【化物語】なでこクロノス
2020-08-04
1: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 15:08:22.10 ID:EjL7S2SM0
関連
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2: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 15:09:51.68 ID:EjL7S2SM0
1.
引きこもり生活を続けながら漫画を書いていた
この私、千石撫子がなんでこんな真っ昼間の外にいるのでしょう。
しかもパジャマ姿で、裸足のまま、
何か気でも変わったのかな?
いや、そうではないんです、何か気が変わったとすれば、
今の状態、じゃなくて撫子の中に問題があると思います。
でも問題があると言っても病気を患っている訳でもなく、
ましてや精神的に問題があるわけでもありません。
問題とは、私の中に神が宿ってしまったこと。
そう、撫子はまた神様になってしまったのです。
3: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 15:11:05.33 ID:EjL7S2SM0
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4: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 15:11:43.81 ID:EjL7S2SM0
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5: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 15:12:45.89 ID:EjL7S2SM0
2.
今、撫子は白蛇神神社に居ます
本当に懐かしいこと気がしてなりません。
蛇神様時代を思い出します。
でもクチナワさんはもういません、
いるのは違う神様、撫子にとり憑いた神様
名前は、「クロノス」と呼ばれているらしいです。
なんでこの引きこもりである撫子にとり憑いたのか、
撫子には検討もつきません、何せ私から
望んでやったものではないですから、
相手から、神様から一方的にとり憑いたんですから。
暦「....千石」
暦「そこにいるのか?」
入り口から懐かしい声が聞こえてきました。
果たして会うのはいつぶりでしょうか、
撫子には思い出せません。思い出したくありません
思い出すと、また抱いてしまう、あの感情を....
こんな事を思っているとき、私は立ち上がります
撫子「来ちゃったんだ、暦お兄ちゃん」
暦「あぁ、千石」
暦「もう一度救うために」
救う?一体何を救うのでしょうか。
私の中にいる神様でも殺すのでしょうか?
撫子「暦お兄ちゃんには救えないよ....」
そういって、私は地面に手をおきまっすぐ線を描くように下に降ろしました。
そして、撫子は暦お兄ちゃん指差し言いました。
女子とは思えない声を発しながら、
撫子「....割れろ」
すると地面が真っ二つに割れました
この時、撫子はてっきり漫画でしか見られないと思っていましたから
(嘘だと思ったら本当に使えるとは....)
とてもびっくりしていましたよ、ええ、
でも自分の意思とは違いなぜか体は勝手に動くんですよね。
今度はその指を下から上に撫でるように動かしていました。
すると、地面の割れ目から岩山が飛び出してきたではありませんか。
もう撫子びっくりです。
何が起こっているか分かりません。
暦「がはぁ!!」
暦お兄ちゃんがその岩山に突き刺さり、横に倒れました。
なかなか直では見れない現状です。
クロノス「どうだ?」
私の中にいる神様が撫子に話しかけてきました。
どうだこうだもありませんよ。
今撫子の目の前に見えているのは、
お腹らへんが貫通していて、
横に倒れている暦お兄ちゃんの姿ですから。
6: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 15:14:25.47 ID:EjL7S2SM0
撫子「そういわれても....撫子には何も言えないよ」
クロノス「そうか、だがこれは自分がやったことだ」
自分のやった事って....
神様が勝手にやった事じゃないんですか?
私は何もやってないはずですよ。
クロノス「お前はそうおもっているかも知れないが、悪魔でも
これはお前の意思だ」
クロノス「俺はお前の意思を具現化して実行しているだけだ」
撫子「......」
撫子は黙っていました。
この神様の言うことに何も反論できなかったのです。
反論する気もありませんでした。
そうこう考えている内に、また神様が私に言ってきました
クロノス「話している内に....ほら」
撫子「......?」
クロノス「まだ戦う気があるみたいだよ」
クロノス「しかも今度は助っ人もご登場のようだ」
私に見えていたのは、
暦「どうしてもお前を救わなければいけないんだ、千石」
横になっていたはずの暦お兄ちゃんが起きていました。
そしてその横にいたのは、
忍「またすごいものにとり憑いてくれたな、前髪娘」
暦お兄ちゃんの影にいる元鉄血にて熱血にて冷血の吸血鬼、
忍野忍さんでした。
7: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 17:30:32.31 ID:EjL7S2SM0
3.
この時間がくる3日前の事でした。
なんでいきなりこんな中途半端な所で回想が入るかって?
これ以上進むとオチにはいってしまうんです。
だから進めないんです。進んではいけないんです。
この時、撫子は引きこもりでずっと漫画を書いていました。
みんなが楽しい学園生活を過ごしている間、
ずっと画力を磨いていました。
せっせっせっせとひたすら画力を磨いていました。
そんな時です、いきなり後ろから肩を叩かれました
いや、正式には叩かれたかのようなそんな感覚に襲われました。
撫子「ひゃっ!!....な、何?」
慌てて後ろを振り向いたんですが、そこには誰もいませんでした。
でも、そこにあったのは1通の封筒でした。
真っ白で、宛名も何も書いていない謎の封筒。
撫子「な、なんなの??」
撫子「も、もしかして誰かに見られてる....?」
と思って辺りを見渡して見たら、
その予想はことごとく外し、何もいませんでした。
(何か居る方がおかしいですけどね)
撫子は特に気にすることもなく。その封筒を開けてしまいました。
でも、今思えばこの特に何もない動作が全ての始まりだと思います。
そう、神様が生まれた瞬間でも...
8: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 17:31:34.95 ID:EjL7S2SM0
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9: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 17:32:20.16 ID:EjL7S2SM0
封筒を開けると、中身は特に何も入っていませんでした。
ただのなにもない封筒でした。
何もなかったとがっかりしながら、
作業を再開しようと机の方を向いた時でした。
???「やぁ」
そこに、いました。
いました。と言っても人間が居たわけではありません。
うっすらと見える何かがいたのです。一般的には幽霊と言うのでしょうか。
でも撫子は今の状況になっても驚いたりしません。
普通の人なら驚いて逃げ出す人も多いと思います。
でも撫子の場合は巨大な蛇の霊などを見ている訳ですから、
この程度じゃ驚きませんよ。
???「開けてくれてありがとう、おかげで形だけだが復活できた」
何をいっているんでしょう、この何かは
まるで私のお陰でできたかのような....
???「じゃあ、早速とり憑かせてもらうよ」
撫子「え、ええ!?ちょっと待って!!」
???「どうしたんだい?そんなに驚いた顔して」
そりゃあ驚きますよ、いきなり復活できたと言われて混乱しているのに、
さらに追い討ちがかかるように、
とり憑きたいといってきたんですから、
何かのギャグかなにかでしょうか、
もしこれが本気なら、冗談じゃあありません。
撫子「なんで....撫子なの?」
???「なんで?」
???「お前は1回神様になった経験あるからな」
???「だからお前は適任なんだよ」
撫子「.......」
撫子は何も言えませんでした。
確かに神様になったことはあります。
でもあれはクチナワさんのおかげであって....
私は何もしていません。
私は何も....
???「自分は何もしていないって?そんなわけないじゃないか」
ズバリと言い当てられました。
きちっと言い当てられました。
そんなに撫子は言っていることが顔に出るんでしょうか、
???「とにかく」
撫子がそう考えているとその何かがいきなり言って来ました。
???「お前の体に取り憑かせてもらうぞ、いいな?」
撫子「......」
結局それが目的なんですね。
どうしたらいいかもう分かりません。
10: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 17:32:48.71 ID:EjL7S2SM0
なので仕方なく1回その何かに従う事にしました。
抵抗でもしたら多分負けてしまいますからね(でも画力なら多分勝てると思う)
すると、その何かが撫子の前を通りました。
いや、通ったというよりぶつかってきました。
ふわりという効果音がついてもおかしくないほどの
優しいぶつかり方でした。
ここで記憶がいきなり途絶えるんですよね。
何も起こっていないはずなのに、
何も起こしていないはずなのに、
なぜ記憶がないんでしょうか。
でもうっすらと覚えている事はあります。
いつぐらいからかはわからないけど、
その何かに「ありがとう」と言われたんです。それしか記憶に残っていません。
そして、次に撫子の記憶がはっきりしてきたのが、
空が赤色に染まる頃でした
11: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 17:35:06.75 ID:EjL7S2SM0
4.
撫子「あれ?」
ここで撫子が眠りからお目覚めです。
眠り姫のお目覚めです。(一体なにを言っているんですかね。)
でもなんで寝ていたのかは記憶にありません。
なぜ記憶がないかですか?
それは
???「俺がとり憑いたから、その記憶を消させてもらったんだ。」
....あれ?今誰か言いました?
この部屋には撫子しかいないはずなのですが....
???「おい、無視するなよ、俺だよ俺」
....どうやら、本当に撫子はとり憑かれたみたいですね。
その何かに。
???「まぁ、とり憑いたというより、
お前の体と同化した、といった方がいいかもな」
[とり憑いた]と[同化した]は同じような気がしますが....
撫子「そういえば、名前はあるの?」
???「名前?」
撫子「うん、やっぱり何かじゃあだめかな....と思って」
ずっと「何か」呼びはきついですよ(いろんな意味で)
それなら名前があった方がいいでしょう。
???「名前か....そういえば、(クロノス)と呼ばれていたな」
撫子「クロノス?」
なんでしょうか、そんな名前は聞いたことがありません。
あとで調べてみましょう。
12: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 17:35:51.13 ID:EjL7S2SM0
そうこう考えていると、撫子の腹の虫がなりました。
時間もそろそろ夜になる頃でちょうどいいので、
夜ご飯を食べることにしましょう。
でも撫子はご飯を作ることはできません。
あまり自分で作ったことがないのでレパートリーがないのです。
いつもはご飯を作って置いてくれていることが多かったのですが、
今回は置いてくれていませんでした。
何かないかなと思って棚を漁ると、
そこにはカップラーメンがひとつありました。
なら、今回はそのカップラーメンを食べましょう。
クロノス「なぁ、なんだ?このへんな入れ物は」
撫子がお湯を沸かしている途中に(さすがにお湯位は沸かせますよ)
クロノスさんが撫子に語りかけてきました。
どうやら、カップラーメンというものを知らないようです。
どういう風に説明したらいいんでしょうか。
撫子「こ、これはカップラーメンと言ってね」
クロノス「カップラーメン??」
撫子「インスタントラーメンとも言うんだけど」
クロノス「....ごめん、全く分からん」
説明が難しいですね。
やっぱりラーメンから説明するべきでしょうか。
と、言っている間にそろそろ出来ますね。
とりあえず1回説明は諦めることにしましょう。
お腹がすいてきました
13: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 17:38:17.15 ID:EjL7S2SM0
撫子が食べている間もクロノスさんの語りかけが止まりません。
クロノス「一体なんだ?この長いものは?食べれるのか?」
クロノス「というかなんで水をいれるだけで食べれるようになるのかこれは?
この世界だけのものなのか?」
クロノス「それならこの世界はすごいな....」
クロノス「俺の世界なんてこんなものはなかったからな....」
クロノス「本当にすごいと思うよ」
撫子「....クロノスさん」
クロノス「なんだ?」
撫子「1回黙って」
こんなに語りかけられたら、食事にも集中できませんよ、
このクロノスさんもクチナワさんと同じように
よくしゃべるんでしょうか。
だとするとかなり迷惑です、クロノスさんがもし人間なら
即、退出命令を出してますよ。
クロノス「なんで黙らないといけないんだ?
こんな風におしゃべりがあったほうが食事にも華が生まれていいじゃないか」
撫子「そういう問題じゃないと思うんだけど....」
確かにその点はありがたいと思いますが、
でもあんなに語りかけられると、華もどうもありません。
撫子「とにかく、あんなに語りかけられると食事に集中できないの」
クロノス「....お前はもしかして、
食事とか1人でひっそりと食べる系の人か?」
撫子「うん」
即答です、おしゃべりしながらの食事なんて
したことがないので想像ができません。
クロノス「....そうか、なら黙っておこう」
クロノスさんは撫子の言ったことを聞いてはくれるみたいです。
そこはクチナワさんとは違いますね。
と、一段落ついたところで、このままでは麺もふやけてしまいます。
早く食べてしまいましょう。
14: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 17:40:05.79 ID:EjL7S2SM0
カップラーメンを食べ終わって、
撫子はそのままベッドで寝ることにしました。
特にやることもなかったので、
(クロノスさんと話すのもよかったけど
客観的に見たら1人で話してるおかしい人に見えてしまいますからね....)
こうして1日目が終了したわけですが
着々とあの時間が迫ってきています。
ついでに言っておくと、同時にオチも迫ってきています。
では2日目の始まりです。
おやすみなさい。
15: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 19:23:41.55 ID:EjL7S2SM0
5.
朝がやって来ました。朝日に照らされ、心地よい風が肌に触れ、
鳥のさえずりが聞こえてくる、気持ちいい朝です。
というとてもいい目覚めをしてみたかったのですが。
現実はそんなに甘くないんですね....
なぜなら撫子を起こしたのは、
クロノス「おい、起きろ」
撫子「......」
クロノス「いつまで寝ているんだよ、起きろ」
クロノス「早く起きろ」
他でもない撫子にとり憑いている
クロノスさんだからです。
クロノス「なんで起きないんだ?何かあったのか?」
撫で子「クロノスさんこそなんで起こすの....」
クロノス「起きる時間が遅い」
撫子「遅いって....まだ5時だよ....」
クロノス「遅い」
クロノスさんの時間の感覚はどうなっているんでしょうか。
これじゃあ、目覚まし時計とあまり変わりませんよ。
少し、というかかなり迷惑です。
クロノス「で?今日は何をするんだ?」
そんなの決めているわけないじゃないですか。
こんな朝早く起こされて、頭も働きませんよ。
それでも撫子はなんとか頑張って考え、今日の予定を引きずり出します
16: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 19:24:34.12 ID:EjL7S2SM0
撫子「今日は....そうだ、本屋さんに行こう」
正直行くのにかなり抵抗ありますが....
クロノス「ほう、またなんで?」
撫子「クロノスさんの事について調べて見ようかな....と思って」
クロノス「そんなの今の時代最先端なものがあるじゃないか」
クロノス「インターネットとやらスマホやら」
クロノス「それらで調べればいいのに、
なんでわざわざ本屋さんにいって調べるんだよ?」
撫子「撫子はそんなの持ってないよ....」
そうです、撫子はそのへんの通信機器を持っていません。
インターネットはもちろん、スマホも持っていません。
電話は、家にある固定電話のみです。
クロノス「なんで持っていないんだ?
今のこの時代持っているのは当たり前じゃないのか?」
今、すごいばかにされた気がします。
持っていなくて何が悪いんですか?
すごい聞いてみたいです。
というか、なんでそんなに今の時代のことを詳しく知っているんでしょうか。
クロノス「....まぁいいや、行くなら早く行こう」
今何か考えていた気がしたんですが気のせいですかね?
まぁ、今はクロノスさんの調査をするのが先です。
なので支度を済ませて、行きましょう。
17: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 19:25:39.76 ID:EjL7S2SM0
本屋さんに来ました。
久しぶりに来てみましたが、特に何も変わってなかったですね。
撫子は店内に入るとオカルトコーナーに直行し、
クロノスさんの情報が載っている本を探し始めました。
とはいえ、クロノスさん、という名前しか分からない状態で
探すのもなかなか骨がおれますよね。
なのでもう一度クロノスさんに聞いて見ようと思います。
撫子「ねぇ、クロノスさん」
クロノス「なんだ?」
撫子「もう少し何か情報はないの?」
クロノス「......」
クロノスさんはそのまま黙ってしまいました。
このままでは探すことができません。
どうしよう、と考えていると、
???「千石!!?」
誰か撫子を呼ぶ声が聞こえてきました。
それも撫子が聞いたことがある声です。
その声の方向に振り向きます。
ゆっくりと振り向きます。
撫子「暦お兄ちゃん....」
そこにいたのは撫子が蛇神時代の時に殺しかけ、
撫子の叶わなかった初恋の相手でもある。
暦お兄ちゃん、いや、阿良々木暦がそこに居ました
18: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 19:26:35.21 ID:EjL7S2SM0
久しぶりに会ってみてよかったと思うこともあるんですが、
何より、クチナワさんの力とはいえ、
「撫子自身が暦お兄ちゃんを殺しかけた」
という、紛れもない事実が撫子自身を動かなくしていたのです。
いや、動かなくなったというより、その場所に留まってしまった、
と言ったほうがいいかもしれません。
まぁどちらにしても動かなくなっていることには代わりはないんですけどね。
暦「....体の具合は大丈夫なのか、千石」
先に暦お兄ちゃんの口が開きました。
話し方からして暦お兄ちゃんも
やっぱり撫子のことについて何か思っているのでしょうか。
撫子「だ、大丈夫だよ....」
暦「そ、そうか」
撫子「......」
暦「......」
どうしましょう、話が続きません。
それもそうでしょう、あのクチナワさんの出来事から
ずっと引きこもっているんですから、コミュニケーション能力も衰えています。
しかも撫子は暦お兄ちゃんを殺しかけたんですから(何度も言いますが)
何を話したらいいのか分かりません。
撫子「やっぱり暦お兄ちゃんには....」
暦「???どうした?何かあっ....」
撫子「....ッ!!」
思わず入り口のほうに一直線に走ってしまいました。
暦「待て!!千石!!」
暦「.......」
???「なぜ無理にでも止めなかったのじゃ?」
暦「....忍か」
忍「うむ....それより、かなりヤバイ状況になっておる」
忍「蛇神の再来になるかもしれん」
暦「蛇神の再来....まさか千石に!?」
忍「そのまさかじゃ、あの前髪娘....」
忍「何かに取り憑かれておるぞ」
19: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 19:27:25.36 ID:EjL7S2SM0
6.
思わず逃げ出してしまいました
撫子にはこの状況は耐えられませんよ。
逃げ出してしまったことにより何か悟られてなければ良いのですが....
撫子「....あ」
クロノス「どうやら家に戻って来たみたいだな」
気付かなかったみたいですが、
どうやら走っているうちに家に着いていたみたいです。
無意識に家に行っていたのでしょうか。
それともクロノスさんが誘導して....?
クロノス「そんなわけないだろう」
....いるわけではないようですね。
結局、何も情報を知ることができないまま、
日が落ちようとしていました
この時、クロノスさんが脳内に話しかけてきました
クロノス「どうしたんだ?何か浮かない顔をして」
撫子「ううん、このまま1日が終わってしまうんだな....て思って」
クロノス「ほう?」
撫子「何も情報を得ることもできなかったし」
撫子「これじゃただ外に出ただけになっちゃうよ....」
クロノス「.......」
クロノスさんは黙ったまま、何も言わなくなってしまいました。
もう何もパジャマにでも着替えてもう寝ましょう。
20: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 19:28:13.80 ID:EjL7S2SM0
クロノス「どうしてもって言うなら教えてやろうか?」
....ん?今何かすごい衝撃的な一言が聞こえたような....
クロノス「無視するなよ、せっかく(教えようか?)って聞いてるのに」
まさかクロノスさん自身が教えてくれるとは思っていませんでした。
(それなら本屋に行く前に教えてくれたら良かった話ですけどね、)
ならばこのチャンス、逃してはいけない気がします。
クロノスさんの気が変わらないうちに....
撫子「ど、どんな」
クロノス「でも今日は寝るつもりだったんだろ?
なら続きは明日話してやる。
長話で寝られなくなって体調が優れなくなってしまったら困るからな、
だから今日はもう寝ろ」
まさか体調を心配して明日に伸ばすなんて思いもしなかったですね。
撫子も少しなら夜更かししても大丈夫なんですよ?
(もしかして本当は知らなかったり....?)
撫子「本当に明日教えてくれるんだよね?」
クロノス「あぁ、もちろんだ、嘘はつかない」
撫子「じゃあ....」
クロノス「あぁ、おやすみ」
撫子「お、おやすみなさい」
やっぱり自分自身に「おやすみなさい」と言われるのは初めての経験ですね。
でももうこんな経験することはないと思いますが、
....そういえば、何で撫子の体調を心配していたのでしょうか?
さっぱり分かりません。
何か企んでいることでもあるんでしょうか。
とりあえず、おやすみなさい
21: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 20:00:44.25 ID:EjL7S2SM0
7.
今回もクロノスさんの目覚まし時計からの始まりです。
撫子「....ねぇ、クロノスさん」
クロノス「なんだ」
撫子「やっぱりもう少し」
クロノス「お前の起きる時間が遅いだけだ」
撫子「遅いって....まだ4時だよ?」
クロノス「しらん、遅いものは遅い」
何でクロノスさんはこんなに早起きなんでしょうか?
撫子を超早起き健康人にでもするつもりなんでしょうか?
(朝から何をいっているんですかね)
基本的に神様は早起きなのかもしれませんね。
撫子「そういえば、今日は」
クロノス「わかってる、だから早速行くぞ」
撫子「行くって....どこに行くの?」
クロノス「白蛇神神社だ、早く行くぞ」
撫子「ち、ちょっと待って!まだ着替えてない....」
22: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 20:01:33.95 ID:EjL7S2SM0
というわけで、蛇神時代を過ごした神社に来たわけですが....
神様ってなかなか待ってくれないものなんですね。
本当は説得できればよかったんですが、
当然撫子にはそんなことができるわけがなく、
結局、パジャマ姿のまま来ることに....
(結構恥ずかしい....)
クロノス「別に何も着ていないよりかはマシだろう」
結構パジャマ姿も恥ずかしいんですが....
まぁ、それよりクロノスさんの情報です。
できるだけ頑張って聞き出しましょう!!
(一体何のやる気なんですかね?)
クロノス「先に言うが、俺はギリシャ神話の神様でね」
撫子「ギリシャ....!?」
クロノス「大地と農耕の神だ」
撫子「の、農耕?」
意味がもうちんぷんかんぷんで訳が分かりません
クロノス「あとは、この世界に来てからなんだが....」
クロノス「地面を操ることができるらしい」
撫子「地面を操れるの!?」
地面を操れるんですか!!?
まるでアニメのワンシーンみたいなのができるなんて....是非見てみたい!!
23: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 20:02:32.17 ID:EjL7S2SM0
クロノス「....何をそんなにはしゃいでいるんだ?」
....確か顔に出やすいんでしたね。
ついつい興奮してしまいましたが....見てみたいのは確かです。
クロノス「まぁ、後でやってやる」
クロノス「あとは....」
クロノス「.......」
クロノスさんがいきなり黙り込んでしまったんですが.....
何かあったのでしょうか?
撫子「ど、どうしたの?」
クロノス「....この話は後だ」
撫子「どういうこと?」
クロノス「お客様が来たぜ、たしか....暦お兄ちゃんだっけ?」
24: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 20:03:32.35 ID:EjL7S2SM0
8.
ここであのシーンに戻ってきます。
お帰りなさい、さてこのあとどうなったかですが....
撫子「ねぇ、クロノスさんどうするの?」
撫子「ねぇ!!」
暦「千石?一体1人で何してるんだ?」
忍「無駄よ、多分体内に入っているのじゃろう、その神様とやらが」
あれ?何で気付いていないんでしょう、
そういえば、クロノスさんは撫子の体内にいるんでしたね
そりゃあ聞こえない訳ですよ。
撫子「......」
暦「千石....」
忍「どうした?お前様よ、何か困ったことでもあったのか?
もし何か思いとどまることがあるのなら儂がやろう」
暦「ちょっと待て、忍」
忍「そういうわけにもいかんよ、もし本当に体内に
神様がいるのならまたあの蛇神みたいになりかねんからの」
暦「忍....」
忍「そういうことじゃ」
忍さんが刀を持って撫子のほうに身構えていました
あれ多分撫子自身を切るつもりですよね?
そう考えたらものすごい怖いんですけど
この状況、とても良いとは思えないんですが....
25: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 20:04:22.04 ID:EjL7S2SM0
撫子「ちょっとクロノスさん!!」
クロノス「どうした?そんなに焦って」
撫子「このままじゃ、撫子、し、死んじゃうよ!!」
クロノス「.....」
ここで黙ってしまうんですか!?
ちょっとそれはヤバイですって!!
クロノス「....そういえば言い忘れていたが」
クロノス「俺は時間の神でもあるんだ」
クロノス「ギリシャ神話とは別なんだけどな」
撫子「そ、それがどうかしたの?」
クロノス「....俺に任せろ」
忍「本当に謎じゃな、前髪娘」
ちょっとこっちにきましたよ!?
危ないですって!!
クロノス「少しの間だったが、楽しかったぞ」
こんな時に一体何を....ってあれ?なんか意識が....
クロノス「.....オリガトウ」
一体それってどういう....
クロノス「....イママデノトキヨ....モドレ!!」
26: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 20:05:20.85 ID:EjL7S2SM0
???.
この時、撫子は引きこもりでずっと漫画を書いていました。
みんなが楽しい学園生活を過ごしている間、
ずっと画力を磨いていました。
せっせっせっせとひたすら画力を磨いていました。
そんな時です、いきなり後ろから肩を叩かれました
いや、正式には叩かれたかのようなそんな感覚に襲われました。
あれ?これは何か見たことがあるような気がします
撫子「....???」
後ろを振り向いたんですが、そこには誰もいませんでした。
でも、そこにあったのは1通の封筒でした。
真っ白で、宛名も何も書いていない謎の封筒。
撫子「なにこれ....?」
封筒を開けると、中身は一通の手紙らしきものが入っていました。
見てみると、そこには丁寧な字で
27: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 20:06:50.30 ID:EjL7S2SM0
ちゃんと生きてるか? 自分の夢に全うしろよ、
時間は戻ってこないんだからな、やらなきゃ損だ。
....頑張れよ
クロノス
撫子「???」
一体誰からの手紙でしょう、でもどこかで見たことあるような....
少しの間一緒にいたような....だめです、思い出せません。
撫子「....まぁいいや」
誰からかは分かりませんがこんな手紙を送ってくれたのです。
頑張らなくては、漫画家を目指して、
机の上で画力をあげましょう。
....と机に向かおうとすると
???「ちょっと来てみたよ」
撫子「へ!!??」
誰かが窓から侵入してきました。
普通に不法侵入ですよねこれ、
???「いえーい、ぴーすぴーす」
撫子「だ、誰なんですか....?」
???「分からないのかよ」
初めて会って見て分かるわけないじゃないですか。
でもこの出来事が新たな出来事を引き起こすきっかけになるんですよね。
ここも進みすぎたらいけないんです。というか進んではなりません。
だからここで使おうと思います。
カミング・スーン
神だけに
28: ◆WpEgOxXb5Y 2017/08/03(木) 20:07:36.45 ID:EjL7S2SM0
終わり
引用元: ・【化物語】なでこクロノス
阿良々木暦「心が強くてニューゲーム」
2020-04-24
1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:10:37.88 ID:N1ofEn9y0
「ねぇ、ちょっと。起きなさい!阿良々木くん!」
「は、羽川!?」
あれ、ここはどこだ?
僕はたしか、火憐と月火、それに神原を布団に寝かせて、その後に自分の家に帰ってから、それから……………
「どうしたの?そんな驚いた顔しちゃて。ちゃんと今日の朝、文化祭の出し物の案を一緒に考えるって言ったはずだけど……………さては阿良々木くん、私の話ちゃんと聞いてなかったわね?」
「えっ?…………いや、聞いてた聞いてた。チョー聞いてたよ」
文化祭?ああそっか、これ夢だ。多分あの後、家に帰って寝ちゃったんだな。それで昔の夢を見てるんだ。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1369318237
「は、羽川!?」
あれ、ここはどこだ?
僕はたしか、火憐と月火、それに神原を布団に寝かせて、その後に自分の家に帰ってから、それから……………
「どうしたの?そんな驚いた顔しちゃて。ちゃんと今日の朝、文化祭の出し物の案を一緒に考えるって言ったはずだけど……………さては阿良々木くん、私の話ちゃんと聞いてなかったわね?」
「えっ?…………いや、聞いてた聞いてた。チョー聞いてたよ」
文化祭?ああそっか、これ夢だ。多分あの後、家に帰って寝ちゃったんだな。それで昔の夢を見てるんだ。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1369318237
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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:11:46.55 ID:N1ofEn9y0
「文化祭っていっても、私達、もう三年生だからね。さして……………」
羽川の話を聞き流しながら、僕はこれからの事を考えていた。
まあ、夢の中に、あれからもこれからもあったもんじゃないのだけれど。
さて、どうするかな。正直、現在昼夜を問わず、それこそ一日中受験勉強に勤しんでいる身としては、夢の中くらいこのゆったりとした時間に身を任せるのが一番良いと思うんだけれど。
でも、折角なんだから……………
羽川の話を聞き流しながら、僕はこれからの事を考えていた。
まあ、夢の中に、あれからもこれからもあったもんじゃないのだけれど。
さて、どうするかな。正直、現在昼夜を問わず、それこそ一日中受験勉強に勤しんでいる身としては、夢の中くらいこのゆったりとした時間に身を任せるのが一番良いと思うんだけれど。
でも、折角なんだから……………
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:12:43.94 ID:N1ofEn9y0
「参考までに、阿良々木くんは、去年一昨年、文化祭の出し物、何だった?」
「お化け屋敷と、喫茶店。いたって平凡といってもいいかもな」
「平凡だね。凡俗といってもいいかも」
「そこまでは言うな」
「あはは」?
「それじゃあ羽川。僕も参考までに聞いておきたいことがあるんだけどさ」
「ん?なにかな?」
「お化け屋敷と、喫茶店。いたって平凡といってもいいかもな」
「平凡だね。凡俗といってもいいかも」
「そこまでは言うな」
「あはは」?
「それじゃあ羽川。僕も参考までに聞いておきたいことがあるんだけどさ」
「ん?なにかな?」
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:14:35.83 ID:N1ofEn9y0
「羽川って好きな奴とかいるのか?」
結局、一時は羽川の事が好きなんじゃないかとも思っていたけれど、こんな単純なことさえ、僕は聞いた事がなかったんだよな。
まあ、答を知ってしまっている身としては、正直罪悪感が半端ないけど、それでも折角の夢なのだから、言えなかった事を言いたくもなる。
「阿良々木くん。おふざけでもそういう事、女の子に気安く聞いちゃ駄目だよ」
怒られた。
普通に注意された。
なんだか、羽川にこうやって叱られるのも久しぶりだな。
やべ、なんかちょっとテンション上がってきた。
結局、一時は羽川の事が好きなんじゃないかとも思っていたけれど、こんな単純なことさえ、僕は聞いた事がなかったんだよな。
まあ、答を知ってしまっている身としては、正直罪悪感が半端ないけど、それでも折角の夢なのだから、言えなかった事を言いたくもなる。
「阿良々木くん。おふざけでもそういう事、女の子に気安く聞いちゃ駄目だよ」
怒られた。
普通に注意された。
なんだか、羽川にこうやって叱られるのも久しぶりだな。
やべ、なんかちょっとテンション上がってきた。
5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:15:33.66 ID:N1ofEn9y0
「いや、気安く聞いたのは悪かったけどさ、けど真面目な話、実際のところどうなんだ?」
「えっ?えっと……………うーん」
うわ、照れてる羽川って超かわいい。
…………いやいやまてまて、落ち着くんだ阿良々木暦。
僕がしたいのは照れてる羽川を眺める事じゃないだろう。
「あっいや、言いたくないんだったら別に良いんだけどさ。けど、もし好きな人がいるんだったら、遠回しにじゃなくて、きちんと自分の気持ちを伝えないと駄目なんだぜ」
「えっ?えっと……………うーん」
うわ、照れてる羽川って超かわいい。
…………いやいやまてまて、落ち着くんだ阿良々木暦。
僕がしたいのは照れてる羽川を眺める事じゃないだろう。
「あっいや、言いたくないんだったら別に良いんだけどさ。けど、もし好きな人がいるんだったら、遠回しにじゃなくて、きちんと自分の気持ちを伝えないと駄目なんだぜ」
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:16:40.17 ID:N1ofEn9y0
「え?あ、うん。その忠告は有り難く受け取っておくけれど。それにしても、急にどうしたの?阿良々木くんが自分からそんなこと言うなんて、なにかあったの?」
「いや、別に大した理由じゃないんだ。ただ、今朝の占いで、親友にアドバイスをすると吉っていってたらさ」
「私を親友だと言ってくれるのは素直に嬉しいけどさ。けど、それを実行するのは少しばかり遅い気がするんだけど」
「だな。悪かったよ、下らない事言って」
これは夢なのだから、こんな事には何の意味もないし、ましてや、羽川に自分から告白させようとしてるわけでもないのだけれど。それでもやっぱり、これは、これだけは言っておきたかった。
「いや、別に大した理由じゃないんだ。ただ、今朝の占いで、親友にアドバイスをすると吉っていってたらさ」
「私を親友だと言ってくれるのは素直に嬉しいけどさ。けど、それを実行するのは少しばかり遅い気がするんだけど」
「だな。悪かったよ、下らない事言って」
これは夢なのだから、こんな事には何の意味もないし、ましてや、羽川に自分から告白させようとしてるわけでもないのだけれど。それでもやっぱり、これは、これだけは言っておきたかった。
7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:18:04.79 ID:N1ofEn9y0
それからはまあ、前の通りというか、現実の通りというか、とにかく羽川と文化祭の案を練りつつ、戦場ヶ原の事を羽川に聞いた。
「…………あー。そうだ、思い出した」
「え?」
「僕、忍野に呼ばれてるんだった」
「忍野さんに?なんで?」
「ちょっと、借金の返済をね」
「ふうん」
羽川は以前よりは納得したような反応を見せる。
それでも、やはり不審に思うところがあるようだ。
これだから本当、頭のいい奴の相手は苦手なんだ。
けど、今考えてみると、この察しの悪さもこのころの羽川翼なのだろう。
「…………あー。そうだ、思い出した」
「え?」
「僕、忍野に呼ばれてるんだった」
「忍野さんに?なんで?」
「ちょっと、借金の返済をね」
「ふうん」
羽川は以前よりは納得したような反応を見せる。
それでも、やはり不審に思うところがあるようだ。
これだから本当、頭のいい奴の相手は苦手なんだ。
けど、今考えてみると、この察しの悪さもこのころの羽川翼なのだろう。
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:18:50.78 ID:N1ofEn9y0
「というわけで、僕、もう帰らなくちゃいけないんだった。羽川、後、任せていいか?」
「埋め合わせをすると約束できるなら、今日はいいわ。阿良々木くん。大変かもしれないけど、代金はきちんと払わなきゃね」
「ああ、分かってるよ。じゃあ、後は任せる」
「忍野さんによろしくね」
「伝えとくよ」
さて、どうしたもんか。
この後はいよいよ、あいつの登場なのだから。
いろんな意味で気を引き締めていかないと。
「埋め合わせをすると約束できるなら、今日はいいわ。阿良々木くん。大変かもしれないけど、代金はきちんと払わなきゃね」
「ああ、分かってるよ。じゃあ、後は任せる」
「忍野さんによろしくね」
「伝えとくよ」
さて、どうしたもんか。
この後はいよいよ、あいつの登場なのだから。
いろんな意味で気を引き締めていかないと。
9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:19:38.37 ID:N1ofEn9y0
「羽川さんと何を話していたの?」
教室から出ると、案の定、後ろから戦場ヶ原が声をかけてきた。
だが、今回は振り向かない。
振り向いたら、どんなことになるのかを僕は身をもって体験している。
「別に、ただの世間話さ」
「そう」
まるで、僕の答など初めから聞くきがないと言わんばかりに素っ気ない返事が返ってくる。
かと思うと、なかなか振り向かない僕に業を煮やしたのか、戦場ヶ原は僕に近づいてきて、そして、
「嘘をつく人には、お仕置きが必要ね」
教室から出ると、案の定、後ろから戦場ヶ原が声をかけてきた。
だが、今回は振り向かない。
振り向いたら、どんなことになるのかを僕は身をもって体験している。
「別に、ただの世間話さ」
「そう」
まるで、僕の答など初めから聞くきがないと言わんばかりに素っ気ない返事が返ってくる。
かと思うと、なかなか振り向かない僕に業を煮やしたのか、戦場ヶ原は僕に近づいてきて、そして、
「嘘をつく人には、お仕置きが必要ね」
10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:20:32.01 ID:N1ofEn9y0
「………………………っ!」
戦場ヶ原は、後ろから僕の耳、それも耳たぶではなく骨がある部分をホッチキスで挟み込んだ。
「好奇心というのは全くゴキブリみたいね。人の触れられたくない秘密ばかりに、こぞって寄ってくる。鬱陶しくてたまらないわ。神経にふれるのよ、つまらない虫けらごときが」
「虫けらって……………」
ああ、そういえば更正する前のこいつってこんなんだったな。まったく、これのどこに需要があったというのだろう。
「何よ。右側が寂しいの?だったらそう言ってくれればいいのに」
「いや、そんなことは一言も…………」
「だまらっしゃい」
ホッチキスを持っている左手と反対の手が振り上げられる。
なんだ、こんどは何をされるんだ?
なんて、半ば自棄っぱちになっていると、どうやら今度は、右の耳たぶをハサミで挟まれたよだ。
戦場ヶ原は、後ろから僕の耳、それも耳たぶではなく骨がある部分をホッチキスで挟み込んだ。
「好奇心というのは全くゴキブリみたいね。人の触れられたくない秘密ばかりに、こぞって寄ってくる。鬱陶しくてたまらないわ。神経にふれるのよ、つまらない虫けらごときが」
「虫けらって……………」
ああ、そういえば更正する前のこいつってこんなんだったな。まったく、これのどこに需要があったというのだろう。
「何よ。右側が寂しいの?だったらそう言ってくれればいいのに」
「いや、そんなことは一言も…………」
「だまらっしゃい」
ホッチキスを持っている左手と反対の手が振り上げられる。
なんだ、こんどは何をされるんだ?
なんて、半ば自棄っぱちになっていると、どうやら今度は、右の耳たぶをハサミで挟まれたよだ。
11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:21:48.31 ID:N1ofEn9y0
怖い。
一度同じ目に遭っているからこそ、こいつに躊躇が無いことは分かってるしな。
けど、一度こいつに傷つけられないと僕の不死がアピールできないし。
さて、どうしたもんかな。
「全く私も迂闊だったわ。『階段を昇る』という行為には人一倍気を遣っているというのに、この有様」
「なんだよ。もしかして、バナナの皮でも落ちてたか?」
「は?何を言っているのかしら。そんなバカみたいな理由で私が転ぶと思っているの?もしかして、私の事をバカにしているの」
戦場ヶ原の手に力が加わっているのが分かる。
ちくしょー。何あいつこんなシリアスな場面で嘘ついてるんだよ!
こんなところで貴重なガハラジョーク使ってんじゃねぇよ!
一度同じ目に遭っているからこそ、こいつに躊躇が無いことは分かってるしな。
けど、一度こいつに傷つけられないと僕の不死がアピールできないし。
さて、どうしたもんかな。
「全く私も迂闊だったわ。『階段を昇る』という行為には人一倍気を遣っているというのに、この有様」
「なんだよ。もしかして、バナナの皮でも落ちてたか?」
「は?何を言っているのかしら。そんなバカみたいな理由で私が転ぶと思っているの?もしかして、私の事をバカにしているの」
戦場ヶ原の手に力が加わっているのが分かる。
ちくしょー。何あいつこんなシリアスな場面で嘘ついてるんだよ!
こんなところで貴重なガハラジョーク使ってんじゃねぇよ!
12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:22:40.66 ID:N1ofEn9y0
「気付いているんでしょう?」
戦場ヶ原は僕に問う。
あの時と、全く同じ目つきで。
「重さが、無い」
「そう、理解が早くて助かるわ」
「けど、全くないっていうわけでもないんだろう?」
戦場ヶ原の台詞を先取りしてみる僕。
どうすればこの場を丸く収められるかわからないけれど、とにかく、先手を取っていくしかない。
「ええ、そうよ」
「お前くらいの身長・体格だったら、平均体重は五十キロくらいなんだろうけど」
「適当な事を言わないでちょうだい。私くらいの平均体重は、四十キロ後半強よ」
やっぱり、そこは譲らないんだな。
戦場ヶ原は僕に問う。
あの時と、全く同じ目つきで。
「重さが、無い」
「そう、理解が早くて助かるわ」
「けど、全くないっていうわけでもないんだろう?」
戦場ヶ原の台詞を先取りしてみる僕。
どうすればこの場を丸く収められるかわからないけれど、とにかく、先手を取っていくしかない。
「ええ、そうよ」
「お前くらいの身長・体格だったら、平均体重は五十キロくらいなんだろうけど」
「適当な事を言わないでちょうだい。私くらいの平均体重は、四十キロ後半強よ」
やっぱり、そこは譲らないんだな。
13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:23:29.25 ID:N1ofEn9y0
「でも、実際の体重は、五キロ」
「重さ。想さ。重い、想い」
「あら、何か言ったかしら?」
僕がダメージを受けない為にはこの辺りか。
ここで、戦場ヶ原に少しでも興味を持たせれば、あるいわ。
「怪異」
「は?」
「怪異って言うんだよ、そういうの」
「………………………」
「重さ。想さ。重い、想い」
「あら、何か言ったかしら?」
僕がダメージを受けない為にはこの辺りか。
ここで、戦場ヶ原に少しでも興味を持たせれば、あるいわ。
「怪異」
「は?」
「怪異って言うんだよ、そういうの」
「………………………」
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:24:10.16 ID:N1ofEn9y0
戦場ヶ原からの反応はない。多分、僕の言葉の真意を掴みかねているんだろう。
それでいい、それは、僕の言葉をきちんと聞いてくれている証拠だ。
「お前がいつそんな体に成ったかわからないけど、それでも、そうなったからには何かしらのきっかけがあるはずなんだ」
「……………………………」
「その体に成る直前に、何かに遭わなかったか?なんでも良いんだ。そう、例えば、蟹とか」
「……………………………」
戦場ヶ原はなおも言葉を返さない。それに、顔にも別段驚いたような表情は浮かべていない。
まったく、このころのお前って、本当鉄火面みたいだよな。
それでいい、それは、僕の言葉をきちんと聞いてくれている証拠だ。
「お前がいつそんな体に成ったかわからないけど、それでも、そうなったからには何かしらのきっかけがあるはずなんだ」
「……………………………」
「その体に成る直前に、何かに遭わなかったか?なんでも良いんだ。そう、例えば、蟹とか」
「……………………………」
戦場ヶ原はなおも言葉を返さない。それに、顔にも別段驚いたような表情は浮かべていない。
まったく、このころのお前って、本当鉄火面みたいだよな。
16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:25:23.84 ID:N1ofEn9y0
「蟹。蟹に遭ったのよ」
おもむろに戦場ヶ原はそう口を開いた。
もちろん、僕はこれからこいつが話す事を知っているのだから、それこそ、忍野みたいに見透かしたような、もう知っているのだから見透かすという言い方は違うんだけれど、とにかくそういう事は出来たが、それは止めておいた。
こいつは、忍野みたいに見透かしたような奴が嫌いなのだ。
「そして、重さを、根こそぎ持っていかれたわ」
「だったら」
だったら、お前の力になれるかもしれないと、僕はそう言った。
おもむろに戦場ヶ原はそう口を開いた。
もちろん、僕はこれからこいつが話す事を知っているのだから、それこそ、忍野みたいに見透かしたような、もう知っているのだから見透かすという言い方は違うんだけれど、とにかくそういう事は出来たが、それは止めておいた。
こいつは、忍野みたいに見透かしたような奴が嫌いなのだ。
「そして、重さを、根こそぎ持っていかれたわ」
「だったら」
だったら、お前の力になれるかもしれないと、僕はそう言った。
17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:26:21.91 ID:N1ofEn9y0
当然、僕の話を戦場ヶ原は信じようとしなかった。
優しささえも敵対行為と見なす。
このころの彼女は、そんな奴だったのだから。
だから、どうにか言葉を繋ぎ、ホッチキスとハサミから僕の両耳を解放して、今朝、と言っていいのかわからないけれど、とにかく忍がそうしたように、自分の皮膚を引っ掻いて自らの不死性をアピールし、どうにか忍野のところについてきてくれるとなるまでに、いくばかの時間がかかったのは言うまでもない。
「それじゃあ、私は先に校門に向かうから、少ししたらついてきてちょうだい」
と、戦場ヶ原は最後にそう言った。
優しささえも敵対行為と見なす。
このころの彼女は、そんな奴だったのだから。
だから、どうにか言葉を繋ぎ、ホッチキスとハサミから僕の両耳を解放して、今朝、と言っていいのかわからないけれど、とにかく忍がそうしたように、自分の皮膚を引っ掻いて自らの不死性をアピールし、どうにか忍野のところについてきてくれるとなるまでに、いくばかの時間がかかったのは言うまでもない。
「それじゃあ、私は先に校門に向かうから、少ししたらついてきてちょうだい」
と、戦場ヶ原は最後にそう言った。
19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:27:19.81 ID:N1ofEn9y0
「えっ?なんでだよ、一緒に行けばいいじゃないか」
「嫌よ。あなたのような人と校舎内を一緒に歩いているところを誰かに見られたりしたら、それこそ切腹ものよ」
「いや、そこまでは言わなくても」
「もちろん、この場合切腹するのは、あなた一人なのだけれど」
「………さいで」
「嫌よ。あなたのような人と校舎内を一緒に歩いているところを誰かに見られたりしたら、それこそ切腹ものよ」
「いや、そこまでは言わなくても」
「もちろん、この場合切腹するのは、あなた一人なのだけれど」
「………さいで」
20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:28:20.52 ID:N1ofEn9y0
「忍野、忍野さん?」
「そう。忍野メメ」
「忍野メメ、ね。なんだか、さぞかしよく萌えそうな名前じゃない」
「その手の期待はするだけ無駄だぞ。三十過ぎの年季の入った中年だからな」
なんて、そんな風に忍野の説明をしながら、自転車の二人乗りで忍野の居る廃墟へと向かった。
「ふうん、阿良々木くん。二人乗りするの上手いのね、誉めてつかわすわ」
「そりゃどうも」
まあ、あの頃に比べて二人乗りのコツみたいなものは掴めたし、なんだかんだ言ってもこのママチャリに乗るのは半年ぶりだから上手く行くかは心配だったのだが、やはり人間、自転車の乗り方というものはなかなかどうして忘れにくいらしい。
「そう。忍野メメ」
「忍野メメ、ね。なんだか、さぞかしよく萌えそうな名前じゃない」
「その手の期待はするだけ無駄だぞ。三十過ぎの年季の入った中年だからな」
なんて、そんな風に忍野の説明をしながら、自転車の二人乗りで忍野の居る廃墟へと向かった。
「ふうん、阿良々木くん。二人乗りするの上手いのね、誉めてつかわすわ」
「そりゃどうも」
まあ、あの頃に比べて二人乗りのコツみたいなものは掴めたし、なんだかんだ言ってもこのママチャリに乗るのは半年ぶりだから上手く行くかは心配だったのだが、やはり人間、自転車の乗り方というものはなかなかどうして忘れにくいらしい。
21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:29:15.28 ID:N1ofEn9y0
「けど、これくらいでいい気にならない事ね。あなたのその二人乗り技術はまだまだ発展途上よ。なおも精進が必要だわ」
「お前は一体、誰目線なんだよ」
なんで、そんなことお前に言われなくちゃならないんだよ。
そもそも、二人乗りの技術を向上させようなんて、羽川にばれたら叱られちまう。
あいつは、道路交通法には厳しいのである。
「ほら、ここだよ」
そんな事を話しているうちに、学習塾跡地にたどり着いた。
夢とはいえ、忍野との対面は半年以上ぶりだった。
まったく、皮肉なものである。
つい先程、探せと言われた男に、まさか夢の中で会うことになるなんて。
「お前は一体、誰目線なんだよ」
なんで、そんなことお前に言われなくちゃならないんだよ。
そもそも、二人乗りの技術を向上させようなんて、羽川にばれたら叱られちまう。
あいつは、道路交通法には厳しいのである。
「ほら、ここだよ」
そんな事を話しているうちに、学習塾跡地にたどり着いた。
夢とはいえ、忍野との対面は半年以上ぶりだった。
まったく、皮肉なものである。
つい先程、探せと言われた男に、まさか夢の中で会うことになるなんて。
22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:29:54.64 ID:N1ofEn9y0
「おお、阿良々木くん。やっと来たのか」
なんて、相変わらずの台詞で忍野は僕達を迎えた。
一応、戦場ヶ原からは文房具を預かった。
今の戦場ヶ木が僕の事を信用していないのと違って、僕は戦場ヶ原の事を信用しているけれど、それでも、けじめはけじめ。
大事にしなければ。
とは言っても、正直なところ、このころの戦場ヶ原を信用しているからこその処置という側面が非常に強いのだけれど。
その、戦場ヶ原は、やっぱり明らかに引いていた。
「なんだい。阿良々木くん、今日はまた違う女の子を連れているんだね。きみは会うたんびに違う女の子を連れているなあ。全く、ご同慶の至りだよ」
「…………いきなり押し掛けたのは悪かったよ。けど、お前の力が必要なんだ。助け………いや、手を貸してくれないか?」
なんて、相変わらずの台詞で忍野は僕達を迎えた。
一応、戦場ヶ原からは文房具を預かった。
今の戦場ヶ木が僕の事を信用していないのと違って、僕は戦場ヶ原の事を信用しているけれど、それでも、けじめはけじめ。
大事にしなければ。
とは言っても、正直なところ、このころの戦場ヶ原を信用しているからこその処置という側面が非常に強いのだけれど。
その、戦場ヶ原は、やっぱり明らかに引いていた。
「なんだい。阿良々木くん、今日はまた違う女の子を連れているんだね。きみは会うたんびに違う女の子を連れているなあ。全く、ご同慶の至りだよ」
「…………いきなり押し掛けたのは悪かったよ。けど、お前の力が必要なんだ。助け………いや、手を貸してくれないか?」
23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:30:44.62 ID:N1ofEn9y0
「なんだい、阿良々木くんがそんな態度をとるなんて珍しいな。なんだか、調子狂っちゃうよ。うん?」
忍野は。
戦場ヶ原を、遠目に眺めるようにした。
その背後に、何かを見るように。
「…………初めまして、お嬢さん。忍野です」
「初めまして。戦場ヶ原ひたぎです」
そんな感じで、軽く挨拶が終わったところで、前の反省をいかしてあらかじめ戦場ヶ原の身に起こったかとを、知っているとはいえ、形だけ聞いた事を忍野に話そうとした。
忍野は。
戦場ヶ原を、遠目に眺めるようにした。
その背後に、何かを見るように。
「…………初めまして、お嬢さん。忍野です」
「初めまして。戦場ヶ原ひたぎです」
そんな感じで、軽く挨拶が終わったところで、前の反省をいかしてあらかじめ戦場ヶ原の身に起こったかとを、知っているとはいえ、形だけ聞いた事を忍野に話そうとした。
24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:31:43.46 ID:N1ofEn9y0
「えっと、忍野。今回力になってほしいのは、こいつなんだけど…………」
「こいつ呼ばわりしないで」
予想通り戦場ヶ原は、毅然とした声で言った。
「センジョウガハラサマが………」
「片仮名の発音はいただけないし、そもそも、そんな呼び方、私は求めていないわ」
「じゃあ、何て呼べばいいんだよ」
「女王様と呼びなさい」
「ガハラ女王」
目を突かれた。
「失明するだろうが!」
「失言するからよ」
はあ。どうやら僕は、こいつのホッチキスからは逃れられても、暴力と毒舌から逃れられないみたいだ。
まあ、今のは僕が悪いんだけど。
「こいつ呼ばわりしないで」
予想通り戦場ヶ原は、毅然とした声で言った。
「センジョウガハラサマが………」
「片仮名の発音はいただけないし、そもそも、そんな呼び方、私は求めていないわ」
「じゃあ、何て呼べばいいんだよ」
「女王様と呼びなさい」
「ガハラ女王」
目を突かれた。
「失明するだろうが!」
「失言するからよ」
はあ。どうやら僕は、こいつのホッチキスからは逃れられても、暴力と毒舌から逃れられないみたいだ。
まあ、今のは僕が悪いんだけど。
25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:32:45.73 ID:N1ofEn9y0
「そんなことより」
戦場ヶ原は忍野に向かい合った。
「私を助けてくださるって、聞いたのですけれど」
「助ける?そりゃ無理だ。きみが勝手に一人で助かるだけだよ、お嬢ちゃん」
「………………………」
うわ。
戦場ヶ原の顔が強張ってく。
しまったな。そう言うこともさっき教えておけばよかった。
「えっと、じゃあまず僕が簡単に説明するから…………」
「余計な真似を。殺すわよ」
「………………………」
戦場ヶ原が、またも、大枠を語ろうとした僕を遮った。
「自分で、するから」
「…………ああ」
「自分で、できるから」
どうやら、こいつの場合に限って言えばだけれど、僕の反省も、無意味のようだった。
戦場ヶ原は忍野に向かい合った。
「私を助けてくださるって、聞いたのですけれど」
「助ける?そりゃ無理だ。きみが勝手に一人で助かるだけだよ、お嬢ちゃん」
「………………………」
うわ。
戦場ヶ原の顔が強張ってく。
しまったな。そう言うこともさっき教えておけばよかった。
「えっと、じゃあまず僕が簡単に説明するから…………」
「余計な真似を。殺すわよ」
「………………………」
戦場ヶ原が、またも、大枠を語ろうとした僕を遮った。
「自分で、するから」
「…………ああ」
「自分で、できるから」
どうやら、こいつの場合に限って言えばだけれど、僕の反省も、無意味のようだった。
26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:33:27.16 ID:N1ofEn9y0
二時間後。
僕は、忍野と吸血鬼改め忍の居ついている学習塾跡を離れ、戦場ヶ原の家にいた。
今回は、あらかじめ知ってた、というか何度も来たことがあるから驚くなんてことなかったけれど、それでもやっぱり戦場ヶ原は、
「母親が怪しい宗教に嵌まってしまってね」
なんて、そんな事を言った。
だからこれは、やっぱり言い訳だったんだろう。
誰へ対しての?
もちろん、自分に対しての。
「戦場ヶ原…………」?
「なによ」
「……………いや、なんでもない」
僕は、忍野と吸血鬼改め忍の居ついている学習塾跡を離れ、戦場ヶ原の家にいた。
今回は、あらかじめ知ってた、というか何度も来たことがあるから驚くなんてことなかったけれど、それでもやっぱり戦場ヶ原は、
「母親が怪しい宗教に嵌まってしまってね」
なんて、そんな事を言った。
だからこれは、やっぱり言い訳だったんだろう。
誰へ対しての?
もちろん、自分に対しての。
「戦場ヶ原…………」?
「なによ」
「……………いや、なんでもない」
27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:33:58.36 ID:N1ofEn9y0
嫌な質問なんて、するべきじゃない。嫌な答が返ってくるだけなのだから。
ましてや、中途半端な慰めの言葉なんて、それこそ論外だ。
どれだけ僕がこいつと仲良くなろうと。恋人になろうと、それでも、深入りするべきではないことが、してはいけないことがある。
僕にわかる話じゃない。
知ったような口を叩くべきでもないのである。
ともかく、僕は戦場ヶ原の家でお茶を飲みながら、戦場ヶ原が風呂から出てくるのを待っていた。
もちろん、今回はきちんと着替えを用意させた。その辺に、抜かりはないはず。
ましてや、中途半端な慰めの言葉なんて、それこそ論外だ。
どれだけ僕がこいつと仲良くなろうと。恋人になろうと、それでも、深入りするべきではないことが、してはいけないことがある。
僕にわかる話じゃない。
知ったような口を叩くべきでもないのである。
ともかく、僕は戦場ヶ原の家でお茶を飲みながら、戦場ヶ原が風呂から出てくるのを待っていた。
もちろん、今回はきちんと着替えを用意させた。その辺に、抜かりはないはず。
28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:34:55.02 ID:N1ofEn9y0
戦場ヶ原の家を見渡す。
僕には既に、慣れた景色だった。
しかし、なるほど。最初の時こそ、僕は五百万だったなんて、文句を言ったりもしたけれど、それは、あの忍野の得意の見透かしで、戦場ヶ原が払えるギリギリの金額を要求したのかもしれなかった。
「シャワー、済ませたわよ」
戦場ヶ原が脱衣所から出てきた。
すっぽんぽんで。
「っ!なんで裸なんだよ!」
「そこをどいて頂戴。服が取り出せないわ」
「だったら、お前のその両手にもっている布は、一体なんなんだよ!」
僕には既に、慣れた景色だった。
しかし、なるほど。最初の時こそ、僕は五百万だったなんて、文句を言ったりもしたけれど、それは、あの忍野の得意の見透かしで、戦場ヶ原が払えるギリギリの金額を要求したのかもしれなかった。
「シャワー、済ませたわよ」
戦場ヶ原が脱衣所から出てきた。
すっぽんぽんで。
「っ!なんで裸なんだよ!」
「そこをどいて頂戴。服が取り出せないわ」
「だったら、お前のその両手にもっている布は、一体なんなんだよ!」
29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:35:49.06 ID:N1ofEn9y0
「まあ、服といっても、私が取り出したいのは下着なのだけれど」
平然と、戦場ヶ原が、濡れた髪を鬱陶しそうにしながら、僕が背にしていた衣装箪笥の一番下の段を指さす。
「服を着ろ!」
「だから今から着るのよ」
「なんで今から着るんだ!」
「下着を忘れたからよ」
「だったらまずその服を着てから下着をつければいいだろうが!」
「嫌よ、ノ一ブラとか、ノ一パンとか。なんで私がゴミのような阿良々木くんの、阿良々木くんのようなゴミの前でそんな格好しなければならないのかしら?」
「なんで全裸はオッケーなんだよ!それと、僕はゴミじゃねえ!」
ああ、なんでこうなるんだよ。
こいつ、やっぱりわざとやってるんじゃないか?
平然と、戦場ヶ原が、濡れた髪を鬱陶しそうにしながら、僕が背にしていた衣装箪笥の一番下の段を指さす。
「服を着ろ!」
「だから今から着るのよ」
「なんで今から着るんだ!」
「下着を忘れたからよ」
「だったらまずその服を着てから下着をつければいいだろうが!」
「嫌よ、ノ一ブラとか、ノ一パンとか。なんで私がゴミのような阿良々木くんの、阿良々木くんのようなゴミの前でそんな格好しなければならないのかしら?」
「なんで全裸はオッケーなんだよ!それと、僕はゴミじゃねえ!」
ああ、なんでこうなるんだよ。
こいつ、やっぱりわざとやってるんじゃないか?
30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:36:47.53 ID:N1ofEn9y0
「なによ、阿良々木くん。まさかあなた、私のヌ一ドを見て欲情したのではないでしょうね」?
「仮にそうだったとしても僕の責任じゃない!」
「心配しなくとも」 ?
白いシャツを水色のブラジャー上から羽織る戦場ヶ原。もう何をしても無駄なような気がして、僕は戦場ヶ原をただ、眺めるようにする。
「羽川さんには内緒にしておいてあげる」
「羽川って」
「彼女、阿良々木くんの片恋相手じゃないの?」
「それは違う」
「そうなんだ。よく話しているから、てっきりそうなんだと思って、鎌をかけてみたのだけれど」
「日常会話で鎌をかれるな」
「うるさいわね。処刑されたいの」
「何のどんな権限を持ってんだよ、お前は」
女王様か?
女王権限を持っていると言うのだろうか?
「仮にそうだったとしても僕の責任じゃない!」
「心配しなくとも」 ?
白いシャツを水色のブラジャー上から羽織る戦場ヶ原。もう何をしても無駄なような気がして、僕は戦場ヶ原をただ、眺めるようにする。
「羽川さんには内緒にしておいてあげる」
「羽川って」
「彼女、阿良々木くんの片恋相手じゃないの?」
「それは違う」
「そうなんだ。よく話しているから、てっきりそうなんだと思って、鎌をかけてみたのだけれど」
「日常会話で鎌をかれるな」
「うるさいわね。処刑されたいの」
「何のどんな権限を持ってんだよ、お前は」
女王様か?
女王権限を持っていると言うのだろうか?
31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:37:49.09 ID:N1ofEn9y0
「よく話しているのは、向こうが僕に話しかけてくれているだけだよ」
勝手に話しかけてきているだけとは、冗談でも言えなかった。彼女の気持ちを、知ってしまっているのだから。
「ふん。羽川さんもさぞや大変でしょうね。委員長だからといって、友達のいないゴミにまで気を配らなければならないなんて」
「確かに、羽川は僕に気を配っているかもしれないが、しかし戦場ヶ原、友達ならお前にだっていないだろ」
「あら、私にも友達くらいいるわ」
「えっ、嘘」
あれ、こいつに友達なんていなかったはずだけれど。ここが夢だからか?
「私の友達は、沈黙と無関心だけよ」
「……………………… 」
そんな友達ならいらない。
勝手に話しかけてきているだけとは、冗談でも言えなかった。彼女の気持ちを、知ってしまっているのだから。
「ふん。羽川さんもさぞや大変でしょうね。委員長だからといって、友達のいないゴミにまで気を配らなければならないなんて」
「確かに、羽川は僕に気を配っているかもしれないが、しかし戦場ヶ原、友達ならお前にだっていないだろ」
「あら、私にも友達くらいいるわ」
「えっ、嘘」
あれ、こいつに友達なんていなかったはずだけれど。ここが夢だからか?
「私の友達は、沈黙と無関心だけよ」
「……………………… 」
そんな友達ならいらない。
32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:38:27.25 ID:N1ofEn9y0
戦場ヶ原は、やっぱり上半身から着替えてしまうつもりらしく、下半身には手をつけずにシャツの上からカーディガンを着ようとした。
「髪」
「えっ?」
「髪を乾かしてからの方がいいんじゃないか?」
「そんな事言って、少しでも私の薄着を長く見ていたいだけじゃないのかしら?ああい嫌だ嫌だ。これだからDTは困るわ」
そう言いながらも、戦場ヶ原はカーディガンを着ずに髪を乾かし始めた。
こいつは、いちいち僕の言葉に悪態を返さないと気がすまないのかよ。
「羽川さんも、忍野さんの、お世話になったのね?」
「ああ。だから、一応信頼、してもいいと思うぜ。見た目はあんなんだけど、それでも、頼りになるやつなのは間違いないから。僕一人の証言じゃなく、羽川もそうだっていうんなら、お前も少しは安心できるんじゃないか?」
「髪」
「えっ?」
「髪を乾かしてからの方がいいんじゃないか?」
「そんな事言って、少しでも私の薄着を長く見ていたいだけじゃないのかしら?ああい嫌だ嫌だ。これだからDTは困るわ」
そう言いながらも、戦場ヶ原はカーディガンを着ずに髪を乾かし始めた。
こいつは、いちいち僕の言葉に悪態を返さないと気がすまないのかよ。
「羽川さんも、忍野さんの、お世話になったのね?」
「ああ。だから、一応信頼、してもいいと思うぜ。見た目はあんなんだけど、それでも、頼りになるやつなのは間違いないから。僕一人の証言じゃなく、羽川もそうだっていうんなら、お前も少しは安心できるんじゃないか?」
34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:39:03.63 ID:N1ofEn9y0
「そう。でもね、阿良々木くん」
戦場ヶ原は言う。
「悪いけれど、私はまだ、忍野さんの事を半分も信頼できてはいないの。それを簡単にできるほど、今までの私の人生は幸福じゃなかった」
ありったけの嫌みを込めて、戦場ヶ原は言った。
「だから、だからね、阿良々木くん。私は、たまたま階段で足を滑らせて、たまたまそれを受け止めてくれたクラスメイトが、たまたま春休みに吸血鬼に襲われてあて、たまたまそれを救ってくれた人が、たまたまクラスの委員長にも関わっていて…………そして、たまたま私の力になってくれるだなんて、そんな楽天的な風には、どうしたって、ちっとも思えないの」
「楽天的ねえ」
「そうじゃなくて?」
「かもしんね。でも、いいんじゃねえの?」
戦場ヶ原は言う。
「悪いけれど、私はまだ、忍野さんの事を半分も信頼できてはいないの。それを簡単にできるほど、今までの私の人生は幸福じゃなかった」
ありったけの嫌みを込めて、戦場ヶ原は言った。
「だから、だからね、阿良々木くん。私は、たまたま階段で足を滑らせて、たまたまそれを受け止めてくれたクラスメイトが、たまたま春休みに吸血鬼に襲われてあて、たまたまそれを救ってくれた人が、たまたまクラスの委員長にも関わっていて…………そして、たまたま私の力になってくれるだなんて、そんな楽天的な風には、どうしたって、ちっとも思えないの」
「楽天的ねえ」
「そうじゃなくて?」
「かもしんね。でも、いいんじゃねえの?」
35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:39:46.41 ID:N1ofEn9y0
「別に、楽天的でも」
「………………………」
「悪いことをしてるわけじゃないし、そりゃ、ちょっとはズルしてるかもしれなあけれど、そんなのあんまり、気にしなくてもいいんじゃないか」
「悪いことを…………しているわけじゃない、か」
「だろ?」
「まあ、そうね」
戦場ヶ原は、しかし、そう言ったあとで、
「本当に、少しのズルとは、限らないのだけれどね」
「……………………」
「………………………」
「悪いことをしてるわけじゃないし、そりゃ、ちょっとはズルしてるかもしれなあけれど、そんなのあんまり、気にしなくてもいいんじゃないか」
「悪いことを…………しているわけじゃない、か」
「だろ?」
「まあ、そうね」
戦場ヶ原は、しかし、そう言ったあとで、
「本当に、少しのズルとは、限らないのだけれどね」
「……………………」
36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:40:37.24 ID:N1ofEn9y0
「おい、カーディガンが裏返しで、しかも後ろ前だぞ」
「あら、本当ね。やっぱり、服を着るのは得意じゃないは」
「それに関しては、単純にお前の不注意だと思うのだけれど、やっぱり、重いのか?」
「ええ、そうね。こればっかりは、飽きることはあっても慣れることはないわ。けれど、意外に気がまわるのね。誉めてつかわすわ」
「そりゃどうも」
「ひょっとしたらだけど、頭の中に脳味噌が入っているのかもしれないわね」
「人間なんだから当たり前だろ」
「いえ、阿良々木くん。申し訳ないのだけれどさすがの私も、微生物を人間と呼ぶほどの器量は持ち合わせてはいないのよ」
「その台詞に対してのツッコミは二つ!僕は微生物じゃないっていのが一つ。そして、微生物にだって脳味噌があるというので二つだ!」
「あら、本当ね。やっぱり、服を着るのは得意じゃないは」
「それに関しては、単純にお前の不注意だと思うのだけれど、やっぱり、重いのか?」
「ええ、そうね。こればっかりは、飽きることはあっても慣れることはないわ。けれど、意外に気がまわるのね。誉めてつかわすわ」
「そりゃどうも」
「ひょっとしたらだけど、頭の中に脳味噌が入っているのかもしれないわね」
「人間なんだから当たり前だろ」
「いえ、阿良々木くん。申し訳ないのだけれどさすがの私も、微生物を人間と呼ぶほどの器量は持ち合わせてはいないのよ」
「その台詞に対してのツッコミは二つ!僕は微生物じゃないっていのが一つ。そして、微生物にだって脳味噌があるというので二つだ!」
37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:41:28.22 ID:N1ofEn9y0
「微生物に脳味噌は無いわよ」
「え?ないのか?なかったっけ…………」
「微生物の多くは単細胞生物で、単細胞生物には明確に脳味噌と定義されている部分は無いのよ」
「そうだっけか……」
うーん。やっぱり生物は苦手だな。ひょっとしたら僕には、こんな呑気に夢を見ているだけの余裕さえ、ないのかもしれない。
「やれやれ、馬脚を露わしたわね、阿良々木くん。全く、あなたに脳味噌という存在を少しでも期待してしまった私が軽率だったわ」
「いや、そこは当然に期待してろよ!」
「え?ないのか?なかったっけ…………」
「微生物の多くは単細胞生物で、単細胞生物には明確に脳味噌と定義されている部分は無いのよ」
「そうだっけか……」
うーん。やっぱり生物は苦手だな。ひょっとしたら僕には、こんな呑気に夢を見ているだけの余裕さえ、ないのかもしれない。
「やれやれ、馬脚を露わしたわね、阿良々木くん。全く、あなたに脳味噌という存在を少しでも期待してしまった私が軽率だったわ」
「いや、そこは当然に期待してろよ!」
38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:42:13.94 ID:N1ofEn9y0
「ふむ。決めたわ」
戦場ヶ原は、白いシャツに白いカーディガン、そして、白いスカートを穿き、ようやく着衣を終えたところで、言った。
「もしも全てがうまく行ったら、北海道へ蟹を食べに行きましょう」
「もしかして、僕も連れていってくれるのか?」
「当選でしょ」
「了解」
「脳味噌の無い阿良々木くんには、蟹の味噌だけ食べさせてあげるわ」
「…………………」
そういえば、そんな約束もしたな。
受験が成功したあかつきには、二人でお祝いに北海道へ行くっていうのも、良いかもしれないな。
戦場ヶ原は、白いシャツに白いカーディガン、そして、白いスカートを穿き、ようやく着衣を終えたところで、言った。
「もしも全てがうまく行ったら、北海道へ蟹を食べに行きましょう」
「もしかして、僕も連れていってくれるのか?」
「当選でしょ」
「了解」
「脳味噌の無い阿良々木くんには、蟹の味噌だけ食べさせてあげるわ」
「…………………」
そういえば、そんな約束もしたな。
受験が成功したあかつきには、二人でお祝いに北海道へ行くっていうのも、良いかもしれないな。
39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:43:01.97 ID:N1ofEn9y0
「ま、結界みたいなものだよ。よく言うところの神域って奴ね。そんな気張るようなもんじゃない。お嬢様ちゃん、そんな緊張しなくったっていいよ」
零時を少し回った頃、僕と戦場ヶ原は忍野に案内されて、三階の教室の中の、一つに入った。
「緊張なんて、していないわ」
「そうかい。そりゃ重畳だ」
言いながら、教室の中に入る。
「お嬢様ちゃん、目を伏せて、阿良々木くんがしてるみたいに、頭を低くしてくれる?」
「え?」
「神前だよ。ここはもう」
零時を少し回った頃、僕と戦場ヶ原は忍野に案内されて、三階の教室の中の、一つに入った。
「緊張なんて、していないわ」
「そうかい。そりゃ重畳だ」
言いながら、教室の中に入る。
「お嬢様ちゃん、目を伏せて、阿良々木くんがしてるみたいに、頭を低くしてくれる?」
「え?」
「神前だよ。ここはもう」
40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:43:51.04 ID:N1ofEn9y0
そして、三人、神床の前に、並ぶ。
二度目だとはいっても、おかしくなってしまいそうな感じだ。
自然、構えてしまう。
「なあ、忍野」
「なんだい?阿良々木くん」
「もしもの時は、僕が戦場ヶ原の盾になればいいんだよな
「はっはー。なんだい、今日の阿良々木くんは、やけに物分かりが良いね。何かいいことでもあったのかい」
「まあ、そうならないのが一番なんでけど
、もしもということもあるからね。その時はそうしてもらうことになるよ」
「分かった」
「阿良々木くん」
戦場ヶ原がすかさず言った。
「わたしのこと、きっと、守ってね」
「何故いきなりお姫さまキャラに!?」
「これは勅命よ」
「お前はいつまで女王キャラを引っ張るきだよ!」
二度目だとはいっても、おかしくなってしまいそうな感じだ。
自然、構えてしまう。
「なあ、忍野」
「なんだい?阿良々木くん」
「もしもの時は、僕が戦場ヶ原の盾になればいいんだよな
「はっはー。なんだい、今日の阿良々木くんは、やけに物分かりが良いね。何かいいことでもあったのかい」
「まあ、そうならないのが一番なんでけど
、もしもということもあるからね。その時はそうしてもらうことになるよ」
「分かった」
「阿良々木くん」
戦場ヶ原がすかさず言った。
「わたしのこと、きっと、守ってね」
「何故いきなりお姫さまキャラに!?」
「これは勅命よ」
「お前はいつまで女王キャラを引っ張るきだよ!」
41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:44:37.90 ID:N1ofEn9y0
忍野は供物の内からお神酒を手にとって、それを戦場ヶ原に手渡した。
「え…………何ですか?」
戸惑った風の戦場ヶ原。
「お酒を飲むと、神様との距離を縮めることができる、そうだよ」
「……未成年です」
「酔うほどは飲まなくていいんだってさ」
「……………………」
結局、戦場ヶ原はそれを一口、飲み下した。それを見取って、戦場ヶ原から返還された杯を、元あった場所に、忍野が返す。
「さて。じゃあ、まずは落ち着こうか」
「え…………何ですか?」
戸惑った風の戦場ヶ原。
「お酒を飲むと、神様との距離を縮めることができる、そうだよ」
「……未成年です」
「酔うほどは飲まなくていいんだってさ」
「……………………」
結局、戦場ヶ原はそれを一口、飲み下した。それを見取って、戦場ヶ原から返還された杯を、元あった場所に、忍野が返す。
「さて。じゃあ、まずは落ち着こうか」
42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:45:14.87 ID:N1ofEn9y0
「落ち着くことから、始めよう。大切なのは、状況だ。場さえ作り出せば、作法は問題じゃない。最終的にはお嬢ちゃんの気の持ちよう一つなんだから」
「気の持ちよう…………」
「リラックスして。数を数えてみよう。一つ、二つ、三つ………」
別に
僕がそうする必要はないので、僕は気持ち、戦場ヶ原の方に寄った。
神様から守りやすいように。
壁に、なりやすいように。
「落ち着いた?」
「………はい」
「気の持ちよう…………」
「リラックスして。数を数えてみよう。一つ、二つ、三つ………」
別に
僕がそうする必要はないので、僕は気持ち、戦場ヶ原の方に寄った。
神様から守りやすいように。
壁に、なりやすいように。
「落ち着いた?」
「………はい」
43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:45:46.26 ID:N1ofEn9y0
「そう、じゃあ、質問に答えてみよう。きみは、僕の質問に、答えることにした。お嬢ちゃん、きみの名前は?」
「戦場ヶ原ひたぎ」
「通っている学校は?」
「私立直江津高校」
「誕生日は?」
「七月七日」
淡々と。
変わらぬペースで。
呼吸音や、心臓の鼓動すら、響きそうな静寂。
「戦場ヶ原ひたぎ」
「通っている学校は?」
「私立直江津高校」
「誕生日は?」
「七月七日」
淡々と。
変わらぬペースで。
呼吸音や、心臓の鼓動すら、響きそうな静寂。
44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:46:25.33 ID:N1ofEn9y0
「初恋の男の子はどんな子だった?」
「言いたくありません」
「今までの人生で」
忍野は変わらぬ口調で言った。
「一番、辛かった思いでは?」
「……………………」
そろそろだな。
そう思い、いよいよ僕は覚悟を決める。
途中、戦場ヶ原に、何があっても顔を上げるなと言えばいいんじゃないかとも思ったが、しかし、忍野の言った通り、何があるかわからないのである。
だったら、タイミングをずらさない為にも何も言わないのが正解だ。
なんて考えていると、いよいよ、あの場面に差し掛かった。
「言いたくありません」
「今までの人生で」
忍野は変わらぬ口調で言った。
「一番、辛かった思いでは?」
「……………………」
そろそろだな。
そう思い、いよいよ僕は覚悟を決める。
途中、戦場ヶ原に、何があっても顔を上げるなと言えばいいんじゃないかとも思ったが、しかし、忍野の言った通り、何があるかわからないのである。
だったら、タイミングをずらさない為にも何も言わないのが正解だ。
なんて考えていると、いよいよ、あの場面に差し掛かった。
45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:47:04.38 ID:N1ofEn9y0
「あっ、ああああああっ!」
「何か、見えるのかい?」
「み、見えます。あのときと同じ、あのときと同じ大きな蟹が、蟹が見える」
どうやら、戦場ヶ原には、蟹が見えているらしが、何度立ち会っても、
「阿良々木くんには、何か見えるかい?」
「見え、ない」
見えるのは、ただ。
揺らぐ明かりと。
揺らぐ影。
蛇のときと同じで。
そんなものに、意味はない。
「何か、見えるのかい?」
「み、見えます。あのときと同じ、あのときと同じ大きな蟹が、蟹が見える」
どうやら、戦場ヶ原には、蟹が見えているらしが、何度立ち会っても、
「阿良々木くんには、何か見えるかい?」
「見え、ない」
見えるのは、ただ。
揺らぐ明かりと。
揺らぐ影。
蛇のときと同じで。
そんなものに、意味はない。
46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:47:39.57 ID:N1ofEn9y0
「だそうだ」
戦場ヶ原に向き直る忍野。
「本当は蟹なんて見えて、いないんじゃないかい?」
「い、いえ、はっきり。見えます。私には」
「だったら言うべきことが、あるんじゃないか?」
「言うべき、こと」
そのとき。
やはり戦場ヶ原は、顔を上げてしまった。
それを僕は、ろくに確認もせずに、戦場ヶ原の前に躍り出る。
戦場ヶ原に向き直る忍野。
「本当は蟹なんて見えて、いないんじゃないかい?」
「い、いえ、はっきり。見えます。私には」
「だったら言うべきことが、あるんじゃないか?」
「言うべき、こと」
そのとき。
やはり戦場ヶ原は、顔を上げてしまった。
それを僕は、ろくに確認もせずに、戦場ヶ原の前に躍り出る。
48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:48:25.37 ID:N1ofEn9y0
「あ、阿良々木くん!」
戦場ヶ原の前に躍り出た僕は、しかし、見えない何かに押されるようにして、戦場ヶ原の横を掠める形で教室の一番後ろに、掲示板に、叩きつけられた。
そのまま、落ちない。
足がつかない。
張り付けられたごとく、そのままだ。
十字架に張り付けられた、吸血鬼のごとく。
「はっはー。やっぱり、今日の阿良々木くん一味違うね。いや、僕はきみのことを見直したよ。さすがは、僕のベストフレンドだ」
なんて、場違いな風に軽口を叩く忍野に対して、僕の方といえば、今にも意識を失いそうだった。
戦場ヶ原の前に躍り出た僕は、しかし、見えない何かに押されるようにして、戦場ヶ原の横を掠める形で教室の一番後ろに、掲示板に、叩きつけられた。
そのまま、落ちない。
足がつかない。
張り付けられたごとく、そのままだ。
十字架に張り付けられた、吸血鬼のごとく。
「はっはー。やっぱり、今日の阿良々木くん一味違うね。いや、僕はきみのことを見直したよ。さすがは、僕のベストフレンドだ」
なんて、場違いな風に軽口を叩く忍野に対して、僕の方といえば、今にも意識を失いそうだった。
50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:49:26.42 ID:N1ofEn9y0
「くっ…………くはっ………………」
「仕方がないな。やれやれ、せっかちな神さんだ、まだ祝詞も挙げてないっていうのに。気のいい奴だよ、本当に。何かいいことでもあったのかな」
「お、忍野さん」
「わかっているよ、お嬢ちゃん。やむをえん、方向転換だ。まあ、僕としては最初から、別にどっちでもよかったんだ」
ため息混じりにそう言って、つかつかと、しかししっかりとした足取りで、僕の方に向かってくる。
そして、ひょいっと手を伸ばし。
僕の顔の、少し前辺りをつかみ。
軽く、引き剥がした。
「よっこらせ」
「がはっ!…………ぐ、忍野の………」
「大丈夫かい?阿良々木くん」
なんて、そんな声が聞こえてようやく前を見ると、そこでは、忍野が神を、踏みつけにしていた。
「仕方がないな。やれやれ、せっかちな神さんだ、まだ祝詞も挙げてないっていうのに。気のいい奴だよ、本当に。何かいいことでもあったのかな」
「お、忍野さん」
「わかっているよ、お嬢ちゃん。やむをえん、方向転換だ。まあ、僕としては最初から、別にどっちでもよかったんだ」
ため息混じりにそう言って、つかつかと、しかししっかりとした足取りで、僕の方に向かってくる。
そして、ひょいっと手を伸ばし。
僕の顔の、少し前辺りをつかみ。
軽く、引き剥がした。
「よっこらせ」
「がはっ!…………ぐ、忍野の………」
「大丈夫かい?阿良々木くん」
なんて、そんな声が聞こえてようやく前を見ると、そこでは、忍野が神を、踏みつけにしていた。
51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:50:02.82 ID:N1ofEn9y0
忍野は、自分の足元を見遣る。
価値を測るような細い目で。
「蟹なんて、どんなにでかかろうが、つーかでかければでかいほど、引っ繰り返せば、こんなもんだよな。どんな生物であれ、平たい身体ってのは、縦から見たところで横から見たところで、踏みつけられるためにあるんだとしか僕には考えられないぜ。といったところで、さて、どうする?お嬢ちゃん」
そしていきなり、状況が今だ飲み込めず立ち尽くしている戦場ヶ原に声をかけた。
「どうするって…………」
「始めからもういっぺんやり直すって手も、あるにはあるんだけれど、手間がかかるよ。僕としては、このままぐちゃりと踏み潰してしまうのが、一番手っ取り早いんだけれど」
「…………………………」
価値を測るような細い目で。
「蟹なんて、どんなにでかかろうが、つーかでかければでかいほど、引っ繰り返せば、こんなもんだよな。どんな生物であれ、平たい身体ってのは、縦から見たところで横から見たところで、踏みつけられるためにあるんだとしか僕には考えられないぜ。といったところで、さて、どうする?お嬢ちゃん」
そしていきなり、状況が今だ飲み込めず立ち尽くしている戦場ヶ原に声をかけた。
「どうするって…………」
「始めからもういっぺんやり直すって手も、あるにはあるんだけれど、手間がかかるよ。僕としては、このままぐちゃりと踏み潰してしまうのが、一番手っ取り早いんだけれど」
「…………………………」
52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:50:46.68 ID:N1ofEn9y0
「ああ、安心してくれ。そうしたって、お嬢ちゃんの悩みは、形の上では解決するから」
「形の、上で……………」
「それにね、お嬢ちゃん。僕は蟹が、とてつもなく嫌いなんだよ」
食べにくいからね、と。
忍野はそう言って、
足を
足に力を。
「待って」
忍野の陰から声がした。
言うまでも無く、戦場ヶ原だった。
先程とは違い、きちんした目付きで、姿勢で、戦場ヶはそう言った。
「形の、上で……………」
「それにね、お嬢ちゃん。僕は蟹が、とてつもなく嫌いなんだよ」
食べにくいからね、と。
忍野はそう言って、
足を
足に力を。
「待って」
忍野の陰から声がした。
言うまでも無く、戦場ヶ原だった。
先程とは違い、きちんした目付きで、姿勢で、戦場ヶはそう言った。
53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:51:24.99 ID:N1ofEn9y0
「待ってください。忍野さん」
忍野は意地悪な笑みを浮かべ、戦場ヶ原野の呼び掛けに答えた。
「待つって、何をさ。お嬢ちゃん」
「ごめんなさい、阿良々木くん」
戦場ヶ原は言った。
「私を守ってくれてありがとう。ちゃんとできなくてごめんなさい。でも、」
そして、戦場ヶ原は忍野に視線を変えた。
「今度は、ちゃんと、できますから。自分で、一人で、できるから」
足を引いたりしない。
踏んだままだ。
しかし忍野は、踏み潰すこともせず、
「じゃあどうぞ、やって御覧」
と、戦場ヶ原に言った。
忍野は意地悪な笑みを浮かべ、戦場ヶ原野の呼び掛けに答えた。
「待つって、何をさ。お嬢ちゃん」
「ごめんなさい、阿良々木くん」
戦場ヶ原は言った。
「私を守ってくれてありがとう。ちゃんとできなくてごめんなさい。でも、」
そして、戦場ヶ原は忍野に視線を変えた。
「今度は、ちゃんと、できますから。自分で、一人で、できるから」
足を引いたりしない。
踏んだままだ。
しかし忍野は、踏み潰すこともせず、
「じゃあどうぞ、やって御覧」
と、戦場ヶ原に言った。
54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:52:09.35 ID:N1ofEn9y0
「ごめんなさい」
先程僕に言った言葉を、しかし、先程とは違って、土下座の形で。
まずは、謝罪の言葉だった。
「それから、ありがとうございました」
そこに、感謝の言葉が続いた。
「でも、もういいんです。それは、私の気持ちで、思いで、私の記憶ですから、私が、背負います。失くしちゃ、いけないものでした」
ズルをしてごめんなさいと、もう一度謝ったあとに、最後に、
「お願いです。お願いします。どうか、私に、私の重みを、返してください」
最後に、祈りのような、懇願の言葉。
「どうかお母さんを、私に、返してください」
先程僕に言った言葉を、しかし、先程とは違って、土下座の形で。
まずは、謝罪の言葉だった。
「それから、ありがとうございました」
そこに、感謝の言葉が続いた。
「でも、もういいんです。それは、私の気持ちで、思いで、私の記憶ですから、私が、背負います。失くしちゃ、いけないものでした」
ズルをしてごめんなさいと、もう一度謝ったあとに、最後に、
「お願いです。お願いします。どうか、私に、私の重みを、返してください」
最後に、祈りのような、懇願の言葉。
「どうかお母さんを、私に、返してください」
55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:53:02.78 ID:N1ofEn9y0
だん。
忍野の足が、床を踏み鳴らした音だった。
おそらく、当たり前のようにそこにいて、当たり前にそこにいない形へと、戻ったのだろう。
還ったのだろう。
「…………ああ」
身じろぎせず、何も言わない忍野メメと。
全てが終わったことを理解しても、姿勢を崩すことなく、そのままわんわんと声を上げて泣きじゃくり始めた戦場ヶ原ひたぎを、阿良々木暦は、壁にもたれ掛かるような、そんな姿勢で眺めるように見ていて。
ああ、ひょっとしたらどんなことをしようと、きっと、戦場ヶ原のこの涙だけは、なくならない、これからの彼女に必要な、そんな涙なのかもしれないと、ただぼんやり、考えていた。
忍野の足が、床を踏み鳴らした音だった。
おそらく、当たり前のようにそこにいて、当たり前にそこにいない形へと、戻ったのだろう。
還ったのだろう。
「…………ああ」
身じろぎせず、何も言わない忍野メメと。
全てが終わったことを理解しても、姿勢を崩すことなく、そのままわんわんと声を上げて泣きじゃくり始めた戦場ヶ原ひたぎを、阿良々木暦は、壁にもたれ掛かるような、そんな姿勢で眺めるように見ていて。
ああ、ひょっとしたらどんなことをしようと、きっと、戦場ヶ原のこの涙だけは、なくならない、これからの彼女に必要な、そんな涙なのかもしれないと、ただぼんやり、考えていた。
56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:54:18.48 ID:N1ofEn9y0
「何も変わらないなんてことはないわ」
なんて、ことの後始末が終わった辺りで、そんな話になった。
赤く泣き腫らした目で、僕に向かって。
戦場ヶ原は、そんなことを言った。
「少なくとも、大切なの友達が一人できたわ」
「僕のことか?」
なんて、そんな風におどけてみせる僕に対して、やはり戦場ヶ原は、照れもなく、それに、遠回しでもなく、堂々と、戦場ヶ原は、胸を張った。
「あなたのことよ」
「改めて、ありがとう、阿良々木くん。私は、あなたにとても、感謝しているわ。今までのこと、全部謝ります。図々しいかもしれないけれど、これからも仲良くしてくれたら、私、とても嬉しいわ」
不覚にも、こんなことを言ったらまたぞろバカップルなどと言われるかもしれないが、それでも僕は。
夢が覚めたら、真っ先にこいつに会いに行こうと。
そんなことを、思った。
なんて、ことの後始末が終わった辺りで、そんな話になった。
赤く泣き腫らした目で、僕に向かって。
戦場ヶ原は、そんなことを言った。
「少なくとも、大切なの友達が一人できたわ」
「僕のことか?」
なんて、そんな風におどけてみせる僕に対して、やはり戦場ヶ原は、照れもなく、それに、遠回しでもなく、堂々と、戦場ヶ原は、胸を張った。
「あなたのことよ」
「改めて、ありがとう、阿良々木くん。私は、あなたにとても、感謝しているわ。今までのこと、全部謝ります。図々しいかもしれないけれど、これからも仲良くしてくれたら、私、とても嬉しいわ」
不覚にも、こんなことを言ったらまたぞろバカップルなどと言われるかもしれないが、それでも僕は。
夢が覚めたら、真っ先にこいつに会いに行こうと。
そんなことを、思った。
57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/23(木) 23:54:55.63 ID:N1ofEn9y0
後日談というか、今回のオチ。
翌日、いつもとは違い二人の妹、火憐と月火に叩き起こされることなく、珍しく自力で起きた僕は、やけに服が重く感じた。
まさかとは思い、前のようにダイニングの前の、洗面所に向かった。
そこにあるのは、ヘルスメーター。
乗った。
ちなみに、僕の体重は受験肥りして、現在五十九キロ。
メーターの数値は、五キロを指していた。
「…………おいおい」
なるほど、これで戦場ヶ原に朝から会いに行く口実ができたと思うことにしよう。
体重はまあ、影縫さんにでも、あとで相談するしかないか。
なんて、そんなことを考えながら、僕はひどく重く感じる携帯電話を手に取った。
翌日、いつもとは違い二人の妹、火憐と月火に叩き起こされることなく、珍しく自力で起きた僕は、やけに服が重く感じた。
まさかとは思い、前のようにダイニングの前の、洗面所に向かった。
そこにあるのは、ヘルスメーター。
乗った。
ちなみに、僕の体重は受験肥りして、現在五十九キロ。
メーターの数値は、五キロを指していた。
「…………おいおい」
なるほど、これで戦場ヶ原に朝から会いに行く口実ができたと思うことにしよう。
体重はまあ、影縫さんにでも、あとで相談するしかないか。
なんて、そんなことを考えながら、僕はひどく重く感じる携帯電話を手に取った。
73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/25(土) 23:44:04.93 ID:p4bRCeHd0
「戦場ヶ原ひたぎ様です」
「蟹を食べにくいなんて言う人がいるけれど、それじゃあまるで、食べるのが簡単な生き物がいるみたいじゃない」
「生き物の命を奪っているのに、その事について簡単だ難しいなどと言う人は、この人間は食べづらいと思われながら、肉食獣にでも食われてしまえばいいのに」
「ここで一句」
「思い出も
重さもなくす
蟹に遭い」
「次回、心が強くてニューゲーム其ノ貳」
「阿良々木暦、ぶっ殺す」
「蟹を食べにくいなんて言う人がいるけれど、それじゃあまるで、食べるのが簡単な生き物がいるみたいじゃない」
「生き物の命を奪っているのに、その事について簡単だ難しいなどと言う人は、この人間は食べづらいと思われながら、肉食獣にでも食われてしまえばいいのに」
「ここで一句」
「思い出も
重さもなくす
蟹に遭い」
「次回、心が強くてニューゲーム其ノ貳」
「阿良々木暦、ぶっ殺す」
78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:19:28.97 ID:CnznoRGa0
「あらあら、これはこれは。公園のベンチに上に犬の死体が捨てられていると思ったら、なんだ、阿良々木くんじゃないの」
なんて、そんな声で意識が覚醒する。
どうやら、僕はまた昔の夢を見ているようだ。
「何よ。ただの挨拶じゃない。冗談よ。阿良々木くん、ユーモアのセンスが決定的に欠如しているんじゃないの?」
「いや、お前のはユーモアじゃくてただの悪口だ」
なんて、そんな話をしながら、戦場ヶ原は僕の座っているベンチの方に寄ってきた。
なんて、そんな声で意識が覚醒する。
どうやら、僕はまた昔の夢を見ているようだ。
「何よ。ただの挨拶じゃない。冗談よ。阿良々木くん、ユーモアのセンスが決定的に欠如しているんじゃないの?」
「いや、お前のはユーモアじゃくてただの悪口だ」
なんて、そんな話をしながら、戦場ヶ原は僕の座っているベンチの方に寄ってきた。
79: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:20:13.97 ID:CnznoRGa0
「ところで、阿良々木くん。こんなところで、一体全体、何をしているの?私が休んでいる間に学校を退学にでもなってしまったのかしら?家族にはそんなこと話せないから、学校に通っている振りをしてて、公園で時間を潰しているとか、だとすれば…………」
「それ、リストラされたお父さんじゃねえか。……………まあ、そんな大した理由じゃないよ。今日はちょっと、家にいづらいだけ」
「そう。学校だけではなく、家でまで居場所を無くしてしまった阿良々木くんは、自分の存外が許される場所を探し求めている、という訳ね」
「いや、そんな重い話じゃねえよ!」
「それ、リストラされたお父さんじゃねえか。……………まあ、そんな大した理由じゃないよ。今日はちょっと、家にいづらいだけ」
「そう。学校だけではなく、家でまで居場所を無くしてしまった阿良々木くんは、自分の存外が許される場所を探し求めている、という訳ね」
「いや、そんな重い話じゃねえよ!」
80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:20:49.63 ID:CnznoRGa0
「ね。阿良々木くん。もし暇をしているのなら、隣、構わないかしら?」
「いいよ。けど、なんで?」
「あなたとお話がしたいわ」
本当に、こういう物言いは直截的なんだよな。
普段の会話も、これくらい簡単明瞭ならいいのだけれど。
「では遠慮なく」
なんて、そんなことを言いながら、予想通り戦場ヶ原は、僕に密着する形でベンチに座った。
「この間のこと」
そんな状況で、位置関係で。
戦場ヶ原は平然とした風に言った。
「いいよ。けど、なんで?」
「あなたとお話がしたいわ」
本当に、こういう物言いは直截的なんだよな。
普段の会話も、これくらい簡単明瞭ならいいのだけれど。
「では遠慮なく」
なんて、そんなことを言いながら、予想通り戦場ヶ原は、僕に密着する形でベンチに座った。
「この間のこと」
そんな状況で、位置関係で。
戦場ヶ原は平然とした風に言った。
81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:21:49.48 ID:CnznoRGa0
「くどいようだけれど、最後にもう一度、お礼を言わせてもらおうと思って」
「…………ああ。いや、お礼だなんて、そんなの、別にいいよ。考えてみたら、僕、何の役にも立ってないしな」
「そんなことないわ」
なんて、予想外のことを戦場ヶ原は言った。
「え?」
「あなたはきちんと、私を守ってくれた」
一瞬、意味が分からなかった。
しかし、よく考えてみると、ちょっと前にそんな夢を見た気がする。
なんだ?この夢、前のの続きみたいなものなのか?
