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    学年主席の女子高生「私があなたに告白の仕方を教えてあげる」

    1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/28(火) 21:49:17.14 ID:hwnXhZn00
    あれは忘れもしない、去年の夏休みの終わり。
    遊び呆けていた俺の宿題は、手付かずだった。
    新学期まで、あと3日。万事休すだと悟った。
    もう無理だと諦めかけていたその時、閃いた。

    そう言えば、近所にガリ勉女が暮らしていた。

    俺はすぐさまチャリを飛ばし、アポなし訪問。
    なにせその女子生徒とは電話番号はおろかメアドもLINEも交換していない。赤の他人だった。
    それなのにどうして自宅を知っていたかと言えば、それはひとえに席が隣同士だったからだ。
    欠席の際にプリントを届けてくれと担任教師に頼まれた折、近所に住んでることが発覚した。

    これも何かの縁だと勝手に解釈をして。
    パパッと宿題を写させて貰おうと目論んだ。
    ガリ勉女は学年主席。テストはいつも1番。
    間違いなく、宿題は片付けている筈である。

    そんなわけで、ピンポーンと呼び鈴を押すと。

    『……何しに来たの?』

    インターフォン越しに、不機嫌な声が届いた。




    2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/28(火) 21:52:53.08 ID:hwnXhZn00
    「実は、宿題を写させて貰おうと思って……」
    『帰って』

    取り付く島もないとは、まさにこのこと。
    ガリ勉女は社交的ではなかった。勉強一筋。
    故に、昼休み時間には独りで読書している。
    放課後、女子に遊びに誘われても全て拒否。
    周囲に断崖絶壁を築いて籠城しているらしい。

    「……典型的な引きこもり予備軍だな」

    そんなわけで、ガリ勉女には、友達がいない。
    だから、俺がプリントを届ける羽目になった。
    とはいえそのおかげで自宅が発覚したのだが。
    よもや写させてくれないとは。想定外である。
    そんなだから友達が出来ないのだ。ケチんぼ。

    まあ、人のことだから、とやかく言うまい。
    好きに生きればいいさ。俺には関係ない。
    ただ、今日に限っては、そうはいかない。
    何せこちらの人生が懸かっているのだから。
    いや、流石に大袈裟かも知れないけれど。
    それでも諦めきれずに再び呼び鈴を連打連打。

    『うるさいっ!』

    返って来たのは初めて聞く大声。良い反応だ。

    「お願いします。どうか私めに宿題を……」
    『自分でやれ』
    「それが出来たら苦労しません」
    『じゃあ他の友達に頼め』
    「やだなぁ、奴らが宿題なんてやる訳ないでしょう? 皆、他力本願っすよ。だから頼むっ!」

    一応、事前に他の友達には確認しておいた。
    返事は聞いた通り。1人残らず手付かずだ。
    そりゃあそうだろう。一緒に遊んでたし。
    宿題なんぞやる暇なんて、存在しなかった。
    だからこそ、こうして最終手段に頼ったのだ。

    文字通り、まさに、最終兵器ガリ勉である。

    『……見返りは?』
    「はい?」
    『宿題を写させる代わりに、何してくれる?』
    「んなこと、急に言われても……」
    『じゃあ、私のお願いをひとつ聞いて貰うわ』

    この最終兵器は、わりと現金なやつだった。

    3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/28(火) 21:56:01.80 ID:hwnXhZn00
    「入って」
    「お、お邪魔します」

    問答の末、ようやく開いた玄関からお宅訪問。
    なんだか、緊張するな。これでも女子の家だ。
    意味もなく照明やら壁紙やらを眺めていると。

    「キョロキョロしない」
    「あ、でも、親御さんは……?」
    「今はいない」
    「あ、そうですか」

    どうやらご両親は不在らしい。
    安心したような、そうでもないような。
    ちょっと安堵して、すぐにまた緊張する。
    ていうか、俺はこいつに聞きたいことがある。

    「あ、あのさ……」
    「何?」
    「その髪、どうしたんだ?」
    「家では下ろしてるだけ」

    いつもはワンテールの三つ編みのガリ勉が。
    今日は髪を下していた。それだけであるが。
    たった、それだけで、印象が違って見えた。
    いや、よく見ると、もうひとつ違っている。

    「ちなみに、メガネはどうしたんだ?」
    「家では外してるの」
    「ふーん」
    「ジロジロ見るな」

    メガネを外したガリ勉は、なかなかイケてた。

    4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/28(火) 21:59:26.81 ID:hwnXhZn00
    「ここが私の部屋」
    「ほほう。これはこれは、結構なお点前で……」
    「はあ?」

