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    【ぼく勉】小林 「成ちゃんを一番幸せにできるのは、――――だと思うからさ」

    456: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:35:03 ID:ceaM/etY
    ………………登校中

    海原 「……ねぇ、陽真くん」

    小林 「ん? なに、智波ちゃん?」

    海原 「わたしの意図するところを忖度せず、陽真くんが思うことをそのまま答えてください」

    小林 「えっ、何いきなり?」

    海原 「唯我くんのまわりにいる女の子の中で、誰が一番魅力的だと思う?」

    小林 「えっ、ごめん本当に何、いきなり」

    海原 「いいから答えて。十秒前、9、8、7、……」

    小林 「しかもカウントダウンありなの!? 急だなぁ……」

    小林 (…… “忖度するな” ってことは、暗に本当は忖度してほしいって言ってるんだろうなぁ)

    海原 「4、3、2、……」

    小林 「えっと……やっぱり、智波ちゃんが一番カワイイかな、なんて……」

    海原 「………………」

    小林 (しまった。選択をミスったか……?)

    海原 「………………」 ニヘラァ 「……も、もう、陽真くんったら! そういうのじゃないんだって!」



    457: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:36:43 ID:ceaM/etY
    海原 「陽真くんが本当にわたしのこと大好きっていうのはよくわかったから……///」

    小林 (少し面倒くさいけど……でも、やっぱりかわいいなぁ、智波ちゃん)

    海原 「そうじゃなくて……じゃあ、質問を変えるね?」

    海原 「唯我くんのまわりにいる女の子の中で、誰が一番唯我くんとお似合いだと思う?」

    小林 「………………」

    小林 「……ん、それ、すごく難しい質問だね」

    海原 「そうかな? 正直に答えてくれればいいんだけど……」

    小林 「うーん、俺は成ちゃんと小さい頃からの付き合いだけど、そういう話って滅多にしないからなぁ」

    小林 「男女間のこととかあんまり好きじゃないし、興味もないみたいだし……」

    小林 「……で? 智波ちゃんは、俺に武元かな、って言ってほしかったの?」

    海原 「うっ……まぁ、それもあるんだけど……」

    海原 「もしうるかじゃないなら、うるかに足りないところを、男の子の立場から教えてもらえたらな、とか思ってたんだ」

    小林 「なるほど。まぁ、武元のために色々してあげたい智波ちゃんの気持ちも分かるけどさ、」

    小林 「そういうのは本人たちが決める以外、俺たちには何もできないんじゃないかな」

    小林 「この前の模試の帰りみたいに、二人っきりにしてあげるくらいなら協力するけど」

    458: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:37:20 ID:ceaM/etY
    海原 「うぅ……そう言われると弱いなぁ」

    小林 「あ、でも、智波ちゃんが武元に協力してあげたい気持ちは分かるし、いいと思うよ」

    小林 「ただ、成ちゃんの友達の俺としては、成ちゃんの意志を知らないまま、協力はできかねるかな、って」

    小林 「……ごめんね、こんなノリの悪い彼氏で」

    海原 「ううん、いいの。陽真くんの、イケメンのくせにそういう義理堅いところ、本当に大好きだから」

    小林 「イケメンのくせにって……」 クスッ 「嬉しいよ。俺も、智波ちゃんのそういう理解あるところが大好きだよ」

    海原 「えへへ……照れるね」

    小林 「うん。でも、嬉しいよ」

    小林 「……一応、有益かどうか分からないけど、成ちゃんの女の子のタイプだけ教えてあげようか?」

    海原 「え!? それほんと!? ぜひぜひぜひ!」

    小林 「参考にならないと思うけど…… “貧乏でも一緒に家族を支えてくれる人” だよ」

    海原 「へ?」

    小林 「だから、“貧乏でも一緒に家族を支えてくれる人”」

    海原 「……重いね」

    小林 「それは俺も否定できないかな」

    459: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:37:59 ID:ceaM/etY
    小林 「成ちゃんはよくも悪くも、本当に真面目だからさ」

    小林 「結局、今はまだ家族のことしか考えられないんだよ」

    小林 「だから、武元のことも、長い目で見てあげてくれると、俺としては嬉しいかな」

    海原 「……ん、そうだね。あんまり焦りすぎてもよくないね」

    海原 「って言っても、うるかの片思いはもうすでに五年目の領域だからなぁ」

    小林 「ある意味武元も一途で重いタイプだから、成ちゃんと相性いいかもね」

    海原 「“貧乏でも一緒に家族を支えてくれる人” かぁ……。うるか、ぴったりだと思うけどなぁ」

    小林 「それを決めるのは成ちゃんだからね。なんとも言えないよ」

    海原 「……でも、よかった」

    小林 「へ? 何が?」

    海原 「陽真くんが友達想いの良いイケメンだって、改めて分かったから」

    小林 「……あはは、べつに、そういうわけじゃないんだけどね」

    小林 「成ちゃんは特別なんだ。本当に俺にとって、大切な友達だから」

    小林 (……でも、そうだよな。四月からずっと成ちゃんのまわりはめまぐるしく動いてる)

    小林 (成ちゃんの人生が大きく動くようなことが、受験以外で起こるような気がする)

    460: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:38:57 ID:ceaM/etY
    ………………一ノ瀬学園 3-B 昼休み

    小林 「………………」

    ジーッ

    成幸 「……なんだよ。その熱い視線は。どんなに見つめられたって、水希の弁当はやらんぞ」

    成幸 「おかずひとつくらいなら考えてやらんでもないが……」

    小林 「えっ? ああ、ごめんごめん。ちょっとボーッとしててさ」

    成幸 「ボーッとして男友達の顔を見つめるなよ気持ち悪いな!」

    大森 「見つめるなら美少女がいいよな。お前がよくつるんでるお姫様たちみたいな」

    成幸 「大森、お前のその発言は素で気持ち悪い」

    小林 「………………」

    小林 (……智波ちゃんにああは言ったものの、俺も常々似たようなことを考えている)

