恭子「充電?」咲「はい」
2020-09-29
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/01(月) 21:16:08.63 ID:3BTb0vF80
関連
ハルヒ「SOS団で恋の暴露大会をするわよ!」
【朗報】わたてんさん、ケムリクサを超えてガチで覇権へ
【ラブライブサンシャイン】善子「運命の引力」
【悲報】Twitterで3年前に「令和」を予言してたものがいたwwwwwwwww
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/01(月) 21:16:28.38 ID:3BTb0vF80
今日はことごとくツイてなかった。
寝坊をして家を出たところで雨に降られ、
途中購入したビニール傘は強風に煽られて見るも無残な姿となり、
トラックに水溜りの水を掛けられびしょ濡れの姿で校舎へと駆け込んだ。
着替えもなくせめてタオルを買おうと売店へ行くと、肝心の財布がない。
そういえばさっきコンビニで置いてきたような気もする。
しかもそういう時に限って今日の講義は昼を挟んで夕方までみっちりある上、バイトも入っていた。
そこで財布を置き忘れた店への連絡と、
仕方なく友人から融資を受けるために鞄から携帯を取り出そうとしたもののどこを探しても 見つからない。
そういえば自宅で充電器に繋ぎっぱなしだったのではないか?
すべてを思い出して、咲は頭を抱えてしまったのだった。
寝坊をして家を出たところで雨に降られ、
途中購入したビニール傘は強風に煽られて見るも無残な姿となり、
トラックに水溜りの水を掛けられびしょ濡れの姿で校舎へと駆け込んだ。
着替えもなくせめてタオルを買おうと売店へ行くと、肝心の財布がない。
そういえばさっきコンビニで置いてきたような気もする。
しかもそういう時に限って今日の講義は昼を挟んで夕方までみっちりある上、バイトも入っていた。
そこで財布を置き忘れた店への連絡と、
仕方なく友人から融資を受けるために鞄から携帯を取り出そうとしたもののどこを探しても 見つからない。
そういえば自宅で充電器に繋ぎっぱなしだったのではないか?
すべてを思い出して、咲は頭を抱えてしまったのだった。
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/01(月) 21:17:29.33 ID:3BTb0vF80
夜も更けてようやくバイトを終えて帰宅した咲は
一人暮らしのアパートの鍵を開けた。
1Kのさして広くもない部屋に入ると
暗闇の中、テーブルの上で携帯の着信を告げる緑色のライトがチカチカと明滅している。
電気を付け、雨水の滴り落ちるコンビニのレジ袋を構わずその横に置くと
すっかり冷たくなった手で充電コードを外して履歴を確認した。
メールが3件、着信が1件。
メールはゼミの友人と高校からの友人から1件ずつ。
残りの1件と着信は恭子からだ。
咲は2件を差し置いて、最新メールを表示させた。
恭子『帰りまでに雨が止まなかったら、迎えに行こか?』
ちょうどバイトが終わる頃を見計らった着信。
咲は思わず再び頭を抱えた。
一人暮らしのアパートの鍵を開けた。
1Kのさして広くもない部屋に入ると
暗闇の中、テーブルの上で携帯の着信を告げる緑色のライトがチカチカと明滅している。
電気を付け、雨水の滴り落ちるコンビニのレジ袋を構わずその横に置くと
すっかり冷たくなった手で充電コードを外して履歴を確認した。
メールが3件、着信が1件。
メールはゼミの友人と高校からの友人から1件ずつ。
残りの1件と着信は恭子からだ。
咲は2件を差し置いて、最新メールを表示させた。
恭子『帰りまでに雨が止まなかったら、迎えに行こか?』
ちょうどバイトが終わる頃を見計らった着信。
咲は思わず再び頭を抱えた。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/01(月) 21:17:57.02 ID:3BTb0vF80
つい先日車の免許を取った恭子の最近の息抜きは
練習と銘打って実家の車でドライブをすることだそうで、
「今度咲も乗せてやるわ」なんて言っていたのではなかったか。
咲(せっかくのお誘いを袖にしちゃった……)
後悔は疲労を増長させる。
咲は精魂尽き果てたようにテーブルに突っ伏した。
着信からはすでに1時間ほど経過している。
恭子はもう寝ているだろうか?
遠慮と引け目が渦巻いてもやもやしなが らも、
ただ声が聞きたくて通知のない留守番電話の履歴に無意味に恭子の名前を探してしまう。
が、見当たらない。
咲(とりあえず、今日は謝罪メールだけ入れておこう)
咲はしばらく携帯と睨めっこして、諦めたように息を吐いた。
練習と銘打って実家の車でドライブをすることだそうで、
「今度咲も乗せてやるわ」なんて言っていたのではなかったか。
咲(せっかくのお誘いを袖にしちゃった……)
後悔は疲労を増長させる。
咲は精魂尽き果てたようにテーブルに突っ伏した。
着信からはすでに1時間ほど経過している。
恭子はもう寝ているだろうか?
遠慮と引け目が渦巻いてもやもやしなが らも、
ただ声が聞きたくて通知のない留守番電話の履歴に無意味に恭子の名前を探してしまう。
が、見当たらない。
咲(とりあえず、今日は謝罪メールだけ入れておこう)
咲はしばらく携帯と睨めっこして、諦めたように息を吐いた。
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/01(月) 21:18:26.52 ID:3BTb0vF80
と、そこで両手に持っていたそれが振動する。
着信だ。相手は恭子。
咲は一も二もなく通話ボタンを押した。
咲「はい」
恭子『咲か。今、大丈夫かいな』
落ち着いた恭子の声が咲の鼓膜を揺るがす。
囁くような声は深夜という時間を慮ってのことだろう。
それが今の咲の心にはやけに響いて、少しだけ目頭が熱くなった。
恭子『咲?』
訝しむ声にはっ として、携帯を握りしめる手に力を込める。
咲「ごめんなさい。じつは今日家に携帯を忘れてしまって。今帰ってきたところなんです」
恭子『まったく、そんなことだろうと思ったわ』
そう言ってため息を吐いた恭子の呆れ顔が今にも目に浮かびそうだ。
着信だ。相手は恭子。
咲は一も二もなく通話ボタンを押した。
咲「はい」
恭子『咲か。今、大丈夫かいな』
落ち着いた恭子の声が咲の鼓膜を揺るがす。
囁くような声は深夜という時間を慮ってのことだろう。
それが今の咲の心にはやけに響いて、少しだけ目頭が熱くなった。
恭子『咲?』
訝しむ声にはっ として、携帯を握りしめる手に力を込める。
咲「ごめんなさい。じつは今日家に携帯を忘れてしまって。今帰ってきたところなんです」
恭子『まったく、そんなことだろうと思ったわ』
そう言ってため息を吐いた恭子の呆れ顔が今にも目に浮かびそうだ。
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/01(月) 21:18:52.11 ID:3BTb0vF80
恭子『それで、夕飯は食べたん?』
咲「いえ、ちょっと食欲がなくて。プリンを買ってきたので今から食べようかと」
さっきまで所持金0円だったので食いっぱぐれました、なんて本当のことを言おうものなら
延々と続く小言の嵐に見舞われてしまいそうだったので、事実は胸に留めておいた。
食欲が落ちているのは本当だから、まるっきり嘘ではないだろう。
そう自分 を納得させて、最近やたら咲の事情を看破してくる恭子の目を逸らさせるべく矢継ぎ早に続ける。
咲「せっかく恭子さんのドライビングテクニックを体験できるいい機会だったのに、無下にしちゃってすみません」
恭子『別にいつだって乗せてやるで。それより咲、体調崩してるん?』
咲「……いえ、どうしてですか?」
ぎくりと竦む。
恭子『声に覇気がない。あんたに食欲がないのはしょっちゅうやけど、まさか風邪でもひいてるんじゃないやろうな』
咲「疲れているだけです。時期的に仕方ないですね」
恭子『疲れていても三食きちんとした食生活を送るよう心掛けろといつも言ってるやろ』
今日も長くなりそうだ。
咲「いえ、ちょっと食欲がなくて。プリンを買ってきたので今から食べようかと」
さっきまで所持金0円だったので食いっぱぐれました、なんて本当のことを言おうものなら
延々と続く小言の嵐に見舞われてしまいそうだったので、事実は胸に留めておいた。
食欲が落ちているのは本当だから、まるっきり嘘ではないだろう。
そう自分 を納得させて、最近やたら咲の事情を看破してくる恭子の目を逸らさせるべく矢継ぎ早に続ける。
咲「せっかく恭子さんのドライビングテクニックを体験できるいい機会だったのに、無下にしちゃってすみません」
恭子『別にいつだって乗せてやるで。それより咲、体調崩してるん?』
咲「……いえ、どうしてですか?」
ぎくりと竦む。
恭子『声に覇気がない。あんたに食欲がないのはしょっちゅうやけど、まさか風邪でもひいてるんじゃないやろうな』
咲「疲れているだけです。時期的に仕方ないですね」
恭子『疲れていても三食きちんとした食生活を送るよう心掛けろといつも言ってるやろ』
今日も長くなりそうだ。
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/01(月) 21:19:21.99 ID:3BTb0vF80
想 い人の声がたくさん聞けて、嬉しいやら何やら。
小言モードスイッチが入ったところで
咲はビニール袋をガサゴソ漁ってプリンを取り出した。
恭子『咲、ちゃんと聞いてるん?』
右手だけでは蓋は開かない。
携帯を肩と耳で押さえ、左手でプリンを固定して右に力を入れる。すると。
咲「あ」
恭子『咲?』
咲「い……いえ、なんでも」
恭子『……』
咲「……」
恭子『……落としたんか?』
咲「……はい」
小言モードスイッチが入ったところで
咲はビニール袋をガサゴソ漁ってプリンを取り出した。
恭子『咲、ちゃんと聞いてるん?』
右手だけでは蓋は開かない。
携帯を肩と耳で押さえ、左手でプリンを固定して右に力を入れる。すると。
咲「あ」
恭子『咲?』
咲「い……いえ、なんでも」
恭子『……』
咲「……」
恭子『……落としたんか?』
咲「……はい」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/01(月) 21:19:49.82 ID:3BTb0vF80
蓋の半開きになったプリンは勢いあまって咲の指を滑り、
あえなくお気に入りのカーペットを汚していた。
その時の無力感たるや。
咲「私、何か悪いことしたのかな ……」
あまりにも不運が続きすぎて悲しくなってきた。
恭子『……泣いてるんか』
咲「泣いてません」
きっぱり即答すると、逡巡する気配の後にぎしりと何かが軋むような音がした。
恭子『今から行くわ』
咲「え?」
予想しなかった言葉に目が点になる。
電話の向こうから衣擦れの音が聞こえたところで、咲は慌てて声を上げた。
咲「え、あの……恭子さん?」
恭子『30分かからへん。玄関は私が行くまで施錠しておくんやで』
反論の隙を与える間もなく、通話は一方的に切られた。
あえなくお気に入りのカーペットを汚していた。
その時の無力感たるや。
咲「私、何か悪いことしたのかな ……」
あまりにも不運が続きすぎて悲しくなってきた。
恭子『……泣いてるんか』
咲「泣いてません」
きっぱり即答すると、逡巡する気配の後にぎしりと何かが軋むような音がした。
恭子『今から行くわ』
咲「え?」
予想しなかった言葉に目が点になる。
電話の向こうから衣擦れの音が聞こえたところで、咲は慌てて声を上げた。
咲「え、あの……恭子さん?」
恭子『30分かからへん。玄関は私が行くまで施錠しておくんやで』
反論の隙を与える間もなく、通話は一方的に切られた。
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/01(月) 21:20:30.65 ID:3BTb0vF80
***
覗き穴からダークブラウンのコートが見える。
先日二人で買い物に行ったときに、恭子に似合 うと咲が選んだものだ。
恭子『着いたで』
再び繋がった携帯から、先程よりもさらに潜められた声が漏れる。
咲「……」
恭子『咲』
咲「……」
恭子『いつまで拗ねてるねん。はよ開けや。寒いわ』
咲「……」
まさかわざわざ家まで来てくれた恋人を凍えさせるわけにはいかない。
鍵を開けると、「遅い」という文句とともに恭子が部屋に滑り込んできた。
咲「まだ降ってますか」
恭子「日中よりはマシになったが、降ってるな」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/01(月) 21:21:19.55 ID:3BTb0vF80
真新しいフェイスタオルを手渡す。
恭子は玄関から動かなかった。
咲「どうやって来たんですか?終電は終わってるし、近くにパーキングはないでしょう」
恭子「タクシーに決まってるやろ」
受け取ったコンビニの袋からコーヒーとプリンを取り出して冷蔵庫にしまう。
僅かに触れた恭子の指先は、シャワーを浴びた咲とは反対に冷えていた。
恭子「タクシー、そのまま下に待たせてあるねん」
咲「え」
もう帰っちゃうんですか?
そんな思いが口から出かけて慌てて噤む。
しかし言葉よりも何よりも、その表情がすべてを雄弁に語っていた。
恭子「なんてな。嘘やで」
雨に濡れた手が咲の腕を引く。
咲「……ひどいです」
優しい声に視界が滲んだ。
恭子は玄関から動かなかった。
咲「どうやって来たんですか?終電は終わってるし、近くにパーキングはないでしょう」
恭子「タクシーに決まってるやろ」
受け取ったコンビニの袋からコーヒーとプリンを取り出して冷蔵庫にしまう。
僅かに触れた恭子の指先は、シャワーを浴びた咲とは反対に冷えていた。
恭子「タクシー、そのまま下に待たせてあるねん」
咲「え」
もう帰っちゃうんですか?
そんな思いが口から出かけて慌てて噤む。
しかし言葉よりも何よりも、その表情がすべてを雄弁に語っていた。
恭子「なんてな。嘘やで」
雨に濡れた手が咲の腕を引く。
咲「……ひどいです」
優しい声に視界が滲んだ。
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/01(月) 21:21:51.22 ID:3BTb0vF80
咲にとって、今日は散々な一日だった。
傘は折れて服は濡れるし、財布も携帯もない。
仲の良い友人とはつまらぬ口喧嘩。
授業では珍しく課題を忘れて教授に怒られ、
バイトでは細かいミスを重ねて店長に怒られた。
しかも恋人と会えるチャンスをも無にするところだったのだ。
ひとつひとつは些細な出来事でも、こう積み重なれば弱音を吐きたくもなる。
冷たくて温かい腕の中、抱き締められる力が増すのに応えて
咲も精一杯その体にしがみついた。
***
傘は折れて服は濡れるし、財布も携帯もない。
仲の良い友人とはつまらぬ口喧嘩。
授業では珍しく課題を忘れて教授に怒られ、
バイトでは細かいミスを重ねて店長に怒られた。
しかも恋人と会えるチャンスをも無にするところだったのだ。
ひとつひとつは些細な出来事でも、こう積み重なれば弱音を吐きたくもなる。
冷たくて温かい腕の中、抱き締められる力が増すのに応えて
咲も精一杯その体にしがみついた。
***
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/01(月) 21:22:44.54 ID:3BTb0vF80
翌朝。
恭子「……咲」
咲「恭子さん、おはようございます。いいタイミングでしたね」
香ばしい匂いが漂うキッチン。
咲がフライパンと菜箸を片手に振り返ると、
爽やかな朝日を浴びた恭子が微妙そうな表情で突っ立っていた。
昨晩眠るのが遅かったとはいえ、
珍しく咲がベッドを抜け出すのにも気付かないくらい熟睡していたところを見ると
自分以上に恭子が疲れていたのだと申し訳なく思う。
一方咲はといえば、恭子が癒してくれたおかげで気分爽快。
久々に大変晴れやかな朝を迎えることができたのだった。
恭子「……咲」
咲「恭子さん、おはようございます。いいタイミングでしたね」
香ばしい匂いが漂うキッチン。
咲がフライパンと菜箸を片手に振り返ると、
爽やかな朝日を浴びた恭子が微妙そうな表情で突っ立っていた。
昨晩眠るのが遅かったとはいえ、
珍しく咲がベッドを抜け出すのにも気付かないくらい熟睡していたところを見ると
自分以上に恭子が疲れていたのだと申し訳なく思う。
一方咲はといえば、恭子が癒してくれたおかげで気分爽快。
久々に大変晴れやかな朝を迎えることができたのだった。
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/01(月) 21:23:19.75 ID:3BTb0vF80
こうなると気分の沈みは恭子不足によるものだったのではとさえ思えてくる。
お互い大学にバイトに忙しく、およそ2週間ぶりの逢瀬だった。
咲「晴れてよかったですね。今日は2限からですよね?」
恭子「ん。咲は?」
咲「私は今日休講なんで、ゆっくりしてます。夕方からゼミの飲み 会がありますけど」
それに昨日忘れた課題を片付けなければならないので、夕方までは家に篭るつもりだ。
咲は朝食を作りながらすでに今日の予定を大まかに立てていたので、
次の恭子のセリフには耳を疑った。
恭子「そうか、じゃあ私もそれまでここにいるで」
咲「何言ってるんですか。恭子さんは大事な授業がみっちり入ってるでしょう。単位落としますよ」
恭子「嫌や」
咲「嫌って……」
恭子「帰らへん」
お互い大学にバイトに忙しく、およそ2週間ぶりの逢瀬だった。
咲「晴れてよかったですね。今日は2限からですよね?」
恭子「ん。咲は?」
咲「私は今日休講なんで、ゆっくりしてます。夕方からゼミの飲み 会がありますけど」
それに昨日忘れた課題を片付けなければならないので、夕方までは家に篭るつもりだ。
咲は朝食を作りながらすでに今日の予定を大まかに立てていたので、
次の恭子のセリフには耳を疑った。
恭子「そうか、じゃあ私もそれまでここにいるで」
咲「何言ってるんですか。恭子さんは大事な授業がみっちり入ってるでしょう。単位落としますよ」
恭子「嫌や」
咲「嫌って……」
恭子「帰らへん」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/01(月) 21:23:52.26 ID:3BTb0vF80
子供のような我儘に絶句しているところに、
後ろから肩に頭を乗せられ、思いきりのし掛かられた。
咲「!? ちょっ、危ないし重いです……!」
慌ててコンロの火を消して菜箸を置くと、見計らったように拘束に力が入る。
咲「もう、恭子さ……んっ」
肩越しに振り向けば恋人の瞳がすぐそばにあって、
見惚れている間に唇に噛み付かれた。
昨夜散々弄ばれて腫れた唇が再び熱を持つ。
咲(流される)
顔を背け、距離を取ろうと足掻く咲をよそに
体の向きを変えられ、啄ばむだけだったものが徐々に深まっていく。
ついに苦しさのあまり胸を叩くと、恭子はやっと離れて2人の間を糸が引いた。
後ろから肩に頭を乗せられ、思いきりのし掛かられた。
咲「!? ちょっ、危ないし重いです……!」
慌ててコンロの火を消して菜箸を置くと、見計らったように拘束に力が入る。
咲「もう、恭子さ……んっ」
肩越しに振り向けば恋人の瞳がすぐそばにあって、
見惚れている間に唇に噛み付かれた。
昨夜散々弄ばれて腫れた唇が再び熱を持つ。
咲(流される)
顔を背け、距離を取ろうと足掻く咲をよそに
体の向きを変えられ、啄ばむだけだったものが徐々に深まっていく。
ついに苦しさのあまり胸を叩くと、恭子はやっと離れて2人の間を糸が引いた。
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/01(月) 21:24:35.88 ID:3BTb0vF80
ぼうっとする意識の中。
必死に酸素を取り込もうと喘ぐ咲の顎を、恭子の指がついと持ち上げる。
咲「まって」
恭子「待たへん」
まるでベッドの上で睦み合っている時のような、
余裕のない表情と耐えるような恭子の声に咲の背筋が震える。
そして、再び唇が重なる。
咲は諦めたように肩の力を抜き、恭子の口付けに応えていった。
***
必死に酸素を取り込もうと喘ぐ咲の顎を、恭子の指がついと持ち上げる。
咲「まって」
恭子「待たへん」
まるでベッドの上で睦み合っている時のような、
余裕のない表情と耐えるような恭子の声に咲の背筋が震える。
そして、再び唇が重なる。
咲は諦めたように肩の力を抜き、恭子の口付けに応えていった。
***
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/01(月) 21:25:15.72 ID:3BTb0vF80
出し巻き卵と鮭の塩焼き、そして白飯と味噌汁。
ごく一般的な日本の朝食を平らげ、食後のデザートに二人でプリンをつつく。
恭子「咲が合鍵を寄越さへんからやろ」
脈絡のない言葉に咲がぱちぱち瞬く。
話口調からすると、恭子の中では前件と連動した台詞なのだろう。
いつの話かはわからないが。
咲「私の家の合鍵、欲しいんですか?」
恭子「当た り前や」
これには少しだけ驚いた。
今まで恭子がそんな素振りを見せたことがなかったからだ。
少なくとも咲の前では。
咲「恭子さんって『結婚前に同棲とは何事や』とか『でき婚なんて認めへん』ってタイプじゃないんですか」
恭子「やることやっといて、今さら何を言ってるんやあんたは」
心底呆れたという表情で言われ、それもそうかと頷く。
ごく一般的な日本の朝食を平らげ、食後のデザートに二人でプリンをつつく。
恭子「咲が合鍵を寄越さへんからやろ」
脈絡のない言葉に咲がぱちぱち瞬く。
話口調からすると、恭子の中では前件と連動した台詞なのだろう。
いつの話かはわからないが。
咲「私の家の合鍵、欲しいんですか?」
恭子「当た り前や」
これには少しだけ驚いた。
今まで恭子がそんな素振りを見せたことがなかったからだ。
少なくとも咲の前では。
咲「恭子さんって『結婚前に同棲とは何事や』とか『でき婚なんて認めへん』ってタイプじゃないんですか」
恭子「やることやっといて、今さら何を言ってるんやあんたは」
心底呆れたという表情で言われ、それもそうかと頷く。
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/01(月) 21:25:53.81 ID:3BTb0vF80
恭子「もう咲がここに越して結構経つってのに……」
咲「はあ……」
恭子「あんたが寝てる間に、鞄から持ち出してキーコピーをしようかと思うくらいには思い悩んだわ」
咲「恭子さん……それは犯罪です」
さすがに若干引き気味に言うと、メゲルわ…と呻 く。
咲は残ったプリンを完食してしまうと、おもむろに鞄を漁って、それを差し出した。
咲「これ、あげます」
恭子「……ええんか?」
驚いたように目を見張る恭子の掌に鍵を落とす。
咲「次はもっと早く呼びますね。充電が切れる前に。というか、その前に恭子さんが来てください」
恭子「充電?」
咲「はい。恭子さんと、私の」
恭子「……ああ。せやな」
目に見えて嬉しそうな表情をした恭子が、顔を近づけてくるものだから。
授業の開始時間が迫っていることを伝えるべきか、咲は少しだけ迷った。
カン!
咲「はあ……」
恭子「あんたが寝てる間に、鞄から持ち出してキーコピーをしようかと思うくらいには思い悩んだわ」
咲「恭子さん……それは犯罪です」
さすがに若干引き気味に言うと、メゲルわ…と呻 く。
咲は残ったプリンを完食してしまうと、おもむろに鞄を漁って、それを差し出した。
咲「これ、あげます」
恭子「……ええんか?」
驚いたように目を見張る恭子の掌に鍵を落とす。
咲「次はもっと早く呼びますね。充電が切れる前に。というか、その前に恭子さんが来てください」
恭子「充電?」
咲「はい。恭子さんと、私の」
恭子「……ああ。せやな」
目に見えて嬉しそうな表情をした恭子が、顔を近づけてくるものだから。
授業の開始時間が迫っていることを伝えるべきか、咲は少しだけ迷った。
カン!
引用元: ・恭子「充電?」咲「はい」
玄「咲ちゃん、みかん食べる?」
2020-08-22
1: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:05:34.17 ID:2xsIsNWg0
関連
ハルヒ「SOS団で恋の暴露大会をするわよ!」
【朗報】わたてんさん、ケムリクサを超えてガチで覇権へ
【ラブライブサンシャイン】善子「運命の引力」
【悲報】Twitterで3年前に「令和」を予言してたものがいたwwwwwwwww
2: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:07:48.22 ID:2xsIsNWg0
~よこどり~
咲「……」ペラ
玄「食べない??」
咲「……」
咲「……」ア-ン
玄「それは食べるってことだね。ていうか、食べさせてって事?」
玄「もー、ダメだよ咲ちゃん!ちゃんと自分で食べなきゃっ」
3: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:08:19.25 ID:2xsIsNWg0
咲「……」ペラ
咲「……」ムゥ
玄「本読んでるから手を汚したくないってこと……?」
玄「なら本読むのを一旦ストップしない?」
咲「……」
咲「……」ウワメヅカイ
玄「うっ…そんな目で見られると困っちゃうよ」
玄(それに、た、食べさせるなんて恥ずかしいし……/////)
玄(でもでも、咲ちゃんがこんな事させてくれるのって珍しいかも…)
玄(……よしっ。やっぱり、ここはこのチャンスを)
4: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:09:10.42 ID:2xsIsNWg0
玄「もう、仕方ないな咲ちゃんは。今回だk」
憧「なによ咲、みかんを前に口開けて」
憧「ほいっと」ポイッ
咲「あむ……」
咲「~~♪」モグモグ
憧「あははっ、ハムスターみたいで可愛い」
憧「……ん?」チラリ
玄「うぅぅぅぅ……!!」プク-ッ
5: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:10:04.41 ID:2xsIsNWg0
憧「え、ちょ、玄?なんで怒ってんの?」
玄「別に!」プイッ
憧「えぇ……」
憧「咲、玄のやつどうしたのよ?」
咲「……さぁ…?」
玄(咲ちゃんのばか)
6: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:10:35.51 ID:2xsIsNWg0
―――
―――
~ぶかつ~
玄(うんうん、今日もドラがたくさん!)
玄(調子ばっちりなのです)フンス
咲「カン」
玄(えぇ!せっかく聴牌してたのに!)
咲「……ふふ」
玄「咲ちゃんのいじわる」
咲「え……」シュン
玄(ふぇ!?どうして咲ちゃんがしゅんとするの?)
―――
~ぶかつ~
玄(うんうん、今日もドラがたくさん!)
玄(調子ばっちりなのです)フンス
咲「カン」
玄(えぇ!せっかく聴牌してたのに!)
咲「……ふふ」
玄「咲ちゃんのいじわる」
咲「え……」シュン
玄(ふぇ!?どうして咲ちゃんがしゅんとするの?)
7: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:11:02.18 ID:2xsIsNWg0
玄「……あ、ツモ。3000.6000!」
玄(あれ、ツモ?)
穏乃「あー!咲、また玄さんのアシストしたろ!」
玄(アシスト??)チラリ
玄「あ、槓ドラが私の待ち牌だった……?」
憧「まさか玄、気付いてなかった?」
玄「いや、だって……」
咲「……ふんっ」プイッ
玄「あわあわ、気付かずいじわるなんて言ってごめんね!」アセアセ
8: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:11:32.06 ID:2xsIsNWg0
咲「次の局から初手連カンしますから」ムス
玄「それだけはやめて!?」
いちゃいちゃ、こらこら
憧「あーあ、あれは長引きそうよ」
穏乃「仲良いよなー、あの2人」
憧「仲良いっていうか、それ以上よ」
穏乃「それ以上??」
憧「……なんでもないわ」
憧(シズってば、鈍感なんだから。……色んな意味で)
9: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:12:02.54 ID:2xsIsNWg0
―――
―――
~持つものと持たざるもの~
玄「ふむふむ……」ジロジロ
和「な、なんですか玄さん」
玄「和ちゃん、いつ見ても完璧なおもちをお持ちなのです」ワキワキ
和「どこ見て言ってますか!変な手つきしないでくださいっ」
玄「まあまあ!減るものでもないし、ちょっとくらい!」グヘヘ
和「ダメですって!」
和(どうしてこの積極さを咲さんへ向けられないのでしょうか……)
10: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:13:08.43 ID:2xsIsNWg0
玄「そんなおもちを持ってる和ちゃんが悪いのです」
玄「今ならまだ誰もいないし、ちょっとだけ…」
和「ちょ、玄さんダメですって」
扉「ガララララ」
憧「あはは、そうよね。ま、シズの事だからなんの気もなしに……って」
憧「……玄、なにしてんのよ…」ハァ
咲「……」
和(あぁ……)
玄「憧ちゃんに……さ、咲ちゃん!?」
咲「……楽しそうですね」
11: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:13:38.18 ID:2xsIsNWg0
玄「ち、違うの!いや違くないんだけど、あの、その、ええと!」アワアワ
咲「別に、気にしてません。ええ気にしてませんよ」
咲「そんなに大きいのが好きなら、ずっと和ちゃんので遊んでればいいんです」ムス
和「私は嫌ですよ!?」
玄「ど、どうしよう憧ちゃん!」
憧「自業自得ね」
咲「和ちゃん、ちょっと来て」
和「は、はい……」テクテク
12: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:14:20.62 ID:2xsIsNWg0
咲「……」ムニムニ
和「咲さん!?/////」
咲「……」フム
玄「がーん!咲ちゃんが私以外のおもちを……」
憧「いや、玄が言えたことじゃないわよ」
咲「……」
和「あ、あの…?」
13: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:14:48.80 ID:2xsIsNWg0
咲「……」ペタペタ
和(今度は自分の胸を…)
咲「……」ジワ
咲「玄さんなんか嫌いっ!」プイッ
玄「許して咲ちゃん!私は小さいおもちも大好きだよ!」
憧「火に油注いでどうすんのよ…」
このあとめちゃくちゃ謝り倒した
14: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:15:26.10 ID:2xsIsNWg0
~ふいうち~
玄(よし、今度こそ!)
玄「咲ちゃん、みかん食べる?」チラ
咲「……んぅ…」スヤスヤ
玄「……あれ、咲ちゃん?」
玄(いつの間に寝ちゃってたんだろう…)
玄「咲ちゃん、眠いならお布団敷いてあげるからそっちで」
咲「…くろ……さ……好き…」ス-ス-
玄「……」
玄「っ!?/////」ボッ
玄(い、いいいいい、今!今咲ちゃん、寝言で!寝言でででで/////)
15: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:15:52.90 ID:2xsIsNWg0
咲「……」スヤスヤ
玄「……」ジ-ッ
玄(咲ちゃん、寝顔可愛いなぁ…)
玄「……」キョロキョロ
玄(周りには誰もいない…)ドキドキ
玄(咲ちゃんも起きなさそうだし、少しくらいなら…)
玄(い、いいよね?)ドキドキ
咲「……」ス-ス-
玄「……」スッ
玄「……」ピタ
玄(い、いやいやいや!何を考えてるのです松実玄!)
16: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:16:25.89 ID:2xsIsNWg0
玄(いくらなんでも、こんな寝込みを襲うようなマネ)
咲「……」パチ
玄(そんなことはできな)
玄「んっ!?」
咲「……ふっ…ん……」チュッ
玄「あふっ…んんっ!」
咲「……ぷは」タラ
玄「さ、さささささ咲ちゃん!?/////」
咲「ふふっ、みかんの味です」ニコ
咲「今度はちゃんと起きてる時に、玄さんからしてくださいね」クス
玄「はわわわわわわわわわっ/////」カァァ
17: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:16:51.84 ID:2xsIsNWg0
宥「ただいまぁ~。あ、咲ちゃんいらっしゃい~」ポワポワ
咲「おかえりなさい宥さん。お邪魔してます」
玄「/////」プシュ-
宥「わぁ……玄ちゃんなんだかあったかーい」ポカポカ
咲「ホントですね」クスクス
咲(玄さんにふいうち、効果は抜群っと)
カン!
18: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/10(日) 21:18:16.19 ID:2xsIsNWg0
咲玄は結構相性がいいと思うんです。
依頼出してきますっ。読んでくださった方、ありがとうございました(ペッコリン)
依頼出してきますっ。読んでくださった方、ありがとうございました(ペッコリン)
引用元: ・玄「咲ちゃん、みかん食べる?」
【咲-saki-】シロ「君が教えてくれた青空を」
2020-08-07
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 01:55:31.00 ID:58bg+DvZ0
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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 01:56:24.28 ID:58bg+DvZ0
絵筆が手に馴染んできたのはいつ頃だったか。
水彩画、なんてそれこそ学校の授業でしかやったことがなかった私が、いつの間にか画材まで揃えている。
休みの日の、一人の時間の大半をキャンバスを載せたイーゼルの前で、なんて想像もしていなかった。
「………っと、そろそろ時間か」
時計の針を見て、筆をおく。
画材を洗ってひとまず片付けて、あちこちについた絵の具を落とすのにシャワー。
丁度いい時間だ。
ダルダル星人だのなんだの言われてる私だけど、流石にこういう時くらいは遅刻は避けたい。
いざとなれば塞におぶさっていけばいいけど………まあ、そこは。
それに、絵の具付けたまま出たりしないあたり少しは成長してるはず、だ。
「………………ま、完成品見せられるのは、次かな」
製作途中の、一枚の絵。
その絵を―――今まで何枚も描いてきた絵を、描こうと思わせてくれた、あの少女。
金髪碧眼、天真爛漫、いつでもスケッチブックを持ち歩いていた、あの【友達】。
彼女は今――――どうしているのだろうか。
少しずつ上達して、でもまだ拙い日本語の手紙を何度やりとしりしても気になる、彼女の今。
他のみんなですらも遠く感じるというのに、『四年』という時間もあって果てしなく厚いその壁。
「ニュージーランドも、今の時期は暑いのかな………」
エプロンを脱いで画材を片付けつつ、外を見れば―――蝉の鳴き声と、ひたすらに青い、空。
「今日も、暑いよね………ダル」
小瀬川白望。
本年度を以って、22歳。
あの時代――――高校最後の夏に共に過ごした一人の青い目の少女を。
今でも忘れることができず、筆を取り、絵を描き続ける――――そんな、『女性』になっていた。
水彩画、なんてそれこそ学校の授業でしかやったことがなかった私が、いつの間にか画材まで揃えている。
休みの日の、一人の時間の大半をキャンバスを載せたイーゼルの前で、なんて想像もしていなかった。
「………っと、そろそろ時間か」
時計の針を見て、筆をおく。
画材を洗ってひとまず片付けて、あちこちについた絵の具を落とすのにシャワー。
丁度いい時間だ。
ダルダル星人だのなんだの言われてる私だけど、流石にこういう時くらいは遅刻は避けたい。
いざとなれば塞におぶさっていけばいいけど………まあ、そこは。
それに、絵の具付けたまま出たりしないあたり少しは成長してるはず、だ。
「………………ま、完成品見せられるのは、次かな」
製作途中の、一枚の絵。
その絵を―――今まで何枚も描いてきた絵を、描こうと思わせてくれた、あの少女。
金髪碧眼、天真爛漫、いつでもスケッチブックを持ち歩いていた、あの【友達】。
彼女は今――――どうしているのだろうか。
少しずつ上達して、でもまだ拙い日本語の手紙を何度やりとしりしても気になる、彼女の今。
他のみんなですらも遠く感じるというのに、『四年』という時間もあって果てしなく厚いその壁。
「ニュージーランドも、今の時期は暑いのかな………」
エプロンを脱いで画材を片付けつつ、外を見れば―――蝉の鳴き声と、ひたすらに青い、空。
「今日も、暑いよね………ダル」
小瀬川白望。
本年度を以って、22歳。
あの時代――――高校最後の夏に共に過ごした一人の青い目の少女を。
今でも忘れることができず、筆を取り、絵を描き続ける――――そんな、『女性』になっていた。
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 01:58:02.91 ID:58bg+DvZ0
塞「おひさ、シロ。今日は遅れず来たじゃん」
蝉の声が空間を埋め尽くすような中で、彼女は待っていた。
赤サビだらけのバス停の小屋、その中のベンチに座る、いつもより少し、オシャレをした彼女。
シロ「………ん。ちょっと、遅れるかもとは思ったけど」
塞「この前は酷いことになったからね………なんで捜索隊出さなきゃいけないのか」
痛いところを突かれた。
確か前回は、描きかけの絵を仕上げることに夢中になりすぎて、胡桃と塞が部屋に突撃してきたんだった。
まあ、今回は少し余裕もあったし………結果オーライだとは思う。
塞「胡桃はもう出たから、もう少しで集合場所につくってさ。豊音はバスで移動中だって」
シロ「じゃあ、今から歩けば丁度いいかな………」
塞「だね。バス待ってる方が逆に遅くなるよ」
田舎の宿命というか………うん。
蝉の声が空間を埋め尽くすような中で、彼女は待っていた。
赤サビだらけのバス停の小屋、その中のベンチに座る、いつもより少し、オシャレをした彼女。
シロ「………ん。ちょっと、遅れるかもとは思ったけど」
塞「この前は酷いことになったからね………なんで捜索隊出さなきゃいけないのか」
痛いところを突かれた。
確か前回は、描きかけの絵を仕上げることに夢中になりすぎて、胡桃と塞が部屋に突撃してきたんだった。
まあ、今回は少し余裕もあったし………結果オーライだとは思う。
塞「胡桃はもう出たから、もう少しで集合場所につくってさ。豊音はバスで移動中だって」
シロ「じゃあ、今から歩けば丁度いいかな………」
塞「だね。バス待ってる方が逆に遅くなるよ」
田舎の宿命というか………うん。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:00:58.99 ID:58bg+DvZ0
塞「今回はちゃんとオシャレしてきたじゃん」
シロ「胡桃にさんざん言われたし………前に一緒に買いに行ったし」
普段だったらTシャツにジーンズでいいんだけど、今日みたいな日は流石にそうもいかない。
なので、胡桃からおススメされるがままに買った服を揃えてきた。
私の性格をわかってる胡桃が、できるだけダルくない服を選んでくれたのもあるけど、これは楽で、見栄えもよくて好きだ。
あの学校を―――宮守高校を卒業して、それからずっと続けているこの集まり。
塞「にしても、卒業してからこっち、毎回こうして会ってるからそこまで久しぶりな感じもしないよね」
シロ「ん。豊音も、村から比較的出られるようになったし………」
塞「みんな奔走したからねぇ………」
シロ「先生も、頑張ってくれたし」
塞「とはいえ、あのラノベ二、三冊分はありそうな奔走は予想してなかったけど………」
笑ってはいるけど、塞の目が乾いてる。
………それは、私も同意だ。
豊音の村の風習しきたりその他諸々がややこしいのは聞いてはいたけど、あそこまでとは。
塞の言う、ラノベ二、三冊分とはずいぶん控えめな表現だと思う。
映画3部作は作れそうな大立ち回りは、トラウマであり、青春であり、誇りでもある。
そのおかげで、豊音は卒業後も村から頻繁に出られるようになってバンバンザイだけど。
あの時ばかりは、私もダルダル言ってられなかったし………
シロ「胡桃にさんざん言われたし………前に一緒に買いに行ったし」
普段だったらTシャツにジーンズでいいんだけど、今日みたいな日は流石にそうもいかない。
なので、胡桃からおススメされるがままに買った服を揃えてきた。
私の性格をわかってる胡桃が、できるだけダルくない服を選んでくれたのもあるけど、これは楽で、見栄えもよくて好きだ。
あの学校を―――宮守高校を卒業して、それからずっと続けているこの集まり。
塞「にしても、卒業してからこっち、毎回こうして会ってるからそこまで久しぶりな感じもしないよね」
シロ「ん。豊音も、村から比較的出られるようになったし………」
塞「みんな奔走したからねぇ………」
シロ「先生も、頑張ってくれたし」
塞「とはいえ、あのラノベ二、三冊分はありそうな奔走は予想してなかったけど………」
笑ってはいるけど、塞の目が乾いてる。
………それは、私も同意だ。
豊音の村の風習しきたりその他諸々がややこしいのは聞いてはいたけど、あそこまでとは。
塞の言う、ラノベ二、三冊分とはずいぶん控えめな表現だと思う。
映画3部作は作れそうな大立ち回りは、トラウマであり、青春であり、誇りでもある。
そのおかげで、豊音は卒業後も村から頻繁に出られるようになってバンバンザイだけど。
あの時ばかりは、私もダルダル言ってられなかったし………
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:05:22.55 ID:58bg+DvZ0
塞「そういえば、絵の進捗はどうですかね小瀬川画伯」
シロ「実家の家業の合間に描いてるだけだし、そこまで進んでないよ………もうちょっとだけど」
塞「へえ。じゃあ、また見せてよ。完成したら見に行くから」
シロ「ん」
卒業してから私たちはこうして、定期的に集まる日を設けている。
基本的には一月に一度、もし予定がどうしても合わなければ二月に一度。
私と塞は比較的家が近いし、一人暮らしを始めた胡桃もそこまで遠いわけではない。
豊音も、村から出られるようになった今では時間さえ調整すれば普通に集まれる。
時間があれば誰かの家で泊まりで、なんてこともあるし………本当に、久しぶりという気がしない。
ある一人がいないことを、除けば、だ。
塞「………シロ。現実にカムバーック」
シロ「………………あ」
シロ「実家の家業の合間に描いてるだけだし、そこまで進んでないよ………もうちょっとだけど」
塞「へえ。じゃあ、また見せてよ。完成したら見に行くから」
シロ「ん」
卒業してから私たちはこうして、定期的に集まる日を設けている。
基本的には一月に一度、もし予定がどうしても合わなければ二月に一度。
私と塞は比較的家が近いし、一人暮らしを始めた胡桃もそこまで遠いわけではない。
豊音も、村から出られるようになった今では時間さえ調整すれば普通に集まれる。
時間があれば誰かの家で泊まりで、なんてこともあるし………本当に、久しぶりという気がしない。
ある一人がいないことを、除けば、だ。
塞「………シロ。現実にカムバーック」
シロ「………………あ」
7: >>5 コミケ会場の野外モニターでテンションマリモッコリでした 2017/08/13(日) 02:07:24.23 ID:58bg+DvZ0
………どこまでお見通しなのか。
塞「エイちゃん、元気かな。手紙はよくやりとりしてるけど」
シロ「ネット環境が整わないって言ってたし、手紙しかないからね………」
塞「でも、私は好きだけどね、文通。ネットとかスマホ経由じゃなかなかない味があるし」
そこは同意したい。
ダルくないのはもちろんネットの方なんだけど………手書きの文字でやった方が、いろいろ伝わるものがある、気がする。
おかげで、全員昔よりも字が少し綺麗になったとは全員の見解だ。
エイスリンの日本語も、少しずつではあるけど、上達している。
手紙の空きスペースに必ず入っている彼女手描きの挿絵は、割と楽しみだったりするし。
こっちは、スマホや、胡桃がどハマリしたデジタル一眼レフで撮った写真を印刷して入れている。
私の絵は――――まだ、見せられていない。
そもそも、他の誰かが手紙に書いていなければ、彼女は私が絵を始めたことすら知らないはずだ。
少なくとも、私自身は書いていない。
こうして、今日もカバンの中にスケッチブックを入れていることも………知らないのだろう。
塞「もうすぐ集合場所だね」
シロ「胡桃、もうついてるのかな………」
塞「だろうねぇ。………って、いたいた。普通にいたよ」
塞「エイちゃん、元気かな。手紙はよくやりとりしてるけど」
シロ「ネット環境が整わないって言ってたし、手紙しかないからね………」
塞「でも、私は好きだけどね、文通。ネットとかスマホ経由じゃなかなかない味があるし」
そこは同意したい。
ダルくないのはもちろんネットの方なんだけど………手書きの文字でやった方が、いろいろ伝わるものがある、気がする。
おかげで、全員昔よりも字が少し綺麗になったとは全員の見解だ。
エイスリンの日本語も、少しずつではあるけど、上達している。
手紙の空きスペースに必ず入っている彼女手描きの挿絵は、割と楽しみだったりするし。
こっちは、スマホや、胡桃がどハマリしたデジタル一眼レフで撮った写真を印刷して入れている。
私の絵は――――まだ、見せられていない。
そもそも、他の誰かが手紙に書いていなければ、彼女は私が絵を始めたことすら知らないはずだ。
少なくとも、私自身は書いていない。
こうして、今日もカバンの中にスケッチブックを入れていることも………知らないのだろう。
塞「もうすぐ集合場所だね」
シロ「胡桃、もうついてるのかな………」
塞「だろうねぇ。………って、いたいた。普通にいたよ」
8: >>5 コミケ会場の野外モニターでテンションマリモッコリでした 2017/08/13(日) 02:08:59.40 ID:58bg+DvZ0
集合場所に指定していた喫茶店、その店の前でカメラを構えている姿。
あの時代から1センチも変わっていないその体躯に見合わぬ巨大なカメラを操る、その姿。
胡桃「あ、きたきた。久しぶり、二人とも」
言いながら、こっちにカメラを向け、そして聞こえるシャッター音。
塞「こらこら、だから勝手に撮るなと。肖像権って言葉を頭にインストールしなさい」
胡桃「今さらじゃん。写メとかだったら昔からパシャパシャ撮ってるし」
携帯のカメラと、デジタル一眼レフ。同じカメラなのに、撮られてる感が段違いなのはなぜなんだろう。
シロ「ん。久しぶり」
胡桃「あ、シロ。おひさし。それ、前に買いに行った服?」
シロ「ん」
胡桃「おお。まさかちゃんと着てくれるとは」
私は何だと思われてるのか。まあ、否定はしないしできないけど。
あの時代から1センチも変わっていないその体躯に見合わぬ巨大なカメラを操る、その姿。
胡桃「あ、きたきた。久しぶり、二人とも」
言いながら、こっちにカメラを向け、そして聞こえるシャッター音。
塞「こらこら、だから勝手に撮るなと。肖像権って言葉を頭にインストールしなさい」
胡桃「今さらじゃん。写メとかだったら昔からパシャパシャ撮ってるし」
携帯のカメラと、デジタル一眼レフ。同じカメラなのに、撮られてる感が段違いなのはなぜなんだろう。
シロ「ん。久しぶり」
胡桃「あ、シロ。おひさし。それ、前に買いに行った服?」
シロ「ん」
胡桃「おお。まさかちゃんと着てくれるとは」
私は何だと思われてるのか。まあ、否定はしないしできないけど。
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:12:28.52 ID:58bg+DvZ0
塞「豊音はまだ?」
胡桃「もう少しでつくと思うよ。さっき連絡したら、先に注文して休んでてって」
シロ「そっか………じゃ、アイスコーヒー………」
塞「私はアイスティーとサンドイッチにしよっかな。みんなで摘まもうよ」
胡桃「アイスティーしかないけど、いいかな?」
塞「こら」
胡桃「ごめんごめん。私はアイスキャラメルラテにしようかな。あとクッキーアソート」
そんな会話をしつつ、喫茶店の前―――テラス席について、やってきた店員さんに注文。
―――テーブルの上にある、銀色の、武骨な皿。
それを見て、ポケットに手を入れる。
シロ「………いい?」
塞「いや、別にいいけど………吸い過ぎてないよね?」
シロ「前と、変わってない」
胡桃「んー………まあもう20代だし、文句はないけどねー」
胡桃「もう少しでつくと思うよ。さっき連絡したら、先に注文して休んでてって」
シロ「そっか………じゃ、アイスコーヒー………」
塞「私はアイスティーとサンドイッチにしよっかな。みんなで摘まもうよ」
胡桃「アイスティーしかないけど、いいかな?」
塞「こら」
胡桃「ごめんごめん。私はアイスキャラメルラテにしようかな。あとクッキーアソート」
そんな会話をしつつ、喫茶店の前―――テラス席について、やってきた店員さんに注文。
―――テーブルの上にある、銀色の、武骨な皿。
それを見て、ポケットに手を入れる。
シロ「………いい?」
塞「いや、別にいいけど………吸い過ぎてないよね?」
シロ「前と、変わってない」
胡桃「んー………まあもう20代だし、文句はないけどねー」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:20:11.70 ID:58bg+DvZ0
取り出したのは―――白い箱に、七つの星が刻印されたそれ。
世間一般的に、煙草といわれるもの。
一本を取り出して咥え、安物のライターで火をつける。風下の席に座ってよかった。
20歳を迎えて少しして………私は、これに手を出した。
けど、気が付いたら吸ってるとか、吸わないとダメとか、そういうことは一切ない。
辞めようと思えば、今にでも辞められるのだろう。
………私がこれを吸うのは、二つの条件がある。
一つは、描いてる絵が行き詰った時。
もうひとつは―――彼女を、強く思い出した時。
そんな時に、ふと一本だけ吸う―――――――そんな感じだ。
「あ、いたいた!!!おまたせだよー!!!」
耳に入ってくる、聞き覚えのある声。
ふり向けば、さらに見覚えのある長身に、夏場にそぐわない黒一色に帽子。
人懐っこい、変わらないその笑顔。
世間一般的に、煙草といわれるもの。
一本を取り出して咥え、安物のライターで火をつける。風下の席に座ってよかった。
20歳を迎えて少しして………私は、これに手を出した。
けど、気が付いたら吸ってるとか、吸わないとダメとか、そういうことは一切ない。
辞めようと思えば、今にでも辞められるのだろう。
………私がこれを吸うのは、二つの条件がある。
一つは、描いてる絵が行き詰った時。
もうひとつは―――彼女を、強く思い出した時。
そんな時に、ふと一本だけ吸う―――――――そんな感じだ。
「あ、いたいた!!!おまたせだよー!!!」
耳に入ってくる、聞き覚えのある声。
ふり向けば、さらに見覚えのある長身に、夏場にそぐわない黒一色に帽子。
人懐っこい、変わらないその笑顔。
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:24:41.02 ID:58bg+DvZ0
塞「豊音、久しぶり」
胡桃「元気だった?」
豊音「うん!村の役場も、少し仕事が落ち着いたからねー」
シロ「役場勤め、大変そうだけど………」
豊音「ううん。そんなことないよー。もっと色々お仕事できるようになりたいなーって」
言いながら、豊音は席に着く。
流れるようにアイス緑茶を注文して、暇なのかすぐに届いたそれを飲みはじめる。
いつになっても、胡桃とは別ベクトルで体躯とは合わない小動物さだと思う。
豊音「あ、シロ。煙草」
シロ「ん………嫌?」
豊音「ううん。けど、吸い過ぎは気を付けてね?」
皆言うことは同じか………。
集まったからといって、まあ特別なことをするわけでもない。
たまに麻雀を打つくらいで、それもまあ特別なこととは言い難い。
大体は、こうして近況を話し合ったり、昔のあれこれを茶化すように話したり、そんなものだ。
極々稀に、喫茶店ではなく誰かの家でお酒の席になることもあるけど………まあ、歳を考えれば普通だろう。
大体、豊音が速攻で酔うことになるし。
胡桃「元気だった?」
豊音「うん!村の役場も、少し仕事が落ち着いたからねー」
シロ「役場勤め、大変そうだけど………」
豊音「ううん。そんなことないよー。もっと色々お仕事できるようになりたいなーって」
言いながら、豊音は席に着く。
流れるようにアイス緑茶を注文して、暇なのかすぐに届いたそれを飲みはじめる。
いつになっても、胡桃とは別ベクトルで体躯とは合わない小動物さだと思う。
豊音「あ、シロ。煙草」
シロ「ん………嫌?」
豊音「ううん。けど、吸い過ぎは気を付けてね?」
皆言うことは同じか………。
集まったからといって、まあ特別なことをするわけでもない。
たまに麻雀を打つくらいで、それもまあ特別なこととは言い難い。
大体は、こうして近況を話し合ったり、昔のあれこれを茶化すように話したり、そんなものだ。
極々稀に、喫茶店ではなく誰かの家でお酒の席になることもあるけど………まあ、歳を考えれば普通だろう。
大体、豊音が速攻で酔うことになるし。
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:28:39.43 ID:58bg+DvZ0
.
胡桃「………とまあ、そんな感じ?」
塞「いや、さらりと言うけどあんたよく生きて帰ってきたと言うか………」
胡桃「丸太は万能で最強、はっきりわかった」
豊音「だ、大冒険だよー………」
胡桃「いい写真を撮るにはそのくらいしないとね!」
シロ「その一言で済ませちゃいけない気がするんだけど………」
胡桃の撮影紀行………という名の、洋画の世界に片足を突っ込んだ話を聞いて、全員呆れ、青ざめる。
カメラに嵌ったのはともかく、何が胡桃をそこまで駆り立てるのか。
確かに、胡桃の撮った写真は凄いの一言だけど………
胡桃「でもまぁ、体力はつくんだよね。機材って結構重いし」
豊音「本体も大きいもんねー」
塞「せめて命の危険は無いようにしてよね。聞いてて肝が冷えるの何の」
胡桃「まー、前々回は流石に死んだと思ったけどね」
豊音「え、ええ!?」
塞「何してんのあんた!?いやマジで!!」
胡桃「いやー、カンカンダラは強敵だった………」
塞「ファッ!?」
………ほんと、何してるんだろうこの子は。
胡桃「………とまあ、そんな感じ?」
塞「いや、さらりと言うけどあんたよく生きて帰ってきたと言うか………」
胡桃「丸太は万能で最強、はっきりわかった」
豊音「だ、大冒険だよー………」
胡桃「いい写真を撮るにはそのくらいしないとね!」
シロ「その一言で済ませちゃいけない気がするんだけど………」
胡桃の撮影紀行………という名の、洋画の世界に片足を突っ込んだ話を聞いて、全員呆れ、青ざめる。
カメラに嵌ったのはともかく、何が胡桃をそこまで駆り立てるのか。
確かに、胡桃の撮った写真は凄いの一言だけど………
胡桃「でもまぁ、体力はつくんだよね。機材って結構重いし」
豊音「本体も大きいもんねー」
塞「せめて命の危険は無いようにしてよね。聞いてて肝が冷えるの何の」
胡桃「まー、前々回は流石に死んだと思ったけどね」
豊音「え、ええ!?」
塞「何してんのあんた!?いやマジで!!」
胡桃「いやー、カンカンダラは強敵だった………」
塞「ファッ!?」
………ほんと、何してるんだろうこの子は。
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:32:34.33 ID:58bg+DvZ0
.
気付けば、話しは塞のことに。
塞「………と、そんな感じ?」
胡桃「書店勤務もなかなか大変そうだねー。写真集出したら置いてよ」
塞「世間一般にお見せできるものならね」
豊音「それだけ本だらけだと、整理するのも大変そうだよー」
塞「実際、キツイ。真面目にキツイ。前の店員が忘れ去ってて埃被った本の箱とか見つけた時はどうしようかと………」
………目が乾いてる。というか死んでる。
しかし、話の中でのいくつかの場面。確かにその眼が輝いているのを、私たちははっきり見た。
本当に嫌で嫌で仕方のないことなら………そんな目はできない。
本当は図書館の勤務を望んでいたと聞いたけど、それでも今の職場もまた別の魅力があるのだろうか。
きっと―――本の海のような場所で、微笑んでいるのだろう。
『こっそり趣味で書いてる小説の進捗は?』………は、今は聞かない方がいいだろう。
なんとなくだけど、凄まじい勢いで飛び火する。そんな気がする。
塞「ただ、なんか最近古本買取と販売のコーナーも作るとか言いだしてて、また忙しくなりそうなんだよね」
胡桃「ほへー。てか、そんなスペースあるの?」
塞「棚の配置を変えるだけでも結構スペースを作れることがわかってねー。まあ、死ぬほど重労働だけど」
豊音「古本だと安いし、買う方からするとお得だよね」
シロ「数冊買うだけでも、新品だとそれなりだしね」
塞「そうそう。で、買取を少し試験的に始めててさ」
………部屋の本を少し持っていこうか。
読みつくしてもう数年触ってない本が結構あるなぁ………
気付けば、話しは塞のことに。
塞「………と、そんな感じ?」
胡桃「書店勤務もなかなか大変そうだねー。写真集出したら置いてよ」
塞「世間一般にお見せできるものならね」
豊音「それだけ本だらけだと、整理するのも大変そうだよー」
塞「実際、キツイ。真面目にキツイ。前の店員が忘れ去ってて埃被った本の箱とか見つけた時はどうしようかと………」
………目が乾いてる。というか死んでる。
しかし、話の中でのいくつかの場面。確かにその眼が輝いているのを、私たちははっきり見た。
本当に嫌で嫌で仕方のないことなら………そんな目はできない。
本当は図書館の勤務を望んでいたと聞いたけど、それでも今の職場もまた別の魅力があるのだろうか。
きっと―――本の海のような場所で、微笑んでいるのだろう。
『こっそり趣味で書いてる小説の進捗は?』………は、今は聞かない方がいいだろう。
なんとなくだけど、凄まじい勢いで飛び火する。そんな気がする。
塞「ただ、なんか最近古本買取と販売のコーナーも作るとか言いだしてて、また忙しくなりそうなんだよね」
胡桃「ほへー。てか、そんなスペースあるの?」
塞「棚の配置を変えるだけでも結構スペースを作れることがわかってねー。まあ、死ぬほど重労働だけど」
豊音「古本だと安いし、買う方からするとお得だよね」
シロ「数冊買うだけでも、新品だとそれなりだしね」
塞「そうそう。で、買取を少し試験的に始めててさ」
………部屋の本を少し持っていこうか。
読みつくしてもう数年触ってない本が結構あるなぁ………
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:35:46.69 ID:58bg+DvZ0
塞「でも、最初のお客さん。あの人、結局何だったんだろ………」
豊音「く、クレーマーってやつ?」
塞「いや、そうじゃないんだけどね。どこの会社か作者かもわからない変な本持ってきて、買取できなくてさ」
胡桃「自費出版系………いや、実は相当古い稀覯本だったとか?」
塞「あはは、それなら損したなぁ。まあ、すぐ引き下がったし」
シロ「ダルくなくて、よかったじゃん」
塞「まあそこは同意かな。でも日本人でもなかったし、変だったなぁ。肌黒くて、なんかニヤついてて」
胡桃「え」
豊音「?」
塞「神父服、っていうの?着ててさ。興味深いとか、だからおもしろいとかなんとか………」
胡桃「」
シロ「………………」
胡桃も言いたいことだろうけど、塞。強く生きて。
豊音「く、クレーマーってやつ?」
塞「いや、そうじゃないんだけどね。どこの会社か作者かもわからない変な本持ってきて、買取できなくてさ」
胡桃「自費出版系………いや、実は相当古い稀覯本だったとか?」
塞「あはは、それなら損したなぁ。まあ、すぐ引き下がったし」
シロ「ダルくなくて、よかったじゃん」
塞「まあそこは同意かな。でも日本人でもなかったし、変だったなぁ。肌黒くて、なんかニヤついてて」
胡桃「え」
豊音「?」
塞「神父服、っていうの?着ててさ。興味深いとか、だからおもしろいとかなんとか………」
胡桃「」
シロ「………………」
胡桃も言いたいことだろうけど、塞。強く生きて。
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:37:32.12 ID:58bg+DvZ0
.
豊音の話しに移って、というか胡桃が焦って方向性を変えて。
豊音「やっぱり、人口もそうだけど致命的に若い人が少なすぎるんだよねー………」
塞「全体が抱えてる問題だけど、特にこの近辺、さらに豊音の村になるとね」
シロ「実際、村の役場って言っても別の市役所の支所的な扱いなんだっけ?」
豊音「うん。だから、私も所属はそっちになってるんだよねー」
胡桃「自分で希望出したんだもんね」
公務員………というと聞こえはいいが、実際は場末の、過疎地の職員。
出世だって望めないし、未来があるとも言い難い。
けど、豊音はそこを―――――自分を、封じ込めていた村に勤めることを、選んだ。
それは、あの大騒動で一つの明確な区切りができたというのもあるのだろう。
和解、というにはほど遠い。けど、しっかりとケジメはついた。
そして豊音は―――――そんな村を、一度たりとも、憎まなかった。
強すぎて、眩しすぎて―――
その強さが、私にもあれば。
豊音の話しに移って、というか胡桃が焦って方向性を変えて。
豊音「やっぱり、人口もそうだけど致命的に若い人が少なすぎるんだよねー………」
塞「全体が抱えてる問題だけど、特にこの近辺、さらに豊音の村になるとね」
シロ「実際、村の役場って言っても別の市役所の支所的な扱いなんだっけ?」
豊音「うん。だから、私も所属はそっちになってるんだよねー」
胡桃「自分で希望出したんだもんね」
公務員………というと聞こえはいいが、実際は場末の、過疎地の職員。
出世だって望めないし、未来があるとも言い難い。
けど、豊音はそこを―――――自分を、封じ込めていた村に勤めることを、選んだ。
それは、あの大騒動で一つの明確な区切りができたというのもあるのだろう。
和解、というにはほど遠い。けど、しっかりとケジメはついた。
そして豊音は―――――そんな村を、一度たりとも、憎まなかった。
強すぎて、眩しすぎて―――
その強さが、私にもあれば。
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:41:12.99 ID:58bg+DvZ0
豊音「それで、この前今は使われてないお神輿を見つけてね」
胡桃「え、あそこの祭り?あったっけ………」
豊音「お祭り自体は小さく続けてるんだけど、担ぎ手がいなくて仕舞ってたんだって」
シロ「………それ、どのくらい昔の?」
豊音「15年前だって」
塞「ほげっ」
胡桃「………朽ちてる。絶対朽ちてる」
豊音「うん、相当ボロボロだったよー………」
………そんな神輿を担ぐなんて命の危険は、嫌だなぁ。
豊音「でもね、他の地域との共同でやるなら、復活も可能じゃないかって思うんだよー」
塞「ていっても、それは担ぎ手の話しでしょ?流石にその状態じゃ………」
豊音「だから、予算の確保して、修理が先だね。伝統のあるお祭りだし、もったいないよ」
胡桃「それで復活プロジェクトかぁ。若手の行動力とは思えないね」
豊音「………それに。そのお神輿もさ」
シロ「………………」
豊音「ぼっちは、かわいそうだよー」
………ああ。やっぱり変わってない。
温かく、優しく、それでいて、誰より強く。
だから私たちは、あの夏に彼女と共に―――目指したんだ。
胡桃「え、あそこの祭り?あったっけ………」
豊音「お祭り自体は小さく続けてるんだけど、担ぎ手がいなくて仕舞ってたんだって」
シロ「………それ、どのくらい昔の?」
豊音「15年前だって」
塞「ほげっ」
胡桃「………朽ちてる。絶対朽ちてる」
豊音「うん、相当ボロボロだったよー………」
………そんな神輿を担ぐなんて命の危険は、嫌だなぁ。
豊音「でもね、他の地域との共同でやるなら、復活も可能じゃないかって思うんだよー」
塞「ていっても、それは担ぎ手の話しでしょ?流石にその状態じゃ………」
豊音「だから、予算の確保して、修理が先だね。伝統のあるお祭りだし、もったいないよ」
胡桃「それで復活プロジェクトかぁ。若手の行動力とは思えないね」
豊音「………それに。そのお神輿もさ」
シロ「………………」
豊音「ぼっちは、かわいそうだよー」
………ああ。やっぱり変わってない。
温かく、優しく、それでいて、誰より強く。
だから私たちは、あの夏に彼女と共に―――目指したんだ。
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:43:57.26 ID:58bg+DvZ0
.
塞「シロは?」
シロ「………え?」
塞「いや、シロの近況。いやまぁ、知ってるといえば知ってるけど」
………ああ、番が回ってきたか。
シロ「いつも通り、家業手伝ってるだけだよ」
胡桃「手伝ってる、ってのは違うんじゃないかな。実際、大きい部分も任されてるんでしょ?」
シロ「ダルイ」
胡桃「あー、もう………」
豊音「そういえば、絵の方は?」
シロ「ここに来る前にも、描いてた。もう少しで一つ、描き終わり」
………そう。もう少しで、描き終わる。
そしたらまた、次の絵を描くのだろう。相も変わらず―――
キャンパスを、青く染めて。
塞「シロは?」
シロ「………え?」
塞「いや、シロの近況。いやまぁ、知ってるといえば知ってるけど」
………ああ、番が回ってきたか。
シロ「いつも通り、家業手伝ってるだけだよ」
胡桃「手伝ってる、ってのは違うんじゃないかな。実際、大きい部分も任されてるんでしょ?」
シロ「ダルイ」
胡桃「あー、もう………」
豊音「そういえば、絵の方は?」
シロ「ここに来る前にも、描いてた。もう少しで一つ、描き終わり」
………そう。もう少しで、描き終わる。
そしたらまた、次の絵を描くのだろう。相も変わらず―――
キャンパスを、青く染めて。
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:47:48.68 ID:58bg+DvZ0
塞「でも、お世辞も身内贔屓も抜きにして私はシロの絵好きだけどね」
豊音「うんうん。前に見た奴も、すっごく綺麗だったよー!」
ああ、あの絵か。
シロ「あれ、今手元にないんだよね」
胡桃「え?捨てたの?」
シロ「市の中央近くで画廊やってる人が、展示させてくれって」
塞「は!?」
胡桃「ちょっま!?聞いてない!!!」
豊音「そ、それってすごいんじゃ!?」
凄くなんか、ないんだけどなぁ。
別に画家として売れてるとか。そういうわけでもないわけだし………
ただ、また連絡させてくれとか言われたのは確かだ。
物好きって、いるんだなぁ………
塞「………これは前から聞きたかったんだけど」
シロ「ん」
塞「シロの描く絵が、いつも青空モチーフなのって何かの影響?」
………あー………………
煙草に、また火をつける。
胸の奥、頭の奥で―――チリチリと、燻る。
豊音「うんうん。前に見た奴も、すっごく綺麗だったよー!」
ああ、あの絵か。
シロ「あれ、今手元にないんだよね」
胡桃「え?捨てたの?」
シロ「市の中央近くで画廊やってる人が、展示させてくれって」
塞「は!?」
胡桃「ちょっま!?聞いてない!!!」
豊音「そ、それってすごいんじゃ!?」
凄くなんか、ないんだけどなぁ。
別に画家として売れてるとか。そういうわけでもないわけだし………
ただ、また連絡させてくれとか言われたのは確かだ。
物好きって、いるんだなぁ………
塞「………これは前から聞きたかったんだけど」
シロ「ん」
塞「シロの描く絵が、いつも青空モチーフなのって何かの影響?」
………あー………………
煙草に、また火をつける。
胸の奥、頭の奥で―――チリチリと、燻る。
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:49:45.60 ID:58bg+DvZ0
胡桃「そういえばそうだよね。透き通るみたいな青空と、白い雲」
豊音「うんうん。今度、役場でも飾らせてもらえると嬉しいんだけど………」
シロ「それは別にいいけど………そんな大層なものじゃないけど」
豊音「ううん。役場の人達も、描いたのが私と同い年の子って知ってびっくりしてたんだよー」
少し強めに吸って、煙を吐く。
シロ「別に、大きな理由はないよ。ただ、いつもなし崩しにそうなるだけ ただ、」
塞「ただ?」
シロ「エイスリンが、よく描いてたから」
場が、息をのんだ。
豊音「うんうん。今度、役場でも飾らせてもらえると嬉しいんだけど………」
シロ「それは別にいいけど………そんな大層なものじゃないけど」
豊音「ううん。役場の人達も、描いたのが私と同い年の子って知ってびっくりしてたんだよー」
少し強めに吸って、煙を吐く。
シロ「別に、大きな理由はないよ。ただ、いつもなし崩しにそうなるだけ ただ、」
塞「ただ?」
シロ「エイスリンが、よく描いてたから」
場が、息をのんだ。
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:52:30.14 ID:58bg+DvZ0
シロ「私が、絵を描こうって思ったのは………エイスリンが、いたからだし」
影響受けても仕方ない、と。
豊音「………エイスリンさん。元気かなぁ」
塞「手紙はやり取りしてるけどね………なんか、やっぱ………うん」
胡桃「こうして毎回集まってて、いつもいつも、なーんか足りない感じはあったんだよねぇ………」
あの夏から、卒業まで。
たったそれだけの時間で………あの青い目の少女は、私たちの世界にとって掛け替えのない存在になっていた。
それは私たちに理由があるのか。
それとも、たったひと夏という濃密な時間を駆けたからだろうか。
あるいは、彼女がああして、人を笑顔にしたからだろうか。
シロ「エイスリンにさ。伝えてないんだよね」
豊音「え?」
シロ「私が絵を描いてる事」
塞「………なんで?」
シロ「これこそ、理由はないんだよ。ただ、なんとなく………本当に、なんとなく」
言ってない、のか。
言えてない、のか。
影響受けても仕方ない、と。
豊音「………エイスリンさん。元気かなぁ」
塞「手紙はやり取りしてるけどね………なんか、やっぱ………うん」
胡桃「こうして毎回集まってて、いつもいつも、なーんか足りない感じはあったんだよねぇ………」
あの夏から、卒業まで。
たったそれだけの時間で………あの青い目の少女は、私たちの世界にとって掛け替えのない存在になっていた。
それは私たちに理由があるのか。
それとも、たったひと夏という濃密な時間を駆けたからだろうか。
あるいは、彼女がああして、人を笑顔にしたからだろうか。
シロ「エイスリンにさ。伝えてないんだよね」
豊音「え?」
シロ「私が絵を描いてる事」
塞「………なんで?」
シロ「これこそ、理由はないんだよ。ただ、なんとなく………本当に、なんとなく」
言ってない、のか。
言えてない、のか。
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:54:47.21 ID:58bg+DvZ0
シロ「ついでに、煙草吸ってることも」
胡桃「速攻で禁煙マーク描いて突き出しそうな気が」
塞「想像余裕」
だろうなぁ。
手紙でやりとりは、してる。
けど、それだけではどうしても伝えきれない部分もある。
実際、彼女の現状も、私たちの現状も、きっとつぎはぎだらけの状態でしか伝わってない。
連絡を取り合っているから様々なことを全て共有できる、というわけでもない。
例えるならパズル―――お互い、それぞれ欠けたパズルを見ている。
もしくは、半端な絵画か。
豊音「………会いたい、ね」
塞「………だね。私達の今を伝えて、エイちゃんの今を聞いて」
胡桃「………………………」
胡桃が黙り込んでいる。
何か――――――思い出したのだろうか。
それとも、言葉も出ないのか。
胡桃「速攻で禁煙マーク描いて突き出しそうな気が」
塞「想像余裕」
だろうなぁ。
手紙でやりとりは、してる。
けど、それだけではどうしても伝えきれない部分もある。
実際、彼女の現状も、私たちの現状も、きっとつぎはぎだらけの状態でしか伝わってない。
連絡を取り合っているから様々なことを全て共有できる、というわけでもない。
例えるならパズル―――お互い、それぞれ欠けたパズルを見ている。
もしくは、半端な絵画か。
豊音「………会いたい、ね」
塞「………だね。私達の今を伝えて、エイちゃんの今を聞いて」
胡桃「………………………」
胡桃が黙り込んでいる。
何か――――――思い出したのだろうか。
それとも、言葉も出ないのか。
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:58:24.86 ID:58bg+DvZ0
でも、なんにせよ。
今の話しの流れでもそうだったが、間違いなく言えることは。
彼女の存在を最も強く引きずっているのは、私なのだろう。
ふつふつと、キリキリと嫌な感覚がする心をねじ伏せるために煙草を吸って。
今も言われるまで言葉にしなかったきっかけも。
彼女の想いを消したくない、とばかりに描き始めた、絵も。
私は―――エイスリンを、どう想っていたんだろう。
どう想っているんだろう。
この気持ちは、友情なのか、恋慕なのか、憧憬なのか。
そんなことにも答えを出せない私が書く絵など………エイスリンに、遠く及ばない。
迷っても、確かに答えを出して、笑って、一つの世界をキャンバスに切り取った彼女と。
彼女が見ていた『だろう』と想定した光景をなぞるように、彼女の影を追うだけの私では。
シロ「一度くらい………教えて貰えばよかったかな。絵の、描き方」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 02:59:16.61 ID:58bg+DvZ0
.
「教えるよ。イツデモ、なんどデモ」
.
「教えるよ。イツデモ、なんどデモ」
.
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 03:01:58.46 ID:58bg+DvZ0
声が、聞こえたのはわかった。
誰の声だ。
それは、私の背後から聞こえた声だ。
塞でも、胡桃でも、豊音でもない。
そしてその声に聞き覚えがあるのにもかかわらず、こんなことを考える私は。
まだ、逃げるというのか。
「ごめん、ネ。surprise………アー、びっくり、させようと思って。えと………その………」
塞も、胡桃も、豊音も。
呆然と、ただ私の方を………私の、背後を、見ているだけだ。
「その、ニッポンにまたきた………ううん、引っ越して、キタ、んだ。money、貯めるのに時間、かかったけど」
そしてそれは決壊する。
破顔し、立ち上がり、泣きだし。
その声の主は、今だ呆然とするしかない私の肩越しに、腕を回してくる。
大丈夫だよ、というように。
大丈夫だよね、と問うように。
誰の声だ。
それは、私の背後から聞こえた声だ。
塞でも、胡桃でも、豊音でもない。
そしてその声に聞き覚えがあるのにもかかわらず、こんなことを考える私は。
まだ、逃げるというのか。
「ごめん、ネ。surprise………アー、びっくり、させようと思って。えと………その………」
塞も、胡桃も、豊音も。
呆然と、ただ私の方を………私の、背後を、見ているだけだ。
「その、ニッポンにまたきた………ううん、引っ越して、キタ、んだ。money、貯めるのに時間、かかったけど」
そしてそれは決壊する。
破顔し、立ち上がり、泣きだし。
その声の主は、今だ呆然とするしかない私の肩越しに、腕を回してくる。
大丈夫だよ、というように。
大丈夫だよね、と問うように。
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 03:04:40.25 ID:58bg+DvZ0
「………知らなかっタ。シロが、絵を描いてるなンテ。すっごく、嬉しイ」
特徴的な、イントネーションが若干怪しい日本語。
でも、あの日より、少し上達してて。
そこに、涙声のノイズ。
ああ、なんだ。しっかりしろ私の耳。
彼女が紡ぐ言葉を、一言一句、逃さず聞き取れ。
待ってたんだろう。望んでたんだろう。
聞いてもらいたいことがたくさんあるんだろう。言いたいことがあるんだろう。
だから、逃げるな。
逃げるな。聞き取れ、私の耳。
逃げるな、言葉を紡げ、私の口。
彼女の、回された手の平に、そっと触れる。
雨か。ぽたぽたと、私と彼女の手を濡らす。
随分ピンポイントで温かい雨もあったものだ。
特徴的な、イントネーションが若干怪しい日本語。
でも、あの日より、少し上達してて。
そこに、涙声のノイズ。
ああ、なんだ。しっかりしろ私の耳。
彼女が紡ぐ言葉を、一言一句、逃さず聞き取れ。
待ってたんだろう。望んでたんだろう。
聞いてもらいたいことがたくさんあるんだろう。言いたいことがあるんだろう。
だから、逃げるな。
逃げるな。聞き取れ、私の耳。
逃げるな、言葉を紡げ、私の口。
彼女の、回された手の平に、そっと触れる。
雨か。ぽたぽたと、私と彼女の手を濡らす。
随分ピンポイントで温かい雨もあったものだ。
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 03:05:20.73 ID:58bg+DvZ0
「だから、見せテ。シロが、描いた青空」
無茶いうな。
「あと、煙草、ダメ。シロ、健康に悪いヨ」
その前に、言うことがあるだろう。
「………日本語、一杯、練習シタ。覚えた。だから」
彼女は、回していた手を離す。
震える体を抑え込み、滲む視界でふり向いた先に――――――――――
「―――――――――ただいま!!」
無茶いうな。
「あと、煙草、ダメ。シロ、健康に悪いヨ」
その前に、言うことがあるだろう。
「………日本語、一杯、練習シタ。覚えた。だから」
彼女は、回していた手を離す。
震える体を抑え込み、滲む視界でふり向いた先に――――――――――
「―――――――――ただいま!!」
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 03:07:18.19 ID:58bg+DvZ0
青空に、太陽に透けるように輝く、あの日より伸ばした金の髪。
透き通り、青空以上に目に入るその碧眼。
私が――――私たちが愛した、焦がれた、笑顔。
宝石のような涙を落としながらも、それは変わらず。
手に持ったスケッチブック。そこには、道中描いたのだろうかすでに、一つの絵が描かれていた。
豊音、胡桃、塞が弾かれるように飛び出し彼女を抱きしめた瞬間、それが彼女の手から落ちる。
それを拾い上げ、空を見上げ――――視界を、彼女と彼女たちが泣きながらもあの日と同じく笑う、その場所に移し。
シロ「おかえり――――エイスリン」
透き通り、青空以上に目に入るその碧眼。
私が――――私たちが愛した、焦がれた、笑顔。
宝石のような涙を落としながらも、それは変わらず。
手に持ったスケッチブック。そこには、道中描いたのだろうかすでに、一つの絵が描かれていた。
豊音、胡桃、塞が弾かれるように飛び出し彼女を抱きしめた瞬間、それが彼女の手から落ちる。
それを拾い上げ、空を見上げ――――視界を、彼女と彼女たちが泣きながらもあの日と同じく笑う、その場所に移し。
シロ「おかえり――――エイスリン」
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 03:09:02.04 ID:58bg+DvZ0
次に描く青空は、きっと今までよりも綺麗になる。
そして、この青空を描いた彼女の―――エイスリンの後追いではなく。
私が見た青空だと、私が愛した世界だと、胸を張れるように。
彼女に『昔はこうだったね』ではなく『今もこんなに素晴らしい』と語れるように。
「絵の描き方を、教えてくれないかな」
「うん………………一緒に、描こう」
私は、私にしか取れない、筆を取る。
そして、この青空を描いた彼女の―――エイスリンの後追いではなく。
私が見た青空だと、私が愛した世界だと、胸を張れるように。
彼女に『昔はこうだったね』ではなく『今もこんなに素晴らしい』と語れるように。
「絵の描き方を、教えてくれないかな」
「うん………………一緒に、描こう」
私は、私にしか取れない、筆を取る。
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/13(日) 03:11:41.67 ID:58bg+DvZ0
というわけで終了です。
リハビリ兼ねて書いたSSでした。まともに一作書き上げたのいつぶりだろうか。
こんな時間ではありますが、見ていただいた方々に感謝を。
人の数次第でちょっと書き込むかもしれないので、明日、というか本日午前中まで残して依頼出します
リハビリ兼ねて書いたSSでした。まともに一作書き上げたのいつぶりだろうか。
こんな時間ではありますが、見ていただいた方々に感謝を。
人の数次第でちょっと書き込むかもしれないので、明日、というか本日午前中まで残して依頼出します
引用元: ・【咲-saki-】シロ「君が教えてくれた青空を」
怜「大変や竜華!ソーシャルディスタンスをとらなあかんから膝枕ができへん!!」
2020-07-17
1: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/07(日) 06:19:26.21 ID:7UX0kj7/O
怜「膝枕がっ!!膝枕ができへんねやぁーーーー!!!!!」
竜華「どっひゃあ!エライこっちゃで怜ィーーーーーー!!!!!!!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1591478366
竜華「どっひゃあ!エライこっちゃで怜ィーーーーーー!!!!!!!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1591478366
関連
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2: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/07(日) 06:24:28.05 ID:7UX0kj7/O
竜華「そんな…そんなぁ…怜との、とのとの膝枕がない生活なんて…うち、耐えられへん!」ガクブル
怜「私もやで竜華!竜華の、竜華の太ももを味わえへんなんて……そんなん地獄や!!」
竜華「どないしたら…どないしたらええんやろか…!?」
怜「大丈夫や竜華!私に考えがあるで!!!」
竜華「考えて…?」
怜「エア膝枕や!!!!」
怜「私もやで竜華!竜華の、竜華の太ももを味わえへんなんて……そんなん地獄や!!」
竜華「どないしたら…どないしたらええんやろか…!?」
怜「大丈夫や竜華!私に考えがあるで!!!」
竜華「考えて…?」
怜「エア膝枕や!!!!」
3: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/07(日) 06:34:12.06 ID:7UX0kj7/O
竜華「エア膝枕!?!?」
怜「せや!!まずは…こう、二人の間に透明なフィルムで防護壁を作る」ガシーン!
