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    テロリスト「「「この列車は俺たちがハイジャックした!!!」」」【後編】

    関連記事
    テロリスト「「「この列車は俺たちがハイジャックした!!!」」」【前編】
    テロリスト「「「この列車は俺たちがハイジャックした!!!」」」【後編】

    257: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:05:50.53 ID:bYSVmpXyo
    おお、キャラまとめお疲れ様です。やっぱ人数多いですね。ちなみに列車の構造はこんな感じです。


    先頭
      1号車【展望車・前】
      2号車【寝台車一】
      3号車【寝台車二】
      4号車【寝台車三】
      5号車【スイート】
      6号車【食堂車】
      7号車【ラウンジ】
      8号車【ロビー】
      9号車【寝台車四】
     10号車【寝台車五】
     11号車【寝台車六】
     12号車【謎車】
     13号車【展望車・後】
    後方


    それでは、第五章「深夜・前」を開始します。
    60レスほどの予定です。

    258: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:07:17.44 ID:bYSVmpXyo


    ――12号車【謎車】 屋根の上


    ドゴォォォン…!!!


    キノコ頭「な、なんだ!?」ガバッ


    テロリストA「ぜ、前方車両で爆発です!!」

    テロリストB「……と、思ったら、爆発が後方に遠ざかっていった」

    テロリストC「ど、どういうコトだ……?」


    キノコ頭「…………」

    259: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:07:48.68 ID:bYSVmpXyo


    キノコ頭「……あれは、爆発が遠ざかっていったんじゃない」

    テロリストD「え?」

    キノコ頭「遠ざかっていってるのは、俺たち、この列車だ」


    キノコ頭「つまり。まず、前方車両のどこかで爆発の原因が発生した」

    キノコ頭「ただし、爆発自体は、前方車両から外に出て、列車の外で起こった」

    キノコ頭「だから実際に爆発したのは……。列車の外の木か、何かだろう」

    キノコ頭「そして今、列車は爆発地点から猛スピードで遠ざかっているから」

    キノコ頭「爆発が後方に遠ざかっていくように見えた……。というところか」

    テロリストD「お、おお……。さすがですリーダー、今の一瞬でそこまでわかるとは!」

    260: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:08:15.36 ID:bYSVmpXyo


    キノコ頭「たいしたコトじゃない。それよりも問題は、今の爆発の原因だ」

    キノコ頭「俺たち以外に、この列車で、また暴れている奴がいるのか……?」

    テロリストA「例の、たけ○こ派や、アル○ォート派の連中でしょうか?」


    テロリストB「あ、爆発の煙だけは、車両からも出ていますね……」

    テロリストB「どうやら爆発の原因が発生したのは、6号車のようです」

    キノコ頭「6号車といえば、食堂車か……? 飯時に、何かあったのだろうか……」


    テロリストC「う、うう。俺たちも腹が減ってきましたよ、リーダー」

    テロリストD「本当なら今ごろ、教授を捕らえて、アジトで祝勝会のハズだったのに……」

    261: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:08:41.53 ID:bYSVmpXyo


    キノコ頭「……そうだな。くそっ、あの忌々しいたけ○こ派や、乗務員どもめ……」

    キノコ頭「奴らさえいなければ、俺たちは何の問題もなく達成し、教授の身柄を確保できたモノを……」

    テロリストA「リーダー……」


    テロリストB「……いえ、リーダー! 俺たちの戦いは、まだ終わっちゃいません!」ガタッ

    キノコ頭「……!」

    テロリストC「そうですよ。リーダー。こんな寒い所でクヨクヨしてるなんて、リーダーらしくもない」

    テロリストD「俺たちの目的は、“最強の兵器”を開発した教授の身柄を抑え、たけ○こ派を倒すコト」

    テロリストD「たとえ一度失敗しても、それは変わりません。ならばもう一度、挑戦すればいいだけです!」

    キノコ頭「……。お前たち……」

    262: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:09:07.86 ID:bYSVmpXyo


    キノコ頭「……そうだな。いちいち悩むのも、俺らしくはなかった」

    キノコ頭「ならばもう一度、襲撃を仕掛けるとしよう! 教授の身柄を確保するために!」

    キノコ頭「そしてたけ○こ派たちをも出し抜き、あの乗務員どもに一泡吹かせようではないか!!」

    テロリストA~D「「「「おお!!!!」」」」


    キノコ頭「よし。そうと決まればさっそく、もう一度……」


    シュボオオオオオオ!!!!!! ガン!!!!!!


    テロリストA「え……?」

    キノコ頭「ん? なんだ、今の音? 後ろから聞こえたな。13号車か……?」

    263: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:09:39.31 ID:bYSVmpXyo


    ――12号車【謎車】 動力室の前


    剣使い「な、なんだ今の音!?」


    車掌「後方から聞こえましたね。しかし、13号車は施錠しています。となると、屋根の上で何か……?」

    弓使い「シュボオオオに、ガン、か。何かが火を出してる音に……、金属音かな?」

    銃使い「…………」ガシュガシュ


    剣使い「なあ、車掌さん。さっきも、前のほうの車両で、爆発のような音がした……」

    剣使い「この列車。ラウンジが荒らされた時みてぇに、また何か起こってんじゃねぇのか?」

    車掌「…………」

    264: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:10:06.23 ID:bYSVmpXyo


    弓使い「1号車のほうには、教授も残してるしねぇー。き○こ派に襲われてないか、心配だな」

    銃使い「…………」ボリボリ


    車掌「―――だとしても」

    剣使い「……!」

    車掌「だとしても。私は、士長や、新米の彼女、このドライ・ブラー号の乗務員を信じます」

    車掌「二人だけじゃない。食堂車には、料理長や、ウェイター、ウェイトレスたちもいる」

    車掌「ラウンジには、貴方たちも見たでしょう。マスターもいるし、ロビーにはフロント担当もいる」


    車掌「ご心配ならば、私が断言します。教授さんや乗客の皆さんのコトは、彼らが必ず守っていると」

    265: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:10:38.12 ID:bYSVmpXyo


    剣使い「……、…………」

    車掌「…………」


    剣使い「……そっか」

    剣使い「アンタらも、アンタたちの絆で、繋がってるんだな」

    車掌「ええ。その通りです」


    弓使い「絆かぁー。いいよね、そういうの! 同じ職場のみんなが、一つにまとまってるとかさ!」

    弓使い「こりゃぁ私たちも負けてられないね。そう思うでしょ、銃ちゃん!?」バンバン

    銃使い「そうかな」バスバス

    266: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:11:05.56 ID:bYSVmpXyo


    剣使い「……悪かった。アンタらのシゴトを疑ったりして」

    剣使い「ならば教授の嬢ちゃんたちのコトは、アンタらに任せよう」

    剣使い「だから、俺たちも。俺たちのシゴトを確実に果たす」

    車掌「ええ。私たちの役目は、乗客の皆さんを守り、今日の運行を無事成功させるコト……」

    車掌「そしてその目的は、貴方がたの目的とも共通しているハズ。共に頑張りましょう」


    弓使い「でもさー、それでもやっぱ何の襲撃も無いっていうのは、やっぱりヒマだよねー」

    弓使い「アル○ォート派の魔族っていうのは、本当にこの12号車の動力室を襲うのかなあ?」

    車掌「おそらくは。過去襲撃してきた魔族は皆、この動力室の動力源を狙いました」

    車掌「今回の魔族も、動力室の場所に勘付けば、きっとココに現れるかと」

    267: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:11:33.97 ID:bYSVmpXyo


    車掌「それに、この12号車から繋がる、13号車は、この列車の要の一つ……」

    車掌「もし教授さんを狙うき○こ派や、謎の赤色仮面が、列車の機能を狙って襲ってきても」

    車掌「ここに張ってさえいれば。迎え撃ち、懸案を一つ減らすコトが出来ます」


    プルルルルル…

    銃使い「ん。電話?」

    車掌「おや……。乗務員の誰かでしょうか。……失礼。もしもし」ピッ


    弓使い「やれやれ。こりゃあ、年をまたぐ、大シゴトになりそうだねぇ。朝まで気合い入れていこうか!」

    剣使い「ああ、そうだな……。……魔族。お前たちは今、どこにいる?」

    268: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:12:19.93 ID:bYSVmpXyo


    ――11号車【寝台車六】


    ヴヴヴヴヴン


    族長「……ッ!?」ガバッ


    魔族A「ぞ、族長? 今、族長も感じましたか!?」

    族長「あ、ああ……」

    魔族B「絶大な魔力の奔流……! 前方車両から……」

    魔族C「これほどの術を発動するとは。手練れの術士でも乗っているのか?」

    魔族D「あるいは、我々と同じ魔族か……?」

    269: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:12:47.41 ID:bYSVmpXyo


    族長「…………」


    族長「……いや。今の魔力の波動には、心当たりがある」

    魔族A「え?」

    族長「まず、魔力を使った術というのは、我々が使っているそれと」

    族長「一部の人間が使うそれは、似ているようで、根本的に違うという」


    族長「そして、俺の経験から言えば……。今のは、魔族の使う術の波動だ」

    魔族B「というコトは、今の術の主は、魔族……?」

    族長「おそらくはな。そして、今ほどの術となれば、使えるのは魔族でも、ほんの一握り……」

    270: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:13:14.37 ID:bYSVmpXyo


    魔族C「……ま、まさか?」

    族長「ああ、そうだ……」


    族長「マチガイない。今の術の主、この列車に乗っている魔族とは、魔王の誰かだ」


    魔族D「魔王……!!」

    魔族A「そんな。魔王のような大物が、どうしてこの列車に……」

    族長「わからん。だが、我々の行動の範疇で、考えられる原因は……」


    族長「人間界に干渉した我々の行動を誅するために、魔王が直々にやって来た、という可能性だ」

    魔族B「な……!」

    271: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:13:41.20 ID:bYSVmpXyo


    魔族C「そ、そんなまさか。ははは、そんなワケないッスよ」

    魔族D「そ、そうッスよ。いくら俺たちの行動が、魔界のルールを破るモノだとはいえ……」

    魔族D「そんな、魔王さまが、俺らみたいな木端を直々に罰しに来るモンすかねえ?」

    族長「だが、ならばこの状況。他にどう説明する?」

    魔族A「!」


    魔族B「そ、それは……」

    魔族C「……、……」

    魔族D「……ぞ、族長。もし魔王さまが、本当に俺らを捕まえに来たら……。どうします?」

    族長「…………」

    272: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:14:09.01 ID:bYSVmpXyo


    族長「……たしかに、我々の行いは、魔界の規範を越えて、人間界に干渉するモノだ」

    族長「もし魔界に発覚すれば、処罰は避けられまい。一族の取り潰しもあり得る」

    魔族A「そ、そんな。じゃあ……」


    族長「―――だが、それがどうした?」

    魔族B&C「「……!」」

    族長「我らの決意は、その程度のコトで崩れるようなヤワなモノであったか」

    族長「改めて誓おう。是が非でも俺は、この列車の動力源を奪い、アル○ォートこそが至高と知らしめる」

    族長「果たさねばならぬ約定もある。ココで退くワケには、いくまいよ。例え敵が魔王だろうと天使だろうと」

    魔族D「……うおおおおっ!! 反逆の精神、マジリスペクトっす!!!」

    273: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:14:37.99 ID:bYSVmpXyo


    【1月1日 午前0時】

    ――1号車【展望車・前】


    運転士長「―――“白の大天使”?」


    魔王「ああ、そうだ。あんたたちが会ったという、白ドレスの女の正体……」

    魔王「そして。今回の一連の騒動の黒幕である可能性が最も高い存在だ」


    執事「テロリスト、悪魔、未来人ときて、とうとう天使が出てきましたか……」

    教授「もう今さらって感じだよね。私は何も驚かないよ。あ、き○この山もらえる?」

    副運転士「はいはい、どうぞー」

    274: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:15:11.53 ID:bYSVmpXyo


    副運転士「さて、今回ここにお集りいただいたのは。ディナータイムでの、食堂車での騒動の関係者……」


    革ジャン「へーえ。あの赤いポリマースーツが、お前を雇った、未来の市民ボランティアのねぇ」

    小型メカ「たしかに彼は完全に不審者でした。ですが、車外に蹴り飛ばすのは、やりすぎでしょう……」

    黒コート「う、うう。すまない。まさか、私たちの標的は、あの鉄仮面のほうだったとは」

    桜色の女「まあまあ。過ぎたるは、なお、及ばざるが如し。アル○ォートでも食べて元気出すでござるよ」

    魔王「ん? 人間のコトワザの、過ぎたるはナントカって、そういう使い方だったか?」

    ウェイター「あ、オジサンたちも周りで掃除してるけど、事情よく知らないから気にしないでねー」

    ウェイトレス「もう深夜だから、ほとんど乗客のヒトは寝てるだろうし、これ以上騒がないでねー」

    運転士長「では料理長、食堂車の後始末はよろしく頼む。はあ、これで連絡は最後か……」ピッ

    275: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:15:40.48 ID:bYSVmpXyo


    執事「それと、俺とお嬢様の二人。居合わせただけの乗客の皆さん以外は、これで全員でしょうか」

    副運転士「そうみたいですね。こんな遅い時間に、ご協力感謝します」

    教授「なんだか、まとめ役が板についてきたね」

    副運転士「そ、そうですか? えへへ……」


    副運転士「それにしても、もう深夜の0時ですか……」

    教授「本当なら、皆でハッピーニューイヤー、って言ってるような時間だね」

    教授「あいにく、私たちにそんな余裕は無いけれど」


    運転士長「さて……。それで、ミスター・魔王。白の大天使、とは、いったい……?」

    276: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:16:10.05 ID:bYSVmpXyo


    魔王「ああ。ここまで事態が大きくなれば、詳しく説明せざるを得ないな」

    魔王「乗務員の嬢ちゃんには、軽く説明したが……。改めて詳しく説明するとしよう」


    魔王「まず、この世界の裏には、天界という場所がある。生き物の魂が最後に行き着く場所だな」

    魔王「世界の裏と言ったのは、物理的な上でも下でもないからだ」

    魔王「通常の方法では行き来できない世界……。まあ、既に俺たちの出身の魔界や」

    魔王「乗務員の嬢ちゃんも行った冥界なんかも関わってるし、そういうモノと理解してほしい」


    運転士長「え。君、冥界に行ってきたのか……?」

    副運転士「は、はい。死神のヒトや、冥王さんなんかとも会ってきちゃいました」

    277: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:16:43.66 ID:bYSVmpXyo


    魔王「次に、天界は、多くの神々と、多くの天使によって運営されている」


    魔王「神々のシゴトは、この世のコトワリを正常に運営するコトだ。そうだなあ、わかりやすく言えば……」

    魔王「ハッキングから今晩のオカズまで、ってやつか? このコトバ、どっかで聞いたが面白いよな」

    魔王「天界には、今晩のオカズを司る神から、ハッキングの神まで、色々いる。本当に色々だ」


    桜色の女「ほー。今晩のオカズを司る神様とは、具体的にどんなコトを?」

    魔王「俺も詳しくは知らないが、まあ、献立に迷ってる主婦の思考を助けたりとかだろうな」

    魔王「あんたの思いついた今日のメニューも、案外、今晩のオカズの神の助けかもだぜ?」

    副運転士「す、スゴい地味なコトしてるんですね……」

    278: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:17:21.82 ID:bYSVmpXyo


    魔王「いやいや、ハデなコトしてる神々もいるぜ? 隕石の軌道を変えたり、冥界からの魂を処理したり」

    魔王「そんなワケで、主神みたいなまとめ役もいるが、神々ってのは基本的に皆平等で、色々いる」


    魔王「そして……。これが本題だな。天使……。神々の意志を実行に移す者だ」

    魔王「天界の使いと書いて、天使。枕コトバに、“大いなる”とつけば、大天使」

    魔王「下っ端の天使はウジャウジャいやがるが、上司である大天使の数は限られている」

    魔王「それだけに、大天使のチカラは強力無比。俺たち魔王も何人いれば、一人とようやく渡り合えるか」

    執事「魔王さんは天使と戦ったコトがあるんですか?」

    魔王「小競り合いなら、何度か。だが魔界と天界の全面戦争となると、俺たちにとっても神話の時代だな」

    教授「私の知らないコトもまだまだあるモンねぇ~。知的好奇心がくすぐられる」ウズウズ

    279: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:17:53.22 ID:bYSVmpXyo


    魔王「最後に。その大天使の中で、少なくとも騒動への関係はマチガイないのが……」

    魔王「―――白の大天使。混沌を司り、自由と無秩序を愛する、ハタ迷惑な、乳デカ姉ちゃんだ」


    ウェイター「お。胸が大きいのは良いねえ。お兄さん、直接会ったコトがあるのかい?」

    魔王「あんた、気が合いそうだな。……うん、まあ、俺とアイツは、色々とな」

    ウェイトレス「貧乳はステータスだ! 希少価値だ!」


    革ジャン「白い乳デカ姉ちゃん? っとすると、もしかして、さっきの……」ドスッ!!!

    黒コート「お前は黙ってろ!!」

    小型メカ「うわあ。痛そお。毎日黒コートさんに殴られて、よく死にませんよね」フワフワ

    280: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:18:21.46 ID:bYSVmpXyo


    副運転士「なるほど。その白の大天使さんが、今回の騒動を招いたと?」

    魔王「ああ。大騒動、事件、イベント事だいすきの、アイツのコトだ……」


    魔王「奴さん、ヒマに飽いて、この列車に揉め事を大量に集めやがったんじゃねえか?」

    副運転士「うーん。そんなふうには、見えなかったような……」

    副運転士「……いや、やっぱり見えたような?」


    魔王「そして、この列車は、魔族にもよく狙われる厄ネタを積んでいる……。そうだな?」

    運転士長「……! そこまで知っているのか、ミスター・魔王」

    魔王「ああ。ドライ・ブラーの魔力塊のハナシは、魔界でも有名だからな」

    281: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:18:52.88 ID:bYSVmpXyo


    魔王「まあ、その魔力塊の、本当の意味まで知る者は少ないが」

    運転士長「本当の意味だと? この列車の動力源、というコトではなく?」

    魔王「違う。古き人間と魔族の約定……。魔力塊はその要石、といったところか」

    魔王「この列車の路線が、この国最大の霊峰の傍を通るのも、そのためだ」


    魔王「簡潔に言おう。白の大天使は、魔力塊を破壊し、古の封印を解こうとしている可能性が高い」

    魔王「なぜなら。それが俺の考えうる限り、この列車における最大の“大騒動”になるからだ」


    副運転士「大騒動って……。その封印を解くと、いったい何が起こるんですか?」

    魔王「要石が動かされれば、封印された神々の怒りは解き放たれ、最悪の大戦が始まる」

    282: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:19:20.86 ID:bYSVmpXyo


    魔王「具体的に言うと。ある山が突然噴火して、みんな死ぬ」

    副運転士「……!」


    副運転士「それが……。あのエンマ帳の、真相……?」

    魔王「そうだ。皆、聞いてくれ」


    魔王「俺が冥界に行ったところ、今日の分の人間の死亡リストを確認するコトが出来た」

    魔王「―――そこに、このドライ・ブラー号の乗員乗客、全員の名前があったんだ」

    革ジャン「なんだと……!」

    桜色の女「聞き捨てならないでござるな」

    283: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:20:02.89 ID:bYSVmpXyo


    魔王「死因は、火砕流に、土石流。加えて、火山弾」

    魔王「……マチガイない。件の、封印が解かれた結果の山の噴火によるモノだ」


    執事「なるほど。列車の魔力塊とやらが、封印の要石であると知っているのは……」

    魔王「ああ。魔界でもごく一部。さもなくば、封印された側の、天界の者だけだ」

    運転士長「私でも知らなかったな。あの魔力塊に、そんなヒミツがあったとは……」


    黒コート「つまるところ。白の大天使を捕らえるのが最優先、というワケか……」

    小型メカ「私たちの問題も、教授の死亡がトリガーですから。山の噴火とやらが原因かもしれませんね」

    教授「え、なになに? 私って有名人?」

    284: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:20:50.01 ID:bYSVmpXyo


    小型メカ「あ、そういえば教授。“最強の兵器”ってどこにあるんですか?」

    教授「げ。それか……。ゴメン、まだ無い。今現在絶賛思案錯綜中」

    小型メカ「そ、そうなんですか……。なるべく早く作ってくださいね。未来のために」


    教授「ねえ運転士さん。運転士さんは、さ。さっき、なんで食堂車の乗客にお菓子を配ったの?」

    教授「それも、き○この山も、たけ○この里も、アル○ォートも、関係なく」

    副運転士「え? あ、そういえばアレ、イマイチ意味ありませんでしたね……。あはは」


    副運転士「いやあ。どれもおいしいお菓子なんだから、皆で一緒に食べればいいんじゃないのかな、って」

    教授「……どれも、皆で、一緒に、か」

    285: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:21:21.84 ID:bYSVmpXyo


    革ジャン「なるほどなあ。んじゃあ、俺たちで、その白の大天使って奴をとっちめてみますか」ジャコ

    黒コート「は!?」

    革ジャン「いやあ、俺たちは仮面の男を追ってたワケだけど、センパイが外に蹴り飛ばしちゃったジャン」

    革ジャン「それにせっかくこんなヤバい列車に乗ってるのに、俺たちだけ仲間外れってのも、シャクだろ」

    革ジャン「だったら、自分から悪を探す! そして倒す!」バン!!!

    革ジャン「……それが。俺のポリシー」ヒュウ


    黒コート「……お前のポリシーなど誰も訊いていないんだが」

    小型メカ「まあ、私の相方も一緒に飛んでいってしまいましたしね……。やるコトが無いのはたしかです」

    桜色の女「―――いや。奴は、必ず戻ってくるでござるよ」

    286: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:21:53.99 ID:bYSVmpXyo


    黒コート「え?」

    桜色の女「―――仮面の男。拙者は、何度もあの男と戦った」

    桜色の女「ある時は一対一で倒し、ある時は戦艦ごと落とし、ある時は空中庭園ごと叩き潰し……」

    桜色の女「それでも、奴は、ケロリとして次の戦いに現れた」


    桜色の女「タイムパトロールどの。あまり、あの男を、侮らぬほうがいい」

    桜色の女「あの男は必ず、この列車に戻ってくる。そして、……拙者と戦うコトになる」


    桜色の女「仮面の男の身柄が目的なら、まだ諦めるのは早いでござる」

    桜色の女「拙者が奴と決闘し、討ち果たした後に……。奴の身柄を、おぬしらに引き渡そう」

    287: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:22:20.38 ID:bYSVmpXyo


    黒コート「なるほど……。そういうコトなら、仮面の男の打倒、ぜひお願いしたい」

    桜色の女「承知した。そして、標的を譲っていただいたコト、かたじけないでござる」

    小型メカ「あの正義の味方気取りも、しぶといですから、なんだかんだで戻って来そうですね」

    革ジャン「ヒーロー野郎もオペ子ちゃんの味方だってんなら、やっぱ狙いは大天使だけだな」


    魔王「ハナシはまとまったか? それじゃあ、俺もさっそく動きたい」

    魔王「白の大天使は事件が大好きだ。だから、こちらからも事件を作って、おびき出す」

    魔王「俺は魔王として、この列車に乗った魔族に灸をすえる必要もある。だから、まず魔族の奴らを……」


    ミシッ

    288: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:22:47.65 ID:bYSVmpXyo


    運転士長「ん? 今……」

    副運転士「……ミシッ?」


    ミシッ ベキベキベキベキ

    ドゴン!!!!!!


    ヒーロー「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!!!」ヒュウウウウウウ

    仮面の男「おや! そこにいるのは! 我が麗しの、それでも呼びたければ教授さん!!」ヒュウウウウウウ

    教授「ま、またお前か!? それと、それでも呼びたければは余計だ!!」

    キノコ頭「落ちるうううううううううううううううううう!!!!!!」ヒュウウウウウウ

    289: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:23:15.33 ID:bYSVmpXyo


    執事「な、なんだ? また空からヒトが!?」

    黒コート「か、仮面の男……!」

    革ジャン「おっ、こりゃちょうどいい! 死ねぇ!!」バン!!!

    テロリストB「あっ待て、拳銃なんか撃ったら、爆薬に引火して――――」シュボッ
    no title

    290: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:23:44.42 ID:bYSVmpXyo


    ――6号車【食堂車】


    黒コート「時空整備課を……」

    ヒーロー「――――あ」

    黒コート「ナメるなァァッ!!!」

    ドゴッ!!!


    ヒーロー「ぶべらああああああああああああああああああ!!!!!!」ヒュウウウウウウ


    桜色の女「な―――? 赤いカタマリ……!?」サッ

    仮面の男「えっ? あの、ちょっ―――、待っ――――」

    291: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:24:12.62 ID:bYSVmpXyo


    ズガッ!!!!!!


    ヒーロー&仮面の男「「ぶべらああああああああああああああああああ!!!!!!」」ヒュウウウウウウ


    ズドオ


    ヒーロー「れ、列車の外に投げ出される!?」ヒュウウウウウウ

    ヒーロー「そ、そんなワケにはいくか! 俺は列車に残って、まだやるべきコトがあるのだ!!」ジタバタ

    仮面の男「むぅ……。このままでは線路の近くの木に叩きつけられて終わり、か……」ヒュウウウウウウ

    仮面の男「ならば!!」チャッ

    ヒーロー「な、何を!!?」ヒュウウウウウウ

    292: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:24:39.85 ID:bYSVmpXyo


    仮面の男「こうするまでよ!!」ヒュッ

    ヒーロー「ば、爆弾!? そんなモノお前、いったいどこに隠し持って――――」ヒュウウウウウウ

    カッ


    ドゴォォォン!!!


    ヒーロー「ぶるああああああああああああ!!! 爆風に吹き飛ばされるうううううう!!!!!!」

    仮面の男「ここからだ! しっかり捕まっていろ!!」シュボオオオオオオ

    ヒーロー「あ、足からジェット噴射!? そんなモノお前、いつの間に装着して――――」ヒュウウウウウウ

    ヒーロー「うおああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」

    293: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:25:06.55 ID:bYSVmpXyo


    ――7号車【ラウンジ】 外部

    ヒーロー「うおああああああああああああああああああ」

    ――8号車【ロビー】 外部

    ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」

    ――9号車【寝台車四】 外部

    ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」

    ――10号車【寝台車五】 外部

    ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」

    294: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:25:34.68 ID:bYSVmpXyo


    ――11号車【寝台車六】 外部

    ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」

    ――12号車【謎車】 外部

    ヒーロー「ああああああああああああああああああああ」

    ――13号車【展望車・後】 外部

    ヒーロー「ああああああああああああああああッ!!!」

    仮面の男「―――む」


    仮面の男「そこだアアァッッッ!!!」

    シュボオオオオオオ!!!!!!

    295: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:26:02.38 ID:bYSVmpXyo


    ヒーロー「ジェット噴射で列車の最後尾に近づいている!?」

    ヒーロー「でも、一手足りない、届かない……ッ!!」

    仮面の男「ならば一手伸ばすまでよおおォッッッ!!!」ビヨヨーン

    ヒーロー「う、腕が伸びたああああああああああああ!!?」

    ガン!!!!!!