「実際、私は阿良々木くんが助けてくれる確率なんて、ほんの一割くらいだとしか思っていなかったわ」
「………………………………」
期待値が低すぎる、と意義を申し立てたいのはやまやまだったが、しかし、現実では僕は実際何もできなかったので、ここは甘んじて受け入れることにした。
「…………ああ。いや、お礼だなんて、そんなの、別にいいよ。考えてみたら、僕、何の役にも立ってないしな」
「そんなことないわ」
なんて、予想外のことを戦場ヶ原は言った。
「え?」
「あなたはきちんと、私を守ってくれた」
一瞬、意味が分からなかった。
しかし、よく考えてみると、ちょっと前にそんな夢を見た気がする。
なんだ?この夢、前のの続きみたいなものなのか?
「実際、私は阿良々木くんが助けてくれる確率なんて、ほんの一割くらいだとしか思っていなかったわ」
「………………………………」
期待値が低すぎる、と意義を申し立てたいのはやまやまだったが、しかし、現実では僕は実際何もできなかったので、ここは甘んじて受け入れることにした。
82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:22:54.72 ID:CnznoRGa0
「けれど、あなたは本当に私を守ってくれた。私は、とても感謝しているのよ」
「だったら、礼は忍野に言っとけよ。それだけでいいと思うぜ」
「忍野さんのことは、また別の話だわ。それに、忍野さんには、規定の料金を支払うことになっているしね。十万円だったかしら」
「ああ。バイトするんだっけ」
「いらっしゃいませ、こんにちは。こちらでお持ち帰りですか?」
「店で食う選択肢を与えろ。是が非でも帰そうとするな」
「でもほら、私ってやっぱり、労働には不向きだから」
「自覚があるのは自覚がないのよりいいことだと言ってやりたいところだが、お前のはそれ以前の問題だ」
「だったら、礼は忍野に言っとけよ。それだけでいいと思うぜ」
「忍野さんのことは、また別の話だわ。それに、忍野さんには、規定の料金を支払うことになっているしね。十万円だったかしら」
「ああ。バイトするんだっけ」
「いらっしゃいませ、こんにちは。こちらでお持ち帰りですか?」
「店で食う選択肢を与えろ。是が非でも帰そうとするな」
「でもほら、私ってやっぱり、労働には不向きだから」
「自覚があるのは自覚がないのよりいいことだと言ってやりたいところだが、お前のはそれ以前の問題だ」
83: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:23:31.12 ID:CnznoRGa0
「まあ、お金のことはちゃんとするわ。だから、忍野さんのことは、また別、ということ。それで、私は、阿良々木くんには、忍野さんとは違う意味で、お礼を言いたいの」
「だから、別にそんなのはいいって。そんな恩に感じられるほどのことはしたとも思ってないし、忍野風に言うなら、『戦場ヶ原が一人で助かるだけ』なんだから、僕に対して、恩を感じるとか、そういうのは、やめにしとこうぜってこと。これから仲良くやっていきにくくなるだろ」
「仲良く、ね」
戦場ヶ原は言った。
「でも、私はあなたが何と言おうと、あなたにお返しがしたいと思うのよ。そうでないと、私はいつまでも、阿良々木くんに、引け目のようなものを感じてしまうの」
「それが終わってから、対等な友達同士になれる、ってことか?」
「ええ、そうよ。物分かりがよくて助かるわ」
「だから、別にそんなのはいいって。そんな恩に感じられるほどのことはしたとも思ってないし、忍野風に言うなら、『戦場ヶ原が一人で助かるだけ』なんだから、僕に対して、恩を感じるとか、そういうのは、やめにしとこうぜってこと。これから仲良くやっていきにくくなるだろ」
「仲良く、ね」
戦場ヶ原は言った。
「でも、私はあなたが何と言おうと、あなたにお返しがしたいと思うのよ。そうでないと、私はいつまでも、阿良々木くんに、引け目のようなものを感じてしまうの」
「それが終わってから、対等な友達同士になれる、ってことか?」
「ええ、そうよ。物分かりがよくて助かるわ」
84: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:24:10.87 ID:CnznoRGa0
「だから、阿良々木くん。何か私にして欲しいことはないかしら?一つだけ、何でも言うことを聞いてあげるは?」
「…………………………」
さて、どうするかな。
これは夢なんだから、火憐のことを相談してもしょうがないし。
だったら、夢がないと言われるかもしれないけれど、
「じゃあ」
「なにかしら?」
「僕に、勉強を教えてくれないか?」
何度。
何度、もっと早くに勉強を始めればよかったと、思ったことか。
本当に、夢の中でまでこんな願いかよとも思うかもしれないが、しかし、今の僕には切実な願いなのだ。
「…………………………」
さて、どうするかな。
これは夢なんだから、火憐のことを相談してもしょうがないし。
だったら、夢がないと言われるかもしれないけれど、
「じゃあ」
「なにかしら?」
「僕に、勉強を教えてくれないか?」
何度。
何度、もっと早くに勉強を始めればよかったと、思ったことか。
本当に、夢の中でまでこんな願いかよとも思うかもしれないが、しかし、今の僕には切実な願いなのだ。
85: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:25:23.71 ID:CnznoRGa0
「その程度ならお安い御用よ。けど………」
「けど、なんだよ?」
戦場ヶ原は少し躊躇うような、気をつかうよな様子をみせてから、
「脳味噌の無い阿良々木くんに、高校生の勉強を教えるのは、少し自信がないわね」
「だから、脳味噌くらいあるっつってんだろ!」
なに無駄に躊躇う仕草とかしてんだよ!
ふざけんな!
「え?脳味噌が無いことがばれて退学になったんじゃ……………」
「だから退学になんてなってねえ!」
「けど、なんだよ?」
戦場ヶ原は少し躊躇うような、気をつかうよな様子をみせてから、
「脳味噌の無い阿良々木くんに、高校生の勉強を教えるのは、少し自信がないわね」
「だから、脳味噌くらいあるっつってんだろ!」
なに無駄に躊躇う仕草とかしてんだよ!
ふざけんな!
「え?脳味噌が無いことがばれて退学になったんじゃ……………」
「だから退学になんてなってねえ!」
86: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:25:58.62 ID:CnznoRGa0
「まあ、冗談よ。ちゃんと、勉強なら教えてあげるわ」
「そりゃ、ありがたいね」
「それに、実際のところ、このままだと阿良々木くんが退学、というのは、あながち冗談ではすまなくなりそうだしね」
「……………………………」
「けど、本当にそれだけでいいのかしら?私はあなたに、一週間語尾に『にゅ』とつけて会話して欲しいとか、一週間下着を着用せずに授業を受けて欲しいとか、てっきりそんなお願いをされるとばかり思って、覚悟していたのだけれど、なんだか興醒めだわ」
「お前は僕をなんだと思ってるんだよ!」
捨てちまえ、そんな覚悟。
「そりゃ、ありがたいね」
「それに、実際のところ、このままだと阿良々木くんが退学、というのは、あながち冗談ではすまなくなりそうだしね」
「……………………………」
「けど、本当にそれだけでいいのかしら?私はあなたに、一週間語尾に『にゅ』とつけて会話して欲しいとか、一週間下着を着用せずに授業を受けて欲しいとか、てっきりそんなお願いをされるとばかり思って、覚悟していたのだけれど、なんだか興醒めだわ」
「お前は僕をなんだと思ってるんだよ!」
捨てちまえ、そんな覚悟。
87: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:26:41.64 ID:CnznoRGa0
「ああでも、これは頼みごととは違うんだけど、もう一つだけ」
「やれやれ、チャンスを与えるとすぐこれだわ。これだから素人DTは困るわね」
「…………………」
一体全体こいつは僕にどうしてほしいんだよ。
「それで、一体なんなのかしら?」
「ああ、頼みごととはやっぱり違って、約束みたいなもんなんだけど」
「約束?」
「やれやれ、チャンスを与えるとすぐこれだわ。これだから素人DTは困るわね」
「…………………」
一体全体こいつは僕にどうしてほしいんだよ。
「それで、一体なんなのかしら?」
「ああ、頼みごととはやっぱり違って、約束みたいなもんなんだけど」
「約束?」
88: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:27:33.87 ID:CnznoRGa0
「お前って、まあ僕もそうなんだけど。普通の人とは違う境遇に身を置いただろ」
吸血鬼に襲われて。
蟹に願った。
「だから、人と意見が違ったとき、間違っているのは自分だ。おかしいのは自分なんだって、そう思うこともあるかもしれない。僕もそう思ってた。」
おかしいのは自分、異常なのは自分。
今の戦場ヶ原には、そんな考え方が、桁違いなほど強固に、根付いてしまっている。
「けど、それは違うんだ。人と意見が食い違うなんてことは、よくあることなんだ。お前には蟹が見えて、僕や忍野には見えなかったみたいにさ」
吸血鬼に襲われて。
蟹に願った。
「だから、人と意見が違ったとき、間違っているのは自分だ。おかしいのは自分なんだって、そう思うこともあるかもしれない。僕もそう思ってた。」
おかしいのは自分、異常なのは自分。
今の戦場ヶ原には、そんな考え方が、桁違いなほど強固に、根付いてしまっている。
「けど、それは違うんだ。人と意見が食い違うなんてことは、よくあることなんだ。お前には蟹が見えて、僕や忍野には見えなかったみたいにさ」
89: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:28:19.78 ID:CnznoRGa0
「だから、約束だ」
「……………………………」
「戦場ヶ原。見えていないものを見えている振りしたり、見えているものを見えていない振りしたり、おかしいのは自分だって決めつけたり、そういうのは今後一切、なしだ。なしにしよう。おかしなことは、ちゃんとおかしいと言おう。そういう気の遣い方はやめよう。経験はけいけんだから、知っていることは知っていることだから、多分、僕もお前も、これからずっと、そういうものを背負っていかなくちゃならないんだから。そういうものの存在を、知ってしまったんだから。だから、もしも意見が食い違ったら、そのときは、ちゃんと話し合おう。約束だ」
怪異と行き遭ってしまった人間は、残りの一生、どうしたって、それを引き摺って生きることになる。
そんなこと、今の僕が言えたことでは、全然ないのだけれど。
「……………………………」
「戦場ヶ原。見えていないものを見えている振りしたり、見えているものを見えていない振りしたり、おかしいのは自分だって決めつけたり、そういうのは今後一切、なしだ。なしにしよう。おかしなことは、ちゃんとおかしいと言おう。そういう気の遣い方はやめよう。経験はけいけんだから、知っていることは知っていることだから、多分、僕もお前も、これからずっと、そういうものを背負っていかなくちゃならないんだから。そういうものの存在を、知ってしまったんだから。だから、もしも意見が食い違ったら、そのときは、ちゃんと話し合おう。約束だ」
怪異と行き遭ってしまった人間は、残りの一生、どうしたって、それを引き摺って生きることになる。
そんなこと、今の僕が言えたことでは、全然ないのだけれど。
90: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:28:56.33 ID:CnznoRGa0
「お安い御用よ」
なんて、僕からの勉強の頼みごとを受けたときみたいに。
戦場ヶ原は、今の段階ではまだ僕の真意は、ひょっとしたらまだ伝わってないのかもしれないと思うほどに。
あっさりと、涼しい顔で頷いた。
「そうか」
そんな風に、戦場ヶ原と話している内に。
僕達が座っているベンチから、広場を挟んで反対側、公園の隅っこの方、鉄製の看板、案内図、この辺りの住宅地図を眺めている、少女の人影が一つ。
八九寺真宵の登場である。
なんて、僕からの勉強の頼みごとを受けたときみたいに。
戦場ヶ原は、今の段階ではまだ僕の真意は、ひょっとしたらまだ伝わってないのかもしれないと思うほどに。
あっさりと、涼しい顔で頷いた。
「そうか」
そんな風に、戦場ヶ原と話している内に。
僕達が座っているベンチから、広場を挟んで反対側、公園の隅っこの方、鉄製の看板、案内図、この辺りの住宅地図を眺めている、少女の人影が一つ。
八九寺真宵の登場である。
91: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:29:43.30 ID:CnznoRGa0
「なあ、戦場ヶ原」
「なにかしら、顔がおかしな阿良々木くん」
「なんだと!」
「あら、約束通りおかしなことを指摘したつもりだったのだけれど」
「…………………………」
「約束通りなら、これから、何故阿良々木くんの顔はなぜおかしいのか、ということについて話し合うのね。最初から、中々難しい問題ね」
「僕が言ってるのはそういうことじゃねえよ!」
こいつ、本当に僕の言いたいことが伝わってないんじゃないか?
「冗談よ。それで、なにかしら?」
「お前、さっきから冗談ばっかりだな………」
「なにかしら、顔がおかしな阿良々木くん」
「なんだと!」
「あら、約束通りおかしなことを指摘したつもりだったのだけれど」
「…………………………」
「約束通りなら、これから、何故阿良々木くんの顔はなぜおかしいのか、ということについて話し合うのね。最初から、中々難しい問題ね」
「僕が言ってるのはそういうことじゃねえよ!」
こいつ、本当に僕の言いたいことが伝わってないんじゃないか?
「冗談よ。それで、なにかしら?」
「お前、さっきから冗談ばっかりだな………」
92: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:30:09.47 ID:CnznoRGa0
「あそこいる、女の子、見えるか?」
「あそこって?」
「ほら、あの地図のところ」
そう言って、僕は住宅地図を指差した。
正確には、その地図の前に立っている八九寺真宵を。
「いえ、なにも見えないわ」
「そうか、僕には見えるんだよ。ツインテールで、大きなリュックサックを背負ってる、小さな女の子が」
道に迷っている、女の子が。
「そう。でも、やっぱり、私には見えないわ」
戦場ヶ原ははっきりと、そう言った。
「それでいいんだよ」
それで、いいんだ。
「あそこって?」
「ほら、あの地図のところ」
そう言って、僕は住宅地図を指差した。
正確には、その地図の前に立っている八九寺真宵を。
「いえ、なにも見えないわ」
「そうか、僕には見えるんだよ。ツインテールで、大きなリュックサックを背負ってる、小さな女の子が」
道に迷っている、女の子が。
「そう。でも、やっぱり、私には見えないわ」
戦場ヶ原ははっきりと、そう言った。
「それでいいんだよ」
それで、いいんだ。
93: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:30:58.30 ID:CnznoRGa0
「その女の子、道に迷っているみたいなんだ。だから、声をかけてこようと思うんだけど」
「ふうん。それはいいのだけれど、大丈夫なの?だって、私には見えないってことは、おそらく怪異なんでしょ?」
戦場ヶ原は、相変わらずの無表情で、しかし、僕のことを心配するようなことを言った。
「大丈夫だろ。それじゃあ、ちょっと行ってくるから、ここで待っててくれ」
「ええ。分かったわ」
「ふうん。それはいいのだけれど、大丈夫なの?だって、私には見えないってことは、おそらく怪異なんでしょ?」
戦場ヶ原は、相変わらずの無表情で、しかし、僕のことを心配するようなことを言った。
「大丈夫だろ。それじゃあ、ちょっと行ってくるから、ここで待っててくれ」
「ええ。分かったわ」
94: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:31:33.02 ID:CnznoRGa0
八九寺真宵を見つけたとき、僕がどんなことを思ったかというと、単純にうれしかった。
例え夢の中でも、彼女にまた会えることがうれしかった。
いくらあいつが、悲しくないように別れを演出してくれたとはいえ、それでも僕はあいつと別れることが、辛かった。
だから、僕は例え夢の中だろうと、最終的には、消えてしまうことになろうと。
あいつをまた、自分の家に帰してやろうと。
親のところに、帰してやろうと。
そう、心に誓った。
例え夢の中でも、彼女にまた会えることがうれしかった。
いくらあいつが、悲しくないように別れを演出してくれたとはいえ、それでも僕はあいつと別れることが、辛かった。
だから、僕は例え夢の中だろうと、最終的には、消えてしまうことになろうと。
あいつをまた、自分の家に帰してやろうと。
親のところに、帰してやろうと。
そう、心に誓った。
95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:31:58.78 ID:CnznoRGa0
大事なのは、ファーストコンタクトだ。
このころの八九寺は、僕のことをまだ知らないのだから。
驚かせるのはまずいだろう。
そう思い、僕は足音を消し(?)、抜き足差し足忍び足で(!?)、対象から気付かれないように細心の注意を払いながら(!!)、八九寺の背に近付いた。
幸いなことに、地図とにらめっこしている八九寺は、僕に気付かない。
僕は。
僕は背後から、そんな八九寺のスカートを全力でまくった。
スカートがリュックごと、彼女の上半身を覆う形になる。
このころの八九寺は、僕のことをまだ知らないのだから。
驚かせるのはまずいだろう。
そう思い、僕は足音を消し(?)、抜き足差し足忍び足で(!?)、対象から気付かれないように細心の注意を払いながら(!!)、八九寺の背に近付いた。
幸いなことに、地図とにらめっこしている八九寺は、僕に気付かない。
僕は。
僕は背後から、そんな八九寺のスカートを全力でまくった。
スカートがリュックごと、彼女の上半身を覆う形になる。
96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:32:32.00 ID:CnznoRGa0
「ぎゃーっ!」
当然、八九寺は悲鳴をあげる。
なんだか、本当に懐かしい気分になる。
しかし、八九寺は僕の体に噛みつくことなどなく。
ただそのまま、後ろを振り向きもせずに、全力のダッシュ。
子供ダッシュ。
「あっ!しまった!」
なんて、全然締まらない話だけれど、夢の中での、僕と八九寺のファーストコンタクトは、失敗に終った。
当然、八九寺は悲鳴をあげる。
なんだか、本当に懐かしい気分になる。
しかし、八九寺は僕の体に噛みつくことなどなく。
ただそのまま、後ろを振り向きもせずに、全力のダッシュ。
子供ダッシュ。
「あっ!しまった!」
なんて、全然締まらない話だけれど、夢の中での、僕と八九寺のファーストコンタクトは、失敗に終った。
97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:33:04.26 ID:CnznoRGa0
「どうしたの……………?阿良々木くん」
戦場ヶ原が、僕の大声を聞きつけてこちらに歩いてきた。
「いや、声をかけようとしたら、逃げられちゃってさ」
「まあ、犬の死体に見えるような人が近付いてきたら、誰でも逃げ出すわ。かくいう私も、そうとう我慢して、あなたの側にいるのよ」
「そうなのか!?」
まあ、正確には僕の顔を見る前に逃げていったのだけれど。
……………見られてないよね?僕の顔。
戦場ヶ原が、僕の大声を聞きつけてこちらに歩いてきた。
「いや、声をかけようとしたら、逃げられちゃってさ」
「まあ、犬の死体に見えるような人が近付いてきたら、誰でも逃げ出すわ。かくいう私も、そうとう我慢して、あなたの側にいるのよ」
「そうなのか!?」
まあ、正確には僕の顔を見る前に逃げていったのだけれど。
……………見られてないよね?僕の顔。
98: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:33:49.64 ID:CnznoRGa0
「それで、これからどうするのかしら?」
「どうするって………………」
まあ、八九寺は多分またここに戻ってくるだろうけど、少し時間があるしな。だったら、あんまり怪異のことを知ったような口を聞くのも嫌だし、取り敢えずは、
「忍野のところに行って、あの子のこと、聞いてこようと思うんだけれど」
「そう。じゃあ、私も行くわ」
「そうか。じゃあ、二人で行くとするか」
けど、忍野にはなんて言えばいいんだろう。
まだ、あいつが人を迷わせる怪異だってことは、全然分かんない状況だしな。
まあでも、案外あいつなら、迷子の怪異ってだけで八九寺のこと、見透かせるのかもしれないな。
「どうするって………………」
まあ、八九寺は多分またここに戻ってくるだろうけど、少し時間があるしな。だったら、あんまり怪異のことを知ったような口を聞くのも嫌だし、取り敢えずは、
「忍野のところに行って、あの子のこと、聞いてこようと思うんだけれど」
「そう。じゃあ、私も行くわ」
「そうか。じゃあ、二人で行くとするか」
けど、忍野にはなんて言えばいいんだろう。
まだ、あいつが人を迷わせる怪異だってことは、全然分かんない状況だしな。
まあでも、案外あいつなら、迷子の怪異ってだけで八九寺のこと、見透かせるのかもしれないな。
99: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:34:50.29 ID:CnznoRGa0
「やあ、阿良々木くん。遅かったね、待ちかねたよ」
なんて、相変わらずのそんな対応で、忍野メメは僕達のことを出迎えた。
「それに、今日はツンデレちゃんも一緒なんだね。どうしたんだい?」
ツンデレちゃんと呼ばれた戦場ヶ原は、かなり不機嫌そうな顔をしていたけれど、どうやら呑み込んでくれたようだ。
「怪異を見たんだ。それで、お前なら何か分かるじゃないかと思ってな」
「ふうん。いいよ、話して御覧。前回、ツンデレちゃんのときに阿良々木くんは、けっこう頑張ってたしね」
「そうか。じゃあ、今日の公園でのことなんだけれど…………………」
なんて、相変わらずのそんな対応で、忍野メメは僕達のことを出迎えた。
「それに、今日はツンデレちゃんも一緒なんだね。どうしたんだい?」
ツンデレちゃんと呼ばれた戦場ヶ原は、かなり不機嫌そうな顔をしていたけれど、どうやら呑み込んでくれたようだ。
「怪異を見たんだ。それで、お前なら何か分かるじゃないかと思ってな」
「ふうん。いいよ、話して御覧。前回、ツンデレちゃんのときに阿良々木くんは、けっこう頑張ってたしね」
「そうか。じゃあ、今日の公園でのことなんだけれど…………………」
100: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:35:44.25 ID:CnznoRGa0
「へえ。迷子の怪異、ね」
忍野には、八九寺が僕には見えて、戦場ヶ原には見えなかったこと。八九寺がどうやら道に迷っているらしいことを話した。
「それにしても、阿良々木くん。きみはまたやっかいなことに首を突っ込んでいるね。前回、僕はきみのことを少し見直したけど、やっぱり、そういう所は変わらないね」
「いや、そりゃお前を頼り過ぎている部分はあるかもしれないけれど、それでも、知ってしまったんだから、見過ごすことなんて、僕にはできないよ」
「はっはー。まったく、きみは相変わらずだね。何かいいことでもあったのかい?」
なんて、そんなことを言いながらも、忍野は、八九寺のことを、迷い牛のことを話だした。
忍野には、八九寺が僕には見えて、戦場ヶ原には見えなかったこと。八九寺がどうやら道に迷っているらしいことを話した。
「それにしても、阿良々木くん。きみはまたやっかいなことに首を突っ込んでいるね。前回、僕はきみのことを少し見直したけど、やっぱり、そういう所は変わらないね」
「いや、そりゃお前を頼り過ぎている部分はあるかもしれないけれど、それでも、知ってしまったんだから、見過ごすことなんて、僕にはできないよ」
「はっはー。まったく、きみは相変わらずだね。何かいいことでもあったのかい?」
なんて、そんなことを言いながらも、忍野は、八九寺のことを、迷い牛のことを話だした。
101: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:36:33.41 ID:CnznoRGa0
「まず、その女の子。八九寺ちゃんって言うんだっけ?」
「ああ、そうだよ。八九寺真宵。リュックにそう書いてあったから、多分間違いない」
「そう。その八九寺ちゃんなんだけど、多分、迷い牛だよ」
「迷い牛。ああ、そういえばあいつ、どことなく蝸牛みたいなやつだったけれど、蝸牛にも牛って字は入っているよな」
「へえ、さすがね、阿良々木くん。そんな難しいことまで知っているなんて、ひょっとしたら、私が勉強を教える必要なんてないんじゃないかしら?」
「お前…………今絶対僕のことバカにしただろ」
まあ、今のは僕が調子に乗ったんだけど。
「ああ、そうだよ。八九寺真宵。リュックにそう書いてあったから、多分間違いない」
「そう。その八九寺ちゃんなんだけど、多分、迷い牛だよ」
「迷い牛。ああ、そういえばあいつ、どことなく蝸牛みたいなやつだったけれど、蝸牛にも牛って字は入っているよな」
「へえ、さすがね、阿良々木くん。そんな難しいことまで知っているなんて、ひょっとしたら、私が勉強を教える必要なんてないんじゃないかしら?」
「お前…………今絶対僕のことバカにしただろ」
まあ、今のは僕が調子に乗ったんだけど。
102: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:37:15.00 ID:CnznoRGa0
「それで、迷い牛ってのは、どういう怪異なんだ?」
そういえば、僕は迷い牛のこと、こいつに面と向かって聞いたことはなかったな。
「まあ、簡単に言うと、迷い牛ってのは、人を迷わせる怪異だよ。名前の通りね」
「人を、迷わせる」
「そう。迷い牛は、ついてきた人を迷わせる。だから、対処法は簡単さ。ツンデレちゃんのときみたいに、めんどくさいことなんてなにもない」
「だって、迷い牛についていかなければいいだけなんだから。その子どっかに行っちゃったんだろ?だったら、深追いしないのが一番だよ」
なんて、忍野はやっぱりそんなことを言った。
けど、それじゃ、駄目なんだ。
それじゃ、なんの解決にもならない。
そういえば、僕は迷い牛のこと、こいつに面と向かって聞いたことはなかったな。
「まあ、簡単に言うと、迷い牛ってのは、人を迷わせる怪異だよ。名前の通りね」
「人を、迷わせる」
「そう。迷い牛は、ついてきた人を迷わせる。だから、対処法は簡単さ。ツンデレちゃんのときみたいに、めんどくさいことなんてなにもない」
「だって、迷い牛についていかなければいいだけなんだから。その子どっかに行っちゃったんだろ?だったら、深追いしないのが一番だよ」
なんて、忍野はやっぱりそんなことを言った。
けど、それじゃ、駄目なんだ。
それじゃ、なんの解決にもならない。
103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:37:51.88 ID:CnznoRGa0
「けど、それじゃあ八九寺はどうなるんだ?」
「ん?おかしなこと聞くね。そんなの、今のままに決まってるじゃないか」?
なんてことを、忍野は当然のように言う。
今のまま。
誰にも気づかれず、誰も寄せ付けない。
戦場ヶ原とは違うけれど。
優しさすらも、拒絶する。
「でも忍野。迷い牛をいうのは、いってみれば幽霊みたいなもんなんだろ?だったら、成仏させる方法だってあるんじゃないか」
「なんだい阿良々木くん。随分とおかしなことを言うんだね。君と八九寺ちゃんは、言ってみれば関係のない、ただの赤の他人だろ?そこまでする意味はないんじゃないかい?」
「それとも、阿良々木くん。自分のことと委員長ちゃんとツンデレちゃんと、三つ立て続けに怪異を解決しちゃったもんだから、ちょっと調子コイちゃってるんじゃないの?」
「ん?おかしなこと聞くね。そんなの、今のままに決まってるじゃないか」?
なんてことを、忍野は当然のように言う。
今のまま。
誰にも気づかれず、誰も寄せ付けない。
戦場ヶ原とは違うけれど。
優しさすらも、拒絶する。
「でも忍野。迷い牛をいうのは、いってみれば幽霊みたいなもんなんだろ?だったら、成仏させる方法だってあるんじゃないか」
「なんだい阿良々木くん。随分とおかしなことを言うんだね。君と八九寺ちゃんは、言ってみれば関係のない、ただの赤の他人だろ?そこまでする意味はないんじゃないかい?」
「それとも、阿良々木くん。自分のことと委員長ちゃんとツンデレちゃんと、三つ立て続けに怪異を解決しちゃったもんだから、ちょっと調子コイちゃってるんじゃないの?」
104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:38:25.02 ID:CnznoRGa0
「別に、僕は調子コイちゃってねえよ」
「それに、関係なくなんかないさ。僕はあいつを助けたいと思ったんだ。無関心じゃなければ、それはもう、無関係なんかじゃない」
忍野に言わせれば、人は一人で勝手に助かるだけかもしれないが。
それはけっして、人を助けたいと思ってはいけないというわけではなく。
僕みたいな奴が、人を助けたいと思うのは無理なことかもしれないし、無茶なことかもしれないけれど、それでもやっぱり、無駄ではないはずなのだから。
「だから忍野。迷い牛を、八九寺真宵を成仏させる方法を教えてくれないか?」
「それに、関係なくなんかないさ。僕はあいつを助けたいと思ったんだ。無関心じゃなければ、それはもう、無関係なんかじゃない」
忍野に言わせれば、人は一人で勝手に助かるだけかもしれないが。
それはけっして、人を助けたいと思ってはいけないというわけではなく。
僕みたいな奴が、人を助けたいと思うのは無理なことかもしれないし、無茶なことかもしれないけれど、それでもやっぱり、無駄ではないはずなのだから。
「だから忍野。迷い牛を、八九寺真宵を成仏させる方法を教えてくれないか?」
105: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:38:56.77 ID:CnznoRGa0
「阿良々木くん、私、まだ昼食をとっていないの。だから、先にあの公園に行っててもらえるかしら」
結局。
結局忍野は、僕に迷い牛の対処法を教えてくれた。
最終的には、僕はその方法を知っているのだから、忍野を無視して行動することもできたのだけれど。やっぱり、忍野を納得させてから動くのが本当なんじゃないかと思っていたので、取り敢えずは一段落だ。
まあ、結果的に納得というか、忍野が折れてくれた形になったのだけれど。
そんな訳で、今は取り敢えず戦場ヶ原と一緒にあのもといた公園に帰る途中だった。
結局。
結局忍野は、僕に迷い牛の対処法を教えてくれた。
最終的には、僕はその方法を知っているのだから、忍野を無視して行動することもできたのだけれど。やっぱり、忍野を納得させてから動くのが本当なんじゃないかと思っていたので、取り敢えずは一段落だ。
まあ、結果的に納得というか、忍野が折れてくれた形になったのだけれど。
そんな訳で、今は取り敢えず戦場ヶ原と一緒にあのもといた公園に帰る途中だった。
106: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:40:09.04 ID:CnznoRGa0
「ああ、分かった。じゃあ僕は、お前が来る前にせいぜい八九寺と打ち解けておくよ」
「ええ、そうしてちょうだい。そこのところは、どうしたって私は力になれないから」
そういえば、こいつって子供嫌いなんだったな。
まあそれ以前に、こいつには八九寺のことが見えないのだけれど。
「別に構わないさ。僕の我儘に、お前まで付き合わせちゃってるんだから。道案内をしてくれるだけで充分だよ」
「そう。それじゃあ、せいぜい頑張ってちょうだいね」
そう言って、戦場ヶ原と僕は一旦別れた。
そして今まさに、公園に着いた僕の視界には、相も変わらず迷子の少女。
八九寺真宵が、そこにいた。
「ええ、そうしてちょうだい。そこのところは、どうしたって私は力になれないから」
そういえば、こいつって子供嫌いなんだったな。
まあそれ以前に、こいつには八九寺のことが見えないのだけれど。
「別に構わないさ。僕の我儘に、お前まで付き合わせちゃってるんだから。道案内をしてくれるだけで充分だよ」
「そう。それじゃあ、せいぜい頑張ってちょうだいね」
そう言って、戦場ヶ原と僕は一旦別れた。
そして今まさに、公園に着いた僕の視界には、相も変わらず迷子の少女。
八九寺真宵が、そこにいた。
107: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:40:39.49 ID:CnznoRGa0
やっぱり、最初はフレンドリーに行くべきだよな。ただでさえ、ついさっき謎のヘン夕イにスカートを捲られたばかりなのだから。ここは、警戒心を与えないように、
「よっ。どうした、道にでも迷ったのか?」
懐かしい、利発そうな顔立ちの八九寺は、まずじっと僕を、吟味するように見て、それから口を開いた。
「話しかけないでください。あなたのことが嫌いです」
「……………………」
大丈夫だ。これくらい何でもない。傷ついている暇はない。
「迷子なんだろ?どこに行きたいんだ?」
「……………………………」
「そのメモ、ちょっと貸してみろよ」
「……………………………」
「……………………………」
………………………………。
「よっ。どうした、道にでも迷ったのか?」
懐かしい、利発そうな顔立ちの八九寺は、まずじっと僕を、吟味するように見て、それから口を開いた。
「話しかけないでください。あなたのことが嫌いです」
「……………………」
大丈夫だ。これくらい何でもない。傷ついている暇はない。
「迷子なんだろ?どこに行きたいんだ?」
「……………………………」
「そのメモ、ちょっと貸してみろよ」
「……………………………」
「……………………………」
………………………………。
108: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:42:54.08 ID:CnznoRGa0
「てい」
頭を叩いた。
不意打ちではなく、正面から、グーで。
「な、何をするんですかっ!」
しゃべってくれた。
ありがたい。
「グーで叩かれたら、誰だって文句の一つも言いますっ!」
「いや………………叩いたのは悪かったよ。でも、知ってるか?命という漢字の中には、叩くという漢字が含まれているんだぜ」
「意味がわかりませんっ」
「命は叩いてこそ光り輝くってことさ」
「目の前がちかちかと輝きましたっ」
残念だけど、やっぱり誤魔化せないか。
「いや、マジでごめんって。えっと、僕の名前は、阿良々木暦っていうんだ」
「暦ですか。女の子みたいな名前ですね」
「………………うん。よく言われる」
頭を叩いた。
不意打ちではなく、正面から、グーで。
「な、何をするんですかっ!」
しゃべってくれた。
ありがたい。
「グーで叩かれたら、誰だって文句の一つも言いますっ!」
「いや………………叩いたのは悪かったよ。でも、知ってるか?命という漢字の中には、叩くという漢字が含まれているんだぜ」
「意味がわかりませんっ」
「命は叩いてこそ光り輝くってことさ」
「目の前がちかちかと輝きましたっ」
残念だけど、やっぱり誤魔化せないか。
「いや、マジでごめんって。えっと、僕の名前は、阿良々木暦っていうんだ」
「暦ですか。女の子みたいな名前ですね」
「………………うん。よく言われる」
109: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:43:31.52 ID:CnznoRGa0
「で、お前はなんて名前なんだ?」
「わたしは、八九寺真宵です。わたしは八九寺真宵といいます。お父さんとお母さんがくれた、大切なお名前です」
「ふうん…………」
「とにかく、話しかけないでくださいっ!わたし、あなたのことが嫌いなんですっ!」
さて、どうするか。戦場ヶ原が来る前に、打ち解けてなきゃなんねえし。やっぱり、暴力は不味いよな。
僕ももう、いい大人なのだから。ここは頭を使って、
「八九寺ちゃん。今度アイスクリームを食べさせてあげるから、ちょっと僕と公園で話さないか?」
「行きますっ!」
………………分かってはいたけれど、さすがにこれはちょろすぎて泣けてくる。
「わたしは、八九寺真宵です。わたしは八九寺真宵といいます。お父さんとお母さんがくれた、大切なお名前です」
「ふうん…………」
「とにかく、話しかけないでくださいっ!わたし、あなたのことが嫌いなんですっ!」
さて、どうするか。戦場ヶ原が来る前に、打ち解けてなきゃなんねえし。やっぱり、暴力は不味いよな。
僕ももう、いい大人なのだから。ここは頭を使って、
「八九寺ちゃん。今度アイスクリームを食べさせてあげるから、ちょっと僕と公園で話さないか?」
「行きますっ!」
………………分かってはいたけれど、さすがにこれはちょろすぎて泣けてくる。
110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:44:10.71 ID:CnznoRGa0
「阿良々木さん。私を案内してくれるんじゃなかったのですか?」
僕達はさっき戦場ヶ原とそうしていたように、ベンチに並んで二人で座っていた。
「ああ、でもちょっと待ってくれ。もう少ししたら、ここら辺の道に詳しい奴が来るから。それまで、僕とお喋りでもしていようぜ」
なんて、本当は僕がこいつと話したいだけなのだけれど。
「ふーんだっ。話しませんっ。黙秘権を行使しますっ」
まあやっぱり、最初はこんなもんだろうけど。
「話さねーと、連れていってやんねーぞ」
「別に頼んでませんっ。一人で行けますっ」
「でもお前、迷子だろ?」
「だったら、なんですかっ」
「あのな、八九寺、後学のために教えてやるけれど、そういうときは、誰かを頼ればいいんだよ」
僕達はさっき戦場ヶ原とそうしていたように、ベンチに並んで二人で座っていた。
「ああ、でもちょっと待ってくれ。もう少ししたら、ここら辺の道に詳しい奴が来るから。それまで、僕とお喋りでもしていようぜ」
なんて、本当は僕がこいつと話したいだけなのだけれど。
「ふーんだっ。話しませんっ。黙秘権を行使しますっ」
まあやっぱり、最初はこんなもんだろうけど。
「話さねーと、連れていってやんねーぞ」
「別に頼んでませんっ。一人で行けますっ」
「でもお前、迷子だろ?」
「だったら、なんですかっ」
「あのな、八九寺、後学のために教えてやるけれど、そういうときは、誰かを頼ればいいんだよ」
111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:44:45.53 ID:CnznoRGa0
「自分に自信が持てない阿良々木さん辺りはそうすればいいですっ。気の済むまで他人に頼ってくださいっ。でも、わたしはそんなことをする必要がないんですっ。わたしにとってはこの程度、日常自販機なんですからっ!」
「へえ…………定価販売なんだな」
なんて、そんな風に言いはしたものの。
道に迷い、人を拒絶することを、いつからこいつは、日常としてしまったのだろう。
それが日常となるまでに、一体どれほどの人間を、拒絶したのだろう。
「それに、わたしはどうやっても、たどり着けませんから」
「…………………………」
八九寺は、僕に聞かせるつもりではなく、ただの独り言として、そう呟いた。
「わかりましたよ、お嬢様。お願いですどうかわたくしめと、会話をしてはくださいませんか」
「言葉に誠意がこもってませんっ」
…………………………………。
「へえ…………定価販売なんだな」
なんて、そんな風に言いはしたものの。
道に迷い、人を拒絶することを、いつからこいつは、日常としてしまったのだろう。
それが日常となるまでに、一体どれほどの人間を、拒絶したのだろう。
「それに、わたしはどうやっても、たどり着けませんから」
「…………………………」
八九寺は、僕に聞かせるつもりではなく、ただの独り言として、そう呟いた。
「わかりましたよ、お嬢様。お願いですどうかわたくしめと、会話をしてはくださいませんか」
「言葉に誠意がこもってませんっ」
…………………………………。
112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:45:49.55 ID:CnznoRGa0
「やあ」
チョップした。
八九寺の頭に、見事にヒットした。
「酷いですっ!PTAに訴えますっ!」
「へえ。PTAに」
「PTAはものすごい組織なんですよっ!阿良々木さんみたいな何の権力も持たない未成年の一般市民なんてっ、指先一つでポポイのポイですっ!」
「指先一つか、そりゃ怖いな。ところで八九寺、PTAとは何の略か知ってるか?」
「え?それは………………」
わからないだろう、再び黙り込んでしまう八九寺。
まあ、当然だろう。僕だって、少し前までしらなかったのだから。
チョップした。
八九寺の頭に、見事にヒットした。
「酷いですっ!PTAに訴えますっ!」
「へえ。PTAに」
「PTAはものすごい組織なんですよっ!阿良々木さんみたいな何の権力も持たない未成年の一般市民なんてっ、指先一つでポポイのポイですっ!」
「指先一つか、そりゃ怖いな。ところで八九寺、PTAとは何の略か知ってるか?」
「え?それは………………」
わからないだろう、再び黙り込んでしまう八九寺。
まあ、当然だろう。僕だって、少し前までしらなかったのだから。
113: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:46:39.68 ID:CnznoRGa0
「PTAってのは、parent-Teacher Associationの略で、親と教師の会という意味なんだぜ」
「なるほど。阿良々木さん、見直しましたっ」
「そりゃ嬉しいよ」
知識は身を助けるなんてよく言うけれど、なるほど、勉強って大事だな。
「そういえば、阿良々々木さんは………」
「々が一個多いぞ!」
「失礼。噛みました」
「気分の悪い噛み方してんじゃねえよ………」
「仕方がありません。誰だって言い間違いをすることくらいはあります。それとも阿良々木さんは生まれてから一度も噛んだことがないというのですか」
「……………そうだな、僕が言い過ぎた。悪かったよ、八八寺」
「寺が一つ少ないですっ!」
「失礼。噛みました」
「なるほど。阿良々木さん、見直しましたっ」
「そりゃ嬉しいよ」
知識は身を助けるなんてよく言うけれど、なるほど、勉強って大事だな。
「そういえば、阿良々々木さんは………」
「々が一個多いぞ!」
「失礼。噛みました」
「気分の悪い噛み方してんじゃねえよ………」
「仕方がありません。誰だって言い間違いをすることくらいはあります。それとも阿良々木さんは生まれてから一度も噛んだことがないというのですか」
「……………そうだな、僕が言い過ぎた。悪かったよ、八八寺」
「寺が一つ少ないですっ!」
「失礼。噛みました」
114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:47:18.94 ID:CnznoRGa0
「がうっ!」
八九寺はいきなり、僕の腕に噛みついてきた。
「甘い!」
しかし、僕はその攻撃をあらかじめ読んでいたので、八九寺の肩を抑えて、それを防いだ。
「がうっ!がうがうっ!」
「どうどう、落ち着け八七寺」
「ふしゃーーー!」
なんて、そんな風にじゃれあって(?)、ある程度親交も深まったところで、
「あら、売れない、冴えない、つまらないの三拍子が揃った、まったく面白くない大道芸人が公園で暴れていると思ったら。なんだ、阿良々木くんだったの」
お待ちかねの、戦場ヶ原ひたぎの登場である。
八九寺はいきなり、僕の腕に噛みついてきた。
「甘い!」
しかし、僕はその攻撃をあらかじめ読んでいたので、八九寺の肩を抑えて、それを防いだ。
「がうっ!がうがうっ!」
「どうどう、落ち着け八七寺」
「ふしゃーーー!」
なんて、そんな風にじゃれあって(?)、ある程度親交も深まったところで、
「あら、売れない、冴えない、つまらないの三拍子が揃った、まったく面白くない大道芸人が公園で暴れていると思ったら。なんだ、阿良々木くんだったの」
お待ちかねの、戦場ヶ原ひたぎの登場である。
115: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:47:56.78 ID:CnznoRGa0
「…………思ったよりも早かったな」
「昼はあまり食べない方なのよ。それより、迷い牛の八九寺ちゃんは見つかったのかしら?」
「ああ、今もここにいるぜ」
「えっ!?」
なんて、そんな風に驚いたのは、しかし戦場ヶ原の方ではなく、八九寺の方だった。
「阿良々木さん。わたしがなんなのか、知っているんですか?」
「ああ、大丈夫だ。分かってるから。そこんとこも含めて、お前をちゃんと、目的地まで送り届けてやるさ」
「阿良々木さん……………」
「それじゃあ、戦場ヶ原。道案内を頼むぜ」
「その前に、少しいいかしら、阿良々木くん」
そう言って、戦場ヶ原は改めて僕の方を向いた。
「昼はあまり食べない方なのよ。それより、迷い牛の八九寺ちゃんは見つかったのかしら?」
「ああ、今もここにいるぜ」
「えっ!?」
なんて、そんな風に驚いたのは、しかし戦場ヶ原の方ではなく、八九寺の方だった。
「阿良々木さん。わたしがなんなのか、知っているんですか?」
「ああ、大丈夫だ。分かってるから。そこんとこも含めて、お前をちゃんと、目的地まで送り届けてやるさ」
「阿良々木さん……………」
「それじゃあ、戦場ヶ原。道案内を頼むぜ」
「その前に、少しいいかしら、阿良々木くん」
そう言って、戦場ヶ原は改めて僕の方を向いた。
116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:48:34.41 ID:CnznoRGa0
「八九寺ちゃんは、今もそこにいるのよね?」
「ああ、いるぜ。見えないかも知れないけど、ちゃんと、ここにいる」
「そう。じゃあ八九寺ちゃん、あなたがどうしてそこに行きたいのかを教えてもらえるかしら?」
「………………意外だな。お前がそんなことを気にするなんて」
本当に意外だった。現実でも、こいつは八九寺に興味を抱いているようには、見えなかったけど。
「別に、私はただ、阿良々木くんと違って、見ず知らずの人を助けるのはごめんなだけよ。けど、無関心じゃなければ無関係じゃないのでしょ?だったら、」
だったら、事情くらいは聞くわよ、と。
戦場ヶ原は、言った。
「ああ、いるぜ。見えないかも知れないけど、ちゃんと、ここにいる」
「そう。じゃあ八九寺ちゃん、あなたがどうしてそこに行きたいのかを教えてもらえるかしら?」
「………………意外だな。お前がそんなことを気にするなんて」
本当に意外だった。現実でも、こいつは八九寺に興味を抱いているようには、見えなかったけど。
「別に、私はただ、阿良々木くんと違って、見ず知らずの人を助けるのはごめんなだけよ。けど、無関心じゃなければ無関係じゃないのでしょ?だったら、」
だったら、事情くらいは聞くわよ、と。
戦場ヶ原は、言った。
117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:49:13.16 ID:CnznoRGa0
「そうか」
「分かりました。わたしのことを話します。阿良々木さん、わたしが話すことを戦場ヶ原さんにも伝えてあげてください」
「ああ。任せておけ」
それから、八九寺は、自分自身のことを語り始めた。
自分が何故そこに行きたいと思っているのか。
自分の家庭になにがあったのか。
どうして、自分は迷い牛になってしまったのか。
戦場ヶ原は、ただ黙って八九寺の。正確には、八九寺のことを伝えている僕の話を聞いていた。
思えば、戦場ヶ原は、八九寺の話について、色々と思うところがあるのかもしれない。
「分かりました。わたしのことを話します。阿良々木さん、わたしが話すことを戦場ヶ原さんにも伝えてあげてください」
「ああ。任せておけ」
それから、八九寺は、自分自身のことを語り始めた。
自分が何故そこに行きたいと思っているのか。
自分の家庭になにがあったのか。
どうして、自分は迷い牛になってしまったのか。
戦場ヶ原は、ただ黙って八九寺の。正確には、八九寺のことを伝えている僕の話を聞いていた。
思えば、戦場ヶ原は、八九寺の話について、色々と思うところがあるのかもしれない。
118: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:49:52.69 ID:CnznoRGa0
「ありがとう、八九寺ちゃん。無駄な時間をとらせてしまったわね」
戦場ヶ原は、見えないはずの八九寺に向かって、お礼を言った。
考えてみれば、現実の戦場ヶも、やっぱり八九寺に興味があったのかもしれない。
いくら僕には、興味が無さそうに見えたところで、自分の目で見たこと、自分で感じたことだけが、真実とは限らないのだから。
「それじゃあ、そろそろ行きましょうか。早くしないと、日が暮れてしまいそうだし」
「そうだな。小学生は、日が暮れる前に家に帰らないとな」
そう言って、戦場ヶ原を先頭にし、僕らは八九寺の、長い帰り道を歩き出した。
戦場ヶ原は、見えないはずの八九寺に向かって、お礼を言った。
考えてみれば、現実の戦場ヶも、やっぱり八九寺に興味があったのかもしれない。
いくら僕には、興味が無さそうに見えたところで、自分の目で見たこと、自分で感じたことだけが、真実とは限らないのだから。
「それじゃあ、そろそろ行きましょうか。早くしないと、日が暮れてしまいそうだし」
「そうだな。小学生は、日が暮れる前に家に帰らないとな」
そう言って、戦場ヶ原を先頭にし、僕らは八九寺の、長い帰り道を歩き出した。
119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:50:41.00 ID:CnznoRGa0
「そういえば、阿良々木くん」
八九寺の帰り道を、ちょうど半分くらい歩いたところで、戦場ヶ原は突然口を開いた。
「他の女の匂いがしたのだけれど、私がいない間に、誰かと会ったのかしら?」
「他の女?」
あ、そういえば、夢の中では羽川と会っていないな。
「いや、僕は知らないな。八九寺、僕が来る前に、誰か公園に来なかったか?」
「ええ、ちょうど阿良々木さんと同じくらいの年の方が来ました」
「それって、どんな奴だった?」
「うーん。一言で言うならば、見るからに学校の委員長をやっているような女の人でしたね」
「戦場ヶ原、八九寺が、僕ら二人がいない間に羽川が来たんだってさ」
八九寺の帰り道を、ちょうど半分くらい歩いたところで、戦場ヶ原は突然口を開いた。
「他の女の匂いがしたのだけれど、私がいない間に、誰かと会ったのかしら?」
「他の女?」
あ、そういえば、夢の中では羽川と会っていないな。
「いや、僕は知らないな。八九寺、僕が来る前に、誰か公園に来なかったか?」
「ええ、ちょうど阿良々木さんと同じくらいの年の方が来ました」
「それって、どんな奴だった?」
「うーん。一言で言うならば、見るからに学校の委員長をやっているような女の人でしたね」
「戦場ヶ原、八九寺が、僕ら二人がいない間に羽川が来たんだってさ」
120: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:51:20.48 ID:CnznoRGa0
そうか。現実とは違い、僕らは二人で公園を離れてしまったから、僕が羽川と会うタイミングがなかったんだ。
「なるほど、たしかにあの香りは、羽川さんかしらね」
「ああ、やっぱり女って、シャープの香りとかで分かるのか?」
「ある程度はね」
何をわかりきったことをという風な戦場ヶ原。
「阿良々木くんが腰の形で女子を区別できるのと、同じようなものと考えてくれていいわ」
「なるほどですっ」
「そんな特殊な能力を披露した憶えはねえし、八九寺も変な相槌をうつんじゃねえ!」
「え?あれ?できないの?」
「できないんですか?阿良々木さん」
「意外そうなリアクションをするな!」
「なるほど、たしかにあの香りは、羽川さんかしらね」
「ああ、やっぱり女って、シャープの香りとかで分かるのか?」
「ある程度はね」
何をわかりきったことをという風な戦場ヶ原。
「阿良々木くんが腰の形で女子を区別できるのと、同じようなものと考えてくれていいわ」
「なるほどですっ」
「そんな特殊な能力を披露した憶えはねえし、八九寺も変な相槌をうつんじゃねえ!」
「え?あれ?できないの?」
「できないんですか?阿良々木さん」
「意外そうなリアクションをするな!」
121: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:52:00.05 ID:CnznoRGa0
「お前は座りのいい立派な骨盤をした安産型だからきっと元気な赤ちゃんが産めると思うぜ、うえっへっへっへって、この間、私に言ってくれたじゃない」
「忘れちゃったんですか?阿良々木さん」
「ただのヘン夕イ野郎じゃねえか!」
ああもう。ステレオ再生すげえ苛つく。
何が悲しくて女子高生と小学生に、こうまで言われなくてはならないのだろうか。
「そう、羽川さん。来てたのね」
戦場ヶ原は、急に話題を戻した。
「らしいな」
「そういえば、その羽川さんという方。なにやら少し落ち込んでいたように見えましたが」
「落ち込んでいた?羽川が?」
なんだろう、現実では、そんな素振りは見せていなかったけれど。家でなにかあったのだろうか?
「忘れちゃったんですか?阿良々木さん」
「ただのヘン夕イ野郎じゃねえか!」
ああもう。ステレオ再生すげえ苛つく。
何が悲しくて女子高生と小学生に、こうまで言われなくてはならないのだろうか。
「そう、羽川さん。来てたのね」
戦場ヶ原は、急に話題を戻した。
「らしいな」
「そういえば、その羽川さんという方。なにやら少し落ち込んでいたように見えましたが」
「落ち込んでいた?羽川が?」
なんだろう、現実では、そんな素振りは見せていなかったけれど。家でなにかあったのだろうか?
122: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:52:58.56 ID:CnznoRGa0
「それにしても、阿良々木くん。一度逃げられたにも関わらず、よく八九寺ちゃんと打ち解けられたわね」
「一度、逃げた?」
八九寺は、戦場ヶ原の言葉に首を傾げる。
まずい。ここであの事がばれたら、僕の体がどうなるか分かったもんじゃないぞ。
「阿良々木さん、どういうことですかっ。説明を要求しますっ!」
「いや、えっと、それは………………」
「まさか、先程わたしのスカートを捲ったヘン夕イは、阿良々木さんだったんですかっ!阿良々木さん絶命を要求しますっ!」
絶命を要求。
おそらく、説明をいい間違えたと思うのだが、それでも、今の僕はそれくらい要求されても仕方ない状況だった。
「まあそれは、ほら、僕って妹が二人もいるからさ、それで、小さい子の相手は慣れてるんだよ。ははっ、ははは」
「一度、逃げた?」
八九寺は、戦場ヶ原の言葉に首を傾げる。
まずい。ここであの事がばれたら、僕の体がどうなるか分かったもんじゃないぞ。
「阿良々木さん、どういうことですかっ。説明を要求しますっ!」
「いや、えっと、それは………………」
「まさか、先程わたしのスカートを捲ったヘン夕イは、阿良々木さんだったんですかっ!阿良々木さん絶命を要求しますっ!」
絶命を要求。
おそらく、説明をいい間違えたと思うのだが、それでも、今の僕はそれくらい要求されても仕方ない状況だった。
「まあそれは、ほら、僕って妹が二人もいるからさ、それで、小さい子の相手は慣れてるんだよ。ははっ、ははは」
123: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:53:48.56 ID:CnznoRGa0
「……………八九寺ちゃん。阿良々木くんが何か隠しているのなら、攻撃に移りなさい」
「がうっ!」
戦場ヶ原の命令とともに、八九寺は僕の手に噛みついた。
「痛ェ!いきなり何すんだこのガキ!」
「うぎぎぎぎぎぎぎっ!」
「痛い!痛い痛い痛いって!」
あっという間に、乱闘になる僕と八九寺。しかし、不味いな。早くこの状況を何とかしないと、こんどは戦場ヶ原が攻撃してくる危険だってあるのだ。
仕方ない、ここは奥の手だ!
「八九寺ちゃん。放してくれたら、あとでお小遣いをあげよう」
戦場ヶ原に聞こえないように、八九寺にそう囁いた。
「がうっ!」
戦場ヶ原の命令とともに、八九寺は僕の手に噛みついた。
「痛ェ!いきなり何すんだこのガキ!」
「うぎぎぎぎぎぎぎっ!」
「痛い!痛い痛い痛いって!」
あっという間に、乱闘になる僕と八九寺。しかし、不味いな。早くこの状況を何とかしないと、こんどは戦場ヶ原が攻撃してくる危険だってあるのだ。
仕方ない、ここは奥の手だ!
「八九寺ちゃん。放してくれたら、あとでお小遣いをあげよう」
戦場ヶ原に聞こえないように、八九寺にそう囁いた。
124: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:54:25.89 ID:CnznoRGa0
「放しますっ!」
「………………………」
自身のヘン夕イ行為を隠すために、小学生にお金をちらつかせることで、口止めをする男子高校生がそこにいた。
ていうか、僕だった。
てか、これって普通に犯罪じゃね?
「何をしているの。遊んでないで早く行くわよ」
「………………………」
いや、お前がけしかけたんじゃねえかよ。まあ、僕としては、深く追及されなくてかなり助かったのだけれど。
とか、そんなことを言っている間に、
「ここね。ここで間違いないわ」
ついに、僕達は目的地にたどり着いた。
「………………………」
自身のヘン夕イ行為を隠すために、小学生にお金をちらつかせることで、口止めをする男子高校生がそこにいた。
ていうか、僕だった。
てか、これって普通に犯罪じゃね?
「何をしているの。遊んでないで早く行くわよ」
「………………………」
いや、お前がけしかけたんじゃねえかよ。まあ、僕としては、深く追及されなくてかなり助かったのだけれど。
とか、そんなことを言っている間に、
「ここね。ここで間違いないわ」
ついに、僕達は目的地にたどり着いた。
125: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:55:24.57 ID:CnznoRGa0
「う、うあ」
隣から、八九寺の嗚咽が聞こえた。
八九寺は、泣いていた。
しかし、やはり俯いてはおらず、しっかりと、前を見て。
更地の上、家があっただろう、その方向を見て。
「う、うあ、あ、あ…………」
そして。
たっ、と、八九寺は、僕の脇を抜けて、駆けた。
「ただいまっ、帰りましたっ」
大きなリュックサックを背負った女の子の姿は………すぐにぼやけて、かすんで、薄くなって………僕の視界から、あっと言う間に、消えてしまった。
「………お疲れ様でした、阿良々木くん。そこそこ、格好よかったわよ」
やがて戦場ヶ原が言った。
いまいち感情のこもらない声で。
隣から、八九寺の嗚咽が聞こえた。
八九寺は、泣いていた。
しかし、やはり俯いてはおらず、しっかりと、前を見て。
更地の上、家があっただろう、その方向を見て。
「う、うあ、あ、あ…………」
そして。
たっ、と、八九寺は、僕の脇を抜けて、駆けた。
「ただいまっ、帰りましたっ」
大きなリュックサックを背負った女の子の姿は………すぐにぼやけて、かすんで、薄くなって………僕の視界から、あっと言う間に、消えてしまった。
「………お疲れ様でした、阿良々木くん。そこそこ、格好よかったわよ」
やがて戦場ヶ原が言った。
いまいち感情のこもらない声で。
126: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:56:17.60 ID:CnznoRGa0
「僕は、別に何もしてないよ。むしろ今回働いたのは、お前だろ」
「確かにそうだけれど………そうかもしれないけれど、そういうことではなく、ね。しかし、まあ、更地になっているとは驚いたわ。一人娘が自分を訪ねてくる途中で交通事故にあって。いたたまれなくなって、引っ越したってところなのかしらね。当然、それ以外にも、理由なんて、考えようと思えば色々と考えられるけれど」
「まあな。けど、そこら辺は、僕達が考えても仕方のないことだろ」
「それもそうね」
そう言って、戦場ヶ原は例の更地を見つめた。やはり、彼女は彼女なりに思うところがあるのだろう。
「確かにそうだけれど………そうかもしれないけれど、そういうことではなく、ね。しかし、まあ、更地になっているとは驚いたわ。一人娘が自分を訪ねてくる途中で交通事故にあって。いたたまれなくなって、引っ越したってところなのかしらね。当然、それ以外にも、理由なんて、考えようと思えば色々と考えられるけれど」
「まあな。けど、そこら辺は、僕達が考えても仕方のないことだろ」
「それもそうね」
そう言って、戦場ヶ原は例の更地を見つめた。やはり、彼女は彼女なりに思うところがあるのだろう。
127: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:56:48.35 ID:CnznoRGa0
「今日のことで、私はようやく、阿良々木くんのことを実感できたわ」
そう言って、戦場ヶ原は視線を更地から僕に移した。
「阿良々木くんのことを、私は誤解していたみたい。いえ、誤解じゃないか。薄々というか、重々、それはわかっていたことだけどね。幻想が消えたっていうのかな、こういうのは。阿良々木くん。先週の月曜日、私は些細な失敗から、阿良々木くんに、私の抱えていた問題がバレちゃって……………そうしたら阿良々木くんは、その日の内に、即日に………私に、声を掛けてくれたわよね」
力になれるかもしれないと言って。
戦場ヶ原に、呼びかけた。
「正直、私はその行為の意味を計りかねていたのよ。阿良々木くんは、ひょっとして、私だから助けてくれたのかしら?なんて思っていたわ」
そう言って、戦場ヶ原は視線を更地から僕に移した。
「阿良々木くんのことを、私は誤解していたみたい。いえ、誤解じゃないか。薄々というか、重々、それはわかっていたことだけどね。幻想が消えたっていうのかな、こういうのは。阿良々木くん。先週の月曜日、私は些細な失敗から、阿良々木くんに、私の抱えていた問題がバレちゃって……………そうしたら阿良々木くんは、その日の内に、即日に………私に、声を掛けてくれたわよね」
力になれるかもしれないと言って。
戦場ヶ原に、呼びかけた。
「正直、私はその行為の意味を計りかねていたのよ。阿良々木くんは、ひょっとして、私だから助けてくれたのかしら?なんて思っていたわ」
128: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:57:22.64 ID:CnznoRGa0
「けど、そうじゃなかった。そうじゃなかったのよ」
だって阿良々木くん。誰でも助けるんだもん、と。
戦場ヶ原は、そう言った。
「少なくとも、私なら、一度話しかけて逃げられた相手を、しかも幽霊の相手を、助けようとは思わないし、無関係じゃないなんて、言い切れはしないわ」
あなたがそう言ったからよ、と。
戦場ヶ原は淡々と言葉を紡いだ。
しかし、その顔はどこか微笑んでいるような、そんな顔に、僕には見えた。
だって阿良々木くん。誰でも助けるんだもん、と。
戦場ヶ原は、そう言った。
「少なくとも、私なら、一度話しかけて逃げられた相手を、しかも幽霊の相手を、助けようとは思わないし、無関係じゃないなんて、言い切れはしないわ」
あなたがそう言ったからよ、と。
戦場ヶ原は淡々と言葉を紡いだ。
しかし、その顔はどこか微笑んでいるような、そんな顔に、僕には見えた。
129: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:57:49.43 ID:CnznoRGa0
「ずっと一人でいると、自分が特別なんじゃないかって思っちゃうわよね。一人でいると、確かに、その他大勢には、ならないもの。でも、それはなれないだけ。笑っちゃうわ。怪異に行き遭ってから二年以上、私の抱えている問題に気付いた人は、実のところ、たくさんいたけれど…………最終的にどんな結果になろうとも、阿良々木くんみたいなこは、阿良々木くんだけだったから」
「当たり前だろ。僕は僕だけなんだから」
「そうね。その通りだわ」
戦場ヶ原は微笑んだ。
さて、どうしたもんか。これからの展開は、ある程度予想がつくけれど。
まあでも、その予想通りに動く必要はないよな。
「当たり前だろ。僕は僕だけなんだから」
「そうね。その通りだわ」
戦場ヶ原は微笑んだ。
さて、どうしたもんか。これからの展開は、ある程度予想がつくけれど。
まあでも、その予想通りに動く必要はないよな。
130: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:58:36.00 ID:CnznoRGa0
「まあ、でも、僕のことを勘違いしてたっていうんだったら、これから正していけばいいんじゃないか?」
戦場ヶ原にとって、僕とこんなに話したのなんて、その月曜日と火曜日、それに今日…………だけなのだから。
たかだか三日だけである。
クラスが三年、同じだとはいっても………
ほとんど他人みたいなものだった。
「そうね」
戦場ヶ原は反論せずに頷いて、言う。
「だから、もっと、あなたと、話したい」
もっと、たくさんの時間を。
知るために。
「だから、阿良々木くん。私は………………ねえ、ちょっと、聞いてるの?阿良々木くん」
「夕日」
「え?」
「ちょっと、夕日に見蕩れてた」
「……………似合わないわね」
「そう言うなって。なあ、戦場ヶ原。見蕩れるの蕩れるって、すごい言葉だと思わないか?…………………………」
なんて、そんな風に、僕の方から言ってみるのも、僕のやりたかったことの一つなのだ。
戦場ヶ原にとって、僕とこんなに話したのなんて、その月曜日と火曜日、それに今日…………だけなのだから。
たかだか三日だけである。
クラスが三年、同じだとはいっても………
ほとんど他人みたいなものだった。
「そうね」
戦場ヶ原は反論せずに頷いて、言う。
「だから、もっと、あなたと、話したい」
もっと、たくさんの時間を。
知るために。
「だから、阿良々木くん。私は………………ねえ、ちょっと、聞いてるの?阿良々木くん」
「夕日」
「え?」
「ちょっと、夕日に見蕩れてた」
「……………似合わないわね」
「そう言うなって。なあ、戦場ヶ原。見蕩れるの蕩れるって、すごい言葉だと思わないか?…………………………」
なんて、そんな風に、僕の方から言ってみるのも、僕のやりたかったことの一つなのだ。
131: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 10:59:18.98 ID:CnznoRGa0
後日談というか、今回のオチ。
翌日、いつものように二人の妹、火憐と月火に叩き起こされる前に、僕は家を出た。
あいつとの約束を果たす為に。
「鬼いちゃん。ついでに、僕にもハーゲンダッツを買ってくれないかい?」
「なんでついてきた」?
