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    【ぼく勉】あすみ「遊園地のペアチケット?」

    217: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:08:33 ID:LAfruxaA
    ………………小美浪家

    小美浪父 「ああ。福引きで当たったんだ。お前にあげるから、唯我くんと行ってきなさい」

    あすみ 「ああ? 前から思ってたけど、あんた受験生をなんだと思ってるんだ?」

    小美浪父 「おや、一日勉強を抜きにしたところで落ちるものでもあるまい?」

    小美浪父 「……というよりは、その程度で落ちるならそもそも受からんと思うがね」

    あすみ 「ぐっ……くそ親父……」

    小美浪父 「私が医学部に入学した頃は、競争率も今の何倍も……っと」

    小美浪父 「今はお説教の時間ではないな」

    小美浪父 「たまには彼氏と水入らずでゆったり遊んできたらいいじゃないか」

    小美浪父 「……それとも、まさかあんないい彼氏と会いたくない、なんて言うわけではあるまいな?」

    あすみ 「だー、もう! わかったよ! 行きゃいいんだろ行きゃ! 後輩と予定が合えばだけどな!」

    小美浪父 「よろしい。後でデートの写真を見せてくれよ。楽しみにしているからな」



    218: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:09:39 ID:LAfruxaA
    ………………数日後 遊園地

    あすみ 「……と、いうことで、毎度毎度、本当にすまん、後輩」

    成幸 「あははは、まぁ、あのお父さんだったら、遊園地のペアチケットなんて当てたらそうなりますよね」

    成幸 「俺は気にしてませんから、大丈夫ですよ、先輩」

    キラキラキラ……

    成幸 「それより、遊園地なんて本当に久々で、嬉しくて……」

    あすみ 「男子高校生が遊園地で目をキラキラさせんなよ……」

    あすみ 「まぁ、あのクソ親父もまさか仕事をさぼって遊園地に来て監視、ってことはないだろうから、」

    あすみ 「どっかのベンチで勉強でもしてようぜ。後で写真撮影だけ付き合ってくれれば……――」

    あすみ 「――……って、なんで悲しそうな顔をしてるんだよ、後輩」

    成幸 「……いや、もちろん俺たちは受験生で、今の時期は本当に勉強していなきゃいけないですけど、」

    成幸 「……遊園地楽しそうだなぁ」

    219: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:10:31 ID:LAfruxaA
    あすみ 「……お前な」

    ハァ

    あすみ 「しょうがねぇ。こんなところに付き合わせてるのはアタシだしな」

    あすみ 「せっかくだ。息抜きがてら、今日一日遊ぶとするか、後輩」

    成幸 「いいんですか!?」 キラキラキラキラ 「嬉しいです、先輩!」

    バッ

    成幸 「じゃあまずどこ行きます? 俺はこのジェットコースターに行きたいです!」

    あすみ 「お、お前……。いつの間にパンフレットなんかもらってたんだよ」

    成幸 「先輩はどこに行きたいですか?」

    あすみ 「人の話聞けよ。……いや、いいや。いいよ。ジェットコースターで」

    成幸 「じゃあ早速行きましょう、先輩!」

    ギュッ

    あすみ 「……!?」

    成幸 「? どうかしましたか、先輩?」

    220: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:11:57 ID:LAfruxaA
    あすみ 「どうかしたかって、お前、手……」

    成幸 「あ……」

    パッ

    成幸 「す、すみません」

    あすみ 「べつにいいけどさ。お前がアタシに本気になっちまったのかと思って焦ったぞ」

    あすみ 「今日はえらく積極的じゃねーか、後輩?」

    成幸 「ち、違いますよ! 昔のくせで……」

    あすみ 「癖……?」

    成幸 「小さい頃、知らないところに行くと、いつも妹の手を引いてあげてたから……」

    成幸 「その……つい、先輩の手を握ってしまって……」

    221: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:12:35 ID:LAfruxaA
    あすみ 「……ほぅ」

