ドラえもん「こんにちは!ぼくドラ」のび太「不法侵入ですよ」
2020-12-17
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/12(日) 12:44:32.13 ID:tDoPFKE50
ドラ「どこでもドア~」
ドラ「行きたいところを思い浮かべてあけると、その場所に行けるんだ」
のび太「実に興味深いですねぇ」
ドラ「でしょ?海外でもすぐにいけるよ!」
のび太「入国審査はどうするんですか」
ドラ「そんなものないよ」
のび太「それに鉄道や飛行機が不要になりますよね、これ」
のび太「倒産に追いやられる企業がいくつ出てくるでしょうか」
のび太「失業者も万ではすまないと思います」
ドラ「えっと」
のび太「すぐにしまってください」
ドラ「はい」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1578800671
ドラ「行きたいところを思い浮かべてあけると、その場所に行けるんだ」
のび太「実に興味深いですねぇ」
ドラ「でしょ?海外でもすぐにいけるよ!」
のび太「入国審査はどうするんですか」
ドラ「そんなものないよ」
のび太「それに鉄道や飛行機が不要になりますよね、これ」
のび太「倒産に追いやられる企業がいくつ出てくるでしょうか」
のび太「失業者も万ではすまないと思います」
ドラ「えっと」
のび太「すぐにしまってください」
ドラ「はい」
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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/12(日) 12:57:09.47 ID:tDoPFKE50
ドラ「タケコプタ~」
ドラ「頭につけてスイッチを入れると、自由に飛び回る事が出来るんだ」
ドラ「空飛ぶ自動車みたいなものだよ」
のび太「免許は必要でしょうか?」
ドラ「空飛ぶ自転車に訂正します、はい」
のび太「つまり子供も使用するのでしょうか?電線にぶつかる危険性もありますよね」
ドラ「ありますね」
のび太「それにもし空中で故障したら、どうなるんですか?」
ドラ「落ちますね、はい」
のび太「ヘリコプターはエンジンが停止しても一定の速度で安全に落下するように設計されているようですが」
ドラ「もう壊すね、これ」ペキョッ
ドラ「頭につけてスイッチを入れると、自由に飛び回る事が出来るんだ」
ドラ「空飛ぶ自動車みたいなものだよ」
のび太「免許は必要でしょうか?」
ドラ「空飛ぶ自転車に訂正します、はい」
のび太「つまり子供も使用するのでしょうか?電線にぶつかる危険性もありますよね」
ドラ「ありますね」
のび太「それにもし空中で故障したら、どうなるんですか?」
ドラ「落ちますね、はい」
のび太「ヘリコプターはエンジンが停止しても一定の速度で安全に落下するように設計されているようですが」
ドラ「もう壊すね、これ」ペキョッ
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/12(日) 13:09:33.43 ID:tDoPFKE50
ドラ「スモールライト~」
ドラ「この光を浴びた物は小さくなるんだ」
のび太「へー、すごいですね」
のび太「物資の輸送コスト削減など、環境問題も含めてさまざまな課題を解決できそうですね」
ドラ「でしょ!でしょ!」
のび太「こちらは人間や動物も小さくできますか?
ドラ「もちろん!!」
のび太「誘拐や密猟もたやすくなりますね」
のび太「危険物の密輸も」
ドラ「はぁ」
のび太「あなたはこの国を犯罪大国にしたいのですか?」
ドラ「ごめんなさい」
ドラ「この光を浴びた物は小さくなるんだ」
のび太「へー、すごいですね」
のび太「物資の輸送コスト削減など、環境問題も含めてさまざまな課題を解決できそうですね」
ドラ「でしょ!でしょ!」
のび太「こちらは人間や動物も小さくできますか?
ドラ「もちろん!!」
のび太「誘拐や密猟もたやすくなりますね」
のび太「危険物の密輸も」
ドラ「はぁ」
のび太「あなたはこの国を犯罪大国にしたいのですか?」
ドラ「ごめんなさい」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/12(日) 13:21:21.82 ID:tDoPFKE50
ドラ「お座敷つりぼり~」
ドラ「これがあればお部屋の中にいながら釣りが出来るんだよ」
のび太「これまた凄い技術ですね」
ドラ「でしょ!」
のび太「経済破壊や犯罪の温床になるようなものでもないですし」
のび太「趣味が気軽になる事は良い事ですね」
ドラ「ほら、設置したから!やってみようよ!!」
のび太「ところで釣りって何が楽しいんですか?」
のび太「糸を垂らして餌に魚が食いつく、で?って感じなんですが」
のび太「魚が食べたければ魚屋にいきます」
のび太「邪魔なのでしまって貰えますか?」
ドラ「う、うん」
ドラ「これがあればお部屋の中にいながら釣りが出来るんだよ」
のび太「これまた凄い技術ですね」
ドラ「でしょ!」
のび太「経済破壊や犯罪の温床になるようなものでもないですし」
のび太「趣味が気軽になる事は良い事ですね」
ドラ「ほら、設置したから!やってみようよ!!」
のび太「ところで釣りって何が楽しいんですか?」
のび太「糸を垂らして餌に魚が食いつく、で?って感じなんですが」
のび太「魚が食べたければ魚屋にいきます」
のび太「邪魔なのでしまって貰えますか?」
ドラ「う、うん」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/12(日) 13:38:49.61 ID:tDoPFKE50
ドラ「ふえるミラ~」
ドラ「この鏡に物をうつすと、ほら、増やす事が出来るんだよ」
のび太「例えばどのように利用するのですか?」
ドラ「このどら焼きをね、このように、もう一個増やせるんだよ」
のび太「生産者の気持ちを考えた事はありますか?」
のび太「もちろん美味しく食べて欲しいと願っていると思いますが」
のび太「それは一定の売上を上げることが前提です」
のび太「その製品は間違いなくどら焼きの売上を著しく低下させるでしょう」
のび太「どら焼きが食べられなくなっても良いのですか?」
ドラ「どら焼き美味しいな~」パクパク
ドラ「この鏡に物をうつすと、ほら、増やす事が出来るんだよ」
のび太「例えばどのように利用するのですか?」
ドラ「このどら焼きをね、このように、もう一個増やせるんだよ」
のび太「生産者の気持ちを考えた事はありますか?」
のび太「もちろん美味しく食べて欲しいと願っていると思いますが」
のび太「それは一定の売上を上げることが前提です」
のび太「その製品は間違いなくどら焼きの売上を著しく低下させるでしょう」
のび太「どら焼きが食べられなくなっても良いのですか?」
ドラ「どら焼き美味しいな~」パクパク
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/12(日) 13:55:48.67 ID:tDoPFKE50
ドラ「とおりぬけフープ~」
ドラ「これを壁につけるとね、その向こう側に通り抜ける事が出来るんだよ」
のび太「いよいよ犯罪にしか結びつかない製品ですね」
のび太「これがあれば空き巣もお茶の子さいさいですよね」
ドラ「いやいや、災害現場での救助活動にも使えるよ」
ドラ「なんでも否定から入るよね、のび太くんって」
のび太「かちーん」
ドラ「これを壁につけるとね、その向こう側に通り抜ける事が出来るんだよ」
のび太「いよいよ犯罪にしか結びつかない製品ですね」
のび太「これがあれば空き巣もお茶の子さいさいですよね」
ドラ「いやいや、災害現場での救助活動にも使えるよ」
ドラ「なんでも否定から入るよね、のび太くんって」
のび太「かちーん」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/12(日) 14:06:20.00 ID:tDoPFKE50
のび太「誤解が生まれているようですが私はアイテム自体の否定をしたいわけではありません」
のび太「徐々に発展していく技術や環境整備の中でなら、どのアイテムも非常に素晴らしいものです」
のび太「しかしそれを突然、この現代社会にもってきたらどうなりますか?」
のび太「犯罪に使われても、それに対抗する術を誰ももっていません」
のび太「たとえ良いことに使っても、その倍以上、被害をこうむる人が出てくるてしょう」
のび太「オーバーテクノロジーは身を滅ぼす未来しかないのです」
のび太「反論はございますか?」
ドラ「そんな事態が起こらないように、ボクがいるんだよ」
のび太「あなたはただの倉庫でしょう?」
ドラ「oh・・・」
のび太「徐々に発展していく技術や環境整備の中でなら、どのアイテムも非常に素晴らしいものです」
のび太「しかしそれを突然、この現代社会にもってきたらどうなりますか?」
のび太「犯罪に使われても、それに対抗する術を誰ももっていません」
のび太「たとえ良いことに使っても、その倍以上、被害をこうむる人が出てくるてしょう」
のび太「オーバーテクノロジーは身を滅ぼす未来しかないのです」
のび太「反論はございますか?」
ドラ「そんな事態が起こらないように、ボクがいるんだよ」
のび太「あなたはただの倉庫でしょう?」
ドラ「oh・・・」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/12(日) 14:19:02.50 ID:tDoPFKE50
ドラ「倉庫は4次元ポケットだよ・・・」
ドラ「ボクは管理人・・・うふふふ」
のび太「違いますね」
ドラ「?」
のび太「あなたは私の友人です」
ドラ「!?」
のび太「私のことを第一に考えてくれる、ただ一人の大切な友人です」
ドラ「!?!?」
のび太「[たぬき]・・・」
ドラ「のび太くん・・・」
ドラ「ボクは管理人・・・うふふふ」
のび太「違いますね」
ドラ「?」
のび太「あなたは私の友人です」
ドラ「!?」
のび太「私のことを第一に考えてくれる、ただ一人の大切な友人です」
ドラ「!?!?」
のび太「[たぬき]・・・」
ドラ「のび太くん・・・」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/12(日) 14:29:32.06 ID:tDoPFKE50
ドラ「何をいってるんだい?ボク達はただのビジネスパートナーだよ」
のび太「え?」
ドラ「誰が君みたいな偏屈メガネと友人になるのさ」
ドラ「セワシくんの命令じゃなければ、一緒に住むどころか同じ空気を吸いたくも無いよ」
ドラ「ボクは君の未来を変える」
ドラ「君はセワシくんに50円以上のお年玉をあげられるように努力する」
ドラ「友達ごっこは不要」
ドラ「オッケー?」
のび太「イ、イェー」
のび太「え?」
ドラ「誰が君みたいな偏屈メガネと友人になるのさ」
ドラ「セワシくんの命令じゃなければ、一緒に住むどころか同じ空気を吸いたくも無いよ」
ドラ「ボクは君の未来を変える」
ドラ「君はセワシくんに50円以上のお年玉をあげられるように努力する」
ドラ「友達ごっこは不要」
ドラ「オッケー?」
のび太「イ、イェー」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/12(日) 14:46:38.58 ID:tDoPFKE50
のび太(ボクと[たぬき]は友達ではなかったのですね)
のび太(とてもショックです)
のび太(仮にビジネスパートナーだとしても、そこに友情は芽生えていると思っていました)
のび太(私が屁理屈ばかりこねていたからでしょうか)
のび太(もっと素直に)
のび太(いや、バカになれば彼との距離は縮まるのでしょうか)
のび太(とてもショックです)
のび太(仮にビジネスパートナーだとしても、そこに友情は芽生えていると思っていました)
のび太(私が屁理屈ばかりこねていたからでしょうか)
のび太(もっと素直に)
のび太(いや、バカになれば彼との距離は縮まるのでしょうか)
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/12(日) 14:56:23.47 ID:tDoPFKE50
ドラ「糸なし糸電話~」
のび太「なななななにこれぇー!!!」
ドラ「これはねぇ」
のび太「すっごーーーーい!!!!」
ドラ「え?」
のび太「糸がない糸電話、つまりただの通信機だね?」
のび太「トランシーバーで十分なのにわざわざコップ型に開発した研究者の無駄な執念すっごーい!!!」
ドラ「バカにしてるの?」
のび太「バカをしてるの」
ドラ「やっぱり君とは友達になれそうにないよ」
のび太「そんなこといわないで!ねぇ、おねがぁ~い!!」
完
のび太「なななななにこれぇー!!!」
ドラ「これはねぇ」
のび太「すっごーーーーい!!!!」
ドラ「え?」
のび太「糸がない糸電話、つまりただの通信機だね?」
のび太「トランシーバーで十分なのにわざわざコップ型に開発した研究者の無駄な執念すっごーい!!!」
ドラ「バカにしてるの?」
のび太「バカをしてるの」
ドラ「やっぱり君とは友達になれそうにないよ」
のび太「そんなこといわないで!ねぇ、おねがぁ~い!!」
完
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2020/01/14(火) 15:54:49.97 ID:1zh+Z21eo
普通に右京さんで読んでた
屁理屈屋だけど友達は欲しかったのねw
面白かった。乙!
屁理屈屋だけど友達は欲しかったのねw
面白かった。乙!
引用元: ・ドラえもん「こんにちは!ぼくドラ」のび太「不法侵入ですよ」
のび太「もしもジャイアンが常に大長編モードになったら!」
2020-09-08
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 01:55:39.35 ID:at7G6WaPo
ボカボカッ!
ジャイアン「どうだ、参ったか?」
のび太「まいりましたぁ……」ボロッ…
ジャイアン「あー、スッキリした!」
ジャイアン「ムシャクシャした時は、のび太を殴るとスカッとするんだ」スタスタ…
のび太「うっ、うっ、うっ、悔しいよぉ……」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1509382539
ジャイアン「どうだ、参ったか?」
のび太「まいりましたぁ……」ボロッ…
ジャイアン「あー、スッキリした!」
ジャイアン「ムシャクシャした時は、のび太を殴るとスカッとするんだ」スタスタ…
のび太「うっ、うっ、うっ、悔しいよぉ……」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1509382539
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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 01:57:36.40 ID:at7G6WaPo
<のび太の家>
のび太「ドラえも~ん!」
ドラえもん「ひどいケガだ! 誰にやられたの!?」
のび太「誰って……分かってるくせに」
ドラえもん「だよね……」
のび太「なにか仕返しする道具出してよぉ~!」
ドラえもん「懲らしめたところで、一週間……いや三日もたてば、また君を殴ると思うよ」
のび太「だよね……」
ドラえもん「結局のところ、ジャイアンが変わらないとどうしようもないんだよ」
のび太「……そうだ! だったらジャイアンに変わってもらえばいいんだよ!」
ドラえもん「どういうこと?」
のび太「ドラえも~ん!」
ドラえもん「ひどいケガだ! 誰にやられたの!?」
のび太「誰って……分かってるくせに」
ドラえもん「だよね……」
のび太「なにか仕返しする道具出してよぉ~!」
ドラえもん「懲らしめたところで、一週間……いや三日もたてば、また君を殴ると思うよ」
のび太「だよね……」
ドラえもん「結局のところ、ジャイアンが変わらないとどうしようもないんだよ」
のび太「……そうだ! だったらジャイアンに変わってもらえばいいんだよ!」
ドラえもん「どういうこと?」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 02:00:27.27 ID:at7G6WaPo
のび太「ぼくたちってさ、たまに大冒険するじゃない」
ドラえもん「そうだね。昔の時代に行ったり、宇宙に行ったり……」
のび太「いつも思ってたんだけど、ジャイアンって大冒険の時はすごく男らしいじゃない」
ドラえもん「たしかに……普段の乱暴さはなくなって、理想的なガキ大将になるね」
ドラえもん「自分から危険に飛び込んだり、友達のために命をかけたり……」
のび太「だろう?」
のび太「だから、もしジャイアンをずっとあの状態にできたら……」
ドラえもん「なるほど! そういうことなら……」ゴソゴソ…
ドラえもん「そうだね。昔の時代に行ったり、宇宙に行ったり……」
のび太「いつも思ってたんだけど、ジャイアンって大冒険の時はすごく男らしいじゃない」
ドラえもん「たしかに……普段の乱暴さはなくなって、理想的なガキ大将になるね」
ドラえもん「自分から危険に飛び込んだり、友達のために命をかけたり……」
のび太「だろう?」
のび太「だから、もしジャイアンをずっとあの状態にできたら……」
ドラえもん「なるほど! そういうことなら……」ゴソゴソ…
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 02:04:13.62 ID:at7G6WaPo
ドラえもん「もしもボックス~!」
のび太「もしも、ジャイアンがずっと大冒険の時のような性格になったら!」
ジリリリリリ……!
ドラえもん「これで、ジャイアンは大冒険の時みたいな性格になったはずだよ」
のび太「行ってきま~す!」
のび太「もしも、ジャイアンがずっと大冒険の時のような性格になったら!」
ジリリリリリ……!
ドラえもん「これで、ジャイアンは大冒険の時みたいな性格になったはずだよ」
のび太「行ってきま~す!」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 02:07:16.78 ID:at7G6WaPo
のび太「お、いたいた」
ジャイアン「のび太ぁ!」タタタタタッ
ジャイアン「のび太、さっきはすまなかったな! お前のことを殴っちまって!」
のび太「いやいや、いいんだよ」
ジャイアン「いいや、このままじゃ気がすまねえ! お前も俺のことを殴ってくれ!」
のび太(おお……まさに大冒険の時のジャイアンだ!)
ジャイアン「のび太ぁ!」タタタタタッ
ジャイアン「のび太、さっきはすまなかったな! お前のことを殴っちまって!」
のび太「いやいや、いいんだよ」
ジャイアン「いいや、このままじゃ気がすまねえ! お前も俺のことを殴ってくれ!」
のび太(おお……まさに大冒険の時のジャイアンだ!)
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 02:10:39.93 ID:at7G6WaPo
のび太「分かったよ……じゃあ、えいっ!」ポカッ
ジャイアン「いでで……!」
のび太「これでおあいこ。許してあげるよ」
ジャイアン「ありがとう……のび太! 心の友よぉ~!」ガシッ
のび太「ぐ、ぐるじいよ、ジャイアン……!」
のび太(効果てきめんだ……!)
ジャイアン「いでで……!」
のび太「これでおあいこ。許してあげるよ」
ジャイアン「ありがとう……のび太! 心の友よぉ~!」ガシッ
のび太「ぐ、ぐるじいよ、ジャイアン……!」
のび太(効果てきめんだ……!)
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 02:14:17.01 ID:at7G6WaPo
いじめっ子「よう、いつだったかのモヤシじゃねえか」
のび太「ゲ、隣町のいじめっ子……」
のび太(隣町までおつかいに行った時、からまれたことがある……)
いじめっ子「今日はたまたまこっちに来たんだがよ。ちょっと金貸してくれねえか?」
のび太「お金なんかないよ!」
いじめっ子「なんだとぉ!?」グイッ
のび太「や、やめ……」
ジャイアン「やめろ!!!」
のび太「ゲ、隣町のいじめっ子……」
のび太(隣町までおつかいに行った時、からまれたことがある……)
いじめっ子「今日はたまたまこっちに来たんだがよ。ちょっと金貸してくれねえか?」
のび太「お金なんかないよ!」
いじめっ子「なんだとぉ!?」グイッ
のび太「や、やめ……」
ジャイアン「やめろ!!!」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 02:17:21.01 ID:at7G6WaPo
いじめっ子「なんだお前?」
ジャイアン「のび太の友達だ。のび太をいじめる奴は俺が許さねえ!」
いじめっ子「ケッ、体はでかいがこんなよわっちい奴の友達なら、どうせ弱いんだろ!」
いじめっ子「ちょうどいいや、お前もいじめてやる!」
ドカボカドカッ!
いじめっ子「つ、強い……」ボロッ…
のび太「ありがとう、ジャイアン!」
ジャイアン「のび太、お前のことは俺が守ってやるぜ!」
ジャイアン「のび太の友達だ。のび太をいじめる奴は俺が許さねえ!」
いじめっ子「ケッ、体はでかいがこんなよわっちい奴の友達なら、どうせ弱いんだろ!」
いじめっ子「ちょうどいいや、お前もいじめてやる!」
ドカボカドカッ!
いじめっ子「つ、強い……」ボロッ…
のび太「ありがとう、ジャイアン!」
ジャイアン「のび太、お前のことは俺が守ってやるぜ!」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 02:22:16.44 ID:at7G6WaPo
<学校>
先生「近頃の剛田は、他の子のケンカを止めたり、率先してみんなのリーダーになったり」
先生「素晴らしい!」
ジャイアン「いやぁ、ガキ大将として当然のことしてるだけで……」
スネ夫「このところジャイアンはすっかり変わったよね。何があったんだろ」
しずか「ホント、まるで大冒険してる時の武さんみたい」
のび太(そりゃそうさ。今のジャイアンは大冒険してる時のジャイアンなんだから)
先生「近頃の剛田は、他の子のケンカを止めたり、率先してみんなのリーダーになったり」
先生「素晴らしい!」
ジャイアン「いやぁ、ガキ大将として当然のことしてるだけで……」
スネ夫「このところジャイアンはすっかり変わったよね。何があったんだろ」
しずか「ホント、まるで大冒険してる時の武さんみたい」
のび太(そりゃそうさ。今のジャイアンは大冒険してる時のジャイアンなんだから)
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 02:25:16.77 ID:at7G6WaPo
<空き地>
ジャイアン「野球しようぜ!」
スネ夫「ワーイ!」
のび太「やろうやろう!」
カキーンッ!
少年「ちぇっ、詰まっちゃった」
スネ夫「凡フライだ! のび太、捕れよ!」
のび太「そんなこといわれても……」アワアワ
ボトッ
ジャイアン「野球しようぜ!」
スネ夫「ワーイ!」
のび太「やろうやろう!」
カキーンッ!
少年「ちぇっ、詰まっちゃった」
スネ夫「凡フライだ! のび太、捕れよ!」
のび太「そんなこといわれても……」アワアワ
ボトッ
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 02:28:09.93 ID:at7G6WaPo
少年「ラッキー!」タタタッ
スネ夫「なにやってんだ! エラーしやがって!」
のび太「ごめん……」
ジャイアン「のび太を責めるな!」バッ
スネ夫「ジャ、ジャイアン……」
ジャイアン「今のはフライを打たれた俺の責任でもある!」
ジャイアン「のび太のエラーは俺のエラーだ!」
ジャイアン「のび太を責める者は俺が許さん!」
のび太「ジャ、ジャイアン……」ジーン…
スネ夫「なにやってんだ! エラーしやがって!」
のび太「ごめん……」
ジャイアン「のび太を責めるな!」バッ
スネ夫「ジャ、ジャイアン……」
ジャイアン「今のはフライを打たれた俺の責任でもある!」
ジャイアン「のび太のエラーは俺のエラーだ!」
ジャイアン「のび太を責める者は俺が許さん!」
のび太「ジャ、ジャイアン……」ジーン…
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 02:31:14.24 ID:at7G6WaPo
ジャイアン母「タケシ! 店番はどうしたんだい!?」
ジャイアン「ごめん、母ちゃん! 店番の時間までには帰るつもりだったんだけど」
ジャイアン母「へ……?」
ジャイアン「じゃあ、俺はもう帰るけど……」
ジャイアン「みんな、これからも一致団結してジャイアンズを強くしてこーぜ!」
スネ夫「う、うん!」
のび太「おーっ!」
ジャイアン母「こうも素直だと、なんだか調子が狂うわねえ」
ジャイアン「ごめん、母ちゃん! 店番の時間までには帰るつもりだったんだけど」
ジャイアン母「へ……?」
ジャイアン「じゃあ、俺はもう帰るけど……」
ジャイアン「みんな、これからも一致団結してジャイアンズを強くしてこーぜ!」
スネ夫「う、うん!」
のび太「おーっ!」
ジャイアン母「こうも素直だと、なんだか調子が狂うわねえ」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 02:34:15.72 ID:at7G6WaPo
<のび太の家>
のび太「いやぁ、ジャイアンをあの性格にしてからというもの、全てが順調だよ」
のび太「いじめっ子からは守ってくれるし、野球でもミスをかばってくれるし……」
のび太「ずうっとこのままにしとこう」
ドラえもん「うん、それがいいね」
のび太「いやぁ、ジャイアンをあの性格にしてからというもの、全てが順調だよ」
のび太「いじめっ子からは守ってくれるし、野球でもミスをかばってくれるし……」
のび太「ずうっとこのままにしとこう」
ドラえもん「うん、それがいいね」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 02:37:23.36 ID:at7G6WaPo
ガラッ!
セワシ「ちょっと待った」
ドラえもん&のび太「セワシ君!?」
のび太「どうしてここに……?」
セワシ「おじいちゃん、今すぐあのお友達……ジャイアンさんを元に戻すんだ!」
のび太「へ? どうしてさ?」
のび太「戻さなきゃいけない理由なんかどこにもないじゃない!」
セワシ「ちょっと待った」
ドラえもん&のび太「セワシ君!?」
のび太「どうしてここに……?」
セワシ「おじいちゃん、今すぐあのお友達……ジャイアンさんを元に戻すんだ!」
のび太「へ? どうしてさ?」
のび太「戻さなきゃいけない理由なんかどこにもないじゃない!」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 02:41:19.19 ID:at7G6WaPo
セワシ「よいしょ」ドンッ
ドラえもん「タイムテレビじゃないか」
セワシ「これで、おじいちゃんが大人になった頃を見てみよう」
のび太「え……」
~
ジャイアン『ふぅ、今日も忙しかった』
~
のび太「これは……大人になったジャイアンだね」
セワシ「そう。そして、その結婚相手は……」
ドラえもん「タイムテレビじゃないか」
セワシ「これで、おじいちゃんが大人になった頃を見てみよう」
のび太「え……」
~
ジャイアン『ふぅ、今日も忙しかった』
~
のび太「これは……大人になったジャイアンだね」
セワシ「そう。そして、その結婚相手は……」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 02:44:28.15 ID:at7G6WaPo
~
ジャイアン『しずか、今帰ったよ』
しずか『お帰りなさい、あなた』
~
のび太「なんだってぇ!?」
ドラえもん「ジャイアンがしずちゃんの旦那さん!?」
セワシ「ジャイアンさんの男気は、おばあちゃんにとっても魅力的だったんだよ」
ジャイアン『しずか、今帰ったよ』
しずか『お帰りなさい、あなた』
~
のび太「なんだってぇ!?」
ドラえもん「ジャイアンがしずちゃんの旦那さん!?」
セワシ「ジャイアンさんの男気は、おばあちゃんにとっても魅力的だったんだよ」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 02:47:29.83 ID:at7G6WaPo
セワシ「しかも、大人になったおじいちゃんは――」
~
のび太『ジャイア~ン!』
のび太『悪い借金取りに追われてるんだ! たしゅけてぇ~!』
ジャイアン『大丈夫か、のび太! すぐ助けてやるぞ!』
~
のび太「いい年して泣きべそかいてる」
ドラえもん「これはひどい……」
セワシ「ずっとジャイアンさんに頼りきりだったおじいちゃんは全然成長できず」
セワシ「大人になった後もジャイアンさんに頼ってるんだよ」
~
のび太『ジャイア~ン!』
のび太『悪い借金取りに追われてるんだ! たしゅけてぇ~!』
ジャイアン『大丈夫か、のび太! すぐ助けてやるぞ!』
~
のび太「いい年して泣きべそかいてる」
ドラえもん「これはひどい……」
セワシ「ずっとジャイアンさんに頼りきりだったおじいちゃんは全然成長できず」
セワシ「大人になった後もジャイアンさんに頼ってるんだよ」
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 02:51:09.77 ID:at7G6WaPo
ドラえもん「そうか……」
ドラえもん「ジャイアンの強さと乱暴さはのび太君にとって恐ろしいものであると同時に」
ドラえもん「のび太君の成長に必要なものだったんだ……」
セワシ「そういうこと」
のび太「変わらなきゃいけなかったのはジャイアンだけでなく、ぼくもだったんだね……」
のび太「しかたない……元に戻そう!」
ジリリリリリリ……!
ドラえもん「ジャイアンの強さと乱暴さはのび太君にとって恐ろしいものであると同時に」
ドラえもん「のび太君の成長に必要なものだったんだ……」
セワシ「そういうこと」
のび太「変わらなきゃいけなかったのはジャイアンだけでなく、ぼくもだったんだね……」
のび太「しかたない……元に戻そう!」
ジリリリリリリ……!
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/10/31(火) 02:55:12.99 ID:at7G6WaPo
ジャイアン「のび太! このところいいことしすぎたから、今日は思い切りブン殴ってやる!」
のび太「なにを! 負けないぞ!」
ジャイアン「ほう、のび太のくせに骨のあるとこ見せやがって!」
スネ夫「へえ、ジャイアンが元に戻ったと思ったら、今度はのび太の奴が少し成長したみたい」
しずか「のび太さん、頑張って!」
ドラえもん(頑張れのび太君……ジャイアンを乗り越えて、立派な男になるんだ!)
おわり
のび太「なにを! 負けないぞ!」
ジャイアン「ほう、のび太のくせに骨のあるとこ見せやがって!」
スネ夫「へえ、ジャイアンが元に戻ったと思ったら、今度はのび太の奴が少し成長したみたい」
しずか「のび太さん、頑張って!」
ドラえもん(頑張れのび太君……ジャイアンを乗り越えて、立派な男になるんだ!)
おわり
引用元: ・のび太「もしもジャイアンが常に大長編モードになったら!」
のび太「寝てない自慢をしてみよう!」ドラえもん「ろくなことにならないよ」
2020-08-22
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/20(水) 02:05:27.85 ID:HyqvzBfDo
のび太の家
~テレビ~
司会『すっかり売れっ子になって、近頃はご多忙じゃないんですか?』
タレント『ええ、ここのところは一日3時間ぐらいしか眠れてませんよ~』
玉子「売れっ子のタレントはやっぱり大変なのね~」
玉子「だけど寝てない自慢なんて、面白いもんじゃないわね」
のび太(寝てない自慢……?)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1505840727
~テレビ~
司会『すっかり売れっ子になって、近頃はご多忙じゃないんですか?』
タレント『ええ、ここのところは一日3時間ぐらいしか眠れてませんよ~』
玉子「売れっ子のタレントはやっぱり大変なのね~」
玉子「だけど寝てない自慢なんて、面白いもんじゃないわね」
のび太(寝てない自慢……?)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1505840727
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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/20(水) 02:06:30.28 ID:HyqvzBfDo
のび太「ドラえも~ん!」
ドラえもん「なんだい?」
のび太「寝てない自慢ってなに?」
ドラえもん「そのまんまだよ。自分が眠ってないことを自慢することさ」
のび太「なんで眠ってないことが自慢になるの?」
ドラえもん「うーんと、つまりだね……」
ドラえもん「なんだい?」
のび太「寝てない自慢ってなに?」
ドラえもん「そのまんまだよ。自分が眠ってないことを自慢することさ」
のび太「なんで眠ってないことが自慢になるの?」
ドラえもん「うーんと、つまりだね……」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/20(水) 02:10:25.46 ID:HyqvzBfDo
ドラえもん「寝るってことは、ようするに休息を取るってことだろう?」
のび太「うん」
ドラえもん「その休息を満足に取れてないってことは、自分はこんなに忙しいんだってことを」
ドラえもん「自慢することにつながるじゃない」
のび太「そうか! テレビに出てた人もそんなこといってた!」
ドラえもん「それに、眠れない他の原因としては、体調不良や心の不安などが挙げられる」
ドラえもん「そういった、自分は今つらいんだ、ということをアピールすることもできるからね」
のび太「なるほど~!」
のび太「うん」
ドラえもん「その休息を満足に取れてないってことは、自分はこんなに忙しいんだってことを」
ドラえもん「自慢することにつながるじゃない」
のび太「そうか! テレビに出てた人もそんなこといってた!」
ドラえもん「それに、眠れない他の原因としては、体調不良や心の不安などが挙げられる」
ドラえもん「そういった、自分は今つらいんだ、ということをアピールすることもできるからね」
のび太「なるほど~!」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/20(水) 02:13:25.63 ID:HyqvzBfDo
のび太「よし決めた!」
ドラえもん「へ?」
のび太「ぼく、明日学校で寝てない自慢をしてみる!」
のび太「いつもぼくは他人に自慢されてばかりいるから、たまには自慢してやらなきゃ!」
ドラえもん「え~……やめた方がいいと思うけど。きっとろくなことにならないよ」
のび太「いや、やる!」
ドラえもん(またバカなことを……)
ドラえもん(寝てない自慢なんて、みんなからうっとうしがられるだけだろうに……)
ドラえもん「へ?」
のび太「ぼく、明日学校で寝てない自慢をしてみる!」
のび太「いつもぼくは他人に自慢されてばかりいるから、たまには自慢してやらなきゃ!」
ドラえもん「え~……やめた方がいいと思うけど。きっとろくなことにならないよ」
のび太「いや、やる!」
ドラえもん(またバカなことを……)
ドラえもん(寝てない自慢なんて、みんなからうっとうしがられるだけだろうに……)
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/20(水) 02:15:29.18 ID:HyqvzBfDo
学校
のび太「みんな、おはよう!」
しずか「おはよう、のび太さん」
ジャイアン「おっす!」
スネ夫「今日は珍しく遅刻してこなかったのか。雨でも降るんじゃないの? いや雪かもね」
のび太「ふあぁ……」
ジャイアン「おいおい、朝からいきなりあくびかよ」
スネ夫「アハハ、のび太らしいや!」
のび太「うん、実はね……」
のび太「みんな、おはよう!」
しずか「おはよう、のび太さん」
ジャイアン「おっす!」
スネ夫「今日は珍しく遅刻してこなかったのか。雨でも降るんじゃないの? いや雪かもね」
のび太「ふあぁ……」
ジャイアン「おいおい、朝からいきなりあくびかよ」
スネ夫「アハハ、のび太らしいや!」
のび太「うん、実はね……」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/20(水) 02:18:30.73 ID:HyqvzBfDo
のび太「昨日はあまり眠れなかったんだ」
しずか「えぇぇっ!」
ジャイアン「のび太が……あののび太が……っ!」
スネ夫「眠れなかっただって!?」
三人「そんなバカな!!!」
のび太「!?」ギョッ
しずか「えぇぇっ!」
ジャイアン「のび太が……あののび太が……っ!」
スネ夫「眠れなかっただって!?」
三人「そんなバカな!!!」
のび太「!?」ギョッ
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/20(水) 02:20:32.97 ID:HyqvzBfDo
ジャイアン「のび太が眠れないだなんてありえねえ! 母ちゃんが優しくなるくらいありえねえ!」
ジャイアン「ま、まさか……オレのせいか?」
のび太「え?」
ジャイアン「オレが殴ったりしたせいで、眠れなくなっちまったのか?」
ジャイアン「ごめんよぉ……許してくれぇっ!」
ジャイアン「うわぁぁぁぁぁっ!!!」ガバッ
のび太「ちょ、ちょっとジャイアン! 落ち着いて……」
ジャイアン「ま、まさか……オレのせいか?」
のび太「え?」
ジャイアン「オレが殴ったりしたせいで、眠れなくなっちまったのか?」
ジャイアン「ごめんよぉ……許してくれぇっ!」
ジャイアン「うわぁぁぁぁぁっ!!!」ガバッ
のび太「ちょ、ちょっとジャイアン! 落ち着いて……」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/20(水) 02:22:55.98 ID:HyqvzBfDo
スネ夫「いいや、ぼくのせいだ!」
スネ夫「ぼくが日頃、自慢話を聞かせたり、旅行に誘わなかったせいで」
スネ夫「のび太の精神はついに異常をきたし、眠れなくなってしまったんだ!」
スネ夫「のび太、あとでぼくのオモチャを全部やるよ!」
のび太「いや、いきなりそんなことされても困るよ!」
スネ夫「そうだな、このくらいでぼくの罪が消えるわけはない」
スネ夫「罪を償うために、窓から飛び降りるしかない……!」
のび太「わーっ、待った待った!」
スネ夫「ぼくが日頃、自慢話を聞かせたり、旅行に誘わなかったせいで」
スネ夫「のび太の精神はついに異常をきたし、眠れなくなってしまったんだ!」
スネ夫「のび太、あとでぼくのオモチャを全部やるよ!」
のび太「いや、いきなりそんなことされても困るよ!」
スネ夫「そうだな、このくらいでぼくの罪が消えるわけはない」
スネ夫「罪を償うために、窓から飛び降りるしかない……!」
のび太「わーっ、待った待った!」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/20(水) 02:26:26.36 ID:HyqvzBfDo
しずか「のび太さん!」
のび太「はい!」
しずか「どうして……どうしていってくれなかったの……?」
しずか「あたし、のび太さんがそこまで思い詰めてるなんて知らなかった……」
しずか「のび太さんが眠れないだなんて、よっぽどのことだもの……」
のび太「あ、あのね……これはね……」
しずか「う、う、う……」ガクッ
のび太(どうしよう、泣き止みそうにないぞ……)
のび太「はい!」
しずか「どうして……どうしていってくれなかったの……?」
しずか「あたし、のび太さんがそこまで思い詰めてるなんて知らなかった……」
しずか「のび太さんが眠れないだなんて、よっぽどのことだもの……」
のび太「あ、あのね……これはね……」
しずか「う、う、う……」ガクッ
のび太(どうしよう、泣き止みそうにないぞ……)
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/20(水) 02:28:58.69 ID:HyqvzBfDo
出木杉「みんな、大騒ぎしてどうしたんだい?」
出木杉「野比君になにかあったのかい?」
ジャイアン「出木杉!」
スネ夫「実は……」
しずか「のび太さんが昨夜、眠れなかったんですって!」
出木杉「な、なんだって!?」
出木杉「野比君になにかあったのかい?」
ジャイアン「出木杉!」
スネ夫「実は……」
しずか「のび太さんが昨夜、眠れなかったんですって!」
出木杉「な、なんだって!?」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/20(水) 02:31:10.44 ID:HyqvzBfDo
出木杉「たしかに普通の人にとって、“眠れない”ってことはよくあることだけど……」
出木杉「野比君の睡眠好きはぼくもよく知ってる」
出木杉「野比君が寝てない眠れないなんて、科学的にもまずほとんどありえないことだ!」
しずか「でしょう!?」
スネ夫「さすが出木杉!」
ジャイアン「頼む、のび太を助けてやってくれよ!」
出木杉「ううん、市販されてる睡眠薬で一番強力なものを探すしか……でも、副作用が……」
ワイワイ…
のび太(なんだかとんでもないことになってきたぞ……)
出木杉「野比君の睡眠好きはぼくもよく知ってる」
出木杉「野比君が寝てない眠れないなんて、科学的にもまずほとんどありえないことだ!」
しずか「でしょう!?」
スネ夫「さすが出木杉!」
ジャイアン「頼む、のび太を助けてやってくれよ!」
出木杉「ううん、市販されてる睡眠薬で一番強力なものを探すしか……でも、副作用が……」
ワイワイ…
のび太(なんだかとんでもないことになってきたぞ……)
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/20(水) 02:33:10.61 ID:HyqvzBfDo
先生「どうしたんだ、もう授業が始まるぞ。みんな、席につきなさい」
ジャイアン「それどころじゃないんですよ!」
先生「?」
出木杉「先生、野比君が昨夜眠れなかったらしいんです」
先生「なんだとぉ!?」
先生「いったいどうしてそんなことに……!?」
ジャイアン「それどころじゃないんですよ!」
先生「?」
出木杉「先生、野比君が昨夜眠れなかったらしいんです」
先生「なんだとぉ!?」
先生「いったいどうしてそんなことに……!?」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/20(水) 02:38:13.21 ID:HyqvzBfDo
先生「野比、すまん!」
先生「私がガミガミ怒りすぎたせいで、重度のノイローゼに陥ってしまったのか!」
先生「すまん、許してくれぇ! いや、今すぐご両親に謝罪して、退職願を……」
のび太「いや、あの……」
しずか「のび太さん……お願い、死なないで……」シクシク…
スネ夫「やっぱり飛び降りるぅ!」
ジャイアン「うわぁぁぁん! オレはどうすればいいんだぁぁぁ! 教えてくれジャイ子ぉぉぉ!」
出木杉「野比君の睡眠を阻害する脳内物質の正体さえ分かれば……」
のび太「みんな、いい加減にしてよ! なんでもないんだったらぁ!!!」
先生「私がガミガミ怒りすぎたせいで、重度のノイローゼに陥ってしまったのか!」
先生「すまん、許してくれぇ! いや、今すぐご両親に謝罪して、退職願を……」
のび太「いや、あの……」
しずか「のび太さん……お願い、死なないで……」シクシク…
スネ夫「やっぱり飛び降りるぅ!」
ジャイアン「うわぁぁぁん! オレはどうすればいいんだぁぁぁ! 教えてくれジャイ子ぉぉぉ!」
出木杉「野比君の睡眠を阻害する脳内物質の正体さえ分かれば……」
のび太「みんな、いい加減にしてよ! なんでもないんだったらぁ!!!」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/09/20(水) 02:40:04.20 ID:HyqvzBfDo
のび太の家
のび太「ただいまー……」
ドラえもん「お帰り」
ドラえもん「そういえば寝てない自慢をしたんでしょ? どうだった?」
のび太「うん……ろくなことにならなかったよ」
ドラえもん「ほーら、やっぱりね」
おわり
のび太「ただいまー……」
ドラえもん「お帰り」
ドラえもん「そういえば寝てない自慢をしたんでしょ? どうだった?」
のび太「うん……ろくなことにならなかったよ」
ドラえもん「ほーら、やっぱりね」
おわり
引用元: ・のび太「寝てない自慢をしてみよう!」ドラえもん「ろくなことにならないよ」
のび太「ドラえも~ん! また剛田と骨川にいじめられたよ~!」
2020-08-09
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 17:12:21.23 ID:V1t8NjUAo
のび太の家――
ドラえもん「のどかな昼下がりに食べるドラ焼きは格別だなぁ」モグモグ
ドラえもん「だけど、こういう時にかぎって……」
のび太「ドラえも~ん!」
ドラえもん「ほらきた!」
のび太「また剛田と骨川にいじめられたよ~!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1503130340
ドラえもん「のどかな昼下がりに食べるドラ焼きは格別だなぁ」モグモグ
ドラえもん「だけど、こういう時にかぎって……」
のび太「ドラえも~ん!」
ドラえもん「ほらきた!」
のび太「また剛田と骨川にいじめられたよ~!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1503130340
関連
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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 17:16:18.91 ID:V1t8NjUAo
ドラえもん「いじめられた? どういう風に?」
のび太「まず、骨川にはぼくが持ってたプラモデルのロボットを幼稚だってバカにされて」
のび太「あいつの持ってる高級プラモデルを自慢されて……」
ドラえもん「ふむふむ」
のび太「剛田には今日は母ちゃんに叱られてイライラしてるから殴らせろって殴られたんだよ!」
のび太「見てよ、このたんこぶ!」
ドラえもん「なるほど」
のび太「まず、骨川にはぼくが持ってたプラモデルのロボットを幼稚だってバカにされて」
のび太「あいつの持ってる高級プラモデルを自慢されて……」
ドラえもん「ふむふむ」
のび太「剛田には今日は母ちゃんに叱られてイライラしてるから殴らせろって殴られたんだよ!」
のび太「見てよ、このたんこぶ!」
ドラえもん「なるほど」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 17:18:56.09 ID:V1t8NjUAo
ドラえもん「だったら……」ゴソゴソ…
ドラえもん「22世紀のプラモデル~!」
のび太「おおっ!」
ドラえもん「22世紀で一番流行ってるロボットアニメのプラモデルだよ」
ドラえもん「自分で組み立てるのが面倒な人のために、自動で完成する機能もついてる」ポチッ
ガシャガシャガシャッ
ロボット『……』シャキーン
のび太「わぁっ、かっこいい!」
ロボット『ヨロシク、野比君』
ドラえもん「しかもしゃべるんだ」
のび太「これならスネ夫のプラモデルなんかに絶対負けないよ!」
ドラえもん「22世紀のプラモデル~!」
のび太「おおっ!」
ドラえもん「22世紀で一番流行ってるロボットアニメのプラモデルだよ」
ドラえもん「自分で組み立てるのが面倒な人のために、自動で完成する機能もついてる」ポチッ
ガシャガシャガシャッ
ロボット『……』シャキーン
のび太「わぁっ、かっこいい!」
ロボット『ヨロシク、野比君』
ドラえもん「しかもしゃべるんだ」
のび太「これならスネ夫のプラモデルなんかに絶対負けないよ!」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 17:23:28.11 ID:V1t8NjUAo
ドラえもん「それと剛田には……」ゴソゴソ…
ドラえもん「スーパー手袋~!」
のび太「はめるとものすごいパワーがつく手袋だね」
ドラえもん「そのとおり」
ドラえもん「これをはめれば、剛田なんかには負けないでしょ」
のび太「ありがとう、ドラえもん!」
ドラえもん(やれやれ……ぼくはいつも野比君に甘いなぁ)
ドラえもん「スーパー手袋~!」
のび太「はめるとものすごいパワーがつく手袋だね」
ドラえもん「そのとおり」
ドラえもん「これをはめれば、剛田なんかには負けないでしょ」
のび太「ありがとう、ドラえもん!」
ドラえもん(やれやれ……ぼくはいつも野比君に甘いなぁ)
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 17:26:07.06 ID:V1t8NjUAo
空き地――
のび太「やい、骨川!」
スネ夫「……ん。なんだ、野比か」
スネ夫「さっきあれだけお前のプラモが、いかに幼稚か思い知らせてやったのに、また来たのか」
のび太「ふん、今度のプラモは一味ちがうぞ!」
スネ夫「なんだと!?」
のび太「やい、骨川!」
スネ夫「……ん。なんだ、野比か」
スネ夫「さっきあれだけお前のプラモが、いかに幼稚か思い知らせてやったのに、また来たのか」
のび太「ふん、今度のプラモは一味ちがうぞ!」
スネ夫「なんだと!?」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 17:29:09.12 ID:V1t8NjUAo
のび太「どうだ!」サッ
スネ夫「な!?」
スネ夫(なんてリアルなロボットプラモだ……こんなの見たことない!)
のび太「しかもしゃべるんだぞ!」
ロボット『コンニチハ、骨川君』
のび太「いくら骨川でもこんなの持ってないだろう?」
スネ夫「ぐ、ぐ、ぐ……!」
スネ夫「な!?」
スネ夫(なんてリアルなロボットプラモだ……こんなの見たことない!)
のび太「しかもしゃべるんだぞ!」
ロボット『コンニチハ、骨川君』
のび太「いくら骨川でもこんなの持ってないだろう?」
スネ夫「ぐ、ぐ、ぐ……!」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 17:34:35.57 ID:V1t8NjUAo
スネ夫「こんなもの!」グシャッ
のび太「あっ、ひどい! 骨川、なんてことするんだよ!」
スネ夫「ふん、野比のくせにこんなプラモ持ってくるから悪いんだ! ……ん!?」
ムクムクムク…
ロボット『無駄デスヨ』
スネ夫「うわぁぁぁっ!?」
のび太「さすが! 自分で自分を修理する機能もついてるんだ!」
スネ夫「ち、ちくしょう……!」
のび太「あ、逃げるんなら剛田を呼んできてよ。あいつにも仕返ししたいからさ」
スネ夫「後悔するなよ!」
のび太「あっ、ひどい! 骨川、なんてことするんだよ!」
スネ夫「ふん、野比のくせにこんなプラモ持ってくるから悪いんだ! ……ん!?」
ムクムクムク…
ロボット『無駄デスヨ』
スネ夫「うわぁぁぁっ!?」
のび太「さすが! 自分で自分を修理する機能もついてるんだ!」
スネ夫「ち、ちくしょう……!」
のび太「あ、逃げるんなら剛田を呼んできてよ。あいつにも仕返ししたいからさ」
スネ夫「後悔するなよ!」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 17:38:07.42 ID:V1t8NjUAo
タタタタタッ
スネ夫「こっちだよ、剛田!」
ジャイアン「野比……!」
のび太「来たな、剛田!」
ジャイアン「お前、俺様に仕返しをしたいんだってぇ?」
のび太「そのとおり! 剛田なんかギタギタのメタメタにしてあげるよ!」
ジャイアン「なんだとぉ~!?」
スネ夫「やっつけちゃってよ、剛田!」
ジャイアン「骨川、お前にいわれなくてもやってやらぁ!!!」
スネ夫「こっちだよ、剛田!」
ジャイアン「野比……!」
のび太「来たな、剛田!」
ジャイアン「お前、俺様に仕返しをしたいんだってぇ?」
のび太「そのとおり! 剛田なんかギタギタのメタメタにしてあげるよ!」
ジャイアン「なんだとぉ~!?」
スネ夫「やっつけちゃってよ、剛田!」
ジャイアン「骨川、お前にいわれなくてもやってやらぁ!!!」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 17:40:45.67 ID:V1t8NjUAo
ジャイアン「うおおおおおおっ!!!」ドドドドドッ
のび太「このスーパー手袋をはめて、と……」スッ
ジャイアン「どりゃあ!」
のび太「ふっ」パシッ
ジャイアン「なにい!? 俺様のパンチを受け止めやがっただと!?」
のび太「今度はこっちの番だ!」
ボカッ!
ジャイアン「うぎゃあああああっ!」ドサッ
のび太「このスーパー手袋をはめて、と……」スッ
ジャイアン「どりゃあ!」
のび太「ふっ」パシッ
ジャイアン「なにい!? 俺様のパンチを受け止めやがっただと!?」
のび太「今度はこっちの番だ!」
ボカッ!
ジャイアン「うぎゃあああああっ!」ドサッ
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 17:45:16.14 ID:V1t8NjUAo
ジャイアン「むぎゅう……」
スネ夫「ご、剛田!」
のび太「アッハッハ、どんなもんだい!」
ジャイアン「このヤロ~! 野比のくせに……!」ムクッ
のび太「お、まだやる気?」
ジャイアン「当然だ! ぶっ飛ばしてやらぁ!」
「やめてっ!!!」
スネ夫「ご、剛田!」
のび太「アッハッハ、どんなもんだい!」
ジャイアン「このヤロ~! 野比のくせに……!」ムクッ
のび太「お、まだやる気?」
ジャイアン「当然だ! ぶっ飛ばしてやらぁ!」
「やめてっ!!!」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 17:48:55.27 ID:V1t8NjUAo
しずか「野比さんも、剛田さんも、骨川さんも、みんなやめて!」
のび太「源ちゃん……」
ジャイアン「源ちゃん……」
スネ夫「源ちゃん……」
しずか「もうケンカはやめて、わたしの家でクッキーでも食べましょ!」
三人「食べる食べるぅ!」
のび太「源ちゃん……」
ジャイアン「源ちゃん……」
スネ夫「源ちゃん……」
しずか「もうケンカはやめて、わたしの家でクッキーでも食べましょ!」
三人「食べる食べるぅ!」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 17:55:55.51 ID:V1t8NjUAo
しずかの家――
パクパク… モグモグ…
のび太「源ちゃんのクッキーはおいしいなぁ!」
スネ夫「ホントホント! 一流のお菓子職人にも負けてないよ!」
ジャイアン「うめえ~!」
しずか「みんな、おいしく食べてくれてよかったわ」
のび太「骨川、剛田……さっきはごめん」
スネ夫「いや、ぼくの方こそ……悪かった」
ジャイアン「俺も大人げなかったぜ」
のび太「仲直りしよう!」
スネ夫「うん!」
ジャイアン「おう!」
しずか(三人が仲直りしてくれてよかったわ……)
パクパク… モグモグ…
のび太「源ちゃんのクッキーはおいしいなぁ!」
スネ夫「ホントホント! 一流のお菓子職人にも負けてないよ!」
ジャイアン「うめえ~!」
しずか「みんな、おいしく食べてくれてよかったわ」
のび太「骨川、剛田……さっきはごめん」
スネ夫「いや、ぼくの方こそ……悪かった」
ジャイアン「俺も大人げなかったぜ」
のび太「仲直りしよう!」
スネ夫「うん!」
ジャイアン「おう!」
しずか(三人が仲直りしてくれてよかったわ……)
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 17:59:00.64 ID:V1t8NjUAo
のび太の家――
のび太「というわけで、源ちゃんのおかげで仲直りすることができたよ!」
ドラえもん「よかったね!」
のび太「それとさ……」
のび太「というわけで、源ちゃんのおかげで仲直りすることができたよ!」
ドラえもん「よかったね!」
のび太「それとさ……」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/08/19(土) 18:03:51.55 ID:V1t8NjUAo
のび太「もしもボックス出してくれない?」
のび太「昨日の夜、『もしも友達同士名字で呼び合うようになったら』ってもしもボックスに頼んだけど」
のび太「そろそろ元に戻そうと思うんだ」
のび太「やっぱりさ、なんかしっくりこないんだよね」
ドラえもん「うん、ぼくも同じ意見だよ」
―おわり―
のび太「昨日の夜、『もしも友達同士名字で呼び合うようになったら』ってもしもボックスに頼んだけど」
のび太「そろそろ元に戻そうと思うんだ」
のび太「やっぱりさ、なんかしっくりこないんだよね」
ドラえもん「うん、ぼくも同じ意見だよ」
―おわり―
引用元: ・のび太「ドラえも~ん! また剛田と骨川にいじめられたよ~!」
のび太「金で解決えも~ん!」
2020-07-29
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 14:56:29.90 ID:m4vPfbXao
金で解決えもん「どうしたんだいのび太くん」
のび太「しずかちゃんが、出木杉と宿題やるんだってよー」
金で解決えもん「のび太くんも一緒にやったらいいじゃないか」
のび太「そ、それが…」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1499493389
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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 14:57:56.96 ID:m4vPfbXao
のび太「ぼくがいると、教えてばっかりで宿題がちっとも進まないからって」
のび太「だからのび太さん御免なさいねって…ウグッ…エグッ…」
金で解決えもん「やれやれ、しょうがないなぁ」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 14:59:01.89 ID:m4vPfbXao
金で解決えもん「10万円~!」テッテレレー
のび太「え?それをどうするの?」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:00:29.51 ID:m4vPfbXao
金で解決えもん「いまからしずかちゃんの所に行って、これを渡して」
金で解決えもん「二人っきりで宿題やろうって言ってごらん?」
のび太「これをしずかちゃんに?」
金で解決えもん「そう。きっと一緒に宿題をやってくれるはずだよ」
のび太「わかった!ありがとう、金で解決えもん!」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:02:09.30 ID:m4vPfbXao
しずかの家
のび太「しずかちゃーん!」
しずか「あら、どうしたののび太さん」
のび太「一緒に宿題やろうよ、二人っきりでさー」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:03:28.56 ID:m4vPfbXao
しずか「のび太さん、さっきも言ったじゃない」
しずか「今日は出木杉さんと…」
のび太「あっ、そうそう」
のび太「これあげるからさ。10万円」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:04:18.25 ID:m4vPfbXao
しずか「…」
しずか「…」サッ
のび太「ねぇねぇ、一緒に宿題やってくれる?」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:06:17.88 ID:m4vPfbXao
しずか「…」ピポパ
しずか「あ、もしもし出木杉さん?」
しずか「悪いけど今日、のび太さんと一緒に宿題やる事にしたの。じゃあね」ピッ
のび太「やったね!さすが金の力だね。ありがとう金で解決えもん!」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:08:10.39 ID:m4vPfbXao
のび太「金で解決えも~ん!」
金で解決えもん「何だいのび太くん」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:09:03.11 ID:m4vPfbXao
のび太「今度のテストで、また0点取っちゃいそうなんだよぉー!」
金で解決えもん「何だ、いつものことじゃないか」
のび太「そ、それが今度0点取ったら、ママが僕を塾に通わすって…」
のび太「朝から晩まで勉強漬けなんて、いやだよー!エグッ…アウッ…」
金で解決えもん「もう、しょうがないなぁのび太くんは」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:10:11.45 ID:m4vPfbXao
金で解決えもん「100万円~!」テッテレレー
のび太「え?どうするのそれ?」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:12:14.77 ID:m4vPfbXao
金で解決えもん「これを、先生に渡せば100点なんて簡単に取れるよ」
のび太「本当に?」
金で解決えもん「ああ。饅頭の箱の底にでも入れてね」
のび太「うわぁ、ありがとう金で解決えもん!」
金で解決えもん「お安い御用さ」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:15:54.93 ID:m4vPfbXao
学校
のび太「先生!いつもお世話になってます。これをどうぞ!」
先生「ん?おお、饅頭か。ありがとうなのび太」
先生「ただし、貰ったからと言って今日のテストの点はオマケせんぞ?」
のび太「やだなー、そんなんじゃありませんってばー」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:17:05.60 ID:m4vPfbXao
次の日
しずか「すごーい!のび太さん100点ですって!」
ジャイアン「マジで?あののび太が?」
スネ夫「明日槍でも降るんじゃないの?」
のび太「そんな、たまたまだよたまたまー」
のび太「やっぱり、先生も人の子だったね!」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:19:09.95 ID:m4vPfbXao
のび太「金で解決えも~ん!」
金で解決えもん「一体何だいのび太くん」
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:20:03.87 ID:m4vPfbXao
のび太「ジャイアンとスネ夫が、ぼくをいじめるんだよぉ~!」
のび太「何か気にくわない事があると、すぐに暴力振るって…」
のび太「それでいつもやられっぱなしで…ヒグッ…グスッ…」
金で解決えもん「やれやれ、しょうがないなぁ」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:21:09.25 ID:m4vPfbXao
金で解決えもん「300万円ー!」テッテレレー
のび太「え?それをどうするの?」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:23:05.16 ID:m4vPfbXao
金で解決えもん「いいかい、耳を…ゴニョゴニョ」
のび太「うん、うん…。なるほどー」
のび太「よーし、これでジャイアンとスネ夫なんて怖くないぞ…イシシ」
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:23:58.40 ID:m4vPfbXao
空き地
ジャイアン「おうのび太、珍しいなお前がオレらに決闘を申し込むなんて」
スネ夫「ヘヘッ、とうとう頭がおかしくなったんじゃないの?」
のび太「よく来たね、ジャイアンにスネ夫」
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:25:15.14 ID:m4vPfbXao
ジャイアン「ギッタンギッタンになる覚悟は出来てるんだろうな?」
スネ夫「そうだぞ。降参するなら今のうちだぞのび太!」
のび太「そんな口をきいてられるのも今だけだぞー」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:27:52.68 ID:m4vPfbXao
のび太「それじゃ、お願いしまーす」
外人達「Sir!yes,sir!」ザッザッ…
ジャイアン「な、何だ何だ?」
スネ夫「な、何だこの外人達」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:28:20.65 ID:m4vPfbXao
のび太「金で雇った外国の傭兵部隊の人たちだよ」
のび太「この人達にとっちゃ、人の命なんて紙切れより軽いんだ」
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:28:58.36 ID:m4vPfbXao
のび太「じゃ、あとはよろしくねー」
傭兵部隊「Yes,sir!」
スネ夫「ママーーーーー!」
ジャイアン「母ちゃーーーーん!」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:41:56.83 ID:m4vPfbXao
のび太「金で解決えも~ん!」
金で解決えもん「何だい。騒々しいなのび太くんは」
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 15:42:33.64 ID:m4vPfbXao
のび太「スネ夫が、スネ夫がぼくだけのけ者にして・・・」
のび太「今度みんなをハワイに招待するって言ってるんだよー!」
のび太「ぼく、口惜しくって…アグッ…エウッ…」
金で解決えもん「何だい、そんな事」
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 21:13:49.56 ID:m4vPfbXao
金で解決えもん「3000万円~!」
のび太「え?それをどうするの?」
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 21:15:04.78 ID:m4vPfbXao
金で解決えもん「これで、のび太くんもたっぷりハワイで遊んできたらいいよ」
金で解決えもん「スネ夫くんよりも、もっとゴ-ジャスにね」
のび太「わぁい、さすが金で解決えもん!」
のび太「よーし、見てろよスネ夫のやつ」
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 21:15:50.03 ID:m4vPfbXao
1週間後
のび太「ただいまー」
金で解決えもん「どうだったハワイは?」
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 21:16:36.30 ID:m4vPfbXao
のび太「うん、最高だったよ!特にスネ夫達が泊まる予定のホテルをぼくが借り切ってさ」
のび太「そしたら、他のホテルは予約がいっぱいで入れなかったみたいで」
のび太「それで結局、スネ夫達野宿しててさ」
のび太「それを、ホテルの最上階から見下ろすのは最高の気分だったなぁ~」
金で解決えもん「そりゃあ、忘れられない思い出になったね。スネ夫くんにとっても」
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 21:19:28.21 ID:m4vPfbXao
のび太「金で解決えも~ん!」
金で解決えもん「今度は何だいのび太くん」
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 21:20:48.58 ID:m4vPfbXao
のび太「スネ夫の、スネ夫の親戚のお兄さんが、新しく車を買ったって…」
のび太「それで、みんなを乗せてあげるって言ってたんだけど」
のび太「スネ夫が、この車は三人乗りだって言ってぼくだけ仲間外れにするんだよぉ~…ウエッ…グフッ…」
金で解決えもん「全くしょうがないなぁ君は」
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 21:21:37.87 ID:m4vPfbXao
金で解決えもん「1億~!」
のび太「え?そ、それをどうするの?」
39: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 21:23:39.42 ID:m4vPfbXao
金で解決えもん「これで、最高のスポーツカーを買えばいい」
のび太「最高のスポーツカー?どんなの?」
金で解決えもん「そうだねぇ、例えば…」
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 21:25:29.58 ID:m4vPfbXao
道路
ブロロロ…プップー
スネ夫「ん?」
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 21:26:07.85 ID:m4vPfbXao
キキッウィ~ン
のび太「やぁスネ夫」
スネ夫「の、のび太!?なんだこのものすごい車は!?」
のび太「ブガッティ・ヴェイロンって言うんだよ」
スネ夫「ブガ…?」
のび太「今、世界で最高峰の一つとされるスポーツカーさ」
スネ夫「はぁ…?」
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 21:29:17.89 ID:m4vPfbXao
のび太「乗せてあげたいのは山々なんだけどさ」
のび太「この車って、ツーシーターだから二人乗りなんだよねー」
のび太「悪いねー。じゃ、出発ー」
金で解決えもん「よしきた」
ブロン、ブロロロ…
スネ夫「…」ポカーン
49: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 23:22:40.90 ID:m4vPfbXao
のび太「金で解決えも~ん!」
金で解決えもん「どうかしたのかいのび太くん」
50: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 23:23:08.44 ID:m4vPfbXao
のび太「ぼくがせっかく買ったラジコンカーを空き地で走らせてたら、ジャイアンが…」
のび太「でっかいラジコン戦車で、踏み潰してペチャンコにしちゃったんだよぉー」
金で解決えもん「キミがこつこつお小遣いを溜めて買ったあれをかい?」
のび太「ジャイアンのラジコン戦車が憎いよぉ…エヒッ…ヒグッ…」
金で解決えもん「もうしょうがないなぁ」、
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 23:23:49.81 ID:m4vPfbXao
金で解決えもん「10億ー!」
のび太「え?そ、それをどうするの?」
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 23:24:39.08 ID:m4vPfbXao
金で解決えもん「決まってるじゃないか。目には目を」
金で解決えもん「歯には歯をだよ」
のび太「どういう事?」
53: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 23:26:00.27 ID:m4vPfbXao
空き地
ジャイアン「おうおう、オレ様のタイガー戦車は最強だ!」
ジャイアン「逆らうヤツは、ペチャンコにしちまうぞー!ガッハッハ…」
ゴゴゴゴ…
ジャイアン「…ハ?」
54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 23:26:54.10 ID:m4vPfbXao
のび太「うわぁ、ジャイアンどいてどいて!」
のび太「まだうまく操縦できないんだ!」
のび太「この10式戦車!」
ゴゴゴゴ…ベキベキ…
55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 23:27:40.22 ID:m4vPfbXao
のび太「ああ、ラジコン踏み潰しちゃったねー」
のび太「ごめんごめん、後で弁償するよー金で解決えもんが。じゃーねー」
ゴゴゴゴ…
ジャイアン「…」ポカーン
56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 23:28:46.36 ID:m4vPfbXao
のび太「金で解決えも~ん!」
金で解決えもん「一体どうしたんだいのび太くん」
58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 23:29:45.73 ID:m4vPfbXao
のび太「100億出して!」
金で解決えもん「なんだなんだ、藪から棒に」
のび太「しずかちゃんがね、将来結婚するなら大金持ちがいいんだって」
のび太「だからね、ならぼくの所においでよって言ったらね」
のび太「のび太さんの所にー?って大笑いされちゃって…。口惜しいよぉ~グフッ…エフッ…」
金で解決えもん「もう、しょうがないなぁ」
59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 23:31:22.26 ID:m4vPfbXao
金で解決えもん「100億ー!」
のび太「わぁい、ありがとう金で解決えもん!」
60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 23:33:29.89 ID:m4vPfbXao
のび太「これをしずかちゃんの所に持っていって見せれば、イチコロだね!」
金で解決えもん「けど、大丈夫かい?一万円札1枚はだいたい1.02gだから」
金で解決えもん「100億円って言ったら、約1トンの重さがあるよ?」
のび太「大丈夫だって!よっこらせっと」
のび太「う、さすがにちょっとだけ重いや…アハハ…」ヨロ…
61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 23:34:36.10 ID:m4vPfbXao
道路
のび太「ま、待っててねしずかちゃん」ヨロヨロ
のび太「今、君のほっぺたを札束ではたきに行くからね…」
のび太「ハァ…ハァ…」ヨロヨロ
のび太「ウッ…」グラ…
62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 23:41:55.03 ID:m4vPfbXao
のび太「ゲブッ…」
ズシーン…
金で解決えもん「おやおや、いくらお金があったとしも」
金で解決えもん「頭の悪さだけは、どうやら解決できなかったみたいですなぁ~」
ホーッホッホッホッホ…
終わり
64: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/08(土) 23:43:44.77 ID:m4vPfbXao
以上になります
読んでくれた方コメントくれた方感謝です
依頼出して来ます
読んでくれた方コメントくれた方感謝です
依頼出して来ます
引用元: ・のび太「金で解決えも~ん!」
ドラえもん「炭酸抜きコーラ~!」のび太「オイオイオイ、死んじゃうよぼく」
2020-07-28
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 20:42:37.65 ID:keg8Cer7o
【空き地】
ボカドカバキッ!
のび太「むぎゅう……」ドサッ
ジャイアン「へっ、どんなもんだい! 俺様に逆らうからだ!」
スネ夫「そうだそうだ!」
ジャイアン「行くぞ、スネ夫!」
スネ夫「うんっ!」
のび太「ううう……ぐやじいよぉ~」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1499341357
ボカドカバキッ!
のび太「むぎゅう……」ドサッ
ジャイアン「へっ、どんなもんだい! 俺様に逆らうからだ!」
スネ夫「そうだそうだ!」
ジャイアン「行くぞ、スネ夫!」
スネ夫「うんっ!」
のび太「ううう……ぐやじいよぉ~」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1499341357
関連
ハルヒ「SOS団で恋の暴露大会をするわよ!」
【朗報】わたてんさん、ケムリクサを超えてガチで覇権へ
【ラブライブサンシャイン】善子「運命の引力」
【悲報】Twitterで3年前に「令和」を予言してたものがいたwwwwwwwww
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 20:44:02.85 ID:keg8Cer7o
【野比家】
のび太「ドラえもぉ~ん!」
ドラえもん「ひどいケガして! どうしたんだい!?」
のび太「ジャイアンとスネ夫に……あうう~!」
ドラえもん「よぉし、ぼくが道具で仕返しを――」
のび太「ちょっと待って」
のび太「ドラえもぉ~ん!」
ドラえもん「ひどいケガして! どうしたんだい!?」
のび太「ジャイアンとスネ夫に……あうう~!」
ドラえもん「よぉし、ぼくが道具で仕返しを――」
のび太「ちょっと待って」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 20:46:07.84 ID:keg8Cer7o
のび太「今日という今日は本当に頭にきたから、ぼくの手であいつらをやっつけたいんだ!」
のび太「だから、ぼく自身が強くなれるような道具出してよ!」
ドラえもん「といわれても、今その手の道具は全部修理中で……」
ドラえもん「あ、そうだ! これがあった!」モゾモゾ…
のび太「なになに?」
ドラえもん「炭酸抜きコーラ~!」
のび太「だから、ぼく自身が強くなれるような道具出してよ!」
ドラえもん「といわれても、今その手の道具は全部修理中で……」
ドラえもん「あ、そうだ! これがあった!」モゾモゾ…
のび太「なになに?」
ドラえもん「炭酸抜きコーラ~!」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 20:48:37.38 ID:keg8Cer7o
のび太「オイオイオイ」
のび太「コーラ飲んでジャイアンやスネ夫とケンカしろっての? 死んじゃうよぼく」
ドラえもん「いや、22世紀のスポーツ科学では、ケンカで勝つには」
ドラえもん「ケンカ直前のエネルギー補給が肝心ってことが分かってきてるんだ」
ドラえもん「だからこれをケンカの前に飲めば、君もあの二人に勝てるかもしれない!」
のび太「ふぅ~ん……そこまでいうなら、よく分かんないけどこれもらってくよ」
ドラえもん「行ってらっしゃい」
のび太「コーラ飲んでジャイアンやスネ夫とケンカしろっての? 死んじゃうよぼく」
ドラえもん「いや、22世紀のスポーツ科学では、ケンカで勝つには」
ドラえもん「ケンカ直前のエネルギー補給が肝心ってことが分かってきてるんだ」
ドラえもん「だからこれをケンカの前に飲めば、君もあの二人に勝てるかもしれない!」
のび太「ふぅ~ん……そこまでいうなら、よく分かんないけどこれもらってくよ」
ドラえもん「行ってらっしゃい」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 20:49:55.02 ID:keg8Cer7o
のび太「ねえ、みんな!」
小学生A「なんだよ、のび太?」
小学生B「コーラなんか持って……」
のび太「ジャイアンとスネ夫を見かけたら知らせてくれ」
のび太「ぼくが空き地で待ってるって! 二人ともギタギタにしてやるってね!」
小学生A「わ、分かった!」
小学生B「伝えるけど……どうなっても知らないぞ」
小学生A「なんだよ、のび太?」
小学生B「コーラなんか持って……」
のび太「ジャイアンとスネ夫を見かけたら知らせてくれ」
のび太「ぼくが空き地で待ってるって! 二人ともギタギタにしてやるってね!」
小学生A「わ、分かった!」
小学生B「伝えるけど……どうなっても知らないぞ」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 20:51:55.71 ID:keg8Cer7o
【空き地】
ヒュゥゥゥゥゥ……
のび太「最初に来たのはスネ夫、君だったか」
スネ夫「ふん、お前なんてぼく一人で十分だ。もう一回泣かせてやるよ」
のび太「それはどうかな?」
しずか「のび太さん、大丈夫かしら……」
出木杉「なにか策があるのかもしれない。今は黙って見守ろう」
ヒュゥゥゥゥゥ……
のび太「最初に来たのはスネ夫、君だったか」
スネ夫「ふん、お前なんてぼく一人で十分だ。もう一回泣かせてやるよ」
のび太「それはどうかな?」
しずか「のび太さん、大丈夫かしら……」
出木杉「なにか策があるのかもしれない。今は黙って見守ろう」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 20:53:34.86 ID:keg8Cer7o
のび太「ケンカの前にこれを飲ませてもらうよ」グビグビ
スネ夫「なんだ? ケンカの前にコーラ? のび太らしいや!」
小学生A「オイオイオイ」
小学生B「死ぬわアイツ」
出木杉「へえ、炭酸抜きコーラか……たいしたものだね」
しずか「え!?」
スネ夫「なんだ? ケンカの前にコーラ? のび太らしいや!」
小学生A「オイオイオイ」
小学生B「死ぬわアイツ」
出木杉「へえ、炭酸抜きコーラか……たいしたものだね」
しずか「え!?」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 20:55:55.48 ID:keg8Cer7o
出木杉「炭酸を抜いたコーラはエネルギーの効率はきわめて高いらしく」
出木杉「レース直前に愛飲するマラソンランナーもいるくらいなんだ」
しずか「そうなの!?」
出木杉「それにしてもケンカをする直前なのに、あんなに堂々とコーラを飲めるなんて」
出木杉「野比君の度胸は超人的だというしかないね」
のび太「よし……と――」
スネ夫(なんだってぇ? 炭酸の抜けたコーラってそんなにすごいものだったのか!)
スネ夫(ど、どうしよう……)ビクビク
出木杉「レース直前に愛飲するマラソンランナーもいるくらいなんだ」
しずか「そうなの!?」
出木杉「それにしてもケンカをする直前なのに、あんなに堂々とコーラを飲めるなんて」
出木杉「野比君の度胸は超人的だというしかないね」
のび太「よし……と――」
スネ夫(なんだってぇ? 炭酸の抜けたコーラってそんなにすごいものだったのか!)
スネ夫(ど、どうしよう……)ビクビク
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 20:58:18.04 ID:keg8Cer7o
スネ夫「あわわ……」
のび太「いくぞぉっ!」タタタッ
ボカッ!
スネ夫「ぎゃんっ!」
のび太「どうだ! どうだ! どうだっ!」ポカッポカッポカッ
スネ夫「わっ、まいった! ぼくの負けだぁっ!」
小学生A「すげえ!」
小学生B「のび太がスネ夫に勝った!」
のび太「いくぞぉっ!」タタタッ
ボカッ!
スネ夫「ぎゃんっ!」
のび太「どうだ! どうだ! どうだっ!」ポカッポカッポカッ
スネ夫「わっ、まいった! ぼくの負けだぁっ!」
小学生A「すげえ!」
小学生B「のび太がスネ夫に勝った!」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 21:00:14.33 ID:keg8Cer7o
スネ夫「ち、ちくしょう……こうなったら、ジャイアンを呼んできてやる!」
スネ夫「覚悟しておくんだな、のび太!」タタタッ
のび太「腕を洗ってこい、と伝えといてよ!」
のび太「アッハッハッハッハ!」
のび太(あれ? 腕じゃなくて首だったっけ? ま、どっちでもいいか)
のび太(だけど、相手はあのジャイアンだ……念のためもう一本コーラをもらってこよう)
スネ夫「覚悟しておくんだな、のび太!」タタタッ
のび太「腕を洗ってこい、と伝えといてよ!」
のび太「アッハッハッハッハ!」
のび太(あれ? 腕じゃなくて首だったっけ? ま、どっちでもいいか)
のび太(だけど、相手はあのジャイアンだ……念のためもう一本コーラをもらってこよう)
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 21:02:19.48 ID:keg8Cer7o
【野比家】
のび太「ドラえもん、ぼくスネ夫に勝てたよ!」
ドラえもん「よくやった!」
のび太「だけど次はジャイアンとケンカするんだ。もう一本コーラを出してよ」
ドラえもん「任せとけ!」モゾモゾ…
ドラえもん「はい、コーラ!」サッ
のび太「ありがとう、ドラえもん!」タタタッ
ドラえもん(あれ? 今渡したのは――)
ドラえもん「……あっ、しまった!」
のび太「ドラえもん、ぼくスネ夫に勝てたよ!」
ドラえもん「よくやった!」
のび太「だけど次はジャイアンとケンカするんだ。もう一本コーラを出してよ」
ドラえもん「任せとけ!」モゾモゾ…
ドラえもん「はい、コーラ!」サッ
のび太「ありがとう、ドラえもん!」タタタッ
ドラえもん(あれ? 今渡したのは――)
ドラえもん「……あっ、しまった!」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 21:04:35.24 ID:keg8Cer7o
【空き地】
のび太「来たな、ジャイアン!」
ジャイアン「のび太ぁ~!」
ジャイアン「俺様はスネ夫のようにはいかねえぞ!」パキポキ
スネ夫「頼むよ、ジャイアン!」
のび太「まず、ケンカの前にコーラを飲ませてもらうよ」グビグビ
しずか「どうかしら?」
出木杉「いくら炭酸抜きコーラを飲んでも、あの二人じゃ体格差が大きいからね」
出木杉「厳しい戦いになるはずだよ」
のび太「来たな、ジャイアン!」
ジャイアン「のび太ぁ~!」
ジャイアン「俺様はスネ夫のようにはいかねえぞ!」パキポキ
スネ夫「頼むよ、ジャイアン!」
のび太「まず、ケンカの前にコーラを飲ませてもらうよ」グビグビ
しずか「どうかしら?」
出木杉「いくら炭酸抜きコーラを飲んでも、あの二人じゃ体格差が大きいからね」
出木杉「厳しい戦いになるはずだよ」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 21:06:02.73 ID:keg8Cer7o
ドラえもん「まずいことになった!」タタタッ
ドラえもん「さっきのび太君に渡したのはただのコーラなんだ!」タタタッ
ドラえもん「あれをイッキ飲みしちゃったら……」タタタッ
ドラえもん「さっきのび太君に渡したのはただのコーラなんだ!」タタタッ
ドラえもん「あれをイッキ飲みしちゃったら……」タタタッ
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 21:08:01.98 ID:keg8Cer7o
ジャイアン「いくぜぇ!」タタタッ
のび太「……うぷっ」
のび太(コーラを二本も飲んだら、お腹の中がチャプチャプになっちゃったよ……)
のび太(しかも……ゲップが出そうだ! それも特大のやつが!)
のび太(まずいっ! 今ゲップなんか出したら……!)
ゲェェェェェップ
のび太「……うぷっ」
のび太(コーラを二本も飲んだら、お腹の中がチャプチャプになっちゃったよ……)
のび太(しかも……ゲップが出そうだ! それも特大のやつが!)
のび太(まずいっ! 今ゲップなんか出したら……!)
ゲェェェェェップ
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2017/07/06(木) 21:10:23.02 ID:keg8Cer7o
ジャイアン「……」グッショリ…
ジャイアン「ひいいっ! ばっちいよぉ~! 風呂に入らねえと!」タタタタタッ
のび太「あーあ、全部吐いちゃった」ゲフッ
スネ夫「のび太が勝っちゃった……」
しずか「やったわ!」
出木杉「少し汚いけれど、これも立派な勝利だね」
ドラえもん「どうやら……結果オーライだったみたいだな」
~おわり~
ジャイアン「ひいいっ! ばっちいよぉ~! 風呂に入らねえと!」タタタタタッ
のび太「あーあ、全部吐いちゃった」ゲフッ
スネ夫「のび太が勝っちゃった……」
しずか「やったわ!」
出木杉「少し汚いけれど、これも立派な勝利だね」
ドラえもん「どうやら……結果オーライだったみたいだな」
~おわり~
引用元: ・ドラえもん「炭酸抜きコーラ~!」のび太「オイオイオイ、死んじゃうよぼく」
のび太「……ハンター試験?」
2020-04-15
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:16:13.03 ID:JlmZUv+Q0
のび太の家に集まったいつものメンバー5人。
ジャイアンの強引な決定により、宇宙旅行をすることになった。
ドラえもん「しょうがないなぁ、宇宙救命ボート!」
<宇宙救命ボート>
プリン型の宇宙船。
口で条件を伝えれば、それだけで条件を満たした星に連れて行ってくれる。
ドラえもん「どこにいく?」
のび太「面白いとこ」
しずか「私達と容姿が近い人の星がいいわね」
ジャイアン「危険がわんさかある場所に行きたいぞ」
スネ夫「行った事がない星がいいかな」
ドラえもん「えぇと、面白くて住んでる人たちの外見が地球人に近くて
危険があってぼくらが行った事がない星!」
宇宙救命ボートは地球を飛び出し、瞬く間にある惑星に到着した。
ジャイアンの強引な決定により、宇宙旅行をすることになった。
ドラえもん「しょうがないなぁ、宇宙救命ボート!」
<宇宙救命ボート>
プリン型の宇宙船。
口で条件を伝えれば、それだけで条件を満たした星に連れて行ってくれる。
ドラえもん「どこにいく?」
のび太「面白いとこ」
しずか「私達と容姿が近い人の星がいいわね」
ジャイアン「危険がわんさかある場所に行きたいぞ」
スネ夫「行った事がない星がいいかな」
ドラえもん「えぇと、面白くて住んでる人たちの外見が地球人に近くて
危険があってぼくらが行った事がない星!」
宇宙救命ボートは地球を飛び出し、瞬く間にある惑星に到着した。
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3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:16:52.90 ID:JlmZUv+Q0
ドラえもん「よし、ついたよ。念のため、体をテキオー灯を照らして
ほんやくコンニャクを食べとこう」
<テキオー灯>
懐中電灯型の道具。
これで体を照らすと、24時間はどんな環境にも適応する事ができる。
<ほんやくコンニャク>
コンニャク型の道具。
食べるだけで、あらゆる言語に対応できるようになる。
ジャイアン「ようし、みんな俺様についてこい!」
4人「おおー!」
着陸地点は大きな都市の郊外だった。
しずか「ずいぶん地球と似てるわね」
ドラえもん「うん、おそらく文明は地球と同じくらいだね」
ジャイアン「ちぇ、つまんねぇの。もっとバケモノとか出てくる星がよかったぜ」
スネ夫「ホッ……(よかった、どうやら平和な星らしいな)」
のび太「とりあえず、あの大きな街に行ってみようよ」
ほんやくコンニャクを食べとこう」
<テキオー灯>
懐中電灯型の道具。
これで体を照らすと、24時間はどんな環境にも適応する事ができる。
<ほんやくコンニャク>
コンニャク型の道具。
食べるだけで、あらゆる言語に対応できるようになる。
ジャイアン「ようし、みんな俺様についてこい!」
4人「おおー!」
着陸地点は大きな都市の郊外だった。
しずか「ずいぶん地球と似てるわね」
ドラえもん「うん、おそらく文明は地球と同じくらいだね」
ジャイアン「ちぇ、つまんねぇの。もっとバケモノとか出てくる星がよかったぜ」
スネ夫「ホッ……(よかった、どうやら平和な星らしいな)」
のび太「とりあえず、あの大きな街に行ってみようよ」
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:17:46.90 ID:JlmZUv+Q0
ドラえもん「この街はザバン市っていうみたいだ」
五人はしばらくザバン市を観光した。
しかし、これまで体験した星と違い、文化も非常に似通っていたため
さほど大きな驚きには出会えなかった。
ツバシ町というところの大きなビルに差しかかった時、
ジャイアンがぼやく。
ジャイアン「あーあ、つまんねー。大きいけどふっつーな街だな。
おいドラえもん、腹減っちまったし、メシ食ったら他の星いこーぜ」
スネ夫「うん、もっと面白い星に行こうよ。
こう地球と似てると海外旅行とあまり変わらないよ」
のび太「ぼくもお腹へった……」
ドラえもん「……んもう。じゃあグルメテーブルかけで──」
ジャイアン「お、あそこに定食屋があるぜ。行くぞ、スネ夫!」
五人はしばらくザバン市を観光した。
しかし、これまで体験した星と違い、文化も非常に似通っていたため
さほど大きな驚きには出会えなかった。
ツバシ町というところの大きなビルに差しかかった時、
ジャイアンがぼやく。
ジャイアン「あーあ、つまんねー。大きいけどふっつーな街だな。
おいドラえもん、腹減っちまったし、メシ食ったら他の星いこーぜ」
スネ夫「うん、もっと面白い星に行こうよ。
こう地球と似てると海外旅行とあまり変わらないよ」
のび太「ぼくもお腹へった……」
ドラえもん「……んもう。じゃあグルメテーブルかけで──」
ジャイアン「お、あそこに定食屋があるぜ。行くぞ、スネ夫!」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:18:34.80 ID:JlmZUv+Q0
スネ夫「えぇ~、もっとぼくに相応しい高級なレストランの方が」
ゲンコツ。
ジャイアン「行くぞ」
スネ夫「わ、分かったよ。トホホ……」
ドラえもん「ちょっと待ってよ、この星のお金なんか持ってないのに」
しずか「あぁ、入っちゃったわ……」
のび太「ぼくらも入ろうよ、しずちゃん。ドラえもんがなんとかしてくれるよ」
ドラえもん(逃げる道具を探しておくか)
5人に店主が尋ねる。
店主「いらっしぇーい! ご注文は?」
ジャイアン「(肉がいいな)ステーキ定食!」
店主「──焼き方は?」
のび太「(あまり焦げたのは嫌だな)弱火でじっくりで」
ゲンコツ。
ジャイアン「行くぞ」
スネ夫「わ、分かったよ。トホホ……」
ドラえもん「ちょっと待ってよ、この星のお金なんか持ってないのに」
しずか「あぁ、入っちゃったわ……」
のび太「ぼくらも入ろうよ、しずちゃん。ドラえもんがなんとかしてくれるよ」
ドラえもん(逃げる道具を探しておくか)
5人に店主が尋ねる。
店主「いらっしぇーい! ご注文は?」
ジャイアン「(肉がいいな)ステーキ定食!」
店主「──焼き方は?」
のび太「(あまり焦げたのは嫌だな)弱火でじっくりで」
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:19:09.52 ID:JlmZUv+Q0
店員「お客さん、奥の部屋へどうぞー!」
ジャイアン「お、なんか特別扱いみたいだぞ」
のび太「やったあ!」
店主「ん? ちょっと待ちな、お前たちは申し込みをしてなかったな」
のび太「え?」
しずか「もしかして予約制の定食屋なんじゃないかしら」
ジャイアン「何とかしろよ、ドラえもん!」
ドラえもん「(ムチャクチャな……)ソノウソホント~!」
<ソノウソホント>
クチバシ型の道具。
これをつけてしゃべると、どんなウソでも本当になる。
ドラえもん「ぼくたち全員、ちゃんと申し込みしてます」
店主「あ、そういやそうだった。すまんすまん」
ジャイアン「お、なんか特別扱いみたいだぞ」
のび太「やったあ!」
店主「ん? ちょっと待ちな、お前たちは申し込みをしてなかったな」
のび太「え?」
しずか「もしかして予約制の定食屋なんじゃないかしら」
ジャイアン「何とかしろよ、ドラえもん!」
ドラえもん「(ムチャクチャな……)ソノウソホント~!」
<ソノウソホント>
クチバシ型の道具。
これをつけてしゃべると、どんなウソでも本当になる。
ドラえもん「ぼくたち全員、ちゃんと申し込みしてます」
店主「あ、そういやそうだった。すまんすまん」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:19:52.41 ID:JlmZUv+Q0
5人は奥の部屋へ連れて行かれた。
中にはジュージューと音を立てて焼ける肉があった。
ドアが閉まる際、5人は店員から人数分のプレートを手渡された。
ドラえもん「406、407……? 410まで5人分ある。なんだこれ」
スネ夫「クジかなんかの番号でしょ。キャンペーンでもやってるんだよ」
ジャイアン「どうでもいいよ、んなもん。さっさと食べようぜ」
のび太「いっただきまぁす」
しずか(できれば野菜の方がよかったわ、太っちゃう)
すると、5人はふわりと宙に浮く感覚に襲われた。
のび太「ん、なんかこの部屋動いてない?」
スネ夫「あそこ見てよ! 数字が動いてる、この部屋はエレベータなんだ!」
ジャイアン「なんだとぉ!?」
中にはジュージューと音を立てて焼ける肉があった。
ドアが閉まる際、5人は店員から人数分のプレートを手渡された。
ドラえもん「406、407……? 410まで5人分ある。なんだこれ」
スネ夫「クジかなんかの番号でしょ。キャンペーンでもやってるんだよ」
ジャイアン「どうでもいいよ、んなもん。さっさと食べようぜ」
のび太「いっただきまぁす」
しずか(できれば野菜の方がよかったわ、太っちゃう)
すると、5人はふわりと宙に浮く感覚に襲われた。
のび太「ん、なんかこの部屋動いてない?」
スネ夫「あそこ見てよ! 数字が動いてる、この部屋はエレベータなんだ!」
ジャイアン「なんだとぉ!?」
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:20:28.08 ID:JlmZUv+Q0
表示されている数字は、部屋が地下へ地下へ潜っている事を示している。
スネ夫「げぇ、B49、50、51、52……。止まる気配がないよ!
このままぼくら、地中に埋められちゃうんじゃないの!?」
しずか「私たち、異星人だってバレて、捕まったのかしら……」
ドラえもん「ぼくらはテキオー灯を浴びてるからたとえ星の中心に行っても
大丈夫だけど……いざとなったら脱出しよう!」
ジャイアン「だらしないな、お前ら。俺たちはこういう冒険を待っていたんだろ!?」
のび太「そうさ、どんな困難があってもぼくらなら大丈夫さ!」
スネ夫(ジャイアンはともかくのび太まで、らしくなく頼もしいこといっちゃって……)
まもなくB100でエレベーターは止まった。
スネ夫「げぇ、B49、50、51、52……。止まる気配がないよ!
このままぼくら、地中に埋められちゃうんじゃないの!?」
しずか「私たち、異星人だってバレて、捕まったのかしら……」
ドラえもん「ぼくらはテキオー灯を浴びてるからたとえ星の中心に行っても
大丈夫だけど……いざとなったら脱出しよう!」
ジャイアン「だらしないな、お前ら。俺たちはこういう冒険を待っていたんだろ!?」
のび太「そうさ、どんな困難があってもぼくらなら大丈夫さ!」
スネ夫(ジャイアンはともかくのび太まで、らしくなく頼もしいこといっちゃって……)
まもなくB100でエレベーターは止まった。
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:21:25.08 ID:JlmZUv+Q0
ドアが開くと、薄暗い地下道に大勢がたむろしていた。ざっと数百人はいる。
その数百の視線が、一斉に5人に向かう。
ドラえもん(なんだここは!?)
のび太(うわ、おっかなそうな人ばっかり……)
しずか(なんの集まりなのかしら?)
スネ夫(ひぃ~~ママぁ~~)
ジャイアン(なんだか面白そうなことになってきやがったぜ!)
スネ夫「ねぇ逃げ──」
ジャイアン「冒険はこうでなくっちゃ! なぁ、みんな?」
のび太「(怖いけど、しずちゃんの前だし)うん!」
しずか「さっきのプレート、みんな胸につけてるわね。私たちもつけましょう」
406.剛田武。
407.骨川スネ夫。
408.源静香。
409.ドラえもん。
410.野比のび太。
その数百の視線が、一斉に5人に向かう。
ドラえもん(なんだここは!?)
のび太(うわ、おっかなそうな人ばっかり……)
しずか(なんの集まりなのかしら?)
スネ夫(ひぃ~~ママぁ~~)
ジャイアン(なんだか面白そうなことになってきやがったぜ!)
スネ夫「ねぇ逃げ──」
ジャイアン「冒険はこうでなくっちゃ! なぁ、みんな?」
のび太「(怖いけど、しずちゃんの前だし)うん!」
しずか「さっきのプレート、みんな胸につけてるわね。私たちもつけましょう」
406.剛田武。
407.骨川スネ夫。
408.源静香。
409.ドラえもん。
410.野比のび太。
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:22:32.84 ID:JlmZUv+Q0
しずか「ドラちゃん、この番号は多分──」
ドラえもん「うん、おそらく来た順に渡されてるんだろうね。
つまりここにはぼくらを含めて410人いるんだろう」
トンパ「よう、君たちハンター試験は初めてだね?」
のび太「……ハンター試験?」
ジャイアン「なんだよおっさん」
トンパ「俺はトンパっていうんだ。10歳から35回ハンター試験を受けてるベテランさ」
のび太「つまりおじさんは、25歳か」
ジャイアン「違うぞのび太、55歳だぞ」
トンパ(なんだこのバガガキどもは……)
ドラえもん「うん、おそらく来た順に渡されてるんだろうね。
つまりここにはぼくらを含めて410人いるんだろう」
トンパ「よう、君たちハンター試験は初めてだね?」
のび太「……ハンター試験?」
ジャイアン「なんだよおっさん」
トンパ「俺はトンパっていうんだ。10歳から35回ハンター試験を受けてるベテランさ」
のび太「つまりおじさんは、25歳か」
ジャイアン「違うぞのび太、55歳だぞ」
トンパ(なんだこのバガガキどもは……)
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:23:40.57 ID:JlmZUv+Q0
トンパ「君たちは何歳だい?」
のび太「10歳です。小学4年生」
トンパ「奇遇だね、俺の初受験の歳と一緒か。この会場にたどり着けただけでも大したもんだ。
ま、分からない事があったら何でも聞いてくれ」
のび太「どうもありがとう!」
ジャイアン「助かるぜ、おっさん!」
トンパ(4人の子供と……タヌキかなんかの魔獣か。
体も頭も弱そうなのに、よくここまで来れたもんだ。
ま、こういう奴らこそ俺様の絶好のカモなんだがな)
トンパ「君らもステーキ食ったんだろ? だったらノドが渇いてるだろ──」
トンパが缶ジュースを取り出そうとした瞬間、悲鳴が上がった。
「ぎゃあああああ! 俺の腕があああああ!!」
のび太「10歳です。小学4年生」
トンパ「奇遇だね、俺の初受験の歳と一緒か。この会場にたどり着けただけでも大したもんだ。
ま、分からない事があったら何でも聞いてくれ」
のび太「どうもありがとう!」
ジャイアン「助かるぜ、おっさん!」
トンパ(4人の子供と……タヌキかなんかの魔獣か。
体も頭も弱そうなのに、よくここまで来れたもんだ。
ま、こういう奴らこそ俺様の絶好のカモなんだがな)
トンパ「君らもステーキ食ったんだろ? だったらノドが渇いてるだろ──」
トンパが缶ジュースを取り出そうとした瞬間、悲鳴が上がった。
「ぎゃあああああ! 俺の腕があああああ!!」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:25:08.05 ID:JlmZUv+Q0
ヒソカ「ククク、人にぶつかったら謝らなくちゃね」
58番「ひいいいいい!!」
ドラえもん「なんてひどい事を……」
しずか「許せないわ!」
のび太「ドラえもん、なんとかならない?」
ドラえもん「ようし、少し懲らしめなくちゃ」
トンパ(オイオイ、懲らしめるって……こいつら死ぬつもりか?)
ドラえもん「どくさいスイッチ~!」
<どくさいスイッチ>
消したいと思った相手を一時的に消すことができる道具。
なお、のび太はこれで世界中の人間を消して後悔したことがある。
ドラえもん「トンパさん、あの44番の人の名前は?」
トンパ「え、ヒソカだけど」
58番「ひいいいいい!!」
ドラえもん「なんてひどい事を……」
しずか「許せないわ!」
のび太「ドラえもん、なんとかならない?」
ドラえもん「ようし、少し懲らしめなくちゃ」
トンパ(オイオイ、懲らしめるって……こいつら死ぬつもりか?)
ドラえもん「どくさいスイッチ~!」
<どくさいスイッチ>
消したいと思った相手を一時的に消すことができる道具。
なお、のび太はこれで世界中の人間を消して後悔したことがある。
ドラえもん「トンパさん、あの44番の人の名前は?」
トンパ「え、ヒソカだけど」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:25:39.26 ID:JlmZUv+Q0
ドラえもん「ヒソカ、消えろ!」
ドラえもんがスイッチを押すと、ヒソカは消えてしまった。
ドラえもん「これで半日くらいはもう出てこれない」
トンパ(な、な、なんだこいつら!?)
のび太「あの人の腕も治してあげようよ」
ドラえもん「そうだね、タイムふろしき~」
<タイムふろしき>
被せた物の時間を進めたり戻したりできる道具。
ドラえもん「はい、元に戻したよ」
58番「──!? ど、どうも」
(あれ、たしかに斬られたのに。きっとヒソカの手品だったんだな、うん。
ヒソカが消えたのも手品だろう、きっとそうだ)
ドラえもんがスイッチを押すと、ヒソカは消えてしまった。
ドラえもん「これで半日くらいはもう出てこれない」
トンパ(な、な、なんだこいつら!?)
のび太「あの人の腕も治してあげようよ」
ドラえもん「そうだね、タイムふろしき~」
<タイムふろしき>
被せた物の時間を進めたり戻したりできる道具。
ドラえもん「はい、元に戻したよ」
58番「──!? ど、どうも」
(あれ、たしかに斬られたのに。きっとヒソカの手品だったんだな、うん。
ヒソカが消えたのも手品だろう、きっとそうだ)
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:26:33.19 ID:JlmZUv+Q0
トンパ(こいつら、よく分からんがやべェな! 早めにツブしておかねぇと……)
トンパが改めて缶ジュースを取り出す。
トンパ「君たち、どうだい? お近づきの印にジュースでも」
5人「どうもありがとう!」
トンパ(これでこいつらはリタイアだ、ククク。中には超強力な下剤が入ってるのさ!
土石流みてェに下痢を垂れ流しやがれェ~!)