「知らない仲じゃないしね」
なんて、そんなことを言う斧乃木ちゃんとあいつの分、二人分のアイスを買って、僕達は、目的地に向かった。
目的地。八九寺真宵のお墓に。
場所自体は、随分前から八九寺に聞いていたけれど、僕の気持ちの整理がつかないまま、いつの間に、忘れていた。
だから、あの夢は、いいきっかけになった。
翌日、いつものように二人の妹、火憐と月火に叩き起こされる前に、僕は家を出た。
あいつとの約束を果たす為に。
「鬼いちゃん。ついでに、僕にもハーゲンダッツを買ってくれないかい?」
「なんでついてきた」?
「知らない仲じゃないしね」
なんて、そんなことを言う斧乃木ちゃんとあいつの分、二人分のアイスを買って、僕達は、目的地に向かった。
目的地。八九寺真宵のお墓に。
場所自体は、随分前から八九寺に聞いていたけれど、僕の気持ちの整理がつかないまま、いつの間に、忘れていた。
だから、あの夢は、いいきっかけになった。
132: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/26(日) 11:00:03.88 ID:CnznoRGa0
「ほら、八九寺。約束のアイスだぞ」
お供え物にアイスだなんて、常識を考えてかなりおかしいし、もしも八九寺の親が見たらなんて思うかわからないけれど。
でも、まあ、約束は約束だしな。
「鬼いちゃん。そろそろ帰らないと。僕がいなくなっていることに、妹さんが気づいたら大変なんじゃないのかい?」
「………………………」
だったらなぜついてきた。
けど、斧乃木ちゃんに言われなければ、僕はいつまでもここに居座ってしまいそうなので、だから今日は、ここら辺が潮時だろう。
「じゃあな、八九寺。お小遣いは、だからまた今度ってことで」
次に来るのは、そうだな。合格したことを伝えるため、来るとしよう。
お供え物にアイスだなんて、常識を考えてかなりおかしいし、もしも八九寺の親が見たらなんて思うかわからないけれど。
でも、まあ、約束は約束だしな。
「鬼いちゃん。そろそろ帰らないと。僕がいなくなっていることに、妹さんが気づいたら大変なんじゃないのかい?」
「………………………」
だったらなぜついてきた。
けど、斧乃木ちゃんに言われなければ、僕はいつまでもここに居座ってしまいそうなので、だから今日は、ここら辺が潮時だろう。
「じゃあな、八九寺。お小遣いは、だからまた今度ってことで」
次に来るのは、そうだな。合格したことを伝えるため、来るとしよう。
148: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/29(水) 23:28:40.16 ID:SUcqucNi0
「まよいまよっ!次回予告をお聞きの皆さん、コンバトラー!」
「この世に蔓延するあらゆる不正に物申したい、人読んで、物申しの申し子こと私ですが、いかがお過ごしでしょうか?」
「今日は“アイスクリーム”にモンスーン!
我々の日常生活に深く溶け込んでいるアイスクリームですが、しかしどうでしょう」
「私のような子供が言うならまだしも、大の大人が『アイスクリーム食べたい』などと言うのは、些か幼稚に聞こえませんか?」
「ただアイスと言えば、そこまで幼稚には聞こえませんから、このば場合、悪いのはクリームという単語でしょう。これはいけません。アイスクリームだけにいただけません!」
「そこで僭越ながら不肖私が、アイスクリームを大人っぽく言い換えることを提案します」
「ソフトクリームならぬ、アイスハード!」
「………………固そうですっ!食べにくそうですっ!」
「次回、心が強くてニューゲーム其ノ參」
「みーんなで噛むまよ!」
「この世に蔓延するあらゆる不正に物申したい、人読んで、物申しの申し子こと私ですが、いかがお過ごしでしょうか?」
「今日は“アイスクリーム”にモンスーン!
我々の日常生活に深く溶け込んでいるアイスクリームですが、しかしどうでしょう」
「私のような子供が言うならまだしも、大の大人が『アイスクリーム食べたい』などと言うのは、些か幼稚に聞こえませんか?」
「ただアイスと言えば、そこまで幼稚には聞こえませんから、このば場合、悪いのはクリームという単語でしょう。これはいけません。アイスクリームだけにいただけません!」
「そこで僭越ながら不肖私が、アイスクリームを大人っぽく言い換えることを提案します」
「ソフトクリームならぬ、アイスハード!」
「………………固そうですっ!食べにくそうですっ!」
「次回、心が強くてニューゲーム其ノ參」
「みーんなで噛むまよ!」
154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:36:20.81 ID:7GEf+ffb0
「あ…………ありゃりゃ木さん」
「…………………人の名前をうっかり八兵衛みたいに言うな。僕の名前は阿良々木だ」
「可愛らしいと思いますが」
「すげえヘタレな奴みたいだ」
………………また、昔の夢か。
最近こういうの多いな。昔の夢をよくみるなんて、なんかおじいちゃんみたいだな。
今回は…………おそらく神原の時の夢だろう。
「阿良々木さん、今日はどちらに?」
「ん。一旦家」
「一旦?するとその後、お出かけですか」
「まあ、そんな感じ………………本当は、戦場ヶ原と勉強する約束だったんだけど、ちょっと、急用が入っちゃってな」
「戦場ヶ原さん…………………」
八九寺は腕を組んで、すっと俯く。
「…………………人の名前をうっかり八兵衛みたいに言うな。僕の名前は阿良々木だ」
「可愛らしいと思いますが」
「すげえヘタレな奴みたいだ」
………………また、昔の夢か。
最近こういうの多いな。昔の夢をよくみるなんて、なんかおじいちゃんみたいだな。
今回は…………おそらく神原の時の夢だろう。
「阿良々木さん、今日はどちらに?」
「ん。一旦家」
「一旦?するとその後、お出かけですか」
「まあ、そんな感じ………………本当は、戦場ヶ原と勉強する約束だったんだけど、ちょっと、急用が入っちゃってな」
「戦場ヶ原さん…………………」
八九寺は腕を組んで、すっと俯く。
155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:37:15.27 ID:7GEf+ffb0
「フルネームは、戦場ヶ原ひたぎ……………なんだけど。ほら、お前を道案内してくれたあの…………………」
「ああ、あのツンデレの方ですか」
「…………………………」
思い出すのが早いというより、そもそも忘れてなどいないといった風に、八九寺は答えた。
まあ、夢の中に限っては、二人は気があっているように思えた。
攻撃的ベクトルが僕に向かっているときなんか特に。
……………嫌な気のあいかただった。
考えようによっては、八九寺が、羽川と阿良々木暦被害者の会を結成するよりも、戦場ヶ原と阿良々木暦撲滅の会を結成する方が僕にとっては厄介かもしれない。
というか、そんな会が結成されれば、一週間もしない内に本当に僕が消されそうだけれど。
「ああ、あのツンデレの方ですか」
「…………………………」
思い出すのが早いというより、そもそも忘れてなどいないといった風に、八九寺は答えた。
まあ、夢の中に限っては、二人は気があっているように思えた。
攻撃的ベクトルが僕に向かっているときなんか特に。
……………嫌な気のあいかただった。
考えようによっては、八九寺が、羽川と阿良々木暦被害者の会を結成するよりも、戦場ヶ原と阿良々木暦撲滅の会を結成する方が僕にとっては厄介かもしれない。
というか、そんな会が結成されれば、一週間もしない内に本当に僕が消されそうだけれど。
156: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:37:45.15 ID:7GEf+ffb0
「ふうむ」
と唸ってみせる八九寺。
「あれ、でも……確か、この間聞いた話によると、その、まあ、何と言えばよいのでしょうか、えーっと」
八九寺はどうやら、慎重に言葉を選んでいるようだ。
つーかまあ、こいつが何を言うつもりなのか、僕は知っているのだけれど。
「八九寺、ここでボケは必要ないぞ。普通に言え普通に」
「はあ。つまらない人間ですね、阿良々木さんは。では、お言葉に従いまして、普通に言うとしましょう。確か、阿良々木さんと戦場ヶ原さんって、男女交際されていましたよね」
「……………うん、まあ」
普通にするのがつまらないとか言うんじゃねえよ。
お前はどっかの中学生か。
と唸ってみせる八九寺。
「あれ、でも……確か、この間聞いた話によると、その、まあ、何と言えばよいのでしょうか、えーっと」
八九寺はどうやら、慎重に言葉を選んでいるようだ。
つーかまあ、こいつが何を言うつもりなのか、僕は知っているのだけれど。
「八九寺、ここでボケは必要ないぞ。普通に言え普通に」
「はあ。つまらない人間ですね、阿良々木さんは。では、お言葉に従いまして、普通に言うとしましょう。確か、阿良々木さんと戦場ヶ原さんって、男女交際されていましたよね」
「……………うん、まあ」
普通にするのがつまらないとか言うんじゃねえよ。
お前はどっかの中学生か。
157: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:38:14.84 ID:7GEf+ffb0
「では、勉強を教えてもらうなんて言っても、そんなのはただの口実にしかならなくて、お二人で乳繰り合ってしまうだけではないですか?」
「そんなことねえよ。ちょっと前から、僕は戦場ヶ原に定期的に勉強を教えてもらってるけれど、あいつ、そういうところには、やたらめったら厳しい奴だから」
「ああ、そういえば、あの方、馬鹿が嫌いそうですよね」
「ああ。けどまあ、結局、急用が入ってそれはなくなったんだけどな」
そういえば、どうやって戦場ヶ原にその事伝えよう。直接言うと、あいつ何言い出すか分かんねえし。
もちろん、約束を破る気はないけれど、それは明日詳しく話せばいいしな。
「そんなことねえよ。ちょっと前から、僕は戦場ヶ原に定期的に勉強を教えてもらってるけれど、あいつ、そういうところには、やたらめったら厳しい奴だから」
「ああ、そういえば、あの方、馬鹿が嫌いそうですよね」
「ああ。けどまあ、結局、急用が入ってそれはなくなったんだけどな」
そういえば、どうやって戦場ヶ原にその事伝えよう。直接言うと、あいつ何言い出すか分かんねえし。
もちろん、約束を破る気はないけれど、それは明日詳しく話せばいいしな。
158: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:39:01.49 ID:7GEf+ffb0
「なあ八九寺、お前って今暇か?」
「ええまあ。暇潰しの方法に、阿良々木さんとの会話を選択するくらいには暇ですが」
「そうか。じゃあお前今日、予定でいっぱいなのか。そりゃ残念だ」
「いえ。今日は今までで一二を争うくらいに暇ですね」
僕は八九寺の頭を叩いた。
八九寺は僕の脛を蹴り返した。
痛みわけ。
相身互い。
「それで、わたしが暇だといったらどうなのですか?」
「いや、ちょっと頼み事をしたいんだけど」
「頼み事、ですか」
あんまりいい選択とはいえないけれど、他にいい方法も思い付かないしな。
「ええまあ。暇潰しの方法に、阿良々木さんとの会話を選択するくらいには暇ですが」
「そうか。じゃあお前今日、予定でいっぱいなのか。そりゃ残念だ」
「いえ。今日は今までで一二を争うくらいに暇ですね」
僕は八九寺の頭を叩いた。
八九寺は僕の脛を蹴り返した。
痛みわけ。
相身互い。
「それで、わたしが暇だといったらどうなのですか?」
「いや、ちょっと頼み事をしたいんだけど」
「頼み事、ですか」
あんまりいい選択とはいえないけれど、他にいい方法も思い付かないしな。
159: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:39:42.70 ID:7GEf+ffb0
「ああ。戦場ヶ原に、急用が入ったから今日の勉強会には行けないって、そう伝えてくれないか?多分まだ、学校にいるはずだから」
「えっと。ちょうどわたしも、あの方にこの間のお礼がしたいと思っていたのでそれは構いませんが、それくらい、ご自分で電話でもすれはよいのでは?」
「酷いこと言うな、八九寺。それは僕に、死ねと言ってるのと同義なんだぜ」
この頃の戦場ヶ原との約束をドタキャンするなんて、はっきり言って正気の沙汰じゃない。
「いや、そんな風に自信満々に言われましても」
どんな男女交際ですか、と八九寺はもっともなことを言う。
「えっと。ちょうどわたしも、あの方にこの間のお礼がしたいと思っていたのでそれは構いませんが、それくらい、ご自分で電話でもすれはよいのでは?」
「酷いこと言うな、八九寺。それは僕に、死ねと言ってるのと同義なんだぜ」
この頃の戦場ヶ原との約束をドタキャンするなんて、はっきり言って正気の沙汰じゃない。
「いや、そんな風に自信満々に言われましても」
どんな男女交際ですか、と八九寺はもっともなことを言う。
160: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:40:34.66 ID:7GEf+ffb0
「しかし、阿良々木さん。わたしは別に構いませんが、戦場ヶ原さんは、わたしのことが見えるのでしょうか?」
「いや、それは大丈夫だと思うぜ。そこんところは間違いない」
今の八九寺は、迷い牛としての機能を果たしていない。
嘘を、ついているのだから。
迷い牛としてのキャラ設定。家に帰りたくない人にだけ見える、という特性も、だから発動されていない。
今の八九寺は、それこそ、霊感と呼ばれるようなものがあれば、それだけで見ることができるのだ。
それが、一度怪異と関わったことのある戦場ヶ原なら、なおさら。
「そうですか。それでは、わたしはこれで」
と、そんな風に。
去っていった八九寺と入れ替わるようにして、背後から、足音が聞こえてきた。
「いや、それは大丈夫だと思うぜ。そこんところは間違いない」
今の八九寺は、迷い牛としての機能を果たしていない。
嘘を、ついているのだから。
迷い牛としてのキャラ設定。家に帰りたくない人にだけ見える、という特性も、だから発動されていない。
今の八九寺は、それこそ、霊感と呼ばれるようなものがあれば、それだけで見ることができるのだ。
それが、一度怪異と関わったことのある戦場ヶ原なら、なおさら。
「そうですか。それでは、わたしはこれで」
と、そんな風に。
去っていった八九寺と入れ替わるようにして、背後から、足音が聞こえてきた。
161: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:41:00.14 ID:7GEf+ffb0
「やあ、阿良々木先輩。奇遇だな」
宣誓でもするように、胸に手を置いて。
そして、にっこりと、軽く微笑みながら、神原駿河は、そう言った。
「こんな仕組まれた奇遇がありえるか」
さて、どうしたもんか。僕の急用ってのは、まあ、今日の内にこいつから事情を聞くってことなんだけど。
考えても仕方ないか。なに、こいつのことだ。多分こいつの家に行きたいと言っても拒みはしないだろうけど。
視線を戻すと、神原は、深々と感じ入っているように、何度も何度も繰り返し、頷いていた。
「……………どうしたんだよ」
「いや、阿良々木先輩の言葉を思い出していたのだ。心に深く銘記するためにな。『こんな仕組まれた奇遇がありえるか』、か………思いつきそうでなかなか思いつきそうにない、見事に状況に即した一言だったなあ、と。当意即妙とはこのことだ」
宣誓でもするように、胸に手を置いて。
そして、にっこりと、軽く微笑みながら、神原駿河は、そう言った。
「こんな仕組まれた奇遇がありえるか」
さて、どうしたもんか。僕の急用ってのは、まあ、今日の内にこいつから事情を聞くってことなんだけど。
考えても仕方ないか。なに、こいつのことだ。多分こいつの家に行きたいと言っても拒みはしないだろうけど。
視線を戻すと、神原は、深々と感じ入っているように、何度も何度も繰り返し、頷いていた。
「……………どうしたんだよ」
「いや、阿良々木先輩の言葉を思い出していたのだ。心に深く銘記するためにな。『こんな仕組まれた奇遇がありえるか』、か………思いつきそうでなかなか思いつきそうにない、見事に状況に即した一言だったなあ、と。当意即妙とはこのことだ」
162: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:41:41.71 ID:7GEf+ffb0
「………………………」
「うん、そうなのだ」
そして、神原は言った。
「実は私は阿良々木先輩を追いかけてきたのだ」
「だろうな。知ってたよ」
「そうか、知っていたか。さすがは阿良々木先輩だ、私のような若輩がやるようなことは、全てお見通しなのだな。決まり悪くて面映ゆい限りではあるが、しかし素直に、感服するばかりだぞ」
「…………………………」
なんか、懐かしいな。
今でこそ打ち解けたからそうでもないけれど、この頃のこいつって、ただただ可能な限り僕のことを持ち上げてたよな。
………………これはちょっと、面倒くせえな。
「うん、そうなのだ」
そして、神原は言った。
「実は私は阿良々木先輩を追いかけてきたのだ」
「だろうな。知ってたよ」
「そうか、知っていたか。さすがは阿良々木先輩だ、私のような若輩がやるようなことは、全てお見通しなのだな。決まり悪くて面映ゆい限りではあるが、しかし素直に、感服するばかりだぞ」
「…………………………」
なんか、懐かしいな。
今でこそ打ち解けたからそうでもないけれど、この頃のこいつって、ただただ可能な限り僕のことを持ち上げてたよな。
………………これはちょっと、面倒くせえな。
163: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:42:20.52 ID:7GEf+ffb0
「で、神原。今日は何の用なんだ?」
「ああ、そう………………」
ここまで常にはきはきと、淀みなく応答してきた神原は、ここで初めて、言葉に迷った。
しかしそれも一瞬、結局、すぐに頬に微笑みをたたえて、
「………今朝の新聞の国際面、読んだろう?ロシアのこれからの政治情勢について、阿良々木の意見を聞きたいんだ」
なんた、神原の口から出たのはそんな言葉だった。
それは、こいつの聞きたいことなんかではなく。
それは、こいつのやりたいことなんかではなく。
彼女の……………戦場ヶ原ひたぎのことでも、なかった。
「ああ、そう………………」
ここまで常にはきはきと、淀みなく応答してきた神原は、ここで初めて、言葉に迷った。
しかしそれも一瞬、結局、すぐに頬に微笑みをたたえて、
「………今朝の新聞の国際面、読んだろう?ロシアのこれからの政治情勢について、阿良々木の意見を聞きたいんだ」
なんた、神原の口から出たのはそんな言葉だった。
それは、こいつの聞きたいことなんかではなく。
それは、こいつのやりたいことなんかではなく。
彼女の……………戦場ヶ原ひたぎのことでも、なかった。
164: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:42:56.97 ID:7GEf+ffb0
「………………そうじゃないだろ」
「ああ、インドの話の方が阿良々木先輩の好みだったかな?」
呟くような僕の言葉に対し、しかし神原は、なおもそんなことを言った。
「ただ、私は残念ながらこの通り、体育会系、アウトドア系の人間なものでな、IT関連は………………」
「神原!」
「……………………………」
思わず、語気を荒くしてしまった僕を見て、神原は喋るのを止めた。
「そんなことじゃないだろ。お前の用ってのは」
「……………………………」
「神原、言いたいことがあるなら言ってくれ。伝えたいことがあるなら話してくれ。僕は馬鹿だから、遠回しなやり方じゃ、お前が何を言いたいか、伝えたいか、したいか、わかんねえよ」
「ああ、インドの話の方が阿良々木先輩の好みだったかな?」
呟くような僕の言葉に対し、しかし神原は、なおもそんなことを言った。
「ただ、私は残念ながらこの通り、体育会系、アウトドア系の人間なものでな、IT関連は………………」
「神原!」
「……………………………」
思わず、語気を荒くしてしまった僕を見て、神原は喋るのを止めた。
「そんなことじゃないだろ。お前の用ってのは」
「……………………………」
「神原、言いたいことがあるなら言ってくれ。伝えたいことがあるなら話してくれ。僕は馬鹿だから、遠回しなやり方じゃ、お前が何を言いたいか、伝えたいか、したいか、わかんねえよ」
165: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:43:25.49 ID:7GEf+ffb0
「阿良々木先輩はさすがだな。見事な洞察力だ。まるで探偵小説の主人公のようだぞ」
なんて、そんな風なことを言った後に神原は、
「うむ。そうなのだ、阿良々木先輩。実は、相談したいことがあるのだけれど、阿良々木先輩が多忙の身であることは重々招致しているが、どうか、私の家まで、付き合って欲しい」
と、言った。
「ああ、いいよ」
そんなわけで、僕達二人は、正確に言うならば自転車を漕いでいる僕と、それにランニングで並走している神原は、神原宅に向かっていた。
僕は夢の中でまで、こいつの部屋を掃除することになるのか、とか。
そんなことを、考えながら。
なんて、そんな風なことを言った後に神原は、
「うむ。そうなのだ、阿良々木先輩。実は、相談したいことがあるのだけれど、阿良々木先輩が多忙の身であることは重々招致しているが、どうか、私の家まで、付き合って欲しい」
と、言った。
「ああ、いいよ」
そんなわけで、僕達二人は、正確に言うならば自転車を漕いでいる僕と、それにランニングで並走している神原は、神原宅に向かっていた。
僕は夢の中でまで、こいつの部屋を掃除することになるのか、とか。
そんなことを、考えながら。
166: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:44:00.69 ID:7GEf+ffb0
「さて、何から話したものかな、阿良々木先輩。なにぶん私はこの通り口不調法なもので、こういう場合の手順というのはよくわからないのだが……………」
神原の家を着き、言ってはなんだがあのごみ溜めのような部屋を掃除した後、神原はそう切り出した。
「最初からでいいよ。なんでも、お前が言いたいこと、全部言えばいい」
「そう言ってもらえると、私としては有り難いな。しかし………阿良々木先輩は、突拍子もないことを、信じることができるタイプの人間かどうか、最初に質問しておきたいのだが」
まあ、それは当然か。神原は、戦場ヶ原のことは知っているけど、僕の身体のことは、何も知らないんだから。
「ああ、大丈夫だ。僕は自分の目で見たものしか信じないよ。だから、見たものは全部、信じてきた。戦場ヶ原のことも、勿論な」
神原の家を着き、言ってはなんだがあのごみ溜めのような部屋を掃除した後、神原はそう切り出した。
「最初からでいいよ。なんでも、お前が言いたいこと、全部言えばいい」
「そう言ってもらえると、私としては有り難いな。しかし………阿良々木先輩は、突拍子もないことを、信じることができるタイプの人間かどうか、最初に質問しておきたいのだが」
まあ、それは当然か。神原は、戦場ヶ原のことは知っているけど、僕の身体のことは、何も知らないんだから。
「ああ、大丈夫だ。僕は自分の目で見たものしか信じないよ。だから、見たものは全部、信じてきた。戦場ヶ原のことも、勿論な」
167: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:44:31.80 ID:7GEf+ffb0
「……なんだ、そこまでバレていたのか」
言われても、さして悪びれる風もなく、後ろめたさもそれほど感じさせず、神原は、「しかし」と言う。
「誤解しないで欲しい。私は、戦場ヶ原先輩とのことを知りたくて、ここ最近、阿良々木先輩について回っていたというわけではないんだ」
「…………だろうな」
「さすがは阿良々木先輩。私の行動など、全てお見通しというわけだな」
「別に、そんなんじゃないさ」
「それで、早速なのだが、阿良々木先輩に、見て欲しいものがあるのだ」
そう言って、神原は自分の左手の包帯をほどいていった。
「正直に言って、あまり人に見られたいものではないのだが、まあ、そんなことも言ってられまい」
包帯の下から現れたのは、真っ黒い毛むくじゃらの、骨ばった左手。
猿の手。
否、悪魔の手だった。
言われても、さして悪びれる風もなく、後ろめたさもそれほど感じさせず、神原は、「しかし」と言う。
「誤解しないで欲しい。私は、戦場ヶ原先輩とのことを知りたくて、ここ最近、阿良々木先輩について回っていたというわけではないんだ」
「…………だろうな」
「さすがは阿良々木先輩。私の行動など、全てお見通しというわけだな」
「別に、そんなんじゃないさ」
「それで、早速なのだが、阿良々木先輩に、見て欲しいものがあるのだ」
そう言って、神原は自分の左手の包帯をほどいていった。
「正直に言って、あまり人に見られたいものではないのだが、まあ、そんなことも言ってられまい」
包帯の下から現れたのは、真っ黒い毛むくじゃらの、骨ばった左手。
猿の手。
否、悪魔の手だった。
168: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:45:09.50 ID:7GEf+ffb0
「まあ、こういうことなのだが」
「悪魔の手」
僕は言った。
僕の思ったことではなく、真実を。
「悪魔の手……………みたいだ」
「ほう」
神原は、何故か………感嘆したような表情をした。
あれ、おかしいな。まだこの時点でこいつは、これを猿の手だと認識していたはずなんだけど。
しかも、僕としては、一見してこれを悪魔の手と言うのは、ちょっと無理があるんじゃないかと思っていたくらいなんだけれど。
「阿良々木先輩は、やはり計り知れないほどの慧眼だな。恐れ入った、持っている目がまるで違う。凡俗極まりない私などには、全く思いつかないような答えを導き出してしまうのだな」
「………………………………」
「悪魔の手」
僕は言った。
僕の思ったことではなく、真実を。
「悪魔の手……………みたいだ」
「ほう」
神原は、何故か………感嘆したような表情をした。
あれ、おかしいな。まだこの時点でこいつは、これを猿の手だと認識していたはずなんだけど。
しかも、僕としては、一見してこれを悪魔の手と言うのは、ちょっと無理があるんじゃないかと思っていたくらいなんだけれど。
「阿良々木先輩は、やはり計り知れないほどの慧眼だな。恐れ入った、持っている目がまるで違う。凡俗極まりない私などには、全く思いつかないような答えを導き出してしまうのだな」
「………………………………」
169: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:46:06.39 ID:7GEf+ffb0
「だが、私はこの手に全く別の解釈を見いだしていたのだ。ウィリアム・ウィマーク・ジェイコブスの短編小説のタイトルなのだが………『猿の手』私はてっきりこれを猿の手だと思っていたのだが」
「いや、多分それは、悪魔の手で間違いないよ。『猿の手』に、自分の手その物が猿の手になるような話はなかったはずだ」
…………って、忍野が言ってたし。
「そうか、悪魔の手。なるほどな…………」
神原は、左手を、ぐーぱーにしながら、そう呟いた。
「この通り、今は、思い通りに動くのだが…………しかし、思い通りに動かなくなるときがあるのだ。いや、違うな。思いに反して動くようになる、というのだろうか…………」
「トランス」
神原の説明に、僕は割り込んだ。
「トランス状態。って奴だよ、それ。知ってる?……………人間に憑依するタイプの怪異は、肉体と精神を、ざくざくに*辱するから」
「いや、多分それは、悪魔の手で間違いないよ。『猿の手』に、自分の手その物が猿の手になるような話はなかったはずだ」
…………って、忍野が言ってたし。
「そうか、悪魔の手。なるほどな…………」
神原は、左手を、ぐーぱーにしながら、そう呟いた。
「この通り、今は、思い通りに動くのだが…………しかし、思い通りに動かなくなるときがあるのだ。いや、違うな。思いに反して動くようになる、というのだろうか…………」
「トランス」
神原の説明に、僕は割り込んだ。
「トランス状態。って奴だよ、それ。知ってる?……………人間に憑依するタイプの怪異は、肉体と精神を、ざくざくに*辱するから」
170: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:47:09.94 ID:7GEf+ffb0
「猿の手のことといい、物知りだな、阿良々木先輩は。そうか、怪異というのか、こういうのは……………」
「まあ、僕も、とりたてて詳しいというわけじゃないんだが。そういうのに詳しい奴が、いて」
「うん。そうか、阿良々木先輩が大きな人でよかった。この腕を見せた段階で逃げ出されでもしていたら、話はできなかったからな。それに、少なからず、傷ついていたと思う」
「幸い、だから、突拍子もないことには、色々と慣れてるからさ、安心しろよ。戦場ヶ原のことも、勿論な」
……………僕が吸血鬼だって事前情報は、与えない方がいいよな。もしこいつがそれを知れば、一度目の遭遇の時点で、現実みたいに止めを刺すことを焦らないなんてこともなくなっちまうし。
「まあ、僕も、とりたてて詳しいというわけじゃないんだが。そういうのに詳しい奴が、いて」
「うん。そうか、阿良々木先輩が大きな人でよかった。この腕を見せた段階で逃げ出されでもしていたら、話はできなかったからな。それに、少なからず、傷ついていたと思う」
「幸い、だから、突拍子もないことには、色々と慣れてるからさ、安心しろよ。戦場ヶ原のことも、勿論な」
……………僕が吸血鬼だって事前情報は、与えない方がいいよな。もしこいつがそれを知れば、一度目の遭遇の時点で、現実みたいに止めを刺すことを焦らないなんてこともなくなっちまうし。
171: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:47:37.20 ID:7GEf+ffb0
「けど、神原。問題はそこじゃなくて、その先だろ」
問題は、神原が木乃伊に。
悪魔の手に、願ったこと。
「阿良々木先輩はさすがだな。常に先を見通そうとするその心構え、常に目先のことで手一杯の私も、見習いたいところだ 」
「それでは、本題に入らせてもらおうと思う」
戦場ヶ原ひたぎへの羨望。
阿良々木暦への嫉妬。
「私はレズなのだ」
「…………………」
ずっこけた。
藤子不二雄先生の漫画みたいにずっこけた。
僕は、お前のことを甘くみていたよ。
そういえば、そんな話もしたっけか。
問題は、神原が木乃伊に。
悪魔の手に、願ったこと。
「阿良々木先輩はさすがだな。常に先を見通そうとするその心構え、常に目先のことで手一杯の私も、見習いたいところだ 」
「それでは、本題に入らせてもらおうと思う」
戦場ヶ原ひたぎへの羨望。
阿良々木暦への嫉妬。
「私はレズなのだ」
「…………………」
ずっこけた。
藤子不二雄先生の漫画みたいにずっこけた。
僕は、お前のことを甘くみていたよ。
そういえば、そんな話もしたっけか。
172: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:48:20.25 ID:7GEf+ffb0
出だしこそそんな風だったけれど、その後、神原は戦場ヶ原に対しての思いを話始めた。
戦場ヶ原と一緒にいた二年間。
それよりも重かった、戦場ヶ原がいなかった一年間。
そして、戦場ヶ原に、拒絶されたこと。
「あなたのことなんて友達とも思っていなければ後輩とも思っていない……………今も昔も。そんなことを、はっきり言われた」
神原は、下を向く。
「けど、戦場ヶ原だって、お前のこと、本気で嫌いになったわけじゃないと思うぜ。ただ、お前に迷惑をかけたくなかっただけで…………………」
「優しいな、阿良々木先輩は」
僕の慰めを、神原は遮った。
戦場ヶ原と一緒にいた二年間。
それよりも重かった、戦場ヶ原がいなかった一年間。
そして、戦場ヶ原に、拒絶されたこと。
「あなたのことなんて友達とも思っていなければ後輩とも思っていない……………今も昔も。そんなことを、はっきり言われた」
神原は、下を向く。
「けど、戦場ヶ原だって、お前のこと、本気で嫌いになったわけじゃないと思うぜ。ただ、お前に迷惑をかけたくなかっただけで…………………」
「優しいな、阿良々木先輩は」
僕の慰めを、神原は遮った。
173: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:48:47.88 ID:7GEf+ffb0
「でも…………私は自分の無力さを思い知ったのだ。心のどこかで、私なら戦場ヶ原先輩の側にいれると。たとえ、他の人が拒絶されても、私のことは必要としてくれると、そう、思っていた。」
神原は、なおも下を向いたまま、言葉を繋いだ。
「しかし、そばにいるだけで癒せるなんて、思い上がりも甚だしかった。戦場ヶ原先輩はむしろ…………そばに、誰もいて欲しくなかったのだ」
戦場ヶ原は、しかしどうだろう。
あいつは、確かに独りが寂しくない人間なのかもしれない。
けれど。
独りが寂しくない、と。
独りでいたいは、違う。
人付き合いが嫌いなのと、人間嫌いが違うように。
神原は、なおも下を向いたまま、言葉を繋いだ。
「しかし、そばにいるだけで癒せるなんて、思い上がりも甚だしかった。戦場ヶ原先輩はむしろ…………そばに、誰もいて欲しくなかったのだ」
戦場ヶ原は、しかしどうだろう。
あいつは、確かに独りが寂しくない人間なのかもしれない。
けれど。
独りが寂しくない、と。
独りでいたいは、違う。
人付き合いが嫌いなのと、人間嫌いが違うように。
174: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:49:34.54 ID:7GEf+ffb0
「だから私は、それ以来、戦場ヶ原先輩には、近付かなかった。それが、戦場ヶ原先輩が私に望んだ、唯一のことだったからな。勿論、戦場ヶ原先輩のことを忘れることなんてできるわけがなかったけれど」
「…………でも、私が身を引いて、何もしないことで、少しでも戦場ヶ原先輩が救われるというのなら…………それを私はよしとできる」
「神原、けどそれは………………」
逃げているだけで。
辛い現実から、目を背ける自分を正当化しているだけで。
けれど、そんなことを僕に言えるわけがなく。
僕に言う資格など、あるわけがない。
戦場ヶ原を思うこいつの気持ちは、全部、本物なのだから。
「…………でも、私が身を引いて、何もしないことで、少しでも戦場ヶ原先輩が救われるというのなら…………それを私はよしとできる」
「神原、けどそれは………………」
逃げているだけで。
辛い現実から、目を背ける自分を正当化しているだけで。
けれど、そんなことを僕に言えるわけがなく。
僕に言う資格など、あるわけがない。
戦場ヶ原を思うこいつの気持ちは、全部、本物なのだから。
175: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:50:25.32 ID:7GEf+ffb0
「一年は、それでやり過ごしたのだ。それで我武者羅になって、バスケットボールにより熱中できたのは、果たして、よかったのか悪かったのか………」
神原は、自嘲気味にそう笑った。
重い。
想い。
「でも……………そんな一年が経って、私は、阿良々木先輩のことを、知ってしまった」
「……………………………」
「いてもたってもいられず、一年ぶりに、私は、自発的に、戦場ヶ原先輩を…………訪れた。訪れようとした」
「戦場ヶ原先輩は…………阿良々木先輩と、朝の教室で、蝶々喃々と、話していた。中学時代でも私に見せてくれたことがないような、幸せそうな、笑顔でな」
いつの間にか、神原は顔を上げていた。
しかし、その顔は、さっきまでのような爽やかな笑顔ではなく。
僕を睨むような、そんな顔で。
神原は、自嘲気味にそう笑った。
重い。
想い。
「でも……………そんな一年が経って、私は、阿良々木先輩のことを、知ってしまった」
「……………………………」
「いてもたってもいられず、一年ぶりに、私は、自発的に、戦場ヶ原先輩を…………訪れた。訪れようとした」
「戦場ヶ原先輩は…………阿良々木先輩と、朝の教室で、蝶々喃々と、話していた。中学時代でも私に見せてくれたことがないような、幸せそうな、笑顔でな」
いつの間にか、神原は顔を上げていた。
しかし、その顔は、さっきまでのような爽やかな笑顔ではなく。
僕を睨むような、そんな顔で。
176: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:50:56.77 ID:7GEf+ffb0
「わかるか?」
「阿良々木先輩は、私がしたくてしたくてしょうがなかったのに諦めていたことを…………まるで当然のように、やっていたのだ」
「………………………」
「最初は、嫉妬した」
一言一言、区切るように言う神原。
「途中で、思い直そうとして」
溢れる感情を、抑えるような声で。
「最後まで、嫉妬した」
そう締めくくった。
「………………………」
「どうして私じゃ駄目だったのかと思った。阿良々木先輩に嫉妬したし、戦場ヶ原先輩に失望した。男だったらいいのかと思った。私が女だから駄目なのかと思った。友達や後輩はいらないけれど、恋人なよかったのかと。だったら……………」
「阿良々木先輩は、私がしたくてしたくてしょうがなかったのに諦めていたことを…………まるで当然のように、やっていたのだ」
「………………………」
「最初は、嫉妬した」
一言一言、区切るように言う神原。
「途中で、思い直そうとして」
溢れる感情を、抑えるような声で。
「最後まで、嫉妬した」
そう締めくくった。
「………………………」
「どうして私じゃ駄目だったのかと思った。阿良々木先輩に嫉妬したし、戦場ヶ原先輩に失望した。男だったらいいのかと思った。私が女だから駄目なのかと思った。友達や後輩はいらないけれど、恋人なよかったのかと。だったら……………」
177: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:51:32.48 ID:7GEf+ffb0
「だったら、私でもいいはずじゃないか」
後輩で、年下の女の子だと思っていても、性格的に逆上して僕につかみかかってくるようなことはないだろうとわかっていても。
これが夢だとわかっていても。
それでも、怯んでしまうような、それは、剣幕だった。
「そして……………そんな自分に呆れ果てた。そんなのは全部、私のエゴだった」
「そうしていれば、戦場ヶ原先輩に、褒めてもらえるとでも思っていたのか?馬鹿馬鹿しい。偽善にもほどがある。でも、それでも………………私は、昔みたいに…………戦場ヶ原先輩に、優しくして、もらいたかったのだ。偽善でも何でも、戦場ヶ原先輩のそばにいたい………だから」
と。
神原は、自分の右手で、自分の左手に触れた。
毛むくじゃらの、悪魔の手に、触れた。
「だから私は、この手に、そう願ったんだ」
後輩で、年下の女の子だと思っていても、性格的に逆上して僕につかみかかってくるようなことはないだろうとわかっていても。
これが夢だとわかっていても。
それでも、怯んでしまうような、それは、剣幕だった。
「そして……………そんな自分に呆れ果てた。そんなのは全部、私のエゴだった」
「そうしていれば、戦場ヶ原先輩に、褒めてもらえるとでも思っていたのか?馬鹿馬鹿しい。偽善にもほどがある。でも、それでも………………私は、昔みたいに…………戦場ヶ原先輩に、優しくして、もらいたかったのだ。偽善でも何でも、戦場ヶ原先輩のそばにいたい………だから」
と。
神原は、自分の右手で、自分の左手に触れた。
毛むくじゃらの、悪魔の手に、触れた。
「だから私は、この手に、そう願ったんだ」
178: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:52:06.29 ID:7GEf+ffb0
「じゃあ、また明日。迎えにくるから」
結局、その日の内に、神原を忍野のところに連れてはいかなかった。?
というかそれは、時間的に無理だった。
時刻はまもなく日が沈もうとしているような時だったので、忍野のところに行く途中で、神原が悪魔。レイニーデビルになってしまう可能性があったからだ。
「しかし、阿良々木先輩。大丈夫なのか?私が言うのもなんだが、今夜辺り、私が阿良々木先輩のことを襲ってしまうかもしれないのだぞ?」
そんな風に、僕のことを心配する神原。
もしかしたら、心配しているのは僕じゃないかもしれないけれど。
「大丈夫だって。そこは、心配ないよ」
「……………そうか。うむ、ではまた明日」
だから現在、僕は家に帰る途中。とは言っても、神原に家まで乗り込まれても来ても困るし。だから、適当にぶらぶらしながらの、そんな帰り道だった。
結局、その日の内に、神原を忍野のところに連れてはいかなかった。?
というかそれは、時間的に無理だった。
時刻はまもなく日が沈もうとしているような時だったので、忍野のところに行く途中で、神原が悪魔。レイニーデビルになってしまう可能性があったからだ。
「しかし、阿良々木先輩。大丈夫なのか?私が言うのもなんだが、今夜辺り、私が阿良々木先輩のことを襲ってしまうかもしれないのだぞ?」
そんな風に、僕のことを心配する神原。
もしかしたら、心配しているのは僕じゃないかもしれないけれど。
「大丈夫だって。そこは、心配ないよ」
「……………そうか。うむ、ではまた明日」
だから現在、僕は家に帰る途中。とは言っても、神原に家まで乗り込まれても来ても困るし。だから、適当にぶらぶらしながらの、そんな帰り道だった。
179: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:52:52.52 ID:7GEf+ffb0
「さて、どうしたもんか」
これから僕がする予定のことは二つで、どちらを先にするかを決めかねていた。
先に、羽川に電話をするか、戦場ヶ原に電話をするか。
羽川には用事がなくても電話をしたいし、聞きたいこともある。
戦場ヶ原には、今回のことを伝えなきゃならない。まあ、正直怖いけど。
「まあ、迷ってても仕方ないか」
そう思って、戦場ヶ原からの電話やメールから逃れるために電源を切っていた携帯の電源を入れる。
すると、案の定、
メール三十六件
電話二十四回
…………………決めた、羽川を先にしよう。
これから僕がする予定のことは二つで、どちらを先にするかを決めかねていた。
先に、羽川に電話をするか、戦場ヶ原に電話をするか。
羽川には用事がなくても電話をしたいし、聞きたいこともある。
戦場ヶ原には、今回のことを伝えなきゃならない。まあ、正直怖いけど。
「まあ、迷ってても仕方ないか」
そう思って、戦場ヶ原からの電話やメールから逃れるために電源を切っていた携帯の電源を入れる。
すると、案の定、
メール三十六件
電話二十四回
…………………決めた、羽川を先にしよう。
180: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:54:01.82 ID:7GEf+ffb0
「もしもし?」
「はい、お待たせしました、羽川です」
「……………………」
やっぱり、携帯電話でその台詞は、ちょっとおかしくないか?
「どうしたの?阿良々木くんが私に電話をかけてくるなんて、珍しいね」
「ああ、お前にちょっと訊きたいことがあってさ」
「訊きたいこと?別にいいけど。あ、文化祭の出し物の件?でも、実力テストが終わるまでは、文化祭のことについてはあんまり考えない方がいいんじゃないのかな。せっかく、戦場ヶ原さんに………………」
「……相槌くらい打たせてくれ」
本当、話を勝手に進める奴だよな。
思い込みが激しい上に、一瀉千里によく喋る。
「はい、お待たせしました、羽川です」
「……………………」
やっぱり、携帯電話でその台詞は、ちょっとおかしくないか?
「どうしたの?阿良々木くんが私に電話をかけてくるなんて、珍しいね」
「ああ、お前にちょっと訊きたいことがあってさ」
「訊きたいこと?別にいいけど。あ、文化祭の出し物の件?でも、実力テストが終わるまでは、文化祭のことについてはあんまり考えない方がいいんじゃないのかな。せっかく、戦場ヶ原さんに………………」
「……相槌くらい打たせてくれ」
本当、話を勝手に進める奴だよな。
思い込みが激しい上に、一瀉千里によく喋る。
181: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:54:31.82 ID:7GEf+ffb0
「ヴァルハラコンビ」
「え?」
「羽川って、戦場ヶ原や神原と同じ中学だったんだろ?だったら、ヴァルハラコンビってのも知ってるだろ?」
「そりゃ、勿論、知ってるけど?なに、それがどうかしたの?」
「いや、まあ、ちょっと興味があってさ」
「それは、ヴァルハラコンビの名前に興味があるってこと?それとも、ヴァルハラコンビの関係、みたいなことに興味があるのかな?」
「……………後者、かな」
「そう。でも、私は大したことなんて知らないのよ」
「それでもいいんだ。ほんとに、ちょっと気になったってだけだから」
「え?」
「羽川って、戦場ヶ原や神原と同じ中学だったんだろ?だったら、ヴァルハラコンビってのも知ってるだろ?」
「そりゃ、勿論、知ってるけど?なに、それがどうかしたの?」
「いや、まあ、ちょっと興味があってさ」
「それは、ヴァルハラコンビの名前に興味があるってこと?それとも、ヴァルハラコンビの関係、みたいなことに興味があるのかな?」
「……………後者、かな」
「そう。でも、私は大したことなんて知らないのよ」
「それでもいいんだ。ほんとに、ちょっと気になったってだけだから」
182: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:55:02.00 ID:7GEf+ffb0
羽川からヴァルハラコンビのことを聞くのは二度目だったが、それでも、聞いておきたかった。
おそらく、あいつを説得することになるから、そのために。
昔の、あいつらのことを、知っておきたかった。
「あ、そういえばさ、ヴァルハラコンビって誰が名付けたのか、お前知ってる?」
「うん。知ってる。神原さんが自分でつけたんだよね」
可愛いとこあるよね、彼女、と。
羽川は笑いながらそう言った。
「お前は何でも知ってるな」
「何でもは知らないわよ。知ってることだけ」
それは、いつも通りのやり取りだった。
おそらく、あいつを説得することになるから、そのために。
昔の、あいつらのことを、知っておきたかった。
「あ、そういえばさ、ヴァルハラコンビって誰が名付けたのか、お前知ってる?」
「うん。知ってる。神原さんが自分でつけたんだよね」
可愛いとこあるよね、彼女、と。
羽川は笑いながらそう言った。
「お前は何でも知ってるな」
「何でもは知らないわよ。知ってることだけ」
それは、いつも通りのやり取りだった。
183: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:55:35.21 ID:7GEf+ffb0
「………………私が知ってるのはこれくらいだよ」
「そっか。サンキューな、羽川」
「でも、阿良々木くん。あんまり恋人の昔を探るみたいなことは、しない方がいいと思うよ?興味半分面白半分にならないよう、阿良々木くん、その辺りは、きちんと節度を守ってね」
「わかってるよ。………………あ、そうだ」
「なに?」
「母の日のことなんだけどさ」
母の日。
八九寺は、落ち込んだ様子の羽川を見たと言っていた。
あれは、本当なのだろか。
「うーん。私、その日にその公園に行った記憶、ないけどな」
「えっ、そうなのか?」
おかしいな。八九寺が間違えたってことか?
まあでも、手がかりが委員長っぽいってだけだからな。
そういうこともあるか。
「いや、それならいいんだ。じゃあな」
「え、あ、うん。それじゃあ、また明日」
「そっか。サンキューな、羽川」
「でも、阿良々木くん。あんまり恋人の昔を探るみたいなことは、しない方がいいと思うよ?興味半分面白半分にならないよう、阿良々木くん、その辺りは、きちんと節度を守ってね」
「わかってるよ。………………あ、そうだ」
「なに?」
「母の日のことなんだけどさ」
母の日。
八九寺は、落ち込んだ様子の羽川を見たと言っていた。
あれは、本当なのだろか。
「うーん。私、その日にその公園に行った記憶、ないけどな」
「えっ、そうなのか?」
おかしいな。八九寺が間違えたってことか?
まあでも、手がかりが委員長っぽいってだけだからな。
そういうこともあるか。
「いや、それならいいんだ。じゃあな」
「え、あ、うん。それじゃあ、また明日」
184: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:56:11.01 ID:7GEf+ffb0
『おまえんちのちかくのふみきりにる、たすけ』
あらかじめ作っておいた文面を戦場ヶ原に送信する。
よく考えたら、レイニーデビルを追い払うには、戦場ヶ原ひたぎという存在が、必要不可欠だった。
だから、あいつの家の踏切辺りで待機していた僕は、怪異の気配がしたと同時に戦場ヶ原にメールをすることにしたのだ。
そこが、距離的に遠すぎず近すぎずの距離だった。
最初からレイニーデビルのスペックを分かっているから、前回よりは時間が稼げるとは思うが、今の僕は、吸血鬼の能力が使えない状態だ。
時間を稼ぐといっても、そんなに長くは無理だろう。
あらかじめ作っておいた文面を戦場ヶ原に送信する。
よく考えたら、レイニーデビルを追い払うには、戦場ヶ原ひたぎという存在が、必要不可欠だった。
だから、あいつの家の踏切辺りで待機していた僕は、怪異の気配がしたと同時に戦場ヶ原にメールをすることにしたのだ。
そこが、距離的に遠すぎず近すぎずの距離だった。
最初からレイニーデビルのスペックを分かっているから、前回よりは時間が稼げるとは思うが、今の僕は、吸血鬼の能力が使えない状態だ。
時間を稼ぐといっても、そんなに長くは無理だろう。
185: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:56:39.25 ID:7GEf+ffb0
「よう、神原。一時間ぶり」
黒い長靴な、左右のゴム手袋。
レイニーデビル。
神原駿河が、やって来た。
何のために?
勿論、僕を殺すために。
「あ…………………」
何て、そんなことを考えている内に、凄まじい早さで突進してきた神原によって、僕のマウンテンバイクは本当に、あっという間にスクラップと化してしまった。
「くっ!」
続いて、僕自身が吹っ飛ばされる。
何度体験しても、慣れることのない感覚。
どれほど場数を踏んでも関係ない。
とても夢とは思えないような痛みが、全身を襲う。
黒い長靴な、左右のゴム手袋。
レイニーデビル。
神原駿河が、やって来た。
何のために?
勿論、僕を殺すために。
「あ…………………」
何て、そんなことを考えている内に、凄まじい早さで突進してきた神原によって、僕のマウンテンバイクは本当に、あっという間にスクラップと化してしまった。
「くっ!」
続いて、僕自身が吹っ飛ばされる。
何度体験しても、慣れることのない感覚。
どれほど場数を踏んでも関係ない。
とても夢とは思えないような痛みが、全身を襲う。
186: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:57:15.49 ID:7GEf+ffb0
しかし、やはり神原は、ゆっくりと近づいてくる。
彼女は、レイニーデビルは、何も急ぐ必要も焦る必要もないと思っているのだから。
これはやっぱり、吸血鬼のことを教えなくて正解だったな。
この分なら、ギリギリ間に合うか?
「……………………………!」
案の定、神原は方向転換した。
そうするや否や、瞬間、駆け出して……
あっという間に姿を消した。
「よかった。間に合ったか」
「阿良々木くん」
上から、声をかけられた。
少し、息が切れていて、一目で部屋着とわかるような格好で。
戦場ヶ原は、来てくれた。
彼女は、レイニーデビルは、何も急ぐ必要も焦る必要もないと思っているのだから。
これはやっぱり、吸血鬼のことを教えなくて正解だったな。
この分なら、ギリギリ間に合うか?
「……………………………!」
案の定、神原は方向転換した。
そうするや否や、瞬間、駆け出して……
あっという間に姿を消した。
「よかった。間に合ったか」
「阿良々木くん」
上から、声をかけられた。
少し、息が切れていて、一目で部屋着とわかるような格好で。
戦場ヶ原は、来てくれた。
187: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:57:42.64 ID:7GEf+ffb0
「…………よお、ご無沙汰」
「ええ、ご無沙汰ね」
心なしか、言葉に棘がある気がする。
やっぱ、怒ってるよな。
「私との約束をすっぽかすなんて、極刑ものの罪悪よ、阿良々木くん」
「ああ………悪かったよ。それで、八九寺には会えたか?」
「ええ。思っていたよりも、随分と好感が持てる子供だったわ」
「…………そうか」
そりゃ、よかったよ。
「子供嫌いの私にしては珍しく、ね。まあ、そんなことより」
戦場ヶ原は言う。
「何があったのかしら、阿良々木くん。当然、説明してもらえるんでしょうね?」
「ああ、明日。全部説明するよ。今日起こったこと、全部」
ちゃんと、話し合おう。
「ええ、ご無沙汰ね」
心なしか、言葉に棘がある気がする。
やっぱ、怒ってるよな。
「私との約束をすっぽかすなんて、極刑ものの罪悪よ、阿良々木くん」
「ああ………悪かったよ。それで、八九寺には会えたか?」
「ええ。思っていたよりも、随分と好感が持てる子供だったわ」
「…………そうか」
そりゃ、よかったよ。
「子供嫌いの私にしては珍しく、ね。まあ、そんなことより」
戦場ヶ原は言う。
「何があったのかしら、阿良々木くん。当然、説明してもらえるんでしょうね?」
「ああ、明日。全部説明するよ。今日起こったこと、全部」
ちゃんと、話し合おう。
188: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:58:12.88 ID:7GEf+ffb0
「それで、阿良々木くんは、いったい私に何を話してくれるのかしら?」
次の日、学校が終わった後すぐに、戦場ヶ原の家に行った。
怪異のこと、神原のことを、話し合うために。
………………………それしても、夢の中で日を跨いじゃったよ。そもそも、夢の中っていう設定に無理があったんじゃ………………
「何を黙っているのよ」
「………ん、ああ、悪い」
「昨日、僕がお前との約束を破って、何をしてたかっつうと、神原。神原駿河の家に行ってたんだ」
「………………………」
沈黙が返ってくる。
いや、何も返ってってこない。
沈黙が、耐え難い。
「神原駿河か。懐かしい名前だわ」
「…………そっか」
次の日、学校が終わった後すぐに、戦場ヶ原の家に行った。
怪異のこと、神原のことを、話し合うために。
………………………それしても、夢の中で日を跨いじゃったよ。そもそも、夢の中っていう設定に無理があったんじゃ………………
「何を黙っているのよ」
「………ん、ああ、悪い」
「昨日、僕がお前との約束を破って、何をしてたかっつうと、神原。神原駿河の家に行ってたんだ」
「………………………」
沈黙が返ってくる。
いや、何も返ってってこない。
沈黙が、耐え難い。
「神原駿河か。懐かしい名前だわ」
「…………そっか」
189: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:58:40.78 ID:7GEf+ffb0
「それにしても………神原?えらく親しげに呼ぶじゃない」
瞬間で、戦場ヶ原の目つきが剣呑なものへと変化した。普段、全く感情のこもらない戦場ヶ原の瞳が、やにわ物騒な光を放つ。
「いやいやいやいや!親しげになんて全く思っていない。僕は戦場ヶ原一筋だ!」
「あらそう。気持ちのいいことを言ってくれるわね」
お前、怖いよ。
冗談みたいな情の深さだな。
「少し熱くなってしまったかもしれないわ。ともあれ、神原の話だったわね」
戦場ヶ原は相変わらずの手順で、当然のように話を戻す。
「それで、阿良々木くんは私との約束をすっぽかして、神原駿河といったいどんなことをしていたのかしら」
当然のように話を戻した戦場ヶ原だったが、しかし、目つきは変わらず剣呑なままだった。
瞬間で、戦場ヶ原の目つきが剣呑なものへと変化した。普段、全く感情のこもらない戦場ヶ原の瞳が、やにわ物騒な光を放つ。
「いやいやいやいや!親しげになんて全く思っていない。僕は戦場ヶ原一筋だ!」
「あらそう。気持ちのいいことを言ってくれるわね」
お前、怖いよ。
冗談みたいな情の深さだな。
「少し熱くなってしまったかもしれないわ。ともあれ、神原の話だったわね」
戦場ヶ原は相変わらずの手順で、当然のように話を戻す。
「それで、阿良々木くんは私との約束をすっぽかして、神原駿河といったいどんなことをしていたのかしら」
当然のように話を戻した戦場ヶ原だったが、しかし、目つきは変わらず剣呑なままだった。
190: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/30(木) 23:59:54.21 ID:7GEf+ffb0
その後、僕は戦場ヶ原に、昨日何があったのかを伝えた。勿論、神原のことも。
あいつが何を思っていたか。
あいつが何を望んだのか。
あいつが何を願ったのか。
悪魔に、願ったのか。
戦場ヶ原は僕に、中学時代のあいつのことを話した。
部活動の枠を越えて付き合いがあったこと。
僕よりも早く、自身の秘密に気がついたこと。
それを、拒絶したこと。
「つまり、昨日阿良々木くんに怪我を負わせたのは、その悪魔が憑依した神原なのね」
戦場ヶ原は、そう言った。
「まったく。私のダーリンになんてことをしてくれるのかしら」
「……………………………」
あいつが何を思っていたか。
あいつが何を望んだのか。
あいつが何を願ったのか。
悪魔に、願ったのか。
戦場ヶ原は僕に、中学時代のあいつのことを話した。
部活動の枠を越えて付き合いがあったこと。
僕よりも早く、自身の秘密に気がついたこと。
それを、拒絶したこと。
「つまり、昨日阿良々木くんに怪我を負わせたのは、その悪魔が憑依した神原なのね」
戦場ヶ原は、そう言った。
「まったく。私のダーリンになんてことをしてくれるのかしら」
「……………………………」
191: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:01:08.71 ID:S2lyFphF0
「まあ、あいつが願ったのは、僕を殺すとかそんなんじゃなくて、ただ、昔みたいお前と一緒にいたいって……」
しかし、悪魔は持ち主の意思に反する、意思にそぐわない形で願いを叶える。
そのかわりに、願いは何だって叶えてくれる。
だって、魂と引き換えなのだから。
「そう、迷惑かけるわね、阿良々木くん。そうね、それについては、私ができる釈明は一つもないわ」
「別に、迷惑になんか思ってねえよ。ただ、あいつの件を解決するのに、お前に一役買ってもいたいとは、思ってるけど」
「別にいいわよ」
「え?」
戦場ヶ原は、僕の予想を大きく裏切り、即座に頷いた。
しかし、悪魔は持ち主の意思に反する、意思にそぐわない形で願いを叶える。
そのかわりに、願いは何だって叶えてくれる。
だって、魂と引き換えなのだから。
「そう、迷惑かけるわね、阿良々木くん。そうね、それについては、私ができる釈明は一つもないわ」
「別に、迷惑になんか思ってねえよ。ただ、あいつの件を解決するのに、お前に一役買ってもいたいとは、思ってるけど」
「別にいいわよ」
「え?」
戦場ヶ原は、僕の予想を大きく裏切り、即座に頷いた。
192: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:01:42.72 ID:S2lyFphF0
「だって、そうしなければ阿良々木くんは殺されてしまうんでしょ?かといって、あなたが諦めるわけがない。だったら……」
何でもするわ、と。
拍子抜けするほどに、あっさりとそう言った。
「そっか。そりゃ、助かるよ」
「けど、それで私と神原が昔のように仲良く、なんてことにはならないわよ」
「…………………」
「今現在、私とあの子は赤の他人よ」
「けど、大事な後輩だったんだろ」
「だから、それは昔の話。私は、戻るつもりはないのよ」
「今回、阿良々木くんに協力するのは、あなたに死んでほしくないからと、人間関係を清算し切れていなかった私の責任をとるためよ」
けして、神原とまた仲良くなろうと思ってのことじゃない、と。
戦場ヶ原は言った。
何でもするわ、と。
拍子抜けするほどに、あっさりとそう言った。
「そっか。そりゃ、助かるよ」
「けど、それで私と神原が昔のように仲良く、なんてことにはならないわよ」
「…………………」
「今現在、私とあの子は赤の他人よ」
「けど、大事な後輩だったんだろ」
「だから、それは昔の話。私は、戻るつもりはないのよ」
「今回、阿良々木くんに協力するのは、あなたに死んでほしくないからと、人間関係を清算し切れていなかった私の責任をとるためよ」
けして、神原とまた仲良くなろうと思ってのことじゃない、と。
戦場ヶ原は言った。
193: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:02:16.18 ID:S2lyFphF0
「お前が昔に戻る気がなくても、取り戻せるものくらい、あるんじゃないか?」?
「…………………………」
「神原は、お前の大事な後輩で、友達なんだろ?だったらそれは、僕の大事な後輩で、友達だってのと同じだ」
失ったのではなく、捨てたのかもしれない。
けれどそれは、結果からすれば同じことで。
だったら僕は、それを取り戻して欲しいと思う。
「なあ、戦場ヶ原。僕はお前に、失ったものを取り戻して欲しいと。捨てたもの拾って欲しいと。そう、思ってる。だって……………」
だってそれは、僕には絶対にできないことだから…………………
「…………………………」
「神原は、お前の大事な後輩で、友達なんだろ?だったらそれは、僕の大事な後輩で、友達だってのと同じだ」
失ったのではなく、捨てたのかもしれない。
けれどそれは、結果からすれば同じことで。
だったら僕は、それを取り戻して欲しいと思う。
「なあ、戦場ヶ原。僕はお前に、失ったものを取り戻して欲しいと。捨てたもの拾って欲しいと。そう、思ってる。だって……………」
だってそれは、僕には絶対にできないことだから…………………
194: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:02:47.83 ID:S2lyFphF0
「たとえ、全部じゃなくてもいい。そんなことは、言わない。けど、仲のいい後輩くらい、仲のいい友達くらい、いてもいいんじゃないか?」?
「戦場ヶ原ひたぎ。お前の魅力は、僕一人で独占するのには惜しすぎるよ」
「ふふ。嬉しいことを言ってくれるじゃない」
ずっと、沈黙を貫いていた戦場ヶ原は、ようやく口を開いた。
「分かった分かった分かりました。いいでしょう、阿良々木くんのお願いとあれば仕方ないわね」
戦場ヶ原は、表情を崩さず、しかし、極めて愉快そうに言う。
「それにしても、阿良々木くんの動向を探るのも、これで容易くなったは。神原は勿論、八九寺ちゃんにも、昨日お願いしておいたから」
「え?」
「阿良々木くん。あなたの動向はこれから、四六時中私に筒抜けだと思いなさい」
戦場ヶ原は、おそらく、今日一番の微笑みで、そう言った。
「戦場ヶ原ひたぎ。お前の魅力は、僕一人で独占するのには惜しすぎるよ」
「ふふ。嬉しいことを言ってくれるじゃない」
ずっと、沈黙を貫いていた戦場ヶ原は、ようやく口を開いた。
「分かった分かった分かりました。いいでしょう、阿良々木くんのお願いとあれば仕方ないわね」
戦場ヶ原は、表情を崩さず、しかし、極めて愉快そうに言う。
「それにしても、阿良々木くんの動向を探るのも、これで容易くなったは。神原は勿論、八九寺ちゃんにも、昨日お願いしておいたから」
「え?」
「阿良々木くん。あなたの動向はこれから、四六時中私に筒抜けだと思いなさい」
戦場ヶ原は、おそらく、今日一番の微笑みで、そう言った。
195: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:03:13.31 ID:S2lyFphF0
戦場ヶ原との話を終えた後、僕は、神原の家に向かい、神原と合流してから、忍野のいる廃屋に向かった。
戦場ヶ原は、そこには同行していない。
戦場ヶ原いわく、
「あの子も、事が解決する前からいきなり私に会って、それで何となく仲直り、なんてことは望んでいないと思うの。だから、準備が整ったら呼んでちょうだい」
だ、そうだ。
まあ僕も、そこまで口出しするつもりはないので、だから、僕達は二人で、忍野のところへ向かった。
「で…………その人は、忍野メメという名前なのか?メメは、片仮名でいいのか?」
「ああ。とはいえ、名前ほど可愛らしい奴じゃないぞ。というか、言ったけど、アロハ趣味のおっさんだぞ。変な期待はしないでくれ。それに、今回はあいつの力は借りなくてすみそうだから」
戦場ヶ原は、そこには同行していない。
戦場ヶ原いわく、
「あの子も、事が解決する前からいきなり私に会って、それで何となく仲直り、なんてことは望んでいないと思うの。だから、準備が整ったら呼んでちょうだい」
だ、そうだ。
まあ僕も、そこまで口出しするつもりはないので、だから、僕達は二人で、忍野のところへ向かった。
「で…………その人は、忍野メメという名前なのか?メメは、片仮名でいいのか?」
「ああ。とはいえ、名前ほど可愛らしい奴じゃないぞ。というか、言ったけど、アロハ趣味のおっさんだぞ。変な期待はしないでくれ。それに、今回はあいつの力は借りなくてすみそうだから」
196: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:03:45.44 ID:S2lyFphF0
そう。今回、忍野メメの力を借りる気は、というか、借りる必要はなかった。
借りるのはただ、あの学習塾跡の教室だけ。
「そうなのか?しかし、阿良々木先輩。こう言ってはなんだが、私の左腕。悪魔の手は、そう簡単に解決できるものなのか」
「ああ、うん。まあ、そこのところは、僕に任せておいてくれ」
「了解した」
神原は頷いた。
まあ、今回働くのは、いや、今回働くのも、戦場ヶ原なんだけど。
その事は、まだ、神原には言っていない。
言ってしまったら、意味がない。
しかしまあ、こんなの、また忍野に嫌みを言われるんだろうな。
あいつは、被害者とか加害者とか、そこら辺には厳しいやつだし。
借りるのはただ、あの学習塾跡の教室だけ。
「そうなのか?しかし、阿良々木先輩。こう言ってはなんだが、私の左腕。悪魔の手は、そう簡単に解決できるものなのか」
「ああ、うん。まあ、そこのところは、僕に任せておいてくれ」
「了解した」
神原は頷いた。
まあ、今回働くのは、いや、今回働くのも、戦場ヶ原なんだけど。
その事は、まだ、神原には言っていない。
言ってしまったら、意味がない。
しかしまあ、こんなの、また忍野に嫌みを言われるんだろうな。
あいつは、被害者とか加害者とか、そこら辺には厳しいやつだし。
197: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:04:18.07 ID:S2lyFphF0
「うん………しかし、戦場ヶ原先輩の抱えていた問題が、既に解決していたというのは、素直によかったと思う。私が礼を言うのもおかしな話なのかもしれないが、阿良々木先輩には、心から感謝させていただきたい」
「だからそれは、僕じゃなくて、戦場ヶ原のお陰だよ。あいつが一人で、勝手に助かっただけなんだ」
僕や忍野がしたことなど、たかが知れている。
揺るぎなく、それだけのこと…………
「そうか…………そうかもしれない。でも、一つ聞かせてくれ、阿良々木先輩」
「なんだ?」
「戦場ヶ原先輩が阿良々木先輩に惹かれた理由はわかった。嫉妬や失望が、それには不釣合いなのだということも…………うん、わかったつもりだ」
「だからそれは、僕じゃなくて、戦場ヶ原のお陰だよ。あいつが一人で、勝手に助かっただけなんだ」
僕や忍野がしたことなど、たかが知れている。
揺るぎなく、それだけのこと…………
「そうか…………そうかもしれない。でも、一つ聞かせてくれ、阿良々木先輩」
「なんだ?」
「戦場ヶ原先輩が阿良々木先輩に惹かれた理由はわかった。嫉妬や失望が、それには不釣合いなのだということも…………うん、わかったつもりだ」
198: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:04:46.29 ID:S2lyFphF0
「でも、阿良々木先輩は戦場ヶ原先輩の、どういうところに惹かれたのだろうか?二年以上、ただのクラスメイト、口も利いたことのないただのクラスメイトだったというのに 」
「別に、お前が納得できるような立派な理由なんてないさ。ただ、なんとなく、好きかなーって思って、好きだなーって感じて、好きだってわかる。そんな感じ」
僕の答えに対して、神原は神妙、なるほど、などと言いながら頷いた。
いや、僕自身こんな気持ち全然わかんないのだけれど。
そんな感心するとこか?
「それで、どうして、そんなことを訊くんだよ、神原」
「うん。つまりだな、もしも阿良々木先輩が、戦場ヶ原先輩の身体目当てなら、私が代われると思うのだ」
「………………………………」
「別に、お前が納得できるような立派な理由なんてないさ。ただ、なんとなく、好きかなーって思って、好きだなーって感じて、好きだってわかる。そんな感じ」
僕の答えに対して、神原は神妙、なるほど、などと言いながら頷いた。
いや、僕自身こんな気持ち全然わかんないのだけれど。
そんな感心するとこか?
「それで、どうして、そんなことを訊くんだよ、神原」
「うん。つまりだな、もしも阿良々木先輩が、戦場ヶ原先輩の身体目当てなら、私が代われると思うのだ」
「………………………………」
199: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:05:17.01 ID:S2lyFphF0
「私は、そこそこ可愛いと思うのだ」
「自分で言うな」?
本当、謙虚なのか自信家なのかわかんねえよ、お前。
「…………でもな、神原。真面目な話、どんなに頑張っところで、お前じゃ、戦場ヶ原の代わりにはなれないよ」
「………………………」
代わりにはなれない。
別に、このことだけをいっているのではなく。
「お前は戦場ヶ原じゃないしな。誰かが誰かの代わりになんてなれるわけがないし、誰かが誰かになれるわけなんかねーんだよ。なれるのは、誰かじゃなくて、なにかにだけ。戦場ヶ原は戦場ヶ原ひたぎだし、神原は神原駿河なんだから」
いくら好きでも、いくら憧れてても、いくら憧れても。
「…………そうだな」
沈黙の後、頷く神原。
「阿良々木先輩の言う通りだ」
「ああ、無駄口叩いてないで.もう行こうぜ」
「自分で言うな」?
