まどか「さやかちゃんごめん!ぅぇぃっ」さやか「まどか!?あんたなんてことを」
2020-10-08
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/26(金) 14:07:05.22 ID:RyOZxf3s0
さやかのソウルジェム「ガッ」
さやか「いてっ」
まどか「ん?」
車「ブッブー」
まどか「あ」ガシャガシャッ パリン パキパキ
まどか「さやかちゃんのソウルジェムが粉々になっちゃった……」
まどか「ごめんね、さやかちゃん……」
まどか「……」
まどか「死んでる……」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1516943224
さやか「いてっ」
まどか「ん?」
車「ブッブー」
まどか「あ」ガシャガシャッ パリン パキパキ
まどか「さやかちゃんのソウルジェムが粉々になっちゃった……」
まどか「ごめんね、さやかちゃん……」
まどか「……」
まどか「死んでる……」
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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/26(金) 14:13:49.68 ID:RyOZxf3s0
まどか「え?ギャグ?」
まどか「ね?さやかちゃん?起きて……ねぇ、ねぇちょっと、嫌だよこんなの、さやかちゃん!!」
QB「さやかは砕け散って死んだよ。ソウルジェムが本体だし」
杏子「なんだって!?」
杏子「それじゃあさやかは、まどかに殺されたようなもんじゃねーか!!」
まどか「え?」
杏子「うわー!うわー!あたし知ーらないっと」ピューン
まどか「ね?さやかちゃん?起きて……ねぇ、ねぇちょっと、嫌だよこんなの、さやかちゃん!!」
QB「さやかは砕け散って死んだよ。ソウルジェムが本体だし」
杏子「なんだって!?」
杏子「それじゃあさやかは、まどかに殺されたようなもんじゃねーか!!」
まどか「え?」
杏子「うわー!うわー!あたし知ーらないっと」ピューン
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/26(金) 14:20:38.54 ID:RyOZxf3s0
まどか「私……さやかちゃん殺しちゃったの……?」
まどか「どどど、どうしよう!このままじゃ私捕まっちゃうよ!」
QB「僕と契約してさやかを生き返らせたらいいんじゃないの」
まどか「え……でも、そんなことの為に契約するのは……」
まどか「どどど、どうしよう!このままじゃ私捕まっちゃうよ!」
QB「僕と契約してさやかを生き返らせたらいいんじゃないの」
まどか「え……でも、そんなことの為に契約するのは……」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/26(金) 14:27:02.29 ID:RyOZxf3s0
ほむら「その通りよまどか。そんなことしなくても大丈夫」
まどか「ほむらちゃん!」
ほむら「殺人の立証は不可能だわ」
ほむら「普通の人は魔法少女のことを知らないんだから、原因不明の怪死でカタがつくはずよ」
まどか「ほ、本当!?よかった……」
QB「チェッ」
まどか「ほむらちゃん!」
ほむら「殺人の立証は不可能だわ」
ほむら「普通の人は魔法少女のことを知らないんだから、原因不明の怪死でカタがつくはずよ」
まどか「ほ、本当!?よかった……」
QB「チェッ」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/26(金) 14:35:57.11 ID:RyOZxf3s0
まどか「あ。でもマミさん失踪の件もあるし、これでさやかちゃんまで死んだら、私皆から死神扱いされるかも」
まどか「どうしよう……スクールカースト最下層に転落しちゃうよ……!」
ほむら「大丈夫。私はあなたのことを見捨てないわ」キュッ
まどか「ほむらちゃん……?」
ほむら「お互いに相手のことだけを大切にしていれば、他人なんかどうでもいいじゃないですか鹿目さん」
まどか「うう、ありがとうほむらちゃん。ほむらちゃんは私の最高の友達だったんだね」ホロリ
ほむら「まどか……」
まどか「……」
まどか「まてよ……。ほむらちゃんが連続時止めして少しずつさやかちゃんを動かせば……」
ほむら「え?」
まどか「どうしよう……スクールカースト最下層に転落しちゃうよ……!」
ほむら「大丈夫。私はあなたのことを見捨てないわ」キュッ
まどか「ほむらちゃん……?」
ほむら「お互いに相手のことだけを大切にしていれば、他人なんかどうでもいいじゃないですか鹿目さん」
まどか「うう、ありがとうほむらちゃん。ほむらちゃんは私の最高の友達だったんだね」ホロリ
ほむら「まどか……」
まどか「……」
まどか「まてよ……。ほむらちゃんが連続時止めして少しずつさやかちゃんを動かせば……」
ほむら「え?」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/26(金) 14:43:18.17 ID:RyOZxf3s0
翌日
まどか「人間が知覚できる光の点滅周期は1秒間に55回以下」
まどか「さやかちゃんにマスク着けとけばしゃべらなくても問題ない」
まどか「魔力を注ぎ続ければ死体の腐敗や硬直を防ぐことができる」
まどか「このままほむらちゃんが一人二役でさやかちゃんを操作してくれれば私も平穏な青春を送ることが」
まどか「……ほむらちゃん、なんか小汚くなってない?」
まどか「人間が知覚できる光の点滅周期は1秒間に55回以下」
まどか「さやかちゃんにマスク着けとけばしゃべらなくても問題ない」
まどか「魔力を注ぎ続ければ死体の腐敗や硬直を防ぐことができる」
まどか「このままほむらちゃんが一人二役でさやかちゃんを操作してくれれば私も平穏な青春を送ることが」
まどか「……ほむらちゃん、なんか小汚くなってない?」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/26(金) 14:52:06.12 ID:RyOZxf3s0
QB「今日のほむらは殆どの時間を時止めで過ごしたからね」
QB「時止め中でもほむらの中の時間は進み続ける」
QB「相対的に、常人の数百倍の速さで成長したのさ」
QB「つーか無理があるだろどう考えても」
ほむら「うう……早くお風呂入りたい」
まどか「ヤバい……このまま急成長したほむらちゃんと一緒に行動してたら私まで奇異の目で……」
QB「時止め中でもほむらの中の時間は進み続ける」
QB「相対的に、常人の数百倍の速さで成長したのさ」
QB「つーか無理があるだろどう考えても」
ほむら「うう……早くお風呂入りたい」
まどか「ヤバい……このまま急成長したほむらちゃんと一緒に行動してたら私まで奇異の目で……」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/26(金) 16:58:44.96 ID:RyOZxf3s0
まどか「杏子ちゃん」
杏子「な、なんの用だ!?あたしは悪くないぞ!あたしはちょいと脅かすだけのつもりで」
まどか「わかってる。あれは私が殺し合いを止めようとした結果起こってしまった不幸な事故。杏子ちゃんは悪くないよ」
杏子「う……」
まどか「でも、結果としてさやかちゃんは死んだ。そしてそのことで悲しむ人達がいる」
杏子「……さやかの家族か」
杏子「な、なんの用だ!?あたしは悪くないぞ!あたしはちょいと脅かすだけのつもりで」
まどか「わかってる。あれは私が殺し合いを止めようとした結果起こってしまった不幸な事故。杏子ちゃんは悪くないよ」
杏子「う……」
まどか「でも、結果としてさやかちゃんは死んだ。そしてそのことで悲しむ人達がいる」
杏子「……さやかの家族か」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/26(金) 16:59:57.96 ID:RyOZxf3s0
まどか「今はほむらちゃんが連続時止めでさやかちゃんを動かしてるけど、長くは持たない」
まどか「常人の数百倍の速さで歳を取ってるし……このままじゃそう遠くないうちに寿命がくる」
まどか「だから、杏子ちゃんに、さやかちゃんとして生きて欲しいの」
杏子「……あたしの幻惑魔法でか」
杏子「……その魔法のせいで、あたしの家族は、親父は、傷ついて、死んだんだぞ」
まどか「常人の数百倍の速さで歳を取ってるし……このままじゃそう遠くないうちに寿命がくる」
まどか「だから、杏子ちゃんに、さやかちゃんとして生きて欲しいの」
杏子「……あたしの幻惑魔法でか」
杏子「……その魔法のせいで、あたしの家族は、親父は、傷ついて、死んだんだぞ」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/26(金) 17:00:36.41 ID:RyOZxf3s0
まどか「でも、これは杏子ちゃんにしか出来ないこと」
まどか「杏子ちゃんが協力してくれれば、さやかちゃんは生き続ける」
まどか「さやかちゃんだって、自分の家族や大切な人達を悲しませたくないって思ってるよ」
杏子「……」
まどか「それは杏子ちゃんに対しても」
杏子「え?」
まどか「杏子ちゃんが協力してくれれば、さやかちゃんは生き続ける」
まどか「さやかちゃんだって、自分の家族や大切な人達を悲しませたくないって思ってるよ」
杏子「……」
まどか「それは杏子ちゃんに対しても」
杏子「え?」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/26(金) 17:03:31.93 ID:RyOZxf3s0
まどか「さやかちゃんは、杏子ちゃんのこと凄く心配してた」
まどか「自分の代わりに、家族の暖かさを感じて欲しいって。さやかちゃんなら言うと思う」
杏子「まどか……」
杏子「……」
杏子(お父様……お母様……モモ……)
杏子(さやか……)
まどか「自分の代わりに、家族の暖かさを感じて欲しいって。さやかちゃんなら言うと思う」
杏子「まどか……」
杏子「……」
杏子(お父様……お母様……モモ……)
杏子(さやか……)
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/26(金) 17:04:12.69 ID:RyOZxf3s0
さやか「行ってきますお父様!お母様!」
さやパパ「おう行ってらっしゃい!」
さやパパ「まるで別人みたいに明るくなったな」
さやママ「失恋を契機にあの子は生まれ変わろうとしているのよ」
さやママ「でも、まだ無理してる。見守ってあげましょ」
さやか「行こうまどか!」
まどか「うん!」
さやパパ「おう行ってらっしゃい!」
さやパパ「まるで別人みたいに明るくなったな」
さやママ「失恋を契機にあの子は生まれ変わろうとしているのよ」
さやママ「でも、まだ無理してる。見守ってあげましょ」
さやか「行こうまどか!」
まどか「うん!」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/26(金) 17:04:40.21 ID:RyOZxf3s0
さやか「おはよう仁美!恭介!」
恭介「おはようさやか」
仁美「……あの、さやかさん。私……」
さやか「いいんだよ仁美」
仁美「さやかさん……!」
恭介「おはようさやか」
仁美「……あの、さやかさん。私……」
さやか「いいんだよ仁美」
仁美「さやかさん……!」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/26(金) 17:06:11.60 ID:RyOZxf3s0
まどか「杏子ちゃん……。さやかちゃんとして生きるの……辛い?」
さやか「あたしはさやかだっての」
さやか「……」
さやか「まあ……全く辛くない……って言ったら嘘になるね」
さやか「あの人達を騙してるっていう罪悪感は今でもある」
さやか「あたしはさやかだっての」
さやか「……」
さやか「まあ……全く辛くない……って言ったら嘘になるね」
さやか「あの人達を騙してるっていう罪悪感は今でもある」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/26(金) 17:07:41.64 ID:RyOZxf3s0
さやか「でも、あの人達の笑顔を守りたいって気持ちは本当だ」
さやか「その為にも、ワルプルギスの夜は必ず倒す」
まどか「杏子ちゃん……」
さやか「こらこら、まどか。あたしはさやかちゃんだよ?」
まどか「……うん!」
ほむら「ねえ、本当?本当にワルプルギスの夜を倒せなさそうな時は見滝原捨てて一緒に逃げてくれる?」
まどか「言っとくけど、手抜くのはなしだからね」
さやか「その為にも、ワルプルギスの夜は必ず倒す」
まどか「杏子ちゃん……」
さやか「こらこら、まどか。あたしはさやかちゃんだよ?」
まどか「……うん!」
ほむら「ねえ、本当?本当にワルプルギスの夜を倒せなさそうな時は見滝原捨てて一緒に逃げてくれる?」
まどか「言っとくけど、手抜くのはなしだからね」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/26(金) 17:08:46.15 ID:RyOZxf3s0
杏子(お父様。お母様。モモ。さやか。あたしは元気でやってるよ)
杏子(あたしはまたこの力を使ってる)
杏子(勿論あたしの罪は消えない。でも、あたしのせいで悲しむ人をこれ以上増やしたくないんだ)
杏子(だから、どうか見守っていてください)
杏子(みんなが笑顔でいられるように――)
魔法少女さや杏☆マギカ 終
杏子(あたしはまたこの力を使ってる)
杏子(勿論あたしの罪は消えない。でも、あたしのせいで悲しむ人をこれ以上増やしたくないんだ)
杏子(だから、どうか見守っていてください)
杏子(みんなが笑顔でいられるように――)
魔法少女さや杏☆マギカ 終
引用元: ・まどか「さやかちゃんごめん!ぅぇぃっ」さやか「まどか!?あんたなんてことを」
七海やちよ「仲間じゃないわ」環いろは「え?」
2020-08-17
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 22:09:20.50 ID:XXbUMjTI0
いろは「それってどういうことですか……?」
やちよ「そのまんまの意味よ。少なくとも私は仲間とは思っていないわ」
いろは「そ、そんな……」
いろは「あ、もしかして仲間じゃなくてただの協力関係っていうことですか? 私はそれでも――」
やちよ「いいえ、そうでもないの」ズイッ
いろは「や、やちよさん!? なんで顔を近づけて――」
やちよ「私はあなたを仲間以上に想っているわ」
いろは「ふぇ!?」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1504530560
やちよ「そのまんまの意味よ。少なくとも私は仲間とは思っていないわ」
いろは「そ、そんな……」
いろは「あ、もしかして仲間じゃなくてただの協力関係っていうことですか? 私はそれでも――」
やちよ「いいえ、そうでもないの」ズイッ
いろは「や、やちよさん!? なんで顔を近づけて――」
やちよ「私はあなたを仲間以上に想っているわ」
いろは「ふぇ!?」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1504530560
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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 22:12:50.88 ID:XXbUMjTI0
いろは「あ、あのやちよさん……?」
やちよ「私はあなたが好きよ、環さん」ズズイッ
いろは「えぇっ!?」
やちよ「あなたも今日はそのつもりで来たんでしょう?」
いろは「ち、違いますよ! 噂についてやちよさんと調べられたらって思って……」
やちよ「それは建前で、本当は私と少しでも長く一緒にいたかったんでしょう?」ナデッ
いろは「ひゃっ♡」
やちよ「私はあなたが好きよ、環さん」ズズイッ
いろは「えぇっ!?」
やちよ「あなたも今日はそのつもりで来たんでしょう?」
いろは「ち、違いますよ! 噂についてやちよさんと調べられたらって思って……」
やちよ「それは建前で、本当は私と少しでも長く一緒にいたかったんでしょう?」ナデッ
いろは「ひゃっ♡」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 22:15:24.25 ID:XXbUMjTI0
やちよ「ほら、少し触っただけで可愛らしい声が出てる」ナデナデ
いろは「違うのに、なんで……あっ♡」
やちよ「私のことが好きだから、じゃない?」サワサワ
いろは「確かに、やちよさんは大人で、強くて、かっこよくて……だけどそういうのじゃなくてぇ♡」
やちよ「あなた、恋をしたことはあるの?」サワサワ
いろは「ない、ですけど♡」
いろは「違うのに、なんで……あっ♡」
やちよ「私のことが好きだから、じゃない?」サワサワ
いろは「確かに、やちよさんは大人で、強くて、かっこよくて……だけどそういうのじゃなくてぇ♡」
やちよ「あなた、恋をしたことはあるの?」サワサワ
いろは「ない、ですけど♡」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 22:18:26.47 ID:XXbUMjTI0
やちよ「それじゃあ教えてあげる。あなたが私に抱いているこの感情が恋よ」
いろは「私の、やちよさんへの想いが、恋……?」
やちよ「私に触られて気持ちいいでしょう?」サワッ
いろは「はい、気持ちいいです♡」
やちよ「私のこと嫌いじゃないでしょう?」ナデナデ
いろは「最初はよくわからなくてちょっと怖い人って思ってたけど、本当はいい人だってわかって……ん♡」
やちよ「嫌いというよりは好き?」
いろは「はい、好きですぅ♡」
いろは「私の、やちよさんへの想いが、恋……?」
やちよ「私に触られて気持ちいいでしょう?」サワッ
いろは「はい、気持ちいいです♡」
やちよ「私のこと嫌いじゃないでしょう?」ナデナデ
いろは「最初はよくわからなくてちょっと怖い人って思ってたけど、本当はいい人だってわかって……ん♡」
やちよ「嫌いというよりは好き?」
いろは「はい、好きですぅ♡」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 22:21:34.95 ID:XXbUMjTI0
やちよ「私に触れられて気持ちいい、私のことは好き、間違いない?」
いろは「間違いない、です♡」
いろは「でも、憧れみたいな好き、っていうか――」
やちよ「憧れが恋に一番近い感情なの」スッ
いろは「あっ……」シュン
やちよ「……。私も、環さんに憧れみたいな感情を抱いてたわ」
いろは「憧れみたいな感情、ですか?」
やちよ「えぇ、妹のことになると頑固で、怖くなるくらい真っ直ぐで」
やちよ「自分のことよりも他人を気遣える。そんなあなたは私の目にまぶしく見えたわ」
いろは「間違いない、です♡」
いろは「でも、憧れみたいな好き、っていうか――」
やちよ「憧れが恋に一番近い感情なの」スッ
いろは「あっ……」シュン
やちよ「……。私も、環さんに憧れみたいな感情を抱いてたわ」
いろは「憧れみたいな感情、ですか?」
やちよ「えぇ、妹のことになると頑固で、怖くなるくらい真っ直ぐで」
やちよ「自分のことよりも他人を気遣える。そんなあなたは私の目にまぶしく見えたわ」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 22:24:30.08 ID:XXbUMjTI0
いろは「で、でもやちよさんには大切な人がいるんですよね?」
やちよ「みふゆのこと?」
いろは「はい、危険をおかしてまで会いたい人、なんですよね……?」シュン
やちよ「……確かにみふゆは大切よ」
やちよ「けど、それは幼馴染だから」
やちよ「環さんも妹さんに危険を顧みず会おうとしてるじゃない」
やちよ「そこに恋愛感情はない、私もそれと同じ」
やちよ「みふゆのこと?」
いろは「はい、危険をおかしてまで会いたい人、なんですよね……?」シュン
やちよ「……確かにみふゆは大切よ」
やちよ「けど、それは幼馴染だから」
やちよ「環さんも妹さんに危険を顧みず会おうとしてるじゃない」
やちよ「そこに恋愛感情はない、私もそれと同じ」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 22:26:50.49 ID:XXbUMjTI0
いろは「……でも、どうして私なんですか?」
やちよ「さあ、それはわからないわ」
いろは「え……?」
やちよ「人を好きになることに理由なんてないの」
やちよ「気になって、いつの間にか好きになってる。私の環さんに対する気持ちはそうだったわ」
やちよ「気付いたらあなたが気にかかって、好きと自覚した」
やちよ「あなたもそうでしょう?」
いろは「……この気持ちが恋なら、そうです」
やちよ「さあ、それはわからないわ」
いろは「え……?」
やちよ「人を好きになることに理由なんてないの」
やちよ「気になって、いつの間にか好きになってる。私の環さんに対する気持ちはそうだったわ」
やちよ「気付いたらあなたが気にかかって、好きと自覚した」
やちよ「あなたもそうでしょう?」
いろは「……この気持ちが恋なら、そうです」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 22:30:16.64 ID:XXbUMjTI0
やちよ「私に手を離された時、寂しそうな表情したわよね?」
いろは「はい……。もっと触っていてほしいって、そう思って……」
やちよ「それにみふゆのことを聞くときも寂しそうな表情をした」
いろは「それは、やちよさんがみふゆさんのこと大切なんだって思ったらなんだか寂しくなって」
やちよ「……ふふ」ナデナデ
いろは「ひゃぁっ!?」
やちよ「嫌だった?」
いろは「い、いえ! その……。嬉しいです!」テレテレ
いろは「はい……。もっと触っていてほしいって、そう思って……」
やちよ「それにみふゆのことを聞くときも寂しそうな表情をした」
いろは「それは、やちよさんがみふゆさんのこと大切なんだって思ったらなんだか寂しくなって」
やちよ「……ふふ」ナデナデ
いろは「ひゃぁっ!?」
やちよ「嫌だった?」
いろは「い、いえ! その……。嬉しいです!」テレテレ
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 22:33:17.24 ID:XXbUMjTI0
やちよ「私は環さんと仲間じゃなくて恋人になりたいわ、環さんは?」
いろは「私も! きっとこの気持ちが恋だと思うから……!」
いろは「やちよさんの恋人になりたいです!」
やちよ「ふふ、それじゃあ両想いね」
いろは「はい!」
やちよ「これから恋人としてよろしくね、環さん」
いろは「むぅ……」
いろは「私も! きっとこの気持ちが恋だと思うから……!」
いろは「やちよさんの恋人になりたいです!」
やちよ「ふふ、それじゃあ両想いね」
いろは「はい!」
やちよ「これから恋人としてよろしくね、環さん」
いろは「むぅ……」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 22:37:16.76 ID:XXbUMjTI0
やちよ「どうしたの? 急にむくれて」
いろは「恋人なのに環さんって、なんだか嫌です」
やちよ「あぁ、確かにそうね」
やちよ「それじゃあ、いろは?」
いろは「っ!」キュンッ
いろは「やちよさんっ!」
やちよ「むっ……」
いろは「やちよさん?」
やちよ「……私がいろはって呼んでるんだからあなたも呼び方を変えるのが筋じゃない?」
いろは「そう、ですか……?」
いろは「恋人なのに環さんって、なんだか嫌です」
やちよ「あぁ、確かにそうね」
やちよ「それじゃあ、いろは?」
いろは「っ!」キュンッ
いろは「やちよさんっ!」
やちよ「むっ……」
いろは「やちよさん?」
やちよ「……私がいろはって呼んでるんだからあなたも呼び方を変えるのが筋じゃない?」
いろは「そう、ですか……?」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 22:39:11.37 ID:XXbUMjTI0
やちよ「恋人なんだからさん付けもおかしいと思うわ」
いろは「でもやちよさんは年上ですし」
やちよ「恋人なんだからそんなの関係ないわ」
いろは「で、でも――」
いろは「あ、そうだ!」
やちよ「? 何か思いついたの?」
いろは「やちよお姉ちゃん」ニコッ
やちよ「っ!」キュンッ
いろは「でもやちよさんは年上ですし」
やちよ「恋人なんだからそんなの関係ないわ」
いろは「で、でも――」
いろは「あ、そうだ!」
やちよ「? 何か思いついたの?」
いろは「やちよお姉ちゃん」ニコッ
やちよ「っ!」キュンッ
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/04(月) 22:42:34.08 ID:XXbUMjTI0
やちよ「お、お姉ちゃん……?」
いろは「ダメ?」
やちよ「だ、ダメって言うことはないけど、恋人とは違くないかしら?」
いろは「でも年上だし、呼び捨てにはしづらいから――」
やちよ「……まあそれでいいわ」
やちよ「改めて、これからもよろしくね、恋人さん♡」
いろは「はい、末永くよろしくお願いします♡」
おわり
いろは「ダメ?」
やちよ「だ、ダメって言うことはないけど、恋人とは違くないかしら?」
いろは「でも年上だし、呼び捨てにはしづらいから――」
やちよ「……まあそれでいいわ」
やちよ「改めて、これからもよろしくね、恋人さん♡」
いろは「はい、末永くよろしくお願いします♡」
おわり
ほむら「最近物忘れがひどいの」
2020-05-29
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 06:13:02.52 ID:TzmHv53n0
◆◇◆◇
―― 巴マミの部屋 ――
マミ「佐倉さんは昔から結構忘れ物が多かったような気がするけれど」
ほむら「ここのとこ異常よ」
マミ「そんなに?」
ほむら「ミルクをレンジで温めたことを忘れて、
暖めなおすという行動を3回連続でやっていたわ……」
マミ(それ…… 私も勉強中にやっちゃったことあるけど)
ほむら「この前だって――」
私は差し出されたケーキを突付きながら愚痴を垂れる
厭な顔一つせずに、巴マミは話を聞き続けてくれる
ほむら「戦闘中の合図すらど忘れして……
フォローが遅れれば、私が魔獣にやられていたかもしれないわ」
ほむら「全く、戦うことだけが取り柄みたいなものなのに――」
―― 巴マミの部屋 ――
マミ「佐倉さんは昔から結構忘れ物が多かったような気がするけれど」
ほむら「ここのとこ異常よ」
マミ「そんなに?」
ほむら「ミルクをレンジで温めたことを忘れて、
暖めなおすという行動を3回連続でやっていたわ……」
マミ(それ…… 私も勉強中にやっちゃったことあるけど)
ほむら「この前だって――」
私は差し出されたケーキを突付きながら愚痴を垂れる
厭な顔一つせずに、巴マミは話を聞き続けてくれる
ほむら「戦闘中の合図すらど忘れして……
フォローが遅れれば、私が魔獣にやられていたかもしれないわ」
ほむら「全く、戦うことだけが取り柄みたいなものなのに――」
関連
ハルヒ「SOS団で恋の暴露大会をするわよ!」
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5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 06:16:36.71 ID:TzmHv53n0
ほむら「ごめんなさい、今日は愚痴ばっかりになって……」
マミ「別に構わないわよ それで、暁美さんはスっきりしたのかしら?」
ほむら「すこしは……」
マミ「ならよし」
胸の前で両手を叩き、ぽんっと小気味良い音が鳴る
これでこの話は終わりという意味らしい
マミ「杏子のこと、頼んだわよ」
ほむら「どうして私が……」
マミ「友達…でしょ?」
ほむら「……友達? まさか、ただの利害関係の一致よ」
マミ「別に構わないわよ それで、暁美さんはスっきりしたのかしら?」
ほむら「すこしは……」
マミ「ならよし」
胸の前で両手を叩き、ぽんっと小気味良い音が鳴る
これでこの話は終わりという意味らしい
マミ「杏子のこと、頼んだわよ」
ほむら「どうして私が……」
マミ「友達…でしょ?」
ほむら「……友達? まさか、ただの利害関係の一致よ」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 06:20:35.33 ID:TzmHv53n0
―― ほむらのマンション ――
ほむら「……貴女は扉の前に座って何をしているのかしら」
杏子「鍵、忘れた」
ほむら「今日は巴さんの所に行くって言っておいたでしょ」
杏子「……」
ほむら「何か言ったらどうなの?」
杏子「うっせーな…… 外は寒いからとっとと開けてくれよ」
ほむら「……はぁ」ガチャ
ドアの前で真っ赤なマフラーに顔埋めている杏子を退くように促し、鍵を開ける
杏子「やっと部屋に入れるぜ」
ほむら「……杏子」
杏子「なんだよ?」
ほむら「帰ったらまずは手を洗いなさい」
ほむら「……貴女は扉の前に座って何をしているのかしら」
杏子「鍵、忘れた」
ほむら「今日は巴さんの所に行くって言っておいたでしょ」
杏子「……」
ほむら「何か言ったらどうなの?」
杏子「うっせーな…… 外は寒いからとっとと開けてくれよ」
ほむら「……はぁ」ガチャ
ドアの前で真っ赤なマフラーに顔埋めている杏子を退くように促し、鍵を開ける
杏子「やっと部屋に入れるぜ」
ほむら「……杏子」
杏子「なんだよ?」
ほむら「帰ったらまずは手を洗いなさい」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 06:23:49.08 ID:TzmHv53n0
杏子「なぁ、飯は?」
ほむら「適当に出前でも頼んでいいわよ」
杏子「今日は作らねーのか?」
ほむら「もう食材がないわ」
杏子「そっか」
ほむら「……」
杏子「……」チラッ
ほむら「もしかして、私の料理が食べたいの?」
少し考えたふうな仕草をしたあと、
何か良い悪戯を思いついた子供のような顔で杏子は答える
杏子「アタシは好きだよ、ほむらの味」
ほむら「適当に出前でも頼んでいいわよ」
杏子「今日は作らねーのか?」
ほむら「もう食材がないわ」
杏子「そっか」
ほむら「……」
杏子「……」チラッ
ほむら「もしかして、私の料理が食べたいの?」
少し考えたふうな仕草をしたあと、
何か良い悪戯を思いついた子供のような顔で杏子は答える
杏子「アタシは好きだよ、ほむらの味」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 06:28:33.01 ID:TzmHv53n0
ほむら「……本当に出来合いのものしか作れないわよ」
杏子「いいよ」
ほむら「少し待っていなさい」
杏子の菓子が所狭しと詰まった冷蔵庫から食材を探り当てる
ほむら(どうして私が杏子のご飯を作ってるのかしら)
頭の内で悪態を吐きながらも、てきぱきと調理を開始する
ほむら(どうせならまどかのために料理を作りたかっ――)トントン
ほむら「痛ッ――」ザクッ
杏子「おい、大丈夫か?」
ほむら「少し手許が狂っただけよ これくらいの傷なら魔力で簡単に癒せるから」
杏子「いいよ」
ほむら「少し待っていなさい」
杏子の菓子が所狭しと詰まった冷蔵庫から食材を探り当てる
ほむら(どうして私が杏子のご飯を作ってるのかしら)
頭の内で悪態を吐きながらも、てきぱきと調理を開始する
ほむら(どうせならまどかのために料理を作りたかっ――)トントン
ほむら「痛ッ――」ザクッ
杏子「おい、大丈夫か?」
ほむら「少し手許が狂っただけよ これくらいの傷なら魔力で簡単に癒せるから」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 06:32:50.45 ID:TzmHv53n0
杏子「んっ」
ほむら「ちょっと、何するのよ」
血が滴る指を杏子が咥える
波打つ鼓動に合わせて疼く傷口に、杏子の舌が絡みつく
杏子「んー」ペロッ
ほむら「止めてっ」バッ
杏子「なんだよ 突き放すことないじゃん」
ほむら「どういうつもり」
杏子「傷の手当て」
ほむら「だから魔法を使えば――」
杏子「お前の味、好きだって言ったろ」
ほむら「ッ……馬鹿言ってないで部屋で待っていなさい」
額に手を当てて天井を仰ぐ――
指先が先ほどにも増して疼いていて痛い……
ほむら「ちょっと、何するのよ」
血が滴る指を杏子が咥える
波打つ鼓動に合わせて疼く傷口に、杏子の舌が絡みつく
杏子「んー」ペロッ
ほむら「止めてっ」バッ
杏子「なんだよ 突き放すことないじゃん」
ほむら「どういうつもり」
杏子「傷の手当て」
ほむら「だから魔法を使えば――」
杏子「お前の味、好きだって言ったろ」
ほむら「ッ……馬鹿言ってないで部屋で待っていなさい」
額に手を当てて天井を仰ぐ――
指先が先ほどにも増して疼いていて痛い……
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 06:37:22.44 ID:TzmHv53n0
ほむら「できたわよ」
背の低いテーブルに向かい合わせに座る二人
杏子は食事の前のお祈りを丁寧に唱えている
杏子「いい匂い…… ん、髪のところにゴミがついてるぞ」
ほむら「どこかしら?」
「とってやるから」そう言って近づいてくる杏子
髪に手を伸ばすと見せかけて――
ほむら「――あっ」ドサッ
杏子「ほむら」
ほむら「押し倒したりして、どうするつもり?」
杏子「……」ジリッ
ほむら「何か言いいなさいよ」
背の低いテーブルに向かい合わせに座る二人
杏子は食事の前のお祈りを丁寧に唱えている
杏子「いい匂い…… ん、髪のところにゴミがついてるぞ」
ほむら「どこかしら?」
「とってやるから」そう言って近づいてくる杏子
髪に手を伸ばすと見せかけて――
ほむら「――あっ」ドサッ
杏子「ほむら」
ほむら「押し倒したりして、どうするつもり?」
杏子「……」ジリッ
ほむら「何か言いいなさいよ」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 06:41:31.66 ID:TzmHv53n0
杏子「……」
ほむら「重いんだけど…… 退いてくれないかしら」
杏子「ごめん……」
体を起こすと杏子は既に定位置に戻っていた
視線を合わせないよう、自分の茶碗を見つめている様だ
杏子「……」パクパク
ほむら「それが賢明な判断ね」
ほむら「あのまま続けていたら、折角作った夕飯が冷めていたもの」
杏子「……」
ほむら「いただきます」
杏子「……美味しい」モグモグ
ほむら「……そう」モグモグ
ほむら「重いんだけど…… 退いてくれないかしら」
杏子「ごめん……」
体を起こすと杏子は既に定位置に戻っていた
視線を合わせないよう、自分の茶碗を見つめている様だ
杏子「……」パクパク
ほむら「それが賢明な判断ね」
ほむら「あのまま続けていたら、折角作った夕飯が冷めていたもの」
杏子「……」
ほむら「いただきます」
杏子「……美味しい」モグモグ
ほむら「……そう」モグモグ
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 06:45:13.45 ID:TzmHv53n0
――――
杏子「洗い物終わったよ」
ほむら「ありがと お風呂、先に入っていいわよ」
杏子「うん」
ほむら「……」
杏子が浴室に入るの見届けてから、テーブルを部屋の隅に片付ける
二人分の布団を押入れから取り出して床に並べて敷く
ほむら「ああもう、上着を脱ぎ散らかして…… 皺になるじゃ――」ポロッ
ほむら「ん――?」
ポケットの中から、杏子に渡した部屋のスペアキーが転がり落ちる
ほむら「忘れたんじゃ…… ないじゃない」
杏子「洗い物終わったよ」
ほむら「ありがと お風呂、先に入っていいわよ」
杏子「うん」
ほむら「……」
杏子が浴室に入るの見届けてから、テーブルを部屋の隅に片付ける
二人分の布団を押入れから取り出して床に並べて敷く
ほむら「ああもう、上着を脱ぎ散らかして…… 皺になるじゃ――」ポロッ
ほむら「ん――?」
ポケットの中から、杏子に渡した部屋のスペアキーが転がり落ちる
ほむら「忘れたんじゃ…… ないじゃない」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 06:49:26.07 ID:TzmHv53n0
杏子「さっきはごめん」
布団に入り、電気を消してから直ぐにそう呟いた
ほむら「別に、怒ってないから」
杏子「うん」
ほむら「ちゃんと魔獣退治に協力してくれればいいわ」
杏子「……」
ほむら「それだけでいいの 私と貴女との関係はそれ以上でも以下でもない」
杏子「うん」
ほむら「分かったのなら早く寝なさい」
杏子「……おやすみ、ほむら」
ほむら「おやすみなさい」
杏子「……」
布団に入り、電気を消してから直ぐにそう呟いた
ほむら「別に、怒ってないから」
杏子「うん」
ほむら「ちゃんと魔獣退治に協力してくれればいいわ」
杏子「……」
ほむら「それだけでいいの 私と貴女との関係はそれ以上でも以下でもない」
杏子「うん」
ほむら「分かったのなら早く寝なさい」
杏子「……おやすみ、ほむら」
ほむら「おやすみなさい」
杏子「……」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 06:54:23.25 ID:TzmHv53n0
――― 回想 ―――――――――――――――――――――――
ほむら「美樹さやかのことは残念だったわ」
杏子「……」
ほむら「彼女は精一杯やったと思う」
杏子「折角友達になれたと思ったのに……」
ほむら「そうね」
杏子「なぁ、あのとき言ってたまどかって誰だよ」
ほむら「貴女には関係ないことよ」
杏子「関係ない……か」
ほむら「私は友達ごっこをするために貴女と一緒にいるわけじゃないのよ」
杏子「あたしは、ほむらのこと――」
ほむら「私は友達なんていないし、必要ともしていないわ」
杏子「……」
ほむら「美樹さやかのことは残念だったわ」
杏子「……」
ほむら「彼女は精一杯やったと思う」
杏子「折角友達になれたと思ったのに……」
ほむら「そうね」
杏子「なぁ、あのとき言ってたまどかって誰だよ」
ほむら「貴女には関係ないことよ」
杏子「関係ない……か」
ほむら「私は友達ごっこをするために貴女と一緒にいるわけじゃないのよ」
杏子「あたしは、ほむらのこと――」
ほむら「私は友達なんていないし、必要ともしていないわ」
杏子「……」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 06:58:29.88 ID:TzmHv53n0
ほむら「これからどうするつもり」
杏子「何を?」
ほむら「もう愛しのさやかはこの街にはいないわ」
杏子「……なんだよ愛しのって」
ほむら「貴女がこの街にとどまる理由はないでしょう」
杏子「出て行けってか?」
ほむら「そういう意味で言ったわけではないわ」
杏子「この街は居心地がいいんだ しばらくはここに居座るつもり」
ほむら「そう」
杏子「でも、この部屋を出て行けっていうなら今すぐにでも――」
ほむら「こんな狭い部屋でよければご自由にどうぞ」
ほむら「ただし、これからも私の魔獣退治に協力すること」
杏子「何を?」
ほむら「もう愛しのさやかはこの街にはいないわ」
杏子「……なんだよ愛しのって」
ほむら「貴女がこの街にとどまる理由はないでしょう」
杏子「出て行けってか?」
ほむら「そういう意味で言ったわけではないわ」
杏子「この街は居心地がいいんだ しばらくはここに居座るつもり」
ほむら「そう」
杏子「でも、この部屋を出て行けっていうなら今すぐにでも――」
ほむら「こんな狭い部屋でよければご自由にどうぞ」
ほむら「ただし、これからも私の魔獣退治に協力すること」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 07:03:01.16 ID:TzmHv53n0
ほむら「利害の一致というわけ」
杏子「うん」
ほむら「馴れ合うつもりはない」
杏子「ああ……」
ほむら「ただ、どうしても……」
ほむら「一人ぼっちが寂しいというのなら」
ほむら「その所為で、魔獣と戦うのがおろそかになるというのなら――」
杏子「……?」
ほむら「私が――」チュッ
杏子「お前、な、何して……」
ほむら「嫌?」
杏子「……」
ほむら「沈黙ってことは、拒否する気がないってことかしら」
杏子「……」コクッ
杏子「うん」
ほむら「馴れ合うつもりはない」
杏子「ああ……」
ほむら「ただ、どうしても……」
ほむら「一人ぼっちが寂しいというのなら」
ほむら「その所為で、魔獣と戦うのがおろそかになるというのなら――」
杏子「……?」
ほむら「私が――」チュッ
杏子「お前、な、何して……」
ほむら「嫌?」
杏子「……」
ほむら「沈黙ってことは、拒否する気がないってことかしら」
杏子「……」コクッ
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 07:07:40.62 ID:TzmHv53n0
柔らかい唇、弾力のある胸、艶やかな声
頭に血が上り、眩暈がする―― 私は手を止めなかった
杏子「んっ…ほむら……」
ほむら「ちゅ……」
寂しかったのは私のほうだった
まどかのいない世界で、ただひとり生きていこうと決めていたのに
ほむら(私……何をしてるの……)チュ
杏子「ぁ……ん……」
ほむら(まどか…… まどかッ……)
舌が触れ、唾を飲み込む音が聞こえた
その感覚が私の理性を飲み込んでいく
――――――
―――
―
頭に血が上り、眩暈がする―― 私は手を止めなかった
杏子「んっ…ほむら……」
ほむら「ちゅ……」
寂しかったのは私のほうだった
まどかのいない世界で、ただひとり生きていこうと決めていたのに
ほむら(私……何をしてるの……)チュ
杏子「ぁ……ん……」
ほむら(まどか…… まどかッ……)
舌が触れ、唾を飲み込む音が聞こえた
その感覚が私の理性を飲み込んでいく
――――――
―――
―
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 07:10:37.11 ID:TzmHv53n0
ほむら「ごめんなさい」
杏子「あたしが拒まなかったから――」
ほむら「それでも、ごめんなさい」
杏子「……」
ほむら「こんなこと、するつもりじゃなかった」
杏子「卑怯だよ…… 謝るなんて」
ほむら「……」ポロポロ
ほむら「ごめ…ん…な……さい」グスッ
杏子「なんで、なんでほむらが泣いてるのさ……」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
杏子「あたしが拒まなかったから――」
ほむら「それでも、ごめんなさい」
杏子「……」
ほむら「こんなこと、するつもりじゃなかった」
杏子「卑怯だよ…… 謝るなんて」
ほむら「……」ポロポロ
ほむら「ごめ…ん…な……さい」グスッ
杏子「なんで、なんでほむらが泣いてるのさ……」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 07:14:26.64 ID:TzmHv53n0
――――
ほむら「何してるの」
杏子「なんだ、起きちゃったか」
ほむら「それ、大事なものだって知っているでしょ?」
杏子の手にはまどかから渡されたリボンが握られている
杏子「似合うかな」
ほむら「ふざけないで」
杏子「んだよ、そんなに怒らなくても――」
ほむら「いい加減しなさい」
杏子「……ごめん」
ほむら「何してるの」
杏子「なんだ、起きちゃったか」
ほむら「それ、大事なものだって知っているでしょ?」
杏子の手にはまどかから渡されたリボンが握られている
杏子「似合うかな」
ほむら「ふざけないで」
杏子「んだよ、そんなに怒らなくても――」
ほむら「いい加減しなさい」
杏子「……ごめん」
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 07:18:05.14 ID:TzmHv53n0
QB「暁美ほむら」
ほむら「キュゥべえ、どうかしたの?」
QB「巴マミが呼んでる」
ほむら「分かった、直ぐに向かうって伝えておいて」
杏子「……」
ほむら「貴女も一緒に行く?」
杏子「いいよ あたしは魔獣でも狩って来るさ」
ほむら「そう、いってらっしゃい」
杏子「ああ、行って来る」
ほむら「キュゥべえ、どうかしたの?」
QB「巴マミが呼んでる」
ほむら「分かった、直ぐに向かうって伝えておいて」
杏子「……」
ほむら「貴女も一緒に行く?」
杏子「いいよ あたしは魔獣でも狩って来るさ」
ほむら「そう、いってらっしゃい」
杏子「ああ、行って来る」
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 07:24:10.70 ID:TzmHv53n0
―― 巴マミの部屋 ――
ほむら「態々呼び出したりして何の用ですか?」
マミ「ちょっとね、急いで伝えないといけないことがあって……」
ほむら「それは重要なこと?」
マミ「この街を離れることになったの」
ほむら「それは……急…ですね」
マミ「他所でベテランの魔法少女が不足していて――」
ほむら「伝えたいことはそれだけですか?」
マミ「え、ええ、それだけだけど」
ほむら「だったら私はこれで……」
マミ「素っ気ないのね」
ほむら「……」
ほむら「態々呼び出したりして何の用ですか?」
マミ「ちょっとね、急いで伝えないといけないことがあって……」
ほむら「それは重要なこと?」
マミ「この街を離れることになったの」
ほむら「それは……急…ですね」
マミ「他所でベテランの魔法少女が不足していて――」
ほむら「伝えたいことはそれだけですか?」
マミ「え、ええ、それだけだけど」
ほむら「だったら私はこれで……」
マミ「素っ気ないのね」
ほむら「……」
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 07:28:34.87 ID:TzmHv53n0
ほむら「巴さんにはいろいろ助けてもらって感謝してます」
ほむら「この街で一緒に戦えなくなることは残念だけど、
貴女の考えに水を差すようなするつもりはありません」
マミ「少しは引き止めてくれたほうが嬉しいだけどなぁ」
ほむら「……どうせ決意は変わらないんでしょ?」
マミ「冷たいわね」
ほむら「そういう性格なんです」
マミ「……」
マミ「貴女はそれでいいの?」
ほむら「突然なんですか 話が見えません」
マミ「そんな荒んだ生き方で満足できるの?」
ほむら「生きてさえいれば、それで十分です」
ほむら「この街で一緒に戦えなくなることは残念だけど、
貴女の考えに水を差すようなするつもりはありません」
マミ「少しは引き止めてくれたほうが嬉しいだけどなぁ」
ほむら「……どうせ決意は変わらないんでしょ?」
マミ「冷たいわね」
ほむら「そういう性格なんです」
マミ「……」
マミ「貴女はそれでいいの?」
ほむら「突然なんですか 話が見えません」
マミ「そんな荒んだ生き方で満足できるの?」
ほむら「生きてさえいれば、それで十分です」
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 07:33:09.36 ID:TzmHv53n0
マミ「毎日毎日、寝て起きて魔獣を倒すだけの繰り返しで空しくならない?」
ほむら「私には……何もないから――」
マミ「そのリボン以外?」
ほむら「ええ」
マミ「まどか……ね」
ほむら「……」
マミ「その人が今の貴女をみたらどう思うかしらね」
ほむら「そんなことを考えても不毛です」
マミ「……」
ほむら「私には……これしかないから」
ほむら「この世界と供に生きていくだけなんです」
ほむら「私には……何もないから――」
マミ「そのリボン以外?」
ほむら「ええ」
マミ「まどか……ね」
ほむら「……」
マミ「その人が今の貴女をみたらどう思うかしらね」
ほむら「そんなことを考えても不毛です」
マミ「……」
ほむら「私には……これしかないから」
ほむら「この世界と供に生きていくだけなんです」
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 07:38:43.25 ID:TzmHv53n0
ほむら「他に話がないのなら、もう行きます」
マミ「ええ、それじゃ……」
マミ「佐倉さんのこと、頼んだわよ」
ほむら「……」
マミ「あの子、貴女に懐いているみたいだし」
ほむら「正直、迷惑――」
マミ「そんなふうには見えないけどな 貴方たち二人は
なんだかんだいって、仲良くやっていると思うわ」
ほむら「……」
マミ「本当にどうして貴女なのかしらね……
私のほうが付き合いも長いし、これでも師弟関係だったこともあったのに」
マミ「少し、嫉妬しちゃうなぁ」
マミ「ええ、それじゃ……」
マミ「佐倉さんのこと、頼んだわよ」
ほむら「……」
マミ「あの子、貴女に懐いているみたいだし」
ほむら「正直、迷惑――」
マミ「そんなふうには見えないけどな 貴方たち二人は
なんだかんだいって、仲良くやっていると思うわ」
ほむら「……」
マミ「本当にどうして貴女なのかしらね……
私のほうが付き合いも長いし、これでも師弟関係だったこともあったのに」
マミ「少し、嫉妬しちゃうなぁ」
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 07:42:34.24 ID:TzmHv53n0
マミ「貴女にとってまどかって娘が大切だってことは分かったわ」
マミ「でも、他に大切なもの持ってはいけない理由はなんなの?
貴女を見ていると、なんだか自分を追い詰めているように思えるわ」
ほむら「私には、まどかしかいないの」
マミ「強情ね……」
ほむら「……私、そろそろ行きます さようなら、巴さん」
マミ「ねぇ、暁美さん……」
ほむら「……さよなら」バタン
――――
これは私自身が科した使命だ
まどかの世界を見届ける…… どんなことがあっても
私の願いの結末が、この世界を作り出してしまった
まどかに神になるなんていう業を背負わせてしまったんだから
一人で戦い続けなければならないんだ
それなのに、それなのに私は――
マミ「でも、他に大切なもの持ってはいけない理由はなんなの?
貴女を見ていると、なんだか自分を追い詰めているように思えるわ」
ほむら「私には、まどかしかいないの」
マミ「強情ね……」
ほむら「……私、そろそろ行きます さようなら、巴さん」
マミ「ねぇ、暁美さん……」
ほむら「……さよなら」バタン
――――
これは私自身が科した使命だ
まどかの世界を見届ける…… どんなことがあっても
私の願いの結末が、この世界を作り出してしまった
まどかに神になるなんていう業を背負わせてしまったんだから
一人で戦い続けなければならないんだ
それなのに、それなのに私は――
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 07:46:40.83 ID:TzmHv53n0
マミ「だめね…… もっと上手く話せると思ったのに」
QB「お節介焼きもここまで来ると大したもんだよ」
マミ「これだけは言っておかないとだめだと思ってね」
マミ「でも、だめだったみたいだけど……」
QB「暁美ほむらは頑固な性格だからね」
マミ「あんな風に自分を責め立てて生きていたら……長くは持たないわ」
QB「だろうね」
マミ「キュゥべえからも何か言ってよ」
QB「無茶だよ 何故か知らないけれど、ボクは嫌われているみたいだからね」
マミ「……そう」
QB「お節介焼きもここまで来ると大したもんだよ」
マミ「これだけは言っておかないとだめだと思ってね」
マミ「でも、だめだったみたいだけど……」
QB「暁美ほむらは頑固な性格だからね」
マミ「あんな風に自分を責め立てて生きていたら……長くは持たないわ」
QB「だろうね」
マミ「キュゥべえからも何か言ってよ」
QB「無茶だよ 何故か知らないけれど、ボクは嫌われているみたいだからね」
マミ「……そう」
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 07:50:23.36 ID:TzmHv53n0
マミ「ありがとね……キュゥべえ」
QB「どうしたんだい? 藪からスティックに」
QB「御礼を言うのはボクのほうさ いつもいつも魔獣狩りご苦労様」
マミ「辛いことの方が一杯だったけど、楽しかったな」
マミ「弟子は他の女に盗られて、後輩は先に逝っちゃたけど……」
QB「君の魔法少女生活はなかなかに幸薄だったね」
マミ「それでも、美樹さんと佐倉さんと暁美さんと一緒にいられて楽しかったわ
私の部屋でケーキを切り分けて、紅茶を淹れて、他愛のない話をして――」
マミ「あのとき、死にかけていた私と契約してくれてありがとう」
QB「君が納得のいく時間を過ごせてなによりだ」
QB「どうしたんだい? 藪からスティックに」
QB「御礼を言うのはボクのほうさ いつもいつも魔獣狩りご苦労様」
マミ「辛いことの方が一杯だったけど、楽しかったな」
マミ「弟子は他の女に盗られて、後輩は先に逝っちゃたけど……」
QB「君の魔法少女生活はなかなかに幸薄だったね」
マミ「それでも、美樹さんと佐倉さんと暁美さんと一緒にいられて楽しかったわ
私の部屋でケーキを切り分けて、紅茶を淹れて、他愛のない話をして――」
マミ「あのとき、死にかけていた私と契約してくれてありがとう」
QB「君が納得のいく時間を過ごせてなによりだ」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 07:54:41.12 ID:TzmHv53n0
マミ「魔法少女になったときから、死ぬ覚悟はしていたつもり
だから後悔のないよう、自分の信じた生き方をしてきた」
マミ「キュゥべえ、貴方と出会えてよかった 私に素敵な時間をありがとう」
マミ(暁美さん、佐倉さん…… 貴方達も悔いのないように、ね)
マミ「……あっ」カチャ
マミの手からお気に入りのティーカップが滑り落ちる
陶器の割れる甲高い音が部屋に響き渡った
マミ「やっちゃったなー これ、高かったのに……」
QB「やれやれ…… マミはこういう失敗さえなければ完璧なのに」
マミ「あれ…… キュゥべえ、いつからそこに?」
QB「さっきまで話していたじゃないか」
マミ「そ、そうだったかしら…… 最近物忘れが多いと思っていたけど
ついさっきまで何を話していたか思い出せないなんて……」
QB「魔獣退治で疲れているんだよ」
マミ「うーん…… こんなんじゃ佐倉さんのこと、忘れ物が多いなんて笑えないわね」
QB(潮時……かな…… お疲れ様、巴マミ)
だから後悔のないよう、自分の信じた生き方をしてきた」
マミ「キュゥべえ、貴方と出会えてよかった 私に素敵な時間をありがとう」
マミ(暁美さん、佐倉さん…… 貴方達も悔いのないように、ね)
マミ「……あっ」カチャ
マミの手からお気に入りのティーカップが滑り落ちる
陶器の割れる甲高い音が部屋に響き渡った
マミ「やっちゃったなー これ、高かったのに……」
QB「やれやれ…… マミはこういう失敗さえなければ完璧なのに」
マミ「あれ…… キュゥべえ、いつからそこに?」
QB「さっきまで話していたじゃないか」
マミ「そ、そうだったかしら…… 最近物忘れが多いと思っていたけど
ついさっきまで何を話していたか思い出せないなんて……」
QB「魔獣退治で疲れているんだよ」
マミ「うーん…… こんなんじゃ佐倉さんのこと、忘れ物が多いなんて笑えないわね」
QB(潮時……かな…… お疲れ様、巴マミ)
57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 07:58:49.18 ID:TzmHv53n0
―――― 商店街 ――――
ほむら「巴マミ……」
彼女の言いたいことは、分かっているつもりだ
昔から彼女の面倒見のよさは知っている……
ほむら「友達……か」
まどかは一人、この世界を見守っている 私だけがこの世界で呑気に過ごしてなんて、
そんなことが赦されるわけがない それに、私は杏子に対してあんな酷いことを――
杏子「ほむら~」
ほむら「どうしたの、こんなところで」
杏子「いやぁ、パトロール中にいいもん手に入れてさっ」
ほむら「いいもの?」
じゃじゃーんっと効果音をつけながら差し出すチケット二枚
見滝原に近年出来た水族館の無料権のようだ
杏子「へへっ、八百屋のおっちゃんからもらった
いつも利用してくれてる二人にサービスだって」
ほむら「巴マミ……」
彼女の言いたいことは、分かっているつもりだ
昔から彼女の面倒見のよさは知っている……
ほむら「友達……か」
まどかは一人、この世界を見守っている 私だけがこの世界で呑気に過ごしてなんて、
そんなことが赦されるわけがない それに、私は杏子に対してあんな酷いことを――
杏子「ほむら~」
ほむら「どうしたの、こんなところで」
杏子「いやぁ、パトロール中にいいもん手に入れてさっ」
ほむら「いいもの?」
じゃじゃーんっと効果音をつけながら差し出すチケット二枚
見滝原に近年出来た水族館の無料権のようだ
杏子「へへっ、八百屋のおっちゃんからもらった
いつも利用してくれてる二人にサービスだって」
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 08:02:26.40 ID:TzmHv53n0
ほむら「そう、良かったわね 私は魔獣――」
杏子「ほむら、これから暇だよな 一緒に行こうぜ? な?」
杏子「本当はさやかとマミさんも誘いたかったんだけど、残念ながら2枚しかないんだよ」
ほむら(さやか……? 彼女はずっと前に――)
杏子「だから今日は二人で行こうよ 居候させてもらってる身の私からのプレゼントってことで」
ほむら「八百屋のおじさんからでしょ?」
杏子「いや、もうこのチケットはあたしのだから、あたしからのプレゼントだ」
ほむら「ふぅん……」
ほむら「まるでデートのお誘いね」
杏子「いや、そのつもりなんだけど?」
杏子「ほむら、これから暇だよな 一緒に行こうぜ? な?」
杏子「本当はさやかとマミさんも誘いたかったんだけど、残念ながら2枚しかないんだよ」
ほむら(さやか……? 彼女はずっと前に――)
杏子「だから今日は二人で行こうよ 居候させてもらってる身の私からのプレゼントってことで」
ほむら「八百屋のおじさんからでしょ?」
杏子「いや、もうこのチケットはあたしのだから、あたしからのプレゼントだ」
ほむら「ふぅん……」
ほむら「まるでデートのお誘いね」
杏子「いや、そのつもりなんだけど?」
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 08:06:20.36 ID:TzmHv53n0
ほむら「だったら遠慮させてもらうわ……」
杏子「うわっ、ひでぇ…… あたしのこと嫌いか?」
ほむら「別に、好きとか嫌いとかそういうのじゃなくて」
杏子「だぁーもー、五月蝿いなー つべこべ言わずに行こうよ、な?」
ほむら「強引ね」
杏子「こうでもしないと、ほむらは魔獣としか遊ばないからだよっ」ヘヘッ
ほむら「……分かった」
杏子「やった! 全は急げだ、駅向かうぞ駅」
ほむら(テンション高…… ここ最近の彼女とはまるで別人じゃない)
ほむら(まるで美樹さやかの生きていたときみたい……)
杏子「うわっ、ひでぇ…… あたしのこと嫌いか?」
ほむら「別に、好きとか嫌いとかそういうのじゃなくて」
杏子「だぁーもー、五月蝿いなー つべこべ言わずに行こうよ、な?」
ほむら「強引ね」
杏子「こうでもしないと、ほむらは魔獣としか遊ばないからだよっ」ヘヘッ
ほむら「……分かった」
杏子「やった! 全は急げだ、駅向かうぞ駅」
ほむら(テンション高…… ここ最近の彼女とはまるで別人じゃない)
ほむら(まるで美樹さやかの生きていたときみたい……)
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 08:11:23.86 ID:TzmHv53n0
―――― 見滝原水族館 ――――
杏子「なぁ…… ペンギンって食べたら美味しいのかな」
ほむら「どうかしら…… というかあれ、食べたいの?」
――――
杏子「ほむら…… アシカって食べ――」
ほむら「ショーを楽しみなさいよ……」
――――
ほむら(こんな風に遊びに来るのって久しぶりね……)
ほむら(でも、こんなことしてる場合じゃない
私は一匹でも多く、この世界の脅威を取り払わないと――)
杏子「ほーむらー、なにくらい顔してんだよ……
あたしとじゃつまらなかったか?」
ほむら「いえ、そんなことはないけど」
杏子「あっ…… このイルカのぬいぐるみ、さやかっぽい……」
ほむら(えっ? イルカのどの辺が美樹さやかっぽいの?)
杏子「なぁ…… ペンギンって食べたら美味しいのかな」
ほむら「どうかしら…… というかあれ、食べたいの?」
――――
杏子「ほむら…… アシカって食べ――」
ほむら「ショーを楽しみなさいよ……」
――――
ほむら(こんな風に遊びに来るのって久しぶりね……)
ほむら(でも、こんなことしてる場合じゃない
私は一匹でも多く、この世界の脅威を取り払わないと――)
杏子「ほーむらー、なにくらい顔してんだよ……
あたしとじゃつまらなかったか?」
ほむら「いえ、そんなことはないけど」
杏子「あっ…… このイルカのぬいぐるみ、さやかっぽい……」
ほむら(えっ? イルカのどの辺が美樹さやかっぽいの?)
65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 08:15:36.09 ID:TzmHv53n0
杏子「うーん、一通り回り終わったかなー」
ほむら「そうね」
杏子「どれもこれも美味しそうだった」
ほむら「その感想は可笑しいわ」フフッ
杏子「やっと笑った」
ほむら「え?」
杏子「なんか今日一日ずっと楽しそうじゃなかったし」
ほむら「そんなことないけど……」
杏子「それなら良かった」ニシシ
ほむら(ああ、杏子ってこんな風に笑ってたっけ
随分久しぶりにみたかな……素直に笑う杏子の顔……)
ほむら「そうね」
杏子「どれもこれも美味しそうだった」
ほむら「その感想は可笑しいわ」フフッ
杏子「やっと笑った」
ほむら「え?」
杏子「なんか今日一日ずっと楽しそうじゃなかったし」
ほむら「そんなことないけど……」
杏子「それなら良かった」ニシシ
ほむら(ああ、杏子ってこんな風に笑ってたっけ
随分久しぶりにみたかな……素直に笑う杏子の顔……)
66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 08:19:05.22 ID:TzmHv53n0
杏子「さて、あとはお土産コーナーでも見てくかな
さやかには何買って行ってやろーかなー」
ほむら(またさやかの名前を口に出すなんて……)
ほむら「ねぇ、杏子 今日の貴方変よ?」
杏子「そんなに変か?」
ほむら「美樹さやかのことをそんに口にするなんて珍しいわ」
杏子「珍しいか? ほむらはあたしとさやかが
友達になれるように取り計らってくれたりしてるじゃん?」
ほむら「それはずっと前の話でしょ」
ほむら「彼女が亡くなってからは話題に出てくることも少なく――」
杏子「は? 何言ってんだよ…… さやかが死んだ?」
ほむら「ええ、クラスの友達を守るために身を挺して――」
杏子「ほむらって、そういう冗談言うヤツじゃないだろ?」
ほむら「……冗談?」
杏子「んだよ……折角遊びに誘ったのにそんな与太話を聞かされるなんて思っても無かった」
さやかには何買って行ってやろーかなー」
ほむら(またさやかの名前を口に出すなんて……)
ほむら「ねぇ、杏子 今日の貴方変よ?」
杏子「そんなに変か?」
ほむら「美樹さやかのことをそんに口にするなんて珍しいわ」
杏子「珍しいか? ほむらはあたしとさやかが
友達になれるように取り計らってくれたりしてるじゃん?」
ほむら「それはずっと前の話でしょ」
ほむら「彼女が亡くなってからは話題に出てくることも少なく――」
杏子「は? 何言ってんだよ…… さやかが死んだ?」
ほむら「ええ、クラスの友達を守るために身を挺して――」
杏子「ほむらって、そういう冗談言うヤツじゃないだろ?」
ほむら「……冗談?」
杏子「んだよ……折角遊びに誘ったのにそんな与太話を聞かされるなんて思っても無かった」
68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 08:23:57.29 ID:TzmHv53n0
ほむら「貴女、熱でもある?」
杏子「そっちこそ頭狂ってんじゃねーの?」
杏子「さやかとはやっと友達になれたのに……」
友達になれたのに…… それなのに……」
杏子「そんな…… 死ぬわけないじゃん
ほむらはあたしにそんな嘘ついて楽しいわけ?」
杏子「うぅ……あ……」ズキッ
頭を抱え込むようにして蹲る杏子
苦しそうにうめき声を上げている
ほむら「どうしたの杏子、大丈夫!?」
杏子「あ、あれ? ……あたし何してたんだっけ?
商店街近辺で魔獣と戦ってて……」
杏子「ほむら……、えっと、いつから一緒に――
なんで私たちは水族館なんかにいるんだ?」
ほむら「魔獣の仕業……幻惑系の魔法?」
杏子「幻惑? それは私の得意分野だ そんなヘマしないさ」
ほむら(だったらどうして……?)
杏子「そっちこそ頭狂ってんじゃねーの?」
杏子「さやかとはやっと友達になれたのに……」
友達になれたのに…… それなのに……」
杏子「そんな…… 死ぬわけないじゃん
ほむらはあたしにそんな嘘ついて楽しいわけ?」
杏子「うぅ……あ……」ズキッ
頭を抱え込むようにして蹲る杏子
苦しそうにうめき声を上げている
ほむら「どうしたの杏子、大丈夫!?」
杏子「あ、あれ? ……あたし何してたんだっけ?
商店街近辺で魔獣と戦ってて……」
杏子「ほむら……、えっと、いつから一緒に――
なんで私たちは水族館なんかにいるんだ?」
ほむら「魔獣の仕業……幻惑系の魔法?」
杏子「幻惑? それは私の得意分野だ そんなヘマしないさ」
ほむら(だったらどうして……?)
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 08:28:25.68 ID:TzmHv53n0
―――― ほむらの部屋 ――――
ほむら「今日はゆっくり休みなさい」
杏子「うん…… なんか悪いな」
ほむら「この借りは戦場で返してくれればいいわ」
杏子「任せてよ」
ほむら「お粥でも作ろうか…… 食べられる?」
杏子「3人前くらいなら」
ほむら「それは食べすぎよ…… ちょっと待ってなさい」
杏子「ありがと」
ほむら「今日はゆっくり休みなさい」
杏子「うん…… なんか悪いな」
ほむら「この借りは戦場で返してくれればいいわ」
杏子「任せてよ」
ほむら「お粥でも作ろうか…… 食べられる?」
杏子「3人前くらいなら」
ほむら「それは食べすぎよ…… ちょっと待ってなさい」
杏子「ありがと」
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 08:33:28.97 ID:TzmHv53n0
――――
ほむら「キュゥべえ」
QB「呼んだかい?」
ほむら「アレはなんなの」
QB「アレっていうのは?」
ほむら「惚けないで…… 杏子のこと、彼女変よ」
QB「そうかな、昔からあんな感じで忘れっぽい子だったよ
マミの家に遊びに行ったら、いつも何か忘れて帰っていたし」
ほむら「キュゥべえ、そんなことを聞いているんじゃないの」
QB「……潮時だね」
ほむら「どういう意味?」
QB「彼女のソウルジェムに限界が近づいている」
QB「契約のときに話したと思うけれど――
あぁ、君はこの世界で契約した魔法少女じゃなかったっけ?」
ほむら「詳しく説明してちょうだい」
ほむら「キュゥべえ」
QB「呼んだかい?」
ほむら「アレはなんなの」
QB「アレっていうのは?」
ほむら「惚けないで…… 杏子のこと、彼女変よ」
QB「そうかな、昔からあんな感じで忘れっぽい子だったよ
マミの家に遊びに行ったら、いつも何か忘れて帰っていたし」
ほむら「キュゥべえ、そんなことを聞いているんじゃないの」
QB「……潮時だね」
ほむら「どういう意味?」
QB「彼女のソウルジェムに限界が近づいている」
QB「契約のときに話したと思うけれど――
あぁ、君はこの世界で契約した魔法少女じゃなかったっけ?」
ほむら「詳しく説明してちょうだい」
73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 08:38:05.42 ID:TzmHv53n0
QB「単純なことさ、魔法少女としての寿命だよ
それに伴って様々な異常を来たす事があるんだ 今の杏子みたいにね」
ほむら「ソウルジェムに魂を移し変えれば、いつまでも戦い続けられるはず――」
QB「それは君たちの世界、魔法少女が魔女として孵化する世界の話だろう?
この世界では、君たち魔法少女はずっと少女のままだ。魔女になることはない」
QB「魔法少女は長くは生きられない 魔女になんて決してならないよ
少女のまま、その天命を全うするんだ」
ほむら「本当?」
QB「ボクは嘘をつかない」
QB「考えてもみなよ 魔法少女になったが最後、100年も200年も それこそ何千年も――
ただただ魔獣を狩ることだけを強いられるなんて……人の精神が持つとは思えない」
QB「神が与えた慈悲か悪意か……君たちにも終わりが訪れるというわけだ」
ほむら「……」
QB「ボクとしては一人の魔法少女が何百年と戦ってくれたほうが楽なんだけどね」
それに伴って様々な異常を来たす事があるんだ 今の杏子みたいにね」
ほむら「ソウルジェムに魂を移し変えれば、いつまでも戦い続けられるはず――」
QB「それは君たちの世界、魔法少女が魔女として孵化する世界の話だろう?
この世界では、君たち魔法少女はずっと少女のままだ。魔女になることはない」
QB「魔法少女は長くは生きられない 魔女になんて決してならないよ
少女のまま、その天命を全うするんだ」
ほむら「本当?」
QB「ボクは嘘をつかない」
QB「考えてもみなよ 魔法少女になったが最後、100年も200年も それこそ何千年も――
ただただ魔獣を狩ることだけを強いられるなんて……人の精神が持つとは思えない」
QB「神が与えた慈悲か悪意か……君たちにも終わりが訪れるというわけだ」
ほむら「……」
QB「ボクとしては一人の魔法少女が何百年と戦ってくれたほうが楽なんだけどね」
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 08:43:32.07 ID:TzmHv53n0
QB「君にとって初耳だったようだけど、全ての魔法少女に言ってあることだよ」
QB「だけど、このことを記憶できる魔法少女はいない
それがどうしてかはボクたちには分かってはいないんだ」
ほむら「なんなのよそれ……」
QB「まぁ通常なら、障害が起こる前に円環の理へと誘われるはずなんだけどね」
ほむら「それじゃあ杏子は――」
QB「長くはないよ 記憶の混乱が著しいし、本来なら既に導かれていても不思議じゃない」
ほむら「……何か私できることは」
QB「何もない…… 彼女はよくやったよ
ボクが見てきたなかでも、魔法少女として非常に優秀だった」
ほむら「……」
QB「何かしてやりたいと思うのなら、少しは素直に接してやることだね」
ほむら「貴方がそんなことを言うだなんて……どういう風の吹き回し?」
QB「だけど、このことを記憶できる魔法少女はいない
それがどうしてかはボクたちには分かってはいないんだ」
ほむら「なんなのよそれ……」
QB「まぁ通常なら、障害が起こる前に円環の理へと誘われるはずなんだけどね」
ほむら「それじゃあ杏子は――」
QB「長くはないよ 記憶の混乱が著しいし、本来なら既に導かれていても不思議じゃない」
ほむら「……何か私できることは」
QB「何もない…… 彼女はよくやったよ
ボクが見てきたなかでも、魔法少女として非常に優秀だった」
ほむら「……」
QB「何かしてやりたいと思うのなら、少しは素直に接してやることだね」
ほむら「貴方がそんなことを言うだなんて……どういう風の吹き回し?」
76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 08:46:29.20 ID:TzmHv53n0
QB「勘違いしないでほしけど、これはボクの考えじゃない
巴マミがそういっていただけだ」
ほむら「そう……」
QB「用はそれだけかい?
ボクは次の候補を見定めに行かなくちゃならないんだ」
ほむら「ええ、行っていいわ……」
――――
QB「これで杏子もお終いか」
QB「……」
QB「さてと、次の魔法少女はどんな娘かな……」
巴マミがそういっていただけだ」
ほむら「そう……」
QB「用はそれだけかい?
ボクは次の候補を見定めに行かなくちゃならないんだ」
ほむら「ええ、行っていいわ……」
――――
QB「これで杏子もお終いか」
QB「……」
QB「さてと、次の魔法少女はどんな娘かな……」
78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 08:51:07.66 ID:TzmHv53n0
ほむら「お待たせ」
杏子「……」スースー
ほむら「寝ちゃったの?」
杏子(父さん、母さん……モモ……)ムニャムニャ
ほむら「……寝ているときは素直で可愛いのに」
なんとくなく杏子の髪に手を伸ばし、指に絡める
しばらくの間、くるくると指先で弄ぶ
ほむら(寿命だってさ……)
杏子「……う……うん?」
ほむら「起こしちゃった?」
杏子「……お腹すいた」
ほむら「食べる?」
杏子「うん」
杏子「……」スースー
ほむら「寝ちゃったの?」
杏子(父さん、母さん……モモ……)ムニャムニャ
ほむら「……寝ているときは素直で可愛いのに」
なんとくなく杏子の髪に手を伸ばし、指に絡める
しばらくの間、くるくると指先で弄ぶ
ほむら(寿命だってさ……)
杏子「……う……うん?」
ほむら「起こしちゃった?」
杏子「……お腹すいた」
ほむら「食べる?」
杏子「うん」
80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 08:55:24.83 ID:TzmHv53n0
杏子「熱ッ」
ほむら「慌てないでゆっくり食べなさい」
杏子「う゛ー」
火傷した舌をちょろっと出して椀をにらみつけている
そのしぐさはどことなく犬っぽくて可愛らしい
ほむら「食べさせてあげようか」
杏子「え゛っ」
ほむら「その不満そうな声はなんなの?」
杏子「ほむらがあたしに優しくするなんて珍しい」
ほむら「嫌なら食べさせてあげない」
杏子「すみませんでした」
ほむら「素直でよろしい」
ほむら「慌てないでゆっくり食べなさい」
杏子「う゛ー」
火傷した舌をちょろっと出して椀をにらみつけている
そのしぐさはどことなく犬っぽくて可愛らしい
ほむら「食べさせてあげようか」
杏子「え゛っ」
ほむら「その不満そうな声はなんなの?」
杏子「ほむらがあたしに優しくするなんて珍しい」
ほむら「嫌なら食べさせてあげない」
杏子「すみませんでした」
ほむら「素直でよろしい」
82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 09:00:08.90 ID:TzmHv53n0
ほむら「はい」
杏子「あーん」
ほむら「美味しい?」
杏子「うむ、庶民らしく粗野だが美味である」
ほむら「何様?」
杏子「風を引いたときは何を言っても許してもらえる様」
ほむら「なによそれ」クスッ
思わず笑みが零れる
杏子はその一瞬を見逃さなかった
杏子「うん、やっぱりほむらは笑ってたほうがいいよ」
ほむら「茶化さないの 残り食べさせてあげないわよ」
杏子「あーん」
ほむら「美味しい?」
杏子「うむ、庶民らしく粗野だが美味である」
ほむら「何様?」
杏子「風を引いたときは何を言っても許してもらえる様」
ほむら「なによそれ」クスッ
思わず笑みが零れる
杏子はその一瞬を見逃さなかった
杏子「うん、やっぱりほむらは笑ってたほうがいいよ」
ほむら「茶化さないの 残り食べさせてあげないわよ」
83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 09:03:00.89 ID:TzmHv53n0
ほむら「それで、気分はよくなった?」
杏子「平気平気」
ほむら「よかった」
杏子「……」
ほむら「貴女が居なくなったら――」
杏子「貴重な戦力が無くなるもんな」
ほむら「……さ……し…い…」
杏子「なんだって?」
ほむら「な、なんでもない」
杏子「そっか」
杏子「平気平気」
ほむら「よかった」
杏子「……」
ほむら「貴女が居なくなったら――」
杏子「貴重な戦力が無くなるもんな」
ほむら「……さ……し…い…」
杏子「なんだって?」
ほむら「な、なんでもない」
杏子「そっか」
85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 09:06:15.80 ID:TzmHv53n0
杏子「……いろいろあったけど、まぁその、なんだ」
杏子「家族を失ったときは、何かもが終わったんだと思ったけど
ほむらと一緒に暮らすようになって、さやかとも友達になれたし」
杏子「あたしの人生も、わりと楽しかった……かも……なんて……」
ほむら「何よ……もうこれでお終いみたいな言い方じゃない」
杏子「……」
ほむら「……」
杏子「まさか あたしが居ないと困るだろ?
近距離戦に特化したあたしと、ほむらの弓でのコンビネーションは無敵だ」
ほむら「そうよ、頼りにしてるわ」
杏子「ああ、任せてよ」
杏子「家族を失ったときは、何かもが終わったんだと思ったけど
ほむらと一緒に暮らすようになって、さやかとも友達になれたし」
杏子「あたしの人生も、わりと楽しかった……かも……なんて……」
ほむら「何よ……もうこれでお終いみたいな言い方じゃない」
杏子「……」
ほむら「……」
杏子「まさか あたしが居ないと困るだろ?
近距離戦に特化したあたしと、ほむらの弓でのコンビネーションは無敵だ」
ほむら「そうよ、頼りにしてるわ」
杏子「ああ、任せてよ」
87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 09:10:31.75 ID:TzmHv53n0
―――― 翌日 ――――
杏子「居残り?」ゴホゴホッ
ほむら「魔法少女が風邪だなんて……笑えないジョークね」
杏子「普段だったら魔力で直ぐに直るのに なんでかなぁ」
ほむら「今日はゆっくり休みなさい」
杏子「う゛ー」
ほむら「駄々をこねないで」
ほむら「マミさんに会って、何か美味しいもの作ってもらってくるから」
杏子「うん?」
ほむら「それじゃ、留守番たのんだわよ」
杏子「あ……ああ……」
杏子「居残り?」ゴホゴホッ
ほむら「魔法少女が風邪だなんて……笑えないジョークね」
杏子「普段だったら魔力で直ぐに直るのに なんでかなぁ」
ほむら「今日はゆっくり休みなさい」
杏子「う゛ー」
ほむら「駄々をこねないで」
ほむら「マミさんに会って、何か美味しいもの作ってもらってくるから」
杏子「うん?」
ほむら「それじゃ、留守番たのんだわよ」
杏子「あ……ああ……」
88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 09:13:44.13 ID:TzmHv53n0
マミさん……?
聞き覚えのない名前だな
ほむらにあたし以外に知り合いっていたんだ
魔法少女の知り合い…… だったら協力関係を結んでるのか?
その可能性は十分にありうる……よな……
ということはあたしは――
ただ寝ているだけで、ほむらの役に立ててないあたしのことなんて――
必要のない存在…… 用済みになっちゃう?
ほむらにとってあたしは――
友達でもなんでもないだ
だから……
聞き覚えのない名前だな
ほむらにあたし以外に知り合いっていたんだ
魔法少女の知り合い…… だったら協力関係を結んでるのか?
その可能性は十分にありうる……よな……
ということはあたしは――
ただ寝ているだけで、ほむらの役に立ててないあたしのことなんて――
必要のない存在…… 用済みになっちゃう?
ほむらにとってあたしは――
友達でもなんでもないだ
だから……
91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 09:18:38.96 ID:TzmHv53n0
―――― 巴マミのマンション ――――
ほむら「……」ピンポーン
インターホンによる電子音が空しく響き渡る
部屋に灯りは無い……どうやら留守のようだ
ほむら「居ないのかしら?」
**「そこに住んでいた人なら、昨日引っ越したわよ」
突然後ろから中年の女性に話しかけられた
**「聞いていなかったの? あの子、しっかりしていたから、
お友達に報告していなかったなんて意外ねぇ」
ほむら「そうですか…… 有難うございます」
――――
ほむら「昨日の今日で直ぐに居なくなるなんて……」
キュゥべえの言っていたこと、確かめたかったのに」
ほむら(巴さん……)
ほむら「……杏子のために、何処かで美味しいもの買って帰らないと」
ほむら「……」ピンポーン
インターホンによる電子音が空しく響き渡る
部屋に灯りは無い……どうやら留守のようだ
ほむら「居ないのかしら?」
**「そこに住んでいた人なら、昨日引っ越したわよ」
突然後ろから中年の女性に話しかけられた
**「聞いていなかったの? あの子、しっかりしていたから、
お友達に報告していなかったなんて意外ねぇ」
ほむら「そうですか…… 有難うございます」
――――
ほむら「昨日の今日で直ぐに居なくなるなんて……」
キュゥべえの言っていたこと、確かめたかったのに」
ほむら(巴さん……)
ほむら「……杏子のために、何処かで美味しいもの買って帰らないと」
95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 09:22:31.45 ID:TzmHv53n0
ほむら「何にしようかな」
何を買っていったら喜んでくれるだろうか そんなことを考えて
街中を散策しているとソウルジェムが震えだすのを感じ取った
ほむら(瘴気……魔獣が現れたみたいね……)
マミさんがこの街を去った
杏子は家で休んでいる
つまり、今戦えるのは私だけだ
――――
ほむら「この辺りのはず……」
**「ちっ」
魔獣「 ―― 」
ほむら「誰か戦っている?」
ほむら(もう新しい魔法少女をキュゥべえが用意したの……?)
何を買っていったら喜んでくれるだろうか そんなことを考えて
街中を散策しているとソウルジェムが震えだすのを感じ取った
ほむら(瘴気……魔獣が現れたみたいね……)
マミさんがこの街を去った
杏子は家で休んでいる
つまり、今戦えるのは私だけだ
――――
ほむら「この辺りのはず……」
**「ちっ」
魔獣「 ―― 」
ほむら「誰か戦っている?」
ほむら(もう新しい魔法少女をキュゥべえが用意したの……?)
97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 09:26:46.13 ID:TzmHv53n0
**「ぐ…あっ……痛ッ……」
ほむら「この声……まさか――」
魔獣「グシャアアアアア」
ほむら「杏子ッ 何やってるの」シュ
弓を具現化し、魔獣の頭部と思われる箇所を貫いた
不気味な断末魔を上げながら魔獣は霧散してゆく
杏子「ッ……余計なことしやがって」
ほむら「……」パンッ
右手で一振り―― 私は杏子を叩いていた
杏子「な……!?」
ほむら「馬鹿……もう少し私の到着が遅かったらどうなってたと思う!?」
杏子「……問題なかったさ」
ほむら「この声……まさか――」
魔獣「グシャアアアアア」
ほむら「杏子ッ 何やってるの」シュ
弓を具現化し、魔獣の頭部と思われる箇所を貫いた
不気味な断末魔を上げながら魔獣は霧散してゆく
杏子「ッ……余計なことしやがって」
ほむら「……」パンッ
右手で一振り―― 私は杏子を叩いていた
杏子「な……!?」
ほむら「馬鹿……もう少し私の到着が遅かったらどうなってたと思う!?」
杏子「……問題なかったさ」
98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 09:29:12.35 ID:TzmHv53n0
ほむら「問題ない? そうね、滞りなくあなたがやられていたわね」
杏子「……」
ほむら「そもそもその格好はなんなの?」
普段着のまま、槍だけを具現化してる杏子を指差して私は問う
杏子「ハンデだよ」
ほむら「ハンデ?」
杏子「緊張感が足りなくてさ」
ほむら「その結果がそれ?」
真っ赤に染まった上着―― 左腕の肘から先がなくなっている
ほむら「ふざけるのもいい加減にしなさい!」
杏子「……」ビクッ
ほむら「貴女……死にたいの?」
杏子「……」
ほむら「そもそもその格好はなんなの?」
普段着のまま、槍だけを具現化してる杏子を指差して私は問う
杏子「ハンデだよ」
ほむら「ハンデ?」
杏子「緊張感が足りなくてさ」
ほむら「その結果がそれ?」
真っ赤に染まった上着―― 左腕の肘から先がなくなっている
ほむら「ふざけるのもいい加減にしなさい!」
杏子「……」ビクッ
ほむら「貴女……死にたいの?」
101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 09:32:52.90 ID:TzmHv53n0
杏子「……」ゴホゴホッ
ほむら「……もういい、傷の手当てをして帰りましょう」
杏子「どう…し……て」
ほむら「何?」
杏子(雑魚一匹に苦戦するあたしに、どうして優しくするんだよ)ボソッ
ほむら「聞き取れない声でつぶやかれても分からないわ」
杏子「分からないんだ」
ほむら「言いたいことがあるならはっきり言いなさい」
杏子「……」
ほむら「だんまり?」
杏子「そっちこそ」
杏子「ちゃんと口に出して言ってくれないと――」
杏子「あたし、馬鹿だからわからないよ」ポロポロ
ほむら「……もういい、傷の手当てをして帰りましょう」
杏子「どう…し……て」
ほむら「何?」
杏子(雑魚一匹に苦戦するあたしに、どうして優しくするんだよ)ボソッ
ほむら「聞き取れない声でつぶやかれても分からないわ」
杏子「分からないんだ」
ほむら「言いたいことがあるならはっきり言いなさい」
杏子「……」
ほむら「だんまり?」
杏子「そっちこそ」
杏子「ちゃんと口に出して言ってくれないと――」
杏子「あたし、馬鹿だからわからないよ」ポロポロ
106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 09:37:29.47 ID:TzmHv53n0
―――― ほむらの部屋 ――――
ほむら「……キューブ、ここにある分は全て使っていいから」
杏子「いいよ、このままで」
ほむら「そんなこといったって、片手だけじゃ――」
杏子「いいからっ!」
ほむら「……」ビクッ
杏子「いいんだよ、このままで…… 疲れたし、もう寝るよ」
ほむら「……うん」
杏子「……」
ほむら「おやすみ、杏子」
ほむら「……キューブ、ここにある分は全て使っていいから」
杏子「いいよ、このままで」
ほむら「そんなこといったって、片手だけじゃ――」
杏子「いいからっ!」
ほむら「……」ビクッ
杏子「いいんだよ、このままで…… 疲れたし、もう寝るよ」
ほむら「……うん」
杏子「……」
ほむら「おやすみ、杏子」
108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 09:40:05.22 ID:TzmHv53n0
――――
ほむら「……」スースー
杏子(うん、よく寝てる)
杏子(ばいばい、ほむら)
豆電球一つの暗闇の中、杏子はゆっくりと立ち上がって歩き出そうとしたが、
足が縺れてバランスを崩してしまい勢い良く床に転んでしまった
杏子(痛ッ―― 起こしてないよな……)
ほむら「……猫って死ぬときは飼い主の前からいなくなるの、知ってた?」
杏子「その話は眉唾物だけどな」
杏子(もしかして最初から起きてのかな……)
ほむら「貴女もペットみたいなものだから、どこかに行っちゃうのかと思った」
ほむら「……」スースー
杏子(うん、よく寝てる)
杏子(ばいばい、ほむら)
豆電球一つの暗闇の中、杏子はゆっくりと立ち上がって歩き出そうとしたが、
足が縺れてバランスを崩してしまい勢い良く床に転んでしまった
杏子(痛ッ―― 起こしてないよな……)
ほむら「……猫って死ぬときは飼い主の前からいなくなるの、知ってた?」
杏子「その話は眉唾物だけどな」
杏子(もしかして最初から起きてのかな……)
ほむら「貴女もペットみたいなものだから、どこかに行っちゃうのかと思った」
110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 09:43:24.25 ID:TzmHv53n0
杏子「また人を犬かなにかみたいに言ってくれてさ」
ほむら「私が拾った犬みたいなものでしょ それで、その犬はどこに行くつもりなのかしら」
杏子「ここじゃないどこか」
ほむら「貴女の家はここでしょ」
杏子「違うよ」
杏子「もう…… あたしの居てもいい場所じゃなくなったんだ」
ほむら「どうして」
杏子「分からないわけないだろ?
ほむら「私が拾った犬みたいなものでしょ それで、その犬はどこに行くつもりなのかしら」
杏子「ここじゃないどこか」
ほむら「貴女の家はここでしょ」
杏子「違うよ」
杏子「もう…… あたしの居てもいい場所じゃなくなったんだ」
ほむら「どうして」
杏子「分からないわけないだろ?
111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 09:47:56.59 ID:TzmHv53n0
杏子「魔力が上手く練られない」
杏子「まともに変身も出来なかった」
杏子「ほむらが居なければ死んでいた」
杏子「もうあたしがここにいられる理由がなくなっちまったんだよ」
ほむら「……」
杏子「共闘関係は破綻したんだ もうお終いだ」ポロポロ
杏子「さよなら 今までありがとう 楽しかったよ」グスッ
杏子は瞳に涙を湛えたまま、必死に笑顔を作って私に微笑みかけた
杏子「まともに変身も出来なかった」
杏子「ほむらが居なければ死んでいた」
杏子「もうあたしがここにいられる理由がなくなっちまったんだよ」
ほむら「……」
杏子「共闘関係は破綻したんだ もうお終いだ」ポロポロ
杏子「さよなら 今までありがとう 楽しかったよ」グスッ
杏子は瞳に涙を湛えたまま、必死に笑顔を作って私に微笑みかけた
115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 09:54:09.69 ID:TzmHv53n0
ほむら「待って――」
杏子「馴れ合うつもりはないし、友達も必要ないんだろ?」
ほむら「……」
ほむら「ごめん……」
杏子「……」
ほむら「行かないで!」
杏子「どうして――」
ほむら「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」ポロポロ
私だって仲良く出来たらって思ってたけど
それじゃあ私だけ幸せになったらまどかに対して申し訳なくって
杏子が優しくしてくれるからつい甘えたくなって……
でもその行為に甘えてしまったら、私はもう一人でやっていけなくなる――
あの日、杏子に酷いことしてしまって 何度も何度も何度も後悔したの……
私は一人で魔獣だけを狩っていればよかったのに――
杏子「馴れ合うつもりはないし、友達も必要ないんだろ?」
ほむら「……」
ほむら「ごめん……」
杏子「……」
ほむら「行かないで!」
杏子「どうして――」
ほむら「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」ポロポロ
私だって仲良く出来たらって思ってたけど
それじゃあ私だけ幸せになったらまどかに対して申し訳なくって
杏子が優しくしてくれるからつい甘えたくなって……
でもその行為に甘えてしまったら、私はもう一人でやっていけなくなる――
あの日、杏子に酷いことしてしまって 何度も何度も何度も後悔したの……
私は一人で魔獣だけを狩っていればよかったのに――
117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 09:57:34.32 ID:TzmHv53n0
ほむら「私のことなんて放っておいてくれればよかったのに」
ほむら「ワルプルギスの夜と戦ったときだって、貴女はまどかを庇って倒れるし、
悪ぶった風を装って、人一倍仲間想いだし……」
杏子「おい、いきなりそんなに捲し立てられても……
それにワルプルギスってなんだよ――」
ほむら「一人ぼっちは寂しいの」ガバッ
杏子の上に覆いかぶさるように跨る
ほむら「今更遅すぎるよね…… 私が悪かったのに……
ごめんね、杏子の気持ちに甘えてた……それなのに冷たく当たって」ポロポロ
感情が昂ぶり、自分でも何を言えばいいのか分からなくなってしまう
伝えなきゃいけないこと、謝らないとダメなことはたくさんあるはずなのに――
ほむら「うぅ……ひっく……ごめんね 私、酷い子だよね」グスッ
ダメだ、これじゃ杏子に嫌われても当然だ……
涙がとめどなく溢れてくる 涙は私の頬を伝い、杏子の額に零れ落ちた
ほむら「ワルプルギスの夜と戦ったときだって、貴女はまどかを庇って倒れるし、
悪ぶった風を装って、人一倍仲間想いだし……」
杏子「おい、いきなりそんなに捲し立てられても……
それにワルプルギスってなんだよ――」
ほむら「一人ぼっちは寂しいの」ガバッ
杏子の上に覆いかぶさるように跨る
ほむら「今更遅すぎるよね…… 私が悪かったのに……
ごめんね、杏子の気持ちに甘えてた……それなのに冷たく当たって」ポロポロ
感情が昂ぶり、自分でも何を言えばいいのか分からなくなってしまう
伝えなきゃいけないこと、謝らないとダメなことはたくさんあるはずなのに――
ほむら「うぅ……ひっく……ごめんね 私、酷い子だよね」グスッ
ダメだ、これじゃ杏子に嫌われても当然だ……
涙がとめどなく溢れてくる 涙は私の頬を伝い、杏子の額に零れ落ちた
119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 10:03:12.18 ID:TzmHv53n0
杏子「……」
ほむら「謝って赦されるなんて思ってない…… でも、でも……
ごめんなさい、ごめんなさい…… 私が私が――」ポロポロ
杏子「泣きすぎだよ、ほむら」
杏子の手が頬に触れる 見慣れた微笑みを浮かべながら――
ほむら「だって……」
杏子「辛かったんだよな……ごめんな、力になってやれなくて」
ほむら「どうして杏子が謝るのよ 悪いの全部私なのに」グスッ
杏子「……うん、遅いよ」
杏子「もっと早く話しくれたら――
って、それができたらこんなに思い詰めたりはしないか」
杏子が私の頭を柔らかく撫でる
ほむら「う゛うっ…ひっ……ぐすっ あ゛あああぁああ」
杏子「……」ナデナデ
ほむら「謝って赦されるなんて思ってない…… でも、でも……
ごめんなさい、ごめんなさい…… 私が私が――」ポロポロ
杏子「泣きすぎだよ、ほむら」
杏子の手が頬に触れる 見慣れた微笑みを浮かべながら――
ほむら「だって……」
杏子「辛かったんだよな……ごめんな、力になってやれなくて」
ほむら「どうして杏子が謝るのよ 悪いの全部私なのに」グスッ
杏子「……うん、遅いよ」
杏子「もっと早く話しくれたら――
って、それができたらこんなに思い詰めたりはしないか」
杏子が私の頭を柔らかく撫でる
ほむら「う゛うっ…ひっ……ぐすっ あ゛あああぁああ」
杏子「……」ナデナデ
122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 10:07:35.81 ID:TzmHv53n0
杏子「落ち着いたか?」
ほむら「うん」グスッ
杏子「そろそろ退いてほしいんだけど」
ほむら「嫌」
杏子「いやってお前――」
ほむら「ここを退いたら出て行くつもりでしょ」
杏子「あたしは役に立てないよ」
ほむら「ううん、傍にいてくれるだけでいい」
杏子「……」
ほむら「ダメ?」
ほむら「うん」グスッ
杏子「そろそろ退いてほしいんだけど」
ほむら「嫌」
杏子「いやってお前――」
ほむら「ここを退いたら出て行くつもりでしょ」
杏子「あたしは役に立てないよ」
ほむら「ううん、傍にいてくれるだけでいい」
杏子「……」
ほむら「ダメ?」
124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 10:12:29.19 ID:TzmHv53n0
杏子「ダメ…じゃないよ……」
ほむら「いいの?」グスッ
杏子「いいって言ってるのに、また泣く……」
ほむら「嬉しいから」
杏子「そっか」
ほむら「……」
杏子「やっとだ」
ほむら「……何?」
杏子「やっと、ほむらと友達になれた」
ほむら「友……達?」
杏子「違う?」
ほむら「私…友達とか良く分からないから」
杏子「あたしだってそうさ よく知らないよ でもさ――」
ほむら「いいの?」グスッ
杏子「いいって言ってるのに、また泣く……」
ほむら「嬉しいから」
杏子「そっか」
ほむら「……」
杏子「やっとだ」
ほむら「……何?」
杏子「やっと、ほむらと友達になれた」
ほむら「友……達?」
杏子「違う?」
ほむら「私…友達とか良く分からないから」
杏子「あたしだってそうさ よく知らないよ でもさ――」
125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 10:15:55.05 ID:TzmHv53n0
杏子「あたしは、ほむらのこと好きだよ」
ほむら「な…な……このタイミングで直球ね」カァァ
杏子「初恋なんてしたことないから分からないけど、
父さんや母さん、妹と同じ位ほむらのことが大切に想ってる」
ほむら「聞いてるこっちが恥ずかしくなってきた……」
杏子「ほむらはどうなんだよ」
ほむら「そんなこと……聞かなくても分かるはずだわ」
杏子「直接ほむらの口から聞きたいんだよ」
ほむら「あ……うぅ……す…す…きらいじゃないわ」
杏子「はっきりしないなぁ」
ほむら「す……好きです……」
杏子「ありがとう、あたしも大好きだよ」ニコッ
ほむら「す…少しは……照れたりしたらどうなの?」
杏子「ここで動揺しないのがあたしなんだ」
ほむら「ずるいわ……」
ほむら「な…な……このタイミングで直球ね」カァァ
杏子「初恋なんてしたことないから分からないけど、
父さんや母さん、妹と同じ位ほむらのことが大切に想ってる」
ほむら「聞いてるこっちが恥ずかしくなってきた……」
杏子「ほむらはどうなんだよ」
ほむら「そんなこと……聞かなくても分かるはずだわ」
杏子「直接ほむらの口から聞きたいんだよ」
ほむら「あ……うぅ……す…す…きらいじゃないわ」
杏子「はっきりしないなぁ」
ほむら「す……好きです……」
杏子「ありがとう、あたしも大好きだよ」ニコッ
ほむら「す…少しは……照れたりしたらどうなの?」
杏子「ここで動揺しないのがあたしなんだ」
ほむら「ずるいわ……」
127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 10:19:18.51 ID:TzmHv53n0
杏子「ところでさ、いつまでマウントポジションなわけ?」
ほむら「ご、ごめんなさい」
慌てて杏子から飛び退こうとしたときだった
杏子「その前に――」
私の頭を撫でていた手に力が入り、杏子の方へと引き寄せられる
杏子「……」チュッ
洋画などでよく見かけるようなキス―― 柔らかな唇が頬に触れた
完全に不意打ちだ……頭の中が真っ白になる……
杏子「仲のいい友達ってのは、キスしたりするもんなんだぜ?」ニヤッ
杏子(昔読んだ本に書いてあった知識だけどな……)
ほむら「な……な……」プシュー
杏子「それに、もっと凄いことをあたしにしたくせに……
コレくらいで焦ってるなんて ほむら、かわいい」
ほむら「う……あ……あのときは本当に――」
杏子「もう赦したよ」
ほむら「ご、ごめんなさい」
慌てて杏子から飛び退こうとしたときだった
杏子「その前に――」
私の頭を撫でていた手に力が入り、杏子の方へと引き寄せられる
杏子「……」チュッ
洋画などでよく見かけるようなキス―― 柔らかな唇が頬に触れた
完全に不意打ちだ……頭の中が真っ白になる……
杏子「仲のいい友達ってのは、キスしたりするもんなんだぜ?」ニヤッ
杏子(昔読んだ本に書いてあった知識だけどな……)
ほむら「な……な……」プシュー
杏子「それに、もっと凄いことをあたしにしたくせに……
コレくらいで焦ってるなんて ほむら、かわいい」
ほむら「う……あ……あのときは本当に――」
杏子「もう赦したよ」
128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 10:21:05.99 ID:TzmHv53n0
ほむら「……な…」
杏子「ほむらは自分のことを簡単に赦せるような性格じゃないし
あたしはが赦してやらないとな…… 精神的に辛かったんだろ?」
ほむら「その……えと……」
杏子「でも、流石に口付けされながら他人の名前を呼ばれるのは嫌だけどさ」
杏子「声出てたし…… まどかってさ」
ほむら「あう……あ……」
杏子「全部聞かせてよ ほむらが何を見てきたのか――」
ほむら「……うん」
ほむら「全部……話す」
二人して一つの布団に潜り込み、互いの過去について語り合った
辛かったことも、苦しかったことも、全部を曝け出して……
今まで一人で背負い込んできたもの全てを話すことによって、
体が軽くなったような…… 気持ちが晴れたような気がした
その日、私たちはようやく友達になれたのだ
杏子「ほむらは自分のことを簡単に赦せるような性格じゃないし
あたしはが赦してやらないとな…… 精神的に辛かったんだろ?」
ほむら「その……えと……」
杏子「でも、流石に口付けされながら他人の名前を呼ばれるのは嫌だけどさ」
杏子「声出てたし…… まどかってさ」
ほむら「あう……あ……」
杏子「全部聞かせてよ ほむらが何を見てきたのか――」
ほむら「……うん」
ほむら「全部……話す」
二人して一つの布団に潜り込み、互いの過去について語り合った
辛かったことも、苦しかったことも、全部を曝け出して……
今まで一人で背負い込んできたもの全てを話すことによって、
体が軽くなったような…… 気持ちが晴れたような気がした
その日、私たちはようやく友達になれたのだ
132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 10:25:28.75 ID:TzmHv53n0
―― 数日後 ――
杏子「ほむら遅いなぁ」
ほむらは魔獣狩りに出かけている
あたしは今日も一人で留守番だ 休んでいるのに体調が一向に良くなる気配は無い
杏子「左腕もほむらの魔力で元通りになったし、
ソウルジェムも酷く穢れを溜めているって感じはないのに……」
QB「やぁ、杏子」
杏子「キュゥべえか…… 話し相手には丁度いいや」
QB「そうだね、ボクもちょっと聞きたいことがあったし」
杏子「なんだよ聞きたいことって」
QB「どうして君はまだ生きていられるんだい?」
杏子「……?」
QB「寿命は当に過ぎているはずだ
普通の魔法少女なら、これほど魔力が衰える前に理へと還るはずなのに」
杏子「言っている意味が――」
杏子「ほむら遅いなぁ」
ほむらは魔獣狩りに出かけている
あたしは今日も一人で留守番だ 休んでいるのに体調が一向に良くなる気配は無い
杏子「左腕もほむらの魔力で元通りになったし、
ソウルジェムも酷く穢れを溜めているって感じはないのに……」
QB「やぁ、杏子」
杏子「キュゥべえか…… 話し相手には丁度いいや」
QB「そうだね、ボクもちょっと聞きたいことがあったし」
杏子「なんだよ聞きたいことって」
QB「どうして君はまだ生きていられるんだい?」
杏子「……?」
QB「寿命は当に過ぎているはずだ
普通の魔法少女なら、これほど魔力が衰える前に理へと還るはずなのに」
杏子「言っている意味が――」
133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 10:28:32.19 ID:TzmHv53n0
QB「暁美ほむらの存在が君に影響を与えているとしか思えない」
杏子「……キュゥべえ、さっきから何の話を」
「ただいま」と玄関からほむらの声が聞こえた
ほむら「あら、キュゥべえ、何か用なの?」
QB「ちょっと杏子と話をしていただけだよ」
ほむら「何の話をしていたの」
QB「言っても無駄さ、君たちには把握できない」
ほむら「杏子、キュゥべえと何を話したの?」
杏子「ああ…… えっと、なん……だっけかな……」
QB「ほらね」
ほむら「寿命の話ね…… キュゥべえが記憶できないといっていた――」
QB「……!?」
QB「暁美ほむら…… 君は憶えているのかい?」
ほむら「当然よ」
杏子「……キュゥべえ、さっきから何の話を」
「ただいま」と玄関からほむらの声が聞こえた
ほむら「あら、キュゥべえ、何か用なの?」
QB「ちょっと杏子と話をしていただけだよ」
ほむら「何の話をしていたの」
QB「言っても無駄さ、君たちには把握できない」
ほむら「杏子、キュゥべえと何を話したの?」
杏子「ああ…… えっと、なん……だっけかな……」
QB「ほらね」
ほむら「寿命の話ね…… キュゥべえが記憶できないといっていた――」
QB「……!?」
QB「暁美ほむら…… 君は憶えているのかい?」
ほむら「当然よ」
135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 10:31:35.20 ID:TzmHv53n0
QB「イレギュラー…… 興味深いよ」
ほむら「……」
QB「もしかして君は本当にこの世界が
終わりを迎えるまで戦い続けることができるのかい?」
ほむら「そのつもりよ」
QB「……面白い…面白いよ、暁美ほむら」
ほむら「……」
QB「君には期待してるよ」スッ
杏子「あいつ……何しに来たんだよ」
ほむら「……」
杏子「って、ほむら……いつの間に帰ってきたんだ?」
ほむら「ついさっきね」
ほむら(さっきの会話……やっぱり記憶に残らないみたいね……)
ほむら「……」
QB「もしかして君は本当にこの世界が
終わりを迎えるまで戦い続けることができるのかい?」
ほむら「そのつもりよ」
QB「……面白い…面白いよ、暁美ほむら」
ほむら「……」
QB「君には期待してるよ」スッ
杏子「あいつ……何しに来たんだよ」
ほむら「……」
杏子「って、ほむら……いつの間に帰ってきたんだ?」
ほむら「ついさっきね」
ほむら(さっきの会話……やっぱり記憶に残らないみたいね……)
137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 10:34:17.26 ID:TzmHv53n0
ほむら「今日は収穫が多かったわ」
杏子「へぇ……結構な数のキューブだな」
ほむら「この街には今、私たちだけしか魔法少女がいないから
必然的に一人で狩る得物の数も増えるわ」
杏子「無理すんなよ」
ほむら「ええ、分かってる」
ほむら「帰りを待っている人がいるからね」
杏子「うん……」
杏子「言って少し恥ずかしくない?」
ほむら「凄く……ね」
杏子「へぇ……結構な数のキューブだな」
ほむら「この街には今、私たちだけしか魔法少女がいないから
必然的に一人で狩る得物の数も増えるわ」
杏子「無理すんなよ」
ほむら「ええ、分かってる」
ほむら「帰りを待っている人がいるからね」
杏子「うん……」
杏子「言って少し恥ずかしくない?」
ほむら「凄く……ね」
139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 10:38:00.23 ID:TzmHv53n0
杏子「でも、あたしも早く復帰しないとなぁ」
杏子「ずっとこの街を二人だけで守ってきたんだし」
ほむら「二人だけ……?」
杏子「この街には昔からあたしたち二人だけだろ?」
ほむら(ここのところ記憶の混濁は収まっていたのに)」
杏子「一日中家にいると退屈で仕方がないよ
あーあ、どっか二人で遊びにいきたいなぁ」
ほむら「そうね……」
杏子「じゃ、そろそろ家に帰らないと」
ほむら「貴女の家は――」
杏子「きっと父さんが心配してるしさ」
杏子「ずっとこの街を二人だけで守ってきたんだし」
ほむら「二人だけ……?」
杏子「この街には昔からあたしたち二人だけだろ?」
ほむら(ここのところ記憶の混濁は収まっていたのに)」
杏子「一日中家にいると退屈で仕方がないよ
あーあ、どっか二人で遊びにいきたいなぁ」
ほむら「そうね……」
杏子「じゃ、そろそろ家に帰らないと」
ほむら「貴女の家は――」
杏子「きっと父さんが心配してるしさ」
141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 10:41:20.39 ID:TzmHv53n0
ほむら「杏子……?」
杏子「……? えっと何話してたっけ」
ほむら「今度二人で遊びに行こうって話しよ」
杏子「そうだっけ……」
ほむら「……」
杏子「ところであなたはだれ?」
ほむら「――!?」
杏子「モモ……どこいるの?」
杏子「お姉ちゃんを置いていかないで!」
ほむら「杏子……しっかりして!」ユサユサ
杏子「……ん」
ほむら「大丈夫?」
杏子「うーん……あ…… おはよう……ございます?」
杏子「……? えっと何話してたっけ」
ほむら「今度二人で遊びに行こうって話しよ」
杏子「そうだっけ……」
ほむら「……」
杏子「ところであなたはだれ?」
ほむら「――!?」
杏子「モモ……どこいるの?」
杏子「お姉ちゃんを置いていかないで!」
ほむら「杏子……しっかりして!」ユサユサ
杏子「……ん」
ほむら「大丈夫?」
杏子「うーん……あ…… おはよう……ございます?」
145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 10:46:36.24 ID:TzmHv53n0
――――
ほむら「夕飯できたわよ」
杏子「いい匂い―― いただきます」ポロリ
杏子「……?」
ほむら「杏子?」
杏子の箸を持つ手がぎこちない
杏子「あれ…なんでだろ……上手くつかめないや」ポロッ
ほむら「……食べさせてあげる」
杏子「ごめん、頼むよ……」
杏子(どうしちゃったんだ……あたし……)
ほむら「夕飯できたわよ」
杏子「いい匂い―― いただきます」ポロリ
杏子「……?」
ほむら「杏子?」
杏子の箸を持つ手がぎこちない
杏子「あれ…なんでだろ……上手くつかめないや」ポロッ
ほむら「……食べさせてあげる」
杏子「ごめん、頼むよ……」
杏子(どうしちゃったんだ……あたし……)
148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 10:49:28.51 ID:TzmHv53n0
――――
ほむら「今日も敷くのは一つだけいいかしら」
杏子「うん、同衾させていただきます」
ほむら「同衾って……添い寝でしょう?」
杏子「食べるから同衾でいいんだよ」
ほむら「杏子……?」
杏子「前にも言ったろ? ほむらの味好きだって」
向かい合った形で杏子が私の首筋に顔埋める
杏子「いただきます」ガブッ
ほむら「痛ッ」
鋭い歯が皮膚を突き破る感触――
痛みから察するに、甘噛みといった強さではないようだ
ほむら「な、なにするの」
血が滴り落ちて、シーツに真っ赤な染みを作る
杏子「ん、美味しい」
ほむら「今日も敷くのは一つだけいいかしら」
杏子「うん、同衾させていただきます」
ほむら「同衾って……添い寝でしょう?」
杏子「食べるから同衾でいいんだよ」
ほむら「杏子……?」
杏子「前にも言ったろ? ほむらの味好きだって」
向かい合った形で杏子が私の首筋に顔埋める
杏子「いただきます」ガブッ
ほむら「痛ッ」
鋭い歯が皮膚を突き破る感触――
痛みから察するに、甘噛みといった強さではないようだ
ほむら「な、なにするの」
血が滴り落ちて、シーツに真っ赤な染みを作る
杏子「ん、美味しい」
151: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 10:51:55.76 ID:TzmHv53n0
ほむら「悪戯にしては度が過ぎてるわ」
杏子「実はあたしは吸血鬼だったんだ」
ほむら「嘘」
杏子「うん」
ほむら「……何のつもりかしらないけど――」
杏子「手握っていい?」
ほむら「今日は甘えたがるのね」
杏子「なんだか怖くてさ」
ほむら「何が恐いのかしら?」
杏子「わかんない」
杏子「実はあたしは吸血鬼だったんだ」
ほむら「嘘」
杏子「うん」
ほむら「……何のつもりかしらないけど――」
杏子「手握っていい?」
ほむら「今日は甘えたがるのね」
杏子「なんだか怖くてさ」
ほむら「何が恐いのかしら?」
杏子「わかんない」
155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 10:53:22.75 ID:TzmHv53n0
杏子「でも、最近のあたしって変じゃん」
ほむら「そうかしら」
杏子「そうだよ」
ほむら「……」
手を握り合ったまま、今度は私の額に自分の額をぴったりとくっつける
杏子「好きだ」
ほむら「知ってる」
杏子「友達になれてよかった」
ほむら「私もよ」
杏子「……ほむらに出会えてよかった」
ほむら「うん」
杏子「ありがとう」
ほむら「……今生の別れの言葉みたいじゃない」
ほむら「そうかしら」
杏子「そうだよ」
ほむら「……」
手を握り合ったまま、今度は私の額に自分の額をぴったりとくっつける
杏子「好きだ」
ほむら「知ってる」
杏子「友達になれてよかった」
ほむら「私もよ」
杏子「……ほむらに出会えてよかった」
ほむら「うん」
杏子「ありがとう」
ほむら「……今生の別れの言葉みたいじゃない」
156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 10:55:31.42 ID:TzmHv53n0
杏子「あたしはどこにも行くつもりはないよ」
杏子(あの時、家族が居なくなったとき……
こんな風にまた幸せを感じることなんてできないと思ってた)
杏子「でも、こういうのは言えるうちに言っておかないと――
まどかとほむらのおかげでだよ……こんなに充実した時間が過ごせたのは」
ほむら「私の方こそ、杏子が居てくれてよかった」
杏子「うん、もっと感謝してくれてもいいよ」
ほむら「調子にのらない」
杏子「えへへ」
杏子(もう長くないってことは馬鹿なあたしにでも分かってる
だからせめて、今夜だけは幸せな夢を見せてよ……神様」
杏子「おやすみ、ほむら」
ほむら「おやすみ、杏子」
――――――
―――
―
杏子(あの時、家族が居なくなったとき……
こんな風にまた幸せを感じることなんてできないと思ってた)
杏子「でも、こういうのは言えるうちに言っておかないと――
まどかとほむらのおかげでだよ……こんなに充実した時間が過ごせたのは」
ほむら「私の方こそ、杏子が居てくれてよかった」
杏子「うん、もっと感謝してくれてもいいよ」
ほむら「調子にのらない」
杏子「えへへ」
杏子(もう長くないってことは馬鹿なあたしにでも分かってる
だからせめて、今夜だけは幸せな夢を見せてよ……神様」
杏子「おやすみ、ほむら」
ほむら「おやすみ、杏子」
――――――
―――
―
157: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 11:01:21.22 ID:TzmHv53n0
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人はいつかは死ぬよ 魔法少女だってそれは同じさ
物語は必ず主人公の死で終わるんだ
映画や小説のハッピーエンドの先に待っているのだって死だよ
最後まで描かないだけさ 全部が全部デッドエンドだ
でもさ、たとえどんな悲惨な最期を迎えたとしても
それまでの人生を満足できていれば、きっとそれだけで十分なんだとあたしは思うんだ
死という運命は変えらない
もし、結末への道程が不変なものだったとしても、受け取り方しだいで
その人の物語はハッピーエンドにもバッドエンドにもなりうるんだと思うよ
あたし……?