    ビュオオオオオオ

    仮面の男「そら! 飛び乗れ!!」

    ヒーロー「わかった!!」ダンッ

    クルクルクル

    296: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:26:30.23 ID:bYSVmpXyo


    ヒーロー「すたっ」


    仮面の男「ふぅ……。危機一髪、といったところだったな」

    ヒーロー「ああ……。仮面を被った変態かと思ったら、スゴいんだな。お前」スッ…

    仮面の男「ふふふ。君こそ。良いアクロバティックだった」スッ…
    no title

    297: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:26:58.16 ID:bYSVmpXyo


    テロリストA「え……?」

    キノコ頭「ん? なんだ、今の音? 後ろから聞こえたな。13号車か……?」


    ドタドタドタドタ


    ヒーロー「ん……? 何やらコッチに走ってくる人影がいるな……」

    仮面の男「こんな時間の、しかもこんなところで、何者だ……?」


    テロリストB「―――た、大変です! 誰かいます!」

    テロリストC「仮面を被った変態二人組です!!」

    キノコ頭「なんだと!!?」

    298: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:27:32.72 ID:bYSVmpXyo


    ヒーロー「変態とは失敬な!!」

    仮面の男「我ら仮面の元に意気投合した二人組!!」


    ヒーロー「マスク・ド・ヒーロー!」シャキーン

    仮面の男「マスク・ド・スティール!」シャキーン

    ヒーロー&仮面の男「「二人合わせて――――」」


    ヒーロー「……あれ、何にしようか」

    仮面の男「そこまで考えていない」


    テロリストD「やっぱり変態だああああああああああああ!!!」

    299: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:28:25.31 ID:bYSVmpXyo


    キノコ頭「く。どうしてこう、次から次へと、イレギュラーが……」

    キノコ頭「……? 待て、鉄仮面のほう。お前、もしや……」


    仮面の男「ん……? どうかしたかね、頭マッシュルームくん」

    仮面の男「僕は君のような男に脳ミソヒトカケラほどの記憶も無いのだが……」


    キノコ頭「……いや。お前が覚えていなくとも、俺は知っている……」

    テロリストA「リーダー?」

    テロリストB「あっ……! まさか、もしや……!」


    キノコ頭「お前!! たけ○こ陣営に突然現れて、き○こ派壊滅の原因になった、仮面の男だな!!!」

    300: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:28:52.62 ID:bYSVmpXyo


    仮面の男「ああ……。き○こたけ○こ戦争の」

    ヒーロー「ああ……。き○こたけ○こ戦争の」


    キノコ頭「……お前のせいで、俺たちが、どれだけの屈辱的大敗を喫したか」

    キノコ頭「……お前の発案で、吊るされ火あぶりにされた、き○この山は数知れず」

    キノコ頭「……お前の参戦で、ついにスフ○ラトゥーン決戦で、き○こ派は壊滅となった」


    キノコ頭「―――お前のせいで、チョコとビスケットを分離され、街中に転がされたき○この恨み!!」

    キノコ頭「今こそ思い知れ!! ファイヤアアアアアアァァァ!!!」

    ボオオオオオ!!!!!!

    301: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:29:21.77 ID:bYSVmpXyo


    ヒーロー「火炎放射器だと!?」ダッ

    仮面の男「ううむ……。これは、逃げるしかあるまい」ダッ

    仮面の男「ついでに10号車の客室の僕の武器も拾っていくとしよう」

    キノコ頭「待てやゴラアアアアアアアアアアアア!!!」ボオオオオオ


    テロリストC「で、出た……! リーダー必殺の、火炎放射器だ!」

    テロリストD「き○こ派の憤怒の炎を体現したリーダーは、もはや誰にも止められない!!」


    テロリストA「行くぞ! 俺たちも追いかける! お前ら、残りの爆薬を分けて持て!」ダッ

    テロリストB「ああ。だけど今度は、火炎放射器の炎で引火させたりするんじゃないぞ!?」ダッ

    302: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:29:54.27 ID:bYSVmpXyo


    ――1号車【展望車・前】 屋根の上


    キノコ頭「ファイヤアアアアアアアアアアアアァァァ!!!」

    ボオオオオオ!!!!!!


    仮面の男「くっ……! しつこい奴らだ! 列車の端から端まで追いかけてくるか!」フォン

    ヒーロー「隙あり! 今必殺のォォ―――、カカト落とし!!」メキャ

    キノコ頭「ぐあ!!!」ビタンッ

    仮面の男「ま、待て! 炎の熱さと冬の寒さでモロくなった屋根に、そういうコトをすると……」

    ミシッ

    303: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:30:22.00 ID:bYSVmpXyo


    運転士長「ん? 今……」

    副運転士「……ミシッ?」


    ミシッ ベキベキベキベキ

    ドゴン!!!!!!


    ヒーロー「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!!!」ヒュウウウウウウ

    仮面の男「おや! そこにいるのは! 我が麗しの、それでも呼びたければ教授さん!!」ヒュウウウウウウ

    教授「ま、またお前か!? それと、それでも呼びたければは余計だ!!」

    キノコ頭「落ちるうううううううううううううううううう!!!!!!」ヒュウウウウウウ

    304: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:30:49.51 ID:bYSVmpXyo


    執事「な、なんだ? また空からヒトが!?」

    黒コート「か、仮面の男……!」

    革ジャン「おっ、こりゃちょうどいい! 死ねぇ!!」バン!!!

    テロリストB「あっ待て、拳銃なんか撃ったら、爆薬に引火して――――」シュボッ
    no title

    305: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:31:16.65 ID:bYSVmpXyo


    魔王「うおおおおお、また爆発した!?」

    小型メカ「よく爆発しますねこの列車は!!」

    桜色の女「―――やはり、現れたか」チャキ


    副運転士「士長……! あのキノコ頭、教授さんや剣使いのヒトたちのお話通りなら……」

    運転士長「うむ。奴こそが、ハイジャック犯の片割れ、き○こ派の総元締め……!」

    ウェイター「あー、もう。せっかく掃除したのにグチャグチャだよ。オジサン、ショック」

    ウェイトレス「まったく。ヒトの苦労を何だと思ってるのかなー」


    ヒーロー「あ、いたたた……。まったく、ヒドい目に遭った」

    306: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:31:45.81 ID:bYSVmpXyo


    小型メカ「自称ヒーローさん! ご無事でしたか!?」

    ヒーロー「あ、ああ。なんとか。あの仮面のおかげで、列車に戻ってこれたぜ」

    小型メカ「なんで指名手配犯と仲良くなってんですか……」


    キノコ頭「むッ……。あれは、教授……!!」

    教授「キノコ頭!」クルッ

    キノコ頭「……クッ、ククハハハハ。俺たちは事故にはよく遭うが、天運もついている……!」

    キノコ頭「やれ、者ども!! 再び奴とまみえたは僥倖!! 教授を捕らえろ!!」

    テロリストA~D「「「「イェッサー!!」」」」

    執事「ぐ……ッ!」

    307: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:32:16.69 ID:bYSVmpXyo


    ドタン!!! バタン!!!

    ワー!!! ギャー!!! ワー!!!


    魔王「……なんか、エラいコトになってきたなぁ」

    魔王「いや、でもちょうど屋根に大穴が開いた! 今がチャンスだ!」


    フワッ

    魔王「……もしやこの事態すらも、白の大天使の掌の上という可能性もあるか?」

    魔王「いや、それは穿ちすぎか……。いずれにせよ、俺は今、魔族を呼ぶという役目を果たすべきだ」


    魔王「さあ! この列車のすべての戦いに、決着をつける時だ! ふんっ!!!」ヴヴヴヴヴン

    308: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:32:44.79 ID:bYSVmpXyo


    ――11号車【寝台車六】


    ヴヴヴヴヴン


    族長「……!」


    魔族A「ま、また魔力波です、族長!」

    魔族B「今度は明確な指向性を持っています! 1号車の、屋根の上から……!」

    族長「…………」


    魔族C「……? 族長?」

    309: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:33:10.34 ID:bYSVmpXyo


    族長「―――お前たちはココに残れ」


    魔族D「え!?」

    族長「今の魔力の波動は、間違いなく魔王様だ……」

    族長「『この列車に潜伏せし魔族よ。申し開きがあるならば、この魔王の元に馳せ参じよ』」

    族長「この魔力波は、そういう意味を持った、念話だ……」


    族長「……おそらく、俺がいけば、魔王様との戦いになる」

    族長「それにお前たちを巻き込む必要は無い。お前たちは、ここに残れ」

    魔族D「―――族長」

    310: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:33:37.59 ID:bYSVmpXyo


    魔族A「……そんな冷たいコト、言いっこナシですよ」

    族長「何……?」

    魔族B「族長の、アル○ォート派として覇を唱えたいという気持ちは、俺たちも同じです」


    魔族C「だったら、たとえ魔王さまが相手でも、一人では行かせられません」

    魔族D「一蓮托生ってやつッスよ、族長!!」

    族長「……。お前たち……」


    族長「そうか。ならば、行くとしようか、バカども。―――魔王を倒しに」

    魔族D「下克上の精神、マジリスペクトっす!!」

    311: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:34:06.31 ID:bYSVmpXyo


    ――12号車【謎車】 動力室の前


    弓使い「……?」


    剣使い「ん? どうかしたか、姐さん?」

    弓使い「いや。今なんか、聞こえなかった?」

    銃使い「物音……? 何も、しなかった」

    車掌「私も、特には。弓使いさんは耳が良いのですか?」

    弓使い「まあ、耳は良いほうだけど。そうじゃなくて……」


    弓使い「頭の中に直接響いてきた感じ。テレパシーってやつかな?」

    312: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:34:34.27 ID:bYSVmpXyo


    剣使い「テレパシー? そいつは、まさか……」

    車掌「魔力によるモノですか? 弓使いさんは、魔法の素養がおありで?」

    弓使い「まあね。本職の魔法使いほどじゃないけど、魔法も戦闘に使う」


    弓使い「みんなには聞こえなかった? じゃあ、指向が限定的なモノなのかな」

    剣使い「テレパシーってコトは、内容があるんだよな。なんて言ってた?」

    弓使い「うん。盗み聞きしたみたいなモノだから、よくは聞こえなかったんだけど……」


    弓使い「『おしおきするから、魔王のところに来ーい!』……みたいな?」


    車掌「ま、魔王? いわゆる、魔族の王の……?」

    313: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:35:02.51 ID:bYSVmpXyo


    銃使い「おしおきってコトは、上司が部下に罰を与える、ってコト?」

    剣使い「ちょっと待て。魔王が罰を与える相手、ってのは……」


    車掌「……! この動力室を狙っているハズの、魔族!?」

    弓使い「つまり、アル○ォート派の魔族の、上司の魔王がこの列車に乗っていて……」

    弓使い「その魔王が、部下の魔族を、いま呼び出した。ってコトか」


    弓使い「……なら、さ。いつ魔族が勘付くかわからない、この動力室で待ってるよりも」

    剣使い「俺たちも今のテレパシーの主の魔王を探したほうが早い、か!?」

    車掌「そうですね。魔王が動いたとなれば、また新たな騒動が起きるのかもしれない」

    314: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:35:29.08 ID:bYSVmpXyo


    ――1号車【展望車・前】


    魔王「ふぅぅぅぅ……。これで魔族のほうは、おとなしく降参してくれるだろ」


    教授「うぐっ!?」

    キノコ頭「フゥーハハハァー! 教授の身柄は、俺たちき○こ派が預かった!」

    テロリストA「教授さえいればこの列車に用はありません! 脱出しましょう!」


    執事「待て、下郎ども……ッ!!」

    副運転士「し、士長! 私たちの乗客を、彼らに誘拐させるワケにはいきません!」

    運転士長「ああ。この列車の総力を持って、き○こ派、ハイジャック犯どもをここで止める!!」

    315: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:35:57.69 ID:bYSVmpXyo


    仮面の男「おお! 我が麗しの、それでも呼びたければ教授さん……。今この鉄仮面が、お助けに」


    桜色の女「―――悪いが、ここは通行止めだ」ザッ


    仮面の男「……! またしても君か。一度ならず二度までも会うとは、君は僕のファンなのかな?」

    桜色の女「さてな。だが、その得物……。貴様も、私との戦いを予期していたのではないか?」

    仮面の男「ほう……。これはこれは。運命とは、知らず知らずのうちにヒトを動かすらしい」

    桜色の女「その言葉、どこまで本心かな。私は自分の欲望に正直になろう。少なくとも私は期待していた」


    桜色の女「貴様と二人で死合うこと。忘我の果てに、獣のように踊り狂い、鮮血の華を咲かせること」スッ…

    仮面の男「下品だね。だがそれがいい。僕たちの戦いに装飾は不要。必要なのは、互いの刃のみ」スッ…

    316: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:36:27.10 ID:bYSVmpXyo


    黒コート「始まるか……。彼女らの戦いに割って入るのは、彼女らへの侮辱になるな」

    革ジャン「ようし、それじゃあセンパイ! 白の大天使とやらを、探すとしようぜ!」

    黒コート「は!? お前、本気で言ってるのか? それ、あの魔王が勝手に言ってるだけだぞ!」

    革ジャン「ん? でも、なんか腹立つンだよな。俺の見えないところで、動いてる奴がいるってのは」


    ヒーロー「はっ! 無辜の乗客の女性がさらわれた! おのれハイジャック犯!!」

    ヒーロー「悪は滅ぶべし! 正義は必ず勝つ! 俺の目の黒いうちは、好きにはさせんぞ悪党!」ダンッ

    小型メカ「ああっ、待ってください! もう……。本当に勝手なんだから」

    小型メカ「申し訳ありません、革ジャンさん。大天使とやらは、お任せできますか!?」

    革ジャン「おうよ。お互い、悪党は全員お天道様の元に引きずり出して、初日の出を迎えるとしようぜ!」

    317: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:36:53.58 ID:bYSVmpXyo


    ――4号車【寝台車三】


    ドズン…!!!


    白ドレス「お。この音……。これは、ついに始まったかな? 始まっちゃったかな!?」

    白ドレス「『ドライ・ブラー号乗っ取り爆発大炎上事件』における、最後の大騒動が!!」


    白ドレス「ラウンジでの爆発、食堂車での爆発……。正直爆発にも飽きてきてたんだよね」

    白ドレス「さて。乗っ取りが起きて、爆発が起きれば……最後に起きるのは、なーんだ?」


    白ドレス「―――さあっ! 私も、ただ一人の傍観者として、特等席での見物といきますか!」ガチャ

    318: ◆9xXTDlz//k 2017/12/27(水) 18:37:27.10 ID:bYSVmpXyo
    第五章「深夜・前」は以上になります。
    物語も折り返し地点です。

    第六章は、明日12/28(木)の18時ごろ開始の予定です。

    323: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:00:02.13 ID:sxG2GDJmo
    火炎放射器、ひゃっはーです。

    それでは、第六章「深夜・後」を開始します。
    60レスほどの予定です。

    324: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:00:29.88 ID:sxG2GDJmo


    ――1号車【展望車・前】 屋根の上

    no title

    魔王「……、…………」


    魔王「……?」ピクッ

    325: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:00:56.05 ID:sxG2GDJmo


    ザッ ザッ


    族長「…………」ザッ

    魔族A~D「「「「……っ」」」」ザッ


    魔王「…………」

    族長「…………」


    魔王「……来たか」


    ビュオオオオオオ

    326: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:01:33.85 ID:sxG2GDJmo


    魔王「……まずは、勇ある魔界の民として、この魔王の召喚に応じたコトを褒めてつかわす」

    族長「ありがたきお言葉」

    魔王「我ら魔族のコトワリとはチカラがすべて。強き者が世界を支配し、弱き者を護らねばならん」

    魔王「そのコトワリに反し、戦場から遁走するのであれば……。貴様らの命、そこで潰えていたところだ」

    魔族A「……っ」ゴク

    魔王「―――改めて名を聞こう」


    魔王「貴様らの素性は既に知り得ている。だが、これが魔族の作法だ。貴様ら、何者の魔族だ?」

    族長「……青鬼族。緋雷王一の臣下にして、かつて魔界に勇名轟かせた青鬼。俺はその現当主だ」

    魔王「そうか、緋雷めの……。奴め、部下の管理はゾンザイと見える。今度注意しておかねば」

    327: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:02:13.48 ID:sxG2GDJmo


    族長「僭越ながら、コチラからもお尋ねしたい」

    族長「その魔力、その風貌、その威厳。貴方様が魔王の一角であるコトは疑いの余地も無い」

    族長「だが俺は浅学ゆえ、その真の名に思い至らぬ。閣下は何者の魔王であらせられるか?」

    魔王「……我が魔王であると知り、なお参じる勇。なお臆せぬ猛。なるほど、緋雷の臣下にふさわしい」


    魔王「ならばその矜持に敬意を表し、我の座を名乗るとしよう」

    魔王「……我は、あまねく魔性を統べる者。誉れ高き、七魔公王がその一人」

    魔王「最も多くの魔族の長。守護宝石はペリドット。預かる座席は―――碧夕王、であるッ!!」

    族長「リヒトヴァルツ、碧夕王……!!」

    魔族B「先の魔界統一戦争において、我らの軍の中核を為し、緋雷王様とも共に戦った……!?」

    328: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:02:41.44 ID:sxG2GDJmo


    魔王「いかにも!! 我が黄昏に照らされし、常緑の輝きに平伏するが良い!!」

    魔王「そしてこの碧夕王が問おう、青鬼の族長よ!」

    魔王「勇ある貴様が、なにゆえ魔界の法を破り、人間界へと攻め入ったか!?」

    族長「…………」


    族長「……貴方様には詮無きコトだ、魔王よ」

    族長「我らはアル○ォートをニンゲンに侮辱されたがゆえに、人間への復讐を誓った」

    族長「それ以上でも、それ以下でもない。些末なコトと断じるならば、嗤うが良い」

    魔王「……。なるほど、チョコ菓子が原因、か」

    魔王「存外世界は狭い。菓子が原因の揉め事など古来より在る。だが、俺はそれを一笑に付しはしまい」

    329: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:03:09.09 ID:sxG2GDJmo


    魔族C「……と、いうコトは、我らの主張を認めてくださるのですか!?」

    魔族D「やはりアル○ォートこそが至高であると!?」

    魔王「―――たわけ!!」


    魔族D「……!」ビクッ

    魔王「どのチョコ菓子を愛そうが、貴様らの自由だ。俺は貴様らの主義主張に口を挟むつもりはない」

    魔王「だが、それと魔界の法を破ったコトとは、別問題だ」

    魔王「理由が如何であれ。魔族の人間界との接触は、干渉だけならまだしも、侵攻はご法度」

    魔王「そして貴様らは、人間の、この列車で暴れた。……もはや弁解の余地はあるまい」

    族長「…………」

    330: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:03:35.72 ID:sxG2GDJmo


    魔王「…………」


    魔王「……だが、まあ。俺とて、鬼ではない。いや貴様らは鬼だが、鬼神ではあるまい」

    魔王「貴様らもまた、我が同胞。それも我が盟友たる緋雷めの臣下なれば」

    魔王「おとなしく我がもとに下るのであれば、俺が上には取りなそう。なんとか、処罰を免れるよう……」


    族長「―――断る」


    魔族A「……!」

    魔王「……何?」

    族長「聞こえなかったのか、魔王? ……断る、と言ったのだ」

    331: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:04:03.65 ID:sxG2GDJmo


    魔王「…………」ピクッ

    魔王「貴様……」


    族長「既に罪を犯した我らに、なお罰を免れんと説得してくださったコト。感謝する」

    族長「きっと貴方様は、魔族であれ、ニンゲンであれ、同じように救いの手を差し伸べるのだろう」

    族長「その慈愛、その度量。チカラがすべての魔界にあって、まさに魔王と称されるにふさわしい」


    族長「―――だが、それでも我らは、貴方様の軍門に下るつもりはない」

    族長「我らは魔界の民として、ニンゲンに打ち勝つため人間界の門をくぐった。人間との別の約定もある」

    族長「ならば。我らは、チカラをもってそれを為すまで。たとえ敵が、魔王、貴方様であろうと!!」

    332: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:04:31.18 ID:sxG2GDJmo


    魔族B「族長……!」

    魔族C「そうッスよ、族長! 俺らが束になれば、きっと魔王さまにだって負けません!」

    魔王「なるほど」


    魔王「―――よく吠えた」


    族長「……!!」ゾワッ

    魔族D「な……っ。急に雰囲気が……ッ」ビリビリ


    魔王「……ああ、久しい。久しいな。魔界より争いの種が絶えて久しい」

    魔王「今日に至るまで、一戦士としての昂ぶり、滾り、喜び。忘れ去って久しい」

    333: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:04:59.31 ID:sxG2GDJmo


    魔王「だが、今しかと甦った。青鬼の族長よ」


    魔王「その強者におもねぬ精神! チカラで強きを倒す気概! 自らの意志を押し通す蛮勇!」

    魔王「それこそが魔界の民のホンシツたるモノ、魔界の民が魔族たる所以だッ!!」


    魔王「ならば……。俺は、魔王として、貴様らのチカラにはチカラで応えよう」

    魔王「その精神、如何に崇高か。その気概、如何に頑強か。その意志、押し通すに値するか!!」

    魔王「来るがいい、青鬼族の精鋭どもよ……。そして体現して見せよ、魔界のコトワリを!!」


    族長「……望むところだ。いくぞ、お前たち!!」

    魔族A~D「「「「応ッ!!!!」」」」

    334: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:05:27.98 ID:sxG2GDJmo


    ――1号車【展望車・前】


    ズンッ…!!!