本当、謙虚なのか自信家なのかわかんねえよ、お前。
「…………でもな、神原。真面目な話、どんなに頑張っところで、お前じゃ、戦場ヶ原の代わりにはなれないよ」
「………………………」
代わりにはなれない。
別に、このことだけをいっているのではなく。
「お前は戦場ヶ原じゃないしな。誰かが誰かの代わりになんてなれるわけがないし、誰かが誰かになれるわけなんかねーんだよ。なれるのは、誰かじゃなくて、なにかにだけ。戦場ヶ原は戦場ヶ原ひたぎだし、神原は神原駿河なんだから」
いくら好きでも、いくら憧れてても、いくら憧れても。
「…………そうだな」
沈黙の後、頷く神原。
「阿良々木先輩の言う通りだ」
「ああ、無駄口叩いてないで.もう行こうぜ」
200: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:06:10.22 ID:S2lyFphF0
「遅いよ、阿良々木くん。待ちくたびれて、もう少しで寝ちまうところだった」
そんな風に、僕達を出迎えた忍野との挨拶もそこそこに、僕は忍野に、学習塾跡で一番広い教室を借り、そこに神原を連れていった。
「悪いんだけど、ここで夜まで待ってくれるか?神原」
「ああ、まあ、それはいいが。しかし、それではまた、昨日のように阿良々木先輩を……………」
「大丈夫だから。不安なのはわかるけど、今は僕を信じてくれ」
そう言うと、神原はすんなりとは言えないとのの、最終的には納得してくれた。
その後、僕は戦場ヶ原を電話で呼び出し、忍野に今回のことを説明した。
そんな風に、僕達を出迎えた忍野との挨拶もそこそこに、僕は忍野に、学習塾跡で一番広い教室を借り、そこに神原を連れていった。
「悪いんだけど、ここで夜まで待ってくれるか?神原」
「ああ、まあ、それはいいが。しかし、それではまた、昨日のように阿良々木先輩を……………」
「大丈夫だから。不安なのはわかるけど、今は僕を信じてくれ」
そう言うと、神原はすんなりとは言えないとのの、最終的には納得してくれた。
その後、僕は戦場ヶ原を電話で呼び出し、忍野に今回のことを説明した。
201: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:06:58.54 ID:S2lyFphF0
「それにしても、阿良々木くん。よく、レイニーデビルのことを知ってたね」
「いや別に、そのレイニーデビルって怪異のことを知ってたわけじゃないさ。ただ、前に羽川から猿の手や悪魔の手の話を聞いてて、だから、なんか違和感みたいなものを感じてさ」
「違和感、ね」
「ああ。そんで、猿の手以外で何でも願いを叶えてくれるのは、やっぱり、悪魔の方なのかなって」
「へえ、阿良々木くんにしては上出来だよ。こりゃあ、僕の阿良々木くんに対する認識を改める必要がありそうだね」
忍野は言う。
「けどさ、そりゃちょっと、いくら阿良々木くんでも優しすぎなんじゃないかい。勿論、今回は阿良々木くんが僕の手を借りずにことを終わらせるっつうんだから、僕としてはあんまりうるさいこと、言いたくないんだけどね」
「いや別に、そのレイニーデビルって怪異のことを知ってたわけじゃないさ。ただ、前に羽川から猿の手や悪魔の手の話を聞いてて、だから、なんか違和感みたいなものを感じてさ」
「違和感、ね」
「ああ。そんで、猿の手以外で何でも願いを叶えてくれるのは、やっぱり、悪魔の方なのかなって」
「へえ、阿良々木くんにしては上出来だよ。こりゃあ、僕の阿良々木くんに対する認識を改める必要がありそうだね」
忍野は言う。
「けどさ、そりゃちょっと、いくら阿良々木くんでも優しすぎなんじゃないかい。勿論、今回は阿良々木くんが僕の手を借りずにことを終わらせるっつうんだから、僕としてはあんまりうるさいこと、言いたくないんだけどね」
202: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:07:25.88 ID:S2lyFphF0
「……どういう、意味だよ」
「猿の手や、悪魔のことを知ってるならさ、当然、悪魔の手がどんな願いを叶えるのかも知ってるはずだろ」
いつものように、人を見透かすような態度で、忍野は言った。
レイニーデビルは、人の暗黒面を見抜き、惹起し、引き出し、結実させる。
僕を殺そうとしたのも、だからそれは、紛れもなく神原駿河の、意思なのだ。
そして僕は、そのことを神原には伝えていない。
「あの子。百合っ子ちゃんは、確実に、明確に、どうしようもないほどに加害者なんだよ。その罪を、自覚もしないってのは、自覚をさせないってのは、僕からすれば、甘いと言わざるおえないね」
「……………それは、後回しだよ」
「………………………」
「今回のことは、ただ、僕の可愛い彼女と、僕の可愛い後輩を、仲直りさせようって、それだけのことなんだよ。だから、難しいことは、このことが終わってから。ちゃんと、僕から伝えるよ」
それが、出過ぎた真似をした僕の、せめてもの後始末。
「猿の手や、悪魔のことを知ってるならさ、当然、悪魔の手がどんな願いを叶えるのかも知ってるはずだろ」
いつものように、人を見透かすような態度で、忍野は言った。
レイニーデビルは、人の暗黒面を見抜き、惹起し、引き出し、結実させる。
僕を殺そうとしたのも、だからそれは、紛れもなく神原駿河の、意思なのだ。
そして僕は、そのことを神原には伝えていない。
「あの子。百合っ子ちゃんは、確実に、明確に、どうしようもないほどに加害者なんだよ。その罪を、自覚もしないってのは、自覚をさせないってのは、僕からすれば、甘いと言わざるおえないね」
「……………それは、後回しだよ」
「………………………」
「今回のことは、ただ、僕の可愛い彼女と、僕の可愛い後輩を、仲直りさせようって、それだけのことなんだよ。だから、難しいことは、このことが終わってから。ちゃんと、僕から伝えるよ」
それが、出過ぎた真似をした僕の、せめてもの後始末。
203: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:07:51.78 ID:S2lyFphF0
「はっはー、言うようになったね、阿良々木くん。何かいいことでもあったのかい?」
「いいことなら、だから、これからあるよ」
僕の言葉を聞いて、満足したように忍野は言う。
「まあ、阿良々木くんの考えなんて、僕の知ったことじゃない。阿良々木くんがそう決めたなら、好きにすればいいよ」
「ああ、そうさせもらうさ。………………世話かけるな」
「いいよ」
そんな風に、忍野との話が終わったとき、見計らったようなタイミングで、戦場ヶ原が教室に入ってきた。
「いいことなら、だから、これからあるよ」
僕の言葉を聞いて、満足したように忍野は言う。
「まあ、阿良々木くんの考えなんて、僕の知ったことじゃない。阿良々木くんがそう決めたなら、好きにすればいいよ」
「ああ、そうさせもらうさ。………………世話かけるな」
「いいよ」
そんな風に、忍野との話が終わったとき、見計らったようなタイミングで、戦場ヶ原が教室に入ってきた。
204: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:08:18.10 ID:S2lyFphF0
「一つだけいいかしら?阿良々木くん」
戦場ヶ原が忍野にこの前の代金を払った後、僕達二人は、神原の待つ教室に向かった。
「なんだよ、戦場ヶ原」
「どうして、自分を殺そうとした相手まで、阿良々木くんは助けようとするのかしら?神原はあなたを、憎むべき対象として、捉えていたのでしょ」
「それは、だからさっき言ったろ。あいつは、僕にとっても可愛い後輩なんだよ。それに…………」
「それに?」
「………生きてりゃ、誰かを憎むことくらいあるだろうさ。殺されるのはそりゃ御免だけれど、神原が、お前に憧れてたっていうのが、その理由だっていうなら……………」
怪異にはそれに相応しい理由がある。
それが理由だっていうならば…………
「別に、許せるしさ」
戦場ヶ原が忍野にこの前の代金を払った後、僕達二人は、神原の待つ教室に向かった。
「なんだよ、戦場ヶ原」
「どうして、自分を殺そうとした相手まで、阿良々木くんは助けようとするのかしら?神原はあなたを、憎むべき対象として、捉えていたのでしょ」
「それは、だからさっき言ったろ。あいつは、僕にとっても可愛い後輩なんだよ。それに…………」
「それに?」
「………生きてりゃ、誰かを憎むことくらいあるだろうさ。殺されるのはそりゃ御免だけれど、神原が、お前に憧れてたっていうのが、その理由だっていうなら……………」
怪異にはそれに相応しい理由がある。
それが理由だっていうならば…………
「別に、許せるしさ」
205: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:08:46.19 ID:S2lyFphF0
「そう」
戦場ヶ原言う。
「つまらないことを聞いたわね。そんなの、阿良々木くんがなんて言うかなんて………」
わかりきってたことなのに、と。
そう戦場ヶ原は言った。
「それじゃ、そろそろいい時分だろうから、行くとするか」
「そうね。後輩が間違ったことをしたならは、それを正してやるのが先輩の務めというものよ」
「そうだな」
「調子に乗った後輩には、お仕置きが必要よ」
「……………お手柔らかにな」
戦場ヶ原言う。
「つまらないことを聞いたわね。そんなの、阿良々木くんがなんて言うかなんて………」
わかりきってたことなのに、と。
そう戦場ヶ原は言った。
「それじゃ、そろそろいい時分だろうから、行くとするか」
「そうね。後輩が間違ったことをしたならは、それを正してやるのが先輩の務めというものよ」
「そうだな」
「調子に乗った後輩には、お仕置きが必要よ」
「……………お手柔らかにな」
206: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:09:23.45 ID:S2lyFphF0
「憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い」
「……………………」
教室の中には、雨合羽の悪魔がただ一人。
深い洞のような、雨合羽のフードの内側から…………
直接精神に響くように、訴えるように、聞こえてくる。
「私を無視して、随分とはしゃいでいるわね神原。不愉快だわ」
感情の読めない表情、平坦な声で。
戦場ヶ原は、神原に声をかけた。
「私の彼氏を傷つけるなんて、万死に値するわ」
戦場ヶ原は、言葉を発しながら。
一歩一歩、神原に向かって歩いていく。
「……でも、あなたは大事な後輩だし、阿良々木くんも、あなたのことを許すと言っているから」
「特別に、許してあげようかしら」
「……………………」
教室の中には、雨合羽の悪魔がただ一人。
深い洞のような、雨合羽のフードの内側から…………
直接精神に響くように、訴えるように、聞こえてくる。
「私を無視して、随分とはしゃいでいるわね神原。不愉快だわ」
感情の読めない表情、平坦な声で。
戦場ヶ原は、神原に声をかけた。
「私の彼氏を傷つけるなんて、万死に値するわ」
戦場ヶ原は、言葉を発しながら。
一歩一歩、神原に向かって歩いていく。
「……でも、あなたは大事な後輩だし、阿良々木くんも、あなたのことを許すと言っているから」
「特別に、許してあげようかしら」
207: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:10:03.76 ID:S2lyFphF0
戦場ヶ原の動きに合わせて、神原はずるずると、後ずさっていく。
「まったく、彼女の人間関係にまで口を出すなんて、とんだお節介な彼氏もいたものだわ」
「……………………」
「まあでも、大きなお世話も余計なお節介もありがた迷惑も、阿良々木くんにされるなら、そんなに悪くはないのかもしれないわ」
そして、戦場ヶ原は、ついに神原を教室の角に追い詰めた。
「神原、久し振り。早速だけれど、私のダーリンに次に手を出したら、あなたを殺すわよ」
戦場ヶ原は言った。
そして、彼女の旧知である神原駿河を、戦場ヶ原は、自分の身体をゆっくりと覆いかぶせる形で、組み敷くようにする。
「まったく、彼女の人間関係にまで口を出すなんて、とんだお節介な彼氏もいたものだわ」
「……………………」
「まあでも、大きなお世話も余計なお節介もありがた迷惑も、阿良々木くんにされるなら、そんなに悪くはないのかもしれないわ」
そして、戦場ヶ原は、ついに神原を教室の角に追い詰めた。
「神原、久し振り。早速だけれど、私のダーリンに次に手を出したら、あなたを殺すわよ」
戦場ヶ原は言った。
そして、彼女の旧知である神原駿河を、戦場ヶ原は、自分の身体をゆっくりと覆いかぶせる形で、組み敷くようにする。
208: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:10:31.29 ID:S2lyFphF0
「……戦場ヶ原先輩」
フードの内側から、ぼそりと。
響くような、訴えるような声。
フードの内側から覗いたの、一人の少女の顔だった。
私は、と、しゃくりあげながら。
彼女は、彼女の想いを口にする。
「私は、戦場ヶ原先輩が、好きだ」
「そう、私はそれほど好きじゃないわ」
戦場ヶ原は平坦にそう言った。
「それでも、そばにいてくれるかしら」
まったく、これは僕の夢の中だというのに、見事なまでに脇役だ。
いつもながら、あつらえたような三枚目を演じたものである。
けどまあ、それでいいのだろう。
いつだってどこだって、強く逞しい彼女達は。
僕とは違って、本当の意味で、一人で勝手に、助かることができるのだから。
フードの内側から、ぼそりと。
響くような、訴えるような声。
フードの内側から覗いたの、一人の少女の顔だった。
私は、と、しゃくりあげながら。
彼女は、彼女の想いを口にする。
「私は、戦場ヶ原先輩が、好きだ」
「そう、私はそれほど好きじゃないわ」
戦場ヶ原は平坦にそう言った。
「それでも、そばにいてくれるかしら」
まったく、これは僕の夢の中だというのに、見事なまでに脇役だ。
いつもながら、あつらえたような三枚目を演じたものである。
けどまあ、それでいいのだろう。
いつだってどこだって、強く逞しい彼女達は。
僕とは違って、本当の意味で、一人で勝手に、助かることができるのだから。
209: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/05/31(金) 00:11:13.50 ID:S2lyFphF0
後日談というか、今回のオチ。
翌日、いつものように二人の妹、火憐と月火に叩き起こされた僕は、勉強の合間を縫って、神原の家に出掛けた。
今日は半月に一度の掃除の日だった。
「そういえば、神原。悪いんだけど、来月辺りは僕、受験間近だからさ、部屋の掃除に来れないから」
「そうか。うむ、わかった。それでは、次に阿良々木先輩が来るときには、大掛かりな掃除になるな。洗剤や染み抜きはこちらで用意しておこう」
「なぜ僕が来ない間に、自分で部屋を掃除するという選択肢がないんだよ」
まあいいや、今度こいつの家に来るときには、戦場ヶ原と一緒に来よう。
そうすればこいつも、少しは自分で部屋を片付けるかも、しれないしな。
翌日、いつものように二人の妹、火憐と月火に叩き起こされた僕は、勉強の合間を縫って、神原の家に出掛けた。
今日は半月に一度の掃除の日だった。
「そういえば、神原。悪いんだけど、来月辺りは僕、受験間近だからさ、部屋の掃除に来れないから」
「そうか。うむ、わかった。それでは、次に阿良々木先輩が来るときには、大掛かりな掃除になるな。洗剤や染み抜きはこちらで用意しておこう」
「なぜ僕が来ない間に、自分で部屋を掃除するという選択肢がないんだよ」
まあいいや、今度こいつの家に来るときには、戦場ヶ原と一緒に来よう。
そうすればこいつも、少しは自分で部屋を片付けるかも、しれないしな。
216: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/03(月) 22:47:12.16 ID:NjDF30TR0
「神原駿河だ。
趣味趣向から”神原まっするが”と呼ぶ者もいるが、まぁ好きに呼べばよい」
「ダッフルコートを犬の犬種だと思ったり、デリカテッセンをツンデレの最上級だと思ったり、パラリーガルをイケてるお姉ちゃんだと思ったりするボーンヘッドは誰にでもあるけれど、しかし、自己贔屓をするわけでもないが、モロヘイヤをすごい平野だと思っていたのは、バスケ界広しといえどもこの私だけだろう」
「ところで「贔屓」って言葉、貝が多すぎるよな……お前は貝物ランドの王子さまか!」
「次回かれんビー 其ノ肆」
「神原まっするがはやっぱりやめてくれ!」
趣味趣向から”神原まっするが”と呼ぶ者もいるが、まぁ好きに呼べばよい」
「ダッフルコートを犬の犬種だと思ったり、デリカテッセンをツンデレの最上級だと思ったり、パラリーガルをイケてるお姉ちゃんだと思ったりするボーンヘッドは誰にでもあるけれど、しかし、自己贔屓をするわけでもないが、モロヘイヤをすごい平野だと思っていたのは、バスケ界広しといえどもこの私だけだろう」
「ところで「贔屓」って言葉、貝が多すぎるよな……お前は貝物ランドの王子さまか!」
「次回かれんビー 其ノ肆」
「神原まっするがはやっぱりやめてくれ!」
217: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/03(月) 22:48:45.68 ID:NjDF30TR0
今回は、アイデアが浮かばなかったので、予告は丸パクリですが、勘弁してください。
後、なでこスネイクは、今までより少し短くなります。
後、なでこスネイクは、今までより少し短くなります。
218: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/03(月) 23:01:18.52 ID:NjDF30TR0
失礼、かみました。
「次回、心が強くてニューゲーム其ノ肆」
「次回、心が強くてニューゲーム其ノ肆」
223: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 22:58:53.49 ID:NsX4M0ja0
「どうした?阿良々木先輩」
「ん、いや…………」
また夢か。
ここは…………
「それにしても、こんな山道で人間とすれ違うとは、意外だったな。阿良々木先輩の手前口には出せなかったが、私はてっきりこの階段、死道だと思っていたぞ。それに、随分と可愛い女の子だった」
ああ、やっぱりそうなのか。
千石撫子。
夢の中でさ、僕には合わせる顔なんて、ないんだけどな。
「ま、登ろうぜ」
と、僕は神原に言った。
「上から人が来たってことは、とりあえず上に何かがあるってのは確かなことだ」
「うむ。それもそうだな」
「ん、いや…………」
また夢か。
ここは…………
「それにしても、こんな山道で人間とすれ違うとは、意外だったな。阿良々木先輩の手前口には出せなかったが、私はてっきりこの階段、死道だと思っていたぞ。それに、随分と可愛い女の子だった」
ああ、やっぱりそうなのか。
千石撫子。
夢の中でさ、僕には合わせる顔なんて、ないんだけどな。
「ま、登ろうぜ」
と、僕は神原に言った。
「上から人が来たってことは、とりあえず上に何かがあるってのは確かなことだ」
「うむ。それもそうだな」
224: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:00:27.81 ID:NsX4M0ja0
「と言いつつ、阿良々木先輩は立ち止まったまま私の胸から目が話せないようだった。なんだかんだ言っても男の本能には逆らえないようである」
「なんでお前がモノローグを語る!?」
「今回は番外編だから私が語り部なのだ」
「そんなわけないだろ!」
ていうか、お前の語り部すげえ真面目な感じだったじゃん。
ほんと、全然十八禁に指定されるような描写もなかったし。
「むう。なかなかうまくいかないものだ、こうすれば、阿良々木先輩くらい軽く虜にできると思っていたのに」
「そんなことを思っていたのか………」
「なんでお前がモノローグを語る!?」
「今回は番外編だから私が語り部なのだ」
「そんなわけないだろ!」
ていうか、お前の語り部すげえ真面目な感じだったじゃん。
ほんと、全然十八禁に指定されるような描写もなかったし。
「むう。なかなかうまくいかないものだ、こうすれば、阿良々木先輩くらい軽く虜にできると思っていたのに」
「そんなことを思っていたのか………」
225: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:01:03.53 ID:NsX4M0ja0
「ところで、阿良々木先輩。さっきは聞きそびれてしまったのだが、山に行って、それからどうするのだろう?」
「いや、その質問をするのは随分と遅いと思うんだけど…………………ほら、忍野からの仕事だよ」
「忍野?ああ、忍野さんか」
そう聞くと、神原が複雑な顔をした。この後輩にしては珍しい反応だが、まあ、さもありなんという感じだ。
忍野メメ。
こっちの神原は、直接忍野に助けられてはいないものの、手を貸してもらってはいないものの、それでも、今後の相談などは結局忍野から話すことになったのだ。
「ああ。あの山の中に、今はもう使われていない小さな神社があるそうなんだけど、そこの本殿に、お札を一枚、貼ってきてくれ。っていう、そういう仕事」
「いや、その質問をするのは随分と遅いと思うんだけど…………………ほら、忍野からの仕事だよ」
「忍野?ああ、忍野さんか」
そう聞くと、神原が複雑な顔をした。この後輩にしては珍しい反応だが、まあ、さもありなんという感じだ。
忍野メメ。
こっちの神原は、直接忍野に助けられてはいないものの、手を貸してもらってはいないものの、それでも、今後の相談などは結局忍野から話すことになったのだ。
「ああ。あの山の中に、今はもう使われていない小さな神社があるそうなんだけど、そこの本殿に、お札を一枚、貼ってきてくれ。っていう、そういう仕事」
226: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:01:51.00 ID:NsX4M0ja0
「………なんだそれは」?
不思議そうに聞き返してくる神原。
「お札というのも不可解だが、しかし、そんなの、忍野さんが自分でやればいいのではないか?あの人は基本的に暇なのだろう?」
「僕もそう思うけど、まあ、『仕事』だよ。僕はあいつに世話になったとき、洒落にならないような多額の借金をしちまってるからな。……………お前だってそうなんだぜ?神原」
「え?」
「あいつはあれでもれっきとした専門家なんだから。ロハで相談に乗ってくれるほど甘くはないさ。世話になった分は、働いて返さなきゃ」
「ああ、それで………」
神原は得心いった風に頷く。
不思議そうに聞き返してくる神原。
「お札というのも不可解だが、しかし、そんなの、忍野さんが自分でやればいいのではないか?あの人は基本的に暇なのだろう?」
「僕もそう思うけど、まあ、『仕事』だよ。僕はあいつに世話になったとき、洒落にならないような多額の借金をしちまってるからな。……………お前だってそうなんだぜ?神原」
「え?」
「あいつはあれでもれっきとした専門家なんだから。ロハで相談に乗ってくれるほど甘くはないさ。世話になった分は、働いて返さなきゃ」
「ああ、それで………」
神原は得心いった風に頷く。
227: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:02:27.95 ID:NsX4M0ja0
僕はそんな神原の言葉を「そう」と、継いだ。
「だから、僕はお前を呼び出したってわけ。昨日、忍に血ィ飲ませに行ったとき、忍野に頼まれてな。お前も一緒に連れて行くよう、忍野から言われたんだ」
「ふむ。なるほど、借りたものは返さなければならないというわけか」
「そういうこと」
「わかった。そういうことならば是非もない」
神原はぎゅうっと、強く、僕の腕に抱きついてきた。
その行為の意味は複雑そうで推し量ることができないが、どうやら、何かを決意したらしい。
まあ、そういう意味では、貸し借りとかに関しては、神原駿河、とても義理堅い性格なんだよな。
「だから、僕はお前を呼び出したってわけ。昨日、忍に血ィ飲ませに行ったとき、忍野に頼まれてな。お前も一緒に連れて行くよう、忍野から言われたんだ」
「ふむ。なるほど、借りたものは返さなければならないというわけか」
「そういうこと」
「わかった。そういうことならば是非もない」
神原はぎゅうっと、強く、僕の腕に抱きついてきた。
その行為の意味は複雑そうで推し量ることができないが、どうやら、何かを決意したらしい。
まあ、そういう意味では、貸し借りとかに関しては、神原駿河、とても義理堅い性格なんだよな。
228: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:03:00.88 ID:NsX4M0ja0
「私の左腕は」
突然、神原は言った。
「忍野さんの話では、二十歳までに、治るそうだ」
「へえ、そうなのか」
「うん。まあ、このまま何もしなければ、だが」
「そりゃよかったな。二十歳過ぎりゃ、またバスケットボールができるってことじゃないか」
「そうだな。勿論、身体がなまっては望みも潰える。そのための自主トレはかかせないが」
と、神原。
そして続ける。
「阿良々木先輩は………どうなのだ?」
「僕か?」
「阿良々木先輩は………一生、吸血鬼なのか?」
「…………僕は」
一生。
一生………吸血鬼。
人間もどき。
人間以外。
突然、神原は言った。
「忍野さんの話では、二十歳までに、治るそうだ」
「へえ、そうなのか」
「うん。まあ、このまま何もしなければ、だが」
「そりゃよかったな。二十歳過ぎりゃ、またバスケットボールができるってことじゃないか」
「そうだな。勿論、身体がなまっては望みも潰える。そのための自主トレはかかせないが」
と、神原。
そして続ける。
「阿良々木先輩は………どうなのだ?」
「僕か?」
「阿良々木先輩は………一生、吸血鬼なのか?」
「…………僕は」
一生。
一生………吸血鬼。
人間もどき。
人間以外。
229: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:03:44.36 ID:NsX4M0ja0
「僕は………一生吸血鬼だよ。なんだかんだ言って、この能力に頼っちゃってるからな。まあ、慣れればむしろ、得なくらいだよ」
「私は強がりが聞きたいのではない。阿良々木先輩。忍野さんから聞いた話では……忍という少女を助けるために、阿良々木先輩は吸血鬼に甘んじているとのことだったが」
「……………………」
忍野、それにしても、口が軽いな。
まあ、相手が『左腕』の神原だからこそ、参考すべき先例として、あえてその話をしたんだろうけど。
「そんなことはないよ。忍のことは………まあ、責任だ。助けるなんて、そんな格好いいもんじゃないよ」
「私は強がりが聞きたいのではない。阿良々木先輩。忍野さんから聞いた話では……忍という少女を助けるために、阿良々木先輩は吸血鬼に甘んじているとのことだったが」
「……………………」
忍野、それにしても、口が軽いな。
まあ、相手が『左腕』の神原だからこそ、参考すべき先例として、あえてその話をしたんだろうけど。
「そんなことはないよ。忍のことは………まあ、責任だ。助けるなんて、そんな格好いいもんじゃないよ」
231: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:04:32.30 ID:NsX4M0ja0
「それに、お前だって、今は直ぐその左腕を治してやるって言われても、拒否するんじゃないのか」
それが、彼女の責任なのだから。
「私のことをあまり買い被らないで欲しいのだが、まあ、そうだな。阿良々木先輩の言う通りだ」
「けど、僕の場合、吸血鬼の力に頼っちまってるってのは、本当なんだけどな」
自嘲気味に、僕は言った。
「そうか…………出過ぎたことを聞いてしまったな」
「そんなことねえよ。神原、僕のことを心配してくれてんだろ?」
「…………まあ」
「大丈夫だ。心配には及ばないよ」
本当は、全然大丈夫なんかじゃないのだけれど、でも後輩の前でくらい、格好をつけたって、いいだろう。
それが、彼女の責任なのだから。
「私のことをあまり買い被らないで欲しいのだが、まあ、そうだな。阿良々木先輩の言う通りだ」
「けど、僕の場合、吸血鬼の力に頼っちまってるってのは、本当なんだけどな」
自嘲気味に、僕は言った。
「そうか…………出過ぎたことを聞いてしまったな」
「そんなことねえよ。神原、僕のことを心配してくれてんだろ?」
「…………まあ」
「大丈夫だ。心配には及ばないよ」
本当は、全然大丈夫なんかじゃないのだけれど、でも後輩の前でくらい、格好をつけたって、いいだろう。
232: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:05:06.29 ID:NsX4M0ja0
そこから五分ほど歩いて、僕達は神社の入口にたどり着いた。
「そうだ、バルカン後輩」
「なんだ?らぎこちゃん」
「ここの神社って、忍野が言うにはなんか良くないものが溜まってるみたいだからさ、お前は気分が悪くなるかもしれないんだ」
「そうか、では私は休憩できる場所を探しておくとしよう。なにもお札を二人で貼りに行く必要もないだろうしな」
「ああ、じゃ」
そう言って、僕は神原に背を向け、草を踏み分けるようにして建物の方に向かった。
そして、前と同じように本殿に札を貼って、神原を探した。
すると、やはり神原は重箱を脇に置いて。
呆けているように………佇んでいる。
「そうだ、バルカン後輩」
「なんだ?らぎこちゃん」
「ここの神社って、忍野が言うにはなんか良くないものが溜まってるみたいだからさ、お前は気分が悪くなるかもしれないんだ」
「そうか、では私は休憩できる場所を探しておくとしよう。なにもお札を二人で貼りに行く必要もないだろうしな」
「ああ、じゃ」
そう言って、僕は神原に背を向け、草を踏み分けるようにして建物の方に向かった。
そして、前と同じように本殿に札を貼って、神原を探した。
すると、やはり神原は重箱を脇に置いて。
呆けているように………佇んでいる。
233: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:05:40.37 ID:NsX4M0ja0
「神原!」
声をかけ、肩に手を置く。
「ひゃうんっ!」
びくっと震えて、神原は振り向いた。
「あ、ああ…………なんだ、阿良々木先輩か」
「なんだ、どうしたんだよ?随時可愛い悲鳴をあげるじゃねえか」
「いや……………阿良々木先輩」
神原は、正面を指さした。
「あれを、見てくれ」
「………………………」
僕は言われた通り、神原の指さす方向を見た。
そこには予想通り、切り刻まれた蛇がいた。
ぐねぐねと長い、にょろりとしたその身体の節々を、刃物で五等分されて殺された、一匹の蛇の死体があった。
声をかけ、肩に手を置く。
「ひゃうんっ!」
びくっと震えて、神原は振り向いた。
「あ、ああ…………なんだ、阿良々木先輩か」
「なんだ、どうしたんだよ?随時可愛い悲鳴をあげるじゃねえか」
「いや……………阿良々木先輩」
神原は、正面を指さした。
「あれを、見てくれ」
「………………………」
僕は言われた通り、神原の指さす方向を見た。
そこには予想通り、切り刻まれた蛇がいた。
ぐねぐねと長い、にょろりとしたその身体の節々を、刃物で五等分されて殺された、一匹の蛇の死体があった。
234: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:06:37.57 ID:NsX4M0ja0
「悪い、羽川……………そろそろ予算枠を越超えそうだ」
神原と神社に行った次の日。僕は羽川と一緒に学校の近くにある大型書店に足を運んでいた。
「へ?予算枠って?」
「一万円」
「あー。参考書って割りと高いからね。内容を鑑みれば、しょうがないことではあるけれど」
羽川と、こうやって面と向かって話すのは久し振りだな。
最近あいつ、全然日本に帰って来ねえし。
「でも」
羽川は唐突に言った。
「私は、少し、嬉しいな」
「………何が?」
「阿良々木くんが、参考書選びを手伝って欲しいとかさ、そんなこと、言い出すなんて」
「まあ、いつまでも戦場ヶ原に頼りっぱなしってわけにもいかないしな」
神原と神社に行った次の日。僕は羽川と一緒に学校の近くにある大型書店に足を運んでいた。
「へ?予算枠って?」
「一万円」
「あー。参考書って割りと高いからね。内容を鑑みれば、しょうがないことではあるけれど」
羽川と、こうやって面と向かって話すのは久し振りだな。
最近あいつ、全然日本に帰って来ねえし。
「でも」
羽川は唐突に言った。
「私は、少し、嬉しいな」
「………何が?」
「阿良々木くんが、参考書選びを手伝って欲しいとかさ、そんなこと、言い出すなんて」
「まあ、いつまでも戦場ヶ原に頼りっぱなしってわけにもいかないしな」
235: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:07:15.27 ID:NsX4M0ja0
「ああ、戦場ヶ原さんにマンツーマンで勉強見てもらったんだっけ?」
「そう。なんか、戦場ヶ原に勉強見てもらってさ、久し振りに勉強の仕方がわかったっていうか、思い出したんだよ」
「へえ、そういうことなら、私も全面的に協力させてもらうわ」
「……………………………」
全面的に協力。
しかし、この頃の彼女は、本当に戦場ヶ原が僕に勉強を教えていることを、快く思っていたのだろうか?
…………思っていたに決まっている。
彼女は、自分の気持ちを抱えながらをも、それが出来てしまうほどに、完璧だったのだから。
「はい。これでぴったり一万円」
「サンキュー。大事にさせてもらうよ」
「そう。なんか、戦場ヶ原に勉強見てもらってさ、久し振りに勉強の仕方がわかったっていうか、思い出したんだよ」
「へえ、そういうことなら、私も全面的に協力させてもらうわ」
「……………………………」
全面的に協力。
しかし、この頃の彼女は、本当に戦場ヶ原が僕に勉強を教えていることを、快く思っていたのだろうか?
…………思っていたに決まっている。
彼女は、自分の気持ちを抱えながらをも、それが出来てしまうほどに、完璧だったのだから。
「はい。これでぴったり一万円」
「サンキュー。大事にさせてもらうよ」
236: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:08:15.72 ID:NsX4M0ja0
その後、僕はやっぱり羽川に神原の事を問い詰められた。
「でもなー。僕、戦場ヶ原から、神原の面倒をちゃんと見るように、言われてるんだよな。神原の方も、同じようなこと言われてるみたいだし」
「それは、そうね。こんな感じなんじゃない?」
羽川は、そっと、その両手を僕の頭に伸ばしてきた。それぞれの手で、左右から僕の頭を触り、固定する。
「…………………………」
「はい、どうぞ」
羽川は両手で僕の頭の角度を調節し、僕を見上げるようにした自分の顔と、ぴったり正面に、向かい合うようにする。
「羽川。あまり僕を見くびらないでくれ。僕は、そんなに軽くねえよ」
前よりも少しは、強く濃くなれたはずだ。
「でもなー。僕、戦場ヶ原から、神原の面倒をちゃんと見るように、言われてるんだよな。神原の方も、同じようなこと言われてるみたいだし」
「それは、そうね。こんな感じなんじゃない?」
羽川は、そっと、その両手を僕の頭に伸ばしてきた。それぞれの手で、左右から僕の頭を触り、固定する。
「…………………………」
「はい、どうぞ」
羽川は両手で僕の頭の角度を調節し、僕を見上げるようにした自分の顔と、ぴったり正面に、向かい合うようにする。
「羽川。あまり僕を見くびらないでくれ。僕は、そんなに軽くねえよ」
前よりも少しは、強く濃くなれたはずだ。
237: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:09:09.44 ID:NsX4M0ja0
「へえ、意外だな。誰にでも優しい阿良々木くんなら、結構引っ掛かると思ったんだけど」
羽川は、僕の頭から両手を離して、そんなことを言う。
意外そうな顔していたが、そこに取り乱した様子は………………なかった。
「お前が言いたいことはよくわかったよ。これからは気をつけるって」
「うん。戦場ヶ原さんも、その方が安心できると思うよ」
「ああ、そうだな」
「………、痛っ」
と。
そこで突然、羽川は右手を、今度は自分の頭部に添えた。
「大丈夫か?」
「いや、ちょっと……頭痛が」
「頭痛………」
羽川は、僕の頭から両手を離して、そんなことを言う。
意外そうな顔していたが、そこに取り乱した様子は………………なかった。
「お前が言いたいことはよくわかったよ。これからは気をつけるって」
「うん。戦場ヶ原さんも、その方が安心できると思うよ」
「ああ、そうだな」
「………、痛っ」
と。
そこで突然、羽川は右手を、今度は自分の頭部に添えた。
「大丈夫か?」
「いや、ちょっと……頭痛が」
「頭痛………」
238: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:09:43.09 ID:NsX4M0ja0
でも、今の段階でこいつの問題をどうにかすることは、多分出来ないよな。
こいつの場合、僕が何らかのアクションを起こせるのは、あの猫が表に出てきてからだ。
「ああ、大丈夫大丈夫」
「羽川、誘っておいてなんだけど、今日はもういいから。帰って休んどけ」
「………うん。ごめんね、阿良々木くん」
そう言って。
羽川は、逃げるように、本屋さんから出て行った。
…………まあここまで来たら、どうせあいつの夢も見るんだろうな。
あいつのことは、その時にどうにかしよう。
こいつの場合、僕が何らかのアクションを起こせるのは、あの猫が表に出てきてからだ。
「ああ、大丈夫大丈夫」
「羽川、誘っておいてなんだけど、今日はもういいから。帰って休んどけ」
「………うん。ごめんね、阿良々木くん」
そう言って。
羽川は、逃げるように、本屋さんから出て行った。
…………まあここまで来たら、どうせあいつの夢も見るんだろうな。
あいつのことは、その時にどうにかしよう。
239: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:10:24.14 ID:NsX4M0ja0
羽川と別れた後、僕は呪術・オカルトコーナーに向かった。
千石撫子と、接触するために。
案の定、そこには帽子を被った女の子の姿があった。
「………千石」
『暦お兄ちゃんなんて、大嫌いだよ!』
不意に、そんな言葉が頭をよぎった。
ああ、もう、今はそんなこと考えている場合じゃないだろ!
「………あっ」
僕がそんなことを考えているうちに、いつのまにか千石の姿が消えていた。
…………しかたない、また、神原と一緒にあそこに向かうとしよう。
そう思って直ぐに、僕は神原の携帯に電話をかけた。
呼び出し音が五回くらい。
「神原駿河だ」
千石撫子と、接触するために。
案の定、そこには帽子を被った女の子の姿があった。
「………千石」
『暦お兄ちゃんなんて、大嫌いだよ!』
不意に、そんな言葉が頭をよぎった。
ああ、もう、今はそんなこと考えている場合じゃないだろ!
「………あっ」
僕がそんなことを考えているうちに、いつのまにか千石の姿が消えていた。
…………しかたない、また、神原と一緒にあそこに向かうとしよう。
そう思って直ぐに、僕は神原の携帯に電話をかけた。
呼び出し音が五回くらい。
「神原駿河だ」
240: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:11:08.65 ID:NsX4M0ja0
「神原駿河。得意技は二段ジャンプだ」
「嘘をつけ。あれは人間業じゃない」
「ん。その声と突っ込みは阿良々木先輩だな」
「………いや、そうだけどさ」
声と突っ込みで判断すんじゃねえよ。
間違い電話とかかかってきたらどうすんだ。
「神原、暇だったら、ちょっと手伝って欲しいんだけど」
「ふふ」
なんだか不敵に笑う神原。
「暇であろうとなかろうと、阿良々木先輩に望まれたとあっては、たとえそこがどこであっても私は向く所存だぞ。理由など聞くまでもない、場所さえ教えてもらえれば私はすぐさまそこへ行く」
「嘘をつけ。あれは人間業じゃない」
「ん。その声と突っ込みは阿良々木先輩だな」
「………いや、そうだけどさ」
声と突っ込みで判断すんじゃねえよ。
間違い電話とかかかってきたらどうすんだ。
「神原、暇だったら、ちょっと手伝って欲しいんだけど」
「ふふ」
なんだか不敵に笑う神原。
「暇であろうとなかろうと、阿良々木先輩に望まれたとあっては、たとえそこがどこであっても私は向く所存だぞ。理由など聞くまでもない、場所さえ教えてもらえれば私はすぐさまそこへ行く」
241: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:11:37.70 ID:NsX4M0ja0
「そうか、悪いな。昨日行った神社。そこの階段に入る前の歩道で、待ち合わせだ」
「わかった。ちょうど、自室でのいやらしい本を読んでのいやらしい妄想に一段落ついたところなのだ」
「…………………………」
自分から言うんじゃねえよ。
せっかくこっちが聞かないようにしてたのに。
「えっと、位置的には…………お前の方が近いだろうけど、僕は自転車だから、多分先について待っている」
「困るなあ、阿良々木先輩。この私が尊敬している阿良々木先輩を待たせるわけがないだろう。私の信用も地に落ちたものだな。よかろう、絶体に私が先に着く」
「変な意地を張られても、僕が困るんだが………まあ、なるたけ急いでくれ。ああ、長袖長ズボン、忘れずにな」
「わかった。阿良々木先輩の仰せの通りに」
「じゃ、よろしく」
「わかった。ちょうど、自室でのいやらしい本を読んでのいやらしい妄想に一段落ついたところなのだ」
「…………………………」
自分から言うんじゃねえよ。
せっかくこっちが聞かないようにしてたのに。
「えっと、位置的には…………お前の方が近いだろうけど、僕は自転車だから、多分先について待っている」
「困るなあ、阿良々木先輩。この私が尊敬している阿良々木先輩を待たせるわけがないだろう。私の信用も地に落ちたものだな。よかろう、絶体に私が先に着く」
「変な意地を張られても、僕が困るんだが………まあ、なるたけ急いでくれ。ああ、長袖長ズボン、忘れずにな」
「わかった。阿良々木先輩の仰せの通りに」
「じゃ、よろしく」
242: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:12:22.03 ID:NsX4M0ja0
僕が神社の入口に着いたときには、案の定神原はそこにいた。
「で、阿良々木先輩。私は何をすればいい?」
「ああ、そうだな。まずは………」
「脱げばいいのか?」
「何でそうなるんだよ!」
「いや、阿良々木先輩が望むのならば、脱がせてくれても構わないが」
「受動態か能動態かの話をしてんじゃねえよ!」
お前は僕の中学一年生の頃の妄想が具現化した姿なのか!?
「では、何をすればいい。遠慮せずにはっきり言ってくれ。私は無骨な人間だからな、遠回しに言われても、まろどっこしい………まろどっこ…………まろどっと」
「まどろっこしいなあ、おい!」
「申し訳ない。しろどもろどになってしまった」
「確かにしどろもどろだが!」
「で、阿良々木先輩。私は何をすればいい?」
「ああ、そうだな。まずは………」
「脱げばいいのか?」
「何でそうなるんだよ!」
「いや、阿良々木先輩が望むのならば、脱がせてくれても構わないが」
「受動態か能動態かの話をしてんじゃねえよ!」
お前は僕の中学一年生の頃の妄想が具現化した姿なのか!?
「では、何をすればいい。遠慮せずにはっきり言ってくれ。私は無骨な人間だからな、遠回しに言われても、まろどっこしい………まろどっこ…………まろどっと」
「まどろっこしいなあ、おい!」
「申し訳ない。しろどもろどになってしまった」
「確かにしどろもどろだが!」
243: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:12:51.46 ID:NsX4M0ja0
「で、なんだ」
「この上に、僕の昔の知り合いがいるんだが」
僕は階段を指さす。
「うん?」
「昨日、この階段を昇る途中ですれ違った女の子の、憶えてるよな」
「うん。ちっちゃくて可愛らしい女の子だった」
「…………………………」
「で………その子が、今日もここの神社に来ていると?」
「そういうことだ。多分な」
「うーん。いまいち状況が掴めないのだが」
「うん。まあ、それは後で話すよ。ともかく、お前に頼みって言うのは、その、昔の知り合いとは言え、声、掛けづらくてなだから………」
「なるほど。阿良々木先輩の言いたいことはわかった。阿良々木先輩の慧眼には恐れ入る、確かに私は、年下の女の子には強いぞ」
「だろうな。お前を呼んで正解だったよ」
「この上に、僕の昔の知り合いがいるんだが」
僕は階段を指さす。
「うん?」
「昨日、この階段を昇る途中ですれ違った女の子の、憶えてるよな」
「うん。ちっちゃくて可愛らしい女の子だった」
「…………………………」
「で………その子が、今日もここの神社に来ていると?」
「そういうことだ。多分な」
「うーん。いまいち状況が掴めないのだが」
「うん。まあ、それは後で話すよ。ともかく、お前に頼みって言うのは、その、昔の知り合いとは言え、声、掛けづらくてなだから………」
「なるほど。阿良々木先輩の言いたいことはわかった。阿良々木先輩の慧眼には恐れ入る、確かに私は、年下の女の子には強いぞ」
「だろうな。お前を呼んで正解だったよ」
244: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:13:20.46 ID:NsX4M0ja0
「だか、そうなると…………」
神原は真剣な口調になって、言った。
「阿良々木先輩がそういう以上、勿論、手伝うにやぶさかではないが、阿良々木先輩は、当然、昨日のあれ、含んでいるのだろう?」
「まあ、そうだ」
「じゃあ、そういうことなんだな」
「ああ」
「やれやれ」
神原は、仕方なさそうに、肩を竦めた。
「阿良々木先輩は誰にでも優しい、という戦場ヶ原先輩の言葉は、どうやら本当らしいな」
「別に、そんなんじゃねえよ。ただ、気になったことをほっといて、それで助けられるばすの相手を助けられなくなっても、あんまり面白くねえしな」
「だが、それは、阿良々木先輩が必ずしも助ける必要はないのではないか?」
「……………………」
神原は真剣な口調になって、言った。
「阿良々木先輩がそういう以上、勿論、手伝うにやぶさかではないが、阿良々木先輩は、当然、昨日のあれ、含んでいるのだろう?」
「まあ、そうだ」
「じゃあ、そういうことなんだな」
「ああ」
「やれやれ」
神原は、仕方なさそうに、肩を竦めた。
「阿良々木先輩は誰にでも優しい、という戦場ヶ原先輩の言葉は、どうやら本当らしいな」
「別に、そんなんじゃねえよ。ただ、気になったことをほっといて、それで助けられるばすの相手を助けられなくなっても、あんまり面白くねえしな」
「だが、それは、阿良々木先輩が必ずしも助ける必要はないのではないか?」
「……………………」
245: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:13:49.36 ID:NsX4M0ja0
「いいのだ。独り言だ。いや、失言だった。では行こう、阿良々木先輩。早くしないと、彼女が用事を済ませてしまうかもしれない」
用事。
おまじないの、解除。
「ああ……………そうだな」
そして、神原とまた少し歩いた後、僕達は神社にたどり着いた。
「………………千石っ!」
僕は、千石の姿を捉えた瞬間、思わずそう呼びかけてしまった。これでは、神原にわざわざ来てもらった意味がない。
「やめろ、千石っ!」
「あ………」
千石は、僕を見た。
「暦お兄ちゃん………」
やめてくれ。
千石。
たとえ夢の中でだって、僕はお前に、そう呼んでもらう資格なんて、ないのだから。
用事。
おまじないの、解除。
「ああ……………そうだな」
そして、神原とまた少し歩いた後、僕達は神社にたどり着いた。
「………………千石っ!」
僕は、千石の姿を捉えた瞬間、思わずそう呼びかけてしまった。これでは、神原にわざわざ来てもらった意味がない。
「やめろ、千石っ!」
「あ………」
千石は、僕を見た。
「暦お兄ちゃん………」
やめてくれ。
千石。
たとえ夢の中でだって、僕はお前に、そう呼んでもらう資格なんて、ないのだから。
246: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:14:30.40 ID:NsX4M0ja0
「遅かったね。待ちかねたよ」
と、忍野は見透かしたような言葉で、僕を迎えた。
僕は火のついていない煙草をくわえた変人、もとい恩人、軽薄なアロハ野郎こと、忍野メメと、向かい合っていた。
一人で、である。
神原と千石には、僕の部屋で待機してもらっている。
やっぱり、千石を、出来ることなら忍野とは会わせたくなかった。
無論、千石からはきちんと、事情は聞いてきたから、前回のような失敗はおかさないつもりだ。
……………いや、どうなのだろう。
どんなに理由を並び立てたところで、結局僕は、千石といるのが辛くて、いたたまれなくて、だからここに一人で来たのかもしれない。
と、忍野は見透かしたような言葉で、僕を迎えた。
僕は火のついていない煙草をくわえた変人、もとい恩人、軽薄なアロハ野郎こと、忍野メメと、向かい合っていた。
一人で、である。
神原と千石には、僕の部屋で待機してもらっている。
やっぱり、千石を、出来ることなら忍野とは会わせたくなかった。
無論、千石からはきちんと、事情は聞いてきたから、前回のような失敗はおかさないつもりだ。
……………いや、どうなのだろう。
どんなに理由を並び立てたところで、結局僕は、千石といるのが辛くて、いたたまれなくて、だからここに一人で来たのかもしれない。
247: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:15:09.03 ID:NsX4M0ja0
「それじゃあ早速、その妹的存在のお嬢ちゃんについての話をしようか。聞いている限り、切羽つまっているみたいだし」
「ああ、無事なのは、両腕と、首から上だけだ」
「うん、そりゃまずいね。それも、巻きついている蛇が二匹なら、なおさらね」
「………………………」
人を呪わば穴二つ。
しかし、今回空いている穴は三つある。
その後、僕は千石の事を忍野に話し、蛇切縄の対処するための、お守りを二つ貰った。
ちやんと、二つ。?
「ああ、無事なのは、両腕と、首から上だけだ」
「うん、そりゃまずいね。それも、巻きついている蛇が二匹なら、なおさらね」
「………………………」
人を呪わば穴二つ。
しかし、今回空いている穴は三つある。
その後、僕は千石の事を忍野に話し、蛇切縄の対処するための、お守りを二つ貰った。
ちやんと、二つ。?
248: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:15:51.66 ID:NsX4M0ja0
「これを使えば、千石は助かるし、千石を呪った奴のところに蛇が返ることもないんだな?」
僕は、今日何度目かの質問を、忍野にした。
「うん、そうだよ。けど、阿良々木くん。やけにそこのところを強調するね。何かいいことでもあったのかい?」
忍野は、僕を見てそう言った。
「今回、その千石ちゃんは完全なる被害者だからね。僕としては、出来るだけ力になりたいと思うんだけど、どうやら、阿良々木くんが気にしてるのは、そういうことじゃないみたいだね」
忍野は、なおも続ける。
僕は、今日何度目かの質問を、忍野にした。
「うん、そうだよ。けど、阿良々木くん。やけにそこのところを強調するね。何かいいことでもあったのかい?」
忍野は、僕を見てそう言った。
「今回、その千石ちゃんは完全なる被害者だからね。僕としては、出来るだけ力になりたいと思うんだけど、どうやら、阿良々木くんが気にしてるのは、そういうことじゃないみたいだね」
忍野は、なおも続ける。
249: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:16:50.41 ID:NsX4M0ja0
「阿良々木くんは相変わらず優しいね。いや、そこまでいくと、もうただの物好きかな?どっちにせよ、加害者のことまで考えるなんて、バランサーの僕としては理解できないぜ」
忍野は、そう言って笑った。
本当に、つまらなそうに。
「別に、僕はただ、生きていれば誰だって、人を恨むこともあるだろうし、ましてやそいつらはまだ中学生なんだぜ。その二人だって、本気で千石に死んでほしいって願ったわけじゃ……………」
僕のその言葉を、しかし忍野は遮った。
「本気だったか、殺意があったかどうかなんて、この際関係ないと、僕は思うけどね。実際、千石ちゃんが死にそうになっているという事実は存在するんだから」
「…………………………」
忍野は、そう言って笑った。
本当に、つまらなそうに。
「別に、僕はただ、生きていれば誰だって、人を恨むこともあるだろうし、ましてやそいつらはまだ中学生なんだぜ。その二人だって、本気で千石に死んでほしいって願ったわけじゃ……………」
僕のその言葉を、しかし忍野は遮った。
「本気だったか、殺意があったかどうかなんて、この際関係ないと、僕は思うけどね。実際、千石ちゃんが死にそうになっているという事実は存在するんだから」
「…………………………」
250: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:17:56.73 ID:NsX4M0ja0
「まあ、どのみちそのお守りを使えば、心配しなくても、呪い返しなんてことは起きないよ」
「………そうか」
「別に、前にも言ったかもしれないけど、阿良々木くんが何を思おうと僕の知ったことじゃない。ただ…………」
「ただ?」
忍野は、言葉を繋いだ。
「阿良々木くん。誰かを助けようとする気持ちは、そりゃ素晴らしいことだけどね。けど、あんまり誰も彼もどれもそれも助けようとしてたら、いつか痛い目みるぜ」
「………………………」
「いざという時に、誰を助けるべきなのかを、ちゃんと考えなきゃ駄目だ」
誰を助けるべきなのか。
……………助けるべき、相手。
「………そうか」
「別に、前にも言ったかもしれないけど、阿良々木くんが何を思おうと僕の知ったことじゃない。ただ…………」
「ただ?」
忍野は、言葉を繋いだ。
「阿良々木くん。誰かを助けようとする気持ちは、そりゃ素晴らしいことだけどね。けど、あんまり誰も彼もどれもそれも助けようとしてたら、いつか痛い目みるぜ」
「………………………」
「いざという時に、誰を助けるべきなのかを、ちゃんと考えなきゃ駄目だ」
誰を助けるべきなのか。
……………助けるべき、相手。
252: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:18:45.41 ID:NsX4M0ja0
「はっはー。僕としたことが、ちょっと喋り過ぎちゃったかな。別に、何もいいことなんて、なかったんだけどな」
忍野はそう茶化すようにして、会話を締めくくった。
相変わらず、こいつは見透かしたような態度ばかりをとるやつだな。
けど、
「わかったよ。お前の言いたいことは。肝に命じておくよ」
「わかればいいよ。僕だって、いつまでもここに住んでるわけじゃないからね」
忍野は、軽薄なままの口調で、そう言った。
忍野はそう茶化すようにして、会話を締めくくった。
相変わらず、こいつは見透かしたような態度ばかりをとるやつだな。
けど、
「わかったよ。お前の言いたいことは。肝に命じておくよ」
「わかればいいよ。僕だって、いつまでもここに住んでるわけじゃないからね」
忍野は、軽薄なままの口調で、そう言った。
253: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:19:32.22 ID:NsX4M0ja0
「それも、ちゃんと理解はしてるさ」
「理解はしているけど、分かってはいない、かな。阿良々木くんは、ほっといていいものまで、どうにかしようとする傾向にあるからね」
「………でも」
それでも。
「知ってしまったら、どうしようもないだろ。そういうものがあるってことを、僕はもう、嫌っていうほど知ってしまっているんだから」
「はっはー、いっそ、委員長ちゃんみたいに、全部、忘れちゃえればよかったかい?忍ちゃんのこととかさ」
「そんなこと、無理に決まってるだろ」
羽川みたいには、いかないのだ。
「理解はしているけど、分かってはいない、かな。阿良々木くんは、ほっといていいものまで、どうにかしようとする傾向にあるからね」
「………でも」
それでも。
「知ってしまったら、どうしようもないだろ。そういうものがあるってことを、僕はもう、嫌っていうほど知ってしまっているんだから」
「はっはー、いっそ、委員長ちゃんみたいに、全部、忘れちゃえればよかったかい?忍ちゃんのこととかさ」
「そんなこと、無理に決まってるだろ」
羽川みたいには、いかないのだ。
254: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:20:10.25 ID:NsX4M0ja0
「まあでも、常に意識はしてなくちゃ駄目だよ。忍ちゃんは、人間じゃないんだから。変な感情移入はするべきじゃない」
「それは、忍野…………」
「それに」
忍野は言った。
「阿良々木くんは、いつだってその気になれば………忍ちゃんを見捨てればいつだって、完全な人間に戻れるんだってこと…………僕としては、それも、忘れないでいて欲しいな」
「忘れないさ。僕は、そんな選択肢を選ばないと決めたことを、忘れない」
「あっそ」
忍野は、これで話は終わりだと言わんばかりに、いや、実際終わりなのだけれど、露骨に話を切り上げた。
「それじゃ、早くその千石ちゃんのとこに行ってやれよ。早くしないと助かるものも助かんなくなっちまうぜ」
「それは、忍野…………」
「それに」
忍野は言った。
「阿良々木くんは、いつだってその気になれば………忍ちゃんを見捨てればいつだって、完全な人間に戻れるんだってこと…………僕としては、それも、忘れないでいて欲しいな」
「忘れないさ。僕は、そんな選択肢を選ばないと決めたことを、忘れない」
「あっそ」
忍野は、これで話は終わりだと言わんばかりに、いや、実際終わりなのだけれど、露骨に話を切り上げた。
「それじゃ、早くその千石ちゃんのとこに行ってやれよ。早くしないと助かるものも助かんなくなっちまうぜ」
255: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:20:38.79 ID:NsX4M0ja0
学習塾跡を出、僕は寄り道をせずに、自宅へ帰った。
そして再度、今度は三人で北白蛇神社へと向かった。
「千石」
「あ、何……暦お兄ちゃん」
びくっと反応する千石。
怒られると思ったのかもしれない。
「お前、本当はその痕、痛いんだってな」
「あ…………」
千石の顔が、さっと真っ青になった。
「そ、その………怒らないで、暦お兄ちゃん」
「別に、責めてるわけじゃないさ。ただ、大丈夫なのかなって、思っただけ」
「そ、その」
ぎゅっと、帽子を深く被り直す千石だった。
顔を隠すように。
見られたくないかのように。
そして再度、今度は三人で北白蛇神社へと向かった。
「千石」
「あ、何……暦お兄ちゃん」
びくっと反応する千石。
怒られると思ったのかもしれない。
「お前、本当はその痕、痛いんだってな」
「あ…………」
千石の顔が、さっと真っ青になった。
「そ、その………怒らないで、暦お兄ちゃん」
「別に、責めてるわけじゃないさ。ただ、大丈夫なのかなって、思っただけ」
「そ、その」
ぎゅっと、帽子を深く被り直す千石だった。
顔を隠すように。
見られたくないかのように。
256: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:21:18.43 ID:NsX4M0ja0
「締め付けられるようで、痛いけど……我慢できないほどじゃないよ」
「我慢しなきゃいけないのが、そもそもおかしいんだよ。痛いときは痛いで、いいんだ」
「その通りだぞ」
神原が横から口を挟んできた。
「縛られるだけならまだしも、縛られっぱなしというのは、存外、肉体的にはきついものだ。蛇だろうが縄だろうがな」
「縛られるだけがまだしもになる理由も、暗に精神的なきつさを除外した理由も、僕にはわからねえよ、神原」
千石はそんなやり取りに、やはり忍び笑い。
よかった。自分が千石の前でちゃんと喋れてるか不安だったけど、どうやら問題ないみたいだ。
「我慢しなきゃいけないのが、そもそもおかしいんだよ。痛いときは痛いで、いいんだ」
「その通りだぞ」
神原が横から口を挟んできた。
「縛られるだけならまだしも、縛られっぱなしというのは、存外、肉体的にはきついものだ。蛇だろうが縄だろうがな」
「縛られるだけがまだしもになる理由も、暗に精神的なきつさを除外した理由も、僕にはわからねえよ、神原」
千石はそんなやり取りに、やはり忍び笑い。
よかった。自分が千石の前でちゃんと喋れてるか不安だったけど、どうやら問題ないみたいだ。
257: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:21:47.87 ID:NsX4M0ja0
「よし………着いたぞ」
一番前を歩いていた僕が、当然、一番乗りだった。
神社跡。
神が居座る前の。
人が死ぬ前の。
「神原。気分は大丈夫か?」
「うん。思ったより平気だ」
「何か馬鹿なこと言ってみろ」
「私は車の中で本を読んで、酔って気分が悪くなるのが好きだ」
「何か面白いことを言ってみろ」
「仕方ないではないか!やらなければお金をくれないと脅迫さるたのだ!」
「何か工ッチなことを言ってみろ」
「好きな女の子が処*かと思ったら猩々だった」
「よし」
やっぱ、最後が微妙なんだよな。
一番前を歩いていた僕が、当然、一番乗りだった。
神社跡。
神が居座る前の。
人が死ぬ前の。
「神原。気分は大丈夫か?」
「うん。思ったより平気だ」
「何か馬鹿なこと言ってみろ」
「私は車の中で本を読んで、酔って気分が悪くなるのが好きだ」
「何か面白いことを言ってみろ」
「仕方ないではないか!やらなければお金をくれないと脅迫さるたのだ!」
「何か工ッチなことを言ってみろ」
「好きな女の子が処*かと思ったら猩々だった」
「よし」
やっぱ、最後が微妙なんだよな。
258: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:22:17.06 ID:NsX4M0ja0
「じゃ、とっとと準備するか」
「そうだな」
前回と同じように、土に木の棒で線を引き、懐中電灯同士を繋いで、スクエアを形成した。
いわゆる結界といつやつだ。
そして、そのスクエアの内部に………千石が這入る。
一人で。
スクール水着ではなく、月火の目を盗んで拝借した薄手の服で。
「阿良々木先輩。薄着の服ならば、わざわざ妹さんから借りなくても、私が持っていたのに」
「スクール水着なんて着せれるか。年下の女の子に神社でスクール水着を着せるとか、どんなヘン夕イだって話だ」
「そうか?私には、そのシチュエーションはすごく味が出ると思えるがな」
「なんでこの場面で、味なんて出さなきゃならないんだよ」
「そうだな」
前回と同じように、土に木の棒で線を引き、懐中電灯同士を繋いで、スクエアを形成した。
いわゆる結界といつやつだ。
そして、そのスクエアの内部に………千石が這入る。
一人で。
スクール水着ではなく、月火の目を盗んで拝借した薄手の服で。
「阿良々木先輩。薄着の服ならば、わざわざ妹さんから借りなくても、私が持っていたのに」
「スクール水着なんて着せれるか。年下の女の子に神社でスクール水着を着せるとか、どんなヘン夕イだって話だ」
「そうか?私には、そのシチュエーションはすごく味が出ると思えるがな」
「なんでこの場面で、味なんて出さなきゃならないんだよ」
259: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:22:49.89 ID:NsX4M0ja0
「それに、阿良々木先輩が購入した本の中には、そのようなシチュエーションのものもあったと思うのだが?」
「……………………………」
お前、どんだけ僕のことストーカーしてんだよ。
ていうか、なんで僕はそれに気づかないんだよ。
いくらなんでも鈍すぎるだろ。
神原との掛け合いはそのくらいにして、僕は千石に、忍野から渡された二つのお守りを、千石に手渡した。
「で、真ん中に座って………シートの上な。そのお守りを力一杯握って、目を閉じて、呼吸を整えて…………祈れば、いいんだってさ」
「……………………………」
お前、どんだけ僕のことストーカーしてんだよ。
ていうか、なんで僕はそれに気づかないんだよ。
いくらなんでも鈍すぎるだろ。
神原との掛け合いはそのくらいにして、僕は千石に、忍野から渡された二つのお守りを、千石に手渡した。
「で、真ん中に座って………シートの上な。そのお守りを力一杯握って、目を閉じて、呼吸を整えて…………祈れば、いいんだってさ」
260: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:23:26.15 ID:NsX4M0ja0
「祈るって………何に?」
「何かに。多分、この場合は………」
蛇。
蛇神。
蛇切縄。
自分、自身に。
「わかった………頑張る」
「おう」
「暦お兄ちゃん………ちゃんと見ててね」
「……ああ」
「撫子のこと………ちゃんと見ててね」
「…………任せとけ」
僕は結界から外に出て、蚊取り線香の設置を終えた神原と並んで、少し離れた位置から回り込むように、千石の正面に移動した。
「じゃ…………」
と。
千石は既に目を閉じていた。
両手をぎゅっと、胸の前で握り締めている。
儀式は、既に、始まっていた。
「何かに。多分、この場合は………」
蛇。
蛇神。
蛇切縄。
自分、自身に。
「わかった………頑張る」
「おう」
「暦お兄ちゃん………ちゃんと見ててね」
「……ああ」
「撫子のこと………ちゃんと見ててね」
「…………任せとけ」
僕は結界から外に出て、蚊取り線香の設置を終えた神原と並んで、少し離れた位置から回り込むように、千石の正面に移動した。
「じゃ…………」
と。
千石は既に目を閉じていた。
両手をぎゅっと、胸の前で握り締めている。
儀式は、既に、始まっていた。
261: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:24:15.60 ID:NsX4M0ja0
「しかし、阿良々木先輩は本当に、手当たり次第、人助けを行うのだな」
儀式を見守る最中、神原は言った。
「まあ、できる限りは、助けたいと思うよ。それが、甘えでも、無責任でも、自己満足でも」
自己満足に甘んじる覚悟。
果たして、火憐には偉そうに言ったものの、僕にはそれが、できているのだろうか?
「戦場ヶ原先輩はそんな阿良々木先輩のことを好きなんだと思うし、そういうところが阿良々木先輩の魅力なのだと私も思う。でも、願わくば」
神原は言った。
「もしも、それでも誰か一人を選ばなくてはならない状況が訪れれば、そのときは迷わず、戦場ヶ原先輩を選んであげて欲しいな」
忍野は、誰か一人を考えておけと言った。
神原は、誰か一人は戦場ヶ原にして欲しいと言う。
儀式を見守る最中、神原は言った。
「まあ、できる限りは、助けたいと思うよ。それが、甘えでも、無責任でも、自己満足でも」
自己満足に甘んじる覚悟。
果たして、火憐には偉そうに言ったものの、僕にはそれが、できているのだろうか?
「戦場ヶ原先輩はそんな阿良々木先輩のことを好きなんだと思うし、そういうところが阿良々木先輩の魅力なのだと私も思う。でも、願わくば」
神原は言った。
「もしも、それでも誰か一人を選ばなくてはならない状況が訪れれば、そのときは迷わず、戦場ヶ原先輩を選んであげて欲しいな」
忍野は、誰か一人を考えておけと言った。
神原は、誰か一人は戦場ヶ原にして欲しいと言う。
262: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:24:46.07 ID:NsX4M0ja0
「………………………」
それはきっと、
「自分を犠牲にするのは、阿良々木先輩の自由だけれど、戦場ヶ原先輩のことは、大事にしてあげて欲しい。…………まあ、本当は、私にこんなことを言う資格はないのだろうけどな」
「いや、それはきっと、それはお前だからこそ、言えることだろう」
「………なら、いいのだが」
「心配には及ばないよ。僕はあいつのことを、一生背負うって決めてるからな」
「そうか。あ…………阿良々木先輩」
あれ、と神原は、正面を指した。
首元から、鱗痕が消えていく。
鎖骨から、鱗痕が消えていく。
二匹の蛇切縄が、千石から、離れていく。
「滞りなく、進みそうだな」
「うん」
「本当に、よかった」
それはきっと、
「自分を犠牲にするのは、阿良々木先輩の自由だけれど、戦場ヶ原先輩のことは、大事にしてあげて欲しい。…………まあ、本当は、私にこんなことを言う資格はないのだろうけどな」
「いや、それはきっと、それはお前だからこそ、言えることだろう」
「………なら、いいのだが」
「心配には及ばないよ。僕はあいつのことを、一生背負うって決めてるからな」
「そうか。あ…………阿良々木先輩」
あれ、と神原は、正面を指した。
首元から、鱗痕が消えていく。
鎖骨から、鱗痕が消えていく。
二匹の蛇切縄が、千石から、離れていく。
「滞りなく、進みそうだな」
「うん」
「本当に、よかった」
263: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:25:21.76 ID:NsX4M0ja0
「暦お兄ちゃん…………」
儀式は、何事もなく、無事に終わった。
さすがに二匹の蛇となれば、全て消えるのに多少時間はかかったが、それでも結果は上出来と呼べる部類だった。
蛇が去り、
意識を取り戻したらしい千石が、僕と神原のところへ、覚束ない足取りで、近付いてきた。
しかし、それで彼女が苦しくなくなるわけではなく。
泣かなくていいわけでも、ない。
「暦お兄ちゃん。助けてくれて、ありがとう」
だから、やめてくれ。
千石。
お願いだから、ありがとうなんて、そんな聞くに堪えない言葉…………言わないでくれ。僕に、お前からそんなことを言ってもらう資格はない。
僕は、あろうことか、お前を本気で、殺そうとしたのだから。
儀式は、何事もなく、無事に終わった。
さすがに二匹の蛇となれば、全て消えるのに多少時間はかかったが、それでも結果は上出来と呼べる部類だった。
蛇が去り、
意識を取り戻したらしい千石が、僕と神原のところへ、覚束ない足取りで、近付いてきた。
しかし、それで彼女が苦しくなくなるわけではなく。
泣かなくていいわけでも、ない。
「暦お兄ちゃん。助けてくれて、ありがとう」
だから、やめてくれ。
千石。
お願いだから、ありがとうなんて、そんな聞くに堪えない言葉…………言わないでくれ。僕に、お前からそんなことを言ってもらう資格はない。
僕は、あろうことか、お前を本気で、殺そうとしたのだから。
264: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/04(火) 23:26:43.58 ID:NsX4M0ja0
後日談というか、今回のオチ。
翌日、二人の妹、火憐と月火に叩き起こされた僕は目を覚ました後、散歩に出かけた。
目的地もなく、ぶらぶらと歩いてるつもりだったが、ふと立ち止まると、そこは、千石撫子の家。
「暦お兄ちゃん?」
なんて、そんな声が聞こえるわけもなく、僕は直ぐに、その家を通り過ぎた。
すると、二人の中学生くらいの女の子とすれ違った。
何気なくその女の子達に目をやると、二人は、千石の家に入っていた。
とても、楽しそうに。
友達と遊ぶのが、待ちきれないといった様子で。
「よかったな」
本当にいい。
最高だ。
声を上げて、笑いたいくらいに。
声を上げて、叫びたいくらいに。
翌日、二人の妹、火憐と月火に叩き起こされた僕は目を覚ました後、散歩に出かけた。
目的地もなく、ぶらぶらと歩いてるつもりだったが、ふと立ち止まると、そこは、千石撫子の家。
「暦お兄ちゃん?」
なんて、そんな声が聞こえるわけもなく、僕は直ぐに、その家を通り過ぎた。
すると、二人の中学生くらいの女の子とすれ違った。
何気なくその女の子達に目をやると、二人は、千石の家に入っていた。
とても、楽しそうに。
友達と遊ぶのが、待ちきれないといった様子で。
「よかったな」
本当にいい。
最高だ。
声を上げて、笑いたいくらいに。
声を上げて、叫びたいくらいに。
274: 蝋燭沢 2013/06/07(金) 23:04:48.54 ID:TqnkOKnL0
「な?でこだYO?」
「今日もブラザーたちに、ご機嫌の予告をお届けするよ!」
「ツイスターゲームを漢字で書こうシリーズ!」
「撫子は撃墜の「墜」に「星」って書いてツイスターゲーム」
「いったいいくつの星があのゲームで落とされてきたのかな?」
「いつの日か、『撃墜王』って呼ばれてみたいものだよね」
「シャルウィゴーでチェケラウ!」
「次回、心が強くてニューゲーム 其ノ伍」
「こっちの方が、台詞が多い気がする………」
「今日もブラザーたちに、ご機嫌の予告をお届けするよ!」
「ツイスターゲームを漢字で書こうシリーズ!」
「撫子は撃墜の「墜」に「星」って書いてツイスターゲーム」
「いったいいくつの星があのゲームで落とされてきたのかな?」
「いつの日か、『撃墜王』って呼ばれてみたいものだよね」
「シャルウィゴーでチェケラウ!」
「次回、心が強くてニューゲーム 其ノ伍」
「こっちの方が、台詞が多い気がする………」
279: 蝋燭沢 2013/06/08(土) 12:23:42.45 ID:hQU9Juih0
「どうしたの、阿良々木くん。随分と無口じゃない」
ここは…………車の中か。
隣に戦場ヶ原がいて、運転席には、戦場ヶ原のお父さんがいる。
「阿良々木くん。初めてのデートだから緊張するのはもっともだけれど、でも、そんなことじゃ、持たないわよ。夜は長いのだから」
「ああ、わかってるよ」
この日は、僕にとっての記念すべき日。
それと同時に、悪夢のような一日だった。
だが、今回は違う。あいつが僕を苛めて楽しむの、あいつが楽しいならそりゃいいんだけど、でも、やられっぱなしの僕じゃない!
ここは…………車の中か。
隣に戦場ヶ原がいて、運転席には、戦場ヶ原のお父さんがいる。
「阿良々木くん。初めてのデートだから緊張するのはもっともだけれど、でも、そんなことじゃ、持たないわよ。夜は長いのだから」
「ああ、わかってるよ」
この日は、僕にとっての記念すべき日。
それと同時に、悪夢のような一日だった。
だが、今回は違う。あいつが僕を苛めて楽しむの、あいつが楽しいならそりゃいいんだけど、でも、やられっぱなしの僕じゃない!
280: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 12:24:44.48 ID:hQU9Juih0
「ねえ阿良々木くん」
戦場ヶ原が平坦な口調で言う。
「私のこと、好き?」
「ああ、好きだぜ。僕は戦場ヶ原のことが大好きだ」
負けじと僕も平坦な口調で言った。
「戦場ヶ原?それは私のことを指しているのかしら。それとも、お父さんのことを指しているのかしら」
「あ、いや、それはもちろ…………」
「お父さん。良かったわね。阿良々木くんがお父さんのこと、大好きだって」
「ひたぎさん!僕はひたぎさんのことが大好きです!」
くっ、油断した。
だが、まだまだこれからだ。
戦場ヶ原が平坦な口調で言う。
「私のこと、好き?」
「ああ、好きだぜ。僕は戦場ヶ原のことが大好きだ」
負けじと僕も平坦な口調で言った。
「戦場ヶ原?それは私のことを指しているのかしら。それとも、お父さんのことを指しているのかしら」
「あ、いや、それはもちろ…………」
「お父さん。良かったわね。阿良々木くんがお父さんのこと、大好きだって」
「ひたぎさん!僕はひたぎさんのことが大好きです!」
くっ、油断した。
だが、まだまだこれからだ。
281: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 12:25:20.38 ID:hQU9Juih0
「なによ、慌てちゃって。それじゃあまるで、阿良々木くんはお父さんのことが嫌いみたいじゃない」
戦場ヶ原は、直も攻撃の手を緩めない。
本当、楽しそうだなあ。
お前が楽しそうだで、僕は満足だよ!
「いや、そんなことは………」
「お父さん。阿良々木くんはお父さんのことが嫌いらしいわよ」
「だから、そんなことは言ってない!」
戦場ヶ原父は、僕達のやり取りに無反応。
いや、何回か話してみたけど、全然、無愛想ってわけじゃないんだよな。
娘のことを第一に考える。
それは、父親としては当たり前のことかもしれないけれど、それでも、当たり前のことを当たり前にできる人で、正直、尊敬する。
戦場ヶ原は、直も攻撃の手を緩めない。
本当、楽しそうだなあ。
お前が楽しそうだで、僕は満足だよ!
「いや、そんなことは………」
「お父さん。阿良々木くんはお父さんのことが嫌いらしいわよ」
「だから、そんなことは言ってない!」
戦場ヶ原父は、僕達のやり取りに無反応。
いや、何回か話してみたけど、全然、無愛想ってわけじゃないんだよな。
娘のことを第一に考える。
それは、父親としては当たり前のことかもしれないけれど、それでも、当たり前のことを当たり前にできる人で、正直、尊敬する。
282: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 12:25:46.27 ID:hQU9Juih0
「………………………」
「あら。また静かになっちゃったわね。少しいじめ過ぎたかしら」
戦場ヶ原は僕の方を向いて言う。
「阿良々木くんって反応がいいから、ついつい凹ましたくなっちゃうのよ」
「その台詞に何より凹むよ………」
全く。
いつまでたっても、僕はこいつに敵わないんだな。
…………いや、例え敵わなくても、引き分けくらいには持ち込めるかもしれない。
「お前は、僕のどういうところが好きなんだ?」
「優しいところ。可愛いところ。私が困っているときにはいつだって助けに駆けつけてくれる王子様みたいなところ」
「あら。また静かになっちゃったわね。少しいじめ過ぎたかしら」
戦場ヶ原は僕の方を向いて言う。
「阿良々木くんって反応がいいから、ついつい凹ましたくなっちゃうのよ」
「その台詞に何より凹むよ………」
全く。
いつまでたっても、僕はこいつに敵わないんだな。
…………いや、例え敵わなくても、引き分けくらいには持ち込めるかもしれない。
「お前は、僕のどういうところが好きなんだ?」
「優しいところ。可愛いところ。私が困っているときにはいつだって助けに駆けつけてくれる王子様みたいなところ」
283: 蝋燭沢 2013/06/08(土) 12:26:31.27 ID:hQU9Juih0
「へえ、そりゃありがたいな」
僕は、できるだけ平静を装って答えた。
あいつが僕のリアクションを見て楽しむというのなら、僕は平静を装うまでだ。
そうすれば、少なくとも僕の負けではないだろう。
………………いや、そもそも何の勝負だって話なのだが。
「ふん、つまらないわね。せっかく私が褒めてあげているのだから、もっと喜びなさいよ」
「別に、僕は充分喜んで………」
「お父さん。もしかしたら私、初恋の人に愛されていないかもしれないわ」
「わーい。ひたぎさんに褒められたぞ。すげえ嬉しい!」
「あらそう」
…………いや、お前それはずるいだろ。
なんでもかんでも父親にチクるんじゃねえよ。
そうまでして僕を苦しめたいのか。
僕は、できるだけ平静を装って答えた。
あいつが僕のリアクションを見て楽しむというのなら、僕は平静を装うまでだ。
そうすれば、少なくとも僕の負けではないだろう。
………………いや、そもそも何の勝負だって話なのだが。
「ふん、つまらないわね。せっかく私が褒めてあげているのだから、もっと喜びなさいよ」
「別に、僕は充分喜んで………」
「お父さん。もしかしたら私、初恋の人に愛されていないかもしれないわ」
「わーい。ひたぎさんに褒められたぞ。すげえ嬉しい!」
「あらそう」
…………いや、お前それはずるいだろ。
なんでもかんでも父親にチクるんじゃねえよ。
そうまでして僕を苦しめたいのか。
284: 蝋燭沢 2013/06/08(土) 12:27:00.54 ID:hQU9Juih0
「そういえば」
と、戦場ヶ原は言った。
自分の都合でぽんぽん話題を変える奴だ。
「そういえば、ゴミ……いえ、阿良々木くん」
「今お前、自分の彼氏をゴミと言いかけたか?」
「何を言っているの、いわれのない言いがかりはやめて頂戴。そんなことより阿良々木くん、この前の実力テスト、どうだったの?」
「あん?」
「ほら、私が、私の家で、二人きりで、機会があるこどに、昼となく夜となく、散々面倒見てあげたじゃない」
「………………………」
だから、何故わざわざそんな言い片をする………。
つーか、夢の中テストの点数なんて知らないのだけれど。
まあ、適当に答えればいいか。
と、戦場ヶ原は言った。
自分の都合でぽんぽん話題を変える奴だ。
「そういえば、ゴミ……いえ、阿良々木くん」
「今お前、自分の彼氏をゴミと言いかけたか?」
「何を言っているの、いわれのない言いがかりはやめて頂戴。そんなことより阿良々木くん、この前の実力テスト、どうだったの?」
「あん?」
「ほら、私が、私の家で、二人きりで、機会があるこどに、昼となく夜となく、散々面倒見てあげたじゃない」
「………………………」
だから、何故わざわざそんな言い片をする………。
つーか、夢の中テストの点数なんて知らないのだけれど。
まあ、適当に答えればいいか。
285: 蝋燭沢 2013/06/08(土) 12:27:31.50 ID:hQU9Juih0
「何をいい惜しんでいるの。早く具体的な点数を教えなさい。勿体ぶっているようだと、身体中の関節を全部逆向きに折り曲げて、なんだか逆に格好いいみたいな体型にしてあげるわよ」
「その体型に格好いい要素はひとつもねえよ!」
「格好悪い?」
「格好悪いなんてレベルの話じゃない!」
「(笑)?」
「笑えねえよ!」
「さあ、ブリッジと勘違いされて封鎖されないうちに、早く教えなさい」
「いや、言ってやったみたいな顔してるけど、それ、全然上手くないから」
ともあれ、僕は戦場ヶ原に適当に点数を伝えた。
記憶にある点数より、気持ち高めで。
「その体型に格好いい要素はひとつもねえよ!」
「格好悪い?」
「格好悪いなんてレベルの話じゃない!」
「(笑)?」
「笑えねえよ!」
「さあ、ブリッジと勘違いされて封鎖されないうちに、早く教えなさい」
「いや、言ってやったみたいな顔してるけど、それ、全然上手くないから」
ともあれ、僕は戦場ヶ原に適当に点数を伝えた。
記憶にある点数より、気持ち高めで。
286: 蝋燭沢 2013/06/08(土) 12:28:05.55 ID:hQU9Juih0
「まあ、それなりね。少し前から勉強を始めていたことを含めても、妥当な数字ね」
「妥当ね」
「ええ。妥当過ぎてつまらないわ。もしも悪い点数だったら、半殺しにするつもりだったのに」
「お前はいったい、何がどうなったら満足するんだよ!」
「笑のヒントを、そう簡単に他人に求めるものではないわよ、阿良々木くん」
「僕はお前の退屈しのぎの為にテストを受けているわけじゃない!」
それにしも、
進学。
大学受験。
ああ、本当にこのころから、真面目に勉強してればなあ。
後、一ヶ月か…………
「妥当ね」
「ええ。妥当過ぎてつまらないわ。もしも悪い点数だったら、半殺しにするつもりだったのに」
「お前はいったい、何がどうなったら満足するんだよ!」
「笑のヒントを、そう簡単に他人に求めるものではないわよ、阿良々木くん」
「僕はお前の退屈しのぎの為にテストを受けているわけじゃない!」
それにしも、
進学。
大学受験。
ああ、本当にこのころから、真面目に勉強してればなあ。
後、一ヶ月か…………
287: 蝋燭沢 2013/06/08(土) 12:28:53.41 ID:hQU9Juih0
「まあでも、これなら少しは神原と遊んであげる時間がとれるかもね」
戦場ヶ原は、強いて平坦な口調で言った。
強いて平坦にしたと、わかる口調だった。
「阿良々木くんだって、神原とは遊びたいって思うでしょう?」
「そりゃな。面白い奴だし」
ちょっと面白過ぎるけど。
それに。
「お前が神原と仲良くしてるのを見ると、僕がこんなことを思うのは筋違いで、余計なお世話かもしれないけれど、それでも、嬉しいよ」
「そう。それなら、今度、三人で遊びましょうか」
「ああ、そうしようぜ」
戦場ヶ原は、強いて平坦な口調で言った。
強いて平坦にしたと、わかる口調だった。
「阿良々木くんだって、神原とは遊びたいって思うでしょう?」
「そりゃな。面白い奴だし」
ちょっと面白過ぎるけど。
それに。
「お前が神原と仲良くしてるのを見ると、僕がこんなことを思うのは筋違いで、余計なお世話かもしれないけれど、それでも、嬉しいよ」
「そう。それなら、今度、三人で遊びましょうか」
「ああ、そうしようぜ」
288: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 12:29:19.66 ID:hQU9Juih0
そんなことを言っている内に、時間経過。
気付けば、いつの間にか僕達が乗る車は高速道路を降りていた。
「もう少しね」
同じように窓の外を確認し、戦場ヶ原は言った。
「あと十分くらい、かしら。時間的にも、丁度いい…………か。さすが私ね」
「………………………」
いや、だからそれは戦場ヶ原父の手柄だと思うだけれど。
お前、車の中で僕と喋ってただけじゃん。
「うるさいわね」
「え?何も言ってないじゃん」
「呼吸音や心音がうるさいと言っているのよ」
「いや、それは死ねと言っているんだ?」
そんなやり取りをしている内に、僕達の乗る車は、駐車場へとたどり着いた。
気付けば、いつの間にか僕達が乗る車は高速道路を降りていた。
「もう少しね」
同じように窓の外を確認し、戦場ヶ原は言った。
「あと十分くらい、かしら。時間的にも、丁度いい…………か。さすが私ね」
「………………………」
いや、だからそれは戦場ヶ原父の手柄だと思うだけれど。
お前、車の中で僕と喋ってただけじゃん。
「うるさいわね」
「え?何も言ってないじゃん」
「呼吸音や心音がうるさいと言っているのよ」
「いや、それは死ねと言っているんだ?」
そんなやり取りをしている内に、僕達の乗る車は、駐車場へとたどり着いた。
289: 蝋燭沢 2013/06/08(土) 12:29:53.25 ID:hQU9Juih0
「阿良々木くん、とか言ったね」
「あ、はい」
目的地に到着した後、案の定、僕と戦場ヶ原父を車に残して戦場ヶ原は行ってしまった。
……………やっぱり、気まずいな。
「そうか」
と、頷く戦場ヶ原父。
「娘を、よろしく頼む」
「……………………」
「なんちゃって」
と。
戦場ヶ原父は続けた。
………この場合は、やっぱり笑うべきなのだろうか?
僕にどうしろというのだ。
「あ、はい」
目的地に到着した後、案の定、僕と戦場ヶ原父を車に残して戦場ヶ原は行ってしまった。
……………やっぱり、気まずいな。
「そうか」
と、頷く戦場ヶ原父。
「娘を、よろしく頼む」
「……………………」
「なんちゃって」
と。
戦場ヶ原父は続けた。
………この場合は、やっぱり笑うべきなのだろうか?