    大森 「なんだとテメェこら唯我ー! お前に俺の気持ちが分かるかー! いつも美少女侍らせやがってー!」

    成幸 「やめろコラ大森! 誤解を招くような言い方をするなこのバカ!」



    461: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:39:55 ID:ceaM/etY
    小林 (ただ、“誰がお似合いか” とかではなく、“誰が一番成ちゃんを幸せにできるか” だけど)

    小林 (正直、答えはもう出ている。ただ、それを智波ちゃんに言うのはためらわれただけだ)

    小林 (……というか、たぶんこれを俺は誰にも言わないだろう。成ちゃんのことを考えればこそ、言うべきじゃない)

    大森 「せめて水希ちゃんが作った弁当のオカズくらいよこせー!」

    成幸 「嫌だ! なんか今の気持ち悪いお前にだけは食わせたくない!!」

    小林 (……そう。成ちゃんの幼なじみの俺だからこそ、これは胸にしまっておきたい)

    小林 「……はいはい、ふたりとも騒がないの」

    小林 「成ちゃん、昼休みはあの三人と勉強の予定でしょ? 早くご飯食べて行ってあげた方がいいんじゃない?」

    成幸 「そ、そうだった! サンキュー、小林! 大森、お前に構ってる暇はない!」

    ガツガツガツガツ……ゴックン

    成幸 「ごちそうさま! じゃあ行ってくるな!」

    大森 「あーっ! 俺の弁当がー!」

    成幸 「お前のじゃねぇ! じゃあこのバカ頼んだぞ、小林!」

    小林 「はいはい。じゃ、いってらっしゃい、成ちゃん。……お前はこっちだよ、大森」

    大森 「ぐえっ」

    462: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:41:10 ID:ceaM/etY
    ………………図書室

    小林 「………………」

    小林 (……とかなんとか言って、気になって結局来てしまった)

    小林 (智波ちゃんに正面切って相談されたからっていうのもあるけど、)

    小林 (改めて、成ちゃんとあの三人の様子をちょっと見たくなったからだ)

    成幸 「………………」

    理珠 「………………」

    文乃 「………………」

    うるか 「………………」

    カリカリカリ……

    小林 (……うん。そして、想像通り、色気も何もなく、真面目に勉強している)

    小林 (さすがは成ちゃんだ。しっかり先生やってるんだね)

    うるか 「……ん、この問題……」

    成幸 「? どうかしたか、うるか?」

    小林 (……これだ。やっぱり、名前呼びになったアドバンテージは大きい)

    463: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:42:06 ID:ceaM/etY
    小林 (夏休み中、間違いなく何かがあのふたりにあったはず)

    小林 (成ちゃんにそれとなく聞いてみても、顔を赤くして誤魔化すだけだ)

    小林 (逆に、それが何かがあったという裏付けになっているんだけど)

    小林 (でも……)

    理珠 「む……成幸さん、次、いいですか?」

    成幸 「ああ、理珠――じゃなくて、緒方」

    理珠 「はうっ……///」

    成幸 「す、すまん……」

    小林 (これもある。いつの間にか、緒方さんが成ちゃんのことを名前で、)

    小林 (そして時々、言い間違えるように、成ちゃんも緒方さんのことを名前で呼ぶ)

    小林 (武元に対抗しているのかな。だとすれば、緒方さんもがんばってるよなぁ)



    464: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:43:43 ID:ceaM/etY
    文乃 「……ん、成幸くん。わたし、その次いいかな。合ってるか確認してほしい問題があるんだ」

    成幸 「おう、わかった、古橋」

    小林 (……これは、どう解釈したらいいのか、ちょっと分かりにくい)

    小林 (古橋さんもごく自然に成幸くんと呼んでいる。けど、成ちゃんはよそよそしく名字のままだ)

    小林 (けど、時々冗談なのかなんなのか、“文乃姉ちゃん” と言っているのを見かける)

    小林 (もちろん冗談なのだろうけど、引っかかる)

    小林 (……成ちゃんは長男で、お父さんを早くに亡くして、“兄” や “姉” に憧れている節がある)

    小林 (ひょっとしたら、古橋さんのことをそういう目でみている可能性もある……)

    小林 「………………」 ハァ

    小林 (……俺、何やってんだろ。智波ちゃんに偉そうに高説垂れておいてこれだもんなぁ)

    小林 (結局、俺は心配なんだ。幼なじみの成ちゃんのことが)

    小林 「……ん?」

    関城 「………………」 ハァハァハァ 「……今日もいい感じね、緒方理珠。ふふ……ぐへへ……」

    小林 (えっ待ってちょっと怖い)

    小林 (この人いつの間に俺のすぐ横に来てたんだ!?)

    465: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:44:37 ID:ceaM/etY
    小林 (っていうか、何だこの双眼鏡。何? 緒方さんを覗いてるのか? ストーカー?)

    関城 「ん……?」

    関城 「ああ、誰かと思えば、よく唯我成幸と一緒にいる男じゃない」

    小林 「へ……? あ、ああ、そういえば、君は文化祭の後夜祭で成ちゃんたちと一緒にいた……」

    関城 「関城紗和子よ。緒方理珠の大親友よ。おたくは?」

    小林 「小林陽真……。成ちゃん――唯我成幸の、幼なじみ……かな?」

    関城 「ふーん……幼なじみ、ねぇ……」

    ニヤリ

    関城 「ちょうどいいわ。ちょっと付き合いなさいよ」 ガシッ

    小林 「えっ? い、いや、俺は……――」

    関城 「ジュースくらい奢ってあげるわ。ほら、行くわよ」 グイグイグイ

    小林 「いや、ちょっ、待って……」

    ズルズルズルズル……

    466: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:50:44 ID:ceaM/etY
    ………………自販機前