もちろんハッピーエンドさ こんなにも大切な友達がいるんだぜ?
ただ、アイツ一人を置いていくことだけが心残りではあるんだけど――
そっか、もうお別れの時間か
さよなら ほむら 大好きだよ
それじゃあ行こっか まどか
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
人はいつかは死ぬよ 魔法少女だってそれは同じさ
物語は必ず主人公の死で終わるんだ
映画や小説のハッピーエンドの先に待っているのだって死だよ
最後まで描かないだけさ 全部が全部デッドエンドだ
でもさ、たとえどんな悲惨な最期を迎えたとしても
それまでの人生を満足できていれば、きっとそれだけで十分なんだとあたしは思うんだ
死という運命は変えらない
もし、結末への道程が不変なものだったとしても、受け取り方しだいで
その人の物語はハッピーエンドにもバッドエンドにもなりうるんだと思うよ
あたし……?
もちろんハッピーエンドさ こんなにも大切な友達がいるんだぜ?
ただ、アイツ一人を置いていくことだけが心残りではあるんだけど――
そっか、もうお別れの時間か
さよなら ほむら 大好きだよ
それじゃあ行こっか まどか
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 11:05:18.82 ID:TzmHv53n0
目が覚めると、隣に杏子の姿は無かった
まどかに導かれて、どこか遠くの場所に旅立っていったのだと直ぐに悟った
ほむら「杏子……」
ほむら「馬鹿……やっと友達になれたのに」
首筋がズキズキと痛む―― 昨夜杏子に噛み付かれた箇所だ
ほむら「自分の存在をこんな形で残すなんてね……」
きっと彼女はそのつもりで噛み付いたのだろう
自分のことを忘れられないように、何かを残そうとしていたんだ
ほむら「こんなことされなくても、貴女を忘れることなんて絶対ないのに――」
ほむら「もっと、一緒にいたかった……」
ほむら「もっと早く素直になればよかった……」ポロポロ
気がつくと涙が零れ落ちていた
ほむら「一人ぼっちは寂しいよ……」
シーツの上に涙が吸い込まれ、染みとなって広がっていく……
その直ぐ傍で、昨日は鮮やかな赤だった血の染みが、赤黒く色を変えていた
まどかに導かれて、どこか遠くの場所に旅立っていったのだと直ぐに悟った
ほむら「杏子……」
ほむら「馬鹿……やっと友達になれたのに」
首筋がズキズキと痛む―― 昨夜杏子に噛み付かれた箇所だ
ほむら「自分の存在をこんな形で残すなんてね……」
きっと彼女はそのつもりで噛み付いたのだろう
自分のことを忘れられないように、何かを残そうとしていたんだ
ほむら「こんなことされなくても、貴女を忘れることなんて絶対ないのに――」
ほむら「もっと、一緒にいたかった……」
ほむら「もっと早く素直になればよかった……」ポロポロ
気がつくと涙が零れ落ちていた
ほむら「一人ぼっちは寂しいよ……」
シーツの上に涙が吸い込まれ、染みとなって広がっていく……
その直ぐ傍で、昨日は鮮やかな赤だった血の染みが、赤黒く色を変えていた
163: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 11:09:10.25 ID:TzmHv53n0
―――― 数日後 ――――
QB「すまないね、この街を一人で担当させてしまって」
ほむら「構わないわ…… 私の使命は魔獣からこの世界を守ることだから」
QB「次の候補は決まっているから、もう少しだけ辛抱だ」
ほむら「そう」
キュゥべえの話を聞き流しながら、私は冷蔵庫の整理に励んでいた
捕食者のいなくなった大量の菓子類を、ようやく片付ける気になったからだ
ほむら(食べ物を粗末にすると、怒られちゃうわね……)
ほむら(でもこの量を一人で食べるのは……)
今度新しく魔法少女となった子と一緒に食べるのはどうだろう……
などと考えをめぐらせていると、奥のほうにひときわ大きな箱を発見した
ほむら「何かしら……?」
その箱はスーパーか何かのレジ袋に包まれているようだった
丁寧に袋から取り出すと、何か小さな紙切れが足元にひらひらと舞い落ちた
QB「すまないね、この街を一人で担当させてしまって」
ほむら「構わないわ…… 私の使命は魔獣からこの世界を守ることだから」
QB「次の候補は決まっているから、もう少しだけ辛抱だ」
ほむら「そう」
キュゥべえの話を聞き流しながら、私は冷蔵庫の整理に励んでいた
捕食者のいなくなった大量の菓子類を、ようやく片付ける気になったからだ
ほむら(食べ物を粗末にすると、怒られちゃうわね……)
ほむら(でもこの量を一人で食べるのは……)
今度新しく魔法少女となった子と一緒に食べるのはどうだろう……
などと考えをめぐらせていると、奥のほうにひときわ大きな箱を発見した
ほむら「何かしら……?」
その箱はスーパーか何かのレジ袋に包まれているようだった
丁寧に袋から取り出すと、何か小さな紙切れが足元にひらひらと舞い落ちた
166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 11:12:31.76 ID:TzmHv53n0
ほむら「メッセージカード?」
ほむら「まさか……杏子から……?」
可愛らしい動物のシールで封された手紙を、私は逸る気持ちを抑えて開く
ほむら「期待させておいて……なんなのよ」
白紙だ 何も書かれていない……真っ白のメッセージカード――
ほむら「……箱の中身は何かしら」
冷蔵庫に入れてあるくらいだから、きっと食べ物だろう
ほむら(……いついれたか分からないから、傷んでいないといいんだけど)
ほむら「まさか……杏子から……?」
可愛らしい動物のシールで封された手紙を、私は逸る気持ちを抑えて開く
ほむら「期待させておいて……なんなのよ」
白紙だ 何も書かれていない……真っ白のメッセージカード――
ほむら「……箱の中身は何かしら」
冷蔵庫に入れてあるくらいだから、きっと食べ物だろう
ほむら(……いついれたか分からないから、傷んでいないといいんだけど)
168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 11:15:13.04 ID:TzmHv53n0
ほむら「なんで……冷蔵庫にマフラーが入ってるのよ……」
ほむら「本当に、意味がわからないわ」
プレゼントのつもりだとしても、どうして冷蔵庫の中に入れてあったのか……
記憶が混濁していて、ただただ奇怪な行動をとっただけなのかもしれない
ほむら「杏子の馬鹿……」
真紅のマフラーに顔を埋める――
その瞬間、杏子の香りが鼻腔を通り、私の肺を満たす
ほむら「なに……これ……杏子が使ってたヤツとお揃いかと想ったけど」
ほむら「プレゼントに自分のお古を送るって……まったく……」クスクス
深呼吸―― 再び彼女の匂いを堪能する
ほむら「こんなに素敵な贈り物があるのなら、首筋に噛み跡を残す必要なんてなかったのにね」
一人きりなり、静まり返った部屋に向かって私はつぶやいた
ほむら「本当に、意味がわからないわ」
プレゼントのつもりだとしても、どうして冷蔵庫の中に入れてあったのか……
記憶が混濁していて、ただただ奇怪な行動をとっただけなのかもしれない
ほむら「杏子の馬鹿……」
真紅のマフラーに顔を埋める――
その瞬間、杏子の香りが鼻腔を通り、私の肺を満たす
ほむら「なに……これ……杏子が使ってたヤツとお揃いかと想ったけど」
ほむら「プレゼントに自分のお古を送るって……まったく……」クスクス
深呼吸―― 再び彼女の匂いを堪能する
ほむら「こんなに素敵な贈り物があるのなら、首筋に噛み跡を残す必要なんてなかったのにね」
一人きりなり、静まり返った部屋に向かって私はつぶやいた
172: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 11:19:34.41 ID:TzmHv53n0
―― エピローグ ――
摩天楼から見滝原の町を見下ろす
相変わらずこの世界には魔獣が蔓延っていて
悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界だ
だとしてもここは、かつてあの子が守ろうとした場所なんだ
大切な友達と供に戦った思い出の詰まった世界なんだ
決して忘れたくない いつまでも憶えている
そのはずなのに――
××「暁美先輩、私やりましたよー 一人で魔獣を倒せましたー」
**「××ったら、私たち二人でしょ?」
××「いや、**の援護がなくても、あたしひとりでも勝ててたね」
**「強がりをいっちゃって……」
摩天楼から見滝原の町を見下ろす
相変わらずこの世界には魔獣が蔓延っていて
悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界だ
だとしてもここは、かつてあの子が守ろうとした場所なんだ
大切な友達と供に戦った思い出の詰まった世界なんだ
決して忘れたくない いつまでも憶えている
そのはずなのに――
××「暁美先輩、私やりましたよー 一人で魔獣を倒せましたー」
**「××ったら、私たち二人でしょ?」
××「いや、**の援護がなくても、あたしひとりでも勝ててたね」
**「強がりをいっちゃって……」
173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 11:23:24.59 ID:TzmHv53n0
私は新しい魔法少女たちと供に街を守っている
最近は後輩の面倒をみることが多くなってきた
**「暁美先輩、どうしたんですか? 暗い顔して」
ほむら「大丈夫よ さぁ、使い終わったキューブをキュゥべえに――」
××「それならさっき済ませたじゃないですか」
ほむら「そ、そうだったかしら……」
**「最近の先輩、ボケボケですね」
××「こらっ、失礼でしょ」
**「えへへ、ごめんなさい」
ほむら「……」
最近は後輩の面倒をみることが多くなってきた
**「暁美先輩、どうしたんですか? 暗い顔して」
ほむら「大丈夫よ さぁ、使い終わったキューブをキュゥべえに――」
××「それならさっき済ませたじゃないですか」
ほむら「そ、そうだったかしら……」
**「最近の先輩、ボケボケですね」
××「こらっ、失礼でしょ」
**「えへへ、ごめんなさい」
ほむら「……」
175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 11:26:54.76 ID:TzmHv53n0
**「失礼ついでにお尋ねしますが、暁美先輩っていつも
マフラーしてますよね……真夏だっていうのに」
「リボンもずっと同じヤツだし」と後輩魔法少女が尋ねる
××「それについては私も疑問に想ってたんですけど……」
ほむら「大切な人からの贈り物なの」
**「それってもしかして恋人ってヤツですか!?」
ほむら「……秘密」
**「え゛ー」
ほむら「それに…… 実はね、このマフラーの下には
吸血鬼に咬まれた跡があるの…… だから、それを隠すために――」
××「吸血鬼!?」
後輩二人は互いに顔を見合わせて驚いている
そして目顔で早く続きを話してほしいと訴えかけた
ほむら「ふふっ、冗談よ 私たちの相手は魔獣だけで十分よ」
**「冗談って…… 先輩キャラじゃないですよー」
マフラーしてますよね……真夏だっていうのに」
「リボンもずっと同じヤツだし」と後輩魔法少女が尋ねる
××「それについては私も疑問に想ってたんですけど……」
ほむら「大切な人からの贈り物なの」
**「それってもしかして恋人ってヤツですか!?」
ほむら「……秘密」
**「え゛ー」
ほむら「それに…… 実はね、このマフラーの下には
吸血鬼に咬まれた跡があるの…… だから、それを隠すために――」
××「吸血鬼!?」
後輩二人は互いに顔を見合わせて驚いている
そして目顔で早く続きを話してほしいと訴えかけた
ほむら「ふふっ、冗談よ 私たちの相手は魔獣だけで十分よ」
**「冗談って…… 先輩キャラじゃないですよー」
176: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 11:30:08.27 ID:TzmHv53n0
QB「楽しく雑談しているところ申し訳ないんだけど、どうやら次が現れたみたいだ」
**「さっき倒したばっかりなのに……」
××「ぼやいていても仕方ないでしょ、倒しに行くわよ**」
**「りょーかいっ! 暁美先輩はそこで高みの見物でもしていてください」
私を残し、二人は夜の帳の中へと消えていった
QB「優秀な人材が二人も手に入ってよかった」
ほむら「よかったわね」
QB「負担が減るんだから、君にとっても好都合だろ?」
ほむら「……」
QB「はぁ……最近はめっきり元気がないみたいだね」
ほむら「そうかしら」
QB「聞き役くらいならボクにだってできるよ」
ほむら「貴方が? 冗談じゃない」
**「さっき倒したばっかりなのに……」
××「ぼやいていても仕方ないでしょ、倒しに行くわよ**」
**「りょーかいっ! 暁美先輩はそこで高みの見物でもしていてください」
私を残し、二人は夜の帳の中へと消えていった
QB「優秀な人材が二人も手に入ってよかった」
ほむら「よかったわね」
QB「負担が減るんだから、君にとっても好都合だろ?」
ほむら「……」
QB「はぁ……最近はめっきり元気がないみたいだね」
ほむら「そうかしら」
QB「聞き役くらいならボクにだってできるよ」
ほむら「貴方が? 冗談じゃない」
178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 11:32:48.54 ID:TzmHv53n0
QB「冷たいなぁ…… これから何千年と供に過ごしていくパートナーなのに」
ほむら「はぁ……」
QB「返事はため息一つだけかい」
ほむら「……キュゥべえ、あの後輩二人の名前ってなんだったかしら」
QB「忘れたのかい? 短くない付き合いだろう?」
ほむら「そのはずなのに……思い出せないの」
QB(イレギュラーといっても、やはり魔法少女には変わりなかったか)
QB「君の記憶力は他の魔法少女に比べて、随分よかったはずじゃないのかい?」
ほむら「……」
ほむら「はぁ……」
QB「返事はため息一つだけかい」
ほむら「……キュゥべえ、あの後輩二人の名前ってなんだったかしら」
QB「忘れたのかい? 短くない付き合いだろう?」
ほむら「そのはずなのに……思い出せないの」
QB(イレギュラーといっても、やはり魔法少女には変わりなかったか)
QB「君の記憶力は他の魔法少女に比べて、随分よかったはずじゃないのかい?」
ほむら「……」
179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 11:36:26.87 ID:TzmHv53n0
QB(期待はしていたけど……現実はこんなものだろう)
QB(うん、君もよくやったよ…… お疲れ様だ…暁美ほむら)
QB「あの二人の名前は ―――― だよ」
ほむら「そう……そうだったかしら」
ほむら(やっぱり…記憶があやふやだわ……)
ほむら「キュゥべえ、あのね…… 私ね、最近――」
ほむら「物忘れがひどいの」
―― おしまい ――
QB(うん、君もよくやったよ…… お疲れ様だ…暁美ほむら)
QB「あの二人の名前は ―――― だよ」
ほむら「そう……そうだったかしら」
ほむら(やっぱり…記憶があやふやだわ……)
ほむら「キュゥべえ、あのね…… 私ね、最近――」
ほむら「物忘れがひどいの」
―― おしまい ――
183: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 11:40:03.90 ID:+YuMgrwjO
乙
非常に切なかった
非常に切なかった
195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 11:56:28.41 ID:RaWBU/oQ0
乙
いつか無事導かれるとええなー
いつか無事導かれるとええなー
197: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 11:58:57.33 ID:algJHLB1O
乙
改変後SSは良作多し
改変後SSは良作多し
201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 12:39:42.37 ID:5KZx89V60
やばい、涙が止まらん
切なすぎるだろ
切なすぎるだろ
202: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/31(土) 12:39:48.79 ID:jBR2e2D9O
悲しいけど少しは救いのある話で良かった
乙
乙
引用元: ほむら「最近物忘れがひどいの」
まどか「それは まぎれもなく コブラだなって」
2020-05-25
1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 00:04:01.99 ID:L8XPXdVT0
マミ「せっかくのとこ悪いけど、一気に決めさせて…もらうわよ!」
マミ「ティロ・フィナーレ!!」
ドォォォ――――ン!!!
まどか「あっ、あっ」
さやか「あぁ!」
脱皮し、マミを喰らおうとする『お菓子の魔女』。
マミ「!!」
ドゴォォォ――――!!!
お菓子の魔女を貫く光。爆発する魔女。
まどか「な、何?今の…光みたいな…」
さやか「魔女から出てきた、魔女を…貫いた」
マミ「…何がどうなってるの…?」
コブラ「危なかったな、お嬢ちゃん。もう少しでその可愛い顔にギザギザの傷がつくとこだったぜ」
さやか「ヒューッ!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1342537441
マミ「ティロ・フィナーレ!!」
ドォォォ――――ン!!!
まどか「あっ、あっ」
さやか「あぁ!」
脱皮し、マミを喰らおうとする『お菓子の魔女』。
マミ「!!」
ドゴォォォ――――!!!
お菓子の魔女を貫く光。爆発する魔女。
まどか「な、何?今の…光みたいな…」
さやか「魔女から出てきた、魔女を…貫いた」
マミ「…何がどうなってるの…?」
コブラ「危なかったな、お嬢ちゃん。もう少しでその可愛い顔にギザギザの傷がつくとこだったぜ」
さやか「ヒューッ!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1342537441
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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 00:07:42.91 ID:L8XPXdVT0
第1話「異世界の戦火」
―― その少し前 ――
コブラ「どうだ、レディ。タートル号の調子は」
レディ「あまり良くないわね。この地帯を抜ける程度は出来るでしょうけど、次の星ですぐ整備に入らないと…」
コブラ「ったく、なんだって急に不調になんかなりやがるんだ」
レディ「原因は分からないわ。ブースター、反加速装置、シールド…全て異常は無いみたいなのだけれど、どうもスピードがフラついて落ち着きがないのよ」
コブラ「じゃじゃ馬め。人参でもやれば落ち着くか?」
レディ「それで直れば苦労はしないわね。とにかく、出来るだけ急いでみるわ」
コブラ「頼むぜ、レディ。それまで俺は… …ふぁぁ、一眠りしておく」
レディ「分かったわ。… … …!!あれは!?」
コブラ「!?どうした?」
タートル号の目の前に突如現れるブラックホール。
レディ「ブラックホール!?そんな…予兆もなく突然現れるなんて!」
コブラ「おいおい、タートル号の不調の次はブラックホールときたか!?俺はまだ厄年じゃないんだぜ、チクショー!」
レディ「シールド全開!加速でどうにか突っ切って…!… …ダメ!飲み込まれるわ!!」
コブラ「どわぁぁぁ―――!!」
ブラックホールに飲み込まれ、コントロールを失いながら闇に沈んでいくタートル号。
―― その少し前 ――
コブラ「どうだ、レディ。タートル号の調子は」
レディ「あまり良くないわね。この地帯を抜ける程度は出来るでしょうけど、次の星ですぐ整備に入らないと…」
コブラ「ったく、なんだって急に不調になんかなりやがるんだ」
レディ「原因は分からないわ。ブースター、反加速装置、シールド…全て異常は無いみたいなのだけれど、どうもスピードがフラついて落ち着きがないのよ」
コブラ「じゃじゃ馬め。人参でもやれば落ち着くか?」
レディ「それで直れば苦労はしないわね。とにかく、出来るだけ急いでみるわ」
コブラ「頼むぜ、レディ。それまで俺は… …ふぁぁ、一眠りしておく」
レディ「分かったわ。… … …!!あれは!?」
コブラ「!?どうした?」
タートル号の目の前に突如現れるブラックホール。
レディ「ブラックホール!?そんな…予兆もなく突然現れるなんて!」
コブラ「おいおい、タートル号の不調の次はブラックホールときたか!?俺はまだ厄年じゃないんだぜ、チクショー!」
レディ「シールド全開!加速でどうにか突っ切って…!… …ダメ!飲み込まれるわ!!」
コブラ「どわぁぁぁ―――!!」
ブラックホールに飲み込まれ、コントロールを失いながら闇に沈んでいくタートル号。
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 00:12:13.31 ID:L8XPXdVT0
レディ「コブラ… コブラ!!」
コブラ「…っ! …くぅー、痛ててて…」
レディ「大丈夫?怪我はない?」
コブラ「しこたま頭をぶつけたくらいだよ。…ったく、危うく三度目の記憶喪失になりかけたぜ」
レディ「良かったわ。…どうやら、無事みたいね私達」
コブラ「ああ。…タンコブが痛いのを見るに、どうも生きているらしい。…にしても…どこだ、ここは?」
レディ「…座標に無い場所ね。計器は正常に動いているみたいだけれど…」
コブラ「…!おいおい…なんだ、こりゃあ…」
タートル号の周りに広がるお菓子の山。そこを彷徨うようにうろつく、ボールのような一つ目の怪物達。
コブラ「どうやら俺達はヘンゼルとグレーテルになっちまったみたいだぜ。レディ、パンでも千切ってくれ」
レディ「それじゃあ元の場所に帰れないでしょ。…駄目、タートル号のデータベースでもこの場所の情報は見つからないわ」
コブラ「そんな馬鹿な!ありとあらゆる情報がこの船のデータベースには詰まってるはず…!… … …なァんだ、ありゃあ?」
タートル号から少し離れた場所で、死闘を繰り広げるマミとお菓子の魔女。
マミの銃撃が次々と巨大な人形のような怪物にに炸裂していく。
コブラ「…レディ、俺はどうもヘンゼルとグレーテルの話を間違えてたらしいぜ。どうも、グレーテルはスカートから銃を出して、そいつで魔女を倒す話だったらしい」
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 00:16:35.90 ID:L8XPXdVT0
レディ「銀河パトロールと海賊ギルドの争い…じゃないみたいね。…まるで、本当におとぎ話を見ているみたいだわ」
コブラ「まったくだ。記憶喪失より性質が悪いぜ。これが夢じゃないときてる」
レディ「…でも…少し危ないわね。あの子の闘い方」
コブラ「…ああ。何かが吹っ切れたように闘ってる。あれじゃあ…」
言いながら、コクピットを出て行こうとするコブラ。
レディ「!どこに行くの、コブラ」
コブラ「俺のこういう時の勘は鋭いんだよ。特に美女が野獣に喰われそうな時はね」
タートル号から出て、その様子を伺う。
マミのティロ・フィナーレを喰らい、脱皮をしてマミに襲い掛かるお菓子の魔女。
その瞬間、コブラは左腕のサイコガンを抜く。
コブラ「危なかったな、お嬢ちゃん。もう少しでその可愛い顔にギザギザの傷がつくとこだったぜ」
さやか「ヒューッ!」
まどか「え、どうしたのさやかちゃん」
さやか「いや、なんか言わないといけない気がして」
まどか「なにそれこわい」
コブラ「まったくだ。記憶喪失より性質が悪いぜ。これが夢じゃないときてる」
レディ「…でも…少し危ないわね。あの子の闘い方」
コブラ「…ああ。何かが吹っ切れたように闘ってる。あれじゃあ…」
言いながら、コクピットを出て行こうとするコブラ。
レディ「!どこに行くの、コブラ」
コブラ「俺のこういう時の勘は鋭いんだよ。特に美女が野獣に喰われそうな時はね」
タートル号から出て、その様子を伺う。
マミのティロ・フィナーレを喰らい、脱皮をしてマミに襲い掛かるお菓子の魔女。
その瞬間、コブラは左腕のサイコガンを抜く。
コブラ「危なかったな、お嬢ちゃん。もう少しでその可愛い顔にギザギザの傷がつくとこだったぜ」
さやか「ヒューッ!」
まどか「え、どうしたのさやかちゃん」
さやか「いや、なんか言わないといけない気がして」
まどか「なにそれこわい」
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 00:21:14.95 ID:L8XPXdVT0
コブラ「怪我はないかい?」
マミ「え、あ、ハイ…。…有難うございました…」
コブラ「そりゃあ良かった。俺が来るのが遅けりゃ、アンタ死んでたかもしれないからな」
マミ「そ、そうでしたね…本当に…」
QB「…」
まどか「ねぇ、キュウべぇ。あの人も魔法少女…?」
さやか「いや、どう見ても少女じゃないでしょアレ」
まどか「魔法中年…?」
さやか「ちょ、ま」
QB「いや、分からないね。ボクでも、彼が誰なのか見当がつかないよ。魔法少女でもなく、結界の中に入れて、しかも一撃で魔女を倒せる人間なんて」
コブラ「…!おおっと、俺とした事が。他に2人も淑女がいた事に気付かなかったぜ。…うん?」
まどか「あ、あの…その… … 初めまして」
さやか「ねぇねぇ、さっきのビーム、どっからどうやって出たの!?あれもやっぱり魔法!?」
コブラ「あー、俺はその、魔法ってのはどうも苦手でね。… … …」
QB「…」
7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 00:25:26.39 ID:L8XPXdVT0
その時、結界が解けて全員が元の病院前に戻る。
コブラ「…!!なんだなんだ!?どうなってるんだ!?」
マミ「結界が解けたのよ。…ひょっとして、それも分からないのに結界の中に入ってこれたの?」
コブラ「…まぁ、成行きでちょっと。ところで御嬢さん方にお聞きしたいんだけどね、ここは一体どこなんだ?」
さやか「見滝原だけど」
コブラ「ミタキハラ星?聞いたことないな」
さやか「いや、町、町。なに、おじさん、宇宙人?」
コブラ「おじさんは止してくれよ。アンタ達からならそう見えるかもしれんがね、こう見えてハートは繊細なんだ」
まどか「ティヒヒヒ」
マミ「…訳が分からないけれど、とりあえず私の家でお茶にしましょうか?…もちろん、貴方も一緒に、ね」
コブラ「お、嬉しいねぇ。美女からお茶のお誘い」
ほむら「おい」
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 00:29:03.30 ID:L8XPXdVT0
――― 巴マミ家。
まどか「ジョー…ギリアン、さん?」
コブラ「そ、いい名前だろ。サインだったらいつでも書くぜ」
さやか「(っていうか…日本人じゃないよね、どう考えてもその名前…)」
コブラ「…まぁ、俺の事はどうでもいい。おたくらの事を色々聞きたいんだが…さっきの場所といい、あの戦いといい、一体どうなってたんだ?」
ほむら「…本当に何も知らないのね。魔女の事も、結界の事も…魔法少女の事も」
コブラ「魔法少女…?」
マミ「私から説明するわ」
コブラに魔法少女、魔女との戦い、戦い続けるワケを全て教えるマミ。
さやか「ちょっ、そこまで教えちゃっていいの?マミさん」
マミ「あの戦いを見た以上、隠し通せるわけないし…それに、命の恩人だもの。何も教えずにいるのはこちらとしても失礼だと思うわ。…でしょ?キュウべぇ」
QB「ボクからは特に意見はないよ。さやかとまどか、魔法少女でない人間が2人見学に来ていたのだから、今更1人増えたところで何も変わらないしね」
マミ「…少なくとも、私の運命は変わっていたと思うの。ジョーさんが助けてくれなければ…本当にあのまま、頭を喰いちぎられていてもおかしくなかったもの」
QB「…」
マミ「私もまだまだ、魔法少女としてツメが甘いのかもね。どこか浮かれながら戦っていたのかもしれない」
ほむら「… … …」
マミ「貴方も、ごめんなさい。帰りにちゃんと解放するって約束したのに、すっかり忘れちゃってて☆」テヘペロ
ほむら(…絶対わざとね、巴マミ)
9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 00:34:01.66 ID:L8XPXdVT0
さやか「にしても…転校生、どういう風の吹き回しよ。一緒にマミさんの家で話がしたい、だなんて」
まどか「…きっと、これから一緒に戦おう、って言いに来てくれたんだよね?ほむらちゃん」
ほむら「…勘違いしないで。そんな気はないわ」
まどか「ぅ…ご、ごめん…」
マミ「あら、それじゃ一体どうしてかしら?」
ほむら「… … …」
コブラ「…ん?」
ほむら(なんなの、この世界は…)
ほむら(今まで巡ってきたどの時間軸の中にも、こんな男が現れる事はなかった)
ほむら(魔法少女では有り得ない、けれど…魔女を倒す程の力を秘めた存在…)
ほむら(…インキュベーターの何かしらの陰謀…?分からない…。…ここは、この男の様子をしばらく観察するしかない)
コブラ「… … …美人に見つめられるのは結構だがね。そう凄まないで、もうちょっと優しく潤んだ目で見て欲しいもんだ」
ほむら「…くっ!」
ほむら(なんなの、コイツ…!本当に読めない…!)
まどか「あはは、ほむらちゃん、照れてるー」
ほむら「!ちっ、違うわッ!」
マミ「あら…うふふ」ニコニコ
さやか「ははは、なぁんだ。転校生でも顔赤くする事あるんだ」ニヤニヤ
ほむら「」
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 00:37:26.65 ID:L8XPXdVT0
コブラ「しかし信じ難いねぇ。おたくらみたいなか弱い少女があんな化け物と常日頃から戦ってる、なんてのは…。まぁ実際に見たんで信じないわけにもいかないが」
マミ「…説明して納得できるものでもないから、ああして鹿目さんや美樹さんに見学をしてもらっていたのだけれど…ツアー参加者が増えるのは予想外だわ」
コブラ「いやホント、良い物が見物できたよ。お捻りあげたいくらいだね」
マミ「それで…2人はどう?これで見学ツアーは終わりにするつもりだけれど…決心はついた?」
さやか「…」
まどか「…」
マミ「これ以上、生身の身体で戦いの傍にいるのは危険だと思うわ。…決断を急かすわけじゃないけれど、何より貴方達が心配なの」
まどか「…わたしは…マミさんと一緒に戦う、って…そう、決めたから…!」
ほむら「安易な決断はしないでと忠告したはずよ、まどか」
まどか「でもっ!マミさんが…マミさんが!」
マミ「…有難う。でもね、鹿目さん。何度も言うように魔法少女になるのにはとても危険な事なの。…私のためだけに、魔法少女になるという答えを出すのは止めてちょうだい」
まどか「で、でもっ!マミさん、戦うの怖くて、寂しくて、辛いって…だから、わたし、一緒に…!」
マミ「だからこそよ。…美樹さんにも言ったのだけれど…誰かのために願いを叶えるというのは、きっとこれから先、後悔する事になるわ」
まどか「…」
さやか「…」
マミ「だから、後悔なんて絶対にしない、魔法少女になって戦い続けられる…その心に揺らぎが無くなった時に、決めてほしいのよ」
マミ「…鹿目さん。私は、貴方達が戦いに加わろうと、加わらなかろうと…こうしてお友達としていれれば、それだけで…何よりも心強いのよ。それだけは言っておくわ」
11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 00:41:55.23 ID:L8XPXdVT0
ほむら「…。鹿目まどか、何度も言うけれど…私の忠告、忘れないでね」ガタッ
まどか「… … …うん。分かってる。…ありがとう、ほむらちゃん」
マミ「あら、もうお帰り?」
ほむら「ええ」
マミ「…今日は、貴方を縛ったままにしておいてごめんなさい。でも、私少し…貴方の事、信じられるかもしれない」
ほむら「… … …」
マミ「グリーフシードの奪い合いじゃない…貴方の行動には、何か信念のようなものを感じるの。…私の勝手な勘だけれどね」
ほむら「…私も、無益な戦いはしたくないわ。…それだけは言っておく」
マミ「そう…良かった」
ほむら「…お茶、御馳走様…」バタン
さやか「… … …」
さやか「デレたよ!ついにデレたよあの子!鉄壁の牙城にヒビが入ったよ!」
まどか「ちょ、さやかちゃん、声大きい…!」
コブラ「…若いってのはいいねぇ、どうも」
12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 00:47:43.85 ID:L8XPXdVT0
マミ「それじゃあ…別の話をしましょう。私達の事はおしまい。ジョー…さん。次は貴方の話を聞かせてくれる?」
コブラ「…そうだなぁ、マティーニでも飲みながらじっくり語りたいところだが…生憎この部屋には無さそうだし、仕方ないな」
コブラ「俺は…まぁ、しがないサラリーマンでね。宇宙観光の最中に突然謎のブラックホールに飲み込まれて…気が付いたらあのザマだ。マミが華麗に戦ってるところにお邪魔したってワケさ」
まどか「うちゅー…かんこう…?」
コブラ「ああ」
さやか「え、え?その、単なるしがないサラリーマンなのに、宇宙船に乗ってたってわけ?」
コブラ「まぁ、そこまで薄給でもないんでね。宇宙船の1隻くらいは奮発して持っていて、それでちょぃとした旅行に」
まどか・さやか・マミ・QB「… … …」
コブラ「…俺、何か変な事言っちまったかな」
さやか「え、えぇと…どこまで信じればいいのかな…?!正直、全部が嘘っぱちにしか思えないし…ま、まぁ、とにかく…本当に結界の中に入った理由は分からないんだよね?」
コブラ「そういう事。ここがどこの星かも分からないザマだよ。参った参った」
まどか・さやか・マミ・QB「… … …」
コブラ「…どうも俺は、会話教室に通ったほうがいいみたいだな」
13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 00:51:27.82 ID:L8XPXdVT0
コブラ「地球!?日本!?ここがか!?」
さやか「…本気でビックリしてるよ、この人…」
コブラ(この子らの反応を見るに、この星には星間交流の概念が無いようだが…ここが地球だってぇ!?俺の知っている地球とは随分違うぜ)
コブラ(見たところ、文明はかなり遅れて…いや、俺からすれば太古と言うに近いな、ここは)
コブラ(あのブラックホールの先は…過去の時代へと続いていたのか?…いや、それとも、この場所は…)
マミ「でも…仮にジョーさんが宇宙人だとすれば、あの魔女を倒した謎の攻撃にも何となく納得できるわ」
さやか「そうそう、アレ!あのレーザーみたいな光。どっから出てきたの?」
コブラ「あ、いやぁ魔法が苦手ってのは実は嘘でね。俺もちょっとした魔法みたいなものが使えるんだ。こう、念じて、ドバァーっ、と」
まどか「え、じゃあ本当に…契約して魔法を?」
QB「それは違うね。ボクの見る限り、彼はソウルジェムを持っていない。信じ難いけれど、生身の人間のようだ」
コブラ「そういう事。察しがいいね、そこの宇宙人は」
QB「!?」
まどか「ティヒヒ、ジョーさん。キュウべぇは宇宙人じゃないよ。…わたしにもよく分かんないけど」
コブラ「…へ?そうなの?」
QB「…」
14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 00:54:13.03 ID:L8XPXdVT0
マミ「それじゃあ、元いた世界と、今いる私達の世界、見滝原…ジョーさんは全く違う世界にきてしまったという事?」
コブラ「どうもそうらしい。しかも帰る方法が分からないときてるし、いやぁ参ったよ」
さやか「魔法少女の話の次は別世界からきた人、かぁ…。あははは、もうあたしチンプンカンプン」
マミ「…繰り返すようだけど、キュウべぇは本当にこの事については関与していないわけね」
QB「もちろん。わけがわからないのはボクも同じさ。ジョーの言う事が全て嘘とは思えないのも同意見だね」
コブラ(ブラックホールがレーダーにも反応せず、突然タートル号の前に現れるなんてのは明らかに不自然だった。あれは…誰かが俺をこの世界に呼び寄せるための意図だ。…誰かが俺を、ここに来させた)
まどか「それじゃあ、住む場所も無いわけですよね?…どうするんですか、これから」
コブラ「ん?あぁ、まぁ適当に考えるさ。生粋の旅行好きでね、どこでも寝れるのが自慢なんだ」
さやか「いや、そういう事じゃなくて」
コブラ「分かってますって。それじゃあ、俺もアンタ方の言う『魔法使い』になってみようかね?」
マミ「え?」
コブラ「行くアテがあるわけでもない、帰る方法も分からない…ともなれば、願いを叶えられるという魔法少女さんの傍にくっついてるのが一番出口に近いと俺は思うんだ」
マミ「魔法少女になるという事?」
コブラ「止してくれよ。マミの服はとってもキュートだがね、俺があんなの着たら蕁麻疹が出ちまうよ」
まどか(…想像しちゃった)
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 00:57:37.59 ID:L8XPXdVT0
コブラ「見滝原とか言ったか。しばらくはこの辺りをブラブラさせて貰いながら、アンタら魔法少女の様子を見せてもらうよ」
まどか「…本当に大丈夫なんですか?あの、私、お母さんとお父さんに話して泊めてもらうように…」
コブラ「気持ちは嬉しいがね。年頃の御嬢さんがこんな男を家に連れ込んだら水ぶっかけられて追い出されるのがオチだよ」
マミ「私の家でもいいのよ、一人暮らしだし」
QB「マミ、ボクもいるんだけど」
コブラ「大丈夫大丈夫、心配ご無用。散歩が好きなんだ、気ままにフラフラしてるさ」
さやか「あたし達も、ジョーさんが何か元の世界に帰る手がかりみたいなの見つけたら教えるよ」
コブラ「有難いねぇ。いいのか?さやかだって色々忙しいだろうに」
さやか「あたしは… …大丈夫。マミさんを助けてくれたんだ、何か恩返しをしたいのはあたしもまどかも同意見!でしょ?」
まどか「うん。今度はわたし達が助ける番だと思うし」
コブラ「助かるぜ。…それじゃ、一旦この辺で失礼させてもらうよ。また会おう」
マミ「…ありがとう、ジョーさん。また会いましょう」
コブラ「レディーが俺を必要とするのなら、宇宙の果てからでも飛んで来るさ」
16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 01:00:07.82 ID:L8XPXdVT0
――― マミのアパート、入口。
コブラ「…さてと」ピッ
コブラ「レディ、聞こえるか。今どこにいる?」
レディ「ええ、聞こえるわよコブラ。今はタートル号に乗って太陽系をぐるりと回っているところ。あの場所から現実世界に戻った瞬間に、タートル号で外宇宙に飛んでみたの。…本当に、あなたのいる場所は地球のようだわ」
コブラ「だろうな。それで、元の世界に帰れそうな方法はあるか?」
レディ「残念だけれど…分からないわ。この世界に飲み込まれたブラックホールを探してはいるんだけれど、探知は出来ない。そちらはどう?」
コブラ「こっちも手詰まり。黒幕も何も分かったもんじゃない。…もっとも、あのキュウべぇとかいう生物は怪しいとは思うがね」
レディ「それじゃあ、あの子達の周辺をしばらく監視するの?」
コブラ「そうする。俺の直感ではこの事件には何かしら、かの女達が関係している。それに、女の子の傍にいるのは悪い気はしないからな」
レディ「呆れた。 …コブラ、何点か教えておきたい事があるのだけど、いいかしら?」
コブラ「よろしくどーぞ」
レディ「まず、私達が最初に辿り着いたあの場所。かの女達が『結界』と呼ぶ場所ね。分析したのだけれど、あの場所は言っていたように、現実世界とは少し次元の異なる場所のようね」
レディ「難しい話はしないけど、私達のいた世界にも例のない、亜空間よ。あの場所に何かしら、私達が元に戻れるためのヒントが隠されているかもしれないわ」
コブラ「ああ。俺はそのヒントを探しに、ここに残ってみる。しかし、どうやったらあの空間に入る事ができるのかが分からない。レディ、何かいい方法はないか?」
レディ「あるわよ」
17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 01:03:46.34 ID:L8XPXdVT0
レディ「『結界』のデータをタートル号のコンピューターで分析出来たの。あの空間の一定のエネルギー…かの女達なら『魔翌力』と呼ぶ未知のエネルギーを解析して、こちらのレーダーで感知できるようにしておいたわ」
コブラ「ほー、流石レディ。仕事が早くて助かるぜ」
レディ「ただ、その空間に直接入る事は出来ないのよ。空間を断裂してその内部に侵入する方法は私でも分からない。可能ならば、その内部に入る能力を持った魔法少女の後をついていくのが得策でしょうけど…」
レディ「単身で貴方が結界に入る方法がないわけでもないの」
コブラ「興味深いね。聞かせてくれるかい?」
レディ「あの結界を『テント』と考えてくれれば分かりやすいわ。一度開いたテントの中には、入口が見つからない限り不可能よ。…ただし、テントを開く場所さえ分かれば、貴方は結界の中に単身で潜り込めるわ」
コブラ「…なるほど。確かマミの話じゃあ、『グリーフシード』ってヤツが孵化する瞬間に魔女が生まれ、同時に結界がその場所に生じると言うが…」
レディ「そのグリーフシードの発する魔翌力のエネルギーのデータを、タートル号にインプットしたわ。つまり貴方が結界を張り、孵化をする前にその場所に立ってさえいれば」
コブラ「俺も晴れて、テントの中で楽しくお食事出来るってわけか」
レディ「そういう事。私とタートル号はしばらく地球周辺の宙域でそちらの探知をするわ。貴方の周辺に魔翌力が探知でき次第、リストバンドに位置を送る事が可能よ」
コブラ「了解。助かるぜレディ」
レディ「でも…単身で戦うのは十分気を付けたほうがいいわ。あの魔女という怪物がどれほどの力を持つものか、未だ分からない点が多いから」
コブラ「分かってますよ。…魔女狩りはかの女達の専売特許だ。あんまりやりすぎないようにはするさ」
18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 01:06:28.49 ID:L8XPXdVT0
レディ「それと…もう一つ、これは関係がないかもしれないのだけど…伝えておきたい事があるの」
レディ「…貴方と私が見た魔法少女…巴マミと言ったかしら。あの子が例の化け物と戦っているところを、タートル号のモニターで分析してみて、分かった事があるの」
コブラ「分かった事?」
レディ「かの女の身体から、生体が発生させるエネルギーが探知できないの」
コブラ「!?どういう事だ!?」
レディ「私にも分からない。ただ、人間が本来発生させるべきエネルギーが、かの女の身体からは検知できなかった。…ある一部分を除いては」
コブラ「一部分…?」
レディ「右側頭部の髪飾りの留め具部分。唯一、生体エネルギーがこちらで探知できた場所よ」
コブラ「…ソウルジェム。かの女達が魔法少女になるために必要な道具と言っていたが…」
レディ「そのソウルジェムの発生させるエネルギーが、抜け殻の巴マミを動かしていた…と言っても過言ではないわ。まるで…マリオネットのように」
コブラ(どういう事だ…?あの宝石は魔翌力の源…契約の証、としかマミからは教えられなかった)
コブラ(かの女はこの事実を知っているのか?いや、隠し事をしている様子は無かったし、そんな大事な物だと知っているのなら余計に伝えなければいけない事だ。…まさか、知らないのか?)
コブラ(…キュウべぇ、とか言ってたか。あの野郎、やはり食えないヤツみたいだぜ)
コブラ(しかし、こいつはまだ俺の中に仕舞っておいた方がいいな。…いつか、分かる日はくる。いきなりそれを知っても混乱を招くだけだ)
コブラ(その事実を知る時まで…俺がソウルジェムを、かの女達を守ればいい。それだけだ)
19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 01:08:53.10 ID:L8XPXdVT0
レディ「報告は以上ってところかしら。何か質問は?」
コブラ「あー…一つ心配事があるんだがね、レディ」
レディ「何かしら?」
コブラ「この国の通貨さ。酒もメシも食えないんじゃあ、魔法使いどころか動けもしないぜ」
レディ「ああ、そうね。…ごめんなさい、通貨については私も調べられないわ。ただ、タートル号に換金していない金塊があるから、どうにか売り払えれば不自由はしないはずよ」
コブラ「おー、そうだったそうだった!やっぱり持っておくべきはデキる相棒と資産だね、ハハハ」
レディ「ふふふ。夜が更けて人目が無くなったら、一度地球に降りて必要な物を渡す事にしましょう。…それじゃあね、コブラ。十分気を付けて」
コブラ「了解。そっちもよろしく頼むぜ」ピッ
コブラ「さて…色々分かった事は多いが、何から始めるかねぇ」
葉巻に火をつけて、一服をするコブラ。
コブラ「…先は長そうだな。それじゃあまず…軽い運動でもしてきますか」
20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 01:11:28.03 ID:L8XPXdVT0
――― 一方、ほむらの家。
ほむら(私は…数えきれないほどの時間を、繰り返し、やり直してきた。その度…あの夜を越えられず、また同じ時間を巻き戻しをして…)
ほむら(巴マミ、美樹さやか、佐倉杏子…そして、私と、まどか)
ほむら(それぞれの時間に、それぞれの運命が存在し、違った展開を見せていた。…それでも、まどかを助けられる時間軸は、まだ見つからないのだけれど)
ほむら「…ジョー・ギリアン…」
ほむら(あんな男が存在する時間なんて、今まで一度も無かった。…私の存在を皆が覚えていないように、彼の事を知っている人物もいない。…インキュベーターでさえも知らないようだった)
ほむら(私と同じ…いいえ、彼自身、自分がこの世界に何故来たのかを知らないのだとすれば、完全なるイレギュラーの存在)
ほむら(この繰り返す時間の中に投じられた、一つの駒。…でも、それがどんな影響をもたらすのか未だに分からない)
ほむら(…巴マミは、あそこで死んでいてもおかしくなかった。彼の存在が、もし…魔法少女を救うために、運命を変えるために、あるのだとすれば…)
ほむら(この先…まどかと私の運命…『ワルプルギスの夜』も…)
ほむら「…倒せるというの?」
21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 01:13:28.00 ID:L8XPXdVT0
――― 見滝原から少し離れた場所。その結界内部。
結界内部は、さながら巨大な書物庫のようであった。幾つもの小さな本が飛び交い、交差する。その本達はどれも手足が生え、笑いながら飛んでいた。
その中央に佇む『辞典の魔女』は結界内の侵入者に攻撃を続けている。
自らのページを開き空間内に文字を具現化させ、弾丸のようにそれらを高速で目的に飛ばし、コブラを攻撃するのだった。
コブラ「どわぁぁっ!っと、っと!うひぃぃーっ!」
叫び声をあげながら結界内を駆けまわり、次々と繰り出される文字の弾丸を避けるコブラ。
コブラ「ったく、活字アレルギーになりそうだぜ!悪趣味な攻撃してくれちゃって」
言いながら左腕のサイコガンを抜き、膝をついた体勢で止まり、『辞典の魔女』へ向けて銃口を構える。
コブラ「さあ、撃ってきな。相手してやるよ」
辞典の魔女「!!」
止まった目標に向け、今まで以上の頻度で文字の弾丸を打ち続ける魔女。
ドォォォォ―――ッ!!
だがその攻撃の全てはサイコガンの連続放射で防がれ、それらを貫いた光は本体である辞典の魔女へと向かっていく。
辞典の魔女「!!!」
攻撃を受けたせいか、一瞬魔女の攻撃が怯み、動きが止まる。その隙にコブラはにぃ、と笑って立ち上がり、サイコガンに意識を集中した。
コブラ「喰らえーーーッ!!」
威力の高い、精神を集中させたサイコガンの一撃は辞典の魔女の瞳を貫く。
崩れるように地面に落ちていく巨大な本。その姿に背を向け、コブラは静かに左手の義手をつけた。
22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 01:16:13.89 ID:L8XPXdVT0
コブラ「っとぉ!」
魔女が倒れた事を現す結界の解除。元の世界に戻ったコブラの手にはグリーフシードが握られていた。
コブラ「こいつがグリーフシードか。…しかし、こいつ一つ手に入れるのにも相当苦労するもんだな、一筋縄じゃいかなそうだ」
手にしたグリーフシードを掌の上で転がしながら、呆れたように見つめる。
コブラ「それで…何か用かい。こそこそ隠れてないで出てきたらどうだ」
静かにそう言うコブラの後ろ。ビルの物陰から、ひょっこり姿を現すキュウべぇ。
QB「君の目的を知りたくてね。少し観察させてもらっていたのさ」
コブラ「そりゃ光栄だ。先生は今の戦いに、何点をつけてくれるのかな?」
QB「君は一体何者なんだい?契約もしていないのに魔女と戦う力を有する存在…。魔法少女である暁美ほむらもそうだけれど、君はそれ以上にイレギュラーな存在だね」
QB「何よりも、君は何故魔女を倒すんだい?ソウルジェムを持たない君にとっては、無意味そのものの行為であるはずだよ」
コブラ「…無意味ねぇ」
23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 01:19:09.29 ID:L8XPXdVT0
コブラ「…ソウルジェム、っていうのは願いを叶えてくれる魔法の宝石。そんな風にかの女達は思っているかもしれないが…」
コブラ「だが、このグリーフシード、ってヤツは…そんなメルヘンチックなもんじゃないね。あんな化け物の身体から出てくるんだからな」
QB「何が言いたいんだい?」
コブラ「俺は宝石にはちょいと五月蠅くってね。いやー、なかなかこのグリーフシードとソウルジェム…似ていると思ってさ」
QB「…」
コブラ「ひょっとしたらこいつを持っていたら俺の願いが叶って元の世界に戻れる手がかりになるかも…なぁーんてね」
QB「説明はマミから受けたはずだよ。グリーフシードはソウルジェムの穢れを吸い取る存在だと」
コブラ「分かってるよ。ま、折角この世界にきた記念だ。お土産の一つに貰っておこうと思ってさ」
QB「わけがわからないよ。君の存在は、暁美ほむら以上に理解不能だ」言いながら立ち去るキュウべぇ。
コブラ「…へっ」
葉巻を口から離し、紫煙を吐くコブラ。月を見上げながら、不適な笑みを浮かべる。
その顔には、どんな運命にも立ち向かう、自信のような感情が溢れていた。
24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/18(水) 01:25:15.41 ID:L8XPXdVT0
―― 次回予告 ――
青春ってのはいいねぇ。男と女、色恋沙汰っていうのはどこの世界でもあるもんだ。
ここは恋という分野で宇宙一と言われるコブラ教授の出番ってワケ。他人の恋愛に首突っ込むのはあんまり好きじゃないんだが、ここは恋のキューピッドになってやろうじゃないの。
だが一方で次々と事件が起こりやがる。妙な赤い魔法少女が俺に斬りかかるの、まどかとその友達が魔女に襲われるので忙しいったらないよ全く。
どの世界でも、モテる男ってのは辛いもんだねぇ、ほーんと嫌になっちまうぜ。
次回【魔法少女vsコブラ】で、また会おう!
52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/19(木) 23:10:12.35 ID:RQdD/8Lj0
恭介「さやかは、僕を苛めてるのかい?」
さやか「え?」
恭介「何で今でもまだ、僕に音楽なんか聴かせるんだ…。嫌がらせのつもりなのか?」
さやか「だって…それは、恭介、音楽好きだから…」
恭介「もう聴きたくなんかないんだよ!」
恭介「自分で弾けもしない曲、ただ聴いてるだけなんて」
恭介「僕は…僕は…っ!ああ!!」
さやか「!!」
聞いているCDに向けて振り下ろされる、恭介の腕。
瞬間、その腕を掴み、それを止める別の手があった。
コブラ「やめときなよ。そいつを壊したら、アンタはもっと大事なものを壊しちまう」
まどか「ヒューッ!」
54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/19(木) 23:13:59.81 ID:RQdD/8Lj0
第2話「魔法少女vsコブラ」
――― 少し前、夕刻、巴マミ家。
コブラ「いやー、お茶に続いて夕メシまで御馳走になるってのは、嬉しいもんだ。おまけにお誘いが美女からとあっちゃあね」
マミ「うふふ。…もう少しで出来上がるから、冷たい紅茶でも飲んで待っててね」
コブラ「どーも。…しかし、いつもマミは一人の食事かい?若いんだし、寂しいんじゃないかな」
マミ「あら、そんな事ないのよ。キュウべぇは…今日は出かけているみたいだけれど。最近は、鹿目さんや美樹さんが来る事も多いし…今日はジョーさんがご一緒してくれるから腕の振るいようがあるわ」
コブラ「たはは、美女にモテるってのはいつの時代も悪くないもんだねぇ」
コブラ(そろそろジョーって呼ばれるのも止めさせたいところだけど…仕方ない、か)
コブラ「しかし今日は俺だけ。その、まどかやさやかは何か用事かい?」
マミ「ええ、鹿目さんは、今日は何か用事があるみたい。美樹さんはいつものところみたいね」
コブラ「いつもの?」
マミ「言ってなかったかしら。彼女、幼馴染がいるんだけれど…その人の所に毎日のように通っているの。今は丁度その時間だから」
コブラ「ちぇー、毎日いちゃいちゃ、楽しい時間ってわけか」
マミ「そういう訳じゃないのよ。…もっと深刻な理由なの、彼女の場合は」
55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/19(木) 23:17:16.20 ID:RQdD/8Lj0
コブラ「不慮の事故で手を動かせなくなった悲劇の天才ヴァイオリニスト…ね」
マミ「上条恭介くん、って言うんだけれど…美樹さんは毎日彼のお見舞いに行っているのよ。…献身的よね、事故以来、ずっとらしいわ」
コブラ「惚れてるのかい」
マミ「ふふ、どうかしら?…まぁ、彼に対する美樹さんの思いが誰よりも強いのは確かだと思うわ」
コブラ「だったら、余計にハッキリさせないといけないね。女の一途な思いってのは、なかなか男には理解されないもんだぜ」
マミ「そういうものかしら」
コブラ「そうとも。…よぉーし、マミの夕メシが出来る前に、俺がいっちょ恋の指導に行ってやるかぁーっ」
マミ「…二人の邪魔にならないかしら?」
コブラ「大丈夫大丈夫!そういう色恋の問題は宇宙一、俺が経験してるのさ。先輩として教育してきてやらなきゃあな」
マミ「…ジョーさん、貴方…」
マミ「酔ってるのね」
コブラ「へへへ、この世界のカクテルも悪くない味でね。つい昼間から」
56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/19(木) 23:20:19.59 ID:RQdD/8Lj0
マミのアパートから出て、教えられた病院の場所へ上機嫌で歩んでいくコブラ。
コブラ「オーマイダーリン オーマイダーリン~ …♪ … …んん?」
コブラ「ありゃあ…まどかと…ほむらと言ったか。あんなところで何してるんだ?」
ほむら「まだ貴方は、魔法少女になろうとしているの?まどか」
まどか「…それは…まだ、分からないけど…でも、やっぱり…あんな風に誰かの役に立てるの、素敵だな、って…」
ほむら「…私の忠告は聞き入れてくれないのね」
まどか「ち、違うよ!ほむらちゃんの言ってる事も分かるよ!とっても大変で、辛くて、危ない事も分かってるの!」
まどか「この前だって…マミさん、あんなに戦い慣れしてるのにすごく危なかったって、分かってるから…」
ほむら「…」
まどか「…ねぇ、ほむらちゃんはさ」
まどか「魔法少女が死ぬところって…何度も見てきたの?」
ほむら「…」
ほむら「ええ。数えるのも諦めるくらいに」
ほむら「この前の巴マミの戦い…もし、あの男の介入がなければ、彼女も死んでいたのでしょうね」
57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/19(木) 23:24:52.65 ID:RQdD/8Lj0
まどか「魔法少女が死ぬと…どうなるの?」
ほむら「結界の中で死ぬのだから、死体は残らない。永久に行方不明のまま…それが魔法少女の最後よ」
まどか「そんな…」
ほむら「そういう契約の元、私達は戦っているのよ。誰にも気づかれず、忘れ去られる…魔法少女なんてそんな存在なの。誰にも見えず戦い、感謝もされず、散っていく」
ほむら「それでも貴方は、キュウべぇと契約をするつもりなのかしら。…貴方を大切に思う人が、身近にいるのだとしても」
まどか「… … …ぅ…」
ほむら「誰かのために魔法少女になりたいと言うのなら、誰かのために魔法少女にならない、という考えが浮かんでもいいはずよ。それを忘れないで」
まどか「… … …分かった」
ほむら「そう、良かったわ」
まどか「…ほむらちゃん!」
踵を返し、立ち去ろうとするほむらの背中にまどかが声をかける。
ほむら「何かしら」
まどか「…ありがとう。私の事…いつも、心配してくれて…」
ほむら「… … …(ホムホム)」
立ち去るほむら。
58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/19(木) 23:28:44.67 ID:RQdD/8Lj0
コブラ「…おっかないだけの子だと思ってたけど、どうも俺の見当違いだったかな」
道端に隠れていたコブラは、ひょっこりと顔を出して笑った。
まどか「!い、いたんですか」
コブラ「偶然。たまたま居合わせちゃってね、失礼だったかな」
まどか「…だ、大丈夫です。それより、どうしたんですか?こんな所で」
コブラ「いや、なぁに、恋に悩める純朴な少女がいると聞いてね。人生の先輩としてアドバイスに馳せ参じようとしている最中さ」
まどか「…え?」
コブラ「つまり俺は恋というプレゼントを運ぶサンタクロースってわけ」
まどか「わけがわからないよ」
59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/19(木) 23:32:41.15 ID:RQdD/8Lj0
まどか「えぇ!?さやかちゃんと恭介くんの応援に行く…って…」
コブラ「そういう純真な恋はさ、誰かが肩を押さなくちゃ駄目なんだよ!というわけでまどか、俺を病院まで案内してくれ」
まどか「そ、そんな…邪魔になっちゃいますよ…」
コブラ「いいから!さぁ、案内してくれ我が愛馬よ!」
まどか「… … …さやかちゃんの邪魔だけはしないでくださいね。いつも静かに音楽とか2人で聞いてるみたいなんですから」
コブラ「邪魔なんてするかっ。俺に任せておけっての」
まどか「…分かりまし…ウェヒッ!ジョーさん…お酒、飲んでません?」
コブラ「だはははー!こんなの飲んでるうちに入らない入らない。さ、病院まで頼むぜ」
まどか(…さやかちゃんに後で怒られませんように…)
60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/19(木) 23:35:17.02 ID:RQdD/8Lj0
コブラ「ここが彼の病室か」
まどか「はい」
コブラ「どれ、それじゃあ早速」
まどか「ま、まままま、待って!…駄目ですよ、いきなり入っちゃあ!さやかちゃん、今頑張ってるかもしれないんだし!」
コブラ「…頑張ってる?」
まどか「そうですよ。その…あの…恭介くんと、えっと…い、いい感じになってるかもしれないし…」
コブラ「… … …」
コブラ「どうもそういう感じじゃなさそうだぜ、まどか」
まどか「え?」
耳を澄ませろ、とジェスチャーをするコブラ。
病室からは、微かに怒号のような叫び声が聞こえてきた。聞いたことのないような、悲しい叫び声が。
まどか「あ…」
コブラ「乗り込むぜ」
61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/19(木) 23:38:18.32 ID:RQdD/8Lj0
恭介「もう聴きたくなんかないんだよ!」
恭介「自分で弾けもしない曲、ただ聴いてるだけなんて」
恭介「僕は…僕は…っ!ああ!!」
さやか「!!」
聞いているCDに向けて振り下ろされる、恭介の腕。
瞬間、その腕を掴み、それを止める別の手があった。
コブラ「やめときなよ。そいつを壊したら、アンタはもっと大事なものを壊しちまう」
まどか「ヒューッ!」
さやか「!?ジョーさん!?それに…まどかも!」
まどか「あ…。…う…ご、ごめん、さやかちゃん…」
恭介「…ッ!!離せよ…離してくれよ!」
コブラ「この手を離してアンタのバイオリンが聞けるなら喜んで離すがね。誰かを傷つけるために振り下ろされる手なら、俺はあの世の果てまで離すつもりはないぜ」
恭介「…ぐ…ッ!…うぁぁぁ…ッ!くそぉ…ッ…!」
62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/19(木) 23:41:21.45 ID:RQdD/8Lj0
拳から力が抜けたと分かったコブラは、恭介の腕を解放した。
涙を流しながら、誰かに訴えるように語り始める恭介。
恭介「諦めろって…言われたんだよッ…!今の医学では治らないなら…バイオリンはもう…諦めろって…ッ!」
さやか「…そんな…」
コブラ・まどか「… … …」
恭介「もう一生動かないんだよ、僕の手は…!奇跡か魔法でもない限り… …!」
… … …。
場を重苦しい沈黙がしばらく流れる。
すると、さやかがゆっくり、静かに言う。
さやか「…あるよ」
コブラ・まどか「…!」
さやか「奇跡も、魔法も…あるんだよ」
63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/19(木) 23:44:48.98 ID:RQdD/8Lj0
――― 一方。
杏子「…それで?アンタは何が言いたいのさ」
QB「行動は急いだほうがいいという事さ。この前、杏子の縄張りの魔女を倒したのは彼だよ」
杏子「…!マジかよ。随分ナメた真似してくれるじゃんか」
QB「ボクでさえ、彼がどんな素性で何を目的をしているかはさっぱり分からない。勿論、どうするかは杏子の自由だけど、何かが起きてからでは遅いからね」
杏子「…ジョー・ギリアンとか言ったか?おかしな名前しやがって。…上等じゃないのさ」
QB「どうするんだい?杏子」
杏子「確かにムカつく話だね。ちょいとお灸をすえてやった方がよさそう、っていうのは同意見」
杏子「見滝原…あそこはマミの縄張りだったね。前々から魔女の発生頻度が高かったから縄張りをそっちに移そうと思ってたんだけど…」
杏子「丁度いいじゃん。…マミも、ジョーとかいう男も、まとめてぶっ潰せばあそこのグリーフシードはアタシのものになる」
QB「気を付けてね、杏子。あそこには、更にもう一人、イレギュラーな魔法少女もいるから」
杏子「ふん。退屈しなくて済みそうじゃん。ほんじゃあ、行きますか」
QB「今夜かい?」
杏子「急かしたのはお前だろ?…まずは、アタシの縄張りを荒らしたヤツ」
杏子「ちょいとお仕置きが必要だからね」
64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/19(木) 23:46:41.27 ID:RQdD/8Lj0
さやか「ごめんね…二人とも。変なトコ見せちゃって」
さやか「こんな事言うの失礼なのは分かってる。…でも、今日は帰ってくれないかな」
さやか「怒ってるわけじゃないの。…むしろ、感謝してる。ジョーさんが止めなければ、恭介きっと、怪我してたから」
さやか「なんていうか…あたしも、ちょっとだけ…考える時間、欲しいの」
さやか「…ありがとう。…ごめんね」
・
まどか「…大丈夫かな、さやかちゃん。やっぱり、無理にでも一緒に帰ったほうが…」
コブラ「ああいう時は、一人でじっくり考えるもんさ。誰にだって落ち着いて考える時間は必要だ」
まどか「…そう、なのかな…。わたしがもっとちゃんと、二人の事フォローできれば… …っ!?」
言い終わらない内に、まどかの頭にポンと左手を乗せるコブラ。
コブラ「まどか。そうやって何でもかんでも自分のせいにするクセ、おたくの悪いクセだぜ」
時間が止まったかのように、黙る二人。しばらくすると、まどかはポロポロと噛み殺していた涙を流し始める。
まどか「… …ぅっ、くっ…!だ、だって…!さやかちゃん、かわいそうでっ…!あんなに、あんなに頑張ってるのにっ…!わたし、何もできなくて…っ!」
コブラ「泣くなよ、まどか。人は、涙を流すから悲しくなるんだぜ」
65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/19(木) 23:49:46.33 ID:RQdD/8Lj0
パチ パチ パチ。
二人の前に、拍手をしながらゆっくりと現れる人影。その口には棒状のチョコレート菓子を銜えている。
杏子「名演説だね。感動してアタシも泣いちゃうくらいだよ」
そういう杏子の表情は、憎悪に満ちた薄ら笑いだった。
まどか「…っ!だ、誰…?」
コブラ「そいつはどうも。なんならカフェでお茶でもしながらゆっくり語りあおうか?」
杏子「遠慮しとくよ。それに…生憎そんな気分じゃないんだ」
言いながら、赤いソウルジェムを見せびらかすように取り出し、不適に笑う杏子。
まどか「…!ソウルジェム!?」
そしてそれを使い、魔法少女へと変身する杏子。
出現した巨大な槍を演舞のように振り回し、それを終えて槍を前に構えた戦闘態勢へと移る。
杏子「アタシの縄張りを荒らしてくれるなんて、ナメた真似してくれるじゃん。…ジョー・ギリアン!」
コブラ「…やれやれ、夕メシの時間には間に合いそうにないなこりゃあ」
66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/19(木) 23:52:28.77 ID:RQdD/8Lj0
まどか「あ、あ…っ!」
コブラ「まどか、すまないが、先に帰ってマミに夕飯に少し遅れると伝えておいてくれないか」
コブラ「冷めたカレーライスは好きじゃないから、暖かいうちに帰るつもりだがね」
杏子「その余裕…ぶっ潰してやるよッ」
コブラ「急げ、まどかっ!巻き込まれるぞ!」
まどか「…っ!は、はいっ!!」
まどかが走り出すと同時に、杏子がコブラに向けて一気に距離を詰め、槍を振り下ろす。
杏子「でゃああああッ!!はぁッ!うおりゃあッ!」
コブラ「うおっ、とぉっ!ほっ!よっ!」
閃光のような素早い攻撃を次々と避けるコブラ。
コブラ「熱烈なアプローチだなこりゃあ!だがもう少し女の子らしいほうが好みなんだがね!」
杏子「残念だったな!アタシはそんなにおしとやかじゃないんだよッ!」
67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/19(木) 23:56:44.56 ID:RQdD/8Lj0
まどか「早く…早く、マミさんかほむらちゃんに助けを求めないとっ…!」
まどか「このままじゃジョーさんが…!」
急いで、マミのアパートまで走るまどか。
だがその瞬間、信じがたいものを見てしまう。友人である志筑仁美が、何かに憑りつかれたようにフラフラと歩く、その姿を。
まどか「…!ひ、仁美ちゃん!?」
仁美「あら、鹿目さん…御機嫌よう」
まどか「こんな時間に何してるの?お、御稽古事は…!?こっちの方向じゃないでしょ?どこに行こうとしてるの…!?」
仁美「うふふふ…」
仁美「ここよりもずっと、いい場所ですのよ」
まどか「…!」
仁美の首筋にある、魔女の口づけの印。そしてその刻印は、気付けば仁美の周りにいる生気のない人間達のほとんどについているのだった。
まどか「そんな…こんな時に…!?ど、どうすれば…!」
68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/19(木) 23:59:11.88 ID:RQdD/8Lj0
彷徨うようではあるが、確実にある場所に向かう、仁美をはじめとした集団。
放っておくわけにもいかず、まどかはその後についていくのだった。
まどか(あああ、ど、どうしよう…!)
まどか(わたしのバカ!マミさんの番号も、ほむらちゃんの番号も聞くの忘れてたなんて…ッ!)
まどか(仁美ちゃんも放っておくわけにいかないし…ジョーさんも…っ!いくら強いからって魔法少女が相手じゃ、どうなるか…!)
そんな考え事をしているうちに、集団はいつの間にか小さな町工場に辿り着く。
町工場の工場長「俺は、駄目なんだ…。こんな小さな工場一つ満足に切り盛りできなかった。今みたいな時代に…俺の居場所なんてあるわけねぇんだよな」
まどか「!!」
まどか(あれ…洗剤…!)
詢子「―――いいか?まどか」
詢子「―――こういう塩素系の漂白剤には、扱いを間違えるととんでもないことになる物もある」
詢子「―――あたしら家族全員、毒ガスであの世行きだ。絶対に間違えんなよ?」
まどか「…っ!駄目!それは駄目!皆が死んじゃうよ!」
まどかを優しく、包むように止める仁美。
仁美「邪魔をしてはいけません。あれは神聖な儀式ですのよ。…私達はこれから、とても素晴らしい世界へ旅立つのですから」
69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/20(金) 00:02:41.46 ID:1ZRV5oUz0
コブラ「うおおっと!!」
杏子の渾身の一薙ぎを上空に跳躍して避けるコブラ。真上にあった電信柱の出っ張りを掴み、杏子の攻撃範囲から逃れる。
コブラ「ち、ちょっとタンマ!あんたの縄張りに入ったのは謝るからさ、もう許しちゃくれないかね!平和的に行こう!」
杏子「…へっ、ちったぁ懲りたかい」
コブラ「懲りた懲りた、大反省!俺もうなぁーんにもしないから!」
杏子「…そうかい、それじゃあ…。… … …なんてねっ!」
杏子「生傷の一つもつけないで帰すなんて、アタシの腹の虫が収まらないんだよッ!」
そう言って、コブラの掴まる電信柱を斬る杏子。
コブラ「!!どわあああっ!?」
切り落とされ下に落ちる電信柱と一緒に、コブラも地面に叩きつけられるように尻餅をつく。
コブラ「いちちち… …って、のわぁぁぁあっ!?」
杏子「くらえええーッ!!!」
瞬間、それを見計らっていた杏子はバランスを崩して座り込んでいるコブラの頭上へ、槍を振り下ろす。
ガキィィィィンッ!!
振り下ろされた槍は…。
杏子「… …ッ!なんだと…っ!?」
コブラの左腕に食い込み、血の一滴も流さずに止まっていた。
70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/20(金) 00:05:19.11 ID:1ZRV5oUz0
杏子「…くっ!」
その異常な事態に杏子は素早くバックステップをして、コブラの様子を伺うように構える。
杏子「てめぇ、その左腕…何者なんだ…!?」
コブラ「…身体がちょいと頑丈なもんでね。特に俺の左腕はな」
にやっと不敵に笑い、ゆっくりと立ち上がるコブラ。葉巻にライターで火をつけながら、身体についた埃を払う。
コブラ(…とはいえ、こいつはちょっとまずいな。手加減をして戦ってどうにかなるもんじゃないらしいね、魔法少女ってヤツは)
コブラ(だからって素性の知れない魔法少女にサイコガンを使うわけにはいかない…。女を殴るのは俺の主義じゃない…参ったね、お手上げだ)
コブラ(…こうなりゃあ…『アレ』でいくしかないか)
コブラ「仕方ないな、こうなりゃあ俺の奥の手を見せてやるぜ」
杏子「…ほー、楽しめそうじゃん。何をしてくれるんだい?」
コブラ「…驚くなよ?」
槍の刃の音を鋭く鳴らす杏子に対し、コブラは葉巻を杏子の方へ投げ捨てると…。
コブラ「これが俺の奥の手…逃げるが勝ちだぁーッ!!」
瞬間、猛然と走り出して杏子の隣をすり抜けるコブラ。
杏子「…!!??て、てめぇ!待ちやが…っ!?」
その時、杏子の近くに投げ捨てられた葉巻が閃光のように眩い光を一瞬放つ。
杏子「うおおっ!?」
5秒ほどそれは辺りを照らす。次に杏子が目を開けた瞬間、そこにコブラの姿はなかった。
杏子「…くっ!逃げられた!…あのヤロー、あの腕といい、ただ者じゃないなやっぱ…!」
杏子「…でも、このままじゃ済まさねぇからな、絶対…!」
71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/20(金) 00:08:15.35 ID:1ZRV5oUz0
まどか「…!離してッ!!」
仁美の手を振り切り、洗剤の入ったバケツに猛然と走るまどか。それを掴みとると、勢いよく窓の外へ投げ捨てる。
まどか(…よ、よしっ!これでひとまず安心…)
しかし、その行動をしたまどかに向けられる…恨むような人々の視線。
まどか「…え…」
群衆「あぁぁああぁぁぁああああっ…!!」
まるでゾンビが血肉を求めるようにまどかへ襲い掛かる群衆。
まどか「きゃあああああっ!!」
襲い掛かる群衆から逃げ、急いで側にあった物置に逃げ込むまどか。
まどか「ど、どうしよう…どうしようっ…!やだよ…誰か、助けて…っ!」
その瞬間。
まどか「…ッ!!」
まどかの周りに広がる、魔女の結界。それと同時に…窓の割れる音が、微かに聞こえた。
72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/20(金) 00:10:16.42 ID:1ZRV5oUz0
テレビのようなモニターや、使い魔や、木馬がまるで水中のように浮翌遊する空間。その空間内に、まどかも同じように浮翌遊していた。
モニターに映し出されるのは、まどかが今まで見てきた、魔法少女の戦いの光景。
まどか(これって…罰なのかな)
まどか(わたしがもっとしっかりしてれば…さやかちゃんも、仁美ちゃんも、ジョーさんも…もっとちゃんと、助けられたのに…)
まどか(だからわたしに、バチがあたったんだ)
その自責の念はまるで声のように結界内に響き渡る。
気付けば、まどかの手足をゴムのように引っ張る、翼の生えた不気味な木製人形達。四肢を引き千切ろうと、徐々にその力は増されていく。
まどか(わたし…死んじゃうんだ…ここで…っ!う、ぐっ…!)
まどか(痛いよ、苦しいよ…っ!)
まどか(もう…嫌だよっ…!!)
その時、まどかの四肢を引っ張る四人の『ハコの魔女の使い魔』が次々に光の波動に消された。
まどか「…!!」
まどか「…ジョーさん!」
コブラ「結界が張られる前に窓に飛び込めて良かったぜ。バラバラになった美少女なんざ、地獄でも見たくないからな」
75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/20(金) 00:13:04.20 ID:1ZRV5oUz0
まどか「… …!!ひ、左手が…ジョーさんの、左手が…!」
まどかが見た、ジョー・ギリアンの姿。
硝煙をあげるその銃口は、本来あるべき左腕の場所にあった。見たこともない、異形の銃。まるでそれは身体の一部のように当たり前にそこにあるようだった。
コブラはまどかの前に立ちはだかり、背中を向けながら語る。
コブラ「…まどか、俺も一つ、罰を受けなきゃいけないのかもしれないな」
コブラ「俺はあんたらに嘘をついていたんだ」
まどか「嘘…?」
コブラ「一つは、俺はしがないサラリーマンなんかじゃないって事」
コブラ「一つは、俺は宇宙観光の最中なんかじゃなかったって事…」
コブラ「そして…最後の一つ、俺の名前はジョー・ギリアンじゃないって事だ」
コブラが喋っている間に、魔女の使い魔は次々とコブラとまどかを襲おうとする。
しかし、それらの全てはサイコガンの連射で次々と撃ち抜かれ、一つとして外されることはない。
まどか「…それじゃあ、あなたは…?」
コブラ「俺は…別の世界では、海賊をしていた。宇宙を流れ星のように駆けながらお宝を見つけ、糧にしていた一匹狼の海賊さ」
コブラ「俺には、一つの名があるんだ。…それは」
まどか「それは…?」
サイコガンに、コブラの精神が集中される。銃口が淡く光り、鋭い、サイコエネルギーをチャージする音が聞こえた。そしてコブラは目を見開き、叫ぶ。
コブラ「俺の名はコブラ!不死身の…コブラだぁーーーッ!!」
ドォォォォォ――――ッ!!!
まるで大砲の砲撃のようなサイコガンの一撃が、放たれた。
77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/20(金) 00:16:18.42 ID:1ZRV5oUz0
サイコガンの高められた精神エネルギーの光は、使い魔達を焼き払い、その本体であるモニターに隠れた『ハコの魔女』をも爆破した。
そして、結界が解け元の物置に戻るコブラとまどか。
コブラは目を閉じて微笑みながら、左腕の義手をサイコガンに被せる。
まどか「… … …」
コブラ「今まで黙っててすまなかった。だが、見知らぬ世界で俺の正体をペラペラ喋るわけにもいかなくてね。何せ、あっちじゃあ俺の首を狙ってる奴がごまんといるからな」
まどか「ジョー…じゃなくって、コブラ…さん?」
コブラ「そ。…まぁ、色々語るのは後だ。少し急ぎたいんでね」
まどか「…まだ、何かあるんですか?」
コブラ「ああ、急ぎの用がある。まどかも一緒にきてくれ、重大な事だ」
まどか「… … …」
まどかが緊張した面持ちでコブラをじっと見ると、コブラはにっこりと笑って駆け出す。
コブラ「早くしないとマミのカレーが冷めちまうんだよーっ!俺ぁ疲れて腹が減って死にそうなんだーっ!」
まどか「… … …へ?」
呆然とするまどかを後目に、物置から急いで出ていくコブラ。
まどか「ま…待ってください!ひ、仁美ちゃんは!みんなはーっ!?わたし一人じゃどうすればいいか分からないよーっ!ねぇ、コブラさーーーーんっ!!」
まどかの声は、空しく、町工場の中に響くのだった。
78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/20(金) 00:18:51.14 ID:1ZRV5oUz0
―― 次回予告 ――
さやかが魔法少女になっちまった!俺やまどかとしては複雑な気持ちだが、さやかには何よりも叶えたい願いがあるんだとさ。
健気な少女の願いは受け止められ、一人の戦士が誕生する。まー、男を守る女ってのは俺はあまりお勧めできないんだがね。ここは良しとしてやろうっ。
だが綺麗な事ばっかりじゃないみたいだね。暁美ほむらに、謎の赤い魔法少女。そしてもう一人、俺の事を追っかけてくる輩もいるみたい。
相変わらず俺が元の世界に戻る方法も分かんないわ、もーいい加減にしてくれってんだ!
次回【忍び寄る足音達】で、また会おう!
101: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/21(土) 20:59:16.61 ID:lLQvXsCK0
第3話「忍び寄る足音達」
――― 巴マミ家。早朝に訪れたさやかを、マミは快く受け入れた。
テーブルに置かれた、2人分の紅茶とお茶菓子。マミは静かに紅茶を飲むとテーブルに置き、優しく言う。
マミ「…そう。決心、したのね…美樹さんは」
俯いていたさやかはゆっくりと顔をあげ、強い意志の宿った瞳でマミを見つめる。
さやか「…うん。あたし、もう迷わない。…でも、契約をする前にマミさんに伝えたほうがいいかなって」
マミ「そうね。…とても嬉しいわ。私が言うのも何だけど、美樹さんは少し慌てん坊さんだから…ふふふ」
さやか「あはは、バレてましたかー」
マミ「…願い事は、やっぱり上条君の事かしら」
さやか「… … …はい」
マミ「…そこまで決心したということは、どうしても叶えたい願いなのね。後悔しない、確固たる決心が」
さやか「…昨日、まどかとジョーさんが、恭介の病室に来てくれたんです。恭介、もう自暴自棄みたいになってて、暴れようとして…」
さやか「あたし、もうその時自分でもワケわかんなくなっちゃって、いっそ今すぐキュウべぇと契約すればこんな恭介見なくて済むって考えちゃってた」
さやか「でも…ジョーさんが、恭介を止めてくれらから。だからあたしも、恭介と同じように、少しだけ落ち着けた」
さやか「あたしは、ずっと一人で恭介の事考えてるんだと思ってた。でも…実際は違ったんですね。マミさん、ジョーさん、まどか…みんな、心配してくれてるんだ、って」
さやか「だから仮にあたしが魔法少女になっても、心細くなんてない。…戦い続けられる。そう思ったんです」
102: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/21(土) 21:03:01.78 ID:lLQvXsCK0
マミ「…そう。私も、鹿目さんと美樹さんに出会うまでずっと一人だと思ってたから、よく分かるわ」
マミ「一人ぼっちで戦って、悩むのって…すごく苦しくて、悲しくて、辛い事」
マミ「…魔法少女になる前に私に言ってくれてありがとう、美樹さん。…全力で、あなたのサポートをするわ」
QB「話は終わったかな。それじゃあさやか、契約をしよう」
さやか「…うん」
マミ「…あ、そうそう。美樹さん、一つだけ訂正しておく事があるの」
さやか「…?え?」
マミ「あの人『ジョー・ギリアン』さん。本当の名前は違うらしいの。…「俺の名前は『コブラ』だ」って。昨日、あの後教えてもらったわ」
さやか「…はは、やっぱり変な名前じゃん」
マミ「私達は、仲間。…辛い時は一人で背負いこんだり、嘘や隠し事はしないで、みんなで助け合いましょう」
さやか「… … …うんっ!!」
QB「それじゃあ、さやか。君の願いを言ってごらん」
さやか「あたしは――― 」
さやかを包み込む光。そして生まれる、新たなソウルジェム。
103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/21(土) 21:06:19.09 ID:lLQvXsCK0
レディ「おかえりなさいコブラ。出張はどうだったかしら?」
コブラ「もう最高だね。魔女はうじゃうじゃ湧いてるわ、魔法少女には因縁つけられるわ、退屈って言葉が懐かしいくらい」
タートル号内。
人目につかない丘でレディと待ち合わせたコブラは、一旦タートル号で外宇宙へと飛び立った。
レディ「…?これは?」
レディにグリーフシードを一つ手渡すコブラ。
コブラ「相棒にプレゼントさ。大事にしてくれよ」
レディ「まぁ、ありがとう。…どうせならもっと綺麗な宝石がいいのだけれどね、フフ」
コブラ「そいつはまた後でのお楽しみ。とにかく、そいつをタートル号の方で解析しておいてくれ。何か分かるかもしれん」
レディ「オーケー。それじゃ、朝食だけでも食べて行く?用意しておいたのよ」
コブラ「ワオ!嬉しいねぇ、ここんところレディの手料理が恋しくって恋しくって!」
レディ「その割には、マミとかいう子の家で随分と嬉しそうに御馳走になっていたようだけれど?」
コブラ「…ははは、こいつぁ厳しいや」
104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/21(土) 21:09:31.88 ID:lLQvXsCK0
仁美「ふぁぁぁ…」
仁美「…!やだ、私ったら、はしたない」
まどか「仁美ちゃん、眠そうだね」
仁美「なんだか私、夢遊病というか…昨日気が付いたら大勢の人と一緒に倒れていて。それで病院やら警察やらで大変だったんですの」
まどか「…それは、大変だったね」
まどか(救急車呼んだのもパトカー呼んだのもわたしなんだけどね…。…もうっ!ジョーさん…じゃ、なかった、コブラさんが行っちゃうから…)
まどか(ふぇぇ…わたしも眠くて死にそうだよ…)
仁美「…ところで、さやかさんはどうしたのでしょう?まだ学校に来ていないみたいですけれど…」
まどか「…うん。何かあったのかな…さやかちゃん」
仁美「毎日元気に登校していましたのに…おかしいですわ」
まどか(…まさか、何かあったんじゃ…!)
和子「はーい、みんな揃っているかしらー?それじゃあ朝のHRを…」
さやか「ごめんなさーーーいっ!!遅刻しましたーーーっ!!」
和子「!!!」
早乙女先生が教室に入ろうとした矢先、後ろから大慌てで来たさやかが前にいた先生に気付かず教室内に突進してくる。
その体当たりを食らった先生は、衝突事故のような勢いで黒板に頭からぶつかるのだった。
さやか「…あ」
まどか「…あ」
和子「… … …」
和子「美樹さんはいつも、とっても元気ねぇ…?…先生も、とっても、嬉しいワァ…」ニコニコ
そう言いながら満面の笑みを浮かべる先生の背後には、ドス黒いオーラが禍々しく煙をあげていた。
さやか「ぎゃあああああああああ!!すいませんすいませんすいませんーーっ!!」
まどか(…良かった、いつも通りのさやかちゃんだ…)
105: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/21(土) 21:16:16.21 ID:lLQvXsCK0
そして、昼。各々の生徒が昼食を持ち、それぞれの食事場所に分散していく。
さやか「ね、仁美。顔色悪いし、お昼は保健室借りて休んでれば?少し寝たほうがいいよ」
仁美「え…?でも、私は単なる寝不足で…」
さやか「だからこそだよ。放課後にいつものお稽古事もあるんでしょ?今のうちに休んでおかないと身体壊しちゃうよ?」
仁美「… … …そうですわね。それでは、そうさせてもらいましょう」
さやか「よっし、それじゃ、保健室まで一緒するよ。ほら、まどかも一緒に」
まどか「え?う、うん…」
仁美「申し訳ございません、さやかさん、まどかさん」
さやか「いいのいいの、途中で倒れたら大変だし、行こう行こう」
まどか(…どうしたんだろ?さやかちゃん。…なんだか、仁美ちゃんを保健室に行かせたがってるみたい)
仁美を保健室まで送り届けると、さやかはまどかの方を振り返る。
さやか「さ、まどか。一緒にお昼食べよっ、屋上で」
まどか「屋上…?」
さやか「実はさ、呼んであるの。マミさんと、コブラさん!」
106: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/21(土) 21:20:57.44 ID:lLQvXsCK0
まどか「魔法少女に!?」
コブラ「なったぁ!?」
さやか「うん、今朝にね。…2人にも、ちゃんと伝えないといけないと思って」
まどか「ど、どうして…?」
さやか「まぁ、理由は色々あるんだけどさ。…何より、あたしの叶えたい願い、しっかり見つけられたから。後悔なんてしない、命懸けでも、叶えたい願いが」
コブラ「…」
マミ「私と相談をしたの。願いのためなら、その命を戦いに捧げても構わない…その決意があるから、キュウべぇとの契約を、しっかり見届けさせてもらったわ」
QB「そして願いは叶えられ、さやかは魔法少女になったというワケさ」
さやかの手には、太陽に照らされ、煌めく青のソウルジェムの指輪があった。
まどか「…やっぱり、上条くんの事?腕を…治したの?」
さやか「…うん。昨日はありがとう、まどか、コブラさん。2人が来てくれたから、あたし、決められたんだ」
さやか「ずっと考えてた。マミさんが言ったように、他人の願いを叶える前に自分の願いをはっきりさせる、って事。あたしは、恭介の何になりたいんだ、って」
さやか「昨日、恭介の腕の事…ずっと治らないってお医者さんに告げられた、って2人とも聞いてたよね?…その時ね、あたし、もう自分なんかどうなってもいいから恭介の腕を治したいって考えたんだ」
さやか「でも、それは少し違うんだって…その後分かったの。…あたしには、仲間がいる。先輩のマミさんが、コブラさんが…そして、あたしの可愛い嫁のまどかがね、えへへ」
さやか「あたしがどうしようもなく自暴自棄になっても、助けてもらえるかもしれない。…逆に、誰かがピンチになったら、あたしが救えるかもしれない!」
さやか「恭介も、マミさんも、コブラさんも、まどかも、助けられるかもしれない!…だから、どんなに怖くても大丈夫だって!…そう思って、あたしは魔法少女になった」
107: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/21(土) 21:23:27.39 ID:lLQvXsCK0
さやか「後悔なんて一つもしていないよ。魔法少女が叶えられる願いは一つだけど、あたしが叶えられる願いは、無限大なんだからっ!」
コブラ「…いい目になったな、さやか。そんな顔が出来るなら何も心配する事ないぜ」
マミ「でしょ?…ふふ、私の後輩は優秀なのよ」
さやか「でへへ」
まどか「… … あの、その…わたし、わたしっ…!」
さやか「…まどか」
さやかはゆっくりとまどかに近づくと、頭にポンと右手を置いて、にんまりと歯を見せて笑う。
さやか「あんたが引け目を感じる事は何も無いの。まどかはいつも通り、あたしの友達で、可愛いおもちゃで、さやかちゃんの嫁でいてくれればいいのだー!」
まどか「えぇぇ…それもちょっと…」
マミ「…鹿目さんは、魔法少女にちょっと詳しい、普通の中学生。それでいいと思うの。…だから、これからもよろしくね?私達の、大切な仲間なんだから」
まどか「…はい」
QB「…」
コブラ「出来れば、疲れたらマッサージとかもお願いしたいねぇ。特にマミは重い物ぶら下げて肩こりが酷い…いででででっ!」
笑顔でコブラの足を踏みつけるマミ。
108: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/21(土) 21:27:38.88 ID:lLQvXsCK0
さやか「3人とも、放課後は空いてる?ちょっと来て欲しいところがあるんだ」
まどか「…?」
さやか「へへ、実は恭介にサプライズプレゼントしようと思ってね。ま、とにかく暇なら病院まで来てよ、詳しくは後で教えるからっ!」
マミ「…ふふふ、美樹さんの事だから何となく想像ができるけれども、楽しみだわ」
さやか「えへへへ…それじゃ、また後でっ!」
さやかはそう言って元気に手を振ると、屋上から慌ただしく出ていく。
まどか「さやかちゃん、魔法少女になって…良かったみたい。あんなに嬉しそう」
コブラ「…ああ。頼もしい仲間になるぜ、ああいう目をした奴はな」
マミ「そうね。…私も張り切って後輩の指導にあたらなきゃ」
まどか「…えぇと…ところで、コブラさん。あの、ここ学校の敷地内なんですけれど…よく入り込めましたね…?」
コブラ「ん?なぁーに、忍び込むのは俺の専門なんでね。必要なら監獄でも軍事基地でも銀行でも、どこでも潜り込める」
マミ「…あまりおススメできない特技よね、正義の魔法少女の仲間としては」
109: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/21(土) 21:32:21.81 ID:lLQvXsCK0
――― その後。
さやか「そっか、退院はまだ出来ないんだ」
恭介「うん、足のリハビリがまだ済んでないしね」
さやか「でも、本当に良かった…恭介の手が動くようになって」
恭介「…さやかの言っていた通り、本当に奇跡だよね、これ…」
さやか「…」
自然に笑顔になるさやか。
恭介「… … …」
さやか「…どうしたの?」
恭介「さやかには…酷いこと言っちゃったよね。それに、さやかの友達にも。…いくら気が滅入ってたとはいえ…」
さやか「変な事思い出さなくていいの。あたしが皆に謝っておいたし…今の恭介は大喜びして当然なんだから。そんな顔しちゃだめだよ」
恭介「…うん」
さやか「…そろそろかな?」
恭介「?」
さやか「恭介、ちょっと外の空気吸いに行こ?」
110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/21(土) 21:36:51.30 ID:lLQvXsCK0
恭介「さやか、屋上に何か用なの?」
さやか「いいからいいから」
屋上へと上がるエレベーター。車椅子のハンドルを握るさやか。不安そうな恭介。
そして、屋上へ到着したエレベーターの扉が開く。その向こうには…。
恭介「…!みんな…!」
上条恭介の家族、病院関係者…そして、鹿目まどか、巴マミ、コブラ、それぞれの姿があった。
皆、恭介の復活を心待ちにしていた人達ばかり。恭介とさやかは、拍手に出迎えられた。
さやか「本当のお祝いは退院してからなんだけど、足より先に手が治っちゃったしね」
歩み寄る、恭介の父親。そして差し出されたのは、以前愛用していたバイオリン。
恭介「…!それは」
恭介父「お前から処分するように言われていたが、どうしても捨てられなかった」
恭介父「さあ、試してごらん」
少し戸惑いながら、それを受け取る恭介。しかし、戸惑いはやがて微笑みにかわり、弦がしなやかに美しい音色を奏で始める。
まどか「わぁ…!」
マミ「素敵な音色ね…」
コブラ「酒の合いそうな音色だね。一杯ひっかけてもい…いでででででーーーっ」
笑顔でコブラの足を踏みつけるマミ。
さやか(…後悔なんか、あるわけない。…まどか、マミさん、コブラさん)
さやか(あたしの願い、叶ったよ)
111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/21(土) 21:39:48.11 ID:lLQvXsCK0
――― その様子を近くの観光タワーから見つめる杏子。そしてその傍にいるキュウべぇ。
杏子「マミに加えて、謎の魔法少女、ワケの分からない筋肉男…更に新しい魔法少女、ねぇ。見滝原も随分騒がしくなったもんだ」
QB「ボクにもわけがわからないね。元々魔女の発生率が他の都市と比べて桁違いに高い場所だから魔法少女が増えるのは納得が出来るけど、ボクの知り得ない人間が2人もいるなんて」
杏子「まぁ、いいさ。アンタの言っている通り、ここは絶好の狩場だ。…それに、新人が1人くらい増えたところでアタシにとっちゃどうってことないね」
QB「とるべき行動は色々多いようだね。どこから手をつけるんだい?」
杏子「ふん…」
杏子「とりあえず、新人に先輩が教育でもつけてやる、ってのはどう?」
112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/21(土) 21:42:08.58 ID:lLQvXsCK0
――― 少し時間が経って、高いビルの屋上。先程までの病院の様子を観察していたほむらは、物思いにふけていた。
ほむら「…美樹さやか」
ほむら(彼女も、魔法少女に…。まぁ、予想の範疇ね、今まで何度かその世界も見てきた)
ほむら(あとは佐倉杏子。私が知る見滝原に集う魔法少女は、まどかも含めて…五人)
ほむら(…あの男を除いて)
その時、ビルの屋上の扉が開いて誰かが入ってくる。
ほむら「!?」
驚いて振り返るほむら。そこに現れたのは、まどかだった。
まどか「…ほ、ホントにこんな所にいたんだ、ほむらちゃん…!」
ほむら「… … …どうして?」
まどか「え、えっとね…?コブラさんが、あっちのビルの屋上にほむらちゃんがいる、って教えてくれて…」
ほむら(有り得ない…病院からこのビルまで、数百m離れているのよ。私だって、魔法を使って観察していたというのに…)
113: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/21(土) 21:45:18.01 ID:lLQvXsCK0
ほむら「…それで、私に何か用かしら?」
まどか「あ、そ、そうだよね…。急に来てごめんね、ほむらちゃん。えっと…その、さやかちゃんが、魔法少女になったの」
ほむら「知っているわ」
まどか「え!?し、知ってるの!?」
ほむら「ええ。…それで?」
まどか「う…だから…新しい魔法少女も、1人増えたから…」
ほむら「私も、貴方達の仲間になれと言うのかしら」
まどか「… … …うん。マミさん、凄く頼りになるし、さやかちゃんだって一生懸命頑張ろうとしてる。…コブラさんは…あはは、よく分かんない人だけど、とっても強いし…」
まどか「だからね、ほむらちゃんも…私達と一緒に戦ったら、きっと…」
ほむら「…」
まどか「きっと…私達、ほむらちゃんの力になれる。だから…」
ほむら「…」
ほむら(力に…なれる。魔法少女が私の力になれなかった時間が、幾つあったかしら)
ほむら(ある時は力及ばずワルプルギスの夜に負け、ある時は互いを殺し合い…ある時は)
ほむら(私自身が、その魔法少女…まどかを、殺してしまう時も…っ!)
114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/21(土) 21:47:34.76 ID:lLQvXsCK0
まどか「…ほむらちゃん、前にマミさんに言われてたよね?グリーフシードの奪い合いじゃなくって、ほむらちゃんは何か別の意志があって戦ってるって」
まどか「わたしにも分かるの。ほむらちゃんは、絶対に…『何か』をしようとしているって」
まどか「そしてその何かを、私達のためにしてくれているって」
ほむら「…!」
まどか「わたし…まだ、魔法少女になれなくて。臆病で、弱虫で、嘘つきだから…」
まどか「でも、私は少しでも力になりたいの。さやかちゃんの、マミさんの、コブラさんの…そして、ほむらちゃんの!」
まどか「だから…一緒に戦って、みんなで頑張ろうよ。みんなで、魔女を…!」
ほむら「…甘いわ」
まどか「!」
ほむら(私達全員…五人の力を使えば、ワルプルギスの夜に勝てるかもしれない。でも、そう信じるたびにどこか歪が起きて、私達は夜を迎える前に崩れていった)
ほむら(あと二週間、私達が力を合わせてしまえば、きっと…どこかで私達は崩壊してしまう。だから私は、一人で時間を繰り返してきた)
ほむら(…でも…)
ほむら(この時間軸では…私はどうするべきなの?…今度こそ、ワルプルギスの夜を迎えられ、倒せて…まどかと朝を迎える事が出来る?)
ほむら(… … …)
ほむら「…私達魔法少女は皆、誰かを救えるほど余裕があって戦っているわけじゃないの」
まどか「…ぅ…」
ほむら「叶えた願いの代償を支払うために、必至に戦って、その命を削っている。…だから、仲間として戦うなんて、出来るはずがない」
まどか「…」
ほむら「…でも、考えておくわ」
まどか「… …え!?」
ほむら「少なくとも私は、貴方達の敵じゃない。…それだけは覚えておいて」
ほむら「貴方が私の忠告を忘れないと約束をしてくれるならの話だけど」
まどか「!!! …う、うんっ!!…ありがとう、ほむらちゃん!!」
心からの笑みを浮かべる、まどか。その笑顔につられ、ほむらの表情も少しだけ緩んだ気がした。
115: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/21(土) 21:50:21.88 ID:lLQvXsCK0
――― その一方、コブラ達のいた世界での話。
タートル号が、ブラックホールに飲み込まれた宙域付近。そこに停泊をしている、二つの宇宙船があった。
いずれの船も『海賊ギルド』の紋章が刻み込まれている。その二つの船同士の交信。
ギルド幹部「『ソウルジェム』というものを知っているかね?クリスタルボーイ」
ボーイ「知らんな」
ギルド幹部「だろうな。太古の昔…いわばおとぎ話に登場するような、陳腐な噂だからな。…だが、もしそれがあれば…我々は宇宙そのものを塗り替えられるかもしれんのだ」
ボーイ「そんな話のために俺を雇ったというのか?」
ギルド幹部「ククク…そう言うな。これは確かな情報なのだ」
ギルド幹部「この付近で観測されたブラックホール…。今はもう消滅してしまっているが、我々がそのブラックホールのデータの解析に成功した」
ギルド幹部「そしてそのブラックホールが行きつく先…その先に、一つの反応があったのだよ」
ボーイ「ほう」
ギルド幹部「我々の知るところによる、ソウルジェムという宝石…伝えられているデータに似たエネルギーの反応がな。非常に強いパワーを秘めた宝石だ」
ギルド幹部「その石の力は強く…伝説では、どんな願いでも一つだけ叶える事が出来る程の力を秘めた物と言われているのだ」
ボーイ「くだらんお伽話だな。それで、俺にその石コロを探しに行けというのか。ギルドにも随分舐められたものだ」
ギルド幹部「そう言うなクリスタルボーイ。…お前をこの役に選んだのは、理由がある」
ギルド幹部「そのブラックホールに、飲み込まれた船が一隻あった。…タートル号だ」
ボーイ「…!コブラ…」
116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/21(土) 21:54:13.44 ID:lLQvXsCK0
ギルド幹部「我々のこの時代に、ソウルジェムは存在しない。だが、ブラックホールの先には確かに、太古の昔に存在したといわれるソウルジェムのデータに似た反応が出ているのだよ」
ギルド幹部「だがホール事態は非常に小さいものでね。ギルドの艦隊が入り込めるほどではない。まして、銀河パトロールとの抗争もあって戦力をそちらに削る事もできない」
ボーイ「…つまり、俺に乗り込めと?」
ギルド幹部「君が適任なのだよ、クリスタルボーイ。依頼は必ず遂行する、無敵の殺し屋…まして君は、そのコブラに因縁があるのだろう?」
ボーイ「…」
ギルド幹部「我々ギルドの繁栄に、ソウルジェムが必要なのだ。そしてこれは本部からの直々の命令だ。…行ってくれるな、クリスタルボーイ」
ボーイ「…いいだろう。くだらんお伽話に付き合ってやる」
ボーイ「…ソウルジェムを手に入れ、コブラを、この手で…。…舞台としては上出来だ」
ギルド幹部「必要なら部下も数名つけるが?」
ボーイ「必要ない。宝石の数個など、俺一人で十分だ」
ボーイ「コブラもそうであるように…俺も、殺しに関しては一人の方が仕事をしやすいんでね」
ギルド幹部「いいだろう。それでは、君の船の前に人工ブラックホールを作る。また、君の船にもその装置を用意しておいた。帰還の時に使用したまえ」
クリスタルボーイの乗る小型の船の前に、黒い渦が巻き起こる。そして、それに飲み込まれていく一隻の宇宙船。
ボーイ「クックック…俺とお前とは、やはり深い因果で結ばれているようだな。…今度こそ貴様の息の根を止めてやる…コブラ!」
117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/21(土) 21:57:25.20 ID:lLQvXsCK0
―― 次回予告 ――
さやかの特訓が始まった!一人前の魔法少女になれるよう、俺も勿論手伝うつもりだぜ。
だがそう簡単な話じゃないみたいだ。あの赤い魔法少女が、今度はそのさやかに因縁をつけてきた。
一方、俺の方にも一人、厄介な来客が現れやがった!クリスタルボーイぃ!?ったく、ゴキブリ以上にしつこい野郎だねあのガラス人形は!
だがヤツの目的は俺を倒すだけじゃないみたいだ。何か別の目的があるらしいんだが…ロクでもない事に決まってるな!お前の思い通りにはさせねぇぜ!
次回【ソウルジェムの秘密】で、また会おう!
143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/24(火) 23:24:34.72 ID:vkvK2HIs0
第4話「ソウルジェムの秘密」
さやか「く、ゥ…ッ!はぁ、はぁ…!」
美樹さやかは、苦戦をしていた。
青の魔法剣士に対するのは、落書きの魔女・アルベルティーネ。弱ったさやかに対しここぞとばかりに使い魔を繰り出してくる。
魔女の攻撃は、落書きを実体化させ突進をさせる事。飛行機の落書きにのった使い魔達は次々とさやに特攻し、襲い掛かってきた。
さやか「ぐ…このぉッ!!」
さやかは剣で次々と使い魔を斬り捨てていくが、それだけに留まってしまっている。魔女の攻撃を防ぐ事に精一杯で踏み込めない。完全なる劣勢。
さやか(駄目…突破口が見えないっ…!このままじゃあ…!)
まどか「ね、ねぇ、マミさん、コブラさん!やっぱりさやかちゃん一人じゃ無理だよっ!助けてあげないと…っ」
マミ「…」
コブラ「…さやか、助けが必要かい?」
だがコブラの問いかけに、さやかは力強く答える。
さやか「必要ないッ!!あたしは…まだやれるッ!!」
まどか「…そんな、さやかちゃん…!」
144: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/24(火) 23:27:17.23 ID:vkvK2HIs0
さやか(このままじゃ、いずれあたしの体力が尽きて、負ける…!)
さやか(…それならいっそ…!)
さやか「でやあああああッ!!」
マミ「…っ!美樹さん!?」
決心をしたさやかは、勢いよく魔女に向けて駆けていく。つまり、防御を完全に捨てた体勢。使い魔達の突進を次々と受けるが、それでもさやかが止まる事はない。
攻撃を受けた瞬間に、回復。彼女の契約が癒しの祈りによるものなので、ダメージに対する回復力は他の魔法少女とは桁違いにある。さやか自身がそれを知っているのだった。
だから、捨て身の特攻に全てを賭ける。
魔女「!!」
この特攻に魔女も驚いたのか、涙を流すような悲しい表情を浮かべる。だがそんな事は構いもしない、魔女の眼前までさやかは迫っていた。
さやか「これで、トドメだぁーーーっ!」
魔女の眉間に、剣を突き刺す。
血のような黒い液体が噴出したかと思うと、魔女は消滅した。
そして結界が解かれ、四人は元いた路地裏へと戻る。
さやか「はぁ、はぁっ…!」
さやかの手には、魔女を倒した証…グリーフシードがしっかりと握られていた。
145: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/24(火) 23:31:27.92 ID:vkvK2HIs0
まどか「さやかちゃんっ!」
膝をつき、荒く息をするさやかに駆け寄るまどか、マミ、コブラ。まどかはいち早くさやかに駆け寄ると力の抜けたようなさやかを抱きしめた。
さやか「へ、へへ…あー、やっぱりまどかはあたしの嫁だねー」
まどか「さやかちゃん…っ!大丈夫…!?あんなに、あんなに無理しなくても…!」
涙を浮かべながらさやかをギュッと抱きしめるまどか。
さやか「無理しなくっちゃ。あたしも早く、一人前の魔法少女にならなくっちゃね。…どうだったかな、マミさん。あたしの戦い方」
初めての実戦、魔女との戦いにさやかは一人だけで戦いたいとマミとコブラに申し出た。初め、マミは反対をしていたがさやかの強い希望があり、それを通してしまった。
マミ「…そうね。初めての戦いにしては上出来よ。自分の魔法能力をもう理解しているし、それをしっかり活かせている」
マミ「ただ…少し、美樹さんの戦いは捨て身すぎるわ。あんなにダメージを受けてしまっては、ソウルジェムの濁りも強くなってしまう」
言いながらマミはさやかに近づき、さやかのソウルジェムとグリーフシードをくっつけ、穢れを取り除いた。ソウルジェムは光を取り戻し、さやかもまどかからそっと離れ、立ち上がる。
さやか「でも、あたしの持ち味ってそれくらいしかないと思うし…」
マミ「だからこそよ。ああいう戦い方は余程苦戦した時だけにしないと…。コブラさんはどう思う?」
コブラ「ああ、悪い。さやかの肌に見とれて戦いに集中できなくってね。いやー、なかなか露出度の高い衣装だ。三年後が楽しみだぜ」
さやか「え… お、おわぁぁっ!?」顔を赤くするさやか。
マミ・まどか「…」
コブラ「ハハ…ハって、あ、いやぁ、ジョーダンだよ、ジョーダン」
146: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/24(火) 23:34:34.96 ID:vkvK2HIs0
QB「それじゃあ、その真っ黒になったグリーフシードはボクが貰おうか」
さやか「?どうするの?」
キュウべぇにグリーフシードを手渡すさやか。そしてキュウべぇは、そのグリーフシードを背中に取り込む。
QB「きゅっぷい」
まどか「えぇ!?た、食べるの!?」
QB「これもボクの役目だからね」
コブラ「随分な偏食だな。あんなもの、健康に良くっても食う気にゃなれないぜ」
QB「別に好き好んで食べるわけじゃないよ。ただ、あのままじゃあグリーフシードが魔女化してしまうから」
コブラ「…」
コブラ(やはりおかしいな、グリーフシードは魔女から生まれる種だ。そいつが魔法少女の穢れを吸い込むと、再び活性化し、魔女が孵化するだと?)