    あすみ 「それは、アタシがちんちくりんだから妹扱いしなきゃ、ってことか?」

    成幸 「ご、誤解ですよ! そんな風に思ったことなんか一度もないです!」

    あすみ 「……わかってるよ。冗談だ」

    クスッ

    あすみ 「ほら、手、引いてくれるんだろ?」

    成幸 「へ……?」

    あすみ 「どうせだったら本当にデートっぽくした方が親父を誤魔化すにもいい写真が撮れるだろう」

    あすみ 「……ほら、早くしろよ。行くんだろ、ジェットコースター」

    成幸 「は、はい!」

    ……ギュッ



    222: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:13:47 ID:LAfruxaA
    ………………ジェットコースター降車後

    成幸 「………………」

    グターッ

    あすみ 「……おい。ジェットコースターに乗りたいって言い出したのはお前だよな?」

    あすみ 「なんでアタシがピンピンしてんのに、お前がボロボロなんだよ」

    成幸 「お、おかしいな……。子どもの頃は楽しかったんだけどな……」

    あすみ 「ったく。仕方ねーな。なんか飲み物でも買ってきてやるから待ってろ」

    成幸 「すみません……。よろしくお願いします……うっぷ……」

    223: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:14:24 ID:LAfruxaA
    ………………

    あすみ 「……ったく。ジェットコースター程度でダウンしやがって。情けない」

    あすみ 「本当に……」

    クスッ

    あすみ 「しょうがない奴だ。まったく」

    prrrrr……

    あすみ 「ん、電話……? げっ、親父からかよ」

    ピッ

    あすみ 「……何の用だよ」

    小美浪父 『いや、デート中にすまんな』

    小美浪父 『ひとつお前に言っておきたいことがあったのを忘れていてな』

    小美浪父 『昨日もお前と話していて思ったのだが、唯我くんと付き合い出して結構経つというのに、』

    小美浪父 『いつまでも“後輩”と呼ぶのはいかがなものかと思うぞ』

    あすみ 「あんた本当に最近あいつのことばっかりだな。どんだけ気に入ったんだ、あいつのこと」

    224: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:15:28 ID:LAfruxaA
    小美浪父 『お前、そんなことだと、唯我くんに愛想を尽かされてしまうぞ?』

    小美浪父 『言っておくがな、あんなに良い青年はこれから探したってそうそう見つかるものじゃない』

    小美浪父 『特にお前みたいな跳ねっ返りは……――』

    あすみ 「お説教はいいんだよ。要点だけ話せ要点を」

    小美浪父 『む……。たしかにその通りだな。では、言わせてもらうが』

    小美浪父 『唯我くんを名前で呼んであげなさい』

    あすみ 「ああ!? なんでいきなりそんな話になるんだよ!」

    小美浪父 『なんでも何もないだろう。唯我くん……、いやこの際私も名前で呼ばせてもらおうか。な、成幸くんと……////』

    あすみ 「なんであんたが照れてるんだよ! 気持ち悪いな!!」

    小美浪父 『うるさい。いいから聞きなさい。成幸くんに愛想を尽かされたらお前、どうするつもりだ』

    小美浪父 『言っておくが、ああいう好青年がお前のことを見てくれているから、』

    小美浪父 『お前の医学部受験を許しているということを忘れるなよ』

    あすみ 「ぐっ……」



    225: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:16:21 ID:LAfruxaA
    小美浪父 『……で、どうするんだ?』

    あすみ 「わかった。わかったよ。後輩のことを名前で呼べばいいんだろ?」

    あすみ 「そんなのわけないしな。普段は名前で呼び合ってるし」 (うそだけど)

    小美浪父 『ほう。そうであれば何の心配もないな。では今度唯我くんが家に来たときに、見せてもらうからそのつもりで』

    あすみ (っ……適当に流してごまかすつもりが、そうもいかねぇか)