竜華「すごいで怜!これで飛沫感染を予防するんやな!?」
怜「せやで。そしたら、二人の距離を適切な間隔で開ける…!!」
竜華「これがソーシャルディスタンスいうやつやな!」
怜「そしたら最後に……」ゴロン
怜「私が横になり!!空気イスの要領で、まるで竜華に膝枕をされているかのように寝そべるんや!!!!」プルプルプルプル
竜華「!!!!!」
怜「せや!!まずは…こう、二人の間に透明なフィルムで防護壁を作る」ガシーン!
竜華「すごいで怜!これで飛沫感染を予防するんやな!?」
怜「せやで。そしたら、二人の距離を適切な間隔で開ける…!!」
竜華「これがソーシャルディスタンスいうやつやな!」
怜「そしたら最後に……」ゴロン
怜「私が横になり!!空気イスの要領で、まるで竜華に膝枕をされているかのように寝そべるんや!!!!」プルプルプルプル
竜華「!!!!!」
4: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/07(日) 06:40:52.89 ID:7UX0kj7/O
竜華「こ、これは…!?」ピクン
怜「うぉおおおおおおおおおおおおおお!!!」プルプルプルプルプルプル
竜華「太ももに!太ももに怜を感じるで!!!」
怜「せやろ!?私と竜華は今っ!!膝枕しとるんやからな!!!!」ブルブル
竜華「ああ…太ももにっ!太ももに怜がぁ……///」パキパキ
竜華「太ももにっ!太ももにエネルギーが溜まっていくで怜ぃ!!!!」ギンギン
怜「ハァハァ、せ、せやろ、竜華ぁ…」ブルブルブルブル
怜「うぉおおおおおおおおおおおおおお!!!」プルプルプルプルプルプル
竜華「太ももに!太ももに怜を感じるで!!!」
怜「せやろ!?私と竜華は今っ!!膝枕しとるんやからな!!!!」ブルブル
竜華「ああ…太ももにっ!太ももに怜がぁ……///」パキパキ
竜華「太ももにっ!太ももにエネルギーが溜まっていくで怜ぃ!!!!」ギンギン
怜「ハァハァ、せ、せやろ、竜華ぁ…」ブルブルブルブル
5: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/07(日) 06:53:25.78 ID:7UX0kj7/O
怜(うっ、この姿勢…かなり辛い!!)
竜華「あぁ…もう少しや怜ぃ///もう少しで怜ちゃんがキてくれる気がするんやぁ…///」パキパキ
怜「ははっ、きっと来てくれるで竜華~」ブルブルガクガク
怜(ま、まだや…!まだ耐えてくれ、私の身体…ッ!!)
竜華「ぁ~~、あぁ~~~~///」よだれダラダラ
怜(竜華は…ッ、太もものエネルギーが足りんと死んでまう可能性がある……!!)
怜(もっと、エネルギーが溜まるまで、保ってくれ!!私の身体ァ……!!!!)
ガクガクガクガクガクガクブルブル
竜華「あぁ…もう少しや怜ぃ///もう少しで怜ちゃんがキてくれる気がするんやぁ…///」パキパキ
怜「ははっ、きっと来てくれるで竜華~」ブルブルガクガク
怜(ま、まだや…!まだ耐えてくれ、私の身体…ッ!!)
竜華「ぁ~~、あぁ~~~~///」よだれダラダラ
怜(竜華は…ッ、太もものエネルギーが足りんと死んでまう可能性がある……!!)
怜(もっと、エネルギーが溜まるまで、保ってくれ!!私の身体ァ……!!!!)
ガクガクガクガクガクガクブルブル
6: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/07(日) 06:59:50.02 ID:7UX0kj7/O
竜華「ぁっ、あ、あぁ、あっ!!キてるっ!キてるで怜っ!!!」パキパキパキパキ
怜「来そうか!?来そうか竜華!?」ブルブル
怜(う、おおおおおお!!!もう一踏ん張りやああああああああああ!!!!)ガクガクブルブルガクガクブルブル
怜ちゃん『竜華ぁ~~!』
パァン!!!
竜華「あっ!!あァァァーーーー!!!怜ちゃんがッ!!!怜ちゃんがキてくれたで怜ィィィィィィィ!!!!!!!」
パキパキパッキーン!!!!!!!!!!
怜「来そうか!?来そうか竜華!?」ブルブル
怜(う、おおおおおお!!!もう一踏ん張りやああああああああああ!!!!)ガクガクブルブルガクガクブルブル
怜ちゃん『竜華ぁ~~!』
パァン!!!
竜華「あっ!!あァァァーーーー!!!怜ちゃんがッ!!!怜ちゃんがキてくれたで怜ィィィィィィィ!!!!!!!」
パキパキパッキーン!!!!!!!!!!
7: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/07(日) 07:05:08.27 ID:7UX0kj7/O
怜「そう、か…良か、った、な……竜華…」ブルっっ!ブルブル…ッ!!
竜華「怜……?」
怜(私は…竜華のためなら、なんだってできるんやで……?)
怜「エア膝枕だってええ……叶うなら、このままずっと、竜華と、ふ、二人きりで…ひざ、まくら、を……」ブルブル
怜「あ」
めきめき!
竜華「怜……?」
怜(私は…竜華のためなら、なんだってできるんやで……?)
怜「エア膝枕だってええ……叶うなら、このままずっと、竜華と、ふ、二人きりで…ひざ、まくら、を……」ブルブル
怜「あ」
めきめき!
8: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/07(日) 07:07:18.50 ID:7UX0kj7/O
竜華「と、怜!?」
怜「 」チーン
竜華「うわーん!怜が、怜がぁ!!」
竜華「エア膝枕のしすぎで身体がエグい角度でぐねって死んでもうたーーーーーっ!!!」
怜「 」チーン
竜華「うわーん!怜が、怜がぁ!!」
竜華「エア膝枕のしすぎで身体がエグい角度でぐねって死んでもうたーーーーーっ!!!」
15: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 10:20:32.03 ID:pkdyMpWJO
竜華「セーラ!大変なんやセーラぁ!!」
セーラ「どないした竜華!」
泉「どないしたんですか清水谷先輩!?」
竜華「泉もおったか。それが、ううっ…怜が、怜がぁ…!」ぐすっ
セーラ「怜!?怜がどないしたんや!?」
泉「はっ!ま、まさか…っ!!」
竜華「怜は、怜は…」ポロポロ
竜華「エア膝枕のしすぎで身体がエグい角度でグネって死んでしもたんやーーーー!!!!」
セーラ・泉「どっひゃあ!」ドンガラガッシャーン!!
セーラ「どないした竜華!」
泉「どないしたんですか清水谷先輩!?」
竜華「泉もおったか。それが、ううっ…怜が、怜がぁ…!」ぐすっ
セーラ「怜!?怜がどないしたんや!?」
泉「はっ!ま、まさか…っ!!」
竜華「怜は、怜は…」ポロポロ
竜華「エア膝枕のしすぎで身体がエグい角度でグネって死んでしもたんやーーーー!!!!」
セーラ・泉「どっひゃあ!」ドンガラガッシャーン!!
16: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 10:24:36.46 ID:pkdyMpWJO
泉「そんな…園城寺先輩が亡くなったなんて…!」オロオロ
セーラ「エライこっちゃで!!」
竜華「怜、怜…」ポロポロ
セーラ「ほんで、竜華」
竜華「なんや、セーラ?」
セーラ「エア膝枕て、なんや?」
竜華「エア膝枕はエア膝枕や!」
セーラ「わからへんて!なんで怜はそのエア膝枕で角度がグネったんや!?!?」
セーラ「エライこっちゃで!!」
竜華「怜、怜…」ポロポロ
セーラ「ほんで、竜華」
竜華「なんや、セーラ?」
セーラ「エア膝枕て、なんや?」
竜華「エア膝枕はエア膝枕や!」
セーラ「わからへんて!なんで怜はそのエア膝枕で角度がグネったんや!?!?」
17: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 10:30:07.70 ID:pkdyMpWJO
竜華「エア膝枕は怜が開発したまったく新しい膝枕や!」
竜華「この膝枕ならこのコロナ禍のさなかでさえソーシャルディスタンスを維持したまま膝枕ができるんやで」
セーラ「エライこっちゃな!」
竜華「でも、怜の身体はそのエア膝枕の負荷に耐えられへんかった…」ぐすっ
セーラ「そんなん!怜はコロナに殺されたようなもんやんけ!!」
泉「そんな…コロナ鍋のせいで園城寺先輩は…」うるっ
セーラ「おんどれコロナ渦……ッ!!」
竜華「この膝枕ならこのコロナ禍のさなかでさえソーシャルディスタンスを維持したまま膝枕ができるんやで」
セーラ「エライこっちゃな!」
竜華「でも、怜の身体はそのエア膝枕の負荷に耐えられへんかった…」ぐすっ
セーラ「そんなん!怜はコロナに殺されたようなもんやんけ!!」
泉「そんな…コロナ鍋のせいで園城寺先輩は…」うるっ
セーラ「おんどれコロナ渦……ッ!!」
18: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 10:33:40.71 ID:pkdyMpWJO
竜華「うち、うちもうどないしたらええか…」ポロポロ
セーラ「そんなん決まてるやろ!!俺らにはアイツがついてるんやで!!!」
泉「そうでした!私たちにはあの人がおりましたね!!」
竜華「せや!こんな、こんな困ったときには…!」
三人「困ったときのフナQ頼みや!!!」
セーラ「そんなん決まてるやろ!!俺らにはアイツがついてるんやで!!!」
泉「そうでした!私たちにはあの人がおりましたね!!」
竜華「せや!こんな、こんな困ったときには…!」
三人「困ったときのフナQ頼みや!!!」
19: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 10:37:58.68 ID:pkdyMpWJO
ドンドンドンドン!!
竜華「開けてや!大変なんやフナQ!!」
セーラ「浩子!一大事やで!!」
泉「舟久保先輩!助けてください!!」
ドンドンドンドンドンドンドンドン!
ガチャ
フナQ「なんや久々ですねこの感じ」
セーラ「怜が死んだんや!」
フナQ「あ、やっぱり」
竜華「開けてや!大変なんやフナQ!!」
セーラ「浩子!一大事やで!!」
泉「舟久保先輩!助けてください!!」
ドンドンドンドンドンドンドンドン!
ガチャ
フナQ「なんや久々ですねこの感じ」
セーラ「怜が死んだんや!」
フナQ「あ、やっぱり」
20: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 10:40:23.51 ID:pkdyMpWJO
フナQ「そんで、今回はどのように亡くなりましたか?」
セーラ「コロナや!!!」
フナQ「へっ!?」
セーラ「怜はコロナに殺されたんや!!!!」
フナQ「いやいやいやいやいやいや」ブンブン
セーラ「コロナや!!!」
フナQ「へっ!?」
セーラ「怜はコロナに殺されたんや!!!!」
フナQ「いやいやいやいやいやいや」ブンブン
21: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 10:44:28.12 ID:pkdyMpWJO
フナQ「今回ばかりは本気で私やなくてしかるべき機関に頼らなあきませんて!」
セーラ「俺らには浩子しかおらんねん!!」
フナQ「いえいえいえいえ!私にコロナウィルスは解決できませんよ!」ブンブン
竜華「コロナウィルスちゃうねん!」
フナQ「はいぃ!?!?」
竜華「怜は、怜は…」
竜華「エア膝枕のしすぎで角度がエグい角度でグネって死んでもうたんや!!!」
フナQ「あーー……」
セーラ「俺らには浩子しかおらんねん!!」
フナQ「いえいえいえいえ!私にコロナウィルスは解決できませんよ!」ブンブン
竜華「コロナウィルスちゃうねん!」
フナQ「はいぃ!?!?」
竜華「怜は、怜は…」
竜華「エア膝枕のしすぎで角度がエグい角度でグネって死んでもうたんや!!!」
フナQ「あーー……」
22: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 10:47:39.01 ID:pkdyMpWJO
セーラ「あんな、エア膝枕いうんは…」
フナQ「いえ、だいたい想像つきましたわ。グネった理由も」ハァ
泉「さすがは舟久保先輩です!」
竜華「一を聞いて十を知るとは…!」
セーラ「なかなかできることちゃうで!!」
フナQ「そうですか…」
フナQ「いえ、だいたい想像つきましたわ。グネった理由も」ハァ
泉「さすがは舟久保先輩です!」
竜華「一を聞いて十を知るとは…!」
セーラ「なかなかできることちゃうで!!」
フナQ「そうですか…」
23: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 10:52:36.72 ID:FyxnWzK6O
フナQ「しかし、どないしましょうか。今ひとつ解決策が思い浮かびませんね」
セーラ「そんなアホな!」はっはっは
泉「舟久保先輩に解決できない問題なんてあるわけないじゃないですか!」
竜華「フナQは全知全能やろ?」
フナQ「私、最近神格化されてませんか?」
セーラ「そんなアホな!」はっはっは
泉「舟久保先輩に解決できない問題なんてあるわけないじゃないですか!」
竜華「フナQは全知全能やろ?」
フナQ「私、最近神格化されてませんか?」
24: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 10:56:57.35 ID:FyxnWzK6O
フナQ「そも、なんでエア膝枕なんてけったいな真似を?」
竜華「それは、ソーシャルディスタンスがなんちゃらてテレビでやっとったし」
フナQ「え、普段アレだけ一日中べったりくっついてるのに、膝枕だけエアなんですか?」
竜華「そこは、なんというか、世間体…みたいな?」
フナQ「ん、んん!?……んん??」
フナQ(いつもどこでもイチャついとるくせに、どこに線引きがあんねん)
竜華「それは、ソーシャルディスタンスがなんちゃらてテレビでやっとったし」
フナQ「え、普段アレだけ一日中べったりくっついてるのに、膝枕だけエアなんですか?」
竜華「そこは、なんというか、世間体…みたいな?」
フナQ「ん、んん!?……んん??」
フナQ(いつもどこでもイチャついとるくせに、どこに線引きがあんねん)
25: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 11:01:02.33 ID:FyxnWzK6O
フナQ「まぁ、世間体に問題があるいうならわかりましたわ」
セーラ「なんかわかったんか浩子!?」
竜華「うちは、うちはどないしたらええんやフナQ」
フナQ「清水谷先輩と園城寺先輩。お二人は結婚してください」
竜華「!!?!!!?~~~~///」
セーラ「なんかわかったんか浩子!?」
竜華「うちは、うちはどないしたらええんやフナQ」
フナQ「清水谷先輩と園城寺先輩。お二人は結婚してください」
竜華「!!?!!!?~~~~///」
26: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 11:06:57.13 ID:FyxnWzK6O
竜華「なっ、ななな…なんやって!?!?///」かぁぁ
フナQ「結婚が無理なら同居でもいいです」
竜華「結婚!?同居!?!?な、な、な、なんでや!?///」ドキドキ
フナQ「同居人や家族とソーシャルディスタンスを取ることは共同生活を営むうえで困難なため、接近しても仕方ないとする意見があります」
※諸説あります
フナQ「よって、お二人が結婚・同居すれば距離をおかずとも世間体的には問題ありません」
竜華「あ、あわわわわ…あわわ///」ドキドキドキドキ
フナQ「結婚が無理なら同居でもいいです」
竜華「結婚!?同居!?!?な、な、な、なんでや!?///」ドキドキ
フナQ「同居人や家族とソーシャルディスタンスを取ることは共同生活を営むうえで困難なため、接近しても仕方ないとする意見があります」
※諸説あります
フナQ「よって、お二人が結婚・同居すれば距離をおかずとも世間体的には問題ありません」
竜華「あ、あわわわわ…あわわ///」ドキドキドキドキ
27: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 11:13:47.99 ID:FyxnWzK6O
竜華「せ、せやかて急に結婚なんて…っ///と、怜の気持ちだってあることやし///」
フナQ「そんなん言い出したら園城寺先輩死にっぱなしですよ?」
竜華「で、で、でもぉ///」もじもじ
フナQ「ええやないですか。せまい部屋の中でステイホームしながら一日中膝枕ックスでもしてればよろしいでしょ」
フナQ「婦婦(ふうふ)水入らずで」
竜華「あわわわわ///はわわわわわわ…///」ぷしゅーー!
フナQ「そんなん言い出したら園城寺先輩死にっぱなしですよ?」
竜華「で、で、でもぉ///」もじもじ
フナQ「ええやないですか。せまい部屋の中でステイホームしながら一日中膝枕ックスでもしてればよろしいでしょ」
フナQ「婦婦(ふうふ)水入らずで」
竜華「あわわわわ///はわわわわわわ…///」ぷしゅーー!
28: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 11:20:05.58 ID:FyxnWzK6O
セーラ「決まりや!!」
泉「そうと決まれば物件さがしですね!」
竜華「物件さがして!は、話が急すぎやで!?」
フナQ「三畳一間とかでええんちゃいます。なるべくせっまい部屋にしましょうよ」
セーラ「家具もベッドだけあればええやんな」
泉「シャワーくらいは無いとあきませんよね?」
キャイキャイ
竜華(ど、どんどん話が進めれてていっとるーー!?!?)
泉「そうと決まれば物件さがしですね!」
竜華「物件さがして!は、話が急すぎやで!?」
フナQ「三畳一間とかでええんちゃいます。なるべくせっまい部屋にしましょうよ」
セーラ「家具もベッドだけあればええやんな」
泉「シャワーくらいは無いとあきませんよね?」
キャイキャイ
竜華(ど、どんどん話が進めれてていっとるーー!?!?)
29: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 11:24:56.58 ID:FyxnWzK6O
フナQ「よしっ!あとの手配はお任せください!」
セーラ「任せたで浩子!」
竜華「そ、そんな!あっという間に全部決めんでも…」
泉「有意義な会議でしたね」
フナQ「初めてテンション上がる仕事した気がするわ」
セーラ「ほんなら竜華。さっそく怜の死体持って二人の愛の巣行こか?」
竜華「ああ、もう…むちゃくちゃや……」
セーラ「任せたで浩子!」
竜華「そ、そんな!あっという間に全部決めんでも…」
泉「有意義な会議でしたね」
フナQ「初めてテンション上がる仕事した気がするわ」
セーラ「ほんなら竜華。さっそく怜の死体持って二人の愛の巣行こか?」
竜華「ああ、もう…むちゃくちゃや……」
30: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 11:32:16.78 ID:FyxnWzK6O
怜「 」ぐねーん
セーラ「ああっ!怜ぃ!!ホンマに身体がエグい角度でグネっとる!!」ぐすっ
竜華「ああ、怜…」
セーラ「でももう安心やで怜!!!」がしっ
怜「 」ぐねーーん
セーラ「今から怜と竜華の二人がソーシャルディスタンスを気にせず膝枕できる部屋まで連れてちゃるからな!!」
竜華「あ、うぅ…///」かぁぁ
セーラ「ああっ!怜ぃ!!ホンマに身体がエグい角度でグネっとる!!」ぐすっ
竜華「ああ、怜…」
セーラ「でももう安心やで怜!!!」がしっ
怜「 」ぐねーーん
セーラ「今から怜と竜華の二人がソーシャルディスタンスを気にせず膝枕できる部屋まで連れてちゃるからな!!」
竜華「あ、うぅ…///」かぁぁ
31: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 11:37:53.10 ID:FyxnWzK6O
【怜と竜華の愛の巣】
フナQ「物件の契約完了です」
泉「家具も買うてきました!」
セーラ「怜も連れてきたでぇ!」
怜「 」ぐねーーん
竜華「あわわわわ///」
セーラ「そんなら」
泉「あとは…」
フナQ「お二人でごゆっくりどうぞぉ~」ニヤニヤ
竜華「あわわわわ///はわわ///」ドキドキドキドキ
怜「 」ぐねーーーーん
フナQ「物件の契約完了です」
泉「家具も買うてきました!」
セーラ「怜も連れてきたでぇ!」
怜「 」ぐねーーん
竜華「あわわわわ///」
セーラ「そんなら」
泉「あとは…」
フナQ「お二人でごゆっくりどうぞぉ~」ニヤニヤ
竜華「あわわわわ///はわわ///」ドキドキドキドキ
怜「 」ぐねーーーーん
32: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 11:41:13.80 ID:FyxnWzK6O
竜華「うぅ、みんな勝手なんやから…///」
竜華「えっと、と…怜?///」ドキドキ
怜「 」ぐねーん
竜華「じゃ、じゃあ、怜、膝枕…するで?///」ドキドキ
のすっ
怜「 」ぐねーーん
めきっ
めきめき!めきめき!めきめきめきめき!!
竜華「怜の!!怜のグネった身体が元に戻っていく……っ!?!?」
竜華「えっと、と…怜?///」ドキドキ
怜「 」ぐねーん
竜華「じゃ、じゃあ、怜、膝枕…するで?///」ドキドキ
のすっ
怜「 」ぐねーーん
めきっ
めきめき!めきめき!めきめきめきめき!!
竜華「怜の!!怜のグネった身体が元に戻っていく……っ!?!?」
33: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 11:45:18.85 ID:FyxnWzK6O
怜「竜華ぁあああああああああああああ!!!」
がばっ!
竜華「怜が!怜が生き返ったぁあああああああああ!!!!!」ドンガラガッシャーン!!!
怜「竜華ぁ!戻ってこれたで竜華ぁ…///」ぎゅ
竜華「うん!うん!うち、絶対また怜と会えると思っとったで!」ぎゅっ
怜「はっ!しまった!!」
怜「今た私たち、ソーシャルディスタンスをとらなアカンかったんや!!」ばっ
竜華「その必要は…なくなったんやで///」
怜「?? どういう意味や竜華?」
がばっ!
竜華「怜が!怜が生き返ったぁあああああああああ!!!!!」ドンガラガッシャーン!!!
怜「竜華ぁ!戻ってこれたで竜華ぁ…///」ぎゅ
竜華「うん!うん!うち、絶対また怜と会えると思っとったで!」ぎゅっ
怜「はっ!しまった!!」
怜「今た私たち、ソーシャルディスタンスをとらなアカンかったんや!!」ばっ
竜華「その必要は…なくなったんやで///」
怜「?? どういう意味や竜華?」
34: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 11:49:57.94 ID:FyxnWzK6O
竜華「あ、あんな、うちらな…その、同居せえへん?///」かぁぁぁぁ
怜「へっ!?///」どきっ
竜華「えっとな、同居人となら、その、距離をあけなくてもいいらしいんやって」
怜「え、えっ、そ、そんなら…///」ドキドキ
竜華「膝枕、エアやなくてもできるで…?///」ドキドキ
怜「あ、あわわわわ…///」かぁぁ
怜「あばばばばばばばばばばば///」ガクガクブルブル
怜「へっ!?///」どきっ
竜華「えっとな、同居人となら、その、距離をあけなくてもいいらしいんやって」
怜「え、えっ、そ、そんなら…///」ドキドキ
竜華「膝枕、エアやなくてもできるで…?///」ドキドキ
怜「あ、あわわわわ…///」かぁぁ
怜「あばばばばばばばばばばば///」ガクガクブルブル
35: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 11:55:26.56 ID:FyxnWzK6O
竜華「怜…?」
怜「あばばばばばばばばばばばばば///」ぷしゅーー!
怜「あばばっばばっばばばっばあっばばばばばっばばばばっばばっばばばっばばばっばばっばばbなばななばななばなんばば」
怜「あばばばばんばばばんばばはばっばはばばばっばばっばばばばっばばばばっばばばばっばばばばっばばばっばばばばばば
ばばんばばばっばばなっばあばっばばばっばばばばっばばばばんばなばなばばなばっばばんばばばっばばばばばんばばっばあ
ばばばっばなばんばばばなんあばなんあばばっばばっばばんばばなななんあななっばっばゔぁゔぁばばんばっばばbなっば///」
ぷしゅぅううううううう!!!!!
怜「あ」
ぱたり
怜「 」チーン
竜華「うわーーーーん!!怜ぃーーーーーー!!!!」
怜「あばばばばばばばばばばばばば///」ぷしゅーー!
怜「あばばっばばっばばばっばあっばばばばばっばばばばっばばっばばばっばばばっばばっばばbなばななばななばなんばば」
怜「あばばばばんばばばんばばはばっばはばばばっばばっばばばばっばばばばっばばばばっばばばばっばばばっばばばばばば
ばばんばばばっばばなっばあばっばばばっばばばばっばばばばんばなばなばばなばっばばんばばばっばばばばばんばばっばあ
ばばばっばなばんばばばなんあばなんあばばっばばっばばんばばなななんあななっばっばゔぁゔぁばばんばっばばbなっば///」
ぷしゅぅううううううう!!!!!
怜「あ」
ぱたり
怜「 」チーン
竜華「うわーーーーん!!怜ぃーーーーーー!!!!」
36: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 11:58:03.70 ID:FyxnWzK6O
竜華「怜が!怜がぁ!!!」
怜「 」こんがり
竜華「怜がうちに同居を誘われたショックで焼け死んでもうたーーーー!!」ドンガラガッシャーン!
終
怜「 」こんがり
竜華「怜がうちに同居を誘われたショックで焼け死んでもうたーーーー!!」ドンガラガッシャーン!
終
37: ◆DzxgKhP8WYry 2020/06/13(土) 11:59:45.03 ID:FyxnWzK6O
焼け死んだ説、蒸しあがった説、茹であがった説など、諸説あります
終わります
終わります
引用元: ・怜「大変や竜華!ソーシャルディスタンスをとらなあかんから膝枕ができへん!!」
京太郎「活動日誌?」【咲】
2020-06-18
1: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/01(月) 15:12:04.40 ID:cN2q16NDo
久「今日の部活は此処までね。今から根を詰めても大会に悪影響なので、帰りましょう。」
まこ「そうじゃな。合同合宿も控えとるしのぅ。」
優希「うぅ。疲れたじょー。タコスを補給しなければ。」
和「帰りましょう、咲さん、ゆーき。」
咲「うん。京ちゃんも帰ろ?」
京太郎「んー。牌譜の整理とかしてから帰るから先帰ってて良いぞ。」
まこ「明日でも良いんじゃないか?」
京太郎「ちょっと気になった事もあるんで確認とかしたいなぁって思ってみたりしてて。」
久「仕方ないわねぇ。一区切りついたらキチンと帰るのよ?明日も活動はあるんだから。」
京太郎「了解です。」
*少年清掃中*
京太郎「なんだこれ?」
【清澄高校麻雀部活動日誌】
京太郎「日誌なんて在ったのか、知らなかったなぁ。」
京太郎「何が書いてあるんだろ」ペラッ
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1493619124
まこ「そうじゃな。合同合宿も控えとるしのぅ。」
優希「うぅ。疲れたじょー。タコスを補給しなければ。」
和「帰りましょう、咲さん、ゆーき。」
咲「うん。京ちゃんも帰ろ?」
京太郎「んー。牌譜の整理とかしてから帰るから先帰ってて良いぞ。」
まこ「明日でも良いんじゃないか?」
京太郎「ちょっと気になった事もあるんで確認とかしたいなぁって思ってみたりしてて。」
久「仕方ないわねぇ。一区切りついたらキチンと帰るのよ?明日も活動はあるんだから。」
京太郎「了解です。」
*少年清掃中*
京太郎「なんだこれ?」
【清澄高校麻雀部活動日誌】
京太郎「日誌なんて在ったのか、知らなかったなぁ。」
京太郎「何が書いてあるんだろ」ペラッ
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2: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/01(月) 15:13:09.70 ID:cN2q16NDo
○月○日 天候:晴れ 記入者:竹井久
今日は、新入生の須賀京太郎くんが入部してくれた。
思っていたよりも、優しい子でよかったわ~。
高身長・金髪なんて最初は怖かったけど、此方の話はちゃんと聞くし、立ててくれるし。
いい子だわ~
○月●日 天候:晴れ(強風) 記入者:竹井久
今日の発見。須賀くんは見た目以上に鍛えていた。
須賀くんにぶつかって倒れそうになったら抱きとめられた。
やっばいわぁ、須賀くん。っばいわ~。
○月?日 天候:晴れ時々雨 記入者:竹井久
須賀くんは格好いいわ。本当に、マジで、真剣に。
だけれども、何とも言えない可愛さもある。
懐っこい大型犬的な。あぁ~、ヤッバイ。
今日は、新入生の須賀京太郎くんが入部してくれた。
思っていたよりも、優しい子でよかったわ~。
高身長・金髪なんて最初は怖かったけど、此方の話はちゃんと聞くし、立ててくれるし。
いい子だわ~
○月●日 天候:晴れ(強風) 記入者:竹井久
今日の発見。須賀くんは見た目以上に鍛えていた。
須賀くんにぶつかって倒れそうになったら抱きとめられた。
やっばいわぁ、須賀くん。っばいわ~。
○月?日 天候:晴れ時々雨 記入者:竹井久
須賀くんは格好いいわ。本当に、マジで、真剣に。
だけれども、何とも言えない可愛さもある。
懐っこい大型犬的な。あぁ~、ヤッバイ。
3: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/01(月) 15:15:48.11 ID:cN2q16NDo
○月◇日 天候:曇 記入者:染谷まこ
久々に部室に顔を出したら、見知らぬ男がいた。
新しく入部したした1年生らしい。
初心者だから、宜しくしてやってくれと言われた。後輩じゃし面倒はキチンと見よう。
あと、久が書いてるのは活動日誌じゃなく、京太郎日誌じゃ。
○月□日 天候:曇り 記入者:竹井久
採用。
今日から、この日誌は、「須賀くん観察日誌」となります。
以後、必ずその日の須賀くん情報を載せるように。
ということで、まずは私から。
昼休み、食堂で、仲が良好そうな女子とお昼ごはんを食べていた。
誰だったのかしら、あの娘?
○月◎日 天候:曇(部長の頭が) 記入者:染谷まこ
阿呆じゃった。うちの部長は思ってたよりも阿呆じゃった。
昨日書いてあることもそうじゃが。
【今日の京太郎】
休み時間に移動教室の帰りだったのか、儂の姿を見かけて挨拶に来た。
何時の日か部長が書いてたように、犬っぽいというか何というか。
あと、笑顔が素敵だった。
久々に部室に顔を出したら、見知らぬ男がいた。
新しく入部したした1年生らしい。
初心者だから、宜しくしてやってくれと言われた。後輩じゃし面倒はキチンと見よう。
あと、久が書いてるのは活動日誌じゃなく、京太郎日誌じゃ。
○月□日 天候:曇り 記入者:竹井久
採用。
今日から、この日誌は、「須賀くん観察日誌」となります。
以後、必ずその日の須賀くん情報を載せるように。
ということで、まずは私から。
昼休み、食堂で、仲が良好そうな女子とお昼ごはんを食べていた。
誰だったのかしら、あの娘?
○月◎日 天候:曇(部長の頭が) 記入者:染谷まこ
阿呆じゃった。うちの部長は思ってたよりも阿呆じゃった。
昨日書いてあることもそうじゃが。
【今日の京太郎】
休み時間に移動教室の帰りだったのか、儂の姿を見かけて挨拶に来た。
何時の日か部長が書いてたように、犬っぽいというか何というか。
あと、笑顔が素敵だった。
4: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/01(月) 15:17:10.80 ID:cN2q16NDo
○月#日 天候:雨 記入者:竹井久
ねぇ、私の頭が曇りってどういう意味?
ちょっと、まこ。どういう意味よ!
それと、「今日の京太郎」って駄洒落かしら?
今日は新しく入部した女子2人とで卓を囲んだ。
2人とも経験者で片方は去年のインターミドル覇者の原村和だった。
なんで、この高校に進学してきたのかしら?
もう片方は東場で異様に強い片岡優希。
とんでもない収穫になった。夢である全国制覇が現実に見えてきた、かも知れない。
【今日の須賀くん】
麻雀の教導をしていたが、マジメな顔も凛々しくて良かった。
ギャップって凄いわね。
何だかんだ書くまこも素直じゃないわね
○月$日 天候:晴れ 記入者:原村和
あの、これは何なんですか?
有無も言わさずに渡されましたが、何を書けばよいのか理解できません。
何故、活動だけではなく、須賀君の事も書かなければならないのでしょうか?
ただ、本日の対局も何故か納得ができるモノではありませんでした。
これからも、努力していきたいものです。
○月%日 天候:晴れだじぇ 記入者:片岡優希様
やっぱり、清澄に進学してよかったじぇ。
学食にタコスがあるし、上手いし。
何より、のどちゃんとも一緒にいられるからな
【今日の京太郎】
アイツは、教本を片手に唸っていたじょ。
まぁ、私は感覚で打つタイプだからな。教本なんて要らないじょ。
ねぇ、私の頭が曇りってどういう意味?
ちょっと、まこ。どういう意味よ!
それと、「今日の京太郎」って駄洒落かしら?
今日は新しく入部した女子2人とで卓を囲んだ。
2人とも経験者で片方は去年のインターミドル覇者の原村和だった。
なんで、この高校に進学してきたのかしら?
もう片方は東場で異様に強い片岡優希。
とんでもない収穫になった。夢である全国制覇が現実に見えてきた、かも知れない。
【今日の須賀くん】
麻雀の教導をしていたが、マジメな顔も凛々しくて良かった。
ギャップって凄いわね。
何だかんだ書くまこも素直じゃないわね
○月$日 天候:晴れ 記入者:原村和
あの、これは何なんですか?
有無も言わさずに渡されましたが、何を書けばよいのか理解できません。
何故、活動だけではなく、須賀君の事も書かなければならないのでしょうか?
ただ、本日の対局も何故か納得ができるモノではありませんでした。
これからも、努力していきたいものです。
○月%日 天候:晴れだじぇ 記入者:片岡優希様
やっぱり、清澄に進学してよかったじぇ。
学食にタコスがあるし、上手いし。
何より、のどちゃんとも一緒にいられるからな
【今日の京太郎】
アイツは、教本を片手に唸っていたじょ。
まぁ、私は感覚で打つタイプだからな。教本なんて要らないじょ。
5: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/01(月) 15:18:09.79 ID:cN2q16NDo
○月&日 天候:晴れ 記入者:竹井久
和はちゃんと須賀くんの事も書くように。
優希はもうちょっと集中力が維持できたらねぇ。
【今日の須賀くん】
体型が良いので、何かやっていたのかと聞くとハンドボールをやっていたらしい。
動画があったので見てみたが、カッコ良かった。
シュートを決めていた瞬間はとんでもなく跳んでいた。
なんかもう、凄い以外の言葉がでなかった。
○月@日 天候:曇 記入者:染谷まこ
確かに、昨日の京太郎の動画はカッコよかった。
それは、認める。だが部活はちゃんとやって欲しいんじゃが、部長。
京太郎の方見すぎじゃ。
【本日の京太郎】
分からないなりにも一生懸命麻雀に励んでいる姿は、好感じゃった。
よく質問をしてくるし、健気じゃな
○月β日 天候:曇 記入者:原村和
あの日見せられた動画で、何故ハンドボール部がない清澄高校に進学してきたのかを聞いてみました。
彼は膝を壊し、未練を引き摺りたくないからと言っていました。
何時もとは違う笑顔が頭から離れてくれません。
他の男性と違いさほど胸ばかり見ないので、これからはもう少し優しくしてみようと思います。
閑話休題、宮永さんとは仲良くできそうにありません。手加減をされても何も楽しくはありませんから。
和はちゃんと須賀くんの事も書くように。
優希はもうちょっと集中力が維持できたらねぇ。
【今日の須賀くん】
体型が良いので、何かやっていたのかと聞くとハンドボールをやっていたらしい。
動画があったので見てみたが、カッコ良かった。
シュートを決めていた瞬間はとんでもなく跳んでいた。
なんかもう、凄い以外の言葉がでなかった。
○月@日 天候:曇 記入者:染谷まこ
確かに、昨日の京太郎の動画はカッコよかった。
それは、認める。だが部活はちゃんとやって欲しいんじゃが、部長。
京太郎の方見すぎじゃ。
【本日の京太郎】
分からないなりにも一生懸命麻雀に励んでいる姿は、好感じゃった。
よく質問をしてくるし、健気じゃな
○月β日 天候:曇 記入者:原村和
あの日見せられた動画で、何故ハンドボール部がない清澄高校に進学してきたのかを聞いてみました。
彼は膝を壊し、未練を引き摺りたくないからと言っていました。
何時もとは違う笑顔が頭から離れてくれません。
他の男性と違いさほど胸ばかり見ないので、これからはもう少し優しくしてみようと思います。
閑話休題、宮永さんとは仲良くできそうにありません。手加減をされても何も楽しくはありませんから。
6: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/01(月) 15:20:25.61 ID:cN2q16NDo
取り敢えず此処まで
1レスに数日分載せましたが見難いですかね?
1レスに数日分載せましたが見難いですかね?
12: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/02(火) 02:07:04.43 ID:QWeKGBMwo
おぉう、思ってたよりも期待されてて驚天動地
投下してきますねー
投下してきますねー
13: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/02(火) 02:08:20.38 ID:QWeKGBMwo
□月⊿日 天候:晴れ 記入者:竹井久
咲も入部し、IH団体戦出場の機会を手に入れることができた。
これも、須賀くんのおかげね。
【今日の須賀くん】
最近、雑用を引き受けてくれるようになった。
一緒に打ちましょうと誘っても、今日は
「団体戦に向けて頑張ってるのに、流石に初心者の俺が混ざっても……」
と遠慮してくる。
なんとかしなければ。個人レッスンとか良いかもしれない。
□月γ日 天候:晴れ 記入者:染谷まこ
部長の個人レッスンなど不要じゃろ。
それよりも、数じゃ。
ということで、京太郎は儂がどうにかする。
京太郎は働きながら、麻雀が打てる。その上お金も入る。
儂も初心者の京太郎のお陰で色んな経験ができる。
Win-Winじゃな。
□月θ日 天候:雨 記入者:宮永咲
あの、これもう活動日誌じゃなくて京ちゃん日誌じゃ。
これから、よろしくお願いします。
この清澄高校の皆と麻雀を楽しめたらなと思います。
あと、京ちゃんはあぁ見えて頭がいいです。
中学の時も、地毛なのに金髪という理由で先生達から目を付けられていたので、
文句を言われないようにと、常に成績上位者に名を連ねてました。
私と一緒に。
14: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/02(火) 02:09:48.66 ID:QWeKGBMwo
□月Λ日 天候:曇り 記入者:原村和
いえ、染谷先輩の雀荘に須賀君は時期尚早だと思います。
まずは、河の読み方等を教えるなど初歩を叩き込む時期です。
須賀くんも言っていました。
「皆と一緒に打ちたいけどさぁ、やっぱり、基本って大事なんだよなぁ。」と。
ですので、私が、マンツーマンで教えます。そちらの方が効率的ですし。
□月ν日 天候:晴れ 記入者:竹井久
まこは、初心者の須賀くんと一緒に打つよりも他の高校やプロの牌譜とかを見た方が良いわ。
和は、エトペンを抱いてリラックスして打てるようになった。けれどまだ、ムラッ気があるから家で打ってるようになれるようになるべきね。
優希は南場まで集中力を保つとまでは言わないけども、なるべく切らさないようにドリル。
咲は、ネト麻でもある程度の実力を発揮できるようになる。
上には上がまだまだ居るわ。まずは、自分の事に専念しなさいな。
その間に、京太郎くんの好感度じゃなくて、
基礎能力は上げておくから。
いえ、染谷先輩の雀荘に須賀君は時期尚早だと思います。
まずは、河の読み方等を教えるなど初歩を叩き込む時期です。
須賀くんも言っていました。
「皆と一緒に打ちたいけどさぁ、やっぱり、基本って大事なんだよなぁ。」と。
ですので、私が、マンツーマンで教えます。そちらの方が効率的ですし。
□月ν日 天候:晴れ 記入者:竹井久
まこは、初心者の須賀くんと一緒に打つよりも他の高校やプロの牌譜とかを見た方が良いわ。
和は、エトペンを抱いてリラックスして打てるようになった。けれどまだ、ムラッ気があるから家で打ってるようになれるようになるべきね。
優希は南場まで集中力を保つとまでは言わないけども、なるべく切らさないようにドリル。
咲は、ネト麻でもある程度の実力を発揮できるようになる。
上には上がまだまだ居るわ。まずは、自分の事に専念しなさいな。
その間に、京太郎くんの好感度じゃなくて、
基礎能力は上げておくから。
15: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/02(火) 02:12:31.60 ID:QWeKGBMwo
□月υ日 天候:晴れ 記入者:染谷まこ
いやいや、部長の手を煩わせる程でもなかろうて。
生徒議会長の仕事も熟し、麻雀部部長としても取り組む。
それだけでも大変なんじゃから、それくらいは後輩の私に任せぃ。
実際に打ちながら教えたほうが良いしな。家の雀荘でやる。
□月Σ日 天候:曇り 記入者:原村和
いえ。先輩2人の手を借りる程のことではありません。
同じ1年生である私が教えます。ネト麻ならチャットを通して出来ます。
実際に手に触れて教えることも可能です。
今後同じ時間を過ごす者として、仲は良好の方が好ましいですしね。
険悪な仲は駄目かもしれませんが、仲が良すぎても何ら問題はありませんよね?
□月Ω日 天候:晴れ 記入者:宮永咲
そういう意味なら、やっぱり私が一番だと思うんです。
一緒にネト麻が出来るし。皆は休日とか大変だと思います。
その点私は、京ちゃんの家も近いですし、受験勉強もテスト勉強も一緒にやっていたので
遅い時間まででも何ら不安がられる事はないので。
それに、京ちゃんのヤル気を維持させるのも、出させる為のツボも知ってますから。
あと、やっぱり適切な距離ってあると思うよ、和ちゃん。
いやいや、部長の手を煩わせる程でもなかろうて。
生徒議会長の仕事も熟し、麻雀部部長としても取り組む。
それだけでも大変なんじゃから、それくらいは後輩の私に任せぃ。
実際に打ちながら教えたほうが良いしな。家の雀荘でやる。
□月Σ日 天候:曇り 記入者:原村和
いえ。先輩2人の手を借りる程のことではありません。
同じ1年生である私が教えます。ネト麻ならチャットを通して出来ます。
実際に手に触れて教えることも可能です。
今後同じ時間を過ごす者として、仲は良好の方が好ましいですしね。
険悪な仲は駄目かもしれませんが、仲が良すぎても何ら問題はありませんよね?
□月Ω日 天候:晴れ 記入者:宮永咲
そういう意味なら、やっぱり私が一番だと思うんです。
一緒にネト麻が出来るし。皆は休日とか大変だと思います。
その点私は、京ちゃんの家も近いですし、受験勉強もテスト勉強も一緒にやっていたので
遅い時間まででも何ら不安がられる事はないので。
それに、京ちゃんのヤル気を維持させるのも、出させる為のツボも知ってますから。
あと、やっぱり適切な距離ってあると思うよ、和ちゃん。
16: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/02(火) 02:14:34.97 ID:QWeKGBMwo
?月♪日 天候:曇り 記入者:竹井久
話が進まないので、1日交代で、皆で教えましょう。
京太郎くん含め6人いる時は、4人が打って残りの人が教えましょう。
※京太郎くんが卓に着く場合もあるので注意。
※寧ろ京太郎くんを卓につかせることを推奨。
5人の場合、須賀くんを優先的に卓へ。
※渋った場合は三麻。
※理由としては、京太郎くんは初心者なので実際に打ったほうが良いとかなんか適当に。
3~4人は卓を囲みましょう。
万が一、億が一、2人っきりなら、マンツーマンね。
その日は自分の幸運と運命の神様に感謝しなさい。
順番としては年功序列。
1年生は入部届を出した和、優希、咲の順番ね。
私→まこ→和→優希→咲
順番の人が居なかった場合は次の人に移行。
Ex;まこの順でまこが来れなかった場合は和が。
翌日まこが、来たらまこが教える。
良いかしら?
賛成じゃ。―――まこ
良いと思います。―――和
オッケーだじょ―――優希
分かりました。―――咲
話が進まないので、1日交代で、皆で教えましょう。
京太郎くん含め6人いる時は、4人が打って残りの人が教えましょう。
※京太郎くんが卓に着く場合もあるので注意。
※寧ろ京太郎くんを卓につかせることを推奨。
5人の場合、須賀くんを優先的に卓へ。
※渋った場合は三麻。
※理由としては、京太郎くんは初心者なので実際に打ったほうが良いとかなんか適当に。
3~4人は卓を囲みましょう。
万が一、億が一、2人っきりなら、マンツーマンね。
その日は自分の幸運と運命の神様に感謝しなさい。
順番としては年功序列。
1年生は入部届を出した和、優希、咲の順番ね。
私→まこ→和→優希→咲
順番の人が居なかった場合は次の人に移行。
Ex;まこの順でまこが来れなかった場合は和が。
翌日まこが、来たらまこが教える。
良いかしら?
賛成じゃ。―――まこ
良いと思います。―――和
オッケーだじょ―――優希
分かりました。―――咲
17: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/02(火) 02:17:18.40 ID:QWeKGBMwo
▲月?日 天候:雨 記入者:竹井久
部室のベッドで寝ていたら夢を見たわ。
私と京太郎くんが結婚して幸せな家庭を築いていたの。
これってお告げじゃないかしら?
▲月!日 天候:┐(´д`)┌ 記入者:染谷まこ
ただ、疲れてるだけじゃろ。
京太郎はRoof-topでの評判も中々良い。これからも安寧だと実際に言われてるしのぅ。
因みに儂の夢では、3人の子宝に恵まれていた。
あと部長は、現実じゃ京太郎くんなんて呼べとらんじゃろ。
この日誌の中だけじゃろ、みっともない。
18: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/02(火) 02:19:10.19 ID:QWeKGBMwo
▲月!?日 天候:( ´―`)フゥー... 記入者:原村和
現実的にみると、京太郎君の好みは私だと思います。
大きな胸は疎ましく思っていましたが、立派な武器となります。
京太郎君もついつい目で追ってしまうみたいですし。
最近は、京太郎君呼びにも、呼ばれ方にも慣れてきました。
初期から比べると大きな進歩です。
これからも精進して行きたいです。
夢といえば行商人と狼だったり、テロリストの同士だったり、勇者と魔王だったりしてます。
不思議な出来事でした。
まぁ、恋仲の割合が高いですが。
▲月∩日 天候:ヽ(`▽´)/ 記入者:片岡優希
京太郎のタコスの味が日に日に上達してくるじぇ。
くっ、侮れないじょ。
夢といえば、もっさりイケメンと鵜呑みするJKで同じチームを組んでたじぇ。
▲月√日 天候:(´;ω;`) 記入者:宮永咲
買い出しの帰り、迷子になったら京ちゃんが迎えに来てくれた。
世話が焼けると言いつつも手を繋いで学校にまで戻った。
迷子にならないように気をつけなくちゃ。
最近、そういった夢を見なくなったなぁ。
また、そんな夢を見れたら嬉しいなぁ。
現実的にみると、京太郎君の好みは私だと思います。
大きな胸は疎ましく思っていましたが、立派な武器となります。
京太郎君もついつい目で追ってしまうみたいですし。
最近は、京太郎君呼びにも、呼ばれ方にも慣れてきました。
初期から比べると大きな進歩です。
これからも精進して行きたいです。
夢といえば行商人と狼だったり、テロリストの同士だったり、勇者と魔王だったりしてます。
不思議な出来事でした。
まぁ、恋仲の割合が高いですが。
▲月∩日 天候:ヽ(`▽´)/ 記入者:片岡優希
京太郎のタコスの味が日に日に上達してくるじぇ。
くっ、侮れないじょ。
夢といえば、もっさりイケメンと鵜呑みするJKで同じチームを組んでたじぇ。
▲月√日 天候:(´;ω;`) 記入者:宮永咲
買い出しの帰り、迷子になったら京ちゃんが迎えに来てくれた。
世話が焼けると言いつつも手を繋いで学校にまで戻った。
迷子にならないように気をつけなくちゃ。
最近、そういった夢を見なくなったなぁ。
また、そんな夢を見れたら嬉しいなぁ。
19: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/02(火) 02:19:52.40 ID:QWeKGBMwo
#月%日 天候:晴れ 記入者:竹井久
無事に長野県予選を突破し、全国大会への切符を手に入れることができたわ。
とても、喜ばしく思うの。けど、全国区はきっと県予選の比じゃないわ。
兜の緒を締めて行きましょう。
ところで、皆はちゃんと準備は進んでるかしら?
功労者でもある、京太郎くんに感謝の意を込めたパーティーを開くのよ。
準備は怠ってないかしら?
ばっちりじゃ ―――まこ
空前絶後のタコスを用意するじょ ―――優希
可愛い服に下着と準備に抜かりはありません ―――和
日頃の感謝をこめます ―――咲
20: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/02(火) 02:20:35.28 ID:QWeKGBMwo
#月&日 天候:快晴 記入者:竹井久
いよいよ明日と迫った、パーティー。
楽しみねぇ。
グヘヘ。おっと、涎が。危ない危ない。
京太郎「」パタン
京太郎「え?明日何があるの?」
京太郎「怖いんだけどー!!」
カンッ
31: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/03(水) 16:03:46.61 ID:Dax0vaPTo
京太郎視点です。
32: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/03(水) 16:04:39.15 ID:Dax0vaPTo
○月+日 天候:晴れ
清澄高校に入学してからある程度の段落がついた。
今日から日記をつけようと思う
取り敢えず、高校に進学が無事できてよかった。
部活に入部するか迷う。
○月○日 天候:晴れ
部活動に入部するかどうかといったな、あれは嘘だ!
ということで、麻雀部に入部した。
やっぱ、議会長は美人だった。近くで見るとより一層凄かった。
○月●日 天候:晴れ(強風)
部長と部室に行く途中でぶつかってしまった。
思わず抱き寄せてしまった。
柔らかいし、いい匂いするし、柔らかった。
これは、セクハラになってしまうんだろうか?
不安になってきた。何かしら言われたらどうしよう、不安だ。
清澄高校に入学してからある程度の段落がついた。
今日から日記をつけようと思う
取り敢えず、高校に進学が無事できてよかった。
部活に入部するか迷う。
○月○日 天候:晴れ
部活動に入部するかどうかといったな、あれは嘘だ!
ということで、麻雀部に入部した。
やっぱ、議会長は美人だった。近くで見るとより一層凄かった。
○月●日 天候:晴れ(強風)
部長と部室に行く途中でぶつかってしまった。
思わず抱き寄せてしまった。
柔らかいし、いい匂いするし、柔らかった。
これは、セクハラになってしまうんだろうか?
不安になってきた。何かしら言われたらどうしよう、不安だ。
33: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/03(水) 16:05:56.37 ID:Dax0vaPTo
○月?日 天候:晴れ時々雨
今日も今日とて部長と二人っきりだ。
なんかじっと見られてた。
要求内容でも考えているんだろうか?
すんごい不安だ。
○月◇日 天候:曇
麻雀部は2人だけだと思った~?
ざんね~ん、3人でした。
2年生の染谷まこ先輩。
実家が雀荘を営んでいるらしい。其処で打たせて貰えたりするんだろうか。
ネト麻も悪くはないが、実際に手で触れてやってみたい。
これからも頑張るぞー!
○月□日 天候:曇り
咲に頼んでレディースランチを頼む。
やっぱ美味い。レディースランチも男子が頼めたら良いのに。
あと、タコスって何?って言ったら咲が教えてくれた。
メキシコ料理らしい。
フーン。
今日も今日とて部長と二人っきりだ。
なんかじっと見られてた。
要求内容でも考えているんだろうか?
すんごい不安だ。
○月◇日 天候:曇
麻雀部は2人だけだと思った~?
ざんね~ん、3人でした。
2年生の染谷まこ先輩。
実家が雀荘を営んでいるらしい。其処で打たせて貰えたりするんだろうか。
ネト麻も悪くはないが、実際に手で触れてやってみたい。
これからも頑張るぞー!
○月□日 天候:曇り
咲に頼んでレディースランチを頼む。
やっぱ美味い。レディースランチも男子が頼めたら良いのに。
あと、タコスって何?って言ったら咲が教えてくれた。
メキシコ料理らしい。
フーン。
34: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/03(水) 16:08:55.54 ID:Dax0vaPTo
○月◎日 天候:曇
実験してる時って凄い、楽しいよね。
実験室からの帰りの途中染谷先輩を見かけた。
挨拶をしにいったら他の2年の先輩達と話していた。
あと2年生ってやっぱり大人っぽく見える。
○月#日 天候:雨 :
部員が2人増えた。やったー
部室に行こうとしていると、ウロウロしてる2人組がいた。
片方は、すごいおもちをおもちだった。
麻雀部の部室を探しているが、場所が分からないらしい。
案内をするので付いてきて欲しいといったら、ちんちくりんの方の片岡優希が、
「そんなこと言って人気がない場所に連れてくきかッ!?」とか言ってきた。
するか!惹かれるけど、確かに和の胸は気になるけど。
旧校舎に行くので、実際問題人気が少なくなる。
警戒されまくった。
なんてこったい。
○月$日 天候:晴れ
部員が5人になったので、部室で4人麻雀が打てるようになった。
部長がなんかしみじみとしていた。今までは三麻かRoof-topで打っていたので感慨深い。
和が、何回か首を傾げていた。大丈夫だろうか?
そういえば、和からは警戒され、部長からはどんな無理難題が来るかわからない。
入部を決めるのは早まったのかもしれない。
実験してる時って凄い、楽しいよね。
実験室からの帰りの途中染谷先輩を見かけた。
挨拶をしにいったら他の2年の先輩達と話していた。
あと2年生ってやっぱり大人っぽく見える。
○月#日 天候:雨 :
部員が2人増えた。やったー
部室に行こうとしていると、ウロウロしてる2人組がいた。
片方は、すごいおもちをおもちだった。
麻雀部の部室を探しているが、場所が分からないらしい。
案内をするので付いてきて欲しいといったら、ちんちくりんの方の片岡優希が、
「そんなこと言って人気がない場所に連れてくきかッ!?」とか言ってきた。
するか!惹かれるけど、確かに和の胸は気になるけど。
旧校舎に行くので、実際問題人気が少なくなる。
警戒されまくった。
なんてこったい。
○月$日 天候:晴れ
部員が5人になったので、部室で4人麻雀が打てるようになった。
部長がなんかしみじみとしていた。今までは三麻かRoof-topで打っていたので感慨深い。
和が、何回か首を傾げていた。大丈夫だろうか?
そういえば、和からは警戒され、部長からはどんな無理難題が来るかわからない。
入部を決めるのは早まったのかもしれない。
35: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/03(水) 16:10:18.14 ID:Dax0vaPTo
○月%日 天候:晴れ
この麻雀部に初心者は俺1人しかいない。
教本を片手にうんうん唸っていると、優希が来た。
取り敢えず、これから優希に何か教えを請うことは金輪際ないだろう。
○月&日 天候:晴れ
今日は書く気になれない。
○月@日 天候:曇
今日は、普通に麻雀を打った。
咲に心配された。何か辛そうだけど大丈夫?って。
目聡いなぁ、幼馴染は。深くは聞いて来なかった。
勿体無い幼馴染がいてくれて、感謝しかない。
この麻雀部に初心者は俺1人しかいない。
教本を片手にうんうん唸っていると、優希が来た。
取り敢えず、これから優希に何か教えを請うことは金輪際ないだろう。
○月&日 天候:晴れ
今日は書く気になれない。
○月@日 天候:曇
今日は、普通に麻雀を打った。
咲に心配された。何か辛そうだけど大丈夫?って。
目聡いなぁ、幼馴染は。深くは聞いて来なかった。
勿体無い幼馴染がいてくれて、感謝しかない。
36: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/03(水) 16:11:56.91 ID:Dax0vaPTo
○月β日 天候:曇
咲が麻雀を打てるらしいので、麻雀部へGo!!
……俺よりも、打てる……だと……ッ!!
何かしら、人には得意な事があるらしい。人間ってふっしぎー!
和との買い出しの途中に、どうして清澄に進学してきたのかと聞かれた。
その、答えに礼儀を欠いた質問でしたと謝られた。
気を遣わせてしまった。
また自分が嫌いになりそうだ。
□月⊿日 天候:晴れ
最近、卓を囲んでいないことに部長に勘付かれた。
すっと、雑用を熟していたのに。ぐぬぬ。
全国制覇の為の役割分担だと思っているから仕方がない。
□月γ日 天候:晴れ
染谷先輩に、儂らに気を遣うなとは言えんが、Roof-topで打たないかと誘われた。
なんて、良い先輩なんだ。
咲が麻雀を打てるらしいので、麻雀部へGo!!
……俺よりも、打てる……だと……ッ!!
何かしら、人には得意な事があるらしい。人間ってふっしぎー!
和との買い出しの途中に、どうして清澄に進学してきたのかと聞かれた。
その、答えに礼儀を欠いた質問でしたと謝られた。
気を遣わせてしまった。
また自分が嫌いになりそうだ。
□月⊿日 天候:晴れ
最近、卓を囲んでいないことに部長に勘付かれた。
すっと、雑用を熟していたのに。ぐぬぬ。
全国制覇の為の役割分担だと思っているから仕方がない。
□月γ日 天候:晴れ
染谷先輩に、儂らに気を遣うなとは言えんが、Roof-topで打たないかと誘われた。
なんて、良い先輩なんだ。
37: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/03(水) 16:13:09.22 ID:Dax0vaPTo
□月θ日 天候:雨
咲が新刊発売だというので本屋に部活帰りに寄った。
懐かしいな~。受験勉強の時には、結構お世話になったなぁ。
どの問題集を買うかであーでもないこーでもないって騒いでたなぁ。
咲を待ってる間に、麻雀の教本を手に取る。
どれが良いかで悩んでいると和に声を掛けられた。
皆と一緒に打ちたいけどさぁ、やっぱり、基本って大事なんだよなぁ。と零したら
これ私のお薦めです。と、ノートが渡された。
和のお手製だった。頑張らないとな!
新刊を買いに来たんだから、それ以外は諦めなさい、咲。
□月Λ日 天候:曇り
昨日渡された和のノートは分かりやすくて重畳する。
最後には「これからも一緒に頑張っていきましょうね。京太郎君。」と
和のメッセージも書いてあった。
やる気 が 2000 上がった。
咲が新刊発売だというので本屋に部活帰りに寄った。
懐かしいな~。受験勉強の時には、結構お世話になったなぁ。
どの問題集を買うかであーでもないこーでもないって騒いでたなぁ。
咲を待ってる間に、麻雀の教本を手に取る。
どれが良いかで悩んでいると和に声を掛けられた。
皆と一緒に打ちたいけどさぁ、やっぱり、基本って大事なんだよなぁ。と零したら
これ私のお薦めです。と、ノートが渡された。
和のお手製だった。頑張らないとな!
新刊を買いに来たんだから、それ以外は諦めなさい、咲。
□月Λ日 天候:曇り
昨日渡された和のノートは分かりやすくて重畳する。
最後には「これからも一緒に頑張っていきましょうね。京太郎君。」と
和のメッセージも書いてあった。
やる気 が 2000 上がった。
38: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/03(水) 16:14:46.80 ID:Dax0vaPTo
□月Ω日 天候:晴れ
最近、部室の空気が何とも言えない雰囲気になっている。
なんというか、こうピリピリしてる。
はっは~ん。部長の悪戯だな。
短い付き合いだが、されて来た悪戯は数知れず。
雰囲気が悪いのは付き合わされているからか。
納得。
?月?日 天候:曇り
なんか皆近い。
咲はいつも通りだから違和感が無いが。
パソコンでネト麻する時は肩が触れ合うし、
卓に付いて教えてくれる時は顔が横にあるし。
皆近いよー、超近いよー。
あと、いい匂いするよー。
無理して部長の企てに乗っからなくても良いのに……
というか、何時まで続くんだ?
俺が止めてって言うまで?
言ったら言ったらでアレだし、言わなかったら言わなかったらでアレだ。
究極の選択かな?
最近、部室の空気が何とも言えない雰囲気になっている。
なんというか、こうピリピリしてる。
はっは~ん。部長の悪戯だな。
短い付き合いだが、されて来た悪戯は数知れず。
雰囲気が悪いのは付き合わされているからか。
納得。
?月?日 天候:曇り
なんか皆近い。
咲はいつも通りだから違和感が無いが。
パソコンでネト麻する時は肩が触れ合うし、
卓に付いて教えてくれる時は顔が横にあるし。
皆近いよー、超近いよー。
あと、いい匂いするよー。
無理して部長の企てに乗っからなくても良いのに……
というか、何時まで続くんだ?
俺が止めてって言うまで?
言ったら言ったらでアレだし、言わなかったら言わなかったらでアレだ。
究極の選択かな?
39: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/03(水) 16:15:52.15 ID:Dax0vaPTo
▲月?日 天候:雨
和の京太郎君呼ばわりがまだ慣れない。
あと、部員の俺を見る目が鋭い気がする。
気のせいかな?
気のせいだなッ!
俺そんなに、魅力的じゃないし。
というか、早く言い出せよっていう視線だな、アレは。
#月&日 天候:快晴
バーカ、俺のバーカ。
なんで居残ったんだ今日。
怖いよー、明日怖いよー。
何が起きるんだろう、
久々に明日が来なかったら良いのにって思う。
カンッ
和の京太郎君呼ばわりがまだ慣れない。
あと、部員の俺を見る目が鋭い気がする。
気のせいかな?
気のせいだなッ!
俺そんなに、魅力的じゃないし。
というか、早く言い出せよっていう視線だな、アレは。
#月&日 天候:快晴
バーカ、俺のバーカ。
なんで居残ったんだ今日。
怖いよー、明日怖いよー。
何が起きるんだろう、
久々に明日が来なかったら良いのにって思う。
カンッ
40: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/05/03(水) 16:17:39.76 ID:Dax0vaPTo
以上で京太郎視点の終わりです。
他校編はあれだ、気が乗ったら書く
……かもしれない
他校編はあれだ、気が乗ったら書く
……かもしれない
55: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/08/04(金) 23:47:18.55 ID:sUgPsYhBo
■月“日 天気:晴 智美
今日から日誌をつけるぞー
終わり
■月#日 天候:晴 ゆみ
思い立ったが吉日で行動するな!
そして、せめて初日位キチンと書け!全く。
それはさておき、今日もネト麻の相手が分からなかった。
即戦力になれると思うんだがな。
■月$日 天候:晴 睦月
今日も部室でネト麻を行った。
ネト麻も悪くはないが、実際に触れてみたい。
あと、カードがダブって泣きそう(´;ω;`)
今日から日誌をつけるぞー
終わり
■月#日 天候:晴 ゆみ
思い立ったが吉日で行動するな!
そして、せめて初日位キチンと書け!全く。
それはさておき、今日もネト麻の相手が分からなかった。
即戦力になれると思うんだがな。
■月$日 天候:晴 睦月
今日も部室でネト麻を行った。
ネト麻も悪くはないが、実際に触れてみたい。
あと、カードがダブって泣きそう(´;ω;`)
56: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/08/04(金) 23:49:48.69 ID:sUgPsYhBo
■月%日 天候:晴 佳織
ルールが余り分かりません。
うぅ、ちゃんと覚えないと駄目だよね?
■月&日 天候:曇 智美
ワハハー。
終わる。
■月@日 天候:晴 ゆみ
はぁ。蒲原は何でこうなんだ。
それはさておき、今日ネト麻の対戦相手が校内にいるのは分かった。
コンピュータ室には1人の男子生徒しかおらず、彼は今此処に来たばかりだと言っていた。
帰ってしまったのだろうか?
妹尾に関してはやはり覚えていた方が良いが、余り慌てずに1歩ずつ進んでいこう。
慌てたところで何も良いことは起きないからな。
ルールが余り分かりません。
うぅ、ちゃんと覚えないと駄目だよね?
■月&日 天候:曇 智美
ワハハー。
終わる。
■月@日 天候:晴 ゆみ
はぁ。蒲原は何でこうなんだ。
それはさておき、今日ネト麻の対戦相手が校内にいるのは分かった。
コンピュータ室には1人の男子生徒しかおらず、彼は今此処に来たばかりだと言っていた。
帰ってしまったのだろうか?
妹尾に関してはやはり覚えていた方が良いが、余り慌てずに1歩ずつ進んでいこう。
慌てたところで何も良いことは起きないからな。
57: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/08/04(金) 23:50:50.09 ID:sUgPsYhBo
■月α日 天候:雨 睦月
そういえば聞いたことがあります。
とある男子生徒の周りで怪現象が起きると。
七不思議の1つにありますね。
■月β日 天候:雨 佳織
私も聞いたことあるよ、それ。
私と同じ髪色の男の子だった気がします。
重い荷物持って貰った時も、何故か痛がってたなぁ。
ケガでもしてたら悪いことしちゃったかな?
■月γ日 天候:曇 智美
何にしろ楽しくやれればいいぞー。
そういえば聞いたことがあります。
とある男子生徒の周りで怪現象が起きると。
七不思議の1つにありますね。
■月β日 天候:雨 佳織
私も聞いたことあるよ、それ。
私と同じ髪色の男の子だった気がします。
重い荷物持って貰った時も、何故か痛がってたなぁ。
ケガでもしてたら悪いことしちゃったかな?
■月γ日 天候:曇 智美
何にしろ楽しくやれればいいぞー。
58: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/08/04(金) 23:51:37.63 ID:sUgPsYhBo
■月δ日 天候:晴 ゆみ
妹尾や睦月の事もあったので、取り敢えず、金髪の男子がいたので君が欲しいと叫んでみた。
勿論、女子麻雀部に欲しい等と言っていると、
「お前、こんなに必要とされてるんだから、麻雀部に入ってみろって」
男子生徒が隣を見ながら言うと1人の女子生徒が其処にいた。
詳しい話は省くが影が薄いらしい。
条件がついたが入部してくれて何よりだ。全国に向けて頑張ろう。
蒲原ではないが、行動に移さなければできないこともあるな。
■月ε日 天候:晴 モモ
今日から入部した東横桃子ッス。
影が薄いんで何かと大変かもしれないっすけど、
そういう時は、京ちゃんさんに頼めば良いッス。
京ちゃんさんは私を何度でも何処に居ても見つけてくれるっすから。
あと、かおりん先輩は何も気を悪くする必要はないっす。
あれは、京ちゃんさんが全面的に悪いんで。
かおりん先輩の胸ばっかり見てたから自業自得っす。
妹尾や睦月の事もあったので、取り敢えず、金髪の男子がいたので君が欲しいと叫んでみた。
勿論、女子麻雀部に欲しい等と言っていると、
「お前、こんなに必要とされてるんだから、麻雀部に入ってみろって」
男子生徒が隣を見ながら言うと1人の女子生徒が其処にいた。
詳しい話は省くが影が薄いらしい。
条件がついたが入部してくれて何よりだ。全国に向けて頑張ろう。
蒲原ではないが、行動に移さなければできないこともあるな。
■月ε日 天候:晴 モモ
今日から入部した東横桃子ッス。
影が薄いんで何かと大変かもしれないっすけど、
そういう時は、京ちゃんさんに頼めば良いッス。
京ちゃんさんは私を何度でも何処に居ても見つけてくれるっすから。
あと、かおりん先輩は何も気を悪くする必要はないっす。
あれは、京ちゃんさんが全面的に悪いんで。
かおりん先輩の胸ばっかり見てたから自業自得っす。
59: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/08/04(金) 23:52:41.83 ID:sUgPsYhBo
○月!日 天候:曇 智美
普通に卓を囲んで麻雀を打つのも良いけど。
何か他に楽しく打てる案がある人は居ないかー?
良い案があったら来週からやるぞ~。
○月“日 天候:雨 ゆみ
だからお前は。はぁ。
その日の最下位が近くのクレープ屋で奢るというのはどうだろうか?
○月#日 天候:曇時々雨 睦月
プロ麻雀せんべいを、何卒。何卒。
○月$日 天候:久しぶりの晴れヽ(=´▽`=)ノ 佳織
智美ちゃんはもぅ。
私はまだ、ルールをきちんと覚えてないから何とも言えないよ。
○月%日 天候:晴 モモ
部長はいきなりっすね。
その日1位だった日が何にでも優先されるとか。
その週の合算で1位だったら京ちゃんさんと何かしらできるとか。
そんな感じのありきたりの奴で良いんじゃないっすかね?
普通に卓を囲んで麻雀を打つのも良いけど。
何か他に楽しく打てる案がある人は居ないかー?
良い案があったら来週からやるぞ~。
○月“日 天候:雨 ゆみ
だからお前は。はぁ。
その日の最下位が近くのクレープ屋で奢るというのはどうだろうか?
○月#日 天候:曇時々雨 睦月
プロ麻雀せんべいを、何卒。何卒。
○月$日 天候:久しぶりの晴れヽ(=´▽`=)ノ 佳織
智美ちゃんはもぅ。
私はまだ、ルールをきちんと覚えてないから何とも言えないよ。
○月%日 天候:晴 モモ
部長はいきなりっすね。
その日1位だった日が何にでも優先されるとか。
その週の合算で1位だったら京ちゃんさんと何かしらできるとか。
そんな感じのありきたりの奴で良いんじゃないっすかね?
60: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/08/04(金) 23:53:07.76 ID:sUgPsYhBo
○月δ日 天候:晴れ 智美
モモの案でいくぞー。
週毎で京太郎の優先権だぞー。
わはは~。
負けられない。
61: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/08/04(金) 23:59:32.28 ID:sUgPsYhBo
×月/日 天候:雨 智美
今回こそは京太郎とドライブに行くぞ~。
佳織を狙い撃ちさ~。ワハハー。
×月*日 天候:雨 ゆみ
狙い撃ちは良くない、と言いたいが。
妹尾は勝ちすぎだな。
私だって、普通に休日デートとかしてみたいんだ。
男女で。
今回こそは京太郎とドライブに行くぞ~。
佳織を狙い撃ちさ~。ワハハー。
×月*日 天候:雨 ゆみ
狙い撃ちは良くない、と言いたいが。
妹尾は勝ちすぎだな。
私だって、普通に休日デートとかしてみたいんだ。
男女で。
62: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/08/05(土) 00:00:24.89 ID:/YaOEo1Ao
×月-日 天候:曇 睦月
1回でも勝ててしまえたらもう1回という欲が。
今回は我に策あり。
勝たせて頂きます。
×月+日 天候:晴 モモ
かおりん先輩は勝ちすぎっす。
なんで9回中7回も勝てるんっすか?
ワケガワカラナイッス。
ですが、今回はむっちゃん先輩と一緒に勝ちに行かせて貰うっす。
1回でも勝ててしまえたらもう1回という欲が。
今回は我に策あり。
勝たせて頂きます。
×月+日 天候:晴 モモ
かおりん先輩は勝ちすぎっす。
なんで9回中7回も勝てるんっすか?
ワケガワカラナイッス。
ですが、今回はむっちゃん先輩と一緒に勝ちに行かせて貰うっす。
63: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/08/05(土) 00:03:21.44 ID:/YaOEo1Ao
×月〒日 天候:晴 佳織
な、何か、ごめんね。
気づいたら勝ってて。
でも京太郎くんとは一緒に教本を買いに行ったり、その帰りに映画とか見たり。
服を見たり、ご飯を食べたり。遊園地に2人で行ってみたり。
京太郎くんのお家にお邪魔したり、カピバラに触らせてもらったりとか。
そ、そんな事しかしてないから。
変な事はしてないよ!
な、何か、ごめんね。
気づいたら勝ってて。
でも京太郎くんとは一緒に教本を買いに行ったり、その帰りに映画とか見たり。
服を見たり、ご飯を食べたり。遊園地に2人で行ってみたり。
京太郎くんのお家にお邪魔したり、カピバラに触らせてもらったりとか。
そ、そんな事しかしてないから。
変な事はしてないよ!
64: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/08/05(土) 00:11:07.25 ID:/YaOEo1Ao
モモ「京ちゃんさん! かおりん先輩を家に招待したって本当っすか!?」
京太郎「何で知ってるんだよ。」
ゆみ「遊園地にも行ったらしいな、2人で。」
京太郎「だから何で知ってるんですか?」
佳織「うぅ。皆ごめんね。」
京太郎「なんで、佳織先輩が謝るんですか。
最近、調子がいいんですから。同じ初心者として俺も頑張らないと。」
佳織「そうかな? でも京太郎くんのおかげだよ。2人で楽しく勉強できるから。」
京太郎「そ、そうですか? お役に立ててるなら嬉しいです。」
全員(今回こそは絶対勝つ!!)
カンッ
京太郎「何で知ってるんだよ。」
ゆみ「遊園地にも行ったらしいな、2人で。」
京太郎「だから何で知ってるんですか?」
佳織「うぅ。皆ごめんね。」
京太郎「なんで、佳織先輩が謝るんですか。
最近、調子がいいんですから。同じ初心者として俺も頑張らないと。」
佳織「そうかな? でも京太郎くんのおかげだよ。2人で楽しく勉強できるから。」
京太郎「そ、そうですか? お役に立ててるなら嬉しいです。」
全員(今回こそは絶対勝つ!!)
カンッ
65: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/08/05(土) 00:13:42.77 ID:/YaOEo1Ao
因みに
1週目:モモ
2週目~5週目:かおりん
6週目:睦月
7~9週目:かおりん
結果はこんな感じ
1週目:モモ
2週目~5週目:かおりん
6週目:睦月
7~9週目:かおりん
結果はこんな感じ
66: ◆Pdi7T.x7Zg 2017/08/05(土) 00:15:42.38 ID:/YaOEo1Ao
断トツで勝つんじゃなくて100点差とか3000点差とか僅差
ビキナーズラックで捲りに捲る。
大体そんな感じ~
67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/06(日) 08:10:22.63 ID:RqHtArYSo
おつですよー!
引用元: ・京太郎「活動日誌?」【咲】
末原「こりゃもう終わりかなって思ったときからが勝負や!」漫「先輩……」
2020-06-02
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 02:36:46.86 ID:6LO6VK2u0
全国大会会場にて
えり『試合終了、準決勝進出は清澄高校と姫松高校です』
姉帯「うわああああああああああああああん!!!!」ビェーン!
咲「お疲れ様です!」ペッコリーン
末原「くっ……!」
霞「おつかれ~」
えり『今大会屈指の好ゲームと言っても過言ではないのではないでしょうか』
咏『まさに今夏20本の指に入る名試合だったねぃ』
えり『指多すぎませんかそれは……』
咏『えりさんも小じわが多すぎだぜ』
えり『ま、まだ20代ですから!そんな多くありませんよ!』クワッ!
咏『今のでまた1本増えたねぃ』
姉帯「うわあああああああああああああん!!!!」ポロポロ
咲「また今度一緒に麻雀やろう!」グッ!
霞「そうね~楽しみだわ~」ウフフ
末原「ふん……!」
咲「それじゃまたね末原さん!」ペコーン
末原「そうやな……」トボトボ
霞「ふふ~ん♪」
姉帯「うわああああああああああああん!!!!!」グジュグジュ
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1590860206
えり『試合終了、準決勝進出は清澄高校と姫松高校です』
姉帯「うわああああああああああああああん!!!!」ビェーン!
咲「お疲れ様です!」ペッコリーン
末原「くっ……!」
霞「おつかれ~」
えり『今大会屈指の好ゲームと言っても過言ではないのではないでしょうか』
咏『まさに今夏20本の指に入る名試合だったねぃ』
えり『指多すぎませんかそれは……』
咏『えりさんも小じわが多すぎだぜ』
えり『ま、まだ20代ですから!そんな多くありませんよ!』クワッ!
咏『今のでまた1本増えたねぃ』
姉帯「うわあああああああああああああん!!!!」ポロポロ
咲「また今度一緒に麻雀やろう!」グッ!
