姉「七色の」妹「まにまに」
2019-12-10
1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 02:00:47 ID:T5h2Z.0Q
姉「虹の赤色を渡ると、そこは美男美女の国でした」
妹「みんな、眉毛が細いなぁ。それに二重だなんて、うらやましい」
姉「顔立ちもハッキリしてますね」
妹「それにほら、肌もすごくキレイだよ」
姉「本当ですね。男女ともに」
妹「むしろ妬ましく思えるよ」
姉「周りは八頭身だらけです」
妹「私たち、なんだか浮いちゃってるねえ」
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2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 02:05:54 ID:T5h2Z.0Q
姉「私も妹も背が低いですからね」
妹「背の問題なのかなあ」
姉「どうしました?」
妹「なにが?」
姉「目が輝いていますよ」
妹「うん、まあ……」
姉「年頃ですからね、美容に興味を持つのは当然です」
妹「お姉ちゃんは?」
姉「私はいいです」
妹「一緒に見て回ろうよ」
3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 02:13:31 ID:T5h2Z.0Q
姉「なにが見たいのですか」
妹「ほら、美人麗人だらけの国なんだよ?」
姉「はい」
妹「きっと美容に関してはどこよりも発達してるに違いないよ」
姉「そうなのでしょうか……」
妹「化粧用品とか、ファッション雑誌とか、いっぱいありそうだもん」
姉「持って帰るつもりですか……」
妹「あ、でも私たちお金ないねえ」
姉「そうですね」
4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 02:18:01 ID:T5h2Z.0Q
妹「じゃあ本屋にでも入って立ち読みしよう」
姉「まあ、別に構いませんが……」
妹「ダイエットの情報とかもあるかもねえ」
姉「そうでしょうか」
妹「みんなボンキュッボンなんだから、きっとあるよ」
姉「この姉にはよくわかりません」
妹「お姉ちゃんもこれを機におしゃれしようね」
姉「いいです」
5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 02:22:28 ID:T5h2Z.0Q
妹「連れないなあ。自分磨きだよ?」
姉「その言い方は違うと思います」
妹「どうして?」
姉「世の多くの女性は、磨いて輝く原石ではないですよ」
妹「そうかなあ」
姉「自分磨き、というよりせいぜい垢擦りといったところでしょうか」
妹「それは言い過ぎだよ」
姉「化粧はメイクではありません。メッキです」
6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 02:29:31 ID:T5h2Z.0Q
妹「よくこの国でそんなことが言えるね……」
姉「私は落ちない汚れを落とそうとするような、ムダな努力はしないのです」
妹「わかったわかった」
姉「隠そうとはしますけどね」
妹「結局するんだねえ」
姉「そもそも私は化粧のノリが悪くて……」
妹「はいはい。早く行こうね、お姉ちゃん」
姉「ちょっと、聞いてください。あっ、待ってよ妹ちゃん……」
7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 07:58:55 ID:T5h2Z.0Q
―ショッピングモール―
妹「うわあ、すごく大きいね」
姉「なかなかですね」
妹「人もいっぱいだあ」
姉「やはりここにも、オシャレで端正な顔立ちをした人しかいませんね」
妹「目の保養になるねえ」
姉「そうでしょうか……」
妹「かわいいとかかっこいいとかを通りこして、美しさを感じるもん」
姉「同感です。が、なにか違和感を感じますね」
妹「違和感?」
8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 08:19:53 ID:T5h2Z.0Q
姉「はい」
妹「ううん、そうかなあ」
姉「……体制化されているんでしょうか」
妹「なぁに、それ」
姉「いいえ、なんでもないです」
妹「じゃあ、さっさと本屋に行くよ」
姉「場所はわかっているんですか?」
妹「さっき案内板を見たからね」
姉「では、エスコートしてください」
妹「はいはい」
9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 08:23:38 ID:T5h2Z.0Q
姉「こういうの、デートみたいですね」
妹「そうだねえ」
姉「あっ、見てください。映画館までありますよ」
妹「へえ、ほんとうだ」
姉「いったいどんな映画があるんでしょうか」
妹「見てみる?」
姉「……お金が」
妹「……ああ、うん」
姉「でも大丈夫ですよ」
妹「なにが?」
姉「赤ちゃん貯金はちゃんとしてますから」
10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 08:29:48 ID:T5h2Z.0Q
妹「そうなんだ。気が早いねえ」
姉「なにをおっしゃるやら」
妹「お相手はどなた?」
姉「あらまあ、いけずですね」
妹「え?」
姉「わかっているくせに」
妹「……ああ、ね」
姉「手、繋ぎましょうか」
妹「ええっ、恥ずかしいよ」
姉「ふふふ」
妹「お姉ちゃんは私のこと大好きなんだねえ」
11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 08:32:58 ID:T5h2Z.0Q
姉「はい、大好きですよ」
妹「ありがとう」
姉「そんな、礼を言われるようなことでは」
妹「私もお姉ちゃんのこと好きだよ」
姉「あらまあ、両想いですね」
妹「そうだねえ。でも、お姉ちゃん」
姉「はい」
妹「女同士だと子どもは生まれないんじゃないかな」
姉「……いつの間にそんな無駄知識を」
妹「いや、必要な知識でしょ」
12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 08:43:34 ID:T5h2Z.0Q
―本屋―
姉「では、私は漫画コーナーに行ってきます」
妹「えー」
姉「む、なにか文句がありそうですね」
妹「一緒に来てよ」
姉「……もちろんです」
妹「よろしい」
姉「しかし、雑誌とは1人で読むものでしょう」
妹「そういうわけでもないと思うけど」
姉「面白いものが見つかったら教えてくださいね」
妹「うわあ、このモデルさんすごくかっこいいね」
13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 08:50:58 ID:T5h2Z.0Q
姉「そういうのはいらないです」
妹「読者モデルなんだって。すごいね」
姉「読者モデルってなんですか」
妹「へえ、この国の最近の流行りはマキシワンピかあ」
姉「マキシ? ワンピ?」
妹「あっ、ほら上手なアイラインの引き方が載ってるよ」
姉「愛裸淫……!」
妹「……聞いてる、お姉ちゃん?」
姉「もっ、もちろんです」
14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 08:56:20 ID:T5h2Z.0Q
妹「いろいろな特集が組まれてるね」
姉「あまり有益ではありませんね」
妹「……確かに、目新しい情報は無いなあ」
姉「この国の人たちはもともとがああなのでは?」
妹「そうだったらすごいけど……。あっ、お姉ちゃん、これ」
姉「どれどれ……」
妹「な、なんだか変わった特集だね」
姉「……整形特集、ですか」
15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 08:59:58 ID:T5h2Z.0Q
妹「こんなのまとめられても、困るよねえ」
姉「ふむふむ……。今流行りの鼻は鷲鼻らしいですよ」
妹「な、なにそれ……」
姉「鷲鼻とパッチリ二重のコーディネートが、この夏のトレンドらしいです」
妹「ちょっと、鼻にトレンドなんてあるわけ……」
姉「雑誌に書かれてます」
妹「……わけがわかんない」
16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 09:11:55 ID:T5h2Z.0Q
姉「他にも、目指せE力ップ! やら、お尻の肉を引き上げます! やら」
妹「あーあー、聞こえない聞こえない」
姉「なんと、贅肉も落としてくれるそうですよ」
妹「きっと有名なスポーツトレーナーが指導してくれるんだろうね」
姉「手術で」
妹「あーあー」
姉「……しかしこれは、まあ」
妹「なんというか、ねえ」
姉「両親の営みを覗いてしまったときの気分ですね」
妹「例え最悪だね。的確だけど」
17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 09:16:52 ID:T5h2Z.0Q
姉「この国ではこれが当然なんでしょうか」
妹「雑誌に載ってるくらいだから、そうかも」
姉「美容整形をここまでプッシュするとは」
妹「悪いことではないんだろうけど……」
姉「味気なく感じてしまいますね」
妹「……うん」
姉「まあ、現実なんてこんなものですよ」
妹「軽いね、お姉ちゃん……」
姉「それよりもお腹がすきました。お弁当を食べましょう」
19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 17:04:57 ID:T5h2Z.0Q
妹「お弁当なんて持ってきてるの?」
姉「早起きして作ってみました」
妹「男子に言ってあげなよ、そういうことは」
姉「素直じゃないいもちゃんもかわいいです」
妹「いもちゃんって言うな」
姉「ごめんなさい」
妹「どこで食べる?」
姉「フードコートに行きましょう」
妹「それなら、確か3階だったね」
姉「では階段を使いましょうか」
妹「うん」
20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 17:16:02 ID:T5h2Z.0Q
―フードコートwith姉弁―
姉「それではいただきましょう」
妹「……」
姉「どうしました?」
妹「思ったより豪華でびっくりした」
姉「それはまあ、早起きしましたからね」
妹「お姉ちゃんって料理得意だったの?」
姉「姉弁のメニューなら何でも作れますよ」
妹「その、姉弁って何なのかなあ」
姉「その真髄は女*盛りですね」
妹「食欲無くすからやめて。本気で」
姉「ごめんなさい」
21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 17:26:04 ID:T5h2Z.0Q
妹「……こう、じっくり見ると」
姉「はい」
妹「私の好きなものしかはいってないね」
姉「姉弁ですから」
妹「もはや妹弁だよ、それ」
姉「イケますね」
妹「そうかなあ」
姉「ささ、早く召し上がれ」
妹「はあい」
姉「私も食べます」
妹「おいしいね」
姉「そうでしょうとも」
妹「うまうま」
姉「うまうま」
22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 17:29:54 ID:T5h2Z.0Q
………
……
…
姉「ふう。ごちそうさまでした」
妹「おいしかったよ」
姉「えへへ」
妹「ありがとうお姉ちゃん」
姉「また作りますね」
妹「うん」
姉「……どうしました? なんだかソワソワしてますね」
妹「うーん、そのう」
姉「トイレですか。ついて行きますよ」
妹「そうじゃなくて、なんだか変な感じがしない?」
23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 17:34:49 ID:T5h2Z.0Q
姉「変な感じと言うと?」
妹「……あそこのカップル」
姉「……あれは、うーん」
妹「おかしいよね」
姉「なんで2人とも携帯をいじっているのでしょうか」
妹「さっきからずっとなの」
姉「きっとケンカしてるんですよ。見てる方が気まずくなりますね」
妹「……私も、そう思ったんだけど」
姉「だけど?」
24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 17:40:58 ID:T5h2Z.0Q
妹「お姉ちゃん、よく周りを見回してみて」
姉「……」
妹「……」
姉「……これは」
妹「……ね?」
姉「あっちの家族連れも、そっちの学生たちも」
妹「OLもサラリーマンもおじいちゃんおばあちゃんも」
姉「……みんな、携帯をいじっていますね」
妹「おまけに、だれもしゃべってないね」
姉「さっきまであんなに賑やかだったはずなのに……」
25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 17:45:52 ID:T5h2Z.0Q
妹「それなんだけど、ほら」
姉「……なるほど。お店の従業員たちのかけ声だったのですか」
妹「不思議な光景だねえ」
姉「……私は嫌悪感を覚えますね」
妹「この国の風習なんじゃないかなあ」
姉「食事の時は喋ってはいけないと」
妹「うん」
姉「だったら私たち、かなり空気読めてないですよ」
妹「……そうだね」
姉「……逃げましょう」
26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 17:53:34 ID:T5h2Z.0Q
妹「うん、もう行こう」
男「……ちょっとよろしいですかな」
姉「……なにか?」
男「相席をお願いしたいんですが」
妹「……」
姉「構いませんよ」
男「ありがとう。……お嬢さん方、異国の方かね?」
妹「は、はい、一応」
姉「観光に来ているのです」
男「なるほど。道理で、違うと思いました」
妹「違う……?」
姉「何のことでしょうか」
27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 18:00:59 ID:T5h2Z.0Q
男「背も低いですし、髪型もださい。服装も時代遅れ」
妹「……バカにしてます?」
姉「だいじょうぶ、妹はかわいいです」
男「はっは、失礼。何より、携帯を持ってはいないようですからね」
妹(……この人、見た目はお姉ちゃんと同じくらいの若さなのに)
姉(声は完全に、初老の男性のそれですね)
男「ここがどんな国かはご存知ですかな」
姉「さっき雑誌で見ました。美容の最先端の国だと」
男「その通りです」
28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 18:06:41 ID:T5h2Z.0Q
姉「特に美容整形技術に明るいようですね」
男「明るいどころではありません。もはや極めていると言っていい」
妹「それと携帯が、なにか関係あるんですか?」
男「……私、何歳に見えますかな」
妹(……正直、未成年にしか)
姉「二十代後半でしょうか」
男「残念ながら、ハズレです」
妹「おいくつなんですか?」
男「今年で70歳になります」
29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 18:11:15 ID:T5h2Z.0Q
姉「そ、それはまあ、おめでたい……?」
妹「お、お若いですね。見た目は……」
男「はっは。やはり驚かれているようですね」
姉「……それも、整形なんですか?」
男「ええ。30年前からずっとこの見た目です」
妹「……」
男「最近では、声帯をいじったり変声機を埋め込んだりして、理想の声に変えることも流行っているようですが」
姉「なるほど。なんとなくわかりました」
妹「えっ?」
30: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 18:16:56 ID:T5h2Z.0Q
姉「あなたは30年前からその見た目と言いましたが」
男「ええ」
姉「周期的にいじっているのでしょう? 若さを保つために」
男「そうです」
姉「だとしたら、携帯は必需品ですね」
妹「ど、どういうこと?」
姉「人の印象というものは、眼鏡一つでだいぶ違って見えるものです」
妹「うん」
姉「顔を変え、声を変え、スタイルを変え……。そんなことが頻繁に起こっているとしたら」
妹「……誰が誰だか、わからなくなっちゃうね」
31: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 18:21:37 ID:T5h2Z.0Q
姉「この国でいう携帯とは、個体識別番号のような物なのでしょう」
男「実に聡明ですね。素晴らしい」
姉「普段から電子メールのような手段を使って、コミュニケーションをとっているのですね」
妹「でも、お店の人たちは……?」
姉「よく聞いてみてください」
妹「……」
姉「ね?」
妹「完全に、マニュアル通りっていう感じだね」
姉「店員と客、もしくは店員同士なら、個体の識別は必要ないですからね」
32: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 18:25:50 ID:T5h2Z.0Q
男「この国にはね、お嬢さん方」
姉「はい」
男「雄大な自然も、歴史ある建物も、おいしい食べ物もありません」
妹「……」
男「でもね、人の美しさに関しては、世界で一番だと胸をはって言えますよ」
姉「……私たちには、理解できません。ねえ、妹」
妹「あっ、うん。……そうだね」
男「それは残念なことですが、価値観の違いもまた尊重すべきことでしょう」
33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 18:30:23 ID:T5h2Z.0Q
姉「……そろそろ私たち、失礼させていただきますね」
男「そうですか。そう言えば、ずいぶん人も少なくなったようですな」
妹「ほんとうだ……。さっきまであんなにいっぱいいたのに」
男「四時から、南側にある美容院でタイムセールが始まるんです」
妹「美容院で……」
姉「……タイムセール、ですか」
男「美容院と病院。この二つの単語はよく似ていますよね」
姉「ええ、そうですね」
34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 18:34:26 ID:T5h2Z.0Q
男「美を求めることは、人間が持つ一種の病なのかもしれません」
妹「……」
男「お元気で。またどこかでお会いしましょう」
姉「はい」
妹「また、どこかで」
男「その時はまた、今と違う私かもしれませんがね」
姉「笑えない冗談ですね」
男「はっは、これは失礼。……では」
妹「さようなら」
姉「さようなら」
35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 18:42:13 ID:T5h2Z.0Q
―虹の赤―
姉「いもっちゃん」
妹「……いもっちゃんって言うな」
姉「落ちこんでいますね」
妹「……だって、あんなの、ダメだよ」
姉「でも、妹もかわいくなりたいんでしょう?」
妹「それはそうだけど、そうじゃないの……」
姉「あの人も言っていました。価値観の違いは尊重すべきだと」
妹「うん」
姉「私たちには異常なことですが、彼らにはそうじゃない」
妹「……」
姉「それだけの話です」
36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 18:47:25 ID:T5h2Z.0Q
妹「人は、美しさを求めるべきじゃないのかなあ」
姉「難しいですね」
妹「どうして美しさを求めるんだろう」
姉「おそらくは、価値があるからでしょう」
妹「それって誰が決めたの」
姉「わかりません。でも、誰かが決めたのでしょうね」
妹「いやだなあ……」
姉「あるいは、私たちが自分で決めつけているのかもしれませんが」
妹「……」
37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 18:49:40 ID:T5h2Z.0Q
姉「知っていますか」
妹「なぁに?」
姉「虹を見つけたとき、太陽は自分の背後にあるのですよ」
妹「へえ、そうなんだ」
姉「美しいもの、珍しいものは人の目を奪います」
妹「うん、そうだねえ」
姉「しかしそんな時こそ、本当に大事なものは見えなくなってしまうのです」
妹「それって、なんだか変だね」
38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 18:54:26 ID:T5h2Z.0Q
姉「キレイなものを見ているのに、なぜか醜くなってしまうんです」
妹「だって嫉妬とか、しちゃうもん」
姉「輝いているからといって、それが宝石とは限りません」
妹「うん」
姉「本質を見極めて、あるがままを愛せるようになりたいものですね」
妹「……難しいけど、がんばるよ」
姉「あっ、私のことももっと愛してくださいね」
妹「考えとく」
姉「いやん」
【美容の国編】
―おわり―
40: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 20:19:09 ID:T5h2Z.0Q
姉「虹の黄色を渡ると、そこには勝つか負けるかしかありませんでした」
――――
妹「ちょっと、これどういうことなの」
姉「仕方ないですよ」
妹「仕方なくないよ。私すごく楽しみにしてたのに」
姉「野球の試合なんていつでも見られるでしょう?」
妹「何にもわかってないね、お姉ちゃん」
姉「ほう、この姉に向かってそんなことを言いますか」
41: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 20:25:23 ID:T5h2Z.0Q
妹「お姉ちゃん、よく聞いて」
姉「いいですよ」
妹「私はね、今日のこの試合を楽しみにしていたの」
姉「それは知っています」
妹「ほら見て」
姉「メガホンにユニフォームにバルーンに縫いぐるみ……」
妹「これはね、私が今日の試合のために祈りを捧げながら買ったんだよ?」
姉「はあ」
妹「絶対に勝ちますように」
姉「必死ですね」
妹「当たり前じゃん。この国で最強のチームを決める試合だよ」
42: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 20:33:26 ID:T5h2Z.0Q
姉「あのですね、いもっち」
妹「いもっちって言うな」
姉「この国に来てから、早3日です」
妹「ふうん。もうそんなに経つんだね」
姉「まだ3日しか経っていないのですよ」
妹「まだ、って……」
姉「なのに、なぜお気に入りのチームができるのですか」
妹「……だって、地元のチームだし」
姉「ここは地元じゃないです」
妹「住めば都って言うよね」
姉「住んでないです。寝泊まりしてるだけです」
43: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 20:37:33 ID:T5h2Z.0Q
妹「もうっ、何をそんなに怒ってるの?」
姉「あなたがムダな買い物をしたせいで帰りの電車賃がなくなりました」
妹「……」
姉「……」
妹「……」
姉「なにか言いなさい」
妹「何を言ってもダメな気がする」
姉「よくおわかりです」
妹「……どうしよう」
姉「まったく、にわか野球ファンはこれだからイヤなんです」
妹「あっ、ひどい」
姉「ひどくありません」
妹「ひどいよ」
44: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 20:43:52 ID:T5h2Z.0Q
姉「これから歩いて帰らなければならないんですよ?」
妹「……うん」
姉「その事実が私を鬼にします」
妹「うわあ、こわい」
姉「これはお尻ペンペンの刑ですね。さあこちらへ」
妹「いやだよ。お尻サワサワの間違いでしょ」
姉「今日はモミモミもしちゃいます」
妹「うう……」
姉「さあ。さあ」
妹「……なによ、お姉ちゃんだって」
姉「私が、なにか?」
妹「お、お姉ちゃんだって……」
姉「完璧な私が、なにか?」
45: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 20:49:34 ID:T5h2Z.0Q
妹「ええと、お姉ちゃん、だって……」
姉「この姉が、なにか?」
妹「……へ、へ、ヘン夕イじゃん」
姉「……」
妹「……そうだね、お姉ちゃんはヘン夕イだった」
姉「……」
妹「やあい、ヘン夕イお姉ちゃん」
姉「……」
妹「……お、怒った?」
姉「返す言葉もなくて困ってました」
妹「そ、そうだよね。事実だもん」
姉「言葉がないので、行動で表すことにしました」
妹「ちょ、ちょっと」
姉「この姉は、妹のためなら神にも悪魔にもなります」
46: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 20:57:35 ID:T5h2Z.0Q
妹「じゃあせめてヘン夕イにはならないで」
姉「わかりました。ではいきますよ」
妹「や、やだあ……」
婦警「こら、君たち!」
姉「……婦警さん?」
妹「た、助かったあ」
婦警「こんなところで何やってるの!」
姉「妹と遊んでました」
婦警「ウソおっしゃい!」
姉「妹で遊んでました」
婦警「ふざけてる? 君たちねえ、ケンカしてたでしょ」
姉「してた?」
妹「ううん、してない」
47: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 21:02:40 ID:T5h2Z.0Q
婦警「あ、あら?」
姉「私たち、ケンカなんてしてないです」
妹「仲良し姉妹ですから」
婦警「なぁんだ、そうだったの」
姉「なので、その銃をしまってください」
婦警「あらあら、ごめんなさいね私ったら」
妹「あ、あの」
婦警「なにかしら?」
妹「私たちって、そんなに凶悪に見えますか?」
48: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 21:08:09 ID:T5h2Z.0Q
婦警「いいえ、見えないわよ。むしろとっても良い子そうに見えるわ」
妹「そう、ですか……」
姉「だったらなぜ、いきなり銃を構えたんですか?」
婦警「おかしなことを聞くわねえ」
妹「おかしなことって……」
婦警「ははあん。さては君たち、異国の旅行者ね?」
姉「はい。観光がてらこの国にやってきました」
妹「私たち、まだ来たばかりなので、あまりこの国のことは知らないんです」
49: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 21:12:49 ID:T5h2Z.0Q
婦警「そうだったのね」
姉「この国では、ケンカをしてはいけないんですか?」
婦警「ううん、いけないと言うか……」
妹「いけないと言うか?」
婦警「重刑よ」
姉「……たかがケンカで?」
妹「……ただのケンカで?」
婦警「現行犯ならその場で射殺可なの」
姉「……」
妹「お、お姉ちゃん、この国危ないよお……」
50: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 21:18:46 ID:T5h2Z.0Q
婦警「あははっ。いやー危なかったわねえ」
妹「あんたが笑うな」
姉「……もう少し、詳しく教えてくれませんか?」
婦警「うん、いいわよ」
姉「ケンカとは、具体的にどういうことなのですか?」
婦警「殴り合いから口喧嘩まで、いろいろね」
妹「そのいろいろが一番大事なんです」
婦警「要するにね、争いごとは禁止ってこと」
51: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 21:24:49 ID:T5h2Z.0Q
姉「争いごとが禁止……」
妹「それって、まさか……」
婦警「そういえば、なんで君たちはこんなところにいるの?」
妹「や、野球の試合を観に来たんです。そしたら、中止だって……」
婦警「あら、国内リーグのこと?」
妹「はい」
婦警「それならだいぶ前から中止になってたわよ」
妹「……知りませんでした」
姉「まさに私は骨折り損のくたびれもうけなわけですが」
52: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 21:28:49 ID:T5h2Z.0Q
妹「お姉ちゃんは黙ってて」
婦警「なに、ケンカ?」
妹「ち、ちがいますっ」
姉「婦警さん、すみませんが」
婦警「なにかしら」
姉「帰りの電車賃が無いので、送っていってください」
婦警「やあよ。なんで私が」
姉「あら、あらあら。無実の人に銃口を向けておいてその態度ですか?」
妹「お姉ちゃんがウザくなっちゃった……」
53: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 21:31:59 ID:T5h2Z.0Q
婦警「あはは、罪悪感に訴えかけようとしてるのね」
姉「いえ、ただの脅しですが」
妹「お姉ちゃん、聞こえるよっ」
婦警「言っときますけどね、私、もう何十人も撃ってるから」
妹「ちょっと、シャレになりませんよ」
婦警「シャレじゃないもの。その内のほとんどが君たちのような異国人だったわねえ」
姉「……」
54: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 21:36:12 ID:T5h2Z.0Q
婦警「まあ、安心しなさい。仕方ないから送っていってあげるわ」
妹「い、いいんですか?」
姉「どこかへ連れ去る気ではないでしょうね」
婦警「やっぱり警察は弱いものの味方でなくちゃね」
妹「よく言うよね……」
姉「私たち、もう少しで死んでたんですよね……」
妹「早く帰りたい……」
婦警「あはは。……とりあえず、ようこそ! 争いの無い、世界で一番平和な国へ!」
55: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 21:48:47 ID:T5h2Z.0Q
―公園―
姉「ひどい目にあいました」
妹「ほんとうだね」
姉「あなたのせいです」
妹「争い禁止」
姉「ぐっ……」
妹「とはいえ、これじゃあ言いたいことも言えないよねえ」
姉「思ったより窮屈ですね」
妹「あそこのベンチでちょっと休憩しよう」
姉「賛成です。……おや?」
妹「荷物が置いてあるね」
姉「誰のでしょうか」
妹「周りには誰もいないけど」
姉「いいです。端に寄せて、座りましょう」
56: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 21:53:59 ID:T5h2Z.0Q
妹「ふああ。眠たいや」
姉「この姉の太ももを貸しましょうか」
妹「なぜか怖いからいい」
姉「なにもしませんよ」
妹「それに、お姉ちゃんのは細ももでしょ」
姉「妹の頭に合わせているのです」
妹「太ももは、お肉ぷにぷにの方が好きだなあ」
姉「ちょっと焼き肉食べてきます」
妹「そんなにすぐ太れるわけないでしょ」
姉「ああ、この細い身体が恨めしい……」
57: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 21:56:50 ID:T5h2Z.0Q
妹「それ、嫌みに聞こえるよ」
姉「妹はどこもかしこもぷにぷにでうらやましいです」
妹「……」
姉「あっ、胸以外」
妹「お姉ちゃんっ」
姉「争い禁止」
妹「ぐっ……」
姉「この場合はどちらが悪いのでしょうかね」
妹「先にふっかけてきたお姉ちゃんだよ、きっと」
姉「喧嘩両成敗という言葉もあります」
妹「納得できない」
58: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 22:01:02 ID:T5h2Z.0Q
姉「明日になったら、ここを去りましょうね」
妹「大賛成」
姉「野球、残念でしたね」
妹「もういいよ、別に」
姉「お姉ちゃんと一緒なら……」
妹「思ってないから」
姉「残念です」
妹「でも、お姉ちゃんのことは好きだよ」
姉「妹……」
妹「お姉ちゃん……」
姉「ダメです。不意打ちすぎて心臓が……」
妹「えへへ。勝った」
59: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 22:05:46 ID:T5h2Z.0Q
姉「ですから争いは……」
女「あっ、あー!」
姉「はい?」
妹「だれ?」
女「お前ら、そこあたしが座ってたベンチだぞ!」
姉「……ああ、この荷物の持ち主ですか」
妹「なあんだ。良かったね、盗まれなくて」
女「いやーほんと安心したよ!」
姉「うっかりさんですね、もう」
女「ってちがうわ!」
妹「いたっ。叩かないでよ……」
姉「こらっ、誰の妹に手ぇ出したお前」
女「ひっ!?」
妹「お姉ちゃん私は大丈夫だから落ち着いて」
60: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 22:09:49 ID:T5h2Z.0Q
………
……
…
姉「なるほど、この荷物は場所取りのためだったと」
女「はい。……ぐすん」
妹「よしよし」
姉「ジュースを買いに行っていただけだったと」
女「はい。……ひっく」
妹「よおしよし」
姉「よくわかりました」
女「わかっていただけて嬉しい限りでございます……」
姉「それでは、荷物を持って早く去りなさい」
61: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 22:14:08 ID:T5h2Z.0Q
女「だからちょっと待て!」
姉「まだなにか?」
妹「立ち直ったみたいだねえ」
女「このベンチは先に私が座ってたんだ!」
姉「はあ」
女「去るのはお前らの方だろ」
姉「おやおや、私たちと争うつもりですか」
女「なっ、なんだよ」
姉「警察に通報しますよ?」
妹「お姉ちゃん、悪だよ……」
女「……ぷっ」
姉「かっちーん。もう怒りました」
62: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 22:17:48 ID:T5h2Z.0Q
女「ごっ、ごめんなさいごめんなさい! ……じゃなくてっ、お前らさては異国の人間だろ」
妹「やっぱりわかるものなんだね」
姉「そこはかとなくバカにされてる気がします」
女「争うごとは禁止、ってのは知ってるみたいだな」
姉「婦警さんが教えてくれました」
女「……でもなあ、合法な争いだってあるんだぜ?」
妹「……それは」
姉「いったい……?」
63: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 22:23:19 ID:T5h2Z.0Q
女「この世で最も公平な争い」
姉「それは争いなんですか……?」
女「男だろうと女だろうと、じじいでもガキンチョでもできる勝負だ!」
姉「な、なんと……」
女「どんなハンディも影響しない、純粋な戦い!」
姉「早く教えてくださいっ」
女「そ、の、名、も……」
妹「ジャンケンでしょ」
女「おいこらお前!」
姉「私の妹がなにか?」
女「すっ、すいません!」
64: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 22:29:40 ID:T5h2Z.0Q
姉「ふむ、ジャンケンですか……」
妹「確かに、簡単だし公平だね」
姉「人によってある程度パターンがあるかもしれませんが」
女「それでも、他の勝負よりはマシだろ」
妹「勝ち負けがハッキリわかるっていうのもいいよね」
姉「ふむふむ。それで、この姉と、ジャンケンがしたいと?」
女「おうよ。負けた方がここから去る!」
妹「そこまでこのベンチが大事なの?」
65: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 22:34:01 ID:T5h2Z.0Q
女「まあな。あたしの故郷みたいなもんだ」
妹「絶対言い過ぎだよね、それ」
姉「わかりました。その勝負、受けて立ちましょう」
女「よしきた! じゃあルールは標準の三本勝負な。後出しはファウルだ」
妹「標準ルールがわからないんだけど……」
姉「あ、ああなるほど、標準ですね」
妹「絶対わかってないよ……」
女「おい妹、お前審判な!」
66: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 22:38:36 ID:T5h2Z.0Q
妹「はあい」
女「じゃあ行くぜ! 最初は……」
姉「最初っから」
女「あっ、お前ずるいぞ! おい審判!」
妹「いや、さすがにダメだよお姉ちゃん」
姉「冗談ですよ」
女「1ファウルな。3つたまったら退場だぞ」
妹「どこから退場……?」
女「最初は……」
姉「グッとだすバカがいる」
女「あっ、お前ずるいぞ! おい審判!」
妹「お姉ちゃん……」
姉「冗談ですよ」
67: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 22:45:23 ID:T5h2Z.0Q
………
……
…
妹「負けちゃったね、お姉ちゃん」
姉「少しショックです……」
妹「マジメにやらないから」
姉「いえ、正直言うとバカらしくて」
妹「まあ、わかるけどね」
姉「聞いた話だと、民事裁判もジャンケンで決めるらしいです」
妹「平和主義って言うより、適当なだけだよねえ」
姉「それどころか、刑事裁判までジャンケンで決めるという意見が多いらしいです」
68: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 22:52:51 ID:T5h2Z.0Q
妹「誰と誰がジャンケンするの?」
姉「弁護士と検事と裁判長が」
妹「弁護士が勝ったら?」
姉「無罪です」
妹「検事が勝ったら?」
姉「求刑通りです」
妹「裁判長が勝ったら?」
姉「陪審員の意見が通ります」
妹「うん、この国は直に終わると思うよ」
姉「最高裁判所は五年前に更地になってしまったそうです」
妹「必要ないもんね」
69: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 23:00:32 ID:T5h2Z.0Q
姉「必要な争いなんて、この世にたくさんあります」
妹「そうだよね」
姉「ケンカするほど仲がいいとは、よく言ったものですね」
妹「私とお姉ちゃんのことだね」
姉「そうですね。雨降って地固まるとも言いますし」
妹「私とお姉ちゃんのことだね」
姉「私たち、もう付き合っちゃいましょうか」
妹「トンだね、話が」
姉「いつものことです」
妹「あっ、自覚あったんだ……」
70: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 23:05:23 ID:T5h2Z.0Q
―虹の黄―
姉「そういえば、妹は野球が好きなんですよね」
妹「うん。にわかだけどね」
姉「野球だって、不公平なスポーツです。才能やら名門やら努力やら……」
妹「でも、それはしかたないよ」
姉「そうですね」
妹「それに、さっきのジャンケンを見てて思ったんだけど」
姉「はい」
妹「つまらないなあ、って」
姉「ですよね」
妹「逆境とか、一方的な展開とか、不利を背負って頑張る選手とか」
71: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 23:11:23 ID:T5h2Z.0Q
姉「ええ。いろいろなドラマがありますね」
妹「だから楽しいし、燃えると思うんだよねえ」
姉「大して努力をしてない人間ほど、浅ましく公平を求めるものです」
妹「うん」
姉「勝てない勝負を避けるのは正しいですが」
妹「負けたくない、って思いはそれで満足しちゃっても、勝ちたいって思いは満たされないよね」
姉「そうそう、もう一つ」
妹「なに?」
72: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 23:19:51 ID:T5h2Z.0Q
姉「野球には、引き分けというものがあります」
妹「多くのスポーツにはあるね」
姉「でも、ジャンケンには勝ちか負けしかないんですよ」
妹「あいこは?」
姉「あいこでしょっ」
妹「続いちゃうんだ……」
姉「争い事を無くして平和になったつもりでも、優劣をつけたくて仕方がないんでしょうね」
妹「本音と建て前ってやつだねえ」
73: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/02(月) 23:20:34 ID:T5h2Z.0Q
姉「もちろん、姉より優れた妹などいませんが」
妹「どうかな?」
姉「……」
妹「……」
姉「じゃんけん」
妹「ぽんっ」
【ピースの国編】
―おわり―
74: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 14:56:48 ID:w0VuODVs
姉「虹の橙色を渡ると、そこは雪国でした」
妹「どこかで、聞いたこと、あるね」
姉「カチカチうるさいですよ」
妹「だ、だって寒いんだもん」
姉「薄着しているからです」
妹「こんなに寒いとは思わないよ」
姉「その点、この姉は万全の装備です」
妹「モコモコしてるね」
姉「女性のダッフルコートとカーディガンは、果たしてどちらが可愛いでしょうか」
妹「お姉ちゃんは何を着ても可愛いよ」
75: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 15:01:49 ID:w0VuODVs
姉「えへへ。照れます」
妹「えへへ」
姉「そんな妹にはマフラーをプレゼントしてあげましょう」
妹「わあい、ありがとう」
姉「手袋も片方どうぞ」
妹「うん」
姉「そして裸の手を繋ぎます」
妹「カンペキだねえ」
姉「妹の手はあったかくて気持ちいいです」
妹「お姉ちゃんの手はちょっと湿ってる」
姉「……」
妹「……手汗?」
姉「仕方ないです。生理現象です」
76: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 15:06:44 ID:w0VuODVs
妹「別にいいけどね」
姉「それにしても」
妹「なあに」
姉「最近の女性は冬でも薄着なのが多いですよね」
妹「知らないの? 流行りだよ」
姉「流行りなのですか?」
妹「厚着すると太って見えるからね」
姉「寒さよりも見た目ですか」
妹「ヒートテックとかあるから、言うほど寒くないけど」
姉「それはヘン夕イです」
妹「なんで……」
77: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 15:17:39 ID:w0VuODVs
姉「薄着して体が火照っているだけです」
妹「それはヘン夕イなの?」
姉「はい」
妹「お姉ちゃんが言うなら間違いないね」
姉「……どういう意味ですか」
妹「そのままの意味だよ」
姉「ここで一句」
妹「いきなりだね」
姉「ゐもうとよ 寒さで鼻が 赤いぞよ」
妹「……もう、からかわないで」
姉「ふふん」
妹「あっ、私も一句」
78: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 15:24:57 ID:w0VuODVs
姉「聞きましょう」
妹「ほんとうは 愛しています お姉さま」
姉「……致死量の恥ずかしさです」
妹「お姉ちゃん手汗がやばい」
姉「しかしこうして手をつないでいれば、どちらの手汗かわかりません」
妹「ごまかさないの」
姉「ああ、どんどん熱くなってきました」
妹「私はまだ寒いんだけど」
姉「どこかで暖まっていきましょうか」
妹「そうだねえ。でも……」
79: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 15:34:35 ID:w0VuODVs
姉「見渡す限りのシャッター街ですね」
妹「今時シャッター街なんて珍しくないけど……」
姉「これはさすがに異様ですね」
妹「コンビニや大型スーパーまで閉まってるなんて」
姉「どれだけ不況なのでしょうか」
妹「雪が降ってるから、臨時休業なのかも」
姉「それにしても、人っ子一人いないなんて」
妹「さっきから誰の姿も見てないね」
姉「きっとここは引きこもりの国ですね」
妹「そ、それはイヤだねえ」
80: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 16:05:50 ID:w0VuODVs
姉「このままじゃ凍えてしまいますね」
妹「そうなる前に、どこかに入ろう」
姉「適当に民家をあたってみますか?」
妹「そうだね」
姉「では、まずはあそこから……」
………
……
…
妹「……ここって、ほんとに引きこもりの国なのかもね」
姉「五軒あたって全てハズレですから、私も落ちこみます」
妹「話し声は聞こえていたから、明らかに居留守だし」
81: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 16:08:29 ID:w0VuODVs
姉「許せませんね」
妹「はあ、私凍え死んじゃうかも」
姉「このままじゃ、フランダースの姉妹になってしまいます」
妹「それ、誰も感動しそうにないよ」
姉「マッチ売りの妹」
妹「どの道私は死んじゃうんだね」
姉「この姉が阻止します」
妹「期待してる」
姉「とにかく、親切な人を探すしかないですね」
妹「そうだねえ。歩いていれば少しはあったまるし」
82: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 17:45:39 ID:w0VuODVs
姉「こういうのも、ゴーストタウンと言うんですかね」
妹「ちょっと、怖いこと言わないで」
姉「どこからともなく、雪を踏む音が聞こえてきませんか」
妹「やめて」
姉「脅かしているわけではありません」
妹「えっ?」
姉「後ろです」
妹「……誰かいるね」
姉「親切な人だったらよいのですが」
妹「声、かけてみる?」
姉「そうしましょう」
83: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 20:36:43 ID:w0VuODVs
妹「あのう」
作業員「……なんだい?」
姉「何をしているのですか?」
作業員「ちょっと見回りをね」
妹「見回り……」
作業員「こんな状態だから問題はないと思うんだけど、念のために」
姉「こんな状態というのは、引きこもっている方々のことですか?」
作業員「うん」
妹「ああ、やっぱり引きこもってるんだ……」
姉「しかし、いくら寒いといえ……」
作業員「そうか、君たちは旅行者なんだね」
84: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 20:41:00 ID:w0VuODVs
姉「はい。虹を渡ってきました」
作業員「なるほど。だからこうして出歩いているのか」
妹「どういうこと?」
作業員「ここじゃなんだから、僕たちの仕事場までくるといい」
姉「おお、ありがとうございます」
妹「やっと暖をとれるね」
作業員「ははっ。暖をとる、か……」
姉「……?」
作業員「いや、何でもない。こっちだ」
妹「……どんなところなんだろうね」
姉「さあ。何にせよ、やっと休憩できます」
85: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 20:46:24 ID:w0VuODVs
―発電所―
作業員「……どうぞ、適当にかけてくれ」
姉「あの、ここって」
妹「発電所だね」
作業員「そうだね。この国唯一にして最大の発電所さ」
姉「唯一とは、またどうして……?」
作業員「正確に言うと、唯一稼働してる発電所だね」
妹「人手不足なの?」
作業員「うん、みんな引きこもっているから」
姉「それはいったい、なぜ?」
86: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 20:49:59 ID:w0VuODVs
妹「寒いからってわけではないと思うけど……」
作業員「どうなんだろうね」
妹「そんな」
作業員「……雪が止まなくなってから、気づけばもう10年以上経ってる」
姉「止まないとは……」
作業員「不思議だよ。でも、誰にも解明できない。誰も解明しようとはしない」
妹「雪が止まないから、引きこもるって……」
姉「異常気象ですか」
87: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 20:53:45 ID:w0VuODVs
作業員「……止まない雪が降る少し前のことだよ」
姉「……」
作業員「この国のどこかで、新種のミカンができたんだ」
姉「新種とは?」
作業員「その美味しさもさることながら、そのミカンは単細胞分裂を繰り返すんだ」
妹「た、単細胞分裂?」
姉「ありえませんね」
作業員「僕もそう思う。でも、これが公式な見解さ」
妹「単細胞分裂って、なに?」
88: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 21:02:00 ID:w0VuODVs
作業員「単細胞生物の体細胞分裂という意味の造語らしい」
姉「ミカンが単細胞だなんて」
作業員「だからこそ新種だったのさ」
妹「それは、どうなるの?」
作業員「増えるんだ。一定の周期で」
姉「そんなバカなこと」
妹「でも、ほんとだったらすごいね」
作業員「本当だよ。放っておいたら1つが2つに、2つが4つになる」
89: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 21:06:14 ID:w0VuODVs
妹「だったら、食べるものに困らないね」
姉「ずっとミカンは飽きますよ」
作業員「そうだね。誰もがそう思っていた」
姉「ならば……」
作業員「そこで降ってきたのさ。止まない雪がね」
妹「雪でミカンっていうと、コタツだねえ」
作業員「そう。多くの人々はコタツから出なくなり、ただミカンをむさぼっているのさ」
姉「うう……。想像するだけで気持ち悪いです」
90: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 21:16:15 ID:w0VuODVs
妹「でも、コタツにミカンがあるならもう動けないよね」
姉「気持ちはわかります」
作業員「居心地は良いだろうけど、やはり異常だよ」
姉「……あなたたちはなぜ働いているのですか?」
作業員「僕たちは異常に気づいた人間さ。ライフラインを確保しようと思って集まったんだ」
妹「ミカンを食べなかったの?」
作業員「中には引きこもっていた人もいたが、ある時ふと『自分がやらなきゃ』と思ったらしい」
姉「それがあなたたちの……」
作業員「行動理念、というのかな」
91: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 21:19:34 ID:w0VuODVs
妹「食べ物があっても、電気や水がないと困るもんね」
姉「この寒さでは、コタツがないと凍死してしまう人もいるでしょうね」
作業員「そう。だから僕たちがやらなきゃいけない」
妹「立派だねえ」
作業員「君たちは旅行者だろう?」
姉「はい」
作業員「悪いことは言わない、この国にいても良いことなんてないよ」
姉「でしょうね」
妹「寒いしね。でも……」
92: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 21:22:46 ID:w0VuODVs
作業員「僕たちのことは気にしないでくれ」
妹「そういうわけには……」
作業員「信じてるんだ」
姉「……」
作業員「いつかみんな、目を覚ましてくれるんじゃないかと」
姉「信じることは、良いことだと思います」
妹「……がんばってね」
93: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 21:25:10 ID:w0VuODVs
作業員「ははっ。ありがとう」
姉「こちらこそ、ありがとうございました」
作業員「帰り道はわかるかい?」
姉「はい。……最後に1つ、いいですか?」
作業員「うん?」
姉「その、増えるミカンの生る木がどこにあるか、教えてください」
作業員「……聞いた話だと、ここから南に下った先にある果樹園」
姉「わかりました」
作業員「行く気かい?」
姉「はい。観光に」
94: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 21:28:27 ID:w0VuODVs
作業員「観光、か……」
妹「お姉ちゃん、本気なの?」
姉「はい」
作業員「止めはしないよ。でも、決してミカンを食べちゃダメだ」
姉「約束します」
作業員「君もだ。いいね?」
妹「う、うん」
作業員「……うん。気をつけて行っておいで」
妹「ありがとう」
姉「また、どこかでお会いしましょう」
作業員「……元気でね。さようなら」
95: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 21:33:21 ID:w0VuODVs
―果樹園―
姉「ここ、果樹園らしいですよ」
妹「ずいぶん荒れてるね」
姉「足元、気をつけてください」
妹「うん」
姉「さあ、いったいどんな形なのでしょうね」
妹「増えるミカン?」
姉「良いおみやげになりますね」
妹「ダメだよ、お姉ちゃん」
姉「冗談です」
妹「私も食べてみたいけどね」
姉「禁断の果実ですね」
96: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 21:37:00 ID:w0VuODVs
妹「増えるミカンに、止まない雪かあ」
姉「何もしない人に、何かをする人」
妹「私だったら投げ出してるよ」
姉「……どうでしょうね」
妹「お姉ちゃんは?」
姉「私は、そもそもそんな怪しいミカンを食べたくないです」
妹「ごもっともだね」
姉「ここは、不思議な国ですね」
妹「不思議?」
姉「なんでもないです」
妹「お姉ちゃん、寒くない?」
97: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 21:41:42 ID:w0VuODVs
姉「私は大丈夫です。いもりんは?」
妹「いもりんって言うな」
姉「ごめんなさい」
妹「さっき上着をもらったから、あったかいよ」
姉「妹ちゃんは、夏と冬はどちらが好きですか?」
妹「私は冬かなあ」
姉「なぜ?」
妹「暑いのはどうしようもないけど、寒ければ着込めばいいだけだし」
姉「そうですね」
妹「涼しいより、あったかいの方が気持ちいいもん」
98: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 21:47:00 ID:w0VuODVs
姉「同感です」
妹「だから、この国の人たちの気持ちも少しはわかるなあ」
姉「でも、あなたはさっき言ってましたよね」
妹「なんて?」
姉「歩けば少しはあったかくなる、と」
妹「あ……」
姉「寒ければ動けばいいんです」
妹「たしかに、そうだねえ」
姉「寒いから動かないなんて、余計に寒くなるだけですよ」
妹「そう考えると、やっぱりおかしいかも」
99: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 21:49:50 ID:w0VuODVs
姉「もし、電気の供給が止まったら……」
妹「ひどいことになるんじゃないの?」
姉「わかりませんが、もしかしたら……」
妹「リスクが大きすぎるよ」
姉「そうですね。私たちも、信じましょうか。あの人たちを」
妹「うん」
姉「おや、看板がありますね」
妹「新種のミカンが生る木、この先にあるみたい」
姉「行きましょう」
妹「はあい」
100: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 21:57:21 ID:w0VuODVs
姉「まだあるんですかね」
妹「殖え続けるんなら、あるんじゃないかなあ」
姉「妹、手を」
妹「繋ぐの?」
姉「少し怖いです」
妹「私も。……はい」
姉「これは冷や汗ですからね」
妹「手汗には変わりないよ」
101: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 21:57:57 ID:w0VuODVs
姉「……さあ、ここですね」
妹「うん」
姉「この壁の向こうに、あるんですね」
妹「……扉、開けるよ」
姉「……」
妹「……」
姉「……」
妹「これは……」
………
……
…
102: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 22:01:48 ID:w0VuODVs
―虹の橙―
妹「……」
姉「……気分が重いですね」
妹「うん、そうかも」
姉「あの国は、私たちに何を見せたかったのでしょうか」
妹「何も見せたくなかったんじゃないかなあ」
姉「……」
妹「……お姉ちゃんはわかってたの?」
姉「なんとなく、ですが」
妹「やっぱりお姉ちゃんはすごいねえ」
姉「姉ですからね」
妹「私のお姉ちゃんだもんね」
103: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 22:03:24 ID:w0VuODVs
姉「……妹ちゃん」
妹「なあに?」
姉「『自分がやらなきゃ』と思う人」
妹「うん」
姉「『自分はやらなくていい』と思う人」
妹「うん」
姉「どちらの人が先に生まれたのでしょうか」
妹「ううん、やっぱり後者じゃないの?」
姉「『自分がやらなきゃ』という人の思いが増えるミカンを生み出し」
妹「……」
104: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 22:04:37 ID:w0VuODVs
姉「結果、何もしない人を生み出した」
妹「でも、何もしない人がいないのに、『自分がやらなきゃ』なんて思うかなあ」
姉「最初は『自分がやりたい』程度の思いだったんでしょう」
妹「意志が、いつの間にか義務に変わっちゃったの?」
姉「妹ちゃんも、もう少し大人になったらわかることですが」
妹「なに?」
105: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/03(火) 22:06:47 ID:w0VuODVs
姉「人の原動力は、意志ではなく義務と義理です」
妹「……どうして、義務になっちゃうのかな。何かをしたくて大人になったはずなのに」
姉「簡単なことです」
妹「それは……」
姉「私たちは常に脅されているんですよ」
妹「脅されている……」
姉「そう。……実体のない何かから、ね」
【犬と猫の国編】
―おわり―
107: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 15:10:47 ID:vQQAxyas
姉「虹の青色を渡ると、妹が宗教の勧誘に引っかかりました」
――――
妹「お姉ちゃんとはぐれちゃった……」
中年「むっ、ちょっとそこの君!」
妹「なあに?」
中年「……まずい、実にまずいぞ!」
妹「ええっ」
中年「右肩のあたりに悪魔の姿が見える。これはまずい!」
妹「あ、悪魔?」
中年「しかもかなり強いぞ」
妹「そうなんだ」
中年「そうなんだ、じゃない。これはまずいんだ!」
妹「ど、どうなるの?」
108: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 15:16:09 ID:vQQAxyas
中年「……このままだと、君は死ぬ!」
妹「そんなあ」
中年「まずいだろう?」
妹「どうすればいいの?」
中年「……うむ。悪魔を退けるには鋼の心が必要だ」
妹「鋼の心……」
中年「しかしそれは、簡単に手に入るものではない!」
妹「そうだよね」
中年「修行が必要になるのだよ」
妹「ふうん。キツいのはやだなあ」
中年「なあに、我が神の教えに忠実でいれば、辛いことなど何もない!」
109: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 15:22:06 ID:vQQAxyas
妹「それはすごいねえ」
中年「ああ。……そこで、どうだろう」
妹「なにが?」
中年「見たところ君は旅行者のようだが」
妹「うん」
中年「ということは、無宗教だったりするんじゃないかね」
妹「うちは、そうだよ」
中年「ならば、私と共に神の教えを学び、大衆に説かないかい?」
妹「ううん、でもそういうのってお姉ちゃんが怒りそう」
中年「君のお姉ちゃんもきっとわかってくれるさ!」
妹「このままだと私、死んじゃうの?」
110: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 15:26:43 ID:vQQAxyas
中年「ああ。遅かれ早かれ君は死ぬ!」
妹「死ぬのはやだなあ」
中年「だったら、ね?」
妹「ううん……」
中年「なあ、いいだろう?」
妹「……うん、わかっ」
姉「おいこら」
中年「……はい?」
姉「今死ぬか、天寿を全うしてから死ぬか選べ」
中年「……」
妹「あっ、お姉ちゃん」
姉「まったく、探しましたよ」
妹「こっちのセリフだよ」
姉「それでこの、髪がどうとか言っているハゲは誰ですか?」
111: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 15:35:09 ID:vQQAxyas
中年「か、髪じゃない。神だ!」
姉「どうでもいいです。それより、早く選びなさい」
中年「……」
姉「は、や、く」
中年「……くそっ、神に裁かれてしまえー!」
姉「捨て台詞が小物臭いです」
妹「お姉ちゃん、やりすぎ」
姉「しかしですね」
妹「めっ」
姉「くっ、妹の可愛さは神レベルです……」
妹「まったくもう」
姉「でも、危ないところでしたね」
妹「そう?」
姉「……わかっていないのですか?」
112: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 15:40:58 ID:vQQAxyas
妹「宗教の勧誘なんて、めずらしくないでしょ」
姉「まだ、知らないようですね。この国について」
妹「もう調べたの?」
姉「前回までの反省を生かしたまでです」
妹「たしかに、いつも大変な目にあうもんねえ」
姉「このパンフレット、読んでみてください」
妹「ん、どれどれ……」
姉「……」
妹「突き詰められた信仰の自由……」
姉「はい」
妹「救われないあなたを救う、あなただけの神様をつくろう……」
113: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 15:49:59 ID:vQQAxyas
姉「そういうことです」
妹「えっと、これってつまり」
姉「この国の人々は、それぞれが違った神を信仰しています」
妹「うん」
姉「そして、どれも自分だけに都合の良い神様です」
妹「なんだか賑やかで面白そうだね」
姉「さっきの中年みたいな人をいちいち相手にはできません」
妹「日が暮れちゃうね」
姉「何より、いもったん」
妹「いもったんって言うな」
114: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 15:54:25 ID:vQQAxyas
姉「ここはあなたが思っている以上に危険な場所です」
妹「そうなの?」
姉「旅行者であることが免罪符にはならないでしょうね」
妹「お姉ちゃんが切羽詰まった顔してる……」
姉「だいじょうぶ、あなたはこの姉が守ります」
妹「こ、怖くなってきちゃった……」
姉「さわらぬ神に祟りなし、です」
妹「うん……」
姉「もう行きましょう」
115: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 16:05:57 ID:vQQAxyas
妹「それにしても、危ない国ばかりだね」
姉「次に賭けましょう」
妹「せっかく来たんだから、食事の1つでもとりたかったなあ」
姉「それは絶対にダメです」
妹「……ちょっとだけ」
姉「命が惜しくないのですか、あなたは」
妹「そんなに危険なの?」
姉「……わかりました。ならば実際に覗いてみましょう」
妹「ありがとう、お姉ちゃん」
姉「妹の好奇心にも困ったものです」
116: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 16:10:48 ID:vQQAxyas
妹「ほら、あそこにレストランがある」
姉「私から離れないでくださいね」
妹「ちょっと心配しすぎじゃない?」
姉「備えあれば憂いなし」
妹「ううん……」
姉「杞憂で終われば万々歳です」
妹「それもそうだね」
姉「……」
妹「……あれ、なんだか」
姉「やはり、騒がしいですね」
妹「ど、どういうこと? 事件でもあったのかな」
117: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 16:15:23 ID:vQQAxyas
姉「あそこの陰から覗いてみましょう」
妹「う、うん」
姉「……どうです、見えますか?」
妹「うん……。女の人と男の人が言い争いをしてるみたい」
姉「ふむ……」
妹「……それに、別の人が加わった。すごく怒った顔してる」
姉「声は?」
妹「聞こえない」
姉「そうですか」
妹「……お姉ちゃん」
姉「はい」
妹「なんだか、怒ってる人がどんどん増えていってるよ」
118: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 16:17:38 ID:vQQAxyas
姉「そろそろ暴力に発展する頃合いですね」
妹「止めなきゃっ」
姉「ダメです」
妹「……そんな」
姉「言ったでしょう」
妹「さわらぬ神に祟りなし……?」
姉「そういうことです」
妹「でもっ」
119: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 16:26:26 ID:vQQAxyas
姉「本当に、危険なんですよ」
妹「……」
姉「わかってください」
妹「……うん」
姉「例えば、あなたが信仰する神の教えが、『右手を食事に使ってはいけない』ことだとします」
妹「うん」
姉「しかしレストランに行くと、そんな人いっぱいいますよね?」
妹「それは、そうだよ」
姉「神への冒涜です。あなたはそれを許せますか?」
妹「……」
120: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 16:31:01 ID:vQQAxyas
姉「また別の人は、『食事に箸を使ってはいけない』という教えに従っているかもしれません」
妹「でも、そんな人はいっぱいいる……」
姉「これも神への冒涜です」
妹「だから、あんな争いが怒ってるの?」
姉「その通りです」
妹「間違ってるよ」
姉「当人からしたら、私たちこそ間違って見えるでしょうね」
妹「いったい何のために、信仰の自由なんて……」
121: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 16:36:07 ID:vQQAxyas
姉「この国では数年前に、ひどい災害が起こったそうです」
妹「言われてみれば、工事中の道路が多かったね」
姉「まだ復興の途中なんでしょう」
妹「うん」
姉「災害の後、この国にはとても大きな傷跡が残りました」
妹「だろうね」
姉「その傷口から生まれたのが、終末論です」
妹「終末論……」
姉「世界は終わる。これは神の怒りだ。私たちは裁かれる」
122: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 16:39:59 ID:vQQAxyas
妹「そんな、バカみたいなことが……」
姉「これはそれまでの国家宗教の影響だったようですね」
妹「そうなんだ」
姉「だからこそ国は、信仰の自由を突き詰めたのです」
妹「人の心を救うために?」
姉「というよりは、混乱を治めるためでしょう」
妹「なのに、こんなことになるなんて……」
姉「誰かを救うことより、自分を救うことを優先した結果でしょうね」
123: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 16:47:35 ID:vQQAxyas
妹「結局、誰も救われてないんだね」
姉「いいえ、彼らは救われていますよ。今、この瞬間も」
妹「宗教とか神様って、何が正しいのかわからないね」
姉「正解なんてないんです」
妹「全て間違いなの?」
姉「正解を探そうとする姿勢が、一番正しいんですよ」
妹「難しいね」
姉「そうですね。この姉にも、未だによくわかりませんから」
124: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 16:49:47 ID:vQQAxyas
妹「信じるものしか救わない神様、かあ」
姉「私たちの国でもそうですよね」
妹「そうなの?」
姉「長い歴史をみれば」
妹「歴史は苦手だなあ」
姉「人を救うはずの神様が原因で、いくつの争いが起こったでしょうか」
妹「おかしいよね」
姉「人を救うのも、裏切るのも」
妹「愛すのも傷つけるのも」
姉「いつだって、生きている人間でした」
125: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 16:52:45 ID:vQQAxyas
―虹の青―
妹「ねえお姉ちゃん」
姉「なんでしょうか」
妹「私、神様に祈ることはないかもしれない」
姉「どうして?」
妹「だって、私が辛い時も、くじけそうな時も」
姉「……」
妹「お姉ちゃんが、そばで支えてくれるでしょ?」
姉「……」
妹「私は、お姉ちゃんを信じるよ」
姉「まったく、手の掛かる妹ですね」
126: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 16:57:45 ID:vQQAxyas
妹「気づいてるの」
姉「何にですか?」
妹「これまでも、ずっとそうだったってことに」
姉「……私は、姉ですからね」
妹「だからって、妹に頼っちゃいけないなんてことないからね」
姉「ふふ、頼りないですからね。妹は」
妹「私、お姉ちゃん教に入信します」
姉「……いえ、お姉ちゃん教の教えによると」
妹「うん」
姉「妹は天使です」
妹「いやん」
【八百万の国編】
―おわり―
128: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 21:18:45 ID:vQQAxyas
姉「虹の藍色を渡ると、そこは一見普通の国でした」
妹「でも、油断ならないよ」
姉「人間とは学ぶものです」
妹「まずはコンビニだね」
姉「この国のガイドブックと、あとは新聞もほしいです」
妹「なにが地雷がわからないっていうのは怖いねえ」
姉「まあ、あまり緊張する必要も無いでしょう」
妹「そうかな」
姉「はい」
妹「じゃあ、ゆっくり行こうか」
129: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 21:23:32 ID:dxXvGd1U
姉「観光と言いつつ、あまりできてませんからね」
妹「本当だね」
姉「今まで見た名物と言ったら……」
妹「ほら、美容の国の美男美女」
姉「……たしかに、名物と言えば名物かもしれませんが」
妹「この国には何があるんだろうね」
姉「そうですね……」
妹「おいしいものが食べたいなあ」
姉「ふふ」
妹「なあに?」
姉「妹はまだまだ、色気より食い気ですね」
130: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 21:27:50 ID:vQQAxyas
妹「もう。お姉ちゃんってすぐ私のこと子ども扱いするんだから」
姉「ふふん。この姉は常に妹の一歩先を行っていますからね」
妹「ふうん」
姉「それは何故かというと」
妹「うん」
姉「あらゆる危険からあなたを守るためですよ」
妹「わあ、ありがとう」
姉「この世には、それはもう多くの危険がありますから」
妹「そうだねえ」
131: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 21:33:08 ID:vQQAxyas
姉「常に予測してるんです」
妹「例えば?」
姉「次の瞬間、妹が転ぶかもしれない」
妹「私そんなにドジじゃないよ」
姉「誰かとぶつかるかもしれない」
妹「お姉ちゃん、前向いて歩いてよ」
姉「急性アルコール中毒で倒れるかもしれない」
妹「飲ませたの?」
姉「酔った妹も可愛かったです」
妹「いつの話?」
姉「『大きくなったらお姉ちゃんと結婚する!』って言ってた頃の話です」
妹「捏造しすぎだからね」
132: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 21:39:41 ID:vQQAxyas
姉「捏造じゃないです」
妹「ウソだあ」
姉「この姉はちゃんと覚えてます」
妹「それ、妄想じゃない?」
姉「……言われてみれば」
妹「もうっ」
姉「よくあります」
妹「ないよ。あったらダメだよ」
姉「幼い妹を酔わせた挙げ句、プロポーズされる妄想」
妹「犯罪の匂いしかしないね」
133: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 21:46:03 ID:vQQAxyas
姉「そう言ってもあなた、顔赤いですよ」
妹「あっ、えへへ。わかる?」
姉「はい。照れてるんですね」
妹「今日は薄くチークをのせてみたの」
姉「……」
妹「私色白だから、ピンクのをね」
姉「……」
妹「お姉ちゃん?」
姉「……ちょっと、30秒ほど拗ねていいですか」
妹「……なんかごめん」
姉「……」
妹「……」
姉「……ふう。ほっぺたピンクの妹も可愛いです」
134: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 21:51:35 ID:vQQAxyas
妹「お姉ちゃん、私が化粧するの嫌いなの?」
姉「姉としては、どんな妹でも愛してみせます」
妹「でも、いつも一分ぐらい拗ねるよね」
姉「……」
妹「お姉ちゃんが嫌ならやめるけど」
姉「嫌なわけありません」
妹「ほんとうに?」
姉「ただ、大人びた妹を受け入れるのに少し時間がかかるだけです」
妹「そっかあ」
姉「姉というのは複雑なのですよ」
妹「デリケート?」
135: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 21:59:04 ID:vQQAxyas
姉「そこらの精密機械より」
妹「そんなお姉ちゃんも大好きだよ」
姉「だから、いきなり言うのはずるいです……」
妹「あっ、コンビニあったよ」
姉「そうですね。行きましょう」
妹「アイスも買おうよ」
姉「いいですね」
妹「半分こだよ」
姉「2つ買えますよ?」
妹「半分こなの。仲良しなんだから」
姉「ふふ、そうですね」
妹「うん」
136: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 22:03:38 ID:vQQAxyas
―公園のベンチ―
姉「さて、早速ガイドブックを読みましょう」
妹「わくわく」
姉「……」
妹「……」
姉「……ふむふむ、なるほど」
妹「どうだった?」
姉「この国には、警察がいないようですね」
妹「えっ」
姉「文字通りの無法地帯みたいです」
妹「治安が悪いの?」
姉「逆です。治安が良すぎたために法律の必要性が無くなったのです」
妹「……ううん、よくわかんない」
137: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 22:06:41 ID:vQQAxyas
姉「道徳意識というものがとても高い国なんです」
妹「うん」
姉「みんな、何が悪く何が良いか、自ずと理解しているようですね」
妹「じゃあ、犯罪は起こらないの?」
姉「新聞を見てみましょう」
妹「うん。……無いね」
姉「私たちの国なら、一つくらい載っていますよね」
妹「少なくとも、私たちの国よりは治安が良いんだね」
138: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 22:11:09 ID:vQQAxyas
姉「一概にそうとも言えませんがね」
妹「でも、例えば交通事故の時はどうするんだろう」
姉「そこが怪しいですね」
妹「警察がいないっていうことは、現場検証もできないもんね」
姉「交通事故自体、道交法を守っていればそうそう起こることではありません」
妹「そういうことなのかなあ」
姉「何にせよ、少しは警戒していたほうが良さそうですね」
139: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 22:16:55 ID:vQQAxyas
妹「そうだね。……?」
姉「どうしました?」
妹「お姉ちゃん、あそこ」
姉「……女の子。泣いているんですかね」
妹「……」
………
……
…
少女「あ、あのう」
姉「はい」
少女「すみません、ハンカチ」
姉「いえ、いいんです」
妹「何かあったの?」
少女「……」
姉「話を聞くぐらいなら、できますが」
140: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 22:22:47 ID:vQQAxyas
少女「……2人は、旅行者なの?」
妹「うん」
少女「……この国については知ってる?」
姉「ある程度は調べました」
少女「どう思った?」
妹「モラルが高いのは、素敵だと思うよ」
姉「まあ、そうですね」
少女「……」
妹「……?」
少女「……そんなことない」
妹「えっ」
少女「ぜんぜん、素敵なんかじゃないよ……」
姉「……胸を貸しましょう。悲しいなら泣けばいいですよ」
妹「お姉ちゃん……」
少女「ぐすっ、ごめんなさい……」
141: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 22:32:29 ID:vQQAxyas
姉「落ち着きましたか?」
少女「うん。ありがとう」
妹「聞かせてもらってもいいかな」
少女「うん……」
姉「……」
少女「たしかにね、この国はとても治安がいいの」
妹「うん」
少女「でもやっぱり、犯罪というか、モラルに反した行為も起こるの」
姉「そうでしょうね」
少女「そんなとき、どうすると思う?」
妹「どうするって……。どうもできないんじゃないの?」
姉「……社会的制裁ですね」
142: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 22:41:30 ID:vQQAxyas
妹「社会的制裁?」
姉「……おそらくですが、私刑というものもあるんでしょう?」
少女「……うん」
妹「私刑って?」
姉「リンチと言えばわかりやすいでしょうか」
妹「……そんな」
少女「この前、怒りに我を忘れて殺人をした人がいたの」
姉「……」
少女「……その人はまだ、市役所の前に張り付けにされてる」
妹「ひどい……」
少女「通りすがった人はその人の体に印をつけなきゃいけないの」
姉「なぜ?」
143: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 22:47:38 ID:vQQAxyas
少女「今回の場合、印が1000個で許されるんだって」
姉「……」
少女「……私、も。それが普通だと思ってた」
妹「……」
少女「でも、いざとなったら、なんだかすごく胸が痛くて、苦しくて……」
姉「……辛いでしょうね」
妹「誰も、おかしいって言わないの?」
少女「みんな、今の状況が正しいって思ってるから……」
姉「……結局、多数決なんですね」
144: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 22:51:19 ID:vQQAxyas
少女「この国の法律が無くなった理由は知ってる?」
妹「道徳意識が高いからだって、ガイドブックに書いてあったけど」
姉「他にも?」
少女「たくさんいたの。犯罪者が」
妹「うん」
少女「でも、その全てがちゃんと裁かれるわけじゃない」
姉「……ふむ」
少女「まず最初に問題になったのが、時効だったの」
妹「時効……」
145: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 22:56:32 ID:vQQAxyas
少女「時効が成立したら、法では裁けない」
姉「そこで、私刑というわけですか」
少女「他にもあるの」
妹「なに?」
少女「少年法」
姉「……なるほど」
妹「私たちの国でも、よく問題になってるね」
少女「法が裁いてくれないなら、自分たちで裁くしかない」
姉「でもそれは、犯罪ですよね」
妹「そうだね」
146: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 23:01:12 ID:vQQAxyas
少女「でも、たしかに民意は固まりつつあった」
姉「と言うことは、政治家ですか」
妹「どう言うこと?」
姉「マニフェストとして掲げたんでしょう」
少女「あるはずのない道徳意識をでっちあげて、ね」
姉「国民の総意があれば、地位を手放したくない多くの政治家は反対しないはずです」
妹「それで、成立したんだ……」
少女「人が人を裁く、理想の社会だと教科書には書いてあったの」
147: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 23:08:00 ID:vQQAxyas
妹「そんなの、絶対に違うよ」
姉「同感ですが……」
少女「三年前に法律が無くなってから、たくさんの『元』犯罪者が私刑に処された」
妹「……うう」
少女「服役中の罪人も、同じ」
姉「……聞くに堪えないですね」
少女「解体された警察は、私刑代行機関となったの」
姉「……」
少女「みんな、自分がモラルを破らないように神経質になってる」
妹「おかしいよ……」
148: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 23:12:39 ID:vQQAxyas
姉「……もう、いいです。よく、わかりました」
少女「ごめんなさい。こんなこと、この国の人には話せないから……」
妹「どうするの、これから」
少女「たぶん、もうどうにもできないと思うの」
姉「……」
少女「いつか、自分の番が来る」
妹「やめて。そんなこと言わないで……」
少女「……人を許せないと思ったあの日から、私たちは犯罪者になってしまったの」
149: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 23:17:39 ID:vQQAxyas
妹「違うよ、何も悪くなんてないっ」
少女「……ありがとう」
姉「……私たちに、なにかできることは」
少女「気持ちだけで十分だよ」
妹「……」
少女「……そうだ!」
姉「……?」
少女「私と、友達になって!」
妹「友達……」
少女「うん、一緒に遊ぼう!」
姉「……それは、楽しそうですね」
妹「うん。……うん、そうだね」
少女「えへへ、こっちこっち!」
150: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 23:23:14 ID:vQQAxyas
妹「あっ、待ってよお」
姉「駆けっこなんて、何年ぶりですかね」
妹「ほんとだねえ。……でも、きっと楽しいよ」
姉「ふふ、そうですね。やりましょうか」
少女「早く早くう!」
………
……
…
姉「……2人とも、元気ですね」
妹「お姉ちゃん、しっかり」
少女「しっかりー」
姉「妹が2人いるみたいで嬉しいです」
妹「もう、節操ないんだから」
151: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 23:27:35 ID:vQQAxyas
姉「いもぴー、嫉妬ですか?」
妹「いもぴーって言うな」
少女「あははっ、いもぴー!」
妹「ちょ、ちょっと」
姉「ぷぷっ、いもぴー」
少女「やあい、いもぴー」
妹「こらあっ、待ちなさい」
姉「逃げましょう」
少女「うんっ!」
妹「もうっ。……ふふ」
………
……
…
少女「ふわあ、疲れたあ」
152: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 23:32:08 ID:vQQAxyas
妹「私も」
姉「特にこの姉が疲れています」
少女「……ほんとに、ありがとうね」
妹「水くさいこと言わないで」
姉「そうですよ。友達なんですから」
少女「……また、会える?」
妹「……」
姉「……わかりません。でも、忘れません」
妹「うん。今日一緒に遊んだこと、友達になったこと」
少女「私も、忘れないよ」
姉「ええ、約束ですね」
妹「うん」
153: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 23:38:22 ID:vQQAxyas
少女「……これからこの国が、私がどうなったとしても」
妹「……」
少女「2人には、今日の私を覚えておいてほしいな」
姉「はい」
妹「うんっ」
少女「えへへ。ありがとう」
姉「こちらこそ、楽しかったです」
妹「……気をつけて帰るんだよ?」
少女「うんっ!」
姉「では、さようなら」
妹「元気で、ね」
少女「バイバーイ!」
154: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 23:42:27 ID:vQQAxyas
―虹の藍―
妹「……またいつか、会いたいなあ」
姉「……絶対的な基準というのはやはり必要なんですよね」
妹「普段は煩わしく感じちゃうこともあるけど」
姉「とても大事なものなんでしょうね」
妹「お母さんも」
姉「はい」
妹「普段はガミガミうるさいけど、とても大事だよね」
姉「ふふ。法律と母親を並べて語りますか」
妹「あっ、内緒だからね」
155: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 23:48:31 ID:vQQAxyas
姉「……少女ちゃんは、友達がほしいと言いましたね」
妹「うん」
姉「倫理という言葉があります」
妹「道徳と似たような意味だっけ?」
姉「倫理とは、仲間内での共通の論理のことです」
妹「……」
姉「仲間じゃなくて、友達がほしいと言ったんです。彼女は」
妹「……やるせないね」
姉「……彼女のような人が増えることを祈りましょう」
156: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/04(水) 23:58:33 ID:vQQAxyas
妹「同じ思想を掲げて固まる仲間と」
姉「違う価値観を切磋琢磨しあう友達」
妹「……私たちと少女ちゃんは、ずっと友達だよね、お姉ちゃん」
姉「もちろんです」
妹「またいつか、会えるまで」
姉「どうか、元気で」
妹「願わくば、幸せに……」
【正しすぎた国編】
―おわり―
157: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 14:37:26 ID:bP9Lvgm.
姉「虹の緑色を渡ると、私は王女様に呼ばれました」
王女「ようこそ、我が国へ」
姉「はあ」
王女「ごめんなさいね、いきなり呼びつけて」
姉「全くです」
王女「なんだかソワソワしているわね」
姉「それはそうでしょう」
王女「落ち着かない?」
姉「お城に入るのなんて初めてですよ」
王女「楽にしてくれてかまわないわ」
姉「こっちがかまいます……」
158: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 14:47:05 ID:bP9Lvgm.
王女「今、お茶の用意をさせているから」
姉「……はあ」
王女「さあ、椅子に座って」
姉「なんだか随分フレンドリーですね」
王女「気さくな王女って、いいでしょ」
姉「どうなんでしょうか」
王女「いいのよ、どうせ年齢も近いのだし」
姉「……」
王女「疑っているようね」
姉「……すみません」
王女「いいえ。好きよ、そういうの」
姉「そういうの?」
159: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 14:53:54 ID:bP9Lvgm.
王女「腹のさぐり合いって言うのかしら」
姉「……」
王女「まあ、無理もないわね」
姉「……はあ。埒があかないみたいですね」
王女「そうそう。せっかくこうして話せるのだから、楽しみましょう」
姉「お城のおもてなしですか」
王女「なかなか味わえないわよ」
姉「楽しみですね」
王女「この国はね、良質の茶葉が取れるの」
姉「名産品ですか」
160: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 15:18:51 ID:bP9Lvgm.
王女「そう。あなたの国にはないものだと思うわ」
姉「楽しみです」
王女「お昼時にテラスで優雅なティータイム。悪くないでしょう?」
姉「私まで貴族になった気分です」
王女「うふふ。面白いわね、あなた」
姉「それにしても、周りは都会の街並みなんですね」
王女「ビルが多いでしょう。せっかくの景観がぶち壊しだわ」
161: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 15:23:45 ID:bP9Lvgm.
姉「都会の真ん中にお城がある方がおかしいと思いますが」
王女「とは言っても、築1000年よ」
姉「なんとまあ」
王女「歴史ある建物だから、ヘタにいじれないのよ」
姉「壊れたりしませんよね」
王女「耐震工事は万全よ。安心して」
姉「悪いことは言いません。引っ越しなさい」
王女「うふふ」
姉「あ、お茶とお菓子が運ばれてきましたね」
王女「いただきましょうか」
162: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 15:28:03 ID:bP9Lvgm.
姉「むっ、……これは絶品ですね」
王女「そうでしょう」
姉「妹にも食べさせてあげたいです」
王女「向こうにも同じものを運ばせてあるわ」
姉「さすが王女。おみそれました」
王女「大切なお客様だもの」
姉「胡散臭いですね」
王女「あらあら」
姉「私たちのような旅行者など、珍しくもないでしょうに」
王女「そうね」
163: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 15:30:55 ID:bP9Lvgm.
姉「旅行者なら全員、こんな風にもてなすんですか?」
王女「そんなわけないわ」
姉「私になにかお話が?」
王女「むしろあなたのお話を聞きたいんだけどね」
姉「虹を渡った話ですか」
王女「ええ、そうよ」
姉「それこそ、他の旅行者からいくらでも聞いているでしょう」
王女「ええ」
姉「ならば……」
164: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 15:33:08 ID:bP9Lvgm.
王女「でもね、あなたたちの場合は少し違うと思うのよ」
姉「なぜ?」
王女「さっきあなたは、旅行者が珍しくないと言ったわね」
姉「はい。事実でしょう」
王女「そう、事実よ」
姉「……?」
王女「確かに、あなたのような旅行者は珍しくないわ」
165: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 15:35:32 ID:bP9Lvgm.
姉「私のような……」
王女「でも、あなたの妹さんは」
姉「……」
王女「……ちょっと、違うわよね」
姉「……ふむ」
王女「どう?」
姉「そうかもしれませんね」
王女「あらあら、濁すわね」
姉「この姉にも、よくわからないことがあるのですよ」
王女「……」
姉「……」
166: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 15:38:28 ID:bP9Lvgm.
王女「なぜ彼女は、虹を渡れるのかしらね」
姉「……なんだかんだ言って」
王女「ええ」
姉「お姉ちゃんっ子ですからね」
王女「うふふ、そうみたいね」
姉「はい、可愛いものですよ」
王女「あなたを追いかけて来たのかしらね」
姉「そういうことになるんでしょうね」
王女「まあ、だとしても納得のいく答えではないわ」
167: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 15:41:29 ID:bP9Lvgm.
姉「私にはわかりません」
王女「あなた、楽しんでいるんでしょう?」
姉「何をですか」
王女「妹さんと共に、虹を渡ることを」
姉「……」
王女「どうなの?」
姉「……あの子は頼りないですからね」
王女「あらあら」
姉「教えることが多すぎて、それどころじゃないです」
王女「素直じゃないわね」
168: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 15:44:00 ID:bP9Lvgm.
姉「何にせよ、一言で片づきますよ」
王女「教えて」
姉「奇跡です。あの虹がくれた」
王女「まあ、ロマンチックね」
姉「ちょっと恥ずかしいです」
王女「素敵よ。愛の力ってやつかしら」
姉「そうとも言いますね」
王女「えらく自信満々に言うわね」
姉「両想いですから」
169: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 15:46:24 ID:bP9Lvgm.
王女「うふふ。憧れるわ」
姉「私から言わせれば、王女だって憧れの対象ですよ」
王女「私が?」
姉「いえ、王女という立場が」
王女「なぜ?」
姉「だって王女と言えば……」
王女「白馬に乗った王子様、って?」
姉「はい」
王女「あなた、やっぱりロマンチストだわ」
姉「ニヤニヤしないでください」
170: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 15:58:19 ID:bP9Lvgm.
王女「……そうね。この国について、少し話しましょうか」
姉「聞きたいと思っていました」
王女「この国にはね、臆病者が多いのよ」
姉「臆病者、ですか」
王女「ええ。遥か昔からの、国民性というやつかしらね」
姉「なるほど」
王女「例えばあなたの目の前に、二つの箱があるとするわ」
姉「……はい」
王女「片方には金銀財宝が」
171: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 16:02:28 ID:bP9Lvgm.
姉「太っ腹ですね」
王女「もう片方には、そうね。爆弾が入っているとしましょう」
姉「は、はあ」
王女「選ぶまで中身はわからないとすると、二分の一の確率であなたは死ぬわ」
姉「まあ、そうでしょうね」
王女「でも、どちらかを選ばなければならないの」
姉「……ふむ」
王女「あなたはどちらの箱を選ぶ? もちろん時間制限つきよ」
172: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 16:05:32 ID:bP9Lvgm.
姉「適当に選びますね。確率ですし」
王女「……だからあなたって好きよ」
姉「私にはそっちの気はありません」
王女「どの口が言うのかしら」
姉「それで?」
王女「……この国の人たちはね、臆病者だから。どちらも選べないのよ」
姉「しかし、時間制限があります」
王女「そう。結局タイムオーバーで死んじゃうの」
姉「……はい」
173: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 16:10:40 ID:bP9Lvgm.
王女「かつて、この国が戦争に巻き込まれたとき」
姉「はい」
王女「当時の国王は、民に言ったわ」
姉「なんと?」
王女「国を捨てるか国を守るかは、自分で選べと」
姉「……なるほど」
王女「そして、タイムオーバーよ」
姉「現状は?」
王女「今の世界は平和だからね。植民地なんてないわ」
姉「ふむふむ」
174: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 16:17:57 ID:bP9Lvgm.
王女「当時の高名な劇作家は、その様子についてこう述べた」
『自分の人生は自分が主役の物語のはずなのに、私たちは主役どころか舞台に立つことすらできない。演じられる芝居をただ見ているだけの観客だ』
姉「……ずいぶん悲観的ですね」
王女「でも、よくわかるわ」
姉「自分たちの臆病を嘆いていたのですかね」
王女「そうね。だからこそ、今の様な状況になってしまったのかもしれない」
175: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 16:22:11 ID:bP9Lvgm.
姉「今の様な?」
王女「その戦争が終わってしばらくたったころのことよ」
姉「はい」
王女「臆病な民たちは、とうとう何も選べなくなったの。自分では」
姉「自分では、ですか」
王女「なぜかは誰にもわからない。今も研究が続いているけど」
姉「得体の知れない力だとか言う気じゃないでしょうね」
王女「正にその通りよ」
姉「勘弁してください……」
176: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 16:41:26 ID:bP9Lvgm.
王女「臆病な民たちは、気づくと何かを選んでいるの」
姉「得体の知れない力によって?」
王女「ええ。今日の朝御飯から将来の進路、果ては結婚相手までね」
姉「……それはあなたも」
王女「例外じゃないわ」
姉「……なるほど」
王女「私、来年には結婚するのよ」
姉「なんとまあ、お早いですね」
王女「なかなか良い男よ」
姉「……良かったではないですか」
177: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 16:46:04 ID:bP9Lvgm.
王女「運が、良かったわ」
姉「……」
王女「相手も、同じことを思っているかもね」
姉「理不尽な話ですね」
王女「そうなのかしら」
姉「だって、そうでしょう」
王女「因果応報」
姉「……」
王女「結局、臆病な私たちが悪かったのよ」
姉「そうですか」
王女「私たちが、ほんの少しでも勇気を持っていれば……」
姉「……私たちをここに招いたのは、あなたの意志ですか?」
178: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 17:03:59 ID:bP9Lvgm.
王女「そうでもあり、そうではない」
姉「ふむ」
王女「あなたたちがこの国に来たのは……」
姉「何か意味がある、と」
王女「ええ」
姉「あなたはわかっているんでしょう?」
王女「なんとなく、だけど。あなたを見ているとわかってきたわ」
姉「……私も、今この国にいる間は」
王女「……」
姉「自分の意志で何かを選ぶことはできないんでしょうか」
179: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 17:06:58 ID:bP9Lvgm.
王女「それはないわ」
姉「そうなんですか?」
王女「だってあなたは強いもの」
姉「まあ、姉ですからね」
王女「守るべきものがいるから?」
姉「いいえ。支えてくれる人がいるからです」
王女「……ほんとうに、素敵ね。悔しいくらい」
姉「生来のカリスマ、いえ姉スマですね」
王女「うふふ。バカみたい」
姉「言ってくれますね……」
180: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 17:11:53 ID:bP9Lvgm.
王女「じゃあ、そうね」
姉「はい?」
王女「選んでもらおうかしら。この国の誰よりも強いあなたに」
姉「……選ぶ、とは」
王女「あなたの命と妹の命」
姉「……」
王女「二つに一つよ。簡単でしょう?」
姉「……今死ぬか、すぐ死ぬか選べ」
王女「あらあら、それは迷うわね」
姉「じゃあ、迷わないでいいように今すぐ死ね」
王女「落ち着いて?」
181: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 17:15:21 ID:bP9Lvgm.
姉「……」
王女「まだ、妹さんは無事よ」
姉「……」
王女「そして、妹さんを無事のままでいさせたいなら」
姉「……はあ」
王女「聡明なあなたなら、わかるわよね」
姉「人質ですか」
王女「人質だなんて、人聞きが悪いわ」
姉「つまらない冗談はやめてください」
王女「うふふ。……さあ、選びなさい」
姉「……」
王女「……」
姉「……私の命を選びます」
182: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 17:18:29 ID:bP9Lvgm.
王女「えっ?」
姉「私の命を選びます」
王女「……それは、あなたの妹の命を捨てるということだけど」
姉「ええ」
王女「……」
姉「なにか?」
王女「……わからないわね。大切な人なんでしょう」
姉「もちろんです」
王女「ならば、なぜ」
姉「愚問ですね。話になりません」
王女「教えなさい」
183: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 17:24:51 ID:bP9Lvgm.
姉「あなたは私たちのことを何も知らないでしょう」
王女「ええ。異国の旅行者ということぐらいね」
姉「だから話にならないのです」
王女「教えなさいと言っているでしょう」
姉「……」
王女「……」
姉「……私は、一度あの子を置いてけぼりにしているんですよ」
王女「……へえ」
姉「そのことがあの子をどれだけ苦しめたか、想像に難くないですが」
王女「……」
姉「この姉は、妹に同じ苦しみを与えるような真似を二度もしません」
184: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 17:28:14 ID:bP9Lvgm.
王女「……」
姉「置いていかれるということは、一人で死ぬことより何倍も辛いのです」
王女「……そうなの」
姉「それに私は誓ったんです。虹の麓で、妹に会ったときに」
王女「なんて?」
姉「もう二度と、この子を置いていったりはしない、と」
王女「……それが、どういう意味かわかってる?」
姉「はい。そして、不可能だということもわかってます」
185: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 17:32:27 ID:bP9Lvgm.
王女「……」
姉「……」
王女「もしも私に何かを選ぶ強さがあったなら」
姉「はい」
王女「私はきっと、大切な者の命を選んでいたと思うわ」
姉「姉としては落第点ですが、女としては及第点ですね」
王女「うふふ。……口が減らないわね、ほんとうに」
姉「で、結局どうするつもりですか」
王女「……そうね」
姉「まあどちらにしろ、あなたも道連れですがね」
186: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 17:37:13 ID:bP9Lvgm.
王女「……それじゃあ、私も選ぶことにするわ」
姉「あなたが?」
王女「誰も死なない世界を、私は選ぶ」
姉「……」
王女「これが私の、私たちの、この国の、勇気ある初めの一歩になることを願って」
姉「……はい」
王女「あなたの答えだわ」
姉「私の答えが、何か?」
王女「女としては落第点だけど、姉としては及第点だってこと」
187: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 17:42:16 ID:bP9Lvgm.
姉「……ずいぶん粋なことを言うのですね」
王女「うふふ。久しぶりに楽しかったわ」
姉「私は久しぶりにブチギレそうでしたよ」
王女「……あらあら」
姉「まあ、別にいいですけど」
王女「ありがとう。ほんとうに」
姉「……」
王女「さあ、扉を開けるといいわ」
姉「そうさせてもらいますよ」
王女「……最後に」
姉「何でしょうか」
188: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 17:46:07 ID:bP9Lvgm.
王女「今一度聞いてもいいかしら。あなたの名前を」
姉「……私に名前など必要ありませんよ」
王女「……」
姉「あの子の姉であるということ。それが私の存在証明です」
王女「……うふふ」
姉「……」
王女「ここは枝分かれの国」
姉「……」
189: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 17:51:10 ID:bP9Lvgm.
王女「あらゆる可能性の中から、たった一つを選ぶことができる場所」
姉「勇敢な国ですね」
王女「……あなたたちのおかげだわ」
姉「こちらこそ、お世話になりました」
王女「……選ばれた未来に、どうか幸多からんことを」
姉「私も祈りましょう。自分のために、この国のために」
王女「さようなら、勇敢なる選択者」
姉「それでは」
王女「……また、会う日まで」
姉「……さようなら」
190: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 17:55:19 ID:bP9Lvgm.
―虹の緑―
妹「今回はいっぱい観光できたねえ」
姉「ええ、そうですね」
妹「お城の料理もおいしかったし」
姉「ふふ。いもきゅんはやっぱりそれですか」
妹「いもきゅんって言うな」
姉「ごめんなさい」
妹「……えへへ」
姉「……どうしました?」
妹「ううん」
姉「……?」
妹「楽しいね、お姉ちゃん」
姉「……」
妹「ずっと、こうしていたいなあ……」
姉「……はい。ほんとうに」
191: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 17:58:23 ID:bP9Lvgm.
妹「……お姉ちゃん、そっちに行ってもいい?」
姉「おいで」
妹「うん」
姉「甘えん坊ですね、今日は」
妹「たまにはね。お姉ちゃんにサービスしないと」
姉「あら、私のためだったんですか?」
妹「……さあねっ」
姉「……」
妹「……」
姉「……妹ちゃん」
妹「なあに?」
姉「あなたの前には、たくさんの道があります」
妹「うん」
192: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 18:02:49 ID:bP9Lvgm.
姉「この虹のように、七つしかないというわけではありません」
妹「うん、そうだねえ」
姉「あなたはその中から、たった一つを選べますか?」
妹「……ううん、どうだろう」
姉「……」
妹「やっぱり、迷っちゃうよね」
姉「はい。それでいいんです」
妹「いいの?」
姉「さんざん迷って、それでも選んだ。そんな勇敢な自分を、誉めてやってください」
193: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/05(木) 18:06:27 ID:bP9Lvgm.