    部屋に通されるといい匂いがして、錯乱状態。

    「お茶が飲みたいの? 図々しい男ね」
    「あ、いえ、お構いなく……」
    「そこに座って待ってなさい」

    どうも茶を催促されたと思ったらしく。
    ガリ勉は一旦退室して、取り残された。
    クッションの上に独り、体育座りで待機。
    またしてもキョロキョロ。綺麗な部屋だ。
    読みかけの漫画だけが、床に伏せられている。
    どうやら少女漫画らしく、とても意外だった。
    びっくりだ。あいつもこんなものを読むのか。
    物が少ないように見えるのは収納が多い証拠。
    壁一面に、収納棚の扉があり、興味が湧いた。

    恐らくどれかに下着類が収納されている筈だ。
    あのガリ勉が、普段どんな下着を着けてるか。
    全く想像もつかない。そもそも興味なかった。

    でも、メガネなしの素顔は、わりとイケてた。

    「何してるの?」
    「いや、別に、なにも!」

    戸棚に手を伸ばすと、ガリ勉が戻ってきた。

    「今、戸棚を物色しようとしてなかった?」
    「ま、漫画を片付けてやろうと思ってさ」
    「まさか、中身を読んでないでしょうね?」

    言い訳に少女漫画を利用すると、睨まれた。

    「よ、読んでません! 神に誓って!」
    「……それなら、いいけど」

    まあ、読まなくても大体中身はわかるけどな。

    「はい、お茶。紅茶で良かった?」
    「あ、どうも。これはこれは結構なお点前で」

    ようやく本来の使い方で、俺は紅茶を褒めた。

    5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/28(火) 22:01:35.56 ID:hwnXhZn00
    「ただ写すだけでは勉強は身に付かないわ」
    「では、どうしろと?」
    「教えてあげるから、少しは頭を使いなさい」

    早速、宿題を写そうとすると講義が始まった。

    「これはこの公式に当て嵌めるのよ」
    「どの公式だって?」
    「だから、これ! 目も見えないの?」

    厳しいけれど、存外、面倒見が良いらしい。

    「他の奴らにも勉強教えてやったら?」
    「嫌よ。面倒臭い」

    俺の提案を心底嫌そうに、にべもなく却下。
    そう言われると、なんだか変な気持ちだ。
    俺だけは特別だと言われた気がしたの、だが。

    「約束、忘れないでね?」
    「あ、ああ……わかってるよ」

    あくまでも、これは取り引き。
    交換条件であると、念を押された。
    わかってるけれど、ちょっと萎えた。



    6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/28(火) 22:03:51.87 ID:hwnXhZn00
    「もう、また間違えてるじゃない!」
    「えっ? どこ?」
    「ここよ! ここ! 何度同じミスをするのよ!」

    叱責されて、ガリ勉の手元を注視。
    すると、視界の端に胸が入ってしまって。
    なんだかいつもより盛り上がってる気がして。

    「ちょっと、どこを見てるのよ」
    「あ、悪い、つい……」
    「いやらしいわね。そんなに溜まってるの?」
    「ち、ちげーって! 毎日抜いてっから!」
    「最低」

    これは酷い誘導尋問だ。
    思わず余計なことを口走ってしまった。
    でもさぁ、男の子だもん。男子高校生だもん。

    そんな不埒な俺に、ガリ勉は嘆息して、一言。

    「まあ、ブラを着けてない私も悪かったわ」
    「えっ?」
    「出かける予定もなかったし、窮屈だから」
    「えっ? えっ?」

    この女は今、ノーブラらしい。思わずガン見。

    「ガン見すんな。どんだけ飢えてんのよ」
    「う、飢えてないし! 俺もノーブラだし!」
    「はあ? ……ふふふっ。馬鹿じゃないの?」

    我ながら、馬鹿馬鹿しい発言だったとは思う。
    でも、意外だった。まさかガリ勉が笑うとは。
    初めて見た、その笑顔に、見惚れてしまった。

    7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/28(火) 22:10:03.99 ID:hwnXhZn00
    「どうしたの?」
    「えっ? なにが?」
    「さっきから、上の空だけど」
    「いや、なんだろ、風邪かな?」