    関城 「コーヒーでいいかしら?」

    小林 「なんでもいいよ、もう……」

    関城 「そう? じゃあ、はい?」

    小林 「……ありがとう」

    関城 「さすが、唯我成幸の幼なじみね。急に連れてこられてもお礼を言えるなんて」

    小林 「俺は成ちゃんほどお人好しじゃないけどね。じゃ、遠慮なくいただきます」

    小林 「……で、一体何の用?」

    関城 「単刀直入に言いましょう。私は緒方理珠の大親友で、緒方理珠の恋を応援しているわ」

    小林 「は? 緒方さんの恋を応援? 緒方さんのストーカーなのに?」

    関城 「し、失敬ね! ストーカーじゃないわよ。……ちょっと心配で観察してしまうだけで」

    小林 「ストーカーはみんなそう言うんだけどね……」

    ハァ

    小林 「ま、いいや。で、君は緒方さんが成ちゃんに恋してるのを、応援してるんだ?」

    関城 「む……。さすがは唯我成幸の大親友ね。よく分かってるじゃない」

    467: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:51:51 ID:ceaM/etY
    小林 「まぁ、あれだけ分かりやすく好意を示してたらいやでも分かるでしょ」

    関城 「違いないわね」

    小林 「で? 緒方さんの恋を応援している君が俺に何の用?」

    関城 「緒方理珠、客観的に見てどうかしら? 唯我成幸の幼なじみに目線でもいいわよ?」

    小林 「どうって言われてもなぁ。小さくて可愛いと思うよ? きれいな顔立ちだし」

    関城 「唯我成幸的にはどうかしら? 彼は背は低い方がタイプ?」

    小林 「いや、そういう話、成ちゃんが嫌がるからあんまりしたことないし、分からないよ」

    関城 「……そう」

    関城 「残念ながら、私の方でも、唯我成幸について、“貧乏でも一緒に家族を支えてくれる人” がタイプということしか分かってないのよ」

    小林 (それ知ってるだけでもだいぶすごいと思う)

    関城 「唯我成幸と緒方理珠をくっつけるにはどうしたらいいのかしら?」

    関城 「幼なじみなら、何か有益な情報を持っているんじゃない?」

    関城 「教えなさいよ。私の大親友、緒方理珠の恋を成就させるために!」

    小林 「………………」

    小林 「……あー、えっと、関城さん? それ、緒方さんに頼まれてやってるの?」



    468: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:52:23 ID:ceaM/etY
    関城 「へ……? ち、違うけど……」

    小林 「……うーん、まあ、俺が口を挟むことでもないんだけどさ、」

    小林 「外野がどう騒いだって、なるようにしかならないと思うよ」

    小林 「……っていうか、場合によっては、緒方さんの迷惑になるかもしれないけど、分かる?」

    関城 「うっ……」

    小林 「だから、関城さん 緒方さんの親友だっていうなら、恋を応援するくらいにしておけば?」

    小林 「きっと、関城さんが何をしても空回りにしかならないと思うよ?」

    関城 「………………」

    グスッ

    関城 「……そんなの、わかってるわよ。えぐっ……」

    小林 (なぜ泣き出す!? えっ? 俺なんかひどいこと言った!?)

    469: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:53:01 ID:ceaM/etY
    関城 「……後夜祭の花火、だって……緒方理珠のことを思って、突き飛ばしたのに……」

    関城 「キライって、言われるし……ひぐっ……」

    小林 (俺も見てたけどそれは仕方ないと思う)

    関城 「わかってるけど、せっかくできた友達なんだもん……」

    関城 「幸せになってもらいたいもん……」

    小林 「あー……」

    ポンポン

    小林 「関城さんは、緒方さんのことが大好きなんだね。だからがんばりたいんだね」

    関城 「………………」 コクリ

    小林 「きっといつか、その気持ちは緒方さんに伝わるよ。だから、あんまり過激なことは控えようね?」

    関城 「……うん」

    470: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:54:19 ID:ceaM/etY
    小林 (……めんどくさい。成ちゃんはいつもこんな子たちの面倒を見てるのか?)

    小林 (俺にはとても無理だよ成ちゃん。やっぱり成ちゃんはすごいな)

    関城 「……急に取り乱してごめんなさい。ありがとう」

    小林 「いや、いいよ。落ち着いてくれたなら何よりだよ」

    小林 「いつか、もしも緒方さんが成ちゃんと結ばれたらさ、一緒に祝ってあげたらいいじゃない」

    小林 「で、もしも、万が一緒方さんの恋がやぶれてしまったらさ、」

    関城 「?」

    小林 「こうやって緒方さんのことを慰めてあげなよ」

    関城 「……!?」

    関城 「な、なるほど……。失恋して弱っている緒方理珠のことを慰めれば……」

    関城 「私たちの親友度はうなぎ登り!? なるほど、すごいことを聞いたわ……」

    小林 「………………」 (いや、そういうつもりで言ったんじゃないんだけど……)

    関城 「万が一のときはそうさせてもらうわ! ありがとう、小林陽真!」

    関城 「でも、緒方理珠の涙なんか見たくないから、これからもできる限りがんばるわ!」

    小林 (……ま、立ち直ってくれたみたいだし、いいか)

    471: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:55:39 ID:ceaM/etY
    ………………廊下

    小林 (まずいまずい。早く教室に戻って五時間目の準備をしないと)

    小林 (……ん?)

    鹿島 「……あら~。そこを行くは、唯我成幸さんのお友達の、小林陽真さんではありませんか~」

    小林 「へ……?」

    蝶野 「時間は取らせないっス。少し、お話でもどうっスか?」

    小林 「い、いや、もう予鈴もなるし……」

    猪森 「教室ダッシュは本鈴が鳴ってからが本番だろう。大丈夫。授業に遅れるようなことはない」

    小林 (何がどう本番なのだろう。よくわからないけど……)

    小林 (……急がば回れ、かな。断ってもしつこそうだし、)

    小林 「えっと……A組の、古橋さんとよく一緒にいる子たちだよね」

    小林 「間違ってたらごめん。鹿島さんと、蝶野さんと、猪森さん……だっけ?」

    鹿島 「さすが唯我成幸さんの幼なじみさんですね~。完ぺきです~」

    小林 「まぁ、文化祭のときの話は成ちゃんから聞いてるし……」

    小林 「で、話って何かな?」



    472: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:58:42 ID:ceaM/etY
    蝶野 「時間もないしスパッと行くっスね。ぶっちゃけ、唯我さんとうちの古橋姫、お似合いだと思いません?」