妹「……うん、そうする」
姉「はい」
妹「ねえ、お姉ちゃん」
姉「なんでしょう」
妹「そういえばさっきの国って、どんなところだったのかな」
姉「ああ……」
妹「お城以外は普通な感じだったけど」
姉「……それはですね」
妹「それは?」
姉「ふふ。……とっても、勇敢な国ですよ」
【枝分かれの国編】
―おわり―
195: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 18:19:28 ID:oLpUL1b6
姉「虹の紫色を渡ると、そこは宇宙空間でした」
妹「……」
姉「言葉がでませんね」
妹「うん」
姉「ここが、虹の終点なんでしょうか」
妹「そうなのかなあ」
姉「だとしたら少し、悲しいですね」
妹「どうして?」
姉「覚えていますか?」
妹「なあに」
姉「妹がまだ小さかったころ、おじいちゃんが亡くなりましたよね」
妹「うん」
196: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 18:26:15 ID:oLpUL1b6
姉「あなたはおじいちゃんによく懐いていました」
妹「そうだったねえ」
姉「泣いていましたよね、私の手を強く握って」
妹「……うん。何が悲しいのかわからないけど、とにかく悲しかったんだ」
姉「私だってあの時、泣きたかったんですよ」
妹「悲しくて?」
姉「いいえ」
妹「私のせい?」
姉「どうしてもあなたが泣き止まなかったものですから」
197: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 18:30:29 ID:oLpUL1b6
妹「えへへ。ごめんね」
姉「でもね、あなたはふと顔を上げて私に聞いたんです」
妹「……なんて聞いたんだっけ」
姉「おじいちゃんはどこに行ったの、と」
妹「あらら」
姉「あらら、じゃないですよ」
妹「仕方ないよ、子どもだったんだから」
姉「当時の私は、もう人の死について学んでいましたから」
妹「うん」
姉「どう答えたものか、と悩みました」
198: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 18:34:20 ID:oLpUL1b6
妹「それで、何て答えたの?」
姉「お決まりのセリフです」
妹「……」
姉「お空の向こうに行ったんですよ、と」
妹「……私は」
姉「あなたは、だから煙になったんだね、と更に激しく泣き出しました」
妹「……困った子だねえ」
姉「……それから、しばらくして」
妹「うん」
姉「学校の宿題で、将来の夢について書けと」
妹「あるね」
199: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 18:37:56 ID:oLpUL1b6
姉「あなたは私のところに来て、実に楽しそうに言いました」
妹「……思い出した」
姉「科学者になりたい」
妹「うん、そう言ったね」
姉「いきなりだったので驚きましたよ」
妹「だって、お姉ちゃんがああ言ったから」
姉「ロケットを作って、おじいちゃんに会いに行くの」
妹「だって、空の向こうって宇宙だもん……」
姉「ふふ。……この姉は、素敵な夢だと思いましたよ」
200: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 18:45:06 ID:oLpUL1b6
妹「……なんで私、忘れてたんだろ」
姉「あなたはいつか、気づいたんでしょう」
妹「なにに?」
姉「もう、おじいちゃんはどこにもいないと」
妹「……そっか」
姉「あなたも私も、たくさんの夢を持っていましたね」
妹「お姉ちゃんも?」
姉「はい」
妹「聞いていい?」
姉「……」
妹「……」
姉「……虹を架けたかったんです」
201: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 18:48:03 ID:oLpUL1b6
妹「虹を……」
姉「虹を見れば、あなたも泣き止むんじゃないか」
妹「私のために?」
姉「つまり、自分のために」
妹「……その夢は」
姉「果たして叶ったのか」
妹「……」
姉「あなた次第ですよ、妹ちゃん」
妹「私、次第」
姉「……はい」
妹「……わかんない」
姉「……はい」
202: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 18:51:16 ID:oLpUL1b6
妹「ねえ、お姉ちゃん」
姉「なんでしょう」
妹「お姉ちゃんは、私のこと好き?」
姉「もちろんです」
妹「世界で一番?」
姉「それくらいです」
妹「……大切?」
姉「ええ」
妹「……離れない?」
姉「……」
妹「……答えてよ」
姉「……ふふ」
203: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 18:55:44 ID:oLpUL1b6
妹「どうして笑うの」
姉「あなたは、私のこと好きですか?」
妹「大好きだよ」
姉「じゃあ、それでいいじゃないですか」
妹「よくないよ」
姉「過去は忘れます」
妹「……」
姉「未来はわかりません」
妹「……」
姉「今のお互いの気持ちを、何より大事にしましょう」
妹「……お姉ちゃん」
姉「今触れあえている時間を、何より大切にしましょう」
204: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 18:58:50 ID:oLpUL1b6
妹「お姉ちゃん」
姉「はい」
妹「お姉ちゃんはいつも、私のこと子ども扱いするよね」
姉「妹扱いしてます」
妹「それが子ども扱いなの」
姉「はあ」
妹「でもね、私だって、いろんなことを知ってるんだから」
姉「ほう、面白いことを言いますね」
妹「おじいちゃんがもうどこにもいないってことも、ちゃんと気づいたんだから」
205: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 19:03:50 ID:oLpUL1b6
姉「……」
妹「最近、お母さんが少しやつれてきてるのも」
姉「……」
妹「お父さんが、私に心配かけまいと強がってるのも」
姉「……妹ちゃん」
妹「……お姉ちゃんが、遠くに行ってしまうことだって」
姉「……」
妹「……私、わかってるんだから」
妹「……子どもじゃないもん」
妹「お姉ちゃんに、会いたかったけど」
妹「……我慢したんだよ?」
妹「お母さんとお父さんを困らせたくないから」
206: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 19:08:31 ID:oLpUL1b6
妹「……寂しいことにも、慣れたんだよ?」
妹「だって、お姉ちゃんも一人で頑張ってるんだから」
妹「……ねえ、お姉ちゃん」
妹「……」
妹「……お姉ちゃん?」
妹「お姉ちゃん、私のことを誉めてよ」
妹「……好きだって言って、抱きしめてよ」
妹「お姉ちゃん……」
妹「……苦しいよ」
妹「……一人じゃ、息もできないんだね」
妹「お姉ちゃん……」
妹「……」
妹「……どこにいるの、お姉ちゃん」
妹「助けてよ……」
207: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 19:12:52 ID:oLpUL1b6
―虹の紫―
妹「……虹が、架かってる」
姉「綺麗でしょう?」
妹「……お姉ちゃん」
姉「ここにいますよ」
妹「お姉ちゃん」
姉「……強くなりましたね」
妹「……」
姉「しばらく見ない間に、あなたはとても大きくなりました」
妹「……」
姉「この姉は、とても嬉しく思います」
妹「本当に、そう思ってる?」
姉「はい」
208: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 19:17:04 ID:oLpUL1b6
妹「……そっか」
姉「そして私は、あなたの姉であることを誇らしく思います」
妹「……うん」
姉「もう、何も心配はありません」
妹「……ちがうよ」
姉「どうして?」
妹「まだ、一人じゃ歩けないもん」
姉「一人で歩く必要などありませんよ」
妹「……」
姉「助け合って生きなさい。一人は、寂しいですからね」
妹「……」
姉「……」
209: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 19:19:42 ID:oLpUL1b6
妹「お姉ちゃんは……」
姉「はい」
妹「……」
姉「……」
妹「ううん、なんでもない」
姉「はい、そうだろうと思いました」
妹「お姉ちゃん、私のこと好き?」
姉「はい、好きですよ」
妹「大好き?」
姉「はい」
妹「愛してる?」
姉「愛しています」
妹「えへへ、ありがとう」
姉「いいえ、お礼を言われるようことではありませんよ」
210: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 19:23:59 ID:oLpUL1b6
妹「それじゃあ、ね? お姉ちゃん」
姉「はい」
妹「……とどめを刺して、この夢に」
姉「……」
妹「もう、いいの。もう、大丈夫だから」
姉「……」
妹「……」
姉「……ふふ」
妹「……?」
姉「なぜ、夢だと?」
妹「……だって」
姉「はい」
妹「宇宙に、こんなに綺麗な虹が架かるわけないでしょ?」
姉「……ふむ」
211: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 19:29:19 ID:oLpUL1b6
妹「そのくらい、私にだってわかるよ」
姉「……」
妹「だから、ね」
姉「……スターボウ」
妹「……えっ?」
姉「星虹とも訳されるそれは、正に宇宙に架かる虹です」
妹「星の、虹……?」
姉「そう。綺羅星が見せる虹です」
妹「うそ……」
姉「……理論上の話です。現代の科学力では、到底ムリですね」
妹「でも、あるんだ……」
212: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 19:33:22 ID:oLpUL1b6
姉「あなたが信じれば、きっと架かりますよ」
妹「……私、次第」
姉「はい。あなたが実現させればいい」
妹「私が……」
姉「夢から覚めたら、あとは叶えるだけです。ね?」
妹「お姉ちゃん……」
姉「そしていつか渡りましょう。二人で、一緒に」
妹「……約束してくれる?」
姉「はい、もちろんです」
妹「じゃあ、私、がんばってみるよ」
213: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 19:37:47 ID:oLpUL1b6
姉「でも、忘れないでくださいね」
妹「なあに?」
姉「あなたという太陽がそばにいれば、私の前にはいつでも虹が架かります」
妹「うん」
姉「あなたにとってのこの姉も、そういう存在になりたいんです」
妹「……もう、なってる。なってるよ」
姉「ふふ。……それはよかったです」
214: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 19:38:18 ID:oLpUL1b6
妹「ありがとう、お姉ちゃん」
姉「いいえ」
妹「大好き、お姉ちゃん」
姉「はい」
妹「……さようなら、お姉ちゃん」
姉「……はい」
姉「またね、妹ちゃん」
【虹の終わりの国編】
―おわり―
215: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 19:41:18 ID:oLpUL1b6
………
……
…
「……」
妹「……」
「……おはようございます」
妹「……ん」
「ふふ、起きましたか」
妹「……お姉、ちゃん」
姉「はい、お姉ちゃんですよ」
妹「お姉ちゃん」
姉「はい」
216: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 19:44:07 ID:oLpUL1b6
妹「お姉ちゃん。お姉ちゃん」
姉「ちょっ、どうしたんですか?」
妹「お姉ちゃん、お姉ちゃんだよね?」
姉「はっ、はい。お姉ちゃんですよ」
妹「……夢じゃないんだ」
姉「退院したばかりですからね、まだ実感がわきませんか?」
妹「お姉ちゃん……」
姉「朝から甘えん坊ですね」
妹「お姉ちゃん、なんでこの部屋に?」
217: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 19:45:15 ID:oLpUL1b6
姉「なんでって、妹におはようのチュウをチュウチュウしようと」
妹「……よかった。このヘン夕イっぷりはお姉ちゃんだ」
姉「そこで判断されても困りますが」
妹「お姉ちゃん、もっとくっついて……」
姉「チュウチュウしましょうか」
妹「それはダメ」
姉「な、なぜ」
妹「寝起きは口臭が気になるから」
姉「私はむしろそれが……」
218: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 19:49:23 ID:oLpUL1b6
妹「ああ、この癖になるヘン夕イっぷりはお姉ちゃんだ」
姉「私、そんなにヘン夕イですかね……」
妹「……」
姉「……」
妹「……」
姉「……おや」
妹「なあに?」
姉「妹ちゃん、窓の外を見てください」
妹「……あれは」
姉「虹、ですね」
妹「そうだねえ」
姉「神秘的で、壮大で、とても綺麗です」
妹「うん」
姉「覚えていますか?」
219: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 19:53:50 ID:oLpUL1b6
妹「うん?」
姉「昔はよく、二人で虹を作ろうとがんばってましたね」
妹「そうだったねえ」
姉「虹の麓を探そうと、あちこち探検もしましたね」
妹「……うん」
姉「……今でも私、虹が好きですよ」
妹「もちろん、私もだよ」
姉「はい」
妹「ねえ、お姉ちゃん」
姉「なんでしょう」
妹「……いつか、虹を架けよう」
姉「……」
220: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 19:57:53 ID:oLpUL1b6
妹「そして渡ろうよ。二人で一緒に、離れないように」
姉「……素敵ですね」
妹「今度はどこに行こうかなあ。会いたい人も、いっぱいいるんだよ」
姉「行き先は、ね」
妹「……えへへ」
姉「決めてくれるでしょう、虹が」
妹「連れて行ってくれるよね、私たちを」
姉「七色の――」
妹「――まにまに」
おわり
222: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/06(金) 20:59:44 ID:mUEb/dKk
乙
こういうSS貴重だと思うわ
こういうSS貴重だと思うわ
225: 以下、名無しが深夜にお送りします 2012/07/25(水) 04:05:24 ID:TsXykMkw
なんだかよく分からんが、涙が出てくる
乙
乙
引用元: 姉「七色の」妹「まにまに」
友「このクラスの四組のカップル」 女「全員女子!」
2019-11-28
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 16:31:47.88 ID:bWl4bpN/0
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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 16:34:06.63 ID:bWl4bpN/0
女「このクラスには百合カップルが多い」
友「別にそんなことないと思うが」
女「私が知ってるだけでも四組いる」
友「そんなにいるのか」
女「そのなかの一組は私たちです」
友「は?」
女「イカれたメンバー紹介するぜ!」
友「おいちょっと待て」
友「別にそんなことないと思うが」
女「私が知ってるだけでも四組いる」
友「そんなにいるのか」
女「そのなかの一組は私たちです」
友「は?」
女「イカれたメンバー紹介するぜ!」
友「おいちょっと待て」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 16:36:12.55 ID:bWl4bpN/0
女「なんすか」
友「誰がカップルだ」
女「え?友ちゃんってレズで私の事好きなんじゃないの?」
友「どうしてそうなった」
女「ま、まさかノンケ……」
友「当たり前だろ」
女「まあそんな友ちゃんも私と愉快な仲間たちによってじょじょにレズ化していくので問題ないです」
友「問題しかない」
女「じゃあ改めて……イカれたメンバー紹介するぜッ!」
友「誰がカップルだ」
女「え?友ちゃんってレズで私の事好きなんじゃないの?」
友「どうしてそうなった」
女「ま、まさかノンケ……」
友「当たり前だろ」
女「まあそんな友ちゃんも私と愉快な仲間たちによってじょじょにレズ化していくので問題ないです」
友「問題しかない」
女「じゃあ改めて……イカれたメンバー紹介するぜッ!」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 16:40:58.41 ID:bWl4bpN/0
女「まずは眼鏡ちゃん」
眼鏡「な、なんですか?」
友「眼鏡ちゃんは別にレズじゃないだろ、頭いいし」
女「ふふふ、頭がいい=ノンケではないのだよ勉強しなおせノンケ頭!」
友「なんだノンケ頭って」
眼鏡「さっきから何の話ですか?」
女「眼鏡ちゃんがレズかどうかってはなし」
眼鏡「レッ……!?そんなわけないじゃないですか!」
友「ほら本人も否定してる」
女「いいや口ではそう言っても可愛い私がこうやって手を握れば……」ギュッ
眼鏡「……」
女「無反応っ!?」
友「可愛い私ってwwwwww」
女「いうなっ!」
友「まあ眼鏡ちゃんはレズじゃないってこった」
低身長「なにやってるのー?」
眼鏡「な、なんですか?」
友「眼鏡ちゃんは別にレズじゃないだろ、頭いいし」
女「ふふふ、頭がいい=ノンケではないのだよ勉強しなおせノンケ頭!」
友「なんだノンケ頭って」
眼鏡「さっきから何の話ですか?」
女「眼鏡ちゃんがレズかどうかってはなし」
眼鏡「レッ……!?そんなわけないじゃないですか!」
友「ほら本人も否定してる」
女「いいや口ではそう言っても可愛い私がこうやって手を握れば……」ギュッ
眼鏡「……」
女「無反応っ!?」
友「可愛い私ってwwwwww」
女「いうなっ!」
友「まあ眼鏡ちゃんはレズじゃないってこった」
低身長「なにやってるのー?」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 16:46:03.01 ID:bWl4bpN/0
眼鏡「あっ……低身長さん……」
低身「あっ!眼鏡ちゃん!」
低身「この前はありがとうー!眼鏡ちゃんが勉強教えてくれたおかげで
この前のテストいい点とれたよ!」
眼鏡「ど……どういたしまして///」
低身「ほんとにありがとー!こんどなにか奢るよ!」ギュッ
眼鏡「そ、それはどうもです……///」
眼鏡(手、手が……///)
女「……」
友「……」
女「……ね?」
友「どうやら私が間違っていたようだな……」
女「自論が立証されたはずなのになぜだか悔しい……」
低身「あっ!眼鏡ちゃん!」
低身「この前はありがとうー!眼鏡ちゃんが勉強教えてくれたおかげで
この前のテストいい点とれたよ!」
眼鏡「ど……どういたしまして///」
低身「ほんとにありがとー!こんどなにか奢るよ!」ギュッ
眼鏡「そ、それはどうもです……///」
眼鏡(手、手が……///)
女「……」
友「……」
女「……ね?」
友「どうやら私が間違っていたようだな……」
女「自論が立証されたはずなのになぜだか悔しい……」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 16:52:03.73 ID:bWl4bpN/0
女「さあ次」
友「うん」
女「紹介したいんだけどどこにいるかな」
女「あ、いた」
女「おーい!無口ちゃん!」
無口「」ビクッ
女「こんちは」ペコッ
無口「」ペコッ
女「今日彼女さんは?」
無口「」ゴニョゴニョ
女「あ、もうすぐ来るの」
友「え?彼女って……」
高身長「トイレから帰ってきたら人が増えていたの巻」
女「あ、高身長さんこんにちはー」
高身「はいこんにちはー」
女「二人は正式に付き合ってるそうです」
友「なんと」
無口「」コウシンチョウノウシロニカクレル
高身「ごめんねー、この子あんまり人付き合い得意じゃないみたいだから……
でもみんなといるのは好きみたいだから仲良くしてあげてね」
無口「」コク
友「いい感じなカップルだな」
女「でも実は毎日のようにヤッてへぶしっ!」
高身「あらごめんなさい、手がすべっちゃって」
友「お前も口の滑りには気をつけろ」
女「はい……」
友「うん」
女「紹介したいんだけどどこにいるかな」
女「あ、いた」
女「おーい!無口ちゃん!」
無口「」ビクッ
女「こんちは」ペコッ
無口「」ペコッ
女「今日彼女さんは?」
無口「」ゴニョゴニョ
女「あ、もうすぐ来るの」
友「え?彼女って……」
高身長「トイレから帰ってきたら人が増えていたの巻」
女「あ、高身長さんこんにちはー」
高身「はいこんにちはー」
女「二人は正式に付き合ってるそうです」
友「なんと」
無口「」コウシンチョウノウシロニカクレル
高身「ごめんねー、この子あんまり人付き合い得意じゃないみたいだから……
でもみんなといるのは好きみたいだから仲良くしてあげてね」
無口「」コク
友「いい感じなカップルだな」
女「でも実は毎日のようにヤッてへぶしっ!」
高身「あらごめんなさい、手がすべっちゃって」
友「お前も口の滑りには気をつけろ」
女「はい……」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 16:56:41.80 ID:bWl4bpN/0
女「次が最後なんだけど……」
友「どうした」
女「非常に危険」
友「というと」
女「最悪の場合死に至る」
友「まじか」
女「少なくとも防弾チョッキは着ておいたほうがいいぜ」
友「これから私たちはどこは行くんだ。戦争か」
女「いた」
ショートカット「ん?どうしたの?」
女「こんにちは」
ショート「うん久しぶりー」
女「久しぶりって昨日あったじゃん」
ショート「うんなんか雰囲気で」
友(別にどこも危険そうじゃないが……)
シュッ
友「!?」
友「どうした」
女「非常に危険」
友「というと」
女「最悪の場合死に至る」
友「まじか」
女「少なくとも防弾チョッキは着ておいたほうがいいぜ」
友「これから私たちはどこは行くんだ。戦争か」
女「いた」
ショートカット「ん?どうしたの?」
女「こんにちは」
ショート「うん久しぶりー」
女「久しぶりって昨日あったじゃん」
ショート「うんなんか雰囲気で」
友(別にどこも危険そうじゃないが……)
シュッ
友「!?」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 17:09:52.31 ID:bWl4bpN/0
友「ナンカホウチョウガトンデキタンデスケド」
ポニテ「ショートちゃーん?」
ショート「あ、ポニテちゃん」
女「友ちゃん!避難準備!」
ポニテ「女ちゃんと何話してたの……」
ショート「普通に久しぶりーって」
ポニテ「ほんと?ほんとに?嘘ついてないよね?まさか女ちゃんと
私より仲良くなったなんてそんなことないよね?」
ショート「うん。大丈夫だよ」
ポニテ「いい?ショートちゃんを一番よく知ってるのは私なの。私は
ショートちゃんだけを見てるの。だからショートちゃんにも私の事だけ
見ててもらいたい。だからほかに誰かがよりついてきても私よりほかの誰かを
見ているなんてことしないでね。ショートちゃんはいい子だからそんなことはしないと
思うけど。でももし私たちを邪魔する人がいたら私が消してあげるから……」
ポニテ「わかった?」
ショート「ごめん、早口でよくわかんなかった」
ポニテ「ならもう一度最初から言うわね。いい?ショートちゃんを(ry」
友「なるほどこれは危険だ……」
女「そういうわけだ。退散!」
ポニテ「まって女さん、ショートちゃんとどういう関係なのか、何を話してるのかしっかり教えてもらいたいんだけど……」
女「うわっ!助けて友ちゃん!」
女「っていないし!」
ポニテ「ショートちゃーん?」
ショート「あ、ポニテちゃん」
女「友ちゃん!避難準備!」
ポニテ「女ちゃんと何話してたの……」
ショート「普通に久しぶりーって」
ポニテ「ほんと?ほんとに?嘘ついてないよね?まさか女ちゃんと
私より仲良くなったなんてそんなことないよね?」
ショート「うん。大丈夫だよ」
ポニテ「いい?ショートちゃんを一番よく知ってるのは私なの。私は
ショートちゃんだけを見てるの。だからショートちゃんにも私の事だけ
見ててもらいたい。だからほかに誰かがよりついてきても私よりほかの誰かを
見ているなんてことしないでね。ショートちゃんはいい子だからそんなことはしないと
思うけど。でももし私たちを邪魔する人がいたら私が消してあげるから……」
ポニテ「わかった?」
ショート「ごめん、早口でよくわかんなかった」
ポニテ「ならもう一度最初から言うわね。いい?ショートちゃんを(ry」
友「なるほどこれは危険だ……」
女「そういうわけだ。退散!」
ポニテ「まって女さん、ショートちゃんとどういう関係なのか、何を話してるのかしっかり教えてもらいたいんだけど……」
女「うわっ!助けて友ちゃん!」
女「っていないし!」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 17:13:21.56 ID:bWl4bpN/0
女「殺されかけたんですけど」
友「おお、生きてたか」
女「以上で全カップルとなります」
友「いや本当に三組もいるのか……」
女「四組」
友「三組」
友「おお、生きてたか」
女「以上で全カップルとなります」
友「いや本当に三組もいるのか……」
女「四組」
友「三組」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 17:18:32.41 ID:bWl4bpN/0
朝
友「さて、今日も学校にいくか」
女「おはよう!友ちゃん!」
友「……」スタスタ
女「無視っ!?」
友「はぁ……家が隣りじゃなければ毎朝出会うこともないのに……」
女「酷いよ!」
友「冗談だよ、さっさと行くぞ」
女「よし!じゃあ、手をつないでいこう!」
友「死んでも嫌だ」
女「やっぱり酷い!」
友「さて、今日も学校にいくか」
女「おはよう!友ちゃん!」
友「……」スタスタ
女「無視っ!?」
友「はぁ……家が隣りじゃなければ毎朝出会うこともないのに……」
女「酷いよ!」
友「冗談だよ、さっさと行くぞ」
女「よし!じゃあ、手をつないでいこう!」
友「死んでも嫌だ」
女「やっぱり酷い!」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 17:47:08.90 ID:bWl4bpN/0
低身「ねぇ、眼鏡ちゃん」
眼鏡「な、なんですか?」
低身「眼鏡ちゃんはその……付き合ってる人とかいるの?」
眼鏡「えっ!?な、なんですか急に」
低身「わたし知ってるよ、眼鏡ちゃんがずっと私を見てること……」
眼鏡「そ、そんな……」
低身「私も眼鏡ちゃんのこともっと知りたいな……」
眼鏡「ちょ、どこ触って……ンッ///」
低身「可愛いよ……眼鏡ちゃん……」
眼鏡「という夢を見たのさ」
眼鏡「な、なんですか?」
低身「眼鏡ちゃんはその……付き合ってる人とかいるの?」
眼鏡「えっ!?な、なんですか急に」
低身「わたし知ってるよ、眼鏡ちゃんがずっと私を見てること……」
眼鏡「そ、そんな……」
低身「私も眼鏡ちゃんのこともっと知りたいな……」
眼鏡「ちょ、どこ触って……ンッ///」
低身「可愛いよ……眼鏡ちゃん……」
眼鏡「という夢を見たのさ」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 17:55:06.12 ID:bWl4bpN/0
眼鏡「うう……変な夢を見てしまったせいで学校に行きづらいです……」
低身「おっはよー眼鏡ちゃん!」
眼鏡「うひゃあぁ!?」ビクゥッ
低身「あはは、なにそれ新しい挨拶?」
眼鏡「きゅ、急に話しかけないでくださいよ……///」
低身「ごめんごめん、はやくがっこいこー」
低身「眼鏡ちゃんは今日も可愛いね!」
眼鏡「ひゃい!?かわいい!?」
低身「さぁーレッツごー!」
眼鏡(か、可愛いって……///)
眼鏡(私なんかより低身長ちゃんのほうがよっぽど可愛いのに……///)カァァ
低身「?」
低身「おっはよー眼鏡ちゃん!」
眼鏡「うひゃあぁ!?」ビクゥッ
低身「あはは、なにそれ新しい挨拶?」
眼鏡「きゅ、急に話しかけないでくださいよ……///」
低身「ごめんごめん、はやくがっこいこー」
低身「眼鏡ちゃんは今日も可愛いね!」
眼鏡「ひゃい!?かわいい!?」
低身「さぁーレッツごー!」
眼鏡(か、可愛いって……///)
眼鏡(私なんかより低身長ちゃんのほうがよっぽど可愛いのに……///)カァァ
低身「?」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 18:01:15.20 ID:bWl4bpN/0
高身「おはよう」
無口「うんおはよう」
高身「いい天気だねー」
無口「そーだね」
高身「どう?人見知りなおりそう?」
無口「いや、全然……でもいいクラスだよね。やさしい人多いし。女さんとか」
高身「はやく他の皆とも私と同じくらい話せるようになろうね!」
無口「あの……高身長ちゃん……」
高身「ん?なに?」
無口「ありがとう……私なんかのために」
高身「うふふ、どういたしまして」
無口「うんおはよう」
高身「いい天気だねー」
無口「そーだね」
高身「どう?人見知りなおりそう?」
無口「いや、全然……でもいいクラスだよね。やさしい人多いし。女さんとか」
高身「はやく他の皆とも私と同じくらい話せるようになろうね!」
無口「あの……高身長ちゃん……」
高身「ん?なに?」
無口「ありがとう……私なんかのために」
高身「うふふ、どういたしまして」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 18:04:34.19 ID:bWl4bpN/0
ショート「今朝の私はさえている」
ショート「裏口から家を出ることにしたのさ!そりゃあ!」
ポニテ「おはよう^ ^」
ショート「」
ショート「裏口から家を出ることにしたのさ!そりゃあ!」
ポニテ「おはよう^ ^」
ショート「」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 18:12:55.30 ID:bWl4bpN/0
ショート「なんで家の裏口の前にいるのさ……」
ポニテ「偶然よ」
ショート「ソウカーグウゼンナラシカタガナイ」
ポニテ「さ、学校にいきましょうか」ジャラジャラ
ショート「なにそのじゃらじゃらしたの」
ポニテ「ショートちゃんのために持ってきたのよ」つ手錠
ショート「おお!かっこいい!つけてみて!」
ポニテ「言われなくてもそうするつもりだった」ガチャン
ショート「なんで片方だけなの?」
ポニテ「もう片方は私につけるの」ガチャン
ポニテ「これでいつでも一緒ね」
ショート「あっ……」
ポニテ「ちなみに鍵は私が持ってるから」
ショート(軽いノリだったのになかなか危険な状態になってる……)
ポニテ「偶然よ」
ショート「ソウカーグウゼンナラシカタガナイ」
ポニテ「さ、学校にいきましょうか」ジャラジャラ
ショート「なにそのじゃらじゃらしたの」
ポニテ「ショートちゃんのために持ってきたのよ」つ手錠
ショート「おお!かっこいい!つけてみて!」
ポニテ「言われなくてもそうするつもりだった」ガチャン
ショート「なんで片方だけなの?」
ポニテ「もう片方は私につけるの」ガチャン
ポニテ「これでいつでも一緒ね」
ショート「あっ……」
ポニテ「ちなみに鍵は私が持ってるから」
ショート(軽いノリだったのになかなか危険な状態になってる……)
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 18:19:20.92 ID:bWl4bpN/0
女「ついたぜ……学校だ」
友「なんだそのノリ」
ポニテ「二人ともおはよう」
ショート「お、おはよう……」
友「ゲッ」
女「おはようございますです」
女「ってどしたのその手錠」
ポニテ「私たち二人の愛の証です」
ショート「なんか勝手につけられた」
友「どうしてそうなった……」
ショート「朝手錠を差し出されて面白半分でつけた結果がこれだよ!」
友「いや手錠を出された時点で警戒しろよ!」
友「なんだそのノリ」
ポニテ「二人ともおはよう」
ショート「お、おはよう……」
友「ゲッ」
女「おはようございますです」
女「ってどしたのその手錠」
ポニテ「私たち二人の愛の証です」
ショート「なんか勝手につけられた」
友「どうしてそうなった……」
ショート「朝手錠を差し出されて面白半分でつけた結果がこれだよ!」
友「いや手錠を出された時点で警戒しろよ!」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 18:26:59.90 ID:bWl4bpN/0
女「ねえ友ちゃん」
友「断る」
女「まだ何も言ってない!」
友「どうせろくでもないことだろ……」
女「そんなことない。とても重要なことです」
友「言ってみろ」
女「私たちも手錠つけてみない?」
友「ろくでもないことじゃねえか」
女「いいじゃんたまには」
友「それ仮に私に許可とれたとしてつける手錠があるのか?」
女「そこに気付くとはやはり天才か……」
友「あきらめろ」
女「手錠ってどこで売ってるんだろう」
友「おい」
友「断る」
女「まだ何も言ってない!」
友「どうせろくでもないことだろ……」
女「そんなことない。とても重要なことです」
友「言ってみろ」
女「私たちも手錠つけてみない?」
友「ろくでもないことじゃねえか」
女「いいじゃんたまには」
友「それ仮に私に許可とれたとしてつける手錠があるのか?」
女「そこに気付くとはやはり天才か……」
友「あきらめろ」
女「手錠ってどこで売ってるんだろう」
友「おい」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 18:38:55.31 ID:bWl4bpN/0
低身「おっはよう」
無口「」ペコッ
高身「どうもー」
眼鏡(可愛いって……低身長ちゃんが私の事可愛いって……)
高身「どうしたの眼鏡ちゃん顔赤いよ?」
眼鏡「そっ、そうですか……?」
低身「わー本当だ!よくみたら真っ赤だ!大丈夫?熱あるんじゃない?」
低身「熱計ってあげるよ!」オデココツン
眼鏡「!?!?!?!?」
眼鏡(近い近い近い近い近い近い近い近い)カァァァ
低身「うん、大丈夫そ……なんかみるみる熱くなっていってるよ!?」
眼鏡「」バタッ
低身「うわ!眼鏡ちゃん!大丈夫!?」
高身「ほほえましいですなあ」
無口「」アキレ
無口「」ペコッ
高身「どうもー」
眼鏡(可愛いって……低身長ちゃんが私の事可愛いって……)
高身「どうしたの眼鏡ちゃん顔赤いよ?」
眼鏡「そっ、そうですか……?」
低身「わー本当だ!よくみたら真っ赤だ!大丈夫?熱あるんじゃない?」
低身「熱計ってあげるよ!」オデココツン
眼鏡「!?!?!?!?」
眼鏡(近い近い近い近い近い近い近い近い)カァァァ
低身「うん、大丈夫そ……なんかみるみる熱くなっていってるよ!?」
眼鏡「」バタッ
低身「うわ!眼鏡ちゃん!大丈夫!?」
高身「ほほえましいですなあ」
無口「」アキレ
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 18:46:59.80 ID:bWl4bpN/0
昼
女「餓死しそう」
友「は?」
女「そんなこんなでもうお昼」
友「次にお前はお弁当一緒に食べようという」
女「お弁当一緒に食べよう……ハッ!?」
友「嫌だ」
女「自分から言わせておいてなんだ!?」
友「少なくともお前と二人きりは嫌だ」
女「ぐぬぬ……誰か適当に誘おう」
女「餓死しそう」
友「は?」
女「そんなこんなでもうお昼」
友「次にお前はお弁当一緒に食べようという」
女「お弁当一緒に食べよう……ハッ!?」
友「嫌だ」
女「自分から言わせておいてなんだ!?」
友「少なくともお前と二人きりは嫌だ」
女「ぐぬぬ……誰か適当に誘おう」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/10(金) 19:02:42.45 ID:bWl4bpN/0
ポニテ「はい、あーん」
ショート「あーん」
女「あそこにラブラブがいますね」
友「おい割り込むな殺されるぞ」
女「命は大切にすべきだ……」
ショート「女ちゃんたち何してんの?」
女・友「うげっ」
ポニテ「なにか用……?」
女「い、いやぁ、お弁当、一緒に食べようか、なんて……、はは……」
ショート「別にいいけど」
女「いや、問題はショートちゃんじゃなくて……」
ポニテ「私はショートちゃんがいいならそれでいいけど……」
友「いいのかッ!?」
ポニテ「二人がショートちゃんの半径1メートルにはいらないのと、私たちとの会話に割って入ってこないのと、
ショートちゃんを誘惑しないのと、私の怒りをかってなにかされても文句言わないのと、あと……」
女・友「失礼しましたー……」ソソクサ
ショート「あーん」
女「あそこにラブラブがいますね」
友「おい割り込むな殺されるぞ」
女「命は大切にすべきだ……」
ショート「女ちゃんたち何してんの?」
女・友「うげっ」
ポニテ「なにか用……?」
女「い、いやぁ、お弁当、一緒に食べようか、なんて……、はは……」
ショート「別にいいけど」
女「いや、問題はショートちゃんじゃなくて……」
ポニテ「私はショートちゃんがいいならそれでいいけど……」
友「いいのかッ!?」
ポニテ「二人がショートちゃんの半径1メートルにはいらないのと、私たちとの会話に割って入ってこないのと、
ショートちゃんを誘惑しないのと、私の怒りをかってなにかされても文句言わないのと、あと……」
女・友「失礼しましたー……」ソソクサ
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:43:35.41 ID:2f283UX10
低身「眼鏡ちゃーん」
眼鏡「あっ、低身長さん......///」
低身「お弁当食べようよー」
眼鏡「はい......」
眼鏡 (うぅ......今朝のことをまだ引きずってしまってます......)
眼鏡(どうして女の子なんて好きになってしまったのでしょう......)
眼鏡(まえまでは別に普通だったのに......)
眼鏡「あっ、低身長さん......///」
低身「お弁当食べようよー」
眼鏡「はい......」
眼鏡 (うぅ......今朝のことをまだ引きずってしまってます......)
眼鏡(どうして女の子なんて好きになってしまったのでしょう......)
眼鏡(まえまでは別に普通だったのに......)
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 20:52:10.92 ID:2f283UX10
低身「眼鏡ちゃんどうしたの?」
眼鏡「あっ......いえ......」
眼鏡(正直辛いです......自分の気持ちを無理矢理押さえつけて......)
眼鏡(これはもう告白してしまっほうが楽なんじゃ......)
眼鏡「......」
眼鏡「て、低身長さん」
低身「なにー?」
眼鏡「あ、あの実は......」
眼鏡「私......低身長さんのことが......///」
女「オッス!オラ悟空!」ザッ
低身「あ、女ちゃんと友ちゃん」
眼鏡「」
眼鏡「あっ......いえ......」
眼鏡(正直辛いです......自分の気持ちを無理矢理押さえつけて......)
眼鏡(これはもう告白してしまっほうが楽なんじゃ......)
眼鏡「......」
眼鏡「て、低身長さん」
低身「なにー?」
眼鏡「あ、あの実は......」
眼鏡「私......低身長さんのことが......///」
女「オッス!オラ悟空!」ザッ
低身「あ、女ちゃんと友ちゃん」
眼鏡「」
31: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:00:49.58 ID:2f283UX10
女「一緒に食べよー」
低身「うんいいよーね?眼鏡ちゃん」
眼鏡「はい、まあ......」
女「ところで友ちゃん」
友「何」
女「実は重大発表があります!タンタカターン!」
友「えーと、耳栓どこやったっけな......」
女「おい!」
友「なんだよ......」
女「なんと!私が友ちゃんのためにお弁当をつくってきました!」
友「えっ」
女「がんばってつくったから味わって食べてね!」
友「いや自分のあるんだけど」
女「えっ」
友「えっ」
低身「うんいいよーね?眼鏡ちゃん」
眼鏡「はい、まあ......」
女「ところで友ちゃん」
友「何」
女「実は重大発表があります!タンタカターン!」
友「えーと、耳栓どこやったっけな......」
女「おい!」
友「なんだよ......」
女「なんと!私が友ちゃんのためにお弁当をつくってきました!」
友「えっ」
女「がんばってつくったから味わって食べてね!」
友「いや自分のあるんだけど」
女「えっ」
友「えっ」
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:16:38.70 ID:2f283UX10
女「まあ、友ちゃんは大食いであるから大丈夫だよね!」
友「弁当二つも食えるかアホ」
眼鏡「人間四人に弁当五つ」
低身「困ったね」
女「もう!友が自分のお弁当なんて持ってくるからいけないんだよ!」
友「酷い言いがかりだ......」
低身「どーするのー?」
女「ようし!ここは大食い競争としゃれこもうか!」
友「やだよ」
女「だめ!強制参加!」
友「めんどくせーな......」
女「ルールは簡単!自分のお弁当を早く食べて最後まで残った人が負け!
負け人は罰ゲームとしてこのお弁当を食べてもらいます」
友「弁当二つも食えるかアホ」
眼鏡「人間四人に弁当五つ」
低身「困ったね」
女「もう!友が自分のお弁当なんて持ってくるからいけないんだよ!」
友「酷い言いがかりだ......」
低身「どーするのー?」
女「ようし!ここは大食い競争としゃれこもうか!」
友「やだよ」
女「だめ!強制参加!」
友「めんどくせーな......」
女「ルールは簡単!自分のお弁当を早く食べて最後まで残った人が負け!
負け人は罰ゲームとしてこのお弁当を食べてもらいます」
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:30:35.54 ID:2f283UX10
女「じゃ、スタート!」
低身「いただきまー......って眼鏡ちゃん弁当ちっちゃ!」
眼鏡「え?そうですかね......」
女「うわ本当だ!こんなんじゃ絶対眼鏡ちゃんが一番にぬけちゃうじゃん!」
眼鏡「私は別にこれが普通なんですけど......」
友「」パクパク
女「友ちゃんがいきなりとばしている!」
友「こんな下らない勝負とっとと終わらせたい」
女「ふっふっふ......そうはいかない!私の必殺技をうけてみよ!」
低身「いただきまー......って眼鏡ちゃん弁当ちっちゃ!」
眼鏡「え?そうですかね......」
女「うわ本当だ!こんなんじゃ絶対眼鏡ちゃんが一番にぬけちゃうじゃん!」
眼鏡「私は別にこれが普通なんですけど......」
友「」パクパク
女「友ちゃんがいきなりとばしている!」
友「こんな下らない勝負とっとと終わらせたい」
女「ふっふっふ......そうはいかない!私の必殺技をうけてみよ!」
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:50:39.56 ID:2f283UX10
女「アーン」
友「急になんだキモい」
女「これなら友ちゃんの満腹度アップ+友ちゃんの食べるスピードダウン+友ちゃんとイチャラブできるという
なんと一石三鳥という名案!やっぱり私は天才以外の何者でもない!」
友「スピードダウンってお前の方こそそうだろ」
女「ハッ!?」
友「こいつ正真正銘の馬鹿だな」
低身「なんか楽しそーだね」
眼鏡「そうですかね......」
低身「眼鏡ちゃんもう食べ終わったの?」
眼鏡「はい」
低身「大丈夫?そんなんじゃ足りなくない?」
眼鏡「大丈夫ですよ?」
低身「そうだ私のお弁当ちょっとあげるよ」
眼鏡「ああいえそんな......」
低身「あ、そうだ」
低身「はい、アーン」
眼鏡「っ......///」
女「お、あっちもあっちで時間かかりそうだね」
友「よっしゃ今のうち」パクパク
女「勝負はまだまだわからない!」パクパク
友「急になんだキモい」
女「これなら友ちゃんの満腹度アップ+友ちゃんの食べるスピードダウン+友ちゃんとイチャラブできるという
なんと一石三鳥という名案!やっぱり私は天才以外の何者でもない!」
友「スピードダウンってお前の方こそそうだろ」
女「ハッ!?」
友「こいつ正真正銘の馬鹿だな」
低身「なんか楽しそーだね」
眼鏡「そうですかね......」
低身「眼鏡ちゃんもう食べ終わったの?」
眼鏡「はい」
低身「大丈夫?そんなんじゃ足りなくない?」
眼鏡「大丈夫ですよ?」
低身「そうだ私のお弁当ちょっとあげるよ」
眼鏡「ああいえそんな......」
低身「あ、そうだ」
低身「はい、アーン」
眼鏡「っ......///」
女「お、あっちもあっちで時間かかりそうだね」
友「よっしゃ今のうち」パクパク
女「勝負はまだまだわからない!」パクパク
35: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/11(土) 21:58:35.83 ID:2f283UX10
女「腹が爆発しそう」
友「ほんとに二つも食ったのか......」
女「お弁当の材料代も頑張って早起きしてつくった労力も全部水の泡だよ......」
友「言い出しっぺの法則ってな」
42: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/15(水) 16:50:35.10 ID:E9V3JvJA0
高身「いきなりですが今日から修学旅行です!楽しみだね」
無口「」コク
女「でも行き先が奈良と京都ってちょっとベタだよね、ねえ友ちゃん」
友「一つどうしても解せない事があるんだが......」
女「なに?」
友「うちの班のメンバー......」
無口「」コク
女「でも行き先が奈良と京都ってちょっとベタだよね、ねえ友ちゃん」
友「一つどうしても解せない事があるんだが......」
女「なに?」
友「うちの班のメンバー......」
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/15(水) 16:56:28.70 ID:E9V3JvJA0
友「まずここにいる四人だろ」
女「うん」
友「それとあの二人......」
眼鏡「奈良公園には鹿がいるそうですね」
低身「へえ!まあ鹿よりワニのほうが好きだけど」
眼鏡「ワ、ワニですか?」
友「最後にあの二人......」
ショート「きっとすっごく人がいるんだろうな……」
ポニテ「迷子にならないようにまた手錠でもつけておく?」
ショート「いや、遠慮します……」
友「なんでいつものメンバーなんだ……」
女「うん」
友「それとあの二人......」
眼鏡「奈良公園には鹿がいるそうですね」
低身「へえ!まあ鹿よりワニのほうが好きだけど」
眼鏡「ワ、ワニですか?」
友「最後にあの二人......」
ショート「きっとすっごく人がいるんだろうな……」
ポニテ「迷子にならないようにまた手錠でもつけておく?」
ショート「いや、遠慮します……」
友「なんでいつものメンバーなんだ……」
44: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/15(水) 17:00:36.09 ID:E9V3JvJA0
友「班のメンバーってくじ引きかなにかで決定されるんじゃないのか」
女「いやあ偶然と言うものは恐ろしい」
友「そんなわけないだろ。班を決めたのは誰だ」
女「先生です」
友「はあ?先生がこんな理不尽な班にするわけ……」
女教師「いや、女さんがいってることは本当だよ」
女「いやあ偶然と言うものは恐ろしい」
友「そんなわけないだろ。班を決めたのは誰だ」
女「先生です」
友「はあ?先生がこんな理不尽な班にするわけ……」
女教師「いや、女さんがいってることは本当だよ」
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/15(水) 17:10:22.53 ID:E9V3JvJA0
友「先生」
教師「僕になにか質問かい?」
友「おおありですよ。なんでクラスじゅうのレズをかき集めたような班に私が
組み込まれてるんですか」
教師「いいかい、人の人生は一度きりだ……すぎた時間を後から後悔しても遅い」
教師「だから僕は君たちに一度しかない甘酸っぱい青春を悔いのないように謳歌してもらいたいんだ」
女「つまり?」
教師「女の子同士がいちゃいちゃしてるところが見たい」
友「お前もそっち側の人間かよ!」
教師「いや、私は見て楽しむタイプの人間だから」
友「知るかよ!」
教師「僕になにか質問かい?」
友「おおありですよ。なんでクラスじゅうのレズをかき集めたような班に私が
組み込まれてるんですか」
教師「いいかい、人の人生は一度きりだ……すぎた時間を後から後悔しても遅い」
教師「だから僕は君たちに一度しかない甘酸っぱい青春を悔いのないように謳歌してもらいたいんだ」
女「つまり?」
教師「女の子同士がいちゃいちゃしてるところが見たい」
友「お前もそっち側の人間かよ!」
教師「いや、私は見て楽しむタイプの人間だから」
友「知るかよ!」
54: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/18(土) 21:28:06.24 ID:LH7wY9dV0
バス内
女「近い!近いよ友ちゃん!」
友「ああ?」
女「隣だね!」
友「バスの席決めたのも先生だよな……はあ……」
女「こんなに友ちゃんの近くにいられるなんて幸せ!ぐっすり眠れそう!」ギュ
友「私は三日三晩眠れなくなりそうだよ......」
女「そりゃ眠れないよね!だって今夜は……」
友「」ギギギ
女「ごめんごめん!悪かったから窓から落とそうとしないで!」
女「近い!近いよ友ちゃん!」
友「ああ?」
女「隣だね!」
友「バスの席決めたのも先生だよな……はあ……」
女「こんなに友ちゃんの近くにいられるなんて幸せ!ぐっすり眠れそう!」ギュ
友「私は三日三晩眠れなくなりそうだよ......」
女「そりゃ眠れないよね!だって今夜は……」
友「」ギギギ
女「ごめんごめん!悪かったから窓から落とそうとしないで!」
55: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/18(土) 21:35:44.46 ID:LH7wY9dV0
ショート「あっ!」
ポニテ「どうしたのショートちゃん?」
ショート「旅行のしおり忘れてきちゃったー!どうしよう!」
ポニテ「ああ、なんだそんなこと」
ショート「そんなことじゃないよ!」
ポニテ「大丈夫。そのことなら心配ないわ。なぜなら私が持ってるから。はい」
ショート「あ、よかったー!ポニテちゃん持ってきてくれたんだー!ありがと!」
ポニテ「おっちょこちょいなんだから」
ショート「ところでなんでずっと私の家にあったしおりをポニテちゃんがもってるの?」
ポニテ「さあ……」
ポニテ「どうしたのショートちゃん?」
ショート「旅行のしおり忘れてきちゃったー!どうしよう!」
ポニテ「ああ、なんだそんなこと」
ショート「そんなことじゃないよ!」
ポニテ「大丈夫。そのことなら心配ないわ。なぜなら私が持ってるから。はい」
ショート「あ、よかったー!ポニテちゃん持ってきてくれたんだー!ありがと!」
ポニテ「おっちょこちょいなんだから」
ショート「ところでなんでずっと私の家にあったしおりをポニテちゃんがもってるの?」
ポニテ「さあ……」
56: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/18(土) 21:41:42.37 ID:LH7wY9dV0
教師「あの二人は仲がいいんだね……フフ……」
友「先生の目が自分の生徒を見る目じゃない」
低身「むー無理して早起きしたから眠いぃ」ゴシゴシ
眼鏡「大丈夫ですか?」(ていうか近い……)
低身「ちょっと寝てていい?」
眼鏡「あ、到着まで時間かなりあるんで大丈夫だと思いますよ」
低身「ありがと、おやすみ……」
友「先生の目が自分の生徒を見る目じゃない」
低身「むー無理して早起きしたから眠いぃ」ゴシゴシ
眼鏡「大丈夫ですか?」(ていうか近い……)
低身「ちょっと寝てていい?」
眼鏡「あ、到着まで時間かなりあるんで大丈夫だと思いますよ」
低身「ありがと、おやすみ……」
57: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/18(土) 21:48:12.65 ID:LH7wY9dV0
低身「」スースー…
眼鏡(あ……低身長ちゃん寝顔もやっぱりかわいいな……///)
眼鏡(ってこんなにじろじろ見ちゃおかしいですよね……ああもう……)
低身「」スースー…
低身「」カクン
眼鏡「!?」
眼鏡(て低身長ちゃんのああ頭がわわわ私のかっ肩にぃぃ......///)
教師「キマシタワー」パシャ
友「撮るな!」
眼鏡(あ……低身長ちゃん寝顔もやっぱりかわいいな……///)
眼鏡(ってこんなにじろじろ見ちゃおかしいですよね……ああもう……)
低身「」スースー…
低身「」カクン
眼鏡「!?」
眼鏡(て低身長ちゃんのああ頭がわわわ私のかっ肩にぃぃ......///)
教師「キマシタワー」パシャ
友「撮るな!」
58: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/18(土) 21:59:34.82 ID:LH7wY9dV0
無口「」クイクイ
高身「ん、どした?」
無口「」ボソボソ
高身「酔うかもしれないから薬を飲みたい?」
無口「」ボソボソ
高身「でも水筒を忘れてきちゃって飲めない……」
無口「」コク
高身「あ、そうだ」
無口「?」
高身「私に任せて!」
高身「まず私が薬を口に含んで……」
高身「」チュ
無口「!!!」
高身「はい、解決~♪」
無口(高身長ちゃんの水筒貸してほしいって話だったんだけどな……///)ゴクン
教師「ぐはぁっ!!」
友「こいつ本当に教師やってていいのか」
高身「ん、どした?」
無口「」ボソボソ
高身「酔うかもしれないから薬を飲みたい?」
無口「」ボソボソ
高身「でも水筒を忘れてきちゃって飲めない……」
無口「」コク
高身「あ、そうだ」
無口「?」
高身「私に任せて!」
高身「まず私が薬を口に含んで……」
高身「」チュ
無口「!!!」
高身「はい、解決~♪」
無口(高身長ちゃんの水筒貸してほしいって話だったんだけどな……///)ゴクン
教師「ぐはぁっ!!」
友「こいつ本当に教師やってていいのか」
59: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/18(土) 22:10:20.29 ID:LH7wY9dV0
教師「」チラッチラッ
友「鼻血でテッシュを大量に消費しながら次はお前らだと言わんばかりにこっちを見てくるヘン夕イがいる」
女「そのとおり次は私たち!さあ何する!?」
友「そうだな、じゃあゲームをしようか」
女「おうよどんとこい!」
友「じゃあこれから到着まで一言でも喋ったら負けね」
女「かかってこい!」
友「じゃあスタート」
女「……」
友「……」
女「……」
友「……」
女「……」
友「……」
女「なんかうまいこと避けられてない!?」
友「はいアウト」
友「鼻血でテッシュを大量に消費しながら次はお前らだと言わんばかりにこっちを見てくるヘン夕イがいる」
女「そのとおり次は私たち!さあ何する!?」
友「そうだな、じゃあゲームをしようか」
女「おうよどんとこい!」
友「じゃあこれから到着まで一言でも喋ったら負けね」
女「かかってこい!」
友「じゃあスタート」
女「……」
友「……」
女「……」
友「……」
女「……」
友「……」
女「なんかうまいこと避けられてない!?」
友「はいアウト」
60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/18(土) 22:29:35.47 ID:LH7wY9dV0
女「やせ蛙 集めて早し 法隆寺」
友「なんかいろいろ混じってる」
低身「柿食えば みかんも食べたい あとびわも」
眼鏡「それも違います」
高身「というわけで法隆寺にやってきました!」
法隆寺
女「ここで天才女ちゃんの豆知識コーナーイエー!」
低身「イエー!」
友「なんか胡散臭いコーナーが始まった」
女「五重塔のてっぺんをご覧ください」
友「高くてよく見えないな……」
女「あそこに鎌が四本刺さっているのがわかりますか?」
友「あれか」
女「あの鎌は法隆寺の七不思議の一つで厄よけ、雷よけの意味があるといわれています」ドヤァ
女「ひゃー!女ちゃんってやっぱ知っ的ー!」
友「そうか、じゃあ馬鹿もよけてくれればいいのにな」
女「え?馬鹿?何で?」
友「さあな……」
61: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/18(土) 22:45:30.39 ID:LH7wY9dV0
高身「じゃあ次は私の番!」
女「イエー!」
高身「はい!こちらの仏像をご覧ください!」
低身「なにこれー」
高身「これは夢違観音像といって悪い夢をいい夢に変えてくれるといわれています」
ショート「そうなの?じゃあお願いしようかな……」
友「なにかあったのか?」
ショート「うん、最近たまに悪夢を見るの……」
ショート「鬼のような女がしつこく追いかけて来て私を鎖で縛り上げる夢......」
友「その夢が象徴してるものに心当たりしかないんだが……」
ポニテ「誰かしら」
女「イエー!」
高身「はい!こちらの仏像をご覧ください!」
低身「なにこれー」
高身「これは夢違観音像といって悪い夢をいい夢に変えてくれるといわれています」
ショート「そうなの?じゃあお願いしようかな……」
友「なにかあったのか?」
ショート「うん、最近たまに悪夢を見るの……」
ショート「鬼のような女がしつこく追いかけて来て私を鎖で縛り上げる夢......」
友「その夢が象徴してるものに心当たりしかないんだが……」
ポニテ「誰かしら」
62: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/18(土) 22:57:12.40 ID:LH7wY9dV0
女「そうだ、私も友ちゃんとイチャイチャしてる夢がみられるようにお願いしよっと」
友「おいやめろ」
低身「眼鏡ちゃんはどうするのー?」
眼鏡「えーっと私は……」
眼鏡(低身長ちゃんと……いちゃ……)
眼鏡(いやいやそんなこと願ったらほんとにヘン夕イじゃないですか!)
女「眼鏡ちゃぁ~ん?」
眼鏡「な、なんですか?」
女「いいんだよ、欲望のままに願えば……どうせ誰もわからないんだから」
眼鏡「なんの話ですかっ!」
女「さあ願え!日本の百合文化繁栄のために!」
眼鏡「あっ、そういえば次は奈良公園ですね!」
女「話そらした!」
低身「しかー」
無口(みんながいい夢見れますように……)
友「おいやめろ」
低身「眼鏡ちゃんはどうするのー?」
眼鏡「えーっと私は……」
眼鏡(低身長ちゃんと……いちゃ……)
眼鏡(いやいやそんなこと願ったらほんとにヘン夕イじゃないですか!)
女「眼鏡ちゃぁ~ん?」
眼鏡「な、なんですか?」
女「いいんだよ、欲望のままに願えば……どうせ誰もわからないんだから」
眼鏡「なんの話ですかっ!」
女「さあ願え!日本の百合文化繁栄のために!」
眼鏡「あっ、そういえば次は奈良公園ですね!」
女「話そらした!」
低身「しかー」
無口(みんながいい夢見れますように……)
68: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/20(月) 18:22:32.45 ID:1EBInjr70
奈良公園
低身「わー!見て!鹿がたくさん!」
友「なんかすっごい動物園の臭いがするんだが……」
女「もう友ちゃんそういうこと言わないの」
教師「はいみんな注目」
教師「これから各自に鹿が食べるしかせんべいをあげるから自由に使ってね」
教師「さあ、鹿をダシに存分にいちゃいちゃしたまえ!」
友「ちょっと後半部分がよく聞こえなっかたがこれを鹿が食うのか」
女「そうとわかればレッツトライ」
低身「わー!見て!鹿がたくさん!」
友「なんかすっごい動物園の臭いがするんだが……」
女「もう友ちゃんそういうこと言わないの」
教師「はいみんな注目」
教師「これから各自に鹿が食べるしかせんべいをあげるから自由に使ってね」
教師「さあ、鹿をダシに存分にいちゃいちゃしたまえ!」
友「ちょっと後半部分がよく聞こえなっかたがこれを鹿が食うのか」
女「そうとわかればレッツトライ」
69: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/20(月) 18:29:54.27 ID:1EBInjr70
無口「」ソー
鹿「」グイ
無口「」ギョッ
高身「もう無口ちゃんそんなに怖がらなくてもいいのに」
ショート「ねえ見て見て!この鹿おせんべもらうときにお辞儀するよ!」
鹿「」ペコッ
ショート「ほら!かわいい!」
ポニテ「別にその鹿だけってわけじゃなさそうよ。ほらこの鹿も……」
鹿「」ペコッペコッ
ポニテ「しつけられてるのかしら。でも野生って言ってたし……」
高身「野生だけどしつけられてると」
友「ショートみたいだな」
ショート「ど、どういう意味!?」
ポニテ「ふふ」
鹿「」グイ
無口「」ギョッ
高身「もう無口ちゃんそんなに怖がらなくてもいいのに」
ショート「ねえ見て見て!この鹿おせんべもらうときにお辞儀するよ!」
鹿「」ペコッ
ショート「ほら!かわいい!」
ポニテ「別にその鹿だけってわけじゃなさそうよ。ほらこの鹿も……」
鹿「」ペコッペコッ
ポニテ「しつけられてるのかしら。でも野生って言ってたし……」
高身「野生だけどしつけられてると」
友「ショートみたいだな」
ショート「ど、どういう意味!?」
ポニテ「ふふ」
70: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/20(月) 18:34:56.91 ID:1EBInjr70
眼鏡「不思議ですね……」つしかせんべ
鹿「」ペコッ
鹿「」ムシャムシャ
眼鏡「かわいいですね」
友「それはそうとそろそろ水筒を用意したほうがいいかもしれないな」
眼鏡「え?なんでですか?」
女「友ちゃーん!しかせんべい食べたら口が苦いー!!水ちょうだい!」
低身「私も!にがー!」
友「ああいう馬鹿がいるからな……」
眼鏡「ああ……」
鹿「」ペコッ
鹿「」ムシャムシャ
眼鏡「かわいいですね」
友「それはそうとそろそろ水筒を用意したほうがいいかもしれないな」
眼鏡「え?なんでですか?」
女「友ちゃーん!しかせんべい食べたら口が苦いー!!水ちょうだい!」
低身「私も!にがー!」
友「ああいう馬鹿がいるからな……」
眼鏡「ああ……」
71: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/20(月) 18:48:27.76 ID:1EBInjr70
友「ていうかお前ら自分の水筒はどうしたよ」
女「バスの中で早飲み対決に使っちゃった!」
友「日に日に馬鹿さに磨きがかかってる」
女「はやくプリーズ!」
低身「プリーズ!」
女「バスの中で早飲み対決に使っちゃった!」
友「日に日に馬鹿さに磨きがかかってる」
女「はやくプリーズ!」
低身「プリーズ!」
72: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/20(月) 18:54:12.68 ID:1EBInjr70
眼鏡「じゃあ私の水筒を……」
眼鏡(あ……これを低身長さんにあげたらもしかして間接キス……?)
友「あんまり飲むなよ……」つ水筒
女「んー」グビグビ
眼鏡(いや……現に低身長さんは水を欲しがってるわけですし……)
眼鏡(これはしょうがなく……しょうがなくなんですから!)
眼鏡「低身長さん私の水筒……どうぞ」
低身「あ、私も友ちゃんのもらったしもういいや。ありがと」
眼鏡「」
女「もたもたしてるからぁ~」
眼鏡(あ……これを低身長さんにあげたらもしかして間接キス……?)
友「あんまり飲むなよ……」つ水筒
女「んー」グビグビ
眼鏡(いや……現に低身長さんは水を欲しがってるわけですし……)
眼鏡(これはしょうがなく……しょうがなくなんですから!)
眼鏡「低身長さん私の水筒……どうぞ」
低身「あ、私も友ちゃんのもらったしもういいや。ありがと」
眼鏡「」
女「もたもたしてるからぁ~」
73: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/20(月) 19:01:31.23 ID:1EBInjr70
ショート「あーあ、もうしかせんべなくなちゃった……」
ポニテ「はい、どうぞ」
ショート「ポニテちゃん……くれるのは嬉しいんだけど顔の位置にあって取りにくいんだけど」
ポニテ「いや、食べてくれないのかなと思って」
ショート「私は鹿じゃないよもう!」
ポニテ「残念ね」
ショート「」パクッ
ポニテ「あら」
ショート「むーにがー」モシャモシャ
ポニテ「かわいい鹿ちゃんね……」ナデナデ
ショート「えへへ」ナデラレ
教師「キマシ」
友「あんたはもういいから」
ポニテ「はい、どうぞ」
ショート「ポニテちゃん……くれるのは嬉しいんだけど顔の位置にあって取りにくいんだけど」
ポニテ「いや、食べてくれないのかなと思って」
ショート「私は鹿じゃないよもう!」
ポニテ「残念ね」
ショート「」パクッ
ポニテ「あら」
ショート「むーにがー」モシャモシャ
ポニテ「かわいい鹿ちゃんね……」ナデナデ
ショート「えへへ」ナデラレ
教師「キマシ」
友「あんたはもういいから」
74: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/20(月) 19:10:34.02 ID:1EBInjr70
宿舎
女「見よ!ここが私たちが一夜を共にする部屋ダアーッ!」ガラッ
友「和室か……いい感じだな」
低身「わーい!」ゴロゴロ
女「フフフ……ここがいまから私たちの愛の巣となるのだよ……」
友「あーうるさいうるさい」
高身「ところで今後のご予定は?」
女「ごはーんですよ!なんとメニューはすき焼きです!うわっほい!」
ポニテ「まあ素敵」
ショート「お腹すいたー」
眼鏡「食堂に入る前に手を消毒しておくようにって先生が」
女「ヒャッハー!汚物は消毒だぁー!」
友「こいつ修学旅行の夜特有のテンションだ」
女「見よ!ここが私たちが一夜を共にする部屋ダアーッ!」ガラッ
友「和室か……いい感じだな」
低身「わーい!」ゴロゴロ
女「フフフ……ここがいまから私たちの愛の巣となるのだよ……」
友「あーうるさいうるさい」
高身「ところで今後のご予定は?」
女「ごはーんですよ!なんとメニューはすき焼きです!うわっほい!」
ポニテ「まあ素敵」
ショート「お腹すいたー」
眼鏡「食堂に入る前に手を消毒しておくようにって先生が」
女「ヒャッハー!汚物は消毒だぁー!」
友「こいつ修学旅行の夜特有のテンションだ」
75: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/20(月) 19:17:25.64 ID:1EBInjr70
食後
女「お腹いっぱい」
友「肉ばっか食べやがって」
女「ふふふ!あーはっはっは!」
友「ついに壊れたか」
女「違うよ聞いて!次は何する時間!?」
友「なんだっけ」
眼鏡「えっとお風呂ですね」
女「聞いたか友よ!入浴というものは体のありとあらゆるところを露出させなければ不可能!
ついに友の裸体を拝む日が来たのだ!」
女「さあかたくなにこばみつつけてきた友よ!今こそこの私に産まれたままの姿をさらすといい!」
友「水着持ってきた」
女「」
女「お腹いっぱい」
友「肉ばっか食べやがって」
女「ふふふ!あーはっはっは!」
友「ついに壊れたか」
女「違うよ聞いて!次は何する時間!?」
友「なんだっけ」
眼鏡「えっとお風呂ですね」
女「聞いたか友よ!入浴というものは体のありとあらゆるところを露出させなければ不可能!
ついに友の裸体を拝む日が来たのだ!」
女「さあかたくなにこばみつつけてきた友よ!今こそこの私に産まれたままの姿をさらすといい!」
友「水着持ってきた」
女「」
76: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/20(月) 19:21:43.46 ID:1EBInjr70
女「ば……か……な……」
友「それくらい想定してたわ」
女「ま、まあ水着姿の友もおいしいのでそれはそれで……」
友「」スッ
女「まさかのウエットスーツ!?スク水ですらない!!」
低身「わーサーフィンする人みたいでかっくいー」
ショート「完全防備だね」
友「それくらい想定してたわ」
女「ま、まあ水着姿の友もおいしいのでそれはそれで……」
友「」スッ
女「まさかのウエットスーツ!?スク水ですらない!!」
低身「わーサーフィンする人みたいでかっくいー」
ショート「完全防備だね」
77: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/20(月) 19:26:59.00 ID:1EBInjr70
お風呂
カポーン
高身「さあ一日の疲れを癒そうか!」
無口「」コク
女「ちょっとみんなタオルなんか巻いて!女々しい奴らだ!」
友「全裸で大声出すお前なかなかシュールだぞ」
女「風呂場でウエットスーツ着てる奴の方がシュールだい!」
高身「まあ湯船に浸かるときはとらなきゃだし」
女「友ちゃんも脱げ!」
友「うるせ」
カポーン
高身「さあ一日の疲れを癒そうか!」
無口「」コク
女「ちょっとみんなタオルなんか巻いて!女々しい奴らだ!」
友「全裸で大声出すお前なかなかシュールだぞ」
女「風呂場でウエットスーツ着てる奴の方がシュールだい!」
高身「まあ湯船に浸かるときはとらなきゃだし」
女「友ちゃんも脱げ!」
友「うるせ」
82: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/21(火) 16:59:33.69 ID:LTWegRqq0
女「ふふ……友ちゃんよ」
友「こんどはなんだ」
女「ウエットスーツごときで完全防備のつもりかもしれないが入浴という名の悪夢は
まだ始まってすらいないのだよ」
友「言ってることがさっぱりわからん」
女「いいかよく聞け!ここはお互いの裸体をさらしあう戦場だ!
クラス中のレズが集まるこの班で何も起きないはずがない!」
女「その証拠に見よ!戦士たちの殺伐とした雰囲気を!」
低身「ふいーあったまるぅ」
眼鏡「……」
ショート「疲れがとれるねー」
ポニテ「ほんとね」
高身「いい湯加減」
無口「」ノンビリ
のほほ~ん
女「うそ……全然平和だ」
友「満足したか?」
友「こんどはなんだ」
女「ウエットスーツごときで完全防備のつもりかもしれないが入浴という名の悪夢は
まだ始まってすらいないのだよ」
友「言ってることがさっぱりわからん」
女「いいかよく聞け!ここはお互いの裸体をさらしあう戦場だ!
クラス中のレズが集まるこの班で何も起きないはずがない!」
女「その証拠に見よ!戦士たちの殺伐とした雰囲気を!」
低身「ふいーあったまるぅ」
眼鏡「……」
ショート「疲れがとれるねー」
ポニテ「ほんとね」
高身「いい湯加減」
無口「」ノンビリ
のほほ~ん
女「うそ……全然平和だ」
友「満足したか?」
83: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/21(火) 17:03:20.44 ID:LTWegRqq0
女「ええいみんな何やってるの!そんなんじゃみんなただのノンケじゃん!」
友「その言い分もどうなんだ」
ポニテ「女さん、お風呂はゆっくりする場所ですよ」
低身「そーそー」
高身「明日に備えて休まなきゃ」
女「ぐぬぬ」
ガラッ
女「ん?誰?」
友「その言い分もどうなんだ」
ポニテ「女さん、お風呂はゆっくりする場所ですよ」
低身「そーそー」
高身「明日に備えて休まなきゃ」
女「ぐぬぬ」
ガラッ
女「ん?誰?」
84: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/21(火) 17:14:32.84 ID:LTWegRqq0
教師「やあ」
女「あ、先生」
友「ゲッ」
教師「君たちもこの時間の入浴だったのかい?いやあ偶然偶然」
教師「それはそうと無口さん」
無口「?」
教師「君は胸が小さいね」
無口「」ビクゥッ
高身「ちょっとセクハラですか?」
教師「実はこんな物が」つクリアファイル
高身「なんですか?」
教師「胸が大きくなるマッサージの仕方が書かれたプリントだよ。
あ、ちなみに誰かにやってもらうの前提のマッサージ法だから。
実践してみてね」
高身「えーと……まずここを……?」フニッ
無口「」ビクッ
高身「そんな、無口ちゃん、恥ずかしがることないって」
無口「でも……」ボソッ
高身「無口ちゃん気にしてたでしょ?大丈夫、私に任せてって」フニフニ
無口「//////」カアァ
女「あ、先生」
友「ゲッ」
教師「君たちもこの時間の入浴だったのかい?いやあ偶然偶然」
教師「それはそうと無口さん」
無口「?」
教師「君は胸が小さいね」
無口「」ビクゥッ
高身「ちょっとセクハラですか?」
教師「実はこんな物が」つクリアファイル
高身「なんですか?」
教師「胸が大きくなるマッサージの仕方が書かれたプリントだよ。
あ、ちなみに誰かにやってもらうの前提のマッサージ法だから。
実践してみてね」
高身「えーと……まずここを……?」フニッ
無口「」ビクッ
高身「そんな、無口ちゃん、恥ずかしがることないって」
無口「でも……」ボソッ
高身「無口ちゃん気にしてたでしょ?大丈夫、私に任せてって」フニフニ
無口「//////」カアァ
85: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/21(火) 17:20:35.60 ID:LTWegRqq0
教師「ところでそこの隅っこで縮こまっているのは誰かな?」
眼鏡「」ビクッ
低身「せんせー、さっきから目をあわせてくれないのー」
教師「そうなのかい?いや仲が悪いのは良くないことだ。ほら、ちゃんと向かい合って」グイッ
眼鏡「!!!!!」
低身「わーい眼鏡ちゃーん」
眼鏡(ててててて低身長さんのは……はだか……はだ……///)
眼鏡「」ボフッ
低身「わあああ、どしたの大丈夫!?」アセアセ
眼鏡「」ビクッ
低身「せんせー、さっきから目をあわせてくれないのー」
教師「そうなのかい?いや仲が悪いのは良くないことだ。ほら、ちゃんと向かい合って」グイッ
眼鏡「!!!!!」
低身「わーい眼鏡ちゃーん」
眼鏡(ててててて低身長さんのは……はだか……はだ……///)
眼鏡「」ボフッ
低身「わあああ、どしたの大丈夫!?」アセアセ
86: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/21(火) 17:28:05.34 ID:LTWegRqq0
教師「そして君たちにはこれを」
ポニテ「写真……?何かしら」
ショート「なになに、私にも見せて」
ポニテ「ちょっとショートちゃん……」
ショート「えっ」
ポニテ「この写真、ショートちゃんとクラスの別の子がキスしてるように見えるけど
どういうことかしら……」ゴゴゴ
ショート「うええ!?違うよ歯に挟まったしかせんべを見てもらってただけで」
ポニテ「もうちょっとよく話し合いましょうか……」ゴゴゴ
ショート「違うって!キスして見えるのは角度的にそう見えるだけでそんなことは一切なくぁwせdrftgyふじこlp」
ポニテ「写真……?何かしら」
ショート「なになに、私にも見せて」
ポニテ「ちょっとショートちゃん……」
ショート「えっ」
ポニテ「この写真、ショートちゃんとクラスの別の子がキスしてるように見えるけど
どういうことかしら……」ゴゴゴ
ショート「うええ!?違うよ歯に挟まったしかせんべを見てもらってただけで」
ポニテ「もうちょっとよく話し合いましょうか……」ゴゴゴ
ショート「違うって!キスして見えるのは角度的にそう見えるだけでそんなことは一切なくぁwせdrftgyふじこlp」
87: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/21(火) 17:32:18.61 ID:LTWegRqq0
ワーワーギャーギャー
友「なんだか風呂場がカオスなことに」
女「さすが先生!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!
教師「うんうん、いい眺めだね……」
友「なんだか風呂場がカオスなことに」
女「さすが先生!おれたちにできない事を平然とやってのけるッ!そこにシビれる!あこがれるゥ!
教師「うんうん、いい眺めだね……」
88: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/21(火) 17:43:50.61 ID:LTWegRqq0
入浴後
友「なんだか大変な風呂だった」
ポニテ「休むつもりだったのに疲れたわ……」
ショート「」
女「うあーこれはこまったなー」
友「何だ」
女「ふとんがよんくみしかないぞーこれはふたりひとくみでねるしかなさそうだなー」
友「うわほんとだ!またあの教師の仕業か!」
高身「そうなの?まあ別に構わないけど。ね、無口ちゃん一緒に寝よっ!」
無口「」コク
ポニテ「私以外の人間がショートちゃんと寝るなんてありえないわ……でしょう?」
ショート「ソウッスネ」
低身「じゃあ眼鏡ちゃん、一緒っ!」
眼鏡「ああ、はいっ」
女「あれー?あれあれー?ということはー?」
友「はあ……全くしょうがないな」
女「うんほんとにしょうがないしょうがない」
友「念のために持ってきた布団一式を使うか」
女「!?」
友「なんだか大変な風呂だった」
ポニテ「休むつもりだったのに疲れたわ……」
ショート「」
女「うあーこれはこまったなー」
友「何だ」
女「ふとんがよんくみしかないぞーこれはふたりひとくみでねるしかなさそうだなー」
友「うわほんとだ!またあの教師の仕業か!」
高身「そうなの?まあ別に構わないけど。ね、無口ちゃん一緒に寝よっ!」
無口「」コク
ポニテ「私以外の人間がショートちゃんと寝るなんてありえないわ……でしょう?」
ショート「ソウッスネ」
低身「じゃあ眼鏡ちゃん、一緒っ!」
眼鏡「ああ、はいっ」
女「あれー?あれあれー?ということはー?」
友「はあ……全くしょうがないな」
女「うんほんとにしょうがないしょうがない」
友「念のために持ってきた布団一式を使うか」
女「!?」
89: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/21(火) 17:49:38.20 ID:LTWegRqq0
女「嘘だよね!?どんだけ私への対策ばっちりなの!」
友「備えあればなんとやらってな……」
女「うわあんひどいよ友ちゃん!どれだけフラグをへし折れば気が済むの!あんまりだよ!」
友「はいはい諦めろ。そうがっかりするな」
女「そんなこと言うんだったら一緒に寝てよ!ていうか抱かれろ!」
友「素直だったら寝るの考えてたがやめた」
女「ちくしょー!」
友「備えあればなんとやらってな……」
女「うわあんひどいよ友ちゃん!どれだけフラグをへし折れば気が済むの!あんまりだよ!」
友「はいはい諦めろ。そうがっかりするな」
女「そんなこと言うんだったら一緒に寝てよ!ていうか抱かれろ!」
友「素直だったら寝るの考えてたがやめた」
女「ちくしょー!」
90: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/21(火) 17:56:25.71 ID:LTWegRqq0
高身「はいじゃあ電気消すよー」
女「ええもう!?早いよ!まだ恒例行事まくら投げをやってない!」
ショート「わたしもう寝たいー」
ポニテ「明日も早いんだからもう寝なきゃだめよ」
眼鏡「わたしもそう思います……」
女「くそう!みんなパートナーと寝れると知ってそそくさ準備しやがって!リア充爆発しろ!」
友「zzzzz」
女「ああもう友ちゃんにいたってはもう夢の中だし!一寸の希望もない!」
女「ええもう!?早いよ!まだ恒例行事まくら投げをやってない!」
ショート「わたしもう寝たいー」
ポニテ「明日も早いんだからもう寝なきゃだめよ」
眼鏡「わたしもそう思います……」
女「くそう!みんなパートナーと寝れると知ってそそくさ準備しやがって!リア充爆発しろ!」
友「zzzzz」
女「ああもう友ちゃんにいたってはもう夢の中だし!一寸の希望もない!」
91: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/21(火) 18:01:12.82 ID:LTWegRqq0
夜
全員「zzzz」
女「ふふふ……みんなもう寝たかな?」
女「この程度でへこたれる女様じゃないのだよ……今友ちゃんは無防備!今襲わずしていつ襲う!」
女「まずは友ちゃんの服をぬがせ……ふひひ」
女「さあ友ちゃんよ、私のものにn」
幼女「あっ」
女「えっ」
全員「zzzz」
女「ふふふ……みんなもう寝たかな?」
女「この程度でへこたれる女様じゃないのだよ……今友ちゃんは無防備!今襲わずしていつ襲う!」
女「まずは友ちゃんの服をぬがせ……ふひひ」
女「さあ友ちゃんよ、私のものにn」
幼女「あっ」
女「えっ」
92: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/21(火) 18:04:20.26 ID:LTWegRqq0
女「だだだだだだだだだ誰誰誰!?」
幼女「おお落ち着いて!わたくし怪しいものではなくて」
女「いや誰!?あなた誰!?されど誰!?それでも誰!?やっぱり誰!?」
幼女「落ち着いてってば!!」パンッ
女「ひでぶっ」
幼女「おお落ち着いて!わたくし怪しいものではなくて」
女「いや誰!?あなた誰!?されど誰!?それでも誰!?やっぱり誰!?」
幼女「落ち着いてってば!!」パンッ
女「ひでぶっ」
101: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/22(水) 20:55:01.71 ID:De3qcO3f0
幼女「落ち着いた?」
女「はいとても」
幼女「えーと……わたくしこういうもので」
女「あ……わざわざ名刺をどうも......えーと、ゆめたがいかんのん……」
女「え、あなたがあの夢違観音!?」
幼女「いかにも」
女「って誰だっけ」
幼女「んがっ」
女「はいとても」
幼女「えーと……わたくしこういうもので」
女「あ……わざわざ名刺をどうも......えーと、ゆめたがいかんのん……」
女「え、あなたがあの夢違観音!?」
幼女「いかにも」
女「って誰だっけ」
幼女「んがっ」
102: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/22(水) 21:02:20.43 ID:De3qcO3f0
幼女「あなたたちが昼間みた仏像のあれですよ」
女「あーあー!あの変なやつね!」
幼女「変なやつて」
女「でもあの仏像とは全然姿が違うけど。ょぅι゛ょじゃん」
幼女「あれは初代の夢違観音様を形作ったものですからね。私は28代目です」
女「夢違観音に代とかあんの!?」
幼女「実はまだなったばかりなんですけど」
女「それでなんの用で」
女「あーあー!あの変なやつね!」
幼女「変なやつて」
女「でもあの仏像とは全然姿が違うけど。ょぅι゛ょじゃん」
幼女「あれは初代の夢違観音様を形作ったものですからね。私は28代目です」
女「夢違観音に代とかあんの!?」
幼女「実はまだなったばかりなんですけど」
女「それでなんの用で」
103: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/22(水) 21:08:26.08 ID:De3qcO3f0
幼女「昼間ここのご一行が願われましたので悪夢をいい夢に変えるべく参上したのです。
それでまずあなたから手をつけたのですが……」
女「急に起き出したからこんな結果に」
幼女「そうですね」
女「え、それってもし私が素直に寝てたら友ちゃんといちゃちいちゃな夢が見れてたってこと?」
幼女「はいまあ」
女「うわああ!起きなきゃよかったあああ!」
それでまずあなたから手をつけたのですが……」
女「急に起き出したからこんな結果に」
幼女「そうですね」
女「え、それってもし私が素直に寝てたら友ちゃんといちゃちいちゃな夢が見れてたってこと?」
幼女「はいまあ」
女「うわああ!起きなきゃよかったあああ!」
104: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/22(水) 21:20:39.83 ID:De3qcO3f0
女「お願い!今から寝るから見せてよそれ!」
幼女「いえ姿を見せてしまったのはまずいので……今日はもう必要最低限の仕事をして帰ります」
女「そそそそこをなんとか!!」
幼女「さて次はこの人でしょうか」
眼鏡「」スースー
女「あ、眼鏡ちゃん?」
幼女「ここで困ったことがありまして」
女「何ですか?」
幼女「この人の希望の夢が『低身長さんといちゃいちゃ』なんですが」
女(結局願ったんだ)
幼女「私は人間のところにきて間もなくまだいろいろ勉強不足で。
この『いちゃいちゃ』の意味がよくわからないのです」
女「ほほう」
幼女「どうしましょう」
女「うん大丈夫!私たちが教えてあげるから!」
幼女「私“たち”?」
女「へイ!友氏よ!起きたまえ!」ボスッ
友「ぐべらっ」
幼女「いえ姿を見せてしまったのはまずいので……今日はもう必要最低限の仕事をして帰ります」
女「そそそそこをなんとか!!」
幼女「さて次はこの人でしょうか」
眼鏡「」スースー
女「あ、眼鏡ちゃん?」
幼女「ここで困ったことがありまして」
女「何ですか?」
幼女「この人の希望の夢が『低身長さんといちゃいちゃ』なんですが」
女(結局願ったんだ)
幼女「私は人間のところにきて間もなくまだいろいろ勉強不足で。
この『いちゃいちゃ』の意味がよくわからないのです」
女「ほほう」
幼女「どうしましょう」
女「うん大丈夫!私たちが教えてあげるから!」
幼女「私“たち”?」
女「へイ!友氏よ!起きたまえ!」ボスッ
友「ぐべらっ」
105: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/22(水) 21:38:47.15 ID:De3qcO3f0
友「もう……なんだよ……」
女「朝だあーさーだーよー女がのぼーぉおるおはようございます!!」
友「......まだ夜じゃないかふざけやがっtうわなに誰!?」
幼女「目が覚めました?」
女「彼女こそがあの夢違観音様でごじます」
友「ゆめたがい……?あの法隆寺の?」
幼女「はい」
女「夢を変えるために来てくれたそうです」
友「いわかに信じられん」
女「ところが夢違さんは『いちゃいちゃ』がなにを指すのかよくわからんそーです」
女「そこで!電車でご老人がいたら即席を譲るくらい親切ガール女ちゃんはその意味を教えてあげることにしました!
しかも分かりやすく実践でな!」
女「いい夢違さん、いちゃいちゃってのはこうハグしあったり……」ギュ
友「おい何すんだやめろ」パンッ
女「いたし ちょっと恥ずかしがらないで友ちゃんこれは親切でやってることなんだから」
女「こうやってスリスリしたり……」
友「やめろって」
女「チュッチュチュッチュしたり」
友「やめろっていってんだろうがあ!」ゲシィ
女「べるぼるぼっ!!」ビターン
女「朝だあーさーだーよー女がのぼーぉおるおはようございます!!」
友「......まだ夜じゃないかふざけやがっtうわなに誰!?」
幼女「目が覚めました?」
女「彼女こそがあの夢違観音様でごじます」
友「ゆめたがい……?あの法隆寺の?」
幼女「はい」
女「夢を変えるために来てくれたそうです」
友「いわかに信じられん」
女「ところが夢違さんは『いちゃいちゃ』がなにを指すのかよくわからんそーです」
女「そこで!電車でご老人がいたら即席を譲るくらい親切ガール女ちゃんはその意味を教えてあげることにしました!
しかも分かりやすく実践でな!」
女「いい夢違さん、いちゃいちゃってのはこうハグしあったり……」ギュ
友「おい何すんだやめろ」パンッ
女「いたし ちょっと恥ずかしがらないで友ちゃんこれは親切でやってることなんだから」
女「こうやってスリスリしたり……」
友「やめろって」
女「チュッチュチュッチュしたり」
友「やめろっていってんだろうがあ!」ゲシィ
女「べるぼるぼっ!!」ビターン
106: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/22(水) 21:50:58.90 ID:De3qcO3f0
女「ちょ、友ちゃんいくらなんでも乱暴すぎ......」
友「今寝起きで機嫌が悪いんだ」
幼女「」ジー
女「あ、夢違さんごめん」
幼女「今のが『いちゃいちゃ』ですね、参考になりました」
女「ええ!?違うよ違う!今のはちょっと失敗したの」
幼女「あれそうだったんですか?でももうこの人の夢をそのような形で変えてしまいました」
女「ちょっ!?だめだよそれ!眼鏡ちゃんが望んだものとは180度違うよ!戻して!」
幼女「いえこれ以上使うとMPが足りなくなってしまいます」
女「RPGか!?」
眼鏡「」ウーン
女「うわあなんかうなされてるよ!朝になったらちゃんと謝っておくべきだよ友ちゃん!」
友「私のせいなのか!?」
友「今寝起きで機嫌が悪いんだ」
幼女「」ジー
女「あ、夢違さんごめん」
幼女「今のが『いちゃいちゃ』ですね、参考になりました」
女「ええ!?違うよ違う!今のはちょっと失敗したの」
幼女「あれそうだったんですか?でももうこの人の夢をそのような形で変えてしまいました」
女「ちょっ!?だめだよそれ!眼鏡ちゃんが望んだものとは180度違うよ!戻して!」
幼女「いえこれ以上使うとMPが足りなくなってしまいます」
女「RPGか!?」
眼鏡「」ウーン
女「うわあなんかうなされてるよ!朝になったらちゃんと謝っておくべきだよ友ちゃん!」
友「私のせいなのか!?」
107: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/22(水) 22:00:05.99 ID:De3qcO3f0
幼女「さて次はこの人ですね」
ショート「」クースカ
女「あれMP足りないんじゃなかったの?」
幼女「一度自分で変えた夢を再度上書きするには通常よりMPを消費するんです」
女「む、無駄な設定が......」
友「でも悪夢を見るとか言ってたよな」
幼女「それなんですが見たところ彼女はすさまじい邪気のようなものに
取り憑かれていて悪夢をみるのも当然かと」
女「邪気!?」
友「あいつの執着心がそこまでのものとは……」
幼女「なんのことですか?」
友「いやこっちの話」
ショート「」クースカ
女「あれMP足りないんじゃなかったの?」
幼女「一度自分で変えた夢を再度上書きするには通常よりMPを消費するんです」
女「む、無駄な設定が......」
友「でも悪夢を見るとか言ってたよな」
幼女「それなんですが見たところ彼女はすさまじい邪気のようなものに
取り憑かれていて悪夢をみるのも当然かと」
女「邪気!?」
友「あいつの執着心がそこまでのものとは……」
幼女「なんのことですか?」
友「いやこっちの話」
108: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/22(水) 22:10:44.76 ID:De3qcO3f0
女「それでどうするの?」
幼女「もちろん排除します……と言いたいところですが今回の場合いささか問題が」
女「というと」
幼女「人間は邪気に対して立ち向かったり逃避したりさまざまな道をえらびますが
この人の場合共存を選んだようで」
幼女「きっと小さなころからずっとこの邪気と一緒に生きてきたのでしょう。邪気が奥までこびりついていて
早くいうと体と同化してしまっています」
女「どど同化って!なにいまショートちゃんそんな怖いことになってるの!?」
友「まああの二人は幼稚園からの仲らしいしありえない話でもないがやっばポニテって怖えぇな」
幼女「だからなんの話ですか」
友「いやいや……」
幼女「もちろん排除します……と言いたいところですが今回の場合いささか問題が」
女「というと」
幼女「人間は邪気に対して立ち向かったり逃避したりさまざまな道をえらびますが
この人の場合共存を選んだようで」
幼女「きっと小さなころからずっとこの邪気と一緒に生きてきたのでしょう。邪気が奥までこびりついていて
早くいうと体と同化してしまっています」
女「どど同化って!なにいまショートちゃんそんな怖いことになってるの!?」
友「まああの二人は幼稚園からの仲らしいしありえない話でもないがやっばポニテって怖えぇな」
幼女「だからなんの話ですか」
友「いやいや……」
109: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/22(水) 22:20:31.58 ID:De3qcO3f0
幼女「まあ結論を言うとここまでのものとなると無理に剥がした場合本人にどんな影響があるか
わからないということですね。まあ悪夢程度ですんでるんだから大丈夫じゃないですか多分」
友「なんて適当な」
幼女「あ、もしなにかあったら名刺に記載された電話番号でお申し付けください。いつでも参上しますよ」
女「ずいぶん近代化したんですね……」
幼女「じゃ、私はこれで」
女「あれほかのみんなは?」
幼女「他の方々は具体的な願いがなかったので悪夢を消すだけです。
そしてそれはさっき邪気がどうこういってる間に終わりました」
女「はやっ」
幼女「なれてますんで。では改めて失礼」
女「乙でした」
幼女「」フッ
友「き、消えたし」
わからないということですね。まあ悪夢程度ですんでるんだから大丈夫じゃないですか多分」
友「なんて適当な」
幼女「あ、もしなにかあったら名刺に記載された電話番号でお申し付けください。いつでも参上しますよ」
女「ずいぶん近代化したんですね……」
幼女「じゃ、私はこれで」
女「あれほかのみんなは?」
幼女「他の方々は具体的な願いがなかったので悪夢を消すだけです。
そしてそれはさっき邪気がどうこういってる間に終わりました」
女「はやっ」
幼女「なれてますんで。では改めて失礼」
女「乙でした」
幼女「」フッ
友「き、消えたし」
110: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/22(水) 22:30:48.34 ID:De3qcO3f0
女「うへえなんだったんだろうね」
友「心霊現象かなにかか……?」
女「でも名刺はちゃんとある。きゃーこわいよともちゃーん」スリスリ
友「おいまだそんなことする元気あったか」
女「へいへいいいですよーだ。今回の修学旅行で身に染みてわかったよ。
どうせ私は一生叶わない片思い中の惨めな女学生ですよーだ。ぶーぶー」
友「あっそ」
女「ふん友ちゃんの冷徹人間!もう寝るおやすみ!」ガバッ
友「……」
女「……」
友「おい」
女「ん、なに?」
友「ちょっとこっちにこい」
111: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/22(水) 22:37:44.92 ID:De3qcO3f0
女「え、何故」
友「いいから」
女「え、ちょ、ほんとに何?私なんかそんなマジなトーンで怒られるようなことした?」
友「別に怒ってない。いいからこいよまどろっこしい奴だな」
女「えーと……じゃあ失礼して......」ソー
友「……」
女「……」
友「」ギュッ
女「!!??!?!!!!???!? 」
友「いいから」
女「え、ちょ、ほんとに何?私なんかそんなマジなトーンで怒られるようなことした?」
友「別に怒ってない。いいからこいよまどろっこしい奴だな」
女「えーと……じゃあ失礼して......」ソー
友「……」
女「……」
友「」ギュッ
女「!!??!?!!!!???!? 」
112: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/22(水) 22:46:10.88 ID:De3qcO3f0
女「ちょちょちょちょちょちょなになになにこれれどうしたん急に!?」
友「うるさいな……」
女「えほんとになにドッキリ!?ドッキリなのかこれは!?」
友「あのさ……」
女「ハイナンデショウ」
友「別に……お前が嫌いとか……思ってないから」
女「そ、それってどういう……」
友「おやすみ」
女「うええ!?こののまま寝るの!?ちょ友ちゃん!?」
友「zzzz」
女「ほんとどうなちまったんだええこの世界は」
朝
友「何私の布団で寝てるんだてめええ!!」ゲシィ
女「ぶべらぶべっ!!」ビターン
友「うるさいな……」
女「えほんとになにドッキリ!?ドッキリなのかこれは!?」
友「あのさ……」
女「ハイナンデショウ」
友「別に……お前が嫌いとか……思ってないから」
女「そ、それってどういう……」
友「おやすみ」
女「うええ!?こののまま寝るの!?ちょ友ちゃん!?」
友「zzzz」
女「ほんとどうなちまったんだええこの世界は」
朝
友「何私の布団で寝てるんだてめええ!!」ゲシィ
女「ぶべらぶべっ!!」ビターン
119: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/24(金) 17:06:47.83 ID:lG2kQ5Uf0
女「いやいや!友ちゃんが来いって言ったんじゃん!」
友「は?そんなわけ……あっ」
女「思い出した?」
友「思い出した……」
女「もうなんでいきなりあんなことしたの!びっくりしすぎて心臓破裂するかと思ったよ!」
友「嫌だったか?」
女「いやいや全くそんなことはないですもう一回してください」
友「実は家では抱き枕で寝ててな……それで」
女「抱くものがなくて落ち着かなかったと」
友「そんなところだな」
女「それで抱き心地の方は」
友「なかなか良かった。抱き枕の素質あるぞお前」
女「うれしいんだかわからん」
友「は?そんなわけ……あっ」
女「思い出した?」
友「思い出した……」
女「もうなんでいきなりあんなことしたの!びっくりしすぎて心臓破裂するかと思ったよ!」
友「嫌だったか?」
女「いやいや全くそんなことはないですもう一回してください」
友「実は家では抱き枕で寝ててな……それで」
女「抱くものがなくて落ち着かなかったと」
友「そんなところだな」
女「それで抱き心地の方は」
友「なかなか良かった。抱き枕の素質あるぞお前」
女「うれしいんだかわからん」
120: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/24(金) 17:11:23.66 ID:lG2kQ5Uf0
友「さて私は起きるか」
女「えっまだ早くない?」
友「別に……歯磨きでもするよ。いいからお前は自分の布団に戻れ」
女「もうちょっと友ちゃんと一緒に寝た余韻を味わっていたい……」
友「誰か起きてきたやつに勘違いされるだろ」
女「なるほど、その手があったか」
友「おい」ギロ
女「フヒヒサーセン」
女「えっまだ早くない?」
友「別に……歯磨きでもするよ。いいからお前は自分の布団に戻れ」
女「もうちょっと友ちゃんと一緒に寝た余韻を味わっていたい……」
友「誰か起きてきたやつに勘違いされるだろ」
女「なるほど、その手があったか」
友「おい」ギロ
女「フヒヒサーセン」
121: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/24(金) 17:16:24.77 ID:lG2kQ5Uf0
高身「おっはよー」
無口「」ペコッ
友「おっみんな起きたか」
低身「困った」
女「どしたの」
低身「眼鏡ちゃんが突っ伏したままピクリとも動かない」
友「えっ」
無口「」ペコッ
友「おっみんな起きたか」
低身「困った」
女「どしたの」
低身「眼鏡ちゃんが突っ伏したままピクリとも動かない」
友「えっ」
122: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/24(金) 17:27:43.13 ID:lG2kQ5Uf0
眼鏡(ほんとに……ほんとになんだったんです今のは……)
低身「ほら眼鏡ちゃん、おきてー!」グイグイ
眼鏡(低身長さんに蹴られたり罵られたりする夢を……見ました)
眼鏡(なんですか……なんですかこれ!これは私が望んだ夢!?だとしたら本当に人として末期じゃないですか!)
眼鏡(違う違う!私は決してそんな嗜好をもった人間では……)
眼鏡(でも……ちょっと良かったかも……)
眼鏡(ってああああああああ!!それだけは!それだけはダメですよ!)