霞「そうね~楽しみだわ~」ウフフ
末原「ふん……!」
咲「それじゃまたね末原さん!」ペコーン
末原「そうやな……」トボトボ
霞「ふふ~ん♪」
姉帯「うわああああああああああああん!!!!!」グジュグジュ
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1590860206
関連
ハルヒ「SOS団で恋の暴露大会をするわよ!」
【朗報】わたてんさん、ケムリクサを超えてガチで覇権へ
【ラブライブサンシャイン】善子「運命の引力」
【悲報】Twitterで3年前に「令和」を予言してたものがいたwwwwwwwww
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 02:39:46.70 ID:6LO6VK2u0
姫松高校控室にて
末原「……」
洋榎「でかしたで恭子!ナイス準決勝進出や!」
絹恵「末原先輩凄すぎます!」
由子「みんなを翻弄してやったのよー!」
漫「ハラハラしてお尻に穴が開きそうでしたよ……
洋榎「そこは胃やろ!ケツに穴は最初から開いとるわ」
絹恵「二人とも下品やで……」
末原「ぐっ……!」 ポロッ…
由子「どうしたのよー恭子!なんで泣くのよー!」
末原「くそっ!くそっ!」ボロボロ…
そう言うと末原恭子は床へとうずくまった
洋榎「どないしたんや恭子!体調でも悪いんか!」
漫「ひょっとしてお腹でも痛いんですか!?ウンコですか!」
絹恵「だから二人とも下品やって!もう!」
洋榎「うちは今回なにも言ってないやろ!」
末原「ひっく……ひっく……」
由子「恭子……」
末原「……」
洋榎「でかしたで恭子!ナイス準決勝進出や!」
絹恵「末原先輩凄すぎます!」
由子「みんなを翻弄してやったのよー!」
漫「ハラハラしてお尻に穴が開きそうでしたよ……
洋榎「そこは胃やろ!ケツに穴は最初から開いとるわ」
絹恵「二人とも下品やで……」
末原「ぐっ……!」 ポロッ…
由子「どうしたのよー恭子!なんで泣くのよー!」
末原「くそっ!くそっ!」ボロボロ…
そう言うと末原恭子は床へとうずくまった
洋榎「どないしたんや恭子!体調でも悪いんか!」
漫「ひょっとしてお腹でも痛いんですか!?ウンコですか!」
絹恵「だから二人とも下品やって!もう!」
洋榎「うちは今回なにも言ってないやろ!」
末原「ひっく……ひっく……」
由子「恭子……」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 02:41:46.83 ID:6LO6VK2u0
末原「名門姫松高校の看板に泥を塗るような麻雀をしてしまいました……情けない……なんと情けない……」ポロポロッ
洋榎「なんやそんなことかいな!全然気にすることないで恭子!」
絹恵「そうですよ!ベスト8進出は立派やないですか!」
由子「あいてを上回ったからこその勝ち上がりなのよー!」
末原「ち、違います……今回の私は本来なら負けていたんです……で、でも……」ポロポロ…
絹恵「でも?」
末原「宮永咲に生かされたんです……自分が勝つために私を掌で転したんです……」グジュグジュ…
洋榎「なんですて……」
末原「次やったらもう宮永咲には勝てません……私はもう無理や……」ボロボロッ
絹恵「先輩……」
漫「宮永咲にイカされたって……あの末原先輩いきなり下品な下ネタやめてくれます……」
洋榎「なに言うてるんや漫……」
由子「空気読んでなのよー……」
漫「というかなんで末原先輩泣いてるんですか?」
洋榎「この流れでまだ理解できてないんか!漫はホンマにポンポコピーやな!」
末原「ううう……」ポロポロッ
絹恵「先輩……」
ガチャン
赤阪「末原ちゃんあるある早く言いたい~♪」
洋榎「なんやそんなことかいな!全然気にすることないで恭子!」
絹恵「そうですよ!ベスト8進出は立派やないですか!」
由子「あいてを上回ったからこその勝ち上がりなのよー!」
末原「ち、違います……今回の私は本来なら負けていたんです……で、でも……」ポロポロ…
絹恵「でも?」
末原「宮永咲に生かされたんです……自分が勝つために私を掌で転したんです……」グジュグジュ…
洋榎「なんですて……」
末原「次やったらもう宮永咲には勝てません……私はもう無理や……」ボロボロッ
絹恵「先輩……」
漫「宮永咲にイカされたって……あの末原先輩いきなり下品な下ネタやめてくれます……」
洋榎「なに言うてるんや漫……」
由子「空気読んでなのよー……」
漫「というかなんで末原先輩泣いてるんですか?」
洋榎「この流れでまだ理解できてないんか!漫はホンマにポンポコピーやな!」
末原「ううう……」ポロポロッ
絹恵「先輩……」
ガチャン
赤阪「末原ちゃんあるある早く言いたい~♪」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 02:43:29.02 ID:6LO6VK2u0
洋榎「うわ!」
由子「あ~あ来ちゃったなのよー」
赤阪「末原ちゃんあるある早く言いたい~末原ちゃんあるある早く言いたい~♪」
洋榎「またしょーもないことしとるでこのオバハン!」
赤阪「末原ちゃんあるある早く言いたい~♪」
絹恵「無視やでお姉ちゃん!」
洋榎「そうや!恭子あまり気にしてはあかんで!準決勝で見返してやればええんや!」
赤阪「末原ちゃんのあるある~早く言いたいで~♪」
由子「いっぱい練習して宮永咲にリベンジマッチなのよー!」
赤阪「末原ちゃんのあるあるを~早く言いたい~♪」
末原「……」ポロポロ…
洋榎「無視やで恭子無視や……」
漫「はよ言えや!」
絹恵「上重さん?!」
赤阪「末原ちゃんのあるあるを~早く言わせてや~♪」
漫「だからはよ言えや!」
洋榎「律儀に代行に付き合わんでええんや漫……」
赤阪「末原ちゃんのあるあるを~早く早く言いたい~♪」
漫「せやからはよ言わんかい!」
由子「お願いだから空気読んでなのよー……」
赤阪「ゆーめーじゃないあるあるを~今こそ胸を張りましょう~♪」
末原「お、B'z」ムクッ
洋榎「うわ、食いついた」
由子「あ~あ来ちゃったなのよー」
赤阪「末原ちゃんあるある早く言いたい~末原ちゃんあるある早く言いたい~♪」
洋榎「またしょーもないことしとるでこのオバハン!」
赤阪「末原ちゃんあるある早く言いたい~♪」
絹恵「無視やでお姉ちゃん!」
洋榎「そうや!恭子あまり気にしてはあかんで!準決勝で見返してやればええんや!」
赤阪「末原ちゃんのあるある~早く言いたいで~♪」
由子「いっぱい練習して宮永咲にリベンジマッチなのよー!」
赤阪「末原ちゃんのあるあるを~早く言いたい~♪」
末原「……」ポロポロ…
洋榎「無視やで恭子無視や……」
漫「はよ言えや!」
絹恵「上重さん?!」
赤阪「末原ちゃんのあるあるを~早く言わせてや~♪」
漫「だからはよ言えや!」
洋榎「律儀に代行に付き合わんでええんや漫……」
赤阪「末原ちゃんのあるあるを~早く早く言いたい~♪」
漫「せやからはよ言わんかい!」
由子「お願いだから空気読んでなのよー……」
赤阪「ゆーめーじゃないあるあるを~今こそ胸を張りましょう~♪」
末原「お、B'z」ムクッ
洋榎「うわ、食いついた」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 02:45:05.71 ID:6LO6VK2u0
赤阪「末原ちゃんあるあるが欲しいのなら~喜びを知りパーッとあるある~♪」
漫「だからはよ!」
末原「言ってくださいよ!」
赤阪「末原ちゃんあるあるを今から言うよ~♪」
末原「早く言ってくださいよ!」
赤阪「実際の身長より高く思われがち~♪」
漫「へい!」
洋榎「へいちゃうわ……なんやねんこのおもろないあるある……」
赤阪「末原ちゃんそんな身長低くないイメージやけど実際は147センチの可愛いロリっ娘やもんな~」
末原「まぁ可愛いは否定しませんけど」
由子「否定せんのかいなのよー……」
赤阪「イヒヒヒヒヒ!すっかり元気を取り返したようやな末原ちゃ~ん!」
末原「う!それは!」
絹恵「そういえばさっきの落ち込みから抜けたみたいですね……」
赤阪「いくのんはそれを見込んでわざと道化を演じたんやで~まさにいくのんの掌の上やで~~」
洋榎「絶対ただふざけてただけやろもう……」
末原「……」
漫「だからはよ!」
末原「言ってくださいよ!」
赤阪「末原ちゃんあるあるを今から言うよ~♪」
末原「早く言ってくださいよ!」
赤阪「実際の身長より高く思われがち~♪」
漫「へい!」
洋榎「へいちゃうわ……なんやねんこのおもろないあるある……」
赤阪「末原ちゃんそんな身長低くないイメージやけど実際は147センチの可愛いロリっ娘やもんな~」
末原「まぁ可愛いは否定しませんけど」
由子「否定せんのかいなのよー……」
赤阪「イヒヒヒヒヒ!すっかり元気を取り返したようやな末原ちゃ~ん!」
末原「う!それは!」
絹恵「そういえばさっきの落ち込みから抜けたみたいですね……」
赤阪「いくのんはそれを見込んでわざと道化を演じたんやで~まさにいくのんの掌の上やで~~」
洋榎「絶対ただふざけてただけやろもう……」
末原「……」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 02:46:36.78 ID:6LO6VK2u0
末原「ハァ……」
赤阪「これでもう元気100倍やろ~」
末原「泣くのが馬鹿らしくなっただけですよ……」
洋榎「とにかく恭子次や!次は宮永咲を攻略して決勝進出や!」
由子「そうなのよー!あいては同じ人間やし不可能なんてないのよー!」
末原「無理ですよ……私には凡人には宮永にかないっこありません」
洋榎「なんや!もう諦めるんか!うちの知ってる恭子はこんな簡単に投げ出すほどアホちゃうで!」
末原「主将は宮永咲と戦ってないからそう言えるんです!あいつは人間ちゃう!モンスターや!」カッ!
絹恵「せ、先輩!?」
末原「宮永咲はあの宮永照の妹ですよ!そんな最強のDNAを持つ者に勝てるわけないやないか!私の父はタクシードライバーやぞ!」
洋榎「タクシーの運ちゃん関係ないやろ……」
末原「とにかく!宮永咲には勝てないんです!」フンッ!
由子「まるで駄々っ子なのよー」
漫「あの先輩……」
洋榎「言ってやれ漫!ガツンや!」
漫「自分のことを凡人と言うより凡夫と言ったほうがちょっとかっこよく見えますよ」
絹恵「なに言ってるんや……」 由子「もう黙ってろなのよー」
末原「……」
赤阪「末原ちゃん、あの娘より強くなる方法、あるで」
末原「え……」
赤阪「これでもう元気100倍やろ~」
末原「泣くのが馬鹿らしくなっただけですよ……」
洋榎「とにかく恭子次や!次は宮永咲を攻略して決勝進出や!」
由子「そうなのよー!あいては同じ人間やし不可能なんてないのよー!」
末原「無理ですよ……私には凡人には宮永にかないっこありません」
洋榎「なんや!もう諦めるんか!うちの知ってる恭子はこんな簡単に投げ出すほどアホちゃうで!」
末原「主将は宮永咲と戦ってないからそう言えるんです!あいつは人間ちゃう!モンスターや!」カッ!
絹恵「せ、先輩!?」
末原「宮永咲はあの宮永照の妹ですよ!そんな最強のDNAを持つ者に勝てるわけないやないか!私の父はタクシードライバーやぞ!」
洋榎「タクシーの運ちゃん関係ないやろ……」
末原「とにかく!宮永咲には勝てないんです!」フンッ!
由子「まるで駄々っ子なのよー」
漫「あの先輩……」
洋榎「言ってやれ漫!ガツンや!」
漫「自分のことを凡人と言うより凡夫と言ったほうがちょっとかっこよく見えますよ」
絹恵「なに言ってるんや……」 由子「もう黙ってろなのよー」
末原「……」
赤阪「末原ちゃん、あの娘より強くなる方法、あるで」
末原「え……」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 02:48:46.65 ID:6LO6VK2u0
洋榎「恭子!聞いたらあかん!悪魔のささやきや!」
由子「そうなのよー!」
赤阪「そうやで~いくのんは可愛い子ちゃんを誑かす小悪魔ちゃんやで~」
末原「あ、あるんですか!あの宮永咲に勝てる方法が!」
赤阪「あるで~たったひとつの冴えた方法や!」
絹恵「先輩!この人はうそつきです!騙されないでください!」
赤阪「ひどい誤解やな~いくのんが今まで嘘ついたことなんて一度もないで~」
洋榎「今の発言の時点で嘘まみれやないかい!」
赤阪「こういうのはな、優しい嘘って言うんやで~」
由子「もうなにがなんだかなのよー……」
末原「……」
赤阪「どうするん末原ちゃん?今回のやり方を身につけないで正攻法な末原ちゃんで宮永ちゃんに挑むん?」
末原「……」
赤阪「でもそれだと見事に大惨敗やで、なにも考えずにつっこめば2回戦の二の舞や」
末原「……」
赤阪「頭を使うんや末原ちゃん!あの怪物には考えて考えて策を練るしかないんや!」
末原「……」
赤阪「さぁサイコロ回して頭も回すで末原ちゃん!」
末原「やります……!その方法を教えてください……!」キッ!
由子「そうなのよー!」
赤阪「そうやで~いくのんは可愛い子ちゃんを誑かす小悪魔ちゃんやで~」
末原「あ、あるんですか!あの宮永咲に勝てる方法が!」
赤阪「あるで~たったひとつの冴えた方法や!」
絹恵「先輩!この人はうそつきです!騙されないでください!」
赤阪「ひどい誤解やな~いくのんが今まで嘘ついたことなんて一度もないで~」
洋榎「今の発言の時点で嘘まみれやないかい!」
赤阪「こういうのはな、優しい嘘って言うんやで~」
由子「もうなにがなんだかなのよー……」
末原「……」
赤阪「どうするん末原ちゃん?今回のやり方を身につけないで正攻法な末原ちゃんで宮永ちゃんに挑むん?」
末原「……」
赤阪「でもそれだと見事に大惨敗やで、なにも考えずにつっこめば2回戦の二の舞や」
末原「……」
赤阪「頭を使うんや末原ちゃん!あの怪物には考えて考えて策を練るしかないんや!」
末原「……」
赤阪「さぁサイコロ回して頭も回すで末原ちゃん!」
末原「やります……!その方法を教えてください……!」キッ!
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 02:50:01.13 ID:6LO6VK2u0
洋榎「恭子!」
赤阪「ええ表情やな~、拗ねてる末原ちゃんもええけどなにかを決意した大人びた顔の末原ちゃんもええな~」
末原「ふん……」
赤阪「まぁ本当に一番ええのはベッドの上で従順になってときの末原ちゃんの顔やけどな~」
由子「なにかヤバイこと言ってるのよー……」
絹恵「考え直してください先輩!なんかイヤな予感がするんです私!」
末原「心配しないでください絹ちゃん、私は必ず無事で帰ってきます」
赤阪「そうやで~この特訓に失敗しても五体満足でいられなくなるか精神が崩壊して一生夢の住民になるか程度の話やで~」
洋榎「考え得る最悪のシナリオばっかやないか!恭子あかん!このオバハンの口車に乗ったら人生終わりや!
末原「主将、もう私はもう決意したんです」
由子「恭子……」
末原「もしあの宮永咲に勝てるというなら……たとえそれがリスキーな選択だとしても……私は挑戦したいんです……」
絹恵「先輩……」ポロポロ
末原「私は賭けたい……代行の特訓に……それが私みたいな凡夫があのモンスターに勝つ唯一の方法なんです!」クワッ!
洋榎「うわ!凡夫を使いよった!」
赤阪「ええ表情やな~、拗ねてる末原ちゃんもええけどなにかを決意した大人びた顔の末原ちゃんもええな~」
末原「ふん……」
赤阪「まぁ本当に一番ええのはベッドの上で従順になってときの末原ちゃんの顔やけどな~」
由子「なにかヤバイこと言ってるのよー……」
絹恵「考え直してください先輩!なんかイヤな予感がするんです私!」
末原「心配しないでください絹ちゃん、私は必ず無事で帰ってきます」
赤阪「そうやで~この特訓に失敗しても五体満足でいられなくなるか精神が崩壊して一生夢の住民になるか程度の話やで~」
洋榎「考え得る最悪のシナリオばっかやないか!恭子あかん!このオバハンの口車に乗ったら人生終わりや!
末原「主将、もう私はもう決意したんです」
由子「恭子……」
末原「もしあの宮永咲に勝てるというなら……たとえそれがリスキーな選択だとしても……私は挑戦したいんです……」
絹恵「先輩……」ポロポロ
末原「私は賭けたい……代行の特訓に……それが私みたいな凡夫があのモンスターに勝つ唯一の方法なんです!」クワッ!
洋榎「うわ!凡夫を使いよった!」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 02:51:46.89 ID:6LO6VK2u0
末原「では言ってきますね」トコトコ
絹恵「先輩待ってください!」
末原「絹ちゃん……」
絹恵「絶対に帰ってきてください!たとえ勝てなくても先輩が無事なら私はそれでいいです!
末原「大丈夫ですよ、無事に帰ってきます、そして強くなってきます」
洋榎「こうなったらもううちは恭子を止めん!絶対強くなって帰ってくるんやで!」
末原「もちろんですよ洋榎」
漫「あの先輩……」
末原「どうしましたか漫ちゃん?」
洋榎「しょーもないこと言ったらはっ倒すで!」
漫「お土産お願いします!」
洋榎「ホンマにしょーもないこと言ってどないすんねん……」
末原「漫ちゃんらしいですね、覚えてたら買ってきます」
漫「ちゃんと覚えとくように手にサインペンですわ!」
洋榎「次くだらないこと言ったらデコにサインペンやで!」
由子「あの恭子……」
末原「由子もなにかあるんですか?私なら元気ですから安心して……」
由子「凡夫って平凡な男の人のことを指す言葉だから恭子たち女の子が使うのは間違いなのよー……」
末原「は?」
漫「え?」
絹恵「先輩待ってください!」
末原「絹ちゃん……」
絹恵「絶対に帰ってきてください!たとえ勝てなくても先輩が無事なら私はそれでいいです!
末原「大丈夫ですよ、無事に帰ってきます、そして強くなってきます」
洋榎「こうなったらもううちは恭子を止めん!絶対強くなって帰ってくるんやで!」
末原「もちろんですよ洋榎」
漫「あの先輩……」
末原「どうしましたか漫ちゃん?」
洋榎「しょーもないこと言ったらはっ倒すで!」
漫「お土産お願いします!」
洋榎「ホンマにしょーもないこと言ってどないすんねん……」
末原「漫ちゃんらしいですね、覚えてたら買ってきます」
漫「ちゃんと覚えとくように手にサインペンですわ!」
洋榎「次くだらないこと言ったらデコにサインペンやで!」
由子「あの恭子……」
末原「由子もなにかあるんですか?私なら元気ですから安心して……」
由子「凡夫って平凡な男の人のことを指す言葉だから恭子たち女の子が使うのは間違いなのよー……」
末原「は?」
漫「え?」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 02:54:07.54 ID:6LO6VK2u0
洋榎「まぁそれはうちも思ったな……」
絹恵「私もです……」
赤阪「そもそも夫ってついてる時点で男の言葉やん」
由子「ちょっと考えればわかるのよー」
末原「漫ちゃん」ギリッ!
漫「うちのせいですかいな!そんな自分で考えもせず使った末原先輩が悪いですよ!」
洋榎「大会が終わったら猛勉強やな」
赤阪「いくのんの母校のバカ田大学が待ってるで~」
末原「絶対に私はそんな大学に行きませんからね!」
漫「うちは勉強面倒くさいしそこでもええな……」
赤阪「ほないくのんいや行くで~」
末原「では行ってきます」
ガチャン
絹恵「先輩……」
洋榎「大丈夫やろか……」
絹恵「私もです……」
赤阪「そもそも夫ってついてる時点で男の言葉やん」
由子「ちょっと考えればわかるのよー」
末原「漫ちゃん」ギリッ!
漫「うちのせいですかいな!そんな自分で考えもせず使った末原先輩が悪いですよ!」
洋榎「大会が終わったら猛勉強やな」
赤阪「いくのんの母校のバカ田大学が待ってるで~」
末原「絶対に私はそんな大学に行きませんからね!」
漫「うちは勉強面倒くさいしそこでもええな……」
赤阪「ほないくのんいや行くで~」
末原「では行ってきます」
ガチャン
絹恵「先輩……」
洋榎「大丈夫やろか……」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 02:55:02.88 ID:6LO6VK2u0
夜の街にて
末原「……」トコトコ
赤阪「YouTubeに手を出す芸人あるある早く言いたい~♪」フラフラー
末原「……」トコトコ
赤阪「YouTubeに手を出す芸人あるあるを早く言いたい~♪」フラフラー
末原「……」トコトコ
赤阪「YouTubeに手を出す芸人あるある早く早く言いたい~♪」フラフラー
末原「……」トコトコ
赤阪「YouTubeに手を出す芸人の~あるあるを早く言いたい~♪」フラフラー
末原「……」トコトコ
赤阪「ちょうど風のない海ように~あるあるな日々だった~♪」フラフラー
末原「あの早く言ってくれます……」
末原「……」トコトコ
赤阪「YouTubeに手を出す芸人あるある早く言いたい~♪」フラフラー
末原「……」トコトコ
赤阪「YouTubeに手を出す芸人あるあるを早く言いたい~♪」フラフラー
末原「……」トコトコ
赤阪「YouTubeに手を出す芸人あるある早く早く言いたい~♪」フラフラー
末原「……」トコトコ
赤阪「YouTubeに手を出す芸人の~あるあるを早く言いたい~♪」フラフラー
末原「……」トコトコ
赤阪「ちょうど風のない海ように~あるあるな日々だった~♪」フラフラー
末原「あの早く言ってくれます……」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 02:56:11.04 ID:6LO6VK2u0
赤阪「イッヒッヒッヒ!気になるんか!いくのんのネタが気になるんか!」
末原「べ、別に気になりませんよ!」
赤阪「ええってええって、末原ちゃんはホンマいくのんのことが気になってしょうがないんやな~」
末原「代行のことはどうだっていいんです!私はこの後どこでなにをするんかが気になるんです!」
赤阪「いけずやなぁ~、でもそのうちいくのんの魅力に取りつかれて二進も三進も行かなくなるで~」
末原「ハァ……」
赤阪「そんな心配しなくても大丈夫やって~失敗しても大惨事になるだけやし~」
末原「そのときは代行も地獄へ道連れですからね」
赤阪「いや~ん末原ちゃんにプロポーズされてもうたで~ここがまさに天国や~ん」
末原「……」
赤阪「地獄に落ちてもいくのんが鬼をボコボコにしてやるさかい安心して泥船に乗ってや~」
末原「舌も70枚ぐらいありますからね……」
赤阪「イヒヒヒヒヒヒ!せやから閻魔翌様もびっくり仰天やで!」
末原「ハァ……」
末原「べ、別に気になりませんよ!」
赤阪「ええってええって、末原ちゃんはホンマいくのんのことが気になってしょうがないんやな~」
末原「代行のことはどうだっていいんです!私はこの後どこでなにをするんかが気になるんです!」
赤阪「いけずやなぁ~、でもそのうちいくのんの魅力に取りつかれて二進も三進も行かなくなるで~」
末原「ハァ……」
赤阪「そんな心配しなくても大丈夫やって~失敗しても大惨事になるだけやし~」
末原「そのときは代行も地獄へ道連れですからね」
赤阪「いや~ん末原ちゃんにプロポーズされてもうたで~ここがまさに天国や~ん」
末原「……」
赤阪「地獄に落ちてもいくのんが鬼をボコボコにしてやるさかい安心して泥船に乗ってや~」
末原「舌も70枚ぐらいありますからね……」
赤阪「イヒヒヒヒヒヒ!せやから閻魔翌様もびっくり仰天やで!」
末原「ハァ……」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 02:57:40.95 ID:6LO6VK2u0
末原「……」トコトコ
赤阪「YouTubeに手を出す芸人あるある早く言いたい~♪」フラフラー
末原「あの目的の場所にはいつ頃着くんですか……」トコトコ
赤阪「いくのんと恭子の愛の巣のこと~?」
末原「ちゃうわ!てか急に下の名前で呼ぶのやめてくださいサブイボです!」
赤阪「目的の場所ならあそこやで~」
末原「え、あそこですか……」
赤阪郁乃が指を差した場所にはひと際目立つビルが建っていた……
末原(えらいキンキラキンで豪華やな……なんて読むんや……たつなんとかホテル?)ジーッ
赤阪「あそこにな~今回の末原ちゃんを鍛えてくれる人がおるんやで~」
末原「鍛えてくれる人?代行が鍛えてくれるんじゃないんですか?」
赤阪「ちゃうで~、実はな……」
末原「はい」
赤阪「とってもセクシーでイカれた格好をした人やで」ボソッ
末原「え!」ドキドキ
赤阪「ほないくのんいや行くで~」ガシッ!
末原「あ!ちょっと!」
こうして二人は夜の街に消えていったのだった……
赤阪「YouTubeに手を出す芸人あるある早く言いたい~♪」フラフラー
末原「あの目的の場所にはいつ頃着くんですか……」トコトコ
赤阪「いくのんと恭子の愛の巣のこと~?」
末原「ちゃうわ!てか急に下の名前で呼ぶのやめてくださいサブイボです!」
赤阪「目的の場所ならあそこやで~」
末原「え、あそこですか……」
赤阪郁乃が指を差した場所にはひと際目立つビルが建っていた……
末原(えらいキンキラキンで豪華やな……なんて読むんや……たつなんとかホテル?)ジーッ
赤阪「あそこにな~今回の末原ちゃんを鍛えてくれる人がおるんやで~」
末原「鍛えてくれる人?代行が鍛えてくれるんじゃないんですか?」
赤阪「ちゃうで~、実はな……」
末原「はい」
赤阪「とってもセクシーでイカれた格好をした人やで」ボソッ
末原「え!」ドキドキ
赤阪「ほないくのんいや行くで~」ガシッ!
末原「あ!ちょっと!」
こうして二人は夜の街に消えていったのだった……
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 02:59:33.99 ID:6LO6VK2u0
そして準決勝当日 副将戦後
絹恵「やってもうや……やってもうた……」ポロポロ
洋榎「泣いたらあかんで!」
由子「そうなのよー!絹ちゃんはよくやったのよー!」
絹恵「でも!みんなの点棒が!」ボロボロ
洋榎「デモもパレードもあらへん!絹が責任を感じることなんてないんや!」
由子「テキサス野郎とWおっぱいが強すぎただけなのよー!」
絹恵「お姉ちゃん!」ダキィ!
洋榎「大丈夫や絹!このあと必ず恭子が逆転してくれるハズや!」
漫「やれやれ、まだまだ試合は続くのにこんな調子だと先が思いやられるな」
洋榎「おい漫!なんでそんな酷いことを言うんや!」
漫「気安く僕に喋りかけないでくれ、こっちまでバカになった気分になる」
洋榎「なんやと!」
絹恵「上重さんまだあの調子なんですか?」
由子「そうなのよー……」
洋榎「先鋒戦で大爆発したからって調子コキすぎやろなんやねんアレ……」
絹恵「調子に乗るはいいけど人格変わりすぎやで上重さん……」
漫「ところで末原恭子はまだ来ないのか?」
由子「それは……」
絹恵「やってもうや……やってもうた……」ポロポロ
洋榎「泣いたらあかんで!」
由子「そうなのよー!絹ちゃんはよくやったのよー!」
絹恵「でも!みんなの点棒が!」ボロボロ
洋榎「デモもパレードもあらへん!絹が責任を感じることなんてないんや!」
由子「テキサス野郎とWおっぱいが強すぎただけなのよー!」
絹恵「お姉ちゃん!」ダキィ!
洋榎「大丈夫や絹!このあと必ず恭子が逆転してくれるハズや!」
漫「やれやれ、まだまだ試合は続くのにこんな調子だと先が思いやられるな」
洋榎「おい漫!なんでそんな酷いことを言うんや!」
漫「気安く僕に喋りかけないでくれ、こっちまでバカになった気分になる」
洋榎「なんやと!」
絹恵「上重さんまだあの調子なんですか?」
由子「そうなのよー……」
洋榎「先鋒戦で大爆発したからって調子コキすぎやろなんやねんアレ……」
絹恵「調子に乗るはいいけど人格変わりすぎやで上重さん……」
漫「ところで末原恭子はまだ来ないのか?」
由子「それは……」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 03:00:44.65 ID:6LO6VK2u0
絹恵「え?まさかまだ末原先輩帰ってきてへんの?」
洋榎「そのまさかや……」
絹恵「そんな!もう始まるで大将戦!どうするん先輩がいなくて……」
由子「どうしようなのよー……」
洋榎「岐阜の眉山で修行しとると聞いたんやけどな……」
漫「フン、怖気づいて逃げたか」
洋榎「漫!なんやその言葉!恭子をバカにする気か!」
漫「実際そうじゃないか、じゃあなぜ末原恭子は今ここにいないんだそれはまさに特訓が上手く行かず逃げたってことじゃないのか」
由子「いい加減にするのよー!」
漫「僕の足を引っ張らないくれないかな」ヤレヤレ
洋榎「漫は一生不発弾でいるべきやったな!」グッ!
由子「抑えるのよー!」
絹恵「先輩無事でいればいいけど……」
洋榎「もうどないすりゃええねんもう!」
ガチャン
赤阪「おまた~」
洋榎「そのまさかや……」
絹恵「そんな!もう始まるで大将戦!どうするん先輩がいなくて……」
由子「どうしようなのよー……」
洋榎「岐阜の眉山で修行しとると聞いたんやけどな……」
漫「フン、怖気づいて逃げたか」
洋榎「漫!なんやその言葉!恭子をバカにする気か!」
漫「実際そうじゃないか、じゃあなぜ末原恭子は今ここにいないんだそれはまさに特訓が上手く行かず逃げたってことじゃないのか」
由子「いい加減にするのよー!」
漫「僕の足を引っ張らないくれないかな」ヤレヤレ
洋榎「漫は一生不発弾でいるべきやったな!」グッ!
由子「抑えるのよー!」
絹恵「先輩無事でいればいいけど……」
洋榎「もうどないすりゃええねんもう!」
ガチャン
赤阪「おまた~」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 03:02:30.77 ID:6LO6VK2u0
由子「代行!」
赤阪「Long time no seeやで~諸君!」
洋榎「やいオバハン!えらい遅かったやないかい!こちとらメチャクチャ心配したんやぞ!」
赤阪「洋榎ちゃん、オバハンって言うほうがオバハンなんやで~」
絹恵「なにその理屈……」
赤阪「なんやみんな怒ったような顔しとるな~、そんなんやと10年後には小鍛冶ちゃんみたいにしわくちゃやで~」
由子「そんなことより恭子はどこなのよー!」
赤阪「みんなのココロの中に末原ちゃんはおるんやで~」
漫「くだらない戯言など聞きたくはない、早く末原恭子を呼んでくれないか?」
赤阪「あのデコっぱちはなんか変なモノでも食ったんか?」
洋榎「爆発して調子こいてるだけや、無視や無視」
赤阪「末原ちゃんならもうこっちに向かってるで~」」
チョゲチョゲチョゲチョゲ・・・・・・
絹恵「先輩……」
赤阪「Long time no seeやで~諸君!」
洋榎「やいオバハン!えらい遅かったやないかい!こちとらメチャクチャ心配したんやぞ!」
赤阪「洋榎ちゃん、オバハンって言うほうがオバハンなんやで~」
絹恵「なにその理屈……」
赤阪「なんやみんな怒ったような顔しとるな~、そんなんやと10年後には小鍛冶ちゃんみたいにしわくちゃやで~」
由子「そんなことより恭子はどこなのよー!」
赤阪「みんなのココロの中に末原ちゃんはおるんやで~」
漫「くだらない戯言など聞きたくはない、早く末原恭子を呼んでくれないか?」
赤阪「あのデコっぱちはなんか変なモノでも食ったんか?」
洋榎「爆発して調子こいてるだけや、無視や無視」
赤阪「末原ちゃんならもうこっちに向かってるで~」」
チョゲチョゲチョゲチョゲ・・・・・・
絹恵「先輩……」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 03:04:01.83 ID:6LO6VK2u0
チョゲチョゲチョゲチョゲ・・・・・・
赤阪「新しい末原ちゃんのイッツショータイムや!」
ガチャン
洋榎「恭子!?」
由子「のよー!」
絹恵「先輩?!」
漫「なんですて!」
赤阪「ピカピカの末原ちゃんやで~」
そこでみんなが見たものは……
末原「キテますキテます」
サングラスを掛け髪をオールバックにし黒ずくめの衣装を来た末原恭子の姿だった……!
末原「ハンドパワーです」
洋榎「マリックやないか……」
赤阪「新しい末原ちゃんのイッツショータイムや!」
ガチャン
洋榎「恭子!?」
由子「のよー!」
絹恵「先輩?!」
漫「なんですて!」
赤阪「ピカピカの末原ちゃんやで~」
そこでみんなが見たものは……
末原「キテますキテます」
サングラスを掛け髪をオールバックにし黒ずくめの衣装を来た末原恭子の姿だった……!
末原「ハンドパワーです」
洋榎「マリックやないか……」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 03:05:20.98 ID:6LO6VK2u0
赤阪「どうや~末原ちゃん生まれ変わったやろ~」
絹恵「はぁぁぁぁ……」クラクラ
洋榎「どないした絹!」
絹恵「麻雀しないでマジックの練習してただなんて……」
赤阪「イヒヒヒヒ!これで今後忘年会とかで困らんですむで~」
末原「キテますキテます」
漫「え?ホンマに大丈夫なんですかこれ?末原さん頭でも打っておかしくなったんですか……」
洋榎「あまりのショックに漫が正気になっとるやないか……」
末原「ハンドパワーです」
由子「それしか言えないのかのよー……」
赤阪「バカに出来るのもいまのうちやで~、末原ちゃん例のアレや!」
末原「わかりました」スッ
そう言うと末原恭子は胸ポケットからトランプを取り出したのだ……
絹恵「はぁぁぁぁ……」クラクラ
洋榎「どないした絹!」
絹恵「麻雀しないでマジックの練習してただなんて……」
赤阪「イヒヒヒヒ!これで今後忘年会とかで困らんですむで~」
末原「キテますキテます」
漫「え?ホンマに大丈夫なんですかこれ?末原さん頭でも打っておかしくなったんですか……」
洋榎「あまりのショックに漫が正気になっとるやないか……」
末原「ハンドパワーです」
由子「それしか言えないのかのよー……」
赤阪「バカに出来るのもいまのうちやで~、末原ちゃん例のアレや!」
末原「わかりました」スッ
そう言うと末原恭子は胸ポケットからトランプを取り出したのだ……
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 03:06:57.35 ID:6LO6VK2u0
末原「ここにトランプがあります」パラパラ
洋榎「お、おうあるな……」
末原「今からトランプを切っていきますので好きなタイミングでストップと言ってください」パラララララッ!
洋榎「本格的にマジックらしくなってきたな……ほなストッ!」
漫「ストップや!」
由子「なんで漫ちゃんが言うのよー」
末原「ではストップがかかったところのこの1枚を……」
漫「スペードのQですね」
洋榎「なんで口に出すねん!そこはうちらだけが覚えるとこやろ!」
由子「マジック受けるの下手くそかなのよー」
末原「チッ!じゃあもう一回切りますよ」パララララララッ
絹恵「スト……」 漫「ストップ!」
洋榎「だからなんで漫が言うねん!」
赤阪「イーヒッヒッヒッヒ!ホンマ漫ちゃんはポンポコピーやな~」
末原「ではこのカードを覚えてください」スッ
末原が提示したカードはハートの7だった
洋榎「お、おうあるな……」
末原「今からトランプを切っていきますので好きなタイミングでストップと言ってください」パラララララッ!
洋榎「本格的にマジックらしくなってきたな……ほなストッ!」
漫「ストップや!」
由子「なんで漫ちゃんが言うのよー」
末原「ではストップがかかったところのこの1枚を……」
漫「スペードのQですね」
洋榎「なんで口に出すねん!そこはうちらだけが覚えるとこやろ!」
由子「マジック受けるの下手くそかなのよー」
末原「チッ!じゃあもう一回切りますよ」パララララララッ
絹恵「スト……」 漫「ストップ!」
洋榎「だからなんで漫が言うねん!」
赤阪「イーヒッヒッヒッヒ!ホンマ漫ちゃんはポンポコピーやな~」
末原「ではこのカードを覚えてください」スッ
末原が提示したカードはハートの7だった
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 03:08:19.04 ID:6LO6VK2u0
洋榎(ハートの7やな)
絹恵(ハートの7やね)
由子(ハートの7なのよー)
末原「ではこのカードをトランプの束の真ん中に入れます」
絹恵「テレビでよく見るやつやでお姉ちゃん」
洋榎「そうやな」
末原「指を鳴らします!パチン!」
由子(自分の口で言ってるのよー)
末原「では絹ちゃん、一番上を捲ってみてください」
絹恵「わ、わかりました!えい!」ペラッ!
なんと一番上のカードはハートの7だった……!真ん中に入れたハズのハートの7が一番上まで瞬間移動したのだ……!
末原「フフフ……」
絹恵「すごいでお姉ちゃん!さっきのカードやで!」
洋榎「ホンマや、いつの間にカードが移動したんや」
由子「すごいのよー!」
末原「これがハンドパワーです」
漫「……」
赤阪「漫ちゃん声も出ないくらいびっくりしとるで~、どうや末原ちゃんのスーパーイリュージョンすごいやろ~?」
漫「いやさっきどんなカードだったのか忘れてもうていまいちピンと来なくて……」
赤阪「あんたの頭はバードかいな」
絹恵(ハートの7やね)
由子(ハートの7なのよー)
末原「ではこのカードをトランプの束の真ん中に入れます」
絹恵「テレビでよく見るやつやでお姉ちゃん」
洋榎「そうやな」
末原「指を鳴らします!パチン!」
由子(自分の口で言ってるのよー)
末原「では絹ちゃん、一番上を捲ってみてください」
絹恵「わ、わかりました!えい!」ペラッ!
なんと一番上のカードはハートの7だった……!真ん中に入れたハズのハートの7が一番上まで瞬間移動したのだ……!
末原「フフフ……」
絹恵「すごいでお姉ちゃん!さっきのカードやで!」
洋榎「ホンマや、いつの間にカードが移動したんや」
由子「すごいのよー!」
末原「これがハンドパワーです」
漫「……」
赤阪「漫ちゃん声も出ないくらいびっくりしとるで~、どうや末原ちゃんのスーパーイリュージョンすごいやろ~?」
漫「いやさっきどんなカードだったのか忘れてもうていまいちピンと来なくて……」
赤阪「あんたの頭はバードかいな」
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 03:09:50.72 ID:6LO6VK2u0
末原「キテますキテます」
洋榎「すごいで、ホンマにマジシャンやん」
末原「次は500円玉にタバコを貫通させます」
赤阪「末原ちゃんもう時間やで~」
末原「そうでしたね」
絹恵「頑張ってください!」
洋榎「これで宮永咲にリベンジや!」
由子「ぶちかましなのよー!」
末原「頑張ってきます」
漫「……」
洋榎「ほら漫もなんか言いや!」
漫「あの末原先輩……」
末原「なんですか漫ちゃん、あ、お土産のことですね、忘れたわけではありませんよ、漫ちゃんには私の愛を……」
漫「あの……その手品をどう麻雀に生かすんですか……」
洋榎「すごいで、ホンマにマジシャンやん」
末原「次は500円玉にタバコを貫通させます」
赤阪「末原ちゃんもう時間やで~」
末原「そうでしたね」
絹恵「頑張ってください!」
洋榎「これで宮永咲にリベンジや!」
由子「ぶちかましなのよー!」
末原「頑張ってきます」
漫「……」
洋榎「ほら漫もなんか言いや!」
漫「あの末原先輩……」
末原「なんですか漫ちゃん、あ、お土産のことですね、忘れたわけではありませんよ、漫ちゃんには私の愛を……」
漫「あの……その手品をどう麻雀に生かすんですか……」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 03:11:50.80 ID:6LO6VK2u0
末原「……」
洋榎「漫……」
漫「たしかにさっきの手品はテレビのそれらみたいにちゃんとした手品ですけど、うちらは麻雀をやってるんですよ……」
由子「のよー……」
漫「さっきのトランプの手品を今から宮永咲たちに披露するんですか……それでびっくりさせてその隙をついて勝とうとかそういう話ですか……」
絹恵「ちょっと上重さん……」
漫「年下のうちが言うのも失礼かもしれまへんけど……ちょっとその考えは浅はかでは……」
末原「ホンマに浅はかやな」
漫「す、すんません!うちはそういうつもりは!」
末原「ホンマに浅はかですよ漫ちゃんは、私がそんな方法で戦うと思ってるんですか?」
漫「ちゃ、ちゃうんですか?」
末原「当然やろ、このマジックを生かした新麻雀戦法で宮永咲たちを翻弄してきますよ」
絹恵「先輩……!」
末原「ところで漫ちゃん、ちょっとあなたの財布を出してください」
洋榎「漫……」
漫「たしかにさっきの手品はテレビのそれらみたいにちゃんとした手品ですけど、うちらは麻雀をやってるんですよ……」
由子「のよー……」
漫「さっきのトランプの手品を今から宮永咲たちに披露するんですか……それでびっくりさせてその隙をついて勝とうとかそういう話ですか……」
絹恵「ちょっと上重さん……」
漫「年下のうちが言うのも失礼かもしれまへんけど……ちょっとその考えは浅はかでは……」
末原「ホンマに浅はかやな」
漫「す、すんません!うちはそういうつもりは!」
末原「ホンマに浅はかですよ漫ちゃんは、私がそんな方法で戦うと思ってるんですか?」
漫「ちゃ、ちゃうんですか?」
末原「当然やろ、このマジックを生かした新麻雀戦法で宮永咲たちを翻弄してきますよ」
絹恵「先輩……!」
末原「ところで漫ちゃん、ちょっとあなたの財布を出してください」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 03:12:42.15 ID:6LO6VK2u0
漫「うちの財布ですか?」
末原「今から漫ちゃんにさらなるハンドパワーをお見せしましょう」
漫「しょうがないですね……」ガサゴソ
そう言うと上重漫はカバンから自分の財布を取り出す
末原「その中から一枚お札をください」
漫「はぁ」スッ
漫は財布の中から千円札を一枚取り出し末原に渡す……すると
末原「えいっ!」ビリィ!
漫「ええええ!!」
なんと漫の千円札を思いっきり半分に破ったのだ……!
末原「ハンドパワーです」
漫「超常現象でもなんでもただの暴挙やないですか!うちの千円返してくださいよ!」
洋榎「大丈夫やって漫、たぶんこれをもと通りするマジックやから……」
末原「では時間なのですぐ行ってきます!では!」スタタタタタタタッ!
漫「うちのお金直さないんかい!おい先輩!おい!」
スタタタタタタタタタ・・・・・・
漫「なんなんすかこれ」
末原「今から漫ちゃんにさらなるハンドパワーをお見せしましょう」
漫「しょうがないですね……」ガサゴソ
そう言うと上重漫はカバンから自分の財布を取り出す
末原「その中から一枚お札をください」
漫「はぁ」スッ
漫は財布の中から千円札を一枚取り出し末原に渡す……すると
末原「えいっ!」ビリィ!
漫「ええええ!!」
なんと漫の千円札を思いっきり半分に破ったのだ……!
末原「ハンドパワーです」
漫「超常現象でもなんでもただの暴挙やないですか!うちの千円返してくださいよ!」
洋榎「大丈夫やって漫、たぶんこれをもと通りするマジックやから……」
末原「では時間なのですぐ行ってきます!では!」スタタタタタタタッ!
漫「うちのお金直さないんかい!おい先輩!おい!」
スタタタタタタタタタ・・・・・・
漫「なんなんすかこれ」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/05/31(日) 03:13:19.89 ID:6LO6VK2u0
ここまでです
引用元: ・末原「こりゃもう終わりかなって思ったときからが勝負や!」漫「先輩……」
【咲SS】京太郎「これが……神の一手?」アカギ「ククク……」【アカギ】
2019-12-17
1: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 19:38:07.93 ID:gMIcwShDo
咲(世界観&キャラ)×アカギ(キャラ)×ヒカルの碁(設定)のSSとなります
京太郎とアカギが主人公なので、ご注意を
・のんびりと、ちまちまと更新
・京太郎が麻雀します
・ところどころ畜生になる咲キャラがいるかも
・恋愛要素……あるかも?
・カンちゃんハウス
・安価などは無し
・オチまで考えてはありますが、指摘によって展開の変更なども考えます
・対局描写が下手くそ
以上がよろしい方は、どうぞご覧ください
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1399286287
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3: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 19:41:59.69 ID:gMIcwShDo
俺が望んだもの……
それは変化だった……
~~ キョウ ~~
【Roof-top】
京太郎「……」
全てをひっくり返すような変化だ
生まれ変わるほどの……
しかし俺はその資質に欠けていた
優希「……」
まこ「……」
久「……」
女の子目当てで入った麻雀部では、初心者ゆえにカモられ
手を出すことなど出来ず、雑用としてこき使われる毎日
そして今日、【大会】への出場を賭けての麻雀も……
京太郎「(持ち点が……あと少し)」チャリッ
連敗――
追い詰められた
京太郎「くっ……」
これまでずっと4位……流れに乗れずに点棒が減るのみ
そのたびに胸が締め付けられる
久「さぁ、須賀君の番よ」
京太郎「……」
これが尽きたら、俺はこれから先ずっと雑用としてみんなを応援しなければならない
麻雀をやることもなく……ただみんなを影から見守るだけ
半年前、麻雀部に入った
その日から俺の運命は決まっていたのかもしれない
京太郎「(なんとかしのいで次の半荘へ)」チャラッ
もう振れない
京太郎「(大丈夫、これならきっと通る)」タンッ
久「ロン」
京太郎「!?」
あぁ……終わった
何もかも
京太郎「(ミスらしいミスはしてないのに……どうして?)」ギリッ
俺は確かに初心者だ
だけど、運が絡む麻雀でここまで一方的なのか?
これじゃあまるで、一方的なリンチじゃないか
5: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 19:43:38.49 ID:gMIcwShDo
俺は確かに初心者だ
だけど、運が絡む麻雀でここまで一方的なのか?
これじゃあまるで、一方的なリンチじゃないか
優希「……諦めるじぇ」
まこ「京太郎……もう辞めるんじゃ」
久「須賀君、アナタがどうしても必要なの。みんなの為にもお願い……」
そんなこと、理解はしている
しかし、だからと言って納得はできない
京太郎「(俺は……男だ)」グッ
俺には分かる
もしここで【大会】に出ず、そのままずるずると過ごしても何も変わらない
俺は負け犬のまま、ずっと……ずっと
京太郎「(この半荘でラスをくうとオワリ。次の半荘へすすめない)」
なんとか3位!
……頼む!
京太郎「っ!」カッ
カシッ
京太郎「……(ダメだ、来ない)」
どれだけ祈っても、掴むのはゴミのような手
泣きたくなるような配牌
変わらない運命
6: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 19:45:28.24 ID:gMIcwShDo
京太郎「(誰か、変えてくれ……!)」
誰でもいい……!
このよどんだ空気、流れを!
変えてくれっ!
京太郎「(誰でもいい……!)」
神でも……!
魔でも!
ギィッ……
京太郎「……?」
それは不思議な感覚だった
?「……へぇ」
そいつが部屋に入った瞬間――
俺の世界はガラリと変わった
?「……」
| _ /:: / /:::: / /::::::: :::::\ iヽ i、
r'´ l |::: //::::` ソ. /:::: ::::::ヽ i,:::ヽ i、
i .:::l | :/、,_:: ノ :/::ヽ ::::ヽ: i,:::::ヽ i、
| ::::::l | :ヽ、`フ/-、_ :::::ヽ ,r:'::´、 :l:::::::::ヽ :l
i ::::::l :| ./、 弋ソ`ー、::ヽ ,r'´:::_,:::rヽトー─-
.i, :::::::l | ` ̄"''::::'::´:::.... .. ....;'::::'"´ '心'. l| _, r::'´
ヽ :::::l | ::::::::::::'''' :: |::.''''::::` ̄"" ̄::::::::::::::
ヽ ::::i | :: |::::::.. :::::::::::::::::::::::::::::/
`l 、_l l :: |:::::::::.. ..:::::::::::/
| ヽ.l :: |::::::::::::.. ..:::::::::::::/
/| `|. :: |::::::::::::::::.. ..::::::::::::::/
. / | l'i .. :: |:::::::::::::::::::::::::::::::::/
. / , l |:::ヽ. ヽ,,,_ :::... :: |::::::::::::::::::::::::::::::/ヽ
/ | .l .|:::::ヽ  ̄''''' ー、:: |_:::::::::::::::::::::/ ヽ
. / |/| |::::::::ヽ :::::`::´:  ̄´:::::::::/| ヽ
/ |::::::'|:::: ::::ヽ ,,,,,, ::::::::::::::::::::::::::/::::| ヽ
|::::::|:: :::::ヽ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::/::::::::| ヽ
その男――
神か、悪魔か
7: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 19:47:20.19 ID:gMIcwShDo
【??年前 某所】
「こだわらねぇだろ……どうせお前は……」
誰だ?
「死んだ後の墓のことなど……なあ…」
死んだ?
オレが……?
そうか、死んだのか
「許してやってくれや……みんな……」
クク……なんてことはねぇ
「好きなんだ…お前が…!」
死んだ奴に、価値なんてねぇんだ
「赤木は笑っているだろう――」
8: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 19:48:55.45 ID:gMIcwShDo
【現在より数日前 某所】
やせがまんばかりでもう半年過ぎた
何が変わったか、誰を愛したか
頭の中で今、夢が崩れだした
京太郎「……何とかなれ」
俺の名前は須賀京太郎
清澄高校二年、部活は麻雀
俺の在籍する麻雀部は全国大会で優勝し、今や我が校の誇りとまで言われている
京太郎「この俺を除けば……ね」
全国大会での、女子団体戦での優勝
それは……俺たちの環境を大きく揺るがした
京太郎「……」
個人戦でも活躍した咲や和は勿論
俺を除く五人は、我が校の英雄となった
むしろ、県の象徴と言ってもいい
京太郎「……」ギリッ
一方の俺は惨め極まりない結果
個人戦初戦敗退、それも……県予選でだ
感じるのは周囲からの失望と、冷やかな視線
9: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 19:50:13.79 ID:gMIcwShDo
元々女子の中に一人だけいたこともあり、風当たりも強かった
俺をよく知らない連中は陰口を叩き、陰湿な真似もしてくる
ただでさえ美少女の五人、それなりに狂信的な奴も多いわけだ
そんな連中からしたら、俺は目の上のタンコブ
アイドルの周りでチラつく男の影など……無い方がいいに決まってる
俺の存在を無くせという声は次第に大きくなり……
それはやがて、知らぬ存ぜぬで通せないレベルに膨れ上がる
学校側もそれを無視できなくなり、動き出す
こうして、提案された一つの案
清澄高校麻雀部から清澄高校【女子】麻雀部への変更
京太郎「……」
そして俺は……麻雀部をクビになった
10: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 20:05:50.37 ID:gMIcwShDo
京太郎「ここ、だよな?」
殺風景な住宅街を抜けた先にある、寂れた墓地
そこに、【その男】の墓は建っているという
俺が最後の希望を持って縋りに来た
ここが始まりの場所になるのか、それとも……
京太郎「……?」
?「……」
そこにいたのは、歳は30から40
ヘタをすればもっと行ってるかもしれない男
細身でメガネを欠けたその男は、ただ静かに立ってる
一つの墓の前で何も言わず、ただぼんやりと……視線を墓石に向けて
【赤木しげるの墓】
そう刻まれた、墓石の前でただ立っている
京太郎「……(マズイな)」
人がいるとは思わなかった
これでは、俺の目的が果たせない
京太郎「(早く帰ってくれよ……)」
そんな想いを浮かべながら、どう暇を潰そうかと思案した
その時だった
?「お前、この男に用があるのか?」
京太郎「えっ?」ドキッ
声をかけられた
もしかして、バレてる?
?「……まだガキだな」
京太郎「ど、どうも……」ペコリ
?「見ろよ、この人の墓」スッ
京太郎「え?」
?「墓石の欠片をガリガリ削られて、今じゃこんなに小さくなっちまった」
京太郎「そ、そうですね」
?「しかしそれも数年前までの話だ。今じゃ、誰もこの人の墓を削ろうなんてしねぇ」
京太郎「……」
そう
俺がここに来た目的
それは、この【赤木しげるの墓】を削ること
その墓石の欠片を手に入れたかったのだ
?「……お前は、コレが欲しいのか」
京太郎「……はい」
?「そうか。素直な奴だな」ハハハ
11: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 20:20:16.73 ID:gMIcwShDo
一体この人は誰なんだろうか?
赤木しげるの知り合いなのか、それともただの変人か
もしくは俺と同じように力を求めてきた人間なのか?
?「お前、麻雀か?」
京太郎「っ!?」
?「その反応、図星か。ガキだからそんなことだろうと思ったけど」
京太郎「……」
?「……お前は、どうしてここに来た?」
京太郎「そ、それは……」
?「強くなりたいのか?」
京太郎「……」コクッ
?「……そうか、強くなりたいか」トオイメ
男はひとしきり俺を見回した後、静かにため息を吐いた
そして、この世の終わりのような顔で呟く
?「やめておけ、ろくなことにならないから」
京太郎「なっ!?」
?「俺も長くこの世界にいる。分かるんだよ、そういうの」
見込みがない
そう言いたいのだろうか?
だとしたら、なんて腹の立つ言葉なんだ
京太郎「なんでそんなことを、アンタに言われなきゃいけないんだ!」
?「……ごもっとも。だからこれはただの忠告」ザッ
砂利を踏み鳴らし、墓石を一瞥もせずに男は歩き出す
その背中にはどこか、哀愁が感じられる
京太郎「あ、あのっ!」
?「俺はひろゆき。井川ひろゆきだ」
京太郎「ひ、ひろゆき?」
ひろゆき「……なんでですか?」ボソッ
ひろゆきさんは呟く
それは、もう既にこの世にいない人に向けてのものなのか
それとも
ひろゆき「どうして、今さら……」
その先の言葉は聞き取れなかった
だけど、俺は直感的に察することができた
あの人が言いたかったこと、それは――
「化けて出てくるんですか?」
その真意はまるで分からなかったけど
15: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 20:33:23.97 ID:gMIcwShDo
ひろゆきさんがいなくなってから数分
俺はひろゆきさんと同じように、赤木しげるの墓を眺めていた
京太郎「……」
さっき言ったようにこの墓石は人によって削られている
というのも、この赤木しげるが生前【神域の男】と呼ばれ……恐れられた博徒だったかららしい
ようは赤木しげるの運にあやかりたい連中が、この墓石の欠片をお守りとするわけだ
そして俺も、そんな連中の一人
なんとしても強くなりたい、そんな一心からこんな場所にまで来てしまった
ただの大馬鹿者だ
京太郎「……赤木しげる」
果たして、この男は一体何者だったのだろうか
何を見て、何を感じ、何を想い、何を目指していたのか
俺のような凡才が、到底追いつくことのない頂きに到達した男
神と呼ばれた男は――
俺と何が違ったのだろう?
京太郎「それを知りたい。だから――」グッ
持ってきたカナヅチを構える
犯罪だってのは分かってる、だがそれでもいい
どうせ今の俺に失うものなんて無いのだから
だから――
京太郎「……」ググググッ
カラァーンッ
京太郎「……」ガクッ
ダメだ、やれない
京太郎「やっぱ、ダメだ」
どれだけ決意を固めても、手が思うように動かない
決して怯えているわけじゃないのに
どうしても躊躇してしまう
京太郎「俺に、その資格があるのか?」
この男の力に縋る、その資格
そして、もう一つ
京太郎「俺は……こんな形で勝ちたいのか?」
自分の実力でどうにもならなくて、逃げ出して
泣きたい想いを抑えて、俺は今ここにいる
その最後の選択が、ここで、本当にいいのか?
京太郎「……」
17: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 20:45:59.02 ID:gMIcwShDo
京太郎「……」
そっと、赤木しげるの墓に触れる
アンタがどんだけすごかったのか、強かったのか
それはもう分からないかもしれない
でも、それでも俺は――
京太郎「俺のチカラで、やってみます」
もうすぐ、俺を待ち受けている試合
勝ち目なんて全く無い、ただの消化試合だ
京太郎「でも、それでも」ガンッ
思い切り赤木しげるの墓を殴りつける
拳が裂け、血が噴き出し……俺の血が赤木しげるの墓を染めていく
それでも、力は緩めない
京太郎「俺は!! 俺の力を信じる!!」
罰当たりだとか、不謹慎だとかどうでもよかった
ただ楽になりたかった
ここで宣言しても何も変わらないのに
ただ認めて欲しかった
目の前の男に、挑む資格があるということを
京太郎「……はぁっ、はぁっ」
パキッ
京太郎「……え?」
パキキキッ……
パキィィンッ……!!
カランッカランッ!
京太郎「あっ……」
それは、偶然なのか必然なのか
京太郎「欠けた……?」
たまたま古くなって弱っていた?
いや、違う
これは――赤木しげるからの餞別だ
京太郎「……赤木さん」スッ
俺の血で染まった、赤木しげるの墓石の欠片
……そこまで言うなら
京太郎「貰っていってやるよ」
俺が、戦う姿をアンタに見ていてもらう
俺が強くなる姿を、アンタに見せる
京太郎「……ありがとうございましたっ!!」ペコッ
なぁ、赤木さん
アンタは今――
どんな顔を、してるんだ?
19: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 20:56:41.62 ID:gMIcwShDo
こうして、赤木しげるの墓参りを終えた俺は長野へと戻っていた
なんてことはない
休日を抜ければ平日が戻ってくる
俺にとって、苦痛でしかない毎日
学校での生活に……
【翌日 清澄高校】
がやっ……
がやっ……
京太郎「……」スーッ ハーッ
ガラガラッ
京太郎「おはよう」
シーン
京太郎「……」スタスタ
ヒソ……
ヒソ……
京太郎「……」
俺が麻雀部を辞めて一週間近く
既に以前ほどの風当たりは無くなったが、それでも妙な噂は尽きない
というのも、近々予定されている【大会】に
俺がエントリーしようとしているからだ
その大会というのが……
ダァンッ!!
一同「!?」ビクッ
ざわっ……
ざわっ……
男A「おいっ、須賀京太郎はいるか!?」ガンガンッ
男B「このクラスなんだろぉ!?」ガラガシャァン
男C「出てこいやぁ!!」
京太郎「……ここだよ」スッ
教室に余計な被害が出ないように名乗りでる
相手は三人……逃げてもすぐに捕まるだろうな
男A「おぉーいたな。須賀京太郎」
男B「麻雀部のお荷物君、いや、荷物持ちだったか?」ククク
男C「どっちにしても、”元” だがなぁ?」ヒャヒャヒャ
京太郎「……」ハァ
男A「おいおい、テメェよぉ? 辞めたくせにまだ部室に入り浸ってるんだって?」
男C「女子部に男が入るなんて、おかしぃだろぉ?」
男B「こいつ女みたいな顔してっからなぁ……実はタマ無しなんじゃねぇか?」
京太郎「……」
20: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 21:09:06.23 ID:gMIcwShDo
京太郎「……退部手続きしに行っただけだ」
男A「ほぉー? ならいいんだけどよぉ」
男C「じゃあなんで、お前が【大会】に出ることになってんだ?」
京太郎「……」
男A「質問してんだろうがっ!?」ブンッ
バキッ
京太郎「っ!?」ツ……ツツ……
男B「おい、顔はやめろ。バレたら退学だぜ」
男A「ふん、かまうこたぁねえよ」
京太郎「……」
男C「だいいちみろ、このふてぶてしい態度」
男A「どうせ教師の誰かが止めにくると、たかをくくってやがるのさ」
京太郎「……」
男A「残念だがその計算はきかねえよ。なぜなら俺らのバックには……」
ガラガラッ
京太郎「!?」
教師A「……なんだ、何してる?」
男A「実は須賀君が絡んで来まして」
男C「俺たちに殴りかかろうとしてきたんで、つい反撃しちゃったんですよ」
チ、チガッ! スガハワルクナイ!
ソウダソウダ! ナニモシテナイヨ!
教師A「静かにしろ!!」ダンッ
シーンッ……
教師A「またお前か? ん? 須賀?」ツカツカ
京太郎「……」ジロッ
教師A「なんだその反抗的な目は……?」
京太郎「……すみません」
教師A「須賀、廊下に立ってろ。放課後は反省文を10枚書け、いいな?」
京太郎「……」コクッ
男ABC「「「……」」」ニヤリ
教師A「ふんっ。貴様のような生徒、早くやめればいいんだ」
ア、アイツッ! ヤメロヨメダ!
クソォー…… ミヤナガサンガイレバ……
ナンデコンナトキニイナインダヨ!
教師A「静かにしろと言っただろ!! 騒いだ奴も廊下に立たせるぞ!!」
……シーン
教師A「では出席を取る。須賀、早く出て行け」
京太郎「……」スタスタ
ガラガラガラッ
23: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 21:20:40.94 ID:gMIcwShDo
【清澄高校 一年教室前 廊下】
京太郎「……」
普段から毎日こうだというわけじゃない
咲や部長達が居る前では、あいつらも表立っての行動はできないわけだ
だが今は違う
咲達、清澄高校【女子】麻雀部の皆は……旅行に行っている
学校側から渡された旅行券五枚
一週間、課外授業扱いで好きに旅行してきていいらしい
全国大会優勝への、保護者会からの贈り物だとかなんとか
みんな、素直に喜んでたな……
確か、他の学校の人とも行くとか言ってったっけ?
龍門渕の部長が張り切ってチャーター機を用意したお陰で
風越、鶴賀も合同で参加したらしい
きっと、楽しい旅行を満喫してるに違いない
京太郎「ま……俺には、当然何も無いんだけどさ」
それどころか、今まで咲達の目を忍んでしか行えなかった嫌がらせが激化
当たり前のように生徒にも教師にも目をつけられる毎日
京太郎「……」
正直、俺自身分からなかった
麻雀なんて元々そんなに好きじゃないし、さっさと見限ればいい
そんで普通の高校生活に戻って
咲達を遠くから応援して……学校を卒業して
普通に生きればいい
大学を出て、そこそこの会社に就職して……いつかは結婚して
子供が出来て、子供を育てて行く
そんな生活を夢見ればいい
京太郎「でも……逃げたくない」
意地、なのかどうか
そんなことも分からねぇ
でも、きっとここで背を向けたら……俺はきっと死んじまうから
ずっと死んだまま、これから先生きて行かなきゃいけないと思うから
京太郎「だから俺は、大会に――」
24: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 21:30:56.35 ID:gMIcwShDo
俺が出場を決意した【大会】
それはプロもアマも男女も関係なく――
ただ、最強の雀士を決めるという大会だ
以前行われたことがあるものに【プロアマ親善試合】というものがあるが
規模はまるで違う
全国大会に出場した高校から男女混合の代表者二名が出場
プロの実業団からも代表者が二名選ばれて出場する
いわば各高校の最強と、プロ実業団の最強選手が出場し
競い合うお祭りのようなものだ
京太郎「当然、清澄高校の枠は2つ」
選ばれるのは二人
当然あの五人の中から選ばれるだろう
学校の面子もあるし、全国の記者や視聴者が咲達に期待している
プロを打ち負かすのではないかと、ワクワクしているのだ
だからこそ、その枠は二つとも揺るぎないものとなる
京太郎「……」
部長は言った
~~久「咲と和を出す。それが学校の総意よ」~~
俺も同じ気持ちだ
最も強い二人が出れば、長野の代表として鼻が高いし
必ずいい結果を残すだろう
だからこそ、俺はこう返した
~~京太郎「部長、俺がその二人に勝てば――代表になってもいいですか?」~~
27: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 21:41:56.18 ID:gMIcwShDo
部長は困惑した顔で俺を見つめていた
言いたいことは分かる
無理だと、不可能だと
その目が告げている
でも俺は引き下がらなかった
そしてようやく、一つの条件を取り付けた
~~
久「まず、私とまこと優希。この三人に勝てたら考えてあげるわ」
京太郎「ほ、本当ですか!?」
久「でもね、須賀君。アナタも知ってる通り……今私たちは英雄になってる」
京太郎「……」
久「それを差し置いて須賀君が出場になれば、きっと今以上に風当たりは強くなるわよ?」
京太郎「分かってます」
久「……退部届けだって、私そんなの受け取りたくないわよ」
京太郎「……なら、染谷先輩が部長になってからでも」
久「そういうことじゃないでしょ!!!」
京太郎「……」
久「いい? 例えどんなに辛くても、周りが敵だらけでも……須賀君はここに必要なの」
京太郎「……」
久「咲も和も優希も、まこも……みんな力を出し切れないわ」
京太郎「……」
久「だから須賀君。もし、私達に負けたら――」
~~
京太郎「マネージャーとして入部しろ、か」
今までと何も変わらない
咲達の為に裏方として頑張って、応援して
それで、みんなが活躍するのを見守る
変わったことはただ一つ
俺の未来が――枯れるだけ
京太郎「……なぁ、咲」
お前は今、どこにいる?
俺と過ごしてきたお前は今、どこに立とうとしてるんだ?
なぁ、咲
俺は――お前に並べるか?
?「……」スゥーッ
36: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 21:55:33.55 ID:gMIcwShDo
【都内 居酒屋】
ガヤガヤ
?「うぅっ……もっとビールくらひゃい」ヒック
ひろゆき「飲みすぎだぞ……」
?「らって、井川さんが冷らいから……」ヒック
ひろゆき「……全く。麻雀を打ってる時とは大違いだな、お前」
?「ぶーっ、いいやじゃないれすか! 麻雀なんへ……」ブツブツ
ひろゆき「なぁ俺さ。……今でも……時々思うんだ」
?「へっ?」
ひろゆき「……若い頃のあの人はどれほど強くて……化物だったのかと」
?「……あの人って、赤木しげるのことですか?」
ひろゆき「ああ、俺が知る限り――あの人より強い人は存在しない」
チラリと、旧知の顔が思い浮かんだがそれはいい
あの人もきっと、同じことを言うだろうから
?「ねぇ、井川さん」
ひろゆき「なんだ? 結婚ならしないぞ」
?「違います。あの、その赤木って人と私……どっちが強いのかなって」
ひろゆき「あ? そうだな……最近の若いのは変なオカルトめいた力を使うしな」ウーン
?「わ、若いっ……えへへっ」ニマニマ
ひろゆき「……でもな、そういうのじゃねぇんだよ」
?「え?」キョトン
ひろゆき「あの人の強さはもっとこう……別にあるというかさ」グイッ
ゴクゴクッ
ひろゆき「そこんとこはまだ俺にも……分からん」
?「ふーん……。でも、井川さんがそんな話するの珍しいですね」
ひろゆき「……」
?「普段は聞いても黙ってるじゃないですか?」
ひろゆき「……それはだな。今朝、変なガキを見たんだ」
?「ガキ?」
ひろゆき「てんで弱そうで、情けなくて。才能の欠片もないような奴」
?「酷い言いよう……」
ひろゆき「でもな、あの人がそいつを選んだんだ」ギリッ
?「???」
ひろゆき「……分かりませんよ、赤木さん」グスッ
なんで俺じゃ――ダメなんですか?
?「……」
40: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 22:06:28.63 ID:gMIcwShDo
【数日後 Roof-top】
部長と話し合った結果、対局の場所はこことなった
部室に俺が入ればまた問題になるし、ここならその心配も減る
それに――この試合のことは咲と和には内緒だから
もし二人が知れば、どちらかが辞退する可能性がある
それは、出来れば避けたいこと
優希「……」
まこ「事情は聞いちょる」
久「……私達三人が相手よ」
京太郎「……はい」
そして――いよいよ決戦
相手は俺のよく知る三人だ
優希「京太郎……私達が勝てば、辞めないんだよな?」
京太郎「ああ、約束だからな」
優希「……」
優希の奴はきっと分かってる
俺が部活に残ることになれば、今以上に苦しい日々が待っているかもしれない
それでも、俺にいて欲しいのか?
そんなに俺のことを想ってくれてるのか、優希?
京太郎「……ありがとな」ポンッ
優希「うっ、うぁっ……うあぁぁあぁっ、ごめん……ごめんなさいぃ……」ポロポロ
まこ「……京太郎、お前が苦しんどるのに気づけんで――すまん」
京太郎「いえ、いいんですよ。俺が望んだことですから」
まこ「じゃが……こんな結末!」ギリッ
久「まこ、よしなさい。須賀君の決めたことよ」
まこ「っ!! そんな言葉、口にする資格があると思うちょるんか!?」
久「……そうね。私が言うのは筋違いだわ」ウツムキ
まこ「……くっ!」
みんな、苦しんでる
誰も悪くないのに、みんな自分の想いのままに歩んだだけなのに
それもこれも、全部俺のせいなんだ
俺が弱いから
俺が何もできないから
だから――
京太郎「打ちましょう」
強くなるしかない
41: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 22:09:57.69 ID:gMIcwShDo
俺が望んだもの……
それは変化だった……
【Roof-top】
京太郎「……」
全てをひっくり返すような変化だ
生まれ変わるほどの……
しかし俺はその資質に欠けていた
優希「……」
まこ「……」
久「……」
女の子目当てで入った麻雀部では、初心者ゆえにカモられ
手を出すことなど出来ず、雑用としてこき使われる毎日
そして今日、【大会】への出場を賭けての麻雀も……
京太郎「(持ち点が……あと少し)」チャリッ
連敗――
追い詰められた
京太郎「くっ……」
これまでずっと4位……流れに乗れずに点棒が減るのみ
そのたびに胸が締め付けられる
久「さぁ、須賀君の番よ」
京太郎「……」
これが尽きたら、俺はこれから先ずっと雑用としてみんなを応援しなければならない
麻雀をやることもなく……ただみんなを影から見守るだけ
半年前、麻雀部に入った
その日から俺の運命は決まっていたのかもしれない
京太郎「(なんとかしのいで次の半荘へ)」チャラッ
もう振れない
京太郎「(大丈夫、これならきっと通る)」タンッ
久「ロン」
京太郎「!?」
あぁ……終わった
何もかも
京太郎「(ミスらしいミスはしてないのに……どうして?)」ギリッ
俺は確かに初心者だ
だけど、運が絡む麻雀でここまで一方的なのか?
これじゃあまるで、一方的なリンチじゃないか
42: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 22:10:49.20 ID:gMIcwShDo
俺は確かに初心者だ
だけど、運が絡む麻雀でここまで一方的なのか?
これじゃあまるで、一方的なリンチじゃないか
優希「……諦めるじぇ」
まこ「京太郎……もう辞めるんじゃ」
久「須賀君、アナタがどうしても必要なの。みんなの為にもお願い……」
そんなこと、理解はしている
しかし、だからと言って納得はできない
京太郎「(俺は……男だ)」グッ
俺には分かる
もしここで【大会】に出ず、そのままずるずると過ごしても何も変わらない
俺は負け犬のまま、ずっと……ずっと
京太郎「(この半荘でラスをくうとオワリ。次の半荘へすすめない)」
なんとか3位!
……頼む!
京太郎「っ!」カッ
カシッ
京太郎「……(ダメだ、来ない)」
どれだけ祈っても、掴むのはゴミのような手
泣きたくなるような配牌
変わらない運命
43: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 22:12:24.87 ID:gMIcwShDo
京太郎「(誰か、変えてくれ……!)」
誰でもいい……!
このよどんだ空気、流れを!
変えてくれっ!
京太郎「(誰でもいい……!)」
神でも……!
魔でも!
ギィッ……
京太郎「……?」
それは不思議な感覚だった
?「……へぇ」
そいつが部屋に入った瞬間――
俺の世界はガラリと変わった
?「……」
/::,ィア::::.. /} 廴
ノイ/:::/:::::/:::::::::/ / / / ハ :j
/ ハ:::::::/::::r/ / / ̄// ̄! i! :|
|/ | ./{::::::::::ヽノイへ ノ'_____| ノ: y :!
j/ イ}::::::/ ヾ::::L ー┴宀ソ/i :i!
ノ/  ̄ )' リ r―、 ::l
`iヾ辷ーァ / /刀 i :ノ
|::::::::::::__ / /ノノ ノ :/
l:::::::::::≠ミ=-,...__〟 レ'ー'/::从
|:::::::::{..___  ̄ 入__(:::::::::::i
';:::::::::ノ ,,イ / ∧入::::::l
}:::::/ ,,;;≦:::::{ / ヾ、:::|
jノ _ ―{:::::::::::::::::/ 从k
 ̄ ヽ:::::::::::/ --;;::: ̄ ̄ ::::{
_/-='' ̄ -―― 、::`ヽ、
i: /: ̄ ̄ ̄  ̄`ヽ:::ー -::}
|: /::::::::: ::\`V
____r‐'{::〈k=ニ二二二二`ヽ、 ::∨\
ィ斥:::::::―…¨::::::::::::::::::::........  ̄ :::\_}
その男――
神か、悪魔か
誰でもいい……!
このよどんだ空気、流れを!
変えてくれっ!
京太郎「(誰でもいい……!)」
神でも……!
魔でも!
ギィッ……
京太郎「……?」
それは不思議な感覚だった
?「……へぇ」
そいつが部屋に入った瞬間――
俺の世界はガラリと変わった
?「……」
/::,ィア::::.. /} 廴
ノイ/:::/:::::/:::::::::/ / / / ハ :j
/ ハ:::::::/::::r/ / / ̄// ̄! i! :|
|/ | ./{::::::::::ヽノイへ ノ'_____| ノ: y :!
j/ イ}::::::/ ヾ::::L ー┴宀ソ/i :i!
ノ/  ̄ )' リ r―、 ::l
`iヾ辷ーァ / /刀 i :ノ
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jノ _ ―{:::::::::::::::::/ 从k
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____r‐'{::〈k=ニ二二二二`ヽ、 ::∨\
ィ斥:::::::―…¨::::::::::::::::::::........  ̄ :::\_}
その男――
神か、悪魔か
53: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 22:46:35.60 ID:gMIcwShDo
その男はまるで幽鬼のようにふらりと現れた
店内にいる、他の一般客とはまるで違う空気
歳は十代後半から二十代前半と言ったところか
見た目に関してはなんてことはない、どこにでもいそうな男
だが、それなのに俺は――
その男の眼差し――一挙手一投足に、目を奪われた
?「クク……」ツカツカ
歩いてくる
対局中のどの卓にも目もくれず、ただまっすぐ俺達の元へ
京太郎「(一体誰なんだ、あの人――?)」
染谷先輩の知り合いか?
それとも部長の?
頭の中をぐるぐると、色んなことが巡り回る
しかし、誰もその人を見ようとしない
こんなに近づいてきているというのに、誰も意識を向けようとしない
京太郎「……?」
?「……」ドサッ
ア 非 ヽ
ム" ハ
/ " " ".ハ
/ " " " " |
}イ " "/ /ヽ " " |
|イ /1/レイ/_ XA |
|.|/ }∧ ー゚'’ ii ー゚ ”}沙
ハ || /}::::ヾ、
r/:∧ ー仆一 / |:::::::}:::> .
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〈::::::::::::::::::::::::::/ r千:/::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::/
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.ノ::::::::::::::::/:} } ./ / /;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::}:::::::::|
男は何も言わず、俺の後ろの椅子に座る
どうやら、俺の配牌を見ているようだ
京太郎「??」ガバッ
振り向くと目線が合う
男は何も表情を浮かべず、ただこちらを見ているだけ
一体――何が目当てなんだ?
久「……須賀君?」
京太郎「えっ?」
久「対局中によそ見しないで。それに、椅子なんか見てどうするの?」
京太郎「???」
椅子? いやいや、こんな見られてたら集中できないでしょ普通!
57: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 23:00:01.64 ID:gMIcwShDo
まこ「少し、疲れとるんじゃろ」
優希「こんなに京太郎と打つのは初めてだじょ……」
京太郎「……?」
もしかして、みんな後ろの奴に気づいてないのか?
こんな人に見られながら打つ俺の身にもなって欲しいんだが……
久「そうね、今思えば須賀君と打つのなんて……どれくらいぶりかしら?」
まこ「……」
京太郎「……」
だが、いいところもあった
あの張り詰めた空気が少しだけ緩和されたような気がする
勝ちを確信しているのもあるのか、あきらかに勝負の熱が引いている
京太郎「(変わるかもしれない、流れが――!)」グッ
そうだ
まだ負けると決まったわけじゃない!
ここを凌いで、次の半荘から連続トップを取れば――
収支で一位になれば問題無い
まだ俺の点棒は――残ってる
?「……」
~~~~
そして、南四局の八巡目
とうとう、俺にもチャンスが来る
235p 123m 12399s 中中
ツモ中
京太郎「(きたっ!)」
5pを切って1p、4p待ちにする
高めの1pが出ればドラを絡めてハネ満まである
逆転トップも可能な手――
京太郎「……」ググッ
久「……」
まこ「……」
この時、京太郎にとっては生涯において初めての鬼気迫る戦いであった
それでも、その戦いの中で一番の決断を迫られたのはきっと――
京太郎「(2p切りか5p切りか……)」
この決断に他ならない
59: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 23:07:13.11 ID:gMIcwShDo
5p切りしたいのはヤマヤマだが、問題は久のリーチ
久の河にある現物は
西北2p3m1s5m9p6s
5pはどこかきな臭く感じる
一方で2pなら現物だし、安全だ
京太郎「(中のみだけの安手……それでも)」
しかたがない……
京太郎「(振ってしまえばそこで全て終わっちまう……無理はできねぇ)」
第一、テンパイにしておけば流局狙いもできる
一旦ここは凌いで、次のチャンスを――
京太郎「……」つ2p
悩む京太郎、しかし掴んだのは現物の2p
この時京太郎は既に、戦いにおいて最も重要な牙を抜かれていた
京太郎「(もう、これしか――)」スッ
いよいよ持って、その一打を放とうと腕を上げた
その時だった
?「死ねば助かるのに……」
京太郎「え?」
声がした
耳に心地よく残る、それでいてどこか不思議な冷たさを感じる声
振り返ると、先ほどの男が京太郎をじっと見つめていた
65: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 23:20:29.45 ID:gMIcwShDo
京太郎「……」
?「昔、そんなモノをよく知っていたような気がする」
男は遠い過去を思い返すようにそう呟くと、そのまま続ける
?「ただ……今気配が死んでいた」
京太郎「気配……?」
?「背中に勝とうという強さがない。ただ助かろうとしている」
京太郎「そんな、こと……」
そんなことない、と言い返しそうになって言葉が濁る
だって、本当にその通りだったから
?「お前はただ怯えている」ニヤッ
京太郎「(コイツ!)」ギリッ
なんなんだ急に、後ろから好き勝手言いやがって!!
お前に何が分かるんだ、ここで負けたら終わりなんだ!
負けてしまえば俺は――!!