    仮面の男「おや……」


    仮面の男「どうやら、上は始まったようだね。開いた大穴から、青い炎や、碧の光が見える」

    桜色の女「…………」


    仮面の男「では、僕らも始めるとしようか」フォン

    仮面の男「君とは幾度となく戦ったが。この戦いを、今までで最上の、甘美の一時としたい」

    335: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:05:55.27 ID:sxG2GDJmo


    黒コート「っ……」ゴクッ

    桜色の女「……黒コートどの」

    黒コート「……! な、なんでしょうか」


    桜色の女「まこと勝手な願いで、申し訳ないのだが……」

    桜色の女「私と奴との、決着がつくまで、おぬしらにはこの部屋の外にいてほしい」

    黒コート「……そ、それは何故ですか?」

    黒コート「たしかに貴女がたには劣るかもしれませんが、私たちも歴戦の身」

    黒コート「戦いにおいて自分の身くらいは守れる。そして仮面の男の身柄は逃がせない」

    仮面の男「……無粋だね、時空環境整備課」

    336: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:06:22.03 ID:sxG2GDJmo


    黒コート「は?」

    桜色の女「…………」

    仮面の男「そうだね。彼女の口には訊きにくいだろうから、僕が彼女の思いを代弁するとしよう」


    仮面の男「―――彼女は。自分が本気で戦っている姿を見せるのは、恥ずかしい、と言っているんだよ」


    黒コート「……え?」

    仮面の男「おかしなコトかな? 人間、誰にだって、見られて恥ずかしいコトの一つや二つはある」

    仮面の男「彼女にとって、それは。自分が本気で戦っている姿、というワケだ」

    革ジャン「俺だってそりゃあウンコしてるトコに入ってこられたらなあ」

    337: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:06:49.40 ID:sxG2GDJmo


    黒コート「そ、そうなのか……」

    黒コート「それと革ジャン、お前は本気で黙ってろ」


    仮面の男「だから。彼女の思いを汲むのであれば、どうか部屋の外で待ってほしい」

    仮面の男「心配せずとも、僕は負けは潔く認めるほうだ。もちろん、勝ったら逃げるけどね」


    仮面の男「それともアレかい、整備課。君は女のコを辱めるのがシュミなのかい?」

    黒コート「い、いや。そんなワケないが……」

    桜色の女「…………」


    桜色の女「黒コートどの。どうか私からもお願いしたい」

    338: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:07:16.96 ID:sxG2GDJmo


    桜色の女「私は、本気で戦っている私の姿を見られたくない」

    桜色の女「私は、彼との死合を余人に見せたくはない」

    桜色の女「―――少し、恥ずかしい」


    桜色の女「普段の小競り合いなら、まだしも。この立ち会いは、特別なのだ」

    桜色の女「どうか、私を信じ……。この勝負を任せてくれまいか」

    桜色の女「この刀に誓って、約束しよう。鉄仮面卿は、私が必ず仕留める」

    黒コート「…………」


    黒コート「……わかりました。ならば私は、時空整備課は、貴女を信じます」

    339: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:07:43.14 ID:sxG2GDJmo


    黒コート「よし、じゃあ行くぞ、革ジャン野郎。さらわれた教授さんを助ける」ダッ

    革ジャン「ん? 例の大天使じゃねーのか? おい、待てよ!」ダッ


    桜色の女「…………」

    仮面の男「……行ったみたいだね」


    桜色の女「…………」

    仮面の男「…………」


    仮面の男「ああ、もういいよ。彼女らは行った。これ以上隠す必要は無い」

    桜色の女「……そうか」

    340: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:08:11.14 ID:sxG2GDJmo


    桜色の女「ならば、良かった。これで私は、本当の私を、貴様以外に見られずに済む」

    桜色の女「……はぁっ。はぁっ……」

    桜色の女「本当の私を、貴様に。さらけ出す、コトが、出来る」

    仮面の男「……いい顔だ」


    桜色の女「先刻、貴様と数合だったが、斬り合って理解した」

    桜色の女「やはり私がすべてをさらけ出せる相手は、貴様しかいないと」

    桜色の女「私が心から刀を向けるコトが出来るのは、貴様しかいないと!」

    仮面の男「ああ。僕もだよ、チェリーガール。僕が振るうべき刀は、君だけのモノだ」

    桜色の女「だから、聞いてくれ。私が、これまで秘めてきた、いや、目を背けてきた、思い」

    341: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:08:37.64 ID:sxG2GDJmo


    桜色の女「―――私は。貴様が、欲しい」


    仮面の男「…………」

    桜色の女「私は、貴様の、肉を。心を。刃を。頭を、顔を、手を、体を、足を、技術を、人生を――――」

    桜色の女「すべて、私のモノにしたい。貴様のすべてを征服したくて、仕方がない」

    桜色の女「……。ふぅっ……」


    桜色の女「ああ、もうおかしくなりそうだ。目がとろけて、口が定まらない、頬が締まらない」

    桜色の女「私は、貴様を感じたい。貴様のすべてを、この刀で斬り刻みたくて、仕方がない!!」

    仮面の男「……君は、その思いを普段は胸の内に閉じ込めている。なるほど、素晴らしい擬態だと思うよ」

    342: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:09:05.66 ID:sxG2GDJmo


    桜色の女「ああ、普段の拙者は、ただの風来坊……」

    桜色の女「ひがな、風光明媚を求め、各地を漫遊するばかりでござる」


    桜色の女「……だが、本当の私は、違う」

    桜色の女「本当の私は、強い敵を、斬りたくて、斬りたくて、斬りたくて斬りたくて斬りたくて仕方がない」

    桜色の女「敵を斬って、自分を確かめたくて。敵を斬って、相手を貶めたくて」

    桜色の女「敵を斬って、血を見たくて。血をすすりたくて。血を満たしたくて」


    仮面の男「……まったく。変わった女性だ」

    仮面の男「僕は君のようなヒトを、今までに見たコトが無い。だが、だからこそ、愛おしい」

    343: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:09:32.43 ID:sxG2GDJmo


    桜色の女「―――いざ。覚悟めされよ、鉄仮面卿」


    桜色の女「その、ココロを隠す気障な仮面、叩き割り……」

    桜色の女「すべてを私の前にさらけ出せ」フォン

    桜色の女「私の目を見ろ。私の手を見ろ。私の足を見ろ。私の刀を見ろ。私の、私の――――」

    桜色の女「私の、モノに、なれ」

    仮面の男「断る」


    仮面の男「あいにく、僕は、楽しい年末年始の旅行中なのでね……」

    仮面の男「ここで君に生を絞り取られるワケにはいかないのさ!!」ダッ

    344: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:10:00.03 ID:sxG2GDJmo


    ――2号車【寝台車一】


    ダダダダダダ


    執事「待てェェェェェェッ!!!」


    キノコ頭「待てと言われて待つバカがいるか! それ、窓から飛び降りろ!」

    教授「はなせー!!」ジタバタ

    テロリストA「こ、この列車時速何キロだと思ってるんですか!?」

    テロリストA「さすがに生身で転げ落ちたら死にますよ!!」

    キノコ頭「う、むむ……。言われてみれば、そうだな」

    345: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:10:27.23 ID:sxG2GDJmo


    テロリストB「なら、一度屋根に登って、そこから飛び降りましょう!」

    テロリストB「上からほぼ垂直にジャンプすれば、衝撃は最低限で済みます!」

    キノコ頭「それだ! お前ら、そこのハシゴから屋根に登れ!」

    運転士長「―――させるか!!」カチ
    no title

    346: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:10:57.04 ID:sxG2GDJmo


    ――3号車【寝台車二】
    no title

    347: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:11:49.86 ID:sxG2GDJmo


    キノコ頭「何? 屋根への通路が塞がっただと!?」

    運転士長「ふふふ……。この列車の防衛システムの一つ、隔壁封鎖だ」


    運転士長「本来は対魔族用にと仕掛けた、戦闘の被害を最小限に留めさせるシステムだが……」

    運転士長「こうして侵入者の逃亡防止に応用するコトも出来る。驚いただろう?」

    副運転士「そりゃ驚きますよ!? なんでドライ・ブラー号ってそんなモンついてるんですか!!」


    運転士長「これで列車の内部は、ウナギの寝床のように一本道だ……」

    運転士長「ハイジャック犯よ、逃げ続けろ! 逃げたところで逃げ道は無いがな!!」

    キノコ頭「くっ……!!」

    348: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:12:18.61 ID:sxG2GDJmo


    ――4号車【寝台車三】


    白ドレス「―――さあっ! 私も、ただ一人の傍観者として、特等席での見物といきますか!」ガチャ


    執事「逃げるなァァァァァァ!!!」

    キノコ頭「俺たちとて逃げたところで逃げ道がないなら逃げたくなどないッ!!」

    ドドドドドド

    白ドレス「え? え? なになになに!? う、うわあ――――――ッ!!」ドカバキグシャポテ


    白ドレス「う、うぅ……。ヒドい、ヒドすぎる……。大天使たる私を足蹴にしまくっていくなんて。がく」

    黒コート「まるで台風だな……。いや、正しく、列車を襲った嵐か。……って、あ、アレ?」

    349: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:12:50.10 ID:sxG2GDJmo


    革ジャン「あれ? この女、客室でヤクやってた白ドレスの姉ちゃんじゃねーか」ヒョイッ

    白ドレス「だから私ヤク中じゃないからねっ!?」ガバッ

    黒コート「ちょっと、何でお前が踏まれて……。いや、貴女が踏まれてらっしゃるんですか?」


    革ジャン「あれ? 待てよ……」

    革ジャン「白い、乳デカ姉ちゃん……。やっぱりコイツが、件の白の大天使じゃねえのか?」

    黒コート「ギク!!」


    白ドレス「ちょ、ちょっと、ハナシが違うよ時空整備課? 私の身柄は見逃すんじゃなかったの!?」

    黒コート「っ~~~……。ああ、もう!!」

    350: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:13:17.92 ID:sxG2GDJmo


    ――5号車【スイート】


    キノコ頭「スイートルーム……! つまり、ここを抜ければ食堂車の6号車だ!」

    キノコ頭「さっきの爆発で、食堂車の壁には穴が開いていたハズだ! そこから脱出するぞ!」

    テロリストC「了解!!」

    ダダダダダダ


    執事「そうはさせるか! くらえッ、回し蹴りっ!!」ブンッ

    キノコ頭「え? 何、ゴハアアアアアアッッッ!!!」カチ

    副運転士「ん? 今、カチって……」

    351: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:13:47.03 ID:sxG2GDJmo


    運転士長「あ、あれは! 魔界の術式自動防衛装置だ、伏せろ!!」

    副運転士「え。術式……?」


    チュドオオオオン!!!!!!

    キノコ頭「ぎゃああああああああああああ!!!!!!」

    テロリストD「あばばばばばばばばばばばばばばばばばば」


    運転士長「コレはこの列車のモノじゃない。スイートルームの乗客が防衛用に仕掛けたモノだな……」

    ウェイター「相当用心深い性格の魔族の乗客なのかね? しかし、部屋が焼けちゃったよ」

    ウェイトレス「掃除するのは私たちなのに、ホント、困るなー」

    352: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:14:14.71 ID:sxG2GDJmo


    ――6号車【食堂車】


    キノコ頭「し、死ぬかと思った……。だがココが食堂車だ!」

    ヒーロー「そうはさせるか! とうっ!」クルッ

    キノコ頭「なっ! 俺たちの上を飛び越えただと!?」


    ヒーロー「すたっ」

    ヒーロー「HAHAHA! どうだ! 食堂車の穴を使いたければ、立ち塞がる俺を倒して……」


    料理長「ぬっ! さっきの赤色仮面!!」

    ヒーロー「え?」クルッ

    353: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:14:42.75 ID:sxG2GDJmo


    料理長「死ね!」バッ

    ヒーロー「投げナイフぅぅぅっ!!?」グサグサグサグサ

    バタッ


    キノコ頭「何か知らんが、全弾命中したぞ! 今だ、穴に飛び込め!」

    小型メカ「―――させません!!」フィィン

    バララララッ!!!


    テロリストA「あ、圧縮レーザー砲!? 焼けるうううううう!!!」

    キノコ頭「最近のメカは高性能だなあ! くそっ、ラウンジの屋根にも大穴があった、そこから逃げる!!」

    354: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:15:09.96 ID:sxG2GDJmo


    ――7号車【ラウンジ】


    マスター「―――なにやら、騒がしいですな」キュッ


    キノコ頭「しまった! ラウンジにいるのは、あのマスターだ!!」

    テロリストA「無理です俺たちじゃ絶対に勝てません!」


    白ドレス「ああああああどいてどいてどいてぇ――――――!!!」ビュウウウン

    キノコ頭「なんだ? 翼の生えた女が飛んできた!?」

    教授「あれってウワサの白の大天使じゃないの?」

    副運転士「白ドレスのお姉さん? と、お姉さんに捕まってるのはタイムパトロールのお二人!?」

    355: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:15:42.10 ID:sxG2GDJmo


    黒コート「白の大天使、この状況を何とかしろ! お前なら出来るだろ!?」

    黒コート「出来なきゃ殺す!!」チャッ

    白ドレス「ふえーん、キョーハクだぁー。普段は冷静な人がパニクると一番手がつけられないよぉ」

    革ジャン「なあ、お前……。俺たちの味方なのか、敵なのか、どっちだ?」

    白ドレス「低い! 声が低いよコワいよ!? 私が君たちに何をしたっていうのかなぁ!!?」


    マスター「―――天使の翼!! 貴様が、魔王の言っていた天界の者か!!」シュボッ

    白ドレス「ちょっシュボッって何、ああ、右手を飛ばした音か―――ってええええええッ!!?」

    ドォォォォン!!!!!!

    キノコ頭「食堂車どころか、ラウンジまでも……! くそ、こうなりゃ逃げられるところまで逃げてやる!!」

    356: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:16:16.82 ID:sxG2GDJmo


    ――8号車【ロビー】


    キノコ頭「ロビー!! たしかココは、アル○ォート派が戦いに行ったくらいで、他には何も……」


    フロント「ああ、ガキ使終わっちゃったなぁ……」

    フロント「あの後テレビを修理して、ついつい最後まで観ちゃったけど」

    フロント「やるコト無いし、朝まで寝てようかな?」


    テロリストB「フ、フロントにも乗務員がいます!!」

    キノコ頭「こ、この列車の乗務員の例なら普通じゃない! 気をつけろ!」

    副運転士「フロントさん、ソイツら捕まえてください!!」

    357: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:16:44.27 ID:sxG2GDJmo


    フロント「え? また揉め事ですか?」

    ズッ…


    テロリストC「ハ、ハルバードです! あのフロント、斧槍を持っています!!」

    キノコ頭「なんで列車のフロントがハルバードなんか持ってるんだぁぁぁ!!?」

    テロリストD「後ろの絵画とかと同じ飾りモノじゃないのか!!」


    フロント「……? それはモチロン、銀行でもどこでも、真っ先に狙われるのはロビーなので」

    フロント「襲撃があった場合、初めに襲撃のあった場所で迎撃するのは当然では?」ブンッ ドガシャァァァァン!!!

    キノコ頭「暴力団の事務所か何かか、この列車は!? う、うわああああああっ!!!」

    358: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:17:11.06 ID:sxG2GDJmo


    キノコ頭「ロ、ロビーもダメだ! 9号車に逃げるぞ!」

    テロリストA「はい! で、でも、どこまで逃げるんですか!?」


    ガチャッ

    車掌「いや、貴方がたの逃亡劇は、ここまでですよ」


    キノコ頭「新手の乗務員!?」

    副運転士「車掌さん!」

    運転士長「車掌くん! 無事だったか!」

    車掌「ええ。今のところ後方車両では何も起こっていませんので、コチラの応援に駆けつけました」

    359: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:17:38.13 ID:sxG2GDJmo


    副運転士「あ、そういえば。車掌さんと一緒にいた、剣使いのヒトたちは……?」

    車掌「ああ、彼らですか……」


    車掌「彼らは既に向かいました。自分たちが行くべき、戦場に」

    運転士長「……そうか。ならばココからは、我々の戦いというワケだな」


    執事「さあ……。お嬢様を返してもらおうか」

    テロリストB「へっ、やなこった! 俺たちは教授の“最強の兵器”でたけ○こ派を倒すのだ!」

    教授「バカ! 私のコトはいいから、お前は逃げろ!」


    キノコ頭「ぐ……。だが、この状況……」

    360: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:18:05.25 ID:sxG2GDJmo


    副運転士「さあ、追いつめましたよー!」

    運転士長「年貢の納め時というやつだな」

    フロント「というか何でこんな状況になってるんですか?」

    車掌「実は、き○ことか、たけ○ことか、色々ありまして……」

    執事「ジャマするならば……。倒す!!」


    キノコ頭(数の上でならば、5対5……。正面から戦えば、勝てないとは限らない)

    キノコ頭(だが俺たちは、教授の拘束に一人を割いている。その時点で不利)

    キノコ頭(とはいえ、後ろの副運転士とか運転士長とかいうのは、本当に戦闘力があるのか……?)

    キノコ頭(いや、普通に見えても、この列車の乗務員だ。きっと何かを隠し持っているに違いない)

    361: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:18:45.67 ID:sxG2GDJmo


    キノコ頭(くそっ、万事休すか……!?)


    テロリストC「リ、リーダー。どうします……?」

    キノコ頭「手持ちの弾薬も、底を尽きている。正直、もう打つ手が……」


    テロリストD「あ、ちょっと待てよ。そういやお前、アレ仕掛けてなかったか?」

    テロリストC「アレ?」


    テロリストD「ほら。この列車に来た時に仕掛けた、脅迫用の爆弾。たぶんこの車両だったよな?」

    テロリストD「おとなしく従わないと爆破するぞー、って言うための。まあ、結局使ってないけど」

    キノコ頭「それだ……!!」

    362: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:19:14.35 ID:sxG2GDJmo


    キノコ頭「お前ら、動くな!!!」


    副運転士「……!」

    運転士長「なんだ!?」


    キノコ頭「……くっ、くくくくくく……。くくくっ、クハハハハハ……!」

    キノコ頭「ハハハッ、クハハハハハ……ッ!!」


    キノコ頭「お前たち、すっかり忘れているようだな。この俺たちが、何者かというコトを!!」

    副運転士「何者か、って……? たしか、たけ○こ派のヒトたちでしたっけ?」

    キノコ頭「違う! き○こ派だ! ソコはいちばん間違えてはいけないところだろうが!!」

    363: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:19:41.19 ID:sxG2GDJmo


    キノコ頭「そうではなく……。俺たちがこの列車に来て、初め、何をしたかというコトだ」

    執事「……ま、まさか!!」


    キノコ頭「そうだ! もう一度言う、動くな!!」

    キノコ頭「―――俺たちはこの車両に爆弾を仕掛けた!!」

    フロント「何ですって……!?」

    車掌「コシャクな……!」

    キノコ頭「クッククク。形勢逆転というやつだな。爆破されたくなければ、おとなしくしろ!」


    キノコ頭「この列車は俺たちがハイジャックした!!!」

    364: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:20:16.48 ID:sxG2GDJmo


    ――1号車【展望車・前】 屋根の上


    新たな年の、新たな日が昇る前の、わずか数刻の宵闇。
    その刹那の時の黒に一つ、まばゆく輝く青が存在した。

    北の大地から西の大都市までを走る道中にある列車の上を、青き紅蓮が駆けていた。

    青き紅蓮は、列車から立ち昇る煙を切り裂き、強大な魔力の主へと斬りかかる。


    族長「―――ぬぅッ!」

    魔王「チョコマカと……!」


    対する碧の光は、自らの背後の空中に三十にも届こうかという数の魔法陣を展開する。
    その魔法陣の機能は、魔力の圧縮放射。一つ一つが大軍を焼き払う魔王の絶技であった。

    365: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:20:42.93 ID:sxG2GDJmo


    魔王「焼け消えろ! 砕け散れッ!!」


    魔王の号令一下、海の色から樹の色までの十色の光が夜空に煌めく。
    直後、光は熱線となって魔族たちを襲い、列車の屋根を焼き払う。


    族長「くっ……! 避けろ!」


    魔族A「ぐぁッ!!」ジュワッ

    族長「っ……、しまっ――――」

    魔王「どこを見ている、青鬼の族長!!」

    族長「!」

    366: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:21:11.08 ID:sxG2GDJmo


    熱線をしのぎ、爆風をやり過ごした族長の前に現れたのは、昏き夕暮れ。
    この日既に過ぎ去ったはずの、薄暮の光景であった。


    魔王「碧夕の名の下に命じる! 光よ此処に、舞い戻れ!」

    魔王「大いなる光輝は此の手に、大いなる漆黒は此の空に!」

    魔王「逆光の輝き放つ落陽、今ひとたびの静寂を!!」


    族長「……っ」

    魔王「―――吹き飛べ!!」


    瞬間、列車に、群青に包まれた赤き光が飛来した。

    367: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:21:42.55 ID:sxG2GDJmo


    ――1号車【展望車・前】


    仮面の男「なんだ!?」

    桜色の女「……!」


    幾十度目か、仮面の男と桜色の女が剣戟を交わさんとした時、
    突如、戦いの舞台である1号車の天井が崩落した。

    空より墜ちるは、屋根を形作っていた瓦礫、煙、そして、
    今まさに水平線に沈まんとする夕陽のごとき黄昏の光。


    仮面の男「茜色の光だって……? いったい、上ではどんな戦いが」

    桜色の女「―――っ!」ダッ

    368: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:22:12.91 ID:sxG2GDJmo


    仮面の男「うおっと!」

    キィン

    桜色の女「……! 脇が甘いッ!」

    仮面の男「まったく。喋っている途中だというのに、容赦がないな、君は……!」


    頭上を見上げていた仮面の男に、裂帛の勢いで桜色の女は右から斬り上げの一撃を放った。
    しかし仮面の男は間一髪で対応。数合打ち合ったのち、大きく後方に距離を取る。


    桜色の女「さもありなん。貴様は会話の最中に突然手元をいじり出す相手を許せるか?」

    桜色の女「我らの戦いに、場の如何など、詮無きこと。ただ肝要なのは」

    桜色の女「この場に立っている者がいるか。いるとすれば、それは誰なのか、それだけだろうッ!」

    369: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:22:39.70 ID:sxG2GDJmo


    仮面の男「っ……!」


    吐き捨てて、桜色の女は再び仮面の男に狼のように食らいつく。

    薙がれては、斬り。払われては、斬り。二の足を踏ませては、斬る。
    繰り返すこと十数度。桜色の女の剣筋は鈍らない。彼女の体は、衰えを知らない。

    いや、衰えを知らないという表現は正確ではない。
    彼女の思考は、自らの体の衰えを、考慮などしていなかった。


    桜色の女「あぁ……」

    仮面の男「…………」

    桜色の女「あぁ……っ」

    370: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:23:08.36 ID:sxG2GDJmo


    仮面の男「…………ッ」

    桜色の女「あぁ……っ!」


    桜色の女の大きく踏み込んだ左足は、仮面の男の懐を捉えた。

    瞬間、閃光。彼女の斬り上げと、彼の防御が、再び交差する。


    桜色の女「あぁ……、あぁ……っ、あぁ……っ! この感触!」

    桜色の女「刀の交差する音! 汗と汗の混じった醜悪な匂い! 鉄と血の混じったかぐわしき薫り!」

    桜色の女「貴様の表情、わからぬなぁ……。貴様はその仮面の内で、私の表情を、どう見る?」

                     タノ    タノ    タノ   タノ
    桜色の女「私はこのうえなく楽しい、愉しい、快しい、悦しい!!」

    371: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:23:36.64 ID:sxG2GDJmo


    桜色の女「貴様のその刃に、私の刃をぶつけるのが!」

    桜色の女「貴様のその刃を、私の刃が受け入れるのが!」

    桜色の女「貴様に近づき、その手の震えを感じるのが……」

    桜色の女「貴様に近づき、私の臓の鼓動を伝えるのが……」

    桜色の女「貴様と競り合い、鉄の冷たさに私の体温を教えるのが」

    桜色の女「貴様と競り合い、私の温かさが貴様の冷血を教えられるのが」

    桜色の女「貴様を斬り、貴様の濁った血を浴びるのが……!」

    桜色の女「貴様に斬られ、私の濁った血を浴びせるのが……!」


    桜色の女「私は、たまらなく、たのしい……っ!!」

    372: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:24:04.93 ID:sxG2GDJmo


    仮面の男「多弁なコトだ」

    桜色の女「私と貴様の戦いは運命だ」スッ


    桜色の女「私と貴様は、出会うべくして出会った……」

    桜色の女「ならばこの立ち会いは、運命だ。因果だ。宿命だ」

    桜色の女「どちらかが倒れるまで、死合は終わらぬ」

    桜色の女「そして終わった時、私が貴様の血をすするのか、貴様が私の血をすするのか」

    桜色の女「斯様なことは、些末で、どうでも良い」

    桜色の女「どちらにせよ、貴様は私のモノで、私は貴様のモノだ」

    桜色の女「欲しいんだ、私は、心から。貴様の体が、心が、すべてが……!!」ダッ

    373: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:24:33.11 ID:sxG2GDJmo


    仮面の男「まったく。ワガママだね、君は」

    桜色の女「ヒトが我が儘であることの何が可笑しい!!」


    桜色の女の刀が、仮面の男の鉄仮面をなぞる。
    仮面の男の刀が、桜色の女の頬をなでる。

    鉄仮面には亀裂が走り、刀は鮮血を吸った。
    頬には刀傷が刻まれ、刀は鮮血を吸った。

    桜色の女の表情は歓喜に緩む。
    仮面の男の眼光は冷徹に細まる。


    仮面の男「いや、可笑しくはないさ。とうてい笑えるモノではない」

    仮面の男「だがそれは、獣の道理ではないかな?」

    374: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:25:01.13 ID:sxG2GDJmo


    桜色の女「獣だと……?」

    仮面の男「そうさ。ヒトは、獣とは違い理性を保てるから、ヒトたれるのだろう?」

    仮面の男「男女は相手を思いやるコトから始まると。学校で習わなかったかい?」

    桜色の女「あいにく、色恋には興味があらぬのでな」


    桜色の女「だが……。刀を見ると、瞳が熱くなる」

    桜色の女「強者を見ると、口元が熱くなる」

    桜色の女「戦を見ると、体が熱くなる」

    桜色の女「貴様を見ると、腹の底が地獄のように煮えたぎる」

    桜色の女「その高まりを、貴様にぶつけたい……。それが、私の思いやりというモノだ」

    375: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:25:28.69 ID:sxG2GDJmo


    仮面の男「……ぷっ」

    仮面の男「……ふふ、くふふ、ふふはははは!!!」

    仮面の男「面白い、面白いよ。やはり君は面白い」

    桜色の女「―――貴様。くだらぬことを考えているな」

    桜色の女「下卑た口を閉じろ。語るべき言葉があるなら、刀で語れ」

    仮面の男「いやいや……。君もあれだけ語ったんだ。僕にも喋らせてくれよ」


    仮面の男「まったく。ディスコミュニケーションだ。相互不理解だ。戦闘言語だ」

    仮面の男「どうやら、君に刀以外での気遣いというのは……。存在しないらしい」

    仮面の男「いや、正確には存在するが……。だが君にとっての最上の交流は、刀だ」

    376: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:25:58.56 ID:sxG2GDJmo


    桜色の女「そのとおり。言葉での気遣い、行動での気遣い……。どれも存在するが、上辺は超えられない」

    桜色の女「だが刀は、虚言を弄さない。刀に訊けば、どんな人生で、どんな人間か、おのずとわかる」

    桜色の女「物言わぬ木偶を斬っても仕方がない。そして、冷えた屍の死は尊重されるべきもの」

    桜色の女「私が斬りたいのは、ヒトだ……。斬ることで、相手を感じたい」

    桜色の女「それこそが、私の生きる意味、私が存在する意味……。人生の意味だ」


    仮面の男「なるほどね。ヒトも薄皮一枚剥がせば、しゃれこうべ」

    仮面の男「君にとって、獣とヒトは、明確別個たるモノで……。斬るべきはヒト、というワケだ!!」


    桜色の女「来るか。それでこそ我が望み、我が人生……! 鉄仮面卿、この刀の錆となれ!!」

    377: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:26:25.56 ID:sxG2GDJmo


    ――1号車【展望車・前】 屋根の上


    魔王「―――ここまでか」


    言って、音もなく魔王は屋根の上に降り立つ。
    列車の屋根には、横たわる四人の魔族と、剣を片手に跪く一人の魔族がいた。


    族長「ぐ……ッ」


    魔族A「ぞ、族長……」

    魔族B「大丈夫、ですか……」

    族長「大丈夫、だ。あとは俺に任せろ」

    378: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:26:53.17 ID:sxG2GDJmo


    魔族C「そういうワケには、いきませんよ。族長……」

    魔族D「一蓮托生だって、俺たち。約束しましたから……」

    族長「……。お前たち」


    魔王「……なるほど。貴様らの、主従たる絆は真実、まことのようだ」

    魔王「だが無謀な戦いからは部下を遠ざける勇気も必要であると、俺は魔王として忠告しよう」

    族長「…………」

    魔王「いや、もう遅いか」


    魔王「青鬼の魔族たちよ。此度の戦いは、良い戦いであった」

    379: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:27:22.17 ID:sxG2GDJmo


    魔王「魔界における大いなる戦の終わった今、その矜持を持つ魔族もそうはいまい」

    魔王「だが貴様らは特別だ。緋雷王の部下だからなどではない」

    魔王「俺がじかに戦って、感じた。貴様らは、魔族を名乗るに値する、勇者であると」

    族長「…………」


    魔王「今なら、俺のチカラで魔界に送り返してやる。どうだ」

    族長「断る」

    魔王「そうか……」


    魔王「ならばここで散れ! この俺の魂に名を刻む栄誉に震え、そして、逝き果てろ!!」

    380: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:27:52.73 ID:sxG2GDJmo


    王は号砲のごとき宣言を叫び放つ。そして、その頭上に、小型の魔力剣が現れる。
    剣の柄は王の右手に吸い込まれると、刃を族長の首元にぴたりと押し当てた。


    魔王「何か言い残すコトは」

    族長「…………」

    魔王「……終いだ」


    魔王の剣は、族長の左肩の上で角度を水平に変える。

    そして、剣の刃が、右から左へと薙がれんとした時。
    “それ”は、魔王の左胸を穿った。


    魔王「っ、ガ…………ッ!!?」

    381: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:28:24.58 ID:sxG2GDJmo


    族長「……!?」


    魔王の左胸、心臓の位置に的確に突き刺さったのは、一本の矢。
    魔力を帯びた、魔王の防護障壁を貫く、ただ一本の矢だった。


    魔王「魔力の矢だと……? いったい、どこから」

    ビュオッ!!!