    いかん。全然集中出来ない。意識してしまう。

    「大丈夫? 熱は……」
    「ふぁっ!? な、なにするだっ!?」

    おもむろに、額に手を当てられ、狼狽すると。

    「熱いわね。今日はここまでにしましょう」
    「だ、大丈夫だって! 元気だから!」
    「いいから、明日に備えてゆっくり休んで」

    有無も言わさぬ口調に頷くことしか出来ない。

    「病欠は認めないから」
    「はい、這ってでも行きます」
    「よろしい。楽しみにしてるわ」

    不敵な笑みに不安を感じながら、思い返す。

    『明日、私とデートしなさい』

    これが、ガリ勉に突き付けられた交換条件。
    なんでも、一度は体験してみたいとのこと。
    こいつも一応、色恋に興味があるらしい。
    恐らく、さっきの少女漫画の影響だろう。
    俺としては背に腹は代えられず、承諾した。

    だから明日は2人で街にお出かけするのである。

    8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/28(火) 22:12:46.37 ID:hwnXhZn00
    「お、お待たせ……」
    「遅い」

    場面は変わって、翌日の駅前。晴天だった。
    待ち合わせ場所に向かうと、既に待っていた。
    開口一番に叱責されて、言い訳を口にする。

    「でも、まだ30分前だし……」
    「女の子を待たせるなんてあり得ない」
    「いや、いつから待ってたの……?」
    「さ、行くわよ」

    こちらの質問に一切答えず華麗にスルー。
    先陣を切り、颯爽と街へ繰り出すガリ勉。
    服装は白のワンピース。着こなしている。
    これを着れる女はなかなか少ないだろう。
    生地と同じく、真っ白な素肌が、眩しい。
    恐らく、引きこもりの恩恵だと思われる。
    その後ろ姿に、またもや見惚れていると。

    「なにグズグズしてるの! 早く来なさい!」
    「は、はい! ただいま!」

    やれやれ、楽しいデートになりそうだぜ。

    9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/28(火) 22:16:04.74 ID:hwnXhZn00
    「疲れた」
    「えっ? もう?」

    元気だったのは最初だけ。すぐにバテた様子。

    「喉渇いた」
    「んじゃあ、スタバにでも行ってみるか?」
    「豚箱?」
    「スタバだよ! コーヒーを飲む店!」
    「ああ、あの伝説の……」
    「駅前に伝説があってたまるか!」

    これも引きこもりの弊害か。嘆かわしい。
    地元なのに、行ったことがない様子。
    先行きに不安を感じつつも、入店。

    「見て、人がゴミのようだわ」
    「失礼だろうが! 口を慎め!」

    丁度休日ということもあって、混雑していた。
    どうやらこの女は、人混みが大の苦手らしい。
    ガリ勉の口の悪さに辟易としながら注文する。

    「ヘーゼルナッツアイスカフェモカのトール」
    「何それ、呪文?」
    「呪文じゃなくて注文だよ。お前は?」
    「そう言われても、わからないわ」

    そう言って俯くガリ勉の哀しげな表情を見ていると、人目を憚らず抱きしめたくなって、そんな気持ちを誤魔化す為に早口で呪文を唱える。

    「アイスエクストラショットソイキャラメルキャラメルマキアートのトールをください!!」
    「二度もキャラメルって言う必要ある?」
    「も、文句があんなら自分で注文しろ!」
    「いいえ。あなたが選んでくれたのだもの」

    ここぞとばかりに、笑顔になるのは、反則だ。



    10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/28(火) 22:18:56.25 ID:hwnXhZn00
    様々な困難に直面しつつも、喉を潤す。

    「美味しい」
    「そりゃ、ようございましたね」

    どうやら口に合ったらしい。ほっとしたら。

    「あなたのも飲みたい」
    「はいはい……って!」

    ついつい、自然な流れで手渡してしまった。

    「どうかしたの?」
    「いや、別に……」
    「うん、これも美味しいわ」
    「そ、それなら良かった」
    「じゃあ、次は私のを飲んでみる?」

    まあ、そうなるよな。ストローが魅力的だ。

    「いや……遠慮しとくよ」
    「豆乳嫌いなの?」
    「そうじゃなくて、その……」
    「どうしたの?」

    どうも、この女は全然気づいていないらしい。

    「これって、たぶん……間接キス、じゃね?」
    「は?」
    「だって、同じストロー使ってるし……」

    どうしてこんなことを説明しているのだろう。

    「だから、間接的にキスしたことに……」
    「……ッ!」

    ようやく気づいたか。今更顔を赤くすんなよ。

    「まあ、気にすんなよ! 事故だからさ!」
    「……気にするに決まってるでしょ」
    「そ、そんな深刻になられても困るんだけど」
    「うるさい! 責任取って!!」

    何故か、俺は責任を取らされることになった。

    11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/28(火) 22:21:00.89 ID:hwnXhZn00
    「どう責任を取ればいいんだよ?」
    「そんなの自分で考えて!」