コブラ(そもそも、その穢れとかいうシステムとそいつを吸い込む種…。つまり魔法少女と魔女は、単なる別種族じゃない事を現している)
コブラ(…ソウルジェムとグリーフシード。そして、そいつを食らうキュウべぇ。やはり全ては無関係じゃないって事だな)
マミ「どうしたのかしら?コブラさん」
コブラ「いや、マミの肌もなかなか綺麗で悪くないなと感心していてね」
マミ・さやか・まどか「…」
コブラ「すいませんでした」
147: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/24(火) 23:38:15.72 ID:vkvK2HIs0
マミ「さてと、それじゃあそろそろ解散にしましょうか?今日の見滝原パトロールと特訓はこれまでよ」
さやか「うん、まどかもマミさんもコブラさんも、付き合ってくれてありがとう!」
マミ「大切な後輩のためだもの、当然よ。それに、美樹さんは覚えが早いから…確実に成長しているわ。次からは、一緒に戦いましょう」
さやか「…!は、はいっ!」
コブラ「さぁーて、それじゃあ巴さんのお宅でディナーパーティとしゃれ込みますかね」
まどか「あ、あの…わたしもお邪魔していいですか?」
マミ「ええ、勿論大歓迎よ。一人で食べるのよりずっと楽しいし…それに、鹿目さんも大切な後輩ですもの。」
まどか「ありがとうございますっ! …ティヒヒ、実はお夕飯、マミさんのお家で御馳走になるって言ってきちゃったんです」
マミ「うふふ、それなら大丈夫ね。」
さやか「あ、ごめんなさいマミさん!あたしは、ちょっと寄るところがあって…」
マミ「あら、そうなの…?残念ね」
まどか「さやかちゃん、寄るところって、どこか行くの…?」
さやか「な、なんでもないのっ!大したところじゃないからっ!…それじゃみんな、また明日ーっ!」
何か慌てたように夜道を駆けていくさやか。それを見送る三人。そして…。
コブラ「… … …それじゃあ、尾行開始といきますかぁ。にぃひひ」
マミ「ええ、うふふ」
まどか「ウェヒヒヒヒ」
QB「人間は何を考えているのか分からないね」
148: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/24(火) 23:39:58.12 ID:vkvK2HIs0
――― 上条恭介家の玄関先。
聞こえてくる美しいバイオリンの音色は、そこに恭介がいる事を証明していた。
しかしさやかは、その音色を玄関先で聞いているだけだった。
さやか「…」
さやか(恭介…退院したなら連絡くれればいいのに…)
さやか(…練習、してるんだ…)
さやか(…)
そっと踵を返すさやか。しかし、その先には一人の少女が立っていた。
さやか「!」
杏子「折角来たのに会いもしないで帰る気かい?随分奥手なんだねぇ」
さやか「だ、誰…?」
杏子「…この家の坊やのためなんだろ?アンタが契約した理由って」
さやか「…ッ!アンタも、魔法少女…!?」
杏子「…おいおい」
杏子「先輩に向かって『アンタ』はねーだろ?生意気な後輩だね」
149: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/24(火) 23:42:57.81 ID:vkvK2HIs0
その様子を、物陰から見ている三人。
コブラ「…げぇ、アイツは…」
まどか「あの時の人…!今度はさやかちゃんに襲い掛かるつもり…なのかな…?」
マミ「あれは…佐倉さん…!」
コブラ「!?知り合いか、マミ」
マミ「ええ。…二人も佐倉さんに会ったことがあるの?」
コブラ「会ったなんてもんじゃないよ。この間、熱烈な歓迎を受けたところでね」
マミ「おかしいわ、佐倉さんは隣町を中心に魔女を狩っていた筈なのだけれど…」
まどか「この前はコブラさんを襲ってきたんです…。さやかちゃんに…何か用事、なのかな」
マミ「とにかく、私が直接話を…」
コブラ「いや、ここは少し様子を見ておこうぜ。かの女が何を目的にしているのか分からない。…危なくなったらすぐ前に出る準備はしておいて、な」
マミ「…そう、ね」
マミ(…佐倉さん…)
QB「…」
マミはソウルジェムを握り、コブラは左腕に右腕をかけながら、その会話を聞いている。
150: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/24(火) 23:45:25.68 ID:vkvK2HIs0
杏子「一度だけしか叶えられない魔法少女の願いを、くだらねぇ事に使いやがって。願いってのは自分のためだけに使うもんなんだよ」
さやか「…別に、あたしの勝手でしょ!アンタなんかに関係ない!」
杏子「…気に入らないね」
杏子「そういう善人ぶってる偽善者とか、何を捨てても構わないとか考えてる献身的な自分に惚れてる姿とかさ」
杏子「…ホント、気に入らない」
さやか「…もう一度言うよ。あたしが何を願おうと、何のために戦おうと…アンタには関係ない事でしょ。何?それとも単なる憂さ晴らし?」
杏子「… …美樹さやか…だっけ?魔法少女として、あんたにちょっと指導にきたのさ」
さやか「必要ない。あたしには…仲間がいる」
杏子「…ぬるい。ま、指導ってのは建前さ。…実はあたしも、見滝原で活動を始めようと思ってね」
さやか「え…」
杏子「ここの魔女の発生頻度、異常に高いんだよねぇ。…まるで、何か大きな事が起きる前触れ、みたいな感じに。まぁとにかく、魔法少女としては絶好の狩場なわけ」
杏子「それなのにあんたらときたら特訓だの何だの…しまいにゃ、魔女になるであろう使い魔ですら倒しちまう始末だ。グリーフシードを集めるのに効率が悪すぎるんだよ」
さやか「…!放っておけって言うの!?」
杏子「人間四、五人食わせりゃ、アイツらは魔女に成長する。弱い人間を魔女が喰らい、あたしら魔法少女がその魔女を喰らう。…基本的な食物連鎖の話さ」
さやか「…!」
さやか「違う…間違ってる!!魔法少女っていうのは…。魔女から人を守るのが魔法少女なの!!…人を守らなきゃいけないのに、魔女に成長させるために人を食べさせるなんて、そんなの、間違ってる!」
杏子「…ばーっかじゃねーの。くだらない…くだらないくだらないくだらない。やっぱどこまでいっても巴マミの後輩だね」
さやか「っ、マミさんの事…知ってるの!?」
杏子「…どうでもいいじゃん。…それよりさぁ、アタシにいい考えがあるんだけど、どう?」
151: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/24(火) 23:48:47.48 ID:vkvK2HIs0
さやか「…」
杏子「アタシが協力してやるよ。今すぐこの坊やの家に魔法で忍び込んで、その手足を潰してやるっていうのはどう?」
さやか「…っ!?」
杏子「恩人に一言もかけないで退院するなんて、酷い話だよねぇ?…もう、この恭介っていう子は、アンタ無しでも生きていけるんだ」
さやか「…黙れ…黙れ、黙れ…!」
杏子「もうコイツにアンタは必要ない。どんどんアンタから離れていく。…それならいっそ」
杏子「もう一度…今度は手足を使えなくして、アンタ無しじゃあ生きられない身体にするのさ。なぁに、自分でやりづらいって言うんじゃ、アタシがやってやるよ」
さやか「…あんただけは…」
さやか「あんただけは、絶対に…絶対に許さないッッ!!」
杏子「…へへ、それじゃあ…場所を移そうか?ここで戦うわけにいかないだろ?」
・
まどか「… … …」
コブラ「俺達も行くぜ。ここで出て行って戦闘になったら面倒だ、広い場所に出たら…だ。いいな、マミ」
マミ「…っ。え、ええ…」
マミ(…佐倉さん。貴方は…何が目的なの…?)
152: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/24(火) 23:52:13.84 ID:vkvK2HIs0
――― 大きな歩道橋の上、さやかと杏子は移動をし、お互いに対峙をしている。
杏子「ここなら邪魔は入らないね。…さぁ…始めようか?」
そう言って杏子はソウルジェムを使い、変身する。自分の身の丈ほどある巨大な槍を器用に振り回し、戦闘態勢をとる。
さやか「…!」
さやかがソウルジェムを取り出そうとした瞬間…。
まどか「さやかちゃんっ!!」
さやか「!まどか!それに、マミさんに、コブラさん!」
さやかに駆け寄るまどか、マミ。ゆっくりと後ろから歩いてくるコブラ。
杏子「…!巴、マミ…!」
マミ「佐倉さん…。久しぶりね、元気そうでよかったわ」
杏子「…アンタに心配されなくても、一人で出来てるよ。…魔法少女として、な」
マミ「…そう」
153: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/24(火) 23:55:25.82 ID:vkvK2HIs0
さやか「皆…。…邪魔しないでっ!あたしは、コイツを…!」
コブラ「落ち着きなよ、さやか。…それに、かの女はまだお前さんの腕じゃ勝てる相手じゃないぜ?」
さやか「そんなの、やってみなくちゃ…!」
マミ「…佐倉さん。貴方が何を考えているのか、私には分からないわ。けれど…何故美樹さんと戦おうとするの?貴方が嫌う『無駄な魔力の消耗』にしか思えないわ」
杏子「アンタには関係ないね。アタシは、新人の教育にきただけさ。魔法少女の何たるかを、ね」
マミ「指導には私があたっているわ」
杏子「アンタのやり方は…手緩い。このままじゃあ…コイツ自身が身を滅ぼしちまうのが、分からないかい?」
マミ「… … …」
杏子「本当は口だけで言うつもりだったんだけどね…生意気な奴で、あっちからやろうって言ってきたんだ。アタシからふっかけたわけじゃないよ」
さやか「…マミさん。戦わせてください!…あたしがどれだけ出来るようになったか…確かめる意味でも!」
マミ「美樹さん…」
その時、全員の前にふと現れる人影があった。
まどか「…っ!?ほ、ほむらちゃん…!」
ほむら「…」
154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/24(火) 23:58:07.93 ID:vkvK2HIs0
現れた暁美ほむらは既に魔法少女に変身していた。五人をぐるりと見回すと、その中心に移動する。
コブラ「…!」
コブラ(俺の目でも、かの女がどの方角から来たか、分からなかった…!?)
ほむら「…巴マミ、佐倉杏子、美樹さやか…そして、コブラ…まどか。全員揃っているようね」
杏子「…魔法少女?…ああ、そうか。アンタがキュウべぇの言っていた、もう一人のイレギュラーか」
ほむら「これで、この周辺の魔法少女は、全員。例外もいるようだけれど」
コブラ「へへへ、まぁね」
まどか「…」
QB「何か用かい?暁美ほむら」
ほむら「貴方がこの場に居るのは少し嫌だけれど、仕方ないわね。…全員に、話しておくべき事があるの」
さやか「な、なによ…!」
ほむら「ただし、落ち着いて聞いて。そうじゃないと…私達全員、死ぬ事になるわ」
マミ「死ぬ…!?」
ほむら「ええ。間違いなく」
155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/25(水) 00:01:19.66 ID:ndzpYOKT0
杏子「…初対面でいきなり現れておいて、そんな話を信じろっていうの?」
ほむら「ええ、そうよ。嫌ならいいわ。ただ私は、無益な戦いをする馬鹿の敵だということは覚えておいて」
杏子「なんだとっ…!」
さやか「…」
マミ「暁美さん、話って…?」
ほむら「…」
ほむら「貴方達に話しておくべき事がある。決して悪い話ではないわ。ただ、これから起こる事を、しっかりと把握しておいて欲しいの」
ほむら「二週間後、 この街に、ワルプルギスの…」
ほむらが話を始めた瞬間。
コブラ「…!さやか、避けろッ!」
さやか「…えっ?」
コブラはさやかの頭を抱えて、地面に伏せる。その瞬間…
二人の頭をかすめる、レーザー光。
ほむら「…ッ!?」
杏子「何だ…!?今の攻撃は、どこから…!?」
勢いよく伏せたせいで、さやかはソウルジェムを落としてしまう。
歩道橋の傾斜にそれは転がっていき…誰かの足元で、宝石は止まった。
さやか「あ…!」
コブラ「…!お前は…ッ!」
ボーイ「…こいつがソウルジェムか。なるほど、よく出来た宝石だ」
156: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/25(水) 00:04:13.43 ID:ndzpYOKT0
まどか「…!な、なに…!?なんなの、あの人…!」
六人の後方に立つ人物は、人間では無かった。
能面のような金色の顔、骨格のような金属の身体は、透明のガラスのような肉で覆われている。異形の怪物…少なくとも、少女達には、この世では存在し得ない存在。
コブラ「…クリスタルボーイ…!」
コブラは左腕の義手を抜き取ると、サイコガンを怪物に向けて構える。
杏子「!」
ボーイ「久しぶりだな、コブラ。まさかこんな場所で会うとは思わなかったが、やはりソウルジェムに関わっていたか」
マミ「…コブラさんの知り合い…?」
コブラ「…ちょっとした、な。なぁーに腐れ縁さ、出来れば二度と会いたくなかったがね」
ボーイ「くくく、そう言うなコブラ。俺は貴様に会いたくてここへやって来たのもあるんだからな」
コブラ「そいつは有難いね。でも出来れば美女に言われたい台詞だな」
ほむら(いけない、ソウルジェムが美樹さやかから離れている。これ以上離れたら…!)
さやか「か、返してよ!誰か知らないけど、それはあたしの物なのっ!」
ボーイ「ほう、この宝石には所有者がいるのか。てっきり鉱山から掘り出せるのかと思ったが、まさかこんな場所から反応が出ると思わなかったのでね」
コブラ「そいつを返してもらおうかガラス人形。お前には必要ない物だ」
ボーイ「…ふふふ、それが、必要なんだよ」
157: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/25(水) 00:07:19.64 ID:ndzpYOKT0
まどか「あの人は、一体…?」
コブラ「クリスタルボーイ…俺の居た世界の、殺し屋さ。悪の組織の幹部…なんて言った方が分かりやすいかな。少なくとも俺達の味方じゃない事は確かだ」
マミ「あの身体は…人間じゃない…!?」
コブラ「サイボーグだ。化け物と言ったほうが似合うね。俺が何度倒しても、また俺の前に現れる…ゴキブリみたいな野郎さ」
コブラ「クリスタルボーイ!何故この世界にお前がいるのか教えてもらおうかッ!」
ボーイ「俺がここにいる理由か…いいだろう、教えてやる」
ボーイ「一つは、コブラ。お前の後を追ってきたのさ。お前の足取りをようやく掴んでね、ブラックホールを辿ってこの世界に足を踏み入れたのが分かったからな」
ボーイ「そしてもう一つは…この石コロを探しにきた」
ボーイは掌で、さやかの青のソウルジェムを転がしながら言う。笑顔はない、能面のような表情がニヤリとほほ笑んだような錯覚を全員が受ける。
ほむら「…!何故ソウルジェムの事を…!」
ボーイ「太古の昔にあったと言われる、魔法の宝石…俺のいた世界にはそんな伝説があってね。そいつがこの世界に存在すると聞いて探しに来たが…まさかこんなに容易に手に入るとはな」
ボーイ「そこの餓鬼に礼を言わなければな。お前さんのおかげで仕事が早く済みそうだ」
さやか「…っ!」
コブラ「海賊ギルドがソウルジェムを狙っているってのか。驚いたね、いつからそんな少女趣味になったんだ?」
ボーイ「この宝石には随分な力があるそうだな。…魔法。そう、まるで願い事を叶えるかのような、魔法の力が」
QB「…!」
ボーイ「こいつの持つ膨大なエネルギー…そいつをギルドは求めているそうだ。くだらん夢物語だと思っていたが、現物が手に入ったのなら俺の仕事は完了だ」
158: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/25(水) 00:09:28.57 ID:ndzpYOKT0
ほむら「止めなさい!今すぐソウルジェムを返さないと…」
ボーイ「そう言われて素直に返すとでも思うのか?俺は今すぐこの場でこの宝石を砕いてもいいんだぞ」
ほむら「…く…っ!」
ボーイ「コブラ。貴様と決着をつけたいと思っていたが、また次回にしておこう。今は元の世界に戻る事にしておくよ、クク」
コブラ「…!戻れるというのか!」
ボーイ「どうかな」
その時、轟音を立てて歩道橋の真上に何かが接近してきた。
クリスタルボーイは、その何かに向かって跳躍をする。見たこともないような形の飛行機…宇宙船と言ったほうが正しいのだろう。
コブラ「ッ!待て、ボーイ!」
ボーイ「それじゃあなコブラ。せいぜいこの世界を楽しむといい」
さやか「ま、待ってよッ!あたしのソウルジェム…!!」
宇宙船はゆっくりと旋回をすると、空に飛び立っていく。
…そして、次の瞬間。
さやか「…ぁ…っ」
まるで糸の切れた人形のようにその場に倒れるさやか。
杏子「…!?な、なんだ…どうしたんだよ…!?」
杏子はさやかが倒れる前にその身体を抱き留め…そして、その異常事態に気付く。
杏子「…!どういうことだオイ……! こいつ…死んでるじゃねえかよ!!」
まどか「… … …え?」
159: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/25(水) 00:12:04.18 ID:ndzpYOKT0
マミ「…死ん、で…?」
まどか「そ、そんな、どういう…?」
QB「まずいね、魔法少女が身体をコントロールできるのはせいぜい数百メートルが限度だ。離れすぎてしまったようだね」
マミ「! キュウべぇ…それって…!?」
ほむら「…ぐ、っ…!」
その時、頭上にもう一つの飛行物体が現れる。轟音に気付き、コブラは上を見上げた。
コブラ「タートル号…レディ!」
レディ「コブラ、急いで!クリスタルボーイの宇宙船は急速で地球から離れようとしているわ!このままだと…!」
コブラ「ああ、今行く!…まどか、さやかの方を頼むぜ!」
コブラ「さやかのソウルジェムは…必ず俺が取り戻してくる!」
まどか「さやかちゃん…さやかちゃん!ねぇ、返事してよっ!さやかちゃん!」
コブラの声には反応せず、必至にさやかの身体を揺さぶるまどか。
タートル号は歩道橋にギリギリまで寄り、乗車口を開ける。急いでそれに飛び込もうとするコブラ。
マミ「ま、待って!コブラさん!私も行くわ!」
コブラ「!」
マミ「わけが分からないけれど…ソウルジェムを取り戻さなくちゃ!私だって手伝えるわ!」
コブラ「マミ…」
ほむら「私も行くわ。…このままじゃ、まずい」
コブラ「…!分かった、助かるぜ2人共!」
160: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/25(水) 00:15:15.70 ID:ndzpYOKT0
タートル号が、コブラ、マミ、ほむらを乗せ飛び立った後。
さやかの身体を必死に抱きしめるまどか。そして…キュウべぇに詰め寄り、首を鷲掴みにする杏子。
QB「苦しいよ、杏子」
杏子「どういう事だよ… なんで、コイツ…死んでるんだよ!!てめぇ、この事知ってたのかよッ!!」
QB「壊れやすい人間の肉体で魔女と戦って、なんてお願いは出来ないよ。魔法少女とは、そういうものなんだ。便利だろう?」
まどか「さやかちゃん… さやかちゃん…っ!」
QB「まどか、いつまで呼び続けるんだい?『そっち』はさやかじゃないよ」
QB「またイレギュラーが増えたのは本当に驚きだけれど、とにかくコブラ達が『さやか』を取り戻してくれるのを願うばかりだね」
杏子「なんだと…」
QB「魔法少女である君たちの肉体は、外付けのハードウェアでしかない。コンパクトで安全な姿が与えられ、効率よく魔力を運用できるようになるのさ」
QB「魔法少女の契約とは」
QB「君たちの魂を抜き取って、ソウルジェムに変える事を言うのさ」
杏子「ッッッ!!っざけんなぁ!! それじゃあ…アタシ達、ゾンビにされたようなもんじゃねえか!!」
QB「むしろ便利だろう?いくら内蔵を壊されようが血を流そうが、魔力で復活ができる。ソウルジェムを砕かれない限り、君たちは無敵なんだ」
QB「弱点だらけの肉体より、余程戦いでは便利な筈だ」
まどか「…酷いよ… 酷すぎるよっ…」
まどか「こんなのって… 酷すぎる…!」
161: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/25(水) 00:19:25.20 ID:ndzpYOKT0
クリスタルボーイの乗る宇宙船を眼前に捉えたタートル号。
コブラ「レディ、このままヤツの宇宙船に特攻して、でかい風穴をあけてくれ。そこから突入する。さやかのソウルジェムを無傷で取り返さなくちゃいけねぇ」
レディ「分かったわ。加速ならこっちの方が段違いに上よ、任せて」
コブラ「オッケー。…準備はいいかい?マミ、ほむら」
既にソウルジェムを使い、魔法少女となっているマミとほむら。しかしマミの表情はどこか優れないようだった。
コブラ「マミ」
マミ「…何が何だか、分からないの。…美樹さんが何で…倒れてしまったのか。ソウルジェムが身体から離れてしまったから?そんな事、知らない…!」
マミ「私も…ああなっちゃうの?ソウルジェムが離れると…死んでしまうの?」
マミ「分からない…もう何も、分からないッ…!」
コブラ「…マミ。とにかく今は、さやかのソウルジェムを取り戻す事だけを考えろ。話はその後だ」
マミ「……う、うぅ…ッ…」
コブラ「マミッ! アンタの大事な『後輩』だ! 助けられるのは…アンタしかいないッ!!」
マミ「…!!」
レディ「距離、50。衝撃に気を付けて…!このまま突っ込むわよ!」
ほむら「…」
・
ボーイ「…ふふふ、やはり来たか、コブラ」
ボーイ「貴様の墓標は、元の世界ではないようだな。…この世界だ」
162: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/25(水) 00:21:59.40 ID:ndzpYOKT0
―― 次回予告 ――
クリスタルボーイの野郎、ふざけた真似してくれるよ全く!さやかのソウルジェムを奪ったうえで俺を殺すだと?へっ、上等じゃねぇか!
奴の船に乗り込んだ俺とマミとほむら、ついにボーイとの決闘だ。相変わらず俺のサイコガンは効かないわ、魔法も物ともしない。いやだねー、ホント!
だが諦めちゃいられねぇ!さやかのソウルジェムは絶対に取り戻してみせるぜ!俺達は決死の作戦であの野郎に立ち向かう事になったっ!
次回【決戦!クリスタルボーイ】で、また会おう!
179: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 11:51:17.15 ID:cwb2oh0l0
第5話「決戦!クリスタルボーイ」
レディ「距離30、20…!皆、どこかに掴まって!間もなくクリスタルボーイの宇宙船と衝突するわ!」
コブラ「了解!派手にやってくれ!」
ドォォォォンッ!!
マミ「きゃあああっ!!」
小規模の爆発が起きたように大きく揺れる、タートル号船内。
しかし狙いは完璧。タートル号はクリスタールボーイの操縦する宇宙船の後部に体当たりをかけ、見事に風穴を開ける。
コブラ「完璧だぜレディ!カースタントマンでもこの先食っていけそうだなっ!」
機体上部のハッチが開き、コブラは急いで梯子を上り外へと出ようとする。
コブラ「御嬢さん方、急ぐんだ!ヤツの宇宙船に飛び移るぞ、着いてこい!」
ほむら「ええ」
マミ「…」
コブラ「…マミッ!」
マミ「…! 分かったわ…今はとにかく、美樹さんのソウルジェムを…取り戻す!」
コブラ「上出来だ!いくぜ、皆っ!」
180: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 11:54:03.51 ID:cwb2oh0l0
レディ「コブラ!忘れ物よ!」
レディがコブラに向けて、箱を投げた。それをキャッチするコブラ。
レディ「シガーケースよ。葉巻が切れた時のために、ね」
コブラ「…! あぁ、レディ。ありがとよ!」
タートル号上部船体。高速で移動を続け、クリスタルボーイの宇宙船を追う船体の外は激しい風が吹きすさぶ。
ハッチから外に出た瞬間、その豪風に吹き飛ばされそうになるほむらとマミ。
コブラ「俺に掴まれ!ヤツの宇宙船に移動する!」
マミ「移動する、って…どうやって!?」
コブラの腕にほむらが、肩にマミが掴まりつつも、マミは疑問の声を投げかける。その声にコブラは不敵な笑みを浮かべるのだった。
コブラ「こうするのさ」
コブラの空いている腕のリストバンドから、細いワイヤーが勢いよく発射される。ワイヤーの先端の刃が見事にクリスタルボーイの宇宙船の風穴内部に突き刺さり、コブラはその安定性を確認した後…。
コブラ「振り落とされるなよぉッ!!」
ほむら「…!!」
マミ「きゃあああああああああああああっ!!」
高速で縮まるワイヤー。三人の身体は吸い込まれるように、クリスタルボーイの宇宙船に移動していく。
レディ「…コブラ…皆!無事でいて…!」
181: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 11:57:11.59 ID:cwb2oh0l0
――― 一方、地上。抜け殻となったさやか、それを抱きかかえるまどか。そして、キュウべぇに詰め寄る、杏子。
杏子「騙してたのかよ、あたし達を…っ!」
QB「騙していた?随分な言い方だね。さっきも言っていた通り、弱点だらけの人体で戦いを続けるより遥かに安全で確実なやり方なんだよ」
まどか「酷すぎるよ…っ!さやかちゃん、必死で…!強くなる、って…頑張るって…戦ってたのにっ…!」
QB「君たちはいつもそうだね。真実を伝えると皆決まって同じ反応をする。どうして人間は、そんなに魂の在り処にこだわるんだい?」
QB「ワケがわからないよ」
杏子「…!!畜生…っ!!ちくしょおおおっ!!」
やり場のない怒り、悲しみ…全てをぶつけるように、杏子は月夜に吼えるように叫んだ。
まどか「…コブラさん…っ!お願い…さやかちゃんを、助けて…!」
月を背景に、遥か上空を飛ぶ二隻の宇宙船。見えずとも、まどかはそこに向けて、祈った。
182: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 12:00:55.72 ID:cwb2oh0l0
コブラ「うおっ、とぉ!!」
コブラは自分の身体を下にして、地面に滑り込む。三人はクリスタルボーイの宇宙船内に侵入を成功させた。
コブラ「無事かい、2人とも」
ほむら「…ええ、何とか」
マミ「む、無茶苦茶なやり方だったけど…どうにか無事だわ」
コブラ「そいつぁ良かった。…ここは…貨物室か?」
三人が侵入した場所は、無機質な、まるで鉄の箱の中のような場所。周りに数個の貨物があるだけの殺風景な部屋だった。
そして…その奥。
クリスタルボーイは、まるで三人を待っていたかのようにその場に立っていた。
ボーイ「遅かったじゃないかコブラ。待ちくたびれたぞ」
コブラ「待たせたなガラス細工。延滞金はしっかり払わせてもらうぜ」
コブラは左腕の義手を抜き、サイコガンを構える。マミとほむらも、異形の相手に向かい戦闘態勢をとるのだった。
183: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 12:04:35.71 ID:cwb2oh0l0
【人工ブラックホール、生成準備完了。本船の前方に超小型のブラックホールが発生します。生成まで、あと10分…】
コブラ「…!?なんだとぉ!?」
ボーイ「ククク、タイムリミットはあと10分。コブラ、朗報だ。元の世界にもうすぐ戻れるらしいぞ」
ほむら「…!どういう事…!?」
ボーイ「聞こえなかったのか小娘。あと10分でこの船はブラックホールに吸い込まれ、異次元空間へとワープする。到着先は…我々の住む、未来の世界だ」
ほむら「!!」
ボーイ「元の世界に戻るのが目的だったのだろう?感謝しろコブラ、俺はお前の命の恩人だ」
コブラ「お前がぁ?ごめんだね、どうせ恩を売られるなら美女がいいに…決まってらぁッ!」
言いながらコブラはサイコガンの砲撃を次々とクリスタルボーイに浴びせる。
しかし、その砲撃の全てはボーイの体内で屈折し、素通りをしていくのだった。
マミ「!?こ、コブラさんの攻撃が…!」
ボーイ「クククク…忘れたわけではあるまい。サイコガンは俺には無力だ」
184: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 12:08:49.34 ID:cwb2oh0l0
ボーイ「しかし、礼を言わせてもらうよコブラ。1つだったソウルジェムを一気に3つまで増やしてくれるというのだからな」
ボーイ「このままその女どもをワープさせれば…あとはその身体からソウルジェムを剥ぎ取ればいいだけだ。ふふふ…」
コブラ「どうかな。その前にお前にでかい風穴を開けてやるぜ」
ボーイ「ククク…はっはっはっは!!笑わせるな。コブラ、お前は今俺の掌の上で踊っているに過ぎん」
ボーイ「お前の行動パターンは実に分かりやすいよ。情に流されれば、貴様はきっと俺の船に乗り込んでくる…。そう思って、あえて貴様をあえてここへ呼び込んだのだからな」
コブラ「何だと…!」
ボーイ「どうやらソウルジェムとやらは、その女達の身体と繋がっている…いわば、『魂』のようなもののようだな。先程の青髪の女で確信させてもらった」
ボーイ「このまま俺が元の世界に戻ろうとすれば…貴様たちは必ずここへやってくる、というわけだ。それも1人ではない、わざわざソウルジェムを持つ女を2人も連れて、な」
マミ「…くッ…!」
ほむら「…」
ボーイ「コブラ。何故俺がこの貨物室を戦場に選んだか分かるか?此処には、貴様の武器である『臨機応変』が使えないのだよ。あるのは空の鉄箱だけだ。貴様の武器となるような物は、ない。お得意の逃げ回る戦法も場所が限られているぞ」
ボーイ「おまけに俺の特殊偏光クリスタルにはサイコガンは効かん。…さぁ、どうやって俺を倒すつもりかね?…コブラ!」
【ブラックホール、生成完了まで、あと8分です】
コブラ「!」
ボーイ「ソウルジェムは、この扉の先のコクピットにある。…あと8分。俺を倒して、この扉を潜って…奪い取れるかな?」
185: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 12:12:42.66 ID:cwb2oh0l0
コブラ「…やってみせるさ!」
コブラは腰のホルダーから愛銃の『パイソン77マグナム』を抜き、3連射する。
しかしその弾丸の全てを、クリスタルボーイは右腕の鉤爪を盾のように使い、防御した。鉤爪に穴は開く威力ではあるが、その弾は身体にまでは届かない。
コブラ「!…ちっ…!」
ボーイ「一度食らった手をもう一度食らいはしない。…さぁ、次はどうするつもりだ?」
ほむら「…行くわ」
コブラ「…!」
カチリ。
微かに、時計の秒針のような音が聞こえたような気がした。その瞬間、暁美ほむらはクリスタルボーイの目の前にいつの間にか移動し、拳銃を構えていた。
コブラが次に気付いた瞬間…
クリスタルボーイの周囲は、鉛弾で包囲されていた。
コブラ・マミ「!」
ボーイ「何…!」
数十発、いや、数百発の弾丸が、クリスタルボーイの身体に次々と命中をしていく。その衝撃にクリスタルボーイは思わず仰け反る…が。
倒れはせず、一歩後ろに下がっただけで留まった。全ての弾丸はクリスタルボーイの身体に軽く埋まった程度で、穴すら開いていない。
ほむら「…!」
ボーイ「驚いたな…何だ、今の攻撃は。貴様の拳銃では不可能な連射だ…どうやった?」
ほむら「く…っ!(この銃じゃあ…威力が、足りない…!?)」
ボーイ「ククク…まぁいい。そんな安物の骨董品では俺の特殊偏光クリスタルには傷すら …つかんのだァッ!!」
ボーイは右の鉤爪を開き、ほむらに向けてビームガンを放つ。
186: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 12:16:44.23 ID:cwb2oh0l0
ほむら「ッ!!」
ボーイ「!」
カチリ。また秒針の音が聞こえる。瞬間移動でもするかの如く、ほむらはその攻撃を素早い動きで避け、後ろへと下がっていく。
その瞬間…マミは次々と武器である単発式銃火器をスカートから取り出し、宙に浮かせる。
マミ「次は、私よッ!お人形さん!」
一発、それを撃つごとに銃を捨て、次の銃に切り替える。しかしその銃弾をクリスタルボーイは鉤爪で弾き、貨物室の天井へと跳弾させる。
ボーイ「そんな物が俺に効くとでも…思っているのか!!」
マミ「思っていないわ。…だから…こうするのよ!」
跳弾をして、開いた天井の穴が俄かに光り始めたかと思うと…その光から、絹のような魔法のリボンが勢いよく出現し、クリスタルボーイの身体に巻きついていく。
ボーイ「…!これは…!」
マミ「これが私の戦い方よ!…一気に決めるわ!」
マミは魔力を集中させ、巨大な、大砲のような銃器を目の前に出現させる。そしてその銃口をクリスタルボーイの方へ向けた。
マミ「喰らいなさい! ティロ・フィナー…!!」
ボーイ「…ふんっ!!」
マミ「…!!」
クリスタルボーイは自分の身体に巻きついた魔法の糸を…自らの腕力で、引き千切る。そして鉤爪をロケットのようにマミに飛ばし、攻撃をした。
マミ「きゃあッ!!」
鋭利な刃物のような、その爪。マミはどうにか単発式銃火器の銃身でその攻撃を受け止める、が…その衝撃はすさまじく、マミの身体は天井へと叩きつけられてしまう。
マミ「あぐゥっ!!」
コブラ「!マミ!!」
ボーイ「…魔法。ソウルジェムの力とやらか。…少し驚いたが、サイボーグのこの俺には通用しないようだな」
187: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 12:19:04.86 ID:cwb2oh0l0
コブラ「畜生…いい加減にしやがれ、この野郎!」
コブラは再び、サイコガンの連射をクリスタルボーイに浴びせる。…が、やはりその光はクリスタルボーイを素通りしていく。
ボーイ「…次は貴様だ!死ね、コブラッ!!」
クリスタルボーイはコブラに向けて突進をし、鉤爪を大きく振り、その身体を切り裂こうとする。
コブラ「く、ッ!」
コブラはその攻撃を次々と避ける、が…相手も並の瞬発力ではない。コブラが避ければ、次の手を繰り出し…いずれ、回避行動は追いつかれてしまう。
ガキィィィンッ!!
鈍い金属音。コブラのサイコガンが、クリスタルボーイの鉤爪に掴まれた。
ボーイ「ふふふ…。…っ、はぁッ!!」
クリスタルボーイはコブラの左腕を掴んだまま、勢いよくコブラを投げ飛ばす。
コブラ「どわぁぁぁぁぁあっ!?」
身体が大きく宙を舞う。物凄いスピードで、コブラは鉄箱の山に叩きつけられた。派手な金属音が幾重にも音を立て、コブラの身体は鉄箱の山へと沈む。
188: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 12:28:56.09 ID:cwb2oh0l0
ほむら「…!コブラ!」
ボーイ「…その程度では死なないのだろう?コブラ。今トドメを…刺してやる!」
ほむら「させない!」
カチリ。
クリスタルボーイの眼前に、突如として、安全ピンの抜かれた手榴弾が数個現れた。
ボーイ「何…!!」
ドォォ――――ン!!!
派手な音を立てて手榴弾が連鎖して爆発する。流石にその衝撃にクリスタルボーイの身体も吹き飛ぶ…が。クリスタルの身体には全く傷はついていなかった。
ゆっくりと立ち上がり、鉤爪をほむらの方向へ向ける。
ボーイ「相変わらず攻撃の読めないヤツだが…。言った筈だぞ…そんな骨董品で俺の身体に傷はつかん、と」
ほむら(…時間稼ぎにはなったようね…。やはり、手榴弾程度じゃアイツの身体はびくともしない…!)
ほむら(…とにかく、今はコブラを助けないと!)
マミ「はあああっ!!」
次の瞬間、マミがクリスタルボーイに向けて特攻をかける。銃器を鈍器代わりにし、その頭部を次々と殴る。
マミ「私のッ、後輩を…返しなさいッッ!!」
多少ダメージがあるのか、クリスタルボーイは反撃せず、しばしその攻撃を受ける。
ほむら(…今のうち…!)
カチリ。
ほむらはコブラの近くに瞬間移動をし、倒れているコブラの身体を起こそうとする。
189: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 12:32:36.72 ID:cwb2oh0l0
ほむら「…!」
しかし、助けに行った筈のコブラは既に起き上がり、シガーケースから葉巻を取り出してジッポライターで火をつけていた。
ほむら(そんな…生身の人間なのよ!?魔法でガードしているわけでもないのに…あんな勢いで叩きつけられても…平然としているなんて)
コブラ「よぉ、ほむら。葉巻の煙は大丈夫かい?」
ほむら「そんな事言ってる場合じゃ…!」
コブラ「アンタに一本プレゼントだ」
コブラはシガーケースから葉巻を一本取り出し、ほむらに手渡す。
ほむら「!! 今はこんな… … …。 !…これ、葉巻じゃ…ない?」
コブラ「超小型の時限爆弾さ。先端のスイッチを押せば、5秒で爆発する。局部的ではあるが、おたくが今投げた手榴弾の数倍の威力はあるぜ」
コブラ「しかし、ヤツの懐に入ってそいつを爆発させる隙がない。…だが、君なら出来るんだろう?ほむら」
コブラ「時間を止めて動ける、君ならな」
ほむら「!!!!」
【ブラックホール生成完了まで、あと、5分です】
190: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 12:36:16.73 ID:cwb2oh0l0
ほむら「…気づいていたの?私の能力に」
コブラ「それ以外に説明がつかないからさ。俺の目に見えない動きなんて、そう易々と出来るもんじゃない」
コブラ「魔法少女にはそれぞれ能力がある。マミは拘束系の魔法だし、さやかは回復が得意なようだな。…瞬間移動をするだけの能力かと思ったが、それじゃあさっきの銃弾や手榴弾の説明がつかない」
コブラ「時間を止める…いや、時間を『操れる』と言った方が適切かな?それがあんたの能力だ、ほむら」
ほむら「…!」
マミ「やああっ!っ、はぁッ!!」
クリスタルボーイをひたすら銃身で殴り続けるマミ。押しているようにも見えるが…クリスタルボーイは、反撃をしようとしていなかった。
ボーイ「…成程。その辺りの賞金首やギンガパトロール隊員よりは余程有能と見える。こうして受けるダメージも、通常の人間と比べて段違いに強い。魔法による身体能力の向上か」
ボーイ「だが、それが限界のようだな…!!」
マミ「ッ!!」
クリスタルボーイはマミの銃を一瞬で掴み、身動きを取れなくする。瞬間、空いている鉤爪をマミの腹へと突き出し…。
ドォンッ!!
ほむら「!!」
ボーイ「ぐ、…ッ!」
見ればコブラはいつの間にかパイソンを抜き、クリスタルボーイに向け発射していた。間一髪のところ、クリスタルボーイは後ろに仰け反り、マミはその間に後ろへと下がる。
コブラ「ほむら。お前さんにしか頼めない事だ。…そいつをヤツの腹に埋め込んできてくれ」
191: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 12:40:34.10 ID:cwb2oh0l0
ほむら「…」
ほむら「もし、嫌だと言ったら?」
コブラ「… … …」
ほむら「正直に言うわ。私が此処へ来たのは、まどかの悲しむ顔が見たくなかったから。美樹さやかを失えば、きっとまどかの心に大きな穴がきっと空いてしまう」
ほむら「でも、私だって命は大事よ。私がこの葉巻型の爆弾を、アイツの身体に埋め込んできて、どうするの?アイツの身体がそれより頑丈だったら?」
ほむら「私はまだ…生きて達成する使命がある。こんなところで死ぬわけにはいかない。私には、助けるべき人がいる」
ほむら「ここで私が逃げ出したら、どうするの?コブラ」
コブラ「…いいや、アンタはやってくれる。俺はそう信じている」
ほむら「信じる?私を?…何故?」
コブラ「アンタには、助けるべき人がいる。それと同時に…アンタには助けが必要だからだ」
ほむら「…!」
コブラは葉巻から紫煙をゆっくり吐き出し、不敵に笑いながらゆっくりと立ち上がる。サイコガンをクリスタルボーイに向けて構えると、その横で茫然としているほむらに向けて、視線は合わせず語りかけるのだった。
コブラ「ほむら、アンタは何かを抱えている。俺にはそれが何かは分からない。だが君はずっとそれに立ち向かっている。…俺が君と出会った時からだ」
コブラ「そしてその『何か』に怯え…助けを求めている。だから俺は、全力でアンタのそれを手伝うつもりさ」
ほむら「…何故、それを…!!」
コブラ「君は隠しているつもりでも、俺には分かるのさ。…女に嘘は何度もつかれてきたが、女の瞳に嘘をつかれた事は…ほとんどないからな」
ほむら「… … …」
コブラ「さやかを助け、全員でその『何か』に立ち向かう。君はその『何か』を知っているようだが…今はまだ何も話さなくてもいい。少なくとも、あのガラス人形を倒すまではな」
コブラ「だが…俺は守ってみせる!君を…君達をっ!!何があっても、守り抜いてみせる!!」
192: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 12:44:01.16 ID:cwb2oh0l0
ほむら「…!!!!」
ボーイ「…少し油断をしたな。…次はないぞ、コブラ…!」
頭に弾丸の穴を開けながらも、クリスタルボーイは立ち上がり、こちらを睨む。
ボーイ「死ねぇぇ、コブラァァァーーーッ!!」
鉤爪を振りかざしながら、全力でコブラに向けて疾走してくるクリスタルボーイ。サイコガンの連射も構わず、コブラに向かう。
ほむら「…分かったわ。…あなたを信じるという事は『この時間軸では』…愚かなのかもしれない。…それでも…皆を、まどかを助けれられる可能性があるのなら…私は貴方に賭けてみたい」
ほむら「…不思議ね、少しだけ…そんな衝動に駆られたわ」
コブラ「…感謝するぜ、ほむら」
ほむら「貴方が礼を言う必要はないわ…コブラ」
ボーイ「ハァッハッハッハァーーーッ!!」
完全にコブラを捉えたと確信したクリスタルボーイは、笑いながら突進をしてくる。
カチリ。
だが、次の瞬間。クリスタルボーイの足が止まった。
ボーイ「…何…?」
特殊偏光クリスタルに埋め込まれた葉巻のタイマーは『00:00』と記されていた。
ドゴォォォォォ―――――――――!!!!
大きな爆発がクリスタルボーイの身体を包むように起こった。
ボーイ「うぐぉぉぉぉぉッ!!??」
僅かに、クリスタルの破片が辺りに散らばった。
193: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 12:47:09.82 ID:cwb2oh0l0
気付けば、ほむらは、コブラの真後ろにいた。コブラはそれを見ると、にぃ、と笑顔を見せて再びクリスタルボーイに向き直る。
コブラ「美人に見とれて時間を忘れたか!クリスタルボーイッ!!」
サイコガンの連射。クリスタルボーイの特殊偏光クリスタルは先程の爆発で胸部に風穴があき、防御ができない状態となっていた。
正確にその穴を通るサイコガンの弾道は内蔵のような金属を次々と破壊していく。
ボーイ「!!!!」
コブラ「マミッ!!今だ、アレをもう一度やってやれッ!!」
マミ「…!分かったわ…。…今度は、外さない!!」
クリスタルボーイが怯んでいる間に、マミはもう一度魔力を集中する。 再び巨大な砲身が現れ、銃口をもう一度、クリスタルボーイの方向へ構えた。
マミ「『ティロ・フィナーレ』ッッッ!!!」
爆音のような銃撃音が貨物室に響く。マミの頭身ほどもある巨大な弾丸は、ゆっくりと正確にクリスタルボーイの方へ突き進んでいき、そして…。
ボーイ「ぐわああああああああああああああッッッ!!!」
ドオォォォォォォォォォォンッッ!!!
まるで星空の煌めきのように、粉々になったクリスタルが辺りに散らばった。
クリスタルボーイの身体は木端微塵となり、残骸の破片が転がっているのみとなっている。
194: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 12:50:13.21 ID:cwb2oh0l0
マミ「…やった…!あはは…た、倒した…!」
ほむら「…」
コブラ「2人とも、いい仕事だったぜ。100点満点だ」
三人が笑顔を浮かべた瞬間、船のアナウンスが無常にも時を告げる。
【ブラックホール、生成完了まであと1分30秒。船員は安全な場所で待機をしてください。繰り返します…】
マミ「…!!」
ほむら「…くッ…!時間が…!」
その時、貨物室の風穴から声が聞こえた。見れば、エアーバイクに乗ったレディが宇宙船と並走している。レディはそこからロープを垂らした。
レディ「皆、急いでロープに掴まって!タートル号は離れた場所で避難しているわ、早くしないとブラックホールに巻き込まれる!!」
マミ「で、でもまだ…美樹さんのソウルジェムが!!」
ほむら「…私が行くわ。もう一度、時間を…」
コブラ「いいや、俺が行く。ほむら、入ったことのない未来の宇宙船の中から一つの宝石を探し出せるかい?」
ほむら「…で、でも…」
コブラ「こういうのは俺の専門さ。…マミ、ほむら!先に脱出しろ!俺は後から行くぜ!」
そう言ってコブラは、貨物室の先のコクピットへと走っていく。
マミ「!!コブラさんっ!!」
195: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 12:54:25.76 ID:cwb2oh0l0
コブラ「ちっ…あの野郎、厄介な仕事残してくれたぜ…。宝探しゲームのつもりか?」
船体が大きく揺れはじめる。それは、ブラックホールがもうすぐ出来上がる事を示していた。
コブラ「さぁーてと…どこに隠れてるのかな?ソウルジェムちゃんは…!」
宇宙船、コクピット。閑散とした場所ではあるが、コクピットはかなり広い。一見しただけでは青い宝石は見当たらないようだ。
【ブラックホール、生成完了まであと1分です。船内の乗組員は衝撃に備え…】
コブラ「ちぃーっ!分かってますってんだ…!…どこだー?どこだ、ソウルジェムは!」
操縦席、椅子の下、機器類、あらゆる場所を探すが、見当たらない。そうしている間にも刻々と時間は過ぎていき…。
コブラ「ちくしょー!あのガラス人形め、最後に罠しかけやがって…!どこだよ、どこにあるんだっ!?」
コクピットのモニター。船体の眼前には、既に超小型のブラックホールが誕生しかけている。船はいっそう揺れ始め、今にもそれに吸い込まれそうだ。
【ブラックホール、生成完了まであと10秒です。9、8、7…】
コブラ「くそーっ!!間に合わね… …ん?」
操縦桿にやけくそで腕を叩きつけた瞬間… 壊れた機械の中に煌めく、一つの青い光。操縦桿はダミーで、実は空の鉄箱だったのだ。
【4、3…】
コブラ「こいつかァ――ッ!!」
急いでコブラはそれを取り出し、貨物室へと走る。が…。
【2、1…0。異次元へのワープを開始します】
コブラ「うおおおお―――――ッ!!」
無常にも、船体はゆっくりとブラックホールに吸い込まれていく。
196: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 12:57:27.88 ID:cwb2oh0l0
轟音を立ててブラックホールに吸い込まれていく、クリスタルボーイの宇宙船。
エアーバイクに乗り込んだレディ、ほむら、マミの3人はただそれを見送る事しかできなかった。
マミ「あ、あ…!」
ほむら「…!」
レディ「…」
マミ「そんな…っ!間に合わなかったの…!元の世界に、戻ってしまったのというの…!?レディさんだって、この世界にまだいるのに…!」
マミ「そんな…!!!」
ほむら「…」
ほむら(…私を、まどかを助けると…約束したのに…)
レディ「…ふふ、それはどうかしら」
マミ「え?」
レディ「私は彼と長い付き合いだけれど…彼が、やり始めた事を途中で放棄した事は、一度もないわ」
レディ「…たとえ、そこが見知らぬ世界の中だろうとね」
ガキィィンッ!!
その時、エアーバイクの機体に突き刺さる、ワイヤーの先の刃。
マミ・ほむら「!!」
そのワイヤーの先に…ウインクをしながら手を振る、1人の男の姿があった。
コブラ「おーい!レディ、早く降ろしてくれーっ。俺は高所恐怖症なんだよーっ」
197: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 13:02:22.09 ID:cwb2oh0l0
力無いさやかの右手に、コブラはそっとソウルジェムを握らせた。
まどか、ほむら、マミ、杏子…コブラ、レディ…そして、キュウべぇ。全員で、時間が止まったかのようにさやかの様子を見る。
祈るような、視線の数々。
…そして。
さやか「…あれ…?」
ゆっくり起き上がるさやか。何が起きたのか分からない、という表情で辺りを見回す。
さやか「…あれ、あたし…どうしたの…?」
まどか「さ…さやか、ちゃん…っ…」
マミ「…美樹さんっ…!!」
さやか「ま、まどか…?マミさんも…なんで、泣いてるの…?あれ?あれ?」
まどか「うわぁぁぁあああんっ!!」
マミ「…っっっ!!」
大声を出して泣きながらさやかに抱きつく、まどか。そしてその2人を包むように優しく肩に手を置く、マミ。
少しだけ、微笑んで…ほむらもその様子を黙って見ていた。
コブラ「仲間、か」
レディ「どうしたの?コブラ」
コブラ「…俺達が失ってきたものを…かの女達に失わせたくはない。…そう思ってね」
コブラは葉巻に火をつけると、満足気に笑みを浮かべ…月に向けて煙を吐いた。
198: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/07/29(日) 13:04:49.37 ID:cwb2oh0l0
―― 次回予告 ――
さやかのソウルジェムを取り戻したのはいいものの、その秘密は皆にバレちまった!どうやらキュウべぇの野郎、契約と同時にかの女達の魂をソウルジェムに移し替えちまったらしい。タチの悪い詐欺だぜ。
ショックを隠し切れない魔法少女達。不安になっちまうのも無理はないってもんだよ。特にさやかにゃ、色々ワケがあるみたいだね。
そんな矢先、新たな魔女が出現する。触手がうねうね、気持ち悪いの何の。こんな中戦えっていうのも無茶な話かもしれないが…しかし、俺が必ずあんた達を守ってみせるぜ!
次回、【魔女に立ち向かう方法】で、また会おう!
215: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 21:15:14.17 ID:Qp2cryX10
さやか「…騙してたのね、あたし達を」
QB「不条理だね。ボクとしては単に、訊かれなかったから説明をしなかっただけさ。何の不都合もないだろう?」
マミ「…納得出来ないわ。…キュウべぇ、何故…教えてくれなかったの?ソウルジェムに…私達の魂が移されていた、だなんて…!」
QB「君からそんな事を言われるのは心外だね。魂がソウルジェムに移ったのは、マミ、君が魔法少女になったからだよ?失いかけていた命を救うことを望んだのは君自身じゃないか」
マミ「私の事はどうでもいいわ。…美樹さんの立場はどうなるの?彼女は、叶えたい願いを叶えただけ…それだけなのに」
QB「『それだけ?』」
QB「戦いの運命を受け入れてまで、叶えたい願いがあったのだろう?さやか、君は魂がソウルジェムに移ると知っていたのなら、願いは叶えなかったのかい?」
さやか「…!」
QB「戦って、たとえその命が尽きようとも、恭介の腕を治したかった。それならば肉体に魂が存在しない程度、どうという事はないだろう?」
マミ「キュウべぇ、貴方…!」
QB「恨まれるような事をした覚えはないよ。君たち人間は生命の消滅と同時に魂までも消えてしまうからね。ボクとしては、少しでも安全に戦えるように施しをしているつもりなのだけれど」
コブラ「… … …」
216: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 21:18:25.86 ID:Qp2cryX10
第6話「魔女に立ち向かう方法」
クリスタルボーイを倒した、翌日。
マミのアパート。マミ、さやか、コブラの三人はキュウべぇを問い詰めるべく、そこに集まっていた。魔法少女の存在とは、ソウルジェムとは何か。その願いの代償として失った物を、確かめるべく。
QB「マミ、さやか。君たちが今日まで無事に戦ってこれたのは、ソウルジェムのおかげなんだよ」
QB「肉体と魂が連結していないからこそ、痛覚を魔力で軽減して、気絶するような、ショック死をしてしまうような痛みをも君たち魔法少女は耐える事が出来る」
QB「本来、君たちが受けるべき痛みを今ここで再現してみせようか?」
マミ「…っ…!」
コブラ「やめときなよ。そんな事再現したって何の得にもなりゃしない」
QB「そうかな。マミもさやかも、現実をまだ受け入れていないからね。魔法少女として戦う事の意味を」
さやか「… … …」
コブラ「それじゃあ、その『意味』とやらを教えるのがアンタの目的かい?冗談よしてくれよ、お前はかの女達の教師でも何でもない。ただ契約を結ぶだけの存在の筈だ」
QB「イレギュラーの君にとやかく言われる必要も感じないね」
コブラ「おおっと、触れちゃいけない話題だったかな?それとも、アンタには契約を結んで魔女を倒す以外に何か目的でもあるのかい?」
QB「…」
QB「君は、何者なんだい?」
コブラ「言わなかったかな?俺は、コブラさ」
217: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 21:21:32.52 ID:Qp2cryX10
コブラ「マミ、俺はちょいと野暮用があるんで失礼するぜ。君のお茶はいつも最高の味だ」
マミ「…えぇ。…ありがとう、コブラさん」
コブラ「…さやか」
さやか「… … …」
コブラ「アンタが叶えた願い。…それに賭けたお前さんの思い。しっかり思い出すんだ」
コブラはそう言い残して、マミの部屋から出ていく。
さやか「…あたしの…願い…」
―― 学校。
和子「はーい、今日は…美樹さんは欠席、ね。それじゃあ、HRを始めましょう」
まどか「…」
まどか(さやかちゃん…大丈夫かな…。マミさんも学校来てないみたいだし…。…やっぱり、みんな…ショック、なのかな…)
まどか(わたしに出来る事って…何も、ないのかな?…ずっと見ているだけで、臆病で…っ…)
ほむら「… … …」
218: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 21:24:32.25 ID:Qp2cryX10
廃墟と化した教会。ステンドグラスから漏れる光を浴びながら、1人俯いて考え事をする杏子。
杏子「…」
杏子「なんなんだよ、一体」
杏子(意味が分からねェよ。アタシはただ…魔女を狩って、自分のためだけに…ただ、それだけのために戦ってきた筈なのに…)
杏子(ワケのわからねー男は出てくるし、魔女じゃない変な化け物は出てくるし…アタシは、もう死んで…ソウルジェムがアタシの魂になってるって…?)
杏子「…くそ…っ!こんな…こんな…!」
杏子は自らの赤色のソウルジェムを忌まわしげな瞳で見つめる。
それでも、その宝石をたたき割る事は出来ない。それが自らの命であると、知っているから。
杏子「…なんで…」
杏子(なんで、アタシは…こんなに悲しくて、悔しいんだよ…っ!…畜生…っ!)
杏子「くそ…アタシらしく、ないな…」
杏子は立ち上がり、廃墟からそっと出ていく。
219: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 21:29:21.70 ID:Qp2cryX10
――― その夜。
ピンポーン。
恭介父「はい、どなたでしょうか?」
恭介父「…ああ、貴方は確か…病院の方で、恭介の演奏を…」
恭介父「そんな、わざわざ有難うございます。…どうぞ、上がってください。恭介からも貴方のお話は聞いています。…その節ではお世話になったそうで」
恭介父「恭介は部屋にいますから、案内しますよ。…え?必要ない?そ、そうですか…?それでは…」
コンコン。
恭介「…?父さん?」
松葉杖をつきながらドアまで近づき、自分の部屋のドアをゆっくり開ける恭介。
恭介「…!あなたは、確か…」
コブラ「よー、元気かい?」
コブラは花束を恭介に手渡すと、にぃ、と笑った。
コブラ「快気祝いに来たぜー。おー、いい部屋住んでるじゃねーかー。どれ、お宅拝見っと」
恭介「そ、それは…どうも…」
恭介「酒臭ッ!!」
220: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 21:33:09.41 ID:Qp2cryX10
一方、同時刻。杏子に呼び出され、森林の中を歩くさやかと杏子。
一度は、対峙した相手。だが、心に思う事はお互いに同じなのであろう、虚ろな瞳で杏子の後をついていくさやか。
そして辿り着いたのは、廃墟と化した教会であった。
杏子「アンタは、後悔してるのかい?こんな身体にされた事」
さやか「…」
杏子「アタシは別にいいか、って思ってる。なんだかんだでこの力のおかげで好き勝手できてるんだしね」
さやか「…あんたのは自業自得でしょ」
杏子「そう、自業自得。全部自分のせい、全部自分の為。そう思えば、大抵の事は背負えるもんさ」
さやか「…それで、こんなところに呼び出して何の用?」
杏子「ちょいとばかり長い話になる。…食うかい?」
さやかにリンゴを投げる杏子。一度はそれを受け取るが…床に投げ捨てるさやか。
その瞬間、杏子はさやかの胸倉を掴む。
杏子「…食い物を粗末にするんじゃねぇ。…殺すぞ」
221: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 21:36:37.68 ID:Qp2cryX10
さやか「… … …」
杏子「…ここはね。…あたしの親父の教会だったんだ」
杏子は、静かに、しかし強い口調で語り始めた。誰に言うでもない、まるで独り言のように虚空を見ながら話す杏子の目は、とても悲しく、しかし強い瞳であった。
―― 佐倉杏子の、父親。幸せだった筈の家族。
あまりに正直で素直であったために、世間から淘汰された神父の話。しかし、それでも自分に正直であり…家族も、そんな父親を責めはしなかった。
貧しくても、その日の食糧を求める事すら苦しくとも、佐倉杏子の家族はしっかり家族として機能していたのだった。
杏子「…皆が、親父の話を真面目に聞いてくれますように、って。それがあたしの、魔法少女の願い」
その願いは叶えられ、杏子には魔法少女としての枷が与えられた。それでも、彼女は構わなかった。自分さえ頑張れば、家族は幸せになれるのだと…そう信じていたから。
―― しかし。
父親に、杏子の魔法はバレてしまった。偽りの信者、偽りの信仰心、全てが魔法の力であるものだと。
―― そして、杏子の魔法は、解けてしまったのだった。
杏子の父親、母親、幼い妹すらも巻き込んだ、無理心中。杏子の願いは、家族の全てを壊してしまったのだ。
杏子「アタシはその時誓ったんだ。もう二度と…他人のためにこの力は使わない、って」
杏子「…奇跡ってのは、希望ってのは…それを叶えれば、同じ分だけ絶望が撒き散らされちまうんだ」
杏子「そうやって、この世界はバランスを保って、成り立っている」
222: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 21:39:54.54 ID:Qp2cryX10
恭介「…あの時は、本当に有難うございました。…自暴自棄になっていた僕を、止めてくれて。…あの時、コブラさんが止めてくれていなかったら…」
コブラ「なぁ、恭介。奇跡ってヤツはどうやって起きるんだろうな?」
恭介「…え…」
窓辺に腰かけて、コブラは笑顔を浮かべながら呑気にそう語りかける。まるで独り言のように、虚空を見ながら。
恭介「…どうやって、って…それは…」
コブラ「アンタのその腕、医者からも治癒は絶望的なんて言われてたんだろ?今こうして動いて、しかもバイオリンが弾けるまで回復するなんて奇跡以外の何物でもない」
コブラ「そいつを不思議に思ってね。恭介、アンタ自身はどう考えてるのかちょいと世間話に来たんだ」
恭介「…僕自身も、本当に偶然とは思えないのは確かです。神様が僕の願いを叶えてくれた…なんて考えるのも、おこがましい話ですし」
コブラ「神様、ね」
コブラ「その神様って奴が身近にいたのかもしれないぜ?…アンタの場合」
恭介「…え?」
コブラ「病室にいて、ずっと落ち込んで、ふさぎ込んでいたアンタを、神様とやらがずっと見ていてくれたんじゃないかな」
恭介「… … …」
コブラ「その神様ってヤツぁ、お前さんが想像してるような白髪の老いぼれ爺なんかじゃないと思うね。もっとチンチクリンで、自分に馬鹿正直なクセに奥手で恥ずかしがり屋で、それでも頑張ってアンタのために祈りを叶えてくれた」
恭介「…さや、か…?」
コブラ「奇跡って奴は、叶えるのにそれだけの対価が必要だと俺は思ってるのさ。…ひょっとしたら、アンタの奇跡のためにこの世界で頑張ってるヤツが1人いるんじゃないのかな。ま、あくまで俺の考えだがね」
223: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 21:44:53.18 ID:Qp2cryX10
さやか「何でそんな話を私に?」
杏子「アタシもあんたも、同じ間違いをしているからさ。だから、これからは自分のためだけに生きていけばいい。…これ以上、後悔を重ねるような生き方をするべきじゃない」
さやか「… … …」
杏子「もうあんたは、願い事を叶えた代償は払い終えているんだ。これからは釣り銭取り戻す事だけ考えなよ」
さやか「…あたし、あんたの事色々誤解していたのかもしれない。…その事はごめん、謝るよ」
さやか「でも、一つ勘違いしている。…私は、人の為に祈ったことを後悔なんてしていない。高過ぎる物を支払ったとも思っていない」
さやか「その気持ちを嘘にしないために、後悔だけはしないって決めたの」
杏子「…なんで、アンタは…」
さやか「この力は、使い方次第で素晴らしいものに出来る。…そう信じているから」
さやか「それから、そのリンゴ。どうやって手に入れたの?お店で払ったお金は?」
杏子「…!」
さやか「言えないのなら、そのリンゴは貰えないよ」
さやか「あたしは自分のやり方で戦い続ける。…それが嫌ならまた殺しに来ればいい。もうあたしは負けないし…恨んだりもしない」
そう言い残し、静かに教会から去っていくさやか。
杏子「…ばっかヤロウ…」
224: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 21:48:27.67 ID:Qp2cryX10
恭介「…はは、まさか…」
コブラ「そう、まさかなんだよ。アンタの身体に起こった奇跡は、単なる偶然。誰に感謝するわけでもない、これからは自分のために、自分のバイオリンのためだけに生きて行けばいい。なんたってあんたは天才ヴァイオリニストなんだからな」
恭介「… … …」
恭介「それじゃあ…まるで、僕が最低の人間みたいじゃないですか」
コブラ「そう思うのかい?じゃあアンタの腕が治ったのは誰かのおかげなのか?それとも、本当に単なる偶然なのか?」
恭介「…貴方は、何を言いに来たんですか?」
コブラ「言っただろ?俺は世間話をしにきたんだよ。機嫌を損ねちまったかな?」
恭介「… … …」
コブラ「俺はバイオリンの音色に興味はないからなぁ。どうせ聞くんなら美女の甘い囁きを耳元で…なんてね」
コブラ「しかし、この世で一番、アンタのバイオリンの音色を聴きたがっている人間がいる。アンタの家族や親族より、ずっと強い気持ちでさ。…アンタはそれに応えてやらなきゃいけない」
コブラ「アンタに起こった『奇跡』を、アンタがどう考えるのかによるかだけどな」
恭介「… … …」
コブラ「それじゃ、俺は失礼するぜ。こう見えて忙しいんだ。デートの約束とかね」
恭介「… … …」
恭介「…待って、ください…!」
コブラ「…」
恭介「…もう少しだけ…もう少しだけ、貴方の話を聞かせてください。…考えたいんです」
コブラ「…ああ」
コブラ「それじゃあ、ちょいとした身の上話をさせてもらおうかな。今日の予定は全部キャンセルだ」
225: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 21:51:23.09 ID:Qp2cryX10
―― その翌日。親友の仁美に呼び出されたさやかは、ファーストフード店に来ていた。テーブル越し、まるで対峙をするかのような、仁美の強い視線。
そして、神妙な面持ちで語り始める。
仁美「ずっと前から…私、上条君の事をお慕いしておりましたの」
さやか「…!!」
さやか「…そ」
さやか「そうなんだぁ…!あははは、恭介のヤツ、隅に置けないなぁ」
仁美「さやかさんは、上条君とはずっと幼馴染でしたのよね」
さやか「あ、ま、まぁ…腐れ縁っていうか、なんていうか…」
仁美「…本当に、それだけですの?」
さやか「…!」
仁美「…もう私、自分に嘘はつかないって、決めたんですの。…さやかさん、貴方はどうなのですか?」
さやか「どう、って…」
仁美「本当の自分と、向き合えますか?」
226: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 21:55:23.83 ID:Qp2cryX10
仁美「―― 明日の放課後に、私、上条君に思いを告白致します」
仁美「―― それまでに、後悔なさらないように決めてください。上条君に、思いを伝えるかどうかを…」
―― その夜。自分の家を出て魔女退治に出かけようとするも、思考が回らず立ち止ったままのさやか。
さやか「…」
まどか「…さやかちゃん」
さやか「…!まどか…」
まどか「付いていって、いいかな…?…マミさんにもコブラさんにも言わないで魔女退治に行くなんて…危ないよ…?」
さやか「…あんた…なんで、そんなに優しいかな…っ…。あたしに、そんな価値なんて、ないのに…っ、ぐ…!」
まどか「そんな事…!」
さやか「あたし、今日、酷い事考えた…っ…!仁美なんていなければいいって…っ…!恭介が…恭介が、ぁ…仁美に、取られちゃうって、ぇ…えぐっ…!」
まどか「…」
そっと近づき、さやかの身体を優しく抱くまどか。
さやか「でも…あた、し…っ!なんにも出来ないっ…!ひぐっ…!だってもう死んでるんだもん…ゾンビなんだもん…っ!」
まどか「さやかちゃん…」
さやか「こんな身体で、抱きしめてなんて…っ、言えないよぉぉ…!!」
その時、さやかとまどかに近づく1人の影があった。
まどか「…! …あなたは、あの時の…」
レディ「…少し、いいかしら?美樹さやかさんと、鹿目まどかさん。…お届けものに来たわ」
227: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 21:59:01.93 ID:Qp2cryX10
近くにあったベンチに座った、さやかとまどか。さやかが泣き止み、落ち着くのを待ってからレディは静かに話し始める。
レディ「突然でごめんなさい。…まどかさんとは少しだけ顔を合わせたけど、さやかさんは…知らなかったわね、私の事。私はコブラから貴方達魔法少女の事は聞いているのだけれど」
さやか「… … …」
レディ「こんな恰好だから警戒するのは当たり前よね。…私はコブラの相棒、レディ…アーマロイド・レディというの」
さやか「…やっぱり変な名前」
レディ「ふふ、そうね。…こんな時に突然で驚くわよね。コブラがどうしても、私に、貴方達に届け物をして欲しいと言うから」
まどか「…届け物、って…?」
レディ「上条恭介君からの預かりものがあるわ」
さやか「…!!!」
レディはそう言って、小さな封筒を一つ、取り出して見せた。
レディ「受け取ってもらえるかしら?」
さやか「… … …」
まどか「さやかちゃん…」
しかし、さやかの表情は優れず、レディの持つ封筒に手を差し伸べる様子も無い。
レディ「…それから、コブラからもう一つ頼まれごとをしているの」
レディ「昔話を、さやかにしてやれ、ってね」
さやか「…え…?」
レディ「退屈な話なら聞かなくていいわ。この封筒だけ受け取ってくれてもいい。ここから逃げ出してもいい。…もし良かったら、そのままベンチに座っていてくれないかしら」
さやか「… … …」
さやかは動かず、俯いたままでいる。まどかはその身体をそっと支えたままだった。
228: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 22:03:25.93 ID:Qp2cryX10
レディ「…昔、あるところにとてもヤンチャなお姫様がいたの。祖国を怪物に滅ぼされ、復讐に燃えるあまりにその怪物を自ら倒しに行った…そんな無茶をした、バカなお姫様よ」
レディ「でもそのお姫様の力じゃあ、とてもその怪物には敵わなかった。…でもね、ある人が、私を助けてくれたの」
レディ「祖国を滅ぼされ、仲間も失い…全てを失った私を、その人は守ると言ってくれた。…何があっても守る、何があっても殺させやしない、って…」
まどか「…それって、レディさんと、コブラさん…?」
レディ「…ふふふ、どうかしら?」
レディ「その人は、全てを…命を賭けて、時間さえも飛び越えて…お姫様を助けてくれたわ。だから、お姫様も…その人に一生ついていくと決めたの」
さやか「… … …」
さやか「素敵な話だね。…でも、知らない人からそんな話を聞いても…あたしは…」
レディ「…そうだと思うわ。私だって不思議だもの。何故こんな話をコブラが私にさせているのか」
レディ「でも…なんとなく…私はね、そのお姫様とさやかさんが似ていると思うの」
さやか「…あたしと…?」
レディ「お姫様とその人との幸せな時間はあったわ。…でも、そう長くは続かなかった。 お姫様はある日、瀕死の重傷を受けてしまったの。…銃撃戦があって、ね」
レディ「お姫様には一つの選択肢があったの。そのまま死ぬか…もしくは、全く別の身体に魂を宿して、新しい人生を送るか」
さやか「…!」
229: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 22:06:55.83 ID:Qp2cryX10
―― 昨日。上条恭介の部屋、コブラと恭介の会話の続き。
コブラ「俺には1人の相棒がいてね。親愛なる最高のパートナーが」
コブラ「そいつは以前、瀕死の重傷を負った。…医者に言われたよ。奇跡は起きない。このまま死ぬのを待つしかない、とね」
恭介「…」
コブラ「一つだけ、彼女が助かる道があった。…まぁ、嘘だと思うかもしれないが聞いてくれ。…全く別の身体に、その相棒の魂だけを移し、生まれ変わる…そんな事が出来たのさ」
恭介「…作り話、ですか?」
コブラ「そう思ってくれて構わないさ。作り話なら、俺もなかなかいい小説家になれそうだろ?」
コブラ「話の続きだ。…だが、俺は相棒がそんな身体になる事は望まなかった。俺はそいつを愛していたし、彼女だってそんな事は望まないと思っていた」
恭介「…」
コブラ「だがかの女は、新しい身体に自分の魂を注ぎ、生まれ変わった」
コブラ「以前のように愛されなくてもいい。ただかの女は、俺と一緒にいる事だけを望んだ。そのためなら、例えその身体が機械の身体になろうとも…ってね」
恭介「…素敵な話ですね」
コブラ「そう思うかい?そりゃ良かった。恭介、アンタと俺は気が合いそうだ」
恭介「気が合う?」
コブラ「そうさ。俺はその時、かの女と共にずっと旅を続けていくと心に誓ったからさ」
コブラ「何を犠牲にしてもいい。どんな事をしてもいい。かの女が俺を愛してくれるのなら、かの女がどんな身体になろうと俺は全てをかの女に捧げようとな」
恭介「… … …」
コブラ「そこに、愛するとかそういう概念はない。俺は相棒に出来る事を全てする。相棒も同じ事を俺にしてくれる。同じ目的を持ち、同じ『道』を進む…。いい関係だろ?」
コブラ「…恭介。アンタのバイオリンには、そういう『道』が築けるのさ。世界中、全ての人にその音色を聞かせてやれるように…なんて道がな」
恭介「…ええ。僕は…たくさんの人に、自分の音色を届けたいと思っています」
コブラ「へっへっへ」
コブラ「だったら、まず…その音色。聞かせてやるべき人がいるはずさ。…『相棒』がね」
恭介「…!」
230: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 22:09:42.79 ID:Qp2cryX10
レディ「お姫様は…新しい身体。おおよそ人間とは言えない、機械の身体に自分の魂を移したわ」
レディ「彼に愛して欲しいとは望まなかった。…ただ、かの女はずっと旅がしたかったの。その人と過ごす時間…その人の進む道を同じように進んでいくのが、何よりも素敵な時間だったから」
さやか「… … …」
レディ「そう思ったのは、彼を信頼していたから。どんな身体になろうとも、約束をずっと守ってくれると信じていたから。私を、ずっと守ってくれるという…ね」
レディ「…ねぇ、さやか。貴方にとっての恭介という人は、どんな人なの?」
さやか「…恭介…」
レディ「貴方は、自分が愛される資格がない…そんな風に考えている。…じゃあ恭介君は、そんな貴方をすぐに見捨ててしまうのかしら」
レディ「貴方が愛した彼は、そんな人?」
さやか「…!」
レディ「…誰かの傍にいたいと思うには、条件があるの。それは、何があってもその人を信じる事。どんな事があっても自分を見捨てない。必ず傍にいてくれる…。自分がそう信じる事が、何よりも大切」
レディ「コブラと、私。…さやかと、恭介。…ふふ、本当に似ていると私は思うわ」
レディ「だから、貴方にお届けものよ」
レディは封筒から一枚の紙を取り出し、さやかの掌の上に置いた。
まどか「…!それって…」
さやか「…!」
紙には、恭介の字が記してあった。リハビリ中でまだ震えた字体であったが、力強く握った黒のインクで、しっかりと書かれてある。
【明日の放課後、僕の家でもう一度コンサートを開かせてください。僕をずっと信じてくれていたさやかに、聞いて欲しい曲があります。 ―― 上条恭介】
さやか「!!!!」
レディ「…こんな素敵なコンサートチケット、世界中どこを探しても見たことないわ。…幸せね、さやかは」
さやかは声にならない泣き声をあげながら、大粒の涙を流した。
まどかも、その身体を支えながら、微笑み、泣いた。
231: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 22:13:07.59 ID:Qp2cryX10
マミ「…!これは…」
マミのソウルジェムが俄かに光って反応を示す。
コブラ「魔女か?」
マミ「そうみたい…近いわ!大変よ、美樹さん!近くで魔女が生まれ… …」
ガサッ。
ソウルジェムの反応に慌てたマミは、思わず近くの茂みから身体を出してしまう。
マミ「… あっ」
さやか「… えっ」まどか「… あっ」
さやか「マミさん!それに…コブラさんも…!」
コブラ「あ、ははは、よぅさやか、まどか。おや、レディもいるのか。奇遇だねー、いや、たまたま通りかかってさ、ホントホント」
マミ「そ、そうなの!偶然通りかかってたまたま2人を見つけちゃって!それで、ええと…べ、別に盗み聞きしてたわけじゃないのよ!本当に!」
さやか「…マミさん、嘘ついてるのバレバレですよ…」
マミ「…あ、あはは…そうね。えーと… …ごめんなさい」
さやか「… ぷっ。あ…アハハハハハッ!マミさん可愛いーっ!」
まどか「ティヒヒ」
コブラ「はっはっはっは!」
マミ「うううう…」
顔を赤くするマミ。照れる顔なんてあまり拝めないもので、さやかもまどかもコブラも、その顔に笑ってしまう。
232: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 22:16:20.78 ID:Qp2cryX10
さやか「…魔女が近いんですね。行きましょう、マミさん、コブラさん。私の戦い方…もう一度、見ていてください!」
ベンチから立ち上がったさやかは、ソウルジェムを手に握りしめ、力強く握りしめた。
まどか「…さやかちゃん、大丈夫なの…?」
さやか「…まどか。もう…心配いらないよ。あたしは一人なんかじゃない。それが…やっと分かったから」
さやか「恭介、マミさん、コブラさんにレディさん…まどか。それにアイツ…佐倉杏子だって。みんな…あたしの事心配してくれてる。だからあたしは、その期待に必ず応える」
さやか「魔法少女さやかちゃんは伊達じゃないってトコ、見せてあげなくちゃね!」
さやかはまどかの方を振り向き、最高の笑顔を見せる。その笑顔に、まどかも安心をしたようだった。
マミ「…それじゃあ、行きましょう!」
レディ「さやか」
さやか「…レディさん。…ありがとうございましたっ」
レディ「どういたしまして。…彼を信じるのよ。そうすれば、きっと彼もそれに応えてくれるのだから」
さやか「…はいっ!!」
さやか、マミ、コブラ、まどかは駆け出し、その場を去る。
233: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 22:18:52.30 ID:Qp2cryX10
ほむら「いいのかしら。先に獲物を見つけたのは貴方よ。佐倉杏子」
杏子「…アイツのやり方じゃ、グリーフシードの穢れが強いからな。獲物は魔女だ。今日は譲ってやるよ」
ほむら「意外ね。貴方が他人にグリーフシードを譲るなんて」
杏子「ふん。…たまにはこういう気まぐれも起きるのさ」
ほむら(…共闘。グリーフシードの奪い合いは時に魔法少女同士の抗争を生み、それが全員の身を滅ぼした時間軸も存在する)
ほむら(佐倉杏子と、美樹さやか…。相性の悪い2人だとは思っていたけれど、この世界では…)
杏子「今日は見学だ。新人の戦い方、見届けてやる」
ほむら「…そうね」
234: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 22:21:35.60 ID:Qp2cryX10
コブラ「こいつは…」
マミ「…鹿目さん、少し下がっていて。…なかなか手ごわそうだわ」
まどか「!は、はいっ!」
現れた『影の魔女』は今まで出会った魔女の中でも巨大な部類であった。本体こそ人間と同サイズの影であるものの、それを取り巻くような無数の木の枝はまるで主を守るように生えている。
刃物のように鋭利な枝の先は、今にも三人に襲い掛かりそうに蠢いていた。
さやか「い、意気込んだのはいいけど、…あの枝はちょっと厄介そうだなぁ…。マミさん、どうしましょう…?」
マミ「そうね… 全部切り取っちゃうってのはどうかしら?」
コブラ「了解。庭師になれそうだぜ」
マミは単発式銃火器を宙に浮かせ、コブラは左腕のサイコガンを抜き、影の魔女に向けて構える。
コブラ「俺達があの盆栽の手入れをしてやる。見栄えが良くなったら本体を倒してくれ、さやか」
さやか「は、はい…!」
まどか「さやかちゃん、気を付けて…!」
さやか「! …うんっ!任しといて!」
マミ「それじゃあ…行くわよっ!!」
235: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 22:24:42.01 ID:Qp2cryX10
踏み込み、影の魔女に近づくマミとコブラ。領域への侵入者に対し、魔女は触手のような枝を次々と振り下ろしていく。
マミ「!!」
マミとコブラは立ち止り、自らに近づいてくる木の枝を次々と撃ち落していく。
目にも止まらない連射、しかも正確な一撃一撃は、次々と触手を撃ち落していく、が…。
コブラ「…!少しまずいな」
マミ「…この枝…っ、再生している…!?」
撃ち落した木の枝は一度は動かなくなるものの、少しの時間ですぐに再生を始めてしまっていた。襲い掛かる木の枝を落とすのが精一杯のマミとコブラは苦戦を強いられた。
コブラ「参ったな、キリがないぜ!」
マミ「くっ…一体どうすれば…!」
さやか「… … …!」
さやか「マミさん、コブラさん!…あたし、行きます!」
コブラ「何…っ!?」
236: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 22:27:40.77 ID:Qp2cryX10
さやか「でやああああああああッ!!」
銀に光る剣を前方に構え、さやかは影の魔女本体に突撃を開始した。それと同時に、木の枝はさやかに反応をし、襲い掛かろうとする。
マミ「!!!美樹さんっ、危ないわ!!」
さやか(このまま捨て身でいけば…皆を守れる!…例え、あたしのソウルジェムが穢れても…!)
さやか(… … …)
さやか(違う!)
さやか(大切なのは… 大切なのは、一歩を踏み出しすぎない、勇気…!一緒に戦おうって、マミさんは言ってくれた!…だから…!)
さやか「コブラさん!マミさん!一度だけ…一瞬だけ、道を作ってください!!…お願いしますッ!!」
マミ「…道…?」
コブラ「…! そうか…よぉし、分かった!マミ、俺らの周りは任せたぜ!」
マミ「え、ええっ!?」
コブラは自分の周囲の触手への攻撃を止め、影の魔女本体に向けてサイコガンを構える。自らの精神力をサイコガンに貯め、狙いを定めた。
コブラ「いくぞォォォーーーーーッ!!!」
大砲のようなサイコガンの一撃。影の魔女本体に向かっていく光は、周りを囲む木の枝を次々と消滅させていく。…それと同時に。
さやか「はああああーーーーーッ!!!」
コブラの作った『道』。触手が再生をする前にさやかはその残骸を踏み越え、影の魔女本体に向けて駆けていく。
そして眼前に現れたのは守るものを失った、影の魔女本体だった。
さやか「くらええええッ!!」
魔女本体に突き刺される剣。魔法で高められた攻撃は、一撃で魔女を葬り、消滅させた。
237: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 22:31:12.34 ID:Qp2cryX10
さやか「…あたしね、分かったんだ。…あたしが、何をしたかったのか」
まどか「…」
月夜が差し込む、ビルの屋上。夜風にあたりながら、さやかとまどかは空を見上げながら会話をしていた。
さやか「あたしが望んでいたのは…恭介の演奏をもう一度聞きたかった…それだけだったんだ」
さやか「あのバイオリンを…もっとたくさんの人に聞いて欲しかった。それで…恭介に、笑って欲しかったんだ。自分の演奏で、人を笑顔に出来るように…恭介自身も」
まどか「…さやかちゃん…」
さやか「…ちょっと悔しいけどさ、仁美じゃ仕方ないよ。あはは、恭介には勿体無いくらい良い子だしさ。きっと幸せになれる」
さやか「それに…あたしには使命がある。…まどかを、マミさんを…見滝原に住む皆を守るっていう、魔法少女の使命がね!」
まどか「でも…さやかちゃんは、恭介くんの事を…」
さやか「明日のアイツの演奏聞いたら…言ってやるんだ。アンタの事お慕いしてる子がいるって。…このさやかちゃんが、恋のキューピッドになってやろうっての!」
さやか「…それがどんな結果になろうと、後悔なんてしない。恭介にも、仁美にも…嘘をついて、生きていて欲しくなんかない」
さやか「皆…あたしの大切な人なんだ。あたしは、その大切な人たちにずっと笑っていてほしい。…だから、あたしも頑張れるんだ」
まどか「… … …」
さやか「まどか。勿論…アンタにも、ね!」
まどか「… うんっ!」
238: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 22:33:15.86 ID:Qp2cryX10
翌日の放課後、恭介の部屋。
恭介「… さやか。有難う、来てくれて」
さやか「… ううん。あたしも…ありがとう」
恭介「それじゃあ…聞いてくれるかな。…僕の、バイオリン」
さやか「… うん!」
上条家から、静かに『アヴェ・マリア』が流れる。まだ完璧な演奏とは言い難い。しかしそれは、世界中のどんな演奏より人を感動させられるような弦の音色であった。
その演奏を、外から聞いている仁美。
仁美「… … …」
仁美(…いい曲。とても静かで、力強くて…)
仁美(…私、諦めません)
仁美(でも、今は… もう少しだけ… この演奏を聴いていたいって、そう感じますの)
仁美(この音色を奏でさせられるのは… さやかさん、今は、貴方しかいないのですから…)
夕日が美しく差し込む、見滝原市。
その日はまるで、街全体を、一つの旋律が包み込んでいるかのようであった。
239: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 22:37:10.67 ID:Qp2cryX10
ほむら(… … …)
ほむら「ワルプルギスの夜まで…一週間」
ほむら(まどか…必ず貴方を、守ってみせる。…この時間軸で、全てを終わらせてみせる)
ほむら「…いよいよ…夜を迎えるのね」
ほむら(…巴マミ。美樹さやか。佐倉杏子。…コブラ。…そして、私)
ほむら(…終止符を打つ、必ず…!)
240: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/05(日) 22:39:45.05 ID:Qp2cryX10
―― 次回予告 ――
さやかが一人前の魔法少女になれてさあこれからだって矢先に、暁美ほむらがとんでもない事を言い始めた!
なんでもあと何日かしたら超巨大な「ワルプルギスの夜」とか言う恐ろしい魔女が見滝原に出てくるんだとさ。かの女はそいつを倒すために、何度も時間を繰り返してきたって話だ。
か弱い女の子にそんな重荷を背負わせちゃいけないよな。俺達はワルプルギスの夜を倒すための作戦を練る事にした。
しかしそんな時、俺にビッグニュースが飛び込んできちまう!なんとレディが、元の世界に戻る方法を見つけちまったんだと!
どうすりゃいいのよ俺ぇー。
次回【夜を超える為に】で、また会おう!
251: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 00:39:12.20 ID:e1XoAc3/0
コブラ「…それで、俺に何の用なんだい?」
夕日の差し込むビルの屋上。目を閉じ、微笑みながら葉巻をくわえたコブラと、それをじっと見つめる少女…暁美ほむら。
コブラ「お前さんから呼び出しなんて随分珍しいじゃないか。しかも、俺だけ。 好意は嬉しいがね、あと数年経ってから考えさせてもらうよ」
ほむら「… … …」
ほむら「『ワルプルギスの夜』が来るわ」
コブラ「… 何だって?」
ほむら「今までの魔女とは比べものにならない、超大型の魔女…。放っておけば、数時間…いいえ、数分でこの見滝原を滅ぼしてしまい…最悪の場合、更に広がるわ」
ほむら「規模は未知数。被害は地球全体に及ぶなんて話になっても、おかしくはない」
コブラ「…そんなものが来るって、どうして分かる?」
ほむら「…私には、もう一つ能力があるの」
ほむら「いいえ、正確には、私の能力は応用に過ぎない。…私の本当の力は、『時を操る事』。そして、それは…過去さえも操れる」
コブラ「…! ほむら、ひょっとしてお前さんは…まさか…」
ほむら「…ええ、何度も…数えるのも諦めるくらい、見てきているわ」
ほむら「この世界が滅びていく、その様を」
風が、一段と強く2人を吹き抜けていった、そんな気がした。
252: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 00:41:35.33 ID:e1XoAc3/0
第7話「夜を超える為に」
さやか「…やっぱりここにいたんだ」
杏子「! …アンタ、どうして…」
以前会話をした、廃教会。そこへ足を運んださやかは、予想通り杏子と出会う事が出来た。
さやか「コレ、あんたに渡そうと思ってさ」
さやかは手に持っていた紙袋からリンゴを一つ取り出し、杏子に向けて投げた。それを受け取った杏子は、きょとんとした顔でさやかを見ている。
さやか「…この前は、ごめん。あたしの事、アンタなりに心配してくれたのに…嫌な事言っちゃって」
杏子「… … …」
さやか「だから、謝りに来た。…それで…改めて言うのもおかしい話だけど…これからも、その…あたしと仲よくしてほしいなぁ…なんて」
さやかは杏子の顔色を横目で伺いながら、恥ずかしそうに頬を?いた。
杏子「…アンタさぁ」
杏子「よくそんな台詞言えるよな。…聞いてるこっちが恥ずかしくなるよ」
さやか「べっ、別になんだっていいでしょ!!…あたしだって、コレでも頑張って謝りにきてるんだから…!」
さやか「…あんたと…その… 仲悪いまま、終わりたくないし…」
杏子「…かぁー。ホントに、呆れるくらい馬鹿正直なんだねアンタって」
さやか「そ、それはあんただって一緒でしょっ!?…ほら。こっちだって恥ずかしいんだからさ…」
そう言って、さやかはゆっくりと右手を杏子に向けて差し出した。
杏子「…分かったよ」
杏子はぷいとそっぽを向きながらも、さやかの差し出された右手に、自らの右手を重ねた。
253: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 00:44:10.53 ID:e1XoAc3/0
コブラ「…時間を何度も繰り返し、そのワルプルギスの夜とやらと何度も戦って…それでも負け続けて、今に至る、ねぇ」
ほむら「信じてもらえるとは思っていないわ」
コブラ「信じるさ。俺も昔、同じような事をした」
ほむら「…?」
コブラ「それで、何で俺を呼び出したんだ?仮にそいつが現れるとしてそのバカデカい魔女を口説き落としてくれ、なんて話じゃないだろ?」
ほむら「…」
ほむら「貴方は、幾度となく私達を救っている」
ほむら「魔女の撃退、巴マミの救出、美樹さやかのソウルジェム奪還…貴方のしている行動の全ては、魔法少女達にとってプラスへと働いているわ」
ほむら「答えて。…何が目的なの?」
コブラ「そうだなぁ。目の前でか弱い女の子達が困っていたから、かな」
ほむら「分からないわ。単なる人助けでこんな事をしているとでも言うの」
コブラ「…信じられないかい?」
ほむら「ええ、私には理解し難い事だわ」
コブラ「勿論、俺は元の、俺のいるべき世界に戻ろうとしている。そのためにアンタら魔法少女にくっついて行動しているのも目的の一つさ」
コブラ「ただね、趣味なのさ」
ほむら「…趣味?」
コブラ「困っている女の子の顔を、安心させてやるのがさ」
254: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 00:46:55.33 ID:e1XoAc3/0
ほむら「…つくづく分からないわ、貴方の事が」
コブラ「よく言われるよ」
ほむら「…」
ほむら「過去…どの時間軸でも、私は失敗を積み重ねている。時にはワルプルギスの夜に負け、時には…魔法少女同士で殺し合う、そんな世界も存在したわ」
コブラ「物騒だねぇ。何があったんだ」
ほむら「魔法少女の正体に気付いてしまったからよ」
コブラ「…ソウルジェムの穢れ、か」
ほむら「気付いていたのね」
コブラ「アンタに黙っていて申し訳なかったな。相棒にちょいとグリーフシードの成分を分析してもらってね。…それで、分かったのさ」
コブラ「…ソウルジェムの『穢れ』。アレが、魔女の正体だ。つまり魔法少女と魔女は、表裏一体の存在って事…違うかい?」
ほむら「…ええ、そうよ」
ほむら「そして、その正体に気付いた魔法少女達は自分たちこそ災厄の元凶だと気づき、互いを殺し合った」
ほむら「…ある意味、正しい行動だったのかもしれないわ。キュウべぇに利用されたままの自分達を、消せたのだから」
ほむら「…そうでしょ?…インキュベーター」
ほむらがそう言った瞬間、物陰からひょっこり現れるキュウべぇ。
コブラ「黒幕さんのお出ましか」
QB「…」
255: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 00:48:21.97 ID:e1XoAc3/0
QB「驚いたね。遠い未来世界から来たイレギュラー…『コブラ』、そして時間を繰り返し戦ってきた魔法少女…『暁美ほむら』」
QB「僕の知り得ない人間が2人も関わっていたのは、本当に驚きだ。奇跡以外の何物でもないのかもしれないね」
コブラ「インキュベーター…ね。俺の疑問がようやく解けたぜ」
コブラ「アンタは少なくとも地球生物で無い事は分かっていた。しかしこの世界には、星間交流の概念がない。何故宇宙生物が魔法少女と呼ばれる存在の周りをウロチョロしているのかがようやく分かったぜ」
QB「本当に驚きだよ。君はこの星…いいや、宇宙がどんな運命を辿っていくのかを知っているわけだ、コブラ」
コブラ「興味があるかい」
QB「そうだね。僕達の目的は『宇宙の寿命』を伸ばす事にあるわけだから。僕達の行動がどんな素晴らしい結果を生んでいるのかを知りたいのが本音さ」
コブラ「宇宙の寿命…?」
ほむら「…この地球外生命体の目的は、一つ。魔法少女を魔女化する時に発生するエネルギーを、回収する事」
コブラ「はっ、そんな事をしてどうなるって言うんだ?売り払って通信販売でも始めるのか」
QB「宇宙には、エネルギーが存在するんだよ。そしてそのエネルギーは、どんどん減少を続けていくのを知っているかい」
コブラ「さあね。朝食を食べてないからじゃないかな」
QB「宇宙全体は、僕達インキュベーターによって支えられているんだよ。僕達がエネルギーを回収し、供給を続けているからこそ宇宙は現状を保っていられているんだ」
QB「そしてそのエネルギーの、最も効率のいい回収方法は」
QB「魔法少女が、魔女に変わる瞬間。その瞬間のエネルギーの回収が最も効果的に、宇宙の寿命を延ばす事に繋がるのさ」
256: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 00:51:58.21 ID:e1XoAc3/0
コブラ「どの世界にも、狂信者ってヤツはいるもんだな」
QB「信仰じゃない、事実だよ。コブラ、君達のいる未来でも僕達の存在は知られていないのかい」
コブラ「さあてなぁ。お宅らみたいな連中はごまんといるからね。特に熱心な宗教家ほど目立っちまうからな。埋もれちまったんじゃないかい」
QB「僕達は、地球が誕生する遥か以前から人間の有史に関係してきた」
QB「数えきれないほど多くの少女…とりわけ、第二次成長期にあたる少女達と契約を交わし、希望を叶えてきたのさ」
ほむら「…そして、それを絶望へと変えて、エネルギーを回収していく。祈りを呪いに変えて」
QB「酷い言い方だね」
ほむら「人を食い物にしてきた貴方に、否定をする権利なんてないわ」
QB「ワケがわからないよ。僕達が宇宙を永らえさせてきたからこそ、君達人類全体の歴史があるんだ。一部の人間の消滅が全体を救っている事に、何の問題があるんだい」
QB「むしろ感謝されて然るべき話さ。僕達がいなければ、ほむらだってこの世界にはいない。コブラのいた未来だって、存在しないんだよ」
QB「それに僕達は、侵略という形でエネルギーを回収したりなんていう野蛮な真似はしていない。少女達の願いを叶えて、その代償を払ってもらっているだけさ。『契約』という形でね」
QB「そこに、何の問題があるんだい」
コブラ「…確かに、それなら何の問題もないな」
ほむら「…!?」
コブラ「だが、それならはっきりと俺達は選択肢が与えられているはずだ。…おたくら異星人と契約して宇宙のために戦うか、否かのな」
257: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 01:24:25.42 ID:e1XoAc3/0
QB「コブラ。君は宇宙が滅んでもいいと言うのかい」
コブラ「さてね。だが、宇宙が滅びようとするのだと言うのなら、そいつも宇宙の一つの選択ってヤツじゃないか。インキュベーターってやつぁ、契約を元に宇宙の寿命を延ばそうとしているんだろ?」
コブラ「それなら元来、かの女達が何をしようが自由の筈さ。魔法少女になって契約した少女が何をしようと勝手…その筈だ」
QB「…」
コブラ「かの女達は希望を抱き、絶望はしない。街を襲う魔女から人々を守り、立派にその使命を全うしていく…それで十分だ。宇宙の寿命を延ばすために人柱になれ、なんて契約はしていないはずだぜ」
ほむら「…ええ、確かにそうね」
QB「甘い考えだね。それで魔女は倒せても、ワルプルギスの夜が倒せるとでも思っているのかい」
コブラ「さあてなぁ。やってみなきゃ分からないさ」
QB「僕は少なくともその前例は見ていないからね。希望が絶望に変わらなかった魔法少女は、存在しない。だからこそ僕達インキュベーターはそのエネルギーを宇宙に安定的に供給してきたのだから」
ほむら「っ…」
コブラ「前例がなけりゃ、作ればいいだけだ。そう難しい事じゃない」
コブラ「俺が…いいや、俺達がやってみせる。ワルプルギスの夜を、超えてやるさ」
コブラはそう言いながらにぃと微笑み、ビルの屋上を後にするのだった。
QB「暁美ほむら、君はどう思うんだい」
QB「『鹿目まどか』という魔法少女の存在なくして夜を超えられた時間軸が、存在したのかい」
ほむら「… … …」
QB「無いだろうね。それだけまどかの魔力は絶大だ。どんな巨大な魔女であろうと、魔法少女化した彼女に敵う敵など存在しない」
QB「逆に言えば、まどかが魔法少女にならなければ、ワルプルギスの夜には勝てない。君がまどかを魔法少女にしたがらない事と、君が時間を幾度も繰り返しているのがその証明になっている」
QB「君はどうするんだい?ほむら」
258: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 01:26:56.06 ID:e1XoAc3/0
ほむら「私は、まどかを守る力を欲し、魔法少女の契約を交わした」
ほむら「だから、彼女を魔法少女にせず、ワルプルギスを倒すまで…絶対に諦めるつもりはない」
QB「分からないね。そんな方法を今まで見つけてもいないから、君が今この時間に存在するのだろう?」
ほむら「貴方達インキュベーターの目的は分かっているわ。…まどかが魔法少女になれば、同時に最悪の魔女を生む事になる」
ほむら「今まで、魔女にならなかった魔法少女はいないと言ったわね」
ほむら「狙いは一つ。まどかの膨大な魔力。魔女化に発生する莫大なエントロピーの発生が目的で、あなたはまどかに付きまとっている」
QB「だからどうしたというんだい?」
ほむら「貴方の思い通りにはさせない。私は絶対に…まどかを魔法少女に、させない」
QB「ほむらは、それでワルプルギスの夜を倒せるとでも思っているのかい?」
ほむら「…さっき、コブラにも言われた筈よ」
ほむら「前例がなければ、作ればいいだけの事」
ほむら「この時間軸で私は、それを作ってみせる」
259: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 01:28:33.05 ID:e1XoAc3/0
キュウべぇに背を向け、階段を降りながらほむらは考えていた。
ほむら(…他人をアテにしない。それが何度も時間を重ねた結果の教訓だというのに)
ほむら(この時間でも、私は他人を頼りにしようとしている。…巴マミに、佐倉杏子に、美樹さやか…)
ほむら(…コブラ)
ほむら(まどかを、魔法少女にさせない。…でもそうしないと、ワルプルギスの夜は倒せない。…それが、絶対に崩せない公式だった)
ほむら(私に残された時間も、長くはないのかもしれないわ。…私の希望が、絶望に変わってしまうその前に、手を打たないと)
ほむら(…夜が来るまで、あと数日しかない)
ほむら(それなら、この時間軸で私の取るべき行動は一つしかない)
ほむら(賭ける事。それが私の…答え)
ほむら(持てる力を全て使って…ワルプルギスを、倒すという事)
260: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 01:30:22.79 ID:e1XoAc3/0
その後、夜。
人目が無くなったのを見てコブラはレディと近くの小さな林の中で落ち合う。
茂みに隠れたタートル号から出てきたレディは、手に湯気の立つコーヒーカップを持っていた。
レディ「はい、コブラ。コーヒーよ」
コブラ「おー、ありがとよレディ。やっぱ相棒と過ごす時間っていうのが一番落ち着くねェ」
レディ「あら、そうかしら。巴マミの家も随分と気に入っているようだけれど?」
コブラ「あちゃー、ははは。それは言わないお約束」
レディの淹れたコーヒーを啜りながら、ぼんやりと月を眺めたままのコブラ。少し間を置いて、レディがゆっくりと語りかける。
レディ「…ねぇ、コブラ。ニュースがあるの。…良いものか悪いものかは分からないけれど」
コブラ「?」
レディ「…」
レディ「今なら、元の世界に戻れるわ」
261: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 01:32:28.24 ID:e1XoAc3/0
コブラ「なんだって…!?どういう事だ?」
レディ「クリスタルボーイの宇宙船が、ブラックホールを生成し、元の世界に戻ったわよね。…あの重力場が、僅かに検知できたの」
コブラ「するってぇと…タートル号でそいつを追跡できるってのか?」
レディ「…ええ。以前、エンジニア達にタートル号に異次元潜航能力を取り付けてもらったわよね。今まではここが『どの世界』で『どの次元を辿って』元の世界に戻ればいいか分からなかったからそれが役に立たなかったのだけれど」
レディ「今なら座標が確定できる。クリスタルボーイの船の軌跡を辿っていけば、元の世界に戻れるわ」
コブラ「そいつは有難いな。あのガラス細工、いい土産を置いていってくれたじゃないの。あとでハグしてやらないとな」
コブラ「…だが、そう簡単な話じゃないんだろう?その調子じゃ」
レディ「…ええ、その通りよ」
レディ「ブラックホールの重力場の検知量はどんどん小さくなっていくわ。そのうち、完全に消滅する。そうなるともう…元の世界に戻る経路が再び見つからなくなってしまう」
コブラ「そいつはどのくらいもちそうなんだ?」
レディ「… … …」
レディ「明日には、完全に消滅してしまうでしょうね」
コブラ「…神様ってやつは随分と意地が悪いんだな。嫌われちまうぜ」
…林の中。
コブラがビルから出てきたのを見つけ、その後をずっと付いてきた人影が一つ、あった。
まどか「… … …」
まどかは急いで林の中を抜け出そうと駆け出すのであった。
262: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 01:35:17.21 ID:e1XoAc3/0
――― 後日。
さやか「…ここが、あの転校生の家?」
マミ「ええ、ここがそうみたいね」
杏子「呼び出しなんて随分な心変わりじゃねーか。なんだってんだよ」
ガチャ。
アパートの一室のドアが開き、その部屋から暁美ほむらが顔を出した。
ほむら「…入ってちょうだい」
それだけ言って、ほむらは部屋の中へと戻っていく。
杏子「…」
さやか「…ねぇ、マミさん。入っていいのかな。あいつの事…信用して」
マミ「…信じてみましょう。だって暁美さんが今まであんな顔で私達に『相談したい事があるから私の家で』なんて言ってくれたの、はじめてだもの」
マミ「逆に、信頼していいと思うわ。今まで心を開いてくれなかった暁美さんがようやく私達の方に歩み寄ってくれたのだから」
さやか「…それもそう、か。何事も前向きに考えなきゃいけませんね、うん」
杏子「ま、完全に信用しきったワケじゃねーけどな。…それじゃ、入るか」
杏子はアイス最中を一齧りすると、先陣をきって部屋の中へ入っていった。
263: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 01:37:35.31 ID:e1XoAc3/0
杏子「これは…」
さやか「な、なんなの…コレ…!?」
暁美ほむらの部屋の中は、貼りだされた写真や資料で埋め尽くされていた。
マミ「…これが、貴方の言っていた…いいえ、隠していた事なのね、暁美さん」
ほむら「ええ、そうよ」
ほむら「これが、『ワルプルギスの夜』。単独の魔法少女では対処できないほど巨大な魔女」
ほむら「こいつが…あと数日で、この街に現れる」
マミ「…キュウべぇから、噂だけは聞いた事があるわ。数十年…数百年に一度現れる魔女。強大で凶悪、一度具現化すれば数千人を巻き込む大災害が起きる…と」
さやか「そ、そんな魔女が…見滝原に現れるっていうの?」
ほむら「ええ、そうよ」
杏子「…なるほどな。なかなか面白そうな話じゃねーか。ただ分からない事があるんだけどな」
杏子は貼りだされた写真の数々を興味深そうに眺めながらも、ほむらに質問をした。
杏子「なんでアンタは、そんな魔女が現れるって事が分かるんだい?」
ほむら「… … …」
ほむらは一呼吸置いて、意を決したように話した。
ほむら「私が、未来から来たからよ」
264: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 01:40:14.79 ID:e1XoAc3/0
マミ「…未来…から…?」
杏子「…」
さやか「…は、はは…冗談よしてよ」
ほむら「…本当よ」
ほむら「私の魔法少女としての能力。それは『時間を操る事』。そして私は、このワルプルギスの夜を倒すために幾度も時間を繰り返してきた」
ほむら「何度も繰り返して…そして、敗れては、時間を巻き戻した。いいえ、『巻き戻している』。それが私の現状よ」
杏子「…仮にアンタの話を信じるとしてもだ。アタシ達が、『ワルプルギスの夜』に何回も負けて、死んでるって事かい?」
ほむら「…そうね。何度も負け…いいえ、下手をすれば、ワルプルギスの夜を迎える前に、貴方達が死んでしまったという例もある」
ほむら「希望が、絶望に変わってしまった時に」
マミ「どういう…事…?」
ほむら「…キュウべぇから言われていなかった事実は、2つあるわ。1つは、私達魔法少女の魂は契約をした段階でソウルジェムに移されてしまったという事」
ほむら「そして、もう1つ」
ほむら「魔法少女は…ソウルジェムの穢れを拭っていかないと、魔女として生まれ変わってしまう」
マミ・さやか・杏子「!!!」
265: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 01:42:28.97 ID:e1XoAc3/0
杏子「馬鹿な、そんな話…!」
ほむら「ええ、聞いていないでしょうね。あいつらインキュベーターにとって、コレを貴方達が契約前に知る事は都合が悪いことだから」
さやか「それじゃあ、あたし達が今まで倒してきたのは… …」
ほむら「…元、魔法少女。…でも、仕方のない事なの。そうしなければ、私達もああなってしまうのだから」
さやか「そ、んな…!」
マミ・杏子「… … …」
沈黙。
崩れ、膝をつくさやか。歯を噛みしめる杏子。…しかしマミは、ぐっと拳を握りしめて涙を流すのを堪えるのだった。
マミ「…暁美さん、教えて。…何故、それを私達に教えてくれるの…?」
ほむら「それは…私が貴方達に隠しておきたくなかったから」
ほむら「…かつて、過去で『仲間』だった貴方達。…巴マミ、佐倉杏子、美樹さやか…」
ほむら(…そして、鹿目まどか)
ほむら「貴方達ともう一度…仲間として戦いたかったから。…だから、嘘や隠し事はしないと、決心したのよ」
マミ「… … …」
ほむら「私の話を信じないのなら、それでいいわ。…元々私は一人で戦うつもり―――」
マミ「信じるわ」
ほむら「…!」
ほむらが諦めたように話し始めた時、マミはその声を遮るように強く言った。
マミ「…続けて。魔法少女の事、貴方の過去の事…そして、ワルプルギスの夜の事を」
266: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 01:44:39.38 ID:e1XoAc3/0
コブラ「随分とデカい魔女だな!こいつは倒し甲斐があるぜ!」
エアーバイクに乗って空中を駆けるコブラ。幾重にも張り巡らせた洗濯ロープのような糸には、セーラー服が干してある。
そしてそのロープの先には、巨大な六本足の首の無い、異形の魔女がいた。
魔女は自身の周りを旋回するコブラに向けて次々と使い魔を放つ。スカートから出てくる使い魔もまた、下半身だけの異形。その脚には鋭利な刃物のようなスケート靴が履かれていた。
コブラ「へっ!あいにく俺は足だけの女に興味はないんだよッ!!」
右手はエアーバイクのハンドルをしっかり握り、左手のサイコガンを抜いてコブラは次々と使い魔を撃ち抜いていく。
だが、その数は膨大でこちらの攻撃をする余裕はあまりなかった。敵が巨大であるゆえ、チャージをしないサイコガンの射撃ではあまりダメージがないようであった。
コブラ「ちっ…!この…!」
コブラは一度体勢を立て直すため、『委員長の魔女』から離れる。
その様子を、黙って見つめるまどか。結界の中に入れたのは、他でもないキュウべぇであった。
QB「少し苦戦をしているみたいだね。まどか、どうするんだい?」
まどか「… … …」
QB「君が魔法少女になればすぐにでも彼を助ける事ができるよ」
まどか「…もう少しだけ、見てる」
まどか「見ていたいの。コブラさんが、魔女と戦っているところを」
QB「…」
267: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 01:46:32.52 ID:e1XoAc3/0
観客がいる事には気づいていたが、あえて黙って闘っていたコブラ。
横目でまどかの方を見ると、にぃと笑って軽くウインクをした。
まどか「…!」
コブラはエアーバイクのアクセルを吹かし、突撃をする体勢をとる。
コブラ「行くぞぉ、生足の化け物!!」
コブラ「いやっほォォォーーーーッッ!!」
フルスロットルで飛び出したエアーバイクとコブラ。魔女は当然のように使い魔を次々とコブラに向けて発射していく。
だがコブラは正確にその攻撃を避け、魔女本体へと近づいていった。やがて委員長の魔女はコブラの目と鼻の先まで距離が縮まり…。
コブラ「くらえーーーッッッ!!」
ドォォォォォ―――――――ッッッ!!!