京太郎「(無視だ、無視)」ブンブン
久「??」
まこ「……ついにおかしく、京太郎」ギリッ
優希「うぅっ……」グスッ
俺は俺のやり方でやる
そうじゃなきゃ、意味が無いだろ!!
京太郎「(だから俺は――!!)」つ2p プルプル
俺は……
京太郎「……」スッ
?「……」ジッ
66: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 23:23:50.19 ID:gMIcwShDo
京太郎「……ああ、そうだ」
?「……?」
京太郎「確かに俺は怯えてた。こんなんじゃ、いつまで立っても追いつけない」スッ
久「須賀君……?」
京太郎「(俺は今、戦ってるんだ。相手を倒すという、目的を持って!)」
なのに、闇が怖くてどうする?
相手が怖くてどうする?
足踏みしてるだけじゃ――
京太郎「(進まないっ!!)」つ5p
どうせ死ぬなら
強く打って……!!
/ , / / / / | | :. . :.
/ / / ' | | | | i| | .
イ ' /| /| l | | | | l| | |
// / | | { ' :. | | } | l| | {
' 〃 | | | | ト, : /| /| /| ' ∧|
/ / .' ,: ' Ⅵ |_'. | | | | l | ' }/ }/ : / .イ `\
{/ / / / / { | Ⅵ≧!、,| | 、 | _/ム斗七 /:. / }'
' ,イ / | { 从 | イ {::しメ∧ l Ⅵ イ {::し刈 `ヽ' ' }/
' / /イ Ⅵ :. Ⅵ Vzり \ 、 } / Vzり }/ /
/ | 从 | \ ∨/ , /
_∨∧ :. ` \ ,:_ノ> 、_
, <//////{/{{`∧ 、 / }}//////> 、
´//////////// l| ,∧ _ ∧ ||///////////>
/////////////从 { 、 _ ィ -vノ ' } /'/////////////
/////////////{/∧ l\ ー=≦__ , ´ /' / イ∧/////////////
/////////////|//∧ :. \ / / /'////}/////////////
京太郎「(死ねっ!)」ダァンッ!!!!
5p
久「!?」
まこ「!!?」
優希「!?!?」
京太郎「……」
久「……くっ」つツモ
京太郎「(通った……!)」
71: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 23:37:37.35 ID:gMIcwShDo
まこ「(ここで5pじゃと……?)」
その時
全くノーマークのまこが実はテンパっていた
まこの待ちは発と2p
もしも京太郎が2pで逃げていれば振り込んでいた運命のイタズラ
まこ「(惜しいのぅ……)」タンッ
優希「うぅー」タンッ
そして、その1巡を乗り越えた京太郎
そのたぐり寄せるツモは――
京太郎「……っ!?」つ中
引いたのは、四枚目の中
すかさず――京太郎は動く
京太郎「カンッ!」バララッ
久「え?」
そして京太郎が嶺上牌に手を伸ばす
久「(馬鹿、そんな苦し紛れで何が――)」
引き入れるのは、神か悪魔か
京太郎「(頼むっ……!!)」
引いたのは――
?「クク……」
京太郎「!! ツモ!!!」つ1p
久「嘘っ!?」
まこ「なっ!?」
優希「!?」
京太郎「新ドラは――」カチャッ
8s
たぐり寄せる、勝利への波
京太郎「三色同順、中、嶺上開花、門前にドラ3だから、えーっと?」
まこ「倍満じゃ」
京太郎「ば、倍満……?」
久「この半荘は……須賀君のトップね」
京太郎「!?」ガタッ
勝負の振り子はゆっくり――
京太郎へと触れ始めた
75: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 23:46:08.48 ID:gMIcwShDo
京太郎「俺が……トップ?」ヘナヘナ
この三人を相手にトップ
未だ四回目の半荘でようやく、一位を取れた
生き延びた――
死なずに済んだのだ
久「少し休憩しましょ」
まこ「あ、ああ……そうじゃな」
優希「……」
ガタッ スタスタスタ
それぞれ思うところがあったのが、一度席を立つ三人
一方で京太郎は、自分を勝利へと導いた男の存在が気になっていた
京太郎「……あの?」
?「……」
先ほどから微動だにせず、京太郎を見つめる男
京太郎は少しばかり恐れを感じながらも尋ねる
京太郎「アナタは一体……?」
それは純粋な感謝の気持ちからなのか、好奇心からなのかは分からない
ただ京太郎は知りたかった
目の前の男の、底知れぬ気迫
その正体を――
?「……赤木」
京太郎「え?」
アカギ「赤木しげる……」
/ , _ ヽ
l. / `/. ,y-ー.'ア´ / /ヽ l
l. l /´/ /_,.ィ´ _. -'/ ,/ ::ヽ 、 l,
l. l i,/ /ー ' ´ ^/ ,/ ::::'、 l::i |, i! iヽ ヽ、 l,
l │ | / / ヽ``く '"´、 、 ::::! .i::'、 !i ,l ! . l'、 l ヽ ! ヽ l
l | ヾ / `<う\ヽゝ ::::! l ::l ,| ! | l l l l '、. | l l
. l ヽ┤/ `ー ',..::: ,..-lノ-:;l,|-:l,l .l l l ! i, l l i
l / ''| ''''''" :::: ,∠ッァ-ー一, /i! l l ! ,! l ! !
ヽl / .:l ::: l::`ー゙'''''"´´/ l,! l,' | |
V .:::| :: l:: ::/ ' ´ !i
ヽ ::::l :: l::. ..:/ '
... ヽ .::::| , 、 : !:::. ..::/
::::...ヽ .::::::| ヽ、 rヽ i:::::::::, '
.. .:::::::.. ヽ:::.:| ` ー- ..._ __`、. l:::/
:.:::::::... ヽi ヽ !'
::::::::::::.... ヽ ー- 、...... /
::::::::::::::::.. \ :::::::: /ヽ
: ::::::::::::::::: ,.イ>. /:::::::.. ヽ
:.. ::::::::::.: ./ l /:::::::::::::::.... ヽ
::..:. :::::.::. / ,' /::::::::::::::::::::::::::. . ヽ
| ::::.:. :::: / ,' ー 'ヽ::::::::::::::::::::::::: : : : ヽ
| :::::::.. ノ ,i 入:::::::::::::::: : : ヽ
! / < '、::::::::::: : /:|
|/ \、 i、:::::: /::::.l
`´ ::: ::::::::l
83: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/05(月) 23:58:39.30 ID:gMIcwShDo
京太郎「あ、赤木しげる?」
アカギ「……」
何を馬鹿な、と京太郎は思った
なぜならその名は、つい最近聞いたばかりの名だったからだ
それも死人
数十年前に死んだ……神域の男
その伝説の名前
京太郎「あの、冗談じゃなくて真面目に答えてください」
アカギ「冗談に聞こえるか?」
京太郎「いや、だって。その名前は――!」
アカギ「まぁいいさ。別に名前なんか」
京太郎「え?」
アカギ「好きに呼べばいい。萩原でも聖人でも。そんなもんに価値はねぇ」
京太郎「は、はぁ……でも一応、アカギさんって呼びます」
アカギ「……そうか、好きにすればいい」ゴソゴソ
そう言って男はどこからか取り出したタバコに火をつける
どうやら20歳以上のようだ
京太郎「それでアカギさん。アナタは何者なんですか?」
アカギ「……知りたいか?」
京太郎「そりゃ、まぁ」
アカギ「フフ……だがな、それは無理な相談だ」
京太郎「……え?」
アカギ「記憶がねぇーんだ。さっき目覚めてから、ここに来る以前の記憶が」
京太郎「ええっ!? それってまずいんじゃ!?」アセアセ
記憶喪失だって!?
それなら早く病院に行くべきだ!
京太郎「じゃ、じゃあ救急車呼びます!」ピッペップッ
アカギ「ハハハ……ばかだなおまえ。まだ気づかないのか?」
京太郎「へっ?」
スクッ
アカギ「フフ……オレはな」スゥーッ
京太郎「!?!?」ビクッ
アカギ「もう、死んでんだ」ククク
京太郎「ぎゃああああああああっ!?!?」ドンガラガッシャァァン!
ざわっ……
ざわっ……
84: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/06(火) 00:11:21.16 ID:cBr7aM1eo
タッタッタ!
まこ「どうしたんじゃ!?」
京太郎「ゆ、ゆっ、幽霊が!?」ビクビク
まこ「はぁ!? 何を寝ぼけとるんじゃ?」
京太郎「だ、だってそこに、ほらっ!」ユビサシ
アカギ「フフ……」
まこ「……? なんもおらんぞ」
京太郎「へっ? 見えないんですか?」
久「……須賀君、もしかして私達の動揺を誘ってるの?」
京太郎「い、いや! そういうわけじゃ!」
優希「でも……対局中にもブツブツなにか言ってたじょ」ジトッ
うっ、そう言われるとそうなっちゃうのか?
いやでも! だって俺には普通に見えてるわけで!
アカギ「まぁ、諦めな。どうやらオレはお前にしか見えないらしい」
京太郎「そ、そんな……」
アカギ「……」
いきなり目の前に幽霊が現れて、俺にしか見えない?
そんなオカルトがありえるのか?
京太郎「(でも、確かにアカギさんは目の前にいる)」ゴシゴシ
声だって聞こえるし、今もこうして話している
決して妄想や幻覚なんかじゃない
俺にはハッキリ分かる
京太郎「(この人はいま、ここにいる!)」
そして……さっきは俺のピンチを助けてくれた
そこに変わりはないし、幽霊だろうと恩人だ
京太郎「すいません、ちょっと疲れてたみたいです」
久「そう。残り半荘二回。頑張ってね」
まこ「ゆっくり休むとええ」
京太郎「はい」ペコッ
ゾロゾロゾロ
京太郎「……」
アカギ「へぇ、もう怖がるのはやめたのか?」
京太郎「はい。幽霊でも、アカギさんはいい人そうですし」
アカギ「フフ……的が外れてやがる。俺はそんなんじゃねぇ」ドサッ
京太郎「じゃあ……どうして?」
アカギ「……」
京太郎「どうして、俺を助けてくれたんですか?」
87: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/06(火) 00:27:53.68 ID:cBr7aM1eo
アカギ「ま……気まぐれって奴だ」
京太郎「え?」
アカギ「別にいいだろ、どんな理由だろうと」
京太郎「でも、気になりますよ」
アカギ「……人のこと気にかけてる余裕があるのか?」
京太郎「……?」
アカギ「クク……もうすぐ始まるんだろ、続き」
ガヤガヤ
まこ「そろそろ再開じゃぞ」
久「もういい?」
京太郎「あ、はいっ!」
アカギ「……」
京太郎「あの、俺もう戻りますけど……アカギさんはどうします?」
アカギ「さあな」
京太郎「もしよければ、まだそこに居てくれませんか?」
アカギ「フフ……幽霊に居て欲しいなんて、おかしな奴だなおまえ」
京太郎「見ていて欲しいんです」
アカギ「……?」
京太郎「俺……もう死にませんから」
アカギ「ふーん。ま、やってみな」
京太郎「じゃあ、また後で」タタッ
アカギ「……」
久「それじゃあ、再開するわよ」
優希「さっきみたいなまぐれはもう無いじぇ」
まこ「……(何かが違う、京太郎……一体何をしたんじゃ?)」
京太郎「さぁ……やりましょう」
のちに――
麻雀界を震撼せしめる須賀京太郎
これがそのはじまり
アカギ「……」
赤木しげるを名乗る幽霊と、一人の平凡な少年
この二人が交差する時――
京太郎「フフ……」
物語は、大きく動く
つ づ く
132: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 11:56:17.16 ID:pif1xvFeo
【都内 某所】
?「馬鹿もん!!」
ダンッ
ひろゆき「っ!? アイタタ……あまり大声出さないでください」キンキン
井川ひろゆきが京太郎と遭遇した翌日
彼は、とある旧知の麻雀プロのもとを訪ねていた
ひろゆき「謝りますから、ね? 許してください大沼さん」ペコリ
秋一郎「……」
大沼秋一郎、プロのシニアリーグで活躍する麻雀プロ
堅実な防御と、”火薬”の異名を持つ彼はプロでも指折りの強者である
かつては、あの【伝説】ともあいまみえたこともある
この日本で、あの男の名をよく知る人物の一人なのだ
秋一郎「全く、人と約束しておいて昨日は飲み歩いとったのか?」
ひろゆき「すみません、一昨日大きな勝負に勝って……それで」ズキズキ
秋一郎「それでまた【アイツ】の墓に行っておったのか?」
ひろゆき「ええ、まぁ」ポリポリ
ひろゆきは、裏での麻雀勝負に勝つと毎度のようにあの墓を訪れる
それは、報告の意味も兼ねて……あの人にどれだけ近づけたか確認する為
秋一郎「……はぁ。それはいいとしても、あの女を飲みに誘うことは無いじゃろ?」
ひろゆき「たまたま入った居酒屋で会っただけですよ。俺も酔ってましたし、つい流れで」
というより、見つかった途端に向こうから走り寄ってきたのだ
すかさずガッチリ捕まり、ずるずると同席になってしまった
正直、なんと迷惑な話だろうか
あれで可愛くなければ、流石のひろゆきでもブチギレるだろう
秋一郎「その気が無いのに……期待させるのはやめておけ」ハァ
ひろゆき「いや、別に無いというわけでも。ただ若すぎますね」
秋一郎「抜かせ。お前も酒を飲めばやんちゃになるだろうに」
ひろゆき「あ、あはは……治そうとは思ってるんですけど」
そう、ひろゆきは普段こそ物腰の柔らかい男だが、酒を飲むと少し変わる
口調が荒くなり、45歳のおっさんそのものとなってしまう
歳は取りたくないものだと、常々思う
ひろゆき「……」
秋一郎「それより……【あの話】考えてくれたか?」
ひろゆき「……大沼のじっさん、前にも言いましたけど」
秋一郎「お前も知ってるじゃろうが、今の男子プロは弱い」バッサリ
ひろゆき「じっさんがいるじゃないですか?」
秋一郎「もうすぐくたばる老いぼれに、何が出来ようか」
ひろゆき「……じっさん」
133: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 12:13:49.28 ID:pif1xvFeo
ひろゆき「前にも言いましたけど、プロなんて興味ありませんから」
秋一郎「……」
ひろゆきが頑なに拒む麻雀プロリーグ
それにはちゃんとした理由があった
ひろゆき「大沼さんも知ってるでしょう? 男の強いのは”裏”にいるって」
そうだ、この世界での男雀士の大半が裏の世界で生きている
組の代打ちとして、勝負師として、あるいは政治家として
生きるか死ぬかのギャンブルの炎に身を焼かれながら今を生きる
そうした無頼こそが強者
ひろゆき「じっさんには悪いですけど、おままごとじゃ俺は満足できません」
ひろゆきの目的はあくまで【あの人】に近づくこと
あの人を越えること
それなのに、命のやり取りの無いプロで戦うなんて
とてもじゃないが納得できることではなかった
秋一郎「……そうじゃな。麻雀がメジャーになってから、どこかおかしくなtっちまった」
昔はこうじゃなかった
実力のある者が、しのぎをかけて戦う場であったプロリーグ
裏では組が糸を引き、麻雀賭博が横行していた ※サッカー賭博のようなもの
秋一郎「しかし今じゃ、アイドルを作り出す場じゃ」
ひろゆき「可愛くて、カッコイイそこそこを打たせておけば人気が出ますから」
会場の入場費、グッズ販売
それだけで、賭博以上の安定した収支が得られるのだ
今やヤクザが警察に押さえつけられていることもあり、
麻雀社会は大きく変動を遂げていった
ひろゆき「最も、激戦区の女子はなかなかイイ線行ってると思います」
秋一郎「じゃろうな、あやつらは本当に強いぞ」
そういったスジに進まない女子は、純粋にプロを目指す
自然に集うのは本物の強者
男子のエセプロとは大きく違った、本物の打ち手
ひろゆき「それでも、俺から言わせれば綺麗な麻雀ですけど」
超能力頼みの闘牌など、ひろゆきにしてみればお笑いだ
そんな次元では無いのだ
あの男の闘牌は、生き方は!!
秋一郎「……アカギ、か」
ひろゆき「っ!!」
秋一郎「なぁひろゆき。お前も近々50になり、生前のアイツに追いつくじゃろ」
ひろゆき「……」
秋一郎「そろそろ、潮時じゃないのか?」
134: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 12:28:07.79 ID:pif1xvFeo
秋一郎「お前が強いのは知っておる。だからこうして誘う」
ひろゆき「……」
秋一郎「そして何より、【あの男】の強さもよぉく知っておる」
ひろゆき「……」
秋一郎「届かんよ、お前じゃ」
それは、ひろゆきが今までずっと貯め続けてきた想い
秋一郎「お前とアカギでは……」
ひろゆき「やめてください」
秋一郎「住む世界が、違う」
ひろゆき「っ!」グッ
そんなことは言われなくても分かっている
だが、ひろゆきはそれでもできるだけ近づきたいのだ
【熱い三流】でいたいのだ
あの人を越えることができず、死を迎えるとしても
ひろゆき「もし、これを辞めたら……その時が、本当の俺の死ですから」
秋一郎「……」
ひろゆき「……それでは、失礼します」ペコリ
秋一郎「ひろゆき、一つ聞かせてくれ」
ひろゆき「……」
秋一郎「お前、アカギの墓で何を見た?」
ひろゆき「……」
秋一郎「気づかんと思うか? ひろゆき、正直に答えろ」
ひろゆき「……アカギさんを見ました」
秋一郎「!?」
ひろゆき「とは言っても、見た目は十代から二十代の若い姿でしたけど」
秋一郎「なっ……お前、飲んでおったのか?」
ひろゆき「ええ。でも、あれは見間違いなんかじゃない」
確信があった
あれは間違いなくアカギ
赤木しげるなのだ
ひろゆき「俺、見てしまったんです」グッ
絶対に認めたくない
でも――分かってしまう
ひろゆき「赤木さんが、後継者を選ぶのを」
秋一郎「なっ……!?」
ひろゆき「今度の【大会】……きっと、面白くなりますよ」
ガチャッ バタン
秋一郎「アカギの……後継者?」
果たして、それはひろゆきの思い過ごしか……それとも
第二話
~~アカギ~~
135: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 12:56:38.39 ID:pif1xvFeo
~~アカギ~~
【Roof-top】
久「……」
まこ「……」
優希「……」
須賀京太郎15歳――
京太郎「……」
この日の京太郎は、半年前に役を覚えたっきりで
スジの読み方も知らない、ど素人レベルだったという
京太郎「お願いします」タン
しかし実践の中で京太郎は少しずつ麻雀を理解していた
この四回の半荘で雌雄が決しなかったことが幸いし
京太郎は今、恐るべきスピードで上達を見せていた
久「ツモッ!」バラバラ
京太郎「……」
結局、五回戦目……京太郎の東場はマイナス7千2百
振込もしないが和了りもない
平凡な内容
のちに天才といわれるその才気の片鱗はまだみえない
久「(結局さっきのはただのまぐれってことね)」
まこ「(……)」
優希「じぇ……」
既に優希は精神的に追い詰められ、挙句の長期戦で疲弊している
本来の実力の半分以下も出しきれず、ただ牌を切るだけの人形と化している
つまり、この局面での敵は久とまこ
まだ躊躇のあるまこはともかく、確実に仕留めに来ている久こそ
今回京太郎が倒すべき相手となる
久「(このレベルなら、簡単に打ち取れる)」ニヤリ
さしもの久も京太郎の成長には驚いていた
しかし、対策の取れないレベルではない
全国を経験した久に取って、この程度の雀士は腐るほど見てきたのだから
久「(ごめんなさい須賀君。でも、私はみんなの為に……)」
さらに、まこや優希と違い京太郎を引き止めることに躊躇がない
既に久の頭の中には、京太郎をマネージャーとすることしかなかった
まこ「……京太郎」
優希「……」
まこも優希もその結果を悟っている
だからこそ、戦う気力が起きない
これ以上死体蹴りをして何になるというのか?
そういう諦めが二人にはあった
アカギ「……」
しかし、この男だけは違う
136: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 13:08:00.41 ID:pif1xvFeo
京太郎「……」
アカギ「フフ……」
勝つのは確実に目の前の男
須賀京太郎であると、確信していた
久「須賀君。もう諦めた方がいいわ」
京太郎「まだ……次がありますよ」
久「……そう。あくまで諦めないつもりなのね」
既に大差が開き、役満でも連発しない限り京太郎の勝ちは無い
なのにこの自信
久が苛立つのも無理は無かった
久「(どうしてこう、私の言うことが聞けないの?)」イライラ
久からしてみれば、飼い犬に手を噛まれるような気持ち
京太郎のことは可哀想だとは思う
だが、自分たちだってそれなりに彼のことを気遣ってきていたのだ
京太郎もそれなりにいい思いをしているし、自分だって優しく接してきた
久「……」
自分がいなくなった後、麻雀部が瓦解するのは避けなければいけない
京太郎はその要なのだ
雀力がなくても役に立てる
それだというのに、何が不満なのか?
こういう役に立つ方法もあるとなぜ認めないのか?
久「……っ」
次第に久は冷静さを失っていく
理不尽な怒りに、苛立ちを募らせていくばかりだ
京太郎「さぁ、早く打ちましょう。部長」ニッコリ
久「……ええ、そうね」
この男をねじ伏せたい
久はいつの間にか、その心を深く堕としていった……
137: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 13:19:56.20 ID:pif1xvFeo
そして事が起きたのは南二局――
京太郎「……」
白白発発中中西 89p 2357m
大三元の種、その対子がみっつ……!
まさに勝負手、大逆転へのその第一歩
アカギ「……」
麻雀を始めたての者でも分かる
これをモノにしなければ、逆転の道は存在しない
まこ「……」つ中
そして、ついに飛び出る一枚目の中
京太郎「……」スッ
しかし京太郎、なんとこれをスルー
常人では考えられないほどの愚行
優希「……」つ白
一枚目の白
久「……」発
さらに発すらも……
まこ「……ちっ」つ中
そして飛び出す、最後の中
だがこれも同じように、京太郎は……
京太郎「……」
黙って見送る
この局面でなぜ?
どうして?
理解できるものなど、この場にはいない
ただある人物
アカギ「クク……」
この一人を除いては
京太郎「……」
白白発発中中西 88p 2355m
結局、あれだけの手が七対子どまり……!
未来など何も無い
掴んだのは絶望の袖
逆転など、起こりえないように思われた
138: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 13:30:13.63 ID:pif1xvFeo
所詮初心者のままなのか
彼をよく知るものほど、こう思うだろう
だがそれは違う
京太郎は感じ取っていた
逆転への布石
その準備は既に、京太郎の中で整っていた
久「……じゃあ次は」スッ
山も減り、残りわずかというところで事件は起きた
ガチャッ カランカラーン
久「!?」
-≦.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:丶、
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
/.:.:.:.:.:.:/.:.:.:i.:.:.:.!:.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:.:.:.ハ
/.:.:.:.:.:.:.:.:.!:.:.:.::!:i:.∧:ト、:.:.:.:ハ:.:.:!:.:.:.:.l
/.:.:.:.:.:.:.:.:斗-ミ:.i:.i{:.::.ナナメ、.:.:}:.:!.:.:.:.:|
/ イ:.:!.:.:ト(∨}八トⅥ'´V l仆.:i :.:.:.:|
i:八:.:lx=ミ x==ミ 八.:i、:.:.:|
l.:.:个ト::::::. , .::::::. /〃:ハ:.:.:|
|/レ从 __ 厶イ 丿ハl
|人 ∨__ノ ィ´ ̄.:/′
__n> __,. |人ト/
//^>、_.」 h___
l /〉}j 八:i:i廴__
r≦| /:i|-、 -/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:≧x
∧i从___八:| ̄ ̄/:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i/:i∧》
/ヾ Ⅵ:i:i:i:/:i:i:i| ./:i:i:i:i:i:i:i:i:/:i/ ヾ
咲「あっ、みんなここにいたんだ!」
久「さ、咲……!?」ビクッ
まこ「っ!?」
優希「……」
京太郎「……」
咲「あれ、京ちゃんと打ってるんですか?」
久「え、えっと。その……そうよ。たまにはいいでしょ?」
焦る久
それも無理はない
咲は何も知らないのだ
もし、こんなことが咲にバレれば、間違いなく大会を辞退する
それだけは避けなければならない
絶対に……
139: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 13:45:03.44 ID:pif1xvFeo
まこ「さ、咲こそどうしたんじゃ? 今日は休むって聞いちょっとが」
咲「はい。また校長先生達に呼ばれて、和ちゃんと記者の取材を」
久「よかったわね。なにせ、アナタ達は長野の希望だから」アハハ
咲「も、もう部長! やめてください!」アセアセ
慌てる咲に、久たちは咄嗟に思案を巡らせる
咲は何も知らない
京太郎が迫害にあっていることすら、咲は知らないのだ
というのは、教師達も狂信的な生徒達も咲の前では大人しいからだ
媚を売り、ゴマをすり……下手に出てやり過ごす
今までそんな経験の無い咲は図らずも有頂天になる
姉との和解も済ませ、チヤホヤされる毎日
今までに経験したことの無い心地よさが咲の目を曇らせる
'. : :.'. : : :.'._」 i -‐i‐‐|: :|: {_____i:.i__i: :i i: : ハ: : : :ハ: {__i:}
∧:_:_:!>''"! l !_ . ハ_」_i:.|ハ: : : : : |. :{´i ̄:.「~¨`ヽ: : : :.}: : :.:`ヽ|
/ .!. : : :!; <{: | i:.| |: : : : : |: : 八: : | |: : ハ: : : ': : : : : :.:|
. / { . :´: :! xく:|ヽ! iヘ:「ヽ! 八: : : :.:|ヽ:「 \| |:.:/ |: :./ : : :': : : .|
/ , .∧ : : : i: :|ヽ| ,」⊥jL ヽ \: :.|ヽァテ¬=ミ、 |ハ'. : :./. : : : |
,'. :イイ: : : :. : : {ヽ|,.ァ7'"⌒ヽ`ヽ ヽ| ん'.:::::::ハ`Y /: : :/ : : : : :|
,''´ | |: : : ∧: :Y 〃 ん'.::::::::ハ { {::::::::::::i:} }}': :/ヘ: : : : : :.|
{ |: : : : : \! {{ { {:::::::::::i::} Vヽ.__,ノリ ノ/|/ } : : :.∧|
|: : : : : : ! \ .Vゝ--' ノ ゝ--- ' /. : :./ ノ
|: : /{: :八 个 > '~´ , :.:.::::: ; /.: : :/
|: / ヽ: :.:iヽハ ::.:.:: /_,ノィ: :/
|/ \| ゝ:. 、ー― ァ /: :./ ノ:/
}ヘ、  ̄ .イイ/ /
|: />. . .イ:./ ノ′
{/ ヽ{≧ト .. __ . ´ |/
ヽi |_
,| ノ.::\
/.:| /.:::::::::::\
咲「えへへ、でも本当に毎日が慌ただしくて」ニコニコ
京太郎「……」
大事な幼馴染の苦悩など、何も知らずに
久「(まずい、このままじゃ……)」
折角追い詰めたのに、ここで勝負がうやむやになるのは望むところではない
まして、次に戦う時には京太郎は今よりも少しばかり手ごわくなっているだろう
何が起こるかは分からない
仕留めるのなら、今
久「……それより、続けてもいいかしら?」
まこ「え?」
優希「……」
京太郎「……ええ、いいですよ」
優希「京太郎?」
140: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 14:02:26.27 ID:pif1xvFeo
久「あともう少しで終わりだし、よければ咲も見ていけば?」
咲「わぁ、京ちゃんが打つのを見るの、久しぶりだね」ニコニコ
京太郎「そうか?」
機は熟す
当然だと言わんばかりに椅子に腰掛ける咲
京太郎は視線を向ける
そこにあの男の姿は無い
気が付けば、その男は――
アカギ「クク……これがお前の打ち方か?」
京太郎「……」
隣に立つその男は、京太郎の手牌を見て
静かに笑う
アカギ「……見たところ、真剣勝負だったようだが」
京太郎「……真剣勝負?」
何を馬鹿な、と京太郎は思う
元々この勝負は前提条件が成り立っていない
相手は三人とも結託し、京太郎を抑えようとしている
躊躇や戸惑いはあれど三対一の勝負なのだ
京太郎「俺は、機会があればいつかこうしようと思っていましたよ」ボソッ
つまり、元々まともな勝負ではなかったのだ
だからこそ――この一筋の希望に縋った
アカギ「フフ……」
アカギは笑った
無くしたはずの記憶の底で、くすぶるものがある
自分と真逆のような性格……そのハズなのに
根っこがどこか同じように思えるのだ
京太郎「さぁ、部長。再開しましょう」カチャッ
伏せた牌を起こす京太郎
それに釣られて、他のメンツも一斉に手を起こしていく
そして、なんら変わらない自分の手をゆっくりと眺める
そんな中、ただ一人だけ違う結末を迎える
咲「(えっ……? 嘘、でしょ……)」ゾクッ
七対子どまりのゴミ手が、今ゆっくりと――
白白白発発発中中中 888p 西
京太郎「勝負はこれからですよ」
恐るべき、変貌を遂げる
145: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 14:15:27.45 ID:pif1xvFeo
咲「(大三元四暗刻単騎待ち!?)」ゾクゾク
京太郎「次、誰だっけ?」
久「あ、えっと……私よ」タンッ
うまい流れ、京太郎の思惑通り
今三人は咲の存在に注意が行っている
そんな今麻雀を再開させれば、相手は動揺する
京太郎「……」タン
あれだけ大量に河から牌をすり替えているのだから、
ちょっと注意すればその異常に気づくハズ
気づかれてしまえば、ツモでの和了しか不可能になる
だからこそ、みんなの意識が戻らない今こそが絶好のチャンス
アカギ「(今は一種の思考停止状態……混迷の時)」
久「……」
早く終わらせたい焦りからか
それとも一線を超えた京太郎が引き寄せる悪運なのか
魅せられたように――吐き出してしまう
久「……」つ西
京太郎「ロン」バラッ
久「えっ……?」
京太郎の策にツキものった――!
京太郎「大三元、四暗刻単騎待ちです」
ざわ……
ざわ……
まこ「な、なんじゃと!?」ガタッ
優希「え? えっ、でもさっき……」キョトン
まこ「京太郎、そこまでして……!!」ギリッ
久「まこっ!!」
まこ「っ!?」チラッ
咲「うわぁー、京ちゃん凄いねっ!」パチパチ
京太郎「おう、サンキュ!」ニカッ
まこ「ぐっ……」
アカギ「(なるほど、ここまで計算ずくってわけだ)」
この河からのすり替えは、ただ和了ってもダメ
今のような状況でこそ、初めて通用する
それ以外は無効扱い
おそらくやり直しになっていただろう
京太郎「いやぁ……俺も悪運強いっすね」ハハハ
久「……須賀、君」ギリギリ
147: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 14:31:50.11 ID:pif1xvFeo
咲「京ちゃん、こんなの一生に一回あるかないかだよー」アハハ
京太郎「うるせー! 俺だってやればできんだよ!」
久「……」
咲の手前、ムキになって否定することもできない
あくまでこれは【遊び】なのだ
少なくとも咲の前では、そうあらなければならない
優希「??」
まさか京太郎がイカサマをしたなどとは思わない優希
まこ「……」
気づいていても、咲の手前発言できないまこ
そしてなにより悔しいのは――
久「須賀、君。やってくれるわね……」
咲が和了の立会人となった以上、反故にはできない
数の暴力で押し切ることも不可能
まこ「部長、いいのか?」
久「……いいも悪いも無いわ。やられた方がアホなのよ」
京太郎「……」
久「でもね須賀君。一度だけにしておきなさい」
京太郎「……さぁ、なんのことでしょう」
久「まだ私はね、穏便に済ませようと思ってるのよ」
ふつふつと湧き上がる怒りを押さえ込み、久は平静を装う
久「でもね、もしまた同じようなことをしたら……」
まこ「……」
久「無理やり、言うことをきかせることもできるのよ」ボソッ
京太郎「……」
アカギ「ふーん……そいつは大変だ」
引退寸前とはいえ、学生議会長
その気になれば――物騒な生徒を動かすことも可能だ
久「……何でもアリで困るのは、そっちだと思うけど」
京太郎「……よく覚えておきますよ」ブルブル
京太郎にも恐怖はある
もしここでしくじれば、京太郎は死を選ぶしかない
だが、それでも前を向いて進めるのはきっと――
京太郎「でも、勝つのは俺です」
アカギ「クク……」
隣にいる男のお陰なのか
それとも全く別の意思によるものか
京太郎「さぁ、続きです」
恐怖はある、恐れもある
しかし、この時既に京太郎の中にはもう――
京太郎「決着を付けましょう」
迷いは無かった
169: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 16:53:52.56 ID:pif1xvFeo
京太郎の起死回生の和了の後、久の提案でほんの少しの休憩時間が用意された
泣いても笑っても最後の半荘
あと一歩まで追いついた京太郎に対し、久はある対策を練ろうとしていた
久「……」
まこ「部長、なんで止めなかったんじゃ?」
久「まこ……」
まこ「わしは、京太郎のあんな姿は見とうなかった」ギリッ
染谷まこの知る須賀京太郎は……平凡で、素朴な打ち手
だがそれでも強くなろうとする愚直さ、真摯さをまこは評価していた
それはもはや、ただ一人の後輩に向けるものではなくきっと――
まこ「なんで、ここまで追い詰める必要があるんじゃ!」
一つの、好意だったのかもしれない
久「……まこ、黙って」
まこ「っ!?」
久「私はね。みんなの為を思ってるの」
京太郎に好意を寄せる咲や優希、まこが戦えなくなる
それだけは絶対に避けるべきこと
学校中が期待しているのだ
それだけではない、この街に住む人達……長野に住むほとんどの人が思っている
プロでも活躍が期待されている咲や和
その輝かしい未来を奪うわけにはいかない
例えその為に自分の想い人が苦しもうと……
久「私自身が、鬼になっても」
まこ「……」ブルブル
久「それにね、もう遅いのよ」クスッ
あるいは既に、久は壊れているのかもしれない
一人で背負うには余りある重圧
その期待に奔走され続けた少女の運命は――
久「須賀君はもう離さないわ。ずっと……ずっとね」ポロッポロッ
まこ「……まさか?」
久「えぇ……次で終わりよ。絶対に」 つ 携帯
既にねじ曲がってしまっているのだから
170: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 16:57:36.40 ID:pif1xvFeo
久とまこが話し合うその陰で、咲と優希が談笑している
もっとも、本当のことを打ち明けるわけにはいかないので
優希は現時点で、咲の見張り役にすぎないのである
優希「うぅ、京太郎のくせに……」
咲「優希ちゃん、次は頑張ってね」
優希「う、うん……」
そして一方の京太郎は、アカギとともに卓で再開を待っていた
椅子に座り、ただ時計の針の音に身を委ねながら
怯えているのだ
京太郎「……」ガタガタ
やってしまった
圧倒的な負けを取り返す為のイカサマ
部長達を本当に敵に回す、最低の行為
京太郎「(お、俺は……)」ガクガク
アカギ「フフ……おかしな奴だ」
京太郎「アカギさん……?」
アカギ「自分でイカサマやって、顔を赤くしたり青くしたり……」
京太郎「……」
アカギ「京太郎」
京太郎「は、はい」
アカギ「……あのおさげの女。何か特別なのか?」
京太郎「え?」
アカギの視線の先
まこと話し合う久が、何やら不敵な笑みを浮かべている
京太郎「特別も何も、強いですよ。全国大会でも大活躍で……」
アカギ「クク……ばか。俺が聞きたいのはそんなことじゃねぇよ」
京太郎「へっ?」
アカギ「俺の見立てじゃ、このまま行けばおまえの勝ちだ」
京太郎「!?」
アカギはさも当然だと言わんばかりに京太郎を見る
しかし、当然ながら京太郎はその言葉を信じることができない
171: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 17:01:07.57 ID:pif1xvFeo
アカギ「奴らは目が曇ってる」ククク
京太郎「そんな、こと……」
アカギ「あの女、お前に脅しをかけただろ?」
京太郎「!?」
アカギ「自信が無いのさ、心の奥底でどこかお前に負けるビジョンが見えている」ククク
京太郎「あの、部長が……?」
アカギ「所詮アイツは、多額の金や生命を賭けた勝負をしたことがない」
そんな中、一方的に圧力をかけて勝とうとする
ハンデを得て、優位になっていると勘違いしているのだ
そんな脅し、本当に追い詰められた者にはなんの逆境にもならないというのに
むしろ……闘志に火をつけるだけだ
アカギ「慢心した奴ほど脆いものはない。クク……ハダカの奴の麻雀は児戯に近いのさ」
京太郎「部長の……ハダカ?」モンモン
〃:::::::::::::::/::::〃::::‐ン:/ |│」 |ヽl゙¦::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::l
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アカギ「……」
京太郎「はっ!? いやいや、そういう意味じゃないってのは分かってます!」アセアセ
アカギ「フフ……お前も好きなんだな、そういうの」
京太郎「いえ、まぁ。人並みには」ポリポリ
アカギ「とにかく、残りの半荘でお前がトップになるのは間違いない」
京太郎「……」
アカギ「だが気になるのは、あのおさげの妙な自信」
まだ勝負は分からないというのに、絶対に勝てるという確信
負けるハズが無いという自信があの女にはある
アカギ「何か隠してるぜ、あの女……」
ざわ……
ざわ……
172: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 17:04:55.09 ID:pif1xvFeo
京太郎「……」
確かに久は強い
まこも優希も普段の京太郎ならまるで相手にならないだろう
だが、今は違う
完全に勝負の流れが京太郎に来ている
戦意を削がれた優希とまこを使ったとしても、久が逃げ切ることは容易ではない
アカギ「鬼が出るか蛇が出るか……ククク」
/: : : : : : : : : . : / :' ;: ミ |
. / : /: : :/ : : :彡/ . / . : : . .: ;' ミ }
/://: :/ 彡 : : : / 彡/ 彡: : :ミ 、 ; :; ミ
///: : / : : /. :__/. ::/ヽ: |\:; ミ ′
. / /.://: 彡// /:/: : ミト ;: 、 ミ /
/ / /:/./┬く:|/ヽ \|: :'_、 \ ミ/
| // {: :|: :ゞ<\ハ /.: ̄: ,: \ }\⌒V
l/ : :| : : : ≧く.:} / :.xくア二二ア | /.:}
Ⅵ: . . : :// ヾ :' ;: |_/.://
ヾ: : : : : :// ,: ;: __//
__ : : : : // .: :' /:-イ
/: : :.∧: : /厶イ__; / ハ
/: : / ̄ ̄ ̄}l__}l:_:') /} : : :.
. _ .. -/: : : / -―‐´┬\\.; .: :|" / : : l\
_ .. -‐. : : : : : : : : : : : / ______\;;>ヽ/.: :八/} : : |: :\
: : : : : : : : : : : /: : : : :/ ´ }l l \_ソ: : / : : : |: : : : :\
: : : : : : : : : : /: : : : :/ ー―― …ー 、_ソ: : : / : : : : |: : : : : : :\
: : : : : : : : : /: : : : :/ _. - ―┘: : /.: : : : :|: : : : : : : :
: : : : : : : : /: : : :_:/ Y´:ヽ/: : : : /: : : : : : :|: : : : : : : : :
: : : : : : : /: /: | . : / : : : : : : / : : : : : : |: : : : : : : :
ヽ:. : : _/: : :|. . : : :/ /: : : : : : : : :|: : : : : : : : :
アカギ「おそらく、今頃隠し玉を用意してるハズだ」
この、一見支離滅裂なアカギの予想だが……実は正解
京太郎「……」
京太郎はすぐに思い知ることになる
竹井久がどれほど自分に執着しているのか、そして――
久「えぇ、そうよ。すぐに来て欲しいの」
?『構わないが……本当にいいのか?』
久「勿論。それじゃあお願いね」
?『ああ、分かったよ』
どんな手段を用いても、自分を手に入れようとしていることに
久「待ってるわよ、靖子」
靖子『……構わないさ』
戦いは、いよいよ最後の半荘へともつれ込む
198: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 19:52:45.57 ID:pif1xvFeo
勝負再開――
京太郎「ではそろそろ」
久「……ええ、そうね」
まこ「……」
優希「……」
久の出した休憩の提案から十数分
ようやく、対局を再開することとなった
咲「京ちゃん、頑張ってねー」フリフリ
京太郎「……ああ」
アカギ「クク……」
京太郎の気がかりはアカギの言葉
久の隠し玉、その一つだけ
京太郎「(なんだか分からねーけど、今は普通に打つだけだ)」
流れは京太郎に来ている
ならば、隠し玉とやら届く前に差を開いておけばいい
京太郎「(負けられない)」タン
久「……」
東一局
京太郎の思惑通り、序盤を制したのは京太郎
まこ「……」タン
優希「……」タン
京太郎「……来た! ツモ!」タンッ
バラバラッ
久「……くっ」
いくら三人が慎重に打とうと、ツキは京太郎の味方
次々と有効牌を引き寄せて、ツモ和了してしまう
久「(勢いが完全に奪われた……このままじゃ)」
未だ五回の半荘で収支プラスとはいえ、このままでは暗雲立ち込める
三人で結託しようにも、優希やまこも既に戦意を失いつつあるのだから
久「ふぅ……困ったわね」パタン
八方塞がり
一度日を改めればまた違った結果だろうが、とにかく”今”勝たなくては意味が無い
久「正直、侮っていたわ須賀君」
頃合だと思ったのか、久が手を止め
突然口を開く
京太郎「どうしたんですか、突然?」
久「ねぇ須賀君。一つ提案があるの」
京太郎「……?」
199: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 19:56:11.86 ID:pif1xvFeo
ここに来て提案?
一体なんの?
京太郎「(落ち着け、どうせハッタリだ)」ドキドキ
ちらりと横のアカギを見る
しかし彼は、どこか遠くを見つめて――何やら嬉しそうな顔をしている
京太郎「(アカギさん……?)」
久「須賀君の実力は分かったし。あの事、考えてもいいなって思ってきたの」
京太郎「!?」
咲「??」
久「でも、例え須賀君が私に勝っても……その証明にならないと思わない?」
京太郎「なっ!?」
まさか約束を反故にする気なのか?
それも……まだ決着の着いていないこの段階で
久「だから、もう一つ条件を出していいかしら?」
京太郎「条件……?」
久「ええ、これから私が代打ちを立てる。その代打ちに勝てれば……」
京太郎「……」
なるほど、そういうことか
自分の負けを感じ取って、新たに自分に有利な状況を作り出そうとしているのだ
だが、そんなこと受ける必要はない
わざわざ不利な条件を受けるメリットなど、無いのだから
京太郎「受けると思いますか? このタイミングで」
久「ふふっ、そう言われると思ったわ。だから……」クスクス
咲「あの、部長。一体なんの話ですか?」キョトン
久「ああ、咲。咲は知らないのよね」クスクス
京太郎「!?」ガタッ
まさか、この女――!?
久「うふふ、どうしようかしらねー?」チラリ
京太郎「(俺と同じ手を……使ってきた!?)」ギリッ
そう
咲に【自分の現状】を知られたくないのは……京太郎も同じ
もし自分のせいで幼馴染が苛められ、虐げられていると知れば……
必ず咲は傷つき、自分を責めることになる
京太郎「……」ギリィッ
言わば、京太郎の良心に訴えかける脅し
条件を飲まないなら、全て打ち明けるぞという……久の玉砕覚悟の脅しなのだ
202: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 20:05:24.57 ID:pif1xvFeo
久「……」ジィーッ
アカギ「クク……この女、太いタマだな」
京太郎「……分かりました、部長」
こうなればもう受けるしかない
咲を傷つけることなく、穏便に済ますには……
久「あら、素敵。素直な須賀君が大好きよ」ペロッ
咲「???」
京太郎「……それで、誰が代打ちなんですか?」
咲か、和か
それとも全く知らない人間なのか
京太郎「誰でもいいです。俺が、勝ちますから」
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二,,,、、_z `、 ,,,/:::::ク::::://
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゙゙゙゙゙゙゙'''''''''''゙゙゙゙゙゙゙
久「……」ニヤリ
コツッ
?「誰でも……勝つ?」
ピシィィンンッ!
京太郎「!?」ガタッ
アカギ「……おでましだ」ニヤ
?「随分と、デカイ口を叩くんだな……少年」
久「待ってたわよ」ニッコリ
ざわ……
ざわ……
久「遅かったじゃない、靖子」クスクス
靖子「やれやれ」ドンッ
京太郎「藤田……プロ?」
アカギ「……」
204: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 20:08:22.53 ID:pif1xvFeo
咲「お久しぶりです!」
靖子「やぁ、全国では大活躍だったじゃないか」
咲「いえ、みんなのお陰で……//」アセアセ
オイ、フジタプロダゾ……
マジカヨ、スゲェナ!
ざわ……
ざわ……
京太郎「……やってくれますね、部長」
久「あら? なんのことかしら?」クスッ
そう、これは久の完璧な作戦
実力で遥か上の藤田靖子を戦わせ、尚且つ周囲の客の目をこちらに向けさせる
こうなった以上、京太郎はもうイカサマもできない
さらに、負けたことをごねることも許されない
つまり、衆人環視の中で京太郎を倒す
そうすることで、京太郎の心を折るつもりなのだ
久「(しかも須賀君……アナタは人の目に触れながら打つことに慣れていないハズ)」ニヤリ
ガヤガヤ ワイワイ
京太郎「ぐっ……」
まこ「よくやる……」ギリッ
優希「じぇ? じぇ?」キョトン
久「それじゃあ靖子。私と代わってくれる?」クスクス
靖子「ん? ああ、いいよ」ツカツカ
ドサッ
靖子「よろしく。名前は、えーっと……?」
京太郎「……須賀京太郎、です」
靖子「須賀君、か。分かった……」
ドクン ドクンッ……
京太郎「(怯むな、相手がプロでも……流れは今俺にあるんだ)」ドクン
アカギ「……」
ニイチャンガンバレヤー マケルンヤナイデー
フハハハハ マ、カテルワケナイケドナァ
久「さぁ、続けましょ」
京太郎「はい……」
靖子「お手柔らかにな」カチャッ
京太郎「……」ゴクッ
207: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 20:11:20.87 ID:pif1xvFeo
まだ初心者を抜けたばかりの須賀京太郎
対する相手は毎日のように修羅場をくぐり抜けてきた麻雀プロ
いくら流れが京太郎にあろうとも、それをひっくり返すだけの実力差
京太郎「……」
そうして迎えた東四局
圧倒的なツキを持って牌を引き入れる京太郎に対し
靖子「ポン」チャッ
京太郎「!?」
靖子「……チー」チャッ
ツモらなくても次々と有効牌を相手から拾う靖子
京太郎のように高い手ではなくても、安い手を確実に素早く作り上げる
靖子「ロン」
京太郎「……なっ!?」
まこ「(早いっ!?)」
優希「じょっ!?」
ざわ……
ざわ……
サスガプロダナ ナンテハヤインダ
京太郎「……」クッ
チャラッ
久「ふふっ……」ニヤリ
久の思惑通り、京太郎には成す術が無い
並みの運だけで越えることができない実力の差を、京太郎は痛感した
京太郎「(こんな相手に……勝てるのか?)」ゾクッ
靖子「……(脆いな)」フゥー
靖子は電話から京太郎の特徴を既に仕入れていた
戦い方は鳴きをせず、手牌で揃えようとする傾向があり
なるべく高い手を作ろうとする、初心者にありがちな打ち筋
靖子「(なら、こっちは安い手で早和了すればいい)」
既にリードしている勝負
無理に相手に付き合う必要など無い
こちらは逃げ切るだけでいいし、初心者の京太郎に靖子のスピードを越えることは不可能
つまり、どう足掻いても勝ち目などない
209: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 20:14:24.34 ID:pif1xvFeo
靖子「(どうせなら、少しばかりハンデを上げてやってもよかったか)」
ただでさえ初心者を倒すという、気乗りしない仕事だ
ましてリードをもらってからの引き継ぎなど……屈辱すら感じる
靖子「(すまないな須賀君。またいずれ……普通に打ちたいものだ)」
京太郎「うっ……あっ」ブルブル
目前に見えた勝利の希望
それが……一瞬にして霧散してしまった
京太郎「(くそっ、くそぉ……あと一歩だってのに!)」ギリッ
それなのに、どうしてこんなことに?
いくらイカサマしたとはいえ……こんなのはあんまりだ
咲「うわぁ、私も最初は全然対応出来なかったなー」クスクス
靖子「ふふ、今だってどうか分からないさ」ニヤリ
京太郎「(あの咲ですら……? なら、俺になんて絶対に無理なんじゃ……)」
怯え、恐怖
京太郎が意地で押さえ込んでいたものが……次第に鎌首をもたげてくる
久「さぁ、南局を始めましょう。泣いても笑っても最後の……ね」
京太郎「くっ……」ガクガク
勝てない
あの一局で、靖子と京太郎の格の違いがあきらかになった
もうひっくり返ったって、京太郎の勝ちは無いだろう
京太郎「……」ガクッ
完全な終わり
ゲームオーバーだ
京太郎「(もう……どうでもいい)」
全力は尽くした
卑怯な手も使って、自分にできることをなんでもやった
それでも届かなかった
勝てなかった
なら、もういいじゃないか
京太郎「(最後まで、男らしく戦ってやる!)」キッ
靖子「(こいつ、まだ目が死んでいない……?)」
京太郎「(どうせ死ぬんだ。だったら、最後に大暴れしてやる!)」
もはや、覚悟は決まっている
この勝負を受けた時から、ずっとずっと考えていたこと
身の破滅
ギャンブルの炎に身を焼かれて死ぬこと
アカギ「……」ジッ
京太郎「さぁ、続けましょう」
だから俺は――まだ戦う
戦うことを諦めたら――心まで、死んでしまうから
210: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 20:15:57.84 ID:pif1xvFeo
アカギ「待て、京太郎」
-z_  ̄` < _
/ ニ- >x
z--- _ヽ
l l l l ヾ丶\ ヾ
j i:.ヽ ヽヽ ヽ
_ i|.i / /: : :.Vヽヽヾ .\ ヘ
/r- Y /.// -=、 Vi ヘ ヽ 、ハヽ ∧
7 i,-- 7 ./イ: : :.r、 \、i V',ヘ V ヘ ヽ∧
.| L-.7 /: : : : : :ヽ``ヽ、ヽY /V',ヽ.ヘ ヽ:i
..! ∨7 ./: : : : .' ヽ、_ゞ× イ V! ',.i ヾ
八 T .イ: : : : ' .: : :''ヘ リ リ
テi/: : : : ' .: : : : ''ヘ
y':∧ : : : : _ '-__: :''ヘ
.イ: : ::∧: : : : . `ヽ、_ ヽ `ヽ-'
: : : : : : ヘ: : : :. ...... ヽ─'
: : ' ヽ: : : ヘ: : : :. t‐---'
ヽ、 : : : :ヽ ∨
///>x : : :.ヽ ',
//////j\ : : ヽ ,
////////j\ / \_j
//////////j\i>x
京太郎「えっ?」
しかし、ここで京太郎を制止する声
そう……アカギである
アカギ「フフ……このままやろうって考えてんだろ?」
京太郎「……」コク
周りの目もあるため、声には出さずに頷く京太郎
それに対し、アカギは首を振りながら続ける
アカギ「ダメだな。話になんねーよ」
京太郎「っ!!」ギリッ
アカギ「奴はお前の二枚も三枚も上、レベルが違う打ち手」
京太郎「……」コク
アカギ「京太郎……代わろうか?」
京太郎「なっ!?」ガタッ
一同「!?」
京太郎「っ……」
アカギ「フフ……どうする?」
ざわ……
ざわ……
211: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 20:16:54.63 ID:pif1xvFeo
京太郎「(ふざけるな、どうしてこの局面で!!)」ギリッ
自分の運命を賭けた戦いを、変われ?
何を寝言言っている?
どこの誰かも分からない相手に、どうして身を委ねることが出来ようか?
京太郎「……」フリフリ
勿論答えはNO
この時京太郎、以外に頑固
アカギ「あらら……」
当のアカギは少しだけ残念そうに肩を竦める
本気だったのか、冗談だったのか
どちらにせよ、京太郎に乗る気は無い
アカギ「……ぎりぎりもいいとこじゃない。強がってる場合か?」
京太郎「……」
確かにアカギの言う通り、強がる場合ではない
だが、かといってこのアカギを信用してもいいものか
京太郎「(だけど、もしこいつが本当に赤木しげるの幽霊なら……)」
京太郎の脳裏に浮かぶのは、あの伝説
もし……もしもポケットの中にある墓の欠片がこの男を呼び寄せたなら
あるいは――きっと
京太郎「……」
決断は二つに一つ
自分で打って確実に負けるか、この男を信じて破滅するか
どっちでも結果は同じ
なら、選ぶ道は一つ
京太郎「……(自分で打つ!)」キッ
アカギ「……」
そうだ
信じるのは自分の力のみ
そう墓の前で宣言したじゃないか
213: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 20:19:31.03 ID:pif1xvFeo
京太郎「(だから、例えアカギさんが本物でも……)」
アカギ「聞き分けのねぇガキ。うんと言わすには……もう……実力行使しかねぇか」ボソッ
京太郎「!?」
アカギ「クク……京太郎。俺は今、こいつらの牌をのぞき放題だ」
京太郎「!?」
アカギ「もしお前が言うことを聞かないってんなら……それを読み上げてやってもいい」
京太郎「……!?」
それはつまり、相手の手牌を教えてくれるということ
そんなのもはや、イカサマでもなんでもない
ただのインチキ
麻雀ですら無い戦いとなる
京太郎「っ!!」ギリッ
アカギ「……俺はお前を勝たせる。何をしてもな」ククク
京太郎「……」
アカギ「もう一度聞く。代わろうか?」
アカギの脅迫
それは卑怯者になるかどうかの瀬戸際
常人なら、身の破滅を戦いを賭けたギャンブルでこう言われたら喜んで頼むだろう
だがしかし、京太郎の答えは一瞬で決まる
京太郎「……」コクッ
答えはYES
京太郎に取って、死よりも辛いもの
それは――
京太郎「(プライドを捨ててまで、勝とうとは思わない)」
どうせ死ぬなら、今まで生きてきた須賀京太郎として死ぬ
それが須賀京太郎の決意
色褪せることの無い、悲願なのだ
アカギ「クク……それでいい」スタスタ
京太郎「(相手も代打ちを立てたんだ。こっちだって、少しくらいいいさ)」
とは言っても、向こうは正真正銘のプロ
こちらは自称赤木しげるの幽霊
どちらが優勢かなど、一目瞭然だ
アカギ「俺は牌を掴めないんでね。言った牌を切ってくれればいい」
京太郎「……」コクッ
この時の京太郎はアカギを信じることしか出来なかった
だがそれと同時に、不思議な安心感も感じていた
京太郎「(この人なら、なんとかしてくれるかもしれない)」ギュッ
214: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 20:29:40.85 ID:pif1xvFeo
もっとも、なんら確信の無い思い込みである
だが、自分に2p切りではなく5p切りを決意させた言葉
あの気迫――
京太郎「(この人には、絶対に何かある)」
妙に確信めいた思いが京太郎にはあった
アカギ「……」フフ
靖子「そろそろいいか?」
京太郎「……はい」
こうして対局は始まる
南一局、藤田靖子の親番
京太郎「……」
アカギ「クク……見てな。凍りつかせてやる」
過去に【神域】と呼ばれた男と……
のちに【神域】と呼ばれる男の初の試合
京太郎「それじゃあ行きます」
アカギ「……」
靖子「(なんだ、この感覚……?)」ゾクッ
咲「っ!?」
. / ..:::,:/ 〃〃 .:::::/ 〃 .::://〃.:::/ /〃 ..:::/: : :::\ ::::::::::::::::::
/ .::::// 〃 .::::: / 〃.::/: / .:/. : /〃.::/: : : ::::\ ::::::::::::::
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:::/ |〃.::/ :. : :∨ハ./ ー-..:::::::::::/ | |:::. `\::::::::::,-―:.:.:.:.::
:/ |.:::/ ヽ :∨ハ  ̄ ̄ ´ | |::::::.  ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:.:.::
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運命の賽は今、確かに放られた
【OP】
http://www.youtube.com/watch?v=bEUEHMl-pCM
228: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 21:27:18.76 ID:pif1xvFeo
須賀京太郎と竹井久の意地をかけた戦い
その戦いは須賀京太郎しか知らぬところで、代打ち同士の対局になっていた
咲「京ちゃん、負けないでねー」クスクス
久「ふふっ……」
アカギ「……」クク
京太郎「(頼むぜ、アカギさん)」ググッ
靖子「さぁ、打つか」タン
靖子の親番
ここはなるべく早い手を使って流したいところ
京太郎「……」
その、重要な鍵を握る1戦
最初の靖子はツモ切り
続くまこが白を切り、それに対し靖子が鳴く
靖子「ポン」
先ほどと同じ、靖子の速攻
京太郎は冷や汗をかきながら動向を見守る
しかし、この男は違った
アカギ「……」ジッ
靖子「……」
京太郎「……(俺の番か)」スッ
その運命を握る配牌は――
京太郎の配牌
3577m 468p 1246s 中
ツモ中
京太郎「(ツイてる!)」
靖子の親番を流したい今、早和了の特急券である中の対子
最も欲しかったところだ
京太郎「(まだ俺の勢いは落ちてない……戦える!)」
ほくそ笑む京太郎
だが、その一方でアカギの出した指示は……
アカギ「中だ」
京太郎「(えっ……?」
アカギ「中を切ってくれ」
京太郎「(な、何!?)」
京太郎……困惑
ここでなぜ中切り?
理解不能の指示に、京太郎は思わず頭を抱えそうになる
230: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 21:36:35.00 ID:pif1xvFeo
京太郎「(やっぱり、この人に任せるべきじゃなかった)」ギリッ
恐らく麻雀もろくに知らないのだろう
でなければ、そんな選択は生まれないハズ
京太郎「……」チラッ
アカギ「……どうした? 中だ」
京太郎「くっ」
しかし、一度任せると約束した以上……指示に従うべきだ
例えそれがいかに悪手だと分かっていても
京太郎「……」タン
咲「?」
久「……(馬鹿ね。どうしてそうなるのよ)」
理解不能、それは咲も久も同じ
きっと京太郎がやけになっただけ
そう思うのも無理はない
しかしこの時、この中でただ一人
アカギ「……」クク
アカギだけが、それを感じ取っていた
京太郎「……」
そしてまわった次巡
そこでもアカギの指示は中切り
京太郎「……」つ中
咲「京……ちゃん?」
靖子「……」
その時、最初に鳴いた靖子の手は――
靖子の手牌
1255p 3477s 発中 ポン白白白
ツモ1p
靖子「(中の二丁落とし? 染め手でも無いようだが……)
なんにしても、不可解な手ではある
だがこちらは急いで和了ればいいだけの話
靖子「(中は持っていても仕方ない)」つ中
久「(ま、当然ね)」
まこ「……」タン
京太郎「(アカギさん、一体どうする気なんだ?)」ギリッ
アカギ「……」
231: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 21:46:56.45 ID:pif1xvFeo
しかし次巡――
京太郎達の認識は一気に覆る
靖子「(さて、ツモは……)」スッ
カッ
中
靖子「(なっ……!?)」
意外、それは中
靖子「(チッ……まさか被ってくるとは)」つ中 タンッ
京太郎「(また中……? ツモがかぶったのか?)」
久「(運が悪いわね)」チッ
この時は、まだ違和感を覚える程度
だが――さらにその次巡
靖子「……!?」スッ
引いたのは発
靖子の手牌
11255p 3477s 発発 ポン白白白
靖子「(しまった……)」
プロとはいえ、思わず後悔してしまうミス
そしてすぐに気付く
靖子「(あの中連打さえなければ……)」ギュッ
小三元、いや……京太郎の中切りが遅ければ大三元も有り得た
その動揺が、早和了をするという靖子の目的から外れていることを……消し去ってしまう
格下に役満を潰された
この屈辱が、靖子の中で消えない痛みとして残ってしまったのだ
靖子「……」タン
久「(まさか……偶然よ)」
まこ「……?」
優希「じぇ?」
アカギ「……」フフ
その三巡後に発を鳴く靖子だが、時既に遅く中は切れた後
この頃になって、様子を見ていた京太郎にも
アカギの指示がどういう意図だったのかハッキリしてくる
京太郎「(あの連打で、藤田プロの大三元を封殺した……?)」
ざわ……
咲「……」
京太郎「(白を鳴いただけで、大三元の匂いを嗅ぎ当てたのか?)」
危険への予知
その感度が常人よりもかなり早い
京太郎「(俺なら、数巡後に中を鳴かれていたかもしれない)」ゴクッ
232: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 21:58:01.34 ID:pif1xvFeo
そしてさらにその後、京太郎は三色イーシャンテンとなる
京太郎の手牌
233m 34678p 22234s
しかし、靖子の手は既に3フーロー
和了が早いと察するとみるや
アカギ「チーだ」
京太郎「チー!」
534s カッ!
育てた三色をあっさり捨てる
そこに一切の迷いは無い
優希「うーん……」つ5p
京太郎「ロンッ!」バララ!
1000点食い和了り
あの局面からなんとか靖子を出し抜くことに成功
靖子「ぐっ……」
久「嘘……」
咲「京ちゃん……だよ、ね?」
みんなが驚くのも無理は無い
最速の中切りもそうだが、今の和了手もそうだ
久「(普通これを凡人が打てば、三色に未練を残して手を遅くする)」
結果として靖子が和了となっていたハズだ
京太郎「(でも、そんな未練がどれだけ自分の足を引っ張るか……知ってるんだ)」ゾクッ
感度の差――!
プロである藤田靖子を寄せ付けないだけのモノが、そこにはあった
アカギ「クク……認識はあらたまったかい?」
靖子「……なるほど、ただの少年じゃなさそうだ」フゥー
靖子は京太郎のことを素人だと決めつけていた
運がいいんだけのラッキーボーイ
久に聞いた時の印象はそんなものだった
靖子「(だが、今は間違いなく違う)」
刺激し過ぎて眠れる獅子を起こしたのか、どうなのかは分からない
ただ一つ言えることは――
靖子「(こいつはもう、ただの子供じゃない)」キッ
内側に魔物を秘めた、化物
自分と互角の打ち手
そう思って戦わなければ……容赦なく喰われるだろう
京太郎「(すごい、アカギさん……)」
233: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 22:15:43.80 ID:pif1xvFeo
靖子「……須賀君、見直したよ」
京太郎「ど、どうも……(そりゃ俺じゃないし)」
靖子「しかし……もう油断はしない」
京太郎「!?」
靖子「持てる力の全てで君を倒そう」
アカギ「……クク」
久「(靖子……本気で言ってるの?)」
久が困惑するのも無理はない
いくら京太郎が妙な和了をしたとて、それはたったの一回のことだ
それなのに、靖子はもう京太郎を自分と同格に扱うと言ったのだ
まこ「(確かに今の京太郎は妙じゃったが……)」
優希「……」
靖子「……さぁ、続きだ」チャッ
靖子もまた、化物の一人
魔を喰らい……その身に宿す一人なのだ
京太郎「ええ、勿論」
そして京太郎も……その背中に魔を宿す男
赤木しげるという、闇に生きる魔そのものを
アカギ「……」ニヤリ
そして始まる次局
南二局、まこの親番だ
靖子「……」
認識を変えて、京太郎を敵だと認識した靖子
つまりここからが本番
靖子VSアカギ
アカギ「……」
今、この二人は代打ちとしてこの場にいる
つまり賭けているものが無く、もしくは無いに等しい状態
その勝負を制するのはセンスと集中力に長けた能力の高い者だ
236: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 22:39:01.32 ID:pif1xvFeo
靖子「……」タン
京太郎「……」タンッ
京太郎とアカギ、その戦いはそのセンスと集中力を競うもの
そして先に仕掛けたのは――
靖子「リーチ……!」
藤田靖子
そのリーチは……
久「(ふふっ……靖子ったら)」
靖子 カン7s待ちリーチ
345m 23488p 34568s
久「(いきなり脅しをかけた……)」
靖子「(普通この手はもう少し待って、両面に変わってからリーチするべき)」
久「(それを迷わず、フライング気味の先制リーチ)」
靖子は京太郎の、アカギの対応を見たいのだ
勝負の質を変えて本気となった靖子のリーチ
京太郎「(かわすか、受けるのか……?)」チラッ
京太郎の手牌
566m 23445p 78999s
ツモ6p
京太郎「(テンパイ……)」
久「(これは面白いわね)」クスッ
今までの京太郎なら、安パイの9s 落としだろう
並の打ち手なら仕方の無いこと
だが、ここで京太郎が――アカギが選ぶのは
京太郎「……」つ6m
靖子「(うっ……)」
アカギ「……」
咲「……」ポーッ
久「(並の神経じゃない……)」ゾワッ
スンナリ切ったこの一打だけでも、並の人間には生涯到達出来ない領域
完全に迷いを見切っているその打ち筋
靖子「(なるほど、一筋縄じゃいかないな)」タッ
237: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 22:40:08.12 ID:pif1xvFeo
次巡――
【京太郎の手牌】
56m 234456p 78999s
ツモ7s
アカギ「……六萬だ」
京太郎「……」ピシッ つ6s
久「(六萬は通す癖に……本命の7sはキッチリ抑えて、的確なヨミ)」ギリッ
一体いつの間にここまでの感性を身につけたのか
そして、その勝負強さ
京太郎「(六萬が通ったからいけいけなんて、考えないのか?)」
雰囲気に流されない
自分の判断にただ沿おうとする心――
靖子「(どこが運のいい素人だ……)」
目の前の少年は、靖子に取って不気味の域を越える
自分の判断を信じる才能――揺れない心を持つ強者
靖子「ふふっ……手強いな、少年」
京太郎「……」クスッ
この対局を見据える久と咲
そのあまりの緊張に、二人はただ息を呑むしかない
そして、次巡
とうとう流れが変わる時が来た
靖子「!」
靖子、このカン7s待ちを……
345m 23488p 34568s
ツモ7s
ツモ和了!
靖子「……」
久「(ふふっ、これがプロの実力よ)」ニヤリ
追い込まれた中で、薄い7sを引き寄せる才能
これで和了れば京太郎との差は更に開く
流れも引き寄せ、一石二鳥の和了となる……
靖子「……」ピシッ
7s
久「えっ……?」
ハズだった
238: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 22:52:15.59 ID:pif1xvFeo
なんと、靖子は和了らずにそのまま7sを切る
京太郎「?」
アカギ「……」
咲「(あれ? アレは和了牌じゃ……?)」
ざわ……
ざわ……
久「……! (なるほど、ね)」
誰もが呆気に取られている最中、久だけが靖子の真意に気付く
これは京太郎の読みを裏切り、混乱を誘う作戦
これは靖子の策略なのだ
靖子「……」フフ
京太郎「……(あ、アカギさん?)」チラッ
アカギ「……」
靖子「(どうする? 本命の7sは通ったぞ)」ツモキリッ
タンッ 東
靖子「(私が和了らなければ、この局は須賀君がものにするだろう、しかしそれでいい)」
京太郎は点棒を拾うが、代わりに迷いを一つ抱くことになる
その不信があとあとボディーブローのように効いていき、苦しめることになるのだ
久「(自分の読みに疑いを抱けば、後にもっとプレッシャーがかかる局面で迷いを呼ぶ)」)
それが弱い打ハイへと流れる
その一打こそ、重い勝負では命取り……!
久「(流石、この世界で生きてきた靖子ね)」ニヤリ
靖子「(プロは心理から絡め取るのさ)」
その網に、京太郎はもう半分かかった
靖子と久はそう確信していた
しかし、十五巡目
そこで意外な展開――!
京太郎「……」カッ
【京太郎の手牌】
3344566p 778899s
ツモ5p
咲「(来たっ!)」
なんとここで、京太郎の和了
京太郎「(二盃口、平和ツモ。満貫だ!)」
これを和了れば京太郎のは靖子を上回り、トップとなる
しかし、ここでアカギ――
アカギ「ツモ切りだ」
京太郎「(えっ?)」
意外にもこれをスルー
243: ミスごめんよ、脳内変換よろ ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 23:07:36.62 ID:pif1xvFeo
京太郎「(な、なんでだ?)」つ5p
タンッ
靖子「!?」
ざわ……
靖子「(妙だ。あの5p、和了でもおかしくなさそうだが……)」
疑惑が残る靖子
しかし、確信は得られない
久「(なんなの……? 須賀君、アナタ一体……!?)」
そして、そのままお互いに膠着状態が続き……
気が付けば、とうとう流局
京太郎「……テンパイ」ジャラッ
【京太郎の手牌】
3344566p 778899s
靖子「!? (やはり……)」ゴクッ
京太郎はさっきの5pで和了っていた
靖子「(こいつ……満貫を蹴ってまで、確かめに来た?)」ギロッ
自分の読みが外れていたかどうか、その確認
そうしておいた方が後の勝負では有効だと、分かっていても普通は出来ない
それが、自分の運命を賭けた勝負なら尚更だ
靖子「(惜しくないのか!?)」
京太郎「(アカギさん……)」
アカギ「フフ……おい、京太郎」
京太郎「(なんですか?)」コクコク
アカギ「手を開けさせろ。その女、必ず張ってる」
京太郎「(わ、分かりました!)」コクッ
久「……」
京太郎「あの、藤田プロ」
靖子「……なんだ?」
京太郎「手を開けてくれませんか? テンパイなんでしょう?」
靖子「……くっ」バラッ
345m 23488p 34568s
アカギ「クク……やっぱりな。想像はしていたが、案の定ひねた打ち方」
京太郎「(アカギさんの、読み通りだ……)」
アカギ「人を嵌めることばかり考えてきた人間の発想――」
京太郎「……痩せた、考え」ボソッ
アカギ「……!?」
ざわ……
ざわ……
靖子「なん……だと?」ギリッ
京太郎「俺なら、もっとストレートに行くのに」ボソッ
アカギ「へぇ……言うな。京太郎」ニヤッ
靖子「~~~っ!!」ビキビキッ
247: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 23:14:23.57 ID:pif1xvFeo
久「や、靖子……」
靖子「私は……まだ心のどこかで、彼を甘く見ていた」チャラッ
ざわ……
靖子「軽んじていた。しかし、もう舐めない。毛ほども舐めたりはしない」ギロリ
京太郎「っ!」ゾクッ
靖子「なぜなら、その薄皮一枚剥いだその下は……魔物」
あの天江衣や、宮永照と同じ――いや、もしくはそれ以上の……
容量が計り知れない
靖子「(間違いなくこの男、将来とてつもない逸材となる)」
しかし、それは遠い未来の話
今なら勝てる
靖子「(何せ君はまだ――【オカルト】を知らない)」ニヤリ
麻雀に存在する合理性
それを根本から覆す存在……オカルト
/::::::/|::::::::/ー--、 ゙、:::::| レレレ /
:::::;:, -、:::| ` 丶、 V /
:::;/ λ゙、:| ┌─--- 、 `丶、 | /
::;:| | | ゞ ヽ φ \ ノノ , ,/ _/
::::| `ー----__, ' / /
/|::゙、  ̄/
|::::|゙、 /
|::| 〇__ , /
| /|::::::', T- _ /
/ |';::::::', \w二、‐-- _ /
 ̄ ';:::入 \  ̄ /
レ \  ̄~ー-- /
靖子「(これで君を――ねじ伏せる)」ゴッ
京太郎「……」
! lll ,イllll /:::::\ い :::::::::::::::::::::::::::::::::
! ll ,イ llll /::|ll /:::::::::::::`メ \ :::::::::::::::::::::::::::::
! ./ .i lll. /:::::|/:::::::::.,,/ `ー`ヽ . . ,,,::::::::::::::::::::
! ll / i ll K.:::::::|:::: // _,,xー''´ィ´::::::::::::::::::::::::
.! i i / \ ソ ,,ャj'´ ,. ' ´ :::::::::::::::::::::::::
レ' ∨ \ .... 'y ´ :::::::::::::::::::::::
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アカギ「さぁ、これからが本番だ」フフ
260: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 23:37:54.38 ID:pif1xvFeo
そして迎える南三局
親は優希――
京太郎「……」
靖子「……」タンッ
本気を出すと宣言した靖子
そのあまりの恐ろしさに、思わずして緊張してしまう京太郎だが
その緊張も、不意に霧散する
靖子「……」タンッ
京太郎「?」
ざわ……
ざわ……
というのも、靖子が全く動かないからだ
序盤のように鳴くわけでも、急いでる様子も無い
ただ引いては切り、引いては切り
その繰り返し
先ほどの言葉とは裏腹に、逆にやる気を無くしたようにさえ思える打ち方だ
アカギ「……?」
当然困惑するアカギ
それは京太郎も同じだ
靖子「……フフ」タンッ
優希「うーん?」
まこ「……」
久「(まさか、アレを使う気なの……?)」
咲「あの時と、同じ……」
その時、気づいているのは久と咲
後は直感でまこが感じ取っていたくらいだろう
靖子の真意
それは――
靖子「……」タンッ
アカギ「ロンだ」
京太郎「ろ、ロン!! 混一色ドラ……満貫です!」バタタタッ
ざわ……
ざわ……
優希「きょ、京太郎が……逆転?」
そう、なんとこの手で京太郎は大逆転
大きく差を付けてトップに踊り出ることとなる
263: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/07(水) 23:47:00.25 ID:pif1xvFeo
京太郎「(おいおい、意外と藤田プロって弱いのか?)」
そんなことが脳裏をよぎる京太郎
だが――実際は違う
まこ「……やっぱりか」
久「フフ……終わりね」
靖子「……ふ、ふふふっ。しくじったな、須賀君」ニヤァ
京太郎「えっ……?」
靖子「……最後の一局の前に、教えてあげよう」
ズォォォォッ……
靖子「私がプロで、何と呼ばれているか」
アカギ「……!?」ゾワッ
総毛立つような、靖子の気迫
先ほどとはまるでレベルが違う……
記憶を無くしたアカギの奥底で、どこかくすぶる懐かしい記憶
アカギ「(昔……こんな奴と戦った記憶がある)」
それが誰かは思い出せない
だが――彼の本能が覚えている
アカギ「(これは――危険だな)」
靖子「Reversal Queen……まくりの女王」
京太郎「まくりの、女王?」
靖子「そう。馬鹿でも分かるだろう、その言葉の意味」
限定的な条件でのみ発動するオカルト
条件ゆえに使い勝手は悪いが、その分発動すれば強力な力を持つ
靖子「もう、これで格付けは済んだ」
靖子と京太郎
否、靖子とアカギの運気がごっそりと入れ替わる
その超常めいたチカラで――運気そのものを捻じ曲げるのだ
咲「(京ちゃんは頑張ったけど、もう終わりかな)」
あの時、自分ですら防げなかったまくり
それを――今の京太郎に防ぐことは恐らく不可能
京太郎「……」ゴクッ
久「(須賀君の悪運もここまでね)」
言わば、先ほどの靖子とはもはや次元が違うのだ
この状態になった靖子は――上位のプロですら凌駕するのだから
270: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/08(木) 00:05:15.19 ID:0F13/UPyo
京太郎「……」
靖子「どうした、怯えて声も出ないか?」フフ
アカギ「……」
流石のアカギも、オカルトというモノの予備知識は無い
どう攻略すればいいか、倒すべきか
一局でも様子を見ることが出来れば……対策は立てられる
だが、その最後の一局で雌雄が決するのだ
久「(もう手遅れよ、何もかも)」
この場の全員が、徐々に靖子の勝ちを確信していく
久や取り巻きで見ている野次馬も含め
あの咲ですら……京太郎の負けを予見していた
咲「(いい戦いだったよ、京ちゃん)」
靖子「さぁ、親番だぞ。須賀君」
そして始まるオーラス、京太郎の親
京太郎「……」
誰もが諦めと、失意に飲まれて傍観する最中
ただ一人
この局面においてたった一人だけ――
京太郎「(アカギさん、俺に考えがあります)」チラッ
アカギ「!?」
この男だけが――己の、アカギの勝利を確信していた
アカギ「へぇ、自信があるのか?」
京太郎「はい……でも、俺一人では無理です」ヒソヒソ
誰にも聞こえない音量で、ヒソヒソと話す京太郎
アカギはそんな京太郎の言葉に……ただ耳を傾ける
京太郎「……だから、……して、……すれば」
アカギ「……クク、分かってるのか? それが失敗すれば、確実負けだ」
京太郎はマネージャーとして残りの学生生活を過ごし
学校中の悪意と戦いながら生きなければならない
しかし京太郎はそんな覚悟など、とうに決めていた
京太郎「自分の身を削らないで、勝ちを拾おうなんて思っちゃいない」
アカギ「……」ニヤリ
京太郎「俺はハナから……命、賭けてんだ」ボソッ
アカギ「フフ……同類だ、お前は」
京太郎「?」
アカギ「……やるぞ、京太郎」
くすぶりかけたアカギの闘志に、再び火が灯る
それを呼び覚ましたのは、京太郎の言葉か――それとも
だが、この時ハッキリしていたこと
それは――
京太郎「(必ず、勝つ!)」
須賀京太郎
この男もまた――無頼
279: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/08(木) 00:20:58.09 ID:0F13/UPyo
南四局 京太郎の親
泣いても笑っても、焼き土下座しても最後の一局
京太郎に取って運命を左右するこの局の初手は――
京太郎「……」
【京太郎手牌】
122444688m 35p 29s 発
咲「(ダメ、なんて重い手……)」
ここは軽いタンピン手などがベスト
だが掴んだのは高火力を狙うような配牌
久「(そして一方の靖子は――)」
【靖子手牌】
128888s 145p 267m 東
久「(一見すると凡手に見える。でもね……)」
引き寄せる
靖子のオカルト……まくりの力
京太郎「ドラ確認します」カチャッ
来る、引き寄せる
7s
久「……」ニヤッ
靖子「……」フフ
凡手から一気にドラ4の手に変化
しかも、それだけではない
咲「(あのカンドラ……)」
そう……咲には見えていた
もし誰かがカンをすれば、新しくドラが表示される
そのドラすらも……
靖子「(埋まっているが、間違いなく7s)」
靖子と咲の読みは正解
隠された新ドラは8s
つまり、靖子の手はドラ8となる
暗槓しただけでドラ8は確定
ツモ和了でも京太郎をまくり確実に勝利する
284: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/08(木) 00:31:38.40 ID:0F13/UPyo
京太郎「……」
一方で、重たい手を手中に入れたことでお通夜モードの京太郎サイド
後ろに並ぶ一般客は、みな顔を見合わせてため息を吐く
京太郎の勝ちはもうない
希望のきの字も無い
そう思っているのだ
アカギ「クク……」
だが、ここで二人の若き天才は――
京太郎「(思い通りの手が来た!)」
全く、別のストーリーをこの手から創造していた
久「(もう終わりよ、諦めなさい)」
京太郎「では、行きます」タンッ
こうして始まった戦い
半荘六回にも及ぶ激戦の果て――勝つのは京太郎か、久か
京太郎「……ポンッ!」
二巡――
まずは京太郎が動く
222m カシッ!
