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    【艦これ】山城「告白と便意はそれとなく似ている」

    1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/08(日) 17:42:09.37 ID:5XVV+lnp0
    艦これです。地の文ありです。短めです。




    2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/08(日) 17:44:02.60 ID:5XVV+lnp0

    告白と便意はそれとなく似ている。そう気がついたのは私が提督を目の前にして、愛の告白をする寸前だった。

    3秒前。私の中でめまぐるしく変化する恋心が、好きの方向に舵をとった時。

    恋心というのは躁鬱病だ。好きで仕方がない、四六時中考え続ける日もあれば、憂鬱となり、疑心暗鬼と自暴自棄に囚われ気持ちを明らかにすることを躊躇ったりする。

    この天地の差を私は、恋は躁鬱病と同じと考える所以になっている。

    3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/08(日) 17:44:40.10 ID:5XVV+lnp0

    2秒前。私は便意に気がついた。私のお腹の中に渦巻く恋心は便意とごちゃ混ぜになり、ぐるぐるとなめくじが身体中を這うような、不快な汗と感覚を生じさせた。

    1秒前。私は、告白と便意はそれとなく似ていることに気がついて、走馬灯のように駆け巡る提督との思い出に花を咲かす。

    山城。名前を呼ばれると心が踊るようになってしまったのは、いつだろう。

    私にとっての提督、という存在はただの上官であり、仲間であり親しい友人だった。

    簡単に言うと友達以上、親友未満。男女の友情という嘘偽りで塗り固められた存在だった。

    4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/08(日) 17:45:14.76 ID:5XVV+lnp0

    だからこそ、つまらない悩みから苦しくて仕方がない悩みまで気軽に相談できた。

    それは場所を選んで。今思えばそれが問題だったのかもしれない。

    女社会というのは、非常にめんどくさいものである。女は嘘と噂と悪口、恋話が好きな存在で、例に沿って私も同じである。

    人前で大っぴらに話せる内容ではないため、私は提督と二人っきりで話せる環境でこの話題を持ちだした。

    例えば、執務室の午後21時。

    例えば、海岸沿いで。ゆったりとした潮騒が、バックグラウンドで機能し続ける不定期の時間。

    例えば、午後23時の食堂で、蛇口から洗面器にぽたりぽたりと落ちる雫が見守る時。この3種類だった。

    5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/08(日) 17:46:14.52 ID:5XVV+lnp0

    大抵あれこれ話すのは私で、提督は頷いて軽く反応する係。

    たまに自分のちょっとした話を持ち込んで、私の意見に同意する。

    最初は他愛もない話だった。やれこれが食べたい。そうだこんな作戦はどうだなの。

    うんうん頷く提督だから、つい調子に乗って私は先ほどの、嘘と噂と悪口、恋話を話すようになってしまった。

    きっかけはよく覚えていない。結果だけが残っていた。

    私と提督は、ある日から少しずつ仲良くなった。

    上官にあたる提督にスキンシップをするようなってしまったし、携帯でのやり取りをするようになった。

    提督も嫌そうな顔を一つせずそれに応じた。




    6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/08(日) 17:46:40.54 ID:5XVV+lnp0

    しかし私はめんどくさいことが嫌いだった。携帯でのやり取りは特にそうだから、いつも返信を後回しにしていた。極め付けには返信しないまま提督と会い、そのまま執務をこなしたりもしていた。謝りもせずに。そもそも悪いと思っていなかった。

    では提督はというと、返信は秒で帰ってくるか、遅くても30分以内だった。それが返信を遅くする決定打だった。

    そしてある日、姉さまの恋愛相談をなんとなく聞き流している時に話された内容に、耳を疑った。それは男性の脈ありの行動の話だった。

    男性は、どうも好きな女性には返信を早めるらしい、と。私の姉さまこう愚痴った。提督は返信が遅いと。

    姉さまから解放された私はベットに横たわり、なんとなくフリック入力をして検索してみた。男性 好きな女性、と。検索して現れた結果に、私は思わずため息を漏らした。どっちのため息だったのかは、よく知らない。そして額に携帯を押し当てる。微妙に熱を帯びていた。

    7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/08(日) 17:47:41.17 ID:5XVV+lnp0

    その日を境に、私は確認するように提督の行動を観察した。しかし結果は、どれもこれも当てはまり、私は困惑した。

    もし提督が私のことを好きだったら。そうした場合、私はなんて答えるだろう。

    携帯は新着メッセージで常に埋まる。私へのスキンシップは数が増える。私のつまらない話をうんうんと頷き肯定する。

    もしも。そのもしもが、私の穏やかだった心の海を荒だてた。

    私は、提督を友達以上、親友未満で考えている。だけど提督は、どうなんだろう。私を良き友達としてみているのか、それとも。

    荒れ狂う大海原が静まることはなかった。いつ何時でも、頭の片隅でその人の考える。

    眠りの落ちる寸前まで。時には眠りに落ちた中でも会うことがあった。

    でも私は、これを恋とは呼ばなかった。そもそも恋とはなんだ。好きとはなんだ。

    その根底に潜むただ単純な疑問が、私を見上げていた。

    8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/08(日) 17:48:24.25 ID:5XVV+lnp0