ちなみに5人はテキオー灯がかかっているので、大抵の毒は無効化する。
トンパ(素性を探ってみるか……)
「ところで君たち、変わったメンバーだね」
のび太「照れるなぁ、えへへ」
トンパ(な、なんで照れるんだよ)
トンパが改めて缶ジュースを取り出す。
トンパ「君たち、どうだい? お近づきの印にジュースでも」
5人「どうもありがとう!」
トンパ(これでこいつらはリタイアだ、ククク。中には超強力な下剤が入ってるのさ!
土石流みてェに下痢を垂れ流しやがれェ~!)
ちなみに5人はテキオー灯がかかっているので、大抵の毒は無効化する。
トンパ(素性を探ってみるか……)
「ところで君たち、変わったメンバーだね」
のび太「照れるなぁ、えへへ」
トンパ(な、なんで照れるんだよ)
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:27:06.31 ID:JlmZUv+Q0
トンパ「君は昔、ハンター試験で見かけた奴と似ているな。
もしかしてゴレイヌって兄とかいない?」
ジャイアン「俺のとこは妹だけだぜ、ジャイ子ってんだ」
トンパ「君は見たところタヌキの魔獣だけど──」
ドラえもん「タヌキ!?」
トンパ(ゲ、怒らせたか!?)
ドラえもん「許せぬ!」
ドラえもんは木こりの泉を取り出した。
<木こりの泉>
子供用の風船プールのような道具。
泉の中には女神ロボットが設置されており、イソップ童話の金の斧の物語を再現できる。
もしかしてゴレイヌって兄とかいない?」
ジャイアン「俺のとこは妹だけだぜ、ジャイ子ってんだ」
トンパ「君は見たところタヌキの魔獣だけど──」
ドラえもん「タヌキ!?」
トンパ(ゲ、怒らせたか!?)
ドラえもん「許せぬ!」
ドラえもんは木こりの泉を取り出した。
<木こりの泉>
子供用の風船プールのような道具。
泉の中には女神ロボットが設置されており、イソップ童話の金の斧の物語を再現できる。
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:27:42.02 ID:JlmZUv+Q0
ドラえもんは129.3馬力のパワーでトンパを泉に放り込んだ。
泉の精「あなたが落としたのはこのきれいなトンパですか?」
ドラえもん「いいえ、もっと汚いの」
泉の精「正直者よ、あなたにはきれいなトンパをあげましょう」
トンパ「た、助け……ゴボゴボ」
泉の精「沈みなさい」
こうして汚いトンパは泉に引きずり込まれ、きれいなトンパだけが残った。
トンパ「よろしく! 一緒にハンター試験頑張ろう!」
ドラえもん「こちらこそ」
しずか「なんだか汚いトンパさんが可哀想だわ」
のび太「仕方ないよ」
泉の精「あなたが落としたのはこのきれいなトンパですか?」
ドラえもん「いいえ、もっと汚いの」
泉の精「正直者よ、あなたにはきれいなトンパをあげましょう」
トンパ「た、助け……ゴボゴボ」
泉の精「沈みなさい」
こうして汚いトンパは泉に引きずり込まれ、きれいなトンパだけが残った。
トンパ「よろしく! 一緒にハンター試験頑張ろう!」
ドラえもん「こちらこそ」
しずか「なんだか汚いトンパさんが可哀想だわ」
のび太「仕方ないよ」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:28:47.85 ID:JlmZUv+Q0
まもなく試験官のサトツがやってきた。
サトツ「私、一次試験を担当するサトツと申します」
サトツは歩き始めた。徐々に、ペースを上げながら。
サトツ「一次試験の内容は“二次試験会場まで私についてくること”でございます」
トンパ「いよいよ始まりか。行こう、ドラエモン君たち!」
妙に目がキラキラしたトンパに率いられ、のび太たちも走る。
ジャイアン「ようし、やってやるぜ!」
スネ夫「トホホ、なんでこうなるの? っていうかハンター試験って何なの?」
しずか「ちゃんと運動用の服も持ってくればよかったわね」
ドラえもん「行くよ、のび太君」
のび太「うぇ~昼寝したいのに……」
サトツ「私、一次試験を担当するサトツと申します」
サトツは歩き始めた。徐々に、ペースを上げながら。
サトツ「一次試験の内容は“二次試験会場まで私についてくること”でございます」
トンパ「いよいよ始まりか。行こう、ドラエモン君たち!」
妙に目がキラキラしたトンパに率いられ、のび太たちも走る。
ジャイアン「ようし、やってやるぜ!」
スネ夫「トホホ、なんでこうなるの? っていうかハンター試験って何なの?」
しずか「ちゃんと運動用の服も持ってくればよかったわね」
ドラえもん「行くよ、のび太君」
のび太「うぇ~昼寝したいのに……」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:29:39.37 ID:JlmZUv+Q0
バカな! バカな…! バカな…! バカな…!
ぼくがハンター試験合格…? そんなバカな!
ぼくにかなわない奴なんて一人もいなかった!
勉強も! スポーツも! 全てビリだった!
ぼくなんてただのクズ!
みんなに利用されて捨てられるだけのガラクタだったはず!
──という夢を、のび太は見ていた。
のび太「……やっぱり夢かぁ、合格なんておかしいと思った」
ドラえもん「のび太、起きろ!」
のび太「もうつかれたぁ~走れない~」
ドラえもん「まだ50メートルも走ってないじゃないか!」
のび太「いいのいいの、ご飯食べたら眠くなっちゃった。試験が終わったら
どこでもドアで迎えに来てね」
ぼくがハンター試験合格…? そんなバカな!
ぼくにかなわない奴なんて一人もいなかった!
勉強も! スポーツも! 全てビリだった!
ぼくなんてただのクズ!
みんなに利用されて捨てられるだけのガラクタだったはず!
──という夢を、のび太は見ていた。
のび太「……やっぱり夢かぁ、合格なんておかしいと思った」
ドラえもん「のび太、起きろ!」
のび太「もうつかれたぁ~走れない~」
ドラえもん「まだ50メートルも走ってないじゃないか!」
のび太「いいのいいの、ご飯食べたら眠くなっちゃった。試験が終わったら
どこでもドアで迎えに来てね」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:31:19.23 ID:JlmZUv+Q0
ドラえもん「SLえんとつ~!」
<SLえんとつ>
煙突型の道具。水と石炭を煙突に入れて頭に被れば、
SLのパワーを手に入れることが出来る。
のび太「これなら一日中だって走り続けられるよ!」
スネ夫「のび太ばかりずるいや!」
ジャイアン「俺にも出せよ!」
ドラえもん「分かったよ、みんなで被ろう」
しずか(私はもっと別の道具がいいわ……)
SLえんとつのパワーで、5人は他の受験生をゴボウ抜きにする。
トンパ「君たちすごいね! 俺も負けてられないな!」
ドラえもん(他の人は自力で走ってるだろうに、ぼくらだけ道具に頼っていいのだろうか……)
5人は驚いた。
サトツのすぐ後ろ、つまりトップにいるのも子供だったのだ。
<SLえんとつ>
煙突型の道具。水と石炭を煙突に入れて頭に被れば、
SLのパワーを手に入れることが出来る。
のび太「これなら一日中だって走り続けられるよ!」
スネ夫「のび太ばかりずるいや!」
ジャイアン「俺にも出せよ!」
ドラえもん「分かったよ、みんなで被ろう」
しずか(私はもっと別の道具がいいわ……)
SLえんとつのパワーで、5人は他の受験生をゴボウ抜きにする。
トンパ「君たちすごいね! 俺も負けてられないな!」
ドラえもん(他の人は自力で走ってるだろうに、ぼくらだけ道具に頼っていいのだろうか……)
5人は驚いた。
サトツのすぐ後ろ、つまりトップにいるのも子供だったのだ。
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:32:34.03 ID:JlmZUv+Q0
キルア「あれ? 俺らの他にも子供いたんだ」
ゴン「ホントだ! 5人ともすごい煙だね」
のび太「これはSLえんとつっていって──」
後ろからスネ夫がのび太を小突いた。そして小声でささやく。
のび太「な、なんだよ」
スネ夫「相変わらずマヌケだなぁ。
正直に道具に頼ってる、なんて話したら失格になるに決まってるじゃん。
すぐ前に試験官の人もいるんだぞ」
のび太「あ、あぁそうか」
のび太「……えぇと、ぼくたち走ると煙が出るんだよ」
スネ夫(なんてウソがヘタな奴だ)
ゴン「へぇ~スゴイや!」
キルア「ま、世界は広いし、そういう奴もいるんだろうな」
スネ夫(信じるの!? 信じたのにその程度の驚きなの!?)
スネ夫はもしかしてとんでもない惑星に来たのでは……とうすうす気づき始めた。
サトツ(持ち込みは自由ですから失格にはなりませんが、
不思議な道具ですねぇ。私も初めて見ましたよ)
ゴン「ホントだ! 5人ともすごい煙だね」
のび太「これはSLえんとつっていって──」
後ろからスネ夫がのび太を小突いた。そして小声でささやく。
のび太「な、なんだよ」
スネ夫「相変わらずマヌケだなぁ。
正直に道具に頼ってる、なんて話したら失格になるに決まってるじゃん。
すぐ前に試験官の人もいるんだぞ」
のび太「あ、あぁそうか」
のび太「……えぇと、ぼくたち走ると煙が出るんだよ」
スネ夫(なんてウソがヘタな奴だ)
ゴン「へぇ~スゴイや!」
キルア「ま、世界は広いし、そういう奴もいるんだろうな」
スネ夫(信じるの!? 信じたのにその程度の驚きなの!?)
スネ夫はもしかしてとんでもない惑星に来たのでは……とうすうす気づき始めた。
サトツ(持ち込みは自由ですから失格にはなりませんが、
不思議な道具ですねぇ。私も初めて見ましたよ)
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:33:53.44 ID:JlmZUv+Q0
一方、最後尾では──
ニコル(ち、ちくしょう……この俺が……ここまでか……)
トンパ「ニコル君、大丈夫か!?」
ニコル(こいつ……トンパ! なんでこんなところに──)
トンパ「まだ走れるか!?」
ニコル「う……うるせェ!
新人潰しさんよォ、俺をあざ笑いにきたんだろ!? えェ!?」
トンパ「かつての俺だったら、そうしていたかもしれん。
が、今の俺は君の才能と将来性を買っている」
ニコル「な、にィ……?」
トンパ「ルーキーの合格率は君も知っているだろうが、
ハンター試験は一度の受験ではなかなか受からない試験だ。
俺のことまで知っていたデータ収集力、この距離を走るスタミナ、
今はまだ未熟だが十分ハンターになれる器だ」
ニコル「ふざ……けるな、俺は、まだ、やれる!」
トンパ「いい顔だ」
ニコル(ち、ちくしょう……この俺が……ここまでか……)
トンパ「ニコル君、大丈夫か!?」
ニコル(こいつ……トンパ! なんでこんなところに──)
トンパ「まだ走れるか!?」
ニコル「う……うるせェ!
新人潰しさんよォ、俺をあざ笑いにきたんだろ!? えェ!?」
トンパ「かつての俺だったら、そうしていたかもしれん。
が、今の俺は君の才能と将来性を買っている」
ニコル「な、にィ……?」
トンパ「ルーキーの合格率は君も知っているだろうが、
ハンター試験は一度の受験ではなかなか受からない試験だ。
俺のことまで知っていたデータ収集力、この距離を走るスタミナ、
今はまだ未熟だが十分ハンターになれる器だ」
ニコル「ふざ……けるな、俺は、まだ、やれる!」
トンパ「いい顔だ」
57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:34:24.79 ID:JlmZUv+Q0
90km地点、ニコルが再び倒れた。
ニコル「もう……走れない……」
トンパ「………」
ニコル「行ってくれ。アンタまで置いていかれちまう」
トンパ「……分かった」
ニコル「……ありがとう、アンタにさっき褒められて
たとえお世辞だとしても少しだけ報われた。あのまま脱落してたら
俺はもう立ち直れなかっただろう」
トンパ「また……来れるか?」
ニコル「あぁ、また来年来るよ──必ず。天狗の鼻は折れたが、心は折れていない。
アンタは……ハンターになって待っていてくれ」
トンパ「──ああ」
ニコル、脱落(リタイア)──
ニコル「もう……走れない……」
トンパ「………」
ニコル「行ってくれ。アンタまで置いていかれちまう」
トンパ「……分かった」
ニコル「……ありがとう、アンタにさっき褒められて
たとえお世辞だとしても少しだけ報われた。あのまま脱落してたら
俺はもう立ち直れなかっただろう」
トンパ「また……来れるか?」
ニコル「あぁ、また来年来るよ──必ず。天狗の鼻は折れたが、心は折れていない。
アンタは……ハンターになって待っていてくれ」
トンパ「──ああ」
ニコル、脱落(リタイア)──
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:35:50.42 ID:JlmZUv+Q0
マラソンの次なる関門は、巨大な階段であった。
ゴン「俺はゴンっていうんだ」
キルア「俺、キルア。君は?」
のび太「ぼくはのび太」
キルア「ノビタか、年は?」
のび太「10歳」
キルア(俺らの一個か二個下か……)
ゴン「後ろを走ってる4人はノビタの友達だよね?
君はなんでハンター試験を受けようと思ったの?」
のび太「(なんでっていわれてもなぁ……)なんとなく、かなぁ」
キルア「ふーん、俺と同じようなもんか」
暗殺者としての性か、のび太らの戦力分析を行うキルア。
キルア(ノビタと他の4人──3人と一匹かもしれないけど。
スキだらけだし、鍛えている様子も全くない。
にもかかわらず俺たちに劣らないスタミナ……。
それにいくつも修羅場を越えてきたような目をしている。
なかなか面白そうな連中だな)
ゴン「俺はゴンっていうんだ」
キルア「俺、キルア。君は?」
のび太「ぼくはのび太」
キルア「ノビタか、年は?」
のび太「10歳」
キルア(俺らの一個か二個下か……)
ゴン「後ろを走ってる4人はノビタの友達だよね?
君はなんでハンター試験を受けようと思ったの?」
のび太「(なんでっていわれてもなぁ……)なんとなく、かなぁ」
キルア「ふーん、俺と同じようなもんか」
暗殺者としての性か、のび太らの戦力分析を行うキルア。
キルア(ノビタと他の4人──3人と一匹かもしれないけど。
スキだらけだし、鍛えている様子も全くない。
にもかかわらず俺たちに劣らないスタミナ……。
それにいくつも修羅場を越えてきたような目をしている。
なかなか面白そうな連中だな)
63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:36:38.84 ID:JlmZUv+Q0
階段に入ってから脱落者が続出していた。
心臓破りの急勾配と──SLえんとつの煙のせいである。
レオリオ「ゲホッ、ゲホッ! さっきから気になってたけどよ、
なんなんだ、この煙は!?」
クラピカ「あの前方を走っている少年たちの頭から出ているものだ。
コースが階段になって後ろの我々に降りかかるようになってきたな」
レオリオ「おいクラピカ、あいつらに注意してくれよ。煙の出しすぎだって。こりゃ妨害もいいとこだぜ」
クラピカ「断る」
レオリオ「あん?」
クラピカ「試験は持ち込み自由だからな。他人にとやかく言うつもりはない」
レオリオ「ケッ、わーったよ! じゃあ俺がいってきてやる!
おいそこの青いの!」
ドラえもん「えっ、ぼく?」
心臓破りの急勾配と──SLえんとつの煙のせいである。
レオリオ「ゲホッ、ゲホッ! さっきから気になってたけどよ、
なんなんだ、この煙は!?」
クラピカ「あの前方を走っている少年たちの頭から出ているものだ。
コースが階段になって後ろの我々に降りかかるようになってきたな」
レオリオ「おいクラピカ、あいつらに注意してくれよ。煙の出しすぎだって。こりゃ妨害もいいとこだぜ」
クラピカ「断る」
レオリオ「あん?」
クラピカ「試験は持ち込み自由だからな。他人にとやかく言うつもりはない」
レオリオ「ケッ、わーったよ! じゃあ俺がいってきてやる!
おいそこの青いの!」
ドラえもん「えっ、ぼく?」
68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:38:09.10 ID:JlmZUv+Q0
レオリオ「お前ら煙出しすぎだ!
俺らの目や鼻に入って苦しいから──後ろに行け!」
ドラえもん「ご、ゴメンなさい……」
レオリオ(あれ、意外に素直じゃねェか。ちょっと強く言いすぎたかな)
ドラえもんは他の4人に最後尾を走るよう伝えた。
スネ夫「はいはい」
ジャイアン「ちぇ、しかたねぇな(あのサングラスのオッサンこえーしな)」
しずか「じゃあ私たちは後ろを走りましょ」
のび太「分かったよドラえもん。
ってことだから、ゴンさん、キルアさん、後ろを走ることにするよ」
ゴン「分かった、気をつけてね! あ、あとゴンでいいよ」
キルア「またな。俺もキルアでいいぜ」
のび太「うん、またね!」
煙に対してクレームをつけたくとも、
・子供に対して大人気ない
・もっと脱落者を増やしてくれそう
という二つの理由でなかなか言えなかった受験生たちは、内心レオリオに感謝した。
俺らの目や鼻に入って苦しいから──後ろに行け!」
ドラえもん「ご、ゴメンなさい……」
レオリオ(あれ、意外に素直じゃねェか。ちょっと強く言いすぎたかな)
ドラえもんは他の4人に最後尾を走るよう伝えた。
スネ夫「はいはい」
ジャイアン「ちぇ、しかたねぇな(あのサングラスのオッサンこえーしな)」
しずか「じゃあ私たちは後ろを走りましょ」
のび太「分かったよドラえもん。
ってことだから、ゴンさん、キルアさん、後ろを走ることにするよ」
ゴン「分かった、気をつけてね! あ、あとゴンでいいよ」
キルア「またな。俺もキルアでいいぜ」
のび太「うん、またね!」
煙に対してクレームをつけたくとも、
・子供に対して大人気ない
・もっと脱落者を増やしてくれそう
という二つの理由でなかなか言えなかった受験生たちは、内心レオリオに感謝した。
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:38:56.04 ID:JlmZUv+Q0
ハンター試験はヌメーレ湿原に差しかかった。
サトツ「第二次試験会場へはここを通らなければいけません。
ただし、ここの生物はあらゆる方法で獲物をあざむこうとします。
だまされると、死にますよ」
「だまされるな!」
ジャイアン「なんだなんだ」
試験官「そいつは人面猿が化けたニセ試験官だ!
集まった受験生を一網打尽にする気だ!」
受験生の間で混乱が生じる。
しずか「ドラちゃん、どちらがホンモノか分かる道具ってない?」
ドラえもん「さとりヘルメット~!」
<さとりヘルメット>
これを被ると、半径30メートル以内の心の声を読む事が出来る。
ドラえもん「煙突を外して、さっそく被ってみよう」
サトツ「第二次試験会場へはここを通らなければいけません。
ただし、ここの生物はあらゆる方法で獲物をあざむこうとします。
だまされると、死にますよ」
「だまされるな!」
ジャイアン「なんだなんだ」
試験官「そいつは人面猿が化けたニセ試験官だ!
集まった受験生を一網打尽にする気だ!」
受験生の間で混乱が生じる。
しずか「ドラちゃん、どちらがホンモノか分かる道具ってない?」
ドラえもん「さとりヘルメット~!」
<さとりヘルメット>
これを被ると、半径30メートル以内の心の声を読む事が出来る。
ドラえもん「煙突を外して、さっそく被ってみよう」
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:40:20.12 ID:JlmZUv+Q0
心を読むドラえもん。
サトツ(さっそく出てきましたか。試験官になりすまし、
何人かを連れ去ろうという魂胆ですな)
試験官(ケケケッ、何人かは俺の言葉を信じてやがる……ボンクラが。
10人……いやつられて20人は騙せるかもな?
人肉はうめェ~からなァ)
ドラえもん「そっちがニセモノだ!」
試験官「──!? なんだと、このタヌキ! 何を根拠に」
ドラえもん「ぼくはタヌキじゃない!」
ドラえもんはポケットからショックガンを取り出し、試験官(?)を撃った。
<ショックガン>
未来の光線銃。気絶させるだけで殺傷能力はない。
試験官「ギャッ!」
あっさり気絶した試験官(?)を見て、きれいなトンパが語る。
トンパ「決まりだな。ハンター試験の試験官はプロハンターが無償で行っている。
プロハンターならば、今の攻撃くらい軽くよけられるはず。
つまり、ニセモノは気絶しているアイツだ」
サトツ(光線銃まで持っているとは、つくづく不思議な受験生だ)
「それではまいりましょう」
サトツ(さっそく出てきましたか。試験官になりすまし、
何人かを連れ去ろうという魂胆ですな)
試験官(ケケケッ、何人かは俺の言葉を信じてやがる……ボンクラが。
10人……いやつられて20人は騙せるかもな?
人肉はうめェ~からなァ)
ドラえもん「そっちがニセモノだ!」
試験官「──!? なんだと、このタヌキ! 何を根拠に」
ドラえもん「ぼくはタヌキじゃない!」
ドラえもんはポケットからショックガンを取り出し、試験官(?)を撃った。
<ショックガン>
未来の光線銃。気絶させるだけで殺傷能力はない。
試験官「ギャッ!」
あっさり気絶した試験官(?)を見て、きれいなトンパが語る。
トンパ「決まりだな。ハンター試験の試験官はプロハンターが無償で行っている。
プロハンターならば、今の攻撃くらい軽くよけられるはず。
つまり、ニセモノは気絶しているアイツだ」
サトツ(光線銃まで持っているとは、つくづく不思議な受験生だ)
「それではまいりましょう」
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:42:15.18 ID:JlmZUv+Q0
マラソン再開。
試験官サトツを先頭に、ヌメーレ湿原をひた走る受験生たち。
のび太「うわ、すごいぬかるみ」
しずか「いやだわ、お洋服が汚れちゃう」
ドラえもん「あとで着せ替えカメラで着替えさせてあげるよ」
スネ夫「ん?」
ジャイアン「どうしたスネ夫?」
スネ夫「だんだん霧が濃くなってきたよ!」
のび太「まずいなぁ、このままだと前の人を見失っちゃうよ」
ドラえもん「こんな時は、お天気ボックス~」
<お天気ボックス>
専用のカードを差し込むと、自由自在に天気を変えられる道具。
ドラえもん「晴れにしよう」
太陽のマークが描かれたカードを差し込むと、
ヌメーレ湿原から霧がなくなりさわやかな青空が広がった。
試験官サトツを先頭に、ヌメーレ湿原をひた走る受験生たち。
のび太「うわ、すごいぬかるみ」
しずか「いやだわ、お洋服が汚れちゃう」
ドラえもん「あとで着せ替えカメラで着替えさせてあげるよ」
スネ夫「ん?」
ジャイアン「どうしたスネ夫?」
スネ夫「だんだん霧が濃くなってきたよ!」
のび太「まずいなぁ、このままだと前の人を見失っちゃうよ」
ドラえもん「こんな時は、お天気ボックス~」
<お天気ボックス>
専用のカードを差し込むと、自由自在に天気を変えられる道具。
ドラえもん「晴れにしよう」
太陽のマークが描かれたカードを差し込むと、
ヌメーレ湿原から霧がなくなりさわやかな青空が広がった。
81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:43:13.93 ID:JlmZUv+Q0
しかし、危機は去っていなかった。
霧がなくなり混乱したキリヒトノセガメが、手当たり次第に受験生を襲い始めた。
のび太「ひぃぃ~怪獣!?」
しずか「大きな亀だわ!」
ジャイアン「甲羅にでっかいイチゴがついてるぜ」
スネ夫「ママァ~!」
ドラえもん「桃太郎印のきび団子~!」
<桃太郎印のきび団子>
この団子を食べさせた動物は、人間に従順になる。
ドラえもんらはキリヒトノセガメを一頭手なずけ、その背中に乗っていく事にした。
ジャイアン「こりゃあラクでいいぜ」
のび太「このイチゴは硬いや。食べられないよ」
サトツ(信じられん、ヌメーレ湿原の動物が人になつくとは)
霧がなくなり混乱したキリヒトノセガメが、手当たり次第に受験生を襲い始めた。
のび太「ひぃぃ~怪獣!?」
しずか「大きな亀だわ!」
ジャイアン「甲羅にでっかいイチゴがついてるぜ」
スネ夫「ママァ~!」
ドラえもん「桃太郎印のきび団子~!」
<桃太郎印のきび団子>
この団子を食べさせた動物は、人間に従順になる。
ドラえもんらはキリヒトノセガメを一頭手なずけ、その背中に乗っていく事にした。
ジャイアン「こりゃあラクでいいぜ」
のび太「このイチゴは硬いや。食べられないよ」
サトツ(信じられん、ヌメーレ湿原の動物が人になつくとは)
88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:45:03.66 ID:JlmZUv+Q0
一行はビスカ森林公園に到着した。
サトツ「みなさんお疲れ様でした。こちらが二次試験会場となります」
ドラえもん「あ、もうゴールみたいだね」
ジャイアン「こいつのおかげでラクチンだったぜ」
しずか「ええ、ありがとうね」
のび太「じゃあお戻り、カメ助」
スネ夫(こいつ、いつの間に名前をつけてたんだ)
カメ助、ことキリヒトノセガメは名残惜しそうにヌメーレ湿原に戻っていった。
大長編ドラえもん のび太の大亀
~おわり~
サトツ「みなさんお疲れ様でした。こちらが二次試験会場となります」
ドラえもん「あ、もうゴールみたいだね」
ジャイアン「こいつのおかげでラクチンだったぜ」
しずか「ええ、ありがとうね」
のび太「じゃあお戻り、カメ助」
スネ夫(こいつ、いつの間に名前をつけてたんだ)
カメ助、ことキリヒトノセガメは名残惜しそうにヌメーレ湿原に戻っていった。
大長編ドラえもん のび太の大亀
~おわり~
92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:46:21.41 ID:JlmZUv+Q0
キルア「すげーな、あんなでかいのを手なずけるなんて」
(ウチにもミケいるけど)
ゴン「俺の知ってるハンターが、いいハンターは動物に好かれるって言ってたよ。
ノビタはいいハンターになれるよ!」
のび太「えへへ、ありがとう(道具の力だけどね)」
レオリオ「カメに乗ってるのは誰かと思ったら、煙出してたガキんちょどもだったか。
さっきは悪かったな、怒鳴ったりして」
クラピカ「驚かされたよ。とても人になつく生物には見えなかったが、
あんな攻略方法があったとは」
ドラえもん「いやいや、とんでもない(道具の力だし)」
しずか「なんだか、みんないい人そうね」
ジャイアン「ああ、また心の友が増えたぜ」
スネ夫(帰りたい……ママ……)
のび太たちとゴンたちはすっかり意気投合した(スネ夫除く)。
(ウチにもミケいるけど)
ゴン「俺の知ってるハンターが、いいハンターは動物に好かれるって言ってたよ。
ノビタはいいハンターになれるよ!」
のび太「えへへ、ありがとう(道具の力だけどね)」
レオリオ「カメに乗ってるのは誰かと思ったら、煙出してたガキんちょどもだったか。
さっきは悪かったな、怒鳴ったりして」
クラピカ「驚かされたよ。とても人になつく生物には見えなかったが、
あんな攻略方法があったとは」
ドラえもん「いやいや、とんでもない(道具の力だし)」
しずか「なんだか、みんないい人そうね」
ジャイアン「ああ、また心の友が増えたぜ」
スネ夫(帰りたい……ママ……)
のび太たちとゴンたちはすっかり意気投合した(スネ夫除く)。
100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:49:45.99 ID:JlmZUv+Q0
二次試験会場の扉が開く。中には2人の試験官が待ち受けていた。
のび太「うわっ、あの人大きいな~。あ、女の人もいる」
ジャイアン「俺の母ちゃんよりでけぇ」
ドラえもん「ビッグライトでも浴びたのかな」
メンチ「二次試験は料理よ! あたし達に『美味しい』といわせたら合格よ」
ブハラ「まずは俺の指定する料理を作ってもらい」
メンチ「そこで合格した者だけがあたしの指定する料理を作れるわ」
スネ夫「なるほど、前半と後半に分かれた試験なんだ」
しずか「お料理なら私、自信あるわ」
ブハラ「俺の料理は、ブタの丸焼き! 大好物!
森林公園に生息する豚なら、種類は自由だよ」
のび太「うわっ、あの人大きいな~。あ、女の人もいる」
ジャイアン「俺の母ちゃんよりでけぇ」
ドラえもん「ビッグライトでも浴びたのかな」
メンチ「二次試験は料理よ! あたし達に『美味しい』といわせたら合格よ」
ブハラ「まずは俺の指定する料理を作ってもらい」
メンチ「そこで合格した者だけがあたしの指定する料理を作れるわ」
スネ夫「なるほど、前半と後半に分かれた試験なんだ」
しずか「お料理なら私、自信あるわ」
ブハラ「俺の料理は、ブタの丸焼き! 大好物!
森林公園に生息する豚なら、種類は自由だよ」
103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:50:59.55 ID:JlmZUv+Q0
ジャイアン「みんな、森の中に入っちゃったぞ」
しずか「豚の丸焼きなんて作ったことないわ」
スネ夫「いくらグルメなぼくでも、さすがに豚の丸焼きは食べた事ないや」
のび太「どうしよう? ドラえもん」
ドラえもん「グルメテーブルかけ~!」
<グルメテーブルかけ>
どんな料理も生み出す未来のテーブルかけ。
ドラえもん「豚の丸焼きを、五皿!」
5人はブハラにそれを持っていった。
ブハラ「あれぇ、ずいぶん小さい豚だな。
この公園にはグレイトスタンプしかいないはずだけど……。
バリバリガツガツ
ま、いいや。美味いし、合格!」
5人(ブタの丸焼き五皿が5秒で消えた……)
しずか「豚の丸焼きなんて作ったことないわ」
スネ夫「いくらグルメなぼくでも、さすがに豚の丸焼きは食べた事ないや」
のび太「どうしよう? ドラえもん」
ドラえもん「グルメテーブルかけ~!」
<グルメテーブルかけ>
どんな料理も生み出す未来のテーブルかけ。
ドラえもん「豚の丸焼きを、五皿!」
5人はブハラにそれを持っていった。
ブハラ「あれぇ、ずいぶん小さい豚だな。
この公園にはグレイトスタンプしかいないはずだけど……。
バリバリガツガツ
ま、いいや。美味いし、合格!」
5人(ブタの丸焼き五皿が5秒で消えた……)
106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:52:19.19 ID:JlmZUv+Q0
ブハラの課題は70名が合格した。
クラピカ「おかしい! 明らかに奴の体積より食べた量が多い!」
のび太「どういう事だろう?」
ドラえもん「もしかしたら、あの人のお腹も四次元なのかも……」
メンチ「それじゃ二次試験後半、あたしのメニューは、スシよ!」
ジャイアン「スシ……って、あの寿司か?」
スネ夫「そうじゃない?」
しずか「この星にも寿司があるのね」
ドラえもん「じゃあもう一回。グルメテーブルかけ~」
ドラえもんはグルメテーブルかけからトロを取り出した。
クラピカ「おかしい! 明らかに奴の体積より食べた量が多い!」
のび太「どういう事だろう?」
ドラえもん「もしかしたら、あの人のお腹も四次元なのかも……」
メンチ「それじゃ二次試験後半、あたしのメニューは、スシよ!」
ジャイアン「スシ……って、あの寿司か?」
スネ夫「そうじゃない?」
しずか「この星にも寿司があるのね」
ドラえもん「じゃあもう一回。グルメテーブルかけ~」
ドラえもんはグルメテーブルかけからトロを取り出した。
109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:54:32.62 ID:JlmZUv+Q0
のび太「まずは、ぼくが持っていくよ」
メンチ「あらずいぶん早いわね。どれどれ、形も完璧じゃない。
もしかしてあんた、スシを知ってたの?」
のび太「えへへ、一応……」
メンチ(たしかにジャポン出身って感じの顔つきね)
「それじゃさっそく……」
のび太「ゴクリ」
メンチ「──へぇ。シャリもネタも高水準、レベル自体は高いわ。
でも惜しいわね、機械が作ったみたいで寿司独特の色気に欠けるわ」
のび太「トホホ……(道具使ったのなんでバレたんだろ)」
メンチ「………」
(まさかスシを知ってるのがいるとは思わなかったし、
ちょっと辛口すぎたかしら)
ブハラ「メンチ、今のは厳しすぎたんじゃない?
あの基準じゃはっきりいって誰も受からないよ」
メンチ「そうね。またすぐ来るだろうし、次は合格にしてあげるわ。
あの子、名のある料理人の息子か何かかしら?」
メンチ「あらずいぶん早いわね。どれどれ、形も完璧じゃない。
もしかしてあんた、スシを知ってたの?」
のび太「えへへ、一応……」
メンチ(たしかにジャポン出身って感じの顔つきね)
「それじゃさっそく……」
のび太「ゴクリ」
メンチ「──へぇ。シャリもネタも高水準、レベル自体は高いわ。
でも惜しいわね、機械が作ったみたいで寿司独特の色気に欠けるわ」
のび太「トホホ……(道具使ったのなんでバレたんだろ)」
メンチ「………」
(まさかスシを知ってるのがいるとは思わなかったし、
ちょっと辛口すぎたかしら)
ブハラ「メンチ、今のは厳しすぎたんじゃない?
あの基準じゃはっきりいって誰も受からないよ」
メンチ「そうね。またすぐ来るだろうし、次は合格にしてあげるわ。
あの子、名のある料理人の息子か何かかしら?」
111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:55:00.07 ID:JlmZUv+Q0
のび太「ダメだったよ」
ドラえもん「なんだって!?」
ジャイアン「ドラえもんの道具も大した事ねぇんだな」
スネ夫「ほんとほんと」
ドラえもん「うぬぬ~」
しずか「あ、ドラちゃん、どこいくの?」
ドラえもん「あのメンチって人に抗議してくる!」
スネ夫「やめた方がいいよ。おっかなそうだし」
ドラえもん「うるさい! ぼくの道具にケチつけられて、黙ってられるか!」
のび太「ぼく知~らない」
ドラえもん「なんだって!?」
ジャイアン「ドラえもんの道具も大した事ねぇんだな」
スネ夫「ほんとほんと」
ドラえもん「うぬぬ~」
しずか「あ、ドラちゃん、どこいくの?」
ドラえもん「あのメンチって人に抗議してくる!」
スネ夫「やめた方がいいよ。おっかなそうだし」
ドラえもん「うるさい! ぼくの道具にケチつけられて、黙ってられるか!」
のび太「ぼく知~らない」
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:57:12.09 ID:JlmZUv+Q0
メンチ「あら、これまた早いわね」
ドラえもん「さっきの寿司のことなんですけど」
メンチ「さっきのって──メガネの子のスシのこと?」
ドラえもん「はい。あなたの舌が未来の科学力より優れてるとは思えない!
のび太は合格のはずだ!」
メンチ「……ふぅん」
ドラえもん「分かってもらえました?」
メンチ「分かってないのはアンタよ」
ドラえもん「なんだって?」
メンチ「科学だかなんだか知らないけど、
アンタみたいなドラ焼きばっか食ってそうな
タヌキよりはよっぽど味のことを分かってるつもりよ!」
ドラえもん「な、なんで分かったの!?
──い、いや、タヌキだと!? この味オンチ!」
メンチ「誰が味オンチだァ!? このフーセンダヌキ!」
ドラえもん「さっきの寿司のことなんですけど」
メンチ「さっきのって──メガネの子のスシのこと?」
ドラえもん「はい。あなたの舌が未来の科学力より優れてるとは思えない!
のび太は合格のはずだ!」
メンチ「……ふぅん」
ドラえもん「分かってもらえました?」
メンチ「分かってないのはアンタよ」
ドラえもん「なんだって?」
メンチ「科学だかなんだか知らないけど、
アンタみたいなドラ焼きばっか食ってそうな
タヌキよりはよっぽど味のことを分かってるつもりよ!」
ドラえもん「な、なんで分かったの!?
──い、いや、タヌキだと!? この味オンチ!」
メンチ「誰が味オンチだァ!? このフーセンダヌキ!」
121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 21:58:24.90 ID:JlmZUv+Q0
ゴン「けっこう色んな魚が獲れたね」
クラピカ「レオリオのせいで受験生は全員魚を獲りに出ていたようだな」
レオリオ「うるせー」
キルア「いや、残ってたのもいたみたいだぜ。ノビタたちだ。
ほら、ドラエモンってのが試験官の女とすげーやり合ってる」
ドラえもん「この分からず屋!」
メンチ「分かりたくもないわ!」
ドラえもん「あんたにゃジャイアンシチューがお似合いだよ!」
メンチ「なんだそりゃ? 包丁で解体して狸汁にしちまうぞコラ!」
ハンゾー(せっかく作ったのに、割って入るスキがない……!)
メンチ「なに見てんだ、ハゲ!」
ドラえもん「星ごと破壊してやろうか、ハゲ!」
ハンゾー「ご、ごめんなさい……」
クラピカ「レオリオのせいで受験生は全員魚を獲りに出ていたようだな」
レオリオ「うるせー」
キルア「いや、残ってたのもいたみたいだぜ。ノビタたちだ。
ほら、ドラエモンってのが試験官の女とすげーやり合ってる」
ドラえもん「この分からず屋!」
メンチ「分かりたくもないわ!」
ドラえもん「あんたにゃジャイアンシチューがお似合いだよ!」
メンチ「なんだそりゃ? 包丁で解体して狸汁にしちまうぞコラ!」
ハンゾー(せっかく作ったのに、割って入るスキがない……!)
メンチ「なに見てんだ、ハゲ!」
ドラえもん「星ごと破壊してやろうか、ハゲ!」
ハンゾー「ご、ごめんなさい……」
129: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:00:26.83 ID:JlmZUv+Q0
結局、ドラえもんの抗議は受け付けられなかった。
ドラえもん「うぬ~、こんなに腹が立ったのは久しぶりだよ!」
のび太「みんな二人の喧嘩を見てたよ。ぼく、恥ずかしいよ」
ドラえもん「こうなったら……味のもとのもと~!」
<味のもとのもと>
これをかければ、どんな物も美味になるという最強の調味料。
のび太「そこまでするか」
ドラえもん「こうなったら手段は選んでいられないよ。
どんな事してでもメンチって人に『美味しい』といわせてみせる」
レオリオ「お、なんだその調味料。ちょっと貸してくれよ」
ドラえもん「あ」
レオリオ「やべっ、蓋が開いて……うわっ、全部俺にかかった!」
ドラえもん「………」
レオリオ「あちゃ~ドラエモン、すまねぇ!」
ドラえもん「おいしそう……」
ドラえもん「うぬ~、こんなに腹が立ったのは久しぶりだよ!」
のび太「みんな二人の喧嘩を見てたよ。ぼく、恥ずかしいよ」
ドラえもん「こうなったら……味のもとのもと~!」
<味のもとのもと>
これをかければ、どんな物も美味になるという最強の調味料。
のび太「そこまでするか」
ドラえもん「こうなったら手段は選んでいられないよ。
どんな事してでもメンチって人に『美味しい』といわせてみせる」
レオリオ「お、なんだその調味料。ちょっと貸してくれよ」
ドラえもん「あ」
レオリオ「やべっ、蓋が開いて……うわっ、全部俺にかかった!」
ドラえもん「………」
レオリオ「あちゃ~ドラエモン、すまねぇ!」
ドラえもん「おいしそう……」
137: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:01:21.57 ID:JlmZUv+Q0
レオリオは周囲の視線が自分に集中している事に気付いた。
レオリオ「ん、なんだ? なんだよ?」
ゴン「おかしいな……レオリオがすっごく美味しそう」
レオリオ「え?」
クラピカ「ああ、私もだ。お前に対して食欲を抑え切れない」
キルア「分けてくんない? ほんのちょっとでいいからさ」
右手を筋肉操作するキルア。
レオリオ「おいおい、お前ら目つきがおかしいぜ」
まもなくほとんどの受験生がレオリオに突撃した。
逃げるレオリオ、追う受験生たち。会場内はパニックになった。
ただでさえブチ切れていたメンチがキレる。
メンチ「いい加減にしなさいあんた達! 二次試験後半の合格者は──0よ!」
クラピカ(正直、妥当な判断といわざるをえない)
レオリオ「ん、なんだ? なんだよ?」
ゴン「おかしいな……レオリオがすっごく美味しそう」
レオリオ「え?」
クラピカ「ああ、私もだ。お前に対して食欲を抑え切れない」
キルア「分けてくんない? ほんのちょっとでいいからさ」
右手を筋肉操作するキルア。
レオリオ「おいおい、お前ら目つきがおかしいぜ」
まもなくほとんどの受験生がレオリオに突撃した。
逃げるレオリオ、追う受験生たち。会場内はパニックになった。
ただでさえブチ切れていたメンチがキレる。
メンチ「いい加減にしなさいあんた達! 二次試験後半の合格者は──0よ!」
クラピカ(正直、妥当な判断といわざるをえない)
142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:02:50.04 ID:JlmZUv+Q0
ビーンズ「──というわけです。会長」
ネテロ「こりゃまた珍妙な事態じゃのう。ま、行ってみるとしよう」
二次試験会場にネテロがやって来た。
ネテロ「試験自体がメチャクチャになった事じゃし、
まぁおぬしの判断も無理ないかもしれんのう」
メンチ「いえ、私もタヌ──受験生と口論になったりして
熱くなっていました。もう一度やらせて頂けないでしょうか」
ネテロ「よかろう」
メンチ「会長、私達をあの山まで連れて行ってくれませんか」
ネテロ「──なるほど、もちろんいいとも」
ネテロ「こりゃまた珍妙な事態じゃのう。ま、行ってみるとしよう」
二次試験会場にネテロがやって来た。
ネテロ「試験自体がメチャクチャになった事じゃし、
まぁおぬしの判断も無理ないかもしれんのう」
メンチ「いえ、私もタヌ──受験生と口論になったりして
熱くなっていました。もう一度やらせて頂けないでしょうか」
ネテロ「よかろう」
メンチ「会長、私達をあの山まで連れて行ってくれませんか」
ネテロ「──なるほど、もちろんいいとも」
144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:03:47.59 ID:JlmZUv+Q0
マフタツ山の深い谷に到着した一行。
メンチ「今の私みたいに、谷の間にあるクモワシの卵をとってきて
ゆで卵を作ってちょうだい」
ジャイアン「すっげぇな、谷を飛び降りてよじ登ってきたぜ」
のび太「ゴンとキルアたちも行っちゃったね」
スネ夫(やっぱりこの星は地球と似てるようで絶対おかしい!
ぼくらも重力が低い星だとスーパーマンだったけど
あれの逆なんだ、きっと!)
ドラえもん「ぼくらはこれで行こう、タケコプタ~!」
<タケコプター>
漫画最多登場数を誇る、説明不要の空飛ぶ道具。
トードー「(なんだあいつら、飛んでやがるのか!?)おいお前ら、俺にもそれを貸せ」
ドラえもん「はい、どうぞ。頭につけて」
トードー「どれどれ……うわぁ~!」
トードーはどこかに飛んでいった。
メンチ「今の私みたいに、谷の間にあるクモワシの卵をとってきて
ゆで卵を作ってちょうだい」
ジャイアン「すっげぇな、谷を飛び降りてよじ登ってきたぜ」
のび太「ゴンとキルアたちも行っちゃったね」
スネ夫(やっぱりこの星は地球と似てるようで絶対おかしい!
ぼくらも重力が低い星だとスーパーマンだったけど
あれの逆なんだ、きっと!)
ドラえもん「ぼくらはこれで行こう、タケコプタ~!」
<タケコプター>
漫画最多登場数を誇る、説明不要の空飛ぶ道具。
トードー「(なんだあいつら、飛んでやがるのか!?)おいお前ら、俺にもそれを貸せ」
ドラえもん「はい、どうぞ。頭につけて」
トードー「どれどれ……うわぁ~!」
トードーはどこかに飛んでいった。
150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:07:12.00 ID:JlmZUv+Q0
二次試験通過者は42名だった。
試験官と受験生は飛行船で次の場所へ。
サトツ「ルーキーがいいですね、今年は」
メンチ「あーやっぱり!」
サトツ「私は99番が断然いいですね」
メンチ「身のこなしは294番もなかなかだったわ。ブハラは?」
ブハラ「んー気になるといえば、
スシを作った410番とメンチと喧嘩した409番かな」
メンチ「そうね、410番の子のスシは一流の域に達してたし、
(超一流とまではいかないけど)
協力して作ったんだろうけど、タヌキの気持ちも今なら分かるわ」
サトツ「彼らはたしかに気になりますねぇ。
煙を出して走ったり、湿原の動物に好かれたり、
先ほどの試験も不思議な道具でクリアしていた」
メンチ「えぇ、肉体的な能力はさほどでもなさそうだけど
みんな死線をくぐり抜けてきた目をしてたし、あなどれないわ」
ブハラ「台風の目、になるかもしれないね」
試験官と受験生は飛行船で次の場所へ。
サトツ「ルーキーがいいですね、今年は」
メンチ「あーやっぱり!」
サトツ「私は99番が断然いいですね」
メンチ「身のこなしは294番もなかなかだったわ。ブハラは?」
ブハラ「んー気になるといえば、
スシを作った410番とメンチと喧嘩した409番かな」
メンチ「そうね、410番の子のスシは一流の域に達してたし、
(超一流とまではいかないけど)
協力して作ったんだろうけど、タヌキの気持ちも今なら分かるわ」
サトツ「彼らはたしかに気になりますねぇ。
煙を出して走ったり、湿原の動物に好かれたり、
先ほどの試験も不思議な道具でクリアしていた」
メンチ「えぇ、肉体的な能力はさほどでもなさそうだけど
みんな死線をくぐり抜けてきた目をしてたし、あなどれないわ」
ブハラ「台風の目、になるかもしれないね」
155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:08:28.64 ID:JlmZUv+Q0
スネ夫「ねぇ、帰ろうよ! ハンターってすごい資格みたいだけど
ぼくたちこの星の人間じゃないし、受かっても意味ないじゃん!
今まではなんとかなったけど、このままじゃ死んじゃうよ!」
ジャイアン「うるさいぞ、スネ夫! 男はこうやって試練を乗り越えて生きていくんだ。
な、しずちゃん」
しずか「私は女なんだけど……私も少し楽しくなってきたわ。
ドラちゃんがいればなんとかなるわよ」
ドラえもん「まぁ道具さえあればなんとかクリアできるよ。
せっかくここまで来たし、最後まで受けてみようよ。
タイムマシンを使えば家のことは心配いらないしね」
スネ夫(分かってない……みんな分かってない。
この星の、いやこの星の人たちの恐ろしさを)
しずか「あら? そういえばのび太さんがいないわ」
ジャイアン「どーせ飛行船の中ほっつき歩いてんだろ? 先に寝ようぜ」
ぼくたちこの星の人間じゃないし、受かっても意味ないじゃん!
今まではなんとかなったけど、このままじゃ死んじゃうよ!」
ジャイアン「うるさいぞ、スネ夫! 男はこうやって試練を乗り越えて生きていくんだ。
な、しずちゃん」
しずか「私は女なんだけど……私も少し楽しくなってきたわ。
ドラちゃんがいればなんとかなるわよ」
ドラえもん「まぁ道具さえあればなんとかクリアできるよ。
せっかくここまで来たし、最後まで受けてみようよ。
タイムマシンを使えば家のことは心配いらないしね」
スネ夫(分かってない……みんな分かってない。
この星の、いやこの星の人たちの恐ろしさを)
しずか「あら? そういえばのび太さんがいないわ」
ジャイアン「どーせ飛行船の中ほっつき歩いてんだろ? 先に寝ようぜ」
160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:09:59.12 ID:JlmZUv+Q0
ゴン「ノビタの父さんと母さんは?」
のび太「普通の主婦とサラリーマン。
ママは、昼寝したり0点とるといっつもガミガミうるさくって!」
ゴン「(きっとミトさんみたいな人なんだろうな)キルアの父さんと母さんは?」
キルア「んー? 殺人鬼」
のび太(さ、さ、殺人!?)
ゴン「両方?」
キルア「あははははっ!
面白いなーお前。マジ面でそんな事聞き返されたの初めてだぜ」
のび太「あ、あのさ、キルア」
キルア「ん?」
のび太「ほ、ほ、本当に?」
キルア「うん、オレん家暗殺稼業やってんだ」
のび太「あ、暗殺……」
キルア(あーあビビらせちったか。多少ぼかしておけばよかったかな)
のび太「普通の主婦とサラリーマン。
ママは、昼寝したり0点とるといっつもガミガミうるさくって!」
ゴン「(きっとミトさんみたいな人なんだろうな)キルアの父さんと母さんは?」
キルア「んー? 殺人鬼」
のび太(さ、さ、殺人!?)
ゴン「両方?」
キルア「あははははっ!
面白いなーお前。マジ面でそんな事聞き返されたの初めてだぜ」
のび太「あ、あのさ、キルア」
キルア「ん?」
のび太「ほ、ほ、本当に?」
キルア「うん、オレん家暗殺稼業やってんだ」
のび太「あ、暗殺……」
キルア(あーあビビらせちったか。多少ぼかしておけばよかったかな)
161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:11:19.10 ID:JlmZUv+Q0
のび太「あのさ……それってやめることはできないの?」
キルア「やめる?」
のび太「やめて、普通の会社で働く、とか……」
キルア「ぷははっ!
お前も面白いなー、そんな事いわれるのも初めてだぜ」
のび太「え……」
キルア「安心しろよ、俺は殺し屋になんかなるつもりないし
ハンターになったら逆にあいつらとっ捕まえてやるんだ。
いい値段で売れるぜー、きっと」
のび太「ほっ」
ゴン「あ、そういえばノビタに聞きたかったんだけど」
のび太「なに?」
ゴン「一次試験での煙や、二次試験でも空を飛んでたし、あれはなに?」
キルア「ナイス、ゴン。俺もそれ聞きたかったんだ」
のび太「え、えぇ~っと……あれは──」
キルア「やめる?」
のび太「やめて、普通の会社で働く、とか……」
キルア「ぷははっ!
お前も面白いなー、そんな事いわれるのも初めてだぜ」
のび太「え……」
キルア「安心しろよ、俺は殺し屋になんかなるつもりないし
ハンターになったら逆にあいつらとっ捕まえてやるんだ。
いい値段で売れるぜー、きっと」
のび太「ほっ」
ゴン「あ、そういえばノビタに聞きたかったんだけど」
のび太「なに?」
ゴン「一次試験での煙や、二次試験でも空を飛んでたし、あれはなに?」
キルア「ナイス、ゴン。俺もそれ聞きたかったんだ」
のび太「え、えぇ~っと……あれは──」
164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:11:52.68 ID:JlmZUv+Q0
その瞬間、ネテロが三人に背後から強烈な視線を送った。
キルア「!」
ゴン「!?」
のび太「(ママ? 先生!? いやもっとすごい!)ごめんなさい!」
ネテロ(おお、あの二人はいい反応じゃ。
メガネの少年はよっぽど日頃から怒られてるようじゃな)
キルア「じいさん、何か用?」
ネテロ「ゲームをせんかね? もしワシに勝てたらハンターの資格をやろう」
ゴン「うん、いいよ!」
キルア「やってやろうじゃん」
のび太「ぼくはそろそろ寝──」
ネテロ「決まりじゃな、三人ともついてきなさい」
キルア「!」
ゴン「!?」
のび太「(ママ? 先生!? いやもっとすごい!)ごめんなさい!」
ネテロ(おお、あの二人はいい反応じゃ。
メガネの少年はよっぽど日頃から怒られてるようじゃな)
キルア「じいさん、何か用?」
ネテロ「ゲームをせんかね? もしワシに勝てたらハンターの資格をやろう」
ゴン「うん、いいよ!」
キルア「やってやろうじゃん」
のび太「ぼくはそろそろ寝──」
ネテロ「決まりじゃな、三人ともついてきなさい」
167: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:13:20.29 ID:JlmZUv+Q0
ネテロ「ルールは簡単。三人がかりでこの球をワシから奪えば勝ちじゃ。
そっちはどんな攻撃も自由、こっちは手を出さん」
キルア「(なめやがって)ゴン、ノビタ、さっさと終わらせようぜ」
ゴン「よし!」
のび太「(眠いけど)うん!」
キルア(肢曲で攻めるか)
ゴン「俺はスピードとジャンプで勝負だ!」
のび太「や、やるぞ~」
三対一の攻防はしばらく続いた。
ネテロ「おっと、惜しい!」
ゴン「くそっ!」
のび太「んぎゃ!」
ネテロ(キルアの残像! ゴンのバネ! ノビタとやらの異常なドジっぷり!
なぜか予測のつかんところで転ぶからやり辛いのう)
キルア(あの爺さん、明らかにノビタにペースを乱されてる!
このままやってれば俺かゴンがボールをかすめ取るくらいは──)
のび太「も、もうダメ……走れない……」
のび太、ダウン。
ゴン&キルア&ネテロ「………」
そっちはどんな攻撃も自由、こっちは手を出さん」
キルア「(なめやがって)ゴン、ノビタ、さっさと終わらせようぜ」
ゴン「よし!」
のび太「(眠いけど)うん!」
キルア(肢曲で攻めるか)
ゴン「俺はスピードとジャンプで勝負だ!」
のび太「や、やるぞ~」
三対一の攻防はしばらく続いた。
ネテロ「おっと、惜しい!」
ゴン「くそっ!」
のび太「んぎゃ!」
ネテロ(キルアの残像! ゴンのバネ! ノビタとやらの異常なドジっぷり!
なぜか予測のつかんところで転ぶからやり辛いのう)
キルア(あの爺さん、明らかにノビタにペースを乱されてる!
このままやってれば俺かゴンがボールをかすめ取るくらいは──)
のび太「も、もうダメ……走れない……」
のび太、ダウン。
ゴン&キルア&ネテロ「………」
170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:15:20.02 ID:JlmZUv+Q0
その頃──
ヒソカ「おや、どうやら戻ってこれたようだ」
どくさいスイッチで消されていたヒソカが、一次試験スタート地点に復帰した。
ヒソカ「彼に電話してみるか。もしもし」
ギタラクル『ヒソカか』
ヒソカ「やぁ」
ギタラクル『どこにいたの? 今年は真面目にやるっていってたのに、もう三次試験だよ』
ヒソカ「ボクもそのつもりだったんだけどね、消されちゃった」
ギタラクル『消された?』
ヒソカ「消えた瞬間のあの感じ……念能力じゃなかった。
ねェ、受験生の中に妙な力を持ったヒトはいなかったかい?」
ギタラクル『心当たりはあるね』
ヒソカ「ありがとう。では、ボクもそちらに向かうよ。
適宜場所を教えてくれ、四次試験までには追いつく」
ギタラクル『追いついたらどうするの?』
ヒソカ「ハンター試験を楽しめなかった代わりに、他のゲームを楽しまなきゃね。
ボクを消したヒトを──狩る」
ヒソカ「おや、どうやら戻ってこれたようだ」
どくさいスイッチで消されていたヒソカが、一次試験スタート地点に復帰した。
ヒソカ「彼に電話してみるか。もしもし」
ギタラクル『ヒソカか』
ヒソカ「やぁ」
ギタラクル『どこにいたの? 今年は真面目にやるっていってたのに、もう三次試験だよ』
ヒソカ「ボクもそのつもりだったんだけどね、消されちゃった」
ギタラクル『消された?』
ヒソカ「消えた瞬間のあの感じ……念能力じゃなかった。
ねェ、受験生の中に妙な力を持ったヒトはいなかったかい?」
ギタラクル『心当たりはあるね』
ヒソカ「ありがとう。では、ボクもそちらに向かうよ。
適宜場所を教えてくれ、四次試験までには追いつく」
ギタラクル『追いついたらどうするの?』
ヒソカ「ハンター試験を楽しめなかった代わりに、他のゲームを楽しまなきゃね。
ボクを消したヒトを──狩る」
173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:16:29.43 ID:JlmZUv+Q0
翌朝──
ゴン「あ、目が覚めた?」
のび太「わっ、遅刻だ! 早く学校に行かないと!」
ゴン「落ち着いて! ここは飛行船だよ」
のび太「ああゴン、なんだ寝ぼけてた。あ、そういえばボール取りは?」
ゴン「俺とキルアで頑張ってみたけど、ダメだったよ。あの人スゴイよ!」
のび太「君ら二人でも!? そっかぁ……残念だったね」
しずか「あ、のび太さん! どこに行ってたの?」
ドラえもん「探そうかと思ったけどぼくらも疲れててね。無事でよかった」
スネ夫「まったくノロマなんだから」
ジャイアン「一人がドジだと、みんなが困るんだぞ!」
のび太「ごめ~ん、みんな」
飛行船内に、機内アナウンスが響き渡る。
ビーンズ『お待たせしました。目的地に到着です』
ゴン「あ、目が覚めた?」
のび太「わっ、遅刻だ! 早く学校に行かないと!」
ゴン「落ち着いて! ここは飛行船だよ」
のび太「ああゴン、なんだ寝ぼけてた。あ、そういえばボール取りは?」
ゴン「俺とキルアで頑張ってみたけど、ダメだったよ。あの人スゴイよ!」
のび太「君ら二人でも!? そっかぁ……残念だったね」
しずか「あ、のび太さん! どこに行ってたの?」
ドラえもん「探そうかと思ったけどぼくらも疲れててね。無事でよかった」
スネ夫「まったくノロマなんだから」
ジャイアン「一人がドジだと、みんなが困るんだぞ!」
のび太「ごめ~ん、みんな」
飛行船内に、機内アナウンスが響き渡る。
ビーンズ『お待たせしました。目的地に到着です』
175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:17:35.90 ID:JlmZUv+Q0
ビーンズ「ここはトリックタワーという塔のてっぺんです。
第三次試験の内容は、生きて下までたどり着くことです。
制限時間は72時間以内!」
スネ夫「なんだ楽勝じゃない、タケコプターで降りちゃおうよ」
ジャイアン「スネ夫、それじゃつまんねーじゃんか!」
スネ夫「つまんなくたっていいよ! きっと塔の中にはワナがわんさかあるんだ!
外から行こう、外から!」
キルア「やめた方がいいぜ」
のび太「キルア」
キルア「さっき外壁つたって降りてったオッサンが怪鳥に狙い撃ちにされてたから」
トンパ「ハンター試験は一見楽そうなルートに、より困難な罠が
待ち受けていることが多い。
塔に入らずに降りようとするのはかえって危険だろう」
スネ夫「ママァ~!」
第三次試験の内容は、生きて下までたどり着くことです。
制限時間は72時間以内!」
スネ夫「なんだ楽勝じゃない、タケコプターで降りちゃおうよ」
ジャイアン「スネ夫、それじゃつまんねーじゃんか!」
スネ夫「つまんなくたっていいよ! きっと塔の中にはワナがわんさかあるんだ!
外から行こう、外から!」
キルア「やめた方がいいぜ」
のび太「キルア」
キルア「さっき外壁つたって降りてったオッサンが怪鳥に狙い撃ちにされてたから」
トンパ「ハンター試験は一見楽そうなルートに、より困難な罠が
待ち受けていることが多い。
塔に入らずに降りようとするのはかえって危険だろう」
スネ夫「ママァ~!」
181: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:20:28.77 ID:JlmZUv+Q0
しずか「入り口はどこにもないけど、きっとどこかに隠れてるのね」
ジャイアン「宝探しみたいじゃん! 俺様が見つけてやるぜ!」
ドラえもん「のび太くんはじっとしてな。トリックタワーなんて名前だし
もし落とし穴とかがあったら大変だ」
のび太「ひどいなあ。ぼくはそんなのに引っかからないよ!」
スポッ! ガタン!
のび太「うわっ!」
ドラえもん「落ちちゃった……」
ジャイアン「あのバカ!」
のび太が落ちた場所をいくらいじっても、ビクともしない。
ジャイアン「くそっ、どうなってんだ!」
しずか「どうしましょ……のび太さん一人じゃ心配だわ」
レオリオ「どうかしたか? お前ら」
ジャイアン「宝探しみたいじゃん! 俺様が見つけてやるぜ!」
ドラえもん「のび太くんはじっとしてな。トリックタワーなんて名前だし
もし落とし穴とかがあったら大変だ」
のび太「ひどいなあ。ぼくはそんなのに引っかからないよ!」
スポッ! ガタン!
のび太「うわっ!」
ドラえもん「落ちちゃった……」
ジャイアン「あのバカ!」
のび太が落ちた場所をいくらいじっても、ビクともしない。
ジャイアン「くそっ、どうなってんだ!」
しずか「どうしましょ……のび太さん一人じゃ心配だわ」
レオリオ「どうかしたか? お前ら」
185: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:21:54.59 ID:JlmZUv+Q0
ドラえもん「あ、レオリオさん。のび太君が床の落とし穴に
引っかかって落ちちゃったんです。でも開かなくて……」
レオリオ「落とし穴?」
クラピカ「おそらく塔の入り口だろう。この頂上にはいくつも
そういう入り口があるにちがいない。
そして一度使われた入り口は、ロックがかかるのだろう」
しずか「だから開かなかったのね」
ジャイアン「ちくしょう、このままじゃのび太が!」
クラピカ「彼が落ちた入り口の近くに、もしかすると
彼と同行できるようなルートがあるかもしれない。探してみよう」
レオリオ「袖すり合うも……ってやつだ。俺も手伝うぜ」
ゴン「どうしたの?」
ドラえもん「かくかくしかじか」
ゴン「俺たちも探すよ!」
キルア「あいつじゃ簡単な罠でも死にかねないしな……」
引っかかって落ちちゃったんです。でも開かなくて……」
レオリオ「落とし穴?」
クラピカ「おそらく塔の入り口だろう。この頂上にはいくつも
そういう入り口があるにちがいない。
そして一度使われた入り口は、ロックがかかるのだろう」
しずか「だから開かなかったのね」
ジャイアン「ちくしょう、このままじゃのび太が!」
クラピカ「彼が落ちた入り口の近くに、もしかすると
彼と同行できるようなルートがあるかもしれない。探してみよう」
レオリオ「袖すり合うも……ってやつだ。俺も手伝うぜ」
ゴン「どうしたの?」
ドラえもん「かくかくしかじか」
ゴン「俺たちも探すよ!」
キルア「あいつじゃ簡単な罠でも死にかねないしな……」
189: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:22:48.36 ID:JlmZUv+Q0
ゴン、キルア、クラピカ、レオリオの4人は、
あっという間にのび太が落ちた場所の周辺にある
入り口を見つけて降りてしまった。
ジャイアン「すげえなぁ」
スネ夫「やっぱりハンター試験を受ける人は普通じゃないんだよ」
ドラえもん「う~ん、どうしよう?」
しずか「ドラちゃん、通り抜けフープを使ったら?」
ドラえもん「あ、そうか」
<通り抜けフープ>
リング型の道具。
壁や床につけると、異次元を通して「その先」に行くことができる。
ドラえもん「ぼくらも降りよう!」
ジャイアン「待ってろよ、のび太!」
しずか「えいっ!」
スネ夫「しょうがないなぁ、行けばいいんでしょ!」
あっという間にのび太が落ちた場所の周辺にある
入り口を見つけて降りてしまった。
ジャイアン「すげえなぁ」
スネ夫「やっぱりハンター試験を受ける人は普通じゃないんだよ」
ドラえもん「う~ん、どうしよう?」
しずか「ドラちゃん、通り抜けフープを使ったら?」
ドラえもん「あ、そうか」
<通り抜けフープ>
リング型の道具。
壁や床につけると、異次元を通して「その先」に行くことができる。
ドラえもん「ぼくらも降りよう!」
ジャイアン「待ってろよ、のび太!」
しずか「えいっ!」
スネ夫「しょうがないなぁ、行けばいいんでしょ!」
195: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:24:48.11 ID:JlmZUv+Q0
ドラえもんたちが降りると、下にはのび太とゴンたち4人がいた。
ドラえもん「のび太君!」
のび太「ドラえもぉ~ん!」
レオリオ「……お前ら、今どうやって降りて来たんだ?」
ドラえもん「通り抜けフープで」
クラピカ「本来ここは5人で進むはずのコースなのだが、9人になってしまったな」
スネ夫「どういうこと?」
キルア「この部屋は多数決の道っていう5人で進むルートのスタート地点なんだ。
ノビタ、ゴン、クラピカ、リオレオ、俺と揃ったところに
お前たちが降りて来たんだ」
レオリオ「レオリオだ!」
スネ夫「5人用のゲームを9人でプレイするようなもんか」
ジャイアン「なら話は簡単だ。のび太、俺と代われ!」
のび太「そ、そんなぁ~」
ドラえもん「のび太君!」
のび太「ドラえもぉ~ん!」
レオリオ「……お前ら、今どうやって降りて来たんだ?」
ドラえもん「通り抜けフープで」
クラピカ「本来ここは5人で進むはずのコースなのだが、9人になってしまったな」
スネ夫「どういうこと?」
キルア「この部屋は多数決の道っていう5人で進むルートのスタート地点なんだ。
ノビタ、ゴン、クラピカ、リオレオ、俺と揃ったところに
お前たちが降りて来たんだ」
レオリオ「レオリオだ!」
スネ夫「5人用のゲームを9人でプレイするようなもんか」
ジャイアン「なら話は簡単だ。のび太、俺と代われ!」
のび太「そ、そんなぁ~」
207: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:28:10.65 ID:JlmZUv+Q0
モニター室──
試験官「リッポー、どうする?」
リッポー「こんな事態は想定していなかったからな……仕方あるまい」
リッポーは多数決の道メンバーにアナウンスする。
リッポー『9人になってしまったのは我々のミスだ。
したがって9人全員で進む事を許可しよう。
ただし、多数決に参加できるのは、今タイマーをはめている5人のみ!
交換は一切認めない!』
要約すると、こうだ。
・多数決に参加できるのは、のび太、ゴン、キルア、クラピカ、レオリオのみ。
・他のメンバーは同行、多数決以外の協力OK。
リッポー「ま、こんなところだろう。そろそろ試練官を配置につかせるか」
無限四刀流「クックック、ヒソカにリベンジしてやるぜ」
リッポー「ヒソカは一次試験で行方不明になって失格したって聞いたぞ」
無限四刀流「えっ」
試験官「リッポー、どうする?」
リッポー「こんな事態は想定していなかったからな……仕方あるまい」
リッポーは多数決の道メンバーにアナウンスする。
リッポー『9人になってしまったのは我々のミスだ。
したがって9人全員で進む事を許可しよう。
ただし、多数決に参加できるのは、今タイマーをはめている5人のみ!
交換は一切認めない!』
要約すると、こうだ。
・多数決に参加できるのは、のび太、ゴン、キルア、クラピカ、レオリオのみ。
・他のメンバーは同行、多数決以外の協力OK。
リッポー「ま、こんなところだろう。そろそろ試練官を配置につかせるか」
無限四刀流「クックック、ヒソカにリベンジしてやるぜ」
リッポー「ヒソカは一次試験で行方不明になって失格したって聞いたぞ」
無限四刀流「えっ」
213: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:29:45.22 ID:JlmZUv+Q0
ジャイアン「なんでぇなんでぇ、俺らはついてくだけかよ!
のび太! 変なことして迷惑かけたらメタメタのギタギタだぞ!」
スネ夫「そうだそうだ!」
のび太「ひぃぃ……」
『このドアを開ける⇒○ 開けない⇒×』
○4 ×1
レオリオ「誰だ!? ×を押したのは!?」
のび太「ぼ、ぼくです。ごめんなさい! 緊張して手が滑って……」
ジャイアン「ドガア!」
顔面めり込みパンチを食らうのび太。
レオリオ「おいやめろ! 友達は大切にするもんだ。
ある日突然いなくなっちまうかもしれないしな」
ジャイアン「ご、ごめんなさい。レオリオさん」
レオリオ(俺とした事が、昔を思い出しちまったぜ)
のび太! 変なことして迷惑かけたらメタメタのギタギタだぞ!」
スネ夫「そうだそうだ!」
のび太「ひぃぃ……」
『このドアを開ける⇒○ 開けない⇒×』
○4 ×1
レオリオ「誰だ!? ×を押したのは!?」
のび太「ぼ、ぼくです。ごめんなさい! 緊張して手が滑って……」
ジャイアン「ドガア!」
顔面めり込みパンチを食らうのび太。
レオリオ「おいやめろ! 友達は大切にするもんだ。
ある日突然いなくなっちまうかもしれないしな」
ジャイアン「ご、ごめんなさい。レオリオさん」
レオリオ(俺とした事が、昔を思い出しちまったぜ)
227: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:32:23.41 ID:JlmZUv+Q0
『どっちに行く? 右⇒○ 左⇒×』
○2 ×3
ゴン「やっぱり左だよね!」
のび太「うん! こっちのが落ち着くもん!」
レオリオ「お前らとは将来うまい酒が飲めそうだぜ」
キルア「ちぇっ」
クラピカ(試験官が左の法則を知らなければいいが)
結論からいうと、左の道はハズレだった。
5時間以上罠だらけの道を歩き、たどり着いたのはスタート地点だった。
ゴン「………」
のび太「………」
レオリオ「………」
クラピカ「やはりな」
キルア「さ、今度は右に行こうぜ」
右に行くと、9人は試練官の待ち受けるリングにたどり着いた。
○2 ×3
ゴン「やっぱり左だよね!」
のび太「うん! こっちのが落ち着くもん!」
レオリオ「お前らとは将来うまい酒が飲めそうだぜ」
キルア「ちぇっ」
クラピカ(試験官が左の法則を知らなければいいが)
結論からいうと、左の道はハズレだった。
5時間以上罠だらけの道を歩き、たどり着いたのはスタート地点だった。
ゴン「………」
のび太「………」
レオリオ「………」
クラピカ「やはりな」
キルア「さ、今度は右に行こうぜ」
右に行くと、9人は試練官の待ち受けるリングにたどり着いた。
236: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:33:53.87 ID:JlmZUv+Q0
ベンドット「お前たちは我々試練官5人と戦い、3勝しなければここを通れない!
勝負は一対一、順番も自由! ただし各自一度のみ!」
のび太(いっぺんに言わないでよ~覚えきれない)
ベンドット「お前たちは9人とのことだが、戦いはタイマーを持たない
4人の中から選ぶことも認める!
受けるなら○を、受けないなら×を押されよ!」
のび太(どうしよう~! どっちを押せばいいんだ!?)
ドラえもん「のび太君、○押しときな」
○5 ×0
ベンドット「こちらの一番手は俺だ! そちらも選ばれよ!」
スネ夫「どうすんのさ、あいつメチャクチャ強そうだよ!」
レオリオ(ガキ共に相手させるわけにゃいかねェな)
「俺がいくぜ」
勝負は一対一、順番も自由! ただし各自一度のみ!」
のび太(いっぺんに言わないでよ~覚えきれない)
ベンドット「お前たちは9人とのことだが、戦いはタイマーを持たない
4人の中から選ぶことも認める!
受けるなら○を、受けないなら×を押されよ!」
のび太(どうしよう~! どっちを押せばいいんだ!?)
ドラえもん「のび太君、○押しときな」
○5 ×0
ベンドット「こちらの一番手は俺だ! そちらも選ばれよ!」
スネ夫「どうすんのさ、あいつメチャクチャ強そうだよ!」
レオリオ(ガキ共に相手させるわけにゃいかねェな)
「俺がいくぜ」
242: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:35:51.37 ID:JlmZUv+Q0
ベンドットからの提案はデスマッチ、受けるレオリオ。
ベンドット「勝負!」
レオリオ「来やがれ!」
戦いの主導権はベンドットが握った。
根性で食らいつくレオリオを、ベンドットの戦闘技術が上回る。
馬乗りになり、ベンドットが笑う。
ベンドット「想像つくだろうがムショってのは娯楽もねェし規則ががんじがらめで
ストレスが溜まるんだ。じっくりいたぶってやる」
レオリオ「ケッ、やってみやがれ!」
ゴッ! ガッ! バキッ! ガスッ! ガンッ!
振り下ろされる鉄槌の嵐、しかしレオリオも降参をしない。
キルア「相手のが一枚上手だな」
ゴン「レオリオ!」
レオリオ「ぐ……ぜってー参ったなんざしねェ!」
ベンドット「生きがいいな若造、ノドを潰さず正解だったぜ。
もっとわめいてみせろ!」
ベンドット「勝負!」
レオリオ「来やがれ!」
戦いの主導権はベンドットが握った。
根性で食らいつくレオリオを、ベンドットの戦闘技術が上回る。
馬乗りになり、ベンドットが笑う。
ベンドット「想像つくだろうがムショってのは娯楽もねェし規則ががんじがらめで
ストレスが溜まるんだ。じっくりいたぶってやる」
レオリオ「ケッ、やってみやがれ!」
ゴッ! ガッ! バキッ! ガスッ! ガンッ!
振り下ろされる鉄槌の嵐、しかしレオリオも降参をしない。
キルア「相手のが一枚上手だな」
ゴン「レオリオ!」
レオリオ「ぐ……ぜってー参ったなんざしねェ!」
ベンドット「生きがいいな若造、ノドを潰さず正解だったぜ。
もっとわめいてみせろ!」
249: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:37:10.18 ID:JlmZUv+Q0
レオリオのやられる姿を、ビデオで撮るドラえもん。
クラピカ「こんな時に何を!?」
のび太「そうだよドラえもん、レオリオさんが……」
すると、試合が一変する。
レオリオは馬乗りから脱出、逆にベンドットを一方的に攻め始める。
ベンドットもなかなかタフだったが、ついに──
ベンドット「ぐ、ぐふぅ……参った……!」
レオリオ(あれ? いつの間にか俺が勝ってる?)
ドラえもんはすぐにカメラをポケットにしまった。
ドラえもん(レオリオさんの性格からして、道具の力で勝ったなんて知ったら
絶対怒るだろうしな)
<カチカチカメラ>
このカメラで勝負を撮ると、指定した方を勝たせることが出来る。
受験生 1-0 試練官
クラピカ「こんな時に何を!?」
のび太「そうだよドラえもん、レオリオさんが……」
すると、試合が一変する。
レオリオは馬乗りから脱出、逆にベンドットを一方的に攻め始める。
ベンドットもなかなかタフだったが、ついに──
ベンドット「ぐ、ぐふぅ……参った……!」
レオリオ(あれ? いつの間にか俺が勝ってる?)
ドラえもんはすぐにカメラをポケットにしまった。
ドラえもん(レオリオさんの性格からして、道具の力で勝ったなんて知ったら
絶対怒るだろうしな)
<カチカチカメラ>
このカメラで勝負を撮ると、指定した方を勝たせることが出来る。
受験生 1-0 試練官
261: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:39:26.80 ID:JlmZUv+Q0
次の相手はセドカン、受験生チームはゴン。
セドカン「互いにローソクを持ち、先に火が消えた方が負け。
君らには長い方がいいか、短い方がいいか、多数決で決めてもらおう」
クラピカ「これは不自由な二択──」
のび太&ジャイアン「あははははっ!」
ジャイアン「あいつバッカじゃねーの! 長い方にするに決まってんじゃん!」
のび太「だよねぇ、学校のテストよりよっぽど簡単だよ」
ゴン「俺もそう思ってたところだよ! やるじゃん二人とも!」
クラピカ(不自由な二択の解説をしたかった……)
『長いローソク⇒○ 短いローソク⇒×』
○5 ×0
セドカン「じゃあ、君は長い方、ぼくは短い方」
同時に火をつける二人。
セドカン「互いにローソクを持ち、先に火が消えた方が負け。
君らには長い方がいいか、短い方がいいか、多数決で決めてもらおう」
クラピカ「これは不自由な二択──」
のび太&ジャイアン「あははははっ!」
ジャイアン「あいつバッカじゃねーの! 長い方にするに決まってんじゃん!」
のび太「だよねぇ、学校のテストよりよっぽど簡単だよ」
ゴン「俺もそう思ってたところだよ! やるじゃん二人とも!」
クラピカ(不自由な二択の解説をしたかった……)
『長いローソク⇒○ 短いローソク⇒×』
○5 ×0
セドカン「じゃあ、君は長い方、ぼくは短い方」
同時に火をつける二人。
265: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:40:15.36 ID:JlmZUv+Q0
火薬が仕込まれているのか、ゴンの長いローソクが激しく燃え上がる。
ジャイアン「きったねえ、インチキだ!」
のび太「ずるいずるい!」
クラピカ(もはや何も言うまい)
ドラえもん「バショー扇~!」
<バショー扇>
ダイヤル次第で色んな風を吹かせる事が出来る道具。
ゴン(このローソクを置いて、あの人の火を吹き消せば……)
ドラえもん「これで向こうの人のローソクの火を消しちゃおう」
ジャイアン「俺にやらせろ!」
ドラえもん「あっ」
ビュオッ!
ジャイアンが適当にふかせた風は、不運にもゴンのローソクに命中した。
ゴン「あっ! 俺の火が……!」
ジャイアン(お、俺、知~らね……)
受験生 1-1 試練官
ジャイアン「きったねえ、インチキだ!」
のび太「ずるいずるい!」
クラピカ(もはや何も言うまい)
ドラえもん「バショー扇~!」
<バショー扇>
ダイヤル次第で色んな風を吹かせる事が出来る道具。
ゴン(このローソクを置いて、あの人の火を吹き消せば……)
ドラえもん「これで向こうの人のローソクの火を消しちゃおう」
ジャイアン「俺にやらせろ!」
ドラえもん「あっ」
ビュオッ!
ジャイアンが適当にふかせた風は、不運にもゴンのローソクに命中した。
ゴン「あっ! 俺の火が……!」
ジャイアン(お、俺、知~らね……)
受験生 1-1 試練官
278: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:42:44.68 ID:JlmZUv+Q0
クラピカ「次は私が行こう」
マジタニ「クックック、俺はデスマッチを提案する!」
スネ夫「なんなのあのバケモノ! ママァ~!」
しずか「クラピカさん、大丈夫かしら……」
レオリオ「俺とやった奴よりはるかにヤバそうだぜ!」
キルア(あーあ、あんなハッタリ野郎にビビっちゃって……)
クラピカ「始めようか」
マジタニ(くそっ、こいつなんでビビらねぇ!? ええい構うか!)
「ひゃおっ!」
ドガッ!
マジタニの鉄拳がリングを砕く。
のび太「ひぃ~すごい! ドラえもん、クラピカさん殺されちゃう!」
ドラえもん「う、うん」
マジタニ「クックック、俺はデスマッチを提案する!」
スネ夫「なんなのあのバケモノ! ママァ~!」
しずか「クラピカさん、大丈夫かしら……」
レオリオ「俺とやった奴よりはるかにヤバそうだぜ!」
キルア(あーあ、あんなハッタリ野郎にビビっちゃって……)
クラピカ「始めようか」
マジタニ(くそっ、こいつなんでビビらねぇ!? ええい構うか!)
「ひゃおっ!」
ドガッ!
マジタニの鉄拳がリングを砕く。
のび太「ひぃ~すごい! ドラえもん、クラピカさん殺されちゃう!」
ドラえもん「う、うん」
285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:44:11.52 ID:JlmZUv+Q0
ドラえもん「平和アンテナ~!」
<平和アンテナ>
どんな争いをもしずめる平和電波を出す道具。
マジタニ「俺は旅団四天王マジタニ! 負けを認めるならば今の内だぜ」
クラピカの眼が、緋色に変わる。
マジタニ「ひっ、なんだお前!?」
逆上したクラピカの一撃がヒットする寸前、平和電波が2人に届いた。
クラピカ「同胞を殺された怒りと憎しみを、無関係の人間にぶつけるところだった。
非礼を詫びよう」
マジタニ「いやこちらこそ、旅団の名を騙って勝ちを得ようなんてすまなかったな」
クラピカ「私の負けだ」
マジタニ「いや、俺の負けだ」
タッチの差で、クラピカ敗北。
受験生 1-2 試練官
<平和アンテナ>
どんな争いをもしずめる平和電波を出す道具。
マジタニ「俺は旅団四天王マジタニ! 負けを認めるならば今の内だぜ」
クラピカの眼が、緋色に変わる。
マジタニ「ひっ、なんだお前!?」
逆上したクラピカの一撃がヒットする寸前、平和電波が2人に届いた。
クラピカ「同胞を殺された怒りと憎しみを、無関係の人間にぶつけるところだった。
非礼を詫びよう」
マジタニ「いやこちらこそ、旅団の名を騙って勝ちを得ようなんてすまなかったな」
クラピカ「私の負けだ」
マジタニ「いや、俺の負けだ」
タッチの差で、クラピカ敗北。
受験生 1-2 試練官
292: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:46:09.73 ID:JlmZUv+Q0
クラピカ「すまん……(なぜ私は負けたんだろう……)」
へこむクラピカ。
ドラえもん(なんだか悪い事しちゃったなあ)
キルア「じゃあ次は俺行くよ」
レルート「(ガキじゃないの)私の勝負は、賭けよ。チップは時間!
互いの持ち時間は50で、10時間ずつ賭けられるわ。0になったら負けよ」
キルア「賭けの内容は?」
レルート「アンタが先に決めていいわよ」
キルア「ふーん……じゃあ」
レルート(せいぜい楽しませて頂戴よ)
キルア「俺がアンタを5秒以内に殺せるか賭けようよ」
レルート「え!?」
キルア「どっちに賭ける?」
レルート「そ、そんな勝負は認められないわ!」
へこむクラピカ。
ドラえもん(なんだか悪い事しちゃったなあ)
キルア「じゃあ次は俺行くよ」
レルート「(ガキじゃないの)私の勝負は、賭けよ。チップは時間!
互いの持ち時間は50で、10時間ずつ賭けられるわ。0になったら負けよ」
キルア「賭けの内容は?」
レルート「アンタが先に決めていいわよ」
キルア「ふーん……じゃあ」
レルート(せいぜい楽しませて頂戴よ)
キルア「俺がアンタを5秒以内に殺せるか賭けようよ」
レルート「え!?」
キルア「どっちに賭ける?」
レルート「そ、そんな勝負は認められないわ!」
298: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:47:07.80 ID:JlmZUv+Q0
キルア「受けてくんないのか。じゃあ面倒だしアンタを殺そう」
レルート「ちょっ……もし勝負内容が不確定な時点で私を殺したら、
アンタの負け! こっちの3勝が確定して、アンタらは失格よ!」
キルア「いいよ別に」
レルート(この殺気……本物……!)
キルア「分かった? アンタが生き残るにはさっきの勝負を受けて
“殺せる”に50時間賭けるしかない」
レルート「う……」
死など恐れていないし、冷静になれば打つ手はあったかもしれない。
しかしレルートにとって、キルアが放つ殺気は荷が重すぎた。
暗殺者(プロ)に、賭博師(プロ)は屈した。
レオリオ「ハッタリとは思えねェ迫力だったぜ……。あいつ……何者なんだ」
ゴン「暗殺一家のエリートだって」
ジャイアン「へっ、俺だって店番のエリートだぜ!」
スネ夫(暗殺一家……。ママ……ぼくは帰れないかもしれません)
受験生 2-2 試練官
レルート「ちょっ……もし勝負内容が不確定な時点で私を殺したら、
アンタの負け! こっちの3勝が確定して、アンタらは失格よ!」
キルア「いいよ別に」
レルート(この殺気……本物……!)
キルア「分かった? アンタが生き残るにはさっきの勝負を受けて
“殺せる”に50時間賭けるしかない」
レルート「う……」
死など恐れていないし、冷静になれば打つ手はあったかもしれない。
しかしレルートにとって、キルアが放つ殺気は荷が重すぎた。
暗殺者(プロ)に、賭博師(プロ)は屈した。
レオリオ「ハッタリとは思えねェ迫力だったぜ……。あいつ……何者なんだ」
ゴン「暗殺一家のエリートだって」
ジャイアン「へっ、俺だって店番のエリートだぜ!」
スネ夫(暗殺一家……。ママ……ぼくは帰れないかもしれません)
受験生 2-2 試練官
301: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:47:41.36 ID:JlmZUv+Q0
のび太「最後はぼくか……」
のび太の相手が姿を現す。
ジョネス「久々にシャバの肉をつかめる……」
のび太「ひぃ~! 壁を素手でむしった!」
レオリオ「ノビタ! 俺たちの負けでいい、アイツとは戦うな!
奴は解体屋ジョネス! ザバン市最悪の殺人鬼だ!」
キルア「ち……」
(こんなのが控えてるなら、さっきの女をノビタに回すべきだったな)
のび太「ド、ドラえもん……あの人を落ち着かせるような道具ない?
シャバの肉つかませ機とか……」
ドラえもん「あるわけないだろ!」
クラピカ「私もレオリオに賛成だ。むざむざ死にに行くことはない」
ジャイアン「なんでぇなんでぇ、俺が出てもいいんだろ? やってやる!」
のび太の相手が姿を現す。
ジョネス「久々にシャバの肉をつかめる……」
のび太「ひぃ~! 壁を素手でむしった!」
レオリオ「ノビタ! 俺たちの負けでいい、アイツとは戦うな!
奴は解体屋ジョネス! ザバン市最悪の殺人鬼だ!」
キルア「ち……」
(こんなのが控えてるなら、さっきの女をノビタに回すべきだったな)
のび太「ド、ドラえもん……あの人を落ち着かせるような道具ない?
シャバの肉つかませ機とか……」
ドラえもん「あるわけないだろ!」
クラピカ「私もレオリオに賛成だ。むざむざ死にに行くことはない」
ジャイアン「なんでぇなんでぇ、俺が出てもいいんだろ? やってやる!」
315: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:50:07.32 ID:JlmZUv+Q0
勝手に橋を渡るジャイアン。もう追いつけない。
レオリオ「おいっ! くそっ、バカヤロウ!」
のび太「ああ、ジャイアンが! ドラえもん何とかして!」
ドラえもん「あれでもない、これでもない~!」
ジャイアン「いくぜぇ! メタメタのギタギタにしてやらぁ!」
ジョネス「つかみがいがありそうな肉だ……」
キルア(無理だ──殺られる)
スネ夫「(そうだ!)ジャイアン一曲歌って~!」
ジャイアン「そうか、俺様の歌なら殺人鬼もメロメロだぜ!」
ボ エ ~ ~ ~ ~
ジョネス「ぐわぁぁぁ! やめろオォォォォ! もうシャバの肉いいから、
まいったああアアアア!」
悲鳴の後、ジョネス失神。
受験生 3-2 試練官 受験生の勝利
レオリオ「おいっ! くそっ、バカヤロウ!」
のび太「ああ、ジャイアンが! ドラえもん何とかして!」
ドラえもん「あれでもない、これでもない~!」
ジャイアン「いくぜぇ! メタメタのギタギタにしてやらぁ!」
ジョネス「つかみがいがありそうな肉だ……」
キルア(無理だ──殺られる)
スネ夫「(そうだ!)ジャイアン一曲歌って~!」
ジャイアン「そうか、俺様の歌なら殺人鬼もメロメロだぜ!」
ボ エ ~ ~ ~ ~
ジョネス「ぐわぁぁぁ! やめろオォォォォ! もうシャバの肉いいから、
まいったああアアアア!」
悲鳴の後、ジョネス失神。
受験生 3-2 試練官 受験生の勝利
322: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:51:19.36 ID:JlmZUv+Q0
のび太「……お、お疲れ、ジャイアン」
ジャイアン「歌ったらスカッとしたぜ! もう一曲歌いたいぞ」
スネ夫「ジャ、ジャイアン、こんなところじゃもったいないよ。
ハンター試験に合格したら盛大に披露してよ」
しずか「そ、そうよ。もっと武さんに相応しい舞台があるわよ」
ジャイアン「ん? それもそうだな」
キルア(なんて破壊力だ。あんな技があるなんて)
ゴン(まだ耳がズキズキする……。吐き気も……)
クラピカ「ジャイアン、さっきの技はどうやったんだ?」
ジャイアン「俺、歌手めざしてんだ。シンガーソングライターってやつを」
レオリオ「フン、たのもしい限りだな」
クラピカ(味方のうちは……な)
ジャイアン「歌ったらスカッとしたぜ! もう一曲歌いたいぞ」
スネ夫「ジャ、ジャイアン、こんなところじゃもったいないよ。
ハンター試験に合格したら盛大に披露してよ」
しずか「そ、そうよ。もっと武さんに相応しい舞台があるわよ」
ジャイアン「ん? それもそうだな」
キルア(なんて破壊力だ。あんな技があるなんて)
ゴン(まだ耳がズキズキする……。吐き気も……)
クラピカ「ジャイアン、さっきの技はどうやったんだ?」
ジャイアン「俺、歌手めざしてんだ。シンガーソングライターってやつを」
レオリオ「フン、たのもしい限りだな」
クラピカ(味方のうちは……な)
331: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:53:24.98 ID:JlmZUv+Q0
幾度も待ち受ける多数決と罠──。
いちいちのび太が足を引っぱりまくったが、ドラえもんの道具でフォローして
ついに出口直前まで到着した。
石像『全員で行けるが困難な道、2人は行けないが短く簡単な道。
前者は45時間程、後者は2分程でゴールです。
長く困難な道なら○、短く簡単な道なら×を押してください』
残り時間は20時間。
石像『×の場合、壁の手錠に2人が繋がれた時点で扉が開きます』
しずか「短い道だと、9人中7人しかゴールできないって事ね」
レオリオ「……おめェらにゃ悪いが俺は×を押す。そして7人の中に残る」
ゴン「俺は○を押すよ、まだ20時間もあるんだし。みんなで通過したい」
キルア「俺は×を押すぜ。戦うしかないとしても」
クラピカ「私は○だ」
のび太「ぼくは──」
いちいちのび太が足を引っぱりまくったが、ドラえもんの道具でフォローして
ついに出口直前まで到着した。
石像『全員で行けるが困難な道、2人は行けないが短く簡単な道。
前者は45時間程、後者は2分程でゴールです。
長く困難な道なら○、短く簡単な道なら×を押してください』
残り時間は20時間。
石像『×の場合、壁の手錠に2人が繋がれた時点で扉が開きます』
しずか「短い道だと、9人中7人しかゴールできないって事ね」
レオリオ「……おめェらにゃ悪いが俺は×を押す。そして7人の中に残る」
ゴン「俺は○を押すよ、まだ20時間もあるんだし。みんなで通過したい」
キルア「俺は×を押すぜ。戦うしかないとしても」
クラピカ「私は○だ」
のび太「ぼくは──」
341: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:55:17.50 ID:JlmZUv+Q0
トリックタワー1階。
トンパ「よう」
のび太「トンパさん!」
トンパ「とうとうここまで来たか、まだ子供なのに大したもんだ」
のび太「どうもありがとう」
レオリオ「ドラエモン、あんな輪っかがあるなら言えよな!」
クラピカ「しかし、助けられたよ。ありがとう」
ドラえもん「ど、どうも(タワーに入る時使ったのに、すっかり忘れてた……)」
最後の多数決は『○3 ×2』で長く困難な道に決定した。
9人はゴンの提案で短い道へ出るため壁を壊し始める。
その途中、ドラえもんが「通り抜けフープ」を思い出したのだった。
かくして9人は、52時間15分でトリックタワーを攻略した。
トンパ「よう」
のび太「トンパさん!」
トンパ「とうとうここまで来たか、まだ子供なのに大したもんだ」
のび太「どうもありがとう」
レオリオ「ドラエモン、あんな輪っかがあるなら言えよな!」
クラピカ「しかし、助けられたよ。ありがとう」
ドラえもん「ど、どうも(タワーに入る時使ったのに、すっかり忘れてた……)」
最後の多数決は『○3 ×2』で長く困難な道に決定した。
9人はゴンの提案で短い道へ出るため壁を壊し始める。
その途中、ドラえもんが「通り抜けフープ」を思い出したのだった。
かくして9人は、52時間15分でトリックタワーを攻略した。
353: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:56:59.10 ID:JlmZUv+Q0
スネ夫「ぼくらより早くゴールした人も多いね」
ジャイアン「ん。なんだあいつ、こっち見てるぜ」
スネ夫「ホントだ、気持ち悪いなぁ」
ギタラクル「カタカタカタカタカタ……」
ジャイアン「うわっ!」
スネ夫「ひっ!」
ギタラクル「カタカタカタカタカタ……」
ジャイアン「い、行こうぜ」
スネ夫「うん!」
ギタラクル(ヒソカを消したのは……やはり“あの5人”だな。
もうすぐ彼も追いつく頃だろうし、
次の試験の場所も見当つくし、連絡しておくか)
ジャイアン「ん。なんだあいつ、こっち見てるぜ」
スネ夫「ホントだ、気持ち悪いなぁ」
ギタラクル「カタカタカタカタカタ……」
ジャイアン「うわっ!」
スネ夫「ひっ!」
ギタラクル「カタカタカタカタカタ……」
ジャイアン「い、行こうぜ」
スネ夫「うん!」
ギタラクル(ヒソカを消したのは……やはり“あの5人”だな。
もうすぐ彼も追いつく頃だろうし、
次の試験の場所も見当つくし、連絡しておくか)
358: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:58:00.31 ID:JlmZUv+Q0
『タイムアップ~!』
第三次試験通過人数、29名。
(内1名は重体で、ドラえもんの道具で一命を取り留めるもリタイア)
リッポー「諸君、タワー脱出おめでとう。残る試験は第四次試験と最終試験のみ」
しずか「あと二つね」
スネ夫(もう危険なのはコリゴリだ!)
リッポー「四次試験はゼビル島にて行われる。君たちにはこれからクジをひいてもらい、
狩る者と狩られる者を決定してもらう」
ジャイアン「面白そうじゃん!」
のび太「借り物競走かぁ」
リッポー「この中には28枚のナンバーカードが入っている。
タワーを脱出した順にひいてもらおう」
第三次試験通過人数、29名。
(内1名は重体で、ドラえもんの道具で一命を取り留めるもリタイア)
リッポー「諸君、タワー脱出おめでとう。残る試験は第四次試験と最終試験のみ」
しずか「あと二つね」
スネ夫(もう危険なのはコリゴリだ!)
リッポー「四次試験はゼビル島にて行われる。君たちにはこれからクジをひいてもらい、
狩る者と狩られる者を決定してもらう」
ジャイアン「面白そうじゃん!」
のび太「借り物競走かぁ」
リッポー「この中には28枚のナンバーカードが入っている。
タワーを脱出した順にひいてもらおう」
365: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 22:59:52.79 ID:JlmZUv+Q0
リッポー「全員ひきおわったね。今ひいたカードに書かれた番号が、君たちの獲物だ」
リッポー「自分のナンバープレートと獲物のプレートは3点、それ以外は1点、
最終試験に進むには6点必要だ」
しずか「受験生同士の対決というわけね」
スネ夫(そうだ! ぼくのナンバーを他の受験生が記憶してるとは限らない。
ナンバープレートを隠さないと!)
のび太「あれ、スネ夫なにやってんの?」
スネ夫「次の試験の話、聞いてただろ! プレートをポケットに隠せよ!」
のび太「借り物競走じゃないの?」
スネ夫(んもう、バカにモノを教えるのは大変だ)
「いいからとにかく隠せ!」
のび太「わ、わかったよ」
リッポー「自分のナンバープレートと獲物のプレートは3点、それ以外は1点、
最終試験に進むには6点必要だ」
しずか「受験生同士の対決というわけね」
スネ夫(そうだ! ぼくのナンバーを他の受験生が記憶してるとは限らない。
ナンバープレートを隠さないと!)