そして三巡――
京太郎「チー!」ピシッ
768m カシッ!
京太郎「……」
まこ「これは……」
優希「(混一色か、清一色か?)」
早々とした鳴き
手を急ぐべき京太郎には当然の行動のように思える
無論、周囲もそう思っているし
それは対局している優希とまこも変わらない
優希「(この局面、絶対に振り込めないじぇ)」つ現物
まこ「(降りるべきじゃな)」つ現物
二人にできるのは靖子の邪魔をせずに、生き延びること
つまり、無理に戦う必要は無いのである
咲「(二人が降りた。これで一体一……)」
遠目に見守る咲だが、まだ京太郎の分が悪いのを悟る
靖子は運気すら引き寄せているのだ
靖子「(いくら鳴いてスピードを速めようが……私には勝てないさ)」ニヤリ
着々と積み上がる靖子の怪物手
和了さえすればドラ8は確定
その恐るべき異能の力によって
285: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/08(木) 00:42:37.65 ID:0F13/UPyo
靖子「(一見、清一色や混一色を匂わせているが、それはフェイク)」
なぜなら今そんな手をいれる必要が無いからだ
勝ち逃げならタンヤオで十分
靖子「(どうせドラは全部こっちが握ってるんだ。焦る必要はない)」
仮に和了られても、直撃でなければトビはしない
靖子「(問題は、いつ暗槓するかだ)」チラッ
手を持って確認する靖子
もう少しでテンパイ
その時に嶺上開花で和了る
靖子「(恐らく、あの嶺上牌が……)」
靖子の求める和了牌
ドラ8を絡めた嶺上開花で京太郎をまくる
完璧なシナリオ
ただ一つ誤算があるとすれば――
アカギ「京太郎、今だ」
京太郎「……へへ、待ってました」ボソッ
靖子「なに……?」
バララッ
京太郎「カン」
一同「!?!?」
4444m カシャッ
靖子「なっ……?」
先にカンをされた
ということはつまり――
京太郎「じゃあ、リンシャンツモりますね」スッ
靖子「(な、それは――私の!?)」
京太郎「……」クスッ
つ3p
京太郎「いらんな」ペシッ
靖子「……ぐっ」
流されてた……
テンパイする前に、自分の和了る筈だった牌を……
それもよりによって須賀京太郎によってだ
靖子「(だがしかし、ドラは表示される!)」
京太郎「おっ、また8sがドラですね」カチャッ
靖子「(当然だ)」
計画の狂いはあったが、問題無い
別に嶺上開花でなくても和了ればいいのだ
和了さえすれば、己の勝ちなのだから
291: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/08(木) 01:30:31.69 ID:0F13/UPyo
【京太郎のフーロー】
カン4444m ポン222m チー678m
靖子「(三鳴きしたんだ。もう既に張っている可能性が高い)」ギリッ
圧倒的な有利からスタートし、
いつでも有効牌を取れるという油断が、暗槓の遅れを招いた
京太郎「……」
【靖子の手牌】つ6p
2455p 118888s 567m
靖子「(須賀君は一度3pを切っている。また出る可能性は高い)」
ここはドラを切ってでも無理やりテンパイに持っていくか?
それとも、暗槓するか
京太郎「……」
しかし、暗槓すればドラ8は警戒される
別にロン和了でなくても勝機はあるが――可能性はぐっと低くなる
靖子「……」
思案する靖子
長い思考の果てに選んだのは――
【靖子の手牌】
4556p 118888s 567m
つ2p
暗槓せず、現状保持
靖子「……(あの嶺上牌をつかめばいい)」
靖子がカンをする時、拾うであろう牌……
靖子「(恐らく、7p)」グッ
確信めいた直感、恐らく100%的中するハズだ
ならばそれを待ちにできるようにセッティングする
今の靖子の運なら、造作の無いことだ
293: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/08(木) 01:35:57.39 ID:0F13/UPyo
一方の京太郎は迷うことなく手を切っていく
京太郎「……」つ1s
靖子「……」
中々尻尾を出さない京太郎
待ちが読めないこともあり、靖子の焦りも次第に強くなっていく
靖子「(あの四枚……一体何が隠されている?)」
見えない京太郎の手を見て、靖子は不安に駆られる
嫌な予感がひしひしとあの四枚から感じられるのだ
そして、そんな予感を抱えてのツモ
靖子「(これは……)」
【靖子の手牌】4p
4556p 118888s 567m
まさかの4p
ここで8sを切り、6p待ちにする手も考えられる
靖子「(だがドラ2の8sを切るなんて、考えられない)」
やはりここは常識的に考えて4pだ
靖子「(だが唯一気になるのは、3pを彼が持っている可能性もある)」
ツモ切りからの素早い切り捨て
考えられるのはピンズが無く、清一色や染め手であること
しかし、そこにピンズが加わっているとなると……話は変わる
混一色も清一色も無ければ、ただのゴミ手
靖子「(仮にこれで和了られても、痛くも痒くもない)」つ4p
タンッ
京太郎「……」
靖子「(今は須賀君の親番。飛ばない限り、次の機会はある)」
つまり、多少は危険を犯しても強気で行くべきなのだ
相手にドラは無い
染まってもいない手に恐怖など感じる必要など皆無
294: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/08(木) 01:39:43.27 ID:0F13/UPyo
京太郎「……」
靖子「……」ホッ
結果としてこの手は通る
そして、京太郎の番が来る
だが、次の京太郎の1打が……靖子を苦しめることとなる
京太郎「……」スッ つ3p
靖子「ぐっ!?(まさか、本当に抱えていた?)」
困惑する靖子
そして、続くもう1巡
京太郎「……」5p
靖子「!!」
これは――どういうことなのか?
もしかすると須賀京太郎は、35p で4pをカン待ちしていた?
ならばなぜ、和了らなかった?
靖子「!!(こいつ、もしかして私の思惑に気づいて……)」
そう、もし今の4p直撃でも靖子を飛ばせないとすれば
恐らく、京太郎の手は相当安い
靖子「(だから見逃した。もっと高い手を作ろうと……)」
京太郎「……」
靖子「(ここに来て、なんて馬鹿な真似を)」ニヤリ
やはりこの男は凡夫だった
勘がよければドラ8の匂いを感じ取れたものを……
靖子「(つまり、今須賀君はテンパイしていない)」ニヤリ
そんな見逃しをしてしまえば、運の女神も見放すというもの
その証拠に――靖子が掴んだものは
【靖子の手牌】つ3p
4556p 118888s 567m
靖子「(来た来た来た!!!)」ニヤリ
298: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/08(木) 01:57:07.45 ID:0F13/UPyo
運命を引き寄せる力
オカルトによる、絶対的な支配
何をも恐れぬ、女王の闘牌
靖子「ふ、ふふっ……ははは……あははははっ!!」
靖子は笑う
己の勝ちを確信し、ただ嗤う
京太郎「……」
靖子「須賀君、私の勝ちだ」
ざわ……
ざわ……
靖子「長かったよ、ここまで。すごくいい勝負だった」
アカギ「……」
靖子「だが、勝つのは私だ! この、私なんだ!!」バラッ
倒される四つの8s
ドラ8の化物――相手を地獄に誘う死者
靖子「カンッ!!」
そして、引き寄せられる勝利への鍵
運命をねじ伏せる――
靖子「(ツモッ! ツモツモツモツモツモ!!! 私のチーピン!!) 」
ハズだった
アカギ「クク……」ニヤリ
靖子「えっ……!?」
久「う、嘘……でしょ?」
掴んだのは7pなどではない
あるのは――
そこに有るはずの無い発
靖子「う、嘘だ! これは……何かの間違いだ!」
先程までの余裕から一転、慌てふためく靖子
だが、それに対して一方の京太郎は笑みを浮かべる
京太郎「フフ……どうしたんですか?」
靖子「な、なぁっ……」ブルブル
京太郎「自分の読みが外れて、大慌てですか?」
靖子「ち、違う! こんな、こんなハズは無い!」
確信があった
必ず7pであると
しかし、結果は違った
なぜ? どうして?
疑惑が募る
驚愕だけが――靖子を包み込む
京太郎・アカギ「「まるで白痴だな」」
靖子「!?!?!?」
302: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/08(木) 02:11:51.19 ID:0F13/UPyo
靖子「な、なぜ……」つ発
仕方なく発を切る靖子
他に選択などできるハズが無い
そして、新ドラが表示される
京太郎「……」
一方的な靖子の和了かと思われた
しかし、そんな絶望的状況を乗り越えた先に――
京太郎「……ツキの女神は、待っている」ニィ
3m
靖子「!?」
新ドラは――4m
アカギ「クク……」
京太郎の手牌が一気に跳ね上がる
それも満貫確定のドラ4
京太郎「藤田プロ」
ざわ……
ざわ……
靖子「な、なんだ……?」
京太郎「考えてみてください。あの局面、俺がどうして早々にカンをしたのか」
靖子「!?」
京太郎「別に急ぐ必要も無し、無駄なドラを乗せることもなかった」
靖子「(まさか、まさかこいつ――!?)」
京太郎「アンタの探し物は……」つ2m
バラッ 4444m
京太郎「カン」スッ
つ7p
アカギ・京太郎「「こいつだろう?」」
バラララッ
京太郎「ツモ、嶺上開花」
77p 999s カン4444m カン2222m チー678m
靖子「な、なんで……? どうして、そこに……? ありえ、ない」ガタガタ
京太郎「……」
そして、めくられる新ドラ
まるで――地獄で悪魔と契約してきたかのよう
1m
京太郎「リンシャンツモ、ドラ8――トビです」
靖子「嘘だぁぁぁぁあ!!!」
306: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/08(木) 02:18:07.82 ID:0F13/UPyo
ざわ……
ざわ……
靖子「こんな、こんなハズはない!!」
久「や、靖子……」
靖子「私に分かる。7pはあそこじゃない! 私が引くハズだった!!」
京太郎「……」
靖子「何をした!? オカルトなのか? お前も……持っているのか!?」
京太郎「……なんの話か、分かりませんね」
靖子「!?」
京太郎「ただ、一つ言えるとしたら」
ざわ……
京太郎「俺、幽霊が見えるんですよ。それも、とびっきりの、ね」ニコッ
∠-'';::/ ,∠/ ./:: ::\.ヽ\ ヽ ヽ \ ヽ. \
::::r''∠- '´:∠ -ヘ::....... ,...:‐''7,ゝl‐-ヽ} ト、 lヽ. !
:::l::::-===モ== _::::/:::::::::/_ ` / ,ヘ. | ヽ |. ヽ.!
: |:::: ` ー‐=''"::´:::::::::::::/ニ´>,'/ ヽ | ヽ! ゙l
::|::::: ..::::::::::::::::::::::/ ハ ヽ!
:|:::::: ...:::::::::::/::r:::::::i_: ,'l }
|l:::::: `__::: /.|′
iヘ::::..  ̄ ̄ `ヽ ./^'
:|::ヽ:::.. ‐==;; /
::l::::::ヽ::.. ::::::: / ,.、
:::l::::::::::\. / /.:/:ヽ.
::::|:::: :::::::\. ,イ /....::/::::::::ヽ.
アカギ「クク……」
靖子「……」ヘナッ
フラフラ……バタン
優希「……う、うそ」
まこ「まさか、本当に……」
久「靖子に、勝った……?」
ガヤガヤ ナニモンダアノニーチャン
スゲーゾ マジデヤリヤガッタ!
咲「……」
京太郎「それじゃあ部長、例の件。お願いします」
久「……え、ええ」
京太郎「よし。それじゃあ咲、帰ろうぜ」
咲「……うん」タッ
スタスタスタ
京太郎「それじゃあ、また学校で」
久「……」
ガチャッ
カランカラーン
バタン
311: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/08(木) 02:25:39.27 ID:0F13/UPyo
京太郎「……ふぅー」
長い戦いは終わった
策略と、力の打ち合いによる死闘
制したのは京太郎とアカギである
京太郎「……(今でも、心臓がバクバクしてる)」ドキドキ
生まれて初めてだった、あんな経験は
勝負に命を賭けるスリル、興奮
それは――京太郎にとって、人生の価値観を変える一戦
咲「……」トコトコ
京太郎「……」スタスタ
何はともあれ
これで、資格を得た
咲や和、この二人と戦い――代表を得る資格
プロを倒した事実さえあれば――
咲「……ねぇ、京ちゃん」
京太郎「んー? どうした?」
咲「私ね……気づいてるよ」ジッ
京太郎「っ!?」ドキッ
咲「イカサマ……だよね?」
京太郎「……」
アカギ「クク……」
この時アカギ、地味に付いてきている
319: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/08(木) 02:47:19.29 ID:0F13/UPyo
咲「……最初の四萬カンの時に、牌を入れ替えたんでしょ?」
京太郎「おいおい……なんの冗談だよ」
咲「分かるよ。だって、あの時に位置がずれたんだもん」
咲は常に嶺上の牌が何か分かる
だからこそ、あの時の違和感は拭えなかった
京太郎「あのな。あれだけ人がいるのにそんなことできるわけないだろ」
咲「……」
確かに、あれだけのギャラリー、
野次馬がいれば京太郎がイカサマをするのは至難の業だ
その道のプロだって、できるかどうか怪しいもの
咲「早々と鳴いて手牌を少なくした。残った牌をまとめれば……体に隠れて後ろからは見えないよ」
京太郎「手牌はそうでも、嶺上牌はそうはいかねぇだろ?」
京太郎が手を伸ばし、ツモり、牌を切る
この一連の動作の中で嶺上牌を入れ替えるなど、不可能だ
京太郎「なぁ、そうだろ?」
咲「……」ジッ
見つめ合う二人
咲は何も言わず、京太郎をずっと見つめていたが……
やがて
咲「うん、そうだね。ごめん、無理に決まってるよ」ニコッ
その愛らしい笑顔で、京太郎に微笑む
咲「私の勘違いだよね、きっと」
京太郎「そうそう。偶然だよ偶然」アハハ
咲「……」
京太郎「……早く帰ろうぜ」
咲「うん」タッタッタ
京太郎「……」
アカギ「あらら……いいのか? 泣きそうな顔だったぜ」ヒョコッ
京太郎「アカギさん……(ついて来てたのか)」
アカギ「クク……それにしても、本当に初めてだったのか?」
京太郎「当たり前じゃないですか、あんなの」ハァ
正直、もう二度とゴメンだ
心臓がいくつあっても足りやしない
アカギ「……」
京太郎「しかし、うまく行ってよかったですよ」
確かに、京太郎は一つの強攻策を取った
だがそれは――
京太郎「でも、言えるわけがない。”イカサマ”じゃないなんて」
アカギ「フフ……」
京太郎が藤田靖子を下した作戦
それは、一種の神がかり的トリック
京太郎「咲、俺は……」
412: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/08(木) 23:51:04.95 ID:Ac31SEe5o
~~南四局 京太郎の親~~
泣いても笑っても、焼き土下座しても最後の一局
京太郎に取って運命を左右するこの局の初手は――
京太郎「……」
【京太郎手牌】
122444688m 35p 29s 発
咲「(ダメ、なんて重い手……)」
ここは軽いタンピン手などがベスト
だが掴んだのは高火力を狙うような配牌
久「(そして一方の靖子は――)」
【靖子手牌】
128888s 145p 267m 東
久「(一見すると凡手に見える。でもね……)」
引き寄せる
靖子のオカルト……まくりの力
京太郎「ドラ確認します」カチャッ
来る、引き寄せる
7s
久「……」ニヤッ
靖子「……」フフ
凡手から一気にドラ4の手に変化
しかも、それだけではない
咲「(あのカンドラ……)」
そう……咲には見えていた
もし誰かがカンをすれば、新しくドラが表示される
そのドラすらも……
靖子「(埋まっているが、間違いなく7s)」
靖子と咲の読みは正解
隠された新ドラは8s
つまり、靖子の手はドラ8となる
暗槓しただけでドラ8は確定
ツモ和了でも京太郎をまくり確実に勝利する
京太郎「……」チラッ
アカギ「……」コクッ
靖子「……」チャッチャッ つ牌
ざわ……
ざわ……
アカギ「……」ジィーッ
京太郎「……」
415: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/08(木) 23:55:58.17 ID:Ac31SEe5o
京太郎「……」
一方で、重たい手を手中に入れたことでお通夜モードの京太郎サイド
後ろに並ぶ一般客は、みな顔を見合わせてため息を吐く
京太郎の勝ちはもうない
希望のきの字も無い
そう思っているのだ
アカギ「クク……」
だが、ここで二人の若き天才は――
京太郎「(思い通りの手が来た!)」
全く、別のストーリーをこの手から想像していた
久「(もう終わりよ、諦めなさい)」
京太郎「では、行きます」タンッ
こうして始まった戦い
半荘六回にも及ぶ激戦の果て――勝つのは京太郎か、久か
京太郎「……ポンッ!」
二巡――
まずは京太郎が動く
222m カシッ!
そして三巡――
京太郎「チー!」ピシッ
768m カシッ!
京太郎「……」
まこ「これは……」
優希「(混一色か、清一色か?)」
早々とした鳴き
手を急ぐべき京太郎には当然の行動のように思える
無論、周囲もそう思っているし
それは対局している優希とまこも変わらない
優希「(この局面、絶対に振り込めないじぇ)」つ現物
まこ「(降りるべきじゃな)」つ現物
二人にできるのは靖子の邪魔をせずに、生き延びること
つまり、無理に戦う必要は無いのである
咲「(二人が降りた。これで一対一……)」
遠目に見守る咲だが、まだ京太郎の分が悪いのを悟る
靖子は運気すら引き寄せているのだ
靖子「(いくら鳴いてスピードを速めようが……私には勝てないさ)」ニヤリ
着々と積み上がる靖子の怪物手
和了さえすればドラ8は確定
その恐るべき異能の力によって
京太郎「(まずは邪魔な二人の排除)」
アカギ「……」
染めていることを匂わせられる配牌は、京太郎の望むところであった
相手に牽制をかけ、靖子との一対一に持ち込むことが出来るからだ
416: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/09(金) 00:00:48.47 ID:fv4ydcs1o
京太郎「……」
京太郎の策
それは――常人には到底思いつきもしない異端の策略であった
というのも、なんら確証もない……それも、想像の域を出ないものだからだ
だが、今はその京太郎の想像こそが――
この大勝負の、運命を左右することとなる
京太郎「(藤田プロは、自分を"まくりの女王"と言った)」
それは即ち、オーラスで自分が大逆転をする
それが【自分の能力】です、と説明してくれたに他ならない
京太郎「(そして……今現状は1万点以上の差がついている)」
考えられるのは2つ
・逆転できるほどの大きい手をツモ和了する
・一位に当てて逆転する
この2パターン
京太郎「(だけど、プロの世界でまくりの女王と呼ばれている以上、2つ目の可能性は低い)」
プロの世界で生き残るのは簡単ではない
相手とて、それなりの打ち手だし1位の逃げ切りが出来ないほどヤワではないだろう
まして、まくりの条件を満たすということは藤田プロよりも格上である可能性が高い
あの藤田プロを越える雀士が、果たして差込や現物での逃げ切りができないものか?
否、つまりこれは当てはまらない
京太郎「(あくまで可能性だが、自分で和了る系統の能力だ)」
確信は無い
だが、今の京太郎にとっては十分過ぎる考察
京太郎「(となると、次に考えるべきは藤田プロの手の高さ)」
・役満での和了
・高い役を絡める大きな手
・ドラを引き寄せた高い手
京太郎「(こればかりは分からない……場合によってはどれもありえる)」
そう、高い手で和了だということしか分からない
つまり――こればかりは見てみないと判別は不可
しかし、京太郎の雀力では藤田プロの筋を読み切り
相手の手牌を想像することは不可能だ
京太郎「(だからこそ、この人の力がいる)」
アカギ「クク……」
まずはアカギが見をする
そこで、どのパターンの高い手を作っているかを想像する
勝つための第一の条件は、まずそこが鍵となるのだ
417: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/09(金) 00:14:03.56 ID:fv4ydcs1o
京太郎「(どうですか、アカギさん?)」チラッ
アカギ「染めている様子も無い。それに、クセも見抜いた」
京太郎「……?」
アカギ「所詮競技麻雀……お上品な打ち方」ニヤリ
そう、この時アカギは藤田靖子の”あるクセ”を見抜いていた
それは――
一般客ウニ頭「うーん、麻雀はよく分からないのでせうが」
一般客シスター「ちんぷんかんぷんなんだよ!」
ざわ……
ざわ……
靖子「……ふぅ」カチャカチャ
チャッチャッ
2455p 12 8888s 567m つ1p
一般客ウニ頭「おぉ、見やすい!」
一般客シスター「ありがとうなんだよ!」
靖子「……」クス
アカギ「槓子があるな」
京太郎「(槓子?)」
そう、麻雀プロゆえの観客を意識した打ち方だ
テレビに放映されることも多く、自然と牌を整理して並べるクセがあるのだ
京太郎「(部長、俺にサマをさせないように客を集めたのが逆に災いしましたね)」
靖子はあくまでもプロ
そのクセは、意識しない限り抜けることはないだろう
もっとも、こんなほんの一瞬の隙を見抜けるのは――
この場ではアカギくらいであろうが
アカギ「牌の種類はバラバラだが、どういう塊があるかは見え見えだな」
京太郎「(つまり、萬子、ピンズ、ソーズの塊は出来ている)」
そして今、牌を整理するときに見せた4つの牌の塊
順子や刻子なら3つ……つまり、槓子である可能性が高い
だが勿論、それ以外の可能性も捨てきれないわけではない
京太郎「(確証はあります?)」
アカギ「まず間違いない、と言いたいが。クク……そういう罠かもな」
京太郎「(いや、そんなメリットは無い……)」
だがもし、アレが槓子なら……考えられるのは四槓子、四暗刻などか
京太郎「(ん? そういや、なんで暗槓しないんだ?)」
見られたく無い牌なのか?
それともする必要が無いからなのか……?
京太郎「(もし、もしだけど……藤田プロの和了牌が嶺上牌にあるとすれば?)」
以前、咲は藤田プロに破れたと言っていた
つまり――カンを奪うこともできると、考えられる
419: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/09(金) 00:23:01.70 ID:fv4ydcs1o
京太郎「(アカギさん……)」
アカギ「クク、なら確かめてみるか」
チャッ
京太郎「(ツモは……4m!)」
アカギ「京太郎、今だ」
京太郎「……へへ、待ってました」ボソッ
靖子「なに……?」
バララッ
京太郎「カン」
一同「!?!?」
4444m カシャッ
靖子「なっ……?」
京太郎「(明らかに今、動揺した)」
アカギ「クク……」
京太郎「じゃあ、リンシャンツモりますね」スッ
つまり、今から引く牌は有効牌の可能性が高い
それも――とびっきりの
靖子「(な、それは――私の!?)」
京太郎「(お前か3p……)」クスッ
つ3p
京太郎「いらんな」ペシッ
靖子「……ぐっ」
京太郎「(とりあえず、危険なピンズは整理しておくか)」チャッ
靖子「(だがしかし、ドラは表示される!)」
そして、何も気づいていないフリをしながら
ドラ表示牌に手を伸ばす
京太郎「おっ、また8sがドラですね」カチャッ
靖子「(当然だ)」
京太郎「(なるほど、ドラが8sね)」ゾクッ
つまり、これで疑惑は確信に変わる
藤田靖子の槓子の正体は8s
ドラ8の化物手……
京太郎「(つまり、役もろくに作らずともドラ8だけで逆転ってわけだ)」
そうなると、手の内を想像するのは簡単だ
役も適当に……ただ和了さえすればいい
京太郎「(それにいつかは暗槓しなきゃいけない。ということは……)」
狙うのは恐らく嶺上開花
つまり、次の牌が藤田靖子の和了牌となる可能性が高い
京太郎「(兎に角、ここで第一の条件はクリアだ)」
藤田靖子の和了るハズだった牌を奪う
これこそが、京太郎の策
京太郎「(流れは――今、変わった)」ニィッ
425: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/09(金) 00:41:05.38 ID:fv4ydcs1o
これからが反撃の時
京太郎「……」
しかし、ここまで冷静に藤田靖子のオカルトを分析してきた京太郎だが
ただ一つだけ絶対に自信を持てないことがあった
京太郎「(支配を破る為の……方法だ)」
咲やあの天江衣――大星淡のように
場を支配し、牌の位置を自在に操る力
それが――いつ決定されるのか、ということ
京太郎「(我ながら何を馬鹿なって思うけど……あいつらの力ってそういうもんだろ)」
つまり――
・牌を引く時に有効牌に変わる
・最初から運命づけられてその位置に存在する
この二通りのどちらであるのかが、重要な鍵となる
京太郎「(……分からない。どちらもあり得るし、その判断はここじゃ付かない)」
そう、こればかりは分からない
それに2である場合、京太郎にはもうどうしようもない
このまま負けを認めるしかなくなってしまう
京太郎「(だが、1のパターンならまだ可能性がある)」
オカルト持ちが牌を引く時――
触れた時に牌が決定されるのであれば
京太郎「(俺にも――やれる!!)」
望みの薄い策ではある
だが、0よりは1
――やらなければ、何も変えられない
京太郎「(それが、さっきの牌への接触)」
そう、京太郎は先ほどの嶺上牌のツモである一つの作戦を決行していた
京太郎「(イカサマスレスレだけどな……)」ニッ
嶺上牌を引く時に、その下の牌――
次に惹かれる牌に少し触れたのである
上から軽くちょんっと押す程度であったが
牌をツモる動作で、ずれた牌を直すレベルの動きだ
京太郎「(そう、藤田プロが引く前に俺が触れた。つまり、あの牌の支配は俺にある)」
とんだ屁理屈、子供の理論
だが京太郎は本気だった
京太郎「(つまり今度は俺が引く牌を――次に藤田プロが奪う形になる)」
当然、そんな保証はどこにもない
そのまま和了牌を引かれて負ける可能性だって大いにある
京太郎「(だけどもし俺にほんの少しのオカルトがあれば――)」
京太郎が触れた瞬間に牌は決定され、そこに位置することになるハズだ
京太郎「(言わねーけど、藤田プロ。俺のオカルトはへなちょこだぜ?)」
431: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/09(金) 00:54:29.42 ID:fv4ydcs1o
そして、そんな思考を抱えながら京太郎は闘牌を続ける
一方の京太郎は迷うことなく手を切っていく
京太郎「……(次はピンズを切らないと)」
靖子の有効牌が3pであると分かった以上、35pは危険だ
早めに切り捨てるべきである
アカギ「いや、ツモ切りでいい」
京太郎「(え?)」
アカギ「早くしろ、出来るだけ迷い無く打ったように思わせろ」
京太郎「(は、はい)」タンッ
靖子「(あの四枚……一体何が隠されている?)」
見えない京太郎の手を見て、靖子は不安に駆られている
嫌な予感がひしひしとあの四枚から感じられるのだ
そんな中の迷い無いツモ切りである
靖子の思考に影が差すのも無理はない
靖子「(これは……)」
【靖子の手牌】4p
4556p 118888s 567m
まさかの4p
ここで8sを切り、6p待ちにする手も考えられた
靖子「(だがドラ2の8sを切るなんて、考えられない)」
当然靖子は相手の直撃を覚悟で打つことになる
ドラを落とすことなど、考えられないからだ
靖子「(だが唯一気になるのは、3pを彼が持っている可能性もある)」
ツモ切りからの素早い切り捨て
考えられるのはピンズが無く、清一色や染め手であること
しかし、そこにピンズが加わっているとなると……話は変わる
混一色も清一色も無ければ、ただのゴミ手
靖子「(仮にこれで和了られても、痛くも痒くもない)」つ4p
タンッ
京太郎「……」
靖子「(今は須賀君の親番。飛ばない限り、次の機会はある)」
だが、ここでアカギは確信
4pを切ったということ、それにさっきの2p切りも踏まえると
3ー7pを待ちに据えたイーシャンテンといったところ
つまり、危険牌を整理するなら暗槓する前
今しかない
434: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/09(金) 00:58:49.77 ID:fv4ydcs1o
そしてアカギも動く
アカギ「3pだ」
京太郎「……」スッ つ3p
靖子「ぐっ!?(まさか、本当に抱えていた?)」
困惑する靖子
一方のアカギは、勝利への流れ感じ取っていた
京太郎「(ツモは……!?)」
7p
引き寄せたのは、まともや藤田靖子の有効牌
圧倒的に見える靖子のオカルトに――ヒビが入り始めた証拠であった
57p 999s 【222m 678m 4444m】
アカギ「5pを切れ」
京太郎「……」5p
靖子「!!」
そして二連続で手の内から切った35p
これにより、靖子は盲信する筈だ
靖子「!!(こいつ、もしかして私の思惑に気づいて……)」
そう、もし今の4p直撃でも靖子を飛ばせないとすれば
恐らく、京太郎の手は相当安い
靖子「(だから見逃した。もっと高い手を作ろうと……)」
京太郎「……」
靖子「(ここに来て、なんて馬鹿な真似を)」ニヤリ
アカギの思惑通り、靖子は高をくくる
そして慢心を持って和了を決意するだろう
靖子「(つまり、今須賀君はテンパイしていない)」ニヤリ
そんな見逃しをしてしまえば、運の女神も見放すというもの
その証拠に――靖子が掴んだものは
【靖子の手牌】つ3p
4556p 118888s 567m
靖子「(来た来た来た!!!)」ニヤリ
勝ちを確信する靖子
だがそれは大きな間違いだった
京太郎「……」
438: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/09(金) 01:02:17.02 ID:fv4ydcs1o
運命を引き寄せる力
オカルトによる、絶対的な支配
何をも恐れぬ、女王の闘牌
靖子「ふ、ふふっ……ははは……あははははっ!!」
靖子は笑う
己の勝ちを確信し、ただ嗤う
京太郎「……」
靖子「須賀君、私の勝ちだ」
ざわ……
ざわ……
靖子「長かったよ、ここまで。すごくいい勝負だった」
アカギ「……」
靖子「だが、勝つのは私だ! この、私なんだ!!」バラッ
倒される四つの8s
ドラ8の化物――相手を地獄に誘う死者
靖子「カンッ!!」
京太郎「(来たっ!)」
果たして、自分の読みが当たっているのか
それとも外れてしまっているのか
靖子「(ツモッ! ツモツモツモツモツモ!!! 私のチーピン!!) 」
京太郎「(頼むっ――!!)」
発
アカギ「クク……」ニヤリ
靖子「えっ……!?」
久「う、嘘……でしょ?」
掴んだのは7pなどではない
あるのは――
そこに有るはずの無い発
靖子「う、嘘だ! これは……何かの間違いだ!」
先程までの余裕から一転、慌てふためく靖子
だが、それに対して一方の京太郎は笑みを浮かべる
京太郎「フフ……どうしたんですか?」
靖子「な、なぁっ……」ブルブル
京太郎「自分の読みが外れて、大慌てですか?」
靖子「ち、違う! こんな、こんなハズは無い!」
靖子には確信があった、必ず7pであると
しかし、結果は違った
京太郎の策により、違う牌を掴まれたとも知らず
ただ困惑するのみ、自分の負けを認められない愚か者
みっともない敗北者の姿
京太郎・アカギ「「まるで白痴だな」」
靖子「!?!?!?」
442: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/09(金) 01:04:34.13 ID:fv4ydcs1o
靖子「な、なぜ……」つ発
仕方なく発を切る靖子
他に選択などできるハズが無い
そして、新ドラが表示される
京太郎「……」
一方的な靖子の和了かと思われた
しかし、そんな絶望的状況を乗り越えた先に――
京太郎「……ツキの女神は、待っている」ニィ
3m
靖子「!?」
新ドラは――4m
アカギ「クク……」
京太郎の手牌が一気に跳ね上がる
それも満貫確定のドラ4
京太郎「藤田プロ」
ざわ……
ざわ……
靖子「な、なんだ……?」
京太郎「考えてみてください。あの局面、俺がどうして早々にカンをしたのか」
靖子「!?」
京太郎「別に急ぐ必要も無し、無駄なドラを乗せることもなかった」
靖子「(まさか、まさかこいつ――!?)」
446: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/09(金) 01:08:55.12 ID:fv4ydcs1o
京太郎「……」
アカギ「京太郎」
京太郎「(アカギさん……?)」
アカギ「……お前の勝ちだ」
京太郎「(いえ、違いますよ)」フルフル
アカギ「……?」
京太郎「(”俺達”の勝ちです)」ニッ
アカギ「……フフ。ああ、そうだな」
靖子「あ、ぁっ……」ガタガタ
京太郎「アンタの探し物は……」つ2m
バラッ 4444m
京太郎「カン」スッ
この運を引き寄せたのは――赤木しげるの狂気の運なのか
それとも、須賀京太郎の粘りに粘った勝利への執着がもたらしたのか
答えは分からない
だが一つだけハッキリしているのは――
7p
アカギ・京太郎「「こいつだろう?」」
バラララッ
京太郎「ツモ、嶺上開花」
77p 999s カン4444m カン2222m チー678m
靖子「な、なんで……? どうして、そこに……? ありえ、ない」ガタガタ
京太郎「……」チャッ
1m
京太郎「リンシャンツモ、ドラ8――トビです」
靖子「嘘だぁぁぁぁあ!!!」
この二人――
どちらも劣らぬ、本物の無頼である
461: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/09(金) 01:36:31.09 ID:fv4ydcs1o
【次回予告】
~~デジタル天使、のどっち編~~
久「私は、彼に賭けてみようと思うの」
和「なっ……」
大会出場を取り消され、憤りを覚える和
その矛先は勿論京太郎
和「なら、私が須賀君を倒します!」
自分の実力を証明し、咲と大会へ進むことを決意する
だがしかし、そんな和の前に現れたのは――
アカギ?「……」
/| /| /|
/! ///|///|///,|
/| |.|//// ./// /// |/|
/| | | .! ! ! /// /// .!,.ィ
/! | | | ! l l //ヽ./// / |
. /|.|./\! | l l / ヽ/ ///!
. il |/ `'-‐'´ ヽ/// .|
l||/ ,,. -─‐ ヽ./ .|
. l/ ̄`ヽ u r'"´ / ___.!
. =====、--,:=======〒:f‐、─‐l
!:::::::::.. / ̄l::::::::::::::::.. ノ |;;|-、}  ̄l
`iー--:/ `ー----‐'´ │!-、! ニ!
l / __ ) u |;l‐' !.─l
! ゙-‐ ,.lト‐' l (ムネデケェ……)
. l ⊂ニニニニニ⊃ / 'ヽ三三!
!、 ___ / ヽ,.‐'´\
ヽ  ̄ ̄ / , ‐'´;;;;;;;;;;;;;;;\
ヽ、 ./ .,.‐'´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::ゝ、
ヽ/| /;;;;;;;;;;;;: -‐''"´ ̄',',',',','
|/;;;;;;; ‐'"´,',',',',',',',',',',',',',',','
/;;;;;:‐'´',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',
/;;;;/,',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',
//,',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',',','
和「アナタは?」キョトン
次回
のどっちVSアカギ……?
京太郎「和の写真を用意してっと……」ゴソゴソ
アカギ「クク……なるほど、それで4545やろうってんだ」スッ
京太郎「」
アカギ「なんでもっとこう、スパッと生きられないかねぇ」
京太郎「!?」
アカギ「クク――パイプッシュだ」ニヤリ
つ づ く
506: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/09(金) 23:55:48.30 ID:qZCMW0WXo
京太郎と藤田靖子の闘牌から遡ること数十分前
清澄高校校長室では、一つの取材が行われていた
記者「それではもう一度写真いいですか?」
和「はい。どうぞ」ニッコリ
咲「うぅ……」グギギ
記者「あはは、硬いね。もっと自然に笑えるかな?」パシャッ
咲「が、頑張ります」ニコッ
和「いい感じですよ、咲さん」クスクス
咲「ふ、ふふ……」ニコニコ
和「……」
全国大会で活躍した宮永咲、原村和への取材である
それも、大々的な人気の麻雀雑誌への掲載だ
校長「いやー。素晴らしい」パチパチ
和「ありがとうございます」
校長「これで我が清澄高校も安泰だよ。君たち【女子】麻雀部のお陰でね」アハハハハ
咲「え? 女子、麻雀部?」キョトン
和「……校長先生?」ジロッ
校長「あ、いやっ! なんでもないよ、あははっ!」
咲「???」
和「もう終わりですよね? では私達は失礼します」
校長「あ、ああそうだね。ありがとう」
ガチャ バタン
和「……ふぅ」
咲「和ちゃん、さっきのどういう意味だろう?」
和「さぁ、校長先生の何か勘違いでは?」
咲「そうだよね。酷いなぁ、京ちゃんだっているのに」プンプン
和「……」
咲「それじゃあ和ちゃん。私、もう行くね」
和「どこかに行くんですか?」
咲「うん。ちょっと京ちゃんを捜しに」
和「須賀君を……ですか?」
咲「最近全然話せてないから、えへへ、少し話したいなって」モジモジ
和「……須賀君も、喜ぶと思いますよ」ニコッ
咲「そ、そうかなぁ……//」
和「では……私は先に帰ります」
咲「あ、うん。また明日だね、和ちゃん」
和「はい。では、また明日――」
タッタッタッタッタッタッ
和「……」
508: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 00:04:41.78 ID:UgzkO2sZo
和「……」
清澄高校一年、原村和
元インターミドルチャンプで、今年はインターハイにて好成績を残す
両親は弁護士と検事
その恵まれた美貌に、常人離れしたスタイル
成績優秀、品行方正
彼女を知る者は誰もが溜息を吐きたくなるほどの完璧超人
それが――
原村和であった
和「……」スタスタ
男子A「は、原村さん……// さようなら」デレデレ
和「はい、さようなら」ニコッ
男子A「うひょぉぉぉ!!」ダダダッ
テメェナニハラムサントハナシテンダ! シネッ!
ドガバキッ! ギャァァァア!
和「……」
アーハラムラサンダー カワイイー
スタイルイイヨネー ウラヤマシー
ナカヨクナリタイナァー ホントホントー
和「……」ニコニコ
常に、誰に対しても笑顔を崩さず
全ての人に癒しを運ぶ少女
人々はこぞって彼女を慕い、応援する
中には狂信的なファンも多く――親衛隊のようなものまで出来る始末だ
和「……」スタスタ
恵まれた存在
人々がおおよそ望む、全ての幸福を詰合せたような――そんな人生
その余りある幸福の中にあって、彼女にはただ一つだけ
欠けているものがあった
和「……」ギリッ
それが――
今回の騒動を引き起こす、キッカケとなる
509: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 00:14:26.78 ID:UgzkO2sZo
<<第三話 ~~ノドカ~~>>
【京太郎の部屋】
藤田靖子との対局の後、京太郎は帰宅していた
というのも、出された宿題や次の日の予習――学生にはやることが多々あるのだ
それに宿題を忘れればそれを口実にどんな嫌がらせをされるか分かったものではない
弱みを作らない為にも、京太郎は優等生にならなけばならないのである
京太郎「……」カリカリ
その――
アカギ「……」ジィー
京太郎「……う、うぅ」
ハズだったのだが
京太郎「だぁぁぁ!! 集中できませんよ!!」
アカギ「あらら……」
京太郎「なんで、ついて来てるんですか!?」
というのも、発端はあの靖子との一戦の後
帰宅する京太郎の後ろを、アカギがずっと付いてきたのだ
そしてそのまま家に上がり、部屋まで入り
今じゃベッドに寝転んでくつろいでいる有様である
__ィ ニ ミy ニ 三 ミ、
, z 二,三 : : : : : : : i! : : : : : :`ヽ
´ < : : : : : : : : : : :',: : : : : : : : :ミx
/ : : /: : : : ::γ: : : : ',: :ヽ: : : : :∧
,イ: : : :イ : : : : : ::/: : : : : : : : : ヽ : : : :ミ、
〃 : : /: ,,イ: : : : :,': : : : : : : : : : : : ∨: : : :ミ、
イ :ィ: ;イ: :i!: : : : : :{: : : : : : : : :!,: : : : :',: : : :∧
/ オ: / { : i! : : : : : i!: : : : : : : : |∨:ミ、: :ト 、: ::∧ ヽ
/ ´ {!:/ : i! /! : : : : : i|: : : : : : : : :! ∨:Y ィ メ、 .!
|/ : : i/: ! : : : : : i|:: : : : : ::λ| 〃 ,イツ ヾj、 |
λ: : r'ヘλ: : : : /i从 : : : : { jリ ′ 〃 - ' Y
/ }: : !、r ⅴ: : : i!: : ', ,, =ー 、 iヽ
从リ- テ.':ヽ: : i!ーソ´ セツ ラ ヽ ! ィ= = = 7≧=-
' | ' リハi!: 川リ: :≧ ´ー ´ :. , イ .: .∨////////´
ヽ j! \:∨从: ≧ ー ‘ シ .:: ∨//////7777
∧ ヽ ー┬≧ ー _´ /:: ∨///〈////
', |} イ ヾ!≧=-, ヘ. イ::: ≦=ァⅴ//
}、 / ァ ´ _ , ≦ > ´//∧/≧ュ、 _ ,イ  ̄≧
/ ミー ィ {′,イ>=<////////∧ー、/ハ二 ___
/ ,' r' ィ//////>、77777て’/////////////\
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| '' j! ,イy´ ヽ ////////////////////////
i! / / ≧=- 、///////////////////
| イ ...:: ヽ /////////////////
i! / , < \///////////////
| ´ イ
ゝ、 , -=≦
アカギ「クク……そう怒るなって」
京太郎「家に帰ればいいでしょ!」
アカギ「おいおい、忘れたのか? 俺は記憶喪失なんだ」
つまり、帰る家も分からない
どこに行く宛も無いというわけだ
京太郎「いやいや! お墓があるでしょ! お・は・か!」
512: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 00:27:54.80 ID:UgzkO2sZo
幽霊であるならお墓に帰るべきだ
というかどうやってあの世からこっちに来たの?
どうして俺のとこなの?
聞きたいことは山ほどある
京太郎「あの……そもそも、どういう経緯でここまで?」
それが一番の気になるところだ
幽霊はお風呂のぞき放題だとか、そんな姿でも性欲はあるのかとか
色々と聞きたいことはあるがまずはそこ
京太郎「教えて、くれませんか?」
アカギ「……ま、話してやるか」
この時アカギ、意外に素直
アカギ「アレは――」
【数日前 赤木しげるの墓】
それはいつからの事なのか
アカギ「……」
アカギは気が付けばそこに存在していた
アカギ「……?」
見渡せば墓石が立ち並び、ここが墓地であることはひと目でわかる
そして――自分の目の前にある【赤木しげる】の墓石
アカギ「クク――なるほど」
それは、記憶の奥底で覚えていることなのか
それともただの直感なのか
アカギ「赤木しげる……それが俺の名か」
目の前の墓が自分のものであると、理解することができた
アカギ「化けて出たってわけだ」
微妙に透けた身体
おぼろげな記憶
そんなまどろみのような存在として、アカギはそこに存在した
アカギ「さて、どうしたもんかね」
どうしてそこにいるのかは、別にどうだっていい
過去の事に縛られても――そこには何の価値も無い
だが、問題はこれからのこと
アカギ「……」
記憶がなければ行く宛も無い
何をする気も起きない
513: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 00:39:55.30 ID:UgzkO2sZo
アカギ「……」
そこでアカギの取った行動は待機
その場で留まることを決意する
アカギ「……ま、いろいろあるしな」
墓前に備えられた栄養ドリンクやタバコ、その他様々なお供え物
物には物理的干渉できないアカギだが、なぜかこれられには触れることが出来た
アカギ「クク……」カチッ
スパスパ
アカギ「フゥー」
タバコを吸いながら、ぼーっと空を見つめる
目的も無く、これからどうするか
一度死んだ身に、何ができるのか
命の重みも実感できず、”あの”胸の焼け付くような戦いも出来ないのだ
アカギ「……あの?」
思い出せない
だが、確実に心の中に眠っている
勝負を求める――狂気の魂
アカギ「……」
だが、今となっては無力
例えどれだけの才能があろうと、力があろうと
体が無くては何もできない
生を実感することも――不可能
アカギ「クク……お手上げだな」
半ば諦めのような気持ちもあった
だが同時に――期待もある
アカギ「……」
ここで待っていれば、何かが変わる
そんな――予感
~~~~~~~
ひろゆき「……ヒック、赤木さん」スタスタ
天「……」ゴシゴシ
その数日の間
時々は誰かがやってきて、墓前で手を合わせていった
顔も知らない、でもどこか懐かしい面々ではあったが――
誰ひとりとして、赤木に気付くものはいない
アカギ「……」
アカギは待った
そこから動くことはなく、ただずっと
514: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 00:49:57.16 ID:UgzkO2sZo
オレが望んだもの……
それは変化だった……
全てをひっくり返すような変化だ
生まれ変わるほどの……
アカギ「……」
この死ぬよりもつまらない退屈
それを全て吹き飛ばすような――そんな変化
ひろゆき「それでですね、赤木さん。今日は――」ゴクゴク
ほぼ毎日のように顔を見せるこの男の戦勝報告でもなく
ただもっと――
もっと自分を満たすような狂気の闇
勝負への渇望
誰でもいい
このくそったれな空気
流れを……変えてくれっ……!
アカギ「誰もいい……魔でも……!」
神でも――!!
?「……」ソローリ
ジャリッ
アカギ「!?」
それは――
ひろゆき「お前、この男に用があるのか?」
京太郎「えっ?」ドキッ
それは――今や枯れ果て
とうの昔に失った――熱いなにか
_,.. -- 、__, 、___
⌒> ´ ´ ヽ `ヽ、
_,. ´ , , 、 | 、 、 ヽ
 ̄7 / / 从 、 | | | :.
/イ / /l/ | | | l}从} | {
_/_ { 从ヽ、 { | |/ イ´∨} :
 ̄´ {∧ { ○ 从{ ○ }'⌒}、{
{从 r-く| \
叭 __ 八}イ
、 └―┘ ィ/∨
「¨>-- rく「 ̄ }
, ------ ∨_」 :, ∨]/|ィ¨7ー-- 、
////////「//| ー- 」 }ヽ// ///////}
{/{////// \∧ r' ヽ }' {///////
|l∧////////Ⅵ,〈 | |///////|
|/∧/////////|l∧ ,l |///////|
|//∧/////////() \//∧}///////
アカギ「……待っていた」ザッ
自分には分かる
自分がここにいたわけ、その理由――
アカギ「お前だ、お前を待っていた」
それは――同類を嗅ぎ分ける、直感だったのか
それとも――魔物が引き寄せた運命のイタズラか
アカギ「クク……」
こうして、二人は出会ってしまったのである
515: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 00:55:24.48 ID:UgzkO2sZo
ひろゆき「……まだガキだな」
京太郎「ど、どうも……」ペコリ
ひろゆき「見ろよ、この人の墓」スッ
京太郎「え?」
ひろゆき「墓石の欠片をガリガリ削られて、今じゃこんなに小さくなっちまった」
京太郎「そ、そうですね」
ひろゆき「しかしそれも数年前までの話だ。今じゃ、誰もこの人の墓を削ろうなんてしねぇ」
京太郎「……」
ひろゆき「……お前は、コレが欲しいのか」
京太郎「……はい」
ひろゆき「そうか。素直な奴だな」ハハハ
二人が話し込んでいるのを尻目に、アカギはただじっと少年を観察していた
そのオーラ、身に纏う無頼としての格
アカギ「……」
てんでお話にならない
そこいらの小学生でも、もっとセンスのいいものはいるだろう
ひろゆき「お前、麻雀か?」
京太郎「っ!?」
ひろゆき「その反応、図星か。ガキだからそんなことだろうと思ったけど」
京太郎「……」
ひろゆき「……お前は、どうしてここに来た?」
京太郎「そ、それは……」
ひろゆき「強くなりたいのか?」
京太郎「……」コクッ
ひろゆき「……そうか、強くなりたいか」トオイメ
ひろゆきも先ほどのアカギと同じように京太郎を品定めする
結論は同じ
てんでお話にならない
ひろゆき「やめておけ、ろくなことにならないから」
京太郎「なっ!?」
だが、この時アカギには確信があった
アカギ「……」
この少年には何かがある
必ず、自分の求めている何かが――
516: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 00:59:53.11 ID:UgzkO2sZo
ひろゆき「俺も長くこの世界にいる。分かるんだよ、そういうの」
京太郎「なんでそんなことを、アンタに言われなきゃいけないんだ!」
ひろゆき「……ごもっとも。だからこれはただの忠告」ザッ
去りゆくひろゆき
その背中を見て――アカギはなぜか、自分でもよく分からないが
京太郎「あ、あのっ!」
ひろゆき「俺はひろゆき。井川ひろゆきだ」
アカギ「ヒロ……」ボソッ
呼び止めていた
その男を、顔も覚えていないその――かつての”仲間”を
ひろゆき「(今の、声……)」ドクン
|`/| /〃 / ,/\ ゛ ゙ }: : :.i
|/ .|`/'i リ 〃/i〃/ \∧゛:} {\ ゛_.: : : :|
|/ |:∧}八} | ./ ヽ \\: : : : : : : 、: : |
}ハ ___ レ′ >-ヽ 丶、: :}: : : : :|
'∧ヽ弋ゥ、 ∠ _____ i: :i⌒ヽ: :|
{ハ ー-/ 弋^“´ _. イ |: :|爪 |: :.|
i :/  ̄ .|: :|じ リ: :.|、
' / }_ノ.イ: : : ハ
∨ .. -‐- ノ、i: : ' : : } i
'ヘ´ ‐- .._ __, / :∨: i:.:/ .|
__ / ',: :/ l\
∧ ヽ::::ノ / ∨ | \
/ .∧ / / .|
/ / 丶_ . イ / |
/ ./ } / .|
/ / | ./ |
/ / :| / .|
アカギ「クク……またな」
聞こえているわけがない
アカギ本人もそう思っている
しかし――それは運命の数奇なイタズラか
それともただの幻聴だったのか
京太郎「ひ、ひろゆき?」
ひろゆき「……なんでですか?」ボソッ
ひろゆきの胸にはしっかりと――
ひろゆき「どうして、今さら……化けて出てくるんですか?」
アカギの言葉は届いていた
517: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 01:05:35.63 ID:UgzkO2sZo
こうしてひろゆきと別れた後
京太郎は目的を果たす為にカナヅチを取り出す
墓石を手に入れようというのだ
京太郎「……」ググググッ
アカギ「……」
一方でアカギの方は、この少年にどう接触するべきか悩んでいた
話しかけることも触れることもできない
この状況ではさしものアカギもお手上げである
京太郎「俺は!! 俺の力を信じる!!」
そんな最中、京太郎が一大決心とともにアカギの墓を殴りつける
すると――
アカギ「!?」バキィッ
突然、横っ面を殴り飛ばされたようにアカギが転倒する
その衝撃は――重く、アカギの心にまで響く一撃であった
京太郎「……はぁっ、はぁっ」
アカギ「……クク、やってくれるな」
フラフラと起き上がり、京太郎を睨み上げるアカギ
すると、そんなアカギに呼応するかのように――
パキッ
京太郎「……え?」
パキキキッ……
パキィィンッ……!!
カランッカランッ!
墓石の欠片が、京太郎の前に転がり落ちたのである
京太郎「欠けた……?」
アカギ「あらら……」
京太郎「……赤木さん」スッ
京太郎はそれを、アカギからの餞別だと勘違いしたのか
ゆっくりと拾い上げる
京太郎「貰っていってやるよ」
そして、深々とお辞儀をし――
あらん限りの声で叫ぶ
京太郎「……ありがとうございましたっ!!」ペコッ
アカギ「……」
518: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 01:15:26.40 ID:UgzkO2sZo
そうして、京太郎は早々と帰っていく
対するアカギはその後ろからバレないように付いて歩いている
というのも、先ほど京太郎が墓の破片を手にしてから
なんだか急に体が重くなり
今までのふわふわとした感覚が無くなっていったのだ
アカギ「……」
今の自分は、目の前の少年に近くされる
漠然とだがアカギはそれを理解していた
京太郎「ふんふ~ん」テクテク
だからこそアカギは後ろを歩く
この少年を見極める為に――
アカギ「フフ……」
~~~~
そうして長野まで付いてきたアカギが目にしたのは、
学校内で虐げられる京太郎の姿であった
理不尽な暴力、嫌がらせ
しかしそれに不満を言わず、ただ辛抱する
馬鹿そのもの生き方
他人のことばかり気にして、自分のことを考えない愚か者
京太郎「うっ……くっ……ちくしょぉ」ポロポロ
アカギ「……」
なんてことは無い
この男は優しすぎるのだ
無頼として生きるには――不要な甘さ
アカギ「やれやれ」
現状では、この男には何も価値が無い
自分を満たすような存在には到底思えないのだ
しかし、それでもアカギが京太郎を見放さずに付いて回るのは――
京太郎「……だけど、明日で変わるんだ!」ギリッ
アカギ「クク……それでいい」
瞳の奥底に僅かにくすぶる……勝負への執念
勝ちへのあくなき執着
それこそが、アカギが最も求めているものであった
519: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 01:26:24.51 ID:UgzkO2sZo
【現在 京太郎の部屋】
京太郎「つまり……オレが面白そうだから付いてきたってことですか?」
アカギ「フフ……分かってるじゃん」ニヤリ
京太郎「なんじゃそりゃぁあぁ!!」
そんな映画を見に行こう的な感覚で言われても
こっちは困っちゃいますって!!
アカギ「ま、いいだろ別に。減るもんでないし」
京太郎「なんで幽霊と同棲しなきゃならないんですか!?」
アカギ「中々出来ない経験って奴さ」
京太郎「そういう問題じゃないでしょ!」
ズキズキと痛くなる頭を抱えつつも
京太郎は続ける
京太郎「俺について来て、アカギさんは結局何がしたいんですか!?」
アカギ「……」
京太郎「……」
アカギ「そうだな……もう一度、満足の行く勝負をしたい」
京太郎「えっ?」
アカギ「……心を満たすような、身を焦がす命懸けの死合だ」
京太郎「……」ゴクッ
アカギの言葉はまるでとんちかんであったが、
なぜか妙な重みがあった
それは――冗談でもなんでもなく
間違いなく本気の一言であると、京太郎は理解していた
アカギ「クク――だが俺はものに触れないんでね。必要なのさ、お前が」
京太郎「ひぃいぃぃ!? 体を奪われるぅぅぅぅ!?」ズザザザッ
アカギ「あらら……」
京太郎「というか命懸けの勝負ってなんですか!?」
アカギ「そりゃ……負けたら死ぬってことだ」
京太郎「もう死んでるじゃないですか!!」
アカギ「だから――」
./:::.:.:.:.::.::::_:∨ {┤ | 、 ; ハ
{:.:::.:.:.:::/::::::∨ ヘ'、 }:、 } ; |
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|:.:::.} . :.:.:.:/ ノ/三 \
、_ノ'"´ . .:.:.:イ /三三三ヽ_
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___ ..:.:.:.:.:/.::{レ三三三三三;三三三三三≧= 、_
圭三´ . .:.::.:.:.:/.:::::::.l三三三三三三,三三三三三三三三
. .:.:.:.:.:.:./.:::::::::.: :|三三三三三三!三三三三三三三三
. ..:.:.:.:.:/.::::::::::::. :. :|三三三三三三;三三三三三三三三
アカギ「京太郎――お前でいい」
522: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 01:40:18.30 ID:UgzkO2sZo
京太郎「え? それは俺に死ねと言っているのでしょうか?」グギギギ
アカギ「クク……ま、遠からずってとこかな」
京太郎「」
アカギ「だが、今のお前じゃまだまだ弱い」
京太郎「そ、そりゃアカギさんに比べれば弱いですけど……」ブツブツ
策略や運
その全てが桁違いだったアカギ
それと比べれば京太郎など、吹けば飛ぶようなものだ
アカギ「だから――しばらく見ていてやるよ」ゴロン
京太郎「え?」
アカギ「お前は強くなりたい。俺はお前を借りて勝負したい」
ただそれだけ
アカギにしてみれば、京太郎の死は自分の死に等しいのだから
それで十分に熱い勝負が出来ると踏んでいた
アカギ「お互いに目的を果たせるってわけだ」
京太郎「た、確かにそうですけど……」
アカギの闘牌を間近に感じ、ともに戦う
今日一日だけでどれほど勉強になり――成長することができたか
一目瞭然だった
京太郎「……」
アカギ「……」
京太郎「アカギさん。一つだけ、いいですか?」
アカギ「ああ、言ってみろ」
京太郎「確かに俺は強くなりたいし、実際に今はアカギさんに敵わないでしょう」
アカギ「……そうだな」
京太郎「だけど、だけど俺は強くなりたい。誰よりも――アナタよりも!」
そう、誓ったんだ
自分のチカラで赤木しげるを越える
それが俺の目標なんだ
京太郎「だから――いつか俺と勝負してください」
アカギ「!」
京太郎「……そして、必ずアカギさんを満足させて――成仏させます」
それは――いずれ果たされる約束
京太郎は命を――アカギは魂を――
それぞれが求める、夢の果てにあるもの
胸焦がし、喉がひりつくような熱い勝負の先――
神(魔)の一手を巡る戦いの始まり
京太郎「俺は――アナタを殺す」ニィ
アカギ「クク……面白い。やってみろ」ニヤリ
アカギと京太郎
その長い死闘の火蓋は今、切って落とされたのである
549: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 21:04:58.51 ID:wNxDkFVio
須賀京太郎と藤田靖子の闘牌を終えたRoof-top
そこでは一時的に盛大な、お祭り騒ぎが起こり――場を賑やかせていた
全く無名の高校生がプロ雀士を下す
それも――完全に実力を上回る打ち筋である
人々は口々に噂し、Twitterや2chにその情報を流す
やがて、その噂は妙な現実味を帯びて語り継がれることになる
あの【神域】の再来が現れたと
靖子「……」
卓に突っ伏したまま、一言も発さずに微動だにしない藤田靖子
今、彼女の胸を巡る想いはどのようなものなのか
誰にも分からない
きっと、このプロ雀士本人にも――ずっと
ざわ……
ざわ……
久「……」
そんな喧騒の最中、頭を抱えている少女がいた
久「全く、どうしたものかしら」
ある意味ではこの騒動の発端となった存在
清澄高校麻雀部部長、竹井久である
まこ「……あれが、京太郎じゃと?」
久「何が言いたいのー?」ハァ
まこ「わしゃ……アレが京太郎とはとても思えん」
優希「……同感だじぇ」
途中まではよかった
正直、よく飛ばなかったと驚いた程だ
そしてあの5pを切っての和了に至っては
その瞬間――京太郎に麻雀をさせるべきではないか、そう考えたほどである
551: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 21:12:22.43 ID:wNxDkFVio
しかし――
藤田靖子が現れてから、須賀京太郎は変わった
久「まるで鬼神ってとこかしら――」
大三元のイカサマ、中の二連打切り
靖子の目的を見抜いての和了の見逃し――
そして極めつけは決着の一撃となったあの和了
久「まさか、”まくりの女王”のまくりにカウンター決めるなんて」
まるで理解できない
自分達にいいようにやられていた須賀京太郎からは、到底信じがたい闘牌
優希「なんだか京太郎が怖い。今までのアイツじゃなくなっちゃったみたいで……」
まこ「優希、やめんか」
優希「で、でも!!」
今にも泣き出しそうな顔で、優希は縋り付く
対するまこの顔色は伺いしれない
それは、彼女なりの必死のやせ我慢であったのかもしれない
まこ「……そもそも。わしらの知ってる京太郎とはなんじゃ?」
優希「えっ?」
久「……」
まこ「いつも明るくて、雑用を嫌な顔せず引き受けて、スケベで、麻雀も弱い……」
久「……他は?」
まこ「……」フルフル
久「優希は、分かる?」
優希「や、優しくて……私のわがまま、聞いてくれて、それで、それで……」ジワッ
思い浮かばない
半年近くずっとそばにいたのに――自分達は一体京太郎の何を知っていたのか?
知ったつもりでいたのか
久「所詮、それくらいなのよ。私達が知っていることなんてね」
優希「……」ガクッ
久「彼がどんな風に強くなったとか、今の私達にどんな想いを抱えているか……何も分からないわ」
まこ「ああ、そうじゃな……」ウツムキ
久「でも、一つだけハッキリしてることがあるわ」
須賀京太郎は以前の素人ではない
経過はどうあれ、今の彼は魔物――
恐らくは自分達よりも遥か高みにいる
久「私達は負けたのよ」
竹井久は覚悟を決めた
何があっても、彼を――須賀京太郎を守りぬく
それが自分の――最後の仕事であるのだと
553: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 21:17:30.84 ID:wNxDkFVio
原村和が竹井久の呼び出しにより、Roof-topに着いたのは日が沈見かけた夕暮れであった
大事な話があるから来て欲しい
そんな簡素な呼び出しだけに、和はどこか嫌なものを感じていた
和「……」
ただでさえ、気の滅入るような取材を終えて帰宅したばかり
正直気は進まなかったが、無碍にするわけにもいかず
,、 ─ - _
┌::-/ ┌:Y´::7
{::./ / ヽ V:::}:::::}
,Y 1 l lj ! !V } Y'::`く
く::! ィ, N升卅从卅代ノ;イト'
`ヽN 〔厂 ' 〔厂 l | l
i| '、 ノ 1 ト、
/jj `ー ニ ‐,´ l | ヽヽ
〃/ レ:´:.{ }:.:.:Y l| l V
V { ト:;\i /::/ ∧ l {
ハ l !\><:∧/ } 〉
V 1Y 〉く } | ./′
Y{ /:::::i j |'′
| ヽ {::::::::l 〈 |
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こうやって、出向いてきたのである
ガヤガヤ ザワザワ
店の前まで来ると、店内は異様な熱気に包まれていた
またあの日のようにコスプレでもさせられるのか
そう思うと沈んだ気持ちが更に沈み込んでいくのが分かる
和「……」ハァ
和は意を決し、扉を開く
そこで自分の想像を越えた出来事が
555: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 21:21:28.48 ID:wNxDkFVio
久「和、大会の出場を諦めてくれる?」
和「はい?」
店内に足を踏み入れた和
彼女を待ち受けていたのは、久の唐突な発言であった
和「え? えっと……状況が掴めないんですが?」
和は困惑に支配されながら、必死に理解しようと務める
部長は以前、確かに咲と和
この二人を大会に出すと言っていた
その決定を覆すということはつまり、出場する選手が変わるということ
和「もしかして、部長が出るんですか?」
和が出した結論
それは至極、理に適った考えである
今年引退の竹井久が出場したいと思うのであれば、自分の辞退もやぶさかではない
それに――元々出たかったわけでものないのだから
久「……いえ、別に人よ」
和「え? じゃあ……染谷先輩でしょうか?」
次点で可能性があるのが染谷まこだ
来年度の部長でもあるし、経験を積むことはいいことだ
和も彼女になら代表を譲るのに抵抗はない
まこ「……違う」
和「えっ……?」
そうなると、残っているのは片岡優希
確かに実力は評価しているが、自分ほどではない
しかし、来年からの成長を考えているのだとしたら――
これも部への貢献となるだろう
和「分かりました。ゆーきの為でしたら――」
優希「ううん、のどちゃん。私でもないじぇ」
和「はい?」
そうなると、一体誰が残るというのか
新しく誰かが入部した?
それならばいくらか合点も行くが複雑な心境だ
自分たちが必死になって手に入れた代表の座を、部外者に明け渡すなど
久「須賀君よ」
和「……はい?」
久「須賀君が、和の代わりに出場するの」
和「え……?」キョトン
559: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 21:30:00.17 ID:wNxDkFVio
スガクン……?
すがくん
須賀君
須賀京太郎君
同じ麻雀部員だった少年
優しく、雑用をよく引き受けてくれていたあの須賀京太郎
和「あの、須賀君ですよね?」
久「ええ……そうよ」
和「本気ですか!?」
和が声を荒げるのも無理はない
それは何も、須賀京太郎の実力を軽んじてのことではなく
ただ純粋に――彼の身を案じてのことだ
和「もし今そんなことになったら――」
久「ええ、そうね。特に和――アナタの親衛隊、黙っちゃいないでしょうね」
和「っ……」ゾワッ
思い出しただけでも身の毛のよだつ集団
あの気持ちの悪い男達の集まり――
あんなもの、欲しくもなんともない
ただただ、気持ち悪いだけ
見られているだけで、声をかけられただけで――背筋が凍る
そんな――頭のおかしな連中が、存在しているのだ
和「そう……ですよ、あの人達にまた――酷い事、されてしまいますよ?」ブルブル
久「そうなるかもしれないし、ならないかもしれない」
和「そんな無責任なっ!」
久「……私はね。別に今更善人ぶるつもりも、取り繕う気もないわ」
和「!?」
久「私は自分の夢の為に須賀君を利用したし、そこに後悔は一切無い」
断言
その瞳には、本当に迷いや後悔は無いように見て取れる
562: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 21:39:14.23 ID:wNxDkFVio
まこ「部長、それは少し言い過ぎじゃ……」
久「まこ、別に言い訳しても仕方ないし、結果的にそうなった以上認めるわ」
まこ「……」
和「じゃあ、どうして今更須賀君に?」
久「……見たくなったのよ」
和「えっ……?」
久「私達が勝手に決めつけていた須賀京太郎という男のイメージ……その真の姿を」
和「??」
和にはまるで意味の分からない言葉だった
須賀京太郎は須賀京太郎
それ以上でも、それ以下でもない
麻雀は弱く――雑用しか取り柄がない
優しさはあり、優希も懐いていて好青年だとは思う
しかし、自分はあまり好きではなかった
感謝こそしているが――所詮彼も他の男と同じ
自分をいやらしい目で見ているだけでの、男にすぎなかった
久「和、あなたのイメージはきっと当たっていると思うし。事実よ」
和「……」
久「でもね。目に見えるものだけが真実じゃない、私はそう思うわ」
和には分からなかった
なぜ久がこんなにも須賀京太郎を過信しているのか
どうしてここまで言い切ることが出来るのか
和「ですが、それと大会と何の関係があるんですか!?」
折角、落ち着いてきたばかりだというのに
あれだけ殺気立っていた連中も最近は影を潜め――
今では大したこともしていないと聞いていた
咲の耳にも入っていないことからも分かるように、
このまま須賀京太郎が部活を辞めるだけで全て上手く行くハズだった
それなのに――
なぜ、なぜ掘り返そうというのか
久「私は、彼に賭けてみようと思うの」
和「賭ける?」
久「須賀君が――優勝することに」
和「なっ……」
571: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 21:49:19.01 ID:wNxDkFVio
和はますます分からなくなる
あの須賀京太郎が優勝?
県予選ですらまともに戦えなかったあの少年が?
全国の強者やプロを退けて優勝する?
そんなオカルトありえない
和「……分かりました」ワナワナ
久「和……?」
和「つまり部長は、私より……須賀君の方が強いと、仰りたいんですね?」キッ
屈辱だった
それは別に須賀京太郎がどうとか、そういうことじゃない
今までずっと麻雀を打って来て――辛い想いもたくさんして
共に全国大会を勝ち抜いてきた仲間から、一方的にこんなことを言われるなんて
久「……ええ、そうよ」
和「っ!?」
まこ「部長」
久「事実だもの。いずれ分かるわ」
和「っ……それが、答えですね」ワナワナ
優希「の、のどちゃん……」
和「染谷先輩も、ゆーきも……同じですか?」
まこ「……」コクッ
優希「……うん」ポロポロッ
和「……」
裏切られた、という気持ちよりも
ただただ虚しかった
自分が信じていた絆というものが、あっさり砕け散ったかのようにも思えた
こんなにも、自分達の関係は儚いものだったのだろうか
和「……決定した以上、私に異論はありません」
久「和、ごめんなさい」
和「ですが、まだ大会までは日がありますよね?」
久「え?」
和「なら、私が須賀君を倒します!」
572: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 21:53:47.74 ID:wNxDkFVio
それは果たして――
誰に対する挑戦であったのか
和「そうすれば、また考え直していただけますね?」
どういう経緯で奪われたのか、それはどうでもいい
ただ結果として、自分が彼よりも強いと証明できればいい
そうすれば――全てが丸く収まるのだから
久「……ええ、いいわ」
まこ「部長!」
久「でも、和。一つだけ忘れないで」
和「……なんでしょうか?」
久「私達の絆が壊れたって、思ってるんでしょ?」
和「っ!」ドキッ
久「でもね、それは違うわ」
久はゆっくりと息を吸い込み
体を震わせながら、消え入るように吐き出す
久「元々、完成していなかったのよ。だって、私達六人で麻雀部じゃない……」
和「!!」
久「……ピースが足りてないパズルが、完成するわけないのにね」
優希「うっ、うぇぇっ……」グスッ
まこ「……」ギリッ
和「……」
その問いかけは果たして、和に対するものか
それともまこや優希に向けられたものなのか
あるいは――
久「……ごめんなさい」ウツムキ
自分に向けられた言葉だったのかもしれない
573: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 22:04:53.64 ID:wNxDkFVio
【和の寝室】
Roof-topでの話し合いから数時間が経ち、月が綺麗に輝く夜空
和「……」
和は部屋の窓を開け、静かにその星空を眺めていた
和「どこで、ズレてしまったんでしょうか」
和は思い返す
まだ麻雀部に咲がいなく、優希と京太郎が馬鹿騒ぎを繰り返していた日々
そこに咲が加わり、大会への目標を誓い合って
それでみんな必死に努力して、頑張って、戦って
やっとの思いで優勝した
しかし、気が付けばそこに須賀京太郎の姿は無くなっていた
和「……」
別に彼が嫌いなわけではない
むしろ――自分がこれほどに仲を保てる男友達など彼を除いてはいないだろう
和「……っ!?」ゾクッ
だが、ダメなのだ
気づいてしまったから
理解してしまったから――
周りが自分をどんな風に見て、どんな対象として触れようとしてくるのかを
和「はぁ、はぁっ……」ブルブル
男はみんな同じ
自分の事を性愛の対象くらいにしか思っていないのだ
それはきっと――あの須賀京太郎も同じ
だから、だからこそ
和「負けられません……男にだけは」カチカチカチカチ
身を凍らせるような恐怖の中で、和はただ一人耐える
自分を守る為に――
和「うぅっ……くっ……」ゴシゴシ
好きだった可愛らしい衣装も――
今ではもう着られない
自分を【見られる】ということに、耐え難い苦痛を感じる日々
和「咲さん……ゆーき……助けて」ガタガタ
唯一の心の支え――
それは奇しくも、揃って別の方を向いている
和「須賀、くん……」
和にはもう、何が正しくて
何が間違っているかなど、分かるハズもなかった
579: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 22:13:49.77 ID:wNxDkFVio
一方その頃京太郎はというと――
【京太郎の部屋】
お風呂上がり、体が火照っている至福のひと時
心地よい睡魔に誘われるようにベッドに転がりこむ
そして――その布団の心地よい感触に身を委ねながら……
京太郎「……よし
決意する
京太郎「(今日は和で抜くか)」ガサゴソ
自家発電準備っ……!! 圧倒的っ……自家発電っ……!!
京太郎「和の写真を用意してっと……」ゴソゴソ
ベッドから飛び上がり、机の引き出しから和の写真(引き伸ばし)を取り出す
そしてティッシュボックス(ウェット)をセット
誤爆の無いようにズボンとパンツを脱ぎ捨て、ベッドに再び腰掛けて終了――
この間二秒弱
数万回としてきた動きだ
よどみはない
_,...---、_,.、
/ : /: : / : : ヽー-、
/. : :, !: iハ!/メ、.i | \
イ : :{ ヽN 'i:!/!人iヽi
_1: : :i( _ 丶:\
/ `Yリヽ '、_)'´!`ー`
/:::.. | ,. _/
. /.::、:: ト、ィ'
/ ::::::|:: !;-!
/ ::::|:: ! ヽ、 ,:-‐クヽ
/ ::!::.. ⊥__!_ / ..:ノ)
/ |::::..  ̄`''''''' ′..::::::::::ノ
. /: |::::..... ..............:::_,:::-‐'′
/:: `ー‐┬---r―'''''''"" ̄__
./__ /! i / iu-゙、
/----、\ ::::/ |:: ⊥ __,...-‐'.i...:ヒノ
 ̄ ̄`ー`ー`ー-、/ |::. _,.-‐'"
京太郎「よーし、そんじゃ早速!」ビンビン
スゥー
_、‐-、, -‐z._
> ` " " ′.<
/ " " " " ゙ ゙ ゙ ゙ \
7 " " ",.",ィ バ ,゙ ゙ ヾ r‐ ' _ノ
! " " /-Kl/ Vlバ.N _ ) (_
| "n l =。== _ ,≦ハ! (⊂ニニ⊃)
|."しl|  ̄ ,._ ∨ `二⊃ノ
| " ゙ハ ー--7′ ((  ̄
r'ニニヽ._\. ¨/ ;;
r':ニニ:_`ー三`:く._ [l、
/: : : : : : :`,ニ、: :_:_;> /,ィつ
. /: : : : : : : : / : : : ヽ\ ,∠∠Z'_つ
| : :.:.:.:.:.: . :/: : : : : : l : ヽ. / .r─-'-っ
. |:.:.:.:.:.:.:.:.:.,' ''" ̄: : :l: : : :l / ):::厂 ´
|:.:.:.:.::.:.:.:l -─-: : /:_:_:_:_l / ̄`Y´
. |:.:.::.:.::.::l.__: : : :/::: : : : :l/⌒ヽ: :〉
|::.:::.::.::l: : : : : : /:::: : : : : |: : : : ゙/
アカギ「クク……なるほど、それで4545やろうってんだ」スッ
京太郎「」
アカギ「なんでもっとこう、スパッと生きられないかねぇ」
和の読みはある意味、的中しているのかもしれない
586: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 22:22:42.54 ID:wNxDkFVio
京太郎「死にたい」ズゥーン
アカギ「フフ……お前もやっぱりただの馬鹿だよな」
京太郎の失敗
それはアカギの存在を忘れていたことに他ならない
京太郎「いつもの、いつものクセなんです……」シクシク
みっともなく布団に包まり泣き出す京太郎
十五歳で自分の4545タイムを覗かれたのだから、当然といえば当然である
アカギ「というか、女々しく自分で慰めるくらいなら適当に女を抱けばいいだろ」フゥー
京太郎「は?(半ギレ)」
アカギ「ん?」
京太郎「俺DTなんですけど? そこ分かっていらっしゃいます?」ギリギリギリギリ
アカギ「い、いや……」タジッ
京太郎「DT舐めるなよゴルァァァ!! 好きで4545してんじゃないんだよぉぉぉ!!」
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.. |\ ̄ ̄_@) ≡ヽ ̄ ̄ ̄ ̄@/::::::::| :::::|:/⌒:| | :::|
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...... // ヽ :::::/::::
/ / ヽ :::/:::::
/ ./ ヽ/ |:::
アカギ「……」
面倒くさいのでさっさとDTを捨てさせよう
そう決意するアカギであった
598: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 22:40:35.94 ID:wNxDkFVio
アカギ「それで、お前この女が好きなのか?」
京太郎「えっ!?」ドキッ
アカギが指差すのは勿論、原村和の引き伸ばし写真である
集合写真を伸ばしたものだから解像度こそよくないが、その美貌は当然健在だ
京太郎「い、いやまぁ……好きって言えば、好きだけど……その、愛というか憧れというか」デレデレ
アカギ「クク……でもヤりてぇんだろ?」
京太郎「はい」キリッ
即答である
アカギ「ふーん、ま、胸も大きいし顔も悪かない。ただちょっと丸いな」
京太郎「丸いって、そりゃアカギさんに比べれば大抵の人は丸いですよ」
アカギ「ほー、言うな京太郎」ギロリ
京太郎「すんませんしたっ!」ドゲザッ
アカギ「まぁいい。それより、他に抱きたい女はいるか?」
京太郎「え?」
アカギ「女だ。いるのか、いないのか?」
京太郎「え、えーっと……」
そりゃまぁいるといえば星の数ほどいる
福路さんとか、神代さんとか、石戸さんとか、松実さんとか
京太郎「瑞原プロとか戒能プロとか愛宕プロ……いや、流石に人妻は……」
アカギ「クク、お盛んなこった」
京太郎「そりゃまぁ、年頃ですから」ポリポリ
アカギ「……なぁ、京太郎」
京太郎「?」
アカギ「お前――この世で一番抱いて気持ちのいい女がどんな女か知っているか?」
京太郎「えっ……?」
そう言われても返答に困る
そんなの人それぞれだと思うし、というかDTに分かるわきゃねぇだろ!