女「案の定ですね」
友「まじかよ……」
女「さて友ちゃん、謝ろうか」
友「わ、私のせいじゃないだろ!」
女「私のせいでもないもん!」
友「かといってほっとくわけにも……」
女「でも夢違観音様が出たなんて信じてくれないだろうし……」
ショート「二人ともどしたの?」
低身「ほら眼鏡ちゃん、おきてー!」グイグイ
眼鏡(低身長さんに蹴られたり罵られたりする夢を……見ました)
眼鏡(なんですか……なんですかこれ!これは私が望んだ夢!?だとしたら本当に人として末期じゃないですか!)
眼鏡(違う違う!私は決してそんな嗜好をもった人間では……)
眼鏡(でも……ちょっと良かったかも……)
眼鏡(ってああああああああ!!それだけは!それだけはダメですよ!)
女「案の定ですね」
友「まじかよ……」
女「さて友ちゃん、謝ろうか」
友「わ、私のせいじゃないだろ!」
女「私のせいでもないもん!」
友「かといってほっとくわけにも……」
女「でも夢違観音様が出たなんて信じてくれないだろうし……」
ショート「二人ともどしたの?」
123: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/24(金) 17:33:46.02 ID:lG2kQ5Uf0
友「あっ……ショートおはよう」
ショート「なにこそこそ話してるのー?」
女「いや、いやなんでも……ねえ友ちゃん」
友「うんほんとに」
ショート「え、本当にどうかしたの?なんか変だよ?」
友「いや本当になんでもないんだが……ただ……」
女「ショートちゃん……その……めげずに頑張ってね」
ショート「えええ!?なにこの雰囲気!?わたしなんかした!?」
ポニテ「朝から騒がしいわねぇ……」
ショート「なにこそこそ話してるのー?」
女「いや、いやなんでも……ねえ友ちゃん」
友「うんほんとに」
ショート「え、本当にどうかしたの?なんか変だよ?」
友「いや本当になんでもないんだが……ただ……」
女「ショートちゃん……その……めげずに頑張ってね」
ショート「えええ!?なにこの雰囲気!?わたしなんかした!?」
ポニテ「朝から騒がしいわねぇ……」
124: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/24(金) 17:42:27.25 ID:lG2kQ5Uf0
高身「あはは、無口ちゃん寝癖ひどいよ」
無口「」アセアセ
高身「私がなおしてあげる、洗面所おいで」
無口「」トタトタ
ショート「私たちがやんのやんのやってる間にあの二人だけはいつも
順風満帆というかなんというか……」
ポニテ「まあ付き合ってるのはあの二人だけだしね」
女「まあ私は昨日の夜うまくいったけどねぇ」
全員「えっ」
無口「」アセアセ
高身「私がなおしてあげる、洗面所おいで」
無口「」トタトタ
ショート「私たちがやんのやんのやってる間にあの二人だけはいつも
順風満帆というかなんというか……」
ポニテ「まあ付き合ってるのはあの二人だけだしね」
女「まあ私は昨日の夜うまくいったけどねぇ」
全員「えっ」
125: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/24(金) 17:49:27.01 ID:lG2kQ5Uf0
友「うわあああ!誤解を招くような言い方をやめろ貴様!」
高身「うそ……あの二人が?」ヒソヒソ
ポニテ「一番ありえなさそうなのに……」ヒソヒソ
無口「」ビックリ
ショート「どういうことだってばよ……」ヒソヒソ
低身「?」
友「違うってみんな!おい今すぐ訂正しろ!」
女「もう、照れちゃって……友ちゃんからしてくれた時にはびっくりしたんだからね」ニヤニヤ
全員「「「えっ!?友ちゃんから!?」」」
友「違うって言ってんだろうがぁぁぁぁぁぁ!!!!」ゲシィ
女「ばらんぶるばっ!!」ビターン
高身「うそ……あの二人が?」ヒソヒソ
ポニテ「一番ありえなさそうなのに……」ヒソヒソ
無口「」ビックリ
ショート「どういうことだってばよ……」ヒソヒソ
低身「?」
友「違うってみんな!おい今すぐ訂正しろ!」
女「もう、照れちゃって……友ちゃんからしてくれた時にはびっくりしたんだからね」ニヤニヤ
全員「「「えっ!?友ちゃんから!?」」」
友「違うって言ってんだろうがぁぁぁぁぁぁ!!!!」ゲシィ
女「ばらんぶるばっ!!」ビターン
126: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/24(金) 17:57:33.76 ID:lG2kQ5Uf0
高身「おめでとう二人とも!」
ポニテ「長年の思いがついに実を結んだのね」
ショート「ほんとに意外だよ……」
無口「」パチパチ
低身「なんかようわかんないけどお祝い事があったんならおめでとー」
教師「その話詳しく!!」
友「どっから出てきた!」
友「おい……早く訂正しろっつってんだろ……殺されたいのか……」
女「うわあ目がマジだごめんみんな嘘!友ちゃんをからかってみたかっただけ」
ポニテ「ほ、ほんとに?」
高身「びっくりさせないでよ……」
ショート「なーんだ」
ポニテ「長年の思いがついに実を結んだのね」
ショート「ほんとに意外だよ……」
無口「」パチパチ
低身「なんかようわかんないけどお祝い事があったんならおめでとー」
教師「その話詳しく!!」
友「どっから出てきた!」
友「おい……早く訂正しろっつってんだろ……殺されたいのか……」
女「うわあ目がマジだごめんみんな嘘!友ちゃんをからかってみたかっただけ」
ポニテ「ほ、ほんとに?」
高身「びっくりさせないでよ……」
ショート「なーんだ」
127: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/24(金) 18:10:31.13 ID:lG2kQ5Uf0
バス内
女「もう、私は何回ゲシィビターンを繰り返してるんよ……」
友「お前今から説教だぞ……」
女「こここ怖っ」
友「人がちょっと甘えを見せたら貴様……本当にふざけるなよ……」
女「ごめんって!友ちゃんがあんなこと言ってくれたから嬉しくなっちゃってつい……」
友「なんのことだ」
女「えっ覚えてないの?」
友「私が何か言ったのか?」
女「そんな酔っぱらって帰ってきた人の朝みたいな……」
友「なんて言ってた」
女「私の事は別に嫌いじゃないって。いい言葉だったなー録音しておけばよかった」
友「ふん、どうせウソだろ」
女「信じないならそれでもいいよ?でも私は嬉しかったの。私友ちゃんの事好きだからねー
だからほんと許してこのとうり」
友「はぁ……もういいよ」
女「えっほんとに?」
友「なんか怒る気失せた」
女「ふっちょろいぜ」
友「」ギギギ
女「嘘嘘嘘!!冗談冗談!!」
女「もう、私は何回ゲシィビターンを繰り返してるんよ……」
友「お前今から説教だぞ……」
女「こここ怖っ」
友「人がちょっと甘えを見せたら貴様……本当にふざけるなよ……」
女「ごめんって!友ちゃんがあんなこと言ってくれたから嬉しくなっちゃってつい……」
友「なんのことだ」
女「えっ覚えてないの?」
友「私が何か言ったのか?」
女「そんな酔っぱらって帰ってきた人の朝みたいな……」
友「なんて言ってた」
女「私の事は別に嫌いじゃないって。いい言葉だったなー録音しておけばよかった」
友「ふん、どうせウソだろ」
女「信じないならそれでもいいよ?でも私は嬉しかったの。私友ちゃんの事好きだからねー
だからほんと許してこのとうり」
友「はぁ……もういいよ」
女「えっほんとに?」
友「なんか怒る気失せた」
女「ふっちょろいぜ」
友「」ギギギ
女「嘘嘘嘘!!冗談冗談!!」
131: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/26(日) 18:43:09.66 ID:kFn6sh9p0
清水寺
高身「やってきました清水寺」
友「人多っ」
女「はいはいみんな注目!これからの行動について説明するからよく聞いて!」
友「何でお前が」
女「班長だからです」
ショート「そうだったんだ……」
女「ここからは班別行動となっていて班で自由に行動できます!」
女「また清水寺の参道には八ツ橋や京ばあむなどの売店が立ち並び
お土産を購入するのにはもってこいなのです」
女「まあ普通だったら清水寺を見物してからお土産を買いに行くんだけど……」
女「私たちの班は清水寺をすっ飛ばして自由時間すべてお土産に使おうと思います!いえーい!」
友「ちょっと待てよせっかく来たんだぞ見ないのか!?」
女「不満がある班員が約一名」
友「修学旅行だぞ修学しろよ」
女「友ちゃん、今回このような行動になるのには理由が二つあります」
女「一つ、さっさと売店に行かないと人であふれかえり買い物どころじゃ
なくなる恐れがあるため」
女「二つ、寺とか神社の類は正直見飽きた」
友「おいおい」
高身「やってきました清水寺」
友「人多っ」
女「はいはいみんな注目!これからの行動について説明するからよく聞いて!」
友「何でお前が」
女「班長だからです」
ショート「そうだったんだ……」
女「ここからは班別行動となっていて班で自由に行動できます!」
女「また清水寺の参道には八ツ橋や京ばあむなどの売店が立ち並び
お土産を購入するのにはもってこいなのです」
女「まあ普通だったら清水寺を見物してからお土産を買いに行くんだけど……」
女「私たちの班は清水寺をすっ飛ばして自由時間すべてお土産に使おうと思います!いえーい!」
友「ちょっと待てよせっかく来たんだぞ見ないのか!?」
女「不満がある班員が約一名」
友「修学旅行だぞ修学しろよ」
女「友ちゃん、今回このような行動になるのには理由が二つあります」
女「一つ、さっさと売店に行かないと人であふれかえり買い物どころじゃ
なくなる恐れがあるため」
女「二つ、寺とか神社の類は正直見飽きた」
友「おいおい」
132: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/26(日) 18:48:17.79 ID:kFn6sh9p0
友「私は納得いかんぞ……」
女「どうですか皆さん」
高身「うーん、私は別にいいけれど」
ポニテ「女ちゃんが言うことにも一理あるしね」
低身「さんせー」
友「そういうわけにもいかんだろ……おい眼鏡、何とか言ってやれ」
眼鏡「なんでもいいです……本当に何でもいいです……はあ……」
低身「眼鏡ちゃーん、朝から変だよ」
友「ここまで引きずられると流石に罪悪感わくな……」
女「だから誤っておけばよかったのに」
女「どうですか皆さん」
高身「うーん、私は別にいいけれど」
ポニテ「女ちゃんが言うことにも一理あるしね」
低身「さんせー」
友「そういうわけにもいかんだろ……おい眼鏡、何とか言ってやれ」
眼鏡「なんでもいいです……本当に何でもいいです……はあ……」
低身「眼鏡ちゃーん、朝から変だよ」
友「ここまで引きずられると流石に罪悪感わくな……」
女「だから誤っておけばよかったのに」
133: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/26(日) 18:57:36.25 ID:kFn6sh9p0
売店
ワイワイガヤガヤ
友「十分人だらけじゃねーか!」
ショート「みんな考えてることは同じなのかもね……」
高身「先にお土産買ってから清水寺に行こうってひとも多いのかも」
友「おい班長どうする」
女「ふっふっふ、これも天才女さんは計算のうちよ」
女「はいみんな、はぐれるといけないからいつものペアで手をつないでいきましょー!」
友「なっ」
高身「そういうことなら、はい無口ちゃん」
無口「」ギュッ
ポニテ「可愛い手ね……ずっと握ってたいくらい」ギュウウウ
ショート「ちょっとポニテちゃん痛い痛い痛い!」
低身「眼鏡ちゃーん」
眼鏡「」ブツブツ
低身「もう!眼鏡ちゃんったら!」
眼鏡「あっな、なんでしょう……」
低身「ん、手つなぐんだってさ」スッ
眼鏡「ててて手ですか?///」
友「」ギュウウウ
女「友ちゃん違う握るのは首じゃなくて手!!」
ワイワイガヤガヤ
友「十分人だらけじゃねーか!」
ショート「みんな考えてることは同じなのかもね……」
高身「先にお土産買ってから清水寺に行こうってひとも多いのかも」
友「おい班長どうする」
女「ふっふっふ、これも天才女さんは計算のうちよ」
女「はいみんな、はぐれるといけないからいつものペアで手をつないでいきましょー!」
友「なっ」
高身「そういうことなら、はい無口ちゃん」
無口「」ギュッ
ポニテ「可愛い手ね……ずっと握ってたいくらい」ギュウウウ
ショート「ちょっとポニテちゃん痛い痛い痛い!」
低身「眼鏡ちゃーん」
眼鏡「」ブツブツ
低身「もう!眼鏡ちゃんったら!」
眼鏡「あっな、なんでしょう……」
低身「ん、手つなぐんだってさ」スッ
眼鏡「ててて手ですか?///」
友「」ギュウウウ
女「友ちゃん違う握るのは首じゃなくて手!!」
134: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/26(日) 19:06:12.32 ID:kFn6sh9p0
数分後
友「ってよく考えたら」
友「手をつないでもこの場合二人ずつ迷子になるだけじゃねえか!意味ない!」
女「完璧にはぐれましたね」
友「全く手なんかつないで……ばかばかしい」パッ
女「ああちょと、もう照れ屋!」
友「どうするんだ」
女「やっと二人きりになれたね友ちゃん……」
友「周りに人はごまんといるんだが」
女「そうだった」
友「とりあえずさがすぞ」
女「えー、お土産買おうよー」
友「このまま見つからなかったらまずいだろう。お前班長だしまずは連中を探すのが先だ」
女「そんな……友ちゃんと京都ドキドキデート大作戦が……」
友「またそんなくだらないことを考えてたのか……」
友「ってよく考えたら」
友「手をつないでもこの場合二人ずつ迷子になるだけじゃねえか!意味ない!」
女「完璧にはぐれましたね」
友「全く手なんかつないで……ばかばかしい」パッ
女「ああちょと、もう照れ屋!」
友「どうするんだ」
女「やっと二人きりになれたね友ちゃん……」
友「周りに人はごまんといるんだが」
女「そうだった」
友「とりあえずさがすぞ」
女「えー、お土産買おうよー」
友「このまま見つからなかったらまずいだろう。お前班長だしまずは連中を探すのが先だ」
女「そんな……友ちゃんと京都ドキドキデート大作戦が……」
友「またそんなくだらないことを考えてたのか……」
135: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/26(日) 19:19:40.91 ID:kFn6sh9p0
低身「あっ……ちょと眼鏡ちゃん」
眼鏡「」ポー
低身「眼鏡ちゃーん!」
眼鏡「ああっ、はい」
低身「どうしたの、やっぱり眼鏡ちゃん変だよ!」
眼鏡「そ、そんなことないですよ……」
低身「隠し事は良くないよ、なんか困ってるなら言って!相談に乗るから」
眼鏡「そんなに心配しなくても……大丈夫です……」
低身「心配するよ!私好きだもん!」
眼鏡「えっ」
低身「眼鏡ちゃんの笑ってる顔が!」
眼鏡「ああ……」
低身「だから笑ってよ!私眼鏡ちゃんの笑顔が見たいの!」
眼鏡「て、低身さん……」
眼鏡(そうですよね……私がこんなんじゃ低身さんに心配かけるばっかりですよね……)
眼鏡(それに私は低身さんの事が好き、ただそれだけなんです、なんら恥じることはないです!)
眼鏡「ごめんなさい低身さん、私ちょと落ち込んでたけどもう平気ですありがとうございます!」
低身「おお!眼鏡ちゃん大復活!良かった!」
眼鏡「はい!低身さんのおかげです!」
低身「で、みんなとはぐれたんだけどどうしよう」
眼鏡「そ、そうだったんですか……」
眼鏡「」ポー
低身「眼鏡ちゃーん!」
眼鏡「ああっ、はい」
低身「どうしたの、やっぱり眼鏡ちゃん変だよ!」
眼鏡「そ、そんなことないですよ……」
低身「隠し事は良くないよ、なんか困ってるなら言って!相談に乗るから」
眼鏡「そんなに心配しなくても……大丈夫です……」
低身「心配するよ!私好きだもん!」
眼鏡「えっ」
低身「眼鏡ちゃんの笑ってる顔が!」
眼鏡「ああ……」
低身「だから笑ってよ!私眼鏡ちゃんの笑顔が見たいの!」
眼鏡「て、低身さん……」
眼鏡(そうですよね……私がこんなんじゃ低身さんに心配かけるばっかりですよね……)
眼鏡(それに私は低身さんの事が好き、ただそれだけなんです、なんら恥じることはないです!)
眼鏡「ごめんなさい低身さん、私ちょと落ち込んでたけどもう平気ですありがとうございます!」
低身「おお!眼鏡ちゃん大復活!良かった!」
眼鏡「はい!低身さんのおかげです!」
低身「で、みんなとはぐれたんだけどどうしよう」
眼鏡「そ、そうだったんですか……」
136: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/26(日) 19:24:19.85 ID:kFn6sh9p0
ショート「わーかわいー、私このストラップ買おっ」
ポニテ「あら木刀」ヒョイ
ショート「ちょっ、ちょちょちょ、ポニテちゃん何する気!?」
ポニテ「え、別に持ってみただけだけど……」
ショート「なんだびっくりした……ポニテちゃんが持つとシャレにならないんだよ……」
ポニテ「ふふふ、ショートちゃんったらおかしい」
ショート「じゃあ私はストラップを……」
ポニテ「これください」
ショート「買うの!?」
ポニテ「あら木刀」ヒョイ
ショート「ちょっ、ちょちょちょ、ポニテちゃん何する気!?」
ポニテ「え、別に持ってみただけだけど……」
ショート「なんだびっくりした……ポニテちゃんが持つとシャレにならないんだよ……」
ポニテ「ふふふ、ショートちゃんったらおかしい」
ショート「じゃあ私はストラップを……」
ポニテ「これください」
ショート「買うの!?」
139: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/26(日) 19:45:42.78 ID:kFn6sh9p0
高身「よかったねー八ツ橋買えて!」
無口「」コク
高身「さてと……みんなどこに行ったのかな……」
無口「」ウーン
無口「!」フラッ
無口「」バタッ
高身「あ、無口ちゃん大丈夫!?転んじゃったの!?」
無口「っ……」
高身「あちゃー……また派手にすりむいちゃったね……大丈夫?痛いでしょ?」
無口「」コクコク
高身「どうしよ……とりあえずここは人が多いし……」
高身「あ、あそこ行こうか水道あるし。大丈夫立てる?」
無口「」スク
高身「あんまり無理しないで……」
無口「」コク
高身「さてと……みんなどこに行ったのかな……」
無口「」ウーン
無口「!」フラッ
無口「」バタッ
高身「あ、無口ちゃん大丈夫!?転んじゃったの!?」
無口「っ……」
高身「あちゃー……また派手にすりむいちゃったね……大丈夫?痛いでしょ?」
無口「」コクコク
高身「どうしよ……とりあえずここは人が多いし……」
高身「あ、あそこ行こうか水道あるし。大丈夫立てる?」
無口「」スク
高身「あんまり無理しないで……」
140: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/26(日) 19:54:24.50 ID:kFn6sh9p0
高身「とりあえず水で傷を洗うよ」ジャー
無口「っ!」
高身「痛いけどちょっと我慢して……はい終わり!」
高身「あとはハンカチでおさえて止血するから……動かないでね」
無口「……」
高身「……」
無口「ねえ」ボソッ
高身「ん、どした?」
無口「だれも聞いてないかな……」
高身「うん大丈夫だと思う」
無口「ありがと……」
高身「どういたしまして」
無口「えっと……高身ちゃんかっこよかった……よ」
高身「ふふ、ありがと、嬉しい」ニコッ
無口「」ニコッ
無口「っ!」
高身「痛いけどちょっと我慢して……はい終わり!」
高身「あとはハンカチでおさえて止血するから……動かないでね」
無口「……」
高身「……」
無口「ねえ」ボソッ
高身「ん、どした?」
無口「だれも聞いてないかな……」
高身「うん大丈夫だと思う」
無口「ありがと……」
高身「どういたしまして」
無口「えっと……高身ちゃんかっこよかった……よ」
高身「ふふ、ありがと、嬉しい」ニコッ
無口「」ニコッ
141: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/26(日) 20:03:14.45 ID:kFn6sh9p0
女「あっ、友ちゃんあそこ」
友「先生!」
教師「おや二人とも、どうしたんだい?」
女「実ははぐれちゃって……ほかの班員を見ませんでした?」
教師「眼鏡さんと低身さんは参道を入ってすぐの八ツ橋屋で八ツ橋を買っているよ。
ショートさんとポニテさんはみなと合流するためにとりあえずバスに移動したみたいだね。
高身さんと無口さんはトイレの近くの水道にいる。なにかあったのかもしれない」
友「そこまで詳細な情報が聞けるとは……」
女「とりあえず先生いれば大丈夫そうだね。さあ探そう!」
友「先生!」
教師「おや二人とも、どうしたんだい?」
女「実ははぐれちゃって……ほかの班員を見ませんでした?」
教師「眼鏡さんと低身さんは参道を入ってすぐの八ツ橋屋で八ツ橋を買っているよ。
ショートさんとポニテさんはみなと合流するためにとりあえずバスに移動したみたいだね。
高身さんと無口さんはトイレの近くの水道にいる。なにかあったのかもしれない」
友「そこまで詳細な情報が聞けるとは……」
女「とりあえず先生いれば大丈夫そうだね。さあ探そう!」
146: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/28(火) 18:46:32.11 ID:jC3brJHp0
数分後
女「いやあみんな見つかってよかったよかった」
高身「先生、無口ちゃんがけがを……」
教師「それは大変だ、僕が絆創膏を持ってるから使って」
女「これでここ京都とはさよならか……」
友「疲れるんだよ……この班は……」
ポニテ「いい修学旅行だったわね」
女「!? その木刀何!?どうしたの!?」
友「落ち着けポニテ!何をするつもりだ!!」
ポニテ「お、お土産に買っただけなんだけど……」
友「あ、そうかそうだよな、普通に考えて」
ポニテ「どうして私がこれを持っているとこんなに怖がられるのかしら」
女「たぶん日頃の行いが……」
女「いやあみんな見つかってよかったよかった」
高身「先生、無口ちゃんがけがを……」
教師「それは大変だ、僕が絆創膏を持ってるから使って」
女「これでここ京都とはさよならか……」
友「疲れるんだよ……この班は……」
ポニテ「いい修学旅行だったわね」
女「!? その木刀何!?どうしたの!?」
友「落ち着けポニテ!何をするつもりだ!!」
ポニテ「お、お土産に買っただけなんだけど……」
友「あ、そうかそうだよな、普通に考えて」
ポニテ「どうして私がこれを持っているとこんなに怖がられるのかしら」
女「たぶん日頃の行いが……」
147: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/28(火) 18:55:30.93 ID:jC3brJHp0
帰りのバス
女「こうして私たちの修学旅行は終了し、残すは帰宅のみとなりました」
友「疲れた」
女「いやあなんだかんだ言っていい修学旅行だった」
友「外が暗いな……もうそんな時間か」
女「暇だね」
友「いかん眠くなってきた」
女「へぇーじゃあ寝ればいいじゃないデスカー私なんにもしまセンヨー」
友「信じられないくらい信じられない」
女「ほんとに何もしないって」
友「嘘こけ……」
女「でも到着までにはまだかなり時間ありますよ」
友「困った」
女「だから寝るべき」
友「ヘン夕イの前でうかうか寝てられんわ」
女「こうして私たちの修学旅行は終了し、残すは帰宅のみとなりました」
友「疲れた」
女「いやあなんだかんだ言っていい修学旅行だった」
友「外が暗いな……もうそんな時間か」
女「暇だね」
友「いかん眠くなってきた」
女「へぇーじゃあ寝ればいいじゃないデスカー私なんにもしまセンヨー」
友「信じられないくらい信じられない」
女「ほんとに何もしないって」
友「嘘こけ……」
女「でも到着までにはまだかなり時間ありますよ」
友「困った」
女「だから寝るべき」
友「ヘン夕イの前でうかうか寝てられんわ」
148: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/28(火) 19:00:24.35 ID:jC3brJHp0
女「そうだいいこと考えた」
友「何だ」
女「私も寝る」
友「は?」
女「そうすれば私は正真正銘何もできないでしょ?友ちゃんは安心して寝れるというわけです」
友「まあそれはそうだが……」
女「じゃそういうわけで!おやすみ!」
友「お前は別に眠くないんだろ?そう簡単に……」
女「zzzz」
友「のび太かお前は」
友「何だ」
女「私も寝る」
友「は?」
女「そうすれば私は正真正銘何もできないでしょ?友ちゃんは安心して寝れるというわけです」
友「まあそれはそうだが……」
女「じゃそういうわけで!おやすみ!」
友「お前は別に眠くないんだろ?そう簡単に……」
女「zzzz」
友「のび太かお前は」
149: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/28(火) 19:03:35.53 ID:jC3brJHp0
友「まあそういう冗談はいいから……」
女「zzzz」
友「聞けって」
女「zzzz」
友「まさか本当に寝てるのか……?」
女「zzzz」
友「……」
女「zzzz」
友「それにつけても?」
女「おやつはカール♪」
友「おい」
女「しまった!ついつられて!」
女「zzzz」
友「聞けって」
女「zzzz」
友「まさか本当に寝てるのか……?」
女「zzzz」
友「……」
女「zzzz」
友「それにつけても?」
女「おやつはカール♪」
友「おい」
女「しまった!ついつられて!」
150: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/28(火) 19:10:40.74 ID:jC3brJHp0
友「なんで寝たふりしてたんだ」
女「寝ようとしてただけだい!」
友「おもいっきりしまったとか言ってたじゃねーか」
女「ぎくっ」
友「お前の考えてることがわかったぞ……そうやって寝たふりして、私が寝たところを何かする気だな……」
女「ぎくぎくぎくーん!違うよ!」
友「そんなにぎくぎく言った後でよく否定できるな」
女「ふんいいもん!どうせ友ちゃんの事だから睡魔に勝てなくて何もしなくても寝ちゃうでしょ!」
友「んなわけあるか、お前じゃあるまいし」
友(とは言ったものの本当に眠いな……このままだとまずい)
友(はぁ……なにか目が覚めるようなことでもおきないだろうか……)
女「寝ようとしてただけだい!」
友「おもいっきりしまったとか言ってたじゃねーか」
女「ぎくっ」
友「お前の考えてることがわかったぞ……そうやって寝たふりして、私が寝たところを何かする気だな……」
女「ぎくぎくぎくーん!違うよ!」
友「そんなにぎくぎく言った後でよく否定できるな」
女「ふんいいもん!どうせ友ちゃんの事だから睡魔に勝てなくて何もしなくても寝ちゃうでしょ!」
友「んなわけあるか、お前じゃあるまいし」
友(とは言ったものの本当に眠いな……このままだとまずい)
友(はぁ……なにか目が覚めるようなことでもおきないだろうか……)
151: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/28(火) 19:21:29.49 ID:jC3brJHp0
眼鏡「じゃあ……道路」
低身「廊下!」
眼鏡「カ……カラス」
低身「寿司!おすし!」
眼鏡「渋柿」
低身「えと……あ!きれい!」
眼鏡「いですか?い……い……」
低身「そうじゃなくて眼鏡ちゃん!窓の外、見て!」
眼鏡「外……?わっ」
眼鏡「すごくきれいな夜景――」
低身「廊下!」
眼鏡「カ……カラス」
低身「寿司!おすし!」
眼鏡「渋柿」
低身「えと……あ!きれい!」
眼鏡「いですか?い……い……」
低身「そうじゃなくて眼鏡ちゃん!窓の外、見て!」
眼鏡「外……?わっ」
眼鏡「すごくきれいな夜景――」
152: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/28(火) 19:34:14.84 ID:jC3brJHp0
低身「すごーい!私こんなにきれいなの初めて見た!」
眼鏡「ほ、ほんとにすごくきれい……」
教師「お、そこの二人はもう気がついてるみたいだね」
教師「はいみんな窓に注目!」
ショート「見て見てポニテちゃん!」
ポニテ「あら……すごい……」
無言「」クイクイ
高身「わー!すごいきれい!」
女「友ちゃんほら!目も覚めるような夜景!」グイッ
友「わかったから顔をつかむな顔を」
教師「今日たまたま通ったここは実は日本で有数の夜景スポット!めったに見れないからよく見ておくように!」
女(た、たまたま……?まさか先生わざわざここを……いや、考え過ぎか……)
友(考え過ぎだよな……)
眼鏡(考え過ぎですよね……)
ショート(考え過ぎかな……)
ポニテ(考え過ぎよね……)
高身(考え過ぎかも……)
無口(考え過ぎだよね……)
低身「わーきれー」
眼鏡「ほ、ほんとにすごくきれい……」
教師「お、そこの二人はもう気がついてるみたいだね」
教師「はいみんな窓に注目!」
ショート「見て見てポニテちゃん!」
ポニテ「あら……すごい……」
無言「」クイクイ
高身「わー!すごいきれい!」
女「友ちゃんほら!目も覚めるような夜景!」グイッ
友「わかったから顔をつかむな顔を」
教師「今日たまたま通ったここは実は日本で有数の夜景スポット!めったに見れないからよく見ておくように!」
女(た、たまたま……?まさか先生わざわざここを……いや、考え過ぎか……)
友(考え過ぎだよな……)
眼鏡(考え過ぎですよね……)
ショート(考え過ぎかな……)
ポニテ(考え過ぎよね……)
高身(考え過ぎかも……)
無口(考え過ぎだよね……)
低身「わーきれー」
153: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/28(火) 19:41:41.34 ID:jC3brJHp0
女「素敵な夜景も見れてこのバスももうじき到着です」
友「……」
女「どしたの友ちゃん腑に落ちないような顔して」
友「なあ……」
女「なに?」
友「お前に一つ言いたいことが……ある……」
女「え、なに急に」
友「いいから聞け」
女「う、うん……」
友「……」
女「……」
友「私たちってさ……」
友「お土産買ってなくないか?」
女「あっ」
友「……」
女「どしたの友ちゃん腑に落ちないような顔して」
友「なあ……」
女「なに?」
友「お前に一つ言いたいことが……ある……」
女「え、なに急に」
友「いいから聞け」
女「う、うん……」
友「……」
女「……」
友「私たちってさ……」
友「お土産買ってなくないか?」
女「あっ」
155: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/28(火) 19:46:18.62 ID:jC3brJHp0
友「買ってないよな……」
女「しまった……みんなを探すのに夢中で……」
友「さんざんやったのに結局こんなオチかよ」
女「ちゃんちゃん」
女「しまった……みんなを探すのに夢中で……」
友「さんざんやったのに結局こんなオチかよ」
女「ちゃんちゃん」
164: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/30(木) 18:06:38.91 ID:6Vlbb82y0
ゴールデンウィーク1日目
友宅
女「」ピンポンポーンピピポンポーン
友「うるさい」ガチャ
女「こんにちはでございます!」
友「人んちのインターホンを鳩ぽっぽのリズムで鳴らすな」
女「今日からGWですね!」
友「ゲームウォッチ?」
女「ゴールデンウィークだよ!」
友「それで何しに来たんだ」
女「せっかくの黄金週間なんだからどっか遊びに行こうっ!」
友「断る」
女「友ちゃんはなにか予定があるのかい?」
友「別に」
女「えっどこにも行かないの!?」
友「家でごろごろ、これに尽きる」
女「なんてつまらない人間なんだ」
女「なんてつまらない人間なんだ」
友「二回言わなくていいから」
友宅
女「」ピンポンポーンピピポンポーン
友「うるさい」ガチャ
女「こんにちはでございます!」
友「人んちのインターホンを鳩ぽっぽのリズムで鳴らすな」
女「今日からGWですね!」
友「ゲームウォッチ?」
女「ゴールデンウィークだよ!」
友「それで何しに来たんだ」
女「せっかくの黄金週間なんだからどっか遊びに行こうっ!」
友「断る」
女「友ちゃんはなにか予定があるのかい?」
友「別に」
女「えっどこにも行かないの!?」
友「家でごろごろ、これに尽きる」
女「なんてつまらない人間なんだ」
女「なんてつまらない人間なんだ」
友「二回言わなくていいから」
165: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/30(木) 18:13:27.00 ID:6Vlbb82y0
女「そんなこと言わずに!遊びに行った方が絶対楽しいって!」
友「あのなー、ゴールデンウィークだぞ?どこ行ってもきっと人だらけだよ」
女「なるほど」
友「人ごみは修学旅行でこりごりなんだ。お前だってそうだろ」
女「確かに」
友「無理に出かけて疲れるより家の方が絶対いいって」
女「ふむふむ」
女「で、どこ行くの?」
友「お前話聞いてた?」
友「あのなー、ゴールデンウィークだぞ?どこ行ってもきっと人だらけだよ」
女「なるほど」
友「人ごみは修学旅行でこりごりなんだ。お前だってそうだろ」
女「確かに」
友「無理に出かけて疲れるより家の方が絶対いいって」
女「ふむふむ」
女「で、どこ行くの?」
友「お前話聞いてた?」
166: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/30(木) 18:21:54.04 ID:6Vlbb82y0
女「まあいいやとりあえずあがろっ、おじゃましまーす」
友「今日家、私一人なんだが……」
女「なんと!それはいいことを聞いた!やらいでか!」
友「なにもやらん」
女「さてとどこに行くか決めましょうか」
友「行くの前提かよ」
女「どないする」
友「はあ……全くしょうがない奴だな、じゃあ昼がまだだしなんか食いに行くか」
女「ほうほういいですね!」
友「何食う」
女「ていうか私がつくってあげようか」
友「つくれるのか?」
女「へっへーん、将来友ちゃんのお嫁さんになるんだから料理くらいできないと」
友「めんどくせえなつっこむのが」
友「今日家、私一人なんだが……」
女「なんと!それはいいことを聞いた!やらいでか!」
友「なにもやらん」
女「さてとどこに行くか決めましょうか」
友「行くの前提かよ」
女「どないする」
友「はあ……全くしょうがない奴だな、じゃあ昼がまだだしなんか食いに行くか」
女「ほうほういいですね!」
友「何食う」
女「ていうか私がつくってあげようか」
友「つくれるのか?」
女「へっへーん、将来友ちゃんのお嫁さんになるんだから料理くらいできないと」
友「めんどくせえなつっこむのが」
167: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/30(木) 18:31:17.62 ID:6Vlbb82y0
女「さてと材料ある?」
友「なにつくるんだ?」
女「カレー」
友「ひ、昼から?」
女「カレーシカツクレナイ」
友「そうなのか……」
女「あ、ルーあった。野菜ある?なんか」
友「玉ねぎと人参とジャガイモあたりでいいか?あと肉もある」
女「なんかザ・カレーって感じの材料だねなんか面白くない」
友「確かに典型的すぎるか。他になんかいれるか?」
女「キノコとか」
友「ないな」
女「おナスとか」
友「それもない」
女「シチューのルーとか」
友「いやいや」
女「カレールーと見せかけたチョコとか」
友「闇鍋でもやるのか?」
女「友ちゃんの体液とか……」
友「気持ち悪いこと言うなよ!」
友「なにつくるんだ?」
女「カレー」
友「ひ、昼から?」
女「カレーシカツクレナイ」
友「そうなのか……」
女「あ、ルーあった。野菜ある?なんか」
友「玉ねぎと人参とジャガイモあたりでいいか?あと肉もある」
女「なんかザ・カレーって感じの材料だねなんか面白くない」
友「確かに典型的すぎるか。他になんかいれるか?」
女「キノコとか」
友「ないな」
女「おナスとか」
友「それもない」
女「シチューのルーとか」
友「いやいや」
女「カレールーと見せかけたチョコとか」
友「闇鍋でもやるのか?」
女「友ちゃんの体液とか……」
友「気持ち悪いこと言うなよ!」
168: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/30(木) 18:37:41.31 ID:6Vlbb82y0
友「いいよな材料はこれで……」
女「あ、もちろん友ちゃんも手伝ってくれるよね?」
友「まあいいけど」
女「おっしゃー!じゃあつくりはじめるよ!」
友「おう」
女「はいじゃあまずは食材を切ろう!」
女「あ、もちろん友ちゃんも手伝ってくれるよね?」
友「まあいいけど」
女「おっしゃー!じゃあつくりはじめるよ!」
友「おう」
女「はいじゃあまずは食材を切ろう!」
169: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/30(木) 18:47:45.31 ID:6Vlbb82y0
女「うえーんぐすぐす」
女「最近友ちゃん、私のために割く時間が少なすぎるんじゃない!?」
女「夜の方も雑になってきたし最近どうも帰ってくるのが遅いし」
女「も、もしかして別の女に手を出して!?私というものがありながらー!!」
友「つっこみみたいことは山ほどあるがとりあえず玉ねぎで出た涙でくそみたいな芝居するのやめろ」
女「ちっ、あほな友ちゃんになら行けると思ったのに」
友「お前にあほとか言われる筋合いないわ」
友「ん」ポロ
女「あ!友ちゃんの瞳にも涙が!私の事に対してやっと反省してくれたんだね!」
友「これは玉ねぎのせいだがお前のからみ方がめんどくさすぎて本当に泣きそうかも」
女「最近友ちゃん、私のために割く時間が少なすぎるんじゃない!?」
女「夜の方も雑になってきたし最近どうも帰ってくるのが遅いし」
女「も、もしかして別の女に手を出して!?私というものがありながらー!!」
友「つっこみみたいことは山ほどあるがとりあえず玉ねぎで出た涙でくそみたいな芝居するのやめろ」
女「ちっ、あほな友ちゃんになら行けると思ったのに」
友「お前にあほとか言われる筋合いないわ」
友「ん」ポロ
女「あ!友ちゃんの瞳にも涙が!私の事に対してやっと反省してくれたんだね!」
友「これは玉ねぎのせいだがお前のからみ方がめんどくさすぎて本当に泣きそうかも」
170: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/30(木) 18:55:58.99 ID:6Vlbb82y0
友「ほらさっさと切るぞ」トントン
女「ういうい」
友「……」トントン
女(あんまり慣れてない手つき……やっぱりあんま料理しないんだろうな)
女(ん、待てよ、これで友ちゃんが軽いケガでもしてくれたら友ちゃんの指を合法的に舐めるチャンス!)
友「……」トントン
女(けがしろ~けがしろ~)
友「さっきから私の指をすごいけんまくで睨んでるがなにかついてるのか……?」
女「あっ、いやいやそういうわけじゃnぎゃー!指!指切った!」
友「よそ見してるからだろ……」
女「ういうい」
友「……」トントン
女(あんまり慣れてない手つき……やっぱりあんま料理しないんだろうな)
女(ん、待てよ、これで友ちゃんが軽いケガでもしてくれたら友ちゃんの指を合法的に舐めるチャンス!)
友「……」トントン
女(けがしろ~けがしろ~)
友「さっきから私の指をすごいけんまくで睨んでるがなにかついてるのか……?」
女「あっ、いやいやそういうわけじゃnぎゃー!指!指切った!」
友「よそ見してるからだろ……」
171: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/30(木) 18:58:58.70 ID:6Vlbb82y0
女「私がけがするとは」
友「ほら見せてみろ……なんだたいしたことないな、つばつけときゃなおるだろ」
女「え!?まさか友ちゃんが!?」
友「ほら、舐めろ」
女「ですよねー」
友「ほら見せてみろ……なんだたいしたことないな、つばつけときゃなおるだろ」
女「え!?まさか友ちゃんが!?」
友「ほら、舐めろ」
女「ですよねー」
172: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/30(木) 19:10:01.26 ID:6Vlbb82y0
女「あ、でもいまのほら舐めろってSっぽくてちょっとゾクッときたかも」
友「ああ?」
女「駄菓子菓子!わたしはそんなことで妥協したりはしない!さあ私の指を舐めてくれたまえよ!」
友「はあ?誰がお前の指なんて舐めるか」
女「そこを何とか」
友「嫌だ」
女「ふっふっふ……いいのかな……友ちゃんの恥ずかしい写真をばらまいても……」
友「なんのことだ」
女「実は今の今まで忘れてたんだけどあの修学旅行の夜に記念に撮った写真があった。私と友ちゃんが添い寝してる写真」
友「下手な嘘つきやがって」
女「それが嘘じゃないんだなー、ほら」つスマホ
友「うそっ、まじか」
女「ふふふ、このままだとこの写真を片手に友ちゃんが彼女になったと皆に言って回るぞ」
友「それは困るすごく」
女「じゃ、舐めてもらおうか!いやっほほい!」
友「ああ?」
女「駄菓子菓子!わたしはそんなことで妥協したりはしない!さあ私の指を舐めてくれたまえよ!」
友「はあ?誰がお前の指なんて舐めるか」
女「そこを何とか」
友「嫌だ」
女「ふっふっふ……いいのかな……友ちゃんの恥ずかしい写真をばらまいても……」
友「なんのことだ」
女「実は今の今まで忘れてたんだけどあの修学旅行の夜に記念に撮った写真があった。私と友ちゃんが添い寝してる写真」
友「下手な嘘つきやがって」
女「それが嘘じゃないんだなー、ほら」つスマホ
友「うそっ、まじか」
女「ふふふ、このままだとこの写真を片手に友ちゃんが彼女になったと皆に言って回るぞ」
友「それは困るすごく」
女「じゃ、舐めてもらおうか!いやっほほい!」
173: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/30(木) 19:13:17.19 ID:6Vlbb82y0
友「」ペロッ
女「えっ」
友「ほら」
女「な、なに今のソフトタッチ!こんなんじゃ傷なおんないよ!」
友「でも舐めたんだからいいだろ」
女「私は納得できません。もっと舐めて!ちゃんと口に含んで!」
友「めんどくせーな……」
女「えっ」
友「ほら」
女「な、なに今のソフトタッチ!こんなんじゃ傷なおんないよ!」
友「でも舐めたんだからいいだろ」
女「私は納得できません。もっと舐めて!ちゃんと口に含んで!」
友「めんどくせーな……」
174: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/30(木) 19:20:05.70 ID:6Vlbb82y0
友「じゃ、いくぞ……」
女「どうぞ」
友「」パクッ
女「あふん」
友「」ナメナメ
女「いい感じ……」
友「」ペッ
女「むはー!」
友「これでいいのか……?」
女「うんありがと、私満足」
友「……」
女「……」
友「な、なぜか変な雰囲気に……」
女「うんもうなんか……ベットいこうか!ね!?」
友「」バシィ
女「べるばっ!」
女「どうぞ」
友「」パクッ
女「あふん」
友「」ナメナメ
女「いい感じ……」
友「」ペッ
女「むはー!」
友「これでいいのか……?」
女「うんありがと、私満足」
友「……」
女「……」
友「な、なぜか変な雰囲気に……」
女「うんもうなんか……ベットいこうか!ね!?」
友「」バシィ
女「べるばっ!」
175: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/30(木) 19:27:23.49 ID:6Vlbb82y0
女「ちょ、指よりもひどいケガしそうだったんだけど!」
友「もう二度とこんなことはしない、絶対にだ」
女「なんでだよー……というところだけど今の私割と満足」ナメナメ
友「私が舐めた指を舐めるな」
女「そういえば料理中だった」
友「よく考えたらつばついた指じゃきたねえからちゃんと洗って絆創膏貼ってこい」
女「そうする。洗面所行ってくる」タタタ
友「……」
友「さてと……例の写真を消すか……」
友「もう二度とこんなことはしない、絶対にだ」
女「なんでだよー……というところだけど今の私割と満足」ナメナメ
友「私が舐めた指を舐めるな」
女「そういえば料理中だった」
友「よく考えたらつばついた指じゃきたねえからちゃんと洗って絆創膏貼ってこい」
女「そうする。洗面所行ってくる」タタタ
友「……」
友「さてと……例の写真を消すか……」
176: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/30(木) 19:34:33.09 ID:6Vlbb82y0
女「切った材料も炒めたし水で煮ます」
友「どのくらいだ?」
女「20~30分くらい?」
友「暇だな」
女「なんかする?」
友「火の元離れちゃいかんだろ」
女「IHだから大丈夫。多分」
友「なにする」
女「よし!じゃあベットに……」
友「」シュッ
女「見切った!」ガシッ
女「ははは!天下の女様が同じ手に何度も引っかかるとでmごぷあぁ」
友「調子のってる暇あったら追撃の心配しろよ」
177: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/30(木) 19:39:27.52 ID:6Vlbb82y0
女「私は悔しい。いつも友ちゃんにやられてばっかで」
友「なんだ急に」
女「私が本気出せば友ちゃんなんかけちょんけちょんだかんな!」
友「あっそ」
女「友よ!私と勝負しろ!」
友「どうやって」
女「マァリオカートゥwwwwwwwwエーイッwwwwwwwww」
友「ゲームかよ」
友「なんだ急に」
女「私が本気出せば友ちゃんなんかけちょんけちょんだかんな!」
友「あっそ」
女「友よ!私と勝負しろ!」
友「どうやって」
女「マァリオカートゥwwwwwwwwエーイッwwwwwwwww」
友「ゲームかよ」
178: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/04/30(木) 19:45:23.69 ID:6Vlbb82y0
数分後
女「どれ味見を」
女「ペロッ、これはカレー!?」
友「当たり前だろ」
友「じゃあこれを盛りつけ……あっ」
女「ん?どした?」
友「」
女「え?友ちゃん?」
友「」
女「どうした!応答しろ友!友オオオオ!」
友「」
女「まじでどうしたん」
友「米 が な い」
女「」
女「どれ味見を」
女「ペロッ、これはカレー!?」
友「当たり前だろ」
友「じゃあこれを盛りつけ……あっ」
女「ん?どした?」
友「」
女「え?友ちゃん?」
友「」
女「どうした!応答しろ友!友オオオオ!」
友「」
女「まじでどうしたん」
友「米 が な い」
女「」
184: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/02(土) 19:08:17.88 ID:Yrz1bFcK0
ゴールデンウィーク二日目
ショート「気がついたらここにいた。ここはどこだ」
ショート「頭が痛い。昨日までは普通に自分の家にいたのに」
ショート「周りの情報を得ようと行動を起こそうとするがそれもできない。なぜだ」
ショート「原因がわかった。手足がベットに固定されている。私は今大の字だ」
ショート「しょうがないから今の視界の情報だけでこの場所を推理するしかない」
ショート「特筆すべきは壁一面の写真だ。これらが美しい風景の写真だったら写真が趣味の人の家かもしれないがそうじゃない」
ショート「この写真はすべて私の写真だ。一枚残らず例外がない。いったいどこでこんなに入手できるのだろう」
ショート「さあこれらの情報をふまえて私をこんな目に追いやった犯人を推理しよう」
ショート「私には一人だけ心当たりがある。それは……」
ポニテ「あら、ショートちゃんおきてたの?」
ショート「ポニテちゃんしかいないよねぇ……」
ショート「気がついたらここにいた。ここはどこだ」
ショート「頭が痛い。昨日までは普通に自分の家にいたのに」
ショート「周りの情報を得ようと行動を起こそうとするがそれもできない。なぜだ」
ショート「原因がわかった。手足がベットに固定されている。私は今大の字だ」
ショート「しょうがないから今の視界の情報だけでこの場所を推理するしかない」
ショート「特筆すべきは壁一面の写真だ。これらが美しい風景の写真だったら写真が趣味の人の家かもしれないがそうじゃない」
ショート「この写真はすべて私の写真だ。一枚残らず例外がない。いったいどこでこんなに入手できるのだろう」
ショート「さあこれらの情報をふまえて私をこんな目に追いやった犯人を推理しよう」
ショート「私には一人だけ心当たりがある。それは……」
ポニテ「あら、ショートちゃんおきてたの?」
ショート「ポニテちゃんしかいないよねぇ……」
185: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/02(土) 19:09:38.32 ID:Yrz1bFcK0
ポニテ「なに一人でぶつぶつ言ってたの?」
ショート「探偵ごっこしようと思って」
ポニテ「探偵も何もここは私の部屋よ?来たことあるでしょ何回も」
ショート「こんな衝撃的な部屋忘れるわけないよ!」
ポニテ「はい、ショートちゃん、朝ご飯」
ショート「朝ご飯?今って朝なの?」
ポニテ「まあそうね……」
ショート「だったら別にカーテンしめなくても……ていうか時間どうこう以前にいま何年何月何日何曜日?」
ポニテ「現在二千十五年五月三日日曜日よ」
ショート「私のもっとも最近の記憶は二日だ。ということは日をまたいだのか」
ショート「ていうか手が動かせないんじゃご飯食べられないよ」
ポニテ「大丈夫よ、私が食べさせてあげるから。はい、アーン」
ショート「ですよねー」
ショート「探偵ごっこしようと思って」
ポニテ「探偵も何もここは私の部屋よ?来たことあるでしょ何回も」
ショート「こんな衝撃的な部屋忘れるわけないよ!」
ポニテ「はい、ショートちゃん、朝ご飯」
ショート「朝ご飯?今って朝なの?」
ポニテ「まあそうね……」
ショート「だったら別にカーテンしめなくても……ていうか時間どうこう以前にいま何年何月何日何曜日?」
ポニテ「現在二千十五年五月三日日曜日よ」
ショート「私のもっとも最近の記憶は二日だ。ということは日をまたいだのか」
ショート「ていうか手が動かせないんじゃご飯食べられないよ」
ポニテ「大丈夫よ、私が食べさせてあげるから。はい、アーン」
ショート「ですよねー」
186: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/02(土) 19:10:29.07 ID:Yrz1bFcK0
ショート「」モグモグ
ポニテ「どう?おいしい?」
ショート「おいしいけど気分はあがらない」
ポニテ「残さず食べてね、アーン」
ショート「また何でこんなことを……」
ポニテ「連休中ショートちゃんいないと寂しいなーと思って」
ショート「それがなんで監禁につながるのかがわからない」
ポニテ「私はただショートちゃんと一緒にいたいだけ」
ショート「たしか去年もこんなだった気がする」
ポニテ「去年だけじゃないわよ。その前も、その前も、そのまたその前も……」
ショート「はぁあ……今年は一日目が平気だったから行けると思ったんだけどな……」
ポニテ「どう?おいしい?」
ショート「おいしいけど気分はあがらない」
ポニテ「残さず食べてね、アーン」
ショート「また何でこんなことを……」
ポニテ「連休中ショートちゃんいないと寂しいなーと思って」
ショート「それがなんで監禁につながるのかがわからない」
ポニテ「私はただショートちゃんと一緒にいたいだけ」
ショート「たしか去年もこんなだった気がする」
ポニテ「去年だけじゃないわよ。その前も、その前も、そのまたその前も……」
ショート「はぁあ……今年は一日目が平気だったから行けると思ったんだけどな……」
187: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/02(土) 19:12:11.05 ID:Yrz1bFcK0
ショート「ごちそうさまでした」
ポニテ「おそまつさまでした」
ショート「それで今回はいつまで?」
ポニテ「そうね……連休明けまでかしら」
ショート「嗚呼、私ノ黄金週間」
ポニテ「本当はずーっとずーっとこうしてたいのよ?」
ショート「それにしてもいつみてもすごい部屋だね……ゲシュタルト崩壊しそう」
ポニテ「ここに貼ってあるのはほんの一部よ?」
ショート「すさまじいね……」
ポニテ「じゃ、お皿片づけてくるから。おしっこしたくなったら言ってね」
ショート「ういー」
ポニテ「おそまつさまでした」
ショート「それで今回はいつまで?」
ポニテ「そうね……連休明けまでかしら」
ショート「嗚呼、私ノ黄金週間」
ポニテ「本当はずーっとずーっとこうしてたいのよ?」
ショート「それにしてもいつみてもすごい部屋だね……ゲシュタルト崩壊しそう」
ポニテ「ここに貼ってあるのはほんの一部よ?」
ショート「すさまじいね……」
ポニテ「じゃ、お皿片づけてくるから。おしっこしたくなったら言ってね」
ショート「ういー」
188: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/02(土) 19:18:51.39 ID:Yrz1bFcK0
ショート(あと四日間ずっとこれかいな……さすがにきついな、慣れたけど)
ショート(うーん、これで何回目なんだろうな、これ)
ショート(ていうかいつからこんなことはじまったんだっけ)
ショート(えーと……ポニテちゃんとは幼稚園で知り合って仲良くなって……)
ショート(それで小中高とずっと同じクラスだったな……なんでだろ)
ショート(小さいころから私が別の女の子と話してるとあの人は誰なのとかすごい聞いてきたし)
ショート(携帯の履歴とかほとんどポニテちゃんだし)
ショート(なぜか私の家のカギ持ってるし)
ショート(ときどきこうやって監禁されるし……)
ショート(ほんとポニテちゃんって何者!?)
ショート(そういえばポニテちゃんのお母さんとかってみたことないな、いっつも家で一人だよね……)
ショート(うーん、これで何回目なんだろうな、これ)
ショート(ていうかいつからこんなことはじまったんだっけ)
ショート(えーと……ポニテちゃんとは幼稚園で知り合って仲良くなって……)
ショート(それで小中高とずっと同じクラスだったな……なんでだろ)
ショート(小さいころから私が別の女の子と話してるとあの人は誰なのとかすごい聞いてきたし)
ショート(携帯の履歴とかほとんどポニテちゃんだし)
ショート(なぜか私の家のカギ持ってるし)
ショート(ときどきこうやって監禁されるし……)
ショート(ほんとポニテちゃんって何者!?)
ショート(そういえばポニテちゃんのお母さんとかってみたことないな、いっつも家で一人だよね……)
189: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/02(土) 19:33:57.03 ID:Yrz1bFcK0
ポニテ「店のなかには、私を含めて三人の男がいた。
ひとりは、カウンターの中のバーテン。もうひとりは、少しはなれた椅子にかけている客」ペラ
ショート「……」
ポニテ「いずれも目つきのよくない、油断ならない表情で、なにを考えているのかわからない……」
ショート「ねえポニテちゃん」
ポニテ「なに?」
ショート「私ちょっと眠くなってきちゃった……寝ていい?」
ポニテ「ええもちろん、起きたらまた続きから読みましょうか」
ショート「いやもうその本はいいや……何回も読んだし、ていうか聞いたし」
ポニテ「そうね、じゃあ私はショートちゃんが寝てる間に買い物に行ってくるわ。
ついでに映画か何かかりてきましょうか。なにがいい?」
ショート「サマーウォーズ」
ポニテ「好きねそれ」
ショート「うん」
ポニテ「それじゃおやすみなさい……」
ショート「ねえ」
190: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/02(土) 19:44:05.74 ID:Yrz1bFcK0
ポニテ「なに?」
ショート「ポニテちゃんって家でいっつも一人だけど他に誰かいないの?お母さんとか……」
ポニテ「……」
ショート「あれ、もしかして聞いちゃいけないやつだった?」
ポニテ「別にいいわよ、親なんていたことないし」
ショート「やっぱダメじゃん!」
ポニテ「心配しすぎよ、大丈夫。私両親がいなくて寂しいだなんて思ったことないから。
むしろいなくて良かったって思うくらい」
ショート「そんな……」
ポニテ「わたしにはショートちゃんがいてくれればそれでいいのよ」
ポニテ「ショートちゃん以外の人なんていらないわ」
ショート「でも……そういうわけにもいかないでしょ?」
ポニテ「そうね、それは私が一番よく分かってる」
ポニテ「というかこの話前もしたわ」
ショート「あれ?そうだっけ?」
ポニテ「ショートちゃんってばほんとに忘れっぽいわねぇ……かわいいからいいけど」
ショート「ポニテちゃんって家でいっつも一人だけど他に誰かいないの?お母さんとか……」
ポニテ「……」
ショート「あれ、もしかして聞いちゃいけないやつだった?」
ポニテ「別にいいわよ、親なんていたことないし」
ショート「やっぱダメじゃん!」
ポニテ「心配しすぎよ、大丈夫。私両親がいなくて寂しいだなんて思ったことないから。
むしろいなくて良かったって思うくらい」
ショート「そんな……」
ポニテ「わたしにはショートちゃんがいてくれればそれでいいのよ」
ポニテ「ショートちゃん以外の人なんていらないわ」
ショート「でも……そういうわけにもいかないでしょ?」
ポニテ「そうね、それは私が一番よく分かってる」
ポニテ「というかこの話前もしたわ」
ショート「あれ?そうだっけ?」
ポニテ「ショートちゃんってばほんとに忘れっぽいわねぇ……かわいいからいいけど」
191: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/02(土) 19:49:13.94 ID:Yrz1bFcK0
ショート「ていうかこれとってくんない?」
ポニテ「だめよ」
ショート「なんで」
ポニテ「とったらショートちゃん逃げるでしょ?」
ショート「うん逃げる」
ポニテ「だからだめ」
ショート「むー」
ポニテ「じゃ、行ってくるわね。おやすみなさい」
ショート「うん」
ポニテ「だめよ」
ショート「なんで」
ポニテ「とったらショートちゃん逃げるでしょ?」
ショート「うん逃げる」
ポニテ「だからだめ」
ショート「むー」
ポニテ「じゃ、行ってくるわね。おやすみなさい」
ショート「うん」
192: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/02(土) 20:16:54.17 ID:Yrz1bFcK0
夕方
ショート「う……うーん……」
ポニテ「あら、おはよ」
ショート「おはよ……」ゴシゴシ
ポニテ「ずいぶん長く寝てたわね」
ショート「あれ、写真取ったの?」
ポニテ「ええ、今はショートちゃんがいるもの。ま、連休が終わったらまた飾るけどね」
ショート「DVD借りてきた?」
ポニテ「ええ、ほら」
ショート「ポニテちゃんは何してたの?私が寝てる間」
ポニテ「買い物から帰ってきた後は掃除とかしてたけど……基本的にここにいたわ」
ショート「え、ここで何してたの?」
ポニテ「ずーっとショートちゃんの事見てたわ」
ショート「別の事してればよかったのに……」
ショート「う……うーん……」
ポニテ「あら、おはよ」
ショート「おはよ……」ゴシゴシ
ポニテ「ずいぶん長く寝てたわね」
ショート「あれ、写真取ったの?」
ポニテ「ええ、今はショートちゃんがいるもの。ま、連休が終わったらまた飾るけどね」
ショート「DVD借りてきた?」
ポニテ「ええ、ほら」
ショート「ポニテちゃんは何してたの?私が寝てる間」
ポニテ「買い物から帰ってきた後は掃除とかしてたけど……基本的にここにいたわ」
ショート「え、ここで何してたの?」
ポニテ「ずーっとショートちゃんの事見てたわ」
ショート「別の事してればよかったのに……」
198: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 18:43:59.49 ID:csc1VuWF0
ポニテ「はい、アーン」
ショート「」モグモグ
ポニテ「おいしい?」
ショート「ポニテちゃんの料理はいっつもおいしいよ」
ポニテ「あら、そういってもらえると嬉しいわ」
ショート「だから普通に食べたいんだよなぁ……」
ポニテ「いろいろ隠し味入れてるからね」
ショート「隠し味?何?」
ポニテ「……」
ポニテ「ショートちゃんへの愛がいっぱい……」
ショート「今の間は何!?」
ショート「」モグモグ
ポニテ「おいしい?」
ショート「ポニテちゃんの料理はいっつもおいしいよ」
ポニテ「あら、そういってもらえると嬉しいわ」
ショート「だから普通に食べたいんだよなぁ……」
ポニテ「いろいろ隠し味入れてるからね」
ショート「隠し味?何?」
ポニテ「……」
ポニテ「ショートちゃんへの愛がいっぱい……」
ショート「今の間は何!?」
199: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 18:47:52.98 ID:csc1VuWF0
ポニテ「じゃあお皿片づけて……あとお風呂も沸かしてくるわ」
ショート「うん」
ポニテ「映画見てる?」
ショート「ううん、ポニテちゃんと一緒に見るから」
ポニテ「そう……じゃあ待っててね」
ショート「うん」
ポニテ「映画見てる?」
ショート「ううん、ポニテちゃんと一緒に見るから」
ポニテ「そう……じゃあ待っててね」
200: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 18:56:24.08 ID:csc1VuWF0
ショート(んー、お腹いっぱい。結局何だったんだろ隠し味って)
プルプル プルプル
ショート(ん?何の音……?)
ショート(あ、私の携帯……ポニテちゃんが持ってきたのかな)
ショート(頑張ればとどきそう……よしとどいた)
ショート(知ってる電話番号……でも誰のだっけ)
ショート(まあ出ればわかるよね)ピッ
クラスメイト『あ、もしもし』
ショート「ああなんだ、クラスメイトさんか」
クラスメイト『うんそうだよ、ねえ今日遊ぶ約束どうしたの?家行ってもいなかったけど』
ショート「うんごめん監禁されちゃって」
クラスメイト『か、監禁?なにそれどういうジョーク?』
ショート「いやジョークでなく」
プルプル プルプル
ショート(ん?何の音……?)
ショート(あ、私の携帯……ポニテちゃんが持ってきたのかな)
ショート(頑張ればとどきそう……よしとどいた)
ショート(知ってる電話番号……でも誰のだっけ)
ショート(まあ出ればわかるよね)ピッ
クラスメイト『あ、もしもし』
ショート「ああなんだ、クラスメイトさんか」
クラスメイト『うんそうだよ、ねえ今日遊ぶ約束どうしたの?家行ってもいなかったけど』
ショート「うんごめん監禁されちゃって」
クラスメイト『か、監禁?なにそれどういうジョーク?』
ショート「いやジョークでなく」
201: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 19:04:58.69 ID:csc1VuWF0
クラスメイト『誰に』
ショート「うーんと……友達」
クラスメイト『それって友達が来てて身動き取れないことを監禁って言ってるってこと?』
ショート「いや違う違う、マジもんのやつ。今手足固定されてて動けない」
クラスメイト『仮にそれが冗談じゃないとしたらそれそうとうやばいんじゃない?』
ショート「んー、まあ大丈夫。しょっちゅうだし」
クラスメイト『ちょっとよくわかんないんだけど……』
ショート「ていうかそろそろきっていい?ポニ……友達が来ちゃうから」
クラスメイト『ええ……?でも監禁って……』
ポニテ「」ヒョイ
ショート「あっ」
ショート「うーんと……友達」
クラスメイト『それって友達が来てて身動き取れないことを監禁って言ってるってこと?』
ショート「いや違う違う、マジもんのやつ。今手足固定されてて動けない」
クラスメイト『仮にそれが冗談じゃないとしたらそれそうとうやばいんじゃない?』
ショート「んー、まあ大丈夫。しょっちゅうだし」
クラスメイト『ちょっとよくわかんないんだけど……』
ショート「ていうかそろそろきっていい?ポニ……友達が来ちゃうから」
クラスメイト『ええ……?でも監禁って……』
ポニテ「」ヒョイ
ショート「あっ」
202: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 19:13:55.63 ID:csc1VuWF0
クラスメイト『あ……あれ?もしもし?もしもs』
ポニテ「」ブチッ
ポニテ「誰?」
ショート「え、えーと……友達」
ポニテ「名前を聞いてるのよ」
ショート「クラスメイトさん……」
ポニテ「誰?どんな人?どういう関係?何話してたの?」
ショート「最近仲良くなった子、ほら窓側の席の……」
ポニテ「あぁあの子……」
ポニテ「最近ショートちゃんの周りをうろうろしてるから誰かと思ったけど」
ポニテ「こういうときにもこうやって邪魔してくるのね」
ショート「ち、ちが、クラスメイトさんに悪気はなくって、私が電話に出たからで……」
ポニテ「」ブチッ
ポニテ「誰?」
ショート「え、えーと……友達」
ポニテ「名前を聞いてるのよ」
ショート「クラスメイトさん……」
ポニテ「誰?どんな人?どういう関係?何話してたの?」
ショート「最近仲良くなった子、ほら窓側の席の……」
ポニテ「あぁあの子……」
ポニテ「最近ショートちゃんの周りをうろうろしてるから誰かと思ったけど」
ポニテ「こういうときにもこうやって邪魔してくるのね」
ショート「ち、ちが、クラスメイトさんに悪気はなくって、私が電話に出たからで……」
203: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 19:36:18.88 ID:csc1VuWF0
ポニテ「ショートちゃん」
ショート「はいっ」
ポニテ「この携帯壊していいかしら」
ショート「だ、ダメだよ!」
ポニテ「じゃあ電源切っておくから。あと私がもっておくわね」
ショート「う、うん……」
ポニテ「じゃ、お風呂もうすこしで沸くからね」
ショート(やっぱポニテちゃん怖いかも……)
ショート「はいっ」
ポニテ「この携帯壊していいかしら」
ショート「だ、ダメだよ!」
ポニテ「じゃあ電源切っておくから。あと私がもっておくわね」
ショート「う、うん……」
ポニテ「じゃ、お風呂もうすこしで沸くからね」
ショート(やっぱポニテちゃん怖いかも……)
204: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 19:44:35.22 ID:csc1VuWF0
ショート「あ」
ポニテ「どうしたの?」
ショート「私トイレ」
ポニテ「どっち?」
ショート「おしっこ」
ポニテ「じゃあちょっと待ってね……」
ポニテ「はい」つペットボトル
ショート「やっぱりそれなの?毎回恥ずかしいんだけど……」
ポニテ「つべこべ言わないの……」
205: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 19:50:02.47 ID:csc1VuWF0
ショート「ふいーすっきり」
ポニテ「あ、お風呂沸いたみたいね」
ショート「ねえポニテちゃん……念のため聞くんだけどそのペットボトルの中身ってトイレに捨ててるんだよね?」
ポニテ「まさか、そんなもったいないことするわけないじゃない」
ショート「ええ!?それじゃどうしてるの?」
ポニテ「使うのよ」
ショート「何に!?」
ポニテ「使うのよ」
ポニテ「あ、お風呂沸いたみたいね」
ショート「ねえポニテちゃん……念のため聞くんだけどそのペットボトルの中身ってトイレに捨ててるんだよね?」
ポニテ「まさか、そんなもったいないことするわけないじゃない」
ショート「ええ!?それじゃどうしてるの?」
ポニテ「使うのよ」
ショート「何に!?」
ポニテ「使うのよ」
206: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 19:56:35.44 ID:csc1VuWF0
ポニテ「じゃあお風呂入りましょうか」
ショート「ということは」
ポニテ「はい、薬」
ショート「うへぇやっぱり?それ苦手……体に力が入らなくなるから」
ポニテ「そういう薬だもの」
ポニテ「はい」
ショート「」ゴクン
ショート「ということは」
ポニテ「はい、薬」
ショート「うへぇやっぱり?それ苦手……体に力が入らなくなるから」
ポニテ「そういう薬だもの」
ポニテ「はい」
ショート「」ゴクン
207: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 20:02:56.97 ID:csc1VuWF0
ショート「からだがふにゃふにゃするぅ」
ポニテ「はい、立って」
ショート「補助なしじゃ立つことすらできない……とほほ」
ショート「ていうかこんな薬どっから入手してるの?じつは結構危ない薬だったり……」
ポニテ「大丈夫。安全は私が保証するから」
ショート「ほんとにー?」
ポニテ「ええ」
ポニテ「だってただのビタミン剤だもの……」ボソッ
ショート「ん?何?」
ポニテ「ううん、なんでもない」
ポニテ「はい、立って」
ショート「補助なしじゃ立つことすらできない……とほほ」
ショート「ていうかこんな薬どっから入手してるの?じつは結構危ない薬だったり……」
ポニテ「大丈夫。安全は私が保証するから」
ショート「ほんとにー?」
ポニテ「ええ」
ポニテ「だってただのビタミン剤だもの……」ボソッ
ショート「ん?何?」
ポニテ「ううん、なんでもない」
208: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 20:11:48.26 ID:csc1VuWF0
風呂
ポニテ「はい、ショートちゃん体洗ってあげる」
ショート「ん」
ポニテ「……」ゴシゴシ
ショート「……」
ポニテ「ねぇショートちゃん」ゴシゴシ
ショート「何?」
ポニテ「私がなんでショートちゃんにこんなことするかわかる?」ゴシゴシ
ショート「え……私と一緒にいたいから?」
ポニテ「うん、そのとおり」
ポニテ「連休が終わったら終わりだけれど、本当はずっとこうしていたいの」
ポニテ「明日も明後日も来週も来年も……」
ポニテ「ずっとショートちゃんのそばにいたい」
ポニテ「はい、ショートちゃん体洗ってあげる」
ショート「ん」
ポニテ「……」ゴシゴシ
ショート「……」
ポニテ「ねぇショートちゃん」ゴシゴシ
ショート「何?」
ポニテ「私がなんでショートちゃんにこんなことするかわかる?」ゴシゴシ
ショート「え……私と一緒にいたいから?」
ポニテ「うん、そのとおり」
ポニテ「連休が終わったら終わりだけれど、本当はずっとこうしていたいの」
ポニテ「明日も明後日も来週も来年も……」
ポニテ「ずっとショートちゃんのそばにいたい」
209: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 20:18:42.38 ID:csc1VuWF0
ポニテ「ショートちゃんはどう?」
ショート「うんいいよ」
ポニテ「軽いわね」
ショート「でも監禁されるのはいや」
ポニテ「でもそういってくれて嬉しい」
ポニテ「私は小さいころからずっとショートちゃんの事だけを見て生きてきたもの」
ポニテ「ショートちゃんを愛してるの」
ポニテ「だから……ちょっと乱暴なこともしちゃうのかも」
ポニテ「それでもいい?」
ショート「大丈夫。ポニテちゃんはいい人だよ」
ポニテ「ふふ……ありがと」
ショート「うんいいよ」
ポニテ「軽いわね」
ショート「でも監禁されるのはいや」
ポニテ「でもそういってくれて嬉しい」
ポニテ「私は小さいころからずっとショートちゃんの事だけを見て生きてきたもの」
ポニテ「ショートちゃんを愛してるの」
ポニテ「だから……ちょっと乱暴なこともしちゃうのかも」
ポニテ「それでもいい?」
ショート「大丈夫。ポニテちゃんはいい人だよ」
ポニテ「ふふ……ありがと」
210: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/03(日) 20:23:57.43 ID:csc1VuWF0
ポニテ「……」ゴシゴシ
ショート「ねえ」
ポニテ「なに?」
ショート「なんかさ……こうやって人に体触られてると変な気持ちになるよね」
ポニテ「なにそれ、なんのアピール?」
ショート「別にー」
ポニテ「」ニコッ
ポニテ「ショートちゃん」
ポニテ「今夜は楽しみね」
ショート「なんのことだかぁ」
ポニテ「ふふ、とぼけなくていいのよ……」ゴシゴシ
ポニテ「はい、前終わり、後ろ向いて」
ショート「ねえ」
ポニテ「なに?」
ショート「なんかさ……こうやって人に体触られてると変な気持ちになるよね」
ポニテ「なにそれ、なんのアピール?」
ショート「別にー」
ポニテ「」ニコッ
ポニテ「ショートちゃん」
ポニテ「今夜は楽しみね」
ショート「なんのことだかぁ」
ポニテ「ふふ、とぼけなくていいのよ……」ゴシゴシ
ポニテ「はい、前終わり、後ろ向いて」
215: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/05(火) 19:37:49.67 ID:RxPviWBX0
数日前
低身「あ、いたいた、おーい!眼鏡ちゃーん!」
眼鏡「あ、低身さん」パァ
低身「ねえ眼鏡ちゃん、ここらの近くに恐竜博物館あるの知ってる?」
眼鏡「ああそういえば……行ったことはないですが」
低身「じゃあいこっ!ゴールデンウィークだし!」
眼鏡「え、急すぎませんか!?」
低身「じゃあ四日の日に○○に集合ね!」
眼鏡「あ、はい……」
低身「あ、いたいた、おーい!眼鏡ちゃーん!」
眼鏡「あ、低身さん」パァ
低身「ねえ眼鏡ちゃん、ここらの近くに恐竜博物館あるの知ってる?」
眼鏡「ああそういえば……行ったことはないですが」
低身「じゃあいこっ!ゴールデンウィークだし!」
眼鏡「え、急すぎませんか!?」
低身「じゃあ四日の日に○○に集合ね!」
眼鏡「あ、はい……」
216: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/05(火) 19:56:59.73 ID:RxPviWBX0
ゴールデンウィーク3日目
眼鏡(って勢いだけで承諾してしまいましたけど……)
眼鏡(二人っきりで出かけるってこれってもしかしてデー……デ、ト……)
眼鏡(そ、それはないにしても服とか何着て行ったら……やっぱり眼鏡よりコンタクトの方が?)
眼鏡(待ち合わせ場所には少し早くいった方がいいでしょうか……それとも、わざと少し遅れたり……)
眼鏡(あーもー!わからないことだらけじゃないですか!)
ピンポーン
眼鏡「ひぁい!?」
眼鏡(って勢いだけで承諾してしまいましたけど……)
眼鏡(二人っきりで出かけるってこれってもしかしてデー……デ、ト……)
眼鏡(そ、それはないにしても服とか何着て行ったら……やっぱり眼鏡よりコンタクトの方が?)
眼鏡(待ち合わせ場所には少し早くいった方がいいでしょうか……それとも、わざと少し遅れたり……)
眼鏡(あーもー!わからないことだらけじゃないですか!)
ピンポーン
眼鏡「ひぁい!?」
217: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/05(火) 20:02:57.42 ID:RxPviWBX0
低身「やっほー!眼鏡ちゃん、きたよー」
眼鏡「ええ!?待ち合わせ場所に集合のはずじゃ……」
低身「うん、でもよく考えたらこっちの方がはやいから、きちゃた。
ところでなんで扉そんなちょっとしか開けてないの?」
眼鏡「すいません!今ちょっと部屋着なので……ちょ、ちょっと待ってくださいね……」
眼鏡(うわー!まだ何にも決まってないのに!でも低身さんを待たせるわけにはいかないし……と、とりあえず着替えて……)
眼鏡「ええ!?待ち合わせ場所に集合のはずじゃ……」
低身「うん、でもよく考えたらこっちの方がはやいから、きちゃた。
ところでなんで扉そんなちょっとしか開けてないの?」
眼鏡「すいません!今ちょっと部屋着なので……ちょ、ちょっと待ってくださいね……」
眼鏡(うわー!まだ何にも決まってないのに!でも低身さんを待たせるわけにはいかないし……と、とりあえず着替えて……)
218: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/05(火) 20:07:45.37 ID:RxPviWBX0
姉「どうした妹そんなに慌てて」
眼鏡「あ、あれ……お姉ちゃんいたの?」
姉「うん今日仕事休みだし。それより今チャイムなったけどお客さんが来たんじゃないの?」
眼鏡「い、今お姉ちゃんと話してる暇ないの!私は今忙し……」
姉「」ガチャ
低身「?」
眼鏡「ってなんで玄関開けてんのおお!!」
眼鏡「あ、あれ……お姉ちゃんいたの?」
姉「うん今日仕事休みだし。それより今チャイムなったけどお客さんが来たんじゃないの?」
眼鏡「い、今お姉ちゃんと話してる暇ないの!私は今忙し……」
姉「」ガチャ
低身「?」
眼鏡「ってなんで玄関開けてんのおお!!」
219: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/05(火) 20:12:18.35 ID:RxPviWBX0
姉「こんにちは」ニコッ
低身「あ、こんにちは」
姉「眼鏡ぇー、だれぇー?あんたの彼女ー?」
眼鏡「か!?かの、かのじょ!?」
低身「眼鏡ちゃーん」ノシ
眼鏡「て、ていうか……」
眼鏡「部屋着みられた……」
低身「あ、こんにちは」
姉「眼鏡ぇー、だれぇー?あんたの彼女ー?」
眼鏡「か!?かの、かのじょ!?」
低身「眼鏡ちゃーん」ノシ
眼鏡「て、ていうか……」
眼鏡「部屋着みられた……」
220: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/05(火) 20:17:34.22 ID:RxPviWBX0
リビング
姉「お名前は?」
低身「低身長です」
姉「私はこいつの姉」
低身「ああ!お姉さんでしたか!」
姉「そ、ジュースあるけど飲む?」
低身「いただきます」
眼鏡「お姉ちゃんちょっと来て……」
姉「はいジュース、ちょっと待っててね……」
姉「お名前は?」
低身「低身長です」
姉「私はこいつの姉」
低身「ああ!お姉さんでしたか!」
姉「そ、ジュースあるけど飲む?」
低身「いただきます」
眼鏡「お姉ちゃんちょっと来て……」
姉「はいジュース、ちょっと待っててね……」
221: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/05(火) 20:27:42.54 ID:RxPviWBX0
眼鏡「もうお姉ちゃんのバカバカ!お姉ちゃんのせいでださい部屋着見られたじゃん!」
姉「いやいや~、あんたいつの間にあんなかわいい子とデキてたの?あんたも隅におけないねぇ~」
眼鏡「ちょっと勘違いしないで!私と低身さんは別にそんな関係じゃ……」
姉「じゃ、何?」
眼鏡「えっ!?な、なにって……そりゃ……」
眼鏡「え、えー……と……」
姉「ああ!もしかして友達以上恋人未満ってやつ!?」
眼鏡「ちょっと大きな声出さないで!」
姉「ひゅーっ!青春だねー!私にもそんな時代が……」
眼鏡「お姉ちゃんの昔話はどうでもいいから……!そんなことより着替えてこないと!低身さんに言っといて!」バタバタ
姉「もう、あんなにあわてなくてもいいのに」
姉「いやいや~、あんたいつの間にあんなかわいい子とデキてたの?あんたも隅におけないねぇ~」
眼鏡「ちょっと勘違いしないで!私と低身さんは別にそんな関係じゃ……」
姉「じゃ、何?」
眼鏡「えっ!?な、なにって……そりゃ……」
眼鏡「え、えー……と……」
姉「ああ!もしかして友達以上恋人未満ってやつ!?」
眼鏡「ちょっと大きな声出さないで!」
姉「ひゅーっ!青春だねー!私にもそんな時代が……」
眼鏡「お姉ちゃんの昔話はどうでもいいから……!そんなことより着替えてこないと!低身さんに言っといて!」バタバタ
姉「もう、あんなにあわてなくてもいいのに」
222: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/05(火) 20:33:59.39 ID:RxPviWBX0
姉「ごめんねー、眼鏡ちょっと今着替えてるから、もうちょっと待って」
低身「はーい」
姉「で、眼鏡とはどういう関係なの?」
低身「とっても仲良くさせてもらってますよーいい友達です!」
姉「あ、友達。友達ねぇ」
低身「?」
姉「それはそうと今日はどこ行くの?」
低身「博物館にきょーりゅー見に行きます!」
姉「へえ恐竜。それはどっちの提案で?」
低身「私です!」
低身「はーい」
姉「で、眼鏡とはどういう関係なの?」
低身「とっても仲良くさせてもらってますよーいい友達です!」
姉「あ、友達。友達ねぇ」
低身「?」
姉「それはそうと今日はどこ行くの?」
低身「博物館にきょーりゅー見に行きます!」
姉「へえ恐竜。それはどっちの提案で?」
低身「私です!」
223: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/05(火) 20:39:42.42 ID:RxPviWBX0
眼鏡「」ドキドキ
眼鏡「低身さん、お待たせしました!」ガラッ
低身「お、眼鏡ちゃん終わった?じゃ行こうか」
眼鏡「えっ、えと、どうですかこれ……?」
低身「なにが?」
眼鏡「ふ、服とか……」
低身「服?服は良いよ、似合ってる!」
眼鏡「そそ、そうですか、ありがとうございます……///」
姉(ほほえましいね……)
眼鏡「低身さん、お待たせしました!」ガラッ
低身「お、眼鏡ちゃん終わった?じゃ行こうか」
眼鏡「えっ、えと、どうですかこれ……?」
低身「なにが?」
眼鏡「ふ、服とか……」
低身「服?服は良いよ、似合ってる!」
眼鏡「そそ、そうですか、ありがとうございます……///」
姉(ほほえましいね……)
224: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/05(火) 20:48:38.03 ID:RxPviWBX0
低身「それじゃ恐竜見にレッツゴー!」
姉「」トントン
眼鏡「な、なにお姉ちゃん……」
姉「がんばってんね、私応援してるから」ヒソヒソ
眼鏡「もうからかうのはいいから……」ヒソヒソ
姉「そんな君に朗報だ」ヒソヒソ
眼鏡「もう、なに」ヒソヒソ
姉「あそこの恐竜博物館はいろんなカップルのデートスポットして有名だよ」
姉「もしかしたら相手もそれをわかってて……みたいな」
姉「」トントン
眼鏡「な、なにお姉ちゃん……」
姉「がんばってんね、私応援してるから」ヒソヒソ
眼鏡「もうからかうのはいいから……」ヒソヒソ
姉「そんな君に朗報だ」ヒソヒソ
眼鏡「もう、なに」ヒソヒソ
姉「あそこの恐竜博物館はいろんなカップルのデートスポットして有名だよ」
姉「もしかしたら相手もそれをわかってて……みたいな」
225: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/05(火) 20:58:29.10 ID:RxPviWBX0
電車
ガタンゴトン
低身「きょーりゅーきょーりゅー」パタパタ
眼鏡(お、お姉ちゃんが言ってたことって一体どういうことでしょう……)
眼鏡(ま、まさか低身さん、やっぱりデートのつもりで……)
眼鏡(い、いやまさか、で、でもそうだとしたら……!)
低身「ねえ、眼鏡ちゃん」
眼鏡「は、はいっ」
低身「私ねー前からずっと眼鏡ちゃんと博物館いきたいって思ってたんだー」
低身「だから一緒にこれてよかったー!楽しもうね!」
眼鏡「……」
低身「眼鏡ちゃん?」
眼鏡「はっ!?はい!そうですね!」
眼鏡(い、今のは一体……これは本当にひょっとして……)
ガタンゴトン
低身「きょーりゅーきょーりゅー」パタパタ
眼鏡(お、お姉ちゃんが言ってたことって一体どういうことでしょう……)
眼鏡(ま、まさか低身さん、やっぱりデートのつもりで……)
眼鏡(い、いやまさか、で、でもそうだとしたら……!)
低身「ねえ、眼鏡ちゃん」
眼鏡「は、はいっ」
低身「私ねー前からずっと眼鏡ちゃんと博物館いきたいって思ってたんだー」
低身「だから一緒にこれてよかったー!楽しもうね!」
眼鏡「……」
低身「眼鏡ちゃん?」
眼鏡「はっ!?はい!そうですね!」
眼鏡(い、今のは一体……これは本当にひょっとして……)
230: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/07(木) 20:27:25.64 ID:ZTzmaLS60
恐竜博物館
低身「わー!すごい!みてよ眼鏡ちゃん!恐竜の化石!ほらティラノサウルス!」
眼鏡「へー……中はこんな風になってるんですね。いろんな化石が……」
低身「眼鏡ちゃんブラキオサウルス!」
眼鏡「ぶらきお?」
低身「ほらあの一番でっかいの!すっごいなー!かぁっこいいなー!」
眼鏡(す、すごい……低身さんの目がものすごくきらきらしている……)
眼鏡(これってやっぱりデート目的じゃなくて恐竜目的で……)
低身「あ、こいつかっこいい!知らないけどなんか聞いたことある名前!こんど図鑑で調べよっ!」
眼鏡(ですよね……普通に考えて……)
眼鏡(それなのに私ときたらさっきから何を勘違いしてうかれて……はあ……)ズーン
低身「ほえ?眼鏡ちゃんなんかあった?」
眼鏡「いえなんでも……」
低身「わー!すごい!みてよ眼鏡ちゃん!恐竜の化石!ほらティラノサウルス!」
眼鏡「へー……中はこんな風になってるんですね。いろんな化石が……」
低身「眼鏡ちゃんブラキオサウルス!」
眼鏡「ぶらきお?」
低身「ほらあの一番でっかいの!すっごいなー!かぁっこいいなー!」
眼鏡(す、すごい……低身さんの目がものすごくきらきらしている……)
眼鏡(これってやっぱりデート目的じゃなくて恐竜目的で……)
低身「あ、こいつかっこいい!知らないけどなんか聞いたことある名前!こんど図鑑で調べよっ!」
眼鏡(ですよね……普通に考えて……)
眼鏡(それなのに私ときたらさっきから何を勘違いしてうかれて……はあ……)ズーン
低身「ほえ?眼鏡ちゃんなんかあった?」
眼鏡「いえなんでも……」
231: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/07(木) 20:28:07.41 ID:ZTzmaLS60
眼鏡(もう、お姉ちゃんが変なこと言うから……)
低身「ねえ眼鏡ちゃん、ベロキラプトルどっかにいないかな!?」
眼鏡「べろきらぷとる」
低身「うん!私が一番好きなやつだよ!ちっこいんだけどすばしっこくてかっこいい鉤爪を持ってるの!」
低身「他に好きなのはスピノとかーパキケファロとかー」
低身「あとアルゼンチノサウルスも外せないよね!恐竜最大!」
眼鏡「??????」
低身「あ、あとアンキロ!アンキロかっこいいよね!」
眼鏡「す、すいません。私あんまり詳しくなくって……」
低身「え、でもアンキロサウルスは知ってるでしょ?」
眼鏡「う、うーん……」
低身「じゃあスピノサウルスは?」
眼鏡「すいません、それもちょっと……」
低身「ステゴなら……」
眼鏡「えー……っと……」
低身「トリケラ……」
眼鏡「それはどっかで聞いたことあるような……ないような」
低身「ねえ眼鏡ちゃん、ベロキラプトルどっかにいないかな!?」
眼鏡「べろきらぷとる」
低身「うん!私が一番好きなやつだよ!ちっこいんだけどすばしっこくてかっこいい鉤爪を持ってるの!」
低身「他に好きなのはスピノとかーパキケファロとかー」
低身「あとアルゼンチノサウルスも外せないよね!恐竜最大!」
眼鏡「??????」
低身「あ、あとアンキロ!アンキロかっこいいよね!」
眼鏡「す、すいません。私あんまり詳しくなくって……」
低身「え、でもアンキロサウルスは知ってるでしょ?」
眼鏡「う、うーん……」
低身「じゃあスピノサウルスは?」
眼鏡「すいません、それもちょっと……」
低身「ステゴなら……」
眼鏡「えー……っと……」
低身「トリケラ……」
眼鏡「それはどっかで聞いたことあるような……ないような」
232: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/07(木) 20:28:58.08 ID:ZTzmaLS60
低身「……」
眼鏡「……」
低身「」ショボーン
眼鏡(どうしよう……露骨にがっかりさせてしまっている)
眼鏡(これは嘘でも知ってるっていった方がよかったんでしょうか……いやでも……)
低身「」ショボーン
眼鏡(と、とりあえずこの状況を何とかしないと!)
眼鏡「えーと、低身さん」
低身「うん」
眼鏡「私今みたくあんまり詳しくないので……えっと……」
眼鏡「いろいろ教えてくださいませんか?私、低身さんの話ならたくさん聞きますよ!」
低身「」パァ
低身「う、うん!私頑張る!」
眼鏡「」ホッ
眼鏡(よし!切り抜けた!ナイス私!)
眼鏡「……」
低身「」ショボーン
眼鏡(どうしよう……露骨にがっかりさせてしまっている)
眼鏡(これは嘘でも知ってるっていった方がよかったんでしょうか……いやでも……)
低身「」ショボーン
眼鏡(と、とりあえずこの状況を何とかしないと!)
眼鏡「えーと、低身さん」
低身「うん」
眼鏡「私今みたくあんまり詳しくないので……えっと……」
眼鏡「いろいろ教えてくださいませんか?私、低身さんの話ならたくさん聞きますよ!」
低身「」パァ
低身「う、うん!私頑張る!」
眼鏡「」ホッ
眼鏡(よし!切り抜けた!ナイス私!)
233: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/07(木) 20:29:46.18 ID:ZTzmaLS60
低身「じゃあえっと、はいこれ見て」
眼鏡「なんですか?スケッチブック?」
低身「はい、まずはこれが皆さんご存知ティラノサウルス。あっちに飾ってあるやつです」ペラ
眼鏡「ああ、それなら知ってますよ。有名ですよね!」
低身「続きましてこらがトリケラ……」ペラ
眼鏡「その絵は誰が描いたんですか?」
低身「ん?私だけど」
眼鏡「えっ」
低身「これとか見てー、昨日完成させたんだけど、自信作なんだ!じゃーんプテラノドン」
眼鏡「……」
低身「あれ反応薄いね。やっぱ下手かな」
眼鏡「いやいや!ちょっと言葉を失ってしまって……これ本当に低身さんが描いたんですか?」
低身「そだよ」
眼鏡「す、すごい……図鑑のイラストのコピーかと思いました私」
低身「えへへ、照れちゃうな」
眼鏡「なんですか?スケッチブック?」
低身「はい、まずはこれが皆さんご存知ティラノサウルス。あっちに飾ってあるやつです」ペラ
眼鏡「ああ、それなら知ってますよ。有名ですよね!」
低身「続きましてこらがトリケラ……」ペラ
眼鏡「その絵は誰が描いたんですか?」
低身「ん?私だけど」
眼鏡「えっ」
低身「これとか見てー、昨日完成させたんだけど、自信作なんだ!じゃーんプテラノドン」
眼鏡「……」
低身「あれ反応薄いね。やっぱ下手かな」
眼鏡「いやいや!ちょっと言葉を失ってしまって……これ本当に低身さんが描いたんですか?」
低身「そだよ」
眼鏡「す、すごい……図鑑のイラストのコピーかと思いました私」
低身「えへへ、照れちゃうな」
234: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/07(木) 20:30:29.72 ID:ZTzmaLS60
低身「あ!これ欲しい!恐竜の……なんていうんだっけこれ」
眼鏡「えーと、人形?フィギュア?ですかね」
低身「まあなんでもいいや、このティラノ……はいっぱい持ってるから、こっちのステゴのにしーよおっと!」
眼鏡(低身さんほんとに恐竜好きなんだな……そういえば前ワニが好きとか言ってたような)
低身「ん、あれ」
低身「あれ、おっかしいなー……」ガサゴソ
眼鏡「どうしました?」
低身「どうしよう……財布が見当たらない……」
眼鏡「えっ、ほんとですか!?」
低身「落としたかも……」
眼鏡「さ、探しましょう!入場券買ったときにはあったからこの館内にありますよ!」
低身「う、うん……」
235: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/07(木) 20:31:10.51 ID:ZTzmaLS60
眼鏡「ど、どこにもありませんね……」
低身「眼鏡ちゃん……」
眼鏡「ひょっとしてもう誰かが拾ってしまったとか……」
低身「ええ!?ねこまんまされてないかな!?」
眼鏡「ねこまん……ねこばばならされてないと思います」
低身「でも中にお金はいってるし……」
眼鏡「とりあえず落し物センター的なのがないか探してみ……」
低身「」ポロッ
眼鏡「!?」
236: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/07(木) 20:32:12.81 ID:ZTzmaLS60
低身「」ポロポロ
眼鏡「ちょ、低身さん、だ、大丈夫ですか!?」
眼鏡(あ、泣いてる低身さんもかわい……)
眼鏡(ってそんなこと言ってる場合じゃないし!)
眼鏡「と、とりあえず、えと、あの、」
低身「う、ぐす、ごめ、ごめんね眼鏡ちゃん……」ポロポロ
眼鏡「そんな!低身さんは謝られるようなことはなにも……」
低身「そう、そうじゃ、ぐす、なく、て」ポロポロ
低身「あれ、めが、眼鏡ちゃんから、ヒック、もらった、財布、だ、たから……」ポロポロ
眼鏡「えっ……」
低身「う、ずと、ぐす、大切にしてたのに……」ポロポロ
眼鏡「低身さん……」
低身「」ポロポロ
眼鏡「わかりました、大丈夫です」
眼鏡「わたしが必ず見つけ出します!」
低身「め、眼鏡ちゃん……」
眼鏡「だから安心してください!」
低身「う、うん私も探す!」
眼鏡「ちょ、低身さん、だ、大丈夫ですか!?」
眼鏡(あ、泣いてる低身さんもかわい……)
眼鏡(ってそんなこと言ってる場合じゃないし!)