のび太「あれ、スネ夫なにやってんの?」
スネ夫「次の試験の話、聞いてただろ! プレートをポケットに隠せよ!」
のび太「借り物競走じゃないの?」
スネ夫(んもう、バカにモノを教えるのは大変だ)
「いいからとにかく隠せ!」
のび太「わ、わかったよ」
374: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:02:05.49 ID:JlmZUv+Q0
のび太「なんだいスネ夫の奴、ピリピリしちゃって……あ、ゴン、キルア!」
ゴン「あ、ノビタ」
キルア「よ」
のび太「何番だった? ぼく、384番だった」
キルア「お、おい! あまり大声でいわない方がいいぞ」
のび太「え、この番号の人からプレート借りる試験でしょ?」
ゴン(ち、近いような遠いような……)
キルア「ふー……まぁ俺らだけ教えないわけにもいかないな。
せーので見せ合おうぜ」
ゴン「うん」
ゴン⇒89 キルア⇒197 のび太⇒384
のび太「2人の番号って誰だっけ?」
キルア「やっぱわかんねー? みんな隠しちゃったからなー」
ゴン「俺も誰だったか分からないや」
ゴン「あ、ノビタ」
キルア「よ」
のび太「何番だった? ぼく、384番だった」
キルア「お、おい! あまり大声でいわない方がいいぞ」
のび太「え、この番号の人からプレート借りる試験でしょ?」
ゴン(ち、近いような遠いような……)
キルア「ふー……まぁ俺らだけ教えないわけにもいかないな。
せーので見せ合おうぜ」
ゴン「うん」
ゴン⇒89 キルア⇒197 のび太⇒384
のび太「2人の番号って誰だっけ?」
キルア「やっぱわかんねー? みんな隠しちゃったからなー」
ゴン「俺も誰だったか分からないや」
380: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:02:50.12 ID:JlmZUv+Q0
のび太「でも、ドラえ──」
キルア「ま、なんとか探してみせるさ。生き残れよ」
ゴン「うん! 絶対突破してみせる!」
のび太「う、うん……!」
のび太は羨ましかった。
少し年上なだけなのに、あまりにも自分より前を進んでいる2人が。
のび太は恥ずかしかった。
そんな2人に「ドラえもんに頼めば~」と提案しかけた自分が。
のび太(ぼくにはあの2人みたいに、ドラえもんに頼らず、ってのは無理だ)
のび太(でも……ほんの少しでもいい、このハンター試験で
ぼく自身の力を出したい!)
キルア「ま、なんとか探してみせるさ。生き残れよ」
ゴン「うん! 絶対突破してみせる!」
のび太「う、うん……!」
のび太は羨ましかった。
少し年上なだけなのに、あまりにも自分より前を進んでいる2人が。
のび太は恥ずかしかった。
そんな2人に「ドラえもんに頼めば~」と提案しかけた自分が。
のび太(ぼくにはあの2人みたいに、ドラえもんに頼らず、ってのは無理だ)
のび太(でも……ほんの少しでもいい、このハンター試験で
ぼく自身の力を出したい!)
391: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:04:32.41 ID:JlmZUv+Q0
四次試験開始──
森の中を半ばピクニック気分で歩くのび太たち。
ジャイアン「よーっし、ハンティング開始だぜい!」
しずか「一週間もあるし、まずは雨風をしのげる場所を探した方がいいわね。
この島のどこかにほら穴があるはずよ」
のび太「さすがしずちゃん!」
ドラえもん「ひとまずはほら穴探しだね」
ジャイアン「どうしたスネ夫? 元気ないじゃんか」
スネ夫「よくそんなにのんきでいられるね、君たち」
ジャイアン「なんだとぉ!?」
スネ夫「いつどこで他の受験生に狙われるか──」
ガサッ!
森の中を半ばピクニック気分で歩くのび太たち。
ジャイアン「よーっし、ハンティング開始だぜい!」
しずか「一週間もあるし、まずは雨風をしのげる場所を探した方がいいわね。
この島のどこかにほら穴があるはずよ」
のび太「さすがしずちゃん!」
ドラえもん「ひとまずはほら穴探しだね」
ジャイアン「どうしたスネ夫? 元気ないじゃんか」
スネ夫「よくそんなにのんきでいられるね、君たち」
ジャイアン「なんだとぉ!?」
スネ夫「いつどこで他の受験生に狙われるか──」
ガサッ!
399: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:05:52.77 ID:JlmZUv+Q0
スネ夫「うわぁぁぁぁっ!」
アゴン「大人しくしな、刺しちまうぜ」
チャキッ
スネ夫「マ、ママァ~!」
のび太「スネ夫!」
アゴン「俺の獲物は409番。たしかお前らのどれかだろ?」
ドラえもん「ぼ、ぼくだ!」
アゴン「よし、そいつをよこしな。俺も手荒なマネはしたくねェ。
ついでに3点くらい余裕が欲しいからな。他の3人もプレート出しな」
ジャイアン「ふっざけんな!」
アゴン「こいつがどうなってもいいのか?」
スネ夫「た、た、助け……」
ジャイアン「くっ……」
アゴン「大人しくしな、刺しちまうぜ」
チャキッ
スネ夫「マ、ママァ~!」
のび太「スネ夫!」
アゴン「俺の獲物は409番。たしかお前らのどれかだろ?」
ドラえもん「ぼ、ぼくだ!」
アゴン「よし、そいつをよこしな。俺も手荒なマネはしたくねェ。
ついでに3点くらい余裕が欲しいからな。他の3人もプレート出しな」
ジャイアン「ふっざけんな!」
アゴン「こいつがどうなってもいいのか?」
スネ夫「た、た、助け……」
ジャイアン「くっ……」
409: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:07:49.19 ID:JlmZUv+Q0
のび太「分かった、ぼくのプレートをあげるよ」
ジャイアン「ちくしょう、俺のもだ!」
しずか「私も」
アゴン「よしよし、いっとくが全員のプレートを奪わないだけ俺は良心的だぜ?
プレートが一枚でもありゃ審査委員会からの助けを期待できるってハナシだ」
トンパ「そりゃあァ~!」
アゴン「!?」
ガゴッ!
トンパの不意打ちキックで、アゴンは気絶した。
のび太「トンパさん!」
トンパ「君たち、大丈夫か?」
ドラえもん「助かった……」
ジャイアン「ちくしょう、俺のもだ!」
しずか「私も」
アゴン「よしよし、いっとくが全員のプレートを奪わないだけ俺は良心的だぜ?
プレートが一枚でもありゃ審査委員会からの助けを期待できるってハナシだ」
トンパ「そりゃあァ~!」
アゴン「!?」
ガゴッ!
トンパの不意打ちキックで、アゴンは気絶した。
のび太「トンパさん!」
トンパ「君たち、大丈夫か?」
ドラえもん「助かった……」
417: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:09:05.38 ID:JlmZUv+Q0
しずか「ありがとうございます。でも、どうして私たちを?」
トンパ「正義の味方、といいたいところだが
281番(アゴン)が俺の獲物だっただけさ。
君たちには変なジュースを飲ませた借りもあるしな」
ドラえもん「本当に助かりました」
トンパ「なぁに、まともにやり合ったらアゴンは手強かったし
ある意味俺も君らに助けられたようなもんだ」
ジャイアン「ちくしょう、あんな急に出てこなきゃ俺だって──」
トンパ「ジャイアン君。この試験、不意打ちは卑怯でもなんでもない。
アゴンがもし君らを殺しにかかってたら、
人質にされた彼の首が飛んでてもおかしくはなかった」
ジャイアン「うっ……」
スネ夫「ぼくの首が……」
トンパ「あまりしゃべってると他の受験生にも見つかるかもしれない。
俺はそろそろ去るが、くれぐれも油断しないようにな」
トンパ「正義の味方、といいたいところだが
281番(アゴン)が俺の獲物だっただけさ。
君たちには変なジュースを飲ませた借りもあるしな」
ドラえもん「本当に助かりました」
トンパ「なぁに、まともにやり合ったらアゴンは手強かったし
ある意味俺も君らに助けられたようなもんだ」
ジャイアン「ちくしょう、あんな急に出てこなきゃ俺だって──」
トンパ「ジャイアン君。この試験、不意打ちは卑怯でもなんでもない。
アゴンがもし君らを殺しにかかってたら、
人質にされた彼の首が飛んでてもおかしくはなかった」
ジャイアン「うっ……」
スネ夫「ぼくの首が……」
トンパ「あまりしゃべってると他の受験生にも見つかるかもしれない。
俺はそろそろ去るが、くれぐれも油断しないようにな」
426: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:10:20.27 ID:JlmZUv+Q0
きれいなトンパのおかげで、5人はプレートを失わずに済んだ。
しずか「あっ、あそこにほら穴があるわ!」
ジャイアン「よし入ろうぜ!」
ほら穴内部──
のび太「奥に明りがついてるよ、誰かいる!」
バーボン「ようこそ。悪いがお前たちはもうここから出られんぞ。
私にプレートを渡すまではな」
ジャイアン「なんだとぉ!」
ジャイアンがバーボンに詰め寄ろうとすると、
ヘビがボタボタ落ちてきた。
しずか「キャアアアアア!」
バーボン「可愛いだろう? ちなみに私に近づいたりさわったりすると
襲いかかるよう仕向けてある」
スネ夫「ひぃっ、こんなとこにいられるか!」
出口を塞ぐように群がる無数のヘビ。
バーボン「おっと出ようとしても、同じ運命だ」
しずか「あっ、あそこにほら穴があるわ!」
ジャイアン「よし入ろうぜ!」
ほら穴内部──
のび太「奥に明りがついてるよ、誰かいる!」
バーボン「ようこそ。悪いがお前たちはもうここから出られんぞ。
私にプレートを渡すまではな」
ジャイアン「なんだとぉ!」
ジャイアンがバーボンに詰め寄ろうとすると、
ヘビがボタボタ落ちてきた。
しずか「キャアアアアア!」
バーボン「可愛いだろう? ちなみに私に近づいたりさわったりすると
襲いかかるよう仕向けてある」
スネ夫「ひぃっ、こんなとこにいられるか!」
出口を塞ぐように群がる無数のヘビ。
バーボン「おっと出ようとしても、同じ運命だ」
436: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:12:36.49 ID:JlmZUv+Q0
バーボン「分かったかね? お前たちの持ってるプレートを全て渡せば
出口のヘビの命令は一時的に解除してやろう」
ジャイアン「くっ、くそう!」
バーボン(こいつらは獲物ではないが、これで一気に5点獲得……。
三次試験は頂きだな)
のび太「ドラえもん! 桃太郎印のきび団子は?」
ドラえもん「あんなたくさんのヘビに食べさせる数はないよ!」
スネ夫「もういいじゃん! プレートあげちゃおうよ、あの人に!」
ジャイアン「スネ夫、おまえっ!」
しずか「武さん、スネ夫さん、ケンカはやめて!」
バーボン「ま、ゆっくり決めてもらってかまわんよ。もっともどう議論しても、
私にプレートを渡すという結論にしかならんだろうがね」
出口のヘビの命令は一時的に解除してやろう」
ジャイアン「くっ、くそう!」
バーボン(こいつらは獲物ではないが、これで一気に5点獲得……。
三次試験は頂きだな)
のび太「ドラえもん! 桃太郎印のきび団子は?」
ドラえもん「あんなたくさんのヘビに食べさせる数はないよ!」
スネ夫「もういいじゃん! プレートあげちゃおうよ、あの人に!」
ジャイアン「スネ夫、おまえっ!」
しずか「武さん、スネ夫さん、ケンカはやめて!」
バーボン「ま、ゆっくり決めてもらってかまわんよ。もっともどう議論しても、
私にプレートを渡すという結論にしかならんだろうがね」
440: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:13:54.33 ID:JlmZUv+Q0
のび太「あの人、道具もないのになんでヘビを操れるんだろう」
しずか「きっとヘビ使いなんだわ」
ドラえもん「(ヘビ使い……そうか!)なりきりプレート~!」
<なりきりプレート>
このプレートになりたいもの(職業など)を書き、首から下げると
なりきる事ができる。
ドラえもんはなりきりプレートに『ヘビ使い』と書き、首から下げた。
ドラえもん「このほら穴にいるヘビたち! みんな外へ出ろ!」
次々と外に出ていくバーボンのヘビ。
バーボン「バカな……。完璧に仕込んだはずの私のヘビが……おのれェッ!」
ジャイアン「させっかよ!」
ジャイアンが勇敢に立ち向かうが、大人と子供である。
あっさりバーボンに押さえつけられてしまう。
のび太「ドラえもん、ショックガンを!」
ドラえもん「頼んだ!」
ズバッ!
ショックガンの光線は、見事バーボンに命中した。
しずか「きっとヘビ使いなんだわ」
ドラえもん「(ヘビ使い……そうか!)なりきりプレート~!」
<なりきりプレート>
このプレートになりたいもの(職業など)を書き、首から下げると
なりきる事ができる。
ドラえもんはなりきりプレートに『ヘビ使い』と書き、首から下げた。
ドラえもん「このほら穴にいるヘビたち! みんな外へ出ろ!」
次々と外に出ていくバーボンのヘビ。
バーボン「バカな……。完璧に仕込んだはずの私のヘビが……おのれェッ!」
ジャイアン「させっかよ!」
ジャイアンが勇敢に立ち向かうが、大人と子供である。
あっさりバーボンに押さえつけられてしまう。
のび太「ドラえもん、ショックガンを!」
ドラえもん「頼んだ!」
ズバッ!
ショックガンの光線は、見事バーボンに命中した。
450: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:15:33.84 ID:JlmZUv+Q0
気絶しているバーボンをロープで縛り上げる。
ジャイアン「よし、このオッサンのプレートはいただきだぜ!」
しかし喜びも束の間、ほら穴にまたも異変が起こる。
白い煙が穴の入り口からどんどん侵入してきたのだ。
シュウウウウ……
のび太「なにこれ!」
スネ夫「毒ガスじゃないの!?」
ドラえもん「大丈夫、ぼくらはテキオー灯を浴びてるから──あ」
効力切れ。24時間は試験中にとっくに過ぎていた。
のび太「眠くなってきた……」
ジャイアン「俺も……」
スネ夫「も、もうダメ……」
ドラえもん「な、なにか道具を……目が……」
しずか「み、みんなナンバープレートを……」
5人は深い眠りについた。
ジャイアン「よし、このオッサンのプレートはいただきだぜ!」
しかし喜びも束の間、ほら穴にまたも異変が起こる。
白い煙が穴の入り口からどんどん侵入してきたのだ。
シュウウウウ……
のび太「なにこれ!」
スネ夫「毒ガスじゃないの!?」
ドラえもん「大丈夫、ぼくらはテキオー灯を浴びてるから──あ」
効力切れ。24時間は試験中にとっくに過ぎていた。
のび太「眠くなってきた……」
ジャイアン「俺も……」
スネ夫「も、もうダメ……」
ドラえもん「な、なにか道具を……目が……」
しずか「み、みんなナンバープレートを……」
5人は深い眠りについた。
459: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:17:35.45 ID:JlmZUv+Q0
目を覚ますと、ほら穴にいた全員のナンバープレートが奪われていた。
ジャイアン「ちっくしょう! 眠らされるなんて!」
しずか「ドラちゃん、ポケットは?」
ドラえもん「無事だよ! しずちゃんのおかげかもしれないね」
眠りに落ちる寸前のしずかのファインプレー。
彼女は全員のプレートを集め、わざと目立つところに置いた。
こうしなければ、敵にプレートを『探す』という選択肢が発生し
四次元ポケットをついでに持っていかれたかもしれない。
万が一そうなっていたら、もうどうしようもなかった。
ドラえもん「とりよせバッグ~!」
<とりよせバッグ>
遠くにある物を取り寄せることができるカバン。
ドラえもん「ようし、やられたら仕返しはちゃんとしないとね。
奪われたプレートと、奪った人のプレートを取り寄せちゃおう」
同時刻──
ポンズ「あら、さっき奪った6枚と私のプレートがないわ! どうして!?」
ジャイアン「ちっくしょう! 眠らされるなんて!」
しずか「ドラちゃん、ポケットは?」
ドラえもん「無事だよ! しずちゃんのおかげかもしれないね」
眠りに落ちる寸前のしずかのファインプレー。
彼女は全員のプレートを集め、わざと目立つところに置いた。
こうしなければ、敵にプレートを『探す』という選択肢が発生し
四次元ポケットをついでに持っていかれたかもしれない。
万が一そうなっていたら、もうどうしようもなかった。
ドラえもん「とりよせバッグ~!」
<とりよせバッグ>
遠くにある物を取り寄せることができるカバン。
ドラえもん「ようし、やられたら仕返しはちゃんとしないとね。
奪われたプレートと、奪った人のプレートを取り寄せちゃおう」
同時刻──
ポンズ「あら、さっき奪った6枚と私のプレートがないわ! どうして!?」
476: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:20:24.77 ID:JlmZUv+Q0
103番(バーボン)はスネ夫の、246番(ポンズ)はしずかの獲物だった。
これで2人は四次試験クリア条件を満たした事になる。
ドラえもん「壁紙ハウス~!」
<壁紙ハウス>
家の絵が描いてある紙だが、ドアの中には空間が広がっている。
壁などに貼り付けて使用する。
ほら穴の中に、さらに家を作ったのである。
しずか「あとは3人がターゲットのプレートを手に入れれば、クリアね」
スネ夫「ジャイアンたちも、さっさと獲物のプレートを取り寄せちゃいなよ」
ドラえもん「そうだね、ぼくは118番だ。……よし取り寄せたぞ」
ジャイアン「俺の獲物は198番だ!」
ドラえもん「はい、198番のプレート」
ジャイアン「よっしゃあ!」
ドラえもん「次、のび太君のターゲットは?」
これで2人は四次試験クリア条件を満たした事になる。
ドラえもん「壁紙ハウス~!」
<壁紙ハウス>
家の絵が描いてある紙だが、ドアの中には空間が広がっている。
壁などに貼り付けて使用する。
ほら穴の中に、さらに家を作ったのである。
しずか「あとは3人がターゲットのプレートを手に入れれば、クリアね」
スネ夫「ジャイアンたちも、さっさと獲物のプレートを取り寄せちゃいなよ」
ドラえもん「そうだね、ぼくは118番だ。……よし取り寄せたぞ」
ジャイアン「俺の獲物は198番だ!」
ドラえもん「はい、198番のプレート」
ジャイアン「よっしゃあ!」
ドラえもん「次、のび太君のターゲットは?」
483: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:21:46.54 ID:JlmZUv+Q0
のび太「……ぼくはいいや」
ドラえもん「え?」
のび太「ドラえもん、ぼくはショックガンだけでやるよ」
ジャイアン「何言ってんだ、のび太のくせに!」
スネ夫「ショックガンだけじゃどうにもならないよ!」
のび太「ぼく、ゴンやキルア、クラピカさんやレオリオさんを見て思ったんだ。
とてもあの人たちみたいになるのはムリだけど、
少しでも近づきたい、マネしたいって」
スネ夫「お前、正気か!? ねぇジャイ──」
ジャイアン「のび太、よくいったぜ」
スネ夫「は……?」
ジャイアン「俺にも手伝わせてくれ」
ドラえもん「え?」
のび太「ドラえもん、ぼくはショックガンだけでやるよ」
ジャイアン「何言ってんだ、のび太のくせに!」
スネ夫「ショックガンだけじゃどうにもならないよ!」
のび太「ぼく、ゴンやキルア、クラピカさんやレオリオさんを見て思ったんだ。
とてもあの人たちみたいになるのはムリだけど、
少しでも近づきたい、マネしたいって」
スネ夫「お前、正気か!? ねぇジャイ──」
ジャイアン「のび太、よくいったぜ」
スネ夫「は……?」
ジャイアン「俺にも手伝わせてくれ」
497: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:23:45.23 ID:JlmZUv+Q0
しずか「私もやるわ」
スネ夫「しずちゃんまで!」
ドラえもん「分かったよ、のび太君。ただし、ぼくも手伝わせてもらう」
スネ夫「みんなどうかしちゃったんじゃないの!?
ぼくが剣突きつけられたり、ガスで眠らされた事忘れたの!?」
のび太「うん、どうかしちゃったのかもしれない」
スネ夫「──ふん、バカバカしい! いっとくけどぼくは参加しないからね。
一週間絶対ここから出ない!」
のび太「分かってるよ」
ドラえもん「もう日が暮れたし、グルメテーブルかけで夕食にしよう」
ジャイアン「明日からは、のび太のターゲット探しだ!」
スネ夫「……ふん」
スネ夫「しずちゃんまで!」
ドラえもん「分かったよ、のび太君。ただし、ぼくも手伝わせてもらう」
スネ夫「みんなどうかしちゃったんじゃないの!?
ぼくが剣突きつけられたり、ガスで眠らされた事忘れたの!?」
のび太「うん、どうかしちゃったのかもしれない」
スネ夫「──ふん、バカバカしい! いっとくけどぼくは参加しないからね。
一週間絶対ここから出ない!」
のび太「分かってるよ」
ドラえもん「もう日が暮れたし、グルメテーブルかけで夕食にしよう」
ジャイアン「明日からは、のび太のターゲット探しだ!」
スネ夫「……ふん」
505: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:25:52.78 ID:JlmZUv+Q0
翌朝、ドラえもんはメモリーディスクでのび太の記録を掘り起こした。
<メモリーディスク>
CDのような形状の道具。頭から記憶を読み取り、専用の機械で再生可能。
のび太の記憶映像には、384番が映っていた。
吹き矢を扱う猟師、ゲレタである。
のび太「このサングラスの人だね」
ドラえもん「じゃあみんな、石ころ帽子をかぶって手分けして探そう。
見つけたら糸なし糸電話で知らせること」
<石ころ帽子>
これを被ると、石ころのような存在感になり周囲から気づかれなくなる。
<糸なし糸電話>
糸のない糸電話。多分圏外なし。
ドラえもん「スネ夫も念のため石ころ帽子を被っときな。
壁紙ハウスはカモフラージュしておいたけど、一応ね」
スネ夫「当然だよ。ぼくは死にたくないからね」
<メモリーディスク>
CDのような形状の道具。頭から記憶を読み取り、専用の機械で再生可能。
のび太の記憶映像には、384番が映っていた。
吹き矢を扱う猟師、ゲレタである。
のび太「このサングラスの人だね」
ドラえもん「じゃあみんな、石ころ帽子をかぶって手分けして探そう。
見つけたら糸なし糸電話で知らせること」
<石ころ帽子>
これを被ると、石ころのような存在感になり周囲から気づかれなくなる。
<糸なし糸電話>
糸のない糸電話。多分圏外なし。
ドラえもん「スネ夫も念のため石ころ帽子を被っときな。
壁紙ハウスはカモフラージュしておいたけど、一応ね」
スネ夫「当然だよ。ぼくは死にたくないからね」
507: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:26:50.78 ID:JlmZUv+Q0
ほら穴の壁紙ハウスを拠点とし、留守番のスネ夫を除く4人はゲレタ捜索を開始した。
~
アモリ「てめェ、自分のプレートなくしたとかアホか!」
ウモリ「ったく、いつもいつもドジ踏みやがって!」
イモリ「ひィ~ごめんよ兄ちゃん!」
ジャイアン(俺のターゲットだったやつかな)
~
ソミー「くそ~なんで俺のプレートがなくなったんだ?」
猿「キキ~ッ」
ドラえもん(多分ぼくのターゲットだった人……と猿だ)
~
このように他の受験生は見かけるものの、なかなか本命には出会えなかった。
~
アモリ「てめェ、自分のプレートなくしたとかアホか!」
ウモリ「ったく、いつもいつもドジ踏みやがって!」
イモリ「ひィ~ごめんよ兄ちゃん!」
ジャイアン(俺のターゲットだったやつかな)
~
ソミー「くそ~なんで俺のプレートがなくなったんだ?」
猿「キキ~ッ」
ドラえもん(多分ぼくのターゲットだった人……と猿だ)
~
このように他の受験生は見かけるものの、なかなか本命には出会えなかった。
511: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:27:41.67 ID:JlmZUv+Q0
試験六日目──
のび太「じゃあスネ夫、行ってくるよ」
4人を見送り、スネ夫がひとりつぶやく。
スネ夫「あいつも強情なやつだよな。とりよせバッグ使えばいいのに」
スネ夫「それに付き合うみんなもどうかしてるよ」
スネ夫「ぼくみたいなブルジョア育ちには理解できないね」
ゾ ク ッ ・ ・ ・
スネ夫「な、なんだ、今のいや~な感じは」
スネ夫「もしや、みんなの危険が危ないんじゃ……」
スネ夫「……知るか! ぼくはあれだけ忠告したんだ!」
のび太「じゃあスネ夫、行ってくるよ」
4人を見送り、スネ夫がひとりつぶやく。
スネ夫「あいつも強情なやつだよな。とりよせバッグ使えばいいのに」
スネ夫「それに付き合うみんなもどうかしてるよ」
スネ夫「ぼくみたいなブルジョア育ちには理解できないね」
ゾ ク ッ ・ ・ ・
スネ夫「な、なんだ、今のいや~な感じは」
スネ夫「もしや、みんなの危険が危ないんじゃ……」
スネ夫「……知るか! ぼくはあれだけ忠告したんだ!」
524: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:30:07.19 ID:JlmZUv+Q0
六日目にして、ついにのび太はゲレタを発見した。
このままショックガンで撃てば楽勝だが、あえて石ころ帽子を脱ぎ、正体を明かす。
のび太「384番の人!」
ゲレタ「!?」
のび太「ぼくと勝負をしませんか?」
ゲレタ「(こいつ、いつの間に後ろに……!?)勝負?」
のび太「手持ちのプレートを賭けてぼくと勝負して下さい!
ぼくはこのショックガンを使います。
当たれば気を失うけど、死なないしケガもしません」
ゲレタ「ボウヤ、お前の番号は?」
のび太「410番!」
ゲレタ「奇遇だな、俺の獲物もお前だ。いいだろう、受けよう。
俺の武器はこの吹き矢だ。ま、死ぬことはあるまい」
ゲレタの獲物は384番(のび太)ではなかった。真っ赤な嘘である。
このままショックガンで撃てば楽勝だが、あえて石ころ帽子を脱ぎ、正体を明かす。
のび太「384番の人!」
ゲレタ「!?」
のび太「ぼくと勝負をしませんか?」
ゲレタ「(こいつ、いつの間に後ろに……!?)勝負?」
のび太「手持ちのプレートを賭けてぼくと勝負して下さい!
ぼくはこのショックガンを使います。
当たれば気を失うけど、死なないしケガもしません」
ゲレタ「ボウヤ、お前の番号は?」
のび太「410番!」
ゲレタ「奇遇だな、俺の獲物もお前だ。いいだろう、受けよう。
俺の武器はこの吹き矢だ。ま、死ぬことはあるまい」
ゲレタの獲物は384番(のび太)ではなかった。真っ赤な嘘である。
535: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:32:02.49 ID:JlmZUv+Q0
ゲレタ(ククク、俺はすでに6点分持っているが、
余分にプレートを集めれば最終試験で有利になるかもしれん)
ゲレタはトリックタワー攻略時間が四次試験の有利不利(出発順)に影響した事を
思い返していた。
ゲレタ(どうやって俺の後ろを取ったかは知らんが、今はスキだらけだ。
万が一にも敗れる事はないはず)
ゲレタ「勝負の方法は?」
のび太「この石を投げて地面についたら開始、で」
ゲレタ「ふっ、まるでガンマンだな」
ゲレタ(俺のウソを信じ込み、互いに3点プレートを賭けた真剣勝負!
……ってツラだな)
のび太は石を拾い、前に放り投げる。
ゲレタ(ボウヤ、悪いが勝負をするつもりはないぜ)
余分にプレートを集めれば最終試験で有利になるかもしれん)
ゲレタはトリックタワー攻略時間が四次試験の有利不利(出発順)に影響した事を
思い返していた。
ゲレタ(どうやって俺の後ろを取ったかは知らんが、今はスキだらけだ。
万が一にも敗れる事はないはず)
ゲレタ「勝負の方法は?」
のび太「この石を投げて地面についたら開始、で」
ゲレタ「ふっ、まるでガンマンだな」
ゲレタ(俺のウソを信じ込み、互いに3点プレートを賭けた真剣勝負!
……ってツラだな)
のび太は石を拾い、前に放り投げる。
ゲレタ(ボウヤ、悪いが勝負をするつもりはないぜ)
539: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:32:56.59 ID:JlmZUv+Q0
まだ石は落ちていない。
が、ゲレタは吹き矢を構え、のび太に照準を合わせる。
のび太「え!?」
ゲレタ(狩りに正々堂々なんてないんだぜ!)
フッ!
放たれる矢。
矢じりには筋弛緩系の毒が塗っており、のび太なら一ヶ月間は影響が出るシロモノ。
ゲレタ(もらった!)
のび太「───!」
バシュッ!
ゲレタ「なっ!」
(こいつ、俺の矢を狙い撃ちに──!?)
ゲレタが二発目を撃つ前に、
ズバッ!
のび太の二発目がゲレタに命中した。
──石が地面に落ちた。
が、ゲレタは吹き矢を構え、のび太に照準を合わせる。
のび太「え!?」
ゲレタ(狩りに正々堂々なんてないんだぜ!)
フッ!
放たれる矢。
矢じりには筋弛緩系の毒が塗っており、のび太なら一ヶ月間は影響が出るシロモノ。
ゲレタ(もらった!)
のび太「───!」
バシュッ!
ゲレタ「なっ!」
(こいつ、俺の矢を狙い撃ちに──!?)
ゲレタが二発目を撃つ前に、
ズバッ!
のび太の二発目がゲレタに命中した。
──石が地面に落ちた。
554: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:36:11.74 ID:JlmZUv+Q0
興奮冷めやらぬ様子で、気絶したゲレタに駆け寄るのび太。
のび太「やった、やったぞ!」
ゲレタの所持プレートは、384番と405番。
のび太「これでえ~っと……何点だっけ? まぁいいや」
糸なし糸電話で他の3人を呼び出す。石ころ帽子を取り、盛り上がる。
ドラえもん「すごいじゃないか!」
ジャイアン「やるじゃん、見直したぜ!」
しずか「おめでとう、のび太さん!」
のび太「ありがとう、みん──」
突如皆を包み込む、祝福ムードを丸ごとかき消す瘴気。
その場にいた4人から、とたんに笑みが消える。
ヒソカ「見ィ~つけた」
悪魔が現れた。
のび太「やった、やったぞ!」
ゲレタの所持プレートは、384番と405番。
のび太「これでえ~っと……何点だっけ? まぁいいや」
糸なし糸電話で他の3人を呼び出す。石ころ帽子を取り、盛り上がる。
ドラえもん「すごいじゃないか!」
ジャイアン「やるじゃん、見直したぜ!」
しずか「おめでとう、のび太さん!」
のび太「ありがとう、みん──」
突如皆を包み込む、祝福ムードを丸ごとかき消す瘴気。
その場にいた4人から、とたんに笑みが消える。
ヒソカ「見ィ~つけた」
悪魔が現れた。
568: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:38:10.04 ID:JlmZUv+Q0
ドラえもん(この人は……ぼくがどくさいスイッチで消した人だ)
ドラえもん(名前はたしかヒソカ)
ドラえもん(ハンター試験はとっくに失格したはずなのになんでここに)
ヒソカ「ボクを消したのは君たちだろ?」
ドラえもん「な、なんのこと?」
ヒソカ「とぼけてもダメ。ボクの仲間から君らのことは教えてもらってる。
なんでも奇妙な道具を使うんだってね?」
ドラえもん(マズイ……道具のことがバレてる……!)
ヒソカ「こう見えてもボク、借りは返さないと気が済まないタチでね。
借りは狩りで返させてもらう」
ぞっ
小学生が浴びるには重すぎる殺気に晒され、
ドラえもん、のび太、ジャイアン、しずかは瞬時に同じ行動を選択した。
ドラえもん(名前はたしかヒソカ)
ドラえもん(ハンター試験はとっくに失格したはずなのになんでここに)
ヒソカ「ボクを消したのは君たちだろ?」
ドラえもん「な、なんのこと?」
ヒソカ「とぼけてもダメ。ボクの仲間から君らのことは教えてもらってる。
なんでも奇妙な道具を使うんだってね?」
ドラえもん(マズイ……道具のことがバレてる……!)
ヒソカ「こう見えてもボク、借りは返さないと気が済まないタチでね。
借りは狩りで返させてもらう」
ぞっ
小学生が浴びるには重すぎる殺気に晒され、
ドラえもん、のび太、ジャイアン、しずかは瞬時に同じ行動を選択した。
580: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:40:11.06 ID:JlmZUv+Q0
手に持っていた石ころ帽子をかぶり、逃げる。
ヒソカの殺気が、かえって4人に最適な行動を取らせる結果となった。
──しかし。
ヒソカ「残念」
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ
4枚のトランプが、4つの石ころ帽子を丁寧に切り裂いた。
頭や髪は傷つけぬよう。まさに神業、いや悪魔の業。
のび太「石ころ帽子が通じない……!?」
ヒソカ「まるで道ばたに転がる石のような存在感だったよ、見事だ。
その帽子の力かい? あいにく今のボクは感度ビンビンでねェ……」
ジャイアン(なんなんだコイツ……!)
しずか(あ、悪魔だわ……)
ヒソカを倒すため、ポケットに手をかけようとするドラえもん。
だがすかさず、トランプがドラえもんの足元に刺さった。
ドラえもん「うわっ!」
ヒソカ「新しく道具を出させるほど、ボクはお人よしじゃないよ」
ヒソカの殺気が、かえって4人に最適な行動を取らせる結果となった。
──しかし。
ヒソカ「残念」
ピッ、ピッ、ピッ、ピッ
4枚のトランプが、4つの石ころ帽子を丁寧に切り裂いた。
頭や髪は傷つけぬよう。まさに神業、いや悪魔の業。
のび太「石ころ帽子が通じない……!?」
ヒソカ「まるで道ばたに転がる石のような存在感だったよ、見事だ。
その帽子の力かい? あいにく今のボクは感度ビンビンでねェ……」
ジャイアン(なんなんだコイツ……!)
しずか(あ、悪魔だわ……)
ヒソカを倒すため、ポケットに手をかけようとするドラえもん。
だがすかさず、トランプがドラえもんの足元に刺さった。
ドラえもん「うわっ!」
ヒソカ「新しく道具を出させるほど、ボクはお人よしじゃないよ」
591: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:41:32.96 ID:JlmZUv+Q0
ヒソカ「ちなみにもう一度ポケットに手を入れようとしたら、分かるだろ?
ボクなら一瞬で終わらせられる」
ドラえもん「うっ」
毎日のように繰り返してきた、危機⇒道具⇒解決、のサイクル。
命懸けの大冒険でさえ成立した無敵の方程式が──通用しない。
ヒソカ「もし君たちが道具に頼らなければ何もできないようなコなら、
わざわざ実るのを待つまでもないからね」
のび太「うわあああっ!」
バシュッ!
ヒソカ「おっと」
のび太「え」
ドラえもん(ショックガンをかわした!?)
しずか(のび太さんが外した!?)
ジャイアン(ウソだろ!?)
ヒソカ「狙いはお見事、でもバレバレ。とても合格点はあげられないね」
のび太「あ、あわわ……」
ボクなら一瞬で終わらせられる」
ドラえもん「うっ」
毎日のように繰り返してきた、危機⇒道具⇒解決、のサイクル。
命懸けの大冒険でさえ成立した無敵の方程式が──通用しない。
ヒソカ「もし君たちが道具に頼らなければ何もできないようなコなら、
わざわざ実るのを待つまでもないからね」
のび太「うわあああっ!」
バシュッ!
ヒソカ「おっと」
のび太「え」
ドラえもん(ショックガンをかわした!?)
しずか(のび太さんが外した!?)
ジャイアン(ウソだろ!?)
ヒソカ「狙いはお見事、でもバレバレ。とても合格点はあげられないね」
のび太「あ、あわわ……」
606: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:43:33.32 ID:JlmZUv+Q0
ジャイアン「ちくしょおおおっ!」
ドラえもん「ジャ、ジャイアン!」
ジャイアンが飛びかかる。よける必要すらない攻撃だが、軽々とかわすヒソカ。
ジャイアン「き、消えた!?」
ヒソカ「こっちだよ。それじゃそろそろ──」
しずか「武さん、歌よ!」
ジャイアン「あ、そうか!」
ドラえもん(ナイスしずちゃん!)
ホ ゲ ~ ~ ~ ~
ヒソカ「うん、なかなかの歌だ」
ジャイアン「俺の歌がなかなか、だって!? ゆるせねえ!」
のび太(ジャイアンの歌が通じない人間がいたなんて!)
ドラえもん「ジャ、ジャイアン!」
ジャイアンが飛びかかる。よける必要すらない攻撃だが、軽々とかわすヒソカ。
ジャイアン「き、消えた!?」
ヒソカ「こっちだよ。それじゃそろそろ──」
しずか「武さん、歌よ!」
ジャイアン「あ、そうか!」
ドラえもん(ナイスしずちゃん!)
ホ ゲ ~ ~ ~ ~
ヒソカ「うん、なかなかの歌だ」
ジャイアン「俺の歌がなかなか、だって!? ゆるせねえ!」
のび太(ジャイアンの歌が通じない人間がいたなんて!)
616: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:44:57.43 ID:JlmZUv+Q0
ため息をつくヒソカ。
ヒソカ「う~ん、どうやら君たちは美味しく実りそうもない。
やはりここで狩るしかなさそうだね」
4人(こ、殺される!)
ゴッ!
4人が死を覚悟した直後、釣り竿の錘がヒソカの顔面を直撃した。
攻撃があった方向を振り返ると、そこにはゴンが立っていた。
のび太「ゴン!(なんでここに!?)」
ヒソカ「へぇ……」
ゴン「ノビタたちから離れろ!」
ヒソカ「ボウヤ、なかなかいい一撃だったよ」
のび太(そうだ、さっき倒した人が持ってた405番のプレート。
あれはゴンの番号だったはず。多分ゴンはあの人に一度奪われて
取り返しにきていたんだ!)
ヒソカ「お友達を助けに来たのかい? いいコだね~」
ゴン(怖い! でもやらなきゃノビタたちが殺される!)
ヒソカ「う~ん、どうやら君たちは美味しく実りそうもない。
やはりここで狩るしかなさそうだね」
4人(こ、殺される!)
ゴッ!
4人が死を覚悟した直後、釣り竿の錘がヒソカの顔面を直撃した。
攻撃があった方向を振り返ると、そこにはゴンが立っていた。
のび太「ゴン!(なんでここに!?)」
ヒソカ「へぇ……」
ゴン「ノビタたちから離れろ!」
ヒソカ「ボウヤ、なかなかいい一撃だったよ」
のび太(そうだ、さっき倒した人が持ってた405番のプレート。
あれはゴンの番号だったはず。多分ゴンはあの人に一度奪われて
取り返しにきていたんだ!)
ヒソカ「お友達を助けに来たのかい? いいコだね~」
ゴン(怖い! でもやらなきゃノビタたちが殺される!)
623: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:46:11.71 ID:JlmZUv+Q0
ゴンは果敢にヒソカに挑むが、健闘空しく捕まってしまう。
ゴン「ううっ!」
ヒソカ「君はいい使い手になりそうだ……楽しみにしているよ」
ガゴッ!
ヒソカの拳がゴンにめり込む。小さな体が10メートルは飛んだ。
ヒソカ「強くなりなよ。今みたく、ボクの顔に一発ぶち込めるくらい」
のび太「ゴンッ!」
ジャイアン「この野郎~! ぜってぇ許さねぇぇ!」
ジャイアン、怒りの突進。通じるはずもないが、気迫だけは凄まじかった。
しずか「こうなったら、私だって……」
ドラえもん「ぼくも頭突きという最終兵器があるんだ!」
ヒソカ「ククク、動きこそ常人レベルだが、少しはいい顔になったね」
ゴン「ううっ!」
ヒソカ「君はいい使い手になりそうだ……楽しみにしているよ」
ガゴッ!
ヒソカの拳がゴンにめり込む。小さな体が10メートルは飛んだ。
ヒソカ「強くなりなよ。今みたく、ボクの顔に一発ぶち込めるくらい」
のび太「ゴンッ!」
ジャイアン「この野郎~! ぜってぇ許さねぇぇ!」
ジャイアン、怒りの突進。通じるはずもないが、気迫だけは凄まじかった。
しずか「こうなったら、私だって……」
ドラえもん「ぼくも頭突きという最終兵器があるんだ!」
ヒソカ「ククク、動きこそ常人レベルだが、少しはいい顔になったね」
637: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:48:10.14 ID:JlmZUv+Q0
ヒソカ(あのメガネのボウヤの一撃に賭けているのだろうね。
いいだろう、もしボクに当てる事ができたなら──)
ドラえもん、ジャイアン、しずかの攻撃をひらりひらりとかわすヒソカ。
のび太(みんな! 必ず当ててみせる!)
ヒソカは遊んでいる。のび太の肉眼でも十分とらえられる速さだ。
もし本気の速さを出されたら、打つ手はない。チャンスは今だけ。
のび太(アイツの動きを見破る!)
のび太の両目は図らずも、念の技術の一つ“凝”に近い状態になっていた。
ヒソカ(へぇ……素質はあるのかもね)
ジャイアン「うりゃあっ!」
しずか「えーいっ!」
ドラえもん「このぉっ!」
のび太(ジャイアンのパンチ……しずちゃんのビンタ……当たらない。
ドラえもんの頭突き……ハズレ……。
──ここだっ!)
バシュッ!
のび太はショックガンの引き金を引いた。
いいだろう、もしボクに当てる事ができたなら──)
ドラえもん、ジャイアン、しずかの攻撃をひらりひらりとかわすヒソカ。
のび太(みんな! 必ず当ててみせる!)
ヒソカは遊んでいる。のび太の肉眼でも十分とらえられる速さだ。
もし本気の速さを出されたら、打つ手はない。チャンスは今だけ。
のび太(アイツの動きを見破る!)
のび太の両目は図らずも、念の技術の一つ“凝”に近い状態になっていた。
ヒソカ(へぇ……素質はあるのかもね)
ジャイアン「うりゃあっ!」
しずか「えーいっ!」
ドラえもん「このぉっ!」
のび太(ジャイアンのパンチ……しずちゃんのビンタ……当たらない。
ドラえもんの頭突き……ハズレ……。
──ここだっ!)
バシュッ!
のび太はショックガンの引き金を引いた。
666: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:52:03.69 ID:JlmZUv+Q0
ショックガンは電撃のような光線を撃ち出す道具である。
ゆえに発射から着弾まで、会話を交わす時間などあるはずがない。
──なのに、のび太は聴いた。
ヒソカ「いいタイミングだけど、惜しかったねェ」
のび太はかわされると分かった。分かってしまった。
自分たちは殺されると分かってしまった。
──が。
ヒソカは自分の右足に、何かがくっついている事に気づく。一瞬の戸惑い。
これがわずかにヒソカの動きを鈍らせた。
ズ バ ァ ッ !
ショックガンの光線はヒソカを完璧に直撃した──。
ゆえに発射から着弾まで、会話を交わす時間などあるはずがない。
──なのに、のび太は聴いた。
ヒソカ「いいタイミングだけど、惜しかったねェ」
のび太はかわされると分かった。分かってしまった。
自分たちは殺されると分かってしまった。
──が。
ヒソカは自分の右足に、何かがくっついている事に気づく。一瞬の戸惑い。
これがわずかにヒソカの動きを鈍らせた。
ズ バ ァ ッ !
ショックガンの光線はヒソカを完璧に直撃した──。
671: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:52:55.03 ID:JlmZUv+Q0
のび太「や、やった!」
ヒソカ「……ふぅん。けっこうシビれちゃったよ」
のび太「なっ!?(直撃したはずなのに!?)」
ヒソカ「もう一人いたのかい。そういえば君らは5人いると聞いていたなァ。
やられたよ」
ヒソカの足元には、ヒソカと一緒にショックガンを喰らった人間がいた。
ショックガンで石ころ帽子が破れ、姿が現れていた。
スネ夫「ピクピク」
のび太「スネ夫っ!? 来てたの!?」
ヒソカ「このコもあの気配を消す帽子をかぶっていたようだねぇ。
いつの間にかボクの足にしがみついていたようだ」
のび太「………」
ヒソカ「いいだろう、合格だ。勇敢にもボクに立ち向かってきた3人、
素晴らしい集中力でボクの動きを読んだ君、
ひっそりと行動し見事なアシストをなしとげた彼、
熟せばモノになるかもしれない」
ヒソカ「じゃ、ボクはこれで……」
ヒソカはそう言い残すと、不気味に笑いながら森の奥へと消えた。
ヒソカ「……ふぅん。けっこうシビれちゃったよ」
のび太「なっ!?(直撃したはずなのに!?)」
ヒソカ「もう一人いたのかい。そういえば君らは5人いると聞いていたなァ。
やられたよ」
ヒソカの足元には、ヒソカと一緒にショックガンを喰らった人間がいた。
ショックガンで石ころ帽子が破れ、姿が現れていた。
スネ夫「ピクピク」
のび太「スネ夫っ!? 来てたの!?」
ヒソカ「このコもあの気配を消す帽子をかぶっていたようだねぇ。
いつの間にかボクの足にしがみついていたようだ」
のび太「………」
ヒソカ「いいだろう、合格だ。勇敢にもボクに立ち向かってきた3人、
素晴らしい集中力でボクの動きを読んだ君、
ひっそりと行動し見事なアシストをなしとげた彼、
熟せばモノになるかもしれない」
ヒソカ「じゃ、ボクはこれで……」
ヒソカはそう言い残すと、不気味に笑いながら森の奥へと消えた。
690: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:55:03.36 ID:JlmZUv+Q0
のび太「はっ、はっ、はっ……。た、助かった……?」
ドラえもん「のび太君、大丈夫!?」
ジャイアン「やったぜぇっ!」
しずか「そうだわ、ゴンさんとスネ夫さんを……」
ドラえもん「お医者さんごっこカバン~!」
<お医者さんごっこカバン>
患者の病気を自動で診断し、適切な治療法を用意してくれるカバン。
ゴン「うっ……あれ、あいつは?」
のび太「ぼくらは合格だとかなんとかいって、どっか行っちゃったよ。
ゴンが来なかったらみんな殺されてたよ、ありがとう」
ゴン「そっか、よかった……」
ジャイアン「スネ夫、大丈夫か? ったくおいしいトコ持っていきやがって!」
スネ夫「ま、君たちだけじゃ不安だったからね」
ジャイアン「こいつぅ。──にしても、よく場所が分かったな」
スネ夫(あんなオンチな歌、ジャイアンしかいないからね)
ドラえもん「のび太君、大丈夫!?」
ジャイアン「やったぜぇっ!」
しずか「そうだわ、ゴンさんとスネ夫さんを……」
ドラえもん「お医者さんごっこカバン~!」
<お医者さんごっこカバン>
患者の病気を自動で診断し、適切な治療法を用意してくれるカバン。
ゴン「うっ……あれ、あいつは?」
のび太「ぼくらは合格だとかなんとかいって、どっか行っちゃったよ。
ゴンが来なかったらみんな殺されてたよ、ありがとう」
ゴン「そっか、よかった……」
ジャイアン「スネ夫、大丈夫か? ったくおいしいトコ持っていきやがって!」
スネ夫「ま、君たちだけじゃ不安だったからね」
ジャイアン「こいつぅ。──にしても、よく場所が分かったな」
スネ夫(あんなオンチな歌、ジャイアンしかいないからね)
694: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:55:50.27 ID:JlmZUv+Q0
のび太「ところでゴン、これなんだけど」
ゴン「これは……俺のプレート?」
のび太「さっき、ぼくがあの人を倒して手に入れたんだ」
ゴン「………」
のび太「ぼくなんかから受け取りたくないかもしれないけど……」
ゴン「──ううん、ありがと!」
ゴンは快く、のび太からプレートを受け取った。
ゴン「? ……ノビタ?」
のび太「え?」
のび太の目からは涙がこぼれていた。
ゴン「これは……俺のプレート?」
のび太「さっき、ぼくがあの人を倒して手に入れたんだ」
ゴン「………」
のび太「ぼくなんかから受け取りたくないかもしれないけど……」
ゴン「──ううん、ありがと!」
ゴンは快く、のび太からプレートを受け取った。
ゴン「? ……ノビタ?」
のび太「え?」
のび太の目からは涙がこぼれていた。
706: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:57:18.91 ID:JlmZUv+Q0
しずか「どうしたの!?」
ジャイアン「どっか痛むのか!?」
のび太「いや、そんなんじゃないよ。ただ……ほっとしたというか。
プレートを奪って、みんなであの変なやつを追い払って、
ゴンに“ありがと”っていわれて……」
のび太「なんていうか、やっとハンター試験を受けてるみんなに並べた
って気になったんだ」
ゴン「……ノビタは俺の友達で、ライバルだよ。最初っから」
のび太「……えへへ。ねぇ、みんな。ゴンには話してもいいかな?」
4人の答えは同じだった。
ドラえもん「もっちろん!」
ジャイアン「いいぜ!」
スネ夫「ま、いいんじゃない」
しずか「もちろんよ」
ゴン「?」
ジャイアン「どっか痛むのか!?」
のび太「いや、そんなんじゃないよ。ただ……ほっとしたというか。
プレートを奪って、みんなであの変なやつを追い払って、
ゴンに“ありがと”っていわれて……」
のび太「なんていうか、やっとハンター試験を受けてるみんなに並べた
って気になったんだ」
ゴン「……ノビタは俺の友達で、ライバルだよ。最初っから」
のび太「……えへへ。ねぇ、みんな。ゴンには話してもいいかな?」
4人の答えは同じだった。
ドラえもん「もっちろん!」
ジャイアン「いいぜ!」
スネ夫「ま、いいんじゃない」
しずか「もちろんよ」
ゴン「?」
722: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/17(土) 23:59:17.51 ID:JlmZUv+Q0
のび太は全てを打ち明けた。
自分たちが、この星の人間ではないこと。
不思議な道具を持っていること。
なりゆきでハンター試験に参加してしまったこと。
のび太「信じてくれるかい?」
ゴン「もちろん! むしろ今までの妙な出来事に説明がついてスッキリしたよ」
のび太「どう思った?」
ゴン「どう……って、別に。どこから来ようと何を持ってようと、
ノビタたちはノビタたちだよ」
のび太「ありがとう」
ゴン「今の話、他の3人にしても大丈夫?」
のび太「もちろんいいとも!」
その後、ゴンはクラピカとレオリオを探すというので別れた。
のび太たちはどっと疲れが出たのか、クリア条件を満たしていることもあり、
残り時間を安全な壁紙ハウスで過ごした。
自分たちが、この星の人間ではないこと。
不思議な道具を持っていること。
なりゆきでハンター試験に参加してしまったこと。
のび太「信じてくれるかい?」
ゴン「もちろん! むしろ今までの妙な出来事に説明がついてスッキリしたよ」
のび太「どう思った?」
ゴン「どう……って、別に。どこから来ようと何を持ってようと、
ノビタたちはノビタたちだよ」
のび太「ありがとう」
ゴン「今の話、他の3人にしても大丈夫?」
のび太「もちろんいいとも!」
その後、ゴンはクラピカとレオリオを探すというので別れた。
のび太たちはどっと疲れが出たのか、クリア条件を満たしていることもあり、
残り時間を安全な壁紙ハウスで過ごした。
738: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:01:20.54 ID:VKYy8Ck30
長かった四次試験もついに終了。最終試験に残ったのは以下のメンバーとなった。
16.トンパ、53.ポックル、99.キルア、191.ボドロ、294.ハンゾー
301.ギタラクル、403.レオリオ、404.クラピカ、405.ゴン
406.ジャイアン、407.スネ夫、408.しずか、409.ドラえもん、410.のび太
ネテロ「14名中11名がルーキーか。ほっほっほ、豊作すぎじゃのう」
ブハラ「すごいですね、今年は」
メンチ「あのタヌキも残ってるようね」
ビーンズ「うち5名は試験に申し込みした形跡がまったくないのに
申し込みしたことになってるんですよね。実に不思議です」
ネテロ「ま、この際細かいことは言いっこなしじゃ」
サトツ「ところで会長、最終試験は何を?」
ネテロ「一風変わった決闘をしてもらうつもりじゃ。まず全員と話をしたいのう」
16.トンパ、53.ポックル、99.キルア、191.ボドロ、294.ハンゾー
301.ギタラクル、403.レオリオ、404.クラピカ、405.ゴン
406.ジャイアン、407.スネ夫、408.しずか、409.ドラえもん、410.のび太
ネテロ「14名中11名がルーキーか。ほっほっほ、豊作すぎじゃのう」
ブハラ「すごいですね、今年は」
メンチ「あのタヌキも残ってるようね」
ビーンズ「うち5名は試験に申し込みした形跡がまったくないのに
申し込みしたことになってるんですよね。実に不思議です」
ネテロ「ま、この際細かいことは言いっこなしじゃ」
サトツ「ところで会長、最終試験は何を?」
ネテロ「一風変わった決闘をしてもらうつもりじゃ。まず全員と話をしたいのう」
751: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:03:13.00 ID:VKYy8Ck30
ネテロ「なぜハンターになりたいと?」
~
のび太「ハンターを目指してる人がとてもかっこいいから」
ドラえもん「のび太君が成長してくれればと思って……」
ジャイアン「ガキ大将はハンターくらいにはならないとな!」
スネ夫「別になりたくないけど、みんなに巻き込まれちゃって……」
しずか「とてもいい経験になると思ったので」
~
ネテロ「受験生の中でもっとも注目しているのは?」
~
のび太「405番と99番かな」
ドラえもん「16番の人です。助けてもらったので」
ジャイアン「403番だ! 俺の歌を『たのもしい』って褒めてくれたしな」
スネ夫「301番! なんなのアイツ、気持ち悪い!」
しずか「404番です。3次試験で一緒だったんですけど、とても頭がよくて」
~
ネテロ「受験生の中でもっとも戦いたくないのは?」
~
のび太「できればだれとも戦いたくないなぁ……ケンカ弱いし」
ドラえもん「294番、頭がテカテカなので」
ジャイアン「俺はだれとだって戦うぜ!」
スネ夫「301番! 絶対イヤだ!」
しずか「191番の人です。とても強そうだもの」
~
~
のび太「ハンターを目指してる人がとてもかっこいいから」
ドラえもん「のび太君が成長してくれればと思って……」
ジャイアン「ガキ大将はハンターくらいにはならないとな!」
スネ夫「別になりたくないけど、みんなに巻き込まれちゃって……」
しずか「とてもいい経験になると思ったので」
~
ネテロ「受験生の中でもっとも注目しているのは?」
~
のび太「405番と99番かな」
ドラえもん「16番の人です。助けてもらったので」
ジャイアン「403番だ! 俺の歌を『たのもしい』って褒めてくれたしな」
スネ夫「301番! なんなのアイツ、気持ち悪い!」
しずか「404番です。3次試験で一緒だったんですけど、とても頭がよくて」
~
ネテロ「受験生の中でもっとも戦いたくないのは?」
~
のび太「できればだれとも戦いたくないなぁ……ケンカ弱いし」
ドラえもん「294番、頭がテカテカなので」
ジャイアン「俺はだれとだって戦うぜ!」
スネ夫「301番! 絶対イヤだ!」
しずか「191番の人です。とても強そうだもの」
~
761: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:05:45.88 ID:VKYy8Ck30
最終試験当日──
ネテロ「試験は一対一のトーナメント形式で行う。組合せはこうじゃ!」
・一回戦はのび太vsハンゾー(ゴンは一つ上)
・ヒソカの位置にトンパ
・のび太以外の4人は原作受験生と別ブロックに固まっている
ネテロ「このトーナメントは負けた者が上に上がるシステムじゃ。
つまりたった一勝で合格、不合格者はたった一人である」
スネ夫「のび太、不合格おめでとう」
ジャイアン「残念だったな、のび太」
しずか「気を落とさないで、のび太さん」
のび太「ひ、ひどい。しずちゃんまで……」
ネテロ「組合せは今までの成績で決めておる。成績の多い者の方がチャンスは多い」
スネ夫「ってことは成績よかったんだな。のび太のくせに」
ジャイアン「まぁ意味ないけどな。のび太だし」
しずか「何回も負けるのは辛いと思うけど、頑張って」
のび太(ぼ、ぼくだって……)
↓トーナメント表

ネテロ「試験は一対一のトーナメント形式で行う。組合せはこうじゃ!」
・一回戦はのび太vsハンゾー(ゴンは一つ上)
・ヒソカの位置にトンパ
・のび太以外の4人は原作受験生と別ブロックに固まっている
ネテロ「このトーナメントは負けた者が上に上がるシステムじゃ。
つまりたった一勝で合格、不合格者はたった一人である」
スネ夫「のび太、不合格おめでとう」
ジャイアン「残念だったな、のび太」
しずか「気を落とさないで、のび太さん」
のび太「ひ、ひどい。しずちゃんまで……」
ネテロ「組合せは今までの成績で決めておる。成績の多い者の方がチャンスは多い」
スネ夫「ってことは成績よかったんだな。のび太のくせに」
ジャイアン「まぁ意味ないけどな。のび太だし」
しずか「何回も負けるのは辛いと思うけど、頑張って」
のび太(ぼ、ぼくだって……)
↓トーナメント表

763: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:06:27.87 ID:VKYy8Ck30
ネテロ「武器OK、反則なし、相手に『まいった』といわせれば勝ち。
相手を死に至らしめたら即失格! その時点で残りの者が合格じゃ」
マスタ「第一試合、ハンゾーvsノビタ!」
のび太はショックガン装備、ハンゾーは武器を持っていない。
スネ夫「ジャイアン、のび太は何秒で負けると思う?」
ジャイアン「10秒ってとこじゃねえか?」
マスタ「始め!」
のび太「いけぇっ!」
バシュッ!
火を噴くショックガン。だが惜しくも、肩当てにかすっただけだった。
ハンゾー「射撃に自信アリってとこか。認めるぜ」
ガッ!
ハンゾーの軽い手刀で、のび太いきなりのダウン。
ハンゾー「もっともそれだけだがな」
試合開始わずか2秒であった。
相手を死に至らしめたら即失格! その時点で残りの者が合格じゃ」
マスタ「第一試合、ハンゾーvsノビタ!」
のび太はショックガン装備、ハンゾーは武器を持っていない。
スネ夫「ジャイアン、のび太は何秒で負けると思う?」
ジャイアン「10秒ってとこじゃねえか?」
マスタ「始め!」
のび太「いけぇっ!」
バシュッ!
火を噴くショックガン。だが惜しくも、肩当てにかすっただけだった。
ハンゾー「射撃に自信アリってとこか。認めるぜ」
ガッ!
ハンゾーの軽い手刀で、のび太いきなりのダウン。
ハンゾー「もっともそれだけだがな」
試合開始わずか2秒であった。
767: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:07:26.00 ID:VKYy8Ck30
ゴン「ノビタ!」
キルア「ちっ(最初の光線をかわされた時点で勝負ありだ)」
ハンゾー「ほれ、さっさとギブアップしちまいな」
のび太「い、いやだ!」
ベシッ!
のび太「ゲホッ!」
ハンゾー「今なら次の試合への影響は少ない。意地はってもいいことないぜ」
のび太「まだまだ、勝負はこれからだ!」
バシッ!
のび太「うぐっ!」
ハンゾー「いっとくが俺はお前なんていつでも殺せるんだぜ」
のび太「ぜ、絶対いわないぞ……!」
ドッ!
キルア「ちっ(最初の光線をかわされた時点で勝負ありだ)」
ハンゾー「ほれ、さっさとギブアップしちまいな」
のび太「い、いやだ!」
ベシッ!
のび太「ゲホッ!」
ハンゾー「今なら次の試合への影響は少ない。意地はってもいいことないぜ」
のび太「まだまだ、勝負はこれからだ!」
バシッ!
のび太「うぐっ!」
ハンゾー「いっとくが俺はお前なんていつでも殺せるんだぜ」
のび太「ぜ、絶対いわないぞ……!」
ドッ!
774: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:08:40.53 ID:VKYy8Ck30
執拗に繰り返される、ハンゾーによる一方的な暴力。
常人未満ののび太の肉体に、最大限の苦痛を味わわせ続ける。
のび太「げほっ、ごほっ」
ハンゾー「さっきの銃がなきゃ、万に一つもお前に勝ち目はねェ」
レオリオ「いい加減にしやがれ! んな子供をいたぶりやがって!」
ジャイアン「てめぇ、俺の子分を! 俺様が相手になってやらぁ!」
ハンゾー「だったら消えろよ。これからもっとひどくなるぜ」
マスタ「試合への手出しは禁止です。もし手を出せば、失格になるのはノビタ選手ですよ」
スネ夫「あいつ、さっさと降参すりゃいいのに! 死んじゃうよ!」
しずか「ドラちゃん、どうにかして試合を止めて!」
ドラえもん「分かってるよ……ぼくももう限界だ!」
四次元ポケットから道具を取り出そうとするドラえもん。
のび太「ま、待って……ドラえもん……」
ハンゾー「……こいつ!」
ドカッ!
常人未満ののび太の肉体に、最大限の苦痛を味わわせ続ける。
のび太「げほっ、ごほっ」
ハンゾー「さっきの銃がなきゃ、万に一つもお前に勝ち目はねェ」
レオリオ「いい加減にしやがれ! んな子供をいたぶりやがって!」
ジャイアン「てめぇ、俺の子分を! 俺様が相手になってやらぁ!」
ハンゾー「だったら消えろよ。これからもっとひどくなるぜ」
マスタ「試合への手出しは禁止です。もし手を出せば、失格になるのはノビタ選手ですよ」
スネ夫「あいつ、さっさと降参すりゃいいのに! 死んじゃうよ!」
しずか「ドラちゃん、どうにかして試合を止めて!」
ドラえもん「分かってるよ……ぼくももう限界だ!」
四次元ポケットから道具を取り出そうとするドラえもん。
のび太「ま、待って……ドラえもん……」
ハンゾー「……こいつ!」
ドカッ!
784: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:10:16.51 ID:VKYy8Ck30
のび太「ま、まだまだ……」
ハンゾー「いい加減にしろ! お前は俺に絶対勝てないんだよ!」
のび太「それでも……」
ボロボロの体で、ハンゾーにしがみつくのび太。
のび太「ぼくだけの力であなたに勝たないと……」
ハンゾー「………」
のび太「ハンターとして……みんなに……」
ハンゾー「………!」
のび太「胸を張れないんだ!」
ハンゾー(理屈じゃねーんだな……)
のび太を体から引き離し、ハンゾーは審判に宣言した。
ハンゾー「まいった、俺の負けだ」
最終試験第一試合、ハンゾーvsのび太。
のび太の勝利。
ハンゾー「いい加減にしろ! お前は俺に絶対勝てないんだよ!」
のび太「それでも……」
ボロボロの体で、ハンゾーにしがみつくのび太。
のび太「ぼくだけの力であなたに勝たないと……」
ハンゾー「………」
のび太「ハンターとして……みんなに……」
ハンゾー「………!」
のび太「胸を張れないんだ!」
ハンゾー(理屈じゃねーんだな……)
のび太を体から引き離し、ハンゾーは審判に宣言した。
ハンゾー「まいった、俺の負けだ」
最終試験第一試合、ハンゾーvsのび太。
のび太の勝利。
790: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:11:00.82 ID:VKYy8Ck30
真っ先に駆けつけたドラえもんに、のび太は今にも死にそうな声で言った。
のび太「勝ったよ、ぼく」
のび太「ドラえもん。ぼく、少しはかっこよかった?」
ドラえもん「うん」
ドラえもんは泣きながら、のび太を介抱するのだった。
お医者さんカバン『ひどく痛めつけられていますが、後遺症が残らないやられ方です。
湿布を貼ってしばらく寝かせておけば大丈夫でしょう』
しずか「よかったわ……」
スネ夫「ほっ」
ジャイアン「あのハゲ忍者め、のび太をいじめやがって! 許せねぇ!」
スネ夫(おいおい)
ゴン「ノビタ、おめでとう! ──って眠っちゃってるか」
レオリオ「命に別状はねェようだな。ひとまずよかったぜ……」
クラピカ「ああ、彼がハンター一番乗りだ」
のび太「勝ったよ、ぼく」
のび太「ドラえもん。ぼく、少しはかっこよかった?」
ドラえもん「うん」
ドラえもんは泣きながら、のび太を介抱するのだった。
お医者さんカバン『ひどく痛めつけられていますが、後遺症が残らないやられ方です。
湿布を貼ってしばらく寝かせておけば大丈夫でしょう』
しずか「よかったわ……」
スネ夫「ほっ」
ジャイアン「あのハゲ忍者め、のび太をいじめやがって! 許せねぇ!」
スネ夫(おいおい)
ゴン「ノビタ、おめでとう! ──って眠っちゃってるか」
レオリオ「命に別状はねェようだな。ひとまずよかったぜ……」
クラピカ「ああ、彼がハンター一番乗りだ」
796: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:11:51.86 ID:VKYy8Ck30
ハンゾー「ふぅ」
キルア「ねぇ、なんでわざと負けたの?」
ハンゾー「……わざと?」
キルア「ずいぶん責め方が生ぬるかったし、あんたならもっとエゲつない責め方を
心得てるはずだろ?」
ハンゾー「あんな虚弱な奴を拷問するのは初めての経験だったしな。
あれ以上やってたらマジで殺しちまうところだったし、
幸い俺はまだチャンスが残ってる。そんなに間違った判断とは思ってねーぜ」
キルア「ふうん」
ハンゾー「………」
キルア「?」
ハンゾー「──ってのは建前で、気に入っちまったんだ、あいつが」
ハンゾー「あえて敗因をあげるならそんなところだ」
キルア「………!(気に入った……?)」
キルア「ねぇ、なんでわざと負けたの?」
ハンゾー「……わざと?」
キルア「ずいぶん責め方が生ぬるかったし、あんたならもっとエゲつない責め方を
心得てるはずだろ?」
ハンゾー「あんな虚弱な奴を拷問するのは初めての経験だったしな。
あれ以上やってたらマジで殺しちまうところだったし、
幸い俺はまだチャンスが残ってる。そんなに間違った判断とは思ってねーぜ」
キルア「ふうん」
ハンゾー「………」
キルア「?」
ハンゾー「──ってのは建前で、気に入っちまったんだ、あいつが」
ハンゾー「あえて敗因をあげるならそんなところだ」
キルア「………!(気に入った……?)」
798: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:12:25.81 ID:VKYy8Ck30
【クラピカvsトンパ】
トンパも健闘するが、クラピカ優勢で試合は進む。試合開始15分でトンパが降参。
クラピカ(このトンパという男。第一印象と違い、クリーンな戦い方だったな……)
【ジャイアンvsしずか】
試合開始早々、ジャイアンがギブアップ。のび太に続き、しずかも晴れてハンターに。
ジャイアン「しずちゃんと喧嘩するわけにゃいかねーからな」
【ハンゾーvsゴン】
のび太とは比較にならない程いたぶられるゴン。
右腕を折られても、刃を突きつけられても退かぬ心に、ハンゾーまさかの連敗。
ハンゾー「まいった。どうも俺はガキに弱いのかもしれねェ」
【ボドロvsトンパ】
体格と経験で勝るボドロが、ややダメージの残るトンパに勝利。
ボドロ「お互い万全であったら、勝負はどうなっていたか分からぬ」
トンパも健闘するが、クラピカ優勢で試合は進む。試合開始15分でトンパが降参。
クラピカ(このトンパという男。第一印象と違い、クリーンな戦い方だったな……)
【ジャイアンvsしずか】
試合開始早々、ジャイアンがギブアップ。のび太に続き、しずかも晴れてハンターに。
ジャイアン「しずちゃんと喧嘩するわけにゃいかねーからな」
【ハンゾーvsゴン】
のび太とは比較にならない程いたぶられるゴン。
右腕を折られても、刃を突きつけられても退かぬ心に、ハンゾーまさかの連敗。
ハンゾー「まいった。どうも俺はガキに弱いのかもしれねェ」
【ボドロvsトンパ】
体格と経験で勝るボドロが、ややダメージの残るトンパに勝利。
ボドロ「お互い万全であったら、勝負はどうなっていたか分からぬ」
802: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:13:12.58 ID:VKYy8Ck30
【ジャイアンvsドラえもん】
ジャイアンの本領発揮。ボコボコにされ、ドラえもん惨敗。
ドラえもん「ひ、ひどい……」
【ハンゾーvsポックル】
あっさり押さえ込まれたポックルが、ハンゾーの殺気にギブアップ。
ハンゾー「悪いがあんたにゃ遠慮しねーぜ」
【レオリオvsトンパ】
トンパに合わせ、レオリオも素手で挑む。激闘の末、レオリオが勝利。
レオリオ「トンパとはまた手合わせしたいぜ。気持ちのいい奴だった」
【ドラえもんvsスネ夫】
スネ夫がネズミの鳴き真似をすることで、あっという間に勝利。
ただし試合終了後、暴走したドラえもんにボコボコにされる。
スネ夫「ゆ、許してぇ~! ヒィ~!」
ドラえもん「てめえ、ぶっ殺してやる!」
【ポックルvsキルア】
開始と同時にキルアが戦線離脱。
キルア「悪いけど、あんたとは戦う気がしないんでね」
ジャイアンの本領発揮。ボコボコにされ、ドラえもん惨敗。
ドラえもん「ひ、ひどい……」
【ハンゾーvsポックル】
あっさり押さえ込まれたポックルが、ハンゾーの殺気にギブアップ。
ハンゾー「悪いがあんたにゃ遠慮しねーぜ」
【レオリオvsトンパ】
トンパに合わせ、レオリオも素手で挑む。激闘の末、レオリオが勝利。
レオリオ「トンパとはまた手合わせしたいぜ。気持ちのいい奴だった」
【ドラえもんvsスネ夫】
スネ夫がネズミの鳴き真似をすることで、あっという間に勝利。
ただし試合終了後、暴走したドラえもんにボコボコにされる。
スネ夫「ゆ、許してぇ~! ヒィ~!」
ドラえもん「てめえ、ぶっ殺してやる!」
【ポックルvsキルア】
開始と同時にキルアが戦線離脱。
キルア「悪いけど、あんたとは戦う気がしないんでね」
809: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:13:56.79 ID:VKYy8Ck30
第11試合──
審判「キルア対ギタラクル! 両者、前へ!」
スネ夫「うわぁ、ついにあの気持ち悪い奴だ」
しずか「大丈夫かしら、キルアさん」
ジャイアン「あいつは俺様と同じくらい強いから楽勝だろ!」
ドラえもん(いやいやぼくらよりずーっと強いから……)
審判「始め!」
ギタラクル「久しぶりだね、キル」
キルア「!?」
ギタラクルが自ら顔面に刺さった針を抜く。すると顔が変形し──
ビキビキ…
スネ夫「なにあれ! もっととんでもないバケモノになるんじゃ!? ママァ~!」
キルア「兄……貴!」
ギタラクルの正体は、キルアの兄イルミだった。
審判「キルア対ギタラクル! 両者、前へ!」
スネ夫「うわぁ、ついにあの気持ち悪い奴だ」
しずか「大丈夫かしら、キルアさん」
ジャイアン「あいつは俺様と同じくらい強いから楽勝だろ!」
ドラえもん(いやいやぼくらよりずーっと強いから……)
審判「始め!」
ギタラクル「久しぶりだね、キル」
キルア「!?」
ギタラクルが自ら顔面に刺さった針を抜く。すると顔が変形し──
ビキビキ…
スネ夫「なにあれ! もっととんでもないバケモノになるんじゃ!? ママァ~!」
キルア「兄……貴!」
ギタラクルの正体は、キルアの兄イルミだった。
816: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:15:00.41 ID:VKYy8Ck30
ドラえもん「髪の毛が伸びて、骨格まで変わった! 信じられない……!
未来の道具もなしに、あんな変身ができるなんて……」
ジャイアン「なんでぇ、案外ふつうの顔じゃん」
しずか「でもすごく冷たい眼だわ。まるで平気で人を殺しそうな……」
向かい合う兄弟。
イルミ「奇遇だね。まさかキルがハンターになりたかったとはね」
キルア「……別になりたかったわけじゃないよ」
イルミ「安心したよ、心おきなく忠告できる。お前はハンターには向かないよ。
お前の天職は殺し屋なんだから。なにも求めず欲しがらず、
俺と親父の命令通り仕事をこなしていればいい」
キルア「……俺にだって望んでいることくらいある!」
イルミ「ふうん、言ってごらん」
キルア「ゴンやノビタと……友達になりたい」
イルミ「無理だね、お前に友達なんてできっこないよ。
お前はいつか必ず2人を殺したくなる」
未来の道具もなしに、あんな変身ができるなんて……」
ジャイアン「なんでぇ、案外ふつうの顔じゃん」
しずか「でもすごく冷たい眼だわ。まるで平気で人を殺しそうな……」
向かい合う兄弟。
イルミ「奇遇だね。まさかキルがハンターになりたかったとはね」
キルア「……別になりたかったわけじゃないよ」
イルミ「安心したよ、心おきなく忠告できる。お前はハンターには向かないよ。
お前の天職は殺し屋なんだから。なにも求めず欲しがらず、
俺と親父の命令通り仕事をこなしていればいい」
キルア「……俺にだって望んでいることくらいある!」
イルミ「ふうん、言ってごらん」
キルア「ゴンやノビタと……友達になりたい」
イルミ「無理だね、お前に友達なんてできっこないよ。
お前はいつか必ず2人を殺したくなる」
821: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:15:33.78 ID:VKYy8Ck30
レオリオ「キルア! 兄貴だか知らねーがそんな奴の話は聞く耳持つな!
とっくにお前らダチ同士だろーがよ!
少なくともあいつらはそう思ってるはずだぜ!」
ジャイアン「そうだそうだ! のび太なんてお前やゴンのマネしたいって
弱っちいくせに戦ったくらいだぞ!」
イルミ「そうなの?」
レオリオ&ジャイアン「たりめーだ、バーカ!」
イルミ「へぇ、まいったな……じゃあ」
イルミ「2人とも殺そう」
キルア「!」
イルミ「殺し屋に友達なんて必要ないからね」
ジャイアン「なんだとぉ!?」
スネ夫「ひっ! こ、こ、殺すって!?」
しずか「ド、ドラちゃん……のび太さんとゴンさんが!」
ドラえもん「なんてやつだ!」
とっくにお前らダチ同士だろーがよ!
少なくともあいつらはそう思ってるはずだぜ!」
ジャイアン「そうだそうだ! のび太なんてお前やゴンのマネしたいって
弱っちいくせに戦ったくらいだぞ!」
イルミ「そうなの?」
レオリオ&ジャイアン「たりめーだ、バーカ!」
イルミ「へぇ、まいったな……じゃあ」
イルミ「2人とも殺そう」
キルア「!」
イルミ「殺し屋に友達なんて必要ないからね」
ジャイアン「なんだとぉ!?」
スネ夫「ひっ! こ、こ、殺すって!?」
しずか「ド、ドラちゃん……のび太さんとゴンさんが!」
ドラえもん「なんてやつだ!」
828: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:16:21.65 ID:VKYy8Ck30
ドラえもん「コベアベ~!」
<コベアベ>
この笛の音を聞くと、対象となった者は考えている事と逆の行動をしてしまう。
ドラえもん「ピ~ヒャラ~♪」
イルミ「?」
イルミは突然、キルアの元に歩き出した。
レオリオ「どうしたんだ?」
クラピカ「様子がおかしい」
イルミ「キル、すまなかった。2人は殺すのはやめておこう。
お前も今日から自由だ。ハンターになって好きなように生きなよ。
──ってわけで俺の負けだ」
キルア「え!?」
レオリオ「どうなってんだ!?」
ジャイアン「やったぜ!」
ハンター協会会長、ネテロが動く。
ネテロ「最終試験終了じゃ」
<コベアベ>
この笛の音を聞くと、対象となった者は考えている事と逆の行動をしてしまう。
ドラえもん「ピ~ヒャラ~♪」
イルミ「?」
イルミは突然、キルアの元に歩き出した。
レオリオ「どうしたんだ?」
クラピカ「様子がおかしい」
イルミ「キル、すまなかった。2人は殺すのはやめておこう。
お前も今日から自由だ。ハンターになって好きなように生きなよ。
──ってわけで俺の負けだ」
キルア「え!?」
レオリオ「どうなってんだ!?」
ジャイアン「やったぜ!」
ハンター協会会長、ネテロが動く。
ネテロ「最終試験終了じゃ」
836: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:17:27.89 ID:VKYy8Ck30
ネテロ「悪質な試合介入とみなし、409番ドラエモンは失格!
この時点で残りは合格じゃ」
ドラえもん(あ、やっぱりバレたか)
イルミ「ん……操られていたのか」
キルア「ちょっと待てよ!」
ネテロ「なんじゃ?」
キルア「助けられたのは俺だ。だったら失格になるのは俺の方だろ!?」
ネテロ「うむ。今の試合、まともにやっていればギタラクルに分があったじゃろう」
キルア「だろ!?」
ネテロ「じゃが残るおぬし、トンパ、ドラエモンの中で力が劣るのはドラエモンじゃ。
おぬしを助けて不合格にし、合格しようとしたと見ることもできる。
あと2回もチャンスを残すおぬしを助けるのも不自然じゃしな」
キルア「でも──」
ネテロ「悪いが、覆すつもりはない」
ドラえもん(これでよかったんだ)
この時点で残りは合格じゃ」
ドラえもん(あ、やっぱりバレたか)
イルミ「ん……操られていたのか」
キルア「ちょっと待てよ!」
ネテロ「なんじゃ?」
キルア「助けられたのは俺だ。だったら失格になるのは俺の方だろ!?」
ネテロ「うむ。今の試合、まともにやっていればギタラクルに分があったじゃろう」
キルア「だろ!?」
ネテロ「じゃが残るおぬし、トンパ、ドラエモンの中で力が劣るのはドラエモンじゃ。
おぬしを助けて不合格にし、合格しようとしたと見ることもできる。
あと2回もチャンスを残すおぬしを助けるのも不自然じゃしな」
キルア「でも──」
ネテロ「悪いが、覆すつもりはない」
ドラえもん(これでよかったんだ)
841: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:18:25.25 ID:VKYy8Ck30
元々ドラえもんは決勝でわざとギブアップするつもりでいた。
イルミを操り、キルアを助けたのも失格覚悟の行為。
ここでキルアを助けないと、取り返しのつかない事態になると直感したのだ。
ネテロは知ってか知らずか、ドラえもんの意志を汲んだ形になった。
キルア「……ごめん」
ドラえもん「いやぁ、ぼくの力じゃどうせ君にもトンパさんにも勝てないし」
ジャイアン「そう、気にすんなって! ドラえもんは残念だったけどな!」
しずか「キルアさん合格おめでとう!」
スネ夫(はっきりいって、ぼくらはハンターになったって意味ないしね)
一方、コベアベにしてやられたイルミも心中穏やかではなかった。
イルミ(キルをハンターにしてしまったか……。まぁこれは仕方ない)
イルミ(キルの精神を崩すつもりだったが、邪魔が入った。
それにしても俺すら操作することができるとは、少し油断してたかな)
イルミ(ヒソカから『彼らもオモチャ箱入りした』とメールが来てたけど、
できれば試験が終わったらあの5人は始末しておきたい……)
イルミを操り、キルアを助けたのも失格覚悟の行為。
ここでキルアを助けないと、取り返しのつかない事態になると直感したのだ。
ネテロは知ってか知らずか、ドラえもんの意志を汲んだ形になった。
キルア「……ごめん」
ドラえもん「いやぁ、ぼくの力じゃどうせ君にもトンパさんにも勝てないし」
ジャイアン「そう、気にすんなって! ドラえもんは残念だったけどな!」
しずか「キルアさん合格おめでとう!」
スネ夫(はっきりいって、ぼくらはハンターになったって意味ないしね)
一方、コベアベにしてやられたイルミも心中穏やかではなかった。
イルミ(キルをハンターにしてしまったか……。まぁこれは仕方ない)
イルミ(キルの精神を崩すつもりだったが、邪魔が入った。
それにしても俺すら操作することができるとは、少し油断してたかな)
イルミ(ヒソカから『彼らもオモチャ箱入りした』とメールが来てたけど、
できれば試験が終わったらあの5人は始末しておきたい……)
846: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:19:15.76 ID:VKYy8Ck30
ハンター試験合格者講習会──
ビーンズ「……以上が、ハンターライセンスの効力です。質問はありますか?」
のび太「……ぐう」
しずか「のび太さん!」
ジャイアン「こいつ、眠ってんのかよ!」
スネ夫「信じられないよ、まったく」
クラピカ「彼が眠りに落ちるスピードはすさまじいな」
レオリオ「俺なんて合格の喜びで疲れもぶっ飛んだってのに、すげータマだな」
ゴン「ノビタはきっとすごいハンターになるよ」
ハンゾー(こいつを気に入った俺の目に狂いは、あったのかも……)
トンパ「ま、あとで説明してあげればいいさ」
ボドロ「ふむ。すごいのかすごくないのか、よく分からぬ少年だな」
ポックル「まったくだ。それにしても、幸せそうな寝顔してるな」
のび太「……すやすや」
ビーンズ「……以上が、ハンターライセンスの効力です。質問はありますか?」
のび太「……ぐう」
しずか「のび太さん!」
ジャイアン「こいつ、眠ってんのかよ!」
スネ夫「信じられないよ、まったく」
クラピカ「彼が眠りに落ちるスピードはすさまじいな」
レオリオ「俺なんて合格の喜びで疲れもぶっ飛んだってのに、すげータマだな」
ゴン「ノビタはきっとすごいハンターになるよ」
ハンゾー(こいつを気に入った俺の目に狂いは、あったのかも……)
トンパ「ま、あとで説明してあげればいいさ」
ボドロ「ふむ。すごいのかすごくないのか、よく分からぬ少年だな」
ポックル「まったくだ。それにしても、幸せそうな寝顔してるな」
のび太「……すやすや」
851: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:20:17.47 ID:VKYy8Ck30
合格者講習会中──
ドラえもん「ただ待ってるのもつまんないから、ドラ焼きでも……」
ネテロ「さっきは残念じゃったのう」
ドラえもん「(ハンター協会の偉い人だ)あ、どうも」
ネテロ「せっかく2人きりじゃから単刀直入にうかがおう。
おぬしと、残り4人はこの世界の人間ではないじゃろう?」
ドラえもん「ど、どうしてそれを……」
ネテロ「なんとなくじゃよ。ほっほっほ」
ドラえもん「騙していてごめんなさい」
ネテロ「なあに、一度合格したからには彼らはもうハンターじゃ。
たとえ自分の世界に戻るとしても、な」
ドラえもん「……ありがとうございます」
ネテロ「またおぬしらが来るのを楽しみに待っておるよ。ハンターとして」
ドラえもん「はい!」
ドラえもん「ただ待ってるのもつまんないから、ドラ焼きでも……」
ネテロ「さっきは残念じゃったのう」
ドラえもん「(ハンター協会の偉い人だ)あ、どうも」
ネテロ「せっかく2人きりじゃから単刀直入にうかがおう。
おぬしと、残り4人はこの世界の人間ではないじゃろう?」
ドラえもん「ど、どうしてそれを……」
ネテロ「なんとなくじゃよ。ほっほっほ」
ドラえもん「騙していてごめんなさい」
ネテロ「なあに、一度合格したからには彼らはもうハンターじゃ。
たとえ自分の世界に戻るとしても、な」
ドラえもん「……ありがとうございます」
ネテロ「またおぬしらが来るのを楽しみに待っておるよ。ハンターとして」
ドラえもん「はい!」
857: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:21:20.00 ID:VKYy8Ck30
講習会終了後──
キルア「兄貴」
イルミ「なに?」
キルア「あの5人に手を出すのはやめろ」
イルミ「……へぇ、よく分かったね」
キルア「兄貴の性格と、あいつらに放ってた殺気を考えれば、誰だって分かる」
イルミ「なるほど」
キルア「俺はあんたの望み通り、一度家に戻る。これは『取引』だ」
イルミ「俺と取引できる立場かい? まぁいいや、ここで彼らを殺ることはしないよ」
キルア「絶対だぞ」
イルミ「ああ」
キルア「兄貴」
イルミ「なに?」
キルア「あの5人に手を出すのはやめろ」
イルミ「……へぇ、よく分かったね」
キルア「兄貴の性格と、あいつらに放ってた殺気を考えれば、誰だって分かる」
イルミ「なるほど」
キルア「俺はあんたの望み通り、一度家に戻る。これは『取引』だ」
イルミ「俺と取引できる立場かい? まぁいいや、ここで彼らを殺ることはしないよ」
キルア「絶対だぞ」
イルミ「ああ」
860: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:21:57.73 ID:VKYy8Ck30
トンパ「ドラえもん君」
ドラえもん「あっ、トンパさん」
トンパ「俺を元の俺に戻してくれないか?」
ドラえもん「(忘れるとこだった……)はいはい」
ドラえもんは泉の精を呼び出し、汚いトンパを呼び戻すことにした。
ドラえもん「きれいなトンパさんが、帰りたいっていうから……」
泉の精「分かりました。仕方ありませんね」
ボコボコ…
トンパ「ゲホッ、ゲホッ!」
泉の精「さっさと出なさい!」
トンパ「いてて、ひっぱるな!」
ドラえもん「あっ、トンパさん」
トンパ「俺を元の俺に戻してくれないか?」
ドラえもん「(忘れるとこだった……)はいはい」
ドラえもんは泉の精を呼び出し、汚いトンパを呼び戻すことにした。
ドラえもん「きれいなトンパさんが、帰りたいっていうから……」
泉の精「分かりました。仕方ありませんね」
ボコボコ…
トンパ「ゲホッ、ゲホッ!」
泉の精「さっさと出なさい!」
トンパ「いてて、ひっぱるな!」
868: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:23:12.97 ID:VKYy8Ck30
トンパ(汚)「ふぅ、やっと出られたぜ! てめぇ、よくもこんな目に!」
ドラえもん「うわっ!」
トンパ(麗)「やめないか、もう一人の俺!」
トンパ(汚)「なにがもう一人の俺、だ。妙にキラキラした目をしやがって!」
トンパ(麗)「お前にこれを託す」
きれいなトンパは汚いトンパにハンターライセンスを手渡した。
トンパ(汚)「これは──!」
トンパ(麗)「お前──いや俺たちが長年取りたかったハンターライセンスだ。
俺とお前の能力は、心根以外はまったく同じだった。
“新人潰し”なんて誰かみたいに下らんことに労力を費やさなかったから、
こうして手に入れることができたよ。もちろん、運もあったがな」
トンパ(汚)「くっ……!」
トンパ(麗)「もう俺が現れることはないだろう。好きにするといい」
トンパ(汚)「礼なんて……いわねぇぞ」
トンパ(麗)「自分に礼をいわれても嬉しくないよ。じゃあな」
きれいなトンパは泉の中に消えた。
ドラえもん「うわっ!」
トンパ(麗)「やめないか、もう一人の俺!」
トンパ(汚)「なにがもう一人の俺、だ。妙にキラキラした目をしやがって!」
トンパ(麗)「お前にこれを託す」
きれいなトンパは汚いトンパにハンターライセンスを手渡した。
トンパ(汚)「これは──!」
トンパ(麗)「お前──いや俺たちが長年取りたかったハンターライセンスだ。
俺とお前の能力は、心根以外はまったく同じだった。
“新人潰し”なんて誰かみたいに下らんことに労力を費やさなかったから、
こうして手に入れることができたよ。もちろん、運もあったがな」
トンパ(汚)「くっ……!」
トンパ(麗)「もう俺が現れることはないだろう。好きにするといい」
トンパ(汚)「礼なんて……いわねぇぞ」
トンパ(麗)「自分に礼をいわれても嬉しくないよ。じゃあな」
きれいなトンパは泉の中に消えた。
881: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:26:26.91 ID:VKYy8Ck30
ドラえもん「え、と……トンパさん、ぼくはこれで」
トンパ「ええい、さっさと行け!」
トンパ「クソッ!」
元々トンパは優秀だった。
しかし10歳でのハンター試験初受験以降、試験の過酷さを、
それを難なくパスする真の天才というものを、存分に味わわされた。
いつしかトンパは初心を忘れ、忘れ去られた心は腐り──
“新人潰し”と呼ばれるようになっていた。
トンパ「ち、ちくしょう……!」
かつて忘れ去ったはずの自分自身に、とうの昔に諦めた夢を叶えられてしまった。
新人潰しを糧に人生を楽しもうと心に決めていた自分を、完全否定された。
トンパは新人潰しの手前、道化を演じることもあるがプライドは決して低くない。
言いようのない歯がゆさがトンパに押し寄せた。
トンパ「これから……どうすっかなァ」
トンパはどういうハンターになるのか?
おそらくまだ、トンパ自身にも分からない。
トンパ「ええい、さっさと行け!」
トンパ「クソッ!」
元々トンパは優秀だった。
しかし10歳でのハンター試験初受験以降、試験の過酷さを、
それを難なくパスする真の天才というものを、存分に味わわされた。
いつしかトンパは初心を忘れ、忘れ去られた心は腐り──
“新人潰し”と呼ばれるようになっていた。
トンパ「ち、ちくしょう……!」
かつて忘れ去ったはずの自分自身に、とうの昔に諦めた夢を叶えられてしまった。
新人潰しを糧に人生を楽しもうと心に決めていた自分を、完全否定された。
トンパは新人潰しの手前、道化を演じることもあるがプライドは決して低くない。
言いようのない歯がゆさがトンパに押し寄せた。
トンパ「これから……どうすっかなァ」
トンパはどういうハンターになるのか?
おそらくまだ、トンパ自身にも分からない。
890: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:28:30.73 ID:VKYy8Ck30
別れの時──
ドラえもん「じゃあ皆さん、ぼくらはこれで」
のび太「さようなら、みんな」
ジャイアン「疲れたけど、楽しかったぜ!」
スネ夫「いやぁ~もうヘトヘト……」
しずか「色々とありがとうございました」
ゴン「みんな、元気でね!」
レオリオ「ゴンから聞いてるぜ。お前ら、なんでも違う星から来たんだとか。
ま、あれだけ妙な出来事を見せられたら信じるっきゃねーしな」
クラピカ「君たちの故郷は我々では到底たどり着けぬほど遠い場所なのだろうが、
どんなに離れていても私たちはハンター仲間だ」
ドラえもん「はい!」
のび太「うん!」
ジャイアン「おう!」
スネ夫「はい!」
しずか「ええ!」
ドラえもん「じゃあ皆さん、ぼくらはこれで」
のび太「さようなら、みんな」
ジャイアン「疲れたけど、楽しかったぜ!」
スネ夫「いやぁ~もうヘトヘト……」
しずか「色々とありがとうございました」
ゴン「みんな、元気でね!」
レオリオ「ゴンから聞いてるぜ。お前ら、なんでも違う星から来たんだとか。
ま、あれだけ妙な出来事を見せられたら信じるっきゃねーしな」
クラピカ「君たちの故郷は我々では到底たどり着けぬほど遠い場所なのだろうが、
どんなに離れていても私たちはハンター仲間だ」
ドラえもん「はい!」
のび太「うん!」
ジャイアン「おう!」
スネ夫「はい!」
しずか「ええ!」
900: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:30:26.08 ID:VKYy8Ck30
ドラえもん「宇宙救命ボート~!」
レオリオ「おおっ、すげぇな」
クラピカ「あれで星の海を渡って来たのか……」
のび太「ゴン、本当にありがとう! 絶対また来るからね!」
ゴン「うん、立派なハンターになって待ってるよ!」
のび太「あ、あとゴン、キルアは? 探したけどどこにもいなくて……」
ゴン「それが、講習会の後“家に戻る”っていっていなくなっちゃって……。
これから俺たち、キルアの家に行ってみるつもり」
のび太「そっかぁ……。じゃあキルアにも伝えて! 絶対また会おうって!」
ゴン「うん、必ず伝えるよ!」
5人が乗り込んだボートは、あっという間に大気圏を脱出した。
クラピカ「行ってしまったな」
レオリオ「ああ、不思議な奴らだったぜ」
ゴン「また会えるといいね」
レオリオ「おおっ、すげぇな」
クラピカ「あれで星の海を渡って来たのか……」
のび太「ゴン、本当にありがとう! 絶対また来るからね!」
ゴン「うん、立派なハンターになって待ってるよ!」
のび太「あ、あとゴン、キルアは? 探したけどどこにもいなくて……」
ゴン「それが、講習会の後“家に戻る”っていっていなくなっちゃって……。
これから俺たち、キルアの家に行ってみるつもり」
のび太「そっかぁ……。じゃあキルアにも伝えて! 絶対また会おうって!」
ゴン「うん、必ず伝えるよ!」
5人が乗り込んだボートは、あっという間に大気圏を脱出した。
クラピカ「行ってしまったな」
レオリオ「ああ、不思議な奴らだったぜ」
ゴン「また会えるといいね」
910: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:31:59.78 ID:VKYy8Ck30
同時刻、宇宙に飛び去る宇宙救命ボートに気づいた数名。
~
ネテロ「ほっほっほ、行ったか。いやはや、なかなか面白い子供らじゃった。
今年は豊作じゃったし、ワシもうかうかしてはおれんのう」
~
ヒソカ「さすがにあれには追いつけないね。ま、いつかまた来るだろうし。
まずはあのゴンをじっくりと──」
~
イルミ「うーん、やっぱり始末しておくべきだったかな」
~
キルア「……じゃあな。絶対また来いよ」
~
~
ネテロ「ほっほっほ、行ったか。いやはや、なかなか面白い子供らじゃった。
今年は豊作じゃったし、ワシもうかうかしてはおれんのう」
~
ヒソカ「さすがにあれには追いつけないね。ま、いつかまた来るだろうし。
まずはあのゴンをじっくりと──」
~
イルミ「うーん、やっぱり始末しておくべきだったかな」
~
キルア「……じゃあな。絶対また来いよ」
~
911: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:32:21.86 ID:VKYy8Ck30
宇宙救命ボート内──
のび太「えぇ~!? ハンターライセンスを売れば一生遊んで暮らせるの!?
じゃあぼく、ずっと昼寝してようかなぁ」
スネ夫「バーカ、あの星だけの話だろ。それともお前、ずっとあそこに住むのか?」
しずか「たしか、一年以内に5人に1人が失くしちゃうっていってたわね。
やっぱり盗まれたりするんでしょうね」
ジャイアン「のび太なんか一年どころか三日くらいで失くしそうだな」
のび太「バカにしないでよ! ……あれ?」
スネ夫「おいおい、まさか」
のび太「講習会の会場に忘れてきちゃった……。えぇ~ん、ドラえもぉ~ん!」
ドラえもん「んもう、あとでとりよせバッグで取り寄せよう」
ジャイアン「まったくドジだな、お前は」
しずか(せっかく試験中はかっこよかったのに……)
のび太「えぇ~!? ハンターライセンスを売れば一生遊んで暮らせるの!?