僕にどうしろというのだ。
290: 蝋燭沢 2013/06/08(土) 12:30:43.10 ID:hQU9Juih0
「ひたぎの母親のことは、もう聞いているね」
「はい」
「じゃあ、ひたぎの病気のことも」
「……………………」
「まあ、それだけじゃないし、無論、仕事ばかりにかまけていた僕の責任も少なからずあるが…………ひたぎはすっかり、心を閉ざした人間になってしまった」
「ええ、よく知っています」
それは、よく知っている。
一年次と二年次。
三年次の一ヶ月。
そして、今でさえ、こちらの彼女は、心を開いているとは……………言えない。
「その辺りのことについては、言い訳のしようがないな。子供がやったことは親の責任だが、親がやったことに、子供には何の責任もないんだから」
「責任、ですか…………」
「はい」
「じゃあ、ひたぎの病気のことも」
「……………………」
「まあ、それだけじゃないし、無論、仕事ばかりにかまけていた僕の責任も少なからずあるが…………ひたぎはすっかり、心を閉ざした人間になってしまった」
「ええ、よく知っています」
それは、よく知っている。
一年次と二年次。
三年次の一ヶ月。
そして、今でさえ、こちらの彼女は、心を開いているとは……………言えない。
「その辺りのことについては、言い訳のしようがないな。子供がやったことは親の責任だが、親がやったことに、子供には何の責任もないんだから」
「責任、ですか…………」
291: 蝋燭沢 2013/06/08(土) 12:31:35.94 ID:hQU9Juih0
「母親のことがあるからな。それに、病気のこともある。あの子は人を愛する側の人間だが、愛し方がわからない」
だから、好きになる努力をしたい、と。
彼女は言ったのだろう。
それは、彼女なりの手探りでの、愛し方。
「ひたぎは愛する側の人間だから」
戦場ヶ原父は言う。
「だから、しかるべき相手には、全体重をゆだねる。全力で甘える。愛するっていうのは、求めるってことだからね」
「愛し、愛されたい…………」
「だから、あの子は心の中でずっと叫んでいた。私を見て、と」
「……………………」
「そして、きみはそんなあの子を見つけた。見つけただけではなく、見続けようとした。してくれた。阿良々木くんには、本当に感謝しているよ」
思い入れを込めて、静かに語る戦場ヶ原父。
だから、好きになる努力をしたい、と。
彼女は言ったのだろう。
それは、彼女なりの手探りでの、愛し方。
「ひたぎは愛する側の人間だから」
戦場ヶ原父は言う。
「だから、しかるべき相手には、全体重をゆだねる。全力で甘える。愛するっていうのは、求めるってことだからね」
「愛し、愛されたい…………」
「だから、あの子は心の中でずっと叫んでいた。私を見て、と」
「……………………」
「そして、きみはそんなあの子を見つけた。見つけただけではなく、見続けようとした。してくれた。阿良々木くんには、本当に感謝しているよ」
思い入れを込めて、静かに語る戦場ヶ原父。
292: 蝋燭沢 2013/06/08(土) 12:32:16.95 ID:hQU9Juih0
「……随分高く買ってもらっているようで、恐縮ですけれど………でも、そんなの、たまたまだと思いますよ」
「そうかい?ひたぎの病気を治すのにも、きみが一役買ってくれあと聞いているが」
「だから…………別に、それは僕じゃなくても、よかったんだと思います。ひたぎさんを見つけたのがたまたま僕だっただけで、たまたまそこに居合わせただけで、僕以外の誰でもよかったんだと思います」
「それでいいんだよ。必要なときにそこにいてくれたという事実は、ただそれだけのことで、何にも増して、ありがたいものだ」
戦場ヶ原父は。
今日初めて、笑ったようだった。
「あれは自慢の娘だ。僕は娘の見る眼を信用している。あれが連れてくる男なら、間違いないだろう」
「………………………」
「娘をよろしく頼むよ、阿良々木くん」
「…………はい」
「そうかい?ひたぎの病気を治すのにも、きみが一役買ってくれあと聞いているが」
「だから…………別に、それは僕じゃなくても、よかったんだと思います。ひたぎさんを見つけたのがたまたま僕だっただけで、たまたまそこに居合わせただけで、僕以外の誰でもよかったんだと思います」
「それでいいんだよ。必要なときにそこにいてくれたという事実は、ただそれだけのことで、何にも増して、ありがたいものだ」
戦場ヶ原父は。
今日初めて、笑ったようだった。
「あれは自慢の娘だ。僕は娘の見る眼を信用している。あれが連れてくる男なら、間違いないだろう」
「………………………」
「娘をよろしく頼むよ、阿良々木くん」
「…………はい」
293: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/08(土) 12:33:03.02 ID:hQU9Juih0
「目を開けていいわよ」
あの後すぐに、戦場ヶ原は車に戻ってきたので、僕は戦場ヶ原の言われるがままに、得に抵抗することもなく、例の、お勧めのスポットに案内された。
「…………………………………………うおお」
目の前に広がるのは、満天の星。
降るような星々。
何度見ても、心を奪われる。
「どうかしら、阿良々木くん」
「すごいな。正直、言葉にならない」
「語彙が足りないのね」
感動に水を差す毒舌だった。
しかし、やはりその程度で。
彼女の吐く毒ですら、この星空の下ではその程度で。
あの後すぐに、戦場ヶ原は車に戻ってきたので、僕は戦場ヶ原の言われるがままに、得に抵抗することもなく、例の、お勧めのスポットに案内された。
「…………………………………………うおお」
目の前に広がるのは、満天の星。
降るような星々。
何度見ても、心を奪われる。
「どうかしら、阿良々木くん」
「すごいな。正直、言葉にならない」
「語彙が足りないのね」
感動に水を差す毒舌だった。
しかし、やはりその程度で。
彼女の吐く毒ですら、この星空の下ではその程度で。
294: 蝋燭沢 2013/06/08(土) 12:33:48.33 ID:hQU9Juih0
「あれがデネブ。アルタイル。ベガ。有名な夏の大三角、ね」
僕は、彼女が指差す星を辿り、覚えながら、空を見る。
「あの辺りがへびつかい座よ。だから、へび座は、あの辺りに並んでいる星になるわね」
戦場ヶ原が、夜空を指をさして、滔々と説明する。
「あそこのひときわ明るい星がスピカ……だから、あの辺りはおとめ座ね。あっちにかに座…………は、ちょっと判別しづらいかしら」
「いや、わかるよ。続けて」
「そう」
戦場ヶ原はそうやって、一つ一つ、見える限りの星座と、それにまつわるエピソードとを、語ってくれた。それは、一度聞いたことがあるにも関わらず、やっぱり、とても心地よかった。
僕は、彼女が指差す星を辿り、覚えながら、空を見る。
「あの辺りがへびつかい座よ。だから、へび座は、あの辺りに並んでいる星になるわね」
戦場ヶ原が、夜空を指をさして、滔々と説明する。
「あそこのひときわ明るい星がスピカ……だから、あの辺りはおとめ座ね。あっちにかに座…………は、ちょっと判別しづらいかしら」
「いや、わかるよ。続けて」
「そう」
戦場ヶ原はそうやって、一つ一つ、見える限りの星座と、それにまつわるエピソードとを、語ってくれた。それは、一度聞いたことがあるにも関わらず、やっぱり、とても心地よかった。
295: 蝋燭沢 2013/06/08(土) 12:35:48.19 ID:hQU9Juih0
「そんなこんなで、なにはともあれ」
あらかた、星座の解説を終えて。
戦場ヶ原は、平坦に言った。
「これで、全部よ」
「何がだ?」
星空を見上げたままで言う戦場ヶ原。
「勉強を教えてあげられること。可愛い後輩と、ぶっきらぼうなお父さん。それに、この星空。私が持っているのは、これくらいのもの。私が阿良々木くんにあげられるのは、これくらいのもの。これくらいで、全部」
「全部…………」
「まあ、厳密に言えば、毒舌や暴言があるけれど」
「それはいらない!」
「それに、私自身の肉体というのもあるけれど」
「それは……………」
あらかた、星座の解説を終えて。
戦場ヶ原は、平坦に言った。
「これで、全部よ」
「何がだ?」
星空を見上げたままで言う戦場ヶ原。
「勉強を教えてあげられること。可愛い後輩と、ぶっきらぼうなお父さん。それに、この星空。私が持っているのは、これくらいのもの。私が阿良々木くんにあげられるのは、これくらいのもの。これくらいで、全部」
「全部…………」
「まあ、厳密に言えば、毒舌や暴言があるけれど」
「それはいらない!」
「それに、私自身の肉体というのもあるけれど」
「それは……………」
296: 蝋燭沢 2013/06/08(土) 12:36:33.84 ID:hQU9Juih0
「それは、無理にはいらないよ。お前の、好きなときでいい」
「そう。そう言ってもらえると、私も楽になるわ」
戦場ヶ原は続ける。
「いつか、いつか絶対に何とかするから、少しだけ、それは待っていて欲しいの」
「構わないさ。僕はお前のことを、一生背負うって決めてるんだから」
僕が生きている限り。
彼女が生きている限り。
ずっと。
「ねえ阿良々木くん」
戦場ヶ原が平坦に言う。
「私のこと、好き?」
「好きだよ」
「私も好きよ。阿良々木くんのこと」
「ありがとう」
「そう。そう言ってもらえると、私も楽になるわ」
戦場ヶ原は続ける。
「いつか、いつか絶対に何とかするから、少しだけ、それは待っていて欲しいの」
「構わないさ。僕はお前のことを、一生背負うって決めてるんだから」
僕が生きている限り。
彼女が生きている限り。
ずっと。
「ねえ阿良々木くん」
戦場ヶ原が平坦に言う。
「私のこと、好き?」
「好きだよ」
「私も好きよ。阿良々木くんのこと」
「ありがとう」
297: 蝋燭沢 2013/06/08(土) 12:37:03.61 ID:hQU9Juih0
「私のどういうところが好き?」
「全部好きだ。好きじゃないところはない」
「そう。嬉しいわ」
「お前は、僕のどういうところが好きなんだ?」
「嬉しいよ」
そして。
戦場ヶ原は、照れも衒いもまるで滲ませず、言った。
「キスをします」
「………………………」
「違うわね。こうじゃないわ。キスを………キスをして………いただけませんか?キスをし………したらどうな………」
「戦場ヶ原」
「…………………」
「キスをしよう」
「……………はい」
「全部好きだ。好きじゃないところはない」
「そう。嬉しいわ」
「お前は、僕のどういうところが好きなんだ?」
「嬉しいよ」
そして。
戦場ヶ原は、照れも衒いもまるで滲ませず、言った。
「キスをします」
「………………………」
「違うわね。こうじゃないわ。キスを………キスをして………いただけませんか?キスをし………したらどうな………」
「戦場ヶ原」
「…………………」
「キスをしよう」
「……………はい」
298: 蝋燭沢 2013/06/08(土) 12:37:32.03 ID:hQU9Juih0
後日談というか、今回のオチ。
翌日の夜、僕は戦場ヶ原を連れだって、例の神社。北白蛇神社まで来ていた。
星を、見るために。
「へえ、こんなところからも、こんなに綺麗に星が見えたのね」
「ああ、ここって結構空に近いし。さすがに、あそこまでとは言わなくても、なかなかのもんだろ?」
「ええ、さすがはいなか町ね」
「いや、そこは僕を褒めてくれよ」
「だって、どうせ阿良々木くんが自分でこの場所を見つけたわけじゃないのでしょう?」
「…………………」
まあ、その通り。
影縫さんから聞いたんだけどな。
「それにしても、冬の大三角がよく見えるわね」
「ん?どこだ?」
「あそこよ」
そう言って、戦場ヶ原はあの時のように、星空を指差した。
「あれがシリウス。ブロキオン。ベルギウス………………」
僕はそれを忘れないように、目で追いながら、眺めていた。
翌日の夜、僕は戦場ヶ原を連れだって、例の神社。北白蛇神社まで来ていた。
星を、見るために。
「へえ、こんなところからも、こんなに綺麗に星が見えたのね」
「ああ、ここって結構空に近いし。さすがに、あそこまでとは言わなくても、なかなかのもんだろ?」
「ええ、さすがはいなか町ね」
「いや、そこは僕を褒めてくれよ」
「だって、どうせ阿良々木くんが自分でこの場所を見つけたわけじゃないのでしょう?」
「…………………」
まあ、その通り。
影縫さんから聞いたんだけどな。
「それにしても、冬の大三角がよく見えるわね」
「ん?どこだ?」
「あそこよ」
そう言って、戦場ヶ原はあの時のように、星空を指差した。
「あれがシリウス。ブロキオン。ベルギウス………………」
僕はそれを忘れないように、目で追いながら、眺めていた。
311: 蝋燭沢 2013/06/14(金) 23:37:37.48 ID:TphzSrqJ0
「羽川翼です」
「電子辞書が台頭し始めた頃には『電子辞書では調べたい言葉の意味しか分からないが、紙の辞書だったら調べたい言葉だけじゃなく、周りの言葉の意味も知ることが出来るんだよ』なんて言われてましたけど、最近じゃ電子辞書もリンク機能が発達してきたので、紙の辞書よりよっぽど周りの言葉の意味が分かるようになっちゃいましたね」
「完全に机上の市民権を得たというか、今じゃ戦場ヶ原さんが武器に使っても不思議じゃないかも」
「迂闊に熱中すると、最初に調べていた言葉が何だったか忘れちゃうところは同じですけれど。辞書は電子化できても人間は電子化できないのかな?」
「次回、心が強くてニューゲーム 其ノ陸」
「残念ながら、最終回です」
「電子辞書が台頭し始めた頃には『電子辞書では調べたい言葉の意味しか分からないが、紙の辞書だったら調べたい言葉だけじゃなく、周りの言葉の意味も知ることが出来るんだよ』なんて言われてましたけど、最近じゃ電子辞書もリンク機能が発達してきたので、紙の辞書よりよっぽど周りの言葉の意味が分かるようになっちゃいましたね」
「完全に机上の市民権を得たというか、今じゃ戦場ヶ原さんが武器に使っても不思議じゃないかも」
「迂闊に熱中すると、最初に調べていた言葉が何だったか忘れちゃうところは同じですけれど。辞書は電子化できても人間は電子化できないのかな?」
「次回、心が強くてニューゲーム 其ノ陸」
「残念ながら、最終回です」
315: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:09:45.57 ID:eXtJzuNV0
「何よ」
戦場ヶ原は言った。
「阿良々木くん、どこかに行くの?」
「ちょっとそこまで」
「何をしに行くの?」
「人道支援」
「あらそう」
取り澄ましたものだった。
さすがは戦場ヶ原ひたぎ。
たとえ夢の中でも、僕のことはわかっているようだ。
「いいわ。行ってらっしゃい、阿良々木くん。本来ならばあり得ないことだけれど、特別に情けをかけて、私が代返しておいてあげる」
「四十人ぽっちの高校の授業で代返なんて、何の意味もないと思うが…………まあいいや」
戦場ヶ原は言った。
「阿良々木くん、どこかに行くの?」
「ちょっとそこまで」
「何をしに行くの?」
「人道支援」
「あらそう」
取り澄ましたものだった。
さすがは戦場ヶ原ひたぎ。
たとえ夢の中でも、僕のことはわかっているようだ。
「いいわ。行ってらっしゃい、阿良々木くん。本来ならばあり得ないことだけれど、特別に情けをかけて、私が代返しておいてあげる」
「四十人ぽっちの高校の授業で代返なんて、何の意味もないと思うが…………まあいいや」
316: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:10:52.77 ID:eXtJzuNV0
「それじゃ」
「ええ。頑張ってちょうだい」
そうやって、戦場ヶ原と別れた僕は、駆け足で自転車置き場へと向かった。
羽川翼の為に。
羽川翼に恩を返す為に。
浪白公園に向かって、一人自転車を漕いだ。
大丈夫。
忍の居場所はわかってるから、失敗することはないだろう。
まあ、僕のすることなんて、出来ることなんてのは、その場しのぎでしかなくて、結局は、あいつが一人で助からなきゃいけないのだけれど。
そんなことをぼんやりと考えながら、自転車を漕いでいると、不意に目の前に虎が。
一頭の虎が、表れた。
「ええ。頑張ってちょうだい」
そうやって、戦場ヶ原と別れた僕は、駆け足で自転車置き場へと向かった。
羽川翼の為に。
羽川翼に恩を返す為に。
浪白公園に向かって、一人自転車を漕いだ。
大丈夫。
忍の居場所はわかってるから、失敗することはないだろう。
まあ、僕のすることなんて、出来ることなんてのは、その場しのぎでしかなくて、結局は、あいつが一人で助からなきゃいけないのだけれど。
そんなことをぼんやりと考えながら、自転車を漕いでいると、不意に目の前に虎が。
一頭の虎が、表れた。
317: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:11:44.56 ID:eXtJzuNV0
「え、嘘だろ?なんで、お前がここに…………」
おかしい。
なんでこいつが、今出てくるんだよ。だってこいつは、夏休み明けに羽川が…………
『ふん』
そう言って。
僕が混乱している間に、虎は、苛虎は僕の前から姿を消した。
どうする?
予想外だな。今苛虎が出てくるなんて、どうすればいい?
………………とりあえずは、羽川のところに向かうか。
僕の知ってるのとは、今までにないくらいに違ってきてるけど、まあ、これは夢なんだし、そういうこともあるだろう。
そう思って僕は、再度自転車に乗って、急いで羽川のところに向かった。
おかしい。
なんでこいつが、今出てくるんだよ。だってこいつは、夏休み明けに羽川が…………
『ふん』
そう言って。
僕が混乱している間に、虎は、苛虎は僕の前から姿を消した。
どうする?
予想外だな。今苛虎が出てくるなんて、どうすればいい?
………………とりあえずは、羽川のところに向かうか。
僕の知ってるのとは、今までにないくらいに違ってきてるけど、まあ、これは夢なんだし、そういうこともあるだろう。
そう思って僕は、再度自転車に乗って、急いで羽川のところに向かった。
318: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:13:01.66 ID:eXtJzuNV0
「………あ、阿良々木くん」
羽川は、パジャマにハンチング帽をかぶる、といつ出で立ちで僕を迎えた。
「よっ」
勿論僕の方は、自転車をきちんと駐輪場に止めてきた。
出会い頭注意を受けるのって、なかなかへこむしな。
「ごめんね、阿良々木くん」
羽川の前にまで行き至ると、謝られた。
労いの言葉こそ、やっぱりなかったが。
「学校、サボらせちゃって」
「いや、それはいいよ。それより、何があったんだ?」
僕としては、予想はついているのだけれど。
羽川は、パジャマにハンチング帽をかぶる、といつ出で立ちで僕を迎えた。
「よっ」
勿論僕の方は、自転車をきちんと駐輪場に止めてきた。
出会い頭注意を受けるのって、なかなかへこむしな。
「ごめんね、阿良々木くん」
羽川の前にまで行き至ると、謝られた。
労いの言葉こそ、やっぱりなかったが。
「学校、サボらせちゃって」
「いや、それはいいよ。それより、何があったんだ?」
僕としては、予想はついているのだけれど。
319: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:13:42.36 ID:eXtJzuNV0
「あの、阿良々木くん。ゴールデンウィークのこと、さ。私………思い出したんだけど」
「そうか」
慎重に言葉を選ぶ風にして、羽川は言う。
「いや、そうじゃないのかな。忘れてることがあるのを、思い出したって感じだね…………何があったのかは、どんなに頑張っても、ぼんやりとしか思い出せないんだけど」
「ああ、まあ、そうだろうな。究極的なところまでは、思い出すのは無理なはずだよ」
そもそも、忘れていることを思い出すことさえ、無理だったはずなのに。
それなのに。
「そうか」
慎重に言葉を選ぶ風にして、羽川は言う。
「いや、そうじゃないのかな。忘れてることがあるのを、思い出したって感じだね…………何があったのかは、どんなに頑張っても、ぼんやりとしか思い出せないんだけど」
「ああ、まあ、そうだろうな。究極的なところまでは、思い出すのは無理なはずだよ」
そもそも、忘れていることを思い出すことさえ、無理だったはずなのに。
それなのに。
320: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:14:30.32 ID:eXtJzuNV0
「けど、羽川。僕をこうして呼び出したってことは、思い出したってだけじゃ、ないんだろう?」
「そうよ」
「怪異か」
「そう………だから」
と、僕を見る羽川。
「阿良々木くんには、忍野さんのところまで、道案内、頼んでもいいかしら」
「ああ、それはいいよ。けどその前に、二、三、質問させてもらっていいか?」
「え…………いいけど、なんで?」
「最終的に丸投げにするにせよ、話の骨子は整理しておかないとさ。自分達にできることは自分達でなんとかしようとする姿勢は、常に保っとかなきゃ」
それに、今回は苛虎のこともある。
僕の知っている事情とは、少しばかり違うかもしれないのだから。
「そうよ」
「怪異か」
「そう………だから」
と、僕を見る羽川。
「阿良々木くんには、忍野さんのところまで、道案内、頼んでもいいかしら」
「ああ、それはいいよ。けどその前に、二、三、質問させてもらっていいか?」
「え…………いいけど、なんで?」
「最終的に丸投げにするにせよ、話の骨子は整理しておかないとさ。自分達にできることは自分達でなんとかしようとする姿勢は、常に保っとかなきゃ」
それに、今回は苛虎のこともある。
僕の知っている事情とは、少しばかり違うかもしれないのだから。
321: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:15:06.36 ID:eXtJzuNV0
「あ………そうだね」
納得した風の羽川だった。
「いいよ。じゃあ、何でも訊いて」
その後、僕は前の時と同じようなことを、羽川に聞いてみた。
しかし、羽川から聞けた話からは、なぜ苛虎が今ここで表れたのか、わからなかった。
おそらくそれは、羽川が都合よく。都合の悪いことを忘れてしまっているからだろう。
忘れて、押し付けて。
ずるを、しているから。
「よし。じゃあ、話も整理できたし、忍野のところにゆくとしよう。………まさか羽川、自転車の二人乗りは法律違反だなんて、そんなこと、言わないよな?」
「言いたいところだけれど」
羽川はベンチから立った。
「見逃してあげる。阿良々木くんに学校サボらせたのと、これとで、チャラね」
「いや、それでチャラになるのはおかしくないか?」
両方お前の都合じゃん。
納得した風の羽川だった。
「いいよ。じゃあ、何でも訊いて」
その後、僕は前の時と同じようなことを、羽川に聞いてみた。
しかし、羽川から聞けた話からは、なぜ苛虎が今ここで表れたのか、わからなかった。
おそらくそれは、羽川が都合よく。都合の悪いことを忘れてしまっているからだろう。
忘れて、押し付けて。
ずるを、しているから。
「よし。じゃあ、話も整理できたし、忍野のところにゆくとしよう。………まさか羽川、自転車の二人乗りは法律違反だなんて、そんなこと、言わないよな?」
「言いたいところだけれど」
羽川はベンチから立った。
「見逃してあげる。阿良々木くんに学校サボらせたのと、これとで、チャラね」
「いや、それでチャラになるのはおかしくないか?」
両方お前の都合じゃん。
322: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:15:34.19 ID:eXtJzuNV0
「大変だよね、阿良々木くんは」?
羽川が、二人乗りをしてしばらくしたところで、僕に向かって、そんなことを言ってきた。
「色んな人の、色んな面倒、見なくちゃいけなくて」
「別に、見なくちゃいけない、とかじゃないさ。僕がただ、自己満足でやってるだけ」
「それはそうかも知れないけど。でも、全部…………怪異がらみだったんだね。思い出した」
羽川は言った。
「始まりは、春休みに阿良々木くんが吸血鬼に襲われたところ、か………あそこから全部が始まったんだね」
「怪異自体はずっと、当たり前のようにそこにあるもので………ある日突然、表れたわけじゃないんだけどな」
羽川が、二人乗りをしてしばらくしたところで、僕に向かって、そんなことを言ってきた。
「色んな人の、色んな面倒、見なくちゃいけなくて」
「別に、見なくちゃいけない、とかじゃないさ。僕がただ、自己満足でやってるだけ」
「それはそうかも知れないけど。でも、全部…………怪異がらみだったんだね。思い出した」
羽川は言った。
「始まりは、春休みに阿良々木くんが吸血鬼に襲われたところ、か………あそこから全部が始まったんだね」
「怪異自体はずっと、当たり前のようにそこにあるもので………ある日突然、表れたわけじゃないんだけどな」
323: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:16:12.40 ID:eXtJzuNV0
「阿良々木くん………知ってる?」
「知ってるって、何を」
「吸血鬼の特性の一つなんだけどね………魅了って言って、吸血鬼は人間を虜にしちゃうんだ」
「…………………」
「その目で見つめることによって、異性を虜にするのよ。吸血鬼と人間って種族が違うから、異性っていう言い方が、この場合適切かどうかはわからないけれど」
「…………………」
「………ごめんね」
羽川が言う。
「今、私、意地悪なこと言ったよね」
「別に、気にしないよ。それぐらい」
お前は何でも知ってるな、とは。
やっぱり、言えなかった。
「知ってるって、何を」
「吸血鬼の特性の一つなんだけどね………魅了って言って、吸血鬼は人間を虜にしちゃうんだ」
「…………………」
「その目で見つめることによって、異性を虜にするのよ。吸血鬼と人間って種族が違うから、異性っていう言い方が、この場合適切かどうかはわからないけれど」
「…………………」
「………ごめんね」
羽川が言う。
「今、私、意地悪なこと言ったよね」
「別に、気にしないよ。それぐらい」
お前は何でも知ってるな、とは。
やっぱり、言えなかった。
324: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:16:56.99 ID:eXtJzuNV0
「おや。阿良々木くんじゃないか」
学習塾跡に到着した僕逹に、忍野は正面から声をかけた。
「それに、委員長ちゃん………だよね。僕は女性に髪型を変えられちゃうと誰だかわからなくなっちゃうんだけど、うん、その眼鏡は間違いなく委員長ちゃんだ。はつはー、委員長ちゃんは久し振り、阿良々木くんは一日振り」
忍野は、多分ここで撤退の準備をしていたのだろう。
この町から、去る準備を。
「ふうん。そういうことかい。阿良々木くん」
見透かしたように、忍野は言う。
「本当にきみは、三歩歩けば面倒ごとを引き込んでくるな。ある意味才能だよ、それ」
学習塾跡に到着した僕逹に、忍野は正面から声をかけた。
「それに、委員長ちゃん………だよね。僕は女性に髪型を変えられちゃうと誰だかわからなくなっちゃうんだけど、うん、その眼鏡は間違いなく委員長ちゃんだ。はつはー、委員長ちゃんは久し振り、阿良々木くんは一日振り」
忍野は、多分ここで撤退の準備をしていたのだろう。
この町から、去る準備を。
「ふうん。そういうことかい。阿良々木くん」
見透かしたように、忍野は言う。
「本当にきみは、三歩歩けば面倒ごとを引き込んでくるな。ある意味才能だよ、それ」
325: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:17:33.80 ID:eXtJzuNV0
「まあいいや。早く這入っておいでよ、阿良々木くんも、委員長ちゃんも。そこのフェンスの破れ目からさ。いつものように、四階で話をしよう」
「ああ………わるいな」
とりあえず、忍野の言う通りにする。
四階の教室に着いた瞬間に、忍野は不意打ちで羽川の頭を帽子の上から軽くはたいた。
軽くはたいた。
だけなのに、羽川は崩れ落ちた。
両膝をつき、かくんと、うつ伏せに倒れる。
糸が切れたように。
「事情は既に阿良々木くんの方で終えてくれたらしいからね。ちょっと手順を省略させてもらったよ」
「そうか……」
「おっと、ほら、もう、来たぜ、阿良々木くん。色ボケ猫のお出ましだ」
「ああ………わるいな」
とりあえず、忍野の言う通りにする。
四階の教室に着いた瞬間に、忍野は不意打ちで羽川の頭を帽子の上から軽くはたいた。
軽くはたいた。
だけなのに、羽川は崩れ落ちた。
両膝をつき、かくんと、うつ伏せに倒れる。
糸が切れたように。
「事情は既に阿良々木くんの方で終えてくれたらしいからね。ちょっと手順を省略させてもらったよ」
「そうか……」
「おっと、ほら、もう、来たぜ、阿良々木くん。色ボケ猫のお出ましだ」
326: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:18:05.85 ID:eXtJzuNV0
見れば。
うつ伏せに倒れた羽川の、その、長い髪が変色していく。
変色。
いや、退色か。
純粋な黒から、白に近い銀へ。
すうぅーっと、生気が抜けていくように。
「……………………」
「にゃはははは」
そして彼女は、
猫のように目を細め、猫のようににたりと笑う。
「また会えるとは驚いたにゃあ、人間。懲りもせずに俺のご主人のおᘄぱいに欲情してやがったみたいで、相変わらずお前は駄目駄目にゃ。食い殺されたいのかにゃん?」
「……………………………」
自分のキャラ設定とポジショニングを、一つの台詞の中でとてもわかりやすく説明しながら。
ブラック羽川は、再臨した。
うつ伏せに倒れた羽川の、その、長い髪が変色していく。
変色。
いや、退色か。
純粋な黒から、白に近い銀へ。
すうぅーっと、生気が抜けていくように。
「……………………」
「にゃはははは」
そして彼女は、
猫のように目を細め、猫のようににたりと笑う。
「また会えるとは驚いたにゃあ、人間。懲りもせずに俺のご主人のおᘄぱいに欲情してやがったみたいで、相変わらずお前は駄目駄目にゃ。食い殺されたいのかにゃん?」
「……………………………」
自分のキャラ設定とポジショニングを、一つの台詞の中でとてもわかりやすく説明しながら。
ブラック羽川は、再臨した。
327: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:18:58.07 ID:eXtJzuNV0
僕と忍野は、突如姿を見せたブラック羽川を、一瞬の手際で縛り上げて、一通り話を聞き出したところで、縛り上げたブラック羽川をその教室に放置して、他の教室に移動した。
「………でも、今回は、お前の責任でもあるわけだろう?アフターケアが足りないと思うぞ」
「まあ、そういう風にも言えるよね」
やはり、忍野は反論しない。
「忍野、訊きたいことがあるんだが」
「奇遇だねえ。僕も阿良々木くんから、訊かれたいことがあったんだよ」
「忍はどうした」
「うん、それそれ」
むかつくくらいに、爽やかな笑顔と共に、忍野は答えた。
「忍ちゃん、自分探しの旅に出ちゃった」
「………でも、今回は、お前の責任でもあるわけだろう?アフターケアが足りないと思うぞ」
「まあ、そういう風にも言えるよね」
やはり、忍野は反論しない。
「忍野、訊きたいことがあるんだが」
「奇遇だねえ。僕も阿良々木くんから、訊かれたいことがあったんだよ」
「忍はどうした」
「うん、それそれ」
むかつくくらいに、爽やかな笑顔と共に、忍野は答えた。
「忍ちゃん、自分探しの旅に出ちゃった」
328: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:19:39.51 ID:eXtJzuNV0
「………そうか」?
「ん?なんだい、阿良々木くん。やけに冷静じゃないか。僕はきみのことだから、もっと慌てふためくと思ってたんだけどな」
「別に、ただ何となくだけど、そういう予感がしただけ」
「………そうかい」
忍野は言った。
「じゃあ、僕は忍を探してくるよ。あいつがいなきゃ、今回のこと、片がつかないしな」
「結局はその場しのぎの姑息療法なんだけれどね。まあでもそこは、委員長ちゃんの成長次第かな」
成長。
怪異に魅せられない、十分な強さ。
しかし、忍野は前回、羽川のストレスの原因は両親のことだって言ってたよな。
まあ、さすがにあいつも、人の色恋沙汰まで見透かせるわけでもないか。
「ん?なんだい、阿良々木くん。やけに冷静じゃないか。僕はきみのことだから、もっと慌てふためくと思ってたんだけどな」
「別に、ただ何となくだけど、そういう予感がしただけ」
「………そうかい」
忍野は言った。
「じゃあ、僕は忍を探してくるよ。あいつがいなきゃ、今回のこと、片がつかないしな」
「結局はその場しのぎの姑息療法なんだけれどね。まあでもそこは、委員長ちゃんの成長次第かな」
成長。
怪異に魅せられない、十分な強さ。
しかし、忍野は前回、羽川のストレスの原因は両親のことだって言ってたよな。
まあ、さすがにあいつも、人の色恋沙汰まで見透かせるわけでもないか。
329: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:20:20.24 ID:eXtJzuNV0
「そうだ、忍野」
「なんだい、阿良々木くん」
「せっかく縛り上げたんだけどさ、ブラック羽川。連れてってもいいか?同じ怪異同士の方が、もしかしたら探しやすいかもしれないし」
実際は、忍を探す必要なんてないのだけれど。
苛虎のことを、ブラック羽川ならばなにか知っているかもしれない。
同じ一人の少女から、生まれた怪異なのだから。
「まあ、彼女達は同じだからね。その方法は、割りとまともなんだけどさ……」
忍野は、軽い口調で続ける。
「もしかしたら、阿良々木くん。きみ、怪異に慣れたつもりでいるんじゃないかい?」
「なんだい、阿良々木くん」
「せっかく縛り上げたんだけどさ、ブラック羽川。連れてってもいいか?同じ怪異同士の方が、もしかしたら探しやすいかもしれないし」
実際は、忍を探す必要なんてないのだけれど。
苛虎のことを、ブラック羽川ならばなにか知っているかもしれない。
同じ一人の少女から、生まれた怪異なのだから。
「まあ、彼女達は同じだからね。その方法は、割りとまともなんだけどさ……」
忍野は、軽い口調で続ける。
「もしかしたら、阿良々木くん。きみ、怪異に慣れたつもりでいるんじゃないかい?」
330: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:21:07.09 ID:eXtJzuNV0
「…………そんなことは、ないよ」
「そうかい、それならいいんだけどね。けど、阿良々木くん。一応言っておくけれど、怪異は怪異、人間は人間、だよ」
「………………………」
「一緒にはならないし、なれない。何があっても相容れない。その事だけは、忘れないでいくれよ」
忍野は言った。
「…………わかった」
「それじゃあ、そろそろ行きなよ。僕は僕の方で、色々とやることがあるから手は貸せないけど、頑張りなよ」
「ああ、それじゃあな、忍野」
「うん。またね、阿良々木くん」
なんて、やはり忍野は別れの言葉を口にしなかった。
本当は、また会う気なんてないくせに。
まあでもしかし、僕はこいつに、会いにいかなきゃいけないんだよな………
「そうかい、それならいいんだけどね。けど、阿良々木くん。一応言っておくけれど、怪異は怪異、人間は人間、だよ」
「………………………」
「一緒にはならないし、なれない。何があっても相容れない。その事だけは、忘れないでいくれよ」
忍野は言った。
「…………わかった」
「それじゃあ、そろそろ行きなよ。僕は僕の方で、色々とやることがあるから手は貸せないけど、頑張りなよ」
「ああ、それじゃあな、忍野」
「うん。またね、阿良々木くん」
なんて、やはり忍野は別れの言葉を口にしなかった。
本当は、また会う気なんてないくせに。
まあでもしかし、僕はこいつに、会いにいかなきゃいけないんだよな………
331: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:21:52.17 ID:eXtJzuNV0
忍野と別れた後、ブラック羽川を連れて、とりあえずは学習塾跡を出た。
しかし、目立つブラック羽川を連れて昼間から街中を歩けるはずもなく、人通りの少ないところで、苛虎のことを聞くことにした。
「にゃんだ。気付いていたのかにゃ」
「気付いてた、つーか、直接会ったんだよ。けど、その様子じゃ、やっぱりなにか知ってるみたいだな」
「まあにゃ。というか、今回俺が出てきた目的は、ご主人のストレスの発散ということと、あの虎を引っ込めることにゃ」
「え、そうなのか?」
「ああ。あいつの存在は、ご主人の望むところではないからにゃ」
「………そうか」
しかし、目立つブラック羽川を連れて昼間から街中を歩けるはずもなく、人通りの少ないところで、苛虎のことを聞くことにした。
「にゃんだ。気付いていたのかにゃ」
「気付いてた、つーか、直接会ったんだよ。けど、その様子じゃ、やっぱりなにか知ってるみたいだな」
「まあにゃ。というか、今回俺が出てきた目的は、ご主人のストレスの発散ということと、あの虎を引っ込めることにゃ」
「え、そうなのか?」
「ああ。あいつの存在は、ご主人の望むところではないからにゃ」
「………そうか」
332: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:22:40.36 ID:eXtJzuNV0
「ストレスっていうのは、やっぱり、僕が原因なんだよな?」
「なんだ。自覚があったのかにゃ」
「まあ、な」
「そこまでわかってるんだったら、ご主人と付き合ってやればいいにゃん。そうすれば、俺もあの虎も消えるし。どうせ、お前は相手にゃんて誰でもいいんだろ?」
「そんなことはないよ。それに、それは羽川が自分で言うべきことだ」
声に、出すべきだった。
自分の気持ちを、ちゃんと伝えるべきだった。
「お前に頼ったのは、羽川の弱さなんだ。苦しい役目を、お前に押し付けたに過ぎない」
「言うじゃにゃいか」
ブラック羽川は、僕を揶揄するように、嘲る。
「なんだ。自覚があったのかにゃ」
「まあ、な」
「そこまでわかってるんだったら、ご主人と付き合ってやればいいにゃん。そうすれば、俺もあの虎も消えるし。どうせ、お前は相手にゃんて誰でもいいんだろ?」
「そんなことはないよ。それに、それは羽川が自分で言うべきことだ」
声に、出すべきだった。
自分の気持ちを、ちゃんと伝えるべきだった。
「お前に頼ったのは、羽川の弱さなんだ。苦しい役目を、お前に押し付けたに過ぎない」
「言うじゃにゃいか」
ブラック羽川は、僕を揶揄するように、嘲る。
333: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:23:25.95 ID:eXtJzuNV0
「まあでも、それは確かに俺がとやかく言うべきことじゃないにゃ」
ブラック羽川は、言いかけた言葉を飲み込んだ。
正直、僕はここでブラック羽川と、またぞろ一戦交えることになるかもしれないと覚悟していたので、その反応は意外だった。
「俺はどうせ、あの吸血鬼にエナジードレインをされれば直ぐに消えるにゃ」
「ああ。だから問題は、あの虎はいったいなんなのかってことだ 」
本来ならば、苛虎がここで出てくるわけがない。
だってあれは、羽川の家族への嫉妬が原因となっているはずだから。
「なあ、猫。あの虎のこと、教えてくれないか」
怪異には、それに相応しい理由がある。
この時点で出現した苛虎には、いったいどんな理由があるというのだろか。
ブラック羽川は、言いかけた言葉を飲み込んだ。
正直、僕はここでブラック羽川と、またぞろ一戦交えることになるかもしれないと覚悟していたので、その反応は意外だった。
「俺はどうせ、あの吸血鬼にエナジードレインをされれば直ぐに消えるにゃ」
「ああ。だから問題は、あの虎はいったいなんなのかってことだ 」
本来ならば、苛虎がここで出てくるわけがない。
だってあれは、羽川の家族への嫉妬が原因となっているはずだから。
「なあ、猫。あの虎のこと、教えてくれないか」
怪異には、それに相応しい理由がある。
この時点で出現した苛虎には、いったいどんな理由があるというのだろか。
334: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:24:22.71 ID:eXtJzuNV0
「俺も、全部を全部知っているわけじゃにゃいが………」
そう前置いて、ブラック羽川は語り始めた。
「まずご主人は、ガキのころから。俺という存在が生まれるずっと前から、自分に都合の悪い記憶を忘れることができたにゃ」
嫌な想いを消す。
そうしないと、弱く幼い彼女は、生きていけかったから。
普通の女の子に、なれないと思ったから。
「あの虎は、そういう、ご主人が忘れた負の感情から生まれた怪異にゃ」
「………忍野は、そのことに気付いてたのかな」
「さあにゃ。だが、気付いていたとしても、問題無いとは思っていただろうにゃ」
「どうしてだ?」
「本来のペースにゃらば、負の感情が溜まりきらないうちに、ご主人は俺や忘却に頼らない強さを身に付けていたはずだからにゃ」
ブラック羽川は、続けて言った。
「しかし、ここ最近イレギュラーなことが起こってにゃ、そのペースが崩れたにゃ」
そう前置いて、ブラック羽川は語り始めた。
「まずご主人は、ガキのころから。俺という存在が生まれるずっと前から、自分に都合の悪い記憶を忘れることができたにゃ」
嫌な想いを消す。
そうしないと、弱く幼い彼女は、生きていけかったから。
普通の女の子に、なれないと思ったから。
「あの虎は、そういう、ご主人が忘れた負の感情から生まれた怪異にゃ」
「………忍野は、そのことに気付いてたのかな」
「さあにゃ。だが、気付いていたとしても、問題無いとは思っていただろうにゃ」
「どうしてだ?」
「本来のペースにゃらば、負の感情が溜まりきらないうちに、ご主人は俺や忘却に頼らない強さを身に付けていたはずだからにゃ」
ブラック羽川は、続けて言った。
「しかし、ここ最近イレギュラーなことが起こってにゃ、そのペースが崩れたにゃ」
335: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:25:03.45 ID:eXtJzuNV0
イレギュラーなこと。
前回は、家族への嫉妬。
だったら、今回は、いったいなんだというのだろうか。
「そのイレギュラーなことってのは、いったいなんなんだよ?」
「はっ!そんなこと、お前のことに決まっているにゃ」
「それって、どういう意味だよ。僕が羽川に、なにか酷いことをして、それを羽川が忘れようとしたせいで、あの虎が出てきたって言うのかよ」
そんなこと、した覚えはないのだけれど。
むしろ、夢の中ではうまくやっていたはずなのに。
「酷いこと、というのとは少し違うにゃ。ご主人にとってそれは、ショックなことだったんだにゃ」?
ショックなこと。
忘れなければならないほどに。
忘れて怪異が生じてしまうほどに。
大きな、心の傷。
「教えてくれ猫。その、イレギュラーなことってのを、詳しく」
僕に関することで羽川がショックをうけたというのならば、僕はそれを、知らなければならないのだから。
?
前回は、家族への嫉妬。
だったら、今回は、いったいなんだというのだろうか。
「そのイレギュラーなことってのは、いったいなんなんだよ?」
「はっ!そんなこと、お前のことに決まっているにゃ」
「それって、どういう意味だよ。僕が羽川に、なにか酷いことをして、それを羽川が忘れようとしたせいで、あの虎が出てきたって言うのかよ」
そんなこと、した覚えはないのだけれど。
むしろ、夢の中ではうまくやっていたはずなのに。
「酷いこと、というのとは少し違うにゃ。ご主人にとってそれは、ショックなことだったんだにゃ」?
ショックなこと。
忘れなければならないほどに。
忘れて怪異が生じてしまうほどに。
大きな、心の傷。
「教えてくれ猫。その、イレギュラーなことってのを、詳しく」
僕に関することで羽川がショックをうけたというのならば、僕はそれを、知らなければならないのだから。
?
336: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:28:38.91 ID:eXtJzuNV0
「まあ、お前にはそれを聞く資格があるんだろうにゃ」
ブラック羽川は言った。
「きっかけは、二ヶ月だか三ヶ月前にお前が言った言葉にゃ」
「…………それって」
「お前はご主人に、好きな奴がいるなら自分の思いを伝えろ、と言ったにゃ」
確かに、僕はこの夢を見始めたときに、そんなことを言った。
羽川に、後悔をして欲しくなかったから。
「お前がそれをどんな気持ちで、どんな想いで言ったかは知りゃないが、知ろうとも思わにゃいが、ご主人はその言葉を真に受けたんにゃ」
けど、結局羽川からは、なんのアクションもなかったはずだ。
ブラック羽川は言った。
「きっかけは、二ヶ月だか三ヶ月前にお前が言った言葉にゃ」
「…………それって」
「お前はご主人に、好きな奴がいるなら自分の思いを伝えろ、と言ったにゃ」
確かに、僕はこの夢を見始めたときに、そんなことを言った。
羽川に、後悔をして欲しくなかったから。
「お前がそれをどんな気持ちで、どんな想いで言ったかは知りゃないが、知ろうとも思わにゃいが、ご主人はその言葉を真に受けたんにゃ」
けど、結局羽川からは、なんのアクションもなかったはずだ。
337: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:29:24.85 ID:eXtJzuNV0
「いや、それは違うにゃ」
ブラック羽川は、僕の言葉に首を振った。
「違うって、どういうことだよ。それって、羽川思いを伝えたけれど、僕がそれに気付かなかったってことなのか?」
「いや、それも違う。正確には、ご主人はお前に思いを伝えようとしたが、それは失敗したのにゃ」
「失敗?それって……」
「母の日」
ブラック羽川は唐突に言った。
「母の日。ご主人はお前に思いを伝えようとしたのにゃ。ご主人の類稀ない頭脳をフルで活用し、お前が昼間っから一人であの公園にいると予想し、実際にその公園に行った」
しかし、その羽川予想は見事に外れた。
いや、現実の通りならばむしろ羽川の予想は当たっていて、そのはさすがと言わざるおえないが、それでも。
それでも、僕はその公園にいなかった。
なぜなら、戦場ヶ原ひたぎと一緒に、迷い牛の対処法を忍野に聞きに行っていたから。
ブラック羽川は、僕の言葉に首を振った。
「違うって、どういうことだよ。それって、羽川思いを伝えたけれど、僕がそれに気付かなかったってことなのか?」
「いや、それも違う。正確には、ご主人はお前に思いを伝えようとしたが、それは失敗したのにゃ」
「失敗?それって……」
「母の日」
ブラック羽川は唐突に言った。
「母の日。ご主人はお前に思いを伝えようとしたのにゃ。ご主人の類稀ない頭脳をフルで活用し、お前が昼間っから一人であの公園にいると予想し、実際にその公園に行った」
しかし、その羽川予想は見事に外れた。
いや、現実の通りならばむしろ羽川の予想は当たっていて、そのはさすがと言わざるおえないが、それでも。
それでも、僕はその公園にいなかった。
なぜなら、戦場ヶ原ひたぎと一緒に、迷い牛の対処法を忍野に聞きに行っていたから。
338: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:30:14.13 ID:eXtJzuNV0
「ご主人が何を思ってその日に行動を起こそうとしたのか、俺にはわからにゃいが、とにかく、ご主人の思惑は外れた」
おそらく羽川は気付いていたのだろう。
その日が、運命の日だと。
その日が、最後のチャンスだと。
ああ、だから八九寺が見た羽川は落ち込んでいたのか。
あれ、でも羽川はたしか…………
「ご主人は、そのことに酷く落ち込んだにゃ。落ち込んで、嫌になって、そして後になって、お前と他の女と付き合ったことを知って」
全てを忘れたにゃ、と。
ブラック羽川は、僕の疑問に答えるように言った。
そういうことか。
だから、電話をしたときに羽川はそのことを知らないと言ったのか。
記憶を、忘却したから。
嫌なものを、押し付けたから。
ずるを、したから。
おそらく羽川は気付いていたのだろう。
その日が、運命の日だと。
その日が、最後のチャンスだと。
ああ、だから八九寺が見た羽川は落ち込んでいたのか。
あれ、でも羽川はたしか…………
「ご主人は、そのことに酷く落ち込んだにゃ。落ち込んで、嫌になって、そして後になって、お前と他の女と付き合ったことを知って」
全てを忘れたにゃ、と。
ブラック羽川は、僕の疑問に答えるように言った。
そういうことか。
だから、電話をしたときに羽川はそのことを知らないと言ったのか。
記憶を、忘却したから。
嫌なものを、押し付けたから。
ずるを、したから。
339: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:30:55.63 ID:eXtJzuNV0
「自分がお前に告白しようとしたことも、それが失敗に終わったことも、お前に言われたことも、全部ご主人は忘れたにゃ」
そして、僕が忠告する前に元通り。
結局、何も変わらずに。
ただ、強く正しいだけの彼女に。
「けど、きっかけってことは、他にもなにかあるんだろ?」
「ああ。今のはあくまできっかけにゃ。あの虎が生まれる引き金になったのは、つい最近のことにゃ」
「つい、最近?」
「それは、ほんの少し前のこと。あの本屋でのことだにゃ」
「詳しい経緯は知りゃないが、ご主人はお前に迫った。もちろんそれは、本気でのことではなく、お前を試すためにやったことのようだがにゃ」
そして、僕が忠告する前に元通り。
結局、何も変わらずに。
ただ、強く正しいだけの彼女に。
「けど、きっかけってことは、他にもなにかあるんだろ?」
「ああ。今のはあくまできっかけにゃ。あの虎が生まれる引き金になったのは、つい最近のことにゃ」
「つい、最近?」
「それは、ほんの少し前のこと。あの本屋でのことだにゃ」
「詳しい経緯は知りゃないが、ご主人はお前に迫った。もちろんそれは、本気でのことではなく、お前を試すためにやったことのようだがにゃ」
340: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:31:34.89 ID:eXtJzuNV0
「ご主人は、お前は誰にでも優しいから、瀕死の吸血鬼を自分の身を犠牲にしてまで助けようとするぐらいに甘い奴だから、お前は自分のことを拒否しないと思っていたにゃ」
しかし、羽川のその予想はまたも外れることとなった。
僕は、しっかりと羽川の行いを拒否した。
あいつに、僕の成長を知って欲しかったから。
けど、僕の行動もまた、またも裏目に出ることになり……………
「そして、ご主人は思い至るにゃ。誰にでも優しいお前が、しかし、いつの間にか自分などでは揺るがないほどに他の女を好きになっていると」
ブラック羽川はたんたんと続けた。
「そこでご主人は、かつてないほどの嫉妬をその女に抱いた。そして、抱いた瞬間にその感情を忘れたにゃ」
しかし、羽川のその予想はまたも外れることとなった。
僕は、しっかりと羽川の行いを拒否した。
あいつに、僕の成長を知って欲しかったから。
けど、僕の行動もまた、またも裏目に出ることになり……………
「そして、ご主人は思い至るにゃ。誰にでも優しいお前が、しかし、いつの間にか自分などでは揺るがないほどに他の女を好きになっていると」
ブラック羽川はたんたんと続けた。
「そこでご主人は、かつてないほどの嫉妬をその女に抱いた。そして、抱いた瞬間にその感情を忘れたにゃ」
341: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:32:14.90 ID:eXtJzuNV0
「そんで、その嫉妬を元にあの虎が生まれたってことか」
「まあ、それだけってわけでもにゃい。ガキのころからの積み重ねってのもあるが、でも、大元はそれにゃ」
「そうか………」
結局。
僕が色々気を回しても、結果は同じこと。
全て羽川の心の弱さが原因とはさすがに言えないけれど。
けどやっぱり、問題を解決するには羽川が成長するしかないことも事実なのだ。
「それで、お前はどうするつもりなんだ」
「にゃ?」
「お前の目的は、あの虎を消すことなんだろ、だったら、それの方法とか考えてないのか」
「まあ、それだけってわけでもにゃい。ガキのころからの積み重ねってのもあるが、でも、大元はそれにゃ」
「そうか………」
結局。
僕が色々気を回しても、結果は同じこと。
全て羽川の心の弱さが原因とはさすがに言えないけれど。
けどやっぱり、問題を解決するには羽川が成長するしかないことも事実なのだ。
「それで、お前はどうするつもりなんだ」
「にゃ?」
「お前の目的は、あの虎を消すことなんだろ、だったら、それの方法とか考えてないのか」
342: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:33:07.75 ID:eXtJzuNV0
「俺は、あの吸血鬼に俺とおにゃじように、エナジードレインしてもらうのが一番だと思うにゃ」
「けどそれじゃ、どのみち根本的な解決にはならないぞ」
その方法だと、苛虎は半年もしない内にまた表れてしまう。
「それでもいいと思うにゃ。今回は間に合わにゃかったが、ご主人は近いうち俺らに頼らにゃい強さを手に入れるはずにゃ。だからそれまでに、俺が出来るのは、精々時間稼ぎくらいなもんだからにゃ」
「………………お前、なんだかんだ言って羽川に甘いよな」
「当たり前にゃ」
当然だと言わんばかりに、ブラック羽川は頷いた。
「けどそれじゃ、どのみち根本的な解決にはならないぞ」
その方法だと、苛虎は半年もしない内にまた表れてしまう。
「それでもいいと思うにゃ。今回は間に合わにゃかったが、ご主人は近いうち俺らに頼らにゃい強さを手に入れるはずにゃ。だからそれまでに、俺が出来るのは、精々時間稼ぎくらいなもんだからにゃ」
「………………お前、なんだかんだ言って羽川に甘いよな」
「当たり前にゃ」
当然だと言わんばかりに、ブラック羽川は頷いた。
343: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:33:59.26 ID:eXtJzuNV0
「それじゃあ、虎はエナジードレインで消すって方向でいいな」
「ああ。けど、人間。吸血鬼がどこにいるのか、お前は知ってるのか?家出したんだろ、そいつ」
「そこん所は、大丈夫だ。ちゃんと目星はついてるよ」
目星はついてるっていか、ほとんど正解を知っちゃってるようなものなんだけれど。
果たして忍は、僕のこの言葉を、影の中で、どんな気持ちで聞いているのだろうか。
「そろそろ時間もいい頃合いだな。こっからは共闘といこうぜ」
「ふっ。これがほんとの鬼と猫の…………にゃ?うーん、にゃんだろう」
「何も思いついていないなら勢いで喋ろうとするんじゃねえ!うまいこと言えない奴がうまいこと言おうとしている図ほど痛ましいものこの世にはないんだよ!」
まったく、せっかくここまで終始シリアスなムードで来たのに台無しじゃねえかよ。
「ああ。けど、人間。吸血鬼がどこにいるのか、お前は知ってるのか?家出したんだろ、そいつ」
「そこん所は、大丈夫だ。ちゃんと目星はついてるよ」
目星はついてるっていか、ほとんど正解を知っちゃってるようなものなんだけれど。
果たして忍は、僕のこの言葉を、影の中で、どんな気持ちで聞いているのだろうか。
「そろそろ時間もいい頃合いだな。こっからは共闘といこうぜ」
「ふっ。これがほんとの鬼と猫の…………にゃ?うーん、にゃんだろう」
「何も思いついていないなら勢いで喋ろうとするんじゃねえ!うまいこと言えない奴がうまいこと言おうとしている図ほど痛ましいものこの世にはないんだよ!」
まったく、せっかくここまで終始シリアスなムードで来たのに台無しじゃねえかよ。
344: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:34:33.60 ID:eXtJzuNV0
「分かったわ」
「…………いや、まだ僕何も言って無いんだけど」
あの後、僕は今回苛虎がどこを狙うのかを考えた。
候補は四つ。
阿良々木暦。
戦場ヶ原ひたぎ。
その二人の家。
今回の羽川は、別に家族や居場所に嫉妬しているわけではないので、最後の選択肢は考えなくていい。
また、朝僕が苛虎と出会った時にあっちに何のアクションもなかったので、僕という選択肢も除外。
そうすると、標的は必然的に戦場ヶ原ひたぎになるので、僕は戦場ヶ原ひたぎに電話をかけた。
ちなみに、ブラック羽川には先に学校に向かわせた。
「…………いや、まだ僕何も言って無いんだけど」
あの後、僕は今回苛虎がどこを狙うのかを考えた。
候補は四つ。
阿良々木暦。
戦場ヶ原ひたぎ。
その二人の家。
今回の羽川は、別に家族や居場所に嫉妬しているわけではないので、最後の選択肢は考えなくていい。
また、朝僕が苛虎と出会った時にあっちに何のアクションもなかったので、僕という選択肢も除外。
そうすると、標的は必然的に戦場ヶ原ひたぎになるので、僕は戦場ヶ原ひたぎに電話をかけた。
ちなみに、ブラック羽川には先に学校に向かわせた。
345: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:35:14.40 ID:eXtJzuNV0
「戦場ヶ原、僕の話を聞いてくれ」
「土下座されちゃしょうがないわな」
「してねえよ!」
「で、なに?」
「お前、まだ学校にいるのか?」
「ええ、今日は、かなり遅くまで帰れないでしょうね」
「そうか。詳しくは話せないんだけど、僕がもう一度連絡するまで、学校から出ないでくれないか」
「それは、阿良々木くんが朝言っていた、人道支援となにか関係があるのかしら?」
「ああ」
「羽川さんが学校を休んでるけど、それとも関係が?」
「いい勘してるな。その通りだよ」
「土下座されちゃしょうがないわな」
「してねえよ!」
「で、なに?」
「お前、まだ学校にいるのか?」
「ええ、今日は、かなり遅くまで帰れないでしょうね」
「そうか。詳しくは話せないんだけど、僕がもう一度連絡するまで、学校から出ないでくれないか」
「それは、阿良々木くんが朝言っていた、人道支援となにか関係があるのかしら?」
「ああ」
「羽川さんが学校を休んでるけど、それとも関係が?」
「いい勘してるな。その通りだよ」
346: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:35:49.41 ID:eXtJzuNV0
「分かったわ、阿良々木くん。その人道支援とやらに、精を出しなさい。阿良々木くんのやり方を貫けばいいわ。こっちは、私に任せなさい」
「そうだな………じゃあ」
僕は言った。
戦場ヶ原を信じて。
「学校は任せた。いい文化祭にしようぜ」
「そうね。そうしたいわ」
いつも通りの平坦な口調。
全く、感情を滲ませないけれど。
それでもそれはやっぱり、戦場ヶ原の声だった。
「じゃあ、また連絡する」
「ああ、阿良々木くん。一つだけ、いいかしら」
「なんだよ」
「ツンデレサービス」
最後に、戦場ヶ原は言った。
平坦な口調で。
「そうだな………じゃあ」
僕は言った。
戦場ヶ原を信じて。
「学校は任せた。いい文化祭にしようぜ」
「そうね。そうしたいわ」
いつも通りの平坦な口調。
全く、感情を滲ませないけれど。
それでもそれはやっぱり、戦場ヶ原の声だった。
「じゃあ、また連絡する」
「ああ、阿良々木くん。一つだけ、いいかしら」
「なんだよ」
「ツンデレサービス」
最後に、戦場ヶ原は言った。
平坦な口調で。
347: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:36:21.26 ID:eXtJzuNV0
「勘違いしないでよね、別に阿良々木くんのことが心配なわけじゃないんだから。でも、帰ってこなかったら、許さないんだからね」
ぶちっと、電話は向こうから切られた。
本当に、勝手な奴だよ。
でも、やっぱり僕は、そんなあいつのことが大好きなんだ。
どうしようもないくらい。
帰るに決まっているだろう。
そうして、待たれているのなら。
「………安心して、任せられるよ」
とにかく。
そろそろ僕も、急いだほうが良さそうだ。
ここまで来て、間に合わなかったなんて笑えない。
ぶちっと、電話は向こうから切られた。
本当に、勝手な奴だよ。
でも、やっぱり僕は、そんなあいつのことが大好きなんだ。
どうしようもないくらい。
帰るに決まっているだろう。
そうして、待たれているのなら。
「………安心して、任せられるよ」
とにかく。
そろそろ僕も、急いだほうが良さそうだ。
ここまで来て、間に合わなかったなんて笑えない。
348: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:37:22.34 ID:eXtJzuNV0
「よお、虎。迎えに来たぜ。一緒に消えよう」
予想通り、苛虎は戦場ヶ原ひたぎを狙って表れた。
僕とブラック羽川は、校門の前で苛虎と向かい合うようにして、並んで立ったていた。
『どけ』
苛虎は言った。
『吾輩はそこにいる女を燃やす。お前達は邪魔だ』
「………は」
『燃やす。燃やすぞ。どけ』
「………そんにゃことを、ご主人は望んでいにゃいにゃ」
『ふん』
苛虎は、ブラック羽川の言葉を一笑に切り捨てる。
予想通り、苛虎は戦場ヶ原ひたぎを狙って表れた。
僕とブラック羽川は、校門の前で苛虎と向かい合うようにして、並んで立ったていた。
『どけ』
苛虎は言った。
『吾輩はそこにいる女を燃やす。お前達は邪魔だ』
「………は」
『燃やす。燃やすぞ。どけ』
「………そんにゃことを、ご主人は望んでいにゃいにゃ」
『ふん』
苛虎は、ブラック羽川の言葉を一笑に切り捨てる。
349: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:39:02.79 ID:eXtJzuNV0
『その女が望んでいようと望んでいまいと吾輩の知ったことではない。その女をご主人と呼ぶのはお前の勝手だが、吾輩にとってはその女はなんでもない。ただの』
発火現象の水源でしかない。
苛虎はそう言った。
「発火現象の水源って…………言葉がおかしいだろ」
思わず、突っ込んでしまった。
しかし、苛虎からの反応はない。
当然だけど、面白いことを言おうとしたわけでは、ないらしい。
「とにこかく、どくのは、お前の方にゃ」
ブラック羽川の言葉に、苛虎は怪訝そうな顔をする。
『なぜだ。この、そのにいる女を燃やしたいという気持ちは、他ならぬお前のご主人から流れてきた気持ちだぞ』
発火現象の水源でしかない。
苛虎はそう言った。
「発火現象の水源って…………言葉がおかしいだろ」
思わず、突っ込んでしまった。
しかし、苛虎からの反応はない。
当然だけど、面白いことを言おうとしたわけでは、ないらしい。
「とにこかく、どくのは、お前の方にゃ」
ブラック羽川の言葉に、苛虎は怪訝そうな顔をする。
『なぜだ。この、そのにいる女を燃やしたいという気持ちは、他ならぬお前のご主人から流れてきた気持ちだぞ』
350: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:39:46.00 ID:eXtJzuNV0
そうなんだろうな。
この虎にとっては、それだけが真実だ。
いや、それは誰にとっても、真実だ。
羽川が戦場ヶ原に嫉妬した。
それは真実だ。
だけど………
「だけど、その嫉妬を我慢しようとした気持ちだって、真実にゃんだ、虎。お前はそっちを無視している」
ブラック羽川は、僕の思っていることを口にした。
『くどい。我慢した結果、その女は吾輩という怪異を生み出したのだろう。ならば自業自得だ。吾輩の炎はそんな事情を忖度しない』
燃やすだけだ。燃えるだけだ。
全てを洗い流すように、水に流すように。
全焼させるだけだ。なかったことに。
なかったことにするだけだ、と。
苛虎は僕達に一歩近付いてきた。
この虎にとっては、それだけが真実だ。
いや、それは誰にとっても、真実だ。
羽川が戦場ヶ原に嫉妬した。
それは真実だ。
だけど………
「だけど、その嫉妬を我慢しようとした気持ちだって、真実にゃんだ、虎。お前はそっちを無視している」
ブラック羽川は、僕の思っていることを口にした。
『くどい。我慢した結果、その女は吾輩という怪異を生み出したのだろう。ならば自業自得だ。吾輩の炎はそんな事情を忖度しない』
燃やすだけだ。燃えるだけだ。
全てを洗い流すように、水に流すように。
全焼させるだけだ。なかったことに。
なかったことにするだけだ、と。
苛虎は僕達に一歩近付いてきた。
351: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:40:51.91 ID:eXtJzuNV0
「猫。バトンタッチだ。ここから、僕に任せてくれ」
「ああ、そうさせてもらうにゃ」
『ふん』
僕の言葉を、苛虎は嘲笑う。
『お前のような人間に、何が出来るというのだ』
瞬間、虎の前脚が僕に触れる。
「ぐああああああああああああっ!」
熱い。熱い。熱い。
熱い。熱い。熱い。
太陽に触れている気分だった。
燃え盛る、嫉妬の炎。
『人間如きが、吾輩に対抗しようなど、無理なのだ。無茶なのだ。無駄なのだ』
苛虎は、僕から脚を放して、邪魔な石を避けるように、方向を少し変えた。
「ああ、そうさせてもらうにゃ」
『ふん』
僕の言葉を、苛虎は嘲笑う。
『お前のような人間に、何が出来るというのだ』
瞬間、虎の前脚が僕に触れる。
「ぐああああああああああああっ!」
熱い。熱い。熱い。
熱い。熱い。熱い。
太陽に触れている気分だった。
燃え盛る、嫉妬の炎。
『人間如きが、吾輩に対抗しようなど、無理なのだ。無茶なのだ。無駄なのだ』
苛虎は、僕から脚を放して、邪魔な石を避けるように、方向を少し変えた。
352: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:41:35.97 ID:eXtJzuNV0
「待てよ」
『くどいぞ』
「無理なのかもしれない。無茶なのかもしれない。でも、無駄なんかじゃない。友達の為に頑張ることが、無駄なわけねえだろうが!」
ふらつく足取りで、苛虎の前に回りこんで、僕は言う。
「忍!」
最高のパートナーの名前を呼ぶ。
「世界を滅ぼすとか、自殺するとか、もしかしたら僕に愛想を尽かしちまったのかもしれないけど。でも、もう少し、僕に時間をくれないか!」
「お前が今日を生きてくれる限り、僕もまた、今日を生きていくから。必ず、長生きしてみて良かったって、思えるようにするから!」
声を上げて、僕は叫ぶ。
影の中まで、しっかりと声が聞こえるように。
思いが伝わるように。
「だから、助けてくれ。忍!」
『くどいぞ』
「無理なのかもしれない。無茶なのかもしれない。でも、無駄なんかじゃない。友達の為に頑張ることが、無駄なわけねえだろうが!」
ふらつく足取りで、苛虎の前に回りこんで、僕は言う。
「忍!」
最高のパートナーの名前を呼ぶ。
「世界を滅ぼすとか、自殺するとか、もしかしたら僕に愛想を尽かしちまったのかもしれないけど。でも、もう少し、僕に時間をくれないか!」
「お前が今日を生きてくれる限り、僕もまた、今日を生きていくから。必ず、長生きしてみて良かったって、思えるようにするから!」
声を上げて、僕は叫ぶ。
影の中まで、しっかりと声が聞こえるように。
思いが伝わるように。
「だから、助けてくれ。忍!」
353: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:42:21.00 ID:eXtJzuNV0
瞬間、だった。
僕の影から、一人の少女が飛び出した。
そして、そのまま着地することなく、苛虎の体に牙をたてる。
熱さなどものともせず、首元にがぶりつく。
『ぐ………ぐああ』
僕の前で、虎が唸る。
苛虎が唸る。
『ああああああああ…………痛い。痛い。痛い。熱い。熱い。熱い。痛い』
ほどなくして、苛虎は姿を消した。
嫉妬の炎は、取り敢えずは燃え尽きた。
「にゃはは。それじゃあ次は、俺の番だにゃ」
ブラック羽川は言った。
「じゃあにゃ、人間。もう二度と会わにゃいことを、願ってるぜ」
「ああ、僕もだ。けど、もしもまた羽川に何かあったら、羽川を助けてやってくれ」
「そんにゃこと、お前に言われるまでもないにゃ」
「そうだな」
そんなこと、わざわざ僕が言わなくとも、分かり切っていることだ。
ブラック羽川は、何があろうと、絶対に羽川の敵にはならない。
最後まで、味方でいるだのだろうから。
僕の影から、一人の少女が飛び出した。
そして、そのまま着地することなく、苛虎の体に牙をたてる。
熱さなどものともせず、首元にがぶりつく。
『ぐ………ぐああ』
僕の前で、虎が唸る。
苛虎が唸る。
『ああああああああ…………痛い。痛い。痛い。熱い。熱い。熱い。痛い』
ほどなくして、苛虎は姿を消した。
嫉妬の炎は、取り敢えずは燃え尽きた。
「にゃはは。それじゃあ次は、俺の番だにゃ」
ブラック羽川は言った。
「じゃあにゃ、人間。もう二度と会わにゃいことを、願ってるぜ」
「ああ、僕もだ。けど、もしもまた羽川に何かあったら、羽川を助けてやってくれ」
「そんにゃこと、お前に言われるまでもないにゃ」
「そうだな」
そんなこと、わざわざ僕が言わなくとも、分かり切っていることだ。
ブラック羽川は、何があろうと、絶対に羽川の敵にはならない。
最後まで、味方でいるだのだろうから。
354: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:43:07.22 ID:eXtJzuNV0
後日談というか、今回のオチ。
翌日の夜。大学受験の前日に、羽川から電話がかかってきた。
どうやら、僕を叱咤激励するためらしい。
羽川の、期待という名のプレッシャーをこれでもかというくらい受け取った僕は、雑談に最近見た昔の夢のことを話してみた。
「夢っていうのはね、阿良々木くん。自分が成長してるってことを実感させてくれる効果があるらしいよ」
「成長?」
「うん。阿良々木くん、夢の中では今まで失敗したことも、全部上手くやれちゃったんじゃないかな」
「まあそりゃ、一回体験してることだからな。一度クリアしたゲームを、レベルはそのままで最初からやってるようなもんだ」
「それが、成長を実感するってことなんだよ」
「………お前はなんでも知ってるな」
「なんでもは知らないわよ。知ってることだけ」
それは、いつも通りのやり取りだった。
翌日の夜。大学受験の前日に、羽川から電話がかかってきた。
どうやら、僕を叱咤激励するためらしい。
羽川の、期待という名のプレッシャーをこれでもかというくらい受け取った僕は、雑談に最近見た昔の夢のことを話してみた。
「夢っていうのはね、阿良々木くん。自分が成長してるってことを実感させてくれる効果があるらしいよ」
「成長?」
「うん。阿良々木くん、夢の中では今まで失敗したことも、全部上手くやれちゃったんじゃないかな」
「まあそりゃ、一回体験してることだからな。一度クリアしたゲームを、レベルはそのままで最初からやってるようなもんだ」
「それが、成長を実感するってことなんだよ」
「………お前はなんでも知ってるな」
「なんでもは知らないわよ。知ってることだけ」
それは、いつも通りのやり取りだった。
356: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:43:46.12 ID:eXtJzuNV0
「でも、阿良々木くん。いくら上手くいっても、夢の中の方が良いなんて、思っちゃ駄目だよ」
「あ?」
「阿良々木くんが、生きてるのも、これから生きていくのも、両方現実なんだから。現実逃避なんて、阿良々木くんはしないだろうけど、一応、ね」
「ああ、分かってるよ」
「よろしい。それじゃ、あんまり阿良々木を夜ふかしさせるわけにもいかないから、この辺で。阿良々木くん、頑張ってね。早く寝なさいよ」
そう言って、電話切れた。
まったく、お前は僕の母親かよ。
まあいいや。羽川の言う通り、早めに寝るとしよう。
僕が成長したというなら、大学受験に合格して初めて、それを実感できるはずだから。
戦場ヶ原にも、羽川にも、僕を成長させてくれた人に、その成果を見せなければならないよな。
そう思いながら、僕は眠りについた。
もちろん、昔の夢は、見なかった。
「あ?」
「阿良々木くんが、生きてるのも、これから生きていくのも、両方現実なんだから。現実逃避なんて、阿良々木くんはしないだろうけど、一応、ね」
「ああ、分かってるよ」
「よろしい。それじゃ、あんまり阿良々木を夜ふかしさせるわけにもいかないから、この辺で。阿良々木くん、頑張ってね。早く寝なさいよ」
そう言って、電話切れた。
まったく、お前は僕の母親かよ。
まあいいや。羽川の言う通り、早めに寝るとしよう。
僕が成長したというなら、大学受験に合格して初めて、それを実感できるはずだから。
戦場ヶ原にも、羽川にも、僕を成長させてくれた人に、その成果を見せなければならないよな。
そう思いながら、僕は眠りについた。
もちろん、昔の夢は、見なかった。
358: 蝋燭沢 2013/06/15(土) 21:51:18.99 ID:xGpB4ik50
これにて、終了です。
見てくれた人、乙をくれた人、有難うございました。
当初はひたぎクラブで止めるつもりでしたが、つい長々と続けてしまいました。
かねてから聞かれている、化物語以外のものは書かないのかといものに関しては、考えていますが、多分無いでしょう。
なぜなら、偽物語以降の阿良々木くんは、けっこう上手いことやっていて、これといってやり直すことが無いからです。
なので、もしこの続きを書いて欲しいという人がいれば、意見を下さい。
最後に、いままで見てくれて本当に有難うございました。
見てくれた人、乙をくれた人、有難うございました。
当初はひたぎクラブで止めるつもりでしたが、つい長々と続けてしまいました。
かねてから聞かれている、化物語以外のものは書かないのかといものに関しては、考えていますが、多分無いでしょう。
なぜなら、偽物語以降の阿良々木くんは、けっこう上手いことやっていて、これといってやり直すことが無いからです。
なので、もしこの続きを書いて欲しいという人がいれば、意見を下さい。
最後に、いままで見てくれて本当に有難うございました。
361: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/15(土) 22:22:07.86 ID:DxYBmiC6o
乙です
すごいおもしろかった!
すごいおもしろかった!