眼鏡「と、とりあえず、えと、あの、」
低身「う、ぐす、ごめ、ごめんね眼鏡ちゃん……」ポロポロ
眼鏡「そんな!低身さんは謝られるようなことはなにも……」
低身「そう、そうじゃ、ぐす、なく、て」ポロポロ
低身「あれ、めが、眼鏡ちゃんから、ヒック、もらった、財布、だ、たから……」ポロポロ
眼鏡「えっ……」
低身「う、ずと、ぐす、大切にしてたのに……」ポロポロ
眼鏡「低身さん……」
低身「」ポロポロ
眼鏡「わかりました、大丈夫です」
眼鏡「わたしが必ず見つけ出します!」
低身「め、眼鏡ちゃん……」
眼鏡「だから安心してください!」
低身「う、うん私も探す!」
237: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/07(木) 20:33:15.81 ID:ZTzmaLS60
数分後
眼鏡「駄目ですね……やっぱり見当たらない……」
低身「やっぱりねこま……ねこばばされちゃったのかな……」
眼鏡「だ、大丈夫です、まだ時間は……」
低身「いや眼鏡ちゃん、もういいよ……」
眼鏡「あ、あきらめちゃ……」
低身「ううんいいの、私眼鏡ちゃんが一緒に探してくれて嬉しかった。今の私はそれだけで十分」
眼鏡「低身さん……」
低身「」ニコッ
低身「さ、もっといろんな恐竜みようよ!私がいろいろ教えてあげよう!」
眼鏡「そ、そうですね!」
?「あのーすいません」
眼鏡「駄目ですね……やっぱり見当たらない……」
低身「やっぱりねこま……ねこばばされちゃったのかな……」
眼鏡「だ、大丈夫です、まだ時間は……」
低身「いや眼鏡ちゃん、もういいよ……」
眼鏡「あ、あきらめちゃ……」
低身「ううんいいの、私眼鏡ちゃんが一緒に探してくれて嬉しかった。今の私はそれだけで十分」
眼鏡「低身さん……」
低身「」ニコッ
低身「さ、もっといろんな恐竜みようよ!私がいろいろ教えてあげよう!」
眼鏡「そ、そうですね!」
?「あのーすいません」
238: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/07(木) 20:33:59.64 ID:ZTzmaLS60
眼鏡「え、ど、どちらさまで……」
?「すいません、財布がどうとかおっしゃってたので……これあなたのですか?」スッ
低身「あーーー!!!」
眼鏡「低身さんの財布!」
低身「やったー!見つかってよかったー!!」
眼鏡「ど、どうもありがとうございます!」
?「いえいえ、落ちてたのを拾っただけですよ」
?「では私はこれで」スタスタ
眼鏡「ほんと、本当に良かったですね!」
低身「うん!これも眼鏡ちゃんのおかげだよ!」
眼鏡「いえいえ、私は何も」
低身「ほんとありがとー!」ギュッ
眼鏡「!!!」
眼鏡「て、低身さん、照れますよ……///」
低身「んー!ほんと眼鏡ちゃん大好き!」
眼鏡「だいっ!?だいす、大好き!?」
低身「ところで眼鏡ちゃん、さっきの人誰だったんだろうね。キャップとサングラスとマスクで全然顔見えなかったけど」
眼鏡「」プシュー
低身「ちょっとー、眼鏡ちゃん聞いてる?」
教師「私に死角はなかった」
?「すいません、財布がどうとかおっしゃってたので……これあなたのですか?」スッ
低身「あーーー!!!」
眼鏡「低身さんの財布!」
低身「やったー!見つかってよかったー!!」
眼鏡「ど、どうもありがとうございます!」
?「いえいえ、落ちてたのを拾っただけですよ」
?「では私はこれで」スタスタ
眼鏡「ほんと、本当に良かったですね!」
低身「うん!これも眼鏡ちゃんのおかげだよ!」
眼鏡「いえいえ、私は何も」
低身「ほんとありがとー!」ギュッ
眼鏡「!!!」
眼鏡「て、低身さん、照れますよ……///」
低身「んー!ほんと眼鏡ちゃん大好き!」
眼鏡「だいっ!?だいす、大好き!?」
低身「ところで眼鏡ちゃん、さっきの人誰だったんだろうね。キャップとサングラスとマスクで全然顔見えなかったけど」
眼鏡「」プシュー
低身「ちょっとー、眼鏡ちゃん聞いてる?」
教師「私に死角はなかった」
245: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 16:25:20.44 ID:oJy1erhw0
ゴールデンウィーク四日目
無口宅
高身「無口ちゃん、きたよー」ガチャ
無口「」ゴホゴホ
高身「夏風邪だって?大丈夫?」
無口「」パクパク
高身「ん?どうしたの?」
無口「」パクパク
高身「あ、もしかして喉がやられて声が出ないの?」
無口「」コク
無口宅
高身「無口ちゃん、きたよー」ガチャ
無口「」ゴホゴホ
高身「夏風邪だって?大丈夫?」
無口「」パクパク
高身「ん?どうしたの?」
無口「」パクパク
高身「あ、もしかして喉がやられて声が出ないの?」
無口「」コク
246: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 16:31:38.07 ID:oJy1erhw0
高身「熱ある?」
無口「」コク
高身「えーっと、さっき無口ちゃんのお母さんから電話があって」
無口「?」
高身「無口が風邪みたいなんだけど仕事で面倒見れないからよろしくねっていわれたの」
高身「というわけで、今日は私が看病してあげます」
無口「」ペコ
無口「」コク
高身「えーっと、さっき無口ちゃんのお母さんから電話があって」
無口「?」
高身「無口が風邪みたいなんだけど仕事で面倒見れないからよろしくねっていわれたの」
高身「というわけで、今日は私が看病してあげます」
無口「」ペコ
247: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 16:39:39.04 ID:oJy1erhw0
高身「とりあえずいろいろ買ってきたから、薬とかポカリとか冷えピタとか」
無口「」サスサス
高身「ん?お腹?お腹すいたの?」
無口「」コク
高身「よし!じゃあ私が今からおかゆつくってあげる!ちゃんと材料も買ってきたから」
高身「じゃあ無口ちゃんは寝てて、できたらまた起こしてあげるから」
無口「」コク
無口「」サスサス
高身「ん?お腹?お腹すいたの?」
無口「」コク
高身「よし!じゃあ私が今からおかゆつくってあげる!ちゃんと材料も買ってきたから」
高身「じゃあ無口ちゃんは寝てて、できたらまた起こしてあげるから」
無口「」コク
248: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 16:47:27.36 ID:oJy1erhw0
無口(うう……頭が痛い……)
無口(お母さんったらまた高身ちゃんにまかせて……)
無口(ゴールデンウィークなんだから高身ちゃんもやりたいことあると思うのに)
無口(なんというか……私はいっつも高身ちゃんに迷惑かけてばっかだな)
無口(学校でも私がうまく話せないからいろいろフォローしてもらってるし……)
無口(たまには私から高身ちゃんが喜ぶようなことしてあげたいな)
無口(恩返し……できたらいいな)
幼女「こんにちは」
無口「……」
幼女「……」
無口「!?」
無口(お母さんったらまた高身ちゃんにまかせて……)
無口(ゴールデンウィークなんだから高身ちゃんもやりたいことあると思うのに)
無口(なんというか……私はいっつも高身ちゃんに迷惑かけてばっかだな)
無口(学校でも私がうまく話せないからいろいろフォローしてもらってるし……)
無口(たまには私から高身ちゃんが喜ぶようなことしてあげたいな)
無口(恩返し……できたらいいな)
幼女「こんにちは」
無口「……」
幼女「……」
無口「!?」
249: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 16:55:39.00 ID:oJy1erhw0
無口「」ビクゥ
幼女「そんなに驚かなくても」
無口「」パクパク
幼女「お久しぶりですね」
無口「」パクパク
幼女「あなたの言いたいことはわかりますよ」
幼女「なぜ私がここにいるのか、ですよね」
無口「」ボーゼン
幼女「私はあなた方の修学旅行の夜にやってきましたがその時にあなたも私の姿を見てましたよね?」
幼女「わたしはてっきり女さんと友さんにしか見られてなかったと思ってたんです」
幼女「まあ全く騒いでなかったので私も含め誰も気づいてなかったみたいですが」
無口「」コク
幼女「そんなに驚かなくても」
無口「」パクパク
幼女「お久しぶりですね」
無口「」パクパク
幼女「あなたの言いたいことはわかりますよ」
幼女「なぜ私がここにいるのか、ですよね」
無口「」ボーゼン
幼女「私はあなた方の修学旅行の夜にやってきましたがその時にあなたも私の姿を見てましたよね?」
幼女「わたしはてっきり女さんと友さんにしか見られてなかったと思ってたんです」
幼女「まあ全く騒いでなかったので私も含め誰も気づいてなかったみたいですが」
無口「」コク
250: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 17:02:34.24 ID:oJy1erhw0
幼女「で、まあ私は姿を見られたら死んでしまうとかそういうんじゃないんですけど」
幼女「念のために姿を見られてしまった人間はきちんとリストアップして管理することになってるんです、はいチーズ」カシャ
無口(なんか写真撮られた)
幼女「ちなみにあなたで25人目です」
無口(結構いる)
幼女「それにしてもこのカメラとかいうのは便利ですねぇ、前までは見た目がどうとか顔がどうとかいちいち書いてたんですがその必要もないです」
無口(夢違観音なんだからもっとすごいのもってそうなのに)
幼女「念のために姿を見られてしまった人間はきちんとリストアップして管理することになってるんです、はいチーズ」カシャ
無口(なんか写真撮られた)
幼女「ちなみにあなたで25人目です」
無口(結構いる)
幼女「それにしてもこのカメラとかいうのは便利ですねぇ、前までは見た目がどうとか顔がどうとかいちいち書いてたんですがその必要もないです」
無口(夢違観音なんだからもっとすごいのもってそうなのに)
251: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 17:08:50.98 ID:oJy1erhw0
無口「」ゴホゴホ
幼女「ほほう、風邪ですか」
無口「」ゴホゴホ
幼女「あたしの知り合いに風邪を治せる奴がいますよ、紹介しましょうか」
無口「」フルフル
幼女「はあ、私の風邪よりも自分のために頑張ってくれてる高身ちゃんに恩返しがしたい、と」
無口(なぜそこまでわかる)
幼女「まあここで会ったのも何かの縁ですしねえ、協力しましょうか、暇だし」
無口(暇なんだ)
幼女「ほほう、風邪ですか」
無口「」ゴホゴホ
幼女「あたしの知り合いに風邪を治せる奴がいますよ、紹介しましょうか」
無口「」フルフル
幼女「はあ、私の風邪よりも自分のために頑張ってくれてる高身ちゃんに恩返しがしたい、と」
無口(なぜそこまでわかる)
幼女「まあここで会ったのも何かの縁ですしねえ、協力しましょうか、暇だし」
無口(暇なんだ)
252: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 17:18:33.85 ID:oJy1erhw0
幼女「というわけでこれを差し上げます、はい」
無口「?」
幼女「それは鶴の羽です。あの鶴の恩返しに登場した鶴の実際の羽といわれています」
無口(そんなものがなぜここに)
幼女「その羽は人の恩返ししたいという思いに反応してどの方法が相手に最適か導いてくれます」
無口(この羽にそんな力が……)
幼女「さあ、相手の事を思って念じて見て下さい。きっと答えが導き出されますよ」
無口(高身ちゃん……)
無口「?」
幼女「それは鶴の羽です。あの鶴の恩返しに登場した鶴の実際の羽といわれています」
無口(そんなものがなぜここに)
幼女「その羽は人の恩返ししたいという思いに反応してどの方法が相手に最適か導いてくれます」
無口(この羽にそんな力が……)
幼女「さあ、相手の事を思って念じて見て下さい。きっと答えが導き出されますよ」
無口(高身ちゃん……)
253: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 17:24:58.30 ID:oJy1erhw0
『好き』
無口「?」
幼女「何か見えましたか?」
無口「??」
幼女「ほう、好き、と出ましたか」
無口(だからなぜわかる)
幼女「ということは高身さんはあなたに好きといってもらえることがなによりも幸せなんじゃないですか」
無口(た、確かに私あんまりしゃべんないし、照れちゃうからあんまりそういうこと言わないかも……)
幼女「できそうですか?」
無口「」ウーン
幼女「まあ私にできることはここまでですよ」
無口「?」
幼女「何か見えましたか?」
無口「??」
幼女「ほう、好き、と出ましたか」
無口(だからなぜわかる)
幼女「ということは高身さんはあなたに好きといってもらえることがなによりも幸せなんじゃないですか」
無口(た、確かに私あんまりしゃべんないし、照れちゃうからあんまりそういうこと言わないかも……)
幼女「できそうですか?」
無口「」ウーン
幼女「まあ私にできることはここまでですよ」
254: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 17:27:13.76 ID:oJy1erhw0
幼女「それじゃあわたしは……っとその前に」
無口「?」
幼女「らあめんってなんですか?」
無口「??」
無口「?」
幼女「らあめんってなんですか?」
無口「??」
255: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 17:36:11.30 ID:oJy1erhw0
幼女「実は最近人間の姿に変身できるようになりまして」
幼女「そこで知り合った友達と明日らあめんを食べる約束をしたのですが……」
幼女「そのらあめんとは何ぞやと」
無口(何ぞやって言われても……)
無口(どんぶりに入ってて……)
幼女「どんぶり」
無口(そこに麺が……)
幼女「はい」
無口(あとスープも……)
幼女「すーぷ」
無口(スマホで画像検索したほうがはやいな)
幼女「そこで知り合った友達と明日らあめんを食べる約束をしたのですが……」
幼女「そのらあめんとは何ぞやと」
無口(何ぞやって言われても……)
無口(どんぶりに入ってて……)
幼女「どんぶり」
無口(そこに麺が……)
幼女「はい」
無口(あとスープも……)
幼女「すーぷ」
無口(スマホで画像検索したほうがはやいな)
256: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 17:43:21.57 ID:oJy1erhw0
幼女「おお、これがらあめんですか、美味しそうですね!」
無口「」コク
幼女「これは明日が楽しみになってきました」
高身「無口ちゃーん、おかゆできたよー」
幼女「おっとわたくしめはこれで」パッ
無口(消えた!?)
高身「あれ、布団の上で正座してどうしたの?」
無口「」アセアセ
高身「もしかして待っててくれたの?寝ておいた方がよかったのに」
無口(何だったんだろうあの人……)
無口「」コク
幼女「これは明日が楽しみになってきました」
高身「無口ちゃーん、おかゆできたよー」
幼女「おっとわたくしめはこれで」パッ
無口(消えた!?)
高身「あれ、布団の上で正座してどうしたの?」
無口「」アセアセ
高身「もしかして待っててくれたの?寝ておいた方がよかったのに」
無口(何だったんだろうあの人……)
257: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 17:51:34.95 ID:oJy1erhw0
無口(うーん……好き……『好き』か……)モグモグ
高身「おかゆ上手に作れてるかな」
無口「」コク
高身「ありがと」ニコッ
無口(いろいろやってもらってるのに『好き』だけでいいのかな……)
無口(まあそれで高身ちゃんが喜んでくれるならそれに越したことはないけど……)
無口「」ジー
高身「?」
無口(で、でも急に好きって言うのもなんだか変だよね……///)
高身「おかゆ上手に作れてるかな」
無口「」コク
高身「ありがと」ニコッ
無口(いろいろやってもらってるのに『好き』だけでいいのかな……)
無口(まあそれで高身ちゃんが喜んでくれるならそれに越したことはないけど……)
無口「」ジー
高身「?」
無口(で、でも急に好きって言うのもなんだか変だよね……///)
258: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 18:01:14.85 ID:oJy1erhw0
無口「!」バシャ
高身「あっ」
無口(こ、こぼしちゃった……)
高身「あらら、幸い服とか布団にはついてないね、私が片づけるから」
無口(ご、ごめんなさい!)ペコッ
高身「ううん、大丈夫」
無口(うう、また高身ちゃんに迷惑かけちゃった……恩返しするつもりだったのに……)
高身「……」フキフキ
無口「……」ショボン
高身「無口ちゃん」
無口「?」
高身「大丈夫だから、そんなにシュンとしないで」
無口(でも……)
高身「あっ」
無口(こ、こぼしちゃった……)
高身「あらら、幸い服とか布団にはついてないね、私が片づけるから」
無口(ご、ごめんなさい!)ペコッ
高身「ううん、大丈夫」
無口(うう、また高身ちゃんに迷惑かけちゃった……恩返しするつもりだったのに……)
高身「……」フキフキ
無口「……」ショボン
高身「無口ちゃん」
無口「?」
高身「大丈夫だから、そんなにシュンとしないで」
無口(でも……)
259: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 18:12:11.91 ID:oJy1erhw0
高身「あのね、無口ちゃんの風邪のこと無口ちゃんのお母さんから任せられたけど、でもそうじゃなくても看病しにきた」
高身「私は無口ちゃんが早くよくなってほしいって思ってる」
高身「だから私のことは気にしないで、ゆっくり休めばすぐによくなるよ!」
無口(高身ちゃん……)
無口(あ……今なら言えそうかも……)
無口(す……す……)
無口「」パクパク
高身「?」
無口(声でないんだった)
高身「私は無口ちゃんが早くよくなってほしいって思ってる」
高身「だから私のことは気にしないで、ゆっくり休めばすぐによくなるよ!」
無口(高身ちゃん……)
無口(あ……今なら言えそうかも……)
無口(す……す……)
無口「」パクパク
高身「?」
無口(声でないんだった)
260: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 18:20:30.79 ID:oJy1erhw0
数時間後
ピピピピ
高身「うん!だいぶ熱もひいたね」
無口「うん」
高身「あ、無口ちゃん声……」
無口「いつの間にかよくなってたみたい」
高身「このまま一日休んでればきっとよくなるよ!」
無口「ありがと、高身ちゃんのおかげだよ……」
高身「私もうれしい」
高身「それじゃ、もっと一緒にいたいけど私ももう帰らなきゃ」
無口「あっ」
高身「どうしたの?」
無口(いわなきゃ……好きっていわなきゃ)
ピピピピ
高身「うん!だいぶ熱もひいたね」
無口「うん」
高身「あ、無口ちゃん声……」
無口「いつの間にかよくなってたみたい」
高身「このまま一日休んでればきっとよくなるよ!」
無口「ありがと、高身ちゃんのおかげだよ……」
高身「私もうれしい」
高身「それじゃ、もっと一緒にいたいけど私ももう帰らなきゃ」
無口「あっ」
高身「どうしたの?」
無口(いわなきゃ……好きっていわなきゃ)
261: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 18:24:14.37 ID:oJy1erhw0
無口「えっと、今日は看病してくれてうれしかった」
高身「うん」
無口「ありがと」
高身「どういたしまして」
無口「それでね、えっと……」
無口「す、すき……」
高身「え?」
無口「す、好きです!!」
高身「うん」
無口「ありがと」
高身「どういたしまして」
無口「それでね、えっと……」
無口「す、すき……」
高身「え?」
無口「す、好きです!!」
262: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/10(日) 18:35:23.42 ID:oJy1erhw0
高身「えっ」
無口「あ、あの違くて、私のためにいろいろ、いつもありがとうって思ってるから、それでなにかできないかなって思って、私これくらいしかできないから……」
高身「無口ちゃん……」
無口「い、嫌だった?」
高身「そんなことない、すごく嬉しい、私も好きだよ」ギュ
無口「んあ……///」
高身「」チュッ
無口「!」
高身「私、今日来てよかった」
無口「///」
数日後
高身「うつっちゃった」
無口「あーあ……」アセ
無口「あ、あの違くて、私のためにいろいろ、いつもありがとうって思ってるから、それでなにかできないかなって思って、私これくらいしかできないから……」
高身「無口ちゃん……」
無口「い、嫌だった?」
高身「そんなことない、すごく嬉しい、私も好きだよ」ギュ
無口「んあ……///」
高身「」チュッ
無口「!」
高身「私、今日来てよかった」
無口「///」
数日後
高身「うつっちゃった」
無口「あーあ……」アセ
266: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/11(月) 17:46:54.06 ID:kwcc+o+g0
おまけ
ゴールデンウィーク五日目
姉「すいませーん、待ちました?」
教師「あ、うん全然」
姉「急に呼ばれたからびっくりしましたよー、この辺にそんなにおいしいラーメン屋さんがあるんですか?」
教師「まあその話は後だ。今日はとっておきの朗報があるのだよ」
姉「なんですか?まさか妹と低身ちゃんが付き合い始めたとか……」
教師「実にそうなってほしいものだがそうじゃない」
姉「というと」
教師「今日実はもう一人来る」
姉「誰ですか」
ゴールデンウィーク五日目
姉「すいませーん、待ちました?」
教師「あ、うん全然」
姉「急に呼ばれたからびっくりしましたよー、この辺にそんなにおいしいラーメン屋さんがあるんですか?」
教師「まあその話は後だ。今日はとっておきの朗報があるのだよ」
姉「なんですか?まさか妹と低身ちゃんが付き合い始めたとか……」
教師「実にそうなってほしいものだがそうじゃない」
姉「というと」
教師「今日実はもう一人来る」
姉「誰ですか」
267: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/11(月) 17:47:42.24 ID:kwcc+o+g0
教師「その人はなんと……」
幼女「私の事ですか」
姉「!?」
教師「あ、もう来てたんだ」
幼女「はい、今来ました」
幼女「それでこちらの方は?」
教師「うん、彼女は……」
姉「すごい!ょぅι゛ょだ!ょぅι゛ょの方だ!」
幼女「えっ」
姉「すごい!かわいい!ねえ何年生!?名前は!?わぁほんとにお人形さんみたい!!」ギュー
幼女「ちょ、苦し、なんなんですかこの人」
教師「彼女は口リコンだ」
幼女「変わった名前ですね」
教師「そうじゃなくて」
姉「口リコンとは人聞きの悪い!子供好きの淑女とよんでくれたまえよ!」
幼女「ああ、こういう気持ち悪い人の事を口リコンと……」
姉「ょぅι゛ょに罵られた!快感!」
幼女「なにかほかの成分もまじってるようですが」
幼女「私の事ですか」
姉「!?」
教師「あ、もう来てたんだ」
幼女「はい、今来ました」
幼女「それでこちらの方は?」
教師「うん、彼女は……」
姉「すごい!ょぅι゛ょだ!ょぅι゛ょの方だ!」
幼女「えっ」
姉「すごい!かわいい!ねえ何年生!?名前は!?わぁほんとにお人形さんみたい!!」ギュー
幼女「ちょ、苦し、なんなんですかこの人」
教師「彼女は口リコンだ」
幼女「変わった名前ですね」
教師「そうじゃなくて」
姉「口リコンとは人聞きの悪い!子供好きの淑女とよんでくれたまえよ!」
幼女「ああ、こういう気持ち悪い人の事を口リコンと……」
姉「ょぅι゛ょに罵られた!快感!」
幼女「なにかほかの成分もまじってるようですが」
268: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/11(月) 17:48:13.27 ID:kwcc+o+g0
姉「ぺろぺろ!ょぅι゛ょのうなじぺろぺろ!」
幼女「ちょ、やめ」
教師「」カシャ
幼女「写真撮ってる暇あったら助けて下さいよ!」
教師「悪い悪い、ほーれ、この口リ工口ゲをあげるから幼女を離すんだ」
姉「ょぅι゛ょは離さないがそれはもらう!」
幼女「なんと一方的な申し出」
教師「そんな僕らをラーメン屋が定休日という理不尽なオチが襲う」
幼女「えっ」
姉「えっ」
教師「今スマホで調べてわかった。水曜日は休みだそうだ」
幼女「そんな……私のらあめん……」
姉「私は全然大丈夫ですよ!幼女ちゃーんうち来る?美味しいお菓子いっぱいあるよー」
教師「文句が完全に誘拐犯のそれだね」
幼女(来なけりゃよかった……)
幼女「ちょ、やめ」
教師「」カシャ
幼女「写真撮ってる暇あったら助けて下さいよ!」
教師「悪い悪い、ほーれ、この口リ工口ゲをあげるから幼女を離すんだ」
姉「ょぅι゛ょは離さないがそれはもらう!」
幼女「なんと一方的な申し出」
教師「そんな僕らをラーメン屋が定休日という理不尽なオチが襲う」
幼女「えっ」
姉「えっ」
教師「今スマホで調べてわかった。水曜日は休みだそうだ」
幼女「そんな……私のらあめん……」
姉「私は全然大丈夫ですよ!幼女ちゃーんうち来る?美味しいお菓子いっぱいあるよー」
教師「文句が完全に誘拐犯のそれだね」
幼女(来なけりゃよかった……)
270: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 18:51:17.58 ID:T66KBtNt0
教室
友「あーあ……朝はだるいな……」
女「」ガラッ
友「お、珍しく早いな」
女「あ、あぁ……友ちゃんおはよう……」
友「? どうしたんだ?」
女「え?」
友「あ、いや別に」
女「……」スタスタ
友「そうだ、おい女」
女「ひゃい!?」
友「な、なんだその反応」
女「えと……何?」
友「あぁ、この前かした本、そろそろ返してくれ」
女「あ、本。本ね、すぐ返す、絶対返す」
友「別にそんなに義務感持たなくてもいいんだが……」
友「あーあ……朝はだるいな……」
女「」ガラッ
友「お、珍しく早いな」
女「あ、あぁ……友ちゃんおはよう……」
友「? どうしたんだ?」
女「え?」
友「あ、いや別に」
女「……」スタスタ
友「そうだ、おい女」
女「ひゃい!?」
友「な、なんだその反応」
女「えと……何?」
友「あぁ、この前かした本、そろそろ返してくれ」
女「あ、本。本ね、すぐ返す、絶対返す」
友「別にそんなに義務感持たなくてもいいんだが……」
271: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 18:59:15.23 ID:T66KBtNt0
友「最近女の様子がどうもおかしい」
ショート「どういうこと?」
友「ウザいほど元気なやつだったのに最近めっきりおとなしくなってる」
ポニテ「私も最近元気ないなとは思うけど、そんなにひどいかしら」
友「うーん、嫌なことがあっても三歩歩けば忘れるやつだから、ありゃそうとう珍しいぞ」
ショート「でも女ちゃんだって人間なんだから悲しいことがあって落ち込むことぐらいあるでしょ」
友「そうかもしれんが……あいつがあんなだとこっちまで調子狂う」
272: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 19:07:15.38 ID:T66KBtNt0
ポニテ「落ち込んでるって、具体的にはどんな感じなの?」
友「……ときどきやたらため息ついてたり」
友「何もないところをぼーっ見てたり」
友「かと思ったら時々切なそうな顔してたり……」
友「うーん、考えれば考えるほど変だ。あいつはほんとに女なのか?」
ショート「ねえ、それってさ……」
ショート「恋じゃない!?」
友「恋?」
ショート「だってそれっぽい症状じゃん!」
ポニテ「言われてみれば確かに……でもそれって女ちゃんに好きな人ができたってことかしら」
ショート「あの友ちゃん一筋の女ちゃんが……」
友「そ、そうか。そいつはせいせいするな」
ポニテ「友ちゃん、若干ひきつり笑いに見えるんだけど」
友「そんなことない」
友「……ときどきやたらため息ついてたり」
友「何もないところをぼーっ見てたり」
友「かと思ったら時々切なそうな顔してたり……」
友「うーん、考えれば考えるほど変だ。あいつはほんとに女なのか?」
ショート「ねえ、それってさ……」
ショート「恋じゃない!?」
友「恋?」
ショート「だってそれっぽい症状じゃん!」
ポニテ「言われてみれば確かに……でもそれって女ちゃんに好きな人ができたってことかしら」
ショート「あの友ちゃん一筋の女ちゃんが……」
友「そ、そうか。そいつはせいせいするな」
ポニテ「友ちゃん、若干ひきつり笑いに見えるんだけど」
友「そんなことない」
273: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 19:12:32.29 ID:T66KBtNt0
ポニテ「まあどちらにしても女ちゃんが落ち込んでる原因を突き止めた方がいいんじゃないかしら」
友「たしかに気になるしな」
ポニテ「てことで、いってらっしゃい」
友「え、どこに」
ポニテ「女ちゃんに話を聞くのよ、それが一番早いでしょ?」
ショート「ファイト!」
友「ま、まじかよ」
友「たしかに気になるしな」
ポニテ「てことで、いってらっしゃい」
友「え、どこに」
ポニテ「女ちゃんに話を聞くのよ、それが一番早いでしょ?」
ショート「ファイト!」
友「ま、まじかよ」
274: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 19:16:36.85 ID:T66KBtNt0
友「えーと、こほん」
女「あ、友ちゃん……」
友「あの……なんか最近元気ないよな」
女「まあ……ね」
友「なにかあったのか?悩み事があるなら相談してくれよ」
女「そんなの……」
女「言わなくたってわかるじゃん……」
友(え、えぇ~……)
女「あ、友ちゃん……」
友「あの……なんか最近元気ないよな」
女「まあ……ね」
友「なにかあったのか?悩み事があるなら相談してくれよ」
女「そんなの……」
女「言わなくたってわかるじゃん……」
友(え、えぇ~……)
275: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 19:23:23.13 ID:T66KBtNt0
ショート「どうだった?」
友「言わなくてもわかるじゃん……とか言われた」
ポニテ「なにか心当たりは?」
友「ない、全く」
ショート「もしかして友ちゃんが浮気しちゃってそれで悲しんでるんじゃない?」
友「私は浮気なんてしてな……って私に恋人ができようとあいつには関係ないだろ!」
ポニテ「でも友ちゃんに原因があるのは今ので確かになったわね」
友「私がなにをしたっていうんだ……」
友「言わなくてもわかるじゃん……とか言われた」
ポニテ「なにか心当たりは?」
友「ない、全く」
ショート「もしかして友ちゃんが浮気しちゃってそれで悲しんでるんじゃない?」
友「私は浮気なんてしてな……って私に恋人ができようとあいつには関係ないだろ!」
ポニテ「でも友ちゃんに原因があるのは今ので確かになったわね」
友「私がなにをしたっていうんだ……」
277: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 19:30:21.70 ID:T66KBtNt0
ショート「まあ原因はどうであれ女ちゃんを元気にできたらそれでいいんじゃない?」
ポニテ「そうねえ……なにかしてあげたら?女ちゃんが元気になりそうなこと」
友「女が喜びそうなこと……」
女『友ちゃーん!体触らせろ!ほら!』
女『あ、友ちゃーん、ちょっと胸大きくなったんじゃなーい?どれ私がチェックしtぶればっ!』
女『今日友ちゃんの太ももをペロペロする夢を見たよ!正夢になるといいなぁ』
女『いや!もう限界だ!友!私に抱かれろ!いや冗談ですすいません殴らないでください』
友「」
ポニテ「どうしたの友ちゃんげんなりした顔して」
ポニテ「そうねえ……なにかしてあげたら?女ちゃんが元気になりそうなこと」
友「女が喜びそうなこと……」
女『友ちゃーん!体触らせろ!ほら!』
女『あ、友ちゃーん、ちょっと胸大きくなったんじゃなーい?どれ私がチェックしtぶればっ!』
女『今日友ちゃんの太ももをペロペロする夢を見たよ!正夢になるといいなぁ』
女『いや!もう限界だ!友!私に抱かれろ!いや冗談ですすいません殴らないでください』
友「」
ポニテ「どうしたの友ちゃんげんなりした顔して」
278: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 19:40:18.96 ID:T66KBtNt0
友「いや……あいつ、私の体触りたがってたなって……ま、まあ別に関係ないけどな……はは……」
教師「それだあああああああ!!!」
友「うわ!でた!」
教師「人を妖怪みたいに言うな!それより僕も最近の女さんの元気のなさには驚いていたのだよ!」
教師「あのままでは女さんの健康上よくない!それを救えるのは君しかいないんだ!」
教師「さあレッツおさわり!彼女に体を触らせて来たまえ!」
友「とりあえず訴えてもいいですか?」
ショート「んー、でもそれが一番手っ取り早いんじゃなーい?」
友「なっ」
ポニテ「そうねえ、まさに女ちゃんの念願って感じだし」
友「じょ、冗談じゃねーよ!」
教師「それだあああああああ!!!」
友「うわ!でた!」
教師「人を妖怪みたいに言うな!それより僕も最近の女さんの元気のなさには驚いていたのだよ!」
教師「あのままでは女さんの健康上よくない!それを救えるのは君しかいないんだ!」
教師「さあレッツおさわり!彼女に体を触らせて来たまえ!」
友「とりあえず訴えてもいいですか?」
ショート「んー、でもそれが一番手っ取り早いんじゃなーい?」
友「なっ」
ポニテ「そうねえ、まさに女ちゃんの念願って感じだし」
友「じょ、冗談じゃねーよ!」
279: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/12(火) 19:46:55.81 ID:T66KBtNt0
教師「じゃあどうするんだい?」
友「え」
教師「君は彼女の友達なんだろう?そうだったら元気のない親友のために行動するのは当然だと思うが」
友「そ、それは……」
ショート「そうだよ友ちゃん!女ちゃんがずっとあのままだったら嫌でしょ!?」
ポニテ「大丈夫よちょっとくらい。減るもんじゃないし」
友「お前らからかって楽しんでるだろ!」
教師「さあ!悩める親友を救って来い!」
友「や、やるしかないのか……」
友「え」
教師「君は彼女の友達なんだろう?そうだったら元気のない親友のために行動するのは当然だと思うが」
友「そ、それは……」
ショート「そうだよ友ちゃん!女ちゃんがずっとあのままだったら嫌でしょ!?」
ポニテ「大丈夫よちょっとくらい。減るもんじゃないし」
友「お前らからかって楽しんでるだろ!」
教師「さあ!悩める親友を救って来い!」
友「や、やるしかないのか……」
283: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/13(水) 22:28:29.39 ID:yJw5lm1s0
友「お、女......」
女「こ、今度は何?」
友「いや……女ってほら、まえから私の……体?触りたがってただろ?」
女「ああうん、まあ……」
友「いいぞ」
女「えっ」
友「いやほら、それで元気がでるならと思って……減るもんじゃないし」
女「友ちゃん……」
女「そういうのは時と場所を選んでやるものであって平日の学校でやるもんじゃないと思うよ」
友「!?」
女「こ、今度は何?」
友「いや……女ってほら、まえから私の……体?触りたがってただろ?」
女「ああうん、まあ……」
友「いいぞ」
女「えっ」
友「いやほら、それで元気がでるならと思って……減るもんじゃないし」
女「友ちゃん……」
女「そういうのは時と場所を選んでやるものであって平日の学校でやるもんじゃないと思うよ」
友「!?」
284: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/13(水) 22:33:48.34 ID:yJw5lm1s0
友「ど畜生がああああああああ!!」
ポニテ「見事なまでのマジレスだったわね……」
友「ぬがあああああ!うううううう!ああああああ!」
ショート「ちょ、友ちゃん落ち着いて」
友「これじゃ私がヘン夕イであいつに軽くあしらわれたみたいじゃないかあああ!」
友「私はそんなこと認めない!認めないからなああああああ!!」
教師「しかしあの女さんがここまでとなるとほんとに重症だね」
ポニテ「見事なまでのマジレスだったわね……」
友「ぬがあああああ!うううううう!ああああああ!」
ショート「ちょ、友ちゃん落ち着いて」
友「これじゃ私がヘン夕イであいつに軽くあしらわれたみたいじゃないかあああ!」
友「私はそんなこと認めない!認めないからなああああああ!!」
教師「しかしあの女さんがここまでとなるとほんとに重症だね」
285: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/13(水) 22:38:57.74 ID:yJw5lm1s0
ショート「ほんとに一体何があったんだろう」
ポニテ「お手上げね、もう私たちの手にはおえない」
ショート「まあやれることはやったと思うよ」
教師「ぐぬぬ……かなり珍しいシチュだったからなごりおしいが仕方がない」
ショート「じゃ、あとはがんばってねー」
ポニテ「ファイト」
友「ちょっ!?飽きたとたんに無責任になりやがって薄情者どもおお!」
ポニテ「お手上げね、もう私たちの手にはおえない」
ショート「まあやれることはやったと思うよ」
教師「ぐぬぬ……かなり珍しいシチュだったからなごりおしいが仕方がない」
ショート「じゃ、あとはがんばってねー」
ポニテ「ファイト」
友「ちょっ!?飽きたとたんに無責任になりやがって薄情者どもおお!」
286: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/13(水) 22:50:33.19 ID:yJw5lm1s0
友「はぁ……なんというか、今日の私なんかダメだ……」
眼鏡「どうしたんですかそんな青い顔して」
友「お前らこそどうした手なんか繋いで」
眼鏡「これはその……低身さんが恥ずかしいっていってもはなしてしてくれなくて……///」
低身「えへへ、なかよしこよしってやつだよ!」
友「ああそうか……お前らはいいよな……そんなで」
友「それに比べて今のうちの相方ときたら……」
眼鏡「あ、相方?友さんがそんなこと言うなんて珍しい……」
低身「え?友ちゃんと女ちゃんってお笑いコンビだったの?」
友「そうそうあいつがボケで私がツッコミ……ってんなわけあるかい」
眼鏡「と、友さんが普段やらないようなノリツッコミを……」
友「嗚呼、どんどん調子が悪くなっていく」
眼鏡「どうしたんですかそんな青い顔して」
友「お前らこそどうした手なんか繋いで」
眼鏡「これはその……低身さんが恥ずかしいっていってもはなしてしてくれなくて……///」
低身「えへへ、なかよしこよしってやつだよ!」
友「ああそうか……お前らはいいよな……そんなで」
友「それに比べて今のうちの相方ときたら……」
眼鏡「あ、相方?友さんがそんなこと言うなんて珍しい……」
低身「え?友ちゃんと女ちゃんってお笑いコンビだったの?」
友「そうそうあいつがボケで私がツッコミ……ってんなわけあるかい」
眼鏡「と、友さんが普段やらないようなノリツッコミを……」
友「嗚呼、どんどん調子が悪くなっていく」
289: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/13(水) 23:01:52.82 ID:yJw5lm1s0
下校
友「長い一日だった……もう帰ろう。今日はもうとっとと帰って風呂入って寝よう」
女「と、友ちゃん」
友「お、女っ!?」
女「ごごごめん!急にでてきて……」
友「わ、悪い。で用件は……本ならまだ大丈夫だぞ」
女「あの……私っていちゃ迷惑かな……」
友「そんなことない!そんなこと思っちゃいないぞ!」
女「でもなんか、今朝から友ちゃんなんかよそよそしいし……」
友「それはお前が……頼むから普段通りのお前にもどってくれよお……」
眼鏡「ふ、普段絶対聞けないようなレアな会話」
教師「くそっ!録音ミスった!」
友「長い一日だった……もう帰ろう。今日はもうとっとと帰って風呂入って寝よう」
女「と、友ちゃん」
友「お、女っ!?」
女「ごごごめん!急にでてきて……」
友「わ、悪い。で用件は……本ならまだ大丈夫だぞ」
女「あの……私っていちゃ迷惑かな……」
友「そんなことない!そんなこと思っちゃいないぞ!」
女「でもなんか、今朝から友ちゃんなんかよそよそしいし……」
友「それはお前が……頼むから普段通りのお前にもどってくれよお……」
眼鏡「ふ、普段絶対聞けないようなレアな会話」
教師「くそっ!録音ミスった!」
291: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/13(水) 23:08:17.56 ID:yJw5lm1s0
女「それで、えと、今日は友ちゃんと一緒に帰ろうと思って……久しぶりに」
友「そ、そうか、うん、そうしよう」
女「い、嫌なら全然!大丈夫だから!」
友「そんなこと一言も言ってないだろ……」
女「……ごめん」
友「じゃあ……帰るか。一緒に」
友「そ、そうか、うん、そうしよう」
女「い、嫌なら全然!大丈夫だから!」
友「そんなこと一言も言ってないだろ……」
女「……ごめん」
友「じゃあ……帰るか。一緒に」
293: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/13(水) 23:16:37.00 ID:yJw5lm1s0
ポニテ「ねえちょっといいかしら」トントン
友「なんだよ、今せっかくいい感じに……」
ポニテ「女ちゃんと二人きりになれるのはチャンスよ、やっぱり女ちゃんを救えるのはあなたしかいない」
ポニテ「先生なら私たちが止めるから安心して。明日には元気な女ちゃんが見られることを私たちも願ってるわ」
友「そ、そうか悪いな」
女「友ちゃーん?まだー?」
友「ごめんもういかなきゃ」
ポニテ「うん、ファイト!」
友(なんだこの戦争に送り出される時みたいな……)
友「なんだよ、今せっかくいい感じに……」
ポニテ「女ちゃんと二人きりになれるのはチャンスよ、やっぱり女ちゃんを救えるのはあなたしかいない」
ポニテ「先生なら私たちが止めるから安心して。明日には元気な女ちゃんが見られることを私たちも願ってるわ」
友「そ、そうか悪いな」
女「友ちゃーん?まだー?」
友「ごめんもういかなきゃ」
ポニテ「うん、ファイト!」
友(なんだこの戦争に送り出される時みたいな……)
294: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/13(水) 23:26:57.40 ID:yJw5lm1s0
帰り道
女「……」
友「……」
友(気まずいいいい!なんというかすごく気まずい!)
友(なな、なんか喋んないと……なんだ、なんだこれ!なんでこいつと初デートみたいになってんだ!?)
女「ね、ねえ!」
友「んあっ!?」
女「えっ」
友「あいや、続けてくれ」
女「や、やっぱ何でも……」
友「なんだよ!前のお前は遠慮なんかするやつじゃなかっただろ!」
女「あ……うん……えーと」
女「友ちゃんさ、体……触らせてくれるとか、言ったじゃん……」
友「あ……お、おう」
女「……」
友「……」
友(気まずいいいい!なんというかすごく気まずい!)
友(なな、なんか喋んないと……なんだ、なんだこれ!なんでこいつと初デートみたいになってんだ!?)
女「ね、ねえ!」
友「んあっ!?」
女「えっ」
友「あいや、続けてくれ」
女「や、やっぱ何でも……」
友「なんだよ!前のお前は遠慮なんかするやつじゃなかっただろ!」
女「あ……うん……えーと」
女「友ちゃんさ、体……触らせてくれるとか、言ったじゃん……」
友「あ……お、おう」
295: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/13(水) 23:32:24.60 ID:yJw5lm1s0
女「それで私……あんなこと言っちゃったけど、ほんとはすごく嬉しかった」
友「そ、そうか。そいつはよかった」
女「……」
友「え、それだけか?」
女「ち、ちが、そうじゃなくて!」
友「お、おう」
女「えーと……その……」
友「……」
女「うっ……」
女「うちにこない!?」
友「えっ」
友「そ、そうか。そいつはよかった」
女「……」
友「え、それだけか?」
女「ち、ちが、そうじゃなくて!」
友「お、おう」
女「えーと……その……」
友「……」
女「うっ……」
女「うちにこない!?」
友「えっ」
303: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 17:26:13.45 ID:zPwTUrb/0
女宅
友「お邪魔します……」
女「うん……どうぞ」
友(来ちゃったあああ!やっぱりなんか理由つけて断った方がよかったかも!)
友(それになんだ!?あの話の流れで家に誘われるということは、そういうことなのか!?つまりそういうことなのか!?)
友(なにを、何を考えているんだ女)
友「お邪魔します……」
女「うん……どうぞ」
友(来ちゃったあああ!やっぱりなんか理由つけて断った方がよかったかも!)
友(それになんだ!?あの話の流れで家に誘われるということは、そういうことなのか!?つまりそういうことなのか!?)
友(なにを、何を考えているんだ女)
304: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 17:34:34.08 ID:zPwTUrb/0
友「と、とりあえず座っていいかな……」
女「あ、うん、どうぞ」
友「……」
女「……」
友(そしてまた気まずい!無限ループって怖くね!?)
女「えっと!友ちゃん!」
友「おおう」
女「きゅ、急に家によんでごめん……」
友「だ、大丈夫」
友(ほんとは全然大丈夫じゃない)
女「あと!今日は私のせいでいろいろ迷惑かけちゃったみたいだから……それも謝っとく」
友「お前さっきから謝ってばっかじゃないか……」
女「あ、うん、どうぞ」
友「……」
女「……」
友(そしてまた気まずい!無限ループって怖くね!?)
女「えっと!友ちゃん!」
友「おおう」
女「きゅ、急に家によんでごめん……」
友「だ、大丈夫」
友(ほんとは全然大丈夫じゃない)
女「あと!今日は私のせいでいろいろ迷惑かけちゃったみたいだから……それも謝っとく」
友「お前さっきから謝ってばっかじゃないか……」
305: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 17:46:11.68 ID:zPwTUrb/0
女「うん……もう時間がないって思うと……どう接したらいいかわかんなくなっちゃって」
友「時間がない?どういうことだ?」
女「と、友ちゃんが言わなくたってわたし知ってるもん!私達二人にはもう時間がないってこと!」
友「なんでそんなこと言うんだ……?」
女「そ、それで!友ちゃんにしてもらいたいことがあって……」
友「と、とりあえず、言ってみろ」
女「友ちゃんに……」
女「キスしてほしいの……」
友「キッキキキス!?」
友「時間がない?どういうことだ?」
女「と、友ちゃんが言わなくたってわたし知ってるもん!私達二人にはもう時間がないってこと!」
友「なんでそんなこと言うんだ……?」
女「そ、それで!友ちゃんにしてもらいたいことがあって……」
友「と、とりあえず、言ってみろ」
女「友ちゃんに……」
女「キスしてほしいの……」
友「キッキキキス!?」
306: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 17:59:17.53 ID:zPwTUrb/0
友「ちょとまてタイム!話が飛躍しすぎちゃいないか!?」
女「だ、だって!私友ちゃんとキスしたことないし!今しないともう一生できないかもしれないじゃん!だから……」
友「だから!そこらへんの話をもっと詳細にだな……」
女「だって友ちゃん……友ちゃん……」
女「」ポロッ
友「ちょぉっ!?」
女「う、う、う」ポロポロ
友「な、泣くなよぉ……」
女「だって、う、やっぱりいや、私友ちゃんと離れたくない!」ポロポロ
友「女……」
女「私友ちゃんの事、好きで、ほんとに好きで、いつか本当にお嫁さんになりたいと、ぐす、思って……」ポロポロ
友「……」
女「でも……もうすぐ離れ離れになっちゃう。うぅ、やだ、やだよぉ……」ポロポロ
女「だ、だって!私友ちゃんとキスしたことないし!今しないともう一生できないかもしれないじゃん!だから……」
友「だから!そこらへんの話をもっと詳細にだな……」
女「だって友ちゃん……友ちゃん……」
女「」ポロッ
友「ちょぉっ!?」
女「う、う、う」ポロポロ
友「な、泣くなよぉ……」
女「だって、う、やっぱりいや、私友ちゃんと離れたくない!」ポロポロ
友「女……」
女「私友ちゃんの事、好きで、ほんとに好きで、いつか本当にお嫁さんになりたいと、ぐす、思って……」ポロポロ
友「……」
女「でも……もうすぐ離れ離れになっちゃう。うぅ、やだ、やだよぉ……」ポロポロ
307: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 18:02:43.24 ID:zPwTUrb/0
女「ずっとそばにいたい……友ちゃんのそばに……」ポロポロ
友「……」
女「うぅ……うぅ……」ポロポロ
友「……」
友「するか、キス」
女「……へ?」
友「……」
女「うぅ……うぅ……」ポロポロ
友「……」
友「するか、キス」
女「……へ?」
308: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 18:08:46.36 ID:zPwTUrb/0
女「ほんとに……?」
友「お、おう、まか、まかせと、け」
女「うん……」
友「……」
女「……」
友「やや、やっぱり私からするのか!?」
女「じゃ、じゃあ私から……」
友「いや!いやいや!大丈夫、うん!」
女「そういってくれるなら……」
友「……」
女「……」
友「お、おう、まか、まかせと、け」
女「うん……」
友「……」
女「……」
友「やや、やっぱり私からするのか!?」
女「じゃ、じゃあ私から……」
友「いや!いやいや!大丈夫、うん!」
女「そういってくれるなら……」
友「……」
女「……」
309: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 18:19:48.94 ID:zPwTUrb/0
友(落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け私大丈夫だ私できるぞ私ならそうだ素数だ素数を数えるんだああ混乱しすぎて素数が出てこない)
友(落ち着け私このキスは欧米的なアレであっていやらしい意味だとか恋愛的な意味は一切ないだから大丈夫だから落ち着けばなんてことない)
女「まだ……?」
友「わわわわるい!いまするから!」
女「うん……」
友(精神統一心頭滅却深呼吸)
友「」スー
友「」ハー
友(よし……)
女「」ドキドキ
友「」ジッ…
友「ご、ごめん……やっぱりむr」
女「」チュ
友「!!!!!!!!!」
友(落ち着け私このキスは欧米的なアレであっていやらしい意味だとか恋愛的な意味は一切ないだから大丈夫だから落ち着けばなんてことない)
女「まだ……?」
友「わわわわるい!いまするから!」
女「うん……」
友(精神統一心頭滅却深呼吸)
友「」スー
友「」ハー
友(よし……)
女「」ドキドキ
友「」ジッ…
友「ご、ごめん……やっぱりむr」
女「」チュ
友「!!!!!!!!!」
310: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 18:29:28.82 ID:zPwTUrb/0
女「んっ……」
友「んん……」
女「んあっ……」
友「ぷはっ」
女「はあ……」
友「……」
女「……」
友「おまえ……舌……」
女「ご、ごめ……」
友「……」
女「……」
友「私……はじめてだった」
女「わ、わたしも……」
友「……」
女「……」
友「帰る」
女「えっ」
友「んん……」
女「んあっ……」
友「ぷはっ」
女「はあ……」
友「……」
女「……」
友「おまえ……舌……」
女「ご、ごめ……」
友「……」
女「……」
友「私……はじめてだった」
女「わ、わたしも……」
友「……」
女「……」
友「帰る」
女「えっ」
311: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 18:36:10.22 ID:zPwTUrb/0
女「ちょっ!?まって友ちゃん!?」
友「帰る」
女「いやいや!待ってって!」
友「いや帰る今帰るすぐ帰る絶対帰る」
女「待ってってば!」グイ
友「んなっ!?」ドタッ
友(お、お、押し倒された……?)
女「はあ……はあ……」
友「ちょ、女?」
友「帰る」
女「いやいや!待ってって!」
友「いや帰る今帰るすぐ帰る絶対帰る」
女「待ってってば!」グイ
友「んなっ!?」ドタッ
友(お、お、押し倒された……?)
女「はあ……はあ……」
友「ちょ、女?」
312: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 18:42:44.44 ID:zPwTUrb/0
女「ごめん……友ちゃん……私……」
友「え、え?なんだこの状況は」
女「ほんとは……キスだけで満足するつもりだったけど……」
女「私、やっぱり友ちゃんのこと諦めたくない」
友「おまえ、まさか……」
女「ごめん……ほんとに……」
友「ちょっ!?服を脱がすな!」
女「大丈夫……気持ちよくしてあげるから……」
友(これは、まずい)
友「え、え?なんだこの状況は」
女「ほんとは……キスだけで満足するつもりだったけど……」
女「私、やっぱり友ちゃんのこと諦めたくない」
友「おまえ、まさか……」
女「ごめん……ほんとに……」
友「ちょっ!?服を脱がすな!」
女「大丈夫……気持ちよくしてあげるから……」
友(これは、まずい)
313: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 18:46:35.43 ID:zPwTUrb/0
女「」ペロッ
友「あっ……」
女「……友ちゃんもそんな艶っぽい声出すんだね」
友「おい!おいったら!一旦落ち着こう!!な!?」
女「友ちゃん好き……大好き……」
友「あっ……」
女「……友ちゃんもそんな艶っぽい声出すんだね」
友「おい!おいったら!一旦落ち着こう!!な!?」
女「友ちゃん好き……大好き……」
314: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 18:51:57.31 ID:zPwTUrb/0
女「」ペロペロ
友「んっ……あっ……」
女「友ちゃん……もっと触るね……いろんなところ……」
友(まずいまずいまずいまずいまずいって)
女「私絶対忘れない」
女「今日こうやって友ちゃんと一緒になれたこと」
友(どうすれば……)
女「友ちゃんが北海道に行っても!」
友「は?北海道?」
友「んっ……あっ……」
女「友ちゃん……もっと触るね……いろんなところ……」
友(まずいまずいまずいまずいまずいって)
女「私絶対忘れない」
女「今日こうやって友ちゃんと一緒になれたこと」
友(どうすれば……)
女「友ちゃんが北海道に行っても!」
友「は?北海道?」
315: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 18:58:23.22 ID:zPwTUrb/0
友「え、なんで北海道?」
女「えっ」
友「えっ」
女「いや、友ちゃんが北海道に引っ越すから……」
友「な、なんのことだそれは!私は別に北海道になんか行かないぞ!」
女「ええっ!?でも友ちゃんの家引っ越しの準備してたじゃん!」
友「あれはアパートから近くの一戸建てに引っ越すだけだ!どっから北海道でてきた!!」
女「え、いや、だって、ほら、トラックに北海道かいてあったじゃん!」
友「あれはそういう引越し屋だ!北海道印の引っ越し業者!知らないのか!?」
女「そ、そんな……全部私の勘違いだったってこと……」
女「えっ」
友「えっ」
女「いや、友ちゃんが北海道に引っ越すから……」
友「な、なんのことだそれは!私は別に北海道になんか行かないぞ!」
女「ええっ!?でも友ちゃんの家引っ越しの準備してたじゃん!」
友「あれはアパートから近くの一戸建てに引っ越すだけだ!どっから北海道でてきた!!」
女「え、いや、だって、ほら、トラックに北海道かいてあったじゃん!」
友「あれはそういう引越し屋だ!北海道印の引っ越し業者!知らないのか!?」
女「そ、そんな……全部私の勘違いだったってこと……」
316: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:02:24.30 ID:zPwTUrb/0
友「ちょ、まて、いったん整理しよう」
女「うん」
友「まず私の家が一戸建てに引っ越すために準備していた……」
女「それを私が見て……」
友「トラックの印を見て北海道に転校と勘違い……」
女「う、うん、そうみたい」
友「お、お前……」
友「本当にただの馬鹿だな……」
女「うん」
友「まず私の家が一戸建てに引っ越すために準備していた……」
女「それを私が見て……」
友「トラックの印を見て北海道に転校と勘違い……」
女「う、うん、そうみたい」
友「お、お前……」
友「本当にただの馬鹿だな……」
317: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:09:00.27 ID:zPwTUrb/0
女「……」
友「……」
女「もう!」ペシッ
友「いたっ」
女「もうもうもう!!」
友「どうした、牛にでもなったか」
女「それってそれくらい私の胸が魅力的ってこと?きゃ、友ちゃんの工ッチ!」
友「誰がそんなこと言ったんだ誰が」
女「なーんだぃ!私の勘違い!勘違いだったか!わっはっは!」
友「笑い事じゃないぞ……」
女「なんか友ちゃんがもうすぐいなくなっちゃうと思ってあんな感じになっちゃった!ごめんねぺろりんちょ!」
友「許すわけないだろ……誰のせいでこんなに苦労したと思ってるんだ……」
女「こ、こわっ!」
友「……」
女「もう!」ペシッ
友「いたっ」
女「もうもうもう!!」
友「どうした、牛にでもなったか」
女「それってそれくらい私の胸が魅力的ってこと?きゃ、友ちゃんの工ッチ!」
友「誰がそんなこと言ったんだ誰が」
女「なーんだぃ!私の勘違い!勘違いだったか!わっはっは!」
友「笑い事じゃないぞ……」
女「なんか友ちゃんがもうすぐいなくなっちゃうと思ってあんな感じになっちゃった!ごめんねぺろりんちょ!」
友「許すわけないだろ……誰のせいでこんなに苦労したと思ってるんだ……」
女「こ、こわっ!」
318: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:12:45.91 ID:zPwTUrb/0
友「で、今このお互い半裸で向かい合ってる状況はどう落とし前つける気なんだろうなぁ?」
女「うわ、ごっめん!私ったらなんてことを……今着せてあげるね」
友「自分で着れるわ、阿保」
女「まあそうだよねー」
友「……」
女「ん?どしたの着ないの?」
女「うわ、ごっめん!私ったらなんてことを……今着せてあげるね」
友「自分で着れるわ、阿保」
女「まあそうだよねー」
友「……」
女「ん?どしたの着ないの?」
319: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:19:24.01 ID:zPwTUrb/0
友「しないのか?」
女「えっ、何を?」
友「……」
友「……続き」ボソッ
女「えっ」
友「……」
女「し、していいの?」
友「……」
女「ほ、ほんとに?まじで?」
友「うるさいっ!ここまで来たんだから好きにしていいって言ってんだよ!」
女「……本気か」
友「」コク
女「冗談では、ないのか」
友「」コク
女「えっ、何を?」
友「……」
友「……続き」ボソッ
女「えっ」
友「……」
女「し、していいの?」
友「……」
女「ほ、ほんとに?まじで?」
友「うるさいっ!ここまで来たんだから好きにしていいって言ってんだよ!」
女「……本気か」
友「」コク
女「冗談では、ないのか」
友「」コク
320: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/14(木) 19:25:25.69 ID:zPwTUrb/0
女「私歯止めきかなくなるかも」
友「じれったい……」
女「……」
女「」サスサス
友「ん……」
女「前から思ってたんだけどさ……」ペロ
友「あっ……」
女「友ちゃんって……」
女「私のこと好き?」
友「わ……」
友「悪いかよ……」
女「友ちゃん……」
女「好き」
女「大好き」
友「わ、」
友「私も……」
友「じれったい……」
女「……」
女「」サスサス
友「ん……」
女「前から思ってたんだけどさ……」ペロ
友「あっ……」
女「友ちゃんって……」
女「私のこと好き?」
友「わ……」
友「悪いかよ……」
女「友ちゃん……」
女「好き」
女「大好き」
友「わ、」
友「私も……」
324: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/15(金) 22:40:35.82 ID:7SlJsdvm0
朝
女「おっはよーございまぁす!」
友「うわっ でた」
女「いやはや~昨日はお楽しむことができましたね~私すごいやばかった」
友「朝からそんな話やめろよ……」
女「じゃ、友ちゃんとラブラブ記念ということで手、繋ごうか!」
友「死んでも嫌だ」
女「ひどっ!」
女「おっはよーございまぁす!」
友「うわっ でた」
女「いやはや~昨日はお楽しむことができましたね~私すごいやばかった」
友「朝からそんな話やめろよ……」
女「じゃ、友ちゃんとラブラブ記念ということで手、繋ごうか!」
友「死んでも嫌だ」
女「ひどっ!」
325: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/15(金) 22:46:45.06 ID:7SlJsdvm0
女「もう!あんなに愛しあった仲なのに!」
友「あーうるさいうるさい」
女「ていうか友ちゃんから誘ってきたんじゃーん、なんだかんだツンデレちゃんだね」
友「あのな女、人には人生で一度や二度の気の迷いというのがあってだな」
女「私との行為が気の迷いだったっていいたいの!?」
友「ああ」
女「それはいくらなんでも酷い!」
友「あーうるさいうるさい」
女「ていうか友ちゃんから誘ってきたんじゃーん、なんだかんだツンデレちゃんだね」
友「あのな女、人には人生で一度や二度の気の迷いというのがあってだな」
女「私との行為が気の迷いだったっていいたいの!?」
友「ああ」
女「それはいくらなんでも酷い!」
326: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/15(金) 22:51:37.33 ID:7SlJsdvm0
女「友ちゃん的にはどうだったの?正直いって」
友「なんだかすごく汚された感じがする」
女「ぐぬぬ……今日の友ちゃん、かなり隙がすくない」
女「もう!そんなに冷たいとまた昨日みたいな状態に戻るよ!」
友「おー、戻れ戻れ、静かになっていい」
女「むー!」
友「なんだかすごく汚された感じがする」
女「ぐぬぬ……今日の友ちゃん、かなり隙がすくない」
女「もう!そんなに冷たいとまた昨日みたいな状態に戻るよ!」
友「おー、戻れ戻れ、静かになっていい」
女「むー!」
327: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/15(金) 22:55:31.49 ID:7SlJsdvm0
友「……でもまあ」
友「人に汚されてみるってのも案外悪くないかもな」
女「へ?」
友「ほら」スッ
女「およ?」
友「繋ぐんだろ?手」
女「いぃやっほぉい!そうこなくっちゃ!」ギュ
友「人に汚されてみるってのも案外悪くないかもな」
女「へ?」
友「ほら」スッ
女「およ?」
友「繋ぐんだろ?手」
女「いぃやっほぉい!そうこなくっちゃ!」ギュ
328: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/15(金) 23:01:06.08 ID:7SlJsdvm0
女「友ちゃんったら~もう完全に私の彼女っすね」
友「」ギギギ
女「ちょっ!?友ちゃん、握力握力!」
友「お、あそこにいつもの連中がいるぞ」
女「おおほんと。せいぞろいだね」
友「ほら、あいつらにも迷惑かけたんだから、ちゃんと謝れよ?」
女「うん!」
女「みんなー!おっはよぉー!!」
おわり
友「」ギギギ
女「ちょっ!?友ちゃん、握力握力!」
友「お、あそこにいつもの連中がいるぞ」
女「おおほんと。せいぞろいだね」
友「ほら、あいつらにも迷惑かけたんだから、ちゃんと謝れよ?」
女「うん!」
女「みんなー!おっはよぉー!!」
おわり
329: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/15(金) 23:04:11.03 ID:7SlJsdvm0
だいたい一ヶ月くらいのSSとなりましたがここまで挫折せずにこれたのも
見てくださった皆さんのおかげです。ありがとうございました。
そのうちまた百合SSを書きはじめると思うので見かけたら付き合ってやってください。
それでは
見てくださった皆さんのおかげです。ありがとうございました。
そのうちまた百合SSを書きはじめると思うので見かけたら付き合ってやってください。
それでは
330: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/15(金) 23:12:27.36 ID:U719dhggo
完結乙!
面白かった。女のキャラと友のツンデレ具合が堪らなかった
他にもいろんな種類のキャラが見れたし楽しかった
次回予告もあったしまた楽しみにしてる
面白かった。女のキャラと友のツンデレ具合が堪らなかった
他にもいろんな種類のキャラが見れたし楽しかった
次回予告もあったしまた楽しみにしてる
332: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/05/16(土) 06:23:41.33 ID:Yy7NY6ka0
次回も俺の百合成分を満たしてくれ
引用元: 友「このクラスの四組のカップル」 女「全員女子!」
大阪女子「なんなん?なんで自分らうちの事指差してわろてるん?」
2019-07-05
1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/07/16(土) 11:42:27.962 ID:+1PxCuOp0.net
神奈川女子「ぇぇ~、なんかぁ、ちょー話し方うけるよねっておもったw」クスクス
東京女子「だってね、そんな堂々と話されてもね……w」
埼玉女子「マジかわいいじゃんwwwwてゆーか大阪の人がよく言う自分らって紛らわしいよねwwwウケルーーwww」ゲラゲラ
大阪女子「仕方あらへんやろ……うち尼崎出やもん、こんなん不可抗力やて、治せへんよ……」ウルッ
東京女子「だってね、そんな堂々と話されてもね……w」
埼玉女子「マジかわいいじゃんwwwwてゆーか大阪の人がよく言う自分らって紛らわしいよねwwwウケルーーwww」ゲラゲラ
大阪女子「仕方あらへんやろ……うち尼崎出やもん、こんなん不可抗力やて、治せへんよ……」ウルッ
関連
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6: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/07/16(土) 11:44:20.645 ID:+1PxCuOp0.net
山梨女子「だ、大丈夫だよ!そのうちみんなも慣れてくれるって、こ、個性だし良いと思う!」
大阪女子「せ、せやろか……?」
茨城女子「甘ったれてんじゃねえよヤリマソ消えろ」
群馬女子「 أنت على ما يرام. يم!」
大阪女子「せ、せやろか……?」
茨城女子「甘ったれてんじゃねえよヤリマソ消えろ」
群馬女子「 أنت على ما يرام. يم!」
16: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/07/16(土) 11:50:51.460 ID:+1PxCuOp0.net
大阪女子「なんやねん……う、うちなんも悪い事してへんやろ……?何でそんな事言われなあかんの……?」ウルウル
埼玉女子「泣くなしぃwww大阪人って笑いに厳しいんだろ?wなに空気悪くさせてんの?www怖いわー怖みーwww」
大阪女子「泣゛いてへんやろ……なっ、何を言う゛てるの君は……」ウルウル
東京女子「君はだって……wかわいい……www」
神奈川女子「いいじゃんwうちらのこと気にしないでいーからっw」
埼玉女子「泣くなしぃwww大阪人って笑いに厳しいんだろ?wなに空気悪くさせてんの?www怖いわー怖みーwww」
大阪女子「泣゛いてへんやろ……なっ、何を言う゛てるの君は……」ウルウル
東京女子「君はだって……wかわいい……www」
神奈川女子「いいじゃんwうちらのこと気にしないでいーからっw」
22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/07/16(土) 11:59:37.211 ID:+1PxCuOp0.net
栃木女子「みんな何騒いでんの!?えっ何何うちも混ぜてよーー!!」
茨城女子「チッなんだよお前来んなよ……」
栃木女子「なになになに!?えっやだなんでうち呼ばれてないの!?なになにねぇ教えてよーーー!!!」
埼玉女子「この娘大阪から来たんだってwww超珍しいよねwww写真撮るわwwwインスタのアカウント教えてよフォローしないけどwww」
大阪女子「べっ、別にええけども……」
東京女子「ねぇねぇ……wちょっと、聞きたいんだけどw」
大阪女子「な、なんや?」
東京女子「ンゴ……とか、言わないの?w」
埼玉女子「ダメだろそれはwwwwwwwwwそれお前大阪弁じゃねえからwwwwwwwww」
茨城女子「チッなんだよお前来んなよ……」
栃木女子「なになになに!?えっやだなんでうち呼ばれてないの!?なになにねぇ教えてよーーー!!!」
埼玉女子「この娘大阪から来たんだってwww超珍しいよねwww写真撮るわwwwインスタのアカウント教えてよフォローしないけどwww」
大阪女子「べっ、別にええけども……」
東京女子「ねぇねぇ……wちょっと、聞きたいんだけどw」
大阪女子「な、なんや?」
東京女子「ンゴ……とか、言わないの?w」
埼玉女子「ダメだろそれはwwwwwwwwwそれお前大阪弁じゃねえからwwwwwwwww」
28: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/07/16(土) 12:06:53.503 ID:+1PxCuOp0.net
大阪女子「ンゴってなんや……?なんの話してるんや君たち……」
神奈川女子「え~でも実際さぁ、本場のやつで聞いてみたいよねっw」
東京女子「わかる……w多分かわいいw」
山梨女子「み、みんなやめてあげようよ!こ、困ってるよ!ね、ねぇ!」
茨城女子「馬鹿テメエ、方言直せねえ奴はスケの風上には置けねえべよ!!!!」
栃木女子「えーーー!!?!!?ツッコミ待ち!?ツッコミ待ちなの!?!?」
埼玉女子「ほら出番来たよwwwwwwほら早く仕事してwwwwww」
大阪女子「えっえっ?!なになにわからん聞いてへんかった!えっ!?」
神奈川女子「え~でも実際さぁ、本場のやつで聞いてみたいよねっw」
東京女子「わかる……w多分かわいいw」
山梨女子「み、みんなやめてあげようよ!こ、困ってるよ!ね、ねぇ!」
茨城女子「馬鹿テメエ、方言直せねえ奴はスケの風上には置けねえべよ!!!!」
栃木女子「えーーー!!?!!?ツッコミ待ち!?ツッコミ待ちなの!?!?」
埼玉女子「ほら出番来たよwwwwwwほら早く仕事してwwwwww」
大阪女子「えっえっ?!なになにわからん聞いてへんかった!えっ!?」
32: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/07/16(土) 12:16:51.562 ID:+1PxCuOp0.net
埼玉「はぁ……?なに?恥ずかしがってんの?マジしらけたんだけど……こいつつまんなくね?」
神奈川女子「あ~wドンマイ大阪さん、気にしなくていいよっw」
東京女子「埼玉ちゃん……w普段はしらけさせるポジなのにね……w」ボソッ
栃木「プププスゥwww確かにーーー!!!!」ゲラゲラ
埼玉女子「えっ」
大阪女子「す、すまんて……ほんまに、つ、次は気ぃ張るんでホンマ、う、うちの事見捨てんといてや……と、友達になってぇ……」
山梨女子「も、もう私達友達だよっ!」
群馬女子「 Olet erittäin hyvä ihminen! Oletteko haluta vaimokseni olet tyytyväinen jos jos? 」
千葉女子「水銀コバルトカドミウム~」
神奈川女子「あ~wドンマイ大阪さん、気にしなくていいよっw」
東京女子「埼玉ちゃん……w普段はしらけさせるポジなのにね……w」ボソッ
栃木「プププスゥwww確かにーーー!!!!」ゲラゲラ
埼玉女子「えっ」
大阪女子「す、すまんて……ほんまに、つ、次は気ぃ張るんでホンマ、う、うちの事見捨てんといてや……と、友達になってぇ……」
山梨女子「も、もう私達友達だよっ!」
群馬女子「 Olet erittäin hyvä ihminen! Oletteko haluta vaimokseni olet tyytyväinen jos jos? 」
千葉女子「水銀コバルトカドミウム~」
37: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/07/16(土) 12:27:37.993 ID:+1PxCuOp0.net
神奈川女子「あっwちばちゃん来たよちばちゃんw」
東京女子「あ、あたし千葉さん苦手だから。ごめんちょっとトイレ行ってくる。」
埼玉女子「て、てゆーか大阪と千葉の絡み見てみたいんだけどwwwwww」
大阪女子「が、頑張るから!紹介してぇや!(き、期待に応えな……応えなうちはこの街では終わりや……!!)」
千葉女子「鉛硫酸オキシダン~」
山梨女子「ち、ち、千葉さん、おはよう!今日も楽しそうね!」
千葉女子「シアンマンガンバナガウム~」
茨城「おい山梨やめろ!こいつに刺激を与えんな」
東京女子「あ、あたし千葉さん苦手だから。ごめんちょっとトイレ行ってくる。」
埼玉女子「て、てゆーか大阪と千葉の絡み見てみたいんだけどwwwwww」
大阪女子「が、頑張るから!紹介してぇや!(き、期待に応えな……応えなうちはこの街では終わりや……!!)」
千葉女子「鉛硫酸オキシダン~」
山梨女子「ち、ち、千葉さん、おはよう!今日も楽しそうね!」
千葉女子「シアンマンガンバナガウム~」
茨城「おい山梨やめろ!こいつに刺激を与えんな」
38: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/07/16(土) 12:40:15.537 ID:+1PxCuOp0.net
千葉女子「クロムカリウムストロンチュウウム~」
大阪女子「ど、どうも~!うち最近この街に来たんやけど、お、お初にかかりますー!大阪もんです!!」
千葉「汚れちまった」
大阪女子「ん?」
千葉「海」
大阪女子「……!?」
千葉「汚れちまった空」
大阪女子(な、なんやこの娘……天然さんなんかな……?)
千葉女子「生き物皆居なくなって野も山も黙っちまった、地球の上に誰も、誰も居なけりゃ泣くことも出来ない……!!」ギロッ
大阪女子「ひぃぃぃ………」
埼玉女子「ヒイイイだってwwwwwwダメだめ駄目wwwwww堪えられないwwwwww千葉ちゃんやっぱ最高だわwwwwww施設に通えよwwwwww」
茨城女子「テメエさぁ、ホント最低だよ、そりゃ俺も千葉は苦手だけどよ、あいつだって頑張って生きてんだろ、埼玉屋上来いよ、流石にキレちまったよ……」
大阪女子「ど、どうも~!うち最近この街に来たんやけど、お、お初にかかりますー!大阪もんです!!」
千葉「汚れちまった」
大阪女子「ん?」
千葉「海」
大阪女子「……!?」
千葉「汚れちまった空」
大阪女子(な、なんやこの娘……天然さんなんかな……?)
千葉女子「生き物皆居なくなって野も山も黙っちまった、地球の上に誰も、誰も居なけりゃ泣くことも出来ない……!!」ギロッ
大阪女子「ひぃぃぃ………」
埼玉女子「ヒイイイだってwwwwwwダメだめ駄目wwwwww堪えられないwwwwww千葉ちゃんやっぱ最高だわwwwwww施設に通えよwwwwww」
茨城女子「テメエさぁ、ホント最低だよ、そりゃ俺も千葉は苦手だけどよ、あいつだって頑張って生きてんだろ、埼玉屋上来いよ、流石にキレちまったよ……」
40: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/07/16(土) 12:52:19.415 ID:+1PxCuOp0.net
千葉女子「……かえせ」
大阪女子「えっ!?な、なにを……」
千葉女子「かああああああああえええせえええええええええええ!!!!!!!!」ガシッッッ
大阪女子「わああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」ビグビグビグ
千葉女子「緑を!!!!!青空を!!!!!!!かえせえええええええええええ!!!!かえせええええええええええええええ!!!!!!!!!」
大阪女子「嫌やああああああああああああやめてえええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!」ガクガクガク
茨城女子「おいやべえぞ!山梨テメエ何やってんだよ止めろよ!!」
山梨「えっ、ご、ごめんなさい!!ち、千葉さん落ち着いて!!千葉さん!!」
大阪女子「えっ!?な、なにを……」
千葉女子「かああああああああえええせえええええええええええ!!!!!!!!」ガシッッッ
大阪女子「わああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」ビグビグビグ
千葉女子「緑を!!!!!青空を!!!!!!!かえせえええええええええええ!!!!かえせええええええええええええええ!!!!!!!!!」
大阪女子「嫌やああああああああああああやめてえええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!」ガクガクガク
茨城女子「おいやべえぞ!山梨テメエ何やってんだよ止めろよ!!」
山梨「えっ、ご、ごめんなさい!!ち、千葉さん落ち着いて!!千葉さん!!」
42: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/07/16(土) 13:00:09.397 ID:+1PxCuOp0.net
神奈川女子「ねぇ~ちょーうるさいんだけど……」
埼玉女子「すげえうけるねwwwwwwwwwすげえwwwwwwツイッターに上げなきゃwwwwwwwww」
大阪女子「もう嫌や!!!もう嫌やーーー!!!うちもう関東モンなんか嫌いやーーー!!うわぁぁぁぁん……」ダッ
東京女子「あーぁ……w」
栃木女子「えーーーあの娘どっか走っていっちゃったよ!!?!?追う!?追う追う!!?!!?」
茨城女子「俺らが追わなくても、見ろよ千葉が凄え勢いで追っていくぞ」
山梨「な、なんで皆仲良くできないの……?」ウルッ
群馬「人が戦争を忘れられた事が今までありましたか?」
埼玉女子「すげえうけるねwwwwwwwwwすげえwwwwwwツイッターに上げなきゃwwwwwwwww」
大阪女子「もう嫌や!!!もう嫌やーーー!!!うちもう関東モンなんか嫌いやーーー!!うわぁぁぁぁん……」ダッ
東京女子「あーぁ……w」
栃木女子「えーーーあの娘どっか走っていっちゃったよ!!?!?追う!?追う追う!!?!!?」
茨城女子「俺らが追わなくても、見ろよ千葉が凄え勢いで追っていくぞ」
山梨「な、なんで皆仲良くできないの……?」ウルッ
群馬「人が戦争を忘れられた事が今までありましたか?」
44: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/07/16(土) 13:07:14.922 ID:+1PxCuOp0.net
京都女子「大阪女子はんがやられてしもうたようどすえー」
奈良女子「あの娘はあたしたちんなかで一番コミュ力なかったもん!あたしだったら一発だったし!関東最高!!関東バンザイ!!バンザァァイ!!」
滋賀女子「やっぱり私達とはソリが合わないのかと思われますなw」
京都女子「関東はんと仲良くなりたいどすえー」
終わり
奈良女子「あの娘はあたしたちんなかで一番コミュ力なかったもん!あたしだったら一発だったし!関東最高!!関東バンザイ!!バンザァァイ!!」
滋賀女子「やっぱり私達とはソリが合わないのかと思われますなw」
京都女子「関東はんと仲良くなりたいどすえー」
終わり
45: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/07/16(土) 13:11:04.565 ID:p3d2zt6S0.net
乙
引用元: 大阪女子「なんなん?なんで自分らうちの事指差してわろてるん?」
妹「またお姉ちゃん偉いねって言われた」姉「アメもらった」
2019-06-18
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 01:22:34.53 ID:eKwmO5Tj0
妹「はぁ……今更だけどお姉ちゃんってこどもっぽいよね…」
姉「なっ…!…こどもじゃないよ!!お姉ちゃんはお姉ちゃんなんだからね!」
妹「……」スッ ナデナデ
姉「んぁっ……えへ……えへへ~…」
妹「……こどもっぽい…」
姉「はっ!!………やめっ……やめてよー!!」バシバシ
妹「はいはい、ごめんごめん」
姉「もーっ!!そうやってすぐこども扱いするんだからー!!」
妹「ごめんってば……はい、アメあげるから」
姉「わーいっ!ありがとう妹ちゃん!!」ヒョイッ モゴモゴ
妹「はぁ……かわいいなぁ……」ナデナデ
関連
ハルヒ「SOS団で恋の暴露大会をするわよ!」
【朗報】わたてんさん、ケムリクサを超えてガチで覇権へ
【ラブライブサンシャイン】善子「運命の引力」
【悲報】Twitterで3年前に「令和」を予言してたものがいたwwwwwwwww
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 01:29:51.74 ID:eKwmO5Tj0
妹「お姉ちゃん、知らない人にアメとか貰っちゃだめだよ?」ナデナデ
姉「もっ、貰わないよ!幼稚園児じゃないんだから!!」
妹「本当に危ないんだからね?特にお姉ちゃんみたいなのは…」ナデナデ
姉「大丈夫だよー!もー妹ちゃんって心配性なんだからー」
妹「まぁね、誰かさんのせいで日々心配事の毎日ですよ」ナデナデ
姉「ふぇ…?」
妹「この前だって買い物行って迷子になって…散々探したらお菓子売り場にいるんだもん」ナデナデ
姉「あっ、あれは違うのぉ!!ただ……その…どれにしようか迷っちゃって…」
妹「とにかく、私から離れちゃだめだからね?」ナデナデ
姉「うん……ごめんね妹ちゃん…」シュン
妹「ふふ、わかればいいんだよ、いい子だねー……ところで、さっきから撫でてるけど嫌じゃないの?」ニヤ
姉「うぁっ……やめっ、やめてってばー!!」ブンブン
妹「かわいい」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 01:35:55.09 ID:eKwmO5Tj0
姉「あっ、あんまりお姉ちゃんバカにしてると……嫌いになるからね!!」プイッ
妹「えっ……」
姉「ふんっ、いっつもこどもこどもってバカにしてさ!あたしのほうがお姉ちゃんなんだからねっ!!」
妹「うっ……グスンッ…」
姉「ふぇっ!?いっ、妹ちゃん!?」
妹「おねっ…ちゃんにっ…ッ……嫌われたぁ…エグエグ…」
姉「ちちちがうよ!!嫌いじゃないよ!本当は大好きだから!ごめんね妹ちゃん…」オロオロ
妹「……グスッ…ほんと…?」
姉「ほんとうだよ!!世界でいっちばん好きだよっ!!」
妹「じゃあ……ちゅーしてくれたら許す……」
姉「えっ…ちゅ、ちゅー!?」
妹「だめなんだ……やっぱり嫌いなんだ…シクシク…」
姉「わーっ!するする!!ちゅーしてあげるから泣かないで?」オロオロ
妹(すぐ騙されるお姉ちゃんもかわいい)
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 01:41:07.41 ID:eKwmO5Tj0
妹「はい、ちゅー」
姉「えっ、くくくちに!?」
妹「……グスッ…」
姉「うっ…するする!すればいいんでしょ!!……もう」
妹「クスクス……」
姉「うぅ……じゃ、するからね?」モジモジ
妹「いつでもいーよ?」スッ
姉「すーっ、はーっ………んむっ!!」
チュ
姉「ぷはっ…!……はっ、はい!!もうおわり!」カァァ
妹「えへへ、ありがとうお姉ちゃん、大好き」ギュウ
姉「うぁっ……えへへ……私もだーいすき!!」ギュウウ
妹(この幼女ちょろすぎる、危なっかしい……)
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 01:49:03.75 ID:eKwmO5Tj0
姉「妹ちゃん妹ちゃん!!」
妹「ん?なぁにお姉ちゃん」
姉「おなかがすきましたー!!」
妹「はいはい、何か作りますよーっと」
姉「あのねあのね!今日はあたしが作ってあげるよ!!」
妹「それはだめ」
姉「ひぅ…即答はひどいよ妹ちゃん…」
妹「お姉ちゃんが料理なんて……考えただけでも……」ガクガク
姉「ひっ、ひどいよ妹ちゃん!!そんなまずい料理つくらないよー!!」
妹「違うの、お姉ちゃんが怪我でもしたら危ないでしょ?可愛い身体に火傷なんて残ったら大変だし」
姉「かっ、かわっ、~~~~っ!!」
妹「だから、お姉ちゃんは休んでて?私お姉ちゃんのために頑張るから」ナデナデ
姉「うっ、うん!妹ちゃん心配してくれてありがと……えへへ…」
妹(料理できなくても心配ないよ、私が一生作ってあげるから!)