じゃあぼく、ずっと昼寝してようかなぁ」
スネ夫「バーカ、あの星だけの話だろ。それともお前、ずっとあそこに住むのか?」
しずか「たしか、一年以内に5人に1人が失くしちゃうっていってたわね。
やっぱり盗まれたりするんでしょうね」
ジャイアン「のび太なんか一年どころか三日くらいで失くしそうだな」
のび太「バカにしないでよ! ……あれ?」
スネ夫「おいおい、まさか」
のび太「講習会の会場に忘れてきちゃった……。えぇ~ん、ドラえもぉ~ん!」
ドラえもん「んもう、あとでとりよせバッグで取り寄せよう」
ジャイアン「まったくドジだな、お前は」
しずか(せっかく試験中はかっこよかったのに……)
919: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:33:45.90 ID:VKYy8Ck30
ドラえもん「ところで君らは一応ハンターになったわけだけど、
どういうハンターになるつもり?」
のび太「あやとりハンター! 昼寝ハンターも悪くないけど」
4人(はぁ……)
スネ夫「ぼくはレアハンターかな。パパのコネで希少品をコレクションするんだ」
しずか「私はお人形を集めたりするハンターがいいわね」
ドラえもん「ジャイアンは?」
ジャイアン「決まってんだろ。音楽(ミュージック)ハンターだ!」
スネ夫「え」
ジャイアン「そういや、合格したのに歌ってなかったな。じゃあさっそく」
ドラえもん「ちょっと待──」
ボ エ ~ ~ ~
どういうハンターになるつもり?」
のび太「あやとりハンター! 昼寝ハンターも悪くないけど」
4人(はぁ……)
スネ夫「ぼくはレアハンターかな。パパのコネで希少品をコレクションするんだ」
しずか「私はお人形を集めたりするハンターがいいわね」
ドラえもん「ジャイアンは?」
ジャイアン「決まってんだろ。音楽(ミュージック)ハンターだ!」
スネ夫「え」
ジャイアン「そういや、合格したのに歌ってなかったな。じゃあさっそく」
ドラえもん「ちょっと待──」
ボ エ ~ ~ ~
927: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:34:42.97 ID:VKYy8Ck30
地球に戻った5人は、タイムマシンでハンター試験開始日までさかのぼった。
ドラえもん「これでぼくらは一日も家を空けてないことになる」
ジャイアン「じゃあな、のび太、ドラえもん!」
スネ夫「今回はホント死ぬかと思ったよ……。じゃあね」
しずか「楽しかったわ、のび太さん、ドラちゃん」
ドラえもん「うん、またね! みんな!」
のび太「じゃあねー!」
玉子「あんたたち、短い時間でずいぶん顔つきが変わったけど。なにかあったの?」
のび太「べっつにぃ~、ねぇドラえもん?」
ドラえもん「はい、なんにもなかったです」
玉子「?」
ドラえもん「これでぼくらは一日も家を空けてないことになる」
ジャイアン「じゃあな、のび太、ドラえもん!」
スネ夫「今回はホント死ぬかと思ったよ……。じゃあね」
しずか「楽しかったわ、のび太さん、ドラちゃん」
ドラえもん「うん、またね! みんな!」
のび太「じゃあねー!」
玉子「あんたたち、短い時間でずいぶん顔つきが変わったけど。なにかあったの?」
のび太「べっつにぃ~、ねぇドラえもん?」
ドラえもん「はい、なんにもなかったです」
玉子「?」
942: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:37:08.99 ID:VKYy8Ck30
ある日の午後、のび太は相変わらず寝転がっていた。
ドラえもん「のび太、寝てないで宿題しろ!」
のび太「分かったよ」
ドラえもん(おや、めずらしい)
机の上には写真立てに入れたハンターライセンスが飾ってある。
地球上ではなんの価値もないが、のび太はこれを見ると不思議とやる気が出るのである。
のび太「ゴンやキルアやみんなは、すっごいハンターになってるだろうなぁ。
ぼくもぼくなりに頑張らないと!」
ドラえもん「ふふふ、少しは成長したかな」
のび太「ドラえもん、いつかまたゴンたちに会いに行こうね」
ドラえもん「そうだね」
ハンター協会史上初、地球出身のハンターは今日も元気に暮らしている。
大長編ドラえもん のび太のハンター試験
~ お わ り ~
ドラえもん「のび太、寝てないで宿題しろ!」
のび太「分かったよ」
ドラえもん(おや、めずらしい)
机の上には写真立てに入れたハンターライセンスが飾ってある。
地球上ではなんの価値もないが、のび太はこれを見ると不思議とやる気が出るのである。
のび太「ゴンやキルアやみんなは、すっごいハンターになってるだろうなぁ。
ぼくもぼくなりに頑張らないと!」
ドラえもん「ふふふ、少しは成長したかな」
のび太「ドラえもん、いつかまたゴンたちに会いに行こうね」
ドラえもん「そうだね」
ハンター協会史上初、地球出身のハンターは今日も元気に暮らしている。
大長編ドラえもん のび太のハンター試験
~ お わ り ~
944: 忍法帖【Lv=13,xxxPT】 2011/12/18(日) 00:37:16.92 ID:Mlr7UBXG0
>>1乙
楽しかったお
楽しかったお
952: 忍法帖【Lv=12,xxxPT】 2011/12/18(日) 00:37:40.83 ID:6JGA2Ca1O
えげつねえな
962: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:38:13.51 ID:FnGfq6W90
>>1乙!
最高に楽しめた!
最高に楽しめた!
970: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:38:26.47 ID:TTOovHLS0
おもしろかった
大長編だな
大長編だな
973: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:38:39.29 ID:SyYXnARd0
なんとか一スレでしっかりまとまって終わったのは>>1の手腕
974: 忍法帖【Lv=40,xxxPT】 2011/12/18(日) 00:38:39.84 ID:OUdItOIS0 BE:5030316498-2BP(0)
>>1乙いいセンスだ
984: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/18(日) 00:39:00.21 ID:Z4DsIhTT0
>>1おつ!
俺も来年のハンター試験に備えて勉強しなくちゃ!
俺も来年のハンター試験に備えて勉強しなくちゃ!
引用元: のび太「……ハンター試験?」
ジャイアン「近所にイオンモールができて俺の店がやばい…」
2019-12-28
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 19:14:38.82 ID:QGlFn6/k0
ジャイアン「腰をやっちまって老衰した両親」
ジャイアン「高校卒業後すぐ店を継いだから学のない俺」
ジャイアン「漫画家を夢見てひきこもる妹…」
ジャイアン「どうしてこうなった……」
のび太「www」
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10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 19:17:00.26 ID:QGlFn6/k0
ジャイアン「の、のび太! お前いたのか!」
のび太「『いらっしゃいませ』だろ?」
ジャイアン「い、いらっしゃいませ……」ペコリ
のび太「ったく感謝してよ。こんな寂れた店にきてやってるお客様なんて僕くらいだよ」
ジャイアン「……」
のび太「はぁ、やっぱイオンのほうが安いな。これここで買うのやめとくか」
ジャイアン「わ、割引するから!」
のび太「何割?」
ジャイアン「……5%で」
のび太「は?」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 19:20:00.52 ID:QGlFn6/k0
ジャイアン「だってそれの仕入れ値的にこれ以上は」
のび太「だーかーらー嫌なんだよ個人商店って」
のび太「これイオンならこの値段の2割引きくらいで買えるよ?? ん??」
ジャイアン「…だからなんだってんだよ」
のび太「客がやすいほうへやすいほうへ行くのは当然だよね?」
ジャイアン「わかってらぁ! でもなぁ……そんなに大口で仕入れることはできねぇんだよ」
のび太「種類もすくないし」
のび太「ねぇジャイアン。イオンに比べてこの店が勝ってるところってどこ?」
ジャイアン「……」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 19:22:17.05 ID:QGlFn6/k0
のび太「値段? 全部負けてるよね」
のび太「品揃えも最悪。ここじゃ簡単な夕飯の材料すら揃わない」
のび太「愛嬌? イオンの店員さんは可愛くて愛想よくてハキハキしてていいよねぇ」
のび太「立地も悪いし、駐車場もないから買い込むのしんどいし」
のび太「なにより楽しくない。買い物はレジャーだよ」
ジャイアン「……」プルプル
のび太「昔みたいに殴る? 大事なお客様を??」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 19:25:42.87 ID:QGlFn6/k0
ジャイアン「イオンなんてできなければ…」
のび太「自分とこの営業努力の足りなさを大手スーパーに押し付けるんだ?」
ジャイアン「そういうわけじゃ……」
のび太「イオンが勢力をのばす傍らでジャイアンは何してきたの?」
のび太「小売なんて生存競争かけて日々切磋琢磨してるよね?」
のび太「ジャイアンは呼び込みもしないし、チラシもつくらないし、WEBの更新もしないし」
のび太「仕入れを安くするための努力も怠ってる」
のび太「ねぇ、それで昔みたいに常連さんがきてくれるとおもった?」
のび太「浅はかだよね。そこが低学歴たる所以かな」
ジャイアン「……」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 19:29:01.66 ID:QGlFn6/k0
のび太「こんな閑古鳥が鳴くボロ屋なんてたたんで、迎合してしまえばいいんだよ」
ジャイアン「!」
のび太「そのほうが賢いよ。商店街のみんなはいまはイオンで立派に店員やってるよ」
のび太「ジャイアンならそうだなぁ、イオン農産部なんか合ってるんじゃないかな力持ちだし」
ジャイアン「……でも」
のび太「わかるよ。自営業のプライドってのがあるもんね」
のび太「パパとママから受け継いだ大事な店だもんね」
のび太「大学に行かずにこの歳になってまでパートは嫌だよね!」
ジャイアン「……」
のび太「でもさぁ、現実みろよ。もう商店街は死んだんだよ」
のび太「ジャイアンこのままここでうだうだしてるとマジで一家心中することになるよ」
ジャイアン「!!」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 19:33:45.72 ID:QGlFn6/k0
のび太「わかる? イオンがこの街の中心なの」
のび太「イオンに沿うように道ができて人が住むの」
のび太「僕らの町は数年で変わったんだよ」
のび太「でも憎んじゃいけないよ」
のび太「これはこの町の大多数の住人が望んだ結果なんだから」
のび太「おかげで町は発展した。そうでしょ?」
ジャイアン「た、確かに…」
のび太「出木杉市長も頭かかえてるよ」
のび太「時代に取り残された古い人間をどう処理するかってね」
ジャイアン「なんだと!!」
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 19:38:08.27 ID:QGlFn6/k0
のび太「この区画さえ整理できれば都市改革計画がまた一歩前身するんだ」
のび太「はっきりいうね。ジャイアンの店、みんなの邪魔だから」
ジャイアン「……!」
のび太「わかんない? 最近さぁ露骨に仕入れ値あがったでしょ?」
ジャイアン「……」
のび太「あれ、出木杉市長が農協に根回ししてるからだよ」
ジャイアン「へ!?」
のび太「いい年して素っ頓狂な声ださないでよ。予想もつくもんだろうに」
のび太「相変わらずどんだけ鈍いんだ……」
のび太「あーあ、バカに逐一説明するのはつかれるなぁ」
ジャイアン「やい、のび太お前は……」
のび太「はっきりいうね。ジャイアンの店、みんなの邪魔だから」
ジャイアン「……!」
のび太「わかんない? 最近さぁ露骨に仕入れ値あがったでしょ?」
ジャイアン「……」
のび太「あれ、出木杉市長が農協に根回ししてるからだよ」
ジャイアン「へ!?」
のび太「いい年して素っ頓狂な声ださないでよ。予想もつくもんだろうに」
のび太「相変わらずどんだけ鈍いんだ……」
のび太「あーあ、バカに逐一説明するのはつかれるなぁ」
ジャイアン「やい、のび太お前は……」
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 19:42:45.34 ID:QGlFn6/k0
ジャイアン「客として来たんじゃないのか!」
のび太「もちろん客だよ? あ、この缶詰一個頂戴」
ジャイアン「おせっかいか!? それともまじで地上げでもしようってのか!」
のび太「僕はまだそんな身分じゃないよ。でも、近い内そうなる」
のび太「だから警告だよ。情けをかけた最後通告といってもいい」
のび太「友達として、ね」
ジャイアン「最後通告だと……!!」
のび太「さっき僕はイオンに迎合しろといったよね」
のび太「でもね、人間そんな簡単にプライドと愛着ある店を捨てることはできないんだよ」
のび太「だから君にも必要なんだ、建前が」
ジャイアン「!」
のび太「地上げをくらったから、『仕方ない』」
のび太「それが君に残された人生の逃げ道だよ」
84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 19:47:24.66 ID:QGlFn6/k0
ジャイアン「あ…あ……」
のび太「足りない頭で考えてよ。野垂れ死にたくはないだろ?」
のび太「妹の夢を応援したいだろ?」
のび太「伏した両親を助けたいだろ?」
ジャイアン「俺は……俺はどうしたら……」
のび太「これ以上貯金を食いつぶすのは楽しいか?」
のび太「気付いた方がいい」
のび太「もう君も君の店も、詰んでるんだよ」
ジャイアン「……」ガクッ
のび太「さて、すこしおじゃまするよ。元フィアンセの様子も少しみたいしね」
ジャイアン「……」
のび太「悩みに悩むんだ。相談があったら僕のところへおいで」
のび太「話を聞くくらいならいつでもかまわないよ」
のび太「まぁ本当に聞くだけになるだろうけどね…」
のび太「足りない頭で考えてよ。野垂れ死にたくはないだろ?」
のび太「妹の夢を応援したいだろ?」
のび太「伏した両親を助けたいだろ?」
ジャイアン「俺は……俺はどうしたら……」
のび太「これ以上貯金を食いつぶすのは楽しいか?」
のび太「気付いた方がいい」
のび太「もう君も君の店も、詰んでるんだよ」
ジャイアン「……」ガクッ
のび太「さて、すこしおじゃまするよ。元フィアンセの様子も少しみたいしね」
ジャイアン「……」
のび太「悩みに悩むんだ。相談があったら僕のところへおいで」
のび太「話を聞くくらいならいつでもかまわないよ」
のび太「まぁ本当に聞くだけになるだろうけどね…」
91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 19:50:20.02 ID:QGlFn6/k0
のび太「やぁ」ガラガラ
ジャイ子「……こうじゃないこんなんじゃない」ブツブツ
のび太「神童も堕ちたもんだな」
のび太「まぁよくあるよね。神童なんて言葉所詮まやかしなんだよ」
のび太「そうあってほしいと願う周りがもてはやした結果さ」
のび太「やがて年をとって気づくんだ。自分は所詮有象無象の凡才だって」
ジャイ子「の、のび太さん……」
のび太「漫画は楽しいかい?」
ジャイ子「……」
96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 19:52:53.77 ID:QGlFn6/k0
のび太「へぇ、うまいもんだね」
ジャイ子「見ないで!!」
のび太「どうして? うまいじゃないか、そこそこ」
ジャイ子「そこそこじゃだめなんです! もう小学生じゃないんだから!!」
のび太「そうだよね。そうなんだよ」
のび太「君はもう大人だ。こんな子供だましの落書きを書いてる年齢じゃない」
ジャイ子「やめて!!」
のび太「なんだよ。いざ指摘されると嫌がるって。とことん幼稚な精神のまま育ったんだな」
のび太「君は漫画をかきたいのか、漫画をかいてることを逃げ道にしてるのかどっちなんだ」
ジャイ子「いやーーー! でてって!!」
のび太「やれやれ」
109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 19:57:13.65 ID:QGlFn6/k0
のび太「ひたむきに絵をかいてた君は好きだったよ」
のび太「あのころは確かに輝いてた」
のび太「でも薄汚れたおんぼろ部屋でこそこそ自慰にふけるようじゃもうだめだ」
のび太「自分の能力と才能に見切りをつける時期はとっくにすぎたよ」
ジャイ子「まだ来期の新人賞があるから……」
のび太「新人って歳かい。漫画家に大器晩成があるのかしらないけど」
のび太「素人の僕でもわかる。君のメッキは剥がれた」
ジャイ子「諦めたらそこで試合終了……」
のび太「凡人の君程度が漫画のセリフをタテにするなよ」
のび太「それは才能のある人間にだけゆるされた至言だ」
ジャイ子「帰ってください……」
のび太「僕も嫌われたもんだね」
116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 20:02:22.35 ID:QGlFn6/k0
ジャイ子「のび太さんにはわからないんですよ」
のび太「漫画は詳しくないよ。一読者でしかないもんでね」
ジャイ子「ちがう!!」
のび太「?」
ジャイ子「努力を強いられる凡人の気持ちなんてわからないって言ったんです!!」
のび太「努力……ねぇ」
のび太「参ったな。そういわれると。僕は言い返せないよ」
のび太「たしかに僕は努力なんてしなかったよ」
のび太「だって努力する事を努力とは思わなかったから」
ジャイ子「!」
のび太「好きなことは無我夢中でやる。気付いたらうまくなってる。うまいから金になる」
のび太「その裏で数え切れない苦労はあるさ、でもそれを人に自慢げに語ってなんになる」
のび太「さもしいんだよ。君は」
のび太「承認欲求だけで絵をかく雑魚が漫画家先生を夢見てるんじゃない!!!!」
128: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 20:05:57.58 ID:QGlFn6/k0
ジャイ子「うっ……ううっ」
ジャイ子「一体なにしに来たんですか」
のび太「言っとくけど、君をどうこうしようって気はないよ」
のび太「ただ、前へ進もうとするお兄さんを支えて欲しいって言いに来ただけさ」
のび太「それともお兄さんにだけ苦労かけて自分はまだ夢に酔うのかい?」
のび太「妹だからって甘えてられるのは花ざかりまでだよ」
のび太「それに、切実にお金もないんだろう」
のび太「将来どうする気なの?」
のび太「いっとくけど、御免だよ僕は」
のび太「君、女としての魅力がないんだ。見た目も心も」
ジャイ子「……」
144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 20:12:51.08 ID:QGlFn6/k0
のび太「さてと……」
のび太「おっと電話だ。失礼」
のび太「もしもし、こちらよりよい未来を作る四次元カンパニー代表取締役の野比です」
のび太「なんだ市長。ハハハ、いま剛田商店です」
のび太「まぁ、ぼちぼちやってますよ」
のび太「これで駄目なら強行策も辞さないつもりです」
のび太「うまくやりますよ。手馴れてるんで」
のび太「なにより友達だ。なるべく穏便に解決したい」
のび太「では、また日を改めてディナーでも」
ジャイ子「のび太さん今の電話……」
のび太「現実をみたほうがいい」
のび太「僕はよりよい未来を作る。22世紀につながるように」
202: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 20:42:05.42 ID:QGlFn6/k0
その晩
しずか「おかえりなさい」
のび太「やぁ、ただいま」
しずか「どこか寄り道してたの?」
のび太「ちょっとね、顔なじみの店に」
しずか「ほんと知り合い多いのね」
のび太「職業柄ね。いい縁もあれば悪い縁も多いよ」
しずか「疲れてない?」
のび太「今日はちょっと精神にきたね」
のび太「僕は毒を吐くのが仕事ってわけじゃない。でも仕方ないか」
しずか「だってのび太さん、優しいもの……無理はしちゃだめよ」
のび太「やめてよ。明日は骨川スネ夫だ今月一の難所だよ」
のび太「気を高ぶらせてかからないと逆に飲まれる」
216: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 20:47:21.36 ID:QGlFn6/k0
しずか「スネオさん……いまはイオンの近くで喫茶をやってたかしら」
しずか「一度だけ行ったことあるわ。とても、その、奇抜なお店で……すこしだけひいちゃった」
のび太「うん、それが厄介なんだ」
のび太「まぁしずかちゃんに話すことじゃないけど、目の上のたんこぶだよ彼は」
しずか「それでもちゃんとお仕事してるわ」
のび太「……だからだよ。僕も考えあぐねている」
しずか「?」
のび太「とにかくお腹がすいた。晩御飯は?」
しずか「できてるわ。いただきましょ」
225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 20:50:56.44 ID:QGlFn6/k0
のび太「食べながら聞いて欲しいんだけど」
のび太「今回の山が片付けば、都市改革も一段落する」
しずか「えぇ、のび太さんすごく頑張ってるわ」
のび太「それで、すこしだけ暇ができるんだ」
しずか「そう、良かった。ゆっくり休めるわね」
のび太「その間に、籍を入れない?」
しずか「!」
のび太「あんまりこうだらだら引き伸ばすのも君に悪いかなってずっと思ってた」
しずか「いいの……? うれしい……」
のび太「ジャイアンたちも、気持ちに整理がついたら笑顔で僕らを祝ってくれるさ」
のび太「だから、僕は明日スネオを必ず……」
しずか「応援してるわ、ずっとこれからも」
のび太「ありがとう。しずかちゃんが居てくれるから僕は頑張れるんだよ」
231: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 20:54:47.84 ID:QGlFn6/k0
翌日
のび太「人通りの多いこんな場所に、無粋な……」
カランコロン
メイド達「おかえりなさいませご主人さまー!」
のび太「オーナーのところへ通してくれないかな」
スネオ「よ! のび太じゃん! 珍しいな」
のび太「やぁスネオ。来たよ」
スネオ「来たよって。あ、わかったウチの子たち秘書にでもつけようって腹だな」
スネオ「スカウトは自由だぜ。また可愛い子雇えばすむ話だからな」
のび太「違うよ。大事な話があるんだ」
スネオ「………かけろよ」
240: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 20:59:56.33 ID:QGlFn6/k0
のび太「単刀直入に言う。店をなんとかしてほしい」
スネオ「そりゃまた。つまらない脅しでもするのか」
のび太「この店は、ふさわしくないんだ。僕らの描いた都市計画に存在しない」
スネオ「商売には自由ってものがあるとおもうけどなぁ」
のび太「治安も悪くなる。やめてほしい」
スネオ「一応営業許可証はもってるんだけど?」
スネオ「それになんの権限があっていちゃもんつけるんだよ」
のび太「権限じゃない。個人的なスネオへの憂慮で」
スネオ「余計なお世話だ」
のび太「どうしてこんないかがわしい店を天下の往来につくるんだ」
スネオ「楽しいから」
のび太「楽しければ町の景観を損ねてもいいと君はおもってるの?」
スネオ「景色はだれのものでもない」
250: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 21:03:21.30 ID:QGlFn6/k0
のび太「それに、こういうのは商売ではない」
のび太「君は大学をでてから一体なにをしていたんだ」
のび太「まともな職にもつかず、あちこちをふらふらふらふら」
のび太「数年ぶりに戻ってきたと思ったら下世話なメイド喫茶のオーナー?」
のび太「正直なにを考えているかわからないよ」
スネオ「楽しいこと」
のび太「わからない……君が心配だ」
スネオ「建前はね。本音はそう、お前なんて出木杉閣下の犬っころさ」
のび太「両親はなんていってる」
スネオ「何も」
のび太「じゃあ心のうちで何を思っているかくらいなら想像つくだろう」
スネオ「何も。心底興味がないんだ、僕には」
265: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 21:08:33.21 ID:QGlFn6/k0
のび太「君のママはそんな人じゃないはずだ」
のび太「きっと心底君の将来を心配しているはず」
のび太「だってあんなに君のことを大事におもってるんだ。いつも君のことを嬉しそうに」
スネオ「勝手な憶測で人の家庭のことに水を差すな」
のび太「スネオ! なら骨川財閥はどうした? お父さんの後を継ぐんじゃないのか?」
スネオ「……たのしくないだろ。そういうのって」
スネオ「確かに昔の僕は親の金つかって幅を効かせていたさ」
スネオ「お金があれば友達はあつまってくる、物欲は満たせる。その気になれば女だって」
スネオ「でもさぁ……それって虚しくね?」
のび太「……」
スネオ「金持ちの子供って、レッテル貼りの世界で生きるしかないの?」
スネオ「それって、哀しくね?」
スネオ「のび太、僕はさ、世俗にまみれるのがつまらないと感じる人間になってしまったんだ」
282: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 21:13:30.11 ID:QGlFn6/k0
のび太「世俗だと! ろくに社会に働いたこともない人間が何をいってるんだ」
スネオ「のび太、お前頭固いな」
のび太「なに……」
スネオ「僕とお前、なにが違うの?」
のび太「……違うさ、僕は公のために身を粉にして働いている」
スネオ「はいそうだね。僕は道楽の放蕩野郎さ」
スネオ「で、それは悪いことなの?」
のび太「客足だって悪いだろう…」
スネオ「悪いよ。日に数人しかこないなんてザラさ」
スネオ「で、それは悪いことなの?」
のび太「!」
スネオ「ジャイアンの家はさー。まぁお金ないし経営がくるしいならなんとかしなきゃって思うだろうさ」
スネオ「でも僕の場合、しったこっちゃないんだよね。お金あるから」
298: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 21:19:49.75 ID:QGlFn6/k0
のび太「矛盾している。君は結局親の金で道楽に走っているだけだ」
スネオ「そうだよ! 僕にはお金があるから」
のび太「自力で稼いだ金じゃない!」
スネオ「それものび太には関係のない家庭の話」
スネオ「正直ね財閥全体の資産を鑑みると、こんなの小銭みたいなもんさ。頓着がないんだようちの親」
のび太「でも、友達がいい歳してぷらぷら遊んでいるなんて僕は見逃せないよ!」
スネオ「じゃあ放っておいてくれ。それも友情だ」
のび太「スネオ……本当にいいとおもっているのか」
のび太「同期の人間の今を見てなにもおもわないのか」
のび太「僕はこのとおりだ。出木杉は市長になった。近い将来国政にもでる!」
のび太「しずかちゃんは立派にOLをやっている! もうすぐ主婦になる!」
のび太「ジャイアンは店を継いでたったひとりで守り続けてきた!」
のび太「でも君は!」
スネオ「声を張るなよ。客に聞こえる」
320: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 21:27:52.28 ID:QGlFn6/k0
スネオ「僕は在学中あちこちを回った」
スネオ「君たちエリーーートさんからみたら遊びまわってただけに映っただろうね」
スネオ「でも僕にとってはこれまでの人生で一番考えに考えぬいた時期だったんだ」
スネオ「バックパック一つで北へ南へ、日銭を稼ぎながら」
のび太「嘘だ……お金、あったんだろ……?」
スネオ「ないよ。僕、それだけは自分の力でやり遂げたかったんだ」
スネオ「というよりそんな無謀な旅にだすお金はないザマス!って言われちゃった」
スネオ「それで僕カッとなってさ、まぁいい後押しになったよねママのセリフは」
スネオ「楽しかったなぁ。でも根無し草でいられるたった数年という時間が口惜しかった」
スネオ「なにかしていてもなにもしていなくても、時間はながれていくことをはじめて悟ったよ」
336: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 21:32:19.94 ID:QGlFn6/k0
のび太「その貴重な人生の時間というものを知ってるから、僕はいまこうして君に」
スネオ「だから、一生好きなことをしようって決めたんだ」
のび太「!」
スネオ「いいじゃないか。政治家もサラリーマンも自営業も」
スネオ「どこに貴賎があるんだ。あるとしたら職にじゃない、それを思う人間にだよ」
のび太「貴賎があるなんて言ってない!」
スネオ「口にだしてないだけさ」
スネオ「僕は、のび太の心が透けて見える。本音も建前も、全てね」
のび太「……」
のび太「そこまでわかってる君が、なぜ意固地になってここに店を」
のび太「もっと打算的に考えればいい取引ができるはずだ」
スネオ「ここはすばらしい街だ。きっとこの先も発展する」
のび太「あたりまえだろ……出木杉市長の計画だぞ……」
スネオ「なら客足が増えそうなところにあらかじめ店をかまえるのは、僕の経営戦略」
スネオ「……だろ?」
348: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 21:38:49.45 ID:QGlFn6/k0
のび太「……」
スネオ「それともなにかい? 人様のビジネス無理強いできるほどの国家権力でもお持ちかな」
のび太「そんなものはない。僕は……」
スネオ「いいんだ。わかってる」
スネオ「のび太は悪くない。ただ実直に仕事をしたまで。頑張り屋のセールスマンみたいなもんだ」
のび太「……スネオの気持ちはよくわかった。理解は、まだ難しいけど」
のび太「どうやら君は僕の一歩も二歩も先を歩いてるみたいだね」
スネオ「エリートは僕なんかに感化されちゃだめだよ。だめ人間なんだから基本」
スネオ「のび太にはのび太にあった仕事がある。そうだろ?」
スネオ「僕は仕事人間になれそうもないからこうしてるだけ」
のび太「そうだね……」
354: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 21:44:02.39 ID:QGlFn6/k0
のび太「……今日のところは退散させてもらうよ」
スネオ「次は市長をつれてくるかい? それともヤのつくお人たち?」
のび太「そんなことしないよ」
スネオ「おっと、忘れてた。コーヒー代。200円な」
のび太「……とるのか」
スネオ「ははっ、冗談。そんな顔するなよ」
のび太「一杯200円じゃ、ほんとに儲けでないだろ」
スネオ「まぁね。だから言ったろ道楽だってば」
のび太「それ老後じゃだめなのか」
スネオ「しつこいなー、じゃあのび太が実入りのよさそうな話ひっぱってこいよ」
のび太「えっ?」
366: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 21:50:03.11 ID:QGlFn6/k0
スネオ「四次元カンパニーだっけ? ドラえもんのポケットみたいになんだってできるんだろ?」
のび太「それが僕の経営理念だけど」
スネオ「僕はイオンを含む都市計画に決して迎合はされないよ。でも懐柔はできるかもねって話」
のび太「ほ、ほんと!?」
スネオ「せっかく足運んでくれたんだ。土産がないと出木杉閣下に顔向けできないんだろ?」
のび太「いや、そういうわけではないけど」
スネオ「僕だって今の生活がより楽しくなるなら一枚かませてほしいな」
のび太「……本気で言ってる?」
スネオ「僕が嘘ついたことあるとでも?」
のび太「昔いっぱい……忘れたとはいわせないぞ、意地悪もされた」
スネオ「ハハハハ! やっぱりのび太はのび太だね」
スネオ「安心した。出木杉市長とのパイプはのび太にまかせるよ」
のび太「スネオ……ありがとう」
スネオ「さて、今日はちょっと店じまいだ。久々にパパに電話しなきゃ」
379: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 21:57:23.69 ID:QGlFn6/k0
のび太「財閥に?」
スネオ「お金がかかりそうな話だからなー」
スネオ「その分のリターンを見込めなきゃ僕は即切りするけどね」
のび太「任せてくれよ。きっとうまくいく、僕らなら」
スネオ「僕らなら、ね……昔もよくそう言ってたか」
のび太「ドラえもんがいなくても、大丈夫さ」
スネオ「当たり前だろ。僕らはおとなになったんだから」
スネオ「自分できめて、自分で勝手に生きていくしかないのさ」
スネオ「まぁなんかあったらまた足はこべよ」
スネオ「ここには癒してくれる子ならたくさんいるぜ。あとおいしいコーヒー」
のび太「残念だけど、僕はもうすぐ所帯を持つ身だから」
スネオ「そりゃおめでとって、何年かかってんだよ!」
391: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 22:06:49.36 ID:QGlFn6/k0
・・・
出木杉「で、おめおめと引き下がってきたと?」
のび太「しかし、将来的な妥協案があればなんとか」
出木杉「ひとこと『潰せ』と言ったはずだが?」
のび太「……」
出木杉「まさか昔馴染みの情に転んだとは言わんよな?」
のび太「……そんなことは」
出木杉「では百戦練磨の潰し屋がなぜこんな糞以下の報告書を?」
のび太「ポリシーをもった者は懐柔したほうが有用ですので」
出木杉「懐柔だと? バカバカしい」
出木杉「俺はなぁ、骨川の財閥がしゃしゃり出てくると面倒なんだよ」
出木杉「わかるか? だから貴様に奴の心を折らせにいったんだ」
出木杉「だのにできませんでしただぁ?」
419: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 22:13:03.83 ID:QGlFn6/k0
出木杉「高い金払ってこのザマじゃ貴様の実力の底がしれたな」
のび太「きっと骨川スネ夫率いる次期骨川財閥は市長の力になってくれます」
出木杉「なんの保証もないだろうがぁ、金もちは金をだすだけの分際で外野からピーコラうるせぇんだ」
のび太「融資あっての計画です」
出木杉「もう出資者はおおかた募ってんだよぉ、税金もふんだんにあるだろうがぁ」
出木杉「貴様の提案なんぞ端から必要ねぇんだよ」
出木杉「やるべきことをきっちりやれや。それが仕事ってもんだろうが」
のび太「つまり、骨川スネ夫が厄介だと?」
出木杉「厄介にきまってんだろうがあんな放蕩貴族様」
出木杉「強情っぱりの剛田も含んでどうして俺の同期にはゴミしかいねぇんだ」
出木杉「野比てめぇまさか裏で変なことしてないよな?」
のび太「してません」
出木杉「わかってるな? お前の吹けば飛ぶようなちんけな会社、俺の指先ひとつで」
のび太「市長にはたくさん仕事を回していただけて大変感謝しております」
430: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 22:18:57.68 ID:QGlFn6/k0
出木杉「ふんっ、同じ学閥だから贔屓してやってるだけで代わりなんていくらでもいるんだよ」
出木杉「それがわからず三流仕事やってるようじゃまだまだだな」
のび太「……申し訳ありません」
出木杉「それと野比、お前結婚するんだったよな」
のび太「……一段落したら」
出木杉「その前に自分で撒いたタネは自分でなんとかしろよな」
のび太「……」
出木杉「わかってんだろ? お前が骨川を潰さない限り暇なんて与えねぇからな」
出木杉「ほらわかったらさっさとあいつのゴミ喫茶を潰してこい」
のび太「すこし時間がかかりそうです」
出木杉「そうか、で、どれくらいだ。具体的に」
のび太「……」
出木杉「……じゃあ、消えてもらうかあいつには」
のび太「!」
444: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 22:28:16.14 ID:QGlFn6/k0
出木杉「そのほうが都合がいいな、うんそうしよう」
のび太「な、なにを言ってるんだ!」
出木杉「さて、電話するかな」
のび太「まってくれ! こんなのおかしい!」
出木杉「即決即断、有言実行が俺のポリシーでね」
のび太「ポリシーじゃない! それは思考の放棄だ! 安直過ぎる!」
出木杉「お前は他人のポリシーを曲げるほど強い弁をもっていない、それは心の軸があやふやだからだ」
出木杉「社会にでてあっちこっち擦り寄ることしか覚えてないお前に、俺を説き伏せることはできない」
出木杉「そして、弱いやつは俺の理想とする社会の歯車になれない」
出木杉「だが骨川のような時代に流されない強いすぎるものも放っておけばまた、周りと少しずつズレが生じていく」
出木杉「俺にとっては、どちらも邪魔でしかたない」
460: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 22:34:03.99 ID:QGlFn6/k0
のび太「君だって出木杉の人間だろうが!」
出木杉「一人でいいだろう、社会を創りあげ監視するのは」
出木杉「みんな仲良く砂場でお城をつくっているわけではないんだ」
出木杉「万民の意見をすり合わせるようなことをいちいちしていてはよりよい発展などない」
出木杉「天才のつくりあげた土台でお前たちは慎ましく安穏な暮らしをすれば、それでいいんだ」
のび太「うぬぼれている! 自分ひとりで社会をまわせるとでもおもっているのか」
出木杉「……あぁ、その通りさ」
出木杉「もしもし骨川の件なんだが……」
のび太「や、やめろ……やめてくれっ、スネオが何をしたっていうんだ!」
出木杉「明朝……そう……いいかトラック1台でいい」
出木杉「後始末は俺がする」
のび太「……なんの話をしているんだ……やめてくれ出木杉君……」
481: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 22:41:23.03 ID:QGlFn6/k0
出木杉「さて、野比。お前の始末はどうするかな」
のび太「始末……僕もか!?」
出木杉「愚鈍なのはお前のほうだったな。俺に対する警戒心がなさすぎた」
出木杉「俺は同期のよしみや、長年の腐れ縁などというくだらない付き合い、蚊ほどにも気にしない人間でな」
のび太「嘘だろ……殺すのか!? こんな簡単に人を!?」
のび太「君は都市計画のためにどれだけ過ちを犯してきた!」
出木杉「さぁな、数える気にもならん。めんどくさい輩はこのリストのとおりだ」
のび太「ば、ばかな……10人やそこらじゃないぞ」ぺらっ
出木杉「貴様への依頼はこのリストに従って出してきたつもりだ」
のび太「ジャイアンとスネオの名前が……」
出木杉「貴様が事業をつぶさせる潰し屋だとしたら、その後を始末する始末屋もいるんだよ」
出木杉「それとも、自分が潰したゴミのその後なんて気にもしなかったか?」
のび太「そんな……ことは」
出木杉「お前は自分の罪にさいなまれ、目を背けていただけだ」
出木杉「だが安心しろ、お前は決して誰かに逆恨みされることはない。俺のおかげでな」
498: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 22:46:11.29 ID:QGlFn6/k0
のび太「ぜ、全員……消したのか?」
出木杉「お前がこなした案件数イコール、に相当する」
のび太「僕が……?」
出木杉「なにも直接刃物で刺し殺すわけではない」
出木杉「そっと後押ししてあげるだけだ」
のび太「それを……出木杉君が……やったのか?」
出木杉「あぁ、それがなにか? 始末屋とは俺のことだ」
のび太「なんてことを……」
出木杉「お前が弱らせた獲物を的確に処理しただけのこと」
のび太「僕は……僕はいままで……なんのために」
出木杉「俺のために」
のび太「!! いいように使われていたっていうのか!!」
出木杉「使ってやった。というわけだ」
515: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 22:51:50.86 ID:QGlFn6/k0
出木杉「そして計画は最終段階に入る」
出木杉「リストの最後のページをみてみろ」
のび太「……!」
のび太「僕の名前だと……? しずかちゃんも……?」
出木杉「お前を始末してすべては終わる」
出木杉「良かったな。もう罪の意識で眠れない夜に苦しむことはない」
出木杉「自分の投げかけてきた数々の言葉で自ら傷つくこともない」
出木杉「そうだろう?」
のび太「……僕は、なにをしてきたんだ」
出木杉「簡潔に言うと、人を殺す手助けだ」
出木杉「よく働いてくれた。最後の骨川の件でトチったのが惜しかったな」
出木杉「場合によってはこのままお前の正式な登用も考えたが、まぁ仮定の話は捨て置こう」
のび太「あ……僕は……なんてことを」
出木杉「仕事なら、と割り切れる人間の心は実に恐ろしいものだ」
出木杉「お前のような劣悪に非道な人間は俺の目指す社会に必要ない。死んでくれないか」
535: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 22:59:13.47 ID:QGlFn6/k0
のび太「あ……あ゛……」
出木杉「お前の残された仕事は、このリストの最後の人物、野比のび太を潰すことだ」
出木杉「自らの罪の重さで潰れろ」
出木杉「お前はとても残忍な仮面をかぶっているが、人並みに悩み苦しむことができる優しさをもっていた」
出木杉「そしてその優しさが真綿のように貴様の首を長年しめつけ」
出木杉「今に至るというだけのこと……」
のび太「僕はともかく……なぜ、しずかちゃんも」
出木杉「それは私怨でしかない」
出木杉「手に入らないものは存在するだけで不快なんだ」
出木杉「さきも言ったがなにも俺は直接手をかけはしない」
出木杉「お前が死後、後追いするようにさりげなく道を用意するだけだ」
561: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 23:05:42.92 ID:QGlFn6/k0
のび太「……許せない」
出木杉「?」
のび太「そんなことをさらっと言えるお前はもう人間なんかじゃない! 人の世をつくるにふさわしい存在じゃない!」
出木杉「そうだな。人の上にたつものが人であっていいはずがない」
のび太「それは言葉遊びだ」
出木杉「俺は心の底からそう思っている」
出木杉「だからゆえに、俺にはアイツは邪魔だったんだ」
出木杉「神にもなりえる力……時代にそぐわないオーパーツ」
のび太「ドラえもん……?」
出木杉「……ふふっ、まぁことの顛末など今は必要ないだろう」
出木杉「ただ彼はもうこの時代に存在していない、その結果だけで俺は満たされる」
出木杉「?」
のび太「そんなことをさらっと言えるお前はもう人間なんかじゃない! 人の世をつくるにふさわしい存在じゃない!」
出木杉「そうだな。人の上にたつものが人であっていいはずがない」
のび太「それは言葉遊びだ」
出木杉「俺は心の底からそう思っている」
出木杉「だからゆえに、俺にはアイツは邪魔だったんだ」
出木杉「神にもなりえる力……時代にそぐわないオーパーツ」
のび太「ドラえもん……?」
出木杉「……ふふっ、まぁことの顛末など今は必要ないだろう」
出木杉「ただ彼はもうこの時代に存在していない、その結果だけで俺は満たされる」
587: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 23:17:14.08 ID:QGlFn6/k0
のび太「出木杉君……君がドラえもんを……?」
出木杉「事実無根だ」
のび太「なんだと! いま君は!」
出木杉「俺にとっては、過去の話」
のび太「過去だと! ふざけるな!! 僕はドラえもんがいる未来へつながるように……都市計画を……」
出木杉「ドラえもんドラえもんと……!」
出木杉「あのたぬきがお前の人生にどれほど影響を与えたポンコツかはしらんが」
出木杉「その言葉をきくだけで幼い当時のトラウマが蘇る!」
出木杉「実に腹立たしい!!」
のび太「出木杉……君?」
608: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 23:22:52.43 ID:QGlFn6/k0
出木杉「野比、俺はお前とは違う」
出木杉「一番をとって、人の上にたつことでしか俺は自分を誇示することはできない」
出木杉「あの夏もあの冬も、お前たちが大冒険などとうつつを抜かしている間! 俺は勉強して勉強して」
出木杉「満点をとることだけにすべての時間を費やしてきた! 自分を確立させるためにだ」
出木杉「だが! そうすればするほど貴様らとの距離は開いていく! なぜだ!!」
出木杉「なぜ0点のお前に友達と女がいて! 100点の俺はあんな惨めな役回りなんだ!」
のび太「なにをいっているんだ出木杉君……」
625: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 23:26:49.24 ID:QGlFn6/k0
出木杉「思うに、俺とお前は対であり真逆の存在だ」
出木杉「ゆえに惹かれあい、反発しあう」
出木杉「そうだろ? しずかちゃんを取り合ったことも二度や三度ではない」
のび太「同意を求められても、僕はわからないよ……」
のび太「君は君じゃないか、僕に固執するまでもなく、君として生きているんだ」
出木杉「そう思える心の豊かさをお前は成長の中で得ただけのこと」
出木杉「しかしそれは今の俺には当てつけのセリフにしか聞こえないんだ!!」
のび太「君は……嫉妬しているんだね」
出木杉「あぁ、ずっとさ。殺したくてたまらなかった」
出木杉「貴様がグズのまま落ちぶれ、どれほど苦しむか見たかった」
出木杉「手始めにたぬきを葬った。お前は落ち込んで死を考えるとすら思った」
出木杉「だがお前はそれをバネにここまで来た」
出木杉「どういうことだ? 俺はどうすればお前に勝てる?」
のび太「………君は、市長になったじゃないか。それは紛れもなく努力のたまものだよ」
出木杉「お前にさとされるほど気分の悪いものはないな」
出木杉「ゆえに惹かれあい、反発しあう」
出木杉「そうだろ? しずかちゃんを取り合ったことも二度や三度ではない」
のび太「同意を求められても、僕はわからないよ……」
のび太「君は君じゃないか、僕に固執するまでもなく、君として生きているんだ」
出木杉「そう思える心の豊かさをお前は成長の中で得ただけのこと」
出木杉「しかしそれは今の俺には当てつけのセリフにしか聞こえないんだ!!」
のび太「君は……嫉妬しているんだね」
出木杉「あぁ、ずっとさ。殺したくてたまらなかった」
出木杉「貴様がグズのまま落ちぶれ、どれほど苦しむか見たかった」
出木杉「手始めにたぬきを葬った。お前は落ち込んで死を考えるとすら思った」
出木杉「だがお前はそれをバネにここまで来た」
出木杉「どういうことだ? 俺はどうすればお前に勝てる?」
のび太「………君は、市長になったじゃないか。それは紛れもなく努力のたまものだよ」
出木杉「お前にさとされるほど気分の悪いものはないな」
652: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 23:34:17.68 ID:QGlFn6/k0
のび太「君は、僕に復讐するために生きてきたの?」
出木杉「すべてがすべてそうではない」
出木杉「ただこの都市計画を発案したとき、ふと考えただけだ」
出木杉「まとめて貴様らに復讐できるとしたらこれは絶好のチャンスだとな」
出木杉「そこへ飛び込んできた何でも屋などというバカなお前を利用しただけのこと」
のび太「……そっか」
のび太「僕らの幼い無神経さが、君を歪めてしまったんだね」
のび太「悪いことをしたとはおもう。だけど、まったく同情はできない」
出木杉「いまから死ぬお前に同情されたくもないな」
出木杉「ただで死なすのは惜しいとおもったから教えてやっただけにすぎない」
664: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 23:39:17.36 ID:QGlFn6/k0
のび太「出木杉君。ふたつ言いたいことがある。
出木杉「聞いてやろう」
のび太「まず、ドラえもんを殺したことは許せない」
出木杉「……許しをこうつもりもないがな」
のび太「しずかちゃんを殺そうとしたことも許せない」
出木杉「で?」
のび太「だから、今タイムパトロールを呼んだ。ずっと探してたんだドラえもんの行方を」
出木杉「タイ……? 呼んだからなんだというんだ。ここは密室、セキュリティも万全」
のび太「タイムパトロールは……次元の壁をつきやぶって現れる」
ピシッ……――パキ
出木杉「なっ! なにぃい!!」
警察「タイムパトロールだ! 出木杉英才だな、ロボット人権法にのっとり直ちに拘束する」
出木杉「なんだと!!! く、空間から……!」
出木杉「聞いてやろう」
のび太「まず、ドラえもんを殺したことは許せない」
出木杉「……許しをこうつもりもないがな」
のび太「しずかちゃんを殺そうとしたことも許せない」
出木杉「で?」
のび太「だから、今タイムパトロールを呼んだ。ずっと探してたんだドラえもんの行方を」
出木杉「タイ……? 呼んだからなんだというんだ。ここは密室、セキュリティも万全」
のび太「タイムパトロールは……次元の壁をつきやぶって現れる」
ピシッ……――パキ
出木杉「なっ! なにぃい!!」
警察「タイムパトロールだ! 出木杉英才だな、ロボット人権法にのっとり直ちに拘束する」
出木杉「なんだと!!! く、空間から……!」
701: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 23:46:25.41 ID:QGlFn6/k0
のび太「……さよならだよ出木杉君」
出木杉「やめろ! はなせ! なんだこいつらは」
警察「全て吐いてもらうぞ出木杉」
出木杉「俺はなにもしていない!! ハメられたんだ野比のび太に!」
のび太「言質はとってある、もう無理なんだよ」
のび太「哀しいね。どれだけ才能があっても、未来のことはわからない」
のび太「いってらっしゃい。ロボットの殺害は未来では思い罪だ、二度ともどってくることはないよ」
のび太「せめて君の目指した未来をその目でみてくるといい」
のび太「きっと君が思い描いたどす黒い世界とは、違うから……」
出木杉「糞がああああ!」
タイムパトロール「ご協力感謝します!」
のび太「お疲れ様です……」
730: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 23:54:15.57 ID:QGlFn6/k0
のび太「こうして出木杉君は去った」
のび太「壮大な都市計画は頓挫し、その後の都市整備は骨川財閥が基軸となって行うことに」
のび太「一方で古き良き街並みの保存も理念にくわえられ、徐々に商店街の復興にも力をいれはじめたようだ」
のび太「そして僕はいま法廷に立っている」
裁判「では被告人野比のび太はいままでの全ての罪を認めますか?」
のび太「……はい、僕は確かに被害者に対し、自殺の教唆を行いました」
のび太「それは許されるものではなく、刑をもって罪をつぐなう所存でございます」
裁判「では、判決を言い渡す……」
のび太「……」
のび太(出木杉君……君の犯した罪、全て僕がもって行く……)
のび太(ドラえもん……君だけは僕を、許してくれるかな……)
おわり
739: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 23:55:53.35 ID:mzxjPvBy0
のびちゃん乙
741: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 23:56:00.72 ID:ID52CcaR0
乙
面白くて見いってしまったぜ
面白くて見いってしまったぜ
758: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 23:58:36.94 ID:ytTmiuDm0
乙
言葉の選択肢多いのはかっこいいな
言葉の選択肢多いのはかっこいいな
760: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 23:58:58.00 ID:IwxCT68rO
乙
しかしこれしずかちゃんが一人不幸になってるな
のび太は覚悟決めてるし、出木杉は自業自得だけど
しかしこれしずかちゃんが一人不幸になってるな
のび太は覚悟決めてるし、出木杉は自業自得だけど
764: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/18(木) 00:00:08.50 ID:gEb7+bkm0
幸せなのはスネ夫だけか
759: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/17(水) 23:58:38.86 ID:PmomoTIk0
あんまりイオンが関係なくてワロタ
引用元: ジャイアン「近所にイオンモールができて俺の店がやばい…」
ジャイアン「ホグワーツ魔法魔術学校?」
2019-11-25
1: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 19:31:19.76 ID:0q41TophO
その日も、彼にとって変わらぬいつも通りの日であった。
学校を終え、スネ夫やのび太とともに野球をして遊び、店番の時間がきたので家に帰った。
ジャ「ふぁ~あ。もう店番飽きたぜ。俺は母ちゃんの奴隷じゃないっつーの」
ジャイアン、本名剛田武は通常ありえない経験を山程している
海底、異星、古代、魔界、未来、はてはゲームの中、これまでありとわらゆる世界を旅した経験があり、またそのいくつかの世界では少年とは思えない活躍をみせ、ときには世界を救ったことすらある。
ジャ「ふぁ~。退屈だ」
しかしそれはいずれも不思議な力をもつ友人のおかげであり、彼自身はあくまでも普通の少年だ。たしかに体力やケンカ、料理の腕前や歌唱力にはいささか自信があるが、それだけ
俺はジャイアン様だ! と主張するも、11才の誕生日を間近に控え、大人に近づきつつある彼は、心のどこかで気づきはじめていた。
「俺は、何者でもない」、何者かになりたい。
でもそれにはどうしたらいいのかわからない。
そんなジャイアンだったから、その手紙が来た日は、特別な日になった。
学校を終え、スネ夫やのび太とともに野球をして遊び、店番の時間がきたので家に帰った。
ジャ「ふぁ~あ。もう店番飽きたぜ。俺は母ちゃんの奴隷じゃないっつーの」
ジャイアン、本名剛田武は通常ありえない経験を山程している
海底、異星、古代、魔界、未来、はてはゲームの中、これまでありとわらゆる世界を旅した経験があり、またそのいくつかの世界では少年とは思えない活躍をみせ、ときには世界を救ったことすらある。
ジャ「ふぁ~。退屈だ」
しかしそれはいずれも不思議な力をもつ友人のおかげであり、彼自身はあくまでも普通の少年だ。たしかに体力やケンカ、料理の腕前や歌唱力にはいささか自信があるが、それだけ
俺はジャイアン様だ! と主張するも、11才の誕生日を間近に控え、大人に近づきつつある彼は、心のどこかで気づきはじめていた。
「俺は、何者でもない」、何者かになりたい。
でもそれにはどうしたらいいのかわからない。
そんなジャイアンだったから、その手紙が来た日は、特別な日になった。
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4: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 19:34:23.67 ID:0q41TophO
ジャイアン「ん? 俺に手紙? めずらしいじゃんか」(ゴソゴソ
Mr Takeshi Goda
ジャイアン「アメリカ語じゃんか。なんて書いてあんだよ!」
ジャイアンはもちろん英語は読めない。
ジャイアン「しかたねぇな。あとでドラえもんのところに行くか」
~のび太の家~
ドラえもん「ジャイアンに外国から手紙? じゃあ…翻訳コンニャクお味噌味~!(モグモグ」
ジャイアン「俺にもくれよ」モグモグ
ドラ「こ、これは…!」
ジャイアン「ホグワーツってなんだ? 俺試験とか受けた覚えないぞ」
のび太「あはは、ジャイアンが試験なんて受かるわけ…」
ジャイアン(ジロリ)
のび太「ひぇ~」
ドラ「そ、そうか。21世紀ではまだホグワーツや魔法界のことは一般には知られてなかったんだった。いいかい? ホグワーツっていうのは…(略」
未来では周知の事実となっている魔法界やホグワーツのことをジャイアンに説明するドラえもん。
※魔法界…魔法使いたちの世界。ファンタジック
※ホグワーツ 魔法学ぶ学校、イギリスにあり全寮制。11歳~18歳の学生が所属
Mr Takeshi Goda
ジャイアン「アメリカ語じゃんか。なんて書いてあんだよ!」
ジャイアンはもちろん英語は読めない。
ジャイアン「しかたねぇな。あとでドラえもんのところに行くか」
~のび太の家~
ドラえもん「ジャイアンに外国から手紙? じゃあ…翻訳コンニャクお味噌味~!(モグモグ」
ジャイアン「俺にもくれよ」モグモグ
ドラ「こ、これは…!」
ジャイアン「ホグワーツってなんだ? 俺試験とか受けた覚えないぞ」
のび太「あはは、ジャイアンが試験なんて受かるわけ…」
ジャイアン(ジロリ)
のび太「ひぇ~」
ドラ「そ、そうか。21世紀ではまだホグワーツや魔法界のことは一般には知られてなかったんだった。いいかい? ホグワーツっていうのは…(略」
未来では周知の事実となっている魔法界やホグワーツのことをジャイアンに説明するドラえもん。
※魔法界…魔法使いたちの世界。ファンタジック
※ホグワーツ 魔法学ぶ学校、イギリスにあり全寮制。11歳~18歳の学生が所属
5: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 19:38:06.65 ID:0q41TophO
ジャイアン「ふーん。そこからの手紙か」
ドラえもん「これはすごいことだよ! ホグワーツは魔法界でもトップの学校で、学校から選ばれないと入学もできないんだ! 日本の子どもが呼ばれるなんて!」
ジャイアン「そ、そうなのか。さすが俺様だ! じゃあ、俺は魔法使いになれるのか!?」
のび太「ぼ、ぼくも魔法使いになりたいよドラえも~ん!」
ドラえもん「のび太くん、こればっかりは駄目だよ」
そして数日後、ジャイアンはホグワーツ行きを決意した。
友人や家族と離れるのはさびしいが、俺は男だ! やってやる! という強い思いがそれを決めさせた。両親を説得した。ドラえもんの道具をつかえばそれはたやすいことなのだが、あくまでも自分の言葉で説明した。それがジャイアンの信じる男の道だった
ドラえもん「これはすごいことだよ! ホグワーツは魔法界でもトップの学校で、学校から選ばれないと入学もできないんだ! 日本の子どもが呼ばれるなんて!」
ジャイアン「そ、そうなのか。さすが俺様だ! じゃあ、俺は魔法使いになれるのか!?」
のび太「ぼ、ぼくも魔法使いになりたいよドラえも~ん!」
ドラえもん「のび太くん、こればっかりは駄目だよ」
そして数日後、ジャイアンはホグワーツ行きを決意した。
友人や家族と離れるのはさびしいが、俺は男だ! やってやる! という強い思いがそれを決めさせた。両親を説得した。ドラえもんの道具をつかえばそれはたやすいことなのだが、あくまでも自分の言葉で説明した。それがジャイアンの信じる男の道だった
6: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 19:43:35.07 ID:0q41TophO
~ダイヤゴン横町~
ドラえもん「ここで学校で使う魔法使いの道具を買うんだよ」
ジャイアン「うひょー、すげぇ! よし、まずはローブってやつだな! 買い物には付き合ってくれよドラえもん」
※ダイヤゴン横町…魔法使いが買い物するところ。ロンドンらへんにあると噂
~洋裁店~
ジャイアン「いろいろあるな! かっこいいやつはどれだ」
キョロキョロするジャイアンに話しかける少年。青白い顔に金髪の少年だった
?「君もホグワーツの新入生かい?変わったペットだな。狸か?」
ジャイアン「そうだぞ! お前もか?」
ドラえもん「狸じゃない!」
フォイ「僕はドラコ・マルフォイだ。純血のマルフォイ家出身さ」
ジャイアン「俺はジャイアン。日本からきた」
ドラえもん「ぼくドラえもん」
フォイ「日本…? 日本の事情はよくは知らないが、君は純血なのか?」
ジャイアン「?」
フォイ「君の両親は魔法使いなのか?」
ジャイアン「ああ、違うぞ」
フォイ「はっ、マグル生まれで、おまけに外国人が新入生とは、ホグワーツも落ちたもんだ」
ジャイアン「ドラえもん、あいつは何を言ってるんだ。意味がわからないぞ」
ドラえもん「ここで学校で使う魔法使いの道具を買うんだよ」
ジャイアン「うひょー、すげぇ! よし、まずはローブってやつだな! 買い物には付き合ってくれよドラえもん」
※ダイヤゴン横町…魔法使いが買い物するところ。ロンドンらへんにあると噂
~洋裁店~
ジャイアン「いろいろあるな! かっこいいやつはどれだ」
キョロキョロするジャイアンに話しかける少年。青白い顔に金髪の少年だった
?「君もホグワーツの新入生かい?変わったペットだな。狸か?」
ジャイアン「そうだぞ! お前もか?」
ドラえもん「狸じゃない!」
フォイ「僕はドラコ・マルフォイだ。純血のマルフォイ家出身さ」
ジャイアン「俺はジャイアン。日本からきた」
ドラえもん「ぼくドラえもん」
フォイ「日本…? 日本の事情はよくは知らないが、君は純血なのか?」
ジャイアン「?」
フォイ「君の両親は魔法使いなのか?」
ジャイアン「ああ、違うぞ」
フォイ「はっ、マグル生まれで、おまけに外国人が新入生とは、ホグワーツも落ちたもんだ」
ジャイアン「ドラえもん、あいつは何を言ってるんだ。意味がわからないぞ」
7: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 19:47:01.59 ID:0q41TophO
ドラえもん「マグルっていうのは魔法使いじゃない人のことで、ジャイアンの両親がマグルだから、ホグワーツにはふさわしくないって言ってるんじゃないかな。この時代にはまだそういう古い考え方の人がいたんだよ」
フォイ「古い?」
ジャイアン「要するにあいつは俺や父ちゃん母ちゃんに悪口言ったってことか?」
ドラえもん「そうだね」
フォイ「ふん。怒ったのかい? マグルの分際
ドスン!
マルフォイ「メギャン!」
めり込む拳!陥没するマルフォイの顔面!尻餅をつく!
ジャイアン「この野郎! 父ちゃんと母ちゃんの悪口言うと、ギッタギタのメッタメタだぞー!!」
マルフォイ「」
ドラえもん(ニヤニヤ)
※なお、ジャイアンは小学生ながら腕立て伏せ100回をこなす腕力と
体重120キロオーバーで猛獣の牙も突き通せない体をもつロボットであるドラえもんを殴り倒す拳をもっています。
マルフォイ「ひいぃ、…」
ジャイアン「やい!謝れ!」
マルフォイ「この、マグルが、サーペンソー…」
ボコン!
再び陥没するマルフォイの顔面!
ジャイアン「コンニャロー! なんかやろうとしやがったな!」
ドラえもん(ニヤニヤ)
マルフォイ「…ぼへっ…卑怯、だぞ…魔法を使わずに…野蛮な…」
ジャイアン「うるせぇ。勝ったものの勝ちだ」
マルフォイ「うう…」
ジャイアン「ん? なんだこれ? 蛙みたいなチョコレートだな?」
マルフォイ「返せ!」
マルフォイ「盗むつもりか!」
ジャイアン「とったんじゃない! 借りたんだ! いつ返すか決めてないだけだ!」
マルフォイ「」
フォイ「古い?」
ジャイアン「要するにあいつは俺や父ちゃん母ちゃんに悪口言ったってことか?」
ドラえもん「そうだね」
フォイ「ふん。怒ったのかい? マグルの分際
ドスン!
マルフォイ「メギャン!」
めり込む拳!陥没するマルフォイの顔面!尻餅をつく!
ジャイアン「この野郎! 父ちゃんと母ちゃんの悪口言うと、ギッタギタのメッタメタだぞー!!」
マルフォイ「」
ドラえもん(ニヤニヤ)
※なお、ジャイアンは小学生ながら腕立て伏せ100回をこなす腕力と
体重120キロオーバーで猛獣の牙も突き通せない体をもつロボットであるドラえもんを殴り倒す拳をもっています。
マルフォイ「ひいぃ、…」
ジャイアン「やい!謝れ!」
マルフォイ「この、マグルが、サーペンソー…」
ボコン!
再び陥没するマルフォイの顔面!
ジャイアン「コンニャロー! なんかやろうとしやがったな!」
ドラえもん(ニヤニヤ)
マルフォイ「…ぼへっ…卑怯、だぞ…魔法を使わずに…野蛮な…」
ジャイアン「うるせぇ。勝ったものの勝ちだ」
マルフォイ「うう…」
ジャイアン「ん? なんだこれ? 蛙みたいなチョコレートだな?」
マルフォイ「返せ!」
マルフォイ「盗むつもりか!」
ジャイアン「とったんじゃない! 借りたんだ! いつ返すか決めてないだけだ!」
マルフォイ「」
11: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 19:55:52.19 ID:0q41TophO
~杖屋~
オリバンダー「ほれ、これなんてどうですかな? お前さんにはぴったりかと」
ジャイアン「これが杖? バッドみたいじゃねぇか」
オリバンダー「落雷で折れたトネリコの木に青狸の毛を入れてある。まれにそうした太い杖が合う魔法使いもいるのですよ」
ジャイアン「ふーん。まあ、バッド振り回すのは得意だからな」
~駅~
ジャイアン「準備も出来たし、あとは列車だな」
ドラえもん「うん。気をつけてね。はい。一応学校生活に必要な道具、いくつか…」
ジャイアン「いや、翻訳コンニャクだけでいい」
ドラえもん「え? でも」
ジャイアン「魔法使えるようになれば必要ないしな!」
ドラえもん「そ、そう。じゃあがんばってね」
ジャイアン「おう!」
ジャイアン「9と3/4番線? そんなもんないぞ(キョロキョロ)」
ハリー「ねぇ、もしかして君もホグワーツ?」
ジャイアン「お、お前なんか俺の友達にちょっと似てるな。そうだぞ。行き方がわかんねぇんだ。教えてくれ」
ハリー「僕もわからないんだよ」
ロン「教えてあげるよ!」
ってなわけで3人は知り合い、同じコパートメントに入った!
12: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 19:57:32.79 ID:0q41TophO
ハリー「僕はハリーポッター」
ロン「なんだって!? じゃあ、あの、アレ、あるの?」
ジャイアン「俺はジャイアンだ!」
などとやりとり。
マルフォイ「やあ、君がポッターだったんだな。ん? ウイーズリーや日本人のマグルなんかと一緒にいるのか? 魔法族にもいいのとそうでないのがいてね。友達の選び方を教えてあげよう。僕のコパートメントに…」
ジャイアン「いい度胸だなぁ(ギロリ)」
マルフォイ「ひっ」
ジャイアン「ふーん? へー? ほーお?」
ハリー「悪いけど友達くらい自分で選べる」
ロン「黙れマルフォイ!」
マルフォイ「クラッブ! ゴイル! こいつらを…」
出てくるデブ二人。マルフォイの手下である。
ハリー「…」
ロン「…」
ジャイアン「俺様とやろうってのかよ!」
立ちはだかるジャイアン。
※よく誤解されるが、ジャイアンはただのデブではない。
マラソンでも町内のマラソンでも学内トップ。鉄棒で大車輪も軽々とこなせる。
柔道や空手の心得もある。たぶん体脂肪率はかなり低いだろう
クラッブ「なんだお前」
ゴイル「調子にの」
ボコッ!!メコォッ!
陥没するクラッブとゴイルの顔面!
いいとこのボンボンで基本魔法に頼って生活しているデブ二人など、ジャイアンの敵ではない!
ジャイアン「俺に逆らうとこうなるのだ。ははは!」
ロン「すげぇや! ジャイアン!」
ハリー「強いんだなぁー」
マルフォイ「くそっ、覚えていろ! 父上がだまっちゃいないぞ! お前の両親を社会的に」
ボコン!!
陥没するマルフォイの顔面!!
ジャイアン「ギッタギタのメッタメタだぞー!!」
ロン「…(日本人、koeee」
ハリー「…(顔めりこんでる」
ロン「なんだって!? じゃあ、あの、アレ、あるの?」
ジャイアン「俺はジャイアンだ!」
などとやりとり。
マルフォイ「やあ、君がポッターだったんだな。ん? ウイーズリーや日本人のマグルなんかと一緒にいるのか? 魔法族にもいいのとそうでないのがいてね。友達の選び方を教えてあげよう。僕のコパートメントに…」
ジャイアン「いい度胸だなぁ(ギロリ)」
マルフォイ「ひっ」
ジャイアン「ふーん? へー? ほーお?」
ハリー「悪いけど友達くらい自分で選べる」
ロン「黙れマルフォイ!」
マルフォイ「クラッブ! ゴイル! こいつらを…」
出てくるデブ二人。マルフォイの手下である。
ハリー「…」
ロン「…」
ジャイアン「俺様とやろうってのかよ!」
立ちはだかるジャイアン。
※よく誤解されるが、ジャイアンはただのデブではない。
マラソンでも町内のマラソンでも学内トップ。鉄棒で大車輪も軽々とこなせる。
柔道や空手の心得もある。たぶん体脂肪率はかなり低いだろう
クラッブ「なんだお前」
ゴイル「調子にの」
ボコッ!!メコォッ!
陥没するクラッブとゴイルの顔面!
いいとこのボンボンで基本魔法に頼って生活しているデブ二人など、ジャイアンの敵ではない!
ジャイアン「俺に逆らうとこうなるのだ。ははは!」
ロン「すげぇや! ジャイアン!」
ハリー「強いんだなぁー」
マルフォイ「くそっ、覚えていろ! 父上がだまっちゃいないぞ! お前の両親を社会的に」
ボコン!!
陥没するマルフォイの顔面!!
ジャイアン「ギッタギタのメッタメタだぞー!!」
ロン「…(日本人、koeee」
ハリー「…(顔めりこんでる」
14: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 20:02:48.72 ID:0q41TophO
~しばらくして~
ハーマイオニー「ねぇ、ネビルのカエルが逃げちゃったんだけど、見なかったかしら?」
ロン「いや」
ハリー「みてないね」
ジャイアン「…みてないなぁ。でも見つけたらぼ、僕が捕まえておくよ」
ロン「!?」
ハリー「!?」
ハーマイオニー「あらありがとう。わたしハーマイオニーよ。あなたは?」
ジャイアン「ぼく剛田武。よ、よろしく」
ハーマイオニー「ええ。よろしく。じゃあまた後でね」
ジャイアン「うん」
ロン「…」
ハリー「…」
ジャイアン「なに見てんだよ!」
ロン「ひっ」
ハリー「な、なにも」
~ホグワーツ、広間~
ジャイアン「組み分け帽子?。ふんふん、なるほど。勇猛果敢なグリフィンドールか。俺はここだろうな」
ハリー「そ、そうだね」
ロン「…ぼくの家族はみんなグリフィンドールなんだ…」
ジャイアン「そうか! じゃあたぶん一緒だな!」
ロン「…うん」
※ホグワーツの4つの寮 学生はいずれかに所属
勇猛果敢なグリフィンドール
勤勉実直な八ッフルパフ
学識豊かなレイブンクロー
狡猾残忍なスリザリン
ハーマイオニー「ねぇ、ネビルのカエルが逃げちゃったんだけど、見なかったかしら?」
ロン「いや」
ハリー「みてないね」
ジャイアン「…みてないなぁ。でも見つけたらぼ、僕が捕まえておくよ」
ロン「!?」
ハリー「!?」
ハーマイオニー「あらありがとう。わたしハーマイオニーよ。あなたは?」
ジャイアン「ぼく剛田武。よ、よろしく」
ハーマイオニー「ええ。よろしく。じゃあまた後でね」
ジャイアン「うん」
ロン「…」
ハリー「…」
ジャイアン「なに見てんだよ!」
ロン「ひっ」
ハリー「な、なにも」
~ホグワーツ、広間~
ジャイアン「組み分け帽子?。ふんふん、なるほど。勇猛果敢なグリフィンドールか。俺はここだろうな」
ハリー「そ、そうだね」
ロン「…ぼくの家族はみんなグリフィンドールなんだ…」
ジャイアン「そうか! じゃあたぶん一緒だな!」
ロン「…うん」
※ホグワーツの4つの寮 学生はいずれかに所属
勇猛果敢なグリフィンドール
勤勉実直な八ッフルパフ
学識豊かなレイブンクロー
狡猾残忍なスリザリン
15: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 20:06:13.47 ID:0q41TophO
ロン→グリフィンドール!
ハーマイオニー→グリフィンドール!
ハリー→グリフィンドール!!
ジャイアン「よし、次は俺だな。ハーマイオニーもグリフィンドールか。やったぜ(すぽっ)」
帽子「う~ん、難しい…」
ジャイアン「え? そうなのか?」
帽子「少なくとも、善良なコツコツタイプじゃないから八ッフルパフではないし…、頭脳明晰でもないからレイブンクローも…」
ジャイアン「じゃあ、もう決まってるじゃんかよ!」
帽子「う~ん。ところでおぬし、大長編と通常版はどっちか好きじゃ?」
ジャイアン「なにいってんだよ」
帽子「いいからほれ」
ジャイアン「よくわかんねぇけど、じゃあ通常で」
帽子「スリッザリン!!!!!!」
ジャイアン「」
ハリー「ふーっ」
ロン「意外は意外だね」
ハーマイオニー「まあ、残念だわ!」
マルフォイ「」
※ほしいものは手に入れるのが俺のやり方さ
※逆らうものは死刑、はははいい気持ちだ
※お前のものは俺のもの。俺のものは俺のもの
※むしゃくしゃしてたとこだ。一発殴らせろ
※正しいのはいつも俺だ!
すべて原作より
ハーマイオニー→グリフィンドール!
ハリー→グリフィンドール!!
ジャイアン「よし、次は俺だな。ハーマイオニーもグリフィンドールか。やったぜ(すぽっ)」
帽子「う~ん、難しい…」
ジャイアン「え? そうなのか?」
帽子「少なくとも、善良なコツコツタイプじゃないから八ッフルパフではないし…、頭脳明晰でもないからレイブンクローも…」
ジャイアン「じゃあ、もう決まってるじゃんかよ!」
帽子「う~ん。ところでおぬし、大長編と通常版はどっちか好きじゃ?」
ジャイアン「なにいってんだよ」
帽子「いいからほれ」
ジャイアン「よくわかんねぇけど、じゃあ通常で」
帽子「スリッザリン!!!!!!」
ジャイアン「」
ハリー「ふーっ」
ロン「意外は意外だね」
ハーマイオニー「まあ、残念だわ!」
マルフォイ「」
※ほしいものは手に入れるのが俺のやり方さ
※逆らうものは死刑、はははいい気持ちだ
※お前のものは俺のもの。俺のものは俺のもの
※むしゃくしゃしてたとこだ。一発殴らせろ
※正しいのはいつも俺だ!
すべて原作より
16: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 20:11:15.07 ID:0q41TophO
~スリザリン寮~
ジャイアン「まぁ一番強い魔法使いが多い寮らしいし。仕方ないな」
マルフォイ「…」
ジャイアン「お、えっと…なんだっけ、なんとかフォイだな。よろしくな!」
マルフォイ「なぜこんな穢れた血なんかがスリザリンに…」
ジャイアン「俺に向かってその口の聞き方はなんだ!」
マルフォイ「ひっ!」
ジャイアン「まぁ、仲良くやろうぜ。同じ部屋なんだし。お前の者は俺のもの、俺のものは俺のもの。な」
マルフォイ「そんな理不尽があるか! ふん! そのうち思い知らせてやるからな」
ジャイアン「ほーお(ジロリ」
マルフォイ「ひ、ひぃ」
~深夜 スリザリン寮~
ジャイアン「んごかぁ~すぴ~…」
マルフォイ「うるさいぞ…剛田」
ジャイアン(ぴくっ)
マルフォイ「ひぃっ」
ジャイアン「…すぴー、すぴー…」
マルフォイ「うう…父上…母上…」
マルフォイは後日早速父ちゃんにジャイアンのことをチクッた!
しかしいくら有力なマルフォイ家といえども極東の島国で商店を営む剛田家にはなんの影響力もなかった!
そんなマルフォイの様子をスパイ衛星で見守る青狸と黄色いシャツの少年!
ドラえもん「ニヤニヤ」
のび太「ニヤニヤ」
ジャイアン「まぁ一番強い魔法使いが多い寮らしいし。仕方ないな」
マルフォイ「…」
ジャイアン「お、えっと…なんだっけ、なんとかフォイだな。よろしくな!」
マルフォイ「なぜこんな穢れた血なんかがスリザリンに…」
ジャイアン「俺に向かってその口の聞き方はなんだ!」
マルフォイ「ひっ!」
ジャイアン「まぁ、仲良くやろうぜ。同じ部屋なんだし。お前の者は俺のもの、俺のものは俺のもの。な」
マルフォイ「そんな理不尽があるか! ふん! そのうち思い知らせてやるからな」
ジャイアン「ほーお(ジロリ」
マルフォイ「ひ、ひぃ」
~深夜 スリザリン寮~
ジャイアン「んごかぁ~すぴ~…」
マルフォイ「うるさいぞ…剛田」
ジャイアン(ぴくっ)
マルフォイ「ひぃっ」
ジャイアン「…すぴー、すぴー…」
マルフォイ「うう…父上…母上…」
マルフォイは後日早速父ちゃんにジャイアンのことをチクッた!
しかしいくら有力なマルフォイ家といえども極東の島国で商店を営む剛田家にはなんの影響力もなかった!
そんなマルフォイの様子をスパイ衛星で見守る青狸と黄色いシャツの少年!
ドラえもん「ニヤニヤ」
のび太「ニヤニヤ」
20: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 20:26:17.05 ID:0q41TophO
~後日、スネイプ先生の授業(魔法薬学)~
スネイプ「私の授業では杖を振ったり、馬鹿げた呪文を唱えたりはしない。深遠なる魔法薬学の(略
ジャイアン「理科は苦手なんだよな」
スネイプ「ポッター! ○○に××を加えるとなにが出来る?」
ハリー「…わかりません」
スネイプ「グリフィンドールから5点減点」
ザワザワ ソンナー ヒドイヨー ナンデー
スネイプ「ではポッター。△△はどうやって手に入れる?」
ハリー「…わかりません」
スネイプ「ふん。有名なポッター様は実際のことろ何もしらない無能というわけか」
ハーマイオニー「先生! ハリーは魔法界のことを知ったばかりです! 私が代わりに答えます!」
スネイプ「でしゃばりでグリフィンドールからさらに5点減点」
ソンナー、ヒドイワー ザワザワ
マルフォイ「ふ、いい気味だよ」
ジャイアン「…」
スネイプ「では…教科書の3ページを」
ジャイアン「先生! 俺もわからないです!」
スネイプ「?」
ジャイアン「減点はしないんですか?」
マルフォイ「お、おい剛田。何を言っている!」
ジャイアン「うるせぇ! 俺は贔屓が嫌いなんだよ!」
マルフォイ「な…!?(こいつ、まったくつじつまが合ってないぞ。全部自分のものとかいってたじゃないか…!意味がわからん)
スネイプ「…ミスター剛田、スリザリンより5点減点」
スネイプ「私の授業では杖を振ったり、馬鹿げた呪文を唱えたりはしない。深遠なる魔法薬学の(略
ジャイアン「理科は苦手なんだよな」
スネイプ「ポッター! ○○に××を加えるとなにが出来る?」
ハリー「…わかりません」
スネイプ「グリフィンドールから5点減点」
ザワザワ ソンナー ヒドイヨー ナンデー
スネイプ「ではポッター。△△はどうやって手に入れる?」
ハリー「…わかりません」
スネイプ「ふん。有名なポッター様は実際のことろ何もしらない無能というわけか」
ハーマイオニー「先生! ハリーは魔法界のことを知ったばかりです! 私が代わりに答えます!」
スネイプ「でしゃばりでグリフィンドールからさらに5点減点」
ソンナー、ヒドイワー ザワザワ
マルフォイ「ふ、いい気味だよ」
ジャイアン「…」
スネイプ「では…教科書の3ページを」
ジャイアン「先生! 俺もわからないです!」
スネイプ「?」
ジャイアン「減点はしないんですか?」
マルフォイ「お、おい剛田。何を言っている!」
ジャイアン「うるせぇ! 俺は贔屓が嫌いなんだよ!」
マルフォイ「な…!?(こいつ、まったくつじつまが合ってないぞ。全部自分のものとかいってたじゃないか…!意味がわからん)
スネイプ「…ミスター剛田、スリザリンより5点減点」
21: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 20:29:30.55 ID:0q41TophO
~フーチ先生の授業(飛行)~
フーチ「では皆さん。箒の左にたって『あがれ』といいましょう」
ハリー「上がれ!(ヒュー!パシッ!)」
ロン「あがれ!(ヒュー! コツン!)あ痛っ!」
ハー「あがれ! (シーン) あがれ! あがれ! あがれ!!(シーン)」
マルフォイ「上がれ(ヒュッ! パシッ!)」
ジャイアン「おー。ハリーとフォイ、やるじゃねぇか。よし俺も、、上がれ!」
シーン
ジャイアン「上がれ! 上がれ!」
シーン
ジャイアン「俺の言うことが聞けねぇってのか!! 箒のくせに生意気な! バラバラのメタメタにしてやるぞ!!」
箒(ビクッ)
…ヒュイーン! パシッ!
ジャイアン「わかりゃいいんだよわかりゃ」
フーチ「ではみなさん。ゆっくり飛びましょう」
ネビル「ゆっくり…う!うわあああ!!」
ネビルの箒は暴走、空を飛び回り、墜落! ネビルは怪我をした!先生が保健室に連れて行く
フーチ「ではそのまま待っていないさい。けして飛んではいけませんよ」
フォイ「お、これはロングボトムの思い出し玉じゃないか」
ネビルの思い出し玉を拾い、箒で空を飛ぶマルフォイ。
ハリー「やめろ! マルフォイ! それを返すんだ!」
マルフォイ「取りにきてみろよポッター! 怖いのか?」
ジャイアン「おいフォイ! 何してんだよ!!」
マルフォイ「ふん。剛田文句があるのか? いつも君がしていることじゃないか!」
クラッブ(…いやマジでそうだよな)
ゴイル(…お前のものは俺のもの、だもんな)
ロン(…まぁ、普通にマルフォイの言うことあたってるよな)
ハリー(たぶんネビルのものもジャイアンのものなんだろうな)
ロン(なるほど。だからいやなのか)
フーチ「では皆さん。箒の左にたって『あがれ』といいましょう」
ハリー「上がれ!(ヒュー!パシッ!)」
ロン「あがれ!(ヒュー! コツン!)あ痛っ!」
ハー「あがれ! (シーン) あがれ! あがれ! あがれ!!(シーン)」
マルフォイ「上がれ(ヒュッ! パシッ!)」
ジャイアン「おー。ハリーとフォイ、やるじゃねぇか。よし俺も、、上がれ!」
シーン
ジャイアン「上がれ! 上がれ!」
シーン
ジャイアン「俺の言うことが聞けねぇってのか!! 箒のくせに生意気な! バラバラのメタメタにしてやるぞ!!」
箒(ビクッ)
…ヒュイーン! パシッ!
ジャイアン「わかりゃいいんだよわかりゃ」
フーチ「ではみなさん。ゆっくり飛びましょう」
ネビル「ゆっくり…う!うわあああ!!」
ネビルの箒は暴走、空を飛び回り、墜落! ネビルは怪我をした!先生が保健室に連れて行く
フーチ「ではそのまま待っていないさい。けして飛んではいけませんよ」
フォイ「お、これはロングボトムの思い出し玉じゃないか」
ネビルの思い出し玉を拾い、箒で空を飛ぶマルフォイ。
ハリー「やめろ! マルフォイ! それを返すんだ!」
マルフォイ「取りにきてみろよポッター! 怖いのか?」
ジャイアン「おいフォイ! 何してんだよ!!」
マルフォイ「ふん。剛田文句があるのか? いつも君がしていることじゃないか!」
クラッブ(…いやマジでそうだよな)
ゴイル(…お前のものは俺のもの、だもんな)
ロン(…まぁ、普通にマルフォイの言うことあたってるよな)
ハリー(たぶんネビルのものもジャイアンのものなんだろうな)
ロン(なるほど。だからいやなのか)
23: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 20:33:46.35 ID:0q41TophO
ジャイアン「なんだとー! コンニャロー!(ヒロイヒロイ)」
ジャイアンは手近な小石をいくつか拾い、箒で飛び立った!
マルフォイ「ははは! なんだそのスピードは。 無駄に大きな体のせいで無様だな。 剛田」
ジャイアン「あらよ!!」
ジャイアンは小石を投げ上げ、杖(バット状)でたたいた!!
ジャイアンはもちろん箒で飛ぶなど初めてであったが、空中での姿勢制御はタケコプター
で慣れている。また、バットのスイングは以前宇宙戦艦をたたき落としたこともある豪腕である!
ギュイーン! すさまじいスピードで石がマルフォイの顔面に迫る!
またもマルフォイの顔面が陥没!…かと思いきや
マルフォイ「うわあああ!!」
マルフォイはするどい動きで間一髪で石を避けた!
そう!マルフォイはこの数日、異常に多い回数顔面に打撃を受けたことで、警戒心と反射神経が上がっていたのだ!
マルフォイ「…ふぅ…ふぅ……あ、危なかった…!」
ジャイアンは手近な小石をいくつか拾い、箒で飛び立った!
マルフォイ「ははは! なんだそのスピードは。 無駄に大きな体のせいで無様だな。 剛田」
ジャイアン「あらよ!!」
ジャイアンは小石を投げ上げ、杖(バット状)でたたいた!!
ジャイアンはもちろん箒で飛ぶなど初めてであったが、空中での姿勢制御はタケコプター
で慣れている。また、バットのスイングは以前宇宙戦艦をたたき落としたこともある豪腕である!
ギュイーン! すさまじいスピードで石がマルフォイの顔面に迫る!
またもマルフォイの顔面が陥没!…かと思いきや
マルフォイ「うわあああ!!」
マルフォイはするどい動きで間一髪で石を避けた!
そう!マルフォイはこの数日、異常に多い回数顔面に打撃を受けたことで、警戒心と反射神経が上がっていたのだ!
マルフォイ「…ふぅ…ふぅ……あ、危なかった…!」
24: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 20:38:19.17 ID:0q41TophO
ジャイアン「コンニャロー!! 避けんじゃねぇ!!」
ハリー「よ、よし、僕も!」
ハリーも箒で飛び上がり、3人は「飛んじゃだめよ!」というハーマイオニーの言葉をフルシカトして空中戦を繰り広げた! 最終的にジャイアンはバット(杖)をマルフォイの後頭部に激しくたたきつけ、落下させた! 鈍い音が校庭に響きわたった!
そのときこぼした思い出し玉をハリーがダイビングキャッチで回収した!
ハリー「…ふう」
ロン「やったぞハリー!」
マルフォイ「…」
ゴイル「お、おいピクリともしないぞ…」
マルフォイ「」
マルフォイは駆けつけたマダム・ポンフリー(保険医)に治療を受け回復!
そのタイミングで、マクゴナガル先生がやってきてハリーを連れて行った!
ハリー「よ、よし、僕も!」
ハリーも箒で飛び上がり、3人は「飛んじゃだめよ!」というハーマイオニーの言葉をフルシカトして空中戦を繰り広げた! 最終的にジャイアンはバット(杖)をマルフォイの後頭部に激しくたたきつけ、落下させた! 鈍い音が校庭に響きわたった!
そのときこぼした思い出し玉をハリーがダイビングキャッチで回収した!
ハリー「…ふう」
ロン「やったぞハリー!」
マルフォイ「…」
ゴイル「お、おいピクリともしないぞ…」
マルフォイ「」
マルフォイは駆けつけたマダム・ポンフリー(保険医)に治療を受け回復!
そのタイミングで、マクゴナガル先生がやってきてハリーを連れて行った!
28: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 20:44:11.66 ID:0q41TophO
~翌日 スリザリン寮、談話室~
ジャイアン「ようフォイ!」
マルフォイ「…なんだ。剛田か」
クラッブ「ドラコ! 聞いたか。ポッターが…!げぇっ! 剛田!」
ジャイアン「俺がスリザリンの談話室にいちゃ悪いってのかよ」
クラッブ「い、いや…」
ジャイアン「で、ハリーがどうしたって?」
クラッブ(ちらっ)
マルフォイ「いいから話せよ」
クラッブの話ではハリーの昨日の箒での動きがマクゴナガル先生に認められ、グリフィンドールのクィディッチチームに入ることになったというのだ!
ジャイアン「クィディッチってなんだ?」
マルフォイ「そんなことも知らないのか?」
ジャイアン「早く話せよ」
マルフォイ「い、いいかクィディッチというのはな…」
説明・略
※クィディッチ…魔法界のスポーツ 箒に乗って飛び回りながらやるハンドボールみたいなスポーツ。
ジャイアン「面白そうじゃんか! おいマルフォイ! 俺たちも選手にしてもらおうぜ!」
マルフォイ「いや、一年生は駄目って決まりが」
ジャイアン「ばっきゃろう! ハリーがよくて俺たちが駄目なわけあるか! お前飛ぶの上手じゃんかよ!」
マルフォイ「…ま、まあな」
ゴイル「じゃあ、俺も」
ジャイアン「お前らは下手だから駄目だろ」
マルフォイ「た、たしかに。プレイはしたいが…」
ジャイアン「決まりだな! さっそくスネイプ先生のところに行こうぜ!」
マルフォイ「ほ、本当に行くのか?」
ジャイアン「ようフォイ!」
マルフォイ「…なんだ。剛田か」
クラッブ「ドラコ! 聞いたか。ポッターが…!げぇっ! 剛田!」
ジャイアン「俺がスリザリンの談話室にいちゃ悪いってのかよ」
クラッブ「い、いや…」
ジャイアン「で、ハリーがどうしたって?」
クラッブ(ちらっ)
マルフォイ「いいから話せよ」
クラッブの話ではハリーの昨日の箒での動きがマクゴナガル先生に認められ、グリフィンドールのクィディッチチームに入ることになったというのだ!
ジャイアン「クィディッチってなんだ?」
マルフォイ「そんなことも知らないのか?」
ジャイアン「早く話せよ」
マルフォイ「い、いいかクィディッチというのはな…」
説明・略
※クィディッチ…魔法界のスポーツ 箒に乗って飛び回りながらやるハンドボールみたいなスポーツ。
ジャイアン「面白そうじゃんか! おいマルフォイ! 俺たちも選手にしてもらおうぜ!」
マルフォイ「いや、一年生は駄目って決まりが」
ジャイアン「ばっきゃろう! ハリーがよくて俺たちが駄目なわけあるか! お前飛ぶの上手じゃんかよ!」
マルフォイ「…ま、まあな」
ゴイル「じゃあ、俺も」
ジャイアン「お前らは下手だから駄目だろ」
マルフォイ「た、たしかに。プレイはしたいが…」
ジャイアン「決まりだな! さっそくスネイプ先生のところに行こうぜ!」
マルフォイ「ほ、本当に行くのか?」
31: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 20:48:52.82 ID:0q41TophO
~スネイプの部屋~
ジャイアン「ってわけなんだよ! 俺たちも選手にしてくれよ!!」
スネイプ「…しかし、通常一年生のチーム入りは認めておらん。我輩もそれに習う」
ジャイアン「いいじゃんかよー!! な、マルフォイ、お前からもお願いしろよ!!」
マルフォイ「わ、わかった。先生。あのポッターは選手いりしたんですよ? 一年生から一人だけ選手なんて、またあいつが調子に乗るだけでは? それに僕も…剛田も飛行には自信が」
スネイプ「…なるほど、ポッターが自分を特別だと勘違いしてしまう。それは許しがたいな。いいだろう。マルフォイ、剛田。そなたたちをスリザリンのチームのシーカーとビーターに加えよう」
マルフォイ「ほ、本当ですか!?」
ジャイアン「やったー!!やるじゃねーかマルフォイ!!
マルフォイ「あ、ああ」
スネイプ「試合までには自分の箒を用意しておけ」
マルフォイ「わかりました(ニヤリ)」
ジャイアン「え」
~廊下~
マルフォイ「箒は家のものに送らせよう」
ジャイアン「俺よー。入学準備でお金つかっちまったからな…また箒なんて買いたいなんていったら母ちゃんに殺される」
マルフォイ「…」
ジャイアン「マルフォイ。お前はがんばれよ」
マルフォイ「…ええい! 仕方のないやつだな。クイーンスイープでよければ僕が前使っていたヤツがある。それも一緒に送ってもらえばいい」
ジャイアン「ほ、ホントかよ!!?」
マルフォイ「ふん。古い型だが、マグル生まれにはちょうどいいだろう。使いたければ使うがういいさ」
ジャイアン「心の友よー!!(号泣)&ダキツキ-!」
マルフォイ「な、馬鹿。やめ、やめろ穢れた血!!」
ジャイアン「心の友よー!!」
マルフォイ(…わけのわからんヤツだ…)
ジャイアン「ってわけなんだよ! 俺たちも選手にしてくれよ!!」
スネイプ「…しかし、通常一年生のチーム入りは認めておらん。我輩もそれに習う」
ジャイアン「いいじゃんかよー!! な、マルフォイ、お前からもお願いしろよ!!」
マルフォイ「わ、わかった。先生。あのポッターは選手いりしたんですよ? 一年生から一人だけ選手なんて、またあいつが調子に乗るだけでは? それに僕も…剛田も飛行には自信が」
スネイプ「…なるほど、ポッターが自分を特別だと勘違いしてしまう。それは許しがたいな。いいだろう。マルフォイ、剛田。そなたたちをスリザリンのチームのシーカーとビーターに加えよう」
マルフォイ「ほ、本当ですか!?」
ジャイアン「やったー!!やるじゃねーかマルフォイ!!
マルフォイ「あ、ああ」
スネイプ「試合までには自分の箒を用意しておけ」
マルフォイ「わかりました(ニヤリ)」
ジャイアン「え」
~廊下~
マルフォイ「箒は家のものに送らせよう」
ジャイアン「俺よー。入学準備でお金つかっちまったからな…また箒なんて買いたいなんていったら母ちゃんに殺される」
マルフォイ「…」
ジャイアン「マルフォイ。お前はがんばれよ」
マルフォイ「…ええい! 仕方のないやつだな。クイーンスイープでよければ僕が前使っていたヤツがある。それも一緒に送ってもらえばいい」
ジャイアン「ほ、ホントかよ!!?」
マルフォイ「ふん。古い型だが、マグル生まれにはちょうどいいだろう。使いたければ使うがういいさ」
ジャイアン「心の友よー!!(号泣)&ダキツキ-!」
マルフォイ「な、馬鹿。やめ、やめろ穢れた血!!」
ジャイアン「心の友よー!!」
マルフォイ(…わけのわからんヤツだ…)
39: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 21:08:33.53 ID:0q41TophO
~ホグワーツ、人気のない中庭~
マルフォイ「エクスペリアームズ!」
小さな火花が杖先から出る。
マルフォイ「くそ!上手く行かない!!」
マルフォイは1人、魔法の自主トレに励んでいた!
マルフォイ「エクスペリアームズ!!」小さな火花、失敗
エクスペリアームズは武装解除の呪文で、本来はホグワーツ2年生で習う呪文である!一年生には難しい!
が、マルフォイは必要に迫られ、図書室で調べたこの呪文を練習していた
マルフォイ「もっと、魔法を覚えれば、剛田なんかには…エクスペリアームズ!」小さな火花、失敗
毎日のようにジャイアンから理不尽な暴行を受けるマルフォイ。
「ムシャクシャするから殴らせろ!」
理不尽にもほどがある!。
…しかしマルフォイにはジャイアンに勝てない!多少の魔法はあの頑丈な体で耐えて近づかれ、杖という名の鈍器で容赦なくボコられる!
マルフォイ「…はぁ…はぁ…」
父の権力による圧力も効かない。先生にチクったら、スリザリンが減点される。結局は自分でなんとかするしかない。
何より剛田の鼻をあかしてやりたい…!!
マルフォイ「…次こそは…!」
名家に生まれ、勝手に周りがへりくだる中、傲慢に生きてきた少年。
常に他者を見下してきた彼は、皮肉にも、自身を脅かす理不尽生命体のルームメートによって、
産まれて初めての努力をしている自分に気付いていなかった!
マルフォイ「エクスペリアームズ!!!!」キュピーン!!閃光が走る!!成功だ!
マルフォイ「フハハハ!!剛田、もう今までのようにはいかないからな!」
この少年が初めた努力は後に予想外の結果を世界にもたらすことになる!
マルフォイ「エクスペリアームズ!」
小さな火花が杖先から出る。
マルフォイ「くそ!上手く行かない!!」
マルフォイは1人、魔法の自主トレに励んでいた!
マルフォイ「エクスペリアームズ!!」小さな火花、失敗
エクスペリアームズは武装解除の呪文で、本来はホグワーツ2年生で習う呪文である!一年生には難しい!
が、マルフォイは必要に迫られ、図書室で調べたこの呪文を練習していた
マルフォイ「もっと、魔法を覚えれば、剛田なんかには…エクスペリアームズ!」小さな火花、失敗
毎日のようにジャイアンから理不尽な暴行を受けるマルフォイ。
「ムシャクシャするから殴らせろ!」
理不尽にもほどがある!。
…しかしマルフォイにはジャイアンに勝てない!多少の魔法はあの頑丈な体で耐えて近づかれ、杖という名の鈍器で容赦なくボコられる!
マルフォイ「…はぁ…はぁ…」
父の権力による圧力も効かない。先生にチクったら、スリザリンが減点される。結局は自分でなんとかするしかない。
何より剛田の鼻をあかしてやりたい…!!
マルフォイ「…次こそは…!」
名家に生まれ、勝手に周りがへりくだる中、傲慢に生きてきた少年。
常に他者を見下してきた彼は、皮肉にも、自身を脅かす理不尽生命体のルームメートによって、
産まれて初めての努力をしている自分に気付いていなかった!
マルフォイ「エクスペリアームズ!!!!」キュピーン!!閃光が走る!!成功だ!
マルフォイ「フハハハ!!剛田、もう今までのようにはいかないからな!」
この少年が初めた努力は後に予想外の結果を世界にもたらすことになる!
42: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 21:37:57.90 ID:0q41TophO
~フリットウィック先生の授業(妖精の呪文)~
フリットウィック先生「今日は物体浮遊の呪文を学びます。羽は用意しましたか?」
ハーイ!
ロン「ウィンガーディアムレビオサー」
動かない羽根
ジャイアン「うぃんがーであむれびおーさー!!」
爆発する羽根。失敗!
ハーマイオニー「あたたたちは発音が違うのよ。いい?こうよ。ウィンガーディアムレビオーサ♪」
羽根が中に舞う!
ロン「…」
ジャイアン「さすがだなー。ハーミーちゃんは」
~授業終了後~
ロン「まったく、悪魔みたいなヤツさ!『あなたたちは発音が違うのよ』だって。
あんな嫌味な性格だから友達もいないんだよ!」
ハーマイオニー「!…ぐすっ(タダッ)」
泣き顔でロンたちの横を走り抜けるハーマイオニー!
ハリー「…聞かれたみたいだね」
ロン「構うもんか!おーい!ジャイアン!アニマルプラネットのこと教えてくれよ!(タッタッ)」
ジャイアン「おうロンか!…あれ、ハーミーちゃんは、どこ走って行くんだ?」
ロン「どうでもいいだろあんなヤツ!」
フリットウィック先生「今日は物体浮遊の呪文を学びます。羽は用意しましたか?」
ハーイ!
ロン「ウィンガーディアムレビオサー」
動かない羽根
ジャイアン「うぃんがーであむれびおーさー!!」
爆発する羽根。失敗!
ハーマイオニー「あたたたちは発音が違うのよ。いい?こうよ。ウィンガーディアムレビオーサ♪」
羽根が中に舞う!
ロン「…」
ジャイアン「さすがだなー。ハーミーちゃんは」
~授業終了後~
ロン「まったく、悪魔みたいなヤツさ!『あなたたちは発音が違うのよ』だって。
あんな嫌味な性格だから友達もいないんだよ!」
ハーマイオニー「!…ぐすっ(タダッ)」
泣き顔でロンたちの横を走り抜けるハーマイオニー!
ハリー「…聞かれたみたいだね」
ロン「構うもんか!おーい!ジャイアン!アニマルプラネットのこと教えてくれよ!(タッタッ)」
ジャイアン「おうロンか!…あれ、ハーミーちゃんは、どこ走って行くんだ?」
ロン「どうでもいいだろあんなヤツ!」
49: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 21:57:49.02 ID:0q41TophO
~ホグワーツ、広間~
ハロウィンパーティで盛り上がる会場!
ジャイアン「やっぱりここのメシは旨いな!まさかカツ丼まで出してくれるとは!(ガツガツ)」
マルフォイ「ふん、マグル生まれは品がないな。スリザリンの恥だ(ムシャムシャ)」
ハリー「美味しいなぁ。ダーズリーの家とは大違いだ!」
ジャイアン「そういえばハーミーちゃんは?」
ロン「さあ?(トイレで泣いてるんだとさ)
」
楽しい時間…そこにクィレル先生がやってきた。
クィレル「ト、トロールが、ホグワーツにし、侵入しました!」
※クィレル…ホグワーツの先生。どもりがちでキョドりがちな弱気先生。ターバンがチャームポイント
※トロール…化け物、デカイ
ハロウィンパーティで盛り上がる会場!