サイコガンの巨大な砲撃が魔女をつつむように焼き、消滅させる。その爆発にエアーバイクとコブラも飲み込まれてしまう。
まどか「!コブラさんっ…!」
しかし次の瞬間、爆風の中から脱出するエアーバイク。
まどかの元へ戻っていくコブラの右手の中には、しっかりとグリーフシードが握られていた。
268: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 01:48:55.31 ID:e1XoAc3/0
――― 同時刻、再び、暁美ほむらの部屋。
ほむらは、全てを話し終えた。
魔法少女の希望が、絶望に変わったその時、魔女へと生まれ変わる事。それは、思ったよりずっと容易く起きてしまうという事。
そして、それが過去、凄惨な魔法少女同士の殺し合いすら生んでしまったという事。
さやか「…やっぱり、信じらんないな…。…あたしも、魔女になった事がある、だなんて…」
杏子「… … …」
さやか「ねぇ、転校生。…あんたは、魔女になったあたしを…殺したの?」
ほむら「…ええ」
さやか「あはは…だろうね。あたしだって…逆の立場だったら、そうするしかないもん」
ほむら「…結局、私達はワルプルギスの夜を迎える前に共倒れをしてしまう事が多かった…。それほど、希望が絶望に変わるのは容易い事だから」
ほむら「キュウべぇ…いいえ、インキュベーターは、だからこそ人間を食い物にしているの。脆く、儚い存在だからこそ」
ほむら「魔女が、見滝原を滅ぼそうが奴らには関係ない。目的は、私達が魔女化する時に発生するエントロピーの回収。…それだけなのよ」
杏子「…アンタの話してる事を全部信じるわけじゃねーけどよ。…そいつが本当だったらとんでもねー話だな。それじゃ、アタシ達はあいつに化け物にされたのと同じじゃねぇか」
杏子「忌々しくて…反吐が出そうだ」
杏子はチョコ菓子を噛み切ると、憎らしげに自身のソウルジェムを見つめ、握りしめる。
さやか「…それで、あんたはどうしたいの?…あたしたちに、こんな話をしてさ…」
座り込んださやかは、力無くほむらに語りかける。…その瞳は、既に絶望に淀んでいるようにも思えた。
さやか「あんたの話なんか信じたくもないけど…でも…嘘をついてるとも、思えないよ…。…どうしてだろ。…ねぇ、どうすればいいの?こんな化け物にさ」
ほむら(…やはり、無理だったの…?)
269: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 01:51:01.01 ID:e1XoAc3/0
ほむら「…共に、戦って欲しい」
マミ・杏子・さやか「… … …」
ほむら「鹿目まどか…彼女が魔法少女になれば、ワルプルギスの夜を倒すのは容易い。でも…それは同時に、最悪の魔女を生む事にもなる。ワルプルギスの夜以上の」
ほむら(何よりも…まどかを失いたくないから)
ほむら「だから、まどかの力なくしてヤツを倒さなければいけないの。巴マミ、佐倉杏子、美樹さやか…そして私。…あと…」
マミ「…コブラさん、ね」
ほむら「…ええ。その五人で、ワルプルギスを倒す」
ほむら「あと数日でヤツは見滝原に現れる。…だから、協力をしてほしいの。全員でヤツを倒す…その協力を」
しかし、他の三人は黙ったままであった。
杏子「…その、ワルプルギスの夜を倒したとして…その後は、どうなるんだ?」
ほむら「…」
杏子「きっといつかはアタシ達は、絶望しちまうんだろ?…そして、化け物になって、死んでいく…。それならいっそ、ここで…」
ほむら「…それも、選択肢の一つだと、思うわ」
ほむらは、三人に見えないように後ろ手で拳をぎゅっと握りしめるのだった。
ほむら(私が、馬鹿だった…)
ほむら(佐倉杏子が言っている事の方が理にかなっている。夜を超えられても、いつか私達は絶望を迎え、魔女化してしまう)
ほむら(…結局、いつ死んでも…変わりはないのだから。…愚かなのは、それでも『仲間』を求めている、私の方…)
しかし、その時、マミは顔を上げて強い口調で言った。
マミ「…いいえ、それは違うわ」
ほむら「…!」
270: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 01:53:29.02 ID:e1XoAc3/0
マミ「確かに…佐倉さんの言っている通り、魔女になる前に自分でピリオドを打つ方が正しい判断かもしれない」
マミ「…でも、それでも…私達の行動に、変わりはない筈よ」
マミ「街の平和を脅かす魔女を倒す、魔法少女であり続ければ…絶望なんて、しない。それは今までずっと続けてきた事だわ…!」
さやか・杏子「…!」
マミ「…私のこの命は、消えていてもおかしくはなかったの。いつ死んでも後悔はしない。…そう決めていた。だからせめて…ギリギリまで粘ってみたいの」
マミ「私はもっと生きていたい。もっと…鹿目さんや、コブラさん…佐倉さんや美樹さんと楽しい時間を過ごしていたい。…もちろん、暁美さんとも、ね」
マミ「だから私は…ワルプルギスの夜を超えてみせるわ」
マミ「何があっても…ね」
そう言って、ほむらに向けてにっこり微笑む。
ほむら「…!…マミ、さん…」
マミ「…ふふ」
マミ「やっと名前で呼んでくれたわね」
271: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 01:55:27.00 ID:e1XoAc3/0
さやか「…マミさん…」
マミ「美樹さん…貴方だって、その筈よ」
マミ「貴方は、上条君の演奏を、もっと聞きたい…そう願っていたのでしょう?あの演奏をもっとたくさんの人に届けてあげたい、って…」
さやか「…!!」
マミ「私達は、ここで倒れてはいけない。…私達の命を、繋いでくれた人がいる。だから…それを無駄にしてはいけないの」
マミ「美樹さん…レディさんに貰った、上条君のチケット…決して無駄にしてはいけないわ。…私は、そう思うの」
さやか「…恭介…」
さやかは唇を噛みしめ、瞳を閉じてしばし沈黙する。
そして、すっくと立ち上がった。
その瞳には絶望ではなく、希望の笑顔が浮かんでいる。
さやか「…あっはは!…なんか、バカみたいだね。今までやってきた事となんにも変わらないのに、こんなに悩んでさ…!」
杏子「…!お前…」
さやか「あたしは…見滝原を守る、正義の魔法少女、さやかちゃん!…すっかり忘れてたよ。それだけ守ってれば、何も悩む事なんてなかったのに」
マミ「…美樹さん…」
さやか「…転校生。いや、ほむら!…やったろうじゃん!一緒に、戦おう!」
さやかは笑顔、だが強い目でほむらを見つめ、すっと右手を差し出した。
ほむら「…ええ、お願いするわ」
ほむらは嬉しそうに瞳を閉じ、その右手に自分の右手を重ねた。
272: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 01:57:31.16 ID:e1XoAc3/0
杏子「… … …」
マミ「…佐倉さん、貴方は…」
杏子「アタシは今まで、自分のためだけに生きてきた。だから、今更アンタ達に協力しようなんて気はさらさらないね」
さやか「ばっ…あんた、ここまできて何言って…!」
杏子「うっせーなー。…めんどくさいんだよ、仲間とか、協力とか…めんどくさいんだよ」
ほむら「… … …」
杏子「…だけど」
マミ・さやか「!」
杏子「ワルプルギスの夜を一人じゃ倒せないっつーのも事実みたいだな。だから…今回だけ、付き合ってやるよ。その…一緒に、ってやつに…さ」
さやか「…アンタ…」
さやか「どこまで素直じゃないのよ…こっちまで恥ずかしくなるでしょ」
杏子「うるせーっ!!おめーに言われたくねーよこの色ボケ!!」
さやか「!い、色ボケはないでしょっ!!このお菓子女!!」
杏子「んだとー!!」
マミ「…と、とりあえず…皆、協力してくれるみたいね…」
ほむら「…ええ」
マミ「あ…暁美さん。…今の笑った顔、とても素敵ね」
ほむら「…」
ほむらは少し照れながらも、微笑んでいた。
273: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 01:59:17.73 ID:e1XoAc3/0
ほむら(…そう、そうなのね…)
ほむら(この時間軸では…巴マミは魔女に食い殺されていて…美樹さやかは魔女になっていた筈…)
ほむら(でも…それを。その絶望を、全て逆に希望に変えてくれた人がいた)
ほむら(…コブラ)
ほむら(魔女に喰い殺されそうだったマミを助けてくれて…さやかの上条恭介への絶望すら拭ってくれた)
ほむら(わけの分からないガラス人形からソウルジェムを奪い返してくれて…敵対していた佐倉杏子すら、こちらに歩み寄ってくれた)
ほむら(そして、こうして今、夜を迎えようとしている…)
ほむら(…まどか)
ほむら(この時間で…貴方を助けられるかもしれない。…ようやく、貴方と朝を迎えられるかもしれない)
ほむら(まどか、待っていて…!…私が必ず、貴方を助けてみせる…!)
274: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 02:01:26.46 ID:e1XoAc3/0
――― 夜。結界の解けた工業地帯のような場所で、コブラとまどかは座り込んでいた。
まどか「…教えてください、コブラさん」
まどか「なんで…なんで、魔女を倒してくれるんですか。…なんで、元の世界に戻らないんですか」
コブラ「…知っていたのかい」
まどか「…ごめんなさい、あの…。…でも、言わずにはいられなくって…」
まどか「コブラさん、元の世界に戻れるのに…なんで、まだここにいるのか…分からなくって…!だって、だって…!皆をずっと助けてくれてるのに…っ…コブラさんは…っ!」
まどか「もうちょっとで元の世界に戻れなくなるって、レディさん言ってたのに…!魔女と戦ってるってキュウべぇに言われて、わたし、我慢できなくて…っ…!何もできない私が、悔しくて…っ!!」
泣きそうになるまどかの頭に、コブラは優しく手を乗せる。
コブラ「なぁ、まどか。例えば…」
コブラ「例えば、お前さんの目の前に、子猫が一匹いる」
コブラ「その猫が、車に轢かれそうになったら、まどかはどうする?」
まどか「…!」
コブラ「お前さんの性格じゃあ、放っておけないだろ?…俺だって同じさ」
275: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 02:05:29.62 ID:e1XoAc3/0
コブラ「誰かを助けたり、救ったりするのに理由はいらない。赤の他人だろうが何だろうが関係ない。…自分自身の願いだけが、自分を動かせる」
コブラ「俺ぁな、女の子が泣いたり悲しんだりするのがこの宇宙で一番苦手なんだぜ」
コブラ「例えここが違う世界だろうがなんだろうが…そこに俺が助けたいと思う人がいるのなら、力になるのが俺の趣味なんだ」
コブラ「いい趣味だろ?」
まどか「…コブラさん…!」
コブラ「さ、行こうぜ。…今日はちょいと、お呼ばれをしているんでね」
まどか「…誰に、ですか?」
コブラ「決まってるだろ?」
コブラ「街を救う、魔法少女達さ」
・
タートル号のレーダーから、クリスタルボーイの宇宙船の航路の反応が完全に途絶えた。
しかし、それを見てもレディは何も言わず、ただ心の中で静かに微笑むだけだった。
276: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(群馬県) 2012/08/15(水) 02:07:18.58 ID:e1XoAc3/0
―― 次回予告 ――
いよいよ明日がワルプルギスの夜の決戦!俺達としても結束を固めておかなきゃいけないな。しっかり頼むぜ、皆。
っと、その前に話をしなきゃいけないヤツがいたな。インキュベーターの野郎さ。あいつに説教しておかなきゃ、俺の腹の虫が治まらないぜ。
そして…まどかに、ほむら。いよいよ全てを話さなきゃいけないぜ。全ての謎を解き明かし、俺達は最強の魔女に立ち向かう事になる。
次回のCOBRA×魔法少女まどか☆マギカ。【五人の魔法少女(前篇)】。よろしくゥ!
297: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/28(火) 23:23:55.60 ID:1U+S/7uJ0
QB「――― 彼らでは、荷が重すぎたんだよ」
まどか「そんな… あんまりだよ…っ!こんな… こんなの、って… ないよ…っ!」
QB「――― まどか、運命を変えたいかい?」
まどか「え…!」
QB「――― この世界の全てを覆す力。君には、それがあるんだよ」
ほむら「! 駄目!まどか!そいつの言う事に…ッ!!」
まどか「… … …本当に?」
QB「――― 勿論だよ。だから」
QB「ボクと契約して、魔法少女に ―――」
ほむら「駄目ぇぇえええええええッ!!!」
・
まどか「… … …」
まどか「また、あの夢だ…」
まどか「そんな… あんまりだよ…っ!こんな… こんなの、って… ないよ…っ!」
QB「――― まどか、運命を変えたいかい?」
まどか「え…!」
QB「――― この世界の全てを覆す力。君には、それがあるんだよ」
ほむら「! 駄目!まどか!そいつの言う事に…ッ!!」
まどか「… … …本当に?」
QB「――― 勿論だよ。だから」
QB「ボクと契約して、魔法少女に ―――」
ほむら「駄目ぇぇえええええええッ!!!」
・
まどか「… … …」
まどか「また、あの夢だ…」
298: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/28(火) 23:27:52.45 ID:1U+S/7uJ0
第8話 「5人の魔法少女(前篇)」
見滝原市には、大粒の雨が朝から降り注いでいた。
暁美ほむらが言うのにはそれはワルプルギスの誕生…スーパーセルの前兆だと言う。
コブラとレディは林の中に身を潜めたタートル号のコクピットから、その雲を眺めていた。
レディ「かの女が言うには…明日。この見滝原という街を覆うように、魔女が生まれるというのね」
コブラ「ああ。どうやら本当らしいな。こんな雷雲、見たこともないぜ」
レディ「…それで、どうするの?コブラ。その『ワルプルギスの夜』に勝算はあるの?」
コブラ「へへ、俺がこう見えて計算高いの知ってるだろ?レディ。基本的に勝てない勝負はしないんだぜ」
レディ「…基本的に、ね」
コブラ「…ああ」
コブラ「今回ばかりは分からんね。ほむらがワルプルギスの夜に勝てた歴史は存在しない。つまり、どうやって倒すのかも分からない。気合や根性でどうにかなるんなら鉢巻でも作っておくけどな」
コブラ「未知数さ。今回のヤマはちょいとばかり、危険な賭けになるかもしれない」
レディ「ふふ、でも、それも慣れた事でしょう?コブラ」
コブラ「まぁね。それが海賊ってもんだからな」
299: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/28(火) 23:31:00.20 ID:1U+S/7uJ0
コブラ「…さぁて、それじゃあそろそろ出てきてもらおうか。相変わらずコソコソ隠れるのはいい趣味とは言えないぜ、インキュベーター」
椅子に腰かけながら、のんびりとそんな風に語りかけるコブラ。
船内の物陰から、ひょっこりと姿を現すインキュベーター。
レディ「…!」
QB「相変わらず常人とはかけ離れた察知能力だね、コブラ。君が本当に人間なのかは大いなる疑問だ」
コブラ「地球外生命体にそう言ってもらえるとはね。診察したいなら結構だが、料金は高いぜ」
QB「いいや。それはボク達インキュベーターの成すべき事ではないからね」
コブラ「そうだったな。幼気な少女を騙してエネルギーを回収するのがお宅らの仕事だ」
QB「否定はしないよ。君達人間にとってボクは敵でも味方でも構わない」
QB「ただボク達は、宇宙の永らえさせられればそれでいい。それが使命なのだから」
コブラ「結構な使命だね。それで?アンタは説法でもしに俺の船に来たのかい」
QB「…」
QB「君達未来人ともう一度話す機会を設けたくてね。ボク達にとって、やはり君達の存在はとても興味深い」
コブラ「…いいぜ。レディ、客人にコーヒーだ。とびっきり苦いヤツを頼むぜ」
300: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/28(火) 23:34:56.81 ID:1U+S/7uJ0
QB「君達のいた世界が存在するのは、ボク達インキュベーターが宇宙の寿命を永らえさせるのに成功した事の証明だ」
QB「ボク達は地球の誕生の遥か以前から存在し、その使命を全うしてきた。だからそれが無事未来まで続いているのだとしたら、それはやはり非常に興味深いわけだ」
QB「何せ人類の発展は、ボク達と紡いできた歴史と言っても過言ではないのだからね」
コブラ「ご立派だね。基金でもたてたらどうだい」
レディ「…しかし、そのために貴方達は人を…魔法少女達の希望を絶望に変え、その命を奪ってきた」
QB「君も、それを疑問視するのかい。例えば、蟻の巣から一匹の蟻を摘まみ出して殺す事に何の影響があるのかな。むしろその蟻は、宇宙に対して貢献が出来るんだ。意味のない死じゃない、素晴らしい事じゃないか」
レディ「でも、かの女達は人間よ。蟻ではないわ…!」
QB「随分と都合のいい意見だね。蟻なら良くて、人間では駄目。ボク達からすれば60億以上の個体数から毎日数個を摘出する程度、何も気にする事ではないと思うけれど」
コブラ「… … …」
QB「むしろその犠牲が、全ての人類を救う事に繋がっているんだ。インキュベーターが責められる理由は何もないじゃないか」
コブラ「…そうでもないさ。アンタらは、単に上から胡坐をかいて人に頼っているだけの存在に過ぎない」
QB「どういう事かな?」
301: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/28(火) 23:37:51.55 ID:1U+S/7uJ0
コブラ「宇宙のエネルギーが減っていく一方、太古の昔のアンタらが見つけたのが少女達を糧にしてそのエネルギーを補っていくという方法。…だったかな」
コブラ「だが、そいつの効率性自体を疑うね。何千年何万年も昔のシステムに頼っていないと宇宙が消滅しちまうってのは、甚だ可笑しな話だ」
コブラ「インキュベーターの目的は、いたいけな少女を殺す事だったのかな。それとも、宇宙を永らえさせる事だったのかな?」
QB「…」
QB「つまり、もっと効率のいいエネルギーの回収方法があるとでもいうのかい」
コブラ「そいつを模索するのもあんたらの目的に含まれる筈だ。何にしても、俺ぁその宇宙の寿命とかいうやつに貢献するつもりは全くないからな」
コブラ「かの女達だってそうだ。アンタらには感情がないから分からないかもしれないがね」
コブラ「同じ種族、同じ志の人間を殺されていい気分のするヤツはいないぜ。そうしないと宇宙が滅びちまうっていうのなら」
コブラ「宇宙なんざ、滅びちまうべきなんじゃないかな」
QB「コブラ。君の意見は宇宙全体の害悪に過ぎないよ」
コブラ「残念だったな。俺はもともと色ぉーんな奴に恨まれてるんだよ」
コブラ「汚いんだよ。やれ宇宙のためだの人類のためだの言って人を食い殺して自分達を正当化する。感情は無いクセに、そこはクリーンに見せたいわけか?」
QB「理解をして欲しいだけさ。人が存在しないと、ボク達も生きていけない。少しは歩み寄らないとね」
コブラ「だから『契約』という形で少女達を騙しているわけだ」
QB「君がそう思うのも自由さ」
コブラ「まぁ、そこは褒めてやるさ。…勝手な奴もいてね、人なんざ平気で食い物や踏み台にするヤツは、俺の世界にもごまんといる。しかしアンタらは、契約後生き延びる術も与えてくれてるのだからな」
コブラ「だから俺は、そいつを最大限活用させてもらうよ」
QB「…」
コブラ「かの女達の未来を、醜い魔女なんかにさせやしない。…とびっきりの美女になってもらわないと、俺が困るんだ。未来に住んでいる俺がね」
そう言ってコブラは立ち上がると、タートル号から出て市街地へと歩いて行った。
302: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/28(火) 23:41:48.38 ID:1U+S/7uJ0
ほむら「…それじゃあ、明日。教えておいた場所に集まって。そこにワルプルギスの夜が生まれるわ」
さやか「りょーかい。…あはは、なんか、集合って言われるとピクニック行くみたいでなんか緊張感ないけど…」
マミ「…でも、確かにそこで…私達の決戦が始まるのね」
ほむら「ええ。…何度も私が、挑んできた場所だから」
杏子「ま、緊張感なんざ持たなくていいんだよ。万全のコンディションで臨むためにしっかり寝て…しっかり食っておくコトだな」
さやか「アンタはお菓子食って体調万全だから便利だよね…」
杏子「どういう意味だよ」
ほむら「…それじゃあ、明日。…教えておいた時間と、場所で」
マミ「ええ。…頑張りましょうね、暁美さん」
ほむら「…」
ほむらは少しだけ頭を下げると、マミの部屋から出て、雨の降る外へと出て行った。
さやか「なーんかやっぱり実感ないなー。…明日、最強最大の魔女が生まれて…生きるか死ぬかの闘い、なんて」
杏子「生きるか死ぬかの闘いなんざ常日頃からやってるだろ。要するに、いつもと変わらねーんだよ。アタシ達にとっちゃあ、魔女が大きかろうが小さかろうが関係ない」
さやか「…そっか。いつもと変わらない…。そう思ってればいいのか。たまには良い事言うじゃん」
杏子「たまには、が余計なんだよ」
マミ「ふふ、本当にいつも通りで安心ね、2人は」
303: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/28(火) 23:44:36.18 ID:1U+S/7uJ0
その時、来客を知らせるチャイムが鳴り、ガチャリとドアが開く音。
コブラ「やぁ淑女の皆様、お揃いで」
マミ「あ、コブラさん。…まぁ、どうしたの?それは」
コブラ「手ぶらじゃ何だしね。美人の店員に良いのを見繕って貰ったのさ」
そう言うコブラの手には、花束が一つ握られていた。コブラはコートの雨粒を払って部屋に入ってくると、笑顔でそれをマミに差し出す。
マミ「…この花…。ふふ、有難うコブラさん。それじゃあ飾っておくわね」
さやか「相変わらずキザだねー、コブラさんは。今時の男はそんな事しないよー」
コブラ「ハハ、だろうな。俺のいた時代でもなかなか見かけなかったぜ」
さやか「…さーてーはー…相当場数を踏んでいると見たねッ。…モテたでしょー?」
コブラ「ま、そこそこに」
さやか「うわぁ」
304: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/28(火) 23:47:24.18 ID:1U+S/7uJ0
コブラ「ところで、ほむらは来なかったのかい。てっきりここにいると思ったんだが」
マミ「あら、彼女が目当てだったの?」
コブラ「とんでもない。マミにも勿論会いたくて来たんだぜ」
マミ「…あの、そういう意味じゃないんだけれど…」
苦笑いをしながら、花を花瓶に移すマミ。
杏子「アイツならさっきまでここに居たぜ。丁度アンタとすれ違いだ」
コブラ「ありゃあ、そいつは残念。タイミングが悪かったな」
さやか「明日のコトもあるしね。ほむらはほむらで、何か準備があるんじゃない?」
コブラ「…成程、ね。それじゃ、ちょいと俺は追いかけてみるとするか」
マミ「え?来たばかりだし、お茶でも飲んで行っても…」
コブラ「そいつぁ有難い。少し後でゆっくり頂きに来るぜ。ちょいとかの女に話があるんだ」
コブラ「それじゃあな。…そうだな、紅茶はダージリンがいいね。美味そうなクッキーもあったら最高だ」
マミ「…クス。はいはい、用意しておくわね」
305: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/28(火) 23:50:24.20 ID:1U+S/7uJ0
そう言ってすぐにマミの部屋を出ていくコブラ。
呆気にとられた様子でそれを見送るさやかと杏子。
さやか「珍しいね、あの人があんなすぐ帰るなんて」
マミ「何か目的があるとすぐに飛んでいっちゃう性格みたいね。…まだ一か月くらいしか一緒じゃないけれど…分かりやすいのか分かり辛いのか…」
杏子「勝手な奴だな」
さやか「…アンタには言われたくないと思うよ」
マミはガラス製の花瓶にコブラから貰った白い花を綺麗に飾り付けると、テーブルの中央に置いた。
さやか「へーっ、綺麗。…花とかあんまり見ないから分からないけど、いい色してますね。コレ」
杏子「これ、何の花だ?」
マミ「…これはね、ガーベラの花よ」
杏子「ガーベラ?」
マミ「そう。キク科の多年生植物で…花言葉は『希望』。ふふ、本当に色々な事に詳しいのね、コブラさん」
さやか「…やっぱりキザだぁぁ…」
306: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/28(火) 23:53:19.34 ID:1U+S/7uJ0
大粒の雨が降りしきる中、傘も差さずに一人立ち、何もない空を見上げる少女。
ビル街の中心。開発中で、何も無い草原のような広く拓けた場所。そこには…明日、いや、過去…確かにワルプルギスの夜が存在するのだった。
コブラ「…やっぱりここだったか、ほむら」
ほむら「…何か用かしら?必要な事は伝えた筈だけど」
そのほむらの後ろに着いたコブラ。少女はそちらを見る事なく、冷たいような言葉を放つ。
コブラ「一つ、聞いておきたい事があってね。お邪魔だったかな」
ほむら「…構わないわ。何かしら」
コブラもまた、雨の中傘を差さずに、雨粒を身体に受けている。それでもいつものにやけた表情は崩さずに、葉巻はしっかりと銜えていた。
コブラ「…話さないのかい、まどかには」
ほむら「… … …」
ほむら「ワルプルギスの夜の事を?何故?まどかには関係のない事だわ」
コブラ「おいおい、関係ないはないだろ?かの女にはしっかりと関係がある筈だぜ」
コブラ「あんたがかの女を親友だと思っているように…かの女もまた、あんたを親友だと思っている」
ほむら「…そんなワケないわ」
ほむら(…それは、過去の話。…この時間軸の話では、無い)
307: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/28(火) 23:56:55.73 ID:1U+S/7uJ0
ほむら「もう一度言うわ。…何故、話さないといけないの。まどかは魔法少女ではない。一緒にいても危険なだけよ」
コブラ「俺達が負ければどこにいたって同じだろ?それに、かの女は関係無いわけじゃない。魔法少女の闘いを何度も見てきている」
ほむら「それだけだわ。…まどかには、魔法少女に関わって欲しくなかった。それなのに…関わってしまった。その事実だけで十分過ぎるほど危険なのに」
コブラ「…まどかが魔法少女になる事が、か」
ほむら「… … …」
コブラ「アンタの行動は、まどかを自分達から遠ざけたいとする一方、守りたいという行動にも見える。以前、ガラス人形と戦った時に言っていたっけな。まどかの悲しむ顔は見たくない、ってさ」
コブラ「ほむら。あんたが時間を繰り返してまで戦う理由は…まどかを守りたいからだ。しかし、まどかを魔法少女にしてはいけない。…そんなルールがお前さんの中にある」
コブラ「そして、まどかは魔法少女としての素質がありすぎる。その力は強大だ。…ワルプルギスの夜を超える魔法少女となり…最悪の魔女へとなってしまう。…違うかい?」
ほむら「… … …」
ほむら「どうして…」
コブラ「仕事柄、探偵の真似事をする事も多くてね。つい考えちまったのさ」
コブラ「当たっちまったようだな」
308: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/28(火) 23:59:07.82 ID:1U+S/7uJ0
ほむら「… … …」
ほむら「ええ、その通りよ」
ほむら「まどかを魔法少女にするわけには、いかないの。…どんな魔法少女も…いいえ、どんな人間でも…希望は絶望へと変わってしまう」
ほむら「私達と一緒にまどかが戦ってしまっては、いけない。まどかの悲しむ顔を…もう、見たくないの。まどかが魔女に変わるその瞬間を、見たくない。まどかの悲しむ顔なんて、もう見たくない…!!」
コブラ「…」
ほむら「私は…まどかを守る。最初の時間で、最初に出会った、最高の友達を…失いたくない。だから…絶対に、私はワルプルギスの夜に負けられない…!」
コブラ「…なぁ、ほむら。あんたは、『皆で』ワルプルギスの夜を倒すんじゃなかったのかい?」
ほむら「… … …」
コブラ「闘えるだとか、闘えないだとかは関係ない。…要は、自分の意志さ。自分の願いだけが、自分を動かせる。…アンタがまどかを守りたいと言うのなら、まどかの気持ちはどうなるんだ?」
ほむら「…まどかには、私の気持ちなんて…どうだっていいの。私が守ると決めたんだもの。そのための…魔法少女の力。だから…まどかは何もしなくていい」
コブラ「それじゃあかの女の気持ちは無視するのかい」
ほむら「まどかが私に対して、何を思うと言うの。…この時間軸では、まどかには何も伝えていないというのに」
コブラ「…伝えなくても、伝わる事もあるさ。…特にほむら。あんたの行動は、分かりやすいからな」
ほむら「…?…どういう―――」
ほむら「!!!!!!!」
その時、ほむらは初めてコブラの方を振り向いた。
自分の後ろにいるのは、コブラだけだと思っていた。だからこそ、全てを語っていた。…それなのに。
まどか「… … …」
そこには、自分と同じく、雨に濡れるまどかの姿があった。
309: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/29(水) 00:02:16.84 ID:242jq4Tj0
ほむら「どう、して…」
まどか「…わたし、ずっと、考えてたんだよ。どうして、ほむらちゃんが…戦っているのか。…前に、マミさんが言ってたから。ほむらちゃんは、グリーフシードを奪うためだけに戦ってるんじゃない、って」
まどか「魔女を倒して…さやかちゃんのソウルジェムも、返してくれた。…ずっと、何でか、分からなかった」
まどか「…だから、聞こうと思ってたの。どうしてほむらちゃんは…」
まどか「わたしを助けてくれようとしているのか。わたしを…魔法少女にさせないようにしてくれているのか」
ほむら「…!!」
まどか「ほむらちゃんは…ずっと、わたしを守ってくれてたんだね。違う時間を、何回も繰り返して…ずっと、ずっと…」
まどか「なんで…?なんでそこまで、わたしの事を…」
ほむら「…っ…!」
まどか「わたしだって…皆の…ううん、ほむらちゃんの力になりたいよっ…。でも、ほむらちゃんはいつも…わたしを魔法少女に近づけないようにしてくれて…それが、わたしを守ってくれている事になっているんだって、今分かった…」
まどか「教えて…どうしてほむらちゃんは、魔法少女に…」
ほむら「関係ないわ」
まどか「…!」コブラ「…」
ほむら「まどか、貴方には関係ない事なの。だから話す必要もな―――」
まどか「関係あるよッ!!!!」
ほむら「…まど、か…?」
310: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/29(水) 00:05:19.50 ID:242jq4Tj0
まどか「ほむらちゃんはわたしを助けてくれる!だからわたしも、ほむらちゃんを助けたい!どうしても…どうしても、力になりたいの!だから…わたしは知りたい!!」
まどか「どうしてほむらちゃんが魔法少女になったのか…どうして、何度もわたしを助けてくれるのか…!話してくれるまで、わたしは此処から離れないッ!」
まどか「わたしは…ほむらちゃんの事ッ―――」
その瞬間、まどかに抱きつくほむら。
涙に震える掠れた声。今までの彼女からは聞いた事のないような弱々しい声。
ほむら「逆、なの…全部、全部、逆っ…!」
まどか「ほむら、ちゃん…?」
ほむら「私を助けてくれて…私を、友達だと言ってくれて、守ってくれたのは…全部っ…まどかなのよっ…!だから私は…貴方を、失うわけには…っ…!!」
ほむら「でも…ッ、でも、貴方は何度も私の前から…っ、ひぐっ、消えて、しまって…!!何度も、何度も消えてしまうのよッ…!!」
ほむら「私の一番大切な友達を、守りたい…!!それだけなのよっ…!!」
まどか「… … …」
降りしきる雨の中、まどかの服を握りしめ、強く抱くほむら。まどかもコブラも初めて聞く、彼女の弱音。
だがまどかは、涙を流しそっと微笑みながら、ほむらの肩をそっと抱く。
コブラ「…(さて、お邪魔虫はこの辺りで消えるとするかぁ)」
コブラは瞳を閉じ、微笑みを浮かべながらその場を後にする。
311: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/29(水) 00:07:51.47 ID:242jq4Tj0
ほむら「まどかを、救う。それが私の魔法少女になった理由。そして今は…たった一つ、私に残った、道しるべ」
ほむら「でも時間を繰り返せば繰り返すほど…貴方と私の距離は遠くなって、ズレていく」
ほむら「それでも私は…まどかを守りたい。だから…ずっと、時間を繰り返してきた」
ほむら「解らなくてもいい。伝わらなくてもいい。私は、貴方を守れれば、それで…」
まどか「解かるよ…ほむらちゃん」
ほむら「…まどか…」
まどか「…初めて、泣いてくれた。初めて、ホントの言葉で話してくれたから。…だから、わたしはほむらちゃんの言葉、解かるよ。…全部」
ほむら「… … …」
まどか「だから…わたしは、ほむらちゃんを助けたいの。お願い…わたしを、魔法少女に…!」
ほむら「…駄目よ」
まどか「… … …」
ほむら「それじゃあ、駄目なの。…貴方を、この闘いの中に巻き込めない。貴方には…ずっと、笑っていて欲しい。私の傍で、ずっと…」
ほむら「だから…それじゃあ、駄目。それじゃあ、私のしてきた事が全て、無駄になってしまう」
ほむら「私に、貴方を守らせて」
312: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/29(水) 00:10:57.55 ID:242jq4Tj0
アナウンス「―――本日午前七時、突発的異常気象による避難指示が発令されました」
アナウンス「見滝原市周辺にお住まいの皆様は、速やかに最寄の避難場所への移動をお願いします。繰り返します―――」
・
マミ「…来るのね、いよいよ…」
ほむら「ええ。…本当にいいの?」
杏子「良くなかったら此処にいねーよ」
さやか「そうそう。…ま、ちょっと怖いけどさ。これも魔法少女のお仕事…ってヤツだよね」
マミ「皆、必ず生きて帰るわ。…だから、行きましょう、暁美さん」
ほむら「… … …ありがとう」
杏子「にしても、アイツ遅いな。どうしたんだ?」
さやか「…まさか…」
マミ「そんな事はないわ、美樹さん。…彼は、きっと来てくれる。今までだってそうだったんだもの。…だから」
その時、上空に聞こえる轟音。異常気象の突風を物ともせず、空中に停止するタートル号。
ほむら「…コブラ…」
コブラ「よう、待たせたな皆」
コブラ「それじゃ行こうぜ。パーティ会場へ…な!」
313: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/29(水) 00:13:16.00 ID:242jq4Tj0
まどか「… … …」
避難場所である学校の体育館から、暴風吹き荒れる外を眺めるまどか。
その手に握りしめられているのは、一本のガーベラの花であった。
まどか「ほむらちゃん…。わたし…」
まどか「…ごめんね…」
314: ◆LrU7a1GUmg 2012/08/29(水) 00:15:18.89 ID:242jq4Tj0
――― 次回予告 ―――
遂にワルプルギスの夜との決戦だ!まぁー奴さんのデカい事強い事、この上ない!流石の俺でもちょっと骨が折れそうだぜ。
俺とほむら、マミ、さやか、杏子の力をもってしてもなかなか厄介な仕事だ。まぁ、後にも引けない事だし死ぬ気でやってやろうじゃないの!
しかしそんな中、戦いの中に突然現れるまどか。どうやらかの女は何かの決心をして来たらしい!こうなりゃもう怖いもんナシだ。
だが物事そう上手くはいかないねぇ。…大変な事が起きちまうみたいだぜ。
次回のCOBRA×魔法少女まどか☆マギカ。【五人の魔法少女(中篇)】。よろしくゥ!
336: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/04(火) 23:46:16.43 ID:LXt2Eqob0
避難場所である、見滝原市体育館。
暴風雨が吹き荒れる外の景色を茫然としたような表情で見つめるまどか。そして、その横にまるで何かを待つように佇むキュウべぇ。
2人の間に、少し前、会話があったせいだろう。ただただその空間には沈黙が流れていた。
それは、魔法少女の本当の姿。希望が絶望に変わるその瞬間と、その意味。インキュベーターはその全てをまどかに話したのだった。
重い沈黙を先に破ったのはまどかだった。
まどか「…騙してたんだね、全部」
QB「君も彼と同じ事を言うんだね、まどか」
まどか「…だって…!皆、一歩間違えたら…死んじゃってたかもしれないんだよ…!?それで、それで…魔女になって、戦うなんて事になったら…!」
QB「それこそ『当たり前』なんだよ、まどか。有史以前からずっと繰り返してきた事実さ。魔法少女は遥か昔から世界中にいたんだ」
QB「そして彼女達は、希望を叶え、ある時は歴史すら動かし」
QB「最後には絶望に身を委ねて散っていく」
まどか「…!」
QB「祈りから始まり、呪いで終わる。それが数多の魔法少女が繰り返してきた歴史のサイクルさ」
337: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/04(火) 23:50:15.80 ID:LXt2Eqob0
まどか「… … …」
まどか「ほむらちゃんも…マミさんも、さやかちゃんも、杏子ちゃんも…必ずそうなるって言うの…?」
QB「さっきも言った筈だよ。祈りは必ず、呪いに変わる。だからこそ魔法少女は僕たちインキュベーターに必要なのだから」
まどか「… … …」
まどか「そんな事、ない」
QB「どういう事かな?」
まどか「希望は、絶望に必ず変わるワケじゃない。…ずっと持っていられる希望だって、あるんだよ」
QB「君がそれを作って見せるとでも言うのかい、まどか」
まどか「わたしが…みんなを、助けてみせる…!!」
強い瞳。強い声。
まどかの右手には一本のガーベラの花が握られていた。
338: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/04(火) 23:53:40.19 ID:LXt2Eqob0
禍々しい瘴気のような、霧と風が向かい風となって五人に吹いていた。
まるでそこに行くのを拒むかのような向かい風。しかし、五人はその風に向けて歩んでいくのであった。
マミ「…レディさんは、来ないの?」
コブラ「ああ。俺は基本的にかの女を仕事に手伝わせないスタイルなのさ。今回は俺の船の留守番を頼んであるからな」
さやか「そっか…。そもそも宇宙船が壊れちゃ、コブラさんが帰れなくなっちゃうもんね」
コブラ「その意味もあるが、まぁかの女は余程の事があった時の助っ人を頼んであるというわけだ」
杏子「これが『余程の事』じゃなけりゃ、アンタの余程の事はいつ起きるんだよ」
コブラ「そうだなぁ。美女達が軍隊アリみたいに俺に襲い掛かってきた時は、流石に助けてもらおうかな」
さやか「あはは…よくそんな冗談言いながら歩けるね」
コブラはにぃ、と葉巻を銜えた口元を緩ませた。
ほむら「… … …」
マミ・杏子・さやか「…!」
前方からこちらに向かってくるものが多数ある。
それは、まるでサーカスのパレード。
象、木馬、人形…まるで祭りのように賑やかに、それらは五人を通り抜けていくのだった。
339: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/04(火) 23:56:33.03 ID:LXt2Eqob0
さやか「使い魔…!?」
さやかはソウルジェムを取り出すが、ほむらがそっと手を出してそれを静止させる。
ほむら「いいえ。少なくともこいつらは私達を攻撃しないわ。…まだ、早い」
コブラ「本体だけを叩けばいいわけだ。目的としては単純でいいね」
ほむら「そうね。…シンプルだからこそ、絶対的でもある。力の差が歴然と出るわ。…私達が、敵う相手か否か」
さやか「… … …」
杏子「…さやか?…震えてるのか」
さやか「…あ、あはは…なんか…ど、どうしても…怖いなぁ。ごめん、情けないの分かってるし、今更だけど…こ、怖くって…どうしようもなくて…」
そう言うさやかの表情は曇り、身体が小さく震えていた。心配をする杏子も、その恐怖心による震えを必死に耐えている。
杏子「… … …」
340: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/04(火) 23:59:15.07 ID:LXt2Eqob0
さやか「…バカ、だよね。もうとっくにあたしなんか人間じゃないのに…死ぬのが、怖いなんてさ…。ホント、バカだと思うよ…笑ってくれても…」
杏子「ほら」
さやか「…!」
俯いて震えるさやかの眼前に、杏子の手が差し出された。
杏子「手、握れよ。ちょっとは抑えられるだろ?震え」
さやか「… … …杏子…」
杏子「怖いのは誰だって一緒さ。我慢なんざしなくていい。怖いならアタシの手なんか握らないで逃げてもいいんだ。誰も責めないよ」
杏子「ただ、アンタのバカさ加減じゃ怖くてどうしようもなくても、行こうとするだろ?」
杏子「だから、同じバカ同士、手でも握ってやるよ。少しはマシになるだろ」
さやか「… … …」
さやか「恥ずかしいヤツ」
杏子「うるせーよ」
さやかは微笑みながら、そっと杏子の手を握った。
341: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:02:30.61 ID:Ik4bZfUp0
五人の中で、前方を躊躇いなく歩く、ほむらとコブラ。そして、それに必死でついていく、マミ。今にも恐怖心で歩みが止まりそうなのは、マミも一緒だった。しかし、前を歩く2人はすたすたと先を進んでいく。
マミ「…2人とも、強いのね…。私なんて、逃げ出したくてたまらないのに…」
ほむら「逃げ出してもいいのよ、巴マミ。…責めるつもりなんて、ないわ」
マミ「…いいえ、行くわ。…でも… … …どうしても…怖くて…」
コブラ「マミ。俺もほむらも、別に強いわけじゃないぜ」
マミ「…え?だって…」
コブラ「俺もほむらも、『未来』を信じているのさ。だからこそ、その未来がくるように突き進んでいける」
マミ「…未来…」
ほむら「… … …」
コブラ「明けない夜なんざない。夜が明けなきゃ、サンタクロースはプレゼントを渡す事すらできない。だから、俺達はしっかり朝を迎えさせてやらないとな」
マミ「…コブラさん…」
コブラ「ついてきな、マミ。魔法少女は、必ず俺が守ってみせる」
342: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:05:12.79 ID:Ik4bZfUp0
詢子「どこへ行こうっていうんだ?」
まどか「…!ママ…」
詢子「まどか…あたしに、何か隠してないか?」
まどか「… … …」
詢子「言えない、ってのか」
まどか「…ママ、わたし…」
まどか「友達を助けるために、どうしても今行かなくちゃいけないところがあるの」
詢子「駄目だ。消防署に任せろ。素人が動くな」
まどか「わたしでなきゃ駄目なの」
詢子「… … …」
パァン。
廊下に響くような、乾いた音。
343: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:08:20.38 ID:Ik4bZfUp0
詢子「テメェ1人のための命じゃねぇんだ!あのなぁ、そういう勝手やらかして、周りがどれだけ―――」
まどか「分かってる」
詢子「…!」
まどか「私だってママのことパパのこと、大好きだから。どんなに大切にしてもらってるか知ってるから。自分を粗末にしちゃいけないの…よく分かってる」
まどか「だから、違うの」
まどか「みんな大事で、絶対に守らなきゃいけないから。…そのために、わたしに出来る事をしたいの」
詢子「…なら、あたしも連れて行け」
まどか「駄目。ママは…パパやタツヤの傍にいて、二人を安心させてあげて欲しい」
詢子「… … …」
まどか「ママはさ。私がいい子に育ったって、いつか言ってくれたよね。…嘘もつかない、悪い事もしない、って」
まどか「今でも、そう信じてくれる?」
詢子「… … …」
詢子はふぅ、と諦めたように溜息をつき、まどかの両肩を掴んでその目をじっと見つめる。
詢子「…絶対に、下手打ったりしないな?誰かの嘘に踊らさせてねぇな?」
まどか「うん」
まどか「わたしを…皆を助けてくれる、頼もしい人がいるから。だから、安心して。絶対にわたし、無事で帰ってくるよ」
344: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:10:16.33 ID:Ik4bZfUp0
――― その少し前。
体育館に避難していたまどかを、同じように廊下で呼びとめた人物がいたのであった。
まどか「…!!コブラ、さん…!」
コブラ「よう、まどか。元気してるか?」
まどか「み、みんなは…!?ワルプルギスの夜に向かって行くんじゃ…」
コブラ「ああ、俺もこれから行くところさ。その前に、まどかに渡す物があってね」
まどか「…渡す、物…?」
コブラはまどかの所まで近づくと、手にもっていた花をまどかの手に握らせた。
まどか「…これ…」
コブラ「昨日みんなには渡したんだけどな、お前さんに渡すのを忘れてた。俺とした事がうっかりしてたぜ」
まどか「… … …」
コブラ「まどか。お前さんは今のままで十分強い。だから、なりたい自分になろうとするな。自分を犠牲にして他人を助けようなんてするな」
コブラ「ただ、自分の信じる道だけを進んでいけばいい。それが、まどかの強さだ」
まどか「…!!」
コブラ「じゃあな。…美人のお袋さんにも、よろしくっ」
コブラはウインクをして微笑むと、体育館の外へと出ていく。
345: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:13:14.48 ID:Ik4bZfUp0
まどか(コブラさん、わたし、見つけたよ)
まどか(自分の信じる道、歩いていける道)
まどか(全部、自分で決められたんだよ。もう迷わない。絶対…後悔なんてしない!)
まどか(わたしは…!)
吹き荒れる雨の中。傘もささずに、少女は駆けていく。
自分の信じる道を、ただひたすら。
346: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:15:26.86 ID:Ik4bZfUp0
五人は歩みを続けた。
一段と、風を強く感じたその時、ほむらは足を静かに止めて、四人がいる後ろを振り返る。
ほむら「…逃げ出すなら、此処が最後よ。後戻りは出来ないわ」
ほむらは静かに、それを全員に告げた。
マミ「…」
さやか「…」
杏子「…」
しかし、誰一人として踵を返す者はいなかった。俯く者もいなかった。
ただ魔法少女達は前を向き、その先に存在するであろう巨大な敵に強い瞳を向けている。
コブラ「途中下車はいないようだぜ、ほむら」
ほむら「…本当に、いいのね」
マミ「ええ。…答えは、さっきと変わらないわ」
さやか「どうせ何もしなきゃ死んじゃうんだし…私達が、どうにかしなきゃね」
杏子「乗りかかった船だ。最後まで付き合ってやるよ」
ほむら「… … … ありがとう、皆」
コブラ「… 見えてきたぜ、アイツが…どうやらそうみたいだな」
347: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:18:51.70 ID:Ik4bZfUp0
ほむら「ええ、間違いないわ。…あれが…」
マミ「ワルプルギスの… 夜…」
コブラ「ここが終点か。それじゃあ皆、派手にやるぜ」
さやか「…うん!」
杏子「行くぜ…!」
魔法少女達はソウルジェムを取り出し、それぞれの戦闘態勢をとる。
コブラは左腕の義手をゆっくり抜き、サイコガンを目標に向けて構えた。
ほむら「…来るわ…!」
5 4 3 2 1 …
348: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:20:56.13 ID:Ik4bZfUp0
まどか「はぁっ、はぁ…っ!」
QB「もうすぐ着く筈だよ、まどか」
まどか「ほ、本当に…?まだ、影も形も…!」
まどか「…!」
QB「到着したようだね」
QB「あれが、ワルプルギスの夜」
QB「歴史に語り継がれる、災厄。この世の全てを『戯曲』へと変える、最大級の魔女だよ」
まどか「あ、あ、あ…!」
まどかの眼前に広がる光景。
それは、まさに死闘とも呼べる戦いの光景であった。
349: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:23:19.04 ID:Ik4bZfUp0
巨大な歯車には、逆さに吊るした人形のようなドレス。
数多の少女達が笑い声をあげるような声が、あちこちに響くように聞こえる。
それは、まるで城塞。巨大な城が空へ浮かび、笑い声をあげながらそこに佇む。
今までの魔女とは比べものにならない巨大な姿。そして、感じられる禍々しい気迫。魔法少女にとっては、まさにそれは最悪の敵と呼ぶに相応しかった。
さやか「はああああああッ!!!」
杏子「うおおおおおおッ!!!」
さやかと杏子は、剣と槍を構え、ワルプルギスの夜へと続くサーカスのロープを駆けていく。
その横を飛び交う、銃弾や砲撃。
地上からはマミ、ほむら、そしてコブラの砲撃が続いていた。
マミ「…ッ!はッ!やッ!」
ほむら「…!」
マミは魔法で召喚した単発銃を次々と目標に向けて放ち、ほむらも用意したあらん限りの銃火器を次々と放っていく。
巨大な爆発が次々と起こる中、本体へ辿り着いたさやかと杏子は勢いよく跳躍をし、魔力を高め、斬撃を放つ。
一撃。
剣と槍による鋭い一撃を与えると、2人は魔力を使いゆっくりと地上に降りる。
ワルプルギスの夜「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!」
350: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:25:40.01 ID:Ik4bZfUp0
杏子「マジかよ…効いてねぇ…ッ!」
ほむら「続けて攻撃するわ!加勢して!」
さやか「くっ…!それならもう一度…!」
コブラ「おっと、もうちょっと待ってくれ。俺の番がまだ終わってねぇぜ」
マミ「え…!?」
コブラはサイコガンを上方に向けると、高めた精神エネルギーの全てを放出する。
まるでそれは、巨大な光の大砲。瘴気を切り裂き、真っ直ぐにワルプルギスの夜に向かう。
ズオオオオオ―――――――ッ!!!
ワルプルギスの夜に触れ、それは巨大な爆発を起こした。爆風で見えなくなった相手に向け、コブラは次々とサイコショットを放つ。
コブラ「ショータイムだ!遠慮しないで続けてどんどんいけ、皆!」
ほむら「…!」
杏子「っしゃあ!任せとけ!」
351: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:28:52.91 ID:Ik4bZfUp0
カチリ。
時間を止め、銃火器をワルプルギスに向けて再び連射するほむら。銃弾、グレネード、ロケットランチャー…用意した全ての武器を惜しむことなく相手に向けて放っていく。
再び動き出し、ワルプルギスの夜に向け進んでいく数百、数千の弾丸。
その間に、マミとコブラも攻撃を続けていく。
マミ「…!『ティロ・フィナーレ』ェェッ!!!」
コブラ「うおおお―――っ!!!」
巨大な銃身から出る、魔力の一撃。左腕の砲身から出る、巨大な精神力の砲撃。
その全てが魔女に確実に当たり、次々に爆発と爆風を生む。通常ならば、どんな敵でもそれだけで消滅するだろう。
しかし、さやかと杏子はそれでも再びワルプルギスの夜に向けて突進していく。
さやか「今度こそ決めるよ!!」
杏子「ああ!いい加減、くたばらせてやるぜ!!」
意気込み、駆け抜ける2人。
まどか「…皆…!」
QB「… … …」
どこか、安心して見守るようなまどか。それは、今までになかった光景だからだろうか。
巨大すぎる敵。しかしだからこそ、五人は今までにない団結力で次々と効果的な攻撃を仕掛けられている。全ての攻撃が当たり、お互いをフォローできている。
まどか(これなら…勝てる…!)
しかし、まどかは…いや、全員はまだ気づいていなかった。
ワルプルギスの夜が、こちらに対し何の攻撃も仕掛けていない事に。
352: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:31:09.38 ID:Ik4bZfUp0
さやか「いくよ!もう一回ッ!!」
あと少しで、もう一度城塞へと辿り着く。2人は剣と槍を構え、再び一撃をくわえようとしていた。その瞬間、地上からの砲撃は止み、2人の攻撃を待つ。
まさに完璧なチームワーク。…その筈だった。
杏子「…!!! なッ…!?」
まさに、ワルプルギスに斬りかかろうとした時。爆風の中から出現する…影。
幻影「キャハハハハハハハハハハハ!!!」
幻影「アハハハハハハハハハハハハ!!!」
人型の黒い影は素早くさやかと杏子の2人の眼前に来ると、武器のようなもので2人を攻撃した。
さやか「きゃああああああッ!!!」
とっさの防御も間に合わず、さやかは幻影の攻撃により地上へと叩き落された。
杏子「ッ!!さやかッ!!」
一瞬、さやかの方へ気を取られてしまった杏子。その隙に、もう一体の幻影も杏子に向けて攻撃をする。
杏子「ぐああああッ!!」
マミ「!!美樹さん、佐倉さんっ!!」
コブラ「なんだありゃあッ!?」
ほむら「…!幻、影…!?ワルプルギスが吸収した…魔女の…魔法少女の、魂…!!」
コブラ「くそぉ…!!さやかぁ!杏子ッ!!」
353: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:33:37.96 ID:Ik4bZfUp0
地上に叩き落されたさやかと杏子。どうにか自身の魔力でそのダメージを軽減するものの、魔法少女の幻影は追撃をかけようと2人に急速に迫る。
さやか「くッ…!だ、大丈夫…!?杏子…」
杏子「ああ、なんとか… …ッ!? 危ねェッ!!」
体勢を立て直そうとするも、幻影は今にも斬りかかってきそうなほど間近に迫っていた。
その時。
ズオオオオ―――――ッ!!
杏子「!!」
2体の幻影を一気にかき消す、光の波動。
幻影が消えた先に見える、サイコガンを構えた男の姿。
さやか「ヒューッ!さっすがコブラさん!助かっちゃった!」
コブラ「元気そうで何よりだ。…しかしあの野郎、なんて攻撃してきやがるんだ。悪趣味にも程があるぜ」
杏子「…余裕ぶっこいてる暇もなさそうだぜ。…来るぞ!」
上空を見据える杏子。その視線の先を追うように、コブラとさやかもワルプルギスの夜の方を見る。
城塞から次々と出現するのは、何体…いや、何十体もの、魔法少女の幻影。それらは敵であるコブラ達に向け、笑い声をあげながら突進してくる。
コブラ「やれやれ…こういうモテ方は勘弁して欲しいよ、ホント」
354: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:35:07.49 ID:Ik4bZfUp0
マミ「2人とも!大丈夫!?」
慌ててさやか達の方へ駆け寄るマミとほむら。5人は再び合流をし、臨戦態勢をとる。
さやか「はいっ!…でも、ちょっとピンチかも…!」
コブラ「マミ、ほむら!迎撃するぜ!」
マミ「…!何…あの幻影の数は…!」
ほむら(…あんな攻撃、今まで見たことは無かった…。それだけアイツが…ワルプルギスの夜が追い詰められているという事…?」
ほむら(でも…それじゃあ、あの魔女の本気はどれだけ…!)
コブラ「ほむらッ!」
ほむら「―――ッ!!」
コブラ、マミ、ほむら。遠距離武器に特化した3人は、こちらに向けて突っ込んでくる幻影群を迎撃する。
魔法銃、現代火器、そしてサイコガン。それぞれの砲撃は幻影達を次々と消滅させていくが、全てに対応できるわけではない。残りの幻影は次々と5人に向けて襲ってくる。
さやか・杏子「はあああああああッ!!!」
こちらに近づく幻影は、一歩前に出たさやかと杏子の斬撃で倒していく。一体一体が、魔法少女と同レベルの闘い。しかしながら、戦闘経験を積んだ2人の戦士は次々と幻影を斬り捨てていくのだった。
――― しかし。
ほむら(… 終わ、らない…ッ!!)
コブラ「くそっ!出し惜しみなしか!」
幻影は減るどころか、次々と城塞からこちらに向かってくるのだった。
355: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:38:11.86 ID:Ik4bZfUp0
マミ「はぁっ、はぁ…!」
さやか「くっ…!ぐ、ゥ…っ!!」
幻影を次々と倒していく魔法少女とコブラ。しかしながら、長引く戦闘による魔力の消費で、魔法少女のソウルジェムはどんどん黒く濁っていく。
ほむら(このままじゃ…私達まで危なくなる…!!)
さやか「あ、ッ…!!」
杏子「!!さやかッ!!」
最も経験が浅いさやかの限界が、一番先にきたようだった。体勢が崩れ、地面に膝をつけてしまうさやかに襲い掛かる、複数体の幻影達。
さやか「… !!!」
自分の最期を感じたのか、思わず目を瞑ってしまうさやか。 …しかし、そのさやかの目の前に立つ、一人の男の姿。サイコガンは次々と幻影を撃ち抜き、倒していった。
さやか「コブラ…さん…!」
コブラ「安心しな。何があっても守ってみせるぜ」
…しかし、状況はどんどん苦しくなっていくばかりだった。
そして…5人は未だ、気付かなかった。
ワルプルギスの夜が、次なる攻撃を仕掛けようと動いている事に。
356: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:42:05.86 ID:Ik4bZfUp0
まどか「 … !!!」
その異変に気付いたのは、鹿目まどかが最初だった。誰よりも遠くから状況を見ていたからこそ、気付けた事実。
彼女は、戦いを続ける5人の元へ急いで駆け寄る。
そして、あらん限りの声で叫ぶ。
まどか「逃げてええええ――――――ッ!!!!」
ほむら「…! まどかっ!?」
マミ「鹿目さん…!?どうして…!!」
コブラ「… … …!! 何だ、ありゃあ…っ!!」
そして、まどかの叫びの意味を、5人は知る。
城塞の周りを取り囲んでいるのは…根本が折れた、幾つもの巨大ビルだった。
ワルプルギスの夜はそれらのビルを、こちらに向けて飛ばしてくる。まるで、とてつもなく巨大な弾丸のように。
コブラ「くそおおお―――ッ!!!」
コブラはサイコガンを次々と巨大ビルに向けて発射する。
しかし…間に合わない。崩れた鉄塊は全員を押し潰そうとばかりに、ゆっくりと、しかし確実に迫い来るのだった。
357: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:45:15.14 ID:Ik4bZfUp0
ほむら(… !! このままじゃあ、まどかまで…ッ!!!)
カチリ。
ほむらは時間停止をして、こちらに走り寄ってくるまどかに近づき、引き留めようとその場に押し倒した。
カチリ。
魔力を消費した状態での、精一杯の時間停止。
まどか「あっ…!」
砂埃をあげ、地面に倒れ込むほむらとまどか。
その先には…
魔力を消費しすぎて動けなくなったさやか、杏子、マミと…その3人を必死で守ろうとサイコガンの連射を続ける、コブラの姿。
さやか「…もう、駄目…っ!!」
杏子「くそ…っ!!ここまで、かよ…!!」
マミ「そんな…そんな…ッ!!!」
眼前まで迫る、巨大なコンクリートと鉄の塊。
コブラは、喉が引き裂かれるような声をあげた。
コブラ「俺に掴まれぇぇぇぇぇ―――――――――――ッッッ!!!!!!!」
ドオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!!!
墓標のように、4人を押し潰すコンクリート。
爆風が、ほむらとまどかを襲う。
そして、無情なまでの静けさが、辺りを包むのだった。
358: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:49:50.48 ID:Ik4bZfUp0
まどか「… … …」
ほむら「… … …」
そこには、さやかと、杏子と、マミと、コブラの姿は無かった。
今まで、確かに4人が存在した場所。しかしその場所は、無数の建造物の残骸により、掻き消えてしまっていた。
コブラの叫びが、嘘のように消えていた。静寂は恐怖心と絶望を現し…同時に、4人の死を現すのだった。
ほむら「… ぐ …ッ …!!」
まどか「…嘘…だよ…。みんな…みんな、死んじゃったの…?」
まどか「そんなの、嫌だよ…。 …返事、してよ…マミさん…。さやかちゃん…杏子ちゃん…!コブラさん…!」
まどか「こんなの… こんなのって… !!!」
ほむら(… 駄目だった…。 今回、も…)
まどか「いやあああああああああああああああああああああああああッ!!!」
まどかの悲痛な叫びが、静寂を切り裂いた。
359: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:51:46.78 ID:Ik4bZfUp0
絶望を表情に灯す2人の眼前に現れる、1つの影。
それは、インキュベーターだった。
QB「さぁ、鹿目まどか、暁美ほむら。君達はどうするんだい?」
まどか「… … …」
ほむら「…!くッ…!!」
QB「希望は、全て消えた。後に残った物は絶望しかない」
QB「どうするんだい?このままこの街が…いや、この世界が滅びるのを待つのかい?」
まどか「… … …」
QB「手段はある筈だ。それは、2人とも分かっている事だね。 …鹿目まどか、君自身が希望となる以外に絶望を払拭する方法は存在しない」
QB「もし、君自身が希望となる決意があるのなら…」
ほむら「駄目…っ!まどか…!あいつの言う事に…ッ!!」
まどか「…ある、のなら…」
ほむら「… まど、か…っ!!」
QB「もし君に決意があるのなら」
QB「ボクと契約して、魔法少女になってよ」
360: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/05(水) 00:54:33.34 ID:Ik4bZfUp0
――― 次回予告 ―――
全く、コブラと魔法少女の下敷きなんて喜ぶのはどこのどいつだぁ!?勘弁してほしいよホント。
憐れ、宇宙海賊コブラの冒険もここで仕舞い…って、俺を待ってる美女がうじゃうじゃいるのにおちおち死んでられるかってんだチクショー!!
一方、まどかはいよいよ決意を固めて魔法少女になっちまう。しかしその願いは、誰も予想しなかったとんでもない願い事だった!!
まどか、ほむら…一体どうなる事やら。平穏が宇宙の彼方で欠伸してるぜ。どんな結末が待っているのか、いよいよラストスパートだ。
次回のCOBRA×魔法少女まどか☆マギカ。【五人の魔法少女(後編)】。よろしくゥ!
387: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/14(金) 00:17:33.39 ID:EaHzXc+00
瓦礫の山にぴょこんと飛び乗ったその生き物は、2人の少女に向けて告げる。
その声に、感情は無い。ただ、今そこにある事実をただただ冷酷に告げ、そして選択を迫るのだった。
QB「――― ボクと契約して、魔法少女になってよ」
その言葉に、1人の少女は明らかな敵意を向ける。
しかし、もう1人の少女は…その言葉に希望を見出してしまうのだった。
ほむら「…ッ…!ま、どか…っ!駄目…っ!駄目よ…!!」
まどか「… … … ほむらちゃん …」
ほむら「やめて…!貴方が魔法少女になったら、私は…っ、私は…!!」
まどか「… 約束、守れなくてごめんね、ほむらちゃん…」
ほむら「そんな言葉…聞きたくない…!まどか…!お願い…っ!やめてぇ…!」
QB「さぁ、まどか、君は何を願うんだい?君の魂なら、どんな願いでもその対価となり得る」
まどか「… … …」
まどか「私の願いは ―――」
ほむら「駄目ェェェェェェェェッ!!!!!!」
388: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/14(金) 00:22:07.70 ID:EaHzXc+00
第10話「五人の魔法少女」
吹き荒ぶ嵐の中、1人の少女はハッキリとした眼差しでその生物を見つめる。
それは、今までの鹿目まどかからは考えられない程の明瞭な言葉だった。
まどか「私の願いは…」
まどか「全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい」
まどか「全ての宇宙。 過去と未来の全ての魔女を。 …この手で!」
ほむら「っ…!!」
QB「! その祈りは…そんな祈りが叶うとするなら、それは時間干渉なんてレベルじゃない!因果律そのものに対する叛逆だ」
QB「まどか、君は… 神になるつもりなのかい」
まどか「神様でも、何でもいい。皆… これまで魔女と戦い、希望を信じてきた人達の涙を、もう見たくない。そのためなら、どんな事だってしたい」
まどか「それを邪魔するものなんて… ルールなんて、全部壊して、変えてみせる!」
まどか「これが、私の願いよ。…インキュベーター」
389: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/14(金) 00:26:14.89 ID:EaHzXc+00
ほむら「駄目…!!まどか…!!そんな事をしたら… そんな願いが叶ってしまったら、まどかは…!!」
まどか「… ほむらちゃん …」
まどか「本当に、ごめん。 …でも、私は…皆の笑顔が戻るなら、この命を使っても構わない」
ほむら「そんな…!それじゃあ、私は…何の為に…!!」
まどか「… … …ごめん…いくら謝っても、足りないと思う。 …でも、ほむらちゃんがずっと私を守ってきてくれたから、今のわたしがあるの」
まどか「魔女が存在する限り、いつか…わたしもほむらちゃんも、きっと哀しみを背負わなくちゃいけない」
まどか「ううん、マミさんだって、さやかちゃんだって、杏子ちゃんだって… 世界中の、どの時間でも… 哀しみはずっと消えない」
まどか「コブラさんが、みんなの希望になろうとしてくれた。…でも…それは、叶わない願いだった」
まどか「だから…代わりになれるのは、わたししかいない。わたしは…皆の、希望になりたい。その為なら…この命を犠牲にしても、構わない」
ほむら「嫌よ…!まどかがいなくなったら…私は、どうすれば…!!」
まどか「… … …」
まどか「ありがとう、ほむらちゃん。…本当に、今まで…ありがとう。…だから、もう、いいんだよ」
390: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/14(金) 00:28:50.29 ID:EaHzXc+00
ワルプルギスの夜が、笑っている。
まるで世界そのものに対し嘲り笑うかの如く、その笑いは響き渡った。
しかし、まどかとほむら、そしてキュウべぇの周りはまるで時間が止まったかのように静まり返っているように思えた。
まどかは一歩、キュウべぇに対して近づき、その手を差し出した。
まどか「――― さぁ、インキュベーター。 どんな願いも叶えられる…そう言ったよね。 …今のが、わたしの願いよ」
QB「… … …」
まどかの周りを、光が包む。
それは、まどかの願いが成就されようとする瞬間を示していた。
ほむら「まどか…ぁっ!」
まどか「――― !!」
インキュベーターとの契約がなされ、新たな魔法少女が誕生する瞬間。
祈りを捧げるように瞳を閉じ、手を差し出すまどかは、微笑みを浮かべていた。
光が増す。風が巻き起こる。 …全てが、変わる。
――― その時。
「おおっと、その契約 ――― 異議アリだ」
まどか「――― !!」
まどかの瞳が、開いた。
391: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/14(金) 00:33:04.95 ID:EaHzXc+00
「まどか、俺は言った筈だぜ。 自分を犠牲にして、他人を助けようとするな、ってな」
「希望ってのは、なるモノじゃない。 作るものだ。 まどかの今までしてきた事は、十分『俺達』の希望になって…力になっている。 まどかは、まどかが思っている以上に、強い」
まどか「… !!」
ほむら「この…声…」
「それにな、俺のいた世界では、神様ってのはもっとボインなんだぜ」
「14歳のいたいけな少女が神様になっちまっちゃあ、俺の世界と違っちまうんだよ。 ――― お前さんにそんな重荷を背負わせる世界なら、俺が変えてやる」
「――― いいや、壊してやる」
QB「…!!」
「俺は、あんた達を守ると約束した。 そして、男ってのは… 一度交わした約束は、守りきらなきゃいけない生き物なんだぜ!!」
まどか「!!!」
瓦礫の山。そこから、光が溢れだしてる事に気付いた。
その光は段々と強くなる。鉄筋を、コンクリートを、硝子を… 全てを溶かし、『道』を作ろうとする、その光。
「そのためなら… 俺は何度でも立ち上がる!何度でも挑むッ!! だから… 俺を、俺達を、信じろ!!まどかッ!!」
コブラ「俺は ――― 不死身のコブラなんだからなァッ!!!」
ドゴォォォォ――――――ッ!!!!!!
上空に放たれた巨大なサイコショットは、雲を切り裂き、太陽の光を浮き出させた。
その光に包まれる、1人の男。
天に構えたサイコガンを右手で抑え、その男はまどかとほむらに向け、不適な笑みを浮かべるのだった。
そして、その男の周囲には、マミ、さやか、杏子…それぞれの姿があった。
392: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/14(金) 00:36:02.19 ID:EaHzXc+00
まどか「コブラ…さん…!」
ほむら「コブラ…!」
QB「…信じ難い。一体、どうやって」
コブラ「へへへ、覚えときなインキュベーター。 サイコガンは、心で撃つものなのさ。この銃は俺の精神(サイコ)エネルギーに反応し、そいつを曲げる事も、増す事も出来る」
コブラ「つまり、だ。オタクらに無い『感情』の力が、俺達を救ったのさ」
QB「!」
コブラ「かの女達、魔法少女を助けたいという感情。その思いは力になり、鉄だろうが何だろうが一瞬で溶かしちまうくらいのエネルギーを持つ。そいつが、俺達を助けた」
コブラ「な?キュウべぇ。感情ってヤツも、捨てたもんじゃないだろ?」
QB「…」
さやか「ビルが飛んできた瞬間、コブラさんのサイコガンが一瞬でビルを溶かしてくれた。そいで、その熱があたし達にこないように、あたしの魔力でバリアを張ってたのさ!」
マミ「美樹さんの自己回復能力の応用ね。…本当に助かったわ」
ほむら「そんな… だって、私達は魔力を消費して…ほとんど動けないくらいまで…」
さやか「へっへっへー」
さやかはニヤリと笑い、見せつけるように右手を差し出す。その手には、グリーフシードが握られていた。
393: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/14(金) 00:40:14.01 ID:EaHzXc+00
コブラ「色々と賭けだったぜ。あの瞬間、俺がセーブせずサイコガンを撃つ瞬間、さやかがバリアを張ってくれなけりゃいけない」
コブラ「保険はかけておくもんだな。堅実ってのも少しは悪くないかもな」
コブラの大きな手には、大量のグリーフシードがあった。
QB「その為に…君は、魔女を倒していたのか」
コブラ「そういう事。もしもの時のために…ってヤツさ。こう見えて俺は貯蓄派でね」
コブラ「俺の手をさやかが握った瞬間、その穢れはコイツが吸い取ってくれる。もう少し遅かったら火傷しちまうところだったが、間に合ってホッとしたよ」
杏子「ホント、ギリギリの賭けだったな。…正直生きた心地しなかったぜ」
コブラ「まぁ、これで全ては解決だ。…ほむらっ!」
ほむら「…!」
コブラはほむらに向け、グリーフシードを投げた。それを受け取ったほむらは自分のソウルジェムにグリーフシードを当て…再び立ち上がった。
コブラ「さ、後半戦だ。…9回裏、逆転ホームランはここからだぜ!」
さやか「うんっ!」
マミ「ええ…!」
杏子「おうっ!」
ほむら「…!」
394: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/14(金) 00:43:17.59 ID:EaHzXc+00
ゆっくりと、しかし確実に都心部へと移動しようとするワルプルギスの夜。
しかし、その巨体に刺さるようにぶつかる、巨大なサイコガンの一撃。
ワルプルギスの夜「!!!」
コブラ「何処にもいかせねぇぜ、城の化け物。 ここから先は通行止めだ!」
ワルプルギスの夜「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」
再び現れた『敵』に反応したワルプルギスの夜は、再びその周囲から幻影を出現させる。
マミ「…!来るわッ!」
杏子「よっし、いくらでも相手してやるぜ!」
さやか「もういくら来ようが平気だもんね!…絶対、負けないッ!」
まどか「… コブラ、さん… わたし…」
コブラ「…まどか、俺はお前さんに何かをしろ、なんて命令した事は一度も無いぜ。 自分の進むべき道、切り開くべき道は自分で決めるんだ」
コブラ「まどかには、仲間がいる。魔法少女だけじゃあない。お前さんの周りにいる全ての人々が、まどかの希望となっている筈だ」
まどか「…!」
コブラ「神様なんざ必要ない。…希望ってのは… 自分の手でも、作り出せるんだぜ!」
まどかの頭にポン、と手を乗せたコブラは微笑みを向ける。そしてその手を離し、迫りくる幻影に向けて駆けだすのだった。
まどか「…自分で作り出す…希望…」
まどか「… … …」
まどかはキュウべぇの方をもう一度振り向き、その生物を見つめるのだった。
395: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/14(金) 00:46:50.64 ID:EaHzXc+00
杏子「マミッ!危ねぇぞ!!」
マミ「!!」
背後に忍び寄っていた幻影を、杏子の槍が切り裂く。
杏子「ったく、昔っから甘ったるいんだよ。…弟子に助けられるようじゃ、師匠としてまだまだだな」
マミ「…クス。そうね…佐倉さん。 …ありがとう」
杏子「へっ。…油断すんなよ!来るぞ!」
次々と迫ってくる幻影を、コブラのサイコガンが撃ち落す。
それを避けきり、コブラに近づく幻影は…さやかの斬撃によって斬り捨てられた。
コブラ「様になってきたじゃねぇか!その調子なら彼氏もしっかり守れそうだな、さやか!」
さやか「バッ…!か、彼氏とか言わないでよっ!そういう話は後回しっ!!」
コブラ「こりゃ失礼!それはそうと、どんどん来るぜ!照れてる場合じゃないぞ!」
さやか「誰が照れさせてるのよっ!!」
ほむら「…ッ!」
迫る幻影を銃器で次々と撃つほむら。 …しかし、間に合わず至近距離まで迫られてしまう。
一体の幻影が、笑い声をあげながらほむらの目の前で斧を振りかざした。
ほむら「しまッ…!」
その幻影をかき消す、一筋の光。
まるで『矢』のようなその光は、かき消すように幻影を撃ち抜く。
ほむら「な…ッ!」
ほむらの見た先には… 弓を構え、微笑むまどかの姿があった。
396: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/14(金) 00:50:10.52 ID:EaHzXc+00
まどか「…あ、あはは… 当たった…良かったぁ…」
ほむら「まどかッ! その恰好… 貴方は、魔法少女に…!!」
まどか「…うん」
ほむら「どうしてッ!? 契約してしまっては、折角コブラが繋いでくれた事が…!」
まどか「違うよ。 …願い事は、もう叶ってるから」
ほむら「え…!」
まどか「神様にはならない。ただ、わたし自身が一つの希望になれれば…それで十分なんだ、って…ようやく分かったんだ」
まどか「わたしは、ほむらちゃんに守られるわたしじゃなくて…ほむらちゃんを守るわたしにもなりたいの」
まどか「ほむらちゃんが…ずっと、わたしにそうしてきてくれたように」
ほむら「!!!!!」
まどか「だから戦う。皆と同じように、わたしも…街を守る、魔法少女になる!」
まどか「どんな絶望にも… 勝てるようにッ!!」
ワルプルギスの夜に弓を向けるまどか。
繰り出される幻影を次々とその矢で射ぬく。正確なその射撃は一撃も外れる事なく、目標に当たっていく。
397: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/14(金) 00:54:12.03 ID:EaHzXc+00
さやか「え…ま、まどかっ!その姿…!」
マミ「…なったのね、魔法少女に」
まどか「ティヒヒ、遅ればせながら。…えと、似合うかな…?」
杏子「…ちょっと少女趣味すぎやしないか?アタシには死んでも似合いそうにない服だ」
マミ「うふふ、とってもよく似合っているわよ、鹿目さん」
まどか「あ、ありがとう…ございます」
まどか「…コブラさん。 …わたし、答えが出せたよ。 …1人で、考えて…!」
コブラ「… へへへ、似合ってるぜ、まどか。…それに、いい顔が出来るようになったじゃねぇか。先生は100点満点をあげるぜ」
まどか「…!ありがとうございます!」
ほむら「… … …」
まどか「…ほむらちゃん…」
コブラ「ほむら。お前さんの願いは、崩れ去っちまったか?違うんじゃないのか」
コブラ「未来は、1人で掴みとらなくてもいい。5人で掴みとる希望も、あっていいんじゃないか。5人の魔法少女が…希望となれる世界だ」
ほむら「…!」
まどか「…違うよ、コブラさん! …今は、6人… コブラさんも入れて、6人!…でしょ?」
コブラ「! …ああ、そうだな!」
398: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/14(金) 00:56:36.45 ID:EaHzXc+00
ほむら「… 私は…」
ほむら「私は… まどかが…いいえ、皆が笑っていられる世界なら、それでいい。…だから…」
ほむら「だから私は…ワルプルギスの夜を、倒す!!」
コブラ「ようし!そんじゃさっさと、あの馬鹿でかい疫病神を追い払うとしますかぁ!!」
さやか「…!みんな!もう一回アレが来るよ!!」
ワルプルギスの夜の周囲に、再び崩れた建造物が浮遊しはじめた。もう一度、こちらへの攻撃を開始しようとする狼煙。
しかし、それを見ても6人の表情に恐怖はなかった。
全員が対象を見据え、それぞれの構えをとる。
コブラ「それじゃ、いい加減終わらせるとしますかぁ。少しオイタを許し過ぎたぜ」
まどか「…はいっ!」
399: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/14(金) 01:00:11.75 ID:EaHzXc+00
さやかと杏子は、剣と槍に力を宿す。
マミとほむらは、それぞれの銃の照準を対象に合わせる。
そして、コブラとまどかはお互い背中合わせの恰好になり、サイコガンと弓を構える。
ワルプルギスの夜「キャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!」
ほむら「…これで、終わらせる…!」
マミ「ええ… 魔女に… あんな姿になった、魔法少女を…放ってはおけないわ」
さやか「… あたし達の街は、あたし達が守らなくちゃ…ね!」
杏子「跡形もないくらいに… 吹き飛ばしてやるぜ!」
まどか「どんなに大きな壁でも… 必ず、超えてみせるっ!これからも!」
コブラ「…ようし、意気込みは良し、だ!派手な花火をぶっ放してやろうぜ!皆!」
コブラ「行けぇぇぇぇ――――――――ッッ!!!!!」
2つの刃の投擲。2つの銃弾の発射。そして、2つの光が同時に、ワルプルギスの夜へと向かって行く。
浮遊するビル群を物ともせず、それぞれが滅ぼすべき対象の元へと、真っ直ぐに。
そして… … …。
400: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/14(金) 01:03:18.02 ID:EaHzXc+00
大きな爆発が起きた。
大きな光が辺りを包んだ。
それはまるで、嵐を吹き飛ばすかのような衝撃。
そして、それが止んだ時、その爆発の後には何も存在しなかった。
あれだけ街を包んでいた雷雲すら、そこには存在しない。
ただ一つそこにあったのは…吹き飛んだ雲の間から照らす、太陽の光。
その光が、まるで6人を称えるように差し込む。
ほむら「… … …」
コブラ「夜明け、ってのはいつ見ても良いもんだな、ほむら」
ほむら「… … … ええ。 …とても、綺麗」
コブラ「…ああ。 最高だぜ」
一筋の涙がほむらの頬を流れた。
401: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/14(金) 01:06:23.33 ID:EaHzXc+00
まどか「終わった… 終わったんだよ!ほむらちゃん!ワルプルギスの夜を…倒したんだよっ!!」
ほむら「…!まど、か…」
思わずほむらに抱きつくまどか。
まどか「ほむらちゃん…!これで… これでようやく、ほむらちゃんの…っ!うう、っ…!ぐすっ…!」
ほむら「… … … ありがとう、まどか…」
肩に回されたまどかの手をぎゅっと握り返す、ほむらの手。
さやか「やったんだ… あはは、夢みたい…あんな大きな魔女を、倒せた、なんて…」
杏子「ようやく生きた感じがするな。今更ながら、随分無茶したもんだよ」
マミ「うふふ…でも、皆無事だったんだから、良かったんじゃないかしら」
杏子「…そうだな。 …あ?」
さやか「?どうしたの?杏子」
杏子「コブラは… どこ行きやがったんだ、あいつ」
マミ「…あら… 本当…」
402: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/14(金) 01:08:26.25 ID:EaHzXc+00
レディ「… … …!」
コブラ「ようレディ、ただいま」
レディ「おかえりなさい、コブラ」
コブラ「心配したか?」
レディ「いいえ、ちっとも。だって、貴方の仕事だもの。 無事で帰ってこないはずがない、でしょ?」
コブラ「おーヤダヤダ。男心をちっとは分かってくれよ。心配した、なんて優しい言葉を求めてる時も俺にだってあるんだぜ?」
レディ「ふふ、考えておくわ。…さ、コーヒーを淹れておいたわ。船内で飲みましょう」
コブラ「嬉しいねぇ。帰るべき我が家と相棒と、最高のコーヒー。文句のつけようがない」
コブラ「それじゃ… ささやかな祝杯でも、あげるとしますか」
403: ◆LrU7a1GUmg 2012/09/14(金) 01:10:40.70 ID:EaHzXc+00
―― 次回予告 ――
ワルプルギスの夜も倒して、ようやく俺の肩の荷も下りたってところだな。お伽話ならめでたしめでたしで終わるところだが…ところがそうもいかないんだなぁ。
なにせ元の世界に戻る方法が見つからないときてる。これには流石のコブラさんもお手上げってわけ。どうしたもんかね。
しかし、ひょんな事から俺は元の世界に戻る事が出来るようになったわけ!いやー、めでたしめでたしで終われそう… って、毎度の事ながら、そう簡単にいかないわけだコレが。
最後くらい平和に終われないもんかね、全く、海賊のつらぁーいところよ。
次回、最終話【エピローグ さようなら、コブラ】で、また会おう!
423: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:15:50.44 ID:SAmwSdQV0
ピピピピピ…
まどか「うぅ~ん…っ…」
カチッ。
まどか「…ふぁぁ…よく、寝たなぁ…」
まどか「… … …」
まどか「夢…見なかったなぁ…」
詢子「おーい、まどか起きてるか~?メシにするぞ~」
まどか「あ…はーいっ」
まどか(…えへへ…なんだか、いい一日になる気がするなぁ…)
424: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:17:12.42 ID:SAmwSdQV0
最終話「エピローグ さようなら、コブラ」
まどか「うーん…」
詢子「ふぁぁ…おはよ、まど… …なんだ、またリボンの色、悩んでるのか?」
まどか「…あ、ママ、おはよう。ティヒヒ…みんなかわいくって…」
詢子「前から言ってるだろ?赤だって。 …ま、そこまで悩むんならいっそ両方持って行っちまえばいいんじゃないか?」
まどか「あ!そうだね…うん、そうする!」
詢子「決めたら朝食食べに行くよ。…あー、台風の低気圧がまだ残ってて頭痛いわー」
まどか「ママ…それ、単に飲み過ぎだと思うよ…」
詢子「はっはっは。…さ、行くぞ」
425: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:19:40.37 ID:SAmwSdQV0
まどか「それじゃ、行ってきまーす!」
知久「行ってらっしゃーい!」
タツヤ「いったーっしゃーい!」
詢子「気を付けてなー!」
まどか「はーいっ!」
まどか(いつも通り、何の変りも無い朝…だったなぁ)
まどか(わたしは…ううん。さやかちゃんも、マミさんも、ほむらちゃんも、杏子ちゃんも…コブラさんも。みんな、あの戦いを生き抜いて…この街を守った、なんて…。実感ない)
まどか(でも…空は今日も晴れていて。清々しい空気を…胸いっぱいに吸い込める)
まどか(私は…魔法少女になったんだ)
まどか「…えへへ」
さやか「…なーに朝からにやついてるんだぁ?まどかー」
まどか「ふぇっ!?い、いつの間に…」
仁美「…いつの間にも何も、今ここまでまどかさんが歩いてきたのではありませんか?」
まどか「… … … 天狗の仕業」
さやか「何を言っているお前は」
426: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:21:46.65 ID:SAmwSdQV0
さやか「しかし、実感ないよねぇ、まどか」
まどか「あ、さやかちゃんも同じ事思ってた…?実はわたしも」
さやか「うん。こんなふうに朝フツーに登校できるなんて、夢にも思わなかったもん」
仁美「…お2人とも、何のお話をされているのでしょう?」
さやか「! あ、あははは!いやぁ、あんな台風が起きた後でよく学校やってるなーって!学校吹き飛んでるかと思ってさぁ!」
まどか「そ、そうそう!そういう事なんだよっ!」
仁美「…また私に内緒のお話を… 不潔ですわー!」
涙を流しながらダッシュをして学校に向かう仁美。
まどか「… 行っちゃった。 …ところで、さやかちゃん。…仁美ちゃんと、恭介くんの事は…」
さやか「ああ、アレ?しばらくその話は抜きにしよう、ってお互いに話したの」
まどか「…?」
さやか「恭介のヤツ、今はリハビリの事しか頭に無いし。そういう所鈍感で嫌になっちゃうからさ。…仁美にも、かわいそうだし。だからしばらくこの話はやめて、友達として改めて…って話したの」
まどか「…すごいね、さやかちゃん。そういう事ズバっと言えるって」
さやか「うーん。前までのあたしだったら、無理だったかな? 一皮剥けた、って感じかな。スーパーさやかちゃん的な」
まどか「あはは」
427: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:24:03.61 ID:SAmwSdQV0
さやか「お。前方に目標確認」
まどか「…あ、ほむらちゃんだ」
さやか「おっはよー、ほむら!今日も暗いぞー!どうしたー!?」
ほむら「…おはよう、まどか」
まどか「おはよっ、ほむらちゃん」
さやか「うおぉい!出会って即無視かいっ!しかもまどかまで!?」
ほむら「… … …」
まどか「… … …」
さやか「…おーおー、見つめ合って頬赤く染めあっちゃって…新婚初日かっての、あんたらは」
まどか「な、なにいってるのさやかちゃんてばっ…!て、ティヒヒ、…えと…い、一緒に行こ?ほむらちゃん」
ほむら「ええ」
428: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:26:59.87 ID:SAmwSdQV0
杏子「よう」
まどか「!?杏子ちゃん!どうして…それに、その恰好…」
さやか「ウチの制服じゃん!…ま、まさかアンタ…」
杏子「今日からこの学校に転校してきたんだよ。拠点を本格的に移そうと思ってな。この方が好都合だからさ」
さやか「えええええっ!?」
まどか「あはは、杏子ちゃんのスカート初めて見た。すごく可愛いよ」
杏子「!? ばっ、ばっかやろ…!こっちだって恥ずかしいんだよ…!そういう事言うのやめろ…!」
さやか「あれー?制服違ってるんじゃないのー?男子用制服じゃなかったっけー?」ニヤニヤ
杏子「こ・の・や・ろ…!」
さやか「やるかこのー!!」
ほむら「…騒がしいわね」
まどか「あはは…でも、2人ともすごく嬉しそうだよ」
ほむら「… … …」
429: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:28:17.92 ID:SAmwSdQV0
キーンコーンカーンコーン
まどか「あ!大変!授業はじまっちゃう!」
さやか「にゃんだとー」
杏子 「にゃんだとー」
お互いに頬を引っ張り合っている2人。
4人は学校まで駆けて行こうとするが…その前方を遮るように、1つの影が出てきた。
マミ「はぁっ、はぁ…!」
まどか「ま、マミさん!?」
さやか「どうしたんですか、そんなに息あげて…」
マミ「た、大変なの…」
杏子「魔女か!?朝っぱらから迷惑な野郎がいたもんだな」
マミ「ち、違うの!そうじゃなくて…!」
まどか「それじゃあ、一体…?」
マミ「コブラさんが…いなくなっちゃうの!!」
一同「えええええええええっ!?」
430: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:30:14.48 ID:SAmwSdQV0
森林の中。タートル号の外で、コブラとレディは森林浴を楽しみながら、朝のコーヒーを啜っている。
コブラ「くぁぁぁあ…。やっぱり地球で感じる朝の光と空気が一番だね。過去の世界だとしても」
レディ「ええ。あれだけ風が吹き荒れたから、雲1つないわね」
コブラ「新鮮な空気を吸い込み、朝の森林浴。…なーんて健康的な生活かね。健康診断、一発オッケーだな」
レディ「元から何の問題も出てないでしょ?貴方の身体は」
コブラ「色々不具合が起きてるんだよ。特に最近、グラマラスな身体を見てないからな。精神的に問題アリだ」
レディ「…怒るわよ、かの女達」
コブラ「おおっと、オフレコで頼むぜ。 …それで、データは間違いないのか?」
レディ「ええ。何百光年か離れた先に、ブラックホールが発生したわ。周囲には何もない宙域なのだけれど…そのブラックホールのデータ、私達が吸い込まれた物と一致している」
コブラ「原因不明のブラックホールが再発…ねぇ。何か裏がありそうだが、まぁ、この話に乗っからないわけにはいかないな」
レディ「詳しい分析は付近でするけれど…元の世界に戻れる可能性は、極めて高いわね。行ってみる価値はあるわ」
コブラ「ああ。名残惜しいが、この世界ともさよならだ。忙しい海賊稼業に戻るとするかね」
431: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:32:59.22 ID:SAmwSdQV0
レディ「でも…少し不安ね。かの女達…魔法少女。別れくらい言ってからの方がいいんじゃない?」
コブラ「俺の性分じゃない。…それに、もう俺の力は必要ない。だったら、この世界の役割は、かの女達に任せるとするさ」
レディ「…悲しむわよ、きっと」
コブラ「…乗り越えて行けるさ。可憐な魔法少女の闘いに、俺みたいな血生臭い男がずっと隣にいたんじゃ、絵にならない。別れを言えば余計辛くなる。…だろ?」
レディ「… … …ええ、そうね」
コブラ「そうと決まれば出発だ。俺の気が変わらない内にな」
レディ「それじゃあ、タートル号の調整をしてくるわね。数分したら発てると思うわ」
コブラ「ああ、頼んだぜレディ」
コブラを残してタートル号のコクピットに戻るレディ。
コブラ「… … …」
コブラは、何か思うような表情をしながら、葉巻の煙を青空に浮かべるのであった。
432: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:34:55.97 ID:SAmwSdQV0
森の中を駆けていくマミ、まどか、さやか、杏子、ほむら。
まどか「ど、どうして急に…!?」
マミ「今朝…コブラさんに改めてお礼を言おうと思って、宇宙船のところまで行ったの…そうしたら…!」
さやか「元の世界に帰れるっ、て…!?」
マミ「…ええ、偶然聞いてしまったから、急いで皆のところに来たの…」
杏子「あのヤロー、何も言わないで帰るつもりかよ!」
さやか「でも…どうやって!?確か元の世界に戻る方法がないとか言ってなかったっけ!?」
マミ「…確かに、そう言っていた筈だけれど…」
まどか「… … …」
ほむら「… … …」
ほむら(…まどか…)
433: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:36:09.75 ID:SAmwSdQV0
レディ「メインエンジン、反加速装置、制御システム、オールクリア。…それじゃあ、行くわよコブラ」
コブラ「…よろしくどーぞ」
コブラは葉巻から煙を吐き出し、苦笑いを浮かべた。
レディ「…タートル号、発… … …」
コブラ「…?どうした?レディ」
レディ「出発は遅れそうね、コブラ」
コブラ「んん? … … … ありゃあ」
タートル号のコクピットから、こちらに駆けてくる5人の少女の姿が見えた。
まどか「コブラさーーーーんっ!!!」
コブラ「あーあ。これじゃ恰好がつかないねぇ、参った参った」
コブラは頭をボリボリと?きながら、両手を大袈裟に上げた。
レディ「…ふふふ、そう言う割には嬉しそうじゃない?コブラ」
コブラ「言ってくれるなよ、レディ」
434: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:39:28.09 ID:SAmwSdQV0
マミ「はぁっ、はぁっ…」
さやか「ま、間に合ったぁ…」
タートル号のハッチが開き、中から苦笑いをしたままコブラとレディが出てくる。
コブラ「おいおい、おたくら、学校が始まるんじゃないかい?無断欠席とは褒められないなぁ」
杏子「怒れるような性格もしてないだろ?お前の場合」
コブラ「ははは、ごもっとも」
マミ「…何も言わずに帰っちゃうなんて…寂しすぎるわ」
さやか「そうだよ!…それにあたし達、まだお礼も何もしてないよ!」
コブラ「したさ」
さやか「え?」
コブラ「久しぶりに、いい物を見せてもらった。…仲間と呼べる者の絆。そしてそいつが起こす奇跡。…俺が久しく忘れていたものを、思い出させてくれた」
まどか「…コブラさん」
435: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:41:51.14 ID:SAmwSdQV0
コブラ「…まどか。お前さんの願い事が叶った結果かい?これは」
まどか「… … …はい」
コブラ「…全く。何でも願いが叶うっていう折角のチャンスをこんな事に使っちまいやがって」
ほむら「…!まさか…!」
杏子「…?どういう事だ?」
レディ「…!まさか、鹿目まどかの魔法少女になる願い…そのおかげで…!?」
まどか「…私、魔法少女になって、皆を助けられるようになれば…それだけでいいんです。…だから、その時の願いは…一番役に立つ人のために使おう、って」
コブラ「… … …」
436: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:44:30.70 ID:SAmwSdQV0
――― ワルプルギスの夜との決戦の日。
ワルプルギスの夜へと向かって行くコブラと魔法少女達。
その後ろで、対峙をするまどかとキュウべぇ。
まどか「…キュウべぇ。私、魔法少女になる」
QB「…!」
まどか「願いは… コブラさん達に、元の世界へ戻る方法を与える事。…それだけだよ」
QB「たったそれだけかい?君には、宇宙そのものを作り変える力すらあると言うのに」
まどか「…それでも構わないって、思ってた。わたしが神様になれるなら…こんな世界、作り変えちゃえ、って」
まどか「でも…わたしはまだ、信じていたい。わたしを含めた皆が笑いあえて…信じあえる。神様なんていなくても、そんな世界が築ける、って」
まどか「…例え、コブラさんが…元あるべき場所に戻ったとしても。…『わたし達』魔法少女が、この世界を守れる。…そう信じていたい」
QB「…」
QB「君の願いは、エントロピーを凌駕した。本当に構わないんだね、まどか」
まどか「うん」
QB「それじゃあ…君の願いを――― 叶えよう――――」
そして、2人の間を眩い光が包んだのだった。
437: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:46:47.76 ID:SAmwSdQV0
QB「そしてまどかは、魔法少女となったというわけさ」
さやか「アンタ、いつの間に…」
まどか「わたし達の願いは、コブラさんのおかげで全て叶った。…でも、コブラさんとレディさんの願いが、まだ叶っていない。…そう、だよね?」
レディ「…鹿目さん…」
まどか「だからせめて…。…これが、わたしの恩返しだと、思うから…」
コブラ「…全く… あんな弱々しかったヤツが、いつの間にかこんなはっきり物事を決められるようになるとはな」
コブラはまどかに近づくと、まどかの頭にポン、と右手を乗せた。
コブラ「…ありがとよ、まどか」
そして髪型がぐちゃぐちゃになるほど、頭を撫でる。
まどか「ティヒヒ」
438: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:48:33.29 ID:SAmwSdQV0
さやか「宇宙の果てにブラックホール…」
マミ「その中に再び入れば…私達の前に現れた時と、同じ現象が起きて…コブラさん達は元の未来へ帰れる…。…そうなの?キュウべぇ」
QB「ブラックホールが、まどかの願いによって生じたものだと言う事は間違いないね。まどかの願いは、コブラが元の世界へ戻る方法を『与える』事。だから、その中へ入るのは自由というわけだ」
マミ「…でも、貴方は行くのでしょう?…コブラさん」
コブラ「どんな人間にも、帰るべき場所はあるのさ。…それに、おたくらは俺が思ったより遥かに成長した。これなら俺がいなくなっても安心だ」
杏子「師匠気取りかよ。…気に入らねェなぁ」
コブラ「…杏子。初めにお前さんに斬りかかられた時はどうなるかと思ったが…ようやく人前で素の自分が出せるようになったみたいだな」
杏子「…どういう意味だよ」
コブラ「さぁてね。ま、とにかく、さやかの面倒をしっかり見てやってくれよ」
コブラはそう言うとにぃと悪戯っぽく笑った。
さやか「ちょ、ちょっと、どういう意味よ!なんでこいつに面倒みてもらわなきゃならないワケぇ?!」
杏子「…ま、確かに面倒見甲斐がある後輩かもしれねーな」
さやか「うがあああああ」
439: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:50:39.57 ID:SAmwSdQV0
コブラ「さやか」
さやか「何さっ」
コブラ「お前さんの明るさなら、どんな絶望も払拭できる。笑顔を忘れるなよ。アンタの最高の魅力だ。…彼氏とのデートの時にも、な」
さやか「なっ…か、彼氏ってなによ…恭介とはまだ別に…!」
コブラ「恭介とは一言も言っていないんだがね俺は」
さやか「うがああああああああああ」
まどか「あははは」
440: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:52:39.11 ID:SAmwSdQV0
コブラ「マミの作るお菓子や紅茶は最高だったぜ。俺の相棒に勝るとも劣らない。おかげで甘党になるところだった」
マミ「…有難う。光栄だわ」
レディ「珍しいわね。お酒と料理以外でそんな事言うなんて」
コブラ「おいおい、グルメなんだぜ俺は。何に対しても、だ。 …これからは、お前さんが皆の先頭に立つんだ。しっかり頼むぜ、マミ」
マミ「ええ。…先輩だものね。しっかり舵を取るつもりだわ」
コブラ「ああ。ついでに後輩のバストやヒップの向上計画に是非とも取り組んで欲し… いでえーーーーっ!!!」
マミに足を踏まれ、レディに頭を叩かれるコブラ。
マミ「…こうしてツッコミを入れるのも最後なのね。少し…寂しいわ」
レディ「同胞をなくしたような気分だわ」
コブラ「…ああ、全く寂しいね、ホント」
頭を摩りながら、足に息を吹きかけるコブラ。
441: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:53:59.16 ID:SAmwSdQV0
コブラ「…ほむら。…これからも…まどかを、いいや、魔法少女達を守る存在であってくれよ」
ほむら「… … …」
コブラ「自分だけで苦労すればどうにでもなる…。綺麗事かもしれないが、そんな事は無いんだ。…もう時間を繰り返す必要も無いんだしな」
ほむら「… … …」
ほむら「そう、ね…」
コブラ「まだまだ、まどかは頼りない。かの女を引っ張っていくのは君だ。…よろしく頼むぜ」
まどか「た、頼りない…かぁ…。…うう、少しショック」
ほむら「…ええ、解かったわ」
442: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:56:53.41 ID:SAmwSdQV0
コブラ「…まどか。お前さんの心と力があれば、全ての絶望を払拭できる。そこのエイリアンとも仲良くしていってくれよ」
QB「インキュベーターと呼んで欲しいのだけれどね」
まどか「…はい。…わたし、頑張ります!」
コブラ「ほむら、まどか。誰かを、何かを守るために、犠牲はいらない。 必要なのは、守りたいという意志だ。結果は関係ない」
コブラ「だから、これからも精一杯学生生活を満喫して、いい女になって、未来の俺のために美人の先祖を作っておいてくれよ?」
ほむら「… … …」
まどか「あはは…動機は不純ですね…」
コブラ「…お。…いい物があったぜ。…まどか」
まどか「?」
コブラは、ポケットから1つ、ガーベラの花を取り出した。それをまどかの頭につける。
コブラ「タートル号でコーティングしておいたモンさ。枯れる事なき希望。…なぁーんてね」
まどか「わぁ…有難うございます!…あ」
そして、まどかの髪を結ってあるリボンを解き、手にするコブラ。
コブラ「俺は、君達の事を忘れない。…交換しておくぜ」
まどか「…はい。…私も…忘れません」
443: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:58:18.27 ID:SAmwSdQV0
コブラ「それじゃあ…行くとするか。こういうのは長引かせるもんじゃないね。どんどんこの世界に居たくなってくるぜ」
さやか「…いいんだよ。いつまでも居ても」
コブラ「そうもいかない。人は皆、あるべき場所へ戻る。そいつに逆らっていちゃあいけない。自然の摂理ってやつさ」
マミ「…そう、ね。…もしも…もしも、もう一度逢えるのなら…また、この世界に来てくれるかしら?コブラさん」
コブラ「もちろん!女の子の成長過程の観察は俺の趣味の一つなんだ」
杏子「大した趣味だな。…ま、その時は熱烈に歓迎してやるよ」
コブラ「楽しみにしてるぜ。…その時は、何も言わずに笑って待っててくれよ?」
まどか「…勿論ですっ!」
レディ「…それじゃあ、コブラ。…行きましょうか」
コブラ「ああ。そうだな…」
コブラ「それじゃあ、愛しき魔法少女諸君!…元気でな! …あばよ」
444: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 00:59:16.26 ID:SAmwSdQV0
上空にゆっくりと浮上をするタートル号。
エンジンに火がついたかと思うと、あっという間に空の彼方へと飛び去ってしまう。
その様子を、ただただ見上げる5人の魔法少女。
まどか「…行っちゃったね」
さやか「…何か、あっという間だった…な。今まで」
マミ「辛いものね。…お互い、住む世界が違う、というのは…」
杏子「落ち込んでても仕方ねーよ。…アタシ達はアタシ達で、精一杯生きていく。それしかないだろ?」
まどか「…そうだね。… … …」
さやか「なーに落ち込んでんのよまどかっ、あたしの嫁は笑顔が一番可愛いんだぞぉ?」
そう言いながらまどかに抱きつくさやか。
まどか「わ、わ…っ!んもぅ…分かったよ、さやかちゃん…」
マミ「うふふ…それじゃあ、行きましょうか?」
杏子「そうだな。行くぞ、まどか」
まどか「…うん…。 …?ほむらちゃん?」
ほむら「… … …」
まどか「どうしたの?ほむらちゃ…」
カチリ。
その時、大きく時計の秒針の音が聞こえた。
ほむら「…え…!!??」
445: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 01:02:21.26 ID:SAmwSdQV0
それは、暁美ほむらが幾度となく経験をした感覚。
全ての時間が流れを止め…そして、逆戻りをしていく。
時間が、巻き戻っていく…その感覚――――。
ほむら「そんな…!私は時間を戻そうとは思っていない!…どうして…!?どうしてなの…!?」
しかし時間は非常なまでに崩れ、ほむらの意識は暗闇へと落ちようとしていた。…元の、自分が病室へといる、あるべき時間へと。
ほむら「どうして…っ!!??」
その時。自分自身の声が、暗闇の中で響いた。
QB『――― 君は、どんな祈りでソウルジェムを輝かせるのかい?』
ほむら『私は―――』
ほむら『私は、鹿目さんとの出会いをやり直したい。彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい―――』
ほむら「…!」
446: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 01:04:05.33 ID:SAmwSdQV0
ほむら(…そう、だったの…)
ほむら(この結果は…彼女を、まどかを【守る】結果には繋がらなかったのね)
ほむら(わたしが時間を巻き戻せる限界は、ここまで…。これ以上時間が進めば、まどかが魔法少女になる【後】へしか戻れなくなる)
ほむら(そして…このまま時間が進めば、再び私達は…滅んでしまう。…そういう事…)
ほむら(… … …)
ほむら(それに…私は、この世界を望んでいないのかもしれない)
ほむら(まどかが…【皆に】微笑む…この世界では…)
ほむら(数多の時間の中で巡り合った、1人の男。…可能性はゼロに近くても、こんな時間も確かに存在はしていた)
ほむら(それが、ワルプルギスの夜すら超えさせられる。…そんな希望がある、世界)
ほむら(…いい夢を、見させて貰ったの。…だから…)
447: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 01:06:36.65 ID:SAmwSdQV0
ほむらは、病室で目を覚ます。
カレンダーは、見覚えのある日にちで止まっていた。
ほむらは傍らのテーブルに置いてあった眼鏡をそっと手にすると、それをかけた。
ほむら「…コブラ。…有難う。希望は、存在する。それを思い出させてくれて」
ほむら「…今度こそ、私は…この世界で、彼女を助けてみせる」
448: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 01:09:08.99 ID:SAmwSdQV0
ピピピピピ…
まどか「うぅ~ん…っ…」
カチッ。
まどか「…ふぁぁ…よく、寝た…」
まどか「… … …」
まどか「…すごく、悪い夢見てた気がするなぁ…」
まどか「…歯、磨きにいこ…」
449: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 01:11:16.28 ID:SAmwSdQV0
まどか「おはよ、ママ」
詢子「おう、おはようまどか。…うぅん?」
まどか「…?どしたの…?」
詢子「…それ、誰に貰ったんだ?…まさかぁ、男の子からかぁ?」
まどか「な、なに?何のこと…?」
詢子「今時花の髪飾りねぇ。ロマンチックだとは思うけれど、さすがにチョイと幼すぎないかな」
詢子は少し笑いながら、まどかの頭から1つの白い花を取り出した。
まどか「え…あ…?…??なんでだろ…?」
詢子「…覚えがないのか?…じゃあ…まどかの部屋にあったのかな?うーん、でもガーベラなんて花瓶にさしておいたっけな」
まどか「… … …」
まどか「でも…すごく、綺麗な花だね」
450: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 01:13:53.59 ID:SAmwSdQV0
コブラ「ふぁぁ…よーく寝たぜ」
レディ「おはようコブラ。ふふ、久しぶりにぐっすり寝れたようね」
コブラ「ああ、このところ退屈なくらい平和だからな。…おかげで変な夢見ちまった気分だ。なんだったか忘れたが」
レディ「貴方らしいわね。…あら?コブラ」
コブラ「んん?」
レディ「…コブラ。平和を謳歌するのもいいけれど、そういう物を私の前に出すのはどうかと思うわね」
コブラ「…?何の事だ?」
レディ「貴方の首にかかっている赤いリボンの事よ」
コブラ「…。本当だ。…おかしいな、見覚えのないリボンだ」
レディ「まぁ、覚えがないのにリボンを貰ったの?」
コブラ「ご、誤解だよレディ。はは、えーと…ホントになんだっけか」
そう言いながら、慌ててポケットにリボンを仕舞い込むコブラ。
コブラ(…しかし、どこか懐かしい香りだな)
451: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 01:16:20.35 ID:SAmwSdQV0
その時、タートル号のレーダーのアラート音が鳴る。
コブラ「…!なんだ!?」
レディ「…! コブラ、前方に海賊ギルドの艦隊よ!」
コクピットから見えるのは、ギルドの大型戦艦が幾つも宙域に待機する光景。
そして、モニターに映し出される男の姿。
ボーイ「久しぶりだなコブラ。会いたかったよ」
コブラ「!!クリスタルボーイ!お前の仕業か」
ボーイ「くくく…お前さんがこの辺りの宙域にいるという情報を掴んでね。首を長くして待っていたところだよ」
コブラ「大層な歓迎だぜ。パレードでも開いてくれるのかな?」
ボーイ「軽口もここまでだ。…この宙域が貴様とタートル号の墓場だ!」
452: ◆LrU7a1GUmg 2012/10/01(月) 01:18:10.62 ID:SAmwSdQV0
レディ「どうするの!?コブラ…」
コブラ「… … …」
コブラ「上等じゃねぇか。売られた喧嘩は買う主義。ここは…正面から突破だ。タートル号の性能を見せてやろうぜレディ」
レディ「了解。連中に一泡吹かせてやりましょう」
コブラ「よろしくどーぞ!…覚悟しろよ、ガラス人形!」
コブラ「俺は…不死身のコブラだからな!!」
艦隊へと単独で突っ込んでいくタートル号。
しかし船内のコブラの表情に不安はない。
葉巻を銜えたその顔は、自信に満ち溢れた不敵な笑みだった。
終わり
454: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(愛媛県) 2012/10/01(月) 01:22:23.46 ID:TxaLeXYgo
乙
コブラ最高にかっこいいな!