    小林 「………………」

    小林 「……えっと、質問の意図が分かりかねるというか、なんというか」

    小林 「誘導尋問のようにも思えるんだけど……」

    猪森 「失礼した。質問を変えよう。唯我は古橋姫のことをどう想っているだろうか」

    小林 「……そんなの俺に分かるわけないでしょ」

    鹿島 「本当ですか~? 小林さんは、幼少の頃より唯我さんの家に出入りしていたと聞きますが~」

    小林 (……怖い。なんでそんなこと知ってるんだろう)

    鹿島 「唯我さんが古橋姫のことを憎からず想っていることも、ご存知なんじゃないですか~?」

    小林 「ほらまた誘導尋問する。そんなの俺が知るわけないでしょ。成ちゃんはそういう話題好きじゃないし」

    鹿島 「ほ~」 (考えが浅そうなイケメンを想像していましたが、意外と冴えてますね~)

    小林 「……まぁ、べつに、そっちが何をしようと俺には関係ないけどさ、」

    小林 「成ちゃんの迷惑になることや、成ちゃんの意向に沿わないことをしたら、俺、たぶん怒るよ?」

    猪森 「むっ……」

    473: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 22:59:40 ID:ceaM/etY
    猪森 「私たちは、そんなつもりは……――」

    小林 「――悪意がなけりゃいいってもんでもないと思うけどね」

    小林 「文化祭のとき見てたけどさ、っていうか、もう古橋さんに怒られただろうから強くは言わないけど、」

    小林 「成ちゃんのこと騙して王子役をやらせようとか、古橋さんを突き飛ばしてジンクスを達成しようとか、」

    小林 「そういうの、俺は嫌いだし、応援できないかな、って思うよ」

    蝶野 「ひぇっ……」

    鹿島 (これは、なんというか、想像以上というか……)

    鹿島 「……失礼しました~。たしかに、やりすぎたと、私たちも反省はしているんですよ~」

    小林 「そう。ならいいけどね」

    蝶野 「き、気に触ったなら、わ、悪かったっス。ごめんなさい……」

    小林 「へ? いや、俺、べつに怒ってはいないからね?」

    猪森 (うそつけ。メチャクチャ怒ってたじゃないか。すごく怖かったぞ……)

    蝶野 (だ、ダメっスよ、猪森さん。変なこと言ってまたご機嫌を損ねたら、今度こそ怒られる気がするっス……)

    鹿島 「ふむふむ。小林さんは、お友達想いの方なんですね~」

    小林 「うん。成ちゃんは俺にとって特別な友達だから」

    474: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:00:16 ID:ceaM/etY
    小林 「けど、べつに俺は成ちゃんと誰かが付き合ってほしいなんて思いもないし」

    小林 「成ちゃんが幸せならそれでいいと思うし」

    小林 「きみたちが古橋さんと成ちゃんをくっつけたいと思うなら、勝手にしたらいいと思うし」

    小林 「……けど、あんまりハメを外しすぎないようにね」

    小林 「成ちゃんはお人好しだから、あんまり怒ったりしないと思うけどさ、あんまりやりすぎたら、俺が怒ると思うから」 ニコッ

    鹿島 「……はい。肝に銘じておくとします~」

    鹿島 (将を射んと欲すればまず馬を射よ、と思い、小林さんに声をかけましたが、)

    鹿島 (藪をつついて蛇を出してしまった感じですね~)

    キーンコーンカーンコーン……

    小林 「あっ、予鈴だ。じゃ、もう行くね。役に立てなくてごめんね」

    鹿島 「いえいえ。お引き留めしてすみませんでした~」

    蝶野 「……っス。すみませんっした!」

    猪森 「悪かった……」

    小林 「?」 (なんでみんなこんなに萎縮してるんだろう……?)

    475: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:01:13 ID:ceaM/etY
    ………………放課後

    小林 (いや、昼休みは色々とひどい目にあった……)

    成幸 「大丈夫か、小林? なんか疲れてそうだけど……」

    小林 「ん? ああ、大丈夫大丈夫。ちょっと色々あってさ」

    成幸 「そうか。あと、海原はいいのか? 一緒に帰らなくて」

    小林 「智波ちゃんは今日は部活に顔出すって言って行っちゃったよ。川瀬と一緒に武元の国体の練習に付き合ってあげるんだってさ」

    成幸 「なるほど。海原も川瀬も友達想いだな。うるかは幸せ者だ」

    小林 「本当にそう思うよ」

    成幸 「あと、お前も幸せ者だよ」

    小林 「へ?」

    成幸 「あんな良い彼女ができてよかったな。正直、本当にお似合いだと思う」

    小林 「あっ、そ、そうかな……/// 嬉しいよ。ありがとう、成ちゃん」

    成幸 「おう!」

    成幸 「ん、そうだ。新しい参考書をチェックしたいから、本屋寄ってもいいか?」

    小林 「オッケー。ついでに俺も問題集でも見ようかな」

    476: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:02:07 ID:ceaM/etY
    ………………駅前

    マチコ 「さー、今日もお仕事がんばるとしますかねー」

    ヒムラ 「うむ。今日はあしゅみーがいないし」

    ミクニ 「その分わたしたちでがんばらないと」

    マチコ 「……ん?」

    マチコ 「あそこに見えますは、ひょっとして唯我クンじゃないかな?」

    ミクニ 「ほんとだー。お友達と一緒かな?」

    ヒムラ 「……結構イケメンだね」

    マチコ 「あしゅみーの話だといつも女の子侍らせてるイメージだったけど、」

    ヒムラ 「ちゃんと男友達もいるんだね」

    ミクニ 「……これは」 ギラリ

    マチコ 「チャンス」 ギラリ

    ヒムラ 「だね」 ギラリ



    477: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:03:53 ID:ceaM/etY
    ………………本屋