    あすみ 「わかったよ。要件はそれだけか? 切るぞ」

    小美浪父 『ああ。最後にひとつだけ』

    あすみ 「あんだよ」

    小美浪父 『お前は唯我くんのことを名前で呼び捨てにしていると思うが、唯我くんはお前のことをなんと呼んでいるんだ?』

    あすみ 「は……?」

    小美浪父 『やはり彼らしく慎ましやかに「あすみさん」だろうか。それとも、ふたりきりの時は積極的に「あすみ」なんて呼ばれているのか?』

    あすみ 「………………」

    ピッ……ツーツーツー……

    あすみ 「付き合いきれねぇぞ、あのバカ親父」

    あすみ 「……あしゅみー先輩って呼ばれてる、なんて言えるかよ。ったく」

    226: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:16:58 ID:LAfruxaA
    ………………

    あすみ 「……ってな電話があってな」

    成幸 「なるほど。さすが先輩のお父さん。鋭い指摘ですね」

    あすみ 「そ、そうか……?」

    成幸 「では、今日一日、遊園地デートのフリをしながら、名前で呼び合う練習もしましょう」

    成幸 「お父さんのリクエスト通り、呼び捨てで呼びましょうか? “あすみ” って……」

    あすみ 「あ゛?」 ゴゴゴゴゴゴゴ…………

    成幸 「じ、冗談ですよ!! えっと……あ…… “あすみさん” ……?」

    あすみ 「……おう。悪くないな」 ニヤリ 「じゃ、アタシも呼び捨てはやめて、優しい先輩っぽく、」

    あすみ 「“成幸くん”?」

    成幸 「っ……///」

    あすみ 「……ほーぅ」

    ニヤニヤ

    あすみ 「一丁前に照れやがって。名前で呼ばれただけで発情か? スケベくん?」

    227: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:18:12 ID:LAfruxaA
    成幸 「や、やめてくださいよ! 仕方ないじゃないですか」

    成幸 「……先輩みたいな美人さんに名前を呼ばれたら、そりゃ照れますよ。仕方ないでしょ」

    あすみ 「っ……」

    あすみ 「………………」

    成幸 「……? 先輩?」

    あすみ 「……お前ってさ、ほんと時々ずるいよな」

    成幸 「へ? へ? どういうことですか?」

    あすみ 「教えねぇよ。それくらい自分で考えろ、バカ」

    あすみ 「……それから、先輩、じゃなくて、“あすみさん”、だろ?」

    成幸 「あ、そうでした。すみません。えっと…… “あすみさん”」

    あすみ 「おう」

    スッ……

    あすみ 「……ほら。もうだいぶ気分も良くなっただろ?」

    あすみ 「せっかくの息抜きなんだ。ちゃんとエスコートしてくれよ、“成幸くん”」

    成幸 「あ……は、はい……!」 ギュッ



    228: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:19:19 ID:LAfruxaA
    ………………ミラーハウス

    成幸 「どっちが出口か分からない……。“あすみさーん” ! どこですかー!」

    あすみ 「大声で呼ぶな! 恥ずかしいだろ、バカ」

    成幸 (そう言いながらも迎えに来てくれるんだよなぁ……)

    係員 (ラブラブだなぁ……)


    ………………お化け屋敷

    あすみ 「……へぇ、“成幸くん” は、こういうアトラクションで女の子に頼られるのが好きなのか」

    あすみ 「せっかくだし抱きついてやろうか?」

    成幸 「ち、違いますよ! そんな不純な動機で選んだわけじゃないですよ!」

    ギュッ……

    成幸 (とか言いながら、先輩、俺の手をすごい勢いで握りしめてるんだけど……)

    成幸 (指摘したら怒りそうだから黙っておこう)

    お化け (ラブラブだなぁ……)

    229: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:20:13 ID:LAfruxaA
    ………………広場 キャラクターグリーティング