    魔王「……! 俺に二度同じ術が通じると思うな!!」


    再度魔王を襲った、今度は額を狙った矢を、魔王は魔力剣で弾き落とす。
    だが直後、矢が射抜き損ねた額に、小さな鉄の塊が、数個の黒い斑点を作った。

    魔王「つうッ! これは、魔力でないな。鉄……、鉄砲か!?」

    382: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:28:52.60 ID:sxG2GDJmo


    剣使い「ああ、そうだ。気付くのが遅すぎるぜ、奴さん」

    魔王「何!?」


    最後に、突如として彼は現れた。

    夜空の星の光を照り返して輝く、白銀の髪。
    その刀身は魔王の頭蓋を狙わんときらめく、白銀の長剣。

    偉大なる魔族の長の命を刈り取らんとする雷鳴が、そこにいた。


    剣使い「ヘッドショットだ、お山の大将!!」

    魔王「人間……ッ」

    魔王「この魔王を侮るなっ!!」ズバッ

    383: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:29:20.04 ID:sxG2GDJmo


    剣使い「うおっと!!」ズザッ

    弓使い「よっと! うわ、こりゃヒドい状況だなぁ~。大丈夫? 剣ちゃん?」

    剣使い「ああ……。何とかな」


    銃使い「立てる? 魔族のヒト」ザッ

    族長「……! 貴様らは……」

    剣使い「よう。夕方ぶり、だな。魔族のオッサン」ビッ

    族長「……。お前たちが、どうしてここに……」

    剣使い「ん? そんなの決まってるだろ」


    剣使い「ポっと出の魔王なんぞに倒されちゃ、困るんだよ。……お前を倒すのは、この俺だ」

    384: ◆9xXTDlz//k 2017/12/28(木) 18:29:47.67 ID:sxG2GDJmo
    第六章「深夜・後」は以上になります。
    実際の今年の大晦日は曇りや雨になるらしいです。

    第七章は、明日12/29(金)の18時ごろ開始の予定です。

    385: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/28(木) 20:31:55.74 ID:dqC7EOWq0
    ほとんどのキャラが活躍してるなー

    386: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:00:27.94 ID:tXlGsIvuo
    群像劇は大変ですが面白いです。

    それでは、第七章「未明・前」を開始します。
    60レスほどの予定です。

    387: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:02:43.99 ID:tXlGsIvuo


    【1月1日 午前4時】

    ――1号車【展望車・前】 屋根の上


    魔王「ぬぅぅ……ッ、この魔王の玉体にキズをつけるとは」

    魔王「貴様ら、何者だ!!?」


    弓使い「通りすがりのフリーターです☆」

    魔王「ただのフリーターが剣や弓や銃を使うワケあるかぁぁっ!!」


    剣使い「さて、魔王だか何だか知らねぇが……。とっとと、この列車から退場してもらおうか」

    銃使い「…………」ガシュガシュ

    388: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:03:13.42 ID:tXlGsIvuo


    族長「貴様ら、本気か……?」

    族長「魔王様は、強い……。魔界でも七本指に入るからこその、七魔公王」

    族長「たかがニンゲン風情が勝てる相手ではないぞ……」

    剣使い「ンなモンやってみなきゃ、わかんねぇだろ?」

    弓使い「本当にコレ勝てるの? 死ぬよ!? なんてシチュエーション、今までにも何度もあったもんねー」

    銃使い「人間死ねば、それまで。だけど、だからこそあがいてみせる」

    魔族A「……!」


    魔族A「……ぞ、族長」

    族長「……なんだ?」

    389: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:03:40.68 ID:tXlGsIvuo


    魔族A「俺は。コイツらのコト……。信じてみても、良いと思います」

    族長「何……?」

    魔族B「そうですよ。俺たち魔族でも、魔王さまに逆らおうなんて奴、なかなかいない……」

    魔族C「だけど、相手が強者たる魔王であるとわかって、なお挑む……」

    魔族C「それは。俺たち魔族の真の精神、そのものではありませんか……?」

    族長「……!」

    魔族D「不屈の精神。リスペクト、ってやつですよ……!!」


    魔王「……人間」

    剣使い「なんだ?」

    390: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:04:08.22 ID:tXlGsIvuo


    魔王「貴様らの考えは、よぉくわかった」

    魔王「つまり俺が、魔王であると知って。七魔公王の一角であると、なお知って」

    魔王「それでも脆弱な人間の身でありながら、なお、この俺に挑むと?」

    剣使い「ああ。そして、倒す」ジャキ


    魔王「…………」

    剣使い「…………」


    魔王「…………。フッ」


    魔王「良い目だ」

    391: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:04:35.20 ID:tXlGsIvuo


    魔王「俺はかつて、同じ天雷のごとき稲光のような目をした人間の男と出会ったコトがある」

    魔王「俺が唯一、友と認めた人間のコトだ」

    剣使い「へえ。そんな奴がいて、今も生きているなら、俺も一度戦ってみたいモンだな」

    魔王「ああ。案外、すぐ近くにいるかもしれん。奴が手隙になれば、訪ねてみるがいい」


    魔王「―――もっともその未来、訪れるに能わぬ、夢物語であろうがな!!」


    剣使い「……!」

    弓使い「すさまじい魔力……! 並の人間なら、浴びただけで昏倒だろうね」

    銃使い「…………」チャッ

    392: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:05:03.37 ID:tXlGsIvuo


    族長「……待て」グッ

    剣使い「おい! 大丈夫か、立てるのか!?」

    族長「このくらいでくたばっては、族長の始末がつかぬ。こやつらへの示しもつかぬ」


    族長「お前たちは、よく戦った。後は、俺に任せて休んでいろ。お前たちは、俺のジマンの部下だ」

    魔族A「族長……っ!!」


    族長「……魔王よ。ここからは、魔族と魔族の戦いではない。貴方様を倒すためだけの戦いだ」

    族長「たとえ俺たちが勝利せしめても、我らの処罰は変わらぬであろうが……。だがそれでも剣を取ろう」

    魔王「ふん。貴様たちの全力に、その助力が加わるのは当然だ。条件は変わらぬ」

    393: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:05:31.02 ID:tXlGsIvuo


    魔王「来い! 人間どもよ、魔族どもよ。その小さき手で、大いなる栄光を奪い取ってみせるがいい!!」


    剣使い「望むところだ、魔王。姐さん、ジュー、行くぞ!!」

    弓使い「おうよっ!」

    銃使い「…………」ゴソゴソ


    魔王「まずはアイサツ代わりだ! ふんっ!!」


    宣戦布告の一言と共に魔王が直立のまま浮上し、両手を大きく広げると、
    先刻と同じ魔法陣の軍勢が魔王の背後に展開される。

    煌めくは、海の色から樹の色までの十色の光。
    その一発一発の最大火力が、この列車を蒸発させるに相当する、必殺の一撃である。

    394: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:05:59.68 ID:tXlGsIvuo


    弓使い「あらまあ、オオゲサなコトですよって……。でもその戦法、ちょっと大味過ぎない!?」


    対して弓使いは、余裕の表情一つ変えず、静寂の夜に響き渡る明朗な声で詠唱する。
    彼女が指先を伸ばした先は、星空。漆黒の世界に突如現れるは、彗星。


    魔王「何!?」

    弓使い「私の得意技は奇襲なモンで! その魔法陣、最初に見た時に、セットしておいたんだよ!!」


    彗星は一瞬ごとに輝きを増し、樹の色の砲門へと近づく。
    迫る彗星が弓使いの放った矢の時間差攻撃であると魔王が気付いた瞬間にそれは、射抜かれた。

    光に一瞬遅れて、爆発。大量の魔力を備えた砲門は、魔力を暴発させ、四散する。

    魔王「ちぃっ……!」

    395: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:06:28.66 ID:tXlGsIvuo


    剣使い「足下がお留守だぜ、魔王さん!!」

    魔王「なんだと!?」


    魔王が狼狽したその一瞬に、剣使いが電流のように斬り込む。
    跳躍と共に放たれた下段からの斬撃。魔王は先刻の魔力剣でかろうじて切り結ぶ。


    魔王「ぐっ……。まずはあのスナイパーを始末せんコトには始まらんか!!」

    弓使い「おっと私狙い!? 参ったなあー、オトリとか慣れてないんだけど、まぁそれはそれで!」


    強大な魔力の主が向けた赤い眼光。だが弓使いは恐れる素振り一つすら見せず、
    踊るような足踏みで後退し、機関銃のごとき勢いで弓矢の連射を行使する。

    魔王「ぐぬううううううっ!!!」

    396: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:06:56.92 ID:tXlGsIvuo


    族長「避けさせんよ、その連射! 燃えろ、燃えろ、燃えろ!」


    魔法陣の展開を諦め、列車の屋根の上に戻らんとした魔王に、
    族長の口から放たれた青き炎が襲いかかる。

    その炎は、ただの火炎ではなく。青鬼の呪いが込められた、傷口を焼く青き炎であった。


    魔王「うおおおおっ!! こざかしいッ!!」

    銃使い「よっと」


    銃使いは、たしかに銃を得物として使うが、扱えるのは銃だけではない。
    拳銃、機関銃、狙撃銃、重火器。すべてが彼女の専門であり、役割である。

    ならば、屋根に近づいた魔王の足下に転がる手榴弾の主も、また明白であった。

    397: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:07:23.97 ID:tXlGsIvuo


    ――1号車【展望車・前】
    no title

    398: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:07:50.85 ID:tXlGsIvuo


    仮面の男「こ、今度は大爆発だって!?」

    桜色の女「くッ……!!」


    上階の戦闘の影響は、当然階下の戦場にも現れる。

    屋根の上を包んだ青き炎。その屋根が再び崩落したとなれば、
    当然、青き炎は、彼らの戦場をも焼き尽くす。


    仮面の男「やれやれ、1号車が丸焼けだ……。床も、柱も、展望台も、何もかもが燃えている」

    仮面の男「こうなっては僕らの身も危ない。ここは一旦、お開きとするべきじゃないかな?」

    桜色の女「場の如何など詮無きこと、言ったはず」

    桜色の女「ここがどこであれ、二匹の剣の鬼が出会ったならば。果たし合うは、ただ一つのみ」

    399: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:08:18.03 ID:tXlGsIvuo


    仮面の男「二匹の剣の鬼……、か」

    桜色の女「そうだ。貴様の理に則るのであれば、犬でも、獣でも、狼でもよいぞ」

    桜色の女「いずれにしろ、敵の肉を食らい尽くすのは変わらぬ」


    仮面の男「なるほどね。それが君の、相手への思いやり、気遣い、理解、と言ったか」

    仮面の男「だがそれは、あまりにも悲しくはないか?」

    桜色の女「何?」

    仮面の男「僕らはヒトだ。こうして語るべき言葉を持ち、ささやくべき愛を持つ」

    仮面の男「だのに、殺し合うしか、理解の手段が無いとは……」

    仮面の男「いささか不便、ではないかな?」

    400: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:08:44.74 ID:tXlGsIvuo


    桜色の女「そんなことか。ならばそれも、言ったはず」

    桜色の女「言葉もいいだろう。行動もいいだろう。それはヒトのみが持つ、理性の表現なれば」

    桜色の女「だが、私には……。どうしてもそれが、虚ろに見える。まるで鏡面の出来事のようで、訝しい」

    桜色の女「だからこそ、刀に訊く。刀が斬った体、流した血は……」

    桜色の女「すべて真実であるだろうから」


    仮面の男「僕はそこまでは思わないのだがね」

    仮面の男「この世は楽しい。たとえ命のやり取りなどせずとも、ヒトは争えるし、ヒトは助け合える」

    仮面の男「もっとも、僕が介入したせいで、少々大事になってしまったようだがね……」

    桜色の女「何の話だ」

    401: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:09:12.29 ID:tXlGsIvuo


    仮面の男「僕はこの戦いで君に斬られるコトはない、というハナシさ」

    桜色の女「……!」


    仮面の男「だって、そうだろう? この世には、美しい女性もたくさんいる」

    仮面の男「さっきだって、それでも呼びたければ教授さんに再会したばかりだ」

    仮面の男「君を倒して、僕は、彼女を追わねばならない」

    桜色の女「何かと思えば、女の話か……」


    桜色の女「気に食わぬな。虫唾が走る。不愉快だ。決闘の最中に、他の女のコトを考えるなど」

    桜色の女「構えろ、鉄仮面卿。貴様の脳髄を、私の血で染めてやろう」

    402: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:09:39.87 ID:tXlGsIvuo


    仮面の男「……くっくく。だから君、それは……」

    仮面の男「……いや、やめておこう。君の理解とは、殺し合いそのもの」

    仮面の男「常人のモノサシで測れるそれではなかったね」


    仮面の男「だが安心してくれ。いつだって、君が僕にとってのいちばんだ」

    仮面の男「君のような、ねじ曲がった表現を持つ女性を、他に見たことはない」

    仮面の男「だからこそ、僕は君のトリコなんだよ」

    仮面の男「ラブズッキュンだ」

    桜色の女「殺すぞ」

    仮面の男「すまない」

    403: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:10:06.64 ID:tXlGsIvuo


    仮面の男「だけども、僕は自称しよう! 愛と正義の戦士を!」

    仮面の男「そりゃあ、度が過ぎて、君に斬られるコトもあるが……。そこはそれ」

    仮面の男「僕は女性の愛のために戦い、万人の正義のために戦う」

    桜色の女「妄言だな」

    桜色の女「言葉では何とでも言える。行動では如何とでも出来る」

    桜色の女「その感情、その想念が、真実か。それは刀に訊けば、わかることだ」


    仮面の男「やれやれ。議論は平行線、というワケか」

    仮面の男「だがそれでいい。僕の言葉一つで変わってしまう君など、君ではない」

    仮面の男「しかし、愉悦に浸る、君ではなく……。桜のように可憐な君も、一度は見てみたいモノだ」

    404: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:10:33.38 ID:tXlGsIvuo


    仮面の男「ゆえに、僕はここで死ぬコトは出来ない」

    仮面の男「僕は剣の鬼であっても、それだけではない」

    仮面の男「生きる。生きて、逃げおおせ、愛と正義のために生きる」

    仮面の男「そのために、僕は君を倒そう。……春風のごとき、桜色の剣士よ」


    桜色の女「上等だ」

    桜色の女「ならば、その生ぬるい心構え! 散り行く桜の嵐となるがいい!!」


    桜色の鬼は、刀に青き炎を宿らせる。
    炎は燃える。かつて女が吸った血を薪にして、強く、青く、猛々しく。

    さながらそれは、逢魔時の風に吹かれて妖しく揺れる、満開の夜桜のように。

    405: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:11:00.46 ID:tXlGsIvuo


    仮面の男「君との戦いは、本当に楽しい……」

    仮面の男「だけど女性を斬るのは僕のポリシーに反する! 難しいモノだ!」


    対して、仮面の鬼は、未だ刀も仮面と同じように冷たい。
    鉄は輝く。女が放つ炎を反射して、強く、青く、猛々しく。

    さながらそれは、逢魔時の空にいつの間にか現れる、満月の白光のように。


    桜色の女「ぜああああああッ!!!」

    仮面の男「ぬうっ!」


    反響する刀と刀の音は、二人以外には誰にも聞こえない。
    すべて炎に包まれ、吸い込まれ、かき消され、燃えて、消える。

    406: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:11:27.84 ID:tXlGsIvuo


    天井がまた崩れる。
    階上での戦闘が激しくなるたびに、列車の屋根は見る影もない瓦礫の山と化す。

    だが荘厳なる列車の精気を吸って、二人の刀は、なお妖しく輝く。

    かたや、互いを殺すために斬る、狂人の刀。
    かたや、互いを生かすために斬る、戦士の刀。

    しかし、この場に狂人と戦士の優劣は無く。
    ただ、純粋なる、剣の鬼が二匹いた。


    桜色の女「これで終わりだァッ、鉄仮面―――!!」

    仮面の男「来い、桜色の剣士よ……!」


    仮面の男「この一撃をもって、君への花束としよう!!」

    407: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:11:54.74 ID:tXlGsIvuo


    ――6号車【食堂車】


    ヒーロー「ま、待ってくれ! 俺たちは味方だ!」

    ヒーロー「この列車をハイジャック犯から助けに来た正義の味方なんだ!!」

    料理長「何……?」ピタ

    小型メカ「そ、そうなんです。この風体では、信じてもらえないかもしれませんが……」

    小型メカ「実は、私たち、き○こたけ○こ大戦を止めるために、未来からやって来たんです」

    料理長「ふむ。何やらき○こたけ○こを巡る未来人がいる、とは士長から聞いていたが……」

    料理長「それが君たちだったのか!」

    ヒーロー「ソ、ソッコーで理解してもらって助かる。というワケで、良かったらナイフ、抜いてください。イタイ」

    408: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:12:21.76 ID:tXlGsIvuo


    小型メカ「しかし、キノコ頭のハイジャック犯たち、既にどこかに行ってしまいましたね……」

    小型メカ「教授さんを助けるにしても、居場所を探すのから始めるのは、この状況では」

    料理長「それなら、屋根の上から探せばいいんじゃないかな?」

    ヒーロー「それが屋根への道は、あの士長が隔壁封鎖してしまってな……」


    料理長「そういうコトか。それなら、この食堂車に開いた穴を使うといい」

    料理長「案外君たちは良いヒトそうだ。き○こたけ○この争いを止める、と言ったね」

    料理長「食べ物をダイジにするヒトに、悪いヒトはいない」

    小型メカ「さ、散々ナイフ投げといて、なんだか説得力がありませんけど……」

    ヒーロー「まあ、なんでもいいさ! ありがとう料理長! それじゃあ屋根の上に出てみるとしよう!」

    409: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:12:49.11 ID:tXlGsIvuo


    ――7号車【ラウンジ】 屋根の上


    白ドレス「ハッ……!!」

    黒コート「え……? どうかしたか、大天使」

    マスター「―――隙あり!!」

    ズバッ


    革ジャン「あっ」

    白ドレス「ぎゃああああああ!!? つ、翼がもげた―――!?」

    マスター「この腕は、神殺しのための武器……。天使であれば、斬るもたやすい」

    410: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:13:16.53 ID:tXlGsIvuo


    白ドレス「う、うう。死ぬ。このままじゃ死んじゃうよ、この列車、バケモノばっかりじゃん……」

    白ドレス「っと、そんなコトよりも! 聞いてください、時空整備課!」

    黒コート「はっ!? 右の翼がもげたのは、そんなコトで片付けないほうがいいと思うが」

    白ドレス「いや、そんなコトだよ! 今から数分後、ある乗客の命が危ない!」

    黒コート「……! いつもの大天使の未来視か!?」

    白ドレス「そう! 直前になって詳細が見えた、だからとにかく、この列車と同じくらい――――」

    白ドレス「速く移動できるモノを出して! これが大天使としての、君との契約の遂行だ!!」


    黒コート「列車と同じくらい早く移動できるモノ……。わかった、行くぞ革ジャン野郎!!」

    革ジャン「あ、ああ。……、……。なーんか、腹立つんだよな」

    411: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:13:43.84 ID:tXlGsIvuo


    ――8号車【ロビー】


    キノコ頭「この列車は俺たちがハイジャックした!!!」


    運転士長「なんだと……!?」

    副運転士「たけ○こ派のヒトたち……! もう乱暴はやめて、降参してください!」

    キノコ頭「き○こ派っつってるだろうが!! ワザとか!!」


    フロント「この車両に爆弾を仕掛けた、ですか……」

    車掌「切羽詰まった末の、コケオドシという可能性もあります。一気に対処すれば問題ありません」

    キノコ頭「はたしてそうかな? コレを見ても、同じコトが言えるか―――!」カチ

    412: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:14:11.78 ID:tXlGsIvuo
    no title

    副運転士「な……っ!」

    運転士長「屋根が吹き飛んだ……!!」

    413: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:14:39.49 ID:tXlGsIvuo


    キノコ頭「クッククク……」

    キノコ頭「これで爆弾がホンモノだというコトがわかってもらえただろうか」


    キノコ頭「何度でも言う! 動くな!!」

    キノコ頭「俺たちに逆らえば、次の爆弾を爆破する!!」

    キノコ頭「爆弾が爆発すれば、この女は列車の外に吹っ飛ぶぞぉぉ!!」

    教授「ぐ……ッ」


    執事「お嬢様! 安心してください、俺が絶対に助けます!」

    教授「バカ執事……! 逃げろって言ったでしょうが!!」

    414: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:15:07.98 ID:tXlGsIvuo


    教授「親でも見放すヘンクツな私に、優しくしてくれたのは、アンタだけだった……」

    教授「だから、アンタだけには生きてほしい! たとえ私が死んだとしても!!」

    執事「お嬢様……ッ、ハナシが違うじゃありませんか……っ!!」


    キノコ頭「ククク……。いいぞ。全員、まずは武器を捨てろ」

    キノコ頭「そして手を上げろ。その後で縄で縛ってやる」

    運転士長「くっ……」


    テロリストA「……あ、あの。リーダー。早急に申し上げたい要件が」

    キノコ頭「ん? どうした? この余裕の状況だ、何でも聞いてやるぞ」

    415: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:15:35.66 ID:tXlGsIvuo


    テロリストB「あの、いま爆発させた、この車両に仕掛けた爆弾ですが」

    テロリストC「アレ。脅迫用だったので、見た目ハデに爆発するように……」

    テロリストD「一つ起爆したら全部誘爆するようになっています」

    キノコ頭「ははは。そうか。一つ起爆したら、全部誘爆するように――――」


    キノコ頭「―――は?」


    副運転士「え、全部誘爆って……」

    運転士長「まさかそれは……」


    シュボボボボ

    416: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:16:02.84 ID:tXlGsIvuo
    no title

    417: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:16:30.27 ID:tXlGsIvuo


    副運転士「ぎゃああああああああああああ!!!」

    キノコ頭「部屋の四方八方が全部吹き飛んだああああああ!!!」


    突然の全方位爆発によって、ロビー車は一瞬にして、吹きさらしの展望車両と化した。

    そして、高速で走行する列車が生み出す暴風は、
    無防備な乗員乗客を外に吸い出さんと、ロビーへと襲いかかる。


    運転士長「皆、床に伏せろ! どこかに捕まれ! でないと、外に吹き飛ばされるぞ!!」

    フロント「み、皆さん! 私のハルバードに捕まってください!」

    車掌「ありがとう、フロントさん!!」

    テロリストA「恩に着ます!!」

    418: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:16:57.51 ID:tXlGsIvuo


    キノコ頭「お前たち! 大丈夫か!?」

    テロリストB「は、ハイ。ですが、さすがに自分の身を守るのが精一杯で……」


    教授「うわああああああっ! 吹き飛ばされるううううううっ!!!」

    副運転士「教授さん!!」


    ロビーを襲った暴風は、その中で最も力無き者から、漆黒の世界へといざなうため牙を剥く。
    教授の体が宙に浮く。その脚が、胴が、腕が、列車の外へと吸い出される。
    だがその腕を掴んだのは、一人の、勇気ある女運転士だった。


    副運転士「うぐ、あ、あ。腕が、もっていかれる……!!」

    教授「運転士さん、手を放して! でないと、貴女まで……!」

    419: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:17:24.50 ID:tXlGsIvuo


    副運転士「そういうワケには、いきませんよ……」

    副運転士「乗客の皆さんをお守りするのが、私たち、乗務員の役目なんですから……!!」

    教授「……!」


    フロント「新米ちゃん!」

    運転士長「いいぞ、その調子だ……! 車掌くん、ハルバードを少しずつ動かせ!」

    車掌「了解!! 大丈夫ですか、このハルバードに捕まって……」ズズズ…



    魔王「――――――うわヤベ、エラい方向にビーム飛ばしちゃった!!」

    ビュイイイイン

    420: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:17:52.03 ID:tXlGsIvuo


    執事「何!?」

    副運転士「あの声は、魔王さん!? え、ビームが飛んでくるって……」

    シュゴ!!!
    no title

    421: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:18:18.95 ID:tXlGsIvuo


    キノコ頭「どああああああああああああ!!!」

    運転士長「何を考えているんだ、あの魔王はアァァッ!!!」


    教授「うぐ、あ……!!」

    副運転士「て、手が……っ!」


    不慮の事故が無ければ、女運転士の勇気ある行動は結実したかもしれない。
    だが、列車の旅にアクシデントはつきものだった。
    魔王が放ったビームの爆風は、ついに教授の体を列車から引き剥がす。


    教授「うわああああああああああああ!!!」

    副運転士「そんな、教授さん…………っ!!」

    422: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:18:46.51 ID:tXlGsIvuo


    運転士長「なんだ? どうなっている!?」

    フロント「士長! 教授さんが外に!」

    車掌「吹き飛ばされました、ここは私が――――」


    執事「――――――っ!!」

    全身の力を込めた踏み切りと共に、列車の外に飛んだのは、男だった。
    列車の外に投げ出された彼女を、誰よりも慕い、誰よりも理解していた、男。


    運転士長「……!」

    副運転士「執事さん……!」

    執事「皆さん……。後のコトは、頼みます」

    423: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:19:13.96 ID:tXlGsIvuo


    ――列車の外 空中


    教授「うぐ、あ、ああ……!!」

    教授のけっして小さくはない体は、空中で無秩序に回転する。
    だが、その回転を止め、彼女の手を取る、白い手袋があった。

    教授「……!」

    執事「……お嬢様。ご無事ですか」


    教授「アンタ。どうして……」

    執事「お嬢様は、ご自分が死んでも、俺に生きてほしい、とおっしゃいましたね」

    執事「それでは意味が無いのです」

    424: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:19:40.49 ID:tXlGsIvuo


    執事「お嬢様がいなくては、俺も、生きる意味が無い」

    教授「……!」


    教授「でも、このまま、地面にぶつけられたら」

    執事「ええ。タダでは、すまないでしょう」

    執事「だけど。俺は、それでもいい」


    執事「最後まで、お前と一緒にいれるのなら……。それが、俺の本望だ」

    教授「…………」


    教授「……ばか」

    425: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:20:08.82 ID:tXlGsIvuo


    黒コート「―――させるかァァァァァァッ!!!」

    その時、列車の上で駆動する音があった。非効率的で暴力的な鉄の馬が、煙を吐いて嘶く。


    教授「え――――?」

    執事「あれは……? 黒い……!」


    革ジャン「おいおいセンパイ、本当にカっ飛ばす気か!?」

    黒コート「ああ! 死にたくなければ捕まっていろ!!」


    黒コート「悪魔や天使は、非道だが、契約は必ず守る。なら人間の私がそれを反故に出来るか」

    黒コート「そしてっ! 目の前に助けを呼ぶ声あらばっ、それに応えずして何が警察かァァァッ!!!」

    426: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:20:36.67 ID:tXlGsIvuo


    ――12号車【謎車】 屋根の上


    革ジャン「だけど、さっきこの車両の格納庫から出したばっかりで」

    革ジャン「エンジンもフカしてないのに、何が出来……」


    ビュイイイイン

    魔王「――――――うわヤベ、エラい方向にビームまた飛ばしちゃった!!」

    ドドン!!!


    黒コート「エンジンが温まっていないなら……」

    黒コート「おあつらえむきに飛んできたビームの爆風で浮いてカっ飛べばいいだろうがあああ!!!」

    427: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:21:04.68 ID:tXlGsIvuo


    教授「あ――――」

    執事「あれは――――――」
    no title

    428: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:21:33.37 ID:tXlGsIvuo


    黒コート「ぐっ! 接地したぞ革ジャン! エンジン全開だ、落ちてくるヒトを受け止めろォォッ!!」

    革ジャン「はいはい……。ってぇぇ、オトナ二人かよおおおおおお!!?」


    執事「タ、タイムパトロールのヒト!? 潰れますよ!!」

    教授「ゴメンなさいどいてどいてどいてぇぇっ!!」


    黒コート「ゴメンで済むなら警察は要らないっ、革ジャン何とかしろおおおおおお!!!」

    革ジャン「何とかしろで何とかなるなら警察は要らないと思いますがねヨイショっとぉ!!」ガタッ


    革ジャン「うんむ……。絶景、絶景。バイクの上に立って見る景色は格別かな」

    教授「だからどいてってば―――!!」

    429: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:22:00.18 ID:tXlGsIvuo


    革ジャン「そして、どいてでどく警察もいないッ! オラァッ!!」


    空中を舞う二人に、仁王立ちした男が乗ったバイクが迫る。
    しかし二人をまとめて受け止めるのは不可能と判断した男は、代替処置として、回し蹴りを放った。


    執事「ぐぼはっ!!」

    教授「ちょっ、大丈夫!?」


    革ジャン「そらあ吹き飛べ! 俺たちに出来るのはここまでだ!」

    革ジャン「あとは列車の屋根の上にいる誰かさんに、何とかしてもらいな!!」


    ヒーロー「―――任せろ!!」ダンッ

    430: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:22:27.94 ID:tXlGsIvuo


    またも飛んだ魔王のビームの光を背に受けて、列車の上にいるそれは輝く。
    赤色のポリマースーツ。正義の味方を象徴する、その出で立ち。


    執事「あ、貴方は……」

    教授「食堂車の変態仮面!!?」


    ヒーロー「だから変態仮面ではないとうっ!!」


    革ジャンの蹴り上げによって再び空中を舞った二人を、
    屋根から空中を突進してきた、とあるヒーローが見事に受け止め抱きかかえる。

    そして、ヒーローは突進した先にある線路の脇の木の幹を蹴り飛ばし、
    空中で一回転することで、二度のステップと共に列車へと帰還を果たした。

    431: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:22:54.83 ID:tXlGsIvuo


    革ジャン「よお未来の市民ボランティア! やるじゃねえか!!」

    ヒーロー「ふははははっ、これくらいは朝飯前だ!」

    ヒーロー「ようやくヒーローの面目躍如、といったところかな!!」


    教授「た、助かった……」

    執事「ありがとうございます。皆さん!!」

    黒コート「気にするな! これも警察の務めだからな!」


    執事「あれ。でも、警察のお二人は、どうやって列車に戻ってくるんですかーっ!?」

    黒コート&革ジャン「「あっ」」

    432: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:23:27.57 ID:tXlGsIvuo


    革ジャン「あっ、て……。まさかセンパイ、何も考えてねえのか!?」

    黒コート「う、ううん。正直、バイク出して走らせるところまでが、精一杯の想定というか……」

    革ジャン「じゃあ、あの天使女に、いいように踊らされたってコトかよ!」ダンッ

    黒コート「どうしてそうなる。ううーん。しかし、列車と並走は出来ても、どう戻ったモノか」


    黒コート「おい、そこの市民ボランティア! 何か良い案はないか!?」


    小型メカ「ゴメンなさい黒コートさん、なんとか助けてあげたいんですが……!」

    ヒーロー「すまない! まったく思いつかない!」


    革ジャン「言い切りやがってクソがぁぁぁ!!」

    433: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:23:54.54 ID:tXlGsIvuo


    教授「あっ、でも。待って……」

    執事「お嬢様?」

    教授「さっきから魔王のビームが飛びまくってるけど、それを利用すれば?」

    ヒーロー「それだ!!」


    ヒーロー「おい、タイムパトロールの諸君! 魔王のビームを利用するんだ!」

    黒コート「なんだと!?」

    ヒーロー「さっきから魔王のビームが飛びまくっている! その爆風に乗るんだ!!」

    革ジャン「はっ。ヤブから棒に、勝手なコト言いやがるぜ……。爆風なんかでバイクが飛べるか?」

    黒コート「だが、それに賭けるしかない。魔王は先頭車両だな、速度を上げるぞっ!!」

    434: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:24:22.12 ID:tXlGsIvuo


    ――1号車【展望車・前】 外部


    魔王「オラオラオラオラオラオラオラオラぁっ!!」

    剣使い「姐さん! なんとかあの魔法陣、また狙撃で潰せねえか!?」

    弓使い「やってるけど数が多すぎ! っとと、うおわぁっ!」ボカン

    銃使い「っ! 族長、爆弾! 空中で火をつけて!」ヒョイッ

    族長「任せろ!!」ボッ

    ドォォォォン!!!!!!