ジャイアン「やっぱりここのメシは旨いな!まさかカツ丼まで出してくれるとは!(ガツガツ)」
マルフォイ「ふん、マグル生まれは品がないな。スリザリンの恥だ(ムシャムシャ)」
ハリー「美味しいなぁ。ダーズリーの家とは大違いだ!」
ジャイアン「そういえばハーミーちゃんは?」
ロン「さあ?(トイレで泣いてるんだとさ)
」
楽しい時間…そこにクィレル先生がやってきた。
クィレル「ト、トロールが、ホグワーツにし、侵入しました!」
※クィレル…ホグワーツの先生。どもりがちでキョドりがちな弱気先生。ターバンがチャームポイント
※トロール…化け物、デカイ
50: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 21:58:46.30 ID:0q41TophO
ダンブルドア校長「落ち着くのじゃ!生徒はすぐに寮に戻るんじゃ!」
ワ-ワ-!ニゲロー!!
逃げる生徒たち
ハリー「ロン!…ハーマイオニーはこの事を知らない!」
ロン「…!」
マルフォイ「おいポッター!後ろがつかえてるんだ!早く行け!」
ジャイアン「どうした!ハーミーちゃんがどうかしたのか!?」
ハリー「ジャイアン、実は…カクカクシカジカ」
ロン「マルマルウシウシ、ってわけなのさ」
ジャイアン「なんだと!?行くぞハリー!ロン!マルフォイ!」
ハリー「行こう!」
ロン「…わかったよ!」
マルフォイ「なんで僕まで」
ジャイアン「ギッタギタにするぞ!」
マルフォイ「相手はトロールだぞ?グレンジャーごときのために死ぬ気か」
ハリー「黙れマルフォイ!」
ロン「ジャイアン!コイツはほっとこう。臆病者さ!」
ジャイアン「行くんだよ!友達は助けるんだよ!バラバラの無茶苦茶にするぞ!(グイッ)」
手を引かれるマルフォイ!
マルフォイ「な、何様だお前は!」
ジャイアン「俺はジャイアン!ガキ大将だ!」
マルフォイ「!…」
ワ-ワ-!ニゲロー!!
逃げる生徒たち
ハリー「ロン!…ハーマイオニーはこの事を知らない!」
ロン「…!」
マルフォイ「おいポッター!後ろがつかえてるんだ!早く行け!」
ジャイアン「どうした!ハーミーちゃんがどうかしたのか!?」
ハリー「ジャイアン、実は…カクカクシカジカ」
ロン「マルマルウシウシ、ってわけなのさ」
ジャイアン「なんだと!?行くぞハリー!ロン!マルフォイ!」
ハリー「行こう!」
ロン「…わかったよ!」
マルフォイ「なんで僕まで」
ジャイアン「ギッタギタにするぞ!」
マルフォイ「相手はトロールだぞ?グレンジャーごときのために死ぬ気か」
ハリー「黙れマルフォイ!」
ロン「ジャイアン!コイツはほっとこう。臆病者さ!」
ジャイアン「行くんだよ!友達は助けるんだよ!バラバラの無茶苦茶にするぞ!(グイッ)」
手を引かれるマルフォイ!
マルフォイ「な、何様だお前は!」
ジャイアン「俺はジャイアン!ガキ大将だ!」
マルフォイ「!…」
53: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 22:18:37.66 ID:0q41TophO
マルフォイ「ふ、ふん!わかった!ついて行けばいいんだろう!お前らがトロールに殺されるのを見物してやる!」
ホグワーツ内を走る四人!
「きゃー!!!」
叫び声が聞こえる!
ジャイアン「ハーミーちゃん!」
ハリー「女子トイレのほうだ!」
女子トイレからは可愛いらしい叫び声と破壊音が聞こえる!
ロン「い、行こう」
女子トイレに急行する一同
さて、ホグワーツには魔法のモップがある。命をもっているのだ
モップ(ワシは魔法のモップ。持ち手なしでも宙を舞い。ひとりでに床を磨く。働き続けて300年。夏も冬も、生徒を見守り、学内をピカピカにしてきたのがワシの誇りじゃ)
タッタッタッタ!
モップ(おや、こんな時間に生徒が…。一年生かの?可愛いのう)
ジャイアン(パシッ)
モップ(む?がっしりした子じゃ、東洋人かの?ワシを持って掃除かの…フォッフォ…感心感心。ホグワーツはいいこばかりじゃ…)
ジャイアン(ボキッ!!)
モップ「」
ロン「ジャイアン、どうしてモップを折ったの?」
ジャイアン「棒変わりだ!昔、イシュマルさんって人から棒術習ったんだよ!」
※ドラえもん、のび太の太陽王伝説参照
モップ「」
ジャイアン「行くぞ!」
ホグワーツ内を走る四人!
「きゃー!!!」
叫び声が聞こえる!
ジャイアン「ハーミーちゃん!」
ハリー「女子トイレのほうだ!」
女子トイレからは可愛いらしい叫び声と破壊音が聞こえる!
ロン「い、行こう」
女子トイレに急行する一同
さて、ホグワーツには魔法のモップがある。命をもっているのだ
モップ(ワシは魔法のモップ。持ち手なしでも宙を舞い。ひとりでに床を磨く。働き続けて300年。夏も冬も、生徒を見守り、学内をピカピカにしてきたのがワシの誇りじゃ)
タッタッタッタ!
モップ(おや、こんな時間に生徒が…。一年生かの?可愛いのう)
ジャイアン(パシッ)
モップ(む?がっしりした子じゃ、東洋人かの?ワシを持って掃除かの…フォッフォ…感心感心。ホグワーツはいいこばかりじゃ…)
ジャイアン(ボキッ!!)
モップ「」
ロン「ジャイアン、どうしてモップを折ったの?」
ジャイアン「棒変わりだ!昔、イシュマルさんって人から棒術習ったんだよ!」
※ドラえもん、のび太の太陽王伝説参照
モップ「」
ジャイアン「行くぞ!」
59: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 22:48:20.87 ID:0q41TophO
~トイレ~
ハーマイオニー「きゃー!!…誰か助けてー!!」
トロール「ギャオース!!」
トロールはトイレの個室を棍棒で次々と破壊する!!
万事休すなハーミーちゃん!
ハリー「ハーマイオニー!!大丈夫か!?」
そこに現れる四人!
ハーマイオニー「…みんな…!」
トロール「ギャオース!!」
ロン(でかすぎだろ)
ハリー「逃げるんだハーマイオニー!」
ハーマイオニー「…だめ…動けないわ…」
ハーマイオニーは腰が抜けて動けない!
ジャイアン「ハリー、ちからを貸すぜ!」
ジャイアンは棒(モップ)を構え突進!
マルフォイ「ば、剛田!なぜ魔法を使わない!?死にたいのか!」
ジャイアン「コンニャロー!!!(ベキッ!!)」
ジャイアンのモップアタック!!脛に炸裂!
トロール「!?」
トロールは多少のダメージを受けたが、さすがに倒れない!
トロール「ギャオース!!」
トロールはジャイアンを左手でつかみあげ、棍棒をふりかぶる。
ジャイアン「放せ!放せコンニャロー!!」
マルフォイ「…ガクブル…父上…助けて…」
マルフォイは始めてみる怪物の恐ろしさに動けない。足が震え、尿が漏れそうだ
ジャイアン「チックショー!!お前ら!ハーミーちゃんを連れて逃げろ!」
ハーマイオニー「きゃー!!…誰か助けてー!!」
トロール「ギャオース!!」
トロールはトイレの個室を棍棒で次々と破壊する!!
万事休すなハーミーちゃん!
ハリー「ハーマイオニー!!大丈夫か!?」
そこに現れる四人!
ハーマイオニー「…みんな…!」
トロール「ギャオース!!」
ロン(でかすぎだろ)
ハリー「逃げるんだハーマイオニー!」
ハーマイオニー「…だめ…動けないわ…」
ハーマイオニーは腰が抜けて動けない!
ジャイアン「ハリー、ちからを貸すぜ!」
ジャイアンは棒(モップ)を構え突進!
マルフォイ「ば、剛田!なぜ魔法を使わない!?死にたいのか!」
ジャイアン「コンニャロー!!!(ベキッ!!)」
ジャイアンのモップアタック!!脛に炸裂!
トロール「!?」
トロールは多少のダメージを受けたが、さすがに倒れない!
トロール「ギャオース!!」
トロールはジャイアンを左手でつかみあげ、棍棒をふりかぶる。
ジャイアン「放せ!放せコンニャロー!!」
マルフォイ「…ガクブル…父上…助けて…」
マルフォイは始めてみる怪物の恐ろしさに動けない。足が震え、尿が漏れそうだ
ジャイアン「チックショー!!お前ら!ハーミーちゃんを連れて逃げろ!」
60: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 22:50:04.28 ID:0q41TophO
ハリー「そ、そんな…」
ジャイアン「俺様が負けるもんか!」
嘘だ。マルフォイにもわかる。
いくら剛田が強くても、トロールに勝てるわけがない。そして自分はかかわりたくない。怖い。逃げたい
マルフォイ「…あ…あ…」
トロール「ギャオース!!」
ハーマイオニー「ジャイアン!!やめてー!!」
そうとも、剛田なんて、死んでしまえばいい。そうすれば理不尽な乱暴からも解放される。穢れた血が消えようと知ったことか。
マルフォイ(クルッ)マルフォイはジャイアンに背を向け歩き出した。
ハリー「やめろー!(ブハッ!)」
ハリーがトロールに飛びかかるも弾き飛ばされる
関係ない。いや剛田なんて嫌いだし、構うもんか。むしろ死んだらありがたい。トロールに感謝だ
マルフォイ「…」
ジャイアン「俺様が負けるもんか!」
嘘だ。マルフォイにもわかる。
いくら剛田が強くても、トロールに勝てるわけがない。そして自分はかかわりたくない。怖い。逃げたい
マルフォイ「…あ…あ…」
トロール「ギャオース!!」
ハーマイオニー「ジャイアン!!やめてー!!」
そうとも、剛田なんて、死んでしまえばいい。そうすれば理不尽な乱暴からも解放される。穢れた血が消えようと知ったことか。
マルフォイ(クルッ)マルフォイはジャイアンに背を向け歩き出した。
ハリー「やめろー!(ブハッ!)」
ハリーがトロールに飛びかかるも弾き飛ばされる
関係ない。いや剛田なんて嫌いだし、構うもんか。むしろ死んだらありがたい。トロールに感謝だ
マルフォイ「…」
62: 名も無き被検体774号+ 2012/09/10(月) 22:52:31.75 ID:0q41TophO
でも
もし剛田が死んだら…
マルフォイ「…僕は、剛田ごときに舐められたままになる、な」
いつか鼻をあかしてやろうと思っていた。剛田を屈伏させ、どちらが偉いのかわからせたかった!
マルフォイ「…トロールなんかに…」
このドラコ・マルフォイが助けられてたまるか。僕は、自力であの乱暴者のマグル生まれに…
勝ってみせる!
マルフォイ(くるっ!)
マルフォイは恐怖を押さえ込み、振り替える!再びトイレ内へ歩みを進める!
つかまれている剛田、倒れているポッター、泣いているグレンジャー。
今にも降り下ろされそうなトロールの棍棒!
ふん、情けないヤツラだ。僕が魔法使いの見本を見せてやる。
マルフォイ「醜いトロール!」
トロール「?」
マルフォイは杖を構えた!
マルフォイ「エクスペリィ…!…アァ―――ムズ!!!!」
閃光が、走る!
もし剛田が死んだら…
マルフォイ「…僕は、剛田ごときに舐められたままになる、な」
いつか鼻をあかしてやろうと思っていた。剛田を屈伏させ、どちらが偉いのかわからせたかった!
マルフォイ「…トロールなんかに…」
このドラコ・マルフォイが助けられてたまるか。僕は、自力であの乱暴者のマグル生まれに…
勝ってみせる!
マルフォイ(くるっ!)
マルフォイは恐怖を押さえ込み、振り替える!再びトイレ内へ歩みを進める!
つかまれている剛田、倒れているポッター、泣いているグレンジャー。
今にも降り下ろされそうなトロールの棍棒!
ふん、情けないヤツラだ。僕が魔法使いの見本を見せてやる。
マルフォイ「醜いトロール!」
トロール「?」
マルフォイは杖を構えた!
マルフォイ「エクスペリィ…!…アァ―――ムズ!!!!」
閃光が、走る!
87: 1 続き 2012/09/11(火) 18:39:09.89 ID:q+5SH3a/O
マルフォイの放った青白い閃光がトロールの棍棒を直撃!
トロール「ギャォッシュ」
トロールの棍棒はジャイアンの脳天を打ち砕く直前に弾き飛ばされ!トイレの天井に突き刺さった!
ジャイアン「おお!! 心の友よー!!」
マルフォイ「誰がお前なんかのトモダチだ!!」
ハリー「ロン、いまだ!!」
ロン「ウィンガーディアム、レビオーサ!!(浮遊呪 文)ベコッ!」
ロンの浮遊魔法、トイレの屋根に突き刺さった棍棒が浮かびあがりトロールの脳天に叩きつけられる!!
トロール「オゥフ…」
ジャイアン「コンニャロー!! 脅かすんじゃないっつーの!!」
さらにジャイアンのモップクラッシュ!!
さらにモップクラッシュ!
まだまだモップクラッシュ!!
トロール「」
トロール「ギャォッシュ」
トロールの棍棒はジャイアンの脳天を打ち砕く直前に弾き飛ばされ!トイレの天井に突き刺さった!
ジャイアン「おお!! 心の友よー!!」
マルフォイ「誰がお前なんかのトモダチだ!!」
ハリー「ロン、いまだ!!」
ロン「ウィンガーディアム、レビオーサ!!(浮遊呪 文)ベコッ!」
ロンの浮遊魔法、トイレの屋根に突き刺さった棍棒が浮かびあがりトロールの脳天に叩きつけられる!!
トロール「オゥフ…」
ジャイアン「コンニャロー!! 脅かすんじゃないっつーの!!」
さらにジャイアンのモップクラッシュ!!
さらにモップクラッシュ!
まだまだモップクラッシュ!!
トロール「」
91: 1 2012/09/11(火) 18:47:07.62 ID:q+5SH3a/O
ハーマイオニー「ジャイアン!!(ガバッ)
(ダイヒョウシテジャイアンニダキツキーノ!)
ハーマイオニー「みんな…助けてくれて、ありがとう…(グスッ」
ジャイアン「ハーミーちゃん!」デレデレ」
ロン(えー!?)
トロール「」
一同の奮闘で、トロールは失神した!
そこに駆けつける先生方
スネイプ「これは…」
マクゴナガル「なんてことでしょう!」
クィレル「ひ、ひぃ! トロールが!」
マクゴナガル「これはどういうことですか?」
ハーマイオニー「あ、あの、私が、前にトロールの本を読んで、知ってたたからやっつけられると思ったんです…
他のみんなが助けにきてくれなければ、死んでました…」
マクゴナガル「グレンジャー、あなたには失望しましたよ。グリフィンドール5点減点」
ハーマイオニー「…はい」
マクゴナガル「しかし他の4人は見事でした。グリフィンドールとスリザリンに10点ずつ差し上げましょう」
ハリー「やった!」
ロン「イャッホー」
マルフォイ「ふん。僕はスリザリンの得点のためにやったんだからな…当然だ!」
ジャイアン「マルフォイ!すごい魔法だったぜ!」
マルフォイ「そ、そうか…」
この一件で、ハリー、ロン、ハーマイオニーは仲良し3人組となった。
ジャイアンはあいかわらず暴君で、マルフォイはあいかわらず嫌味に絡むヤツのままだ!
(ダイヒョウシテジャイアンニダキツキーノ!)
ハーマイオニー「みんな…助けてくれて、ありがとう…(グスッ」
ジャイアン「ハーミーちゃん!」デレデレ」
ロン(えー!?)
トロール「」
一同の奮闘で、トロールは失神した!
そこに駆けつける先生方
スネイプ「これは…」
マクゴナガル「なんてことでしょう!」
クィレル「ひ、ひぃ! トロールが!」
マクゴナガル「これはどういうことですか?」
ハーマイオニー「あ、あの、私が、前にトロールの本を読んで、知ってたたからやっつけられると思ったんです…
他のみんなが助けにきてくれなければ、死んでました…」
マクゴナガル「グレンジャー、あなたには失望しましたよ。グリフィンドール5点減点」
ハーマイオニー「…はい」
マクゴナガル「しかし他の4人は見事でした。グリフィンドールとスリザリンに10点ずつ差し上げましょう」
ハリー「やった!」
ロン「イャッホー」
マルフォイ「ふん。僕はスリザリンの得点のためにやったんだからな…当然だ!」
ジャイアン「マルフォイ!すごい魔法だったぜ!」
マルフォイ「そ、そうか…」
この一件で、ハリー、ロン、ハーマイオニーは仲良し3人組となった。
ジャイアンはあいかわらず暴君で、マルフォイはあいかわらず嫌味に絡むヤツのままだ!
93: 1 2012/09/11(火) 18:50:47.34 ID:q+5SH3a/O
~クィディッチ会場~
ジャイアン「おーし!! 今日は我がジャイアンズのデビュー戦だな!」
マルフォイ「ジャイアンズ? お前は何を言ってるんだ?」
キャプテン「今日の対戦はグリフィンドールとだ。負けられないぞ。剛田! マルフォイ! 準備はいいな!?」
ジャイアン「おう!!ハリーには悪いが勝つぜ!」
マルフォイ「そうだな。ポッターなんかには負けたら恥だ」
初試合
ジャイアンはビーター
マルフォイはシーカーのポジションだ。
※シーカー…スニッチっていう胡桃くらいのボール(競技場内を飛び回っている)を捕まえるポジション。
捕まえたら大量得点が入って試合終了
※ビーター…ブラッジャー(競技場内を飛び回って選手を叩き落そうとするボール)をバットを持って叩き飛ばして
味方を守り、敵に当てたりするポジション
ジョーダン(クィディッチの実況の人)「さあ! 今シーズン初のゲームです!
今年はグリフィンドール、スリザリン共に1年生の選手が加入しています!」
ジャイアン「おーし!! 今日は我がジャイアンズのデビュー戦だな!」
マルフォイ「ジャイアンズ? お前は何を言ってるんだ?」
キャプテン「今日の対戦はグリフィンドールとだ。負けられないぞ。剛田! マルフォイ! 準備はいいな!?」
ジャイアン「おう!!ハリーには悪いが勝つぜ!」
マルフォイ「そうだな。ポッターなんかには負けたら恥だ」
初試合
ジャイアンはビーター
マルフォイはシーカーのポジションだ。
※シーカー…スニッチっていう胡桃くらいのボール(競技場内を飛び回っている)を捕まえるポジション。
捕まえたら大量得点が入って試合終了
※ビーター…ブラッジャー(競技場内を飛び回って選手を叩き落そうとするボール)をバットを持って叩き飛ばして
味方を守り、敵に当てたりするポジション
ジョーダン(クィディッチの実況の人)「さあ! 今シーズン初のゲームです!
今年はグリフィンドール、スリザリン共に1年生の選手が加入しています!」
95: 名も無き被検体774号+ 2012/09/11(火) 19:07:43.83 ID:q+5SH3a/O
白熱する試合!
ハリーとマルフォイはスニッチを探す、ジャイアンは棍棒をもってブラッジャーを叩きまくる!
タケコプターと野球で鍛えた空中感覚とバットスイングで活躍を見せた。
そして試合終盤
ハリー「!??」
ハリーの箒の様子がおかしい。なにかの魔術をかけられたように不安定に動いている。
マルフォイ「どうしたポッター! 箒も満足に操れないのか?」
ハリー「…くっ」
ちなみに客席ではハーマイオニーとロンがスネイプが妖しい動きをしていることに気づいた。
スネイプがハリーへ呪いをかけていると判断し、ハーマイオニーは妨害へ向かった!
マルフォイ「みろよ剛田! グリフィンドールのシーカーはあの有様だ!」
ジャイアン「うるせぇ!! さっさとスニッチを探せ!!」
マルフォイ「わ、わかってるさ」
そのとき、ハーマイオニーはスネイプのローブに魔法で火をつけ、教員の観覧席を混乱させた!
スネイプ「うお!」
クィレル「ひぃ!」
マクゴナガル「な、なにごとですか!?」
同時にハリーの箒の呪いがとけ、通常飛行に戻った!
ハリーとマルフォイはスニッチを探す、ジャイアンは棍棒をもってブラッジャーを叩きまくる!
タケコプターと野球で鍛えた空中感覚とバットスイングで活躍を見せた。
そして試合終盤
ハリー「!??」
ハリーの箒の様子がおかしい。なにかの魔術をかけられたように不安定に動いている。
マルフォイ「どうしたポッター! 箒も満足に操れないのか?」
ハリー「…くっ」
ちなみに客席ではハーマイオニーとロンがスネイプが妖しい動きをしていることに気づいた。
スネイプがハリーへ呪いをかけていると判断し、ハーマイオニーは妨害へ向かった!
マルフォイ「みろよ剛田! グリフィンドールのシーカーはあの有様だ!」
ジャイアン「うるせぇ!! さっさとスニッチを探せ!!」
マルフォイ「わ、わかってるさ」
そのとき、ハーマイオニーはスネイプのローブに魔法で火をつけ、教員の観覧席を混乱させた!
スネイプ「うお!」
クィレル「ひぃ!」
マクゴナガル「な、なにごとですか!?」
同時にハリーの箒の呪いがとけ、通常飛行に戻った!
96: 名も無き被検体774号+ 2012/09/11(火) 19:13:39.95 ID:q+5SH3a/O
マルフォイ「もう諦めたらどうだ!ポッター」
ハリー「(無視無視…)……!」
ハリーは空中を飛び回るスニッチを発見! スニッチを掴むべく猛スピードで空を翔る!
マルフォイ「な!? おい待てポッター!!」
マルフォイもそれに気づき箒を加速させ、スニッチを追う!
ハリー(ビュン!!)
マルフォイ(ひゅーん)
やはりそこは天才であるハリーのほうが速い。
マルフォイはぐいぐい離されていく!あっという間に20メートルほどの開きが出来た!
しかも
ブラッジャー(ブッコロスデ-)
ブラッジャーがマルフォイに迫る!
スニッチに集中していたマルフォイはとてもかわせそうにない!
マルフォイ(くそ…)
マルフォイが勝利をあきらめかけたその時!
ジャイアン「あきらめるんじゃないっつーの!!(カキーン!」
ジャイアンがマルフォイの横に現れた! 棍棒を振りぬき! ブラッジャーをハリーのほうに向けてたたき返した!
ハリー(!? ジャイアン…!!)
ハリー「とおっ!!…ふー、危ない危ない」
ハリーはかろうじてブラッジャーをかわすが、姿勢が乱れ、減速!
ジャイアン「行け!マルフォイ! スニッチをとったら心の友だ! 負けたらギッタギタのメッタメタにしてやる!!」
マルフォイ「…ふん、お前の心の友なんて真っ平ごめんだ」
マルフォイは苦笑いを浮かべつつ、箒を加速! ぐんぐん迫る!
98: 1 2012/09/11(火) 19:19:10.37 ID:q+5SH3a/O
ハリーも体勢を立て直し、ずんずん加速! スニッチまでの距離はほぼ互角!
ひゅーーーん!! 疾風のごときマルフォイ!
ぎゅーーーん!! 雷電のごときハリー!
~客席~
ロン「いっけー、ハリー!!」
ハーマイオニー「う、うん。そうね…(グリフィンドールを応援するべきなのに…どうして? ジャイアンが負けるところをみたくないなんて! わたしったらどうしたのかしら?…ジャイアンをみていると…なんだか胸が…)
~競技場~
ジャイアン「マルフォイ! 負けたら承知しねぇぞ!!」
マルフォイ「誰に言ってる!」
スニッチに向け、さらに加速するハリーとマルフォイ!
・・・・・・・
パシッ!(スニッチキャッチーノ!)
ジョーダン「スニッチを取りました!…接戦を制したのは…」
ゴクリ
ひゅーーーん!! 疾風のごときマルフォイ!
ぎゅーーーん!! 雷電のごときハリー!
~客席~
ロン「いっけー、ハリー!!」
ハーマイオニー「う、うん。そうね…(グリフィンドールを応援するべきなのに…どうして? ジャイアンが負けるところをみたくないなんて! わたしったらどうしたのかしら?…ジャイアンをみていると…なんだか胸が…)
~競技場~
ジャイアン「マルフォイ! 負けたら承知しねぇぞ!!」
マルフォイ「誰に言ってる!」
スニッチに向け、さらに加速するハリーとマルフォイ!
・・・・・・・
パシッ!(スニッチキャッチーノ!)
ジョーダン「スニッチを取りました!…接戦を制したのは…」
ゴクリ
101: 1 2012/09/11(火) 19:30:20.13 ID:q+5SH3a/O
ジョーダン「取ったのは…!ハリー・ポッター!! 初白星はグリフィンドールです!!」
ハリー「やった!」
ロン「ざまぁみろスリザリン!」
ハーマイオニー(ジャイアン…!)
マルフォイ「」
ジャイアン「」
~試合後、控え室~
マルフォイ(くそ、負けてしまったか。。ポッターごときに)
あの乱暴者が、勝てば心の友、負けたらギタギタなど本気とは思えない荒っぽい激励をしていたが…
やはり敗北は悔しい。
ハリー「やった!」
ロン「ざまぁみろスリザリン!」
ハーマイオニー(ジャイアン…!)
マルフォイ「」
ジャイアン「」
~試合後、控え室~
マルフォイ(くそ、負けてしまったか。。ポッターごときに)
あの乱暴者が、勝てば心の友、負けたらギタギタなど本気とは思えない荒っぽい激励をしていたが…
やはり敗北は悔しい。
103: 1 2012/09/11(火) 19:35:11.97 ID:q+5SH3a/O
それは剛田も同じようで、試合後から様子がおかしい。とはいえ、冷静にみると、たしかにグリフィンドールはスリザリンより強い。
敗北は誰かのせいというわけではない。
そう、ならばこの敗戦を認め、今後のために気持ちを切り替える。これが大人というものだろう。
ポッター本人にはけして言わないが、やつはたいしたものだ。
だから今日の敗戦 はある意味仕方がない。そう、誰のせいでもないのだ。チェイサーもキーパーも自分も剛田もがんばったのだから、誰も責められない
ジャイアン「マ~ルフォ~イくん」
マルフォイ「ん? なんだ。今日負けたことならお前だけのせいでは…」
ジャイアン「負けたらギタギタにするっていったよな?」
マルフォイ「」
ジャイアン「負けたのはお前がスニッチをエラーしたせいだ!!」
マルフォイ「」
ジャイアン「150点差で負けたから、お前を150発殴る!!!」
マルフォイ「」
敗北は誰かのせいというわけではない。
そう、ならばこの敗戦を認め、今後のために気持ちを切り替える。これが大人というものだろう。
ポッター本人にはけして言わないが、やつはたいしたものだ。
だから今日の敗戦 はある意味仕方がない。そう、誰のせいでもないのだ。チェイサーもキーパーも自分も剛田もがんばったのだから、誰も責められない
ジャイアン「マ~ルフォ~イくん」
マルフォイ「ん? なんだ。今日負けたことならお前だけのせいでは…」
ジャイアン「負けたらギタギタにするっていったよな?」
マルフォイ「」
ジャイアン「負けたのはお前がスニッチをエラーしたせいだ!!」
マルフォイ「」
ジャイアン「150点差で負けたから、お前を150発殴る!!!」
マルフォイ「」
106: 1 2012/09/11(火) 19:56:36.15 ID:q+5SH3a/O
ジャイアン「いーち!!」
ボカン!!!
陥没する顔面!
マルフォイ(むくっ)
しかし立ち上がるマルフォイ! 少しタフになってき たようだ!
マルフォイ「ぐはっ!!…この…エクスペリアームズ!」キュピーン!
ジャイアン「くっ…! この野郎! 痛いっつーの! 何しやがる!」
マルフォイ「えっ」
ジャイアン「にー!!」
ズドン!!
陥没する顔面!!
もう駄目だ!
マルフォイ「」
グラッブ「う、動かなくなったぞ…」
ゴイル「ドラコ…?ド、ドラコー!!」
ジャイアン「さーん!!」
メコッツ!
スパイ衛星でそれを眺める猫型ロボットと少年が二人
ドラえもん「ニヤニヤ」
のび太「ウヒラウヒラ」
ボカン!!!
陥没する顔面!
マルフォイ(むくっ)
しかし立ち上がるマルフォイ! 少しタフになってき たようだ!
マルフォイ「ぐはっ!!…この…エクスペリアームズ!」キュピーン!
ジャイアン「くっ…! この野郎! 痛いっつーの! 何しやがる!」
マルフォイ「えっ」
ジャイアン「にー!!」
ズドン!!
陥没する顔面!!
もう駄目だ!
マルフォイ「」
グラッブ「う、動かなくなったぞ…」
ゴイル「ドラコ…?ド、ドラコー!!」
ジャイアン「さーん!!」
メコッツ!
スパイ衛星でそれを眺める猫型ロボットと少年が二人
ドラえもん「ニヤニヤ」
のび太「ウヒラウヒラ」
114: 1 2012/09/11(火) 20:25:17.25 ID:q+5SH3a/O
~後日、人気のないホグワーツ中庭~
マルフォイ「駄目だ…! もっと強 くならないと。
そうだ。殴られる前に魔法を…!無言呪文を練習しとこう」
マルフォイ「あとクィディッチも上手くならないと…試合で負けるたびにあれでは、死んでしまう」
マルフォイ「くそ、やっぱり剛田なんてトロールに殺させておけばよかったんだ」
今日も一人、マルフォイは箒と杖を持ち、修練を欠かさない!もはや毎日の日課だ!
…そこに…
ジャイアン「お? マルフォイ君じゃないか。一人で練習なんてえらいなぁ」
マルフォイ「ご、剛田! なななななんの用だ」
ジャイアン「いや。実は俺、料理が趣味なんだ。練習で疲れただろ? シチューをご馳走するよ。寮にもどるんだ(ニタァ」
マルフォイ「そ、そうか。ふん、料理など、召し使いがやるものだろう。おやおや下層階級らしいご趣味だな剛田?(…ハラハラ)」
ジャイアン「いいからいいから、食べにこいよ。ハリーとロンとグラッブとゴイルも来てるんだ」
マルフォイ「…まあいいだろう」
マルフォイ「駄目だ…! もっと強 くならないと。
そうだ。殴られる前に魔法を…!無言呪文を練習しとこう」
マルフォイ「あとクィディッチも上手くならないと…試合で負けるたびにあれでは、死んでしまう」
マルフォイ「くそ、やっぱり剛田なんてトロールに殺させておけばよかったんだ」
今日も一人、マルフォイは箒と杖を持ち、修練を欠かさない!もはや毎日の日課だ!
…そこに…
ジャイアン「お? マルフォイ君じゃないか。一人で練習なんてえらいなぁ」
マルフォイ「ご、剛田! なななななんの用だ」
ジャイアン「いや。実は俺、料理が趣味なんだ。練習で疲れただろ? シチューをご馳走するよ。寮にもどるんだ(ニタァ」
マルフォイ「そ、そうか。ふん、料理など、召し使いがやるものだろう。おやおや下層階級らしいご趣味だな剛田?(…ハラハラ)」
ジャイアン「いいからいいから、食べにこいよ。ハリーとロンとグラッブとゴイルも来てるんだ」
マルフォイ「…まあいいだろう」
137: 1続き 2012/09/12(水) 15:58:07.36 ID:56Mnc+PFO
~ホグワーツ・厨房~
ジャイアン「みんなそろったな! よし、じゃあ腕によりをかけてシチューの仕上げだ!!」
マゼマゼ
ロン「ねぇ、ハリー。ぼく、嫌な予感がするよ」
ロンは、実は一番危機回避能力が高い。
ハリー「そう? 日本は料理が美味しいらしいよ。ジャイアンが自分からご馳走したいっていうんだから期待してるよ」
ハリーは恵まれない家庭で育ったから、人にご馳走されるのが好きなのだ
クラッブ・ゴイル「おなかすいたー」
デブ二人は食えればなんでもいいらしい
マルフォイ「ろくに食事もとれていないらしいな。ポッターは。魔法界の恥だ」
マルフォイは特になにも考えていない。
じょじょに、そう、じょじょに、厨房には怪しげなニオイが立ち込めてきた。
ロン「ぼく、やっぱり帰るよ。あまりお腹すいてないし…」
ジャイアン「さあ、出来たぞ!(鍋をドン!)」
ロン(な!? なんだこの色は!?」
ハリー(まるで、二股イモリと飛び跳ね毒キノコを混ぜたような…!)
鍋からは亜空の瘴気が立ち込めている! ディメンターの吐息のようだ!
香りはまるで、そう! クソ爆弾のようだ!
※二股イモリ…魔法界ではメジャーなグ口めのペット
※飛び跳ね毒キノコ…魔法薬学で習う植物。劇毒
※ディメンター…魔法界の監獄の看守。とてつもなく邪悪
※クソ爆弾…魔法界のジョーククッズ。鼻がもげたほうがマシな臭い
ジャイアン「さぁ! じゃんじゃん食え! よそってやるぞ!!」
マルフォイ「…剛田、これは何が入っているんだ」
ジャイアン「みんなそろったな! よし、じゃあ腕によりをかけてシチューの仕上げだ!!」
マゼマゼ
ロン「ねぇ、ハリー。ぼく、嫌な予感がするよ」
ロンは、実は一番危機回避能力が高い。
ハリー「そう? 日本は料理が美味しいらしいよ。ジャイアンが自分からご馳走したいっていうんだから期待してるよ」
ハリーは恵まれない家庭で育ったから、人にご馳走されるのが好きなのだ
クラッブ・ゴイル「おなかすいたー」
デブ二人は食えればなんでもいいらしい
マルフォイ「ろくに食事もとれていないらしいな。ポッターは。魔法界の恥だ」
マルフォイは特になにも考えていない。
じょじょに、そう、じょじょに、厨房には怪しげなニオイが立ち込めてきた。
ロン「ぼく、やっぱり帰るよ。あまりお腹すいてないし…」
ジャイアン「さあ、出来たぞ!(鍋をドン!)」
ロン(な!? なんだこの色は!?」
ハリー(まるで、二股イモリと飛び跳ね毒キノコを混ぜたような…!)
鍋からは亜空の瘴気が立ち込めている! ディメンターの吐息のようだ!
香りはまるで、そう! クソ爆弾のようだ!
※二股イモリ…魔法界ではメジャーなグ口めのペット
※飛び跳ね毒キノコ…魔法薬学で習う植物。劇毒
※ディメンター…魔法界の監獄の看守。とてつもなく邪悪
※クソ爆弾…魔法界のジョーククッズ。鼻がもげたほうがマシな臭い
ジャイアン「さぁ! じゃんじゃん食え! よそってやるぞ!!」
マルフォイ「…剛田、これは何が入っているんだ」
140: 1 2012/09/12(水) 18:03:46.30 ID:56Mnc+PFO
ジャイアン「えっとだな…ひき肉と…」
一同「ふんふん」
ジャイアン「しおからとー」
一同「!?」
ジャイアン「たくあんとー」
一同「なん…だと……」
ジャイアン「にぼしと」
一同「」
ジャイアン「大福で、あとは味噌で味を調えて、ジャムとたくあんと、セミの抜け殻だ!」
一同「」
マルフォイ「何故だ。何故たくあんを二回…!」
ハリー「黙れマルフォイ。問題はそこじゃない」
一同「……」
ジャイアン「…まさか、俺が腕によりをかけたシチューを食わないとはいわねぇよな!?な!?」
ハリー「い、いただきます!!(はむっ)」
ハリー「~~~~っ~~~!!!!!!!!(沼!?…ねぇ、これ沼!?…)」
ジャイアン「どうだ? ハリー! 旨いか!? 美味しいか!?」
ハリー「……っーーーー……すごいっ…!!!…」
ジャイアン「よかった! 百味ビーンズ作ってるお菓子会社にレシピを送ろう…っ!!!」
ジャイアン「よしみんなも食べろ。沢山あるから、どんどんお代わりしろよ!!」
マルフォイ「」
※百味ビーンズ…魔法界のお菓子。色んな味がある。例:イチゴ味、胡椒味、耳クソ味など
~翌日・変身術の授業~
マクゴナガル先生「おや。ポッターとウィーズリーとクラッブとゴイルはお休みですか」
なお、この数年後、百味ビーンズのジャイアンシチュー味という新たな味が発売。
命知らずのチャレンジャーやバツゲームの利用で思いのほか好評となり、ゲテモノ系のトップ2
臓物味と鼻くそ味を上回るセールスを記録することとなる
一同「ふんふん」
ジャイアン「しおからとー」
一同「!?」
ジャイアン「たくあんとー」
一同「なん…だと……」
ジャイアン「にぼしと」
一同「」
ジャイアン「大福で、あとは味噌で味を調えて、ジャムとたくあんと、セミの抜け殻だ!」
一同「」
マルフォイ「何故だ。何故たくあんを二回…!」
ハリー「黙れマルフォイ。問題はそこじゃない」
一同「……」
ジャイアン「…まさか、俺が腕によりをかけたシチューを食わないとはいわねぇよな!?な!?」
ハリー「い、いただきます!!(はむっ)」
ハリー「~~~~っ~~~!!!!!!!!(沼!?…ねぇ、これ沼!?…)」
ジャイアン「どうだ? ハリー! 旨いか!? 美味しいか!?」
ハリー「……っーーーー……すごいっ…!!!…」
ジャイアン「よかった! 百味ビーンズ作ってるお菓子会社にレシピを送ろう…っ!!!」
ジャイアン「よしみんなも食べろ。沢山あるから、どんどんお代わりしろよ!!」
マルフォイ「」
※百味ビーンズ…魔法界のお菓子。色んな味がある。例:イチゴ味、胡椒味、耳クソ味など
~翌日・変身術の授業~
マクゴナガル先生「おや。ポッターとウィーズリーとクラッブとゴイルはお休みですか」
なお、この数年後、百味ビーンズのジャイアンシチュー味という新たな味が発売。
命知らずのチャレンジャーやバツゲームの利用で思いのほか好評となり、ゲテモノ系のトップ2
臓物味と鼻くそ味を上回るセールスを記録することとなる
144: 1 2012/09/12(水) 18:43:07.33 ID:56Mnc+PFO
~スネイプ先生の部屋~
マルフォイ「スネイプ先生、僕に上級生用の、もっと身を守るのに役立つ魔法を教えてください」
スネイプ「ミスターマルフォイ。君はまだ一年生だ。そんな必要はないだろう」
マルフォイ「命にかかわるんです」
スネイプ「ふむ…ポッターとの確執かね」
マルフォイ「ポッター? ああ、アイツは別にいいんですよ。お願いします。必要なら父からも依頼文を届けてもらいます」
スネイプ「いや…君は優秀な生徒だ。いいだろう。あまり先の学年の呪文は教えられないが、我輩が生み出した役に立つ呪文を
教えよう。君が習得できるかはわからないが」
マルフォイ「絶対に覚えます」
マルフォイはまさに背水の陣の覚悟だった。同じくスリザリン出身のスネイプ先生に早い段階で教えを乞うたことは
彼の人生にとって、分岐点といえただろう。マルフォイはもはや、努力を苦痛とも思わなくなっていた。
剛田にボコボコにされるよりははるかに楽だ。
マルフォイ「スネイプ先生、僕に上級生用の、もっと身を守るのに役立つ魔法を教えてください」
スネイプ「ミスターマルフォイ。君はまだ一年生だ。そんな必要はないだろう」
マルフォイ「命にかかわるんです」
スネイプ「ふむ…ポッターとの確執かね」
マルフォイ「ポッター? ああ、アイツは別にいいんですよ。お願いします。必要なら父からも依頼文を届けてもらいます」
スネイプ「いや…君は優秀な生徒だ。いいだろう。あまり先の学年の呪文は教えられないが、我輩が生み出した役に立つ呪文を
教えよう。君が習得できるかはわからないが」
マルフォイ「絶対に覚えます」
マルフォイはまさに背水の陣の覚悟だった。同じくスリザリン出身のスネイプ先生に早い段階で教えを乞うたことは
彼の人生にとって、分岐点といえただろう。マルフォイはもはや、努力を苦痛とも思わなくなっていた。
剛田にボコボコにされるよりははるかに楽だ。
149: 1 2012/09/12(水) 19:03:34.90 ID:56Mnc+PFO
色々なことがあったが、その後もジャイアンは仲間たちとの魔法学生生活を楽しんだ。!
この辺でどこからともなく武田鉄矢さんの歌声が流れ始める!(次々と切り替わる学生生活の楽しげな描写のBGMに!)
<悲しいときには、街のはずれで電信柱の明かりみてた~♪>
マルフォイに殴りかかるジャイアン、間一髪で魔法でよけ、さらに魔法で反撃するマルフォイ。それに耐えたジャイアンにやっぱり
ボコボコにされるマルフォイ。
スリザリンの減点を防ぐためにジャイアンに宿題をみせてやるマルフォイ。号泣してマルフォイに抱きつくジャイアン。
嫌がるマルフォイ
<七つの僕には、不思議だった、涙浮かべて見上げたら♪>
ハリーと一緒にクィディッチの練習をするジャイアン。それを遠くから見つめるハーマイオニー
途中でマルフォイが難癖つけて絡んできたが、結局ジャイアンが強引にマルフォイを引き込み、一緒に練習することになった。
<虹の~かけ~らが~、きらきら光る~♪>
ロンとチェスをするジャイアン。負けてキレるジャイアン。
ハリーやハーマイオニーにネチネチ嫌味を言うスネイプに怒るジャイアン
呪文の失敗でぶっ倒れたロンとネビルを二人とも背負って保健室に走るジャイアン
この辺でどこからともなく武田鉄矢さんの歌声が流れ始める!(次々と切り替わる学生生活の楽しげな描写のBGMに!)
<悲しいときには、街のはずれで電信柱の明かりみてた~♪>
マルフォイに殴りかかるジャイアン、間一髪で魔法でよけ、さらに魔法で反撃するマルフォイ。それに耐えたジャイアンにやっぱり
ボコボコにされるマルフォイ。
スリザリンの減点を防ぐためにジャイアンに宿題をみせてやるマルフォイ。号泣してマルフォイに抱きつくジャイアン。
嫌がるマルフォイ
<七つの僕には、不思議だった、涙浮かべて見上げたら♪>
ハリーと一緒にクィディッチの練習をするジャイアン。それを遠くから見つめるハーマイオニー
途中でマルフォイが難癖つけて絡んできたが、結局ジャイアンが強引にマルフォイを引き込み、一緒に練習することになった。
<虹の~かけ~らが~、きらきら光る~♪>
ロンとチェスをするジャイアン。負けてキレるジャイアン。
ハリーやハーマイオニーにネチネチ嫌味を言うスネイプに怒るジャイアン
呪文の失敗でぶっ倒れたロンとネビルを二人とも背負って保健室に走るジャイアン
150: 1 2012/09/12(水) 19:24:10.43 ID:56Mnc+PFO
<中略>
勉強するジャイアン。魔法薬学、魔法史、薬草学は底辺の成績だが、変身術と飛行術はそこそこできるようだ。
徐々に強くなるマルフォイに対抗するために、呪文も頑張って覚えようとしている。
<あ~、僕は~どうして~オトナになるんだろ~♪>
ハーマイオニーとロンと一緒に宿題をするジャイアン。どっちがバカかとロンと言い争いになってしまったようだ
ハーマイオニーは二人を叱りつつも笑顔だ。
<あ~、僕は~いつごろ~オトナになるんだろ~♪>
仲間と笑うジャイアン。はしっこのほうではマルフォイがそっぽを向いて苦笑いを浮かべている
<じゃーん♪>
勉強するジャイアン。魔法薬学、魔法史、薬草学は底辺の成績だが、変身術と飛行術はそこそこできるようだ。
徐々に強くなるマルフォイに対抗するために、呪文も頑張って覚えようとしている。
<あ~、僕は~どうして~オトナになるんだろ~♪>
ハーマイオニーとロンと一緒に宿題をするジャイアン。どっちがバカかとロンと言い争いになってしまったようだ
ハーマイオニーは二人を叱りつつも笑顔だ。
<あ~、僕は~いつごろ~オトナになるんだろ~♪>
仲間と笑うジャイアン。はしっこのほうではマルフォイがそっぽを向いて苦笑いを浮かべている
<じゃーん♪>
153: 1 2012/09/12(水) 19:54:26.24 ID:56Mnc+PFO
~夜、ホグワーツ内~
ハリー、ロン、ハーマイオニーは寮を抜け出し、ハグリッドの小屋へと移動していた!
気にかかっていることを確かめるためだ! これは本編どおりだから箇条書きだ!
①なんかホグワーツ内に三つ首のデカイ犬の化け物(フラッフィー)がいる部屋がある!
②なんか犬は扉を守っているようだ!
③この扉の先にはなにかあるようだ!
④あれ? 賢者の石なんじゃね?
⑤賢者の石っていったらヴォルデモートが狙ってるんじゃね?
⑥学校の中にヴォルデモートの部下いそうじゃね?
⑦ハリー殺そうとしてたみたいだし、スネイプじゃね? スネイプが進入して賢者の石パクろうとしてんじゃね?
⑧やばくね?
※賢者の石…なんかザオリク的効果のある石。ヨミガエリーノ
※ヴォルデモート…すんげ怖くて強い悪い人。昔世界征服狙いでハリーの父ちゃん母ちゃんヌッコロシタ
以上だ!
ハリーたちその辺を相談すべくはハグリットのところに向かう途中だ!
※ハグリッド…でかい人。ホグワーツの森番。ゲテモノ好き
~ホグワーツ内・廊下~
ハーマイオニー「ハリー! 急いで!」
ハリー「うん。…あ、あれって!?」
ハリーたちの視線の先にはパジャマ姿のジャイアンが寝惚けてウロウロしている。
※ジャイアンには夢遊病のケがあります。(コミックス6巻参照)
156: 1 2012/09/12(水) 20:06:59.49 ID:56Mnc+PFO
ジャイアン「…スヤスヤ…スヤスヤ…」
ロン「…どうしようか…?」
ハーマイオニー「あら、ジャイアンにも事情を話してきてもらいましょうよ! きっと頼りになるわ!(キラキラ)」
ハリー「そ、そうだね。たしかに頼りになるよね」
ロン「う、うん。そうだね。友達だもんね」
ハーマイオニー「ジャイアン、ジャイアン、起きて」
ジャイアン「…はっ…あれ? ハーミーちゃん?」
ハーマイオニー「ふふ。おはよ。お寝坊なのね、あなたって。寮を抜け出したらダメなのよ!」
ジャイアン「そんな、ぼく恥かしいよ(デレデレ)」
ロン(えー!?)
ハリー「ジャイアン、わけは途中で話すけど、力を貸して欲しいんだ」
ジャイアン「む! 俺だけが頼りってわけだな! よしきたハリー! 力を貸すぜ!」
ハリー「(イイヤツではあるんだよな…たまに)じゃあ、行こう」
ジャイアン「ちょっとまっててくれ。マルフォイを起こしてくる!」
ハリー「え」
ロン「え」
158: 1 2012/09/12(水) 20:18:19.75 ID:56Mnc+PFO
~ハグリッドの小屋~
ハリー「ってわけなんだよジャイアン」
ジャイアン「ハリー…!!!お前ってやつは…大変立ったんだな(オーイオイオイ!)」
ハリー「あ、いや、まあ、うん。ありがとう」
ハーマイオニー(優しいのねジャイアン!)
マルフォイ「話はわかったが…なんで僕までポッターなんかにつきあわなきゃならないんだ(プイッ)」
ジャイアン「マルフォイのくせに生意気だぞ!!」
マルフォイ「え」
ハリー「ってわけなんだよジャイアン」
ジャイアン「ハリー…!!!お前ってやつは…大変立ったんだな(オーイオイオイ!)」
ハリー「あ、いや、まあ、うん。ありがとう」
ハーマイオニー(優しいのねジャイアン!)
マルフォイ「話はわかったが…なんで僕までポッターなんかにつきあわなきゃならないんだ(プイッ)」
ジャイアン「マルフォイのくせに生意気だぞ!!」
マルフォイ「え」
160: 1 2012/09/12(水) 20:27:29.73 ID:56Mnc+PFO
マルフォイ「この僕にそんなことを」
ジャイアン「文句あんのかよ!!ハリーの話聞いただろ!」
マルフォイ「…」
ジャイアン「ハグリッドさん、で、どうなんですか!? あの犬はどうしたら大人しくなるんですか?」
※ジャイアンはデカくて強そうな年上の男性には実は敬意を持って敬語で話します
ハグリッド「そうさなー。なに簡単だ。ちょーっと奇麗な音楽をきかせてやれば寝むっちまうわい!…あ、いけね! これも秘密だった!
口が滑ったわい!」
ジャイアン(奇麗な…音楽…)
ジャイアン「文句あんのかよ!!ハリーの話聞いただろ!」
マルフォイ「…」
ジャイアン「ハグリッドさん、で、どうなんですか!? あの犬はどうしたら大人しくなるんですか?」
※ジャイアンはデカくて強そうな年上の男性には実は敬意を持って敬語で話します
ハグリッド「そうさなー。なに簡単だ。ちょーっと奇麗な音楽をきかせてやれば寝むっちまうわい!…あ、いけね! これも秘密だった!
口が滑ったわい!」
ジャイアン(奇麗な…音楽…)
165: 1 2012/09/12(水) 20:44:58.73 ID:56Mnc+PFO
~後日、スリザリン寮、マルフォイとジャイアンの部屋~
ジャイアン「…んごかぁ!!!…すぴー…!!! ガー!!」
マルフォイ「…うるさいぞ剛田…シレンシオ(沈黙呪文)」
ジャイアン「………(シーン)」
マルフォイ「役に立つな。沈黙呪文」
シレンシオは対象を黙らす呪文だ! ホントはもっと高学年で習う呪文だが、マルフォイはストレス軽減のために
ソッコーで覚えたぞ!
マルフォイ「…賢者の石…か。まてよ。どうして僕がポッターに付き合わないといけないんだ?
僕ほどの力があれば、一人で賢者の石を手に入れることもできるはずだ…そうすれば、ヤツラもわかるだろう。
誰が偉いのかということが…それに、まあ、なんだ。ポッターも、話を聞けば、色々。大変みたいだし、無茶をしな」
ガバッ!!
ジャイアン「また糠味噌にシバ漬けかよ、そりゃないよ母ちゃ~ん!!」
マルフォイ「ビクッ!?」
マルフォイ「…グガ~!!」
マルフォイ「寝言か、驚かすな…」」
ジャイアン「グガ~!!スピ~!!」
マルフォイ「シレンシオ・マキシモ(最大沈黙呪文)」
ジャイアン「…(シーン)」
マルフォイ「ふん」
ジャイアン「…んごかぁ!!!…すぴー…!!! ガー!!」
マルフォイ「…うるさいぞ剛田…シレンシオ(沈黙呪文)」
ジャイアン「………(シーン)」
マルフォイ「役に立つな。沈黙呪文」
シレンシオは対象を黙らす呪文だ! ホントはもっと高学年で習う呪文だが、マルフォイはストレス軽減のために
ソッコーで覚えたぞ!
マルフォイ「…賢者の石…か。まてよ。どうして僕がポッターに付き合わないといけないんだ?
僕ほどの力があれば、一人で賢者の石を手に入れることもできるはずだ…そうすれば、ヤツラもわかるだろう。
誰が偉いのかということが…それに、まあ、なんだ。ポッターも、話を聞けば、色々。大変みたいだし、無茶をしな」
ガバッ!!
ジャイアン「また糠味噌にシバ漬けかよ、そりゃないよ母ちゃ~ん!!」
マルフォイ「ビクッ!?」
マルフォイ「…グガ~!!」
マルフォイ「寝言か、驚かすな…」」
ジャイアン「グガ~!!スピ~!!」
マルフォイ「シレンシオ・マキシモ(最大沈黙呪文)」
ジャイアン「…(シーン)」
マルフォイ「ふん」
167: 1 2012/09/12(水) 20:52:15.75 ID:56Mnc+PFO
~後日、夕方、グリフィンドール寮~
ハリー「今日はダンブルドア校長が留守にしている。スネイプが賢者の石を狙ってくるはずだ。僕たちでその前に
手に入れよう」
ロン「そうだね。フラッフィー(デカ犬)の手なづけ方がわかってるんだし、スネイプより先に動かなきゃ」
ハーマイオニー「じゃあ、今日の夜。そうね20時にいきましょう」
ハリー「うん。ジャイアンと…一応マルフォイにも声かけとこうか」
~同時刻、スリザリン寮~
ジャイアン「マルフォイ、あれ。マルフォイはどこにいったんだ? ゴイル」
ゴイル「え? あー、昼間から姿が見えないけど」
ジャイアン「?…アイツ、まさか…!」
ハリー「今日はダンブルドア校長が留守にしている。スネイプが賢者の石を狙ってくるはずだ。僕たちでその前に
手に入れよう」
ロン「そうだね。フラッフィー(デカ犬)の手なづけ方がわかってるんだし、スネイプより先に動かなきゃ」
ハーマイオニー「じゃあ、今日の夜。そうね20時にいきましょう」
ハリー「うん。ジャイアンと…一応マルフォイにも声かけとこうか」
~同時刻、スリザリン寮~
ジャイアン「マルフォイ、あれ。マルフォイはどこにいったんだ? ゴイル」
ゴイル「え? あー、昼間から姿が見えないけど」
ジャイアン「?…アイツ、まさか…!」
170: 1 2012/09/12(水) 21:04:25.69 ID:56Mnc+PFO
~同時刻、フラッフィーの部屋の前~
マルフォイ「ふん。僕ひとりで十分だ。この竪琴には自動で曲を奏でる魔法をかけておいた。これなら
そのフラッフィーとかいうやつもおとなしくなるはずだ。賢者の石さえ手に入れれば、もう誰にも偉そうにはさせない」
ギィ(ドア開ける音ね)
デカ犬「ばうわう!!!」
マルフォイ「! お、思ったより大きいじゃないか。しかし所詮は醜いケダモノ。さあこの竪琴を聞いておとなしくなれ!」
ポロロン♪
デカ犬「……ばうわう!!!!(アバレマクリーノ)」
犬は竪琴の音を一瞬聞いたが、眠りにつかない! 涎をたらしつつ吼えている!
マルフォイ「馬鹿な! 話が違うじゃないか!!」
デカ犬(…あんまりいい音色じゃないもんね。俺これじゃダメだもんね!)
ガウ!!
デカ犬の噛み付き攻撃がくる!!
マルフォイ「うわああああ!!」
マルフォイ「ふん。僕ひとりで十分だ。この竪琴には自動で曲を奏でる魔法をかけておいた。これなら
そのフラッフィーとかいうやつもおとなしくなるはずだ。賢者の石さえ手に入れれば、もう誰にも偉そうにはさせない」
ギィ(ドア開ける音ね)
デカ犬「ばうわう!!!」
マルフォイ「! お、思ったより大きいじゃないか。しかし所詮は醜いケダモノ。さあこの竪琴を聞いておとなしくなれ!」
ポロロン♪
デカ犬「……ばうわう!!!!(アバレマクリーノ)」
犬は竪琴の音を一瞬聞いたが、眠りにつかない! 涎をたらしつつ吼えている!
マルフォイ「馬鹿な! 話が違うじゃないか!!」
デカ犬(…あんまりいい音色じゃないもんね。俺これじゃダメだもんね!)
ガウ!!
デカ犬の噛み付き攻撃がくる!!
マルフォイ「うわああああ!!」
172: 1 2012/09/12(水) 21:14:04.92 ID:56Mnc+PFO
マルフォイはジャイアンのおかげで鍛え抜かれた反射神経で攻撃をかわす! しかし部屋の奥に入ってしまい部屋からでれない!
マルフォイ「…はぁっ…はぁっ…なんてことだ…!」
デカ犬「わおーん! ばうわう!!」
デカ犬はさらに大暴れ、前足による引っかきと噛み付き攻撃でマルフォイを襲う
マルフォイ「プロテゴ・フォリビリス!!(盾の呪文)」
マルフォイはこの一年で大分成長した魔法力を駆使し、シールドを張り、なんとかこれをしのぐ!! 部屋中がめちゃくちゃな状況だ!!
デカ犬「ハッハッハッ…」
マルフォイ「…僕は、ここで、死ぬのか…?」
少しずつだがダメージを受けるマルフォイ。もはや傷だらけだ!
マルフォイ「…痛い」
体中が悲鳴をあげているようだ
もう次の攻撃はかわせないだろう。マルフォイは絶望した。
父上…母上…
目に浮かぶのは両親。そして
ポッター、ウィーズリー、ゴイル、グラッブ、グレンジャー、…そして剛田
ルフォイ「ふっ、なぜあんなヤツラのことを、この僕が」
昔のマルフォイなら、きっと彼らの、そう剛田のバカが言うところの「友達」とやらのことなど少しも想いはしなかっただろう。
マルフォイはこの一年で自分が変わったことに、気づいた。
…皮肉にも、死の間際に
マルフォイ「似合わないことをしてたら、この有り様だ…」
マルフォイは観念するように、疲れはてて座りこんだ。
デカ犬「ばうわう!!」
巨大な牙がマルフォイに迫る!
……
そのとき!!
マルフォイ「…はぁっ…はぁっ…なんてことだ…!」
デカ犬「わおーん! ばうわう!!」
デカ犬はさらに大暴れ、前足による引っかきと噛み付き攻撃でマルフォイを襲う
マルフォイ「プロテゴ・フォリビリス!!(盾の呪文)」
マルフォイはこの一年で大分成長した魔法力を駆使し、シールドを張り、なんとかこれをしのぐ!! 部屋中がめちゃくちゃな状況だ!!
デカ犬「ハッハッハッ…」
マルフォイ「…僕は、ここで、死ぬのか…?」
少しずつだがダメージを受けるマルフォイ。もはや傷だらけだ!
マルフォイ「…痛い」
体中が悲鳴をあげているようだ
もう次の攻撃はかわせないだろう。マルフォイは絶望した。
父上…母上…
目に浮かぶのは両親。そして
ポッター、ウィーズリー、ゴイル、グラッブ、グレンジャー、…そして剛田
ルフォイ「ふっ、なぜあんなヤツラのことを、この僕が」
昔のマルフォイなら、きっと彼らの、そう剛田のバカが言うところの「友達」とやらのことなど少しも想いはしなかっただろう。
マルフォイはこの一年で自分が変わったことに、気づいた。
…皮肉にも、死の間際に
マルフォイ「似合わないことをしてたら、この有り様だ…」
マルフォイは観念するように、疲れはてて座りこんだ。
デカ犬「ばうわう!!」
巨大な牙がマルフォイに迫る!
……
そのとき!!
176: 1 2012/09/12(水) 22:03:33.85 ID:56Mnc+PFO
ドカン!!!
部屋の扉を蹴破り、あの忌々しいルームメイトが現れた!
マルフォイの視界が何故か滲む。
ジャイアン「マルフォイ!! 力を貸すぜ!!」
マルフォイは目をこすって、冷静になった。この危機的状況。みれば剛田は一人。しかも楽器の類ももってきていない。
このデカ犬に対してなんの対抗策もないように見える。
正直、助けにきてくれたことは嬉しいが、まったく理解できない。
このままでは剛田まで死んでしまう!!
そもそも、自分が先走ったことが失敗なのだ。功名心とつまらない意地で、この有様だ。
それにつきあう? マグル生まれはやはりバカなのか?
マルフォイ「バカかお前は!! 何故きた! 死にたいのか!?」
ジャイアン「バッキャロウ!! 言っただろうが!! お前のものは俺のもの!! お前のカエルチョコも、箒も!!
…ピンチも痛みも! 俺のものだ!!」
マルフォイ「…!この、バカ、が」
ジャイアン「文句あんのか!? マルフォイのくせに!!」
マルフォイ「…文句はある!! あとで言ってやるから、とりあえずなんとかしろ!!」
部屋の扉を蹴破り、あの忌々しいルームメイトが現れた!
マルフォイの視界が何故か滲む。
ジャイアン「マルフォイ!! 力を貸すぜ!!」
マルフォイは目をこすって、冷静になった。この危機的状況。みれば剛田は一人。しかも楽器の類ももってきていない。
このデカ犬に対してなんの対抗策もないように見える。
正直、助けにきてくれたことは嬉しいが、まったく理解できない。
このままでは剛田まで死んでしまう!!
そもそも、自分が先走ったことが失敗なのだ。功名心とつまらない意地で、この有様だ。
それにつきあう? マグル生まれはやはりバカなのか?
マルフォイ「バカかお前は!! 何故きた! 死にたいのか!?」
ジャイアン「バッキャロウ!! 言っただろうが!! お前のものは俺のもの!! お前のカエルチョコも、箒も!!
…ピンチも痛みも! 俺のものだ!!」
マルフォイ「…!この、バカ、が」
ジャイアン「文句あんのか!? マルフォイのくせに!!」
マルフォイ「…文句はある!! あとで言ってやるから、とりあえずなんとかしろ!!」
179: 1 2012/09/12(水) 22:20:15.22 ID:56Mnc+PFO
ジャイアン「いくぞ!! ハグリッドさんから聞いたんだ! この化け物は奇麗な音色に弱いって!!」
マルフォイ「どうするつもりだ!?」
ジャイアン「リサイタルだ!!」
マルフォイ「えっ」
ジャイアンは魔法で台を出し、その上に飛び乗る! よくみるとパンクロッカーのような妙な衣装をまとっている。
マルフォイ(まさか、こいつ…実は歌が上手いのか…? なんという自信だ…!)
マルフォイ「どうするつもりだ!?」
ジャイアン「リサイタルだ!!」
マルフォイ「えっ」
ジャイアンは魔法で台を出し、その上に飛び乗る! よくみるとパンクロッカーのような妙な衣装をまとっている。
マルフォイ(まさか、こいつ…実は歌が上手いのか…? なんという自信だ…!)
181: 1 2012/09/12(水) 22:24:42.86 ID:56Mnc+PFO
ジャイアンは腰を落とし、マイクを握り! 歌声を響かせた!!
ジャイアン「ボエ~♪」
マルフォイ「」
部屋中の壁と天井が微細な振動を起こす!!
空気にこの世のものとは思えない不快な音が響きわたる!!
~あとからきたハリーたち、部屋から少し離れたところ~
ロン「!? な、なんだこの不快極まる音は!? 禁断の呪文か!?」
ハリー「うわぁあああ!! 頭が…!! 痛い!! ヴォルデモートの影響なのか!?」
ロン「マンドレイクを引き抜いたときの叫び声だ! 聞いてたら死ぬぞ!!」
ハリー「頭を低くして、お腹に力をいれるんだ!!」
ハーマイオニー「なんてステキな歌声…!」
ジャイアン「おいらのォ~胸の心のせつなさよ~雨がふれば~、胸の心の頭も濡れるよ~♪」
ジャイアンは気持ちよく歌っている!!
デカ犬(おぅふ…さすがに…これは…キビシイ…ダメだ、気を失いそうだ…!!)
マルフォイ(胸の心の頭?)
マルフォイ「…このままでは…死ぬ!」
ハリーとロンは自分の耳を塞ぐ魔法でなんとか耐え抜いた!!
デカ犬「」
デカ犬は失神した!!
ジャイアン「おお!! 聞き惚れて失神か!! この犬は芸術がわかる!!」
※ジャイアンの歌声はただの音痴じゃありません。セイレーンを倒したこともあります(ドラえもん・のび太の魔界大冒険参照)
ジャイアン「ボエ~♪」
マルフォイ「」
部屋中の壁と天井が微細な振動を起こす!!
空気にこの世のものとは思えない不快な音が響きわたる!!
~あとからきたハリーたち、部屋から少し離れたところ~
ロン「!? な、なんだこの不快極まる音は!? 禁断の呪文か!?」
ハリー「うわぁあああ!! 頭が…!! 痛い!! ヴォルデモートの影響なのか!?」
ロン「マンドレイクを引き抜いたときの叫び声だ! 聞いてたら死ぬぞ!!」
ハリー「頭を低くして、お腹に力をいれるんだ!!」
ハーマイオニー「なんてステキな歌声…!」
ジャイアン「おいらのォ~胸の心のせつなさよ~雨がふれば~、胸の心の頭も濡れるよ~♪」
ジャイアンは気持ちよく歌っている!!
デカ犬(おぅふ…さすがに…これは…キビシイ…ダメだ、気を失いそうだ…!!)
マルフォイ(胸の心の頭?)
マルフォイ「…このままでは…死ぬ!」
ハリーとロンは自分の耳を塞ぐ魔法でなんとか耐え抜いた!!
デカ犬「」
デカ犬は失神した!!
ジャイアン「おお!! 聞き惚れて失神か!! この犬は芸術がわかる!!」
※ジャイアンの歌声はただの音痴じゃありません。セイレーンを倒したこともあります(ドラえもん・のび太の魔界大冒険参照)
243: 1続き。今日で終わり。じわじわ投下します 2012/09/14(金) 16:43:30.67 ID:zGb+CsROO
ハリー「おいついた! フラッフィーは!?」
ジャイアン「お、ハリー。おそかったな! この犬なら俺の歌声を聞いて感動して失神したぞ!」
ハリー「…歌…声…?」
ロン(クルーシオかと思ったよ!)
ジャイアン「? ああそうか! 悪い悪い!! 今度ちゃんとリサイタル開いてお前らにも
聴かせてやるからな。楽しみにしてろよ!」
ハーマイオニー「まぁ! ステキだわ!」
ロン「…いや、その…」
ジャイアン「席は、松は100クヌート、竹は50クヌート、梅は10クヌートでいいぞ! チャリティだからな!」
ロン(チャリティ…? いったいどこに寄付するというんだろう)
ハリー「いや、ほら、ジャイアン。もう夏休みだし、無理しないでいいよ?」
ロン「そ、そうだよ。僕らだけいい思いしちゃグリフィンドールのみんなに悪いよ」
ジャイアン「遠慮するな! そうだ! 今から一曲歌ってやるぞ!『乙女の愛の夢』!」
ロン(乙女の愛の夢?)
マルフォイ「ささささ先に進むぞ。時間がない」
ハリー「マルフォイの言うとおりだ! 歌は楽しみにとっておこう!」
マルフォイイ「そうだなポッター! ざざ残念だけど、いくぞいくぞ」
ハリー「さあ行こうすぐ行こうマルフォイ!」
ジャイアン「…そうだな。いやぁすまんすまん。お楽しみは後、だな!
よし俺についてこい!」
ジャイアンは一同の先頭にたって歩みを進めた! その背後ではハリーとマルフォイが
互いに顔を見合わせている
マルフォイ「…」
ハリー「…」
プイッ。
すぐに顔をそらす二人!
249: 1 2012/09/14(金) 17:06:37.94 ID:zGb+CsROO
~次の部屋~
突入する一同!
ハーマイオニー「きゃぁ!!」
ロン「うひゃー!!」
部屋中が植物の蔓のようなもので満ちている! 進入した一同を蔓が襲い、体を締め付けてくる!
ハリー「うわ」
ジャイアン「コンニャロー!!」
身動きが取れない一同!
ハーマイオニー(えっと、この植物は、たしか…そうよ! 『悪魔の罠』だわ! たしか
これは火に弱くて…)
ジャイアン「なんとかしろマルフォイ!!」
シュルシュル伸びてジャイアンを締め付けるツル!
マルフォイ「この程度の罠が回避できないとは驚いたなぁ。それでも魔法族なのかい?君たちは」
ツルはさらに締め付けてくる!
ジャイアン「母ちゃ~ん!!」
ハーマイオニー「わかったわ! 火よ! この罠は火に弱いのよ!」
ロン「じゃあさっさと燃やしてくれよ!」
ハーマイオニー「でも薪がないわ!」
ロン「君はそれでも魔女か!?」
ハーマイオニー「あ、そ、そうだわ。私ったら…火の呪文ね! え~っと…」
マルフォイ「セクタムセンプラ」
(切り裂き呪文・火の呪文にあらず)」
ズバッ!! ビシュ!!
突入する一同!
ハーマイオニー「きゃぁ!!」
ロン「うひゃー!!」
部屋中が植物の蔓のようなもので満ちている! 進入した一同を蔓が襲い、体を締め付けてくる!
ハリー「うわ」
ジャイアン「コンニャロー!!」
身動きが取れない一同!
ハーマイオニー(えっと、この植物は、たしか…そうよ! 『悪魔の罠』だわ! たしか
これは火に弱くて…)
ジャイアン「なんとかしろマルフォイ!!」
シュルシュル伸びてジャイアンを締め付けるツル!
マルフォイ「この程度の罠が回避できないとは驚いたなぁ。それでも魔法族なのかい?君たちは」
ツルはさらに締め付けてくる!
ジャイアン「母ちゃ~ん!!」
ハーマイオニー「わかったわ! 火よ! この罠は火に弱いのよ!」
ロン「じゃあさっさと燃やしてくれよ!」
ハーマイオニー「でも薪がないわ!」
ロン「君はそれでも魔女か!?」
ハーマイオニー「あ、そ、そうだわ。私ったら…火の呪文ね! え~っと…」
マルフォイ「セクタムセンプラ」
(切り裂き呪文・火の呪文にあらず)」
ズバッ!! ビシュ!!
250: 1 2012/09/14(金) 17:29:38.67 ID:zGb+CsROO
マルフォイはスネイプ先生直伝の切り裂き呪文でツルをずたずたに切り裂いた!!
別に効果的な属性魔法ではないが、そんなこと今のマルフォイにとっては問題ではないぞ!
蔓から開放された一同
ハリー「マルフォイ、今の魔法は?」
マルフォイ「これくらい出来て当たり前だろう? ポッター。それにしても剛田、お前の叫び声ときたら」
ジャイアン「おお~心の友よ~!!(ウデヲニギ-ル!!)
ジャイアンは目の幅涙を流しつつマルフォイの腕をにぎる。
マルフォイ「や、おい剛田。やめろ気持ち悪い」
まさか剛田にそのうち食らわせてやろうと思っていた切裂き呪文を披露してしまうとは、失策だ。
頭ではそう思うのだが、何故かマルフォイの心は晴れていた。
ハーマイオニー「みて! 次の扉があるわ!」
別に効果的な属性魔法ではないが、そんなこと今のマルフォイにとっては問題ではないぞ!
蔓から開放された一同
ハリー「マルフォイ、今の魔法は?」
マルフォイ「これくらい出来て当たり前だろう? ポッター。それにしても剛田、お前の叫び声ときたら」
ジャイアン「おお~心の友よ~!!(ウデヲニギ-ル!!)
ジャイアンは目の幅涙を流しつつマルフォイの腕をにぎる。
マルフォイ「や、おい剛田。やめろ気持ち悪い」
まさか剛田にそのうち食らわせてやろうと思っていた切裂き呪文を披露してしまうとは、失策だ。
頭ではそう思うのだが、何故かマルフォイの心は晴れていた。
ハーマイオニー「みて! 次の扉があるわ!」
252: 1 2012/09/14(金) 18:07:20.96 ID:zGb+CsROO
~次の部屋~
羽根の生えた鍵が数百、大きな洞窟のような中を飛び回っている!!
ハーマイオニー「きっとあの鍵のなかのどれかが、奥の扉の鍵なのよ!」
ロン「でもあんなたにたくさん飛んでてどれが本物かわからないよ! それに結構早いよ」
先に進むには鍵が必要だ
ハリー「僕に任せて。これでもグリフィンドールのシーカーだからね」
ハリーは箒を取り出し、またがった! 飛行して鍵を掴み取るつもりだ!
ジャイアン「やいマルフォイ! お前もシーカーだろ! ハリーと一緒に飛べよ!」
ジャイアンはジロリとマルフォイをみる。
マルフォイ「…」
正直、マルフォイは箒の飛行技術でポッターに勝てる自信はなかった。
もちろん試合に負けるたびに殴られるのを避けるために、クィディッチの練習もかなりしたが、それでもポッターには天性のものがある。マルフォイは敵わない
ハリー「いいよ。僕一人で十分さ(フワッ)」
ハリーは箒の乗って飛び立った!
それを間近でみるマルフォイ。
―すごさを知った。一万キロ飛行という特訓をなした今のマルフォイだからこそ、ハリーのフォームの美しさがわかる。
とても二人だけで並んで飛ぶ気にはならない。プライドが許さない。
マルフォイ「はっ、ごめんだね。クィディッチのスター選手であるポッター様はみんなにいいところをみせたいんだろう?
ちょうどいいじゃないか」
だからあえて憎まれ口を聞く。自分は名家の出で才気もある、が、ポッターには及ばない。
そんな自分、自分のプライドを守るにはこうするしかない。だからポッターには皮肉や嫌味を言うのだ。
いつだってそうだった。
マルフォイ「…」
そう。ポッターは調子に乗っている英雄気取りの男。そういうことにしておけばいい。
心のどこかが、チクリと、ザワザワとするが、そうせざるえない。僕はマルフォイ家の者なのだから、
負けてはいけないのだから。父にそう言われてきたのだから
そんなことをシリアスに思うマルフォイ!!
ふと横をみると!
巨大な拳が!!
ジャイアン「つべこべ言わずに飛べっつーの!」
ボコン!!
陥没するマルフォイの顔面!!
マルフォイ「」
ジャイアン「俺の言うことがきけねぇのか!!!ぶん殴るぞ!」
ロン(僕の認識がたしかなら、宣言の前に殴るという行為が完結しているように見えるけどなぁ)
)
空中にいるハリー(つっこんじゃダメだよ。ロン)
羽根の生えた鍵が数百、大きな洞窟のような中を飛び回っている!!
ハーマイオニー「きっとあの鍵のなかのどれかが、奥の扉の鍵なのよ!」
ロン「でもあんなたにたくさん飛んでてどれが本物かわからないよ! それに結構早いよ」
先に進むには鍵が必要だ
ハリー「僕に任せて。これでもグリフィンドールのシーカーだからね」
ハリーは箒を取り出し、またがった! 飛行して鍵を掴み取るつもりだ!
ジャイアン「やいマルフォイ! お前もシーカーだろ! ハリーと一緒に飛べよ!」
ジャイアンはジロリとマルフォイをみる。
マルフォイ「…」
正直、マルフォイは箒の飛行技術でポッターに勝てる自信はなかった。
もちろん試合に負けるたびに殴られるのを避けるために、クィディッチの練習もかなりしたが、それでもポッターには天性のものがある。マルフォイは敵わない
ハリー「いいよ。僕一人で十分さ(フワッ)」
ハリーは箒の乗って飛び立った!
それを間近でみるマルフォイ。
―すごさを知った。一万キロ飛行という特訓をなした今のマルフォイだからこそ、ハリーのフォームの美しさがわかる。
とても二人だけで並んで飛ぶ気にはならない。プライドが許さない。
マルフォイ「はっ、ごめんだね。クィディッチのスター選手であるポッター様はみんなにいいところをみせたいんだろう?
ちょうどいいじゃないか」
だからあえて憎まれ口を聞く。自分は名家の出で才気もある、が、ポッターには及ばない。
そんな自分、自分のプライドを守るにはこうするしかない。だからポッターには皮肉や嫌味を言うのだ。
いつだってそうだった。
マルフォイ「…」
そう。ポッターは調子に乗っている英雄気取りの男。そういうことにしておけばいい。
心のどこかが、チクリと、ザワザワとするが、そうせざるえない。僕はマルフォイ家の者なのだから、
負けてはいけないのだから。父にそう言われてきたのだから
そんなことをシリアスに思うマルフォイ!!
ふと横をみると!
巨大な拳が!!
ジャイアン「つべこべ言わずに飛べっつーの!」
ボコン!!
陥没するマルフォイの顔面!!
マルフォイ「」
ジャイアン「俺の言うことがきけねぇのか!!!ぶん殴るぞ!」
ロン(僕の認識がたしかなら、宣言の前に殴るという行為が完結しているように見えるけどなぁ)
)
空中にいるハリー(つっこんじゃダメだよ。ロン)
253: 1 2012/09/14(金) 18:14:47.46 ID:zGb+CsROO
マルフォイ「や、だから」
ジャイアン「いい度胸だなぁ…俺に逆らうのか。」
ズコン!!
吹き飛ぶマルフォイ!
マルフォイ(むくっ)
もはやマルフォイはジャイアンのパンチ数発くらっても立ち上がれるくらいに丈夫になっているぞ!
マルフォイ「わかったよ!飛べばいいんだろう飛べば!!」
マルフォイは箒を魔法で呼び寄せ、またがった! もはやヤケクソである!
マルフォイ「みていろ。下層階級の家のやつらめ! これがマルフォイの飛行術だ」
フワー!
マルフォイはとびたった!
数百の鍵鳥が、マルフォイとハリーに襲い掛かる!
体中に鋭い痛みが走る!
このなかから本物の鍵を見つけ出して捕まえないといけない!
ハリーは持ち前の飛行技術で攻撃をかわしつつ、本物を探す!
マルフォイは鍵鳥の攻撃をボコボコくらいながら目を凝らす!
マルフォイ(くそ。なんて無様な姿を…)
チラリと眼下の剛田たちをみるマルフォイ
ジャイアン「頑張れマルフォイ!! ハリー!! 俺がついてるぞ!!」
ロン(ついてる、って…なにかしてるのかな?)「もう少しだよ!」
ハーマイオニー「右のほうから攻撃がくるわよ!」
誰も、笑ってなど、いない。見下してなど、いない。
マルフォイ「……」
マルフォイ「……ふん」
マルフォイは箒のスピードをあえてさらに遅くした。すると…
スババババババb!!!
結果、鍵鳥の攻撃がマルフォイに集中する!!
マルフォイ(…早くしろ、ポッター…)
ジャイアン「いい度胸だなぁ…俺に逆らうのか。」
ズコン!!
吹き飛ぶマルフォイ!
マルフォイ(むくっ)
もはやマルフォイはジャイアンのパンチ数発くらっても立ち上がれるくらいに丈夫になっているぞ!
マルフォイ「わかったよ!飛べばいいんだろう飛べば!!」
マルフォイは箒を魔法で呼び寄せ、またがった! もはやヤケクソである!
マルフォイ「みていろ。下層階級の家のやつらめ! これがマルフォイの飛行術だ」
フワー!
マルフォイはとびたった!
数百の鍵鳥が、マルフォイとハリーに襲い掛かる!
体中に鋭い痛みが走る!
このなかから本物の鍵を見つけ出して捕まえないといけない!
ハリーは持ち前の飛行技術で攻撃をかわしつつ、本物を探す!
マルフォイは鍵鳥の攻撃をボコボコくらいながら目を凝らす!
マルフォイ(くそ。なんて無様な姿を…)
チラリと眼下の剛田たちをみるマルフォイ
ジャイアン「頑張れマルフォイ!! ハリー!! 俺がついてるぞ!!」
ロン(ついてる、って…なにかしてるのかな?)「もう少しだよ!」
ハーマイオニー「右のほうから攻撃がくるわよ!」
誰も、笑ってなど、いない。見下してなど、いない。
マルフォイ「……」
マルフォイ「……ふん」
マルフォイは箒のスピードをあえてさらに遅くした。すると…
スババババババb!!!
結果、鍵鳥の攻撃がマルフォイに集中する!!
マルフォイ(…早くしろ、ポッター…)
254: 1 2012/09/14(金) 18:21:47.64 ID:zGb+CsROO
マルフォイに攻撃が集中したため、ハリーは動きやすくなった!
ハリーはそんなマルフォイを横目でみる
ハリー(…マルフォイ…? アイツ…)
ハーマイオニー「ハリー! 攻撃に加わっていない鍵がきっとホンモノよ!」
ハーミーちゃんは可愛い上に頭がいいので、そこに気づいた!
ハリー「そうか!」
ハリーは箒を一直線に目標へ向け、弾丸のように飛行した!!
パシッ!!
ハリー「取った!」
ハリーが掴み取った鍵はホンモノであり、それを使って鍵鳥の間から一同は抜け出し、進んだ!!
ハリー「ふー。危なかったー!」
ロン「きみたちって凄いよ!」
マルフォイ「…」
マルフォイは結構傷だらけだ!!
ジャイアン「マルフォイ!! おまえ!!」
マルフォイ「なんだ…?(ビクビク」
ジャイアン「根性あるなぁ…。見直したぜ!!」
マルフォイ「…!」
マルフォイはジャイアンに背を向け、先を急いだ。顔を見られたくなかったのだ。
マルフォイ「…有名なポッター様が目立ちたいようだから譲ってやっただけさ。なぁポッター?
さぞかし気分がいいだろうな?」
ハリーはマルフォイの嘲笑めいたその言葉を受けて、バツが悪そうに、だけどどこか嬉しいそうに笑う
ハリー「…最高の気分だよ。まるたで、クィディッチで最高のチームメイトにアシストされて勝ったときみたいな、ね」
マルフォイ「…ふん」
ハリーはそんなマルフォイを横目でみる
ハリー(…マルフォイ…? アイツ…)
ハーマイオニー「ハリー! 攻撃に加わっていない鍵がきっとホンモノよ!」
ハーミーちゃんは可愛い上に頭がいいので、そこに気づいた!
ハリー「そうか!」
ハリーは箒を一直線に目標へ向け、弾丸のように飛行した!!
パシッ!!
ハリー「取った!」
ハリーが掴み取った鍵はホンモノであり、それを使って鍵鳥の間から一同は抜け出し、進んだ!!
ハリー「ふー。危なかったー!」
ロン「きみたちって凄いよ!」
マルフォイ「…」
マルフォイは結構傷だらけだ!!
ジャイアン「マルフォイ!! おまえ!!」
マルフォイ「なんだ…?(ビクビク」
ジャイアン「根性あるなぁ…。見直したぜ!!」
マルフォイ「…!」
マルフォイはジャイアンに背を向け、先を急いだ。顔を見られたくなかったのだ。
マルフォイ「…有名なポッター様が目立ちたいようだから譲ってやっただけさ。なぁポッター?
さぞかし気分がいいだろうな?」
ハリーはマルフォイの嘲笑めいたその言葉を受けて、バツが悪そうに、だけどどこか嬉しいそうに笑う
ハリー「…最高の気分だよ。まるたで、クィディッチで最高のチームメイトにアシストされて勝ったときみたいな、ね」
マルフォイ「…ふん」
257: 1 2012/09/14(金) 18:28:49.49 ID:zGb+CsROO
~次の間~
等身大サイズの石像(チェスの駒)が設置されており、床はチェス盤になっている!
無視して通り過ぎようとすると、ポーンの駒に妨害された!!
ロン(そうか! 僕たちが駒に加わってチェスで勝てば先に進めるんだ!)
※ロンさんはチェスの達人です。
ロン「ねぇ! みんな! これってさ!」
ロンが声をかけようとしたのと同時に、ジャイアンはおもむろに持参していたバックのなかから、棍棒を取り出した!
ハリー「ジャイアン。それってクィディッチで使うやつ?」
ジャイアン「そうだぞ! ブラッジャーももってきてるぞ」
※忘れている人のために
ジャイアンのクィディッチにおけるポジションはビーターで、
ビーターはブラッジャーという暴れ球をぶったたいて敵にあてたりするポジションだ!
ハーマイオニー「ジャイアン…わかったわ! それを使うのね!(キラキラ)」
ハーマイオニーは嬉しそうに輝いた瞳でジャイアンをみる!
等身大サイズの石像(チェスの駒)が設置されており、床はチェス盤になっている!
無視して通り過ぎようとすると、ポーンの駒に妨害された!!
ロン(そうか! 僕たちが駒に加わってチェスで勝てば先に進めるんだ!)
※ロンさんはチェスの達人です。
ロン「ねぇ! みんな! これってさ!」
ロンが声をかけようとしたのと同時に、ジャイアンはおもむろに持参していたバックのなかから、棍棒を取り出した!
ハリー「ジャイアン。それってクィディッチで使うやつ?」
ジャイアン「そうだぞ! ブラッジャーももってきてるぞ」
※忘れている人のために
ジャイアンのクィディッチにおけるポジションはビーターで、
ビーターはブラッジャーという暴れ球をぶったたいて敵にあてたりするポジションだ!
ハーマイオニー「ジャイアン…わかったわ! それを使うのね!(キラキラ)」
ハーマイオニーは嬉しそうに輝いた瞳でジャイアンをみる!
258: 1 2012/09/14(金) 18:30:37.47 ID:zGb+CsROO
ジャイアン「よーし、いくぞ!」
ジャイアンはブラッジャーを取り出し
バコーン!!
棍棒でぶったたいた!
※ちなみにブラッジャーも棍棒はデフォルトで魔法で強度と速度が強化されているのだぞ!
どかーん!! 粉砕されるポーン!
ジャイアン「マルフォイ!」
マルフォイ「…アクシオ、ブラッジャー(呼び寄せ呪文)
ひゅーん! 戻ってくるブラッジャー!
ジャイアン「あらよ!!」
ばこーん!
再度ぶったたくジャイアン!
どかーん!!
粉砕されるナイト!
ジャイアン「マルフォイ!」
マルフォイ「アクシオ、ブラッジャー」
(略)
2分後
ジャイアン「どんなもんだい!」
等身大チェス盤上にはもはや石像の破片しか残されていなかった!!
これで先に進めるぞ!
ハーマイオニー「ジャイアン! あなたってすごいわ !(ピョンピョン!」
ハーマイオニーはキャッキャと小さくジャンプしてジャイアンに抱きつく!
ジャイアン「いやぁ…(デレデレ)」
ロン「」
ジャイアンはブラッジャーを取り出し
バコーン!!
棍棒でぶったたいた!
※ちなみにブラッジャーも棍棒はデフォルトで魔法で強度と速度が強化されているのだぞ!
どかーん!! 粉砕されるポーン!
ジャイアン「マルフォイ!」
マルフォイ「…アクシオ、ブラッジャー(呼び寄せ呪文)
ひゅーん! 戻ってくるブラッジャー!
ジャイアン「あらよ!!」
ばこーん!
再度ぶったたくジャイアン!
どかーん!!
粉砕されるナイト!
ジャイアン「マルフォイ!」
マルフォイ「アクシオ、ブラッジャー」
(略)
2分後
ジャイアン「どんなもんだい!」
等身大チェス盤上にはもはや石像の破片しか残されていなかった!!
これで先に進めるぞ!
ハーマイオニー「ジャイアン! あなたってすごいわ !(ピョンピョン!」
ハーマイオニーはキャッキャと小さくジャンプしてジャイアンに抱きつく!
ジャイアン「いやぁ…(デレデレ)」
ロン「」
260: 1 2012/09/14(金) 18:38:53.18 ID:zGb+CsROO
~次の間~
論理パズルを解けないと進めないぞ!
でもハーミーちゃんが頑張って解いたからすすめたぞ! カットだ!
~最後の間~
鏡がおいてある部屋だ! ちなみに部屋には誰もいない!
原作ではいたのに!
何故か!?
それはマルフォイの先行とジャイアンの存在によってここまでくるのが早くなったからだ!
ヴォルデモートさんの部下はまだ来ていないのだ! しかも原作と違って、ロンもハーマイオニーも
マルフォイもジャイアンもいるぞ!!
説明終わり! 以上!
ハリー「これは…みぞの鏡…」
ハリーが鏡の前にたつと…
ハリー「!?」
気づけばハリーの右手には賢者の石が!
ロン「ハリー、それって!」
ハーマイオニー「賢者の石だわ! やったわ!」
ひとまずこれで賢者の石がヴォルデモートの部下に取られることはなくなる、
そうすればヴォルデモートは復活できない
そうするとハリーは殺されない
ハリー、ロン、ハーマイオニー、ジャイアンは手を取り合って喜んだ! マルフォイはあくまで輪には加わらないぞ!
マルフォイ「…誰かくるぞ」
カツーン、カツーン、
足音が近づいてくる。
論理パズルを解けないと進めないぞ!
でもハーミーちゃんが頑張って解いたからすすめたぞ! カットだ!
~最後の間~
鏡がおいてある部屋だ! ちなみに部屋には誰もいない!
原作ではいたのに!
何故か!?
それはマルフォイの先行とジャイアンの存在によってここまでくるのが早くなったからだ!
ヴォルデモートさんの部下はまだ来ていないのだ! しかも原作と違って、ロンもハーマイオニーも
マルフォイもジャイアンもいるぞ!!
説明終わり! 以上!
ハリー「これは…みぞの鏡…」
ハリーが鏡の前にたつと…
ハリー「!?」
気づけばハリーの右手には賢者の石が!
ロン「ハリー、それって!」
ハーマイオニー「賢者の石だわ! やったわ!」
ひとまずこれで賢者の石がヴォルデモートの部下に取られることはなくなる、
そうすればヴォルデモートは復活できない
そうするとハリーは殺されない
ハリー、ロン、ハーマイオニー、ジャイアンは手を取り合って喜んだ! マルフォイはあくまで輪には加わらないぞ!
マルフォイ「…誰かくるぞ」
カツーン、カツーン、
足音が近づいてくる。
262: 1 2012/09/14(金) 18:46:13.28 ID:zGb+CsROO
姿を表したのは、クィレル先生だ!
クィレル「まさか、私よりさきにたどり着くとは、まぁいい。それを渡せ、我が主人のために」
クィレルは闇の帝王ヴォルデモートの部下だった。
ハリーたちはスネイプがそれだと思っていたが、それは間違いで、本当はスネイプはクィレルからハリーを守っていたのだ。
マルフォイ「やっぱりそうか。スネイプ先生がそんなことをするわけがないと思っていた」
ジャイアン「よかったぜ! スネイプ先生がワルモンだったらいやだもんな!」
スリザリン生二人はなんだかんだいってスネイプが結構好きなようだった。特にマルフォイにとっては
師匠のようなものだからだ。
クィレル(ヴォルデモート)「さぁ、早くするのだ…」
クィレルは闇の魔法力を放ち始めた。その身にヴォルデモートの精神を宿している!
すさまじいプレッシャーに子どもたちは恐れおののいた!
ロン「ど、どうしよう…?(ガタガタ)」
ハリー「いやだ! 母さんと父さんを殺したヤツなんかにわたしてたまるか!!」
ヴォルデモート「…渡せ。俺様が不完全な復活の状態とはいえ、一年生が使える魔法程度で俺様と渡り合えはしない
さらに…!シレンシオ(沈黙呪文)!」
ハーマイオニー「!…(んーっ! んーっ! 声が…出ない!」
ジャイアン(もがもが…!!俺様の美声が…!)
クィレル「まさか、私よりさきにたどり着くとは、まぁいい。それを渡せ、我が主人のために」
クィレルは闇の帝王ヴォルデモートの部下だった。
ハリーたちはスネイプがそれだと思っていたが、それは間違いで、本当はスネイプはクィレルからハリーを守っていたのだ。
マルフォイ「やっぱりそうか。スネイプ先生がそんなことをするわけがないと思っていた」
ジャイアン「よかったぜ! スネイプ先生がワルモンだったらいやだもんな!」
スリザリン生二人はなんだかんだいってスネイプが結構好きなようだった。特にマルフォイにとっては
師匠のようなものだからだ。
クィレル(ヴォルデモート)「さぁ、早くするのだ…」
クィレルは闇の魔法力を放ち始めた。その身にヴォルデモートの精神を宿している!
すさまじいプレッシャーに子どもたちは恐れおののいた!
ロン「ど、どうしよう…?(ガタガタ)」
ハリー「いやだ! 母さんと父さんを殺したヤツなんかにわたしてたまるか!!」
ヴォルデモート「…渡せ。俺様が不完全な復活の状態とはいえ、一年生が使える魔法程度で俺様と渡り合えはしない
さらに…!シレンシオ(沈黙呪文)!」
ハーマイオニー「!…(んーっ! んーっ! 声が…出ない!」
ジャイアン(もがもが…!!俺様の美声が…!)
264: 1 2012/09/14(金) 18:56:42.02 ID:zGb+CsROO
ヴォルデモート「ふはは! これで呪文も唱えられはせん!! お前らは一人残らず殺してやる!!」
ハリー(…やられる…!?)
ヴォルデモート「ふはははは!!泣き叫び、脅えるがいい!そして死の瞬間まで俺様をみていろ!お前らの目の光が消えるところがみたいのだ!!
ロン(…ひ、ひぃ…!殺される…!)
ヴォルデモート「フハハ!! …? ほう。お前は、ルシウス・マルフォイの息子だな?」
マルフォイ「…」
ハリー「!」
ヴォルデモート「どういういきさつでポッターと一緒にいるのかは知らないが、お前だけは助けてやってもいいぞ?」
マルフォイ「!?」
ヴォルデモート「助けてほしいか?」
マルフォイ(コクコク)
ヴォルデモート「くっくっ…他のものは殺してもかまわんのだな?
お前は純血の家系でスリザリンだ。…すばらしい!混血やマグル生まれの命など何の価値もないと言うわけだ!俺様の部下にふさわしい考えだ!」
マルフォイ(コクコク!)
ヴォルデモート「フハハ!! 素晴らしい! 素晴らしい闇の資質だ!!いいだろう助けてやる!我が下僕となれ!
お辞儀をするのだ!!」
マルフォイ「ペコリ」
ハリー(…)
ロン(…)
ハーンマイオニー(…)
ジャイアン(…マルフォイ…!)
ハリー(…やられる…!?)
ヴォルデモート「ふはははは!!泣き叫び、脅えるがいい!そして死の瞬間まで俺様をみていろ!お前らの目の光が消えるところがみたいのだ!!
ロン(…ひ、ひぃ…!殺される…!)
ヴォルデモート「フハハ!! …? ほう。お前は、ルシウス・マルフォイの息子だな?」
マルフォイ「…」
ハリー「!」
ヴォルデモート「どういういきさつでポッターと一緒にいるのかは知らないが、お前だけは助けてやってもいいぞ?」
マルフォイ「!?」
ヴォルデモート「助けてほしいか?」
マルフォイ(コクコク)
ヴォルデモート「くっくっ…他のものは殺してもかまわんのだな?
お前は純血の家系でスリザリンだ。…すばらしい!混血やマグル生まれの命など何の価値もないと言うわけだ!俺様の部下にふさわしい考えだ!」
マルフォイ(コクコク!)
ヴォルデモート「フハハ!! 素晴らしい! 素晴らしい闇の資質だ!!いいだろう助けてやる!我が下僕となれ!
お辞儀をするのだ!!」
マルフォイ「ペコリ」
ハリー(…)
ロン(…)
ハーンマイオニー(…)
ジャイアン(…マルフォイ…!)
267: 1 ◆96nReCEx6. 2012/09/14(金) 19:28:03.56 ID:zGb+CsROO
ヴォルデモートがマルフォイに悠然と歩み寄る。
ヴォルデモート「ではお前だけはたすけてやろう、我が下僕となるがいい。ドラコ・マルフォ…」
ヴォルデモートがわずかに気を緩めたその瞬間!!
パァン!!
マルフォイの杖から青白い閃光が放たれ! ヴォルデモートの杖を弾き飛ばした!!
ジャイアン「おお!?」
ハリー「ヴォルデモートの術が解けた! 声が出せるぞ!」
ハーマイオニー「杖を失ったせいよ!」
ヴォルデモートは焦りをあらわにし、叫ぶ!
ヴォルデモート「!? なんだと!! 沈黙呪文はかけておいた! 何故魔法が使える!!」
マルフォイは顔をあげ、不敵に笑う!
マルフォイ「無言呪文くらい、使えて当然だろう? 僕を誰だと思っているんだ?」
長ったらしい呪文を唱えている間にぶっ飛ばされ続けたマルフォイ
彼は必死の自主トレで、唱えなくても発動できる無言呪文を習得していたのだ(>>114)
使える呪文は得意とするエクスペリアームズ(武装解除)のみ、徒手による直接攻撃を得意とする
ものには効果が薄い。しかし、今このとき、その効果は絶大だった。
マルフォイ「杖を失うと何もできないのか?」
マルフォイはヴォルデモートに杖を向ける。
ヴォルデモート「ではお前だけはたすけてやろう、我が下僕となるがいい。ドラコ・マルフォ…」
ヴォルデモートがわずかに気を緩めたその瞬間!!
パァン!!
マルフォイの杖から青白い閃光が放たれ! ヴォルデモートの杖を弾き飛ばした!!
ジャイアン「おお!?」
ハリー「ヴォルデモートの術が解けた! 声が出せるぞ!」
ハーマイオニー「杖を失ったせいよ!」
ヴォルデモートは焦りをあらわにし、叫ぶ!