京太郎「む、胸のデカイ人ですか?」ドキドキ
アカギ「アホかおまえ、他には?」
京太郎「えーっと、あそこの締めつけがいいとか?」グヘヘ
アカギ「……」
京太郎「自分のナニと、相手のアソコの相性がピッタリ! これだ!!」
まさにDTの思考そのものである
アカギ「なんだなんだ! お前はただのDTか?」ヤレヤレ
京太郎「」
アカギ「……ハァ、もういい」
京太郎「(なんだかすげー失望されてる気がする)」ガビィーン
604: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 22:57:14.53 ID:wNxDkFVio
京太郎「あの、答えは教えてくれないんですか?」
アカギ「ん……、知りたいのか?」
京太郎「後学の為に是非とも!」ペコリ
みっともなく頭を下げる京太郎に、アカギは半ば呆れながらも口を開く
若い二十代前後の姿からは想像も出来ない、憂いを秘めた瞳で
アカギ「……たとえば麻雀だ」
京太郎「麻雀?」キョトン
アカギ「世の中には頓狂な奴がいて……ラチのあかねぇ遊戯に自分の限界を越えたもん賭けちまう」
京太郎「自分の人生も……」
アカギ「まぁ、そんな奴だから……頭は悪いが、勝ちたい気持ちはスゲェーもんだ」
京太郎「……」
アカギ「女も一緒さ。自分の全知全能をかけて考える、決断して、そして躊躇して」
相手が本当に自分にふさわしいのか?
自分が人生を預けるに値する男であるのか?
アカギ「それでもやっぱりこの人しかない」
京太郎「っ」ゴクッ
アカギ「そりゃもう、ほとんど自分の魂を切るように体を差し出すのさ」ククク
その魂の乗った身体
そういう女を抱くことは、それはまるで人の心を喰らうようなもの
京太郎「それって、つまり?」
アカギ「ククク……ようは自分にベタ惚れな女ってこった」
京太郎「へっ?」
アカギ「それに比べりゃあ、お前が言った女はゴミみてぇなもんだ」
京太郎「は、はあ……」
そんな簡単なことなのか?
そう思う京太郎
見よ、これがDTである
アカギ「この世じゃ人の心が一番うまいんだ。女だってそうさ」
京太郎「ふ、深い……」シミジミ
アカギ「自分みたいなクソッタレの為だけに、女が魂かけて差し出すから抱く価値がある」
京太郎「……」
アカギ「違うか……?」
京太郎「は……そうですね……」
アカギ「わかったらさっさと惚れさせろこらっ!!」どんっ
京太郎「は…はいっ!!」ビクビク
こ、この人急にお爺ちゃんぽくなるんだな……
ちょっと怖い
アカギ「フフ……」
609: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 23:16:51.39 ID:wNxDkFVio
京太郎「とは言っても、和はガード固いしなぁ」
というか手を出したら殺されるんじゃなかろうか
あの親衛隊どもに……
京太郎「あ、あのー……やっぱり別な人にしちゃダメですか?」
アカギ「……」ギロリ
京太郎「が、頑張りますっ!」ビシッ
アカギ「それでいい」
というかなんで脱DTする流れになってんだ?
しかも相手があの和……?
おいおい、マジかよ
そんなの太陽が西から昇るくらいありえねぇって!
アカギ「……」ジィー
京太郎「アカギさん?」
アカギ「いや、なんでもない」
京太郎「?」
今、窓から外を見ていたよな?
一体何を見ていたんだ……?
ブルブルブルブルッ
京太郎「ん? 携帯……メールか」パカッ
アカギ「けーたい……?」
京太郎「えっ!? 和からっ!?」ビクッ
驚くのも無理は無い
あの和からメールなど、ここ数ヶ月無かったからだ
京太郎「(てっきり嫌われてるんだと思ってたけど……)」チャッ
カチカチ
【差出人:マイフェイバリットエンジェルのどっち】
題名:お願いです
本文
明日の放課後、私と麻雀を打ってくれませんか?
清澄では何かと目立つかと思います
なのでよろしければ鶴賀の麻雀部で、いかがでしょう?
既に鶴賀には話を付けてありますから
須賀君、どうかお願いします
京太郎「和から、勝負……?」
アカギ「クク、なるほど。いい機会だ」
京太郎「もしかして、部長が何か言ったのかなー」ウーン
もしくは本当に約束を守ってくれたとか
それで代表権を賭けての戦いを挑んできた……?
612: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 23:27:25.53 ID:wNxDkFVio
アカギ「どうする、受けるのか?」
京太郎「……受けますよ、そりゃ」
ここで逃げてちゃ、何も変わらない
脱DTは置いておいて……まず普通に和とは話しておきたいし
アカギ「……勝算はあるのか?」
京太郎「それなんですけど、アカギさん」
アカギ「なんだ?」
京太郎「実は俺……部長やみんなにも、隠してることがあるんです」
それは――いつか和と戦う日を夢見てきた少年の――
アカギ「隠してること?」
とっておきの、切り札
京太郎「俺……和にだけは絶対に勝てるんです」ニッ
~~~
和「……必ず、勝ちます」ギュッ
この時、原村和はまだ知らない
今この瞬間にも――嫌悪し、憎悪にも似た想いを向ける少年こそが
自分を闇から救い出す、一筋の光であるということを
~~~
京太郎「……ということなんです」
アカギ「クク……なるほど、それならお前の勝ちだ」ニヤリ
京太郎「だから、明日は俺一人でやります」
アカギ「好きにすればいい。お前の売られた喧嘩だ」フフ
京太郎「待ってろ和。オレは必ず、お前を倒す」
アカギ「……」
しかし、京太郎もまた知らない
自分の存在が――和にとって光であると同時に
京太郎「……クク」クスッ
強すぎる光は、闇をも生み出すということを
つ づ く
624: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 23:39:08.03 ID:wNxDkFVio
【お ま け】
瞬間――
彼は何も無い真っ暗な空間で目を覚ました
幸雄「っ……?」
その男の名は平山幸雄
遥か昔、伝説の男【赤木しげる】に成りすまし、代打ち稼業についていた男である
幸雄「……?」キョロキョロ
男はかつて、本物のアカギと戦う前に浦部という代打ちに敗北
その後はとある男に命懸けの勝負にいざなわれ……
あえなく敗退
致死量の血液を抜き取られて死亡した
その後、多摩地区のはずれの森林にて埋められているところを発見され
そのまま死体は火葬処分となった
幸雄「お、俺は……」ブルブル
生きている
今現在、どういう経緯かは分からない
だが、確実に今ここに生存している
幸雄「う、うぉぉぉお!!」
雄叫びを上げる
自分が生きてここにいることを証明せんとばかりに――ニセアカギは声をだs
幸雄「はぁはぁ……おっと、こんなことしてる場合じゃねぇ」
そう、生き返ったからといって別に今までどおりというわけではない
今がいつで、ここがどこなのか?
分からないことは多い
しかし、生きてさえいればチャンスはいくらでもある
そう、これからがチャンス――
??「あー、やっぱり失敗なのですよー」
幸雄「えっ?」
不意に、声がした
小さな女の子のような、可愛らしい声
?「とんだパチもんね。酷いったらありゃしない」クスクス
今度はとても艶めかしい、大人の女の声
俺は囲まれているのか?
?「どうしますか、やり直します?」
?「面倒……」ポリポリ
??「正直本物にしか興味ないのですよー」
幸雄「だ、誰だ!? お前らは俺に何をしようとしてるんだ!?」
姿の見えない声が、幸雄に恐怖を与える
一体ここはどこで、相手は誰なのか?
情報が少なすぎて推理することすらままならない
そんな絶望的な状況の中
628: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/10(土) 23:47:00.52 ID:wNxDkFVio
?「そうね、本物でないなら意味は無いし……」
何やらブツブツと、念仏のようなものが聞こえる
一体これはなんだ?
周りで一体何が起きようとしているのか?
??「成仏するんですよー」
?「ばいばい……」ボリボリ
幸雄「な、なんだ……」グワングワン
意識が薄れていく
気分が悪くなって……まるで、血を抜かれているかのよう
幸雄「や、やめろ……俺は、死にたくない」
?「クスッ……何を言ってるのかしら?」フフフ
幸雄「やめろー……死にたくない、死にたくなーい……!」
?「だってもう、アナタは死んでるんですもの」
幸雄「ヤメロー! シニタクナーイ! シニタクナーイ!」
シニタク、ナイ……
シニタク……
シニ……
??「……Zzzz」スピー
?「ふぅ、失敗ね」
?「どうして失敗だったんでしょうか?」
?「そうね。考えられるとしたら――」
既に、この世に戻ってきている――
?「なんて、ありえないかしら?」クスクス
??「……御無礼……むにゃ」スピー
?「あら、もっと別なものを呼び寄せてしまったかしら」
??「これで大会優勝は頂きなのですよー!」
ワイノワイノワイノ! キャッキャウフフフ!
ダメギ「シニタクナーイ、シニタクナーイ……」
その日、出番を心待ちにされていた一人の幽霊が消えた
なんていうことはない、器ではなかったのだ
和と対決?
そんなこと許されるわけがない
だってダメギだし
うん、ダメギだもん
カンッ
697: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/11(日) 23:59:13.36 ID:UsTwM+QZo
京太郎とアカギの運命の出会いから一日が経った
鮮烈な記憶を残したほんの一瞬の勝負
その熱は今や身を潜めていたが、確かに京太郎の中にくすぶり続けている
一度火がつけば消えることのない、その火はやがて大きくなり
止まることなく、京太郎の体を焼き尽くす
そんな身を削る戦いの先にある頂き――
そう遠くない未来
彼はふと思い出すのだろう
自らを導いた一人の神域の存在
越えるべき一人の伝説の男のことを
京太郎「そうでしょう……アカギさん」
i \ \
.:| 、 \ \
.:| \ \ \ \ \ 、
.:i :i .:| i i \ ',\ 、 \
.:| :i :| :i .::| l | ', ', } \、
.:| :| :| :| .:; l | ,/ V } \
.:| :| : : /:/| :| / 丿 ,//.ハ Ⅵ }\ \
⌒ヽ| :|斗 77:/丁 ¨ /| :/=‐-、 〈/斗弋、Ⅵ:| ハ 、 \
ノ`ヽ| i |/ //:/ :| / :|/____ :\ ∨^ー彡ヘ|从 / \ \
Y´| |[ |.:/癶 ̄| :/ ̄|赱及 . : ::ヽ 丿 }/ `\
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: : : . . . |=/=============Ⅳ
闇を飲み込み、男は変わる――
OP2
http://www.youtube.com/watch?v=tvT3KY9kJkg
699: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 00:04:30.40 ID:zSdNQf1Ao
【早朝 清澄高校 廊下】
京太郎「……」
アカギ「クク……」
ざわ……
ざわ……
こうして普通に登校し、歩いているだけでも京太郎は目立つ
それは勿論いい意味ではなく悪い意味ではあったが
京太郎「……」スタスタ
噂話とは尾ひれが付くものであり
今や京太郎は麻雀部の部員に付きまとう変人であり、みんなの嫌われものだと言われていた
当然それは嘘であり、京太郎のクラスは全員そんなことはないと知っている
だがそれをいくら訴えたところで、所詮は焼け石に水
京太郎の噂はどこまでも広がり、今や県外のファンサイトですら叩かれる始末だ
なんてことはない
事実無根であろうがなんだろうが、他人の噂など面白ければ面白いほどいい
京太郎のことを知らぬ者など、みんなこぞって悪人だと決め付ける
女子5人の部活に一人男がいたのだ、下衆な妄想をしてしまうのも無理もない
それは嫉妬か――羨望か
たとえ手を出していなくても、五人の美少女の中に一人だけ男がいたという事実は変わらない
世の男性が京太郎に向ける悪意は――とても計り知れるものではなかった
教師A「ん? 須賀か」
京太郎「……」ピタ
教師A「貴様……まだ学校に来れるとはな」ハァ
その悪意は当然、こういった部分にも現れる
今までは気にも止めなかったくせに、麻雀部が全国優勝した途端にこれだ
顧問も付けなかった部に、あたかも学校側が力を注いできたかのように振る舞い
京太郎のことを部の栄光に泥を塗る存在だと、勝手に決めつけて排除する
醜いクソッタレな現実がそこにあった
700: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 00:06:44.94 ID:zSdNQf1Ao
教師A「お前も分からん奴だな、うん? なぁ、おい」
京太郎「……」
教師A「お前みたいなクズのせいで、学校が迷惑してるんだぞ」ガシッ
京太郎「……やめてください」
教師A「どうしてあいつらのまとわりつく? そんなによかったのか、あ?」
京太郎「俺とあいつらはそんな関係じゃありません」
教師A「ふん、どうだかな」グググッ
京太郎「……」
京太郎は抵抗しない
それは自分が反撃でもしてしまえば、事実だと認めてしまうようなものだから
あの大切な仲間達に――
みんなに迷惑はかけたくなかった
だが――
教師A「なぁ、俺にも少し回してくれないか? そうすれば――」
京太郎「!」
もし、標的が自分からアイツらになるというのなら
話は別だ
教師A「特に原村はいい体してるだろう?」ククク
京太郎「……」ジャキッ
こんな奴、殺してもいい
アカギ「フフ……」
教師A「なんだその眼は? あぁ?」
京太郎「……死ねよ」ボソッ
京太郎の瞳が怪しく光り――
その腕が伸びようとした――その時だった
?「私の後輩に――!!」ダダダダッ!
ダッダッダッダッ!
教師A「ん?」クルッ
久「何してんのよっ!!!!」ガンッ!!
チーンッ
教師A「」タマグチャァァア
京太郎「!?」タマヒュンッ!
アカギ「……」コカンヲサッ
メリメリメリッ!
グチュァ……
教師A「お、おぉっ……おほぉ……」ピクピク
701: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 00:10:14.54 ID:zSdNQf1Ao
教師A「」ピクピク
ナンカタオレテネー? シラネ
オイ、タドコロブチコンデイイゾー イキマスヨーイクイク
アーッ!
久「ふぅ……。おはよう須賀君」ニッコリ
京太郎「ぶ、部長?」ビクビク
久「あら、どうしたの股間なんて抑えて?」
京太郎「い、いえ……」ガクガクブルブル
強烈なトゥーキックが玉袋にめりこんでいた
あれは確実にタマタマが破裂しているレベルですね、はい
京太郎「(部長だけは怒らせないようにしよう)」ブルブル
アカギ「……」トオイメ
久「探してたのよ。今日、和と打つんでしょ」
京太郎「え、ええ。そうですけど」
久「ごめんなさいね、私が上手く説得できなくて」
京太郎「あ、いえ。というか――いきなり代表の座をくれるとは思ってなくて」
元々の約束は代表の座を考えてくれ、というものだ
てっきり次は咲や和と打ってから――なんて状況を想定していたのだが
こうもあっさり認めてもらえるなんて、どういうことだろう?
久「それは、アナタの実力を認めたからよ……」
京太郎「……」
それが嘘なのだと京太郎はすぐに察した
それほどまでに、今の久の言葉は軽く――心に響かない
きっと彼女なりの罪滅ぼし――あるいは、
704: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 00:15:30.72 ID:zSdNQf1Ao
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久「……ねぇ、須賀君」
ほんの少し、思いつめたような顔で久が呟く
京太郎「なんですか?」
久「私の事……恨んでる?」
京太郎「はい……?」
久「え?」キョトン
京太郎「恨む? 何をですか?」
久「……だって、その雑用とか……指導とか」
京太郎「……」
久「それに、今回の事だって守ってあげられなくて……」ジワッ
バツの悪そうな顔でもじもじと久がうつむく
彼女なりに思うところは多いようだ
しかし、そんな態度が逆に気に入らない京太郎
京太郎「部長、俺をバカにしないでください」
久「!?」ビクッ
京太郎「俺が雑用を進んでやったのは弱かったからです」
そう――
みんなと同じ舞台に立つこともできず、見ているしか出来なかった
練習相手になることも、その辛さを分かち合うこともできず
静観することしか許されなかった
京太郎「無力だった――」
705: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 00:21:05.34 ID:zSdNQf1Ao
京太郎「今回のことだって、もし俺が全国に出場でもしていれば――違ったかもしれない」
久「須賀君、それは――」
京太郎「全部俺の蒔いた種です。だから、部長にとやかく言われる筋合いはありません」
久「……」ギュッ
京太郎「それに――俺、今でも感謝してますよ」ニッ
久「えっ……感謝?」
京太郎「俺を麻雀部に誘ってくれて、あんな面白いものに出会わせてくれた」
もしも、これを知らずにいたら――俺はきっとつまらない人生を送っていただろう
きっかけもつかめず、何も変わらず
そして何よりも
アカギ「フフ……」
この人に出会うこともなかった
京太郎「だから――もういいんです」ポン
久「須賀君……」ジワッ
京太郎「部長は役目を果たしてくれました。次は――俺が応える番です」ザッ
久「……うん」ポロポロ
京太郎「部長――俺、優勝しますから」
和も、咲も、誰よりも強くなる
例えそれで俺が俺でなくなろうとも、きっと俺は――もう引き返せない
久「ええ……待ってる」
京太郎「……」
きっと、部長も分かってる
ここから先は――俺がもう戻ってこられないこと
だから――
京太郎「だから部長――もし、俺が和に勝ったら」
きっとこれが最後の――
京太郎「その黒タイツ、一度ビリビリに引き裂いていいですか?」ニカッ
. . -――..、--- .、
. : ´: : : : :_:_:/: : \: : : \
/: :/: : / /:/リi:l: i\: : : :\
/: :/: : / i// 从ハ: :\: : : :.
/〃:./: : :./ノ  ̄ ‐‐- ∨: :.i: : : ::.
. // l/: : : /´ ‐‐ 、,__ ∨:.|: l: : ::.
// /: : : :/ ニ、 ィ斥心ヽi: :|:リ: : : :
i/ .: : ://ィ斥心 V沙゚ ノi: :l/ : : : |
l |: : |/从 V沙 , ,,, l〃: : : : :|
i |: : i:∧ ,,, /: : : : / : |
|: : |: ∧ 〈: : : : /: : :;
八: :i/: ∧ ´` 〉:l: :.i: : :/
ヾi/:/i:介: . .., .イi: :l: l:|: :/
∨ノ: :i: :l:_:〕 -- i:.|:l:/:/:.|:/
〃: : :l:.ノ.:.:i ト〃:/: ノ:{
-=´i/:/:./ニニニ\ i/: /:./: : :ヽ
// ̄ ノ从ハニニニニニ\__i从i:/`ヽ: :l:.i=-、
///\ {::\二二二\ |'二ニi从リ二/、
. i/{ i \ \:::\二二二\ |二二二ニ/} ∧
. l/| 八 \ \:::`<ニニニニ\|二二>'"::// i
久「……ばか」
アナタの後輩として出来る、最後の恩返しなんだ
708: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 00:34:18.52 ID:zSdNQf1Ao
スタスタスタ
アカギ「……よかったのか?」
京太郎「何がですか?」
アカギ「フフ……」
意味深な顔で後ろ付いてくるアカギ
どうやら色々と思うところがあるらしい
京太郎「別に、部長とは何もありませんし」プイッ
アカギ「……そうかい」ニヤ
京太郎「そりゃまぁ、おかずにはしたことありますけどね」
数百回くらい
主にロッカープレイ
せまいところが(ry
アカギ「ほー」
京太郎「うぐぐ」
ええい、なんなんだ!
アカギさんは俺に何を言いたいんだ!
京太郎「というか、学校まで付いてこないでくださいよ!」
アカギ「クク……そんなのは俺の勝手だ」
京太郎「うぐぐ、学校は部外者立ち入り禁止なんですから」
勿論、幽霊も例外ではない
多分だけど……
アカギ「へぇー、そいつは初耳だ」
京太郎「……もういいです」ハァ
相変わらずアカギさんは子供なんだが大人なんだかよく分からないな
ていうか、あれ?
そういやアカギさんっていくつなんだ?
京太郎「あの、アカギさんって何歳で死んだんですか?」
アカギ「……さあな」
京太郎「あ、そういえば記憶が無いんでしたっけ」
アカギ「ああ、何も覚えてない」
つまり、20歳だったり100歳だったりもありえるのか?
あれだけの伝説を残してるくらいだし、結構な歳はいってそうだが
京太郎「(一度、アカギさんのこと詳しく調べた方がいいかな……)」
だけど図書室とかにありそうもないし
裏で伝説を残した人だから表立っての資料は残っていなそうだ
やはりそういう筋の人を尋ねるのが一番だろう
京太郎「そうなると……やっぱり」
【あの人】を――頼ってみるか
712: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 00:49:09.48 ID:zSdNQf1Ao
【一方その頃 東京 某所】
ヤクザ同士の麻雀賭博
そんなものは、いつの時代だって行われている
例え規制が強くなろうと、なんであろうと
それが組の面子を保つものである限り――この先も残り続けるだろう
そして――そんなヤクザ同士のゴタゴタの中で
今、一際異色を放つ代打ちがいた
黒服「お嬢、お見事でした」
ざわ……
ざわ……
??「……存外つまらないな。裏のプロというのも」
八木「……」
男の名は代打ちの八木圭次
遥か以前は相当な打ち手として名を馳せたその男も――今や死にかけのジジイ
若い時代に飲み込まれるのも、無理のない話であった
黒服「いえ、この程度の代打ちはまだまだ三下でして」
??「そうか。ならいい」
元々は興味本位で付いていった組同士の代打ち麻雀
そこで見た、一人の男
優男な風貌からは想像も出来ない、悪魔じみた闘牌
そこいらのプロ雀士よりも遥かに高みにいる、その実力
??「……」
心が震えた
あれほどに強い打ち手がいるということ
麻雀にはまだまだ先があるということを知った
713: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 00:54:36.86 ID:zSdNQf1Ao
今の自分ではとても敵いそうにないが――いずれ機会があれば戦いたい
そのためにも、今は実力を付けるのみ
??「そういえば、あの男はどれくらいの強さなんだ?」
黒服「井川ひろゆきのことでしょうか? でしたら――最上位より、少し落ちるくらいかと」
??「……あれでか」
黒服「とは言っても、今では引退間際の天さんを除けば上から数えた方が早いのですが」
??「そうか。あれよりも上がいるのか――」
恐るべき強さを有していた井川ひろゆき
しかし、それすらをも上回るという打ち手
そして、終局後に井川ひろゆきが言った言葉――
今でもハッキリと覚えている
~~~「まだまだ赤木さんには届かないな……」~~~
??「ふふっ、面白いな」
黒服「は……?」
??「次の相手を用意しろ。なるべく強いのがいい」
黒服「か、かしこまりました!」
??「赤木しげる。【神域】と呼ばれた男……どれほどなのか」
少女はまだ知らない
いずれ、自らの前に立ちふさがる少年こそが――
その【神域】の男であるということに
714: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 01:04:04.26 ID:zSdNQf1Ao
【さらに一方その頃 鶴賀学園】
睦月「……」サッサッ
鏡「」キラーン
睦月「……」カミイジリイジリ
鏡「」キラキラーン
睦月「に、にこっ」ニカー
鏡「」ブッブー
睦月「」ガーン
ガクッ
桃子「むっちゃん先輩、何してるんすか?」
佳織「えっと……今日、部室を清澄の人に貸すらしくて」
桃子「そういえば、清澄のおᘄぱいさんが来るとかなんとか」
佳織「うん。それでその、一緒に清澄の、ほら……男の人がいたでしょ?」
桃子「男? あぁ、あの荷物持ちしてた奴っすね」
佳織「あのね、これは内緒なんだけど……」ヒソヒソ
桃子「ええええ!? むっちゃん先輩がアイツに!?」ガビーン
ざわ……
ざわ……
佳織「ああ! ダメダメ!」アセアセ
桃子「ご、ごめんなさいっす」」シュン
睦月「う、うむ。ひ、久しぶり、だ、だね」グギギギッ
鏡「」ブブー
睦「Orz」ズゥーン
桃子「一体何があったんすか?」ヒソヒソ
佳織「詳しいことはよく分からないの……」ヒソヒソ
睦月「す、須賀君……きょ、今日もいいて、天気で」グギギギ
鏡「」ブブー
睦月「」ショボーン
桃子「重症っすね」
佳織「重症だね」
719: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 01:16:16.72 ID:zSdNQf1Ao
桃子「でも、可愛いっすよ」ヒソヒソ
佳織「うん。恋する乙女だよね」ヒソヒソ
睦月「……帰る」フラフラ
桃子「!?」
佳織「ええっ!?」
睦月「こんな顔じゃ須賀君に会えないから、帰るよ」スタスタ
桃子「え、うぇええ!?」
佳織「ど、どうしたの急に!?」アセアセ
睦月「もう死のう」
桃子「どういう思考回路っすか!?」
ギャーギャー
ガチャッ
ゆみ「おいおい、何を騒いでるんだ?」
智美「廊下まで声が漏れてたぞー」ワハハ
桃子「先輩! 元部長さん!」
佳織「どうしてここに?」
ゆみ「今日は清澄に立会人を頼まれてな」
智美「それで部室を掃除しておこうと思って来たわけだぞ」ワハハ
モトブチョウダー
ユミセンパイカッコイイ
ワハハセンパイマジワハハ
睦月「嫌われる、もう終わりだ……おしまいだぁ」ガクガクブルブル
ゆみ「で、これはなんだ?」
智美「見事なナーバスぶりだなー」ドンビキ
桃子「ジツハカクカクシカジカスカトロモモなんすよ」
ゆみ「あの、須賀とかいう少年に?」
智美「おー、めでたい!」パチパチ
佳織「ま、まだ付き合ってるわけじゃないよ」アセアセ
睦月「ソウテダヨワタシガスガクントツキアエルワケナイヨウムモウシノウ」ブツブツブツブツ
佳織「あぁぁ! ち、違うのぉ!」アセアセ
ゆみ「重症だな」
智美「重症だぞ」
桃子「重症っすね」
佳織「重症だよぉ!」
睦月「うむ……」
723: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 01:23:56.02 ID:zSdNQf1Ao
睦月「死なせてください!!」ジタバタ
智美「や、やめるんだ! 早まるんじゃないぞー!」ガシッ
佳織「いやー!!」
ギャーギャー! ワイワイ!
桃子「そういえば、清澄はなんの用なんすか?」
ゆみ「ああ、なんでも原村と須賀が【二人きり】で勝負したいらしくてな」
睦月「……」ピクッ
桃子「え? 清澄じゃダメなんすか?」
ゆみ「事情は分からないが、なんでも【人目につかない場所】がいいらしくてな」
睦月「……」ピクピクッ
桃子「それでここってわけっすね」
ゆみ「ああ。私と蒲原でメンツを揃えて、サシ馬対決でもする気だろう」
睦月「サシ馬……? 挿す……? 馬のように……?」ガクガク
モワモワァン
~~妄想~~
京太郎「そら、和! どうだ!!」パァニパァニ!
和「ひひぃぃぃん!?」ガクガク
京太郎「馬並みだっ……!! 俺のはっ……馬並みだろうっ……!!」パァニパァニ!
和「ひぐぅぅぅぅ!?」ガクガクプシャァァア!!
ゆみ「いいぞー!」
智美「やれやれー!」ワハハ
~~~~
睦月「……死にます」フラフラ
ゆみ「どうしてそうなる!?」ガーン
731: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 01:32:40.23 ID:zSdNQf1Ao
ガラガラッ!
睦月「飛び降りる! 死ぬしか、道はない! 無いっ!」グググッ
智美「だからやめっ、やめろぉー!!」ガシッ
佳織「死んでもいいことないよぉ!」グググッ
睦月「う、うぅっ……!!」ポロポロッ
その時、奇妙な偶然が起こった
窓を開けて身を乗り出し、涙を流す睦月
暴れたことにより飛び散った涙のひとしずくが……
静かに遥か下へと吸い込まれていくその最中
「……」ピチョン
偶然にも、下を歩いていた少年に当たってしまった
睦月「えっ……?」
「雨か……?」
顔を上げる
その少年の視線が上へ、上へと上がって行き――やがて
__,.ィ ̄ ̄`ヽ/ヽ__
> ´ ̄ / ` `、 、
、 - ´ / ' } ヽ ヽ\ \
`  ̄ >' / ,: | ∧/! | } ヽ ヽ
/,ィ / ' / /| _/,.ム斗}-/ ハ :.
{/.' ,| ,.|-}/-{ | / ,ィチ斧ミ }/ } | .
/ イ/{ : ! ィ斧从}/ Vzソ ノ /イ ,:
<__ ´// 从{ Vソ / / イ- 、 |
{'{ { , ' /' ⌒ } |
从Ⅵ /.: ノ |
叭 v_ ̄ヽ ,rー' 从
、 イj / /
:. < |' /}/
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| |/
「 ̄| 「 ̄ ̄ ̄ ̄}
|//l| |//////// 、
,. <// ∧ |//////////> 、
京太郎「津山……さん?」
睦月「あっ……」
その視線は激突した
睦月「あ、あぁっ……//」カァァァア
京太郎「……? (何してるんだろ)」
事情がよく分からない京太郎ではあったが、
視線があった以上挨拶しないわけにもいかない
京太郎「……」ニコッ
睦月「」ボムッ!
智美「!?」ビクッ
睦月「あ、うぁ……あぁ」バタンッ
一同「えええええ!?」
734: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 01:40:49.57 ID:zSdNQf1Ao
ムッキー! ウワァァアシンダァァア!!
ダレカァー! ビエェェン!
京太郎「騒がしいな……」
鶴賀はとても賑やかな場所らしい
京太郎の中での鶴賀のイメージがちょこっとだけずれていく
アカギ「フフ……そんなことより京太郎。相手はお待ちかねのようだ」
京太郎「……!!」
アカギの視線の先
そこで待ち受けるのは――
,. . . ---. . . .,
_,,,,. '.: : : : : : : : : : : : :`゙'. , _
i/ ._,./::iヽ,
i'"~::/ . .; .i: : ; : : : : : : : : : : : ィ´::::`v":::ィ
i: :./: :.i : l: :l: : il: : : : i: : :.li: : ; i: ヽ::::;;:::i::i:::::|
冫/:./i: : li: i: : i:.|: : : |: : :|: |: :|i: i: :冫:::::/iヽ,l
!,::i: :i:.|: : |:| |: :.i|:.|: : :|i: :.|: :.|: |:|: |; iゝイ:::i;::::\
./|:.|i:.|: : |:i__l_l_:.|: : ! l l:_!_i:_:l´l ||: リ::;,!l__/
く;;;|:|'|:.l: :.||'ャii;;;;;;;i \! l/ヤi;;;;;;i;'ヤl|_,.! '´:|: :l: |
l! l!,\l !:ヽ辷ソ ヽ==ソ .! |: : :.|: :|: |
/|: |: :|i 、 ;ィ'| : : :|i: :i: |
/ |: |: :|:ゝ /" | : :.|:|: :|:.|
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;´ /:.i|i : :l_,..-‐'''´:/:イ /:::::::::::|:| . i|.,| |: : ハ
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. iil: :.i .l: : i .'._ .゙''.‐.,y,._≠'' ´,,..‐//: : / i |:l: :i :i: l
l!i :i; lil! l `゙''ー;-'‐;:-‐ ''´ //: : .;'`;.|. |::|i:|: .i |
', / l:!l:l l トーィ;" ;'/i:.i .i i| |::||:l: | l!
;' li l:l i / .i ,! ;' l:li :l '; i |::|: i:| !
和「よく来てくれましたね」
京太郎「和――」
和「須賀君、私は絶対に負けません」
京太郎「……」
和「私が勝って、咲さんと大会に出ます」キッ
それは――正面から京太郎をねじ伏せるという和の決意
だが、それは大きな勘違い
京太郎「なぁ、和。一ついいか?」
アカギ「クク――」
和「……?」
京太郎「俺が負けたら、出場権をお前に返すのはいいんだけどさ」
和「はい、そうして貰えるなら助かります」
京太郎「でもよ、これっておかしくないか?」
和「……はい?」キョトン
まるで分からない、という和の表情
それに対し京太郎は――至って冷静な顔で告げる
京太郎「お前が負けたらどうするんだ?」
和「えっ……?」
737: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 01:54:26.89 ID:zSdNQf1Ao
和にはまるで意味が分からなかった
自分が負けたら何を差し出すか?
自分が負けたら?
何を言っているのだろう?
和「あの、言葉の意味がよく……」
京太郎「俺は部長達に勝って枠を手に入れた、負けたらマネージャーになるって条件でな」
和「それが……?」
京太郎「俺はこの枠に命を賭けて、必死にしがみついて手に入れたんだ」
和「……」
京太郎「だから、メリットの無い戦いにこの枠を賭けるなんてするわけないだろう?」
和「!!」
ここまで来て、ようやく和は理解した
つまり京太郎は和にも賭けの商品を差し出せと言っているのだ
和「……」
正直、和は全くそんなことを考えていなかった
なぜなら大会の枠というのは強い二人が選ばれるもの
戦って勝った方が手に入れる
それが当たり前だと思っていたからだ
京太郎「つまり、だ。お前が俺を勝負に乗せるだけの何かを差し出すってんなら――打つぜ」
和「……見損ないました」
これでも和は京太郎を他の男子よりは評価しているつもりだった
ほんの僅かではあるが、それはエベレストにも勝るものである
それが、まるで紙くずのように吹き飛んでいくのが分かる
和「アナタはもっと、真摯な人だと思っていました」
京太郎「なんだっていいさ。俺の考えは変わらない」
和「くっ……」
だが、いくら和が京太郎を嫌おうと――見下そうと
枠を握っているのは京太郎である
つまり――京太郎が受けなければ勝負自体が成立しないのだ
和「……ハッキリ言えばいいんじゃないですか?」
京太郎「ん? なんだ?」
和「須賀君の……望みはなんですか?」
正直、これ以上失望したくなかったというのもある
須賀京太郎が他の低俗な男と同じだと、なぜか認めたくなかった
しかし、その期待は裏切られることになる
京太郎「そうだな――それじゃあ」
和「……」
京太郎「胸、ひとつ」
和「……えっ?」
京太郎「和が胸をひとつ賭けるなら受けてもいい」
741: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 02:04:19.69 ID:zSdNQf1Ao
和の胸のサイズは90cmオーバー
この当時の90cmオーバーは今の90cmオーバーである
和「む、胸……ですか?」ビクッ
京太郎「ああ、そうだ。右でも左でも好きな方でいい」
和「そんな――胸を、どうするんですか?」
京太郎「所有権を貰う。触ったり、舐めたり、嗅いだり……」ウヘヘ
和「ひっ!?」
京太郎「枕にしたり――!?」チラッ
アカギ「……」
京太郎「!?」
その時のアカギさんの表情は印象的で
今でもよく覚えている
子供が興味の無いおもちを見つめる目
┏━━━━┓ lll /.lll / l iii ii ii /|iii iilヽ ll llll ┏━━━┓
┃だ で あ┃ lll / ! i´ liii/| iiii/ .|lll | ヽ lll ll ┃生 オ..┃
┃ろ き ん┃ lll ./,,,,,,,| i |ii/ |iii./ _ ,.,,|ii |,,,,,,,,,\ll ll ┃涯 レ. ┃
┃う な .な┃ | / .l'"".|/ .|ii/'"`` ヽ| | lll ┃ ・ に .┃
┃か い 目┃ l i-====ヽ レ ====== -|ll|⌒ ヽ .┃ ・ は .┃
┃ら .は┃ ヽl | ,. (。0)// ;;; (。0) |ll|⌒| | ┃ ・ . ┃
┃・ .┃ | `¨゙゙"// ;;;;;`゙゙'''' ''' '' ゙゙ |ll| .| | ┃ ┃
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_,,,入 /;;;;;;; | / \
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京太郎「(って、諦めるかー!!)」ギラギラ
和「……っ」ブルブル
燃え上がる京太郎とは対照的に、和は苦しんでいた
ただでさえ京太郎に裏切られたことに続き……この展開である
745: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 02:14:29.41 ID:zSdNQf1Ao
和「何を……馬鹿な」
京太郎「……」
和「そんなもの受けれるわけないじゃないですか!」
京太郎「なぜ……?」
和「なぜも何もありません! 話にもなりません!」
必死に否定する和
その姿は異様なまでに怯えにまみれている
京太郎「なんだ……自信が無いのか?」
和「自信は……あります」
悩む和
自分が負けるとは思えない
だが、もし――もし負けたらどうなるのだろう?
和「しかしどんなに低い確率でも、ゼロではありません」
アカギ「……」
和「たとえ1%でも裏を引く可能性がある以上、胸なんて取り返しのつかないもの……」
京太郎「……」
和「勘違いしないでください。これは負けることや胸を失うことを恐れているわけではないんです」
京太郎「じゃあなんだ?」
和「こんなの馬鹿馬鹿しい賭けです。確率が低いとは言っても――」
京太郎「……和」
和「単なる大会で、命や体を張れますか? 【無意味な死】はごめんです」
京太郎「無意味な死?」
アカギ「クク……なるほど、凡夫だ」
京太郎「その【無意味な死】ってのが――まさにギャンブルじゃないのか?」
和「えっ……?」
京太郎「俺は最近そう考えるようになったけど、違うのかな?」
749: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 02:22:30.49 ID:zSdNQf1Ao
京太郎の瞳に迷いは無い
本気でそう思っているのだ
隣にいるその男の影響か――あるいは元から眠っていた本質か
和「私とは考えが違うようですね、須賀君と私とは」
京太郎「いや、これは考えの違いじゃない。覚悟の問題だ」
和「!?」
京太郎「ようするにお前はまだ勝負の覚悟を決めていないんだ」
和「なん……」ワナワナ
京太郎「だから、麻雀を確率なんかで計ろうとする。見当違いも甚だしいぜ」
和「っ!!」ギリッ
京太郎「背の立つところまでしか海に入ってないのに、海を知ったと言ってるようなもんさ」ニヤリ
アカギ「ハハハ、言うな京太郎」
和「須賀君っ……!!」ギロッ
デジタル麻雀に対する罵倒
これは――和本人への罵倒よりも遥かに効果を与える
京太郎「さぁ、どうする?」
和「わ、私は――」
京太郎「まさか、ここまで言われて引き下がるのか?」
確かにこのままでは悔しい
勝負に勝って、目の前の男に敗北を与えたいという衝動が沸き上がってくる
和「……」
この男に胸を奪われて、好き勝手にされて……
そんなこと、考えただけでおぞましい
和「(でも……)」ブルブル
負けたくない
男には――特に、こんなことを言う男にだけは
だから――
和「分かり、ました……」
. /: : : : : : : |: : .:i:.|:.:.:.:i| |:.:.:.:.:.:.|!:.:|i:.:| 、:.:.゙、::、 ゙、゙、:::::::::::;::イ/:::::::::::::::i:::::
./ : : : |: : :i:.|:.:.:.:i:.|:.:.:.i| |:.:.:.:.:.:.:.|!:.| i:.:i 、:.:.:、:.、::.:.:.!:.:iヽ/:.:.:.|/:::::::::::::::::i::::
i: |: : : |: :.:|:.|:.:.:.:i|:|:.:.:.| ! | ..:|i. | .i: i ゙、:.:.i.;A-‐ハ:.!:.:.:.:.:.:.:..!:::::::___|::::
!:.i |: :.:| .:.:.i:.!:.:.:.|!.i! :l |:.:!:.:.:.:.:..i:.:.i ゙、! _/ハ:ハ/ |ィ;.:.,.-‐-、!:/.:.:.:.:.V/
i :|.| :.:.:i i i_:|、!、:.:.! i:!、i:.:.:.:.:.:.i:.:.i _;彡';tr=、 ヾ、"' /ヽ |':.:.:.:.:.:.i:.:|:.:.:.:
. ! i:i! | ..:i :i:.:.:i`iー>ト-!、丶:.:.:.:.:i:、^V i_;:::::::ヽ / i: : : : :.:|:.:|:.:.:.:
、:!:i、:.:.i:.:.:.:.|:.i:、:.7メ'f:::::::ヾー\:.:.:.:、`ヾ <;;;:ン ′ ノ : : : :.:.:!:.|:.:.:.:
ヾi 、:.\:.:\:.]〈 っ::::;:i  ̄` _,∠|:|: : : : .:|:.|―-
ヽ!:.i、`゙ー-r≧ >≠ , " " / |:! : : : :.:|:.!////
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|:.|: : : : :.:.:.i i r== "ヽ / i: : : : : :.:i:.|////
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和「その勝負、受けます!!」
京太郎「Good!!」
アカギ「なぁ、京太郎。やっぱり命を張らねぇか?」
京太郎「ダメです。これこそがベスト」キリッ
アカギ「……そうか」
753: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 02:38:30.82 ID:zSdNQf1Ao
和「胸が欲しいだなんて……ヘン夕イですね」
京太郎「そうか? 俺らしいと思うけど」
和「……最低っ」ボソッ
京太郎「あっはっはっ、そう怒るなって」
アカギ「……?」
和「私は、負けません――絶対」ブツブツブツ
アカギ「……」
和「いやらしい男なんかに、絶対、男には――」ギリッ
アカギ「……なるほどな」
この時、アカギだけは京太郎の思惑に気づく
京太郎「……(悪いな、和。こうでも言わないと――)」グッ
その恐るべく思惑は――
アカギ「(クク……お優しいこった)」ニヤリ
きっと、京太郎に残された最後の良心
京太郎「じゃあ、行こうぜ和」
和「……」コクッ
この時の和はまだ知らない
胸を賭けたことの本当の意味――
京太郎が自分をどんな目で見ていたのか
和「……必ず、勝ちます」
そして、須賀京太郎に対する考えがこの日を境に――
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京太郎「――さぁ、楽しい勝負の始まりだ」
思いもよらぬ方向へ、変化していくことを
ED
http://www.youtube.com/watch?v=Md42D3kDEXg
756: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/12(月) 02:46:33.46 ID:zSdNQf1Ao
【次回予告】
須賀京太郎と原村和
両名の意地を賭けた闘牌は、ある意味予想通りの出だしとなる
和「ツモ、倍満です」
京太郎「……」
何もできない京太郎
優勢に進める和
京太郎「さーて、頑張るぞっと」
ゆみ「(まるで平凡な打ち手だが……なぜだ? なぜこうも嫌な予感がする!)」ゾクッ
だがそれは――
京太郎「和、やっぱりお前にだけは負けない」
和「!?」
全て――
この男の策の内である
京太郎「俺さ、ずっと好きだったんだ」
和「須賀……くん?」
次回
――シセン――
京太郎「和。俺は一度だってお前を――」
和「っ!」ドクンッ
アカギ「……」ソワソワ
この時アカギ、意外に純情
793: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/14(水) 01:53:59.70 ID:w5gMM8hSo
【数週間前 清澄高校】
和「……」スタスタ
その頃、原村和は喜びに満ちた日々を送っていた
というのも、所属する部活が全国大会で団体戦優勝
自分は引越しもせずに済み、この長野の地に留まることが出来たからである
和「ふふっ……」
親友の片岡優希、そして大切な仲間である宮永咲
頼りになる先輩である竹井久、染谷まこ
それと、ほんの少しだけ仲のいい
____ _
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/ ゙、 \
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/ i _l,-|‐ | | -ト.|_| ヾ、
|/ __ ゙、 ハ,ハ|゙、 |/|ハ∧| / ゙、
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――ちょっとだけ気になる男の子
和「……いえ、ないですね」
確かに優しさもあるし、優希が懐くだけのことはある
だけど、正直よく分からない
恋愛という気持ちを体感したことがない上に――そもそもそんなに熱を上げているわけでもない
あくまで他の男子よりもほんの少しだけ上に位置している
ただそれだけのことだ
和「あっ……」
などと色々と思案していたが、大事なことを忘れていた
次の授業は移動授業
日直である自分が教材を運ばないといけないのだ
和「ゆーきは……先に行ってしまいましたね」
待たせてしまうが、こればかりは仕方ない
踵を返し、教室へと引き返す和
それが、悲しい出来事の始まりとなった
794: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/14(水) 01:57:38.85 ID:w5gMM8hSo
ガヤガヤ
移動教室というものは不思議なもので
大体が移動する時に仲のいいグループでかたまり、女子はさっさと移動
男子は時間ギリギリまで教室で遊んだり、喋っていたりするものだ
この日もそれは例外ではなく、和をはじめとした女子はみな先に移動を終え
今教室に残っているのは一部の不良男子のみであった
和「(……少し、入りづらいですね)」
と、教室の前まで戻ってきた和であったが
中に男子しかいない状況はいささか、躊躇する
和「(まぁ、気にすることもないでしょう)」
一応はクラスメイトである
とって食われるわけでもないと言い聞かせ、扉に手をかけた――
男子A「やっぱり原村の胸は最高だよなぁー」グヘヘ
和「っ!?」ピタッ
扉越しに聞こえた言葉
自分の胸が最高――?
それは一体――
男子B「だよなぁ、顔も可愛いけどやっぱりあの胸だな!」
男子C「あぁ~、一度でいいから揉みしだきてぇよ~」
ゲラゲラゲラゲラ イヒヒヒヒ
フヒヒヒヒ
和「え……? 何、を……?」
困惑
今まで自分が聞いたこともないような下卑た言葉が、和を混乱させる
男子A「俺なんか昨日は原村の大会の映像見てさー」
男子C「あー、原村とヤれたら気持ちいいだろうなー」
男子B「犯したくなっちゃうよなー隣で見てると」ニタァ
和「!?」ゾワッ
795: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/14(水) 01:59:49.52 ID:w5gMM8hSo
多少の自覚はあった
優希がネタにしたり、からかう時によく言う言葉
だが、実際にそうだなんて――思ってもいなかった
男子A「私服もアレだぜ? 誘ってるに違いねーよ」ニヤ
ワカルワカルー ショウジキガードアマスギ
男子D「なる~、やっぱ淫ピってか」ギャハハハ
男子B「じゃけん今度、マワしましょうね~」
ガヤガヤ ザワザワ
和「あ、あぁ……」ブルブル
むしろ、今まで何も気付かなかった方がおかしいのだ
その余りある美貌、常人離れしたスタイル
学校中の男子が一度は自分をそういう目で見ているのは当然のこと
和「い、いや……」ガクガク
普段は優しく自分にプリントを配ってくれた男子も
委員会で一緒に仕事を頑張ったあの人も
大会優勝を祝ってくれた男子のみんなが――
男子ABC「「「やっぱり原村はいいオカズだわ」」」
自分のことを、性欲の目でしかみていなかったという現実
和「っ!!」ダダダッ
それからは無我夢中で何も覚えていない
気が付けばいつの間にか保健室で寝ていて
和「(あれは夢……悪い夢なんです)」フラフラ
教室に戻ると、みんな暖かく迎えてくれた
しかし――
男子A「原村、大丈夫だったか?」ニコッ
男子B「気をつけろよー」ニコニコ
男子C「”大事なカラダ”なんだからさー」アハハ
アハハハハ! フフフフ!
クスクス ゲラゲラ
和「(やめて、ください……)」
和の目には、もう男子は正常には映らなかった
全てのシセン――声がいやらしい意味に聞こえる
自分のことをそういう目で見ているようにしか感じられない
和「(もうっ……いや……!!)」ブルブル
その日から、原村和は変わった
男に恐怖する、一人の少女として
あるいは――
796: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/14(水) 02:01:08.78 ID:w5gMM8hSo
【鶴賀学園 麻雀部部室】
ゆみ「……では、改めて自己紹介させてもらおうか」
鶴賀学園麻雀部
つい最近まではたったの5人しかいなかったこの小さな部も、
今では10人を越えるメンバーがいる
しかし、今日に限ってはその数は少なく
残っているのは一世代前のレギュラーメンバーだけである
ゆみ「元鶴賀麻雀部員の加治木ゆみだ」
智美「元部長の蒲原智美だぞー」ワハハ
今や引退した身であるが、相応の実力を備えた二人だ
そして――今回の目玉とも言えるのは次の二人である
和「清澄高校麻雀部一年、原村和です」
元インターミドルチャンプ、原村和
京太郎「清澄高校元麻雀部一年、須賀京太郎です」
元麻雀部員である須賀京太郎
ゆみ「今回の闘牌はこの四人で行う。そして、立ち会いを見届けるのが――」
ゆみの視線の先
そこにいるのは三人の少女
佳織「せ、妹尾佳織です」
桃子「東横桃子っす」
睦月「う、うーむ……」
ゆみ「一人気絶しているが、気にしないでくれ」ハァ
京太郎「……??」
ゆみ「とにかく、私と蒲原が入り、原村、須賀の両名の対決ということで問題ないか?」
和「……ありません」
京太郎「ええ、いいっすよ」
797: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/14(水) 02:05:09.20 ID:w5gMM8hSo
そう、今日は須賀京太郎と原村和の決闘の日である
お互いに負けることのできないものを賭けた、真剣勝負
京太郎は大会の出場権を
和は自身の体の一部を
それぞれ、譲ることのできない大切なもの
ゆみ「ルールはプロアマ大会仕様、半荘一回での結果勝負とする」
京太郎「問題ないです」
智美「不正が発覚した場合はその場で敗北。まぁ、これは問題無いと思うが」ワハハ
和「いえ、どうでしょうか」ジッ
ざわ……
ざわ……
京太郎「それはどういう意味だ?」
和「……聞いていますよ、須賀君があの藤田プロに勝ったということ」
ゆみ「何……?」バッ
智美「それは本当か?」ワハハ
京太郎「さぁ、どうでしょう?」
こればかりは正直に答えるわけにはいかない
何せ、勝てたのは全て……
アカギ「フフ……」
この隣にいる男の力によるものなのだから
桃子「その噂、確かに聞いたっす」
佳織「う、うん。クラスで凄い噂になってた」
睦月「うむ、うむむ……」ムニャムニャ
和「しかも、奇想天外な方法で勝利したとも伺っています」
京太郎「(そりゃまぁ、ドラが8も乗ったしな)」ポリポリ
イカサマもなにも、オカルトの力も利用したものだ
最も和には理解できないだろうが
和「言っておきますが、私にイカサマは通用しません」
京太郎「……へぇ?」
和「やりたければどうぞ。それでも私は負けませんので」
それは、和の麻雀に対する絶対の自信の表れ
不正などには負けない、そう和は言い切ったのだ
798: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/14(水) 02:10:15.73 ID:w5gMM8hSo
京太郎「なぁ……和」
和「なんでしょうか?」
京太郎「俺は、麻雀ってのは奥が深いもんだと思ってる」
ゆみ「……?」
京太郎「確立とか、運とか、オカルトじみた力とか……色んな要素がごちゃまぜ」
和「……」
だからこそ面白い
だからこそ、色んな戦い方がある
和「それがどうかしましたか?」
京太郎「中でも、和は理に適った打ち方を好む。確立と計算によるデジタルな打ち方だ」
和「ええ……そうですね」
京太郎「そんなお前からしたら、俺は運だとかオカルトじみた部分に少し頼ってる――不安定な打ち手に見えるかもしれない」
和「だから、なんだと言うんですか?」
京太郎「否定はしないよ。事実だし、俺はこのスタイルを気に入ってる」
俺は頭もよくないし、特別な力も無い
でも、自分は勝てると信じたい
自分の力を信じて、相手を打ち勝てると思っている
京太郎「だから、お前が俺を弱いと決めつけて、俺の打ち方は否定するというのなら――」
それは最大の侮辱
勝負に命を賭けようとする男の……触れてはいけない琴線
京太郎「俺はお前のやり方で、お前を倒す」ニカッ
和「!?」ガタッ
京太郎「今日の俺は”理”でお前を倒してみせる」
京太郎からの和への挑発
勿論、こんなことを言われては和も引き下がっているわけにはいかない
和「……分かりました。では、疑うのはもうやめましょう」
軽率な自分の言葉を戒め。新たに決意を固める和
目の前の男は――全身全霊を持って倒す
和「私も、私の”理”を持ってアナタを倒します」
こうして原村和、須賀京太郎による麻雀勝負は始まる
交差する”理”と”理”
勝つのは計算による”理”か、それとも――
京太郎「さぁ、サイを振ろう」
須賀京太郎の”理”か
799: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/14(水) 02:12:38.12 ID:w5gMM8hSo
アカギ「……」タバコスパー
/: : : : : : : : : . : / :' ;: ミ |
. / : /: : :/ : : :彡/ . / . : : . .: ;' ミ }
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/: : :.∧: : /厶イ__; / ハ
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. _ .. -/: : : / -―‐´┬\\.; .: :|" / : : l\
_ .. -‐. : : : : : : : : : : : / ______\;;>ヽ/.: :八/} : : |: :\
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ヽ:. : : _/: : :|. . : : :/ /: : : : : : : : :|: : : : : : : : :
イクゾノドカッ! ドウゾ
ワハハ、マケナイゾー サテ、ドウナルカ
ガンバルッスヨー! マダオキナイノカナ? ウム……
ワイワイ キャッキャウフフ
アカギ「……」
>'7´ ̄ 7 <
Y´ \
ノ .
イ ハj /`メ、/ ハ. !
イ 乂ル' rァ<!/_ュル ハj
} / ⌒ |´/ル'
ル'へ __ 」/
/人_ \ `/
/::/ ::: :::::::} />く _
. ' :: :::: ::/::⌒:::\ ::: :::::/\ f「!
/ ::: :::: :::::::::::::::´ ̄ ̄>く :: :: \. ∩_ノ メ!=''
/ ::: ::: ::: ::::::::::::::::::::::/ ` <::ノ\ ノ ノ
/ :::::::: :: ::::::::::::::::::::::/ 、 \x ´ ̄ ` /
. / :::::::::: :::::::::::\: :::: :i \ } ,.<
. .' ::::::::::::::::::::::::::::: :\: :! ;:::::/> . ,.< /∧
i ::::::::::: ::::::::::::::::::::::::: \!:::/ / . :>--<\ /⌒ 〉 ___
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ノ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: / : : : : : : : : : : : : :V /: : : : : : : : :.\
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〈 ::::::::::::::::::::/ : : : : : : : : : :/ ///: :.\ : : : : : : ' :∧ \ : : : : : : : : 7 、____ノ⌒ヽ
} ::::::::::: / : : : : : : : : : : :/ :/ ´: : : : :: X : : : : : ': : \ `ヽ: : : : : :/: :/ⅤⅤハ⌒}
〈:::::::::/ : : : : : : : : : : : :.//:: : : : : / \{/ : : : : : :.〉、 ヽ.__/:/介! ̄__j_メ
ヽ/ : : : : : : : : : : : : :/ _:_:_:_:_:/ \ : : : :ノ: :.>- 、 \/ r ='´
`` ー ── ─ < \Y:/介彡' X⌒ヽ
乂 ____ / Vノハ
` = = ''
この時アカギ、意外に手持ち無沙汰
つ づ く
822: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:18:01.67 ID:umasereeo
【鶴賀学園 麻雀部】
須賀京太郎と原村和
両名の意地を賭けた闘牌、その始まり
京太郎「……」
ゆみ「(藤田プロを倒したという実力、嘘か誠か……)」
/ /ミヽV /彡| V \
/ /⌒¨゙ー'´⌒| ', ハ
/ / i ヽ
,イ/ / ', \ !
/ ナ ‐-- 、 -‐气─- \ ア !
´ 〃 /,イ ヾ\ ` |
< __ . -彳ィ i ! ___ ___、 7‐ _ ≧ ァ
i ! ハ《 _fっ::;}` ´_fっ:::;}》 〃 } T T´
iハ ! . / // .′ |
. /ヽ i ′ ´ー ´ .イ !
/ 八 _ r-‐' |
.′ / へ ` ィ | |
. / ′ i | .! ハ
// / `!ー-‐ ´ |、 ! | ;
. {/i λ i ,ィ/|、 _ -‐ ´ V、 | !i
| / i __,ィ.::::/ /_V ヽ /.:::ヽ | |}
_ ..-‐::::/.::::::/ ,イ////∧ /.::::::::|:7 /-ァ / i〃
r.:i::´::::::::::::/.:::::::::// }//// ヽ /.:::::::::::|' /:::/ /:::::`::‐-..、
ざわ……
ざわ……
ゆみ「では、始めよう」
最初の親は加治木ゆみ
そこから順に和、智美、京太郎が親となる
ゆみ「……」タンッ
和「……」タン
智美「……」タンッ
京太郎「ふーむ」タンッ
それぞれがよどみなく牌を切っていく最中、
後ろからその闘牌を見守るのは桃子、佳織の両名である
桃子「(うーん、さすがおᘄぱいさんっすね)」ジーッ
佳織「(すごい、三つがもうあんなに……)」
睦月「うーむ……うむ」スピー
和「……」チャチャッ
823: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:19:51.27 ID:umasereeo
順調な滑り出しを見せる和
その手牌の速さ、牌の流れを見切る動きに唖然とする外野
和「(……聴牌、ここで気になるのは加治木さんの動きでしょうか)」チラッ
彼女の実力はよく知っている
河から察するに、もう聴牌をしていてもおかしくはない
しかし、こんな序盤から警戒をするほどのことでもなし
そもそも相手は目の前の須賀京太郎なのだから
和「(それで、一方の須賀君はというと――)」チラッ
京太郎「ふんふ~ん♪」チャッ
智美「……?」
ゆみ「……???」
理解不能
京太郎が切るのは――
【京太郎の河】
3s 4m 発中 9p
和「(切ってる牌はほぼ他家の現物ばかり)」
つまり、京太郎は最初からベタオリしているのだ
それも始まったばかりの東一局の第一打から
和「……須賀君」
京太郎「ん? どうした、和?」ニコッ
和「それが――アナタの”理”なんですか?」ギロッ
京太郎「おいおい、和。対局中に相手の打ち方に文句付けるなよ」アハハ
ゆみ「……原村、須賀の言うとおりだ」
智美「勝負が終わるまでは口出し無用だぞー」ワハハ
和「……そうですね。では」スッ千点棒
__ ‐ ''" ̄ ̄ `゙' ..、
. | . / : : : : : : : : : : : : :.' ,
≠ / : : : : : : : : : : : : : : : : : ∨゙\
| _イ. /: : : :/ ハ: :、: 、: : 、: : r‐┴| く
イ:/: /: /:/:Χ./ .}: 八:.|::!:.:.|: : ! :| .ノ
{:::{: /:|/レ|ィ心≧ |/ .ィナ什ノ: : L...ノイ.、
. //|',::::(,| .ヒ::リ゙. ′ 匕:::リレ∨: : |\冫
//::ハ: : : : :', ::::::: `'-'゙ :: ハ:.: レイ
/ : ノ ∨: : : ヘ __ :::::: ,≠ヽ',: : ::ト、
,./: : : :/._,.-∨: ::_丶 _ . イ ∨: :.!: \
. , '>.-‐''二>''.´\ ,.二つ ̄ ̄ ̄二>. ',: :',: : : :\
く く//__.ハ .i\.ヾ{_:_: : :_ : : :__ミ、__ マ: :ヾ、: : ::ゝ
. ,' .\ .{|::|─、U (/゙ .二⊃|ヽ\ {:::::::|:|.、 マ:..'., ヽ: : : : :>ー - 、
{ .\_.>‐ "  ̄ ゙̄´!.: :: :.∨\\|:::::::|:}. ',. ',: :..'., × : : : : : : : : :ヾ
∨: : ├──.! / マ::::::┐::://::k.} マ: :...'.,  ̄ ヾ´
. ∨: : \. |.Y. ヾ.__{_/彡Χ ',: : : .'.,
. マ: : : :ー┤| ,' ∨゙| \ ∨: : : :\
\_ イ! | : ∨、 \ ' ,: : : : .:\
∨.', }::::ヽ ∨ .\: : : : ヾ
. ∨.' , / ,' ノ.::::::::.\ :ノ \: : :::
タンッ
和「リーチです」
824: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:21:22.59 ID:umasereeo
和の先制リーチ
相手がベタオリするというのなら、自分は少しでも高い手を和了る
和は合理的な考えで、場を支配しようと動き出した
智美「手が早いなー」タンッ
一方それに対しての京太郎の行動
京太郎「これは通るかなー?」つ危険牌
それが――全くの意味不明さ
桃子「(えっ……?)」
ざわっ……
ざわっ……
和「……通ります」
京太郎「やったぜ。」
ゆみ「(ここでその牌だと?)」
智美「(危険スレスレの牌を……?)」
佳織「ほえ?」
周りが困惑するのも仕方ない
何せ、今までずっとベタオリだった男が――突然危険ギリギリの牌を切ったのだ
ゆみ「(現物が切れたにしても、もっとやりようがあるだろう)」タンッ
和「……」タンッ
智美「降りるかなー」ワハハ
京太郎「お、いい牌。んじゃ……」
一同「「!?!?」」
またもや巻き起こる混乱
そう、京太郎がツモ牌を引き入れた代わりに出した牌が――
京太郎「通れ!」つ現物
和の現物
つまり、先ほどの危険牌打ちは現物切れではなかったのだ
ゆみ「(なんだこいつは――まるで意味不明だ)」タラッ
和「……」ワナワナ
825: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:23:29.83 ID:umasereeo
京太郎「よっし、いいぞ」ニコニコ
リーチ一発が付きそうな場面での現物保留
その直後の現物切り
京太郎の目的は一体何か?
その場に分かるものはただ一人だけ
∠'´--,-、__`゙≡ ヽ 、iヽ
) ,, ‐'_´_≡ ≡ ミ '‐‐-、
(,-‐-、_ -´_'´´≡, ニ、‐、
,/. )  ̄´,,-‐´ 彡, ‐ , -"" 、i
/. ,,,, ///_,‐、ゝく/,-‐'"´i ll ili i|i 、ゝ
/,ン‐//-ュ //i ,Y l\´ ,,ゝ、ハ i|li |__________ ,,,,-‐
, ‐´''''''/'‐"‐片 `‐i/ l/゙゙| 丶く、_ 、|、i ノ-、,_,,, -‐'´
-'´,,,,_丘‐-ッ‐i'" / ,| ゙  ゙̄'' ゝ / ,, -‐
''"´´'" `'''‐"、/ 'i ,,,_´' ヽ /,,-、. /
''''゙゙゙"' ‐=、,___ノ ∧. i `"''"'‐、_ .//゙ノノ/ ____
‐-<'‐-、,,ッ' ノ | \ | ヾ‐、 "´ イ__,,ノ./‐--‐''''"´´ ̄
ノ ´ | / | \| , ∧\ / ,,-
i /-、__/ | | _, ‐ ´ / | \‐ ‐ - //
l__,,,-‐' ∠_/`‐-、| ∟‐- 、 / | \ ,/ /
,| / ___,,,,,,,,/ ,ノ | |_/ ̄´
/ / /´\ /ゝ‐-/ \ //_ ‐' ノ
アカギ「……」ゴロン
そう、アカギ一人である
826: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:24:50.79 ID:umasereeo
京太郎の打ち方は混乱こそ招いたが、それは有効打とはなりえない
というのも、京太郎が変な打ち方をしても周りは普通に打てばいい
対策をする必要も無いし、むしろ勝手に自滅してもらえれば好都合
ゆみ「(やはり藤田プロに勝ったというのは偶然か)」
智美「(だろうなー)」ワハハ
一斉に京太郎への評価が決定されていく中――
バラッ
和「ツモ、倍満です」
とうとう和のツモ和了となる
京太郎「……」
ゆみ「くっ……流石にツモは防げないか」
智美「いきなり倍満手とは凄いなー」ワハハ
和「4000・8000です」
京太郎「お、おおぉお!!」
と、ここで京太郎が震え出す
誰もが和の実力に驚き、恐れだしたのだと思った
だが――
京太郎「お、俺今二位だ!!」ジィーン
ゆみ「……は?」
京太郎「よっしゃー、このままリード守るぞー」ウエヘヘ
ヽ./ : : : : : : : : : : ,: : : : : : : : : : : : : : : ヽ ヽ冫
:: |: : : : ::/::/: : : /」: : : /}: : : :}゙`「丁ヽハ:!:!: !: }
-ィ: : : |_,'_,,|-‐''/ / / .}: : /.|: :|: |:::/. }:|:|:. リ !.|. ト.、 ,. ──‐、
: :ト、::ィ゙ |: ::|\/ //. /: :/ !: :!/!/ !从:/|:.| !∧冫 //´ ̄ ̄ヽ',
: :|人小|ヽ:!.ィ爪沁ヽ. /./ /,.イ爪心ヽ.! イ/.//′ U } }
: :l: : ヾ |/{:::::::::⊂. ′ ´ ! :::::ィ./ ト,ムノ:! , ,' '
:γ⌒ⅵヽ弋二;;ノ ゝ-.″ | }: : : :| //
',:{ :::` :::::::::::::: 、 :::::::::: レ′ : :!. ◯ ◯ ◯ { !
..',\ :::::::::: ノ: ::::! U
: : :| `ー´\ ,. , / !:! ! !
: : :|. ` 、 ./|: :. !:! ! ::! ◯
: : :| }` .. __ , イ |::|: |:|: :| |
: :: } ィ‐┤. ├ .、|::|: |:|: :| {
和「……」ポカーン
困惑
ただその言葉に尽きる
827: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:27:19.27 ID:umasereeo
_ _
, ': : : : : : : : : : `: : .、
/ . . .,. : : : : : : : : : : : : :ヽ
... ,.': : : : ; ' : : : : ; : ' : : : :,, ´: ¨:`ヽ
/: __: /: : : ,,: ': : : _;.: -:' : : : : : : : : : j
/ ̄ ̄ ̄\_:  ̄: : :  ̄: : : : : : : : : : : : _,丿 ¨`:,
ネ あ . !: `_-: _:_:_: : : : _:_.、 -‐,. '" ヽ'-; : : :}
ジ ま .|'"-、j/: :./ __、_, ., `.、 |'/: :../
が り .| .(/l{: / l!,/ミヾ、、ヽ ゙'v ;': :../
と の ○o。 `' ヾノ/ ゙`、 ,-、": :/
ん 衝 |:`v ` ,/ヽ´ノ!: ;{
だ 撃 |: 、 / .{゙/`'' !:.{
か に |: :'; し ..:::ゝ:| `、_
\___/: ト:', ヽ. -_、 ノ: : l
::/: : : : /:::::|: : l ;.', .〉、 ,. ' : : : .l
´: : :./ ::::::|: : lヾ:', /: : `;;‐': : : l,: : : : l
: :/:::::/:;l:::j: : j、 ':;ヽ : : ; :イ : : :l l: : : :.l
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ゆみ「お、おい? 肝心の原村には大差を付けられたままだぞ?」
ゆみの言うとおり
これは京太郎と和の勝負
今や16000の差を付けられたのだから、この先の勝負は厳しいハズ
だが京太郎はそんなこと気にも止めていない様子で微笑む
京太郎「いやー、加治木さんや蒲原さんからは直撃取れる気がしないので」エヘヘ
和「っ!?」キッ
ざわ……
ざわ……
ゆみ「は、はは。言うな……」
京太郎「事実ですから」ジャラジャラ
その言葉、裏を返せば和からは直撃が取れるということ
京太郎の挑発かあるいはただのハッタリか
いずれにしても、それは和に多大な効果を与える
和「……続けましょう」
ゆみ「あ、ああ……」
しかしそれでも平常心を保っていられるのは、和の実力か
それとも【負けられない対価】を賭けた戦いだからなのか
和「(須賀君、これが”理”だと言うのなら――それは勘違いです)」
挑発や虚勢などなんの意味も持たない
自分は感情によって、闘牌を変えるような愚か者ではないからだ
和「……」つエトペン
桃子「あれは……」
ゆみ「来たか……」
ギュッ
和「……」ポーッ
デジタルの神の化身
闘牌を全て俯瞰で感じる、その恐るべき思考能力
和「では……私の親ですね」
智美「(怖いなー)」ブルブル
ゆみ「(どう警戒したものか)」ゾワッ
それぞれが和に対する警戒を強める中で
京太郎はただ一人、別の展開を描いていた
京太郎「……」ニカッ
, ': : : : : : : : : : `: : .、
/ . . .,. : : : : : : : : : : : : :ヽ
... ,.': : : : ; ' : : : : ; : ' : : : :,, ´: ¨:`ヽ
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ネ あ . !: `_-: _:_:_: : : : _:_.、 -‐,. '" ヽ'-; : : :}
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が り .| .(/l{: / l!,/ミヾ、、ヽ ゙'v ;': :../
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ん 衝 |:`v ` ,/ヽ´ノ!: ;{
だ 撃 |: 、 / .{゙/`'' !:.{
か に |: :'; し ..:::ゝ:| `、_
\___/: ト:', ヽ. -_、 ノ: : l
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ゆみ「お、おい? 肝心の原村には大差を付けられたままだぞ?」
ゆみの言うとおり
これは京太郎と和の勝負
今や16000の差を付けられたのだから、この先の勝負は厳しいハズ
だが京太郎はそんなこと気にも止めていない様子で微笑む
京太郎「いやー、加治木さんや蒲原さんからは直撃取れる気がしないので」エヘヘ
和「っ!?」キッ
ざわ……
ざわ……
ゆみ「は、はは。言うな……」
京太郎「事実ですから」ジャラジャラ
その言葉、裏を返せば和からは直撃が取れるということ
京太郎の挑発かあるいはただのハッタリか
いずれにしても、それは和に多大な効果を与える
和「……続けましょう」
ゆみ「あ、ああ……」
しかしそれでも平常心を保っていられるのは、和の実力か
それとも【負けられない対価】を賭けた戦いだからなのか
和「(須賀君、これが”理”だと言うのなら――それは勘違いです)」
挑発や虚勢などなんの意味も持たない
自分は感情によって、闘牌を変えるような愚か者ではないからだ
和「……」つエトペン
桃子「あれは……」
ゆみ「来たか……」
ギュッ
和「……」ポーッ
デジタルの神の化身
闘牌を全て俯瞰で感じる、その恐るべき思考能力
和「では……私の親ですね」
智美「(怖いなー)」ブルブル
ゆみ「(どう警戒したものか)」ゾワッ
それぞれが和に対する警戒を強める中で
京太郎はただ一人、別の展開を描いていた
京太郎「……」ニカッ
828: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:29:34.54 ID:umasereeo
そうして迎えた東二局
和の親である
和「……」カチャカチャ クルッ カチャ
ゆみ「……」カチャカチャ
智美「……」カチャカチャ カチャッ
京太郎「……」ジィー カチャカチャ
まずは配牌
京太郎の手牌はまずまずといったところ
和「……」タンッ
対する和は好調な配牌
運も和に傾いているかのような状況である
ゆみ「……」タン
智美「うーん」タン
一方で二人は和に対する様子見
まずは出方を伺っているのだろう
和「……」タンッ
j:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::://:::/:!l::::/!:/!::::;'!::::::/: : : :!:::::::::.:.:.:.!
,':.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::j !V:!ヽ!:::! l:! !::;':!l::::::!: : : : !l:::::::::::::::!
j.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::l ,.ィ.,ニj!''ヽl! l:::! !ハ::::!: :-‐'j!l::::j::::::.:.!
j.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::〈! ら:::! トヘ::! ! ヽ:!: :_,l!':/j::::::.:.!
!.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::!. 弋;;ノ . : :ヽ: : : : ィ'ニ`ヽ'/∧:::::l
j.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::| -- : : : : : .fr':} }∧:::.:.:!
/.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::| _`''′/.j:::::.:.:.j
/.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ヽ .,::::::.:.:.!
../.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::! ,::::::::.:.:!
/.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|: . . r‐‐ュ ノ:::::::::.:.|
./.:.:.:.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!>、: : .  ̄ u., イ::::::::::::::.:!
}/!.:.::.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:!: : :>. _ , ..<::::::::::::::::::::::ハ
!.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::j::l、 : : : : : : >-‐'"::::::::::::::::::::::::::::::::::ハ
l.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::;;l:l::::::::/!:! >.、: : : ∧::::::::::::::::::::::::::::::::j:::::::::ハ!
_,,. -―='''" ̄ ̄ ̄7.:リ:::::::/ j! >-'_∧:::::::::::::::::::::::::::ハ::::::::! !
'".:.:.:.:.:.ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.j.:.:j!!::::/ / ,イ::..::..::ヽヽ:::::::::::::::::::::/:! !:::::/ j
.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.j.:.:.:l:;イ.:.ヽ / ヽ::..::..:lハ ∨`ヽ、:::::/./ j:::/ ./
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:V.:.:.:.:.:.:.:.:.ゝ、.:.:.:.:.:.:.:.\ !::..::.Vヽ!.:.:.:.:.:.:.:>メ、/:/
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::V.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:>イ´.:.\ .l.::..::..:V l.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ノイ.ヽ、
桃子「(凄い、これが原村和……)」ゾクッ
【和の手牌】 ※ドラ9p
123m 1237s 1299p 東東
桃子「(鳴かずの三色、役牌2、チャンタ、ドラ2……)」
そのままでも8翻での和了
リーチすれば、裏も踏まえて三倍満も夢ではない
桃子「(これがまだ4順目の手っすか!?)」
配牌も、ツモも、流れを読みきった動きも
全てが和の手中に収まっている
829: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:31:45.49 ID:umasereeo
桃子「(……それに対して、須賀京太郎は?)」チラッ
この好調な手牌に対応できるわけがない
そう思いながらも、京太郎の手を覗く桃子
京太郎「……」
【京太郎の手牌】
1156p 33447s 9p 西北南南
桃子「(これまた微妙な手っすね)」
ドラ2の七対子
リーチ裏ドラで跳ね満出世も視野に入るが――
桃子「(このままいくと、多分ダメっす)」
桃子の予感
それはある意味で的中する
京太郎「さーて、頑張るぞっと」
数巡後――
【京太郎の手牌】
1155p 33447s 9p 西南南
桃子「(ようやくここまでっすね)」
イーシャンテンまでこぎつけた京太郎
目の前の和の動向も気になる中での、ツモは――
京太郎「……」つ西
【京太郎の手牌】
1155p 33447s 9p 西西南南
桃子「(聴牌!!)」ドクン
なんという豪運であろうか
和のあの神ががった手を躱しながら聴牌まで持ってきたのだ
桃子「(ビギナーズラックって奴すかね?)」チラッ
佳織「(みっつずつじゃない?)」アレ?
桃子「(だけど、ここが正念場っすね)」
問題は7s切りか、9p切りか
7sは既に河に二枚あり、地獄待ちとなる
逆に9pはドラであり、まだ河には一枚も無い
桃子「(切られる可能性も低く、放銃の可能性もある9p)」
それか出るかどうかすら怪しい7sにするか
この決断は迷うところである
桃子「(さて、どうするっすか?)」チラッ
830: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:33:10.82 ID:umasereeo
京太郎「……」スッ
京太郎が選んだのは――
タンッ! カラン
京太郎「リーチ」
9p
ゆみ「!?」
ィ´ ̄
__// -───-
/´ ̄ア:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`丶、
/ /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.://:/_:.:.:.:.:.\
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:./:/:.イ/ }イ:.:.:.:.ハ
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:|:.:.:.:/レl/ />、/ |:.:.:.:.:l:.|
_ ∠;:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.!:.イ/ 〃⌒ヽ/ ' l:.:.:.:イ/
__..ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.| {{ }} /:.//
\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ ̄lイ:.:.:.:.:l:.::|ヾミゞ==彡_ヾ て
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`ー┐:.:.:.| Ⅳイ _ l
j∧:.:`ー一x / ` __ |
l:.:∧:.:.:./` { }ノ /
レ' _」:.:/  ̄ ̄ `ヽノイ
____ / ̄ ̄` _、 /ー─‐ ´ ̄
∠_ \ /| /> 、
/ `ヽ、 \ / | ヾ、 ∧__
l , \ハ ` ┐ i ヘ、\ `ヽ、
| l ヽ::\ | | /\} ハ
| 、 i \:ヽl Ⅵ '. / l
'. ヽ、 | ヽゝ_j::| ∨ |
、 Y^ Y::::::| | |
智美「(ここでドラ!?)」
和「!!」ピクッ
桃子「(ドラ切り……)」ゾワッ
正直な話、京太郎はここで7sを切ると桃子は思っていた
少しでも高い手が欲しい局面、ドラを残したいと思うのが人情だ
桃子「(だけどこの男は、まるで確信があるかのように……)」
勿論ありえる選択肢ではある
だが、それだけでは片付けられない奇妙な偶然があるのだ
和「……」
【和の手牌】 ツモ東
123m 1237s 1299p 東東
和も聴牌
そして、その手の内にあるのは先ほど京太郎の待ち選択肢の7sと9p
もし京太郎が9pを待ちに選んでいれば、確実に出ていなかっただろう
逆に、この7sはどうであろうか
和「(須賀君の手は捨て牌から見て七対子ですね)」
素早く巡る、和の思考回路
リーチをしたということは、それなりに出やすいものを待ちに選んでいる可能性が高い
831: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:35:11.35 ID:umasereeo
和「(私の手で切りたいのは7s、これはどうでしょうか?)」
場には既に二枚の7sが出ている
つまり、残りは1枚のみ
一巡待てば違う待ちにできる七対子をリーチで縛り、更にはドラを捨ててまでの地獄待ち
非合理的過ぎる
さらに言えば、聴牌を崩して受けに回るほど劣勢な場面でもない
和「(どう考えてもこの局面で、7s切り以外ありえません)」タンッ
そして、とうとう切られる7s
吸い込まれるように……和はその手を差し出してしまう
京太郎「クク……悪いな、和」
和「え?」
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ジャラッ
京太郎「ロン。一発リーチ、チートイ、裏は――流石に乗らないか」クスッ
和「なっ……」
京太郎「ハイ、御免でした。満貫頂き!」イェイ
ざわ……
ざわ……
ゆみ「7sで地獄待ち……?」
智美「おもしろい待ちをするなー」ワハハ
一同が騒然とするのも無理は無い
先ほど和が考えた思考がそのまま、裏をかかれた形となるのだから
832: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:36:00.33 ID:umasereeo
和「……」
唖然とする和
しかし、それよりももっと驚愕に包まれていたのは――
桃子「(な、なんて奴っす!)」ゾクゾク
和の手牌を見抜いたように、正確な7s残し
結果として和の7s切りを見抜き――挙句に直撃まで奪った
桃子「(こいつ……バカのフリして実は!?)」
京太郎「ん……ドラ? あぁぁー!!? 俺ドラ切ってるじゃん!!」
一同「……え?」
京太郎「ぐあぁぁぁ! しまったぁぁ! あ、でもドラで和了でも同じようなもんか」ポン
ゆみ「……」ポカーン
智美「ここ、笑うとこ?」キョトン
佳織「????」
桃子「(や、やっぱりこいつアホっす)」ガクッ
一同の京太郎への評価がまたもや急転直下していく
そんな中、静かに京太郎を見つめる和
和「……(偶然に決まっています)」ギリッ
自分の好調な手を潰されたのは腹ただしい
しかし、だからといって負けが決まるわけでもない
和「(元々意味不明な闘牌をする人でしたし、気にする必要はありません)」
目の前の男が計算外の行動を起こしただけのこと
その破天荒さも視野に入れれば、計算できないことではない
和「(もう油断しません)」キッ
京太郎「……」クスッ
アカギ「クク……」
ゆみ 17000
和 33000
智美 21000
京太郎 29000
833: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:36:58.02 ID:umasereeo
【東三局】
そして続く蒲原智美の親番
ここまで見に回っていた智美だが、親番となっては強気に動くしかない
智美「(早和了で場数を稼ぐしかないなー)」ワハハ
タンッ
京太郎「……」つ東
智美「ポンッ!」
東東東 カッ!