369: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/06/16(日) 12:35:08.59 ID:G4m0k2n+0
乙です
このSSは化物語のSSでトップクラスの面白さだと思った
このSSは化物語のSSでトップクラスの面白さだと思った
引用元: 阿良々木暦「心が強くてニューゲーム」
貝木「阿良々木、お前もう戦場ヶ原は抱いたのか」
2020-04-09
1: ◆iGjJEjW9Cg 2014/07/04(金) 01:39:33.62 ID:ECftuNQI0
暦「……へ? ……は?」
ひたぎ「……ちょっと!」
貝木「お前は耳まで不自由なのか阿良々木、それともそのまま頭が不自由なだけか」
貝木「戦場ヶ原とはもう性行為をしたのかと聞いているんだ阿良々木」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1404405573
ひたぎ「……ちょっと!」
貝木「お前は耳まで不自由なのか阿良々木、それともそのまま頭が不自由なだけか」
貝木「戦場ヶ原とはもう性行為をしたのかと聞いているんだ阿良々木」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1404405573
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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 01:40:56.76 ID:ECftuNQI0
暦「それを聞く理由は何だ」
貝木「いや、何、単なる興味本位と懐かしさの為だ」
貝木「戦場ヶ原から聞いたがお前達は今付き合っているのだろう?」
ひたぎ「……貝木!」
貝木「何だ、戦場ヶ原。怖い顔をして
貝木「聞いておいてなんだがまさかあのお前がまだ抱かれてないということもあるまいに」
貝木「あの色狂いのお前が」
貝木「いや、何、単なる興味本位と懐かしさの為だ」
貝木「戦場ヶ原から聞いたがお前達は今付き合っているのだろう?」
ひたぎ「……貝木!」
貝木「何だ、戦場ヶ原。怖い顔をして
貝木「聞いておいてなんだがまさかあのお前がまだ抱かれてないということもあるまいに」
貝木「あの色狂いのお前が」
3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 01:41:53.39 ID:ECftuNQI0
暦「…………え」
ひたぎ「……ちが、違うの「いーい女だろう? 阿良々木」」
貝木「俺が仕込んだからな、技術もその辺の女よりは遥かにあるはずだ」
貝木「それにこいつも元来の好き物だ」
貝木「毎晩毎晩求められて仕方ないだろう阿良々木」
ひたぎ「……ちが、違うの「いーい女だろう? 阿良々木」」
貝木「俺が仕込んだからな、技術もその辺の女よりは遥かにあるはずだ」
貝木「それにこいつも元来の好き物だ」
貝木「毎晩毎晩求められて仕方ないだろう阿良々木」
4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 01:43:24.49 ID:ECftuNQI0
貝木「俺が相手をしていた頃は陸上部だったか、まあ運動部だったこともあって膣の具合も良くてなぁ」
貝木「つい色んなプレイを愉しんでしまったよ」
貝木「中学生だったから肌も水を弾くようでなぁ……いやーあの頃は随分若さを貰ったもんだ」
貝木「そう言えば今は戦場ヶ原は部活に入って居ないんだったか」
貝木「まああの頃には劣るだろうがそれでも十分いい具合だろうなぁ」
貝木「いやー、羨ましい羨ましい」
暦「…………せ、戦場ヶ原……?」
ひたぎ「ち、違うのよ阿良々木君、これは……その……」
貝木「つい色んなプレイを愉しんでしまったよ」
貝木「中学生だったから肌も水を弾くようでなぁ……いやーあの頃は随分若さを貰ったもんだ」
貝木「そう言えば今は戦場ヶ原は部活に入って居ないんだったか」
貝木「まああの頃には劣るだろうがそれでも十分いい具合だろうなぁ」
貝木「いやー、羨ましい羨ましい」
暦「…………せ、戦場ヶ原……?」
ひたぎ「ち、違うのよ阿良々木君、これは……その……」
6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 01:44:50.80 ID:ECftuNQI0
暦「だってお前……星を見に行った時は……」
戦場ヶ原「そ、そうよ、誰がこの男となんか……!」
貝木「……足の付け根の黒子」
暦「……!」
ひたぎ「……!」
貝木「あの頃をふと思い出した。 あの黒子が何とも淫靡でなぁ」
貝木「お前もそう思わないか? なぁ阿良々木」
戦場ヶ原「そ、そうよ、誰がこの男となんか……!」
貝木「……足の付け根の黒子」
暦「……!」
ひたぎ「……!」
貝木「あの頃をふと思い出した。 あの黒子が何とも淫靡でなぁ」
貝木「お前もそう思わないか? なぁ阿良々木」
7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 01:46:36.03 ID:ECftuNQI0
ひたぎ「……!」
暦「……」
貝木「いやー俺とお前は所謂穴兄弟と言う奴だ」
貝木「お互い隠すことなんかないだろう?」
貝木「通常なら恥ずかしいようなこともお前となら照れずに話せるような気がするよ阿良々木」
暦「……」
貝木「いやー俺とお前は所謂穴兄弟と言う奴だ」
貝木「お互い隠すことなんかないだろう?」
貝木「通常なら恥ずかしいようなこともお前となら照れずに話せるような気がするよ阿良々木」
8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 01:49:01.53 ID:ECftuNQI0
暦「おい……戦場ヶ原……? はは、まさか本当に「違うの阿良々木君!」」
貝木「何が違うんだ? 戦場ヶ原」
ひたぎ「やめて……貝木……!」
貝木「……ん?」
ひたぎ「やめて……下さい…………」
貝木「何が違うんだ? 戦場ヶ原」
ひたぎ「やめて……貝木……!」
貝木「……ん?」
ひたぎ「やめて……下さい…………」
12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 01:56:41.36 ID:ECftuNQI0
貝木「おいおい」
貝木「まさかお前達まだ」
暦「……」
ひたぎ「……」
貝木「いやー、これは悪かった」
貝木「まさか"あの"戦場ヶ原が未だに付き合った男とやっていないとは露にも思わなくてなぁ」
貝木「まさかお前達まだ」
暦「……」
ひたぎ「……」
貝木「いやー、これは悪かった」
貝木「まさか"あの"戦場ヶ原が未だに付き合った男とやっていないとは露にも思わなくてなぁ」
13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 02:00:10.41 ID:ECftuNQI0
貝木「阿良々木、今迄俺が言って居たことは全て冗談だ」
暦「……冗談、だと?」ギリッ
ひたぎ「……」ビクッ
貝木「その通りだ阿良々木」
貝木「知っての通り俺は正直者だからな。 嘘なんかついたこともない」
貝木「だから戦場ヶ原はいまだ清らかな処*で、俺と言う男と肌を重ねたことも無く、お前に純潔を捧げようとしている夢見がちな乙女だ。安心すると良い」
暦「……冗談、だと?」ギリッ
ひたぎ「……」ビクッ
貝木「その通りだ阿良々木」
貝木「知っての通り俺は正直者だからな。 嘘なんかついたこともない」
貝木「だから戦場ヶ原はいまだ清らかな処*で、俺と言う男と肌を重ねたことも無く、お前に純潔を捧げようとしている夢見がちな乙女だ。安心すると良い」
14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 02:15:27.79 ID:ECftuNQI0
貝木「だからこのまま、仲睦まじく清い交際を続けてくれ」
貝木「いや、冗談とは言え悪かったな戦場ヶ原」
貝木「未来ある若人2人の邪魔をするところだった」
ひたぎ「……」ギリッ
暦「……」
貝木「ではまぁ後は若い者同士に任せて年寄りは退散するとしよう」
ひたぎ「……二度と目の前に現れないで」
貝木「おお勿論、それではな。戦場ヶ原、阿良々木」
貝木「いや、冗談とは言え悪かったな戦場ヶ原」
貝木「未来ある若人2人の邪魔をするところだった」
ひたぎ「……」ギリッ
暦「……」
貝木「ではまぁ後は若い者同士に任せて年寄りは退散するとしよう」
ひたぎ「……二度と目の前に現れないで」
貝木「おお勿論、それではな。戦場ヶ原、阿良々木」
15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 02:16:46.63 ID:ECftuNQI0
貝木「……おっとそうだ、忘れるところだった」
貝木「戦場ヶ原」
ひたぎ「……」
貝木「あのお前がまだ行為に及んでいないと言うことは随分と我慢をしているのだろう」
貝木「"あの番号"はまだ使い続けておく」
貝木「耐え切れなくなったらいつでもかけてきていいぞ」
ひたぎ「……!」キュッ
暦「……!」
貝木「金は取るがな、1000円から相手をしてやろう」
貝木「戦場ヶ原」
ひたぎ「……」
貝木「あのお前がまだ行為に及んでいないと言うことは随分と我慢をしているのだろう」
貝木「"あの番号"はまだ使い続けておく」
貝木「耐え切れなくなったらいつでもかけてきていいぞ」
ひたぎ「……!」キュッ
暦「……!」
貝木「金は取るがな、1000円から相手をしてやろう」
16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 02:18:30.13 ID:ECftuNQI0
貝木「おっとそう言えば俺はお前達に呼び出されたんだったが……もう話はいいか?」
ひたぎ「……」
暦「……」ギリッ
貝木「良いみたいだな。 ……阿良々木、戦場ヶ原を大事にしてやれよ? 」
貝木「それではまた」
終わり
ひたぎ「……」
暦「……」ギリッ
貝木「良いみたいだな。 ……阿良々木、戦場ヶ原を大事にしてやれよ? 」
貝木「それではまた」
終わり
18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 02:23:41.20 ID:+In+D5m+O
乙乙
読みたくないけど読んでしまう魔力のあるssだった
最後らへんが特にすごい貝木っぽかった
読みたくないけど読んでしまう魔力のあるssだった
最後らへんが特にすごい貝木っぽかった
19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 02:31:45.45 ID:CoKAY/qho
乙
最高だな
確かにガハラさんは陸上部だったもんな
最高だな
確かにガハラさんは陸上部だったもんな
20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2014/07/04(金) 02:33:46.34 ID:f4YlLtl4o
乙
たまんねえな阿暦々木くん
たまんねえな阿暦々木くん
阿良々木「・・・・・・学園都市?」
2020-02-25
1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:14:03.16 ID:gCvSpXMk0
「おい、のぶえもん」
「ええぃ、分かっとるわい。じゃから何も言うでない」
そう言うと、忍野忍―――怪異であり、怪異殺しであり、鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼であり、
キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードであった彼女は押し黙った。
そう、夏休み最終日には時間移動までこなした法則無視のチートキャラ
困ったときには忍さんでお馴染みの彼女は押し黙った。
えーっと・・・。
さて困った。どうしたものかな忍さん。
「ええぃ、分かっとるわい。じゃから何も言うでない」
そう言うと、忍野忍―――怪異であり、怪異殺しであり、鉄血にして熱血にして冷血の吸血鬼であり、
キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードであった彼女は押し黙った。
そう、夏休み最終日には時間移動までこなした法則無視のチートキャラ
困ったときには忍さんでお馴染みの彼女は押し黙った。
えーっと・・・。
さて困った。どうしたものかな忍さん。
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3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:15:07.19 ID:gCvSpXMk0
遡ること2時間前
穏やかな秋の昼間、陽気な陽射しが優しく降り注ぐ、一種の気だるさの吹き溜まりのような時間。
「うわああああんっ!!!買ってくれなきゃやーだー!!!」
「お前もう誰だよ!!!」
忍野忍―――もはや、駄々をこねているただの金髪幼女は僕のパーカーの裾を掴みながら泣きじゃくっている。
初期設定からこっち、無口なミステリアスキャラを通し、その風格は見た目こそ幼女ではあったが
凛々しくも神々しかった。
「ダブルチョコレートも食ーべーたーいー!!!」
「あぁ!!はいはい、分かった。もう分かったから!買ってやるから!これで最後な!」
穏やかな秋の昼間、陽気な陽射しが優しく降り注ぐ、一種の気だるさの吹き溜まりのような時間。
「うわああああんっ!!!買ってくれなきゃやーだー!!!」
「お前もう誰だよ!!!」
忍野忍―――もはや、駄々をこねているただの金髪幼女は僕のパーカーの裾を掴みながら泣きじゃくっている。
初期設定からこっち、無口なミステリアスキャラを通し、その風格は見た目こそ幼女ではあったが
凛々しくも神々しかった。
「ダブルチョコレートも食ーべーたーいー!!!」
「あぁ!!はいはい、分かった。もう分かったから!買ってやるから!これで最後な!」
5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:16:17.54 ID:gCvSpXMk0
それが今ではこれだ。
見る影もない。
ていうか、何個食べるんだよこの幼い幼女。
重複表現を駆使しても果たして、この忍の愛らしい幼女っぷりを言い表すことは難しいだろう。
幼女を女性として、攻略可能なアダルティのカテゴリーで見てしまうのはさすがに人としての倫理を問われてしまう。
僕が忍に向ける感情は損得抜きで、小動物に向けるレベルの愛情なのだった。
だからこそ甘やかしてしまうのだけど。
見る影もない。
ていうか、何個食べるんだよこの幼い幼女。
重複表現を駆使しても果たして、この忍の愛らしい幼女っぷりを言い表すことは難しいだろう。
幼女を女性として、攻略可能なアダルティのカテゴリーで見てしまうのはさすがに人としての倫理を問われてしまう。
僕が忍に向ける感情は損得抜きで、小動物に向けるレベルの愛情なのだった。
だからこそ甘やかしてしまうのだけど。
8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:17:39.32 ID:gCvSpXMk0
―――戦場ヶ原や羽川との受験勉強(まぁ僕が一方的に教わるだけの家庭教師なのだけれど)が
休みの毎週日曜日は常にこんな感じの日が続く。
春休みからこちら、伝説の吸血鬼のバトル、蟹、蝸牛、猿、蛇、猫、蜂、鳥といった怪異のあれこれを乗り越えてきた
百戦錬磨の阿良々木暦の現在の相手はキャラ設定の崩壊した幼女なのであった。
公式設定に対して物議を醸す必要は大いにあるだろう。
休みの毎週日曜日は常にこんな感じの日が続く。
春休みからこちら、伝説の吸血鬼のバトル、蟹、蝸牛、猿、蛇、猫、蜂、鳥といった怪異のあれこれを乗り越えてきた
百戦錬磨の阿良々木暦の現在の相手はキャラ設定の崩壊した幼女なのであった。
公式設定に対して物議を醸す必要は大いにあるだろう。
9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:18:38.55 ID:gCvSpXMk0
「ところでお前様、じゅ・けん・べ・んきょ・う、というのはどうなのじゃ?」
ミスドからの帰り道にふと質問してきた。
それにしてもこいつ、元貴族のなごりというか、さすがというか食べ方なんかの挙動の一個一個の動作の完成度は高い。
ここまでキャラが崩壊している以上、完成度の低さを補うための完成度の高さといえなくもない・・・・・・が、
せめて、描写されるような目立ったところで見せて貰いたいものだ。
「ああ、その前に忍、ドラマCDや傾物語でも言及されたからって、無理してそのしゃべり方挟まなくてもいいと思うぞ」
「シリーズ最新刊が発売する毎に儂のパーソナリティが揺らいでおるでな、ここは傷物語のアニメ化も考慮してひとまず合わせてみたのじゃが・・・・・・」
自覚はあったんだな。
「それに儂としては、ほれ、キャラ的に今は砕けておるが、結構シリアス系のクールな感じじゃろ?おそらく声質的には涼宮ハルヒになると思うんじゃ」
「なるほどな、確かにドラマCDのままいけばそうなるよな。でもいいんじゃないか?快活な感じはお前に合ってるし」
まぁ。
現在進行形じゃあ、泉こなたあたりも捨てがたい気がするんだけれどな。
ミスドからの帰り道にふと質問してきた。
それにしてもこいつ、元貴族のなごりというか、さすがというか食べ方なんかの挙動の一個一個の動作の完成度は高い。
ここまでキャラが崩壊している以上、完成度の低さを補うための完成度の高さといえなくもない・・・・・・が、
せめて、描写されるような目立ったところで見せて貰いたいものだ。
「ああ、その前に忍、ドラマCDや傾物語でも言及されたからって、無理してそのしゃべり方挟まなくてもいいと思うぞ」
「シリーズ最新刊が発売する毎に儂のパーソナリティが揺らいでおるでな、ここは傷物語のアニメ化も考慮してひとまず合わせてみたのじゃが・・・・・・」
自覚はあったんだな。
「それに儂としては、ほれ、キャラ的に今は砕けておるが、結構シリアス系のクールな感じじゃろ?おそらく声質的には涼宮ハルヒになると思うんじゃ」
「なるほどな、確かにドラマCDのままいけばそうなるよな。でもいいんじゃないか?快活な感じはお前に合ってるし」
まぁ。
現在進行形じゃあ、泉こなたあたりも捨てがたい気がするんだけれどな。
11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:20:55.88 ID:gCvSpXMk0
「ああ、すまん。話逸れたな。受験勉強なら、概ね良好だよ」
もっとも、学年上位の戦場ヶ原と学年トップの羽川に教えてもらっておいて概ね良好であるでは失礼かもしれないが、
僕の学力自体は学年を通しても上の中くらいにまでに向上している。
ただ志望大学を考慮するともう少しってところなので、慎ましい自己評価をせざる得ない。
「かかか、そうか」
凄惨でもなく、あどけない顔で目を細めながら忍は笑った。
春休みのときや最近よく見せてくれる忍のこういう顔は、人間の女の子らしく僕は好きだった。
毎週日曜日―――ここに来る度に他の誰とも違う、忍相手だからこそ話せるような雑談に興じるのは
僕にとって楽しい時間になっていた。
もっとも、学年上位の戦場ヶ原と学年トップの羽川に教えてもらっておいて概ね良好であるでは失礼かもしれないが、
僕の学力自体は学年を通しても上の中くらいにまでに向上している。
ただ志望大学を考慮するともう少しってところなので、慎ましい自己評価をせざる得ない。
「かかか、そうか」
凄惨でもなく、あどけない顔で目を細めながら忍は笑った。
春休みのときや最近よく見せてくれる忍のこういう顔は、人間の女の子らしく僕は好きだった。
毎週日曜日―――ここに来る度に他の誰とも違う、忍相手だからこそ話せるような雑談に興じるのは
僕にとって楽しい時間になっていた。
12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:22:28.49 ID:gCvSpXMk0
「お前はどうなんだよ?」
「なんじゃいきなり?」
「いや、ここ2ヶ月ちょい夏休みが終わってからこっち、なんで決まって毎週日曜日にミスドに来なきゃいけないのかな?って」
ミスドが食べたければ家まで買って帰るし(それだとパサつくんじゃ!ってことで却下された)
昼間から動くのは仮にも吸血鬼のお前には辛いんじゃ・・・(夜寝溜めするもん!って言われた)
今日は予定があるからというと(うわああああんっ!ばかああああああっ!とグズられた)
僕としてはこいつのことだから何か考えあってのことなのだろうけれどそれが掴めない。
最初はミスドのポイントかと思ったけれど、こいつそういうところには全く興味ないみたいだしな。
「あー」
そんなことかと言わんばかりの反応が返ってきた
「なんじゃいきなり?」
「いや、ここ2ヶ月ちょい夏休みが終わってからこっち、なんで決まって毎週日曜日にミスドに来なきゃいけないのかな?って」
ミスドが食べたければ家まで買って帰るし(それだとパサつくんじゃ!ってことで却下された)
昼間から動くのは仮にも吸血鬼のお前には辛いんじゃ・・・(夜寝溜めするもん!って言われた)
今日は予定があるからというと(うわああああんっ!ばかああああああっ!とグズられた)
僕としてはこいつのことだから何か考えあってのことなのだろうけれどそれが掴めない。
最初はミスドのポイントかと思ったけれど、こいつそういうところには全く興味ないみたいだしな。
「あー」
そんなことかと言わんばかりの反応が返ってきた
14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:24:08.62 ID:gCvSpXMk0
「お前様が日々寝る間も惜しみ、身を削りながらも頑張っておる姿を儂は誰よりも傍で見てきたからの。それに感情や思考すらも影の中にいると伝わってくるんじゃよ。ストレスなんて特にじゃ」
ふむ、なるほどな。
「儂としては、そんなお前様が少しでも息抜きをしてくれればよいと思っての、ただそれだけじゃ」
そういうと忍はまたあどけなく笑った。
掛け値なしの心の篭った言葉だった。
甘ったるかったり、素っ気なかったりとは別の、こちらの意識を引くためだけのものでなく
ただ心のままに受け取れるような忍なりの好意。
みぞおちを締め付けられる。
・・・・・・
ふむ、なるほどな。
「儂としては、そんなお前様が少しでも息抜きをしてくれればよいと思っての、ただそれだけじゃ」
そういうと忍はまたあどけなく笑った。
掛け値なしの心の篭った言葉だった。
甘ったるかったり、素っ気なかったりとは別の、こちらの意識を引くためだけのものでなく
ただ心のままに受け取れるような忍なりの好意。
みぞおちを締め付けられる。
・・・・・・
15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:25:12.96 ID:gCvSpXMk0
「どうした、お前様?何を黙っておる?」
僕の中で何かが弾けたのはいうまでもない。
この場合のお相手は普段なら八九寺が担うはずだ。
そうあの口リㄘっぱいでなければ成立することのない、一巻に一回以上は必ず行われるもはや神聖なる儀式。
読者の皆様の期待もあってか僕としてもそれに十二分に応えることが主人公のあるべき姿であると自負している。
いっそこれからは、ハードルを上げて、十二本の刀集めの旅に彼女と赴きたいくらいだ。実は七花八裂を夜な夜な火憐ちゃんと練習している。
だがしかし、それは八九寺相手だからこそ許されるものであって、
他に―――例えば羽川なんかにすれば
僕は間違いなく人生のピリオドを迎えることになるだろう。
同じ意味では火燐ちゃんや月火ちゃんもそうだろう。
僕の中で何かが弾けたのはいうまでもない。
この場合のお相手は普段なら八九寺が担うはずだ。
そうあの口リㄘっぱいでなければ成立することのない、一巻に一回以上は必ず行われるもはや神聖なる儀式。
読者の皆様の期待もあってか僕としてもそれに十二分に応えることが主人公のあるべき姿であると自負している。
いっそこれからは、ハードルを上げて、十二本の刀集めの旅に彼女と赴きたいくらいだ。実は七花八裂を夜な夜な火憐ちゃんと練習している。
だがしかし、それは八九寺相手だからこそ許されるものであって、
他に―――例えば羽川なんかにすれば
僕は間違いなく人生のピリオドを迎えることになるだろう。
同じ意味では火燐ちゃんや月火ちゃんもそうだろう。
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:26:16.42 ID:gCvSpXMk0
神原なんかは喜びそうなものだけれど、あれもあれで「責任とってくれ」という重い流れで冗談ではなくなるだろうし。
千石相手には、もはや責任云々の問題じゃない。
アニメ化物語のDVDやブルーレイが回収されてしまう。
僕はいつだって全年齢対象版の主人公なのだ。
というか、そもそも実の妹に欲情するなんて人間のクズだと僕は考える。
妹と3ラウンドに渡る歯磨きをしたのだって、妹の歯周病を気にかける兄が妹を想う心からの行動だったわけなのだから。
現在のドロデレ状態の戦場ヶ原なら・・・・・・いやあれは例外だ。
戦場ヶ原が更正して極端ではあるけれど、恋に恋する女の子らしくなったことには僕はかなり嬉しく思っている。
だが、生々しいほどに極端に積極的すぎるのだ。
とても言葉で表現できるものじゃない、ツンドロ、ドロデレ恐るべし。
千石相手には、もはや責任云々の問題じゃない。
アニメ化物語のDVDやブルーレイが回収されてしまう。
僕はいつだって全年齢対象版の主人公なのだ。
というか、そもそも実の妹に欲情するなんて人間のクズだと僕は考える。
妹と3ラウンドに渡る歯磨きをしたのだって、妹の歯周病を気にかける兄が妹を想う心からの行動だったわけなのだから。
現在のドロデレ状態の戦場ヶ原なら・・・・・・いやあれは例外だ。
戦場ヶ原が更正して極端ではあるけれど、恋に恋する女の子らしくなったことには僕はかなり嬉しく思っている。
だが、生々しいほどに極端に積極的すぎるのだ。
とても言葉で表現できるものじゃない、ツンドロ、ドロデレ恐るべし。
18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:27:15.44 ID:gCvSpXMk0
でもだからこそだろう!だからこその八九寺真宵なのだ!彼女でなければ駄目なのだ!
八九寺真宵―――リュックサックを背負ったツインテール似合う小学五年生
蝸牛に会い―――蝸牛に遭って迷っていた少女
そして今は自縛霊から二階級特進を果たして浮遊霊の少女
しかし、僕は彼女というキャラに、その存在に身を心を委ねすぎていたのかもしれない。
八九寺でなければいけないと思い込んでいたのかもしれない。
そうやって狭められた視野で人を評価できるほどのできた人間でもない僕が恐れ多くもおこがましいほどに
他人への繋がりや可能性を無意識に拒絶し決め付けていたのかもしれない。
八九寺真宵―――リュックサックを背負ったツインテール似合う小学五年生
蝸牛に会い―――蝸牛に遭って迷っていた少女
そして今は自縛霊から二階級特進を果たして浮遊霊の少女
しかし、僕は彼女というキャラに、その存在に身を心を委ねすぎていたのかもしれない。
八九寺でなければいけないと思い込んでいたのかもしれない。
そうやって狭められた視野で人を評価できるほどのできた人間でもない僕が恐れ多くもおこがましいほどに
他人への繋がりや可能性を無意識に拒絶し決め付けていたのかもしれない。
19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:28:17.28 ID:gCvSpXMk0
浅はかだった。
穴があったら入りたいほどに恥ずかしいことだ。
忸怩たる思いもここに極まった。
でも僕はそれに気がついた、否!気づかされたのだ!
これからはそれに向き合って生きていこう、自分の狭い視野ではなく、他人を尊重できる広い視野を持とう。
この世界の可能性に対する感謝の心を常に持とう。
そして主人公としてかくあるべき行動をしなければなるまい。
さて前振りは終わった。
ここからは新生・阿良々木暦らしく振舞おうではないか!
では!!!
「しーーーーーーーーのーーーーぶーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
僕は思いっきり忍に抱きついた。
穴があったら入りたいほどに恥ずかしいことだ。
忸怩たる思いもここに極まった。
でも僕はそれに気がついた、否!気づかされたのだ!
これからはそれに向き合って生きていこう、自分の狭い視野ではなく、他人を尊重できる広い視野を持とう。
この世界の可能性に対する感謝の心を常に持とう。
そして主人公としてかくあるべき行動をしなければなるまい。
さて前振りは終わった。
ここからは新生・阿良々木暦らしく振舞おうではないか!
では!!!
「しーーーーーーーーのーーーーぶーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」
僕は思いっきり忍に抱きついた。
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:29:23.76 ID:gCvSpXMk0
「きゃあああああああああ!!!!!!!」
忍の悲鳴が木霊する。
もはや僕にとって可能性を信じて行動することに迷いなんてなかった。
アニメへの配慮や都の条例への配慮なんてものは二の次だった。
忍の謙虚で控えめな体を撫で回し、穴があったら入りたいと先ほど願ったほどの羞恥心を
曝け出すがごとく忍のワンピースの中に顔をもぐりこませ、忍の童話に出てくる妖精のような体に頬擦りし、おへそのあたりで顔をうずめる。
「きゃあああああああああ!!!!!!!」
忍自身が僕の影と繋がっている為、逃げるに逃げられないのをいいことに
僕は更なる行動に出る。
ワンピースを脱がしにかかった・・・・・・ところで、上からものすごい衝撃が下りてきた。
思いっきり忍に殴られた。しかも肘で後頭部を強打された。
顔面がアスファルトの地面にめり込む。
忍には今朝血を飲ませたばかりなので、忍の吸血鬼性も上がっている。
追撃というか止めの一撃と言わんばかりに地面に伏した僕の身体に踵落としが決まる。
忍の悲鳴が木霊する。
もはや僕にとって可能性を信じて行動することに迷いなんてなかった。
アニメへの配慮や都の条例への配慮なんてものは二の次だった。
忍の謙虚で控えめな体を撫で回し、穴があったら入りたいと先ほど願ったほどの羞恥心を
曝け出すがごとく忍のワンピースの中に顔をもぐりこませ、忍の童話に出てくる妖精のような体に頬擦りし、おへそのあたりで顔をうずめる。
「きゃあああああああああ!!!!!!!」
忍自身が僕の影と繋がっている為、逃げるに逃げられないのをいいことに
僕は更なる行動に出る。
ワンピースを脱がしにかかった・・・・・・ところで、上からものすごい衝撃が下りてきた。
思いっきり忍に殴られた。しかも肘で後頭部を強打された。
顔面がアスファルトの地面にめり込む。
忍には今朝血を飲ませたばかりなので、忍の吸血鬼性も上がっている。
追撃というか止めの一撃と言わんばかりに地面に伏した僕の身体に踵落としが決まる。
21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:30:41.20 ID:gCvSpXMk0
「何をするんだ忍!!」
「何をしたのか自分考えろ!!バカぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
忍は息を切らし、涙目になりながら叫ぶ。
僕自身なぜ拒絶されたのか理解が追いつかない。
「一番アニメ化してはならんのはお前様じゃあああああ!!!うわあああああんっ!!!」
大体こいつ夏休み終わりには貞操なんて気にしたことないとかほざいてたのに、実際はこの仕打ちである。
僕はこの世の不条理に耐えられそうになかった。
僕の純情という幻想は右手を使わなくても現実の前に打ちのめされる。
嘆息すらも禁じえない口リを愛することができない世界に絶望した!
「何をしたのか自分考えろ!!バカぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
忍は息を切らし、涙目になりながら叫ぶ。
僕自身なぜ拒絶されたのか理解が追いつかない。
「一番アニメ化してはならんのはお前様じゃあああああ!!!うわあああああんっ!!!」
大体こいつ夏休み終わりには貞操なんて気にしたことないとかほざいてたのに、実際はこの仕打ちである。
僕はこの世の不条理に耐えられそうになかった。
僕の純情という幻想は右手を使わなくても現実の前に打ちのめされる。
嘆息すらも禁じえない口リを愛することができない世界に絶望した!
23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:32:12.78 ID:gCvSpXMk0
「えっと、ごめんな忍。まさかそこまで露骨に拒絶されるとは思わなくて・・・・・・」
「・・・・・・ん・・・ぐすん」
割とガチで忍が泣き出したため、頭を撫でながら落ち着かせることに成功
「歩けるか?」
「・・・・・・ん」
そういって忍は立ち上がると、僕と再び帰路についた。
「・・・その、儂もすまなかった・・・・・・。動揺してしまったとはいえ、あるじ様に手を上げてしまったの・・・・・・」
途中、僕と忍は北白蛇神社の入り口の階段に腰掛けていた。
「いや、それなら僕も気が動転していたとはいえ、ごめん」
沈黙・・・。
何だろうこの初体験を直前に控えたカップルみたいな空気は。
甘いような苦いような。
酔いそうになる。
「・・・・・・ん・・・ぐすん」
割とガチで忍が泣き出したため、頭を撫でながら落ち着かせることに成功
「歩けるか?」
「・・・・・・ん」
そういって忍は立ち上がると、僕と再び帰路についた。
「・・・その、儂もすまなかった・・・・・・。動揺してしまったとはいえ、あるじ様に手を上げてしまったの・・・・・・」
途中、僕と忍は北白蛇神社の入り口の階段に腰掛けていた。
「いや、それなら僕も気が動転していたとはいえ、ごめん」
沈黙・・・。
何だろうこの初体験を直前に控えたカップルみたいな空気は。
甘いような苦いような。
酔いそうになる。
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:33:12.44 ID:gCvSpXMk0
「・・・儂もな、お前様が・・・その・・・・・・あれじゃ・・・本当に望んでおるというならな・・・その・・・・・・」
妙にボソボソと喋り、頬を赤らめ恥じるような忍の顔つきや仕草に目がくらみかけた。
何この子ラブリーすぎる!!
「あー!!!そうだ忍!!!何か飲みたくないか!?僕喉渇いちゃってさぁ!!」
これ以上この空気に耐えられそうにない!!
甲斐性なんていうものは僕には欠片もないからだ。
「ふぇ!?あ、ああ!!飲みたい!!」
忍といっしょに自販機の前まで歩く。
それにしても八九寺なら、冗談で済むはずの展開が他の人だとこうまでギャグに徹することができなくなるなんて・・・・・・。
買い終えて、北白蛇神社の入り口まで戻ろうとしたとき
目的地とした神社の入り口で大きなリュックにツインテールが目印―――八九寺真宵を発見した。
妙にボソボソと喋り、頬を赤らめ恥じるような忍の顔つきや仕草に目がくらみかけた。
何この子ラブリーすぎる!!
「あー!!!そうだ忍!!!何か飲みたくないか!?僕喉渇いちゃってさぁ!!」
これ以上この空気に耐えられそうにない!!
甲斐性なんていうものは僕には欠片もないからだ。
「ふぇ!?あ、ああ!!飲みたい!!」
忍といっしょに自販機の前まで歩く。
それにしても八九寺なら、冗談で済むはずの展開が他の人だとこうまでギャグに徹することができなくなるなんて・・・・・・。
買い終えて、北白蛇神社の入り口まで戻ろうとしたとき
目的地とした神社の入り口で大きなリュックにツインテールが目印―――八九寺真宵を発見した。
25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:34:35.90 ID:gCvSpXMk0
自販機から神社の入り口までは百メートルほどの距離もある。
それでも普段の僕なら、彼女との物理的距離など星と星の間ほどに離れていようとも、光の速さでかけつけて、
彼女と熱い信頼で結ばれた上で成り立つ交流―――ただ僕が一方的に抱きつくだけなのだが、そうするはずだった。
ぶっちゃけ、忍が影の中に居ようと居まいと。引きずってでも。
ただ先ほどのこともあるので、半ば冷静な僕であった。
だからこそ気づけたのだろう。その違和感に。
八九寺は神社へと向かう登りの階段を走って登っていったのだった。
まぁあいつが街を彷徨うルートに関して僕自身それを全て把握しているわけではないけれど。
それでも
「あの小娘、確か八九寺じゃったか?」
忍がいつになく重い口調になる。
「ああ、でもあいつ神社に何の用なんだろうな?」
僕の中の違和感というのはそれに尽きた。漠然としたものだ。
それでも普段の僕なら、彼女との物理的距離など星と星の間ほどに離れていようとも、光の速さでかけつけて、
彼女と熱い信頼で結ばれた上で成り立つ交流―――ただ僕が一方的に抱きつくだけなのだが、そうするはずだった。
ぶっちゃけ、忍が影の中に居ようと居まいと。引きずってでも。
ただ先ほどのこともあるので、半ば冷静な僕であった。
だからこそ気づけたのだろう。その違和感に。
八九寺は神社へと向かう登りの階段を走って登っていったのだった。
まぁあいつが街を彷徨うルートに関して僕自身それを全て把握しているわけではないけれど。
それでも
「あの小娘、確か八九寺じゃったか?」
忍がいつになく重い口調になる。
「ああ、でもあいつ神社に何の用なんだろうな?」
僕の中の違和感というのはそれに尽きた。漠然としたものだ。
26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:35:40.25 ID:gCvSpXMk0
神社と八九寺という因果関係に心当たりがないといった。
それにあいつを巡る話は何も蝸牛のことだけでなく、夏休み最終日の八月二十日。忍と時間移動をした際のあれこれもある。
それに北白蛇神社自体、千石のこともあったり、忍野の言うところの『妖怪大戦争になるほどの吹き溜まり』だったりと
何かと怪異絡みで縁のある場所なのだ。
ただ千石のことも解決済みだし、そういった悪いものの吹き溜まりだったとしても
そのエネルギーを全部使って忍と時間移動を行ったので、実際のところ今は害のないただの神社なのだけれど・・・。
「お前様よ、儂は影に入る」
「あ?なんだよいきなり?」
「胸騒ぎがする。いいからとっとと追うぞ。何事もなければ、またあの娘を今度こそ人気のない神社でやっちまえばよかろうよ」
そう言い終えた後の忍の顔も声も笑ってはいなかった。
それにあいつを巡る話は何も蝸牛のことだけでなく、夏休み最終日の八月二十日。忍と時間移動をした際のあれこれもある。
それに北白蛇神社自体、千石のこともあったり、忍野の言うところの『妖怪大戦争になるほどの吹き溜まり』だったりと
何かと怪異絡みで縁のある場所なのだ。
ただ千石のことも解決済みだし、そういった悪いものの吹き溜まりだったとしても
そのエネルギーを全部使って忍と時間移動を行ったので、実際のところ今は害のないただの神社なのだけれど・・・。
「お前様よ、儂は影に入る」
「あ?なんだよいきなり?」
「胸騒ぎがする。いいからとっとと追うぞ。何事もなければ、またあの娘を今度こそ人気のない神社でやっちまえばよかろうよ」
そう言い終えた後の忍の顔も声も笑ってはいなかった。
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:36:23.62 ID:gCvSpXMk0
僕は全速力で追いかけた。
普通の人が上っていったというのであれば、もう追いついていてもいい頃合だろうが
さすがは二階級特進を豪語する浮遊霊だ。
ようやくその背中が見える頃には八九寺は階段を登り終えていた。
僕もすぐに後を追い登り終える。
「八九寺いいいいいいい!!!!!!」
同時に叫んだが、その姿はなく、反応もなかった。
普通の人が上っていったというのであれば、もう追いついていてもいい頃合だろうが
さすがは二階級特進を豪語する浮遊霊だ。
ようやくその背中が見える頃には八九寺は階段を登り終えていた。
僕もすぐに後を追い登り終える。
「八九寺いいいいいいい!!!!!!」
同時に叫んだが、その姿はなく、反応もなかった。
28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:37:57.75 ID:gCvSpXMk0
「ふぅ、これはこれは・・・・・・」
いつの間にか忍が影から出ている、が、その顔色は良くなかった。
「この神社自体は何も悪いものだけが吹き溜まるような場所というだけではない」
僕が説明を求める前に語り始めた。ゆっくりとしかし重く冷たい口調で。
「以前そのようになったのは完全体であった儂がこの街に来たことが原因だったというだけなのは知っておるな?」
まぁ怪異に良いも悪いもないし、怪異はただそこにあるだけじゃ、と付け加えた。
「あぁ、でも今はそんなことないはずだろう? 忍野のお札やら時間移動のときつかった霊的エネルギーやらで」
「そうじゃな、しかしお前様。この神社は怪異のようなものが吹き溜まるのは以前からで、用はこの場所自体がそれらを引き寄せやすい場所なんじゃ」
「それは分かって・・・」
「例えば時間移動をここから始めて、別の時間軸のこの場所に辿り着いたじゃろう? じゃが、目的地だけならあくまで同じような条件が揃った場所であれば門として作用するからある程度選べるんじゃよ。」
「つまり以前のここと同じ条件が揃っていれば、ここから例えば別の時間軸の別の場所へもいけるのか?」
「ドラえもんほど上手くは指定できんがの、まぁここも門としては作用するじゃろ」
そして忍はキメ顔でこう言った。
「そう、ここが門として作用した。つまり誰かが別の場所から、ここまでの門を開いたということじゃ」
いつの間にか忍が影から出ている、が、その顔色は良くなかった。
「この神社自体は何も悪いものだけが吹き溜まるような場所というだけではない」
僕が説明を求める前に語り始めた。ゆっくりとしかし重く冷たい口調で。
「以前そのようになったのは完全体であった儂がこの街に来たことが原因だったというだけなのは知っておるな?」
まぁ怪異に良いも悪いもないし、怪異はただそこにあるだけじゃ、と付け加えた。
「あぁ、でも今はそんなことないはずだろう? 忍野のお札やら時間移動のときつかった霊的エネルギーやらで」
「そうじゃな、しかしお前様。この神社は怪異のようなものが吹き溜まるのは以前からで、用はこの場所自体がそれらを引き寄せやすい場所なんじゃ」
「それは分かって・・・」
「例えば時間移動をここから始めて、別の時間軸のこの場所に辿り着いたじゃろう? じゃが、目的地だけならあくまで同じような条件が揃った場所であれば門として作用するからある程度選べるんじゃよ。」
「つまり以前のここと同じ条件が揃っていれば、ここから例えば別の時間軸の別の場所へもいけるのか?」
「ドラえもんほど上手くは指定できんがの、まぁここも門としては作用するじゃろ」
そして忍はキメ顔でこう言った。
「そう、ここが門として作用した。つまり誰かが別の場所から、ここまでの門を開いたということじゃ」
29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:39:19.29 ID:gCvSpXMk0
「そもそもここは怪異やそこまではいかなくても霊的なものを惹きつけるような場所じゃからな、浮遊霊であっても例外ではなかろうよ」
ましてあの娘は一度怪異に遭っているのだから。
「それにじゃ、門を開いた後の痕跡が残っておる。お前様には分からんじゃろうが、以前までと同じくらいの霊的エネルギーなら満ちておるし」
「でもどうしてそんなことが分かったんだよ?」と言いそうになったが封殺された。
八九寺はそれに惹きつけられ、巻き込まれ、そして行方不明になったということらしい。
「大方、門を開いたやつは痕跡が残るほど莫大なエネルギーを持っていたんじゃろうな。それこそ全盛期の完全体の儂以上に」
完全体の忍以上と聞いた途端、僕の身体は強張った。
一人で世界を滅ぼせるような吸血鬼以上。 そんなものがあるのだろうか?
「じゃが不幸中の幸いじゃな。霊的エネルギーも十分にあるし、尚且つ門を開いて時間も立っておらんなら追いかけることができるかもしれん。どうする?」
忍は腕を組み、強気に言い放った。
頼もしい幼女である。
「そんなもん決まってるだろ!!」
こうして再び僕は時間移動をすることになる。
ましてあの娘は一度怪異に遭っているのだから。
「それにじゃ、門を開いた後の痕跡が残っておる。お前様には分からんじゃろうが、以前までと同じくらいの霊的エネルギーなら満ちておるし」
「でもどうしてそんなことが分かったんだよ?」と言いそうになったが封殺された。
八九寺はそれに惹きつけられ、巻き込まれ、そして行方不明になったということらしい。
「大方、門を開いたやつは痕跡が残るほど莫大なエネルギーを持っていたんじゃろうな。それこそ全盛期の完全体の儂以上に」
完全体の忍以上と聞いた途端、僕の身体は強張った。
一人で世界を滅ぼせるような吸血鬼以上。 そんなものがあるのだろうか?
「じゃが不幸中の幸いじゃな。霊的エネルギーも十分にあるし、尚且つ門を開いて時間も立っておらんなら追いかけることができるかもしれん。どうする?」
忍は腕を組み、強気に言い放った。
頼もしい幼女である。
「そんなもん決まってるだろ!!」
こうして再び僕は時間移動をすることになる。
30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:40:15.82 ID:gCvSpXMk0
時間移動は滞りなく終わった。
忍が前回同様に「呪文の詠唱が必要なんじゃ!気分が乗らんじゃろ!?」と言うので放っておくと
「黄昏よりも暗きもの、血の流れよりも赤きも・・・・・ふぐぅ!!!」
口を塞いで強制終了させた。
「ネタが俗過ぎるんだよ!!街を吹っ飛ばす気か!!」
というやり取りがあった。
それを考慮しなければならないかもしれない。
呪文なんて無闇に唱えたからか分からない。
分かることは一つだけ、僕たちが移動した先が見たこともないほどに都会的だったということだ。
忍が前回同様に「呪文の詠唱が必要なんじゃ!気分が乗らんじゃろ!?」と言うので放っておくと
「黄昏よりも暗きもの、血の流れよりも赤きも・・・・・ふぐぅ!!!」
口を塞いで強制終了させた。
「ネタが俗過ぎるんだよ!!街を吹っ飛ばす気か!!」
というやり取りがあった。
それを考慮しなければならないかもしれない。
呪文なんて無闇に唱えたからか分からない。
分かることは一つだけ、僕たちが移動した先が見たこともないほどに都会的だったということだ。
31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:41:20.95 ID:gCvSpXMk0
回想終了
ここで一番最初のやり取りまで戻るわけだ。
「時間移動ってのはパラレルワールドに飛んだってことで、つまりあったかもしれない可能性の世界なんだよな?」
僕はもはや何が何やら分からなかった。
「そうじゃな、少なくともあったかもしれない世界っていうのが今目の前に広がっておるんじゃろ」
あったかもしれない別の世界。
東京のど真ん中でも見たことが無いような高いビル、風力発電を行っているであろうたくさんの風車、未来都市的移動手段のモノレールがビルとビル間を縫っている世界。
行き交う人々も僕たちのいた世界とは変わらず、少し垢抜けている都会感がある。
どこでどう初期値からの過程を間違えばこのような世界観が繰り広げられるのだろう。
というかここ、今現在僕と忍の立つ場所は東京都立川市の駅前がベースのようでその名残もあるのだが、
名残があるだけで全く別物だった。
「何かもう完全に文化圏が違うような気がするけど、これお前本当に八九寺見つけてもとの世界に帰れるんだろうな?」
「・・・・・・・それは、んー大丈夫じゃろ!多分!!」
あーあ、軽いなぁ本当にもう!
どんどん不安で満たされていく。
ここで一番最初のやり取りまで戻るわけだ。
「時間移動ってのはパラレルワールドに飛んだってことで、つまりあったかもしれない可能性の世界なんだよな?」
僕はもはや何が何やら分からなかった。
「そうじゃな、少なくともあったかもしれない世界っていうのが今目の前に広がっておるんじゃろ」
あったかもしれない別の世界。
東京のど真ん中でも見たことが無いような高いビル、風力発電を行っているであろうたくさんの風車、未来都市的移動手段のモノレールがビルとビル間を縫っている世界。
行き交う人々も僕たちのいた世界とは変わらず、少し垢抜けている都会感がある。
どこでどう初期値からの過程を間違えばこのような世界観が繰り広げられるのだろう。
というかここ、今現在僕と忍の立つ場所は東京都立川市の駅前がベースのようでその名残もあるのだが、
名残があるだけで全く別物だった。
「何かもう完全に文化圏が違うような気がするけど、これお前本当に八九寺見つけてもとの世界に帰れるんだろうな?」
「・・・・・・・それは、んー大丈夫じゃろ!多分!!」
あーあ、軽いなぁ本当にもう!
どんどん不安で満たされていく。
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:42:38.26 ID:gCvSpXMk0
「ひとまずあれだ、ここでじっとしていても仕方がないな」
「そうじゃの、ひとまず前回同様にこの世界のことを調べてみんことにはどうしようもない。・・・・・と、そうじゃ」
思い出したように忍はワンピースの中を弄ると「念の為じゃ」といって怪異のみを斬る大太刀『心渡』を出した。
それを僕に渡す。
「まぁ前回のようにゾンビで溢れるような感じはせんが、一応保険代わりにお前様が持っておれ」
ジーンズにパーカー、そこに日本刀を腰に下げるファッションは前衛的すぎる。
若干周囲の人の目も痛い。
「これ普通に銃刀法違反じゃねーの?」
「かまわんじゃろ?むしろこれくらいキャラ立てせんと都会じゃ個性を確立できぬぞ? 怪しいどころか、ぱないかっこええの!!」
「そうじゃの、ひとまず前回同様にこの世界のことを調べてみんことにはどうしようもない。・・・・・と、そうじゃ」
思い出したように忍はワンピースの中を弄ると「念の為じゃ」といって怪異のみを斬る大太刀『心渡』を出した。
それを僕に渡す。
「まぁ前回のようにゾンビで溢れるような感じはせんが、一応保険代わりにお前様が持っておれ」
ジーンズにパーカー、そこに日本刀を腰に下げるファッションは前衛的すぎる。
若干周囲の人の目も痛い。
「これ普通に銃刀法違反じゃねーの?」
「かまわんじゃろ?むしろこれくらいキャラ立てせんと都会じゃ個性を確立できぬぞ? 怪しいどころか、ぱないかっこええの!!」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:43:18.56 ID:gCvSpXMk0
~風紀委員第百七十七支部~
初春はPCに向かい、ジャッジメントの今日の業務について確認していた。
公園の清掃に迷子になった犬の捜索、平穏な依頼である。
これなら早々に切り上げて帰宅できると思った矢先。
ピーッ!ピーッ!
その緊急を表す警告音に表情が変わる。
「はい、風紀委員第百七十七支部」
「第七学区にて学園都市不法侵入者を発見しました。至急調査をお願いします」
通信が終了してすぐに初春はショートカットキーを駆使してその旨を同僚に伝える。
「もしもし白井さんですか? アンチスキルからの緊急信号です」
初春はPCに向かい、ジャッジメントの今日の業務について確認していた。
公園の清掃に迷子になった犬の捜索、平穏な依頼である。
これなら早々に切り上げて帰宅できると思った矢先。
ピーッ!ピーッ!
その緊急を表す警告音に表情が変わる。
「はい、風紀委員第百七十七支部」
「第七学区にて学園都市不法侵入者を発見しました。至急調査をお願いします」
通信が終了してすぐに初春はショートカットキーを駆使してその旨を同僚に伝える。
「もしもし白井さんですか? アンチスキルからの緊急信号です」
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:44:14.13 ID:gCvSpXMk0
「分かんねー」
「お前様!お前様!!みて!みて!新作のゴールデンショコラポンデリングじゃって!!ぱないの!!」
僕と忍はひとまず公園を見つけたのでそこのベンチに座っていた。
途中ミスタードーナッツがあり、何やら僕の住んでいる地域では売ってない新作が目白押しだったところを
忍が駄々をこねたので買い与えた。
店員さんに聞いたところ
「この紙幣はお使いになれますよ、それにしても外の紙幣なんて本でしか見たことありませんでした、とミサカは偽札ではないかと疑念をもって調べ上げます」
だそうで、どうやらお金は使えるみたいだ。
「お前様!お前様!!みて!みて!新作のゴールデンショコラポンデリングじゃって!!ぱないの!!」
僕と忍はひとまず公園を見つけたのでそこのベンチに座っていた。
途中ミスタードーナッツがあり、何やら僕の住んでいる地域では売ってない新作が目白押しだったところを
忍が駄々をこねたので買い与えた。
店員さんに聞いたところ
「この紙幣はお使いになれますよ、それにしても外の紙幣なんて本でしか見たことありませんでした、とミサカは偽札ではないかと疑念をもって調べ上げます」
だそうで、どうやらお金は使えるみたいだ。
35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:45:11.59 ID:gCvSpXMk0
で、現在僕の片手には椰子の実サイダーなるものが握られている。
すぐ目の前の自販機のレパートリーはひどく、スープカレー系のジュースやいちごおでんなるものなどで
一番ましなものがこれだった。
こんな怪しい飲み物を飲まなくてはいけないくらい現在の僕の状況は砂漠化しているわけで、
「学園都市?この世界の日本ってどうなってるんだよ」
コンビニで地図やらガイドブック的なものを購入して分かったことは、ここが学園都市と呼ばれていて、
現在自分たちがいる場所が第七学区という場所だということだけだ。
八九寺の手がかりすら全く掴めていない。
すぐ目の前の自販機のレパートリーはひどく、スープカレー系のジュースやいちごおでんなるものなどで
一番ましなものがこれだった。
こんな怪しい飲み物を飲まなくてはいけないくらい現在の僕の状況は砂漠化しているわけで、
「学園都市?この世界の日本ってどうなってるんだよ」
コンビニで地図やらガイドブック的なものを購入して分かったことは、ここが学園都市と呼ばれていて、
現在自分たちがいる場所が第七学区という場所だということだけだ。
八九寺の手がかりすら全く掴めていない。
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:46:20.00 ID:gCvSpXMk0
「お、お前、様・・・・・・」
「なんだよ、生き別れの家族に今まさに感動の初対面したようなノリで呼びやがって」
「フレンチクルーラーに自分の好みトッピングができるんじゃて!!しかも20種類!!もう一回行こ!!!」
「ほんと順応はえーな!!!」
確かにフレンチクルーラーは別味があってもいいと思うけどさ!
とりあえず、忍が食べ終わったらひとまず図書館にでも行ってみよう。
ここのことが何も分からないのでは動くことさえ難しい。
「なんだよ、生き別れの家族に今まさに感動の初対面したようなノリで呼びやがって」
「フレンチクルーラーに自分の好みトッピングができるんじゃて!!しかも20種類!!もう一回行こ!!!」
「ほんと順応はえーな!!!」
確かにフレンチクルーラーは別味があってもいいと思うけどさ!
とりあえず、忍が食べ終わったらひとまず図書館にでも行ってみよう。
ここのことが何も分からないのでは動くことさえ難しい。
38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:47:28.18 ID:gCvSpXMk0
「見つけましたわ!!!」
行動の指針を考え終わり、缶を捨てに行こうとした直後目の前に女の子が現れた。
やや赤茶のツインテールにどこか幼さも残るもののキリッとした顔立ちの女の子。
「ジャッジメントの白井黒子ですの!!あなたを学園都市への不法侵入の容疑で拘束いたします!!」
えーっと?
ジャッジメント?不法侵入?拘束?
「ちょ!!待ってくれ!!僕たちは決して怪しいものじゃ!!」
「はて?日本刀を腰にぶら下げて、金髪の幼女を連れまわすような殿方を怪しいと言わずしてなんと表現すると?」
「おっしゃる通りだー!!」
外見は人を判断するためにあるんだよなー!!
ほらー!!忍さーん!!怪しさでインフレしてるみたいですよー!!
行動の指針を考え終わり、缶を捨てに行こうとした直後目の前に女の子が現れた。
やや赤茶のツインテールにどこか幼さも残るもののキリッとした顔立ちの女の子。
「ジャッジメントの白井黒子ですの!!あなたを学園都市への不法侵入の容疑で拘束いたします!!」
えーっと?
ジャッジメント?不法侵入?拘束?
「ちょ!!待ってくれ!!僕たちは決して怪しいものじゃ!!」
「はて?日本刀を腰にぶら下げて、金髪の幼女を連れまわすような殿方を怪しいと言わずしてなんと表現すると?」
「おっしゃる通りだー!!」
外見は人を判断するためにあるんだよなー!!
ほらー!!忍さーん!!怪しさでインフレしてるみたいですよー!!
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:48:55.93 ID:gCvSpXMk0
キャラ立て失敗じゃねーか!!
ヒュン!!
風切音が聞こえたと同時に気がつけば目の前にまで距離を詰められていた
「え・・・・・なっ!っうわ!!」
続いて足払い、地面へ伏すのは本日二度目である。
起き上がろうと身体を動かすも、動かなかった。
動けるには確かに動けるかもしれないが、衣服のあらゆる箇所に細い杭のようなものが刺さっていて
それが僕と地面を固定していた。
ヒュン!!
風切音が聞こえたと同時に気がつけば目の前にまで距離を詰められていた
「え・・・・・なっ!っうわ!!」
続いて足払い、地面へ伏すのは本日二度目である。
起き上がろうと身体を動かすも、動かなかった。
動けるには確かに動けるかもしれないが、衣服のあらゆる箇所に細い杭のようなものが刺さっていて
それが僕と地面を固定していた。
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:50:08.70 ID:gCvSpXMk0
「他愛もない。外部からの侵入者などと騒がれていた割りに装備は日本刀一本なんてなめられたものですの」
そう言うと彼女はポケットの中から小さい端末を取り出す。
「もしもし初春? 監視カメラの映像の男は確保しましたの。至急アンチスキルにも連絡を・・・って、は?侵入者は一人じゃない? それってどういう・・・ぐっ!!ぁ!!」
「こういうことじゃ!!」
爆発的な速度でベンチから走ってきた忍は彼女を蹴り飛ばす。
えぐる様に脇腹にヒットした一撃に軋むような生々しい音が聞こえた。
「はっ!どうやったか知らんが咄嗟に上手くいなしたか」
おそらく忍は全力で蹴った。
忍の性格上この場面だとこいつは容赦はしないだろうし。
そしてたとえ八歳の幼女の姿で吸血鬼の残りカスとはいえど、その力はブラック羽川を凌駕する。
その蹴りをいなされたことに僕は驚いた。
「お前様も無様に伏せっておるでないわ、服ならあとで儂が直してやるからとっとと起きろ」
そう言うと彼女はポケットの中から小さい端末を取り出す。
「もしもし初春? 監視カメラの映像の男は確保しましたの。至急アンチスキルにも連絡を・・・って、は?侵入者は一人じゃない? それってどういう・・・ぐっ!!ぁ!!」
「こういうことじゃ!!」
爆発的な速度でベンチから走ってきた忍は彼女を蹴り飛ばす。
えぐる様に脇腹にヒットした一撃に軋むような生々しい音が聞こえた。
「はっ!どうやったか知らんが咄嗟に上手くいなしたか」
おそらく忍は全力で蹴った。
忍の性格上この場面だとこいつは容赦はしないだろうし。
そしてたとえ八歳の幼女の姿で吸血鬼の残りカスとはいえど、その力はブラック羽川を凌駕する。
その蹴りをいなされたことに僕は驚いた。
「お前様も無様に伏せっておるでないわ、服ならあとで儂が直してやるからとっとと起きろ」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:51:11.15 ID:gCvSpXMk0
僕はパーカーを脱ぎ捨て起き上がる。
ジーンズには多少ロックンロールなダメージが加わったがこの際気にして入られない。
彼女も起き上がり再びテレポートで距離を詰めようと、まずは自分の蹴り飛ばした幼女の方から身柄を
確保しようと試みる・・・が、
「悪い!!」
テレポートをされる前に僕は吸血鬼の全力をもって距離を詰め、彼女の手を捻りそのまま羽交い絞めにした。
「なっ・・・!」
女の子を地面に伏せさせるというのもそれはそれでSっ気の強いマニア垂涎のシチュなのだろうが
とりあえず、そうはせずに彼女のポケットから手錠を取り出し、それで動けなくはしておいた。
実に紳士的である。
「お前様、女の子のスカートのポケットを羽交い絞めにしながら弄るのは絵的にひどかったぞ」
「言ってる場合じゃなかったろうが!!」
ジーンズには多少ロックンロールなダメージが加わったがこの際気にして入られない。
彼女も起き上がり再びテレポートで距離を詰めようと、まずは自分の蹴り飛ばした幼女の方から身柄を
確保しようと試みる・・・が、
「悪い!!」
テレポートをされる前に僕は吸血鬼の全力をもって距離を詰め、彼女の手を捻りそのまま羽交い絞めにした。
「なっ・・・!」
女の子を地面に伏せさせるというのもそれはそれでSっ気の強いマニア垂涎のシチュなのだろうが
とりあえず、そうはせずに彼女のポケットから手錠を取り出し、それで動けなくはしておいた。
実に紳士的である。
「お前様、女の子のスカートのポケットを羽交い絞めにしながら弄るのは絵的にひどかったぞ」
「言ってる場合じゃなかったろうが!!」
44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:52:46.22 ID:gCvSpXMk0
よくよく考えるとあれだよな。
中学生くらいの女の子相手に手錠プレイもなかなかそそる絵面ではあるよな。
「くっ・・・!!能力者用の手錠でテレポートが・・・」
「能力者?」
僕はその言葉を拾う。能力者、さっきの消えたことと何か関係があるのだろうか?
直後、
「ちぇすとー!!!!!」
先ほどの忍の蹴りとは比にならないほどの、爆撃のような蹴りが飛んできた。
爆撃のような?というか公園の地面にひびをいれ、着弾したところには半径十メートル近くの円状の深い凹みができた。
声を辿ってギリギリで回避した僕だったが、それより何より気になったのはその声だった。
薄々考えていた。
ここはどうあってもパラレルワールドなのだ。
ならば、知り合いもいるだろうと。
しかしよりによってこいつかよ。
中学生くらいの女の子相手に手錠プレイもなかなかそそる絵面ではあるよな。
「くっ・・・!!能力者用の手錠でテレポートが・・・」
「能力者?」
僕はその言葉を拾う。能力者、さっきの消えたことと何か関係があるのだろうか?
直後、
「ちぇすとー!!!!!」
先ほどの忍の蹴りとは比にならないほどの、爆撃のような蹴りが飛んできた。
爆撃のような?というか公園の地面にひびをいれ、着弾したところには半径十メートル近くの円状の深い凹みができた。
声を辿ってギリギリで回避した僕だったが、それより何より気になったのはその声だった。
薄々考えていた。
ここはどうあってもパラレルワールドなのだ。
ならば、知り合いもいるだろうと。
しかしよりによってこいつかよ。
45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:53:48.13 ID:gCvSpXMk0
『栂の木二中のファイヤーシスターズ』、自称『正義の味方』
僕の妹―――阿良々木 火憐が目の前にいた。
「ジャッジメントだぜ!!!んでどいつだー!!!不法侵入者ぁー!!!」
どうやら攻撃した対象が何者なのかも確認できていなかったらしい。
わが妹ながら相変わらずのバカである。
「かかか!お前様の大きい妹御とはの!」
笑い事ではない。
火憐ちゃんが蜂に遭ったとき、
コンディションは瞬きすれば二度と目を覚ませないほどの高熱で
僕は今と同じくらいの吸血鬼性を帯びた上でガチ喧嘩をしたが、
普通に死にそうになったのは記憶に新しい。
痛みを伴って記憶したからこそ鮮明に覚えている。
僕の妹―――阿良々木 火憐が目の前にいた。
「ジャッジメントだぜ!!!んでどいつだー!!!不法侵入者ぁー!!!」
どうやら攻撃した対象が何者なのかも確認できていなかったらしい。
わが妹ながら相変わらずのバカである。
「かかか!お前様の大きい妹御とはの!」
笑い事ではない。
火憐ちゃんが蜂に遭ったとき、
コンディションは瞬きすれば二度と目を覚ませないほどの高熱で
僕は今と同じくらいの吸血鬼性を帯びた上でガチ喧嘩をしたが、
普通に死にそうになったのは記憶に新しい。
痛みを伴って記憶したからこそ鮮明に覚えている。
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:55:02.80 ID:gCvSpXMk0
で、さっきの登場である。
何の原理でどうやって蹴れば、公園の地面にクレーターを作ることができるのだろうか?
まぁこいつならナチュラルにやりそうだから原理なんて無いかもしれないけどな。
「火憐さん・・・あなたの目の前にいますの・・・・・・」
「なにー!!・・・・・・って!!兄ちゃんじゃねえか!!!」
僕のことを正しく兄として認識できるくらいにはこちらの世界の火憐ちゃんの頭も働くらしい。
「お兄さん? 火憐さんのお兄様ですの?」
「ああ!!そうだぜー!!まさか兄ちゃんが不法侵入者だったとはなー!! 兄ちゃんならできると思ったよー!!」
知能指数の低さが喋る度に露呈されている。
もうやだこの子恥ずかしい!!
「おい、火憐ちゃん。聞きたいことが山ほどにあるから、ひとまずこの場をって・・・忍!?!?!?」
忍のタックルが僕に炸裂した。
瞬間、僕の居たところに凄まじい熱量を帯びたものが打ち込まれる。火憐ちゃんの蹴りとはまた別格の危険なもの。
何の原理でどうやって蹴れば、公園の地面にクレーターを作ることができるのだろうか?
まぁこいつならナチュラルにやりそうだから原理なんて無いかもしれないけどな。
「火憐さん・・・あなたの目の前にいますの・・・・・・」
「なにー!!・・・・・・って!!兄ちゃんじゃねえか!!!」
僕のことを正しく兄として認識できるくらいにはこちらの世界の火憐ちゃんの頭も働くらしい。
「お兄さん? 火憐さんのお兄様ですの?」
「ああ!!そうだぜー!!まさか兄ちゃんが不法侵入者だったとはなー!! 兄ちゃんならできると思ったよー!!」
知能指数の低さが喋る度に露呈されている。
もうやだこの子恥ずかしい!!
「おい、火憐ちゃん。聞きたいことが山ほどにあるから、ひとまずこの場をって・・・忍!?!?!?」
忍のタックルが僕に炸裂した。
瞬間、僕の居たところに凄まじい熱量を帯びたものが打ち込まれる。火憐ちゃんの蹴りとはまた別格の危険なもの。
49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:57:13.80 ID:gCvSpXMk0
「黒子ー!!! 助けにきたわよー!!!」
「お!お姉さま!!」
「おーう!美琴じゃねーか!」
先ほどの女の子のお姉さんらしく、ついでに三人とも同じ制服を着ているってことは同じ学校か。
この状況が姉妹愛による救出劇ならば、神原のような夏の陽だまりに放置されたおにぎりのようなやつが聞けば鼻血ものなのだろう。
少女はスカートの下に短パンを履いている。
前衛的なシティファッションなのかもしれない。
パンチラがないことは残念だが、しかしそこは僕レベルになると、短パンから覗く太ももの健康的な曲線で欲情できる。
眼福だ!!
「お!お姉さま!!」
「おーう!美琴じゃねーか!」
先ほどの女の子のお姉さんらしく、ついでに三人とも同じ制服を着ているってことは同じ学校か。
この状況が姉妹愛による救出劇ならば、神原のような夏の陽だまりに放置されたおにぎりのようなやつが聞けば鼻血ものなのだろう。
少女はスカートの下に短パンを履いている。
前衛的なシティファッションなのかもしれない。
パンチラがないことは残念だが、しかしそこは僕レベルになると、短パンから覗く太ももの健康的な曲線で欲情できる。
眼福だ!!
51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 01:59:19.34 ID:gCvSpXMk0
ちなみに火憐ちゃんは制服をちゃんと着こなしていた。
普段ならおよそありえないほどの生足の露出。
こいつが制服を着た姿なんて、現在の日本の就職率くらいの確率なので、兄であっても割と見るのは久しぶりだった。
ただし、栂の木二中のものでないため、そしてその着用者が火燐ちゃんであるためコスプレにしかみえない。
女子中学生が制服を着たりスカートをはくことをコスプレとはいわないだろうけれど。
というか、都会の女子高生はこんなにも山吹色が基本配色でいいのだろうか?
閑話休題
普段ならおよそありえないほどの生足の露出。
こいつが制服を着た姿なんて、現在の日本の就職率くらいの確率なので、兄であっても割と見るのは久しぶりだった。
ただし、栂の木二中のものでないため、そしてその着用者が火燐ちゃんであるためコスプレにしかみえない。
女子中学生が制服を着たりスカートをはくことをコスプレとはいわないだろうけれど。
というか、都会の女子高生はこんなにも山吹色が基本配色でいいのだろうか?
閑話休題
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:00:37.44 ID:gCvSpXMk0
それにしてもやばかった。ビーム撃ってきたよこの子!!!
忍が突き飛ばしてくれなかったら死んでたな。
「あんたが黒子に手を出したって言う不法侵入者ねぇ・・・ へぇそんな装備で随分と余裕じゃない?」
この世界ではバトル=生きることなのだろうか、生きることは闘いであるという教えがたくましく広まっている。
加えて、日本刀はバカにされるくらいの装備でしかないらしい。
「シュールな空気で心理戦を繰り広げるような戦いが今時の主人公の在り方なんだよ!!」
吸血鬼の回復力頼りで常に闘ってきた僕にとってそれは負け惜しみでしかなかった。
そして同時にそれはこの場を打開する唯一の手段だった。
力と力のドンパチならば、そうするしかないのだ。 シュールな心理戦なんて柄じゃない。
「ま、いいわ。とっとと終わらせてあげる!!!」
そう言うと、美琴は体中から電撃を放った。
忍が突き飛ばしてくれなかったら死んでたな。
「あんたが黒子に手を出したって言う不法侵入者ねぇ・・・ へぇそんな装備で随分と余裕じゃない?」
この世界ではバトル=生きることなのだろうか、生きることは闘いであるという教えがたくましく広まっている。
加えて、日本刀はバカにされるくらいの装備でしかないらしい。
「シュールな空気で心理戦を繰り広げるような戦いが今時の主人公の在り方なんだよ!!」
吸血鬼の回復力頼りで常に闘ってきた僕にとってそれは負け惜しみでしかなかった。
そして同時にそれはこの場を打開する唯一の手段だった。
力と力のドンパチならば、そうするしかないのだ。 シュールな心理戦なんて柄じゃない。
「ま、いいわ。とっとと終わらせてあげる!!!」
そう言うと、美琴は体中から電撃を放った。
54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:03:06.13 ID:gCvSpXMk0
人間の反射神経で電撃を避けるなんてことは不可能ということで、結果僕に直撃したはずだった。
いや、実際直撃したのは間違いない、が何とも無いのだ。
「どうなって・・・」
「お前様!!心渡を抜け!!それでイオナズンは防げる!!」
状況が把握できない僕に忍が叫び、
イオナズンの使える女子中学生は「なんで!?まさかあいつと同じ!?!?」と気が動転していた。
僕はというと、僕の家にはないはずのドラクエ関連の知識をいったいこいつがどこで仕入れたのかが気がかりだった
まぁ嘘だけど!!
とにかく僕は心渡を抜き身構える。
いや、実際直撃したのは間違いない、が何とも無いのだ。
「どうなって・・・」
「お前様!!心渡を抜け!!それでイオナズンは防げる!!」
状況が把握できない僕に忍が叫び、
イオナズンの使える女子中学生は「なんで!?まさかあいつと同じ!?!?」と気が動転していた。
僕はというと、僕の家にはないはずのドラクエ関連の知識をいったいこいつがどこで仕入れたのかが気がかりだった
まぁ嘘だけど!!
とにかく僕は心渡を抜き身構える。
56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:04:11.71 ID:gCvSpXMk0
「・・・っ!!させない!!」
彼女は再びイオナズンを撃ってきたが、心渡に触れたとたんにイオナズンは消えた。
「まさか、あのバカと同じで能力を打ち消すなんて・・・・・っ!! でもこれなら!!」
そう言うと彼女はコインを指に持ち、
「音速の三倍飛んでくるコインは打ち消せるかしら?」
言い終えた瞬間、閃光。 爆発的な音が広がり、
(しまっ・・・・)
バシィィィン!!
彼女は再びイオナズンを撃ってきたが、心渡に触れたとたんにイオナズンは消えた。
「まさか、あのバカと同じで能力を打ち消すなんて・・・・・っ!! でもこれなら!!」
そう言うと彼女はコインを指に持ち、
「音速の三倍飛んでくるコインは打ち消せるかしら?」
言い終えた瞬間、閃光。 爆発的な音が広がり、
(しまっ・・・・)
バシィィィン!!
59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:05:15.89 ID:gCvSpXMk0
主人公としてかくあるべきだという条件のようなものがあるとして、
明確な基準があるとして、
最低限何を満たせば主人公になれるのかと考えた場合
僕はこう考える
こういう絶対絶命のピンチに駆けつけてくれるやつは
主人公になれる才能と資格があると!
「ったく・・・・・・何やってんだよビリビリ?」
ツンツンの頭の少年が右手を前に出して僕の前に立っていた。
「あ!あんた!!」
どうやらビリビリと呼ばれて反応したのはイオナズンの少女であり、なるほど確かにと思わざるえない。
少年は日本刀片手に突っ立っている僕の姿を一瞥し、
周りの様子を伺って一言
「・・・・・・はぁ、不幸だ」
明確な基準があるとして、
最低限何を満たせば主人公になれるのかと考えた場合
僕はこう考える
こういう絶対絶命のピンチに駆けつけてくれるやつは
主人公になれる才能と資格があると!
「ったく・・・・・・何やってんだよビリビリ?」
ツンツンの頭の少年が右手を前に出して僕の前に立っていた。
「あ!あんた!!」
どうやらビリビリと呼ばれて反応したのはイオナズンの少女であり、なるほど確かにと思わざるえない。
少年は日本刀片手に突っ立っている僕の姿を一瞥し、
周りの様子を伺って一言
「・・・・・・はぁ、不幸だ」
61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:06:57.21 ID:gCvSpXMk0
事態は収拾した。 と言っても力技で、僕と忍の不法侵入者扱いから端を発した今回の件は、
こっちの世界の火燐ちゃん―――ジャッジメントという警察のような組織にいて、自称ではなく正義の味方をやっている我が妹、
火燐ちゃんの家族だからということで僕と忍の件が有耶無耶になった。
加えて火燐ちゃんとイオナズン少女の御坂はこの学園都市では七人しかいないレベル5の超能力者らしく、
その家族だからというのが一番効果絶大だったらしい。
学園都市内を自由に動けるパス、観光ビザのようなものが発行されたことで解決した。
「まかせろ兄ちゃん!!そんなもんあたしの権限の範囲だ!!」と男らしい啖呵をきってくれたこっちの世界の火燐ちゃん。
僕の世界の火憐ちゃんは生まれてこの方十五年間、兄にとっては全く役に立たなかった妹だったのに!!!
こっちの火憐ちゃんはなかなかグレードが高い。 ゲータレードくらいのグレードの高さはあるだろう。
こっちの世界の火燐ちゃん―――ジャッジメントという警察のような組織にいて、自称ではなく正義の味方をやっている我が妹、
火燐ちゃんの家族だからということで僕と忍の件が有耶無耶になった。
加えて火燐ちゃんとイオナズン少女の御坂はこの学園都市では七人しかいないレベル5の超能力者らしく、
その家族だからというのが一番効果絶大だったらしい。
学園都市内を自由に動けるパス、観光ビザのようなものが発行されたことで解決した。
「まかせろ兄ちゃん!!そんなもんあたしの権限の範囲だ!!」と男らしい啖呵をきってくれたこっちの世界の火燐ちゃん。
僕の世界の火憐ちゃんは生まれてこの方十五年間、兄にとっては全く役に立たなかった妹だったのに!!!
こっちの火憐ちゃんはなかなかグレードが高い。 ゲータレードくらいのグレードの高さはあるだろう。
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:09:17.61 ID:gCvSpXMk0
それにしても、だ。前回の世界の滅亡に続いて今回は超能力・・・・・・。
絶対可憐なものしか知らない僕にとっては空想的過ぎて頭がいまいち追いつかない。
でも、目の前でああも力いっぱい使われてしまえば信じるしかないよなぁ。
というか、怪異だの吸血鬼だのっている時点であっても不思議じゃあねぇか。
ともあれ、無事に汚名も晴れた僕と忍はさきほどのミスタードーナッツで、火憐ちゃんや僕を助けてくれた少年、上条当麻君たちに学園都市について教わっていた。
「やーん、この子超かーわーいーいー!!!食べたいものがあったら遠慮なく言ってね」
「わーい!!美琴おねーちゃん!!ありがとー!!じゃあじゃあじゃあ!これとこれもー!!」
見た目は幼女、頭脳は五百九十八歳と十一ヶ月な忍たんであった。
68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:10:49.64 ID:gCvSpXMk0
外見を極限まで駆使した交渉術を行使中である。女子中学生にたかってんじゃねえ!
これとこれもー、とか言いながらおそらく全種類選んだのだろう。 となりのテーブルで御坂に抱かれてドーナツを頬張っている忍の
目の前はドーナツがマンガ盛りになっている。
「暦お兄ちゃん! このお姉ちゃんにいっぱいドーナツ貰っちゃったー!!」
「一人称変わってますよぉぉぉぉぉ!?!?」
それとそれじゃあ千石と被っちまう。
ちなみに、忍の快活な『暦お兄ちゃん』が千石の甘えてるような感じとはまた違って心臓のあたりがキュンときたなんてことは断じてない!
「うちのシスターもこれくらい愛嬌があればな・・・・・・ん?悪い!着信きた!少し外すな?」
といって上条君は席外した。
シスター? 妹がいるのだろうか?
これとこれもー、とか言いながらおそらく全種類選んだのだろう。 となりのテーブルで御坂に抱かれてドーナツを頬張っている忍の
目の前はドーナツがマンガ盛りになっている。
「暦お兄ちゃん! このお姉ちゃんにいっぱいドーナツ貰っちゃったー!!」
「一人称変わってますよぉぉぉぉぉ!?!?」
それとそれじゃあ千石と被っちまう。
ちなみに、忍の快活な『暦お兄ちゃん』が千石の甘えてるような感じとはまた違って心臓のあたりがキュンときたなんてことは断じてない!
「うちのシスターもこれくらい愛嬌があればな・・・・・・ん?悪い!着信きた!少し外すな?」
といって上条君は席外した。
シスター? 妹がいるのだろうか?
69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:11:57.31 ID:gCvSpXMk0
さて、
「ところで火憐ちゃん、悪いがもう少しだけ訊きたいことがある」
「なんだ兄ちゃん!!なんでも聞いてくれ!!兄ちゃんにだったら私の今日つけている下着の色以上のことでもさらっと答えるぜ!!」
「ぶっふぉぉぉ!!!それは是非お願いしますの!!」
「黒子ぉ!!」
ツインテールの女の子にイオが放たれた。
「戦場ヶ原や羽川や神原や千石や月火ちゃんは今どうしてる?」
この世界のみんなはどこら辺のポジションにいるのだろうか?というのが八九寺を探す手がかりになるかもしれない。
あわよくば力を貸してほしかった。
「戦場ヶ原? もしかして第四位の戦場ヶ原さんのことかー、面識は全くないから分かんねーな。ちなみに私は第六位だぜー!!」
うわー何気にすげーんじゃねーのこいつら?
この調子でいくと羽川なんかは神か魔王の扱いだよな。
「ところで火憐ちゃん、悪いがもう少しだけ訊きたいことがある」
「なんだ兄ちゃん!!なんでも聞いてくれ!!兄ちゃんにだったら私の今日つけている下着の色以上のことでもさらっと答えるぜ!!」
「ぶっふぉぉぉ!!!それは是非お願いしますの!!」
「黒子ぉ!!」
ツインテールの女の子にイオが放たれた。
「戦場ヶ原や羽川や神原や千石や月火ちゃんは今どうしてる?」
この世界のみんなはどこら辺のポジションにいるのだろうか?というのが八九寺を探す手がかりになるかもしれない。
あわよくば力を貸してほしかった。
「戦場ヶ原? もしかして第四位の戦場ヶ原さんのことかー、面識は全くないから分かんねーな。ちなみに私は第六位だぜー!!」
うわー何気にすげーんじゃねーのこいつら?
この調子でいくと羽川なんかは神か魔王の扱いだよな。
70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:13:13.86 ID:gCvSpXMk0
・・・・・・・
えっ?
「もしかして終わり?」
いくらなんでもこれはないだろ!
羽川は?千石は?神原は?月火ちゃんは?
「終わりも何も、兄ちゃんの今言った人で知ってるのは戦場ヶ原さんだけだぜ?会ったことはないけどなー」
火憐ちゃんはバカだ、真性のバカだ。でも嘘はつかない。つく頭もない。
つまり、この世界の僕にはみんなと面識がないということだ。きっとそれはみんなも同じはずだろうけれど。
戦場ヶ原がいるんだから、きっとこの世界で生きているだろうがきっとこの世界ではお互いに交わることはないんだろうな。
そう思うと寂しかった。
「ちょっと待てよ? 月火ちゃんはどうした?妹だろ!?」
この質問の答えによっては、この世界に対する認識を改めなければいけないと思いつつ、
しかし僕は予想はできていた。
えっ?
「もしかして終わり?」
いくらなんでもこれはないだろ!
羽川は?千石は?神原は?月火ちゃんは?
「終わりも何も、兄ちゃんの今言った人で知ってるのは戦場ヶ原さんだけだぜ?会ったことはないけどなー」
火憐ちゃんはバカだ、真性のバカだ。でも嘘はつかない。つく頭もない。
つまり、この世界の僕にはみんなと面識がないということだ。きっとそれはみんなも同じはずだろうけれど。
戦場ヶ原がいるんだから、きっとこの世界で生きているだろうがきっとこの世界ではお互いに交わることはないんだろうな。
そう思うと寂しかった。
「ちょっと待てよ? 月火ちゃんはどうした?妹だろ!?」
この質問の答えによっては、この世界に対する認識を改めなければいけないと思いつつ、
しかし僕は予想はできていた。
71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:14:15.36 ID:gCvSpXMk0
「誰?それ?」
僕らは二人兄妹・・・だそうだ。
新しく妹が生まれたのか?と終始騒いで、忍を指してそうなのか!?とテンション高めに尋ねてきた我が妹の様子を見るにつけ、やはり嘘だとは思えない。
おそらく忍も色々と考えているだろうがここでは同じ結論に達したと思う。
認識を改める、つまり、元の僕の世界と深い因果関係にあるはずだという前提を取り払い、全く別の世界、FFとドラクエくらいの違いはある世界と見なすということ。
・・・・・・いやぁどうせならおじゃ魔女とプリキュアくらいの世界観なら僕としても夢ひろがりんぐだったのに・・・不幸だ・・・・・・。
「ところで兄ちゃんは外の学校休んでまで学園都市に何の用なんだ?」
「おいおい、兄が妹に会いに来るのに理由なんていらないだろ?」
僕はキメ顔で即座に切り替えした。
「兄ちゃん!かっけー!」
火憐ちゃん曰く、この世界の僕は学園都市の外側にある―――私立直江津高校に通っている『ただの』学生らしい。
僕らは二人兄妹・・・だそうだ。
新しく妹が生まれたのか?と終始騒いで、忍を指してそうなのか!?とテンション高めに尋ねてきた我が妹の様子を見るにつけ、やはり嘘だとは思えない。
おそらく忍も色々と考えているだろうがここでは同じ結論に達したと思う。
認識を改める、つまり、元の僕の世界と深い因果関係にあるはずだという前提を取り払い、全く別の世界、FFとドラクエくらいの違いはある世界と見なすということ。
・・・・・・いやぁどうせならおじゃ魔女とプリキュアくらいの世界観なら僕としても夢ひろがりんぐだったのに・・・不幸だ・・・・・・。
「ところで兄ちゃんは外の学校休んでまで学園都市に何の用なんだ?」
「おいおい、兄が妹に会いに来るのに理由なんていらないだろ?」
僕はキメ顔で即座に切り替えした。
「兄ちゃん!かっけー!」
火憐ちゃん曰く、この世界の僕は学園都市の外側にある―――私立直江津高校に通っている『ただの』学生らしい。
72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:15:44.84 ID:gCvSpXMk0
そんな兄が日本刀を腰に下げて学園都市に侵入、あげく能力者相手に渡り合ったのが不自然極まったようだった。
当たり前の反応だよなぁ。
御坂に関しても、白井に関してもやはり、電撃を防いだりしたことが引っかかるらしく追究されたが。
「いや、ほら僕も火燐ちゃんの兄だからな!最近身体を鍛えていたら火燐ちゃんと同じように能力が使えるようになったのさ!!」
我ながら苦しいが、嘘とばれない様できる限り落ち着いて、間髪いれずに答えた。
更なる追究に身構えたが、
「あぁ、火憐さんのお兄さんだし・・・有り得るわね」
といった具合だった。
うちの妹はこの世界でも、けっこう規格外な存在らしく、逆に上手くそれに救われた。
ちなみに忍に関しては従妹となっているが、どんな国際色豊かな血縁関係を敷けば、西洋人100%の親戚ができあがるのだろう。
んなわけねーだろってツッコミがこないのが救われた反面、この世界をちょっぴり心配してしまった。
当たり前の反応だよなぁ。
御坂に関しても、白井に関してもやはり、電撃を防いだりしたことが引っかかるらしく追究されたが。
「いや、ほら僕も火燐ちゃんの兄だからな!最近身体を鍛えていたら火燐ちゃんと同じように能力が使えるようになったのさ!!」
我ながら苦しいが、嘘とばれない様できる限り落ち着いて、間髪いれずに答えた。
更なる追究に身構えたが、
「あぁ、火憐さんのお兄さんだし・・・有り得るわね」
といった具合だった。
うちの妹はこの世界でも、けっこう規格外な存在らしく、逆に上手くそれに救われた。
ちなみに忍に関しては従妹となっているが、どんな国際色豊かな血縁関係を敷けば、西洋人100%の親戚ができあがるのだろう。
んなわけねーだろってツッコミがこないのが救われた反面、この世界をちょっぴり心配してしまった。
73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:16:31.79 ID:gCvSpXMk0
「さて今回の事件に関して、私は今回の件をアンチスキルに報告してこなければいけませんの」
「そっかー、んじゃあたしは兄ちゃんと兄妹愛が何たるかを確かめ合わねーといけないんですのー」
「火燐さん? あなたは公共物破損への始末書がありますのよ? とっとと支部へ帰りますの!」
「えー!?!?それなら美琴だって暴れてたじゃんか!」
「もちろん今回はお姉さまも連れて行きますの!!」
「なんで!?」
「あの類人猿がいるようなところにお姉さまを置いてなんて行けませんわ!!」
「ちょっ!」
ヒュン!
・・・・・・・。
「そっかー、んじゃあたしは兄ちゃんと兄妹愛が何たるかを確かめ合わねーといけないんですのー」
「火燐さん? あなたは公共物破損への始末書がありますのよ? とっとと支部へ帰りますの!」
「えー!?!?それなら美琴だって暴れてたじゃんか!」
「もちろん今回はお姉さまも連れて行きますの!!」
「なんで!?」
「あの類人猿がいるようなところにお姉さまを置いてなんて行けませんわ!!」
「ちょっ!」
ヒュン!
・・・・・・・。
74: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:17:23.06 ID:gCvSpXMk0
便利だよなぁテレポート。
あんなのあったら遅刻気にして走らなくても済む上に、さっきの杭みたいに物まで自由に動かせるんだぜ?
例えば、羽川にちょこっと触れてブラジャ一を抜き取ることも、マッパにすることも可能な能力なんておいしすぎる。
第六位の火燐ちゃんは名前的に火を操るのかと思いきや、期待を裏切り、肉体強化系の能力者らしい。
聞く限りでは吸血鬼のそれみたいなものらしいが、そこは火を使えよ。
忍を抱いていた第三位の御坂は電気、第四位の戦場ヶ原は不明ときている。
いや、戦場ヶ原についてはドロデレな感じは期待できない。
こんなバトル展開が行く先々で待ち受けているような世界だ。
全開のヶ原ノリで大量虐殺とかやっちゃえるくらいの危ない能力に目覚めているかもしれない。
あんなのあったら遅刻気にして走らなくても済む上に、さっきの杭みたいに物まで自由に動かせるんだぜ?
例えば、羽川にちょこっと触れてブラジャ一を抜き取ることも、マッパにすることも可能な能力なんておいしすぎる。
第六位の火燐ちゃんは名前的に火を操るのかと思いきや、期待を裏切り、肉体強化系の能力者らしい。
聞く限りでは吸血鬼のそれみたいなものらしいが、そこは火を使えよ。
忍を抱いていた第三位の御坂は電気、第四位の戦場ヶ原は不明ときている。
いや、戦場ヶ原についてはドロデレな感じは期待できない。
こんなバトル展開が行く先々で待ち受けているような世界だ。
全開のヶ原ノリで大量虐殺とかやっちゃえるくらいの危ない能力に目覚めているかもしれない。
77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:20:02.13 ID:gCvSpXMk0
女性陣が居なくなって、入れ替わりに上条君は通話を終えたのか、席に戻ってきた。
で、開口一番
「阿良々木さんたちは魔術師なのか?」
また濃厚なワードいただきました! 超能力に続いて魔術師て!!!