    革ジャン「なんとか先頭まで来たが、何だありゃぁ!? この世の終わりか!?」

    435: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:24:49.47 ID:tXlGsIvuo


    黒コート「爆発の破片が……! かわすぞ!」ギュン ギュン

    革ジャン「ってオイ右に左に揺れるうううううううううううう!!!」ガク ガク


    魔王「くそっ、チョコマカと逃げ回りやがるせいで狙いがつけにくい……!」ビュイイイイン

    ドドン

    剣使い「くそっ、逃げ回りながらだから、決め手に欠けるな……!」サッ


    魔王「うわヤベ、エラい方向にビームまたまた飛ばしちゃった!! もう気にしない!」ビュイイイイン

    ドドン


    黒コート「っ! 今だぁぁっ!!!」

    436: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:25:16.92 ID:tXlGsIvuo


    そのビームは、黒コートたちが乗るバイクの眼前に着弾した。
    足下の地面が焼け、爆発し、煙が立ち上る。

    だが爆発の瞬間を、黒コートは見逃さなかった。
    彼女は革ジャンの体重を大きく後ろに預けさせ、自らはハンドルを引き上げる。

    たしかに通常の爆風であれば、鉄の馬をはばたたかせるには不十分だろう。
    しかし魔王の放った圧縮光線の爆風は、浮いたバイクの前輪の下を走り、
    そして、その役目を果たした。


    黒コート「うおおおおっ……」

    黒コート「飛べええええええええええええッ!!!」


    魔王「―――? なんだっ!?」クルッ

    437: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:25:44.18 ID:tXlGsIvuo


    剣使い「あ――――」

    弓使い「ウソ……」

    銃使い「あれは――――」

    族長「天馬……! 翼の無いペガサスだっ!!」


    魔王「な、なんでバイクが空を飛んでるんだぁぁぁぁぁぁ!!?」


    革ジャン「ふ……。良い夜空、だな……。センパイ。星がいつもより近く見えるぜ」

    黒コート「ああ……。お前とのランデブーでなければ、いつまでもこうしていたいくらいだ」

    黒コート「だが、ただ一点……」

    438: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:26:13.25 ID:tXlGsIvuo


    黒コート「今からすぐに落ちるという問題点に目をつぶればだがなああああああああああああ!!!」

    革ジャン「落ちる落ちる落ちる落ちるうおえいあああああああああああああああ!!!!!!」


    魔王「な――――」


    バイクの二人の感想に、つけ加えるならば。
    その光景は、傍観していた五人の戦士たちにとっても、どこぞの洋画のような幻想的な光景だった。

    ただ一点の問題点。

    傍観していた戦士たちのうちの一人の頭上。
    魔王の上に、そのバイクが落下する、という問題点に目をつぶれば。


    魔王「しまった! 魔力防壁……、ってコレは魔力由来の攻撃にしか意味は無い、あっ――――」

    439: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:26:40.21 ID:tXlGsIvuo


    ドカバキグシャ


    魔王「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙――――っ!!!」


    弓使い「魔王の顔面にバイクの後輪がメリ込んだ!!」

    銃使い「今しかない!!」


    剣使い「行くぞ! 族長!」

    族長「ああ。剣使い。遅れを取るな!」


    剣使い&族長「「うおおおおおおおおおおおおっ!!!!」」

    440: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:27:07.44 ID:tXlGsIvuo


    魔王「いてて、ヒドい目に遭った……。はっ!?」

    剣使い「これでトドメだ!!」

    族長「我が刃、受けるがいい」

    魔王「なんでだ、こんなハズじゃあっ……! ぎゃアアアアアアアアアアアア!!!」


    剣使いが振り下ろしたのは、白銀の長剣。
    族長が振り上げたのは、炎をまとったシャムシール。

    刹那。白き雷鳴と、青き紅蓮が、入り混じった。


    革ジャン「うおっ、なんかやったみたいだぞ!」

    黒コート「私たちが気にしてる場合か!? 1号車に落ちるぞおおおおおお!!!」

    441: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:27:35.47 ID:tXlGsIvuo


    ――1号車【展望車・前】


    ドシャ

    革ジャン「ぐあっ!!」

    黒コート「い、痛い……。ここは?」


    桜色の女「…………」

    仮面の男「…………」


    バイクの二人が落ちた先。そこでは、顔と仮面に無数の傷をつけあった男女が、
    お互いの首に刃を入れながら、しかして動かず、永遠とも思える一瞬の時を過ごしていた。

    442: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:28:04.14 ID:tXlGsIvuo


    桜色の女「……今日は、来客が多い日でござるな」スッ

    仮面の男「おや。もう終わりかい?」

    桜色の女「ああ。此度の戦い、これで無聊を慰めるには十分だ」

    桜色の女「ジャマが無ければ、このまま死合うのも、やぶさかでないが……」

    桜色の女「ちと来客が多すぎる。余人にも見られた。今宵はここまでとしよう」チャキ


    仮面の男「そうかい。では僕も、これにて」

    仮面の男「やはり君は、面白い……。また別な場所での、再会を期待しよう」ガチャ

    桜色の女「ああ。そしてまたその時は、私の望みを満たさせてくれ」

    革ジャン「ってオイオイなに満足気にどっか行こうとしてんだ!?」

    443: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:28:31.64 ID:tXlGsIvuo


    桜色の女「ぬおっ!? み、見てたのでござるか!?」

    仮面の男「はっはっは。これは手厳しい」


    黒コート「剣士さん……。勝負には、勝ったのですか?」

    桜色の女「……ははは。そこは想像にお任せするでござるよ」


    革ジャン「時空指名手配犯の仮面の男だな。おとなしくしやがれ!」

    仮面の男「やれやれ。しかしここで逃げるのも美学に反する。今はお縄につくとしよう」


    革ジャン「さてセンパイ。これで目的達成、か?」

    黒コート「ああ。それと、この列車の戦いも、おそらくすべて終わったハズ……」

    444: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:28:58.68 ID:tXlGsIvuo


    ――6号車【食堂車】 屋根の上


    ウェイター「おっ、静かになった」

    ウェイトレス「全部終わったみたいだねー」


    ウェイター「ラウンジの爆発に始まって、食堂車の爆発に、色んな車両での大乱闘か……」

    ウェイトレス「ニギヤカな年末年始だったねー。疲れたし、今年は平和だといいなぁ」
    no title

    ウェイトレス「え!?」グラッ

    ウェイター「うおっ。今の音、今の揺れ……。なんだ!?」

    445: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:29:25.70 ID:tXlGsIvuo


    ――1号車【展望車・前】 屋根の上


    族長「おい、なんだあれは? 山が噴火している!?」

    魔王「くそっ。最悪の展開だ……。謀ったな、白の大天使……!」

    白ドレス「え? 私、なんもしてないよー」ザッ

    魔王「なっ! えっ、お前、いつからいた……!?」

    マスター「どうやら事態はそれどころではないらしいぞ、魔王」


    剣使い「あの噴火してる山は、高さと方角からいって……。富士山か?」

    魔王「違う。あの山は、富士山だが、富士山ではない。其は、き○こたけ○この生みの親……」


    魔王「―――ア○ロ。あれなるは、アポ○富士山だ」

    446: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:29:52.45 ID:tXlGsIvuo
    no title

    447: ◆9xXTDlz//k 2017/12/29(金) 18:30:20.57 ID:tXlGsIvuo
    第七章「未明・前」は以上になります。
    今回のコミケも大盛り上がりなようで、いよいよ年の瀬です。

    第八章は、明日12/30(土)の18時ごろ開始の予定です。

    450: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:00:01.50 ID:gCIL18dHo
    だが、列車の旅にアクシデントはつきものだった。