    成幸 「はい、チーズ……っと」

    成幸 「うん。良い感じに写真が撮れましたね」

    あすみ 「うーん、でも着ぐるみを挟んでるとカップルっぽくないって親父にイチャモンつけられそうだな」

    あすみ 「念のためキャラクター抜きで一枚くらい撮っておくか」

    ムギュッ

    成幸 「!? お、大勢の人がいる前で、くっつくのはちょっと……」

    パシャッ

    あすみ 「おお、良い具合に真っ赤な顔が撮れたぞ、“成幸くん”」

    成幸 「やめてくださいって! 仕方ないじゃないですか!」

    着ぐるみ (ラブラブだなぁ……)

    230: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:20:59 ID:LAfruxaA
    ………………メリーゴーランド

    成幸 「こ、この歳でこれに乗るのは少し恥ずかしいですね」

    あすみ 「じゃあ、こうすりゃいいんじゃないか?」

    ムギュッ

    成幸 「あ、“あすみさん” !? 何で俺の馬に座るんですか!?」

    あすみ 「もう少し下がれよ。それともこれくらい密着してる方が好みか? スケベくんは」

    成幸 「や、やめてくださいってば!」

    成幸 (メリーゴーランドの馬にふたりで乗るって、本物のカップルみたいだ……)

    あすみ 「………………」

    あすみ (予想以上に狭いな。後輩の体温が背中にダイレクトだ)

    係員 (ラブラブだなぁ……)



    231: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:21:36 ID:LAfruxaA
    ………………夕方

    成幸 「……はーっ、楽しかった。色んなアトラクションを回れましたね」

    あすみ 「お前、はりきりすぎだ。結局ほぼ全部のあトラクション回ったじゃねーか」

    成幸 「せっかくいただいたチケットですから。目一杯有効活用しないと」

    あすみ 「そうかよ。そこまで喜んでくれるなら、親父も嬉しいだろうな」

    あすみ 「……ん?」

    成幸 「? どうかしました?」

    あすみ 「………………」

    クスッ

    あすみ 「……なぁ、最後にアレに乗ろうぜ。恋人のフリにはうってつけだろ?」

    成幸 「アレって……」

    成幸 「……観覧車?」

    232: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:22:21 ID:LAfruxaA
    ………………観覧車

    成幸 「………………」

    あすみ 「………………」 ニヤリ

    あすみ (後輩の奴、緊張した顔して黙り込んで……)

    あすみ (からかってやるのに最適な場所だと踏んだが、まさにうってつけだな)

    あすみ 「“成幸くん”」

    成幸 「……? なんです、“あすみさん”」

    あすみ (……あれ? コイツ意外と動じてない? っていうか、平然とアタシのこと名前で呼びやがったな)

    あすみ (……このヤロウ。もうアタシを名前で呼ぶのに慣れたってことかよ)

    あすみ (ん?)

    ハッ

    あすみ (アタシは、アタシに照れない成幸に、ムカついてるのか……?)

    あすみ (……いや、べつに、ただ単に、からかい甲斐がなくてムカついてるだけだ)

    あすみ (それ以外の何でもない)

    233: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:23:05 ID:LAfruxaA
    成幸 「あの、“あすみさん” ?」

    あすみ 「ん? ああ、すまん」

    あすみ 「そっち、行ってもいいか?」

    成幸 「へ……? こっちって、だって……――」

    あすみ 「――じゃ、失礼しますよ、と」

    ポフッ

    成幸 「!?」 (ち、近い! 狭い観覧車だから、隣に座られると、すごく近い!)

    成幸 (っていうか、もうほとんど密着してるぞこれ!?)

    成幸 (何でわざわざこっちに座り直したんだ!?)