なにこの世界! 本当におじゃ魔女とドラクエでクロスオーバーしてんの!?!?
「その右手・・・」
僕の思考が停止しているのを見計らって、忍が口を出す
「随分とおかしなものみたいじゃの?」
言うと忍は先ほど僕を助けてくれた際に使われた右手を指す。
「かかかっ!それに魔術ときたか・・・やれやれ、話がいよいよ壮大になっておるの」
凄惨な笑みを浮かべる忍だが、こいつはこいつで多少の理解があるようだ。
で、開口一番
「阿良々木さんたちは魔術師なのか?」
また濃厚なワードいただきました! 超能力に続いて魔術師て!!!
なにこの世界! 本当におじゃ魔女とドラクエでクロスオーバーしてんの!?!?
「その右手・・・」
僕の思考が停止しているのを見計らって、忍が口を出す
「随分とおかしなものみたいじゃの?」
言うと忍は先ほど僕を助けてくれた際に使われた右手を指す。
「かかかっ!それに魔術ときたか・・・やれやれ、話がいよいよ壮大になっておるの」
凄惨な笑みを浮かべる忍だが、こいつはこいつで多少の理解があるようだ。
79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:21:12.12 ID:gCvSpXMk0
「えーっと、ただでさえ超能力だなんだので、話を合わせるのに精一杯なのに魔術? ごめんもう無理! わけ分かんねーよ!」
超能力であの学園異能バトル展開だったのに!!
魔術に対して空中楼閣張り巡らせるなら、それこそドラグスレイブあたりの打ち合いになんじゃねーの!?
ごめん八九寺!!僕超絶帰りたい!!
「いや・・ハハハ・・・・その反応だと違うみたいだな!! 悪い!!変なこと言っちまった!!」
バツが悪そうに笑いながら上条君は笑う
そして阿良々木暦は本能で感じていた。
この話題はこれ以上踏み込んでは駄目だと、確かに八九寺を探すのに手がかりはないが、だからといって無闇に飛び込んではいけないものがある。
こんなバトルワールドで間違いなく踏んではいけない地雷に、今差し掛かっているのだと。
話をそらさねば!
超能力であの学園異能バトル展開だったのに!!
魔術に対して空中楼閣張り巡らせるなら、それこそドラグスレイブあたりの打ち合いになんじゃねーの!?
ごめん八九寺!!僕超絶帰りたい!!
「いや・・ハハハ・・・・その反応だと違うみたいだな!! 悪い!!変なこと言っちまった!!」
バツが悪そうに笑いながら上条君は笑う
そして阿良々木暦は本能で感じていた。
この話題はこれ以上踏み込んでは駄目だと、確かに八九寺を探すのに手がかりはないが、だからといって無闇に飛び込んではいけないものがある。
こんなバトルワールドで間違いなく踏んではいけない地雷に、今差し掛かっているのだと。
話をそらさねば!
80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:22:27.67 ID:gCvSpXMk0
「魔術師ではないがの、儂らは吸血鬼じゃ」
・・・・・・
誇るようにそう答えた。
何を恥じることがある?と言わんばかりの不遜な表情だった。
得意気で小生意気な顔だった。
これがあと5年後くらい姿の忍であったなら、ぶっ飛ばしていただろう。
「しのぶさあああああん!!!!!」
おそらく忍に悪気はない、悪気なんて感じるほど意識して言ったはずもないだろう。
ただ聞かれたから、それに答えただけなのだろう?
あーあ。
一方で、上条君もやっぱりかと言いたそうに、それでいて僕と同じように地雷を踏んでしまったことを改めて再確認するかのように溜息をついた。
こういうときなんていうんだっけ?
ああそうだ
「「不幸だ・・・・・・・」」
・・・・・・
誇るようにそう答えた。
何を恥じることがある?と言わんばかりの不遜な表情だった。
得意気で小生意気な顔だった。
これがあと5年後くらい姿の忍であったなら、ぶっ飛ばしていただろう。
「しのぶさあああああん!!!!!」
おそらく忍に悪気はない、悪気なんて感じるほど意識して言ったはずもないだろう。
ただ聞かれたから、それに答えただけなのだろう?
あーあ。
一方で、上条君もやっぱりかと言いたそうに、それでいて僕と同じように地雷を踏んでしまったことを改めて再確認するかのように溜息をついた。
こういうときなんていうんだっけ?
ああそうだ
「「不幸だ・・・・・・・」」
85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:26:04.59 ID:gCvSpXMk0
「さっき魔術方面に関して詳しいツレと電話してたんですよ」
「なるほど! 魔術ね魔術!! そういえば小学校のとき家庭科で習った!! 魔術!!」
マジ鬱になりそうなくらい危険度のあるワードにともかく話を合わせる僕。
いやラップパートとかじゃなくて。
「お前様、それは引くわ」
「YOっていってないからか!?!?」
「・・・・・と、ともかく、魔術師じゃないんならよかった。 ほら、つい最近第三次世界大戦があったばっかりだしさ・・・・・・」
だ、第三次世界大戦!?!? 恋愛革命じゃなくて!?!?
なにこの世界、まじやめて。
血で血を洗う展開しか予想できないんですけど!!
「なるほど! 魔術ね魔術!! そういえば小学校のとき家庭科で習った!! 魔術!!」
マジ鬱になりそうなくらい危険度のあるワードにともかく話を合わせる僕。
いやラップパートとかじゃなくて。
「お前様、それは引くわ」
「YOっていってないからか!?!?」
「・・・・・と、ともかく、魔術師じゃないんならよかった。 ほら、つい最近第三次世界大戦があったばっかりだしさ・・・・・・」
だ、第三次世界大戦!?!? 恋愛革命じゃなくて!?!?
なにこの世界、まじやめて。
血で血を洗う展開しか予想できないんですけど!!
89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:32:49.73 ID:gCvSpXMk0
第三次世界大戦のこと、魔術師のことを上条君からこの後も詳しく説明をうけた僕であったが、
さすがに理解には遠かった。
先ほどの電話の相手、上条くんのお連れさんが朝、「大きな魔術の反応がある」とのことで、ただ事ではない風に騒いでいて
それを覚えていた上条君は学校から帰宅する際、公園を通りかかったところ、
能力者同士のバトルに遭遇。
それを止めようとして介入したら、自分の顔見知りから攻撃されていた男とそれに同伴する幼女の感じが
いかにもな感じだった為、ひとまず場を落ち着かせて、連絡をとっていた―――と。
「もうすぐここに来るはずだけど・・・・・・あっ!おーいインデックス!こっちだこっち!」
こちらに気づいた少女×2が近づいてくる。
一人は腰までかかる黒髪にコスプレなのか巫女さんの衣装を身に着けている線の細い凛々しい顔つきの美人さん。
もう一人は白い修道服に身を包んだ小柄で幼い感じの漂うシスターだった。顔は隠れて見えにくいがこちらも可愛い。
さすがに理解には遠かった。
先ほどの電話の相手、上条くんのお連れさんが朝、「大きな魔術の反応がある」とのことで、ただ事ではない風に騒いでいて
それを覚えていた上条君は学校から帰宅する際、公園を通りかかったところ、
能力者同士のバトルに遭遇。
それを止めようとして介入したら、自分の顔見知りから攻撃されていた男とそれに同伴する幼女の感じが
いかにもな感じだった為、ひとまず場を落ち着かせて、連絡をとっていた―――と。
「もうすぐここに来るはずだけど・・・・・・あっ!おーいインデックス!こっちだこっち!」
こちらに気づいた少女×2が近づいてくる。
一人は腰までかかる黒髪にコスプレなのか巫女さんの衣装を身に着けている線の細い凛々しい顔つきの美人さん。
もう一人は白い修道服に身を包んだ小柄で幼い感じの漂うシスターだった。顔は隠れて見えにくいがこちらも可愛い。
93: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:35:57.28 ID:gCvSpXMk0
「いてててててっ!!!!!」
隣に座っている忍に太ももを抓られた。肉が抉れるかと錯覚するほどの抓るではなく毟るだった。
一体こいつは何がしたいんだ!
「阿良々木さん、紹介する。 この巫女さんが姫神。で、この白い修道服のシスターがインデックスだ」
「よろ、しく・・・・・・」
「よろしくなんだよ!」
ん?普通に可愛い女の子達だった。
どちらも明らかに浮世離れしているが。
「とーまだけずるいんだよ! ドーナツ食べてたんだね!?」
むぐっ!
僕はたまらず噎せた。
油断していたぜ・・・・・・なるほどこういう展開か。
隣に座っている忍に太ももを抓られた。肉が抉れるかと錯覚するほどの抓るではなく毟るだった。
一体こいつは何がしたいんだ!
「阿良々木さん、紹介する。 この巫女さんが姫神。で、この白い修道服のシスターがインデックスだ」
「よろ、しく・・・・・・」
「よろしくなんだよ!」
ん?普通に可愛い女の子達だった。
どちらも明らかに浮世離れしているが。
「とーまだけずるいんだよ! ドーナツ食べてたんだね!?」
むぐっ!
僕はたまらず噎せた。
油断していたぜ・・・・・・なるほどこういう展開か。
94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:37:03.82 ID:gCvSpXMk0
火憐ちゃんに続いて、恐るべしパラレルワールド。
「落ち着けインデックス!! まだ買ってない!! お前と電話してたろうが!!」
「まだって言ったねとーま!! じゃあ私たちがもう少しくるの遅かったら先に食べていたんだね!?」
「言い方が悪かった!!ってちょ!!インデックスさん!?」
「許さないんだよとーま!!」
シスターさんは修道服の中からバールを取り出し、上条君めがけて構えた。
そんな彼女を僕は知っている。
だから驚かない、騒がない。
『栂の木二中のファイヤーシスターズ』、自称『正義そのもの』
僕の妹―――阿良々木 月火 がそこにいた。
「落ち着けインデックス!! まだ買ってない!! お前と電話してたろうが!!」
「まだって言ったねとーま!! じゃあ私たちがもう少しくるの遅かったら先に食べていたんだね!?」
「言い方が悪かった!!ってちょ!!インデックスさん!?」
「許さないんだよとーま!!」
シスターさんは修道服の中からバールを取り出し、上条君めがけて構えた。
そんな彼女を僕は知っている。
だから驚かない、騒がない。
『栂の木二中のファイヤーシスターズ』、自称『正義そのもの』
僕の妹―――阿良々木 月火 がそこにいた。
97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:38:12.78 ID:gCvSpXMk0
以下 月火ちゃんと呼称
「つっっっきひちゃああああああん!!!!!」
となりのトトロで「さっつきちゃああああああん!!!!!」と叫んでいた少女ばりに心から叫んで、僕は月火ちゃんに抱きついた。
「きゃああああああああっ!!!!!」
妹そっくりのシスターの身体を揉みしだきまくる男の姿がそこにはあった。
ていうか僕だった。
同時にバールが僕の頭に振り下ろされる。
「つっっっきひちゃああああああん!!!!!」
となりのトトロで「さっつきちゃああああああん!!!!!」と叫んでいた少女ばりに心から叫んで、僕は月火ちゃんに抱きついた。
「きゃああああああああっ!!!!!」
妹そっくりのシスターの身体を揉みしだきまくる男の姿がそこにはあった。
ていうか僕だった。
同時にバールが僕の頭に振り下ろされる。
98: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:39:23.11 ID:gCvSpXMk0
忍はそのやり取りを眺めることもなく、真剣な顔になった。
姫神さんも同じく忍に対して、目を丸くして驚きながら反応した。
「小娘、おもしろい匂いをさせておるな。この姿の儂でなければ、襲っておったろうよ」
抑揚のある声とは対照的に無表情。
忍は強く警戒していた。
「なぜ・・・?・・・あなたがここに・・・・・?」
姫神が言葉を発したところで、ようやく僕や月火ちゃんと上条君もそのやり取りに気づく。
「あなたは死んだはずじゃあ・・・?なぜ生きているの・・・・・・?ハートアンダーブレード・・・・・・」
忍野忍―――化物の中の化物、怪異の王
誰よりも美しく、鉄のように冷たくて、血のように熱かった吸血鬼の成れの果て
元キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード
その彼女を指して姫神さんはそう言った。
姫神さんも同じく忍に対して、目を丸くして驚きながら反応した。
「小娘、おもしろい匂いをさせておるな。この姿の儂でなければ、襲っておったろうよ」
抑揚のある声とは対照的に無表情。
忍は強く警戒していた。
「なぜ・・・?・・・あなたがここに・・・・・?」
姫神が言葉を発したところで、ようやく僕や月火ちゃんと上条君もそのやり取りに気づく。
「あなたは死んだはずじゃあ・・・?なぜ生きているの・・・・・・?ハートアンダーブレード・・・・・・」
忍野忍―――化物の中の化物、怪異の王
誰よりも美しく、鉄のように冷たくて、血のように熱かった吸血鬼の成れの果て
元キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレード
その彼女を指して姫神さんはそう言った。
99: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:40:39.59 ID:gCvSpXMk0
~第七学区とあるファミレス~
「浜面ー!炭酸系のジュースを持ってきて欲しいわけよ。この味の新境地ハヤシライス風味のサバ缶に合う―――」
「何を言っているのかしら、この子は。サバ缶?そんなパンピー御用達なものに魅力なんてないわ。今をときめくナウなヤングなら蟹缶に決まっているでしょう?
ああそれと、生ゴ・・・浜面、私はコーヒーをお願いできるかしら?」
「今生ゴミって言おうとしたよね!?!?」
「大丈夫、そんな浜面でも立派な花を咲かせる為の肥料になれる・・・」
「フォローになってねえよ!!!」
「さすが戦場ヶ原先輩だ!!言うに事欠いて生ゴミ!! その冷ややかな表情で言われるとかなり興奮するなぁ!」
ファミレスのボックス席にひときわ騒がしい集団が居た。
彼女たちはアイテム、学園都市の裏組織のひとつ。
フレンダ、滝壺理后、そして
「あら、仕事ね。・・・・・・学園都市へ侵入した不穏分子の抹殺、だそうよ」
「了解した!!」
そう言うとアイテムのリーダー、戦場ヶ原ひたぎとその後輩神原駿河は立ち上がった。
「浜面ー!炭酸系のジュースを持ってきて欲しいわけよ。この味の新境地ハヤシライス風味のサバ缶に合う―――」
「何を言っているのかしら、この子は。サバ缶?そんなパンピー御用達なものに魅力なんてないわ。今をときめくナウなヤングなら蟹缶に決まっているでしょう?
ああそれと、生ゴ・・・浜面、私はコーヒーをお願いできるかしら?」
「今生ゴミって言おうとしたよね!?!?」
「大丈夫、そんな浜面でも立派な花を咲かせる為の肥料になれる・・・」
「フォローになってねえよ!!!」
「さすが戦場ヶ原先輩だ!!言うに事欠いて生ゴミ!! その冷ややかな表情で言われるとかなり興奮するなぁ!」
ファミレスのボックス席にひときわ騒がしい集団が居た。
彼女たちはアイテム、学園都市の裏組織のひとつ。
フレンダ、滝壺理后、そして
「あら、仕事ね。・・・・・・学園都市へ侵入した不穏分子の抹殺、だそうよ」
「了解した!!」
そう言うとアイテムのリーダー、戦場ヶ原ひたぎとその後輩神原駿河は立ち上がった。
100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:41:46.25 ID:gCvSpXMk0
八九寺真宵は彷徨っていた。
どういうわけか、気がついたら見たこともない―――生前であっても訪れたこともないような街並みの中
彷徨っていた。
有り体に言ってしまえば迷子だった。
どう言ったところでも迷子だった。
むしろ迷子なのか? とやや間を置いて考えてみた。
目的地を定め、その過程の中で道を見失うのを迷子だといえないだろうか?
見失う道すらないのが現状である。
迷えるほど知っていることはなく、全くもって無知。
哲学的な方面で考えて解決できるほど、多くの可能性は現状用意されてはない。
オーバーランさえ許されてはいない。
どういうわけか、気がついたら見たこともない―――生前であっても訪れたこともないような街並みの中
彷徨っていた。
有り体に言ってしまえば迷子だった。
どう言ったところでも迷子だった。
むしろ迷子なのか? とやや間を置いて考えてみた。
目的地を定め、その過程の中で道を見失うのを迷子だといえないだろうか?
見失う道すらないのが現状である。
迷えるほど知っていることはなく、全くもって無知。
哲学的な方面で考えて解決できるほど、多くの可能性は現状用意されてはない。
オーバーランさえ許されてはいない。
101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:42:44.37 ID:gCvSpXMk0
まずはここがどこなのか、を把握する必要がある。
「うぅー、阿良々木さーん・・・・・・」
こういうときに阿良々木暦が後ろから抱き付いてくるのであれば、
私はいくらでも触らせたり揉ませたり舐めさせたりするのもやぶさかではない。
むしろなぜこういうときにあの男は現れないのだろうか?
主人公として作中のヒロインに対する配慮が欠けていると思う。
「うぅー、阿良々木さーん・・・・・・」
こういうときに阿良々木暦が後ろから抱き付いてくるのであれば、
私はいくらでも触らせたり揉ませたり舐めさせたりするのもやぶさかではない。
むしろなぜこういうときにあの男は現れないのだろうか?
主人公として作中のヒロインに対する配慮が欠けていると思う。
105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:45:07.05 ID:gCvSpXMk0
先日彼とは90年代の主人公について熱く議論したが、彼に足りないのはバミリかただと思う。
バミルことをラ行五段活用で行えないことがそもそもの不足要素ではないだろうか?
それだけ言うと、いつの時代の悪役も主人公が強くなるまで待つ流れを崩さないなとも思う。
実は悪役の方がよっぽど空気の読める、良いやつなんじゃないかと。
まぁ彼のニヒルなキャラを気取ってはいるが事ある毎に、どこかの主人公よろしく
「そのふざけた幻想をぶち殺す」といったノリで話を進行させようとする姿勢は嫌いではないが。
こういうのがギャップ萌なのであれば、彼も今時の主人公として案外たくましいのかもしれない。
ただ「義理の妹なんて萌えるだけだろうが!!」というのは幻想すぎる。
バミルことをラ行五段活用で行えないことがそもそもの不足要素ではないだろうか?
それだけ言うと、いつの時代の悪役も主人公が強くなるまで待つ流れを崩さないなとも思う。
実は悪役の方がよっぽど空気の読める、良いやつなんじゃないかと。
まぁ彼のニヒルなキャラを気取ってはいるが事ある毎に、どこかの主人公よろしく
「そのふざけた幻想をぶち殺す」といったノリで話を進行させようとする姿勢は嫌いではないが。
こういうのがギャップ萌なのであれば、彼も今時の主人公として案外たくましいのかもしれない。
ただ「義理の妹なんて萌えるだけだろうが!!」というのは幻想すぎる。
107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 02:46:45.21 ID:gCvSpXMk0
今自分がいる場所は公団系の住宅街なのか、少し背の高い建物が連なっている。
街行く人の数も多く、これだけ見ても、しらない土地なのは把握できた。
「でも私、幽霊だから人がいても見えないんですよね・・・」
溜息もつきたくなる。
さてどうしようか、俯き、つらつらと考えて歩いていたら、
「きゃっ!」
「っ、あン?」
人にぶつかった。
街行く人の数も多く、これだけ見ても、しらない土地なのは把握できた。
「でも私、幽霊だから人がいても見えないんですよね・・・」
溜息もつきたくなる。
さてどうしようか、俯き、つらつらと考えて歩いていたら、
「きゃっ!」
「っ、あン?」
人にぶつかった。
116: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 04:03:00.21 ID:gCvSpXMk0
「すみません、考え事をしていたもので。前方に注意が行き届きませんでした。ごめんなさい」
言葉を変えて重ねて謝ったところで認識はされないのだろうけれど、一応―――
「ったく、よォく前見て歩きやがれ」
レスポンス有り!
まさかの当たり―――自分を認識できる人だった!
「あの!すみません!! あなた私のことが見えるんですか? 私の声が聞こえるんですか?」
見ると、アルビノちっくな少年?少女かもしれない。
極めて中性的な顔立ちで頭髪は光の当たり方では銀に見えるほどの純白、縦に細い少年は気だるそうに振り返った。
言葉を変えて重ねて謝ったところで認識はされないのだろうけれど、一応―――
「ったく、よォく前見て歩きやがれ」
レスポンス有り!
まさかの当たり―――自分を認識できる人だった!
「あの!すみません!! あなた私のことが見えるんですか? 私の声が聞こえるんですか?」
見ると、アルビノちっくな少年?少女かもしれない。
極めて中性的な顔立ちで頭髪は光の当たり方では銀に見えるほどの純白、縦に細い少年は気だるそうに振り返った。
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 04:06:44.17 ID:gCvSpXMk0
「あン? 鬱陶ォしい声なら聞こえてるし、クソガキの姿なら見えてるよ。俺は忙しいンだ。遊んでほしけりゃァ他を当たれ」
「お願いします! 助けてください!!」
八九寺真宵は今流行り?の肉食系少女を演出し、少年の足に力強くかみついた。
「痛え!!!!! 離しやがれェェェ!!・・・うォ!!」
暴れる少年に次はしがみついた。 かみついたくだりからしがみつているのでかみついたままである。
それくらい必死なのだ。
「分かった!分かった!! 助けてやるから離せェェェ!!」
119: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 04:11:30.61 ID:gCvSpXMk0
「・・・・・・なるほど、助けてやるといいつつ、こうやって少女を自宅に囲うんですね!?!?」
「人聞きの悪ィこと言ってンじゃねェ!! このマンションには同居人がちゃんといる。 アンチスキルもやってっから、そいつに頼れ」
エレベーターを昇り、通されたのはなかなかに広いマンションの一室だった。
都会的な空気の漂う部屋作り。
家電製品も自分の知っているものとは規格自体がそもそも異なっているほど、炊飯器ひとつとってもボタンがたくさんある。
これがシステムキッチンというやつなのだろうか?
それに炊飯器が・・・・・たくさんあるところを見ると、けっこうな大家族かもしれない。
「人聞きの悪ィこと言ってンじゃねェ!! このマンションには同居人がちゃんといる。 アンチスキルもやってっから、そいつに頼れ」
エレベーターを昇り、通されたのはなかなかに広いマンションの一室だった。
都会的な空気の漂う部屋作り。
家電製品も自分の知っているものとは規格自体がそもそも異なっているほど、炊飯器ひとつとってもボタンがたくさんある。
これがシステムキッチンというやつなのだろうか?
それに炊飯器が・・・・・たくさんあるところを見ると、けっこうな大家族かもしれない。
121: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 04:14:16.95 ID:gCvSpXMk0
「おーかーえーりー!!!ってナデコはナデコは新妻気分であなたを出迎えてみるー・・・・・・って早くも浮気!?!?」
ナデコというワードとメープルシロップに蜂蜜を混ぜたような声に聞き覚えがあった、そして決定打になったのはその容姿。
「せ、千石さん・・・・・・・・・?」
「千石? 私はナデコだよ?」
誰それ?といった感じで答えられた。 かく言う八九寺ではあったが実際に千石撫子と会ったことはなく、写真で見たり、人に聞いたり、(発信源は常に阿良々木暦)だったので
他人の空似ということにした。
「ン? あいつらはどうしたァ?」
「黄泉川ならアンチスキルの研修に行っちゃったよー、芳川も学園都市の外の学会だって!」
「あのビッチは?」
「ナデコワーストは分かんなーい」
「あいつらァ・・・・・」
どうやら同居人は留守らしく、結果、少年の当てにしていた人物も居ないらしい。
ナデコというワードとメープルシロップに蜂蜜を混ぜたような声に聞き覚えがあった、そして決定打になったのはその容姿。
「せ、千石さん・・・・・・・・・?」
「千石? 私はナデコだよ?」
誰それ?といった感じで答えられた。 かく言う八九寺ではあったが実際に千石撫子と会ったことはなく、写真で見たり、人に聞いたり、(発信源は常に阿良々木暦)だったので
他人の空似ということにした。
「ン? あいつらはどうしたァ?」
「黄泉川ならアンチスキルの研修に行っちゃったよー、芳川も学園都市の外の学会だって!」
「あのビッチは?」
「ナデコワーストは分かんなーい」
「あいつらァ・・・・・」
どうやら同居人は留守らしく、結果、少年の当てにしていた人物も居ないらしい。
122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 04:18:04.27 ID:gCvSpXMk0
というか、ナデコワーストってなんなんだろう?
邪悪な千石さん?
あの性格をブラックにした場合、ただの狂ったヤンデレにしかならないだろうなぁと思いつつ、現状を整理。
現在、部屋の中に居るのは同い年くらいの幼女。
つまりこれは
「はっ!私の貞操の危機!!あなたやはり幼女趣味だったんですか!!」
「その発想力には感心するが、残念ながらてめェの被害妄想だァ!!」
「は、話しかけないでください。あなたのことが嫌いです!気持ち悪いです!」
「よォし、分かったァ。つまみだす」
「嘘です!嘘ですー!!」
「ぷぅー、ナデコを捨てて新しい女になんて、ナデコはナデコは許さないんだからねっ!!」
「だとしたら、てめェは過去形から戻ってくるんじゃねェ!!! あァァァ!!!てめェら静かにしやがれェ!!!」
邪悪な千石さん?
あの性格をブラックにした場合、ただの狂ったヤンデレにしかならないだろうなぁと思いつつ、現状を整理。
現在、部屋の中に居るのは同い年くらいの幼女。
つまりこれは
「はっ!私の貞操の危機!!あなたやはり幼女趣味だったんですか!!」
「その発想力には感心するが、残念ながらてめェの被害妄想だァ!!」
「は、話しかけないでください。あなたのことが嫌いです!気持ち悪いです!」
「よォし、分かったァ。つまみだす」
「嘘です!嘘ですー!!」
「ぷぅー、ナデコを捨てて新しい女になんて、ナデコはナデコは許さないんだからねっ!!」
「だとしたら、てめェは過去形から戻ってくるんじゃねェ!!! あァァァ!!!てめェら静かにしやがれェ!!!」
123: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 04:21:19.71 ID:gCvSpXMk0
「えー、ごほん!!自己紹介が遅れました。 私、八九寺真宵と申します。」
「私はラストオーダーっていいまーすってナデコはナデコは長いからナデコでいいよって促してみる!」
この場合のラストオーダーという意味は、妹萌の方々の需要を手広く満たすための最終注文という意味でしょうか?
とは決して聞かなかった。
つーか同じ女子として、自分の名前を一人称に当ててくるのは聞いていて少しイライラします!!
心の中でマヨイはマヨイは~と言ってみましたけど、ちょっとこれはCVの差が如実すぎて・・・・・
「・・・・ふンっ、俺は一方通行だ」
「私はラストオーダーっていいまーすってナデコはナデコは長いからナデコでいいよって促してみる!」
この場合のラストオーダーという意味は、妹萌の方々の需要を手広く満たすための最終注文という意味でしょうか?
とは決して聞かなかった。
つーか同じ女子として、自分の名前を一人称に当ててくるのは聞いていて少しイライラします!!
心の中でマヨイはマヨイは~と言ってみましたけど、ちょっとこれはCVの差が如実すぎて・・・・・
「・・・・ふンっ、俺は一方通行だ」
124: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 04:25:00.00 ID:gCvSpXMk0
ハイパー八九寺タイム
「分かりました、ナデコさんに、えーっと悪性貧血さん?」
「胃粘膜の萎縮による内因子の低下により、ビタミンB12が欠乏することで生じる貧血なわけねェだろ!!見たまんま不健康で悪かったなァ!!俺の名前はアクセラレータだ!!」
「失礼、噛みました」
「てめェ、わざとやってんだろ?」
「噛みまみた!」
「本当に噛みやがったのか!?」
「分かりました、ナデコさんに、えーっと悪性貧血さん?」
「胃粘膜の萎縮による内因子の低下により、ビタミンB12が欠乏することで生じる貧血なわけねェだろ!!見たまんま不健康で悪かったなァ!!俺の名前はアクセラレータだ!!」
「失礼、噛みました」
「てめェ、わざとやってんだろ?」
「噛みまみた!」
「本当に噛みやがったのか!?」
125: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 04:26:40.32 ID:gCvSpXMk0
「コミットメント!」
「そりゃァ、てめェ俺を遠まわしに精神病患者って言ってンのか?」
「間違えました。形容詞的に捉えていただければ献身的なということです。
幼女を家に囲い、献身的に世話をして、献身的に自分好みの色に育て上げるそんな献身的なあなたを敬って言ってみたのです」
「どっちにしろ、バカにしてンじゃねェか!」
「ところでその場合、千石さんが紫の上ということになりますが、他の同居人は全員女性なんですよね? 役割は決まっているのですか?」
「黄泉川は朧月夜で、芳川は花散里か空蝉、ナデコワーストはあれでけっこう明石の上だってナデコはナデコは役を振ってみる!!」
「じゃあさしずめ私は女三ノ宮でしょうか? 随分と偏食な光源氏計画なんですね?」
「もういい・・・言ってろ」
「そりゃァ、てめェ俺を遠まわしに精神病患者って言ってンのか?」
「間違えました。形容詞的に捉えていただければ献身的なということです。
幼女を家に囲い、献身的に世話をして、献身的に自分好みの色に育て上げるそんな献身的なあなたを敬って言ってみたのです」
「どっちにしろ、バカにしてンじゃねェか!」
「ところでその場合、千石さんが紫の上ということになりますが、他の同居人は全員女性なんですよね? 役割は決まっているのですか?」
「黄泉川は朧月夜で、芳川は花散里か空蝉、ナデコワーストはあれでけっこう明石の上だってナデコはナデコは役を振ってみる!!」
「じゃあさしずめ私は女三ノ宮でしょうか? 随分と偏食な光源氏計画なんですね?」
「もういい・・・言ってろ」
126: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 04:29:27.47 ID:gCvSpXMk0
「・・・・・・・ってェと何だ? 気がついたら学園都市を彷徨ってましたってか?」
八九寺は自分の把握できた範囲内で彼に説明した。
話をややこしくしないように自分が幽霊であることは伏せておいた。
しかし結局、説明してもブツ切りの理解の寄せ集めなので、結局のところ彼の今言ったことが全てだった。
「おい、クソガキ。黄泉川の部屋に地図あったろ? それ持って来い。それとてめェ・・・・・・」
「・・・・・・ふぁい?」
「今からてめェのいたとこを地図使って探すから協力しろ。・・・・・あとだらしねェからこれで顔拭きやがれ」
そう言うと、一方通行はタオルを投げてきた。
自分でも気が付かないうちに、半べそ状態だったらしい・・・。
・・・・・・
くそーギャップ萌くそー。
不覚にもドキドキしてしまった。
八九寺は自分の把握できた範囲内で彼に説明した。
話をややこしくしないように自分が幽霊であることは伏せておいた。
しかし結局、説明してもブツ切りの理解の寄せ集めなので、結局のところ彼の今言ったことが全てだった。
「おい、クソガキ。黄泉川の部屋に地図あったろ? それ持って来い。それとてめェ・・・・・・」
「・・・・・・ふぁい?」
「今からてめェのいたとこを地図使って探すから協力しろ。・・・・・あとだらしねェからこれで顔拭きやがれ」
そう言うと、一方通行はタオルを投げてきた。
自分でも気が付かないうちに、半べそ状態だったらしい・・・。
・・・・・・
くそーギャップ萌くそー。
不覚にもドキドキしてしまった。
127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 04:31:46.11 ID:gCvSpXMk0
~窓のないビル~
「・・・・・・・・」
「それが今回のグループへの依頼だ」
男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える『人間』、
学園都市統括理事長アレイスター
生命維持装置の中に逆さまになって浮かんでいる彼は、言い終えても熱量のない笑みを浮かべながら、ただ静かに土御門を見据えていた。
「オーケー引き受ける。」
「・・・・・・・・」
「それが今回のグループへの依頼だ」
男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える『人間』、
学園都市統括理事長アレイスター
生命維持装置の中に逆さまになって浮かんでいる彼は、言い終えても熱量のない笑みを浮かべながら、ただ静かに土御門を見据えていた。
「オーケー引き受ける。」
133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 05:50:08.10 ID:gCvSpXMk0
「よろしく頼むよ」
「ただ、資料を見る限りじゃあ普通のやつにしか見えないけどな?」
「正午過ぎにも異常な力場への干渉と空間の歪曲が確認されている。もしそこに書いてある通りなら早々に手を打たねばね」
「・・・・・・・そうだな」
イギリス清教側からも今回の件は土御門へ報告されていた。
(こいつ自体がそこまで危険なものだとは俺は考えないけどな・・・・・・さて・・・・・・・)
学園都市への侵入者と、それに関わっているであろうものの問題をどう対処したものか?
グループでやるよりも個人で動く方がよさそうだな。
そう考えながらビルを後にした。
「久しぶりの仕事だにゃー」
139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 09:09:43.12 ID:gCvSpXMk0
「距離はあンまし離れてねェみてェだなァ」
一方通行は八九寺が言った情報を元に探し当てた。
「明日にでも学園都市からてめェの街まで送り届けてやンよ」
「良かったね!ってナデコはナデコはマヨイにハイタッチを試みる!」
「はいっ!お二人とも、本当にありがとうございましたっ!!」
「勘違いしてンじゃねェ、クソガキがこれ以上増えてもうぜェだけだからなァ・・・」
ツンデレサービスいただきましたー!
一方通行は八九寺が言った情報を元に探し当てた。
「明日にでも学園都市からてめェの街まで送り届けてやンよ」
「良かったね!ってナデコはナデコはマヨイにハイタッチを試みる!」
「はいっ!お二人とも、本当にありがとうございましたっ!!」
「勘違いしてンじゃねェ、クソガキがこれ以上増えてもうぜェだけだからなァ・・・」
ツンデレサービスいただきましたー!
140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 09:11:13.15 ID:gCvSpXMk0
具体的な解決策も見つかったところで現在三人はリビングでくつろいでいた。
「ところでお二人はどういう関係なんですか?」
「ンだァ? いきなり?」
「いえ、少し安心して落ち着いたので、少しばかり雑談にでも興じてみようかと」
「ナデコとこの人は~ん~交友関係? ってナデコはナデコは・・・あいたっ!」
「つまンねェこと言ってンじゃねェ」
「何もぶたなくてもいいのに!ってナデコ憤慨してみる!」
といいつつも嬉しそうに。
「ところでお二人はどういう関係なんですか?」
「ンだァ? いきなり?」
「いえ、少し安心して落ち着いたので、少しばかり雑談にでも興じてみようかと」
「ナデコとこの人は~ん~交友関係? ってナデコはナデコは・・・あいたっ!」
「つまンねェこと言ってンじゃねェ」
「何もぶたなくてもいいのに!ってナデコ憤慨してみる!」
といいつつも嬉しそうに。
141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 09:13:14.35 ID:gCvSpXMk0
「なるほど。 一方通行さん、たとえあなたのそれがツンデレであっても、こうして好意の伝導が滞りなく行えるほどお二人の関係は至福なように思えますね」
「そ、そォか!」
「あなたの好意も一方通行になっていないようです。 ええ! そう見えます!!」
「オイ、う、うまいこと言うじゃねェか!」
「好意ある行為によって至福を満たすために彼女に雌伏を強いてやることやっちまう関係をあなたの想いと言うならば、
それは一方通行な修羅の道かもしれません!!世間様的に!! しかし、止まれない足があるのなら振り向いてはいけないと私は思います」
「ナデコよく分からないかも」
「一方通行さんは賛辞の言葉が尽きるほどの、口リへの愛情がある殿方だということです! ノーセーブライフな人生を口リかっけー精神で生きているのです!」
「クソガキがァ!! 素敵な性格しやがって!! 唇の端が悪意で歪んでンぞ!!」
明日には帰れるという安心感もあって、やはり少し八九寺は饒舌だった。
「そ、そォか!」
「あなたの好意も一方通行になっていないようです。 ええ! そう見えます!!」
「オイ、う、うまいこと言うじゃねェか!」
「好意ある行為によって至福を満たすために彼女に雌伏を強いてやることやっちまう関係をあなたの想いと言うならば、
それは一方通行な修羅の道かもしれません!!世間様的に!! しかし、止まれない足があるのなら振り向いてはいけないと私は思います」
「ナデコよく分からないかも」
「一方通行さんは賛辞の言葉が尽きるほどの、口リへの愛情がある殿方だということです! ノーセーブライフな人生を口リかっけー精神で生きているのです!」
「クソガキがァ!! 素敵な性格しやがって!! 唇の端が悪意で歪んでンぞ!!」
明日には帰れるという安心感もあって、やはり少し八九寺は饒舌だった。
142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 09:14:15.33 ID:gCvSpXMk0
一方通行も今日はここに泊めてくれるようだし、その好意に甘えようと思う。
ピリリリリッ!!!
疲れてしまい、ウトウトしてきて眠りかけた途端、横から電子音が鳴った。
見ると、携帯電話だった。
「はい」
八九寺がケータイを渡すとベランダで一方通行は会話し始め、ちょうど一分ほどで切って戻ってきた。
リビングにあるPCとケータイをケーブルで繋いで、何やら作業をし始める。
「何をしているのですか?」
「仕事だ。めんどくせェのが入りやがった。まァ一件はうちの組織の他やつに任せることにしたから俺には関係ねェが・・・・・・」
ピリリリリッ!!!
疲れてしまい、ウトウトしてきて眠りかけた途端、横から電子音が鳴った。
見ると、携帯電話だった。
「はい」
八九寺がケータイを渡すとベランダで一方通行は会話し始め、ちょうど一分ほどで切って戻ってきた。
リビングにあるPCとケータイをケーブルで繋いで、何やら作業をし始める。
「何をしているのですか?」
「仕事だ。めんどくせェのが入りやがった。まァ一件はうちの組織の他やつに任せることにしたから俺には関係ねェが・・・・・・」
143: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 09:15:48.43 ID:gCvSpXMk0
拡大写真がPCの脇のプリンターから出てくる。
「もう一件の方は関係あるみたいなンでな」
八九寺の前に複数枚の監視カメラの映像を引き伸ばしたような写真が置かれる。
「あ、阿良々木さん!? 忍さん!?」
それに自分の写っているものまであった。
「学園都市外部からの不法侵入者の写真らしい。 ただ、普通の不法侵入じゃねェらしいがな。 で、お前も含めて三人に対して別の組織へ抹殺しろっつゥ依頼がきたそうだ」
抹殺・・・?
それはつまり・・・
「殺されるっつゥことだ」
息が止まりそうになった。 それを見て一方通行は、だがなァと続ける。
「俺に来た依頼はてめェらの護衛だ。 責任もって守ってやる。 とりあえず後の二人も探すからそれに協力してもらうけどなァ」
「もう一件の方は関係あるみたいなンでな」
八九寺の前に複数枚の監視カメラの映像を引き伸ばしたような写真が置かれる。
「あ、阿良々木さん!? 忍さん!?」
それに自分の写っているものまであった。
「学園都市外部からの不法侵入者の写真らしい。 ただ、普通の不法侵入じゃねェらしいがな。 で、お前も含めて三人に対して別の組織へ抹殺しろっつゥ依頼がきたそうだ」
抹殺・・・?
それはつまり・・・
「殺されるっつゥことだ」
息が止まりそうになった。 それを見て一方通行は、だがなァと続ける。
「俺に来た依頼はてめェらの護衛だ。 責任もって守ってやる。 とりあえず後の二人も探すからそれに協力してもらうけどなァ」
144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 09:21:00.23 ID:gCvSpXMk0
姫神さんの発言に、語ってくれた過去に一番言葉を無くしたのは僕だった。
殺した? 忍を? この子が?
「ハートアンダーブレード・・・・・あなたは十年前。私の血を吸って死んだはずじゃ・・・・・・・・・・」
姫神さん曰く十年ほど前、京都の山村で暮らしていた彼女は、その血によって吸血鬼を呼び、 吸血鬼化した隣人や家族を皆殺しにしてしまった。
その殺してしまった中に、当時日本にいたキスショットが含まれているらしい。
殺した? 忍を? この子が?
「ハートアンダーブレード・・・・・あなたは十年前。私の血を吸って死んだはずじゃ・・・・・・・・・・」
姫神さん曰く十年ほど前、京都の山村で暮らしていた彼女は、その血によって吸血鬼を呼び、 吸血鬼化した隣人や家族を皆殺しにしてしまった。
その殺してしまった中に、当時日本にいたキスショットが含まれているらしい。
145: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 09:22:13.13 ID:gCvSpXMk0
彼女の能力
『甘い香りで誘い、その血を吸った吸血鬼を問答無用で灰に返すという能力』―――『吸血殺し』
吸血鬼のみを殺害する能力ということだ。
そう、たとえ完全体のキスショットであっても、それは例外ではなかった。
「そうか、この時代の儂だったものは死んでおるのじゃな」
「で、でも!今の僕達には何の影響もないぜ!?」
「それはお前様や今の儂は限りなく人間に近い状態じゃからな。特にそれだとお前様場合人間なのじゃから害はないじゃろうよ」
一呼吸置き、
「儂も今は少し匂う程度じゃ。 ほんの少しな。 じゃがこれがもし、完全体ならば、その一,二歩手前であれば・・・・・・・」
耐えられんじゃろうな、と。
『甘い香りで誘い、その血を吸った吸血鬼を問答無用で灰に返すという能力』―――『吸血殺し』
吸血鬼のみを殺害する能力ということだ。
そう、たとえ完全体のキスショットであっても、それは例外ではなかった。
「そうか、この時代の儂だったものは死んでおるのじゃな」
「で、でも!今の僕達には何の影響もないぜ!?」
「それはお前様や今の儂は限りなく人間に近い状態じゃからな。特にそれだとお前様場合人間なのじゃから害はないじゃろうよ」
一呼吸置き、
「儂も今は少し匂う程度じゃ。 ほんの少しな。 じゃがこれがもし、完全体ならば、その一,二歩手前であれば・・・・・・・」
耐えられんじゃろうな、と。
146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 09:23:25.72 ID:gCvSpXMk0
「吸血鬼には様々な伝承があるんだよ。 それこそ天使と同じような捉え方のものもあれば、人間と同じだといったものまで」
月火ちゃんは忍をじっと見つめて、確かめるように言う。
「魔術などと言うからには、やはりそこまでは分かっておるようじゃの? 言わずとも概ね当たっておるじゃろうよ」
吸血鬼は十字架や聖水が苦手だったり、変身したりできるといった特徴のことだろう。
この世界でもある程度の周知はあるらしい。
「でもインデックス?この二人が吸血鬼なら、俺の右手で触れちゃまずくないか?」
月火ちゃんは忍をじっと見つめて、確かめるように言う。
「魔術などと言うからには、やはりそこまでは分かっておるようじゃの? 言わずとも概ね当たっておるじゃろうよ」
吸血鬼は十字架や聖水が苦手だったり、変身したりできるといった特徴のことだろう。
この世界でもある程度の周知はあるらしい。
「でもインデックス?この二人が吸血鬼なら、俺の右手で触れちゃまずくないか?」
147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 09:24:38.90 ID:gCvSpXMk0
月火ちゃんにバールで殴られた傷は殴られた瞬間には回復していた。
その様子や、姫神さんの証言、御坂、白井、火燐ちゃんとの戦闘の一部始終
諸々あって、僕たちが吸血鬼だということはあっさり通ってしまった。
確かにこの体質は言うより見てもらうほうが説明しやすいしな。
ついでに、そのとき簡単にではあるが上条君の右手『幻想殺し』についても教えてもらった。
あらゆる異能、異なる法則が働くものを打ち消す力。
心渡と同系統の力。
その様子や、姫神さんの証言、御坂、白井、火燐ちゃんとの戦闘の一部始終
諸々あって、僕たちが吸血鬼だということはあっさり通ってしまった。
確かにこの体質は言うより見てもらうほうが説明しやすいしな。
ついでに、そのとき簡単にではあるが上条君の右手『幻想殺し』についても教えてもらった。
あらゆる異能、異なる法則が働くものを打ち消す力。
心渡と同系統の力。
148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 09:26:15.04 ID:gCvSpXMk0
「大丈夫なはずなんだよ。二人とも人間に限りなく近いみたいだし」
ただもし、吸血鬼に限りなく近い状態であればどうなるかは分からないということだった。
こりゃ迂闊に忍に血を与えすぎたらどうなるか分かったものじゃない。
今後、バトル展開が続くようなら吸血鬼性を上げておきたいところではあるが。
ていうかさ、
「忍、お前京都に何しにいったんだよ?」
この忍に尋ねても仕方ないだろうが、この慎重で内面はけっこう臆病な吸血鬼がそんな吸血殺しなんてものを知らずに
日本にくるわけがない。知らなかったとしても少しでも察知したら逃げるだろうし。
そんなリスクを犯してまで一体何を・・・。
ただもし、吸血鬼に限りなく近い状態であればどうなるかは分からないということだった。
こりゃ迂闊に忍に血を与えすぎたらどうなるか分かったものじゃない。
今後、バトル展開が続くようなら吸血鬼性を上げておきたいところではあるが。
ていうかさ、
「忍、お前京都に何しにいったんだよ?」
この忍に尋ねても仕方ないだろうが、この慎重で内面はけっこう臆病な吸血鬼がそんな吸血殺しなんてものを知らずに
日本にくるわけがない。知らなかったとしても少しでも察知したら逃げるだろうし。
そんなリスクを犯してまで一体何を・・・。
164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 14:41:35.23 ID:gCvSpXMk0
「さぁ? 多分寺巡りしてたんじゃね?」
さらっと答えた。
儂だったらやっておったと思うし、寺巡り、だそうだ。
「軽っ!!!お前のフットワーク常に軽いな!!!」
「いやぁ・・・・」
「褒めてねぇよ!!!」
こいつ確か、自殺願望があるとかいって僕の街に来る前は名古屋観光楽しんでたらしいからな。
もっと深い理由があったなんてこと自体が僕の考えすぎかもしれない。
さらっと答えた。
儂だったらやっておったと思うし、寺巡り、だそうだ。
「軽っ!!!お前のフットワーク常に軽いな!!!」
「いやぁ・・・・」
「褒めてねぇよ!!!」
こいつ確か、自殺願望があるとかいって僕の街に来る前は名古屋観光楽しんでたらしいからな。
もっと深い理由があったなんてこと自体が僕の考えすぎかもしれない。
165: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 14:44:55.98 ID:gCvSpXMk0
僕は正体が既に割れていることもあって、上条君、姫神さん、月火ちゃんに時間移動のこと、八九寺を探していることを話した。
「分かった。協力するよ」
話し終えてすぐに上条君たちは了承してくれた。
見ず知らずの僕たちを信じてくれた。 だからこそ協力する、と言って。
「上条△!!!!!」
これで進展が望めるだろう。八九寺を見つけることができれば解決!あとは帰るだけだ!!・・・・・帰るだけ?
「なぁ忍? 帰れるんだよな?」
「・・・・・・・あー・・・・・・・・・・・・・」
「おまっ!?!?」
「冗談じゃ!!帰れる!!大丈夫じゃ!!・・・・・・・・・多分」
八九寺を見つけても結構重要な問題が控えていた。
「分かった。協力するよ」
話し終えてすぐに上条君たちは了承してくれた。
見ず知らずの僕たちを信じてくれた。 だからこそ協力する、と言って。
「上条△!!!!!」
これで進展が望めるだろう。八九寺を見つけることができれば解決!あとは帰るだけだ!!・・・・・帰るだけ?
「なぁ忍? 帰れるんだよな?」
「・・・・・・・あー・・・・・・・・・・・・・」
「おまっ!?!?」
「冗談じゃ!!帰れる!!大丈夫じゃ!!・・・・・・・・・多分」
八九寺を見つけても結構重要な問題が控えていた。
166: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 14:47:02.12 ID:gCvSpXMk0
「ん? メール? うわっなんだこれ英語じゃん!?」
上条君がメールを見た途端、月火ちゃんにパスする。
本文が英語で書かれていて読めなかったと。
・・・・・・これは以前火憐ちゃんが言っていたが、英語だけではなく全世界で使える共通言語があるらしい。
たった三語覚えるだけで意思の疎通があらゆる国境を超えて行えるという画期的なもの。
「ハァイ」、「チャーン」、「バブー」
の三語。
かの魚介系家族が織り成す日常系アニメのキャラクターを参考にした三種の神器とも呼べる三語。
・・・・・ほんとそうだったらどれほど世界は楽だったろうか。
言語を共通にしないから生きづらくてしょうがない!!
上条君がメールを見た途端、月火ちゃんにパスする。
本文が英語で書かれていて読めなかったと。
・・・・・・これは以前火憐ちゃんが言っていたが、英語だけではなく全世界で使える共通言語があるらしい。
たった三語覚えるだけで意思の疎通があらゆる国境を超えて行えるという画期的なもの。
「ハァイ」、「チャーン」、「バブー」
の三語。
かの魚介系家族が織り成す日常系アニメのキャラクターを参考にした三種の神器とも呼べる三語。
・・・・・ほんとそうだったらどれほど世界は楽だったろうか。
言語を共通にしないから生きづらくてしょうがない!!
167: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 14:49:09.61 ID:gCvSpXMk0
で、メールの内容なのだが。
「学園都市に天使の反応があった。現在学園都市の組織も動いて調査している。土御門には詳細を伝えているが、
万が一でもあの子が巻き込まれないとも限らない。くれぐれも用心してくれ。 ステイルより」
「追伸 それと関係していると見られる吸血鬼ないしエージェントが学園都市に侵入しているらしい。
土御門から送られてきた写真を添付するから確認しておいてくれ」
月火ちゃんが読み上げてくれたそのメールには、天使や組織がどうとか危険を示唆するような文章があった。
が、それより気になったのは
「関係している吸血鬼?」
うわー嫌な予感しかしない。
「学園都市に天使の反応があった。現在学園都市の組織も動いて調査している。土御門には詳細を伝えているが、
万が一でもあの子が巻き込まれないとも限らない。くれぐれも用心してくれ。 ステイルより」
「追伸 それと関係していると見られる吸血鬼ないしエージェントが学園都市に侵入しているらしい。
土御門から送られてきた写真を添付するから確認しておいてくれ」
月火ちゃんが読み上げてくれたそのメールには、天使や組織がどうとか危険を示唆するような文章があった。
が、それより気になったのは
「関係している吸血鬼?」
うわー嫌な予感しかしない。
169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 14:52:08.85 ID:gCvSpXMk0
添付された写真を確認したところ学園都市に着いたばかりのときの写真だった。
僕と忍の姿がバッチリ写っていた。
八九寺も同じ扱いを受けたようで、写真をどっからどうみてもそれは八九寺でしかなかった。
またケータイが震える。今度は着信だった。
「上やーん!! 今電話おっけーかにゃー」
「土御門か!? ちょうどよかった今ステイルからメールが来て・・・」
「おっ!!それなら話が早いぜよ。 天使の件については俺で調査中なんだけどにゃー、吸血鬼ってあったろ?
あの写真の三人については別の組織が動いていて、どうやらその組織に吸血鬼を抹殺しろって指令がでてるみたいなんだにゃー。
学園都市の統括理事会の誰か一人の独断らしいが、ひとまず学園都市の意向では保護対象ってことなんぜよ。 それでうちの面子で保護兼護衛の任務がおりてるんだにゃー。
けっこう危ない空気になってるから、見つけても関わらず、巻き込まれないように注意しろよー」
・・・・・・・
「ん? 今の電話なんだったんだ?」
「いやぁなんつーか・・・・・・不幸だ・・・・・・」
僕と忍の姿がバッチリ写っていた。
八九寺も同じ扱いを受けたようで、写真をどっからどうみてもそれは八九寺でしかなかった。
またケータイが震える。今度は着信だった。
「上やーん!! 今電話おっけーかにゃー」
「土御門か!? ちょうどよかった今ステイルからメールが来て・・・」
「おっ!!それなら話が早いぜよ。 天使の件については俺で調査中なんだけどにゃー、吸血鬼ってあったろ?
あの写真の三人については別の組織が動いていて、どうやらその組織に吸血鬼を抹殺しろって指令がでてるみたいなんだにゃー。
学園都市の統括理事会の誰か一人の独断らしいが、ひとまず学園都市の意向では保護対象ってことなんぜよ。 それでうちの面子で保護兼護衛の任務がおりてるんだにゃー。
けっこう危ない空気になってるから、見つけても関わらず、巻き込まれないように注意しろよー」
・・・・・・・
「ん? 今の電話なんだったんだ?」
「いやぁなんつーか・・・・・・不幸だ・・・・・・」
170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 14:53:29.89 ID:gCvSpXMk0
とにかく命が狙われていると分かった以上、悠長にしている余裕はなくなった。
姫神さんとインデックスを帰宅させ、
上条君に連れられて、僕と忍は身を隠すことにした。
なんでも、学園都市で一番信頼のおける人物がいる病院があってそこに隠れていてくれとのことだった。
そして連れられる途中に僕と忍は彼とはぐれた。
携帯電話の番号はメモしてあるのだが、しかし公衆電話すら見当たらない。
姫神さんとインデックスを帰宅させ、
上条君に連れられて、僕と忍は身を隠すことにした。
なんでも、学園都市で一番信頼のおける人物がいる病院があってそこに隠れていてくれとのことだった。
そして連れられる途中に僕と忍は彼とはぐれた。
携帯電話の番号はメモしてあるのだが、しかし公衆電話すら見当たらない。
171: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 14:55:52.19 ID:gCvSpXMk0
・・・・・・・・・・・
電車に乗って移動していたのだが、帰宅ラッシュに流されてしまい、
気がつけばどこで降りたかも分からず、それでも八九寺が心配だった僕は
じっとしておくことももどかしくなり、見知らぬ土地を動き回り、結果迷子になっていた
・・・・・・・・・・・
「ていうか何勝手に一人称僕で進行させてんだよ!! お前の身体じゃ人波に流されるから影入っとけって言ったのに『子供扱いするでないわ!』
って言って拒否した割にすぐに流されてそのお前を救出していて迷ったんだろうが僕たちは!!」
何で僕が無計画な直情的で短絡的な人間みたいになってんだよ!!
こういう微妙なところで変な意地はりやがってこの幼女。
電車に乗って移動していたのだが、帰宅ラッシュに流されてしまい、
気がつけばどこで降りたかも分からず、それでも八九寺が心配だった僕は
じっとしておくことももどかしくなり、見知らぬ土地を動き回り、結果迷子になっていた
・・・・・・・・・・・
「ていうか何勝手に一人称僕で進行させてんだよ!! お前の身体じゃ人波に流されるから影入っとけって言ったのに『子供扱いするでないわ!』
って言って拒否した割にすぐに流されてそのお前を救出していて迷ったんだろうが僕たちは!!」
何で僕が無計画な直情的で短絡的な人間みたいになってんだよ!!
こういう微妙なところで変な意地はりやがってこの幼女。
172: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 14:58:24.07 ID:gCvSpXMk0
「わかっとらんのーお前様。そうやって背伸びしておる女子をたてつつ、さりげなく甲斐性のある台詞で説得するのが男というものじゃろう」
「お前の戯言に付き合ってる暇なんてねーんだよ! どうすんだよこの状況!」
「さしずめ漂流教室ただしヒロイン代打幼女みたいな?」
「先手打っといたじゃねえか!! しかも正直微妙な完成度で言ってんじゃねえ!!! 何そのドヤ顔!?」
漂流教室だけ聞いて、咄嗟に今の状況とシンクロさせて理解できるのって僕くらいだろ。
「にしても、さっき居た場所とは随分雰囲気が違うな。ここ」
「物語の進行上、こういう場合は中ボスがひょこっと出てきてもおかしくはないの」
廃工場と空き地というある種の雰囲気を呼び寄せるようなロケーション。
「お前の戯言に付き合ってる暇なんてねーんだよ! どうすんだよこの状況!」
「さしずめ漂流教室ただしヒロイン代打幼女みたいな?」
「先手打っといたじゃねえか!! しかも正直微妙な完成度で言ってんじゃねえ!!! 何そのドヤ顔!?」
漂流教室だけ聞いて、咄嗟に今の状況とシンクロさせて理解できるのって僕くらいだろ。
「にしても、さっき居た場所とは随分雰囲気が違うな。ここ」
「物語の進行上、こういう場合は中ボスがひょこっと出てきてもおかしくはないの」
廃工場と空き地というある種の雰囲気を呼び寄せるようなロケーション。
173: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 14:59:42.52 ID:gCvSpXMk0
「さっきも考えていたんだけどな。 姫神って子がいる以上、吸血鬼性を無闇にあげちゃ駄目かもしれないだろ?
けどやっぱり念には念を入れて今より少しは上げておいたほうがいいと思うんだ」
「同感じゃな。今なら人目もないしの。ただ上げるにしてもお前様の妹御と同い年くらいが限界じゃぞ?」
「それくらいでいいだろ。 ただ日没までは少し時間があるし・・・・・・今はできないよな」
灰にはならないだろうが。 火傷は確実に負うだろう。
「え!?なんで!?!?」
「逆になんでここでお前が疑問系なんだよ!! 吸血鬼だろうが僕たちは!!」
「そうだったの!?!?」
「同感じゃな~って言ってからまだ十秒しか経ってねえ!!」
すがすがしいほどいい顔で驚きやがった。 物語の骨子を脱臼させる前に先にこいつを何とかしなければならないらしい。
けどやっぱり念には念を入れて今より少しは上げておいたほうがいいと思うんだ」
「同感じゃな。今なら人目もないしの。ただ上げるにしてもお前様の妹御と同い年くらいが限界じゃぞ?」
「それくらいでいいだろ。 ただ日没までは少し時間があるし・・・・・・今はできないよな」
灰にはならないだろうが。 火傷は確実に負うだろう。
「え!?なんで!?!?」
「逆になんでここでお前が疑問系なんだよ!! 吸血鬼だろうが僕たちは!!」
「そうだったの!?!?」
「同感じゃな~って言ってからまだ十秒しか経ってねえ!!」
すがすがしいほどいい顔で驚きやがった。 物語の骨子を脱臼させる前に先にこいつを何とかしなければならないらしい。
175: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 15:01:02.96 ID:gCvSpXMk0
「冗談じゃよお前様。 身体に力が入っておったから、茶化してやったんじゃ」
それにそのくらいなら火傷といっても痛みを感じる前にはなおっておるし、と。
僕は忍に血を与え、臨戦態勢を整えた。
まぁでも、すぐに敵が襲ってくることもないだろうが。
「そうでもないみたいじゃぞ・・・・・・中二的お約束展開への前フリ終了後に都合よくあちら様もきてくれたみたいじゃ」
少し遠いがカツ、カツ、カツとゆっくりとした足音が聞こえてくる。
それにそのくらいなら火傷といっても痛みを感じる前にはなおっておるし、と。
僕は忍に血を与え、臨戦態勢を整えた。
まぁでも、すぐに敵が襲ってくることもないだろうが。
「そうでもないみたいじゃぞ・・・・・・中二的お約束展開への前フリ終了後に都合よくあちら様もきてくれたみたいじゃ」
少し遠いがカツ、カツ、カツとゆっくりとした足音が聞こえてくる。
176: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 15:03:54.96 ID:gCvSpXMk0
こういう場面で出てくる中ボスが僕の人生の中でいたとして、適材適所すぎるやつに心当たりがある。
夕焼けを背にそいつは姿を現した。
傍若無人で暴虐無人。
全身を逆鱗でコーティングされた少女。
三回回って死になさい、のキャッチフレーズでお馴染み。
私立直江津高校三年生。 僕のクラスメイトであり彼女。
「見ぃつけたぁ」
戦場ヶ原 ひたぎが現れた。
夕焼けを背にそいつは姿を現した。
傍若無人で暴虐無人。
全身を逆鱗でコーティングされた少女。
三回回って死になさい、のキャッチフレーズでお馴染み。
私立直江津高校三年生。 僕のクラスメイトであり彼女。
「見ぃつけたぁ」
戦場ヶ原 ひたぎが現れた。
177: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 15:05:51.17 ID:gCvSpXMk0
考えてみると、こんな僕という特定した個人を攻撃対象にしたようなイベントなら、そこに相応の人物が出てくるのも必然なのかもしれない。
例えば戦場ヶ原とかひたぎさんとかヶ原さんとか彼女とか。
しかし、この戦場ヶ原ひたぎはおそらく僕を知らない。
そして怪異に遭ってない以上、心を閉じてしまっていたかつての戦場ヶ原ではないだろう。
普通の女の子・・・・・という雰囲気は微塵も感じられないが、話せば分かるかもしれない。
「気持ち悪いからしゃべらないでちょうだい」
例えば戦場ヶ原とかひたぎさんとかヶ原さんとか彼女とか。
しかし、この戦場ヶ原ひたぎはおそらく僕を知らない。
そして怪異に遭ってない以上、心を閉じてしまっていたかつての戦場ヶ原ではないだろう。
普通の女の子・・・・・という雰囲気は微塵も感じられないが、話せば分かるかもしれない。
「気持ち悪いからしゃべらないでちょうだい」
178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 15:08:13.09 ID:gCvSpXMk0
第一声と同時に、問答無用で攻撃された。
瞬間、閃光。 僕の左腕が吹き飛ばされた。
「ぐあああああああああああああああっ!!痛ええええええ!!!!!!!!!!っくそ!!!」
瞬きする間に、腕は回復する。
前言撤回、話せば殺される!!!!!
こちらの世界でも十二分に元気ハツラツ戦場ヶ原さんだった。
瞬間、閃光。 僕の左腕が吹き飛ばされた。
「ぐあああああああああああああああっ!!痛ええええええ!!!!!!!!!!っくそ!!!」
瞬きする間に、腕は回復する。
前言撤回、話せば殺される!!!!!
こちらの世界でも十二分に元気ハツラツ戦場ヶ原さんだった。
179: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 15:09:54.31 ID:gCvSpXMk0
「あなたに恨みはないけれど死んで頂戴。 私も心苦しいけれど、仕事なのよ」
「とかいいつつ、腕とか足とかしか狙ってませんよねえ!!!」
嬲る気まんまんじゃねえか!
「失礼なことを言わないで。 確実にあなたをえっと・・・・・・アプリボワゼ君?を殺すため、逃げられないようにしないと・・・ねっ!!!」
台詞と表情がかみ合っていない。 見たことないくらいニッコニコである。 ひだまり壮のゆのちゃんくらいニコニコしている。
ノリノリな戦場ヶ原さんだ。
「とかいいつつ、腕とか足とかしか狙ってませんよねえ!!!」
嬲る気まんまんじゃねえか!
「失礼なことを言わないで。 確実にあなたをえっと・・・・・・アプリボワゼ君?を殺すため、逃げられないようにしないと・・・ねっ!!!」
台詞と表情がかみ合っていない。 見たことないくらいニッコニコである。 ひだまり壮のゆのちゃんくらいニコニコしている。
ノリノリな戦場ヶ原さんだ。
181: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 15:12:31.34 ID:gCvSpXMk0
「遠まわしに僕のことを銀河系規模で美少年って言ってくれてるなら嬉しいなぁ!!だけど僕の名前は阿良々木だ!!」
「失礼、噛みました」
「やはりそうきたか!」
「噛みま死ね!!綺羅星!!」
戦場ヶ原の周囲の空間から、莫大な熱量を帯びた光線が発射される。
昼間の御坂美琴のそれのような攻撃が全方位にわたり展開される。
「弾幕が薄いようじゃの!! 何をやっておるのやら!!」
忍艦長は僕が撃たれている隙を狙い、背後から距離を詰めようとした、が・・・
「失礼、噛みました」
「やはりそうきたか!」
「噛みま死ね!!綺羅星!!」
戦場ヶ原の周囲の空間から、莫大な熱量を帯びた光線が発射される。
昼間の御坂美琴のそれのような攻撃が全方位にわたり展開される。
「弾幕が薄いようじゃの!! 何をやっておるのやら!!」
忍艦長は僕が撃たれている隙を狙い、背後から距離を詰めようとした、が・・・
182: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 15:13:34.59 ID:gCvSpXMk0
「よっと!」
戦場ヶ原あるところにこいつあり。
僕の横をBダッシュで通過したそいつは忍の身体を蹴り飛ばす。この間実に0.2秒。
僕たちを殺しにきた組織という因縁めいたものから、
戦場ヶ原についても神原についても出てくることは予想できていた。
まぁ神原にだけ関して言えば、もうちょっと僕に優しいところ、例えば火憐ちゃんの代わりで出てきても役としては
成立できただろうが、
戦場ヶ原あるところにあってこその神原なのだ。
戦場ヶ原あるところにこいつあり。
僕の横をBダッシュで通過したそいつは忍の身体を蹴り飛ばす。この間実に0.2秒。
僕たちを殺しにきた組織という因縁めいたものから、
戦場ヶ原についても神原についても出てくることは予想できていた。
まぁ神原にだけ関して言えば、もうちょっと僕に優しいところ、例えば火憐ちゃんの代わりで出てきても役としては
成立できただろうが、
戦場ヶ原あるところにあってこその神原なのだ。
183: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 15:15:21.12 ID:gCvSpXMk0
そしてプッツンヶ原さんに適役なのは結局悪の組織の中ボスあたりになる。
ツンデレ系学園恋愛アドベンチャーのヒロインではない。
結果、僕の前に立ちふさがる以外の選択肢は事実上破綻してしまうと言える。
ヴァルハラコンビ・・・・・・
「すまない戦場ヶ原先輩! お怪我はないか!? もしあるのなら言ってくれ!! 脱ぐから!!」
「もし私が怪我をしていて、仮にあなたが全裸になったとして、それで私に何のメリットがあるのかしら?」
ツンデレ系学園恋愛アドベンチャーのヒロインではない。
結果、僕の前に立ちふさがる以外の選択肢は事実上破綻してしまうと言える。
ヴァルハラコンビ・・・・・・
「すまない戦場ヶ原先輩! お怪我はないか!? もしあるのなら言ってくれ!! 脱ぐから!!」
「もし私が怪我をしていて、仮にあなたが全裸になったとして、それで私に何のメリットがあるのかしら?」
186: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 15:17:18.81 ID:gCvSpXMk0
「何を言っているのだ、戦場ヶ原先輩? 年頃の女子が怪我をする、しかも目の前には男。
そうなるとその怪我は初体験で負ってしまった怪我しかないではないか!
ならば年頃の女子の怪我を癒すには、二人で裸になり抱き合うセラピーこそしかるべき対処法、というものだ」
「こちらがまるでしかるべき常識を弁えてもいないような言い方をしないでちょうだい。
大体、こんなシリアスな空気を平気で台無しにするあなたが弁えなさい」
そうなるとその怪我は初体験で負ってしまった怪我しかないではないか!
ならば年頃の女子の怪我を癒すには、二人で裸になり抱き合うセラピーこそしかるべき対処法、というものだ」
「こちらがまるでしかるべき常識を弁えてもいないような言い方をしないでちょうだい。
大体、こんなシリアスな空気を平気で台無しにするあなたが弁えなさい」
188: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 15:19:12.12 ID:gCvSpXMk0
「尻? 言うに事欠いてここでお尻の話とはさすが戦場ヶ原先輩だ!!」
「黙りなさい神原。相手もなかなかやり手のようだし、気を抜くとあぶないわよ」
「そ、それはもしや、しまっていこう!!って意味なのか!? 私の活躍を期待してしまっていこう!とエールを送ってくれているのか!?!? 尻だけに!!
それなら心配はいらないぞ!! 私の括約筋に関して言えば、常に万全の状態にあると誇ってもいい!!」
「あ~なる、ほどね、尻だけに。 でも別に私はそんなアバンギャルドなことを言ったつもりはないのだけれど。
これから、異能バトル展開の命をかけたせめぎ合いになるから、覚悟しなさいと言ったのよ」
「黙りなさい神原。相手もなかなかやり手のようだし、気を抜くとあぶないわよ」
「そ、それはもしや、しまっていこう!!って意味なのか!? 私の活躍を期待してしまっていこう!とエールを送ってくれているのか!?!? 尻だけに!!
それなら心配はいらないぞ!! 私の括約筋に関して言えば、常に万全の状態にあると誇ってもいい!!」
「あ~なる、ほどね、尻だけに。 でも別に私はそんなアバンギャルドなことを言ったつもりはないのだけれど。
これから、異能バトル展開の命をかけたせめぎ合いになるから、覚悟しなさいと言ったのよ」
201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 16:39:57.71 ID:gCvSpXMk0
「せめぎあい? 攻めて喘ぐ? はっ!!なんだこの私のためにあるようないやらしい響きの言葉は!! だめだ!! 興奮してきた!!」
「そのレベルの聞き間違いはもはや病気よ」
「お前らいつもこんなわけのわかんない会話してんのかよ!!!!!!!!!!!!」
こっちの世界だろうと僕の世界だろうと、きっとどこの世界であってもこうなのだろう。
揺るがないことには関心するが、ここまでポジティブなヘン夕イトークをいつもしていると思うと、たまらなくこめかみの辺りが痛くなる。
「そのレベルの聞き間違いはもはや病気よ」
「お前らいつもこんなわけのわかんない会話してんのかよ!!!!!!!!!!!!」
こっちの世界だろうと僕の世界だろうと、きっとどこの世界であってもこうなのだろう。
揺るがないことには関心するが、ここまでポジティブなヘン夕イトークをいつもしていると思うと、たまらなくこめかみの辺りが痛くなる。
202: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 16:41:15.40 ID:gCvSpXMk0
「あら? 後輩とのキャッキャウフフな会話に野暮な口を『挟ま』ないで頂戴。
まぁ、あなたは所詮中二の夏くらいの脳みそしかない男なのでしょうから、
女子に自分から口でも『挟んで』、相手をして貰わないと、自らは何も『挟んで』もらえないのでしょうけれど。
相手をして『挟んで』ほしければ、跪いて頭を垂れて『挟んで』くださいと無様にお願いしてみなさいな」
「途中から僕が挟まれることになってんじゃねぇか!! 大体挟むってとこだけ妙に工口く言ってんじゃねえ!!」
まぁ、あなたは所詮中二の夏くらいの脳みそしかない男なのでしょうから、
女子に自分から口でも『挟んで』、相手をして貰わないと、自らは何も『挟んで』もらえないのでしょうけれど。
相手をして『挟んで』ほしければ、跪いて頭を垂れて『挟んで』くださいと無様にお願いしてみなさいな」
「途中から僕が挟まれることになってんじゃねぇか!! 大体挟むってとこだけ妙に工口く言ってんじゃねえ!!」
203: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 16:44:42.29 ID:gCvSpXMk0
しかし興奮してないかと問われれば、そこは僕だって男の子だった。
女の子がそれっぽいワードを言ってると妙に意識してしまうのは我ながら高校生やってるなー。
それにしてもこいつらの会話聞いてるとヴァルハラって言葉がセクハラの最上級を表すんじゃないかって思う。
まぁいいわと彼女は呆れるように言い、
「では始めましょうか? 神原。その時代錯誤な日本人かぶれの外人の相手は任せたわよ」
「承知した!!」
「はっ! 儂の相手は猿か」
「私はそうね、えーっと、この一生左ハンドルとか4LDKとかに縁が無さそうなのを殺すから」
「僕の将来を勝手に値踏みしてんじゃねえ!!」
女の子がそれっぽいワードを言ってると妙に意識してしまうのは我ながら高校生やってるなー。
それにしてもこいつらの会話聞いてるとヴァルハラって言葉がセクハラの最上級を表すんじゃないかって思う。
まぁいいわと彼女は呆れるように言い、
「では始めましょうか? 神原。その時代錯誤な日本人かぶれの外人の相手は任せたわよ」
「承知した!!」
「はっ! 儂の相手は猿か」
「私はそうね、えーっと、この一生左ハンドルとか4LDKとかに縁が無さそうなのを殺すから」
「僕の将来を勝手に値踏みしてんじゃねえ!!」
204: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 16:47:29.36 ID:gCvSpXMk0
『原子崩し』。
それが彼女、戦場ヶ原の能力のようだった。
一定の距離内における人間に無差別なビーム攻撃。
文房具を飛ばす能力なら可愛げもあったろうが、これはさすがに似合いすぎだろう。文房具の比じゃないほど彼女らしい。
だからといって、彼女にこんな危ない能力を持たせても使用上の注意を守らない。
平気で人に撃ってくる。
それが彼女、戦場ヶ原の能力のようだった。
一定の距離内における人間に無差別なビーム攻撃。
文房具を飛ばす能力なら可愛げもあったろうが、これはさすがに似合いすぎだろう。文房具の比じゃないほど彼女らしい。
だからといって、彼女にこんな危ない能力を持たせても使用上の注意を守らない。
平気で人に撃ってくる。
205: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 16:49:31.50 ID:gCvSpXMk0
「いえいえ、そんなださい名前ではないわ。 私の能力はネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲よ」
「そんな局部的な名前でいいの!?!?」
ネーミングはあれとしても全身からビームを放つそれはガンダム相手にも戦えるであろう。
そして忍は、神原と闘っていいる。あちらは超肉弾戦。
完全とはいえないまでも、ある程度の力を取り戻した忍とほぼ互角な戦いを繰り広げている。
二重の極みとか出てきそうなくらい音速だった。
能力自体は不明だけど、神原も火憐ちゃんと同様のものと考えていいだろうな。
「そんな局部的な名前でいいの!?!?」
ネーミングはあれとしても全身からビームを放つそれはガンダム相手にも戦えるであろう。
そして忍は、神原と闘っていいる。あちらは超肉弾戦。
完全とはいえないまでも、ある程度の力を取り戻した忍とほぼ互角な戦いを繰り広げている。
二重の極みとか出てきそうなくらい音速だった。
能力自体は不明だけど、神原も火憐ちゃんと同様のものと考えていいだろうな。
209: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 16:57:16.57 ID:gCvSpXMk0
戦場ヶ原の能力自体は脅威だけれど、僕には心渡がある。
小学校のとき練習を重ねたガトツゼロスタイルを披露するしかないだろう。
ビュィィン!!ビュィィン!!ボシュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!
「無理無理無理無理!!!!!」
海軍の大将の能力ってこんななんだ!!
そりゃゴムじゃ勝てないわ!!
ガトツ使おうにも、僕右利きだしな!!サウスポーじゃない!!
小学校のとき練習を重ねたガトツゼロスタイルを披露するしかないだろう。
ビュィィン!!ビュィィン!!ボシュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!
「無理無理無理無理!!!!!」
海軍の大将の能力ってこんななんだ!!
そりゃゴムじゃ勝てないわ!!
ガトツ使おうにも、僕右利きだしな!!サウスポーじゃない!!