    こうして波乱万丈なデート体験は幕を下ろし。
    それから俺は、夏休み最終日まで悩み続けた。
    ちなみに、連日ガリ勉宅に通い、宿題をした。
    おかげでどうにか終わったが、難問は残った。

    「水に流してくれるつもりは……」
    「ない」
    「……よな。くそっ、参ったなぁ」

    結局、問題は解決しないまま。
    明日から新学期。ちょっと気まずい。
    不注意とはいえ、流石に不味かった。
    少しは責任を感じてしまう。本当に参った。

    「何をそんなに悩んでいるのよ」
    「んなこと言ったってどうしようもないだろ」

    途方に暮れていると、ガリ勉がぽつりと囁く。

    「……あるわよ。責任を取る方法がひとつだけ」
    「ほ、本当か!? 教えてくれっ!」

    藁にも縋る思いで尋ねると、こう言われた。

    「私と付き合えばいい」

    それが冗談か本気か、俺にはわからなかった。

    12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/28(火) 22:23:00.89 ID:hwnXhZn00
    「冗談、だよな?」
    「冗談で済ませるの?」

    哀しげな瞳で見つめられて、息が詰まる。

    「いや、でも、付き合うなんて……!」
    「嫌なの?」
    「そうじゃなくて、お前はどうなんだよ!?」
    「どういう意味?」
    「だから、お前は俺を、どう思ってるんだ?」

    付き合うには互いの気持ちが重要なのだけど。

    「言わない」
    「な、なんでだよ!」
    「そんな聞き方じゃ、言う気が失せるわ」

    なんて言い草だ。どんだけわがままなんだよ。

    「もしかしてあなた、告白したことないの?」
    「……ねーよ。悪かったな」
    「それなら、仕方ないわね」

    正直に答えると、ガリ勉は、にやりと笑って。

    「私があなたに告白の仕方を教えてあげる」

    そうして俺はガリ勉に告白の仕方を教わった。



    13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/28(火) 22:25:51.77 ID:hwnXhZn00
    「まずは、相手の交友関係を尋ねて」
    「いや、でもお前、基本的にぼっちじゃん」
    「いいから言う通りにしなさい!」

    気炎を上げられて、慌ててガリ勉に尋ねる。

    「な、仲の良い奴とかいるのか?」
    「いない」
    「デスヨネー」

    ねぇ、この問いかけに何の意味があるわけ?

    「次は退路を断って」
    「なんだそりゃ、どういう意味だ?」
    「交際の申し込みを断りづらくするのよ」
    「どうやって?」
    「今、付き合ってる人が居るかを尋ねて」
    「でも、さっき友達すら居ないって……」
    「いいから、さっさと聞け!」

    ひぇっ。もうなんなのこの女。おっかない。

    「お前、付き合ってる奴とかいんの?」
    「いない」
    「デスヨネー」

    だからさぁ……わかりきったことはやめようよ。

    「最後は物理的に退路を断って」
    「は?」
    「ほら、立ちなさい! 壁際まで追い詰めて!」

    手を引かれて、壁際まで向かう。意味不明だ。

    「ドンッ! って、強く壁に手をついてみて」
    「お、おう」

    言われた通りにドンッ! と、壁に手をついた。

    「きゃっ!」
    「わ、悪い。びっくりさせちまったか?」
    「あ、謝るな! 堂々としろ!!」

    わっけわかんねーよ。もう、おうち帰りたい。

    14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/28(火) 22:28:32.28 ID:hwnXhZn00
    「そのまま顔を近づけて」
    「こ、こうか?」
    「……近すぎ」
    「む、難しいな」

    思わず謝りそうになったが、ぐっと堪えたぞ。

    「それから、ええっと……なんだったかしら?」
    「おいおい、大丈夫か? しっかりしてくれよ」
    「う、うるさい! 今考えてるから待ってて!」

    どうやら即興の演出らしい。しかし、困った。

    「なるべく早くしてくれないか?」
    「せ、急かさないでよ! 考えてるんだから!」
    「でも、そんなに長く待てないというか……」
    「はあ? 何それ、どういう意味よ?」
    「こうしてると……キス、したくなっちまう」

    顔が近いだけで、吸い寄せられる。やばい。

    「ちょ、ちょっと待って! まだ早い!」
    「もう待てねーよ。だいぶ我慢してる」
    「告白が先! キスはそのあと、たっぷり……」
    「どっちが先でも変わんねーだろ」

    もう自分が何を言ってるかわからず接近して。

    「や、やっぱりだめぇーっ!!」
    「ぶべっ!?」

    盛大なビンタと共にその夏は終わりを告げた。

    15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/28(火) 22:37:58.87 ID:hwnXhZn00
    「喉乾いた」
    「なら、スタバにでも行くか?」
    「うん、行く」