    「ありがとうございましたー」

    成幸 「付き合ってくれてありがとな、小林」

    小林 「ううん。こちらこそ、いい問題集が買えたよ」

    成幸 「じゃ、また明日学校でな」

    小林 「うん。また明日」

    小林 (……成ちゃんはこの後も図書館でいつものメンバーとお勉強、か)

    小林 (一緒にどうだと誘われはしたものの、それについていく勇気は俺にはないし)

    小林 「……さて、帰りますか」

    ガシッ

    小林 「へ……?」

    マチコ 「やぁやぁやぁ、唯我クンの友達のイケメンくん」 グイッ

    ヒムラ 「君に恨みはないが、少し顔を貸してもらってもいいかな?」 グイッ

    ミクニ 「ジュースとご奉仕くらいはごちそうするから、ね?」 グイッ

    小林 「め、メイド……? って、ちょっ、待っ……!?」

    478: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:05:22 ID:ceaM/etY
    ………………メイド喫茶 High Stage

    マチコ 「ふむふむ。小林陽真くん。唯我クンの幼なじみ……なるほど」

    小林 「えっと、あの……。俺、見ての通り高校生ですし、あんまりお金はないんですけど……」

    マチコ 「だから、ごちそうしてあげるって。はいジュース」

    小林 「どうも……」

    小林 (……なんか今日飲み物おごってもらってばっかりだな)

    小林 「さっき成ちゃん……唯我くんの名前を出してましたけど、ひょっとしてここって……」

    小林 「成ちゃんが時々話す、“あしゅみー” さんのお店ですか?」

    ヒムラ 「あしゅみーを知っているのか。それなら話が早いね」

    ミクニ 「わたしたちはそのあしゅみーの同僚だよ。だから緊張しなくていいからね」

    小林 (メイド三人に取り囲まれて緊張するなという方が無理な話だと思うんだけど)

    小林 「……で、俺に一体何の用ですか?」

    ヒムラ 「まず前提として知っておいてもらいたいのが、わたしたちはあらゆる意味であしゅみーのことを応援しているということ」

    ミクニ 「なので、当然、勉強面においても私生活においても、あしゅみーにはがんばってもらいたい」

    マチコ 「そして、もちろん、恋愛面でもがんばってもらいたいなー、なんて思ってるの」

    479: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:05:55 ID:ceaM/etY
    小林 「えっと……」

    マチコ 「つまりだね、あしゅみーが唯我クンのことを憎からず想っているであろうことが問題でね」

    ミクニ 「わたしたちとしては、あしゅみーにぜひ唯我クンといい感じになってもらいたいんだよ」

    ヒムラ 「唯我クン良い子だしね。あしゅみーとお似合いだと思うんだ」

    小林 (またこれか。今日は一体どういう日なんだ……)

    小林 「えっと、俺はそのあしゅみーさんのことを知らないですし、なんとも……」

    小林 「文化祭で軽く見かけましたけど、たしかに、綺麗な人ではありましたけど……」

    マチコ 「文化祭のときってことは、バンギャっぽい格好でしょ?」

    マチコ 「これはどうかな? 接客中の写真」

    バーン

    小林 「雰囲気少し違いますね。でも、やっぱり綺麗な人だ」

    マチコ 「そうなの! あしゅみーはちっちゃいけど美人で、この店のナンバーワンメイドなんだよ!」

    小林 「はぁ……」

    ヒムラ 「どうかな? 唯我クンは小柄な女性がタイプとか、そういうのはないかな?」

    480: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:06:40 ID:ceaM/etY
    小林 「聞いた事ないから分からないですけど……。そういう話、成ちゃんキライだし……」

    ミクニ 「ところでさっきから “成ちゃん” って呼んでるのに萌えてるのわたしだけかな?」

    マチコ&ヒムラ 「「すごくわかる」」

    小林 「あの、俺帰って良いですか?」

    ミクニ 「じょーだんじょーだん。ごめんごめん」

    ヒムラ 「さっき唯我クンからあしゅみーの話が出ているようなことを言っていたけど、」

    ヒムラ 「どうかな? 唯我クンはあしゅみーのことをどう想っているかな?」

    小林 「いや、そこまでは分からないですけど……」

    小林 「勉強を教える相手が増えた、とか。でもその先輩はアドバイスもくれる、とか」

    小林 「悪い話は聞いてないから、たぶん成ちゃんも悪く思ってはいないと思いますけど……」

    小林 「いかんせん、成ちゃんはお人好しなので、あまり人を嫌うようなタチでもないですから」

    マチコ 「まぁ、たしかに良い子だもんねぇ、唯我クン。なんだったらわたしが彼女に立候補したいくらいだよ」

    小林 「そういうこと言うと成ちゃん本気で顔真っ赤にすると思うんでやめてあげてくださいね」

    マチコ&ヒムラ&ミクニ 「「「わかるー」」」

    小林 (帰りたい……)



    481: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:07:22 ID:ceaM/etY
    マチコ 「あしゅみーはすごく良い子なんだよ」

    ヒムラ 「仕事はテキパキこなすし、誰かが困ってたらすぐヘルプ入ってくれるし」

    ミクニ 「ナンバーワンなのに気取らないし。姉御肌だし」

    マチコ 「お料理上手だし掃除洗濯なんでもござれだし」

    ヒムラ 「はすっぱに見えて優しくて面倒見いいし、まじめだし意志も強いし」

    ミクニ 「とにかくいいとこだらけの完ぺき美少女なんだよ」

    小林 「はぁ……」

    マチコ 「だから、小林くんの方から、唯我クンに言ってあげてくれないかな」

    マチコ 「“そのあしゅみーって人、唯我クンのこと好きなんじゃない?” とか……」

    小林 「………………」

    ミクニ 「そうしたら、きっと唯我クンもあしゅみーのこと意識して……」

    ミクニ 「……って、小林くん? 聞いてる?」

    小林 「………………」

    小林 「……俺は、成ちゃんの幼なじみです。だから、成ちゃんには幸せになってほしい」

    小林 「俺が成ちゃんに、そういうことで口を出すことはないです。すみません」

    482: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:08:21 ID:ceaM/etY
    マチコ 「あっ、えーっと……ひょっとして、怒った、かな?」