コブラ最高にかっこいいな!
459: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/10/01(月) 01:59:53.74 ID:V4EAIuJgo
乙
コブラのお陰で問題が解決するわけじゃなく、
希望ときっかけを与えて終わるってのがすごくよかったわ
原作でもコブラがいろいろ手助けはするけど、
結局最後はゲストキャラとかヒロイン自身が頑張ってるもんな
コブラのお陰で問題が解決するわけじゃなく、
希望ときっかけを与えて終わるってのがすごくよかったわ
原作でもコブラがいろいろ手助けはするけど、
結局最後はゲストキャラとかヒロイン自身が頑張ってるもんな
470: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(兵庫県) 2012/10/01(月) 19:14:10.01 ID:vuKJYWUYo
なんとも綺麗な終わりかた。
いい風来坊だったなあ。
魔法少女の契約時の願いはどんな形であれ必ず成就するものだから、
悲観する必要ははないと思うぜー。
いい風来坊だったなあ。
魔法少女の契約時の願いはどんな形であれ必ず成就するものだから、
悲観する必要ははないと思うぜー。
479: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2012/10/01(月) 21:50:30.49 ID:MBZTvb4n0
ヒューッ!今まで見たまどSSの中でサイコーの作品だったぜ、乙!!
杏子「ホームレスもそろそろ無理だろ・・・」
2020-05-22
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 00:46:55.14 ID:Uc0Lzejh0
杏子「そうだ!まどかの家にすもう!」
まどか「いいよ!」
まどか「いいよ!」
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8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 01:21:14.59 ID:GEkbmVdI0
杏子「そうと決まれば即行動だ」
■鹿目家
ピンポーン
パパ「はーい、今開けまーす」ガチャ
杏子「まどか居る?」
パパ「まどか? 今はまだ学校だと思うけど…… お友達かい?」
杏子「まぁそんな所だ。って、まどか居ないのかよー」
パパ「というか、君もまだ学校の時間じゃないのかい? そんな格好で、サボリは感心しないなぁ」
杏子「あたしは学校なんか行ってねーよ。てか、こんな真昼間から家にいるおっさんに言われたくないね」
パパ「お、おっさんって……」ショボーン
杏子「あんた、まどかの親父かい? 働いてないのか?」
パパ「ん? そうだよ。僕は専業主夫だから」
杏子「ふーん。実際居るもんなんだな、主夫って」
パパ「あはは、よく言われるよ。ところで立ち話もなんだし、中に入るかい?」
杏子「お、いいのかよ。んじゃ遠慮無く」スタスタ
■鹿目家
ピンポーン
パパ「はーい、今開けまーす」ガチャ
杏子「まどか居る?」
パパ「まどか? 今はまだ学校だと思うけど…… お友達かい?」
杏子「まぁそんな所だ。って、まどか居ないのかよー」
パパ「というか、君もまだ学校の時間じゃないのかい? そんな格好で、サボリは感心しないなぁ」
杏子「あたしは学校なんか行ってねーよ。てか、こんな真昼間から家にいるおっさんに言われたくないね」
パパ「お、おっさんって……」ショボーン
杏子「あんた、まどかの親父かい? 働いてないのか?」
パパ「ん? そうだよ。僕は専業主夫だから」
杏子「ふーん。実際居るもんなんだな、主夫って」
パパ「あはは、よく言われるよ。ところで立ち話もなんだし、中に入るかい?」
杏子「お、いいのかよ。んじゃ遠慮無く」スタスタ
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 01:27:42.00 ID:GEkbmVdI0
杏子「いいとこ住んでんじゃん」
パパ「ママのおかげでね。今、丁度お昼ごはんにしようと思っていたんだけれど、食べる?」
杏子「いいのか!?」
パパ「一人も二人も一緒だからね。嫌いな物とかはあるかい?」
杏子「好き嫌いなんて、そんなのあたしは許さないね」
パパ「あはは、まどかにも見習わせたいよ。それじゃあ少し待っていてね」
杏子「あいよー」
数分後
パパ「おまたせ。簡単なパスタだけど」
杏子「めっちゃくちゃウマそうじゃねーか! いただきます!」ガツガツ!
パパ「……」ジー
杏子「んむ? 何見てんだよ?」
パパ「ごめんごめん。なんだか昔の絢子さんに似てるなと思って」
杏子「絢子? まどかのオフクロか?」
パパ「そうだよ。一家の大黒柱さ」
パパ「ママのおかげでね。今、丁度お昼ごはんにしようと思っていたんだけれど、食べる?」
杏子「いいのか!?」
パパ「一人も二人も一緒だからね。嫌いな物とかはあるかい?」
杏子「好き嫌いなんて、そんなのあたしは許さないね」
パパ「あはは、まどかにも見習わせたいよ。それじゃあ少し待っていてね」
杏子「あいよー」
数分後
パパ「おまたせ。簡単なパスタだけど」
杏子「めっちゃくちゃウマそうじゃねーか! いただきます!」ガツガツ!
パパ「……」ジー
杏子「んむ? 何見てんだよ?」
パパ「ごめんごめん。なんだか昔の絢子さんに似てるなと思って」
杏子「絢子? まどかのオフクロか?」
パパ「そうだよ。一家の大黒柱さ」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 01:36:54.23 ID:GEkbmVdI0
杏子「ふぅん…… って、アンタも食べなよ。せっかくのメシが冷めちまう」
パパ「そうだね、いただきます」
杏子「残したらぶっ殺すかんな!」
パパ「作ったのは僕なんだけどなぁ……」
杏子「それにしても美味いな! こんなメシを毎日食えるなんてまどかは幸せ者だよ」
パパ「そうかい? そうほめられるとなんだか照れるよ」
杏子「いやぁ、あたしも毎日こんなメシを食べたいよ」
パパ「そんな事を言ったら、君のママさんも悲しむよ。毎日頑張って作ってくれてるんだから」
杏子「オフクロか…… 確かに豪華な物は無かったけど、美味かったよ」
パパ「……美味かった?」
杏子「あたしにはもう、オフクロも親父も居ないんだ」
パパ「――っ!? ……ごめん」
杏子「気にすんなよ。って、そうも行かないか…… あー、何でこんな事言っちゃったんだろ」
杏子「なんだか、アンタと話してると安心するんだよなぁ……」
パパ「そうだね、いただきます」
杏子「残したらぶっ殺すかんな!」
パパ「作ったのは僕なんだけどなぁ……」
杏子「それにしても美味いな! こんなメシを毎日食えるなんてまどかは幸せ者だよ」
パパ「そうかい? そうほめられるとなんだか照れるよ」
杏子「いやぁ、あたしも毎日こんなメシを食べたいよ」
パパ「そんな事を言ったら、君のママさんも悲しむよ。毎日頑張って作ってくれてるんだから」
杏子「オフクロか…… 確かに豪華な物は無かったけど、美味かったよ」
パパ「……美味かった?」
杏子「あたしにはもう、オフクロも親父も居ないんだ」
パパ「――っ!? ……ごめん」
杏子「気にすんなよ。って、そうも行かないか…… あー、何でこんな事言っちゃったんだろ」
杏子「なんだか、アンタと話してると安心するんだよなぁ……」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 01:45:09.22 ID:GEkbmVdI0
パパ「……君、名前は?」
杏子「あたしは佐倉杏子。あんたは?」
パパ「鹿目知久。知るに久しいで知久だよ。よろしく」
杏子「ふぅん。でさぁ、知久」
パパ「い、いきなり呼び捨てかい?」
杏子「別にいいっしょ。でさ、あんたは何で主夫なんかやってんの? あんま普通じゃないっしょ、こういうの」
パパ「ん? うーん。そうだなぁ…… 杏子ちゃん――でいいかな?」
杏子「構わないよ」
パパ「杏子ちゃんは、今何か真剣にやっている事はあるかい?」
杏子「んー、真剣っつーか、必要に駆られてやってる事はあるな」マジョガリトカ
パパ「じゃあ、それを何かの事情で辞めなくちゃいけなくなったらどうする?」
杏子「そいつは困る。生活できなくなっちまうよ」
パパ「ママにとって、仕事はそういうものだったんだ。だから僕はそんな彼女を助けたいと思った。これじゃぁ、答えにならないかな?」
杏子「あたしは佐倉杏子。あんたは?」
パパ「鹿目知久。知るに久しいで知久だよ。よろしく」
杏子「ふぅん。でさぁ、知久」
パパ「い、いきなり呼び捨てかい?」
杏子「別にいいっしょ。でさ、あんたは何で主夫なんかやってんの? あんま普通じゃないっしょ、こういうの」
パパ「ん? うーん。そうだなぁ…… 杏子ちゃん――でいいかな?」
杏子「構わないよ」
パパ「杏子ちゃんは、今何か真剣にやっている事はあるかい?」
杏子「んー、真剣っつーか、必要に駆られてやってる事はあるな」マジョガリトカ
パパ「じゃあ、それを何かの事情で辞めなくちゃいけなくなったらどうする?」
杏子「そいつは困る。生活できなくなっちまうよ」
パパ「ママにとって、仕事はそういうものだったんだ。だから僕はそんな彼女を助けたいと思った。これじゃぁ、答えにならないかな?」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 01:56:43.23 ID:GEkbmVdI0
杏子「よく分かんねーけど…… じゃあさ、たとえばまどかのオフクロのやりたいことが主婦だったら、アンタは働いてたのか?」
パパ「そうだね、もし彼女がそれを望むなら、僕はそれを支えてあげたいと思う」
パパ「まぁ、そういうのは僕にはあまり向いてないから、今の形が一番良かったんじゃないかと思うよ」
杏子「でも、それってさ、アンタの気持ちは後回しじゃんか。アンタだってやりたいことがあるだろう?」
パパ「僕にとってのやりたいことは、ママを支えてあげることだよ」
杏子「相手のために何かするのが、アンタの望みだってのかい?」
パパ「まぁ、そうだね」
杏子「……なんか、アンタがまどかの親父だっての、納得だよ」
杏子「……もう行くよ。メシ、ありがとな」
パパ「何だったら、まどかが帰ってくるまで待っていてもいいんだよ?」
杏子「いや、いいよ。ここにいると、羨ましくなっちまう」
パパ「…………」
杏子「じゃあね、知久」
パパ「ああ、お腹が空いたらまたおいで」
パパ「そうだね、もし彼女がそれを望むなら、僕はそれを支えてあげたいと思う」
パパ「まぁ、そういうのは僕にはあまり向いてないから、今の形が一番良かったんじゃないかと思うよ」
杏子「でも、それってさ、アンタの気持ちは後回しじゃんか。アンタだってやりたいことがあるだろう?」
パパ「僕にとってのやりたいことは、ママを支えてあげることだよ」
杏子「相手のために何かするのが、アンタの望みだってのかい?」
パパ「まぁ、そうだね」
杏子「……なんか、アンタがまどかの親父だっての、納得だよ」
杏子「……もう行くよ。メシ、ありがとな」
パパ「何だったら、まどかが帰ってくるまで待っていてもいいんだよ?」
杏子「いや、いいよ。ここにいると、羨ましくなっちまう」
パパ「…………」
杏子「じゃあね、知久」
パパ「ああ、お腹が空いたらまたおいで」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 02:21:35.03 ID:GEkbmVdI0
まどか「ただいま~」
パパ「おかえり、まどか」
まどか「今日の晩ご飯はなに?」
パパ「ハンバーグだよ。そうだまどか、今日お昼ごろにお友達が来ていたよ」
まどか「友達?」
パパ「佐倉杏子ちゃんって言ってたけど」
まどか「きょうこちゃん? 誰だろう……」
パパ「知らないのかい? ほら、赤い髪のボーイッシュな子だよ」
まどか「!? パパ、何もされなかった!?」
パパ「えっと、普通にお話しして、一緒にお昼ごはんを食べただけだけど……友達じゃなかったのかな?」
まどか「ふえ!? え、えぇと! 友達だよ! ただちょっと過激な子だから! あ、あはは……」
パパ「?」
まどか「ごめんパパ! 私もうちょっと後にご飯たべる!」ガチャ バタン
パパ「あっ! まどかー!?」
まどか(早くさやかちゃんに知らせなきゃ!)タッタッタ
パパ「おかえり、まどか」
まどか「今日の晩ご飯はなに?」
パパ「ハンバーグだよ。そうだまどか、今日お昼ごろにお友達が来ていたよ」
まどか「友達?」
パパ「佐倉杏子ちゃんって言ってたけど」
まどか「きょうこちゃん? 誰だろう……」
パパ「知らないのかい? ほら、赤い髪のボーイッシュな子だよ」
まどか「!? パパ、何もされなかった!?」
パパ「えっと、普通にお話しして、一緒にお昼ごはんを食べただけだけど……友達じゃなかったのかな?」
まどか「ふえ!? え、えぇと! 友達だよ! ただちょっと過激な子だから! あ、あはは……」
パパ「?」
まどか「ごめんパパ! 私もうちょっと後にご飯たべる!」ガチャ バタン
パパ「あっ! まどかー!?」
まどか(早くさやかちゃんに知らせなきゃ!)タッタッタ
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 02:27:58.11 ID:GEkbmVdI0
杏子「鹿目、知久……か」
杏子「あー! ったくもう! なんなんだよぉ……」
ほむら「佐倉杏子」
杏子「うひゃあ! な、なんだお前か……」
ほむら「今日、まどかの家に行ったらしいわね」
杏子「そうだけど?」
ほむら「ずるいわ」
杏子「は?」
ほむら「私だってまだ家にお呼ばれしたことなんかないのに……」グスッ
杏子「え? 何で泣いてるんだよ」
ほむら「おまえなんか自爆して死んじゃえばかぁー!」タッタッタ
杏子「な、なんなんだよアイツ……」
杏子「あー! ったくもう! なんなんだよぉ……」
ほむら「佐倉杏子」
杏子「うひゃあ! な、なんだお前か……」
ほむら「今日、まどかの家に行ったらしいわね」
杏子「そうだけど?」
ほむら「ずるいわ」
杏子「は?」
ほむら「私だってまだ家にお呼ばれしたことなんかないのに……」グスッ
杏子「え? 何で泣いてるんだよ」
ほむら「おまえなんか自爆して死んじゃえばかぁー!」タッタッタ
杏子「な、なんなんだよアイツ……」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 02:36:43.71 ID:GEkbmVdI0
■翌日、鹿目邸
杏子「…………」
杏子「今日も来ちまった」
ガチャ
パパ「あれ? 杏子ちゃん?」
杏子「げっ」
パパ「どうしたんだい? まだお昼には早いけど……」
杏子「あたしがいつでも腹すかしてると思うなよ!」
パパ「あはは、ごめんごめん。ちなみにまどかはまだ学校だよ?」
杏子「分かってるっつーの」
パパ「? 悪いけど僕はいまから買い物に行かないといけなくてね」
杏子「ふぅん…… じゃあ着いてってやるよ」
パパ「え?」
杏子「荷物持ちくらいできるさ。ほら、行こうぜ」
パパ「ちょ、ちょっと杏子ちゃん?!」
杏子「…………」
杏子「今日も来ちまった」
ガチャ
パパ「あれ? 杏子ちゃん?」
杏子「げっ」
パパ「どうしたんだい? まだお昼には早いけど……」
杏子「あたしがいつでも腹すかしてると思うなよ!」
パパ「あはは、ごめんごめん。ちなみにまどかはまだ学校だよ?」
杏子「分かってるっつーの」
パパ「? 悪いけど僕はいまから買い物に行かないといけなくてね」
杏子「ふぅん…… じゃあ着いてってやるよ」
パパ「え?」
杏子「荷物持ちくらいできるさ。ほら、行こうぜ」
パパ「ちょ、ちょっと杏子ちゃん?!」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 02:45:57.56 ID:GEkbmVdI0
パパ「そんな、女の子に荷物持ちさせるなんて……」
杏子「女に働かせてる奴に言われたくねーな」ニヤッ
パパ「うっ……」
杏子「でさ、知久」
パパ「相変わらず呼び捨てなんだね…… なんだい?」
杏子「アンタはさ、何で今の嫁さんと結婚したわけ?」
パパ「何でって……うーん、なんでだろう」
杏子「はぁ? 自分の人生をそいつの為に使いたいと思って主夫してんだろ? 理由がなきゃおかしいじゃん」
パパ「理由……理由かぁ。かわいいから、かな?」
杏子「ハァ? そんだけ?」
パパ「そんだけとは失礼な。絢子さんはね、普段は男らしくてしっかりしてるけど以外と甘えたがりでね。寂しいと仕事中でもすぐ電話くれるし」
杏子「聞いたあたしが馬鹿だった」
パパ「あー、うん。ごめん。女子中学生相手に惚気るとかどうかしてたよ……」
杏子「で? 本当にそんだけなのか?」
パパ「そうだなぁ…… 一生懸命なところ、かな?」
杏子「女に働かせてる奴に言われたくねーな」ニヤッ
パパ「うっ……」
杏子「でさ、知久」
パパ「相変わらず呼び捨てなんだね…… なんだい?」
杏子「アンタはさ、何で今の嫁さんと結婚したわけ?」
パパ「何でって……うーん、なんでだろう」
杏子「はぁ? 自分の人生をそいつの為に使いたいと思って主夫してんだろ? 理由がなきゃおかしいじゃん」
パパ「理由……理由かぁ。かわいいから、かな?」
杏子「ハァ? そんだけ?」
パパ「そんだけとは失礼な。絢子さんはね、普段は男らしくてしっかりしてるけど以外と甘えたがりでね。寂しいと仕事中でもすぐ電話くれるし」
杏子「聞いたあたしが馬鹿だった」
パパ「あー、うん。ごめん。女子中学生相手に惚気るとかどうかしてたよ……」
杏子「で? 本当にそんだけなのか?」
パパ「そうだなぁ…… 一生懸命なところ、かな?」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 02:54:31.21 ID:GEkbmVdI0
杏子「一生懸命? なんだそれ」
パパ「絢子さんはね、いつも何にだって真剣なんだ。仕事をするときも、遊びにいくときも、他愛のない話をする時だって、一生懸命だ」
パパ「僕はね、そんな彼女がすごいと思うし尊敬してる。だけど、それってやっぱり大変だと思うんだ。だから、支えてあげたい。そう思った」
杏子「だーかーらー! 何でそこで支えてあげたいとか言う発想になるんだよ! その理由が知りたいの!」
パパ「あはは、難しいことを言うなぁ……」
杏子「自分のことなんだから、難しくなんかないだろ?」
パパ「はは、君は強い子だね。そういうところも絢子さんに似てるよ」
杏子「あたしはあたしだよ」
パパ「そうだね、ごめんごめん」
パパ「あそこのスーパーが目的地だよ」
杏子「ん。何買うのさ?」
パパ「とりあえずうどん玉と、あとは野菜と油揚げかな。他にも卵とかが安かったら買おうと思ってる」
杏子「ふぅん。ま、荷物はあたしが持つからさ、気にすんなよ」
パパ「ありがとう、助かるよ」
パパ「絢子さんはね、いつも何にだって真剣なんだ。仕事をするときも、遊びにいくときも、他愛のない話をする時だって、一生懸命だ」
パパ「僕はね、そんな彼女がすごいと思うし尊敬してる。だけど、それってやっぱり大変だと思うんだ。だから、支えてあげたい。そう思った」
杏子「だーかーらー! 何でそこで支えてあげたいとか言う発想になるんだよ! その理由が知りたいの!」
パパ「あはは、難しいことを言うなぁ……」
杏子「自分のことなんだから、難しくなんかないだろ?」
パパ「はは、君は強い子だね。そういうところも絢子さんに似てるよ」
杏子「あたしはあたしだよ」
パパ「そうだね、ごめんごめん」
パパ「あそこのスーパーが目的地だよ」
杏子「ん。何買うのさ?」
パパ「とりあえずうどん玉と、あとは野菜と油揚げかな。他にも卵とかが安かったら買おうと思ってる」
杏子「ふぅん。ま、荷物はあたしが持つからさ、気にすんなよ」
パパ「ありがとう、助かるよ」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 03:12:03.33 ID:GEkbmVdI0
杏子「まどかってさ、トロいじゃん」
パパ「トロいって…… 実の父親の前でそういう事言うかなぁ。まぁ確かに、僕に似てあまり強気な性格ではないね」
杏子「やっぱさ、男ってああいう性格の娘がいいのかね?」
パパ「お、恋の悩みかい?」
杏子「ち、ちげーよ。ただ、一般論でさ」
パパ「うぅん、どうだろう? 僕は絢子さんみたいなしっかりした性格のほうがいいけれど」
杏子「だから一般論だって言ってるだろ!? でさ、そういうのが好きな男ってのは要するに、守ってあげたいとか思うんだろ?」
パパ「まぁ、そうだろうね」
杏子「それって、アンタの言う支えてあげたいってのとは違うのか? 保護欲って言うの? そういうのさ」
パパ「うぅん……そうだなぁ。保護欲ってのは、あくまで自分主体だろう?」
杏子「うん?」
パパ「その対象を自分の庇護下において、守りたい。それって一種の所有欲だよね?」
杏子「まぁ、そうかもな」
パパ「でも僕の場合は、あくまで相手主体なんだ。彼女が何かをして、それをサポートする。言うなら従属欲だね」
杏子「要するに、あんたはMって事だ」
パパ「トロいって…… 実の父親の前でそういう事言うかなぁ。まぁ確かに、僕に似てあまり強気な性格ではないね」
杏子「やっぱさ、男ってああいう性格の娘がいいのかね?」
パパ「お、恋の悩みかい?」
杏子「ち、ちげーよ。ただ、一般論でさ」
パパ「うぅん、どうだろう? 僕は絢子さんみたいなしっかりした性格のほうがいいけれど」
杏子「だから一般論だって言ってるだろ!? でさ、そういうのが好きな男ってのは要するに、守ってあげたいとか思うんだろ?」
パパ「まぁ、そうだろうね」
杏子「それって、アンタの言う支えてあげたいってのとは違うのか? 保護欲って言うの? そういうのさ」
パパ「うぅん……そうだなぁ。保護欲ってのは、あくまで自分主体だろう?」
杏子「うん?」
パパ「その対象を自分の庇護下において、守りたい。それって一種の所有欲だよね?」
杏子「まぁ、そうかもな」
パパ「でも僕の場合は、あくまで相手主体なんだ。彼女が何かをして、それをサポートする。言うなら従属欲だね」
杏子「要するに、あんたはMって事だ」
110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 20:36:03.19 ID:GEkbmVdI0
パパ「Mって…… 最近の女の子は進んでるなぁ」
杏子「そうか? そういう話くらい、この年ならするだろ」
パパ「友達同士でするのかい? そういう話」
杏子「友達……ねぇ。もうずいぶん長いこと、あたしに友達なんて居ないよ」
パパ「まどかは違うのかい? まどかと仲のいい……えっと、美樹さんとか」
杏子「美樹? 美樹さやかの事か? ああいうのは苦手だね、あたしは」
パパ「前うちに遊びに来たときは、礼儀正しいいい子だと思ったけど」
杏子「いい子は好かないよ。あたしは悪い子だから」
パパ「そんな事ないと思うんだけどなぁ」
杏子「はっ この程度の会話であたしを分かった気になられちゃ困る。あたしは悪い子だ」
パパ「悪い子は買い物の手伝いなんてしてくれないよ」ニコ
杏子「なっ…… うう、とにかくあたしは悪い子なの!」
パパ「あはは、うん。悪い子悪い子」
杏子「てめぇ! 適当に流すんじゃねぇ!」
杏子「そうか? そういう話くらい、この年ならするだろ」
パパ「友達同士でするのかい? そういう話」
杏子「友達……ねぇ。もうずいぶん長いこと、あたしに友達なんて居ないよ」
パパ「まどかは違うのかい? まどかと仲のいい……えっと、美樹さんとか」
杏子「美樹? 美樹さやかの事か? ああいうのは苦手だね、あたしは」
パパ「前うちに遊びに来たときは、礼儀正しいいい子だと思ったけど」
杏子「いい子は好かないよ。あたしは悪い子だから」
パパ「そんな事ないと思うんだけどなぁ」
杏子「はっ この程度の会話であたしを分かった気になられちゃ困る。あたしは悪い子だ」
パパ「悪い子は買い物の手伝いなんてしてくれないよ」ニコ
杏子「なっ…… うう、とにかくあたしは悪い子なの!」
パパ「あはは、うん。悪い子悪い子」
杏子「てめぇ! 適当に流すんじゃねぇ!」
113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 20:47:39.39 ID:GEkbmVdI0
杏子「第一、いい子は平日の昼間っから無職のおっさんと買い物なんか行かない」
パパ「無職のおっさんって……酷いなぁ。ちょっと傷つくよ」シュン
杏子「う、あ…… ご、ごめん」
パパ「あはは、冗談だよ」
杏子「なっ! てめー!」
パパ「じゃあ僕はレジに行ってくるから」
杏子「あっ! 待てよ!」
パパ「大丈夫かい?」
杏子「なぁに、こう見えてあたしは力持ちなんだ」
パパ「でも、結構な量じゃないか」
杏子「鍛え方が違うんでね」
パパ「頼もしいなぁ。でも、無理はいけないよ?」
杏子「しつこいっつーの。ホラ、そっちの袋も貸せよ」
パパ「まだ持てるのかい!? さすがに無理だよ。まどかなら一つ目の袋でダウンしてる」
杏子「あいつと一緒にすんなってーの!」
パパ「無職のおっさんって……酷いなぁ。ちょっと傷つくよ」シュン
杏子「う、あ…… ご、ごめん」
パパ「あはは、冗談だよ」
杏子「なっ! てめー!」
パパ「じゃあ僕はレジに行ってくるから」
杏子「あっ! 待てよ!」
パパ「大丈夫かい?」
杏子「なぁに、こう見えてあたしは力持ちなんだ」
パパ「でも、結構な量じゃないか」
杏子「鍛え方が違うんでね」
パパ「頼もしいなぁ。でも、無理はいけないよ?」
杏子「しつこいっつーの。ホラ、そっちの袋も貸せよ」
パパ「まだ持てるのかい!? さすがに無理だよ。まどかなら一つ目の袋でダウンしてる」
杏子「あいつと一緒にすんなってーの!」
119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 21:15:03.89 ID:GEkbmVdI0
杏子「見てろよ!」タッッタッタ
パパ「杏子ちゃん!?」
杏子「こんだけ持って走れるんだから! なかなかのもんだろー!」タッタッタ
パパ「おーい! 待って! 止まって!」タッタッタ
杏子「はははは! ほら! 追いついてみな!」タッタッタ
パパ「そうじゃなくて! 卵! 卵が!」
杏子「あ……」ガサガサ
杏子「あー……」デローン
パパ「あー……」
杏子「えっと、その、これはー……」アセアセ
パパ「いいよいいよ、杏子ちゃんは僕に力持ちだって証明したかったんだよね。疑った僕も悪かった」
杏子「そ、そうだろ!? あたしにとっちゃこれくらい余裕だっての!」フンス
パパ「そうだね、じゃあ残りの袋も杏子ちゃんにお願いしようかな。でも、その前にこういう時はなんて言うんだったかな?」
杏子「うあ…… ご、ごめんなさい」シュン
パパ「うん、よくできました。 それじゃあ行こうか、お昼ごはんにしよう」
パパ「杏子ちゃん!?」
杏子「こんだけ持って走れるんだから! なかなかのもんだろー!」タッタッタ
パパ「おーい! 待って! 止まって!」タッタッタ
杏子「はははは! ほら! 追いついてみな!」タッタッタ
パパ「そうじゃなくて! 卵! 卵が!」
杏子「あ……」ガサガサ
杏子「あー……」デローン
パパ「あー……」
杏子「えっと、その、これはー……」アセアセ
パパ「いいよいいよ、杏子ちゃんは僕に力持ちだって証明したかったんだよね。疑った僕も悪かった」
杏子「そ、そうだろ!? あたしにとっちゃこれくらい余裕だっての!」フンス
パパ「そうだね、じゃあ残りの袋も杏子ちゃんにお願いしようかな。でも、その前にこういう時はなんて言うんだったかな?」
杏子「うあ…… ご、ごめんなさい」シュン
パパ「うん、よくできました。 それじゃあ行こうか、お昼ごはんにしよう」
124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 21:29:36.64 ID:GEkbmVdI0
杏子「うっどんっ! うっどんっ!」
パパ「あ、杏子ちゃんはうどんが食べたかったのかい?」
杏子「あ? だってうどん玉買ってたじゃねーかよ」
パパ「あぁ、これは今日の晩ご飯のつもりだったんだけど」
杏子「そうなんだ。ま、いいけどさ」
パパ「うーん、絢子さんがうどんを食べたいって言ってたからなぁ…… そうだ、夜もウチで食べていくかい?」
杏子「いや、さすがにそれは悪いっての」
パパ「別に僕は構わないんだけど? 前に美樹さんもうちでご飯を食べていったこともあるし」
杏子「いや、でもさ……」
パパ「とりあえず、お昼ごはんにしよう。そうだな、オムライスは好きかい?」
杏子「好き!」
パパ「それは良かった。じゃあすぐに作るから待っててね」
杏子「オムライスかぁ、久しぶりだ……って、何普通にメシ食うつもりでいるんだよあたしは」
ほむら「そうね」
杏子「うっひゃぁ!?」
パパ「あ、杏子ちゃんはうどんが食べたかったのかい?」
杏子「あ? だってうどん玉買ってたじゃねーかよ」
パパ「あぁ、これは今日の晩ご飯のつもりだったんだけど」
杏子「そうなんだ。ま、いいけどさ」
パパ「うーん、絢子さんがうどんを食べたいって言ってたからなぁ…… そうだ、夜もウチで食べていくかい?」
杏子「いや、さすがにそれは悪いっての」
パパ「別に僕は構わないんだけど? 前に美樹さんもうちでご飯を食べていったこともあるし」
杏子「いや、でもさ……」
パパ「とりあえず、お昼ごはんにしよう。そうだな、オムライスは好きかい?」
杏子「好き!」
パパ「それは良かった。じゃあすぐに作るから待っててね」
杏子「オムライスかぁ、久しぶりだ……って、何普通にメシ食うつもりでいるんだよあたしは」
ほむら「そうね」
杏子「うっひゃぁ!?」
133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 21:44:47.12 ID:GEkbmVdI0
杏子「なんだよお前! どこから入ってきた!」
ほむら「妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい」
杏子「お、おい……」
ほむら「これ以上まどかの家に居座るようなら…… 分かってるわね?」ホムッ!
杏子「ひぃぃぃ!!」ガクガク
パパ「杏子ちゃん、どうしたんだい!?」
杏子「こここここいつが! ……あれ?」
パパ「こいつ? 誰も居ないようだけど?」
杏子「……見間違いか? でもなんか背筋に寒気が」ブルッ
パパ「風邪かな? 待ってて、今薬を持って来るから」
杏子「いいよ。そう大したことはなさそうだし。でも、あたしはもう帰ることにするよ……」
パパ「家はどこだい? 送っていこうか?」
杏子「いいっての。それじゃあな」
パパ「うん。またね、杏子ちゃん」
ガチャ バタン
ほむら「妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい」
杏子「お、おい……」
ほむら「これ以上まどかの家に居座るようなら…… 分かってるわね?」ホムッ!
杏子「ひぃぃぃ!!」ガクガク
パパ「杏子ちゃん、どうしたんだい!?」
杏子「こここここいつが! ……あれ?」
パパ「こいつ? 誰も居ないようだけど?」
杏子「……見間違いか? でもなんか背筋に寒気が」ブルッ
パパ「風邪かな? 待ってて、今薬を持って来るから」
杏子「いいよ。そう大したことはなさそうだし。でも、あたしはもう帰ることにするよ……」
パパ「家はどこだい? 送っていこうか?」
杏子「いいっての。それじゃあな」
パパ「うん。またね、杏子ちゃん」
ガチャ バタン
144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 22:51:06.27 ID:GEkbmVdI0
■翌日 ダンボールハウス
杏子「結局、謎の悪寒で昼過ぎまで寝ちまった……」
杏子「もう昼飯時は過ぎちまったなぁ……」
杏子「行ってもしょうがないんだけど……」
杏子「ま、まぁ暇だしな!」
■鹿目邸
杏子「うぅ……インターホンが重い」
さやか「あぁー! この前の魔法少女!」
杏子「げ、美樹さやか」
まどか「私の家に何か用、かな?」
杏子「あ、えっとその……あたしはー……」
さやか「まどかに何かしたら絶対許さないわよ!」
杏子「ハッ! 弱い犬ほどよく吠えるってやつだな」
さやか「なんですってぇー!」
まどか「さやかちゃん、落ち着いてよ…… 杏子ちゃんも、戦いに来たわけじゃ無いん、だよね?」
杏子「結局、謎の悪寒で昼過ぎまで寝ちまった……」
杏子「もう昼飯時は過ぎちまったなぁ……」
杏子「行ってもしょうがないんだけど……」
杏子「ま、まぁ暇だしな!」
■鹿目邸
杏子「うぅ……インターホンが重い」
さやか「あぁー! この前の魔法少女!」
杏子「げ、美樹さやか」
まどか「私の家に何か用、かな?」
杏子「あ、えっとその……あたしはー……」
さやか「まどかに何かしたら絶対許さないわよ!」
杏子「ハッ! 弱い犬ほどよく吠えるってやつだな」
さやか「なんですってぇー!」
まどか「さやかちゃん、落ち着いてよ…… 杏子ちゃんも、戦いに来たわけじゃ無いん、だよね?」
147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 23:03:14.39 ID:GEkbmVdI0
杏子「まぁ、そうだけどさ……」
さやか「でもあんた、最近まどかの家の近くウロウロしてるらしいじゃん。怪しんだよね」
杏子「あたしは、別に……」
まどか「えっと、パパとお話してたんだよね?」
さやか「はぁ? ホントなの? それ」
杏子「まぁ……うん」
さやか「ホント何が目的なわけ? まどかのパパに取り入って、何企んでるのよ」
杏子「別にあたしは何も企んじゃいねーよ」
さやか「嘘。信用できない」
杏子「嘘じゃねーっての! あたしはただ、知久のメシを……」
さやか「知久ぁ!? アンタ何でまどかのパパを呼び捨てに……まさか!?」
まどか「え? えぇー!? 駄目だよ杏子ちゃん! そんなの絶対おかしいよ!」
杏子「ちげーよ馬鹿! なんであたしがあんなおっさんを――」
パパ「僕がどうかしたのかい?」 ガチャ
杏子「うわぁっ!?」
さやか「でもあんた、最近まどかの家の近くウロウロしてるらしいじゃん。怪しんだよね」
杏子「あたしは、別に……」
まどか「えっと、パパとお話してたんだよね?」
さやか「はぁ? ホントなの? それ」
杏子「まぁ……うん」
さやか「ホント何が目的なわけ? まどかのパパに取り入って、何企んでるのよ」
杏子「別にあたしは何も企んじゃいねーよ」
さやか「嘘。信用できない」
杏子「嘘じゃねーっての! あたしはただ、知久のメシを……」
さやか「知久ぁ!? アンタ何でまどかのパパを呼び捨てに……まさか!?」
まどか「え? えぇー!? 駄目だよ杏子ちゃん! そんなの絶対おかしいよ!」
杏子「ちげーよ馬鹿! なんであたしがあんなおっさんを――」
パパ「僕がどうかしたのかい?」 ガチャ
杏子「うわぁっ!?」
163: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 23:25:30.77 ID:GEkbmVdI0
杏子「び、びっくりさせんな! 馬鹿!」
パパ「ごめんごめん。あ、おかえり、まどか」
まどか「ただいま」
さやか「こんにちは」
パパ「こんにちは。そういえば杏子ちゃん、今日はお昼に来なかったね、やっぱり風邪でも引いてたのかい?」
杏子「なんか風邪とは違うような気がしたけど、まぁ結局昼間で寝込んじまったよ」
パパ「もう大丈夫なのかい?」
杏子「まぁね。言っただろ? 鍛え方が違うんだよ」
さやか「あの……」
パパ「ん? 何かな?」
さやか「こいつとパパさんは、どういう関係なんですか?」
パパ「うーん、なんなんだろうね?」
さやか「あたしは真剣に聞いてるんです!」サヤッ!
パパ「え、えっと……」
杏子「変な事聞いてんなよ。知久困ってんじゃんか」
パパ「ごめんごめん。あ、おかえり、まどか」
まどか「ただいま」
さやか「こんにちは」
パパ「こんにちは。そういえば杏子ちゃん、今日はお昼に来なかったね、やっぱり風邪でも引いてたのかい?」
杏子「なんか風邪とは違うような気がしたけど、まぁ結局昼間で寝込んじまったよ」
パパ「もう大丈夫なのかい?」
杏子「まぁね。言っただろ? 鍛え方が違うんだよ」
さやか「あの……」
パパ「ん? 何かな?」
さやか「こいつとパパさんは、どういう関係なんですか?」
パパ「うーん、なんなんだろうね?」
さやか「あたしは真剣に聞いてるんです!」サヤッ!
パパ「え、えっと……」
杏子「変な事聞いてんなよ。知久困ってんじゃんか」
168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 23:33:09.82 ID:GEkbmVdI0
さやか「うっさい! あんたは黙ってて!」
まどか「あわわ……」オロオロ
パパ「ううん…… まどか、お姉ちゃん、欲しくない?」
まどか「え? えぇと……ちょっと憧れるかな、なんて」
パパ「そっか、じゃあこちらが新しいお姉ちゃんです!」パパーン!
まどか「え? えぇー!?」
杏子「ちょ、待てよ! 何言ってんだおまえ!」
パパ「あはは、冗談だよ。でも、杏子ちゃんと話してると、娘がもう一人増えたみたいな気分だったからね、
言うならそんな関係かな? どう? 納得できないかな?」
さやか「…………」
まどか「さやかちゃん……」
さやか「……はぁ、鹿目家は毎日楽しそうでいいよね、ホント」
杏子「お前……」
さやか「さやか! 美樹さやかよ! アンタでもお前でも無いわ」
杏子「お? おう」
さやか「まぁ、まどかのパパがそう言うなら、そんなに悪いやつでも無さそうだし。いいわ、信用してあげる」
まどか「あわわ……」オロオロ
パパ「ううん…… まどか、お姉ちゃん、欲しくない?」
まどか「え? えぇと……ちょっと憧れるかな、なんて」
パパ「そっか、じゃあこちらが新しいお姉ちゃんです!」パパーン!
まどか「え? えぇー!?」
杏子「ちょ、待てよ! 何言ってんだおまえ!」
パパ「あはは、冗談だよ。でも、杏子ちゃんと話してると、娘がもう一人増えたみたいな気分だったからね、
言うならそんな関係かな? どう? 納得できないかな?」
さやか「…………」
まどか「さやかちゃん……」
さやか「……はぁ、鹿目家は毎日楽しそうでいいよね、ホント」
杏子「お前……」
さやか「さやか! 美樹さやかよ! アンタでもお前でも無いわ」
杏子「お? おう」
さやか「まぁ、まどかのパパがそう言うなら、そんなに悪いやつでも無さそうだし。いいわ、信用してあげる」
173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 23:39:16.35 ID:GEkbmVdI0
まどか「さやかちゃん!」
さやか「はぁ、ホント調子狂うよね……」
パパ「えっと、仲直りできたのかな?」
杏子「仲直りも何も、別にこいつと馴れ合うつもりなんて……」
さやか「あたしだってそうよ! ただまどかに何かするつもりじゃないってのは信用してあげるってだけだからね!」
杏子「んだとぉ……!」
まどか「あわわ……」
パパ「まぁまぁ、とりあえず上がりなよ。ココア作ってくるから。まどか、二人をリビングに連れてきてあげて」
まどか「う、うん。 ほら行こ、二人とも」
杏子「チッ 知久に感謝するんだな」
さやか「別に、アンタともう話すことなんか無いし、帰ってもいいんだけど?」
まどか「もう! さやかちゃん」マドマドプンプン!
ほむら「………壁殴ってしまったわ」ギリッ
さやか「はぁ、ホント調子狂うよね……」
パパ「えっと、仲直りできたのかな?」
杏子「仲直りも何も、別にこいつと馴れ合うつもりなんて……」
さやか「あたしだってそうよ! ただまどかに何かするつもりじゃないってのは信用してあげるってだけだからね!」
杏子「んだとぉ……!」
まどか「あわわ……」
パパ「まぁまぁ、とりあえず上がりなよ。ココア作ってくるから。まどか、二人をリビングに連れてきてあげて」
まどか「う、うん。 ほら行こ、二人とも」
杏子「チッ 知久に感謝するんだな」
さやか「別に、アンタともう話すことなんか無いし、帰ってもいいんだけど?」
まどか「もう! さやかちゃん」マドマドプンプン!
ほむら「………壁殴ってしまったわ」ギリッ
179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/07(木) 23:53:13.07 ID:GEkbmVdI0
パパ「はい、ココア」
さやか「ありがとうございます」
杏子「ん……」ズズ
まどか「それで、杏子ちゃんは何で私の家に来てたの?」
杏子「う……いやそれは」
パパ「まどかに何か用事があったんだよね?」
さやか「あんたやっぱり!」ガタッ
杏子「ち、ちげーよ!」
さやか「じゃあ何しに来たってのよ」
杏子「その、あたしは……」チラッ
まどか「? 私に何か用かな?」
杏子「うぅ……」
ほむら「この子はホームレスなのよ」
まどか「ほむらちゃん!?」
さやか「ありがとうございます」
杏子「ん……」ズズ
まどか「それで、杏子ちゃんは何で私の家に来てたの?」
杏子「う……いやそれは」
パパ「まどかに何か用事があったんだよね?」
さやか「あんたやっぱり!」ガタッ
杏子「ち、ちげーよ!」
さやか「じゃあ何しに来たってのよ」
杏子「その、あたしは……」チラッ
まどか「? 私に何か用かな?」
杏子「うぅ……」
ほむら「この子はホームレスなのよ」
まどか「ほむらちゃん!?」
187: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 00:04:58.58 ID:uN2RpVOL0
さやか「転校生!? あんたどっから入ってきたのよ!」
ほむら「私は最初から居たわ」
パパ「えっ? ごめんね、気づかなかったよ。すぐにココアを作ってくるから」
ほむら「いえ、おかまいなく」
杏子「ガクガクブルブル」
さやか「ちょっと転校生! 今の本当なの?」
ほむら「えぇ、今は2丁目の公園にダンボールハウスを建設してそこに住んでいるわ」
杏子「ちょちょちょちょぉ! おまっ! 何いってんだよ!?」
まどか「杏子ちゃん……」グスッ
さやか「ダンボールハウス(笑)」
杏子「ウッセー! 殺すぞてめぇ!」
パパ「杏子ちゃん、本当なのかい?」
杏子「う…… えっと、そのぉ…… うん」
さやか「ダンボールハウスに?」
杏子「ダンボール、ハウスに……」
ほむら「私は最初から居たわ」
パパ「えっ? ごめんね、気づかなかったよ。すぐにココアを作ってくるから」
ほむら「いえ、おかまいなく」
杏子「ガクガクブルブル」
さやか「ちょっと転校生! 今の本当なの?」
ほむら「えぇ、今は2丁目の公園にダンボールハウスを建設してそこに住んでいるわ」
杏子「ちょちょちょちょぉ! おまっ! 何いってんだよ!?」
まどか「杏子ちゃん……」グスッ
さやか「ダンボールハウス(笑)」
杏子「ウッセー! 殺すぞてめぇ!」
パパ「杏子ちゃん、本当なのかい?」
杏子「う…… えっと、そのぉ…… うん」
さやか「ダンボールハウスに?」
杏子「ダンボール、ハウスに……」
197: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 00:17:37.71 ID:uN2RpVOL0
パパ「親御さんは……居ないんだったね、ごめん。えっと、保護者の方はいないの?」
杏子「……居ない」
パパ「そっか…… 行くあては、ないんだよね」
杏子「……」コクリ
パパ「…………」
まどか「じゃ、じゃあ! ウチに住みなよ! お部屋余ってるし、いいよね!?」
ほむら「!?」
さやか「ちょ、まどか。あんたそれ無茶苦茶だよ」
パパ「……うん、そうだね。しばらくウチに居るといい。ママもきっと歓迎してくれるよ」
杏子「ちょ! 何いってんだ! んなの無理に決まってんだろ!」
ほむら「そそそそうね、げげげ現実的ではないわ!」
パパ「そこを何とかするのが、大人の仕事だよ」
杏子「そういうことじゃなくて! あーもう!」
パパ「杏子ちゃんは、嫌かい?」
杏子「嫌じゃ、ないけど……」
杏子「……居ない」
パパ「そっか…… 行くあては、ないんだよね」
杏子「……」コクリ
パパ「…………」
まどか「じゃ、じゃあ! ウチに住みなよ! お部屋余ってるし、いいよね!?」
ほむら「!?」
さやか「ちょ、まどか。あんたそれ無茶苦茶だよ」
パパ「……うん、そうだね。しばらくウチに居るといい。ママもきっと歓迎してくれるよ」
杏子「ちょ! 何いってんだ! んなの無理に決まってんだろ!」
ほむら「そそそそうね、げげげ現実的ではないわ!」
パパ「そこを何とかするのが、大人の仕事だよ」
杏子「そういうことじゃなくて! あーもう!」
パパ「杏子ちゃんは、嫌かい?」
杏子「嫌じゃ、ないけど……」
205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 00:35:56.61 ID:uN2RpVOL0
まどか「じゃあ決まりだね! 私、空いてる部屋の掃除してくる!」
ほむら「手伝うわ、まどか」
パパ「杏子ちゃん、荷物はどうしてる?」
杏子「駅のロッカーに……」
パパ「取っておいで、その間に晩ご飯作ってるから。美樹さん、付いて行ってあげてもらえるかな?」
さやか「わかりました!」
杏子「ちょ、別にいいよ……」
さやか「いいから、行くわよ」
杏子「ちょっ! 待てよさやか!」
パパ「ふぅ……純子さんになんて説明しようかなぁ……」
ほむら「手伝うわ、まどか」
パパ「杏子ちゃん、荷物はどうしてる?」
杏子「駅のロッカーに……」
パパ「取っておいで、その間に晩ご飯作ってるから。美樹さん、付いて行ってあげてもらえるかな?」
さやか「わかりました!」
杏子「ちょ、別にいいよ……」
さやか「いいから、行くわよ」
杏子「ちょっ! 待てよさやか!」
パパ「ふぅ……純子さんになんて説明しようかなぁ……」
206: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 00:41:56.12 ID:uN2RpVOL0
ママ「たっだいまぁ~!」
まどか「ママおかえり」
さやか「おかえりなさい、ママさん」
杏子「………」
ほむら「娘さんを私にください」
ママ「おっ! 今日は可愛いどころがお出迎えかい? なーんか知らない顔もいるけど。まどか、新しいお友達?」
まどか「うんっ! この子が転校生の暁美ほむらちゃん。こっちが佐倉杏子ちゃん」
ほむら「よろしくおねがいします」
杏子「……」
ママ「杏子ちゃんは照れ屋なの?」
まどか「あはは……あのね、ママ」
ママ「うん?」
まどか「杏子ちゃんはね、おうちが無いの」
ママ「ありゃ、今流行のホームレス中学生かい? いやぁ、あの頃はまだすべらない話も面白かったのにねぇ」
まどか「それでね、しばらくウチに泊めてあげてほしいの」
まどか「ママおかえり」
さやか「おかえりなさい、ママさん」
杏子「………」
ほむら「娘さんを私にください」
ママ「おっ! 今日は可愛いどころがお出迎えかい? なーんか知らない顔もいるけど。まどか、新しいお友達?」
まどか「うんっ! この子が転校生の暁美ほむらちゃん。こっちが佐倉杏子ちゃん」
ほむら「よろしくおねがいします」
杏子「……」
ママ「杏子ちゃんは照れ屋なの?」
まどか「あはは……あのね、ママ」
ママ「うん?」
まどか「杏子ちゃんはね、おうちが無いの」
ママ「ありゃ、今流行のホームレス中学生かい? いやぁ、あの頃はまだすべらない話も面白かったのにねぇ」
まどか「それでね、しばらくウチに泊めてあげてほしいの」
213: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 00:51:21.28 ID:uN2RpVOL0
ママ「お安い御用さ。うんうん、こんな可愛い子、泊まるどころか娘にしたいぐらいさ。ちょうど後一人欲しかったところなのよ」
まどか「いいの!?」
ママ「もちろんさ。よろしくね、杏子ちゃん」
杏子「よろしく、おねがいします……」
ママ「あはは! 照れてる顔もかわいねぇ! そんじゃ、飯にしようか」
さやか「待ってました!」
ほむら「そうね、佐倉杏子がお義母さまが帰ってくるまで食べないと言い張るものだから」
杏子「! 余計な事いうんじゃねぇ!」
まどか「それじゃあ、パパに温めてもらってくるね!」タッタッタ
ほむら「私も手伝うわ、まどか」
ママ「待っててくれたんだ、杏子ちゃん」
杏子「……飯はさ、皆で食べたほうが……美味いだろ?」
ママ「あっはっは! そうさね! 気に入ったよアンタ! 本当に娘にしたいくらいだ!」
こうして、鹿目家の夜は更けていく。
いくつもの団欒の夜を迎え、佐倉杏子の名前が、鹿目杏子に変わるのはもう少し後の、お話。
おしまい。
まどか「いいの!?」
ママ「もちろんさ。よろしくね、杏子ちゃん」
杏子「よろしく、おねがいします……」
ママ「あはは! 照れてる顔もかわいねぇ! そんじゃ、飯にしようか」
さやか「待ってました!」
ほむら「そうね、佐倉杏子がお義母さまが帰ってくるまで食べないと言い張るものだから」
杏子「! 余計な事いうんじゃねぇ!」
まどか「それじゃあ、パパに温めてもらってくるね!」タッタッタ
ほむら「私も手伝うわ、まどか」
ママ「待っててくれたんだ、杏子ちゃん」
杏子「……飯はさ、皆で食べたほうが……美味いだろ?」
ママ「あっはっは! そうさね! 気に入ったよアンタ! 本当に娘にしたいくらいだ!」
こうして、鹿目家の夜は更けていく。
いくつもの団欒の夜を迎え、佐倉杏子の名前が、鹿目杏子に変わるのはもう少し後の、お話。
おしまい。
219: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 00:54:11.32 ID:u7q4kYBD0
( ;∀;) イイハナシダナー
あんこちゃんかわいいよあんこ
あんこちゃんかわいいよあんこ
222: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 00:56:01.76 ID:WG944am/0
おい!あんこちゃんが知久さんを間違えてパパって呼んじゃう展開はまだかよ!
226: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 00:57:51.70 ID:L0Ntdbdl0
あんあんしてなくても杏子ちゃん可愛かった乙!
228: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/08(金) 01:01:57.61 ID:9fXmBq6OO
あんこちゃんちょーかわいい
ほむら「レストランほむほむ」
2020-05-19
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 21:09:30.73 ID:HmL+4L9g0
ほむら「今日も赤字……」
ほむら「全くお客さんがこないわ……」
ほむら「あら? だれか来客……?」
QB「やあ、暁美ほむら」
ほむら「帰ってちょうだい」
QB「待ってくれ。今日は君にいい話を持って来たんだ」
ほむら「いい話?」
QB「ボクとフランチャイズをして加盟店になってよ!」
ほむら「全くお客さんがこないわ……」
ほむら「あら? だれか来客……?」
QB「やあ、暁美ほむら」
ほむら「帰ってちょうだい」
QB「待ってくれ。今日は君にいい話を持って来たんだ」
ほむら「いい話?」
QB「ボクとフランチャイズをして加盟店になってよ!」
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3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 21:16:01.64 ID:HmL+4L9g0
ほむら「フランチャイズ契約?」
QB「ああ。そうすればQBグループのノウハウに基づいて君の店を急成長させられる筈さ」
ほむら「……」
QB「対価として売り上げの一部は頂くけど、君にとっても悪い話じゃないと思うよ」
ほむら「そうね……、このまま店を畳むぐらいなら……」
QB「よく言ってくれたね! それじゃあ、今日のところは契約の概要だけ説明させてもらうよ」
QB「ああ。そうすればQBグループのノウハウに基づいて君の店を急成長させられる筈さ」
ほむら「……」
QB「対価として売り上げの一部は頂くけど、君にとっても悪い話じゃないと思うよ」
ほむら「そうね……、このまま店を畳むぐらいなら……」
QB「よく言ってくれたね! それじゃあ、今日のところは契約の概要だけ説明させてもらうよ」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 21:18:28.78 ID:HmL+4L9g0
QB「まず、QBグループとフランチャイズ契約を結ぶにあたって、
看板を取り替えてもらう必要がある」
ほむら「レストランほむほむのままじゃ駄目なの?」
QB「ああ。そこは大前提だ」
ほむら(まどかが考えてくれた名前なのに……)
看板を取り替えてもらう必要がある」
ほむら「レストランほむほむのままじゃ駄目なの?」
QB「ああ。そこは大前提だ」
ほむら(まどかが考えてくれた名前なのに……)
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 21:24:19.05 ID:HmL+4L9g0
QB「メニューもQBグループで生産しているチルド商品に総替えだ」
ほむら「……」
QB「不服そうだね」
ほむら「ほむほむカレーだけは残しちゃ駄目かしら……?」
QB「駄目駄目。そんなQBグループのイメージと合わないメニューは却下だよ」
ほむら「じゃあ、ほむほむステーキは……?」
QB「それも駄目だ」
ほむら「……」
ほむら「……」
QB「不服そうだね」
ほむら「ほむほむカレーだけは残しちゃ駄目かしら……?」
QB「駄目駄目。そんなQBグループのイメージと合わないメニューは却下だよ」
ほむら「じゃあ、ほむほむステーキは……?」
QB「それも駄目だ」
ほむら「……」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 21:30:14.55 ID:HmL+4L9g0
『ほむらちゃん! このカレー美味しいよ!』
『本当、本当! お店で出せるぐらい!』
『もっと色々な人にこの味を知って欲しいなぁ』
『えっ!? レストランをつくるから、店名を考えて欲しい?』
『じゃあこういうのはどうかな。レストランほむほむ!』
『本当、本当! お店で出せるぐらい!』
『もっと色々な人にこの味を知って欲しいなぁ』
『えっ!? レストランをつくるから、店名を考えて欲しい?』
『じゃあこういうのはどうかな。レストランほむほむ!』
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 21:36:41.74 ID:HmL+4L9g0
QB「さて、対価となる料金の設定に移ろう。ボクとしては売り上げの50%を……」
ほむら「やっぱり止めるわ」
QB「……は?」
ほむら「ほむほむカレーを店で出せなくなるぐらいなら……、
私は今のままのこのお店で頑張る」
QB「君は何を言っているんだい? 全く訳が分からないよ。
そんなカビ臭いカレーなんかにこだわっているから、この店は閑古鳥が鳴いているんだろう?
ボクはその惨状から脱するチャンスを君に―――」
ほむら「カビ臭いカレーなんかじゃ……ない……」
QB「……」
ほむら「まどかが美味しいって言ってくれたカレーだもの」
ほむら「やっぱり止めるわ」
QB「……は?」
ほむら「ほむほむカレーを店で出せなくなるぐらいなら……、
私は今のままのこのお店で頑張る」
QB「君は何を言っているんだい? 全く訳が分からないよ。
そんなカビ臭いカレーなんかにこだわっているから、この店は閑古鳥が鳴いているんだろう?
ボクはその惨状から脱するチャンスを君に―――」
ほむら「カビ臭いカレーなんかじゃ……ない……」
QB「……」
ほむら「まどかが美味しいって言ってくれたカレーだもの」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 21:40:35.42 ID:HmL+4L9g0
QB「……本当に後悔はしないね?」
ほむら「私は自分が作った料理を皆に食べて欲しいの。
QBグループの一員にはならないわ」
QB「そうかい、残念だよ」
ほむら「……」
ほむら(これでいいのよね……)
ほむら「私は自分が作った料理を皆に食べて欲しいの。
QBグループの一員にはならないわ」
QB「そうかい、残念だよ」
ほむら「……」
ほむら(これでいいのよね……)
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 21:44:01.48 ID:HmL+4L9g0
ほむら(QBを追い出したはいいけど、後になって不安になってきたわ……)
ほむら(いくら皆に料理を食べて欲しいと思っても、お客さんが来ないんじゃ……)
からんからん
ほむら(!! 今日初めてのお客さん!)
ほむら「いらっしゃいませ!」
杏子「なんだ、夕飯時だってのに空いてるな」
ほむら「お一人様ですか?」
杏子「ああ。見ての通りだよ」
ほむら(いくら皆に料理を食べて欲しいと思っても、お客さんが来ないんじゃ……)
からんからん
ほむら(!! 今日初めてのお客さん!)
ほむら「いらっしゃいませ!」
杏子「なんだ、夕飯時だってのに空いてるな」
ほむら「お一人様ですか?」
杏子「ああ。見ての通りだよ」
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 21:48:00.62 ID:HmL+4L9g0
杏子「よいしょ、と。……ふーん、変わった商品名が多いな。
店員さん、何かおすすめはあるかい?」
ほむら「お、おすすめは……」
杏子「おすすめは?」
ほむら「ほむほむカレー、です……」
杏子「おいおい、本当にそれがおすすめメニューなのか?
そんなに自信なさげに言われると、なんだか不安になってくるぞ」
ほむら「すみません……」
杏子「まあいいや。じゃ、ほむほむカレーを頼むよ」
店員さん、何かおすすめはあるかい?」
ほむら「お、おすすめは……」
杏子「おすすめは?」
ほむら「ほむほむカレー、です……」
杏子「おいおい、本当にそれがおすすめメニューなのか?
そんなに自信なさげに言われると、なんだか不安になってくるぞ」
ほむら「すみません……」
杏子「まあいいや。じゃ、ほむほむカレーを頼むよ」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 21:50:20.88 ID:HmL+4L9g0
ほむら「3日ぶりのお客さん。張りきって作らなくちゃ」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「できた!」
ほむら「良い匂い」
ほむら「カビ臭くなんてない……、よね」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「できた!」
ほむら「良い匂い」
ほむら「カビ臭くなんてない……、よね」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 21:52:30.36 ID:HmL+4L9g0
ほむら「お待たせしました」
杏子「おっ、きたきた! いっただきまーす!
ほむら「……」ジーッ
杏子「……あ? なっ、何だよ。じっと見られてると食いにくいじゃんか」
ほむら「あ、す、すみません!」
杏子「別に逃げたりしないからさ、ちょっと離れててくんないかな」
ほむら「はい……」
杏子「おっ、きたきた! いっただきまーす!
ほむら「……」ジーッ
杏子「……あ? なっ、何だよ。じっと見られてると食いにくいじゃんか」
ほむら「あ、す、すみません!」
杏子「別に逃げたりしないからさ、ちょっと離れててくんないかな」
ほむら「はい……」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 21:55:59.27 ID:HmL+4L9g0
――――
杏子「店員さん、お勘定お願い」
ほむら「はい。480円になります」
杏子「じゃ、1000と80円で」
ほむら「こちら1000円と80円からおあずかりします。600円のお返しです」
杏子「どうも。んじゃな」
ほむら「ありがとうございました」
杏子「あ、そうそう」
ほむら「?」
杏子「カレー美味かった。またくるよ、ごちそうさん」
杏子「店員さん、お勘定お願い」
ほむら「はい。480円になります」
杏子「じゃ、1000と80円で」
ほむら「こちら1000円と80円からおあずかりします。600円のお返しです」
杏子「どうも。んじゃな」
ほむら「ありがとうございました」
杏子「あ、そうそう」
ほむら「?」
杏子「カレー美味かった。またくるよ、ごちそうさん」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 21:59:48.14 ID:HmL+4L9g0
からんからん
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「うっ……」
ほむら「ううっ、うっ……」
ほむら「まどか……」
ほむら「美味しかったって……、言ってもらえたよ……」
ほむら「嬉しいよぉ……」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「うっ……」
ほむら「ううっ、うっ……」
ほむら「まどか……」
ほむら「美味しかったって……、言ってもらえたよ……」
ほむら「嬉しいよぉ……」
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 22:02:37.52 ID:HmL+4L9g0
――――
ほむら「結局今日はお客さんは一人だけだった」
ほむら「でも、美味しかったって、始めて言ってもらえた……」
ほむら「まどか。私、明日からも頑張るね」
ほむら「……」
ほむら「おやすみなさい、まどか……」
ほむら「結局今日はお客さんは一人だけだった」
ほむら「でも、美味しかったって、始めて言ってもらえた……」
ほむら「まどか。私、明日からも頑張るね」
ほむら「……」
ほむら「おやすみなさい、まどか……」
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 22:07:23.02 ID:HmL+4L9g0
―――――
レストランほむほむの向かいの店
~BLUE SEA~
さやか「いらっしゃいませ!」
QB「やあ、さやか」
さやか「……なんだ、客じゃないのか」
QB「今日は君にいい話を持って来たんだ」
さやか「いい話?」
QB「ボクとフランチャイズ契約をして加盟店になってよ!」
さやか「加盟店に? ……いいわ、詳しく話を聞かせなさい」
~BLUE SEA~
早々に看板消滅
レストランほむほむの向かいの店
~BLUE SEA~
さやか「いらっしゃいませ!」
QB「やあ、さやか」
さやか「……なんだ、客じゃないのか」
QB「今日は君にいい話を持って来たんだ」
さやか「いい話?」
QB「ボクとフランチャイズ契約をして加盟店になってよ!」
さやか「加盟店に? ……いいわ、詳しく話を聞かせなさい」
~BLUE SEA~
早々に看板消滅
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 22:10:56.38 ID:HmL+4L9g0
――――
翌日
ほむら「おはよう、まどか……」
ほむら「今日はお客さん3人を目標に頑張るわ……」
ほむら「まずは店先の掃除をしようかしら」
ほむら「あら? 向かいの店が……QBグループのレストランに?
ほむら「あそこは美樹さやかのカフェだった筈なのに」
翌日
ほむら「おはよう、まどか……」
ほむら「今日はお客さん3人を目標に頑張るわ……」
ほむら「まずは店先の掃除をしようかしら」
ほむら「あら? 向かいの店が……QBグループのレストランに?
ほむら「あそこは美樹さやかのカフェだった筈なのに」
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 22:16:09.67 ID:HmL+4L9g0
QB→□λλλλλλ...ガヤガヤガヤ ■←レストランほむほむ
ほむら「あっちのお店は人がたくさん……」
ほむら「こっちは誰も来てくれない……」
ほむら「あっちのお店は人がたくさん……」
ほむら「こっちは誰も来てくれない……」
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 22:17:54.08 ID:HmL+4L9g0
ほむら「どうしよう……」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「そ、そうだ。チラシを配ってみようかしら」
ほむら「それで少しでも知名度が上がったら……」
ほむら「どうせ時間はあるし……」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「そ、そうだ。チラシを配ってみようかしら」
ほむら「それで少しでも知名度が上がったら……」
ほむら「どうせ時間はあるし……」
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 22:24:40.04 ID:HmL+4L9g0
ほむら「できたわ!」
―――――
レストランほむほむ

ほむほむカレー480円
ほむほむステーキ780円
まどかパフェ360円
お子様ランチ(手編み人形付き)600円
他、豊富なメニューを取り揃えています
今ならお会計時に「ほむほむ」と言って下さると粗品をプレゼント
―――――
レストランほむほむ

ほむほむカレー480円
ほむほむステーキ780円
まどかパフェ360円
お子様ランチ(手編み人形付き)600円
他、豊富なメニューを取り揃えています
今ならお会計時に「ほむほむ」と言って下さると粗品をプレゼント
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 22:30:38.30 ID:HmL+4L9g0
ほむら「100枚コピーしたわ……」
ほむら「お昼の営業時間までに配ってきましょう」
―CLOSED―
ほむら「ドアの板をひっくり返して、と……」
ほむら「よし、頑張りましょう」
ほむら「お昼の営業時間までに配ってきましょう」
―CLOSED―
ほむら「ドアの板をひっくり返して、と……」
ほむら「よし、頑張りましょう」
82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 22:34:27.59 ID:HmL+4L9g0
――――
駅前
ほむら「お願いします」
通行人1「……」
ほむら「お願いします」
通行人2「……」
ほむら「お、お願いします」
通行人3「あ、ども」
ほむら「ありがとうございます!」
ほむら(受け取ってくれた!)
通行人3(なんだこれ……。いらねーや、捨てよう)ポイッ
ほむら「……」
駅前
ほむら「お願いします」
通行人1「……」
ほむら「お願いします」
通行人2「……」
ほむら「お、お願いします」
通行人3「あ、ども」
ほむら「ありがとうございます!」
ほむら(受け取ってくれた!)
通行人3(なんだこれ……。いらねーや、捨てよう)ポイッ
ほむら「……」
92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 22:40:40.01 ID:HmL+4L9g0
ほむら「お願いします……」
通行人4「……」
ほむら「お願いします……」
通行人5「……」
JK1「ねー、ちょっとあそこのビラ配り暗くない?」
JK2「本当だ、マジ暗っ。朝から勘弁って感じ」
JK3「なんかネタになりそうだし私シャメ撮ろ」
JK1「あ、私も私も」
ほむら「……」カアアアッ
ほむら(もう帰ろう……)
JK2「あ、逃げた! 超ウケるー!」
通行人4「……」
ほむら「お願いします……」
通行人5「……」
JK1「ねー、ちょっとあそこのビラ配り暗くない?」
JK2「本当だ、マジ暗っ。朝から勘弁って感じ」
JK3「なんかネタになりそうだし私シャメ撮ろ」
JK1「あ、私も私も」
ほむら「……」カアアアッ
ほむら(もう帰ろう……)
JK2「あ、逃げた! 超ウケるー!」
96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 22:44:19.14 ID:HmL+4L9g0
――――
ほむら「何やってるんだろう……」
ほむら「結局、全然配れなくって……」
ほむら「はあ……」
からんからん
ほむら(お客さん!?)
ほむら「いらっしゃいませ!」
幼女「……? お人形屋さんじゃないの?」
ほむら(子供? 店先に私の人形とまどか人形が置いてあるから、勘違いされたのかしら……)
ほむら「何やってるんだろう……」
ほむら「結局、全然配れなくって……」
ほむら「はあ……」
からんからん
ほむら(お客さん!?)
ほむら「いらっしゃいませ!」
幼女「……? お人形屋さんじゃないの?」
ほむら(子供? 店先に私の人形とまどか人形が置いてあるから、勘違いされたのかしら……)
101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 22:51:32.00 ID:HmL+4L9g0
幼女「人形、置いてないの?」
ほむら「えっと、その……」
ほむら(お子様ランチのおまけ用のぬいぐるみは……、あったあった)
ほむら「はい、どうぞ。これでいいかしら?」
幼女「可愛い! えっと……、これで足りる?」
ほむら(100円玉……、子供にとっては大金よね)
ほむら「ううん、いいの。そのお人形はプレゼント」
幼女「本当に!? ありがとう!」
ほむら(喜んでもらえてよかった……)
ほむら(……店先に人形を置いていたから、子供に人形屋と間違えられた……のよね?)
ほむら(店先に何か宣伝になるものを置けば、通行人が見てくれるのかしら……)
ほむら「えっと、その……」
ほむら(お子様ランチのおまけ用のぬいぐるみは……、あったあった)
ほむら「はい、どうぞ。これでいいかしら?」
幼女「可愛い! えっと……、これで足りる?」
ほむら(100円玉……、子供にとっては大金よね)
ほむら「ううん、いいの。そのお人形はプレゼント」
幼女「本当に!? ありがとう!」
ほむら(喜んでもらえてよかった……)
ほむら(……店先に人形を置いていたから、子供に人形屋と間違えられた……のよね?)
ほむら(店先に何か宣伝になるものを置けば、通行人が見てくれるのかしら……)
106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 22:55:49.64 ID:HmL+4L9g0
ほむら「……」
ほむら「そうだわ。店の前に小さいブラックボードでも置こうかしら……」
ほむら「おすすめメニューや可愛いイラストを書いて……」
ほむら「そうすればきっと……」
ほむら「よし。明日買いにいきましょう」
ほむら「そうだわ。店の前に小さいブラックボードでも置こうかしら……」
ほむら「おすすめメニューや可愛いイラストを書いて……」
ほむら「そうすればきっと……」
ほむら「よし。明日買いにいきましょう」
112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 23:03:49.82 ID:HmL+4L9g0
――――
お昼時
TVスタッフ「マミさん! こちらが本日グルメレポートをするお店です!」
マミ「……何よこれ、物凄く混んでるじゃないの」
TVスタッフ「本日改装したてですので、物珍しいのでしょう。
それに何といってもあのQBグループのレストランですからね!」
マミ「こんなに混んでるお店で食べたくないわ」
TVスタッフ「そう言わずにー! QB側と話しはついているので、
ちゃんとお席は空けていただますって!」
マミ「それでも嫌よ。こんなに人が多い場所で食べたくないわ。
私、こっちのお店の方がいい」
TVスタッフ「ちょっ、マミさーん!? あ、ま、待ってくださいったら!」
お昼時
TVスタッフ「マミさん! こちらが本日グルメレポートをするお店です!」
マミ「……何よこれ、物凄く混んでるじゃないの」
TVスタッフ「本日改装したてですので、物珍しいのでしょう。
それに何といってもあのQBグループのレストランですからね!」
マミ「こんなに混んでるお店で食べたくないわ」
TVスタッフ「そう言わずにー! QB側と話しはついているので、
ちゃんとお席は空けていただますって!」
マミ「それでも嫌よ。こんなに人が多い場所で食べたくないわ。
私、こっちのお店の方がいい」
TVスタッフ「ちょっ、マミさーん!? あ、ま、待ってくださいったら!」
121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 23:10:12.19 ID:HmL+4L9g0
――――
からんからん
ほむら(またお客さん!)
ほむら「いらっしゃいま……せ……?」
マミ「何よ。外から見てそんな感じはしていたけれど、誰も客がいないじゃない。
あら? でも内装は悪くないわね」
ほむら(げ、芸能人の巴マミ!?)
TV「ちょっとマミさん、困りますって! QBレストランを持ちあげろって、上からの指示なんです!」
ほむら「あ、あの……」
マミ「1人」
ほむら「あ、はい。お1人様……、で、いいんですか」
マミ「ええ。さ、早く席に案内してちょうだい」
からんからん
ほむら(またお客さん!)
ほむら「いらっしゃいま……せ……?」
マミ「何よ。外から見てそんな感じはしていたけれど、誰も客がいないじゃない。
あら? でも内装は悪くないわね」
ほむら(げ、芸能人の巴マミ!?)
TV「ちょっとマミさん、困りますって! QBレストランを持ちあげろって、上からの指示なんです!」
ほむら「あ、あの……」
マミ「1人」
ほむら「あ、はい。お1人様……、で、いいんですか」
マミ「ええ。さ、早く席に案内してちょうだい」
132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 23:15:06.29 ID:HmL+4L9g0
ほむら「メニューはこちらになります」
マミ「ありがとう」
マミ(……?)
マミ(ほむほむカレー? まどかパフェ?)
マミ(どういう意味?)
ほむら「あの、何かメニューについてご質問がありましたら……」
マミ「いえ、その必要は無いわ! 私が知らない料理用語が存在する筈ないじゃない!」
ほむら「は、はあ……」
マミ(……)
マミ(見栄張ったけど、ほむほむとまどかってどういう意味の言葉よ!?)
マミ「ありがとう」
マミ(……?)
マミ(ほむほむカレー? まどかパフェ?)
マミ(どういう意味?)
ほむら「あの、何かメニューについてご質問がありましたら……」
マミ「いえ、その必要は無いわ! 私が知らない料理用語が存在する筈ないじゃない!」
ほむら「は、はあ……」
マミ(……)
マミ(見栄張ったけど、ほむほむとまどかってどういう意味の言葉よ!?)
145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 23:23:15.92 ID:HmL+4L9g0
マミ(ほむほむ……)
マミ(“ほむ”という音のダ・カーポ~繰り返し~により成り立っている言葉ね)
マミ(ほむ……、ほむ……)
マミ(ほむと聞いて連想するのは……)
マミ(そうね、地獄の業火の如く燃え上がる焔~ほむら~)
マミ(そういえばカレーと炎というのはイメージが合うわね……)
マミ(うん、きっとこの線だわ!)
マミ(ほむほむというのは、さながら地獄の番犬ケルベロスが
多頭から吐き出す業火~ヘルフレイム~のように)
マミ(激しく燃えるような熱い辛さであることを表現している言葉に違いない!)
マミ(こんな用語があったなんてね……、まだ世界は広いわ)
マミ(“ほむ”という音のダ・カーポ~繰り返し~により成り立っている言葉ね)
マミ(ほむ……、ほむ……)
マミ(ほむと聞いて連想するのは……)
マミ(そうね、地獄の業火の如く燃え上がる焔~ほむら~)
マミ(そういえばカレーと炎というのはイメージが合うわね……)
マミ(うん、きっとこの線だわ!)
マミ(ほむほむというのは、さながら地獄の番犬ケルベロスが
多頭から吐き出す業火~ヘルフレイム~のように)
マミ(激しく燃えるような熱い辛さであることを表現している言葉に違いない!)
マミ(こんな用語があったなんてね……、まだ世界は広いわ)
164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 23:31:57.47 ID:HmL+4L9g0
マミ(続いてまどかね)
マミ(“ま”という部分には、当然“魔”という字があてられるとして)
マミ(問題は“どか”ね)
マミ(どか……、どか……)
マミ(……どかベン?)
マミ(……)
マミ(あら? そういえばまどかという言葉は、円~真なる円環~と表記することもできるわね)
マミ(なるほど……)
マミ(言うなればパフェというのは、食事の終焉を告げる鐘、ティロ・フィナーレ)
マミ(食のラグナロクに際して、円環の理の加護を受けたデザートを食すというのは……)
マミ(どう考えても理にかなっているわね)
マミ(ふふっ、やはり食の世界は奥が深い)
マミ(“ま”という部分には、当然“魔”という字があてられるとして)
マミ(問題は“どか”ね)
マミ(どか……、どか……)
マミ(……どかベン?)
マミ(……)
マミ(あら? そういえばまどかという言葉は、円~真なる円環~と表記することもできるわね)
マミ(なるほど……)
マミ(言うなればパフェというのは、食事の終焉を告げる鐘、ティロ・フィナーレ)
マミ(食のラグナロクに際して、円環の理の加護を受けたデザートを食すというのは……)
マミ(どう考えても理にかなっているわね)
マミ(ふふっ、やはり食の世界は奥が深い)
176: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 23:37:11.07 ID:HmL+4L9g0
マミ「では、このほむほむカレー~繰り返し身を焦がす地獄のマグマ~と、
まどかパフェ~聖戦の終焉告げる女神の涙~をいただくわ」
ほむら「え、あ、えっと、はい」
ほむら(そういえば……)
ほむら(インパクトのある解説をすることで有名なんだっけ……)
ほむら(……)
ほむら(芸能人だからとか関係なく……)
ほむら(いつも通りのカレーをつくろう)
まどかパフェ~聖戦の終焉告げる女神の涙~をいただくわ」
ほむら「え、あ、えっと、はい」
ほむら(そういえば……)
ほむら(インパクトのある解説をすることで有名なんだっけ……)
ほむら(……)
ほむら(芸能人だからとか関係なく……)
ほむら(いつも通りのカレーをつくろう)
189: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 23:40:41.77 ID:HmL+4L9g0
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「……で、できた」
ほむら「いつも美味しいものを食べてる人に、通用するのかな……」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「まどかが美味しいって言ってくれたカレーだもの」
ほむら「きっと大丈夫」
ほむら「……」
ほむら「……で、できた」
ほむら「いつも美味しいものを食べてる人に、通用するのかな……」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「まどかが美味しいって言ってくれたカレーだもの」
ほむら「きっと大丈夫」
204: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 23:50:36.70 ID:HmL+4L9g0
ほむら「おまたせしました。ほむほむカレーです」
マミ「ありがとう」
マミ(……あ、あら?)
マミ(普通のカレーのように見えるわね)
マミ(食べてみるとヘルフレイムに舌を焼きつくされるのかしら)
マミ「Mangiamo……、いただきます」
ほむら「ど、どうぞ」
マミ「ありがとう」
マミ(……あ、あら?)
マミ(普通のカレーのように見えるわね)
マミ(食べてみるとヘルフレイムに舌を焼きつくされるのかしら)
マミ「Mangiamo……、いただきます」
ほむら「ど、どうぞ」
211: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/25(月) 23:55:00.67 ID:HmL+4L9g0
『マミー、あなたー、ご飯できたわよ!』
『おっ。今日はカレーか』
『わーい! 私お母さんのカレー大好き!』
『いただきまーす!』
ききーっ……どっかん!
『お父さん……? お母さん……?』
『や、嫌……返事して……返事してよ……』
『おっ。今日はカレーか』
『わーい! 私お母さんのカレー大好き!』
『いただきまーす!』
ききーっ……どっかん!
『お父さん……? お母さん……?』
『や、嫌……返事して……返事してよ……』
234: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 00:04:05.30 ID:HXRlipUC0
マミ「う、……ああっ……」
ほむら「お、お客様? お口に……あいませんでしたか?」
マミ「違う、違うの……美味しいの……」
ほむら「えっ……?」
マミ(不幸を味わった分、私はいつか人一倍幸せになるんだって、意気込んで……)
マミ(でも現実は厳しくて、馬鹿な妄想に逃げて……)
マミ(その後、なんとか運よく芸能界で成功できたものの、どこか物足りなくて……)
ほむら「お、お客様? お口に……あいませんでしたか?」
マミ「違う、違うの……美味しいの……」
ほむら「えっ……?」
マミ(不幸を味わった分、私はいつか人一倍幸せになるんだって、意気込んで……)
マミ(でも現実は厳しくて、馬鹿な妄想に逃げて……)
マミ(その後、なんとか運よく芸能界で成功できたものの、どこか物足りなくて……)
241: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 00:06:47.98 ID:HXRlipUC0
マミ(これ、お母さんのカレーみたい……)
マミ(私に欠けていたもの~カツテ失ッタ愛トイウ名ノヌクモリ~に包まれているような、そんな気持ち……)
マミ「ここ数年食べた料理の中で一番美味しいわ……」
ほむら「ほっ、本当ですか!?」
マミ「ええ……、本当よ」
マミ(私が失った、愛~人を人たらしめるモノ~、はここにあったのね)
マミ(私に欠けていたもの~カツテ失ッタ愛トイウ名ノヌクモリ~に包まれているような、そんな気持ち……)
マミ「ここ数年食べた料理の中で一番美味しいわ……」
ほむら「ほっ、本当ですか!?」
マミ「ええ……、本当よ」
マミ(私が失った、愛~人を人たらしめるモノ~、はここにあったのね)
263: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 00:13:47.42 ID:HXRlipUC0
マミ「あなた、名前は何というの?」
ほむら「あ、暁美ほむら……です」
マミ「そう。暁美さん、本当にありがとう。このカレーを食べさせてくれて、
プレシャスメモリーを思い出させてくれて、本当にありがとう」
ほむら「いえ……。私の方こそ、ありがとうございます」
――――
マミ「パフェも美味しかったわ。お代はここに置いておくわね」
ほむら「!? う、受け取れません、こんな何万円も!」
マミ「いいの、受け取って」
ほむら「……そ、それなら、少し待っていてください」
ほむら「あ、暁美ほむら……です」
マミ「そう。暁美さん、本当にありがとう。このカレーを食べさせてくれて、
プレシャスメモリーを思い出させてくれて、本当にありがとう」
ほむら「いえ……。私の方こそ、ありがとうございます」
――――
マミ「パフェも美味しかったわ。お代はここに置いておくわね」
ほむら「!? う、受け取れません、こんな何万円も!」
マミ「いいの、受け取って」
ほむら「……そ、それなら、少し待っていてください」
274: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 00:19:20.02 ID:HXRlipUC0
ほむら(紙に……、ペンで……)
ほむら(こんな感じかな……?)
ほむら「お待たせしました……、これをどうぞ」
マミ「カレー食べ放題券……?」
ほむら「はい……。またきてくださったら、嬉しいなって……。
私、誰かにカレーを食べていただくのが大好きなんです」」
マミ(食べ放題ということは……、毎日でもきてください的な、あれよね?)
マミ(しかも暁美さんは、私に愛のこもったカレーを食べさせてくれた)
マミ(これはまさか……)
マミ(毎日味噌汁を作ってあげる的な、あれ?)
マミ(……)キュンッ
ほむら(こんな感じかな……?)
ほむら「お待たせしました……、これをどうぞ」
マミ「カレー食べ放題券……?」
ほむら「はい……。またきてくださったら、嬉しいなって……。
私、誰かにカレーを食べていただくのが大好きなんです」」
マミ(食べ放題ということは……、毎日でもきてください的な、あれよね?)
マミ(しかも暁美さんは、私に愛のこもったカレーを食べさせてくれた)
マミ(これはまさか……)
マミ(毎日味噌汁を作ってあげる的な、あれ?)
マミ(……)キュンッ
289: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 00:24:14.81 ID:HXRlipUC0
マミ「あ、あ、あ、暁美さんっ!」
ほむら「は、はいっ?」
マミ「ふつつか者ですが……、ま、また来ます!」
ほむら「え……? あ、ありがとうございました……?」
ほむら「……」
ほむら「えへへ……」
ほむら「またきてくれるって、言ってもらっちゃった」
ほむら「最後はなんだか様子がおかしかったけど……」
ほむら「喜んでくれたの……よね?」
ほむら「は、はいっ?」
マミ「ふつつか者ですが……、ま、また来ます!」
ほむら「え……? あ、ありがとうございました……?」
ほむら「……」
ほむら「えへへ……」
ほむら「またきてくれるって、言ってもらっちゃった」
ほむら「最後はなんだか様子がおかしかったけど……」
ほむら「喜んでくれたの……よね?」
312: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 00:29:32.62 ID:HXRlipUC0
――――
テレビ局
上司「駄目だ駄目だ。こんなものは放送できん!」
TVクルー「と、巴マミの新たな一面ってことで……やっぱ駄目ですかね?」
上司「これが他の店なら、そういうキャッチフレーズでCMを飛ばして視聴率を稼ぐさ。
だが、大手のスポンサー様の向かいの店ともなれば話は別だ」
TVクルー「はは……、そうっすよね……」
テレビ局
上司「駄目だ駄目だ。こんなものは放送できん!」
TVクルー「と、巴マミの新たな一面ってことで……やっぱ駄目ですかね?」
上司「これが他の店なら、そういうキャッチフレーズでCMを飛ばして視聴率を稼ぐさ。
だが、大手のスポンサー様の向かいの店ともなれば話は別だ」
TVクルー「はは……、そうっすよね……」
317: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 00:34:08.77 ID:HXRlipUC0
――――
からんからん
杏子「ちーっす」
パンパーン!
杏子「な、何だぁ!? クラッカー!?」
ほむら「お、おめでとうございます……、あなたは本日3人目のお客様です……!」
杏子「さ、3人目?」
ほむら「最高記録なんです」
杏子「ちょい待ち! 3人で最高記録って、そりゃやばくないか!?」
からんからん
杏子「ちーっす」
パンパーン!
杏子「な、何だぁ!? クラッカー!?」
ほむら「お、おめでとうございます……、あなたは本日3人目のお客様です……!」
杏子「さ、3人目?」
ほむら「最高記録なんです」
杏子「ちょい待ち! 3人で最高記録って、そりゃやばくないか!?」
328: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 00:39:47.68 ID:HXRlipUC0
ほむら「……やっぱりそうでしょうか?」
杏子「ああ。そんなんじゃ赤字どころの騒ぎじゃないだろ!
味は大手のチェーンなんかより全然美味いんだけどなぁー」
ほむら「……」
杏子「やっぱ知名度の問題か? となれば……、手軽なとこだとビラ配りとか」
ほむら「び、ビラ配りは駄目! 絶対駄目!」
杏子「お、落ち着けって! あー、まあ、アンタそういうの苦手そうだしな。
まあいいや、とりあえずほむほむカレー頼むよ」
杏子「ああ。そんなんじゃ赤字どころの騒ぎじゃないだろ!
味は大手のチェーンなんかより全然美味いんだけどなぁー」
ほむら「……」
杏子「やっぱ知名度の問題か? となれば……、手軽なとこだとビラ配りとか」
ほむら「び、ビラ配りは駄目! 絶対駄目!」
杏子「お、落ち着けって! あー、まあ、アンタそういうの苦手そうだしな。
まあいいや、とりあえずほむほむカレー頼むよ」
344: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 00:46:28.46 ID:HXRlipUC0
杏子「うん、やっぱうめぇ! 次は別のメニューも頼んでみるかな」
ほむら(次……)
ほむら(また来る前提で、話してくれてる……)
ほむら(嬉しいな)
杏子「ところでさっきの話の続きだけどさ。アンタは何か宣伝とかするつもりあんの?」
ほむら「明日、店の前に小さな黒板を置こうかと……」
杏子「ああ、ああ。よく今日のおすすめメニューとか書かれてるようなあれか」
ほむら「はい」
杏子「うん、それいいんじゃないかね。ここの店って外見だけじゃ、
何が売りなのかイマイチ分かりづらいし」
ほむら(次……)
ほむら(また来る前提で、話してくれてる……)
ほむら(嬉しいな)
杏子「ところでさっきの話の続きだけどさ。アンタは何か宣伝とかするつもりあんの?」
ほむら「明日、店の前に小さな黒板を置こうかと……」
杏子「ああ、ああ。よく今日のおすすめメニューとか書かれてるようなあれか」
ほむら「はい」
杏子「うん、それいいんじゃないかね。ここの店って外見だけじゃ、
何が売りなのかイマイチ分かりづらいし」
355: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 00:56:09.29 ID:HXRlipUC0
杏子「ただそれだけじゃ弱いと思うんだよなぁー。
待ちの姿勢なんてのは、商売の世界じゃ避けるべきだ。まだ何か無いの?」
ほむら「じ、実は……」
杏子「ん?」
ほむら「今日、巴マミさんがこのお店に」
杏子「はぁあああああ!? え、何それ!? 本物!?」
ほむら「はい……」
杏子「おいおい! そんじゃ店の前に置く板にはこう書きな! 巴マミ御用達の店って!」
ほむら「で、でも、まだ一回しかご来店……」
杏子「そこはハッタリきかせればいいって! いける、いけるぞこれは!」
ほむら「……くすっ」
杏子「あ? なんで笑うんだよ?」
ほむら「なんだか、この店の為にそんなに一生懸命に考えてくださってるのが不思議で……」
待ちの姿勢なんてのは、商売の世界じゃ避けるべきだ。まだ何か無いの?」
ほむら「じ、実は……」
杏子「ん?」
ほむら「今日、巴マミさんがこのお店に」
杏子「はぁあああああ!? え、何それ!? 本物!?」
ほむら「はい……」
杏子「おいおい! そんじゃ店の前に置く板にはこう書きな! 巴マミ御用達の店って!」
ほむら「で、でも、まだ一回しかご来店……」
杏子「そこはハッタリきかせればいいって! いける、いけるぞこれは!」
ほむら「……くすっ」
杏子「あ? なんで笑うんだよ?」
ほむら「なんだか、この店の為にそんなに一生懸命に考えてくださってるのが不思議で……」
365: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 01:02:12.80 ID:HXRlipUC0
杏子「……ははっ。そうだな、何こんなに必死になってんだろうな」
ほむら「でも、ありがとうございます」
杏子「いいよ。多分それだけこの店が好きなんだろうね、あたし」
ほむら「……」
杏子「さってと、そろそろお暇するかな」
ほむら「あ、待ってください。粗品が……」
杏子「粗品? もしかして3人目記念の?」
ほむら「はい」
ほむら(本当は「ほむほむ」って言ってくれた人にあげるつもりだったけど……)
ほむら「でも、ありがとうございます」
杏子「いいよ。多分それだけこの店が好きなんだろうね、あたし」
ほむら「……」
杏子「さってと、そろそろお暇するかな」
ほむら「あ、待ってください。粗品が……」
杏子「粗品? もしかして3人目記念の?」
ほむら「はい」
ほむら(本当は「ほむほむ」って言ってくれた人にあげるつもりだったけど……)
390: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 01:10:04.49 ID:HXRlipUC0
ほむら「よろしかったらどうぞ」
杏子「おっ。美味そうなクッキーじゃん! 手作り?」
ほむら「ええ……」
杏子「後で食わせてもらうな。……ところで、これ何の形? 2つ結びの女の子?」
ほむら「まどかです」
杏子「まどか? 誰かの名前?」
ほむら「わ、私の……よ、じゃなくて、大切な人です」
杏子「ふーん……。そういえばメニューの中にもまどかって付いたものがあったな」
ほむら「はい……」
杏子「今度機会があったら会わせてくれな! そんじゃ、ごちそうさま!」
ほむら「ありがとうございました」
杏子「おっ。美味そうなクッキーじゃん! 手作り?」
ほむら「ええ……」
杏子「後で食わせてもらうな。……ところで、これ何の形? 2つ結びの女の子?」
ほむら「まどかです」
杏子「まどか? 誰かの名前?」
ほむら「わ、私の……よ、じゃなくて、大切な人です」
杏子「ふーん……。そういえばメニューの中にもまどかって付いたものがあったな」
ほむら「はい……」
杏子「今度機会があったら会わせてくれな! そんじゃ、ごちそうさま!」
ほむら「ありがとうございました」
407: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 01:16:15.68 ID:HXRlipUC0
――――
ほむら「無理よ、会わせるなんて……」
ほむら「だってまどかは……」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「会いたいよ……」
ほむら「まどかぁ……」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「おやすみなさい、まどか」
ほむら「無理よ、会わせるなんて……」
ほむら「だってまどかは……」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「会いたいよ……」
ほむら「まどかぁ……」
ほむら「……」
ほむら「……」
ほむら「おやすみなさい、まどか」
430: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 01:24:42.18 ID:HXRlipUC0
――――
マミ(ふふ、昨日の今日だけどまたきちゃった)
マミ(暁美さん待っててくれるかしら)
マミ(……あら? 店の外で何かしてるわね)
ほむら(こんなものかしら)
マミ「と、巴マミ御用達の店!?」
ほむら「っ!? あ、ま、マミさん……」
マミ(そう、そうなのね暁美さん!)
マミ(ここが2人の愛の巣であることを、わざわざ看板でアピールしてくれるなんて……)
マミ(そんなに私のこと……)
マミ(ふふ、昨日の今日だけどまたきちゃった)
マミ(暁美さん待っててくれるかしら)
マミ(……あら? 店の外で何かしてるわね)
ほむら(こんなものかしら)
マミ「と、巴マミ御用達の店!?」
ほむら「っ!? あ、ま、マミさん……」
マミ(そう、そうなのね暁美さん!)
マミ(ここが2人の愛の巣であることを、わざわざ看板でアピールしてくれるなんて……)
マミ(そんなに私のこと……)
457: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 01:33:51.57 ID:HXRlipUC0
ほむら「と、とりあえず店内へ……」
マミ「そうさせてもらうわね」
ほむら「お好きな席へどうぞ」
マミ「では厨房の近くのこの席で。……暁美さん、早速だけどこれを使うわ。
カレー食べ放題券~2人の絆の証たる唯一無二のアーティファクト~」
ほむら「は、はい……、今用意しますね……」
ほむら(勝手に名前使ったこと、怒ってないかしら……?)
マミ「そうさせてもらうわね」
ほむら「お好きな席へどうぞ」
マミ「では厨房の近くのこの席で。……暁美さん、早速だけどこれを使うわ。
カレー食べ放題券~2人の絆の証たる唯一無二のアーティファクト~」
ほむら「は、はい……、今用意しますね……」
ほむら(勝手に名前使ったこと、怒ってないかしら……?)
489: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 01:44:11.79 ID:HXRlipUC0
ほむら「お待たせしました」
マミ「ありがとう。……あら、昨日と少し具が違うわね」
ほむら「え、ええ。2日続けてなら、少しは変化をつけた方がいいかなと……」
マミ(暁美さん、あなた、私のことを思ってそんな涙ぐましい努力を……)
マミ(あなたの気持ちは分かったわ! 私、仕事の合間を縫ってできる限りこのお店に通う!)
マミ「あ、そうそう。食事の後で私の写真を撮りましょう」
ほむら「え? ま、マミさんの?」
マミ「表の黒板に私の写真が貼ってあったら、文字だけよりも集客力が上がると思うの。
自分で言うのもなんだけどね」
ほむら「な、なるほど……」
マミ「ありがとう。……あら、昨日と少し具が違うわね」
ほむら「え、ええ。2日続けてなら、少しは変化をつけた方がいいかなと……」
マミ(暁美さん、あなた、私のことを思ってそんな涙ぐましい努力を……)
マミ(あなたの気持ちは分かったわ! 私、仕事の合間を縫ってできる限りこのお店に通う!)
マミ「あ、そうそう。食事の後で私の写真を撮りましょう」
ほむら「え? ま、マミさんの?」
マミ「表の黒板に私の写真が貼ってあったら、文字だけよりも集客力が上がると思うの。
自分で言うのもなんだけどね」
ほむら「な、なるほど……」
501: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 01:49:32.70 ID:HXRlipUC0
――――
数日後
さやか「な、何でよ! 何で客の入りが減ってるのよ!」
さやか「それに引き換え、レストランほむほむは……」
さやか「……」
さやか「やばいよ……。契約通り売り上げの50%をQBに流したら、このままだと赤字に……」
さやか「……」
さやか「……」
さやか「レストランほむほむさえ駄目になれば……」
数日後
さやか「な、何でよ! 何で客の入りが減ってるのよ!」
さやか「それに引き換え、レストランほむほむは……」
さやか「……」
さやか「やばいよ……。契約通り売り上げの50%をQBに流したら、このままだと赤字に……」
さやか「……」
さやか「……」
さやか「レストランほむほむさえ駄目になれば……」
522: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 01:58:23.18 ID:HXRlipUC0
「レストランほむほむの店主はレズビアン」
「レストランほむほむのカレーは作ってから丸1日放置している粗悪品」
「レストランほむほむの手編み人形は夜中になると動き出す」
さやか「ふ、ふふふ……」
さやか「悪口を書いた紙を作ったわ」
さやか「後はこれを夜中の内に……」
「レストランほむほむのカレーは作ってから丸1日放置している粗悪品」
「レストランほむほむの手編み人形は夜中になると動き出す」
さやか「ふ、ふふふ……」
さやか「悪口を書いた紙を作ったわ」
さやか「後はこれを夜中の内に……」
534: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 02:03:57.74 ID:HXRlipUC0
――――
数日後
百合オタ「あの人が……ごくり」
カレーは一晩置く派「美味い」
オカ板住人「レストランほむほむでお子様ランチオフ会」
さやか「な、なんで!?」
さやか「客層が微妙にシフトしたものの、向こうの客足はむしろ増加傾向……」
さやか「こっちの客は減る一方だし……」
さやか「どう、しよう……」
さやか「このままだと……、恭介の治療費が……」
数日後
百合オタ「あの人が……ごくり」
カレーは一晩置く派「美味い」
オカ板住人「レストランほむほむでお子様ランチオフ会」
さやか「な、なんで!?」
さやか「客層が微妙にシフトしたものの、向こうの客足はむしろ増加傾向……」
さやか「こっちの客は減る一方だし……」
さやか「どう、しよう……」
さやか「このままだと……、恭介の治療費が……」
546: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 02:10:26.53 ID:HXRlipUC0
QB「やれやれ、苦戦しているようだね」
さやか「あ、きゅ、QB……」
QB「このままだとウチの看板を汚したってことで違約金を払ってもらうはめになるね」
さやか「え……、い、違約金……?」
QB「契約書には確かに書いてあった筈だよ。
一定の収益を上げられない場合、違約金を払う旨がね」
さやか「そ、そんな……」
さやか「あ、きゅ、QB……」
QB「このままだとウチの看板を汚したってことで違約金を払ってもらうはめになるね」
さやか「え……、い、違約金……?」
QB「契約書には確かに書いてあった筈だよ。
一定の収益を上げられない場合、違約金を払う旨がね」
さやか「そ、そんな……」
557: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 02:19:31.17 ID:HXRlipUC0
さやか「どうしよう……」
さやか「は、あはは……」
さやか「終わりだよ、何もかも」
さやか「……」
さやか「恭介……」
さやか「助けて……」
さやか「は、あはは……」
さやか「終わりだよ、何もかも」
さやか「……」
さやか「恭介……」
さやか「助けて……」
558: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 02:19:44.61 ID:HXRlipUC0
『さやかはレアなCDを集める天才だね!』
『でもそのレアなCDをボクばかりが独占するのは悪いと思うんだ』
『だから……そうだ、カフェを開いたらどうかな』
『素敵な音楽が流れる、そんなカフェを』
『残念だな……、カフェを開いたらお見舞いに来られる頻度が減っちゃうよね……』
『でも頑張ってね、さやか』
『大忙しになるぐらいカフェが繁盛することを祈ってるよ!』
『でもそのレアなCDをボクばかりが独占するのは悪いと思うんだ』
『だから……そうだ、カフェを開いたらどうかな』
『素敵な音楽が流れる、そんなカフェを』
『残念だな……、カフェを開いたらお見舞いに来られる頻度が減っちゃうよね……』
『でも頑張ってね、さやか』
『大忙しになるぐらいカフェが繁盛することを祈ってるよ!』
576: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 02:27:05.41 ID:HXRlipUC0
さやか「罰が当たったのかな……」
さやか「他人を蹴落とそうなんて、そんなこと考えたから……」
さやか「……ごめんねほむら」
さやか「ごめん、ね……」
さやか「そういえば、最近きちんと音楽も聞いてなかったな……」
さやか「そんな心の余裕もなくして……」
さやか「あたし何してたんだろう……」
さやか「……」
さやか「恭介……」
さやか「久しぶりに、会いにいこう……」
さやか「他人を蹴落とそうなんて、そんなこと考えたから……」
さやか「……ごめんねほむら」
さやか「ごめん、ね……」
さやか「そういえば、最近きちんと音楽も聞いてなかったな……」
さやか「そんな心の余裕もなくして……」
さやか「あたし何してたんだろう……」
さやか「……」
さやか「恭介……」
さやか「久しぶりに、会いにいこう……」
580: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 02:29:27.18 ID:HXRlipUC0
――――
仁美「またきちゃいましたわ、上条さん」
上条「やあ。いつもありがとう」
仁美「いいえ、いいんですの。だって私は……」
上条「志筑さん……。いや、仁美……」
さやか「……なん、で?」
仁美「またきちゃいましたわ、上条さん」
上条「やあ。いつもありがとう」
仁美「いいえ、いいんですの。だって私は……」
上条「志筑さん……。いや、仁美……」
さやか「……なん、で?」
598: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 02:36:27.44 ID:HXRlipUC0
――――
さやか「う、うう、うああ……」
さやか「結局、体の良い厄介払いだったんだ……」
さやか「あたしは……」
さやか「もう、あたしには何にも……」
さやか「……いっそ、死んじゃおっかな……」
杏子「ふざけたこと抜かしてんじゃねぇよ」
さやか「う、うう、うああ……」
さやか「結局、体の良い厄介払いだったんだ……」
さやか「あたしは……」
さやか「もう、あたしには何にも……」
さやか「……いっそ、死んじゃおっかな……」
杏子「ふざけたこと抜かしてんじゃねぇよ」
613: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 02:45:04.57 ID:HXRlipUC0
さやか「誰、あんた……。見ず知らずの人間に何が分かるのよ……」
杏子「そりゃ、何も分かんないよ……。あたしだって面倒事は御免だし、無視していくつもりだった。
でもさぁ。あんなムカつくこと聞いちまったら、素通りできる訳ないよなぁ?」
さやか「ムカつく、こと……?」
杏子「死んじゃおっかな……、とかなんとか。何だよそれ。“かな”とはなんだよ、“かな”とは」
さやか「……」
杏子「迷う余地があるんだろ? どこかで、死ぬことを嫌と思う気持ちがあるんだろ?
じゃあ死ぬなよ、ボンクラ。生きろよ」
さやか「そりゃあたしだって本当は……、でも、もう何もなくなっちゃったから」
杏子「……ちょっとこい。まだテメェに残されてるものがあるって教えてやる」
杏子「そりゃ、何も分かんないよ……。あたしだって面倒事は御免だし、無視していくつもりだった。
でもさぁ。あんなムカつくこと聞いちまったら、素通りできる訳ないよなぁ?」
さやか「ムカつく、こと……?」
杏子「死んじゃおっかな……、とかなんとか。何だよそれ。“かな”とはなんだよ、“かな”とは」
さやか「……」
杏子「迷う余地があるんだろ? どこかで、死ぬことを嫌と思う気持ちがあるんだろ?
じゃあ死ぬなよ、ボンクラ。生きろよ」
さやか「そりゃあたしだって本当は……、でも、もう何もなくなっちゃったから」
杏子「……ちょっとこい。まだテメェに残されてるものがあるって教えてやる」
618: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 02:50:24.15 ID:HXRlipUC0
――――
さやか(え……? こ、ここ……)
杏子「いいから入る入る」
からんからん
ほむら「いらっしゃいませ」
杏子「ははっ、相変わらず覇気の無い店長だ」
ほむら「あ、佐倉さん……、と、えっ? み、美樹さやか?」
さやか「……」
杏子「へ? 知り合いなの? ……まあいいや、今日は2人で」
さやか(え……? こ、ここ……)
杏子「いいから入る入る」
からんからん
ほむら「いらっしゃいませ」
杏子「ははっ、相変わらず覇気の無い店長だ」
ほむら「あ、佐倉さん……、と、えっ? み、美樹さやか?」
さやか「……」
杏子「へ? 知り合いなの? ……まあいいや、今日は2人で」
626: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 02:59:11.07 ID:HXRlipUC0
ほむら「ほむほむカレー2つお持ちしました」
杏子「ありがとう」
さやか「……」
杏子「さ、食えよ。おごりだからさ」
さやか「う、うん……」
杏子「……」
さやか「……」
杏子「……どうだい?」
杏子「ありがとう」
さやか「……」
杏子「さ、食えよ。おごりだからさ」
さやか「う、うん……」
杏子「……」
さやか「……」
杏子「……どうだい?」
627: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 03:01:44.19 ID:HXRlipUC0
さやか「悔しいけど……、美味しい」
杏子「ほら。まだ残ってたじゃないか。自分には何もないなんて幻想はこれで終わりだ」
さやか「……えっ?」
杏子「美味しい、そう感じることができたんだろ?
死んじまうとそれすら無くなっちまうんだよ」
さやか「……」
杏子「今は美味しいを糧に生きればいい。
その内何かまた別の幸せが、ひょっこり見つかるからさ」
さやか「……う、ううっ」
杏子「……」
さやか「う、ああっ、あああっ……」
杏子「ほら。まだ残ってたじゃないか。自分には何もないなんて幻想はこれで終わりだ」
さやか「……えっ?」
杏子「美味しい、そう感じることができたんだろ?
死んじまうとそれすら無くなっちまうんだよ」
さやか「……」
杏子「今は美味しいを糧に生きればいい。
その内何かまた別の幸せが、ひょっこり見つかるからさ」
さやか「……う、ううっ」
杏子「……」
さやか「う、ああっ、あああっ……」
639: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 03:07:22.52 ID:HXRlipUC0
杏子「落ち着いたか?」
さやか「うん……。手間かけさせてごめん」
杏子「別に良いさ。好きでやったことだし」
さやか「……あんたの名前、聞いてもいいかな」
杏子「佐倉杏子、だ」
さやか「そっか。じゃあ杏子。美味しい以外にもう一つ見つけたよ、あたしに残されたもの」
杏子「へっ?」
さやか「杏子みたいな、あたしを心配してくれる人がまだいた」
杏子「……」
さやか「……」
杏子「ぷっ、なんだそれ。臭すぎ」
さやか「あはは……、杏子には言われたくないっての」
さやか「うん……。手間かけさせてごめん」
杏子「別に良いさ。好きでやったことだし」
さやか「……あんたの名前、聞いてもいいかな」
杏子「佐倉杏子、だ」
さやか「そっか。じゃあ杏子。美味しい以外にもう一つ見つけたよ、あたしに残されたもの」
杏子「へっ?」
さやか「杏子みたいな、あたしを心配してくれる人がまだいた」
杏子「……」
さやか「……」
杏子「ぷっ、なんだそれ。臭すぎ」
さやか「あはは……、杏子には言われたくないっての」
648: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 03:13:30.60 ID:HXRlipUC0
――――
杏子「っと、気がつきゃもう閉店時間か。ごめんな」
ほむら「い、いえ……」
さやか「……美味しかったよ、ほむら」
ほむら「ありがとう、美樹さやか」
さやか「まあ気が向いたら……、またくるかも」
杏子「んじゃなー! ごちそうさまでした!」
ほむら「ありがとうございました」
杏子「っと、気がつきゃもう閉店時間か。ごめんな」
ほむら「い、いえ……」
さやか「……美味しかったよ、ほむら」
ほむら「ありがとう、美樹さやか」
さやか「まあ気が向いたら……、またくるかも」
杏子「んじゃなー! ごちそうさまでした!」
ほむら「ありがとうございました」
650: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 03:14:52.78 ID:HXRlipUC0
――――
ほむら(佐倉さんと美樹さやか、仲よさそうだった……)
ほむら(あんな風に笑いあえる相手が、私にもいたら……)
ほむら(……)
ほむら(……)
ほむら(まど、か……)
「ただいま、ほむらちゃん!」
ほむら(佐倉さんと美樹さやか、仲よさそうだった……)
ほむら(あんな風に笑いあえる相手が、私にもいたら……)
ほむら(……)
ほむら(……)
ほむら(まど、か……)
「ただいま、ほむらちゃん!」
655: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 03:20:25.31 ID:HXRlipUC0
ほむら「え……?」
まどか「ほむらちゃーん! 会いたかったよー!」ギュウッ
ほむら「まど、か? ほ、本人……よね?」
まどか「もちろん! もうかれこれ……、3年ぶりなのかな?」
ほむら「心配……したんだから……」
まどか「あはは、ごめんね。」
ほむら「でも今までどこに?」
まどか「ちょっとアメリカにね」
まどか「ほむらちゃーん! 会いたかったよー!」ギュウッ
ほむら「まど、か? ほ、本人……よね?」
まどか「もちろん! もうかれこれ……、3年ぶりなのかな?」
ほむら「心配……したんだから……」
まどか「あはは、ごめんね。」
ほむら「でも今までどこに?」
まどか「ちょっとアメリカにね」
661: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 03:27:27.16 ID:HXRlipUC0
ほむら「アメリカ!? な、なんでわざわざ……。それに、一度ぐらい連絡くれたって……」
まどか「ほむらちゃんの声を聞いたら、戻りたくなっちゃうと思ったから……。
でもね、凄いんだよ! 私、むこうで凄く成功したの!」
ほむら(せっ、性交……? そ、そそ、そんな……)
まどか「Hな方じゃないよ?」
ほむら「え、あ、うん。わっ、分かってたわ・!」
ほむら(よかった……)
まどか「去年から日本にも進出してるんだけどね。
マドカナルドってファーストフード店、聞いたことない?」
ほむら「マドカナルド!? あの大手ハンバーガーショップの!?」
まどか「ほむらちゃんの声を聞いたら、戻りたくなっちゃうと思ったから……。
でもね、凄いんだよ! 私、むこうで凄く成功したの!」
ほむら(せっ、性交……? そ、そそ、そんな……)
まどか「Hな方じゃないよ?」
ほむら「え、あ、うん。わっ、分かってたわ・!」
ほむら(よかった……)
まどか「去年から日本にも進出してるんだけどね。
マドカナルドってファーストフード店、聞いたことない?」
ほむら「マドカナルド!? あの大手ハンバーガーショップの!?」
680: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 03:43:35.93 ID:HXRlipUC0
まどか「うん! 色々大変だったけど、何とか軌道に乗ってからは一気に成長して」
ほむら「まさかあのマドカナルドがまどかのお店だったなんて……」
まどか「これでようやく、私の夢がかなえられるだけの準備が整った。
そう思ったから日本に戻ってきたの」
ほむら「まどかの……夢?」
まどか「私の夢は、ほむらちゃんのカレーをたくさんの人に食べてもらうこと」
まどか「だからね……。ほむらちゃんのカレーの味を再現したルー入りの、
揚げカレーパンを販売しようと思うの」
ほむら「まさかあのマドカナルドがまどかのお店だったなんて……」
まどか「これでようやく、私の夢がかなえられるだけの準備が整った。
そう思ったから日本に戻ってきたの」
ほむら「まどかの……夢?」
まどか「私の夢は、ほむらちゃんのカレーをたくさんの人に食べてもらうこと」
まどか「だからね……。ほむらちゃんのカレーの味を再現したルー入りの、
揚げカレーパンを販売しようと思うの」
684: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 03:46:51.40 ID:HXRlipUC0
まどか「ね、どうかな?」
ほむら「……」
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら「あ……、えっ、ええ! 素晴らしいと思うわ!」
まどか「だよね!」
ほむら(……どうしてかしら)
ほむら(どうして大勢の人にカレーを食べてもらえることが、嬉しいと思えないの……?)
