:a9IAH+Ku0

    ~ラウンジ町、外れ~


    (゚、゚トソン「ちょっと鬱田さん! 本当にあの小汚い平屋が網羅派のアジトなんですか?」

    ('A`)「マジですって! この上なく確かな情報筋ですから!」

    (´<_` )「でも明かりついてなくね?」

    ('A`)「そういうもんなんですって!」

    (´<_` )「まあとりあえずカメラセットしておくけど」

    ('A`)「リポーターさんもそろそろ中継始まるっぽいっすよ」

    (゚、゚トソン「分かってますよ。ええと、マイクテスマイクテス……」

    ('A`)「……ふう」

    ( ´_ゝ`)「鬱田さん……あんた本当にいいのかい?」

    ('A`)「あっ、巡査長の警官Aさん」

    ( ´_ゝ`)「Aはやめてくれ……せっかくモブキャラから昇格したんだから」


    146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 09:27:21.97 ID:a9IAH+Ku0

    ( ´_ゝ`)「それよりだ。鬱田さん、本当に俺たちや機動隊と一緒に乗り込むのか?」

    ('A`)「当然。それも先頭でいきますよ。フォロー頼みますよ」

    ( ´_ゝ`)「恐怖心はないのか?」

    ('A`)「怖がってなんかいられないんだ……」

    ( ´_ゝ`)「はあ」

    ( ´_ゝ`)「……それと、誤認逮捕の時はすまなかったな」

    ('A`)「いいっすよ、過ぎたことだし」

    ('A`)(それより……今は目の前のことに集中しねぇと)

    ('A`)(長岡……荒巻さん……俺はやってやるぜ)

    ('A`)(一世一代の大勝負だ!)


    (゚、゚トソン「まもなく午後十時。警察からの通知では、午後十時ちょうどに突入と聞いております!」

    (゚、゚トソン「その前にCMをどうぞ!」バチューン


    150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 09:33:16.14 ID:a9IAH+Ku0

    ~家屋内部~


    ミ,,゚Д゚彡「やべぇ……完全囲まれてますってこれ……」

    ( ^Д^)「しかしスマホは便利すっねー。テレビまで見れる」

    ( ・∀・)「アホ。ワンセグはスマホ関係ないわ」

    ( ・∀・)(ちっ……なんで俺の周りには使えない奴ばかり集まるんだ?)

    ( ・∀・)(分相応だっていうのかよ……カスがっ!)

    ミ,,゚Д゚彡「十時まであと五分……」

    ( ・∀・)「ふん、だがな。こっちにも手はある」

    ( ・∀・)「直前で裏手に用意した車に飛び乗って移動させてもらうさ」

    ( ^Д^)「限界まで人影を晒しておくってのもブルっちまいますよ」

    ( ・∀・)「もう少しだ、もう少し……」


    153: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 09:39:41.38 ID:a9IAH+Ku0

    バァーン!!

    ( ・∀・)「へっ?」

    ドドドドッ カシャーカシャーカシャー

    ミ,,゚Д゚彡「ぐおっ? なんだこれ、眩しい!」

    ( ・∀・)「懐中電灯と……報道陣のフラッシュか!?」

    ( ´_ゝ`)「警察だ! 麻薬密輸及び営利目的の容疑で逮捕する!」

    ( ^Д^)「待て待て! 十時からじゃなかったのかよ! CM中じゃねぇか」

    「正々堂々と宣言どおりに突っ込むわけがねぇだろ」

    ミ,,゚Д゚彡「誰だ、そこの一番前にいる奴!」

    ( ^Д^)「ちきしょ、ライトでよく見えん……」

    ( ・∀・)「いや……光に目が慣れてきた……!」


    ('A`)「よっ。久しぶりだな」


    156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 09:43:55.03 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「どうだ、この大量のライトの数」

    ('A`)「これが正義の光だ」

    ( ・∀・)「てめぇ、海岸の時のっ!? なんでここにいるんだ!?」

    ( ・∀・)「塀の中じゃなかったのか!」

    ('A`)「いろいろあって出てこられたんだよ」

    ('A`)「入ってたこと自体がおかしいんだけどな」

    ( ^Д^)「CM中に突入とか卑怯だぞオラァ!」

    ('A`)「は? 卑怯? どの口が言ってんの?」

    ('A`)「テレビで映してんだからテレビを利用するに決まってんじゃねーか」

    ('A`)「奇襲がこんなうまく成功するとは思わなかったぜ。お前ら単純だな」

    ( ・∀・)「チッ……!」


    159: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 09:48:51.72 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「……網羅……」

    ( ・∀・)「……」

    ('A`)「お前のせいで……俺も……俺の一番親しかった男も、不幸になった……」

    ('A`)「特にあいつは不幸なんてもんじゃねぇ……!」

    ('A`)「俺は……お前を許さない。絶対に。一生」

    ('A`)「正直思いっきりブン殴ってやりてぇ……だが、それをやるわけにはいかない」

    ('A`)「だからせめて、刑務所の中で己のしたことを反省してきな」

    ( ・∀・)「……あああああ! カス共がっ!」

    ( ´_ゝ`)「連行しろ! ただちに護送車に乗せろ!」

    ('A`)「光の中で懺悔しろ」

    ('A`)「これが俺からのプレゼントだ」

    ('A`)「メリークリスマス」


    166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 09:51:29.35 ID:a9IAH+Ku0

    。。。。。。。。。。。。。。。。。


    。。。。。。。。。。。。。


    。。。。。。。。。


    。。。。。





    .