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 01:53:22.85 ID:eKwmO5Tj0
妹「はいっ、できたよお姉ちゃん座って座って」
姉「うん!……よいしょ…」
妹「あぁ違う違うそこじゃなくて」
姉「ふぁ…?……あたしの場所はここだよ…?」キョトン
妹「確かにそこだけど、今はここです」ポンポン
姉「え…?…妹ちゃんの…ひざのうえ……?」
妹「そう、って事でどうぞお姉ちゃん」ポンポンポンポン
姉「えっと……うん………よいしょ」チョコン
妹(何の疑いもなく座っちゃうなんてかわいいなぁ…)
姉「ねっ、ねっ…食べてもいい!?」
妹「あぁごめんごめん、食べていいよ?」
姉「わーいっ、いただきまーす!!」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 01:57:55.90 ID:eKwmO5Tj0
姉「もぐもぐっ………あれ、妹ちゃん食べないの…?」
妹「えっ……食べてもいいの…?」
姉「えっ…うっ、うん……いいと思うけど…?」
妹「じゃあ頂きます…あむっ」カプッ
姉「いひゃっ!?…ちょっ、何してんの妹ちゃん!!」バシッ
妹「えっ、食べてもいいってお姉ちゃん言ったじゃん」
姉「あっ、あたしを食べていいとは言ってないよー!!」
妹「なんだ、残念」
姉「やめてよー!お姉ちゃんなんか食べてもおいしくないよ!!」
妹「いやっ、味の問題じゃないんだけど」
姉「ふぇ?」
妹「ううん、何でもない…お姉ちゃんにはまだ早かったね?ご飯食べてていいよ?」ナデナデ
姉「えっと……うん……?」モグモグ
妹(性知識皆無なお姉ちゃんもかわいいなぁ……)
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 02:04:48.07 ID:eKwmO5Tj0
妹「じゃあそろそろ私もご飯食べようかな」
姉「えっ?でも妹ちゃんの分はどこに?」
妹「ここです」ギュウ
姉「うひゃっ!?…いっ、いきなりくっつかないでよぉ!!」
妹「これでエネルギーを充電してるとこだから我慢して?」ギュウウ
姉「そっ、そうなの?……あたしに抱きつかないとだめなの…?」
妹「だめ、絶対だめだよ、お姉ちゃんじゃないと死んじゃう」
姉「えぇっ!?妹ちゃん死んじゃいやだよ?」オロオロ
妹「クスクス……お姉ちゃんと一緒にいる限り死なないから安心して?」
姉「そうなの?よかったぁ……じゃあずーっと一緒にいようね、妹ちゃん!!」ニコッ
『ずーっと一緒にいようね、妹ちゃん!!』
妹「よし、録音完了」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 02:11:46.75 ID:eKwmO5Tj0
姉「ごちそうさま!!今日もおいしかったよ妹ちゃん!」
妹「そっか、よかったよかった」ギュウ
姉「妹ちゃんならいつでもお嫁さんになれるね!!」
妹「えっ……お嫁さんにいってほしいの?」
姉「ふぇ…?」
妹「お嫁さんに行っちゃったらお姉ちゃんと一緒に居られないけど……」
姉「えっ……それは…嫌かも……」
妹「でしょ?」
姉「うぅ~……あっ、そうだ妹ちゃん!」
妹「ん?どうしたの?」
姉「お姉ちゃんと結婚しようよ!そうすればずっと妹ちゃんと一緒だね!」ニコニコ
妹「~~~~ッ!!」キュンキュン
姉「どうしたの妹ちゃん?」
妹「なっ、なんでもないよ…大丈夫大丈夫」(お姉ちゃん……あなどれない……かわいすぎるっ…)
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 02:15:58.91 ID:eKwmO5Tj0
姉「……ふぁ~…」
妹「あれ?お腹いっぱいで眠たくなっちゃった?」
姉「ん~……すこし……」ウトウト
妹「じゃあちょっとお昼寝する?」
姉「ん……妹ちゃんは…?」
妹「私も一緒に寝てあげるよ?」
姉「うん……じゃあおひるねする…」ウトウト
妹「ふふふ、じゃあ布団敷くからちょっとまってね」
姉「ん~…」ネムネム
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 02:19:55.13 ID:eKwmO5Tj0
妹「はい、おまたせ、寝てもいいよ」
姉「は~い」ゴロン
妹「ほら、ちゃんと布団かけて、風ひいちゃうよ?」
姉「こどもあつかぃ…するな~…」ウトウト
妹「クスクス……ごめんごめん…」
姉「んっ…妹ちゃん……て…」スッ
妹「ん?なぁに?」
姉「おてて……つないでて…?」
妹「うっ、うん、わかった…」キュン
ギュウ
姉「えへへ……妹ちゃんのて…あったかぃ……」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 02:24:36.51 ID:eKwmO5Tj0
姉「おやすみ……妹ちゃ…ん……」スーッ スーッ
妹「ふぅ……さて……」
姉「すーっ…すーっ…」
妹「コホン……お姉ちゃん、妹ちゃんの事、好き?」
姉「すーっ…んぅ……らいしゅき……すーっ」
妹「~~~~~ッ!!」バンバンバンバン
妹「コホン……お姉ちゃん、ずーっと一緒にいてね?」
姉「すーっ…んっ…うん……ずっと…一緒に…」ニヘラ
妹「………写真とっとこう…」パシャ パシャ
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 02:32:12.50 ID:eKwmO5Tj0
妹「お姉ちゃん…お姉ちゃん……おきて?」ユサユサ
姉「んっ……ふぁ……妹ちゃん…おはよー…」ボケー
妹「ふふ、お姉ちゃん、よく寝てたね」
姉「ふぁ?………あっ、もうこんな時間?そろそろ夕方だね…」
妹「そうだねー早いねー」
姉「もうっ、もっと早く起こしてくれて良かったのに」
妹「だって気持ちよさそうに寝てたし……可愛い寝顔見てたらつい時間忘れちゃって」
姉「かわっ…っ!!…もっ、もう!妹ちゃんずるいよ!!いっつもそうやってごまかしてー!!」
妹「だって本当の事だもん、ほら、アメあげるから許して?」
姉「わーいっ!ありがとう妹ちゃん!!」ヒョイ モグモグ
妹「お姉ちゃん……アメひとつで機嫌治さないでよ」クスクス
姉「はっ!………なっ、なおってないもん!!怒ってるもん!!」
妹「はいはい、ごめんねー」ナデナデ
姉「んにゃっ……えへ…えへへ……」ニコニコ
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 02:40:26.70 ID:eKwmO5Tj0
妹「ほんとこどもっぽいよお姉ちゃん」
姉「むぅ……こども扱いしないでってば!!」
妹「ふふ、でもね……私そういうお姉ちゃん大好きだよ?」
姉「うっ……そう…なの…?」
妹「うん、すごく可愛いしずっと守ってあげたい」
姉「そっ…そうかなぁ……えへへ…」モジモジ
妹「あれ?怒らないんだ?」
姉「うっ、うん……妹ちゃんがそこまで言うなら……別に……いい…かも…?」モジモジ
妹「ふふ、ほんとに?」
姉「こっ、こども扱いされるのは嫌だけど……妹ちゃんになら……別にへいき…」カァァ
妹「もーっかわいすぎだよお姉ちゃん!!」ギュウ
姉「ふぁっ……えへへ………妹ちゃん!」
妹「お姉ちゃん!」
姉妹「大好き!!」
おわれ
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 02:41:26.16 ID:eKwmO5Tj0
ねむい、保守支援サンクス、おつかれ
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 02:42:25.79 ID:/1YlREpK0
乙、かわいかった
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 02:42:41.57 ID:Yp1Rw+0U0
かわいすぎるわー
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 02:50:22.36 ID:IKjnh86u0
乙かわいい
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/06/04(月) 03:22:25.54 ID:ks3tcxNz0
素晴らしい
引用元: 妹「またお姉ちゃん偉いねって言われた」姉「アメもらった」
女「……あの」不良女「ん?」
2019-05-26
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 00:04:02.26 ID:+mjTHdFz0
※百合です。嫌いな方は見ないほうがいいです。
~校舎裏~
女「私に……何か用ですか……」
不良女「うん、まあ」
女「あの……お金は持ってないです……」
不良女「はあ!? 誰がンなもん欲しいっつったよ!?」
女「ひっ……! ごめんなさい……」
不良女「あーいや、違うんだ。カツアゲじゃねえよ」
女「だ、だったら……?」
不良女「あー……その」
女「……」ビクビク
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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 00:08:43.60 ID:+mjTHdFz0
不良女「おい、そんなビビんなよ」
女「え、あ……ごめんなさい」
不良女「いや、別に謝らなくてもいいって」
女「ご、ごめんなさ……ぁ……ぅ」
不良女「……っあー」
女「……」ビクビク
不良女「おい、ちょっと目ぇ、瞑れよ」
女「え……な、何するんですか……?」
不良女「いいから」
女「でも……」
不良女「いいから、瞑れよ」
女「は、はい……」
女「え、あ……ごめんなさい」
不良女「いや、別に謝らなくてもいいって」
女「ご、ごめんなさ……ぁ……ぅ」
不良女「……っあー」
女「……」ビクビク
不良女「おい、ちょっと目ぇ、瞑れよ」
女「え……な、何するんですか……?」
不良女「いいから」
女「でも……」
不良女「いいから、瞑れよ」
女「は、はい……」
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 00:14:30.50 ID:+mjTHdFz0
不良女「そのままだ」
女「……っ」
不良女「……」
……ナデナデ
女「……っ?」
不良女「ほら、何も怖い事しねぇって」ナデナデ
女「あ……」
不良女「……頭撫でられたら落ち着くって聞いたからよ。どうだ、落ち着いたか?」
女「……少し」
不良女「そっか。よかった」
女「……もう、大丈夫です」
不良女「お、おう、そうか」
女「……っ」
不良女「……」
……ナデナデ
女「……っ?」
不良女「ほら、何も怖い事しねぇって」ナデナデ
女「あ……」
不良女「……頭撫でられたら落ち着くって聞いたからよ。どうだ、落ち着いたか?」
女「……少し」
不良女「そっか。よかった」
女「……もう、大丈夫です」
不良女「お、おう、そうか」
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 00:23:52.86 ID:+mjTHdFz0
女「あの……私に用って言うのは……」
不良女「あ、おー……そうだったな」
女「もう、怖がったりしませんから」
不良女「……よし、そうか……だったら、言うぞ」
女「はい?」
不良女「お前……さ、彼氏とか恋人的なの、いんの?」
女「え……いえ、そういったお付き合いは誰とも……」
不良女「ふ、ふーん……そっかそっか」
女「あの、何で顔をそちらに向けているのですか?」
不良女「いや、何でもねぇよ……っしゃ!」
不良女「あ、おー……そうだったな」
女「もう、怖がったりしませんから」
不良女「……よし、そうか……だったら、言うぞ」
女「はい?」
不良女「お前……さ、彼氏とか恋人的なの、いんの?」
女「え……いえ、そういったお付き合いは誰とも……」
不良女「ふ、ふーん……そっかそっか」
女「あの、何で顔をそちらに向けているのですか?」
不良女「いや、何でもねぇよ……っしゃ!」
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 00:31:08.46 ID:+mjTHdFz0
女「用というのは、それだけですか……?」
不良女「ま、まだだよ! まだ4割だっつーの!」
女「は、はい……」
不良女「その……だ、だ、だだだったらよぉぉ」
女「は、はい」ビックッ
不良女「……アタシと、付き合ってみねぇか」
女「え……?」
不良女「……」
女「あの……それは……どういう」
不良女「だからぁ! アタシと付き合ってみねぇかって言ってんだよ!」
女「え、でも……不良女さんと私は、女の子で……」
不良女「ま、まだだよ! まだ4割だっつーの!」
女「は、はい……」
不良女「その……だ、だ、だだだったらよぉぉ」
女「は、はい」ビックッ
不良女「……アタシと、付き合ってみねぇか」
女「え……?」
不良女「……」
女「あの……それは……どういう」
不良女「だからぁ! アタシと付き合ってみねぇかって言ってんだよ!」
女「え、でも……不良女さんと私は、女の子で……」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 00:46:56.31 ID:+mjTHdFz0
不良女「それがどうしたよ」
女「え、でも……急にそんな」
不良女「急に言うから、告白じゃねぇのか」
女「あの……男性ともお付き合いしたこと無いのに、ましてや女性となんて」
不良女「大丈夫、アタシも同じだよ」
女「でも、やっぱり……」
不良女「おいおい、もっと考えてくれよ。アタシ1ヶ月くらい告白するタイミング待ってたんだよ」
女「そ、そうですね……頭から否定するのはよくありません」
不良女「よかった……」
女「では、少し考えさせください」
不良女「何分?」
女「1日です! 分では考えられません!」
不良女「あん? ンなの、待ちきれねぇっつーの!」
女「もっと考えろって言ったのは貴女ですよ!」
不良女「人間ってのはな、考えれば考えるほど悪い結果に行くんだよ」
女「それは、先程の自分の発言と矛盾していませんか……」
女「え、でも……急にそんな」
不良女「急に言うから、告白じゃねぇのか」
女「あの……男性ともお付き合いしたこと無いのに、ましてや女性となんて」
不良女「大丈夫、アタシも同じだよ」
女「でも、やっぱり……」
不良女「おいおい、もっと考えてくれよ。アタシ1ヶ月くらい告白するタイミング待ってたんだよ」
女「そ、そうですね……頭から否定するのはよくありません」
不良女「よかった……」
女「では、少し考えさせください」
不良女「何分?」
女「1日です! 分では考えられません!」
不良女「あん? ンなの、待ちきれねぇっつーの!」
女「もっと考えろって言ったのは貴女ですよ!」
不良女「人間ってのはな、考えれば考えるほど悪い結果に行くんだよ」
女「それは、先程の自分の発言と矛盾していませんか……」
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 00:53:16.41 ID:+mjTHdFz0
不良女「むー、細かいこと言うなよ」
女「……はぁ、もういいです」
不良女「え? 今、いいって言った!?」
女「違います。飽きれたと言ったんです」
不良女「え……」
女「お付き合いの件は、ごめんなさい。男性であろうと女性であろうと、お付き合いはできません」
不良女「え、あ……ちょっ」
女「失礼します」
不良女「あ……あぁ……」
女「……」
女「……はぁ、もういいです」
不良女「え? 今、いいって言った!?」
女「違います。飽きれたと言ったんです」
不良女「え……」
女「お付き合いの件は、ごめんなさい。男性であろうと女性であろうと、お付き合いはできません」
不良女「え、あ……ちょっ」
女「失礼します」
不良女「あ……あぁ……」
女「……」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 01:00:37.69 ID:+mjTHdFz0
~教室~
女「はぁ……」
女友「あれ、おかえり。どこ行ってたん?」
女「んー……いえ、何でもなかったですよ」
女友「えー、怪しいなぁ。もしかして、告白されてたとか?」
女「え……?」
女友「っははは! んなこたぁ無いか」
女「……もう。ドキッとしたじゃないですか」
女友「そういやぁ、不良女のヤツも、どっか行って帰ってこやんなぁ」
女「……サボっているんじゃないですか」
女友「んー、そうなんかなぁ。なんかアイツ、ここ1ヶ月くらい真面目に来とったからさ」
女「1ヶ月……か」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 01:13:57.84 ID:+mjTHdFz0
女友「なんや心入れ替えたみたいになって来よったから、きしょかったなぁ」
女「……あれ、たしか……」
不良女『おいおい、もっと考えてくれよ。アタシ1ヶ月くらい告白するタイミング待ってたんだよ』
女「あ……1ヶ月前から……」
女友「あん? なにがぁ?」
女「ううん。こっちの話ですから」
女友「そぉか? あ、せや。1ヶ月言うたら、そろそろあれちゃうん」
女「あれって、何でしたっけ?」
女友「ほら、前に作文書いたやん」
女「あー、【将来の自分】って題の作文ありましたね」
女友「そーそー、それの、校内で誰が1番エエやつ書いたか発表されるらしいで」
女「そういえばありましたね。結局、誰になったんですか?」
女友「さぁ、どっかの知らんヤツちゃうか」
女「……あれ、たしか……」
不良女『おいおい、もっと考えてくれよ。アタシ1ヶ月くらい告白するタイミング待ってたんだよ』
女「あ……1ヶ月前から……」
女友「あん? なにがぁ?」
女「ううん。こっちの話ですから」
女友「そぉか? あ、せや。1ヶ月言うたら、そろそろあれちゃうん」
女「あれって、何でしたっけ?」
女友「ほら、前に作文書いたやん」
女「あー、【将来の自分】って題の作文ありましたね」
女友「そーそー、それの、校内で誰が1番エエやつ書いたか発表されるらしいで」
女「そういえばありましたね。結局、誰になったんですか?」
女友「さぁ、どっかの知らんヤツちゃうか」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 01:30:36.56 ID:+mjTHdFz0
女「私、もう何て書いたか覚えてないです」
女友「んー、ウチは覚えとるよー」
女「え、何て書いたんですか?」
女友「ふふふ。金持ちになって、プール付の豪邸に住む計画をつらつらと書いたったんや」
女「うわ……」
女友「あれー、なんでぇ? ええやん、夢見たってもええやん。そういうアンタは何なんや、思い出さんのか?」
女「ううん、私は何を書いたのでしょうか」
キーンコーンカーンコーン
女友「あぁ、鳴ってもうた。午後からの授業眠たいんよなぁ」
女「寝ても、ノート写させてあげませんからね」
女友「ああん。厳しい」
女友「んー、ウチは覚えとるよー」
女「え、何て書いたんですか?」
女友「ふふふ。金持ちになって、プール付の豪邸に住む計画をつらつらと書いたったんや」
女「うわ……」
女友「あれー、なんでぇ? ええやん、夢見たってもええやん。そういうアンタは何なんや、思い出さんのか?」
女「ううん、私は何を書いたのでしょうか」
キーンコーンカーンコーン
女友「あぁ、鳴ってもうた。午後からの授業眠たいんよなぁ」
女「寝ても、ノート写させてあげませんからね」
女友「ああん。厳しい」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 01:43:30.83 ID:+mjTHdFz0
女「あれ……そういえば、1ヶ月前って……」
女「あ……そうか、それで……」
~1ヶ月前~
放課後、教室にて
不良女「……っち」
不良女「あー……何でこんな……」
不良女「作文って、何書きゃいいんだよ」
ガラッ
不良女「あ?」
女「あ……」
不良女「何見てんだよ」
女「い、いえ……別に……」
不良女「けっ……」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 01:51:01.35 ID:+mjTHdFz0
不良女「あ、そうだ。おい、えー……っと」
女「あ……えっと、私は、女っていいます」
不良女「女、作文って何書きゃいいんだ」
女「あ、えっと【将来の自分】ですけど……」
不良女「んなこたぁ分かってんだよ。具体的にどうすりゃあいいんだよ」
女「ぐ、具体的……?」
不良女「これ書かなきゃ、単位くれねぇっつーからよぉ」
女「あ……それは大変ですね」
不良女「……けっ。ンなこと思ってねぇくせによ」
女「っ……」ビクッ
不良女「で、どーすりゃあいいんだよ」
女「えっと……ですから、将来自分がどうなっているか、どうしたいかを書くんです」
女「あ……えっと、私は、女っていいます」
不良女「女、作文って何書きゃいいんだ」
女「あ、えっと【将来の自分】ですけど……」
不良女「んなこたぁ分かってんだよ。具体的にどうすりゃあいいんだよ」
女「ぐ、具体的……?」
不良女「これ書かなきゃ、単位くれねぇっつーからよぉ」
女「あ……それは大変ですね」
不良女「……けっ。ンなこと思ってねぇくせによ」
女「っ……」ビクッ
不良女「で、どーすりゃあいいんだよ」
女「えっと……ですから、将来自分がどうなっているか、どうしたいかを書くんです」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 02:01:55.40 ID:+mjTHdFz0
不良女「どーしたいか? 別に何もねえ」
女「えぇ……」
不良女「無かったらもうこれ、紙飛行機にして先公にぶつけっか」
女「ダメです! 怒られますよぉ……」
不良女「冗談だよ」
女「えぇっとですね……無くても、ほら、フワッと出てきませんか?」
不良女「ふわっ?」
女「お菓子屋さんになりたい、美容師になりたい、教師になりたい……とか、本当は思ってなくても適当なのが」
不良女「あー……そうだな」
女「はい」
不良女「宝くじで一等当てる」
女「え?」
不良女「一等当てて、その次も一等当てて、働かなくていいような人生がいい」
女「……っ」
不良女「お?」
女「っはははははっ……!」
女「えぇ……」
不良女「無かったらもうこれ、紙飛行機にして先公にぶつけっか」
女「ダメです! 怒られますよぉ……」
不良女「冗談だよ」
女「えぇっとですね……無くても、ほら、フワッと出てきませんか?」
不良女「ふわっ?」
女「お菓子屋さんになりたい、美容師になりたい、教師になりたい……とか、本当は思ってなくても適当なのが」
不良女「あー……そうだな」
女「はい」
不良女「宝くじで一等当てる」
女「え?」
不良女「一等当てて、その次も一等当てて、働かなくていいような人生がいい」
女「……っ」
不良女「お?」
女「っはははははっ……!」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 02:09:12.04 ID:+mjTHdFz0
不良女「んだよー、真面目に考えたのによぉ」
女「ふふっ、すみません。でも、面白かったです」
不良女「そ、そうか……ふーん……」
女「そうですよね。先生が好む作文を書こうとするから、苦になるんですね」
不良女「あ、あー……そうなのかもな」
女「ありがとうございます。なんだか、色々どうでもよくなっちゃいました」
不良女「そうか……そりゃよかった。こっちも、その話聞いてなんとかなりそうだ」
女「そうですか。それでは、私はそろそろ行きますね」
不良女「おう。助かったよ」
女「……あの、不良女さん」
不良女「あん?」
女「ふふっ、すみません。でも、面白かったです」
不良女「そ、そうか……ふーん……」
女「そうですよね。先生が好む作文を書こうとするから、苦になるんですね」
不良女「あ、あー……そうなのかもな」
女「ありがとうございます。なんだか、色々どうでもよくなっちゃいました」
不良女「そうか……そりゃよかった。こっちも、その話聞いてなんとかなりそうだ」
女「そうですか。それでは、私はそろそろ行きますね」
不良女「おう。助かったよ」
女「……あの、不良女さん」
不良女「あん?」
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 02:17:57.34 ID:+mjTHdFz0
女「さっきの、言葉……」
不良女「おう?」
女「私は、本当に思ってますよ」
不良女「……」
女「もし、不良女さんが進級できなかったら……寂しいです」
不良女「っつ!?」
女「こうして、偶然でも不良女さんと話せなくなってしまうのは、寂しいです。」
不良女「お、おう、そうか……うん」ドキッ
女「だから、一緒に卒業できるように頑張ってくださいね」ニコッ
不良女「……!!」
女「では、また」
不良女「っ……っつ」ドキドキ
不良女「んだよ……恥ずかしいこと言いやがって……」ドキドキ
不良女「おう?」
女「私は、本当に思ってますよ」
不良女「……」
女「もし、不良女さんが進級できなかったら……寂しいです」
不良女「っつ!?」
女「こうして、偶然でも不良女さんと話せなくなってしまうのは、寂しいです。」
不良女「お、おう、そうか……うん」ドキッ
女「だから、一緒に卒業できるように頑張ってくださいね」ニコッ
不良女「……!!」
女「では、また」
不良女「っ……っつ」ドキドキ
不良女「んだよ……恥ずかしいこと言いやがって……」ドキドキ
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 02:23:41.61 ID:+mjTHdFz0
~現在~
放課後 校門前にて
女「あ……」
不良女「……」
女「午後からの授業サボりましたね」
不良女「……」
女「私が、断ったからですか?」
不良女「……もう一回、話をしたくてさ」
女「だからここで待ってたんですね」
不良女「……歩きながら話そうぜ」
女「はい。いいですよ」
不良女「……」
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 02:32:53.97 ID:+mjTHdFz0
女「……」
不良女「昼は……悪かった」
女「……はい」
不良女「なんだかよ……お前と話そうって思ってもなかなか話しかけずらくてよ」
女「だから校舎裏に呼び出したんですか。殴られてお金盗られるって思ってしまいました」
不良女「……悪かった」
女「もういいですよ」
不良女「……お前と二人で話せるって思ったら……なんか変なテンションになってしまって……」
女「あはは……不良女さんて、なんかイメージと違いますね」
不良女「……最初は、お前と友達になりたくて……」
女「そうだったんですか」
不良女「でも、だんだん見てたら、何か胸が熱くなってきて……」
女「……あ、えっと……」
不良女「昼は……悪かった」
女「……はい」
不良女「なんだかよ……お前と話そうって思ってもなかなか話しかけずらくてよ」
女「だから校舎裏に呼び出したんですか。殴られてお金盗られるって思ってしまいました」
不良女「……悪かった」
女「もういいですよ」
不良女「……お前と二人で話せるって思ったら……なんか変なテンションになってしまって……」
女「あはは……不良女さんて、なんかイメージと違いますね」
不良女「……最初は、お前と友達になりたくて……」
女「そうだったんですか」
不良女「でも、だんだん見てたら、何か胸が熱くなってきて……」
女「……あ、えっと……」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 02:48:06.18 ID:+mjTHdFz0
不良女「気持ち悪いって思ってもいい……でも、本当にお前を好きになっちまってたんだ」
女「……」
不良女「……迷惑だよな、やっぱり。こんな不真面目で、ちゃんとしてない奴なんか……」
女「確かに迷惑です。人の話をちゃんと聞いてくれないんですから」
不良女「う……」
女「だったら、今から真面目になればいいんです。ちゃんとすればいいんです」
不良女「え……?」
女「私、言いましたよね。不良女さんがいなくなったら、寂しいって」
不良女「……うん」
女「だから、今度は約束です。私と一緒に、卒業してください」
不良女「……」
女「そして今から私達の関係は、お友達から始めましょう」
不良女「い、いいのか……?」
女「……」
不良女「……迷惑だよな、やっぱり。こんな不真面目で、ちゃんとしてない奴なんか……」
女「確かに迷惑です。人の話をちゃんと聞いてくれないんですから」
不良女「う……」
女「だったら、今から真面目になればいいんです。ちゃんとすればいいんです」
不良女「え……?」
女「私、言いましたよね。不良女さんがいなくなったら、寂しいって」
不良女「……うん」
女「だから、今度は約束です。私と一緒に、卒業してください」
不良女「……」
女「そして今から私達の関係は、お友達から始めましょう」
不良女「い、いいのか……?」
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 02:54:13.65 ID:+mjTHdFz0
女「もちろんです。不良女さんが、それでいいのなら」
不良女「い、いいに決まってんだろぉ!」ギュウウウウウウ
女「プゥアフッ!?」
不良女「ああーうれしいいいい」
女「や、やめ……いきなり抱き締めないで……うぅぅ」
不良女「……えへへへ」ギュウウウウウ
女「……もう」
不良女「あ、そうだ。今から女っ家行っていいか?」
女「え? いいですよ」
不良女「やったぁぁ! 友達の家って憧れてたんだぁ」
女「部屋を荒らさないでくださいよ」
不良女「分かってるってよお」
女「はぁ……ふふっ」
不良女「えへへ……」
~おわり~
不良女「い、いいに決まってんだろぉ!」ギュウウウウウウ
女「プゥアフッ!?」
不良女「ああーうれしいいいい」
女「や、やめ……いきなり抱き締めないで……うぅぅ」
不良女「……えへへへ」ギュウウウウウ
女「……もう」
不良女「あ、そうだ。今から女っ家行っていいか?」
女「え? いいですよ」
不良女「やったぁぁ! 友達の家って憧れてたんだぁ」
女「部屋を荒らさないでくださいよ」
不良女「分かってるってよお」
女「はぁ……ふふっ」
不良女「えへへ……」
~おわり~
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 02:55:05.88 ID:+mjTHdFz0
短いですが、終わりです。
ありがとうございましたー。
ありがとうございましたー。
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 03:48:11.73 ID:RGmp+di4O
乙
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/06/28(火) 07:56:43.80 ID:jZMrrnbdO
良かったよ乙
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/07/11(月) 03:00:43.35 ID:bU/T4VDP0
こういう素朴でシンプルな感じあこがれる
引用元: 女「……あの」不良女「ん?」
先輩「無駄話は好きかい?」後輩「…人並みには」
2019-05-17
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 20:17:14.49 ID:0wcbV7dU0
―1―
先輩「昨日の夜空、眺めてみたかい?」
後輩「いえ、別に」
先輩「とても大きな満月だったんだよ」
後輩「そうですか」
先輩「一般的に『スーパームーン現象』というらしい」
後輩「へぇ」
先輩「真っ暗な空に大きな穴が開いているみたいで、なんだか不思議な気分になれたんだ」
後輩「詩的ですね」
先輩「とっても、綺麗だった」
後輩「良かったですね」
先輩「君にも見てほしかったなぁ」
先輩「昨日の夜空、眺めてみたかい?」
後輩「いえ、別に」
先輩「とても大きな満月だったんだよ」
後輩「そうですか」
先輩「一般的に『スーパームーン現象』というらしい」
後輩「へぇ」
先輩「真っ暗な空に大きな穴が開いているみたいで、なんだか不思議な気分になれたんだ」
後輩「詩的ですね」
先輩「とっても、綺麗だった」
後輩「良かったですね」
先輩「君にも見てほしかったなぁ」
関連
ハルヒ「SOS団で恋の暴露大会をするわよ!」
【朗報】わたてんさん、ケムリクサを超えてガチで覇権へ
【ラブライブサンシャイン】善子「運命の引力」
【悲報】Twitterで3年前に「令和」を予言してたものがいたwwwwwwwww
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 20:23:02.11 ID:0wcbV7dU0
先輩「月って、日本では造詣深いよね」
後輩「確かによく物語のモチーフや美しさの象徴で例に出ますよね」
先輩「そうだね。特に有名なのは…アレだよ」
後輩「ああ、『月が綺麗ですね』っていう夏目漱石の件ですか」
先輩「いやいや、普通に『かぐや姫』と言おうと思ったんだけど」
後輩「……」
先輩「私にも分かるよ、人と意思疎通がズレたときの絶妙な恥ずかしさ」
後輩「その空気を出す原因になった人が何を言ってるんですか」
後輩「確かによく物語のモチーフや美しさの象徴で例に出ますよね」
先輩「そうだね。特に有名なのは…アレだよ」
後輩「ああ、『月が綺麗ですね』っていう夏目漱石の件ですか」
先輩「いやいや、普通に『かぐや姫』と言おうと思ったんだけど」
後輩「……」
先輩「私にも分かるよ、人と意思疎通がズレたときの絶妙な恥ずかしさ」
後輩「その空気を出す原因になった人が何を言ってるんですか」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 20:26:10.99 ID:0wcbV7dU0
―2―
先輩「もうすっかり春だね」
後輩「先輩、もう5月です」
先輩「今年の春は去年よりも暑い気がするよ」
後輩「それ去年も同じこと言ってませんでしたか?」
先輩「そうだっけ?」
後輩「なんかそんな気がします」
先輩「つまりは地球温暖化が年々進んでいるんだろうね」
後輩「僕が思うには、極端に夏と冬が長くなってる感じです」
先輩「ああ、確かにそんな感じはある」
後輩「その反動なのか代わりに春と秋が短くなってますね」
先輩「言えてるね。ちゃんと春めいてきたのが4月過ぎだったと思えば、
あっという間に桜も散って既に暑さを感じているよ」
先輩「もうすっかり春だね」
後輩「先輩、もう5月です」
先輩「今年の春は去年よりも暑い気がするよ」
後輩「それ去年も同じこと言ってませんでしたか?」
先輩「そうだっけ?」
後輩「なんかそんな気がします」
先輩「つまりは地球温暖化が年々進んでいるんだろうね」
後輩「僕が思うには、極端に夏と冬が長くなってる感じです」
先輩「ああ、確かにそんな感じはある」
後輩「その反動なのか代わりに春と秋が短くなってますね」
先輩「言えてるね。ちゃんと春めいてきたのが4月過ぎだったと思えば、
あっという間に桜も散って既に暑さを感じているよ」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 20:28:57.58 ID:0wcbV7dU0
先輩「…ちなみにさ、私と君が出会ってから今年は何回目の春になる?」
後輩「なんで恋人同士みたいな話の振り方したんですか」
先輩「何となくだよ」
後輩「今年で3年目です」
先輩「君と初めて会ったのも今くらいの時期だったっけ」
後輩「あれから3年経ったと思うと妙に懐かしいですね」
先輩「最初はゼミの先輩と後輩っていう関係で出会ったなぁ」
後輩「今もその関係に変わりないですけど」
先輩「…つれないところも3年前と全然変わらないね、君は」
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 20:33:57.06 ID:0wcbV7dU0
先輩「私たちの出会い、覚えてる?」
後輩「はぁ…それはまぁ覚えてないと言えば嘘になりますが」
先輩「回りくどい返事は私以外から嫌われるよ」
後輩「先輩以外の人には割と普通に接していますよ」
先輩「そういえばそうね」
後輩「それに『回りくどい言い回しは嫌いじゃない』って表し方がかなり回りくどいです、先輩」
先輩「いいじゃない、無駄話に回りくどさは付き物でしょう。
喩えるならビール前のお通しみたいなもの」
後輩(……喩えが下手なのは流石に言っちゃダメだよな)
後輩「はぁ…それはまぁ覚えてないと言えば嘘になりますが」
先輩「回りくどい返事は私以外から嫌われるよ」
後輩「先輩以外の人には割と普通に接していますよ」
先輩「そういえばそうね」
後輩「それに『回りくどい言い回しは嫌いじゃない』って表し方がかなり回りくどいです、先輩」
先輩「いいじゃない、無駄話に回りくどさは付き物でしょう。
喩えるならビール前のお通しみたいなもの」
後輩(……喩えが下手なのは流石に言っちゃダメだよな)
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 20:40:02.92 ID:0wcbV7dU0
先輩「それで、君はちゃんと私との出会いを覚えているんだよね」
後輩「覚えてますよ」
先輩「良かった…覚えていてくれて光栄だよ」
後輩「あんなの、忘れられるわけないでしょう……」
先輩「流石に私も食パンを銜えたまま人にぶつかったのは初めてだったから」
後輩「流石に僕も『遅刻ちこく~』って言いながら、学校内で食パン銜えた人にぶつかったのは初めてでした」
先輩「君の唖然とした顔、今でも目を瞑ると思い出すなぁ」
後輩「ツッコミどころ多すぎて何も考えられなかったんですよ」
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 20:44:27.85 ID:0wcbV7dU0
―3―
先輩「無駄話の金字塔と言えば」
後輩「言えば?」
先輩「恋の話だね」
後輩「一概にそうとは言い切れないモノだと思うんですが…」
先輩「あの起承転結の『起』と『承』をエンドレスリピートする感じは不毛の一言に尽きると思うんだ。
ガールズトークの中心部位にして無駄話の金字塔と位置づけてもいいだろう、恋バナは」
後輩「そのガールズに性別が位置づけられている先輩が言うと説得力が違いますね」
先輩「まぁ、そういうワケでだ。早速話そう、恋バナ!」
後輩「どういうワケでそうなったんですか」
先輩「無駄話の金字塔と言えば」
後輩「言えば?」
先輩「恋の話だね」
後輩「一概にそうとは言い切れないモノだと思うんですが…」
先輩「あの起承転結の『起』と『承』をエンドレスリピートする感じは不毛の一言に尽きると思うんだ。
ガールズトークの中心部位にして無駄話の金字塔と位置づけてもいいだろう、恋バナは」
後輩「そのガールズに性別が位置づけられている先輩が言うと説得力が違いますね」
先輩「まぁ、そういうワケでだ。早速話そう、恋バナ!」
後輩「どういうワケでそうなったんですか」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 20:49:17.57 ID:0wcbV7dU0
後輩「言っときますけど僕は話すの嫌ですからね」
先輩「えー。ノリが悪いなぁ…全く、これだから可愛くない後輩は困る」
後輩「可愛い先輩と一緒にいるから差し引きゼロでいいじゃないですか」
先輩「いいや、それは違うね」
後輩「でしょうね」
先輩「塩分取りすぎた際、その分だけ砂糖取ったから体に問題ないなんて差し引き換算しないだろう?
君が言ってるのはそういう事さ」
後輩「スイマセン、何を言っているのか割と本気で分かりません」
先輩「それに女の子に『可愛い』なんて平然と使っちゃいけません」
後輩「申し訳ない」
先輩「……照れるからさ」
後輩(あらかわいい)
先輩「えー。ノリが悪いなぁ…全く、これだから可愛くない後輩は困る」
後輩「可愛い先輩と一緒にいるから差し引きゼロでいいじゃないですか」
先輩「いいや、それは違うね」
後輩「でしょうね」
先輩「塩分取りすぎた際、その分だけ砂糖取ったから体に問題ないなんて差し引き換算しないだろう?
君が言ってるのはそういう事さ」
後輩「スイマセン、何を言っているのか割と本気で分かりません」
先輩「それに女の子に『可愛い』なんて平然と使っちゃいけません」
後輩「申し訳ない」
先輩「……照れるからさ」
後輩(あらかわいい)
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 20:53:49.30 ID:0wcbV7dU0
先輩「むぅ、そんなに分かりづらい喩えだったかな」
後輩「というよりもさっきの喩えは屁理屈です、先輩」
先輩「お、可愛くない」
後輩「なに『あ、そういえばそうだった』みたいなニュアンスで言ってるんですか」
先輩「うーん、こんな適当な話を適当に流さずに聞く素直さは好きなんだけど」
後輩「…勝手に言っててくださいよ」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 20:59:49.71 ID:0wcbV7dU0
―4―
先輩「やぁ、今帰り?」
後輩「はい。 今日はサークル早上がりだったので」
先輩「丁度いい。今から一緒に図書館に行かないかい?」
後輩「まぁ別にいいですけど。何か探している文献でもあるんですか?」
先輩「うん」
後輩「どんな本を探してるんですか?
著者やタイトルが分かっているなら用件も早く済んで助かるんですけれど」
先輩「その辺りに抜かりは無いよ。著者・タイトルの双方はしっかりメモってあるからね」
後輩「へぇ。ちなみにどんなタイトルの本なんですか?」
先輩「『ラヴクラフト全集』さ。家で読み耽るのが今から楽しみだ♪」
後輩(ヤだな……クトゥルフ神話をしれっと探して読み耽ろうとする22歳……)
先輩「やぁ、今帰り?」
後輩「はい。 今日はサークル早上がりだったので」
先輩「丁度いい。今から一緒に図書館に行かないかい?」
後輩「まぁ別にいいですけど。何か探している文献でもあるんですか?」
先輩「うん」
後輩「どんな本を探してるんですか?
著者やタイトルが分かっているなら用件も早く済んで助かるんですけれど」
先輩「その辺りに抜かりは無いよ。著者・タイトルの双方はしっかりメモってあるからね」
後輩「へぇ。ちなみにどんなタイトルの本なんですか?」
先輩「『ラヴクラフト全集』さ。家で読み耽るのが今から楽しみだ♪」
後輩(ヤだな……クトゥルフ神話をしれっと探して読み耽ろうとする22歳……)
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:03:57.14 ID:0wcbV7dU0
―5―
先輩「今度の日曜日に一緒に洋服買いに行こう」
後輩「は?」
先輩「デートしよう、って言ってるのさ」
後輩「何ですか藪から棒に。
嫌ですよ、僕。一人で行ってきてください」
先輩「えー。 一人だと外出してもつまらないじゃないか」
後輩「知りませんよ……」
先輩「それにメグたんは日曜どうせ暇なんだろう?
いいじゃないか、寂しい者同士でお揃いの下着でも一緒に買いに行ってみようよ」
後輩「今から無理やりにでも日曜の予定作るんでちょっと待っててください」
先輩「今度の日曜日に一緒に洋服買いに行こう」
後輩「は?」
先輩「デートしよう、って言ってるのさ」
後輩「何ですか藪から棒に。
嫌ですよ、僕。一人で行ってきてください」
先輩「えー。 一人だと外出してもつまらないじゃないか」
後輩「知りませんよ……」
先輩「それにメグたんは日曜どうせ暇なんだろう?
いいじゃないか、寂しい者同士でお揃いの下着でも一緒に買いに行ってみようよ」
後輩「今から無理やりにでも日曜の予定作るんでちょっと待っててください」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:13:30.75 ID:0wcbV7dU0
先輩「ほぅ、君は私に誘われて嬉しくないのかい?」
後輩「どんだけ自信があればそんな発言が出来るんですか」
先輩「いいじゃないか。暇してるんだろ、暇なんだろ?」
後輩「いやまぁ、それ以上に面倒というか何というか」
先輩「だったら私に構ってもいいだろう。
私は暇、でも予定有り。君は暇、時間をただただ浪費するだけ。ああ、若い身空でなんと勿体無い。
後輩「えらい言われようですね、僕」
先輩「互いにWIN-WINの提案と思うんだかなぁ。
様々な点を考慮したとして、効率や生産性を考えると私に付き合うのは妥当。うん、妥当だ」
後輩「……はぁ。それで、集合場所はどうするんですか?」
先輩「お! ようやく観念したか!」
後輩「貴女がこういう絶妙なときだけ頑固なのも、いい加減慣れましたんで」
先輩「はっはっは。諦観は大人への第一歩だ、観念して私に付き合ってくれ、暇人」
後輩「はいはい」
後輩「どんだけ自信があればそんな発言が出来るんですか」
先輩「いいじゃないか。暇してるんだろ、暇なんだろ?」
後輩「いやまぁ、それ以上に面倒というか何というか」
先輩「だったら私に構ってもいいだろう。
私は暇、でも予定有り。君は暇、時間をただただ浪費するだけ。ああ、若い身空でなんと勿体無い。
後輩「えらい言われようですね、僕」
先輩「互いにWIN-WINの提案と思うんだかなぁ。
様々な点を考慮したとして、効率や生産性を考えると私に付き合うのは妥当。うん、妥当だ」
後輩「……はぁ。それで、集合場所はどうするんですか?」
先輩「お! ようやく観念したか!」
後輩「貴女がこういう絶妙なときだけ頑固なのも、いい加減慣れましたんで」
先輩「はっはっは。諦観は大人への第一歩だ、観念して私に付き合ってくれ、暇人」
後輩「はいはい」
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:22:48.93 ID:0wcbV7dU0
【そして、日曜日】
後輩「遅っそいなぁ、先輩」
後輩「待ち合わせの時間と場所を指定しておきながら、30分も遅刻か」
後輩「……あの人の遅刻って考えると、どうしても食パンが頭を過ぎってしまうのは考え物だな」
「おーい、待たせてすまない」
後輩(お、先輩の声だ)
後輩「全く、遅いですよ、。昼食くらい奢ってくださいよ、せん、ぱ、い………」
先輩「いや、本当にすまない。久々に服をコーディネートしたら遅くなってしまった」
後輩「せ、先輩……」
先輩「ん、どうした? あ、もしかして私のファッションセンスに驚嘆しているのかな」
後輩「……」
後輩「遅っそいなぁ、先輩」
後輩「待ち合わせの時間と場所を指定しておきながら、30分も遅刻か」
後輩「……あの人の遅刻って考えると、どうしても食パンが頭を過ぎってしまうのは考え物だな」
「おーい、待たせてすまない」
後輩(お、先輩の声だ)
後輩「全く、遅いですよ、。昼食くらい奢ってくださいよ、せん、ぱ、い………」
先輩「いや、本当にすまない。久々に服をコーディネートしたら遅くなってしまった」
後輩「せ、先輩……」
先輩「ん、どうした? あ、もしかして私のファッションセンスに驚嘆しているのかな」
後輩「……」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:26:24.56 ID:0wcbV7dU0
先輩「おや、絶句しているところを見ると正解のようだね」
後輩「……」
先輩「まぁ、普段は簡素な上着にGパンだからな。私が本気を出して色気を出すとこんなもんさ。
あれか、ギャップ萌えというのを感じているのかい?」
後輩「……」
後輩(森ガールっぽいゆるふわ服に、皮ジャンとブーツ重ねるとか……)
後輩(ダサいとか似合わないとか通り越して…凄まじいセンスすぎる……)
後輩「先輩、こういうのも何ですが」
先輩「ん? 何だい? 褒めるのは程ほどにしてくれよ」
後輩「今日は半径3メートル内で歩くをお互い禁止する、というのはどうでしょうか?」
先輩「なんで!?」
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:29:57.50 ID:0wcbV7dU0
―6―
後輩「今更ですけれど」
先輩「なんだい?」
後輩「先輩って、美人ですよね」
先輩「どうしたの? 今日はお金が無いから何もご馳走できないよ」
後輩「いや、別にゴマすったわけじゃなくて。
少なくとも見てくれは良いのに、何で彼氏いないのかなーって」
先輩「そういう所を本人に聞くのはデリカシーと女子力が足りてないなぁ、君は」
後輩「……言った矢先にアレなんですが、大方の予想はついているんですよ」
先輩「私に彼氏が出来ない理由かい?」
後輩「はい」
先輩「面白いね、とりあえずその理由をオブラートに包んで言ってもらおうか」
後輩「だって先輩、変人ですから」
先輩「『オブラートに包んで』、って言ったじゃないか……」
後輩(変人だという自覚はあったのか……)
後輩「今更ですけれど」
先輩「なんだい?」
後輩「先輩って、美人ですよね」
先輩「どうしたの? 今日はお金が無いから何もご馳走できないよ」
後輩「いや、別にゴマすったわけじゃなくて。
少なくとも見てくれは良いのに、何で彼氏いないのかなーって」
先輩「そういう所を本人に聞くのはデリカシーと女子力が足りてないなぁ、君は」
後輩「……言った矢先にアレなんですが、大方の予想はついているんですよ」
先輩「私に彼氏が出来ない理由かい?」
後輩「はい」
先輩「面白いね、とりあえずその理由をオブラートに包んで言ってもらおうか」
後輩「だって先輩、変人ですから」
先輩「『オブラートに包んで』、って言ったじゃないか……」
後輩(変人だという自覚はあったのか……)
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:35:12.05 ID:0wcbV7dU0
―7―
先輩「春爛漫、だねぇ…」
後輩「だからもう5月ですって」
先輩「お茶の美味しい季節になったもんだ」
後輩「そうですね。お茶の不味い季節があれば教えてほしいくらいです」
先輩「君は緑茶とコーヒー、どっちが好き?」
後輩「難しい質問ですね…強いて言うならコーヒー派でしょうか」
先輩「そうかい」
後輩「ええ」
先輩「ところでさ、美味しい紅茶がある店を見つけたから帰りに寄ってみないかい?」
後輩「メチャクチャどうでもいい二択をさっき答えてしまったんですね、僕」
先輩「春爛漫、だねぇ…」
後輩「だからもう5月ですって」
先輩「お茶の美味しい季節になったもんだ」
後輩「そうですね。お茶の不味い季節があれば教えてほしいくらいです」
先輩「君は緑茶とコーヒー、どっちが好き?」
後輩「難しい質問ですね…強いて言うならコーヒー派でしょうか」
先輩「そうかい」
後輩「ええ」
先輩「ところでさ、美味しい紅茶がある店を見つけたから帰りに寄ってみないかい?」
後輩「メチャクチャどうでもいい二択をさっき答えてしまったんですね、僕」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:43:34.36 ID:0wcbV7dU0
【店内にて】
後輩「お洒落な喫茶店ですね」
先輩「そうだろう? 外装を一目見たときから気に入ってたんだ」
後輩「へぇ。まぁ外装が綺麗な喫茶店にハズレは少ないですよね」
先輩「あとは…店外のポップとか、外の看板のアンティークさがツボだね」
後輩「どんだけ外装が気に入ってたんですね。店を話す内容のほぼ10割が外ばかりってどうなんですか」
先輩「まぁまぁ。ほら、お薦めの紅茶でも飲んで落ち着きなさい。 すいませーん、注文願います」
後輩「全く……」
店員「ご注文はお決まりですか?」
後輩「オレンジペコ」
店員「そちらのお客様はどうされますか?」
先輩「あ、コーヒーで」
後輩「当人が紅茶を飲まずにどうするんですか」
後輩「お洒落な喫茶店ですね」
先輩「そうだろう? 外装を一目見たときから気に入ってたんだ」
後輩「へぇ。まぁ外装が綺麗な喫茶店にハズレは少ないですよね」
先輩「あとは…店外のポップとか、外の看板のアンティークさがツボだね」
後輩「どんだけ外装が気に入ってたんですね。店を話す内容のほぼ10割が外ばかりってどうなんですか」
先輩「まぁまぁ。ほら、お薦めの紅茶でも飲んで落ち着きなさい。 すいませーん、注文願います」
後輩「全く……」
店員「ご注文はお決まりですか?」
後輩「オレンジペコ」
店員「そちらのお客様はどうされますか?」
先輩「あ、コーヒーで」
後輩「当人が紅茶を飲まずにどうするんですか」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:46:46.91 ID:0wcbV7dU0
―8―
ppp~♪ ppp~♪
後輩「……ん? 先輩からメール?」
後輩「『電話した方が早いからメール要らない』とか言ってる人なのに、珍しいこともあるもんだ」
後輩「どれどれ、どんな内容だろう?」
【件名】今暇だよね?
【本文】だから来たんだ
< ピンポーン
後輩「……居留守しよう」
ppp~♪ ppp~♪
後輩「……ん? 先輩からメール?」
後輩「『電話した方が早いからメール要らない』とか言ってる人なのに、珍しいこともあるもんだ」
後輩「どれどれ、どんな内容だろう?」
【件名】今暇だよね?
【本文】だから来たんだ
< ピンポーン
後輩「……居留守しよう」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:51:30.49 ID:0wcbV7dU0
―9―
先輩「やぁ、おはよう」
後輩「おはようございます」
先輩「奇遇だね。今日は講義ないのかい?」
後輩「無いですよ。だからこのままサークルに顔でも出そうかなと」
先輩「もし良かったら少し手伝ってくれない?」
後輩「何をですか?」
先輩「TAの準備」
※Teaching Assistantの略。先生や教授の補助をする事で金一封が貰えるシステム。
後輩「…晩ご飯奢ってくれますか?」
先輩「もちろん!」
後輩「仕方ないですね、ちょっとくらいなら手伝いますよ」
先輩「ああ、やっぱり頼りになる後輩が居てくれると助かるなぁ」
先輩「やぁ、おはよう」
後輩「おはようございます」
先輩「奇遇だね。今日は講義ないのかい?」
後輩「無いですよ。だからこのままサークルに顔でも出そうかなと」
先輩「もし良かったら少し手伝ってくれない?」
後輩「何をですか?」
先輩「TAの準備」
※Teaching Assistantの略。先生や教授の補助をする事で金一封が貰えるシステム。
後輩「…晩ご飯奢ってくれますか?」
先輩「もちろん!」
後輩「仕方ないですね、ちょっとくらいなら手伝いますよ」
先輩「ああ、やっぱり頼りになる後輩が居てくれると助かるなぁ」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 21:55:15.77 ID:0wcbV7dU0
後輩「ちなみに、晩ご飯の予定って何なんですか?」
先輩「ん? そりゃもちろん私の作る手料理に決まっているだろう」
後輩「…スイマセン、手伝うのやっぱり無しで」
先輩「なんで!?」
後輩「貴方の作った料理を食べて、毎回お腹を下す僕の身にもなってください」
先輩「むぅ……」
先輩「いつも残さず食べてくれるから、つい作りすぎてしまうのがいけないのかな」
後輩「貴女の作ってくれた料理なら、完食するのが僕の義務です」
先輩「おお、格好いい事を言うねぇ」
後輩(たとえ…どんなに不味くても……)
先輩「何か言ったかい?」
後輩「いいえ、別に」
37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:13:07.21 ID:0wcbV7dU0
―10―
先輩「この間、DVDの半額レンタル期間を利用して映画を4本観てみたんだ」
後輩「へぇ」
先輩「その内の1本はラブロマンス。タイトルは『ただ君を愛してる』。
凄くいい映画だったよ」
後輩「借りるチョイスがまるで女の子ですね」
先輩「失敬だな君は。私のどこが女らしくないというんだ」
後輩「…まぁ、確かに見てくれはしっかり女性らしいんですが、何かこう色々残念というか……」
先輩「ゴホン。 まぁ、ただ君と一緒に観たかったなぁというだけの話なんだが」
後輩「…そうですか。何かスイマセン」
後輩「ちなみに、借りた残り3本はどんな映画だったんですか」
先輩「『ベン・ハー』、『ライムライト』、『雨に唄えば』だよ」
後輩「……随分とまぁ渋いチョイスですね。むしろなんで『ただ君を愛してる』を選んだか気になります」
先輩「この間、DVDの半額レンタル期間を利用して映画を4本観てみたんだ」
後輩「へぇ」
先輩「その内の1本はラブロマンス。タイトルは『ただ君を愛してる』。
凄くいい映画だったよ」
後輩「借りるチョイスがまるで女の子ですね」
先輩「失敬だな君は。私のどこが女らしくないというんだ」
後輩「…まぁ、確かに見てくれはしっかり女性らしいんですが、何かこう色々残念というか……」
先輩「ゴホン。 まぁ、ただ君と一緒に観たかったなぁというだけの話なんだが」
後輩「…そうですか。何かスイマセン」
後輩「ちなみに、借りた残り3本はどんな映画だったんですか」
先輩「『ベン・ハー』、『ライムライト』、『雨に唄えば』だよ」
後輩「……随分とまぁ渋いチョイスですね。むしろなんで『ただ君を愛してる』を選んだか気になります」
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:17:21.07 ID:0wcbV7dU0
―11―
先輩「突然の頼みで申し訳ない、資料製作に必要な計算を手伝ってくれないか」
後輩「…今度どこかでお茶でも奢ってくれれば」
先輩「御安いご用さ」
カリカリカリカリ……カリカリカリカリ……
後輩「内容自体は単純で助かりましたが、これは流石に量が多いですね。
こんなギリギリまで仕事を溜めちゃダメですよ」
先輩「面目ない」
後輩「またバイトで忙しかったんですか?」
先輩「うん」
先輩「突然の頼みで申し訳ない、資料製作に必要な計算を手伝ってくれないか」
後輩「…今度どこかでお茶でも奢ってくれれば」
先輩「御安いご用さ」
カリカリカリカリ……カリカリカリカリ……
後輩「内容自体は単純で助かりましたが、これは流石に量が多いですね。
こんなギリギリまで仕事を溜めちゃダメですよ」
先輩「面目ない」
後輩「またバイトで忙しかったんですか?」
先輩「うん」
39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:20:24.40 ID:0wcbV7dU0
カリカリカリカリ……カリカリカリカリ……
先輩「君は」
後輩「?」
先輩「なんだかんだ言いながら、いつも助けてくれるね」
後輩「気まぐれです」
先輩「そういう所が大好きだよ」
後輩「馬鹿言ってないで手を動かしてください」
先輩「しかして、何と言うか君はアレだね」
後輩「何ですか」
先輩「芯は良い人なのに、どうにも素直じゃない。 言葉と行動の不一致。これってつまりツンデ(ry
後輩「手ぇ動かせっつってるでしょう」
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:27:22.38 ID:0wcbV7dU0
―12―
先輩「寒くなるとね、人は温かいものが恋しくなると言うじゃないか」
後輩「最近はもう暑いって領域に差し掛かってますけれど」
先輩「その理由を知っているかい?」
後輩「…寒いと体に悪いから、暖かいものを欲しがるのは本能的なものじゃないんですか」
先輩「一理あるね」
後輩「勿体ぶらずに教えてくださいよ」
先輩「……まぁ、それは君の心の中に答えがあるんだよ」
後輩「はぐらかし方が下手にも程があるでしょう」
後輩「……ひょっとして、僕の答えが正解だったんですか?」
先輩「……可愛くないなぁ、君は」
先輩「寒くなるとね、人は温かいものが恋しくなると言うじゃないか」
後輩「最近はもう暑いって領域に差し掛かってますけれど」
先輩「その理由を知っているかい?」
後輩「…寒いと体に悪いから、暖かいものを欲しがるのは本能的なものじゃないんですか」
先輩「一理あるね」
後輩「勿体ぶらずに教えてくださいよ」
先輩「……まぁ、それは君の心の中に答えがあるんだよ」
後輩「はぐらかし方が下手にも程があるでしょう」
後輩「……ひょっとして、僕の答えが正解だったんですか?」
先輩「……可愛くないなぁ、君は」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:37:16.70 ID:0wcbV7dU0
―13―
先輩「君は音楽とか聴くのかい?」
後輩「気が向いた時に聞く程度ですね」
先輩「なるほどね」
後輩「先輩って音楽に興味ありましたっけ?」
先輩「いや、全然」
後輩「…じゃあ何で話を振ったんですか」
先輩「最近、某大手レンタルショップのCD半額クーポンを手に入れてね。
せっかくの機会だから君のお薦めでも聞いてみようかと思ってさ」
後輩「先輩ってTSU○AYAとか行くんですね、意外です」
先輩「こういう機会にしか行かないよ。だからこそ、行くときにガッツリ借りてしまうんだ…」
後輩「よくある話じゃないですか」
先輩「貧乏性ならではの苦しみってあるんだね……」
後輩(ああ、あのガッカリ顔…またこの前の、DVD半額4枚を2週間延滞したときを思い出してるんだな……)
先輩「君は音楽とか聴くのかい?」
後輩「気が向いた時に聞く程度ですね」
先輩「なるほどね」
後輩「先輩って音楽に興味ありましたっけ?」
先輩「いや、全然」
後輩「…じゃあ何で話を振ったんですか」
先輩「最近、某大手レンタルショップのCD半額クーポンを手に入れてね。
せっかくの機会だから君のお薦めでも聞いてみようかと思ってさ」
後輩「先輩ってTSU○AYAとか行くんですね、意外です」
先輩「こういう機会にしか行かないよ。だからこそ、行くときにガッツリ借りてしまうんだ…」
後輩「よくある話じゃないですか」
先輩「貧乏性ならではの苦しみってあるんだね……」
後輩(ああ、あのガッカリ顔…またこの前の、DVD半額4枚を2週間延滞したときを思い出してるんだな……)
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:41:47.46 ID:0wcbV7dU0
後輩「じゃあ、1枚か2枚だけ借りてみてはどうですか?
借りた枚数が少なければ、万が一返し忘れた際の金銭的ダメージも少ないでしょう?」
先輩「おいおい。私がそんな陳腐なミスを犯すわけないだろう」
後輩「この前『DVD4枚をちょっと返しそびれただけで、あんなにお金取らなくてもいいじゃないか』って
涙目でブツブツ言ってた知人に聞かせてあげたい台詞ですね」
先輩「……今回は音楽聞く時間が取れそうにないし、1枚だけにしておこうかな」
後輩「賢明です」
47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:49:48.11 ID:0wcbV7dU0
先輩「それじゃあ、君のお薦め曲かお気に入りアーティストを教えてほしいんだが」
後輩「う~ん。先輩に合うかどうか分からないですが…」
先輩「構わないよ。君の趣味嗜好を知るのは割と好きなんだ」
後輩「……そりゃどうも」
【先輩の自室】
先輩「さて、薦められるままにCDを借りてきたわけだが」
先輩「どんな曲が聴けるんだろうか…存外楽しみだ」
先輩「では早速…CDラジカセ、スイッチ・オン」
http://www.youtube.com/watch?v=naRutIIc_DI
先輩「………」
先輩「うん、確かに、たしかに素晴らしく良い曲だけれど……」
先輩「チョイスが渋すぎるのではないだろうか……」
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 22:54:33.20 ID:0wcbV7dU0
―14―
先輩「ねぇ」
後輩「何ですか?」
先輩「呼んだだけさ」
後輩「そうですか」
先輩「ねぇねぇ」
後輩「はいはい」
先輩「君はいつになれば、私を固有名詞で呼んでくれるのかな?」
後輩「…同じ言葉をそっくりそのまま返していいですか?」
先輩「いつでも呼んでくれていいだんぞ」
後輩「……人の名前呼ぶの、なんか照れくさいんで」
先輩「ふふん」
後輩「何ですか?」
先輩「君のそういう不器用さ。私は好きだよ」
後輩「……その言葉も、そっくりそのまま返します」
先輩「ねぇ」
後輩「何ですか?」
先輩「呼んだだけさ」
後輩「そうですか」
先輩「ねぇねぇ」
後輩「はいはい」
先輩「君はいつになれば、私を固有名詞で呼んでくれるのかな?」
後輩「…同じ言葉をそっくりそのまま返していいですか?」
先輩「いつでも呼んでくれていいだんぞ」
後輩「……人の名前呼ぶの、なんか照れくさいんで」
先輩「ふふん」
後輩「何ですか?」
先輩「君のそういう不器用さ。私は好きだよ」
後輩「……その言葉も、そっくりそのまま返します」
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:01:56.11 ID:0wcbV7dU0
―15―
後輩「先輩って、なんか小さい頃があまり想像できませんね」
先輩「失敬だね。昔の私も相当可愛かったぞ」
後輩「まるで今も可愛いみたいに言い切りましたね…」
先輩「なんだ、君は私が可愛くないというのかい?」
後輩「まぁ先輩は可愛いというよりも綺麗ですから」
先輩「………」
後輩「なんで口ごもってるんですか」
先輩「あー、なんだ」
後輩「?」
先輩「…ありがと」
後輩「こっちまで照れくさくなるから勘弁してください」
後輩「先輩って、なんか小さい頃があまり想像できませんね」
先輩「失敬だね。昔の私も相当可愛かったぞ」
後輩「まるで今も可愛いみたいに言い切りましたね…」
先輩「なんだ、君は私が可愛くないというのかい?」
後輩「まぁ先輩は可愛いというよりも綺麗ですから」
先輩「………」
後輩「なんで口ごもってるんですか」
先輩「あー、なんだ」
後輩「?」
先輩「…ありがと」
後輩「こっちまで照れくさくなるから勘弁してください」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:05:14.22 ID:0wcbV7dU0
―16―
先輩「いやしかし、春が来たかと思えば急に暑くなったね」
後輩「そうですね。街中で厚着の人を全然見かけなくなりましたし」
先輩「そろそろ夏に向けての対策をしなければいけないね」
後輩「例えば?」
先輩「クーラーと扇風機の準備かな。あと蚊取り線香」
後輩「あぁ。確かに夏の必須アイテムですね、それ」
先輩「ただこれを準備してしまうと弊害があってね…」
後輩「?」
先輩「快適さのあまり外に出れなくなって引き篭もる。
コーラを飲んだらゲップが出るくらい確実に」
後輩「ジョセフ乙、って言ってればいいんですかね。この場合は」
先輩「いやしかし、春が来たかと思えば急に暑くなったね」
後輩「そうですね。街中で厚着の人を全然見かけなくなりましたし」
先輩「そろそろ夏に向けての対策をしなければいけないね」
後輩「例えば?」
先輩「クーラーと扇風機の準備かな。あと蚊取り線香」
後輩「あぁ。確かに夏の必須アイテムですね、それ」
先輩「ただこれを準備してしまうと弊害があってね…」
後輩「?」
先輩「快適さのあまり外に出れなくなって引き篭もる。
コーラを飲んだらゲップが出るくらい確実に」
後輩「ジョセフ乙、って言ってればいいんですかね。この場合は」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:09:00.76 ID:0wcbV7dU0
―17―
先輩「君はネットゲームで遊んだ事があるかい?」
後輩「いいえ、別に」
先輩「勿体無い。あんな楽しいものは稀有だよ」
後輩「いやいや、一般的に『ダメ人間製造機』みたいな扱いのモノに手を出す気になれませんよ」
先輩「む、それは失礼だな。
ネットゲームで遊ぶことによって、日々のストレスから解放されている人だっているんだぞ」
後輩「なるほど。そう考えるとさっきの発言は考え無しでした…申し訳ない」
先輩「ネトゲを楽しみ現実逃避…かく言う私もその一人でね」
後輩「よぅ、ダメ人間」
先輩「君はネットゲームで遊んだ事があるかい?」
後輩「いいえ、別に」
先輩「勿体無い。あんな楽しいものは稀有だよ」
後輩「いやいや、一般的に『ダメ人間製造機』みたいな扱いのモノに手を出す気になれませんよ」
先輩「む、それは失礼だな。
ネットゲームで遊ぶことによって、日々のストレスから解放されている人だっているんだぞ」
後輩「なるほど。そう考えるとさっきの発言は考え無しでした…申し訳ない」
先輩「ネトゲを楽しみ現実逃避…かく言う私もその一人でね」
後輩「よぅ、ダメ人間」
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:14:05.22 ID:0wcbV7dU0
先輩「むぅ…面白いのに」
後輩「一応聞いておきますけれど、一体どんなゲームにハマっちゃってるんですか?」
先輩「これはメグたんもルール覚えたら一発でハマると思うんだけどなぁ……」
後輩「へぇ」
先輩「モノは試しにやってみないかい?」
後輩「タイトルは何ていうんですか?」
先輩「『天鳳』さ。
自慢じゃないが、コレにハマって学校を1週間自主休校したことだってあるんだぞ」
後輩「僕以外の人前で絶対に自慢しないでくださいね」
先輩「むぅ…そうか」
後輩「とりあえず帰ったら『天鳳』検索してみます」
~帰宅後~
後輩「…………麻雀にハマって学校を1週間サボるって、どうなのさ」
後輩「一応聞いておきますけれど、一体どんなゲームにハマっちゃってるんですか?」
先輩「これはメグたんもルール覚えたら一発でハマると思うんだけどなぁ……」
後輩「へぇ」
先輩「モノは試しにやってみないかい?」
後輩「タイトルは何ていうんですか?」
先輩「『天鳳』さ。
自慢じゃないが、コレにハマって学校を1週間自主休校したことだってあるんだぞ」
後輩「僕以外の人前で絶対に自慢しないでくださいね」
先輩「むぅ…そうか」
後輩「とりあえず帰ったら『天鳳』検索してみます」
~帰宅後~
後輩「…………麻雀にハマって学校を1週間サボるって、どうなのさ」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:19:59.95 ID:0wcbV7dU0
―18―
先輩「この前、新しい漫画の発掘に某古本屋に行ったんだ」
後輩「ブッ○オフですか」
先輩「でもああいう場所に行くと、新規発掘よりも以前見た本に手が伸びちゃって」
後輩「ああ、そういう気持ち分かります」
先輩「そこで懐かしい本を見つけてね。一度読んでいる筈なのについ一気読みしてしまったんだ」
後輩「ちなみに、その本のタイトルは何ていうんですか?」
先輩「『ゴルゴ13』と『カムイ外伝』だよ」
後輩「……チョイスが素敵ですね」
先輩「そうかい? いやぁ、君ならそう言ってくれると思ったよ」
後輩「………はい」
先輩「…苦虫を噛み潰すような顔をしているのは何故なんだい?」
先輩「この前、新しい漫画の発掘に某古本屋に行ったんだ」
後輩「ブッ○オフですか」
先輩「でもああいう場所に行くと、新規発掘よりも以前見た本に手が伸びちゃって」
後輩「ああ、そういう気持ち分かります」
先輩「そこで懐かしい本を見つけてね。一度読んでいる筈なのについ一気読みしてしまったんだ」
後輩「ちなみに、その本のタイトルは何ていうんですか?」
先輩「『ゴルゴ13』と『カムイ外伝』だよ」
後輩「……チョイスが素敵ですね」
先輩「そうかい? いやぁ、君ならそう言ってくれると思ったよ」
後輩「………はい」
先輩「…苦虫を噛み潰すような顔をしているのは何故なんだい?」
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:25:32.60 ID:0wcbV7dU0
先輩「君はあまり漫画とか読みそうにない感じだね」
後輩「まぁまぁ好きですよ」
先輩「へぇ、意外」
後輩「僕から言わせてもらえば先輩が漫画読むのも意外ですよ」
先輩「そうかな?」
後輩「……愛読書は『はだしのゲン』とかですか?」
先輩「君は私を一体どういう風に捉えているんだ?」
後輩「失礼しました」
先輩「そりゃ私だって年頃の女子だぞ。少女漫画や青年漫画も嗜む程度には読んでいるさ」
後輩「例えば?」
先輩「少女漫画なら『ガラスの仮面』,青年漫画なら『AKIRA』とか好きだなぁ」
後輩「……流石ですね」
先輩「なんで憐憫と諦観の混ざった優しい目で私を見つめてくるんだ、君は」
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:33:15.90 ID:0wcbV7dU0
先輩「そういう君はどんな漫画を読んでいるんだい?」
後輩「そうですねぇ、何があったかなぁ」
先輩「もし君が良ければ何冊か貸してくれないかな?」
後輩「論文やレポートは大丈夫なんですか」
先輩「それはそれ、これはこれさ」
後輩「……さいですか。まさかとは思いますが、僕の貸した漫画が原因で単位落とさないでくださいよ」
先輩「その時は君に責任でも取ってもらおうかな」
後輩「先輩、『自己責任』を前提として漫画をお貸ししますね」
62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:36:56.47 ID:0wcbV7dU0
【先輩の自室】
先輩「さて、早速漫画を借りてきたわけだが」
先輩「全部で3冊。どれも全1巻。長く読み耽らないように、という気配りを感じるなぁ」
先輩「1冊目は『さよならさよなら、またあした』」
先輩「2冊目は『Love,Hate,Love』」
先輩「3冊目は『くらしのいずみ』」
先輩「うん、実に楽しみだ。重畳、重畳」
先輩「しかして、ほんといつも世話になってばかりだな…私は」
先輩「この間のCDの時だってそう、ついつい甘えてしまうのは…あの子の人徳って事にしておこう」
先輩「……ん? しー・でぃー・・・?」
先輩「………やらかした」
68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:44:06.08 ID:0wcbV7dU0
~翌日~
後輩「先輩、貸した漫画読みました?」
先輩「ああ。特に1冊目は思わず最後の5ページで涙が零れてしまった。
本当に良い本をチョイスしてくれたんだね、君は」
後輩「楽しんでいただけたようで何よりです」
後輩「ところで…」
先輩「?」
後輩「なんでそんなに渋々とした顔しているんですか?」
先輩「……1750円」
後輩「はい?」
先輩「……愚かな私が差し出す金額さ」
後輩「……ああ。なるほど。しっかりしているような外見なのに、どんだけおっちょこちょいなんですか」
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:50:56.70 ID:0wcbV7dU0
―19―
先輩「ふと思ったんだけれど」
後輩「はい」
先輩「君は女の子の友人は多いほうかい?」
後輩「いや、いつも貴女と一緒であまり意識した事無いんで分かりませんが。
まぁ普通じゃないですか」
先輩「あぁ、それは私に友達が少ないというのを揶揄しているのかね?」
後輩「どんな思考でそういう結論になったんですか」
先輩「友達が多いのはいい事だけれど、いつしか恋人が出来るのは些か困るね。
どうだいメグたん。私と一緒になってみないかい」
後輩「先輩、どうか正気に戻ってください」
後輩「ちなみに今日で徹夜何日目ですか?」
先輩「4日。論文が終わらなくてね」
後輩「…ホットミルクでも作るから少し待っててください」
先輩「ふと思ったんだけれど」
後輩「はい」
先輩「君は女の子の友人は多いほうかい?」
後輩「いや、いつも貴女と一緒であまり意識した事無いんで分かりませんが。
まぁ普通じゃないですか」
先輩「あぁ、それは私に友達が少ないというのを揶揄しているのかね?」
後輩「どんな思考でそういう結論になったんですか」
先輩「友達が多いのはいい事だけれど、いつしか恋人が出来るのは些か困るね。
どうだいメグたん。私と一緒になってみないかい」
後輩「先輩、どうか正気に戻ってください」
後輩「ちなみに今日で徹夜何日目ですか?」
先輩「4日。論文が終わらなくてね」
後輩「…ホットミルクでも作るから少し待っててください」
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:56:24.09 ID:0wcbV7dU0
―20―
先輩「いい天気だね」
後輩「雨ですけど」
先輩「晴れの日ばかりでは、青空の素晴らしさが分からないだろう。
小さな日々の変化にはこんな雨の日もたまには必要なんだ」
後輩「もう一週間くらい雨模様が続いてますけど」
先輩「それだけ待っていれば、明日くらいに見える青空はさぞ美しいだろうね」
後輩「時期外れの台風来てるから、青空が見えるのなんて当分先ですよ」
先輩「………外で遊べないのは暇だなぁ」
後輩「それが本音ですか。ていうか外に出れないで暇を持て余すとか、貴女本当に何歳ですか」
先輩「むぅ、年頃の女性に年齢の話は禁句だろう。
それじゃあ君が何か面白い事でも提供してくれると期待していいんだね?」
後輩「別に何も無いですよ。本を読んだり音楽聴いていれば、それだけで楽しいじゃないですか」
先輩「一人上手はいけないな。今こうして二人で居るから出来ることとか無いのかい?」
後輩「無いです」
先輩「いい天気だね」
後輩「雨ですけど」
先輩「晴れの日ばかりでは、青空の素晴らしさが分からないだろう。
小さな日々の変化にはこんな雨の日もたまには必要なんだ」
後輩「もう一週間くらい雨模様が続いてますけど」
先輩「それだけ待っていれば、明日くらいに見える青空はさぞ美しいだろうね」
後輩「時期外れの台風来てるから、青空が見えるのなんて当分先ですよ」
先輩「………外で遊べないのは暇だなぁ」
後輩「それが本音ですか。ていうか外に出れないで暇を持て余すとか、貴女本当に何歳ですか」
先輩「むぅ、年頃の女性に年齢の話は禁句だろう。
それじゃあ君が何か面白い事でも提供してくれると期待していいんだね?」
後輩「別に何も無いですよ。本を読んだり音楽聴いていれば、それだけで楽しいじゃないですか」
先輩「一人上手はいけないな。今こうして二人で居るから出来ることとか無いのかい?」
後輩「無いです」
73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/10(木) 23:58:53.12 ID:0wcbV7dU0
先輩「あーあ。君が構ってくれないから、寂しがり屋の私は不貞腐れちゃうぞ」
後輩「勝手に人の家に上がりこんでおきながら、なんちゅう暴君ですか」
先輩「このままだと君の家のタンス漁るくらいしか私の渇きを満たしてくれなさそうだ」
後輩「外は雨だから、雨水でも飲んで渇き癒してくださいよ」
先輩「ついでに口を開けて埃でも食べてかろうじて生きてろってのかい、君は」
後輩「願わくばそのまま帰ってください」
先輩「…ホントにやること無いと眠くなるね」
後輩「それこそ自分の家で寝てくださいよ。僕まだ残しているレポートあるんで」
先輩「終わったら起こしてね」
後輩「いやいや、だから自分の家で」
先輩「zzz……zzz……zzz……」
後輩「の○太くんと肩並べる早さで寝ちゃったよ……」
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 00:06:27.96 ID:0wcbV7dU0
後輩「全く……」
ファサッ
先輩「……おお、あったかい」
後輩「起きたのならそのまま帰ってください」
先輩「……へへ、なんか嬉しいなぁ」
後輩「……さいですか」
76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 00:10:26.19 ID:VJc4jOxP0
先輩「君はねぇ、とっても優しいねぇ」
後輩「何ですかそのこっちまで眠くなりそうな声は」
先輩「だから、きっと、君はモテモテになるよ……zz……うん……」
後輩(寝言?)
先輩「いつかねぇ……zzz……きっと、ハーレムとか、出来ちゃうかも……」
後輩「いやいや、ありえませんって」
先輩「その時はね、私の………zzz……zzz……」
後輩「先輩?」
先輩「25歳までに、作る予定の、私のハーレムと………勝負しようね……zzz……zzz……」
後輩「何この野心家。とんでもねぇ」
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 00:19:28.70 ID:VJc4jOxP0
―21―
友人「よぅ」
後輩「なんだ、君か」
友人「なんだとはつれないな。久々に会うってのに」
後輩「週4で授業が被っている奴に久々も何も無いだろう」
友人「ははっ、そりゃ言えてるわ」
友人「で、どうなんだよ?」
後輩「何が?」
友人「とぼけんなって。あの『高嶺の百合』といつも一緒に居るんだろ?
どっちから告白したんだよ?」
後輩「……ゴメン、誰のこと言っているのか全くピンと来ないんだけれど」
友人「いやいや、先輩の事に決まっているだろが」
後輩「……『高嶺の百合』? あの人が? 君も面白い冗談を言うようになったんだね」
友人「いやマジだって! …ていうか俺ってお前にとって普段どんだけ面白くない奴なんだっつうの」
友人「よぅ」
後輩「なんだ、君か」
友人「なんだとはつれないな。久々に会うってのに」
後輩「週4で授業が被っている奴に久々も何も無いだろう」
友人「ははっ、そりゃ言えてるわ」
友人「で、どうなんだよ?」
後輩「何が?」
友人「とぼけんなって。あの『高嶺の百合』といつも一緒に居るんだろ?