ほむら「……」
まどか「ほむらちゃん?」
ほむら「あ……、えっ、ええ! 素晴らしいと思うわ!」
まどか「だよね!」
ほむら(……どうしてかしら)
ほむら(どうして大勢の人にカレーを食べてもらえることが、嬉しいと思えないの……?)
693: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 03:52:16.29 ID:HXRlipUC0
ほむら「そうだまどか。久しぶりに私のカレーを食べてくれない?」
まどか「いいの?」
ほむら「ええ。まだストックがあるから」
まどか「やったー! 楽しみだな!」
ほむら「ふふ……」
ほむら(……あれ?)
ほむら(私のカレーを再現したものを商品化してもらえると聞いた時は、全然嬉しくなかったのに)
ほむら(まどかに食べてもらえるとなった今は、凄く嬉しい……)
まどか「いいの?」
ほむら「ええ。まだストックがあるから」
まどか「やったー! 楽しみだな!」
ほむら「ふふ……」
ほむら(……あれ?)
ほむら(私のカレーを再現したものを商品化してもらえると聞いた時は、全然嬉しくなかったのに)
ほむら(まどかに食べてもらえるとなった今は、凄く嬉しい……)
701: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 03:59:08.78 ID:HXRlipUC0
まどか「いっただきまーす!」
ほむら(どきどきする……)
まどか「うん、おーいしい! すっごく美味しい!」
ほむら「えへへ、ありがとう……。まどかに食べてもらえるのが一番嬉しいよ」
まどか「あはは、そんなこと言われたら照れちゃうよ」
ほむら「……ずっとずっと会いたかったんだよ、まどか。
もしかしてもう一生会えないんじゃないかって、不安で……」
まどか「ごめんね、本当に……」
ほむら(どきどきする……)
まどか「うん、おーいしい! すっごく美味しい!」
ほむら「えへへ、ありがとう……。まどかに食べてもらえるのが一番嬉しいよ」
まどか「あはは、そんなこと言われたら照れちゃうよ」
ほむら「……ずっとずっと会いたかったんだよ、まどか。
もしかしてもう一生会えないんじゃないかって、不安で……」
まどか「ごめんね、本当に……」
806: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 12:54:14.10 ID:HXRlipUC0
――――
まどか「商品名はどうしよう? フライドほむほむカレーパン、ほむほむカレーパイ、
私とほむらちゃんの愛の結晶パン、ほむほむカレーサンド……」
ほむら(あ、え、あ、愛の結晶!?)
まどか「名前って売れ行きに大きく関わるから、悩むなぁ」
ほむら「まどか、なんだか楽しそうね」
まどか「そうだね。規模が大きい分、やりがいは凄くあるよ」
ほむら「料理を通して本当に大勢を笑顔にできる、そんな立場だもんね」
まどか「……? 別に顧客の笑顔を見る機会なんて……無いよ?」
ほむら「えっ?」
まどか「商品名はどうしよう? フライドほむほむカレーパン、ほむほむカレーパイ、
私とほむらちゃんの愛の結晶パン、ほむほむカレーサンド……」
ほむら(あ、え、あ、愛の結晶!?)
まどか「名前って売れ行きに大きく関わるから、悩むなぁ」
ほむら「まどか、なんだか楽しそうね」
まどか「そうだね。規模が大きい分、やりがいは凄くあるよ」
ほむら「料理を通して本当に大勢を笑顔にできる、そんな立場だもんね」
まどか「……? 別に顧客の笑顔を見る機会なんて……無いよ?」
ほむら「えっ?」
807: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 12:55:44.24 ID:HXRlipUC0
まどか「マドカナルドは安さで売ってるところだから、
顧客も“まあこんなもんか”ぐらいの気持ちで食べる人が多くてさ。
それにそもそも、わざわざ私が直接リサーチしに行く必要なんてないしね」
ほむら「……い、いいものだよ、お客さんの笑顔を見るのって」
まどか「ふーん……」
ほむら「……」
まどか「あ、そうそう。商品開発に付き合ってもらいたいから、レストランは少し休んでもらっていいかな?」
ほむら「え? 少しってどのぐらい?」
まどか「うーん。1月ぐらい?」
ほむら(ひと、月……?)
まどか「これから一緒に頑張ろうね!」
ほむら「……ごめんね、まどか」
まどか「えっ?」
ほむら「私、やっぱりカレーを商品にして貰うの諦める」
顧客も“まあこんなもんか”ぐらいの気持ちで食べる人が多くてさ。
それにそもそも、わざわざ私が直接リサーチしに行く必要なんてないしね」
ほむら「……い、いいものだよ、お客さんの笑顔を見るのって」
まどか「ふーん……」
ほむら「……」
まどか「あ、そうそう。商品開発に付き合ってもらいたいから、レストランは少し休んでもらっていいかな?」
ほむら「え? 少しってどのぐらい?」
まどか「うーん。1月ぐらい?」
ほむら(ひと、月……?)
まどか「これから一緒に頑張ろうね!」
ほむら「……ごめんね、まどか」
まどか「えっ?」
ほむら「私、やっぱりカレーを商品にして貰うの諦める」
815: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 13:05:11.90 ID:HXRlipUC0
まどか「なんで!? だって日本中の……。
ううん、世界中の人にカレーを食べてもらうチャンスなのに!」
ほむら「確かに私は大勢の人にカレーを食べて欲しいと思った」
まどか「うん。だから私は、アメリカでそのためのし下地作りに励んで……」
ほむら「でもそれは、私のカレーを食べてくれる人の笑顔が見たいから」
まどか「えが、お……?」
ほむら「料理を食べて美味しいって喜んでくれる姿を見ることが、私の幸せなの」
まどか「……」
ほむら「私の幸せの始まりは、まどかの笑顔だったんだよ」
ううん、世界中の人にカレーを食べてもらうチャンスなのに!」
ほむら「確かに私は大勢の人にカレーを食べて欲しいと思った」
まどか「うん。だから私は、アメリカでそのためのし下地作りに励んで……」
ほむら「でもそれは、私のカレーを食べてくれる人の笑顔が見たいから」
まどか「えが、お……?」
ほむら「料理を食べて美味しいって喜んでくれる姿を見ることが、私の幸せなの」
まどか「……」
ほむら「私の幸せの始まりは、まどかの笑顔だったんだよ」
819: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 13:10:55.25 ID:HXRlipUC0
まどか「……分かんないよ」
ほむら「まどか……」
まどか「訳分かんないよ……。大勢の人に食べてもらうことが、ほむらちゃんの幸せじゃないの……?」
ほむら「うーん……、少しだけ違うみたい」
まどか「違う、の……?」
ほむら「なんて、私もこうして話していて気がついたんだけどね。あはは……」
まどか「……」
ほむら「だから私は……、マドカナルドに比べればちっぽけかもしれないけど、レストランほむほむを大切にしたい」
まどか「……嫌だよ」
ほむら「まどか……」
まどか「訳分かんないよ……。大勢の人に食べてもらうことが、ほむらちゃんの幸せじゃないの……?」
ほむら「うーん……、少しだけ違うみたい」
まどか「違う、の……?」
ほむら「なんて、私もこうして話していて気がついたんだけどね。あはは……」
まどか「……」
ほむら「だから私は……、マドカナルドに比べればちっぽけかもしれないけど、レストランほむほむを大切にしたい」
まどか「……嫌だよ」
822: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 13:14:56.40 ID:HXRlipUC0
まどか「そんなの嫌だ! 私はもっともっと大勢の人にほむらちゃんのカレーを食べて欲しい!」
ほむら「でも……、そうしてお店で出されるカレーは、私が直接作ったカレーではない」
まどか「味ならウチの開発部の力でなんとかなるよ!」
ほむら「ごめんね、まどか。そういう問題じゃないの」
まどか「さっきから、言ってることがよく、分かんないよ……」
ほむら「……」
まどか「ああ、そうだ! このお店があるからいけないんだ!
下手にお店という場があるから、ほむらちゃんはその殻にこもっちゃってる!」
ほむら「でも……、そうしてお店で出されるカレーは、私が直接作ったカレーではない」
まどか「味ならウチの開発部の力でなんとかなるよ!」
ほむら「ごめんね、まどか。そういう問題じゃないの」
まどか「さっきから、言ってることがよく、分かんないよ……」
ほむら「……」
まどか「ああ、そうだ! このお店があるからいけないんだ!
下手にお店という場があるから、ほむらちゃんはその殻にこもっちゃってる!」
827: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 13:18:09.91 ID:HXRlipUC0
まどか「そうだよ。ここを潰しちゃえばいいんだ。そうすればほむらちゃんは私に頼らざるを得なくなる。
大丈夫だよ。ちゃんとマドカナルドを通してほむらちゃんのカレーは世界に広まる。
結果的にはカレーは、より大勢の人の口に届く。
そうすればほむらちゃんだって分かってくれ―――」
ほむら「……ねえ、まどか」
まどか「何、ほむらちゃん」
ほむら「今のまどかの幸せって何?」
まどか「え……? 私の……、幸せ?」
大丈夫だよ。ちゃんとマドカナルドを通してほむらちゃんのカレーは世界に広まる。
結果的にはカレーは、より大勢の人の口に届く。
そうすればほむらちゃんだって分かってくれ―――」
ほむら「……ねえ、まどか」
まどか「何、ほむらちゃん」
ほむら「今のまどかの幸せって何?」
まどか「え……? 私の……、幸せ?」
830: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 13:21:29.90 ID:HXRlipUC0
『ビルの中での店舗営業を許可する!? ありがとうございます!』
『よーし、これで3店舗目!』
『嬉しいな、ようやく軌道に乗ってきた』
『このままいけばきっといつか、ほむらちゃんのカレーを広められるだけの影響力を手に入れられる』
『そしたら、ほむらちゃんどれぐらい喜んでくれるんだろう!』
『笑顔になって……、くれるかな』
『いつかそんな日がくればいいなぁ……』
『よーし、これで3店舗目!』
『嬉しいな、ようやく軌道に乗ってきた』
『このままいけばきっといつか、ほむらちゃんのカレーを広められるだけの影響力を手に入れられる』
『そしたら、ほむらちゃんどれぐらい喜んでくれるんだろう!』
『笑顔になって……、くれるかな』
『いつかそんな日がくればいいなぁ……』
831: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 13:22:55.76 ID:HXRlipUC0
―――――
『第179店舗は売れ行き良好、第180店舗は及第点、第181店舗は……』
『はぁ? 何この売上』
『ここ直営店じゃなくてフランチャイズのとこだっけ』
『この店舗はもう見切りをつけよう』
『ああ、大丈夫大丈夫。別に大した痛手じゃないから』
『大体立地が悪いんだよねぇ、こんな田舎……。もっと効率的に人が集まる所じゃないと』
『え? 周辺住民はマドカナルドが進出してきて喜んでる?』
『笑顔じゃ、お腹は膨れないよ』
『第179店舗は売れ行き良好、第180店舗は及第点、第181店舗は……』
『はぁ? 何この売上』
『ここ直営店じゃなくてフランチャイズのとこだっけ』
『この店舗はもう見切りをつけよう』
『ああ、大丈夫大丈夫。別に大した痛手じゃないから』
『大体立地が悪いんだよねぇ、こんな田舎……。もっと効率的に人が集まる所じゃないと』
『え? 周辺住民はマドカナルドが進出してきて喜んでる?』
『笑顔じゃ、お腹は膨れないよ』
845: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 13:37:42.93 ID:HXRlipUC0
まどか「あ、ああ……」
まどか「私最初は、ただ純粋にほむらちゃんの笑顔が見たくて……」
まどか「その為の手段として、店を大きくして……」
まどか「でもいつしか、手段と目的が……入れ替わって……」
まどか「私は……、私の幸せって……」
ほむら「まどか」ギュウッ
まどか「ほむらちゃん……」
まどか(そっか。私の幸せは……、最初からこんなに身近にあったんだ)
まどか(たった1人の笑顔が見たくって、私は……)
まどか(私の、私の幸せは……最初からこんなに近くに……)
まどか「私最初は、ただ純粋にほむらちゃんの笑顔が見たくて……」
まどか「その為の手段として、店を大きくして……」
まどか「でもいつしか、手段と目的が……入れ替わって……」
まどか「私は……、私の幸せって……」
ほむら「まどか」ギュウッ
まどか「ほむらちゃん……」
まどか(そっか。私の幸せは……、最初からこんなに身近にあったんだ)
まどか(たった1人の笑顔が見たくって、私は……)
まどか(私の、私の幸せは……最初からこんなに近くに……)
848: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 13:42:29.94 ID:HXRlipUC0
まどか「ねえ、ほむらちゃん……」
ほむら「うん」
まどか「勝手に姿を消しておいて、今更図々しいけど……」
「もう一度私の幸せに、なってください」
.
ほむら「うん」
まどか「勝手に姿を消しておいて、今更図々しいけど……」
「もう一度私の幸せに、なってください」
.
859: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 13:49:32.56 ID:HXRlipUC0
――――
からんからん
「いらっしゃいませ!」
「うお!? 店員が増えたのか!?」
「はい! 本日より新しく店員になりました!」
「その髪型……、もしかしてあんた、クッキーのモデルになった、まどかとかいう」
「クッキー? あはは、ほむらちゃんったらそんなものを……」
「ふーん、なぁるほど。店長はこういうのが……」
「え、えへへ……」
「まあいいや、ほむほむカレーを頼む」
「はい!」
からんからん
「いらっしゃいませ!」
「うお!? 店員が増えたのか!?」
「はい! 本日より新しく店員になりました!」
「その髪型……、もしかしてあんた、クッキーのモデルになった、まどかとかいう」
「クッキー? あはは、ほむらちゃんったらそんなものを……」
「ふーん、なぁるほど。店長はこういうのが……」
「え、えへへ……」
「まあいいや、ほむほむカレーを頼む」
「はい!」
866: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 13:55:33.82 ID:HXRlipUC0
――――
からんからん
「暁美さん、あなたの愛の女神~交わした約束、忘れられないコネクト~が会いに……」
「いらっしゃいませ!」
「え……? あ、暁美さんじゃ……、ない!?」
「はい! 私、本日より新しく店員になったんです!」
(え、ええっ!? あ、ああ、暁美さんとこの子、ど、どういう関係なの!? )
「……あー、そうだわ。あなた、カレー食べ放題券は持っているかしら?」
「?? そのようなものは存じませんが……」
(勝った!)
「おーっほっほ、そうよねそうよね!
さーて、今日もほむほむカレー~愛という名の炎~を頼もうかしら」
「は、はあ……」
からんからん
「暁美さん、あなたの愛の女神~交わした約束、忘れられないコネクト~が会いに……」
「いらっしゃいませ!」
「え……? あ、暁美さんじゃ……、ない!?」
「はい! 私、本日より新しく店員になったんです!」
(え、ええっ!? あ、ああ、暁美さんとこの子、ど、どういう関係なの!? )
「……あー、そうだわ。あなた、カレー食べ放題券は持っているかしら?」
「?? そのようなものは存じませんが……」
(勝った!)
「おーっほっほ、そうよねそうよね!
さーて、今日もほむほむカレー~愛という名の炎~を頼もうかしら」
「は、はあ……」
874: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 14:02:09.81 ID:HXRlipUC0
――――
からんからん
「いらっしゃ……、さやかちゃん!?」
「まどか!? あんたどうしてここに……」
「うーん、なんか色々あって」
「そっか……」
「ほむらちゃんから色々話は聞いたよ。大変だったみたいだね」
「……うん。0からどころか、マイナスからのスタートって感じかな」
「ねえ、さやかちゃん。あるチェーン店がね、今、新しい形態の店舗を開こうとしているの」
「……?」
「安さだけでなく、居心地の良さにもこだわった、きれいな音楽と笑顔で満たされた……カフェみたいな店舗」
「それが一体……」
「そこの店長、やってみない?」
からんからん
「いらっしゃ……、さやかちゃん!?」
「まどか!? あんたどうしてここに……」
「うーん、なんか色々あって」
「そっか……」
「ほむらちゃんから色々話は聞いたよ。大変だったみたいだね」
「……うん。0からどころか、マイナスからのスタートって感じかな」
「ねえ、さやかちゃん。あるチェーン店がね、今、新しい形態の店舗を開こうとしているの」
「……?」
「安さだけでなく、居心地の良さにもこだわった、きれいな音楽と笑顔で満たされた……カフェみたいな店舗」
「それが一体……」
「そこの店長、やってみない?」
878: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 14:05:38.52 ID:HXRlipUC0
――――
「うわああああああああ!」
「どんどん業績が悪化していく!!」
「それもこれも、マドカナルドが日本に進出してきたせいだ……」
「……え? フランチャイズ契約を解除したい?」
「わあああああ! 待ってぇえええええ!」
「ひぃいいいいいいいい!!」
「うわああああああああ!」
「どんどん業績が悪化していく!!」
「それもこれも、マドカナルドが日本に進出してきたせいだ……」
「……え? フランチャイズ契約を解除したい?」
「わあああああ! 待ってぇえええええ!」
「ひぃいいいいいいいい!!」
889: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 14:15:44.44 ID:HXRlipUC0
――――
「ありがとうございました!」
からんからん
「ふうっ……。ほむらちゃーん、最後のお客さんが帰ったよー!」
「お疲れ様、まどか。でも最後のお客さんはまだいるのよ」
「え?」
「はい、ほむほむカレー」
「あ……」
「ありがとうございました!」
からんからん
「ふうっ……。ほむらちゃーん、最後のお客さんが帰ったよー!」
「お疲れ様、まどか。でも最後のお客さんはまだいるのよ」
「え?」
「はい、ほむほむカレー」
「あ……」
891: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 14:17:23.92 ID:HXRlipUC0
「いっただきまーす!」
「どうぞ」
「ね、ほむらちゃん」
「ん?」
「お客さんの笑顔って良いね」
「うん……そうだね」
「……あー。それにしても、やっぱりほむらちゃんのカレーおーいしい!」
「えへへへ……」
そうしてその日のレストランほむほむの営業は終了した
営業が終了してからも、しばらくの間、2人の少女の談笑の声が途切れることは無かった
(あなたは私の最高の……そして最愛のお客さんよ、まどか)
おわり
「どうぞ」
「ね、ほむらちゃん」
「ん?」
「お客さんの笑顔って良いね」
「うん……そうだね」
「……あー。それにしても、やっぱりほむらちゃんのカレーおーいしい!」
「えへへへ……」
そうしてその日のレストランほむほむの営業は終了した
営業が終了してからも、しばらくの間、2人の少女の談笑の声が途切れることは無かった
(あなたは私の最高の……そして最愛のお客さんよ、まどか)
おわり
896: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 14:19:01.33 ID:EcY6Cp5XO
おつ!
ほむらちゃんほむほむ!
ほむらちゃんほむほむ!
898: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 14:19:17.94 ID:GaIQFTce0
乙
( ;∀;) イイハナシダッタナー
( ;∀;) イイハナシダッタナー
902: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 14:19:36.58 ID:1GCdf0O90
すごく良かったです
903: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 14:20:20.50 ID:HjY+fDDB0
乙
久しぶりにいいものだった!
久しぶりにいいものだった!
908: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/04/26(火) 14:20:53.10 ID:iHIXOn0J0
乙
カレー食いたくなってきた
カレー食いたくなってきた
引用元: ほむら「レストランほむほむ」
まどか「キュゥべえ、契約するよ!願いは『お姉ちゃんが欲しい』!」
2020-05-16
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 22:38:28.31 ID:7xqkgx3x0
早朝・鹿目家
キュゥべえ「キミのその願いはエントロピーを凌駕した!」
キュゥべえ「後ろにいるのがキミの姉だよ!」
まどか「お姉ちゃん!」バッ
ほむら「私がお姉ちゃんよ、まどか」
まどか「」
まどか「こんなの絶対おかしいよ」
キュゥべえ「キミのその願いはエントロピーを凌駕した!」
キュゥべえ「後ろにいるのがキミの姉だよ!」
まどか「お姉ちゃん!」バッ
ほむら「私がお姉ちゃんよ、まどか」
まどか「」
まどか「こんなの絶対おかしいよ」
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4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 22:40:01.49 ID:7xqkgx3x0
ほむら「だけど…」
まどか「?」
ほむら「本当に愚かね、あなたは」
ほむら「私の忠告を無視して契約しちゃうなんて…」ゴゴゴ
まどか「ひ、ひぃっ…!?」ガクガク
まどか(ほ、ほむらちゃん目茶苦茶怒ってる…)
ほむら「覚悟しなさいっ」ガーッ
まどか「やああああああああ!?」
まどか「?」
ほむら「本当に愚かね、あなたは」
ほむら「私の忠告を無視して契約しちゃうなんて…」ゴゴゴ
まどか「ひ、ひぃっ…!?」ガクガク
まどか(ほ、ほむらちゃん目茶苦茶怒ってる…)
ほむら「覚悟しなさいっ」ガーッ
まどか「やああああああああ!?」
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 22:41:26.86 ID:7xqkgx3x0
ダキッ
まどか「…え?」
ほむら「…魔法少女になってしまった以上は仕方がないわ」
ほむら「私があなたを守るから…」ナデナデ
まどか「…うん」
まどか「ありがとう、ほむらちゃん…」ギュッ
ほむら「…『お姉ちゃん』、よ」
まどか「お、おねえちゃん…」
まどか「…え?」
ほむら「…魔法少女になってしまった以上は仕方がないわ」
ほむら「私があなたを守るから…」ナデナデ
まどか「…うん」
まどか「ありがとう、ほむらちゃん…」ギュッ
ほむら「…『お姉ちゃん』、よ」
まどか「お、おねえちゃん…」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 22:44:06.94 ID:7xqkgx3x0
ほむら「だけど、どうしてこんな願いを?」
まどか「私にお姉ちゃんがいる夢を見ちゃって、なんだかとっても幸せだったの」
まどか「それで寝起きで判断力が鈍ってるときに…」
ほむら「ついキュゥべえと契約してしまったわけね…」
まどか「う、うん…」
ほむら「…酷い契約をするのね、お前は」ギロッ
QB「ちゃんと契約は合意の上で行われたんだ」
QB「文句を言われる筋合いはないよ」キュップイ
まどか「私にお姉ちゃんがいる夢を見ちゃって、なんだかとっても幸せだったの」
まどか「それで寝起きで判断力が鈍ってるときに…」
ほむら「ついキュゥべえと契約してしまったわけね…」
まどか「う、うん…」
ほむら「…酷い契約をするのね、お前は」ギロッ
QB「ちゃんと契約は合意の上で行われたんだ」
QB「文句を言われる筋合いはないよ」キュップイ
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 22:45:24.76 ID:7xqkgx3x0
ほむら「ふん、まどかは絶対に守ってみせるわ」
QB「そうかい、せいぜい頑張ってくれほむら」
QB「じゃあまどか、また会おう」サササッ
まどか「あ、行っちゃった…」
ほむら「どうせすぐ現れるわよ…」
ほむら「…それより、そろそろお母さんを起こしに行きましょう?」時計チラッ
まどか「え? あ、うん…」
まどか(そっか、ほむらちゃんも家族なんだよね…)
QB「そうかい、せいぜい頑張ってくれほむら」
QB「じゃあまどか、また会おう」サササッ
まどか「あ、行っちゃった…」
ほむら「どうせすぐ現れるわよ…」
ほむら「…それより、そろそろお母さんを起こしに行きましょう?」時計チラッ
まどか「え? あ、うん…」
まどか(そっか、ほむらちゃんも家族なんだよね…)
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 22:47:35.38 ID:7xqkgx3x0
家庭菜園前
まどか・ほむら「「パパ(お父さん)、おはよう」」
知久「まどか、ほむら、おはよう」
ほむら「お母さんは?」
知久「タツヤが行ってる、手伝ってやって」
ほむら「わかったわ」ファサッ
知久「頼むよ、二人とも」
まどか(ほむらちゃん普通に馴染んでるなぁ…)
まどか・ほむら「「パパ(お父さん)、おはよう」」
知久「まどか、ほむら、おはよう」
ほむら「お母さんは?」
知久「タツヤが行ってる、手伝ってやって」
ほむら「わかったわ」ファサッ
知久「頼むよ、二人とも」
まどか(ほむらちゃん普通に馴染んでるなぁ…)
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 22:49:19.24 ID:7xqkgx3x0
寝室
タツヤ「ママー、朝ー!!」
バンッ
ほむら「まどか、カーテンをお願い」
まどか「あ、うん」シャッ
ほむら「…」スゥ
ほむら「…起きて!」フトン、バッ
詢子「どぅええええ!?」バタバタ
詢子「…あれ?」
まどか「…ママ、おはよう」
タツヤ「ママー、朝ー!!」
バンッ
ほむら「まどか、カーテンをお願い」
まどか「あ、うん」シャッ
ほむら「…」スゥ
ほむら「…起きて!」フトン、バッ
詢子「どぅええええ!?」バタバタ
詢子「…あれ?」
まどか「…ママ、おはよう」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 22:51:34.25 ID:7xqkgx3x0
通学路
まどか「ほむらちゃん、家に溶け込めてたね?」
ほむら「お姉ちゃんって言ってるでしょ…」
ほむら「…そうね、あなたの願いで最初から私が『いた』ことになってるんでしょう」
ほむら「ないはずの記憶が私の中にあるもの…」
まどか「ふぅん、よくわかんないや…」
ほむら「あ、美樹さやかと志弦仁美がいるわよ」
まどか「ほんとだ、さやかちゃん、仁美ちゃんおはよー!!」
さやか「まどか、ほむらさん! おはよう!」
仁美「まどかさん、ほむら先輩おはようございます」ペコリ
まどか(さん…? 先輩…?)
まどか「ほむらちゃん、家に溶け込めてたね?」
ほむら「お姉ちゃんって言ってるでしょ…」
ほむら「…そうね、あなたの願いで最初から私が『いた』ことになってるんでしょう」
ほむら「ないはずの記憶が私の中にあるもの…」
まどか「ふぅん、よくわかんないや…」
ほむら「あ、美樹さやかと志弦仁美がいるわよ」
まどか「ほんとだ、さやかちゃん、仁美ちゃんおはよー!!」
さやか「まどか、ほむらさん! おはよう!」
仁美「まどかさん、ほむら先輩おはようございます」ペコリ
まどか(さん…? 先輩…?)
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 22:53:49.40 ID:7xqkgx3x0
ほむら「2人ともおはよう…」
まどか(ほむ…お姉ちゃん、先輩って?)コソコソ
ほむら(願いの影響で私の年齢があなたより一つ上ってことになってるようね)コソコソ
ほむら(ちなみに私は巴マミのクラスメイトよ)コソコソ
まどか(そ、そうなんだ…)
さやか「どうしたの2人とも? 遅刻しちゃうよ!」
ほむら「あら、ごめんなさい。妹がぐずってて…」
仁美「まぁ、まどかさんったら…」クスッ
まどか「ち、ちがうよ! もうお姉ちゃんってば…!」プクッ
まどか(ほむ…お姉ちゃん、先輩って?)コソコソ
ほむら(願いの影響で私の年齢があなたより一つ上ってことになってるようね)コソコソ
ほむら(ちなみに私は巴マミのクラスメイトよ)コソコソ
まどか(そ、そうなんだ…)
さやか「どうしたの2人とも? 遅刻しちゃうよ!」
ほむら「あら、ごめんなさい。妹がぐずってて…」
仁美「まぁ、まどかさんったら…」クスッ
まどか「ち、ちがうよ! もうお姉ちゃんってば…!」プクッ
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 22:55:20.78 ID:7xqkgx3x0
学校
ほむら「それじゃあ3年はこっちだから…またね」
さやか「じゃあね、ほむらさん!」
仁美「では、また」ペコリッ
まどか「あっ…」
ほむら「まどかも授業がんばって…」
まどか「うん…」
ほむら「じゃあお昼休みに…」スタスタ
まどか(お姉ちゃんとは授業一緒に受けれないんだ…)シュン
ほむら「それじゃあ3年はこっちだから…またね」
さやか「じゃあね、ほむらさん!」
仁美「では、また」ペコリッ
まどか「あっ…」
ほむら「まどかも授業がんばって…」
まどか「うん…」
ほむら「じゃあお昼休みに…」スタスタ
まどか(お姉ちゃんとは授業一緒に受けれないんだ…)シュン
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 22:57:01.01 ID:7xqkgx3x0
3年教室
ほむら「マミ、おはよう」
マミ「あら鹿目さんおはよう」
ほむら「…少し話があるの」コソッ
マミ(魔法少女に関したことかしら?)コソコソ
ほむら(ええ、お昼休みに詳しく話したいのだけど)コソコソ
マミ(かまわないわよ)コソコソ
ほむら(助かるわ)コソコソ
マミ(ふふ、お互い様よ)コソコソ
ほむら「…じゃあ、あとで」
マミ「わかったわ」
ほむら「マミ、おはよう」
マミ「あら鹿目さんおはよう」
ほむら「…少し話があるの」コソッ
マミ(魔法少女に関したことかしら?)コソコソ
ほむら(ええ、お昼休みに詳しく話したいのだけど)コソコソ
マミ(かまわないわよ)コソコソ
ほむら(助かるわ)コソコソ
マミ(ふふ、お互い様よ)コソコソ
ほむら「…じゃあ、あとで」
マミ「わかったわ」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 22:59:05.25 ID:7xqkgx3x0
授業中
ほむら(しかし、巴マミと同級生になるなんて夢にも思わなかったわ…)
ほむら(…)モンモン
ほむら(意外に悪くないわね)クスッ
ほむら(私は昔からここにいることになってるから縄張り争いとかも険悪じゃないし…)
先生「…鹿目さん!」
ほむら「!? あ、はい」ビクッ
先生「考え事の最中悪いけどこの漢字を読んでもらえるかしら?」
先生「3年なら読めるわよね、これくらい」
吐露非狩古鬱
ほむら「トロピカルフルーツです」
先生「はい、よろしい」
マミ(…読めないわよ)
ほむら(しかし、巴マミと同級生になるなんて夢にも思わなかったわ…)
ほむら(…)モンモン
ほむら(意外に悪くないわね)クスッ
ほむら(私は昔からここにいることになってるから縄張り争いとかも険悪じゃないし…)
先生「…鹿目さん!」
ほむら「!? あ、はい」ビクッ
先生「考え事の最中悪いけどこの漢字を読んでもらえるかしら?」
先生「3年なら読めるわよね、これくらい」
吐露非狩古鬱
ほむら「トロピカルフルーツです」
先生「はい、よろしい」
マミ(…読めないわよ)
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 23:01:05.70 ID:7xqkgx3x0
お昼休み
マミ「屋上でいいかしら?」
ほむら「ええ、妹もいるはずよ」
マミ「…鹿目さん、もしかして魔法少女の話って」
ほむら「…」
ほむら「向こうで話すわ…」ファサッ
マミ「え、ええ」
マミ「屋上でいいかしら?」
ほむら「ええ、妹もいるはずよ」
マミ「…鹿目さん、もしかして魔法少女の話って」
ほむら「…」
ほむら「向こうで話すわ…」ファサッ
マミ「え、ええ」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 23:03:05.36 ID:7xqkgx3x0
屋上
マミ「…そう、まどかさんも魔法少女になってしまったのね」
まどか「は、はい…」
マミ「魔法少女の仕事は遊びじゃないの、命を落とすこともあるわ」
マミ「その自覚は忘れないようにね?」
まどか「…はい」
まどか(少し、怖い、な…)ブルッ
ほむら「…」ダキッ
まどか「!? お、お姉ちゃん…?」
ほむら「…私が守るから、まどかは何の心配もいらないわ」
まどか「あ、ありがとう…お姉ちゃん」ギュッ
マミ(本当シスコンねぇ…)クスッ
マミ「…そう、まどかさんも魔法少女になってしまったのね」
まどか「は、はい…」
マミ「魔法少女の仕事は遊びじゃないの、命を落とすこともあるわ」
マミ「その自覚は忘れないようにね?」
まどか「…はい」
まどか(少し、怖い、な…)ブルッ
ほむら「…」ダキッ
まどか「!? お、お姉ちゃん…?」
ほむら「…私が守るから、まどかは何の心配もいらないわ」
まどか「あ、ありがとう…お姉ちゃん」ギュッ
マミ(本当シスコンねぇ…)クスッ
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 23:05:12.82 ID:7xqkgx3x0
ほむら「というわけで今日からまどかも魔女狩りに加わるから」
マミ「わかったわ」
まどか「よ、よろしくお願いします!」ペコッ
マミ「ふふ、あなたのお姉さんと同じくらい頼ってもいいのよ?」
まどか「ありがとうございます!マミさん!」
ほむら「…まぁ、いいけど」
ほむら(妬いてしまうのは大人げないかしら…)
…
マミ「わかったわ」
まどか「よ、よろしくお願いします!」ペコッ
マミ「ふふ、あなたのお姉さんと同じくらい頼ってもいいのよ?」
まどか「ありがとうございます!マミさん!」
ほむら「…まぁ、いいけど」
ほむら(妬いてしまうのは大人げないかしら…)
…
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 23:06:58.10 ID:7xqkgx3x0
委員長の魔女の結界
ダンッダンッダンッ
ほむら「マミ、今よ!」ドガンッ
マミ「わかったわ!!」リボンクルクル
まどか「す、すごい…! 使い魔を全部拘束して…!!」
マミ「まどかさん、止めを!!」
まどか「え!? あ…」アタフタ
ほむら「大丈夫まどか、あなたならやれるわ…」ギュッ
まどか「あわわ! お姉ちゃんいつの間に!?」
ほむら「…そんなことより魔女を」
まどか「う、うん!」グイッ
まどか(お姉ちゃんに支えてもらったら不思議と不安が吹き飛んだ…)パシュンッ
パトリシア「グヘエエエエエ」ドカーン
ダンッダンッダンッ
ほむら「マミ、今よ!」ドガンッ
マミ「わかったわ!!」リボンクルクル
まどか「す、すごい…! 使い魔を全部拘束して…!!」
マミ「まどかさん、止めを!!」
まどか「え!? あ…」アタフタ
ほむら「大丈夫まどか、あなたならやれるわ…」ギュッ
まどか「あわわ! お姉ちゃんいつの間に!?」
ほむら「…そんなことより魔女を」
まどか「う、うん!」グイッ
まどか(お姉ちゃんに支えてもらったら不思議と不安が吹き飛んだ…)パシュンッ
パトリシア「グヘエエエエエ」ドカーン
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 23:09:23.17 ID:7xqkgx3x0
結界解除
マミ「お見事、まさか一撃で倒すとは思わなかったわ」
ほむら「当然よ、私の妹なんだから」ファサッ
マミ「ふふっ、そうだったわね」ニコニコ
まどか「お姉ちゃーん!!」ダキッ
ほむら「ま、まどか…!?」
まどか「怖かったよぉ! でもなんとかできたよぉお!!」ギューッ
ほむら「…初陣お疲れ様、まどか」ナデナデ
マミ「…シスコンも程ほどにね? 2人とも…」
マミ「お見事、まさか一撃で倒すとは思わなかったわ」
ほむら「当然よ、私の妹なんだから」ファサッ
マミ「ふふっ、そうだったわね」ニコニコ
まどか「お姉ちゃーん!!」ダキッ
ほむら「ま、まどか…!?」
まどか「怖かったよぉ! でもなんとかできたよぉお!!」ギューッ
ほむら「…初陣お疲れ様、まどか」ナデナデ
マミ「…シスコンも程ほどにね? 2人とも…」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 23:11:13.35 ID:7xqkgx3x0
こうして見滝原3人組を結成した私たちは魔女狩りを始めました…
途中さやかちゃんが上条君にフラれたりと色々ありましたが、
なんとか超弩級の魔女『ワルプルギスの夜』を殲滅することができました!
これからもお姉ちゃんやマミさんと仲良くやっていきたいです!
鹿目まどか
導入編 おしまい
途中さやかちゃんが上条君にフラれたりと色々ありましたが、
なんとか超弩級の魔女『ワルプルギスの夜』を殲滅することができました!
これからもお姉ちゃんやマミさんと仲良くやっていきたいです!
鹿目まどか
導入編 おしまい
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/10(金) 23:16:54.21 ID:QhO3vN8P0
まどか「お姉ちゃんの作るお弁当おいしいなー」
ほむら「そう……? まどかの好きな物入れてたから当然よ」(かわいい……)
まどか「そんな事無いよ! 私の嫌いなこれも、ちゃんと味付けしてあるし」
ほむら「そのままじゃ素っ気ないから……」(キスしたいな……)
まどか「どうしたの? お姉ちゃん」
ほむら「ん、なんでもないわ」(私に恋愛感情なんて無ければ……)
ほむら「そう……? まどかの好きな物入れてたから当然よ」(かわいい……)
まどか「そんな事無いよ! 私の嫌いなこれも、ちゃんと味付けしてあるし」
ほむら「そのままじゃ素っ気ないから……」(キスしたいな……)
まどか「どうしたの? お姉ちゃん」
ほむら「ん、なんでもないわ」(私に恋愛感情なんて無ければ……)
46: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/10(金) 23:19:40.45 ID:qgeBOs3a0
さやか「ほむらお姉ちゃんー」ニヤニヤ
ほむら「………」イライラ
ほむら「あなたの姉になった覚えはないわ…」
さやか「いやーまどかってあたしの嫁じゃんか?」
さやか「だったら自動的にほむらがお姉ちゃんになるよね?」
さやか「まぁこれからも1つよろしく、お・ね・え・ちゃ・ん?」
ほむら「えい」ガシ
さやか「むぐぐぐぐぐぐ!!?」
ほむら「まどかは誰にも渡さない…!誰にも…!!」
さやか「うむぐぐぐぐぐぐぐ!!!」ギリギリ
ほむら「………」イライラ
ほむら「あなたの姉になった覚えはないわ…」
さやか「いやーまどかってあたしの嫁じゃんか?」
さやか「だったら自動的にほむらがお姉ちゃんになるよね?」
さやか「まぁこれからも1つよろしく、お・ね・え・ちゃ・ん?」
ほむら「えい」ガシ
さやか「むぐぐぐぐぐぐ!!?」
ほむら「まどかは誰にも渡さない…!誰にも…!!」
さやか「うむぐぐぐぐぐぐぐ!!!」ギリギリ
50: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/10(金) 23:29:58.86 ID:qgeBOs3a0
さやか「し、死ぬかと思った…」ゼェハァ
ほむら「死ねばよかったのに」
さやか「ひどいよ…ほむらさん…」
ほむら「…そうね、言い直すわ」
ほむら「死ね」
さやか「悪化!?」
さやか「なんでそんなまどかに拘るんですかー…」
ほむら「愚問ね、妹は姉が守るものよ」
さやか「そりゃそうでしょうけど…」
さやか「ちょっと異常ですよ」
ほむら「え」
さやか「い、いや!悪い意味じゃなくて!!」アセアセ
さやか「…でも姉妹とか兄弟ってこの年になると…お互いに無関心になるっていうか…」
さやか「そんなに仲がいいの、珍しいなって」
ほむら「………」
ほむら「死ねばよかったのに」
さやか「ひどいよ…ほむらさん…」
ほむら「…そうね、言い直すわ」
ほむら「死ね」
さやか「悪化!?」
さやか「なんでそんなまどかに拘るんですかー…」
ほむら「愚問ね、妹は姉が守るものよ」
さやか「そりゃそうでしょうけど…」
さやか「ちょっと異常ですよ」
ほむら「え」
さやか「い、いや!悪い意味じゃなくて!!」アセアセ
さやか「…でも姉妹とか兄弟ってこの年になると…お互いに無関心になるっていうか…」
さやか「そんなに仲がいいの、珍しいなって」
ほむら「………」
53: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/10(金) 23:34:38.25 ID:qgeBOs3a0
ほむら「そう、かしら」
さやか「いやだなぁ!気にしないでくださいよ…!」
ほむら「…………」
ほむら(…確かに)
ほむら(私は…姉妹以上の感情を…)
ほむら(あの子に…向けているの、かも)
まどか「さやかちゃーん、お姉ちゃーん!」
さやか「遅いぞまどかー」
まどか「ごめんね、保険委員の集会が…」
さやか「言い訳は聞かんっ!罰として今日はあたしと手を繋いで帰れー!」ギュー
まどか「きゃー♪」
ほむら「………」ギュ
まどか「あ…お姉ちゃん?」
ほむら「ひ、左手は…私」
まどか「…うん、いいよ」
さやか「いやだなぁ!気にしないでくださいよ…!」
ほむら「…………」
ほむら(…確かに)
ほむら(私は…姉妹以上の感情を…)
ほむら(あの子に…向けているの、かも)
まどか「さやかちゃーん、お姉ちゃーん!」
さやか「遅いぞまどかー」
まどか「ごめんね、保険委員の集会が…」
さやか「言い訳は聞かんっ!罰として今日はあたしと手を繋いで帰れー!」ギュー
まどか「きゃー♪」
ほむら「………」ギュ
まどか「あ…お姉ちゃん?」
ほむら「ひ、左手は…私」
まどか「…うん、いいよ」
54: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/10(金) 23:41:58.00 ID:qgeBOs3a0
まどか「ただいまー」
知久「おかえり、2人とも」
知久「手なんて繋いで、どうしたんだい?」
まどか「えへへっ、罰ゲーム!!」
ほむら「………」
ほむら(結局、手を繋いだまま帰ってきてしまったわ…)
ほむら(まどかの、手…)
ほむら(あったかくて、やわらかくて…)
まどか「…お姉ちゃん?」
ほむら「はっ」
まどか「あの、そろそろ罰ゲーム…終わりかなって」
ほむら「そ、そうね」パッ
知久「今日のおやつはホットケーキだよ」
まどか「わーい♪」ドタバタ
ほむら「………」
知久「おかえり、2人とも」
知久「手なんて繋いで、どうしたんだい?」
まどか「えへへっ、罰ゲーム!!」
ほむら「………」
ほむら(結局、手を繋いだまま帰ってきてしまったわ…)
ほむら(まどかの、手…)
ほむら(あったかくて、やわらかくて…)
まどか「…お姉ちゃん?」
ほむら「はっ」
まどか「あの、そろそろ罰ゲーム…終わりかなって」
ほむら「そ、そうね」パッ
知久「今日のおやつはホットケーキだよ」
まどか「わーい♪」ドタバタ
ほむら「………」
55: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/10(金) 23:47:45.75 ID:qgeBOs3a0
まどかの手と私の手が、わかれる時、
名残惜しく思った、
寂しいと思った、
あの子の体温が体から消えてしまうのが、冷めてしまうのが。
隣にいたあの子が、背中を見せて廊下の角に消える。
それだけのことが何故か私の心に酷く深く爪を立てる。
…急に心細くなって、すぐに妹の後を追った。
まどか「おいしいね?」モグモグ
タツヤ「おいしー!」ムグムグ
ほむら「…」
まどか「…お姉ちゃん?」
ほむら「…はっ」
ほむら「ちょ、ちょっと考え事…」モフモフ
まどか「…?」
名残惜しく思った、
寂しいと思った、
あの子の体温が体から消えてしまうのが、冷めてしまうのが。
隣にいたあの子が、背中を見せて廊下の角に消える。
それだけのことが何故か私の心に酷く深く爪を立てる。
…急に心細くなって、すぐに妹の後を追った。
まどか「おいしいね?」モグモグ
タツヤ「おいしー!」ムグムグ
ほむら「…」
まどか「…お姉ちゃん?」
ほむら「…はっ」
ほむら「ちょ、ちょっと考え事…」モフモフ
まどか「…?」
65: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/11(土) 00:13:55.27 ID:kIYuDa/c0
ほむら(……こんなのじゃだめね)
ほむら(……もう私はまどかのお姉ちゃんなんだから)
ほむら(もっとちゃんとしないと…)
コンコン
まどか「…お姉ちゃん?」
まどか「宿題…教えて貰っていい?」
ほむら「…いいけど」
まどか「えへへ、ありがと!」
ほむら「…」フゥ
ほむら(ほんとは同じ学年だったはずなのにね)
ほむら「なんの宿題?」
まどか「数学!」
ほむら「まどかは数学が苦手なの?」
まどか「うん…苦手かな…」
ほむら(…よし!)
ほむら(……もう私はまどかのお姉ちゃんなんだから)
ほむら(もっとちゃんとしないと…)
コンコン
まどか「…お姉ちゃん?」
まどか「宿題…教えて貰っていい?」
ほむら「…いいけど」
まどか「えへへ、ありがと!」
ほむら「…」フゥ
ほむら(ほんとは同じ学年だったはずなのにね)
ほむら「なんの宿題?」
まどか「数学!」
ほむら「まどかは数学が苦手なの?」
まどか「うん…苦手かな…」
ほむら(…よし!)
66: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/11(土) 00:18:14.71 ID:kIYuDa/c0
ほむら「…で、ここがこうなるの」
まどか「…あ、なるほど」
まどか「へへ、ありがとお姉ちゃん」
まどか「もう宿題終わっちゃった」
ほむら「次からは自分で解けないとだめよ?」
まどか「勝手にどんどん解いたのはお姉ちゃんだよ」
ほむら(…はりきりすぎたかしら)
ほむら「…まぁいいわ」ガタ
まどか「どこ行くの?」
ほむら「ちょっと、なにか飲もうかな…と思って」
まどか「!」
まどか「じゃあわたしが淹れてあげる!!」
まどか「…あ、なるほど」
まどか「へへ、ありがとお姉ちゃん」
まどか「もう宿題終わっちゃった」
ほむら「次からは自分で解けないとだめよ?」
まどか「勝手にどんどん解いたのはお姉ちゃんだよ」
ほむら(…はりきりすぎたかしら)
ほむら「…まぁいいわ」ガタ
まどか「どこ行くの?」
ほむら「ちょっと、なにか飲もうかな…と思って」
まどか「!」
まどか「じゃあわたしが淹れてあげる!!」
67: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/11(土) 00:24:47.63 ID:kIYuDa/c0
まどか「はいどうぞ?」カタン
ほむら「…ミルクティー」
まどか「マミさんに淹れ方教えて貰ったんだぁ」
まどか「うん、なかなか上出来かも」ズズズ
ほむら「あったかい…」ズズズ
ほむら「おいしいわ」
まどか「えへへ…なんか照れちゃうなぁ」
ほむら「…まどか」
まどか「なぁに?」
ほむら「その…私ってうっとおしいかな…」
まどか「え?」
ほむら「…ミルクティー」
まどか「マミさんに淹れ方教えて貰ったんだぁ」
まどか「うん、なかなか上出来かも」ズズズ
ほむら「あったかい…」ズズズ
ほむら「おいしいわ」
まどか「えへへ…なんか照れちゃうなぁ」
ほむら「…まどか」
まどか「なぁに?」
ほむら「その…私ってうっとおしいかな…」
まどか「え?」
69: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/11(土) 00:31:00.95 ID:kIYuDa/c0
ほむら「ほら…普通の姉妹ってあんまりぺたぺたしないものだから…」
ほむら「私…まどかにたくさんおせっかい焼いちゃって…」
まどか「そんなことないよ」
まどか「わたし、お姉ちゃんにいっぱい助けてもらってるよ」
まどか「わたしがお礼を言わなきゃいけないくらいだよ」
ほむら「…ありがとう」
まどか「ふふっ、変なお姉ちゃん」
ほむら「…好きよ、まどか」
まどか「うん、わたしもお姉ちゃん大好きだよ?」
ほむら「………っ」
ほむら「私…まどかにたくさんおせっかい焼いちゃって…」
まどか「そんなことないよ」
まどか「わたし、お姉ちゃんにいっぱい助けてもらってるよ」
まどか「わたしがお礼を言わなきゃいけないくらいだよ」
ほむら「…ありがとう」
まどか「ふふっ、変なお姉ちゃん」
ほむら「…好きよ、まどか」
まどか「うん、わたしもお姉ちゃん大好きだよ?」
ほむら「………っ」
71: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/11(土) 00:48:55.48 ID:kIYuDa/c0
違う、
違うんだよまどか。
私はあなたが好きなんだよ。
ずっと前から、ずっとずっと前から、あなたの傍にいたくて、
ほんとはいつだって傍にいたかった。
あなたのために何かがしたくて、
だけど、
お姉ちゃんでいればあなたのそばにいれるけど、
お姉ちゃんでいればあなたのためになれるけど、
お姉ちゃんでいたらあなたにはこの想いは伝えられないんだ。
因果の二律背反が私の心を縛って、締まって、
締め付けられて、涙を流す。
どうして私はあなたのお姉ちゃんなんだろう?
ほむら「……」
まどか「お、姉ちゃん?」
ほむら「…ごめんね」
ほむら「先に寝る…」
まどか「…あ、うん」
まどか「おやすみなさい…」
ほむら「おやすみ…」
違うんだよまどか。
私はあなたが好きなんだよ。
ずっと前から、ずっとずっと前から、あなたの傍にいたくて、
ほんとはいつだって傍にいたかった。
あなたのために何かがしたくて、
だけど、
お姉ちゃんでいればあなたのそばにいれるけど、
お姉ちゃんでいればあなたのためになれるけど、
お姉ちゃんでいたらあなたにはこの想いは伝えられないんだ。
因果の二律背反が私の心を縛って、締まって、
締め付けられて、涙を流す。
どうして私はあなたのお姉ちゃんなんだろう?
ほむら「……」
まどか「お、姉ちゃん?」
ほむら「…ごめんね」
ほむら「先に寝る…」
まどか「…あ、うん」
まどか「おやすみなさい…」
ほむら「おやすみ…」
72: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/11(土) 00:55:49.02 ID:kIYuDa/c0
ほむら「……」
瞼が、重い。
目を閉じずにはいられない。
なのに意識ははっきりしていて、眠りへの逃避を許してくれない。
この気持ちを忘れて、朝を迎えて、
笑ってまどかと一緒に学校に行きたいのに。
コンコン
まどか「お姉ちゃん…起きてる?」ガチャ
ほむら「…まどか?」
まどか「ごめんね…寝れないよね」
まどか「紅茶って…カフェインいっぱい入ってるの」
まどか「すっかり忘れてて…」
ほむら「…それは、あなたもでしょう?」
まどか「てへへ…うっかり…」
ほむら「…おいで?」
まどか「うんっ」
瞼が、重い。
目を閉じずにはいられない。
なのに意識ははっきりしていて、眠りへの逃避を許してくれない。
この気持ちを忘れて、朝を迎えて、
笑ってまどかと一緒に学校に行きたいのに。
コンコン
まどか「お姉ちゃん…起きてる?」ガチャ
ほむら「…まどか?」
まどか「ごめんね…寝れないよね」
まどか「紅茶って…カフェインいっぱい入ってるの」
まどか「すっかり忘れてて…」
ほむら「…それは、あなたもでしょう?」
まどか「てへへ…うっかり…」
ほむら「…おいで?」
まどか「うんっ」
74: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/11(土) 01:02:48.93 ID:kIYuDa/c0
ほむら「まどかってあったかいわ…」ギュ
まどか「わたし、子供体温だから…」
まどか「なんだか安心するなぁ」
まどか「お姉ちゃんって癒し系…」
ほむら「…そう?」
まどか「頼りになるっていうか」
まどか「…そんな感じ」
ほむら「…もっと頼ってもいいんだよ?」
まどか「…………うん」
まどか「わたし、子供体温だから…」
まどか「なんだか安心するなぁ」
まどか「お姉ちゃんって癒し系…」
ほむら「…そう?」
まどか「頼りになるっていうか」
まどか「…そんな感じ」
ほむら「…もっと頼ってもいいんだよ?」
まどか「…………うん」
109: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/11(土) 13:18:56.72 ID:kIYuDa/c0
まどか「すー…すー…」
ほむら「………」サラッ
ほむら(髪、柔らかい…)
ほむら(かわいい…)
まどか「うーん…むにゃ…」
ほむら「……」
ほむら(どうして私はお姉ちゃんなのかな?)
ほむら(どうして私がお姉ちゃんになったのかな)
まどかの願い事が私とまどかの距離を変えてくれた。
世界で1番近くて遠い場所に私の運命を導いた。
神様は非情だ。
私達の祈りを聞いてはくれない。
代わりにやってきて、祈りを聞き届けたのは白い獣。
それも、とびっきりの絶望を引き連れて。
神様も、
運命も、
獣も、
世界は残酷で満ちている。
ほむら「………」サラッ
ほむら(髪、柔らかい…)
ほむら(かわいい…)
まどか「うーん…むにゃ…」
ほむら「……」
ほむら(どうして私はお姉ちゃんなのかな?)
ほむら(どうして私がお姉ちゃんになったのかな)
まどかの願い事が私とまどかの距離を変えてくれた。
世界で1番近くて遠い場所に私の運命を導いた。
神様は非情だ。
私達の祈りを聞いてはくれない。
代わりにやってきて、祈りを聞き届けたのは白い獣。
それも、とびっきりの絶望を引き連れて。
神様も、
運命も、
獣も、
世界は残酷で満ちている。
110: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/11(土) 13:22:16.16 ID:kIYuDa/c0
本日の目覚め、最悪。
眠気は一向にやってこなくて、
隣の妹の温度は理性を掻き乱す。
疲れた。
まどか「あ…お姉ちゃん…おはよう」
ほむら「…おは、よぅ」
まどか「お、お姉ちゃん…くまがすごいよ?」
ほむら「…平気よ」
のどが渇いて思考にロックがかかる。
深く物事を考えられない。
寝不足だ。
まどか「学校行くの…?」
ほむら「行くわ」
ほむら「ほら、まどかも準備しなさい」
私に促されてまどかがのろのろ寝床から立ち上がる。
その後に私も続いて、鈍い体に鞭を打つ。
眠気は一向にやってこなくて、
隣の妹の温度は理性を掻き乱す。
疲れた。
まどか「あ…お姉ちゃん…おはよう」
ほむら「…おは、よぅ」
まどか「お、お姉ちゃん…くまがすごいよ?」
ほむら「…平気よ」
のどが渇いて思考にロックがかかる。
深く物事を考えられない。
寝不足だ。
まどか「学校行くの…?」
ほむら「行くわ」
ほむら「ほら、まどかも準備しなさい」
私に促されてまどかがのろのろ寝床から立ち上がる。
その後に私も続いて、鈍い体に鞭を打つ。
111: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/11(土) 13:26:19.25 ID:kIYuDa/c0
マミ「……えーと?」
ほむら「…気にしないで」
いつもはカチューシャであげた前髪を下ろして、
刻まれたくまに精一杯の抵抗。
巴マミの視線が黒いカーテン越しに伝わる。
マミ「…貞子」
ほむら「黙りなさい」
マミ「そんな髪型の影の薄い美術部員が…!」
ほむら「黙りなさい」
マミ「サン・ミケーレの…!!」
ほむら「黙れ」
笑い話に突っ込む気力もない。
ぐだり、と机に身を任す。
このまま寝てしまいたくなるが、生憎私は枕がないと寝られないのだった。
ほむら「…気にしないで」
いつもはカチューシャであげた前髪を下ろして、
刻まれたくまに精一杯の抵抗。
巴マミの視線が黒いカーテン越しに伝わる。
マミ「…貞子」
ほむら「黙りなさい」
マミ「そんな髪型の影の薄い美術部員が…!」
ほむら「黙りなさい」
マミ「サン・ミケーレの…!!」
ほむら「黙れ」
笑い話に突っ込む気力もない。
ぐだり、と机に身を任す。
このまま寝てしまいたくなるが、生憎私は枕がないと寝られないのだった。
112: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/11(土) 13:30:19.86 ID:kIYuDa/c0
欠伸のしすぎでのどが渇いた。
重い体をなんとかひきずって、1日を終える。
美樹さやかと校門で最愛の妹を待つ、のだけど。
さやか「まどかは今日も委員会のようです」
ほむら「…そう」
そういえば朝になにか言っていた気もするが思い出せない。
さやか「…寝不足ですか?」
ほむら「…うん」
ほむら「寝る前に紅茶飲んじゃって…」
さやか「うわ」
さやか「大丈夫ですか」
ほむら「…うん」
さやか「先に帰った方が…」
重い体をなんとかひきずって、1日を終える。
美樹さやかと校門で最愛の妹を待つ、のだけど。
さやか「まどかは今日も委員会のようです」
ほむら「…そう」
そういえば朝になにか言っていた気もするが思い出せない。
さやか「…寝不足ですか?」
ほむら「…うん」
ほむら「寝る前に紅茶飲んじゃって…」
さやか「うわ」
さやか「大丈夫ですか」
ほむら「…うん」
さやか「先に帰った方が…」
113: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/11(土) 13:34:09.69 ID:kIYuDa/c0
昨日の放課後の、
美樹さやかの言葉が蘇る。
「いやーまどかってあたしの嫁じゃないですか?」
刺さる。
おどけた彼女のいつもの冗談。
冗談と捉えられなかった私の耳。
空を掴む、行き先不安定な小さな嫉妬。
ほむら「…大丈夫よ」
顔を伏せて唇を噛む。
前髪があってよかった、こんな顔は誰にも見せられない。
まどかと美樹さやかと帰路につき、
家に入るやいなや私はベッドに潜りこんだ。
まどかは心配そうな顔だったが事情を知っているので無駄な干渉はしてこなかった。
すぐに瞼を閉じて意識を投げる。
美樹さやかの言葉が蘇る。
「いやーまどかってあたしの嫁じゃないですか?」
刺さる。
おどけた彼女のいつもの冗談。
冗談と捉えられなかった私の耳。
空を掴む、行き先不安定な小さな嫉妬。
ほむら「…大丈夫よ」
顔を伏せて唇を噛む。
前髪があってよかった、こんな顔は誰にも見せられない。
まどかと美樹さやかと帰路につき、
家に入るやいなや私はベッドに潜りこんだ。
まどかは心配そうな顔だったが事情を知っているので無駄な干渉はしてこなかった。
すぐに瞼を閉じて意識を投げる。
115: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/11(土) 13:38:31.50 ID:kIYuDa/c0
夢を見た。
まどかと私が友達だったころの夢。
あの時は、巴マミとまどかの、2人の背中を追いかけて。
後についていくのに必死だった。
今はまどかが私の背後に回っている、私がそうしたんだ。
あの子を私の後ろに隠して、何も見えないようにして。
それでもあの子は私の前に出て走り去ってしまう、何度、繰り返しても。
目を開けた。
まどかがベッドの隣にいた。
ほむら「…まどか」
まどか「…おはよう、ほむらちゃん」
ほむら「…お姉ちゃん、でしょ?」
まどか「うぅん、今だけ…」
まどか「今だけ、ほむらちゃんって呼ばせて?」
まどかと私が友達だったころの夢。
あの時は、巴マミとまどかの、2人の背中を追いかけて。
後についていくのに必死だった。
今はまどかが私の背後に回っている、私がそうしたんだ。
あの子を私の後ろに隠して、何も見えないようにして。
それでもあの子は私の前に出て走り去ってしまう、何度、繰り返しても。
目を開けた。
まどかがベッドの隣にいた。
ほむら「…まどか」
まどか「…おはよう、ほむらちゃん」
ほむら「…お姉ちゃん、でしょ?」
まどか「うぅん、今だけ…」
まどか「今だけ、ほむらちゃんって呼ばせて?」
116: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/11(土) 13:42:06.17 ID:kIYuDa/c0
まどかが上から私の顔を覗き込む。
目と目が合う、…赤く腫れていた。
まどか「…ほむらちゃん、うなされてたよ」
まどか「私の名前、ずっと呼んでた…」
まどか「私もほむらちゃんの名前、呼びたい…!」
滴が落ちる。
溢れ出て、伝って、滑り落ちる。
まどか「なんで、こんなお願いをしちゃったのかな…?」
まどか「なんで、ほむらちゃんがお姉ちゃんなんだろう…?」
目と目が合う、…赤く腫れていた。
まどか「…ほむらちゃん、うなされてたよ」
まどか「私の名前、ずっと呼んでた…」
まどか「私もほむらちゃんの名前、呼びたい…!」
滴が落ちる。
溢れ出て、伝って、滑り落ちる。
まどか「なんで、こんなお願いをしちゃったのかな…?」
まどか「なんで、ほむらちゃんがお姉ちゃんなんだろう…?」
118: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/11(土) 13:46:18.36 ID:kIYuDa/c0
まどか「ほむらちゃんに憧れてて」
まどか「ほむらちゃんが私に優しいから」
まどか「『お姉ちゃんが欲しい』なんて言ったの」
まどか「ずっと、ずっと傍に居て欲しかったから…!」
まどか「ばかだね、わたし」
まどか「ほむらちゃんがこんな遠くに行っちゃうなんて」
まどか「遠くに行って自分の気持ちに気づくなんて」
まどか「気づかなかったよ…!」
まどかの目から涙がとめどなく溢れる。
つられて私の視界も滲んでいく。
まどか「ほむらちゃんが私に優しいから」
まどか「『お姉ちゃんが欲しい』なんて言ったの」
まどか「ずっと、ずっと傍に居て欲しかったから…!」
まどか「ばかだね、わたし」
まどか「ほむらちゃんがこんな遠くに行っちゃうなんて」
まどか「遠くに行って自分の気持ちに気づくなんて」
まどか「気づかなかったよ…!」
まどかの目から涙がとめどなく溢れる。
つられて私の視界も滲んでいく。
119: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/11(土) 13:50:17.18 ID:kIYuDa/c0
私達は遠い所で、お互いに想いを募らせて黙っていた。
今は1番近いところで胸の内を叫んでる。
でももう、届かない、
姉妹という関係が何も聞こえないように耳を塞ぐ。
姉妹という関係が線を超えないようにと道を塞ぐ。
祈りが2人を別れさせてしまった。
まどか「ほむらちゃん…っ!!」
まどかが私の胸の中で泣き崩れる。
それを、強く、強く抱きしめる。
まどか「好き…好きだよっ…ほむらちゃん…!」
ほむら「私も…ずっと好きだった…!」
まどかの唇に、私の唇を落とす。
あなたの1番近いところに居て、
それでもまだ届かない私の、精一杯。
今は1番近いところで胸の内を叫んでる。
でももう、届かない、
姉妹という関係が何も聞こえないように耳を塞ぐ。
姉妹という関係が線を超えないようにと道を塞ぐ。
祈りが2人を別れさせてしまった。
まどか「ほむらちゃん…っ!!」
まどかが私の胸の中で泣き崩れる。
それを、強く、強く抱きしめる。
まどか「好き…好きだよっ…ほむらちゃん…!」
ほむら「私も…ずっと好きだった…!」
まどかの唇に、私の唇を落とす。
あなたの1番近いところに居て、
それでもまだ届かない私の、精一杯。
120: 榊鳥 ◆SSkkOxOZ3M 2011/06/11(土) 13:54:10.78 ID:kIYuDa/c0
薄闇がカーテン越しに見える。
朝が来る。
もうじきで家族が起きてきて、
階下に下りればみんな笑顔で「おはよう」と言ってくれるだろう。
温かいご飯が私たちを待ってくれているだろう。
それがずっと続くかどうかはまだ、分からない。
まどか「…そろそろ起きなきゃ、お姉ちゃん」
ほむら「…そうね」
まどかの手に引かれて、ベッドから立ち上がる。
世界で1番遠いところで手をつなぐ私達。
それでも、
少し位は近づけたのかもしれない。
おわり
朝が来る。
もうじきで家族が起きてきて、
階下に下りればみんな笑顔で「おはよう」と言ってくれるだろう。
温かいご飯が私たちを待ってくれているだろう。
それがずっと続くかどうかはまだ、分からない。
まどか「…そろそろ起きなきゃ、お姉ちゃん」
ほむら「…そうね」
まどかの手に引かれて、ベッドから立ち上がる。
世界で1番遠いところで手をつなぐ私達。
それでも、
少し位は近づけたのかもしれない。
おわり
121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/11(土) 13:55:12.52 ID:X7yAKB7M0
乙
もっと読みたい気もするけど綺麗に終わってるしな
もっと読みたい気もするけど綺麗に終わってるしな
133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/06/11(土) 14:29:02.03 ID:8SV12ady0
乙
悔しいけど、やっぱり王道は良いんだよなぁ
悔しいけど、やっぱり王道は良いんだよなぁ
引用元: まどか「キュゥべえ、契約するよ!願いは『お姉ちゃんが欲しい』!」
ほむら「お茶会をしましょう」
2020-05-13
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 12:32:19.25 ID:1/vSkhrn0
ほむら「まどか……」
杏子「ん、誰だ? まどかって」
さやか「転校生の知り合いの名前? どっかで聞いたような……」
ほむら「……」
マミ「暁美さん、よかったら聞かせてもらえないかしら?」
ほむら「……聞いても、信じてもらえないわ」
マミ「話してみないとわからないでしょ?」
ほむら「……」
杏子「ん、誰だ? まどかって」
さやか「転校生の知り合いの名前? どっかで聞いたような……」
ほむら「……」
マミ「暁美さん、よかったら聞かせてもらえないかしら?」
ほむら「……聞いても、信じてもらえないわ」
マミ「話してみないとわからないでしょ?」
ほむら「……」
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3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 12:35:18.86 ID:1/vSkhrn0
マミ「……そう。そんな子がいたのね」
さやか「あたしたちも会ったことがあるって言われてもなあ、知らないけど」
杏子「会いに行ったりはできねーのかよ?」
ほむら「無理よ……すごく、すごく遠いところにいるもの」
杏子「あー……そっか」
マミ「……」
マミ「それじゃあ、お茶会に呼んでみましょうか」
ほむら「え?」
さやか「あたしたちも会ったことがあるって言われてもなあ、知らないけど」
杏子「会いに行ったりはできねーのかよ?」
ほむら「無理よ……すごく、すごく遠いところにいるもの」
杏子「あー……そっか」
マミ「……」
マミ「それじゃあ、お茶会に呼んでみましょうか」
ほむら「え?」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 12:38:07.98 ID:1/vSkhrn0
マミ「その鹿目さんっていう子は、いつも私たちを見守ってくれてるんでしょう?」
マミ「だったらきっと、鹿目さんの席を用意すれば一緒に参加してくれると思うの」
杏子「はあ……マミらしいけどな」
さやか「いいんじゃない? 転校生も気分転換になるでしょ」
ほむら「……」
マミ「じゃあ今日は鹿目さんの好きなメニューを用意しましょう。教えてくれる?」
ほむら「……ええ」
マミ「だったらきっと、鹿目さんの席を用意すれば一緒に参加してくれると思うの」
杏子「はあ……マミらしいけどな」
さやか「いいんじゃない? 転校生も気分転換になるでしょ」
ほむら「……」
マミ「じゃあ今日は鹿目さんの好きなメニューを用意しましょう。教えてくれる?」
ほむら「……ええ」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 12:41:11.96 ID:1/vSkhrn0
――マミホーム
マミ「イチゴショートね?」
ほむら「ええ、それが一番好きだったと思うわ」
マミ「ちょうどイチゴは買ってあるし……さっそく準備しましょうか」
杏子「なんであたしらまで作るんだ?」
さやか「まあまあ、そう言わないの。どうせ暇でしょ?」
杏子「……まあ、食えるんならいいけどさ」
マミ「イチゴショートね?」
ほむら「ええ、それが一番好きだったと思うわ」
マミ「ちょうどイチゴは買ってあるし……さっそく準備しましょうか」
杏子「なんであたしらまで作るんだ?」
さやか「まあまあ、そう言わないの。どうせ暇でしょ?」
杏子「……まあ、食えるんならいいけどさ」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 12:44:04.71 ID:1/vSkhrn0
マミ「まず無塩バターを溶かしておくわ。レンジを使ってもいいけど、沸騰させたりしないように注意してね」
杏子「へいへい、ちゃんと見てますよー」ブーン
マミ「薄力粉はふるいにかける。この工程をちゃんとやらないとダマができたり、仕上がりがふんわりしなくなるわよ」
さやか「責任重大ってことですね? そんな部分をさやかちゃんに任せるなんて……んー、マミさんわかってるなあ!」
ほむら「言ってなさい」
マミ「はいはい、暁美さんはこっちね」グイ
杏子「へいへい、ちゃんと見てますよー」ブーン
マミ「薄力粉はふるいにかける。この工程をちゃんとやらないとダマができたり、仕上がりがふんわりしなくなるわよ」
さやか「責任重大ってことですね? そんな部分をさやかちゃんに任せるなんて……んー、マミさんわかってるなあ!」
ほむら「言ってなさい」
マミ「はいはい、暁美さんはこっちね」グイ
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 12:47:22.09 ID:1/vSkhrn0
マミ「ボウルで湯煎しながら卵を泡立てるわよ。混ぜ具合に応じてグラニュー糖を何回かに加えていくの」
ほむら「……」カシャカシャカシャ
マミ「はい、一回目」サラサラサラ
ほむら「……」カシャカシャカシャカシャ
マミ「はい、二回目」サラサラサラ
ほむら「……」カシャカシャカシャカシャカシャ
ほむら「……っ」カシャカシャカシャカシャカシャ…!
杏子「バター用意できたぞ……って、あれ? マミ、あれ使わねーの? ギュイーンてやつ」
ほむら「ぎゅいーんって、何……?」ゼイゼイ
マミ「これのことかしら?」カチッ ギュイーン
ほむら「自動泡立て器があるなら最初から出しなさい……!」プルプル
マミ「ハンドミキサーっていうのよ?」
ほむら「どっちでもいいわ……!」
ほむら「……」カシャカシャカシャ
マミ「はい、一回目」サラサラサラ
ほむら「……」カシャカシャカシャカシャ
マミ「はい、二回目」サラサラサラ
ほむら「……」カシャカシャカシャカシャカシャ
ほむら「……っ」カシャカシャカシャカシャカシャ…!
杏子「バター用意できたぞ……って、あれ? マミ、あれ使わねーの? ギュイーンてやつ」
ほむら「ぎゅいーんって、何……?」ゼイゼイ
マミ「これのことかしら?」カチッ ギュイーン
ほむら「自動泡立て器があるなら最初から出しなさい……!」プルプル
マミ「ハンドミキサーっていうのよ?」
ほむら「どっちでもいいわ……!」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 12:51:15.84 ID:1/vSkhrn0
ほむら「……」ギュイーン
マミ「機嫌直してちょうだい、暁美さーん」
ほむら「……」プイ
杏子「はは、ほむらも案外ガキっぽいな」
ほむら「誰が……!」ブブブブブ
マミ「はいはい、ハンドミキサー使ってる時はよそ見しない! あんまり浅い所で回してると飛び散るわよ!」ギュ
ほむら「あ……」
ほむら(いつぶりかしら……こんなふうに、巴さんに教わるのって)
さやか「粉ふるい終わったよー……って、何この雰囲気」
マミ「機嫌直してちょうだい、暁美さーん」
ほむら「……」プイ
杏子「はは、ほむらも案外ガキっぽいな」
ほむら「誰が……!」ブブブブブ
マミ「はいはい、ハンドミキサー使ってる時はよそ見しない! あんまり浅い所で回してると飛び散るわよ!」ギュ
ほむら「あ……」
ほむら(いつぶりかしら……こんなふうに、巴さんに教わるのって)
さやか「粉ふるい終わったよー……って、何この雰囲気」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 12:54:31.92 ID:1/vSkhrn0
マミ「そろそろいいかしら」
さやか「わー……卵と砂糖だけでもこんなに膨らむんですね」
マミ「ええ、このふわふわがスポンジケーキを膨らませるのよ」
マミ「こんなふうに爪楊枝を刺しても倒れないくらいの泡立ちなら合格ね」プス
さやか「おおー」
マミ「さ、ここからはコツがいるわよ」
さやか「わー……卵と砂糖だけでもこんなに膨らむんですね」
マミ「ええ、このふわふわがスポンジケーキを膨らませるのよ」
マミ「こんなふうに爪楊枝を刺しても倒れないくらいの泡立ちなら合格ね」プス
さやか「おおー」
マミ「さ、ここからはコツがいるわよ」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 12:57:58.74 ID:1/vSkhrn0
マミ「薄力粉を少しずつ加えながら、ヘラで生地を底から持ち上げて被せるように混ぜるわ」
さやか「ほい」サラサラ
杏子「よしきた」グリン
マミ「ボウルは回しながら、満遍なくね。偏りがあると粉っぽいうえに上手く膨らまないわよ?」
杏子「わかってるって。ほむら、ちゃんと回せよ」
ほむら「これ、三人がかりでやるものなのかしら……」クルクル
さやか「ほい」サラサラ
杏子「よしきた」グリン
マミ「ボウルは回しながら、満遍なくね。偏りがあると粉っぽいうえに上手く膨らまないわよ?」
杏子「わかってるって。ほむら、ちゃんと回せよ」
ほむら「これ、三人がかりでやるものなのかしら……」クルクル
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 13:00:14.75 ID:1/vSkhrn0
マミ「それじゃあ仕上げは私ね」
マミ「粉が全部混ざったら泡を潰さないようにゆっくりと混ぜる」スッ スッ
マミ「それから溶かしバターを加えて、切るようにサックリと!」サッ サッ
マミ「これで生地の完成よ!」
杏子「それでバターを塗った型に入れて焼く、と」
さやか「さっきから思ってたけど、なんか杏子詳しいよね」
杏子「まあその……昔ちょっとな」
マミ「粉が全部混ざったら泡を潰さないようにゆっくりと混ぜる」スッ スッ
マミ「それから溶かしバターを加えて、切るようにサックリと!」サッ サッ
マミ「これで生地の完成よ!」
杏子「それでバターを塗った型に入れて焼く、と」
さやか「さっきから思ってたけど、なんか杏子詳しいよね」
杏子「まあその……昔ちょっとな」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 13:03:55.45 ID:1/vSkhrn0
QB「やあマミ、いい匂いがするね」ヒョコッ
ほむら「出たわね害獣」ゲシッ
QB「きゅっぷい!?」ムギュ
マミ「暁美さん!? キュゥべえ、大丈夫!?」
さやか「ちょっとちょっと、いきなり踏んづけることないんじゃない?」
杏子「まあ、ほむらのキュゥべえ嫌いは今に始まったことじゃないけどな」
ほむら「こいつのせいで、こいつのせいでまどかは」ブツブツ グリグリ
QB「痛い痛い! まどかって誰だい!? 身に覚えがない、わけがわからないよ!」ジタバタ
ほむら「出たわね害獣」ゲシッ
QB「きゅっぷい!?」ムギュ
マミ「暁美さん!? キュゥべえ、大丈夫!?」
さやか「ちょっとちょっと、いきなり踏んづけることないんじゃない?」
杏子「まあ、ほむらのキュゥべえ嫌いは今に始まったことじゃないけどな」
ほむら「こいつのせいで、こいつのせいでまどかは」ブツブツ グリグリ
QB「痛い痛い! まどかって誰だい!? 身に覚えがない、わけがわからないよ!」ジタバタ
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 13:07:16.44 ID:1/vSkhrn0
マミ「気を取り直して……今のうちにラム酒のシロップを作るわよ」
マミ「水、グラニュー糖、レモン汁少々をひと煮立ち」クツクツ
マミ「一度火を止めてラム酒を適量、もう一度煮立たせてアルコールを飛ばす」サッ クツクツ
QB「マミー、ブラシを貸してくれないか! 僕の尻尾に足跡がくっきり……」
杏子「こら、毛が入るからお前は大人しくしてろ!」
ほむら「そうよ。ブラッシングなら責任を持ってやってあげるわ」ユラリ
QB「ま……マミ! 助けてくれマミー!!」
マミ「水、グラニュー糖、レモン汁少々をひと煮立ち」クツクツ
マミ「一度火を止めてラム酒を適量、もう一度煮立たせてアルコールを飛ばす」サッ クツクツ
QB「マミー、ブラシを貸してくれないか! 僕の尻尾に足跡がくっきり……」
杏子「こら、毛が入るからお前は大人しくしてろ!」
ほむら「そうよ。ブラッシングなら責任を持ってやってあげるわ」ユラリ
QB「ま……マミ! 助けてくれマミー!!」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 13:10:52.38 ID:1/vSkhrn0
マミ「そろそろ焼き上がったかしら。取り出して、と」
さやか「おおっ! 焼きたてもいいもんですね……いい香り!」
マミ「このまま荒熱を取って、冷ましたらスライスして断面にシロップを塗るのよ」
さやか「……」ジュルリ
QB「痛い痛い! 地肌に当たってるよ! もっと優しく!」
ほむら「うるさいわね……こう? こうがいいの?」ガシガシ
QB「ひいいっ! 削れる! 削れちゃうよ!」
杏子「お前らって案外仲いいよなー」
QB「杏子、見てないでほむらを止め……ちょ、痛いってば! 毛が絡まってるのに力任せにとかないで!」バタバタ
さやか「おおっ! 焼きたてもいいもんですね……いい香り!」
マミ「このまま荒熱を取って、冷ましたらスライスして断面にシロップを塗るのよ」
さやか「……」ジュルリ
QB「痛い痛い! 地肌に当たってるよ! もっと優しく!」
ほむら「うるさいわね……こう? こうがいいの?」ガシガシ
QB「ひいいっ! 削れる! 削れちゃうよ!」
杏子「お前らって案外仲いいよなー」
QB「杏子、見てないでほむらを止め……ちょ、痛いってば! 毛が絡まってるのに力任せにとかないで!」バタバタ
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 13:14:22.99 ID:1/vSkhrn0
マミ「さあ、いよいよデコレーションね。生クリームを泡立てるわよ」
さやか「待ってました!」
マミ「生クリームは湯煎の逆……ボウルを冷やしながら泡立てていくわ」
マミ「角が立つ……泡だて器で立たせた部分が戻らなくなる一歩手前くらいの固さで止める」
マミ「ハンドミキサーを使うなら固くなりすぎに注意よ。こまめに状態を見ながらにすること!」
ほむら「意外と気を使うのね……」
マミ「そういうものよ。イチゴのスライスとクリームを挟んで、その上からクリームでコーディング。あとは好みの飾りつけね」
さやか「ふふーん、さやかちゃんのセンスの見せ所だね!」
ほむら「引っ込んでなさい、美樹さやか。これは私がまどかに贈るケーキなのよ……」
さやか「転校生こそ不器用そうだし、失敗するよりあたしに任せた方がいいんじゃないのー?」
ほむら「……」イラッ
マミ「二人とも、 仲 良 く ね ?」ジャコッ
さやほむ「「はいっ!」」ビシッ
マミ「よろしい……あら? そういえば佐倉さんとキュゥべえは……?」
さやか「待ってました!」
マミ「生クリームは湯煎の逆……ボウルを冷やしながら泡立てていくわ」
マミ「角が立つ……泡だて器で立たせた部分が戻らなくなる一歩手前くらいの固さで止める」
マミ「ハンドミキサーを使うなら固くなりすぎに注意よ。こまめに状態を見ながらにすること!」
ほむら「意外と気を使うのね……」
マミ「そういうものよ。イチゴのスライスとクリームを挟んで、その上からクリームでコーディング。あとは好みの飾りつけね」
さやか「ふふーん、さやかちゃんのセンスの見せ所だね!」
ほむら「引っ込んでなさい、美樹さやか。これは私がまどかに贈るケーキなのよ……」
さやか「転校生こそ不器用そうだし、失敗するよりあたしに任せた方がいいんじゃないのー?」
ほむら「……」イラッ
マミ「二人とも、 仲 良 く ね ?」ジャコッ
さやほむ「「はいっ!」」ビシッ
マミ「よろしい……あら? そういえば佐倉さんとキュゥべえは……?」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 13:18:04.35 ID:1/vSkhrn0
杏子「へへ……これこれ。スポンジケーキのこんがり焼けたとこの切り落とし!」
杏子「マミの奴、クリーム塗る前にこの辺りは切り取っちまうからな……相変わらずだぜ」
杏子「言うなればカステラの黒いとこ! これがまた美味いんだよなあ……」
杏子「……!? 誰だ!?」
QB「杏子……それは僕のものさ、誰にも渡せない」
杏子「ほお、あたしに食い意地で張り合おうってか? 面白い」
QB「僕が何年マミのお菓子作りに付き合ってきたと思ってるんだい? ほんの短い間の居候でしかなかった君に負けるわけにはいかないね」
杏子「おーし、いい度胸じゃねーか……どっちが食うにふさわしいか思い知らせて」
マミ「……」ジャコッ
杏子「よしキュゥべえ! 今日の所は休戦ってことで、半分こしようじゃねーか!」
QB「奇遇だね杏子、僕もそう思っていたところさ!」
マミ「まったく……最初からそうすればいいのよ」
杏子「マミの奴、クリーム塗る前にこの辺りは切り取っちまうからな……相変わらずだぜ」
杏子「言うなればカステラの黒いとこ! これがまた美味いんだよなあ……」
杏子「……!? 誰だ!?」
QB「杏子……それは僕のものさ、誰にも渡せない」
杏子「ほお、あたしに食い意地で張り合おうってか? 面白い」
QB「僕が何年マミのお菓子作りに付き合ってきたと思ってるんだい? ほんの短い間の居候でしかなかった君に負けるわけにはいかないね」
杏子「おーし、いい度胸じゃねーか……どっちが食うにふさわしいか思い知らせて」
マミ「……」ジャコッ
杏子「よしキュゥべえ! 今日の所は休戦ってことで、半分こしようじゃねーか!」
QB「奇遇だね杏子、僕もそう思っていたところさ!」
マミ「まったく……最初からそうすればいいのよ」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 13:22:51.84 ID:1/vSkhrn0
マミ「さ、お茶が入ったわ。ケーキも切り分けたわよ」
さやか「待ってました! んー、さすがマミさんの紅茶……いつ来てもいい香りですなー」
QB「黄色いスポンジに白のクリーム、赤いイチゴ……まったく君たち人間の食文化というものは素晴らしいね。わけがわかるよ」ジュルリ
ほむら「……どうしてこいつの席まで用意されてるのかしら」
マミ「キュゥべえとはいつも一緒にお茶してるもの。仲間外れにはできないわ」
QB「というわけさ、ほむら」
ほむら「ぐぬぬ」
杏子「いいからさ、早く食おーぜ? もう我慢できねーよ」
マミ「はいはい……ここが鹿目さんの席ね」コトッ
マミ「それじゃ、みんな席について」
「「「「「いただきまーす!」」」」」
さやか「待ってました! んー、さすがマミさんの紅茶……いつ来てもいい香りですなー」
QB「黄色いスポンジに白のクリーム、赤いイチゴ……まったく君たち人間の食文化というものは素晴らしいね。わけがわかるよ」ジュルリ
ほむら「……どうしてこいつの席まで用意されてるのかしら」
マミ「キュゥべえとはいつも一緒にお茶してるもの。仲間外れにはできないわ」
QB「というわけさ、ほむら」
ほむら「ぐぬぬ」
杏子「いいからさ、早く食おーぜ? もう我慢できねーよ」
マミ「はいはい……ここが鹿目さんの席ね」コトッ
マミ「それじゃ、みんな席について」
「「「「「いただきまーす!」」」」」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 13:26:56.96 ID:1/vSkhrn0
さやか「お……おおお! 何これ、スポンジの弾力がすごい……!」
ほむら「クリームの甘さは控えめなのね……生地に染み込ませたシロップの甘みがあるから丁度いいわ」
マミ「ふふ、お気に召したかしら?」
ほむら「……ええ。まどかもきっと絶賛したと思うわ」
マミ「そう、よかった……作り方は覚えた?」
ほむら「……え?」
マミ「鹿目さんが一番好きだったケーキなんでしょう? コツを押さえれば簡単だから、暁美さんもすぐに作れるようになるわ」
ほむら「……」
マミ「よかったら、これからもお茶会しましょう? レシピを伝授してあげるわ」
ほむら「……ええ、お願いするわ」
さやか「マミさん! あたしもあたしも!」
マミ「ふふっ……ええ、みんな一緒にね」
杏子「へへっ、もーらい」ヒョイ パク
QB「ああっ、僕の楽しみにしてたイチゴを! 君たち人間はこんなふうに無意味に意地悪をする……わけがわからないよ!」
ほむら「クリームの甘さは控えめなのね……生地に染み込ませたシロップの甘みがあるから丁度いいわ」
マミ「ふふ、お気に召したかしら?」
ほむら「……ええ。まどかもきっと絶賛したと思うわ」
マミ「そう、よかった……作り方は覚えた?」
ほむら「……え?」
マミ「鹿目さんが一番好きだったケーキなんでしょう? コツを押さえれば簡単だから、暁美さんもすぐに作れるようになるわ」
ほむら「……」
マミ「よかったら、これからもお茶会しましょう? レシピを伝授してあげるわ」
ほむら「……ええ、お願いするわ」
さやか「マミさん! あたしもあたしも!」
マミ「ふふっ……ええ、みんな一緒にね」
杏子「へへっ、もーらい」ヒョイ パク
QB「ああっ、僕の楽しみにしてたイチゴを! 君たち人間はこんなふうに無意味に意地悪をする……わけがわからないよ!」
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 13:31:31.26 ID:1/vSkhrn0
――数週間後
杏子「ふう……強敵だったな。さやかのあれがなかったら危なかったぜ」
ほむら「……」
杏子「ん……さやかは? オイ、さやかはどうした?」
ほむら「……」
マミ「行ってしまったわ……円環の理に導かれて」
杏子「……」
杏子「あの馬鹿野郎……やっと友達になれたのに」
杏子「ふう……強敵だったな。さやかのあれがなかったら危なかったぜ」
ほむら「……」
杏子「ん……さやかは? オイ、さやかはどうした?」
ほむら「……」
マミ「行ってしまったわ……円環の理に導かれて」
杏子「……」
杏子「あの馬鹿野郎……やっと友達になれたのに」
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 13:34:16.28 ID:1/vSkhrn0
ほむら「……?」
――絶対、無意味じゃなかったと思うの。 だから……
ほむら「……まどか?」
杏子「何だよオイ……こんな時に、また『まどか』かよ」
マミ「佐倉さん」
杏子「ほむら……あんたは一緒に戦ってきたさやかよりも、そのまどかってのの方が大事なのかよ!」
杏子「行っちまったばっかだってのに、こんな時まで……!」
マミ「佐倉さん……!」
杏子「……っ」
杏子「……悪い、取り乱しちまった」
――絶対、無意味じゃなかったと思うの。 だから……
ほむら「……まどか?」
杏子「何だよオイ……こんな時に、また『まどか』かよ」
マミ「佐倉さん」
杏子「ほむら……あんたは一緒に戦ってきたさやかよりも、そのまどかってのの方が大事なのかよ!」
杏子「行っちまったばっかだってのに、こんな時まで……!」
マミ「佐倉さん……!」
杏子「……っ」
杏子「……悪い、取り乱しちまった」
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 13:37:27.07 ID:1/vSkhrn0
ほむら「……さやかは」
ほむら「さやかは、一緒に行ったんだわ」
ほむら「まどかが迎えに来て、連れて行ったのよ」
杏子「……はあ?」
マミ「……そう」
マミ「じゃあ、またお茶会にお招きしましょうか」
ほむら「さやかは、一緒に行ったんだわ」
ほむら「まどかが迎えに来て、連れて行ったのよ」
杏子「……はあ?」
マミ「……そう」
マミ「じゃあ、またお茶会にお招きしましょうか」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 13:40:47.19 ID:1/vSkhrn0
――マミホーム
杏子「……あたし、そんな気分じゃねーんだけど」
マミ「そう言わずに。今日用意してたのは美樹さんのリクエストだったのよ」
杏子「……」
ほむら「用意はいいわ、進めていきましょう」
マミ「ええ。佐倉さん、休んでても大丈夫よ?」
杏子「……いいよ、あたしもやるよ」
マミ「……よろしい」
杏子「……あたし、そんな気分じゃねーんだけど」
マミ「そう言わずに。今日用意してたのは美樹さんのリクエストだったのよ」
杏子「……」
ほむら「用意はいいわ、進めていきましょう」
マミ「ええ。佐倉さん、休んでても大丈夫よ?」
杏子「……いいよ、あたしもやるよ」
マミ「……よろしい」
42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 13:44:02.31 ID:1/vSkhrn0
マミ「佐倉さんにはこっちでチョコレートを湯煎してもらうわ。よく溶かして混ざったら、今度は冷ましておくこと」
杏子「チョコ使うのか? わ……溶かすとすげー匂いだなあ」
マミ「カカオのいい匂いでしょう? 慣れないとむせるくらいかもしれないけど……頑張って」
マミ「暁美さんには卵白を泡立ててメレンゲを作ってもらうわ」
ほむら「ハンドミキサーの出番ね」ギュイーン
マミ「ええ。グラニュー糖を少しずつ加えて、きめ細かいメレンゲにするわよ」
マミ「卵黄もグラニュー糖を加えて白っぽくなるまで混ぜておくわ」カシャカシャカシャ
杏子「チョコ使うのか? わ……溶かすとすげー匂いだなあ」
マミ「カカオのいい匂いでしょう? 慣れないとむせるくらいかもしれないけど……頑張って」
マミ「暁美さんには卵白を泡立ててメレンゲを作ってもらうわ」
ほむら「ハンドミキサーの出番ね」ギュイーン
マミ「ええ。グラニュー糖を少しずつ加えて、きめ細かいメレンゲにするわよ」
マミ「卵黄もグラニュー糖を加えて白っぽくなるまで混ぜておくわ」カシャカシャカシャ
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 13:47:45.68 ID:1/vSkhrn0
杏子「マミー、このくらいでいいか?」
マミ「どれどれ……よさそうね」ピト
マミ「チョコレートが人肌くらいまで冷めたら、卵黄と合わせていくわ」
マミ「円を描くようによく混ぜていく……お願いね」
杏子「おう」カシャカシャ クルクル
マミ「どれどれ……よさそうね」ピト
マミ「チョコレートが人肌くらいまで冷めたら、卵黄と合わせていくわ」
マミ「円を描くようによく混ぜていく……お願いね」
杏子「おう」カシャカシャ クルクル
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 13:50:27.47 ID:1/vSkhrn0
ほむら「ふう、メレンゲはこんなものかしら」
マミ「そうね……じゃあこれを一すくいだけチョコと合わせて」ポチョン
マミ「チョコレートはさらに薄力粉と合わせてよく混ぜていくわ」
杏子「なんか忙しいケーキだな」
マミ「その分手順も少なくてすむから、手軽なレシピだと思うわよ?」
マミ「そうね……じゃあこれを一すくいだけチョコと合わせて」ポチョン
マミ「チョコレートはさらに薄力粉と合わせてよく混ぜていくわ」
杏子「なんか忙しいケーキだな」
マミ「その分手順も少なくてすむから、手軽なレシピだと思うわよ?」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 13:53:38.76 ID:1/vSkhrn0
マミ「さ、ここからはスピード勝負よ」
マミ「泡立て直した残りのメレンゲをチョコレート生地に投入!」
ほむら「はい」サッ サッ
マミ「今度はゴムベラで、底からひっくり返すように手早く混ぜる! 混ぜすぎないこと!」
杏子「よしきた」グルン
マミ「生地が均一な茶色になったら型に流し込む! 表面を平らにしたらオーブンで焼いて出来上がりよ!」
杏子「おお? もう終わっちまったのか?」
マミ「ええ、簡単でしょう?」
マミ「泡立て直した残りのメレンゲをチョコレート生地に投入!」
ほむら「はい」サッ サッ
マミ「今度はゴムベラで、底からひっくり返すように手早く混ぜる! 混ぜすぎないこと!」
杏子「よしきた」グルン
マミ「生地が均一な茶色になったら型に流し込む! 表面を平らにしたらオーブンで焼いて出来上がりよ!」
杏子「おお? もう終わっちまったのか?」
マミ「ええ、簡単でしょう?」
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 13:57:05.48 ID:1/vSkhrn0
QB「香ばしくていい匂いがするね」フラフラ
ほむら「出たわね淫獣」ゲシッ
QB「きゅぷっ!? ほむら、意味もなく蹴るのはやめてくれって言ってるだろう!?」
杏子「食い物の匂いで誘い出されやがって……本当に犬猫と変わんねーな、お前」
QB「失礼な! 僕たちは君たち人間よりも遥かに高い次元にいるんだ、ただ君たちがそれを理解できるだけの文明を持ち合わせていないだけさ!」
マミ「あら……じゃあ、私たちみたいな低次元の存在の食べ物はいらないかしら?」
QB「犬でも猫でも好きな方にしてくれて構わないよ」キリッ
杏子「おい」
ほむら「出たわね淫獣」ゲシッ
QB「きゅぷっ!? ほむら、意味もなく蹴るのはやめてくれって言ってるだろう!?」
杏子「食い物の匂いで誘い出されやがって……本当に犬猫と変わんねーな、お前」
QB「失礼な! 僕たちは君たち人間よりも遥かに高い次元にいるんだ、ただ君たちがそれを理解できるだけの文明を持ち合わせていないだけさ!」
マミ「あら……じゃあ、私たちみたいな低次元の存在の食べ物はいらないかしら?」
QB「犬でも猫でも好きな方にしてくれて構わないよ」キリッ
杏子「おい」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 14:01:17.61 ID:1/vSkhrn0
マミ「さ、お茶も入ったわ。席について」
QB「待ってたよ! 茶色の生地が白く包まれてて、これまた素晴らしいね!」ジュルリ
マミ「ええ、冷ました後に全体に粉砂糖を振ってあるのよ」
ほむら「これは……ガトーショコラというやつかしら」
杏子「ふーん、これがさやかのリクエストか……」
マミ「全員分あるわね? それじゃあ」
「「「「いただきまーす」」」」
QB「待ってたよ! 茶色の生地が白く包まれてて、これまた素晴らしいね!」ジュルリ
マミ「ええ、冷ました後に全体に粉砂糖を振ってあるのよ」
ほむら「これは……ガトーショコラというやつかしら」
杏子「ふーん、これがさやかのリクエストか……」
マミ「全員分あるわね? それじゃあ」
「「「「いただきまーす」」」」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 14:04:45.02 ID:1/vSkhrn0
ほむら「んっ……表面はさくっとして、ふわふわね」
QB「内側にいけばいくほどしっとりしてるね! 半熟ってやつかい?」モフモフ
ほむら「まあ、間違ってはいないわね……」
杏子「……うん、あんまり甘くなくって美味いな」
マミ「それならよかったわ……これ、佐倉さん向けのケーキだったから」
杏子「は? どういうことだよ、オイ」
QB「内側にいけばいくほどしっとりしてるね! 半熟ってやつかい?」モフモフ
ほむら「まあ、間違ってはいないわね……」
杏子「……うん、あんまり甘くなくって美味いな」
マミ「それならよかったわ……これ、佐倉さん向けのケーキだったから」
杏子「は? どういうことだよ、オイ」
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 14:08:24.18 ID:1/vSkhrn0
マミ「美樹さんのリクエストだって言ったでしょう? 」
マミ「チョコレート菓子をいつもくわえてる誰かさんにって、頼まれたのよ」
杏子「……そうか」
杏子「……」パク
杏子「美味い……けど、苦いなこれ」
マミ「そうね……でも、きっと美樹さんも喜んでるわ」
杏子「……だといいな」
マミ「チョコレート菓子をいつもくわえてる誰かさんにって、頼まれたのよ」
杏子「……そうか」
杏子「……」パク
杏子「美味い……けど、苦いなこれ」
マミ「そうね……でも、きっと美樹さんも喜んでるわ」
杏子「……だといいな」
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 14:12:25.42 ID:1/vSkhrn0
――数年後
ほむら「……」
マミ「あら、暁美さん……なんだか随分久しぶりね」
ほむら「ええ、あなたこそね」
QB「僕もいるよ、マミ」ヒョコッ
マミ「ええ、キュゥべえも久しぶり。暁美さんとも上手くやってるみたいね」
ほむら「……」
マミ「あら、暁美さん……なんだか随分久しぶりね」
ほむら「ええ、あなたこそね」
QB「僕もいるよ、マミ」ヒョコッ
マミ「ええ、キュゥべえも久しぶり。暁美さんとも上手くやってるみたいね」
62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 14:15:43.37 ID:1/vSkhrn0
マミ「それにしても、私より先にあの子が行ってしまうとは思ってなかったわ」
QB「さやかがいなくなってから、杏子のソウルジェムは目に見えて穢れを溜めやすくなっていたからね」
ほむら「ええ……むしろよく保った方だと思うわ」
マミ「そうね……うん、わかってる」
マミ「それでも、後輩を見送るのって複雑な気分よ」
マミ「佐倉さんは手もかかるけど出来のいい子だったから、特にね……」
ほむら「……」
QB「……」
QB「さやかがいなくなってから、杏子のソウルジェムは目に見えて穢れを溜めやすくなっていたからね」
ほむら「ええ……むしろよく保った方だと思うわ」
マミ「そうね……うん、わかってる」
マミ「それでも、後輩を見送るのって複雑な気分よ」
マミ「佐倉さんは手もかかるけど出来のいい子だったから、特にね……」
ほむら「……」
QB「……」
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 14:19:33.53 ID:1/vSkhrn0
ほむら「お茶会をしましょう」
マミ「え?」
ほむら「杏子の好きなケーキを作って、またあの時みたいに」
QB「そうだね、僕も久しぶりにマミのケーキが食べたいよ」
マミ「二人とも……」
マミ「そうね、佐倉さんの大好物を作りましょう」
マミ「え?」
ほむら「杏子の好きなケーキを作って、またあの時みたいに」
QB「そうだね、僕も久しぶりにマミのケーキが食べたいよ」
マミ「二人とも……」
マミ「そうね、佐倉さんの大好物を作りましょう」
65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 14:23:26.86 ID:1/vSkhrn0
――マミホーム
マミ「丁度パイ生地が冷凍してあってよかったわ」
ほむら「パイまで自分で作れるの?」
マミ「ええ、薄力粉と強力粉で作った生地でバターを包んで、何度も伸ばして折り込んでいくの」
マミ「少し手間はかかるけれど、バターの香りと食感が全然違うわよ」
ほむら「そう……杏子も喜ぶでしょうね」
マミ「……ええ」
マミ「丁度パイ生地が冷凍してあってよかったわ」
ほむら「パイまで自分で作れるの?」
マミ「ええ、薄力粉と強力粉で作った生地でバターを包んで、何度も伸ばして折り込んでいくの」
マミ「少し手間はかかるけれど、バターの香りと食感が全然違うわよ」
ほむら「そう……杏子も喜ぶでしょうね」
マミ「……ええ」
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 14:26:48.78 ID:1/vSkhrn0
QB「マミ、鍋が暖まったよ」
マミ「ええ、始めていくわ」
マミ「バターを溶かした鍋にスライスしたリンゴ、三温糖、レモン汁、塩少々」ザッ
マミ「しんなりするまで炒めたら、仕上げにシナモンパウダーを一振り」ジュワー サッサッ
ほむら「三温糖?」
マミ「加熱を繰り返して作った、粒の大きな砂糖の結晶よ。カラメルになってる部分もあって、煮込み料理に相性がいいの」
ほむら「へえ……砂糖にも色々あるのね」
マミ「ええ、始めていくわ」
マミ「バターを溶かした鍋にスライスしたリンゴ、三温糖、レモン汁、塩少々」ザッ
マミ「しんなりするまで炒めたら、仕上げにシナモンパウダーを一振り」ジュワー サッサッ
ほむら「三温糖?」
マミ「加熱を繰り返して作った、粒の大きな砂糖の結晶よ。カラメルになってる部分もあって、煮込み料理に相性がいいの」
ほむら「へえ……砂糖にも色々あるのね」
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 14:30:06.17 ID:1/vSkhrn0
マミ「バターを塗った型にパイ生地を被せて土台を作るわ。タルトみたいなイメージね」
マミ「冷まして汁気を切ったさっきのリンゴを並べて、上から煮汁を煮詰めたシロップを一垂らし」トローリ
マミ「残りのパイ生地で蓋をして、整形していくわ。フォークの背中で跡をつけたりするのもいいわね」
ほむら「……」チョイチョイ
QB「ほむらは意外にそういう細かい作業が好きだよね」
ほむら「ええ、性分かしらね……」
マミ(……本当、仲良くなったものね)
マミ「あとは表面に溶き卵を塗って、焼き上げれば完成よ」ペタペタ
マミ「冷まして汁気を切ったさっきのリンゴを並べて、上から煮汁を煮詰めたシロップを一垂らし」トローリ
マミ「残りのパイ生地で蓋をして、整形していくわ。フォークの背中で跡をつけたりするのもいいわね」
ほむら「……」チョイチョイ
QB「ほむらは意外にそういう細かい作業が好きだよね」
ほむら「ええ、性分かしらね……」
マミ(……本当、仲良くなったものね)
マミ「あとは表面に溶き卵を塗って、焼き上げれば完成よ」ペタペタ
70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 14:33:40.70 ID:1/vSkhrn0
マミ「さあ、焼き上がったわ」
マミ「相性を考えるとあまりお勧めはしないけど……佐倉さんの好物ってことで紅茶もアップルティー。リンゴ尽くしね」
ほむら「甘酸っぱくて香ばしい匂い……なんだか落ち着くわね」
QB「パイの表面がツヤツヤしてるね! たまらないよ!」ジュルル…
マミ「はいはい、切るまでちゃんと待ってなさいね」ザクッ ザクッ
QB「おお……! 切り分けるとさらにリンゴの香りが……!」
マミ「さ、二人とも席について」
「「「いただきます」」」
マミ「相性を考えるとあまりお勧めはしないけど……佐倉さんの好物ってことで紅茶もアップルティー。リンゴ尽くしね」
ほむら「甘酸っぱくて香ばしい匂い……なんだか落ち着くわね」
QB「パイの表面がツヤツヤしてるね! たまらないよ!」ジュルル…
マミ「はいはい、切るまでちゃんと待ってなさいね」ザクッ ザクッ
QB「おお……! 切り分けるとさらにリンゴの香りが……!」
マミ「さ、二人とも席について」
「「「いただきます」」」
73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 14:37:05.58 ID:1/vSkhrn0
サクッ ザクザクッ サクッ
QB「焼きたてのパイに勝るものはないね……素晴らしいよ!」
ほむら「はふっ……ええ、リンゴの甘酸っぱさと相性抜群ね」
マミ「もう、二人ともがっついちゃって……」
マミ「なんだか、佐倉さんと会ったばかりの頃を思い出したわ」
マミ「あの子、ケーキなんてほとんど食べたことなくって。がっつきすぎてアップルパイで焼けどしちゃったのに、それでもおかわりしてくれたっけ……」
ほむら「……」
ほむら「きっと、杏子もさやかと同じよ。まどかの所で待っていてくれてるわ」
マミ「……ええ、ありがとう」
QB「焼きたてのパイに勝るものはないね……素晴らしいよ!」
ほむら「はふっ……ええ、リンゴの甘酸っぱさと相性抜群ね」
マミ「もう、二人ともがっついちゃって……」
マミ「なんだか、佐倉さんと会ったばかりの頃を思い出したわ」
マミ「あの子、ケーキなんてほとんど食べたことなくって。がっつきすぎてアップルパイで焼けどしちゃったのに、それでもおかわりしてくれたっけ……」
ほむら「……」
ほむら「きっと、杏子もさやかと同じよ。まどかの所で待っていてくれてるわ」
マミ「……ええ、ありがとう」
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 14:41:33.44 ID:1/vSkhrn0
――さらに数年後
ほむら「……」
QB「……」
ほむら「……」
QB「……お祈りは終わったかい?」
ほむら「ええ、もう済んだわ」
QB「ついにマミも行ってしまったか……早いものだね」
ほむら「そうね、長い間一緒に戦ってきたはずだけれど……やっぱり短い」
ほむら「……」
QB「……」
ほむら「……」
QB「……お祈りは終わったかい?」
ほむら「ええ、もう済んだわ」
QB「ついにマミも行ってしまったか……早いものだね」
ほむら「そうね、長い間一緒に戦ってきたはずだけれど……やっぱり短い」
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 14:45:02.85 ID:1/vSkhrn0
――マミホーム
QB「この部屋ももう使えなくなるね」
ほむら「ええ……残しておきたいのは山々だけど、知らない人間の手が入るよりは私の手で後始末をしたい」
QB「こうしてマミの部屋にいると、まだマミがキッチンの所にいる気がするよ」
ほむら「そうね……こうやって座って」
ほむら「こっちが杏子、あの角にはさやか」
ほむら「マミが向こうから紅茶のポットとケーキを運んできて……」
QB「……」
ほむら「……」
QB「この部屋ももう使えなくなるね」
ほむら「ええ……残しておきたいのは山々だけど、知らない人間の手が入るよりは私の手で後始末をしたい」
QB「こうしてマミの部屋にいると、まだマミがキッチンの所にいる気がするよ」
ほむら「そうね……こうやって座って」
ほむら「こっちが杏子、あの角にはさやか」
ほむら「マミが向こうから紅茶のポットとケーキを運んできて……」
QB「……」
ほむら「……」
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 14:49:33.75 ID:1/vSkhrn0
ほむら「お茶会をしましょう」
QB「……え?」
ほむら「今までみたいに、マミの分も用意して……もうこの部屋を使えるのも、最後だから」
QB「それはいいけど、ほむらは一人でお茶を淹れたりケーキを作ったりできたのかい?」
ほむら「……少し」
QB「……」
QB「まあいいや、やってみようじゃないか」
QB「……え?」
ほむら「今までみたいに、マミの分も用意して……もうこの部屋を使えるのも、最後だから」
QB「それはいいけど、ほむらは一人でお茶を淹れたりケーキを作ったりできたのかい?」
ほむら「……少し」
QB「……」
QB「まあいいや、やってみようじゃないか」
81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 14:52:37.65 ID:1/vSkhrn0
ほむら「けほっ……」
QB「粉を高い位置で振るいすぎだよ! もっと優しく振るわないと……」
ほむら「砂糖の量ってこのくらいかしら……?」
QB「マミはレシピを暗記して改良してたからね……こればっかりはわからないよ」
ほむら「オーブンの温度は……?」
QB「確か170度が基本だってマミは言ってたよ」
ほむら「わかったわ」
QB「粉を高い位置で振るいすぎだよ! もっと優しく振るわないと……」
ほむら「砂糖の量ってこのくらいかしら……?」
QB「マミはレシピを暗記して改良してたからね……こればっかりはわからないよ」
ほむら「オーブンの温度は……?」
QB「確か170度が基本だってマミは言ってたよ」
ほむら「わかったわ」
84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 14:56:00.32 ID:1/vSkhrn0
QB「カップとお皿はお湯で暖めて……」
ほむら「茶葉は人数分プラス1って言ってたわね」
ほむら「お湯は高い位置から注ぐといいって……」ドポポッ
QB「あちっ!? ほむら、こぼれてるよ! 慣れないうちはそーっとやろうよ!」
ほむら「そうね……面目ないわ」
ほむら「茶葉は人数分プラス1って言ってたわね」
ほむら「お湯は高い位置から注ぐといいって……」ドポポッ
QB「あちっ!? ほむら、こぼれてるよ! 慣れないうちはそーっとやろうよ!」
ほむら「そうね……面目ないわ」
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 14:59:29.07 ID:1/vSkhrn0
ほむら「……」
QB「……」
ほむら「できたわね……」
QB「うん、ほむらが初めて習ったイチゴショートだね」
ほむら「自分で言うのもなんだけど、見た目はよくできたと思うわ」
QB「問題は味か」
ほむら「ええ……それじゃあ」
「「いただきます」」
QB「……」
ほむら「できたわね……」
QB「うん、ほむらが初めて習ったイチゴショートだね」
ほむら「自分で言うのもなんだけど、見た目はよくできたと思うわ」
QB「問題は味か」
ほむら「ええ……それじゃあ」
「「いただきます」」
89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 15:04:37.43 ID:1/vSkhrn0
ほむら「……」
QB「……」
ほむら「……駄目ね。美味しくできたけれど、やっぱりマミには遠く及ばない」
QB「……」
ほむら「生地とクリームの甘さのバランス、生地の弾力、紅茶の香り、ケーキと紅茶のバランス……」
ほむら「難しいものね、本当に……」
QB「……」
ほむら「……駄目ね。美味しくできたけれど、やっぱりマミには遠く及ばない」
QB「……」
ほむら「生地とクリームの甘さのバランス、生地の弾力、紅茶の香り、ケーキと紅茶のバランス……」
ほむら「難しいものね、本当に……」
91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 15:07:16.06 ID:1/vSkhrn0
QB「いや……美味い! 美味いよほむら!」
ほむら「……キュゥべえ?」
QB「ほら、もう僕のお皿は空っぽだ! マミたちももう味わったと思うし、みんなの分も食べていいだろう?」
ほむら「……」
ほむら「……」クス
ほむら「ええ、召し上がれ」
QB「ありがとう、ほむら!」ガツガツ
ほむら「……キュゥべえ?」
QB「ほら、もう僕のお皿は空っぽだ! マミたちももう味わったと思うし、みんなの分も食べていいだろう?」
ほむら「……」
ほむら「……」クス
ほむら「ええ、召し上がれ」
QB「ありがとう、ほむら!」ガツガツ
95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 15:12:05.75 ID:1/vSkhrn0
――そして、さらに数年後
ほむら「……」
QB「やあほむら、久しぶりだね」
ほむら「……ええ、そうね」
QB「体の調子はどうだい?」
ほむら「よくないわ……そろそろ、駄目でしょうね。わかるんでしょう?」
QB「……」
ほむら「……」
QB「やあほむら、久しぶりだね」
ほむら「……ええ、そうね」
QB「体の調子はどうだい?」
ほむら「よくないわ……そろそろ、駄目でしょうね。わかるんでしょう?」
QB「……」
97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 15:15:20.97 ID:1/vSkhrn0
ほむら「いいのよ。新しい魔法少女たちもしっかり育った」
ほむら「もう私がいなくてもやっていける子たちばかり」
ほむら「私がいなくなっても……まどかの愛したこの世界を、あの子たちが守ってくれる」
ほむら「……そろそろ、私の戦いも終わりにしていい頃だわ」
QB「……」
QB「……そうか。うん、そうだね」
ほむら「もう私がいなくてもやっていける子たちばかり」
ほむら「私がいなくなっても……まどかの愛したこの世界を、あの子たちが守ってくれる」
ほむら「……そろそろ、私の戦いも終わりにしていい頃だわ」
QB「……」
QB「……そうか。うん、そうだね」
101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 15:18:53.41 ID:1/vSkhrn0
QB「ほむら、今日はお土産を持ってきたんだ。これを」
ほむら「……珍しいこともあるものね」
ほむら「……」パカ
ほむら「あ……」
ほむら「これ、イチゴショート……」
ほむら「……珍しいこともあるものね」
ほむら「……」パカ
ほむら「あ……」
ほむら「これ、イチゴショート……」
105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 15:22:42.10 ID:1/vSkhrn0
ほむら「あ……」
QB「ほむら?」
ほむら「そう、私も……」
QB「ほむら、そこに誰かいるのかい?」
ほむら「ええ。寂しかったけれど……約束したもの。信じてたもの」
ほむら「やっと……また会えたね」
パア…
QB「……」
QB「お土産は喜んでもらえたかい?」
QB「……おやすみ、ほむら」
QB「ほむら?」
ほむら「そう、私も……」
QB「ほむら、そこに誰かいるのかい?」
ほむら「ええ。寂しかったけれど……約束したもの。信じてたもの」
ほむら「やっと……また会えたね」
パア…
QB「……」
QB「お土産は喜んでもらえたかい?」
QB「……おやすみ、ほむら」
106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 15:26:08.57 ID:1/vSkhrn0
――気の遠くなるような年月の後
QB「……魔法少女に代わるシステム?」
『そうだ。魔獣の出現の前兆である歪みを感知し、出現する空間ごとエネルギーへ変換するシステム。ようやく運用できる段階までこぎつけた』
QB「なるほど……僕の役目は終わったんですね」
『そうなるな。今までよく働いてくれた。速やかに個体を放棄し、本部へ帰還したまえ』
QB「……いえ、それはお断りします」
『何?』
QB「……魔法少女に代わるシステム?」
『そうだ。魔獣の出現の前兆である歪みを感知し、出現する空間ごとエネルギーへ変換するシステム。ようやく運用できる段階までこぎつけた』
QB「なるほど……僕の役目は終わったんですね」
『そうなるな。今までよく働いてくれた。速やかに個体を放棄し、本部へ帰還したまえ』
QB「……いえ、それはお断りします」
『何?』
108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 15:30:25.56 ID:1/vSkhrn0
QB「この体にも随分ガタがきてまして……おそらく、別個体へ正常に引き継ぐこともできなくなっています」
『!? 馬鹿なことを! 個体の運用期間を大幅に過ぎている……いつからメンテナンスを受けていなかった!?』
QB「……もう、覚えてませんよ」
『……仕方ない、迎えをよこそう。その老朽化具合では、君の存在自体の存続に関わる』
QB「いいんです、本部……もう新しい体はいらない」
『何を馬鹿な……死ぬというのかね!? 考え直したまえ、インキュベー』
QB「本部」
『……』
QB「僕はもう、インキュベーターではありません」
QB「僕は、キュゥべえです」
『!? 馬鹿なことを! 個体の運用期間を大幅に過ぎている……いつからメンテナンスを受けていなかった!?』
QB「……もう、覚えてませんよ」
『……仕方ない、迎えをよこそう。その老朽化具合では、君の存在自体の存続に関わる』
QB「いいんです、本部……もう新しい体はいらない」
『何を馬鹿な……死ぬというのかね!? 考え直したまえ、インキュベー』
QB「本部」
『……』
QB「僕はもう、インキュベーターではありません」
QB「僕は、キュゥべえです」
110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 15:33:23.70 ID:1/vSkhrn0
『……それが君の選択かね』
QB「はい。インキュベーターとしての役割が終わったのなら、本部……接続を切ってください。僕はこの星で」
『……わかった』
『もういくらも時間は残っていないだろうが……ゆっくり休みたまえ』
――――――プツン――――――
QB「はい。インキュベーターとしての役割が終わったのなら、本部……接続を切ってください。僕はこの星で」
『……わかった』
『もういくらも時間は残っていないだろうが……ゆっくり休みたまえ』
――――――プツン――――――
113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 15:36:49.64 ID:1/vSkhrn0
QB「……」
QB(体が、重い)
QB(体の外の情報が、何一つ入ってこない……)
QB(今まで何度も体を取り替えてきたけれど……なるほど、これが本当に死ぬってことなんだね)
QB(ここまで保ってくれてよかった……見届けたよ。君たちの戦いは、確かにエントロピーを凌駕した)
QB(……)
QB(体が、重い)
QB(体の外の情報が、何一つ入ってこない……)
QB(今まで何度も体を取り替えてきたけれど……なるほど、これが本当に死ぬってことなんだね)
QB(ここまで保ってくれてよかった……見届けたよ。君たちの戦いは、確かにエントロピーを凌駕した)
QB(……)
116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 15:39:13.52 ID:1/vSkhrn0
QB(……ああ)
QB(ようやくわかったよ)
QB(僕は今、嬉しいんだ)
QB(……けれど、それを分かち合う相手がいない)
QB(なるほど、これが寂しいってやつなんだね……)
QB(……)
QB(ようやくわかったよ)
QB(僕は今、嬉しいんだ)
QB(……けれど、それを分かち合う相手がいない)
QB(なるほど、これが寂しいってやつなんだね……)
QB(……)
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 15:43:28.22 ID:1/vSkhrn0
QB「……」
QB「……ん?」
QB「おかしいな、僕を引き継ぐ個体はもういないはずなんだけど……ここはどこだ?」
QB「随分文明の遅れた……いや、自然の豊かな所だ」
ほむら「あら、ようやくお目覚めかしら」
マミ「キュゥべえったら、相変わらず寝ぼすけなのね」
QB「え……?」
杏子「おー、本当に来てやがる。よく連れてこれたな?」
さやか「やっほーキュゥべえ、久しぶり!」
QB「杏子にさやかまで……いったい何がどうなってるんだい? わけがわからないよ」
QB「……ん?」
QB「おかしいな、僕を引き継ぐ個体はもういないはずなんだけど……ここはどこだ?」
QB「随分文明の遅れた……いや、自然の豊かな所だ」
ほむら「あら、ようやくお目覚めかしら」
マミ「キュゥべえったら、相変わらず寝ぼすけなのね」
QB「え……?」
杏子「おー、本当に来てやがる。よく連れてこれたな?」
さやか「やっほーキュゥべえ、久しぶり!」
QB「杏子にさやかまで……いったい何がどうなってるんだい? わけがわからないよ」
122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 15:46:55.82 ID:1/vSkhrn0
まどか「ようこそ、キュゥべえ」
QB「……君は?」
まどか「初めましてだね。私は鹿目まどか」
QB「君がまどかか……じゃあ、ここは」
まどか「そう。役目を終えた魔法少女たちの場所」
QB「そうか……みんなここに来ていたんだね。よかった……それで、どうして僕がここにいるんだい?」
QB「僕は君たちを魔法少女にした張本人だ。恨まれる側のはずなんだけど……」
QB「……君は?」
まどか「初めましてだね。私は鹿目まどか」
QB「君がまどかか……じゃあ、ここは」
まどか「そう。役目を終えた魔法少女たちの場所」
QB「そうか……みんなここに来ていたんだね。よかった……それで、どうして僕がここにいるんだい?」
QB「僕は君たちを魔法少女にした張本人だ。恨まれる側のはずなんだけど……」
126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 15:51:09.38 ID:1/vSkhrn0
杏子「ま、もういいんじゃねーの?」
さやか「そ。ここにいる魔法少女……まあ死んじゃってるけどさ、みんな後悔してないよ」
マミ「ずっと見てたわ。本当に長い間、頑張ったわね」
QB「……」
QB「……」
QB「じゃあ……じゃあ、僕もここにいていいのかい?」
まどか「うん。そう思ったから連れてきたんだよ」
ほむら「しばらく会わないうちに随分弱ったものね。あなたが目に涙を溜めているところなんて、初めて見たわ」
QB「……っ」ブワッ
さやか「そ。ここにいる魔法少女……まあ死んじゃってるけどさ、みんな後悔してないよ」
マミ「ずっと見てたわ。本当に長い間、頑張ったわね」
QB「……」
QB「……」
QB「じゃあ……じゃあ、僕もここにいていいのかい?」
まどか「うん。そう思ったから連れてきたんだよ」
ほむら「しばらく会わないうちに随分弱ったものね。あなたが目に涙を溜めているところなんて、初めて見たわ」
QB「……っ」ブワッ
129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 15:54:33.23 ID:1/vSkhrn0
さやか「あーあー、ほむら悪いんだー、キュゥべえ泣かせちゃったぞー」
ほむら「さあ? 身に覚えがないわ。というか涙腺あったのね」
杏子「それよりさ、キュゥべえも来たんだからもういいだろ? 早く行こうぜ」
QB「行くって、どこへだい?」
まどか「へへ……お茶会の準備ができてるんだよ!」
マミ「ケーキもたくさん焼いてあるわ。キュゥべえ、好きだったでしょう?」
QB「……」グスッ
136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 15:58:56.02 ID:1/vSkhrn0
QB「イチゴショートはあるのかい? もちろん、端っこのこんがりした部分もだ」
マミ「もちろんよ」
QB「ガトーショコラは? アップルパイもかい?」
マミ「ええ、用意してあるわ」
QB「……ほむらが焼いたイチゴショートも、あるのかい?」
ほむら「……もの好きね。あの頃よりは、少しは上達したつもりだけれど」
マミ「もちろんよ」
QB「ガトーショコラは? アップルパイもかい?」
マミ「ええ、用意してあるわ」
QB「……ほむらが焼いたイチゴショートも、あるのかい?」
ほむら「……もの好きね。あの頃よりは、少しは上達したつもりだけれど」
139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 16:03:28.96 ID:1/vSkhrn0
QB「……ああ。ああ! 大好きさ!」
QB「でも長いこと食べてなかったからね! 味もあんまり覚えてないし、お腹もぺこぺこだよ!」
マミ「あらあら、じゃあ一切れずつくらいおまけしてあげようかしら?」
杏子「えー? キュゥべえだけずりーぞ!」
さやか「あんただって初めて来た時は特別メニューだったでしょ? わがまま言わないの!」
ほむら「いいからほら、早く席につきなさい」
まどか「みんな揃ったかな? それじゃあ、キュゥべえの到着を祝って」
「「「「「「いただきまーすっ!」」」」」」
≪おしまい≫
QB「でも長いこと食べてなかったからね! 味もあんまり覚えてないし、お腹もぺこぺこだよ!」
マミ「あらあら、じゃあ一切れずつくらいおまけしてあげようかしら?」
杏子「えー? キュゥべえだけずりーぞ!」
さやか「あんただって初めて来た時は特別メニューだったでしょ? わがまま言わないの!」
ほむら「いいからほら、早く席につきなさい」
まどか「みんな揃ったかな? それじゃあ、キュゥべえの到着を祝って」
「「「「「「いただきまーすっ!」」」」」」
≪おしまい≫
148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 16:19:02.37 ID:FsFZvhGS0
乙
最後に全員揃っていただきますって最高やな
最後に全員揃っていただきますって最高やな
149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 16:23:50.51 ID:Hb0OUyIR0
ひさしぶりにいいSSが見れた
乙
乙
150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 16:24:48.55 ID:zpAkR0LaO
たまにこういうのがあるから油断できない
最高だった!乙
最高だった!乙
152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 16:28:20.95 ID:/0MUonkTO
乙面白かった
最後のいただきますは元気でよかった
最後のいただきますは元気でよかった
156: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/14(水) 16:34:03.27 ID:XS8x1uce0
凄く上手なお話だった、乙
引用元: ほむら「お茶会をしましょう」
ほむら「全力でダラダラする」
2020-05-09
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:28:42.55 ID:YL3rYWux0
ほむ「これまでどれだけ繰り返しても、まどかを取り巻く状況は一向に良くならなかった」
ほむ「私が力を尽くせば尽くすほど、むしろ状況は悪化しているようにも思えた……」
ほむ「そう……このままではいずれ、本当に何もかもが手詰まりになってしまう」
ほむ「そうなる前に、私はなんとしてもまどかを救ってみせる……」
ほむ「…………」
ほむ「そのためにも、今回のループでは欲望に忠実に全力でダラダラして鋭気を養うことにしましょう」
病院
ほむ「転校する日まではあと数日ある……」
ほむ「最初にここでどう立ち回るかで、まどかの運命は大きく変わる……」
ほむ「でも……」
ほむ「一日中寝てていい環境の魅力には逆らえないわ……」
ほむ「私が力を尽くせば尽くすほど、むしろ状況は悪化しているようにも思えた……」
ほむ「そう……このままではいずれ、本当に何もかもが手詰まりになってしまう」
ほむ「そうなる前に、私はなんとしてもまどかを救ってみせる……」
ほむ「…………」
ほむ「そのためにも、今回のループでは欲望に忠実に全力でダラダラして鋭気を養うことにしましょう」
病院
ほむ「転校する日まではあと数日ある……」
ほむ「最初にここでどう立ち回るかで、まどかの運命は大きく変わる……」
ほむ「でも……」
ほむ「一日中寝てていい環境の魅力には逆らえないわ……」
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4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:31:01.22 ID:YL3rYWux0
学校 ほーむルーム
先生「それでは転校生を紹介します」
ほむ「ふわぁ……(いいかげん転校イベントも面倒になってきたわぁ……)」ガララッ
ほむ「はい、暁美ほむらですよろしく」スタスタ
先生「あ、暁美さん? あのぉ……」
ほむ「私の席、ここだと思いまして」
先生「まぁそれはそうなんだけど……もう終りでいいの?」
ほむ「えぇ」チャクセキ
先生「ま、まぁいいでしょう。少し早いけど授業を始めましょう」
先生「それでは転校生を紹介します」
ほむ「ふわぁ……(いいかげん転校イベントも面倒になってきたわぁ……)」ガララッ
ほむ「はい、暁美ほむらですよろしく」スタスタ
先生「あ、暁美さん? あのぉ……」
ほむ「私の席、ここだと思いまして」
先生「まぁそれはそうなんだけど……もう終りでいいの?」
ほむ「えぇ」チャクセキ
先生「ま、まぁいいでしょう。少し早いけど授業を始めましょう」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:31:49.93 ID:YL3rYWux0
ガヤガヤ ガヤガヤ
まど「ねぇ、さやかちゃん。あの子どう思う?」ヒソヒソ
さや「あー、クールビューティって感じ?」ヒソヒソ
まど「だ、だよねっ! なんかかっくいー」
まど「……」チラチラ
ほむ「……」じーっ
まど「(め、目があっちゃった!////)」
ほむ「(あぁ、やっぱりまどかは愛らしいわ)」
ほむ「(見ているだけで癒される……)」
ほむ「(幸せな気分になったら眠くなってきたわ……)」
ほむ「ふわぁ~……………………Zzzー……」
まど「ね、寝ちゃった……」
まど「ねぇ、さやかちゃん。あの子どう思う?」ヒソヒソ
さや「あー、クールビューティって感じ?」ヒソヒソ
まど「だ、だよねっ! なんかかっくいー」
まど「……」チラチラ
ほむ「……」じーっ
まど「(め、目があっちゃった!////)」
ほむ「(あぁ、やっぱりまどかは愛らしいわ)」
ほむ「(見ているだけで癒される……)」
ほむ「(幸せな気分になったら眠くなってきたわ……)」
ほむ「ふわぁ~……………………Zzzー……」
まど「ね、寝ちゃった……」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:32:51.70 ID:YL3rYWux0
放課後
ほむ「……」ぽつん
さや「いやぁ、転校初日から孤立しちゃってますねぇ」
まど「かわいそう……」
さや「でもあれじゃ仕方ないよねー」
さや「授業は全部寝てるし。なのに当てられたらスラスラだし」
さや「休み時間に誰かに話し掛けられても全無視ってんだから」
さや「なんか大分イメージちがったなぁ」
まど「かわいそうだよ、なんとかしてあげられないのかなぁ……」
さや「うーん……あっ」
さや「それよりさ、今日、帰りCD屋よっていい?」
まど「いいけど、また上条くん?」
さや「ま、まぁねぇ」テレテレ
まど「うん、じゃあちょっと待っててね」テクテク
さや「えっ、転校生のとこなんて行ってどうすんの?」
ほむ「……」ぽつん
さや「いやぁ、転校初日から孤立しちゃってますねぇ」
まど「かわいそう……」
さや「でもあれじゃ仕方ないよねー」
さや「授業は全部寝てるし。なのに当てられたらスラスラだし」
さや「休み時間に誰かに話し掛けられても全無視ってんだから」
さや「なんか大分イメージちがったなぁ」
まど「かわいそうだよ、なんとかしてあげられないのかなぁ……」
さや「うーん……あっ」
さや「それよりさ、今日、帰りCD屋よっていい?」
まど「いいけど、また上条くん?」
さや「ま、まぁねぇ」テレテレ
まど「うん、じゃあちょっと待っててね」テクテク
さや「えっ、転校生のとこなんて行ってどうすんの?」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:34:07.76 ID:YL3rYWux0
まど「あ、暁美……さん?」
ほむ「ほむらでいいわ」
まど「ならほむらちゃん。今日このあと用事あったりする?」
ほむ「いいえ、無いわ。帰って寝るだけよ」
まど「じゃ、一緒に帰らない? この街の事も案内するし、お話もいっぱいしたいから、ね?」
ほむ「そう、それは魅力的ね。是非そうさせていただくわ」
CD屋
「助けて! まどか、助けて!」
まど「なんだろう……声が……」
ほむ「さっきからうるさいわね」
まど「ほむらちゃんにも聞こえるの!? 行って見よう!」グイッ
ほむ「あっ……」
さや「ちょ、ちょっとどこいくのよぉ!」ダッ
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:34:54.07 ID:YL3rYWux0
地下的な場所
QB「はぁっ……(チラッ)……はぁっはぁっ……」
まど「見て! 怪我してる!」
さや「ぬ、ぬいぐるみじゃないよね? 生き物?」
ほむ「インキュベーターよ……」
QB「えっ?」
まど「ほむらちゃん、知ってるの?」
ほむ「えぇ、まぁ。早い話が悪い宇宙人よ」
QB「ちょっ」
さや「あんたさっきから何言って……って、足元のこれ、なに!?」
ほむ「あー、魔女の結界ね」
ほむ「もぅ……今回は休業中なのに……」
QB「はぁっ……(チラッ)……はぁっはぁっ……」
まど「見て! 怪我してる!」
さや「ぬ、ぬいぐるみじゃないよね? 生き物?」
ほむ「インキュベーターよ……」
QB「えっ?」
まど「ほむらちゃん、知ってるの?」
ほむ「えぇ、まぁ。早い話が悪い宇宙人よ」
QB「ちょっ」
さや「あんたさっきから何言って……って、足元のこれ、なに!?」
ほむ「あー、魔女の結界ね」
ほむ「もぅ……今回は休業中なのに……」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:35:46.88 ID:YL3rYWux0
シュイーン……ドガシャーン!ドスンッ!