ヴォルデモート「!? なんだと!! 沈黙呪文はかけておいた! 何故魔法が使える!!」
マルフォイは顔をあげ、不敵に笑う!
マルフォイ「無言呪文くらい、使えて当然だろう? 僕を誰だと思っているんだ?」
長ったらしい呪文を唱えている間にぶっ飛ばされ続けたマルフォイ
彼は必死の自主トレで、唱えなくても発動できる無言呪文を習得していたのだ(>>114)
使える呪文は得意とするエクスペリアームズ(武装解除)のみ、徒手による直接攻撃を得意とする
ものには効果が薄い。しかし、今このとき、その効果は絶大だった。
マルフォイ「杖を失うと何もできないのか?」
マルフォイはヴォルデモートに杖を向ける。
270: 1 2012/09/14(金) 19:36:20.00 ID:zGb+CsROO
無言呪文を使える一年生など、ヴォルデモートは聞いたこともない。
それはヴォルデモートの、いや世界の常識や理屈の範疇を超えている。
ヴォルデモート「何故だ!?何故なのだ!?」
だが、マルフォイには使える。
当然のことだ。常識を超えた現象は、常識を超えた原因によって発生する
マルフォイのすぐ近くに、常識や理屈を超越した存在がいたから。
この一年、マルフォイのそばには理不尽の塊がありつづけた。
「むしゃくしゃしてるから殴らせろ!」
「新しいバットの殴り心地を確かめさせろ!」
「盗んだんじゃない、借りただけだ! ただ永久に返さないだけだ! ドロボーみたいに言うな!」
「正しいのはいつも俺だ!」
「どうだ? 旨いか?それとも美味しいか?」
「マルフォイのくせに生意気だぞ!!」
「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの!」
理不尽すぎる、ありえない。
それなのに何故か本気で憎めない。
とんでもないヤツなのに、思考回路がどう考えてもおかしいのに
何故か、嫌いにはなれない。そんな存在がいた。
だからマルフォイは強くなった。殴られないために?
それもある。でもきっと、それだけじゃない。
マルフォイ「嫌になるな。この僕がマグルに影響されて、変わるとは」
マルフォイ「…(スッ)」
マルフォイは高貴な家名に恥じぬ、完璧な決闘礼法を取る。杖を額にあて、降り下ろして敵を見据える!
その瞳、気高き古の貴族の如し!
マルフォイ「いくぞ。闇の帝王。いや『ヴォルデモート』」
それはヴォルデモートの、いや世界の常識や理屈の範疇を超えている。
ヴォルデモート「何故だ!?何故なのだ!?」
だが、マルフォイには使える。
当然のことだ。常識を超えた現象は、常識を超えた原因によって発生する
マルフォイのすぐ近くに、常識や理屈を超越した存在がいたから。
この一年、マルフォイのそばには理不尽の塊がありつづけた。
「むしゃくしゃしてるから殴らせろ!」
「新しいバットの殴り心地を確かめさせろ!」
「盗んだんじゃない、借りただけだ! ただ永久に返さないだけだ! ドロボーみたいに言うな!」
「正しいのはいつも俺だ!」
「どうだ? 旨いか?それとも美味しいか?」
「マルフォイのくせに生意気だぞ!!」
「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの!」
理不尽すぎる、ありえない。
それなのに何故か本気で憎めない。
とんでもないヤツなのに、思考回路がどう考えてもおかしいのに
何故か、嫌いにはなれない。そんな存在がいた。
だからマルフォイは強くなった。殴られないために?
それもある。でもきっと、それだけじゃない。
マルフォイ「嫌になるな。この僕がマグルに影響されて、変わるとは」
マルフォイ「…(スッ)」
マルフォイは高貴な家名に恥じぬ、完璧な決闘礼法を取る。杖を額にあて、降り下ろして敵を見据える!
その瞳、気高き古の貴族の如し!
マルフォイ「いくぞ。闇の帝王。いや『ヴォルデモート』」
278: 1 2012/09/14(金) 20:05:39.75 ID:zGb+CsROO
ヴォルデモート「そんな馬鹿な。ありえん!!」
マルフォイ「この程度で? 闇の帝王のくせに見識が狭いな。世の中には、もっともっともっともっと!!
ありえないヤツが!! いるんだよ!!!」
マルフォイはこの一年、たまりにたまったストレスを前面に押し出し唱えた!!
マルフォイ「セクタム…センプラ!!!!」
渾身の力を混めた切裂き呪文、それは、壮大な八つ当たりの意味もあった!
ヴォルデモート「!?…ぐはっ!!」
ヴォルデモートの憑依したクィレルの体に切り傷が浮かぶ!
マルフォイ「やれ!! ……ジャイアン!!!」
ジャイアン「お前…!!」
マルフォイ「なんだ!? お前はジャイアンなんじゃないのか!?さっさと行け!!!」
ジャイアン「…!任せとけ!! 俺はジャイアン!! ガキ大将!!天下無敵の男だぜ!」
ジャイアンはバット状の杖を手に突進!!
ヴォルデモート「今のは油断しただけだ。俺様の魔法防御を突破する魔法なぞ…きさまごと」
ジャイアン「コンニャロー!!」
ボコッ!!
バッド攻撃が炸裂! ジャイアンは小学生なのに金属バットで人を思いっきりぶん殴るのに慣れた恐ろしい
子だ! 魔法攻撃の防御とか意味無いぞ! 何故なら魔法じゃないからだ!
ヴォルデモートの顔面は陥没した!!
ヴォルデモート「」
マルフォイ「この程度で? 闇の帝王のくせに見識が狭いな。世の中には、もっともっともっともっと!!
ありえないヤツが!! いるんだよ!!!」
マルフォイはこの一年、たまりにたまったストレスを前面に押し出し唱えた!!
マルフォイ「セクタム…センプラ!!!!」
渾身の力を混めた切裂き呪文、それは、壮大な八つ当たりの意味もあった!
ヴォルデモート「!?…ぐはっ!!」
ヴォルデモートの憑依したクィレルの体に切り傷が浮かぶ!
マルフォイ「やれ!! ……ジャイアン!!!」
ジャイアン「お前…!!」
マルフォイ「なんだ!? お前はジャイアンなんじゃないのか!?さっさと行け!!!」
ジャイアン「…!任せとけ!! 俺はジャイアン!! ガキ大将!!天下無敵の男だぜ!」
ジャイアンはバット状の杖を手に突進!!
ヴォルデモート「今のは油断しただけだ。俺様の魔法防御を突破する魔法なぞ…きさまごと」
ジャイアン「コンニャロー!!」
ボコッ!!
バッド攻撃が炸裂! ジャイアンは小学生なのに金属バットで人を思いっきりぶん殴るのに慣れた恐ろしい
子だ! 魔法攻撃の防御とか意味無いぞ! 何故なら魔法じゃないからだ!
ヴォルデモートの顔面は陥没した!!
ヴォルデモート「」
290: 1 2012/09/14(金) 20:30:08.72 ID:zGb+CsROO
もちろんヴォルデモートのほうがマルフォイよりも圧倒的に強い、が、不意打ち、杖なし、復活体という悪条件が、
重なり、ヴォルさんは敗れ去った!
倒れふしたヴォルデモート「…何故だ。ルシウス・マルフォイの息子、お前は…」
マルフォイ「……知るものか」
ヴォルデモート「…ドラコ・マルフォイ、ジャイ・アン!…完全に復活した時には…貴様も殺してやる…!地べたに這いつくばらせてやる…!!!」
マルフォイ「やられるものか。狡猾残忍にして気高いい…。それが!僕らの誇るスリザリン魂だ」
ジャイアン「おう!!なんだかわからないがマルフォイの言うとおりだ!負けやしないぜ!!!」
」
ヴォルデモート「…(パタッ)」
こうして、一同は賢者の石を守り、闇の帝王を退けたのだった
エピローグに続く
重なり、ヴォルさんは敗れ去った!
倒れふしたヴォルデモート「…何故だ。ルシウス・マルフォイの息子、お前は…」
マルフォイ「……知るものか」
ヴォルデモート「…ドラコ・マルフォイ、ジャイ・アン!…完全に復活した時には…貴様も殺してやる…!地べたに這いつくばらせてやる…!!!」
マルフォイ「やられるものか。狡猾残忍にして気高いい…。それが!僕らの誇るスリザリン魂だ」
ジャイアン「おう!!なんだかわからないがマルフォイの言うとおりだ!負けやしないぜ!!!」
」
ヴォルデモート「…(パタッ)」
こうして、一同は賢者の石を守り、闇の帝王を退けたのだった
エピローグに続く
295: 1 2012/09/14(金) 20:37:27.70 ID:zGb+CsROO
~学年終業式、ホグワーツ、広場~
ダンブルドア校長「みんな一年間よくがんばったのぉ。では今年のホグワーツは今日で終わりじゃ。
最後に各寮の得点を発表して、寮杯の名誉を与えようぞ」
ジャイアンとマルフォイはスリザリンのテーブルに
ハリーたちはグリフィンドールのテーブルについている。
ダンブルドア「まずレイブンクローは…(略)
そして、グリフィンドールに駆け込みの点数を与えよう。まずはハーマイオニー・グレンジャー!
危機的な状況で知恵を使い、パズルを解いたことで、グリフィンドールに50点!」
ワ-ワ-!!ハーミ-チャ~ン!!カワイイヨ-!!オオキクナラナイデ-!!カミモキッチャダメー!!
ハーマイオニー「やったぁ! …うれしいわ!」
ダンブルドア「そしてハリー・ポッター! 見事な箒の腕前をみせ、悪漢から大切なものを守る力をしめしたことで
グリフィンドールに50点!!」
ワ-ワ-!!サスガハリーダゼ-!!!エラバレシモノ-!!メガネクール!!
ダンブルドア「グリフィンドールは以上じゃ! 続いてスリザリン!」
ロン「えっ」
ダンブルドア校長「みんな一年間よくがんばったのぉ。では今年のホグワーツは今日で終わりじゃ。
最後に各寮の得点を発表して、寮杯の名誉を与えようぞ」
ジャイアンとマルフォイはスリザリンのテーブルに
ハリーたちはグリフィンドールのテーブルについている。
ダンブルドア「まずレイブンクローは…(略)
そして、グリフィンドールに駆け込みの点数を与えよう。まずはハーマイオニー・グレンジャー!
危機的な状況で知恵を使い、パズルを解いたことで、グリフィンドールに50点!」
ワ-ワ-!!ハーミ-チャ~ン!!カワイイヨ-!!オオキクナラナイデ-!!カミモキッチャダメー!!
ハーマイオニー「やったぁ! …うれしいわ!」
ダンブルドア「そしてハリー・ポッター! 見事な箒の腕前をみせ、悪漢から大切なものを守る力をしめしたことで
グリフィンドールに50点!!」
ワ-ワ-!!サスガハリーダゼ-!!!エラバレシモノ-!!メガネクール!!
ダンブルドア「グリフィンドールは以上じゃ! 続いてスリザリン!」
ロン「えっ」
298: 1 2012/09/14(金) 20:42:07.86 ID:zGb+CsROO
ダンブルドア「弛まぬ努力で、かずかずの魔法を身につけ、勇気をしめしたことで、ドラコ・マルフォイに50点!」
オ~!! マルフォ~イ!! ヤルゼー ダテニオールバックジャナイゼー!!
マルフォイ「僕が…50点…!」
ジャイアン「やったな! マルフォイ!」
マルフォイ「あ、ああ」
ダンブルドア「続いてタケシ・ゴウダ!! これまでのホグワーツにはなかった熱い心と素晴らしい体力で
学校の危機を救ったことで、50点!!」
オ~ジャイア~ン!! ジャイア~ン!! ガキダイショー!! デベソナンテキニスルナヨー!!
ジャイアン「…!」
マルフォイ「どうした剛田?」
ジャイアン「俺…テストで50点もとるのなんて…始めてだ!!」
マルフォイ「そ、そうか」
ダンブルドア「以上で、駆け込みの加点は終わりじゃ!」
現在、グリフィンドール520点、スリザリン520点
同点!!
これは、引き分け、ダブル優勝か? と思われたそのとき!
ダンブルドア「続いて、減点じゃ! ドラコ・マルフォイ! 音楽室の竪琴を勝手に持ち出したことで、5点減点!」
ワーワーワーワー!!!
ダンブルドア「5点差で、優勝はグリフィンドール!!」
グリフィンドール生「いやっほーー!!!!」
マルフォイ「」
ジャイアン「」
オ~!! マルフォ~イ!! ヤルゼー ダテニオールバックジャナイゼー!!
マルフォイ「僕が…50点…!」
ジャイアン「やったな! マルフォイ!」
マルフォイ「あ、ああ」
ダンブルドア「続いてタケシ・ゴウダ!! これまでのホグワーツにはなかった熱い心と素晴らしい体力で
学校の危機を救ったことで、50点!!」
オ~ジャイア~ン!! ジャイア~ン!! ガキダイショー!! デベソナンテキニスルナヨー!!
ジャイアン「…!」
マルフォイ「どうした剛田?」
ジャイアン「俺…テストで50点もとるのなんて…始めてだ!!」
マルフォイ「そ、そうか」
ダンブルドア「以上で、駆け込みの加点は終わりじゃ!」
現在、グリフィンドール520点、スリザリン520点
同点!!
これは、引き分け、ダブル優勝か? と思われたそのとき!
ダンブルドア「続いて、減点じゃ! ドラコ・マルフォイ! 音楽室の竪琴を勝手に持ち出したことで、5点減点!」
ワーワーワーワー!!!
ダンブルドア「5点差で、優勝はグリフィンドール!!」
グリフィンドール生「いやっほーー!!!!」
マルフォイ「」
ジャイアン「」
303: 1 2012/09/14(金) 20:49:17.83 ID:zGb+CsROO
~終業式後、キングクロス駅~
ハリー、ロン、ハーマイオニー、ジャイアン、マルフォイがいる。
なお、マルフォイは顔面に5つのアザがある!!
なんでかって? スリザリンは5点差で負けたからさ!
ハリー「この一年、すごく楽しかったよ! 来年が楽しみだよ」
ロン「夏休みの間、手紙書くよ! よかったらみんなあそびにきてよ!」
ハーマイオニー「ホグワーツってホントにステキなところね!」
ジャイアン「さびしくなるなぁ…」
グリフィンドール勢は別れを告げ、去って行こうと…
したところでハーマイオニーが戻ってきてジャイアンに抱きついた!ッ!!ガバッ
ジャイアン「ハ、ハーミーちゃん!」
ハーマイオニー「また来年会いましょうね!」
ジャイアン「うん」
ハーマイオニー「ふふ。わたし勘違いしてたわ。スリザリンにもすばらしい魔法使いはいるのね♪」
ロン「」
ジャイアン「みんな元気でな!!」
マルフォイ「早く帰ればいいだろう。いつまでウロウロしてるんだ」
で、残されるジャイアンとマルフォイ
ジャイアン「よし、じゃあ俺もそろそろ帰るか! 駅の外で友達が待ってんだよ」
マルフォイ「そ、そうか…。あの狸か?」
ジャイアン「ドラえもんってんだぞ」
マルフォイ「屋敷しもべのことなんて知らなくてもいいさ」
ジャイアン「じゃあな! マルフォイ!」
マルフォイ「ああ…」
ジャイアンが後ろ姿をみせる。
マルフォイ「お、おい!!剛田!!」
ジャイアン「なんだよマルフォイ」
マルフォイはもじもじと立ち尽くし、しばらくしてから言った。
マルフォイ「また…な」
ジャイアン「おう! またな! お~れはジャイアーン!! ガーキ大将!♪」
ジャイアンは鼻歌を歌いながら立ち去っていった!
それをみて、マルフォイはおもわず吹き出し、そして周りにひとがいなかったか確認する。
マルフォイ「迷惑なヤツだ。だが、まぁ、…来年も付き合ってやるか」
こうしてジャイアンのホグワーツ一年目の生活は幕を閉じた。
日本からやってきた、理不尽で、傍若無人で、乱暴で、でも、涙もろくて、友達思いで。熱い。
そんな少年。
最近では見かけなくなったガキ大将。
そんな彼との魔法界の少年たちの出会いは、世界に小さな奇跡をもたらした。
<おわり>
ハリー、ロン、ハーマイオニー、ジャイアン、マルフォイがいる。
なお、マルフォイは顔面に5つのアザがある!!
なんでかって? スリザリンは5点差で負けたからさ!
ハリー「この一年、すごく楽しかったよ! 来年が楽しみだよ」
ロン「夏休みの間、手紙書くよ! よかったらみんなあそびにきてよ!」
ハーマイオニー「ホグワーツってホントにステキなところね!」
ジャイアン「さびしくなるなぁ…」
グリフィンドール勢は別れを告げ、去って行こうと…
したところでハーマイオニーが戻ってきてジャイアンに抱きついた!ッ!!ガバッ
ジャイアン「ハ、ハーミーちゃん!」
ハーマイオニー「また来年会いましょうね!」
ジャイアン「うん」
ハーマイオニー「ふふ。わたし勘違いしてたわ。スリザリンにもすばらしい魔法使いはいるのね♪」
ロン「」
ジャイアン「みんな元気でな!!」
マルフォイ「早く帰ればいいだろう。いつまでウロウロしてるんだ」
で、残されるジャイアンとマルフォイ
ジャイアン「よし、じゃあ俺もそろそろ帰るか! 駅の外で友達が待ってんだよ」
マルフォイ「そ、そうか…。あの狸か?」
ジャイアン「ドラえもんってんだぞ」
マルフォイ「屋敷しもべのことなんて知らなくてもいいさ」
ジャイアン「じゃあな! マルフォイ!」
マルフォイ「ああ…」
ジャイアンが後ろ姿をみせる。
マルフォイ「お、おい!!剛田!!」
ジャイアン「なんだよマルフォイ」
マルフォイはもじもじと立ち尽くし、しばらくしてから言った。
マルフォイ「また…な」
ジャイアン「おう! またな! お~れはジャイアーン!! ガーキ大将!♪」
ジャイアンは鼻歌を歌いながら立ち去っていった!
それをみて、マルフォイはおもわず吹き出し、そして周りにひとがいなかったか確認する。
マルフォイ「迷惑なヤツだ。だが、まぁ、…来年も付き合ってやるか」
こうしてジャイアンのホグワーツ一年目の生活は幕を閉じた。
日本からやってきた、理不尽で、傍若無人で、乱暴で、でも、涙もろくて、友達思いで。熱い。
そんな少年。
最近では見かけなくなったガキ大将。
そんな彼との魔法界の少年たちの出会いは、世界に小さな奇跡をもたらした。
<おわり>
304: 1 2012/09/14(金) 20:50:41.10 ID:zGb+CsROO
<おまけ>
~ジャイアンの家~
ジャイアン「ただいま~」
ジャイ母「タケシ! 学校はどうだったかい!?」
ジャイ子「お兄ちゃん! ワタシにもホグワーツから手紙がきたわ!。来年からは魔法学校にいくわよ」
ジャイアン「そうか! 妹よ~!! そうだ! 向こうの学校の友達の写真、みるか?」
ジャイ子「みるみる!」
ジャイアン「コイツがハリーで、この子がハーミーちゃんで」
ジャイ子「お兄ちゃん、この、背の高い赤毛の人は?」
ジャイアン「ん? ああコイツはロンだな」
ジャイ子「素敵な人ね」
ジャイアン「おぁ! そうか!! よし兄ちゃんに任せとけ! 来年入学したら! 仲良くさせるからよ!!」
ジャイ子「恥かしいわ~!」
ジャイアン「コイツなら俺の弟にしてもいいな!ジャイ子に愛されるなんて幸せもんだ! まさか嫌とは言わないだろう!」
ジャイ子「気が早いよ~お兄ちゃん!」
~ロンの家~
ロン「ヘックション!…ブルブル…」
アーサー・ロンの父親「どうしたロン? 風邪かい?」
ロン「いや、なんか…寒気が…。まるで、将来の結婚相手が誰かのせいで別の人になってしまったような、変な感じが」
アーサー「ははは、何言ってるんだ。予言の授業はまだ受けてないだろう?」
これは、日本からきた少年がもたらした。運命の、変化。
<本当に、おしまい>
305: 名も無き被検体774号+ 2012/09/14(金) 20:52:30.10 ID:jOteZGHs0
えがった、とてもえがった!
307: 名も無き被検体774号+ 2012/09/14(金) 20:54:28.83 ID:nykCOo63O
楽しませて貰ったフォイ
309: 名も無き被検体774号+ 2012/09/14(金) 20:56:47.02 ID:d73gbjZo0
いい話だったフォイ
引用元: ジャイアン「ホグワーツ魔法魔術学校?」
のび太「ドラえもんが消えて、もう10年か……」
2019-09-05
1: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/10(日)19:27:56 ID:MOZaDl5ts
思わず、曇り空に向かって呟いてしまった。
高校を卒業した後、僕は大学には行かなかった。確か、ドラえもんは僕が1浪して大学に行くと言ってたけど、大学は到底無理だった。
今僕が働いているのは、しがない中小企業だ。これも、ドラえもんが言っていたのとは違う。就職活動に失敗することもなく、起業することもなく、高校卒業した後に、いとも普通に就職をした。
……まあ、これが人生なのかもしれない。ちょっとしたことで、未来は変わるのかもしれない。
未来ってのは、なんとも脆いものなんだろうな。
高校を卒業した後、僕は大学には行かなかった。確か、ドラえもんは僕が1浪して大学に行くと言ってたけど、大学は到底無理だった。
今僕が働いているのは、しがない中小企業だ。これも、ドラえもんが言っていたのとは違う。就職活動に失敗することもなく、起業することもなく、高校卒業した後に、いとも普通に就職をした。
……まあ、これが人生なのかもしれない。ちょっとしたことで、未来は変わるのかもしれない。
未来ってのは、なんとも脆いものなんだろうな。
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8: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/10(日)19:38:49 ID:MOZaDl5ts
会社での生活は、学校の時と何一つ変わらない。
毎日上司に怒られて、落ち込んで……
――だけど、あの頃と違うものもある。
ローカル線沿いにある小さな古いアパートが、今の僕の家だ。
実家から通うことも出来たけど、父さんも母さんももう歳だ。僕が独り立ちすれば少しは安心するだろうし、穏やかな老後を過ごすことが出来るだろう。
薄暗い部屋の電気を付ければ、1Kの小さな部屋に明かりが灯される。
部屋には必要最低限のものしかない。テレビ、冷蔵庫、コンロ、電子レンジ……
寂しい部屋ではあるが、これが、僕の住まいだ。
毎日上司に怒られて、落ち込んで……
――だけど、あの頃と違うものもある。
ローカル線沿いにある小さな古いアパートが、今の僕の家だ。
実家から通うことも出来たけど、父さんも母さんももう歳だ。僕が独り立ちすれば少しは安心するだろうし、穏やかな老後を過ごすことが出来るだろう。
薄暗い部屋の電気を付ければ、1Kの小さな部屋に明かりが灯される。
部屋には必要最低限のものしかない。テレビ、冷蔵庫、コンロ、電子レンジ……
寂しい部屋ではあるが、これが、僕の住まいだ。
11: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/10(日)19:50:43 ID:MOZaDl5ts
誰もいない部屋の隅に鞄を置き、スーツのままボロボロの畳に寝転がった。
もう見慣れた天井。相変わらず染みだらけだ。スーツもずっと着続けているからか、ところどころ色落ちしている。
「………」
――ふと、部屋の片隅にある事務机に目をやった。
机の上には仕事のために買ったノートパソコンと、仕事で使う資料が置かれている。マンガはない。
布団から立ち上がり、机に歩み寄る。そして、しばらく机を見つめた後、静かに引き出しを開けてみた。
――当然だけど、引き出しの中には、何もなかった。
もう見慣れた天井。相変わらず染みだらけだ。スーツもずっと着続けているからか、ところどころ色落ちしている。
「………」
――ふと、部屋の片隅にある事務机に目をやった。
机の上には仕事のために買ったノートパソコンと、仕事で使う資料が置かれている。マンガはない。
布団から立ち上がり、机に歩み寄る。そして、しばらく机を見つめた後、静かに引き出しを開けてみた。
――当然だけど、引き出しの中には、何もなかった。
15: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/10(日)20:02:30 ID:MOZaDl5ts
次の休みの日、久しぶりに、僕らは集まった。
「――ホント、久しぶりだな!!」
ジャイアンは、相変わらず豪快に笑う。
彼は今、企業の社長をしている。高校を卒業した後、彼は一度就職した。だが、そこはかなりのブラック企業だったらしく、部下を何とも思わない心無い上司に激怒し、半ばケンカ別れのように辞職した。そして、自分で会社を立ち上げたんだ。
会社は好調のようだ。それは偏に、彼の人柄のおかげだろう。部下を大切にし、得意先に社長自ら赴き交渉する。引く時には引き、行くときには行く。彼のいい部分が、全面的に作用しているようだ。
「ジャイアン、相変わらず声が大きいなぁ……」
スネ夫は苦笑いをしながら、ビールをちびちび飲んでいた。
彼は今、デザイナーを目指している。なんでも、その道で有名な人に頼み込んで、弟子入りをしたとか。
彼は父親の会社を継がなかった。両親とはかなり口論となったようだが、父の会社を振り切り、自らの道を切り開いたんだ。今では、両親も彼を応援している。だが彼は、両親の支援を一切受けていない。『夢は自分の力だけで叶えたい』……それが、彼の言葉だった。
「――ホント、久しぶりだな!!」
ジャイアンは、相変わらず豪快に笑う。
彼は今、企業の社長をしている。高校を卒業した後、彼は一度就職した。だが、そこはかなりのブラック企業だったらしく、部下を何とも思わない心無い上司に激怒し、半ばケンカ別れのように辞職した。そして、自分で会社を立ち上げたんだ。
会社は好調のようだ。それは偏に、彼の人柄のおかげだろう。部下を大切にし、得意先に社長自ら赴き交渉する。引く時には引き、行くときには行く。彼のいい部分が、全面的に作用しているようだ。
「ジャイアン、相変わらず声が大きいなぁ……」
スネ夫は苦笑いをしながら、ビールをちびちび飲んでいた。
彼は今、デザイナーを目指している。なんでも、その道で有名な人に頼み込んで、弟子入りをしたとか。
彼は父親の会社を継がなかった。両親とはかなり口論となったようだが、父の会社を振り切り、自らの道を切り開いたんだ。今では、両親も彼を応援している。だが彼は、両親の支援を一切受けていない。『夢は自分の力だけで叶えたい』……それが、彼の言葉だった。
17: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/10(日)20:09:38 ID:MOZaDl5ts
「二人とも、本当に立派になったよな……」
笑ながら話す二人を見ていて、言葉が漏れていた。
「よせやいのび太。そんなんじゃねえよ」
「そうそう。お前だって、ちゃんと働いてるじゃないか」
「……僕は、ただそれだけだよ。何かをしようとしているわけでもない。ただスーツに着替えて、会社に行って、怒られてるだけだ……」
「……そんなに卑屈になるなよ。働いてるってのは、大人になったってことなんだよ」
「そ、それより、今日はしずかちゃんは来ないの?」
スネ夫は慌てながら話題を逸らした。気を、遣わせてしまったかもしれない。
「……しずかちゃんは、今日は仕事だよ」
「そっか……残念だな」
「しょうがないよ。しずかちゃんは、大手の企業に勤めているからね。――出木杉と一緒に……」
「………」
笑ながら話す二人を見ていて、言葉が漏れていた。
「よせやいのび太。そんなんじゃねえよ」
「そうそう。お前だって、ちゃんと働いてるじゃないか」
「……僕は、ただそれだけだよ。何かをしようとしているわけでもない。ただスーツに着替えて、会社に行って、怒られてるだけだ……」
「……そんなに卑屈になるなよ。働いてるってのは、大人になったってことなんだよ」
「そ、それより、今日はしずかちゃんは来ないの?」
スネ夫は慌てながら話題を逸らした。気を、遣わせてしまったかもしれない。
「……しずかちゃんは、今日は仕事だよ」
「そっか……残念だな」
「しょうがないよ。しずかちゃんは、大手の企業に勤めているからね。――出木杉と一緒に……」
「………」
19: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/10(日)20:16:27 ID:MOZaDl5ts
それから、僕らは夜遅くまで宴会をして別れた。
二人とも、立派に自分の道を歩いている。……片や、僕はどうだろう……
(……僕は、ダメだな……)
考えれば考える程、鬱な気持ちになってくる。もしドラえもんがいたのなら、助けてくれたかもしれない。
……でも、彼はもういない。そして、いくら考えても、何か現状が変わるわけでもない。
(……帰るかな……)
考えるのを止めた僕は、夜道を再び歩き出した。空を見上げてみたけど、あいにく星は見えなかった。雲に隠れた朧月だけが、逃げるように光を放っていた。
二人とも、立派に自分の道を歩いている。……片や、僕はどうだろう……
(……僕は、ダメだな……)
考えれば考える程、鬱な気持ちになってくる。もしドラえもんがいたのなら、助けてくれたかもしれない。
……でも、彼はもういない。そして、いくら考えても、何か現状が変わるわけでもない。
(……帰るかな……)
考えるのを止めた僕は、夜道を再び歩き出した。空を見上げてみたけど、あいにく星は見えなかった。雲に隠れた朧月だけが、逃げるように光を放っていた。
20: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/10(日)20:25:58 ID:MOZaDl5ts
「――野比!!何度言わせるんだ!!」
「す、すみません……!!」
オフィスの一角で、僕は相変わらず上司に怒鳴らていた。提出した書類に、不備があったからだ。
「……まったくお前は、なぜそういつもいつもミスばかりするんだ。お前が作ってるのは、ただの紙きれじゃないんだぞ?この会社の、必要な書類なんだ。少しは自覚しろ」
「はい……」
この上司は、本当に口煩い。だけど、本当は優しいのも僕は知っている。以前僕がとても大きなミスを犯した時、必死に僕を守ってくれた。そのおかげで、なんとか始末書だけで済んだことがある。
感謝はしているが、こう毎日毎日怒鳴られては凹むものは凹む。
……まあ、僕が悪いんだけど……
「――大変だったね……」
落ち込み通路のソファーに座ってると、突然横から声をかけられた。
「咲子さん……」
「お疲れ様。のび太くん」
……咲子さんは、いつもと変わらない笑顔を僕に向けていた。
「す、すみません……!!」
オフィスの一角で、僕は相変わらず上司に怒鳴らていた。提出した書類に、不備があったからだ。
「……まったくお前は、なぜそういつもいつもミスばかりするんだ。お前が作ってるのは、ただの紙きれじゃないんだぞ?この会社の、必要な書類なんだ。少しは自覚しろ」
「はい……」
この上司は、本当に口煩い。だけど、本当は優しいのも僕は知っている。以前僕がとても大きなミスを犯した時、必死に僕を守ってくれた。そのおかげで、なんとか始末書だけで済んだことがある。
感謝はしているが、こう毎日毎日怒鳴られては凹むものは凹む。
……まあ、僕が悪いんだけど……
「――大変だったね……」
落ち込み通路のソファーに座ってると、突然横から声をかけられた。
「咲子さん……」
「お疲れ様。のび太くん」
……咲子さんは、いつもと変わらない笑顔を僕に向けていた。
31: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/10(日)20:48:04 ID:MOZaDl5ts
「――もう、のび太くんは本当にいっつも怒られてるよね」
「う、うん……ごめん……」
「なんで私に謝るのよ。だいたいのび太くんはね、ちょっと気が弱すぎるよ?もうちょっと男らしくしてみたら?」
咲子さんは、ちょっと気が強い。こうやって毎回慰めてくれてはいるが……けっこう、言葉がキツイ。
「……ってことで、ちょっと言ってみて!!」
「……え?え?」
「もしかして、聞いてなかった?」
「ああ……ご、ごめん……」
「はあ……もういいわ。――はい、じゃあ私の言葉に続いて!」
「う、うん!」
「――今度!」
「こ、今度!」
「お礼に!」
「お礼に!」
「食事でも!」
「食事でも!」
「行きませんか?」
「行きませんか?」
「――ええいいわ!行きましょ!」
「………へ?」
「う、うん……ごめん……」
「なんで私に謝るのよ。だいたいのび太くんはね、ちょっと気が弱すぎるよ?もうちょっと男らしくしてみたら?」
咲子さんは、ちょっと気が強い。こうやって毎回慰めてくれてはいるが……けっこう、言葉がキツイ。
「……ってことで、ちょっと言ってみて!!」
「……え?え?」
「もしかして、聞いてなかった?」
「ああ……ご、ごめん……」
「はあ……もういいわ。――はい、じゃあ私の言葉に続いて!」
「う、うん!」
「――今度!」
「こ、今度!」
「お礼に!」
「お礼に!」
「食事でも!」
「食事でも!」
「行きませんか?」
「行きませんか?」
「――ええいいわ!行きましょ!」
「………へ?」
33: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/10(日)21:03:28 ID:MOZaDl5ts
次の休日、僕はなぜか咲子さんと街を歩いていた。
……そう言えば、紹介が遅れていた。
花賀咲子さんは、僕の仕事場の同僚だ。小学生の時にドラえもんが道具の“ガールフレンド・カタログ”で見たことがあった。……もっとも、それを思い出したのは、ごく最近だが。
咲子さんは、職場では人気者だ。仕事が出来て、明るくて、世話好き。彼女がいるところからは、いつもみんなの笑い声が聞こえてきていた。
僕は、咲子さんとは同期になる。同じ時期に入社したのだが、全然ダメな僕とは全然違う。
正直に言えば、少しだけ、嫉妬してしまってる。
「――それでのび太くん。今から、どこに連れてってくれるの?」
「え、ええ?僕が決めるの?」
「当然でしょ。男なんだし」
「……それは偏見だよ……」
「いいから!ほら、さっさと決めて!」
無茶振りされても困る。こうやって女の人と出かけたことなんて、しずかちゃんぐらいしかないのに……
でも、咲子さんは何かを期待するように僕を見ていた。何か決めないと、またどやされる。
「……じゃあ……え、映画…とか?」
「う~ん……ちょっとベタすぎるけど……まあ合格ね。――さ!行きましょ!」
僕の前で一度クルリと回った咲子さんは、そのまま歩き出した。しかたなく、僕もそれに続くのだった。
「」
……そう言えば、紹介が遅れていた。
花賀咲子さんは、僕の仕事場の同僚だ。小学生の時にドラえもんが道具の“ガールフレンド・カタログ”で見たことがあった。……もっとも、それを思い出したのは、ごく最近だが。
咲子さんは、職場では人気者だ。仕事が出来て、明るくて、世話好き。彼女がいるところからは、いつもみんなの笑い声が聞こえてきていた。
僕は、咲子さんとは同期になる。同じ時期に入社したのだが、全然ダメな僕とは全然違う。
正直に言えば、少しだけ、嫉妬してしまってる。
「――それでのび太くん。今から、どこに連れてってくれるの?」
「え、ええ?僕が決めるの?」
「当然でしょ。男なんだし」
「……それは偏見だよ……」
「いいから!ほら、さっさと決めて!」
無茶振りされても困る。こうやって女の人と出かけたことなんて、しずかちゃんぐらいしかないのに……
でも、咲子さんは何かを期待するように僕を見ていた。何か決めないと、またどやされる。
「……じゃあ……え、映画…とか?」
「う~ん……ちょっとベタすぎるけど……まあ合格ね。――さ!行きましょ!」
僕の前で一度クルリと回った咲子さんは、そのまま歩き出した。しかたなく、僕もそれに続くのだった。
「」
36: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/10(日)21:40:59 ID:MOZaDl5ts
「――面白かったね!!」
「う、うん……」
映画館を出た後、咲子さんは上機嫌だった。よほど気に入ったようだ。
映画は、咲子さんが選んだ。というより、僕は何もしていない。映画館に着くなり、咲子さんは有無を言わさずその映画のチケットを購入したからだ。
咲子さんが選んだ映画は、外国の恋愛ものだった。まあ、よくあるパターンの映画だから、内容は割愛しよう。
ただ、僕としては少し退屈なものだった。もちろん、それは彼女には言わないけど。だって彼女はこんなに上機嫌なんだ。それにわざわざ水を差すこともないだろう。
「ねえねえ!次、どこ行こっか!」
「つ、次?ええと……」
「もう……女の子とデートするんだよ?デートプランくらい立ててよね」
「で、デート!?」
「何驚いてるのよ。当然じゃない」
「ま、まあそうなんだけど……」
……全然、そんな自覚なかった。昼過ぎに集まるように言われてたから、晩御飯まで時間つぶしのために映画を選んだんだけど……これは、デートだったのか……
「まあいいわ。じゃ、ついて来て」
「え?で、でも……」
「いいからいいから!ほら!」
咲子さんは、僕の腕を引っ張り始めた。人通りの多い道路を、僕らは歩く。すれ違う人は不思議に思うかもしれないな。笑顔で男を連れまわす女性と、腕を引っ張りまわされる男。
(完全に、立場が逆だな……)
そうは思いつつも、なされるがままになるしかなかった。
「う、うん……」
映画館を出た後、咲子さんは上機嫌だった。よほど気に入ったようだ。
映画は、咲子さんが選んだ。というより、僕は何もしていない。映画館に着くなり、咲子さんは有無を言わさずその映画のチケットを購入したからだ。
咲子さんが選んだ映画は、外国の恋愛ものだった。まあ、よくあるパターンの映画だから、内容は割愛しよう。
ただ、僕としては少し退屈なものだった。もちろん、それは彼女には言わないけど。だって彼女はこんなに上機嫌なんだ。それにわざわざ水を差すこともないだろう。
「ねえねえ!次、どこ行こっか!」
「つ、次?ええと……」
「もう……女の子とデートするんだよ?デートプランくらい立ててよね」
「で、デート!?」
「何驚いてるのよ。当然じゃない」
「ま、まあそうなんだけど……」
……全然、そんな自覚なかった。昼過ぎに集まるように言われてたから、晩御飯まで時間つぶしのために映画を選んだんだけど……これは、デートだったのか……
「まあいいわ。じゃ、ついて来て」
「え?で、でも……」
「いいからいいから!ほら!」
咲子さんは、僕の腕を引っ張り始めた。人通りの多い道路を、僕らは歩く。すれ違う人は不思議に思うかもしれないな。笑顔で男を連れまわす女性と、腕を引っ張りまわされる男。
(完全に、立場が逆だな……)
そうは思いつつも、なされるがままになるしかなかった。
52: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/10(日)22:03:08 ID:MOZaDl5ts
「――ふ~。さすがに疲れたね。ちょっと休憩しよ」
少しだけ強く息を吐いた咲子さんは、ショッピングモールの片隅にあるベンチに座り込んだ。そして僕もまた、そこに座った。
「……賛成」
さんざん町内を連れまわされた僕は、けっこう限界に来ていた。さすがの咲子さんも疲れたようだが……それでもまだ余裕がある。タフだな、この人。
「私、ちょっと飲み物買って来るね」
「うん。分かった」
「待っててね!」
そう言い残し、咲子さんは走り去って行った。遠くなる彼女の背中を見送った後、上を見上げてみた。
ショッピングモールの天井は透かし窓になっていて、青い空が見えていた。雲はゆっくりと進んでいる。こんな日は河原で昼寝でもしたいものだが……
「……なんでこんなことになったのやら」
心の声が、漏れてしまった。
「――あら?」
背後から、何かに気付いた声が聞こえた。どこか、聞き覚えのある声だった。僕は無意識に、後ろを振り返った。
「ん?」
そこにいた人物を見た僕は、思わず立ち上がった。
「……しずかちゃん……」
「……久しぶりね。のび太さん……」
――実に、1年ぶりの再会だった……
少しだけ強く息を吐いた咲子さんは、ショッピングモールの片隅にあるベンチに座り込んだ。そして僕もまた、そこに座った。
「……賛成」
さんざん町内を連れまわされた僕は、けっこう限界に来ていた。さすがの咲子さんも疲れたようだが……それでもまだ余裕がある。タフだな、この人。
「私、ちょっと飲み物買って来るね」
「うん。分かった」
「待っててね!」
そう言い残し、咲子さんは走り去って行った。遠くなる彼女の背中を見送った後、上を見上げてみた。
ショッピングモールの天井は透かし窓になっていて、青い空が見えていた。雲はゆっくりと進んでいる。こんな日は河原で昼寝でもしたいものだが……
「……なんでこんなことになったのやら」
心の声が、漏れてしまった。
「――あら?」
背後から、何かに気付いた声が聞こえた。どこか、聞き覚えのある声だった。僕は無意識に、後ろを振り返った。
「ん?」
そこにいた人物を見た僕は、思わず立ち上がった。
「……しずかちゃん……」
「……久しぶりね。のび太さん……」
――実に、1年ぶりの再会だった……
54: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/10(日)22:17:29 ID:MOZaDl5ts
「本当に久しぶりだね。今日はどうしたの?」
「……ちょっと職場の買い物。のび太さんは?」
「……僕も、買い物だよ」
「………」
「………」
沈黙が、僕達を包んでいた。
本当は色々と話したいことがあった。ジャイアンのこと。スネ夫のこと。僕のこと。そして聞きたかった。しずかちゃんのことを……
だけど、こうして思いがけず会うと、なぜか言葉たちが引っ込んでしまっていた。
それでも、言葉こそないが、とても懐かしい雰囲気だった。とても心地よい、あったかい雰囲気だった。
ただ、いつまでもこうして黙っておくわけにもいかなかった。
「……しずかちゃん、仕事忙しそうだね」
「う、うん……休みがほとんどないわ」
「そっか……大変だね」
「うん。でも、とても充実してるわ」
「そっか……。――あ、でも、体には気をつけてよ?忙しい時こそ、体調を壊しやすいんだし」
「そのあたりは大丈夫よ。相変わらず心配性ね、のび太さん。フフフ」
「しずかちゃんこそ。相変わらずだね。フフフ」
「………」
「………」
……再び、沈黙が訪れた。
「……ちょっと職場の買い物。のび太さんは?」
「……僕も、買い物だよ」
「………」
「………」
沈黙が、僕達を包んでいた。
本当は色々と話したいことがあった。ジャイアンのこと。スネ夫のこと。僕のこと。そして聞きたかった。しずかちゃんのことを……
だけど、こうして思いがけず会うと、なぜか言葉たちが引っ込んでしまっていた。
それでも、言葉こそないが、とても懐かしい雰囲気だった。とても心地よい、あったかい雰囲気だった。
ただ、いつまでもこうして黙っておくわけにもいかなかった。
「……しずかちゃん、仕事忙しそうだね」
「う、うん……休みがほとんどないわ」
「そっか……大変だね」
「うん。でも、とても充実してるわ」
「そっか……。――あ、でも、体には気をつけてよ?忙しい時こそ、体調を壊しやすいんだし」
「そのあたりは大丈夫よ。相変わらず心配性ね、のび太さん。フフフ」
「しずかちゃんこそ。相変わらずだね。フフフ」
「………」
「………」
……再び、沈黙が訪れた。
58: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/10(日)22:33:54 ID:MOZaDl5ts
流れる沈黙の中で、必死に自分を奮い立たせていた。今しかない。今しか、チャンスはない……
震える唇を噛み締めて、ようやく、声を絞り出した。
「……ええと、しずかちゃん」
「……なぁに?」
「こ、今度、二人でご飯でも―――」
「――ごめんしずか!資料がなかなか見つからなくて!待たせてしまっ―――」
「―――」
……あと少しのとこまで来ていた言葉は、再び喉の奥へと逃げていった。いや、正確には、飲み込んでしまった。
しずかちゃんの元に駆けよって来た、その人物を見たせいで―――
「……で、出木杉……」
「……野比、くん……」
「で、出木杉さん……」
「………」
三人とも、言葉を失ってしまった。まるで石になったかのように、全員動けずにいた。
――そんな僕らに向かって、更に声がかかった。
「――のび太くんお待たせ!自動販売機が思ったより遠く…て……」
「……さ、咲子さん……」
「………」
その場に固まるのが、4人に増えてしまった。
震える唇を噛み締めて、ようやく、声を絞り出した。
「……ええと、しずかちゃん」
「……なぁに?」
「こ、今度、二人でご飯でも―――」
「――ごめんしずか!資料がなかなか見つからなくて!待たせてしまっ―――」
「―――」
……あと少しのとこまで来ていた言葉は、再び喉の奥へと逃げていった。いや、正確には、飲み込んでしまった。
しずかちゃんの元に駆けよって来た、その人物を見たせいで―――
「……で、出木杉……」
「……野比、くん……」
「で、出木杉さん……」
「………」
三人とも、言葉を失ってしまった。まるで石になったかのように、全員動けずにいた。
――そんな僕らに向かって、更に声がかかった。
「――のび太くんお待たせ!自動販売機が思ったより遠く…て……」
「……さ、咲子さん……」
「………」
その場に固まるのが、4人に増えてしまった。
60: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/10(日)22:46:35 ID:MOZaDl5ts
「……やあ野比くん。久しぶりだね」
沈黙の中、一番最初に口を開いたのは出木杉だった。
「あ、ああ。久しぶりだね……」
「今日は、出木杉さんと職場の備品を買いにきてたのよ……ね?出木杉さん?」
「そうなんだ。しずかと、二人きりで、ね……」
「………」
久々に会った出木杉は、しずかちゃんを呼び捨てにしていた。そして、二人で出かけていたことを、やけに強調させる。
今の彼は、以前会った時とは全く違う。――まるで、僕に対して、威嚇をするようだった。
「……ところでのび太さん。その人は?」
しずかちゃんは僕の背後に立つ咲子さんに視線を向けた。
「あ、ああ。この子は……」
「―――ッ」
そう言いかけたところで、咲子さんは僕の前に出た。そして、しずかちゃんの正面に立ち、少し速めに一度だけ会釈をした。
「……初めまして。私、花賀咲子といいます。のび太くんとは、職場の同僚です」
「え、ええ……はじめまして。源しずかです。よろしく」
「……出木杉です。花賀さんは、野比くんとお出かけかな?」
「ええそうですよ。今日は、二人で出かけてるんです。」
「………」
「のび太くん。もう行こ」
「え?――あ、ちょ、ちょっと――」
咲子さんは、僕の手を強引に掴み、ツカツカとその場を離れはじめた。慌ててしずかちゃんの方を見る。しずかちゃんは、一度僕に視線を送り、そのまま出木杉と歩いて行った……
沈黙の中、一番最初に口を開いたのは出木杉だった。
「あ、ああ。久しぶりだね……」
「今日は、出木杉さんと職場の備品を買いにきてたのよ……ね?出木杉さん?」
「そうなんだ。しずかと、二人きりで、ね……」
「………」
久々に会った出木杉は、しずかちゃんを呼び捨てにしていた。そして、二人で出かけていたことを、やけに強調させる。
今の彼は、以前会った時とは全く違う。――まるで、僕に対して、威嚇をするようだった。
「……ところでのび太さん。その人は?」
しずかちゃんは僕の背後に立つ咲子さんに視線を向けた。
「あ、ああ。この子は……」
「―――ッ」
そう言いかけたところで、咲子さんは僕の前に出た。そして、しずかちゃんの正面に立ち、少し速めに一度だけ会釈をした。
「……初めまして。私、花賀咲子といいます。のび太くんとは、職場の同僚です」
「え、ええ……はじめまして。源しずかです。よろしく」
「……出木杉です。花賀さんは、野比くんとお出かけかな?」
「ええそうですよ。今日は、二人で出かけてるんです。」
「………」
「のび太くん。もう行こ」
「え?――あ、ちょ、ちょっと――」
咲子さんは、僕の手を強引に掴み、ツカツカとその場を離れはじめた。慌ててしずかちゃんの方を見る。しずかちゃんは、一度僕に視線を送り、そのまま出木杉と歩いて行った……
67: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/10(日)23:31:32 ID:MOZaDl5ts
「………」
「……さ、咲子さん……?」
「………」
「……ね、ねえ……」
「………」
(……まいったな……)
さっきから、ずっとこの調子だ。
それまでの上機嫌とは打って変わって、とにかく不機嫌になっている。こうやって僕の前をただ歩き。一言も口にしない。
本当はしずかちゃんが気になったけど……しばらく僕の手を放してくれなかったし、こんな調子の彼女をほっとくわけにもいかず、結局しずかちゃんとの久しぶりの再会は、ほんのわずかな時間しか叶わなかった。
「……さっきの人、誰?」
「え?」
「さっきショッピングモールにいた人!!誰!?」
「ええと……」
……そうか、出木杉か。確かにあいつ、かなりのイケメンになってたな。身長だって高いし。
この世の中、イケメンこそ、男の中でもっとも位の高い身分なのだ……
「……あいつは出木杉って奴で、大手の企業に勤めてて……」
「――そうじゃなくて!!」
そう叫ぶと、彼女はようやく足を止めた。そしてしばらく黙り込み、ゆっくりと振り返った。
「……あの女の人……誰よ……」
「……え?」
「」
「……さ、咲子さん……?」
「………」
「……ね、ねえ……」
「………」
(……まいったな……)
さっきから、ずっとこの調子だ。
それまでの上機嫌とは打って変わって、とにかく不機嫌になっている。こうやって僕の前をただ歩き。一言も口にしない。
本当はしずかちゃんが気になったけど……しばらく僕の手を放してくれなかったし、こんな調子の彼女をほっとくわけにもいかず、結局しずかちゃんとの久しぶりの再会は、ほんのわずかな時間しか叶わなかった。
「……さっきの人、誰?」
「え?」
「さっきショッピングモールにいた人!!誰!?」
「ええと……」
……そうか、出木杉か。確かにあいつ、かなりのイケメンになってたな。身長だって高いし。
この世の中、イケメンこそ、男の中でもっとも位の高い身分なのだ……
「……あいつは出木杉って奴で、大手の企業に勤めてて……」
「――そうじゃなくて!!」
そう叫ぶと、彼女はようやく足を止めた。そしてしばらく黙り込み、ゆっくりと振り返った。
「……あの女の人……誰よ……」
「……え?」
「」
72: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/10(日)23:58:50 ID:MOZaDl5ts
「え?えっと……しずかちゃんのこと?」
「……そうよ。その“しずかちゃん”のことよ」
彼女は目を伏せたまま、どこかふてくされたように言う。まるでおもちゃを買ってくれなかった子供のようにも見えた。
「ええと……しずかちゃんは、出木杉と同じ企業に勤めてて……」
「そういうのはいいの!のび太くんとの関係!」
「あ、ああ……しずかちゃんは、僕の小学校の時の同級生なんだよ。――あ、中学校も一緒だったか」
「ふ~ん……それで仲がいいのね………で?付き合ってたの?」
「つ、付き合う!?」
「……その反応を見る限り、付き合ってはないみたいね……」
「………」
「……ホント、分かりやすい反応するのね……ボソッ」
「……え?何か言った?」
「なんでも。――それより、ご飯食べに行きましょ。私、お腹空いちゃった」
そう言うと、彼女はまた前を向いて歩き始めた。
僕はそれ以上何も言えず、ただ彼女に付いて行くだけだった。
「……そうよ。その“しずかちゃん”のことよ」
彼女は目を伏せたまま、どこかふてくされたように言う。まるでおもちゃを買ってくれなかった子供のようにも見えた。
「ええと……しずかちゃんは、出木杉と同じ企業に勤めてて……」
「そういうのはいいの!のび太くんとの関係!」
「あ、ああ……しずかちゃんは、僕の小学校の時の同級生なんだよ。――あ、中学校も一緒だったか」
「ふ~ん……それで仲がいいのね………で?付き合ってたの?」
「つ、付き合う!?」
「……その反応を見る限り、付き合ってはないみたいね……」
「………」
「……ホント、分かりやすい反応するのね……ボソッ」
「……え?何か言った?」
「なんでも。――それより、ご飯食べに行きましょ。私、お腹空いちゃった」
そう言うと、彼女はまた前を向いて歩き始めた。
僕はそれ以上何も言えず、ただ彼女に付いて行くだけだった。
77: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/11(月)00:07:57 ID:urbDGZkm7
「――ふ~ん……出木杉となぁ……」
ジャイアンは、ソファーに座ったまま腕を組みながら声を漏らす。
ここはジャイアンの職場。つまりは、彼の会社。
彼の会社も僕の会社の取引先となっている。当然ながら、毎回商談は僕が駆り出されていたわけで、こうやって、たまに挨拶周りという名目で、話をしに来ていた。
「……そうなんだよ……」
「しかも、呼び捨て、と……」
「うん……」
「……出木杉の奴……それよりのび太、お前、それでいいのか?」
「え?」
「しずかちゃんのことだよ。お前だって分かってるだろ?――出木杉、しずかちゃんを狙ってるぞ?」
「………」
そんなこと、わかってるさ。分かってるけど……だけど……
「……僕、そろそろ戻るね……」
「お、おい!のび太!!」
ジャイアンの声に一度だけ足を止めたけど、そのまま会社を出ていった。何かから逃げるように。
ジャイアンは、ソファーに座ったまま腕を組みながら声を漏らす。
ここはジャイアンの職場。つまりは、彼の会社。
彼の会社も僕の会社の取引先となっている。当然ながら、毎回商談は僕が駆り出されていたわけで、こうやって、たまに挨拶周りという名目で、話をしに来ていた。
「……そうなんだよ……」
「しかも、呼び捨て、と……」
「うん……」
「……出木杉の奴……それよりのび太、お前、それでいいのか?」
「え?」
「しずかちゃんのことだよ。お前だって分かってるだろ?――出木杉、しずかちゃんを狙ってるぞ?」
「………」
そんなこと、わかってるさ。分かってるけど……だけど……
「……僕、そろそろ戻るね……」
「お、おい!のび太!!」
ジャイアンの声に一度だけ足を止めたけど、そのまま会社を出ていった。何かから逃げるように。
79: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/11(月)00:14:54 ID:urbDGZkm7
家に帰った後、いつものように畳に寝転がった僕は、ジャイアンの言葉を思い出す。
(……これでいいのか、か……)
いいはずなんてない。出木杉に取られてもいいはずなんてない。ずっと一緒にいたんだ。ずっと、一緒になると思ってたんだ。
……だけど、実際は違っていた。しずかちゃんが女子高に進学してから、連絡を取る回数も極端に減った。高校を卒業すると、彼女は大学へ、僕は会社にそれぞれ通うようになり、連絡すらとらなくなっていた。
ごくたまに買い物に出かけたりはしていたが、しずかちゃんの仕事が忙しくなってからは、会うことはもちろん、話すことすらなくなった。
考えてみれば、しずかちゃんと疎遠になったきっかけは、中学を卒業したころかもしれない。
(……そういえば、ドラえもんがいなくなったのも、あの頃だったな……)
僕の脳裏には、セピア色の情景が甦っていた―――
(……これでいいのか、か……)
いいはずなんてない。出木杉に取られてもいいはずなんてない。ずっと一緒にいたんだ。ずっと、一緒になると思ってたんだ。
……だけど、実際は違っていた。しずかちゃんが女子高に進学してから、連絡を取る回数も極端に減った。高校を卒業すると、彼女は大学へ、僕は会社にそれぞれ通うようになり、連絡すらとらなくなっていた。
ごくたまに買い物に出かけたりはしていたが、しずかちゃんの仕事が忙しくなってからは、会うことはもちろん、話すことすらなくなった。
考えてみれば、しずかちゃんと疎遠になったきっかけは、中学を卒業したころかもしれない。
(……そういえば、ドラえもんがいなくなったのも、あの頃だったな……)
僕の脳裏には、セピア色の情景が甦っていた―――
80: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/11(月)00:24:44 ID:urbDGZkm7
――あの日僕は、進学先の調査票を片手に、家に急いで帰った。
『ドラえもん!!大変だよ!!しずかちゃんが女子高に―――!!』
……だが、僕の部屋には、誰もいなかった。
その時はすぐに帰ってくると思ったけど、結局夜になっても、ドラえもんは帰ってこなかった。
スペアポケットを使ってどこに行ったのか調べようと思った僕は、ドラえもんの押入を開けた。でもそこも、もぬけの殻だった。
まさかと思い引き出しを開けたら、タイムマシンすらもなくなっていた。
慌てて父さんと母さん、ジャイアンとスネ夫、しずかちゃんと一緒になって街中を探したけど、結局ドラえもんは見つからなかった。
後で調べたら、ドラえもんが映っていた写真すらもなくなっていた。
まるで最初からいなかったかのように、ドラえもんは忽然と姿を消した。
残ったのは、記憶の中のドラえもんだけだった。
『ドラえもん!!大変だよ!!しずかちゃんが女子高に―――!!』
……だが、僕の部屋には、誰もいなかった。
その時はすぐに帰ってくると思ったけど、結局夜になっても、ドラえもんは帰ってこなかった。
スペアポケットを使ってどこに行ったのか調べようと思った僕は、ドラえもんの押入を開けた。でもそこも、もぬけの殻だった。
まさかと思い引き出しを開けたら、タイムマシンすらもなくなっていた。
慌てて父さんと母さん、ジャイアンとスネ夫、しずかちゃんと一緒になって街中を探したけど、結局ドラえもんは見つからなかった。
後で調べたら、ドラえもんが映っていた写真すらもなくなっていた。
まるで最初からいなかったかのように、ドラえもんは忽然と姿を消した。
残ったのは、記憶の中のドラえもんだけだった。
83: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/11(月)00:31:06 ID:urbDGZkm7
(……きっと、今の僕を見たら、キミは怒るだろうな……)
天上を見つめながら、ふと、そんなことを考えた。
僕だってしずかちゃんと結婚したい。だけど、僕なんかがしずかちゃんと結婚していいのだろうか。出木杉はとても立派になった。ジャイアンもスネ夫も、みんな自分で自分の人生を歩いている。
……それに比べて、僕はどうだろう。惰性に流され、ただ生きてるだけじゃないか。
こんな中途半端な僕と結婚しても、しずかちゃんはきっと幸せになれない。
……最近じゃ、こんなことまで考えている。
「……どこまでも、本当にダメな奴だな。僕は……これじゃキミも、愛想を尽かせるはずだな……」
気が付けば、失笑と共に、そんな言葉を呟いていた。
天上を見つめながら、ふと、そんなことを考えた。
僕だってしずかちゃんと結婚したい。だけど、僕なんかがしずかちゃんと結婚していいのだろうか。出木杉はとても立派になった。ジャイアンもスネ夫も、みんな自分で自分の人生を歩いている。
……それに比べて、僕はどうだろう。惰性に流され、ただ生きてるだけじゃないか。
こんな中途半端な僕と結婚しても、しずかちゃんはきっと幸せになれない。
……最近じゃ、こんなことまで考えている。
「……どこまでも、本当にダメな奴だな。僕は……これじゃキミも、愛想を尽かせるはずだな……」
気が付けば、失笑と共に、そんな言葉を呟いていた。
85: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/11(月)00:42:03 ID:urbDGZkm7
――その時だった。
――カランッ
突然、玄関の郵便受けに、何かが投げ込まれる音が聞こえた。
「……ん?こんな時間に郵便?」
時間は夜遅い。普通なら、郵便なんて届く時間じゃない。不思議に思いながらも、玄関の郵便受けを開けてみた。
そこには、便箋が一通。宛名も、消印もない。
どうするか悩んだが、中を開けてみた。
そこには、一枚の手紙が入っていて、その手紙を手に取り、読んでみた。
―――――――――――――――――――――――――
のび太くんへ
今キミは、何かに悩んでいると思う。
のび太くん。キミは、きっと勘違いをしてるよ。
全部うまくいく人生なんてないんだ。
誰でも躓いて、悩んでいるんだ。
キミの周りにも、輝いている人がいるだろう?
その人達も、キミが知らないだけで、頑張ってるんだよ。
だから、頑張って、のび太くん。
キミは確かにドジだけど、キミにしかないいいところもたくさんあるんだ。
辛く苦しいかもしれないけど、とにかく、今自分に出来ることを一生懸命頑張ってね。
そうすれば、きっと道が開けるさ。
もう一度言うね。
頑張って、のび太くん。
僕はいつでも、キミを応援してるよ。
――――――――――――――――――――――――
「―――こ、これは……この字は……!!」
目を疑った。信じられなかった。
――でも、見間違いようもなかった。
「この字は………ドラえもんの字だ……!!!」
――カランッ
突然、玄関の郵便受けに、何かが投げ込まれる音が聞こえた。
「……ん?こんな時間に郵便?」
時間は夜遅い。普通なら、郵便なんて届く時間じゃない。不思議に思いながらも、玄関の郵便受けを開けてみた。
そこには、便箋が一通。宛名も、消印もない。
どうするか悩んだが、中を開けてみた。
そこには、一枚の手紙が入っていて、その手紙を手に取り、読んでみた。
―――――――――――――――――――――――――
のび太くんへ
今キミは、何かに悩んでいると思う。
のび太くん。キミは、きっと勘違いをしてるよ。
全部うまくいく人生なんてないんだ。
誰でも躓いて、悩んでいるんだ。
キミの周りにも、輝いている人がいるだろう?
その人達も、キミが知らないだけで、頑張ってるんだよ。
だから、頑張って、のび太くん。
キミは確かにドジだけど、キミにしかないいいところもたくさんあるんだ。
辛く苦しいかもしれないけど、とにかく、今自分に出来ることを一生懸命頑張ってね。
そうすれば、きっと道が開けるさ。
もう一度言うね。
頑張って、のび太くん。
僕はいつでも、キミを応援してるよ。
――――――――――――――――――――――――
「―――こ、これは……この字は……!!」
目を疑った。信じられなかった。
――でも、見間違いようもなかった。
「この字は………ドラえもんの字だ……!!!」
90: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/11(月)00:52:19 ID:urbDGZkm7
「ま、まさか……!!」
慌てて、裸足のまま外へと駆け出した。そして、アパートの周辺を走り回った。
「ドラえもん!!どらえもん!!!」
ずっと、名前を呼び続けた。
……でも、声が返ることはなかった。
しばらく探し回った後、一度家に帰る。そして、もう一度手紙を見てみた。
よく見れば、手紙はまだ新しい。まるで、つい最近書かれたかのようだった。
(どこかにいるんだ……ドラえもんが、どこかにいるんだ!!)
でもそれなら、どうして姿を見せないのだろう。何か理由でもあるのだろうか……
……考えても分からない。分からない―――けど……
(……ドラえもんが、僕を見ている。――応援してくれてる!!)
――僕の中で、何かが芽生えた。それまで消えてしまっていた、何かとても大きなものが、確かに僕の心に溢れていた。
慌てて、裸足のまま外へと駆け出した。そして、アパートの周辺を走り回った。
「ドラえもん!!どらえもん!!!」
ずっと、名前を呼び続けた。
……でも、声が返ることはなかった。
しばらく探し回った後、一度家に帰る。そして、もう一度手紙を見てみた。
よく見れば、手紙はまだ新しい。まるで、つい最近書かれたかのようだった。
(どこかにいるんだ……ドラえもんが、どこかにいるんだ!!)
でもそれなら、どうして姿を見せないのだろう。何か理由でもあるのだろうか……
……考えても分からない。分からない―――けど……
(……ドラえもんが、僕を見ている。――応援してくれてる!!)
――僕の中で、何かが芽生えた。それまで消えてしまっていた、何かとても大きなものが、確かに僕の心に溢れていた。
95: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/11(月)01:02:48 ID:urbDGZkm7
「――野比!!この書類だが―――!!」
「――はい!!すぐ訂正します!!どこを直せばいいですか!?」
「お、おう……ええと……こ、ここをだな……」
「そこですね!?分かりました!!すぐ訂正します!!」
「あ、ああ……」
デスクに向かうと、すぐにパソコンのキーボードを叩き始める。カタカタと、キーを叩く音が軽快に、断続的に流れていた。
――ふと、机の隅に置いた便箋に目をやる。
「………」
(……ドラえもん。僕、頑張るよ……!!)
そして、画面に視線を戻した。
「――はい!!すぐ訂正します!!どこを直せばいいですか!?」
「お、おう……ええと……こ、ここをだな……」
「そこですね!?分かりました!!すぐ訂正します!!」
「あ、ああ……」
デスクに向かうと、すぐにパソコンのキーボードを叩き始める。カタカタと、キーを叩く音が軽快に、断続的に流れていた。
――ふと、机の隅に置いた便箋に目をやる。
「………」
(……ドラえもん。僕、頑張るよ……!!)
そして、画面に視線を戻した。
99: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/11(月)01:11:34 ID:urbDGZkm7
「――のび太くん……今日はどうしたの?」
休憩時間にジュースを飲んでいると、咲子さんが聞いてきた。
「え?何が?」
「いやだって……なんか、いつもと全然違うし……」
「そうかなぁ……」
「うん!全然違う!なんかこう……生き生きしてる感じがする!」
「……まあ、がっかりさせないようにしないといけないしね」
「なんのこと?」
「……なんでもないよ。でも、そんなに変かな?」
「う、うんうん!全然変じゃない!むしろ―――!!」
そう言うと、咲子さんは固まってしまった。
なんか、目をパチクリさせてる。
「……?どうしたの?」
「な、なんでもない!!なんでもないから!!」
「え?でも、顔赤いよ?」
「~~~ッ!!な、なんでもないの!!」
そして咲子さんは、そのままどこかへと走り去って行った……
「……なんなんだ?いったい……」
休憩時間にジュースを飲んでいると、咲子さんが聞いてきた。
「え?何が?」
「いやだって……なんか、いつもと全然違うし……」
「そうかなぁ……」
「うん!全然違う!なんかこう……生き生きしてる感じがする!」
「……まあ、がっかりさせないようにしないといけないしね」
「なんのこと?」
「……なんでもないよ。でも、そんなに変かな?」
「う、うんうん!全然変じゃない!むしろ―――!!」
そう言うと、咲子さんは固まってしまった。
なんか、目をパチクリさせてる。
「……?どうしたの?」
「な、なんでもない!!なんでもないから!!」
「え?でも、顔赤いよ?」
「~~~ッ!!な、なんでもないの!!」
そして咲子さんは、そのままどこかへと走り去って行った……
「……なんなんだ?いったい……」
104: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/11(月)01:34:12 ID:urbDGZkm7
仕事帰り、いつもの帰宅コースを大きく外れ、僕はいろんなところを通りながら歩いていた。
理由はもちろん、彼を探すためだ。
(……やっぱりいない、か……)
キョロキョロと付近を見渡しながら歩く姿は、もしかしたら不審者のように見えるかもしれないな。
やはり、何か姿を見せることが出来ない理由があるのだろうか……
気にはなったが、いくら考えても答えなんて出るはずもなかった。
それでもしばらく探し回って、家に帰った。
理由はもちろん、彼を探すためだ。
(……やっぱりいない、か……)
キョロキョロと付近を見渡しながら歩く姿は、もしかしたら不審者のように見えるかもしれないな。
やはり、何か姿を見せることが出来ない理由があるのだろうか……
気にはなったが、いくら考えても答えなんて出るはずもなかった。
それでもしばらく探し回って、家に帰った。
105: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/11(月)01:34:50 ID:urbDGZkm7
帰りつくと、家の郵便受けには、また、一通の便箋があった。
「―――!!ドラえもん!?」
慌てて家の中に家の中に駆け込み、鞄を放り投げて、立ったまま手紙を開く。
――――――――――――――――――――――
のび太くんへ
今日はどうだった?久々に充実しなかった?
それが、生きるってことなんだよ。
疲れたかもしれないけど、毎日を一生懸命過ごせば、毎日が輝くんだよ。
確かに、一生懸命頑張っても、叶わないこともある。
だけど、その途中で経験したことは、必ずキミの大きな財産になるんだ。
僕は、キミのことを手伝うことは出来ない。
だから、キミがやらなくちゃいけない。
そして何かあれば、責任も取らなくちゃいけない。
だけど、頑張っていれば、きっと誰かが助けてくれるから。
キミの頑張りを、きっと誰かが見てくれているから。
そこに、大きな意味があるんだよ。
頑張れ!のび太くん!
僕にはそれしか言えないけど、頑張れ!のび太くん!
頑張れ!
―――――――――――――――――――――
「……ドラ……えもん………ドラえもん……!」
――涙が、溢れて来た。
ドラえもんの言う通りだった。今日一日は、とても充実していた。
どうしようもなくて、毎日がつまらなくて、いつも周りに流されていた。
そんな僕を、彼は助けてくれた。
姿はなくても、声は聴けなくても、彼は、僕に手を差し出してくれた。
……それがとても嬉しくて、とても暖かくて、僕は、その場で何度も何度も手紙を読み返した。
気が付けば、手紙の文字は滲んでいた。だけど彼の言葉は、間違いなく僕の心に刻み込まれていた。
「―――!!ドラえもん!?」
慌てて家の中に家の中に駆け込み、鞄を放り投げて、立ったまま手紙を開く。
――――――――――――――――――――――
のび太くんへ
今日はどうだった?久々に充実しなかった?
それが、生きるってことなんだよ。
疲れたかもしれないけど、毎日を一生懸命過ごせば、毎日が輝くんだよ。
確かに、一生懸命頑張っても、叶わないこともある。
だけど、その途中で経験したことは、必ずキミの大きな財産になるんだ。
僕は、キミのことを手伝うことは出来ない。
だから、キミがやらなくちゃいけない。
そして何かあれば、責任も取らなくちゃいけない。
だけど、頑張っていれば、きっと誰かが助けてくれるから。
キミの頑張りを、きっと誰かが見てくれているから。
そこに、大きな意味があるんだよ。
頑張れ!のび太くん!
僕にはそれしか言えないけど、頑張れ!のび太くん!
頑張れ!
―――――――――――――――――――――
「……ドラ……えもん………ドラえもん……!」
――涙が、溢れて来た。
ドラえもんの言う通りだった。今日一日は、とても充実していた。
どうしようもなくて、毎日がつまらなくて、いつも周りに流されていた。
そんな僕を、彼は助けてくれた。
姿はなくても、声は聴けなくても、彼は、僕に手を差し出してくれた。
……それがとても嬉しくて、とても暖かくて、僕は、その場で何度も何度も手紙を読み返した。
気が付けば、手紙の文字は滲んでいた。だけど彼の言葉は、間違いなく僕の心に刻み込まれていた。
112: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/11(月)01:43:42 ID:urbDGZkm7
それから、定期的に手紙が届くようになった。
届くスパンには差があったが、いつも気が付いたら郵便受けに入っていた。
手紙は、いつも新しかった。
書き溜めをしていたとも思えない。
つまりドラえもんは、この時代に、僕の近くにいる。
ジャイアンとスネ夫にこのことを話すと、その次の休日に、三人で街中を探し回った。
……でも、やっぱりドラえもんの痕跡一つなかった。
誰かが、ドラえもんの代わりに手紙を書いてるのかもしれないとも思った。
でも、何度見ても、その字はドラえもんのものだった。
届くスパンには差があったが、いつも気が付いたら郵便受けに入っていた。
手紙は、いつも新しかった。
書き溜めをしていたとも思えない。
つまりドラえもんは、この時代に、僕の近くにいる。
ジャイアンとスネ夫にこのことを話すと、その次の休日に、三人で街中を探し回った。
……でも、やっぱりドラえもんの痕跡一つなかった。
誰かが、ドラえもんの代わりに手紙を書いてるのかもしれないとも思った。
でも、何度見ても、その字はドラえもんのものだった。
119: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/11(月)08:58:31 ID:Q3wyrm57M
「――じゃあ、その昔の友達から10年ぶりに手紙が来たのが、最近ののび太くんの変わり様の原因ってことか……」
街角のカフェで、コーヒーを飲みながら咲子さんは呟く。
今日僕達は、職場の備品を買いに来ている。前のしずかちゃん達と同じ状況だが……正直、大した買い物じゃない。仕事の途中で買うことも出来るレベルだった。
しかしまあ、咲子さんの強い要望(ほぼ強制)により、なぜだかこうして、休日に買いに来ていた。
そして、突然彼女は切り出してきた。
最近、何があったのか――
なんとか誤魔化そうとしたが、彼女に圧倒された僕は、こうして、ことの顛末を説明したのだった。
「原因って……それと、友達って言うより、家族に近いよ」
「ふ~ん……。でもその人、優しいね。姿は見せなくても、そうやってのび太くんを見守ってるし」
「……うん。とっても、優しいんだよ……」
「――まるで、のび太くんみたいね」
「……え?」
「のび太くんみたいに、とっても優しい」
「い、いや、僕は……」
「謙遜しなくていいのよ。だって、私は覚えてるもん。この会社に、入った時のこと……」
街角のカフェで、コーヒーを飲みながら咲子さんは呟く。
今日僕達は、職場の備品を買いに来ている。前のしずかちゃん達と同じ状況だが……正直、大した買い物じゃない。仕事の途中で買うことも出来るレベルだった。
しかしまあ、咲子さんの強い要望(ほぼ強制)により、なぜだかこうして、休日に買いに来ていた。
そして、突然彼女は切り出してきた。
最近、何があったのか――
なんとか誤魔化そうとしたが、彼女に圧倒された僕は、こうして、ことの顛末を説明したのだった。
「原因って……それと、友達って言うより、家族に近いよ」
「ふ~ん……。でもその人、優しいね。姿は見せなくても、そうやってのび太くんを見守ってるし」
「……うん。とっても、優しいんだよ……」
「――まるで、のび太くんみたいね」
「……え?」
「のび太くんみたいに、とっても優しい」
「い、いや、僕は……」
「謙遜しなくていいのよ。だって、私は覚えてるもん。この会社に、入った時のこと……」
123: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/11(月)10:49:09 ID:p47Ruh7JC
覚えてる?私達が入社してすぐ、研修があったでしょ?
あの時、私、ドジしちゃって、研修で使う資料を忘れてたんだよね。
……まあ、普通なら言わないといけなかったんだけどね。
私、怒られるのが怖くて、どうしようか悩んでたんだ。
そしたら、のび太くんが私に話しかけてきたじゃない。
『――もしかして、忘れちゃったの?』
『――え?』
『資料』
『……う、うん……きっと怒られるよね……』
『……』
のび太くん、何か考えてたよね。そして、言ったんだ。
『……もしかしたら、探せば見つかるかもしれないよ?』
『え?で、でも……バッグに入れた記憶がないし……』
『忘れてるだけかもよ?いいから。一緒に探してみようよ』
そう言って、一緒に探してくれた。そして……
『――あったよ!花賀さん!』
『え!?嘘!!』
『ほら、これ』
『バッグに……でも、さっきは確かになかったし……』
『慌ててたんでしょ。でも、これで安心だね』
『……うん!ありがとう!』
それから、私は研修を受けたんだけど……
あの時、私、ドジしちゃって、研修で使う資料を忘れてたんだよね。
……まあ、普通なら言わないといけなかったんだけどね。
私、怒られるのが怖くて、どうしようか悩んでたんだ。
そしたら、のび太くんが私に話しかけてきたじゃない。
『――もしかして、忘れちゃったの?』
『――え?』
『資料』
『……う、うん……きっと怒られるよね……』
『……』
のび太くん、何か考えてたよね。そして、言ったんだ。
『……もしかしたら、探せば見つかるかもしれないよ?』
『え?で、でも……バッグに入れた記憶がないし……』
『忘れてるだけかもよ?いいから。一緒に探してみようよ』
そう言って、一緒に探してくれた。そして……
『――あったよ!花賀さん!』
『え!?嘘!!』
『ほら、これ』
『バッグに……でも、さっきは確かになかったし……』
『慌ててたんでしょ。でも、これで安心だね』
『……うん!ありがとう!』
それから、私は研修を受けたんだけど……
124: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/11(月)10:54:18 ID:p47Ruh7JC
『――野比!!資料を忘れるとはどういうつもりだ!』
『す、すみません……!!』
(あれ?あの人、資料忘れてたんだ……もう、私のことより自分のことを――)
そして、気付いたんだ。もしかしたらって思って、資料をめくってみたら……あった。一番最後のページに、“野比のび太”って名前が……
すぐに言い出そうとしたけど、のび太くん、私の方を見て首を振ったよね。私、言い出せなかった。あの時は、本当にごめん……
そのあと、のび太くんに謝りに行ったら、のび太くん、笑いながら言ったよね――
『いいんだよ。僕、怒られるのは慣れてるし』――
『す、すみません……!!』
(あれ?あの人、資料忘れてたんだ……もう、私のことより自分のことを――)
そして、気付いたんだ。もしかしたらって思って、資料をめくってみたら……あった。一番最後のページに、“野比のび太”って名前が……
すぐに言い出そうとしたけど、のび太くん、私の方を見て首を振ったよね。私、言い出せなかった。あの時は、本当にごめん……
そのあと、のび太くんに謝りに行ったら、のび太くん、笑いながら言ったよね――
『いいんだよ。僕、怒られるのは慣れてるし』――
127: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/11(月)11:09:06 ID:p47Ruh7JC
「……そんなことあったかなぁ……」
「あったよ。私、今でもはっきり覚えてる。でもね、やっぱり悪いと思って、そのあと上司に言ったんだよ。資料を忘れたのは私で、のび太くんは私に資料を貸したんだって。」
「そうなの?」
「うん。こっぴどく叱られちゃった。……でも、上司が言ったんだ。ここでこのことを公にいたら、野比の男気に水を差してしまうな。って。そのあと上司の人、いろんなお偉いさんに言って回ったみたい。
――野比は、素晴らしい奴だって。それがいいことかどうかは別にして、彼自身は、とても優しくて、我が社には必要な人材だって」
「……」
なんか、物凄く恥ずかしい……
「――そのことがあったから、私、決めたんだ。もうのび太くんに迷惑をかけないようにしようって。私が何かミスをしたら、のび太くん、またそういうことしそうだし。
……だから、今の私があるのは、全部のび太くんのおかげなんだよ……」
「咲子さん……」
「あったよ。私、今でもはっきり覚えてる。でもね、やっぱり悪いと思って、そのあと上司に言ったんだよ。資料を忘れたのは私で、のび太くんは私に資料を貸したんだって。」
「そうなの?」
「うん。こっぴどく叱られちゃった。……でも、上司が言ったんだ。ここでこのことを公にいたら、野比の男気に水を差してしまうな。って。そのあと上司の人、いろんなお偉いさんに言って回ったみたい。
――野比は、素晴らしい奴だって。それがいいことかどうかは別にして、彼自身は、とても優しくて、我が社には必要な人材だって」
「……」
なんか、物凄く恥ずかしい……
「――そのことがあったから、私、決めたんだ。もうのび太くんに迷惑をかけないようにしようって。私が何かミスをしたら、のび太くん、またそういうことしそうだし。
……だから、今の私があるのは、全部のび太くんのおかげなんだよ……」
「咲子さん……」
132: ◆IAvTSYr7MA 平成26年 08/11(月)11:16:12 ID:p47Ruh7JC
「のび太くんは、きっと、誰かを幸せに出来る人なんだよ。仕事か苦手でも、それは、のび太くんにしかない、とても素晴らしいことなんだよ」
「……そ、そうかな……」
「うん!そうそう!……だから、私、言うね?」
「……ん?」
「ちゃんと聞いててよ?分かった?」
「う、うん……」
そう言うと、咲子さんは、一度大きく深呼吸をした。
そして、晴れ渡る青空を瞳に写した後、何かを決意したかのように、僕を見た。
――とても強くて、とても綺麗な瞳だった。
「……のび太くん。私は……あなたが、大好きです。
――付き合って、下さい……」
「…………へ?」
「……そ、そうかな……」
「うん!そうそう!……だから、私、言うね?」
「……ん?」
「ちゃんと聞いててよ?分かった?」
「う、うん……」
そう言うと、咲子さんは、一度大きく深呼吸をした。
そして、晴れ渡る青空を瞳に写した後、何かを決意したかのように、僕を見た。
――とても強くて、とても綺麗な瞳だった。
「……のび太くん。私は……あなたが、大好きです。
――付き合って、下さい……」
「…………へ?」
144: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)12:43:10 ID:p47Ruh7JC
『――すぐに答えなくてもいいから。のび太くんが優柔不断なのは知ってるし。
でも、ちゃんと答えてね。私、待ってるから……
家に帰った後、寝転んで天井を見ながら、咲子さんの言葉を思い出していた。
……僕は、知っている。
想いを口にすることが、どれだけ勇気がいることなのか。ほんの少しの言葉が、どれだけ遠いことなのかを。
それを、彼女は口にした。
拒絶されるかもしれない。傷つくかもしれない。そんな不安が、たぶん彼女の中にあったのかもしれない。
それでも、彼女は言葉を口にした。僕には出来なかったことを、彼女はしたんだ。
それが羨ましくて、自分が情けなく思った。
彼女の方が、僕なんかより何倍も凄い。凄いんだと……
そもそも、僕は本当にしずかちゃんと結婚したいのだろうか。
子供の時の気持ちを、ただだらだらと持ち続けているだけじゃないだろうか。
だって僕は、足を踏み出そうとしていない。したこともない。
惰性に流され、その関係を維持しようとしていただけだった。
(……なんか、分からなくなってきたな……)
その時、まるでタイミングを見計らったかのように、郵便受けから音が響いた。
(……ドラえもん?)
でも、ちゃんと答えてね。私、待ってるから……
家に帰った後、寝転んで天井を見ながら、咲子さんの言葉を思い出していた。
……僕は、知っている。
想いを口にすることが、どれだけ勇気がいることなのか。ほんの少しの言葉が、どれだけ遠いことなのかを。
それを、彼女は口にした。
拒絶されるかもしれない。傷つくかもしれない。そんな不安が、たぶん彼女の中にあったのかもしれない。
それでも、彼女は言葉を口にした。僕には出来なかったことを、彼女はしたんだ。
それが羨ましくて、自分が情けなく思った。
彼女の方が、僕なんかより何倍も凄い。凄いんだと……
そもそも、僕は本当にしずかちゃんと結婚したいのだろうか。
子供の時の気持ちを、ただだらだらと持ち続けているだけじゃないだろうか。
だって僕は、足を踏み出そうとしていない。したこともない。
惰性に流され、その関係を維持しようとしていただけだった。
(……なんか、分からなくなってきたな……)
その時、まるでタイミングを見計らったかのように、郵便受けから音が響いた。
(……ドラえもん?)
146: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)12:54:45 ID:p47Ruh7JC
――――――――――――――――――――――
のび太くんへ
キミは、色んな人と出会ってると思う。
その中で、自分のことが分からなくなったり、どうするべきか悩んだりすると思う。
だけどのび太くん。
そんな時は、思い切り悩んでいいんだよ。
キミの人生は、キミだけのものだ。
思い切り悩んで、それでも決めたことに、僕は何も言わないよ。
だって、きっとのび太くんなら、いい方向に決められるって信じてるから。
でもね、のび太くん。
絶対に、逃げちゃだめだよ。
逃げた先には、たぶん後悔しか残らないんだよ。
何かのせいにしたり、自分を恨んだりしちゃうかもしれないんだ。
のび太くんには、そんな思いはしてほしくないな。
だから、いっぱい悩みなよ。
悩んで悩んで、悩み抜いて、キミだけの答えを見つけてね。
キミの未来は、キミが作るんだから。
――――――――――――――――――――――――――
(……まいったな。全部、お見通しってわけなんだね……)
それでも、少し楽になった気がする。
(僕の未来は、僕が作る……か……)
ドラえもんの手紙を思い出しながら、静かに部屋の電気を消す。
暗くなった部屋には、外からの月の光が射し込んでいた。
太陽よりも弱いけど、とても優しい光だった――
のび太くんへ
キミは、色んな人と出会ってると思う。
その中で、自分のことが分からなくなったり、どうするべきか悩んだりすると思う。
だけどのび太くん。
そんな時は、思い切り悩んでいいんだよ。
キミの人生は、キミだけのものだ。
思い切り悩んで、それでも決めたことに、僕は何も言わないよ。
だって、きっとのび太くんなら、いい方向に決められるって信じてるから。
でもね、のび太くん。
絶対に、逃げちゃだめだよ。
逃げた先には、たぶん後悔しか残らないんだよ。
何かのせいにしたり、自分を恨んだりしちゃうかもしれないんだ。
のび太くんには、そんな思いはしてほしくないな。
だから、いっぱい悩みなよ。
悩んで悩んで、悩み抜いて、キミだけの答えを見つけてね。
キミの未来は、キミが作るんだから。
――――――――――――――――――――――――――
(……まいったな。全部、お見通しってわけなんだね……)
それでも、少し楽になった気がする。
(僕の未来は、僕が作る……か……)
ドラえもんの手紙を思い出しながら、静かに部屋の電気を消す。
暗くなった部屋には、外からの月の光が射し込んでいた。
太陽よりも弱いけど、とても優しい光だった――
151: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)13:12:31 ID:p47Ruh7JC
「――おっはよー!」
「お、おはよう……」
「もうのび太くん!朝から元気ないぞ?朝の挨拶は大切だからね!
――じゃあ、今日も1日頑張ろー!!」
咲子さんは、いつもに増して元気いっぱいだった。とてつもなく、上機嫌だった。
彼女に圧倒されていると、彼女を見た男性社員の話し声が聞こえてきた。
「なんか、すげえ上機嫌だよな」
「うん。なんというか、電池を新しく入れ換えたような……」
「ていうか、花賀、前にも増して可愛くなってないか?」
「男でも出来たんじゃねえの?」
「マジで!?俺、狙ってたのに……」
「俺もだよ!その男、どんな奴なんだろうな……」
「見つけたら、血祭りだな……」
……あのことは、誰にも相談しないでおこうと、固く心に誓った。
157: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)13:58:16 ID:p47Ruh7JC
「――夏だあああああ!!!」
「――海だあああああ!!!」
「……暑いんだぁぁ…………」
ズルッ
「――もう!なんだよのび太!ノリが悪いぞ!」
「そうだぞのび太!ジャイアンの言うとおり!」
「久々の海なんだよ……日射しって、こんなに痛かったっけ……」
この日、僕はジャイアンとスネ夫と、海に来ていた。
発案者は、もちろんジャイアンだ。
なんでも、仕事はそれなりにストレスが溜まるとかなんとか。で、僕達が誘われたわけだ。
「夏は暑いの!これでいいの!」
「よっジャイアンっ!夏男っ!」
「……ほんと元気だね、二人とも……」
この二人が、ここまで元気がいいのには、理由がある。
それは……
「――よっしゃああ!!スネ夫!!行くぜぇ!!
「おう!」
「「目指すは、ビーチのお姉さんっ!!!」」
二人は、僕を置き去りにして走っていった……
「……まったく、もう……」
「――海だあああああ!!!」
「……暑いんだぁぁ…………」
ズルッ
「――もう!なんだよのび太!ノリが悪いぞ!」
「そうだぞのび太!ジャイアンの言うとおり!」
「久々の海なんだよ……日射しって、こんなに痛かったっけ……」
この日、僕はジャイアンとスネ夫と、海に来ていた。
発案者は、もちろんジャイアンだ。
なんでも、仕事はそれなりにストレスが溜まるとかなんとか。で、僕達が誘われたわけだ。
「夏は暑いの!これでいいの!」
「よっジャイアンっ!夏男っ!」
「……ほんと元気だね、二人とも……」
この二人が、ここまで元気がいいのには、理由がある。
それは……
「――よっしゃああ!!スネ夫!!行くぜぇ!!
「おう!」
「「目指すは、ビーチのお姉さんっ!!!」」
二人は、僕を置き去りにして走っていった……
「……まったく、もう……」
158: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)14:10:26 ID:p47Ruh7JC
「――お姉ぃっさぁあん!!暇ぁあ!?」
「あ、忙しいので」キッパリ
「あ……はい……」
(また撃沈か……)
これで、ジャイアンとスネ夫は、本日5敗目。いい加減諦めればいいのに。
「ねえねえジャイアン、スネ夫。もういいだろ?3人で遊ぼうよ」
「何が楽しくて、男だけで楽しまなきゃいけないんだよ!!」
「そうだぞのび太!男だけのグループなんて、周りをも不幸にするんだぞ!?」
「だ、だったら、誰か連れてくればよかったのに……」
「それじゃ面白くない!!」
「えええ……」
「いいから、のび太も誰か探してこいよ!」
「ええ!?ぼ、僕が!?」
「当たり前だろ!ほら、頑張ってこい!」
「……そりゃないよぉ……」
「あ、忙しいので」キッパリ
「あ……はい……」
(また撃沈か……)
これで、ジャイアンとスネ夫は、本日5敗目。いい加減諦めればいいのに。
「ねえねえジャイアン、スネ夫。もういいだろ?3人で遊ぼうよ」
「何が楽しくて、男だけで楽しまなきゃいけないんだよ!!」
「そうだぞのび太!男だけのグループなんて、周りをも不幸にするんだぞ!?」
「だ、だったら、誰か連れてくればよかったのに……」
「それじゃ面白くない!!」
「えええ……」
「いいから、のび太も誰か探してこいよ!」
「ええ!?ぼ、僕が!?」
「当たり前だろ!ほら、頑張ってこい!」
「……そりゃないよぉ……」
165: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)15:20:30 ID:p47Ruh7JC
とぼとぼと、浜辺を歩く。
照り付ける太陽は、容赦なく僕の気持ちを畳み掛けてくるかのようだった。
(……まあ、適当に時間潰して、戻ればいっか……)
そもそも、僕にナンパを求めるのは無理がありすぎる。無茶ブリもいいとこだ。
成果を期待するなど――
「――ああ、そこの青年!」
「……?僕?」
「そうそう!そこのキミだよ!」
なんか、知らない女の人に話しかけられた。浜辺で寝そべってるけど……焼いてるのかも。
「な、なんですか?」
「いやね、ちょっとあの水着を取ってくれないか?」
「あれって……あそこにある水着?」
「そうそう。いやぁ、背中を焼いてたら風で飛ばされてねぇ。ちょうど大人しそうなキミを見つけて助けてもらおうって思ったわけだよ」
確かに……よく見れば、うつ伏せだけど、上半身裸だ。
……ちょっとドキドキしてしまう。
しかしまあ、困ってるなら助けないとな。
「……はい、これ」
「おお!すまんすまん!助かったよ青年!」
「気をつけて下さいよ?」
「いやいや、面目ない」
女の人は、すぐに水着をつけ立ち上がる。
……そして、僕は固まってしまった。
(お、おぅ……ダイナマイト……)
すっごい、美人がそこにいた。
「助かったよ青年。――私は、舞。良ければ、名前を教えてくれないか?」
照り付ける太陽は、容赦なく僕の気持ちを畳み掛けてくるかのようだった。
(……まあ、適当に時間潰して、戻ればいっか……)
そもそも、僕にナンパを求めるのは無理がありすぎる。無茶ブリもいいとこだ。
成果を期待するなど――
「――ああ、そこの青年!」
「……?僕?」
「そうそう!そこのキミだよ!」
なんか、知らない女の人に話しかけられた。浜辺で寝そべってるけど……焼いてるのかも。
「な、なんですか?」
「いやね、ちょっとあの水着を取ってくれないか?」
「あれって……あそこにある水着?」
「そうそう。いやぁ、背中を焼いてたら風で飛ばされてねぇ。ちょうど大人しそうなキミを見つけて助けてもらおうって思ったわけだよ」
確かに……よく見れば、うつ伏せだけど、上半身裸だ。
……ちょっとドキドキしてしまう。
しかしまあ、困ってるなら助けないとな。
「……はい、これ」
「おお!すまんすまん!助かったよ青年!」
「気をつけて下さいよ?」
「いやいや、面目ない」
女の人は、すぐに水着をつけ立ち上がる。
……そして、僕は固まってしまった。
(お、おぅ……ダイナマイト……)
すっごい、美人がそこにいた。
「助かったよ青年。――私は、舞。良ければ、名前を教えてくれないか?」
170: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)15:29:53 ID:p47Ruh7JC
「――へぇ、友達と来てたんだ」
「うん」
「それで、成り行きでナンパをすることになったと……」
「そうそう」
「ハハハ……!!若いねぇ!」
「舞さんだって、大して年変わらないでしょ?」
「まあ、そうなんだけどね」
「ところで、舞さんは一人で海に?」
「ハハハ!私をナンパするつもりかい?」
「そ、そんなつもりじゃ……」
「冗談だよ、冗談。ちょっと、知り合いとね」
「彼氏さん?」
「そうだよ。……っていいたいところだけど、そうじゃないんだよね~」
「はぁ……」
すると舞さんは、何かを思い付いたようだ。
そして、ニヤリと笑みを浮かべた。
「――そうだ。なあのび太。お礼を兼ねて、キミに協力してやろう」
「へ?協力って……」
「いいからいいから!私に任せなさい!カッカッカッ……!」
……果てしなく不安だ。
「うん」
「それで、成り行きでナンパをすることになったと……」
「そうそう」
「ハハハ……!!若いねぇ!」
「舞さんだって、大して年変わらないでしょ?」
「まあ、そうなんだけどね」
「ところで、舞さんは一人で海に?」
「ハハハ!私をナンパするつもりかい?」
「そ、そんなつもりじゃ……」
「冗談だよ、冗談。ちょっと、知り合いとね」
「彼氏さん?」
「そうだよ。……っていいたいところだけど、そうじゃないんだよね~」
「はぁ……」
すると舞さんは、何かを思い付いたようだ。
そして、ニヤリと笑みを浮かべた。
「――そうだ。なあのび太。お礼を兼ねて、キミに協力してやろう」
「へ?協力って……」
「いいからいいから!私に任せなさい!カッカッカッ……!」
……果てしなく不安だ。
180: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)18:06:35 ID:p47Ruh7JC
「――ジャ、ジャイアン……ただいま……」
「――!やっと帰ってきたか!遅いぞのび――」
振り返った瞬間、ジャイアンは固まった。
「うん?どうしたのさジャイアン。何をそんなに――」
つられて振り返ったスネ夫もまた、フリーズする。
二人の視線は、1点に集中していた。そのさきにいるのは、もちろん――
「――お?キミ達が、のび太の友人だね?」
「……」
「……」
二人とも、微動だにしない。まあ、それもしょうがないだろう。二人の様子からして、おそらくさらに連敗記録を更新したたろうし、そんな中、僕がまさか女の人を連れてくるとは思わなかっただろう。
目を点にしながらも、ジャイアンはようやく声を絞り出した。
「……の、のび太くん……その女の人は……?」
「ええっと……この人は……」
「――私ぃ、のび太にナンパされたんだぁ」
「の、のび太が――ッ!?」
「ナ、ナンパ――ッ!?」
「……ちょっと、舞さん?」
この人は……何を言ってるのだろうか……
「――!やっと帰ってきたか!遅いぞのび――」
振り返った瞬間、ジャイアンは固まった。
「うん?どうしたのさジャイアン。何をそんなに――」
つられて振り返ったスネ夫もまた、フリーズする。
二人の視線は、1点に集中していた。そのさきにいるのは、もちろん――
「――お?キミ達が、のび太の友人だね?」
「……」
「……」
二人とも、微動だにしない。まあ、それもしょうがないだろう。二人の様子からして、おそらくさらに連敗記録を更新したたろうし、そんな中、僕がまさか女の人を連れてくるとは思わなかっただろう。
目を点にしながらも、ジャイアンはようやく声を絞り出した。
「……の、のび太くん……その女の人は……?」
「ええっと……この人は……」
「――私ぃ、のび太にナンパされたんだぁ」
「の、のび太が――ッ!?」
「ナ、ナンパ――ッ!?」
「……ちょっと、舞さん?」
この人は……何を言ってるのだろうか……
182: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)18:12:12 ID:p47Ruh7JC
舞さんは僕の言葉を無視し、長い髪を指にくるくる巻き付かせながら、猫なで声を続ける。
「だってのび太ったらぁ、あんなに情熱的に詰め寄るんだも~ん。私ぃ、凄くドキドキしちゃったぁ」
「じょ、情熱的――ッ!?」
「つ、詰め寄る――ッ!?」
「舞さん。一度こっちに……」
「ああん!のび太ったらぁ!乱暴!」
とりあえず、一時中断しよう。ていうか、いつまでそんな声出してるんですか。
ジャイアン達に背を向け、こそこそと話す。
「ちょっと舞さん!どういうつもりなんですか!」ヒソヒソ…
「くくく……!見てよの顔!ポカーンってしてるよ!」ヒソヒソ…
「あれは引いてる顔です。やり過ぎですって!」ヒソヒソ…
「そんなことないと思うけどなぁ……」ヒソヒソ…
「とりあえず、軌道修正して下さい!」ヒソヒソ…
「もう……分かったよ……」ヒソヒソ……
密談を終えた僕達は、再びジャイアン達の方を見る。
そして、舞さんは口を開いた。
「……もう……のび太ったら、Sなんだからぁ……私にあれこれ指示してぇ……」
「あ、あれこれ――ッ!?」
「指示――ッ!?」
「ちょっとおおおお!?」
……これは、お礼なのだろうか……
183: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)18:30:54 ID:p47Ruh7JC
「……のび太……やっぱりお前も、男だったんだなぁ……」
ジャイアンは、感慨深そうに呟いた。片やスネ夫は、呟くことすら出来ず、凍りついたままだった。
「……ちょっと舞さん、これ、どうするつもりなんですか……」
「う~ん……まさか、こんなに純情くんとは思わなかったなあ……」
舞さんは困ったように頬を指でかく。
しかしまあ、一番困ってるのは、僕だったりするんですが……
「――ああ!こんなところに!……課長!探しましたよ!