智美「……(よしっ)」
ゆみ「(蒲原が早いな――一方の原村はどうか)」チラッ
和「……」タンッ
【和の手牌】ドラ4m
456456m 678s 2223p
桃子「(やはり流れはおᘄぱいさんっすね)」ゴクッ
異様に手が早く、しかも高い
智美も聴牌しているが、どちらが先に和了か――
京太郎「……」つ2m
ゆみ「ポンッ!」チャッ
222m カッ!
京太郎「今日はよく鳴かれるなー」アハハ
桃子「(こいつはこいつでマイペースすぎるっすね)」
役牌を切ったり、現物を切ったり
フラフラと自分なりの麻雀を打っているようだ
834: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:37:48.26 ID:umasereeo
だが、一方で隣に座る加治木ゆみは冷や汗をかきながら京太郎を見る
、
ゆみ「(まるで平凡な打ち手だが……なぜだ? なぜこうも嫌な予感がする!)」ゾクッ
というのも、先ほどから京太郎が危険牌をことごとく切っているのだが
それが一つも原村和にヒットしない
和「……?」
それどころか、なぜこうもことごとく躱されるのかと困惑しているようにも見える
つまり、原村和の手を読み切っているような打ち筋なのだ
智美「……」タンッ
ゆみ「(二人が張っているのに、どうしてそんなに強気なんだ?)」チラッ
京太郎「~~~♪」チャッチャッ
ゆみ「(私も聴牌だが――降りるべきか?)」
悩むゆみ
しかし、背負う者の無い闘牌である
ゆみ「(むしろここは、相手を牽制する!)」スッ
タンッ!
ゆみ「リーチ!」
智美「!」
和「……」
場に点棒が出たことで、ダマテン二人にも緊張が走る
しかし、そんなことを意に介さない男が一人
京太郎「うわー、手が早いですね」ニコニコ
ゆみ「あ、ああ。ありがとう」
ただ笑って、手を進めるのであった
智美「(ユミちんの待ちが読めないなー)」
動揺を隠せない智美だが、ここまで来た以上降りるわけにもいかない
迷わずに聴牌を維持しながらツモ切りに務める
和「……」
それは和も同様で、聴牌を崩さずに勝負に走る
自分が和了るという絶対の自信の表れなのだろうか
835: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:38:45.42 ID:umasereeo
京太郎「……」
そして一方の京太郎
聴牌もしておらず、ベタオリするかに思われた彼に行動は――
ゆみ「……一発は乗らずか」スッ
京太郎「ポン……!」チャッ
ゆみ「え?」
京太郎「……」ニカッ
ゆみ「では……」スッ
タンッ
京太郎「ポンッ!!」
チャッ
ゆみ「!!」
和「……」
桃子「(どうしてここで2副露?)」
三人が聴牌している状況で無理に勝負する必要も無い
これではまるで――
ゆみ「よしっ! ツモだ!」ジャラッ!
智美「くっ……」
ゆみ「2000・4000だ」
和「……」
京太郎「あちゃー、鳴かなければよかったなー」アハハ
桃子「(先輩に和了牌を引かせる為だけに鳴いた……?)」
勿論、そんなことは可能性である
どう見ても初心者の京太郎が場の聴牌も読めずに鳴いた
その結果ゆみが牌を多く引き、ツモ和了しただけ
京太郎「……」クス
和「……(偶然に決まっています)」
どちらにせよ、和のトップは揺るぎない
大丈夫、問題は無い
京太郎「次は――俺の親だな」ニカッ
ゆみ 25000
和 31000
智美 17000
京太郎 27000
836: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:40:37.22 ID:umasereeo
【東四局】
京太郎「……」カチャカチャ
和「……」チャッチャッ クルッ クルッ チャッ
ゆみ「……」チャッチャッ カッ
智美「……」ワハハ
そして続く東四局
待ちに待った京太郎の親である
__ /⌒ヽ
⌒\ ∨ ヽ___
_, ----` ∨ `ヽ、
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/// / | |l | : ヽ
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/ イ / // : l | ' / ! 从 | : :.
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/ イ | l{ { ∨/ ' } ∧ : :.
´ | {|从三三 / 三三三 / /--、| ∧{
{从 | , ムイ r 、 }} /} \
| ノ ' }/イ/
{ _,ノ
人 _,..::ァ r }/ ガンバルゾー
` ゝ - ' イ |/
` ーr ´ ___|_
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京太郎「……」タンッ
和「……」ゴクッ
ここまで平静を保ってきた和だが、
京太郎の親となるといささか緊張がぶり返してくる
和「(もし、負けたら――)」
目の前の男に、自身の胸をいいようにされ
死にたくなるような恥ずかしめを受けるに違いない
和「……」ギュッ
エトペンを抱く手に更に力がこもる
大丈夫、自分は負けない
そう言い聞かせながら、和は更なる高みへと身を落としていく
和「……」ポーッ
837: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:42:13.60 ID:umasereeo
京太郎「……」タンッ つ中
和「ポン」カッ
ゆみ「(鳴きにシフトしたか……)」
智美「(須賀君の親を流すつもりかー?)」ワハハ
京太郎「……」つ7s
和「ポン」カチャッ!
息も付かせぬ早い鳴き
この予想外の動きに、ゆみと智美は動揺する
ゆみ「(現物が少なすぎて、何を切ればいいか分からない)」クッ
智美「(とりあえず無難なところを切るかー)」ワハハ
タンッ 1s
和「ポン」チャッ!
智美「(しまった!?)」
これで和の鳴きは中、17s
混一色の可能性大である
ゆみ「(これは下手にソーズは切れないな)」
智美「(ここはなんとしても降りるぞー)」ワハハ
京太郎「……」
一方の京太郎は意にも介さず、思うように牌を切る
京太郎「せいっ」つ東
桃子「(あぁっ、バカ!)」
和「……」
しかし和、この東をスルー
この時和の待ちは――
【和の手牌】>>5s赤ドラ
45s 北北 【111s 777s 中中中】
ずばり36s両面待ち
京太郎「ふんふーん」つ8s
和「……っ」
京太郎「ん? どうかしたか?」ニコッ
通る
京太郎の切るソーズがことごとく通る
京太郎「これもいいな」つ9s
838: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:43:29.89 ID:umasereeo
そのあまりの自然なソーズ切りに、動揺したのは和だけではない
ゆみ「(まさかソーズが通るのか?)」
智美「(読み違えたか……?)」
京太郎のソーズ連打にゆみと智美、両名の思考が鈍る
そしてとうとう、まるで悪魔に魅入られるように――
智美「(通るか……?)」タンッ
6s
和「ロン!」ジャラッ
智美「あっ」
和「7700です」
鳴きの混一色役牌にドラ1
僅か数巡でこの和了である
京太郎「折角の親が流れちまったなー」
ゆみ 25000
和 38700
智美 9300
京太郎 27000
これで京太郎と和の点数差は11700
先ほどの奇跡のような和了で詰めた点差も、またもや一瞬で離される
ゆみ「(これが原村和か……)」
場の流れを読み、確実に自分の手牌を積み上げる
合理的で完成された闘牌スタイル
ゆみ「(まるで付け入る隙が無い)」グッ
839: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:45:10.94 ID:umasereeo
恐ろしい実力だと、改めて関心するゆみ
そして逆に対峙する京太郎への印象は最悪だ
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ゆみ「(何を考えているのかまるで分からん)」
奇跡的に放銃を躱してはいるが、それはあくまで運がいいだけに過ぎない
先ほどの和了も偶然のように見えるし、合理性に欠ける
ゆみ「(ようするに、無茶苦茶に打っているだけの素人か)」
ゆみの推察はある意味では正しかった
唯一誤算があるとすれば、京太郎は無茶苦茶に打っているわけではない
京太郎「あー、もう東場は終わりか」
和「……これで分かりましたか? 須賀君に勝ち目はありません」
京太郎「ん? 逆だろ?」
この男は、自分の”理”を組み立てながら打っている
京太郎「この東場でハッキリした」
ざわ……
ざわ……
和「何が、言いたいんですか?」ギロリ
京太郎「和、やっぱりお前にだけは負けない」
和「!?」
京太郎の闘い
それは既に始まっている
842: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/15(木) 16:53:27.09 ID:umasereeo
和「虚勢ですね……」キッ
京太郎「そう聞こえるか? なら、証明してやるよ」
チャッ
京太郎「次の局。俺はお前から直撃を取る」
ざわ……
ざわ……
ゆみ「(馬鹿な、何を根拠に……)」
智美「(そんなの無理に決まってるなー)」ワハハ
桃子「(無理っすね、絶対)」
果たしてそれは――現実となるのか
和「……」
二人の戦いはいよいよ、後半戦へともつれ込んでいく
睦月「ん……ここは?」パチッ
...::<//////////ミヽ、
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ヘ j/////////イ州z‐-////////////////////////ゝ、
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////ハ::/ ミ、州弋 |///////////////////
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/ --─--|:::::::::::: ..:::::::洲州州//////////////
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Yニニ''' ヽ、 lハ::::,イ:::::::::::::::/ ,}/リ //////////////
イ--- ヽ、___.ソ ハ:::::,イ::/ー- ___ <//⌒''ー-、/////l\
(__ー弋 `¨¨'∨-ソ─---- 三三j ∨///| \
 ̄ `ヽ、 __ ハミヽj
`¨'''ー- 、_ /
`¨''ー- 、_ /
`¨''ー- __/
アカギ「Zzzz……」スピー
京太郎「さぁ、続けようぜ」
和「……はい」
この闘い
勝つのは京太郎か、それとも和か
思考渦巻く闘牌の果てに――
二人は何を見るというのか
京太郎「……」
つ づ く
918: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:09:29.75 ID:8WKWUlwfo
【南一局】ドラ7p
京太郎の和に対する直撃宣言
その言葉により、その場は重い空気に包まれていた
京太郎「……」カチャカチャ
和「……」チャッカチャカチャ
ゆみ「ふむ……」カチャカチャ
智美「……」ワハハ
睦月「あ、あれ……?」
佳織「あ、起きたの?」
睦月「うむ……」
桃子「もう後半戦っすよ」
睦月「南場か……須賀君は?」チラッ
ゆみ 25000
和 38700
智美 9300
京太郎 27000
睦月「二位!! 二位だ!! 須賀君が二位だ!!」パァァァァ
桃子「むっちゃん先輩……これはサシ馬対決っすよ」
睦月「ん……ということは」
桃子「11700の差で須賀京太郎が負けてるっすよ」
睦月「なん……だと……?」グギギギ
原村和、須賀京太郎による対決
現在は和の圧倒的有利状態――
ゆみ「では始めるぞ」タンッ
和「……」タンッ
智美「うーん」タンッ
京太郎「……」タンッ
それぞれが思い思いの牌を切っていく
和「……」タンッ
智美「……」タンッ
京太郎「……」タンッ
桃子「(なるほど、おᘄぱいさんも意地があるっすね)」
先ほどの京太郎の挑発
直撃を取ると宣言された以上、狙われる和は少しは弱気になりそうなものだ
しかしそれでも和は今までどおりの強い闘牌で攻める
920: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:10:34.19 ID:8WKWUlwfo
ゆみ「(ここで降りれば、須賀の思うツボだからな)」
牌効率、相手の捨て牌から手を予想し切る
単純、だがそれゆえに弱点らしいものが見つかりにくい
和には絶対の自信があった
それゆえに自分のスタイルを曲げてまで逃げたりはしない
ゆみ「……」タンッ
和「……チー」チラッ
678s カッ
智美「ふーん」タンッ
京太郎「……」タンッ
和「ポン」
111s カッ
ゆみ「(ソーズの2副露か)」
智美「(早めにソーズを処理しておくかー)」タンッ
4s
和「……」ピクッ
智美「(まだ聴牌はしてないのか……?)」
京太郎「……」タンッ
2s
和「ポンです」
222s カッ
ゆみ「(これは――!?)」
【和の鳴き】
678s 111s 222s
【和の捨て牌】
3m、2p、72m、59p、3s、西、1p
智美「(やっぱり清一色、もしくは混一色か?)」チラッ
和「……」カシッ クルッ カシャッカシャッ
京太郎「……」ジィー
和「……」つ9s
タンッ
ゆみ「(9sを切ったか。既に聴牌している可能性が高い)」
智美「(字牌とソーズはもう切れないなー)」ワハハ
921: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:11:27.08 ID:8WKWUlwfo
この時、誰もが和の聴牌を察知
ソーズと字牌に対する警戒が最高潮に高まっていく
そんな中、ただひとり
京太郎「……」
京太郎だけはある確信を持って、その手を切っていた
京太郎「……」つ4s
桃子「(えっ……それは!?)」
圧倒的危険牌4s
その時京太郎の手牌は――
【京太郎の手牌】 ドラ7p
35m 333455s 222m 678p
桃子「(現物の3s、もしくは萬子の整理でもいいハズっす!)」
それを敢えてこの危険な勝負である
そんな必然性などどこにもない
京太郎「……」タンッ
だがそれはあくまで、京太郎以外の話である
和「……っ!?」
京太郎「……どうした? 通るのか?」
和「……」コクッ
ざわ……
ざわ……
ゆみ「(偶然か……? いや、それにしては妙な自信だ)」
智美「(なんにしても、ここはベタオリだな)」
点数差のある智美がベタオリに移行
ゆみも少し悩んだが、様子見で降りを決意
これにて戦いは京太郎と和
この両名に限られた
京太郎「……」ニッ
桃子「(こいつには、一体何が見えてるんすか……!?)」
和「……っ」
しかし、ここで動揺したのは和である
和「(私の牌が見られている……?)」
そんなハズは無い
しかし、京太郎の不思議な動きはどうにも理解できない
922: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:13:20.47 ID:8WKWUlwfo
和「(私の牌が見られている……?)」
そんなハズは無い
しかし、京太郎の不思議な動きはどうにも理解できない
和「(……いえ、落ち着かないと)」タンッ
例え相手がどんな打ち方をしようと、自分の打ち方を貫く
それが原村和の意地なのだ
智美「……」つ現物 タンッ
京太郎「……」タンッ
5m(赤)
和「(……赤ドラ切り?)」
ここに来ての赤ドラ切り
わざわざ5mの赤を切るということは35m 57mのカンチャン整理の可能性が高い
和への直撃を意識して、少しでも待ちを広くするのであれば
23m、78mの1469m待ちが怪しくなってくる
つまり萬子の待ちだとしても、2378はほぼ通ると言える
ゆみ「……」タンッ
タンッ タンッ タンッ
場に少しばかりの緊張が流れていく
一方で和はその思考をどこまでも高めて、確立を重んじる戦いを続ける
和「……」つ2m
そして、和のツモで引き入れたのは2m
これは安牌
和「……」タンッ
自分の待ち牌はまだ河に出ていない
焦らず、待ちを広げられれば――
京太郎「……和」クスッ
和「えっ……?」
京太郎「だからそれが、お前の限界ってわけだ」パタン
【京太郎の手牌】
34m 33355s 222m 678p
京太郎「ロン。2600だ」
和「なっ……!?」
あまりの衝撃に、誰もがハッと息を呑む
そして京太郎の和了を見て――誰もがある事実に気付く
ゆみ「馬鹿な、さっきの赤5mで和了じゃないか!?」
そう、京太郎は先ほどの5mでツモ和了
点数は7900となり、直撃を取るよりも点数を稼げた
923: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:14:31.94 ID:8WKWUlwfo
和「なんで、こんな……」
京太郎「合理的じゃないかって?」
和「っ!?」ドクン
京太郎「悪い、俺は点棒に興味は無いんだ」
ゆっくり、ハッキリと京太郎は告げる
京太郎「俺は”お前”に勝つ為に打ってる」
和「……!」
それは不合理極まりない打ち方
しかし時にそれは――
京太郎「まずは俺の一勝、かな」ニッ
相手の喉元に喰らいつく牙となる
睦月「はぅっ……//」キューン
/ ヽ
/ __/ 〃 :.
/// l
/〃/ 〃 |
/ /〃 |
厶イ/ 〃 〃 :|
/ / 〃 :
〃/ ./ . :l
| / /〃 /〃/. : {: . r‐x : : ′
/ ′/∨ . /. :/´\ 、 {\__ . : /、 }: /
| / .l. :/:| /〉 x=ヘ: . {\ \、\ : |: :八} /: {
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-‐  ̄∨/ : : : : . : : : : /_/:. : :八:\
/ // : : : : : . : : /:::::\_:_/}: :∨ \
/ 〈/ イ ー- 、 . : :/::: :::: : :/: : : :. : : :
/l _.. :/-‐/, :ヘ ニ=‐ . :/::::: . : : : : :〉: : :
l_/ ̄ |/ /: : : : . :/:::::::: /: : : : : /: : : :
/ } / / : : : : : : 〉 _/:::::::::: /: : : : : : /: : : : :
/ | ; . : : : : : : :/:. \::::: /: : : : : : : /: : : : : :
. / |:. | .:| / : /\: : :∧::. ..::/: : : : : : : : /:::: : : : : :
′ |:: |: :|: 厶イ : : :∧ / :. .. :: :/: : : : : : : : : /:::::: : : : : :
アカギ「……Zzzz」スヤァ
ゆみ 25000
和 36100
智美 9300
京太郎 29600
925: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:15:59.43 ID:8WKWUlwfo
【南二局 和の親】
京太郎の和了により、ざわめき立つ部室
不可能と思われた京太郎の和直撃
誰もがその偉業に驚き、騒然としている
僅か2600とはいえその功績は大きい
京太郎「さて、やるか」ジャラジャラ
そんな空気を意にも介さぬといった様子の京太郎が牌を落としていく
しかし、そこで思わぬ場所から物言いの声が上がった
桃子「待つっす!!」バァーン
ゆみ「モモ? どうかしたか?」
桃子「……牌の交換をするっす」
京太郎「へぇ……」
智美「んー? どういうことだ?」ワハハ
桃子「さっきから後ろで見てるっすけど、須賀京太郎の打ち筋が何かおかしいっすよ!」 ビシッ
ざわ……
ざわ……
睦月「何!? まさか、須賀君がイカサマしてるとでも!?」ゴゴゴゴゴッ
桃子「い、いや……えと、その」ガクガク
佳織「」ビクビク
ゆみ「まぁ落ち着け津山。モモの言うことにも一理ある」
京太郎「……」
ゆみ「先ほどの4s切りといい、東場での回避といい。いささか神がかり的に思える」
京太郎「それは、相手が和だからですよ」チラッ
和「っ!!」ガタッ
ゆみ「落ち着け原村。だが須賀君、そう言い切れるということは牌は別に変えてもいいだろう?」
京太郎「ええ、いいっすよ。何も変わらないと思いますけど」
和「……」ギリッ
智美「よし。確か新品の牌がロッカーにあったハズだぞー」ワハハ
ガヤガヤ
京太郎「……」
こうして、南二局より新品の牌を使用することとなる
キズ一つなく、ガンパイすることなど確実に不可能
桃子「これでよし!」
睦月「須賀君がイカサマなんかするハズない……うむ、絶対に」メラメラ
桃子「あ、あくまで保険っすよ、保険」ビクビク
だが、本音を言えば少し違う
桃子「(あの荷物持ちが、こんなに強いハズ無いっす!)」
自分を難なく抑え、全国でも大活躍だった原村和
一方的なライバル意識さえ多少なりとも持っている相手だ
それを――雑用しかしてこなかった男
”男”が原村和を上回っているなどと、絶対に認めたくない
桃子「(むっちゃん先輩には悪いすけど、どうせこいつはイカサマしてたっすよ)」フフン
だがそれもこれで終わり
新牌になった以上ガンも出来ず、小細工などしようものなら後ろから止めに入ればいい
926: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:18:44.94 ID:8WKWUlwfo
京太郎「……じゃあ、続けようか」
和「ええ、では」チャッ
桃子「(そのメッキ、外してみせろっす!)」
桃子の京太郎に対する認識
麻雀もできないくせに、女子目当てで入部してるようなふしだらな”男”
それはきっと概ね正しい
京太郎「……」タンッ
だがほんの数分後
和「……」グッ
その認識がそのままそっくり裏返ることになるとは――誰が予想しえただろうか
【南二局】
和「……」タンッ
原村和は今、軽い混乱の最中にいた
対局を俯瞰で感じながら、牌効率と相手の捨て牌によって最良の手を切っていく
それが自分のスタイル
完成されたデジタルの打ち方だと自負していた
八巡目――
ゆみ「……」タンッ 4s
和「……(鳴けますね――でも)」チラッ つツモ
京太郎「……」ジィーッ
【和の手牌】
3888p 23455m 3567s
先程は鳴いた為に手を読まれた
ここは面前での最良の手を作る
和「(そうすればアナタは捨て牌から私の手を予想するしかない)」タンッ
南
そう、それこそが完全無欠のデジタル
得られる情報から、予想し限りなく正解に近づける打ち方
和「(須賀君、アナタにそれができますか?)」
927: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:19:50.34 ID:8WKWUlwfo
京太郎「……フフ」
ゆみ「?」
京太郎「なるほど、考えてるな和」
和「……さぁ? なんのことでしょう」
京太郎「素晴らしい”理”だよ。関心する、本当に」
和「……」
ゆみ「須賀君、無駄な私語はやめるんだ」
京太郎「すみません、じゃあ俺の番っすね」チャッ
タンッ
桃子「……」ジッ
京太郎は静かに微笑む
その打ち筋には微塵も迷いは感じられない
和「……」グッ
そして迎えた十巡目――
【和の手牌】ツモ4p
3999p 23455m 3567s
和「(3s切りで聴牌ですね)」チラッ
京太郎の河を見る
相変わらず読みづらい、デタラメな河だ
和「(恐らく七対子。ですが、この牌で待ちますか?)」
3s切りで聴牌である
これを逃す手は無い
和「通ればリーチ!」つ3s
カランッ
京太郎「……ふふ、それが出るか」
和「えっ……?」
京太郎「御無礼、ロンだ」バラッ
【京太郎の和了】ドラ4m 赤5m
3s 5577p 334455m 中中
京太郎「またまた、満貫頂き!」ニカッ
和「……」ヘナッ
ゆみ「(なんだこれは――!?)」
智美「(偶然じゃ……ない!?)」
929: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:20:36.87 ID:8WKWUlwfo
ざわ……
ざわ……
和「……」
これで京太郎の逆転トップである
ここにいる誰ひとりとして予想しえなかった状況
誰もが困惑し、動揺を隠せない中――
桃子「い、異議ありっす!!」
すばやく我に帰った桃子が割って入る
京太郎「……なんだ?」
桃子「さっきから後ろで見ていたっすけど、今の和了には不自然なところが……」
睦月「無い」キッパリ
桃子「い、いや!」アセアセ
ざわ……
ざわ……
ゆみ「モモ、どういうことだ?」
桃子「その男、聴牌してからずっと3sを待ちにしていたっす!」
京太郎「それが何か問題なのか?」
桃子「問題って……だって、待ちを変えることはいつでも出来たハズ!」
そう、3sだなんてものよりもっと出そうな待ちはいくらでも出来た
場に一枚出ている中や北……などなど
少なくとも3sよりは出やすい待ちがあった筈なのだ
桃子「なのに、どうして……?」
京太郎「どうしてって、和が3sを持ってるからだよ」
和「!!」ガタンッ!
と、ここでとうとう和に限界が来る
京太郎の度重なる挑発、言動に冷静さを取り繕っていたが
流石にここまで言われて黙っているわけにもいかない
和「説明してください! どうして分かったんですか!?」
京太郎「えー? 残り二局あるのに?」
そう、仮にトリックがあるにしても
それを教えてしまえば次からは利用できない
教えるとしても終局後――そう考えるのが普通だ
931: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:23:33.43 ID:8WKWUlwfo
ゆみ「気持ちは分かるが、それは直感や能力の類ではないのだろう?」
京太郎「いや、まぁ――」
和「そんなオカルトありえません。何か仕掛けがある筈です」キッパリ
京太郎「んんー、まぁそうなんだけどさ」ポリポリ
和「でなければ、私が――須賀君なんかにっ!」ワナワナ
京太郎「……」
睦月「あー、怒らせたねー。うむ、私の事本気で怒らせちゃったよ……」オープンアップ
佳織「あ、あわわわっ……」
京太郎「あーもう、分かった。分かったよ」オテアゲ
和「!」
京太郎「種明かししてやるから、そう怒るなよ和」ニッ
和「……」キッ
京太郎「可愛い顔が台無しだぜ、な?」ニコニコ
睦月「うっ、ひぐっ……ぐすっ……」ポロポロッ
桃子「(はやっ!?)」ビクッ
和「やめてください。虫唾が走ります」ギロッ
睦月「……あ?」スクリュー ブリザート!
佳織「」ガタガタブルブル
ゆみ「では一時中断し、須賀君の話を聞こうか」
京太郎「とは言っても、大した仕掛けじゃないですけどね」ポリポリ
そして京太郎は卓の上の牌を集めて説明を始める
須賀京太郎の”理”
それは、恐るべき異端の策の上に成り立っていた
ゆみ 25000
和 28100
智美 9300
京太郎 37600
933: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:24:30.81 ID:8WKWUlwfo
京太郎「まず一局目から順を追って説明します」
ゆみ「ああ、頼む」
京太郎「まず東一局、俺はいきなりベタオリを見せましたね」
そう、和の現物ばかり差込み
まるで和了る気配を見せない闘い
京太郎「みんなにはそう映ったかもしれないけど、アレは俺なりの闘いだった」
智美「俺なりの闘い……?」
京太郎「……俺はある【方法】で和の牌の傾向が大体分かっていたんです」
和「やっぱりイカサマを……!」
ゆみ「まぁ待つんだ。最後まで聞こう」
智美「それで?」ワハハ
京太郎「ですが、実戦でそれを試したことがない。だから、それが通用するか確かめたんです」
桃子「つまり、ベタオリしながら様子見――?」
京太郎「ああ。それで和がリーチした時に、俺はそれを試した」
和の手牌を理解しているなら、放銃を避けることは容易い
その結果が――あの時の危険牌打ち
京太郎「結果として大成功。それは通り、俺は確証を得ました」
ゆみ「なるほど――その後の現物切りは目的達成の証というわけか」
京太郎「それもありましたし、和にとっては意味不明な打ち方をすることも目的でした」
和「!!」
京太郎「混乱したろ?」ニカッ
和「っ~~!!」ギリギリッ
桃子「(おᘄぱいさんの目が血走って怖いっす……)」ビクビク
京太郎「和がツモった後のアホ発言も、まぁ……和のペースを乱す為です」
ゆみ「結果としては、更に本気にさせてしまったようだが……」
京太郎「いえ、そんなことありませんよ」
ゆみ「何?」
京太郎「あの挑発のお陰で、和は自分でも気づかない程に動揺してました」
和「そんなことっ!!」
京太郎「してたさ。だからこそ俺はあの東二局で勝負に出た」
七対子での7s待ち
ドラを切っての、予想を裏切る攻撃
京太郎「ドラなんてどうでもよく、最初から俺は和の7sを狙ってたんだ」
和「……」
ゆみ「確かに、7sが分かっているのならあの打ち方にも納得が行く」
智美「その後のアホな振る舞いは演技かー?」
京太郎「お恥ずかしながら」ポリポリ
桃子「(こ、コイツ……!?)」
ゆみ「そして続く東三局は私の和了だったが?」
京太郎「東場で和了を重ねても、俺が警戒されちゃまずいので……それでちょっと」
934: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:26:04.65 ID:8WKWUlwfo
今は格下と侮られている(事実その通りなのだが)京太郎が
もしも東場で荒稼ぎしたらどうなるか?
京太郎「和を油断させたまま、混乱だけを積み重ねたかった」
その為に自分はのらりくらりと和を躱し、
逆にゆみに和了を譲ることでその場を凌いだ
ゆみ「だが東四局では原村に譲っていたな?」
京太郎「あれは出来れば蒲原さんか加治木さんに和了って欲しかったんですけどね」アハハ
智美「申し訳ないぞー」ワハハ
桃子「そこは別に謝るとこじゃないっすよ」
京太郎「でも、それで東場で俺から直撃を取れなかったという事実を和に突き付けた」
ゆみ「直撃を?」
京太郎「和のスタイルは別に狙い打つようなスタイルじゃありません。でも――」
その東場が終わった後に京太郎が見せた挑発
それは――自分が和から直撃を取るというもの
京太郎「これで和は相当動揺した筈だ。俺からの直撃なんてとんでもないって」
和「……」
京太郎「本人は気丈に振舞って打っているつもりでも、どこか俺を意識してしまう」
和「してませんっ!!」
睦月「そうだそうだ!!」
京太郎「えーっと? それでまぁ、和はいささか保守的な動きにならざるを得ない」
それは普段の和のデジタル計算機の――僅か1%を狂わせたにすぎない
だがその1%にこそ、勝機がある
京太郎「それで迎えた南一局。和が染めている気配を見せた瞬間――計画はスタート」
ゆみ「……」
京太郎「まずは和の和了牌が5sだと予想した俺はまず4sを切り――」
和「だからそんなことは不可能だとっ!」ガタッ!
桃子「お、落ち着くっすよ!」アセアセ
京太郎「……はぁ、分かった」オテアゲ
和「えっ?」
京太郎「最後まで引っ張ろうと思ったけど、そこまで言うなら先に教えるよ」
和「……お願いします」
京太郎「じゃあ、あの時の和の鳴きの形はこうだろ?」
【和の鳴き】
678s 111s 222s
【和の捨て牌】
3m、2p、72m、59p、3s、西、1p
935: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:27:17.89 ID:8WKWUlwfo
ゆみ「ああ、間違いない」
京太郎「この鳴きを完成させる前に和は一度、蒲原先輩の4sに反応しています」
智美「ああ、覚えてるぞ。正直ヒヤヒヤしたけどなー」ワハハ
京太郎「この時4sは俺が一枚、場に一枚、そして蒲原さんの切った一枚が見えていました」
ゆみ「つまりポンではなく、チー」
京太郎「234s、345のチーは俺が3sを三枚、和が一枚切ってるからありえない」
智美「考えられるのは――56sのチーだな」
京太郎「その後和はある牌”X”をツモって9sを切った」
和「……」
京太郎「つまり、Xをツモる前の和の牌の形はこうなります」カチャカチャ
569s X
京太郎「Xの牌が何か、可能性は四つ」
6s 7s 8s 9s
京太郎「まず9sの場合、この形なら4蒲原先輩のsで和了だ。見逃す必要が無い」
桃子「9sじゃないってことっすね」
京太郎「次に6sの場合ですけど、これも不自然なことがある」
ゆみ「6s切りの数巡前に確か、3sを切っていたな」
京太郎「そのとおり。もし3sなら和はその時点で35669sとなるから、切るなら普通は9s」
この局面で聴牌を崩す必要性など皆無だからだ
京太郎「なら次は7sだけど、5679sならさっきの4s鳴きの反応が不可解になる」
智美「単騎待ちの上に、ツモによっては両面待ちにできるからなー」ワハハ
京太郎「そうなると残るは――5689s。つまりXの正体は8sで決まるってわけだ」
和「……」ワナワナ
京太郎「和、俺の考え……間違ってるか?」
和「いえ、ここまでは正解です」
ざわ……
ざわ……
睦月「うむ、かっこいい……//」フラフラバターン
ギャー! マタキゼツシター!?
マタカ!? ウワァァアンン!
ゆみ「(な、なんて奴だ……!?)」
まるで非の打ち所のない的確な推理
恐ろしい程までに研ぎ澄まされた”理”の打ち方
智美「凄いな、普通にデジタルも打てるんじゃないかー?」ワハハ
京太郎「あはは、【師匠】がいいんですよ。【師匠】が」
和「で、ですがっ!」ダンッ
京太郎「ん?」
和「そこまでは認めます。しかし、5689sからの9s切りは二通りある筈ですよ」
智美「確かに7sをツモっての5678sか、8sをツモっての5688sと二通りあるな」ワハハ
7sをツモっていれば58sが待ちとなり、8sをツモっていれば47sが待ちとなる
和「これでどうやって7sか8sか特定できるんですか!?」
936: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:28:06.41 ID:8WKWUlwfo
和「これでどうやって7sか8sか特定できるんですか!?」
そうだ
これが特定できない以上、4s切りは50%の確立で死亡するギャンブルと同じ
和「結局は運だけで――」
京太郎「いや、違うよ」
和「え?」
京太郎「言っただろ。俺の”理”で勝負するってさ」ニカッ
京太郎は胸を張って言い切る
100%の確立で、4sが通ると確信していたと
ゆみ「しかし、どうやって――」
桃子「聞きたいっす」
その京太郎の自信に――誰もがその種に関心を寄せていた
先ほどまで、意味不明な素人と思っていた人間の”理”
この場はもう、京太郎に対する興味のみが渦巻いている
京太郎「と、その前に――一つ、いいですか?」
和「……?」
ゆみ「……なんだ?」
突如、解説を遮り――視線を上げる京太郎
その先にいるのは……原村和
京太郎「……俺は、麻雀部に入部してからほとんど打たずに雑用ばかりで過ごしました」
和「っ……」
ゆみ「ああ、知っている」
京太郎「俺には優希みたいな東場で強くなる力も無いし、部長の悪待ちなんてものもない」
ただ、弱かった
なんの力も持たず、なんの成果も得られず
京太郎「咲みたいな能力も当然無いし、染谷先輩みたいに豊富な知識があるわけでもなかった」
暗闇
弱者に位置づけられた自分に、這い上がる術など何もないと思っていた
京太郎「正直、何度もやめようと思ったし……辛い日々だった」
和「……」ブルブル
京太郎「でもな和。お前なんだ」
和「……わた、し?」
京太郎「お前が俺に、光をくれたんだよ」
オカルトに負けず、自分の打ち方に自信を持ち
誰が相手でも効率を重視した完璧なデジタルをやり遂げる
937: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:29:34.14 ID:8WKWUlwfo
オカルトに負けず、自分の打ち方に自信を持ち
誰が相手でも効率を重視した完璧なデジタルをやり遂げる
京太郎「だから俺は――ずっとお前に憧れてた」
和「私に、須賀君が……?」
京太郎「その日から俺、家でも部活でも、ずっとお前の打ち方を真似してたんだよ」
当然、そんなに甘いわけでもなく
勝率なんて少なく――ネトマでも負け越すことの方が多かった
京太郎「お前のビデオを見て、過去の牌譜も暗記して――ずっと幻影のお前を追っかけてた」
和「そこまで――」
京太郎「勿論、和みたいに凄い計算ができるわけじゃないから――弱いままだったけどさ」
桃子「(さっきの理詰めでも十分凄いっすけど……確かにおᘄぱいさんには劣るっすね)」
京太郎「それで、ある日気づいたんだ」
ゆみ「気づいた……?」
京太郎「和の打つ時のクセ、ツモり方が――目に焼き付いて離れないってことに」
和「!!」ドクンッ
京太郎「そんな俺からしたら――7sツモか8sツモかなんてハッキリ分かる」
ゆみ「どうやって……?」
京太郎「無意識だったんでしょうね。和の奴――ツモった牌をひっくり返したんです」
一同「!!?」
京太郎「5689sは上下対称。ひっくり返す必要なんて無い」
つまり――あの時に和が引いた牌
それは確実に7s
京太郎「だから俺は5678sでの待ち、58sが和了牌だと分かったんだ」
和「……じゃ、じゃあ!」
京太郎「ああ。今までの局でお前の手が分かったのもほとんどはこれ」
配牌時に――ツモった時に
整理し、回転させ、位置を整える
京太郎「俺はお前がどういう傾向で並べてるのかよーく知ってんだ」ニッ
和「そ、そんな――」
これが須賀京太郎の”理”
デジタルでは和に及ばないものの、その場の空気――対戦相手の気配を察知し
相手の手牌を予想する
それは――和のデジタルよりも、恐らく精度の高いもの
ゆみ「(原村限定とはいえ――なんて男だ!?)」
桃子「(勝負への覚悟、執念がまるで違う……)」ゾクゾクッ
和「どう、して……?」ジワッ
京太郎「……」
和「す、須賀君は……悪い、男の人、なのにぃ……どう、じで……」ポロポロッ
和は戸惑っていた
目の前の男は自分にいやらしい視線を寄せ、挙句に胸を賭けに要求するような男
他の男――あのクラスの男子達となんら変わらない存在、そのハズだった
なのに、どういうことだ?
雑用をしながらヘラヘラ鼻の下を伸ばしていたと思っていた彼が、陰でこんなにも努力していた
自分に憧れてデジタルの道を学び、ここまで成長していた
こんなにもまっすぐな瞳で、麻雀に向き合っているではないか
938: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:30:54.84 ID:8WKWUlwfo
和「わ、わたっ……私……」ブルブル
京太郎「俺さ、ずっと好きだったんだ」
和「ふぇっ?」
しんと静まり返る部室
京太郎が発した言葉――その一言が周囲の雑音を消し去ったのだ
京太郎「和――」
和「須賀……くん?」
京太郎「俺は確かに、スケベで弱虫で――麻雀も弱い、役立たずだ」
和「……」
京太郎「お前の事を性的な目で見てたし、正直――何回オカズにしたか分からねーくらいだよ」
和「っ!!」ゾクッ
やっぱり、同じなのだろうか?
あのいやらしい人達と、須賀京太郎も――
そう、和が思った時である
京太郎「でも、でもな……」
それは――
和が一度も見たことがないような優しい笑顔
嘘偽りの無い、穢れなき光
____
,. ´ __ `¨¨ヽ
,  ̄` / ヽ `ヽ
/ _ ,: ∨ 、 :.
/ /,´ / | ヽ .
/ //' ' / ' / l| | : : ∨ :
l// / , / ' l| | | | | | | | |
_/ ィ / { l |__|_{ |∧ }/ ' / l | ∧
 ̄ {〃 Ⅵィ斧从 } /-}/-/、 , /-、 ∧}
/ , 从 Vり ∨イ ,イ斧ミ、}/ /⌒ } | '
/ イ从 l ム Vり ム' ノ/}'
´ \∧ ' ,r ' /
、 v ァ / 从/
\ `こ イ _|、
` r ´ //∧
/| /////∧
「 | //////////> 、
, </∧ / {///////////////> 、
, </////// ∨__∨//////////////////>、
京太郎「和。俺は一度だってお前を”身体だけで”見たことなんかねぇよ」
和「……!」
939: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:32:42.33 ID:8WKWUlwfo
京太郎「可愛くて、おᘄぱい大きくて、それでいて堅物なくせに、仲間想いで――」
和「……」ツーッ
言葉にすればいくらでも出てくる
須賀京太郎が好きな、原村和という少女の特徴
京太郎「なんかいい匂いして、少女趣味で、俺の麻雀の手本になってくれて――」
京太郎はなおも、続ける
無理やりのようなものも、長所と言えないようなものもひっくるめて
次々と、和にその言葉をかけていく
京太郎「他にもえーっと、うん。まぁたくさんあっけどさ。一つ言わせてくれ」
彼の他に、誰も言葉を発しない
ただその行く末を見届けたいと――誰もが思った
京太郎「誰が、お前の”身体”だけに惚れるかってんだ!」
和「っ!」ドクンッ
京太郎「俺はな、お前の全てをひっくるめて好きなんだよ!」
和「!!」ドクンッドクンッ
京太郎「勝手に――値打ち下げてんじゃねぇ!」プイッ
和「あ、うぁっ……//」カァァア
超が付くほどのどストレートな言葉
それは、なんの打算も無い――ただただシンプルな想いの叫び
京太郎「……」チラッ
ゆみ「……//」モジモジ
智美「わ、ワハハ……//」テレテレ
佳織「はぅ……//」ドキドキ
桃子「……//」ポーッ
睦月「Zzzz……」スヤァ
,,‐´ __ ゝ
∠-‐´,, -‐' ´ ll ll ll ll ll ヾ
/ ll lll ll ll lll ll ll ヽ
/ ,, ‐; ‐' ~ ll ll lll lll ll |
,-‐', '´ ll lll lll /| ll ll ll ll |
./l , -‐'´ ll lll /ll/. | .iヘ lll ll ll
.ll/ / l /ll.//l/ |ll| | llヽ、 lll ll |
/ ll./ ll.∠// .l/ , |.|-‐|.| ̄ヽ、 ll. lll |
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::::::::::/::::::::::::::::::0:| ヽ / /:::::::::::::::::::::::\:::::::::::|
アカギ「……」ソワソワ
この時アカギ、意外に純情
943: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:33:46.09 ID:8WKWUlwfo
和「え、えっと……// そのっ……//」モジモジ
突然の愛の告白に戸惑う和
今までに数多くの告白を受けてきた百戦錬磨の和だが、
こんな情熱的な告白は初めてなのだから無理もない
和「~~~っ!」ギュゥゥゥ
エトペン「」ブチブチブチッ
あまりの興奮と衝撃からか、思わずエトペンを握りつぶす和
中身出そうになってる? 知らんな
京太郎「……とまぁ、こういう感じで和の手牌の一部は分かってました」ポリポリ
と、一方の京太郎はいささか罰の悪そうな顔で話を戻す
そりゃこれだけの人数を前にして告白まがいをしたのだから当然だ
ゆみ「あ、ああ。分かった、痛いほど理解したよ」ニヤニヤ
智美「あぁー、愛のなせる技だぞー」ワハハ
佳織「(あぅぅ、気絶していて助かったよぉ)」ホッ
睦月「うむ……」スピー
桃子「(あれ、どうしてっすかね。なんだか胸が……)」バクバク
京太郎「後は約束の直撃を取る為に、5mの赤を見逃して2mを待ちにしました」
あの状況で智美、ゆみが降りることはなんとなく予想できた
となるとアレに引っかかるのは強気で勝負してくる和くらいだろう
ゆみ「南二局の3s待ちは?」
狙いすましたように和の3sを七対子で待った
ただ牌を予想できても、必ず切る保証など無いハズだ
京太郎「ああ、それも原理は同じです」
ゆみ「というと?」
京太郎「和は早くに、加治木先輩の4sで鳴こうか悩んだんですよ」
和「!?」
智美「?? そんな気配あったかー?」
ゆみ「いや、私は感じなかったが」
和「そうです。あの時は慎重に行動していたので、分かるハズがありません」
そう言い切る和
しかし京太郎は首を横に振って否定する
京太郎「ツモる時の指だよ」
和「指……?」
京太郎「和の牌をツモる動作はすごく綺麗だ。毎回ブレなくまっすぐに牌の中心を掴んでる」
ゆみ「そう言われると確かにそうかもしれないが、だからどうした?」
京太郎「その時は和の奴、鳴こうか悩んだ4sに視線を送っていたんで手がずれたんですよ」
一同「???」
京太郎「つまり、よそ見しながら牌をツモろうとして、いつもより左に流れた部分を掴んだんです」
○=指 ●=牌
○○ ○○
●● → ●●
○ ○
和「そ、そんなっ!?」
944: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:34:40.74 ID:8WKWUlwfo
和「そ、そんなっ!?」
京太郎「他家の河から察するのに4sポンじゃない。となると3567sの牌形が分かる」
つまり、そこの牌溢れとなりえる3sを狙った
その為に待ちを変えやすい七対子に絞って
ゆみ「し、しかし……そんな小さなこと!」
京太郎「だから、言ってるだろ」
和「……」ドキドキ
京太郎「俺は、ちゃんと”和”を見てる」ジッ
和「ぅぁっ、ぁぁ……//」ドキドキドキドキ
顔が熱い
心臓が早鐘のように鳴り響いている
平常心を保てない
顔がにやけそうになるのを、必死にこらえていなければならない
和「(私、どうして……?)」
分からない
この気持ちがなんなのか?
考えれば考える程
目の前にいる須賀京太郎を見つめれば見つめるだけ――動悸は激しさを増していく
ゆみ「なるほど……それが君の”理”ということか」タラッ
京太郎「納得して頂けましたか?」ニッコリ
ゆみ「ああ。正直言うと言葉が出ないよ」
今まで彼女達の京太郎への評価など、ただの荷物持ちでしかなかった
大会ではいいとこ無しだと聞いていたし、それは変えようのない事実である
京太郎「……」
ゆみ「(何がきっかけで化けたのか分からないが――この男!?)」
智美「(精密なデジタルをベースに、ラフプレイに心得もある)」
桃子「……」ジィー
京太郎「まぁ、対策するのには観察が必要だし。和以外にはそうそう通用しませんけどね」アハハ
この間の竹井久達との対戦でもそうであった
久はラフプレイに慣れているし、まこは京太郎よりも技術が上
優希は沈黙していたが、最初の東場で暴走されていたら手遅れであっただろう
つまり、最初からまともにやりあって勝てる相手は和くらいなもの
京太郎「だけど――和にだけは負けない自信があった」
和「はぁっ……はぁっ……//」ギュッ
須賀京太郎の”理”は和の”理”を制す
それは同時に和の中の何かを変えるキッカケとなる
945: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:35:17.30 ID:8WKWUlwfo
ゆみ「しかし、困ったな」
正直言うと、ゆみも含めてここにいるほとんどが京太郎のイカサマを確信していた
だが実際はそうでなく京太郎は確かな対策を持って和に挑んでいたのだ
智美「ああ、これじゃあ残りの二局……京太郎君が不利だなー」ワハハ
種を明かされた手品ほどつまらないものはない
あの原村和に、同じ手はもう通用しないだろう
京太郎「まぁ、約束した以上。最後まで俺の理で挑みますよ」
例え勝算が薄いと分かっていても
それでもいい
京太郎「俺は和に認めて欲しかった。こんな”シセン”もあるってこと」
和「あっ……」ハッ
京太郎「だから、もう勝ち負けなんてどうでもいい」ニカッ
和「須賀君、まさか……?」
そして和は気付く
あのまとわりつくような視線への嫌悪感
それがもう綺麗さっぱり消え去っている
和「(まさか、あんな賭けを持ち出したのも?)」
胸を賭けた闘い
和の中で京太郎の評価は最低値にまで落ちていたが――今ではむしろその逆
もしかすると京太郎は、身を持って教えようとしたのでないだろうか
京太郎「男はみんなスケベなもんさ。そりゃ中にはマジでろくでもない奴もいるけど、でも……」
和「……須賀君」ドクン
京太郎「お前が魅力的過ぎるのも悪いんだぜ?」ハハハ
和「……フフ。そう、ですね」クスッ
笑った
原村和が――ついに笑みを見せた
京太郎「(ああ、これでいい)」
須賀京太郎は最初から、勝つつもりは無かった
この闘いの中で和に道を示し――その抱えている闇を照らしてあげられれば、それで
京太郎「……じゃあ、残り二局。打つか」
もっとも、勝機の見えない戦いである
京太郎が”理”で戦う限り――の話だが
和「待ってください」
京太郎「ん?」
和「この勝負――私の負けです」
ゆみ「何?」
ざわ……
ざわ……
京太郎「和、お前?」
突然、負けを認める和に一同が騒然とする
和「私の理は須賀君の理に負けました。それは代わりのない事実です」
最初に取り決めた約束
和はそれに破れた、挙句にその弱点を指摘してもらえる始末
和「ですから、私の負けです」
946: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:35:53.42 ID:8WKWUlwfo
京太郎「和、お前はそれでいいのか?」
京太郎からしてみれば、和がここで敗北を認める意図が分からない
いくら意地があるとはいえ、負ければ胸一つを賭けると言っている勝負だ
和「……はい」コクッ
迷いの無い瞳で京太郎を見る和
だが逆に、京太郎が首を振って否定する
京太郎「それはダメだ、和」フリフリ
和「!? どうしてですか!?」
京太郎「俺が認めない。勝っていない勝負の景品なんか、なんの価値にもなりゃしねぇ」
和「須賀君……」ギュッ
京太郎「だから俺は続けるぞ」チャッ
勝ちの目があるから勝負するんじゃない
勝ちたいから勝負をする
京太郎「……」
和「……分かり、ました。ですが須賀君、お願いがあります」
京太郎「なんだ?」
和「須賀君には――何か、不思議な力のような、オカルトめいた物が……ありますよね?」
一同「!?」
和「残り二局――須賀君、本来のスタイルで打って貰えませんか?」
ざわ……
ざわ……
京太郎「和、お前……?」
和「須賀君が藤田プロを倒したのは、恐らくこの方法じゃありませんよね?」
京太郎「……ああ」
和「お願いします。それなら、まだ勝負は分かりませんから」
京太郎「でも、それは……!」
京太郎本人の実力ではない
あの【神域】の男の知恵を借りた――偽りの闘牌だ
947: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:36:29.85 ID:8WKWUlwfo
京太郎本人の実力ではない
あの【神域】の男の知恵を借りた――偽りの闘牌だ
京太郎「俺の、力じゃ……」
アカギ「クク……いいじゃねぇか京太郎」スッ
京太郎「(アカギさん!? いたんですね)」ビクッ
京太郎の悩みを掻き消すように、ゆっくりとアカギが姿を現す
その顔はどこか誇らしげである
アカギ「京太郎。お前は明らかにこの女を上回った、それは事実だ」
京太郎「(でも、今はもう違います)」
京太郎の指摘で和は以前のような隙は見せなくなるだろう
かといって全力で挑んでも地力の差で敵わない
アカギ「……お前が逆なら、どうだ?」
京太郎「!!」
アカギ「女の意地、通してやれねぇような男じゃあんめぇ」ニッ
京太郎「……はは、本当にお爺ちゃんみたいだ」ボソッ
アカギ「フフ……」
京太郎「(でも、お陰で目が覚めた)」
和が望むなら、自分の持てる最大の力で戦うしかない
それが例え――
アカギ「退屈してたところだ。さぁ、やるぞ」
悪魔の力でも
京太郎「分かった……やるぞ、和」
和「……須賀君!」パァァッ
ゆみ「話はまとまったようだな」
智美「じゃあ、続けるぞー」ワハハ
桃子「……須賀、京太郎。須賀京太郎、須賀京太郎……」ジッ
佳織「ど、どうなっちゃうんだろう?」ドキドキ
睦月「う、うぅむ……」スヤァ
京太郎「和……」
和「はい」
京太郎「これから打つのは……俺であって俺じゃない」
和「……」
和はその言葉の意味がよく分からなかった
だけど、その時和にはハッキリと見えた
948: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:38:25.39 ID:8WKWUlwfo
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アカギ「……」ニヤリ
京太郎「……」
和「(そう、それが須賀君の――)」
一瞬の出来事
瞬きをする間に消えてしまったけれど、和にはそれで十分だった
京太郎「それでも、許してくれるか?」
和「ええ、勿論」ニコッ
そこからの勝負は――
およそ、現実とは思えない程の闘いであった
京太郎「……」
その打ち筋は独特で、誰も真似が出来ない
アカギ「クク……的が外れてやがる」
ゆみ「そんな……!?」
智美「こ、こんな打ち方――!」
和「ああ……須賀君。これが、これがアナタの――目指してる道なんですね」
まぎれもなく天性の博才
京太郎「和……その牌だ」
和「……私の、負け。ですね」
鶴賀学園で行われた須賀京太郎と原村和の意地を賭けた対決
その結果は――須賀京太郎の勝利
終わってしまえば、圧倒的な点差である
949: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:39:12.41 ID:8WKWUlwfo
ゆみ「ああ、しかと見届けた」
智美「ワハハ、強かったなー」
桃子「……」ポーッ
睦月「う、うぅーむ」
佳織「あれ? 待ちを変えて? あれ? あれれ?」チンプンカンプン
須賀京太郎の勝利を見届け、それぞれ思うところがあるようだ
ある者は恐れ、ある者が感心し、ある者は憧れを抱いた
だが、それでも京太郎は満たされない
なぜならこれは――自分一人で掴んだ勝利じゃないから
京太郎「……それじゃあ、俺。帰ります」ガタッ
スタスタ
和「待ってください、須賀君!」
ガチャッ バタンッ
和「っ!!」タタッ
【帰り道】
京太郎「……」
タッタッタッタッタッ!
和「須賀君!!」ザッ
ピタッ
京太郎「……和」
和「はぁ、はぁっ……ま、まだ。終わっていません」ゼーゼー
京太郎「……」
和「しょ、賞品を――渡して、いません」カァァ
京太郎「賞品?」
それは――原村和の胸
はっぱをかける為だけに持ちかけた条件である
951: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:40:19.71 ID:8WKWUlwfo
和「……その、須賀君になら……//」モジッ
京太郎「……悪い、和」
和「えっ?」
京太郎「今の俺には、それを受け取る資格がない」
アカギ「……」
和「で、でも!」
京太郎「それは好きにしてくれ。だけど、たった一つ望むならこれかれはもっと自信持てよ」
和「……そ、そんな!」
京太郎「……」クルッ
そのまま踵を返して去ろうとする京太郎
だが、和はなぜか引き止めていた
和「行かないでくださいっ!」
京太郎「……」
和「わ、わた……私は!」
ここで引き止めないと、手遅れになるような気がした
もう二度と――以前の須賀京太郎には会えなくなる
そんな――予感
和「私はアナタが好きです!!」
京太郎「……っ!」
和「だから、だから――お願い、します」ポロッ
京太郎「……」
和「胸でも、どこでも……好きにして、いいですからっ」ポロポロ
京太郎「……和」
京太郎は振り向かない
その顔を見せないのは、一体どういう意図なのか?
952: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:42:52.95 ID:8WKWUlwfo
ただ一つ、分かっていること
それは……
京太郎「敗者に、そんな資格は無いだろ」
和「っ!!」
京太郎「俺が欲しけりゃ、いつでも勝負してやるよ」
和「勝負……?」
京太郎「お前が勝てば、好きにしていい」ザッ
歩き出す
これまでの甘えを捨て去るように――強くなる為に
好きな人すらも、犠牲にして
京太郎「俺は今よりも、もっと強くなる」
大会で強者と闘い、喰らい
自分の強さの糧として――いつかはあの男を越える
それが、須賀京太郎の目標だから
和「だったら……私も、強くなります!」
京太郎「……」
和「だから、待っていてください! 必ず、須賀君を手に入れてみせますから!」
それは本心からの叫び
”完璧”である原村和に唯一欠けるもの――
和「私は……! 私は須賀君を追いかけますから!」
愛を、手に入れた瞬間だった
京太郎「……」スタスタ
956: ◆RwzBVKdQPM 2014/05/18(日) 00:51:48.75 ID:8WKWUlwfo
~~~~~
アカギ「クク……よかったのか?」
京太郎「……んー? 何がですか?」
アカギ「惚れてたんだろ、アイツに」
京太郎「ええ、まぁ。それなりに」ポリポリ
アカギ「ふーん……。折角のDTを捨てるチャンスを不意にしたってわけだ」
京太郎「それは……うん。もういいです」
アカギ「あらら……」
一人の少年と、一人の幽霊は歩く
夕日が落ち、朝と夜の狭間の影の中で――
京太郎「ヤるときゃ自前でやりますよ。酒と女は自前って言うじゃないですか?」
アカギ「フフ……分かってきたな」
今日も、明日も
これからも――
二人は共に歩いていく
京太郎「しっかし、今日の闘牌。あれどうやったんですか?」
アカギ「お前にはまだ早い」
京太郎「チャンタって言うんでしたよね。あれかっこいいですよ!」
いつか、お互いに戦うことになるその日まで
どちらかが、本物の【無頼】となるその時まで
京太郎「ところで字牌を逆さまにしろって指示……あれチャンタの合図?」
アカギ「当たり前だバカ。気づくのが遅い」ハァ
京太郎「うぅ、ちくしょー」
須賀京太郎と赤木しげる
二人の男は、運命的な出会いの中でともに戦いに身を投じていく
次の相手は――仮か、本物か
京太郎「あぁ……強くなりてぇーなー」
アカギ「ククク……」
いずれにせよこの二人
京太郎「でもなにより、勝負がしたい!」グッ
アカギ「ああ、それでいい」ニヤッ
向かうところ、敵無しである
第一部 完
971: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/18(日) 01:10:12.29 ID:n0R62MeMo
乙!
最後の二人の会話がかなり好きかも
最後の二人の会話がかなり好きかも
963: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/18(日) 00:58:20.04 ID:PzA0FZR00
あれ、なんだろう
この二人がすげーいいコンビに思える
会ってからまだ大して経ってないのに
この二人がすげーいいコンビに思える
会ってからまだ大して経ってないのに
977: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/18(日) 01:58:38.41 ID:nYREGZpo0
和とのオリ対局は実に良かった
969: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/05/18(日) 01:05:55.73 ID:JNqSThnA0
乙
理牌の癖からの手牌読みかぁ。
やっぱネトマはオート機能切らなきゃな
理牌の癖からの手牌読みかぁ。
やっぱネトマはオート機能切らなきゃな
引用元: 【咲SS】京太郎「これが……神の一手?」アカギ「ククク……」【アカギ】
咲「ここでおハガキを一通」アシ『R.N恋するウサギちゃん』【咲先ラジオ南3局】
2019-04-28
1: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:19:09.29 ID:c5/0wA2s0
咲さんがメインを務めるラジオSS。
前回→咲「宮永咲のお先におやすみなさい」健夜「南2局目、かぁ」【咲先ラジオ南2局目】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1499865084/
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1506266349
前回→咲「宮永咲のお先におやすみなさい」健夜「南2局目、かぁ」【咲先ラジオ南2局目】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1499865084/
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1506266349
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2: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:21:25.36 ID:c5/0wA2s0
アシ『なぜ人を好きになるとこんなにも苦しいのでしょう?』
咲「えっ、突然なに!?オープニング飛ばしていきなりお便り……?」
咲「しかも、なんかこれどこかで聞いたことあるフレーズだけど」
アシ『……』ジ-ッ
咲「そんな、早く答えてくださいみたいな目で見られても困るよ!?」
咲「ええっとぉ……ひ、人を好きになると、だよね?」
咲「苦しい、かぁ」ウ-ン
咲「きっと、誰かを好きになるとその分不安な事も沢山出来ちゃうからですかね!」
咲「もし告白して、ダメだったら……とか、そうなった時もとの関係に戻れるかなぁ、とか」
咲「でもでも、そんな不安もありつつ、たくさんの期待も同時に膨らんでいって」
咲「心がぱんぱんになって、苦しくなっちゃうんだと思います!」
3: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:21:56.79 ID:c5/0wA2s0
アシ『咲さんにその経験はあったんですか?』
咲「ふぇ!?ど、どうかなぁ?」メソラシ
アシ『顔赤いですよ?冷房強めますか?』
咲「も、もうっ!あんまりからかわないでよ!/////」プイッ
アシ『ちなみに、今のお便りへの模範解答は』
アシ『それは心が君のこと急かして蹴飛ばしているからで。シンプルな頭で聞けばいいのさ、Let's get to your love!』
アシ『ですよ咲さん』ヤレヤレ
咲「そんな返し、いきなり出ないよ!!ダメだなぁみたいな顔されても!!」
咲「ていうかそれ、やっぱり聞いたことあるよ……怒られても知らないよ私っ」
4: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:22:49.95 ID:c5/0wA2s0
アシ『すみません。私的に、ラジオといえばこの曲でして、丁度いいネタお便りが来たのでつい』
アシ『では、始めてください』
咲「この流れでオープニング始めるの!?しかも曲って言っちゃってるし…」
咲「はぁ……なんだか、今日は変な始まり方になってしまいそうですが、許してくださいね」
咲「宮永咲のお先におやすみなさい、本日9月24日、日曜日!」
咲「深夜11時から45分間、是非お付き合いくださいね♪」
淡い恋の端っこを決して離さなければ~♪
この夏は例年より騒々しい日が続くはずさ~♪
咲「この番組は、りゅーもんスタジオと」
咲「全国麻雀協会さん」
咲「親愛なるリスナーの皆さんの提供でお送りします!」
咲「オープニングでその曲使って、怒られても知らないからねっ!」
―――
―――
5: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:23:21.26 ID:c5/0wA2s0
咲「改めまして、皆さんこんばんは」
咲「宮永咲のお先におやすみなさい、メインパーソナリティの宮永咲です!」
和「アシスタントの原村和です」
咲「あれ、今回は和ちゃんモード?」
和「咲さん一人では寂しいかなと思いまして」
咲「嬉しいけど、そんな理由でいいの?」
和「ぶっちゃけ、毎回指示を出すだけというのも面倒……いえ、飽き飽きしていたので」
咲「言い直したけど、飽き飽きっていうのも相当だからね!?」
和「まあまあいいじゃないですか」
咲「いいのかなぁ……」シブシブ
6: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:23:48.13 ID:c5/0wA2s0
和「咲さん、夏も終わって季節はいよいよ秋ですね」
咲「そうだね~。読書の秋だよ、読書の秋!食べ物も美味しい、食欲の秋でもあるよね!」
和「スポーツの秋もありますよ」
咲「読書と食欲だよ?」
和「ふっ……ですから、スポーツの秋とも言いますよね?」
咲「秋の夜長はついつい本をたくさん読んじゃうんだよね~」
和「咲さん、最近運動はしているんですか?」
咲「そうだなぁ、今年の秋は5冊くらいをじっくり時間かけて読むことに決めてるんだ」
和「……」
咲「……」
7: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:24:15.28 ID:c5/0wA2s0
和「……」
咲「だって、運動嫌いなんだもん」プク-
和「勿体無いですよ。咲さん、運動神経は悪くないのに」
咲「なんて言うのかなぁ……リスナーの皆さんは分かります?」
咲「別に運動ができないわけじゃないんだけど、嫌いなんです!」
和「楽しいじゃないですか、スポーツするのも」
咲「そうかなぁ…」
和「ダメですよ咲さん。ただでさえ麻雀は座りっぱなしで身体が凝るんですから」
和「たまには思いっきり運動しないと。体調にも悪いですし」
咲「……嫌だもーん」フリフリ
和「頑なですね…」
8: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:24:45.91 ID:c5/0wA2s0
和「そうだ。ちょうど大星さんが朝のランニングにハマっているそうじゃないですか」
咲「あー、なんか言ってたね」
和「咲さんも真似したらどうです?一緒にやる人がいれば、モチベーションも保てるでしょう」
咲「淡ちゃんは体力もあるし、元々ジッとしてられないタイプなんだよ」
咲「そう、まさに野生なの!淡ちゃんは野生に戻ってるんだよ今」
和「ふふっ……なんですかそれ」
咲「とにかく!私は運動なんてしませーん」
咲「家で読書して、外で麻雀打って、美味しい食べ物を食べられればいいの!」フンス
和「まったくもう……困った人ですね」フフ
9: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:25:26.91 ID:c5/0wA2s0
咲「でもまあ、和ちゃんの気持ちを無駄にするわけにもいかないから」
咲「お風呂上がりにストレッチすることにするね!」
和「咲さんのお風呂上がりですか……」ゴクリ
咲「そこじゃなくてストレッチの方に注目してよ!」
和「あっ、すみません。咲さんのお風呂上がりの姿を思い浮かべてしまいました」
咲「く、口に出さなくていいから……バカっ」プイッ
和「ありがとうございます!」
咲「ダメだこの和ちゃん、早くなんとかしないと……」
和「まあ冗談はこの辺にしておきまして」
咲「顔が本気だったよ和ちゃん」
10: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:26:00.01 ID:c5/0wA2s0
和「秋と言えば、秋季大会もありますね」
咲「あるね~。やっぱり高校生大会って夏のインターハイが注目されがちだけど、春秋冬の大会も盛り上がるよねっ」
和「全国大会という名目では、インターハイと同じですから。」
和「そうそう、秋季大会では個人戦で優勝した選手に特別な対局権利が与えられるそうですよ」
咲「特別な対局権利って?」
和「エキシビションマッチのようなものでしょうか」
咲「え、えきしびじょんまっち?」ハテナ
和「特別試合、勝ち負けを重視しない魅せる対局という事です」
咲「イマイチ分かんないなぁ」
11: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:26:30.79 ID:c5/0wA2s0
和「公式情報によれば、個人戦優勝者はトッププロとの対局を行えるそうなんですよ」
和「それがエキシビションマッチです」
咲「へー!それは凄い、豪華だねぇ~」
咲「トッププロって、やっぱり三尋木プロとか野依プロとかかな」
和「誰とまではまだ発表されていませんが、ネットでは小鍛治プロ説が囁かれているみたいですよ」
咲「え、健夜さん?」
和「なんでも、福与アナがラジオで口を滑らせたとかなんとか」
咲「えぇ……」
咲「でも本当に健夜さんがその内の一人だったとして、こんな事言ったらダメかもだけど結果は見えてるよね?」
和「エキシビションですから。観客に魅せることが目的なので、それでいいんですよ」
和「番狂わせが起これば、それはそれで見ものですし」
咲「なるほどね~。でもそっか」
咲「それは私も少し楽しみになってきたかも」
咲「健夜さんじゃないにしても、トッププロと学生の対局なんて滅多に見られないし!」
12: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:27:14.32 ID:c5/0wA2s0
和「ですね。もしかしたら咲さんにお呼びがかかるかもしれませんよ」
咲「まっさかぁ~。新人の私がそんな舞台で打つのは無理だよ」アハハ
咲「私自身、緊張しちゃって上手く打てなさそうだし」
和「またまた。咲さん、麻雀を打っている時はとても活き活きしていますよ」
和「新学期の自己紹介の時の方がよっぽど」
咲「も、もうその話はいいから!思い出す度に穴掘って埋まりたくなるその話はいいから!」
和「残念。私のお気に入りエピソードなのに」
咲「なんてエピソードをお気に入り扱いしてるの!?」
13: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:27:54.78 ID:c5/0wA2s0
スタッフ『……』つカンペ
咲「あ、カンペ出た」
和「ふむ。いつもカンペを出す側ですから、こちらから見るのは中々新鮮です」
咲「えっと、それではここらで1曲お送りします!」
和「ポルノグラフィティでミュージッ」
咲「違うから!和ちゃんその曲好きすぎ…」
咲「LiSAで、Catch the Momentです!どうぞ!」
和「どうぞ」
―――
―――
14: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:28:27.97 ID:c5/0wA2s0
咲「さてさちぇ!」ガリッ
咲「んみゅっっっ!?!?」
和「んふふっ……」
咲「いひゃい……べろかんひゃ……」ヒリヒリ
和「ぷふ……咲さん、んみゅっ!?って言いましたよ、んみゅっ!?って」クスクス
咲「むぅ、和ちゃんめ、笑いごとじゃないよ!」プンプン
咲「はぁ、痛かったぁ」
和「ありますよね、油断してると思いっきり噛んでしまうこと」
和「下手すると傷になってしまいます。少し舌を出してみてください」
15: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:28:58.95 ID:c5/0wA2s0
咲「えっ!?い、いいよそんなの、恥ずかしいしラジオ中にする事じゃないから」フリフリ
和「そうですか?」
和「あ、よく傷口には唾をつければすぐに治ると言いますよ」ジッ
咲「それは確かに聞くけど……え、な、なに和ちゃん、どうしてこっちを見つめるの…」タジ
和「いえ、咲さんの唇は素敵だなと思いまして」ジ------
咲「和ちゃん、ちょっと気持ち悪いよ……」ヒキッ
和「私はただ咲さんの舌の心配をしているだけなのですが……」
咲「お気持ちだけ受け取っておきます!」
和「咲さんのいけず」ムス-
咲「和ちゃんお酒とか飲んでないよね……」
和「酔っていればOKと!?」ガタッ
咲「もー!めんどくさいよぉ!!」
16: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:29:26.16 ID:c5/0wA2s0
スタッフ『……』つカンペ
咲「ほら、早く進めろって指示出ちゃったし」
和「進めましょう」
咲「誰のせいで止まってると思ってるの…」
和「咲さんが舌を噛んだのがトリガーでは」
咲「ちくしょー、その通りだよっ!」ベシッ
咲「さてさて!この番組では毎回リスナーの皆さんからのお便りを募集しているんですけど」
咲「今回も沢山のお便り、ありがとうございます!」
和「ありがとうございます」
咲「和ちゃん、こっち読んでくれる?」つ
和「分かりました」コク
咲「ではまず私からっ」
17: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:29:53.87 ID:c5/0wA2s0
咲「ラジオネーム"はる"さんから頂きました、ありがとうございます!」
和「ありがとうございます。今は春ではなく秋ですがね」
咲「そういうのいいからっ!」
『咲さん、アシスタントの原村さんこんばんは』
咲「こんばんは~」
和「私の名前も書いてあるって、私が今日はこの立ち位置で放送をしている事が分かっているかのようですね……」
咲「分かってるんだよ。うちのリスナーさん達は訓練されてるからね!」
和「さすがです」
18: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:30:22.30 ID:c5/0wA2s0
『今、ちょっとした悩みがあってお便りを送らせて貰いました』
咲「お悩み相談!」
和「私たちのラジオに送ってくるとは、中々のチャレンジャーですね」
咲「それどういう意味かな!?」
『実は、私には小さい頃から仲のいい幼馴染がいるんです』
咲「ふむふむ」
『それて先日、帰り道が一緒なので二人で帰っていたんですけど、なんだか様子がおかしくて』
『どうしたのって聞くと、急に真剣な顔をして私の事が好きだって言われたんです』
咲「うわわわ……/////」
和「愛の告白ですね」
『でも私は"彼女"の事はずっと親友だと思ってきましたし、なんて返事したらいいのか分かんなくて』
『そもそも、女の子と女の子でなんて考えたことも無かったので返事を保留にして逃げてきちゃったんです』
『私は一体どうしたら良いのでしょうか……』
咲「と、いうお便りだけど……」
咲「あぅ…/////」プシュ-
19: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:30:49.25 ID:c5/0wA2s0
和「なにを照れているんですか咲さん」
咲「だってぇ…////」
和「まあ私から言えるのは、少なくとも恋愛するのに性別なんて関係ないという事ですかね」
和「人は異性を好きになるのではありません。人を好きになるんです」
和「なので、同性だから断るというのはやめて上げて欲しいですね」
咲「わ、私は……あんまり良いアドバイスできそうにないけど」
咲「告白された時にすぐ断らなかった、それにこうやってお便りをくれる程真剣に悩んでるなら、少なくとも無関心ではないのかなって思います…」
咲「えと、悩む気持ちはとっても分かるし、誰かに相談したい気持ちも分かるけど」
咲「やっぱり、私はこんな時にたくさん悩み抜くことも大事だと思うんです!」
和「そうですね」ウンウン
20: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:31:16.82 ID:c5/0wA2s0
和「オープニングで咲さんも話していましたけど、悩んで心が苦しくなるのが恋愛です」
和「私から言わせれば、そうして悩んでいる時点ではるさんも彼女に恋愛しているのだと思いますよ」
咲「応援してます!なにか進展があれば、いつでもお便り待ってますね」
和「そういえば聞いたことが無かったですが、咲さんに幼馴染と言える方はいるんですか?」
咲「え、わ、私?」
和「はい」コク
咲「あー……うー…」
咲「いる、と言えばいるのかなぁ……?」
和「いるんですか!?」ガタッ
咲「ぅわわっ!」ビク
21: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:31:43.61 ID:c5/0wA2s0
和「どなたですか!お名前は!年齢は!住んでいる所は!さ、咲さんとの関係は!?」
咲「ちょ、ちょっと落ち着いて、落ち着いてよ」
和「す、すみません」
咲「幼馴染っていうか、従姉妹なんだけど…」
咲「年齢は私と同じ。ちょっと事情があって、海外にいるんだ」
和「そうだったんですか……まさか、今になってまだ私の知らない咲さん情報が出てくるなんて」
咲「あはは、なにそれ」クスクス
咲「私や照お姉ちゃんは、どっちかと言うと静かな性格でしょ?でもその子はすっごく活発で」
咲「ふふ、いつも元気を貰ってたんだ」
和「そーなんですか……」
和「一度お会いしてみたいです」
咲「うん、きっと仲良くなれるよ」フフ
22: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:32:14.82 ID:c5/0wA2s0
和「質問の流れで、咲さんはその方に告白されたらどうするんですか?」
咲「あはは、想像できないよ。だって姉妹みたいに仲良かったし」
和「このお便り主さんはそんな状況なんですね……」
咲「……確かに」
咲「わわわわっ、そう考えると本当に難しいなぁ…」
和「進展があったら是非知らせて欲しいですね」
咲「うんうんっ!」
―――
―――
23: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:32:55.18 ID:c5/0wA2s0
和「続きまして、ラジオネーム"幻の役満三色同刻"さんからです」
咲「待って待って、ツッコミどころ満載だよ!」
和「毎回必ず一人はラジオネームで遊ぶ方がいますよね」
咲「そもそも三色同刻は役満じゃないし…」
和「幻というのと珍しいというのを掛けて、それに更に役満の珍しさに掛けているのでは」
咲「それは分かってるよっ」
咲「でも確かに、三色同刻はあんまり見る役じゃないよね」
和「ですね。統計的にも体感的にも、役満より出ていないような気がします」
咲「鳴けば作りやすいんだろうけど、わざわざ鳴いて狙う役でも無いもんね」
和「そもそも存在している意味があるんでしょうか…?」
咲「三色同刻君が聞いたら泣いちゃうからそんな事言わないであげて!」
和「三色同刻君って咲さん…」
24: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:33:22.53 ID:c5/0wA2s0
『宮永さん、原村さんこんばんは。私です』
和「誰ですか?」
咲「三色同刻君だね」
『宮永さんは以前嶺上開花以外の好きな役をチートイツと答えていましたが、逆に苦手な役などはあるんですか?』
『ちなみにボクは三色同刻が苦手です』
咲「苦手なの!?」
和「しっかりオチを付けてきましたね」
和「咲さんの苦手な役だそうですよ」
咲「苦手かぁ……」
咲「……」カンガエ
咲 和「「槍槓」」
咲「えっ!?」
和「ふふ、言うと思いました」クスクス
咲「も、もぉ~和ちゃんっ」
25: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:33:48.28 ID:c5/0wA2s0
和「でも咲さん、言うほど公式戦で槍槓受けたことはありませんでしたよね?」
咲「うん。1年生の頃の県予選決勝、あの時加治木さんに槍槓を受けた時から、加槓時の注意はしっかりしてるから」
和「咲さんカッコイイです」
咲「……まあ、暗槓なら大丈夫でしょと思った油断を槍槓国士で突いてきたのが他でも無い和ちゃんなんだけどね…」
和「何年咲さんと麻雀を打ってると思ってるんですか。それくらい、できて当然です」
咲「嬉しいようなそうでもないような、複雑だよ」アハハ
咲「和ちゃんは、苦手な役とかあるの?」
和「私は天和や地和ですね」
和「牌効率という概念を打ち砕く役ですから」
咲「あー、和ちゃんらしいね」
和「ま、苦手と言うほど見る役じゃありませんけど」
26: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:34:25.19 ID:c5/0wA2s0
咲「私はこれまで麻雀を打ってきて、天和地和和了ったの見たのは2回かなぁ」
和「それは?」
咲「健夜さんと、淡ちゃん」
咲「健夜さんは当然のように和了ってたけど、淡ちゃんは驚いてたよ」クスクス
和「あの方はやけにダブリーが多いですからね…」
咲「もしかして、淡ちゃんが限界突破したら天和地和連発できるかも」
和「そんなオカルト、ありえません」
―――
―――
27: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:35:08.30 ID:c5/0wA2s0
咲「続きまして、あ、匿名の方ですね。ありがとうございます!」
和「珍しいですね、ラジオネームで大喜利しないリスナーなんて」
咲「それが珍しいと思えたら感覚麻痺してるよ和ちゃん…」
『秋といえばお月見ですが、咲さんはもうお月見をしましたか?』
『ちなみに自分はサーフィンがしたいです』
咲「脈略!!無さすぎるよ!」
和「本文でふざけてきましたね」
28: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:35:41.71 ID:c5/0wA2s0
咲「しかもサーフィンって……詳しくないけど、それ夏が本場なんじゃないの…」
咲「お月見したか聞いてるんだから、せめて秋にしたい事を書いてよ!」
和「咲さんはそうやって丁寧にツッコンでくれるので、リスナーの皆さんもボケやすいんでしょうね」
咲「つっこみとか、専売特許にしてるプロ雀士がいるから……そっちへどうぞっ!!」
和「でもお月見ですか。咲さんしましたか?」
咲「お月様なら毎日見てるよ!」
和「……」
咲「……」
和「あ、すみません。今のボケていましたか?」
咲「うわぁぁん、もうやだぁ!!」シクシク
29: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:36:07.16 ID:c5/0wA2s0
咲「このお便りで今夜が満月だってこと思い出したから、帰りに二人で見ながら帰ろうって誘おうと思ってたけど」
咲「意地悪な和ちゃんやだから一人で帰るもん」
和「え、ちょ、すみません!ほんの出来事だったんです、一緒に帰りましょう!ね!」アセアセ
咲「……もう意地悪しない?」ナミダメ
和「もちろん!私が咲さんに意地悪なんて、するはずないじゃないですか!」
咲「数秒前の自分と矛盾しすぎだよっ」
咲「……まあ、それなら許してあげる。今日は一緒にかえろ?」
和「喜んで!」
咲「ふふっ、楽しみだね」
和「楽しみです!」
和(咲さん可愛い)
30: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:36:40.33 ID:c5/0wA2s0
和「最後のお便り……あ、見てください咲さん」
咲「うん?」チラ
咲「……えっ、淡ちゃん?」
和「珍しいですね、こういう普通の回で知り合いからのお便りを読むとは」
咲「なんだろう、あんまり良い予感がしないや」
和「とりあえず読みますね」
和「えーっと……」
『私をゲストに呼べーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!サキ可愛いよサキーーーーーー!!!』
和「……」
咲「……」
31: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:37:21.15 ID:c5/0wA2s0
和「どうですか?」
咲「これ酔ってるでしょ……酔ってて、ついさっき送ってきたでしょ…」
スタッフ『……』つ正解
咲「だと思いました。だって淡ちゃん、酔っ払うとラジオに出せ~と、サキ可愛い~しか言わなくなるんだもん」
和「文面でまでそれを貫かなくてもいいと思いますが……」
咲「最後のお便りがこれって、まあある意味オチが付いて良かったのかな…」
咲「明日お説教しておかなくちゃ」
和「会うんですか?」
咲「チームでね」
和「あ、なるほど」
咲「と、いうわけで!こんな感じで……いや、最後のはあんまり参考にしないで欲しいんですけど」
咲「リスナーの皆さんからのお便りを募集していますので、気軽に送ってきてくださいね♪」
和「なお、読めなかったお便りも私達のコメントと一緒に公式ホームページへ掲載しますので、興味のある方は是非どうぞ」
咲「以上!ふつおたのコーナーでした♪」
32: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:37:56.01 ID:c5/0wA2s0
咲「……えっと次はぁ…」ガサゴソ
和「どうぞ咲さん」
咲「えっ、なにこの台本」
スタッフ『……』つカンペ
咲「え、読むの?次お知らせじゃあ……」
和「急いでください咲さん!」
咲「えぇ……」チラ
咲「な、何この台本!?」
咲「うっ、そんな目で見ないでよ……分かった、読むよ、読めばいいんでしょ!」
咲「……コホン」
33: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:38:30.85 ID:c5/0wA2s0
咲「お、お兄ちゃんお姉ちゃん……明日から月曜日、だね」
咲「お仕事や学校、大変……?そうだよね…」
咲「分かった、じゃあわた……さ、咲がお兄ちゃんお姉ちゃんに元気を注入するね…/////」
咲「えっと……」モジ
咲「お、お兄ちゃんお姉ちゃん、大好きっ。ぎゅ、ぎゅぅ~!/////」
咲「えへへ、これで咲ぱわーを補充したからもう大丈夫だねっ?」
咲「あ、明日からも1週間、が、頑張ろ~♪」
和「完璧です」グッ
咲「うぅぅぅぅぅ~ッッ/////」カァァ
―――
―――
34: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:39:38.84 ID:c5/0wA2s0
咲「番組からお知らせだよぉ、お兄ちゃん!お姉ちゃん!」
咲「なんとなんと!ラジオ内でも話題に上がったけど、ついに秋季大会の季節がやってきたんだって!」
咲「咲、お兄ちゃんお姉ちゃんの麻雀早く見たいなぁ!」
咲「開催場所は例年通り、東京国際フォーラムだよ☆」
咲「開催日時や日程はこの番組のホームページや、日本麻雀協会さんのホームページに詳しく書いてあるからそちらを参照するべし☆」
咲「春夏秋冬、どの季節の大会もそれぞれの物語があって咲は好きなの!」
咲「えへへ~やっぱり麻雀って楽しいよね!見る側も参加する側も、一緒に楽しもうよ!」
咲「以上、お知らせでした♪」
咲「全国のお兄ちゃんお姉ちゃん、期待してるよ~?」
和「……ふふっ…」
咲「な゛っ!?」
―――
――――――
―――――――――
35: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:40:46.52 ID:c5/0wA2s0
頂点まであと一息~♪
アガリ一ちオーライ!咲き誇れ~♪
和「はい、そろそろお別れのお時間が近付いてきました」
咲「……」ムッス-
和「まあまあ咲さん。拗ねないでください、可愛かったですよ」
咲「……ふんだ」プイッ
和「まさかお知らせまであのノリでやるとは思ってなくて、つい吹き出してしまったのは謝りますから」
咲「和ちゃん、意地悪しないって言ったのに」
咲「すぐした」ジト
和「それはあれです、ほら、好きな子ほど虐めたくなるというアレです」
咲「好きなら優しくして欲しいもん」
和「うっ……」
咲「はぁ…」
36: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:41:22.02 ID:c5/0wA2s0
咲「そもそもなんなの?あの急な無茶振り!」
和「このラジオですからね…何があるか分かりませんよ」
和「いい具合の緊張感ですよね!」グッ
咲「和ちゃんのバカ!」ペシッ
和「ありがとうございます!」
咲「もういいや、とりあえず」
咲「リスナーさん、さっきの録音してて動画サイトに上げるとかやめてくださいね」
咲「ぜっっっっったい、ダメですから!」
和「ありましたね、そんな事も」
和(さっきチラッとSNSを見たら、もう上がりかけていたとは言えませんね)
咲「もー、やっぱりゲストのいない日は私に全部矛先が向くから疲れるよ」
37: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:41:55.24 ID:c5/0wA2s0
咲「え?そ、そんな事言ってないよ?」アセアセ
咲「和ちゃんと二人だと落ち着くし…」
和「咲さんは可愛いですね」
咲「えぇ!?な、なに急に…///」
和「妹になって欲しいです」
咲「それはもういいから!!!」
咲「はい!とにかく、そろそろお別れのお時間です!」
咲「お知らせでも言ったけど、秋季大会も近付いてきていてワクワクしてます」
和「エキシビションマッチの面子も気になりますね」
咲「ほんとほんと!きっと最初から最後まで楽しい大会になると思うので、皆さんも是非観戦してくださいね」
38: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:42:26.96 ID:c5/0wA2s0
咲「ではでは、今夜はこの辺でお別れですっ」
咲「お相手は、この後和ちゃんとのお月見は審議中です。宮永咲と!」
和「咲さんは優しいので、こんなことを言っていても結局許してくれます。原村和でした」
二人「「それでは皆さん!」」
二人「「お先におやすみなさい~♪」」
徹底的射程距離圏内~♪
ここ一番ぞっくぞく
打ち上がれ~♪
咲「この番組は、りゅーもんスタジオさんと」
咲「全国麻雀協会さん」
咲「親愛なるリスナーの皆さんの提供でお送りしました!」
39: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:42:58.10 ID:c5/0wA2s0
【ラジオ後の】
~長野県某所~
咲「わぁ……凄い!見てみて和ちゃん、月がおっきいよ!まん丸!」タッタッ
和「ふふ、あんまり走って転ばないでくださいね」
咲「むぅ、分かってるもん」
和「でも本当に綺麗な満月ですね…」
咲「ウサギさん、見えるかな」
和「どうでしょう…。そもそも、私にはどうしてもお餅をつくウサギなど見えてこないのですが」
咲「見えない時はお餅をついてない時なんだよ~」
和「そういうものなんですか?」
咲「そういうものそういうもの♪」
40: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:43:29.01 ID:c5/0wA2s0
和「咲さんには見えますか?」
咲「私?んー、うん!見えるよっ」
和「……なら私も見たいです。咲さんと同じ景色を、私は見たいですから」
咲「和ちゃん……」
咲「ふふっ、大丈夫!私は心の目で見てるからねっ」
和「こ、心の目ですか」フム
咲「私達はちゃんと同じ景色を同じ場所で見ることができてるよ」ニコ
和「……はい、そうですね」ニコリ
41: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:44:05.55 ID:c5/0wA2s0
咲「……」
和「……」
咲「ね、和ちゃん」
和「なんですか?」
咲「和ちゃんは、どんな気持ちだったの?」
和「え?」
咲「ほら、お便りであったでしょ」
咲「幼馴染に告白されたっていう話」
和「ありましたね」
咲「和ちゃんは、私に告白してくれた時どんな気持ちだった?」
和「ど、どうしたんですか急に……」
和「それに、それを聞くならされた側の咲さんに私が聞くべきでは」
咲「もー、いいのっ。答えて?」ジッ
42: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:44:56.58 ID:c5/0wA2s0
和「……」
和「そうですね。確かに、断られた時元の関係に戻れるかとか、心配事は色々とありましたけど」
和「そんな心配よりも、咲さんの事を好きって気持ちが大きかったので。抑える事ができなかったので」
和「私は、迷いなく伝えることができましたよ」フフ
咲「ぅ……」
咲「……そ、そっか…/////」
和「それに、咲さんも私のことが好きだという確信もありましたからね」
咲「え、えぇ~!なにそれ!」
43: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:45:34.10 ID:c5/0wA2s0
和「咲さん自身よりも咲さんのことを見てきましたから」フフン
咲「そ、それなら私だって和ちゃんが私の事好きだって知ってたもん!」
和「またまた。私が告白した時、驚きのあまり5分ほど固まってたじゃないですか」クスクス
咲「そんな事ないもん!」
和「ふふっ」クスクス
咲「……えへへ」
44: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:46:12.39 ID:c5/0wA2s0
咲「……」
和「……」
咲「ね、和ちゃん」
和「はい」
咲「今日は、とっても月が綺麗だね」
和「……はい、月が綺麗です」ニコ
カン!