    あれから1年が過ぎ、俺たちは再びスタバに。

    約束したわけではないが、何故か足が向いた。
    意味もなく、去年と同じ、待ち合わせ場所へ。
    今年は1時間前に行ったのに、先に待っていた。
    驚きつつも、待たせてしまったことを謝った。

    「待たせて悪かったな」
    「別に気にしてないわ」
    「今日は待たせたことを怒らないのか?」
    「1年も待ったことに比べたら、平気よ」
    「……ずっと、待ってたのか?」
    「さ、早く行くわよ」

    今回は怒られることもなく、すんなり向かう。

    「注文して」
    「前と同じのでいいのか?」
    「うん、あれがいい」

    去年と同じ、商品を注文する。

    「ヘーゼルナッツアイスカフェモカのトールと、アイスエクストラショットソイキャラメルキャラメルマキアートのトールをください」
    「やっぱり二回もキャラメルって言うの、変」
    「文句があるなら自分で注文しろよ」
    「いいえ。あなたに頼んで欲しかったから」

    相変わらず、わがままなところは健在らしい。

    「元気だったか?」
    「ええ、そっちは?」
    「まあ、理系でも上手くやってるよ」

    学年が上がって、俺たちはクラスが分かれた。
    俺は理系コースに進み、ガリ勉は文系コース。
    だから、こうして会うのはわりと久しぶりだ。

    「私も、いつも通りよ」
    「新しいクラスでも、ぼっちなのか?」
    「うるさいわね。ほっといて」

    変わりなくて心配なような、安心するような。

    16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/28(火) 22:40:48.77 ID:hwnXhZn00
    「やっぱり、美味しいわ」
    「それなら、良かったな」
    「ほろ苦いけれど、とても甘いところが好き」
    「……気に入ったようで、何よりだよ」

    懐かしい味に舌鼓を打ち、喉を潤していると。

    「タイムマシンって、作れると思う?」

    ガリ勉が、いきなりおかしな質問をしてきた。

    「なんだよ、いきなり」
    「あなた、理系でしょう?」
    「高校生に聞く質問じゃねーよ」
    「単純に所感を知りたいだけ」

    俺は今でも馬鹿だけど、少しは知識があった。

    「まあ、不可能ではないだろうな」
    「ほんと?」
    「ただし、莫大なエネルギーが必要だ」

    途方もなさすぎて、具体的な数字は知らない。

    「でも、俺は……戻りたいと、思ってる」

    非科学的な内心を吐露すると、断言してきた。

    「戻れるわ」
    「は?」
    「時間は、巻き戻せる」
    「どうやって?」
    「簡単よ。同じ状況を、再現すればいい」
    「同じ状況を再現する?」
    「ええ、そうすれば、去年と同じでしょ?」

    なるほど、それは盲点だった。観点が違うな。

    「その為に待ち合わせ場所に来たんでしょ?」
    「いや、俺は別に、なんとなく……」
    「それなら尚更、運命的な邂逅ね。素敵だわ」

    流石は文系。まるで物語のような解釈だった。



    17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/08/28(火) 22:48:04.83 ID:hwnXhZn00
    「今日も親が不在なのだけど」

    当然、今年は間接キスなどしなかったのだが。

    「うち、上がっていく?」

    宿題だって理系と文系では内容が異なるけど。

    「ああ、お邪魔するよ」

    解けていない難問に回答する決意を、固めた。

    「入って」

    1年ぶりのガリ勉の部屋は、変わりなかった。
    物が少なく、綺麗だけど、寂しさを覚える。
    そして、またしても、去年と同じように。
    読みかけの少女漫画が、床に伏せられている。

    「今、お茶を淹れるから……」
    「いや、いいよ。さっき飲んだばっかだし」
    「そ、そう言えば、そうだったわね」

    落ち着かない様子のガリ勉に、俺は質問する。

    「お前って今、仲の良い奴とかいんの?」
    「い、いないわ」
    「じゃあ、付き合ってる奴は?」
    「い、いない……です」

    よーし、言質は取った。仕上げは、壁ドンだ。

    「きゃっ!」
    「こうして、告白すればいいんだよな?」
    「して、くれるの……?」
    「ああ、好きだ。俺と付き合ってくれ」

    随分と遠回りになったけれど、やっと言えた。

    「はい……よろこんで」

    1年越しのキスの味は、キャラメルの味がした。


    【告白の仕方の再現】


    FIN



    引用元: 学年主席の女子高生「私があなたに告白の仕方を教えてあげる」

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    1. 以下、SS宝庫がry-

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