    小林 「えっ? あ、いや、怒ってはいないです。すみません」

    ヒムラ (いや、今めちゃくちゃ怖い顔してたけど……)

    ミクニ (や、藪をつつくのも怖いから黙ってよう、ヒムラちゃん)

    小林 「成ちゃんは、今受験で忙しいですし、話を聞く限りそのあしゅみーさんも忙しいでしょう」

    小林 「あまり外野がどうこう言うものでもないでしょうし、タイミングもあまり良くないと思います」

    小林 「成ちゃんは受験が終わるまではそういうことは考えないタチですから」

    小林 「それまでそっとしておいてもらえたら、って思います。それは俺の個人的な考えですけど」

    ヒムラ 「……っあー、そっか」

    ミクニ 「なんか悪いことしちゃったね。ごめんね?」

    小林 「いや、全然、俺はなんとも思ってないですから。すみません、生意気なことを……」

    マチコ (絶対うそだよ……。めちゃくちゃ怒ってたよ……)

    マチコ 「本当にごめんね。わたしたちも無理矢理、ってことは思ってないから安心してね」

    小林 「あ、それは、はい。成ちゃんから、店の皆さんはとてもいい人たちだと聞いていますから」

    483: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:09:02 ID:ceaM/etY
    小林 (まぁ、その他にも、あしゅみーさんのニセモノの彼氏になったとか)

    小林 (ふたりきりでカラオケルームで写真を撮りまくったとか)

    小林 (ふたりだけで海に行って色々大変だったとか)

    小林 (家事代行サービスのときは帰りがけに家に寄って色々してもらったとか)

    小林 (色々聞いてはいるけど……)

    ヒムラ 「残念だね。でも、わたしたちはできることをやってあげよう」

    ミクニ 「そうだね。あしゅみーと唯我クン、絶対相性ぴったりだし、」

    小林 (……このことはこの人たちには言わない方が良さそうだ。成ちゃんのためにも、あしゅみーさんのためにも)

    小林 「ジュースごちそうさまでした。お役に立てなくてすみません」

    マチコ 「ううん、こちらこそ時間取っちゃって悪いことしたね。これ、このお店の割引券だから、」

    マチコ 「また今度、唯我クンとか、お友達を連れてきてね」

    小林 (……大森をこんな綺麗どころばっかりのお店に連れてきたらまた面倒なことになりそうだからやめておこう)

    小林 「ありがとうございます。失礼します」

    484: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:09:40 ID:ceaM/etY
    ………………帰路

    小林 「………………」

    小林 「……さすがに疲れたな。一体今日はなんなんだ」


      「そこを行く男子ー! 止まりなさーい!!」


    小林 「うん。そろそろ驚く元気もなくなってきたよね」

    小林 (さて、今度は一体誰だろうか、と……)

    ? 「……そうです。あなたです。あ、でもそれ以上は近づかないでくださいね」

    小林 (……誰?)

    ? 「急に話しかけてすみません。あなたが唯我成幸さんと一緒にいたところ見かけたもので」

    ? 「申し遅れました。私、桐須美春と申します」

    小林 「桐須、さん……? えっ、その名字って……」

    美春 「やはりご存知ですか。そうです。あの完全無欠のスペシャルな、桐須真冬姉さまの妹です」

    小林 「はぁ……。あー、えっと、桐須先生にはいつもお世話になってます」 ペコリ

    美春 「これはご丁寧に。私も姉さまにはいつもお世話になってました」 ペコリ



    485: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:10:39 ID:ceaM/etY
    小林 「えっと、で、その桐須先生の妹さんが何のご用でしょうか?」

    小林 「……あと、なんか遠くないですか?」

    美春 「この距離が適切です。それ以上近づいたら痴漢と見なします」

    小林 (どういうことだよ……。10メートルくらい離れてるんだけど)

    美春 「用というのは他でもない、姉さまのことについてです」

    美春 「より深く申し上げるならば、先ほどあなたが一緒に歩いていらした、唯我成幸さんのことでもあるのですが」

    小林 (メイドさんたちだけじゃなく、この人にも見られてたのか……)

    小林 (今日は本当に一体何なんだ……?)

    美春 「単刀直入に申し上げます。あなたは姉さまと唯我成幸さんの関係をご存知ですか?」

    小林 「は? 関係? そんなの、ただの教師と生徒でしょう?」

    美春 「……やはり、お友達にも内緒にしているのですね。唯我成幸さん、義理堅さは評価に値しますが、それだけ姉さまに本気でもあるということですね……」

    小林 (どうしよう。この人が何を言っているのか本当に分からない)

    486: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:11:43 ID:ceaM/etY
    小林 「えっと、どうして桐須先生の妹さんが、成ちゃんのことをご存知なんです?」

    美春 「一度会ったことがありますから」

    小林 「えっ? どこで?」

    美春 「そんなの決まってます。姉さまの家でですよ」

    小林 「……へ? 成ちゃん、桐須先生の家にお邪魔したことがあるんですか?」

    美春 「お邪魔したことがあるも何も、定期的に来ているようですよ? なんせあの二人は、遺憾ながら半同棲中のラブラブカップルですから」

    小林 「………………」

    美春 「………………」

    美春 (し、ししし、しまったぁああああああああ!!)

    美春 (私としたことが、とんでもないことを暴露してしまいました!!)