「うん?……あちゃー。見つかったか……」
突然、背後から声が聞こえた。そして振り返った舞さんは、残念そうに舌を出す。
(課長って……もしかして、舞さんのこと……)
後ろを振り返ると、今度は、僕が固まった。
「――ッ!!」
「え――ッ!?」
「……ん?二人とも、どうしたの?」
固まった僕と、同じく固まったその人を見て、舞さんは不思議そうに顔を交互に見る。
だが僕は、それどころではない。何しろその人は――
「……し、しずかちゃん……!?」
「……の、のび太さん……?」
――まさかの、再会だった。
ジャイアンは、感慨深そうに呟いた。片やスネ夫は、呟くことすら出来ず、凍りついたままだった。
「……ちょっと舞さん、これ、どうするつもりなんですか……」
「う~ん……まさか、こんなに純情くんとは思わなかったなあ……」
舞さんは困ったように頬を指でかく。
しかしまあ、一番困ってるのは、僕だったりするんですが……
「――ああ!こんなところに!……課長!探しましたよ!
「うん?……あちゃー。見つかったか……」
突然、背後から声が聞こえた。そして振り返った舞さんは、残念そうに舌を出す。
(課長って……もしかして、舞さんのこと……)
後ろを振り返ると、今度は、僕が固まった。
「――ッ!!」
「え――ッ!?」
「……ん?二人とも、どうしたの?」
固まった僕と、同じく固まったその人を見て、舞さんは不思議そうに顔を交互に見る。
だが僕は、それどころではない。何しろその人は――
「……し、しずかちゃん……!?」
「……の、のび太さん……?」
――まさかの、再会だった。
186: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)18:49:26 ID:p47Ruh7JC
「――いやいや、さすがに驚いたね……。まさか、のび太としずかが知り合いとはね……」
海の家に移動した後、舞さんは中ジョッキのビールをグビグビ飲みながらそう話す。
「本当っすねぇ。世間って本当に狭いもんすね」
「ほんとほんと」
それに続き、ジャイアンとスネ夫も言葉を漏らす。
「……それにしても、あの二人は、なんで黙りこんでるんだ?」
舞さんの言葉に、ジャイアンとスネ夫はこちらを向いた。
「……」
「……」
僕としずかちゃんは、隣同士に座ったまま、顔を隠すように俯いていた。
何か話さなきゃとは思う。だけど、言葉が出ない。それはしずかちゃんも同じようで、楽しそうに話す舞さん達とは違い、重苦しい空気が、僕としずかちゃんを包んでいた。
そんな僕らを見たジャイアンは、舞さんに耳打ちをする。
「……まあ、色々あるんすよ……」
「ふ~ん……」
海の家に移動した後、舞さんは中ジョッキのビールをグビグビ飲みながらそう話す。
「本当っすねぇ。世間って本当に狭いもんすね」
「ほんとほんと」
それに続き、ジャイアンとスネ夫も言葉を漏らす。
「……それにしても、あの二人は、なんで黙りこんでるんだ?」
舞さんの言葉に、ジャイアンとスネ夫はこちらを向いた。
「……」
「……」
僕としずかちゃんは、隣同士に座ったまま、顔を隠すように俯いていた。
何か話さなきゃとは思う。だけど、言葉が出ない。それはしずかちゃんも同じようで、楽しそうに話す舞さん達とは違い、重苦しい空気が、僕としずかちゃんを包んでいた。
そんな僕らを見たジャイアンは、舞さんに耳打ちをする。
「……まあ、色々あるんすよ……」
「ふ~ん……」
191: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)19:29:36 ID:p47Ruh7JC
「……ねぇねぇのび太ぁ」
「は、はい?」
いきなり、舞さんが這いながら近づいてきた。そしてなぜかまた猫なで声。
「あ、あの……舞、さん?」
「……」
「ねぇねぇ、二人でどっか行こうよぉ」
「ちょっと舞さん、何言って……」
「いいからさぁ。ねぇねぇ」
「ちょっと舞さん――!!」
しずか「――ッ!!」
突然、しずかちゃんは席を立った。急な出来事に、僕らはただしずかちゃんを見つめる。視線が集まるなか、しずかちゃんは、そのまま海の家を出ていった。
(な、なんなの……)
呆然としていると、舞さんは突然肩を叩いてきた。
振り返れば、僕を見つめる舞の目。その目は、とても優しいものだった。
「……行ってやれ、のび太。お膳立ては、してやったからな」
「……え?」
「いいから。――お前も、男なんだろ?」
「……」
舞さんは、変わらない瞳で僕を見ている。これに、応えなきゃいけない。
そう、思った。
「――はい……!」
そして僕も席を立ち、海の家を飛び出す。そのまま砂浜を駆け出した。
遠くに見える、あの背中を追って――
「は、はい?」
いきなり、舞さんが這いながら近づいてきた。そしてなぜかまた猫なで声。
「あ、あの……舞、さん?」
「……」
「ねぇねぇ、二人でどっか行こうよぉ」
「ちょっと舞さん、何言って……」
「いいからさぁ。ねぇねぇ」
「ちょっと舞さん――!!」
しずか「――ッ!!」
突然、しずかちゃんは席を立った。急な出来事に、僕らはただしずかちゃんを見つめる。視線が集まるなか、しずかちゃんは、そのまま海の家を出ていった。
(な、なんなの……)
呆然としていると、舞さんは突然肩を叩いてきた。
振り返れば、僕を見つめる舞の目。その目は、とても優しいものだった。
「……行ってやれ、のび太。お膳立ては、してやったからな」
「……え?」
「いいから。――お前も、男なんだろ?」
「……」
舞さんは、変わらない瞳で僕を見ている。これに、応えなきゃいけない。
そう、思った。
「――はい……!」
そして僕も席を立ち、海の家を飛び出す。そのまま砂浜を駆け出した。
遠くに見える、あの背中を追って――
194: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)19:38:02 ID:p47Ruh7JC
「――し、しずかちゃん!待ってよ!しずかちゃん!」
「……」
僕の呼び掛けに、彼女はようやく足を止める。いつの間にか海水浴場からは離れてしまい、 人の姿なんてなくて、波の音、カモメの声、小さく聞こえる人々の喧騒だけが響いていた。
「……し、しずかちゃん……」
「……なに?」
「どうしたの、いきなり飛び出して……」
「……のび太さんの……バカ……」
「……え?」
「……何でもないわよ……」
「う、うん……」
「……」
……たった数言、そう話しただけで、僕達はまたも黙りこんでしまった。
「……」
僕の呼び掛けに、彼女はようやく足を止める。いつの間にか海水浴場からは離れてしまい、 人の姿なんてなくて、波の音、カモメの声、小さく聞こえる人々の喧騒だけが響いていた。
「……し、しずかちゃん……」
「……なに?」
「どうしたの、いきなり飛び出して……」
「……のび太さんの……バカ……」
「……え?」
「……何でもないわよ……」
「う、うん……」
「……」
……たった数言、そう話しただけで、僕達はまたも黙りこんでしまった。
201: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)19:56:54 ID:p47Ruh7JC
そのまま立ち尽くして僕らだったが、少し時間が経ったころに、ようやく波止場に移動することになった。
二人並んで座り、海を見る。
波は白い轍を作り、外から内へとさざ波の音と共に近付いてくる。陽射しは強いが、海風が吹いてるからか、そこまで暑さは感じない。その風に運ばれてくる潮の香りは、なんとも言えない心地よさを演出する。
「……海、綺麗だね」
「……ええ。そうね」
ようやく出たその言葉に、しずかちゃんは静かに言葉を返す。
少しだけ、昔に戻った気分だった。
あの頃の僕らは、こうして二人並び、色々なことをした。絵本の中に入ったり、過去や未来に行ったり……時には危険なこともあったけど、最後には必ず笑いあっていた。
――未来から来た、彼と共に……
二人並んで座り、海を見る。
波は白い轍を作り、外から内へとさざ波の音と共に近付いてくる。陽射しは強いが、海風が吹いてるからか、そこまで暑さは感じない。その風に運ばれてくる潮の香りは、なんとも言えない心地よさを演出する。
「……海、綺麗だね」
「……ええ。そうね」
ようやく出たその言葉に、しずかちゃんは静かに言葉を返す。
少しだけ、昔に戻った気分だった。
あの頃の僕らは、こうして二人並び、色々なことをした。絵本の中に入ったり、過去や未来に行ったり……時には危険なこともあったけど、最後には必ず笑いあっていた。
――未来から来た、彼と共に……
206: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)20:21:19 ID:p47Ruh7JC
彼のことを思い出すと、閉ざされていた僕の口は開き、自然と言葉が出た。
「……ねえ、最近どう?仕事忙しい?」
「……うん。やっぱり忙しいわね」
「大変だね。でも、今日は休みとれたんだ」
「取れたって言うのかな……課長がね、言ったの。働くことも仕事なら、休むこともまた仕事だって。それでもなかなか休めなくていたら、この通り。無理やり連れてこられちゃった」
「ハハハ……」
……舞さん、やっぱ課長なんだ……全然見えない……
「ほんと、課長には感謝してるわ。いつも私をサポートしてくれるし、優しいし……」
そう話すしずかちゃんは、とても生き生きとしていた。本当に、今の仕事が好きなのだろう。
そこで僕は、とても気になることを口にした。
「……出来杉は?」
「え?」
「出来杉は……一緒に仕事してるわ。彼ね、今度のプロジェクトのリーダーになったのよ。とても、張り切ってるわ」
「……そう、なんだ……」
……出来杉は、やっぱり凄かった。
二人が働くのは大手企業。その、プロジェクトリーダーなんて、なかなかなれるものではない。しかも、あの若さで……
出来杉は、僕なんかとは全然違う。
そのことが、酷く惨めに思えていた……
「……ねえ、最近どう?仕事忙しい?」
「……うん。やっぱり忙しいわね」
「大変だね。でも、今日は休みとれたんだ」
「取れたって言うのかな……課長がね、言ったの。働くことも仕事なら、休むこともまた仕事だって。それでもなかなか休めなくていたら、この通り。無理やり連れてこられちゃった」
「ハハハ……」
……舞さん、やっぱ課長なんだ……全然見えない……
「ほんと、課長には感謝してるわ。いつも私をサポートしてくれるし、優しいし……」
そう話すしずかちゃんは、とても生き生きとしていた。本当に、今の仕事が好きなのだろう。
そこで僕は、とても気になることを口にした。
「……出来杉は?」
「え?」
「出来杉は……一緒に仕事してるわ。彼ね、今度のプロジェクトのリーダーになったのよ。とても、張り切ってるわ」
「……そう、なんだ……」
……出来杉は、やっぱり凄かった。
二人が働くのは大手企業。その、プロジェクトリーダーなんて、なかなかなれるものではない。しかも、あの若さで……
出来杉は、僕なんかとは全然違う。
そのことが、酷く惨めに思えていた……
208: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)20:36:09 ID:p47Ruh7JC
「――さて、そろそろ帰らなきゃ」
彼女は、その場を立ち上がる。そして、一度大きく体を伸ばした。
「え?もう帰るの?」
彼女は、困ったような笑みを浮かべる。
「……うん。仕事が残ってるの」
「今日くらいは、ゆっくりしたら?」
「そうなんだけどね……」
「ストレスだって、溜まってると思うよ?無理しなくても……」
「大丈夫よ、のび太さん。確かに、ちょっと疲れてはいるけど」
「だったら――」
「――でも、気分はいいの。とっても……」
そう話すと、彼女は遠くの海を眺めた。まるで海風に全身で触れるように目を閉じる。
とても、穏やかな顔で……
その顔を見たら、それ以上のことを言えなくなってしまった。
だから僕も、同じように海を見た。
遠くに見える入道雲が、ふわふわと風になびかれ形を変える。
「――のび太さん、あの雲、笑ってるみたい……」
「え――?……あ、ホントだ……」
大きな白い雲は、僕らを見守るように、空から優しく微笑みかけていた。
彼女は、その場を立ち上がる。そして、一度大きく体を伸ばした。
「え?もう帰るの?」
彼女は、困ったような笑みを浮かべる。
「……うん。仕事が残ってるの」
「今日くらいは、ゆっくりしたら?」
「そうなんだけどね……」
「ストレスだって、溜まってると思うよ?無理しなくても……」
「大丈夫よ、のび太さん。確かに、ちょっと疲れてはいるけど」
「だったら――」
「――でも、気分はいいの。とっても……」
そう話すと、彼女は遠くの海を眺めた。まるで海風に全身で触れるように目を閉じる。
とても、穏やかな顔で……
その顔を見たら、それ以上のことを言えなくなってしまった。
だから僕も、同じように海を見た。
遠くに見える入道雲が、ふわふわと風になびかれ形を変える。
「――のび太さん、あの雲、笑ってるみたい……」
「え――?……あ、ホントだ……」
大きな白い雲は、僕らを見守るように、空から優しく微笑みかけていた。
211: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)20:44:57 ID:p47Ruh7JC
それから、しずかちゃんと舞さんは帰っていった。
『感謝するよ、のび太。おかげで、しずかはリフレッシュ出来たみたいだ』
最後に、舞さんはそう言った。
でも、正直僕は何もしていない。話だって少ししか出来なかったし。
それで持ち直したのなら、それはきっと、しずかちゃん本人の力なんだと思う。
ちなみに、ジャイアンとスネ夫は、完全に酔いつぶれていた。
何でも、酒に酔わせて舞さんの連絡先を聞こうとしたらしいが、逆に潰されたとか。
確か、ジャイアンはかなり酒が強い。
それをも上回る酒豪とは……舞さん、恐るべし。
二人が酔いつぶれていたこともあり、その日僕らは帰らず、近くの民宿に一泊した。
その日の夜、二人は地獄を見ていたが。
酒は、ほどほどに。
『感謝するよ、のび太。おかげで、しずかはリフレッシュ出来たみたいだ』
最後に、舞さんはそう言った。
でも、正直僕は何もしていない。話だって少ししか出来なかったし。
それで持ち直したのなら、それはきっと、しずかちゃん本人の力なんだと思う。
ちなみに、ジャイアンとスネ夫は、完全に酔いつぶれていた。
何でも、酒に酔わせて舞さんの連絡先を聞こうとしたらしいが、逆に潰されたとか。
確か、ジャイアンはかなり酒が強い。
それをも上回る酒豪とは……舞さん、恐るべし。
二人が酔いつぶれていたこともあり、その日僕らは帰らず、近くの民宿に一泊した。
その日の夜、二人は地獄を見ていたが。
酒は、ほどほどに。
215: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)21:08:21 ID:p47Ruh7JC
民宿を出るころには、ジャイアン達もようやくなんとか回復していた。少しまだフラフラしてるけど、夜よりは何倍もましのようだ。
しかしながら、人生とは難しいものだ。
地獄を見ていた二人を介抱したのが僕。だが家に帰ってから、今度は僕に地獄が訪れていた。
「……あぅぅ……し、死ぬ……」
帰宅した僕は、なんとなく体の怠さを感じ、その日は早く寝た。次の日が仕事でもあったし、体調管理に万全を期すことこそ、一人前の企業戦士だからだ。
……だが、翌朝、あまりの気怠さに目を冷まし、水銀の温度計を使用したところ、なんと数値は39度オーバーを叩き出していた。
どうやら、相当疲れていたようだ。
仕方なく会社に連絡を入れ、その日は休むこととした。
本日の企業戦士は、しばしの休息となった。
――ピンポーン
寝ていた僕は、玄関から鳴り響くチャイムの音に目を覚ます。
時刻は夕方。
こんな時間に来るのは、大抵新聞の勧誘であることを、僕は知っている。
フラフラとしながら玄関に向かい、ガチャリとドアを開けた。
「――新聞ならいりませんよ」
「……新聞?なんのこと?」
「…………へ?」
目の前にいた人物は、キョトンとしていた。まあいきなり新聞の勧誘と間違えられたわけだし、無理もないわけで……
――いやいや。そうじゃなくて、その前に……
「さ、咲子さん?なんでここに……」
僕の問いにニッコリと笑みを浮かべた咲子さんは、手に持っていた膨らんだスーパーのビニール袋見せる。
そして……
「――晩ごはん、作りに来たの。……おじゃま、してもいい?」
しかしながら、人生とは難しいものだ。
地獄を見ていた二人を介抱したのが僕。だが家に帰ってから、今度は僕に地獄が訪れていた。
「……あぅぅ……し、死ぬ……」
帰宅した僕は、なんとなく体の怠さを感じ、その日は早く寝た。次の日が仕事でもあったし、体調管理に万全を期すことこそ、一人前の企業戦士だからだ。
……だが、翌朝、あまりの気怠さに目を冷まし、水銀の温度計を使用したところ、なんと数値は39度オーバーを叩き出していた。
どうやら、相当疲れていたようだ。
仕方なく会社に連絡を入れ、その日は休むこととした。
本日の企業戦士は、しばしの休息となった。
――ピンポーン
寝ていた僕は、玄関から鳴り響くチャイムの音に目を覚ます。
時刻は夕方。
こんな時間に来るのは、大抵新聞の勧誘であることを、僕は知っている。
フラフラとしながら玄関に向かい、ガチャリとドアを開けた。
「――新聞ならいりませんよ」
「……新聞?なんのこと?」
「…………へ?」
目の前にいた人物は、キョトンとしていた。まあいきなり新聞の勧誘と間違えられたわけだし、無理もないわけで……
――いやいや。そうじゃなくて、その前に……
「さ、咲子さん?なんでここに……」
僕の問いにニッコリと笑みを浮かべた咲子さんは、手に持っていた膨らんだスーパーのビニール袋見せる。
そして……
「――晩ごはん、作りに来たの。……おじゃま、してもいい?」
219: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)21:29:14 ID:p47Ruh7JC
「――少し散らかってるけど、気にしないで」
「おかまいなく。……うわぁ。ここが男の人の部屋かぁ……」
「あ、あんまりじろじろみないで欲しいかも……」
「んん?じろじろ見られたくないものでもあるの?」
咲子さんは、意地悪な笑みを浮かべていた。僕はそれに失笑を返す。
来たことに驚いたが、さすがに追い返すのは可哀想と思い、彼女を部屋に招き入れた。
実のところ、女の人を家に入れるのは、彼女が初めてだ。しずかちゃんも入れたことない。
少しだけ片付けをしたあと、僕は布団に戻る。彼女はそんな僕の横にちょこんと座り、引き続き部屋の中をきょろきょろと見渡していた。
その目は、好奇心旺盛な子供のようだった。
「……よくここが分かったね」
「うん。上司に聞いたの」
「……教えてくれたんだ」
……上司よ。個人情報とはなんぞや。
「……じゃあさっそく、キッチン借りるね。のび太くんは寝てて」
「あ、うん……」
そう言うと、咲子さんは持ってきていた花柄の赤いエプロンを身に付けた。
そして、軽快なリズムで、包丁の音を響かせ始めた。
「おかまいなく。……うわぁ。ここが男の人の部屋かぁ……」
「あ、あんまりじろじろみないで欲しいかも……」
「んん?じろじろ見られたくないものでもあるの?」
咲子さんは、意地悪な笑みを浮かべていた。僕はそれに失笑を返す。
来たことに驚いたが、さすがに追い返すのは可哀想と思い、彼女を部屋に招き入れた。
実のところ、女の人を家に入れるのは、彼女が初めてだ。しずかちゃんも入れたことない。
少しだけ片付けをしたあと、僕は布団に戻る。彼女はそんな僕の横にちょこんと座り、引き続き部屋の中をきょろきょろと見渡していた。
その目は、好奇心旺盛な子供のようだった。
「……よくここが分かったね」
「うん。上司に聞いたの」
「……教えてくれたんだ」
……上司よ。個人情報とはなんぞや。
「……じゃあさっそく、キッチン借りるね。のび太くんは寝てて」
「あ、うん……」
そう言うと、咲子さんは持ってきていた花柄の赤いエプロンを身に付けた。
そして、軽快なリズムで、包丁の音を響かせ始めた。
222: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)21:39:32 ID:p47Ruh7JC
「……」
不思議な光景だった。
僕は、料理をする彼女の背中を眺めていた。
前までは、こうして見る女性の姿は、しずかちゃんしかいないと思っていた。
……でも、今僕の目の前にいるのは、彼女ではない。
それが何だかとても不思議なことで、咲子さんの後ろ姿を、ただぼーっと見ていた。
すると、急に咲子さんは後ろを振り返る。そして、僕が見ているのに気付いた瞬間に視線を前に戻した。それから、ちょくちょく後ろを振り返りはじめた。
「……?どうかした?」
すると、彼女は照れるように顔を背けながら、呟く。
「……そんなに見られたら、少しだけ、恥ずかしいかも……」
「あ――、ご、ごめん……!!」
慌てて布団を被ろうとした。でも――
「――あ、待って!」
「え?」
「……やっぱり、見てていいよ……」
「う、うん……」
……なんなの、いったい。
不思議な光景だった。
僕は、料理をする彼女の背中を眺めていた。
前までは、こうして見る女性の姿は、しずかちゃんしかいないと思っていた。
……でも、今僕の目の前にいるのは、彼女ではない。
それが何だかとても不思議なことで、咲子さんの後ろ姿を、ただぼーっと見ていた。
すると、急に咲子さんは後ろを振り返る。そして、僕が見ているのに気付いた瞬間に視線を前に戻した。それから、ちょくちょく後ろを振り返りはじめた。
「……?どうかした?」
すると、彼女は照れるように顔を背けながら、呟く。
「……そんなに見られたら、少しだけ、恥ずかしいかも……」
「あ――、ご、ごめん……!!」
慌てて布団を被ろうとした。でも――
「――あ、待って!」
「え?」
「……やっぱり、見てていいよ……」
「う、うん……」
……なんなの、いったい。
223: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)21:51:47 ID:p47Ruh7JC
「――どう?おいしい?」
咲子さんは、作った料理を持つ僕に、キラキラした視線を送りながら聞いてきた。
彼女が作ったのは、野菜がたくさん入った雑炊。
美味しそうだ。確かに美味しそうだ。
だが……
「……いや、感想聞かれても、まだ食べてないから……」
「え?――あ、そうだったね。ごめん、つい……
「いいさ。今から食べるから。――いただきます……」
とりあえず、一口ぱくり。
「……」
「……」
(……あれ?)
ちょっと待ってほしい。
雑炊ってのは、確か出汁とか醤油とかが入って、懐かしい味のする日本食のはず……
だが目の前にあるモノは、なぜか洋風テイスト。醤油も出汁も感じない、ネイティブな味が口に広がる。初めて口にするような味だ。
だが一番不思議なのは、それだけ本家雑炊からかけ離れているはずなのに……
「……お、おいしい……」
「ほ、ほんと?」
「う、うん。とてもおいしいよ……」
なぜだか分からないけど……
「いっぱいあるからね。たくさん食べて、早く治さないと」
「う、うん……」
その味は、なぜだか食欲を刺激した。
そして僕は、気が付けば、3杯もおかわりをするのだった。
咲子さんは、作った料理を持つ僕に、キラキラした視線を送りながら聞いてきた。
彼女が作ったのは、野菜がたくさん入った雑炊。
美味しそうだ。確かに美味しそうだ。
だが……
「……いや、感想聞かれても、まだ食べてないから……」
「え?――あ、そうだったね。ごめん、つい……
「いいさ。今から食べるから。――いただきます……」
とりあえず、一口ぱくり。
「……」
「……」
(……あれ?)
ちょっと待ってほしい。
雑炊ってのは、確か出汁とか醤油とかが入って、懐かしい味のする日本食のはず……
だが目の前にあるモノは、なぜか洋風テイスト。醤油も出汁も感じない、ネイティブな味が口に広がる。初めて口にするような味だ。
だが一番不思議なのは、それだけ本家雑炊からかけ離れているはずなのに……
「……お、おいしい……」
「ほ、ほんと?」
「う、うん。とてもおいしいよ……」
なぜだか分からないけど……
「いっぱいあるからね。たくさん食べて、早く治さないと」
「う、うん……」
その味は、なぜだか食欲を刺激した。
そして僕は、気が付けば、3杯もおかわりをするのだった。
225: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)22:03:49 ID:p47Ruh7JC
たらふく雑炊(?)を食べた後、咲子さんは洗い物をする。それだけではなく、掃除、洗濯をして、仕事に来ていくスーツにアイロンまでかけてくれた。
まさに主婦。今すぐにでもお嫁に行けるだろう。
「――今日はありがとう、咲子さん」
「ううん、いいの。私が好きでしてるだけだし」
「……え?」
「え?――あ!違う違う!今のはそういう意味じゃなくて!」
「ええっと……」
「――あ!違うんじゃなくて!好きなのは本当だけど!今のはそういう意味で言ったんじゃなくて――!!」
彼女は、顔を真っ赤にしながら、顔を隠すように必死に手を振っていた。
その姿は、なんだかとても愛らしく思えた。
自然と僕は、お腹を抱えて笑っていた。
笑う僕の姿を見た咲子さんは、顔を膨らませ顔を伏せてしまった。
――ふと、咲子さんはあるものに気付いた。
「……これって……アルバム?」
それは、僕の小・中学の時の、みんなで撮った写真達だった。
まさに主婦。今すぐにでもお嫁に行けるだろう。
「――今日はありがとう、咲子さん」
「ううん、いいの。私が好きでしてるだけだし」
「……え?」
「え?――あ!違う違う!今のはそういう意味じゃなくて!」
「ええっと……」
「――あ!違うんじゃなくて!好きなのは本当だけど!今のはそういう意味で言ったんじゃなくて――!!」
彼女は、顔を真っ赤にしながら、顔を隠すように必死に手を振っていた。
その姿は、なんだかとても愛らしく思えた。
自然と僕は、お腹を抱えて笑っていた。
笑う僕の姿を見た咲子さんは、顔を膨らませ顔を伏せてしまった。
――ふと、咲子さんはあるものに気付いた。
「……これって……アルバム?」
それは、僕の小・中学の時の、みんなで撮った写真達だった。
232: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)22:45:12 ID:p47Ruh7JC
「……これ、見ていい?」
「……うん。いいよ」
僕がそう言うと、咲子さんはアルバムをめくり始めた。彼女が見る傍らで、僕もアルバムを覗き込む。
写真の中の僕らは、あの頃のまま時間が止まっていた。
あの頃、彼が取り出す不思議な道具により彩られた、夢のような毎日……でも、彼の写真は1枚も残っていない。不自然に抜き取られたアルバムのポケットが、ところどころ散見された。
その何もないポケットを見るたびに、思い知らされる気分になる。
彼が、僕の隣にいないことを……
「――これ……」
感傷に耽っていると、咲子さんが言葉を漏らした。
彼女の見つめる先には、小学生の時の写真が。それは、みんなで白亜期に行き、キャンプをした時の写真だった。
その中で、僕はあの子の隣に立っていた。
「……これ、あの時の……」
「……うん。しずかちゃん……」
「……」
そのまま、彼女は口を閉ざした。
236: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)22:53:12 ID:p47Ruh7JC
「……やっぱり、幼馴染み……なんだね……」
ようやく彼女が口にしたその言葉は、とても寂しそうだった。
そしてそのまま、彼女は続ける。
「……ずるいなぁ、源さん……」
「……ずるい?」
「私には、のび太くんとの記憶は、会社に入社した時からしかないんだよね。
――だけど源さんは、のび太くんとの思い出が、こんなにたくさん残ってる。
……やっぱり、羨ましいな……」
「……」
「私ね、最近考えてるんだ。私とのび太くんは同じ地元なのに、なんでもっと早く会えなかったんだろうって。
もっと早く会っていれば、こんなに悩むこと、なかったかもしれないのに……」
「……咲子さん……」
「……」
「……」
部屋の中は、静まり返った。
台所の水道から漏れる水滴の音が、やけに大きく聞こえていた。
ポタリ……ポタリ……と。
ようやく彼女が口にしたその言葉は、とても寂しそうだった。
そしてそのまま、彼女は続ける。
「……ずるいなぁ、源さん……」
「……ずるい?」
「私には、のび太くんとの記憶は、会社に入社した時からしかないんだよね。
――だけど源さんは、のび太くんとの思い出が、こんなにたくさん残ってる。
……やっぱり、羨ましいな……」
「……」
「私ね、最近考えてるんだ。私とのび太くんは同じ地元なのに、なんでもっと早く会えなかったんだろうって。
もっと早く会っていれば、こんなに悩むこと、なかったかもしれないのに……」
「……咲子さん……」
「……」
「……」
部屋の中は、静まり返った。
台所の水道から漏れる水滴の音が、やけに大きく聞こえていた。
ポタリ……ポタリ……と。
241: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)23:05:10 ID:p47Ruh7JC
「――私、そろそろ帰るね」
いきなり、咲子さんは立ち上がり、荷物をまとめ始めた。
「え?あ、うん……」
「……じゃあね。あ、寝てなきゃダメだよ?」
そう言い残し、逃げるように玄関に向かう彼女。
でもここで、僕は彼女が荷物を忘れていることに気付いた。
「――あ、咲子さん!これ――!」
その荷物を手に持ち、前屈みに立ち上がり彼女の方に向かう。
――すると、急に目の前が真っ暗になった。
激しい目眩に苛まれ、目の前が歪む。
(やばっ……そういえば、まだ熱が……)
フラフラと彼女の方に近付いていった。
「え――?」
彼女が僕に気付き振り返ると同時に、僕の意識は、そのまま暗闇の中に沈み始める。
体の力は抜け、彼女に覆い被さるように倒れ込んだ。
「あ――」
彼女の口から漏れた声だけが耳に入る。
それから先は、覚えていない。
……ただ最後に、彼女の腕に包み込まれたような……そんな、気がした。
いきなり、咲子さんは立ち上がり、荷物をまとめ始めた。
「え?あ、うん……」
「……じゃあね。あ、寝てなきゃダメだよ?」
そう言い残し、逃げるように玄関に向かう彼女。
でもここで、僕は彼女が荷物を忘れていることに気付いた。
「――あ、咲子さん!これ――!」
その荷物を手に持ち、前屈みに立ち上がり彼女の方に向かう。
――すると、急に目の前が真っ暗になった。
激しい目眩に苛まれ、目の前が歪む。
(やばっ……そういえば、まだ熱が……)
フラフラと彼女の方に近付いていった。
「え――?」
彼女が僕に気付き振り返ると同時に、僕の意識は、そのまま暗闇の中に沈み始める。
体の力は抜け、彼女に覆い被さるように倒れ込んだ。
「あ――」
彼女の口から漏れた声だけが耳に入る。
それから先は、覚えていない。
……ただ最後に、彼女の腕に包み込まれたような……そんな、気がした。
244: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)23:20:14 ID:p47Ruh7JC
「……うぅ……うぅん……」
気が付いた時には、朝の光が窓から射し込まれていた。
どうやら、そのまま眠ってしまったようだ。
体は軽い。熱も下がったようだ。
「……うん?」
その時、僕はようやく気が付いた。僕の腹部に顔を埋め、座ったまま眠る彼女の姿に――
彼女の横には、水が張った洗面器があった。そして僕ま枕の横には、少し濡れたタオルも落ちていた。
それが意味することは、つまり……
(一晩中、看病してくれてたのか……)
無意識に、彼女の頭を撫でていた。
――その時だった。
ピンポーン……
玄関から、チャイムが鳴り響く。
こんな時間に誰だろうか――。そんなことを思いながら、彼女を起こさないように横にずらし、玄関に向かった。
「……どなたですか?」
玄関を開けた瞬間、僕は凍り付いた。
「……具合、どう?」
一瞬、目を疑った。でも、間違いない。
「――し、しずかちゃん!?」
気が付いた時には、朝の光が窓から射し込まれていた。
どうやら、そのまま眠ってしまったようだ。
体は軽い。熱も下がったようだ。
「……うん?」
その時、僕はようやく気が付いた。僕の腹部に顔を埋め、座ったまま眠る彼女の姿に――
彼女の横には、水が張った洗面器があった。そして僕ま枕の横には、少し濡れたタオルも落ちていた。
それが意味することは、つまり……
(一晩中、看病してくれてたのか……)
無意識に、彼女の頭を撫でていた。
――その時だった。
ピンポーン……
玄関から、チャイムが鳴り響く。
こんな時間に誰だろうか――。そんなことを思いながら、彼女を起こさないように横にずらし、玄関に向かった。
「……どなたですか?」
玄関を開けた瞬間、僕は凍り付いた。
「……具合、どう?」
一瞬、目を疑った。でも、間違いない。
「――し、しずかちゃん!?」
249: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)23:33:07 ID:p47Ruh7JC
「――ど、どうしてここに!?」
「……剛さんから、のび太さんが風邪引いたって聞いて。お見舞いに……」
「あ……ああ……そう、なんだ……」
(――これは……マズイ!!!)
寝起きでぼけっとしていた僕の脳は、即座に高速回転を始める。
僕の部屋には、咲子さんがいる。そして時刻は朝。誰が見ても、導き出される答えは同じだろう。
――即ち、御宿泊……
(――ま、マズイぞおおおおおお!!!)
しずかちゃんが僕の部屋を訪ねたのは、今日が初めてだった。だがしかし、なぜよりよって今日なのだろうか!
やましいことは何もない。何もない――が!いったい誰が信じると言うのだろうか……
「……ねえのび太さん。本当に大丈夫?」
しずかちゃんは、心配そうに僕の顔を覗き込む。おそらく、死にそうな顔をしているのだろう。
「え!?ああ、ああ!大丈夫大丈夫!すごく元気!」
ちょっと大げさに、ジェスチャーをしながら言ってみた。するとしずかちゃんは、ホッと胸を撫で下ろす。
「良かったぁ……ねえ、上がってもいい?」
(な、なんですとおおおおお!!??)
僕は、更なる窮地に立たされた。
「……剛さんから、のび太さんが風邪引いたって聞いて。お見舞いに……」
「あ……ああ……そう、なんだ……」
(――これは……マズイ!!!)
寝起きでぼけっとしていた僕の脳は、即座に高速回転を始める。
僕の部屋には、咲子さんがいる。そして時刻は朝。誰が見ても、導き出される答えは同じだろう。
――即ち、御宿泊……
(――ま、マズイぞおおおおおお!!!)
しずかちゃんが僕の部屋を訪ねたのは、今日が初めてだった。だがしかし、なぜよりよって今日なのだろうか!
やましいことは何もない。何もない――が!いったい誰が信じると言うのだろうか……
「……ねえのび太さん。本当に大丈夫?」
しずかちゃんは、心配そうに僕の顔を覗き込む。おそらく、死にそうな顔をしているのだろう。
「え!?ああ、ああ!大丈夫大丈夫!すごく元気!」
ちょっと大げさに、ジェスチャーをしながら言ってみた。するとしずかちゃんは、ホッと胸を撫で下ろす。
「良かったぁ……ねえ、上がってもいい?」
(な、なんですとおおおおお!!??)
僕は、更なる窮地に立たされた。
253: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/11(月)23:45:02 ID:p47Ruh7JC
「……だめ?」
「ダメって言うか……その……そう!凄く散らかってるし!風邪で寝てて、全然片付けてないんだ!!」
とりあえず、防衛線を張ってみた。
「もう、のび太さん。片付けないと、治るものも治らないわよ?
のび太さんは寝てていいわよ。私が片付けます」
(逆効果だったあああああ!!!)
こう来るとは!凄まじくマズイ!
ここまで言われたら、断る方が不自然かもしれない!
しかし……だがしかし!家に入れれるはずもない!
どうする……どうする……!!??
「――のび太くん、起きてたの?」
「な゛っ―――!!??」
突然、後ろから咲子さんの声が聞こえた。さらにあろうことか、玄関へと近付いてくる。
そして……
「あれ?誰か来てた……の……」
「……え?……あなたは……あの時の……」
……ついに……ご対面、しちゃいました……。
そしてその場で、僕達はもれなくフリーズする。
その時、僕の脳裏には、なぜか走馬灯が流れていた……
「ダメって言うか……その……そう!凄く散らかってるし!風邪で寝てて、全然片付けてないんだ!!」
とりあえず、防衛線を張ってみた。
「もう、のび太さん。片付けないと、治るものも治らないわよ?
のび太さんは寝てていいわよ。私が片付けます」
(逆効果だったあああああ!!!)
こう来るとは!凄まじくマズイ!
ここまで言われたら、断る方が不自然かもしれない!
しかし……だがしかし!家に入れれるはずもない!
どうする……どうする……!!??
「――のび太くん、起きてたの?」
「な゛っ―――!!??」
突然、後ろから咲子さんの声が聞こえた。さらにあろうことか、玄関へと近付いてくる。
そして……
「あれ?誰か来てた……の……」
「……え?……あなたは……あの時の……」
……ついに……ご対面、しちゃいました……。
そしてその場で、僕達はもれなくフリーズする。
その時、僕の脳裏には、なぜか走馬灯が流れていた……
268: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)05:13:45 ID:8noyZ5OrM
「……のび太さん?」
「は、はひっ――!」
「これ……どういうこと?」
しずかちゃんから放たれる圧倒的なオーラが、僕の心を叩き潰しにかかる。これまで、聞いたことがないくらいに怖い声。
凄まじく――どころではない。超ド級に怒ってるのが分かる。
……が、今の僕には、この状況を的確に説明できるような余裕などあるはずもなく……
「い、いや……これはというと……」
「ちゃんと説明、してくれるかしら?」
「ええと……その……」
……結果、しどろもどろとなり、余計に誤解を招いてしまったようだ。
そんな中、突然咲子さんが切り出した。
「――私は、風邪で倒れていたのび太くんを、看病していただけです」
「……え?」
「……へ?」
ポカーンとする僕達を他所に、咲子さんは続けた。
「ですから、私がここにいたのは、寝込んでいたのび太くんを看病していただけなんです。やましいことは、一切ありません」
「……」
……なんとまあ、意外なことに、咲子さんが助け船を出してくれた。
「は、はひっ――!」
「これ……どういうこと?」
しずかちゃんから放たれる圧倒的なオーラが、僕の心を叩き潰しにかかる。これまで、聞いたことがないくらいに怖い声。
凄まじく――どころではない。超ド級に怒ってるのが分かる。
……が、今の僕には、この状況を的確に説明できるような余裕などあるはずもなく……
「い、いや……これはというと……」
「ちゃんと説明、してくれるかしら?」
「ええと……その……」
……結果、しどろもどろとなり、余計に誤解を招いてしまったようだ。
そんな中、突然咲子さんが切り出した。
「――私は、風邪で倒れていたのび太くんを、看病していただけです」
「……え?」
「……へ?」
ポカーンとする僕達を他所に、咲子さんは続けた。
「ですから、私がここにいたのは、寝込んでいたのび太くんを看病していただけなんです。やましいことは、一切ありません」
「……」
……なんとまあ、意外なことに、咲子さんが助け船を出してくれた。
272: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)07:27:33 ID:8noyZ5OrM
「……のび太さん?それ、ホントなの?」
「う、うん……実は――」
「――ホントです。嘘なんか言ってません」
あくまでも、咲子さんは毅然とした口調を続ける。
だが、しずかちゃんは、ここで顔をムッとさせた。
「……悪いけど、私は、のび太さんに聞いてるの」
「のび太くんに聞いても一緒ですよ。だってそうなんだし」
「……」
少しずつ、険悪な雰囲気が辺りを包み始めた。二人とも、凄く怖い。
「そもそも、私がここにいて、何がいけないんですか?」
「な、何がって……」
「あなたは、のび太くんの彼女でもないはずです。そんなあなたが、文句を言う資格なんてありません」
「ちょ、ちょっと咲子さん……!」
「――で、でも!私はのび太さんの幼馴染みで……!!」
「それがなんですか!?」
「――!」
「そんなの、ただの幼馴染みじゃないですか!」
「……あ、あなただって!ただの同僚じゃない!」
「……私は……私は、のび太くんが好きです!告白もしました!」
「え――!?」
「好きな人と一緒にいて――何が悪いんですか!?」
「……!」
「……」
「……」
……これ、どうすりゃいいの……
「う、うん……実は――」
「――ホントです。嘘なんか言ってません」
あくまでも、咲子さんは毅然とした口調を続ける。
だが、しずかちゃんは、ここで顔をムッとさせた。
「……悪いけど、私は、のび太さんに聞いてるの」
「のび太くんに聞いても一緒ですよ。だってそうなんだし」
「……」
少しずつ、険悪な雰囲気が辺りを包み始めた。二人とも、凄く怖い。
「そもそも、私がここにいて、何がいけないんですか?」
「な、何がって……」
「あなたは、のび太くんの彼女でもないはずです。そんなあなたが、文句を言う資格なんてありません」
「ちょ、ちょっと咲子さん……!」
「――で、でも!私はのび太さんの幼馴染みで……!!」
「それがなんですか!?」
「――!」
「そんなの、ただの幼馴染みじゃないですか!」
「……あ、あなただって!ただの同僚じゃない!」
「……私は……私は、のび太くんが好きです!告白もしました!」
「え――!?」
「好きな人と一緒にいて――何が悪いんですか!?」
「……!」
「……」
「……」
……これ、どうすりゃいいの……
277: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)08:50:48 ID:8noyZ5OrM
「……」
「……」
さっきの言い合いから一転、双方にらみ合いの膠着状態が続く。
2つの視線はぶつかり合い、火花を散らすかの如、たただ相手を威嚇し続けていた………!!
(……って、他人事みたいに言ってる場合じゃないよな)
「……し、しずかちゃん?」
「………!!」
「あっ!しずかちゃん!」
僕が一声かけた瞬間、彼女は走って帰って行った。
この場合、どうすれば良かったんだろう――
自分の行動の選択肢すら思い浮かばなかった僕は、その場で立ち尽くす他なかった。
「……ごめん」
ふと、後ろからか細い咲子さんの声が聞こえた。見れば彼女は目を伏せ、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
……これも、僕のせいなのかもしれない。
彼女に、非があるわけがない。彼女はただ、僕の身を按じていただけなんだ。
「……会社、行こうか」
「え?」
「遅刻しちゃうよ?」
「のび太くん……」
……だから僕は、今自分に出来る精一杯の笑顔を彼女に見せた。
それから、僕らは仕事に行った。
ドラえもん、僕は、これからどうすればいいんだろう……
君がいれば、何か不思議な道具で何とかしてくれるんだけどね……
――ふと、そんなことを考えた。
でも、彼はいない。いないんだ。
だからこれは、僕が何とかしなきゃいけないんだ。
そうだよね?ドラえもん……
「……」
さっきの言い合いから一転、双方にらみ合いの膠着状態が続く。
2つの視線はぶつかり合い、火花を散らすかの如、たただ相手を威嚇し続けていた………!!
(……って、他人事みたいに言ってる場合じゃないよな)
「……し、しずかちゃん?」
「………!!」
「あっ!しずかちゃん!」
僕が一声かけた瞬間、彼女は走って帰って行った。
この場合、どうすれば良かったんだろう――
自分の行動の選択肢すら思い浮かばなかった僕は、その場で立ち尽くす他なかった。
「……ごめん」
ふと、後ろからか細い咲子さんの声が聞こえた。見れば彼女は目を伏せ、今にも泣き出しそうな顔をしていた。
……これも、僕のせいなのかもしれない。
彼女に、非があるわけがない。彼女はただ、僕の身を按じていただけなんだ。
「……会社、行こうか」
「え?」
「遅刻しちゃうよ?」
「のび太くん……」
……だから僕は、今自分に出来る精一杯の笑顔を彼女に見せた。
それから、僕らは仕事に行った。
ドラえもん、僕は、これからどうすればいいんだろう……
君がいれば、何か不思議な道具で何とかしてくれるんだけどね……
――ふと、そんなことを考えた。
でも、彼はいない。いないんだ。
だからこれは、僕が何とかしなきゃいけないんだ。
そうだよね?ドラえもん……
286: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)11:40:50 ID:HP3JlSZpP
それから、季節は流れていった。
気が付けば、あれだけ猛威を振るっていた夏は終わりを迎え、秋が訪れた。
食欲の秋。芸術の秋。僕の場合、昼寝の秋。
会社では、夏の終盤にかけて怒涛の激務ラッシュが押し寄せ、目の回るような忙しさとなった。
おかげでジャイアンとスネ夫に連絡もろくに取れないし、それどころかおちおち昼寝も出来なかった。
……しずかちゃんとは、あれっきりだった。
何度か電話をしてみたが、いつもコール音だけが僕を待っていた。
たぶん、嫌われてしまったのかもしれない。それも無理もない話だと思うが。
あの一件は、ジャイアンに相談してみたりもした。
ジャイアンからは怒られたが、それでも、僕に悪気がなかったことは分かってくれていた。
『一度謝り入れとけよ―――』
そう言われたが、電話にも出ない状態だと、いきなり家に行くのもマズイだろうから、結局謝ることは出来ていなかった。
今頃しずかちゃんは、何をしてるのだろうか……
出木杉と、仲良くしてるのだろうか……
不安に感じる夜が多くなった。
――そんな僕の支えは、ドラえもんからの手紙だった。
気が付けば、あれだけ猛威を振るっていた夏は終わりを迎え、秋が訪れた。
食欲の秋。芸術の秋。僕の場合、昼寝の秋。
会社では、夏の終盤にかけて怒涛の激務ラッシュが押し寄せ、目の回るような忙しさとなった。
おかげでジャイアンとスネ夫に連絡もろくに取れないし、それどころかおちおち昼寝も出来なかった。
……しずかちゃんとは、あれっきりだった。
何度か電話をしてみたが、いつもコール音だけが僕を待っていた。
たぶん、嫌われてしまったのかもしれない。それも無理もない話だと思うが。
あの一件は、ジャイアンに相談してみたりもした。
ジャイアンからは怒られたが、それでも、僕に悪気がなかったことは分かってくれていた。
『一度謝り入れとけよ―――』
そう言われたが、電話にも出ない状態だと、いきなり家に行くのもマズイだろうから、結局謝ることは出来ていなかった。
今頃しずかちゃんは、何をしてるのだろうか……
出木杉と、仲良くしてるのだろうか……
不安に感じる夜が多くなった。
――そんな僕の支えは、ドラえもんからの手紙だった。
287: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)11:59:33 ID:HP3JlSZpP
ドラえもんの手紙は、それからも定期的に届いていた。
相変わらず真新しい手紙が家に届いて来る。
夜中届いたり、家に帰ると届いてたり。
届く時間はまちまちだった。
そして不思議なことに、誰もドラえもんの姿を見ていないようだ。
あれだけ目立つ青いタヌ……もとい、青いロボットなら、誰かが見ててもいいと思うんだが……
いい加減出てきてもいい頃だと思うが、このまま手紙をくれるなら、いつかは会えるかもしれないと思っている。
こうして手紙が届くと言うことは、彼はどこかにいるということ。
焦ることはないだろう。
――そう言えば、あれから、少しだけ変わったことがある。
相変わらず真新しい手紙が家に届いて来る。
夜中届いたり、家に帰ると届いてたり。
届く時間はまちまちだった。
そして不思議なことに、誰もドラえもんの姿を見ていないようだ。
あれだけ目立つ青いタヌ……もとい、青いロボットなら、誰かが見ててもいいと思うんだが……
いい加減出てきてもいい頃だと思うが、このまま手紙をくれるなら、いつかは会えるかもしれないと思っている。
こうして手紙が届くと言うことは、彼はどこかにいるということ。
焦ることはないだろう。
――そう言えば、あれから、少しだけ変わったことがある。
293: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)14:11:48 ID:HP3JlSZpP
「――のび太くん!お待たせ!」
「ああ、咲子さん……」
咲子さんは笑顔で駆け寄って来る。とてもおめかししてる。今日は、彼女と食事に行くことになっていた。
変わったことというのが、僕と咲子さんが出かける回数が増えたことだ。
仕事帰りにご飯を食べたり、休みの日に買い物に行ったり……
ちなみに、あの日の答えはまだ出せていない。
でも、咲子さんは一度も催促をしてこない。ただ、僕を待っている。
僕は、そんな彼女に甘えているのかもしれない。
頭ではそんなことはダメだというのは分かっている。早く決めないといけないってのは分かってる。
……だけど……
「――のび太くん?のび太くん?」
「……え?」
「はぁ……またボーっとしてたのね……」
「ええと……えへへへ……」
「笑って誤魔化さない!……まったくもう……」
口では怒っていても、咲子さんはどこか楽しそうだ。
――今の関係が続けばいい
僕は、そんなことを考えている。とても卑怯な考えだろうな。……最低だな、僕は……
「ああ、咲子さん……」
咲子さんは笑顔で駆け寄って来る。とてもおめかししてる。今日は、彼女と食事に行くことになっていた。
変わったことというのが、僕と咲子さんが出かける回数が増えたことだ。
仕事帰りにご飯を食べたり、休みの日に買い物に行ったり……
ちなみに、あの日の答えはまだ出せていない。
でも、咲子さんは一度も催促をしてこない。ただ、僕を待っている。
僕は、そんな彼女に甘えているのかもしれない。
頭ではそんなことはダメだというのは分かっている。早く決めないといけないってのは分かってる。
……だけど……
「――のび太くん?のび太くん?」
「……え?」
「はぁ……またボーっとしてたのね……」
「ええと……えへへへ……」
「笑って誤魔化さない!……まったくもう……」
口では怒っていても、咲子さんはどこか楽しそうだ。
――今の関係が続けばいい
僕は、そんなことを考えている。とても卑怯な考えだろうな。……最低だな、僕は……
294: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)14:26:34 ID:HP3JlSZpP
その日の商店街は、人の波がうねっていた。いつもよりも人が多い。
こうして見れば、もう大多数の人が秋物の服に衣替えしていた。確か、地方の山では天然スキー場もオープンしている。
これからどんどんと冬に変わっていくのだろう。
季節は巡る。ぐるぐると。ダラダラ昼寝してても、目まぐるしく忙しい毎日でも、時だけは一刻一刻と移り行くのだろう。そう考えたら、少しだけ、時間というモノもどこか神秘的に思えてくる。
「ずいぶん人が多いね」
「うん、そうだね」
「これだけ多いと、迷子になるかも」
「へ~……咲子さんでも迷子になる時があるんだね」
「私じゃなくて、のび太くんが」
「ぼ、僕が?」
「だってのび太くん、けっこうドジだからね」
「ひ、酷いよ~」
「ハハハ!ごめんごめん!」
彼女は笑いながら、くるくると僕の前で回る。
天真爛漫で、笑顔が絶えない彼女。少しだけ寒がりな彼女は、マフラーを首に巻く。彼女が動けば、赤いマフラーが風に流れていた。
本当に、彼女は可愛いと思う。本当に……
こうして見れば、もう大多数の人が秋物の服に衣替えしていた。確か、地方の山では天然スキー場もオープンしている。
これからどんどんと冬に変わっていくのだろう。
季節は巡る。ぐるぐると。ダラダラ昼寝してても、目まぐるしく忙しい毎日でも、時だけは一刻一刻と移り行くのだろう。そう考えたら、少しだけ、時間というモノもどこか神秘的に思えてくる。
「ずいぶん人が多いね」
「うん、そうだね」
「これだけ多いと、迷子になるかも」
「へ~……咲子さんでも迷子になる時があるんだね」
「私じゃなくて、のび太くんが」
「ぼ、僕が?」
「だってのび太くん、けっこうドジだからね」
「ひ、酷いよ~」
「ハハハ!ごめんごめん!」
彼女は笑いながら、くるくると僕の前で回る。
天真爛漫で、笑顔が絶えない彼女。少しだけ寒がりな彼女は、マフラーを首に巻く。彼女が動けば、赤いマフラーが風に流れていた。
本当に、彼女は可愛いと思う。本当に……
295: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)14:37:50 ID:HP3JlSZpP
「あ、ちょっとこの店入っていい?」
「ここは……?」
街の片隅にある、アンティークな小物屋。中には色々なものがあった。
人形、絵画、置物……こういうものに、興味があるのだろうか……
「すぐ戻るからね。ちょっと店の前で待ってて!」
「うん。行っておいでよ」
「うん!」
そして、彼女は小走りで駆けて行った。そして、小さなベルの音を響かせ、店に入る。
彼女がいなくなった後、僕は目の前を通る人たちを眺めていた。
こうして見える人たちには、それぞれにそれぞれの人生がある。喜びがある。悲しみがある。悩みがある。
今、僕がこうして考えていることも、もしかしたら誰かが同じように考えているのかもしれない。
何が言いたいかというと……まあ、特に意味もない。
ただ、それだけ多くの人が、色々な形の道を歩いているということだ。そしてそれは、それぞれが自ら選んで来たものであるということだ。
……僕もそろそろ、自分の足で歩くべきだろうな。
いつまでも立ち止まることなく、一歩を踏み出すべきなんだろうな。
流れる人たちの群小を見つめて、そう思った。
「ここは……?」
街の片隅にある、アンティークな小物屋。中には色々なものがあった。
人形、絵画、置物……こういうものに、興味があるのだろうか……
「すぐ戻るからね。ちょっと店の前で待ってて!」
「うん。行っておいでよ」
「うん!」
そして、彼女は小走りで駆けて行った。そして、小さなベルの音を響かせ、店に入る。
彼女がいなくなった後、僕は目の前を通る人たちを眺めていた。
こうして見える人たちには、それぞれにそれぞれの人生がある。喜びがある。悲しみがある。悩みがある。
今、僕がこうして考えていることも、もしかしたら誰かが同じように考えているのかもしれない。
何が言いたいかというと……まあ、特に意味もない。
ただ、それだけ多くの人が、色々な形の道を歩いているということだ。そしてそれは、それぞれが自ら選んで来たものであるということだ。
……僕もそろそろ、自分の足で歩くべきだろうな。
いつまでも立ち止まることなく、一歩を踏み出すべきなんだろうな。
流れる人たちの群小を見つめて、そう思った。
298: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)14:46:53 ID:HP3JlSZpP
――その時、気が付いた。
流れる人の中に、とても見慣れた二人組がいたことを……
(あれは……!!)
目を大きく見開く。人の波の中に紛れた彼と彼女。僕には気付いていないようだ。そして、僕の前を通る時、波が一瞬途切れる。
―――二人は、腕を組んでいた。その二人の表情は、とても幸せそうに笑っていた………
「―――しず―――」
――声が、出なかった。体が、心が、声を出すことを拒絶した。
そして二人は、再び人の波の中に消えていった。
時間にして、ほんのわずかな時間。ほんのわずかな時間、彼と彼女は僕に見せつけるようにその姿を見せた。
……これが、僕の行動の結果なのだろうか……
思わず、天を仰いだ。
「……ドラえもん、ごめん……」
そしてなぜか僕は、彼に謝る。
秋風が、体を通り抜ける。その風は、とても冷たかった。
流れる人の中に、とても見慣れた二人組がいたことを……
(あれは……!!)
目を大きく見開く。人の波の中に紛れた彼と彼女。僕には気付いていないようだ。そして、僕の前を通る時、波が一瞬途切れる。
―――二人は、腕を組んでいた。その二人の表情は、とても幸せそうに笑っていた………
「―――しず―――」
――声が、出なかった。体が、心が、声を出すことを拒絶した。
そして二人は、再び人の波の中に消えていった。
時間にして、ほんのわずかな時間。ほんのわずかな時間、彼と彼女は僕に見せつけるようにその姿を見せた。
……これが、僕の行動の結果なのだろうか……
思わず、天を仰いだ。
「……ドラえもん、ごめん……」
そしてなぜか僕は、彼に謝る。
秋風が、体を通り抜ける。その風は、とても冷たかった。
332: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)15:18:36 ID:HP3JlSZpP
「――お待たせのび太くん!」
「ああ……うん……」
「……ん?……んん??」
笑顔で店を出て来た彼女だったが、僕の顔を見た瞬間、僕の顔を下から覗き込み始めた。
「………」
「……な、なに?」
「……のび太くん……何かあった?」
「え――!?な、なんで!?」
「だって、のび太くん、落ち込んでる顔してるし」
「そ、そんなことないけど……」
「ふ~ん……」
咲子さんは、どこか腑に落ちない表情を浮かべる。もしかして、僕って顔にすぐ出るんだろうか……
「……まあいいや。ねえ、行こ!」
「え?あ、ちょっと――」
彼女は急に僕の手を掴み、商店街を走り始めた。たくさんの人の中を抜けていく。
商店街の中で、走っているのは僕達だけだった。すれ違う人は僕らに視線を送る。
それすらも掻い潜るように、僕らは走った。
僕らが走る方向は、あの二人が消えていった方向とは逆の方向……
腕を引っ張られながら、一度だけ、後ろを振り返る。
――当然だが、二人の姿は、どこにもなかった。
「ああ……うん……」
「……ん?……んん??」
笑顔で店を出て来た彼女だったが、僕の顔を見た瞬間、僕の顔を下から覗き込み始めた。
「………」
「……な、なに?」
「……のび太くん……何かあった?」
「え――!?な、なんで!?」
「だって、のび太くん、落ち込んでる顔してるし」
「そ、そんなことないけど……」
「ふ~ん……」
咲子さんは、どこか腑に落ちない表情を浮かべる。もしかして、僕って顔にすぐ出るんだろうか……
「……まあいいや。ねえ、行こ!」
「え?あ、ちょっと――」
彼女は急に僕の手を掴み、商店街を走り始めた。たくさんの人の中を抜けていく。
商店街の中で、走っているのは僕達だけだった。すれ違う人は僕らに視線を送る。
それすらも掻い潜るように、僕らは走った。
僕らが走る方向は、あの二人が消えていった方向とは逆の方向……
腕を引っ張られながら、一度だけ、後ろを振り返る。
――当然だが、二人の姿は、どこにもなかった。
336: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)15:33:28 ID:HP3JlSZpP
しばらく走った後、僕らは高台の、見晴らしのいい公園に辿り着いた。
「はあ……はあ……つ、疲れたね……」
「はあ……はあ……さ、咲子さんが……走るからだよ……」
二人揃って、肩で息をする。辺りは少し肌寒くなっていた。
それでも、体は熱を帯びる。彼女の額にも、ほんのりと汗が滲んでいた。
「……あ~、空気が気持ちいい……!!」
一足先に呼吸を整えた彼女は、空に向かって大きく体を伸ばす。
続いて、僕もようやく息を整えた。
そして二人並んで、公園から見える景色を見下ろした。
「……きれいだね……」
「……うん。きれいだ……」
時刻は昼と夜が交差する時間。
空を見れば、東の空は藍色に、西の空は茜色に染まっていた。そして二つの空の真ん中は、優柔不断な様子で、藍と茜が入り混じる。
星の光はまだ目立たない。それでも、空の片隅では、既に星々が煌めき始めていた。
街並みを見てみれば、ポツリ、ポツリと、徐々に明かりが灯りはじめていた。
遠くに見えるローカル線では、光の列車が線路を走る。街中では車のライトが列を作り、それぞれの帰るべきところへ向けて、光の筋を残していく。
……とても、幻想的な光景だった。
僕らはしばらく、その情景に目を奪われていた。
そして言葉すらも奪われ、街が夜に染まる様子を、ただ眺めていた。
「はあ……はあ……つ、疲れたね……」
「はあ……はあ……さ、咲子さんが……走るからだよ……」
二人揃って、肩で息をする。辺りは少し肌寒くなっていた。
それでも、体は熱を帯びる。彼女の額にも、ほんのりと汗が滲んでいた。
「……あ~、空気が気持ちいい……!!」
一足先に呼吸を整えた彼女は、空に向かって大きく体を伸ばす。
続いて、僕もようやく息を整えた。
そして二人並んで、公園から見える景色を見下ろした。
「……きれいだね……」
「……うん。きれいだ……」
時刻は昼と夜が交差する時間。
空を見れば、東の空は藍色に、西の空は茜色に染まっていた。そして二つの空の真ん中は、優柔不断な様子で、藍と茜が入り混じる。
星の光はまだ目立たない。それでも、空の片隅では、既に星々が煌めき始めていた。
街並みを見てみれば、ポツリ、ポツリと、徐々に明かりが灯りはじめていた。
遠くに見えるローカル線では、光の列車が線路を走る。街中では車のライトが列を作り、それぞれの帰るべきところへ向けて、光の筋を残していく。
……とても、幻想的な光景だった。
僕らはしばらく、その情景に目を奪われていた。
そして言葉すらも奪われ、街が夜に染まる様子を、ただ眺めていた。
338: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)15:46:55 ID:HP3JlSZpP
「――あ、そうだ!」
突然、咲子さんは声を出し、ごそごそとバッグをあさり始める。
どうしたのかと見守る僕の目の前に、バッグから小さな小袋を取り出した。
「えっと……これは?」
「いいから!開けてみて?」
「……うん」
彼女に促されるまま中を開けてみる。その中には、小さな犬の置物があった。青い、ネクタイを付けた犬だった。
「これは?」
「フフフ……私のは、これ」
そう言って彼女が見せてきたのは、同じく犬の置物。こちらは赤い可愛いリボンが付いていた。
「それが、のび太くん。これが、私」
「ああ、そういうこと……」
「そうそう。――ねえ、取り替えっこしよ?」
「え?」
「いいからいいから!はい、私の」
「う、うん……」
「じゃあ、今度はのび太くんのをくれないかな?」
「うん。……はい」
「うん!ありがとう!」
そして僕らは、犬の置物を交換し合った。
突然、咲子さんは声を出し、ごそごそとバッグをあさり始める。
どうしたのかと見守る僕の目の前に、バッグから小さな小袋を取り出した。
「えっと……これは?」
「いいから!開けてみて?」
「……うん」
彼女に促されるまま中を開けてみる。その中には、小さな犬の置物があった。青い、ネクタイを付けた犬だった。
「これは?」
「フフフ……私のは、これ」
そう言って彼女が見せてきたのは、同じく犬の置物。こちらは赤い可愛いリボンが付いていた。
「それが、のび太くん。これが、私」
「ああ、そういうこと……」
「そうそう。――ねえ、取り替えっこしよ?」
「え?」
「いいからいいから!はい、私の」
「う、うん……」
「じゃあ、今度はのび太くんのをくれないかな?」
「うん。……はい」
「うん!ありがとう!」
そして僕らは、犬の置物を交換し合った。
339: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)16:00:31 ID:HP3JlSZpP
「ええと……どうして取り替えたの?」
「……だって、こうすれば、いつもお互いを応援出来るでしょ?」
「応援?」
「そうそう。例えばのび太くんが落ち込んで家に帰ると、その置物が励ますの。頑張れー、頑張れーって。
逆に私が落ち込んでいるときは、のび太くんの置物が私を励ましてくれるの。
のび太くんはどうかは分からないけど、私はそれだけで元気になれるよ。いつも、のび太くんが見守ってくれてるって思えるし。
――だから、のび太くんも辛いときは思い出して欲しいな。いつも私が、応援してるってことを……」
「―――」
……その言葉は、彼の手紙と重なった。
―――僕はいつでも、キミを応援してるよ―――
そう思った瞬間、僕の目からは涙が溢れ出してきた。
「……ひぐ……ひぐ……」
「え――ッ!?ど、どうしたののび太くん!?」
彼女は慌てて、僕の体に触れる。
それでも僕の目からは、止めどなく涙が溢れ出ていた。
苦しいとき、辛いとき、僕はいつも彼の手紙の言葉を思い出していた。そして目の前の彼女は、今まさに、彼と同じ言葉を口にした。
それが本当に嬉しくて、暖かくて……心の奥からつま先まで、優しく包まれるような……そんな感覚だった。
「……」
彼女はただ、僕が泣き止むのを待っていた。僕はひとしきり泣いた後、ようやく落ち着きを取り戻した。
「……ご、ごめん……ありがとう……」
「う、うん……」
彼女は、未だ混乱していたようだ。
彼女が、とても愛おしく思えた。大切にしたいと思った。そして僕の口は、自然と動いていた。
「ねえ……咲子さん……」
「え?どうしたの?」
「――僕と、付き合ってほしい……」
「……だって、こうすれば、いつもお互いを応援出来るでしょ?」
「応援?」
「そうそう。例えばのび太くんが落ち込んで家に帰ると、その置物が励ますの。頑張れー、頑張れーって。
逆に私が落ち込んでいるときは、のび太くんの置物が私を励ましてくれるの。
のび太くんはどうかは分からないけど、私はそれだけで元気になれるよ。いつも、のび太くんが見守ってくれてるって思えるし。
――だから、のび太くんも辛いときは思い出して欲しいな。いつも私が、応援してるってことを……」
「―――」
……その言葉は、彼の手紙と重なった。
―――僕はいつでも、キミを応援してるよ―――
そう思った瞬間、僕の目からは涙が溢れ出してきた。
「……ひぐ……ひぐ……」
「え――ッ!?ど、どうしたののび太くん!?」
彼女は慌てて、僕の体に触れる。
それでも僕の目からは、止めどなく涙が溢れ出ていた。
苦しいとき、辛いとき、僕はいつも彼の手紙の言葉を思い出していた。そして目の前の彼女は、今まさに、彼と同じ言葉を口にした。
それが本当に嬉しくて、暖かくて……心の奥からつま先まで、優しく包まれるような……そんな感覚だった。
「……」
彼女はただ、僕が泣き止むのを待っていた。僕はひとしきり泣いた後、ようやく落ち着きを取り戻した。
「……ご、ごめん……ありがとう……」
「う、うん……」
彼女は、未だ混乱していたようだ。
彼女が、とても愛おしく思えた。大切にしたいと思った。そして僕の口は、自然と動いていた。
「ねえ……咲子さん……」
「え?どうしたの?」
「――僕と、付き合ってほしい……」
348: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)17:07:14 ID:HP3JlSZpP
「――おい、野比」
「……え?あ、はい」
会社で、突然上司に呼び止められた。
何だろうかと思っていたら、上司はとある人物を指さす。
「……あいつ、どうしたんだ?」
「あいつって……」
上司の指の先にいた人物は……
「……咲子、さん?」
「そうそう。見ろあの様子を――」
……確かに、彼女の様子は誰が見ても異常事態だった。
ソファーに座りぼんやりとしながらも、頬は常に緩んでいる。熱でもあるのかと思うくらい顔は桃色に染まっていた。
さらに一番奇妙なのは、突然真顔になったと思ったら、すぐにとろけるように顔が緩む。
(ちょっと咲子さん……)
いくらなんでも、緩み過ぎでは……
――と、その時。
「……なあ野比。ここだけの話だが……」
「は、はい……」
「……幸せに、してやれよ……」
「―――ッ!?」
「ハハハ……!!部下のことなど、お見通しだよ!!ハハハ……!!」
そのまま上司は、笑いながら去って行った。
何だかんだで部下のこと、見てるんだな……
――誰かに漏らさないことを、切に願う。
「……え?あ、はい」
会社で、突然上司に呼び止められた。
何だろうかと思っていたら、上司はとある人物を指さす。
「……あいつ、どうしたんだ?」
「あいつって……」
上司の指の先にいた人物は……
「……咲子、さん?」
「そうそう。見ろあの様子を――」
……確かに、彼女の様子は誰が見ても異常事態だった。
ソファーに座りぼんやりとしながらも、頬は常に緩んでいる。熱でもあるのかと思うくらい顔は桃色に染まっていた。
さらに一番奇妙なのは、突然真顔になったと思ったら、すぐにとろけるように顔が緩む。
(ちょっと咲子さん……)
いくらなんでも、緩み過ぎでは……
――と、その時。
「……なあ野比。ここだけの話だが……」
「は、はい……」
「……幸せに、してやれよ……」
「―――ッ!?」
「ハハハ……!!部下のことなど、お見通しだよ!!ハハハ……!!」
そのまま上司は、笑いながら去って行った。
何だかんだで部下のこと、見てるんだな……
――誰かに漏らさないことを、切に願う。
351: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)17:29:13 ID:HP3JlSZpP
「――咲子さん?咲子さん?」
「……ふえ?――え!?え!?な、何ッ!?」
「いや……そんなに驚かなくても……」
「ご、ごめん!!――じゃなくて!!ごめんなさい!!」
「なんでわざわざ敬語に……」
「あ!う、うん……なんか、緊張しちゃって……」
仕事帰りにご飯を食べながら、そんな会話をしていた。
付き合い始めて1週間。なんか、前より会話が出来ていない……というより、なぜか咲子さんが毎回毎回一緒にいると極度の緊張状態に陥ってしまっている。
こんな彼女を見るのは、初めてだった。
「咲子さん、どうしたの?今までと大して変わらないでしょ?一緒にご飯食べてるだけだし……」
「だって……何だか凄く恥ずかしいし……それに、同じじゃないよ。だって私達……つ……つつ、つ……つ、付き合って…るん、だし……」
彼女の顔は茹でタコのように真っ赤に染まる。
……あ、頭から湯気が出てる。
「……重症だね」
「……うん。もしかして……今の私、嫌?」
「そんなことないよ。ほら、ご飯食べよ」
「う、うん……!!」
彼女は、すっかり変わった。
前まではどんどん僕を引っ張る感じだったが、今では凄まじく恥ずかしがり屋に……
トラン〇フォーマーもビックリなくらいの、メタモルフォーゼかもしれない。
「……ふえ?――え!?え!?な、何ッ!?」
「いや……そんなに驚かなくても……」
「ご、ごめん!!――じゃなくて!!ごめんなさい!!」
「なんでわざわざ敬語に……」
「あ!う、うん……なんか、緊張しちゃって……」
仕事帰りにご飯を食べながら、そんな会話をしていた。
付き合い始めて1週間。なんか、前より会話が出来ていない……というより、なぜか咲子さんが毎回毎回一緒にいると極度の緊張状態に陥ってしまっている。
こんな彼女を見るのは、初めてだった。
「咲子さん、どうしたの?今までと大して変わらないでしょ?一緒にご飯食べてるだけだし……」
「だって……何だか凄く恥ずかしいし……それに、同じじゃないよ。だって私達……つ……つつ、つ……つ、付き合って…るん、だし……」
彼女の顔は茹でタコのように真っ赤に染まる。
……あ、頭から湯気が出てる。
「……重症だね」
「……うん。もしかして……今の私、嫌?」
「そんなことないよ。ほら、ご飯食べよ」
「う、うん……!!」
彼女は、すっかり変わった。
前まではどんどん僕を引っ張る感じだったが、今では凄まじく恥ずかしがり屋に……
トラン〇フォーマーもビックリなくらいの、メタモルフォーゼかもしれない。
382: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)19:30:35 ID:HP3JlSZpP
「ふぅ~……」
部屋に帰った後、一度大きく息を吐いた。
「まさか……こんなに変わるなんてなぁ……」
帰りに、咲子さんの手を握ってみた。
その瞬間、彼女は顔から火が出る勢いで真っ赤にさせ、下を向いたまま動かなくなってしまった。
……それでも、繋いだ手は決して離すことはなかった。
だから僕は、彼女を守りたいって思う。
こんな僕でも、彼女は幸せと言ってくれた。それが、とても嬉しかった。
ただ……
――カラン
「………」
郵便受けから音が鳴り響く。それはつまり、手紙が届いたということ。
このところ、手紙の頻度が少なくなった気がする。
定期的ではあるが、次の手紙までが間隔が空くようになった。
その理由については分からない。
とりあえず、僕は郵便受けの便箋を手に取り、中の手紙を取り出した。
部屋に帰った後、一度大きく息を吐いた。
「まさか……こんなに変わるなんてなぁ……」
帰りに、咲子さんの手を握ってみた。
その瞬間、彼女は顔から火が出る勢いで真っ赤にさせ、下を向いたまま動かなくなってしまった。
……それでも、繋いだ手は決して離すことはなかった。
だから僕は、彼女を守りたいって思う。
こんな僕でも、彼女は幸せと言ってくれた。それが、とても嬉しかった。
ただ……
――カラン
「………」
郵便受けから音が鳴り響く。それはつまり、手紙が届いたということ。
このところ、手紙の頻度が少なくなった気がする。
定期的ではあるが、次の手紙までが間隔が空くようになった。
その理由については分からない。
とりあえず、僕は郵便受けの便箋を手に取り、中の手紙を取り出した。
386: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)19:44:02 ID:HP3JlSZpP
―――――――――――――――――――――――――――
のび太くんへ
今キミは、心の中に、色んな想いがあるんだと思う。
どれが本物で、どれが偽物なのか。
キミは、それに悩んでいるんだと思う。
でものび太くん。人の気持ちは、いつも一つとは限らないんだよ。
その一つ一つが、きっとキミの本当の気持ちなんだと思う。
でも、それを全て出してしまうことは、難しいことなんだ。
人は、いつかは岐路に立つんだよ。
そこでどこに向かうのかは、その人にしか分からない。
キミもきっと、それで迷うことがあると思う。
そんな時は、キミの歩いてきた道を、一度振り返ってごらん。
そうすれば、きっと何かが見えるはずだよ。
――――――――――――――――――――――――
(自分の道を、振り返る――か……)
これまでの僕は、どんな道を歩いてきたのだろう。
小学生の時に彼が来て、夢のような毎日を過ごして、突然いなくなって、悲しみに打ちひしがれて……
自分の道を思い出した僕の脳裏には、彼の姿がいつもあった。
(……まるで、親離れ出来ない子供だな……)
そんな自分が何だかおかしく思えた。
今でも、無意識に彼の助けを望んでいるのかもしれない。
そんな、気がした……
のび太くんへ
今キミは、心の中に、色んな想いがあるんだと思う。
どれが本物で、どれが偽物なのか。
キミは、それに悩んでいるんだと思う。
でものび太くん。人の気持ちは、いつも一つとは限らないんだよ。
その一つ一つが、きっとキミの本当の気持ちなんだと思う。
でも、それを全て出してしまうことは、難しいことなんだ。
人は、いつかは岐路に立つんだよ。
そこでどこに向かうのかは、その人にしか分からない。
キミもきっと、それで迷うことがあると思う。
そんな時は、キミの歩いてきた道を、一度振り返ってごらん。
そうすれば、きっと何かが見えるはずだよ。
――――――――――――――――――――――――
(自分の道を、振り返る――か……)
これまでの僕は、どんな道を歩いてきたのだろう。
小学生の時に彼が来て、夢のような毎日を過ごして、突然いなくなって、悲しみに打ちひしがれて……
自分の道を思い出した僕の脳裏には、彼の姿がいつもあった。
(……まるで、親離れ出来ない子供だな……)
そんな自分が何だかおかしく思えた。
今でも、無意識に彼の助けを望んでいるのかもしれない。
そんな、気がした……
388: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)19:59:17 ID:HP3JlSZpP
眠るために瞳を閉じる。
薄暗い室内の枕元には、咲子さんのくれた置物があった。
それを見ると、ふと笑みがこぼれた。
「……おやすみ」
ここにはいない彼女に向けて、そう呟いた。
――ピンポーン
突然、部屋の呼び鈴がなった。
時刻は夜遅い。
いつもなら手紙かと思うが、手紙ならさっき来たばかりだ。
だとするなら、いったい……
「………」
少し、体が震える。
この世ならざるモノを信じるような歳ではない。
それでも、怖いものは怖い。
この恐怖から解放されるには、それが何なのか、確かめる必要があった。
おそるおそる、玄関に近付く。手にはハエ叩き。こんなものが武器になるとは思えないが、何か持っていないと不安だった。
そして、玄関を開けた―――
「――って、ええええ!?」
そこにいた人物の姿に、思わず声を上げてしまった。
「……こんな時間に、ごめんなさい……」
「し、しずかちゃん!?」
薄暗い室内の枕元には、咲子さんのくれた置物があった。
それを見ると、ふと笑みがこぼれた。
「……おやすみ」
ここにはいない彼女に向けて、そう呟いた。
――ピンポーン
突然、部屋の呼び鈴がなった。
時刻は夜遅い。
いつもなら手紙かと思うが、手紙ならさっき来たばかりだ。
だとするなら、いったい……
「………」
少し、体が震える。
この世ならざるモノを信じるような歳ではない。
それでも、怖いものは怖い。
この恐怖から解放されるには、それが何なのか、確かめる必要があった。
おそるおそる、玄関に近付く。手にはハエ叩き。こんなものが武器になるとは思えないが、何か持っていないと不安だった。
そして、玄関を開けた―――
「――って、ええええ!?」
そこにいた人物の姿に、思わず声を上げてしまった。
「……こんな時間に、ごめんなさい……」
「し、しずかちゃん!?」
393: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)20:17:56 ID:HP3JlSZpP
「ど、どうしてここに!?」
(あれ?デジャヴ?)
何だか前にも似たようなことが……
「……この前の、お礼を言いに来たの……」
「………へ?」
「ありがとう、のび太さん。私、嬉しかった。あなたが来てくれて……」
この前?この前とはいったい……
僕がどこに来たって?
言葉の真意は分からないが、しずかちゃんは目に涙を浮かべていた。
「私、とっても不安だったの。たった一人取り残されて、どうすればいいか分からなくて……」
「は、はあ……」
「でも、あなたが来てくれた。あれだけ酷いことをした私を、大切だって言ってくれた。……それが、本当に嬉しかったの……」
いやいやいや、本当になんのことでございましょうか。
「……まあ、のび太さんが持って来た缶詰は食べられなかったし、雪山にコートで来るのもどうかと思ったけど……それでも、私はあなたのおかげで助かったの……」
(缶詰?雪山?コート?――――――――あ)
それらの単語を集計した後、僕は思い出した。
「――でも、どうして私が遭難したって分かったの?」
(……それ、子供の僕ぅううううううううう!!!!)
(あれ?デジャヴ?)
何だか前にも似たようなことが……
「……この前の、お礼を言いに来たの……」
「………へ?」
「ありがとう、のび太さん。私、嬉しかった。あなたが来てくれて……」
この前?この前とはいったい……
僕がどこに来たって?
言葉の真意は分からないが、しずかちゃんは目に涙を浮かべていた。
「私、とっても不安だったの。たった一人取り残されて、どうすればいいか分からなくて……」
「は、はあ……」
「でも、あなたが来てくれた。あれだけ酷いことをした私を、大切だって言ってくれた。……それが、本当に嬉しかったの……」
いやいやいや、本当になんのことでございましょうか。
「……まあ、のび太さんが持って来た缶詰は食べられなかったし、雪山にコートで来るのもどうかと思ったけど……それでも、私はあなたのおかげで助かったの……」
(缶詰?雪山?コート?――――――――あ)
それらの単語を集計した後、僕は思い出した。
「――でも、どうして私が遭難したって分かったの?」
(……それ、子供の僕ぅううううううううう!!!!)
394: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)20:18:18 ID:HP3JlSZpP
思い出した!!
そう言えば子供の時、しずかちゃんが雪山で遭難して助けに行ったんだっけ!!
まさか、それがこの前!?
で、でも、まだ秋じゃないか!?
確かに秋でも既に積もってる山はあるけど……もしかして、あれって秋だったの!?
「……あなたが私に言ってくれたこと、本当に嬉しかったなぁ……。やっぱり、私、自分に嘘は付きたくない」
「え?え??」
「――私、あなたが好きよ、のび太さん」
(え、えええええええええええ!!??)
子供の僕!!いったい何言ったの!!??何事態をややこしくしてんの!!??
「話は、それだけ。――私、帰るわね。お休み、のび太さん」
「あ、あ!ちょっと……!」
しずかちゃんは、帰って行った。立ち去る彼女の背中を、僕は呆然と眺めていた。
……こうして、小学生の僕と未来から来た彼の手により、事態はより一層面倒なことになった。なっちゃった。
どうすりゃいいのおおおお……!!
そう言えば子供の時、しずかちゃんが雪山で遭難して助けに行ったんだっけ!!
まさか、それがこの前!?
で、でも、まだ秋じゃないか!?
確かに秋でも既に積もってる山はあるけど……もしかして、あれって秋だったの!?
「……あなたが私に言ってくれたこと、本当に嬉しかったなぁ……。やっぱり、私、自分に嘘は付きたくない」
「え?え??」
「――私、あなたが好きよ、のび太さん」
(え、えええええええええええ!!??)
子供の僕!!いったい何言ったの!!??何事態をややこしくしてんの!!??
「話は、それだけ。――私、帰るわね。お休み、のび太さん」
「あ、あ!ちょっと……!」
しずかちゃんは、帰って行った。立ち去る彼女の背中を、僕は呆然と眺めていた。
……こうして、小学生の僕と未来から来た彼の手により、事態はより一層面倒なことになった。なっちゃった。
どうすりゃいいのおおおお……!!
399: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)20:42:44 ID:HP3JlSZpP
「――つまり、子どもの時ののび太のせいで、色んな誤解が生まれてしまった、と……」
「うん……そうなんだ……」
ジャイアンのオフィスで、僕は彼にありのままの出来事を告げた。
ジャイアンは腕を組みながら、それを聞く。
「それにしても、のび太に彼女が出来てたなんて知らなかったぜ……そっちの方が驚きだ」
「秘密にするつもりじゃなかったんだけど……言ってなくてごめん……」
「いやいいんだよ。むしろ、祝福したいくらいだ。……それにしても、しずかちゃんの方だな……」
「うん……」
「……やっぱ、ありのまま言うしかないだろ。助けに来たのは、子供の時の自分ですって」
「そうだよね……それしかないよね……」
「そうだ。それしかない。じゃないと、このままじゃみんなが不幸になるぞ?」
「うん……そうだね。ありがと、ジャイアン」
「いいってことよ。また、いつでも相談に来いよ」
ジャイアンに見送られながら、僕は会社を後にする。
確かに、正直に言わなきゃいけない。
でも、とても言い辛いのは事実………
(でも、しょうがないよね……)
重い足を引きずるようにしながら、僕は道を歩き出した。
「うん……そうなんだ……」
ジャイアンのオフィスで、僕は彼にありのままの出来事を告げた。
ジャイアンは腕を組みながら、それを聞く。
「それにしても、のび太に彼女が出来てたなんて知らなかったぜ……そっちの方が驚きだ」
「秘密にするつもりじゃなかったんだけど……言ってなくてごめん……」
「いやいいんだよ。むしろ、祝福したいくらいだ。……それにしても、しずかちゃんの方だな……」
「うん……」
「……やっぱ、ありのまま言うしかないだろ。助けに来たのは、子供の時の自分ですって」
「そうだよね……それしかないよね……」
「そうだ。それしかない。じゃないと、このままじゃみんなが不幸になるぞ?」
「うん……そうだね。ありがと、ジャイアン」
「いいってことよ。また、いつでも相談に来いよ」
ジャイアンに見送られながら、僕は会社を後にする。
確かに、正直に言わなきゃいけない。
でも、とても言い辛いのは事実………
(でも、しょうがないよね……)
重い足を引きずるようにしながら、僕は道を歩き出した。
406: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)21:06:20 ID:HP3JlSZpP
「………」
重々しい空気を肌で感じながら、僕はその建物の前に立った。
そこは、しずかちゃんの会社。あと、ついでに出木杉の会社。
電話したが繋がらず、こういうことは早い方がいいというジャイアンの助言を元に、僕は単身彼女の仕事場を訪れた。
しかしながら、こういう私的な用件のために職場を訪れるのは気が引くなぁ。
だが、僕の本能が言っている。
――この件は、早急に片付けるべし、と……。
(……了解)
自分の本能に返事をしつつ、僕はその建物に脚を踏み出した。低姿勢で。
重々しい空気を肌で感じながら、僕はその建物の前に立った。
そこは、しずかちゃんの会社。あと、ついでに出木杉の会社。
電話したが繋がらず、こういうことは早い方がいいというジャイアンの助言を元に、僕は単身彼女の仕事場を訪れた。
しかしながら、こういう私的な用件のために職場を訪れるのは気が引くなぁ。
だが、僕の本能が言っている。
――この件は、早急に片付けるべし、と……。
(……了解)
自分の本能に返事をしつつ、僕はその建物に脚を踏み出した。低姿勢で。
407: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)21:27:46 ID:HP3JlSZpP
一階正面には受付の女性が座っていた。
とりあえず、しずかちゃんとの謁見を申し入れてみることにした。
「あ、あの……」
「はい。いかがいたしました?」
「ここで働いている、源しずかさんとお会いしたいのですが……」
「失礼ですが、ご用件をお伺いしてよろしいですか?」
「ご、ご用件……」
……言えない。
とても、『先日遭難を助けたのは実は子供のころの自分だったからそれを伝えに来た』なんて言えない。
言えるはずもないだろう……
「……あの、ご用件は?」
さすがの受付の人も、不信感に満ちた視線を送り始めていた。もう少ししたら、おそらく警備員が直行してくるだろう。
それはマズイ。さすがにマズイ。
かと言って、なんて説明すればいいかも分からない。
それでも、このまま通報されるくらいなら……僕は、腹をくくった。
「……あの、実は先日―――」
「―――おやぁ?キミは、いつぞやの―――」
意を決し、途轍もなく嘘くさい純然たる本当の用件を口にしようとした直後、背後から声がかかる。
ゆるりと後ろを振り返れば、どこかで見た人が……
「―――ええと、舞……さん?」
「よっ、のび太!久しぶりだねえ!」
舞さんは、相変わらずの笑みを見せながら、僕に挨拶をした。
とりあえず、しずかちゃんとの謁見を申し入れてみることにした。
「あ、あの……」
「はい。いかがいたしました?」
「ここで働いている、源しずかさんとお会いしたいのですが……」
「失礼ですが、ご用件をお伺いしてよろしいですか?」
「ご、ご用件……」
……言えない。
とても、『先日遭難を助けたのは実は子供のころの自分だったからそれを伝えに来た』なんて言えない。
言えるはずもないだろう……
「……あの、ご用件は?」
さすがの受付の人も、不信感に満ちた視線を送り始めていた。もう少ししたら、おそらく警備員が直行してくるだろう。
それはマズイ。さすがにマズイ。
かと言って、なんて説明すればいいかも分からない。
それでも、このまま通報されるくらいなら……僕は、腹をくくった。
「……あの、実は先日―――」
「―――おやぁ?キミは、いつぞやの―――」
意を決し、途轍もなく嘘くさい純然たる本当の用件を口にしようとした直後、背後から声がかかる。
ゆるりと後ろを振り返れば、どこかで見た人が……
「―――ええと、舞……さん?」
「よっ、のび太!久しぶりだねえ!」
舞さんは、相変わらずの笑みを見せながら、僕に挨拶をした。
411: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)21:42:23 ID:HP3JlSZpP
「――残念だったな。急な用件か?」
「そ、そうではないですが……」
会社の屋上で、僕と舞さんは柵に寄りかかりながら話をしていた。
そこで舞さんは、しずかちゃんが出張中でいないことを告げてきた。
完全に予定が外れた僕は、残念な気持ち半分、ホッとした気持ち半分の、複雑な心境で缶コーヒーを一口飲み込んだ。
「事前に連絡してれば、ちゃんとした日付を指定してやれたんだがな」
「……いや、舞さんがいたことをすっかり忘れてまして……」
「……ケンカ売ってるのか?」
「滅相もありません。すみませんでした」
「まったく……あれだけ心躍る出会いをしたというのに、忘れるとは……」
(衝撃的な出会いだったのは間違いないけど……)
すると舞さんは体を反転させ、外の方を見ながらタバコを吸い始めた。
「タバコ、吸うんですね……」
「まあな。まあ、印象はよくないから、人前だとあまり吸わないがな」
「確かに、見る人が見れば批判しそうですね。……でも、似合ってますよ」
「フォローしてるつもりか?」
「滅相もありません」
「……少しはフォローしろ」
それから僕らは、屋上から街を見渡した。
「そ、そうではないですが……」
会社の屋上で、僕と舞さんは柵に寄りかかりながら話をしていた。
そこで舞さんは、しずかちゃんが出張中でいないことを告げてきた。
完全に予定が外れた僕は、残念な気持ち半分、ホッとした気持ち半分の、複雑な心境で缶コーヒーを一口飲み込んだ。
「事前に連絡してれば、ちゃんとした日付を指定してやれたんだがな」
「……いや、舞さんがいたことをすっかり忘れてまして……」
「……ケンカ売ってるのか?」
「滅相もありません。すみませんでした」
「まったく……あれだけ心躍る出会いをしたというのに、忘れるとは……」
(衝撃的な出会いだったのは間違いないけど……)
すると舞さんは体を反転させ、外の方を見ながらタバコを吸い始めた。
「タバコ、吸うんですね……」
「まあな。まあ、印象はよくないから、人前だとあまり吸わないがな」
「確かに、見る人が見れば批判しそうですね。……でも、似合ってますよ」
「フォローしてるつもりか?」
「滅相もありません」
「……少しはフォローしろ」
それから僕らは、屋上から街を見渡した。
421: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)22:06:14 ID:HP3JlSZpP
「どうだ?会社の方は」
「普通ですよ。怒られてばかりですけど」
「そうだろうな。キミを部下に持つと、色々と苦労しそうだ」
「……やっぱり、そう見えますか?」
僕の言葉に、舞さんは声を上げて笑う。
「スマンスマン。――だが、上司はキミを可愛がってくれてるだろ?キミを邪魔とは思ってないよ」
(可愛がってくれてるかどうかは分からないけど、助けてくれることは多いかも………って――)
「なんで知ってるんですか?」
「ハハハ、知ってるわけじゃないよ。ただ、しずかが言ってたのが本当だとするなら、キミは誰かに嫌われたりすることの方が少ないだろうからな」
「は、はあ……」
「本当だぞ?何しろ、私もキミに好印象を持っている。……どうだ?ありがたいだろ?」
「………」
何だか恥ずかしくて、何も言えなかった。
「普通ですよ。怒られてばかりですけど」
「そうだろうな。キミを部下に持つと、色々と苦労しそうだ」
「……やっぱり、そう見えますか?」
僕の言葉に、舞さんは声を上げて笑う。
「スマンスマン。――だが、上司はキミを可愛がってくれてるだろ?キミを邪魔とは思ってないよ」
(可愛がってくれてるかどうかは分からないけど、助けてくれることは多いかも………って――)
「なんで知ってるんですか?」
「ハハハ、知ってるわけじゃないよ。ただ、しずかが言ってたのが本当だとするなら、キミは誰かに嫌われたりすることの方が少ないだろうからな」
「は、はあ……」
「本当だぞ?何しろ、私もキミに好印象を持っている。……どうだ?ありがたいだろ?」
「………」
何だか恥ずかしくて、何も言えなかった。
422: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)22:06:42 ID:HP3JlSZpP
そんな僕を見た舞さんは、一度笑みを浮かべた。
「……しずかはな、会社に入ったころから、キミのことを話してたよ」
「……僕のことを、ですか?」
「ああ。小さい頃からずっと一緒にいた男の子の話だ。――いつもはドジで、頼りなくて、オドオドしてて、見ていてほっとけなくなるそうだ」
「ははは……」
失笑が込み上げる。
「……でもな、困った時は一緒に悩んでくれて、悲しい時は一緒に泣いてくれて、嬉しい時は誰よりも喜んでくれる……そんなとても暖かくて、優しい男の子だそうだ」
「……買いかぶり過ぎですよ」
「謙遜することはない。事実、私もそう思う。……しずかがキミのことを話すときは、いつも幸せそうな顔をしていた。その顔は、しずかのどんな表情よりも、慈愛に満ちていたよ」
(……しずかちゃん……)
「――キミはきっと、近くにいる者を優しい気持ちにさせる人なんだろう。だから、キミの心に触れた人は、そこから離れようとはしない。キミという光の元に、いつまでもいたいと思ってしまうんだろうな。ハハ、ちょっとクサかったな」
「い、いえ……」
「キミは、それに対して自信を持っていいんだ。それはキミの、誇れることなんだ。……私は、そう思う」
「………」
「話が逸れてしまったな。……すまないが、私は仕事に戻らないといけない。まあ、なんもないところだけど、ゆっくりしていけ」
「は、はあ……」
「じゃあな、のび太……」
舞さんは、屋上を後にした。
残された僕は、舞さんの言葉に少し照れながらも、屋上から街を見下ろす。そして、手に持っていた缶コーヒーを一気に飲み干した。
少しだけ苦い。だけど、口の中には、とてもいい香りが広がっていた。
「……しずかはな、会社に入ったころから、キミのことを話してたよ」
「……僕のことを、ですか?」
「ああ。小さい頃からずっと一緒にいた男の子の話だ。――いつもはドジで、頼りなくて、オドオドしてて、見ていてほっとけなくなるそうだ」
「ははは……」
失笑が込み上げる。
「……でもな、困った時は一緒に悩んでくれて、悲しい時は一緒に泣いてくれて、嬉しい時は誰よりも喜んでくれる……そんなとても暖かくて、優しい男の子だそうだ」
「……買いかぶり過ぎですよ」
「謙遜することはない。事実、私もそう思う。……しずかがキミのことを話すときは、いつも幸せそうな顔をしていた。その顔は、しずかのどんな表情よりも、慈愛に満ちていたよ」
(……しずかちゃん……)
「――キミはきっと、近くにいる者を優しい気持ちにさせる人なんだろう。だから、キミの心に触れた人は、そこから離れようとはしない。キミという光の元に、いつまでもいたいと思ってしまうんだろうな。ハハ、ちょっとクサかったな」
「い、いえ……」
「キミは、それに対して自信を持っていいんだ。それはキミの、誇れることなんだ。……私は、そう思う」
「………」
「話が逸れてしまったな。……すまないが、私は仕事に戻らないといけない。まあ、なんもないところだけど、ゆっくりしていけ」
「は、はあ……」
「じゃあな、のび太……」
舞さんは、屋上を後にした。
残された僕は、舞さんの言葉に少し照れながらも、屋上から街を見下ろす。そして、手に持っていた缶コーヒーを一気に飲み干した。
少しだけ苦い。だけど、口の中には、とてもいい香りが広がっていた。
426: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)22:26:25 ID:HP3JlSZpP
会社を後にした僕だったが、結局肝心の用件は終わっていなかった。
何しろしずかちゃんは不在だったわけだし。
出張からいつ帰るかも聞き忘れてしまっていた僕は、ただしずかちゃんからの返信を待つことにした。
ケータイを開けば、否が応でも気が付くだろう。
とぼとぼ歩いて家に帰っていたが、ふと、ケータイの着信がけたたましく鳴り始めた。
取り出して見てみれば、パネルには“花賀咲子”の名前が。
(なんだろ……)
気になった僕は、とりあえず電話に出ることにした。
「もしもし」
『もしもしのび太くん?今、電話大丈夫?』
「うん。大丈夫だけど……どうしたの?」
『ええとね……その……』
電話の向こうで、咲子さんは煮え切らない口調で何かを言おうとしていた。
(……?なんだろう……)
不思議に思っていると、電話口で深呼吸する音が。そして……
『……あのね、今晩、時間ある?』
「え?ああ、うん。時間あるよ」
『じゃあさ……ご飯、食べない?』
「食べに行くの?いいよ」
『そうじゃなくて!ええと……』
再び、モジモジモード突入。あまり急かすのも悪いから、黙って彼女の言葉を待つ。
しばらく待っていると、彼女はようやく、用件を伝えて来た。
『……私の家に、食べに来ない?』
「………へ?」
何しろしずかちゃんは不在だったわけだし。
出張からいつ帰るかも聞き忘れてしまっていた僕は、ただしずかちゃんからの返信を待つことにした。
ケータイを開けば、否が応でも気が付くだろう。
とぼとぼ歩いて家に帰っていたが、ふと、ケータイの着信がけたたましく鳴り始めた。
取り出して見てみれば、パネルには“花賀咲子”の名前が。
(なんだろ……)
気になった僕は、とりあえず電話に出ることにした。
「もしもし」
『もしもしのび太くん?今、電話大丈夫?』
「うん。大丈夫だけど……どうしたの?」
『ええとね……その……』
電話の向こうで、咲子さんは煮え切らない口調で何かを言おうとしていた。
(……?なんだろう……)
不思議に思っていると、電話口で深呼吸する音が。そして……
『……あのね、今晩、時間ある?』
「え?ああ、うん。時間あるよ」
『じゃあさ……ご飯、食べない?』
「食べに行くの?いいよ」
『そうじゃなくて!ええと……』
再び、モジモジモード突入。あまり急かすのも悪いから、黙って彼女の言葉を待つ。
しばらく待っていると、彼女はようやく、用件を伝えて来た。
『……私の家に、食べに来ない?』
「………へ?」
439: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)22:46:52 ID:HP3JlSZpP
「こ、ここが……!!」
とある住宅街の一角にあるマンション……僕は、その前に立っていた。
さしずめ王様に褒美をもらう前の勇者か、はたまた魔王との戦いを目前に控えた勇者か……
どちらしても、僕は勇者という器ではないのだが。
それはいいとして、なぜか急に自宅に招かれることに。
彼女情報によると、実家は他所にあるらしく、現在はルームシェアをして住んでいるとか。
そして同居人が今日は仕事で遅くなるため、一人で食べるのも寂しいし、せっかくだから一緒にどう?的な話の流れとなったわけだ。
……ちなみに、それを理解するのに、数十分を要していた。極度の恥ずかしがり屋症候群に陥った彼女の言葉は、中々解読が困難なのだ。
「……さて、行くか……」
生唾を飲み込み、僕はその場所に侵攻した。
マンションはオートロック式であったため、エントランスにあるインターホンで彼女の部屋の番号を押す。
『――はぁい』
彼女の声だ。
「ええと……の、のび太だけど……」
『あ!い、いらっしゃい!ちょっと待ってね―――』
彼女の言葉に続き、自動ドアが開く。
『……いいよ。入ってきて』
「おじゃまします……」
まだ彼女の部屋についたわけではないのに、なぜかそう言ってしまった僕は、やはり緊張しているのだろうか。
何はともあれ、僕はついに彼女の部屋へと向かうことになったのだった。
とある住宅街の一角にあるマンション……僕は、その前に立っていた。
さしずめ王様に褒美をもらう前の勇者か、はたまた魔王との戦いを目前に控えた勇者か……
どちらしても、僕は勇者という器ではないのだが。
それはいいとして、なぜか急に自宅に招かれることに。
彼女情報によると、実家は他所にあるらしく、現在はルームシェアをして住んでいるとか。
そして同居人が今日は仕事で遅くなるため、一人で食べるのも寂しいし、せっかくだから一緒にどう?的な話の流れとなったわけだ。
……ちなみに、それを理解するのに、数十分を要していた。極度の恥ずかしがり屋症候群に陥った彼女の言葉は、中々解読が困難なのだ。
「……さて、行くか……」
生唾を飲み込み、僕はその場所に侵攻した。
マンションはオートロック式であったため、エントランスにあるインターホンで彼女の部屋の番号を押す。
『――はぁい』
彼女の声だ。
「ええと……の、のび太だけど……」
『あ!い、いらっしゃい!ちょっと待ってね―――』
彼女の言葉に続き、自動ドアが開く。
『……いいよ。入ってきて』
「おじゃまします……」
まだ彼女の部屋についたわけではないのに、なぜかそう言ってしまった僕は、やはり緊張しているのだろうか。
何はともあれ、僕はついに彼女の部屋へと向かうことになったのだった。
445: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)22:54:56 ID:HP3JlSZpP
(ここが、彼女の部屋……)
部屋の前に立ち尽くす。目の前に扉があるのに、凄まじく遠くに感じる。
どうやら僕は、相当緊張しているようだ。
それもそうだろう。しずかちゃん以外の部屋に入るのは、これが初めてだった。
ちなみに、しずかちゃんの部屋も、中学に入ってからは入ってはいない。
そう言う意味では、女性の部屋に入ること自体が、初めてと言えるのかもしれない。
おそるおそる呼び鈴を押す。
「――は、はい!ちょっと待って――!!」
中から玄関に、小走りする音が響いて来る。
そして……
「お待たせ!!」
ドアは内側から勢いよく開かれた!!