    それでは、第八章「未明・後」を開始します。
    60レスほどの予定です。

    451: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:00:29.24 ID:gCIL18dHo


    ――1号車【展望車・前】 屋根の上


    剣使い「あの噴火してる山は、高さと方角からいって……。富士山か?」

    魔王「違う。あの山は、富士山だが、富士山ではない。き○こたけ○この生みの親……」


    魔王「―――アポ○。あれなるは、ア○ロ富士山だ」


    剣使い「あ。アポ○……? チョコ菓子の?」

    魔王「そうだ。チョコ菓子のアポ○だ……」


    魔王「…………」

    452: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:00:59.06 ID:gCIL18dHo


    魔王「おい、白の大天使」

    白ドレス「ハイハイ。何かな、まおーちゃん♪」

    魔王「ちっ。やっぱチョーシ狂うわ、お前……」


    魔王「白の大天使。今、お前は何もしていないと言ったが……」

    魔王「それは本当か? お前は本当に今回の事態に何も関わっていないのか?」

    白ドレス「うん! いやあ、この列車で事件が起きるのは、天界からフワっと見えてたんだけどね……」

    白ドレス「むしろ私は、その事件を止める側っていうか。年末年始の旅行がてら? 来ちゃった?」フリフリ

    魔王「来ちゃった? じゃねぇよ、ったく……」

    魔王「すると、アレか。アポ○富士山の噴火は、まったく別の要因によるモノか? いったい何が……」

    453: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:01:26.36 ID:gCIL18dHo


    白ドレス「あ、ソレだけど……。一つ心当たりがあるんだよね」

    魔王「何? それは本当か!?」

    白ドレス「うん。でも、関係者にはキチンと話したほうがいいし、一回全員集めましょ」


    白ドレス「そこの君たちも、それでいいかなー?」

    剣使い「お、おう……」

    弓使い「なんだかタダゴトじゃなさそうだね。面白くなってきたぁ!」

    銃使い「…………」ボリボリ

    族長「お前たち、立てるか?」

    マスター「ワタクシがご案内します。場所は……、まあ、階下の展望室で良いでしょう」

    454: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:01:55.18 ID:gCIL18dHo


    ――1号車【展望車・前】


    弓使い「おっ、教授~。久しぶり~」

    教授「弓使いさんたち、こんなにボロボロで……。いったい何が?」

    ヒーロー「ぬぬっ、貴様らがハイジャック犯だったのか!」

    キノコ頭「さっきは知らないで戦ってたのか……」

    桜色の女「おっ、おいしそうでござるな。貰っていいでござるか?」

    銃使い「どーぞ」ガシュガシュ


    副運転士「はいはい!! 皆さん、静かにしてください!!」パン パン

    455: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:02:22.32 ID:gCIL18dHo


    剣使い「静かに、つったってなぁ……」

    族長「この一日で因縁の出来た者も多い。それが一堂に会すれば、騒がしくもなるモノよ」

    テロリストA「あ、さっきはハルバードに捕まらせてもらってありがとうございました」

    フロント「いえいえ。執事のキミも、ナイスガッツでしたね」

    執事「いや。あの時は、無我夢中で……」

    魔族A「魔王さま、さっきはどうも……」

    魔王「いやいや、戦いは終わったんだから気楽にいこうぜ! それも魔界のコトワリだ!」

    小型メカ「次の仕事の件なんですが……こういう場合はいったいどうすれば……」

    料理長「ああ、それなら……とにかく上質な素材のゴリ押しで……一個1000円くらいの……えっ、違う?」

    革ジャン「そんなクソ高ェのジャンクフードじゃねえよ」

    456: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:02:49.84 ID:gCIL18dHo


    黒コート「鉄仮面……、それはそれとして。キズだらけだが、大丈夫か? 治療するか?」

    仮面の男「ふ……。これは名誉の負傷、というモノだよ。彼女の思いを受け流してはいけない」

    マスター「え、今はせいぜい飛ぶくらいの術しか行使できなかった? それは、失礼しました」

    白ドレス「ホント! 天界の者だからって、問答無用で斬りかかったりしないでよね!」

    ウェイター「増えに増えたってカンジだよなあ」

    ウェイトレス「未来人だけで六人もいるって本当かなあ?」


    運転士長「ひ、ふ、み……。おそらく、これで全員じゃないか?」

    車掌「アバウトですねえ。まあ、誰なら全員を把握してるんだ、って感じですが」

    副運転士「あのー、すいません! 今からハナシをまとめるので、聞いてもらっていいですかー!?」

    457: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:03:18.93 ID:gCIL18dHo


    教授「待って、運転士さん。なんだか知らないけど、私たち、モメてる場合じゃないんでしょう」

    教授「だったらせめて、この場で改めて、全員の素性を一通り確認すべきだと思うのだけど?」

    魔王「そうだな。今から俺たちは全員が協力する必要がある。なるべく不理解による内ゲバは避けたい」

    副運転士「そ、そうですね……。では、お一人ずつ、身分と目的を明かしていただいて良いですか?」

    執事「わかりました。では、俺たちから」スクッ


    執事「俺たち二人は、ただの一般乗客です。ですが、彼女は。“教授”と言えば通りが良いでしょうか……」

    執事「元日の昼、彼女がオーサカで行う発表会のため。オーサカ行きの、この列車に乗車しました」

    キノコ頭「情報はマチガイなかったか。だが、もう一度誘拐を試みれる状況でもないな……」

    教授「おいそこ」

    458: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:03:47.74 ID:gCIL18dHo


    副運転士「なるほど。お二人は、この列車自体に何か用があったワケではない、というコトですね」


    剣使い「ただオーサカ行きだから乗っただけ、というなら俺たちも同じだな」

    弓使い「そうそう。ポストにあった招待状に、この列車のチケットが入っててね」ピラー

    ヒーロー「あ。ちなみに彼らに招待状を送ったのは、俺だな」

    剣使い「なんだと? 変態仮面、お前が俺たちのところに招待状を?」

    ヒーロー「その通りだ。歴史を調べたところ、今日この列車には君たちが乗っていたのでな」

    銃使い「そうだったんだ」

    運転士長「そういえば、今日のチケットが事前にやたら買い占められていた。犯人は君かね……」

    仮面の男「とすると、僕の招待状も、君の差し金か。サプライズパーティーではなかったか」

    459: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:04:15.01 ID:gCIL18dHo


    キノコ頭「謎が解けたようで結構だ。ならばこの流れで言わせてもらおう。俺たちはハイジャック犯だ」

    副運転士「いやなんでこの流れなら言えると思ったんですか!?」

    キノコ頭「いずれ言わなければならないのだから、仕方がないだろう……。ああ、だが安心してくれ」

    キノコ頭「俺たちの目的は教授の身柄だが、何やら事態が逼迫しているのだろう? なら黙っている」

    教授「それは、事態が逼迫しなくなったら、私をさらいに来るってコトかな……」

    弓使い「おおっと、教授狙い? だったら、私たちを倒してからにしてよね」

    テロリストA「なんでお前たちがジャマをするんだ!?」

    副運転士「と、とにかく。き○こ派のテロリストさん、というコトで良いですか? 良いんでしょうか……」


    族長「構わんだろうよ。そういう意味なら俺たちも、アル○ォート派のテロリストだな」

    460: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:04:44.03 ID:gCIL18dHo


    運転士長「魔族……」

    族長「そう身構えるな。たしかに俺たちの目的は、この列車の動力源だった」

    族長「だが、動力源の場所は皆目見当がつかず……。そして、その動力源は今回の事態のカギだという」

    族長「ならば我らも事態を静観するとしよう。むろん、列車がオーサカにつけば、発表会は潰すが」

    教授「なななんで私の発表会が今の流れで出てきたんだ!?」

    魔族D「初志貫徹の精神、マジリスペクトっす!」


    ヒーロー「では私たちも宣言しよう! 私たちの目的は、この列車のハイジャックを阻止することだ!」

    小型メカ「はい。正確には、ハイジャックによって未来で起こる、き○こたけ○こ大戦の阻止が目的です」

    副運転士「そ、その口ぶりからすると、もしや未来の方ですか……? 味方なのは嬉しいですが」

    461: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:05:11.33 ID:gCIL18dHo


    黒コート「では、未来繋がりで。私たちは、未来のタイムパトロール。区の警察署の時空環境整備課です」

    革ジャン「おらおらおら、この中に時空指名手配犯はいねえか? 逆らうならバラしちまうぞ!」

    黒コート「完全に言動が悪党だろうが! 誤解されるから黙ってろ!」ゴスッ

    革ジャン「お、おえっ」

    仮面の男「シゴト熱心だねえ、時空整備課。それで、時空指名手配犯の僕を捕まえなくていいのかい?」

    黒コート「いや。今すぐにでも捕まえたいところだが。だが、事態はそれどころではないだろう」

    黒コート「まずは事態の収拾に手を貸せ。だが働き次第では、上に減刑をかけあうコトも考えよう」

    仮面の男「おお、温情痛み入る……。ありがたい。あの整備課にも良心はいた。しかもよく見れば美人だ」

    黒コート「……大丈夫か? 後ろ、ニラまれてるぞ?」

    462: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:05:41.39 ID:gCIL18dHo


    桜色の女「……このキザな仮面男のコトは、置いておいて」

    桜色の女「拙者は、通りすがりの風来坊。旅を求めて、この列車に立ち寄った者でござる」

    桜色の女「いや、この列車、すばらしいでござるなあ! 特に料理が美味でござる!」

    フロント「おや……? おかしいですね。このようなお客様には、見覚えが……」

    桜色の女「ぎ、ぎく!」

    仮面の男「そういえば。根無し草で文無しの君が、どうやってこの列車の乗車券を手に入れたんだい?」

    桜色の女「……て、鉄仮面卿! ここは拙者をおぬしの連れ、というコトにしておくでござるよ!」ヒソヒソ

    仮面の男「ん? 構わないが。……ふっ、しかしさっきの立ち合いの時の君はどこへやら」

    副運転士「お二人はお知り合いなのですか? 腕の立つ方がたくさんいらっしゃるのは、心強いです!」

    463: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:06:08.69 ID:gCIL18dHo


    魔王「そして、俺たちが最後か。俺については、数時間前も自己紹介したな? 魔王だ」

    白ドレス「アーンド、謎の白いお姉さん改め、白の大天使でーす。よろしくぅ!」ビッ

    革ジャン「おい。さっきの魔王のハナシじゃお前、今回の黒幕なんだよな? ん?」チャッ

    白ドレス「へ、私が黒幕? 何それ!? 私、今回はなにもしてないよ。清廉潔白。だ、だから銃下ろして」

    魔王「ああ、すまん……。コイツが黒幕というのは、俺の早とちりだったようだ」

    革ジャン「なんでえ。チッ!!」サッ

    白ドレス「舌打ちの音が大きい! で、まおーちゃん……。何でも私のせいとか、そりゃないよねぇ?」

    魔王「うぐ……。だが、今回は、だろう。今までお前がしてきたコトを思い出してみやがれ!!」

    黒コート「まったくだな。億万回思い出して、爪の垢ヒトカケラほどでも良心が苛むなら、自首するといい」

    464: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:06:36.88 ID:gCIL18dHo


    白ドレス「揃って同じようなコトを言わない! 仲良しかっ!!」


    副運転士「え、ええと……。とりあえず、事態に関わった普通じゃない乗客の方は、これで全員ですか?」

    運転士長「あとは我々だな。もう察していると思うが、私たちは、この列車の乗務員だ」

    車掌「こちらは、この列車の副運転士、運転士長。私は車掌です。そして……」

    ウェイター「ウェイターでーす。日雇いで雇われてる、掃除屋の中年でーす」

    ウェイトレス「ウェイトレスでーす。ドライ・ブラー号には、ごヒイキしてもらってる美少女でーす」

    料理長「皆さんの食事を任されているコックです。雑菌は即消毒、がスローガンです」

    マスター「ラウンジのマスターでございます。お見知りおきを」

    フロント「ロビーのフロントです。……さて、ではそろそろ本題に入りたいのですが」

    465: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:07:04.10 ID:gCIL18dHo


    魔王「ああ。まずは、この列車―――いや、この世界に迫っている危機についてハナシをしたい」


    白ドレス「はいはい! 詳しいコトは私から! このウソツキ冤罪野郎の魔王なんてアテにならないよ!」

    副運転士「白ドレスのお姉さん。またお会いしましたね!」

    白ドレス「へいガール、今まで頑張ったね。あとはお姉さんに任せなさいっ!」ドンッ

    魔王「お前が出てくるとハナシがこじれるから黙ってて! 疑ったのは悪かったから!」


    魔王「オホン……。まずは、この世界の現状を説明したい」

    魔王「カンタンに言うと。アポ○富士山が噴火して、世界の危機だ」

    剣使い「アポ○富士山……? さっきも聞いたが、そりゃ何だ? 富士山じゃねぇのか?」

    466: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:07:31.03 ID:gCIL18dHo


    魔王「いい質問だ。まずはアポ○富士山の来歴から説明しよう」


    魔王「富士山とは……。この日本で最大の標高を誇る山で、世界文化遺産にも登録されている霊峰だ」

    魔王「だが、今の富士山は、あれが完全なカタチではない」

    教授「何? あの台形みたいなカタチじゃないの?」

    魔王「違う。富士山の真のカタチとは、こういうモノだ。車内販売の、ちょっと、貸してくれるか?」

    副運転士「はいはーい。どうぞ」コト


          △
         △△
        △△△
       △△△△
       ▲▲▲▲▲
     ▲▲▲▲▲▲▲

    467: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:07:59.01 ID:gCIL18dHo


    銃使い「あっ、アポ○チョコレートだ」

    魔王「そうだ。だいたい誰でも知っているだろう。いわゆるアポ○だ」

    魔王「そしてコレが、アポ○富士山の真の形態でもある」

    執事「は? どう違うんですか?」

    魔王「富士山は台形だが、アポ○は三角だろう。上に三角がついた富士山こそが、アポ○富士山だ」

    弓使い「は? ちょっとついていけないけど皆ついてきてる?」


    魔王「ハナシを続けよう。古来、アポ○富士山とは台形ではなく三角だった」

    魔王「だが……。古に、血で血を洗う、ある大戦があった。神々はその争いに怒り、富士山を噴火させた」

    魔王「このままでは、世界が終わる。故にそれを防ぐため、古の大術士たちは、“最強の兵器”を作った」

    468: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:08:52.00 ID:gCIL18dHo


    教授「“最強の兵器”……?」

    魔王「大戦を終わらせたという兵器だ。別に、スゴい爆弾とかじゃないぞ」

    教授「ふうん。そこの発想は同じなんだ」

    魔王「は……? ともかく、“最強の兵器”の開発によって、大戦は終わった」

    魔王「そして、古き人間と魔族の約定……。人間と魔族が和平協定を結ぶことで、争いは終息を迎える」


    魔王「その和平協定の内容とは!!」

    魔王「―――人間と魔族が、き○この山と、たけ○この里では、もう争わないというコト!!」

    魔王「き○こたけ○こ戦争、ひいては、き○こたけ○こ大戦を起こさないというコトだッ!!!」

    副運転士「な……!!」

    469: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:09:19.67 ID:gCIL18dHo


    キノコ頭「なんだとっ? き○この山が!?」

    革ジャン「おいおいマジかよ……! ココでソレが繋がってくるのかよ!!」

    族長「思わぬところで登場したな、我らの戦いが……」

    ザワザワ ザワザワ


    魔王「え……、何? 今のとこ、アホらしすぎて絶対ドン引きされるから」

    魔王「勢いで押し切ろうと思ったんだけど……」

    魔王「むしろ、『そうだったのか!』『なるほどなー』みたいなこの空気はナニ……?」

    白ドレス「そっか……。なるほど、私にも事態の全貌が見えてきたよ」

    魔王「なんで一人でナットクしちゃってるんですかねこの天使は」

    470: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:09:47.21 ID:gCIL18dHo


    副運転士「そ、それでは、昔のヒトは……」

    副運転士「き○この山と、たけ○この里が、原因で争ったために」

    副運転士「神々の怒りを受けてしまったと……?」

    魔王「うん。そういうコトだ」


    魔王「アポ○といえば、き○この山や、たけ○この里の製造方法の元となったというお菓子」

    魔王「ゆえに神々は、上位たるアポ○富士山のチカラで、き○こたけ○こ大戦を押しつぶそうとした」

    魔王「そこで、古の大術士は、アポ○富士山の頂点の三角の部分をもぎ取り、“最強の兵器”に変えた」

    魔王「そして富士山はチカラを封印され、不完全なカタチとなり、台形の姿で知られている……」

    魔王「というのが、アポ○富士山の来歴、ひいては古のき○こたけ○こ大戦の顛末だ」

    471: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:10:15.33 ID:gCIL18dHo


    運転士長「なるほど、古のき○こたけ○こ大戦とやらのコトは、よくわかった……」

    運転士長「だがそれが、今回のアポ○富士山の噴火と、何の関係がある?」

    運転士長「ハナシによれば、“最強の兵器”とやらで、アポ○富士山は封印されたのではないのか?」

    魔王「そこだ。俺には、そこだけがわからない」


    魔王「“最強の兵器”で、アポ○富士山は封印されている。二度と噴火するハズが無い」

    魔王「だが事実、アポ○富士山は噴火した。とすれば、考えられる原因は二つ」

    魔王「まず一つ目。古の“最強の兵器”が破壊された、という可能性だ。だがそれはありえない」

    魔王「なぜなら“最強の兵器”とは、このドライ・ブラー号の動力源。今も12号車に安置されている」

    運転士長「なんだと? ……いや、それがさっき言っていた……!」

    472: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:10:43.30 ID:gCIL18dHo


    族長「……と、いうコトは、我々が狙っていたのは。魔力塊ではなかった?」

    魔王「いや、“最強の兵器”は優れた魔力塊には違いない。古の大術士たちの魔力が込められている」

    魔王「だが、間違ってもソレを持ち出そうなどとは思わぬコトだ」

    魔王「“最強の兵器”は、アポ○富士山の周囲を回遊する、この列車だからこそ安置されている」

    魔王「アポ○富士山から近すぎては魔力が集まりすぎるし、遠すぎては封印の効力が薄れるからな」


    魔王「まあ、ドライ・ブラー号の動力源は優れた魔力塊だ、というウワサが独り歩きしすぎて」

    魔王「この列車を狙う魔族が後を絶たないが……。そこはそれ、防衛をコイツに一任している」

    マスター「ワタクシです。もちろん、この列車の乗務員は、皆精強。ワタクシだけのチカラではありません」

    族長「な、なるほど……」

    473: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:11:14.62 ID:gCIL18dHo


    魔王「しかし、“最強の兵器”は今もココにある。なら、アポ○富士山の噴火の原因とは、何か」

    白ドレス「そう! 考えられるのは、二つ目の原因」

    白ドレス「“き○こたけ○こ戦争が再び勃発したんじゃないか”……」

    白ドレス「だよね? まおーちゃん」

    魔王「そうだ……。しかし、これも。そんな馬鹿げたコト、あるハズが……」


    キノコ頭「…………」

    革ジャン「…………」

    族長「…………」

    魔王「なぜアイマイな表情で沈黙しているっ」

    474: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:11:41.59 ID:gCIL18dHo


    副運転士「あの……、魔王さん?」

    魔王「なんだ?」

    副運転士「実はこの列車の騒動の原因、き○こたけ○こ戦争です」

    魔王「なんだとっ!!?」


    魔王「……ははあ。ああそう、ああそういう……。うんうん」

    魔王「うーん。え、マジで?」

    白ドレス「大マジだよ。まおーちゃん。き○こたけ○こ戦争が中心なのは、私にも見えてたけど」

    白ドレス「まさか、最後のアポ○富士山の噴火の原因まで、き○こたけ○こ戦争とはなー」

    魔王「うっわー、頭イタくなってきた……」

    475: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:12:09.35 ID:gCIL18dHo


    白ドレス「そこで私は、ある一つの結論に行き着いた」

    白ドレス「今、封印の要たるこの列車では、き○こたけ○こ戦争が起こっていた」

    白ドレス「それは、人間と魔族が、き○この山と、たけ○この里では、もう争わない、という」

    白ドレス「古き人間と魔族の約定を根底から揺るがすモノ。ゆえに“最強の兵器”はチカラを失った」

    白ドレス「だから、封印が徐々に解かれ、アポ○富士山が噴火した……」


    白ドレス「ってところかな?」

    副運転士「う……。ニワカには信じがたいハナシですが……」

    魔王「そう考えると、ガテンがいく……。いっちゃう」

    車掌「まさか、き○こたけ○こ戦争が、諸悪の根源だったとは……」

    476: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:12:40.72 ID:gCIL18dHo


    ヒーロー「すまない。ややこしすぎて意味がわからないのだが」

    副運転士「そ、そうですね。では情報をまとめましょう。ホワイトボード、あります?」

    車掌「ここに」


        1.昔、古のき○こたけ○こ大戦を、神々がアポ○富士山の噴火で止めようとしたので封印した

        2.アポ○富士山を封印したのは、古の大術士たちの“最強の兵器”である

        3.“最強の兵器”とは、現在のドライ・ブラー号の動力源である

        4.しかし、き○こたけ○こ戦争で封印のチカラが弱まったため、アポ○富士山がまた噴火した


    副運転士「こんなところでしょうか……」キュッ

    477: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:13:33.17 ID:gCIL18dHo


    桜色の女「おお。字がキレイでござるな」

    副運転士「あ、ありがとうございます」

    仮面の男「それは状況を理解していないがゆえの指摘だな、君」

    桜色の女「難しいコトはよくわからんでござる」


    桜色の女「しかし。肝要なのはコトの仔細、その把握ではなく」

    桜色の女「今、拙者たちは何をすべきなのか、ではないでござるかな?」


    副運転士「む。たしかに……。魔王さん、私たちはいったいどうすれば?」

    魔王「そうだな。もう一度言うぞ。今、アポ○富士山が噴火して、世界の危機だ」

    478: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:14:01.49 ID:gCIL18dHo


    魔王「そも、アポ○富士山の噴火とは、神々の怒り……」

    魔王「き○こたけ○こ大戦ごと世界を押し流す、という物騒極まりないモノだ」

    黒コート「もうちょっと別の方法は無かったのか? 神々というのは」

    白ドレス「だって神々だからね。脳ミソまで筋肉だよ」

    魔王「お前に言われたかないーっ」


    魔王「そして、俺たちは何をすればいいか? これは単純明快だ」

    魔王「まず、アポ○富士山の噴火の原因。“最強の兵器”の封印のチカラの弱まり」

    魔王「これを解決しなくてはならない」

    副運転士「つまりソレは、具体的に言うと……?」

    479: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:14:29.80 ID:gCIL18dHo


    魔王「き○こたけ○こ戦争の休戦」


    キノコ頭「……!」

    革ジャン「なるほどね」

    族長「ほう……」


    魔王「“最強の兵器”の封印のチカラの弱まりは、この列車で起こったき○こたけ○こ戦争が原因だ」

    魔王「だから、まずはその休戦。そして和解」

    魔王「その後、世界からき○こたけ○こ戦争が無くなるよう、しかるべき措置を施すのが理想的だ」

    キノコ頭「だが、待て! 俺たちは確固たる理想を持ってき○こたけ○こ戦争に参加している!」

    480: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:14:59.04 ID:gCIL18dHo


    キノコ頭「なのに、急に和解しろなどと言われても!」

    魔王「お前らかよ原因は。とっとと和解しろや」

    族長「だが、魔王様……。俺もアル○ォート派として、一言物申したい」

    魔王「あっ、そうかお前らアル○ォート派か! こじれてきたなぁ」


    族長「我らのチョコ菓子を愛する気持ちはホンモノ。だからこそ、お互いを認めろなどと……」

    族長「そのようなコトは不可能だ。俺も、アル○ォートこそが至高だと信じている」

    魔族A「そうだそうだー!」

    キノコ頭「笑止。俺たちは、き○この山こそが最強と主張する。その思いに揺るぎは無い」

    魔王「はぁー……、やっぱ根深いんだな、こういうの。たかがき○こたけ○こ戦争と侮ったか」

    481: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:15:26.75 ID:gCIL18dHo


    副運転士「しかし、ここは和解してもらわないと……。それも心から」

    副運転士「そうでないと、アポ○富士山の噴火は止まらないんですよね?」

    魔王「ああ。まずは封印のチカラを復活させないコトには……」


    教授「―――ちょっといい?」

    魔王「なんだ? ヘンクツそうなガキンチョ」

    教授「ヘンクツそうは余計だ。その、封印のチカラの主、“最強の兵器”って言った?」

    魔王「ああ。具体的には、アポ○富士山の頂点にあった、三角の部分。あれこそが“最強の兵器”だ」

    魔王「今も12号車にはアポ○富士山の頂点にある三角の部分が存在するってワケだな」

    教授「そう。古の大戦を止めた発明も、“最強の兵器”……。これも何かの因果なのかな」

    482: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:15:55.79 ID:gCIL18dHo


    教授「みんな、聞いてください」

    教授「私は教授と呼ばれている、若き天才科学者です。発明とかやってます」

    執事「自分で言いますか、お嬢様」

    教授「私は先日、たけ○こ派から、ある依頼を受けました。その内容は――――」


    教授「き○こたけ○こ戦争を終わらせる、“最強の兵器”を開発するコトです」


    族長「……!」

    キノコ頭「…………」

    魔王「えっ、“最強の兵器”? 同じ通称!?」

    483: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:16:24.22 ID:gCIL18dHo


    教授「はい。き○こたけ○こ大戦を止めるのは、いつの時代も“最強の兵器”、というコトなのでしょう」

    教授「き○こたけ○こ戦争に勝利する、のではなく、終わらせる。私はそう依頼を受けました」


    教授「そして、私には。その“最強の兵器”の、具体的なプランがあります!!」


    キノコ頭「なんだと! それは本当か!?」

    族長「明日の、いや、日付で言えば今日。オーサカで、発表されるという……」


    執事「ああ、また大ボラを……。“最強の兵器(仮)”は、まだアイデアの一つも出ていないのに……」

    教授「…………」ニヤ

    執事「……?」

    484: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:16:51.41 ID:gCIL18dHo


    執事「あれ、ちょっと待て。さっきから仰っているのは、“最強の兵器(仮)”じゃなく、“最強の兵器”……」

    執事「というコトは、まさかお嬢様、本当に“最強の兵器”のプランが組み上がっている!?」

    教授「ええ、その通り。この発明は、き○こたけ○こ戦争を止め……」

    教授「き○こたけ○こ大戦の勃発を阻止する、神の一手」


    教授「今日の昼のオーサカでの発表会で、私は、現代の“最強の兵器”を公開する」

    教授「その内容は、き○こ派、たけ○こ派の双方がナットクできるモノであり……」

    教授「かつ、き○こたけ○こ戦争をココで終わらせるモノだと、私は約束しましょう!」


    キノコ頭「…………」

    485: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:17:19.62 ID:gCIL18dHo


    キノコ頭「……信じていいんだな?」

    教授「ええ。誓えるモノは無いけど、この私を信じなさい」

    キノコ頭「…………」


    キノコ頭「……わかった。その言葉、信じよう。教授」

    テロリストA「いいんですか? リーダー」

    キノコ頭「ああ。あの小娘が今日の昼、何を発表するのか。それを見届けてからも遅くはあるまい」


    革ジャン「あ、先に言っとくけど、俺はたけ○こ派をそこまで強硬に主張する気は無いからなー」

    黒コート「誰も聞いてないぞ。ハナシがこじれるようなコトを言うな」

    486: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:18:09.08 ID:gCIL18dHo


    族長「そうか……。俺のアル○ォートへの思いは変わらぬ」

    族長「だが俺もその発表会、馳せ参じよう。貴様が何を発表するのか、小娘」

    教授「人間でも魔族でも、誰でも来なさい。目にモノ見せてあげる」フフン


    族長「ああ。だがそれは今は関係の無いコト。魔王様、ハナシを続けてください」

    魔王「わかった」


    魔王「この列車におけるき○こたけ○こ戦争は、一旦和解、というコトでいいな?」

    魔王「なら、古の“最強の兵器”の封印は、徐々に復活するハズだ。放っておけば問題ない」

    魔王「だが……。現在、既にアポ○富士山は噴火を始めている。それも止める必要がある」

    487: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:18:35.98 ID:gCIL18dHo


    ウェイター「たしかに、アポ○富士山の山頂から、煙が出ていたなあ。悪化するとどうなる?」

    魔王「おそらく、火砕流、土石流、火山弾が世界を覆い尽くす」

    副運転士「……! それは、もしかして……」


    冥王「―――エンマ帳に書かれている死亡理由と、同じこと。ですなあ」ザッ


    運転士長「……! 何者だ!?」

    副運転士「士長! あの男のヒトが、私の会った、冥王さんです!」

    運転士長「何、彼が……!?」

    冥王「乗務員さん、さっきぶりですなあ。皆さん、冥界を管理してる冥王です。よろしゅう」

    488: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:19:03.91 ID:gCIL18dHo


    魔王「冥王。何かあったか? どうして出張ってきた?」

    冥王「そら、魔王はん。あのアポ○富士山がやっぱり噴火したて、聞いたさかい」

    冥王「わてもアポ○富士山の封印に立ち会った一人やからなあ。気にならへん言うたら嘘になる」

    魔王「なるほど……。そうか、ならチカラを貸してくれ」


    冥王「情報の共有はどこまで?」

    魔王「アポ○富士山の噴火の原因が、き○こたけ○こ戦争であるコト」

    魔王「最終的に、アポ○富士山を物理で止める必要がある、というコトまでだ」

    冥王「なるほど。ほぼ全部ですか。エンマ帳に書かれていることが現実になってもうたら、困るやろなあ」

    副運転士「その、エンマ帳に書かれているコトは……。覆せるんですか?」

    489: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:19:31.33 ID:gCIL18dHo


    冥王「基本的には無理や。せやけど、発行者が内容を改変するなら、その限りやない」

    副運転士「……! それはつまり?」

    冥王「天界のもんに内容を書き換えさせる、いうことやなあ」

    魔王「さて。この中で天界の者、というと……」


    白ドレス「げ! 私ぃ?」

    魔王「そうだ。アポ○富士山を物理で止めるコト。お前も協力してもらうぜぇ……」ガシ

    白ドレス「ひーん。私はただ、年末年始の旅行を楽しみに来ただけなのになあ……」

    革ジャン「けっ、本当かよ」

    黒コート「それはいちおう、本当だ。私が保障できる」

    490: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:19:59.49 ID:gCIL18dHo


    革ジャン「なんでお前が保障するんだよ……」


    魔王「さて。天界の者がエンマ帳に書かれているコトを打ち消す行動をすれば、エンマ帳は効力を失う」

    魔王「つまり、このドライ・ブラー号の乗員乗客は、誰も死なずに済むというワケだ!!」

    ウェイトレス「ひゃっほーう。生きれるのバンザーイ」


    冥王「ただし、一つだけ注意点があります」

    冥王「エンマ帳に書かれているコトは、内容が消えるまでは、絶対。効力を失いまへん」

    冥王「そして、このエンマ帳の今日の分の有効期限は、当然今日まで……」

    冥王「冥界の基準で言うたら、次の朝日が昇るまで、いうことになります」

    491: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:20:30.06 ID:gCIL18dHo


    副運転士「というコトは……?」

    魔王「ああ。エンマ帳の書き換えが有効なのは、次の朝日まで」

    魔王「つまり、初日の出までに、すべての決着をつける必要がある!!」


    ヒーロー「なるほど。わかりやすくなってきたな」

    小型メカ「つまり、き○こたけ○こ大戦の勃発を止めるには……」

    小型メカ「あとは、朝までにアポ○富士山の噴火を止めればいいと」


    桜色の女「ここまで理解しやすくなれば、拙者にもわかるでござるよ」

    仮面の男「ああ。アポ○富士山の噴火を物理で止める……。それだけだ」

    492: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:21:24.18 ID:gCIL18dHo


    副運転士「しかし、物理で止める、と言っても、どうやって?」

    副運転士「やっぱりアポ○富士山に向かってビームでも撃ちますか?」

    魔王「ううん。俺一人がビーム撃っても、たかが知れてるしなあ……」


    冥王「…………」

    冥王「……これは、“あの機能”を使う時が来たようですなあ」

    副運転士「“あの機能”? それはいったい……」


    冥王「きたるべき、再決戦の日に備え、大術士たちが遺した、最後の遺産」

    冥王「―――“最終決戦艦ドライ・ブラーモード”の起動です」

    493: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:21:51.58 ID:gCIL18dHo


    運転士長「さ。最終決戦艦……」

    車掌「ドライ・ブラーモード!!?」

    副運転士「な、なんですか? そのいかにも、変形しそうなカンジの名前は!!」

    冥王「なんでもなにも、文字通りの意味です」


    冥王「かつて、古の“最強の兵器”を作った大術士は、あることを恐れました」

    冥王「き○こたけ○こ大戦の再びの勃発です」

    冥王「もしまたアポ○富士山が噴火したら、自分たちのおらんそん時は、始末がつけられへん……」

    冥王「せやから、自分たちの代わりにと、ある列車をこの世界に遺しました」

    冥王「それが、このドライ・ブラー号。そして“最終決戦艦ドライ・ブラーモード”いうわけです」

    494: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:22:18.61 ID:gCIL18dHo


    副運転士「は、はんなりした言い方で、何ロボティクスなコト言ってるんですか」

    冥王「おや、興味あらへん? おもろいよ? ロボット」

    車掌「もしやその最終決戦艦ドライ・ブラーモードとかいうの、最初に言い出したの、このヒトじゃ……」

    運転士長「ううむ……。私はドライ・ブラー号の運転を開始から見てきたが」

    運転士長「とすると、その古の大戦とは、案外最近のコトなのか……?」

    魔王「まあ、き○この山やたけ○この里が既にあるくらいだからな」

    魔王「人間の時間感覚は、俺たち魔族には正直よくわからんが」


    副運転士「と、ともかく……。そのモードを起動できれば、アポ○富士山を止められると?」

    副運転士「だったら、さっさと起動しちゃいましょう! そしてアポ○富士山をやっつけましょう!」

    495: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:22:46.35 ID:gCIL18dHo


    冥王「血が騒ぐなあ。でも、その前にやらなあかんことが一つある」

    副運転士「やらなければいけないコト?」

    冥王「そう。最終決戦艦となったドライ・ブラー号を操縦する、艦長の存在を探すことや」


    運転士長「艦長か……。このドライ・ブラー号の責任者は私だが、あいにく戦艦の操縦経験はな」

    マスター「そのような機能があると知っていれば、ワタクシが勉強しておいたのですが……」

    車掌「これは、困りましたねえ。一介の一般人である私たちには、どうにも」

    副運転士「むむ……。艦長、戦艦……。そういえば一連のどこかで、誰が言及してませんでしたっけ?」


    桜色の女「……?」

    496: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:23:14.60 ID:gCIL18dHo


    桜色の女「ああ、それなら。拙者のコトではござらんか?」

    副運転士「え? 剣士さん、もしや戦艦の操縦経験が?」

    桜色の女「あいや、操縦したのが拙者、というコトではなく。言及したのが、というコトでござる」


    桜色の女「たしかに拙者は言ったでござる。あの男を戦艦ごと落としたコトがある、と」

    仮面の男「……待ちたまえ、君。それは、もしかすると。いや。もしかしなくても……」

    桜色の女「そう! このムッツリ仮面のコトでござる!」ババーン

    仮面の男「君に言われたくはないのだがね!?」


    副運転士「ええっ! 仮面さんが……、戦艦を……?」

    497: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:23:42.13 ID:gCIL18dHo


    仮面の男「ああ……。実は、ちょいと戦艦を調達して、小さな国を征服に乗り出したコトがある」

    仮面の男「その時は彼女に嗅ぎつけられて、出航少しした後に戦艦ごと爆散、となったがね」

    桜色の女「へへへ。やりすぎちゃったでござる」

    副運転士「やりすぎちゃったって規模ですか……? いや、ともかく!」


    副運転士「仮面さん! お願いします、ナントカモードの操縦をお願いできませんか!?」

    仮面の男「おお……。麗しき女性の頼みは、断りがたい……」

    仮面の男「いや、しかし……。僕は決闘の直後。満身創痍でね。体力の使う戦艦の操縦などは……」

    教授「変態仮面。私からもお願いしたい」

    仮面の男「喜んでぇっそれでも呼びたければ教授さん!!!」

    498: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:24:09.22 ID:gCIL18dHo


    教授「ああもう、その名前でいいよ……」

    桜色の女「現金な奴でござるなあ」

    副運転士「良かった……! ありがとうございます、仮面さん!」


    運転士長「しかし、そのモードの起動は、いったいどうやって……?」

    冥王「もうええの? それやったら、運転室に赤い自爆スイッチがあるやろ? それを、ポチっとな」

    運転士長「じば……? あの、謎の赤い!?」

    冥王「ああ、安心してええで。間違って押さんよう、自爆スイッチとか言うてるだけやし」

    冥王「そんなん、ほんまに自爆するためだけのスイッチなんかつけるわけないやん! あっはっは」

    運転士長「た、たしかにそうだな……。それでは、さっそく起動してくるとしよう」

    499: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:24:37.62 ID:gCIL18dHo


    ――1号車【展望車・前】 運転室


    副運転士「運転室は、無事でしたか……。展望室に大穴開いたし、もうダメかと」

    運転士長「ここまで侵入されたコトも、たびたびあったがな……。おっと、コレだな」
    no title

    500: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:25:04.18 ID:gCIL18dHo


    副運転士「うわ、胡散くさ……。コレ、本当に押すんですか?」

    運転士長「う、うむ……。だが、それも安易に押さないための対策というコトらしい」


    運転士長「まあ、イチかバチかだ!」ポチ


    副運転士「…………」

    運転士長「…………」


    副運転士「何も、起きませんね……」

    運転士長「ああ、そうだな……」

    ゴウン!!!

    501: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:25:32.03 ID:gCIL18dHo


    副運転士「え? 今――――」


    アナウンス『―――対アポ○富士山決戦仕様、起動要請、確認』

    アナウンス『―――最終決戦艦ドライ・ブラーモードを起動します』

    アナウンス『―――これより本艦は空中に浮上します。急な揺れにご注意ください』


    ゴウンゴウン ゴウンゴウン

    運転士長「く……? いったい、何が……」

    副運転士「あ、士長! 窓の外見てください、窓の外!」


    運転士長「……な―――に? まさか、そんな―――!」

    502: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:25:59.69 ID:gCIL18dHo
    no title

    503: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:26:26.81 ID:gCIL18dHo
    no title

    504: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:26:55.93 ID:gCIL18dHo
    no title

    505: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:27:24.53 ID:gCIL18dHo
    no title

    506: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:27:52.59 ID:gCIL18dHo
    no title

    507: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:28:20.30 ID:gCIL18dHo


    副運転士「ド、ドライ・ブラー号が……」

    運転士長「飛んだぁぁぁぁぁぁっ!!?」


    冥王「いや、それだけやあらへん」ザッ

    副運転士「冥王さん!」


    冥王「最終決戦艦モードとなったドライ・ブラー号は、並外れた戦闘能力も有しとる」

    冥王「たいていの障害物は撃ち落とす主砲を始め、小うるさいハエを叩き落すアーム」

    冥王「機関砲、光線砲、数十門……。極めつけは、一日一発だけの、とっておきの切り札や」

    副運転士「とっておきの切り札や、じゃありませんよいったい何言ってるんですか!?」

    508: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:28:52.07 ID:gCIL18dHo


    冥王「でも、この艦なら、アポ○富士山を倒すことが出来る」

    冥王「もはや最終決戦艦ドライ・ブラーモードを使う以外に道はない、いうことやな」

    副運転士「そんな~」


    白ドレス「ところで――そんな装備で大丈夫かな?」パチーン


    ドクン…


    副運転士「え……?」

    運転士長「白ドレスの女!」

    白ドレス「さて、エンマ帳の打破には、天界のチカラが必要と言ったかな? ならば私もチカラを貸そう」

    509: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:29:18.27 ID:gCIL18dHo


    白ドレス「戦艦に翼! なかなか良いシュミしてるね! だから今、私は、戦艦の翼に加護を与えた!」

    白ドレス「それは、不沈の加護! 墜落するという運命を覆す、“再び羽ばたく”ための翼!」

    副運転士「え? いったいどういうコトなんですか!」


    白ドレス「人が持つ唯一絶対の力――それは自らの意思で進むべき道を選択する事だ」

    白ドレス「ほぼ全知の私だからこそ知り得るコトだけど、ある世界の堕天使は言った」

    白ドレス「君は常に人にとって最良の未来を思い、自由に選択していけ」


    白ドレス「さあ! キザハシの向こう側の世界はすぐそこに! クズカゴだってカっ飛ばしていけ!」

    白ドレス「神じゃなくとも私が言おう―――! 全てを救え、と―――!!」

    副運転士「だからどういうコトなんですか――――――ッ!!!」

    510: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:29:46.50 ID:gCIL18dHo
    no title

    511: ◆9xXTDlz//k 2017/12/30(土) 18:30:18.59 ID:gCIL18dHo
    第八章「未明・後」は以上になります。
    ドライ・ブラーのスペルは「DRI BLAH」。墜落する、の反対です。

    最終章は、少し文章量が多いので、時間を早めて
    明日12/31(日)の17時ごろ開始の予定です。

    512: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/12/30(土) 18:53:55.89 ID:XYoaSOkX0
    魔王「アポ○といえば、き○この山や、たけ○この里の製造方法の元となったというお菓子」

    そーなの?