    美春 「あ、あの……」

    小林 「……あー、えっと、今のは、聞かなかったことにします」

    小林 「何も聞こえませんでした。成ちゃんにとってもあんまりいいことではなさそうなので」

    小林 (……っていうか成ちゃん。先生の家に定期的に行ってるって、それかなり問題なことだけど分かってるのかな)

    小林 (まぁ、それ以上に問題になるのは桐須先生の方だろうけど……)

    487: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:12:45 ID:ceaM/etY
    美春 「こ、こうなったらもう仕方ありません。ぶちまけますが、」

    美春 「私は、あのふたりの関係を認めるつもりはありません」

    小林 「いや、そりゃ当たり前でしょ……。教師と生徒ですよ?」

    美春 「それもありますが、たとえ唯我成幸さんが姉さまの生徒でなくとも、関係を認めるわけにはいかないのです」

    美春 「……姉さまには、こちらに戻ってきてもらわなければならないから」

    美春 「そのための障害となる唯我成幸さんとの関係を認めるわけにはいかないのです」

    小林 「………………」

    美春 「……? 聞いてますか? 唯我成幸のご友人さん?」

    小林 「……小林陽真です。えっと、桐須美春さんでしたっけ?」

    美春 「はい?」

    小林 「これをあなたに言うのはフェアじゃない気もするし、気が引けるんですが、ひとつだけ言わせてほしいです」

    小林 「……俺の幼なじみは、教師とそういう関係になるほど、落ちぶれてはいませんよ?」

    美春 「は……?」

    小林 「………………」

    488: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:13:53 ID:ceaM/etY
    美春 (こっ、これは、えっと、なんというのでしょう……)

    美春 (ひょっとしてこの殿方は、私に、怒っている!?)

    美春 「え、えっと、あの……――」

    小林 「――あと、もうひとついいですか?」

    美春 「は、はいっ!」 ビクッ

    小林 「それこそ、俺に言えた義理じゃないんですけど、」

    小林 「桐須先生も、そういうことをするような先生じゃないと思いますよ? 妹さんなのに分からないんですか?」

    美春 (やっぱり怒ってるーーーーー!!!)

    美春 (こ、怖い……怒った殿方、怖い……)

    美春 「す、すすす……」

    小林 「?」

    美春 「すみませんでしたぁあああああああああ!!!」

    タタタタタタ…………

    小林 「……行っちゃった。何だったんだろう、一体?」

    小林 「っていうか、最後何でちょっと涙ぐんでたんだろう……?」



    489: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:14:50 ID:ceaM/etY
    ………………小林家

    小林 「……ふぅ。なんか今日、疲れちゃったなぁ」

    小林 「それにしても……」

    小林 「みんな成ちゃんのこと大好きなんだなぁ……」

    小林 (……まぁ、俺も人のこと言えないけどさ)

    小林 (成ちゃんいい奴だもんなぁ)

    小林 「………………」

    小林 「……誰が一番成ちゃんとお似合いか、ねぇ」

    小林 「みんな、結局自分の友達に幸せになってもらいたいんだよね。ま、当たり前か」

    小林 (でも、俺だけは成ちゃんの味方でいてあげないと)

    小林 (いずれ、きっと成ちゃんは大きな選択を迫られることになる。そのときに、成ちゃんはひょっとしたら傷つくかもしれない)

    小林 (誰かが成ちゃんのことを嫌うかもしれない。憎むかもしれない。そんなとき、俺だけは成ちゃんの味方でいてあげたい……)

    prrrr…………

    小林 「ん、電話……武元から?」

    490: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:15:31 ID:ceaM/etY
    小林 「……もしもし?」

    うるか 『あっ、こばやん? ごめんね、急に』

    小林 「いや、家で寝転がってただけだから大丈夫。どうしたの? 武元が俺に電話なんてめずらしいじゃん」

    うるか 『いやー、ちょっとこばやんに謝っておかなくちゃって思ってさ』

    うるか 『ごめんね。こばやん』

    小林 「いや、えっと……なんか武元に謝られるようなことあったっけ?」

    うるか 『いや、大したことじゃないかもしれないんだけどさ、気になっちゃって……』

    うるか 『今日、海っちから変なこと言われたっしょ? 成幸と誰がお似合いか、とか……』

    小林 「ああ……智波ちゃんから聞いたのか。まぁ、言われたといえば言われたけど……」

    うるか 『うん。なんか、海っちが少し落ち込んでてね、』

    うるか 『“陽真くんに嫌われたかもー” って、最初は笑ってたけど、少し悲しそうな顔してたから……』

    小林 「俺に嫌われる? なんでまたそんな……」

    うるか 『こばやんが成幸のこと大好きだって分かってたのに、彼女って立場を利用して、変なこと聞いちゃったから……だと思う』

    小林 「……そんなの、気にしてないのに」

    491: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:17:00 ID:ceaM/etY
    小林 (朝の様子では和やかに会話を終えたつもりだったけど……)

    小林 「智波ちゃんに悪いことしちゃったな……謝らないと」

    小林 「でも、それで何で武元が俺に謝るんだ?」

    うるか 『だって、海っちがこばやんにそんなこと聞いたの、あたしのためだから。だから、海っちのこと怒らないであげて』

    うるか 『あたしが踏ん切りがつかなくて、何年も片思いを続けてるのを見かねた海っちがしてくれたことだから……』

    うるか 『だから……』

    小林 「……まったく。だから俺、べつに怒ってないって」

    小林 「智波ちゃんにも、武元にも怒ってないよ。だから大丈夫」

    うるか 『本当に!? 良かった……』

    うるか 『あたしのことでこばやんが嫌な思いをしたり、海っちとの仲が悪くなったりしたら、嫌だったから……』

    小林 (本当に安心したような声を出して……。本当に、友達想いの奴だな)

    小林 (……武元。お前は、本当に友達想いの良い奴だよな)

    小林 (そうだよ。だから、俺は……)

    小林 「……なぁ、武元。ひとつだけいいか?」

    うるか 『うん? なぁにー?』

    492: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:22:12 ID:ceaM/etY
    小林 「お前に言っておきたいことがあるんだ」

    うるか 『言っておきたいこと?』

    小林 「ああ。ただしそれは一度しか言わないし、それを俺が言ったことを、誰にも言わないでほしい」

    小林 「……ただ、お前にだけは言っておきたいんだ。聞いてもらってもいいか?」

    うるか 『へっ? い、いいけど……。聞いたことを内緒にすればいいの?』

    小林 「そうだ。誰にも、絶対言わないって約束してくれ」

    うるか 『……うん。わかった!』

    小林 「ありがとう。じゃあ、言うな。本当に、一度しか言わないからな」

    うるか 『うん! どんとこい、だよ』

    小林 「……俺は成ちゃんのことが大好きなんだ」

    うるか 『……へ?』

    小林 「成ちゃんは昔からずっと苦労してるのも知ってる」

    小林 「誰より努力家で、場合によっては報われない努力もたくさんしてきたことも知ってる」

    493: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:23:17 ID:ceaM/etY
    小林 「だから、できれば今後、成ちゃんにはたくさん幸せになってもらいたい」