どっちから告白したんだよ?」
後輩「……ゴメン、誰のこと言っているのか全くピンと来ないんだけれど」
友人「いやいや、先輩の事に決まっているだろが」
後輩「……『高嶺の百合』? あの人が? 君も面白い冗談を言うようになったんだね」
友人「いやマジだって! …ていうか俺ってお前にとって普段どんだけ面白くない奴なんだっつうの」
80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 00:25:17.13 ID:VJc4jOxP0
後輩「僕、先輩が高嶺の花みたいな扱いされているのを初めて知ったんだけれど」
友人「まぁあの人の周りに普段から居れば、聞こえる噂も聞こえないわな」
後輩「周りからはどんな点で注目されているのさ?」
友人「まずは…そうだな、端的に言うなら」
後輩「言うなら?」
友人「注目されるのは服だな」
後輩「やっぱりね」
友人「あの人時々果てしなくダサい服を着てくるだろ。まずはそこが評判の切り口か」
後輩「この前は下半身をゴスロリ固めで登校してきたよね」
友人「何故か上半身はレディススーツだったよな」
後輩「あれは流石に僕も衝撃だった」
友人「ああ……見た目が美人なだけに、えげつない衝撃だったぜ」
81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 00:29:41.63 ID:VJc4jOxP0
友人「でも普段はジーンズにシャツだろ」
後輩「先輩のユニフォームだから、あのスタイルは」
友人「普通だと野暮ったい感じになるけれど、あの人が着ると様になるんだよな」
後輩「顔立ち綺麗だし、凛としている姿勢だから格好いいよね」
友人「さらに仏頂面がそれを際立たせているんだよなぁ」
後輩「仏頂面、ねぇ…そんな事ないんだけど」
友人「近寄りがたいオーラを醸し出す美人、そりゃ高嶺の花みたいな噂になるだろう」
後輩「……なるほどね」
83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 00:35:50.29 ID:VJc4jOxP0
後輩「一つ疑問があるんだ」
友人「おぅ?」
後輩「なんで呼び名が『高嶺の<百合>』なの?」
友人「ああ、それはな。あの人の噂が広がる前に、何人か男共がアプローチに行ったんだよ」
後輩「へぇ」
友人「その中には結構チャラい奴もいたりしてさ」
後輩「…へぇ」
友人「何で面白くない顔してんだよ」
後輩「気にしないで、続けてどうぞ」
友人「へいへい。でな、チャラ男が先輩にアプローチかけた次の日、そいつが校門前で倒れていたんだ」
後輩「急にきな臭くなったね」
友人「半殺しになっていたそいつの顔が真っ白になっててさ。
うわ言で(すいません…もう近づきません…変なことしそうになってスイマセン…)って言ってたんだとさ」
後輩「『百合』って犠牲者の顔色から捩ってたのか。地味にえげつないあだ名だね……」
84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 00:41:03.38 ID:VJc4jOxP0
友人「ま、そういうワケだ。
俺はお前の恋路を邪魔するつもりなんぞ微塵もないから、その辺は安心しておきな」
後輩「誤解するなってば」
友人「ははは、悪い悪い」
後輩「全く……」
~数時間後~
先輩「やぁ、授業終わったのかい?」
後輩「はい。今から帰宅するところです」
先輩「じゃあ今から暇って事だね。図書館に付き合ってくれないか」
後輩「いいですけれど、なんでまた?」
先輩「この前の『ラヴクラフト全集』、返却してなくて呼び出されたんだ……」
後輩「僕は貴女ほどの残念美人を見た事ありませんよ…」
先輩「私が美人とかお世辞も上手になったね、君」
後輩「なにサラッと『美人』の前についている二文字を無かったことにしているんですか」
俺はお前の恋路を邪魔するつもりなんぞ微塵もないから、その辺は安心しておきな」
後輩「誤解するなってば」
友人「ははは、悪い悪い」
後輩「全く……」
~数時間後~
先輩「やぁ、授業終わったのかい?」
後輩「はい。今から帰宅するところです」
先輩「じゃあ今から暇って事だね。図書館に付き合ってくれないか」
後輩「いいですけれど、なんでまた?」
先輩「この前の『ラヴクラフト全集』、返却してなくて呼び出されたんだ……」
後輩「僕は貴女ほどの残念美人を見た事ありませんよ…」
先輩「私が美人とかお世辞も上手になったね、君」
後輩「なにサラッと『美人』の前についている二文字を無かったことにしているんですか」
93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 01:00:41.59 ID:VJc4jOxP0
―22―
後輩「それで、結局どうなったんですか?」
先輩「特定文庫の貸し出し2週間禁止だって」
後輩「軽い感じで済んで良かったですね」
先輩「むぅ…もう少しだけ読み漁りたかったんだけど」
後輩「何を読み漁ろうと思っていたんですか?」
先輩「クトゥルフだけど?」
後輩「いや、『何言ってるの当たり前じゃん』みたいな雰囲気だされても困るんですが」
先輩「次はダーレスの小説でも、と思った矢先にこれだよ」
後輩「返却期限を過ぎている時点で矢先どころか矢に刺さっている事に気づいてください」
後輩「それで、結局どうなったんですか?」
先輩「特定文庫の貸し出し2週間禁止だって」
後輩「軽い感じで済んで良かったですね」
先輩「むぅ…もう少しだけ読み漁りたかったんだけど」
後輩「何を読み漁ろうと思っていたんですか?」
先輩「クトゥルフだけど?」
後輩「いや、『何言ってるの当たり前じゃん』みたいな雰囲気だされても困るんですが」
先輩「次はダーレスの小説でも、と思った矢先にこれだよ」
後輩「返却期限を過ぎている時点で矢先どころか矢に刺さっている事に気づいてください」
95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 01:06:44.14 ID:VJc4jOxP0
後輩「そもそも、なんで先輩がクトゥルフに嵌まっているのか謎すぎます」
先輩「ペルソナってゲームでクトゥルフ神話の存在を知ってね」
後輩「はぁ」
先輩「ちょっと気になって調べてみると、どうやら世界で一番新しい神話のようじゃないか」
後輩「……少し語弊はありますが」
先輩「それが私にとっての興味のトリガー」
後輩「ジャンル問わずで雑食なのは結構ですが、あんまりのめりこみ過ぎないようにしてくださいね」
先輩「大丈夫、私がのめり込むのは君だけさ☆」
後輩「……」
先輩「な、なんちゃって……」
後輩「いやもう冗談だって分かってますから。
その『やっちゃった感』満載で照れるのは勘弁してください」
97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 01:12:09.71 ID:VJc4jOxP0
―23―
先輩「知ってるかい?」
後輩「知りませんでした」
先輩「……まだ何も言ってないよ」
後輩「意地悪でした、スイマセン。 それで、何がですか?」
先輩「大学で最近話題になっている噂」
後輩「へぇ、その手の話には疎いので全然分からないですね」
先輩「なんでも、チャラチャラした男を襲う化け物が出ているそうだ」
後輩「おお、怖い」
先輩「その化け物の名前っていうのがだね」
後輩「はい」
先輩「【高嶺の百合】というそうだ」
後輩「………ん?」
先輩「知ってるかい?」
後輩「知りませんでした」
先輩「……まだ何も言ってないよ」
後輩「意地悪でした、スイマセン。 それで、何がですか?」
先輩「大学で最近話題になっている噂」
後輩「へぇ、その手の話には疎いので全然分からないですね」
先輩「なんでも、チャラチャラした男を襲う化け物が出ているそうだ」
後輩「おお、怖い」
先輩「その化け物の名前っていうのがだね」
後輩「はい」
先輩「【高嶺の百合】というそうだ」
後輩「………ん?」
99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 01:15:52.04 ID:VJc4jOxP0
先輩「なんでも、夜半から朝方にかけて現れるようでね」
後輩「……」
先輩「その間に校門前にいるチャラチャラした男を標的として、襲い掛かるそうだ」
後輩「……」
先輩「私は最近知ったんだが、どうやらこの噂は私の入学当初よりあった話だそうで」
後輩「……」
先輩「いやぁ、流言というのは耳に入らない限り全く分からないものだね」
後輩「……」
後輩「……先輩」
先輩「ん?」
後輩「今日、なんか美味しいものでも奢りますよ」
先輩「なんでそんな優しそうな目で私を見つめてくるんだ、君は」
100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 01:20:32.57 ID:VJc4jOxP0
―24―
先輩「君は友情と愛情の境界を考えた事があるかい?」
後輩「男女間の問題で、永遠のテーゼですね。考えた事だけはあります」
先輩「と、いうと?」
後輩「結論は出ませんでした」
先輩「まぁ、得てしてこういう事柄に明確な答えなんて存在しない。
人間の感情にまつわるロジックみたいなものだからね」
後輩「そうですね」
先輩「でも、君のことだから自分なりの区別はsているんだろう?」
後輩「まぁ…していないと言えば嘘になります」
先輩「君はこの問題をどんな着地点で捉えているんだい?」
後輩「僕は…そうですね」
先輩「君は友情と愛情の境界を考えた事があるかい?」
後輩「男女間の問題で、永遠のテーゼですね。考えた事だけはあります」
先輩「と、いうと?」
後輩「結論は出ませんでした」
先輩「まぁ、得てしてこういう事柄に明確な答えなんて存在しない。
人間の感情にまつわるロジックみたいなものだからね」
後輩「そうですね」
先輩「でも、君のことだから自分なりの区別はsているんだろう?」
後輩「まぁ…していないと言えば嘘になります」
先輩「君はこの問題をどんな着地点で捉えているんだい?」
後輩「僕は…そうですね」
101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 01:25:15.12 ID:VJc4jOxP0
後輩「友情は、信用です」
先輩「ほぅ」
後輩「愛情は、信頼です」
先輩「なるほどね」
後輩「もう少し言葉を変えると…友情は後出しジャンケン、愛情は先出しジャンケンって感じですね」
先輩「む、ちょっと分かりづらいな」
後輩「前者は相手の手の筋が分かるから信用できる。
後者は信頼しているから自分の手を見せることが出来る、でどうでしょう」
先輩「なるほどね。言わんとしている事柄は理解できたよ」
103: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 01:33:34.54 ID:VJc4jOxP0
後輩「先輩は友情と愛情の境界をどう捉えているんですか?」
先輩「私は…そうだね。こう聞かれると言葉に戸惑って、何とも歯痒いなぁ」
先輩「私が思うに、友情と愛情は距離感の問題じゃないかな」
後輩「?」
先輩「例えば、とても親しい間柄の人が二人居たとする」
後輩「はい」
先輩「両方とも死ぬまで一緒に居たいくらい大事な人だ」
後輩「はい」
先輩「でも、片方とは一緒に寝食を共にせず、もう片方とは墓場まで寄り添う」
後輩「……」
先輩「この『差』というか、心の距離感が境界の一つだと私は思うよ」
後輩「曖昧というか、ファジーな回答ですねぇ」
先輩「仕方ないさ。明確な愛が分かれば詩人なんて存在しないんだ」
104: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 01:38:14.44 ID:VJc4jOxP0
先輩「それに、今の回答は私の考える『愛』の言葉じゃない」
後輩「そのうちの一つ、みたいな言い回しをしていましたしね」
先輩「お、耳ざといねぇ」
後輩「……はいはい」
先輩「ま、先達もこう言ってるじゃないか」
後輩「?」
先輩「愛は、この世に存在する。きっと、ある。見つからぬのは愛の表現である。その作法である」
後輩「太宰治ですね」
先輩「よく知っているねぇ。久々に図書館で太宰治でも読んでみるかい?」
後輩「先輩、今貸し出し禁止でしょうに」
先輩「……よく覚えてたねぇ」
105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 01:42:53.15 ID:VJc4jOxP0
―25―
先輩「昨日、変な夢を見たんだ」
後輩「どんな夢ですか?」
先輩「君と私が。こう、アレだよ…」
後輩「アレって何ですか」
先輩「き…あー、いや、せっ……」
後輩「き? せ?」
先輩「せっ………ぷ………んを、だね」
後輩「なんですか、それ」
先輩「な、なんですかとは辛辣だねぇ…けっこう恥ずかしい夢だったんだよ」
後輩「でもですね、先輩」
先輩「ん?」
後輩「夢というのは記憶処理と願望処理を脳内で繰り広げているらしいですよ」
先輩「……」
後輩「だから、僕とですね……」
先輩「昨日、変な夢を見たんだ」
後輩「どんな夢ですか?」
先輩「君と私が。こう、アレだよ…」
後輩「アレって何ですか」
先輩「き…あー、いや、せっ……」
後輩「き? せ?」
先輩「せっ………ぷ………んを、だね」
後輩「なんですか、それ」
先輩「な、なんですかとは辛辣だねぇ…けっこう恥ずかしい夢だったんだよ」
後輩「でもですね、先輩」
先輩「ん?」
後輩「夢というのは記憶処理と願望処理を脳内で繰り広げているらしいですよ」
先輩「……」
後輩「だから、僕とですね……」
106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 01:46:06.74 ID:VJc4jOxP0
先輩「あー! ちょ、ちょっと待ってくれ!」
後輩「なんですか?」
先輩「いやだってホラ、そういうのはそういう関係じゃないと駄目だろう!」
後輩「何を言ってるんですか。僕らはそういう関係でしょう?」
先輩「あ、あれ? そ、そうだっけ?」
後輩「だから…ほら、いいですよね」
先輩「え、あ、ちょ、まっ………」
pppp~♪ pppp~♪
先輩「待ってえええええええええええ~~~!!」
先輩「……はぁ」
先輩「……夢、か」
先輩「びびった、メチャクチャびびってしまった……」
108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 01:49:09.63 ID:VJc4jOxP0
先輩「ってな夢を見てしまったんだよ」
後輩「先輩……夢というのは記憶処理と願望処理を脳内で繰り広げているらしいですよ」
先輩「へっ?」
後輩「だから、僕とですね……」
先輩「え、あ、ちょ、何なんだこれ」
後輩「だから…ほら、いいですよね」
先輩「え、あ、ちょ、まっ………」
pppp~♪ pppp~♪
先輩「待ってえええええええええええ~~~!!」
先輩「……また、夢か」
――――――
先輩「と、いう夢を24回ほど繰り返し見続けてしまったんだ」
後輩「もう完全に『世にも奇妙な物語』の世界ですよ、それ」
後輩「先輩……夢というのは記憶処理と願望処理を脳内で繰り広げているらしいですよ」
先輩「へっ?」
後輩「だから、僕とですね……」
先輩「え、あ、ちょ、何なんだこれ」
後輩「だから…ほら、いいですよね」
先輩「え、あ、ちょ、まっ………」
pppp~♪ pppp~♪
先輩「待ってえええええええええええ~~~!!」
先輩「……また、夢か」
――――――
先輩「と、いう夢を24回ほど繰り返し見続けてしまったんだ」
後輩「もう完全に『世にも奇妙な物語』の世界ですよ、それ」
109: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 01:57:18.76 ID:VJc4jOxP0
―26―
【喫茶店にて】
先輩「君は甘いものが好きかい?」
後輩「いや、まぁ嫌いではないですが」
先輩「私は大好きだ」
後輩「さいですか」
先輩「ぶっちゃけると、今君が食べようとしているショートケーキが凄く食べたい」
後輩「さっき思いっきりモンブラン食べていたじゃないですか」
先輩「勿論タダで奪おうというワケじゃない、ちょっとしたゲームをしよう」
後輩「奪うとか物騒ですね…で、そのゲームっての何ですか?」
先輩「単純な内容だ。
『私はショートケーキの苺は先に食べる派か最後に食べる派かどうか』を当てるだけさ」
後輩「いや、それだと僕思いっきり不利じゃないですか。
僕が答えを言った後で逆の答えを言えば先輩勝ちでしょう」
先輩「そんなズルはしないよ。まず答えを先にナプキンに書いて裏返しておくのをルールに加えよう」
【喫茶店にて】
先輩「君は甘いものが好きかい?」
後輩「いや、まぁ嫌いではないですが」
先輩「私は大好きだ」
後輩「さいですか」
先輩「ぶっちゃけると、今君が食べようとしているショートケーキが凄く食べたい」
後輩「さっき思いっきりモンブラン食べていたじゃないですか」
先輩「勿論タダで奪おうというワケじゃない、ちょっとしたゲームをしよう」
後輩「奪うとか物騒ですね…で、そのゲームっての何ですか?」
先輩「単純な内容だ。
『私はショートケーキの苺は先に食べる派か最後に食べる派かどうか』を当てるだけさ」
後輩「いや、それだと僕思いっきり不利じゃないですか。
僕が答えを言った後で逆の答えを言えば先輩勝ちでしょう」
先輩「そんなズルはしないよ。まず答えを先にナプキンに書いて裏返しておくのをルールに加えよう」
111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:02:58.14 ID:VJc4jOxP0
後輩「それで、もう少し詳細を話しましょう」
先輩「よし、ではこうしよう。
君は1つだけ質問をしていい。私はそれにYESかNOで正直に答える」
後輩「……質問内容は?」
先輩「制限無し。君なりに1つだけで回答を導き出せるものを考えてくれ」
後輩「なるほど、じゃあ僕の質問は一つだけです」
先輩「……ほぅ。いいんだね、確認するけど間違えたらケーキ貰うよ」
後輩「ご自由に」
先輩「随分自信あるみたいだね、受けて立とうじゃないか」
112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:06:21.08 ID:VJc4jOxP0
後輩「先輩、『ケーキの苺は先に食べますか?』」
先輩「……」
後輩「……」
先輩「……NO、だ」
後輩「はい、じゃあ先輩はケーキの苺を最後に取っておく派でファイナルアンサー」
先輩「……」
114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:10:01.98 ID:VJc4jOxP0
~数分後~
先輩「いや、美味しかった。やっぱりショートケーキとコーヒーは相性ばっちりだな」
後輩「……」
先輩「ん、どうしたんだい? 苦瓜を初めて食べた子供みたいな顔をして」
後輩「……納得いかない」
先輩「何を言ってるんだ。そういうゲームだったじゃないか」
後輩「……それでも、納得いかない」
先輩「言っただろう、苺を食べるのは先か後か『どうか』って♪」
後輩「屁理屈だぁー!」
つ 【答え】 ケーキと苺を一緒に食べる派
115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:15:07.20 ID:VJc4jOxP0
―LAST―
先輩「今日はこの辺で帰ろうか」
後輩「そうですね」
先輩「なんだかんだで、君とはいつも一緒に居る気がするなぁ」
後輩「そうですか?」
先輩「気のせいかな」
後輩「どうでしょう」
先輩「これだけ一緒に居ると、夢でも会いそうだね」
後輩「僕は結構な頻度で会ってますけどね」
先輩「へぇ」
後輩「はい」
先輩「……なんでだろうね。ほんと、なんでだろう」
後輩「?」
先輩「今の君の一言、なんだか、凄く……嬉しかったんだ」
後輩「さいですか」
先輩「今日はこの辺で帰ろうか」
後輩「そうですね」
先輩「なんだかんだで、君とはいつも一緒に居る気がするなぁ」
後輩「そうですか?」
先輩「気のせいかな」
後輩「どうでしょう」
先輩「これだけ一緒に居ると、夢でも会いそうだね」
後輩「僕は結構な頻度で会ってますけどね」
先輩「へぇ」
後輩「はい」
先輩「……なんでだろうね。ほんと、なんでだろう」
後輩「?」
先輩「今の君の一言、なんだか、凄く……嬉しかったんだ」
後輩「さいですか」
116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:18:48.40 ID:VJc4jOxP0
先輩「夢の中での私と君は、どんな感じなの?」
後輩「どんなもこんなも、いつもどおりですよ」
先輩「例えば?」
後輩「どっかで座って話したり、休日に出かけて喋ってたり、あとは…何か会話したり」
先輩「はは、なんだいそれ。結局ずっと喋ってばかりじゃないか」
後輩「……言われてみれば、そうですね」
先輩「つまるところ、君は寝ても覚めても夢を見ている感覚なのかな?」
後輩「むしろ、眠りながら現実を生きている感じですね」
先輩「いいね、それ。なんだか……凄くいいね」
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:23:16.74 ID:VJc4jOxP0
先輩「たまには私の夢の中に出てきてもいいんだよ?」
後輩「聞いたところだと、同じ内容で先輩の夢に僕はかなり出てきてたみたいですが」
先輩「……あれは君じゃないね。あんなに強引な君は、君じゃないなぁ」
後輩「…よく分からないけれど、そうなんですか」
先輩「また、夢の中で君とくだらない話を繰り広げたいなぁ」
後輩「僕はそろそろ夢の中でも雑談なんて勘弁願いたいもんです」
先輩「ねぇ、メグたん」
後輩「なんですか?」
先輩「無駄話は、好きかい?」
後輩「…人並みには」
―FIN―
121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:31:40.81 ID:VJc4jOxP0
ネタがあればいくらでも話は続き、
話のどこかで引き際があれば収束する。
寄せては返す波によく似ていて。
無駄話っていうのは、得てしてそういうものです。
久々に書いたSSで非常に楽しかったです。
お付き合い頂いて有難う御座いました。
おやすみなさい。
【スレの〆曲】
http://www.youtube.com/watch?v=J1IjJaHJL-g
話のどこかで引き際があれば収束する。
寄せては返す波によく似ていて。
無駄話っていうのは、得てしてそういうものです。
久々に書いたSSで非常に楽しかったです。
お付き合い頂いて有難う御座いました。
おやすみなさい。
【スレの〆曲】
http://www.youtube.com/watch?v=J1IjJaHJL-g
120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:29:45.19 ID:IAQor1MN0
気が付いたら終わってた
採用してくれてありがと
乙
採用してくれてありがと
乙
122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:36:31.07 ID:Dwc2TyZ80
乙ー
123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/11(金) 02:41:54.89 ID:qe5rsgBx0
最高だった
妹「クラムボン警報だ。お姉ちゃん早く逃げよ」 姉「いやだ」
2019-04-26
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 03:09:18.47 ID:kU8Chy8i0
妹「みんな避難所に向かってるって。お姉ちゃん」
姉「うるさいなぁ。ドア閉めてよ」
妹「だからクラムボン警報だって。お姉ちゃんクラムボンになってもいいの」
姉「いいよ別に。もう面倒くさい」
妹「お姉ちゃん」
姉「どうせ逃げ場なんてないよ。私はウチに残る」
妹「じゃ私も残る」
姉「それがいいよ。あちょっとそこのお菓子取って」
姉「うるさいなぁ。ドア閉めてよ」
妹「だからクラムボン警報だって。お姉ちゃんクラムボンになってもいいの」
姉「いいよ別に。もう面倒くさい」
妹「お姉ちゃん」
姉「どうせ逃げ場なんてないよ。私はウチに残る」
妹「じゃ私も残る」
姉「それがいいよ。あちょっとそこのお菓子取って」
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2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 03:11:30.13 ID:kU8Chy8i0
姉「やっぱ私はリコよりビーのが好きだな。特にこのバターしょうゆ味が」
妹「学校が休みになって、毎日休日だね」
姉「ね。どこもかしこもクランボンクランボンで馬鹿じゃんね」
妹「クラムボンね。お父さんとお母さんは大丈夫かな」
姉「さぁね。とっくにクランボンになっちゃってるかもね」
妹「お姉ちゃん」
姉「まーそれも人生としてアリなんじゃない。別に哀しくもなんともないし」
妹「お姉ちゃんは、私がクラムボンになったら哀しい?」
姉「さあ。アンタは? 私がクランボンになったら」
妹「わかんない」
姉「でしょ? 考えるだけムダだって」
妹「学校が休みになって、毎日休日だね」
姉「ね。どこもかしこもクランボンクランボンで馬鹿じゃんね」
妹「クラムボンね。お父さんとお母さんは大丈夫かな」
姉「さぁね。とっくにクランボンになっちゃってるかもね」
妹「お姉ちゃん」
姉「まーそれも人生としてアリなんじゃない。別に哀しくもなんともないし」
妹「お姉ちゃんは、私がクラムボンになったら哀しい?」
姉「さあ。アンタは? 私がクランボンになったら」
妹「わかんない」
姉「でしょ? 考えるだけムダだって」
4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 03:12:16.11 ID:kU8Chy8i0
妹「いつぐらいにココもダメになるのかなあ」
姉「さあね。結構すごいスピードなんでしょアレ」
妹「冷蔵庫の食べ物もつかな」
姉「まぁ全部無くなる前にはクランボンも来てるでしょ。まだだったら」
妹「まだだったら?」
姉「適当にそのへんのセブンやローソンから買ってくればいいし」
妹「たぶん店員さんいないよ」
姉「無人販売とおんなじでしょ。あー、だったらうまくいけば盗り放題かも」
妹「私万引きなんてやったことない」
姉「私だってないけど、まあ非常時だし」
妹「うまくやれるかな」
姉「不安ならお金だけ置いとけばいいよ。小遣いがなくなってから考えな」
妹「じゃあそうする」
姉「あ。また死んだ。きー」
7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 03:16:21.63 ID:kU8Chy8i0
妹「テレビつけていい?」
姉「いーよん」
ピッ
『――クラムボンは勢力を増して北上しております。
やむを得ず外出する際は、必ず支給されたコートを忘れずに着用して――』
ピッ
『――ですから、一概に政府が悪いともいえない訳ですよ。
人為的に放出されたといっても、自然発生した形となんら変わりない経緯で――』
ピッ
『ザーーー』
姉「うるさい」
ピッ
『んなで なかよく ランランラン♪ ランランラン♪』
姉「あっまだコレあってたんだ観よ観よ」
妹「この非常時なのによく続いてるね」
姉「ね。日本に生まれて良かったねぇ」
姉「いーよん」
ピッ
『――クラムボンは勢力を増して北上しております。
やむを得ず外出する際は、必ず支給されたコートを忘れずに着用して――』
ピッ
『――ですから、一概に政府が悪いともいえない訳ですよ。
人為的に放出されたといっても、自然発生した形となんら変わりない経緯で――』
ピッ
『ザーーー』
姉「うるさい」
ピッ
『んなで なかよく ランランラン♪ ランランラン♪』
姉「あっまだコレあってたんだ観よ観よ」
妹「この非常時なのによく続いてるね」
姉「ね。日本に生まれて良かったねぇ」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 03:20:14.92 ID:kU8Chy8i0
姉「むう。何でこゆときに限ってケータイもネットが繋がんないかなー」
妹「こういうときだからじゃないの」
姉「ケータイは圏外だし、ネットは配線ちゃんと繋がってるのに接続できない表示。どうして?」
妹「わかんない。ひまになる?」
姉「いんや。暇つぶしなら家に山ほどあるし」
妹「またゲームする?」
姉「お。やるかー? やるきかー?」
妹「勝負」
姉「じゃあ~目ぇ瞑って~……今日はコレ! で勝負! げっ、これかー」
妹「これ二人プレイできたっけ」
姉「できるできる。私あんまやったことないけど。まいーややろ。あコレ片付けてね」
妹「思ったより散らかってるね」
姉「うーんクランボンが来るまで当分散らかしモードだな。こりゃ」
妹「こういうときだからじゃないの」
姉「ケータイは圏外だし、ネットは配線ちゃんと繋がってるのに接続できない表示。どうして?」
妹「わかんない。ひまになる?」
姉「いんや。暇つぶしなら家に山ほどあるし」
妹「またゲームする?」
姉「お。やるかー? やるきかー?」
妹「勝負」
姉「じゃあ~目ぇ瞑って~……今日はコレ! で勝負! げっ、これかー」
妹「これ二人プレイできたっけ」
姉「できるできる。私あんまやったことないけど。まいーややろ。あコレ片付けてね」
妹「思ったより散らかってるね」
姉「うーんクランボンが来るまで当分散らかしモードだな。こりゃ」
13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 03:24:58.43 ID:kU8Chy8i0
妹「もうこんな時間」
姉「このゲーム意外と面白かった。あ。もうこれ空っぽ」
妹「ご飯つくろっか」
姉「あんまお腹空いてないな。間食しまくっちゃって」
妹「じゃあいいかな」
姉「アンタお腹空いたの?」
妹「すこし」
姉「お菓子食べると太るから? まだダイエット中?」
妹「うん」
姉「どーせクランボンになっちゃうのに?」
妹「ならなかったとき、損しちゃう」
姉「どーせもうダメだって。この国はクランボンで果てる運命なんだって」
妹「ふうん」
姉「卵まだあったっけ。いつもの作るね」
妹「はーい」
姉「このゲーム意外と面白かった。あ。もうこれ空っぽ」
妹「ご飯つくろっか」
姉「あんまお腹空いてないな。間食しまくっちゃって」
妹「じゃあいいかな」
姉「アンタお腹空いたの?」
妹「すこし」
姉「お菓子食べると太るから? まだダイエット中?」
妹「うん」
姉「どーせクランボンになっちゃうのに?」
妹「ならなかったとき、損しちゃう」
姉「どーせもうダメだって。この国はクランボンで果てる運命なんだって」
妹「ふうん」
姉「卵まだあったっけ。いつもの作るね」
妹「はーい」
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 03:31:40.43 ID:kU8Chy8i0
妹「いただきます」
姉「たっきますと」
妹「おいしい」
姉「ね。私の腕もまだ落ちちゃいないっぽい。しょう油とって」
妹「もうあと少ししかないよ」
姉「あー。しょう油のでかい奴ってどこにあったっけ」
妹「分かんない」
姉「詰め替えるのめんどくさいからいっか」
妹「あとで私やっとく」
姉「いーよ別に。しょうゆ使うの最後かもしれんし」
妹「やっとく」
姉「そ。で? もうごちそうさま?」
妹「ごちそうさまでした」
姉「ごちそーさまでした。一緒にお皿洗うの手伝ったげる」
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 03:40:15.38 ID:kU8Chy8i0
姉「一緒にシャワー浴びる?」
妹「いい」
姉「胸どんだけおっきくなったか見してよ」
妹「やだ。お姉ちゃんより小っちゃいに決まってるし」
姉「お姉ちゃん、クランボンになっちゃう前に一目見たいんだけども」
妹「だめ。お姉ちゃんはもうゼッタイ私の胸を見ることはないの」
姉「このー恥ずかしがり屋さんめ。かわいいやつめ」
妹「だめ」
姉「けち。ケチになると胸大きくならないんだぞ」
妹「お姉ちゃんケチなのに胸大きいじゃん」
姉「そこがお姉ちゃんのすごいところ。一揉みしとく?」
妹「いいです」
姉「思い出作りの下手なコだねー。……スキあり!」
妹「きゃあ」
妹「いい」
姉「胸どんだけおっきくなったか見してよ」
妹「やだ。お姉ちゃんより小っちゃいに決まってるし」
姉「お姉ちゃん、クランボンになっちゃう前に一目見たいんだけども」
妹「だめ。お姉ちゃんはもうゼッタイ私の胸を見ることはないの」
姉「このー恥ずかしがり屋さんめ。かわいいやつめ」
妹「だめ」
姉「けち。ケチになると胸大きくならないんだぞ」
妹「お姉ちゃんケチなのに胸大きいじゃん」
姉「そこがお姉ちゃんのすごいところ。一揉みしとく?」
妹「いいです」
姉「思い出作りの下手なコだねー。……スキあり!」
妹「きゃあ」
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 03:43:19.30 ID:kU8Chy8i0
妹「消灯」
姉「うえ真っ暗。あそっか外の明かり点いてないからか」
妹「夜のうちにクラムボンが来たらどうするの」
姉「そんときゃそんとき。むしろ寝ている間な分、ありがたいかもよ」
妹「そうかな」
姉「それよりさ、恋バナしようぜ恋バナ」
妹「なにそれ」
姉「ありゃー死語になっちゃってるのかね。『夜の甘ったるい恋のおはなし』の略だよ」
妹「長い」
姉「アンタさ、気になるオトコノコとか、いるの?」
妹「わかんない」
姉「ほー。いる訳ね。ほー。誰?」
妹「お姉ちゃんはいるの?」
姉「いたけど、どうも一足先にクランボンになっちまったらしい」
妹「えええ」
姉「うえ真っ暗。あそっか外の明かり点いてないからか」
妹「夜のうちにクラムボンが来たらどうするの」
姉「そんときゃそんとき。むしろ寝ている間な分、ありがたいかもよ」
妹「そうかな」
姉「それよりさ、恋バナしようぜ恋バナ」
妹「なにそれ」
姉「ありゃー死語になっちゃってるのかね。『夜の甘ったるい恋のおはなし』の略だよ」
妹「長い」
姉「アンタさ、気になるオトコノコとか、いるの?」
妹「わかんない」
姉「ほー。いる訳ね。ほー。誰?」
妹「お姉ちゃんはいるの?」
姉「いたけど、どうも一足先にクランボンになっちまったらしい」
妹「えええ」
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 03:50:27.06 ID:kU8Chy8i0
姉「ま、好きっていうか、こいつとなら付き合ってもいいかなレベルだよ」
妹「クラムボンになったって」
姉「別に私らも近いうちに仲間入りするんだから、別に悲しくもなんとも」
妹「そうなんだ」
姉「まあヒトでいられるうちに、しといた方がいいこともあるかもだけど」
妹「私、まだオトコノコとキスもしたことない」
姉「あらーピュアーな純潔を守ってるのネ」
妹「お姉ちゃんはあるの」
姉「ないけど」
妹「えっないの」
姉「うん。男の子を選り好みしてたらいつの間にか間に合わなくなってた」
妹「かわいそう」
姉「そう? クランボンになったらキスぐらいできるんじゃないの?」
妹「そうなの?」
姉「さあ。適当言ってみた」
妹「クラムボンになったって」
姉「別に私らも近いうちに仲間入りするんだから、別に悲しくもなんとも」
妹「そうなんだ」
姉「まあヒトでいられるうちに、しといた方がいいこともあるかもだけど」
妹「私、まだオトコノコとキスもしたことない」
姉「あらーピュアーな純潔を守ってるのネ」
妹「お姉ちゃんはあるの」
姉「ないけど」
妹「えっないの」
姉「うん。男の子を選り好みしてたらいつの間にか間に合わなくなってた」
妹「かわいそう」
姉「そう? クランボンになったらキスぐらいできるんじゃないの?」
妹「そうなの?」
姉「さあ。適当言ってみた」
22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 03:52:26.61 ID:kU8Chy8i0
妹「おやすみ」
姉「ヤすみ」
妹「」
姉「Zzz」
妹「」
姉「Zzz」
妹「Zz」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 04:10:21.19 ID:kU8Chy8i0
妹「んーん。おはよう」
姉「はよ」
妹「あ。寝坊しちゃった」
姉「ぎゃーもうこんな時間」
妹「学校やってないよ」
姉「えっなんで? 今日休みだっけ? げげっ何でこんなリビング散らかってんの」
妹「クラムボン」
姉「あっ、あーね。なるほど。そういうのもあったか」
妹「いい天気」
姉「来てる? クランボン」
妹「来てないかも」
姉「そ。でもあと一時間後にくるかも。五分後かも。そっから見えてないだけかもねぇ」
妹「別に怖くないよ」
姉「あそうつまんないの」
姉「はよ」
妹「あ。寝坊しちゃった」
姉「ぎゃーもうこんな時間」
妹「学校やってないよ」
姉「えっなんで? 今日休みだっけ? げげっ何でこんなリビング散らかってんの」
妹「クラムボン」
姉「あっ、あーね。なるほど。そういうのもあったか」
妹「いい天気」
姉「来てる? クランボン」
妹「来てないかも」
姉「そ。でもあと一時間後にくるかも。五分後かも。そっから見えてないだけかもねぇ」
妹「別に怖くないよ」
姉「あそうつまんないの」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 04:14:35.66 ID:kU8Chy8i0
姉「今日はどうしよっか」
妹「また遊ぶの」
姉「んーそうしたいのは山々なんだけどね。ちょっと出かけよっか」
妹「避難所に行くの」
姉「いやーあんな遠いとこまで歩いていけないっしょ」
妹「どこいくの」
姉「お菓子補充。ちょっとそこのコンビニまで。一緒に来る?」
妹「うん」
姉「外に出ると危ないかもよ」
妹「平気」
姉「そ。じゃ行こっか。サイフどこに置いてたっけ」
妹「お財布もっていくの?」
姉「えっ当たり前じゃん」
妹「そうだったね」
姉「あったあった。じゃそっち裏の戸締りよろしくねー」
妹「また遊ぶの」
姉「んーそうしたいのは山々なんだけどね。ちょっと出かけよっか」
妹「避難所に行くの」
姉「いやーあんな遠いとこまで歩いていけないっしょ」
妹「どこいくの」
姉「お菓子補充。ちょっとそこのコンビニまで。一緒に来る?」
妹「うん」
姉「外に出ると危ないかもよ」
妹「平気」
姉「そ。じゃ行こっか。サイフどこに置いてたっけ」
妹「お財布もっていくの?」
姉「えっ当たり前じゃん」
妹「そうだったね」
姉「あったあった。じゃそっち裏の戸締りよろしくねー」
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 04:21:02.09 ID:kU8Chy8i0
妹「外、誰もいないね」
姉「車も通らない昼下がりの道路」
妹「みんなクラムボンになりたくなかったんだね」
姉「変だなー。私らみたいなのはもっといそうなもんだけどなー」
妹「みんな家に閉じこもってるのかも。あ。コンビニ電気ついてる」
姉「開くかな。おー開いた」
妹「やっぱり誰もいないね」
姉「あ、でもほら。あっこカウンター」
妹「あ。引き出し飛び出してる。レジの」
姉「ところがお金が荒らされた様子はないですねぇ」
妹「電卓も用意されてる。ちゃんと準備されてるんだ」
姉「日本人の良心だね。あとほら、商品もぽつぽつなくなってる」
妹「やっぱり私達みたいに残った人がいるんだ。いるのかな」
姉「さーて何買おっかなー。今日は多めに持ってきたから奮発しちゃうぜ」
妹「カゴ持ってくるね」
姉「車も通らない昼下がりの道路」
妹「みんなクラムボンになりたくなかったんだね」
姉「変だなー。私らみたいなのはもっといそうなもんだけどなー」
妹「みんな家に閉じこもってるのかも。あ。コンビニ電気ついてる」
姉「開くかな。おー開いた」
妹「やっぱり誰もいないね」
姉「あ、でもほら。あっこカウンター」
妹「あ。引き出し飛び出してる。レジの」
姉「ところがお金が荒らされた様子はないですねぇ」
妹「電卓も用意されてる。ちゃんと準備されてるんだ」
姉「日本人の良心だね。あとほら、商品もぽつぽつなくなってる」
妹「やっぱり私達みたいに残った人がいるんだ。いるのかな」
姉「さーて何買おっかなー。今日は多めに持ってきたから奮発しちゃうぜ」
妹「カゴ持ってくるね」
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 04:27:03.59 ID:kU8Chy8i0
姉「これスキャナー動いてないじゃん。てかレジの画面ついてないし」
妹「お会計は完全手動だね」
姉「もう。どれがいくらかいちいち覚えてないし」
妹「確かこれは200円。これは298円」
姉「これは?」
妹「これは、分かりません」
姉「しゃーないかー。えーっと待って。えーっ。148円!」
妹「いち……よん……はち」
姉「あとは。これとこれね。えーっと、えーっと。もー面倒くさい」
妹「おいくら」
姉「たぶん200円と300円ぐらい。いーのいーの、お金払わないよか罪は軽いし」
妹「じゃあ1146円」
姉「じゃ1200円ここに突っ込んどこ」
妹「お釣りは?」
姉「とっておけぇい」
妹「お会計は完全手動だね」
姉「もう。どれがいくらかいちいち覚えてないし」
妹「確かこれは200円。これは298円」
姉「これは?」
妹「これは、分かりません」
姉「しゃーないかー。えーっと待って。えーっ。148円!」
妹「いち……よん……はち」
姉「あとは。これとこれね。えーっと、えーっと。もー面倒くさい」
妹「おいくら」
姉「たぶん200円と300円ぐらい。いーのいーの、お金払わないよか罪は軽いし」
妹「じゃあ1146円」
姉「じゃ1200円ここに突っ込んどこ」
妹「お釣りは?」
姉「とっておけぇい」
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 04:32:17.66 ID:kU8Chy8i0
姉「なーんか入るときも出るときも静かなコンビニって変なの」
妹「悪いことしてるみたい」
姉「してもいいのよ。どうせ誰も見てないし」
妹「誰か見てるかも」
姉「うん、ほら、あっこの警察の人とか」
妹「えっ。あっ」
姉「やっぱりそうだ。ほら、こっち自転車でくる!」
妹「クラムボンだったらどうしよう」
姉「うーん。もしそうならちょっと早いね。買ったお菓子まだ食べてないし」
妹「まだ心の準備できてない」
姉「大丈夫、そんときゃそんとき」
妹「大丈夫かな」
姉「てか、クランボンって自転車乗るの?」
妹「わかんない」
姉「乗らないんじゃね??」
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 04:39:13.02 ID:kU8Chy8i0
巡査「やあ。ここにもまだ人はいましたか」
姉「こんちわー」
妹「こんにちは」
巡査「こんにちは。お嬢さん方は、避難所に行かれないのですか」
姉「まぁ気が向いたら行きますんでお構いなく」
妹「おじいさんは、一人だけですか?」
巡査「はい。こうやって周囲に避難勧告を出しながら――」
姉「出しながら?」
巡査「クランボのところに向かっているんですよ」
妹「どうして」
巡査「いやあ、待ちきれなくて、とでも言っておきましょうか」
姉「クランボンになりたいの? それって職務放棄じゃないの?」
巡査「ええ、私の独断です。まぁ今となっちゃ、警察なんて、なんの権限もありゃあしません」
妹「ふうん」
姉「こんちわー」
妹「こんにちは」
巡査「こんにちは。お嬢さん方は、避難所に行かれないのですか」
姉「まぁ気が向いたら行きますんでお構いなく」
妹「おじいさんは、一人だけですか?」
巡査「はい。こうやって周囲に避難勧告を出しながら――」
姉「出しながら?」
巡査「クランボのところに向かっているんですよ」
妹「どうして」
巡査「いやあ、待ちきれなくて、とでも言っておきましょうか」
姉「クランボンになりたいの? それって職務放棄じゃないの?」
巡査「ええ、私の独断です。まぁ今となっちゃ、警察なんて、なんの権限もありゃあしません」
妹「ふうん」
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 04:44:17.58 ID:kU8Chy8i0
巡査「そうだ。良かったらこれ、使いますか?」
姉「これは? おもちゃ?」
巡査「本物ですよ。一応まだ弾も入ってます」
妹「ひえ」
姉「どうしてまた」
巡査「これを手放すことで、私はただのヒトになれるのです。もしよければ」
姉「要らないなら捨てればいいじゃないですか。なぜ?」
巡査「それは、頑なにクランボになるのを拒むヒトが、いるかもしれない、と思ったからです」
妹「ヒトのまま死ぬってこと? これを使って?」
姉「物騒なこと勧めるおじいちゃんだね」
巡査「これは失礼、そういう、まともな考えのヒトに会うのは久しぶりでして」
妹「怖いな」
姉「私たちなら大丈夫なんで、コレはそういうコトが必要な人に譲ったげてください」
巡査「そうですか。いやはや、気を悪くさせて申し訳ありませんでした。では、どうかお気をつけて」
姉「バイバイ、またね」
姉「これは? おもちゃ?」
巡査「本物ですよ。一応まだ弾も入ってます」
妹「ひえ」
姉「どうしてまた」
巡査「これを手放すことで、私はただのヒトになれるのです。もしよければ」
姉「要らないなら捨てればいいじゃないですか。なぜ?」
巡査「それは、頑なにクランボになるのを拒むヒトが、いるかもしれない、と思ったからです」
妹「ヒトのまま死ぬってこと? これを使って?」
姉「物騒なこと勧めるおじいちゃんだね」
巡査「これは失礼、そういう、まともな考えのヒトに会うのは久しぶりでして」
妹「怖いな」
姉「私たちなら大丈夫なんで、コレはそういうコトが必要な人に譲ったげてください」
巡査「そうですか。いやはや、気を悪くさせて申し訳ありませんでした。では、どうかお気をつけて」
姉「バイバイ、またね」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 04:57:01.59 ID:kU8Chy8i0
妹「お姉ちゃん、どうするの」
姉「外には怖い人がいるかもだって。帰ろっか」
妹「うん」
姉「ウチ、すぐそこだけど」
妹「着いた」
姉「カギカギ。開いた」
妹「ただいま」
姉「ただいまー」
妹「おトイレ」
姉「行っトイレ。あ、もう石鹸こんなすり減ってる。まいっか」
姉「がらがらがら。ぺっ」
姉「ふいー。お菓子何から食べよっかな」
姉「外には怖い人がいるかもだって。帰ろっか」
妹「うん」
姉「ウチ、すぐそこだけど」
妹「着いた」
姉「カギカギ。開いた」
妹「ただいま」
姉「ただいまー」
妹「おトイレ」
姉「行っトイレ。あ、もう石鹸こんなすり減ってる。まいっか」
姉「がらがらがら。ぺっ」
姉「ふいー。お菓子何から食べよっかな」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 05:04:37.13 ID:kU8Chy8i0
妹「ねえお姉ちゃん」
姉「何じゃらほい」
妹「さっきのおじいさん、何でクラムボンになりたかったのかな」
姉「さぁね。嫌気がさしてたんじゃない?」
妹「嫌気?」
姉「多分、すごい詰め寄られたと思うよ。警察は市民を守るもんじゃないのかーとか」
妹「なるほど」
姉「だからこう、言い方は悪いけど、逃避的な? 厭世的な?」
妹「ふうん。でも、アレを使ってヒトのまま死ぬより、クラムボンになるのを選んだんだね」
姉「そりゃまー死ぬのは痛いだろうし、残された人はハッピーになれないだろうしねぇ」
妹「クラムボンはそうじゃないの?」
姉「そりゃ分かんないけど、だからこそ、より良い結果を未知なものに賭ける、みたいな?」
妹「ごめん分かんない」
姉「お姉ちゃんもよく分かんない。まーじきに分かることでしょうよ」
姉「何じゃらほい」
妹「さっきのおじいさん、何でクラムボンになりたかったのかな」
姉「さぁね。嫌気がさしてたんじゃない?」
妹「嫌気?」
姉「多分、すごい詰め寄られたと思うよ。警察は市民を守るもんじゃないのかーとか」
妹「なるほど」
姉「だからこう、言い方は悪いけど、逃避的な? 厭世的な?」
妹「ふうん。でも、アレを使ってヒトのまま死ぬより、クラムボンになるのを選んだんだね」
姉「そりゃまー死ぬのは痛いだろうし、残された人はハッピーになれないだろうしねぇ」
妹「クラムボンはそうじゃないの?」
姉「そりゃ分かんないけど、だからこそ、より良い結果を未知なものに賭ける、みたいな?」
妹「ごめん分かんない」
姉「お姉ちゃんもよく分かんない。まーじきに分かることでしょうよ」
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 05:12:57.05 ID:kU8Chy8i0
妹「テレビつけていい?」
姉「いーよん」
ピッ
『ザーーー』
姉「うるさい」
ピッ
『ザーーー ……の……危険……』
ピッ
『ザーーー ……が……放棄……』
姉「うるさーい」
妹「どこもダメみたい」
ピッ
妹「昨日はちゃんとついたのに」
姉「ふーん。いよいよかもねぇ」
妹「うん」
姉「いーよん」
ピッ
『ザーーー』
姉「うるさい」
ピッ
『ザーーー ……の……危険……』
ピッ
『ザーーー ……が……放棄……』
姉「うるさーい」
妹「どこもダメみたい」
ピッ
妹「昨日はちゃんとついたのに」
姉「ふーん。いよいよかもねぇ」
妹「うん」
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 05:19:04.60 ID:kU8Chy8i0
姉「あー。ゲームの充電切れちゃった」
妹「充電器は」
姉「どっかいっちゃった」
妹「探す」
姉「いーよ。どうせクリアできないし。ぽいっ」
妹「クリアしないの」
姉「したところでねー。うん、なんかもう締めに入っちゃってる感じだし」
妹「締めって?」
姉「なんか精神的に整理がついてるっていうかー。そう、心の準備! ね」
妹「そうなんだ」
姉「アンタはまだ不安なの?」
妹「少し」
姉「そう。そういうときは~あったかいもの! ミルクココアでも作っかー」
妹「ありがと」
姉「アレ、一番でかいカップあったでしょ記念品の。あれ今つかお、出しといてー」
妹「充電器は」
姉「どっかいっちゃった」
妹「探す」
姉「いーよ。どうせクリアできないし。ぽいっ」
妹「クリアしないの」
姉「したところでねー。うん、なんかもう締めに入っちゃってる感じだし」
妹「締めって?」
姉「なんか精神的に整理がついてるっていうかー。そう、心の準備! ね」
妹「そうなんだ」
姉「アンタはまだ不安なの?」
妹「少し」
姉「そう。そういうときは~あったかいもの! ミルクココアでも作っかー」
妹「ありがと」
姉「アレ、一番でかいカップあったでしょ記念品の。あれ今つかお、出しといてー」
50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 05:28:23.33 ID:kU8Chy8i0
姉「ふうー……」
妹「ふう」
姉「リラックスしたわー最高」
妹「落ち着いた」
姉「大丈夫? 落ち着いた?」
妹「もう平気だよ」
姉「そ。じゃあ~」
妹「じゃあ?」
姉「ゲームしよっか。アンタの一番得意な~こいつで!」
妹「いいよ。いつも通り適当に選ぼう」
姉「そう? せっかくのチャンスを棒に振っちゃっていいのかしらー?」
妹「望むところ」
姉「よしよし、なら正々堂々、適当に選んだゲームで白黒つけますかねぇ」
妹「ふう」
姉「リラックスしたわー最高」
妹「落ち着いた」
姉「大丈夫? 落ち着いた?」
妹「もう平気だよ」
姉「そ。じゃあ~」
妹「じゃあ?」
姉「ゲームしよっか。アンタの一番得意な~こいつで!」
妹「いいよ。いつも通り適当に選ぼう」
姉「そう? せっかくのチャンスを棒に振っちゃっていいのかしらー?」
妹「望むところ」
姉「よしよし、なら正々堂々、適当に選んだゲームで白黒つけますかねぇ」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 05:37:41.77 ID:kU8Chy8i0
妹「あ。もう夕方になってる」
姉「きー何で勝てんのじゃあ」
妹「お姉ちゃんは見切るのが早過ぎるから。もっと粘らないと」
姉「そんなの私の性分に合わんのじゃー!」
妹「そろそろ終わ」
姉「待って! コレ最後! ほんと最後だから!」
妹「いいよ、最後なら」
姉「あっ、アンタまたわざと手抜くつもりでしょ! それダメだから!」
妹「だってお姉ちゃん、自分が勝つまでずっと『これが最後』って」
姉「じゃ、じゃあこの一戦で負けた方が今日の夕飯作るってのは!」
妹「ごはん? ほんと?」
姉「ほんとほんと絶対」
妹「やる」
姉「よしきた。じゃあこれスタート画面に戻すかんねー」
姉「きー何で勝てんのじゃあ」
妹「お姉ちゃんは見切るのが早過ぎるから。もっと粘らないと」
姉「そんなの私の性分に合わんのじゃー!」
妹「そろそろ終わ」
姉「待って! コレ最後! ほんと最後だから!」
妹「いいよ、最後なら」
姉「あっ、アンタまたわざと手抜くつもりでしょ! それダメだから!」
妹「だってお姉ちゃん、自分が勝つまでずっと『これが最後』って」
姉「じゃ、じゃあこの一戦で負けた方が今日の夕飯作るってのは!」
妹「ごはん? ほんと?」
姉「ほんとほんと絶対」
妹「やる」
姉「よしきた。じゃあこれスタート画面に戻すかんねー」
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 05:43:33.05 ID:kU8Chy8i0
妹「いただきます」
姉「いたっきまーす」
妹「おしょうゆ取って」
姉「はいよ。お。中身入ってんじゃん」
妹「任されよ」
姉「いいねぇ、調味料大臣の称号を与えよう」
妹「いらない」
姉「コレおいしい?」
妹「おいしい」
姉「ふふん。知ってる」
妹「おしょうゆ返して」
姉「お代わりしよ。あー今日2合しか炊いてなかった」
妹「もうちょっと炊く?」
姉「炊きましょうかねえ!」
姉「いたっきまーす」
妹「おしょうゆ取って」
姉「はいよ。お。中身入ってんじゃん」
妹「任されよ」
姉「いいねぇ、調味料大臣の称号を与えよう」
妹「いらない」
姉「コレおいしい?」
妹「おいしい」
姉「ふふん。知ってる」
妹「おしょうゆ返して」
姉「お代わりしよ。あー今日2合しか炊いてなかった」
妹「もうちょっと炊く?」
姉「炊きましょうかねえ!」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 05:48:54.88 ID:kU8Chy8i0
妹「ごちそうさまでした」
姉「ごっそさまー」
妹「おなかいっぱい」
姉「おや、ダイエット姫が腹十分とは」
妹「お姉ちゃんは平気なの?」
姉「デザートまで入るよ」
妹「あるの?」
姉「今こそ打ち明けましょう……冷蔵庫の奥に秘蔵のプリンが!」
妹「あやっぱりアレお姉ちゃんのだったんだ」
姉「バレてる! まいいやアレ二人で食べよ」
妹「いいの」
姉「いーよ。食べれるうちに食べとこっ」
58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 06:03:32.44 ID:kU8Chy8i0
姉「ふいー、久々の姉妹水入らずのシャワーだったねぇ。水入らずってのは変か」
妹「お姉ちゃんが勝手に入ってくるから」
姉「いいじゃん。お姉ちゃんの胸おっきかったっしょ?」
妹「もうサイテー」
姉「そんなに怒んなさんなて。結局アンタだって胸見してくんなかったじゃん」
妹「でも後ろからいきなり揉んだでしょ」
姉「だって。見してくんなかったから」
妹「ひどい。お姉ちゃんのばか」
姉「でも発育途上ながら十分実ってたじゃない。お姉ちゃんは嬉しいよ」
妹「私は嬉しくない」
姉「今日はいい夢見れそうだー」
妹「もう。お姉ちゃんのばか」
62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 06:06:59.26 ID:kU8Chy8i0
姉「消灯」
妹「ん」
姉「どら。一緒の布団で寝るか」
妹「お断りします」
姉「今日も一日。有意義に過ごしたね」
妹「結局ぐうたらデイだったけど」
姉「でもお姉ちゃん疲れちったよ。寝よ寝よ」
妹「潜ってこないでよ」
姉「おあすみー」
妹「もう。おやすみ」
姉「Zzz」
妹「ふう」
姉「Zzz」
妹「Zz」
64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 06:10:25.06 ID:kU8Chy8i0
姉「Zzz」
妹「Zz」
ガタ
ガタ
妹「……!」
姉「Zzz」
妹「お姉ちゃん」
妹「お姉ちゃん」
妹「きた」
妹「ウチ、入ってきてる」
姉「んー?」
妹「クラムボンきた」
姉「えっまじで?」
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 06:15:03.78 ID:kU8Chy8i0
姉「もー……どうして起こしたのさ。寝ている間に済ませてくれたかもしんないのに」
妹「だって。まだ心の準備」
姉「ええー。じゃー飲む? あったかいの」
妹「もうリビングにいる。今からじゃ無理」
姉「アンタ震えてんの?」
妹「別に」
ガタガタ ガタ
妹「!」
姉「あー。近いね」
妹「逃げよ。ね。裏口から」
姉「夜中だよ?」
妹「懐中デント準備してる」
姉「なんだ。アンタ、ハナから逃げる気まんまんだったんじゃん」
妹「だって。まだ心の準備」
姉「ええー。じゃー飲む? あったかいの」
妹「もうリビングにいる。今からじゃ無理」
姉「アンタ震えてんの?」
妹「別に」
ガタガタ ガタ
妹「!」
姉「あー。近いね」
妹「逃げよ。ね。裏口から」
姉「夜中だよ?」
妹「懐中デント準備してる」
姉「なんだ。アンタ、ハナから逃げる気まんまんだったんじゃん」
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 06:20:30.69 ID:kU8Chy8i0
ガタガタ ガタガタ
姉「よしいまっ!」
妹「うん!」
バタン!
姉「へへ、間抜けめー」
妹「ライトライト!」
ポチッ
妹「!!」
姉「うわっ。もう外にいるじゃん、こんなたくさん!」
妹「逃げよ、ね」
姉「逃げるったってどこに」
妹「クラムボンに捕まらないところ!」
姉「しょーがないなー。じゃ、とりあえず公園のあたり行こ。手、放さないでね」
妹「うん!」
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 06:27:37.18 ID:kU8Chy8i0
姉「はっ……はっ……」
妹「はっ……はっ……」
姉「あー。外灯の一つくらい点いてりゃ楽なのになぁ」
妹「お姉ちゃん、そっち右にいる!」
姉「げっやば!」
「」
「」
姉「なんかどんどん増えてる気がする」
妹「追っかけてきてる!」
姉「ライトのせいじゃないの?」
妹「でもこれないと何にも見えない」
姉「しゃーないか。とりあえず足掻くだけ足掻いてみよ。ほら、もうひとっ走り!」
妹「う、うん!」
75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 06:36:12.69 ID:kU8Chy8i0
姉「あー。こりゃダメだわ」
妹「はぁ……はぁ……」
姉「ゲームで鍛えた私にゃ分かる。これ全方位囲まれてるわ。万事休す。」
妹「はぁ……はぁ……」
姉「どうする?」
妹「はぁ……はぁ……ふうう」
姉「とりあえずそこベンチ座ろ」
妹「お姉ちゃん」
姉「ん?」
妹「逃げよう」
姉「だからもう無理だって。ほら、先頭がもうあっこまで来てる」
妹「私、あんなのになりたくない。クラムボンはいや」
姉「も、腹を括るしかないよ。こうなったらさ」
妹「やだよぉ。逃げようよう」
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 06:45:07.81 ID:kU8Chy8i0
姉「泣くんじゃないの。女の子でしょ」
妹「だって。だって」
姉「ま、最初のクランボンが出てきたときから、みんな覚悟しなきゃいけなかったんだよ」
妹「お姉ちゃん」
姉「だーいじょうぶだって。多分痛くないから」
妹「お姉ちゃん!」
姉「おーよしよし。よく頑張った。うん。今日までアンタ、よく頑張ったよ」
妹「うええん」
姉「よしよし。さて」
姉「妹を泣かせたクソンボンどもさん」
姉「やるならとっとと、手短にお願いしますね」
「」 「」 「」 「」「」
「」「」 「」 「」 「」「」
姉「これで終わりかぁ。 ま こんな もん でっしょ」
妹「だって。だって」
姉「ま、最初のクランボンが出てきたときから、みんな覚悟しなきゃいけなかったんだよ」
妹「お姉ちゃん」
姉「だーいじょうぶだって。多分痛くないから」
妹「お姉ちゃん!」
姉「おーよしよし。よく頑張った。うん。今日までアンタ、よく頑張ったよ」
妹「うええん」
姉「よしよし。さて」
姉「妹を泣かせたクソンボンどもさん」
姉「やるならとっとと、手短にお願いしますね」
「」 「」 「」 「」「」
「」「」 「」 「」 「」「」
姉「これで終わりかぁ。 ま こんな もん でっしょ」
80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 06:52:58.06 ID:kU8Chy8i0
「」「」 「」 「」「」「」 「」「」
「」 「」 「」 「」「」
「」 「」 「」
姉「あれ?」
姉「あれあれ? どうしたのあんた等」
妹「……?」
姉「なに、私らがどこにいるか分かんないの?」
姉「こんなに声出してるのに?」
姉「あそう。多分そういうこと?」
姉「よくあるゾンビものの逆? うん、きっとそうっぽい」
妹「お姉ちゃん?」
姉「うん、あのね、追われてるときおかしいと思ってたんだけど」
姉「こいつらどういう理屈か分かんないけど多分」
姉「私達がしゃべってる間、私達の姿が見つけられないみたい」
妹「えっ?」
姉「こりゃーチャンスかもね」
「」 「」 「」 「」「」
「」 「」 「」
姉「あれ?」
姉「あれあれ? どうしたのあんた等」
妹「……?」
姉「なに、私らがどこにいるか分かんないの?」
姉「こんなに声出してるのに?」
姉「あそう。多分そういうこと?」
姉「よくあるゾンビものの逆? うん、きっとそうっぽい」
妹「お姉ちゃん?」
姉「うん、あのね、追われてるときおかしいと思ってたんだけど」
姉「こいつらどういう理屈か分かんないけど多分」
姉「私達がしゃべってる間、私達の姿が見つけられないみたい」
妹「えっ?」
姉「こりゃーチャンスかもね」
86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 07:03:55.75 ID:kU8Chy8i0
姉「あっこらへん、大きな隙間あるね?」
妹「うん」
姉「あっこから切り抜けよっか」
妹「だ、大丈夫かな」
姉「ダメ元じゃなきゃ切り抜けられないって。行くよ」
妹「うん」
姉「その代わりがんがん会話しなきゃ。ほら何かしゃべって」
妹「え? えーっと雨にも負けず風にも負けず雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫な身体が欲しいです」
姉「そっかー。そういうことだったんだねー」
妹「なにが?」
姉「今思えばさー。私ら起きてる間、ほとんど喋りっぱなしだったよね」
妹「うん」
姉「だから家に残ってた私ら、すごく見つかりにくかったんじゃないかな」
妹「なるほど」
姉「ほらー。こんな声出して喋ってるのにやっこさん、必死になってウロウロ探してて受ける!」
妹「うん」
姉「あっこから切り抜けよっか」
妹「だ、大丈夫かな」
姉「ダメ元じゃなきゃ切り抜けられないって。行くよ」
妹「うん」
姉「その代わりがんがん会話しなきゃ。ほら何かしゃべって」
妹「え? えーっと雨にも負けず風にも負けず雪にも夏の暑さにも負けぬ丈夫な身体が欲しいです」
姉「そっかー。そういうことだったんだねー」
妹「なにが?」
姉「今思えばさー。私ら起きてる間、ほとんど喋りっぱなしだったよね」
妹「うん」
姉「だから家に残ってた私ら、すごく見つかりにくかったんじゃないかな」
妹「なるほど」
姉「ほらー。こんな声出して喋ってるのにやっこさん、必死になってウロウロ探してて受ける!」
89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 07:18:27.04 ID:kU8Chy8i0
妹「このこと、多分私達が第一発見者じゃないの」
姉「かもねぇ。大体ヒトが追い詰められたときって、こんなペラペラ喋ったりしないだろうしね」
妹「これがきっかけで、もしかしてクラムボン騒動解決の糸口が掴めるんじゃないの?」
姉「かもねぇ」
妹「じゃあ誰かに伝えよ。はやく」
姉「あはは。なんかすっかり巻き返した感じ」
妹「やっぱり諦めちゃいけなかったんだよ。ね」
姉「うーん」
妹「?」
姉「正直、私ね。すっかりクランボンになる気だったんだよね」
妹「どうして?」
姉「この事件が起こる前も、ろくなことなかったし……全部元に戻ってもしょーもなかったし」
妹「そんなこと言わないでよ。またゲームしようよ」
妹「またお料理つくってよ。卵の。ちゃんと、おしょう油入れ替えるから」
姉「ん……。……。おっといけない、喋んないと喋んないと たはは」
姉「かもねぇ。大体ヒトが追い詰められたときって、こんなペラペラ喋ったりしないだろうしね」
妹「これがきっかけで、もしかしてクラムボン騒動解決の糸口が掴めるんじゃないの?」
姉「かもねぇ」
妹「じゃあ誰かに伝えよ。はやく」
姉「あはは。なんかすっかり巻き返した感じ」
妹「やっぱり諦めちゃいけなかったんだよ。ね」
姉「うーん」
妹「?」
姉「正直、私ね。すっかりクランボンになる気だったんだよね」
妹「どうして?」
姉「この事件が起こる前も、ろくなことなかったし……全部元に戻ってもしょーもなかったし」
妹「そんなこと言わないでよ。またゲームしようよ」
妹「またお料理つくってよ。卵の。ちゃんと、おしょう油入れ替えるから」
姉「ん……。……。おっといけない、喋んないと喋んないと たはは」
90: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 07:19:21.80 ID:kU8Chy8i0
姉「じゃ、前向きにいきますかね」
妹「どこにいくの?」
姉「このままパジャマ姿でフラフラとー。夜道を徘徊する姉妹が向かう先はー」
妹「語呂わるい」
姉「避難所」
妹「避難所?」
姉「とりあえず誰かに、このピーチクパーチクでクランボンが凌げることを伝えるんだよ」
姉「お父さんとお母さんもいるかもしれないしね」
妹「行こっ、行こっ、避難所!」
姉「遠いぞー。イサドより遠いぞー」
妹「いいの! 早く行こっ!」
姉「こらこら引っ張りなさんな。おっ、ようクランボン!」
妹「クラムボン!!」
END
妹「どこにいくの?」
姉「このままパジャマ姿でフラフラとー。夜道を徘徊する姉妹が向かう先はー」
妹「語呂わるい」
姉「避難所」
妹「避難所?」
姉「とりあえず誰かに、このピーチクパーチクでクランボンが凌げることを伝えるんだよ」
姉「お父さんとお母さんもいるかもしれないしね」
妹「行こっ、行こっ、避難所!」
姉「遠いぞー。イサドより遠いぞー」
妹「いいの! 早く行こっ!」
姉「こらこら引っ張りなさんな。おっ、ようクランボン!」
妹「クラムボン!!」
END
92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 07:20:03.54 ID:+zuQbHrb0
乙
93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 07:20:18.01 ID:woCnGHTq0
いい話だなー
94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 07:21:08.62 ID:EHJGAqdh0
続き気になるけど乙
95: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 07:22:20.83 ID:4Eb4uay40
先が気になるけど、姉妹デッドエンドじゃなくて安心した
乙
乙
96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 07:22:20.89 ID:dSLfzgvQ0
乙乙
希望ある終りで良かったよ
希望ある終りで良かったよ
97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 07:23:42.74 ID:6D0m4EgU0 BE:4133905177-2BP(0)
乙
98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 07:25:39.51 ID:57OzQt9Y0
いい終わり方
99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/10/02(火) 07:26:16.31 ID:4EdyPTVy0
乙
クラムボンとはいったい……うごごごご
クラムボンとはいったい……うごごごご
引用元: 妹「クラムボン警報だ。お姉ちゃん早く逃げよ」 姉「いやだ」
私の世界を壊すキス
2019-04-14
1: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 19:23:48.06 ID:9IglMqLM0
百合
唐突に終わったらごめん
艶やかな黒。
彼女は綺麗な瞳をしていた。
思わず、人差し指で突刺してしまいそうになるくらい。
実際、このタイミングで突刺しておけば良かったのかもしれない。
「えっ……」
「ごめんなさい」
頭を下げた。
このクラスメイトにそんなことをされる覚えはなかった。
長くふわりとした髪がはらはらと重力に従った。
なんで謝るの?
と理由を尋ねる前に、彼女は私の唇を奪った。
周りにいた同級生が叫んだ。
えー! とか、うそー! とか。
いやいや、それこっちの台詞だから!
教室の後ろで花の水の入れ替えをしていた私は、思わず花瓶を落としてしまったのだった。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1474539827
唐突に終わったらごめん
艶やかな黒。
彼女は綺麗な瞳をしていた。
思わず、人差し指で突刺してしまいそうになるくらい。
実際、このタイミングで突刺しておけば良かったのかもしれない。
「えっ……」
「ごめんなさい」
頭を下げた。
このクラスメイトにそんなことをされる覚えはなかった。
長くふわりとした髪がはらはらと重力に従った。
なんで謝るの?
と理由を尋ねる前に、彼女は私の唇を奪った。
周りにいた同級生が叫んだ。
えー! とか、うそー! とか。
いやいや、それこっちの台詞だから!
教室の後ろで花の水の入れ替えをしていた私は、思わず花瓶を落としてしまったのだった。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1474539827
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2: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 19:36:49.52 ID:9IglMqLM0
「ねえ、今どんな気持ち?」
お昼休み。
中庭で膝に顔を埋める私に、この騒動の主犯が言った。
「……」
私は沈黙した。
「面白くない」
横腹を軽く殴られた。
空気がせり上がってきて、せき込んだ。
「江梨香、転校生面白いよ? バカなくらい言うこと聞いてくれた。あんたは、最後まで聞かなかったのにね」
頭を二度程叩く。
足音が徐々に遠ざかっていった。
この人間以下のくそ女。
ボキャブラリーが乏し過ぎて、上手く貶せない自分に腹が立つ。
膝に向かって心の中で思いつく限りの悪態を吐いた。
馬鹿。
阿保。
害悪。
豚。
気持ち悪い。
気持ち悪い言葉を考えると、自分も気持ち悪くなった。
お昼休み。
中庭で膝に顔を埋める私に、この騒動の主犯が言った。
「……」
私は沈黙した。
「面白くない」
横腹を軽く殴られた。
空気がせり上がってきて、せき込んだ。
「江梨香、転校生面白いよ? バカなくらい言うこと聞いてくれた。あんたは、最後まで聞かなかったのにね」
頭を二度程叩く。
足音が徐々に遠ざかっていった。
この人間以下のくそ女。
ボキャブラリーが乏し過ぎて、上手く貶せない自分に腹が立つ。
膝に向かって心の中で思いつく限りの悪態を吐いた。
馬鹿。
阿保。
害悪。
豚。
気持ち悪い。
気持ち悪い言葉を考えると、自分も気持ち悪くなった。
3: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 19:43:21.81 ID:9IglMqLM0
首筋がひやりとしてきて、私は漸く顔を上げた。
周りには誰もいなかった。
立ち上がる。
教室に戻りたくない。
あの転校生が、くそ女の指示に従って仕方なくあんなことをしたのだとしても、
こんな最悪な状況を作った二人が非常に憎い。
憎しみで人を病院送りにできたらいいのに。
授業をサボりたいけれど、サボる方がよっぽど勇気がいる。
高校の正門をくぐり抜けることなんて自分にはできない。
あのくそ女に仕返しすることも。
言い返すことも。
自分にはできない。
周りには誰もいなかった。
立ち上がる。
教室に戻りたくない。
あの転校生が、くそ女の指示に従って仕方なくあんなことをしたのだとしても、
こんな最悪な状況を作った二人が非常に憎い。
憎しみで人を病院送りにできたらいいのに。
授業をサボりたいけれど、サボる方がよっぽど勇気がいる。
高校の正門をくぐり抜けることなんて自分にはできない。
あのくそ女に仕返しすることも。
言い返すことも。
自分にはできない。
4: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 19:54:19.32 ID:9IglMqLM0
戻ってきて教室の扉を開くと、やはり数人の女子はこちらをちらちらと盗み見てきた。
その視線を避けるように背中を丸めて、私は席に座った。
転校生――杉原ゆうは自席でうつ伏せになって縮こまっている――と思ったのに、
あろうことかあのくそ女――南合と同じグループでへらへら笑っていた。
なぜ!
どうして?!
私は全く理解できずに、かと言ってそちらに視線を送って気づかれていちゃもんをつけられるのも嫌なので、
机に突っ伏して、脳内で叫んだ。
杉原さんは、もしかして被害者ではなく加害者なの?
彼女の可愛らしい笑い声が聞こえて、思わず拳を握る。
無理矢理南合に命令されて、クラスのみんなが見ている中キスしたんじゃないかって思ったのに。
それでも許せないのに。
さらに上をいくの?
転校生の罪、滅茶苦茶重い。
裁きたい。
そんな勇気ないけれど!
その視線を避けるように背中を丸めて、私は席に座った。
転校生――杉原ゆうは自席でうつ伏せになって縮こまっている――と思ったのに、
あろうことかあのくそ女――南合と同じグループでへらへら笑っていた。
なぜ!
どうして?!
私は全く理解できずに、かと言ってそちらに視線を送って気づかれていちゃもんをつけられるのも嫌なので、
机に突っ伏して、脳内で叫んだ。
杉原さんは、もしかして被害者ではなく加害者なの?
彼女の可愛らしい笑い声が聞こえて、思わず拳を握る。
無理矢理南合に命令されて、クラスのみんなが見ている中キスしたんじゃないかって思ったのに。
それでも許せないのに。
さらに上をいくの?
転校生の罪、滅茶苦茶重い。
裁きたい。
そんな勇気ないけれど!
5: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 20:10:31.13 ID:9IglMqLM0
とは言っても、今週はあと数回は覚悟しなくてはいけない。
今月に入ってこのいじめのルールも分かってきていた。
月に何回か、ランダムで対象を選ぶ。そして、南合は自分の思いついた遊びを選出したクラスメイトにさせるのだ。
命令に背いた者は、される側に回る。それが1週間は続く。
今週は先月転校してきた杉原さんと私が選ばれたというわけだ。
杉原さんは、でも、完全に私の敵。
同情の余地なし。
だからと言って、彼女に報復できるわけではないけど。
周りのクラスメイトも南合が怖くて何も言えない。
庇って欲しいと思ったこともあったけど。
自分だって、やろうと思ってもできないから期待はしなかった。
転校生が目をつけられたのは、たぶん、ちょっと可愛いからだと思う。
だって、南合はブスには一切興味ないのか、話しかけすらしないのだ。
なので、南合のグループの女子は南合の気に入った女子しかいない。
南合マジで病院送りにしたい。
今月に入ってこのいじめのルールも分かってきていた。
月に何回か、ランダムで対象を選ぶ。そして、南合は自分の思いついた遊びを選出したクラスメイトにさせるのだ。
命令に背いた者は、される側に回る。それが1週間は続く。
今週は先月転校してきた杉原さんと私が選ばれたというわけだ。
杉原さんは、でも、完全に私の敵。
同情の余地なし。
だからと言って、彼女に報復できるわけではないけど。
周りのクラスメイトも南合が怖くて何も言えない。
庇って欲しいと思ったこともあったけど。
自分だって、やろうと思ってもできないから期待はしなかった。
転校生が目をつけられたのは、たぶん、ちょっと可愛いからだと思う。
だって、南合はブスには一切興味ないのか、話しかけすらしないのだ。
なので、南合のグループの女子は南合の気に入った女子しかいない。
南合マジで病院送りにしたい。
6: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 20:17:56.38 ID:9IglMqLM0
放課後。適当に入ったバスケ部をお腹が痛いのでと断ってズル休みした。
精神的にはけっこうお腹が痛くなってもおかしくないのに。
なぜか健康優良な体が激しく憎い。
私を病院送りにしたい。
家に帰る前に、いつものゲーセンに立ち寄った。
メダルとかシューティングとか色々古臭いのもあるけど、
やるのはただ一つだけ。
名前は知らないけど、瞬発力を測るゲーム。
100個くらいあるボタンが光るので、光った所を素早く手で押していくのだ。
一番最初は、仲の良かったクラスメイトと来ていたけど、
南合の最初の標的にされた私の唯一の友人は家に引きこもってしまった。
だから、今は一人でこれで遊んでいる。
最初は60代の瞬発力だったけど、今では30代に上がった。
そのうち、動いている蜂を捕まえることが出きるやもしれぬ。
精神的にはけっこうお腹が痛くなってもおかしくないのに。
なぜか健康優良な体が激しく憎い。
私を病院送りにしたい。
家に帰る前に、いつものゲーセンに立ち寄った。
メダルとかシューティングとか色々古臭いのもあるけど、
やるのはただ一つだけ。
名前は知らないけど、瞬発力を測るゲーム。
100個くらいあるボタンが光るので、光った所を素早く手で押していくのだ。
一番最初は、仲の良かったクラスメイトと来ていたけど、
南合の最初の標的にされた私の唯一の友人は家に引きこもってしまった。
だから、今は一人でこれで遊んでいる。
最初は60代の瞬発力だったけど、今では30代に上がった。
そのうち、動いている蜂を捕まえることが出きるやもしれぬ。
7: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 20:26:12.86 ID:9IglMqLM0
これのコツは、光ったと感じた瞬間にそっちの方向を見ずに直感で手をさっと出すこと。
そう説明した時、友人は理解不能だと表情で語られた。
だからね、こう、さっとね、と繰り返しても友人の結果は80代から変わらなかった。
二人で対戦するモードもある。
それは、けっこう楽しかった。
もう、やってない。
というか、できない。
このゲーム、20円でできるんだけどね。
経済的だし、健康的でいいゲームなんだけどね。
ばしばし、と今日もソロゲー。
なんか最高記録出そうな予感。
あ、ダメダメ余計なことは考えるな。
指先に集中し――。
「え、江梨香さん」
「ん?」
私はつい振り返ってしまった。
そう説明した時、友人は理解不能だと表情で語られた。
だからね、こう、さっとね、と繰り返しても友人の結果は80代から変わらなかった。
二人で対戦するモードもある。
それは、けっこう楽しかった。
もう、やってない。
というか、できない。
このゲーム、20円でできるんだけどね。
経済的だし、健康的でいいゲームなんだけどね。
ばしばし、と今日もソロゲー。
なんか最高記録出そうな予感。
あ、ダメダメ余計なことは考えるな。
指先に集中し――。
「え、江梨香さん」
「ん?」
私はつい振り返ってしまった。
8: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 20:31:04.07 ID:9IglMqLM0
振り返った5秒後くらいに、ブザーが空しく鳴った。
「あ」
目の前に杉原さんがいたことより、最高得点を逃したことがショックで、
その場にへたり込んだ。なんてこと。
今日の得点は40代だった。
「ごめんなさい……」
見上げる。
教室で謝った時のように、腰をかくんと曲げていた。
「あ、別にいいよ」
いいわけあるか。
これに人生かけてるんだから!
「20円だし……」
「あの、払うよ」
20円払って何とかなるって思うなんて。
どうかしてる。
「あ」
目の前に杉原さんがいたことより、最高得点を逃したことがショックで、
その場にへたり込んだ。なんてこと。
今日の得点は40代だった。
「ごめんなさい……」
見上げる。
教室で謝った時のように、腰をかくんと曲げていた。
「あ、別にいいよ」
いいわけあるか。
これに人生かけてるんだから!
「20円だし……」
「あの、払うよ」
20円払って何とかなるって思うなんて。
どうかしてる。
9: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 20:36:32.62 ID:9IglMqLM0
「いいよ。それより、何か用?」
「江梨香さんが入って行くの見えたから……それで、つい」
「南合のグループの奴らに見られたらさ、また何かされるよ」
私はもう少し続けたい気持ちを抑えて、鞄を掴んだ。
正直、今日はこの子と話す気分じゃない。
というか、よく話しかけてこれるなあ。
自分がいじめられてるって自覚ないのだろうか。
「きょ、今日の、あの、その」
彼女はまだ私を引き止めたいらしい。
「今日の?」
まさか、謝りに来たのか。
「喜んでもらえた?」
ううん?
ちょっと、今、このお嬢さんなんて言ったのよ。
「江梨香さんが入って行くの見えたから……それで、つい」
「南合のグループの奴らに見られたらさ、また何かされるよ」
私はもう少し続けたい気持ちを抑えて、鞄を掴んだ。
正直、今日はこの子と話す気分じゃない。
というか、よく話しかけてこれるなあ。
自分がいじめられてるって自覚ないのだろうか。
「きょ、今日の、あの、その」
彼女はまだ私を引き止めたいらしい。
「今日の?」
まさか、謝りに来たのか。
「喜んでもらえた?」
ううん?
ちょっと、今、このお嬢さんなんて言ったのよ。
10: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 20:42:25.86 ID:9IglMqLM0
私が呆気にとられていると、また、ごめんなさいと謝った。
「喜ぶって、キスのこと、言ってる?」
私は自分の言葉を疑わし気に吐いた。
「うん」
うん、じゃないよ。うん、じゃ。
え、じゃ、なに?
あれは、私が喜ぶと思ってやったの?
南合の命令とかではなくて?
「南合さんが、そしたら友だちになってくれるよーって……」
「え、バカ? バカなの?」
「ち、違った?」
急に慌てた様子。
待って、これじゃあ私が悪いみたい。
なんで、そんな恥ずかしそうな顔を、今さらする?
「おかしいでしょ? 普通に考えて、あり得ないでしょ?」
「そ、そうだね」
嘘臭いへらへら笑いをした。
こいつは、本気で信じていた口だ。
「喜ぶって、キスのこと、言ってる?」
私は自分の言葉を疑わし気に吐いた。
「うん」
うん、じゃないよ。うん、じゃ。
え、じゃ、なに?
あれは、私が喜ぶと思ってやったの?
南合の命令とかではなくて?
「南合さんが、そしたら友だちになってくれるよーって……」
「え、バカ? バカなの?」
「ち、違った?」
急に慌てた様子。
待って、これじゃあ私が悪いみたい。
なんで、そんな恥ずかしそうな顔を、今さらする?
「おかしいでしょ? 普通に考えて、あり得ないでしょ?」
「そ、そうだね」
嘘臭いへらへら笑いをした。
こいつは、本気で信じていた口だ。
11: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 20:51:14.91 ID:9IglMqLM0
「地域によって、友だちの作り方違うのかなって……思って」
「あんたは、アマゾンの奥地からの帰国子女なの?」
彼女は素早く首を振った。
「そんなんじゃないけど」
頭がスポンジできているのかな。
関わるとろくなことにならなさそう。
「あの、悪いけど、私あなたと友だちになる予定はないです……」
申し訳なさそうなのが伝わるようにか細い声で言った。
こんな変な人と友だちになりたくない。
あと、いじめ反対。
「あんたは、アマゾンの奥地からの帰国子女なの?」
彼女は素早く首を振った。
「そんなんじゃないけど」
頭がスポンジできているのかな。
関わるとろくなことにならなさそう。
「あの、悪いけど、私あなたと友だちになる予定はないです……」
申し訳なさそうなのが伝わるようにか細い声で言った。
こんな変な人と友だちになりたくない。
あと、いじめ反対。
12: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 20:59:42.54 ID:9IglMqLM0
「じゃ」
「江梨香さんっ」
まだ何か言いたそうだった空気を読まずに、私は逃げるようにゲーセンを後にした。
良い子なんだろう。
180度振り切った感じの。
家に帰って、思い出したように私は顔を洗った。
夕食後は、引きこもった友だちのツイッターを確認。
『生きてる』。
とかって、危うい呟きを毎晩一回だけこいつはしていた。
ツイッターのアカウント名は、『ひきた天功』。
なら、さっさとそこから出て来いと言いたい。
友の生存確認を終え、ベッドへどさりと転がった。
そういえば、あの子、私と友だちになりたかったの?
まさかね。
「江梨香さんっ」
まだ何か言いたそうだった空気を読まずに、私は逃げるようにゲーセンを後にした。
良い子なんだろう。
180度振り切った感じの。
家に帰って、思い出したように私は顔を洗った。
夕食後は、引きこもった友だちのツイッターを確認。
『生きてる』。
とかって、危うい呟きを毎晩一回だけこいつはしていた。
ツイッターのアカウント名は、『ひきた天功』。
なら、さっさとそこから出て来いと言いたい。
友の生存確認を終え、ベッドへどさりと転がった。
そういえば、あの子、私と友だちになりたかったの?
まさかね。
13: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 21:08:18.03 ID:9IglMqLM0
たぶん『友だち』って言う呼称の別の何かと勘違いしてるんだ。
自分でも何言ってるのか分からないけど。
きっとそう。
あー、明日も憂鬱。
帰りにゲーセン寄ろう。
いや、部活行かないと怒られる。
やっぱり、部活。
でも、バレー部の南合が隣のコートにいるのは憂鬱。
視界に入れないように気をつけよう。
「ああー……」
高校ってこんな狭苦しいとこだったかなあ。
別にここで生きてるわけじゃないけど。
綺麗な空気を吸いたい。
自分でも何言ってるのか分からないけど。
きっとそう。
あー、明日も憂鬱。
帰りにゲーセン寄ろう。
いや、部活行かないと怒られる。
やっぱり、部活。
でも、バレー部の南合が隣のコートにいるのは憂鬱。
視界に入れないように気をつけよう。
「ああー……」
高校ってこんな狭苦しいとこだったかなあ。
別にここで生きてるわけじゃないけど。
綺麗な空気を吸いたい。
14: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 21:17:20.82 ID:9IglMqLM0
翌日。キスはなかった。
代わりに、私の隣の席に杉原さんが座っていた。
そこは南合の席だったはずだけど。
私は数秒程杉原さんの顔を凝視していた。
「あの、教科書忘れて」
杉原さんが、へらへらと言った。
杉原さんの席を見た。
南合が座っていた。
あの、一体何を企んでるの?
と、言うこともできない。
私は溜息を小さく吐いて、教科書を広げた。
南合の笑い声が背中を舐めた。
何がおかしいの。
先生には聞こえないのか、授業が続く。
杉原さんを横目で確認。
こっちを見ていた。
目が合った。
へらへら笑っていた。
グーパンしたかった。
代わりに、私の隣の席に杉原さんが座っていた。
そこは南合の席だったはずだけど。
私は数秒程杉原さんの顔を凝視していた。
「あの、教科書忘れて」
杉原さんが、へらへらと言った。
杉原さんの席を見た。
南合が座っていた。
あの、一体何を企んでるの?
と、言うこともできない。
私は溜息を小さく吐いて、教科書を広げた。
南合の笑い声が背中を舐めた。
何がおかしいの。
先生には聞こえないのか、授業が続く。
杉原さんを横目で確認。
こっちを見ていた。
目が合った。
へらへら笑っていた。
グーパンしたかった。
15: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 21:29:15.79 ID:9IglMqLM0
授業後に、南合に捕まった。
女子トイレ。
個室に入る前に、捕まった。
トイレに行かせて欲しかった。
「……」
相変わらず、私は無言。
「教科書見せてあげるなんて優しいね」
まあ。
「うちの親が言ってたんだけどさ、あの子のお父さん人刺してるんだって」
うん。
何、刺身?
私は俯いたまま――いや、驚いて顔を上げてしまった。
女子トイレ。
個室に入る前に、捕まった。
トイレに行かせて欲しかった。
「……」
相変わらず、私は無言。
「教科書見せてあげるなんて優しいね」
まあ。
「うちの親が言ってたんだけどさ、あの子のお父さん人刺してるんだって」
うん。
何、刺身?
私は俯いたまま――いや、驚いて顔を上げてしまった。
16: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 21:43:06.21 ID:9IglMqLM0
言葉の意味が時間差で理解される。
「やっと顔上げた」
南合の釣り目が視界に入った。
今日は視界に入れないDayにしたかったのに。最悪。
「うちのお父さんと悠のお父さん、同級生らしくって。ほんと、偶然らしいけど。一回さ捕まってるんだって。怖くない? しかも、女関係の恨みとからしいよ」
「へ、へえ」
さすがに動揺した。
南合は私の反応に満足したようで、にやりと笑った。
「だからさ、転校してきたんだよあの子。仲良くしてあげないと、後ろから刺されるかもよ」
それは確実に私ではなく、お前だよ。
「気をつける……」
「お父さんが犯罪者だってばらされたくなかったら、私の友だちになってって言ったら、悠さ、すぐにうんって言ってくれたの」
何が言いたいのか。
「江梨香も早く素直になってよね」
「あのさっ」
私は、やっと南合の話に割って入ることに成功した。
南合と顔を合わせることができず、鏡を横目で見た。
南合は私の前頭部辺りを見ている。
「トイレ、行きたいから」
尻すぼみになっていく言葉。
どうして堂々と言えないんだろう。
「ああ、ごめんごめん」
南合は私の腕を離して、スカートを翻した。
「やっと顔上げた」
南合の釣り目が視界に入った。
今日は視界に入れないDayにしたかったのに。最悪。
「うちのお父さんと悠のお父さん、同級生らしくって。ほんと、偶然らしいけど。一回さ捕まってるんだって。怖くない? しかも、女関係の恨みとからしいよ」
「へ、へえ」
さすがに動揺した。
南合は私の反応に満足したようで、にやりと笑った。
「だからさ、転校してきたんだよあの子。仲良くしてあげないと、後ろから刺されるかもよ」
それは確実に私ではなく、お前だよ。
「気をつける……」
「お父さんが犯罪者だってばらされたくなかったら、私の友だちになってって言ったら、悠さ、すぐにうんって言ってくれたの」
何が言いたいのか。
「江梨香も早く素直になってよね」
「あのさっ」
私は、やっと南合の話に割って入ることに成功した。
南合と顔を合わせることができず、鏡を横目で見た。
南合は私の前頭部辺りを見ている。
「トイレ、行きたいから」
尻すぼみになっていく言葉。
どうして堂々と言えないんだろう。
「ああ、ごめんごめん」
南合は私の腕を離して、スカートを翻した。
17: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 21:51:09.30 ID:9IglMqLM0
彼女がいなくなってから、奥の個室で水が流れた。
さっきの会話聞かれただろうか。
まあ、どうでもいい。
私には関係ない。
どうでも――。
個室の扉が開いた。
出て来たのは、杉原さんだった。
「あ」
私は狼狽えた。
罪悪感。
待て、私は聞いただけで、何もしてない。
勘違いだ。
普通通りでオッケ。
「聞こえた?」
なんで確認しちゃってるの私。
「うん」
ごめん、と言うのも違う。
何も言うべきじゃない。
何も分からないのだから。
私は、真実かどうかも不明なことを聞いただけ。
曖昧なもの。
さっきの会話聞かれただろうか。
まあ、どうでもいい。
私には関係ない。
どうでも――。
個室の扉が開いた。
出て来たのは、杉原さんだった。
「あ」
私は狼狽えた。
罪悪感。
待て、私は聞いただけで、何もしてない。
勘違いだ。
普通通りでオッケ。
「聞こえた?」
なんで確認しちゃってるの私。
「うん」
ごめん、と言うのも違う。
何も言うべきじゃない。
何も分からないのだから。
私は、真実かどうかも不明なことを聞いただけ。
曖昧なもの。
18: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 21:57:33.78 ID:9IglMqLM0
「ごめんなさい」
杉原さんが腰を90度にして謝った。
「え、なんで」
「友だち……って、あの」
「脅されてしたんでしょ」
そんなことだと思った。
酷い理由だけど。
彼女は恐る恐る顔を上げた。
いつもよりもへらってないけど、笑っていた。
どういう神経してんの。
「分かってたし」
杉原さんの横を通り抜けて、個室に入った。
携帯を素早く出して、友だちのツイッターを見た。
『生きてる』。
それをチャイムが鳴るまでずっと眺めていた。
杉原さんが腰を90度にして謝った。
「え、なんで」
「友だち……って、あの」
「脅されてしたんでしょ」
そんなことだと思った。
酷い理由だけど。
彼女は恐る恐る顔を上げた。
いつもよりもへらってないけど、笑っていた。
どういう神経してんの。
「分かってたし」
杉原さんの横を通り抜けて、個室に入った。
携帯を素早く出して、友だちのツイッターを見た。
『生きてる』。
それをチャイムが鳴るまでずっと眺めていた。
19: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 22:03:52.24 ID:9IglMqLM0
今日一日、杉原さんはずっと私の隣にいた。
南合の目のない所で、私はこっそりと尋ねた。
「あのさ、今日もしかして一日中隣にいろって言われてるの?」
杉原さんは音もなく頷いた。
おーおー。
あの女。
無茶苦茶言って。
お昼ご飯はいつも中庭に行って食べる私は、彼女に尋ねた。
「弁当? 購買?」
彼女はお弁当をそっと取り出し、へらっと笑った。
外に出て、いつものベンチに腰掛けた。
特に喋ることもないので、自然無言。
「……」
気まずい。
外の陽気も淀みそうな気まずさ。
南合の目のない所で、私はこっそりと尋ねた。
「あのさ、今日もしかして一日中隣にいろって言われてるの?」
杉原さんは音もなく頷いた。
おーおー。
あの女。
無茶苦茶言って。
お昼ご飯はいつも中庭に行って食べる私は、彼女に尋ねた。
「弁当? 購買?」
彼女はお弁当をそっと取り出し、へらっと笑った。
外に出て、いつものベンチに腰掛けた。
特に喋ることもないので、自然無言。
「……」
気まずい。
外の陽気も淀みそうな気まずさ。
20: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 22:13:10.77 ID:9IglMqLM0
仲良くなりたいわけじゃない。
とりあえず、社交辞令として喋る言葉を探した。
その間に、
「江梨香さん、私のお父さん……あれ、本当のことなの」
と補足説明をしてくれた。
「あ、そ、そう」
「でも、刺さないから、私」
「う、うん」
声はわずかに震えていたように思う。
太陽も逃げ出したくなる淀みが漂っていた。
「あ、でも、南合は全然オッケーていうか……」
私は口を抑えた。
杉原さんは目を少し見開いて、箸で掴んでいたブロッコリーを落下させていた。
とりあえず、社交辞令として喋る言葉を探した。
その間に、
「江梨香さん、私のお父さん……あれ、本当のことなの」
と補足説明をしてくれた。
「あ、そ、そう」
「でも、刺さないから、私」
「う、うん」
声はわずかに震えていたように思う。
太陽も逃げ出したくなる淀みが漂っていた。
「あ、でも、南合は全然オッケーていうか……」
私は口を抑えた。
杉原さんは目を少し見開いて、箸で掴んでいたブロッコリーを落下させていた。
21: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 22:26:01.06 ID:9IglMqLM0
杉原さんと多少話している内に、彼女のことが何となくわかってきた。
私と同じで気弱な性格みたい。
孤立するのが怖くて、南合に引っ付いてみたものの、
逆に利用されてしまい、困惑しているらしい。
おまけに脅される始末。
つくづく、この子は運がないなと話を聞いていて思った。
南合は何を考えているのか、杉原さんをいつまでも放置していた。
私自身は杉原さんのことを段々と憎めなくなっていたけれど、慣れただけかな。
いつまでも一緒にいたい訳ではなかった。
なにせ、いつ南合の遊戯のダシに使われるか分かったものではないから。
仲良くなって、仲違いさせられたら嫌だし。
だから、私は彼女にある程度距離を置いて話すよう意識した。
杉原さんはそれに気づいていないようだったけど。
あえて言うこともない。
私と同じで気弱な性格みたい。
孤立するのが怖くて、南合に引っ付いてみたものの、
逆に利用されてしまい、困惑しているらしい。
おまけに脅される始末。
つくづく、この子は運がないなと話を聞いていて思った。
南合は何を考えているのか、杉原さんをいつまでも放置していた。
私自身は杉原さんのことを段々と憎めなくなっていたけれど、慣れただけかな。
いつまでも一緒にいたい訳ではなかった。
なにせ、いつ南合の遊戯のダシに使われるか分かったものではないから。
仲良くなって、仲違いさせられたら嫌だし。
だから、私は彼女にある程度距離を置いて話すよう意識した。
杉原さんはそれに気づいていないようだったけど。
あえて言うこともない。
22: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 22:37:45.01 ID:9IglMqLM0
その日は部活にちゃんと出て、汗だくになった体でゲーセンに向かった。
100円を10円に両替して、お気に入りのゲームに20円を入れた。
深呼吸して、ボタンに向かって何も考えずに直感で手を伸ばしていく。
久しぶりにやるけど、思考がだんだんクリアになっていく。
これは、高得点が狙えそう。
ラスト2秒。1秒。
そして、最後のラッキータイム。
得点は――過去最高!
「っしゃ」
パチパチ、と拍手。
え。
「すごい……。この間、私80代だった」
「杉原さん」
「あ、ごめんなさい」
また、謝ってる。
「もしかして、着けてきた?」
「う、うん」
「なんで」
「私、江梨香さんの友だちになりたくて」
「それさ、一応忠告しておくけど、南合の思うつぼだよ? 仲良くなって、後でまた壊されたりしたらたまんないでしょ」
「その時は私が……」
私が?
「ううん……」
言いかけて止める。
どうしたんだろう。
100円を10円に両替して、お気に入りのゲームに20円を入れた。
深呼吸して、ボタンに向かって何も考えずに直感で手を伸ばしていく。
久しぶりにやるけど、思考がだんだんクリアになっていく。
これは、高得点が狙えそう。
ラスト2秒。1秒。
そして、最後のラッキータイム。
得点は――過去最高!
「っしゃ」
パチパチ、と拍手。
え。
「すごい……。この間、私80代だった」
「杉原さん」
「あ、ごめんなさい」
また、謝ってる。
「もしかして、着けてきた?」
「う、うん」
「なんで」
「私、江梨香さんの友だちになりたくて」
「それさ、一応忠告しておくけど、南合の思うつぼだよ? 仲良くなって、後でまた壊されたりしたらたまんないでしょ」
「その時は私が……」
私が?
「ううん……」
言いかけて止める。
どうしたんだろう。
24: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 23:10:14.07 ID:9IglMqLM0
「あ、刺すの?」
「違うよっ」
頭を犬みたいに左右に振った。
「私が、なんとかそうならないように頑張る」
「それは、頑張ってください……」
我ながら他人任せ。
私が納得してないと分かったのだろう。
彼女は切り口を変えて、
「じゃあ、ここでだけでいい、から」
「ゲーセン?」
「うん」
私の聖域で、誰かと一緒にいるって苦痛なんだけど。
うんともすんとも。
でも、正直に言わないと今後困るのは自分だ。
「ここでってのは無理」
杉原さんは明らかにショックを受けた顔をした。
「杉原さん家」
「え」
「杉原さんの家限定、でどう?」
「気にしてないの?」
「何を?」
「あ…ううん。それでいいなら」
何とかプライバシーを保護できた。
「違うよっ」
頭を犬みたいに左右に振った。
「私が、なんとかそうならないように頑張る」
「それは、頑張ってください……」
我ながら他人任せ。
私が納得してないと分かったのだろう。
彼女は切り口を変えて、
「じゃあ、ここでだけでいい、から」
「ゲーセン?」
「うん」
私の聖域で、誰かと一緒にいるって苦痛なんだけど。
うんともすんとも。
でも、正直に言わないと今後困るのは自分だ。
「ここでってのは無理」
杉原さんは明らかにショックを受けた顔をした。
「杉原さん家」
「え」
「杉原さんの家限定、でどう?」
「気にしてないの?」
「何を?」
「あ…ううん。それでいいなら」
何とかプライバシーを保護できた。
25: ◆/BueNLs5lw 2016/09/22(木) 23:23:04.57 ID:9IglMqLM0
急にやってきて、いじめの対象になって、お友だちごっこをしたがる杉原さん。
ちょっと辟易。
私は今のままでも良かった。
ツイッターでたまに生存報告する友だちがいればそれで。
杉原さんの家に行かなければ、今まで通りの生活を送れる。
そ、行かなければいい。
ゲーセンの帰りに、彼女に誘われたけど、今日は用があるからと断った。
それからも何度か誘われたけど、私は拒み続けた。
また、壊されたりしたらたまんないでしょ。
ちょっと辟易。
私は今のままでも良かった。
ツイッターでたまに生存報告する友だちがいればそれで。
杉原さんの家に行かなければ、今まで通りの生活を送れる。
そ、行かなければいい。
ゲーセンの帰りに、彼女に誘われたけど、今日は用があるからと断った。
それからも何度か誘われたけど、私は拒み続けた。
また、壊されたりしたらたまんないでしょ。
29: ◆/BueNLs5lw 2016/09/24(土) 22:09:45.66 ID:kCGleMOQ0
杉原さんの誘いを断り続けた結果。
何が起こったかと言うと、南合がしゃしゃり出てきた。
「ね、江梨香、ゆうの誘い断り続けてるんだって?」
「……」
私は何も言わず首を縦に小さく動かした。
それが、どうした。
「ひっどーい。ゆうは、江梨香の友だちになりたいって言ってるのにさ。あんた、刺されるよ?」
南合は教室中に聞こえるように、わざと大声で言った。
私とゆうどちらも支配しようとしているのが見え見えだっつーの。
「あ、あの南合さん、私そんなに気にしてないよ……」
ゆうが遠慮がちに笑った。
「えー、気にしてないって顔じゃないじゃん?」
「そう、かな……」
「そうだよー。傷ついたなら、ちゃんと言わなきゃさ」
目の前で行われる茶番をひっくり返せたらどんなに気持ちが良かったか。
そんなどんでん返しができる訳もなく、
「……今日、空いてるから」
私は、低い声で唸った。
何が起こったかと言うと、南合がしゃしゃり出てきた。
「ね、江梨香、ゆうの誘い断り続けてるんだって?」
「……」
私は何も言わず首を縦に小さく動かした。
それが、どうした。
「ひっどーい。ゆうは、江梨香の友だちになりたいって言ってるのにさ。あんた、刺されるよ?」
南合は教室中に聞こえるように、わざと大声で言った。
私とゆうどちらも支配しようとしているのが見え見えだっつーの。
「あ、あの南合さん、私そんなに気にしてないよ……」
ゆうが遠慮がちに笑った。
「えー、気にしてないって顔じゃないじゃん?」
「そう、かな……」
「そうだよー。傷ついたなら、ちゃんと言わなきゃさ」
目の前で行われる茶番をひっくり返せたらどんなに気持ちが良かったか。
そんなどんでん返しができる訳もなく、
「……今日、空いてるから」
私は、低い声で唸った。
30: ◆/BueNLs5lw 2016/09/24(土) 22:36:18.02 ID:kCGleMOQ0
少し肌寒くなってきた帰り道。
まるで、後ろから南合に監視されているような圧迫感。
不快。
振り返っても、誰もいないと知っているけど。
「杉原さんさ」
「あ、ゆうでいいよ」
「……ゆうはさ、腹立ったりしないの」
「南合さん?」
「うん」
良かった。
南合って通じた。
「……そういうのはないけど」
ないの?
驚いた。
「前のとこよりもだいぶマシだから……いいかなって」
「前って、前の高校?」
「うん、それも含めて」
「へえ……」
地雷踏んだ。
重苦しい。
まるで、後ろから南合に監視されているような圧迫感。
不快。
振り返っても、誰もいないと知っているけど。
「杉原さんさ」
「あ、ゆうでいいよ」
「……ゆうはさ、腹立ったりしないの」
「南合さん?」
「うん」
良かった。
南合って通じた。
「……そういうのはないけど」
ないの?
驚いた。
「前のとこよりもだいぶマシだから……いいかなって」
「前って、前の高校?」
「うん、それも含めて」
「へえ……」
地雷踏んだ。
重苦しい。
31: ◆/BueNLs5lw 2016/09/24(土) 22:58:38.06 ID:kCGleMOQ0
と、感じているのは私だけだろうか。
なにせ、彼女は一切迷惑そうな顔をしていないのだ。
ただ、前に何があったか深くは聞けなかった。
まあ、それで良かったと思う。
彼女に感情移入したくないし。
「ここ、お家」
木造平屋。
同じような家がいくつか並んでいる。
ポストだけは、やたらオシャレ。
ヨーロッパとかにありそうなの。
玄関を開けると、靴が無かったので、誰もいないのかと思ったけど奥の方から足音。
「ただいま」
「おかえり、ゆう」
母親かな。
白髪交じりで、60代後半くらい。
少し背中が丸くなってる。
右ひざが痛いのか、歩きずらそうに引きずっていた。
「ただいま、おばあちゃん」
あ、おばあちゃんね。
やたら老けてると思った。
「どなた?」
おばあちゃんが尋ねた。
「同じクラスの江梨香さん」
「そうかい、ゆう、冷蔵庫の奥にケーキあるから切って出してあげなさい」
「うん」
ゆうは、私の足元にスリッパを出して、パタパタと奥へ向かった。
姿が消えてから、
「あ、玄関の右側私の部屋だからね」
と声が聞こえた。
なにせ、彼女は一切迷惑そうな顔をしていないのだ。
ただ、前に何があったか深くは聞けなかった。
まあ、それで良かったと思う。
彼女に感情移入したくないし。
「ここ、お家」
木造平屋。
同じような家がいくつか並んでいる。
ポストだけは、やたらオシャレ。
ヨーロッパとかにありそうなの。
玄関を開けると、靴が無かったので、誰もいないのかと思ったけど奥の方から足音。
「ただいま」
「おかえり、ゆう」
母親かな。
白髪交じりで、60代後半くらい。
少し背中が丸くなってる。
右ひざが痛いのか、歩きずらそうに引きずっていた。
「ただいま、おばあちゃん」
あ、おばあちゃんね。
やたら老けてると思った。
「どなた?」
おばあちゃんが尋ねた。
「同じクラスの江梨香さん」
「そうかい、ゆう、冷蔵庫の奥にケーキあるから切って出してあげなさい」
「うん」
ゆうは、私の足元にスリッパを出して、パタパタと奥へ向かった。
姿が消えてから、
「あ、玄関の右側私の部屋だからね」
と声が聞こえた。
32: ◆/BueNLs5lw 2016/09/24(土) 23:08:27.45 ID:kCGleMOQ0
「お邪魔します」
言って、靴を脱ぎかけた所で、おばあちゃんが私の両肩に手を置いた。
「悪いことは、言わん。帰り」
「え」
「ゆうには上手く言っておくから、はよ帰り」
ぐいぐいと体を押された。
「ちょ、ちょっと、あの」
こっちだって来たくて来たわけじゃない。
だからって、この対応は想定外。
「離してください、なんでですか」
帰れと言うならそれはもう喜んで帰るけどさ。
やれ行け、やれ来い、さあ帰れとなるとさすがにやり切れない。
言って、靴を脱ぎかけた所で、おばあちゃんが私の両肩に手を置いた。
「悪いことは、言わん。帰り」
「え」
「ゆうには上手く言っておくから、はよ帰り」
ぐいぐいと体を押された。
「ちょ、ちょっと、あの」
こっちだって来たくて来たわけじゃない。
だからって、この対応は想定外。
「離してください、なんでですか」
帰れと言うならそれはもう喜んで帰るけどさ。
やれ行け、やれ来い、さあ帰れとなるとさすがにやり切れない。
33: ◆/BueNLs5lw 2016/09/24(土) 23:33:05.44 ID:kCGleMOQ0
「あの子に、友だちはいらん」
「友だちとかじゃなくて、ただのクラスメイトです」
「同じことよ」
同じじゃないし。
その間の壁は厚い。
「だから」
「何か企んどるんやろ」
「はい?」
「あの子の連れてくる子は、ろくなのがおらん。目が腐っとる」
失礼なばあさんだな。
「友だちとかじゃなくて、ただのクラスメイトです」
「同じことよ」
同じじゃないし。
その間の壁は厚い。
「だから」
「何か企んどるんやろ」
「はい?」
「あの子の連れてくる子は、ろくなのがおらん。目が腐っとる」
失礼なばあさんだな。
34: ◆/BueNLs5lw 2016/09/25(日) 00:17:07.54 ID:d4YmaynD0
向きになって、ばあさんの言うことを否定する理由はない。
が、ばあさんの言葉にささくれ立っている自分もいる。
「おばあちゃん、ケーキ切れたよ」
ケーキを二つ、それと紅茶を二つ盆に乗せたゆうが言った。
「ああ、はいはい」
ばあさんが返事する。
「お邪魔します」
私はばあさんの横を通り、ゆうの部屋の扉を開けてやる。
「ありがとう、江梨香さん」
ゆうの後に続いて、私は彼女の部屋に滑り込んだ。
が、ばあさんの言葉にささくれ立っている自分もいる。
「おばあちゃん、ケーキ切れたよ」
ケーキを二つ、それと紅茶を二つ盆に乗せたゆうが言った。
「ああ、はいはい」
ばあさんが返事する。
「お邪魔します」
私はばあさんの横を通り、ゆうの部屋の扉を開けてやる。
「ありがとう、江梨香さん」
ゆうの後に続いて、私は彼女の部屋に滑り込んだ。
36: ◆/BueNLs5lw 2016/09/25(日) 17:07:00.58 ID:d4YmaynD0
ばあさんの怪訝そうな顔を肩越しに見やって、素早く扉を閉めた。
「どうしたの?」
ゆうが首を傾げた。
「変なばあさん」
「おばあちゃん? ちょっと、頑固な所あるけど優しいよ」
ショートケーキを私の前に差し出しながら、ゆうは言った。
「ろくなのじゃない、目が腐ってるって言われた」
確かに超絶美人ってわけではないけど、
初対面でそこまでボロクソに言われたことはない。
「ええっ……また」
「また?」
「家に誰か連れてくると、だいたいそうやって……門前払いされた子もいて」
「あんたのことが大切なんでしょーよ」
「私は、大丈夫だって思ってお家に来てもらってるんだけど、なかなか信じてもらえなくて」
「ゆうさ、学校でのことちゃんと話してるの?」
「それは、話してないけど」
「じゃあ、いつまでも心配し続けるだけかもね」
こんなに騙され易いんだから、おばあさんの態度にも頷けてしまう。
「どうしたの?」
ゆうが首を傾げた。
「変なばあさん」
「おばあちゃん? ちょっと、頑固な所あるけど優しいよ」
ショートケーキを私の前に差し出しながら、ゆうは言った。
「ろくなのじゃない、目が腐ってるって言われた」
確かに超絶美人ってわけではないけど、
初対面でそこまでボロクソに言われたことはない。
「ええっ……また」
「また?」
「家に誰か連れてくると、だいたいそうやって……門前払いされた子もいて」
「あんたのことが大切なんでしょーよ」
「私は、大丈夫だって思ってお家に来てもらってるんだけど、なかなか信じてもらえなくて」
「ゆうさ、学校でのことちゃんと話してるの?」
「それは、話してないけど」
「じゃあ、いつまでも心配し続けるだけかもね」
こんなに騙され易いんだから、おばあさんの態度にも頷けてしまう。
37: ◆/BueNLs5lw 2016/09/25(日) 17:27:59.88 ID:d4YmaynD0
「すれ違ってるなって感じるけど、私は騙されたなんて思ったことないよ」
「思わないようにしてるだけじゃないの?」
そんなの、悪意に向き合いたくなくて、逃げてるんじゃない。
「南合さんは……こんな私にも話しかけてくれる、傍にいてくれる。それだけでありがたいことだもん……それだけで。戸惑うこともあるけど、些細なことだから。お父さんが家にいられなくなってしまった時より、私……すごく居心地いい」
あの状況を居心地がいいなんて。
頷けずに、言い返す言葉もなく、私は紅茶を一口飲んだ。
でも、それってこの家庭の、この子の問題。
何も迷っていないならいいじゃない。
そもそも、私は干渉するつもりはなかったし、
私自身そんな余裕は――ない。
「ねえねえ」
「なに」
「江梨香さんは、どうして南合さんのこと避けるようになったの?」
普通の人は、あの女に近づきたいって思わないんだって。
「私は……」
ゆうが私の顔をじっと見ていた。
「大切な友だちを壊されたから……」
携帯を握りしめる。
みしりと音を立てた。
「前も、言ってたよね? 壊すって?」
「聞いたって胸くそ悪いだけよ」
「思わないようにしてるだけじゃないの?」
そんなの、悪意に向き合いたくなくて、逃げてるんじゃない。
「南合さんは……こんな私にも話しかけてくれる、傍にいてくれる。それだけでありがたいことだもん……それだけで。戸惑うこともあるけど、些細なことだから。お父さんが家にいられなくなってしまった時より、私……すごく居心地いい」
あの状況を居心地がいいなんて。
頷けずに、言い返す言葉もなく、私は紅茶を一口飲んだ。
でも、それってこの家庭の、この子の問題。
何も迷っていないならいいじゃない。
そもそも、私は干渉するつもりはなかったし、
私自身そんな余裕は――ない。
「ねえねえ」
「なに」
「江梨香さんは、どうして南合さんのこと避けるようになったの?」
普通の人は、あの女に近づきたいって思わないんだって。
「私は……」
ゆうが私の顔をじっと見ていた。
「大切な友だちを壊されたから……」
携帯を握りしめる。
みしりと音を立てた。
「前も、言ってたよね? 壊すって?」
「聞いたって胸くそ悪いだけよ」
38: ◆/BueNLs5lw 2016/09/25(日) 17:36:39.32 ID:d4YmaynD0
「私にも教えて欲しい」
「やだ」
「お願い」
「そこはさ、言いたくないことならいいよって遠慮する所じゃない?」
「遠慮しないのが、私の良い所なんだ」
「自分で言うかな」
「えへへ」
水に浸かったトイレットペーパーみたいな顔で憎たらしい微笑みを見せる。
言うくらいはタダか。
はあ。
「聞いた後で、同情くさい言葉を言ったら殴るから」
「うん」
「やだ」
「お願い」
「そこはさ、言いたくないことならいいよって遠慮する所じゃない?」
「遠慮しないのが、私の良い所なんだ」
「自分で言うかな」
「えへへ」
水に浸かったトイレットペーパーみたいな顔で憎たらしい微笑みを見せる。
言うくらいはタダか。
はあ。
「聞いた後で、同情くさい言葉を言ったら殴るから」
「うん」
39: ◆/BueNLs5lw 2016/09/25(日) 18:04:04.73 ID:d4YmaynD0
同情を買うために話すわけではない。
でも今のそういうフリみたいになってたら嫌だな。
「南合とさ、私の最初の友だち――天子って言うんだけど、二人は付き合ってたの」
天子(てんこ)。
あんたの話するけど、どうせ出てこないから関係ないでしょ。
「南合はもともと女王様気質な所があって、天子は性格的に下僕っぽい感じだったから、噛み合ったんでしょうね。付き合い始めた時は不安しかなかったけど、二人の話を聞いてる内に、ちゃんと青春してるんだって思うようになった。女子高だし、女同士でって珍しい話ではないから、周りもそれほど囃し立てたりはしなかった。順調に仲を深めてる、そう私も思ってた」
ゆうはいつの間にか、正座していた。
「でも、南合がある日急に取り巻きを作るようになって、天子もその一員だとかって言い始めた。南合はさ、一人じゃ満足できなかったんだよ。天子は南合だけだったのに。天子は南合に愛想を尽かすことはなかったけど、距離を取った。それがいけなかった。南合は天子に嫌われたと思ったのか、天子を徹底的に叩いた。天子はもともと南合に逆らえるタイプじゃなかったし、教室に入れなくなるまでそう時間はかからなかったよ。今じゃ、私の友だちは立派に引きこもってるってわけ。そういうのもあって、南合と話をするのも同じ部屋にいるのも正直嫌だし、南合と一緒にいるあんたも嫌」
ゆうは小さく頷いた。
「天子には早く学校に戻って来てほしいけど、南合を消すくらいしないとね。そうそう、南合を刺して欲しいって言うの、あれ本当だから」
私は言い終えて、ケーキを一口食べた。
いちごが甘酸っぱい。
「これ、美味しい」
でも今のそういうフリみたいになってたら嫌だな。
「南合とさ、私の最初の友だち――天子って言うんだけど、二人は付き合ってたの」
天子(てんこ)。
あんたの話するけど、どうせ出てこないから関係ないでしょ。
「南合はもともと女王様気質な所があって、天子は性格的に下僕っぽい感じだったから、噛み合ったんでしょうね。付き合い始めた時は不安しかなかったけど、二人の話を聞いてる内に、ちゃんと青春してるんだって思うようになった。女子高だし、女同士でって珍しい話ではないから、周りもそれほど囃し立てたりはしなかった。順調に仲を深めてる、そう私も思ってた」
ゆうはいつの間にか、正座していた。
「でも、南合がある日急に取り巻きを作るようになって、天子もその一員だとかって言い始めた。南合はさ、一人じゃ満足できなかったんだよ。天子は南合だけだったのに。天子は南合に愛想を尽かすことはなかったけど、距離を取った。それがいけなかった。南合は天子に嫌われたと思ったのか、天子を徹底的に叩いた。天子はもともと南合に逆らえるタイプじゃなかったし、教室に入れなくなるまでそう時間はかからなかったよ。今じゃ、私の友だちは立派に引きこもってるってわけ。そういうのもあって、南合と話をするのも同じ部屋にいるのも正直嫌だし、南合と一緒にいるあんたも嫌」
ゆうは小さく頷いた。
「天子には早く学校に戻って来てほしいけど、南合を消すくらいしないとね。そうそう、南合を刺して欲しいって言うの、あれ本当だから」
私は言い終えて、ケーキを一口食べた。
いちごが甘酸っぱい。
「これ、美味しい」
40: ◆/BueNLs5lw 2016/09/25(日) 18:20:40.93 ID:d4YmaynD0
「南合が消えれば、あの教室には平和が訪れるって信じてる。友達は毎晩自分のツイッターに生存報告するの。天子はこのままずっとそんな生活を送るのかなって考えたら――」
考えたら、やっぱり殺意しか沸かないよね。
「――考え始めたら、南合のこと考えてたらヤバいことばっかり思いついてさ。だから、関わらないように、考えないようにしてる。南合からしたら、下僕の友だちは下僕みたいな感覚かもしんない。でも、私、下手したら……いつヤッちゃってもおかしくない」
生クリームを飲み込んだ。
喉がやたら乾く。
紅茶をまたすすった。
こんなこと、吐き出して。
ビビっただろうか。
「こういう思考って、きっと誰だって持ってるんだろうね。あんたの親と比較しちゃ悪いけど。それを取り出すきっかけがあるかないかだけで、魔が差すってことは普通の女子高生にだって訪れる」
考えたら、やっぱり殺意しか沸かないよね。
「――考え始めたら、南合のこと考えてたらヤバいことばっかり思いついてさ。だから、関わらないように、考えないようにしてる。南合からしたら、下僕の友だちは下僕みたいな感覚かもしんない。でも、私、下手したら……いつヤッちゃってもおかしくない」
生クリームを飲み込んだ。
喉がやたら乾く。
紅茶をまたすすった。
こんなこと、吐き出して。
ビビっただろうか。
「こういう思考って、きっと誰だって持ってるんだろうね。あんたの親と比較しちゃ悪いけど。それを取り出すきっかけがあるかないかだけで、魔が差すってことは普通の女子高生にだって訪れる」
41: ◆/BueNLs5lw 2016/09/25(日) 18:51:41.19 ID:d4YmaynD0
目の前の少女の瞳が揺らぐ。
「さて、ここで問題です。そんな私が、南合の取り巻きのあんたと今一緒にいて、どんな気持ちが湧いてるでしょうか? えー、1に殺意。2に殺意。3に殺意」
と、そこで目の前の彼女の呼吸が乱れた。
私は胸中で笑ってやった。
「冗談だよ……」
ゆうは軽く目元をこすった。
「何泣いてるの」
「涙が、勝手に……」
「同情は――」
「そんなのじゃないっ」
ゆうは拳を机に叩きつけた。
なに。
怒ってる?