    ドライ・ブラー、名前意味あったんだな
    戦場になって廃墟になって戦艦になって空飛んで…
    他の乗客達は驚いているだろうな

    513: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:01:22.03 ID:ZeTj+wVPo
    らしいですね、公式ホームページに載ってあります。

    それでは、最終章「薄明」を開始します。
    100レスほどの予定です。

    514: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:01:59.37 ID:ZeTj+wVPo
    no title

    515: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:02:30.72 ID:ZeTj+wVPo
    no title

    516: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:02:57.68 ID:ZeTj+wVPo


    ――1号車【展望車・前】


    副運転士「発進してから、かれこれ二時間は撃ち合っていますが……」

    運転士長「一向にラチが開かないな」


    黒コート「一気に突撃してアポ○富士山を沈黙させるコトは出来ないのか?」

    仮面の男「不可能だね」


    仮面の男「叩くとすれば、火山弾やら一切合切を放っている火口だが……」

    仮面の男「あまり火口に近づきすぎると、艦全体を覆うシールドが破壊される」

    仮面の男「だからこうして中距離からチマチマと砲撃せざるを得ないんだ」

    517: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:03:23.54 ID:ZeTj+wVPo


    冥王「さすがに火砕流や土石流は空中に飛んでこおへんやろうし」

    冥王「エンマ帳に書かれとることが実行されるとしたら、原因は十中八九、火山弾やろうからなあ」

    車掌「防護シールドを放棄して、特攻に転じるコトは……」

    車掌「アポ○富士山にみすみす弱点を晒すも同じ……」

    黒コート「それで決め手に欠ける攻撃を続けざるを得ない、というワケか」

    革ジャン「くそっ。しゃらくせえな」


    運転士長「……だが、そう悠長なコトを言っていられる状況でもなくなったようだぞ」

    副運転士「え?」

    運転士長「窓の外を見てみなさい」

    518: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:03:50.89 ID:ZeTj+wVPo
    no title

    副運転士「あれは、アポ○富士山の向こうに見えるのは……」

    車掌「朝日……!!」

    魔王「くそっ、タイムリミットが迫ってるってコトかよ!」

    519: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:04:17.77 ID:ZeTj+wVPo


    冥王「さっきも言うたとおり、朝日が昇りきれば、冥界での一日は終わりです」

    冥王「となれば、今日の分のエンマ帳の事項は確定。わてらの敗北や」

    魔王「そういうワケにはいかねえだろうがぁッ! この列車の乗員乗客の命がかかってんだぞ!?」

    副運転士「魔王さん……」

    白ドレス「ふむ……」

    no title

    副運転士「っ……?」

    運転士長「こ、今度はなんだ!?」

    520: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:04:49.42 ID:ZeTj+wVPo


    ピー ピー

    仮面の男「警報アラーム……? この反応は甲板からか」

    仮面の男「今の音は、この艦の甲板に火山弾が直撃した衝撃音らしいが」

    仮面の男「どうやらそれだけではないらしい」


    副運転士「それだけではない? とは……」

    車掌「直接甲板に出て確認したほうが早いでしょう。皆さん、ついてきていただけますか?」

    桜色の女「承ったでござるよ」

    冥王「甲板は元の1号車の屋根の部分。つまり、この上の大穴を抜けた先や」

    仮面の男「ああ、ただし運転士長と副運転士くんはココに残ってくれ。オペレーターが必要だ」

    521: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:05:17.19 ID:ZeTj+wVPo


    ――アポ○富士山 甲板


    車掌「っ……。何だ、コイツら……!?」


    アポ○モンスターたち「「「アポ○、ポ○ポ○ポ○―――!!!」」」


    執事「甲板に着弾したアポ○型の火山弾が意思を持って動き出している!?」

    教授「きもちわるっ!」

    剣使い「だが……。コイツらがアポ○富士山の子機だってのなら、放置するのはマズいんじゃねぇか?」

    弓使い「そうだね。今にも、襲いかかってきそうな感じだし」

    銃使い「敵? なら、倒す」

    522: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:05:44.55 ID:ZeTj+wVPo


    桜色の女「この列車には一飯の恩義もある。その借り、ここで返すでござるかな」

    キノコ頭「おい! お前たちが持っている余りの弾薬はあるか? あるなら貸せ!」

    車掌「仕方がありませんね。格納庫から持ってきた予備の弾薬ですが、良ければ」

    族長「チョコなど炎で溶かせば消える。何、造作もあるまいよ」


    ヒーロー「元来ヒーローとは孤独に戦うモノなのだがなっ! とうっ!」ドゲシ

    アポ○モンスター「ポ○ポ○ポ○―――!」

    革ジャン「ちっ、数が多いのが面倒だな。センパイ、バイクで轢き殺せねえか!?」バンバンバン

    黒コート「バイクならさっき1号車に激突してオシャカだ」

    小型メカ「何か奴らを一掃できる手段でもあればいいのですが……」

    523: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:06:12.21 ID:ZeTj+wVPo


    料理長「この一戦に乗客の命が懸かっている、か……。責任重大だね」

    マスター「―――我が腕よ。お前は、この時のために、俺と共にいたのか?」

    フロント「では、私は使い慣れたハルバードで……。ふふ、この子もうずいています」


    魔族A「あれ……? そういえば、魔王さまはどこに?」

    テロリストA「冥王や、白の大天使とかいうのもいないな」

    ウェイター「冥王さんなら、1号車に残って士長たちと話してるのを見たぞ?」

    ウェイトレス「待って……。なんだろう、アレ。空の上」


    車掌「……っ! あ、アレは――――――!?」

    524: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:06:43.68 ID:ZeTj+wVPo


    ――1号車【展望車・前】


    副運転士「―――“ドライ・ブラー砲”?」


    冥王「ああ。言うたやろ? ―――この艦の、とっておきの切り札」

    冥王「12号車の“最強の兵器”こと魔力塊のエネルギーを利用した、特大ビーム砲や」

    運転士長「魔力塊のチカラを使えば、そんなコトが……」

    冥王「発射位置は船首から。火山の火口かて吹き飛ばせる、文字通りの必殺の一撃や」


    冥王「せやけど、撃てるのは、一日一回。魔力塊の魔力供給量から言うて、それ以上は無理」

    冥王「溜めの時間も大量に食う、つまりイチかバチかの秘蔵っ子いうわけや。どや、使ってみるか?」

    525: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:07:34.48 ID:ZeTj+wVPo


    白ドレス「使ってみるも、何も。やるしかないでしょう!」

    副運転士「本気ですか!?」

    仮面の男「キマリだね」


    白ドレス「そうと決まれば、まおーちゃん、冥王くん! 行くよ!」

    魔王「は? 行くってどこに!?」

    白ドレス「アポ○富士山の上空だよ。私たちで、ドライ・ブラー砲を撃つための隙を作る必要がある!」

    冥王「我ら三界の力を以てすれば、不可能ではありまへんか。さて、わても本気出しますかな」

    仮面の男「役者は揃った! これよりドライ・ブラー砲でアポ○富士山を沈黙させる! 最後の戦いだ!」

    副運転士「えぇ……。どうなっても知りませんよーっ!!?」

    526: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:08:01.65 ID:ZeTj+wVPo


    ――アポ○富士山 上空


    魔王「よ……っと!」


    魔王「ひゅう、いい眺め! これが富士山頂から見るご来光ってやつか!」

    冥王「そのご来光を、山頂で待っていた人々は……。すべて避難を終えたはりますか」

    冥王「ならば、わても本気を出せるいうもんです」


    魔王「あれ? そういや、お前が戦ってるところは見たコト無いな。どうやって戦うんだ?」

    冥王「ふふ……。冥界の王とは、死の管理者。決定権は無くとも、裁決は絶対です」

    冥王「で、あれば。飛んでくる火山弾を“殺す”ことくらい、造作もありまへんよ」

    527: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:08:28.68 ID:ZeTj+wVPo


    白ドレス「おおーっと! 私もいるよー」

    スイーッ


    魔王「おうおう。見事に翼もがれてんなあ。ラウンジのマスターは強かったろ?」

    白ドレス「なに、彼、まおーちゃんの知り合い? どーりで殺意むき出しだと思った!」

    白ドレス「だったら君から言っておいてよ! 天界の神々や天使は、もっと敬えって!」

    魔王「ははは。俺たちは、その恩恵以上に、メイワクかけられてるコトのほうが多いからな」

    白ドレス「むう! じゃあちょっと、大天使っぽいとこ、見せちゃおっかな!」

    白ドレス「しっかし、ラウンジの彼。この事態を見越して乗せるとは。まおーちゃんも抜け目が無いなあ」

    魔王「何……?」

    528: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:08:56.81 ID:ZeTj+wVPo


    白ドレス「じゃあ、おしゃべりはこのへんで! さっそく攻撃を仕掛けるとしますか!」


    白ドレス「いと高き天界の神々よ! この白の大天使の声に応え、天雷を授けたまえ!」

    白ドレス「え? 自分たちの山に雷落としたくないって? 知らなーい! そーれっ、自業自得だー♪」

    ドシャァァァァン!!!


    魔王「うおっ、始まったか……。じゃあ、俺も負けていられねえな!」

    魔王「碧夕の名の下に命じる! 光よ此処に、舞い戻れ! 以下略! おらあっ!!」

    ドドドドドン!!!


    冥王「やれやれ……。お二人さん、やることが派手ですなあ……」

    529: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:09:23.31 ID:ZeTj+wVPo


    ――アポ○富士山 甲板


    車掌「魔王と冥王と大天使の、お三方が上空で火山弾を迎撃している!?」

    教授「あれが神々に準ずる者たちの本当のチカラってワケか……!」


    アポ○モンスターたち「「「アポ○、ポ○ポ○ポ○―――!!!」」」バッ

    剣使い「よっと! コッチの戦いも、大変なんだけどなっ!」キン

    弓使い「ちょっと目ざわりだよ! そらっ、一斉掃射!!」ババババッ

    アポ○モンスターたち「「「ポ○ポ○ポ○ポ○ポ○ポ○ポ○!!?」」」

    執事「チャンスだ、アポ○たちの動きが止まりました! 仕留めるなら今です!」

    530: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:09:50.33 ID:ZeTj+wVPo


    銃使い「ありったけの爆弾! 食らえ!」ブンッ

    キノコ頭「全弾、撃ち尽くせ!!」バラララララ

    革ジャン「集中砲火だああああああ!!!」ドンドンドンドン

    族長「食らえ、炎! 燃えて溶けて弾けて吹き飛べ!!!」ボオッ

    no title

    531: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:10:17.98 ID:ZeTj+wVPo


    アポ○モンスターたち「「「ポ○ポ○ポ○ポ○ポポ○ポ○―――!!!」」」

    小型メカ「アポ○たちが、熱にやられて、溶けて消えていきます……!」

    ヒーロー「まだ終わらんよ! 今、この列車の魔力を借りて、必殺の!!」ボオオオッ

    黒コート「なんで不死鳥のオーラをまとってるんだ、ちょっと、お前!」
    no title

    532: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:10:47.49 ID:ZeTj+wVPo


    ヒーロー「ドライ・ブラー・フェニックス―――!!!」


    ズガァァァァン!!!!!!


    アポ○モンスターたち「「「ポ○、ポ○、ポ○、ポ○……ポ――――――」」」スウウゥ


    桜色の女「あ、消えていったでござる」

    料理長「でも、今のフェニックスの余波が、上空にまで……!」

    フロント「それだけじゃありません! 列車の魔力に反応したのか、アポ○富士山から火柱が……!」

    車掌「なんだって!?」

    マスター「…………」

    533: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:11:14.82 ID:ZeTj+wVPo
    no title

    534: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:11:59.36 ID:ZeTj+wVPo


    ――アポ○富士山 上空


    魔王「うおっ、アチチッ! 不死鳥!? それになんだ、アポ○富士山から火柱が!?」

    冥王「あかん! ドライ・ブラー号が、呑み込まれるでぇ!!」


    魔王「ふざけるな……、ここまで来て……」

    魔王「させるかよォォッ!!!」


    魔王は展開していた魔法陣をすべてかき消し、魔力を自らの周囲へと回帰させる。
    そして、詠唱と共に、アポ○富士山上空に現れるは――――


    魔王「火柱がなんだっ! 異次元に飛びやがれぇぇぇ!!!」

    535: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:12:25.75 ID:ZeTj+wVPo


    冥王「アポ○富士山上空に空間の穴を作って、火柱を異次元に!?」

    冥王「どんな修行積んだら、一介の魔族がこんな大技使えるんや……!?」


    冥王「おっといかん、魔王の魔法陣が無くなった今、火山弾は元気に飛んできよる……」

    冥王「せやったらわてが、魔王の代わりせな、なあ!!」


    冥王が一言呪詛を呟くたびに、飛来する火山弾が一つ、また一つと“殺される”。
    これこそが、冥王の使う、万物を“殺す”冥界の秘技であった。


    魔王「くそっ、だが火柱が立ったままじゃあ、ドライ・ブラー号がアポ○富士山に近づけねえ……!!」

    白ドレス「……ふむ」

    536: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:12:53.43 ID:ZeTj+wVPo


    白ドレス「―――ドライ・ブラー号の主砲による砲撃。歴戦の戦士たちによる迎撃」

    白ドレス「加えて冥王の呪詛。これらによって、アポ○富士山が放つ火山弾はかき消える」


    冥王「な……!?」


    白ドレス「そして、突如アポ○富士山から立ち昇った火柱。神々が遺した、最後の防衛装置か」

    白ドレス「しかしこれも魔王が全魔力を投じた異次元転送によって、目下の危機は見送られる」


    魔王「なん……」


    白ドレス「―――だが、まだ足りない」

    537: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:13:20.85 ID:ZeTj+wVPo


    白ドレス「アポ○富士山は、まだその機能を停止していない」

    白ドレス「機能を停止させるには、すべてを無に帰す絶対破壊の一撃が必要」

    白ドレス「しかし、その一撃を放つには、機能の停止した隙が必要」


    魔王「お前、何を……」


    白ドレス「そう。ムジュンだ」

    白ドレス「アポ○富士山を止めるのに必要な攻撃には、アポ○富士山が止まるほどの隙が必要」

    白ドレス「これでは道理に沿わない。能わない」


    白ドレス「なら、何故このようなムジュンが発生するのか?」

    538: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:13:48.10 ID:ZeTj+wVPo


    白ドレス「それは、アポ○富士山のチカラが、神々の権能であるからだ」

    白ドレス「人間や魔族たちと神々の間には、絶対的なチカラの差が存在する」

    白ドレス「ゆえに、外界の者たちは、甘んじてそのムジュンを受け入れるしかない……」


    白ドレス「だが、そんなムジュンを、果たして生きとし生ける者たちが許容するか?」

    白ドレス「少なくとも私は知らない。神々に屈しおもねる外界の者たちなど、私は知らない」

    白ドレス「では、小さき者たちはどうしたか?」

    白ドレス「答えはカンタンだ。―――神をも殺し得る武器を、自らの手で鋳造した」


    魔王「……!!」

    539: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:14:15.43 ID:ZeTj+wVPo


    魔王「おい、まさか、ソイツは―――!」

    白ドレス「カンの良い観客なら、もうわかったかもしれない」


    白ドレス「そう。今回の登場人物に、“神殺し”を為し得る人物が、一人だけいる」

    白ドレス「まるで、あたかも、そのためにいたような。そのためだけに配置されたような人物が」


    冥王「神殺し……! たしかに先刻、1号車で……」


    白ドレス「―――さあ! そのチカラを振るうがいい、大英雄!!」

    白ドレス「ドライ・ブラー号最強の戦士、ラウンジカーの守護者よ!!」

    白ドレス「そのチカラは君たちのモノだ! アポ○富士山が大口をひらけて待っているぞ!!」

    540: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:14:42.18 ID:ZeTj+wVPo


    マスター「――――――」


    フロント「マスターさん……、まさかアレを使うのですか!?」

    料理長「今までのドライ・ブラー号の戦いでも、ついに完全開放はしなかった……!」


    マスター「―――ああ」


    マスター「―――俺は前半生を、戦いに費やした」

    マスター「―――戦って、戦って、戦って。魔界の争いに関わり、多くの魔族を屠った」

    マスター「その過程で、多くのモノを失った……。あるハズだった幸福。日常。この右腕も、その一つだ」

    マスター「―――だが、同時に得たモノもある」

    541: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:15:09.11 ID:ZeTj+wVPo


    マスター「―――それは得難き、友の存在であり……」

    魔王「…………」


    マスター「―――神をも殺し得る、我が右腕の存在だ」


    マスター「ドライ・ブラーは争いには巻き込まれても、天界が関わるコトはなかった……」

    マスター「俺もこの右腕は、役目を果たすことなく、我が身と共に朽ちるのだと思っていた……」


    マスター「―――だが、今思えば」


    マスター「―――我が右腕は、今この時のためにあったのだろう」

    542: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:15:35.63 ID:ZeTj+wVPo


    マスターが自身の体に魔力を通すと、その右腕は白く光り輝く。
    それは神気に似て非なる存在。

    チカラ無き者が、チカラある者を打倒するための、最終兵器。
    それはまさしく神話の再現とも言える、万夫不当の神殺し。

    天銀の腕は、朝日を覆い隠すほどの規模となり、そして、最初の朝の空にきらめく。


    マスター「アポ○富士山が、神々の怒りであるならば」

    マスター「それすなわち、我が断じるべき宿業なり」


    マスター「ドライ・ブラーが、外界の希望であるならば」

    マスター「それすなわち、我が護るべき至宝なり」

    543: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:16:04.93 ID:ZeTj+wVPo


    マスター「ならば此処に示そう、最強の証を! 砕いてみせよう、神々の怒り―――!」
    no title

    544: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:16:32.30 ID:ZeTj+wVPo


    ――1号車【展望車・前】


    運転士長「ぐぅッ……!」

    副運転士「空が光って……! いったい、何が!?」

    仮面の男「……!?」


    仮面の男「あ、アレを見ろ!!」

    副運転士「……?」


    副運転士「……!」

    運転士長「あ、あれは……」

    545: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:16:59.73 ID:ZeTj+wVPo


    光は去った。
    残るのは、正しき朝日が放つ曙光のみ。

    炎は去った。
    残るのは、正しき神山が醸す威容のみ。


    運転士長「火柱が消えた……!?」

    副運転士「か、火山弾もです! 勝ったんですか!?」

    仮面の男「いや、まだだ! 12号車の魔力反応は異常な数値のままだ!」


    仮面の男「これは、アポ○富士山が、まだ活動を停止していないという証左……」

    仮面の男「今の光を受けても、魔力塊はまだ、アポ○富士山と共鳴している!」

    546: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:17:27.78 ID:ZeTj+wVPo


    副運転士「くっ……。では、どうすれば!?」

    仮面の男「決まっているだろう!」


    仮面の男「―――今こそ、ドライ・ブラー砲を撃つ!!」


    副運転士「……!」

    運転士長「たしかに、やるなら今しかない……。起動するぞ!」

    副運転士「ああもう、どうにでもなれ―――!!」


    仮面の男「ドライ・ブラー号、回頭! アポ○富士山の火口の上空へ接近せよ!!」

    547: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:17:54.95 ID:ZeTj+wVPo


    仮面の男「ドライ・ブラー砲、発射用意!」


    運転士長「エネルギー弁閉鎖! エネルギー充填開始! セイフティーロック、解除!」

    運転士長「ターゲットスコープ、オープン! 電影クロスゲージ明度20! エネルギー充填120%!」

    運転士長「対ショック、 対閃光防御! 最終セイフティー、解除!」


    運転士長「……さあ、最後の合図は、君がするといい」

    副運転士「え? 私ですか!? ああもう、ワケわかんないですけど、やればいいんでしょう!」



    副運転士「ドライ・ブラー砲、発射―――!!!」

    548: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:18:23.61 ID:ZeTj+wVPo
    no title

    549: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:18:51.14 ID:ZeTj+wVPo
    no title

    550: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:19:19.34 ID:ZeTj+wVPo
    no title

    551: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:19:47.15 ID:ZeTj+wVPo
    no title

    552: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:20:14.32 ID:ZeTj+wVPo
    no title

    553: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:20:41.97 ID:ZeTj+wVPo
    no title

    554: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:21:09.52 ID:ZeTj+wVPo


    【1月1日 午前7時】

    ――1号車【展望車・前】


    副運転士「う……」

    運転士長「やった……、のか?」


    バンッ

    車掌「お二人とも!!」


    副運転士「車掌さん!」

    運転士長「他の皆も……。その顔は……、終わったのか。すべて」

    555: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:21:37.36 ID:ZeTj+wVPo


    車掌「ええ! ドライ・ブラー砲は、見事にアポ○富士山の火口を撃ち抜きました!」

    車掌「その結果、アポ○富士山は火山活動を停止!」

    車掌「もはや噴火の兆候はありません。……我々の勝利です!」

    運転士長「そうか……。なら、良かった」

    副運転士「はぁ~~~。肩の荷が、下りましたぁ……」


    マスター「……ふふ。年甲斐もなく、張り切ってしまったよ」

    フロント「大丈夫ですか? マスター。肩をお貸しします」

    副運転士「皆さんも! 本当に、本当に、お疲れ様でしたっ!!」

    料理長「ああ。だが僕たちのシゴトは、まだ終わっちゃいない」

    556: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:22:04.48 ID:ZeTj+wVPo


    料理長「今日のドライ・ブラー号の運行は、午後8時、オーサカに到着するまで……」

    料理長「少し、遅めになるが。乗客の皆さんのための、朝食をお作りしないとね」

    副運転士「―――。はいっ!!」


    フロント「私も、ロビーの修繕をしないと。吹きさらしですが、一時間もあれば何とかなるでしょう」

    ウェイター「え? 吹きさらしなんだよね、ホンキで言ってる?」

    フロント「ええ。ウェイターさん、ウェイトレスさん。掃除屋として、ご協力お願いします」

    ウェイトレス「ひえ~、重労働だぁ~」

    マスター「では、ワタクシも、ラウンジに戻りますかな」

    マスター「本来のワタクシは、しがないラウンジの老マスターですので」

    557: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:22:31.96 ID:ZeTj+wVPo


    副運転士「士長……。長い、長い。本当に長い、夜でしたね」

    運転士長「ああ。―――だが、明けない夜はない」

    運転士長「新たな陽の昇らない日は無く、新たな日出づらぬ年は無い」

    運転士長「古い一年が終われば、新たな一年がやってくる」

    運転士長「それは、この世界も、ドライ・ブラー号も同じコトだ」

    車掌「ええ。この年末年始運行は、もうすぐ終わります」

    車掌「ですが、次の運行も、早晩訪れる。私たちに出来るコトは、その運行も良きモノとするコトです」

    副運転士「……そうですね。次も頑張りましょう、皆さん!!」

    ウェイター「いやー、刺激的な年末年始だったなー」

    ウェイトレス「でもやっぱり、ドライ・ブラー号はこうでなくちゃねー」

    558: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:23:01.03 ID:ZeTj+wVPo


    副運転士「あれ……。そういえば、仮面さんは?」

    運転士長「おや。艦長席が、カラになっている……」


    運転士長「あの男め。自分の役割は終わったと見て、早々に去ったか」

    副運転士「ふふ。あのヒトらしいですね」


    副運転士「……でも、仮面さんって、たしかタイムパトロールさんたちが追ってるヒトなんじゃ?」

    運転士長「それは赤色の仮面のほうじゃなかったか?」


    運転士長「まあ……。ここから先は未来の領分だ。彼女らが何とかするだろうよ」

    副運転士「そうでしょうか? まあ、そうですね!」

    559: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:23:53.74 ID:ZeTj+wVPo


    ――ドライ・ブラー号 甲板

    no title
    執事「朝日……、ですね」

    教授「うん……。空の上から見る太陽は、こんなにもまぶしい」

    560: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:24:21.61 ID:ZeTj+wVPo


    執事「お嬢様……。俺は、貴女が無事で、本当に良かった」

    教授「ふふ。いつもありがとうね、バカ執事」

    執事「お褒めにあずかり光栄でございます、バカお嬢様」


    執事「そういえば……。例の、“最強の兵器(仮)”とやら、本当に完成したのですか?」

    教授「おうとも。もう、“最強の兵器(仮)”じゃなくて、“最強の兵器”だよ」

    教授「それに、作るのに必要なモノは、カンタンだ。有り合わせのモノが、二つあればいい」

    執事「そうですか……。では、今日の発表会。期待していますよ」

    教授「ええ。私の名演説に、期待しときなって」

    教授「古の大術士たちが作ったという、古の“最強の兵器”。それにも負けないモノをね」

    561: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:24:49.71 ID:ZeTj+wVPo


    弓使い「教授~! 執事さ~ん!」

    銃使い「生きてる?」

    桜色の女「とほほ。今日はヒドい目に遭ったでござるなあ~」


    執事「お二人と、桜色の剣士さん……」

    教授「無事で何より。全部終わったね。皆は、これからどうするの?」

    銃使い「オーサカの観光」

    執事「皆さんもオーサカに留まるのですか? では、ぜひお嬢様の発表会を見ていってください」

    教授「今回の事件を真の意味で終わらせる、“最強の兵器”。目にモノ見せてあげるよ」

    弓使い「本当? 発表会に誘ってくれるの!? 嬉しいな~。でも、その前に……」

    562: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:25:17.06 ID:ZeTj+wVPo


    剣使い「……ようやく、決着がついたみたいだな」

    族長「ああ。―――では、我らの決着も、ココでつけるとしよう」

    剣使い「そうだな……」

    ジャキ


    魔族A&B「「族長、がんばれー!!」」

    魔族C&D「「剣使いの人間も、良い戦い、期待してるぞー!!」」


    剣使い「……いざ」


    剣使い&族長「「勝負ッ!!」」バッ

    563: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:25:44.60 ID:ZeTj+wVPo


    キン! キン! ドォン!!!