    これは、艦娘の私、だからの問題なんかじゃない。私は、わからないものが嫌いだから。

    時雨に聞いた。私はどうすればいいと。こう言った。自分の好きなようにしろと。

    私は鏡の中にいる自分を見つめる。写るのは寝不足でむくんだ顔と、あごにぽつんと、一つ真っ赤に膨れたニキビをした私。つまらない、私。

    そして私は、提督に食事を誘われた。今日暇だから外に出て、食事しない、と。

    午前中のことだった。私は迷った。3時間放置した。その間に提督はこちらに確認をしてはこなかった。それが救いだった。

    そして私は答えた。わかりましたと。

    なんの食事かなんて、それに意味はない。美味しかったかどうかも、なんの意味を持たない。

    ただわかるのは、提督と一緒にいると、ただただ楽しいということだけだった。

    9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/08(日) 17:49:38.35 ID:5XVV+lnp0

    午後24時の帰り道。その日の夜空は雲が散り散りとなり、雲が月を覆い隠すと同時に街は暗闇を帯びていた。

    静まりかえった街中で、私と提督は子どものようにその暗闇を走り回った。

    お酒は入っていない。シラフなのに異常にテンションは上がっていた。

    なぜなら消灯時間も過ぎてるし、こんな時間に帰れば提督といえど始末書問題になるからだ。

    どうにでもなれ。この自暴自棄が何より楽しかった。

    ふっと、その楽しさは一転して疑問へと変わった。それは恋が何かを知る瞬間だ。

    月明かりも該当の灯火も一切入り込まない暗闇に、入ろうと行ったり来たりしていた時だ。

    すっと、私の手を提督は握りしめた。そしてその暗闇へ歩き出す。

    その時私は静まり返ったと思う。よくは覚えていないけど、たぶんそうだ。

    まだ弱い握力がなぜだか強く感じた。そして流れ込んでくる、提督の思い。

    この人は、私のことを好きなんだ。と。

    暗闇へ誘われる。木々のざわめきと、スニーカーが地面を踏みしめる軽い音、2つ。



    10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/08(日) 17:50:22.49 ID:5XVV+lnp0

    この先に何があるのだろう。あるのは弱々しく光る街灯か、行き止まりか。

    あったのは、もっと闇を濃くした得体の知れない空間だった。

    私と提督は笑い合い、帰ることにした。くるりと方向転換をした時、提督の握る手が、強くなったのを感じた。

    そして入り口まで行くと私は手を離し、明るい街灯の下へと走った。

    そして言う。怖かったわね、と。

    私たちは鎮守府へと帰った。提督は、その後一度も私の手を握らなかった。

    そして私は自室に戻るや否や、自分を慰めた。こうすることでしか、私は落ち着きを取り戻せなかった。

    そう。これが私の恋心に気がついた瞬間。でも恋心が何かを、知らない。だからあの3秒前までが苦しかった。

    その日から2週間も経っていたから。その苦しみの元凶は恋心、なんかじゃない。もっと自分勝手な理由だ。

    11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/08(日) 17:51:29.61 ID:5XVV+lnp0

    私の心の中で息づく提督が許せないからだ。嫌いだからじゃない。様々な想いと感情が入り混じるこの私だけの心が、一色だけになることが嫌だからだ。この心は私だけのもの。

    だから仕事が早く切り上げることができた今日、このどろどろになった心を吐き出す。

    結果はどうなってもいい。成就しようがしなかろうが、どうだっていい。

    吐き出すことが目的で、心がまた楽になるのだから。

    わざわざ海辺を誘った私は、久し振りに晴れたこの空に感謝した。

    雨が馬鹿みたいに続いた最近のせいで、一度そのチャンスを逃したのだから。千載一遇を逃すわけにいかない。

    12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/08(日) 17:52:16.93 ID:5XVV+lnp0

    3秒前。私の恋心は好きに舵をとる。

    2秒前。私は便意に気がついた。

    1秒前。走馬灯のように私の思い出が駆け巡る。

    そして私は、告白と便意はそれとなく似ているものだと気がついた。

    捻り出したいこれは、自分の気持ちを、すっきりとさせたいからだ。

    願わくば無事平穏に、気持ちを言葉にしたものを捻りだせるようにと、無神論者だった私は初めて神様を信仰した。

    都合のいいタイミングでごめんなさいと心で謝り、私は。

    山城「提督!!私は!!」

    ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





    13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/08(日) 17:53:30.56 ID:5XVV+lnp0
    おしまいです。



    引用元: 【艦これ】山城「告白と便意はそれとなく似ている」

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    コメント

    1. 以下、SS宝庫がry-

      読みやすい日本語だ
      内容はともかくw
    2. 以下、SS宝庫がry-

      山城すこ

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