「あなたたち、キュゥべえを助けてくれたのかしら」コツ コツ
さや「も、元に戻った!?……でも、今度はだれ……」
QB「いや、安心して。彼女は巴マミ。この街をまもる魔法少女さ」
マミ「ふふっ、危なかったわねぇ。でももう大丈夫」
まど「ま、魔法少女?」
マミ「そうね、詳しい話はウチでしましょうか、あなたたちもこの子に選ばれたようだし」
QB「あぁ。そこの君にも色々と聞きたいことがある。ついて来てくれるかい?」
ほむ「面倒ねぇ……」
ほむ「あ、いえ、たしかお茶とお菓子が出るんだったわね」チラッ
マミ「え??」
ほむ「行くわ」
「あなたたち、キュゥべえを助けてくれたのかしら」コツ コツ
さや「も、元に戻った!?……でも、今度はだれ……」
QB「いや、安心して。彼女は巴マミ。この街をまもる魔法少女さ」
マミ「ふふっ、危なかったわねぇ。でももう大丈夫」
まど「ま、魔法少女?」
マミ「そうね、詳しい話はウチでしましょうか、あなたたちもこの子に選ばれたようだし」
QB「あぁ。そこの君にも色々と聞きたいことがある。ついて来てくれるかい?」
ほむ「面倒ねぇ……」
ほむ「あ、いえ、たしかお茶とお菓子が出るんだったわね」チラッ
マミ「え??」
ほむ「行くわ」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:36:39.47 ID:YL3rYWux0
マミハウス
さや「わぁ……」
ほむ「……」シュンッ!
まど「素敵なお部屋ぁ……ねぇほむらちゃん、ってあれ?」キョロキョロ
マミ「ふふっ、一人暮らしだから遠慮はしないでね。ろくにおもてなしの準備もないのだけれど」
ほむ「おかまいなく」ぐでぐで
マミ「い、いつのまに中に……靴下も脱いでソファに寝転がって……」
マミ「ま、まぁいいわ。あなた達はそこらへんに座っててもらえるかしら? 今何か用意するから」
マミ「まずはこれを見て」
まど「わぁ……キレイ……」
さや「これは?」
マミ「これは……」
ほむ「ソウルジェムね」ムシャムシャ
マミ「ちょ、ちょっと! ソファの上でケーキ食べないで! 食べかすこぼれるでしょ」
さや「わぁ……」
ほむ「……」シュンッ!
まど「素敵なお部屋ぁ……ねぇほむらちゃん、ってあれ?」キョロキョロ
マミ「ふふっ、一人暮らしだから遠慮はしないでね。ろくにおもてなしの準備もないのだけれど」
ほむ「おかまいなく」ぐでぐで
マミ「い、いつのまに中に……靴下も脱いでソファに寝転がって……」
マミ「ま、まぁいいわ。あなた達はそこらへんに座っててもらえるかしら? 今何か用意するから」
マミ「まずはこれを見て」
まど「わぁ……キレイ……」
さや「これは?」
マミ「これは……」
ほむ「ソウルジェムね」ムシャムシャ
マミ「ちょ、ちょっと! ソファの上でケーキ食べないで! 食べかすこぼれるでしょ」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:37:27.98 ID:YL3rYWux0
マミ「というか……なんであなたがソウルジェムの事を知ってるのよ!」
QB「どうも彼女も魔法少女みたいなんだ」
まど「へぇ! ほむらちゃんも魔法少女だったんだぁ!」
さや「うーん、魔法少女かぁ……」
さや「まぁこいつはともかく……マミさんはかっこよかったよね! あこがれちゃうなー」
マミ「ふ、ふふっ」テレテレ
ほむ「何を言っているの。魔法少女なんてかっこいものじゃないわ。面倒くさいだけよ」ムシャムシャ
まど「そうなの?」
ほむ「ええ、グリーフシードのやりくりも面倒だし」ポテチバリッ!
ほむ「魔女を探してうろつきまわるのも毎日面倒だし」パリパリポロポロ
ほむ「まぁ、今日みたいに放課後遊んで帰る、みたいなことはまずできなくなるわ」指ペロペロ
さや「えぇ~、なんか思ってたの違うかも……」
まど「う~ん」
QB「どうも彼女も魔法少女みたいなんだ」
まど「へぇ! ほむらちゃんも魔法少女だったんだぁ!」
さや「うーん、魔法少女かぁ……」
さや「まぁこいつはともかく……マミさんはかっこよかったよね! あこがれちゃうなー」
マミ「ふ、ふふっ」テレテレ
ほむ「何を言っているの。魔法少女なんてかっこいものじゃないわ。面倒くさいだけよ」ムシャムシャ
まど「そうなの?」
ほむ「ええ、グリーフシードのやりくりも面倒だし」ポテチバリッ!
ほむ「魔女を探してうろつきまわるのも毎日面倒だし」パリパリポロポロ
ほむ「まぁ、今日みたいに放課後遊んで帰る、みたいなことはまずできなくなるわ」指ペロペロ
さや「えぇ~、なんか思ってたの違うかも……」
まど「う~ん」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:38:11.15 ID:YL3rYWux0
ほむ「もちろん土日もないわ」ジュースズズーッ
さや「さすがにそれはなぁ~」
マミ「(ちっ、素直な後輩ができそうなのに……余計なことを……)」イライラ
マミ「な、なるほどね……」
まど「マミさん?」
マミ「あなたも魔法少女なのだから、新しい後輩……競争相手ができるのは不都合だものね」
マミ「だからそんなマイナスな事を大げさに言って、契約をさせないつもりなのね」
ほむ「ん? 何を勘違いしているの? グリーフシードなら腐るほどあるわ」ジャラジャラジャラー
マミ「こ、こんなに!?」
ほむ「しまうのも面倒だから、それはあなたにあげるわ」
マミ「なっ……(この子、私よりベテランなの???)」
まど「その、ぐりーふしーどってなんなの?」
ほむ「魔女の卵みたいなものよ。これが足りなくなると、魔法少女は魔女になってしまうけれど……」
ほむ「逆にこんだけあると、今度はやることがなくなって暇になってしまうのよ」
ほむ「(いつも言えなくてやきもきすることだけど、こうまでスパッと言えると気持ちがいいわね)」
さや「さすがにそれはなぁ~」
マミ「(ちっ、素直な後輩ができそうなのに……余計なことを……)」イライラ
マミ「な、なるほどね……」
まど「マミさん?」
マミ「あなたも魔法少女なのだから、新しい後輩……競争相手ができるのは不都合だものね」
マミ「だからそんなマイナスな事を大げさに言って、契約をさせないつもりなのね」
ほむ「ん? 何を勘違いしているの? グリーフシードなら腐るほどあるわ」ジャラジャラジャラー
マミ「こ、こんなに!?」
ほむ「しまうのも面倒だから、それはあなたにあげるわ」
マミ「なっ……(この子、私よりベテランなの???)」
まど「その、ぐりーふしーどってなんなの?」
ほむ「魔女の卵みたいなものよ。これが足りなくなると、魔法少女は魔女になってしまうけれど……」
ほむ「逆にこんだけあると、今度はやることがなくなって暇になってしまうのよ」
ほむ「(いつも言えなくてやきもきすることだけど、こうまでスパッと言えると気持ちがいいわね)」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:38:41.22 ID:YL3rYWux0
さや「へぇ……なんだかなぁ……」
マミ「ま……魔法少女が魔女になるですって……そんなことあるわけないじゃない!」
マミ「デタラメを言うのもいいかげんにしなさい! そうでしょ? ねっ、キュゥべえ?」
QB「そ、それが……そうとばかりも言えないんだ……」
マミ「そんな…………」
さや「んー……でもなんかそれはちょっとかっこいいかも」
まど「そう?」
さや「うんっ。なんかさ、ほら、滅びの定めを背負った戦士ーみたいな感じで、ちょっといい感じじゃん?」
まど「う~ん、どうだろ」
マミ「滅びの定め……定め……ことわり……繰り返すことわり…………さしずめ『円環の理』ね……」
マミ「そう……そうね! そういうのもアリね!」
QB「(まずい……この状況は……なにかまずい……)」
マミ「ま……魔法少女が魔女になるですって……そんなことあるわけないじゃない!」
マミ「デタラメを言うのもいいかげんにしなさい! そうでしょ? ねっ、キュゥべえ?」
QB「そ、それが……そうとばかりも言えないんだ……」
マミ「そんな…………」
さや「んー……でもなんかそれはちょっとかっこいいかも」
まど「そう?」
さや「うんっ。なんかさ、ほら、滅びの定めを背負った戦士ーみたいな感じで、ちょっといい感じじゃん?」
まど「う~ん、どうだろ」
マミ「滅びの定め……定め……ことわり……繰り返すことわり…………さしずめ『円環の理』ね……」
マミ「そう……そうね! そういうのもアリね!」
QB「(まずい……この状況は……なにかまずい……)」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:39:16.63 ID:YL3rYWux0
放課後 ファーストフード店
マミ「それじゃあ、魔法少女体験コース、はじめましょうか」
さや「おーっ!」
まど「はいっ!」
さや「ところで、マミさん……?」
マミ「なにかしら?」
さや「今日もやっぱりお茶とケーキがあったりしちゃったり?」
まど「もー! さやかちゃん、そっちが目当てなの?」
マミ「ふふっ」
マミ「……で、どうしてあなたもそこにいるのかしら」イライラ
ほむ「どうしてって……決まっているじゃない」
ほむ「あなたの部屋、ちょうど西日で暖かくて、昼寝には最高なのよ」ズズーッ
ほむ「ソファもふかふかだし」モグモグゴクン
まど「あ、ほむらちゃん、ケチャップついてるよ?」フキフキ
ほむ「ありがと、まどか」
マミ「それじゃあ、魔法少女体験コース、はじめましょうか」
さや「おーっ!」
まど「はいっ!」
さや「ところで、マミさん……?」
マミ「なにかしら?」
さや「今日もやっぱりお茶とケーキがあったりしちゃったり?」
まど「もー! さやかちゃん、そっちが目当てなの?」
マミ「ふふっ」
マミ「……で、どうしてあなたもそこにいるのかしら」イライラ
ほむ「どうしてって……決まっているじゃない」
ほむ「あなたの部屋、ちょうど西日で暖かくて、昼寝には最高なのよ」ズズーッ
ほむ「ソファもふかふかだし」モグモグゴクン
まど「あ、ほむらちゃん、ケチャップついてるよ?」フキフキ
ほむ「ありがと、まどか」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:40:42.22 ID:YL3rYWux0
魔女の結界内
ゲルト「ゲルトォォォォォ!!!!!」
さや「あ、あれが魔女……」
マミ「そうね、行くわよ!」シュタッ!
マミ「(さて……そろそろ後輩さんたちに、かっこいいとこ、見せなくっちゃ!)」マスケットズラリ
ほむ「(もう四時。眠くなってきたわ……はやく帰りたいし……)」スッ……ゴロンッ!
まど「きゃっ!」
さや「わぁっ! っぶないなぁ! 目の前で振り回さないでよ てか、なにそのでっかい筒」
ほむ「エイティフォーよ」ヒョイ
さや「さわやか?」
ほむ「それはエイトフォー」シュコ カチッ ボフッ!!
さや「ぎゃぁっ!」
マミ「ふふっ、まずは小技で魅せ……きゃっ!」
ドガーーーーン!!!
ゲルト「ゲルトォォォォォ!!!!!」
さや「あ、あれが魔女……」
マミ「そうね、行くわよ!」シュタッ!
マミ「(さて……そろそろ後輩さんたちに、かっこいいとこ、見せなくっちゃ!)」マスケットズラリ
ほむ「(もう四時。眠くなってきたわ……はやく帰りたいし……)」スッ……ゴロンッ!
まど「きゃっ!」
さや「わぁっ! っぶないなぁ! 目の前で振り回さないでよ てか、なにそのでっかい筒」
ほむ「エイティフォーよ」ヒョイ
さや「さわやか?」
ほむ「それはエイトフォー」シュコ カチッ ボフッ!!
さや「ぎゃぁっ!」
マミ「ふふっ、まずは小技で魅せ……きゃっ!」
ドガーーーーン!!!
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:41:28.81 ID:YL3rYWux0
シュゥゥゥ……
まど「あ、結界、もとにもどった」
ほむ「じゃあ帰りましょう」
さや「あの、耳、きこえないんだけど……」
数日後病院近辺
まど「どうだった、上条君?」
ほむ「……」キャンディレロレロ
さや「う~ん、会えなかった」
まど「そっか……」
ほむ「あっ……」ガリッ
まど「ん? 噛んじゃったの? あー、ごめん、もう次のないや」
ほむ「ほむぅ……」
まど「うーん、ほむらちゃんももう我慢できそうにないし、そろそろマミさんのとこ行こっか」
まど「あ、結界、もとにもどった」
ほむ「じゃあ帰りましょう」
さや「あの、耳、きこえないんだけど……」
数日後病院近辺
まど「どうだった、上条君?」
ほむ「……」キャンディレロレロ
さや「う~ん、会えなかった」
まど「そっか……」
ほむ「あっ……」ガリッ
まど「ん? 噛んじゃったの? あー、ごめん、もう次のないや」
ほむ「ほむぅ……」
まど「うーん、ほむらちゃんももう我慢できそうにないし、そろそろマミさんのとこ行こっか」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:42:13.92 ID:YL3rYWux0
さや「そだね……ってあれ、もしかして!」
QB「グリーフシードだ! 孵化しかかってる!!」ヒョコッ
さや「あれがもしこんなところで…………そうだ! まどか、マミさんの携帯聞いてる?」
まど「ううん」
さや「なら、先行ってマミさん呼んできて」
まど「わかった!……って、ほむらちゃんも魔法少女だよ?」
ほむ「これ、歯にくっつくわ……」ゴリゴリジャリジャリ
さや「…………」
さや「マミさん呼んできて!」
まど「わかった!!」
QB「まずい……結界が開きそうだ」
さや「って、あんたはなにやってるのよ! さっさと戦う準備しなさいよ!!」
ほむ「もう、うるさいわね……この魔女はとびきりめんどくさいのよ」ドサドサドサァァッ
さや「わっ……なにこれ、紙粘土? こんなのいっぱい出してどうすんのよ」
QB「グリーフシードだ! 孵化しかかってる!!」ヒョコッ
さや「あれがもしこんなところで…………そうだ! まどか、マミさんの携帯聞いてる?」
まど「ううん」
さや「なら、先行ってマミさん呼んできて」
まど「わかった!……って、ほむらちゃんも魔法少女だよ?」
ほむ「これ、歯にくっつくわ……」ゴリゴリジャリジャリ
さや「…………」
さや「マミさん呼んできて!」
まど「わかった!!」
QB「まずい……結界が開きそうだ」
さや「って、あんたはなにやってるのよ! さっさと戦う準備しなさいよ!!」
ほむ「もう、うるさいわね……この魔女はとびきりめんどくさいのよ」ドサドサドサァァッ
さや「わっ……なにこれ、紙粘土? こんなのいっぱい出してどうすんのよ」
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:43:20.51 ID:YL3rYWux0
ほむ「……」ヒョイ
QB「開きかけた結界の入り口の前に立って……何をしようといんだ?」
ほむ「……」ポイッ ポイッ ポイッ
QB「結界の中に投げ入れている……」
ほむ「……」ポイポイポイポイポイポイポイ
さや「ちょ、どんだけ入れるのよ」
ほむ「ふぅ、こんなものかしら……」カチッ
QB「後ろを向いてしゃがんで……?」
さや「ちょっと、あんたふざけてん……」
ドガーーーーン!!!
さや「ぎゃぁっ!」
シュゥゥゥ……
QB「開きかけた結界の入り口の前に立って……何をしようといんだ?」
ほむ「……」ポイッ ポイッ ポイッ
QB「結界の中に投げ入れている……」
ほむ「……」ポイポイポイポイポイポイポイ
さや「ちょ、どんだけ入れるのよ」
ほむ「ふぅ、こんなものかしら……」カチッ
QB「後ろを向いてしゃがんで……?」
さや「ちょっと、あんたふざけてん……」
ドガーーーーン!!!
さや「ぎゃぁっ!」
シュゥゥゥ……
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:43:58.56 ID:YL3rYWux0
トゥルルルルトゥルルルル……ピッ!
ほむ「まどか? えぇ、こちらは今片付いたから……」
ほむ「えっ? 先に行って二人でお茶菓子の用意をしておいてくれるの?」
ほむ「ありがとう、あなたならそう言ってくれると思ってたの」
QB「け、結界に入ることすらも厭うというのか……彼女は……」
さや「み、耳がぁっ!!」
さらに数日後 マミハウス
まど「もーっ、ほむらちゃん、スカートしわになっちゃうよ? ほら、腰上げて?」
ほむ「んーっ」モグモグ ペラッ
まど「だらしないんだからー…………これでよしっと」
ほむ「はひはほう」ムシャムシャ ペラッ
まど「えへへ////」
マミ「(あーもう、お菓子食べながら漫画読まないでよー!! 指べたべたじゃないのよー!)」イライラ
ほむ「まどか? えぇ、こちらは今片付いたから……」
ほむ「えっ? 先に行って二人でお茶菓子の用意をしておいてくれるの?」
ほむ「ありがとう、あなたならそう言ってくれると思ってたの」
QB「け、結界に入ることすらも厭うというのか……彼女は……」
さや「み、耳がぁっ!!」
さらに数日後 マミハウス
まど「もーっ、ほむらちゃん、スカートしわになっちゃうよ? ほら、腰上げて?」
ほむ「んーっ」モグモグ ペラッ
まど「だらしないんだからー…………これでよしっと」
ほむ「はひはほう」ムシャムシャ ペラッ
まど「えへへ////」
マミ「(あーもう、お菓子食べながら漫画読まないでよー!! 指べたべたじゃないのよー!)」イライラ
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:44:56.79 ID:YL3rYWux0
さや「それで……契約したら、なんでも願い、かなえてくれるんだよね?」
QB「あぁ。君の魂を差し出すに値するものなら、どんな願いだってかなえてあげられるよ」
さや「そっか……(……恭介……)」
さや「あたし……魔法少女になりたい!!」
マミ「美樹さん?……」
ほむ「はへほひは……っ!!! んっーんっー……」ジタバタ
まど「あぁ~、のどに詰まっちゃったの? はいお水」スッ
ほむ「んくっ……げぷっ……」
ほむ「やめておきなさい、美樹さやか」キリッ
さや「ど、どうしてよ」
ほむ「今回は私、本当に何もしないと決めているから、あなたなんてソッコー魔女化よ、ソッコー」
ほむ「うっとうしいことこの上ないわ」
さや「なんであたしが魔女になるって決めつけてんのよ!」
ほむ「上条恭介の腕を治したいんでしょう? 残念ながらあなたの想いは届かないわ」
ほむ「彼、すぐに志筑仁美とくっつくから。いえ、すでにくっついてるケースも多かったかしら」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:45:43.98 ID:YL3rYWux0
さや「なっ……なに馬鹿なこと言ってんのよ! 仁美があいつのことなんか…………」
さや「でも……ありえなくは、ない?……むしろありえそうかも……」
さや「あぁ~なんかそういわれたらそんな気がしてきちゃったよ~……」
まど「さ、さやかちゃん……」
さや「もしそうだとしたら……あたしに勝ち目なんてないしぃ……」
さや「でも、そうと決まったわけでもないしぃ……うぅ~~……」
さや「ん~っ決めた!!」
さや「うじうじしてるのも性に合わないからね、あいつに問いただしてくる!」
次の日 マミハウス
さや「…………」
マミ「それで美樹さん、結局魔法少女になったのね?」
QB「あぁ、そうだよ」
まど「やったね! じゃあさやかちゃんうまくいったんだね!!」
さや「でも……ありえなくは、ない?……むしろありえそうかも……」
さや「あぁ~なんかそういわれたらそんな気がしてきちゃったよ~……」
まど「さ、さやかちゃん……」
さや「もしそうだとしたら……あたしに勝ち目なんてないしぃ……」
さや「でも、そうと決まったわけでもないしぃ……うぅ~~……」
さや「ん~っ決めた!!」
さや「うじうじしてるのも性に合わないからね、あいつに問いただしてくる!」
次の日 マミハウス
さや「…………」
マミ「それで美樹さん、結局魔法少女になったのね?」
QB「あぁ、そうだよ」
まど「やったね! じゃあさやかちゃんうまくいったんだね!!」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:46:30.17 ID:YL3rYWux0
さや「……れた」
まど「えっ?」
さや「フラれた」
まど「ど、どゆこと?」
さや「転校生の言ってた通り、結局あいつ、仁美とつきあってたんだってさ! あたしに一言もなくね!」
さや「そのあと一応ダメもとで告白してみたらさ」
さや「『さやかの事は好きだけど、異性としては見れないよ』ですってぇ? ばっかじゃないの!!」
マミ「ま、まさか、ひどいこと願って契約したわけじゃないでしょうね」
さや「ふふっ、マミさんってホントするどいなぁ」
まど「うそっ」
さや「あたしね、あいつの腕をね…………」
まど「……」ゴクリ
さや「治してやったのよ」
マミ「へ?」
さや「ふふふふ……これであいつは……この先一生、自分の腕を見るたびに…………」
まど「えっ?」
さや「フラれた」
まど「ど、どゆこと?」
さや「転校生の言ってた通り、結局あいつ、仁美とつきあってたんだってさ! あたしに一言もなくね!」
さや「そのあと一応ダメもとで告白してみたらさ」
さや「『さやかの事は好きだけど、異性としては見れないよ』ですってぇ? ばっかじゃないの!!」
マミ「ま、まさか、ひどいこと願って契約したわけじゃないでしょうね」
さや「ふふっ、マミさんってホントするどいなぁ」
まど「うそっ」
さや「あたしね、あいつの腕をね…………」
まど「……」ゴクリ
さや「治してやったのよ」
マミ「へ?」
さや「ふふふふ……これであいつは……この先一生、自分の腕を見るたびに…………」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:47:25.14 ID:YL3rYWux0
さや「あたしの事を…………自分のフった女の事を思い出すことになるのよ!」
さや「くく……くふふふ……」
まど「えぇー……」
数日後 街角 夜
ほむ「夜中でも、おなかがすいたら、即コンビニ。いい時代になったものね」
ほむ「最近美樹さやかのテンションがうっとうしくて精神的に疲れてるし……私は何もしてないけど」
ほむ「早く帰ってカップラーメンね」
杏子「……」プラプラ
ほむ「あれは……」
杏子「んっ? あたしになんか用かよ」
ほむ「やっぱり、どのループでも安定感に定評のある佐倉杏子じゃない」
ほむ「ひさしぶりに人間に会った気がするわ…………」
杏子「なにケンシロウみてぇなこといってんのさ……つか、なんであたしの名前を知ってる……」
杏子「返答次第によっちゃぁ……」ギロリッ
さや「くく……くふふふ……」
まど「えぇー……」
数日後 街角 夜
ほむ「夜中でも、おなかがすいたら、即コンビニ。いい時代になったものね」
ほむ「最近美樹さやかのテンションがうっとうしくて精神的に疲れてるし……私は何もしてないけど」
ほむ「早く帰ってカップラーメンね」
杏子「……」プラプラ
ほむ「あれは……」
杏子「んっ? あたしになんか用かよ」
ほむ「やっぱり、どのループでも安定感に定評のある佐倉杏子じゃない」
ほむ「ひさしぶりに人間に会った気がするわ…………」
杏子「なにケンシロウみてぇなこといってんのさ……つか、なんであたしの名前を知ってる……」
杏子「返答次第によっちゃぁ……」ギロリッ
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:48:01.00 ID:YL3rYWux0
ほむ「あぁ~、じゃあキュゥべえに聞いたってことにしときなさい」
杏子「キュゥべえ? てことはあんたも同業者か」
ほむ「そういうことになるわね」
杏子「じゃあなにか? 最近契約したルーキーってのはあんたの事か?」
ほむ「いいえ、私は休業中だから」
ほむ「きっとあなたが言っているのは美樹さやかのことね」
杏子「ほう……それで、そいつがどんなやつか知ってるのか?」
ほむ「ええ、なんか青いやつよ」
杏子「はぁ」
ほむ「最近うっとうしさが増して困っているの。あんなのでもあなたの嫁なんだからどうにかしてちょうだい」
杏子「は、はぁっ?? よ、よ////……何言ってんだおまえ! あ、頭おかしいんじゃねーの!?」
ほむ「どうせ心配だから様子を見に行くんでしょ?」
杏子「ち、ちげーし! べ、別にあたしとおんなじ類の願いで契約したって聞いて」
杏子「どうせ悩んでたりつまずいてたりしてるんだろうからさ」
杏子「ここはひとつ、あたしが力になってやろう、だなんて全然思っちゃいねーし!////」
杏子「キュゥべえ? てことはあんたも同業者か」
ほむ「そういうことになるわね」
杏子「じゃあなにか? 最近契約したルーキーってのはあんたの事か?」
ほむ「いいえ、私は休業中だから」
ほむ「きっとあなたが言っているのは美樹さやかのことね」
杏子「ほう……それで、そいつがどんなやつか知ってるのか?」
ほむ「ええ、なんか青いやつよ」
杏子「はぁ」
ほむ「最近うっとうしさが増して困っているの。あんなのでもあなたの嫁なんだからどうにかしてちょうだい」
杏子「は、はぁっ?? よ、よ////……何言ってんだおまえ! あ、頭おかしいんじゃねーの!?」
ほむ「どうせ心配だから様子を見に行くんでしょ?」
杏子「ち、ちげーし! べ、別にあたしとおんなじ類の願いで契約したって聞いて」
杏子「どうせ悩んでたりつまずいてたりしてるんだろうからさ」
杏子「ここはひとつ、あたしが力になってやろう、だなんて全然思っちゃいねーし!////」
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:48:51.22 ID:YL3rYWux0
ほむ「はいはい」
ほむ「私としても、あなたたちが勝手にイチャコラしてくれてた方が仕事が減って助かるのよ」
ほむ「それじゃ、よろしく頼んだから」シュンッ!
杏子「ちょ、待ておい!……って、消えた……どこいきやがった……」
さらに数日後 路地裏
さや「こっちに逃げてきたはず……」ダッタッタ
杏子「へぇ、あいつか…………まぁたしかになんか青いな」
使い魔「キュ~」シュルシュル
さや「見つけたっ! でぇぇい!!」
杏子「よっと」シュタッ!
さや「わっ、っととと……な、誰? 何?」キキィー
使い魔「キュ~」サササ~
ほむ「私としても、あなたたちが勝手にイチャコラしてくれてた方が仕事が減って助かるのよ」
ほむ「それじゃ、よろしく頼んだから」シュンッ!
杏子「ちょ、待ておい!……って、消えた……どこいきやがった……」
さらに数日後 路地裏
さや「こっちに逃げてきたはず……」ダッタッタ
杏子「へぇ、あいつか…………まぁたしかになんか青いな」
使い魔「キュ~」シュルシュル
さや「見つけたっ! でぇぇい!!」
杏子「よっと」シュタッ!
さや「わっ、っととと……な、誰? 何?」キキィー
使い魔「キュ~」サササ~
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:49:20.12 ID:YL3rYWux0
さや「あ、逃げられたっ……」
杏子「あんたがこの街のルーキーかい?」
さや「その言いぐさ……あんたも魔法少女なの?」
杏子「そうさ。ルーキー様の顔をでも拝んでおいてやろうと思ってね」
さや「もう、じゃあ余計なことしないでよ! もうちょっとで仕留められそうだったのにぃ!」
杏子「何をそんなにカリカリしてのさ。あれはただの使い魔だろ?」
杏子「あんなの追っかけて何しようってのさ」
さや「何って決まってるでしょ! 私たちは魔法少女なのよ?」
杏子「ふっ……青いってそういう意味かよ……いいか、使い魔なんざはね」
さや「ストレス解消にきまってるでしょ!!」
杏子「そう、スト……え?」
さや「魔法少女なんてやってれば、どんどんストレスたまる一方よ!」
さや「使い魔だろうが何だろうが、手当たり次第ぶっつしてやんなきゃスカッ出来ないでしょ!」
杏子「で、でもそんなの倒したってグリーフシードは落とさないだろ? やめときなよ」
さや「何言ってんのよ。グリーフシードなんて腐るほどあんのよ!」ジャラララー
杏子「あんたがこの街のルーキーかい?」
さや「その言いぐさ……あんたも魔法少女なの?」
杏子「そうさ。ルーキー様の顔をでも拝んでおいてやろうと思ってね」
さや「もう、じゃあ余計なことしないでよ! もうちょっとで仕留められそうだったのにぃ!」
杏子「何をそんなにカリカリしてのさ。あれはただの使い魔だろ?」
杏子「あんなの追っかけて何しようってのさ」
さや「何って決まってるでしょ! 私たちは魔法少女なのよ?」
杏子「ふっ……青いってそういう意味かよ……いいか、使い魔なんざはね」
さや「ストレス解消にきまってるでしょ!!」
杏子「そう、スト……え?」
さや「魔法少女なんてやってれば、どんどんストレスたまる一方よ!」
さや「使い魔だろうが何だろうが、手当たり次第ぶっつしてやんなきゃスカッ出来ないでしょ!」
杏子「で、でもそんなの倒したってグリーフシードは落とさないだろ? やめときなよ」
さや「何言ってんのよ。グリーフシードなんて腐るほどあんのよ!」ジャラララー
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:49:51.27 ID:YL3rYWux0
杏子「わぉ……」
さや「コレのせいでほむらのヤツには文句言えないし……」
さや「いっつも食っちゃ寝食っちゃ寝してるだけなのに偉そうにしちゃってぇ!」
杏子「は、はぁ……ほむら?」
さや「そうよ、休業中だかなんだか知らないけど、グリーフシードたくさん持ってるからってもう好き放題!」
杏子「それってひょっとして……黒い髪のマイペースなやつ?」
さや「あんたもあいつのこと知ってるの?」
杏子「ま、まぁ一応ね」
さや「はぁ……じゃああいつが迷惑かけたろうね……ごめんね?」
杏子「い、いやぁ……」
さや「ヘンなことされたり言われたりしなかった?」
杏子「そ、そういや……なんかあ、あんたのことを……その……」
杏子「(嫁だのなんだのぬかしてたなぁ////)」チラッ
さや「ん?」
杏子「い、いや……そ、それにしてもあんたも難儀だね」アセアセ
さや「コレのせいでほむらのヤツには文句言えないし……」
さや「いっつも食っちゃ寝食っちゃ寝してるだけなのに偉そうにしちゃってぇ!」
杏子「は、はぁ……ほむら?」
さや「そうよ、休業中だかなんだか知らないけど、グリーフシードたくさん持ってるからってもう好き放題!」
杏子「それってひょっとして……黒い髪のマイペースなやつ?」
さや「あんたもあいつのこと知ってるの?」
杏子「ま、まぁ一応ね」
さや「はぁ……じゃああいつが迷惑かけたろうね……ごめんね?」
杏子「い、いやぁ……」
さや「ヘンなことされたり言われたりしなかった?」
杏子「そ、そういや……なんかあ、あんたのことを……その……」
杏子「(嫁だのなんだのぬかしてたなぁ////)」チラッ
さや「ん?」
杏子「い、いや……そ、それにしてもあんたも難儀だね」アセアセ
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:50:57.79 ID:YL3rYWux0
杏子「誰かを想って願いを叶える……そんなのはなっから報われるわけないのにさ」
さや「え????」
杏子「こうして魔法少女になんかされちゃってさ……わかるよ。あたしもね」
杏子「今思えば後悔しか残っちゃいないけど……魔法少女になっちゃったもんは仕方ないさ」
杏子「誰かのための願いだったかもしれないけどさ、ようは考え方の……」
さや「あ、いや、あたし、嫌がらせに願い使ったから」
杏子「へっ?」キョトン
杏子「そうか……まぁなんだ……大変だったんだな」
さや「ほんとよぉ……まったく」
さや「あいつに言われて、もし相手が仁美だったら? ってどっかで思ってたから」
さや「まぁ、言うほどショックじゃなかったけどさ」
さや「もし知らないでバカ見てたら、きっと今頃ショックと怒りでぶちギレ金剛よ」
杏子「そういきり立つなよ。男なんて星の数ほどいるさ。気にすんなって」
さや「え????」
杏子「こうして魔法少女になんかされちゃってさ……わかるよ。あたしもね」
杏子「今思えば後悔しか残っちゃいないけど……魔法少女になっちゃったもんは仕方ないさ」
杏子「誰かのための願いだったかもしれないけどさ、ようは考え方の……」
さや「あ、いや、あたし、嫌がらせに願い使ったから」
杏子「へっ?」キョトン
杏子「そうか……まぁなんだ……大変だったんだな」
さや「ほんとよぉ……まったく」
さや「あいつに言われて、もし相手が仁美だったら? ってどっかで思ってたから」
さや「まぁ、言うほどショックじゃなかったけどさ」
さや「もし知らないでバカ見てたら、きっと今頃ショックと怒りでぶちギレ金剛よ」
杏子「そういきり立つなよ。男なんて星の数ほどいるさ。気にすんなって」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:51:26.63 ID:YL3rYWux0
さや「いやぁ……もう当分男は勘弁だわ」
杏子「(男は勘弁……そ、それってつまり////)」
さや「ありがと」
杏子「えっ?」
さや「なんか愚痴ったらすっきりしちゃった」
杏子「そうだな。何でもかんでも溜め込まない方が、人間楽でいいのさ」
さや「そだね……ねぇ、また話聞いてもらってもいい?」
杏子「べ、べつにかまいやしないけどさ////」
さや「あ、グリーフシード、よかったら半分ぐらい持ってってよ」
杏子「いいのか? こんなに」
さや「私だけじゃ当分つかいきれそうにないしさ。つかあいつ何十年魔法少女やってんのってぐらいあるし」
杏子「そうか、なんか悪いな」
さや「いいのいいの。愚痴聞いてもらっちゃったお礼かな」
杏子「そ、それほどでもないって////」
さや「ほんと、あんたに会えてよかった…………」
杏子「(男は勘弁……そ、それってつまり////)」
さや「ありがと」
杏子「えっ?」
さや「なんか愚痴ったらすっきりしちゃった」
杏子「そうだな。何でもかんでも溜め込まない方が、人間楽でいいのさ」
さや「そだね……ねぇ、また話聞いてもらってもいい?」
杏子「べ、べつにかまいやしないけどさ////」
さや「あ、グリーフシード、よかったら半分ぐらい持ってってよ」
杏子「いいのか? こんなに」
さや「私だけじゃ当分つかいきれそうにないしさ。つかあいつ何十年魔法少女やってんのってぐらいあるし」
杏子「そうか、なんか悪いな」
さや「いいのいいの。愚痴聞いてもらっちゃったお礼かな」
杏子「そ、それほどでもないって////」
さや「ほんと、あんたに会えてよかった…………」
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:52:07.54 ID:YL3rYWux0
杏子「お、お前…………あたしらまだ出会ったばっかりで…………」
さや「いやぁ~ありがたいわ~。ちょうど黙って愚痴聞いてくれる人探してたんだよねぇ」
杏子「………………」
学校 昼休み
ほむ「はぁ~面倒だわぁ~……箸を持つのも面倒だわぁ~」ダラァ~
まど「手伝ってあげようか?」
さや「もうっ、なにゲイラみたいなこと言ってんのよ」
まど「はいっ、あ~んっ」
ほむ「あ~~~ん」パクッ
さや「完全無視だし……ちょっとまどか! いい加減にした方がいいって」
まど「なにが? あっ、ほむらちゃん、またあ~んして?」
ほむ「あ~~~ん」
さや「だからそうやってこいつ甘やかすのよくないって」
まど「そうかなぁ」
さや「いやぁ~ありがたいわ~。ちょうど黙って愚痴聞いてくれる人探してたんだよねぇ」
杏子「………………」
学校 昼休み
ほむ「はぁ~面倒だわぁ~……箸を持つのも面倒だわぁ~」ダラァ~
まど「手伝ってあげようか?」
さや「もうっ、なにゲイラみたいなこと言ってんのよ」
まど「はいっ、あ~んっ」
ほむ「あ~~~ん」パクッ
さや「完全無視だし……ちょっとまどか! いい加減にした方がいいって」
まど「なにが? あっ、ほむらちゃん、またあ~んして?」
ほむ「あ~~~ん」
さや「だからそうやってこいつ甘やかすのよくないって」
まど「そうかなぁ」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:52:45.05 ID:YL3rYWux0
ほむ「……」モグモグ
さや「こいつ、最近加速度的にだらしなくなってるじゃん」
まど「でも、ほむらちゃん私がいないと……」
さや「そうやってこのまま甘やかし続けてたら、こいつ本当のダメ人間になっちゃうって」
さや「だからこれ以上こいつの世話焼いちゃだめっ!」
ほむ「ほむぅ~……」シュ~ン
まど「ふふっ、大丈夫だよ、ほむらちゃん」
ほむ「ほむ?」
まど「ほむらちゃんがダメ人間になっても、私がずっーと面倒見てあげるからね?」
ほむ「ほむっ! ほむっ!」
まど「えへへ////」
さや「せめてしゃべれ」
さや「こいつ、最近加速度的にだらしなくなってるじゃん」
まど「でも、ほむらちゃん私がいないと……」
さや「そうやってこのまま甘やかし続けてたら、こいつ本当のダメ人間になっちゃうって」
さや「だからこれ以上こいつの世話焼いちゃだめっ!」
ほむ「ほむぅ~……」シュ~ン
まど「ふふっ、大丈夫だよ、ほむらちゃん」
ほむ「ほむ?」
まど「ほむらちゃんがダメ人間になっても、私がずっーと面倒見てあげるからね?」
ほむ「ほむっ! ほむっ!」
まど「えへへ////」
さや「せめてしゃべれ」
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:53:35.69 ID:YL3rYWux0
マミハウス
さや「それで、聞いてよぉ~、ほむらのやつ、ついに自分でご飯食べるのもしなくなったんだよ?」
杏子「そ、そうか……」モグモグ
さや「べつにあいつがどうなろうと知ったこっちゃないけどさぁ」
さや「なんかまどかまでダメになっていってるきがしてさぁ……まったくぅ」
杏子「よくわかんないけど大変なんだな」ムシャムシャ
さや「そう、それだけじゃないんだって!」
さや「今日恭介と仁美がさぁ~、私に向かって……かぁーっ! 思い出しただけでも腹立ってきた!」
さや「マジ神経疑うっつーの!!」
杏子「は、はぁ……」パリパリポロポロ
マミ「(な、なんなのよこの状況……いつのまにかなんか一人増えてるし……)」ダイソンギュイィィィン
マミ「はい、そこちょっと足どける!」
杏子「おっ、すまん」パンパンッ! ポロポロポロ……
マミ「膝の上のカスはゴミ箱の上ではたいて!!!」キュゥィィィィン
さや「それで、聞いてよぉ~、ほむらのやつ、ついに自分でご飯食べるのもしなくなったんだよ?」
杏子「そ、そうか……」モグモグ
さや「べつにあいつがどうなろうと知ったこっちゃないけどさぁ」
さや「なんかまどかまでダメになっていってるきがしてさぁ……まったくぅ」
杏子「よくわかんないけど大変なんだな」ムシャムシャ
さや「そう、それだけじゃないんだって!」
さや「今日恭介と仁美がさぁ~、私に向かって……かぁーっ! 思い出しただけでも腹立ってきた!」
さや「マジ神経疑うっつーの!!」
杏子「は、はぁ……」パリパリポロポロ
マミ「(な、なんなのよこの状況……いつのまにかなんか一人増えてるし……)」ダイソンギュイィィィン
マミ「はい、そこちょっと足どける!」
杏子「おっ、すまん」パンパンッ! ポロポロポロ……
マミ「膝の上のカスはゴミ箱の上ではたいて!!!」キュゥィィィィン
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:58:11.93 ID:YL3rYWux0
ほむ「はぁっ……やかましいわねぇ……私、掃除機の音って一番嫌いなの」ゴロンゴロン
まど「あっ、それちょっとわかるかも」サラァサラァ
ほむ「ん? 何をしているの?」
まど「髪の毛寝癖付いたらいけないから、といててあげようと思ったんだけど……痛かった?」
ほむ「いいえ、そんなことない。続けてほしいわ」
まど「ふふっ」サラァサラァ
ほむ「(あぁ~これやばい)」トロ~ン
マミ「くっ!…… イチャ!イチャ!イチャ! どいつもこいつもイチャイチャ!」
マミ「なぜなの! なぜこの私にカップリングが成立しようとしないのよ!!」
まど「マ、マミさん……そんな大声だしたらほむらちゃん起きちゃう……」
まど「あっ、それちょっとわかるかも」サラァサラァ
ほむ「ん? 何をしているの?」
まど「髪の毛寝癖付いたらいけないから、といててあげようと思ったんだけど……痛かった?」
ほむ「いいえ、そんなことない。続けてほしいわ」
まど「ふふっ」サラァサラァ
ほむ「(あぁ~これやばい)」トロ~ン
マミ「くっ!…… イチャ!イチャ!イチャ! どいつもこいつもイチャイチャ!」
マミ「なぜなの! なぜこの私にカップリングが成立しようとしないのよ!!」
まど「マ、マミさん……そんな大声だしたらほむらちゃん起きちゃう……」
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:58:51.42 ID:YL3rYWux0
マミ「なによ! もういい加減にして! 私の家はあなたたちの溜まり場じゃないのよ!!」
まど「……」
さや「……」
杏子「……」モグモグ
ほむ「Zzz」
杏子「わ、わりぃ……」ポリポリ
さや「ごめんなさい……私達、マミさんの都合なんて全然考えてなかった……」
まど「マミさんだってプライベートもあるし、『独り』になりたい時もあるもんね……」
まど「ごめんなさい、明日からもう『マミさんの家に来るのはやめます』」
まど「『もうお邪魔しません』から。ご迷惑おかけしました……」
さや「そうだね……散々迷惑かけちゃったし、これからは『あたしらだけ』であつまろっか」
まど「うん……」
マミ「あっ、いいの、いいのよ? どんどん集まって頂戴!」
まど「でもまた騒いだらマミさんに……」
マミ「な、何しててくれてもいいからね? ね?」
まど「……」
さや「……」
杏子「……」モグモグ
ほむ「Zzz」
杏子「わ、わりぃ……」ポリポリ
さや「ごめんなさい……私達、マミさんの都合なんて全然考えてなかった……」
まど「マミさんだってプライベートもあるし、『独り』になりたい時もあるもんね……」
まど「ごめんなさい、明日からもう『マミさんの家に来るのはやめます』」
まど「『もうお邪魔しません』から。ご迷惑おかけしました……」
さや「そうだね……散々迷惑かけちゃったし、これからは『あたしらだけ』であつまろっか」
まど「うん……」
マミ「あっ、いいの、いいのよ? どんどん集まって頂戴!」
まど「でもまた騒いだらマミさんに……」
マミ「な、何しててくれてもいいからね? ね?」
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 14:59:14.11 ID:YL3rYWux0
杏子「お菓子は?」ムシャムシャ
マミ「お菓子も用意するから! なんでも、いくらでも、ね?」
さや「あたし、読みたい漫画があるんですけど……」
マミ「わかった! わかったわ! もう何でも来い!」
後日 街角
「ありやしたーっ」
マミ「はぁ……漫画、ジュース、お菓子……あと馬鹿でかいゲーム機も!」
マミ「……財布が軽い……こんな気持ちは初めて……」
マミ「あら、あれは……」
QB「ぶつぶつ…………」
マミ「キュゥべえ? どうしたの、最近姿を見なかったけれど」
QB「あぁ、マミか……どうもしないさ。いや、どうもしなくてこまってるのさ……」
マミ「ふぅん……変なキュゥべえ……」
マミ「お菓子も用意するから! なんでも、いくらでも、ね?」
さや「あたし、読みたい漫画があるんですけど……」
マミ「わかった! わかったわ! もう何でも来い!」
後日 街角
「ありやしたーっ」
マミ「はぁ……漫画、ジュース、お菓子……あと馬鹿でかいゲーム機も!」
マミ「……財布が軽い……こんな気持ちは初めて……」
マミ「あら、あれは……」
QB「ぶつぶつ…………」
マミ「キュゥべえ? どうしたの、最近姿を見なかったけれど」
QB「あぁ、マミか……どうもしないさ。いや、どうもしなくてこまってるのさ……」
マミ「ふぅん……変なキュゥべえ……」
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:12:13.07 ID:YL3rYWux0
QB「せっかくだから君に相談してみようかな」
マミ「何を?……って、ごめんなさい、もう帰らないと」
QB「マミ?」
マミ「三秒で買って来いって言われてたの!!」
マミハウス
マミ「た、ただいま!!」
まど「あ、マミさんおかえりー」キャッキャッ
杏子「あはははっ、さやかどんくせー」ブンッ!
さや「う、うっさいわねぇ! これちゃんと認識してないんじゃないの?」ブンブンッ!
ほむ「…………」ダラダラ
マミ「なに……それ……私、買ってきたんだけど…………」
さや「あぁ、これ恭介にメールしたらすぐ持ってきたんですよ。かなり後ろめたいみたいで」
マミ「言ってくれても………よかったんじゃない?……」
さや「そう思ったんですけどー、私らマミさんのケータイしらなくてぇ」
マミ「…………」
ほむ「ふふっ、でもいままで一人ぼっちだったことに比べれば、今の私……幸せそのものね」ボソッ
ほむ「みんなに感謝しなくっちゃ」ボソッ
マミ「オイコラ」
マミ「何を?……って、ごめんなさい、もう帰らないと」
QB「マミ?」
マミ「三秒で買って来いって言われてたの!!」
マミハウス
マミ「た、ただいま!!」
まど「あ、マミさんおかえりー」キャッキャッ
杏子「あはははっ、さやかどんくせー」ブンッ!
さや「う、うっさいわねぇ! これちゃんと認識してないんじゃないの?」ブンブンッ!
ほむ「…………」ダラダラ
マミ「なに……それ……私、買ってきたんだけど…………」
さや「あぁ、これ恭介にメールしたらすぐ持ってきたんですよ。かなり後ろめたいみたいで」
マミ「言ってくれても………よかったんじゃない?……」
さや「そう思ったんですけどー、私らマミさんのケータイしらなくてぇ」
マミ「…………」
ほむ「ふふっ、でもいままで一人ぼっちだったことに比べれば、今の私……幸せそのものね」ボソッ
ほむ「みんなに感謝しなくっちゃ」ボソッ
マミ「オイコラ」
70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:12:36.42 ID:YL3rYWux0
QB「(……一体何が起こっているんだ……当初の予定ではこんなはずではなかったというのに……)」
QB「(こんなことならワルプルギスの夜の要請を何か月も前にするんじゃなかった……)」
QB「(もう僕には止められないし……このままじゃ経費自腹切らされる……)」
QB「(こうなったら結果オーライにするしかない!)」
まどハウス 夜
まど「あぁ~、ずっとほむらちゃんのアタマ膝にのせてたから、アトついちゃってるぅ」
まど「ま、いっか//// ほむらちゃん…………」
QB「まどか!」ヒョッコリ
まど「キュ、キュゥべえ!? ひ、久しぶり」
QB「(こんなことならワルプルギスの夜の要請を何か月も前にするんじゃなかった……)」
QB「(もう僕には止められないし……このままじゃ経費自腹切らされる……)」
QB「(こうなったら結果オーライにするしかない!)」
まどハウス 夜
まど「あぁ~、ずっとほむらちゃんのアタマ膝にのせてたから、アトついちゃってるぅ」
まど「ま、いっか//// ほむらちゃん…………」
QB「まどか!」ヒョッコリ
まど「キュ、キュゥべえ!? ひ、久しぶり」
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:13:35.16 ID:YL3rYWux0
QB「君に頼みがあるんだ。それもかなり切実な」
まど「頼み?」
QB「あぁ! どうしても君に魔法少女になってほしいんだ」
QB「今なら願い事二つほどおまけしたっていい……おねがいだ……」
まど「う~ん、それはちょっとねぇ……」
まど「魔法少女の子たちってみんなちょっとアレな感じでしょ?」
まど「特にほむらちゃんみてるとあんまりかっこいいとは思えないんだよねぇ……」
QB「で、でも君にはある願望があったはずだ」
QB「何もできない自分でも、自分にしかできない、何か、誰かのためにできることが欲しい」
QB「君はそう思っていたはずだ! だから僕と契約して……」
まど「たしかにそう思ってたんだけど……いまは違うかな」
QB「そんなっ」
まど「だって、ほむらちゃん、わたしがいないとなーんにもできないし」
まど「あんなダメなほむらちゃんの面倒見てあげられるの私ぐらいなものだし////」
まど「私にしか……////」
まど「頼み?」
QB「あぁ! どうしても君に魔法少女になってほしいんだ」
QB「今なら願い事二つほどおまけしたっていい……おねがいだ……」
まど「う~ん、それはちょっとねぇ……」
まど「魔法少女の子たちってみんなちょっとアレな感じでしょ?」
まど「特にほむらちゃんみてるとあんまりかっこいいとは思えないんだよねぇ……」
QB「で、でも君にはある願望があったはずだ」
QB「何もできない自分でも、自分にしかできない、何か、誰かのためにできることが欲しい」
QB「君はそう思っていたはずだ! だから僕と契約して……」
まど「たしかにそう思ってたんだけど……いまは違うかな」
QB「そんなっ」
まど「だって、ほむらちゃん、わたしがいないとなーんにもできないし」
まど「あんなダメなほむらちゃんの面倒見てあげられるの私ぐらいなものだし////」
まど「私にしか……////」
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:14:41.30 ID:YL3rYWux0
QB「だめだ、手遅れだったか…………これで八方塞がった……」
ほむホーム 朝
ピピピピッピピピピッピピッ……
ほむ「んー……るさい……」
トゥルルルルトゥルルルルトゥルルルルトゥルルルル
『ほむらちゃーん。あさだよー。おきてねー。ほむらちゃーん』
ほむ「ん、ま、どか?」ガバッ!
ピッ
ほむ「あ、まどか。おはよう。えぇ、いい目覚めだわ……えぇ、それじゃまた、学校で」
ほむ「ふぅ……テレビつけましょうか」ピッ
『○月○日の朝の空の模様を……』
ほむ「え?……今日ってまさか……」
『発達した低気圧はその勢いを強め、現在も北上を続け…………』
ほむホーム 朝
ピピピピッピピピピッピピッ……
ほむ「んー……るさい……」
トゥルルルルトゥルルルルトゥルルルルトゥルルルル
『ほむらちゃーん。あさだよー。おきてねー。ほむらちゃーん』
ほむ「ん、ま、どか?」ガバッ!
ピッ
ほむ「あ、まどか。おはよう。えぇ、いい目覚めだわ……えぇ、それじゃまた、学校で」
ほむ「ふぅ……テレビつけましょうか」ピッ
『○月○日の朝の空の模様を……』
ほむ「え?……今日ってまさか……」
『発達した低気圧はその勢いを強め、現在も北上を続け…………』
73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:15:22.41 ID:YL3rYWux0
ほむ「うそ……うそ! ワ、ワルプルギスの夜が来る日じゃない!!」
ほむ「ど、どうしましょう……いままで何の準備もしてこなかった……」
ほむ「どうせどこかで立ち行かなくなるだろうから、そうなればまたループすればいいと思ってたのに……」
ほむ「ダラダラ怠けていただけだったのに……いつのまにか全員生存しているし……」
ほむ「これで最大戦力が揃ってしまったわ……」
ほむ「たぶんこんな機会はもう二度とない……けれど……」
ほむ「皆の私の印象はおそらく今まででワースト……こんな私が……」
ほむ「ワルプルギスの夜が来ると言っても、協力してくれと言っても、聞いてくれるわけがないじゃない」
ほむ「まして、敵のことはよく知ってるから私の指示通り動いてね? 何て言えるわけがない!」
ほむ「なんてことなの……でも……この機会を無為にするわけにもいかない……」
ほむ「だめもとで話を聞いてもらしか……」
ほむ「ど、どうしましょう……いままで何の準備もしてこなかった……」
ほむ「どうせどこかで立ち行かなくなるだろうから、そうなればまたループすればいいと思ってたのに……」
ほむ「ダラダラ怠けていただけだったのに……いつのまにか全員生存しているし……」
ほむ「これで最大戦力が揃ってしまったわ……」
ほむ「たぶんこんな機会はもう二度とない……けれど……」
ほむ「皆の私の印象はおそらく今まででワースト……こんな私が……」
ほむ「ワルプルギスの夜が来ると言っても、協力してくれと言っても、聞いてくれるわけがないじゃない」
ほむ「まして、敵のことはよく知ってるから私の指示通り動いてね? 何て言えるわけがない!」
ほむ「なんてことなの……でも……この機会を無為にするわけにもいかない……」
ほむ「だめもとで話を聞いてもらしか……」
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:16:05.27 ID:YL3rYWux0
数時間後
さや「よーっす! さやかちゃん登場~!」
杏子「あたしもなっ」
さや「ここがあのほむらのハウスね! って、きったな!! なにこれ」
マミ「あ、いらっしゃい、あなたたちも呼ばれてたの?」ダイソンギゥュィィィン
ほむ「あ、あの……いいのに……そんなこと」アセアセ
マミ「あら? じゃあ掃除させに呼んだわけじゃないのかしら?」カチッフィィィン
ほむ「そ、その……今日は皆に大事な話が……その……あって」
杏子「どうしたよ、小動物みたいにおどおどしちゃってさ……」
ほむ「皆にお願いがあるの!」
マミ「お…………お願い!?」
さや「あの傍若無人で……身の回りの世話すらほとんどまどかにやらせてるあのほむらが……」
マミ「グリーフシードをエサに、無言の圧力で私たちに魔女退治を押し付けるあの暁美さんが……」
杏子「お願い……だと!?」
さや「よーっす! さやかちゃん登場~!」
杏子「あたしもなっ」
さや「ここがあのほむらのハウスね! って、きったな!! なにこれ」
マミ「あ、いらっしゃい、あなたたちも呼ばれてたの?」ダイソンギゥュィィィン
ほむ「あ、あの……いいのに……そんなこと」アセアセ
マミ「あら? じゃあ掃除させに呼んだわけじゃないのかしら?」カチッフィィィン
ほむ「そ、その……今日は皆に大事な話が……その……あって」
杏子「どうしたよ、小動物みたいにおどおどしちゃってさ……」
ほむ「皆にお願いがあるの!」
マミ「お…………お願い!?」
さや「あの傍若無人で……身の回りの世話すらほとんどまどかにやらせてるあのほむらが……」
マミ「グリーフシードをエサに、無言の圧力で私たちに魔女退治を押し付けるあの暁美さんが……」
杏子「お願い……だと!?」
76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:16:48.13 ID:YL3rYWux0
ほむ「え、えぇ……今日、私はワルプルギスの夜と戦う……だからあなたたちに協力してほしいの」
マミ「ワルプルギスの夜って……あの!?」
さや「知ってるんですか、マミさん!」
マミ「えぇ」
杏子「だが……」
マミ「私達が揃って魔女狩りに出かけても、鹿目さんと残って寝ながらミヤネ屋見てたあの暁美さんが……」
さや「私が最初の魔女狩りで苦戦してる時も、今まどかとモンハンで忙しいからって来なかったあのほむらが……」
杏子「戦う……だと!?」
杏子「一体どれほどの敵だっていうのさ、ワルプルギスの夜は……」
マミ「おそらく……暁美さんがわざわざ動く程なのよ。町の一つや二つ、軽く吹き飛ぶにきまってるわ」
さや「なるほど……それじゃさすがのほむらもだらける場所がなくるから、戦わざるを得ないってことか」
ほむ「えっ、えぇ強いわ。それで、その……信じてもらえないかもしれないのだけれど……」
ほむ「私はワルプルギスの夜の事をよく知っているから、その、出来るなら……」
ほむ「私の作戦の通りに動いてほしいの」
さや「な!? そ、そんな……」ガクガク
マミ「ワルプルギスの夜って……あの!?」
さや「知ってるんですか、マミさん!」
マミ「えぇ」
杏子「だが……」
マミ「私達が揃って魔女狩りに出かけても、鹿目さんと残って寝ながらミヤネ屋見てたあの暁美さんが……」
さや「私が最初の魔女狩りで苦戦してる時も、今まどかとモンハンで忙しいからって来なかったあのほむらが……」
杏子「戦う……だと!?」
杏子「一体どれほどの敵だっていうのさ、ワルプルギスの夜は……」
マミ「おそらく……暁美さんがわざわざ動く程なのよ。町の一つや二つ、軽く吹き飛ぶにきまってるわ」
さや「なるほど……それじゃさすがのほむらもだらける場所がなくるから、戦わざるを得ないってことか」
ほむ「えっ、えぇ強いわ。それで、その……信じてもらえないかもしれないのだけれど……」
ほむ「私はワルプルギスの夜の事をよく知っているから、その、出来るなら……」
ほむ「私の作戦の通りに動いてほしいの」
さや「な!? そ、そんな……」ガクガク
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:17:50.17 ID:YL3rYWux0
マミ「極々稀に魔女と戦う時にも、開幕ジャベリンとかバレットとかでまず一分もかけないあの暁美さんが……」
さや「結界の中身も確認しないで、外からポイポイ爆弾投げ入れるだけで帰っていくあのほむらが……」
杏子「作戦……だと!?」
マミ「なんてことなの……それじゃあきっと国の一つや二つ、ダメになる覚悟で戦わないと……」
さや「短い人生だったなぁ……」
杏子「そういうなよ……どうせ終わりだ、やってやろうじゃん」
ほむ「あ、あの、それでね?」
マミ「ま、まだあるの!?」
ほむ「おそらく長期戦になると思うから、グリーフシードの残数には気を配ってほしいの」
杏子「うそだろ……」ガタガタガタ
マミ「私のベテランのプライドを一瞬でぶち壊すほどグリーフシードをため込んでたあの暁美さんが……」
さや「グリーフシードなんて私らをいいようにこき使う道具ぐらいにしか思ってないあのほむらが……」
杏子「ふんっ……そういうことか……あたしも今まで好き勝手やってきた分、ツケを払う時が来たみたいだな」
マミ「えぇ。きっとこの星……いいえ、この宇宙はもうおしまいなのね」
さや「でも最期ぐらい私、魔法少女らしく戦って終わりたい……」
さや「結界の中身も確認しないで、外からポイポイ爆弾投げ入れるだけで帰っていくあのほむらが……」
杏子「作戦……だと!?」
マミ「なんてことなの……それじゃあきっと国の一つや二つ、ダメになる覚悟で戦わないと……」
さや「短い人生だったなぁ……」
杏子「そういうなよ……どうせ終わりだ、やってやろうじゃん」
ほむ「あ、あの、それでね?」
マミ「ま、まだあるの!?」
ほむ「おそらく長期戦になると思うから、グリーフシードの残数には気を配ってほしいの」
杏子「うそだろ……」ガタガタガタ
マミ「私のベテランのプライドを一瞬でぶち壊すほどグリーフシードをため込んでたあの暁美さんが……」
さや「グリーフシードなんて私らをいいようにこき使う道具ぐらいにしか思ってないあのほむらが……」
杏子「ふんっ……そういうことか……あたしも今まで好き勝手やってきた分、ツケを払う時が来たみたいだな」
マミ「えぇ。きっとこの星……いいえ、この宇宙はもうおしまいなのね」
さや「でも最期ぐらい私、魔法少女らしく戦って終わりたい……」
85: 気を取り直して再開 2011/07/06(水) 15:23:54.49 ID:YL3rYWux0
杏子「いいよ……最期まで一緒にいてやるよ」
マミ「そう……滅びゆく者のために……」
杏さや「「滅びゆく者のために!!」」
ほむ「え、えぇ……」
体育館
まど「あれ? ほむらちゃんおっそいなぁ~。せっかく毛布ぬくぬくにしといたのに……」
パパ「お友達、まだなのかい?」
まど「うん……心配だなぁ、おうちでまだ寝てるのかなぁ……おなか出してたりしないかなぁ」
QB「まどか……そのことで話がある……こっちにきてくれないか」ヒョコッ
まど「キ、キュゥべえ? え、えと……私トイレー」ダッタッタ
パパ「こらこら、まどかはトイレじゃないだろ……ふぅ、もういない」
マミ「そう……滅びゆく者のために……」
杏さや「「滅びゆく者のために!!」」
ほむ「え、えぇ……」
体育館
まど「あれ? ほむらちゃんおっそいなぁ~。せっかく毛布ぬくぬくにしといたのに……」
パパ「お友達、まだなのかい?」
まど「うん……心配だなぁ、おうちでまだ寝てるのかなぁ……おなか出してたりしないかなぁ」
QB「まどか……そのことで話がある……こっちにきてくれないか」ヒョコッ
まど「キ、キュゥべえ? え、えと……私トイレー」ダッタッタ
パパ「こらこら、まどかはトイレじゃないだろ……ふぅ、もういない」
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:24:32.59 ID:YL3rYWux0
まど「そ、それで!? ほむらちゃんに何かあったの?」
QB「そうだよ」
まど「ま、まさか!」
QB「そう……」
まど「あれほど道端で寝ちゃダメって言ったのに……風邪ひいちゃうよ……」
QB「い、いや……彼女は今戦っているんだ!」
まど「えっ……」
QB「それもとてつもなく強大で、かつてないほど恐ろしい敵と……」
QB「おそらく他の皆も次々と倒れてしまうだろう……」
QB「彼女はこの街を護るためにその身を挺して戦おうとしているんだ!」
QB「しかし、現実は非常だ……その力はワルプルギスの夜に遠く及ばいない……」
QB「でも君なら! そう、君はこの状況を打開できる可能性を秘めている! いや、絶対にできる!」
QB「だから僕と契約して、魔法少女になってよ!」
まど「……キュゥべえ……」
QB「まどか……」
QB「そうだよ」
まど「ま、まさか!」
QB「そう……」
まど「あれほど道端で寝ちゃダメって言ったのに……風邪ひいちゃうよ……」
QB「い、いや……彼女は今戦っているんだ!」
まど「えっ……」
QB「それもとてつもなく強大で、かつてないほど恐ろしい敵と……」
QB「おそらく他の皆も次々と倒れてしまうだろう……」
QB「彼女はこの街を護るためにその身を挺して戦おうとしているんだ!」
QB「しかし、現実は非常だ……その力はワルプルギスの夜に遠く及ばいない……」
QB「でも君なら! そう、君はこの状況を打開できる可能性を秘めている! いや、絶対にできる!」
QB「だから僕と契約して、魔法少女になってよ!」
まど「……キュゥべえ……」
QB「まどか……」
87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:24:59.51 ID:YL3rYWux0
まど「なに馬鹿なこと言ってるの? ほむらちゃんがそんなめんどくさいことするわけないじゃない」
まど「もー、冗談いうならもうちょっと面白いこと言ってよねぇ」
パパ「まどかーだいじょうぶかーい」
まど「うん、いまもどるー」テッテッテ
QB「…………なにをどう間違ったんだ……」
まど「もー、冗談いうならもうちょっと面白いこと言ってよねぇ」
パパ「まどかーだいじょうぶかーい」
まど「うん、いまもどるー」テッテッテ
QB「…………なにをどう間違ったんだ……」
93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:29:12.63 ID:YL3rYWux0
港 ワルプルギスの夜到来
ワルズギル「ケタケタケタケタ」クルクルクル
マミ「あれが……ワルプルギスの夜……」
杏子「へっ、最期にふさわしいボスじゃないか」
ほむ「あ、あの、使い魔にはなるべく魔法節約して、しっかりと連携をとって……」
さや「やろう! 無理だってわかってても、ただでやられてやるのはくやしいじゃん!」
杏子「そうだな!」
ほむ「って聞いてる? グリーフシードの消費のスピードに気を配って……」
マミ「きっとどれほど私たちが力を尽くしても……あれにはかなわないでしょう……でも」
杏子「全力超えた全力! ぶつけてやろうぜ!」
さや「うんっ!」
マミ「これだけあるグリーフシード」ジャラジャラジャラ~
マミ「一気に全部使い切る勢いじゃないとだめよ。ただ一撃に、私達のすべてを込めましょう!」
ほむ「あと、街への被害を考えると、牽制しながら敵を海上に誘導して……」
杏子「行くぜ!」キュィィィィッッッ
ワルズギル「ケタケタケタケタ」クルクルクル
マミ「あれが……ワルプルギスの夜……」
杏子「へっ、最期にふさわしいボスじゃないか」
ほむ「あ、あの、使い魔にはなるべく魔法節約して、しっかりと連携をとって……」
さや「やろう! 無理だってわかってても、ただでやられてやるのはくやしいじゃん!」
杏子「そうだな!」
ほむ「って聞いてる? グリーフシードの消費のスピードに気を配って……」
マミ「きっとどれほど私たちが力を尽くしても……あれにはかなわないでしょう……でも」
杏子「全力超えた全力! ぶつけてやろうぜ!」
さや「うんっ!」
マミ「これだけあるグリーフシード」ジャラジャラジャラ~
マミ「一気に全部使い切る勢いじゃないとだめよ。ただ一撃に、私達のすべてを込めましょう!」
ほむ「あと、街への被害を考えると、牽制しながら敵を海上に誘導して……」
杏子「行くぜ!」キュィィィィッッッ
95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:29:50.38 ID:YL3rYWux0
マミ「ティロフィナーレェェェェェッッッ!!!」
さや「あたしってほんとばかぁぁぁっっっ!!!」
杏子「いっしょにいてやるよぉぉぉぉっっ!!!」
ズ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ! ! ! ! !
ワルズギル「グギャァァァァァ!!!!」
………………
…………
……
マミ「ここは……ヴァルハラ? いいえ……私達……」
さや「勝った……」
杏子「勝ったぞ!!!」
「「「やったぁぁぁぁっ!!!!」」」ダキッ!ダキッ!アレワタシハ?
ほむ「? ??? ??」ポカン
さや「あたしってほんとばかぁぁぁっっっ!!!」
杏子「いっしょにいてやるよぉぉぉぉっっ!!!」
ズ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ! ! ! ! !
ワルズギル「グギャァァァァァ!!!!」
………………
…………
……
マミ「ここは……ヴァルハラ? いいえ……私達……」
さや「勝った……」
杏子「勝ったぞ!!!」
「「「やったぁぁぁぁっ!!!!」」」ダキッ!ダキッ!アレワタシハ?
ほむ「? ??? ??」ポカン
100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:30:32.61 ID:YL3rYWux0
QB「やはりワルプルギスは倒されたか…………」テクテクテク
ほむ「インキュベーター……」
QB「君にはまんまとしてやられたよ、暁美ほむら」
ほむ「へっ?」
QB「もっと早くに君の策略に気が付くべきだった……」
ほむ「あのぉ……」
QB「あえて怠惰で傍若無人な人間を演じ、憎まれ役としてチームの結束を高めた……」
QB「マミのプライドをあっさりくじくことで彼女は油断を無くし、脱落することなく今日を迎えた」
QB「それに加えて、今まで一人だった彼女につらく当たることで、彼女に他人との協調の難しさを教えたんだね」
QB「精神の弱いさやかにはクッションとなるよう事前に残酷な結末を伝え、合理化の反動形成を促した」
QB「彼女にストレス解消をかねて多くの魔女や使い魔を倒わせるこで、その未熟な戦闘経験を補わせた」
QB「それだけじゃない。事前に杏子と接触することで彼女との邂逅を友好的なものにまでした」
QB「しかし、決定的にはまどかだ」
QB「君は彼女に甘えてみせることで、彼女の抱える心の問題に入り込んだ」
QB「誰かに必要とされることを望んでいた彼女は、すぐに自分の居場所をみつけ……」
ほむ「インキュベーター……」
QB「君にはまんまとしてやられたよ、暁美ほむら」
ほむ「へっ?」
QB「もっと早くに君の策略に気が付くべきだった……」
ほむ「あのぉ……」
QB「あえて怠惰で傍若無人な人間を演じ、憎まれ役としてチームの結束を高めた……」
QB「マミのプライドをあっさりくじくことで彼女は油断を無くし、脱落することなく今日を迎えた」
QB「それに加えて、今まで一人だった彼女につらく当たることで、彼女に他人との協調の難しさを教えたんだね」
QB「精神の弱いさやかにはクッションとなるよう事前に残酷な結末を伝え、合理化の反動形成を促した」
QB「彼女にストレス解消をかねて多くの魔女や使い魔を倒わせるこで、その未熟な戦闘経験を補わせた」
QB「それだけじゃない。事前に杏子と接触することで彼女との邂逅を友好的なものにまでした」
QB「しかし、決定的にはまどかだ」
QB「君は彼女に甘えてみせることで、彼女の抱える心の問題に入り込んだ」
QB「誰かに必要とされることを望んでいた彼女は、すぐに自分の居場所をみつけ……」
102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:31:15.59 ID:YL3rYWux0
QB「僕の取り入る隙を無くしたんだろう?」
QB「彼女の祈りはもう現実のものとなり、契約を必要としなくなった……」
QB「それを確実にするためだろうけど、彼女も今ではすっかり共依存だ。徹底している……」
QB「いやはや、お手上げだよ」
ほむ「…………」
QB「さぁ、はやくまどかの元へ行くといい」
QB「僕はしばらく途方に暮れることにするよ……」
QB「彼女の祈りはもう現実のものとなり、契約を必要としなくなった……」
QB「それを確実にするためだろうけど、彼女も今ではすっかり共依存だ。徹底している……」
QB「いやはや、お手上げだよ」
ほむ「…………」
QB「さぁ、はやくまどかの元へ行くといい」
QB「僕はしばらく途方に暮れることにするよ……」
106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:32:33.63 ID:YL3rYWux0
ほむホーム
ほむ「……」トボトボ
ほむ「はぁ……いったいなんだったの……私のこれまでの努力は……」
ほむ「ただ一か月食っちゃ寝食っちゃ寝してるだけでこれよ……いやになるわ……」
ほむ「ただいま……」ガチャ
まど「あ、ほむらちゃん! おかえりー」
ほむ「ま、まどか……どうしてここに?」
まど「ほむらちゃん探してたらここまで来ちゃった//// えへへ////」
まど「ほ、ほら。お昼寝しちゃうでしょ? お布団ぬくぬくだよー」
ほむ「えぇ……」モゾモゾ
まど「えへへ////」ポンポン
ほむ「(本当に、一体なんだったのかしらね…………)」
ほむ「(すぅっ…………あっ、まどかの匂い…………幸せ……もうなんでもいいわ…………)」Zzz
………………
…………
……
ほむ「……」トボトボ
ほむ「はぁ……いったいなんだったの……私のこれまでの努力は……」
ほむ「ただ一か月食っちゃ寝食っちゃ寝してるだけでこれよ……いやになるわ……」
ほむ「ただいま……」ガチャ
まど「あ、ほむらちゃん! おかえりー」
ほむ「ま、まどか……どうしてここに?」
まど「ほむらちゃん探してたらここまで来ちゃった//// えへへ////」
まど「ほ、ほら。お昼寝しちゃうでしょ? お布団ぬくぬくだよー」
ほむ「えぇ……」モゾモゾ
まど「えへへ////」ポンポン
ほむ「(本当に、一体なんだったのかしらね…………)」
ほむ「(すぅっ…………あっ、まどかの匂い…………幸せ……もうなんでもいいわ…………)」Zzz
………………
…………
……
109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:33:06.40 ID:YL3rYWux0
杏子「お、おい! お前耳から血ぃ出てんぞ!?」
さや「え?」
おしまい
さや「え?」
おしまい
112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:33:56.40 ID:7XBNK9rd0
乙ほむー
耳からだと...音すげぇwww
耳からだと...音すげぇwww
113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:34:33.28 ID:JrfpuK120
乙
度重なる音のダメージが耳に残ってたのか
度重なる音のダメージが耳に残ってたのか
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:38:00.06 ID:9rhku5FUO
乙っ
おもしろかったよ!
おもしろかったよ!
128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 15:57:47.43 ID:w8YCsQPp0
くそわろたwwwww
最近の中で一番笑わせてもらったわwwwww
最近の中で一番笑わせてもらったわwwwww
133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/07/06(水) 16:04:17.17 ID:CcVOhR/m0
適度に短くて面白かった!
魂の乙!
魂の乙!
引用元: ほむら「全力でダラダラする」
さやか「余命… 1ヶ月…?」
2020-05-05
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 12:26:42.92 ID:5PVMvsyl0
医者「あぁ…」
さやか「あぁって……」
医者「すまない……」
さやか「嘘ですよね…?」
医者「……」
医者「現代の医学では君を治療するのは不可能だ……」
さやか「そんな……」
さやか「あぁって……」
医者「すまない……」
さやか「嘘ですよね…?」
医者「……」
医者「現代の医学では君を治療するのは不可能だ……」
さやか「そんな……」
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6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 12:37:50.30 ID:5PVMvsyl0
医者「私達ではどうにも出来ないレベルまで病気が進行してるんだ」
さやか「……」
医者「本当に済まないと思ってる」
さやか「……」
医者「……」
さやか「……」
さやか「……」
医者「本当に済まないと思ってる」
さやか「……」
医者「……」
さやか「……」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 12:41:55.41 ID:5PVMvsyl0
さやか「…だって」
さやか「…今!わたし、こんなにピンピンしてるじゃないですか!」
医者「……」
さやか「ほら!見てよ!こんなに元気じゃないですか!」
医者「……」
医者「済まない……」
さやか「…う、嘘」ポロ
さやか「嘘でしょ……」ポロポロ
医者「……」
さやか「…今!わたし、こんなにピンピンしてるじゃないですか!」
医者「……」
さやか「ほら!見てよ!こんなに元気じゃないですか!」
医者「……」
医者「済まない……」
さやか「…う、嘘」ポロ
さやか「嘘でしょ……」ポロポロ
医者「……」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 12:48:50.99 ID:5PVMvsyl0
医者「今は元気でも、あと2週間もすれば症状が出てくるだろう……」
医者「まず最初に味覚を失う」
医者「そして、嗅覚、視覚、聴覚、触覚と、どんどん失っていく」
医者「五感を失い、君の体はじわじわ侵され」
医者「死ぬ」
さやか「……」
医者「まず最初に味覚を失う」
医者「そして、嗅覚、視覚、聴覚、触覚と、どんどん失っていく」
医者「五感を失い、君の体はじわじわ侵され」
医者「死ぬ」
さやか「……」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 12:53:43.57 ID:5PVMvsyl0
さやか「ははっ……夢みたい……」
医者「……悲しいけど現実だ」
さやか「……」
医者「症状が出始めたら、また病院に来るように」
さやか「……」
医者「……悲しいけど現実だ」
さやか「……」
医者「症状が出始めたら、また病院に来るように」
さやか「……」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 12:56:59.29 ID:5PVMvsyl0
――――
さやか「……」
さやか「わたし、死んじゃうんだ……」
さやか「……」
さやか「ははっ……」
さやか「……」
さやか「…どうして」
さやか「どうして、わたしなのよ……」
さやか「……」
さやか「わたし、死んじゃうんだ……」
さやか「……」
さやか「ははっ……」
さやか「……」
さやか「…どうして」
さやか「どうして、わたしなのよ……」
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 13:05:15.07 ID:5PVMvsyl0
――――通学路
さやか「……」テクテク
まどか「さやかちゃーん!」タッタッタッ
さやか「あぁ…おはよう…」
まどか「おはよう!どうしたの?暗いよ?」
まどか「なんかあったの?」
さやか「……」
さやか「ううん!何でもないよ!今日も元気に行こっけぇ~!」
まどか「あははーおもしろーい」
さやか「……」テクテク
まどか「さやかちゃーん!」タッタッタッ
さやか「あぁ…おはよう…」
まどか「おはよう!どうしたの?暗いよ?」
まどか「なんかあったの?」
さやか「……」
さやか「ううん!何でもないよ!今日も元気に行こっけぇ~!」
まどか「あははーおもしろーい」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 13:51:32.05 ID:L1w4bh+n0
仁美「おはようございます」
まどか「おはよう、仁美ちゃん」
さやか「おっはよー! ひとみ!」
仁美「うふふ。さやかさんはいつもお元気そうでうらやましい限りですわ」
さやか「…………」
さやか「……あったりまえじゃーん! あたしだよ?」
さやか「どーしたのよ仁美ー? なんか元気ないじゃーん?」
まどか「そうだね。どうしたの?」
仁美「実は……好きな殿方ができてしまいましたの……」
さやか「お! だれだれ? あたしたちの知ってる人?」
仁美「ちょっと、言いづらいのですけれど……」
さやか「もー! あたしたちの仲じゃん! 言ってみなよー!」
仁美「……上条、恭介さんですの」
まどか「おはよう、仁美ちゃん」
さやか「おっはよー! ひとみ!」
仁美「うふふ。さやかさんはいつもお元気そうでうらやましい限りですわ」
さやか「…………」
さやか「……あったりまえじゃーん! あたしだよ?」
さやか「どーしたのよ仁美ー? なんか元気ないじゃーん?」
まどか「そうだね。どうしたの?」
仁美「実は……好きな殿方ができてしまいましたの……」
さやか「お! だれだれ? あたしたちの知ってる人?」
仁美「ちょっと、言いづらいのですけれど……」
さやか「もー! あたしたちの仲じゃん! 言ってみなよー!」
仁美「……上条、恭介さんですの」
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 13:57:04.59 ID:L1w4bh+n0
まどか「え」
さやか「あ」
仁美「あ」
仁美「……じょ、冗談ですわ。ごめんなさい」
さやか(仁美はそういう冗談を言う子じゃない)
さやか「……ほんとに!? 恭介幸せ者だなー! あはは!」
さやか「協力するよ!」
まどか(え? さやかちゃん……)
仁美「い、良いのですか。わたくし……その」
さやか「あたしの仁美が幸せになれるなら何でもするさー!」
さやか(なに言ってんだろ、あたし)
まどか(どうしよう、何かおかしいよ)
さやか「あ」
仁美「あ」
仁美「……じょ、冗談ですわ。ごめんなさい」
さやか(仁美はそういう冗談を言う子じゃない)
さやか「……ほんとに!? 恭介幸せ者だなー! あはは!」
さやか「協力するよ!」
まどか(え? さやかちゃん……)
仁美「い、良いのですか。わたくし……その」
さやか「あたしの仁美が幸せになれるなら何でもするさー!」
さやか(なに言ってんだろ、あたし)
まどか(どうしよう、何かおかしいよ)
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 14:03:24.23 ID:L1w4bh+n0
教室
さやか「よっ! てんこ……ほむらちゃん! 学校には鳴れた?」
ほむら「え? ええ……」
さやか「そりゃ良かった! 分かんないことあったら何でも聞きなよ?」
ほむら(美樹さやかがこんな積極的なパターンは初めてだわ……)
--放課後
まどか「さやかちゃん、今日どうする? またCDショップ行こうか」
さやか「うん……いや」
さやか「今日は、作戦会議かな!」
まどか「え?」
さやか「仁美の恋愛成就のための、作戦会議!」
さやか「美人のほむらちゃんも誘ってみようよ。まだ馴染めてないみたいだし」
まどか(さやかちゃん……?)
さやか「よっ! てんこ……ほむらちゃん! 学校には鳴れた?」
ほむら「え? ええ……」
さやか「そりゃ良かった! 分かんないことあったら何でも聞きなよ?」
ほむら(美樹さやかがこんな積極的なパターンは初めてだわ……)
--放課後
まどか「さやかちゃん、今日どうする? またCDショップ行こうか」
さやか「うん……いや」
さやか「今日は、作戦会議かな!」
まどか「え?」
さやか「仁美の恋愛成就のための、作戦会議!」
さやか「美人のほむらちゃんも誘ってみようよ。まだ馴染めてないみたいだし」
まどか(さやかちゃん……?)
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 14:09:22.84 ID:L1w4bh+n0
さやか家
さやか「……というわけで、仁美にCDを持たせてさ」
ほむら「演奏ができなくなったことを考えると」
ほむら「そういう行為は逆効果な気もするわ」
さやか「あ。な、なるほど。いやー天才美少女は言うことが違う!」
まどか「ねえ、さやかちゃん……」
さやか「ん?」
さやか「まどかもどんどん案出してよー?」
まどか「……一体、どうしたの?」
さやか「え?」
QB『誰か、僕の声が聞こえるかい?』
まどか「!」
さやか「……というわけで、仁美にCDを持たせてさ」
ほむら「演奏ができなくなったことを考えると」
ほむら「そういう行為は逆効果な気もするわ」
さやか「あ。な、なるほど。いやー天才美少女は言うことが違う!」
まどか「ねえ、さやかちゃん……」
さやか「ん?」
さやか「まどかもどんどん案出してよー?」
まどか「……一体、どうしたの?」
さやか「え?」
QB『誰か、僕の声が聞こえるかい?』
まどか「!」
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 14:18:49.30 ID:L1w4bh+n0
QB『僕の声が聞こえるんだね?』
まどか(だれ……?)
ほむら(まどかの様子がおかしい)
さやか「でさー! あれをこうして」
まどか「ご、ごめんさやかちゃん! 用事あったの思い出した!」スクッ
ほむら「!」
まどか「ごめんね! また明日ね!」ダッ
ほむら「美樹さんごめんなさい。私もちょっと」ダッ
さやか「え? あ、うん。そんじゃー……また明日」バイバイ
さやか(何だろ? 突然)ピロリロリン
さやか(あ。仁美からメールだ)
仁美『さやかさんは、恭介さんのことお好きではないのですか?』
まどか(だれ……?)