    弓使い「おー。やってる、やってる」

    教授「もう戦いは終わったのに、まだやってるの? 男どもは飽きないなあ」

    執事「男というイキモノは、たいてい譲れないモノの一つか二つを持っているのですよ」

    銃使い「…………」ガシュガシュ ボリボリ

    桜色の女「うーん。いい戦いでござるなあ。……いや、しかし」


    ザワッ

    桜色の女「……?」

    564: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:26:12.73 ID:ZeTj+wVPo


    仮面の男「…………」


    桜色の女「おーい! 鉄仮面卿ー!」

    仮面の男「おや……。春風の剣士か」


    桜色の女「鉄仮面卿ー、なーんで艦橋のテッペンに立ってるでござるかー?」

    桜色の女「上空は風が強いから落ちるでござるよー」

    仮面の男「ふふ……。僕は、高いところというのが、好きでね」

    仮面の男「低いところというのは、どうも気に入らない。君と戦ったのも、戦艦や空中庭園だったろう?」

    桜色の女「意味も無く高いところに登るのは、ただのばかでござるよー」

    565: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:26:40.15 ID:ZeTj+wVPo


    仮面の男「ははは。これは手厳しい」


    仮面の男「それに、ただの趣味で高いところに登っているワケじゃないさ」

    仮面の男「ここがいちばん、この戦艦で逃げやすい場所なのでね」

    桜色の女「ああ……。そういえばおぬし、歴史改変の罪で、追われていたのでござるな」


    仮面の男「そうだ。き○こ派の諸君には、たけ○こ派に加担して、本当に悪いコトをした……」

    仮面の男「だが、今回の戦艦の指揮でチャラ、というコトにはならないかな?」

    桜色の女「それは本人たちに訊いてみないとわからないでござるなー」

    桜色の女「まあ十中八九、なます斬りにされるでござろうが!」

    566: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:27:07.52 ID:ZeTj+wVPo


    仮面の男「ははは。これはまたも手厳しい」


    仮面の男「だが。この列車に乗り込んで良かった……。刺激的な年末年始を楽しめた」

    仮面の男「そして、君という好敵手とも、再戦するコトが出来た!」


    桜色の女「…………」

    桜色の女「次、会った時が。貴様の命日だな、鉄仮面卿」

    仮面の男「ふふはははは。それはカンベンしてほしい」

    仮面の男「僕は君を愛おしく思っている。今までに会った、どの女性よりも」

    仮面の男「その君の美しい姿を見るのが、次限りというのは、いただけない」

    567: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:27:48.14 ID:ZeTj+wVPo


    桜色の女「減らず口を叩きおって。ならば今回は、とっとと失せるがいいでござる」

    仮面の男「そうだな。まあココなら時空環境整備課も気付かないだろうが……」

    仮面の男「君との立ち合いの後逃げないという約束は守った。なので、そろそろオイトマするとしよう!」

    仮面の男「それでも呼びたければ教授さんにヨロシクと伝えておいてくれ!」


    仮面の男「さらばだ、ドライ・ブラー号のユカイな仲間たち!」

    仮面の男「君たちとの年末年始はとても魅力的なモノだった!」

    仮面の男「願わくば、そのユカイな営みを続けたまえ! ならば、僕はいつでも現れよう!」


    仮面の男「とうっ!!」ダンッ

    568: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:28:15.94 ID:ZeTj+wVPo


    桜色の女「おぬしは厄介事を持ち込むのだから、もう来なくていいでござるよー」


    桜色の女「…………」

    桜色の女「あやつとの立ち会い、久方ぶりに血のうずくモノだった」

    桜色の女「やはり私は、あいつでなければ……」


    桜色の女「いや、そんなことはあるまい」

    桜色の女「これは私の経験不足。人を斬りたいのではなく、刀を斬りたいのだというもの」

    桜色の女「さて、この感情。真に好敵手を求めるがゆえのものか、否か……」


    桜色の女「今は奥底に閉じ込めて。オーサカ観光を楽しむでござる」

    569: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:28:43.03 ID:ZeTj+wVPo


    キノコ頭「……終わったか」

    テロリストA「そうですね……」


    キノコ頭「大量の装備を揃えて、無防備な列車をハイジャックするのだから」

    キノコ頭「カンタンなシゴトだと思ったのだがな……」

    テロリストB「ええ。世界は、存外広いというモノです」


    テロリストC「ですが、その広い世界で、“最強の兵器”なるモノの存在とも出会いました」

    テロリストD「……オーサカに行きましょう。教授の発表会、見届けようではありませんか」

    キノコ頭「そうだな……。―――よし、行くぞ!!」

    570: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:29:11.65 ID:ZeTj+wVPo


    仮面の男「ふははははっ!! さらばだ、諸君―――!!」

    ゴオオオオオ


    黒コート「……!」ガバッ

    黒コート「あいつ……! オイコラ待てっ!!」


    小型メカ「あれは……。指名手配犯の、仮面の男ですね」

    小型メカ「艦橋から雲海にフリーフォールしていきましたよ。もう助からないのでは?」

    黒コート「いや……。奴は、落ちる戦艦や、崩れる空中庭園からも生還したという」

    黒コート「仮面の男も、白の大天使も一筋縄ではいかないが。またいずれまみえる機会もあるだろうよ」

    571: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:29:38.94 ID:ZeTj+wVPo


    小型メカ「……? 妙に、すがすがしい顔ですね」

    小型メカ「時空指名手配犯を相手にした任務の失敗は、いつものコトとはいえ」

    小型メカ「何か。イイコトでも、ありましたか?」


    黒コート「ああ……。そうだな」

    黒コート「年の瀬とは、皆で乗り越えるから年の瀬、だと思ってな」


    黒コート「そして、年の瀬を乗り越えた正月は。頑張った分、ゆっくりと休まねばなるまい」

    黒コート「私も年末労働の分の休暇を貰って。お正月くらいは実家に帰るとするよ」

    小型メカ「いいですね。私も実家に帰りたいモノです。私たちは、まだ次の仕事があるのですが」

    572: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:30:06.82 ID:ZeTj+wVPo


    ヒーロー「さあ、オペ子ちゃん! ウカウカしていられないぞ、さっそく次の仕事だ!」

    ヒーロー「次はハンバーガー業界でマ○クとケ○タ&モ○バ連合が激突するらしい!」

    ヒーロー「ジャンクフード存亡の危機だ! この大戦も何としても止めなくてはなるまい!」

    ヒーロー「それでは行くぞ! ドライ・ブラー号の皆さん! アディオス、アミ―――ゴ!!!」

    ズギュウウウウン


    小型メカ「ああ。行っちゃいました」

    黒コート「き○こたけ○こ大戦とかいうのを止めたばっかりだというのに、お前たちも大変だな」

    黒コート「私はどっちかというと、ロ○テリア派だが……」

    小型メカ「これ以上ハナシをややこしくしないでください。私たちは1000円バーガーでゴリ押します」

    573: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:30:34.59 ID:ZeTj+wVPo


    小型メカ「では、私も彼の後を追って、行ってきますね」

    黒コート「ああ。頑張ると良い。また整備課の事務室で会おう」


    小型メカ「あれ、そういえば……。革ジャンさんは、どうしたんですか?」

    黒コート「ん? アイツか……」シュボ チリチリ…

    フゥー


    黒コート「アイツは、最後の任務を果たしに行ったよ」

    小型メカ「最後の任務?」


    黒コート「ああ。誰の命令でもない、アイツだけの任務をな」

    574: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:31:01.51 ID:ZeTj+wVPo


    ――アポ○富士山 上空


    魔王「これで一件落着、か……」

    冥王「ええ。お疲れさんでした。魔王はん」


    冥王「おや。エンマ帳……の、複製品が」

    パラパラパラ


    フワッ…


    魔王「エンマ帳に書かれた、文字が……。空中に浮いて、消えていったな」

    575: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:31:31.36 ID:ZeTj+wVPo


    冥王「エンマ帳に書かれていた内容が無効になった、いうことやろなあ」

    魔王「まったく。世話が焼けるぜ」


    魔王「天界の動きを止めに来ただけなのに、まさかき○こたけ○こ戦争に巻き込まれるとはなあ……」

    冥王「しかしその結果、古からの因縁を、再び断ち切ることができた」

    冥王「終わり良ければ総て良し。ちゃいますか?」

    魔王「ああ……。そうだな」


    魔王「おい、冥王。お前は、これからどうする?」

    冥王「ん? そうですなあ……」

    576: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:31:59.43 ID:ZeTj+wVPo


    冥王「ひとまずは、冥界に戻って今回の件の後始末、やろなあ」

    冥王「エンマ帳の内容を信じて動いてる死神たちも困ってるやろうし」

    冥王「無駄に部下を派遣させられた、死神の魔王のクレームもあしらわなあかん」

    冥王「ああ、そうそう。魔王はん、あんたの人間殺したいう不祥事の揉み消しもな」

    魔王「おおう……。ホントそれ、頼むぜ」

    魔王「こんだけ部下に魔界の法をうるさく言って、なのに魔王が率先して破ってたんじゃあ」

    魔王「俺一人の処分ならいいが、また魔界戦争に突入しかねん」

    冥王「ははは。魔王はんもむつかしい立場ですなあ」

    魔王「ホント。魔王って大変だぜ?」

    577: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:32:37.21 ID:ZeTj+wVPo


    魔王「さて、俺も……。早々に魔界に戻って、青鬼族の減刑をかけあうとしよう」

    魔王「たしかに今回、青鬼族が独断で人間界に侵攻したのは、まぎれもない事実だが……」

    魔王「俺も色々頑張ったし。実質的な被害は別に出てないし。列車が大破? 知らんなあ」

    魔王「き○こたけ○こ大戦にかこつけて神々の責任にすれば、他の魔王も黙るだろう」

    魔王「幸い、あいつの直接の上司の、緋雷王はハナシのわかる奴だからな」

    冥王「緋雷王はんは、純粋で活動的なお人ですからなあ」


    冥王「あれ……。そういえば、大天使はんは、どないしはりました?」

    魔王「ん? さっきまでそこにいたんだが、消えたな」

    魔王「さては、今回の責任の追及から、逃げたな……」

    578: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:33:12.40 ID:ZeTj+wVPo


    冥王「でもハナシによると今回、大天使はんは、なんもやってへんのやろ?」

    魔王「ううん。そこなんだよな」


    魔王「天界の者、しかも白の大天使が、あのドライ・ブラー号に乗り込んだんだから」

    魔王「きっと何かをやらかすと思ったんだが……」

    魔王「アイツの言うところによると、ただの観光兼、人間たちへの助力とは」


    冥王「神々や天使の考えることは、わてらには想像も尽きまへんからな」

    冥王「かんたんにわかるんやったら、魔界、冥界、天界なんかに分かれてへんて」

    魔王「そうだなあ……。だが俺には、何か裏があるような気がしてな……。勘繰りすぎか?」

    579: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:33:41.03 ID:ZeTj+wVPo


    ――ドライ・ブラー号 船首


    白ドレス「―――うん、うん! 今日もハッピー、いい天気!」

    白ドレス「今年も世界は何事もなく、いつもと変わらず、平和だあ!」


    白ドレス「天界で、ドライ・ブラー号が、乗っ取られ、爆発、大炎上する未来がおぼろげに見えた時は」

    白ドレス「楽しそうだなあ、それと、このままじゃマズいなあ、と思ったけど」


    白ドレス「これで契約を完遂する! 時空環境整備課の、コネコちゃん!」

    白ドレス「君は満足かい? ああ満足だろうね、大天使が意のままに動いたのだもの!」

    白ドレス「ただの人間の身で、大天使と契約を結ぶ。これ以上の傲慢は世界になかなか無い!」

    580: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:34:08.47 ID:ZeTj+wVPo


    白ドレス「ああ、でも……。今日は本当に楽しかった!」

    白ドレス「人間や魔族の世界は、本当に、本当に、驚きに満ちている!」

    白ドレス「だから私も、チャチャを入れつつ、その未来を守りたいなと思うのです!」


    白ドレス「さて……。それじゃあ、私も帰るとしようかな」

    白ドレス「今日はきっと、天界の神々と天使たちの新年会だ」

    白ドレス「私も白い愛人20箱を手土産に、乗り込むとしますか!」


    バンッ!!!


    白ドレス「おひあッ!!!」

    581: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:34:36.14 ID:ZeTj+wVPo


    白ドレス「え? 何、何、何。銃声……?」

    白ドレス「って、ぎゃああああああ!!! 残ったほうの翼にも穴が開いてるー!!!」


    革ジャン「よお。ようやく、二人きりになれたな……」


    革ジャン「白の大天使!!!」

    白ドレス「げぇっ! 君、コネコちゃんのところの、狂犬!!」


    白ドレス「どどどどうして君がココにいるのかな……。君、整備課の君。契約違反だよ?」

    白ドレス「君たちを妨害せず列車を助けるコトで、私を捕まえるコトもしないって約束だったよね?」

    革ジャン「あ? なんだそりゃ?」

    582: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:35:16.56 ID:ZeTj+wVPo


    革ジャン「契約だなんだか知らねえが、俺はそんなハナシ、聞いちゃいねえ」チャキ

    白ドレス「しまった……! あの契約が有効なのは、私とコネコちゃんとの間だけか……!」

    白ドレス「謀ったね、時空環境整備課。これだから人間は信用ならないんだ!」


    革ジャン「……始めに言っとくが、俺は時空整備課だから、ココにいるんじゃねえぜ」

    白ドレス「え? 私、特級指名手配犯だけど、関係ないの?」

    革ジャン「お前、特級指名手配犯なのか? まあ、それも関係ねえ」


    革ジャン「俺がココにいるのは。―――お前が、気に入らないからだ」

    白ドレス「は?」

    583: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:35:46.31 ID:ZeTj+wVPo


    革ジャン「チョコマカ、チョコマカ、事態の裏でコソコソしやがって」

    革ジャン「気に入らねえんだよ。黒幕気取りの、乳デカ姉ちゃん」

    白ドレス「げぇっ! 何それ、何その理由!? い、意味が通ってな――――」


    革ジャン「だから死ねぇっ!!!」バンッ


    白ドレス「ぎゃあ―――!! 反対、暴力反対!」ダダダダダダ

    白ドレス「そんなワケのわからない理由で死ねないよー!!」

    革ジャン「皆そう言って死んでいったよ!!」バンッ!!! バンッ!!! バンッ!!!

    白ドレス「こいつイカれてる! こんなとっつぁんはイヤだぁ―――!!!」

    584: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:36:38.64 ID:ZeTj+wVPo


    【1月1日 午後3時】

    ――オーサカ駅前 発表会 会場
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    585: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:37:05.65 ID:ZeTj+wVPo
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    教授「あー、テステス……」キーン

    教授「本日は晴天なり。今日も変わらず、晴天なり」

    教授「業務連絡、業務連絡。ううんっ。オッケー」

    586: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:37:33.55 ID:ZeTj+wVPo


    執事「お嬢様……。ジュンビはよろしいですか?」

    教授「問題ない。いつでもいける!」


    教授「―――それでは皆さん、お待たせしました」

    教授「これより、狂気のチョコレートサイエンティスト、皆さんの呼ぶところの教授による……」

    教授「世紀の大発明! き○こたけ○こ戦争を終わらせる、“最強の兵器”!」

    教授「その発表会を始めたいと思います!!」


    記者A「おおおおおおっ!!!」パシャパシャパシャ

    記者B「それで……、教授。その、“最強の兵器”とは、いったい?」

    587: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:38:00.89 ID:ZeTj+wVPo


    教授「ふふ……。まあ、焦りなさんなって」

    教授「“最強の兵器”は、一斗缶の中にあります」

    ドンッ!!!


    記者A「一斗缶の中に……? そう、大きくはないな……」

    記者B「き○こ派もたけ○こ派も吹き飛ばす爆弾とかじゃないんですか?」

    教授「お菓子の戦争にそんなモノ持ち込んでどうする気なのかな」

    教授「流れる血は、鼻からだけで十分です」

    記者C「しかし、一斗缶か……。これではまるで、お菓子の箱だな」

    教授「……ふふふ」

    588: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:38:28.58 ID:ZeTj+wVPo


    教授「では、お見せしましょう! この教授の、世紀の大発明!」


    教授「遠からん者は音に聞け! 近くば寄って目にも見よ!」

    教授「細工は流々、あとは仕上げを御覧じろ! あと、なんだっけ……」

    教授「まあいいや! オ―――プン!!!」

    パカッ


    記者A「おお、おお―――!?」

    記者B「こ、これは―――!」

    記者C「まさしく、まさしく―――!!」

    589: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:38:58.95 ID:ZeTj+wVPo


    教授「ふふふ……」
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    590: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:39:26.64 ID:ZeTj+wVPo


    記者A「おお、おお――……?」

    記者B「こ、これは―――?」

    記者C「まさしく、まさしく―――。……なんですか、コレ」


    教授「ふふふ……。やはり凡人には、この天才科学者たる私の発想は理解できないか……」

    執事「お嬢様、続けてください」


    教授「おほん。これなるは、き○こたけ○こ戦争を終わらせる、“最強の兵器”!」

    教授「爆弾? 魔力塊? そんなモンじゃない! お菓子の問題なんだから、お菓子で解決!」


    教授「『き○この山 with たけ○この里 詰め合わせパック』です!!!」

    591: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:40:24.75 ID:ZeTj+wVPo


    記者A「は……?」

    教授「今日から、き○この山と、たけ○この里の単独販売は停止します!」


    教授「代わりに、この詰め合わせパックを販売!」

    教授「片方食いたきゃ、両方買え! これでバッチリ問題は解決!」


    記者B「あの、それって、抱き合わせ商法じゃ……」

    教授「うっさい! これはセット販売!」


    教授「アンタらね、いいオトナがいつまでもお菓子で争ってちゃダメだよ」

    教授「き○こも、たけ○こも、どっちもオイシイ! 一緒に食べれば、皆ハッピー!」

    592: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:41:12.58 ID:ZeTj+wVPo


    教授「どれもおいしいお菓子なんだから、皆で一緒に食べればよろしい!!」


    キノコ頭「そんなコトで……」


    教授「え?」

    キノコ頭「そんなコトで許されると思っているのかああああああ!!!」

    テロリストA~D「「「「どけどけどけどけぇ!!!!」」」」


    執事「彼らは……、ドライ・ブラー号のき○こ派!」

    教授「生きていたの!?」

    キノコ頭「やいやいやいやいやい教授ゥ!!」

    593: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:41:51.53 ID:ZeTj+wVPo


    キノコ頭「なんだその日和った商品は!」

    教授「やかましいわ何が日和った商品だ!! うつけは去れ!!」


    キノコ頭「まったく。き○こたけ○こ戦争を終わらせる“最強の兵器”を開発したと」

    キノコ頭「その発表会くらいは見届けてやろうと、こうして来てみれば……」

    キノコ頭「き○ことたけ○この抱き合わせ商法などで問題が解決したとでも思っているのか!?」

    教授「だから抱き合わせ商法じゃなくてセット販売っつってるでしょうが!!」


    キノコ頭「問答無用! 俺たちはここにき○こたけ○こ戦争を再開する!」

    キノコ頭「この会場は俺たちがハイジャックした!!!」

    594: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:42:19.21 ID:ZeTj+wVPo


    記者A「うわあああ! テロリストだ!!」

    記者B「逃げろおおおおおお!!」


    執事「お嬢様、お下がりを」サッ

    教授「ええ。私の発明にケチつけるコイツらまとめて、ぶっ飛ばしちゃいなさい!」

    執事「お嬢様、それは無理です」


    剣使い「やれやれ。お菓子の発表会でまで、揉め事とは……」スクッ

    弓使い「世も末だねー。食の都、オーサカじゃなかったの?」


    教授「フ、フリーターの皆!?」

    595: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:42:48.50 ID:ZeTj+wVPo


    銃使い「…………」ガシュガシュ ボリボリ

    桜色の女「オーサカ観光の前の、食前運動。腹ごなしにはちょうどいいでござる」


    キノコ頭「貴様らか……! 一度ならず、二度までも!」

    キノコ頭「まあいい! ココでもろとも滅ぼしてくれるわぁぁっ!!」

    テロリストA~D「「「「カクゴするんだなァ!!!」」」


    バンッ!!!


    キノコ頭「ッ! なんだ!?」

    タケノコ頭「―――その発明品。我らも異議を唱えたい」

    596: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:43:15.26 ID:ZeTj+wVPo


    教授「え、誰!?」

    キノコ頭「お前は……。たけ○こ派のリーダー!!」


    タケノコ頭「―――かような商品。許されると思っているのか?」

    教授「何、そこのタケノコ頭まで、私の発明品にケチつける気!?」

    教授「このわからず屋のボンクラどもめっ!!」


    タケノコ頭「いや、詰め合わせパックという発想。そこまではいい」

    タケノコ頭「だが。何故だ……」


    タケノコ頭「なぜ名前が、き○この山が先で、たけ○この里が後なのだァァッ!!!」

    597: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:43:43.09 ID:ZeTj+wVPo


    教授「そこ!!?」

    タケノコ頭「しかも、パッケージでの扱いもこころなしか、たけ○この里のほうが小さい……」

    教授「それは気のせいでしょう!」


    タケノコ頭「ゆえに、我らは求めよう」

    タケノコ頭「商品名の、『たけ○この里 with き○この山 詰め合わせパック』への改訂」

    タケノコ頭「そして、パッケージではたけ○この里を強調するコトを!!」

    教授「勝手なコトを言うなーっ!!」


    キノコ頭「ほう……。いい度胸だ」

    598: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:44:10.96 ID:ZeTj+wVPo


    キノコ頭「ならば、教授を締め上げる前に」

    キノコ頭「たけ○こ派。まずはお前たちを滅ぼすとしよう!」

    タケノコ頭「望むところだ。かかってこい、き○こ派の愚者ども!!」


    ワー!!! ギャー!!!

    教授「ああ、もうメチャクチャだ……」

    弓使い「やっぱ、き○こたけ○こ戦争、どうしようもないね……」

    桜色の女「さて。しかしこの事態、どうケリをつけたモノでござるか。……ん?」


    族長「―――くだらぬ」

    599: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:44:37.33 ID:ZeTj+wVPo


    銃使い「……!」

    剣使い「その声は!?」


    族長「くだらぬ。……実にくだらぬ」

    族長「やはり、き○こ派とたけ○こ派の争いなど、笑止千万……」

    族長「チョコ菓子ならアル〇ォートが至高に決まっておろうがァァァッ!!!」


    教授「出たああああああ!!!」

    執事「アル○ォート派の魔族……!」


    魔族A~D「「「「俺たちもいるぜぇ!!!!」」」」

    600: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:45:04.93 ID:ZeTj+wVPo


    キノコ頭「また貴様らか……!」

    タケノコ頭「き○こたけ○こ戦争にアル○ォート派が介入するな!!」

    族長「来るか? ならば、かかってくるがいい」


    族長「あのような発明品で、き○こたけ○こ戦争を収めるのは不可能……」

    族長「ならば、我らアル○ォート派が。ことごとくを焼き尽くしてくれよう」

    教授「どいつもこいつも私の発明品をディスりやがって!!」


    執事「お嬢様……。この状況、どうしますか?」

    教授「どうするも、こうするも……。私の発明品の素晴らしさを理解しないバカどもに用は無い」

    601: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:45:32.68 ID:ZeTj+wVPo


    教授「帰る!!」


    剣使い「ははは……。教授の嬢ちゃんも、苦労するな」

    弓使い「それじゃあ私たちも、オーサカ到着一発目、ひと暴れといきますか!」

    銃使い「…………」チャッ

    桜色の女「こやつらでは腹の足しにもならんが。まあ、それもいい」


    執事「お嬢様、帰ったら何しますか?」

    教授「何って、今は正月なんだから。そりゃ、コタツでグータラ……」


    数学教師「―――待てやゴラああああああッ!!!」

    602: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:46:00.43 ID:ZeTj+wVPo


    教授「でぇッ!! タコ頭のマッチョ! どうしてココに!?」

    執事「え? まさか、あのヒトが、お嬢様の数学の担任の……!?」


    数学教師「そうやァァ!! 何アホな発表しとんねん、モヤシ女ぁぁ!!」

    数学教師「コタツでグータラもええがなぁ、ホンマに冬休みの宿題終わっとんのかァァァ!!?」

    教授「ギクゥ!!!」


    執事「あ。そういえば、列車では戦いに巻き込まれて、全然終わってませんね」

    教授「ま、まだお正月だから。まだ冬休みの期間残ってるから!」

    数学教師「夏休みもそう言うて、まともに終わらんかったやろうがワレェェェ!!!」

    603: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:46:27.13 ID:ZeTj+wVPo


    族長「なんだ? 巨人族か!?」

    タケノコ頭「あのタコ頭……。我らと同じなら、もしや、タコせん派の刺客では!?」

    キノコ頭「何! 綿菓子やリンゴ飴、チョコバナナと祭屋台のシェアを奪い合っているという、あの!?」


    桜色の女「ほう……。あの筋肉。斬り応えがある」フォン


    数学教師「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!!」バキバキバキバキバキ!!!!!!


    教授「ぐ……。こうなりゃ逃げる。逃げの一手!」

    教授「―――行くよ、バカ執事!!」ダッ

    執事「ええ。―――お嬢様!!」ダッ

    604: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:46:55.84 ID:ZeTj+wVPo


    【そして――――】

    ――ドライ・ブラー号 1号車【展望車・前】 運転室


    ガチャ

    副運転士「あっ、士長! おはようございます!」

    運転士長「ああ、おはよう。年始の一件以来だな」


    副運転士「いやあ、あの運行は大変でしたね……。一年分働きました」

    運転士長「ははは。そうだな。だが、また気持ちを切り替えていかなければなるまい」

    副運転士「そうですね。だって、なんてったって、今日は――――」

    605: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:47:22.57 ID:ZeTj+wVPo


    副運転士「栄えあるドライ・ブラー号の、今年初めての通常運行の日なんですから!」


    運転士長「特別運行も、通常運行も、私たちが運行にかける思いは変わりない」

    運転士長「どちらにせよ、お客様に満足いただける列車の旅を提供せねばな」


    副運転士「それにしても……。驚きました」

    副運転士「あれだけ大破して、変形までした、ドライ・ブラー号が……」

    副運転士「まさかわずか半月ほどで元通りになっているとは」


    運転士長「ああ。ウェイターとウェイトレスの二人を中心に、業者が頑張ってくれた」

    運転士長「さすが、ただの掃除屋の二人だな」

    606: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:47:49.25 ID:ZeTj+wVPo


    副運転士「ええ……。本当にスゴい……」


    副運転士「…………」

    運転士長「どうした?」


    副運転士「『運命は絶対ではない』……」

    副運転士「『それを為せるのは、その時間に生きる、意志ある者たちだけ』……」

    運転士長「あの白ドレスの女、いや、白の大天使が言っていたコトバか」


    副運転士「はい。あの戦いでは色々ありましたが、結局私たちは今、普段通りです」

    副運転士「私たちは運命を変えるコトが出来たのでしょうか? そして、私は、本当に……」

    607: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:48:16.65 ID:ZeTj+wVPo


    運転士長「そうだな……」


    運転士長「ええと。たしか資料がココに……」ガサガサ

    運転士長「あった。年末年始運行の乗客は、全員オーサカに無事送り届けた」

    運転士長「また、運行後アンケートもその時に取ったが……」

    運転士長「アクシデントの演出も含め、おおむね高評価だったぞ」


    副運転士「マ、マジですか!? てっきりクレームの嵐かと……」


    運転士長「ああ。私たちは、無事に年末年始の運行を成功させて、新たな一年を迎えた……」

    運転士長「そして乗客の方々に満足していただいた。これは、運命を変えたというコトではないかな?」

    608: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:48:43.71 ID:ZeTj+wVPo


    副運転士「……そうですね。そうかも、しれませんね……!」


    運転士長「さて。残るは、君だ」

    副運転士「え。私ですか……?」

    運転士長「そうだ」


    運転士長「私たちは、このドライ・ブラー号の記念となる、年末年始運行を終点まで導いた」

    運転士長「アクシデントはあったが、運行に問題は無い。運行は成功と言っていいだろう」

    運転士長「だが……。乗務員である、君は。今回の運行、楽しかったか?」

    副運転士「……!」

    609: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:49:13.76 ID:ZeTj+wVPo


    副運転士「……ええ。それはモチロン」

    副運転士「この運転室に現れた白ドレスのお姉さんから、色々あって」

    副運転士「色んなヒトたちと出会って、戦って」

    副運転士「すっごく、すっごく。楽しかったです!!」

    運転士長「なら、良かった」


    運転士長「このドライ・ブラー号は、ヒトを運んでいる」

    運転士長「様々な思いを持った、ヒト……。それには乗客はモチロン、私たちも含まれる」

    運転士長「そのヒトの思いが交差して生まれる運行を。楽しいと思ってもらえたのなら、何よりだ」

    副運転士「はい! こんなニギヤカで楽しい列車は、他になかなか無いでしょう!」

    610: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:50:05.21 ID:ZeTj+wVPo


    運転士長「ははは。それでは、今は格納したが、この列車の“翼”」

    運転士長「それを再び羽ばたかせるとしよう」


    運転士長「車掌たち、他の乗務員も、全員が既に配置についている」

    運転士長「あとは君の掛け声一つだ」

    副運転士「そうですね! では、いつものアナウンスを!」


    副運転士「ふぅ……」

    カチ


    副運転士「…………」

    611: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:50:33.81 ID:ZeTj+wVPo



    副運転士「すぅ……」



    副運転士『お待たせ、いたしました』


    副運転士『本列車はサッポロに向け、まもなく発車します』

    副運転士『お見送りのお客様はホームからお願いしますっ』



    ジリリリリリ…

    612: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:51:37.30 ID:ZeTj+wVPo






                             ━━ 登 場 人 物 ━━


    ttps://www.youtube.com/watch?v=rY5VnM8AGM0










    【乗務員】

    副運転士

    運転士長

    車掌

    ウェイター

    ウェイトレス

    料理長

    マスター

    フロント


    【教授&執事】

    教授

    執事


    【傭兵】

    剣使い

    弓使い

    銃使い


    【き○こ派】

    キノコ頭

    テロリストA

    テロリストB

    テロリストC

    テロリストD


    【青鬼族】

    族長

    魔族A

    魔族B

    魔族C

    魔族D


    【未来の市民ボランティア】

    ヒーロー

    小型メカ

    613: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:52:17.63 ID:ZeTj+wVPo


    【時空環境整備課】

    革ジャン

    黒コート


    【桜色剣士】

    桜色の女


    【鉄仮面卿】

    仮面の男


    【魔界】

    魔王


    【冥界】

    冥王


    【天界】

    白ドレス


    【その他】

    店員

    駅員

    パイロット

    乗客A

    乗客B

    乗客C

    死神A

    死神B

    アポ○モンスター

    記者A

    記者B

    記者C

    タケノコ頭

    数学教師

    614: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:52:46.82 ID:ZeTj+wVPo
    no title

    615: ◆9xXTDlz//k 2017/12/31(日) 17:53:13.98 ID:ZeTj+wVPo
    以上を持ちまして、最終章「薄明」および『テロリスト「「「この列車は俺たちがハイジャックした!!!」」」』を
    完結といたします。皆さん、ここまで感想等、ありがとうございました!

    年末年始を舞台にてんやわんやの群像劇を描きたいと思い
    作品を書きましたが、もしお楽しみいただけたなら幸いです。

    このスレはしばらくの後にHTML化申請させていただきます。それでは、良いお年を。

    管理人「あけましておめでとうございます」

    関連記事
    テロリスト「「「この列車は俺たちがハイジャックした!!!」」」【前編】
    テロリスト「「「この列車は俺たちがハイジャックした!!!」」」【後編】

    引用元: テロリスト「「「この列車は俺たちがハイジャックした!!!」」」

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    1. 以下、SS宝庫がry-

      最高(^O^)b

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