    あすみ 「………………」 クスッ (成幸のやつ、動揺してるのが手に取るように分かるな)

    あすみ (面白い。これだから、成幸をからかうのはやめられない)

    あすみ (……つってもこれ、いくら何でも近すぎたかな)

    あすみ (隣に座るとこんなに密着することになるとは、思ってなかったな)



    234: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:24:00 ID:LAfruxaA
    成幸 「あ、あの……」

    あすみ 「んー? なんだよ、成幸?」

    成幸 「えっ……?」

    あすみ 「? なんだよ、鳩が豆鉄砲食らったような顔して」

    成幸 「あ、いや……なんでもないです。そ、それより、」

    成幸 「どうしてわざわざ俺の隣に座り直したんですか?」

    あすみ 「……さて、どうしてだろうな?」

    成幸 「わ、わかりませんよ」

    あすみ 「じゃあ、教えてやろうかな」

    あすみ 「………………」

    あすみ (にしし、成幸の奴、目つぶったアタシにドキドキして……――)



    成幸 「――……なつかしい、な」



    あすみ 「……?」

    235: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:24:49 ID:LAfruxaA
    あすみ 「成幸……?」

    成幸 「あっ、すみません。ちょっと昔のことを思い出して」

    成幸 「……まだ和樹と葉月が生まれる前、俺が小学生の頃、遊園地に来たときのこと、思い出しちゃって」

    成幸 「あのときも、最後にこんな風に妹の水希とふたりで観覧車に乗ったな、なんて」

    クスッ

    成幸 「すみません。変なこと言いました」

    あすみ 「………………」

    成幸 「……先輩?」

    あすみ 「………………」 (……なんだよ)

    あすみ (アタシは結局、妹扱いかよ)

    あすみ (ドキドキしてくれてたんじゃないのかよ)

    あすみ (……美人って言ってくれたじゃねぇかよ)

    あすみ (なのに、お前が思い出すのは、妹との思い出かよ)

    あすみ (……なんで)

    あすみ (なんでアタシはこんなに、悔しい、って思ってんだろ)

    236: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:26:00 ID:LAfruxaA
    成幸 「先パ――あ、…… “あすみさん”、どうかしましたか?」

    あすみ 「……何でもない。お前のことをからかって遊ぼうと思ったけど、やる気もなくなった」

    成幸 「へ?」

    あすみ 「アタシはどうせ、妹扱いしかされないちんちくりんだしな」

    あすみ (美人だって……)

    あすみ 「そりゃ、アタシなんかにドキドキするわけもないよな」


    あすみ (美人だって、言ってくれたくせに……)


    成幸 「……? えっと、あの……あすみさんが何を言ってるのかよく分からないですけど、」

    成幸 「こんなこと言うの恥ずかしいですけど、普通にドキドキしてますよ、俺」

    あすみ 「へ……?」

    成幸 「いや、そこで何でキョトンとするのかよく分からないです。さっきも言ったじゃないですか」


    成幸 「“あすみさん” みたいな美人さんがこんなに至近距離にいたら、ドキドキしないわけないでしょうが」


    成幸 「……っていうか、妹の話をしたのだって、気を紛らわすためなんですからね」



    237: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:26:58 ID:LAfruxaA
    あすみ 「……そ、そうか」

    あすみ (……!? そうか、じゃねーよアタシ!)

    あすみ (何をやってるんだ、アタシは。一体何を……)


    ―――― 『……何でもない。お前のことをからかって遊ぼうと思ったけど、やる気もなくなった』

    ―――― 『アタシはどうせ、妹扱いしかされないちんちくりんだしな』


    あすみ (何を言ってるんだアタシは!?)

    あすみ (うわ、なんか思い出したくもないくらい、ただの面倒くさい女じゃねーか)

    成幸 「それに、“あすみさん” 、さっきからずっと俺の反応見て遊んでるじゃないですか」

    あすみ 「……?」

    成幸 「さっきから俺のこと呼び捨てで呼んでるの、俺をからかうためでしょう?」

    あすみ 「呼び捨て? アタシが……?」

    あすみ 「………………」

    238: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:28:05 ID:LAfruxaA
    成幸 「……先輩? どうしたんです? 何で急にそっぽ向いたんですか?」

    あすみ 「……うるせぇ」

    成幸 「体調でも悪いんですか? あ、ひょっとして高いところが苦手とか?」

    あすみ 「うるせぇ」

    成幸 「……ん? 首元が赤いですよ? 熱でもあるんじゃ……」

    あすみ 「だから、うるせぇっての。今こっち見るな」

    あすみ (こちとら首どころじゃなく顔全体真っ赤なんだよ!!)