―――僕の顔にぶつかりながら……
少し、ドアに近付き過ぎていたようだ。
「ああ!ごめん!……大丈夫?」
悶絶する僕を心配する彼女に、とりあえず痛みに耐えて笑顔を見せた。
「……う、うん。大丈夫だよ」
「………」
彼女は、僕の顔を見つめる。
「……のび太くん……」
「え?な、なに?」
「――鼻血出てるよ!!」
「え?――――ああああ!!」
二人でギャーギャー騒ぎながら、すぐさま家に上がり込み、止血をした。
……初めて彼女の部屋に訪れた僕は、いきなり、鼻血の治療をすることになった。
(か、カッコ悪い……)
部屋の前に立ち尽くす。目の前に扉があるのに、凄まじく遠くに感じる。
どうやら僕は、相当緊張しているようだ。
それもそうだろう。しずかちゃん以外の部屋に入るのは、これが初めてだった。
ちなみに、しずかちゃんの部屋も、中学に入ってからは入ってはいない。
そう言う意味では、女性の部屋に入ること自体が、初めてと言えるのかもしれない。
おそるおそる呼び鈴を押す。
「――は、はい!ちょっと待って――!!」
中から玄関に、小走りする音が響いて来る。
そして……
「お待たせ!!」
ドアは内側から勢いよく開かれた!!
―――僕の顔にぶつかりながら……
少し、ドアに近付き過ぎていたようだ。
「ああ!ごめん!……大丈夫?」
悶絶する僕を心配する彼女に、とりあえず痛みに耐えて笑顔を見せた。
「……う、うん。大丈夫だよ」
「………」
彼女は、僕の顔を見つめる。
「……のび太くん……」
「え?な、なに?」
「――鼻血出てるよ!!」
「え?――――ああああ!!」
二人でギャーギャー騒ぎながら、すぐさま家に上がり込み、止血をした。
……初めて彼女の部屋に訪れた僕は、いきなり、鼻血の治療をすることになった。
(か、カッコ悪い……)
450: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)23:08:11 ID:HP3JlSZpP
「……ホントにゴメンね……大丈夫?」
治療を終えた彼女は、申し訳なさそうに声を出す。
「いや、そもそも僕が悪いんだし。心配かけてゴメンね」
「ううん。大したケガじゃなくて本当に良かった……」
そう言って、彼女は胸を撫で下ろした。
そこでようやく、彼女の部屋を見渡してみる。
部屋は、実に女の子らしい部屋だった。家の至る所に、ぬいぐるみが置かれている。きちんと掃除も行き届いているし、散らかってる様子は一切ない。
部屋の中では、仄かに甘い香りが広がる。どうやったらこんな香りが充満するのか、ぜひ知りたいところだ。
その香りの中には、何やら不思議な香りが混じっていた。
「ん?この香り……」
「うん。もう料理出来てるよ」
そう嬉しそうに話すと、彼女は小走りでキッチンへと向かう。
そして皿を取り出し、よそおい始めた。
そのキッチンで、僕のためにいそいそと料理を作る彼女の姿を想像しただけで、なんだか幸せな気持ちになる。
「――お待たせ」
準備が終わったところで、彼女は少し恥ずかしそうにそう呟いた。
「こ、これは……!!」
目の前にテーブルには、所狭しと料理が並ぶ。どれもこれも美味しそうだ。美味しそうだが……!!
(す、凄まじい量だ……!!)
テーブルは中々広い。そこに隙間なく埋められた料理の数々。これは、何人分だろうか……
「いっぱい作ったから、たくさん食べていいよ!」
嬉しそうに話す彼女。嬉しいさ。それは嬉しいけど、ちょっと食べきれそうにはない。
それでも、彼女が一生懸命作ってくれたものだ。
僕は、残さず食べることを決意する。まさに、決死の覚悟だった。
治療を終えた彼女は、申し訳なさそうに声を出す。
「いや、そもそも僕が悪いんだし。心配かけてゴメンね」
「ううん。大したケガじゃなくて本当に良かった……」
そう言って、彼女は胸を撫で下ろした。
そこでようやく、彼女の部屋を見渡してみる。
部屋は、実に女の子らしい部屋だった。家の至る所に、ぬいぐるみが置かれている。きちんと掃除も行き届いているし、散らかってる様子は一切ない。
部屋の中では、仄かに甘い香りが広がる。どうやったらこんな香りが充満するのか、ぜひ知りたいところだ。
その香りの中には、何やら不思議な香りが混じっていた。
「ん?この香り……」
「うん。もう料理出来てるよ」
そう嬉しそうに話すと、彼女は小走りでキッチンへと向かう。
そして皿を取り出し、よそおい始めた。
そのキッチンで、僕のためにいそいそと料理を作る彼女の姿を想像しただけで、なんだか幸せな気持ちになる。
「――お待たせ」
準備が終わったところで、彼女は少し恥ずかしそうにそう呟いた。
「こ、これは……!!」
目の前にテーブルには、所狭しと料理が並ぶ。どれもこれも美味しそうだ。美味しそうだが……!!
(す、凄まじい量だ……!!)
テーブルは中々広い。そこに隙間なく埋められた料理の数々。これは、何人分だろうか……
「いっぱい作ったから、たくさん食べていいよ!」
嬉しそうに話す彼女。嬉しいさ。それは嬉しいけど、ちょっと食べきれそうにはない。
それでも、彼女が一生懸命作ってくれたものだ。
僕は、残さず食べることを決意する。まさに、決死の覚悟だった。
451: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)23:19:41 ID:HP3JlSZpP
まず先に、スープを一口すする。
「………」
「………どう?」
「うん!凄く美味しい!」
「ホント!?良かったぁ……」
スープはかなりの美味。だがしかし、見た目はコンソメスープなのに、味は全然違っているのはなぜだろうか。これぞ、咲子さん流ギャップ料理ということか。
以前作ってくれた雑炊もそんな感じだったしなぁ……まあ、普通にかなり美味しいから、細かいことは気にしないでおこう。
僕はとにかく、目の前の料理を食べ続けた。
あまりガッツくと引かれそうではあったから、普通のペースで食べる。
彼女も食べてはいたが、どちらかと言うと、食べる僕の姿を見ることが多かった。そして時折視線が合うと、幸せそうに微笑み。
その顔を見ると、思わず僕も笑みがこぼれていた。
……とはいえ、かなりきつくなってきた。
料理はまだ半分ほど残っている。正直、これだけ食べれただけでも大善戦だ。
(張り切って作ったんだろうなぁ……)
そう思うと、ますます残すわけにはいかない。
――時に男は、多少無理をしてでも、やらなければならないことがある。それが、男のアイデンティティー。
ペースは崩さず、とにかく食べ続けた。美味しいこともあり、食は中々進む。苦しさを我慢すれば。
しばらく食べたところで、彼女は感心するように声を出した。
「のび太くん、思ったよりも食べるんだね!残ったらタッパーに入れて持って帰ってもらおうって思ってたけど、その必要はなさそうだね」
(なぬっ!?タッパーとな!?)
……どうやら、食べ残ること前提の量だったようだ。
それを知った僕は、すぐさま白旗を上げた。
「………」
「………どう?」
「うん!凄く美味しい!」
「ホント!?良かったぁ……」
スープはかなりの美味。だがしかし、見た目はコンソメスープなのに、味は全然違っているのはなぜだろうか。これぞ、咲子さん流ギャップ料理ということか。
以前作ってくれた雑炊もそんな感じだったしなぁ……まあ、普通にかなり美味しいから、細かいことは気にしないでおこう。
僕はとにかく、目の前の料理を食べ続けた。
あまりガッツくと引かれそうではあったから、普通のペースで食べる。
彼女も食べてはいたが、どちらかと言うと、食べる僕の姿を見ることが多かった。そして時折視線が合うと、幸せそうに微笑み。
その顔を見ると、思わず僕も笑みがこぼれていた。
……とはいえ、かなりきつくなってきた。
料理はまだ半分ほど残っている。正直、これだけ食べれただけでも大善戦だ。
(張り切って作ったんだろうなぁ……)
そう思うと、ますます残すわけにはいかない。
――時に男は、多少無理をしてでも、やらなければならないことがある。それが、男のアイデンティティー。
ペースは崩さず、とにかく食べ続けた。美味しいこともあり、食は中々進む。苦しさを我慢すれば。
しばらく食べたところで、彼女は感心するように声を出した。
「のび太くん、思ったよりも食べるんだね!残ったらタッパーに入れて持って帰ってもらおうって思ってたけど、その必要はなさそうだね」
(なぬっ!?タッパーとな!?)
……どうやら、食べ残ること前提の量だったようだ。
それを知った僕は、すぐさま白旗を上げた。
452: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)23:27:02 ID:HP3JlSZpP
「……ご馳走様。とても美味しかったよ」
「そう言ってくれると嬉しいな。片付けまで手伝ってくれて、本当にありがとう」
二人で皿を洗いながら、そう話す。
食器洗いは彼女担当。拭いてしまう担当は僕。
共同作業により、片付けはスムーズに終えることが出来た。
食後は、彼女が用意してくれたコーヒーでティータイム。テーブルに座り、雑談を交わす。
僕らは色々なことを話した。職場のこと、休みの日のこと。会話は弾み、時間も忘れていた。
「――あ!もうこんな時間!」
「……ほんとだ。全然気が付かなかった」
時計の針は、間もなく日付が変わる時間となっていた。
彼女は、進む時計の秒針を、どこか名残惜しそうに見つめる。どうやら、もっと話したいようだった。
「……もう少し、話そうか」
「え?で、でも、遅くなっちゃうし……」
「少しくらいなら大丈夫だよ」
「……ありがとう。のび太くん、やっぱり優しいね……」
そう言うと、彼女は笑みを浮かべながら、コーヒーのカップを見つめた。
「そう言ってくれると嬉しいな。片付けまで手伝ってくれて、本当にありがとう」
二人で皿を洗いながら、そう話す。
食器洗いは彼女担当。拭いてしまう担当は僕。
共同作業により、片付けはスムーズに終えることが出来た。
食後は、彼女が用意してくれたコーヒーでティータイム。テーブルに座り、雑談を交わす。
僕らは色々なことを話した。職場のこと、休みの日のこと。会話は弾み、時間も忘れていた。
「――あ!もうこんな時間!」
「……ほんとだ。全然気が付かなかった」
時計の針は、間もなく日付が変わる時間となっていた。
彼女は、進む時計の秒針を、どこか名残惜しそうに見つめる。どうやら、もっと話したいようだった。
「……もう少し、話そうか」
「え?で、でも、遅くなっちゃうし……」
「少しくらいなら大丈夫だよ」
「……ありがとう。のび太くん、やっぱり優しいね……」
そう言うと、彼女は笑みを浮かべながら、コーヒーのカップを見つめた。
458: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/12(火)23:46:48 ID:HP3JlSZpP
「私ね、今、本当に幸せなんだ。こうやってのび太くんに料理作ってあげれたし」
「……咲子さん……」
「実はね、私の料理食べた男の人、のび太くんが初めてなんだよ?」
「そうなの?」
「うん。私、昔から料理を手伝ってたんだ。お母さんの真似をして、お姉ちゃんに味見してもらって……いつか、大好きな人に作ってあげたい……そう思ってたんだ」
(……ということは、あのギャップ料理は、そこで培われたのか……)
「だから、今その夢が叶って、とても幸せなの。……ありがとう、のび太くん。私、あなたと出会えて良かった……」
そう話す彼女は、目に涙を浮かべていた。自分の気持ちを素直に表現し、今僕に見せている。それが、とても嬉しかった。
「……僕も、咲子さんと出会えて良かったよ……」
「のび太くん……」
「………」
「………」
部屋は、静まり返っていた。
時計の針だけが音をならす空間の中、目の前に座る彼女は、目を閉じた――――
(――――ッ!!!こ、これは――――!!!)
「………」
(ま、間違いない―――GOサインだ……!!)
迫る、緊張の瞬間……
「……咲子さん……」
「実はね、私の料理食べた男の人、のび太くんが初めてなんだよ?」
「そうなの?」
「うん。私、昔から料理を手伝ってたんだ。お母さんの真似をして、お姉ちゃんに味見してもらって……いつか、大好きな人に作ってあげたい……そう思ってたんだ」
(……ということは、あのギャップ料理は、そこで培われたのか……)
「だから、今その夢が叶って、とても幸せなの。……ありがとう、のび太くん。私、あなたと出会えて良かった……」
そう話す彼女は、目に涙を浮かべていた。自分の気持ちを素直に表現し、今僕に見せている。それが、とても嬉しかった。
「……僕も、咲子さんと出会えて良かったよ……」
「のび太くん……」
「………」
「………」
部屋は、静まり返っていた。
時計の針だけが音をならす空間の中、目の前に座る彼女は、目を閉じた――――
(――――ッ!!!こ、これは――――!!!)
「………」
(ま、間違いない―――GOサインだ……!!)
迫る、緊張の瞬間……
463: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)00:03:47 ID:YYmdLSwtV
「………」
目の前にいる彼女は、瞳を閉じたまま何かを待つ。
僕の心臓は激しく脈動する。見れば彼女もまた、僅かに震えていた。
(据え膳食わぬは男の恥というが……これはなかなか、勇気が……)
そうは言っても、目の前の彼女はここまでの勇気を見せてくれている。これに応えなければ、むしろ失礼だろう。
彼女の気持ちに、恥を塗らせてはいけないのだ。
(……よ、よし……)
一度唾を飲み込み、顔を近づける。段々と彼女との距離は詰まり、すぐ目の前には桃色に染まった唇があった。
そして僕は、目を閉じ―――――
「―――ただいまー!」
「―――ッ!?」
「―――ッ!?」
突然、玄関が開く音が聞こえ、女性の声が部屋に響き渡った。二人揃って体をビクリとさせ、その方向に目をやる。
「か、帰って来ちゃった……!!」
「え、ええ!?」
目の前にいる彼女は、瞳を閉じたまま何かを待つ。
僕の心臓は激しく脈動する。見れば彼女もまた、僅かに震えていた。
(据え膳食わぬは男の恥というが……これはなかなか、勇気が……)
そうは言っても、目の前の彼女はここまでの勇気を見せてくれている。これに応えなければ、むしろ失礼だろう。
彼女の気持ちに、恥を塗らせてはいけないのだ。
(……よ、よし……)
一度唾を飲み込み、顔を近づける。段々と彼女との距離は詰まり、すぐ目の前には桃色に染まった唇があった。
そして僕は、目を閉じ―――――
「―――ただいまー!」
「―――ッ!?」
「―――ッ!?」
突然、玄関が開く音が聞こえ、女性の声が部屋に響き渡った。二人揃って体をビクリとさせ、その方向に目をやる。
「か、帰って来ちゃった……!!」
「え、ええ!?」
464: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)00:04:01 ID:YYmdLSwtV
(咲子さんが言ってた、同居人!?こ、このタイミングで!?)
口惜しや……実に口惜しい……!!神様がいるのなら、それはきっと、かなりの天邪鬼だろう。もう少し、時間を置いてほしかった。
「咲子ー?いないのー!」
「――は、はーい!今行くー!」
名前を呼ばれた彼女は、一度残念そうに僕の方を見た後に、玄関へと向かっていった。
……僕はそのまま、脱力するように天を仰いだ。
「―――え!?彼氏!?ホントに!?」
玄関からは、同居人さんの驚く声が響く。当たり前だが、女性のようだ。そしてその人は、ツカツカと廊下を歩く音を響かせた。
……至福の瞬間を邪魔した人物の顔……しっかりと拝んでやろうではないか。
そして、ドアが開かれる。
「―――初めまして!私、咲子の姉の――――――え?」
「―――え?」
互いの顔を見るなり、二人揃ってフリーズする。
目の前の人物が信じられず、一度目を擦って見直してみた。だが、間違いなかった。
そして時は動き出し、同時にお互いの顔を指さす。
「「えええええええええええ!!??」」
「のび太!!なんでアンタがここに!!??」
「ま、舞さんこそ!!なんでこの家に!!??」
声を上げる二人。それに続き、咲子さんがリビングへと戻って来た。
「……お姉ちゃん?どうかした?」
「お……お、お……お姉ちゃん!!??」
「……さ、咲子……彼氏って……まさか……!!??」
「………?」
「………」
「………」
そのまま、僕と舞さんはしばらく思考が停止した。
ただ一人状況が呑み込めない咲子さんは、不思議そうな顔で首を捻るのだった。
479: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)01:10:38 ID:YYmdLSwtV
「いやあ!まさか、咲子の彼氏がのび太だったとはな!」
咲子さんの部屋で、舞さんはビールを片手に豪快に笑う。
「ホント不思議だね……まさか、お姉ちゃんの知り合いなんてね……」
咲子さんはおつまみを出しながら、感慨深そうに呟く。
「………」
一方、話題の中心にいる僕は、気が気ではなかった。
舞さんは僕が咲子さんの彼氏だと気付くなり、しばらく顔を見た後、まるで何事もなかったかのように接し始めた。
いったい、何を考えてるのだろうか……
「――あれ?ビールなくなっちまった……。咲子!ちょっとビール買ってきて!」
「もうお姉ちゃん!今日はちょっと飲み過ぎだよ!」
「固いこと言わないって。せっかくのび太もいるんだし。な?のび太?」
「は、はい……」
「――ってことだ。すぐそこのコンビニにあるだろ?ちょっと頼むよ」
「……もう。仕方がないなぁ……」
ぶつぶつ文句を言いながら、咲子さんは部屋を出ていった。
残されたのは、僕と舞さん。玄関が閉まる音が響くなり、舞さんは先ほどまでの緩い顔を一変させ、真剣な表情を見せた。
「――で?これはどういうことだ?説明してもらおうか……」
その目には、凄まじい威圧感があった。
そんな視線を受けた僕に抵抗など出来るはずもなく、ことの経緯を洗いざらい説明した。
咲子さんの部屋で、舞さんはビールを片手に豪快に笑う。
「ホント不思議だね……まさか、お姉ちゃんの知り合いなんてね……」
咲子さんはおつまみを出しながら、感慨深そうに呟く。
「………」
一方、話題の中心にいる僕は、気が気ではなかった。
舞さんは僕が咲子さんの彼氏だと気付くなり、しばらく顔を見た後、まるで何事もなかったかのように接し始めた。
いったい、何を考えてるのだろうか……
「――あれ?ビールなくなっちまった……。咲子!ちょっとビール買ってきて!」
「もうお姉ちゃん!今日はちょっと飲み過ぎだよ!」
「固いこと言わないって。せっかくのび太もいるんだし。な?のび太?」
「は、はい……」
「――ってことだ。すぐそこのコンビニにあるだろ?ちょっと頼むよ」
「……もう。仕方がないなぁ……」
ぶつぶつ文句を言いながら、咲子さんは部屋を出ていった。
残されたのは、僕と舞さん。玄関が閉まる音が響くなり、舞さんは先ほどまでの緩い顔を一変させ、真剣な表情を見せた。
「――で?これはどういうことだ?説明してもらおうか……」
その目には、凄まじい威圧感があった。
そんな視線を受けた僕に抵抗など出来るはずもなく、ことの経緯を洗いざらい説明した。
486: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)01:33:34 ID:YYmdLSwtV
「――そうか……咲子が……」
「もちろん、僕からも交際を申し込みました。それが、今の関係です……」
「そうか……」
難しそうな顔をしながら話を聞いていた舞さんは、話を聞き終えると目の前にあるビールを一気に飲み干した。
(まだ入ってたんだ……ってことは、さっきのは僕と二人になる口実だったわけか)
「……まさか、しずかの最大のライバルが、我が妹とはな……。世間ってのは、つくづく狭いもんだ……」
「……僕も、まさか舞さんが咲子さんのお姉さんとは思いませんでした……」
「まあ、いくら信じられなくても、純然たる真実としてあるわけだから、そこは何を言っても無駄だろう。
――それより、問題はアンタのことだ……」
「ぼ、僕ですか?」
「ああそうだ。――のび太、お前、正直な話、どっちなんだ?」
「どっちなんだと言われましても……」
「簡単な話だ。しずかと咲子……この日本においては、一夫多妻制は認められていない。どちらかを選ばなくてはならない。……お前は、どっちを選ぶんだ?」
「そ、それは……」
「即答――出来ないんだな」
「………」
舞さんの威圧感は、僕の心臓を鷲掴みにするかのようだった。
それは、即答できなかった僕に対する、舞さんなりの怒りなのだろう。僕は、黙り込んでしまった。
「もちろん、僕からも交際を申し込みました。それが、今の関係です……」
「そうか……」
難しそうな顔をしながら話を聞いていた舞さんは、話を聞き終えると目の前にあるビールを一気に飲み干した。
(まだ入ってたんだ……ってことは、さっきのは僕と二人になる口実だったわけか)
「……まさか、しずかの最大のライバルが、我が妹とはな……。世間ってのは、つくづく狭いもんだ……」
「……僕も、まさか舞さんが咲子さんのお姉さんとは思いませんでした……」
「まあ、いくら信じられなくても、純然たる真実としてあるわけだから、そこは何を言っても無駄だろう。
――それより、問題はアンタのことだ……」
「ぼ、僕ですか?」
「ああそうだ。――のび太、お前、正直な話、どっちなんだ?」
「どっちなんだと言われましても……」
「簡単な話だ。しずかと咲子……この日本においては、一夫多妻制は認められていない。どちらかを選ばなくてはならない。……お前は、どっちを選ぶんだ?」
「そ、それは……」
「即答――出来ないんだな」
「………」
舞さんの威圧感は、僕の心臓を鷲掴みにするかのようだった。
それは、即答できなかった僕に対する、舞さんなりの怒りなのだろう。僕は、黙り込んでしまった。
487: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)01:35:58 ID:YYmdLSwtV
「……すまない。少し意地悪が過ぎたな」
「……いえ」
「だがのび太。一つ、理解しておけ。お前は確かに優しい。相手のことを想い、気遣いが出来る男だ」
「………」
「……でもな、その優しさが、返って誰かを傷付けることもある。
今お前は、二つの岐路に立っている。しずかか、咲子か……どちらの気持ちもお前に向いている以上、そのどちらかを選ばなくちゃならない。
そしてそれが意味することは、必ず、誰かが傷付くということだ」
「………」
「咲子か、しずかか……それともその両方か……それは、お前にしか決められない。そしてな、その傷は、決断が遅ければ遅いほど、深く突き刺さるんだよ」
「……はい」
「正直、私はどちら側に付くことも出来ない。咲子は、私の大切な妹だ。しずかは、私の可愛い部下だ。二人とも私の宝で、幸せになって欲しい」
「それは……当然だと思います」
「とにかく、よく考えておけ。そして、早く決断しろ。じゃないと、いずれアンタを含めた全員が傷付くことになる。深く、惨たらしく。
――そうなったら、私はアンタを一生許さない。たぶんな」
「………」
「……私は、のび太、お前のことも好きなんだよ。だから、私にそう思わせないでくれ」
「……はい」
「頼んだぞ……」
「………」
それ以降、舞さんは何も言わなかった。
「……いえ」
「だがのび太。一つ、理解しておけ。お前は確かに優しい。相手のことを想い、気遣いが出来る男だ」
「………」
「……でもな、その優しさが、返って誰かを傷付けることもある。
今お前は、二つの岐路に立っている。しずかか、咲子か……どちらの気持ちもお前に向いている以上、そのどちらかを選ばなくちゃならない。
そしてそれが意味することは、必ず、誰かが傷付くということだ」
「………」
「咲子か、しずかか……それともその両方か……それは、お前にしか決められない。そしてな、その傷は、決断が遅ければ遅いほど、深く突き刺さるんだよ」
「……はい」
「正直、私はどちら側に付くことも出来ない。咲子は、私の大切な妹だ。しずかは、私の可愛い部下だ。二人とも私の宝で、幸せになって欲しい」
「それは……当然だと思います」
「とにかく、よく考えておけ。そして、早く決断しろ。じゃないと、いずれアンタを含めた全員が傷付くことになる。深く、惨たらしく。
――そうなったら、私はアンタを一生許さない。たぶんな」
「………」
「……私は、のび太、お前のことも好きなんだよ。だから、私にそう思わせないでくれ」
「……はい」
「頼んだぞ……」
「………」
それ以降、舞さんは何も言わなかった。
499: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)10:39:22 ID:Bp8HBABCR
それから、僕は咲子さんが帰って来るのを待って、自宅に帰った。
咲子さんは名残惜しそうにしていたが、さすがに時間も遅かったので引き留めることはなかった。
舞さんはヘラヘラ笑いながら手をひらひら振っていたが、帰り際、静かに耳打ちをしてきた。
『のび太……しっかりな……』
とても、穏やかな口調だった。――でも、とても重い言葉だった。
夜道を歩きながら、トボトボと帰っていく。
夜風は冷たく、心まで冷やすかのように僕の体を通り抜ける。
今日は星が見えない。月のない夜だからよくわからないが、薄く雲が張っているのかもしれない。
暗闇の空を見上げて、一度足を止めた。
そして空の彼方に向けて、呟く。
「……ドラえもん、キミなら、今の僕に、なんて言うんだい?」
この街のどこかにいるなら、同じように、この空が見えているだろう。会えない彼に、空を経由して言葉を送ってみた。
――当然、空は何も答えることはない。
「……なんて、ね……」
見上げることを止め、再び歩き始める。
(いつまでも、彼に頼るわけにはいかないよね。彼は、僕ならいい方向に決めれるって言ったんだ。……それで、十分じゃないか……)
まずは、自分で出来ることをしよう。そう、思った。
僕は、誰もいない夜道を歩いて、家に帰った。
咲子さんは名残惜しそうにしていたが、さすがに時間も遅かったので引き留めることはなかった。
舞さんはヘラヘラ笑いながら手をひらひら振っていたが、帰り際、静かに耳打ちをしてきた。
『のび太……しっかりな……』
とても、穏やかな口調だった。――でも、とても重い言葉だった。
夜道を歩きながら、トボトボと帰っていく。
夜風は冷たく、心まで冷やすかのように僕の体を通り抜ける。
今日は星が見えない。月のない夜だからよくわからないが、薄く雲が張っているのかもしれない。
暗闇の空を見上げて、一度足を止めた。
そして空の彼方に向けて、呟く。
「……ドラえもん、キミなら、今の僕に、なんて言うんだい?」
この街のどこかにいるなら、同じように、この空が見えているだろう。会えない彼に、空を経由して言葉を送ってみた。
――当然、空は何も答えることはない。
「……なんて、ね……」
見上げることを止め、再び歩き始める。
(いつまでも、彼に頼るわけにはいかないよね。彼は、僕ならいい方向に決めれるって言ったんだ。……それで、十分じゃないか……)
まずは、自分で出来ることをしよう。そう、思った。
僕は、誰もいない夜道を歩いて、家に帰った。
500: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)10:48:37 ID:Bp8HBABCR
――それから数日後、僕はとある場所を目指していた。
電車を乗り継ぎ、その場所を目指す。
駅を降りたあとは、一度大きく息を吸い込んだ。
「……ずいぶん、久しぶりだなぁ」
固いアスファルトで舗装された道路を踏みしめながら歩く。いつもよりもペースは遅い。その場所の景色を、眺めながら歩いていた。
あまり様子は変わってはいない。ただ、空き地はなくなっていて、小さなアパートが立っていた。
やがて、その場所に辿り着いた。
少し見上げたその家は、古ぼけていた。
「こんなに、小さかったっけ……」
懐かしさを胸に、僕は呼び鈴を押す。
「――はぁーい」
中から、よく聞き慣れた声が響き渡った。そして、玄関は開く。
「どちら様―――あら?のび太?」
白髪交じりの髪をしたその人は、僕の顔を見て少し驚いていた。
「や、やあ……」
でも、すぐに優しい表情に戻した。
「……いらっしゃい。よく来たわね。――あなたー!のび太が来たわよー!」
その声に、家の中からもう一人が姿を現す。
「――のび太。よく来たな」
二人は、並んで僕を出迎えた。二人とも、とても穏やか表情で。
少しだけ照れてしまったけど、僕は少し声を大きくして、二人に言う。
「――ただいま、父さん、母さん……」
電車を乗り継ぎ、その場所を目指す。
駅を降りたあとは、一度大きく息を吸い込んだ。
「……ずいぶん、久しぶりだなぁ」
固いアスファルトで舗装された道路を踏みしめながら歩く。いつもよりもペースは遅い。その場所の景色を、眺めながら歩いていた。
あまり様子は変わってはいない。ただ、空き地はなくなっていて、小さなアパートが立っていた。
やがて、その場所に辿り着いた。
少し見上げたその家は、古ぼけていた。
「こんなに、小さかったっけ……」
懐かしさを胸に、僕は呼び鈴を押す。
「――はぁーい」
中から、よく聞き慣れた声が響き渡った。そして、玄関は開く。
「どちら様―――あら?のび太?」
白髪交じりの髪をしたその人は、僕の顔を見て少し驚いていた。
「や、やあ……」
でも、すぐに優しい表情に戻した。
「……いらっしゃい。よく来たわね。――あなたー!のび太が来たわよー!」
その声に、家の中からもう一人が姿を現す。
「――のび太。よく来たな」
二人は、並んで僕を出迎えた。二人とも、とても穏やか表情で。
少しだけ照れてしまったけど、僕は少し声を大きくして、二人に言う。
「――ただいま、父さん、母さん……」
505: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)11:08:32 ID:Bp8HBABCR
「――会社は、うまくいってるか?」
「うん。順調」
「そうか。それは何よりだ……」
台所で昼食を食べながら、父さんと話す。
「やぁねぇ、仕事の話は止しましょうよ。せっかくのび太が休みで来てるんだから」
母さんは苦笑いをしながら、お茶を用意する。
久しぶりの母さんの料理だった。美味しいこともあるが、それ以上にどこか懐かしい。おふくろの味って言うんだろうな。僕は、この味が好きだ……
「それにしても急ね。連絡すればもっと色々準備していたのに……」
「うん、ちょっと思い立ってね。ごめんごめん」
「なあに、別に構わんさ。こうして元気な顔を見せてくれるだけで嬉しいよ」
「うん……ありがとう」
父さんと母さんは、優しくそう話す。
小学校の時は、毎日のように怒られていたけど……その時も、後から決まって穏やかな表情で僕を見ていた。
怒られた記憶も、優しく慰められた記憶も、全てがこの家には詰まっている。
そして父さんと母さんは、変わらない笑みで僕を見ている。
少しだけ、重荷を置いて行こう……そう思った。
「うん。順調」
「そうか。それは何よりだ……」
台所で昼食を食べながら、父さんと話す。
「やぁねぇ、仕事の話は止しましょうよ。せっかくのび太が休みで来てるんだから」
母さんは苦笑いをしながら、お茶を用意する。
久しぶりの母さんの料理だった。美味しいこともあるが、それ以上にどこか懐かしい。おふくろの味って言うんだろうな。僕は、この味が好きだ……
「それにしても急ね。連絡すればもっと色々準備していたのに……」
「うん、ちょっと思い立ってね。ごめんごめん」
「なあに、別に構わんさ。こうして元気な顔を見せてくれるだけで嬉しいよ」
「うん……ありがとう」
父さんと母さんは、優しくそう話す。
小学校の時は、毎日のように怒られていたけど……その時も、後から決まって穏やかな表情で僕を見ていた。
怒られた記憶も、優しく慰められた記憶も、全てがこの家には詰まっている。
そして父さんと母さんは、変わらない笑みで僕を見ている。
少しだけ、重荷を置いて行こう……そう思った。
508: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)11:16:41 ID:Bp8HBABCR
昼食の後、僕は2階の自分の部屋に行った。
綺麗に片付けられていて、埃も溜まっていない。母さんが掃除をしているようだ。
本棚のマンガは、年期は入っていたが、昔のままだ。
「……これ、懐かしいな……」
その一冊を手に取り、パラパラと捲る。昔、大笑いをしていたマンガだ。
内容自体は、当然だが子供向け。画風は今のものに比べてかなり古い。それでも、何だか懐かしくて、思わず笑みが零れた。
次に僕は、押入を開ける。そこには、布団が2セット収納されていた。
『ドラちゃんが帰ってくるかもしれないから……』
母さんはそう言って、ドラえもんの布団を残し続けている。そして今は、僕の分も。
二人分の布団は綺麗に折りたたまれ、いずれ使われる時を待っていた。
最期に、机を眺めた。
久しぶりに見る机は、とても小さかった。一度指で、机上をなぞる。昔ながらのアルミ製の机だった。
キャラクターの絵も、動く袖机もない。それでも、とても懐かしくて、僕にとって掛け替えのない宝物だ。
だって彼は、この机の引き出しから出てきたんだから……
僕は何かを期待するように、引き出しを開けてみた。鈍い音を鳴らした机は、その場所を解放する。
――そこは、ただの引き出しでしかなかった。
「……ま、そうだろうね……」
そこまで期待をしていたわけではない。それでも、何だか少しだけ、寂しく思った。
綺麗に片付けられていて、埃も溜まっていない。母さんが掃除をしているようだ。
本棚のマンガは、年期は入っていたが、昔のままだ。
「……これ、懐かしいな……」
その一冊を手に取り、パラパラと捲る。昔、大笑いをしていたマンガだ。
内容自体は、当然だが子供向け。画風は今のものに比べてかなり古い。それでも、何だか懐かしくて、思わず笑みが零れた。
次に僕は、押入を開ける。そこには、布団が2セット収納されていた。
『ドラちゃんが帰ってくるかもしれないから……』
母さんはそう言って、ドラえもんの布団を残し続けている。そして今は、僕の分も。
二人分の布団は綺麗に折りたたまれ、いずれ使われる時を待っていた。
最期に、机を眺めた。
久しぶりに見る机は、とても小さかった。一度指で、机上をなぞる。昔ながらのアルミ製の机だった。
キャラクターの絵も、動く袖机もない。それでも、とても懐かしくて、僕にとって掛け替えのない宝物だ。
だって彼は、この机の引き出しから出てきたんだから……
僕は何かを期待するように、引き出しを開けてみた。鈍い音を鳴らした机は、その場所を解放する。
――そこは、ただの引き出しでしかなかった。
「……ま、そうだろうね……」
そこまで期待をしていたわけではない。それでも、何だか少しだけ、寂しく思った。
512: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)11:35:31 ID:Bp8HBABCR
その後、外に出た。もう一度、街を歩いて回る。
街角のタバコ屋、雷爺さんの家、みんなの実家……。過ぎ去る景色は、僕の心を、まるで昔にタイムスリップさせるかのようだった。
河原の野球場では、子供たちが草野球をしていた。
施設が、ずいぶん新しい。
この野球場、実は最近整備されていた。それまでの野球場は、この十年でかなり老朽化していた。雑草が生い茂り、フェンスもボロボロになっていた。
それを、ジャイアンが修復した。もちろん当時野球をしていた僕らも、資金を出し合った。
『ここは、俺達ジャイアンズのホームグラウンドだ。またここで、絶対野球するんだ』
これが、ジャイアンの修復発案時の言葉。それに全員が賛同し、修復した。
しばらく河原に座り込み、野球を見る。少年達はワイワイ騒ぎながら、試合を楽しむ。
「打ったら逆転だぞー!!絶対打てよー!!」
ふと、一人の少年がバッターボックスに立つ少年にそう叫んだ。
「……打たないと、ギッタギタだからな……か……」
脳裏に焼き付けらた、ジャイアンの言葉を思い出した。
「打てないくらいで殴られるって……今考えても理不尽だよな……」
懐かしきジャイアン理論に、思わず苦笑いが浮かぶ。
「――野比?野比か?」
野球を見ていると、後ろから声をかけられた。白髪の、スーツを来たメガネのオジサン。
「……あなたは……先生……」
先生は、ニコッと笑みを浮かべた。
「……久しぶりだな、野比―――」
街角のタバコ屋、雷爺さんの家、みんなの実家……。過ぎ去る景色は、僕の心を、まるで昔にタイムスリップさせるかのようだった。
河原の野球場では、子供たちが草野球をしていた。
施設が、ずいぶん新しい。
この野球場、実は最近整備されていた。それまでの野球場は、この十年でかなり老朽化していた。雑草が生い茂り、フェンスもボロボロになっていた。
それを、ジャイアンが修復した。もちろん当時野球をしていた僕らも、資金を出し合った。
『ここは、俺達ジャイアンズのホームグラウンドだ。またここで、絶対野球するんだ』
これが、ジャイアンの修復発案時の言葉。それに全員が賛同し、修復した。
しばらく河原に座り込み、野球を見る。少年達はワイワイ騒ぎながら、試合を楽しむ。
「打ったら逆転だぞー!!絶対打てよー!!」
ふと、一人の少年がバッターボックスに立つ少年にそう叫んだ。
「……打たないと、ギッタギタだからな……か……」
脳裏に焼き付けらた、ジャイアンの言葉を思い出した。
「打てないくらいで殴られるって……今考えても理不尽だよな……」
懐かしきジャイアン理論に、思わず苦笑いが浮かぶ。
「――野比?野比か?」
野球を見ていると、後ろから声をかけられた。白髪の、スーツを来たメガネのオジサン。
「……あなたは……先生……」
先生は、ニコッと笑みを浮かべた。
「……久しぶりだな、野比―――」
540: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)19:57:02 ID:H3kqmpeHo
「……そうか。帰省してたのか……」
先生は僕の隣に座った。野球場からの少年達の声を聞きながら、雑談を繰り返す。
「先生は、まだあの小学校に?」
「まあな。ただ、私ももうすぐ定年だ」
「先生が……定年……」
時間の流れを感じた。あれだけ怖かった先生も、すっかり穏やかな表情となっていた。
髪も白くなり、体格も丸い。
「……しかし、野比も社会人か。あれほど0点を取った生徒は、野比、お前だけだったぞ?」
「ハハハ……面目ないです」
「いやいや、もう昔のことだ。それに、キミは今ちゃんと社会人として働いているではないか。
――あの頃は、私はキミたちに勉強をしてもらいたいがために厳しく言っていたが、キミの良さは分かっていたつもりだよ」
「僕の、良さ……」
「仲間思いで優しい男の子……勉強は出来なくても、それ以上に素晴らしいものを持ったのが、キミだ」
「……恐縮です」
「まあ、もう少し勉強が出来ていれば文句はなかったんだけどな!ハハハハ……!」
声を出して笑った後、その場を立ち上がる。
それに続き、僕も立ち上がった。
「……さて、私はそろそろ行かせてもらおうか」
「はい……先生、お元気で……」
「ああ。野比もな」
そして先生は、そのまま去って行った。
遠退く先生の背中は、どこか小さく見えた。
先生は僕の隣に座った。野球場からの少年達の声を聞きながら、雑談を繰り返す。
「先生は、まだあの小学校に?」
「まあな。ただ、私ももうすぐ定年だ」
「先生が……定年……」
時間の流れを感じた。あれだけ怖かった先生も、すっかり穏やかな表情となっていた。
髪も白くなり、体格も丸い。
「……しかし、野比も社会人か。あれほど0点を取った生徒は、野比、お前だけだったぞ?」
「ハハハ……面目ないです」
「いやいや、もう昔のことだ。それに、キミは今ちゃんと社会人として働いているではないか。
――あの頃は、私はキミたちに勉強をしてもらいたいがために厳しく言っていたが、キミの良さは分かっていたつもりだよ」
「僕の、良さ……」
「仲間思いで優しい男の子……勉強は出来なくても、それ以上に素晴らしいものを持ったのが、キミだ」
「……恐縮です」
「まあ、もう少し勉強が出来ていれば文句はなかったんだけどな!ハハハハ……!」
声を出して笑った後、その場を立ち上がる。
それに続き、僕も立ち上がった。
「……さて、私はそろそろ行かせてもらおうか」
「はい……先生、お元気で……」
「ああ。野比もな」
そして先生は、そのまま去って行った。
遠退く先生の背中は、どこか小さく見えた。
542: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)21:10:29 ID:H3kqmpeHo
家に帰った後、僕は父さんと酒を交わす。
父さんは、上機嫌だった。顔を赤くして、ニコニコ笑っていた。
「――まさか、のび太と酒が飲める日が来るとはな!月日が経つのは早いものだ!」
父さんは僕のコップに、次々とビールを注ぐ。
「……僕、そんなにお酒強くないんだけど……」
「細かいことは気にするな!さあ!どんどん飲め!」
父さんはすっかり酔ってしまっているようだ。ノリが、会社の上司によく似ている。
苦笑いする僕に、追加にビールを持って来ていた母さんが後ろから笑いながら話しかけて来た。
「お父さんね、楽しみにしてたのよ?のび太とお酒を飲むことを」
「父さんが?」
「そうよ。いつも家で晩酌をする時に言ってたの。ここに、のび太がいてくれたらなぁって……」
「………」
「口では言わないけど、お父さん、寂しかったのよ。……もちろん、私もね……」
「……うん」
両親を安心させようと思って一人暮らしをした僕だったが、父さんと母さんは、別のことを思っていたようだ。
いくつになっても、子供は子供……誰かが言った言葉だ。
その意味が、少しだけ分かったような気がする。
父さんは相変わらず笑顔でお酒を飲む。母さんはお酒を飲まないのに、そんな僕達を座って見ている。
ずっと一緒に暮らしていた父さんと母さん。でも、一緒にいた時には薄れていたモノが、僕の中にはっきりと浮かび上がっていた。
――父さんと母さんの想いが、僕の中に注がれていたようだった。
「……父さん、お酒、注ぐよ」
「お!ありがとうな!」
その日は、夜遅くまで父さんと酒を交わす。心の中のしこりのようなものが、少しずつ溶けだしている気分だった。
父さんは、上機嫌だった。顔を赤くして、ニコニコ笑っていた。
「――まさか、のび太と酒が飲める日が来るとはな!月日が経つのは早いものだ!」
父さんは僕のコップに、次々とビールを注ぐ。
「……僕、そんなにお酒強くないんだけど……」
「細かいことは気にするな!さあ!どんどん飲め!」
父さんはすっかり酔ってしまっているようだ。ノリが、会社の上司によく似ている。
苦笑いする僕に、追加にビールを持って来ていた母さんが後ろから笑いながら話しかけて来た。
「お父さんね、楽しみにしてたのよ?のび太とお酒を飲むことを」
「父さんが?」
「そうよ。いつも家で晩酌をする時に言ってたの。ここに、のび太がいてくれたらなぁって……」
「………」
「口では言わないけど、お父さん、寂しかったのよ。……もちろん、私もね……」
「……うん」
両親を安心させようと思って一人暮らしをした僕だったが、父さんと母さんは、別のことを思っていたようだ。
いくつになっても、子供は子供……誰かが言った言葉だ。
その意味が、少しだけ分かったような気がする。
父さんは相変わらず笑顔でお酒を飲む。母さんはお酒を飲まないのに、そんな僕達を座って見ている。
ずっと一緒に暮らしていた父さんと母さん。でも、一緒にいた時には薄れていたモノが、僕の中にはっきりと浮かび上がっていた。
――父さんと母さんの想いが、僕の中に注がれていたようだった。
「……父さん、お酒、注ぐよ」
「お!ありがとうな!」
その日は、夜遅くまで父さんと酒を交わす。心の中のしこりのようなものが、少しずつ溶けだしている気分だった。
544: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)21:27:06 ID:H3kqmpeHo
――ふと、僕は目を覚ました。
「……うぅん……寝ちゃったのか……」
時計を見れば、時刻は真夜中。頭が痛い……
その時、僕は気が付いた。
今の掃出し窓が開き、そこに、父さんが座っていた。母さんの姿はない。どうやら、先に眠ってしまったようだ。
父さんは僕が起きたことに気が付き、微笑みながら顔を振り向かせた。
「……すまん、起こしてしまったか……」
「ううん。大丈夫。……こんな夜中に、何をしてるの?」
「ああ。……月を、見ていたんだ……」
「月を?」
「そうだ。……なあのび太、こっちに来て、一緒に見ないか?」
「……うん」
僕は、促されるまま父さんの隣に座る。
「……綺麗だね」
「そうだろ?月が見えて、のび太がいて、のび太と酒を飲んで……最高の夜だ……」
僕らは月を見上げる。
幸い、今日は雲がなかった。窓からは丸い満月が空に座し、夜の街を仄かに照らす。
星々の光は月光に遮られ、あまりはっきりとは見えない。でも、まるで星達の分まで輝くように、月は、優しく光を降り注がせていた。
少しの間、僕と父さんは、月の光が織りなす神秘的な劇場を、静かに眺めていた。
「……うぅん……寝ちゃったのか……」
時計を見れば、時刻は真夜中。頭が痛い……
その時、僕は気が付いた。
今の掃出し窓が開き、そこに、父さんが座っていた。母さんの姿はない。どうやら、先に眠ってしまったようだ。
父さんは僕が起きたことに気が付き、微笑みながら顔を振り向かせた。
「……すまん、起こしてしまったか……」
「ううん。大丈夫。……こんな夜中に、何をしてるの?」
「ああ。……月を、見ていたんだ……」
「月を?」
「そうだ。……なあのび太、こっちに来て、一緒に見ないか?」
「……うん」
僕は、促されるまま父さんの隣に座る。
「……綺麗だね」
「そうだろ?月が見えて、のび太がいて、のび太と酒を飲んで……最高の夜だ……」
僕らは月を見上げる。
幸い、今日は雲がなかった。窓からは丸い満月が空に座し、夜の街を仄かに照らす。
星々の光は月光に遮られ、あまりはっきりとは見えない。でも、まるで星達の分まで輝くように、月は、優しく光を降り注がせていた。
少しの間、僕と父さんは、月の光が織りなす神秘的な劇場を、静かに眺めていた。
547: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)21:38:52 ID:H3kqmpeHo
「――ところでのび太」
突然、父さんが切り出した。
「うん?何?」
「誰か、いい人は見つかったか?」
「いい人?」
「結婚相手のことだよ」
「け、結婚!?」
「何を驚いてるんだ。のび太ももういい年だ。そろそろ結婚を考えてもおかしくはないぞ?」
「そ、そうなんだろうけど……いきなり結婚なんて……」
戸惑う僕に、父さんは声を出して笑う。
「いやいやすまん。ちょっと話を飛躍させ過ぎたな。……まあ、結婚まではいかなくても、付き合ってる人はいないのか?」
「……まあ、一応……」
「そうか……それはよかった……」
付き合ってるのは付き合ってる。……だけど、この前の舞さんに言われたことを思い出した。
……結局僕は、中途半端なんだ。
「……のび太、お前は、少し抜けてるところがあるからな。お前に合うのは、きっと、しっかりした人だろうな」
「う、うん……」
「まあいずれにしても、自分の目で見て、頭で考えて、相手を決めろ。そしてな、一度決めた相手は、一生大事にしろ。
家族を蔑ろにする奴は、幸せなんて手に入れることは出来ないんだ。
どれだけ仕事がうまくいっても、どれだけお金があっても、幸せってのは、それとは関係ないところから生まれるものなんだよ」
「……」
「……大丈夫だ、のび太。お前なら、必ず幸せな家庭を作れるはずだ。――何せ、お前は僕の、自慢の息子だからな」
「……0点ばっかり取ってたけどね」
「勉強なんて、最低限のことさえしていればいいさ。実際に、お前は高校まで卒業出来たんだ。十分だ」
「そっかな……」
「そうだ。お前は、自分の人生に自信を持っていい。――お前は、幸せを生み出すことが出来る」
「……ありがとう、父さん」
突然、父さんが切り出した。
「うん?何?」
「誰か、いい人は見つかったか?」
「いい人?」
「結婚相手のことだよ」
「け、結婚!?」
「何を驚いてるんだ。のび太ももういい年だ。そろそろ結婚を考えてもおかしくはないぞ?」
「そ、そうなんだろうけど……いきなり結婚なんて……」
戸惑う僕に、父さんは声を出して笑う。
「いやいやすまん。ちょっと話を飛躍させ過ぎたな。……まあ、結婚まではいかなくても、付き合ってる人はいないのか?」
「……まあ、一応……」
「そうか……それはよかった……」
付き合ってるのは付き合ってる。……だけど、この前の舞さんに言われたことを思い出した。
……結局僕は、中途半端なんだ。
「……のび太、お前は、少し抜けてるところがあるからな。お前に合うのは、きっと、しっかりした人だろうな」
「う、うん……」
「まあいずれにしても、自分の目で見て、頭で考えて、相手を決めろ。そしてな、一度決めた相手は、一生大事にしろ。
家族を蔑ろにする奴は、幸せなんて手に入れることは出来ないんだ。
どれだけ仕事がうまくいっても、どれだけお金があっても、幸せってのは、それとは関係ないところから生まれるものなんだよ」
「……」
「……大丈夫だ、のび太。お前なら、必ず幸せな家庭を作れるはずだ。――何せ、お前は僕の、自慢の息子だからな」
「……0点ばっかり取ってたけどね」
「勉強なんて、最低限のことさえしていればいいさ。実際に、お前は高校まで卒業出来たんだ。十分だ」
「そっかな……」
「そうだ。お前は、自分の人生に自信を持っていい。――お前は、幸せを生み出すことが出来る」
「……ありがとう、父さん」
548: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)21:50:14 ID:H3kqmpeHo
「……さて、そろそろ寝るとするか」
「うん……」
そして僕らは、それぞれの寝室に戻る。
僕は二階に上がり、布団に横になった。
久しぶりの自分の布団。眠る前に、一度押入に目をやる。
そこにいた彼は、今何をしているのだろうか………そんなことを考えていた。
……いや、それももう止めにしよう。
父さんも、先生も、舞さんも、そして、彼も……みんな、僕に自信を持っていいと言っていた。
僕は、いつも彼に頼ってばかりだった。
全ての願いを、叶えてくれる彼。困った時は、いつでも助けてくれた彼。
……でも僕は、もう大人になった。
子供のころにはなかった責任だとか柵(しがらみ)だとかが、今の僕の周りにはある。
その中で僕は、自分で考えて、行動して、いくつもの選択肢を選んでいかなければならない。
それは、とてもキツイことだと思う。時には落ち込むこともあるだろう。どちらを選んでも、不運しかない状況も出てくるはずだ。
でもそれは、誰でも経験することなんだ。誰でも悩んで、それでも選択を繰り返しているんだ。
僕ばかりじゃないんだ。それなのに、ずっと彼のことを頼り続けているわけには行かない。今僕は、自分の足で歩き出すべきなんだろう。
――ドラえもんは、きっとそれを僕に伝えたくて、手紙をくれていたんだ。
姿を見せず、僕が自分の足で歩くように促していたんだ。
だったら、彼のためにも、僕は足を踏み出す。ゆっくりでも、自分の足でこれからを歩いて行く。
(じゃないと、キミに笑われるしね……)
最期にもう一度だけ押入に視線を送った僕は、一人静かに、微睡の中に意識を沈めていった。
「うん……」
そして僕らは、それぞれの寝室に戻る。
僕は二階に上がり、布団に横になった。
久しぶりの自分の布団。眠る前に、一度押入に目をやる。
そこにいた彼は、今何をしているのだろうか………そんなことを考えていた。
……いや、それももう止めにしよう。
父さんも、先生も、舞さんも、そして、彼も……みんな、僕に自信を持っていいと言っていた。
僕は、いつも彼に頼ってばかりだった。
全ての願いを、叶えてくれる彼。困った時は、いつでも助けてくれた彼。
……でも僕は、もう大人になった。
子供のころにはなかった責任だとか柵(しがらみ)だとかが、今の僕の周りにはある。
その中で僕は、自分で考えて、行動して、いくつもの選択肢を選んでいかなければならない。
それは、とてもキツイことだと思う。時には落ち込むこともあるだろう。どちらを選んでも、不運しかない状況も出てくるはずだ。
でもそれは、誰でも経験することなんだ。誰でも悩んで、それでも選択を繰り返しているんだ。
僕ばかりじゃないんだ。それなのに、ずっと彼のことを頼り続けているわけには行かない。今僕は、自分の足で歩き出すべきなんだろう。
――ドラえもんは、きっとそれを僕に伝えたくて、手紙をくれていたんだ。
姿を見せず、僕が自分の足で歩くように促していたんだ。
だったら、彼のためにも、僕は足を踏み出す。ゆっくりでも、自分の足でこれからを歩いて行く。
(じゃないと、キミに笑われるしね……)
最期にもう一度だけ押入に視線を送った僕は、一人静かに、微睡の中に意識を沈めていった。
550: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)22:01:21 ID:H3kqmpeHo
それから僕は、実家を後にした。
街並みを見渡しながら駅まで歩き、電車に乗る。窓から見える景色を横目に、電車に揺らされていく。
そのまま家に帰り、荷物を片付けた後、とある人物に連絡を取った。
思いのほかあっさりと連絡が取れたのが幸いだった。
「……うん……そうだよ……じゃあ、待ってる……」
電話を切り、服を着替える。
これから、僕は歩き出す。
最期に家を出る前に、これまでドラえもんがくれた手紙を読み返した。
彼の言葉をもう一度心に注ぎ、家を出る。
踏み出す足は、少しだけ躊躇を覚えていた。
それでも、力強く足を踏み出した。
街並みを見渡しながら駅まで歩き、電車に乗る。窓から見える景色を横目に、電車に揺らされていく。
そのまま家に帰り、荷物を片付けた後、とある人物に連絡を取った。
思いのほかあっさりと連絡が取れたのが幸いだった。
「……うん……そうだよ……じゃあ、待ってる……」
電話を切り、服を着替える。
これから、僕は歩き出す。
最期に家を出る前に、これまでドラえもんがくれた手紙を読み返した。
彼の言葉をもう一度心に注ぎ、家を出る。
踏み出す足は、少しだけ躊躇を覚えていた。
それでも、力強く足を踏み出した。
554: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)22:11:58 ID:H3kqmpeHo
待ち合わせの場所は、町中にある公園だった。
そこのブランコに身を揺られながら、僕はその人を待つ。
少しだけ心臓が高鳴っている。だけど、どこか心地がいい。
僕は待ちながら、初めてその人のことを、思い出していた。
いつも可愛く、世話好きで、僕と一緒にいた。おしとやかだけど、おてんばなところもある。
しっかりしているかと思えば泣きべそだったり、表情豊かな人……
「……のび太さん?」
その人は……
「……しずかちゃん……」
駆け寄る彼女に、僕は立って迎えた。
そこのブランコに身を揺られながら、僕はその人を待つ。
少しだけ心臓が高鳴っている。だけど、どこか心地がいい。
僕は待ちながら、初めてその人のことを、思い出していた。
いつも可愛く、世話好きで、僕と一緒にいた。おしとやかだけど、おてんばなところもある。
しっかりしているかと思えば泣きべそだったり、表情豊かな人……
「……のび太さん?」
その人は……
「……しずかちゃん……」
駆け寄る彼女に、僕は立って迎えた。
557: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)22:22:02 ID:H3kqmpeHo
「……ゴメンね、急に呼び出したりして……」
「ううん。ちょうど仕事が終わったからいいの」
僕達は、ブランコに座っていた。
風は肌寒いけど、それでも気にならない。
「……それで、どうしたの?」
しずかちゃんは、俯きながら僕に訊ねて来た。
「……うん、この前のことなんだけど……」
「この前……雪山のこと?」
「そう、それ。……実はね、あれ、僕じゃないんだよ」
「……え?」
突拍子もないことを言ったからか、しずかちゃんは僕の顔を注視する。
そんな彼女に、僕は続けた。
「……あれはね、僕だけど僕じゃないんだ。あれは、子供のころの僕なんだよ」
「……どういうこと?」
「子供のころ……まだ彼がいたころ、僕はキミが将来遭難することを知ったんだ。それを見た僕は、彼にお願いして、キミを助けに行ったんだ。
雪山なのにコートを着ていたのは、雪山のことをよく知らなかったから。突然姿を消したのは、タイムマシンで帰ったから。
だからあれは、今の僕じゃないんだよ」
「……う、うそ……」
しずかちゃんは、表情を硬くした。その顔を見たら、心が締め付けられた。
それでも、僕は続けた。
「……でも、子供の僕がキミに言ったことは、嘘じゃないんだよ」
「……え?」
――そして僕は、意を決した。
「……僕は、ずっとキミに憧れていたんだ。その気持ちは、今でも持ち続けている。キミは、僕にとって大切な人だよ」
「……のび太さん……」
二人を包む空は、更に夜の色を濃くしていく。
「ううん。ちょうど仕事が終わったからいいの」
僕達は、ブランコに座っていた。
風は肌寒いけど、それでも気にならない。
「……それで、どうしたの?」
しずかちゃんは、俯きながら僕に訊ねて来た。
「……うん、この前のことなんだけど……」
「この前……雪山のこと?」
「そう、それ。……実はね、あれ、僕じゃないんだよ」
「……え?」
突拍子もないことを言ったからか、しずかちゃんは僕の顔を注視する。
そんな彼女に、僕は続けた。
「……あれはね、僕だけど僕じゃないんだ。あれは、子供のころの僕なんだよ」
「……どういうこと?」
「子供のころ……まだ彼がいたころ、僕はキミが将来遭難することを知ったんだ。それを見た僕は、彼にお願いして、キミを助けに行ったんだ。
雪山なのにコートを着ていたのは、雪山のことをよく知らなかったから。突然姿を消したのは、タイムマシンで帰ったから。
だからあれは、今の僕じゃないんだよ」
「……う、うそ……」
しずかちゃんは、表情を硬くした。その顔を見たら、心が締め付けられた。
それでも、僕は続けた。
「……でも、子供の僕がキミに言ったことは、嘘じゃないんだよ」
「……え?」
――そして僕は、意を決した。
「……僕は、ずっとキミに憧れていたんだ。その気持ちは、今でも持ち続けている。キミは、僕にとって大切な人だよ」
「……のび太さん……」
二人を包む空は、更に夜の色を濃くしていく。
560: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)22:29:22 ID:H3kqmpeHo
「――でも、僕には今、付き合ってる人がいるんだ」
「……どういうこと?」
「その人は、とても明るくて、とても元気なんだけど、時々おっちょこちょいなんだ。まるで子供の僕みたいだろ?
最近だと、物凄く寂しがり屋で、心配性なんだ」
「………」
「その人ね、見ていると、どこかほっとけないんだよ。――僕が、守ってあげたいって思うんだ……」
「……それって……」
「……うん。僕は、その人を守ってあげたい。その人と、一緒に過ごしていきたいんだ。
キミを大切に思うことに嘘はないよ。キミは、大切な友達だからね。……でも僕が、一緒に過ごしていきたい人は、その人なんだ。
――だから、キミの気持ちには応えられない。応えられないんだ……。ごめん―――」
「……ひぐ……ひぐ……」
しずかちゃんは、声を押し殺すように、涙を流していた。それが酷く心を痛めさせる。
それでも僕は、彼女の想いに応えることは出来ない。
その時、僕は公園の入り口にいる彼の姿を見つけた。
その姿を見た僕は、涙を流す彼女に声をかける。
「しずかちゃん。僕には、キミを幸せにすることは出来ないんだ。
――でもね、キミの幸せを心から願っている人がいるんだ。あそこに―――」
「……え?」
しずかちゃんは、僕が指さした方向に目をやる。そして、声を漏らした。
「……出木杉さん?」
「……しずか……」
「……どういうこと?」
「その人は、とても明るくて、とても元気なんだけど、時々おっちょこちょいなんだ。まるで子供の僕みたいだろ?
最近だと、物凄く寂しがり屋で、心配性なんだ」
「………」
「その人ね、見ていると、どこかほっとけないんだよ。――僕が、守ってあげたいって思うんだ……」
「……それって……」
「……うん。僕は、その人を守ってあげたい。その人と、一緒に過ごしていきたいんだ。
キミを大切に思うことに嘘はないよ。キミは、大切な友達だからね。……でも僕が、一緒に過ごしていきたい人は、その人なんだ。
――だから、キミの気持ちには応えられない。応えられないんだ……。ごめん―――」
「……ひぐ……ひぐ……」
しずかちゃんは、声を押し殺すように、涙を流していた。それが酷く心を痛めさせる。
それでも僕は、彼女の想いに応えることは出来ない。
その時、僕は公園の入り口にいる彼の姿を見つけた。
その姿を見た僕は、涙を流す彼女に声をかける。
「しずかちゃん。僕には、キミを幸せにすることは出来ないんだ。
――でもね、キミの幸せを心から願っている人がいるんだ。あそこに―――」
「……え?」
しずかちゃんは、僕が指さした方向に目をやる。そして、声を漏らした。
「……出木杉さん?」
「……しずか……」
564: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)22:48:13 ID:H3kqmpeHo
~2時間前~
「――そっか……しずかちゃんと……」
「ああ。付き合ってたよ。最後には、こっぴどくフラれたけどね……」
そこは、街の角にあるバー。そこのカウンター席に、僕と出木杉は座っていた。
「しずかは、キミが好きなんだってよ。まったく、面白くもない話だけどね……」
ぼやくように呟くと、彼は目の前のウイスキーを飲みほした。
「……ごめん」
「なぜキミが謝るんだい?キミは、何も悪くないだろう。これはしずかの想いであって、僕が思ってるのは、単なる醜い嫉妬だけだよ」
出木杉は表情を落としたまま、そう呟く。
「……野比くん。しずかを幸せにしてやってほしい。それが、僕からの最初で最後のキミへの願いだ……」
「………」
「まったく、頭に来る話だよ。こっちは昔からの想いを、ようやく叶えたと思ったのにな……キミに、それを引き継ぐなんて……」
「出木杉……」
出木杉は、絞り出すようにそう話した。彼がそんなことを言ったのは、初めてのことだった。
彼は、心の底からしずかちゃんの幸せを願っていた。
恥を捨て、恋敵の僕に願ってまで、彼女の幸せを叶えようとした。
――それでも、僕はその願いを叶えることは出来ない。
「――そっか……しずかちゃんと……」
「ああ。付き合ってたよ。最後には、こっぴどくフラれたけどね……」
そこは、街の角にあるバー。そこのカウンター席に、僕と出木杉は座っていた。
「しずかは、キミが好きなんだってよ。まったく、面白くもない話だけどね……」
ぼやくように呟くと、彼は目の前のウイスキーを飲みほした。
「……ごめん」
「なぜキミが謝るんだい?キミは、何も悪くないだろう。これはしずかの想いであって、僕が思ってるのは、単なる醜い嫉妬だけだよ」
出木杉は表情を落としたまま、そう呟く。
「……野比くん。しずかを幸せにしてやってほしい。それが、僕からの最初で最後のキミへの願いだ……」
「………」
「まったく、頭に来る話だよ。こっちは昔からの想いを、ようやく叶えたと思ったのにな……キミに、それを引き継ぐなんて……」
「出木杉……」
出木杉は、絞り出すようにそう話した。彼がそんなことを言ったのは、初めてのことだった。
彼は、心の底からしずかちゃんの幸せを願っていた。
恥を捨て、恋敵の僕に願ってまで、彼女の幸せを叶えようとした。
――それでも、僕はその願いを叶えることは出来ない。
565: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)22:49:43 ID:H3kqmpeHo
「……出木杉、それは、無理なんだよ……」
「……何だって?」
「僕には今、付き合っている人がいる。……その人が、僕にとって、大切な人なんだ」
「―――――ッ!!」
出木杉は激高し、とっさに僕の胸ぐらを掴み上げた。
「……キミは!!何を言ってるんだ!!ずっと憧れてたんだろ!?ずっと好きだったんだろ!?
しずかも、ずっとキミを待ってたんだ!!キミが、想いを口にするのを……ずっと……!!」
出木杉の言葉は、心からの絶叫のように思えた。涙を目いっぱいに溜め、想いの全てを僕にぶつけていた。
そんな彼の瞳を、僕はを見続けた。
「……出木杉……でも、僕には出来ないんだよ。――出来ないんだ」
「………!!」
「………」
「……チッ!」
出木杉は、僕の目を睨み付けた後、投げ捨てるように手を離した。そして、荒々しくウイスキーをコップに注ぎ、飲み干す。
「……出木杉……」
「……不愉快だ……キミは本当に、不愉快だよ……!!」
「……出木杉、今から2時間後、街中の公園に来てほしい」
「……どうして僕が……」
「そこに行けば、全てが分かるさ。とにかく、来てほしい……」
「……分かったよ。行けば、いいんだろ―――」
「……何だって?」
「僕には今、付き合っている人がいる。……その人が、僕にとって、大切な人なんだ」
「―――――ッ!!」
出木杉は激高し、とっさに僕の胸ぐらを掴み上げた。
「……キミは!!何を言ってるんだ!!ずっと憧れてたんだろ!?ずっと好きだったんだろ!?
しずかも、ずっとキミを待ってたんだ!!キミが、想いを口にするのを……ずっと……!!」
出木杉の言葉は、心からの絶叫のように思えた。涙を目いっぱいに溜め、想いの全てを僕にぶつけていた。
そんな彼の瞳を、僕はを見続けた。
「……出木杉……でも、僕には出来ないんだよ。――出来ないんだ」
「………!!」
「………」
「……チッ!」
出木杉は、僕の目を睨み付けた後、投げ捨てるように手を離した。そして、荒々しくウイスキーをコップに注ぎ、飲み干す。
「……出木杉……」
「……不愉快だ……キミは本当に、不愉快だよ……!!」
「……出木杉、今から2時間後、街中の公園に来てほしい」
「……どうして僕が……」
「そこに行けば、全てが分かるさ。とにかく、来てほしい……」
「……分かったよ。行けば、いいんだろ―――」
566: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)22:58:44 ID:H3kqmpeHo
「―――しずかちゃん。僕は、キミを幸せにすることは出来ないんだよ」
「………」
「でもね、そこに立っている彼は違う。自分の想いを断ち切ってまで……歯を食い縛ってまで、ただひたすらにキミの幸せを願ってるんだ。
――彼ならきっと、キミを幸せにしてくれると思う。……それは、僕が保証するさ」
「……のび太さん……」
一度彼女に微笑みを見せた後、僕は公園の出入り口に向かった。
そして、彼の横を通り過ぎる直前、脚を止める。
「……ということだ、出木杉……」
「………」
「これから、キミが手を差し出す番だ。僕に出来ないことを、キミがするんだ」
「……相変わらず、不愉快だね、キミは……」
「すまないな。――しずかちゃんを、幸せにしてやってほしい。それが僕からの、最初で最後のキミへの願いだ……」
「……そんなもの、言われるまでもないさ……」
「……ああ。頼んだよ……」
そして僕は、公園を立ち去る。少しだけ離れた後、一度公園を振り返ってみた。
そこには、仄かに周囲を照らす街灯の下、ブランコに座る彼女と、彼女を抱き締める彼の姿があった。
……これから、二人の物語が始まる。
そこに、僕の席はない。
二人の幸せを願って、僕は公園から離れていった。
「………」
「でもね、そこに立っている彼は違う。自分の想いを断ち切ってまで……歯を食い縛ってまで、ただひたすらにキミの幸せを願ってるんだ。
――彼ならきっと、キミを幸せにしてくれると思う。……それは、僕が保証するさ」
「……のび太さん……」
一度彼女に微笑みを見せた後、僕は公園の出入り口に向かった。
そして、彼の横を通り過ぎる直前、脚を止める。
「……ということだ、出木杉……」
「………」
「これから、キミが手を差し出す番だ。僕に出来ないことを、キミがするんだ」
「……相変わらず、不愉快だね、キミは……」
「すまないな。――しずかちゃんを、幸せにしてやってほしい。それが僕からの、最初で最後のキミへの願いだ……」
「……そんなもの、言われるまでもないさ……」
「……ああ。頼んだよ……」
そして僕は、公園を立ち去る。少しだけ離れた後、一度公園を振り返ってみた。
そこには、仄かに周囲を照らす街灯の下、ブランコに座る彼女と、彼女を抱き締める彼の姿があった。
……これから、二人の物語が始まる。
そこに、僕の席はない。
二人の幸せを願って、僕は公園から離れていった。
573: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)23:08:27 ID:H3kqmpeHo
翌日の仕事は、かなり早めに終わった。
咲子さんは舞さんと食事に行くらしく、誘われたが断った。
姉妹水入らずの食事会に、僕が言ってはアレだろうし。
家に帰ったころは、空は黄昏時だった。
茜空を見上げた後、アパートの階段を上る。
――ふと、僕の部屋の前に、何かが立っているのを見つけた。
「あれは……」
少し早歩きに、その場所へ向かう。
そこにいたのは、ペットボトルくらいの大きさのロボットだった。
服装は執事のような恰好をしている。しかし全身かなりボロボロで、ところどころ錆びていた。
そのロボットは、僕が目の前に立ったところで、深々とお辞儀をした。
「……のび太さん。待っておりました……」
「……僕を?」
「はい。あなたに、お話があります。――私の主人、ドラえもん様の件です……」
「―――ッ!?ドラえもん!?」
ロボットは、静かに頷いた。
「それでですが、差支えなければ、少々お時間をよろしいでしょうか……」
「……うん」
咲子さんは舞さんと食事に行くらしく、誘われたが断った。
姉妹水入らずの食事会に、僕が言ってはアレだろうし。
家に帰ったころは、空は黄昏時だった。
茜空を見上げた後、アパートの階段を上る。
――ふと、僕の部屋の前に、何かが立っているのを見つけた。
「あれは……」
少し早歩きに、その場所へ向かう。
そこにいたのは、ペットボトルくらいの大きさのロボットだった。
服装は執事のような恰好をしている。しかし全身かなりボロボロで、ところどころ錆びていた。
そのロボットは、僕が目の前に立ったところで、深々とお辞儀をした。
「……のび太さん。待っておりました……」
「……僕を?」
「はい。あなたに、お話があります。――私の主人、ドラえもん様の件です……」
「―――ッ!?ドラえもん!?」
ロボットは、静かに頷いた。
「それでですが、差支えなければ、少々お時間をよろしいでしょうか……」
「……うん」
578: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)23:21:41 ID:H3kqmpeHo
ロボットに案内されたのは、僕と咲子さんが来た、高台にある公園だった。
周囲に人の姿はない。いるのは僕と、ロボットだけだった。
ロボットは僕に正対し、話を始めた。
「……このようなところまで連れて来たことを、深くお詫びします」
「それはいいんだ。……それより……」
「はい。……もうお気づきかもしれませんが、私は、ドラえもん様が取り出した道具なのです」
「やっぱり……」
「今より10年前、家にいたドラえもん様に、とある通知が届きました」
「……通知?」
「はい。……ドラえもん様の時代で制定された、異時空軸接触禁止法の件です」
「……異時空軸、接触禁止法……」
「増加する時間犯罪を抑止するために制定された法律です。その法律により、特別の許可を得た人物以外の、タイムトラベルは全面的に禁止されました。
――当然、ドラえもん様についても例外ではございませんでした」
「そ、それじゃ……」
「そうです。ドラえもん様は、未来に帰られたのです」
「……で、でも、どうして忽然と……」
「その法律は、過去、未来との接触の一切を禁止する法律。罰則者には、重い刑罰が科せられます。
接触の一切とは、文字通り全てのこと……写真も、痕跡も、そして、記憶さえも残すことは許されません」
「で、でも!僕は……僕達は、覚えているよ!?彼のこと……ドラえもんのことを!!」
「はい。……それは、特例的に残すことが許されたからです」
「……特例的?」
「はい。ドラえもん様は、これまで幾度となく、時間犯罪を防ぎ、世界の危機を救ってきました。その功績が考慮され、一切の痕跡を消す中で、関係者の記憶を残すことが許されました。
ですから、写真等は全て処分しながら、のび太さん達の心には、ドラえもん様が残り続けていたのです……」
「………」
周囲に人の姿はない。いるのは僕と、ロボットだけだった。
ロボットは僕に正対し、話を始めた。
「……このようなところまで連れて来たことを、深くお詫びします」
「それはいいんだ。……それより……」
「はい。……もうお気づきかもしれませんが、私は、ドラえもん様が取り出した道具なのです」
「やっぱり……」
「今より10年前、家にいたドラえもん様に、とある通知が届きました」
「……通知?」
「はい。……ドラえもん様の時代で制定された、異時空軸接触禁止法の件です」
「……異時空軸、接触禁止法……」
「増加する時間犯罪を抑止するために制定された法律です。その法律により、特別の許可を得た人物以外の、タイムトラベルは全面的に禁止されました。
――当然、ドラえもん様についても例外ではございませんでした」
「そ、それじゃ……」
「そうです。ドラえもん様は、未来に帰られたのです」
「……で、でも、どうして忽然と……」
「その法律は、過去、未来との接触の一切を禁止する法律。罰則者には、重い刑罰が科せられます。
接触の一切とは、文字通り全てのこと……写真も、痕跡も、そして、記憶さえも残すことは許されません」
「で、でも!僕は……僕達は、覚えているよ!?彼のこと……ドラえもんのことを!!」
「はい。……それは、特例的に残すことが許されたからです」
「……特例的?」
「はい。ドラえもん様は、これまで幾度となく、時間犯罪を防ぎ、世界の危機を救ってきました。その功績が考慮され、一切の痕跡を消す中で、関係者の記憶を残すことが許されました。
ですから、写真等は全て処分しながら、のび太さん達の心には、ドラえもん様が残り続けていたのです……」
「………」
584: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)23:31:04 ID:H3kqmpeHo
「――そして、特例的に認められたことは、もう一つあります」
「……え?もう一つ?」
「……それは、ひみつ道具を、一つだけこの時代に残すことです」
「じゃ、じゃあ……」
「そうです。そこで残されたのが、この私です」
「………」
「私は、執事ロボット。主人の依頼を、厳正に守るロボットです」
「………」
「ドラえもん様は、悩みました。何をこの時代に残すべきか。何を残せば、のび太さんの助けになるか……残されたわずかな時間の中で、ドラえもん様が選ばれたのが、この私です。
そしてドラえもん様は、私に、手紙を託されました。そして、こう言いました。
『この手紙のそれぞれが、のび太くんが一番必要だと判断された時に、届けてほしい』と……」
「じゃ、じゃあ……これまで手紙を届けていたのは……」
「はい。私です。手紙は私に備え付けられた四次元バッグに収納され、色褪せることなく保管され続けていました」
「………」
「……そしてこれが、ドラえもん様からの最後の手紙です……」
そしてロボットは、僕に一通の手紙を差し出してきた。
「……え?もう一つ?」
「……それは、ひみつ道具を、一つだけこの時代に残すことです」
「じゃ、じゃあ……」
「そうです。そこで残されたのが、この私です」
「………」
「私は、執事ロボット。主人の依頼を、厳正に守るロボットです」
「………」
「ドラえもん様は、悩みました。何をこの時代に残すべきか。何を残せば、のび太さんの助けになるか……残されたわずかな時間の中で、ドラえもん様が選ばれたのが、この私です。
そしてドラえもん様は、私に、手紙を託されました。そして、こう言いました。
『この手紙のそれぞれが、のび太くんが一番必要だと判断された時に、届けてほしい』と……」
「じゃ、じゃあ……これまで手紙を届けていたのは……」
「はい。私です。手紙は私に備え付けられた四次元バッグに収納され、色褪せることなく保管され続けていました」
「………」
「……そしてこれが、ドラえもん様からの最後の手紙です……」
そしてロボットは、僕に一通の手紙を差し出してきた。
587: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)23:48:30 ID:H3kqmpeHo
―――――――――――――――――
のび太くんへ
この手紙を読んでいるということは、執事ロボットから全部聞いたと思う。
ごめんね、のび太くん。黙って帰ってしまって。
本当は、僕もずっと一緒にいたかったんだけど、だめなんだ。
大した道具を残せなくてごめんね。
ジャイアンに虐められても、仕返しできなくてごめん。
スネ夫にバカにされても、見返すことができなくてごめん。
しずかちゃんに嫌われても、機嫌を戻させることもできなくてごめん。
それでもキミなら、きっと、色んなことを乗り越えてこれたと信じてるよ。
だって僕は、誰よりもキミのことを知っているから。
大切な、友達だから。
キミといた時間は、僕にとって、すごく幸せで、すごく大切な時間だったよ。
僕は、キミと出会えて、本当に良かった。キミと友達になれて、本当に良かったよ。
この気持ちは、キミとの思い出は、未来に帰っても忘れないよ。
ずーっと、僕の宝物だ。
最後になるけど、のび太くん、どうか、元気でね。どうか、幸せにね。
僕は、未来から、ずっとキミを応援してるからね。
それを、忘れないでね。
――――――――――――――――――――――――――
のび太くんへ
この手紙を読んでいるということは、執事ロボットから全部聞いたと思う。
ごめんね、のび太くん。黙って帰ってしまって。
本当は、僕もずっと一緒にいたかったんだけど、だめなんだ。
大した道具を残せなくてごめんね。
ジャイアンに虐められても、仕返しできなくてごめん。
スネ夫にバカにされても、見返すことができなくてごめん。
しずかちゃんに嫌われても、機嫌を戻させることもできなくてごめん。
それでもキミなら、きっと、色んなことを乗り越えてこれたと信じてるよ。
だって僕は、誰よりもキミのことを知っているから。
大切な、友達だから。
キミといた時間は、僕にとって、すごく幸せで、すごく大切な時間だったよ。
僕は、キミと出会えて、本当に良かった。キミと友達になれて、本当に良かったよ。
この気持ちは、キミとの思い出は、未来に帰っても忘れないよ。
ずーっと、僕の宝物だ。
最後になるけど、のび太くん、どうか、元気でね。どうか、幸せにね。
僕は、未来から、ずっとキミを応援してるからね。
それを、忘れないでね。
――――――――――――――――――――――――――
588: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/13(水)23:49:36 ID:H3kqmpeHo
「――ど、ドラえもん……!!」
ドラえもんの手紙を読み終えた僕は、その場で蹲った。彼の涙で滲んだ手紙を握り締めて、僕もまた涙が止まらなくなった。
「……そんなことない……そんなことないよ……!!
キミが残したものは、これまでのどの道具よりも素晴らしいものだった!!……僕を……助けてくれた……!!
キミの手紙があったから……僕は……頑張ることが出来たんだよ……!!」
ドラえもんの記憶が、頭の中に甦る。
一緒に笑ったこと、泣いたこと、びっくりしたこと、怖がったこと、遊びに行ったこと、ご飯を食べたこと、ジャイアンの歌を聞いたこと、ケンカしたこと……
その全てが僕を包み、その全てが、止めどなく涙を流させる。
とても暖かい涙……とても寂しい涙……そして、止めどない感謝の涙……それが全て入り混じり、僕は泣き続けた。
「……ドラえもん……ありがとう……ドラえもん……!!」
遥か遠くにいる彼に向けて、必死に声を出す。震えながらも、うまく出なくても、必死に言い続けた。
彼への感謝を。そして、別れを。
ロボットが見守る中、黄昏が空を染める中、僕はドラえもんに、最後の別れをした。
ドラえもんの手紙を読み終えた僕は、その場で蹲った。彼の涙で滲んだ手紙を握り締めて、僕もまた涙が止まらなくなった。
「……そんなことない……そんなことないよ……!!
キミが残したものは、これまでのどの道具よりも素晴らしいものだった!!……僕を……助けてくれた……!!
キミの手紙があったから……僕は……頑張ることが出来たんだよ……!!」
ドラえもんの記憶が、頭の中に甦る。
一緒に笑ったこと、泣いたこと、びっくりしたこと、怖がったこと、遊びに行ったこと、ご飯を食べたこと、ジャイアンの歌を聞いたこと、ケンカしたこと……
その全てが僕を包み、その全てが、止めどなく涙を流させる。
とても暖かい涙……とても寂しい涙……そして、止めどない感謝の涙……それが全て入り混じり、僕は泣き続けた。
「……ドラえもん……ありがとう……ドラえもん……!!」
遥か遠くにいる彼に向けて、必死に声を出す。震えながらも、うまく出なくても、必死に言い続けた。
彼への感謝を。そして、別れを。
ロボットが見守る中、黄昏が空を染める中、僕はドラえもんに、最後の別れをした。
594: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/14(木)00:03:44 ID:5ATncYawb
「……ありがとう。全部を話してくれて……」
ひとしきり泣いた後、僕はロボットに感謝を告げた。
「……いいえ。私は、主人の依頼を果たしただけです。――これでようやく、私も役目を終えれます……」
そう言うと、ロボットは足元から光に変わり始めた。
「……キミも、消えちゃうのかい?」
「はい。役目を終えた道具は、そのまま未来へ転送されます。……私も、あるべきところへ帰る時が来ました」
光は徐々に体を包み始める。ぼろぼろの彼の体は、足元から消え始めた。
「……最後にさ、キミの主人に伝言を頼んでいいかい?」
「……はい。主人のためなら……」
「ありがとう。……ドラえもんに、伝えておいてよ。
――“僕も、キミのことをずっと忘れない。キミはずっと、僕の大切な友達だ”って……」
「……かしこまりました。では……」
最後に深々とお辞儀をして、ロボットは光と共に消えた。
彼の光は空へと昇り、すっかり日が落ちて暗くなった空に、一つの橋をかける。
――僕とドラえもんを繋ぐ、最後の橋を……
僕は、その光が完全に消えるまで、見送った。
光が消えた空には、星が輝く。
その一つ一つが揺れるように光を放ち、まるで、僕に別れを言っているようだった。
そして僕は、最後に告げる。
「……ばいばい。ドラえもん……」
ひとしきり泣いた後、僕はロボットに感謝を告げた。
「……いいえ。私は、主人の依頼を果たしただけです。――これでようやく、私も役目を終えれます……」
そう言うと、ロボットは足元から光に変わり始めた。
「……キミも、消えちゃうのかい?」
「はい。役目を終えた道具は、そのまま未来へ転送されます。……私も、あるべきところへ帰る時が来ました」
光は徐々に体を包み始める。ぼろぼろの彼の体は、足元から消え始めた。
「……最後にさ、キミの主人に伝言を頼んでいいかい?」
「……はい。主人のためなら……」
「ありがとう。……ドラえもんに、伝えておいてよ。
――“僕も、キミのことをずっと忘れない。キミはずっと、僕の大切な友達だ”って……」
「……かしこまりました。では……」
最後に深々とお辞儀をして、ロボットは光と共に消えた。
彼の光は空へと昇り、すっかり日が落ちて暗くなった空に、一つの橋をかける。
――僕とドラえもんを繋ぐ、最後の橋を……
僕は、その光が完全に消えるまで、見送った。
光が消えた空には、星が輝く。
その一つ一つが揺れるように光を放ち、まるで、僕に別れを言っているようだった。
そして僕は、最後に告げる。
「……ばいばい。ドラえもん……」
601: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/14(木)00:17:01 ID:5ATncYawb
それから僕は、家に帰った。
家の前に付くと、入り口に誰かがいることに気が付いた。
「あれは……」
その人は僕に気が付くなり、小走りで駆け寄って来た。
「……のび太くん、遅かったね」
「咲子さん……」
咲子さんは、笑顔で僕を出迎えた。
その手には、お弁当があった。
「……それは?」
「え?ああ、これね。これはのび太くんの分。結局家でご飯作っちゃって、残り物で悪いけどおすそ分け」
溢れるような笑顔を見せる彼女。その姿が、とても愛しく思えた。
そして気が付けば、僕は彼女の体を抱き締めていた。
「――ッ!?ちょ、ちょっとのび太くん――!?」
「……ありがとう咲子さん……僕は、キミとずっと一緒にいたい……」
「え?え?」
「少しだけ、このままでいさせてほしい。お願い……」
「……う、うん……」
ドラえもん……僕は、ダメな奴だよ。仕事も怒られてばっかりだし、最後の最後まで優柔不断だったし……
でも、この人は、咲子さんは守っていきたいんだ。こんな僕でも、そのくらいはしたいんだよ。
僕なら出来るよね、ドラえもん……
満点の星の下に、僕らは立っていた。
外の空気は冷たい。だけど、僕らの体は暖かかった。
とても、暖かかった―――
家の前に付くと、入り口に誰かがいることに気が付いた。
「あれは……」
その人は僕に気が付くなり、小走りで駆け寄って来た。
「……のび太くん、遅かったね」
「咲子さん……」
咲子さんは、笑顔で僕を出迎えた。
その手には、お弁当があった。
「……それは?」
「え?ああ、これね。これはのび太くんの分。結局家でご飯作っちゃって、残り物で悪いけどおすそ分け」
溢れるような笑顔を見せる彼女。その姿が、とても愛しく思えた。
そして気が付けば、僕は彼女の体を抱き締めていた。
「――ッ!?ちょ、ちょっとのび太くん――!?」
「……ありがとう咲子さん……僕は、キミとずっと一緒にいたい……」
「え?え?」
「少しだけ、このままでいさせてほしい。お願い……」
「……う、うん……」
ドラえもん……僕は、ダメな奴だよ。仕事も怒られてばっかりだし、最後の最後まで優柔不断だったし……
でも、この人は、咲子さんは守っていきたいんだ。こんな僕でも、そのくらいはしたいんだよ。
僕なら出来るよね、ドラえもん……
満点の星の下に、僕らは立っていた。
外の空気は冷たい。だけど、僕らの体は暖かかった。
とても、暖かかった―――
606: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/14(木)00:26:52 ID:5ATncYawb
~数年後~
「―――のび太!!咲子の準備が終わったぞ!!」
けたたましい叫び声を上げながら、舞さんは部屋に入って来た。
「ちょ、ちょっとちょっと!ノックぐらいしてくださいよ!!」
「細かいことを気にしない!!……へえ……似合ってるじゃないか……」
舞さんは、僕のタキシード姿をじろじろと眺めながらそう言った。
「……馬子にも衣装とは、よく言ったものだ」
「ありがとうございます。……それより舞さん、その手に持っているビールは何ですか?」
「あ?ああ、これか……飲む前の、景気付けの一杯ってところだ」
「いやもう飲んでるじゃないですか……。
ホント、酒の飲み過ぎはよくないですよ?……そんなんだから、また彼氏に逃げられ―――」
――ボクッ
言い終わる前に、顔面に舞さんの拳が突き刺さる。
「……殴るぞのび太」
「……も、もう殴ってます、舞さん……」
「……まったく……式の前に、顔面に青あざでも出来たらどうするんだ……」
「いやいや、殴ったのは舞さんであって……」
「――ほらほら!無駄話をしてる暇があるなら、とっとと行くぞ!」
舞さんは話を終える前にとっとと部屋を出ていった。
……これは、逃亡したか……
何はともあれ、僕は咲子さんの元へ向かう。
今日は、僕らの結婚式だ―――
「―――のび太!!咲子の準備が終わったぞ!!」
けたたましい叫び声を上げながら、舞さんは部屋に入って来た。
「ちょ、ちょっとちょっと!ノックぐらいしてくださいよ!!」
「細かいことを気にしない!!……へえ……似合ってるじゃないか……」
舞さんは、僕のタキシード姿をじろじろと眺めながらそう言った。
「……馬子にも衣装とは、よく言ったものだ」
「ありがとうございます。……それより舞さん、その手に持っているビールは何ですか?」
「あ?ああ、これか……飲む前の、景気付けの一杯ってところだ」
「いやもう飲んでるじゃないですか……。
ホント、酒の飲み過ぎはよくないですよ?……そんなんだから、また彼氏に逃げられ―――」
――ボクッ
言い終わる前に、顔面に舞さんの拳が突き刺さる。
「……殴るぞのび太」
「……も、もう殴ってます、舞さん……」
「……まったく……式の前に、顔面に青あざでも出来たらどうするんだ……」
「いやいや、殴ったのは舞さんであって……」
「――ほらほら!無駄話をしてる暇があるなら、とっとと行くぞ!」
舞さんは話を終える前にとっとと部屋を出ていった。
……これは、逃亡したか……
何はともあれ、僕は咲子さんの元へ向かう。
今日は、僕らの結婚式だ―――
610: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/14(木)00:36:01 ID:5ATncYawb
「……咲子さん?」
ドアを開くと、目の前にはウエディングドレスを着た彼女がいた。
「あ、のび太くん……」
ドレス姿の彼女は、とても綺麗だった。なんだか、感無量。
「……どうかなのび太くん。変じゃない?」
彼女は少し照れ臭そうにそう訊ねる。
「ううん!全然変じゃないよ!……本当に、綺麗だよ……」
「あ、ありがとう……」
「……」
「……」
僕達は向かい合い、互いに顔を隠すように表情を伏せる。なんだか、すごく恥ずかしい……
「――ああ、お二人さん?そろそろ行かないと始まるぞ?」
そんな中、舞さんの呆れるような声が響いた。
「え!?あ、うん!……のび太くん……」
「うん。行こうか……」
僕らは手を繋ぎ、部屋を出た。
そして、みんなが待つ式場へと向かって行った。
ドアを開くと、目の前にはウエディングドレスを着た彼女がいた。
「あ、のび太くん……」
ドレス姿の彼女は、とても綺麗だった。なんだか、感無量。
「……どうかなのび太くん。変じゃない?」
彼女は少し照れ臭そうにそう訊ねる。
「ううん!全然変じゃないよ!……本当に、綺麗だよ……」
「あ、ありがとう……」
「……」
「……」
僕達は向かい合い、互いに顔を隠すように表情を伏せる。なんだか、すごく恥ずかしい……
「――ああ、お二人さん?そろそろ行かないと始まるぞ?」
そんな中、舞さんの呆れるような声が響いた。
「え!?あ、うん!……のび太くん……」
「うん。行こうか……」
僕らは手を繋ぎ、部屋を出た。
そして、みんなが待つ式場へと向かって行った。
615: ◆9XBVsEfN6xFl 平成26年 08/14(木)00:45:38 ID:5ATncYawb
「―――おめでとう!!」
「幸せになれよ!!」
晴れ渡る空の下、式を終えた僕らを、みんなが出迎えた。
紙吹雪が舞い、祝福の声と拍手が僕らを包む。
僕らは照れながらも、頭を下げて今日という日を迎えれたことを、みんなに感謝した。
―――ふと、僕は、式場の入り口に立つ何かを見つけた。
みんなが僕らに注目する中、入り口で、満面の笑みを浮かべて僕らを見守る、青いその姿―――
(あ――――)
すると祝福していた人が、一瞬彼の姿を隠した。そして再び入り口が見えた時、そこには、誰もいなかった。
(……あれは……)
「……?のび太くん、どうかしたの?」
咲子さんは、僕の顔を覗き込む。彼女の顔を見て、僕はもう一度笑みを浮かべた。
「………いや、なんでもないよ。なんでも……」
「……?」
不思議そうな顔をする彼女だったが、僕が笑うと、すぐに笑みを取り戻した。
(……見に、来てくれたんだね……。僕、幸せになるよ―――)
空を見上げながら、彼に言葉を送る。
澄み切った空は、まるで彼のように、どこまでも青かった―――――
終わり
「幸せになれよ!!」
晴れ渡る空の下、式を終えた僕らを、みんなが出迎えた。
紙吹雪が舞い、祝福の声と拍手が僕らを包む。
僕らは照れながらも、頭を下げて今日という日を迎えれたことを、みんなに感謝した。
―――ふと、僕は、式場の入り口に立つ何かを見つけた。
みんなが僕らに注目する中、入り口で、満面の笑みを浮かべて僕らを見守る、青いその姿―――
(あ――――)
すると祝福していた人が、一瞬彼の姿を隠した。そして再び入り口が見えた時、そこには、誰もいなかった。
(……あれは……)
「……?のび太くん、どうかしたの?」
咲子さんは、僕の顔を覗き込む。彼女の顔を見て、僕はもう一度笑みを浮かべた。
「………いや、なんでもないよ。なんでも……」
「……?」
不思議そうな顔をする彼女だったが、僕が笑うと、すぐに笑みを取り戻した。
(……見に、来てくれたんだね……。僕、幸せになるよ―――)
空を見上げながら、彼に言葉を送る。
澄み切った空は、まるで彼のように、どこまでも青かった―――――
終わり
618: 名無しさん@おーぷん 平成26年 08/14(木)00:47:31 ID:XE3c6TK4u
激しく乙
619: 名無しさん@おーぷん 平成26年 08/14(木)00:47:59 ID:tcRzu4WwO
ジーンときたーーーー!
たまんねぇな!おい!
たまんねぇな!おい!
620: ◆tRZ1JSBHm. 平成26年 08/14(木)00:48:15 ID:xuXAX2dZe
乙
よかったぜ
よかったぜ