ほむら(まどかの様子がおかしい)
さやか「でさー! あれをこうして」
まどか「ご、ごめんさやかちゃん! 用事あったの思い出した!」スクッ
ほむら「!」
まどか「ごめんね! また明日ね!」ダッ
ほむら「美樹さんごめんなさい。私もちょっと」ダッ
さやか「え? あ、うん。そんじゃー……また明日」バイバイ
さやか(何だろ? 突然)ピロリロリン
さやか(あ。仁美からメールだ)
仁美『さやかさんは、恭介さんのことお好きではないのですか?』
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 14:28:41.44 ID:L1w4bh+n0
さやか『えー!? あはは、全然ないよ! なんでそう思うの?』
仁美『足しげくお見舞いに通ってらしたから……わたくし、てっきり』
さやか『腐れ縁だからね! たまにゃそういうこともするよー』
さやか『仁美が心配するようなことは何もないよ。だから応援させて?』
プルル
さやか(あ、電話だ……)カチャ
仁美「嘘ですわ!」
さやか「!?」ビクッ
仁美「さやかさんは、嘘をついています」
さやか「な、何言ってんの仁美……」
仁美「本音でお話ください」
仁美「わたくし達、お友達でしょう?」
さやか「本音って……言ったじゃん。私は恭介のことなんかどうでもいいし、仁美を応援したいの」
仁美「わたくし達は、お友達ではない、ということですのね?」
さやか「そうじゃなくって……」
仁美「見損ないましたわ……」
仁美『足しげくお見舞いに通ってらしたから……わたくし、てっきり』
さやか『腐れ縁だからね! たまにゃそういうこともするよー』
さやか『仁美が心配するようなことは何もないよ。だから応援させて?』
プルル
さやか(あ、電話だ……)カチャ
仁美「嘘ですわ!」
さやか「!?」ビクッ
仁美「さやかさんは、嘘をついています」
さやか「な、何言ってんの仁美……」
仁美「本音でお話ください」
仁美「わたくし達、お友達でしょう?」
さやか「本音って……言ったじゃん。私は恭介のことなんかどうでもいいし、仁美を応援したいの」
仁美「わたくし達は、お友達ではない、ということですのね?」
さやか「そうじゃなくって……」
仁美「見損ないましたわ……」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 14:35:54.81 ID:L1w4bh+n0
仁美「私の知ってるさやかさんは、そんな嘘つきではないし、薄情者でもありません」
さやか「そんな……」
仁美「しばらく距離を置きましょう。さようなら」
さやか「ひ、仁美」
仁美「もし再びお話できるようになるときが来るとすれば」
仁美「それは、さやかさんが恭介さんに告白したあとですわ!」ブチッ
ツーツー
さやか「そんな……」
仁美「しばらく距離を置きましょう。さようなら」
さやか「ひ、仁美」
仁美「もし再びお話できるようになるときが来るとすれば」
仁美「それは、さやかさんが恭介さんに告白したあとですわ!」ブチッ
ツーツー
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 14:36:03.82 ID:L1w4bh+n0
さやか(…………)
さやか(あたしが、)
さやか(告白?)
さやか(…………)
さやか(出来るわけないじゃない!!!!!)
さやか(あと一ヶ月で死ぬ)
さやか(あと一ヶ月で死ぬのよ!!!!!)
さやか(何をやったって、みんなに迷惑しかかからないのよ……)
さやか(言えるわけない……)
さやか(言えるわけないんだよぅ……)グスグス
さやか「うわあああああ……」グスグス
さやか(あたしが、)
さやか(告白?)
さやか(…………)
さやか(出来るわけないじゃない!!!!!)
さやか(あと一ヶ月で死ぬ)
さやか(あと一ヶ月で死ぬのよ!!!!!)
さやか(何をやったって、みんなに迷惑しかかからないのよ……)
さやか(言えるわけない……)
さやか(言えるわけないんだよぅ……)グスグス
さやか「うわあああああ……」グスグス
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 14:44:12.03 ID:L1w4bh+n0
翌日 教室
まどか「なんだろう。仁美ちゃんの様子がおかしいね」
仁美「」ツーン
さやか「うん……」
まどか「何かあったの?」
さやか「いや、私が悪いんだ」
さやか「そのうち謝って何とかするからさ……気にしないで!」ニコッ
まどか(どうしよう)
まどか(QBのこととか話せる雰囲気じゃないよ)
まどか(ほむらちゃんは「絶対契約するな!」って怖いし)
さやか「まどかもやりづらいよね。いいよ。お昼は仁美と食べて?」
さやか「仲直りするまで、あたしは独りで食べるからさ。あはは」
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 14:49:25.26 ID:L1w4bh+n0
まどか「そんなことできるわけない」
まどか「二人が仲直りするまでは、私も独りで食べるよ」
さやか「ふざけないで!」
まどか「えっ」ビクッ
さやか「あたしだけでいいのよ!」
さやか(そうだ)
さやか(嫌われればいいんだ)
さやか(嫌われたまま死ねば、誰も悲しまないんだ)
さやか「あんたさ、正直うっとうしかったんだよね」
まどか「え……」
さやか「いっつもハッキリしないし、すっげーイライラしてたの……」
さやか「やっと本音で話せたわー」
さやか「ちょーどいい機会だから、もう二度と話しかけないでね? うじ虫」
まどか「ひ……ひどいよ……さやかちゃん」グスッ
ほむら(ま、まどかを泣かせるなんて……!)ギリッ
まどか「二人が仲直りするまでは、私も独りで食べるよ」
さやか「ふざけないで!」
まどか「えっ」ビクッ
さやか「あたしだけでいいのよ!」
さやか(そうだ)
さやか(嫌われればいいんだ)
さやか(嫌われたまま死ねば、誰も悲しまないんだ)
さやか「あんたさ、正直うっとうしかったんだよね」
まどか「え……」
さやか「いっつもハッキリしないし、すっげーイライラしてたの……」
さやか「やっと本音で話せたわー」
さやか「ちょーどいい機会だから、もう二度と話しかけないでね? うじ虫」
まどか「ひ……ひどいよ……さやかちゃん」グスッ
ほむら(ま、まどかを泣かせるなんて……!)ギリッ
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 14:55:55.74 ID:L1w4bh+n0
数日後 病院
さやか「トントーン。恭介いますかー?」
恭介「開いてるよ、さやか」
さやか「おじゃましまーす。ってもう入ってるけど」
恭介「いつもありがとう」
さやか「今日はお話があって来たんだ」
恭介「……さやか、最近、変に制服汚れてないか?」
恭介「ケガも多いみたいだし……」
さやか「…………」
恭介「何かあった?」
さやか「あはは。大したことじゃないよ。それよりね」
さやか「お見舞いに来るの、これで最後なんだ」
恭介「え?」
さやか「か、か彼氏ができてさ……行くなって」チラッ
恭介「おー。おめでとう!」ニコッ
さやか「トントーン。恭介いますかー?」
恭介「開いてるよ、さやか」
さやか「おじゃましまーす。ってもう入ってるけど」
恭介「いつもありがとう」
さやか「今日はお話があって来たんだ」
恭介「……さやか、最近、変に制服汚れてないか?」
恭介「ケガも多いみたいだし……」
さやか「…………」
恭介「何かあった?」
さやか「あはは。大したことじゃないよ。それよりね」
さやか「お見舞いに来るの、これで最後なんだ」
恭介「え?」
さやか「か、か彼氏ができてさ……行くなって」チラッ
恭介「おー。おめでとう!」ニコッ
80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 15:01:59.58 ID:L1w4bh+n0
さやか「はは……いいでしょ」
さやか(そうだよね)
さやか(恭介は私のこと、好きでもなんでもないんだもん)
さやか(嫉妬とかするわけない……)
さやか「いい知らせがあるよ」
恭介「?」
さやか「仁美がねー、あんたのこと好きなんだって!!」
恭介「えー!?」
さやか「幸せねー! このこの!」
恭介「や、やめろよ」
さやか「……あんたにはもったいないくらい良い子だから、大切にしてね?」
恭介「ま、まあその///」
さやか(あたしのやることは、もう全部終わったかな)
さやか(そうだよね)
さやか(恭介は私のこと、好きでもなんでもないんだもん)
さやか(嫉妬とかするわけない……)
さやか「いい知らせがあるよ」
恭介「?」
さやか「仁美がねー、あんたのこと好きなんだって!!」
恭介「えー!?」
さやか「幸せねー! このこの!」
恭介「や、やめろよ」
さやか「……あんたにはもったいないくらい良い子だから、大切にしてね?」
恭介「ま、まあその///」
さやか(あたしのやることは、もう全部終わったかな)
91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 15:12:59.74 ID:L1w4bh+n0
さやか部屋
さやか(もう何日学校休んでるんだろう)
さやか(いじめは辛くないけど)
さやか(あたしに対するいじめを辛そうに見てるまどか達、を見るのが辛い)
さやか(何でこの期に及んであたしなんかのこと心配するのよ……)グス
さやか(何でそんなお人好しなの……)
QB「僕が見えるかい?」
さやか「!?」
さやか(もう何日学校休んでるんだろう)
さやか(いじめは辛くないけど)
さやか(あたしに対するいじめを辛そうに見てるまどか達、を見るのが辛い)
さやか(何でこの期に及んであたしなんかのこと心配するのよ……)グス
さやか(何でそんなお人好しなの……)
QB「僕が見えるかい?」
さやか「!?」
97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 15:24:08.41 ID:L1w4bh+n0
マミ「あなたが新しい魔法少女かしら?」
さやか「いや、その」
QB「話をしただけで、まだ契約はしていないんだ。マミと会ってみたいって」
マミ「そう」
さやか「……初めまして」
マミ「QBに選ばれるということは、それなりのものを背負っているということ」
マミ「つらかったら経緯なんて話さなくていいわ」
マミ「ただ……願いごとは決まっているの?」
さやか「いや、その」
QB「話をしただけで、まだ契約はしていないんだ。マミと会ってみたいって」
マミ「そう」
さやか「……初めまして」
マミ「QBに選ばれるということは、それなりのものを背負っているということ」
マミ「つらかったら経緯なんて話さなくていいわ」
マミ「ただ……願いごとは決まっているの?」
101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 15:33:40.05 ID:L1w4bh+n0
さやか「……みんな幸せになりますように、って」
マミ「まあ」
QB「えーと」
QB「僕は、何でもとは言ったけれど」
QB「もう少し具体的に言ってくれないと叶えようがないね」
QB「幸せの定義は生物それぞれだから」
さやか「じゃあ……」
さやか「どうしよう」
さやか「医学が発展して、本来よりもっとたくさんの人が救われますように、っていうのは……?」
QB「たくさん、という部分がどれだけの意味に反映されるかは保証できない」
QB「ただ、可能は可能かな」
さやか「じゃあそれで!」ニコッ
マミ「まあ」
QB「えーと」
QB「僕は、何でもとは言ったけれど」
QB「もう少し具体的に言ってくれないと叶えようがないね」
QB「幸せの定義は生物それぞれだから」
さやか「じゃあ……」
さやか「どうしよう」
さやか「医学が発展して、本来よりもっとたくさんの人が救われますように、っていうのは……?」
QB「たくさん、という部分がどれだけの意味に反映されるかは保証できない」
QB「ただ、可能は可能かな」
さやか「じゃあそれで!」ニコッ
102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 15:34:43.54 ID:L1w4bh+n0
QB「では」
さやか「でもね、QB、あたしあと少しで死ぬの」
マミ「?」
さやか「それでもいい?」
QB「…………」
QB「君が契約を望むのなら、僕の方は何も問題ないよ」
さやか「ありがとう!」
QB「さあ、これで魔法少女さやかの誕生だ!」ピカー
マミ「これからは共に頑張りましょう!」
さやか「はい!」
さやかの行方は、それから誰も知らない
数年後、コンサートホールのステージ上には壮麗にヴァイオリンを奏でる恭介の姿があった
fin
さやか「でもね、QB、あたしあと少しで死ぬの」
マミ「?」
さやか「それでもいい?」
QB「…………」
QB「君が契約を望むのなら、僕の方は何も問題ないよ」
さやか「ありがとう!」
QB「さあ、これで魔法少女さやかの誕生だ!」ピカー
マミ「これからは共に頑張りましょう!」
さやか「はい!」
さやかの行方は、それから誰も知らない
数年後、コンサートホールのステージ上には壮麗にヴァイオリンを奏でる恭介の姿があった
fin
117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 15:53:51.53 ID:x7H3AnTz0
>>48から分岐
さやか『えー!? あはは、全然ないよ! なんでそう思うの?』
仁美『足しげくお見舞いに通ってらしたから……わたくし、てっきり』
さやか『腐れ縁だからね! たまにゃそういうこともするよー』
さやか『仁美が心配するようなことは何もないよ。だから応援させて?』
プルル
さやか(あ、電話だ……)カチャ
仁美「嘘ですわ!」
さやか「!?」ビクッ
仁美「さやかさんは、嘘をついています」
さやか「な、何言ってんの仁美……」
仁美「本音でお話ください。わたくし達、お友達でしょう?」
さやか「本音――ほんとに話して、良いのかな」
仁美「さやかさん」
さやか「誰にも言わないって、約束してくれるかな」
さやか『えー!? あはは、全然ないよ! なんでそう思うの?』
仁美『足しげくお見舞いに通ってらしたから……わたくし、てっきり』
さやか『腐れ縁だからね! たまにゃそういうこともするよー』
さやか『仁美が心配するようなことは何もないよ。だから応援させて?』
プルル
さやか(あ、電話だ……)カチャ
仁美「嘘ですわ!」
さやか「!?」ビクッ
仁美「さやかさんは、嘘をついています」
さやか「な、何言ってんの仁美……」
仁美「本音でお話ください。わたくし達、お友達でしょう?」
さやか「本音――ほんとに話して、良いのかな」
仁美「さやかさん」
さやか「誰にも言わないって、約束してくれるかな」
124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 16:06:25.37 ID:x7H3AnTz0
さやか「仁美には嘘つけないよね。あたし、恭介のことが好きだった」
さやか「恭介のこと毎日考えて、恭介のことで頭がいっぱいだった」
仁美「でしたら――」
さやか「でもね! 最近そうじゃなくなってきちゃったのっ」
仁美「え?」
さやか「今でも大事な幼馴染だけど、恭介だけが世界じゃない?みたいな?」
さやか「頭の中にさ、別のことがいっつも混じってるの」
仁美「……」
さやか「これは、嘘に聞こえる?」
仁美「聞こえません、けど」
さやか「とゆーことで、あたしの人生初めての恋はおしまい!」
さやか「いやあ、あっけない幕切れだよね」
仁美「さやかさん、私は」
さやか「恭介のこと毎日考えて、恭介のことで頭がいっぱいだった」
仁美「でしたら――」
さやか「でもね! 最近そうじゃなくなってきちゃったのっ」
仁美「え?」
さやか「今でも大事な幼馴染だけど、恭介だけが世界じゃない?みたいな?」
さやか「頭の中にさ、別のことがいっつも混じってるの」
仁美「……」
さやか「これは、嘘に聞こえる?」
仁美「聞こえません、けど」
さやか「とゆーことで、あたしの人生初めての恋はおしまい!」
さやか「いやあ、あっけない幕切れだよね」
仁美「さやかさん、私は」
127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 16:11:47.64 ID:x7H3AnTz0
さやか「もういいじゃん、仁美がそんなに悩んで想いを打ち明けてくれたのにさ」
さやか「あっちこっちふらふらしてるあたしのために遠慮させてたら悪いよ」
仁美「――私の友人を悪く言わないでくださいな」
さやか「ありがとう」
さやか「でも、このまま本当に悪い子になるのも嫌だからさ」
仁美「~~~~~~」
さやか「幼馴染と、両天秤かけるような嫌な子になりたくないんだ」
仁美「あ、あの。私! ……上条さんと、きっと幸せになりますっ」
さやか「うんうん、仁美なら間違いはないよ。むしろ恭介にもったいないくらいだもん」
仁美「さやかさんたら」
さやか「アハハ、それじゃ切るね。恭介のこと聞きたくなったらなんでも聞いてよっ」
プチッ
さやか「あっちこっちふらふらしてるあたしのために遠慮させてたら悪いよ」
仁美「――私の友人を悪く言わないでくださいな」
さやか「ありがとう」
さやか「でも、このまま本当に悪い子になるのも嫌だからさ」
仁美「~~~~~~」
さやか「幼馴染と、両天秤かけるような嫌な子になりたくないんだ」
仁美「あ、あの。私! ……上条さんと、きっと幸せになりますっ」
さやか「うんうん、仁美なら間違いはないよ。むしろ恭介にもったいないくらいだもん」
仁美「さやかさんたら」
さやか「アハハ、それじゃ切るね。恭介のこと聞きたくなったらなんでも聞いてよっ」
プチッ
132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 16:14:40.37 ID:x7H3AnTz0
さやか「……………………」
さやか「これで、良かった。よね」ポロ…
さやか「あ、あはは。おかしいな。良い事したのに」ポロポロ…
さやか「……恭介ぇ。ひっぐ、きょうす、きょうすけ」
さやか「うわああああんっ」
136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 16:24:21.96 ID:x7H3AnTz0
-病室-
上条「やあ、今日は仁美が来てくれたの?」
仁美(今日は……)
仁美「は、はい」
上条「ああ、ごめんっ そんな顔しないで?」
上条「実は前に、さやかに悪いことしちゃってさ」
仁美「あら」
上条「せっかく持って来てくれたCD、割っちゃったんだ。腕の事でイライラしてて」
上条「もう、動かないって……」
仁美「――上条さん、私ではだめでしょうか」
上条「いや、僕の口から直接謝りたいんだ」
仁美「そうではないんです」
上条「やあ、今日は仁美が来てくれたの?」
仁美(今日は……)
仁美「は、はい」
上条「ああ、ごめんっ そんな顔しないで?」
上条「実は前に、さやかに悪いことしちゃってさ」
仁美「あら」
上条「せっかく持って来てくれたCD、割っちゃったんだ。腕の事でイライラしてて」
上条「もう、動かないって……」
仁美「――上条さん、私ではだめでしょうか」
上条「いや、僕の口から直接謝りたいんだ」
仁美「そうではないんです」
138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 16:32:57.51 ID:x7H3AnTz0
仁美「上条さんを支えるのは、私ではだめでしょうか」
仁美「わ、私。上条さんの事をお慕い申し上げているんですっ」
上条「!」
仁美「……不謹慎かもしれませんが、今の話をお聞きして。羨ましかったです」
仁美「さやかさんは、私の知らない上条さんの面も御存じなのだと」
上条「それは……幼馴染だから……」
仁美「……私も、上条さんのことをもっと知りたいのです」
仁美「辛い事、私に全てぶつけてくださってもかまいません。だから……」
上条「……」
仁美「わ、私。上条さんの事をお慕い申し上げているんですっ」
上条「!」
仁美「……不謹慎かもしれませんが、今の話をお聞きして。羨ましかったです」
仁美「さやかさんは、私の知らない上条さんの面も御存じなのだと」
上条「それは……幼馴染だから……」
仁美「……私も、上条さんのことをもっと知りたいのです」
仁美「辛い事、私に全てぶつけてくださってもかまいません。だから……」
上条「……」
139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 16:40:13.27 ID:x7H3AnTz0
上条「ごめん」
仁美「っ!」
上条「仁美の気持ちは嬉しいけれど、僕は」
仁美「……さやかさん、ですか?」
上条「う、うん。仁美には嘘つけないなあ」
仁美(ズキッ)
-----------------------
「仁美には嘘つけないよね」
-----------------------
仁美(お似合いの二人ですよね。私は身を引いた方が――)
-------------------------------------------------
「幼馴染と、両天秤かけるような嫌な子になりたくないんだ」
-------------------------------------------------
仁美(!)
--------------------------------------------------------
「あっちこっちふらふらしてるあたしのために遠慮させてたら悪いよ」
--------------------------------------------------------
仁美(……私は……私、どうしたら……)
仁美「っ!」
上条「仁美の気持ちは嬉しいけれど、僕は」
仁美「……さやかさん、ですか?」
上条「う、うん。仁美には嘘つけないなあ」
仁美(ズキッ)
-----------------------
「仁美には嘘つけないよね」
-----------------------
仁美(お似合いの二人ですよね。私は身を引いた方が――)
-------------------------------------------------
「幼馴染と、両天秤かけるような嫌な子になりたくないんだ」
-------------------------------------------------
仁美(!)
--------------------------------------------------------
「あっちこっちふらふらしてるあたしのために遠慮させてたら悪いよ」
--------------------------------------------------------
仁美(……私は……私、どうしたら……)
147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 16:50:47.53 ID:x7H3AnTz0
------------------------------------
「恭介のことで頭がいっぱいだった」
「恭介だけが世界じゃない?みたいな?」
------------------------------------
仁美「――さんは」
上条「うん?」
仁美「さやかさんは……!」
------------------------------------
「あたし、恭介のことが好きだった」
「頭の中にさ、別のことがいっつも混じって」
------------------------------------
149: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 16:52:30.09 ID:x7H3AnTz0
仁美「他、の、殿方に。気がある、そうですよ?」
上条「……! そ、そうなのかい」
仁美「先ほどお電話した際、そう伺ったんです。間違いはありません」
上条「そう、だよね。さやかもいつまでも子どもじゃないんだ」
上条「恋くらいしても、当然だよね」
仁美「っ!」
上条「仁美、もう一つごめん。さっきの告白、一度忘れさせてほしいんだ」
上条「今頷いたら、君をさやかの代わりにするようなものだから」
仁美「上条さんはそんな方では」
上条「僕にその気がなくともさ。それはさやかにも、君にもすごく失礼なことだと思う」
仁美「わかり……ました……」
仁美「もう、面会の時間は終わりですね」
上条「……うん。お見舞い、ありがとう」
上条「……! そ、そうなのかい」
仁美「先ほどお電話した際、そう伺ったんです。間違いはありません」
上条「そう、だよね。さやかもいつまでも子どもじゃないんだ」
上条「恋くらいしても、当然だよね」
仁美「っ!」
上条「仁美、もう一つごめん。さっきの告白、一度忘れさせてほしいんだ」
上条「今頷いたら、君をさやかの代わりにするようなものだから」
仁美「上条さんはそんな方では」
上条「僕にその気がなくともさ。それはさやかにも、君にもすごく失礼なことだと思う」
仁美「わかり……ました……」
仁美「もう、面会の時間は終わりですね」
上条「……うん。お見舞い、ありがとう」
153: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 16:56:45.62 ID:x7H3AnTz0
仁美(あれで良かったのでしょうか)
仁美(もし上条さんのお気持ちを伝えたら、さやかさんは)
---------------------------------------
「このまま本当に悪い子になるのも嫌だからさ」
---------------------------------------
仁美(いえ、良いんです。これでさやかさんは新しい恋に踏み出せますっ)
ホントウニ?
仁美(誰?)
ライバルヲウマクハイジョシタダケナンジャナイノ?
仁美(違う、私は……!)
コウスレバカミジョウクンハヒトミノコトヲミテクレル
仁美(違う、違う、違う……!)
仁美(もし上条さんのお気持ちを伝えたら、さやかさんは)
---------------------------------------
「このまま本当に悪い子になるのも嫌だからさ」
---------------------------------------
仁美(いえ、良いんです。これでさやかさんは新しい恋に踏み出せますっ)
ホントウニ?
仁美(誰?)
ライバルヲウマクハイジョシタダケナンジャナイノ?
仁美(違う、私は……!)
コウスレバカミジョウクンハヒトミノコトヲミテクレル
仁美(違う、違う、違う……!)
155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 17:00:17.55 ID:x7H3AnTz0
志筑ママ「仁美、どうしたの?すごく疲れた顔」
仁美「いえ、なんでもありませんの」
仁美「ただ、今日はシャワーを浴びてすぐ寝たい気分ですわ」
志筑ママ「そう、体を大事にね?」
仁美「はい……」
仁美(……さやかさん……)
仁美(本当に嫌な子は、私なのかもしれません……)ポロ…
仁美(私は…………)
仁美「いえ、なんでもありませんの」
仁美「ただ、今日はシャワーを浴びてすぐ寝たい気分ですわ」
志筑ママ「そう、体を大事にね?」
仁美「はい……」
仁美(……さやかさん……)
仁美(本当に嫌な子は、私なのかもしれません……)ポロ…
仁美(私は…………)
160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 17:10:31.19 ID:x7H3AnTz0
-翌日-
さやか「やっほーまどか! どーした元気がないぞー!」
まどか「ああ、おはようさやかちゃん……」
さやか「ほんとどうしたのさ、まさかまどかにまで"好きな殿方"が!?」
まどか「あまり似てないよ」
さやか「ちぇー、リアクション薄いなあ。悩みならこのさやか様が聞いてあげるよ?」
まどか「あ……ううん。ごめん」
さやか「ん、話したくない感じ?」
まどか「えっと、難しすぎてまだ悩み自体がよくわかってない。かな?」
さやか「ふうん、そっか……ぁっ!」
さやか「やっほーまどか! どーした元気がないぞー!」
まどか「ああ、おはようさやかちゃん……」
さやか「ほんとどうしたのさ、まさかまどかにまで"好きな殿方"が!?」
まどか「あまり似てないよ」
さやか「ちぇー、リアクション薄いなあ。悩みならこのさやか様が聞いてあげるよ?」
まどか「あ……ううん。ごめん」
さやか「ん、話したくない感じ?」
まどか「えっと、難しすぎてまだ悩み自体がよくわかってない。かな?」
さやか「ふうん、そっか……ぁっ!」
161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 17:15:07.99 ID:x7H3AnTz0
さやか(あたしってほんとバカ、余命1カ月なんだよ!?)
さやか(あんな重たそうな悩みを共有したってあたしは……っ)
まどか(こんな重たいこと誰かに話したって私は……)
まどか(喋る動物に魔法少女なんてファンタジー相談できないよ)
まどか「あ、あのね」
さやか「ああいいっていいって!」
まどか「え」
さやか「まどかが話したくないならいいんだ、忘れて?」
まどか「う、うん……」
さやか(ごめんねまどか、あたしもうまどかの力になれないんだ……)
まどか(ごめんねさやかちゃん、すごくつらそうな顔……)
さやか(あんな重たそうな悩みを共有したってあたしは……っ)
まどか(こんな重たいこと誰かに話したって私は……)
まどか(喋る動物に魔法少女なんてファンタジー相談できないよ)
まどか「あ、あのね」
さやか「ああいいっていいって!」
まどか「え」
さやか「まどかが話したくないならいいんだ、忘れて?」
まどか「う、うん……」
さやか(ごめんねまどか、あたしもうまどかの力になれないんだ……)
まどか(ごめんねさやかちゃん、すごくつらそうな顔……)
164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 17:25:37.47 ID:x7H3AnTz0
ほむら(どういうことなの、昨日の事があったからまどかが憂鬱なのはわかる)
まどか(モクモク)
さやか(モクモク)
仁美(モクモク)
ほむら(けれど、これは)
仁美「んっ」
まどか「仁美ちゃん大丈夫、朝からつらそうだよ」
仁美「いえ、大したことはありませんわ……」
まどか「だめだめ、顔色悪いもん。ちょっと保健室行こっ」
仁美「ま、まどかさん」
まどか「さやかちゃん、ほむらちゃん。ちょっと送ってくから!」
まどか(モクモク)
さやか(モクモク)
仁美(モクモク)
ほむら(けれど、これは)
仁美「んっ」
まどか「仁美ちゃん大丈夫、朝からつらそうだよ」
仁美「いえ、大したことはありませんわ……」
まどか「だめだめ、顔色悪いもん。ちょっと保健室行こっ」
仁美「ま、まどかさん」
まどか「さやかちゃん、ほむらちゃん。ちょっと送ってくから!」
166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 17:29:27.03 ID:x7H3AnTz0
ほむら(……まどかはやはり優しい子。他人を巻き込むとは思えないけれど)
ほむら(危機意識は十分でなかったし二人に言外した可能性も)
さやか「んー、あたしの顔になんかついてる? 青のり?」
ほむら(ハッ)
ほむら「いえ……少し話があるの」
さやか「おおっと、まさかてんこ――ほむらにも恋の芽生えが!?」
ほむら「バカを言ってないで。真剣な話なの」
さやか「へーへー、つれないなあ」
ほむら(危機意識は十分でなかったし二人に言外した可能性も)
さやか「んー、あたしの顔になんかついてる? 青のり?」
ほむら(ハッ)
ほむら「いえ……少し話があるの」
さやか「おおっと、まさかてんこ――ほむらにも恋の芽生えが!?」
ほむら「バカを言ってないで。真剣な話なの」
さやか「へーへー、つれないなあ」
168: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 17:34:39.45 ID:x7H3AnTz0
ほむら「鹿目まどかから、何か聞いてる?」
さやか「んん、特には」
ほむら(取り越し苦労だったかしら)
さやか「ああ、そういえば。朝になんか悩んでたっけ」
ほむら「そう……」
さやか「……本人のいないところでなんだけどさ、あたしにも手伝えそうな事?」
ほむら「!」
さやか「ほむらは何か知ってるみたいだからさ」
ほむら「あなたは関わってはいけないことよ」
さやか「えっ」ズキッ
ほむら「他言もしないで」
さやか「――おうよ、さやかちゃんに任せときなさい!」
ほむら「……美樹さんに任せるのは特別不安だわ」
さやか「あんですとー!」
さやか「んん、特には」
ほむら(取り越し苦労だったかしら)
さやか「ああ、そういえば。朝になんか悩んでたっけ」
ほむら「そう……」
さやか「……本人のいないところでなんだけどさ、あたしにも手伝えそうな事?」
ほむら「!」
さやか「ほむらは何か知ってるみたいだからさ」
ほむら「あなたは関わってはいけないことよ」
さやか「えっ」ズキッ
ほむら「他言もしないで」
さやか「――おうよ、さやかちゃんに任せときなさい!」
ほむら「……美樹さんに任せるのは特別不安だわ」
さやか「あんですとー!」
171: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 17:38:09.07 ID:x7H3AnTz0
ほむら(美樹さやかを魔法少女にしてしまっては、必ず魔女化する)
ほむら(それは彼女も、まどかも、誰も望まない事でしょうね)
ほむら(これまでのループとは違う、しっかり情報を遮断しないと)
さやか(ほむらにだけは教える、て感じなのかな……)
さやか(良かったじゃんまどか、あたしより頼れる友達ができたんだ)
さやか(これでもうあたしがいなくなっても安心だよ。あはは、は、は)
178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 17:59:07.85 ID:x7H3AnTz0
-夜-
PPPPP、PPPPP
さやか「仁美ー、こんばんワニー!」
仁美「さやかさん」
さやか「ちょちょっと、またリアクション薄っ いい加減泣くよ!?」
仁美「申し訳ありません、私……」
さやか「……恭介のこと上手くいってないの?」
仁美「っ!」
さやか「お節介だろうけど、すごく元気なかったからさ」
仁美「さやかさん、やはり私――」
さやか「頼むよぉ! あたしが堂々と推薦したんだからね仁美はっ」
PPPPP、PPPPP
さやか「仁美ー、こんばんワニー!」
仁美「さやかさん」
さやか「ちょちょっと、またリアクション薄っ いい加減泣くよ!?」
仁美「申し訳ありません、私……」
さやか「……恭介のこと上手くいってないの?」
仁美「っ!」
さやか「お節介だろうけど、すごく元気なかったからさ」
仁美「さやかさん、やはり私――」
さやか「頼むよぉ! あたしが堂々と推薦したんだからね仁美はっ」
180: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 18:04:58.27 ID:x7H3AnTz0
仁美「す、推薦ですか?」
さやか「アハハ、ただの幼馴染の分際で何言ってるんだって話だけど」
仁美「……。今でもそのお気持ちは変わりませんか?」
さやか「ええ、何それ。昨日我ながらカッコ良く譲ったのにさぁ」
仁美「――」
さやか「いつまでもうじうじしてると、さきにくっついちゃうよ? 例の相手と」
さやか「そんであいつへの想いを毎晩惚気てやるんだから」
仁美「さやかさん……」
さやか「だから、あたしたちに負けないアツアツカップルになっときなさい。ね?」
仁美「……はい」
仁美「ありがとうございました。私、頑張れそうです」
さやか「おうおう頼むよねーちゃん。そんじゃね!」
さやか「アハハ、ただの幼馴染の分際で何言ってるんだって話だけど」
仁美「……。今でもそのお気持ちは変わりませんか?」
さやか「ええ、何それ。昨日我ながらカッコ良く譲ったのにさぁ」
仁美「――」
さやか「いつまでもうじうじしてると、さきにくっついちゃうよ? 例の相手と」
さやか「そんであいつへの想いを毎晩惚気てやるんだから」
仁美「さやかさん……」
さやか「だから、あたしたちに負けないアツアツカップルになっときなさい。ね?」
仁美「……はい」
仁美「ありがとうございました。私、頑張れそうです」
さやか「おうおう頼むよねーちゃん。そんじゃね!」
184: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 18:07:26.71 ID:x7H3AnTz0
ピッ
さやか「……うん、ほんとアツアツだよ」
さやか「癒着して、転移して、もう剥がれないんだってさ」
さやか「だから、恭介のこと頼むよ……」
さやか「もうまどかはあたしがいなくても大丈夫みたいだからさ……」
さやか「あとは恭介さえ任せちゃえば安心なんだよ……」
さやか「…………きょーすけ…………」
さやか「……うん、ほんとアツアツだよ」
さやか「癒着して、転移して、もう剥がれないんだってさ」
さやか「だから、恭介のこと頼むよ……」
さやか「もうまどかはあたしがいなくても大丈夫みたいだからさ……」
さやか「あとは恭介さえ任せちゃえば安心なんだよ……」
さやか「…………きょーすけ…………」
186: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 18:16:49.65 ID:x7H3AnTz0
-朝-
さやか「まーどかぁ!」
まどか「ひゃあっ」
さやか「おお、我が嫁の。我が嫁の感度が戻っている!」
まどか「も、もう。さやかちゃんったらっ」
さやか(まどか、ほむらのおかげで元気になったみたい)
まどか(くよくよすることないよね、ほむらちゃんも……さやかちゃんもいるんだもんっ)
仁美「ふ、不潔ですわ。さやかさんもまどかさんも!」
まどか「私は違うよー!」
さやか「私は不潔だと申すかーっ」
さやか(仁美も、頑張ってよね)
仁美(さやかさんのためにも、元気にならないと)
さやか「まーどかぁ!」
まどか「ひゃあっ」
さやか「おお、我が嫁の。我が嫁の感度が戻っている!」
まどか「も、もう。さやかちゃんったらっ」
さやか(まどか、ほむらのおかげで元気になったみたい)
まどか(くよくよすることないよね、ほむらちゃんも……さやかちゃんもいるんだもんっ)
仁美「ふ、不潔ですわ。さやかさんもまどかさんも!」
まどか「私は違うよー!」
さやか「私は不潔だと申すかーっ」
さやか(仁美も、頑張ってよね)
仁美(さやかさんのためにも、元気にならないと)
193: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 18:28:26.46 ID:x7H3AnTz0
ほむら「それで、結局三人絡まったまま登校してきたと」
まどか「ぐすん、みんなに見られた」
さやか「ほほう、嫉妬してるんだね?」
ほむら「ぐ、そ、そうではなく」
さやか「良いではないか良いではないか、さあさあほむらもこっちへおいで」
仁美「不潔ですっ」
ほむら「公衆の面前でそんな……」
まどか「?」ウルウル
ほむら「まどかぁぁぁっ」
さやか「どわあああ本当に来た!?」
まどか「こんなの絶対おかしいよ!」
仁美「ふけつですぅ!」
まどか「ぐすん、みんなに見られた」
さやか「ほほう、嫉妬してるんだね?」
ほむら「ぐ、そ、そうではなく」
さやか「良いではないか良いではないか、さあさあほむらもこっちへおいで」
仁美「不潔ですっ」
ほむら「公衆の面前でそんな……」
まどか「?」ウルウル
ほむら「まどかぁぁぁっ」
さやか「どわあああ本当に来た!?」
まどか「こんなの絶対おかしいよ!」
仁美「ふけつですぅ!」
197: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 18:41:07.56 ID:x7H3AnTz0
-昼-
ほむら「……志筑さんは今日も体調不良?」ムグムグ
さやか「なんか熱が出たんだって、百合の花がどうこう言って目ぇ回してさ」モグモグ
さやか「にしても驚いたね、アンタもっとクールな奴だと思ってたのに」
ほむら(一生、いえ全ループ分の不覚!)
さやか「あんなに熱いハートをお持ちとは」
ほむら「からかわないで頂戴」
さやか「いやね、正直アンタが転校した時どうなることかと思ってさ」
ほむら「何かしたかしら」
さやか「何もしないからだよ!」
さやか「話しかけられてもほとんど返事せずに"鹿目まどか、鹿目まどか"だよ?」
ほむら「……。そう、ね。次からは気をつけるわ」
さやか「?? 次って、また転校の予定でもあんの?」
ほむら「! ……いえ、これで最後」
ほむら「……志筑さんは今日も体調不良?」ムグムグ
さやか「なんか熱が出たんだって、百合の花がどうこう言って目ぇ回してさ」モグモグ
さやか「にしても驚いたね、アンタもっとクールな奴だと思ってたのに」
ほむら(一生、いえ全ループ分の不覚!)
さやか「あんなに熱いハートをお持ちとは」
ほむら「からかわないで頂戴」
さやか「いやね、正直アンタが転校した時どうなることかと思ってさ」
ほむら「何かしたかしら」
さやか「何もしないからだよ!」
さやか「話しかけられてもほとんど返事せずに"鹿目まどか、鹿目まどか"だよ?」
ほむら「……。そう、ね。次からは気をつけるわ」
さやか「?? 次って、また転校の予定でもあんの?」
ほむら「! ……いえ、これで最後」
198: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 18:42:05.22 ID:x7H3AnTz0
さやか「ふふ、もっと愛想悪いヤツなのかと思ってた」
ほむら「歯に衣着せないわね」
さやか「悪かったって。ほんと誤解してたわ」
ほむら「……」
さやか「まどかにお熱だったんだね、うんうん」
ほむら(またいつもと違う、いつもならもう少しまどかに執着するのに)
ほむら(……けれど、私も美樹さやかのことを誤解していたのかもしれない)
さやか(うん、やっぱりほむらなら大丈夫だ)
ほむら「歯に衣着せないわね」
さやか「悪かったって。ほんと誤解してたわ」
ほむら「……」
さやか「まどかにお熱だったんだね、うんうん」
ほむら(またいつもと違う、いつもならもう少しまどかに執着するのに)
ほむら(……けれど、私も美樹さやかのことを誤解していたのかもしれない)
さやか(うん、やっぱりほむらなら大丈夫だ)
199: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 18:44:07.72 ID:x7H3AnTz0
さやか「ね、ところでさっきのアンタのマネ似てた?」
ほむら「3点かしら」
さやか「3割って。厳しいなぁ」
ほむら「100点満点でよ」
さやか「容赦ねえ!?」
ほむら(美樹さやかのことも、守れないかしら)
さやか(ほむらなら、まどかのこと守ってくれる)
ほむら(絶対にQBに接触させてはならない……)
さやか(だから、寂しがったりしたらだめだ……)
ほむら「3点かしら」
さやか「3割って。厳しいなぁ」
ほむら「100点満点でよ」
さやか「容赦ねえ!?」
ほむら(美樹さやかのことも、守れないかしら)
さやか(ほむらなら、まどかのこと守ってくれる)
ほむら(絶対にQBに接触させてはならない……)
さやか(だから、寂しがったりしたらだめだ……)
211: >>205 「欲」の「理」ってどういうことだい、わけがわからないよ 2011/05/01(日) 19:12:21.72 ID:x7H3AnTz0
さやか「でさー、ほむらったらその時に――」
ほむら「あれはさやかが――」
仁美「ふふふ」
ほむら「わ、笑いごとじゃないわ。さやかがからかうんだもの」
さやか「可愛いやつめー」
まどか「二人とも最近仲良いよね」
さやか「ふっふっふ、みんな私の嫁だー」
ほむら「それは丁重にお断りするわ」
まどか「あはははっ」
まどか(良かったあ、最初の頃はどうなるかと思ったけど)
まどか(今ならみんなで遊びに行く事だってできそう)
まどか「……あれ?」
ほむら「あれはさやかが――」
仁美「ふふふ」
ほむら「わ、笑いごとじゃないわ。さやかがからかうんだもの」
さやか「可愛いやつめー」
まどか「二人とも最近仲良いよね」
さやか「ふっふっふ、みんな私の嫁だー」
ほむら「それは丁重にお断りするわ」
まどか「あはははっ」
まどか(良かったあ、最初の頃はどうなるかと思ったけど)
まどか(今ならみんなで遊びに行く事だってできそう)
まどか「……あれ?」
214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 19:19:30.90 ID:x7H3AnTz0
まどか「さやかちゃん、そんなにソースかけて辛くないの?」
223: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 19:24:25.32 ID:x7H3AnTz0
さやか「へぇ、え?」
仁美「ま、いつの間に。体によろしくないですわ?」
さやか「……」ガクガクガク
仁美「さやかさん?」
さやか「……」ブルブル
ほむら「美樹さやか?」
さやか「……ちっくしょおおおおおおおお!」
まどか(ビクゥッ)
さやか「楽しみにしてた海老フライがあああっ」
仁美「び。びっくりしましたわ」
さやか「いやあごめんごめん、おかずの無念を思ってつい」
まどか「もう、お話に夢中になりすぎなんだよ」
さやか「あっははははは」
仁美「ま、いつの間に。体によろしくないですわ?」
さやか「……」ガクガクガク
仁美「さやかさん?」
さやか「……」ブルブル
ほむら「美樹さやか?」
さやか「……ちっくしょおおおおおおおお!」
まどか(ビクゥッ)
さやか「楽しみにしてた海老フライがあああっ」
仁美「び。びっくりしましたわ」
さやか「いやあごめんごめん、おかずの無念を思ってつい」
まどか「もう、お話に夢中になりすぎなんだよ」
さやか「あっははははは」
227: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 19:30:17.73 ID:x7H3AnTz0
医者「予想以上の進行速度だ」
医者「2週間は保つと見ていたが、わずか4日でここまで……」
さやか「そん、な」
医者「他の感覚を失うのもそう遠くないかもしれない」
さやか「」
医者「……医者の立場からは、入院を勧めたいが」
医者「君の自由な余生を強制的に奪うわけにもいかない」
さやか「いえ、ちょっと、考えさせてください」
医者「親御さんと共にすぐ再受診してほしい」
さやか「――はい」
医者「2週間は保つと見ていたが、わずか4日でここまで……」
さやか「そん、な」
医者「他の感覚を失うのもそう遠くないかもしれない」
さやか「」
医者「……医者の立場からは、入院を勧めたいが」
医者「君の自由な余生を強制的に奪うわけにもいかない」
さやか「いえ、ちょっと、考えさせてください」
医者「親御さんと共にすぐ再受診してほしい」
さやか「――はい」
229: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 19:36:03.23 ID:x7H3AnTz0
さやか「」フラー
さやか(……うん、早めに頑張って良かった)
さやか(恭介もまどかも任せられたし)
さやか(いやああたしすごい! あたし偉い!)
さやか(……あたし……あたし…………)
ほむら「……っ ……っ」
さやか(――て、あれ。ほむら!?)
さやか(……うん、早めに頑張って良かった)
さやか(恭介もまどかも任せられたし)
さやか(いやああたしすごい! あたし偉い!)
さやか(……あたし……あたし…………)
ほむら「……っ ……っ」
さやか(――て、あれ。ほむら!?)
235: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 19:40:47.94 ID:x7H3AnTz0
さやか「ちょちょちょちょ、何やってんの。なんで縛られてんの!」
ほむら「美樹さやかっ」
さやか「待って、ほどくから。ああしてこうしてああもうめんどっちいっ」
ほむら「これを使って、お願い早く」
さやか「うわあ物騒なナイフ!?」
ほむら「いいから急いでっ」
ズバッ
ほむら「感謝するわ」
さやか「おい、ちょっとどこへ――」
ほむら「来てはいけない、ここから逃げて」
さやか「できないよ!」
ほむら「……じゃあ医者を呼んできて!」
さやか「わ、わかったっ」
さやか(ああもう、悩む暇すらないっ)
さやか(でもま、幸いここは病院だ!)
ほむら「美樹さやかっ」
さやか「待って、ほどくから。ああしてこうしてああもうめんどっちいっ」
ほむら「これを使って、お願い早く」
さやか「うわあ物騒なナイフ!?」
ほむら「いいから急いでっ」
ズバッ
ほむら「感謝するわ」
さやか「おい、ちょっとどこへ――」
ほむら「来てはいけない、ここから逃げて」
さやか「できないよ!」
ほむら「……じゃあ医者を呼んできて!」
さやか「わ、わかったっ」
さやか(ああもう、悩む暇すらないっ)
さやか(でもま、幸いここは病院だ!)
247: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 19:52:42.85 ID:x7H3AnTz0
ほむら(間に合った……)
マミ「――……っ」
医者1「酷い出血だ」
医者2「生きている事が奇跡だ」
医者3「予断を許さない、処置を続けるぞっ」
マミ「……暁美さん」
医者1「君、しゃべっちゃだめだ。首から出血しているんだぞ!」
マミ「……」
マミ『暁美さん、ごめんなさい』
マミ『先輩ぶってみたけれど、あなたには全てお見通しだったのね』
ほむら(巴マミ)
マミ「――……っ」
医者1「酷い出血だ」
医者2「生きている事が奇跡だ」
医者3「予断を許さない、処置を続けるぞっ」
マミ「……暁美さん」
医者1「君、しゃべっちゃだめだ。首から出血しているんだぞ!」
マミ「……」
マミ『暁美さん、ごめんなさい』
マミ『先輩ぶってみたけれど、あなたには全てお見通しだったのね』
ほむら(巴マミ)
251: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 19:57:05.34 ID:x7H3AnTz0
マミ『鹿目さんも、怖い思いをさせてごめんなさい』
まどか「ぐす、マミさぁん」
マミ『魔法少女体験ツアーは今日でおしまいね、暁美さんが来てくれなかったら私――』
まどか「マミさん? マミさん!?」
ほむら「大丈夫、巴マミは眠っただけよ。ソウルジェムが無事ならきっと回復する」
まどか「くすん、くすん」
さやか「……まどか、ほむら」
ほむら(!)
さやか「二人が良いって言うんなら、深入りはしないでおこうと思ったけどさ」
さやか「さすがに、これは。どういうことなのか、教えてくれない?」
ほむら「……だめよ」
まどか「ほむらちゃんっ」
まどか「ぐす、マミさぁん」
マミ『魔法少女体験ツアーは今日でおしまいね、暁美さんが来てくれなかったら私――』
まどか「マミさん? マミさん!?」
ほむら「大丈夫、巴マミは眠っただけよ。ソウルジェムが無事ならきっと回復する」
まどか「くすん、くすん」
さやか「……まどか、ほむら」
ほむら(!)
さやか「二人が良いって言うんなら、深入りはしないでおこうと思ったけどさ」
さやか「さすがに、これは。どういうことなのか、教えてくれない?」
ほむら「……だめよ」
まどか「ほむらちゃんっ」
255: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 20:03:17.30 ID:x7H3AnTz0
さやか「だ、だって。ありえないでしょ!」
さやか「アンタは縛られてるし、さっきの人は血ぃダラダラ流して」
ほむら「……関係ない」
さやか「なくない! まどかもほむらも危ないんじゃないの!?」
ほむら「――っ 関係、してはいけないの」
さやか「何それ!」
ほむら「あなたが関わっても、事態は良くならないの。いいえ悪化するっ」
まどか「ほむらちゃん、そんな言い方!」
さやか「言わせておけば――っ」
さやか(……いや、そう。か)
さやか「わかったよ」
まどか「さやかちゃん?」
さやか「アンタは縛られてるし、さっきの人は血ぃダラダラ流して」
ほむら「……関係ない」
さやか「なくない! まどかもほむらも危ないんじゃないの!?」
ほむら「――っ 関係、してはいけないの」
さやか「何それ!」
ほむら「あなたが関わっても、事態は良くならないの。いいえ悪化するっ」
まどか「ほむらちゃん、そんな言い方!」
さやか「言わせておけば――っ」
さやか(……いや、そう。か)
さやか「わかったよ」
まどか「さやかちゃん?」
261: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 20:09:27.40 ID:x7H3AnTz0
さやか(あたしってほんと、救えなくらいバカだ)
さやか(もうすぐ死ぬんだよ? 聞こえなくなって見えなくなって)
さやか「あたしじゃ何もできそうにないもんね」
ほむら「……ええ」
さやか「けど、なんていうかさ。大変そうだったら警察に言いなよ?」
まどか「さやかちゃん、あのね」
ほむら「だめよ、まどか」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「どんな団体にも、言えない事なの」
ほむら「けれど、まどかは守り通してみせる。これだけは信じて」
さやか「アンタのこと、嫌いじゃないけど。こればっかりは信じられないよ」
ほむら「信じられなくても、約束させて」
さやか「……絶対だよ。じゃなかったら許さないからね?」
さやか(もうすぐ死ぬんだよ? 聞こえなくなって見えなくなって)
さやか「あたしじゃ何もできそうにないもんね」
ほむら「……ええ」
さやか「けど、なんていうかさ。大変そうだったら警察に言いなよ?」
まどか「さやかちゃん、あのね」
ほむら「だめよ、まどか」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「どんな団体にも、言えない事なの」
ほむら「けれど、まどかは守り通してみせる。これだけは信じて」
さやか「アンタのこと、嫌いじゃないけど。こればっかりは信じられないよ」
ほむら「信じられなくても、約束させて」
さやか「……絶対だよ。じゃなかったら許さないからね?」
264: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 20:12:45.99 ID:x7H3AnTz0
さやか(そりゃ、あたしは死にかけだけどさ)
さやか(それを知らないほむらも、まどかも、頼ってくれないんだ)
さやか(――ええい元気出せ、元気出せ美樹さやか!)
ほむら(例え嫌われてでも、二人を守らないといけない)
ほむら(魔法少女の事を知られるわけにはいかないの)
ほむら(ここまで来たのよ、徹底しなさい暁美ほむら)
まどか(こんな危険な戦いに、さやかちゃんを巻きこめない)
まどか(けど、すごい心配かけて、ほむらちゃんも辛そうにして)
まどか(どうすれば良いんだろう……考えついてよ、鹿目まどか……)
さやか(それを知らないほむらも、まどかも、頼ってくれないんだ)
さやか(――ええい元気出せ、元気出せ美樹さやか!)
ほむら(例え嫌われてでも、二人を守らないといけない)
ほむら(魔法少女の事を知られるわけにはいかないの)
ほむら(ここまで来たのよ、徹底しなさい暁美ほむら)
まどか(こんな危険な戦いに、さやかちゃんを巻きこめない)
まどか(けど、すごい心配かけて、ほむらちゃんも辛そうにして)
まどか(どうすれば良いんだろう……考えついてよ、鹿目まどか……)
271: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 20:21:37.83 ID:x7H3AnTz0
まどか「!?」ガクン
さやか「まどか、大丈夫!?」
まどか「あ、あれ。腰が抜けたのかな」
ほむら「つかまって、私が家まで送りましょう」
まどか「でも」チラッ
さやか「……なーんだまどか、あたしにも肩組んでほしいの?」
まどか「そ、そうじゃなくてっ」
さやか「両手に花じゃないと満足できないとは、そちもワルよのう」
まどか「うううっ」
さやか「ほむら、まどかのことよろしく」
ほむら「ええ」
さやか「ずっとだよ」
ほむら「……私のすべてに懸けて、誓うわ」
さやか「まどか、大丈夫!?」
まどか「あ、あれ。腰が抜けたのかな」
ほむら「つかまって、私が家まで送りましょう」
まどか「でも」チラッ
さやか「……なーんだまどか、あたしにも肩組んでほしいの?」
まどか「そ、そうじゃなくてっ」
さやか「両手に花じゃないと満足できないとは、そちもワルよのう」
まどか「うううっ」
さやか「ほむら、まどかのことよろしく」
ほむら「ええ」
さやか「ずっとだよ」
ほむら「……私のすべてに懸けて、誓うわ」
274: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 20:26:53.65 ID:x7H3AnTz0
ほむら「……まどか、落ち着いた?」
まどか「ごめんね、結局お部屋まで」
ほむら「かまわないわ」
まどか「私、情けないなあ。膝がまだ笑ってる」
ほむら「今日は色々な事が起こり過ぎたのよ」
まどか「ねえ、ほむらちゃん。私が契約して手伝うわけには」
ほむら「駄目よ。それだけは駄目なの」
まどか「だって――」
ほむら(そろそろ限界かしら)
ほむら「……わかったわ、なぜ駄目なのか。訳を話すから」
ほむら「その代わり、誰にも。美樹さやかにも巴マミにも口外しないことを約束して」
まどか「ん。う、うん」
まどか「ごめんね、結局お部屋まで」
ほむら「かまわないわ」
まどか「私、情けないなあ。膝がまだ笑ってる」
ほむら「今日は色々な事が起こり過ぎたのよ」
まどか「ねえ、ほむらちゃん。私が契約して手伝うわけには」
ほむら「駄目よ。それだけは駄目なの」
まどか「だって――」
ほむら(そろそろ限界かしら)
ほむら「……わかったわ、なぜ駄目なのか。訳を話すから」
ほむら「その代わり、誰にも。美樹さやかにも巴マミにも口外しないことを約束して」
まどか「ん。う、うん」
276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 20:30:27.10 ID:x7H3AnTz0
さやか「ただいま」
さやか「……まだ誰も帰ってないや」
さやか(父さんと母さんになんて言おうかな)
PPPPP
さやか(ビクッ)
仁美「さやかさん、さやかさん!」
さやか「なんだ仁美か、びっくりしたあ」
仁美「まあ、誰だと思いましたの?」
さやか「うぇえ!? いや、うん、ほら、あいつのこと考えてて」
仁美「まあ、それは」
さやか「……まだ誰も帰ってないや」
さやか(父さんと母さんになんて言おうかな)
PPPPP
さやか(ビクッ)
仁美「さやかさん、さやかさん!」
さやか「なんだ仁美か、びっくりしたあ」
仁美「まあ、誰だと思いましたの?」
さやか「うぇえ!? いや、うん、ほら、あいつのこと考えてて」
仁美「まあ、それは」
278: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 20:35:35.92 ID:x7H3AnTz0
まどか「――そんなのってないよ!」
ほむら「大丈夫、魔女を狩っていればすぐ死ぬことはないわ」
まどか「でも」
ほむら「ほとんどの魔法少女が知らない事よ、決して外に洩らさないで」
ほむら「真実を知ったら、耐えられずに絶望してしまう者も出るでしょう」
まどか「わかったよ、ほむらちゃんと二人だけの秘密」
ほむら「まどか、そんなに怯えないで」
まどか「だって、ほむらちゃんが」
ほむら「私なら、ここにいる」
まどか「今夜、ずっと側にいてくれる?」
ほむら(ドキッ)
ほむら「ええ。安心して眠りにつきなさい」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「まどか……」
ほむら「大丈夫、魔女を狩っていればすぐ死ぬことはないわ」
まどか「でも」
ほむら「ほとんどの魔法少女が知らない事よ、決して外に洩らさないで」
ほむら「真実を知ったら、耐えられずに絶望してしまう者も出るでしょう」
まどか「わかったよ、ほむらちゃんと二人だけの秘密」
ほむら「まどか、そんなに怯えないで」
まどか「だって、ほむらちゃんが」
ほむら「私なら、ここにいる」
まどか「今夜、ずっと側にいてくれる?」
ほむら(ドキッ)
ほむら「ええ。安心して眠りにつきなさい」
まどか「ほむらちゃん……」
ほむら「まどか……」
282: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 20:41:23.80 ID:x7H3AnTz0
さやか「それで両想いになったとっ」
仁美「応援してくださったさやかさんに、真っ先に知らせたくて」
さやか「ふふん、感謝するが良いぞー」
仁美「はい、それはもう深く!」
さやか「うぐっ ツッコんでよ、調子狂うなあ」
仁美「本当に嬉しいんですもの、何もかもあなたのおかげです」
さやか「はいはい、そんじゃお幸せにー」
仁美「はいっ」
さやか「……仁美、きょーすけのことよろしくね?」
仁美「さやかさん」
さやか「幼馴染として、お願い」
仁美「私の何もかもをかけて、お誓い申し上げますっ」
仁美「応援してくださったさやかさんに、真っ先に知らせたくて」
さやか「ふふん、感謝するが良いぞー」
仁美「はい、それはもう深く!」
さやか「うぐっ ツッコんでよ、調子狂うなあ」
仁美「本当に嬉しいんですもの、何もかもあなたのおかげです」
さやか「はいはい、そんじゃお幸せにー」
仁美「はいっ」
さやか「……仁美、きょーすけのことよろしくね?」
仁美「さやかさん」
さやか「幼馴染として、お願い」
仁美「私の何もかもをかけて、お誓い申し上げますっ」
285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 20:45:21.92 ID:x7H3AnTz0
ピッ
さやか(これで、何もかも思い通りだね。あたしはめでたく一人……)
さやか(ひとりぼっち……)
さやか(……あ、あはは。お留守番くらいで何泣いてんのさあたし)
さやか(ひとりに、なった、くらいで、なんで)
さやか「う、ぐすっ すんっ うっ うぁ、ああ」
さやか「きょーすけぇ……」
さやか「まどかぁ、ひとみぃ、ほむらぁ……」
さやか「ぐすっ ぐすっ ああ、あああああああっ」
??「やあ、どうしたの?」
さやか「!」
QB「とても悲しそうな声が聞こえたよ?」
さやか(これで、何もかも思い通りだね。あたしはめでたく一人……)
さやか(ひとりぼっち……)
さやか(……あ、あはは。お留守番くらいで何泣いてんのさあたし)
さやか(ひとりに、なった、くらいで、なんで)
さやか「う、ぐすっ すんっ うっ うぁ、ああ」
さやか「きょーすけぇ……」
さやか「まどかぁ、ひとみぃ、ほむらぁ……」
さやか「ぐすっ ぐすっ ああ、あああああああっ」
??「やあ、どうしたの?」
さやか「!」
QB「とても悲しそうな声が聞こえたよ?」
295: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 20:54:52.71 ID:x7H3AnTz0
さやか「あ、あれ……あたしとうとう幻聴を」ゾッ
QB「それはないだろう? 僕は君とお話したくて来たのに」
さやか「アンタ何、なんで喋って」
QB「僕はキュゥべえ。魔法少女になってくれる女の子を探してるんだ」
さやか「魔法少女ぉ?」
QB「マミの魔法を目視したこと、結界におぼろげながら気づいた事」
QB「君には間違いなく素質がある、僕と契約して魔法少女になってよ」
さやか「――ああ、なんか。夕方から真面目に落ち込む暇すらない」
さやか「いきなり現れて、魔法少女って。いるわけないない」
QB「酷いなあ、それは暁美ほむらの悪口かい?」
さやか「え……」
QB「彼女だって、魔法少女なんだよ?」
QB「それはないだろう? 僕は君とお話したくて来たのに」
さやか「アンタ何、なんで喋って」
QB「僕はキュゥべえ。魔法少女になってくれる女の子を探してるんだ」
さやか「魔法少女ぉ?」
QB「マミの魔法を目視したこと、結界におぼろげながら気づいた事」
QB「君には間違いなく素質がある、僕と契約して魔法少女になってよ」
さやか「――ああ、なんか。夕方から真面目に落ち込む暇すらない」
さやか「いきなり現れて、魔法少女って。いるわけないない」
QB「酷いなあ、それは暁美ほむらの悪口かい?」
さやか「え……」
QB「彼女だって、魔法少女なんだよ?」
300: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 21:02:52.41 ID:x7H3AnTz0
QB「というわけで、願いを対価に魔女と戦ってもらうんだよ」
さやか「うん、まあ。信じたくないけど、辻褄は合うよね」
さやか(確かに警察にもどこにも言えないな、こんなこと)
さやか(ほむらに、あの金髪の人はこんなことを背負いこんでて)
さやか(――!)
QB「どうしたんだい、美樹さやか。酷く震えてるよ」
さやか「ね、ねえ。それってさ、病気を治してとかもアリなの?」
QB「もちろんだよ、どんな難病だって治せるさ」
さやか「 」
QB「さやか? さやかってば」
さやか「……んで」
さやか「うん、まあ。信じたくないけど、辻褄は合うよね」
さやか(確かに警察にもどこにも言えないな、こんなこと)
さやか(ほむらに、あの金髪の人はこんなことを背負いこんでて)
さやか(――!)
QB「どうしたんだい、美樹さやか。酷く震えてるよ」
さやか「ね、ねえ。それってさ、病気を治してとかもアリなの?」
QB「もちろんだよ、どんな難病だって治せるさ」
さやか「 」
QB「さやか? さやかってば」
さやか「……んで」
302: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 21:05:47.58 ID:x7H3AnTz0
さやか「なんで! なんでもっと早く来てくれなかったの!?」
QB「痛っ 枕でもその勢いは痛いよっ」
さやか「もう遅いよ、何もかも!」
QB「遅くはないさ、人生なんていつからでも――」
さやか「きょーすけも!! まどかも!!」
-----------------------------------------
「私の何もかもをかけて、お誓い申し上げますっ」
-----------------------------------------
「……私のすべてに懸けて、誓うわ」
-----------------------------------------
さやか「もう遠くへ行っちゃったんだよ!!!!!」
QB「さやか」
さやか「出てって!」
QB「落ち着いて――」
さやか「出てけえええええええええええええええええええ!」
QB「痛っ 枕でもその勢いは痛いよっ」
さやか「もう遅いよ、何もかも!」
QB「遅くはないさ、人生なんていつからでも――」
さやか「きょーすけも!! まどかも!!」
-----------------------------------------
「私の何もかもをかけて、お誓い申し上げますっ」
-----------------------------------------
「……私のすべてに懸けて、誓うわ」
-----------------------------------------
さやか「もう遠くへ行っちゃったんだよ!!!!!」
QB「さやか」
さやか「出てって!」
QB「落ち着いて――」
さやか「出てけえええええええええええええええええええ!」
307: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 21:11:33.92 ID:x7H3AnTz0
さやか「ううっ う、うううっ うっ」
さやか(酷いよ、あんまりだよ……)
さやか(さやか様がかっこよく諦めてやろうって時にさ)
さやか(中途半端に、希望をちらつかせないでよ)
さやか(親友も、好きな人も離れて行っちゃったんだよ?)
さやか(今さら治ったって……!)
さやか「ひぐっ うぁあっ」
さやか(泣くなよ、これ以上泣いたら明日目が腫れて……)
さやか「ああっ ああああああああああ!」
さやか「うわああああああああああっ あぐっ ああああああああああああっ」
さやか(酷いよ、あんまりだよ……)
さやか(さやか様がかっこよく諦めてやろうって時にさ)
さやか(中途半端に、希望をちらつかせないでよ)
さやか(親友も、好きな人も離れて行っちゃったんだよ?)
さやか(今さら治ったって……!)
さやか「ひぐっ うぁあっ」
さやか(泣くなよ、これ以上泣いたら明日目が腫れて……)
さやか「ああっ ああああああああああ!」
さやか「うわああああああああああっ あぐっ ああああああああああああっ」
319: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 21:24:19.38 ID:x7H3AnTz0
ほむら「ゆっくり歩いて」
まどか「もーう、心配しすぎだってば」
さやか「あ……」
まどか「あ、さやかちゃんっ」
ほむら「美樹さやか」
さやか「………………くぉぉぉらほむら、路上でイチャつくとは何事だぁ!」
まどか「ち、違うよぉ。そうじゃないようっ」
ほむら「……」
まどか「ほむらちゃんも顔を赤めないで!?」
さやか「あはははっ」
まどか「もーう、心配しすぎだってば」
さやか「あ……」
まどか「あ、さやかちゃんっ」
ほむら「美樹さやか」
さやか「………………くぉぉぉらほむら、路上でイチャつくとは何事だぁ!」
まどか「ち、違うよぉ。そうじゃないようっ」
ほむら「……」
まどか「ほむらちゃんも顔を赤めないで!?」
さやか「あはははっ」
322: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 21:28:28.37 ID:x7H3AnTz0
まどか「おはよう」
さやか「ん、おはよう」
さやか「それと、ごめんほむら」ヒソッ
ほむら「何のことかしら」
さやか「や、昨日は怒鳴っちゃってさ」
ほむら「……私も少し言い過ぎたわ」
さやか「いいっていいって、事情があるんでしょ?」
ほむら「えっ」
さやか「よ、よくは知らないけどさっ」
ほむら「さや」
まどか「二人とも、なんの話?」
さやか「いやいや、昨日の逢引の成果を聞きだしてやろうかと」
まどか「も、もうさやかちゃん!」
ほむら「……」
さやか「ん、おはよう」
さやか「それと、ごめんほむら」ヒソッ
ほむら「何のことかしら」
さやか「や、昨日は怒鳴っちゃってさ」
ほむら「……私も少し言い過ぎたわ」
さやか「いいっていいって、事情があるんでしょ?」
ほむら「えっ」
さやか「よ、よくは知らないけどさっ」
ほむら「さや」
まどか「二人とも、なんの話?」
さやか「いやいや、昨日の逢引の成果を聞きだしてやろうかと」
まどか「も、もうさやかちゃん!」
ほむら「……」
325: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 21:36:26.07 ID:x7H3AnTz0
さやか「やっほー仁美……ってその手どうしたの!?」
仁美「はい? え、あ、ああ。少々料理中に失敗を」
さやか「"仁美さんは、嘘をついています"」
仁美「ううっ」
さやか「"本音でお話ください。わたくし達、お友達でしょう?"」
仁美「さやかさんには、敵いませんわ」
さやか「へへー、カマかけてみたけど本当だったとは」
仁美「ああ!」
さやか「もう遅いですよーっと、さあ吐けそら吐けー」
仁美「一本、とられましたわ」
仁美「はい? え、あ、ああ。少々料理中に失敗を」
さやか「"仁美さんは、嘘をついています"」
仁美「ううっ」
さやか「"本音でお話ください。わたくし達、お友達でしょう?"」
仁美「さやかさんには、敵いませんわ」
さやか「へへー、カマかけてみたけど本当だったとは」
仁美「ああ!」
さやか「もう遅いですよーっと、さあ吐けそら吐けー」
仁美「一本、とられましたわ」
330: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 21:40:41.82 ID:x7H3AnTz0
さやか「恭介が!?」
仁美「あのお方を責めないでください、事故だったんです」
さやか「けど、仁美に怪我をさせるなんて」
仁美「いえ、本当に害意はなかったんです。うっかり動かない手に当たって」
さやか「あ……」
仁美「良いんです、これも含めて恭介さんを支えるって決めました」
仁美「やっと、想いも通じあったんですから」
さやか(恭介さん、か)ズキッ
さやか「それで、恭介のほうは」
仁美「大丈夫だと申したのですが、やはり気になされて」
仁美「本当に、腕さえ動けばと――」
さやか「きょーすけ……」
仁美「あのお方を責めないでください、事故だったんです」
さやか「けど、仁美に怪我をさせるなんて」
仁美「いえ、本当に害意はなかったんです。うっかり動かない手に当たって」
さやか「あ……」
仁美「良いんです、これも含めて恭介さんを支えるって決めました」
仁美「やっと、想いも通じあったんですから」
さやか(恭介さん、か)ズキッ
さやか「それで、恭介のほうは」
仁美「大丈夫だと申したのですが、やはり気になされて」
仁美「本当に、腕さえ動けばと――」
さやか「きょーすけ……」
338: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 21:48:52.36 ID:x7H3AnTz0
さやか(仁美でもだめなんだ)
さやか(腕が動かないと二人とも幸せになれないなんて)
美樹パパ「さやか、気をしっかりもつんだぞ」
美樹ママ「欲しい物があったらなんでも言ってちょうだい」
さやか「やだなあ、普通にしててってば」
美樹パパ「……おやすみさやか。さ、母さん」
美樹ママ「ううっ うっ」
バタン
さやか「――ごめんね、欲しい物は二人じゃ買えないの」
さやか「でも、どうしよっか。あのしゃべる動物追い出しちゃった」
QB「さやか、僕の名前はキュゥべえだってば」ヒョコッ
さやか「おわあいた!? アンタどんな根性してるのっ」
QB「魔法少女のためならいつでもどこでも現れるさ」
さやか(腕が動かないと二人とも幸せになれないなんて)
美樹パパ「さやか、気をしっかりもつんだぞ」
美樹ママ「欲しい物があったらなんでも言ってちょうだい」
さやか「やだなあ、普通にしててってば」
美樹パパ「……おやすみさやか。さ、母さん」
美樹ママ「ううっ うっ」
バタン
さやか「――ごめんね、欲しい物は二人じゃ買えないの」
さやか「でも、どうしよっか。あのしゃべる動物追い出しちゃった」
QB「さやか、僕の名前はキュゥべえだってば」ヒョコッ
さやか「おわあいた!? アンタどんな根性してるのっ」
QB「魔法少女のためならいつでもどこでも現れるさ」
342: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 21:55:45.56 ID:x7H3AnTz0
QB「僕が必要になったんだろう?」
さやか「話が早くて助かるよ」
QB「君の体を治すんだね、任せておいてよ!」
さやか「ううん、違うの」
QB「どういうことだい? 君は元気になって戦ってくれるんじゃ」
さやか「戦いはするけど、元気な体はもういいや」
さやか「あたしの他にね、治して欲しい人がいるの」
さやか「話が早くて助かるよ」
QB「君の体を治すんだね、任せておいてよ!」
さやか「ううん、違うの」
QB「どういうことだい? 君は元気になって戦ってくれるんじゃ」
さやか「戦いはするけど、元気な体はもういいや」
さやか「あたしの他にね、治して欲しい人がいるの」
347: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 22:03:02.11 ID:x7H3AnTz0
QB「それで後悔はないね? 君は治した相手に感謝される暇もなく死ぬかもしれない」
さやか「あはは、決まってるじゃん!」
さやか「むちゃくちゃ後悔するよ、絶対に悲しくなる」
QB「それでも自分を治さないのかい?」
さやか「……もう、いいの……」
さやか「もう、その人もね。大切な友達もあたしの側にはいないんだ」
さやか「いまさら元気になったって。長生きしたって、もっと辛いだけなんだよ」ジワ…
QB「美樹さやか」
さやか「だからさ、生きてても死んでも辛いこの命なんかもういらないんだ」ポロ…
さやか「最後くらい、かっくいいことに使わせてよ」ポロポロ…
QB「…………」
さやか「あはは、決まってるじゃん!」
さやか「むちゃくちゃ後悔するよ、絶対に悲しくなる」
QB「それでも自分を治さないのかい?」
さやか「……もう、いいの……」
さやか「もう、その人もね。大切な友達もあたしの側にはいないんだ」
さやか「いまさら元気になったって。長生きしたって、もっと辛いだけなんだよ」ジワ…
QB「美樹さやか」
さやか「だからさ、生きてても死んでも辛いこの命なんかもういらないんだ」ポロ…
さやか「最後くらい、かっくいいことに使わせてよ」ポロポロ…
QB「…………」
353: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 22:07:45.78 ID:x7H3AnTz0
QB(参ったな、希望と絶望の相転移エネルギーを集めに来たっていうのに)
QB(最初からどん底に近いんじゃ、対して利益が出ないよ)
QB「君の側にいないっていうのは、もう決まっていることなのかい?」
さやか「だって、もう二人とも――」
QB(この願いも、献身というよりは自暴自棄になってるようなものだし)
QB「奪い返す気はないのかい?」
さやか「やめてよ!」
QB(はじめはもっと持ち上げておかないと、後から落差が生まれないよ)
QB「長く生きてれば、それだけチャンスは巡ってくるよ?」
さやか「嫌な事考えさせないでってば!」
QB「僕は君のためを思って言ってるんだよ、さやか」
さやか「~~~~~っ」
QB(最初からどん底に近いんじゃ、対して利益が出ないよ)
QB「君の側にいないっていうのは、もう決まっていることなのかい?」
さやか「だって、もう二人とも――」
QB(この願いも、献身というよりは自暴自棄になってるようなものだし)
QB「奪い返す気はないのかい?」
さやか「やめてよ!」
QB(はじめはもっと持ち上げておかないと、後から落差が生まれないよ)
QB「長く生きてれば、それだけチャンスは巡ってくるよ?」
さやか「嫌な事考えさせないでってば!」
QB「僕は君のためを思って言ってるんだよ、さやか」
さやか「~~~~~っ」
364: すまぬ、変換ミス 2011/05/01(日) 22:16:21.97 ID:x7H3AnTz0
さやか「とにかく! きょーすけの腕を治さないと契約しないから!」
QB「君は冷静さを失っているよ、もっと自分の事を大事にすべきだ」
さやか「だって……仁美もほむらも……」
QB「君にとって大切な人かもしれない」
QB「でも、一番大切なのは君自身だ」
QB「大丈夫、長生きさえすれば彼女たちとだって和解できるはずさ」
さやか「……そんな、わけ」
QB「感情のもつれには時間が何よりの特効薬だよ」
QB「魔法少女にさえなれば、その時間だって手に入るんだよ?」
さやか「でも、でも」
QB「みんな仲良しの、ハッピーエンドが待ってるよ!」
さやか「……みんな、仲良し……」
QB「君は冷静さを失っているよ、もっと自分の事を大事にすべきだ」
さやか「だって……仁美もほむらも……」
QB「君にとって大切な人かもしれない」
QB「でも、一番大切なのは君自身だ」
QB「大丈夫、長生きさえすれば彼女たちとだって和解できるはずさ」
さやか「……そんな、わけ」
QB「感情のもつれには時間が何よりの特効薬だよ」
QB「魔法少女にさえなれば、その時間だって手に入るんだよ?」
さやか「でも、でも」
QB「みんな仲良しの、ハッピーエンドが待ってるよ!」
さやか「……みんな、仲良し……」
372: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 22:26:51.39 ID:x7H3AnTz0
QB(やれやれ、人間の感情というものは本当に手間がかかるよ)
QB(まあ、これくらい希望があればそれなりの収穫が見込めるかな?)
QB「さ、契約を」
さやか「――無理だよ」
QB「大丈夫、魔法少女は条理を覆す存在さっ」
さやか「……」
QB「気を落ち着けてね。今日から君は」
QB(まあ、これくらい希望があればそれなりの収穫が見込めるかな?)
QB「さ、契約を」
さやか「――無理だよ」
QB「大丈夫、魔法少女は条理を覆す存在さっ」
さやか「……」
QB「気を落ち着けてね。今日から君は」
376: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 22:31:40.46 ID:x7H3AnTz0
パァ……ァ……ン
388: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 22:38:58.27 ID:x7H3AnTz0
QB「」ドサッ
さやか「え……あ……きゅ、キュゥべえ!?」
ほむら「その必要はないわ、美樹さやか」
さやか「ほ……ほむらぁあああ! なんてことすんのよ、恭介の腕を治っ」
ほむら「落ち着きなさい。そいつは悪魔よ」
さやか「だって、だって、きょーすけの……!」
ほむら「!」バチンッ
さやか「痛っ」
ほむら「その得体のしれない生き物と友達、どちらを信じるか今すぐ選びなさいっ」
さやか「ともだち……」
ほむら「……友達じゃないの? あの言葉は嘘?」
さやか「ああ……うう……」ボロボロ
さやか「ほむら、ほむらぁ!」
さやか「え……あ……きゅ、キュゥべえ!?」
ほむら「その必要はないわ、美樹さやか」
さやか「ほ……ほむらぁあああ! なんてことすんのよ、恭介の腕を治っ」
ほむら「落ち着きなさい。そいつは悪魔よ」
さやか「だって、だって、きょーすけの……!」
ほむら「!」バチンッ
さやか「痛っ」
ほむら「その得体のしれない生き物と友達、どちらを信じるか今すぐ選びなさいっ」
さやか「ともだち……」
ほむら「……友達じゃないの? あの言葉は嘘?」
さやか「ああ……うう……」ボロボロ
さやか「ほむら、ほむらぁ!」
401: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 22:53:00.28 ID:x7H3AnTz0
さやか「ぐすっ ううっ」
ほむら「あなたの言葉を聞いて、まさかと思ったのよ」
------------------------------------
「いいっていいって、事情があるんでしょ?」
------------------------------------
さやか「……あっ はは。一応、そのあと誤魔化したんだけどな」
ほむら「あなたほど嘘が下手な人間はそういないわ」
さやか「何人に見抜かれてるのって話だよ、やんなっちゃう」
ほむら「なんにせよ、あの悪魔に関わっては駄目」
ほむら「すぐに復活してくるだろうけど、耳を貸さない事よ」
さやか「――悪魔、か」
さやか「悪魔は、私かもよ?」
ほむら「何を言って」
ほむら「あなたの言葉を聞いて、まさかと思ったのよ」
------------------------------------
「いいっていいって、事情があるんでしょ?」
------------------------------------
さやか「……あっ はは。一応、そのあと誤魔化したんだけどな」
ほむら「あなたほど嘘が下手な人間はそういないわ」
さやか「何人に見抜かれてるのって話だよ、やんなっちゃう」
ほむら「なんにせよ、あの悪魔に関わっては駄目」
ほむら「すぐに復活してくるだろうけど、耳を貸さない事よ」
さやか「――悪魔、か」
さやか「悪魔は、私かもよ?」
ほむら「何を言って」
403: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 22:58:22.48 ID:x7H3AnTz0
さやか「キュゥべえの言葉に頷きそうになったんだ」
さやか「好きな人も、親友も、時間さえあれば奪い返せるって」
ほむら「……」
さやか「でも、結局それって"奪う"ことなんだよ」
さやか「ほむらみたいな、こうして駆けつけてくるような友達から」ポロ…
ほむら「さやか」
さやか「あたしって、最低だよ……」ボロボロ
ほむら「……私から、一体何を奪い返すの?」
さやか「え?」
さやか「好きな人も、親友も、時間さえあれば奪い返せるって」
ほむら「……」
さやか「でも、結局それって"奪う"ことなんだよ」
さやか「ほむらみたいな、こうして駆けつけてくるような友達から」ポロ…
ほむら「さやか」
さやか「あたしって、最低だよ……」ボロボロ
ほむら「……私から、一体何を奪い返すの?」
さやか「え?」
408: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 23:08:55.55 ID:x7H3AnTz0
ほむら「鹿目まどかは、いつもあなたのことを気にかけているのよ」
ほむら「あの夜も、あなたの名前を何度も呼んでいた」
さやか「あいつ……」
ほむら「負傷した巴マミを見て動揺しないか、私たちを心配していないか」
ほむら「眠ってからもうなされていたわ。羨ましいくらいよ」
さやか「……っ はは、まどかの事は私の取り越し苦労かあ」
ほむら「無理に笑う必要はないわ、ハンカチ使う?」
さやか「……ほむら、あたしを軽蔑しないの?」
さやか「すごく身勝手な事考えたんだよ?」
ほむら「ええ、するわ――過去の自分とセットでね」
さやか「え」
ほむら「美樹さやか、ここまで知ったならあなたにも真実を話しておきたいの」
ほむら「魔法少女の秘密と、それから……私の秘密を」
ほむら「あの夜も、あなたの名前を何度も呼んでいた」
さやか「あいつ……」
ほむら「負傷した巴マミを見て動揺しないか、私たちを心配していないか」
ほむら「眠ってからもうなされていたわ。羨ましいくらいよ」
さやか「……っ はは、まどかの事は私の取り越し苦労かあ」
ほむら「無理に笑う必要はないわ、ハンカチ使う?」
さやか「……ほむら、あたしを軽蔑しないの?」
さやか「すごく身勝手な事考えたんだよ?」
ほむら「ええ、するわ――過去の自分とセットでね」
さやか「え」
ほむら「美樹さやか、ここまで知ったならあなたにも真実を話しておきたいの」
ほむら「魔法少女の秘密と、それから……私の秘密を」
413: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 23:15:23.54 ID:x7H3AnTz0
――
―
さやか「なーんか、あたし足引っ張ってばっかなんだね」
ほむら「否定はしないわ」
さやか「ちょ、ちょっとはフォロー欲しかったよ!?」
ほむら「――あなたとは、もうわかりあえないと思っていたのよ」
ほむら「話は聞かない、思い込みは激しい、感情は不安定」
さやか「ううううう!?」グサグサグサッ
ほむら「……けど、似ているところがあったのね。私たち」
さやか「そう、かな。世界を何周もするほどあたしは頑張れそうにないけど」
ほむら「私も、まどかのためなら全てを投げだせると。そう思って契約したから」
さやか「ほむら……」
ほむら「あなたも私を軽蔑して良いわ、美樹さやか」
ほむら「あなたの体の事も知らずに、嫉妬していたの」
さやか「……セットにしとくよ・あたしを守ろうとしてくれていたほむらを、わかってあげられなかった自分と」
―
さやか「なーんか、あたし足引っ張ってばっかなんだね」
ほむら「否定はしないわ」
さやか「ちょ、ちょっとはフォロー欲しかったよ!?」
ほむら「――あなたとは、もうわかりあえないと思っていたのよ」
ほむら「話は聞かない、思い込みは激しい、感情は不安定」
さやか「ううううう!?」グサグサグサッ
ほむら「……けど、似ているところがあったのね。私たち」
さやか「そう、かな。世界を何周もするほどあたしは頑張れそうにないけど」
ほむら「私も、まどかのためなら全てを投げだせると。そう思って契約したから」
さやか「ほむら……」
ほむら「あなたも私を軽蔑して良いわ、美樹さやか」
ほむら「あなたの体の事も知らずに、嫉妬していたの」
さやか「……セットにしとくよ・あたしを守ろうとしてくれていたほむらを、わかってあげられなかった自分と」
418: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 23:23:50.33 ID:x7H3AnTz0
さやか「今日はいいの? まどかのとこ行かなくて」
ほむら「ええ、あなたといるよりずっと幸せでしょうけれど」
さやか「言うなぁこいつは」
ほむら「今夜はここに泊らせてもらうわ」
さやか「あたしはもう大丈夫だよ?」
ほむら「……」ダキッ
さやか「ちょ、こ、こら離せってっ」
ほむら「話を聞いてたら、魔女や悪魔のせいでロクに泣く時間すらとれなかったそうじゃない」
さやか「アンタに全部話してすっきりしたってば」
ほむら「今日は、あの悪魔を近寄らせはしない。魔女もいないから」
さやか「大丈夫だってばっ」
ほむら「安心していいのよ……」
さやか「大丈夫だって……聞けよ……人の話聞かないのはどっちさ、ばかぁ……」ポロポロ
ほむら「ええ、あなたといるよりずっと幸せでしょうけれど」
さやか「言うなぁこいつは」
ほむら「今夜はここに泊らせてもらうわ」
さやか「あたしはもう大丈夫だよ?」
ほむら「……」ダキッ
さやか「ちょ、こ、こら離せってっ」
ほむら「話を聞いてたら、魔女や悪魔のせいでロクに泣く時間すらとれなかったそうじゃない」
さやか「アンタに全部話してすっきりしたってば」
ほむら「今日は、あの悪魔を近寄らせはしない。魔女もいないから」
さやか「大丈夫だってばっ」
ほむら「安心していいのよ……」
さやか「大丈夫だって……聞けよ……人の話聞かないのはどっちさ、ばかぁ……」ポロポロ
425: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 23:29:35.19 ID:x7H3AnTz0
さやか「うぁ、ああああっ ああああああああ!」
ほむら「さやか……」
さやか「やだよ、嫌だよ! 死にたくないよ!」
さやか「なんれ、あたしが死ななきゃ……えぐっ ううっ」
さやか「みんなと、もっろ、一緒にいらいよっ」
ほむら(放っておけるわけないじゃない)
さやか「せっかく、アンタと、仲良くなれてさっ」
さやか「まどかたちとだって、ひぐっ まだまだ話足りないのにさぁっ」
ほむら(だってこの願いは、生死が反転していても……)
さやか「やり直したいよ! ずっとみんなと楽しくやりたいんだよぉおおお!」
ほむら(……あの時の私の願い、そのものなんだから)
ほむら「さやか……」
さやか「やだよ、嫌だよ! 死にたくないよ!」
さやか「なんれ、あたしが死ななきゃ……えぐっ ううっ」
さやか「みんなと、もっろ、一緒にいらいよっ」
ほむら(放っておけるわけないじゃない)
さやか「せっかく、アンタと、仲良くなれてさっ」
さやか「まどかたちとだって、ひぐっ まだまだ話足りないのにさぁっ」
ほむら(だってこの願いは、生死が反転していても……)
さやか「やり直したいよ! ずっとみんなと楽しくやりたいんだよぉおおお!」
ほむら(……あの時の私の願い、そのものなんだから)
436: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 23:37:49.67 ID:x7H3AnTz0
さやか「まどかって変に凝り性だからさ、ひと品ずつ極めてって」
さやか「美味しいおかずとまずいおかずが混ざって弁当に入っててさ」
さやか「それを、評論家気どりで採点したもんだよ」
ほむら「さやかったら」
さやか「仁美はお嬢様なのに、下ごしらえまでよくできててさ」
さやか「アンタ本当になんでも持ってるねって、羨ましがりながら頬ばって」
ほむら「……」
さやか「ほむらのお弁当も、どんな味なのか。ひくっ 食べて、ううっ」
さやか「あたしも自分で味見した、お弁当、作って……分けて……っ」
ほむら「さやか」
さやか「そういうの、もう、できないんだよっ」
さやか「美味しいおかずとまずいおかずが混ざって弁当に入っててさ」
さやか「それを、評論家気どりで採点したもんだよ」
ほむら「さやかったら」
さやか「仁美はお嬢様なのに、下ごしらえまでよくできててさ」
さやか「アンタ本当になんでも持ってるねって、羨ましがりながら頬ばって」
ほむら「……」
さやか「ほむらのお弁当も、どんな味なのか。ひくっ 食べて、ううっ」
さやか「あたしも自分で味見した、お弁当、作って……分けて……っ」
ほむら「さやか」
さやか「そういうの、もう、できないんだよっ」
443: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 23:45:46.02 ID:x7H3AnTz0
さやか「そんで、うんと上手くなったら、恭介のとこ持ってってっ」
さやか「美味しいって言ってもらいたかった!」
さやか「さやかは良く頑張ったなって、笑ってほしかった!!」
さやか「昔みたいに、頭撫でまわしてほしか……ぁぁっ あああああ!」
ほむら「さやか……さやか……」ギュッ
さやか「味だけじゃないよ」
さやか「これからっ 抱きしめてくれる、ほむら、ぐすっ 見えなくなる、の……」
さやか「ほむらの声も、聞こえなく、うううああっ」
ほむら「でも、ずっとついてるわ」
さやか「それじゃまどかは……」
ほむら「まどかもずっと一緒よ、あの子があなたを見放すと思うの?」
さやか「――。私、最期は触覚だけになっちゃうよ?」
さやか「こうやって話すこと、も、う、ううっ」
ほむら「……それでも、一緒にいるから」
さやか「美味しいって言ってもらいたかった!」
さやか「さやかは良く頑張ったなって、笑ってほしかった!!」
さやか「昔みたいに、頭撫でまわしてほしか……ぁぁっ あああああ!」
ほむら「さやか……さやか……」ギュッ
さやか「味だけじゃないよ」
さやか「これからっ 抱きしめてくれる、ほむら、ぐすっ 見えなくなる、の……」
さやか「ほむらの声も、聞こえなく、うううああっ」
ほむら「でも、ずっとついてるわ」
さやか「それじゃまどかは……」
ほむら「まどかもずっと一緒よ、あの子があなたを見放すと思うの?」
さやか「――。私、最期は触覚だけになっちゃうよ?」
さやか「こうやって話すこと、も、う、ううっ」
ほむら「……それでも、一緒にいるから」
449: もうそろそろ完結です 2011/05/01(日) 23:53:37.86 ID:x7H3AnTz0
-翌朝-
まどか「さやかちゃん、保健室行こっ」グイッ
さやか「まどか? あたしは別になんとも」
まどか「いいから」グイグイ
さやか「なになにー、もしかして愛のこくは」
まどか「ばかぁ!」
さやか(ビクッ)
まどか「なんで、言ってくれたなかったの?」
さやか「――――ごめん」
まどか「私、さやかちゃんがいなくなるの嫌だけど。怖いけど」
まどか「ここにいるのに壁ができちゃうなんて、そんなのもっと嫌だよっ」
さやか「まどか……離してよ、痛いよ……」
まどか「だめ、離さないもん。もうさやかちゃんのこと離さない」ジワァ
さやか「あたしより先に泣いてどうすんの、バカ」ポロ…
まどか「さやかちゃん、保健室行こっ」グイッ
さやか「まどか? あたしは別になんとも」
まどか「いいから」グイグイ
さやか「なになにー、もしかして愛のこくは」
まどか「ばかぁ!」
さやか(ビクッ)
まどか「なんで、言ってくれたなかったの?」
さやか「――――ごめん」
まどか「私、さやかちゃんがいなくなるの嫌だけど。怖いけど」
まどか「ここにいるのに壁ができちゃうなんて、そんなのもっと嫌だよっ」
さやか「まどか……離してよ、痛いよ……」
まどか「だめ、離さないもん。もうさやかちゃんのこと離さない」ジワァ
さやか「あたしより先に泣いてどうすんの、バカ」ポロ…
456: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/01(日) 23:57:12.97 ID:x7H3AnTz0
さやか「長い付き合いだけど、まどかが怒鳴ってるの初めて見た」
まどか「だって……くすん」
さやか「ほらほらー、もう立場が逆なんだから」フキフキ
まどか「……仁美ちゃんには、このことは?」
さやか「仁美にこのことは黙っといてほしいんだ」
まどか「でも、それじゃあ」
さやか「私の勝手で、きょーすけとくっつけたんだもん」
さやか「いま本当のこと言ったら、仁美は傷ついちゃうよ……」
まどか「さやかちゃん」
さやか「あたし、自分勝手でバカかもしれないけどさ」
さやか「そんくらいのけじめはつけさせてよ」
まどか「さやかちゃぁぁんっ」
さやか「ほらまた泣く……ばかまどかぁ……」
まどか「だって……くすん」
さやか「ほらほらー、もう立場が逆なんだから」フキフキ
まどか「……仁美ちゃんには、このことは?」
さやか「仁美にこのことは黙っといてほしいんだ」
まどか「でも、それじゃあ」
さやか「私の勝手で、きょーすけとくっつけたんだもん」
さやか「いま本当のこと言ったら、仁美は傷ついちゃうよ……」
まどか「さやかちゃん」
さやか「あたし、自分勝手でバカかもしれないけどさ」
さやか「そんくらいのけじめはつけさせてよ」
まどか「さやかちゃぁぁんっ」
さやか「ほらまた泣く……ばかまどかぁ……」
461: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/02(月) 00:04:09.30 ID:sFpjeMOd0
マミ「で、その子を私の回復魔法で?」
ほむら「中途半端に希望は与えられないの。可能か不可能かで答えてほしい」
マミ「見てみない事には、と言いたいところだけど不可能よ」
マミ「私の力はあくまでその場にある外傷を治すだけなの」
マミ「進行性の病なら、常に魔力を注ぎ続けて止めるのがやっとね」
ほむら「そう……」
マミ「……言い換えれば、魔力さえ保てばいつまでも治療は可能ということ」
ほむら「巴マミ、まさか」
マミ「心配しないで、無理はしないわ」
マミ「私が魔女になってしまっても困るでしょう?」ニコッ
ほむら「驚かないのね」
マミ「まさか、内心どうして良いかわからないわよ。もっと大事な事があるというだけ」
マミ「明日退院なの。後輩に、かっこ悪いとこ見せたままじゃ帰りづらいでしょう?」クスクス
ほむら「中途半端に希望は与えられないの。可能か不可能かで答えてほしい」
マミ「見てみない事には、と言いたいところだけど不可能よ」
マミ「私の力はあくまでその場にある外傷を治すだけなの」
マミ「進行性の病なら、常に魔力を注ぎ続けて止めるのがやっとね」
ほむら「そう……」
マミ「……言い換えれば、魔力さえ保てばいつまでも治療は可能ということ」
ほむら「巴マミ、まさか」
マミ「心配しないで、無理はしないわ」
マミ「私が魔女になってしまっても困るでしょう?」ニコッ
ほむら「驚かないのね」
マミ「まさか、内心どうして良いかわからないわよ。もっと大事な事があるというだけ」
マミ「明日退院なの。後輩に、かっこ悪いとこ見せたままじゃ帰りづらいでしょう?」クスクス
471: >>465 ほむほむが>>461で話したとこなんです、わかりづらくて申し訳ない 2011/05/02(月) 00:14:23.03 ID:sFpjeMOd0
さやか(それからあたしは、通院するたびに奇跡だという言葉を耳にした)
さやか(1か月しかもたないはずだった人間が、1年近く生きてるんだもんね)
さやか(まどかとほむらから紹介されたマミさんと一緒に、あたしたちは色んなところに出かけた)
さやか(みんな羨ましいという仁美に、恭介と二人きりで羨ましいとからかいかえしたり)
さやか(まどかに味見してもらいながら、新作料理にチャレンジしてみたり)
さやか(マミさんに頼み込んで、恭介の腕を看てもらったり)
さやか(余計な魔力を、と文句を言いながらもほむらがグリーフシードを運んできてくれたり)
さやか(みんなで海に行って、山に行って、川に行って、原っぱに行って――……)
さやか(1か月しかもたないはずだった人間が、1年近く生きてるんだもんね)
さやか(まどかとほむらから紹介されたマミさんと一緒に、あたしたちは色んなところに出かけた)
さやか(みんな羨ましいという仁美に、恭介と二人きりで羨ましいとからかいかえしたり)
さやか(まどかに味見してもらいながら、新作料理にチャレンジしてみたり)
さやか(マミさんに頼み込んで、恭介の腕を看てもらったり)
さやか(余計な魔力を、と文句を言いながらもほむらがグリーフシードを運んできてくれたり)
さやか(みんなで海に行って、山に行って、川に行って、原っぱに行って――……)
476: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/02(月) 00:16:54.78 ID:sFpjeMOd0
さやか(一つずつ、なくしていった)
さやか(においがわからなくなって、車椅子になって、視界が霞んで)
さやか(すごく怖かった、次は何がダメになるんだろうって何度も泣いた)
さやか(けど、必ず誰かが傍にいてくれた)
さやか(父さんや母さんがありがとうありがとうって拝む勢いでお礼を言って)
さやか(まどかったら、すっかりうろたえちゃってあわあわして)
さやか(ふふ、マミさんまでくすぐったそうにしていたのは意外だったなあ)
さやか(ほむらも、クール気どってるけど視線が泳いでるのちゃんとわかるんだからね?)
さやか(見えなくたって、お見通しだよ)
さやか(においがわからなくなって、車椅子になって、視界が霞んで)
さやか(すごく怖かった、次は何がダメになるんだろうって何度も泣いた)
さやか(けど、必ず誰かが傍にいてくれた)
さやか(父さんや母さんがありがとうありがとうって拝む勢いでお礼を言って)
さやか(まどかったら、すっかりうろたえちゃってあわあわして)
さやか(ふふ、マミさんまでくすぐったそうにしていたのは意外だったなあ)
さやか(ほむらも、クール気どってるけど視線が泳いでるのちゃんとわかるんだからね?)
さやか(見えなくたって、お見通しだよ)
484: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/02(月) 00:22:32.60 ID:sFpjeMOd0
さやか(そして、何より……)
さやか(なくしたもの以上に、みんながたくさんくれた)
さやか(最後に嗅いだ梅の匂い、一面真っ黄色のヒマワリ畑)
さやか(紅葉の山で聞いた鳥の声、肌を心地よく包む涼風)
さやか(大切なみんなとの時間)
さやか(くだらない話って言いながら笑いあって、泣いて、また笑って)
さやか(こんな幸せを、あたしは自分から手放そうとしたんだ)
さやか(あたしって、ほんとばか……)
さやか(なくしたもの以上に、みんながたくさんくれた)
さやか(最後に嗅いだ梅の匂い、一面真っ黄色のヒマワリ畑)
さやか(紅葉の山で聞いた鳥の声、肌を心地よく包む涼風)
さやか(大切なみんなとの時間)
さやか(くだらない話って言いながら笑いあって、泣いて、また笑って)
さやか(こんな幸せを、あたしは自分から手放そうとしたんだ)
さやか(あたしって、ほんとばか……)
497: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/02(月) 00:30:02.45 ID:sFpjeMOd0
――……。
さやか「ねえ、いま誰かいる?」
さやか「見えも聞こえもしないって、ほんと不便だよ」
さやか(……この手は、まどかだね。ああ、ああ、濡らしちゃって)
さやか(最後まで泣き虫は治らなかったなあ)
さやか(……こっちはほむらか。ってこれも濡れてる!?)
さやか(おいおい変な水じゃないよね、まさか涙?)
さやか(あーちくしょう、ぶっさいくな泣き顔見てやりたいのに)
さやか(……マミさんも。あったかい手だなあ)
さやか(ずっとお世話になったのに、顔も向けられないや)
さやか「全員いるならちょうどいいや。お礼、言っときたくてさ」
さやか「いつ言えるかわかんないし、何言ってるか聞こえないから。勝手に喋らせてよ」
さやか「ねえ、いま誰かいる?」
さやか「見えも聞こえもしないって、ほんと不便だよ」
さやか(……この手は、まどかだね。ああ、ああ、濡らしちゃって)
さやか(最後まで泣き虫は治らなかったなあ)
さやか(……こっちはほむらか。ってこれも濡れてる!?)
さやか(おいおい変な水じゃないよね、まさか涙?)
さやか(あーちくしょう、ぶっさいくな泣き顔見てやりたいのに)
さやか(……マミさんも。あったかい手だなあ)
さやか(ずっとお世話になったのに、顔も向けられないや)
さやか「全員いるならちょうどいいや。お礼、言っときたくてさ」
さやか「いつ言えるかわかんないし、何言ってるか聞こえないから。勝手に喋らせてよ」
511: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/02(月) 00:37:49.94 ID:sFpjeMOd0
さやか「あたしね、病気って聞いて憎らしくてしょうがなかったよ」
さやか「世界っていうか神様っていうか、それを決めたおっきな存在が憎かった」
さやか「今でもそういう気持ちがないって言うとウソになるんだけどね?」
さやか「……でも、感謝することもたくさんできたよ」
さやか「この病気に罹らなかったら、ほむらとは一生わかりあえなかっただろうし」
さやか「マミさんとは知りあい止まりになってたかもしれない」
さやか「まどかとだって、ここまでふかーい仲にはなれなかっただろうしさ?」
さやか「一年も見つめ直せる時間があったから、こうやって偉そうに言えるんだけどね」
さやか「すんごい代償だったけど、これ以外じゃ手に入らないものもたくさんもらえたよ」
さやか「世界っていうか神様っていうか、それを決めたおっきな存在が憎かった」
さやか「今でもそういう気持ちがないって言うとウソになるんだけどね?」
さやか「……でも、感謝することもたくさんできたよ」
さやか「この病気に罹らなかったら、ほむらとは一生わかりあえなかっただろうし」
さやか「マミさんとは知りあい止まりになってたかもしれない」
さやか「まどかとだって、ここまでふかーい仲にはなれなかっただろうしさ?」
さやか「一年も見つめ直せる時間があったから、こうやって偉そうに言えるんだけどね」
さやか「すんごい代償だったけど、これ以外じゃ手に入らないものもたくさんもらえたよ」
523: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/02(月) 00:46:34.40 ID:sFpjeMOd0
さやか「その時間をくれたマミさんには、本当に感謝してます」
さやか「あの時は、ちょっと顔を合わせたくらいの仲だったのに」
さやか「まどかのため、ほむらのため、あたしのためってずっとついていてくれてた」
さやか「マミさんの紅茶、味わえなかったのは残念だけど……」
さやか「あったかいってことだけは、いつもいつも思ってます」
さやか「ほむらも、アンタにこんなこと言うのすんごくむず痒いんだけどさ」
さやか「あたしのこと、ちゃんと叱ってくれて。抱きしめてくれて。本当にありがとう」
さやか「あのまま契約してたら、きっと絶望をまき散らす魔女になっちゃってたよ」
さやか「アンタは不器用で、それをわかってなかった私が言うのも変だけど」
さやか「最っ高に仲間想いだよ、このさやか様が保障してあげるから!」
さやか「……まどかには、もうどんな言葉でお礼を言ったらいいかわかんないや」
さやか「あたしがもうだめだーって思ったら、いつもまどかが隣で泣いてるの」
さやか「ったく逆でしょーって笑いながら、まどかの優しい涙を見てたらね」
さやか「それだけで、本当にその涙だけで救われたような気がしたんだ」
さやか「鹿目まどかっていう親友がいたことが、あたしの人生で一番の自慢だよ」
さやか「あの時は、ちょっと顔を合わせたくらいの仲だったのに」
さやか「まどかのため、ほむらのため、あたしのためってずっとついていてくれてた」
さやか「マミさんの紅茶、味わえなかったのは残念だけど……」
さやか「あったかいってことだけは、いつもいつも思ってます」
さやか「ほむらも、アンタにこんなこと言うのすんごくむず痒いんだけどさ」
さやか「あたしのこと、ちゃんと叱ってくれて。抱きしめてくれて。本当にありがとう」
さやか「あのまま契約してたら、きっと絶望をまき散らす魔女になっちゃってたよ」
さやか「アンタは不器用で、それをわかってなかった私が言うのも変だけど」
さやか「最っ高に仲間想いだよ、このさやか様が保障してあげるから!」
さやか「……まどかには、もうどんな言葉でお礼を言ったらいいかわかんないや」
さやか「あたしがもうだめだーって思ったら、いつもまどかが隣で泣いてるの」
さやか「ったく逆でしょーって笑いながら、まどかの優しい涙を見てたらね」
さやか「それだけで、本当にその涙だけで救われたような気がしたんだ」
さやか「鹿目まどかっていう親友がいたことが、あたしの人生で一番の自慢だよ」
525: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/02(月) 00:48:02.35 ID:sFpjeMOd0
さやか「ありがとう」
ありがとう
あ り が と
だ い す き
ありがとう
あ り が と
だ い す き
528: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/02(月) 00:49:46.05 ID:sFpjeMOd0
まどか「……ちゃん、さやかちゃん! さやかちゃん、いやああああああああああ!」
566: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/02(月) 01:02:23.78 ID:sFpjeMOd0
拝啓、美樹さやかちゃん
そちらはどんな居心地ですか?
雲のベッドがどれだけ柔らかいなんておはなししたのを、昨日の事のように思い出します。
あの時も私が泣いちゃって、さやかちゃんが慰めてくれたんだよね。えへへ。
あれからね、私たちはみんなで一緒に住む事にしました。
マミさんは他の魔法少女たちのリーダーになって、ここら一体の魔女をやっつけてるの。
最初は悩んでたみたいだけど、今はスコアを競ってみんなで報告しにくるくらいなの。
砲火後ティータイムも健在でケーキと一緒にどんどん美味しくなってます。
お供えしてくれてたの、飲んでくれた? そっちにもいつか持ってくからね。
入居してきた魔法少女たちも、良い人ばかりです。
ワルプルギスとの戦いで共闘した槍使いさんはさやかちゃんの話を聞いて、泣いてくれたよ。
それ以外の面識はなかったのに、とっても優しい人。あたしも側にいてあげたかったって。
もし私たちがそっちに行ったら一緒に遊ぼう? 佐倉杏子ちゃんっていうの。
ほむらちゃんは、キュゥべえのお仕事を阻止しようと世界中を飛び回ってます。
手伝えないのは寂しいけど、私が契約したら終わりだって言うから我慢しなきゃね。
たまに絵葉書を贈ってくれるけど、どれもこれも綺麗だよ。さやかちゃんにも見せたいな。
こっちに帰ってきた時は毎晩お祈りしてるけど、内緒のつもりらしいから知らんぷりしてあげて?
私は、この家を守るのを一生のお仕事にするよ。それが戦えない私にできることだから。
何よりさやかちゃんがいっぱい褒めてくれたから……今でも頑張れるだよ?
さやかちゃん、私たちのことずっと見ててね。誰も絶望なんてしないから。
必ず生き抜いて見せるから、ずぅっと笑っていてください。
あなたの親友、鹿目まどか
そちらはどんな居心地ですか?
雲のベッドがどれだけ柔らかいなんておはなししたのを、昨日の事のように思い出します。
あの時も私が泣いちゃって、さやかちゃんが慰めてくれたんだよね。えへへ。
あれからね、私たちはみんなで一緒に住む事にしました。
マミさんは他の魔法少女たちのリーダーになって、ここら一体の魔女をやっつけてるの。
最初は悩んでたみたいだけど、今はスコアを競ってみんなで報告しにくるくらいなの。
砲火後ティータイムも健在でケーキと一緒にどんどん美味しくなってます。
お供えしてくれてたの、飲んでくれた? そっちにもいつか持ってくからね。
入居してきた魔法少女たちも、良い人ばかりです。
ワルプルギスとの戦いで共闘した槍使いさんはさやかちゃんの話を聞いて、泣いてくれたよ。
それ以外の面識はなかったのに、とっても優しい人。あたしも側にいてあげたかったって。
もし私たちがそっちに行ったら一緒に遊ぼう? 佐倉杏子ちゃんっていうの。
ほむらちゃんは、キュゥべえのお仕事を阻止しようと世界中を飛び回ってます。
手伝えないのは寂しいけど、私が契約したら終わりだって言うから我慢しなきゃね。
たまに絵葉書を贈ってくれるけど、どれもこれも綺麗だよ。さやかちゃんにも見せたいな。
こっちに帰ってきた時は毎晩お祈りしてるけど、内緒のつもりらしいから知らんぷりしてあげて?
私は、この家を守るのを一生のお仕事にするよ。それが戦えない私にできることだから。
何よりさやかちゃんがいっぱい褒めてくれたから……今でも頑張れるだよ?
さやかちゃん、私たちのことずっと見ててね。誰も絶望なんてしないから。
必ず生き抜いて見せるから、ずぅっと笑っていてください。
あなたの親友、鹿目まどか
577: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/02(月) 01:07:37.77 ID:sFpjeMOd0
仁美「……あなた、今日は」
上条「うん。さやかの命日だね」
上条「……僕の腕、もうちょっとだけ早く治ってくれなかったかな」
上条「そうしたら、さやかにバイオリンを聞いてもらえたのに」
仁美「ええ……」
上条「セッションしてくれる?」
仁美「もちろんですわ、さやかさんは何が好きだったでしょう」
上条「そうだね、よく持ってきてくれたのは――」
上条「うん。さやかの命日だね」
上条「……僕の腕、もうちょっとだけ早く治ってくれなかったかな」
上条「そうしたら、さやかにバイオリンを聞いてもらえたのに」
仁美「ええ……」
上条「セッションしてくれる?」
仁美「もちろんですわ、さやかさんは何が好きだったでしょう」
上条「そうだね、よく持ってきてくれたのは――」
579: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/02(月) 01:09:18.57 ID:sFpjeMOd0
Listen to a maiden's pleading
from these rocks, stark and wild,
my prayer shall be wafted to thee.
we shall sleep safely till morning,
though men be ever so cruel.
o Maiden, see a maiden's distress,
O Mother, hear a suppliant child...
~終~
from these rocks, stark and wild,
my prayer shall be wafted to thee.
we shall sleep safely till morning,
though men be ever so cruel.
o Maiden, see a maiden's distress,
O Mother, hear a suppliant child...
~終~
589: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/02(月) 01:11:39.42 ID:6CSqKqBl0
終わってしまったな
お疲れ
さやさやが綺麗すぎて泣ける
お疲れ
さやさやが綺麗すぎて泣ける
590: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/02(月) 01:11:50.70 ID:mQ70u6BZ0
乙
久々の良スレだった
久々の良スレだった
596: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/02(月) 01:12:40.95 ID:t35caYnXQ
映画見終わった気分
1ありがとう
1ありがとう
598: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/05/02(月) 01:13:04.19 ID:o3sAMMAnO
さやかが主人公のSSも珍しい
乙なんだよ!
乙なんだよ!
引用元: さやか「余命… 1ヶ月…?」