    あすみ (アタシ、当たり前のように、呼び捨てにしてたのか、こいつのこと……)

    あすみ (それに気づいてなかったのか……)

    あすみ (ムカつく。ムカつくのに、なんでか、さっきみたいに嫌じゃない)

    あすみ (嬉しい、なんて思ってる……それが一番、ムカつく)


    ―――― 『言っておくがな、あんなに良い青年はこれから探したってそうそう見つかるものじゃない』


    あすみ (ああ、ちくしょう。親父のやつ。そんなのわかってるよ)

    あすみ (そんなの、アタシが一番、わかってるんだよ)

    239: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:28:40 ID:LAfruxaA
    ………………帰路

    成幸 (先輩、どうしたんだろ。なんか機嫌が悪いというか、なんというか……)

    成幸 (ずっと黙り込んでるし、俺、なんかしちゃったかな……)

    成幸 「あ、あの、“あすみさん” ……」

    あすみ 「なぁ、“成幸くん”」

    成幸 「あ、は、はい!」

    あすみ 「名前を呼ぶ練習は今日だけで十分だろ」

    あすみ 「もう元に戻していいぞ。また、ウチに来てもらうことがあったら、やってもらうかもしれないけどな」

    成幸 「……わかりました。先輩」

    あすみ 「おう、後輩」



    240: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:29:23 ID:LAfruxaA
    あすみ 「……今日は付き合わせて悪かったな。お前にも勉強があるのに」

    成幸 「そんなの先輩も一緒じゃないですか。それより、滅多に来られない遊園地に来られて、すごく楽しかったですし、」

    成幸 「ありがとうございます、 “あすみさん”」

    あすみ 「っ……」 プイッ 「お前、戻ってるぞ」

    成幸 「へ……? あっ」

    カァアアアアア……

    成幸 「す、すみません」

    あすみ 「べつにいいけど――――」


      「――――仲睦まじそうで何よりだ。嬉しいぞ、あすみ、唯我くん」


    あすみ 「!? 親父!? どこから湧いた!? っていうか仕事はどうしたんだよ!」

    小美浪父 「診療時間が終わった瞬間に家を出て駆けつけた」

    あすみ 「あんた本当にアホなんじゃないか!?」

    241: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:30:13 ID:LAfruxaA
    成幸 「あ、どうも、お父さん。いつもあすみさんにお世話になってます」

    小美浪父 (お義父さん!? ああ、息子よ……)

    小美浪父 「いやいや、こちらこそ、いつも娘がお世話になっています」

    あすみ 「お父さん呼びに悶えんな! ほんと何しに来たんだよあんたは!」

    小美浪父 「娘の遊園地デートを観察しに来たに決まってるだろう! 何を言ってるんだお前は!」

    あすみ 「なんで逆ギレしてんだよ!」

    成幸 「ま、まぁまぁ。お父さんもあすみさんも、抑えて抑えて……」

    242: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:31:01 ID:LAfruxaA
    小美浪父 「いや、しかし、デート本番には間に合わなかったようだが、」

    小美浪父 「今の君たちが見られれば来た甲斐があったというものだ」

    あすみ 「い、今のって、べつに何もないだろ」

    小美浪父 「すばらしい。今の状況が何でもないことなのか」

    小美浪父 「君たちは私が想像するよりはるかにラブラブだったようだ……」

    あすみ 「だから何の話をしてんだよ!」

    小美浪父 「気づいていないのか? それくらい自然なことなのか?」



    小美浪父 「父親を前にしても、手を繋ぎ続けていることが」



    成幸 「え……?」

    あすみ 「へ……?」

    成幸&あすみ 「「わぁ!?」」

    バッ



    243: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:31:39 ID:LAfruxaA
    成幸 (し、しまった……)

    あすみ (デート中、ずっと手をつないでいたから……)

    成幸&あすみ ((今も当たり前のように手をつないだままだったー!!))