    168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 09:53:41.70 ID:a9IAH+Ku0

    ~三年後~



    ('A`)「……」

    ピンポンパンポーン

    ('A`)「あーいらっしゃいませー」

    ('A`)(……)

    ('A`)(店番暇だな……)

    ('A`)(……)

    ('A`)(俺、店長なのに……)


    173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 09:58:17.15 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)(……)

    ('A`)(ああ、またあの頃のことを思い出しちまう)

    ('A`)(俺の人生で一番濃かった時代を……)

    ('A`)(……)

    ('A`)(あの後、報酬やら慰労金やら賠償金やらいろいろあって)

    ('A`)(その金でちっちゃい酒屋を開いたんだよな)

    ('A`)(……)

    ('A`)(で、それなりに上手くいって、店舗拡大)

    ('A`)(今じゃ酒専門の大型商店だ)

    ('A`)(……)

    ピンポンパンポーン

    ('A`)「いらっしゃいませー」


    182: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 10:06:17.35 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)(内藤、どこかで元気にやってるか。牛丼は平日はすき屋にしておけ)

    ('A`)(荒巻さん、もう出所しましたか。シベリア組は今じゃ壊滅状態だよ)

    ('A`)(狐井、そろそろくだらないことはやめたか。真っ当な人間になって出てこいよ)

    ('A`)(鳥田、お前は人間だったのか?)

    ('A`)(……それと……)

    ('A`)(長岡……)

    ('A`)(俺が酒屋を開いたのは、お前のためなんだからな)

    ('A`)(一番うまい酒は常にストックしてある)

    ('A`)(一緒に酒の席を囲める日を、俺はずっと、ずっとずっと、死ぬまで待ち続けるからな)

    ξ゚⊿゚)ξ「シフト入りまーす」

    ('A`)「おーツンちゃん。助かった。店番変わって」


    187: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 10:09:20.11 ID:a9IAH+Ku0

    ξ゚⊿゚)ξ「あれ? 先輩いないんですか?」

    ('A`)「まーた遅刻だよ、あの野郎……」

    ξ゚⊿゚)ξ「タイムカード押されてましたけど」

    ('A`)「え」

    ('A`)「まさか……事務室に……」ヒョコッ

    (´・_ゝ・`)「あっ」グビグビ

    ('A`)「グビグビじゃねーよ馬鹿野郎! 何仕事サボってんだよ!」

    (´・_ゝ・`)「ちょ、痛っ、痛い……労基-!」

    ('A`)「はあ……情けをかけて雇用するんじゃなかったわ」

    ('A`)「まさか一年以上経っても勤務態度がこれとは……」

    (´・_ゝ・`)「そんなこと言うなよー。前科ありでもすんなり雇ってくれるの、ドクオちゃんだけじゃーん」


    194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 10:14:32.76 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「もういいから帳面でも記入してろ」

    ('A`)「酒入ってるから接客は無理だ」

    (´・_ゝ・`)「あー俺こういう作業は得意よ。知ってると思うけど」

    ('A`)「ったく……」

    ξ゚⊿゚)ξ「店長、配達入ったんで軽トラ出しまーす」

    ('A`)「あいよーいってらしゃい。はあ、また俺がレジかよ」

    ('A`)「退屈だな……」

    ピンポンパンポーン

    ('A`)「はーいいらっしゃいませー」

    ('A`)「……」


    203: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 10:19:54.46 ID:a9IAH+Ku0

    ('A`)「あーそういや、もう十二月か……」

    ('A`)「今年も後一ヶ月切った……一年が早いな……」

    ('A`)「……」

    ('A`)「クリスマスかあ……」

    ('A`)(……長岡……俺たちは不幸続きだったよな)

    ('A`)(けれども俺は、それなりに幸せをつかめたんだぜ。だから……)

    ('A`)(だからきっと、お前にも……ひとつくらい……)

    ('A`)(幸せなことが……あるよな)

    ピンポンパンポーン

    ('A`)「はいはい、いらっしゃい……」

    ('A`)「ま――」







     


    204: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 10:20:54.82 ID:a9IAH+Ku0








            ☆ ('A`)が投獄されてしまったようです end ☆






     


    216: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 10:22:33.79 ID:a9IAH+Ku0

    以上でこの話は終わりです
    言うまでもなくオールフィクション
    長時間ありがとうございました


    本当はクリスマスの日に照準を定めてやりたかったのですが
    僕はリア充なので無理でした


    お疲れ様でした


    205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 10:21:28.26 ID:czxca7wP0



    206: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 10:21:37.06 ID:ppyXJNRzi

    よかった!


    207: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 10:21:49.44 ID:0Wqqkyf50

    締め方うめえwwww


    208: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 10:21:53.77 ID:ZFN145az0

    乙 いい作品だった


    209: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 10:22:02.72 ID:bpkKcp360

    乙、良作だった


    212: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 10:22:17.84 ID:kILboaJGO

    そこで切るのかよ!
    色々想像できるラストだ
    面白かった、乙!


    221: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 10:23:17.12 ID:Vbaosw4H0

    乙!
    眠い目こすりながら見たかいがあったぜ


    227: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 10:24:04.85 ID:X4VPdHBt0

    なんで>>1はこんなに刑務所の事情について詳しいの?
    入ってたの?そういう関係の仕事してるの?


    266: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 12:09:32.53 ID:NfaGct1A0

    これは映画化決定


    引用元: ('A`)が投獄されてしまったようです

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    1. 以下、SS宝庫がry-

      めいさく

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