45: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/09/25(月) 00:47:48.02 ID:c5/0wA2s0
かんです。
読んでくださった方、ありがとうございましたっ。
依頼出してきますっ。
読んでくださった方、ありがとうございましたっ。
依頼出してきますっ。
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/25(月) 18:32:27.75 ID:IZp3ZWjno
おつおつ
53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/26(火) 08:38:38.01 ID:/PH0HXqX0
乙なの・。・
次回も待ってます
次回も待ってます
54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/27(水) 22:17:47.24 ID:FgC9PAZa0
毎度のことながらここの咲さんも可愛い
乙でした
乙でした
引用元: 咲「ここでおハガキを一通」アシ『R.N恋するウサギちゃん』【咲先ラジオ南3局】
咲「宮永咲のお先におやすみなさい」健夜「南2局目、かぁ」【咲先ラジオ南2局目】
2019-04-25
1: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:11:25.15 ID:aMI39eZK0
前回→咲「宮永咲のお先におやすみなさい?」和「南1局、ですね」【咲先ラジオ南1局目】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1497239242/
咲さんがメインパーソナリティを務めるラジオ(トーク番組)SSです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1499865084
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1497239242/
咲さんがメインパーソナリティを務めるラジオ(トーク番組)SSです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1499865084
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2: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:12:55.07 ID:aMI39eZK0
今を抜け出そう~♪
手に触れた~Glossy future~♪
咲「……皆さんこんばんはー、宮永咲のお先におやすみなさいー」
咲「…はぁ。メインパーソナリティのー、宮永咲です」
咲「本日は~……何日だっけ……」
咲「……忘れました」
咲「今日も、週末最後の癒しの時間を、皆さんにお届けしまーす」
アシ『咲さん、なんだかご機嫌斜めですね』
アシ『これまでにないほど挨拶が適当でしたよ』
3: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:13:26.31 ID:aMI39eZK0
咲「……」
アシ『さ、咲さん?』
咲「……てた…」ボソ
アシ『はい?』
咲「……前回、私が噛んだところ」
アシ『あぁ、確か前回は咲さんの噛みに始まって噛みに終わりましたね』
咲「……そこの部分だけ切り取りで、ネットに上がってた」
アシ『私じゃありません!!』
咲「別に和ちゃんを疑ってるわけじゃないよ……ただ、なんかね…」
咲「こう、噛んだ私が悪いんだよ?分かってる、それは分かってるんだけど」
咲「あの動画を上げたリスナーさんに対しての怒りがね……」
4: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:14:22.83 ID:aMI39eZK0
アシ『そ、そんなに嫌だったんですか?』
咲「百歩譲って動画化されたのは許せるよ。この番組の宣伝にもなった訳だしね」
アシ『では、何が不満だったんです?』
咲「……動画の説明欄」
アシ『説明欄……主コメというやつですか』
咲「……」コク
咲「なんて書いてあったと思う?」
アシ『それはまあ、咲さん可愛い!コモンセンスだよ~などでは?』
咲「……」フリフリ
咲「あざといな、さすが咲さんあざとい」
アシ『……え?』
?「ふふっ……」プルプル
咲「……笑いました?今?」
?「わ、笑ってない!」
5: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:15:22.42 ID:aMI39eZK0
咲「……あざといな、さすが咲さんあざといって1文だけの説明欄で」
咲「コメントもほとんど、あざといな、さすが咲さんあざとい」
咲「だったの」
アシ『それは……なんというか』
咲「あざとくないし!わざとじゃないし!さすがって何!バカ!」
咲「あの動画作った人とコメントしたリスナーは、今すぐ謝罪文1万文字送ってください!!」プンスコ
?「…ふふっ…げほっ、げほっ…!!!」オナカカカエ
咲「全く、困ったもんだよ!私の怒りは有頂天だよ!」
咲「今日の私はダークサイド咲さんだよ!」
6: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:16:43.45 ID:aMI39eZK0
咲「……という訳でですね!皆さんこんばんは、宮永咲のお先におやすみなさい!」
咲「メインパーソナリティの宮永咲です♪」
咲「今日は7月12日日曜日!極一部を除いたリスナーさんに、週末最後の癒しの時間をお届けします♪」
アシ『ふっ……律儀にやり直すんですか…』
咲「いつまでも怒ってても仕方ないからねっ。切り替えだよ、切り替え!」
咲「さて、気を取り直しまして」
咲「早いもので、7月も既に半ば。夏本番となってしましたね~」
咲「つい最近、大きな台風が来て日本を荒らしていきましたが……その後からが暑いのなんの!」
咲「台風が夏まで運んできました」
7: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:17:26.27 ID:aMI39eZK0
咲「夏は暑くなければ、お祭りに夏休みにプールといい事尽くめなんですが」
アシ『暑くなければ夏ではありませんからね…』
咲「地球さん、別に夏だからって暑くしたり冬だからって寒くしたり、そんな気遣いはいらないんですよ?」
咲「四季折々、風情があるって言いますけど、ぶっちゃけ私はそんなのどうでもよくて……」
咲「とにかく、快適に過ごしたい!」
アシ『……まだ若干、さっきの荒んだ気持ち引きずってません?』
咲「……コホン、そんなことないよ?」
咲「とりあえず、今年も夏がやってきました!皆さん、頑張って乗り切りましょう!」
8: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:17:54.13 ID:aMI39eZK0
咲「さっき私、夏休みがあるな~って夏のいい所を挙げましたけど」
咲「対局のお仕事はあるので、正直手放しで喜べる訳ではないんですよね」
アシ『春休みや夏休み、冬休みなんていうのは子供にしか恩恵がありませんからね』
咲「悲しいなぁ…」
アシ『ですが最近、キッズウィークと言って夏休みの少しを削り、その分を別の平日に移して大人にも休みを与える……』
アシ『という政策が発表されたようです』
咲「……?つまり、子供の夏休みが減る代わりにゴールデンウイークみたいな連休が増えるってこと?」
アシ『ですね。夏休みに休めない大人の、救済策らしいです』
アシ『子供と遊ぶ時間を増やす意図もあると』
9: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:18:22.40 ID:aMI39eZK0
咲「へぇ……」
咲「学生目線からすると、そんなの迷惑でしかないよね……?」
アシ『まあ、そうですね。どうせ課題などは減らないのでしょうし』
咲「受験生とかさ、夏休みに集中して勉強する子も多いだろうし、中途半端に時間削られてまた改めて連休あります~って言われても」
アシ『勉強計画がおじゃんですね』
咲「働いてる人からすると嬉しいのかなぁ?」
咲「1雀士的には、対局の年間ノルマって元から決まってるしいつが休みでもあんまり意味無いんだよね」
アシ『どうなんでしょう。分かりかねますけど、ネット上では意味が無いという意見が多いみたいですね』
咲「ふぅん……色々あるんだね」
10: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:18:49.80 ID:aMI39eZK0
咲「……と、いうわけでですね!」
咲「珍しく政治的な?話もしてみた所で、そろそろ始めますか!」
咲「隣の人も暇そうに寝ていますし」
?「寝てないよっ!!」
咲「実は、今回はゲストの方がきているので是非楽しみにしていてくださいね♪」
咲「ではでは!宮永咲のお先におやすみなさい、深夜11時から45分間、お付き合いください!」
感じるままに~♪
裸足で大胆に行こう~♪
咲「この番組は、りゅーもんスタジオと」
咲「全国麻雀協会さん」
咲「親愛なるリスナーの皆さんの提供でお送りします!」
――――――
――――――――――――
――――――――――――――――――
11: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:19:20.62 ID:aMI39eZK0
咲「改めまして、皆さんこんばんは!」
咲「宮永咲のお先におやすみなさい、メインパーソナリティの宮永咲です♪」
咲「そしてゲストの!」
健夜「お久しぶりです、小鍛治健夜です」
健夜「今夜はよろしくお願いします」
咲「……なんだか真面目ですね、小鍛治プロ?」
健夜「えっ、小鍛治プロ……?えと、そうかな?いつも通りだと思うけど」
咲「福与アナと一緒の時みたいに、もっとはっちゃけていいんですよ?小鍛治プロ」
健夜「ひょっとして、ツッコミしてないと真面目だと思われてるのかな!?」
咲「あ、今の感じです。すごく小鍛治プロって感じでしたよ今」
12: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:19:50.68 ID:aMI39eZK0
健夜「……ね、咲ちゃん、ちょっといい?」
咲「はい?」
健夜「ど、どうして今日は小鍛治プロって呼ぶのかな……?」
咲「え?」
健夜「えっ」
咲「小鍛治プロは小鍛治プロじゃないですか」
健夜「そ、そうだけど!そうじゃなくて!」
健夜「いつもはさ、その……健夜さんって、呼んでるでしょ?」
健夜「もしかして、ラジオだから恥ずかしくなったとか?」
咲「いやいやそんな、あの小鍛治健夜プロを下の名前で呼ぶなんて滅相もないです!」
咲「全雀士の憧れの的ですよ?敬意を払うのは当然です」
健夜「うーん……すっごく慣れなくて変な感じなんだけど…」
13: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:20:29.70 ID:aMI39eZK0
アシ『実は咲さん、言われたらしいですよ』
咲「あ、ちょ、和ちゃん!」アセアセ
アシ『いいじゃないですか』
健夜「言われた?」
咲「……はぁ、ラジオでする話でもないと思うんですけど」
アシ『安心してください。この番組に限っては、それがデフォルトです』グッ
咲「やだよそんな番組!」プンスコ
咲「えっとですね、私は高校生の頃に小鍛治プロと知り合って、そこそこ仲良くさせて貰ってるじゃないですか?」
健夜「うん、まあ、そうだね。私にだけ当たりが強いのが少し気になるけど…」
咲「そこです、そこ」
咲「この前、麻雀協会の偉い人?から連絡がありまして」
咲「仮にも私は新人で、小鍛治プロはベテランなんだから、公共の場では上下関係をしっかりして貰えないか」
咲「って」
健夜「ベテランって言い方傷付くからやめて……」
14: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:20:58.78 ID:aMI39eZK0
咲「言われてみて、私も確かになって思いましたよ。」
咲「そもそも、どうして私は小鍛治プロにだけこんな接し方なんでしたっけ?」
健夜「私が聞きたいよ!?」
アシ『一種の愛情表現ですよ、愛情表現。あ、勘違いしないでください、愛情と言ってもそういう愛情ではないですから。咲さんの愛情は私に』
健夜「分かった!分かったから落ち着いて」
咲「まあそんな圧力がかかって、せめて小鍛治プロ呼びにしようかなと思ったんです」
健夜「うーん、私は気にしないから、元の呼び方に戻して欲しいかな……」
健夜「なんだか、すごい距離を感じるよ」
咲「距離って、私別に小鍛治プロとそんな近しい距離間になった覚えが……」
健夜「酷い……これが一方通行の関係っていうやつだね…」
15: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:21:32.07 ID:aMI39eZK0
健夜「だいたい、咲ちゃんだって私を小鍛治プロって呼ぶ度に、すっごい不本意そうな顔してるじゃん……」
健夜「だから良いよ、健夜って呼んで」
咲「……そうですか?」
健夜「うん」ニコ
咲「じゃあ、健夜でいいですか?」
咲「おい健夜ー、焼きそばパン買ってこいやー!……みたいな?」
健夜「それは流石に舐めすぎかな!?」ガ-ン
咲「あはは、冗談です冗談。ありがとうございます、健夜さん」
健夜「……もう」クスクス
アシ『……早く番組を進めて貰っていいですか?小鍛治プロの頭の上から砂糖吐きますよ』
健夜「原村さんどうして怒ってるの!?」
咲「リスナーの皆さんにはつまらない話を聞かせてしまってすみません!」
咲「それじゃあ、今夜も番組宛に届いたお便りを読んでいきますねっ」
16: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:24:03.37 ID:aMI39eZK0
健夜「ふつおた、だね」
咲「あ、そう、ふつおたです。健夜さんは普通のお便りをそう呼ぶの知ってましたか?」
健夜「いや、私も初め聞いた時は普通のオタクの略称かと思ったよ」
咲「ですよね」
健夜「うん」
咲「という訳で、今週もたくさんのお便りをありがとうございます!」
咲「健夜さん、どっち読みたいですか?」
健夜「んー……こっちで」
咲「こっちですね、どうぞ」
健夜「指定したのと逆!どうして聞いたのかな!?」
健夜「……このやり取り、前ゲストに来た時もやったよ…」
咲「お約束です、お約束」アハハ
健夜「もー」
17: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:24:32.88 ID:aMI39eZK0
咲「では一通目、ラジオネーム"A.S"さんから」
健夜「ありがとうございます」
咲「イニシャルか何かでしょうかね?」
健夜「イニシャルと言えば、私ってK.Sになるからなんとなく嫌なんだよね…」
咲「それを言ったら私はM.Sですよ。下を先にしたらS.Mです」
健夜「……うん、なんかごめんね?」
アシ『アリですね』
咲「無しだよっ」
咲「えっと、なんだっけ…そうそう、ラジオネームA.Sさんからです」
18: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:24:58.17 ID:aMI39eZK0
『こんばんは宮永さん!いつも楽しくラジオを拝聴しています』
咲「ありがとうございます、嬉しいです」
『相談事というか悩み事なんですが、私はゲーム会社で働いているんです。』
健夜「ゲーム会社……凄いね」
咲「健夜さん、何でもかんでも凄いって言っておけば良いと思ってません?」
健夜「そ、そんなことないよっ!」
『今、入社して2年目と少しなんですが、つい最近初めて後輩ができたんです!』
『でも私、初の後輩であんまり上手く接することが出来なくて……心なしか、あっちからも距離を置かれている気がします』
『そこで、どうしたら仲良くなれるのか…聞いてみたいなと思いました!』
『これからもラジオ楽しみにしてます、職場から聞いていますねっ!』
咲「……という内容でした」
健夜「この時間に職場からって、ゲーム会社も中々大変なんだね」
咲「それはまあ、色々期限とかありそうですもんね」
咲「それでえっと、後輩の人と仲良くなる方法……かぁ」ウ-ン
19: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:25:39.05 ID:aMI39eZK0
咲「何かありますか?」
咲「そもそも、健夜さんって後輩とかいた事があるんですか?」
健夜「形式上、先輩後輩の関係になったことはあるけど、仲良くとかそういうのはあんまり……」
健夜「……後輩どころか、仲のいい友達だってあんまり居ないし…」トホホ
咲「職業は違いますけど、福与アナとは年上年下で仲良しじゃないですか」
健夜「そうだけど、先輩後輩って関係じゃないしなぁ」
健夜「むしろ、咲ちゃんの方が詳しいんじゃないの?」
健夜「清澄時代、何人か後輩がいたよね」
咲「いましたけど……。後輩といっても学生ですよ?」
咲「社会人のそれとは、また少し別物な気がします」
アシ『というか、まんま咲さんと小鍛治プロが仲のいい先輩後輩の例なのでは?』
健夜「え?」
咲「……仲は良くないけど、例としてはいいかもしれないね。仲は良くないけど」
健夜「2回も言わなくていいよね……」ガ-ン
20: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:26:19.99 ID:aMI39eZK0
咲「健夜さんは先輩の立場として、何か気を付けてた事はないんですか?」
健夜「えぇ……そんなの無いよ」
健夜「むしろ、咲ちゃんは後輩として私のこういう所が好き~とか、ないの?」
咲「……え?」
アシ『は?』
健夜「へっ?」
咲「……」
アシ『……』
健夜「……」
健夜「え、何この空気……!?」
21: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:27:03.62 ID:aMI39eZK0
咲「いえ。いきなり健夜さんが」コホン
咲「おい後輩お前、私の好きなポイントいくつかあげてみろや~」
咲「みたいな発言をしたので、つい」
アシ『セクハラ……いえ、パワハラ……?』
健夜「あっ、いやっ、違う違う!!ごめん、勘違いしないで!?」
アシ『勘違いしないでよねっ、別にあんたに好きって言って欲しい訳じゃないんだからっ!』
アシ『……ですか?』
咲「知ってるよそれ、ツンデレって言うんだよね」
咲「私が入部したての頃の和ちゃんみたい」クスクス
アシ『わ、私はツンデレなんかじゃありません!』
咲「自分が見えてないなぁ~」アハハ
22: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:27:37.33 ID:aMI39eZK0
健夜「さっきのは言葉の誤というかね?なんだろう、なんて言うかそのぉ…」
健夜「そ、そう!咲ちゃんは私のどんな所が好きなのかなぁ~って……」
健夜「あれ!?言ってること変わってなくない!?」アワアワ
咲「皆さん、健夜さんが一人でボケて一人でツッコんでます」
アシ『福与アナに鍛えられたセンスは未だ健在ですね……』
咲「凄いね和ちゃん」
アシ『凄いですね』
咲「とりあえず、後輩さんは後輩さんでとっても緊張しているはず!」
咲「お便りをくれたA.Sさんが、少し勇気を振り絞ってあげれば、きっと打ち解けられます!」
アシ『わざわざお便りで相談までするような優しい方ですからね、自信を持ってください』
健夜「だからねその、あくまでも後輩として、私をどう思ってるのかなぁ…って意味で」
健夜「決してそんな、変な意味とかじゃ」
咲「健夜さんそろそろ戻ってきてください。次のお便りいきますよ」
健夜「……はっ」
―――
――――――
―――
23: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:28:39.78 ID:aMI39eZK0
健夜「続きまして、ラジオネーム"あお"さんから」
咲「すっごいくだらない事なんですけど」
健夜「うん?」
咲「ひらがなの"あ"と"お"って、似てますよね」
健夜「確かに似てるね」
咲「ですよね」
健夜「うん」
咲「……すみません止めてしまって。どうぞ」シュン
健夜「ああああ!そんな、私はどうしてこんな話をしたんだ……みたいな顔しないで!」
健夜「似てるひらがなってあるよね!そう、"わ"と"ね"みたいな!」アセアセ
咲「……??」キョトン
咲「いえ、それはあんまり似てないと思いますけど」
健夜「私の気遣いを今すぐ返して欲しいよ!!」
健夜「えーっと、じゃあ読みます」コホン
24: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:29:10.72 ID:aMI39eZK0
『咲さんこんばんは』
咲「こんばんは!」
『初めてのお便りで何を書けば良いのか定まらないので、ずっと咲さんに聞きたかった事を!』
咲「初夢に出てきたのは和ちゃんでしたよ」
健夜「絶対そんな質問じゃないと思うよ……ていうか今更な話題すぎ!」
アシ『……グッ』ガッポ-ズ
『咲さんの特徴として、角のような髪がありますがあれはお風呂上りでもペタンとならないのでしょうか?もしそうなら、不思議ですね……』
健夜「あ、これ私も気になってたんだよね」
咲「あれ、和ちゃんだったかな……衣ちゃん……?」
咲「いや、お姉ちゃん……淡ちゃん…?」
咲「誰だっけ…」
健夜「初夢の話もういいから!!それに候補多いよっ!」
アシ『……ヨロコビゾンジャナイデスカ…』ドヨ-ン
25: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:29:47.49 ID:aMI39eZK0
咲「すみませんすみません。えっと、お風呂上がりの私の髪ですか?」
咲「当然、濡れてるんだからペタンってなって……」
咲「……」
咲「の、和ちゃん、どうだっけ?」
健夜「自分で把握できてないの!?」
咲「気にしたことありませんでしたし…」
アシ『申し訳ないんですが、私にもどうだったか』
健夜「ここまでくると、もはやホラーだよ……」
健夜「濡れても立つ角…みたいなね」
咲「ちょ、ちょっと!怖い話するのやめてくださいよ!」
アシ『どうしますか咲さん。夜寝ていたら、その角が急に喋りだして……』
咲「やめてってばぁ!!」
アシ『どうして私はいつも立ったままなの……?』
咲「ふえぇ……怖すぎるよ…」グス
アシ(ふえぇ…って言いました)
健夜(ふえぇ…って言った)
26: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:32:18.98 ID:aMI39eZK0
咲「の、和ちゃんだって、夜エトペンが話しかけてきたら怖いでしょ!!」
アシ『喋りますよ?』
咲「でしょ?だから、夏といえば怪談みたいなお約束はいいからいじわるしないd」
咲「……」
咲「……」チラリ
健夜「……」コ、コク
健夜「えっ、い、今、なんて…?」
咲「え、エトペンが……?」
アシ『咲さん知らなかったんですか?エトペンは夜な夜な喋るんです』
アシ『ほら、合宿の夜だって寝ている咲さんの耳元で声を』
咲「やめて……いや、ほんとに……」
健夜(咲ちゃんの顔がマジだ……恐怖で表情筋が仕事してない)
27: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:33:33.21 ID:aMI39eZK0
アシ『っっ……ふふ…』プルプル
アシ『コホン、咲さんの耳元で、角よ~静まれ~って毎日』
咲「やめて?」
アシ『ごめんなさい』
咲「……」
健夜「……」
アシ『……』
咲「……一応聞くけどさ」
アシ『今の話は冗談ですごめんなさい』
咲「……」
健夜「……」
アシ『……』
28: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:34:27.11 ID:aMI39eZK0
咲「そーだよねっ!もーっ、和ちゃんってばいつの間にそんな怖い話が得意になったのー?」
咲「私は平気だったけど、時間帯が時間帯なんだから!寝られなくなっちゃう人がいるかもしれないでしょ?」
咲「私は平気だったけど、怖い話はあんまりしないようにね!私は平気だったけど」
健夜「……」チラ
アシ『……』コク
健夜「わ、わー!咲ちゃん今の話平気だったんだー!」
アシ『渾身の怖い話だったんですが、流石は咲さんですねー!』
健夜「私なんて怖くて震えちゃったのに!咲ちゃんすごい!」
アシ『流石は咲さんですね!』
咲「えへへ……ううん、それほどでもないと思うよ?」テレテレ
咲「だいたい、ぬいぐるみが夜な夜な喋るなんてそんなありきたりな話が」
アシ『……喋りますよ?』
咲「」
健夜「!?」
健夜(せっかく機嫌戻ったのになにを!?)
アシ(はっ……ごめんなさい、ドヤ顔咲さんが可愛くてつい)
健夜(馬鹿だよね!?)
29: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:35:29.50 ID:aMI39eZK0
咲「……」
咲「はい!では、次のお便りにいきますね!」
健夜(あ、あれ……?)
アシ(助かりまし)
咲「……和ちゃん、後で話があるから」
アシ『』
健夜(自業自得だよね…)
―――
――――――
―――
30: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:36:09.99 ID:aMI39eZK0
咲「続いて、ラジオネーム"匿名を希望したいのですがよろしいですか?"さんから……」
咲「勝手にしてくださいと言いたいです」
健夜「辛辣だ……」アハハ
『しっかり纏めて置いておくのに、次に使う時にはこれでもかってくらい絡まっているイヤホンって、実は自分が見ていない内に勝手に動いていると思うんですがどう思いますか』
咲「……」
健夜(こ、これはタイミングが)
咲「か、かかかか、勝手に……動く……」
咲「勝手に動く……喋る…耳元……エトペン……」
咲「ふぇ…」ジワッ
31: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:37:05.69 ID:aMI39eZK0
健夜「あ、あー!!あるよねこの現象!!」
アシ『は、はい!ありますあります、どうしてなんでしょうね!』
健夜「か、絡まると言えば、この前男の子が不良っぽい子に絡まれてるのを見ちゃって!」
アシ『それは漫画みたいな展開ですね!』
健夜「でしょ!そこで、ここは大人の出番だって思って、止めに入ろうとしたの!」
アシ『さすがグランドマスター、私たちに出来ないことをやってのけますね!』
健夜「でもね、近付いて話してる内容を聞いてみたら、どうやらその二人は兄弟だったみたいで!」
アシ『兄弟喧嘩ですね、私は一人っ子なので憧れます!』
健夜「私も私も!だから、変に勘違いして声を掛けなくて良かったなぁ~って思ったの!」
アシ『ありますよねそういう事!』
健夜「だよねっ!」
アシ『はい!』
健夜「咲ちゃんはどう思う!?」
アシ(完璧です、完璧に話の流れを変えました!)
健夜(お願い、私たちの努力実って!)
32: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:38:11.96 ID:aMI39eZK0
咲「……」
健夜(ダメっ……?)
咲「私も、今の話とは少し違うかもしれませんが、ところてんは食べられません」
アシ(少し違う所か、明後日の方向ですよ咲さん!!)
健夜(どこからところてん出てきたのかな!?)
咲「……あ、すみません!なんだかボーッとしてたみたいで…」
咲「ところてんの話じゃ無かったですか?」
健夜「いや、ところてんの話だよ」
アシ『ところてんにポン酢を絡めて食べると美味しいって話でしたよ』
咲「そうなんだぁ~。じゃあ、今度挑戦してみようかな……?」
咲「好き嫌いは無くさないとっ」
健夜「咲ちゃん偉い!」
アシ『流石は咲さんですね!』
咲「てへへ…」テレテレ
33: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:38:47.00 ID:aMI39eZK0
アシ『時間も押しているので、次のお便りお願いします!』
健夜「うん、分かったよ」
咲「はーいっ」
アシ『……』
健夜「……」
2人((し、しんどい……っ!!))
―――
――――――
―――
34: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:39:26.03 ID:aMI39eZK0
健夜「続きまして、ラジオネーム……」
健夜「……」ペラペラ
咲「裏なんて見てどうしたんですか?」
健夜「いや、ラジオネームの部分が空白だったから、裏に書いてあるのかなって」
咲「……天然ですか?」
健夜「え?」
咲「いえなにも。ほら、読んでくださいっ」
健夜「あ、うん」コク
『咲さんこんばんは。初めてお便り送らせてもらいます』
咲「ありがとうございますっ」
咲「……前回ゲストの発表が無かったので仕方ないんですけど、健夜さんへの挨拶が無いのがジワジワきますね」
健夜「(′・ω・`)」シュン
35: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:40:07.94 ID:aMI39eZK0
『第1局から全て拝見させてもらっていますが、咲さんは今までこのラジオで色んなコーナーをやっているじゃないですか??『宮永咲の役を作ろうや、『姉って、妹って、どんな人?』『大星淡の今夜はスター☆ナイト』など(笑)ですね』
咲「最後のはコーナーというか乗っ取りというか……」
健夜「懐かしいね。あの放送はびっくりしちゃったよ」
咲「淡ちゃんはやりたい放題ですからね」アハハ
『その中で一番楽しかった、もしくはまたやりたいと思うコーナーと、一番恥ずかしかったコーナーを教えてください』
健夜「PS.ラジオネームは『役になりきってる咲さんかわいい!』です……だって!」
咲「嬉しいけど、恥ずかしいですね…」
咲「あ、この流れで質問に答えると、恥ずかしいコーナーはぶっちぎりで、あの三文芝居をやるコーナーですね」
健夜「三文芝居って」
アシ『今日もそのコーナーありますから、楽しみにしていてくださいね』
咲「……」ズ-ン
健夜「顔!咲ちゃんすごい顔になってるよ!」
咲「健夜さんもすごい顔になってますよ」
健夜「これがデフォルトだよ……」ガ-ン
36: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:41:03.83 ID:aMI39eZK0
咲「楽しくてまたやりたいって思ったのは、コーナーとはまた別なんですけど」
咲「ほら、憧ちゃんの誕生日祝いを番組でした事あったでしょ?」
アシ『あー、ありましたね。懐かしいです』
咲「そういうお祝いとか、番組でまたやりたいなーって思いますね」
健夜「咲ちゃん、すぐ顔に出ちゃうからサプライズとか苦手なんじゃない?」
咲「この世で一番健夜さんにだけはそのセリフ言われたくないです」
健夜「えっ?」
咲「ちょっと聞いてくださいよ!去年、健夜さんが私に誕生日プレゼントをくれたんです」
健夜「ちょ、ちょっと咲ちゃんその話は」
アシ『ふむふむ、それで?』
37: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:41:33.80 ID:aMI39eZK0
咲「健夜さんも、プレゼントがあるなんて中々切り出せなかったんでしょう、なんだかソワソワしてるんです」
咲「ソワソワしながら、見えてるんですよ。後ろ手に隠してるプレゼントが」
アシ『ふふっ…』
健夜「うっ……」
咲「仮にも好意でサプライズを用意してくれてるのに、出される前に気付いちゃったら台無しでしょう?」
咲「なので、気付かないフリをして」
『どうかしたんですか……?』
『ソワソワしてますけど、体調でも悪いんですか……?』
咲「とか色々聞くんです。でも、健夜さんったら全然渡してくれなかったんですよ!」
咲「しびれを切らして、もう帰りますねって怒ったフリをしたらやっと切り出してくれたんですけど…」
健夜「し、仕方ないじゃん!改めてっていうのも恥ずかしかったし…」
咲「けどあれは無いですよ……相当気を使ったんですからね?」
健夜「こ、今年は気を付けるよ!」
咲「ふふっ。そうしてくれると嬉しいです」ニコ
38: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:41:59.26 ID:aMI39eZK0
アシ(言ってしまったらサプライズにならないのでは……?)
健夜(あれ、こんなこと言ったらサプライズにならないんじゃ…)
咲(しまった、これじゃサプライズしますって宣言されてるようなものじゃん……)
咲「……」
健夜「……」
アシ『……』
健夜(まあ、咲ちゃんだし今日の事なんて当日には忘れてるよね)
咲(健夜さんだし、そこまで考え回ってないかな)
アシ(……とか考えてそうな顔ですね…)ハァ
咲「ではでは、たくさんのお便りありがとうございました!読めなかったお便りは、私たちのコメントと一緒に公式HPに掲載しています!」
咲「興味のある方は是非どうぞ♪」
健夜「ここで一曲お届けします。ClariSで、カラフル。どうぞ!」
――――――
――――――
39: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:44:01.46 ID:aMI39eZK0
咲「みやながさきのー、やくをつくろー」
健夜「……」
アシ『咲さん、もっとやる気を込めてタイトルコールをしてください!』
咲「えー……」
アシ『わがまま言わない!ほら!』
咲「……分かったよ、もう…」
咲「コホン」
咲「宮永咲のぉ、役を作ろーう!!いぇーい!!」
健夜「……」
アシ『完璧です』
健夜(えっ!?)
40: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:44:49.13 ID:aMI39eZK0
咲「さてこのこーなーは」
咲「まーじゃんはしんりせんー、ときにはあいてをだますえんぎもひつようですー」
咲「なのでこのこーなーでは、あるおだいにそってやくを」
咲「ゲストの人と一緒に!!」
咲「えんじるこーなーです」
健夜「一部分だけ妙に強調されてた……」
アシ『説明ありがとうございます。今回のお題はこれです』つカンペ
咲「えっと、なになに……」
咲「……はっ?」
健夜「けんかするふうふ……」
健夜「……」
健夜「け、喧嘩する夫婦!?」
41: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:45:33.34 ID:aMI39eZK0
アシ『今回は台本も用意させて貰いました。どうぞ、こちらが咲さんでこちらが小鍛治プロです』スッ
咲「え、ちょっと、待って」
健夜「こ、このお題はさすがに恥ずかし」
アシ『3,2,1,どうぞ!』
――――――
――――――
42: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:46:07.61 ID:aMI39eZK0
咲『……ほ、本当にやるんですか…』
健夜『始まっちゃったし、腹をくくるしか…』
咲『……これはお仕事、これはお仕事…』
咲『……じゃあ、いきます』
健夜『う、うん』
咲『……おかえりなさい、健夜さん。随分と遅いお帰りですね』
健夜『ご、ごめん…。中々帰してもらえなくて』
咲『健夜さんが、夜ご飯いるって言うから作って待ってたのに』
咲『……冷めちゃいました、ご飯』
43: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:47:19.74 ID:aMI39eZK0
健夜『レンジで温めれば大丈夫!咲ちゃんの料理美味しいかr』
咲『そういう問題じゃありません!』
健夜『っっ』ビクッ
咲『昨日も一昨日も、その前だって同じやり取りをしました!!』
咲『……ご飯だけじゃなくて…』
咲『わ、わたっ……わたしの…』
健夜『う、うん』
咲『わたしの、私の健夜さんへの愛情も冷めちゃいますよ!!』
健夜『ぅ……』
健夜『それは……その、困る……かな…////』
咲『で、でしょう!嫌だったら、明日からはちゃんと早く帰ってきてください!』
咲『私だって……健夜さんがいないと、寂しいんですから…』
咲『……/////』
44: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:47:51.90 ID:aMI39eZK0
健夜『ごめんね咲ちゃん。もう寂しい思いさせたりしないよ』
咲『健夜さん……』
健夜『咲ちゃん』
咲『健夜さん……あ、あいっ…』
咲『愛……て……』
咲『あ、ああああっ……/////』
咲「あああああああああ、終わり終わり!!」
咲「むりむりむり、何この台本!?恥ずかしいにも程があるよ!!!/////」
健夜「……私、ダメな夫すぎるでしょ……」
アシ『そうですか?中々良かったと思いますが…』
アシ(なんだか咲さんをHTRれているようで、謎の背徳感が)
45: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:48:53.65 ID:aMI39eZK0
咲「これまでで一番恥ずかしかったよ…」
健夜「だね。まあ、新鮮で楽しかったけど」
咲「……ふうん」
健夜「え、何かな…?」
咲「いえ。なんにも!」
健夜「????」キョトン
咲「と、こんな感じで!!以上、宮永咲の役を作ろうでした!」
―――
――――――
―――
46: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:49:30.43 ID:aMI39eZK0
咲「ここで番組からお知らせです」
健夜「毎年麻雀入門の為に開催されている麻雀講座、第28回初心者のための麻雀教室!が、全国三都市で開催されます」
咲「東京、名古屋、大阪ですね」
健夜「相当大きな催し物で、全国で名を馳せるプロ雀士達が直々に指導してくれるんだよね」
咲「健夜さんや三尋木プロなどは勿論、宮永照、天江衣、藤白七実など今話題の新星も参加予定です」
健夜「咲ちゃんは?」
咲「私も一応、淡ちゃんともこちゃんと一緒に名古屋のに参加予定です」
健夜「名古屋かー。私東京」
咲「でしょうね。和ちゃんは?」
アシ『私はネトマプロなので。ですが、生徒として名古屋に行こうかなと』
47: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:50:09.22 ID:aMI39eZK0
咲「来てくれるのはいいけど、淡ちゃん辺りに見つかったら飛び入り講師とかにされそうだから気を付けてね?」
アシ『……やっぱり行きません』
健夜「詳しい日程、参加予定のプロなどの情報は、全国麻雀協会かこの番組のHPに記載されているので興味があれば是非覗いてみてください」
咲「ちなみに、参加費は無料なので小さな子でも心配いりません!」
咲「麻雀に興味があるけど中々始めるきっかけを掴めない人には本当にオススメです」
咲「……健夜さんとの対局は避けた方がいいかもですけど」
健夜「手加減するから大丈夫だもん!!」
咲「あはは、冗談です」
咲「以上、お知らせでした!」
――――――
――――――
48: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:51:00.13 ID:aMI39eZK0
頂点まであと一息~♪
アガリ一ちオーライ!咲き誇れ~♪
咲「さて、今夜もお別れの時間がやってきました」
咲「久しぶりでしたけど、どうでしたか?」
健夜「相変わらずグダグダだなぁ…って思うけど、やっぱり楽しかったよ」フフ
咲「そう言って貰えると嬉しいです」
健夜「……最後のコーナーは、想定外だったけど」
咲「あれはもう忘れてください。今すぐ!」
アシ『安心してください。録音、複製、バックアップは既に完了済みです』
咲「どこを安心したらいいのかな、和ちゃん?」
健夜「あ、あはは……」
健夜(原村さん、このラジオだとキャラが変わるなぁ…)
49: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:51:29.89 ID:aMI39eZK0
咲「そうだ、健夜さん」
健夜「なに?」
咲「健夜さんって、今日どこに宿取ってるんですか?」
健夜「へっ?すぐそこのホテルだけど…どうして?」
咲「……いえ、聞いただけです」
健夜「???」
咲「ではでは皆さん!夏も本番、暑さも本番。日差しが辛い日も続きますが、熱中症には気を付けて過ごしてくださいね!」
咲「水分補給はこまめに取る、私との約束です♪」
健夜「夜も蒸し暑いので、飲み過ぎて路上で潰れることが無いようにしましょうね」
咲「健夜さん、そんな経験あるんですか?」
健夜「ないない、例えだよっ!」
咲「そうですか」
50: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:53:41.03 ID:aMI39eZK0
咲「では、本日のお相手はメインパーソナリティの宮永咲と」
健夜「ゲストの小鍛治健夜でした!」
咲「それでは皆さん」
2人「「お先におやすみなさい~」」
徹底的射程距離圏内~♪
ここ一番ぞっくぞく
打ち上がれ~♪
咲「この番組は、りゅーもんスタジオと」
咲「全国麻雀協会さん」
咲「親愛なるリスナーの皆さんの提供で、お送りしました!」
「……よしっ、今回は噛まにゃかった」カミ
「……」
「……」
「……ぎりぎりマイク切れてたよね?」
『いえ、ギリギリアウトでした』
「……最悪だよ」
「ま、まあまあ……」
――――――
――――――
51: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:54:41.87 ID:aMI39eZK0
~ラジオ後の~
和「それじゃあすみませんが、お先に失礼します!」
咲「うん、頑張ってねー!」
和「はい!おやすみなさいっ」
咲「……」フリフリ
健夜「原村さん、あんなに急いでどうしたの?」
咲「対局のお仕事が入ってるらしいです」
咲「今から仕事場まで大急ぎなんですよ」
健夜「こ、こんな時間から?」
咲「ネトマは海外の人との対局なんてザラにあるらしいですからね」
咲「時差であっちに合わせると、この時間になっちゃうそうです」
52: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:55:27.31 ID:aMI39eZK0
健夜「大変だね…」
咲「でも、楽しそうですから。和ちゃんが楽しいと、私も楽しいです」クスクス
健夜「……そっか」フフ
健夜「原村さんが大好きなんだね」
咲「まあ、健夜さんよりは」
健夜「……酷い」ガ-ン
咲「……」
咲「時に健夜さん?」
健夜「ん?」
53: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:56:08.53 ID:aMI39eZK0
咲「実は、今日はお父さんがお仕事で家に帰ってこないんです」
健夜「う、うん」
咲「……」
健夜「……」
健夜(えっ、なに、何が言いたいの!?)
咲「……私は、怖い話が苦手なんです」
健夜「怖い話…ああ、さっきの」
咲「今から家に帰って一人で寝るのは……天和を出すよりも難易度高いんです」
健夜「それは困ったね……」
咲「いつもなら和ちゃんに頼んで和ちゃんの家に泊めて貰えるんですけど、今日は和ちゃんも不在です」
咲「そこで、一つ提案……というか、お願いしたい事があるんですけど」
健夜「お願い……?」
54: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:57:03.53 ID:aMI39eZK0
咲「あの……」
咲「泊まってるホテル、二人部屋に変えて貰えないかな……なんて」
健夜「………………え!?」
健夜「そ、そそそ、それは、その、つまり」
咲「か、勘違いしないでください!!怖いから、怖いからです!!」
咲「もちろん部屋代は私が払いますし、お礼も何かします!」
咲「お願いします、今日は一人で寝られる気が……いえ、一人で家に帰れる気がしません」
咲「私、今夜は帰りたくないんです!!」
健夜「ちょっ……」
エ-、ナニアレ!スゴ-イ
オンナノコドウシデケシカラン
キマシタワ-!
健夜(声が大きいよぉ……)
55: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:57:58.38 ID:aMI39eZK0
咲「……ダメ、ですか?」ウワメヅカイ
健夜「ううん、ダメじゃないけど…」
健夜「い、いいの?私と同じ部屋で」
咲「一人よりは数億倍マシです!」
健夜「そ、そっか…咲ちゃんがそう言うなら、断る理由もないよ」
咲「あ、ありがとうございます!」パアッ
健夜「正直、私もちょっと怖かったしね」アハハ
咲「ですよね!もう、和ちゃんの怪談っていっつも怖いんですよ」
咲「合宿の時だって……」
56: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 22:58:25.49 ID:aMI39eZK0
健夜(……オッケー出しちゃったけど、これって犯罪に…)
健夜(ならないよね……?大丈夫だよね?)
健夜(まさかこんなイベントが起こるなんて、思ってもみなかったよ…)
咲「……健夜さん、聞いてます?」
健夜「あっ、えっと、なに?」
咲「……いえ」フリフリ
咲「ごめんなさい、疲れてますよね。早くホテルに帰りましょう」
健夜「平気平気、ちょっとボーッとしてただけだから」フリフリ
咲「あ、帰ったらマッサージとかしますよ。お父さんによく褒められるんです、自信ありですよ」フフ
健夜「あはは、それは楽しみ。行こっか」
咲「はいっ」
健夜(あー……)
健夜(今日のこと知られたら、原村さんとか大星さんとかにバレたら怒られそうだなぁ…)
この後めちゃくちゃマッサージした。
カン!
57: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/07/12(水) 23:03:00.25 ID:aMI39eZK0
カンです。
ゲスト含む書き方を完全に忘れていたので、今回は一番書きやすい人をお呼びしました。目新しさが無くてすみませんっ。
読んで下さった方はありがとうございました。
では、お便りなどありましたら↓へどうぞっ。
ゲスト含む書き方を完全に忘れていたので、今回は一番書きやすい人をお呼びしました。目新しさが無くてすみませんっ。
読んで下さった方はありがとうございました。
では、お便りなどありましたら↓へどうぞっ。
58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/12(水) 23:43:56.91 ID:jaAgCOUPO
乙です
終始ニヤニヤしてしまう……
終始ニヤニヤしてしまう……
59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/13(木) 00:15:07.18 ID:2U19YbOH0
おつ。咲さんは可愛いなぁ
てか、この世界軸での咲さんの本命は誰なんだ……
てか、この世界軸での咲さんの本命は誰なんだ……
60: 咲さんかわいい! 2017/07/13(木) 08:35:09.79 ID:/yYkfziQ0
乙
今回も面白かったです!
リアタイで見れないのが残念……
今回も面白かったです!
リアタイで見れないのが残念……
61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/14(金) 08:10:10.84 ID:tRj8enbCO
乙です
63: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/14(金) 20:15:50.28 ID:P4rvAxIb0
きてた乙
咲健は安定してるな
咲健は安定してるな
引用元: 咲「宮永咲のお先におやすみなさい」健夜「南2局目、かぁ」【咲先ラジオ南2局目】
咲「宮永咲のお先におやすみなさい?」和「南1局、ですね」【咲先ラジオ南1局目】
2019-04-24
1: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:47:22.84 ID:R2muesgR0
前→咲「宮永咲のお先におやすみなさい」照「宮永姉妹の、だね」【咲先ラジオ第10局目】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1480419353/
咲さんがメインパーソナリティを務めるラジオSSです(不定期更新)
前回、次回はクリスマス回と書きましたが……
め、メリークリスマス!(6月)
色々と無かった事にして書いています。
では、宜しくお願いします
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1497239242
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1480419353/
咲さんがメインパーソナリティを務めるラジオSSです(不定期更新)
前回、次回はクリスマス回と書きましたが……
め、メリークリスマス!(6月)
色々と無かった事にして書いています。
では、宜しくお願いします
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1497239242
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2: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:49:05.92 ID:R2muesgR0
今を抜け出そう~♪
手に触れた~Glossy future~♪
咲「皆さんこんばんは!」
咲「宮永しゃ……」
咲「……」
咲「コホン、宮永咲のお先におやすみなさい」
咲「夏にしてみたい事?えっと、肝試しですかね!」
咲「メインパーソナリティの宮永咲です♪」
咲「本日6月11日、日曜日!りゅーもんスタジオから週末最後の癒しの時間をリスナーの皆さんにお届けします」
3: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:49:31.90 ID:R2muesgR0
咲「さてさてー」
アシ『……』ジ-ッ
咲「……なにかな?」
咲「言いたい事があるなら」
アシ『宮永しゃき』
咲「言わないでっ!」バッ
アシ『ふっ……』クスクス
咲「むぅ…なんとかやり過ごせたかと思ったのに」プク-
4: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:49:57.28 ID:R2muesgR0
アシ『あたかも何事も無かったかのようにしてましたけど、聞いているこちらからしたら凄く不自然でしたよ』
咲「仕方ないよね。人間だもん、誰だって舌が回らない時はあるよ!」ウンウン
咲「なのでリスナーの皆さんも、自己紹介の時自分の名前を噛んじゃっても堂々としましょう!」
アシ『上手く纏めましたね…』
咲「でもでも、実際あると思うんだよね」
咲「普段から言い慣れてる自分の名前だからこそ、緊張して噛んだり」
アシ『そうでしょうか?』
咲「和ちゃんは緊張自体あんまりする事がないから分かんないんだよっ」
5: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:50:26.15 ID:R2muesgR0
アシ『まあ確かに自己紹介などは事前にどう話そうか考えていたので…』
アシ『咲さんの様に、何を話せばいいのか分からなくて涙目になったりは』
咲「私の高校3年生の時の話はやめて!!」
アシ『別に高校三年生の時の話とは言っていませんけど?』
咲「あ……」シマッタ
アシ『……ふふっ…』
咲「……」
アシ『咲さん、ラジオです。何か話さないと放送事故ですよ』
咲「……」
咲「……もん…」ボソ
アシ『はい?』
6: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:51:41.35 ID:R2muesgR0
咲「ボイコットするもん!!」
咲「ラジオなんて知らないもん。和ちゃんがイジメるから、私もう話さないもん」
アシ『ちょっ、咲さん!?』
咲「今更慌てたって遅いもーん」ツ-ン
アシ『……』フム
アシ『もんって連呼する咲さん、非常にアリですね』ヘヘヘ
咲「どうして喜んでるの!?」ガ-ン
7: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:52:10.54 ID:R2muesgR0
アシ『どうしてと言われても』
咲「ぼ、ぼいこっとするんだよ?私、怒ってるんだよ?」
咲「1人しかいないメインパーソナリティが、何も話さないラジオ番組になるんだよ?」
アシ『たまには45分ずっと無言っていうのもアリかもしれませんね』
咲「ナシだよ!!リスナーさんは何を楽しみにそんなの聞くの!」
アシ『それは勿論、咲さんの吐息では?』
咲「勿論って、モチでもロンでもないよ……張ってすらない、ノーテンだよ…」
8: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:52:36.28 ID:R2muesgR0
咲「まあ、という事でですね」
咲「本当にボイコットする訳にもいかないですし、始めましょうか」ハァ
アシ『あ、待ってください。もう少しオープニングトークを』
咲「えー……なんだか疲れちゃったから早く次にいきたいんだけど…」
アシ『まあまあ、そんなにプンスコせずにお願いします』
アシ『飴あげますから』ハイ
咲「わーい、ありがと和ちゃん!嬉しい」
咲「ってならないよっ!!!」シマイ
アシ『普通なら床に叩きつけるところを、丁寧にポケットにしまう所が可愛いです』
9: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:53:17.91 ID:R2muesgR0
咲「はぁ……」
咲「じゃあ飴繋がりで、そろそろ梅雨の時期ですね」
咲「リスナーの皆さんは雨、好きですか?」
咲「私は雨って結構好きなんですけど、梅雨の雨はあんまり好きじゃないですね」
アシ『それはまたどうして?』
咲「んー、私雨は雨でも、たまに降る雨とか急に降る時の雨が好きなの」
咲「雨特有の空気とか、湿気とかを感じるのが好きで」
咲「でもほら、梅雨ってずっと降り続くでしょ?」
アシ『梅雨ですからね』
10: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:53:45.34 ID:R2muesgR0
咲「さすがに、毎日毎日ジメジメしてたり雨が降り続くのは嫌なんだ」
咲「だから、梅雨の時の雨はあんまり好きじゃないですね」
咲「あと、正直傘を持ち歩くのが面倒くさいっていうか、傘が邪魔になるっていうか」
アシ『それは凄く分かります。傘だけで片手が塞がって何かと不自由ですよね』
咲「まあそんな理由で、雨はたまに降るのが一番だと思います」
咲「……あ、ちなみに」フフ
咲「高校1年の時、私が初めて清澄の麻雀部へ行って和ちゃんに出会った日も、どしゃぶりの雨が降っていましたね」
咲「聞いてください、あの時は驚いたんですよ!」
アシ『あ、ちょっと咲さん、その話は』
11: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:54:22.42 ID:R2muesgR0
咲「私が帰ってたら、和ちゃんが傘もささずに追いかけてきて!」
咲「しかも、ずぶ濡れのまま私に抱き着いてきたんです」
アシ『あぁぁぁぁ~…!!/////』
咲「驚きました、初対面ですよ?」
咲「和ちゃんのことは学校でたまに見掛けてて知ってはいたんですけど、あんなに大胆な人だったとは思ってませんでした」クスクス
アシ『うぅ……若気の至りです、許してください…////』
咲「えへへ、でも私はあの時和ちゃんが追いかけてきてくれて嬉しかったですね」フフ
アシ『ぇ……』
12: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:55:01.46 ID:R2muesgR0
咲「では!今度こそ始めましょう!」
咲「宮永咲のお先におやすみなさい、深夜11時から45分間、是非お付き合いくださいねっ♪」
感じるままに~♪
裸足で大胆に行こう~♪
咲「この番組は、りゅーもんスタジオと」
咲「全国麻雀協会さん」
咲「親愛なるリスナーの皆さんの提供でお送りします!」
――――――
――――――――――――
――――――――――――――――――
13: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:55:29.43 ID:R2muesgR0
咲「お送りしています、宮永咲のお先におやすみなさい」
咲「改めましてこんばんは、メインパーソナリティの宮永咲です♪」
咲「そうそう、さっき話してた梅雨の話なんですけど、皆さんは梅雨の語源って知ってますか?」
アシ『あ、私知ってま』
咲「し、知らない?そっか、和ちゃんも知らないんだ!」
咲「じゃあ教えるよっ」
アシ『ふっ……』クスクス
14: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:56:03.43 ID:R2muesgR0
咲「え、えっとね、梅雨(つゆ)って、梅雨(ばいう)とも読みますよね」
咲「元々は、昔に中国からカビが生える時期の雨っていうことで、黴雨って言葉が伝わってきたんだけど、それはなんだかアレかなって思って」
咲「梅が熟す頃の雨で、梅雨(ばいう)になったらしいんです。それが江戸時代頃に露(つゆ)っていう漢字と関連付けて、梅雨(つゆ)と読むようになったそうです!」(Wikipedia参照)
アシ『あ、そうなんですか?私は、梅の実が熟して潰れてしまう時期の、『潰ゆ』から由来していると見ましたね』
咲「どうやら、色んな語源の説があるみたいだね」
咲「どうですか!こんな豆知識まで取り入れて、知的なラジオっぽいかな!?」
アシ『そうですね。最初のボイコットの場面さえ無ければ、可能性はありました』
咲「……激しく後悔してるよ…」
15: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:56:29.25 ID:R2muesgR0
アシ『というか、どうしてまたこんな話題を?』
咲「いやさ、麻雀も中国が発祥の地じゃない?」
咲「だから、なんとなく繋がるなぁって思ってさ」
アシ『このラジオ、一応麻雀についてのラジオでしたね。……なるほど、咲さんよく考えてますね』カンシン
咲「一番忘れちゃいけない所を忘れてるよ和ちゃん…」
咲「まあフリートークも程々に、そろそろリスナーの皆さんからのお便りを読んでいきます!」
アシ『知ってましたか咲さん、巷ではこのコーナーをふつおたと呼ぶらしいです』
16: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:57:10.19 ID:R2muesgR0
咲「ふつおた……?」
咲「……」カンガエ
咲「……普通のおたく…?」
アシ『初聞では人口の6割がそう捉えそうですが、違うみたいですよ』
咲「ふつおた……ふつおた…」ウ-ン
咲「あ、普通のお便り!!」
アシ『正解です』
咲「なるほどね…初めて知ったや」ナットク
17: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:57:54.10 ID:R2muesgR0
咲「じゃあ、普通のお便りのコーナー、略してふつおたを読んでいきますっ!」
アシ『仮に普通でないお便りを読んでしまったらペナルティにしましょうか』
咲「なにそのギャンブル!?私、お便りの内容知らないから嫌だよ!」
咲「あと、和ちゃんのその目は今から読むお便りの中に異常が紛れ込んでるのを確信してる目だよ……」
アシ『心外です。そんなイジワルしませんよ、また可愛くボイコットされては困りますからね』
咲「余計な一言が多いよね、今日ね……」ジト
咲「ペナルティとかは兎も角、1通目読んでいきます」ペラ
18: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:58:34.36 ID:R2muesgR0
咲「えっと、ラジオネーム"咲さんのおもちもちもち"さん……」
咲「……のお便りは、不採用!送ってくれてありがとうございました♪」
アシ『ふふっ…咲さん、それはあんまりでは?』
咲「オープンリーチに振り込むほど、私もあんぽんたんじゃないよ……」
アシ(あんぽんたんって咲さん……)
19: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:59:00.90 ID:R2muesgR0
咲「気を取り直して、2通目のお便り読みます!」
咲「ラジオネーム"匿名希望の愛知県名古屋市住み男性"さんから頂きました」
咲「あ、ありがとうございます」
アシ『匿名希望の割には、それ以上の情報を教えてしまっていますが…』
咲「こ、高度なギャグなのかな…?」
『咲さん、アシスタントの原村さんこんばんは』
咲「こんばんは!」
『いきなりですが、咲さんは小鍛治健夜プロと仲がよろしいと聞いているので一つ聞きたい事があります』
咲「べ、別に仲はよくありませんよ?」
アシ『では、悪いんですか?』
咲「えっ?わ、悪くもないけど……」
アシ『なら仲良しですね』
咲「も、もー!知らないよっ」プイッ
20: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 12:59:28.07 ID:R2muesgR0
『先日ネットニュースを見ていたら、『小鍛治プロに恋人発覚か!?』という小さな記事を見つけました』
『まさかとは思いますが、真相はどうなんでしょう?知っていたら是非教えてください!』
咲「というお便りですけど……」
アシ『私はそんな記事も話も見聞きした事ありませんが…』
咲「ていうか、この人『まさかとは思いますが』って言っちゃってるし」
咲「健夜さんって年齢で弄られる事はあるけど、いつのまに独身までネタにされるように……」カワイソウ
アシ『それで、どうなんでしょうか??』
咲「99%有り得ない話だと思うけど、もしかしたら本当かもだよね」
アシ『えっ、そうなんですか?』
21: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:00:49.00 ID:R2muesgR0
咲「うん。だってさ、よくよく考えてみてよ」
咲「健夜さんって、顔は可愛らしい、性格も麻雀打ってる時以外は穏やかで悪くない、それなりのプロ雀士だから収入も安定してる、麻雀は元世界2位の実力を持ってる……だよ?」
アシ『そう言われると、かなりの優良物件ですね』フム
咲「でしょ?」
咲「代わりに、料理や掃除とかの家事全般がダメダメな麻雀狂いの27歳っていうだけで」
アシ『……そこを聞いてしまうと、事故物件です』
咲「じ、事故物件はさすがに可哀想だけど……そんな感じの女性だから」
咲「まず前提として、家事全般が得意な人じゃないと健夜さんは難しいよね」
アシ『毎日外食という訳にもいきませんしね』
22: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:01:20.49 ID:R2muesgR0
咲「あとは、麻雀がそれなりに強い人……とかかなぁ。そこは望んでないかもしれないけど」
アシ『咲さんは家事全般得意ですし、麻雀も強いので当てはまりますね』
咲「いやいやいや!!なにを言うの和ちゃん!」ブンブン
咲「と、とにかく、その記事は面白半分の捏造だと思うので真に受けないようにしましょう!」
咲「続いてのお便り、ラジオネーム"mku"さんから頂きました!」
アシ『ありがとうございます』
23: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:02:00.81 ID:R2muesgR0
『宮永さん、原村さんこんばんは。今年も、あと少しで夏本番となりますね』
咲「ですね~」
『さて、夏といえばやはり思い浮かぶのはインターハイですが、そこで私もこの夏からベースという楽器を始めて見ようかと思っています』
『宮永さんと原村さんは、なにか楽器が弾けたりするのでしょうか?』
『ぜひ、教えてください』
咲「そこで私もって!インターハイの話から楽器の話ってなにも関係なくないかな!?」
アシ『なんだか今日は漫才のようなお便りばかり来ますね』
咲「まあ良いんだけどさ…あまりの関係無さに、思わずビックリしちゃった」
24: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:02:37.80 ID:R2muesgR0
アシ『咲さんって、なにか楽器できましたっけ?』
咲「うーん……楽器かぁ」
咲「カスタネットとリコーダーならなんとかってレベルだよ」
咲「ていうか、ベースってどんな楽器??」
アシ『私も詳しくはありませんが、ギターのあまり目立たないver……みたいな感じでしょうか?』
咲「んー、よく分かんないや」
アシ『そうですね…』
アシ『麻雀で例えるなら、二盃口の雀頭みたいなものです』
25: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:03:04.39 ID:R2muesgR0
咲「あ、なんかイメージはついたよ」
咲「縁の下の力持ちってポジションだね!」
アシ『他のスタッフも頷いていますし、正解なんでしょう』
咲「……ん?」
咲「へえ、これがベースなんだ。今スタッフさんが画像見せてくれました」
咲「私にはギターとの区別がつかないかな…」
咲「でもカッコイイですね!素敵だと思います」
アシ『私も咲さんと同じく、特に演奏できる楽器はありませんね…』
咲「和ちゃん!私はカスタネットとリコーダー……」
アシ『きっと咲さんのそれは演奏できるという領域には達していないと思います』
咲「酷い言われようだ!」
26: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:03:33.86 ID:R2muesgR0
咲「…私の周りには、楽器を操れる人よりも麻雀での運を操れたり、配牌を操れたりする人の方が多いです」
咲「それなら私はさしずめ、嶺上を演奏できると言えますかね!」ドヤッ
アシ『そんなオカルトありえません』
27: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:04:06.50 ID:R2muesgR0
アシ『続きまして、ラジオネーム"思い浮かばない"さんから……』
アシ『思い浮かばないなら匿名で良いのでは』
咲「ラジオネームは大喜利大会じゃないですからね!」
『お二人ともこんばんは!』
『ラジオネームが思い浮かばないので、考えてください』
咲 アシ「『なら匿名さんで』」
咲「次のお便り行こっか」
アシ『そうですね。鮮やかなお便り捌きでした』
28: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:04:50.83 ID:R2muesgR0
アシ『ラジオネーム"板チョコのような人生を送るもの"さんからです』
咲「そ、それは薄っぺらくて折れやすいって意味なんじゃ…」
アシ『また大喜利ラジオネームですね』
『前回の姉妹で放送した回を聞いて、兄弟についてのお便りを』
咲「あ、聴いてくれてたんですね。ありがとうございますっ」
『私は3人兄弟の末っ子で、自分の部屋が無いことが困りました。兄弟の仲は良かったのですが、成長して行くにつれて1人の時間が欲しくなったりしますよね』
『その時に自分の部屋に行っても人がいるというのは、辛かったです』
咲「私は、結構前からお姉ちゃんとは離れてるから分からないけど、そういうものなのかな?」
アシ『一人っ子なので分かりかねますが……確かに、1人になりたい時になれないのは嫌ですね』
29: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:05:16.06 ID:R2muesgR0
『今は一人暮らしで、念願の自由な暮らしを満喫していますが、今度は逆に誰もいない家が寂しく思えてきました。人間とは不思議なものですね』
『家族は大事にしたいと思います!』
アシ『という内容でした』
咲「やっとまともなお便りだよ……」
咲「気持ちは凄く分かります!私も、たまに試合の時とかホテルに泊まったりするんですけど」
咲「チェックインした30分くらいは1人で楽だな~とか思ってても、その後で段々寂しくなってきて……」
咲「結局、二人部屋に変えてもらって淡ちゃんと同じ部屋で過ごしたりしますね」
アシ『羨ましいです……』グヌヌ
30: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:05:52.66 ID:R2muesgR0
咲「淡ちゃん、中々寝かせてくれないから困っちゃうよ」
アシ『寝かせてくれない!?』ガタッ
咲「ぅわわっ!?」ビクッ
アシ『ね、ねかっ、寝かせて、寝かせてくれないとは!?』
咲「ちょ、ちょっと和ちゃんどうしてそんなに興奮してるのさ……」ビクビク
咲「淡ちゃんの話が終わらなかったり、トランプで淡ちゃんが勝つまでやらされたりするから、中々寝られないんだよ」
アシ『……』
アシ『ですよね、分かっていましたよ?』
31: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:06:18.99 ID:R2muesgR0
咲「う、うん……特に詮索するのはやめておくよ…」
咲「和ちゃんは平気?1人でホテルに泊まったりするの」
アシ『私は気になりませんね。エトペンがいますから』
咲「あ、そっか……」
咲「……」
咲「って、理由が可愛すぎるよ!」
咲「和ちゃんにとってエトペンってそんなに癒しだったんだね…いや、知ってたけどさ」
アシ『逆に、エトペンがいないと夜も寝られませんが』
咲「和ちゃんのビジュアルとキャラでそんな発言されたらちょっと強すぎるよ……」
32: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:06:56.43 ID:R2muesgR0
咲「一部では、和ちゃんのエトペンになりたいって人が男女問わず大量発生してるらしいよ?」
アシ『私のエトペンになれるのは、この世で咲さんだけです』
咲「えっ……」
咲「ちょっとそれは怖いかな…」ヒキッ
アシ『体験だけでもどうですか?』
咲「目が!目が本気だよ!!」
アシ『ふふ、冗談ですよ』クスクス
咲(今のは冗談じゃなかった……)コワイ
アシ『と、お便りはこれでお終いですね』
咲「たくさんのお便りありがとうございました!読めなかったお便りはHPに私たちのコメント付きで掲載しておくので、是非見てみてくださいね!」
咲「では、ここで1曲お送りします♪」
咲「UVERworldで、Fight For Libertyです。どうぞ!」
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33: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:07:31.77 ID:R2muesgR0
咲「……え、本当に適当でいいの…?」
アシ『はい、どうぞ』
咲「えっと、じゃあ……」
咲「み、宮永咲の牌で占いのコーナー……!」
アシ『……まんまですね』
咲「適当で良いって言ったよね!?」
咲「コホン、このコーナーでは今目の前にある麻雀牌の中からランダムで私がツモって、そのツモった牌の種類で今月のリスナーさんの運勢を占うコーナーです」
咲「……正確には、私は占いなんて出来ないので即興で運勢とかラッキーアイテムとかを作るコーナーなんですけどね」
アシ『星座占いとかのオカルトよりもよっぽどご利益がありますよ、咲さんの方が』
咲「ご利益って言い方はやめようよ……」
34: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:08:04.27 ID:R2muesgR0
咲「えっと、これは星座占いで言う1位と最下位を占えばいいんだよね?」
アシ『そうですね。どんな人の運勢がいいのか悪いのか、どんな事が起こるのか、全て咲さんが即興で考えてください』
咲「相変わらず丸投げだなぁ……」
咲「でも分かったよ。じゃあ、引くね?」
アシ『どうぞ』
咲「んーっと……じゃあ、これで」スッ
咲「ツモ……あ、6索と白だ」
アシ『では、占いをどうぞ!』
35: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:08:42.68 ID:R2muesgR0
咲「えー、じゃあまずは今月の運勢が良い人から」
咲「6索にちなんで、名前とか年齢、誕生日、好きな数字…とにかく、6に関係のある人です!」
アシ『誕生日が6月の人や16日の人、蔵六や六花などの名前の方ですね。結構対象がいそうです』
アシ『私はアシスタントで六文字ですし、入ってますね』フフ
咲「そ、それは若干無理やりじゃないかな…?」
咲「その人達は、今月はきっと素敵な出逢いが待っています!人でも、物でも、食べ物でも!積極的にお出掛けしてみましょう!」
アシ『もしかしたら咲さんに出会えるかもしれませんね』
36: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:09:14.21 ID:R2muesgR0
咲「次に、こちらは残念運勢の悪い人!」
咲「白にちなんで……えっと、じゃあ、これまででテストの答案用紙を白紙のまま出した事がある人!」
アシ『運勢が悪くなっても因果応報ですねそれは』
咲「そんな人は、今月は色んな苦難が待ち構えています」
咲「例えば…えっと、ダブロンされたり、役満に振っちゃったり、好きなお菓子を食べられちゃったりです!」
咲「でも大丈夫、そんな悪い運勢を回避するためのラッキーアイテムは、100点満点の答案用紙!」
咲「お母さんやお父さんに見せて、名誉を挽回しましょう!」
37: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:09:41.91 ID:R2muesgR0
アシ『社会人などの方はどうすれば?』
咲「へっ?あ、テスト無いもんね……」
咲「……まあ、えいぎょーせいせき?とか、売り上げでトップを取るで良いんじゃないかな」
アシ『難易度の差が凄まじいですね』
咲「大人だからねっ。そう簡単にはいかないんだよ」
咲「こんな感じで良かった?」
アシ『バッチリだと思います』
咲「良かった」フフ
38: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:10:21.04 ID:R2muesgR0
咲「あ、どっちにも当てはまらなかった人が居るかもしれないね」
アシ『そうですね。というか、後者なんて本当に実在するのでしょうか?』
咲「さ、さぁ……?私は見たことないや」
咲「そんな、どっちにも当てはまらなかった人は、いつも通りの平穏な月になります」
咲「平穏と平和を掛けて、ピンフがたくさん和了れる月という事にしておきますか」
アシ『咲さん、このコーナー向いてるんじゃないですか?』
咲「そうかな…?へへ、ありがと」テレテレ
咲「というわけで、宮永咲の牌で占いのコーナーでした!」
アシ『次回はどんなコーナーにしましょう』
咲「せめて名前だけはそっちで考えてきてくれると嬉しいよ…」
――――――
39: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:10:51.42 ID:R2muesgR0
咲「ここで、番組からお知らせです!」
咲「なんとなんと、この番組のアシスタントでもありネトマのプロでもある原村和ちゃんが本を出しますっ」
和『僭越ながら……』
咲「ネトマを極めた和ちゃんにしか思い付かない打ち方とか、麻雀が初心者の人でも気軽に始められるルールの解説など!」
咲「私も少し読ませてもらったけど、なんていうか、勉強になるなぁって思う所がたくさんありました」
和『咲さんになら本などでなく直接お教えしますが』
咲「え?あ、うん、ありがと……?」
咲「ネット予約はもういっぱいらしいので、お店でどうぞ!」
咲「2週間後の、6月25日発売です!」
和『どんな方にも麻雀を楽しんで頂けたらなと思い書きました。よければどうぞ』
咲「以上、お知らせでした♪」
――――――
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40: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:11:21.26 ID:R2muesgR0
頂点まであと一息~♪
アガリ一ちオーライ!咲き誇れ~♪
咲「今回もそろそろお休みの時間が近付いてきました!」
咲「そういえば、番組名が南場に突入してる事に今気がついたや」
アシ『大人の事情により追加されたみたいですね』
咲「どんな事情なのか凄い気になるよ…」
咲「なんとなく気分も一新されたような気がするので、心機一転頑張ろうと思います!」
アシ『では、もう少し無茶振りをしても』
咲「心機一転ボイコットするよ!」
41: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:11:47.73 ID:R2muesgR0
アシ『では、咲さんの吐息を楽しむラジオに改名します?』
咲「そんなの聴きにくる人がいるなら、私は軽蔑するよ!申し訳ないけど!」
アシ『それだと今聴いているリスナー全員が軽蔑される事に……』
咲「100%なの!?そんな事は無いと思いたいよ…」
アシ『むしろ拝聴率が上がるまであります』
咲「傷付くよそれは!!」
咲「私はリスナーの皆さんを信じていますからね!」
42: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:12:37.83 ID:R2muesgR0
咲「っと、ああそうそう。さっきのお便りのコーナーでも話に上がった、例の健夜の件なんですけど」
咲「先ほど健夜さん本人から、全くの無実だという言付けがきました」
咲「皆さん、信憑性ゼロの流言には気を付けましょう!」
アシ『都市伝説と同レベルに捉えておいた方がいいかもしれませね』
咲「ふっ……そ、それは可哀想だよ」
咲「ではでは皆さん、梅雨の時期で気温が安定しないので、体調には気を付けてくださいね!」
咲「出掛ける時は折りたたみ傘を忘れずにっ」
咲「お相手は!そんな私が若干風邪気味、宮永咲でしたっ!」
咲「それでは皆さん」
咲「お先におやすみなさい~♪」
徹底的射程距離圏内~♪
ここ一番ぞっくぞく
打ち上がれ~♪
咲「この番組は、りゅーもんスタジオと」
咲「全国麻雀協会さん」
咲「親愛なるりしゅ……」カミ
咲「……」
咲「親愛なるリ!ス!ナー!の皆さんの提供でお送りしました!」
43: ◆.4Vb7WGlxQ 2017/06/12(月) 13:14:43.63 ID:R2muesgR0
カンです。
次回は何ヶ月後になるでしょうか…最低月1は目指したいところですっ
読んでくださった方ありがとうございました(ペッコリン)
次回は何ヶ月後になるでしょうか…最低月1は目指したいところですっ
読んでくださった方ありがとうございました(ペッコリン)
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/12(月) 17:08:13.92 ID:sWi5WDbh0
乙
カミカミ咲さんかわいい
カミカミ咲さんかわいい
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/12(月) 19:36:29.61 ID:HaNB9rifo
おつ
咲さんかわわ
咲さんかわわ
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/12(月) 23:30:34.89 ID:OujfJBA+O
乙!!
このシリーズやっぱり大好きです
このシリーズやっぱり大好きです
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/13(火) 12:23:38.78 ID:xgwMwN0v0
待ってました!
いいクリスマスプレゼントに感謝(6月)
いいクリスマスプレゼントに感謝(6月)
48: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/06/18(日) 11:38:30.99 ID:SfcPa42m0
帰ってきたのか
次回も楽しみにしてます
次回も楽しみにしてます
引用元: 咲「宮永咲のお先におやすみなさい?」和「南1局、ですね」【咲先ラジオ南1局目】