    小美浪父 「照れなくてもいい。若いというのはそういうものだ」

    あすみ 「したり顔で変なこと言ってんじゃねー、このバカ親父!」

    小美浪父 「こんなことならば声をかけるべきではなかったね。失礼した」

    小美浪父 「私はまっすぐ家に帰るよ。邪魔したね」

    あすみ (ああ、ちくしょう。言いたい放題言いやがって)

    あすみ (まぁいい。早く帰れ)

    小美浪父 「あ、そうそう」

    ニコッ

    小美浪父 「今日は外泊してきてもいいぞ、あすみ」

    あすみ 「なっ……」

    244: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:32:21 ID:LAfruxaA
    小美浪父 「ただし、唯我くんはまだ高校生なのだから、しっかりと親御さんの許可をもらってからにすること。いいね?」

    あすみ 「何を言ってんだこのバカ親父!」

    成幸 「あ、うちは電話をすれば、すぐOKがでると思います」

    あすみ 「お前もマジメに答えなくていいよ!」

    小美浪父 「では、私は失礼するよ」

    あすみ 「……くそ、あの親父、言いたいだけ言ったら本当にいなくなりやがった」

    あすみ 「自分の娘のことをなんだと思ってやがるんだあの親父は」

    成幸 「ははは、きっとあすみさんのことが心配なんですよ」

    あすみ 「そうは見えないけどな。楽しんでるだけだろ」

    あすみ 「……この際、本当に外泊してやって、驚かしてやろうかな。なぁ後輩?」

    成幸 「かわいそうだからやめてあげてください。あと俺を巻き込まないでください」

    245: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:33:26 ID:LAfruxaA
    成幸 「……さ、行きましょうか」

    あすみ 「ん? 何だよ、この小妖精メイドあしゅみぃの同伴デートが足りないのか?」

    あすみ 「それとも、まさかあの親父の言葉を真に受けたんじゃないだろうな?」

    あすみ 「一緒にお泊まりしてやってもいいが、高いぞ?」

    成幸 「何を言ってるんですか。勉強ですよ。ファミレスかどっかでしていきましょうよ」

    あすみ 「ああ……」 クスッ 「……ま、お前はそうだよな」

    成幸 「へ? 何です?」

    あすみ 「何でもない。ほら、行くんだろ、ファミレス。仕方ないから、勉強くらい付き合ってやるよ」

    成幸 「はい、ありがとうございます!」

    あすみ (……ま、べつに、いいか)

    あすみ 「勉強してる方が、アタシたち、って感じだしな」

    成幸 「へ……?」

    あすみ 「今日も頼りにしてるぜ、“成幸くん”」

    成幸 「はい、“あすみさん”!」

    おわり

    246: 以下、名無しが深夜にお送りします 2018/10/02(火) 02:34:20 ID:LAfruxaA
    ………………幕間 胃痛のタネ

    文乃 (……偶然街に買い物に出たら、成幸くんと小美浪先輩が手を繋いで歩いているのを見かけてしまった)

    文乃 (明日本人に確認するべきか、それともそんな野暮なことをするべきではないか……)

    文乃 (恋人のフリのわりには、仲睦まじそうに見えるし……)

    キリキリキリキリ……

    文乃 「……胃が痛い」

    文乃 (成幸くん、覚えてろ。だよ)

    ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!!!

    文乃 (今度学校で会ったら、絶対、ぶつ)


    おわり



    引用元: 【ぼく勉】小美浪先輩「この前は本当に悪かった」成幸「はい?」

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