「さて、ここで問題です。そんな私が、南合の取り巻きのあんたと今一緒にいて、どんな気持ちが湧いてるでしょうか? えー、1に殺意。2に殺意。3に殺意」
と、そこで目の前の彼女の呼吸が乱れた。
私は胸中で笑ってやった。
「冗談だよ……」
ゆうは軽く目元をこすった。
「何泣いてるの」
「涙が、勝手に……」
「同情は――」
「そんなのじゃないっ」
ゆうは拳を机に叩きつけた。
なに。
怒ってる?
42: ◆/BueNLs5lw 2016/09/25(日) 18:58:54.83 ID:d4YmaynD0
「あ、ごめんなさい……」
細い髪の毛の束に軽く触れて、
「許せなくて……」
「南合が?」
「ううん、そういう状態になっちゃったことが……」
「それって何に対して恨んでるの?」
「分からないよ……」
形のないものに、果たして怒りをぶつけられるんだろうか。
なんて、考えてもしょうのないことをふと思った。
細い髪の毛の束に軽く触れて、
「許せなくて……」
「南合が?」
「ううん、そういう状態になっちゃったことが……」
「それって何に対して恨んでるの?」
「分からないよ……」
形のないものに、果たして怒りをぶつけられるんだろうか。
なんて、考えてもしょうのないことをふと思った。
43: ◆/BueNLs5lw 2016/09/25(日) 19:17:25.05 ID:d4YmaynD0
私の話はそこまでにして、あとはケーキを口に運ぶ作業を続けた。
ゆうが転校する前にいた学校でのことも少し聞いた。
まあ、ある程度想像できる内容だった。
ただ、学校を変わったとしても、人が変ったとしても、
結局の所、自分が変わらなければ何も変わらない。
辛いことやしんどいことは、自分が生み出しているだけなのだから。
と、ゆうはたどり着いた真実かのように、噛みしめながら話していた。
初めて家に行って語り合う内容じゃないな、と思う。
私は手のひらに少し汗がにじんでいるのに気づき、ある程度時間が経ってからお手洗いを借りた。
杉原家を出る時、ばあさんが奥から出てきてこちらに手を振ってくれた。
表情は、硬いままではあった。
夜。
ツイッターを見て、安心する。
『生きてる』。
これ以上変えれない日常。
現状維持がベスト。
ゆうの泣いてる顔がふいに脳裏に浮かんだ。
ごめん、天子のこと色々話しちゃった。
ゆうが転校する前にいた学校でのことも少し聞いた。
まあ、ある程度想像できる内容だった。
ただ、学校を変わったとしても、人が変ったとしても、
結局の所、自分が変わらなければ何も変わらない。
辛いことやしんどいことは、自分が生み出しているだけなのだから。
と、ゆうはたどり着いた真実かのように、噛みしめながら話していた。
初めて家に行って語り合う内容じゃないな、と思う。
私は手のひらに少し汗がにじんでいるのに気づき、ある程度時間が経ってからお手洗いを借りた。
杉原家を出る時、ばあさんが奥から出てきてこちらに手を振ってくれた。
表情は、硬いままではあった。
夜。
ツイッターを見て、安心する。
『生きてる』。
これ以上変えれない日常。
現状維持がベスト。
ゆうの泣いてる顔がふいに脳裏に浮かんだ。
ごめん、天子のこと色々話しちゃった。
44: ◆/BueNLs5lw 2016/09/25(日) 19:25:22.67 ID:d4YmaynD0
自分の伝えた悪意が、肩の辺りに圧し掛かっている。
言うんじゃなかったと。
後悔。
さあ、これでゆうは私に近づかなくなるだろうか。
それとも。
ううん。
考えるな。
期待するな。
明日も似たような毎日があるだけなんだから。
言うんじゃなかったと。
後悔。
さあ、これでゆうは私に近づかなくなるだろうか。
それとも。
ううん。
考えるな。
期待するな。
明日も似たような毎日があるだけなんだから。
45: ◆/BueNLs5lw 2016/09/25(日) 19:37:04.88 ID:d4YmaynD0
数日が経ち、いじめの対象が変わった。
相変わらず、キスは定番なのか、教室の真ん中でさせられているクラスメイト。
笑う人、見ているだけの人、背中を向けている人。
ここはなんて汚れた場所だろう。
ショベルカーで、この区間を削り取って欲しい!
永遠と続く我がクラスのルーティン。
南合は、きっと、いつまでも満足しないだろう。
そもそも、どうやったら満足できるか、彼女だって分かっちゃいないんだろうね。
厄介。
実に。
はあ。
そして、相変わらず、南合はゆうを私の隣に来させた。
「断ってよ」
と私は言った。
隣の席に来たゆうと教室でお昼ごはんを一緒に食べていた。
南合は学食かどこか別の場所に行ったみたい。
「あのね、このままだと――」
白米を飲み込む。
「このままだと?」
ゆうが聞き返す。
「犬だって、何度か触ってたら情くらい移るでしょ?」
私は言った。
相変わらず、キスは定番なのか、教室の真ん中でさせられているクラスメイト。
笑う人、見ているだけの人、背中を向けている人。
ここはなんて汚れた場所だろう。
ショベルカーで、この区間を削り取って欲しい!
永遠と続く我がクラスのルーティン。
南合は、きっと、いつまでも満足しないだろう。
そもそも、どうやったら満足できるか、彼女だって分かっちゃいないんだろうね。
厄介。
実に。
はあ。
そして、相変わらず、南合はゆうを私の隣に来させた。
「断ってよ」
と私は言った。
隣の席に来たゆうと教室でお昼ごはんを一緒に食べていた。
南合は学食かどこか別の場所に行ったみたい。
「あのね、このままだと――」
白米を飲み込む。
「このままだと?」
ゆうが聞き返す。
「犬だって、何度か触ってたら情くらい移るでしょ?」
私は言った。
46: ◆/BueNLs5lw 2016/09/25(日) 19:46:53.15 ID:d4YmaynD0
「う、うん」
ゆうは小さく頷いた。
「それと同じ事が起きるかもってこと」
「え、ええっと……つまり?」
察してよ。
「だから、万が一に、私があんたに友だちになりたいって思うかもしれないじゃない……」
「それって、もう……」
弁当のウインナーを箸で掴んで、ゆうの口に放り込んだ。
「うるさい。困るの。私の友だちは、天子一人で十分っ」
ああ、くそ。
すでに、これをこの子に伝えるのが苦痛になってきてる。
だから、近づきたくなかったのに。
「……江梨香さん」
ゆうは小さく頷いた。
「それと同じ事が起きるかもってこと」
「え、ええっと……つまり?」
察してよ。
「だから、万が一に、私があんたに友だちになりたいって思うかもしれないじゃない……」
「それって、もう……」
弁当のウインナーを箸で掴んで、ゆうの口に放り込んだ。
「うるさい。困るの。私の友だちは、天子一人で十分っ」
ああ、くそ。
すでに、これをこの子に伝えるのが苦痛になってきてる。
だから、近づきたくなかったのに。
「……江梨香さん」
47: ◆/BueNLs5lw 2016/09/25(日) 20:28:00.70 ID:d4YmaynD0
ウインナーをゆうが噛んでいる。
私の世界の中に、ゆうがちょっとずつ入り込んで来て、
南合の悦楽に歪む顔が容易に想像できて、
リズムが崩れていく。
慣れていくごとに、彼女に触れやすくなる。
触れてしまう。
ささいな会話をしてしまう。
友だちなんてそれの積み重ねで。
「あの、私、考えたの」
ゆうがお弁当を仕舞いつつ言った。
「江梨香さんて、思い詰め過ぎる。そこまで、自分を窮屈にしなくていいんじゃないかな。人が一人で考えて、できることなんて本当は1つか2つしかないんだから、後は中途半端になっちゃう時もあるよ。私たちの関係だって、中途半端になってもいいよ」
「そうは言うけど」
「本当に大切な人って、たくさんいないよね。それに、それっていつでも上書きできちゃうものだもん。子どもが親の側を離れて、好きな人と結婚するみたいに、大好きな人がいても満足できなかったりとかね」
すらすらと悲しくて、もっともな解釈を彼女は述べた。
ね、江梨香さん。小声で彼女は言った。
「始まりはあんな感じだったけどね、江梨香さんと仲良くなりたいって思ったの。だから、絶対にそれは諦めたくない……」
「どうして……」
「後悔したくないし、して欲しくないからかな……」
ゆうはゆっくりと私の手を握った。
その手は思ったよりも温かく、力強かった。
私の世界の中に、ゆうがちょっとずつ入り込んで来て、
南合の悦楽に歪む顔が容易に想像できて、
リズムが崩れていく。
慣れていくごとに、彼女に触れやすくなる。
触れてしまう。
ささいな会話をしてしまう。
友だちなんてそれの積み重ねで。
「あの、私、考えたの」
ゆうがお弁当を仕舞いつつ言った。
「江梨香さんて、思い詰め過ぎる。そこまで、自分を窮屈にしなくていいんじゃないかな。人が一人で考えて、できることなんて本当は1つか2つしかないんだから、後は中途半端になっちゃう時もあるよ。私たちの関係だって、中途半端になってもいいよ」
「そうは言うけど」
「本当に大切な人って、たくさんいないよね。それに、それっていつでも上書きできちゃうものだもん。子どもが親の側を離れて、好きな人と結婚するみたいに、大好きな人がいても満足できなかったりとかね」
すらすらと悲しくて、もっともな解釈を彼女は述べた。
ね、江梨香さん。小声で彼女は言った。
「始まりはあんな感じだったけどね、江梨香さんと仲良くなりたいって思ったの。だから、絶対にそれは諦めたくない……」
「どうして……」
「後悔したくないし、して欲しくないからかな……」
ゆうはゆっくりと私の手を握った。
その手は思ったよりも温かく、力強かった。
53: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 10:55:12.77 ID:9fHQez770
「あと1年くらいの付き合いだよ。高校なんてあっという間。大げさすぎない?」
私は雑に笑った。
「そうかな……」
ゆうは言った。ゆうの温もりから逃れるように、箸を動かす。
「勉強さえしておけばいいじゃない。余計なこと考えるから問題が起こるんだって。今じゃなくても良くない?」
どんなに人前で優しくしても、この教室じゃ何の役にも立たない。
ゆうが過去を塗り変えたいと思っている気持ちも無駄。
人の結びつきなんて、最初から解けることを想定して縛ってるだけ。
だから結び目を固くしようとする。
必死になる。
「江梨香さん、だから友だちいないんだよ」
ゆうの軽口に、
「はいはい。あんたもね」
と、私は返した。
一人、いるし。
余計なお世話だって。
こっちがダメ人間て分かった途端、強気になる女って嫌い。
私は雑に笑った。
「そうかな……」
ゆうは言った。ゆうの温もりから逃れるように、箸を動かす。
「勉強さえしておけばいいじゃない。余計なこと考えるから問題が起こるんだって。今じゃなくても良くない?」
どんなに人前で優しくしても、この教室じゃ何の役にも立たない。
ゆうが過去を塗り変えたいと思っている気持ちも無駄。
人の結びつきなんて、最初から解けることを想定して縛ってるだけ。
だから結び目を固くしようとする。
必死になる。
「江梨香さん、だから友だちいないんだよ」
ゆうの軽口に、
「はいはい。あんたもね」
と、私は返した。
一人、いるし。
余計なお世話だって。
こっちがダメ人間て分かった途端、強気になる女って嫌い。
54: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 11:09:29.18 ID:9fHQez770
やっぱり、最初のキスの時に目つぶししておけば良かった。
そうしたら、たぶん私に近づこうとしなかったはずだ。
お昼休みが終わり、私は放課後になぜか担任に呼ばれた。
職員室に入ると、周りの先生達の視線を浴びた。
睨み返す。
「おい」
頭に何か乗せられた。
「なにメンチ切ってんの」
分厚いファイルがみしりと圧し掛かった。
「やめてよ……てか、メンチって何? カツ?」
「知らねえのか……おじさんショック」
「?」
「まあいい。こっち」
奥の部屋に案内される。
扉を閉められて、ソファに座るよう促した後、担任は立ったまま切り出した。
「江梨香さ、天子と連絡とってる?」
「一応」
「そっか。悪いんだけどさ」
「いや」
「まだ何も言ってないんですけど」
「いや」
担任は嘆息した。
そうしたら、たぶん私に近づこうとしなかったはずだ。
お昼休みが終わり、私は放課後になぜか担任に呼ばれた。
職員室に入ると、周りの先生達の視線を浴びた。
睨み返す。
「おい」
頭に何か乗せられた。
「なにメンチ切ってんの」
分厚いファイルがみしりと圧し掛かった。
「やめてよ……てか、メンチって何? カツ?」
「知らねえのか……おじさんショック」
「?」
「まあいい。こっち」
奥の部屋に案内される。
扉を閉められて、ソファに座るよう促した後、担任は立ったまま切り出した。
「江梨香さ、天子と連絡とってる?」
「一応」
「そっか。悪いんだけどさ」
「いや」
「まだ何も言ってないんですけど」
「いや」
担任は嘆息した。
55: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 11:21:21.63 ID:9fHQez770
「お前、教室で浮いてるんだろ? 天子がいた方が楽しいじゃん」
あんたはどこのチャラ男なんだ。
と私は喉元まで出かかった言葉を飲み込む。
「一人でいる方が好きなんで」
「そうなのか? 南合がお前が寂しがってるからって相談してきたんだぞ?」
「南合が?」
聞き間違いかと思った。
「おう」
ではないようだ。
あいつ何考えてんの。
「お前ら、3人最初よくつるんでたしさ、心配してんじゃないの。ええ子やん」
担任の鼻っ柱に机の上に置いてある花瓶を叩きつけたい。
「天子は……ッ」
連絡?
あれで取ってるなんて言えるのかな。
私一人がずっと監視してるみたい。
引きこもりをストーカーしてるだけ。
南合、今さら天子が惜しくなったの。
ふざけやがって。
「南合のことなんて、もう友だちとも思ってませんから」
私は立ち上がって、勢いでパイプ椅子を倒した。
「お、おい」
担任の制止する声を無視して、私は職員室を飛び出た。
あんたはどこのチャラ男なんだ。
と私は喉元まで出かかった言葉を飲み込む。
「一人でいる方が好きなんで」
「そうなのか? 南合がお前が寂しがってるからって相談してきたんだぞ?」
「南合が?」
聞き間違いかと思った。
「おう」
ではないようだ。
あいつ何考えてんの。
「お前ら、3人最初よくつるんでたしさ、心配してんじゃないの。ええ子やん」
担任の鼻っ柱に机の上に置いてある花瓶を叩きつけたい。
「天子は……ッ」
連絡?
あれで取ってるなんて言えるのかな。
私一人がずっと監視してるみたい。
引きこもりをストーカーしてるだけ。
南合、今さら天子が惜しくなったの。
ふざけやがって。
「南合のことなんて、もう友だちとも思ってませんから」
私は立ち上がって、勢いでパイプ椅子を倒した。
「お、おい」
担任の制止する声を無視して、私は職員室を飛び出た。
56: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 11:40:12.25 ID:9fHQez770
無邪気に笑いながらすれ違う下級生にすら苛立ちながら、下駄箱へ向かった。
鞄を教室へ忘れたことに気付いた。
「……ああ、もう」
持って帰るのすら億劫。
外履きを脱ごうとしたとき、
「江梨香さん」
ゆるい笑顔で、ゆうが鞄を二つひっさげていた。
「……ありがと」
受け取って、もう一度靴を履き直す。
彼女と距離を取ろうとしたら、
「警戒してる?」
と探るような視線を送ってきた。
「うん」
「それでもいいから、一緒に帰りたいな」
「まだ、南合の命令で動いてた方がマシだったし」
「え」
「……ゆう、あんたも何か隠してるんでしょ。私に、何をさせたいの?」
「だから、友だちに」
「まだ言うの? じゃあ、私が先に教えてあげる。私が天子を学校へ誘わずに、ずっとツイッター覗いてるだけなのはね、南合とまた付き合わせないようにするため、他の友だちを作らせないため、私だけの天子でいさせるため……あの子が閉じこもってることで誰にも会わないことで、私が安心したいんだよ」
ゆうの肩を押して、ロッカーに押し付ける。
ガタタン、とロッカーが揺れた。
「ゆう、あんたも何か見返りを求めてるんでしょ? 言ってみたらどうなの?」
鞄を教室へ忘れたことに気付いた。
「……ああ、もう」
持って帰るのすら億劫。
外履きを脱ごうとしたとき、
「江梨香さん」
ゆるい笑顔で、ゆうが鞄を二つひっさげていた。
「……ありがと」
受け取って、もう一度靴を履き直す。
彼女と距離を取ろうとしたら、
「警戒してる?」
と探るような視線を送ってきた。
「うん」
「それでもいいから、一緒に帰りたいな」
「まだ、南合の命令で動いてた方がマシだったし」
「え」
「……ゆう、あんたも何か隠してるんでしょ。私に、何をさせたいの?」
「だから、友だちに」
「まだ言うの? じゃあ、私が先に教えてあげる。私が天子を学校へ誘わずに、ずっとツイッター覗いてるだけなのはね、南合とまた付き合わせないようにするため、他の友だちを作らせないため、私だけの天子でいさせるため……あの子が閉じこもってることで誰にも会わないことで、私が安心したいんだよ」
ゆうの肩を押して、ロッカーに押し付ける。
ガタタン、とロッカーが揺れた。
「ゆう、あんたも何か見返りを求めてるんでしょ? 言ってみたらどうなの?」
57: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 11:55:29.12 ID:9fHQez770
皮肉たっぷりに私は唇を引き延ばした。
「ご、ごめんなさい……」
彼女は質問に答えずに謝った。
芯は弱い人だったから、びびったのだろうか。
目尻に涙を溜めている。
「同じ根暗なら、何もしないと思ったの?」
ゆうは黙ってしまった。
傷つけばいいの。
「あんたは、周りは変わらないって言ったよね? 自分が変らないとって。でも、それ、根本的には自分に責任がなかったか真剣に考えてないだけだから。最初にそれ考えなきゃいけないんじゃないの? あんた、お父さんが不倫相手刺すまで何も知らなかった? お母さんの様子は? 何か役立とうとした? 気づかなかった? 違うよね。気づこうとしなかったんだよね」
天子が南合と付き合って、一番傷ついた人間がいたとしたら、それは私。
早く別れればいいといつも願っていた。
デートの約束を入れられる前に、遊ぶ約束を取り付けた。
二人の話を真剣に聞いたことなどなかった。
天子からの南合の性格についての相談も、適当にアドバイスして。
忘れてない。
本当に、二人は好き合っていたこと。
それを応援しなかった自分を。
痛いくらい苦しかったこと。
目の奥からじわじわと熱が溢れてきた。
「江梨香さん……?」
泣くな、泣くな。
友だちでもなんでもない子の前で。
中途半端な関係の人の前で。
「ご、ごめんなさい……」
彼女は質問に答えずに謝った。
芯は弱い人だったから、びびったのだろうか。
目尻に涙を溜めている。
「同じ根暗なら、何もしないと思ったの?」
ゆうは黙ってしまった。
傷つけばいいの。
「あんたは、周りは変わらないって言ったよね? 自分が変らないとって。でも、それ、根本的には自分に責任がなかったか真剣に考えてないだけだから。最初にそれ考えなきゃいけないんじゃないの? あんた、お父さんが不倫相手刺すまで何も知らなかった? お母さんの様子は? 何か役立とうとした? 気づかなかった? 違うよね。気づこうとしなかったんだよね」
天子が南合と付き合って、一番傷ついた人間がいたとしたら、それは私。
早く別れればいいといつも願っていた。
デートの約束を入れられる前に、遊ぶ約束を取り付けた。
二人の話を真剣に聞いたことなどなかった。
天子からの南合の性格についての相談も、適当にアドバイスして。
忘れてない。
本当に、二人は好き合っていたこと。
それを応援しなかった自分を。
痛いくらい苦しかったこと。
目の奥からじわじわと熱が溢れてきた。
「江梨香さん……?」
泣くな、泣くな。
友だちでもなんでもない子の前で。
中途半端な関係の人の前で。
58: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 12:53:50.13 ID:9fHQez770
泣くのは、天子の前だけって決めてたのに。
袖口でさっと目元を拭った。
ゆうがこちらを見上げていた。
互いに同じような顔をしていたかもしれない。
「私も……見返りを求めてた」
「なによ……それ」
「言ったら嫌いになる」
「好きでもないのに嫌いになるわけないから」
彼女は、だから友だちいないって、視線を送ってきて、
「私は……江梨香さんと仲良くなって、裏切って欲しかったの。大好きな相手に裏切られる気持ちを知りたかったから……」
私は鼻で笑ってやった。
「なにそれ」
「裏切られても許してあげられるなら……私、両親とは違う人間だって証明できるって思ったから」
「超理論じゃん」
「江梨香さんもだよね……でも、江梨香さん変わってて、普通に接しても友だちになんかなってもらえないって思ったの。まず、江梨香さんの抱えてることから解決しないとなって」
「で、それは解決できそう?」
ゆうから体を離した。
無意識に落としていた鞄を拾い上げる。
互いにめんどくさい過程を経ようとして、行き詰って。
結局一つに絞っても、何も得られない時があるってこと。
「大変そう」
「でしょうね」
「私……」
彼女は、私の鞄を掴む。
「確かに、今までの自分に非は無かったか考えてこなかったの。全部悪いのはお父さんとお母さんで。お母さんを許してあげれなかったお父さんのせいで。お父さんを追いつめたお母さんのせいで……そして、それはそれまで二人が過ごしてきた環境が運が悪かった……でも、」
俯いたまま、ゆうは言った。
「あの時、少しでも二人の仲介役になってたらああはならなかったかもって……自分のことでいっぱいいっぱいになってる時は気づけなかったけど」
「今さら気づいても遅い話」
「うん」
彼女は頷いた。
「自分のことばかりになると、こんなに気づけないものなんだなって思ったよ」
ゆうは顔を上げた。
黒い大きな瞳が食い入るようにこちらを覗く。
見透かされているようで嫌。
私は顔を背けた。
「えへへ……」
また、笑ってる。
「ありがとう……こんなにグサグサ言ってくれる人、初めて」
袖口でさっと目元を拭った。
ゆうがこちらを見上げていた。
互いに同じような顔をしていたかもしれない。
「私も……見返りを求めてた」
「なによ……それ」
「言ったら嫌いになる」
「好きでもないのに嫌いになるわけないから」
彼女は、だから友だちいないって、視線を送ってきて、
「私は……江梨香さんと仲良くなって、裏切って欲しかったの。大好きな相手に裏切られる気持ちを知りたかったから……」
私は鼻で笑ってやった。
「なにそれ」
「裏切られても許してあげられるなら……私、両親とは違う人間だって証明できるって思ったから」
「超理論じゃん」
「江梨香さんもだよね……でも、江梨香さん変わってて、普通に接しても友だちになんかなってもらえないって思ったの。まず、江梨香さんの抱えてることから解決しないとなって」
「で、それは解決できそう?」
ゆうから体を離した。
無意識に落としていた鞄を拾い上げる。
互いにめんどくさい過程を経ようとして、行き詰って。
結局一つに絞っても、何も得られない時があるってこと。
「大変そう」
「でしょうね」
「私……」
彼女は、私の鞄を掴む。
「確かに、今までの自分に非は無かったか考えてこなかったの。全部悪いのはお父さんとお母さんで。お母さんを許してあげれなかったお父さんのせいで。お父さんを追いつめたお母さんのせいで……そして、それはそれまで二人が過ごしてきた環境が運が悪かった……でも、」
俯いたまま、ゆうは言った。
「あの時、少しでも二人の仲介役になってたらああはならなかったかもって……自分のことでいっぱいいっぱいになってる時は気づけなかったけど」
「今さら気づいても遅い話」
「うん」
彼女は頷いた。
「自分のことばかりになると、こんなに気づけないものなんだなって思ったよ」
ゆうは顔を上げた。
黒い大きな瞳が食い入るようにこちらを覗く。
見透かされているようで嫌。
私は顔を背けた。
「えへへ……」
また、笑ってる。
「ありがとう……こんなにグサグサ言ってくれる人、初めて」
59: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 13:13:57.11 ID:9fHQez770
感謝の言葉をもらうようなこと言ってないんだけど。
「頭おかしいんじゃない」
「江梨香さんも……」
薄暗い廊下に、静けさが戻る。
玄関から中庭に電灯が灯り始めるのが見えた。
天子。
おかしな女がクラスに転校してきた。
今まで天子にすら言わなかったことを、話す羽目になった。
自爆ってやつ?
へらへらと笑う姿は、あんたに似てる。
ムカつくくらい似てる。
すがりついて、慰めて欲しい衝動が。
頭を撫でて優しい言葉をかけて欲しい甘えが。
嫌と言うほど私の身体を追い越そうとして。
「……え、江梨香さん」
ゆうが腰をすとんと降とした。
「どうしたの」
「腰抜けちゃった」
「なんで」
「怖かった……から?」
「よわっ」
意識して彼女を見ると、わずかに震えていた。
「頭おかしいんじゃない」
「江梨香さんも……」
薄暗い廊下に、静けさが戻る。
玄関から中庭に電灯が灯り始めるのが見えた。
天子。
おかしな女がクラスに転校してきた。
今まで天子にすら言わなかったことを、話す羽目になった。
自爆ってやつ?
へらへらと笑う姿は、あんたに似てる。
ムカつくくらい似てる。
すがりついて、慰めて欲しい衝動が。
頭を撫でて優しい言葉をかけて欲しい甘えが。
嫌と言うほど私の身体を追い越そうとして。
「……え、江梨香さん」
ゆうが腰をすとんと降とした。
「どうしたの」
「腰抜けちゃった」
「なんで」
「怖かった……から?」
「よわっ」
意識して彼女を見ると、わずかに震えていた。
60: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 13:21:21.85 ID:9fHQez770
指なんてぷるぷるしてるし。
まるで私が脅したみたい。
「え、江梨香さん……」
両手を広げて、
「え? 手伝わないと起きられないの?」
「お願いします……」
「あんた、絶対長生きできないタイプ」
彼女に手を貸さず、そそくさと玄関へ。
「ま、待ってえ……」
「はあっ」
踵を返す。
「ん」
鞄を目の前にぶら下げた。
ゆうが掴む。
「せーのっ……ンっ……おも」
びくともしない。
「ごめんなさい」
「時間の無駄だわ。もう、乗っていいよ」
私はしゃがんで、背中を向けた。
まるで私が脅したみたい。
「え、江梨香さん……」
両手を広げて、
「え? 手伝わないと起きられないの?」
「お願いします……」
「あんた、絶対長生きできないタイプ」
彼女に手を貸さず、そそくさと玄関へ。
「ま、待ってえ……」
「はあっ」
踵を返す。
「ん」
鞄を目の前にぶら下げた。
ゆうが掴む。
「せーのっ……ンっ……おも」
びくともしない。
「ごめんなさい」
「時間の無駄だわ。もう、乗っていいよ」
私はしゃがんで、背中を向けた。
61: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 13:27:52.03 ID:9fHQez770
ゆうを背負って、私は家まで行ってやった。
薄暗くて、人目もそこまで気にならなかった。
家のポストの前まで来て、
「ばあさんいるの?」
「今日は、夜近所の会合があるからいないよ」
「そ」
「鍵、これ」
「はいはい……って、ゆうさ、そろそろ歩けるんじゃないの?」
「え」
私は手を離す。
「きゃっ」
肩越しに見やる。
普通に二本足で立っていた。
ゆうを睨むと、申し訳なそうに笑っていた。
薄暗くて、人目もそこまで気にならなかった。
家のポストの前まで来て、
「ばあさんいるの?」
「今日は、夜近所の会合があるからいないよ」
「そ」
「鍵、これ」
「はいはい……って、ゆうさ、そろそろ歩けるんじゃないの?」
「え」
私は手を離す。
「きゃっ」
肩越しに見やる。
普通に二本足で立っていた。
ゆうを睨むと、申し訳なそうに笑っていた。
63: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 13:59:31.93 ID:9fHQez770
ゆうがお茶くらい出すと言うので、私も相当体力を消耗していたし、お邪魔することにした。
ゆうの部屋で、じんじんと痺れてきた足をさする。
「まさか、江梨香さん、ここまで背負ってくれるなんて思わなかったよ」
「私の責任もなくはないし。でも、もう動けないわ」
そういや、またバスケ部無断で休んだ。
怒られるかもなあ。
ただ、明日になったら確実に筋肉痛でしょこれ。
行きたくない。
「ちょっと、カッコいいって思っちゃった……えへへ」
「照れながら言わないでよ。こっちが恥ずかしい」
こっちは必死だったし、
息も荒かったし、
何もカッコいい要素はなかったと思うけど。
ゆうは、壁にもたれてだれきった私の前に移動して、ちょこんと座った。
ゆうの部屋で、じんじんと痺れてきた足をさする。
「まさか、江梨香さん、ここまで背負ってくれるなんて思わなかったよ」
「私の責任もなくはないし。でも、もう動けないわ」
そういや、またバスケ部無断で休んだ。
怒られるかもなあ。
ただ、明日になったら確実に筋肉痛でしょこれ。
行きたくない。
「ちょっと、カッコいいって思っちゃった……えへへ」
「照れながら言わないでよ。こっちが恥ずかしい」
こっちは必死だったし、
息も荒かったし、
何もカッコいい要素はなかったと思うけど。
ゆうは、壁にもたれてだれきった私の前に移動して、ちょこんと座った。
64: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 14:21:17.47 ID:9fHQez770
「ねえ、天子さんてどんな人だったの?」
「肩、揉んでくれたら話す」
「うん」
ゆうは後ろに回って、私の肩に手を置いた。
「ホントにするんかい」
「言ったのに」
こいつ、調子に乗りやがって。
「しゃーなしよ」
「わーい」
「天子は、小っちゃくてマメ柴みたいな子。呼べば来るし、かまってなかったら自分から勝手に来る。いじったら悦ぶし、特に南合からいじられた時なんかすごく喜んでた」
「可愛い子だね」
「私からしたら、ただのマゾなんだけど」
「マゾ……」
「ちっさいけど、体を動かすのが好きで一緒にバスケ部に入ってたの。私はヒマだったから入っただけだけど。放課後は部活か、ゲーセンかカラオケ行ったりして、声もでかくてうるさい奴だった。そんな感じ」
「笑ってる」
ゆうが言った。
「誰が」
「江梨香さん」
私は急いで眉間に皺を寄せた。
「肩、揉んでくれたら話す」
「うん」
ゆうは後ろに回って、私の肩に手を置いた。
「ホントにするんかい」
「言ったのに」
こいつ、調子に乗りやがって。
「しゃーなしよ」
「わーい」
「天子は、小っちゃくてマメ柴みたいな子。呼べば来るし、かまってなかったら自分から勝手に来る。いじったら悦ぶし、特に南合からいじられた時なんかすごく喜んでた」
「可愛い子だね」
「私からしたら、ただのマゾなんだけど」
「マゾ……」
「ちっさいけど、体を動かすのが好きで一緒にバスケ部に入ってたの。私はヒマだったから入っただけだけど。放課後は部活か、ゲーセンかカラオケ行ったりして、声もでかくてうるさい奴だった。そんな感じ」
「笑ってる」
ゆうが言った。
「誰が」
「江梨香さん」
私は急いで眉間に皺を寄せた。
65: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 14:28:46.65 ID:9fHQez770
「ゆう、手が止まってる」
「あ、はい」
「弱い。もうちょっと強く」
「こ、このくらい?」
「それくらいっ」
誰が笑ってるって。
全く。
どこ見てんの。
天子の話をして天子に会いたくなって。
けれど、会ってくれなくて。
私はきっともう必要とされてないんだと思うと、苦しい。
「大丈夫?」
「もうちょっと強くても」
「そっちじゃなくて……」
ああ。
「あんたが天子の話させるからでしょ」
感の鋭い女だ。
「あ、はい」
「弱い。もうちょっと強く」
「こ、このくらい?」
「それくらいっ」
誰が笑ってるって。
全く。
どこ見てんの。
天子の話をして天子に会いたくなって。
けれど、会ってくれなくて。
私はきっともう必要とされてないんだと思うと、苦しい。
「大丈夫?」
「もうちょっと強くても」
「そっちじゃなくて……」
ああ。
「あんたが天子の話させるからでしょ」
感の鋭い女だ。
66: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 14:43:37.41 ID:9fHQez770
背中に柔らかい感触。
首元に腕がにゅっと伸びる。
ゆうが私を後ろから抱きしめていた。
「天子さんのこと好きだったんだね」
「……そうよ」
「今も?」
「今は、よく分からないわ。思い出したら辛いことの方が勝ってるし」
「でも、そこまで思ってくれる人がいるなんて、天子さんは幸せ者だと思う。天子さんにその気持ちが届かないのは悔しいよ」
「慰めてるの?」
「そう」
「弱い……」
小声で言ったので、聞き返されてしまう。
「え」
「もっと強く」
ゆうの返事はなかった。
ややあって意図を理解したらしい。
私の身体に押し当てられていたゆうの体の全てが、より深く重なった。
首元に腕がにゅっと伸びる。
ゆうが私を後ろから抱きしめていた。
「天子さんのこと好きだったんだね」
「……そうよ」
「今も?」
「今は、よく分からないわ。思い出したら辛いことの方が勝ってるし」
「でも、そこまで思ってくれる人がいるなんて、天子さんは幸せ者だと思う。天子さんにその気持ちが届かないのは悔しいよ」
「慰めてるの?」
「そう」
「弱い……」
小声で言ったので、聞き返されてしまう。
「え」
「もっと強く」
ゆうの返事はなかった。
ややあって意図を理解したらしい。
私の身体に押し当てられていたゆうの体の全てが、より深く重なった。
67: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 15:14:45.40 ID:9fHQez770
私はその日、天子のツイッターを見なかった。
その夜を更けさせたのは、ゆうに抱きしめられた余韻だった。
翌週。
月曜日。
南合に捕まった。
ブルーマンデーかって。
「ゆう、どう?」
「どうって」
「可愛いでしょ」
「まあ」
気の抜けた返事を返す。
「ゆうをあげるから、天子を家から出して」
また、変なことを言い出した。
「無理」
「無理でもして」
私は、目を伏せた。
江梨香は悲劇のヒロインを演じるように、
「天子の代わりはやっぱりいない。私には天子が必要だった」
今さら、天子がその言葉で動くと思うのか。
どこまでも自分本意。
「私が行っても家から出て来てくれないの。出てこないと話しにもならない。きっと、私が怒ってると思ってる」
「あんたっ」
爆発して、殴る寸前で、
「ゆうのお父さんが前科持ちだってバラされたくなかったら、行って」
「バレようが別に」
「ホントに?」
南合は私にもう一度言った。
「ホントに?」
その夜を更けさせたのは、ゆうに抱きしめられた余韻だった。
翌週。
月曜日。
南合に捕まった。
ブルーマンデーかって。
「ゆう、どう?」
「どうって」
「可愛いでしょ」
「まあ」
気の抜けた返事を返す。
「ゆうをあげるから、天子を家から出して」
また、変なことを言い出した。
「無理」
「無理でもして」
私は、目を伏せた。
江梨香は悲劇のヒロインを演じるように、
「天子の代わりはやっぱりいない。私には天子が必要だった」
今さら、天子がその言葉で動くと思うのか。
どこまでも自分本意。
「私が行っても家から出て来てくれないの。出てこないと話しにもならない。きっと、私が怒ってると思ってる」
「あんたっ」
爆発して、殴る寸前で、
「ゆうのお父さんが前科持ちだってバラされたくなかったら、行って」
「バレようが別に」
「ホントに?」
南合は私にもう一度言った。
「ホントに?」
69: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 18:16:17.82 ID:9fHQez770
>>67
誤:江梨香は悲劇のヒロイン 正:南合は悲劇のヒロイン
誤:江梨香は悲劇のヒロイン 正:南合は悲劇のヒロイン
70: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 18:28:27.16 ID:9fHQez770
この女の支配下に置かれるのはうんざりだ。
ゆうに近づきたくなかったのも、全ては彼女の思う通りに事が運んで行ってしまうと知っていたから。
「わかった……行けばいいんでしょ」
「良かった。向こうの学校でも孤立してこっちでも孤立したら、あの子生きてく場所無くなっちゃうじゃんねえ」
「でも、私が行った所で天子が出る保証なんてないけど」
南合は首を傾げた。
「出てくるまで行けよ」
と、真顔で言った。
この汚い世界の女王は、恐ろしい。
この一言と共に放たれる雰囲気が、体を強張らせる。
彼女の前じゃなければ、いくらでも悪態を吐けるのに。
テリトリーの中では、身動きすら敵わない。
ゆうに近づきたくなかったのも、全ては彼女の思う通りに事が運んで行ってしまうと知っていたから。
「わかった……行けばいいんでしょ」
「良かった。向こうの学校でも孤立してこっちでも孤立したら、あの子生きてく場所無くなっちゃうじゃんねえ」
「でも、私が行った所で天子が出る保証なんてないけど」
南合は首を傾げた。
「出てくるまで行けよ」
と、真顔で言った。
この汚い世界の女王は、恐ろしい。
この一言と共に放たれる雰囲気が、体を強張らせる。
彼女の前じゃなければ、いくらでも悪態を吐けるのに。
テリトリーの中では、身動きすら敵わない。
71: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 18:40:20.35 ID:9fHQez770
その日の放課後。相変わらずバスケ部を無断欠勤して、ゆうを連れて天子の家に向かった。
途中、何か買って行こうか、とふと思い、私は隣にいるゆうの袖を引っ張った。
「どしたの? 江梨香さん」
「お菓子買ってく。何がいい?」
「シュークリームかな」
「即答じゃん」
「お昼くらいから、食べたかったんだあ」
「好きなの?」
「うん」
ゆうはシュークリーム好きなんだ。
って、いやいや、覚えなくてもいいでしょ。
近所のケーキ屋に行って、それを3個買った。
「出て来てくれるかな?」
紙袋を覗き込み、ゆうは言った。
天照大神の話が脳裏に一瞬過って、こんなんじゃ無理だろうなあとすでに諦めの境地で、
「だといいけど」
と、空を仰いだ。
途中、何か買って行こうか、とふと思い、私は隣にいるゆうの袖を引っ張った。
「どしたの? 江梨香さん」
「お菓子買ってく。何がいい?」
「シュークリームかな」
「即答じゃん」
「お昼くらいから、食べたかったんだあ」
「好きなの?」
「うん」
ゆうはシュークリーム好きなんだ。
って、いやいや、覚えなくてもいいでしょ。
近所のケーキ屋に行って、それを3個買った。
「出て来てくれるかな?」
紙袋を覗き込み、ゆうは言った。
天照大神の話が脳裏に一瞬過って、こんなんじゃ無理だろうなあとすでに諦めの境地で、
「だといいけど」
と、空を仰いだ。
72: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 18:50:53.64 ID:9fHQez770
学校から徒歩およそ20分くらいの所に彼女の住んでいるマンションはあった。
付近の道を何度も通った。
ただ、インターホンを押したのは、もう何ヵ月も前の話。
「呼び出さないの?」
とエントランスホールでゆうが尋ねる。
「うん、どうせ出ないから。部屋に直接行く」
管理人はすでに退出しており、あとは、誰かがセキュリティを解除してくれるのを待つだけ。
「いいのかな」
「バレなきゃいいの」
バレたら脅されてやったとでも言えばいい。
そうこうしている内に、マンションの住人が降りてきて、扉を開けてくれた。
「行くよ」
住人を装って、私たちは天子の部屋へ向かった。
付近の道を何度も通った。
ただ、インターホンを押したのは、もう何ヵ月も前の話。
「呼び出さないの?」
とエントランスホールでゆうが尋ねる。
「うん、どうせ出ないから。部屋に直接行く」
管理人はすでに退出しており、あとは、誰かがセキュリティを解除してくれるのを待つだけ。
「いいのかな」
「バレなきゃいいの」
バレたら脅されてやったとでも言えばいい。
そうこうしている内に、マンションの住人が降りてきて、扉を開けてくれた。
「行くよ」
住人を装って、私たちは天子の部屋へ向かった。
73: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 18:57:19.13 ID:9fHQez770
「ここ」
と、立ち止まって指差した。
果たして一度で出てくれるか。
あいつも頑固な所あるからなあ。
「そう言えば、どうして私を誘ってくれたの?」
ゆうが今さらな問いをする。
「知り合いが来るより知らない人が来た方が出ると思って」
たぶんね。
「え、じゃあ」
「はい、お願い。設定はクラス委員でお見舞いを持ってきたで」
「う、え、あ」
ゆうは2、3度私を振り返って挙動不審になりながら、恐る恐るインターホンを押した。
私は、中から見えない位置に潜んで様子を伺う。
母親が出たのか、こんにちは~、とぎこちなく挨拶していた。
と、立ち止まって指差した。
果たして一度で出てくれるか。
あいつも頑固な所あるからなあ。
「そう言えば、どうして私を誘ってくれたの?」
ゆうが今さらな問いをする。
「知り合いが来るより知らない人が来た方が出ると思って」
たぶんね。
「え、じゃあ」
「はい、お願い。設定はクラス委員でお見舞いを持ってきたで」
「う、え、あ」
ゆうは2、3度私を振り返って挙動不審になりながら、恐る恐るインターホンを押した。
私は、中から見えない位置に潜んで様子を伺う。
母親が出たのか、こんにちは~、とぎこちなく挨拶していた。
74: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 19:17:49.75 ID:9fHQez770
ゆうはもう少し人を疑った方がいいわ。
「あのー、私、同じクラスの杉原なんですが……」
二言三言交わして、ぺこぺことお辞儀をする。
数分後、交渉が終わったのか、すっと姿勢を正した。
「どう?」
小声で聞いた。
「あの、一応部屋の前まで来てもらっていいって。出ないと思うけど、ありがとうって」
天子のお母さんには数回しか会ってなかったけど、物腰の柔らかそうな人だった。
ゆうはそわそわと視線を移す。
ロックが外された音。
扉が開く。
「あの、ごめんなさいね。杉原さんて方、知らないって、てんちゃんが言うんだけど」
「わ、私先月転校してきて、それでご存じないのかも……」
わたわたとゆうが言った。
「ああ、それで……」
「あの、それと」
ゆうがこちらをちらちらと見ていたので、さすがに母親も気が付いたようだ。
「あら、江梨香ちゃん?」
「こんにちは」
覚えてくれていたことに軽い感動。
出遅れ感のある中、私は挨拶した。
その時、愛想笑いを作ったのだけれど、上手く出来ていなかったのか、天子の母親が気遣うように、
「来てくれて、ありがとう」
と、優しく微笑んでくれた。
「はい……」
ほっと胸を撫で下ろす。
娘をこんな風にしたあの学校を友人を恨んでいるんじゃないかって。
私は、それで多少身構えていて。
ゆうを先に生贄に捧げた。
酷いやつ。
「江梨香さん?」
機微に鋭いゆうが私の手を引っ張った。
また心配そうにしている。
「どうぞ」
おばさんに促されるまま、私たちは中へ入った。
「あのー、私、同じクラスの杉原なんですが……」
二言三言交わして、ぺこぺことお辞儀をする。
数分後、交渉が終わったのか、すっと姿勢を正した。
「どう?」
小声で聞いた。
「あの、一応部屋の前まで来てもらっていいって。出ないと思うけど、ありがとうって」
天子のお母さんには数回しか会ってなかったけど、物腰の柔らかそうな人だった。
ゆうはそわそわと視線を移す。
ロックが外された音。
扉が開く。
「あの、ごめんなさいね。杉原さんて方、知らないって、てんちゃんが言うんだけど」
「わ、私先月転校してきて、それでご存じないのかも……」
わたわたとゆうが言った。
「ああ、それで……」
「あの、それと」
ゆうがこちらをちらちらと見ていたので、さすがに母親も気が付いたようだ。
「あら、江梨香ちゃん?」
「こんにちは」
覚えてくれていたことに軽い感動。
出遅れ感のある中、私は挨拶した。
その時、愛想笑いを作ったのだけれど、上手く出来ていなかったのか、天子の母親が気遣うように、
「来てくれて、ありがとう」
と、優しく微笑んでくれた。
「はい……」
ほっと胸を撫で下ろす。
娘をこんな風にしたあの学校を友人を恨んでいるんじゃないかって。
私は、それで多少身構えていて。
ゆうを先に生贄に捧げた。
酷いやつ。
「江梨香さん?」
機微に鋭いゆうが私の手を引っ張った。
また心配そうにしている。
「どうぞ」
おばさんに促されるまま、私たちは中へ入った。
75: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 19:40:14.43 ID:9fHQez770
天子の部屋には鍵がついていなかった。
なので、入ろうと思えば無理やり突入することもできた。
おばさんはそれを理解していながらも、私とゆうだけ残して、奥に引っ込んでしまった。
「天子……?」
呼ぶ。
応答、ナシ。
ドアをノックする。
応答、ナシ。
本当にいるのか。
それとも、私たちの様子をどこか物陰で窺っているとか。
と、思い周囲を見渡すと、ゆうが訝し気にしていた。
「出てこないね……」
「すぐに出てくれるとは思ってなかったから、いいんだけどさ」
「一日や二日なら軽いけど、1ヶ月も2ヶ月も外と遮断されちゃうと、やっぱり何もかも億劫になっちゃうよね」
「ゆう、それ経験談?」
「私のじゃなくて、妹のだけど」
なぜか、ここで妹の話を聞くことに。
妹は学校に行けなくなってリスカを何度かした後引きこもってなんとか更生した、となんともあっさりと話してくれた。
「妹はどうやって出て来たの?」
「あの子の場合、周期があって。頑張らないといけないって思う時と、やっぱり何もしたくないって時と、その中間みたいな時とがあったの。それは、じっくりと話を聞き続けたから分かったんだけど。一日中ネガティブなままとかポジティブなままとか、同じ気持ちでいる人って、いないよね? だから、気持ちが前向きになってる時に、外に出かけようって言ったの」
「へえ」
心理カウンセラーみたいなことを言う。
「一度だけじゃだめで、それの繰り返しだった……かな」
ここぞという時に、ゆうが頼もしく感じられるのは、やはり経験があるからなんだろうか。
ゆうに頼ってどうするんだって話しだけど。
だって、これはゆうには関係のない、私達の話なのに。
なので、入ろうと思えば無理やり突入することもできた。
おばさんはそれを理解していながらも、私とゆうだけ残して、奥に引っ込んでしまった。
「天子……?」
呼ぶ。
応答、ナシ。
ドアをノックする。
応答、ナシ。
本当にいるのか。
それとも、私たちの様子をどこか物陰で窺っているとか。
と、思い周囲を見渡すと、ゆうが訝し気にしていた。
「出てこないね……」
「すぐに出てくれるとは思ってなかったから、いいんだけどさ」
「一日や二日なら軽いけど、1ヶ月も2ヶ月も外と遮断されちゃうと、やっぱり何もかも億劫になっちゃうよね」
「ゆう、それ経験談?」
「私のじゃなくて、妹のだけど」
なぜか、ここで妹の話を聞くことに。
妹は学校に行けなくなってリスカを何度かした後引きこもってなんとか更生した、となんともあっさりと話してくれた。
「妹はどうやって出て来たの?」
「あの子の場合、周期があって。頑張らないといけないって思う時と、やっぱり何もしたくないって時と、その中間みたいな時とがあったの。それは、じっくりと話を聞き続けたから分かったんだけど。一日中ネガティブなままとかポジティブなままとか、同じ気持ちでいる人って、いないよね? だから、気持ちが前向きになってる時に、外に出かけようって言ったの」
「へえ」
心理カウンセラーみたいなことを言う。
「一度だけじゃだめで、それの繰り返しだった……かな」
ここぞという時に、ゆうが頼もしく感じられるのは、やはり経験があるからなんだろうか。
ゆうに頼ってどうするんだって話しだけど。
だって、これはゆうには関係のない、私達の話なのに。
76: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 20:01:52.95 ID:9fHQez770
暫くゆうの話を聞いて、合間に何度か天子を呼んだ。
1時間ほど待ったけれど、出てこないので、その日は諦めることにした。
「天子、今日は帰る。また、気分が乗ったら出てきてよね」
「あの、シュークリーム良かったら食べてください」
ドアノブに袋を引っかけて、私たちはおばさんに挨拶して部屋を後にした。
陽が落ちるのも早くなった。完全に水平線に沈んだ太陽の残滓が西の空をわずかに染めている。
風もひんやりとしていた。夏服の上にカーディガンを羽織っていたけど、あまり意味がなかった。
カーディガンすら羽織っていないゆうが寒そうに肌をさすっていた。
「こんな時間まで付き合わせて悪かったわね」
「え、いいよ」
「なんか奢る」
「シュークリーム一個もらったよ?」
「一個じゃ割に合わないでしょ」
「そんなことないよ。私、江梨香さんのことが知れて良かったし」
「裏切る裏切らないとか言ってたくせに?」
「そ、その作戦は失敗に終わりました……」
しどろもどろにゆうは言った。
違う違う。
困らせたいわけじゃないの。
皮肉しか言えないの?
素直に言えばいいでしょ。
ついて来てくれて、嬉しかった。安心した。怖かったのって。
「ゆう、その……私」
「あ、一番星」
ぴょんと飛び跳ねて彼女は空を指さした。
私もつられて顔を上げる。
1時間ほど待ったけれど、出てこないので、その日は諦めることにした。
「天子、今日は帰る。また、気分が乗ったら出てきてよね」
「あの、シュークリーム良かったら食べてください」
ドアノブに袋を引っかけて、私たちはおばさんに挨拶して部屋を後にした。
陽が落ちるのも早くなった。完全に水平線に沈んだ太陽の残滓が西の空をわずかに染めている。
風もひんやりとしていた。夏服の上にカーディガンを羽織っていたけど、あまり意味がなかった。
カーディガンすら羽織っていないゆうが寒そうに肌をさすっていた。
「こんな時間まで付き合わせて悪かったわね」
「え、いいよ」
「なんか奢る」
「シュークリーム一個もらったよ?」
「一個じゃ割に合わないでしょ」
「そんなことないよ。私、江梨香さんのことが知れて良かったし」
「裏切る裏切らないとか言ってたくせに?」
「そ、その作戦は失敗に終わりました……」
しどろもどろにゆうは言った。
違う違う。
困らせたいわけじゃないの。
皮肉しか言えないの?
素直に言えばいいでしょ。
ついて来てくれて、嬉しかった。安心した。怖かったのって。
「ゆう、その……私」
「あ、一番星」
ぴょんと飛び跳ねて彼女は空を指さした。
私もつられて顔を上げる。
77: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 20:38:58.77 ID:9fHQez770
「輝いてるねえ」
前を行く彼女。
少し早い。
「ゆう、待って」
「なあに?」
呼ぶと、とたとたとすぐそばに来てくれる。
「今日は……ありがとう」
暗くて良かった。
うっすら表情が見えるくらいで。
視線を合わせなくて済む。
「ホントは、会うの怖くて……恨まれてたらどうしようって思って、一人では行けなかった」
「うん」
ゆうは頷いただけだった。
何もしなかった自分を責める権利が、天子にはある。
でも責められたくない。
嫌われたくない。
会って何か言わなきゃって。
けれど、会えなかった。会うことすら話すことすらできなかった。
「考えすぎて、なかなか会えなかったけど……良い機会だったのかも」
「うん……」
ゆうはまた頷いた。
脅された結果だとしても。
いつかは行かなくてはいけなかったことを、後回しにしてしまっていた。
「失ったのかそうじゃないのか……まだ分からないけど」
それでも、また来ると言うことができたから。
「江梨香さん……」
ゆうが両手を広げた。
私より少し背の低い彼女に、頭を抱かれる。
前を行く彼女。
少し早い。
「ゆう、待って」
「なあに?」
呼ぶと、とたとたとすぐそばに来てくれる。
「今日は……ありがとう」
暗くて良かった。
うっすら表情が見えるくらいで。
視線を合わせなくて済む。
「ホントは、会うの怖くて……恨まれてたらどうしようって思って、一人では行けなかった」
「うん」
ゆうは頷いただけだった。
何もしなかった自分を責める権利が、天子にはある。
でも責められたくない。
嫌われたくない。
会って何か言わなきゃって。
けれど、会えなかった。会うことすら話すことすらできなかった。
「考えすぎて、なかなか会えなかったけど……良い機会だったのかも」
「うん……」
ゆうはまた頷いた。
脅された結果だとしても。
いつかは行かなくてはいけなかったことを、後回しにしてしまっていた。
「失ったのかそうじゃないのか……まだ分からないけど」
それでも、また来ると言うことができたから。
「江梨香さん……」
ゆうが両手を広げた。
私より少し背の低い彼女に、頭を抱かれる。
78: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 21:07:17.24 ID:9fHQez770
彼女の懐に、私の嗚咽と涙が吸い込まれていった。
優しい香りがした。
今まで、気が付かなかった。
ずっと、この優しさだけ吸って生きていけたらいいのに。
「もう、離して……ゆう」
「やだ」
ゆうは耳元で小さく呟いた。
静かに呼吸する音が耳をくすぐる。
「この体制しんどいんですけど」
「もっと、がばっとどーんと来ていいのに」
「どういう状態よ、それ」
意味が分からなくて、笑ってしまった。
優しい香りがした。
今まで、気が付かなかった。
ずっと、この優しさだけ吸って生きていけたらいいのに。
「もう、離して……ゆう」
「やだ」
ゆうは耳元で小さく呟いた。
静かに呼吸する音が耳をくすぐる。
「この体制しんどいんですけど」
「もっと、がばっとどーんと来ていいのに」
「どういう状態よ、それ」
意味が分からなくて、笑ってしまった。
79: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 21:18:07.45 ID:9fHQez770
「江梨香さん、まだ私といるの嫌……?」
「そんなの」
私、この子にたくさん酷い事言ってきた。
「分かるでしょ……」
「分からないもん」
「嫌よ、嫌に決まってるでしょ」
口から出るのはそんなことばかり。
これじゃあ、天子を説得することすら無理でしょ。
「そう言うと思ったよ」
ゆうはやっと私を解放した。
「前より、ずっと……ショックだあ」
ふやけた笑顔。
ゆうは手を組んで、自分の顔を隠した。
「今の段階でこんな風になるなら、好きな人に裏切られるのって、私、絶対耐えれないや」
「そんなの」
私、この子にたくさん酷い事言ってきた。
「分かるでしょ……」
「分からないもん」
「嫌よ、嫌に決まってるでしょ」
口から出るのはそんなことばかり。
これじゃあ、天子を説得することすら無理でしょ。
「そう言うと思ったよ」
ゆうはやっと私を解放した。
「前より、ずっと……ショックだあ」
ふやけた笑顔。
ゆうは手を組んで、自分の顔を隠した。
「今の段階でこんな風になるなら、好きな人に裏切られるのって、私、絶対耐えれないや」
80: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 21:59:05.11 ID:9fHQez770
2歩3歩後ずさっていく。
危なっかしい足どりで。
「ゆう……私、天子を守らなくちゃいけないの」
「うん、天子ちゃんが一番大切な友だちだよね」
ひりひりした顔が風にさらされる。
さっきまで、私を抱いていた胸が遠ざかる。
「そうよ、そう決めた……」
大切なもの。
それは、交換できないし、捨てることもできない。
いつまで続くかわからないけど。
「友だちのままじゃ、あんたと上手くやっていけない」
私――繋ぎ止めようとしてる。
どうにか辻褄を合わせて。
彼女に一緒にいて欲しいと伝えたいんだ。
なんて遠回り。
がんじがらめに繋がる世界の隙間を探って。
どうやったら彼女に伝わるんだろう。
危なっかしい足どりで。
「ゆう……私、天子を守らなくちゃいけないの」
「うん、天子ちゃんが一番大切な友だちだよね」
ひりひりした顔が風にさらされる。
さっきまで、私を抱いていた胸が遠ざかる。
「そうよ、そう決めた……」
大切なもの。
それは、交換できないし、捨てることもできない。
いつまで続くかわからないけど。
「友だちのままじゃ、あんたと上手くやっていけない」
私――繋ぎ止めようとしてる。
どうにか辻褄を合わせて。
彼女に一緒にいて欲しいと伝えたいんだ。
なんて遠回り。
がんじがらめに繋がる世界の隙間を探って。
どうやったら彼女に伝わるんだろう。
81: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 22:25:41.67 ID:9fHQez770
どうやったら、私達は繋がったままでいれる?
彼女とのたった数歩はどうやったら埋めれる?
「江梨香さん……」
「ゆう……」
分からない。
南合の影がどうしてもちらつく。
天子のメッセージが瞼の裏に浮かぶ。
私の世界に、どうやってゆうを招いたらいい。
「あんたのこと……どうしたらいいか分かんないんだけど」
すがる様にゆうに視線を送った。
「見つめられても……私にも」
この存在は一体何。
寒かったはずの外気。
今は、じっとりと汗をかいていた。
何なのこの緊張感は!
彼女とのたった数歩はどうやったら埋めれる?
「江梨香さん……」
「ゆう……」
分からない。
南合の影がどうしてもちらつく。
天子のメッセージが瞼の裏に浮かぶ。
私の世界に、どうやってゆうを招いたらいい。
「あんたのこと……どうしたらいいか分かんないんだけど」
すがる様にゆうに視線を送った。
「見つめられても……私にも」
この存在は一体何。
寒かったはずの外気。
今は、じっとりと汗をかいていた。
何なのこの緊張感は!
82: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 22:33:37.53 ID:9fHQez770
叫びたい。
あんたは私の何なのって。
深呼吸した。
「ちょっと、待ちなさいよ……」
「う、うん」
恐らく相当不審な状態だったのだろう。
「君達、そこで何してるの?」
警官に補導された。
あんたは私の何なのって。
深呼吸した。
「ちょっと、待ちなさいよ……」
「う、うん」
恐らく相当不審な状態だったのだろう。
「君達、そこで何してるの?」
警官に補導された。
83: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 22:54:25.20 ID:9fHQez770
友だちの見舞いに行った帰りなんですー、と説明したのにも関わらず、明るい所まで送っていくと言われて、結局何の決着もつけれずに家に帰ってきた。
ベッドに頭を突っ伏する。どっと疲れが押し寄せた。
「があああ……」
頭がパンクしそう。
なんで嫌って言った。
ばか江梨香。
暗がりで分かりにくかったけど、確実に傷つけた。
ついこの間までそんなこと気にすることもなかったのに。
顔が熱い。
ゆうに抱きしめられた時のことを思い出す。
血が逆流するような。
あれは――。
「はあ……」
足をバタバタと布団に叩きつけた。
寝転がって携帯を開く。
天子のツイッターを無意識に確認した。
『生きてる』ツイートが更新されてない。
今日の訪問が影響してるのか。
ベッドに頭を突っ伏する。どっと疲れが押し寄せた。
「があああ……」
頭がパンクしそう。
なんで嫌って言った。
ばか江梨香。
暗がりで分かりにくかったけど、確実に傷つけた。
ついこの間までそんなこと気にすることもなかったのに。
顔が熱い。
ゆうに抱きしめられた時のことを思い出す。
血が逆流するような。
あれは――。
「はあ……」
足をバタバタと布団に叩きつけた。
寝転がって携帯を開く。
天子のツイッターを無意識に確認した。
『生きてる』ツイートが更新されてない。
今日の訪問が影響してるのか。
84: ◆/BueNLs5lw 2016/10/02(日) 23:06:13.02 ID:9fHQez770
いつもだったら、もっと焦るのに。
今日の私はどうしたことか。
落ち着いている。
ちゃんと、言葉で伝えることができたからか。
それよりもっと心をかき乱される事案が発生しているからか。
「天子……私、変」
聞こえるわけもないけど。
相談相手は天子くらいしかいない。
溜息。
ゆうに触れていたい。
その気持ちの連続。
そう言えば、私、あの子とキスをしたことが――。
思い出して恥ずかしくなり、拳を枕に叩きつけた。
今日の私はどうしたことか。
落ち着いている。
ちゃんと、言葉で伝えることができたからか。
それよりもっと心をかき乱される事案が発生しているからか。
「天子……私、変」
聞こえるわけもないけど。
相談相手は天子くらいしかいない。
溜息。
ゆうに触れていたい。
その気持ちの連続。
そう言えば、私、あの子とキスをしたことが――。
思い出して恥ずかしくなり、拳を枕に叩きつけた。
88: ◆/BueNLs5lw 2016/10/03(月) 22:46:55.64 ID:ZMEPPJf80
友だちと長電話して夜更かしとか、カラオケで一日中歌って寝てないとか、
そういう青春臭いこととは縁遠いと思っていた。
途切れなかった昨日の延長線で、頭痛がし始めて、時計を見た。
「うそでしょ……」
ゆうのことを考えていて眠れなかったなんて、自分が一番信じられない。
カーテンのわずかな隙間からこぼれる朝日に目を細めた。
瞼を閉じると、まどろみが襲ってきて、眠い。
携帯のアラームが遅ればせながら鳴り響いたので、画面をスライドして止めた。
休みたい。
そう思ったのも初めてだ。
親を困らせたくはないから、何が起こってもそういう発想にはならなかった。
のろのろと立ち上がって、制服に手をかけてみる。
「う」
立ちくらみ。
そういう青春臭いこととは縁遠いと思っていた。
途切れなかった昨日の延長線で、頭痛がし始めて、時計を見た。
「うそでしょ……」
ゆうのことを考えていて眠れなかったなんて、自分が一番信じられない。
カーテンのわずかな隙間からこぼれる朝日に目を細めた。
瞼を閉じると、まどろみが襲ってきて、眠い。
携帯のアラームが遅ればせながら鳴り響いたので、画面をスライドして止めた。
休みたい。
そう思ったのも初めてだ。
親を困らせたくはないから、何が起こってもそういう発想にはならなかった。
のろのろと立ち上がって、制服に手をかけてみる。
「う」
立ちくらみ。
89: ◆/BueNLs5lw 2016/10/03(月) 22:58:44.77 ID:ZMEPPJf80
ついで、欠伸が出てきて、それを噛み殺す。
何も考えたくない。
天子もきっとこういう気だるさの中にいるのかも。
一緒にしちゃダメか。
休もうか。
気を抜いて考えると、後はもう崩れる。
勉強はつまらないし。
女王に鞭で叩かれるのも辛い。
気を遣う相手がいるのも疲れる。
淀みが一気に胸から流れ出した。
何も考えたくない。
天子もきっとこういう気だるさの中にいるのかも。
一緒にしちゃダメか。
休もうか。
気を抜いて考えると、後はもう崩れる。
勉強はつまらないし。
女王に鞭で叩かれるのも辛い。
気を遣う相手がいるのも疲れる。
淀みが一気に胸から流れ出した。
93: ◆/BueNLs5lw 2016/10/05(水) 23:40:40.97 ID:aJBCYC5W0
結局、なんとか自分を奮い立たせ学校に足を運んだものの、慣れない寝不足のせいで酷い頭痛に襲われた。
傍から見ても体調が悪そうに見えたのか、最初の授業の後に先生に心配されて保健室で休むことに。
「はあ……」
一眠りすれば元に戻るんだと思う。
保健の先生には当たり障りなく症状を伝えた。
疲労とか貧血で来る子は多いのよ、と適当に診断が下りた。
自業自得なだけではあるけど。
目を閉じる。
教室から出る時に見たゆうの心配そうな表情。
違う違う。
ただの寝不足だから。
そう言いたかったのに、周囲で見ているクラスメイトに仲が良いなんて思われたくもなくて。
彼女に何も言わなかった。
さすがに笑ってなかったな。
ああいう顔もするんだ。
傍から見ても体調が悪そうに見えたのか、最初の授業の後に先生に心配されて保健室で休むことに。
「はあ……」
一眠りすれば元に戻るんだと思う。
保健の先生には当たり障りなく症状を伝えた。
疲労とか貧血で来る子は多いのよ、と適当に診断が下りた。
自業自得なだけではあるけど。
目を閉じる。
教室から出る時に見たゆうの心配そうな表情。
違う違う。
ただの寝不足だから。
そう言いたかったのに、周囲で見ているクラスメイトに仲が良いなんて思われたくもなくて。
彼女に何も言わなかった。
さすがに笑ってなかったな。
ああいう顔もするんだ。
94: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 00:14:47.73 ID:bvvUhoiS0
思い出そうとしている自分が恥ずかしくなって、思考を中断。
にも関わらず、むかつく笑い方をするゆうがひょいと現れる。
頼むから、寝かせて。
それから何時間か経って、養護教諭はいつの間にか部屋を出てもうすぐお昼。
横になるだけでも多少は頭痛が軽くなってはいた。
にも関わらず、むかつく笑い方をするゆうがひょいと現れる。
頼むから、寝かせて。
それから何時間か経って、養護教諭はいつの間にか部屋を出てもうすぐお昼。
横になるだけでも多少は頭痛が軽くなってはいた。
98: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 07:24:24.95 ID:bvvUhoiS0
落ち着いてくると、今度こそ睡魔が襲ってきた。
部屋の隅で声が聞こえたような気がした。
いつまでも休んでいるわけにはいかない。
こうしている間にも授業が進んでしまうわけで、それを取り返す時間を新たに作らないといけないわけで。
そんなの面倒くさいでしょ。
天子がいれば、ノートを写させてもらえた。
でも今は――。
頼る相手はいないのに。
いないと思いたいのに。
寝てしまったと気付いた頃には、お昼休みに入っていた。
スカートを履き直して、締め切られていたカーテンを開ける。
蛍光灯が視界を滲ませた。
「ありがとうございました」
「もう、大丈夫?」
「たぶん」
「お腹空いた?」
薄いピンクの唇をからかうように引き伸ばして言った。
「ちょっとは」
「クラスの子が、持ってきてくれてるわよ」
彼女が指差した先に、私の鞄があった。
「ここで食べてもいいけど、どうする?」
提案されて、私は首を振った。
長く居れば居る程、体は甘えてしまう。
一礼して、保健室を後にした。
部屋の隅で声が聞こえたような気がした。
いつまでも休んでいるわけにはいかない。
こうしている間にも授業が進んでしまうわけで、それを取り返す時間を新たに作らないといけないわけで。
そんなの面倒くさいでしょ。
天子がいれば、ノートを写させてもらえた。
でも今は――。
頼る相手はいないのに。
いないと思いたいのに。
寝てしまったと気付いた頃には、お昼休みに入っていた。
スカートを履き直して、締め切られていたカーテンを開ける。
蛍光灯が視界を滲ませた。
「ありがとうございました」
「もう、大丈夫?」
「たぶん」
「お腹空いた?」
薄いピンクの唇をからかうように引き伸ばして言った。
「ちょっとは」
「クラスの子が、持ってきてくれてるわよ」
彼女が指差した先に、私の鞄があった。
「ここで食べてもいいけど、どうする?」
提案されて、私は首を振った。
長く居れば居る程、体は甘えてしまう。
一礼して、保健室を後にした。
99: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 08:09:19.84 ID:bvvUhoiS0
鞄を持ってきてくれるようなクラスメイトが一人しか思い浮かばない。
教室に戻って姿を探したけどいなかった。
どこにいるんだろう。
もしかしたら、南合と一緒にいるのかも。
あのグループにいつまでいる気なんだろう。
へらへら笑って。
命令に従って、私の隣にいるだけの存在だったのに。
それなりに顔を突き合わせていれば、甘えてしまうわけで。
「杉原さん探してる?」
「え」
突然声をかけられて、びくりとする。
「外のベンチで見たよ?」
そう言えば、最近はあの子に合わせて教室でご飯を食べることが多かった。
いつも一人寂しくそこでお弁当を広げていたっけ。
私がそこに行くと考えたのか、それとも単純に一人の時間を過ごしたいだけか。
「あの、いつも大変だよね」
その言葉に、私は不特定多数のような存在のクラスメイトを見た。
その子が同情の目を向けていることに驚いた。
「何が?」
「南合さんに標的にされてるし。杉原さんと一緒にさせられるし。あの子、ちょっと変わってるよね。話しかけても、笑うばっかりで。気遣ってるんだろうけど、逆に疲れる」
気を遣ってるかはさておき。
私は不愉快な気持ちになった。
「そうだね」
と、それだけ述べた。
「頑張ってね」
背中にかけられた言葉は無視して、私は足早に中庭に向かった。
教室に戻って姿を探したけどいなかった。
どこにいるんだろう。
もしかしたら、南合と一緒にいるのかも。
あのグループにいつまでいる気なんだろう。
へらへら笑って。
命令に従って、私の隣にいるだけの存在だったのに。
それなりに顔を突き合わせていれば、甘えてしまうわけで。
「杉原さん探してる?」
「え」
突然声をかけられて、びくりとする。
「外のベンチで見たよ?」
そう言えば、最近はあの子に合わせて教室でご飯を食べることが多かった。
いつも一人寂しくそこでお弁当を広げていたっけ。
私がそこに行くと考えたのか、それとも単純に一人の時間を過ごしたいだけか。
「あの、いつも大変だよね」
その言葉に、私は不特定多数のような存在のクラスメイトを見た。
その子が同情の目を向けていることに驚いた。
「何が?」
「南合さんに標的にされてるし。杉原さんと一緒にさせられるし。あの子、ちょっと変わってるよね。話しかけても、笑うばっかりで。気遣ってるんだろうけど、逆に疲れる」
気を遣ってるかはさておき。
私は不愉快な気持ちになった。
「そうだね」
と、それだけ述べた。
「頑張ってね」
背中にかけられた言葉は無視して、私は足早に中庭に向かった。
100: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 08:39:23.31 ID:bvvUhoiS0
果たして、いつものベンチに彼女はいた。
文庫本らしきものを手に取り、一心に読んでいる。
本なんて読むんだ。
そのたたずまいは、どこか不憫。
こちらの憐みを誘うよう。
詰まる所、一人ぼっちの人間は周りからこんな印象を受けるってこと。
声をかけ、隣に座り、お弁当を食べに来たとふてぶてしく言えばいいのに。
躊躇している自分。
ゆうは全く気付く様子はない。
昨晩のことを思い出して、不安になった。
引かれてないかとか。
嫌われてないかとか。
気にしてるのは自分ばかりなのか。
行け。
とにかく、なんか話しかけろ。
「ゆ、ゆう」
言った後に、石につまづいた。
「あ」
つんのめりながらゆうの前に躍り出る。
恥ずかしいことこの上ない。
「鞄、ありがと」
「ううん、お昼今からだよね? 一緒に座ろ」
自然に隣に誘導された。
文庫本らしきものを手に取り、一心に読んでいる。
本なんて読むんだ。
そのたたずまいは、どこか不憫。
こちらの憐みを誘うよう。
詰まる所、一人ぼっちの人間は周りからこんな印象を受けるってこと。
声をかけ、隣に座り、お弁当を食べに来たとふてぶてしく言えばいいのに。
躊躇している自分。
ゆうは全く気付く様子はない。
昨晩のことを思い出して、不安になった。
引かれてないかとか。
嫌われてないかとか。
気にしてるのは自分ばかりなのか。
行け。
とにかく、なんか話しかけろ。
「ゆ、ゆう」
言った後に、石につまづいた。
「あ」
つんのめりながらゆうの前に躍り出る。
恥ずかしいことこの上ない。
「鞄、ありがと」
「ううん、お昼今からだよね? 一緒に座ろ」
自然に隣に誘導された。
101: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 08:46:10.86 ID:bvvUhoiS0
「何読んでるの」
覗き込むと、観覧車の挿絵が見えた。
「恋愛小説……」
照れ笑いしながら、背表紙を見せてくれた。
「へー、意外」
「けっこう好きなの」
本をぺたんと閉じる。
私はお弁当を広げつつ、
「好きな人でもできた?」
聞いた。
良かった。
普通に話してる。
ああ、でも、今まで普通に話そうともしてなかったのに。
普通に話すことに安堵してるなんて。
おかしな話。
「うん」
「へえ……ん?」
思わず聞き返してしまった。
覗き込むと、観覧車の挿絵が見えた。
「恋愛小説……」
照れ笑いしながら、背表紙を見せてくれた。
「へー、意外」
「けっこう好きなの」
本をぺたんと閉じる。
私はお弁当を広げつつ、
「好きな人でもできた?」
聞いた。
良かった。
普通に話してる。
ああ、でも、今まで普通に話そうともしてなかったのに。
普通に話すことに安堵してるなんて。
おかしな話。
「うん」
「へえ……ん?」
思わず聞き返してしまった。
102: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 09:19:52.53 ID:bvvUhoiS0
「って、言ったら……江梨香さん、驚く?」
目を細めるゆう。
「そりゃ、まあね」
心臓がぐるんと一回転するような錯覚。
「なんで?」
「なんでって……普通は驚くでしょ」
その質問の意図を覗かないように、私は箸を掴む。
胸が苦しい。
肉団子に箸を刺したはいいけど、喉を通らないような気がしたので箸をおいた。
食欲が急に薄れていく。
ゆうがこちらを見ている。
視線が痛い。
ゆうが私の手を握ってきた。
「昨日ね、考えたの」
手、なんとかして。
「江梨香さん、私の事嫌いなのかなって。江梨香さん、すっごく分かりにくいし天邪鬼だから……」
「悪かったわね」
妹みたいに分析していたのだろうか。
「だから思ったの。たぶん、何回も伝えたら……江梨香さんも何か答えを見つけられるんじゃないかなって」
何を伝えるって。
「あの、私……」
「待って」
私は言葉をさえぎった。
目を細めるゆう。
「そりゃ、まあね」
心臓がぐるんと一回転するような錯覚。
「なんで?」
「なんでって……普通は驚くでしょ」
その質問の意図を覗かないように、私は箸を掴む。
胸が苦しい。
肉団子に箸を刺したはいいけど、喉を通らないような気がしたので箸をおいた。
食欲が急に薄れていく。
ゆうがこちらを見ている。
視線が痛い。
ゆうが私の手を握ってきた。
「昨日ね、考えたの」
手、なんとかして。
「江梨香さん、私の事嫌いなのかなって。江梨香さん、すっごく分かりにくいし天邪鬼だから……」
「悪かったわね」
妹みたいに分析していたのだろうか。
「だから思ったの。たぶん、何回も伝えたら……江梨香さんも何か答えを見つけられるんじゃないかなって」
何を伝えるって。
「あの、私……」
「待って」
私は言葉をさえぎった。
103: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 09:51:10.60 ID:bvvUhoiS0
深呼吸して、身体の中でほとばしる焦りを逃がす。
どうして、この子は、こんなにも自分の気持ちに素直になろうとするの。
そんな純粋なものをぶつけようとするの。
いつもみたいに、遠慮がちにへらへら笑ってくれない。
「江梨香さん……待ってもいいことないよ」
ゆうが私の肩を掴んで、
「ゆ……ッ」
いきなり顔が迫って来た。
優しい香りを吸った瞬間、呼吸は止まった。
彼女の香りが私の身体の動きを鈍らせる。
キスされる、と思って後ろにのけ反った。
お弁当を倒してしまうと思い、ベンチから緩慢にずり落ちる。
「やめ……」
上から押し倒される。
見上げた。
蒼穹が広がる。
少し上気した赤い頬がやたら煽情的に見えた。
はらはらと髪が落ちて。
私は唇を噛んだ。
どうして、この子は、こんなにも自分の気持ちに素直になろうとするの。
そんな純粋なものをぶつけようとするの。
いつもみたいに、遠慮がちにへらへら笑ってくれない。
「江梨香さん……待ってもいいことないよ」
ゆうが私の肩を掴んで、
「ゆ……ッ」
いきなり顔が迫って来た。
優しい香りを吸った瞬間、呼吸は止まった。
彼女の香りが私の身体の動きを鈍らせる。
キスされる、と思って後ろにのけ反った。
お弁当を倒してしまうと思い、ベンチから緩慢にずり落ちる。
「やめ……」
上から押し倒される。
見上げた。
蒼穹が広がる。
少し上気した赤い頬がやたら煽情的に見えた。
はらはらと髪が落ちて。
私は唇を噛んだ。
104: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 10:33:07.36 ID:bvvUhoiS0
目を瞑る。
「そんなに、嫌……?」
動きが止まった。
そっと目を開く。
ゆうが私の胸に額を寄せていた。
「だって、こんな急に」
「江梨香さんが言ったんだよ。友だちにはなれないって。あれ、どういう意味だったの」
「それは……」
「待ってって、言ったのは……私のこと、ちょっとでも考えてくれたからだよね。嬉しかったよ。だって、ずっと天子さん天子さんて……聞いてるうちに、どんどん自分が我慢できなくなってね、辛かったの」
天子を裏切れない。
だから、一番を譲れない。
でも、天子からの応答はない。
今、私の傍にいるのはゆうだ。
「私やっぱりお父さんの娘なんだって……好きになったら縛りつけちゃうみたい」
腕が私の首に伸びる。
へらへらと笑うその姿は、死を運ぶ天使のようにも見えた。
もしくは頭のおかしい死刑執行人。
歯止めが効かなくなる。
そんな感情が、抑えつけられた首元から伝わって。
「やめっ……」
ゆうは涙を目に溜めて、
「江梨香さんがもっと突き放してくれたら、こんな気持ちに気付くことなんてなかったのに」
「う、ゆうっ……」
首を絞めながら、ゆうは私にキスをした。
唇に何度も吸い付かれた。
「好きな人がいるくせに、どうして優しくするのかなあ?」
「そんなに、嫌……?」
動きが止まった。
そっと目を開く。
ゆうが私の胸に額を寄せていた。
「だって、こんな急に」
「江梨香さんが言ったんだよ。友だちにはなれないって。あれ、どういう意味だったの」
「それは……」
「待ってって、言ったのは……私のこと、ちょっとでも考えてくれたからだよね。嬉しかったよ。だって、ずっと天子さん天子さんて……聞いてるうちに、どんどん自分が我慢できなくなってね、辛かったの」
天子を裏切れない。
だから、一番を譲れない。
でも、天子からの応答はない。
今、私の傍にいるのはゆうだ。
「私やっぱりお父さんの娘なんだって……好きになったら縛りつけちゃうみたい」
腕が私の首に伸びる。
へらへらと笑うその姿は、死を運ぶ天使のようにも見えた。
もしくは頭のおかしい死刑執行人。
歯止めが効かなくなる。
そんな感情が、抑えつけられた首元から伝わって。
「やめっ……」
ゆうは涙を目に溜めて、
「江梨香さんがもっと突き放してくれたら、こんな気持ちに気付くことなんてなかったのに」
「う、ゆうっ……」
首を絞めながら、ゆうは私にキスをした。
唇に何度も吸い付かれた。
「好きな人がいるくせに、どうして優しくするのかなあ?」
105: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 11:53:07.81 ID:bvvUhoiS0
小鳥のように首を傾げた。雫が私の肌に染み込んだ。
振り払うことはきっと簡単だった。
突き飛ばしてしまえば良かった。
なのに、あの日されたゆうのキスに体が興奮を覚えていた。
友だちのキスよりももっと強く異常な刺激だった。
それでも、この子を離せないと思えてしまったから。
「んっ……」
首の圧迫はいつの間にか消えていた。
ただ、互いの呼気を求めるようにキスをし続けた。
彼女の方がやや優勢なキス。
手を絡み合わせて、汗をこすりつけて。
「はあっ……んっ」
遠く、チャイムが鳴った。
ゆうが漸く顔を離した。
口の周りがべたついている。
それをぺろりと舐めて、私と目が合った途端、両手を口元に当てていた。
「ごめ、ごめんなさいっ……」
私の上で座り込んで、彼女は先ほどより目からたくさんの涙を流して謝った。
「ごめんなさいっ……ごめんなさいっ」
謝って、謝り続けて。
会った時から、よく謝るなあと思っていた。
私はゆうのことを知らなかった。
何を思っているかなんて知ろうともしなかった。
振り払うことはきっと簡単だった。
突き飛ばしてしまえば良かった。
なのに、あの日されたゆうのキスに体が興奮を覚えていた。
友だちのキスよりももっと強く異常な刺激だった。
それでも、この子を離せないと思えてしまったから。
「んっ……」
首の圧迫はいつの間にか消えていた。
ただ、互いの呼気を求めるようにキスをし続けた。
彼女の方がやや優勢なキス。
手を絡み合わせて、汗をこすりつけて。
「はあっ……んっ」
遠く、チャイムが鳴った。
ゆうが漸く顔を離した。
口の周りがべたついている。
それをぺろりと舐めて、私と目が合った途端、両手を口元に当てていた。
「ごめ、ごめんなさいっ……」
私の上で座り込んで、彼女は先ほどより目からたくさんの涙を流して謝った。
「ごめんなさいっ……ごめんなさいっ」
謝って、謝り続けて。
会った時から、よく謝るなあと思っていた。
私はゆうのことを知らなかった。
何を思っているかなんて知ろうともしなかった。
106: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 12:09:09.55 ID:bvvUhoiS0
この子は、悪魔かもしれない。
「ごめん……なさいっ」
同じ人間なのに、悪魔かもしれない。
「異常でしょ……」
「っ……ごめんなさい」
怖かった。殺されるかと。
でも、それ以上にこの異常な女の子を愛しいと感じてしまった。
歪んだ愛を受けいれてあげなくてはと思ってしまった。
「死ぬかと思ったんですけど……」
ゆうはすすり泣いた。
もし、私がもう一度天子の家にいったら、この子はどんな反応をするんだろう。
それを見てみたい気もしたし、見たくない気もした。
今度はもっと壊れてしまうの?
だらしない顔で笑って、ゆっくり壊れていくの?
この子は、そんな子なのか。
今度刺されるのは、南合ではなく、私か。
「ごめん……なさいっ」
同じ人間なのに、悪魔かもしれない。
「異常でしょ……」
「っ……ごめんなさい」
怖かった。殺されるかと。
でも、それ以上にこの異常な女の子を愛しいと感じてしまった。
歪んだ愛を受けいれてあげなくてはと思ってしまった。
「死ぬかと思ったんですけど……」
ゆうはすすり泣いた。
もし、私がもう一度天子の家にいったら、この子はどんな反応をするんだろう。
それを見てみたい気もしたし、見たくない気もした。
今度はもっと壊れてしまうの?
だらしない顔で笑って、ゆっくり壊れていくの?
この子は、そんな子なのか。
今度刺されるのは、南合ではなく、私か。
107: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 12:12:49.16 ID:bvvUhoiS0
手足が痺れてきて、私は体を起こした。
いつまでもここにいれない。
「ゆう、荷物片づけて」
「え」
「行くよ」
「教室……?」
その問いに首を振った。
「そんなんで行ける?」
「ううん……」
「ゲーセン」
ゆうは呆然として、へらっと笑った。
いつまでもここにいれない。
「ゆう、荷物片づけて」
「え」
「行くよ」
「教室……?」
その問いに首を振った。
「そんなんで行ける?」
「ううん……」
「ゲーセン」
ゆうは呆然として、へらっと笑った。
108: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 12:21:03.11 ID:bvvUhoiS0
人生で初めて、私は私のルールを破った。
学校をサボるなんて、不良がすることじゃん。
真っ当に生きて真っ当に死にたかったのに。
信念なんて、くだらないのかも。
制服でゲーセンに行って補導されるのも嫌なので、いったん私の家に向かった。
そこでゆうに私の服を渡した。
戸惑いながら、袖を通す。
着なくなったワンピース。
よく似合っていた。
「いくよ」
手をひいて、自転車の後ろにゆうを乗せた。
「腰、ちゃんと掴んでなさいよ」
「うん……」
ゲーセンまで会話はしなかった。
お互い、変に興奮していて、まともな思考回路じゃなかっただろう。
ただ、どこかに匿って欲しかった。
逃げ場所が欲しかった。
私たちの世界では受け止めきれない異常を薄めてくれればどこでもいい。
学校をサボるなんて、不良がすることじゃん。
真っ当に生きて真っ当に死にたかったのに。
信念なんて、くだらないのかも。
制服でゲーセンに行って補導されるのも嫌なので、いったん私の家に向かった。
そこでゆうに私の服を渡した。
戸惑いながら、袖を通す。
着なくなったワンピース。
よく似合っていた。
「いくよ」
手をひいて、自転車の後ろにゆうを乗せた。
「腰、ちゃんと掴んでなさいよ」
「うん……」
ゲーセンまで会話はしなかった。
お互い、変に興奮していて、まともな思考回路じゃなかっただろう。
ただ、どこかに匿って欲しかった。
逃げ場所が欲しかった。
私たちの世界では受け止めきれない異常を薄めてくれればどこでもいい。
109: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 12:30:19.54 ID:bvvUhoiS0
学校は休校になりました。
そんな表情を顔に貼り付けて、私とゆうはゲーセンの入り口をくぐる。
平日の昼間は、中年のおばさんやヤンキーっぽい男の人が数える程しかいなかった。
「いつもの?」
と、ゆうが聞いた。
「ううん」
私は財布に入っていた5000円を全部両替機に突っ込んだ。
ゆうに半分握らせる。
「全部するの」
「江梨香さん……」
「するの」
「……これじゃ、足りないよ」
ゆうも鞄から財布を取り出した。
お札を全て両替機に食わせる。
小口にジャラジャラと小銭が降ってきた。
ゆうはそれを両手に抱えた。
「あーあ、いいの?」
「うん」
私たちは近くにあったシューティングゲームから取り掛かった。
そんな表情を顔に貼り付けて、私とゆうはゲーセンの入り口をくぐる。
平日の昼間は、中年のおばさんやヤンキーっぽい男の人が数える程しかいなかった。
「いつもの?」
と、ゆうが聞いた。
「ううん」
私は財布に入っていた5000円を全部両替機に突っ込んだ。
ゆうに半分握らせる。
「全部するの」
「江梨香さん……」
「するの」
「……これじゃ、足りないよ」
ゆうも鞄から財布を取り出した。
お札を全て両替機に食わせる。
小口にジャラジャラと小銭が降ってきた。
ゆうはそれを両手に抱えた。
「あーあ、いいの?」
「うん」
私たちは近くにあったシューティングゲームから取り掛かった。
110: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 12:37:06.25 ID:bvvUhoiS0
他のゲームなんてしたことなかったから、どれもこれも下手くそだった。
お金の無駄にしかならなかった。
クレーンゲームも3000円つぎ込んで、何も取れなかった。
だんだん現実味が薄れてきて、バカなことをしている自分たちが可笑しくなって。
互いに体を揺らしながら笑った。
店員に睨まれて、それでも笑いながら。
生まれてきて、こんなに可笑しい気持ちになったのは初めてだった。
「ね、いつものしよ? 私、日曜にちょっと練習した」
「まじで……どのくらいいったの?」
「70歳」
「ばあちゃんじゃん」
「難しいもん」
「いい? あ、光ったって思ってそっち見たら遅いの。見るんじゃなくて押すの。こうね、見る前に」
「見ないと、どこにあるか分からないよ?」
「感じるの」
「えー?」
天子と同じような反応が返って来た。
やっぱり私の説明が下手くそだったのかな。
「二人対戦でしよっか」
40円入れて、有無を言わせず腕を引っ張り隣に並ばせた。
お金の無駄にしかならなかった。
クレーンゲームも3000円つぎ込んで、何も取れなかった。
だんだん現実味が薄れてきて、バカなことをしている自分たちが可笑しくなって。
互いに体を揺らしながら笑った。
店員に睨まれて、それでも笑いながら。
生まれてきて、こんなに可笑しい気持ちになったのは初めてだった。
「ね、いつものしよ? 私、日曜にちょっと練習した」
「まじで……どのくらいいったの?」
「70歳」
「ばあちゃんじゃん」
「難しいもん」
「いい? あ、光ったって思ってそっち見たら遅いの。見るんじゃなくて押すの。こうね、見る前に」
「見ないと、どこにあるか分からないよ?」
「感じるの」
「えー?」
天子と同じような反応が返って来た。
やっぱり私の説明が下手くそだったのかな。
「二人対戦でしよっか」
40円入れて、有無を言わせず腕を引っ張り隣に並ばせた。
111: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 12:51:49.16 ID:bvvUhoiS0
ランプが半分になる。
ゲームスタートの合図とともに、もともとついていたランプを手で消していく。
隣のゆうがひいひい言っていた。
ランダムに複数個現れるランプに翻弄されて。
「早いよー……江梨香さんっ」
「経験の差よ」
単純な運動神経を測るゲーム。
ゆうが隣にいるだけで、楽しい。
凄く楽しい。
私の聖域なんて言って。
本当は一人は嫌だった。
ゆうの表情がどんどん明るくなっていくのが嬉しい。
カーン!
とゲーム終了の鐘が鳴る。
「あら、60代になったの? やったじゃない」
「つ、疲れたよぉ……」
膝に手をついて、ゆうは肩で息を整えていた。
「だらしないなあ。もうひとゲームいくよ」
「待って、待って! 休ませて!」
「だめー」
ゆうの言葉は無視して小銭を入れた。
それから、お金が無くなるまで、私たちはずっと遊び続けた。
何も考えずに。
遊ぶために生きてるみたいに。
二人だけで。
疲れ果てて、ゲーセンの端っこにあるベンチにぐたりと座った。
互いに体を預け合った。
親にバレたらって考えると肝が冷えた。
それをゆうに言うと、ゆうもおばあちゃん怒るだろうなあ、と呟いていた。
ゲームスタートの合図とともに、もともとついていたランプを手で消していく。
隣のゆうがひいひい言っていた。
ランダムに複数個現れるランプに翻弄されて。
「早いよー……江梨香さんっ」
「経験の差よ」
単純な運動神経を測るゲーム。
ゆうが隣にいるだけで、楽しい。
凄く楽しい。
私の聖域なんて言って。
本当は一人は嫌だった。
ゆうの表情がどんどん明るくなっていくのが嬉しい。
カーン!
とゲーム終了の鐘が鳴る。
「あら、60代になったの? やったじゃない」
「つ、疲れたよぉ……」
膝に手をついて、ゆうは肩で息を整えていた。
「だらしないなあ。もうひとゲームいくよ」
「待って、待って! 休ませて!」
「だめー」
ゆうの言葉は無視して小銭を入れた。
それから、お金が無くなるまで、私たちはずっと遊び続けた。
何も考えずに。
遊ぶために生きてるみたいに。
二人だけで。
疲れ果てて、ゲーセンの端っこにあるベンチにぐたりと座った。
互いに体を預け合った。
親にバレたらって考えると肝が冷えた。
それをゆうに言うと、ゆうもおばあちゃん怒るだろうなあ、と呟いていた。
112: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 13:20:37.61 ID:bvvUhoiS0
大丈夫なんて、無謀な自信があった。
ゆうとなら大丈夫なんて。
「ゆう」
「うん……?」
疲れて眠くなってきたのか、ゆうがぼんやり答えた。
小さなあくびを一つ。
なによ、こいつ。
可愛いじゃん。
知ってたけど。
「付き合おっか」
ゆうの体が跳ねた。
「江梨香さん……」
「あんたが好きよ」
ゆうが抱き着いてきた。
頭を撫でてやる。
ガヤガヤとうるさいゲーセンの中では、ムードも何もあったもんじゃないけど。
もう、色々と考えたり気にしたり疲れてしまった。
私は誰の人生を生きてるんだろうか。
私の身体は何に従って動く?