    小林 「俺は、成ちゃんには、成ちゃんを一番幸せにできる人と結ばれてほしいと思うんだ」

    小林 「その上で言うけど、」



    小林 「俺は、成ちゃんを一番幸せにできるのは、武元だと思うからさ」



    うるか 『え……?』

    小林 「……だから、がんばれよ、武元」

    うるか 『えっ……あっ……えーっと……』

    小林 「話はそれだけだ。聞いてくれてありがとな。智波ちゃんに電話かけなくちゃだから、切るな」

    うるか 『あっ、ちょっと……――』

    プツッ

    小林 「……一度しか言わないって言っただろ。武元。でも、それが俺の本心だよ」

    小林 (……誰にも言わないつもりだったのになぁ。本人に言っちゃったよ)

    494: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:23:50 ID:ceaM/etY
    小林 「……さてさて、それじゃ、智波ちゃんに電話しなくちゃな」

    小林 「俺、怒ってないのに、智波ちゃんったら……」

    小林 (……まぁ、そういうところもかわいいというか、なんというか)

    小林 (俺のことを考えてくれてる証拠だし、嬉しいな)

    prrrr……

    海原 『あっ……は、陽真くん……?』

    小林 「うん。今、電話大丈夫?」

    海原 『うん……』

    小林 「今、武元から電話があってさ。智波ちゃんが落ち込んでたって聞いたから……」

    小林 「一応言っておくけど、俺、智波ちゃんのこと嫌いになったり、怒ったりしてないからね」

    海原 『……ほんと?』

    小林 「ほんとだよ。うそなんかつかない」

    小林 「だから、元気出してよ。声も元気ないよ?」

    海原 『……うん。でも、もし陽真くんに嫌な思いをさせちゃったらって思うとね』

    海原 『なんか、元気でなくて……。ごめんね』



    495: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:25:17 ID:ceaM/etY
    小林 「………………」

    クスッ

    小林 「……智波ちゃん、いま帰り?」

    海原 『えっ? うん、歩いてるトコだけど……』

    小林 「今から少しお茶でもどう?」

    海原 『!? いいの?』

    小林 「うん。もちろん、智波ちゃんが大丈夫ならだけど――」

    海原 『だいじょぶだいじょぶ! ダメなことなんか何一つないよ!』

    海原 『あ、でもわたし、プール入ったばっかりだから髪パサパサだし、』

    海原 『ドライヤーも適当だから髪も跳ねてるし……』

    小林 「大丈夫だよ。どんな智波ちゃんでもかわいいよ」

    海原 『はうっ……』

    海原 『で、でもでも、わたし、今日、ちょっと落ち込んでるから……』

    海原 『すごく甘えちゃったりとか、しちゃうかも……?』

    小林 「嬉しいよ。気にせず甘えてよ」

    496: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:25:47 ID:ceaM/etY
    海原 『えへへ……』

    小林 「じゃあ、今から行くね。商店街で待ち合わせでいいかな?」

    海原 『……うん。ありがと、陽真くん』

    小林 「こちらこそ。じゃ、商店街で」

    ピッ

    小林 「……さて、可愛い彼女を甘やかしに行くとしますか」

    小林 (なんて言って、結局……)

    小林 (今日一日色々あって疲れた俺の方が癒やされることになるんだけどさ)

    小林 「………………」

    小林 「……がんばれよ、武元」

    小林 (がんばって、いつか……成ちゃんにも、こういう幸せな気持ちを、教えてあげてくれ)

    小林 (……あの不器用でお人好しな幼なじみのことを、幸せにしてあげてくれ)


    おわり

    497: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:26:46 ID:ceaM/etY
    ………………幕間   「強敵すぎる」

    小林 「ところで成ちゃんって結局どんな女の子がタイプなの?」

    成幸 「何度も言わせるな、小林。俺はそんなことを考えてる暇はないんだ」

    小林 「ま、そうだよねぇ。でも、受験が終わったら少しは考えられそう?」

    成幸 「知るか。というか、こんなガリ勉男、女子のほうが願い下げだろう。俺はお前みたいなイケメンじゃないんだよ」

    小林 「関係ないと思うけどなぁ……」

    成幸 「それに、受験が終わったからって油断はできない。大学の授業についていくための予習復習をしなきゃだろうし、」

    成幸 「本格的にバイトを初めて、少しでも母さんに楽させてあげたいし、」

    成幸 「水希も色々と忙しくなるだろうから、しっかりと料理を勉強しておきたいし、」

    成幸 「……とにかくやるべきことがたくさんあるんだ。受験が終わってもそんな暇はねぇよ」

    小林 「あー……」

    小林 (……まぁ、なんというか、相手は本当の本当に強敵だぞ)

    小林 (がんばれよ、武元)


    おわり

    498: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/13(土) 23:31:38 ID:ceaM/etY
    >>1です。
    読んでくださった方、ありがとうございました。

    主要でないキャラを妄想で補いながら作ったお話という一体誰が得するんだというものを投下しました。
    申し訳ないことです。
    小林くんのキャラクターは本編だけではいまいち把握しかねますが、
    わたしの中では成ちゃんと智波ちゃん(とついでに大森くん)のことが大好きなイケメンというイメージです。
    多分にわたしの個人的な見解が入っているので、不快に思われる方もいるかもしれません。ごめんなさい。

    今まで色々な作品でSSを書いてきましたが、こんなに多くのSSを書けた作品は初めてです。
    まだまだ書ける気がしますので、気が向いたら覗いてくださると嬉しいです。

    自分語りが長くなりました。
    ではまた折を見て投下します。



    引用元: 【ぼく勉】小美浪先輩「この前は本当に悪かった」成幸「はい?」

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