それは、もちろん、私自身だった。
ゆうとなら大丈夫なんて。
「ゆう」
「うん……?」
疲れて眠くなってきたのか、ゆうがぼんやり答えた。
小さなあくびを一つ。
なによ、こいつ。
可愛いじゃん。
知ってたけど。
「付き合おっか」
ゆうの体が跳ねた。
「江梨香さん……」
「あんたが好きよ」
ゆうが抱き着いてきた。
頭を撫でてやる。
ガヤガヤとうるさいゲーセンの中では、ムードも何もあったもんじゃないけど。
もう、色々と考えたり気にしたり疲れてしまった。
私は誰の人生を生きてるんだろうか。
私の身体は何に従って動く?
それは、もちろん、私自身だった。
113: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 14:10:05.70 ID:bvvUhoiS0
南合に従ったり、天子に遠慮したり。
私が私でなくなるまで、そんなことを続けるって言うの?
いやいや、あり得ない。
いじめにあったと親に言えば、救われるか?
鍵のついてない扉を開ければ、自由になれる?
それは全部希望とか夢とかに近くて。
曖昧なもので。
今すぐどうこうできるものでもなく。
とにかく、私を悩ませる。
一人でうじうじと。
でも、もうそれだけじゃない。
触れることのできる確かな存在ができた。
「ゆう……こっち向いて」
「江梨香さ……んっ」
ふわりと唇を重ねた。
誰かが見ていたかもしれない。
でも、いい。
「はあっ……あの、江梨香さん」
私の窮屈な世界を壊すキス。
私はこれを待っていたんだ。
私が私でなくなるまで、そんなことを続けるって言うの?
いやいや、あり得ない。
いじめにあったと親に言えば、救われるか?
鍵のついてない扉を開ければ、自由になれる?
それは全部希望とか夢とかに近くて。
曖昧なもので。
今すぐどうこうできるものでもなく。
とにかく、私を悩ませる。
一人でうじうじと。
でも、もうそれだけじゃない。
触れることのできる確かな存在ができた。
「ゆう……こっち向いて」
「江梨香さ……んっ」
ふわりと唇を重ねた。
誰かが見ていたかもしれない。
でも、いい。
「はあっ……あの、江梨香さん」
私の窮屈な世界を壊すキス。
私はこれを待っていたんだ。
115: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 14:45:29.69 ID:bvvUhoiS0
その日から、私の世界が劇的に変るなんてことはないけど。
私は天子のツイッターを削除した。
バスケ部には退部届を出して、ゆうと園芸部に入った。
南合の脅しは徹底的に無視した。
ゆうには南合になんて言われていたかを話した。
ゆうは覚悟を決めて、南合に何を言われてもいいと言ってくれた。
私ももちろんゆうを守ると決めた。
そうやって、私の世界のくだらないルーティンを無くしていった。
ゆうは相変わらず嫉妬深いけど、まあそこは愛嬌かな。
彼女がへらへら気を遣って笑わなくていいように、私は堂々と前を向くことにした。
ゆうがいると自信が湧くと言うか、勇気が出るから不思議。
今日もクラスの中で、誰かが選ばれてキスをさせられる。
南合のお遊びに付き合わされる。
南合は私たちを完全に無視するようになった。
クラスの子も話しかけてはこなくなった。
先生は私がクラスで浮いてることを引き合いに出さなくなった。
それでも、このお遊びは続く。
それをゆうと眺める。
「ゆう、外でご飯食べよ」
「うん」
いつか、私は後ろ指差されるかもしれない。
それでも、背中からナイフで刺されるよりはよっぽどマシなの。
そのいつかの時のために、ゆうの手をずっと握っておこうと思う。
おわり
私は天子のツイッターを削除した。
バスケ部には退部届を出して、ゆうと園芸部に入った。
南合の脅しは徹底的に無視した。
ゆうには南合になんて言われていたかを話した。
ゆうは覚悟を決めて、南合に何を言われてもいいと言ってくれた。
私ももちろんゆうを守ると決めた。
そうやって、私の世界のくだらないルーティンを無くしていった。
ゆうは相変わらず嫉妬深いけど、まあそこは愛嬌かな。
彼女がへらへら気を遣って笑わなくていいように、私は堂々と前を向くことにした。
ゆうがいると自信が湧くと言うか、勇気が出るから不思議。
今日もクラスの中で、誰かが選ばれてキスをさせられる。
南合のお遊びに付き合わされる。
南合は私たちを完全に無視するようになった。
クラスの子も話しかけてはこなくなった。
先生は私がクラスで浮いてることを引き合いに出さなくなった。
それでも、このお遊びは続く。
それをゆうと眺める。
「ゆう、外でご飯食べよ」
「うん」
いつか、私は後ろ指差されるかもしれない。
それでも、背中からナイフで刺されるよりはよっぽどマシなの。
そのいつかの時のために、ゆうの手をずっと握っておこうと思う。
おわり
116: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 14:46:08.79 ID:bvvUhoiS0
これにて終わり。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
117: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/06(木) 14:50:44.90 ID:cqJkzasoO
ゆうが江梨香をさん付けで呼ばなくなるのはいつだろうと思ってたら終わってた
118: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 14:56:10.95 ID:bvvUhoiS0
>>117
ゆうには個人的に、ずっとさんづけで読んで欲しいのでずっとこのままです
ゆうには個人的に、ずっとさんづけで読んで欲しいのでずっとこのままです
119: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/06(木) 16:05:57.63 ID:J2ptcYaSo
乙ヤーデ。面白かった
120: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/06(木) 20:23:45.40 ID:mcAhhg2fo
乙
結局天子はこもりっぱなん?
結局天子はこもりっぱなん?
121: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 21:19:56.79 ID:bvvUhoiS0
>>119
ありがと
>>120
以下、妄想
天子は高校ではずっと籠ります。
高校は中退して、通信制の学校で高卒資格を取得。
天子は親元を離れて、アルバイトをしながら一人暮らしを始めます。
が、天子は人間関係が完全に苦手になってしまって、他のアルバイトにびびって止めてしまいます。
家からの仕送りがあって、それで生活する日々。
家にバイトを止めたということも告げず、また引きこもりのような生活を繰り返します。
南合はそんな天子をずっと見ていて、ストーカーのような行為をずっと続けていました。
南合は良い所のお嬢さんで、ある日天子を自分の家で雇おうという考えに至ります。
ある日、南合が天子の家に訪ねると、天子は栄養失調な上風邪を引いていて肺炎になりかけていました、薬も病院もお金が無くていけないということ。
南合はすぐに病院に連れて行きます。
体調も良くなり、しっかりと栄養も取らせて、天子は元気になります。
親身に看病してくれていた南合に天子は徐々に心を開いていきます。
南合は天子に自分の身の回りの世話をしてもらう代わりに、給料を払うと言います。
天子は内心南合に関わりたくなかったのですが、このままでは死んでしまうし親に頼るわけにもいかないので、南合の世話をすることに。
南合も精神的に落ち着いており、前のようなひどいいじめもなくなっていましたが、天子へ好意を寄せていて、お金の力で体の関係も迫ってきました。
天子と南合の関係が徐々に修復されていたところだったのですが、天子は人に気持ちが分からない南合に怒って家を出ました。
南合も後を追いかけて……。
みたいな所もまで想像した。
ありがと
>>120
以下、妄想
天子は高校ではずっと籠ります。
高校は中退して、通信制の学校で高卒資格を取得。
天子は親元を離れて、アルバイトをしながら一人暮らしを始めます。
が、天子は人間関係が完全に苦手になってしまって、他のアルバイトにびびって止めてしまいます。
家からの仕送りがあって、それで生活する日々。
家にバイトを止めたということも告げず、また引きこもりのような生活を繰り返します。
南合はそんな天子をずっと見ていて、ストーカーのような行為をずっと続けていました。
南合は良い所のお嬢さんで、ある日天子を自分の家で雇おうという考えに至ります。
ある日、南合が天子の家に訪ねると、天子は栄養失調な上風邪を引いていて肺炎になりかけていました、薬も病院もお金が無くていけないということ。
南合はすぐに病院に連れて行きます。
体調も良くなり、しっかりと栄養も取らせて、天子は元気になります。
親身に看病してくれていた南合に天子は徐々に心を開いていきます。
南合は天子に自分の身の回りの世話をしてもらう代わりに、給料を払うと言います。
天子は内心南合に関わりたくなかったのですが、このままでは死んでしまうし親に頼るわけにもいかないので、南合の世話をすることに。
南合も精神的に落ち着いており、前のようなひどいいじめもなくなっていましたが、天子へ好意を寄せていて、お金の力で体の関係も迫ってきました。
天子と南合の関係が徐々に修復されていたところだったのですが、天子は人に気持ちが分からない南合に怒って家を出ました。
南合も後を追いかけて……。
みたいな所もまで想像した。
122: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/06(木) 21:30:05.82 ID:F0F1K/ufO
>>1乙
俺は天子が既に死んでいた事にしてホラー風サスペンスなんて妄想した
俺は天子が既に死んでいた事にしてホラー風サスペンスなんて妄想した
123: ◆/BueNLs5lw 2016/10/06(木) 21:34:08.34 ID:bvvUhoiS0
>>122
うわあ、ドロドロになりそう
そうなるとお母様の復讐劇が始まり、南合VSお母様の泥試合百合あるいは、真犯人はお母様かもしれない狂気ssになりかねない
うわあ、ドロドロになりそう
そうなるとお母様の復讐劇が始まり、南合VSお母様の泥試合百合あるいは、真犯人はお母様かもしれない狂気ssになりかねない
125: ◆/BueNLs5lw 2016/10/09(日) 14:50:20.14 ID:2Ib/gVkNO
ありがとう
嫉妬好きよ
嫉妬好きよ
124: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/10/06(木) 22:21:16.00 ID:vqqOG2xko
乙
いい百合だった。
純白の百合には、真紅の嫉妬がよく映える
いい百合だった。
純白の百合には、真紅の嫉妬がよく映える
引用元: 私の世界を壊すキス
姉「彼氏を虜にする方法、知りたくない?」妹「なにそれ、知りたい!」
2018-12-29
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:10:17.79 ID:T+gyQ9sf0
「入って」
「お邪魔します」
彼氏が家に来たので、出迎えた。
彼は律儀に挨拶をして、敷居を跨ぐ。
すると、リビングから姉が顔を覗かせた。
「お! いらっしゃい、副会長」
「ああ、今日もお邪魔させて貰うぞ」
「毎度毎度かしこまらなくていいわよ。それより、ちゃんと宿題持ってきた?」
「おう。約束通り、持って来たぞ」
「ありがと! やっぱり持つべき者は頼れる副会長ね! あんたが妹の彼氏で本当に良かった!」
親しげにやり取りをする、姉と彼氏。
念を押しておくが、彼は私の彼氏である。
それなのに、2人の距離はとても近い。
その理由は、我が校の生徒会役員同士だから。
姉が会長で、私の彼氏が副会長。
校内においても、校外においても、仲が良い。
高身長の彼と、女子にしては背が高めな姉。
立ち並ぶと、とても絵になるベストカップル。
ちなみに私はチビ。おまけに貧乳だ。
姉は胸が大きく、ウエストは私よりも細い。
十人男が居れば、十人とも、姉を選ぶだろう。
それでも、この人は、私を選んでくれた。
私だけの、かけがえのない、彼氏なのだ。
「……行こ」
「ああ、わかった」
袖口を引っ張って、彼氏を自室に連れ込んだ。
「お邪魔します」
彼氏が家に来たので、出迎えた。
彼は律儀に挨拶をして、敷居を跨ぐ。
すると、リビングから姉が顔を覗かせた。
「お! いらっしゃい、副会長」
「ああ、今日もお邪魔させて貰うぞ」
「毎度毎度かしこまらなくていいわよ。それより、ちゃんと宿題持ってきた?」
「おう。約束通り、持って来たぞ」
「ありがと! やっぱり持つべき者は頼れる副会長ね! あんたが妹の彼氏で本当に良かった!」
親しげにやり取りをする、姉と彼氏。
念を押しておくが、彼は私の彼氏である。
それなのに、2人の距離はとても近い。
その理由は、我が校の生徒会役員同士だから。
姉が会長で、私の彼氏が副会長。
校内においても、校外においても、仲が良い。
高身長の彼と、女子にしては背が高めな姉。
立ち並ぶと、とても絵になるベストカップル。
ちなみに私はチビ。おまけに貧乳だ。
姉は胸が大きく、ウエストは私よりも細い。
十人男が居れば、十人とも、姉を選ぶだろう。
それでも、この人は、私を選んでくれた。
私だけの、かけがえのない、彼氏なのだ。
「……行こ」
「ああ、わかった」
袖口を引っ張って、彼氏を自室に連れ込んだ。
2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:12:46.29 ID:T+gyQ9sf0
「数学のこの問題、難しくなかった?」
「ああ、これはこの公式に当て嵌めて……」
「ははあん。なるほどね~」
彼氏と一緒に、当然のように姉もついてきた。
とはいえ、これが常だ。日常茶飯事な一幕。
肩を寄せ合って、数学の宿題に勤しんでいる。
「あーもう! このゲーム、ムズすぎ」
そんな2人をよそに、私はゲームをしていた。
彼の勧めでやってみたのだが、とても難しい。
何度トライしてもクリア出来ず見兼ねた彼が。
「ちょっと貸してみ」
「あ、うん」
「これ、難しすぎたか?」
「うん……私には少し、難易度が高いかも」
「じゃあ、やって見せるから」
そう言って、ピコピコと携帯ゲーム機を操り。
あっさりとクリアしてみせる彼氏。神業だ。
思わず拍手すると、得意げに鼻を鳴らした。
「どうだ、すごいだろ?」
「すごいすごい! 天才!」
「はいはい天才副会長! この問題も教えて!」
「ん? ああ、これはだな……」
はい。楽しいひと時はあっという間に終わり。
再び、姉と彼氏は2人だけの世界へと戻る。
私はまた、下手くそな独りプレイを始めた。
「ああ、これはこの公式に当て嵌めて……」
「ははあん。なるほどね~」
彼氏と一緒に、当然のように姉もついてきた。
とはいえ、これが常だ。日常茶飯事な一幕。
肩を寄せ合って、数学の宿題に勤しんでいる。
「あーもう! このゲーム、ムズすぎ」
そんな2人をよそに、私はゲームをしていた。
彼の勧めでやってみたのだが、とても難しい。
何度トライしてもクリア出来ず見兼ねた彼が。
「ちょっと貸してみ」
「あ、うん」
「これ、難しすぎたか?」
「うん……私には少し、難易度が高いかも」
「じゃあ、やって見せるから」
そう言って、ピコピコと携帯ゲーム機を操り。
あっさりとクリアしてみせる彼氏。神業だ。
思わず拍手すると、得意げに鼻を鳴らした。
「どうだ、すごいだろ?」
「すごいすごい! 天才!」
「はいはい天才副会長! この問題も教えて!」
「ん? ああ、これはだな……」
はい。楽しいひと時はあっという間に終わり。
再び、姉と彼氏は2人だけの世界へと戻る。
私はまた、下手くそな独りプレイを始めた。
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:15:48.77 ID:T+gyQ9sf0
「お姉ちゃん、近すぎ」
「あんたにだけは言われたくないわよ」
しばらくして、私の苛立ちは頂点に達した。
姉に彼氏との距離を注意するも言い返された。
たしかに私もだいぶ近い。対抗心である。
どのくらい近いかと言うと、ほぼゼロ距離。
膝の間に陣取り、背中を胸板に預けていた。
要するに今、彼氏は私の座椅子となっている。
ちなみに姉は、彼と横並びに座っていた。
それだけなら、まだいい。問題は、胸元だ。
ゆるゆるの襟から谷間が丸見えで、溢れそう。
彼は気にしていないけれど、私は気になる。
「その服、だらしないから着替えてきて」
「なんで? いつも家ではこんな感じでしょ?」
「それは、そうだけど……」
たしかに、姉は普段から家ではだらしない。
ちなみに学校ではキッチリと制服を着ている。
模範的な服装の、真面目な生徒会長なのだ。
その反動なのか、家ではご覧の有様だった。
別に、私の彼氏を誘惑しているわけではない。
そうとはわかっているが、苛々が収まらない。
「もういい! わかった! 今に見てろよ……」
「ん? どこに行くんだ? 喧嘩はやめとけ」
「喧嘩じゃないし! すぐに戻ってくるから!」
憤慨した私は立ち上がり、彼氏に心配無用と告げると、クローゼットから手早く目当てのTシャツを1枚取り出し、駆け足で脱衣所に向かった。
「あんたにだけは言われたくないわよ」
しばらくして、私の苛立ちは頂点に達した。
姉に彼氏との距離を注意するも言い返された。
たしかに私もだいぶ近い。対抗心である。
どのくらい近いかと言うと、ほぼゼロ距離。
膝の間に陣取り、背中を胸板に預けていた。
要するに今、彼氏は私の座椅子となっている。
ちなみに姉は、彼と横並びに座っていた。
それだけなら、まだいい。問題は、胸元だ。
ゆるゆるの襟から谷間が丸見えで、溢れそう。
彼は気にしていないけれど、私は気になる。
「その服、だらしないから着替えてきて」
「なんで? いつも家ではこんな感じでしょ?」
「それは、そうだけど……」
たしかに、姉は普段から家ではだらしない。
ちなみに学校ではキッチリと制服を着ている。
模範的な服装の、真面目な生徒会長なのだ。
その反動なのか、家ではご覧の有様だった。
別に、私の彼氏を誘惑しているわけではない。
そうとはわかっているが、苛々が収まらない。
「もういい! わかった! 今に見てろよ……」
「ん? どこに行くんだ? 喧嘩はやめとけ」
「喧嘩じゃないし! すぐに戻ってくるから!」
憤慨した私は立ち上がり、彼氏に心配無用と告げると、クローゼットから手早く目当てのTシャツを1枚取り出し、駆け足で脱衣所に向かった。
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:17:53.04 ID:T+gyQ9sf0
「おまたせ」
「お、おう。どうしたんだ、その格好は?」
「そのTシャツ、サイズが合ってないわよ?」
速攻で戻ってきた私に、2人の視線が集まる。
姉の言う通り、このTシャツはかなりダボダボ。
それもその筈、これは彼氏のTシャツである。
先日、彼の家にお邪魔した際に失敬してきた。
すぐに彼氏がそのことに気づいて首を傾げる。
「あれ? もしかして、それは俺の……」
「ちょっと借りた」
「無断で持ち出すのは借りるとは言わないぞ」
「じゃあ、貸して」
「あ、ああ。そりゃあ、構わないけど……」
「ん。ありがとね」
彼氏への事後報告は済んだ。委細問題はない。
重要なのは、その反応だ。明らかに挙動不審。
目が泳いで、ソワソワしている。当然だろう。
なにせ片方の肩が剥き出しだ。スースーする。
遠山の金さん状態な私。もちろん刺青はない。
ちなみに、ブラはポイしてきた。ノーブラだ。
もちろん、めちゃくちゃ恥ずかしいけれども。
ともあれ、これにて無事に、彼女としての立場を守り抜いた……かに、思われたのだが。
「そんな格好してると、風邪ひくぞ」
おもむろに立ち上がり、余計なことをする彼。
自分が着ていたジャケットを潔く、脱いで。
そっと私の肩に羽織らせてきた。あったけー。
「お、おう。どうしたんだ、その格好は?」
「そのTシャツ、サイズが合ってないわよ?」
速攻で戻ってきた私に、2人の視線が集まる。
姉の言う通り、このTシャツはかなりダボダボ。
それもその筈、これは彼氏のTシャツである。
先日、彼の家にお邪魔した際に失敬してきた。
すぐに彼氏がそのことに気づいて首を傾げる。
「あれ? もしかして、それは俺の……」
「ちょっと借りた」
「無断で持ち出すのは借りるとは言わないぞ」
「じゃあ、貸して」
「あ、ああ。そりゃあ、構わないけど……」
「ん。ありがとね」
彼氏への事後報告は済んだ。委細問題はない。
重要なのは、その反応だ。明らかに挙動不審。
目が泳いで、ソワソワしている。当然だろう。
なにせ片方の肩が剥き出しだ。スースーする。
遠山の金さん状態な私。もちろん刺青はない。
ちなみに、ブラはポイしてきた。ノーブラだ。
もちろん、めちゃくちゃ恥ずかしいけれども。
ともあれ、これにて無事に、彼女としての立場を守り抜いた……かに、思われたのだが。
「そんな格好してると、風邪ひくぞ」
おもむろに立ち上がり、余計なことをする彼。
自分が着ていたジャケットを潔く、脱いで。
そっと私の肩に羽織らせてきた。あったけー。
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:19:40.09 ID:T+gyQ9sf0
「……ありがと」
赤面しつつ、彼氏の思いやりに感謝する。
なんかとっても嬉しいけど、とっても複雑。
ものすごい醜態を晒したような気分になった。
くそっ。どうしてブラまで脱ぎ捨てたし。
今となっては当時の決意が無意味に思えた。
しょんぼりして、再び独りでゲームしてると。
「ぷっ……ザコすぎ」
姉が小声で嘲り、おまけに耳を齧ってきた。
「ひぅっ!?」
びっくりして、操作を誤り、ゲームオーバー。
「ぷーくすくす! ゲームオーバーだって!」
「お、お姉ちゃん! 意地悪しないで!!」
「本当に可愛いんだから! 食べちゃいたい!」
「食べるなぁっ!!」
耳を齧るのは反則だ。私は耳が弱いのに。
それを知ってて、姉は耳たぶを咥えるのだ。
本人は可愛がっているつもりなのだろうが。
本当にやめて頂きたい。ビクッてなるから。
「おい、あんまり揶揄うなよ。可哀想だろ」
「なによ副会長。もしかして、独占欲?」
「別に、自分の彼女なんだから当たり前だろ」
「まったく、お熱いことで。火傷しそうよ」
冷やかしながらも、姉の追撃は止んだ。
彼氏が庇ってくれて、なんとか助かった。
本当に彼は良い人だ。頼りになる男だった。
出会ったのは、二年ほど前。中2の時のこと。
この彼氏と巡り会えたのは姉のおかげだった。
まるで、昨日のことのように、覚えている。
赤面しつつ、彼氏の思いやりに感謝する。
なんかとっても嬉しいけど、とっても複雑。
ものすごい醜態を晒したような気分になった。
くそっ。どうしてブラまで脱ぎ捨てたし。
今となっては当時の決意が無意味に思えた。
しょんぼりして、再び独りでゲームしてると。
「ぷっ……ザコすぎ」
姉が小声で嘲り、おまけに耳を齧ってきた。
「ひぅっ!?」
びっくりして、操作を誤り、ゲームオーバー。
「ぷーくすくす! ゲームオーバーだって!」
「お、お姉ちゃん! 意地悪しないで!!」
「本当に可愛いんだから! 食べちゃいたい!」
「食べるなぁっ!!」
耳を齧るのは反則だ。私は耳が弱いのに。
それを知ってて、姉は耳たぶを咥えるのだ。
本人は可愛がっているつもりなのだろうが。
本当にやめて頂きたい。ビクッてなるから。
「おい、あんまり揶揄うなよ。可哀想だろ」
「なによ副会長。もしかして、独占欲?」
「別に、自分の彼女なんだから当たり前だろ」
「まったく、お熱いことで。火傷しそうよ」
冷やかしながらも、姉の追撃は止んだ。
彼氏が庇ってくれて、なんとか助かった。
本当に彼は良い人だ。頼りになる男だった。
出会ったのは、二年ほど前。中2の時のこと。
この彼氏と巡り会えたのは姉のおかげだった。
まるで、昨日のことのように、覚えている。
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:21:25.34 ID:T+gyQ9sf0
「紹介するわ。同じクラスの同級生よ」
「どうも、お邪魔してます」
「あ、どうも」
私が中2の時に、姉が男友達を家に招いた。
その時、姉は高1。男友達も同じく高1だった。
第一印象は、背が高くて、大人びた男の人。
歳上の異性と接する機会など、それまでなく。
とてもガチガチに緊張したことを覚えている。
「ちゃんとゲーム持ってきた?」
「ああ、持ってきたぞ」
「じゃあ、妹に操作の仕方を教えてあげて」
姉の指示で私はゲームの操作を教えて貰った。
単純に、遊び相手を増やす目的だったらしい。
私はそのゲームのやり方を覚えて、対戦した。
「また私の勝ち!」
「流石だな」
「……また私がビリ」
姉と男友達さんはゲームが上手だった。
私はいつも負かされていたのを覚えている。
そんな私に男友達さんは優しくコツを授けた。
「ここはこうすれば上手くいくよ」
「あ、ほんとだ」
「ほら、出来ただろ?」
上手く出来ると、男友達さんは褒めてくれた。
優しくて、良い人。笑うと、少し幼く見えた。
気がつくと、私はこの人を好きになっていた。
会える日が待ち遠しくて、何度も姉に尋ねた。
「あの人、次はいつ来るの?」
「なによあんた、もしかして惚れちゃった?」
「ち、違うし!」
姉は昔から勘が鋭くて、いつも揶揄ってきた。
「どうも、お邪魔してます」
「あ、どうも」
私が中2の時に、姉が男友達を家に招いた。
その時、姉は高1。男友達も同じく高1だった。
第一印象は、背が高くて、大人びた男の人。
歳上の異性と接する機会など、それまでなく。
とてもガチガチに緊張したことを覚えている。
「ちゃんとゲーム持ってきた?」
「ああ、持ってきたぞ」
「じゃあ、妹に操作の仕方を教えてあげて」
姉の指示で私はゲームの操作を教えて貰った。
単純に、遊び相手を増やす目的だったらしい。
私はそのゲームのやり方を覚えて、対戦した。
「また私の勝ち!」
「流石だな」
「……また私がビリ」
姉と男友達さんはゲームが上手だった。
私はいつも負かされていたのを覚えている。
そんな私に男友達さんは優しくコツを授けた。
「ここはこうすれば上手くいくよ」
「あ、ほんとだ」
「ほら、出来ただろ?」
上手く出来ると、男友達さんは褒めてくれた。
優しくて、良い人。笑うと、少し幼く見えた。
気がつくと、私はこの人を好きになっていた。
会える日が待ち遠しくて、何度も姉に尋ねた。
「あの人、次はいつ来るの?」
「なによあんた、もしかして惚れちゃった?」
「ち、違うし!」
姉は昔から勘が鋭くて、いつも揶揄ってきた。
7: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:23:02.41 ID:T+gyQ9sf0
「ゲームもいいけど、勉強も頑張んなさい」
「……勉強苦手」
中3になると、事あるごとに勉強しろ言われた。
「ゲームも苦手でしょ? ていうか、あんたさ」
「何?」
「私と同じ高校に入学したくないの?」
姉と同じ高校とはつまり、あの人とも同じ高校……というわけで、私は鼻息荒く、頷いた。
「入学したい!」
「だったら、頑張んなさい」
「うん! わかった!」
こうして、私は寝る間も惜しんで勉強をして。
「受かった!」
「流石、私の妹。ところで、あんたに朗報よ」
「朗報?」
無事、姉と同じ高校に入学した。そこで朗報。
「今、あいつが家に来てるから」
「あいつ?」
「私の男友達」
「ほんと!?」
「もちろん本当よ。ちなみに」
「何?」
「今あいつ、彼女居ないってさ」
それを聞くや否や、私は全速力で駆け出した。
「……勉強苦手」
中3になると、事あるごとに勉強しろ言われた。
「ゲームも苦手でしょ? ていうか、あんたさ」
「何?」
「私と同じ高校に入学したくないの?」
姉と同じ高校とはつまり、あの人とも同じ高校……というわけで、私は鼻息荒く、頷いた。
「入学したい!」
「だったら、頑張んなさい」
「うん! わかった!」
こうして、私は寝る間も惜しんで勉強をして。
「受かった!」
「流石、私の妹。ところで、あんたに朗報よ」
「朗報?」
無事、姉と同じ高校に入学した。そこで朗報。
「今、あいつが家に来てるから」
「あいつ?」
「私の男友達」
「ほんと!?」
「もちろん本当よ。ちなみに」
「何?」
「今あいつ、彼女居ないってさ」
それを聞くや否や、私は全速力で駆け出した。
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:25:07.09 ID:T+gyQ9sf0
「あの!」
「ん?」
「私、同じ高校に受かりました!」
「おお! それは良かった! おめでとう!」
男友達さんは我が事のように喜んでくれた。
飛びつきたいのをぐっと堪え、意を決して。
私は、自分の気持ちを、男友達さんに伝えた。
「私、あなたが好きです!」
すると、目を見開き驚いた様子。畳み掛ける。
「だから同じ高校を目指して頑張りました!」
「……そう、だったのか」
「も、もしよろしければ、私と付き合って……」
「それなら、俺と付き合ってくれないか?」
最後まで言い終える前に、返事をくれた。
「はいっ!」
もう、我慢する必要はない。飛びついた。
彼は、とても優しく、抱きしめてくれた。
嬉しかった。その喜びは今でも忘れられない。
こうして私は、彼氏とお付き合いを始めた。
「ん?」
「私、同じ高校に受かりました!」
「おお! それは良かった! おめでとう!」
男友達さんは我が事のように喜んでくれた。
飛びつきたいのをぐっと堪え、意を決して。
私は、自分の気持ちを、男友達さんに伝えた。
「私、あなたが好きです!」
すると、目を見開き驚いた様子。畳み掛ける。
「だから同じ高校を目指して頑張りました!」
「……そう、だったのか」
「も、もしよろしければ、私と付き合って……」
「それなら、俺と付き合ってくれないか?」
最後まで言い終える前に、返事をくれた。
「はいっ!」
もう、我慢する必要はない。飛びついた。
彼は、とても優しく、抱きしめてくれた。
嬉しかった。その喜びは今でも忘れられない。
こうして私は、彼氏とお付き合いを始めた。
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:27:41.68 ID:T+gyQ9sf0
「それじゃあ、そろそろ俺は帰るよ」
「えっ? もう?」
回想を終えると、彼が帰宅する時間となった。
不満を視線に込めると、困ったような表情。
するとそれを見兼ねて、姉が私を窘めてきた。
「私の副会長を困らせるんじゃないの」
「私の彼氏だもん!」
「じゃあ、あんたが彼のお母さんの代わりに夕飯を作ってあげられる?」
「……カレーなら」
「それ以外作れないでしょ? 毎日カレー?」
「……ちゃんと他の料理も覚えるし」
「なら、覚えてから引き留めなさい」
姉はズルい。正論すぎて、反論の余地がない。
「また来るよ」
「明日も来て」
「ああ、約束だ」
律儀に約束を交わして、彼は帰って行った。
「えっ? もう?」
回想を終えると、彼が帰宅する時間となった。
不満を視線に込めると、困ったような表情。
するとそれを見兼ねて、姉が私を窘めてきた。
「私の副会長を困らせるんじゃないの」
「私の彼氏だもん!」
「じゃあ、あんたが彼のお母さんの代わりに夕飯を作ってあげられる?」
「……カレーなら」
「それ以外作れないでしょ? 毎日カレー?」
「……ちゃんと他の料理も覚えるし」
「なら、覚えてから引き留めなさい」
姉はズルい。正論すぎて、反論の余地がない。
「また来るよ」
「明日も来て」
「ああ、約束だ」
律儀に約束を交わして、彼は帰って行った。
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:29:41.80 ID:T+gyQ9sf0
「お姉ちゃん、ちょっと」
「なによ」
「明日は2人きりにして」
切実な願いを姉に要求すると、鼻で笑われた。
「あんたさぁ……2人きりで、何するつもり?」
「……別に、何も」
「だったら、別に私が居てもいいでしょ?」
また正論。うんざりだ。本当にムカつく。
「私たち、付き合ってるんだよ?」
「もちろん、知ってるわ」
「だったら邪魔しないで」
「邪魔なんてしてないわよ」
「じゃあ、引っ込んでて」
「あんたじゃあるまいし、私は出るところは出てるメリハリボディだから、無理な相談ね」
「うるさい! お姉ちゃんなんて嫌いっ!!」
私はキレた。これはキレてもいいだろう。
何がメリハリボディだ。もいでやる。くれ。
その出っ張りを、私に寄越せ。吸収してやる。
そんなものがあるから、争いが起こるのだ。
皆平等に平たい胸族ならば、平和に暮らせる。
そうすれば、クラスの男共に揶揄されない。
『出がらし』だの、『ミニチュア』だのと。
散々、人を馬鹿にしやがって。絶対許せない。
「なによ」
「明日は2人きりにして」
切実な願いを姉に要求すると、鼻で笑われた。
「あんたさぁ……2人きりで、何するつもり?」
「……別に、何も」
「だったら、別に私が居てもいいでしょ?」
また正論。うんざりだ。本当にムカつく。
「私たち、付き合ってるんだよ?」
「もちろん、知ってるわ」
「だったら邪魔しないで」
「邪魔なんてしてないわよ」
「じゃあ、引っ込んでて」
「あんたじゃあるまいし、私は出るところは出てるメリハリボディだから、無理な相談ね」
「うるさい! お姉ちゃんなんて嫌いっ!!」
私はキレた。これはキレてもいいだろう。
何がメリハリボディだ。もいでやる。くれ。
その出っ張りを、私に寄越せ。吸収してやる。
そんなものがあるから、争いが起こるのだ。
皆平等に平たい胸族ならば、平和に暮らせる。
そうすれば、クラスの男共に揶揄されない。
『出がらし』だの、『ミニチュア』だのと。
散々、人を馬鹿にしやがって。絶対許せない。
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:31:32.10 ID:T+gyQ9sf0
「お姉ちゃんは小さいのも可愛いと思うわ」
「上から目線で言われても嬉しくない!」
「あ。そういえば、あんた」
「……何?」
「今日は随分と大体なことをしたわね?」
「っ……!」
言われて、赤面する。黒歴史を持ち出された。
「よもやダボダボTシャツに変身するなんて」
「……やめて」
「まさか、まだ魔法少女に憧れているの?」
「ち、違うもん!」
「変身したところで、スカスカだけどね!」
「うわあぁぁああああんっ!!」
残念ながら、もう守ってくれる彼氏は居ない。
私は泣かされた。尊厳を踏みにじられた。
畜生。なんの恨みがあるってんだ。バカ姉め。
「おーよちよち」
「ううっ……触んなっ!」
頭を撫でてくる姉の手をぺしっと払い除ける。
「あー怖い怖い。ところで」
「ぐすっ……何?」
「彼氏を虜にする方法、知りたくない?」
「なにそれ、知りたい!」
なんだよもう、最初からそれを言ってよ。
「上から目線で言われても嬉しくない!」
「あ。そういえば、あんた」
「……何?」
「今日は随分と大体なことをしたわね?」
「っ……!」
言われて、赤面する。黒歴史を持ち出された。
「よもやダボダボTシャツに変身するなんて」
「……やめて」
「まさか、まだ魔法少女に憧れているの?」
「ち、違うもん!」
「変身したところで、スカスカだけどね!」
「うわあぁぁああああんっ!!」
残念ながら、もう守ってくれる彼氏は居ない。
私は泣かされた。尊厳を踏みにじられた。
畜生。なんの恨みがあるってんだ。バカ姉め。
「おーよちよち」
「ううっ……触んなっ!」
頭を撫でてくる姉の手をぺしっと払い除ける。
「あー怖い怖い。ところで」
「ぐすっ……何?」
「彼氏を虜にする方法、知りたくない?」
「なにそれ、知りたい!」
なんだよもう、最初からそれを言ってよ。
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:36:12.97 ID:T+gyQ9sf0
「そんなに知りたいの?」
「知りたい! だって虜に出来るんでしょ!?」
「そう。これであいつは、あんたの下僕よ」
「わ、私の、げぼ、げ、下僕……うっ。鼻血が」
姉の悪魔の囁きは、私には刺激が強すぎた。
「ちょっと、大丈夫?」
「な、なんとか……」
「まったく、先が思いやられるわね」
トントンと首すじを叩いていると呆れられた。
「もう平気だから、詳細プリーズ」
「知りたかったら、ちゃんとお願いしなさい」
「お願い?」
「お姉様、教えてくだちゃい!って、可愛く」
「い、言えるかっ!」
「だったら、この話はなかったことに……」
畜生。背に腹は代えられず、私は頭を下げた。
「ううっ……教えて、ください」
「ちゃんと言って」
「お、お姉様……教えて、くだちゃい」
「はい、よく出来ました。ちょっと耳貸して」
姉に秘策を耳打ちされて、私は盛大にむせた。
「ぶっふぉっ!? な、何言ってんの!?」
「どう? すごい作戦でしょ?」
「すごいも何も、全然意味わかんないよ!?」
「大丈夫。あんたなら、きっと上手くいくわ」
常に正しかった姉の言葉が私の胸に刻まれた。
「知りたい! だって虜に出来るんでしょ!?」
「そう。これであいつは、あんたの下僕よ」
「わ、私の、げぼ、げ、下僕……うっ。鼻血が」
姉の悪魔の囁きは、私には刺激が強すぎた。
「ちょっと、大丈夫?」
「な、なんとか……」
「まったく、先が思いやられるわね」
トントンと首すじを叩いていると呆れられた。
「もう平気だから、詳細プリーズ」
「知りたかったら、ちゃんとお願いしなさい」
「お願い?」
「お姉様、教えてくだちゃい!って、可愛く」
「い、言えるかっ!」
「だったら、この話はなかったことに……」
畜生。背に腹は代えられず、私は頭を下げた。
「ううっ……教えて、ください」
「ちゃんと言って」
「お、お姉様……教えて、くだちゃい」
「はい、よく出来ました。ちょっと耳貸して」
姉に秘策を耳打ちされて、私は盛大にむせた。
「ぶっふぉっ!? な、何言ってんの!?」
「どう? すごい作戦でしょ?」
「すごいも何も、全然意味わかんないよ!?」
「大丈夫。あんたなら、きっと上手くいくわ」
常に正しかった姉の言葉が私の胸に刻まれた。
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:38:22.72 ID:T+gyQ9sf0
「入って」
「お邪魔します」
翌日、再び彼氏が家にやってきた。
出迎えると、律儀に挨拶をして敷居を跨ぐ。
そして今日の私の格好を見て、驚いた様子。
「また俺のTシャツを着てるのか?」
「気に入ってるの。ダメ?」
「別に、駄目じゃないけどさ……」
やはり反応はすこぶる良い。出だしは好調だ。
また上着を羽織らされる前に、行動開始。
下僕にする為の作戦は既に始まっているのだ。
「私の部屋に行こ」
「ああ……あれ? 会長は?」
「今日は1人で勉強するってさ」
大変喜ばしいことに、今日は邪魔者は居ない。
そういう約束だ。抜かりはないのだ。
袖口を引っ張って、自室に連れ込む前に。
「えへへ……2人っきりだね」
「っ……そ、そうだな」
「顔赤いよ? そんなに嬉しいの?」
「ああ。もちろん、嬉しいよ」
ここぞとばかりに微笑めば、イチコロだ。
「お邪魔します」
翌日、再び彼氏が家にやってきた。
出迎えると、律儀に挨拶をして敷居を跨ぐ。
そして今日の私の格好を見て、驚いた様子。
「また俺のTシャツを着てるのか?」
「気に入ってるの。ダメ?」
「別に、駄目じゃないけどさ……」
やはり反応はすこぶる良い。出だしは好調だ。
また上着を羽織らされる前に、行動開始。
下僕にする為の作戦は既に始まっているのだ。
「私の部屋に行こ」
「ああ……あれ? 会長は?」
「今日は1人で勉強するってさ」
大変喜ばしいことに、今日は邪魔者は居ない。
そういう約束だ。抜かりはないのだ。
袖口を引っ張って、自室に連れ込む前に。
「えへへ……2人っきりだね」
「っ……そ、そうだな」
「顔赤いよ? そんなに嬉しいの?」
「ああ。もちろん、嬉しいよ」
ここぞとばかりに微笑めば、イチコロだ。
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:40:40.95 ID:T+gyQ9sf0
「さあさあ、どうぞどうぞ、遠慮なく」
「お、押すなって」
グイグイと、大きな背中を押し込んで。
彼氏を自室に招いた。作戦は順調である。
残念なことに私の部屋には鍵が付いていない。
逃がさないように、扉の前で通せんぼをする。
「なんで床にブルーシートを敷いてるんだ?」
「さて? どうしてでしょう?」
床に敷かれたブルーシートを見て、驚く彼氏。
「もしかして、雨漏りか?」
「んーちょっと惜しいかな?」
用途は近いけれど、漏れるのは雨ではない。
「はい、そこに寝て」
「えっ?」
「ブルーシートの上に、寝転がって」
「なんで?」
「その為に敷いたの。察して」
「お、おう……これでいいか?」
怪訝そうにしつつも横になった彼氏に舌打ち。
「は? 上半身裸に決まってるでしょ?」
「はい?」
「ほら、とっとと手早く脱いだ脱いだ!」
「や、やめろって! 自分で脱げるから!」
私が脱がせにかかると、彼は自ら服を脱いだ。
「お、押すなって」
グイグイと、大きな背中を押し込んで。
彼氏を自室に招いた。作戦は順調である。
残念なことに私の部屋には鍵が付いていない。
逃がさないように、扉の前で通せんぼをする。
「なんで床にブルーシートを敷いてるんだ?」
「さて? どうしてでしょう?」
床に敷かれたブルーシートを見て、驚く彼氏。
「もしかして、雨漏りか?」
「んーちょっと惜しいかな?」
用途は近いけれど、漏れるのは雨ではない。
「はい、そこに寝て」
「えっ?」
「ブルーシートの上に、寝転がって」
「なんで?」
「その為に敷いたの。察して」
「お、おう……これでいいか?」
怪訝そうにしつつも横になった彼氏に舌打ち。
「は? 上半身裸に決まってるでしょ?」
「はい?」
「ほら、とっとと手早く脱いだ脱いだ!」
「や、やめろって! 自分で脱げるから!」
私が脱がせにかかると、彼は自ら服を脱いだ。
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:44:13.43 ID:T+gyQ9sf0
「やば……背中、ちょーかっこいい」
「今になって恥じらうのはおかしいだろ」
「お、おかしくないし!」
初めて彼氏の裸を見た。上半身のみだけど。
私の反応はおかしくないと思われる。普通だ。
だって、とっても筋肉質で、魅力的だもの。
「それで、横になればいいのか?」
「あ、うん。うつ伏せで、よろしく」
「どうしてうつ伏せなんだ?」
「察して」
「お、おう」
まだピンと来ない様子の彼氏。鈍感男である。
それでも指示通りにうつ伏せになってくれた。
本当に良い人だ。益々、好きになってしまう。
ともあれこれで、彼の方の準備は整ったので。
「ちょっと、跨ぐね」
「えっ?」
「察して」
「お、おう」
察して、とは便利な言葉だ。私は彼を跨ぐ。
「よいしょ……この辺、かな?」
「なあ、何をするつもりなんだ?」
「えっ? おしっこだよ」
「おっ?」
「今から、おしっこを、ひっかけるの」
作戦は最終フェーズへと、滞りなく移行する。
「今になって恥じらうのはおかしいだろ」
「お、おかしくないし!」
初めて彼氏の裸を見た。上半身のみだけど。
私の反応はおかしくないと思われる。普通だ。
だって、とっても筋肉質で、魅力的だもの。
「それで、横になればいいのか?」
「あ、うん。うつ伏せで、よろしく」
「どうしてうつ伏せなんだ?」
「察して」
「お、おう」
まだピンと来ない様子の彼氏。鈍感男である。
それでも指示通りにうつ伏せになってくれた。
本当に良い人だ。益々、好きになってしまう。
ともあれこれで、彼の方の準備は整ったので。
「ちょっと、跨ぐね」
「えっ?」
「察して」
「お、おう」
察して、とは便利な言葉だ。私は彼を跨ぐ。
「よいしょ……この辺、かな?」
「なあ、何をするつもりなんだ?」
「えっ? おしっこだよ」
「おっ?」
「今から、おしっこを、ひっかけるの」
作戦は最終フェーズへと、滞りなく移行する。
17: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:46:05.31 ID:T+gyQ9sf0
「お、おしっこ、だと……?」
「うん。嫌なの?」
「嫌とか、そういう問題じゃなくてだな」
ここに来て難色を示す彼氏に、確認をする。
「気持ちの問題でしょ? 私のこと、好き?」
「好きだよ」
「あっ……そう、でしゅか」
彼にきっぱりと断言されて、心臓が弾けそう。
ドッドッドッて、苦しくなる。顔があっつい。
嬉しい。嬉しすぎる。私も心から、大好きだ。
この想いを、おしっこに変えて、ぶちまける。
その為にブルーシートを敷いて、準備をした。
排尿しやすいようにダボダボのTシャツを着た。
その下がどうなっているかはご想像に任せる。
とにかく私は彼氏におしっこをかけたかった。
「じゃあ、かけるよ」
「その前に、ひとつ聞いてもいいか?」
「何?」
「なんでこんなことをしようと思ったんだ?」
その質問に対し、正直な気持ちを打ち明けた。
「うん。嫌なの?」
「嫌とか、そういう問題じゃなくてだな」
ここに来て難色を示す彼氏に、確認をする。
「気持ちの問題でしょ? 私のこと、好き?」
「好きだよ」
「あっ……そう、でしゅか」
彼にきっぱりと断言されて、心臓が弾けそう。
ドッドッドッて、苦しくなる。顔があっつい。
嬉しい。嬉しすぎる。私も心から、大好きだ。
この想いを、おしっこに変えて、ぶちまける。
その為にブルーシートを敷いて、準備をした。
排尿しやすいようにダボダボのTシャツを着た。
その下がどうなっているかはご想像に任せる。
とにかく私は彼氏におしっこをかけたかった。
「じゃあ、かけるよ」
「その前に、ひとつ聞いてもいいか?」
「何?」
「なんでこんなことをしようと思ったんだ?」
その質問に対し、正直な気持ちを打ち明けた。
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:48:59.66 ID:T+gyQ9sf0
「……私だけの、彼氏になって欲しいから」
それが、私の願い。すると彼氏はこう諭した。
「俺は今までもこれからもお前だけの彼氏だ」
「……誰にも、盗られたくない」
「誰も盗らないから、心配するな」
「でも、お姉ちゃんが……盗るかも、知れない」
「会長が?」
「……うん」
すると、彼氏はなにやら深い溜息を吐いて。
「不安にさせて、ごめん」
真摯な謝罪を受け、私は泣きそうになった。
「謝らないでよ……」
「いや、俺が悪かった」
「違うの。悪いのは、自分に自信がない、私」
思わず溢れたその言葉こそが、本音だった。
「だから、おしっこをかけようとしたのか?」
「うん……そしたら虜にして下僕に出来るって」
「なるほどな……会長にそう言われたのか」
全てを察した彼氏は再び大きな溜息を吐いた。
それが、私の願い。すると彼氏はこう諭した。
「俺は今までもこれからもお前だけの彼氏だ」
「……誰にも、盗られたくない」
「誰も盗らないから、心配するな」
「でも、お姉ちゃんが……盗るかも、知れない」
「会長が?」
「……うん」
すると、彼氏はなにやら深い溜息を吐いて。
「不安にさせて、ごめん」
真摯な謝罪を受け、私は泣きそうになった。
「謝らないでよ……」
「いや、俺が悪かった」
「違うの。悪いのは、自分に自信がない、私」
思わず溢れたその言葉こそが、本音だった。
「だから、おしっこをかけようとしたのか?」
「うん……そしたら虜にして下僕に出来るって」
「なるほどな……会長にそう言われたのか」
全てを察した彼氏は再び大きな溜息を吐いた。
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:52:47.72 ID:T+gyQ9sf0
「ごめん……こんなの、おかしいよね?」
私は我に返った。何をしようとしていたのか。
彼氏におしっこをかけるなんてどうかしてる。
やっぱりやめようとしたら、足首を掴まれた。
「いいから、そのままかけてくれ」
「えっ? でも……」
「たぶん、これは俺への罰なんだろう」
「罰?」
「ああ。お前に心配をかけた、罰だ」
だから甘んじて受け入れると、彼は言う。
「ほんとに、いいの?」
「ああ、どんとこい」
「……嫌いに、ならない?」
「嫌いになんて……」
一抹の不安が過った私に対し、彼は怒鳴った。
「なるわけ、ないだろっ!!」
びっくりして、ちょろっとおしっこが漏れた。
「あっ、ごめ……」
「フハッ!」
慌てて謝るよりも早く、彼氏が愉悦を漏らす。
「フハハハハハハハハハハッ……もごっ!?」
「静かにして。お姉ちゃんに聞こえちゃう」
彼氏の口を塞いで哄笑を遮って、排尿を再開。
私は我に返った。何をしようとしていたのか。
彼氏におしっこをかけるなんてどうかしてる。
やっぱりやめようとしたら、足首を掴まれた。
「いいから、そのままかけてくれ」
「えっ? でも……」
「たぶん、これは俺への罰なんだろう」
「罰?」
「ああ。お前に心配をかけた、罰だ」
だから甘んじて受け入れると、彼は言う。
「ほんとに、いいの?」
「ああ、どんとこい」
「……嫌いに、ならない?」
「嫌いになんて……」
一抹の不安が過った私に対し、彼は怒鳴った。
「なるわけ、ないだろっ!!」
びっくりして、ちょろっとおしっこが漏れた。
「あっ、ごめ……」
「フハッ!」
慌てて謝るよりも早く、彼氏が愉悦を漏らす。
「フハハハハハハハハハハッ……もごっ!?」
「静かにして。お姉ちゃんに聞こえちゃう」
彼氏の口を塞いで哄笑を遮って、排尿を再開。
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:57:25.23 ID:T+gyQ9sf0
「んっ……んんっ。なに、これ……すっごい」
チョロチョロと私の尿が彼氏の背中に滴る。
しかも今、私は彼の口を塞いでいた。
それがなんとも背徳感を増幅させた。
足首は力一杯握り締められて、少し痛い。
痛いくらい、気持ち良かった。新感覚だ。
「あっ……まだ、出るっ」
溜め込んだ尿の量に、自分でも驚く。
こんなに、出してしまった。恥ずかしい。
姉の特製レモネードはもの凄い威力だった。
止まって欲しいのに、止まって欲しくない。
少なくとも、自らの意思では止められない。
これが異常な行為という認識はもちろんある。
しかし、だからこそ、特別な儀式と思えた。
私たちは一線を超えて、普通じゃなくなった。
この瞬間に、特別な存在へと変わったのだ。
それを実感すると満ち足りた気持ちになった。
だから私は快感に身を任せて、全て出しきる。
そうすると、堕落に対する恐れが湧いてきた。
「ああ、お願い! 嫌いに、ならないで……!」
幻滅して欲しくなくて、切実に懇願すると。
返事の代わりに、ぎゅっと、足首を握られた。
その瞬間に、何もかもが、赦された気がして。
「好き……大好き」
キスがしたくなった。でも、彼氏はうつ伏せ。
「あむっ」
「もがっ!?」
仕方なく、肩を噛むと、彼氏がビクついた。
チョロチョロと私の尿が彼氏の背中に滴る。
しかも今、私は彼の口を塞いでいた。
それがなんとも背徳感を増幅させた。
足首は力一杯握り締められて、少し痛い。
痛いくらい、気持ち良かった。新感覚だ。
「あっ……まだ、出るっ」
溜め込んだ尿の量に、自分でも驚く。
こんなに、出してしまった。恥ずかしい。
姉の特製レモネードはもの凄い威力だった。
止まって欲しいのに、止まって欲しくない。
少なくとも、自らの意思では止められない。
これが異常な行為という認識はもちろんある。
しかし、だからこそ、特別な儀式と思えた。
私たちは一線を超えて、普通じゃなくなった。
この瞬間に、特別な存在へと変わったのだ。
それを実感すると満ち足りた気持ちになった。
だから私は快感に身を任せて、全て出しきる。
そうすると、堕落に対する恐れが湧いてきた。
「ああ、お願い! 嫌いに、ならないで……!」
幻滅して欲しくなくて、切実に懇願すると。
返事の代わりに、ぎゅっと、足首を握られた。
その瞬間に、何もかもが、赦された気がして。
「好き……大好き」
キスがしたくなった。でも、彼氏はうつ伏せ。
「あむっ」
「もがっ!?」
仕方なく、肩を噛むと、彼氏がビクついた。
21: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 22:59:54.04 ID:T+gyQ9sf0
「はぁ……はぁ……終わったよ」
「ぷはっ。はぁ……はぁ……気は、済んだか?」
「うん……最っ高の、気分」
おしっこをかけ終えて、彼の口から手を離す。
お互い荒い吐息を吐きながら、言葉を交わす。
頭の中が真っ白で、もう何も考えられない。
私は女だけど理解した。これが賢者タイムだ。
「ふぅ……虜に、なってくれた?」
「そんなの、見ればわかるだろ?」
「……嬉しい。大事にするね」
「それはこっちの台詞だ」
やっぱり、姉の助言は正しかったらしい。
『おしっこをかけると、虜に出来るわよ』
まさに、その通り。彼は、私の虜になった。
「肩、噛んじゃって、ごめんね」
「ん? いいよ、むしろ気持ち良かったし」
「……バカ」
つい、思い切り噛んでしまって歯型が付いた。
軽口を交わしながらも、彼氏を労わりたくて。
そっと、その歯型に唇を寄せた、その時。
「お楽しみのところ、ごめんくださーい!」
ガチャリとドアが開いて、姉が乱入してきた。
「ぷはっ。はぁ……はぁ……気は、済んだか?」
「うん……最っ高の、気分」
おしっこをかけ終えて、彼の口から手を離す。
お互い荒い吐息を吐きながら、言葉を交わす。
頭の中が真っ白で、もう何も考えられない。
私は女だけど理解した。これが賢者タイムだ。
「ふぅ……虜に、なってくれた?」
「そんなの、見ればわかるだろ?」
「……嬉しい。大事にするね」
「それはこっちの台詞だ」
やっぱり、姉の助言は正しかったらしい。
『おしっこをかけると、虜に出来るわよ』
まさに、その通り。彼は、私の虜になった。
「肩、噛んじゃって、ごめんね」
「ん? いいよ、むしろ気持ち良かったし」
「……バカ」
つい、思い切り噛んでしまって歯型が付いた。
軽口を交わしながらも、彼氏を労わりたくて。
そっと、その歯型に唇を寄せた、その時。
「お楽しみのところ、ごめんくださーい!」
ガチャリとドアが開いて、姉が乱入してきた。
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 23:02:26.04 ID:T+gyQ9sf0
「お、おね、おねっ……!?」
「なによ、おねしょでもしたの?」
「違うよ! お姉ちゃん、何しに来たの!?」
予期せぬ乱入に度肝を抜かれ、問いただすと。
「忘れ物を届けに来ただけよ」
「忘れ、物……?」
「はい、バスタオル」
バスタオルを手渡されて、ふと気づく。
「あっ……忘れてた」
「まったく、あんたは詰めが甘いのよ」
作戦終了後は背中を拭いてあげる予定だった。
その為のバスタオルの用意を、失念していた。
姉は私の額を小突き、おもむろに脚を上げて。
「へぶっ!?」
何故か、私の彼氏の後頭部を、踏んづけた。
「ちょっと! 私の彼氏に何するの!?」
「だってこいつが顔を上げようとしたから」
「全然意味わかんないよ!? 踏まないで!」
「あんた、ガード甘すぎ。下から丸見えよ?」
「ふぇっ? ……ッ!?」
やっば。危ないとこだった。心から姉に感謝。
「近頃、規制が厳しいから、気をつけなさい」
「はい……すみません。でも、私が踏むから」
「あっそ。それなら、しっかり踏みなさいよ」
「うん、わかった。ちょっと、ごめんね」
「ぷぎゃっ!?」
姉の代わりに彼氏の頭を踏んづけて一件落着。
「なによ、おねしょでもしたの?」
「違うよ! お姉ちゃん、何しに来たの!?」
予期せぬ乱入に度肝を抜かれ、問いただすと。
「忘れ物を届けに来ただけよ」
「忘れ、物……?」
「はい、バスタオル」
バスタオルを手渡されて、ふと気づく。
「あっ……忘れてた」
「まったく、あんたは詰めが甘いのよ」
作戦終了後は背中を拭いてあげる予定だった。
その為のバスタオルの用意を、失念していた。
姉は私の額を小突き、おもむろに脚を上げて。
「へぶっ!?」
何故か、私の彼氏の後頭部を、踏んづけた。
「ちょっと! 私の彼氏に何するの!?」
「だってこいつが顔を上げようとしたから」
「全然意味わかんないよ!? 踏まないで!」
「あんた、ガード甘すぎ。下から丸見えよ?」
「ふぇっ? ……ッ!?」
やっば。危ないとこだった。心から姉に感謝。
「近頃、規制が厳しいから、気をつけなさい」
「はい……すみません。でも、私が踏むから」
「あっそ。それなら、しっかり踏みなさいよ」
「うん、わかった。ちょっと、ごめんね」
「ぷぎゃっ!?」
姉の代わりに彼氏の頭を踏んづけて一件落着。
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 23:05:32.33 ID:T+gyQ9sf0
「お姉ちゃん、上手くいったよ」
「あらそう。流石は、私の妹ね」
「えへへ」
彼氏の背中を拭きながら、姉に成果を報せた。
すると、にっこり笑って、褒めてくれた。
グリグリ頭を撫でられても、嫌じゃなかった。
ひとしきり撫で回した姉は彼氏に語りかける。
「良かったわね、副会長」
「……なんのことだ?」
「大好きな彼女におしっこかけられて」
「……勘弁してくれ」
「少しは反省した?」
「海より深く、反省したよ」
「なら、許してあげる。ただし」
突然、姉は私を抱きしめて、釘を刺した。
「私の妹におしっこをかけたらダメだからね」
何を言ってるのやら。恥ずかしいからやめて。
「ああ……肝に銘じておくよ」
真顔で返事をする彼氏も、やめて頂きたい。
「あらそう。流石は、私の妹ね」
「えへへ」
彼氏の背中を拭きながら、姉に成果を報せた。
すると、にっこり笑って、褒めてくれた。
グリグリ頭を撫でられても、嫌じゃなかった。
ひとしきり撫で回した姉は彼氏に語りかける。
「良かったわね、副会長」
「……なんのことだ?」
「大好きな彼女におしっこかけられて」
「……勘弁してくれ」
「少しは反省した?」
「海より深く、反省したよ」
「なら、許してあげる。ただし」
突然、姉は私を抱きしめて、釘を刺した。
「私の妹におしっこをかけたらダメだからね」
何を言ってるのやら。恥ずかしいからやめて。
「ああ……肝に銘じておくよ」
真顔で返事をする彼氏も、やめて頂きたい。
24: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 23:08:36.13 ID:T+gyQ9sf0
「じゃあ、シャワーを借りるぞ」
「うん、行ってらっしゃい」
後始末を終えて、彼氏は浴室へ向かった。
拭いただけでは痒くなる可能性がある。
なので、遠慮する彼にシャワーを浴びさせた。
部屋には、私と姉が残った。水入らずだ。
私は満ち足りた気持ちで、一部始終を話した。
「それでね、すっごく、気持ち良くてね……」
「私が言った通りだったでしょ?」
「うん! ありがとね、お姉ちゃん!」
姉に感謝を告げるも、まだ足りない気がして。
「……彼と巡り会わせてくれて本当にありがと」
「ぷっ。なにそれ、あははは!」
小さくボソッと付け加えたら、姉は笑った。
「わ、笑わないでよ!」
「だって、そもそも、あいつがあんたに会いたいって言うから、私は家に連れて来たのよ?」
「えっ?」
なにそれ。初耳だ。そんな話は聞いてない。
「うん、行ってらっしゃい」
後始末を終えて、彼氏は浴室へ向かった。
拭いただけでは痒くなる可能性がある。
なので、遠慮する彼にシャワーを浴びさせた。
部屋には、私と姉が残った。水入らずだ。
私は満ち足りた気持ちで、一部始終を話した。
「それでね、すっごく、気持ち良くてね……」
「私が言った通りだったでしょ?」
「うん! ありがとね、お姉ちゃん!」
姉に感謝を告げるも、まだ足りない気がして。
「……彼と巡り会わせてくれて本当にありがと」
「ぷっ。なにそれ、あははは!」
小さくボソッと付け加えたら、姉は笑った。
「わ、笑わないでよ!」
「だって、そもそも、あいつがあんたに会いたいって言うから、私は家に連れて来たのよ?」
「えっ?」
なにそれ。初耳だ。そんな話は聞いてない。
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 23:11:14.28 ID:T+gyQ9sf0
「高1の時、私はあいつのことが好きでさー」
「ええっ!?」
衝撃的な事実に耳を疑う。信じられない。
よもや姉が彼のことを好きだったとは。
そんな素振りは、微塵もなかったのに。
「それで告白したら、あえなく撃沈したのよ」
「なんで!?」
「背が小さい女の子が好みなんだってさ」
単純明快な理由。姉はたしかに背が高かった。
「だから、チビのあんたを紹介したってわけ」
「……お姉ちゃんは、それで良かったの?」
「それで親しくなれたわけだし、文句ないわ」
「でも結局、私に奪われたってことでしょ?」
「生意気言わないの。あんたを利用したのよ」
「……そんな風に、言わないで」
彼と一緒に居る為に、私を、利用したと言う。
だけど、これまで、そんな素振りはなかった。
いや、違う。あの谷間は、誘惑だったのかも。
そう考えるとムカついてきた。巨〇は滅びろ。
とはいえ彼氏は私に夢中だし。眼中にないし。
それは姉も知っているわけだから、無意味だ。
故に、あれは偶発的な谷間で人為的ではない。
ごく普通に、姉として、見守ってくれていた。
「ええっ!?」
衝撃的な事実に耳を疑う。信じられない。
よもや姉が彼のことを好きだったとは。
そんな素振りは、微塵もなかったのに。
「それで告白したら、あえなく撃沈したのよ」
「なんで!?」
「背が小さい女の子が好みなんだってさ」
単純明快な理由。姉はたしかに背が高かった。
「だから、チビのあんたを紹介したってわけ」
「……お姉ちゃんは、それで良かったの?」
「それで親しくなれたわけだし、文句ないわ」
「でも結局、私に奪われたってことでしょ?」
「生意気言わないの。あんたを利用したのよ」
「……そんな風に、言わないで」
彼と一緒に居る為に、私を、利用したと言う。
だけど、これまで、そんな素振りはなかった。
いや、違う。あの谷間は、誘惑だったのかも。
そう考えるとムカついてきた。巨〇は滅びろ。
とはいえ彼氏は私に夢中だし。眼中にないし。
それは姉も知っているわけだから、無意味だ。
故に、あれは偶発的な谷間で人為的ではない。
ごく普通に、姉として、見守ってくれていた。
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 23:18:05.12 ID:T+gyQ9sf0
「だから、私は今、わりと幸せなの」
そう語る姉の表情はたしかに幸せそうだった。
「どうして、盗られたのに、幸せなの?」
「だって、可愛い妹と好きな人、どっちも同じくらい大切だから。両得だと思わない?」
「……お姉ちゃん、ズルい」
「姉ってのは欲張りで、ズルい生き物なのよ」
そんな姉のことを私はもっと大好きになった。
「……ずっと一緒に居ようね」
「嫌だと言われても付き纏ってあげる」
「でも、彼は私のものだからね?」
「妹のものは、姉のものでしょ?」
「そんな名言、あってたまるかっ!」
私たちはこれからも喧嘩して、仲直りをする。
時には、嫌い合うこともあるとは思うけれど。
同じ人を好きになった私たちは仲良しなのだ。
【妹の彼氏は姉と妹のもの】
FIN
そう語る姉の表情はたしかに幸せそうだった。
「どうして、盗られたのに、幸せなの?」
「だって、可愛い妹と好きな人、どっちも同じくらい大切だから。両得だと思わない?」
「……お姉ちゃん、ズルい」
「姉ってのは欲張りで、ズルい生き物なのよ」
そんな姉のことを私はもっと大好きになった。
「……ずっと一緒に居ようね」
「嫌だと言われても付き纏ってあげる」
「でも、彼は私のものだからね?」
「妹のものは、姉のものでしょ?」
「そんな名言、あってたまるかっ!」
私たちはこれからも喧嘩して、仲直りをする。
時には、嫌い合うこともあるとは思うけれど。
同じ人を好きになった私たちは仲良しなのだ。
【妹の彼氏は姉と妹のもの】
FIN
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 23:19:19.97 ID:T+gyQ9sf0
余談
「お姉ちゃん、ひとつだけ聞いてもいい?」
「なによ、改まって」
彼女としては、これだけは聞いておきたい。
「彼のどんなところが好きになったの?」
「んー胸をジロジロ見ないところかな?」
「見られるの、やっぱり嫌?」
「あまり不躾な視線は、ちょっとね」
「それだけ?」
「それだけで充分だったわ。だって、胸じゃなくて、私という存在を、認識してくれたから」
貧乳の私にはイマイチぴんとこないけれど。
それはきっと姉にとって嬉しかったのだろう。
そう考えると、たしかに腑に落ちる点も多い。
恐らく、そうした不躾な視線を避けるために、学校ではキッチリとした服装をしているのだ。
「もしかして、彼は胸に興味ないのかな?」
「胸も小さいのが好きみたいね」
「よっしゃあっ!!」
これで姉の巨〇に怯える心配はなくなった。
彼氏は貧乳好き。巨〇は興味ない。
たぶん、だからこそ、姉は気楽なのだ。
不躾な視線を送らない彼を、好きになった。
興味を持たれないからこそ、恋に落ちた。
彼の前でなら、姉は自然体でいられるわけだ。
「……なんか、恋って難しいね」
「彼氏持ちの癖に、何を偉そうに……あむっ!」
「ひゃあんっ!?」
しみじみと呟いたら、姉に耳たぶを噛まれた。
【姉の好みは天邪鬼】
FIN
「お姉ちゃん、ひとつだけ聞いてもいい?」
「なによ、改まって」
彼女としては、これだけは聞いておきたい。
「彼のどんなところが好きになったの?」
「んー胸をジロジロ見ないところかな?」
「見られるの、やっぱり嫌?」
「あまり不躾な視線は、ちょっとね」
「それだけ?」
「それだけで充分だったわ。だって、胸じゃなくて、私という存在を、認識してくれたから」
貧乳の私にはイマイチぴんとこないけれど。
それはきっと姉にとって嬉しかったのだろう。
そう考えると、たしかに腑に落ちる点も多い。
恐らく、そうした不躾な視線を避けるために、学校ではキッチリとした服装をしているのだ。
「もしかして、彼は胸に興味ないのかな?」
「胸も小さいのが好きみたいね」
「よっしゃあっ!!」
これで姉の巨〇に怯える心配はなくなった。
彼氏は貧乳好き。巨〇は興味ない。
たぶん、だからこそ、姉は気楽なのだ。
不躾な視線を送らない彼を、好きになった。
興味を持たれないからこそ、恋に落ちた。
彼の前でなら、姉は自然体でいられるわけだ。
「……なんか、恋って難しいね」
「彼氏持ちの癖に、何を偉そうに……あむっ!」
「ひゃあんっ!?」
しみじみと呟いたら、姉に耳たぶを噛まれた。
【姉の好みは天邪鬼】
FIN
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/12/28(金) 23:21:05.94 ID:T+gyQ9sf0
追記
(やっぱり、可愛いな。本当に、羨ましい)
妹の耳たぶを齧りながら、改めてそう思った。
副会長が妹に惚れるのも当然だ。可愛いもの。
むしろ、惚れなかったらぶっ飛ばしてやろうと心に決め、紹介してやったあの日が懐かしい。
(よもや、妹まで、同じ男を好きになるとは)
それは奇妙でありながらも、必然と言えた。
だって、副会長は本当に良い男だったから。
私の妹に優しくして、大切にしてくれている。
おしっこをかけたとしても、へっちゃらだ。
そのくらい、お互い好き合っているのだろう。
(ほんと……私ってば、恵まれてるなぁ)
妹に、嫉妬しないと言えば、嘘になるけれど。
それよりも、この関係に充実感を感じていた。
この子と一緒に居る時の副会長は幸せそうだ。
それを傍で見ていられるだけで、幸せだった。
なにより、さっき妹から言われた、あの言葉。
『……ずっと一緒に居ようね』
それだけで、私は居場所を見つけられた。
「お姉ちゃん……泣いてるの?」
「うん……なんか、嬉しくてさ」
気づくと涙が出ていて、私は妹を抱きしめた。
「……お姉ちゃん、胸がドキドキしてる」
「私だって、胸がときめく時くらいあるわよ」
「私の彼氏に?」
「あんたに」
こんなにズルくて醜い姉に優しくしてくれて。
明らかな邪魔者である私に、居場所をくれて。
ありがとうと、感謝を込め、妹を抱きしめた。
【姉の居場所】
FIN
(やっぱり、可愛いな。本当に、羨ましい)
妹の耳たぶを齧りながら、改めてそう思った。
副会長が妹に惚れるのも当然だ。可愛いもの。
むしろ、惚れなかったらぶっ飛ばしてやろうと心に決め、紹介してやったあの日が懐かしい。
(よもや、妹まで、同じ男を好きになるとは)
それは奇妙でありながらも、必然と言えた。
だって、副会長は本当に良い男だったから。
私の妹に優しくして、大切にしてくれている。
おしっこをかけたとしても、へっちゃらだ。
そのくらい、お互い好き合っているのだろう。
(ほんと……私ってば、恵まれてるなぁ)
妹に、嫉妬しないと言えば、嘘になるけれど。
それよりも、この関係に充実感を感じていた。
この子と一緒に居る時の副会長は幸せそうだ。
それを傍で見ていられるだけで、幸せだった。
なにより、さっき妹から言われた、あの言葉。
『……ずっと一緒に居ようね』
それだけで、私は居場所を見つけられた。
「お姉ちゃん……泣いてるの?」
「うん……なんか、嬉しくてさ」
気づくと涙が出ていて、私は妹を抱きしめた。
「……お姉ちゃん、胸がドキドキしてる」
「私だって、胸がときめく時くらいあるわよ」
「私の彼氏に?」
「あんたに」
こんなにズルくて醜い姉に優しくしてくれて。
明らかな邪魔者である私に、居場所をくれて。
ありがとうと、感謝を込め、妹を抱きしめた。
【姉の居場所】
FIN
引用元: 姉「彼氏を虜にする方法、知りたくない?」妹「なにそれ、知りたい!」
お嬢様「お土産っていうのはこの子の事?」父「そうだ」奴隷少女「………」
2018-10-20
1: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 21:37:57.335 ID:SQ78fjTD0
父「お前もそろそろ自分の奴隷が欲しい頃だと思ってな」
お嬢様「ふぅん…まぁ貰えるものなら貰っておくわ」
父「躾もお前がやりなさい。私はまた出掛けなければならないからね」
お嬢様「ねぇ貴女」
奴隷少女「……っ」ビクッ
お嬢様「>>5」
お嬢様「ふぅん…まぁ貰えるものなら貰っておくわ」
父「躾もお前がやりなさい。私はまた出掛けなければならないからね」
お嬢様「ねぇ貴女」
奴隷少女「……っ」ビクッ
お嬢様「>>5」
5: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 21:39:05.751 ID:vDTFNpHV0
私の妹になりなさい
12: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 21:42:04.609 ID:SQ78fjTD0
奴隷少女「妹…ですか……?」
お嬢様「そうよ、妹。私は貴女のお姉ちゃん」
奴隷少女「わかり…ました……」
お嬢様「……」
奴隷少女「………」
奴隷少女「あの…妹というのは何をすれば……」
お嬢様「>>14」
お嬢様「そうよ、妹。私は貴女のお姉ちゃん」
奴隷少女「わかり…ました……」
お嬢様「……」
奴隷少女「………」
奴隷少女「あの…妹というのは何をすれば……」
お嬢様「>>14」
14: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 21:42:39.055 ID:1etQws6ld
目の前でおしっこしなさい
29: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 21:46:45.638 ID:SQ78fjTD0
奴隷少女「おしっこ…ですか……」
奴隷少女(この人…そういう趣味の人なのかな……)
奴隷少女「わかりました。えと…頑張ります」
お嬢様「カーペットが汚れてしまうのも面倒くさいだし>>32に行きましょう」
奴隷少女(この人…そういう趣味の人なのかな……)
奴隷少女「わかりました。えと…頑張ります」
お嬢様「カーペットが汚れてしまうのも面倒くさいだし>>32に行きましょう」
32: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 21:47:26.696 ID:RVhMTJ5Va
トイレ
39: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 21:56:50.276 ID:SQ78fjTD0
奴隷少女「えっと…ここですればいいんですか?」
お嬢様「ええ、こら! 股を閉じたらよく見えないでしょう!」
奴隷少女「はっ…はい!」
奴隷少女(うー…恥ずかしい……。この年にもなって人前でおしっこするなんて……)
お嬢様「あら、出ないの?」
奴隷少女「えっ? ぁ…ぁあ……」チョロ
奴隷少女(あ…出ちゃった……)チョロロロロ
お嬢様「ふふっ、恥ずかしい?」
奴隷少女「……はぃ」カァァ
お嬢様「結構。それじゃ、次は>>42しましょう」
お嬢様「ええ、こら! 股を閉じたらよく見えないでしょう!」
奴隷少女「はっ…はい!」
奴隷少女(うー…恥ずかしい……。この年にもなって人前でおしっこするなんて……)
お嬢様「あら、出ないの?」
奴隷少女「えっ? ぁ…ぁあ……」チョロ
奴隷少女(あ…出ちゃった……)チョロロロロ
お嬢様「ふふっ、恥ずかしい?」
奴隷少女「……はぃ」カァァ
お嬢様「結構。それじゃ、次は>>42しましょう」
42: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 21:57:31.107 ID:4j3uIiKb0
お風呂
45: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 22:05:19.895 ID:SQ78fjTD0
お嬢様「服、自分で脱げる?」
奴隷少女「あ、脱げます」
お嬢様「そう、小さいのに偉いわ」
奴隷少女(大抵の子はできると思うけど……)
奴隷少女(うわぁ…広い……)
お嬢様「こっちにいらっしゃい、洗ってあげる」
奴隷少女「あ、わかりました」
お嬢様「……貴女、私の妹よね?」
奴隷少女「へ? あぁ…その…少し前からですけど……」
お嬢様「姉妹の間に敬語とかいらないと思うのよね」
奴隷少女「ですが私は奴隷ですので」
お嬢様「奴隷である前に妹なのよ!」ムニ
奴隷少女「ひゃぁっ…ちょっ…ご主人様……」
お嬢様「>>50」
奴隷少女「あ、脱げます」
お嬢様「そう、小さいのに偉いわ」
奴隷少女(大抵の子はできると思うけど……)
奴隷少女(うわぁ…広い……)
お嬢様「こっちにいらっしゃい、洗ってあげる」
奴隷少女「あ、わかりました」
お嬢様「……貴女、私の妹よね?」
奴隷少女「へ? あぁ…その…少し前からですけど……」
お嬢様「姉妹の間に敬語とかいらないと思うのよね」
奴隷少女「ですが私は奴隷ですので」
お嬢様「奴隷である前に妹なのよ!」ムニ
奴隷少女「ひゃぁっ…ちょっ…ご主人様……」
お嬢様「>>50」
50: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 22:07:19.031 ID:STc7EYEn0
お姉ちゃん、と呼びなさい
54: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 22:13:14.951 ID:dFmr6jZcd
いいねえ
55: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 22:13:18.678 ID:xtboVMkrd
いいと思います
56: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 22:13:20.573 ID:0DE6ppgB0
あら~
57: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 22:13:56.196 ID:SQ78fjTD0
奴隷少女「ふぇ…? ぁ…ご主人様……っ」
お嬢様「お姉ちゃん!」ムニュ
奴隷少女「ひぁあっ……! お…ぉ姉…ちゃん……?」
お嬢様「もう一回」
奴隷少女「ん…お姉ちゃん……」
お嬢様「ふふっ…どうしたの……あら?」
奴隷少女「どうしま…どうしたのお姉ちゃん」
お嬢様「私は貴女の事をなんと呼ぶべきなのかしら」
奴隷少女「えっと……その…好きに呼んでくれれば……」
お嬢様「……>>62」
お嬢様「お姉ちゃん!」ムニュ
奴隷少女「ひぁあっ……! お…ぉ姉…ちゃん……?」
お嬢様「もう一回」
奴隷少女「ん…お姉ちゃん……」
お嬢様「ふふっ…どうしたの……あら?」
奴隷少女「どうしま…どうしたのお姉ちゃん」
お嬢様「私は貴女の事をなんと呼ぶべきなのかしら」
奴隷少女「えっと……その…好きに呼んでくれれば……」
お嬢様「……>>62」
62: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 22:15:20.781 ID:i9Yln1fg0
脱糞
68: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 22:19:18.520 ID:SQ78fjTD0
奴隷少女「へ?」
お嬢様「しなさい。そうしたら名前を付けてあげる」
奴隷少女「え…いや…その……」
奴隷少女(この人やっぱりそういう趣味の人……)
お嬢様「あら、嫌なの?」
奴隷少女「>>71」
お嬢様「しなさい。そうしたら名前を付けてあげる」
奴隷少女「え…いや…その……」
奴隷少女(この人やっぱりそういう趣味の人……)
お嬢様「あら、嫌なの?」
奴隷少女「>>71」
71: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 22:21:43.836 ID:xtboVMkrd
ちゃんと見てて下さいね…
75: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 22:32:02.130 ID:SQ78fjTD0
奴隷少女(そんなの奴隷になったときから覚悟してた)
奴隷少女(少なくとも、気持ち悪いおじさんより優しく接してくれるこの人の方がずっとマシ)
奴隷少女「んっ……」
奴隷少女「ふっ…ぅ……」プスゥ
奴隷少女「ぁ……」
お嬢様「あら、空砲ね」
奴隷少女「うぅ……」グゥゥ
お嬢様「昨日は何を食べたの?」
奴隷少女「えっと、お昼に粉末を溶かしたスープを……」
お嬢様「はぁ…先に御飯にしましょう」
奴隷少女「…はい」
お嬢様「メイド、私達があがるまでに>>78を用意しておいて」
奴隷少女(少なくとも、気持ち悪いおじさんより優しく接してくれるこの人の方がずっとマシ)
奴隷少女「んっ……」
奴隷少女「ふっ…ぅ……」プスゥ
奴隷少女「ぁ……」
お嬢様「あら、空砲ね」
奴隷少女「うぅ……」グゥゥ
お嬢様「昨日は何を食べたの?」
奴隷少女「えっと、お昼に粉末を溶かしたスープを……」
お嬢様「はぁ…先に御飯にしましょう」
奴隷少女「…はい」
お嬢様「メイド、私達があがるまでに>>78を用意しておいて」
78: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 22:33:51.511 ID:0MKiQnyd0
ハンバーグ
89: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 22:44:44.900 ID:SQ78fjTD0
奴隷少女「ハンバーグ?」
お嬢様「あら知らないの? どちらかというと庶民の料理だと聞いているのだけど」
お嬢様「まぁ見ればわかるかしら」
奴隷少女「これがハンバーグですか…熱っ……」カチャン
お嬢様「あぁもう、ほら、冷ましてあげたがら口開けなさい?」
奴隷少女「へ? …ぁむっ……」
奴隷少女(……おいしい)
お嬢様「って顔してるわね。私も好物なのよ」
奴隷少女「んっんぐっ……んーっ」
お嬢様「はいお水、しばらくスープばかり食べていたのなら一気にかき込まない方がいいわよ」
奴隷少女「ん…ぐ…ありがとう…えと…お姉ちゃん……」
奴隷少女「あの>>94」
お嬢様「あら知らないの? どちらかというと庶民の料理だと聞いているのだけど」
お嬢様「まぁ見ればわかるかしら」
奴隷少女「これがハンバーグですか…熱っ……」カチャン
お嬢様「あぁもう、ほら、冷ましてあげたがら口開けなさい?」
奴隷少女「へ? …ぁむっ……」
奴隷少女(……おいしい)
お嬢様「って顔してるわね。私も好物なのよ」
奴隷少女「んっんぐっ……んーっ」
お嬢様「はいお水、しばらくスープばかり食べていたのなら一気にかき込まない方がいいわよ」
奴隷少女「ん…ぐ…ありがとう…えと…お姉ちゃん……」
奴隷少女「あの>>94」
94: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 22:46:39.238 ID:Maiz50WA0
デザートは?
105: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 22:53:37.988 ID:SQ78fjTD0
お嬢様「ふふっ……」
奴隷少女「あっ…いや…今のはその……」
お嬢様「あははっ、いいのよそれで。貴女くらいの年頃の妹は図々しいくらいが丁度良いの」
お嬢様「メイド! デザート、急ぎなさい」
奴隷少女「あ……」
お嬢様「妹が姉に遠慮しないの。わかった?」
奴隷少女「……はい!」
お嬢様「いい子。それじゃあ早速お願いしてくれていいのよ?」
奴隷少女「あ…えと…>>108」
奴隷少女「あっ…いや…今のはその……」
お嬢様「あははっ、いいのよそれで。貴女くらいの年頃の妹は図々しいくらいが丁度良いの」
お嬢様「メイド! デザート、急ぎなさい」
奴隷少女「あ……」
お嬢様「妹が姉に遠慮しないの。わかった?」
奴隷少女「……はい!」
お嬢様「いい子。それじゃあ早速お願いしてくれていいのよ?」
奴隷少女「あ…えと…>>108」
108: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 22:54:32.927 ID:nIefGTPGa
っ、お姉ちゃん伏せて!
119: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 23:01:38.283 ID:SQ78fjTD0
パリィィィン…
お嬢様「へ? きゃあっ!」
奴隷少女「お姉ちゃん!」
奴隷少女(良かった…ガラスで少し切っただけだ……)
メイド「お嬢様! 早く奥へ! ……そこの奴隷、お嬢様を連れて行きなさい!」
奴隷少女「はい! お姉ちゃん、立てる?」
お嬢様「ぁ…ええ、大丈夫」
メイド「さて、これは何の真似ですか? >>122さん」
お嬢様「へ? きゃあっ!」
奴隷少女「お姉ちゃん!」
奴隷少女(良かった…ガラスで少し切っただけだ……)
メイド「お嬢様! 早く奥へ! ……そこの奴隷、お嬢様を連れて行きなさい!」
奴隷少女「はい! お姉ちゃん、立てる?」
お嬢様「ぁ…ええ、大丈夫」
メイド「さて、これは何の真似ですか? >>122さん」
122: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 23:02:25.280 ID:DPW60snr0
父親
128: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 23:09:36.049 ID:SQ78fjTD0
父「ここは私の家だ。いつ帰ってこようが私の勝手だよ」
メイド「そうではありません! 先程の攻撃は明らかにお嬢様を狙ったものでしょう!」
父「あれは私の娘だ。どうしようが私の勝手だよ」
メイド「理由を、お聞かせ願います」
父「>>132」
メイド「そうではありません! 先程の攻撃は明らかにお嬢様を狙ったものでしょう!」
父「あれは私の娘だ。どうしようが私の勝手だよ」
メイド「理由を、お聞かせ願います」
父「>>132」
132: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 23:11:05.726 ID:fICmh80O0
今日から奴隷だけが私の娘だ
145: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 23:29:32.671 ID:SQ78fjTD0
メイド「どういう事ですか?」
父「あの娘は妾の子なんだ。妻が病気で床に伏せている間にある使用人と関係を持った」
父「結局妻は死んでしまった。公には、病弱な体であの娘を産んだために死亡したと公表したよ」
父「丁度この前縁談を持ちかけられてね、相手はどうも妻の血筋に拘っているらしい」
父「あの奴隷には妻と同じ血が流れている」
父「だから養子にとって、嫁がせようと思ったんだが見そうなると不貞の証たるあの娘が邪魔なんだ」
父「まぁそんなところだね」
メイド「大方の事情は把握しましたら」
父「そうか。それでは通して貰えるかな」
メイド「旦那様、只今よりお暇をいただきますわ」
父「そうか」
メイド「あなたをお嬢様の、あの娘の元には行かせません!」
勝敗>>147
コンマ3桁目奇数なら父偶数ならメイド
父「あの娘は妾の子なんだ。妻が病気で床に伏せている間にある使用人と関係を持った」
父「結局妻は死んでしまった。公には、病弱な体であの娘を産んだために死亡したと公表したよ」
父「丁度この前縁談を持ちかけられてね、相手はどうも妻の血筋に拘っているらしい」
父「あの奴隷には妻と同じ血が流れている」
父「だから養子にとって、嫁がせようと思ったんだが見そうなると不貞の証たるあの娘が邪魔なんだ」
父「まぁそんなところだね」
メイド「大方の事情は把握しましたら」
父「そうか。それでは通して貰えるかな」
メイド「旦那様、只今よりお暇をいただきますわ」
父「そうか」
メイド「あなたをお嬢様の、あの娘の元には行かせません!」
勝敗>>147
コンマ3桁目奇数なら父偶数ならメイド
147: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 23:30:15.422 ID:nIefGTPGa
勝て
148: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 23:30:27.341 ID:ARC7Ghhxd
勝ちましたわ!
149: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 23:30:30.770 ID:fyNvI3gD0
やったぜ
150: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 23:30:38.430 ID:DPW60snr0
ヒューッ!
151: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 23:32:08.126 ID:cEJltUds0
メイドTUEEEE
156: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 23:43:23.405 ID:SQ78fjTD0
父「ごふっ……」
メイド「終わりです。外に控えていた傭兵達もほかの使用人が拘束した模様ですね」
父「ふん…どうせこの国の法では私を裁くことなどできん」
メイド「それでも、お嬢様は殺させません」
父「さて、外に控えていた傭兵は確かに全員捕らえられたようだ」
父「外に控えていた連中はな」
メイド「──っ! お嬢様!」
父「あぁそうだ、あの娘の母親のことはある使用人と言ったがな」
父「お前の母親の事だよ」
メイド「──っ!」バタン
父「さて…間に合うかなメイドよ」
傭兵「お前のことはなるべく傷つけるなと言われている。そこを退け」
奴隷少女「お断りします。お姉ちゃんに手は出させません!」
お嬢様「>>160」
メイド「終わりです。外に控えていた傭兵達もほかの使用人が拘束した模様ですね」
父「ふん…どうせこの国の法では私を裁くことなどできん」
メイド「それでも、お嬢様は殺させません」
父「さて、外に控えていた傭兵は確かに全員捕らえられたようだ」
父「外に控えていた連中はな」
メイド「──っ! お嬢様!」
父「あぁそうだ、あの娘の母親のことはある使用人と言ったがな」
父「お前の母親の事だよ」
メイド「──っ!」バタン
父「さて…間に合うかなメイドよ」
傭兵「お前のことはなるべく傷つけるなと言われている。そこを退け」
奴隷少女「お断りします。お姉ちゃんに手は出させません!」
お嬢様「>>160」
160: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/18(木) 23:45:22.203 ID:nIefGTPGa
お母様の形見……このためにあったのですね
170: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/19(金) 00:00:26.380 ID:NWKBxSCb0
お嬢様「受け取りなさい!」シャッ
奴隷少女「お姉ちゃん!?」パシッ
お嬢様(気付いてたわよ、私とお母様の血が繋がっていない事くらい……)
お嬢様(けれどお母様は、生まれて間もない私にこれを託した)
お嬢様「見なさい我が妹よ! その鏡に映る自分の本当の姿を!」
奴隷少女「へ? きゃあぁぁあっ」ピカ
傭兵「何!? くっ…目が……」
竜「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」
竜『これは……』
お嬢様「やっぱり貴女もお母様と同じ、竜の血が流れていたのね」
竜『お姉ちゃん……?』
お嬢様「妹よ、私を守りなさい!」
竜『──うん!』
>>174
コンマ3桁目奇数なら傭兵の勝ち偶数なら竜の勝ち
奴隷少女「お姉ちゃん!?」パシッ
お嬢様(気付いてたわよ、私とお母様の血が繋がっていない事くらい……)
お嬢様(けれどお母様は、生まれて間もない私にこれを託した)
お嬢様「見なさい我が妹よ! その鏡に映る自分の本当の姿を!」
奴隷少女「へ? きゃあぁぁあっ」ピカ
傭兵「何!? くっ…目が……」
竜「GYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!」
竜『これは……』
お嬢様「やっぱり貴女もお母様と同じ、竜の血が流れていたのね」
竜『お姉ちゃん……?』
お嬢様「妹よ、私を守りなさい!」
竜『──うん!』
>>174
コンマ3桁目奇数なら傭兵の勝ち偶数なら竜の勝ち
174: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/19(金) 00:01:42.251 ID:cOgYLqm0r
3人に勝てるわけないだろ!
181: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/19(金) 00:07:08.155 ID:NWKBxSCb0
傭兵「大分手こずったが、どうにか任務を遂行できそうだ……」
竜『ハァ…ハァ……ごめん…お姉ちゃん……』
お嬢様「ごめんなさい、私がお姉ちゃんなのにね」
傭兵「死を受け入れる気になったか?」
お嬢様「>>185」
竜『ハァ…ハァ……ごめん…お姉ちゃん……』
お嬢様「ごめんなさい、私がお姉ちゃんなのにね」
傭兵「死を受け入れる気になったか?」
お嬢様「>>185」
185: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/19(金) 00:09:51.047 ID:2zoMR+d2a
ふふ、随分楽しい夢を見てるみたいね
196: 以下、5ちゃんねるからVIPがお送りします 2018/10/19(金) 00:26:20.580 ID:NWKBxSCb0
傭兵「何?」
お嬢様「貴方の負けよ」
傭兵「がはっ…何だと……」
お嬢様「この子がこんなに頑張ったのよ? それが無駄になるわけ無いでしょう」
メイド「ええ、よくお嬢様を守り抜いてくれました」
傭兵「馬鹿な…いつの間に……」
メイド「あとは私めが、まぁ、さっきのでもう終わったようなものですが」ザシュ
傭兵「」ボト
お嬢様「よく来てくれたわね」
メイド「そこの奴隷? が時間を稼いでくれたおかげです」
お嬢様「奴隷じゃないわ。妹よ」
メイド「……とはいえ、もうこれまでの生活はできそうにありませんね」
お嬢様「そうね…ごめん…疲れてるだろうけど、飛べるかしら」
竜『うん!』
メイド(妹、ですか……)
メイド(お母様の娘というならお嬢様も私の妹です)
メイド(私は彼女らを見守りましょう。…お姉ちゃんですからね)
お嬢様と竜とメイドの3姉妹は安息の地を目指して空を駆けるのでした
おしまい
お嬢様「貴方の負けよ」
傭兵「がはっ…何だと……」
お嬢様「この子がこんなに頑張ったのよ? それが無駄になるわけ無いでしょう」
メイド「ええ、よくお嬢様を守り抜いてくれました」
傭兵「馬鹿な…いつの間に……」
メイド「あとは私めが、まぁ、さっきのでもう終わったようなものですが」ザシュ
傭兵「」ボト
お嬢様「よく来てくれたわね」
メイド「そこの奴隷? が時間を稼いでくれたおかげです」
お嬢様「奴隷じゃないわ。妹よ」
メイド「……とはいえ、もうこれまでの生活はできそうにありませんね」
お嬢様「そうね…ごめん…疲れてるだろうけど、飛べるかしら」
竜『うん!』
メイド(妹、ですか……)
メイド(お母様の娘というならお嬢様も私の妹です)
メイド(私は彼女らを見守りましょう。…お姉ちゃんですからね)
お嬢様と竜とメイドの3姉妹は安息の地を目指して空を駆けるのでした
おしまい
引用元: お嬢様「お土産っていうのはこの子の事?」父「そうだ」奴隷少女「………」