210: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 16:59:38.13 ID:gCvSpXMk0
「しかし、食らっても食らっても再生するなんてめんどくさいわね。じっとしてなさいな、楽にしてあげるから」
「それを額面通りに受け取れるわけねえだろ!!」
「あなたはいったい何回死ねば賢者の石を使い切るのかしら?」
「楽にするどころか、一撃でどうにかする気全然ねえな!!」
「私の極意は生殺しだし?」
「私を嬲るって置き換えるとそれは正しく成立するが、それは言葉遊びなのか、それともマジなのか!?」
「それを額面通りに受け取れるわけねえだろ!!」
「あなたはいったい何回死ねば賢者の石を使い切るのかしら?」
「楽にするどころか、一撃でどうにかする気全然ねえな!!」
「私の極意は生殺しだし?」
「私を嬲るって置き換えるとそれは正しく成立するが、それは言葉遊びなのか、それともマジなのか!?」
211: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 17:03:01.34 ID:gCvSpXMk0
「失礼ね。 私はこう見えても殺虫剤を使わずに虫を殺す女よ」
「一見それは健気で弱い女子のような文章だが、しかしやっぱ殺すんじゃねえか!! けっこう物理的に!!」
「蝶のように舞、蝶のように刺すというでしょう?」
「二回目になると思うがそこは蜂だ!!」
「? ええそうねよかったわね。私の間違いが指摘できて。一生の自慢になるでしょう? 悔いはないわね? だから死になさい」
デジャヴなやり取りだが、今回のほうが危険すぎる。
「一見それは健気で弱い女子のような文章だが、しかしやっぱ殺すんじゃねえか!! けっこう物理的に!!」
「蝶のように舞、蝶のように刺すというでしょう?」
「二回目になると思うがそこは蜂だ!!」
「? ええそうねよかったわね。私の間違いが指摘できて。一生の自慢になるでしょう? 悔いはないわね? だから死になさい」
デジャヴなやり取りだが、今回のほうが危険すぎる。
213: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 17:05:12.39 ID:gCvSpXMk0
「逃げないで頂戴。狙いにくいんだから♪ 惨劇★」
「その記号は使いどころが違いすぎる!」
「そもそも、あなた。 いかにもDT臭いわね、やだやだ。 でもそんなあなたでもこうして女の子と会話できる、しかもこの眉目秀麗、才色兼備、沈魚落雁、英姿颯爽、唯我独尊な私と
会話できるチャンスなんて人生でこれが最後なんだから楽しみなさいな」
「お前みたいな自分を褒める言葉に唯我独尊選んでても違和感のねえ女と会話するのなんて人生で最初かもな!!」
「その記号は使いどころが違いすぎる!」
「そもそも、あなた。 いかにもDT臭いわね、やだやだ。 でもそんなあなたでもこうして女の子と会話できる、しかもこの眉目秀麗、才色兼備、沈魚落雁、英姿颯爽、唯我独尊な私と
会話できるチャンスなんて人生でこれが最後なんだから楽しみなさいな」
「お前みたいな自分を褒める言葉に唯我独尊選んでても違和感のねえ女と会話するのなんて人生で最初かもな!!」
214: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 17:06:32.07 ID:gCvSpXMk0
「やだ、初体験の相手ってことかしら? 照れるわね、でも責任はとらないわよ」
「とらなくていいから、初体験を大事にして今日は帰ってくれない?」
「いえいえ、勘違いしないでちょうだい。 責任はあなたがとるのよ。 死をもって」
「くそっ・・・!!」
と、避けるのに夢中になって足元を見ていなかった。
「しまっ・・・・・・!!」
盛大にこけた。
「はーい残念でしたぁー」
そこに追撃のようにして撃たれ、僕の腹に風穴が開く。
「とらなくていいから、初体験を大事にして今日は帰ってくれない?」
「いえいえ、勘違いしないでちょうだい。 責任はあなたがとるのよ。 死をもって」
「くそっ・・・!!」
と、避けるのに夢中になって足元を見ていなかった。
「しまっ・・・・・・!!」
盛大にこけた。
「はーい残念でしたぁー」
そこに追撃のようにして撃たれ、僕の腹に風穴が開く。
216: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 17:08:13.82 ID:gCvSpXMk0
「言い残すことがあれば、今回の任務の報告書へ参考にする程度に聞いてあげる」
「お・・・・・前、今日生理なんだな・・・・・・・・」
地面に倒れている僕の頭上からはスカートの中が覗けた。
「ええそうね。いいストレス発散になったわ。 死になさい」
僕は覚悟した。
「は!「はは!「ははは!「はははは!「ははははは!「はははははは!「ははははははは!!!」
笑い声と同時に発破解体でも行われたかのような爆音。
戦場ヶ原の背後から、金髪の女性が歩いてくる。
「お・・・・・前、今日生理なんだな・・・・・・・・」
地面に倒れている僕の頭上からはスカートの中が覗けた。
「ええそうね。いいストレス発散になったわ。 死になさい」
僕は覚悟した。
「は!「はは!「ははは!「はははは!「ははははは!「はははははは!「ははははははは!!!」
笑い声と同時に発破解体でも行われたかのような爆音。
戦場ヶ原の背後から、金髪の女性が歩いてくる。
219: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 17:10:14.98 ID:gCvSpXMk0
「随分遊べたの。 まさか仲間までおったとは。」
そう言うと、動かなくなった神原を振り返った戦場ヶ原の目の前に放り投げた。
「おい忍!!まさか殺したんじゃ!!」
「安心せい。少々殴りすぎたが寝とるだけじゃ。 ついでに近くにおった仲間の方も気絶させてきた」
「神原だけじゃなくフレンダや滝壺や浜面も・・・・・・・・っ!!!」
忍は爆発系の火災をバックに凄惨に笑う。 絵になるなぁ。
そう言うと、動かなくなった神原を振り返った戦場ヶ原の目の前に放り投げた。
「おい忍!!まさか殺したんじゃ!!」
「安心せい。少々殴りすぎたが寝とるだけじゃ。 ついでに近くにおった仲間の方も気絶させてきた」
「神原だけじゃなくフレンダや滝壺や浜面も・・・・・・・・っ!!!」
忍は爆発系の火災をバックに凄惨に笑う。 絵になるなぁ。
221: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 17:11:20.48 ID:gCvSpXMk0
それが功をそうした。
忍へ注意が逸れたおかげで戦場ヶ原に隙ができた。
僕はその一瞬を逃さなかった。
「悪い戦場ヶ原」
彼女のお腹のあたりを強く殴った。
彼女を気絶させたことでこの戦闘は幕を下した。
忍へ注意が逸れたおかげで戦場ヶ原に隙ができた。
僕はその一瞬を逃さなかった。
「悪い戦場ヶ原」
彼女のお腹のあたりを強く殴った。
彼女を気絶させたことでこの戦闘は幕を下した。
223: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 17:12:26.02 ID:gCvSpXMk0
彼女たち五人を白井のもっていたのと同じ手錠、おそらく能力者用だと思われるのだがそれで拘束した。
念のため足にもつけておいた。
「やはりお前様と手錠という組合せは絵的にアウトじゃの」
「僕だってやりたくてやってんじゃねえよ!」
「お前様、言葉に気をつけよ。それではまるで、今その小娘たちをやっているように聞こえるぞ?」
「三回黙れ!!」
念のため足にもつけておいた。
「やはりお前様と手錠という組合せは絵的にアウトじゃの」
「僕だってやりたくてやってんじゃねえよ!」
「お前様、言葉に気をつけよ。それではまるで、今その小娘たちをやっているように聞こえるぞ?」
「三回黙れ!!」
225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 17:14:18.33 ID:gCvSpXMk0
僕は忍にこの場を任せ、公衆電話を探しに行くことにした。
まずは上条君に連絡を取らなくては。
戦っていた場所から少し離れたところに電話を発見し、
とりあえず上条君には事の経緯を話し、迎えに来てもらうことにしたのだが、
「ん?あれは?」
まずは上条君に連絡を取らなくては。
戦っていた場所から少し離れたところに電話を発見し、
とりあえず上条君には事の経緯を話し、迎えに来てもらうことにしたのだが、
「ん?あれは?」
226: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 17:16:08.70 ID:gCvSpXMk0
吸血鬼の視力は馬鹿に出来ない。
人間の肉眼では確認できないような距離であっても、例えば今の僕ならば一キロ先の女の子の透けた下着でさえも柄の判別ができる。
ここからちょうど一、二キロは離れているだろうか。
そこに見慣れたツインテールの少女を発見する。
同時に僕の顔から血の気が引いた。
少女は血を流しながらグッタリとして、倒れていた。
そして僕は何も考えず、全速力で少女に向かって走っていた。
人間の肉眼では確認できないような距離であっても、例えば今の僕ならば一キロ先の女の子の透けた下着でさえも柄の判別ができる。
ここからちょうど一、二キロは離れているだろうか。
そこに見慣れたツインテールの少女を発見する。
同時に僕の顔から血の気が引いた。
少女は血を流しながらグッタリとして、倒れていた。
そして僕は何も考えず、全速力で少女に向かって走っていた。
228: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 17:17:20.85 ID:gCvSpXMk0
「アセローラさん」
「誰が、ビタミンC豊富なキントラノオ科の赤い果物だァ。俺の名前は一方通行ァだ!」
「失礼、噛みました」
「てめェ、わざとやってンなァ?」
「噛みまみた!」
「わざとじゃねェのか!」
「誰が、ビタミンC豊富なキントラノオ科の赤い果物だァ。俺の名前は一方通行ァだ!」
「失礼、噛みました」
「てめェ、わざとやってンなァ?」
「噛みまみた!」
「わざとじゃねェのか!」
248: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 18:17:47.59 ID:gCvSpXMk0
「カミーユビダン?」
「俺は自分の能力を過信してはいねェし、別に打ち止めのことだって一人で背負おうわけじゃァねェ」
「ただ自分しかそこにいなかったから彼女の為にヒールを気取ってまで闘ったと?」
「てめェは俺をどこまで知ってやがる・・・」
「私シリーズではメタキャラ担当なものなので」
「あァそうかい・・・・・」
「俺は自分の能力を過信してはいねェし、別に打ち止めのことだって一人で背負おうわけじゃァねェ」
「ただ自分しかそこにいなかったから彼女の為にヒールを気取ってまで闘ったと?」
「てめェは俺をどこまで知ってやがる・・・」
「私シリーズではメタキャラ担当なものなので」
「あァそうかい・・・・・」
249: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 18:19:14.75 ID:gCvSpXMk0
土御門が送ってきた仕事で、一方通行は元スキルアウトの溜まり場だった廃工場が多いエリアを歩いていた。
万が一も考え、打ち止めは不本意ながらもあの医者に預けてきたのだが、
八九寺は頑として言うことを聞かず、無理矢理いに一方通行に付いてきたのだ。
「学園都市の監視カメラの最新の映像じゃァ、この辺りにてめェのツレがいるみたいなんだがなァ・・・・・」
リアルタイムの映像ではないのでまだここに居るという確証はないが、探す手がかりはこれしかなかった。
と、考えていると遠くで爆発音が聞こえた
万が一も考え、打ち止めは不本意ながらもあの医者に預けてきたのだが、
八九寺は頑として言うことを聞かず、無理矢理いに一方通行に付いてきたのだ。
「学園都市の監視カメラの最新の映像じゃァ、この辺りにてめェのツレがいるみたいなんだがなァ・・・・・」
リアルタイムの映像ではないのでまだここに居るという確証はないが、探す手がかりはこれしかなかった。
と、考えていると遠くで爆発音が聞こえた
250: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 18:20:25.21 ID:gCvSpXMk0
「ば、爆発です!!」
「ンなこたァわかってる! っるせェ、騒ぐな!!」
当たりのようだ。
チョーカーの電源を入れる。
八九寺を抱えて爆発現場へ行こうとしたが
「・・・・・・対象、発見。迎撃にあたります」
全身をノッペリとしたスーツで覆われヘルメットを被っている集団が一方通行たちを囲んだ。
「なンだァ?なンなンですかァ?」
「ンなこたァわかってる! っるせェ、騒ぐな!!」
当たりのようだ。
チョーカーの電源を入れる。
八九寺を抱えて爆発現場へ行こうとしたが
「・・・・・・対象、発見。迎撃にあたります」
全身をノッペリとしたスーツで覆われヘルメットを被っている集団が一方通行たちを囲んだ。
「なンだァ?なンなンですかァ?」
251: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 18:23:36.22 ID:gCvSpXMk0
見覚えはある。
確か第三次世界大戦中、ロシアにいた学園都市の部隊だ。
実際に闘ったことはないが、学園都市に帰って戦争時の報告書などを読んでいたとき写真付で詳細を見たのだ。
ヘルメットには『未元物質』と表記されている。
第二位の能力を使ってそれを元に作られた実践武器を仕込んだスーツだったか?
「オイ、邪魔すんなよ。そこをどきやがれ」
「こちらには対象であるその少女を抹殺する指令が下りています。一方通行、あなたの方こそその少女を引き渡してくれませんか?」
確か第三次世界大戦中、ロシアにいた学園都市の部隊だ。
実際に闘ったことはないが、学園都市に帰って戦争時の報告書などを読んでいたとき写真付で詳細を見たのだ。
ヘルメットには『未元物質』と表記されている。
第二位の能力を使ってそれを元に作られた実践武器を仕込んだスーツだったか?
「オイ、邪魔すんなよ。そこをどきやがれ」
「こちらには対象であるその少女を抹殺する指令が下りています。一方通行、あなたの方こそその少女を引き渡してくれませんか?」
254: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 18:25:14.29 ID:gCvSpXMk0
「嫌だといったら?」
「力づくで任務遂行にあたらせていただきます」
「・・・・・・・一方通行さん。このデュラハンのような方たちはお友達ですか?」
「生憎、俺に友達なンざいねェよ。」
「そうですか、ではバトル展開のようなので私から一言。 この戦いが終わったら、私があなたのお友達になってさしあげます」
「そりゃァ、謹んで遠慮してェなァ!!!」
スーツを着た部隊は一斉に一方通行たちに襲い掛かった。
「力づくで任務遂行にあたらせていただきます」
「・・・・・・・一方通行さん。このデュラハンのような方たちはお友達ですか?」
「生憎、俺に友達なンざいねェよ。」
「そうですか、ではバトル展開のようなので私から一言。 この戦いが終わったら、私があなたのお友達になってさしあげます」
「そりゃァ、謹んで遠慮してェなァ!!!」
スーツを着た部隊は一斉に一方通行たちに襲い掛かった。
255: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 18:26:59.92 ID:gCvSpXMk0
相手は西洋の剣のような武器を背中から羽のように生やし、それを伸縮させることで、切りかかってくる。
対して、一方通行は八九寺を庇いながら闘うハンデがある。更に、こちらは丸腰。
八九寺は幽霊であるが、この世界では一方通行や打ち止めにも認識されたり、
一方通行に絡んで暴れた際、ついた傷が傷のまま治らないところをみると、実体があるようだった。
それでこのピンチ。
ギュッと目を瞑る。殺されることを覚悟した。
対して、一方通行は八九寺を庇いながら闘うハンデがある。更に、こちらは丸腰。
八九寺は幽霊であるが、この世界では一方通行や打ち止めにも認識されたり、
一方通行に絡んで暴れた際、ついた傷が傷のまま治らないところをみると、実体があるようだった。
それでこのピンチ。
ギュッと目を瞑る。殺されることを覚悟した。
256: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 18:28:18.72 ID:gCvSpXMk0
「なめンじゃねェ!!!!!」
剣が抱えている八九寺を貫く前に、一方通行の手で遮られ、攻撃してきた一人は全身に切り傷を作りながら吹き飛ばされる。
「バカな!! 『未元物質』でコーティングしてある以上『反射』は効かないはずでは!?!?」
「いつの話をしてるンですかァ? ああ゛ん!?!?」
八九寺を抱えたまま、一人、また一人と一方通行は倒していく。
攻撃手段は相手の前に手をかざし風を操ってそれを相手に当てるだけ、それだけだった。
剣が抱えている八九寺を貫く前に、一方通行の手で遮られ、攻撃してきた一人は全身に切り傷を作りながら吹き飛ばされる。
「バカな!! 『未元物質』でコーティングしてある以上『反射』は効かないはずでは!?!?」
「いつの話をしてるンですかァ? ああ゛ん!?!?」
八九寺を抱えたまま、一人、また一人と一方通行は倒していく。
攻撃手段は相手の前に手をかざし風を操ってそれを相手に当てるだけ、それだけだった。
257: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 18:29:26.44 ID:gCvSpXMk0
「Xメンですか!!一方通行さんはマグニートだったんですね!?!?」
「あいつは磁力だろォが!! 俺の能力は『ベクトル操作』だ。 デフォで反射にしてるけどなァ」
「ディストーションフィールドとATフィールドのいいとこ取りみたいなものでしょうか?」
「エステバリスやエヴァみてェにケーブルなんざァいらねェけどなァ!!」
※ただし暴走します。
「っとこれで全部かァ?」
十人いた部隊は全滅していた。
「あいつは磁力だろォが!! 俺の能力は『ベクトル操作』だ。 デフォで反射にしてるけどなァ」
「ディストーションフィールドとATフィールドのいいとこ取りみたいなものでしょうか?」
「エステバリスやエヴァみてェにケーブルなんざァいらねェけどなァ!!」
※ただし暴走します。
「っとこれで全部かァ?」
十人いた部隊は全滅していた。
259: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 18:31:39.76 ID:gCvSpXMk0
「ちィ!! 余計な手間ァ取らせやがって!! 早いとこ行くぞ!!」
一方通行は八九寺を抱えなおし、さきほどの爆発音のあった場所へ向かうため踏み出す。
パンッ!!
「・・・・・こ・・・れで、任務完・・・・了」
倒したはずの一人が銃で撃ってきた。
一方通行は刹那、地面の石を蹴り、レールガン並みの速度で飛ばし、撃ってきた相手に止めを刺す。
「畜生がァ!!!」
銃弾は八九寺に当たっていた。
一方通行は八九寺を抱えなおし、さきほどの爆発音のあった場所へ向かうため踏み出す。
パンッ!!
「・・・・・こ・・・れで、任務完・・・・了」
倒したはずの一人が銃で撃ってきた。
一方通行は刹那、地面の石を蹴り、レールガン並みの速度で飛ばし、撃ってきた相手に止めを刺す。
「畜生がァ!!!」
銃弾は八九寺に当たっていた。
260: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 18:33:31.76 ID:gCvSpXMk0
幸い、急所からは外れているが、ショックで気を失っている。
彼女を下ろし、応急処置にとりかかる。
「手間ァかけさせやがる・・・・・」
この分だと命に別状はないだろうが、病院には連れて行かなくてはならないだろう。
ひとまず任務を切り上げ、病院に向かおうとした矢先だった。
「てめえ!!八九寺になにしやがった!!!!!」
阿良々木暦は一方通行へ殴りかかった。
彼女を下ろし、応急処置にとりかかる。
「手間ァかけさせやがる・・・・・」
この分だと命に別状はないだろうが、病院には連れて行かなくてはならないだろう。
ひとまず任務を切り上げ、病院に向かおうとした矢先だった。
「てめえ!!八九寺になにしやがった!!!!!」
阿良々木暦は一方通行へ殴りかかった。
265: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 19:09:58.44 ID:gCvSpXMk0
一方通行の能力は『ベクトル操作』である。
そしてデフォルトで反射の設定をしている以上
殴るという物理的な攻撃方法ではダメージは与えられない。
これが上条の幻想殺しであれば話は別だが、
ただ殴るだけでは通用しない。
したがって
「っいってええええええええ!!!!!!」
そしてデフォルトで反射の設定をしている以上
殴るという物理的な攻撃方法ではダメージは与えられない。
これが上条の幻想殺しであれば話は別だが、
ただ殴るだけでは通用しない。
したがって
「っいってええええええええ!!!!!!」
266: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 19:11:29.44 ID:gCvSpXMk0
阿良々木暦は反動に耐えられず、飛ばされた。
右肘から先は食べかけのフライドチキンのような有様になっていた。
しかし一瞬で治る。
「ンだァ次から次へと三下が湧いてきやがってェ・・・・・・あァン?お前確かこいつの・・・・・」
「僕の愛玩用幼女に何してくれてんだてめえ!!!」
「聞いていた感じに一致するなァ、背格好、容姿、あとヘン夕イっつゥところも」
右肘から先は食べかけのフライドチキンのような有様になっていた。
しかし一瞬で治る。
「ンだァ次から次へと三下が湧いてきやがってェ・・・・・・あァン?お前確かこいつの・・・・・」
「僕の愛玩用幼女に何してくれてんだてめえ!!!」
「聞いていた感じに一致するなァ、背格好、容姿、あとヘン夕イっつゥところも」
267: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 19:13:47.43 ID:gCvSpXMk0
「ウルトラマンのコスプレしてるやつにヘン夕イなんて言われるおぼえはねえ!!」
「ああ゛? 流行ってもンをしらねェのかよ?」
「そんな服!!ただの作画の手抜きだろ!?大体、某アニメグッズ専門店でもキャラT売ってるけど、お前のそれ在庫けっこう残ってるんだからな!!」
「っるせェ!!! 俺ンとこの主人公はイタリアいくのにも同じTシャツの使いまわしを何枚も揃えて持参し、
あげく太極図書いてるジャスコに売ってそうなポロシャツに学生服っつゥハイセンスなんですゥ!! 在庫だってこのハイセンスさがパンピーには分かんねェからだァ!!」
「ああ゛? 流行ってもンをしらねェのかよ?」
「そんな服!!ただの作画の手抜きだろ!?大体、某アニメグッズ専門店でもキャラT売ってるけど、お前のそれ在庫けっこう残ってるんだからな!!」
「っるせェ!!! 俺ンとこの主人公はイタリアいくのにも同じTシャツの使いまわしを何枚も揃えて持参し、
あげく太極図書いてるジャスコに売ってそうなポロシャツに学生服っつゥハイセンスなんですゥ!! 在庫だってこのハイセンスさがパンピーには分かんねェからだァ!!」
268: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 19:16:06.17 ID:gCvSpXMk0
「それなら、はーい!はーい!僕だってェ!!パーカーですゥ!! 主人公らしく服装変えないンですゥ!!」
「字にしなきゃ分かンねェが、喋り方真似してンじゃねェ!!」
「大体、主人公がやってるから自分も許されますなんて、そんなの主人公補正がきいてるから許されるに決まってるだろうが!!
もしお前がそんな服着ても読者に許されるなんて思っているなら、まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!!」
「くそがァ!! やってみやがれェ!! ただし、2,3分後にゃァ、てめェは八つ裂きになってるだろォがなァ!!!!!」
「字にしなきゃ分かンねェが、喋り方真似してンじゃねェ!!」
「大体、主人公がやってるから自分も許されますなんて、そんなの主人公補正がきいてるから許されるに決まってるだろうが!!
もしお前がそんな服着ても読者に許されるなんて思っているなら、まずはそのふざけた幻想をぶち殺す!!」
「くそがァ!! やってみやがれェ!! ただし、2,3分後にゃァ、てめェは八つ裂きになってるだろォがなァ!!!!!」
270: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 19:18:30.17 ID:gCvSpXMk0
シリアスな中にもギャグはある。
僕はバクマンでその流れの極みを掴んだ。 が、それもそろそろ終わり。
この白髪に赤い三白眼、不健康な僕よりも吸血鬼向けの野郎が八九寺に怪我を負わせたのだろう。
僕はいたって冷静だ。
冷静すぎる頭で状況整理した。
ほら? 僕とこいつしかここにはいない。
ショッカーのような人型の何かが倒れているようだがそれは気のせいだろう。
こいつが八九寺を・・・・・・。
僕はバクマンでその流れの極みを掴んだ。 が、それもそろそろ終わり。
この白髪に赤い三白眼、不健康な僕よりも吸血鬼向けの野郎が八九寺に怪我を負わせたのだろう。
僕はいたって冷静だ。
冷静すぎる頭で状況整理した。
ほら? 僕とこいつしかここにはいない。
ショッカーのような人型の何かが倒れているようだがそれは気のせいだろう。
こいつが八九寺を・・・・・・。
273: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 19:20:50.20 ID:gCvSpXMk0
僕は先ほどよりもより疾く、無駄のない動作で彼を捉える。
彼も何かの能力者らしいが、戦場ヶ原たちのように、ビームなどを撃ってこないならば攻撃性のある能力ではないのかもしれない。
ならばここは先手必勝。
影縫さんがみせたあの技を使って決めるしかない。
「しょーりゅーけん!!」
感情の高ぶりによる余計な自己演出だった。昇竜拳といってみたかっただけの男の子。
影縫さんには悪いがこれけっこう恥ずかしい。
彼も何かの能力者らしいが、戦場ヶ原たちのように、ビームなどを撃ってこないならば攻撃性のある能力ではないのかもしれない。
ならばここは先手必勝。
影縫さんがみせたあの技を使って決めるしかない。
「しょーりゅーけん!!」
感情の高ぶりによる余計な自己演出だった。昇竜拳といってみたかっただけの男の子。
影縫さんには悪いがこれけっこう恥ずかしい。
274: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 19:24:23.63 ID:gCvSpXMk0
それが彼の顎へと触れようかとなった瞬間、拳に凄ましい衝撃が襲う。
「ぐっ・・・・・・・!!!!!!」
その衝撃は肘、腕、肩と伝わり、僕の腕が無残に潰れる。
さっきと同じ感触。 壁があるような?
「ATフィールドっ・・・だと・・・・・・?」
仮にも春休みの頃ほど完全ではなくとも吸血鬼の全力である。
それが全く通用しない。
「ぐっ・・・・・・・!!!!!!」
その衝撃は肘、腕、肩と伝わり、僕の腕が無残に潰れる。
さっきと同じ感触。 壁があるような?
「ATフィールドっ・・・だと・・・・・・?」
仮にも春休みの頃ほど完全ではなくとも吸血鬼の全力である。
それが全く通用しない。
275: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 19:26:37.78 ID:gCvSpXMk0
「ちっげェよ!! 俺の能力は『ベクトル操作』。あらゆるベクトルを操るのが俺の能力なンだよ」
つまり相手の攻撃のベクトルを相手へ向けて返したってことか。
あれか? ミラーコートとカウンター使える人間なんだろ?
「そういえば小学生のときはレベル100のソーナンス6体でパーティ組んでたっけ」
食べ残しをもたせると、金銀バージョンならこの布陣が最強だった。
その理論をもってくるならば、あちらからは僕に攻撃はできないはずだ・・・・・・・
つまり相手の攻撃のベクトルを相手へ向けて返したってことか。
あれか? ミラーコートとカウンター使える人間なんだろ?
「そういえば小学生のときはレベル100のソーナンス6体でパーティ組んでたっけ」
食べ残しをもたせると、金銀バージョンならこの布陣が最強だった。
その理論をもってくるならば、あちらからは僕に攻撃はできないはずだ・・・・・・・
276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 19:28:22.47 ID:gCvSpXMk0
「・・・・・とか考えてそうだがなァ、三下ァ? ちなみにこうも使えるんだぜェ!!!」
彼が地面を強く踏みつけた瞬間、それだけで地割れになり、僕のいる場所まで巻き込まれる。
「言ったはずだァ。ベクトル操作ってなァ?」
つまり攻撃する場合においても、力の流れそのものを操ることができるということ。
チートすぎる。
もっと卍解とか、あれだけ目が赤いんだから写輪眼とかのノリの世界観かと思ったのに!!
変に現実的な設定もってこられちゃった!!
だが僕にも手はある。
僕は腰に下げた心渡を抜いた。
「八九寺を返してもらうぞ・・・・・・!」
「あァ、こりゃァ駄目だわ。 少し大人しくしてもらうしかねェか」
彼が地面を強く踏みつけた瞬間、それだけで地割れになり、僕のいる場所まで巻き込まれる。
「言ったはずだァ。ベクトル操作ってなァ?」
つまり攻撃する場合においても、力の流れそのものを操ることができるということ。
チートすぎる。
もっと卍解とか、あれだけ目が赤いんだから写輪眼とかのノリの世界観かと思ったのに!!
変に現実的な設定もってこられちゃった!!
だが僕にも手はある。
僕は腰に下げた心渡を抜いた。
「八九寺を返してもらうぞ・・・・・・!」
「あァ、こりゃァ駄目だわ。 少し大人しくしてもらうしかねェか」
285: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 19:51:27.20 ID:gCvSpXMk0
人間では有り得ない0-100にギアをシフトした最大加速。
いくら理不尽なほどのチートな能力でもそれを使うのがただの人間であれば、反射神経はよくても所詮は人並。
再び一気に距離を詰める。
僕は心臓の音が次第に大きくなるのを感じた。
勝負の先なんて見えていない。そんな真剣勝負の一幕。
六十二秒でケリをつける!!
いくら理不尽なほどのチートな能力でもそれを使うのがただの人間であれば、反射神経はよくても所詮は人並。
再び一気に距離を詰める。
僕は心臓の音が次第に大きくなるのを感じた。
勝負の先なんて見えていない。そんな真剣勝負の一幕。
六十二秒でケリをつける!!
287: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 19:54:01.99 ID:gCvSpXMk0
「うおおおおおおおおお!!!!!!」
「あァァァァァァァァァァ!!!!!!!」
彼が周囲に巻き起こした竜巻が僕の行く手を阻むせいで、しかし僕は全く近づけずにいた。
「はぁはぁはぁ・・・・・・」
「いい加減よォ、諦めろよ」
「馬鹿言うなよ、僕にはまだエア・カット・ターミネーターっていう必殺技があるんだからな!!」
「エアマスター読ンだところで俺には勝てねェよ」
「あァァァァァァァァァァ!!!!!!!」
彼が周囲に巻き起こした竜巻が僕の行く手を阻むせいで、しかし僕は全く近づけずにいた。
「はぁはぁはぁ・・・・・・」
「いい加減よォ、諦めろよ」
「馬鹿言うなよ、僕にはまだエア・カット・ターミネーターっていう必殺技があるんだからな!!」
「エアマスター読ンだところで俺には勝てねェよ」
288: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 19:56:54.10 ID:gCvSpXMk0
彼が攻撃をしてもそれを僕はすんでのところで避けられる距離、又僕も彼には決して攻撃が届かない距離で
戦況は拮抗していた。
このままでは消耗戦になる。
そうなれば確実に僕は不利だ。
「そういえば、まだ名前聞いてなかったよな?」
時間稼ぎの常套句だが、その間に対策を考える。
「あン? 俺は一方通行だァ」
戦況は拮抗していた。
このままでは消耗戦になる。
そうなれば確実に僕は不利だ。
「そういえば、まだ名前聞いてなかったよな?」
時間稼ぎの常套句だが、その間に対策を考える。
「あン? 俺は一方通行だァ」
289: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 20:02:09.14 ID:gCvSpXMk0
「・・・・・・まさかお前、キメ台詞は『お前をアクセラレイトしてやんぜ』とか?」
「一瞬カッコイイと思ったがよくよく考えるとそれ意味わかんねェだろォがァ!!! ちなみにてめェはァ?」
「僕は阿良々木 暦。 呼ぶときはひらがなみっつでこよみちゃんだ!!」
「雅号みてェな名前してンなァ」
「スルー!! こよみちゃんスルー!! スルーされるボケがどんだけ惨めか、お前分かってんのかよ!!」
「一瞬カッコイイと思ったがよくよく考えるとそれ意味わかんねェだろォがァ!!! ちなみにてめェはァ?」
「僕は阿良々木 暦。 呼ぶときはひらがなみっつでこよみちゃんだ!!」
「雅号みてェな名前してンなァ」
「スルー!! こよみちゃんスルー!! スルーされるボケがどんだけ惨めか、お前分かってんのかよ!!」
292: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 20:08:57.45 ID:gCvSpXMk0
そして対策を思いついたかもしれない。
『ベクトル操作』を使った彼の反射という絶対防御。
ならば、その反射を適用される直前に手を引き戻すことで、戻るベクトルを反転させ攻撃を直撃させることができるかもしれない。
そんなものは絶対的な格闘センスがなければ無理だろうが、昨日ちょうどエアマスターと刀語を読んだので自信はあった。
春休み、忍が完全体だったころ彼女は吸血鬼の絶対防御である不死に驕りがあった。
僕だってそうだった。
『ベクトル操作』を使った彼の反射という絶対防御。
ならば、その反射を適用される直前に手を引き戻すことで、戻るベクトルを反転させ攻撃を直撃させることができるかもしれない。
そんなものは絶対的な格闘センスがなければ無理だろうが、昨日ちょうどエアマスターと刀語を読んだので自信はあった。
春休み、忍が完全体だったころ彼女は吸血鬼の絶対防御である不死に驕りがあった。
僕だってそうだった。
294: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 20:12:30.51 ID:gCvSpXMk0
隙はあるはずだ。
そんな絶対防御に頼って戦闘をしてきているやつが戦い慣れているとも思えないからだ。
それに正直、心渡で攻撃してもその能力での防御は崩せるだろうが、生身は斬れない。
つまりダメージを与えられないだろうから不十分だ。
ならばこの策は試す価値があると思う。
僕は心渡を鞘に入れた。
そんな絶対防御に頼って戦闘をしてきているやつが戦い慣れているとも思えないからだ。
それに正直、心渡で攻撃してもその能力での防御は崩せるだろうが、生身は斬れない。
つまりダメージを与えられないだろうから不十分だ。
ならばこの策は試す価値があると思う。
僕は心渡を鞘に入れた。
296: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 20:16:25.81 ID:gCvSpXMk0
「・・・・・・・つゥか、チンタラやってても埒があかねェ」
「あ?」
一方通行は軽く地面を蹴る。 それだけでこちらに向かって爆発的な推進力で突っ込んでくる。
「ぎゃは! 何でてめェの唯一の武器しまっちゃってるンですかァ!! 大人しくやられる気になったかよォ!! 三下ァ!!」
「ちげえよ・・・・うっ・・・!! お前に勝つためだ・・・・・」
ドゴン、ドゴンと。
人が人を殴っている音じゃない。
「あ?」
一方通行は軽く地面を蹴る。 それだけでこちらに向かって爆発的な推進力で突っ込んでくる。
「ぎゃは! 何でてめェの唯一の武器しまっちゃってるンですかァ!! 大人しくやられる気になったかよォ!! 三下ァ!!」
「ちげえよ・・・・うっ・・・!! お前に勝つためだ・・・・・」
ドゴン、ドゴンと。
人が人を殴っている音じゃない。
297: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 20:20:22.59 ID:gCvSpXMk0
再生しては内臓破裂、再生しては骨折、再生しては身体のあらゆるところが破壊される。
彼の細い体躯からでは想像できないような力で殴られる。 サンドバック状態だった。
そんな中、僕も決死の覚悟で反射を適用される直前に手を引き戻す、これを何度も試す。
失敗する度に僕の手は吹き飛ぶが、それは再生するから構わない。
何度も試す。
明鏡止水・・・・・!!
そして、
「あああああああああああ!!!!!!!!!!」
「・・・・っがぁっ!!」
成功した。
彼の細い体躯からでは想像できないような力で殴られる。 サンドバック状態だった。
そんな中、僕も決死の覚悟で反射を適用される直前に手を引き戻す、これを何度も試す。
失敗する度に僕の手は吹き飛ぶが、それは再生するから構わない。
何度も試す。
明鏡止水・・・・・!!
そして、
「あああああああああああ!!!!!!!!!!」
「・・・・っがぁっ!!」
成功した。
300: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 20:24:40.66 ID:gCvSpXMk0
「てめェ、木原神拳かよ・・・だがンなもン「反射」の角度・方向に変更を加えれば効くわけが・・・っぐぉっ!!」
続けてクリーンヒット。
「ンな馬鹿な・・・・・」
「なるほどな。 コツは掴んだ」
「自転車に乗れるようになったら乗り方は忘れねェみてェな理論持ってきてンじゃねェ!!!!!」
一方通行は再び距離を置こうとしたのか、バックステップするが。
僕はそれを逃がさない。
続けてクリーンヒット。
「ンな馬鹿な・・・・・」
「なるほどな。 コツは掴んだ」
「自転車に乗れるようになったら乗り方は忘れねェみてェな理論持ってきてンじゃねェ!!!!!」
一方通行は再び距離を置こうとしたのか、バックステップするが。
僕はそれを逃がさない。
303: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 20:27:55.48 ID:gCvSpXMk0
「んなァ!?!?」
あと一撃あればこの拳で勝利を掴み取れる。
「歯を食いしばれよ、最強―――俺の最弱は、ちっとばっか響くぞ!!」
彼の腹に渾身の一撃を叩き込む。
「ザッツオール!!!!!」
「ぐふぉおおおおおお!!!!!」
しかしその拳は届かなかった。
隕石の如く落下してきた忍のピカデリックな叫びの蹴りで僕が地面に叩きつけられた。
・・・・・・・
えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!
あと一撃あればこの拳で勝利を掴み取れる。
「歯を食いしばれよ、最強―――俺の最弱は、ちっとばっか響くぞ!!」
彼の腹に渾身の一撃を叩き込む。
「ザッツオール!!!!!」
「ぐふぉおおおおおお!!!!!」
しかしその拳は届かなかった。
隕石の如く落下してきた忍のピカデリックな叫びの蹴りで僕が地面に叩きつけられた。
・・・・・・・
えぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!
308: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 20:33:00.83 ID:gCvSpXMk0
「お前様、ヴァカなの?死ぬの?」
「ご、ごめんなさい言葉もございません」
「よかったにゃー、間に合ったぜよー」
「お、お前ら・・・・・走んのどんだけ早えんだよ・・・・・・」
上条君が忍と合流し、忍はなかなか戻ってこない僕を探したそうだ。
僕と忍はリンクしているのですぐに見つけることはできたが、馬鹿みたいなバトル展開が繰り広げられていたため力づくで止めたということらしい。
「しかしにゃー、一方通行? お前下手すると死んでたぞ?」
「ご、ごめんなさい言葉もございません」
「よかったにゃー、間に合ったぜよー」
「お、お前ら・・・・・走んのどんだけ早えんだよ・・・・・・」
上条君が忍と合流し、忍はなかなか戻ってこない僕を探したそうだ。
僕と忍はリンクしているのですぐに見つけることはできたが、馬鹿みたいなバトル展開が繰り広げられていたため力づくで止めたということらしい。
「しかしにゃー、一方通行? お前下手すると死んでたぞ?」
309: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 20:35:36.68 ID:gCvSpXMk0
えーっと、このリスペクトブラック羽川のような話しかたをする少年、土御門は一方通行の仲間らしく
事情をきくにつけ、どうやら全て僕の誤解だったらしい。
「ほれお前様、謝るべきは他におるじゃろう?」
吸血鬼に近づいたせいか肉体的にも成長した忍お母さん。
「ほれ、ごめんなさいしないといけんの?」
「一方通行、ごめん」
「あァ、もういい。こうして合流できたおかげで、情報の共有もできたみたいだしなァ」
「えらいのうお前様!! 自分から謝れる男の子はかっこええ!! ぱないの!!」
「ははっ・・・・・ありがとよ、忍てんてー」
事情をきくにつけ、どうやら全て僕の誤解だったらしい。
「ほれお前様、謝るべきは他におるじゃろう?」
吸血鬼に近づいたせいか肉体的にも成長した忍お母さん。
「ほれ、ごめんなさいしないといけんの?」
「一方通行、ごめん」
「あァ、もういい。こうして合流できたおかげで、情報の共有もできたみたいだしなァ」
「えらいのうお前様!! 自分から謝れる男の子はかっこええ!! ぱないの!!」
「ははっ・・・・・ありがとよ、忍てんてー」
312: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 20:40:09.51 ID:gCvSpXMk0
ところで、
「えっと・・・・・・つ、土御門君だっけか?」
僕はできる限り話の腰を折らないように我慢した。
よくぞ我慢できた暦!!
ツッコミを入れたくてうずうずしていたのだけれど。
それを耐えきった。
目の前にいる彼、土御門元春。
「えっと・・・・・・つ、土御門君だっけか?」
僕はできる限り話の腰を折らないように我慢した。
よくぞ我慢できた暦!!
ツッコミを入れたくてうずうずしていたのだけれど。
それを耐えきった。
目の前にいる彼、土御門元春。
315: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 20:43:16.92 ID:gCvSpXMk0
ハーフパンツにアロハシャツ、金髪にピアスにグラサンに金のネックレス。
むしろ装飾が増えているが、見た目は変わらない。
どこの世界でも相変わらずの胡散臭いおっさんの姿は変わらない。
忍野メメがそこにいた。ここでも以下忍野としよう。
「ちょっと頼みがあるんだけど」
ともあれ、あれをせねばなるまい。
「なんぜよ?」
むしろ装飾が増えているが、見た目は変わらない。
どこの世界でも相変わらずの胡散臭いおっさんの姿は変わらない。
忍野メメがそこにいた。ここでも以下忍野としよう。
「ちょっと頼みがあるんだけど」
ともあれ、あれをせねばなるまい。
「なんぜよ?」
320: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 20:45:33.77 ID:gCvSpXMk0
「僕の後について復唱してくれ。 斜め七十七度の並びで泣く泣くいななくナナハン七台難なく並べて長眺め!!」
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ・・・・・・・・・・言えないぜよ」
誰得なんだろう忍野版なんて。言わせておいてなんだが、これは羽川じゃなきゃ駄目だ。
しかしハッピーエンドが見えたように思う。
八九寺も見つかったしな!
「さて、あとは帰るだけだな!!」
「はっはー!!そうだったら良かったんだがにゃー・・・・・ 今回の件、これで終わりじゃないんだ」
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ・・・・・・・・・・言えないぜよ」
誰得なんだろう忍野版なんて。言わせておいてなんだが、これは羽川じゃなきゃ駄目だ。
しかしハッピーエンドが見えたように思う。
八九寺も見つかったしな!
「さて、あとは帰るだけだな!!」
「はっはー!!そうだったら良かったんだがにゃー・・・・・ 今回の件、これで終わりじゃないんだ」
321: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 20:50:53.40 ID:gCvSpXMk0
「・・・・・・っは!!!」
「目が覚めたか?」
「こ、ここは? って!!口リコンさん!!」
「ストレートすぎる!!もはや僕の名前の原型を全く留めてない上に、口リコンは僕のパーソナリティであって名前じゃない!ちなみに僕の名前は阿良々木だ!」
「え、これ連想ゲームじゃないんですか?」
「噛んですらねぇのかよ!! 連想ってどっちみち同じじゃねえか!」
「失礼、噛みました」
「いいよもう・・・・・・」
「目が覚めたか?」
「こ、ここは? って!!口リコンさん!!」
「ストレートすぎる!!もはや僕の名前の原型を全く留めてない上に、口リコンは僕のパーソナリティであって名前じゃない!ちなみに僕の名前は阿良々木だ!」
「え、これ連想ゲームじゃないんですか?」
「噛んですらねぇのかよ!! 連想ってどっちみち同じじゃねえか!」
「失礼、噛みました」
「いいよもう・・・・・・」
322: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 20:52:40.33 ID:gCvSpXMk0
「ちなみに阿良々木さん、この紙に3D、その上に×と書いてその下に2Yと書いてください」
「ん?書いたけど」
「なんて読みますか?」
「NOT三次元YES二次元の幼女!!」
「口リかっけー!!! 三日で済むはずの拘留が執行猶予付にで二年間牢にいれられそうなくらいの口リコンっぷりですね!!」
「かもしれない。 それに僕は幼女であれば一次元だろうと二次元だろうと三次元だろうと、そこに『幼女』とあれば興奮できる逸材だ!」
「ごめんなさい素で引きました。 ま、でも私はそんな阿良々木さんのこと大好きです」
「え!!まじで!?!?」
「ん?書いたけど」
「なんて読みますか?」
「NOT三次元YES二次元の幼女!!」
「口リかっけー!!! 三日で済むはずの拘留が執行猶予付にで二年間牢にいれられそうなくらいの口リコンっぷりですね!!」
「かもしれない。 それに僕は幼女であれば一次元だろうと二次元だろうと三次元だろうと、そこに『幼女』とあれば興奮できる逸材だ!」
「ごめんなさい素で引きました。 ま、でも私はそんな阿良々木さんのこと大好きです」
「え!!まじで!?!?」
326: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 20:58:31.47 ID:gCvSpXMk0
「いえ、先ほどはストレートだったので、今度は変化球的意味合いで遠まわしに嫌いと伝えてみました。ツンデレです。」
「八九寺それはツンデレじゃない。僕を傷つけるためだけの高度な嫌がらせだ」
「それでも阿良々木さんに会えたのは本当に良かったです、いつこちらに?」
「お前が神社に入っていったのを追ってたらな、なんつーか流れで」
「神社? 私がですか?」
「ん?そうだけど、覚えてないのか?」
「全く心当たりがございませんが?」
忍や忍野の言っていた通り、吸い寄せられたということ、か。
「でも本当に、本当に会えて嬉しいです。・・・・一人で・・・・・っえぐ・・・・ひおりで・・・・うわああああんっ! 寂しかったんですよおおおお!」
少しして八九寺は泣き疲れたのか、安心したのか寝てしまった。
「八九寺それはツンデレじゃない。僕を傷つけるためだけの高度な嫌がらせだ」
「それでも阿良々木さんに会えたのは本当に良かったです、いつこちらに?」
「お前が神社に入っていったのを追ってたらな、なんつーか流れで」
「神社? 私がですか?」
「ん?そうだけど、覚えてないのか?」
「全く心当たりがございませんが?」
忍や忍野の言っていた通り、吸い寄せられたということ、か。
「でも本当に、本当に会えて嬉しいです。・・・・一人で・・・・・っえぐ・・・・ひおりで・・・・うわああああんっ! 寂しかったんですよおおおお!」
少しして八九寺は泣き疲れたのか、安心したのか寝てしまった。
330: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:01:38.11 ID:gCvSpXMk0
八九寺の傷を僕の血で治した後、今は一方通行のマンションにいた。
やはりというかなんというか、
移動中に僕は上条君たちに、実は別の世界から時間移動してきたことを伝え、
忍野から今回の件についての全てを聞いたのだが
これでハッピーエンドじゃないらしい。
天使。
今回の元凶であり、八九寺を僕の世界からこちらの世界まで飛ばしたイレギュラー。
神々と人間の中間の霊的存在。
異能の力の塊。
やはりというかなんというか、
移動中に僕は上条君たちに、実は別の世界から時間移動してきたことを伝え、
忍野から今回の件についての全てを聞いたのだが
これでハッピーエンドじゃないらしい。
天使。
今回の元凶であり、八九寺を僕の世界からこちらの世界まで飛ばしたイレギュラー。
神々と人間の中間の霊的存在。
異能の力の塊。
331: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:03:51.11 ID:gCvSpXMk0
「天使そのものを形作ってるものは、テレズマっていう魔力の塊みたいなものなんぜよ」
加えて、自我と言う物を基本的に持たず、ただ神の書いたプログラムの通り行動するだけのロボット。
その力は例えるならば災害。
「天使自体には自我なんてないからにゃー。 あるのは本来それを呼び出した側の都合だけなんだけど・・・・・・」
僕は天使より何より、忍野の語尾が気に触ってしょうがなかった。
中年が語尾に『にゃー』という、しかも櫻井さんの声で!!
台無し過ぎる!!
しかし、言ってる場合じゃないくらい事態は最悪らしい。
加えて、自我と言う物を基本的に持たず、ただ神の書いたプログラムの通り行動するだけのロボット。
その力は例えるならば災害。
「天使自体には自我なんてないからにゃー。 あるのは本来それを呼び出した側の都合だけなんだけど・・・・・・」
僕は天使より何より、忍野の語尾が気に触ってしょうがなかった。
中年が語尾に『にゃー』という、しかも櫻井さんの声で!!
台無し過ぎる!!
しかし、言ってる場合じゃないくらい事態は最悪らしい。
334: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:06:02.34 ID:gCvSpXMk0
「今回の天使は自我がちゃんとあるし、それを呼び出したやつはいないんだにゃー」
「・・・・・・・つーことはあれか? 風斬と同じってことか?」
「あン? ロシアにいたやつのことかァ?」
「上ヤンも一方通行も冴えてるにゃー。理解が早くて助かる。 そう、あの天使が暴走してるみたいなんだにゃー」
そりゃぁ、怪異や吸血鬼がいるんだし、天使や悪魔がいたって別に僕は驚きはしない。
それに、この世界自体が超能力や魔術といったものが当たり前に存在するようなイレギュラーなのだから。
後述として、風斬氷華について説明を受けた。
「・・・・・・・つーことはあれか? 風斬と同じってことか?」
「あン? ロシアにいたやつのことかァ?」
「上ヤンも一方通行も冴えてるにゃー。理解が早くて助かる。 そう、あの天使が暴走してるみたいなんだにゃー」
そりゃぁ、怪異や吸血鬼がいるんだし、天使や悪魔がいたって別に僕は驚きはしない。
それに、この世界自体が超能力や魔術といったものが当たり前に存在するようなイレギュラーなのだから。
後述として、風斬氷華について説明を受けた。
347: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:14:07.34 ID:gCvSpXMk0
AIM拡散力場、能力者が無自覚に発してしまう微弱な力のフィールド。
僕はそれをあの神社に蔓延していた霊的エネルギーと同じだと理解した。
同じだとすると、もうこの時点で忍の時間移動を使って帰ることができるわけなのか。
「ほ、ほれみたことかお前様!! ・・・・・・か、帰れるというたろうに!!」
「お前前半部分からこっち、けっこう不安そうだったろうが!!」
でもまんざら強がってもいなかったのだろう。
霊的エネルギーとほぼ同じ扱いでいいからこそ、忍はこの世界に着いた時点である程度の確信はあったのかもしれない。
僕はそれをあの神社に蔓延していた霊的エネルギーと同じだと理解した。
同じだとすると、もうこの時点で忍の時間移動を使って帰ることができるわけなのか。
「ほ、ほれみたことかお前様!! ・・・・・・か、帰れるというたろうに!!」
「お前前半部分からこっち、けっこう不安そうだったろうが!!」
でもまんざら強がってもいなかったのだろう。
霊的エネルギーとほぼ同じ扱いでいいからこそ、忍はこの世界に着いた時点である程度の確信はあったのかもしれない。
350: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:16:20.61 ID:gCvSpXMk0
で、だ。 学園都市には能力者230万人分のAIM拡散力場が満ちており、 それらが相互干渉を重ね束ねられてしまった結果に
生み出された人工の天使の女の子。 それが風斬氷華。
上条君も一方通行も彼女に対しては共通認識があるらしく、ただ二人から聞く分には敵対するやつではない。
上条君に至っては大切な友達だと言う。
一方通行はそんな化物と互角に闘えるそうだ。
僕はその女の子が眼鏡っ子だと聞いた瞬間に、親しみが湧いた。
んーなぜだろうか?
生み出された人工の天使の女の子。 それが風斬氷華。
上条君も一方通行も彼女に対しては共通認識があるらしく、ただ二人から聞く分には敵対するやつではない。
上条君に至っては大切な友達だと言う。
一方通行はそんな化物と互角に闘えるそうだ。
僕はその女の子が眼鏡っ子だと聞いた瞬間に、親しみが湧いた。
んーなぜだろうか?
358: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:18:27.74 ID:gCvSpXMk0
「そしてここからが重要だ。 暴走した風斬氷華を止めないといけない。でなければ九月三十日同様に、この学園都市が崩壊してしまう。」
「学園都市が崩壊って・・・・・・そんな・・・」
「ったくよォ、ちっと前に世界大戦が終わったと思えばこれかよォ・・・・・・・・」
「・・・・・・お前様、どうするのじゃ?」
「そうだな・・・・・・・」
そう、僕たちは正直いって八九寺を探しにきただけであって、天使と戦いにきたわけではない。
八九寺も見つかって、帰る方法もちゃんとそこにあるのだからこれ以上関わらなくてもいいはずなのだ。
所詮は別の世界の話。
他人事。
どうなろうと知ったことではないのだ。
「・・・・・・そうなんだけどな、悪いが僕はまだ帰れない。 ここまで関わったんだ。 僕もできる限り協力する!!」
「学園都市が崩壊って・・・・・・そんな・・・」
「ったくよォ、ちっと前に世界大戦が終わったと思えばこれかよォ・・・・・・・・」
「・・・・・・お前様、どうするのじゃ?」
「そうだな・・・・・・・」
そう、僕たちは正直いって八九寺を探しにきただけであって、天使と戦いにきたわけではない。
八九寺も見つかって、帰る方法もちゃんとそこにあるのだからこれ以上関わらなくてもいいはずなのだ。
所詮は別の世界の話。
他人事。
どうなろうと知ったことではないのだ。
「・・・・・・そうなんだけどな、悪いが僕はまだ帰れない。 ここまで関わったんだ。 僕もできる限り協力する!!」
369: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:20:58.28 ID:gCvSpXMk0
忍野曰く、天使が現れる場所、時間などは調べても分からないらしい。
ただ、天使のいる場所から天使を引きずり出すことは可能だと。
「善は急げ、とも言うけれど、これは単に生き急ぐだけかもしれないな。 暴走した天使を相手にするとして、さてさて」
忍野はおどけたようにも、ふざけた口調も一切なく落ち着いていた。 普段の忍野のそれだった。
天使をこちら側に引きずり出す。
それは忍が時間移動の門を開いたのと同じ要領で、空間に干渉することで可能となるらしい。
僕個人、その要領に関しては詳しく説明されても全く理解が追いつかなかったので割愛する。
全員、臨戦態勢は整っている。
ただ、天使のいる場所から天使を引きずり出すことは可能だと。
「善は急げ、とも言うけれど、これは単に生き急ぐだけかもしれないな。 暴走した天使を相手にするとして、さてさて」
忍野はおどけたようにも、ふざけた口調も一切なく落ち着いていた。 普段の忍野のそれだった。
天使をこちら側に引きずり出す。
それは忍が時間移動の門を開いたのと同じ要領で、空間に干渉することで可能となるらしい。
僕個人、その要領に関しては詳しく説明されても全く理解が追いつかなかったので割愛する。
全員、臨戦態勢は整っている。
376: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:24:22.14 ID:gCvSpXMk0
僕と忍の吸血鬼性だって極限まで上がっている。
しかしそれでも足りない。
それほど危険な存在。
啖呵切っといてなんだけど、ものすごく帰りたい。
「「不幸だ・・・・・・・」」
上条君とシンクロした。
しかしそれでも足りない。
それほど危険な存在。
啖呵切っといてなんだけど、ものすごく帰りたい。
「「不幸だ・・・・・・・」」
上条君とシンクロした。
381: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:26:49.96 ID:gCvSpXMk0
「まぁ、上ヤンも阿良々木君もそう気を落とさなくてもいいぜよ。 いざというときのための奥の手もあるからな」
「奥の手?」
そういえばこいつ、さっき忍とコソコソやってたっけか。
「ぐちゃぐちゃ言ってねェで、とっとと始めよォぜ」
「はっはー! じゃあ忍ちゃん? 頼むよ」
「心得た」
こちら三名はやる気に満ちている。
一方通行なんて、ぎゃは!ぎゃは!って言いそうなくらいの笑顔。
誰かこの子の笑顔を明日に繋がるようにチューニングしてあげて!!
「奥の手?」
そういえばこいつ、さっき忍とコソコソやってたっけか。
「ぐちゃぐちゃ言ってねェで、とっとと始めよォぜ」
「はっはー! じゃあ忍ちゃん? 頼むよ」
「心得た」
こちら三名はやる気に満ちている。
一方通行なんて、ぎゃは!ぎゃは!って言いそうなくらいの笑顔。
誰かこの子の笑顔を明日に繋がるようにチューニングしてあげて!!
390: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:30:20.71 ID:gCvSpXMk0
「いよいよか・・・・・」
忍が両手をパンッ!と合わせると門が開く。
「っ!!くるぞ!!」
開いた忍も門から離れる。
ガラスを何枚も何十枚も割り続けているような音響く。
聴覚的にも視覚的にもそのエフェクトは捉えられ、そして、トンッという何者かが地面を踏んだような音をきっかけにして門が閉じる。
それは天使が地面を踏んだ音だった。
随分親しみが湧くようなその姿。
忍が両手をパンッ!と合わせると門が開く。
「っ!!くるぞ!!」
開いた忍も門から離れる。
ガラスを何枚も何十枚も割り続けているような音響く。
聴覚的にも視覚的にもそのエフェクトは捉えられ、そして、トンッという何者かが地面を踏んだような音をきっかけにして門が閉じる。
それは天使が地面を踏んだ音だった。
随分親しみが湧くようなその姿。
393: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:32:15.39 ID:gCvSpXMk0
なるほど確かに、天使云々と言われれば、僕は理解が追いつかない為に首を傾げてしまうが、しかし、ラスボスと言われれば納得する。
僕の物語があったとして、
それが例えバトルファンタジーだろうと学園恋愛シミュレーションだろうと現実だろうと夢だろうと
こいつ以外、ラスボスは有り得ない。
戦場ヶ原や忍でも他の誰でも成り得ない。
優等生の中の優等生、委員長の中の委員長。
そしてこの世界では天使。
その正体見たり。
「は、羽川あああああああ!!!!!!!!」
羽川 翼が現れた。
僕の物語があったとして、
それが例えバトルファンタジーだろうと学園恋愛シミュレーションだろうと現実だろうと夢だろうと
こいつ以外、ラスボスは有り得ない。
戦場ヶ原や忍でも他の誰でも成り得ない。
優等生の中の優等生、委員長の中の委員長。
そしてこの世界では天使。
その正体見たり。
「は、羽川あああああああ!!!!!!!!」
羽川 翼が現れた。
400: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:35:28.13 ID:gCvSpXMk0
「はっはー! 阿良々木君元気がいいねぇ? 何かいいことでもあったのかい?」
「いやぁ・・・・・・こればっかりはなぁ?」
忍でさえも、この場にいる五人は一瞬固まった。
羽川翼の姿に表情だけでなく、時間さえも止まったように思う。
上半身はパジャマ。
しかし胸元がキツいのか第二ボタンまで開放されている。
ノーブラ状態。
「いやぁ・・・・・・こればっかりはなぁ?」
忍でさえも、この場にいる五人は一瞬固まった。
羽川翼の姿に表情だけでなく、時間さえも止まったように思う。
上半身はパジャマ。
しかし胸元がキツいのか第二ボタンまで開放されている。
ノーブラ状態。
409: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:38:29.72 ID:gCvSpXMk0
今の羽川を、少なくともパジャマの上から観察する限りにおいて、注目すべきはその胸元、おᘄぱい。
形がまず素晴らしい。
ブラジャ一を着けてない以上、支えを失っている状態なのに、まるで物理法則に逆らっている。
こ、これが天使・・・・・・・
重力すらも無視できるというのか・・・・・・・・
そして下半身はパンツだった。
清楚な純白。
布面積は狭くなく、しかし特別に扇情的なほど際どくもない。 それ単体では正直地味でしかない。
しかし、上半身パジャマ、下半身は下着という、受け身な工口さ連想させるその姿。
パジャマの裾から覗く下着の控えめなチラリズム。
形がまず素晴らしい。
ブラジャ一を着けてない以上、支えを失っている状態なのに、まるで物理法則に逆らっている。
こ、これが天使・・・・・・・
重力すらも無視できるというのか・・・・・・・・
そして下半身はパンツだった。
清楚な純白。
布面積は狭くなく、しかし特別に扇情的なほど際どくもない。 それ単体では正直地味でしかない。
しかし、上半身パジャマ、下半身は下着という、受け身な工口さ連想させるその姿。
パジャマの裾から覗く下着の控えめなチラリズム。
417: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:40:30.52 ID:gCvSpXMk0
パンツとパジャマの裾の布面積には何かしらの黄金比でもあるのかもしれないと思わせるほど、
計算されたかのような絶妙さがそこにはあった。
きっとあの中の究極のデルタ地帯には、エデンの園、僕のシャングリ・ラがあるに違いない。
更にそこから見える、女性らしくむっちりとした太ももから伸びる脚線美。
僕たちは、いや少なくとも僕は彼女のその姿に目を奪われた。
眼球が乾き、瞬きすら忘れてしまうほどに。
確かに下着姿の羽川や、パジャマ姿の羽川は見慣れてもいるし、本来ならここまでの感動は得られなかっただろう。
計算されたかのような絶妙さがそこにはあった。
きっとあの中の究極のデルタ地帯には、エデンの園、僕のシャングリ・ラがあるに違いない。
更にそこから見える、女性らしくむっちりとした太ももから伸びる脚線美。
僕たちは、いや少なくとも僕は彼女のその姿に目を奪われた。
眼球が乾き、瞬きすら忘れてしまうほどに。
確かに下着姿の羽川や、パジャマ姿の羽川は見慣れてもいるし、本来ならここまでの感動は得られなかっただろう。
421: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:41:52.66 ID:gCvSpXMk0
そう。
オプションとして、白い翼を背中に生やし、
三つ編みでなく下した髪が揺れて、
全身から金色の粒子のようなものがわずかに発光する程度ではあるが放出されていなければ。
羽川翼、異形の羽をもつという名前に相応にして、まさしく天使。
つばさエンジェル。
例え見慣れた羽川の姿であっても、おᘄぱいであっても、下着であっても、
ここまで神々しく主張されてしまえば、見蕩れてしまう。
工口いからではなく、そこに神聖さを見出してしまう。
オプションとして、白い翼を背中に生やし、
三つ編みでなく下した髪が揺れて、
全身から金色の粒子のようなものがわずかに発光する程度ではあるが放出されていなければ。
羽川翼、異形の羽をもつという名前に相応にして、まさしく天使。
つばさエンジェル。
例え見慣れた羽川の姿であっても、おᘄぱいであっても、下着であっても、
ここまで神々しく主張されてしまえば、見蕩れてしまう。
工口いからではなく、そこに神聖さを見出してしまう。
431: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:43:42.17 ID:gCvSpXMk0
「引きずり出されたかと思ったら、まさかいきなり私の姿をそんな目線から描写されるなんてなぁ」
「心を読まれた!!」
その声は僕の知っている羽川翼のままだった。
「お前様の思考がおもいっきり声に出ておったぞ?」
「そんな馬鹿な!? というか誤解だ!! 僕はそこにたとえ裸の女の子がいたとしても」
「それを委員長としよう」
「あああああ!!! 羽川としよう!! しかし僕は羽川が嫌がるならば、その姿を見ないし、もちろん襲ったりもしない男だ!!」
「それは当たり前じゃろう?」
「マジで!?!?」
それは知らなかった。
「心を読まれた!!」
その声は僕の知っている羽川翼のままだった。
「お前様の思考がおもいっきり声に出ておったぞ?」
「そんな馬鹿な!? というか誤解だ!! 僕はそこにたとえ裸の女の子がいたとしても」
「それを委員長としよう」
「あああああ!!! 羽川としよう!! しかし僕は羽川が嫌がるならば、その姿を見ないし、もちろん襲ったりもしない男だ!!」
「それは当たり前じゃろう?」
「マジで!?!?」
それは知らなかった。
435: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:45:20.02 ID:gCvSpXMk0
でもまじで僕は羽川ならば、たとえセーラーブレザー体操服柔道着弓道着保母さん看護婦さん
メイドさん婦警さん巫女さんシスターさん軍人さん秘書さん口リショタツンデレチアガールスチュワーデス
ウェイトレス白ゴス黒ゴスチャイナドレススクール水着ワンピース水着ビキニ水着スリングショット
水着バカ水着であっても興奮できる。
羽川翼の全てを本気で描写したら赤い指輪と青い指輪を巡る大長編さえ書けると自負している。
「オィ・・・・・・いつまで漫才やってやがンだァ? とっととあのババァ片付けちまうぞ?」
「そうだにゃー。 早いとこ済ましちまおう」
「待ってろ・・・・・・風斬。 今助けるからな・・・・・っ!!!」
メイドさん婦警さん巫女さんシスターさん軍人さん秘書さん口リショタツンデレチアガールスチュワーデス
ウェイトレス白ゴス黒ゴスチャイナドレススクール水着ワンピース水着ビキニ水着スリングショット
水着バカ水着であっても興奮できる。
羽川翼の全てを本気で描写したら赤い指輪と青い指輪を巡る大長編さえ書けると自負している。
「オィ・・・・・・いつまで漫才やってやがンだァ? とっととあのババァ片付けちまうぞ?」
「そうだにゃー。 早いとこ済ましちまおう」
「待ってろ・・・・・・風斬。 今助けるからな・・・・・っ!!!」
438: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:46:57.52 ID:gCvSpXMk0
ってえええええええええ!!!!! あの姿の羽川を見てこいつら何も思わないのか!?!?
だっていっしょに固まってたじゃん!?
「中学生以上の胸にいらねェもンつけたババァに欲情するわけねェだろ」
「同じく、義妹のㄘっぱいこそ正義」
「俺はただ、そこに苦しんでいるおっぱ・・・・・友達がいる!! それを助けるだけだ!!」
「やっぱお前ら全員おᘄぱい見てたじゃねーか!!!」
ただ、巨*派が少ない。
僕だって厳密に言えば、巨*派ではない。 羽川のおᘄぱい派だ。
だっていっしょに固まってたじゃん!?
「中学生以上の胸にいらねェもンつけたババァに欲情するわけねェだろ」
「同じく、義妹のㄘっぱいこそ正義」
「俺はただ、そこに苦しんでいるおっぱ・・・・・友達がいる!! それを助けるだけだ!!」
「やっぱお前ら全員おᘄぱい見てたじゃねーか!!!」
ただ、巨*派が少ない。
僕だって厳密に言えば、巨*派ではない。 羽川のおᘄぱい派だ。
445: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:48:51.51 ID:gCvSpXMk0
「ふ~ん、なるほど。 あなたたちは私を退治しに来たんですか」
その声は冷たく、抑揚がない。
ただとても鋭い敵対心が伝わってきた。
言い終えた直後、翼が羽川の身体の五倍ほどの大きさに広がる。
その瞬間、見えない重りが身体にのしかかってくるかのようなプレッシャーが襲ってくる。
「おᘄぱいおᘄぱいって言い過ぎて怒っちゃったかな、羽川さん」
「そンな空気じゃァねェだろォ!!」
その声は冷たく、抑揚がない。
ただとても鋭い敵対心が伝わってきた。
言い終えた直後、翼が羽川の身体の五倍ほどの大きさに広がる。
その瞬間、見えない重りが身体にのしかかってくるかのようなプレッシャーが襲ってくる。
「おᘄぱいおᘄぱいって言い過ぎて怒っちゃったかな、羽川さん」
「そンな空気じゃァねェだろォ!!」
448: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:51:02.71 ID:gCvSpXMk0
「っ!!!!!」
「はっ!!!!!」
それに応えるように、忍が天使に突っ込む。
羽川と忍がぶつかり合い、音と爆発が遅れて発生した。
「・・・・・・儂としては、全力のフラッシュドライブ的なノリで殴ったつもりじゃったんじゃが?」
「ごめんなさい。私、ルミナスアークはやったことがないの」
忍の拳は羽川の目の前数センチのところで止まっていた。
まるで壁にでも遮られているかのように。
「はっ!!!!!」
それに応えるように、忍が天使に突っ込む。
羽川と忍がぶつかり合い、音と爆発が遅れて発生した。
「・・・・・・儂としては、全力のフラッシュドライブ的なノリで殴ったつもりじゃったんじゃが?」
「ごめんなさい。私、ルミナスアークはやったことがないの」
忍の拳は羽川の目の前数センチのところで止まっていた。
まるで壁にでも遮られているかのように。
450: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:52:21.53 ID:gCvSpXMk0
「知っておるではないか。 お主は何でも知っておるのじゃな?」
「何でもは知らないわ。 知ってることだけ」
羽川は忍の拳を掴むと、身体を捻り、忍を投げ飛ばす。
「一人目」
忍の身体は背の低い建物にめり込んだ。
「 釘ニ代ワリテ式神ヲ打チ(ダンガンにはシキガミを)、鎚ニ代ワリテ我ノ拳ヲ打タン(トリガーにはテメエのてを)!!!!!」
忍野から直線状に羽川に向けて、赤の式が発射される。
「何でもは知らないわ。 知ってることだけ」
羽川は忍の拳を掴むと、身体を捻り、忍を投げ飛ばす。
「一人目」
忍の身体は背の低い建物にめり込んだ。
「 釘ニ代ワリテ式神ヲ打チ(ダンガンにはシキガミを)、鎚ニ代ワリテ我ノ拳ヲ打タン(トリガーにはテメエのてを)!!!!!」
忍野から直線状に羽川に向けて、赤の式が発射される。
453: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:54:48.74 ID:gCvSpXMk0
「はぁ・・・・・」
羽川は忍のときと同様にその場から動かない。
ただ、右腕を横に振った。
その動作だけで、赤の式は切り裂かれる。
「なっ・・・・!!!」
「二人目」
先ほどまで、50メートルは離れた位置にいた彼女がいつの間にか忍野の目の前にいる。
しかし、彼女は元の位置から動いていない。 分身・・・・!?
情報を整理しきるより先に忍野は地面に叩きつけられた。
「これは分身じゃないよ、別の世界の人。 私の存在は0と1だけで表現する事が出来る域にはいないの。そこにもいるし、ここにもいる。 言葉で説明できるような力じゃないけれどね」
「グダグダ言っていンじゃねェぞ!! 三下ァ!!!!!・・・・・・・ぐァ・・・っっっ!!!」
「三人目」
羽川は忍のときと同様にその場から動かない。
ただ、右腕を横に振った。
その動作だけで、赤の式は切り裂かれる。
「なっ・・・・!!!」
「二人目」
先ほどまで、50メートルは離れた位置にいた彼女がいつの間にか忍野の目の前にいる。
しかし、彼女は元の位置から動いていない。 分身・・・・!?
情報を整理しきるより先に忍野は地面に叩きつけられた。
「これは分身じゃないよ、別の世界の人。 私の存在は0と1だけで表現する事が出来る域にはいないの。そこにもいるし、ここにもいる。 言葉で説明できるような力じゃないけれどね」
「グダグダ言っていンじゃねェぞ!! 三下ァ!!!!!・・・・・・・ぐァ・・・っっっ!!!」
「三人目」
460: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 21:58:41.76 ID:gCvSpXMk0
叫んだ一方通行が、『何か』に上から押さえつけられる。
「ンのやろォ!! 覇気使えンのかよォ!!!」
「君に力を使われるとめんどうだから、抑えさせてもらうね」
バキッという小さな音と共に一方通行のチョーカーが壊され、彼は動かなくなった。
「この力はデフォルトで反射できていないようだし、こういう負荷なら演算される前に通じるでしょう」
羽川は小さくつぶやいた。
覇気を否定しない羽川さんすげー!!!
「ンのやろォ!! 覇気使えンのかよォ!!!」
「君に力を使われるとめんどうだから、抑えさせてもらうね」
バキッという小さな音と共に一方通行のチョーカーが壊され、彼は動かなくなった。
「この力はデフォルトで反射できていないようだし、こういう負荷なら演算される前に通じるでしょう」
羽川は小さくつぶやいた。
覇気を否定しない羽川さんすげー!!!
462: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:01:31.13 ID:gCvSpXMk0
重力でもつかったかのような羽川の説明できない力。
羽川のバストが重力に逆らっているように形を保っているのも、重力制御のおかげなのだろうか。
「違うわよ。 これは自前」
「やっぱ僕声に出してねぇよ!!」
忍野も一方通行も忍もやられた。
さすがだよ、ほんとさすがだよ羽川翼。
一切の容赦がないラスボスっぷり。 なんだよ言葉で説明できない力って!!!
要するになんでもありじゃねーか!!!
羽川のバストが重力に逆らっているように形を保っているのも、重力制御のおかげなのだろうか。
「違うわよ。 これは自前」
「やっぱ僕声に出してねぇよ!!」
忍野も一方通行も忍もやられた。
さすがだよ、ほんとさすがだよ羽川翼。
一切の容赦がないラスボスっぷり。 なんだよ言葉で説明できない力って!!!
要するになんでもありじゃねーか!!!
465: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:03:21.70 ID:gCvSpXMk0
しかも、だ。
上条君と僕だけで、このスター状態の羽川の相手ともなれば絶望的すぎる。
どうする、どうする、どうする!!
「うおおおおおおおお!!!!!!!」
「なっ・・・!!」
上条君はそのまま突っ込む。
掛け値なく。
羽川は慌てる素振りすらみせず、右手を彼に向ける。
上条君と僕だけで、このスター状態の羽川の相手ともなれば絶望的すぎる。
どうする、どうする、どうする!!
「うおおおおおおおお!!!!!!!」
「なっ・・・!!」
上条君はそのまま突っ込む。
掛け値なく。
羽川は慌てる素振りすらみせず、右手を彼に向ける。
469: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:05:47.78 ID:gCvSpXMk0
「我が前に立ち塞がりし全ての愚かなる者に・・・・・・我と汝が力以て、等しく滅びを与えん事を・・・・・・・」
「そこまで全力!?!?」
ガチで世界を滅ぼす気かよ!!
90年代系で元ネタ分からない人がいても置いていくのがジャスティスと言いそうなくらいそのネタは古い!!
最強呪文じゃねえか!!
瞬間、説明できない力、羽川のなんでもありな力が彼を襲う。
「四人目・・・・・っ?」
羽川の攻撃は確かに直撃した。
それでも彼が無傷でいられたのは、彼が自らの眼前に突き出した右手による力で防ぐことができたため。
「そこまで全力!?!?」
ガチで世界を滅ぼす気かよ!!
90年代系で元ネタ分からない人がいても置いていくのがジャスティスと言いそうなくらいそのネタは古い!!
最強呪文じゃねえか!!
瞬間、説明できない力、羽川のなんでもありな力が彼を襲う。
「四人目・・・・・っ?」
羽川の攻撃は確かに直撃した。
それでも彼が無傷でいられたのは、彼が自らの眼前に突き出した右手による力で防ぐことができたため。
473: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:09:27.62 ID:gCvSpXMk0
「幻想殺し・・・・・・そういえばあなたにはそれがあったんですっけ」
つまり幻想殺しで羽川の攻撃が防げるならば、心渡が通じるということだ。
せめて近づければ・・・っ!!
「それなら、使えなきゃいいのよね?」
そう言うと彼女は翼を畳む。
「・・・・・・まずいっ!! 構えろ!!上条君!!」
まとわりつくような殺気を直感的に空気で理解する。
僕は全力で走る、羽川との距離は50メートル弱!! 3秒もあればそれで詰められる!!
「遅い!」
「しまっ!! ・・・・ぐっ!!!!!」
つまり幻想殺しで羽川の攻撃が防げるならば、心渡が通じるということだ。
せめて近づければ・・・っ!!
「それなら、使えなきゃいいのよね?」
そう言うと彼女は翼を畳む。
「・・・・・・まずいっ!! 構えろ!!上条君!!」
まとわりつくような殺気を直感的に空気で理解する。
僕は全力で走る、羽川との距離は50メートル弱!! 3秒もあればそれで詰められる!!
「遅い!」
「しまっ!! ・・・・ぐっ!!!!!」
475: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:11:57.17 ID:gCvSpXMk0
一撃目の羽川の攻撃を受けたまま、構えていなかった彼を彼女は容赦なく蹴り飛ばした。
「四人目!! で、あなたが最後!!」
羽川が僕を睨む。
直後、正体不明の『何か』が放出される。
「や・・・・ば・・・っ!!!」
・・・・・・・・あれ?
直撃したはずのそれは僕の頭上に逸れていた。
逸らしたのは羽川。
その羽川の首元に忍か噛み付いていた。
「四人目!! で、あなたが最後!!」
羽川が僕を睨む。
直後、正体不明の『何か』が放出される。
「や・・・・ば・・・っ!!!」
・・・・・・・・あれ?
直撃したはずのそれは僕の頭上に逸れていた。
逸らしたのは羽川。
その羽川の首元に忍か噛み付いていた。
479: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:19:48.58 ID:gCvSpXMk0
まるで以前の焼き直しのような光景。
忍によるエナジードレイン。 しかし忍はすぐに振り払われる。
それでも、僕はその隙を逃さなかった。
「っけえええええ!!!!!」
活殺自在剣にはほど遠くても、僕は気合でそれをカバーするかのように叫ぶ。
人間の目では反射神経では決して捉えることができないほどの速さ、リスペクト瞬天殺な剣撃だったはずなのに、
羽川には太ももの辺りに掠り傷ができただけだ。
「・・・・・ハァハァ・・・・・・・・・おしかったね、もう少しで斬れたのに」
「そうかい、僕はお前の太ももに傷をつけたことのほうが後悔してるよ」
忍によるエナジードレイン。 しかし忍はすぐに振り払われる。
それでも、僕はその隙を逃さなかった。
「っけえええええ!!!!!」
活殺自在剣にはほど遠くても、僕は気合でそれをカバーするかのように叫ぶ。
人間の目では反射神経では決して捉えることができないほどの速さ、リスペクト瞬天殺な剣撃だったはずなのに、
羽川には太ももの辺りに掠り傷ができただけだ。
「・・・・・ハァハァ・・・・・・・・・おしかったね、もう少しで斬れたのに」
「そうかい、僕はお前の太ももに傷をつけたことのほうが後悔してるよ」
481: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:21:19.81 ID:gCvSpXMk0
嘘ではない。
あの羽川の艶やかな太ももに傷をつけるなんて、世界遺産をまとめて核で吹き飛ばすよりも罪なことをしてしまった。
羽川の太ももから血が流れる。
ものすごく、なめたかったが我慢した。
しかし断じて、見蕩れていたからといって外したわけじゃない。
それだけ、目の前の羽川が異常なほど強いのだ。
だが、冷静になって僕は考える。
そう、
天使なんてそんな十字架みたいな清められた存在に吸血鬼である忍がなぜ触れられたのか。
あの羽川の艶やかな太ももに傷をつけるなんて、世界遺産をまとめて核で吹き飛ばすよりも罪なことをしてしまった。
羽川の太ももから血が流れる。
ものすごく、なめたかったが我慢した。
しかし断じて、見蕩れていたからといって外したわけじゃない。
それだけ、目の前の羽川が異常なほど強いのだ。
だが、冷静になって僕は考える。
そう、
天使なんてそんな十字架みたいな清められた存在に吸血鬼である忍がなぜ触れられたのか。
484: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:23:13.27 ID:gCvSpXMk0
学園都市製の天使。
偽者の天使。
「天使なんかじゃない」
「エンジェル冴島の話? お前様晃君を目指しておったのか!」
「目指してもいないし、生徒会に入る予定もねーよ!!」
そういえば冴島 翠。 羽絡みなんだよな。
エンジェル羽川・・・・・・あっけっこうしっくりきたぞこれ!
これについては僕は後日、午後のコーヒーブレイクあたりで忍と語り明かそうと思う。
じゃなくて!!
偽者の天使。
「天使なんかじゃない」
「エンジェル冴島の話? お前様晃君を目指しておったのか!」
「目指してもいないし、生徒会に入る予定もねーよ!!」
そういえば冴島 翠。 羽絡みなんだよな。
エンジェル羽川・・・・・・あっけっこうしっくりきたぞこれ!
これについては僕は後日、午後のコーヒーブレイクあたりで忍と語り明かそうと思う。
じゃなくて!!
487: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:25:28.57 ID:gCvSpXMk0
「おい、忍。 訊きたいことがある」
「奇遇じゃな。 儂はお前様に言いたいことがある」
「なんだよ?」
「いやなぁ? あのアロハ小僧も言っておったろ? 奥の手があると。 それならばあの委員長を倒せるかもしれんの」
「まじか!?!?」
「うん、だってあの委員長、吸血鬼じゃもん」
「・・・・・・は?」
あの白い羽根生やした、エンジェル羽川が?
「お前様もあやつの正体について訊きたかったのじゃろ?」
「それでもそんな急展開を望んでいたわけじゃないけどな」
「こちらの世界に都合がいい言葉で言うなればあれは天使じゃが、お前様もよく知っておる言葉でその存在は置き換えられるじゃろ」
「怪異ってことか?」
「奇遇じゃな。 儂はお前様に言いたいことがある」
「なんだよ?」
「いやなぁ? あのアロハ小僧も言っておったろ? 奥の手があると。 それならばあの委員長を倒せるかもしれんの」
「まじか!?!?」
「うん、だってあの委員長、吸血鬼じゃもん」
「・・・・・・は?」
あの白い羽根生やした、エンジェル羽川が?
「お前様もあやつの正体について訊きたかったのじゃろ?」
「それでもそんな急展開を望んでいたわけじゃないけどな」
「こちらの世界に都合がいい言葉で言うなればあれは天使じゃが、お前様もよく知っておる言葉でその存在は置き換えられるじゃろ」
「怪異ってことか?」
489: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:27:29.73 ID:gCvSpXMk0
怪異―――怪しくて異なるもの。
その存在は、信じられ、畏れられ、怖がられ、疎まれ、奉られ、敬われ、嫌われ、忌まれ、願われるもの。
人間によってそう形作られるもの。
例えば、現実では単なる血液異常である吸血鬼を形作ったのも。
例えば、超能力や魔術も決して理論武装しただけでは、全てを説明しきれないということも。
等しく、怪しくて異なるイレギュラー。
そして、この学園都市にはAIM拡散力場という霊的エネルギーのようなものが高い濃度で街中に広がっている。
能力者230万人分のAIM拡散力場が相互干渉を重ね束ねられてしまった結果に生み出された人工の天使。
無意識と無自覚の相互干渉。
それによって生み出された怪異。
その存在は、信じられ、畏れられ、怖がられ、疎まれ、奉られ、敬われ、嫌われ、忌まれ、願われるもの。
人間によってそう形作られるもの。
例えば、現実では単なる血液異常である吸血鬼を形作ったのも。
例えば、超能力や魔術も決して理論武装しただけでは、全てを説明しきれないということも。
等しく、怪しくて異なるイレギュラー。
そして、この学園都市にはAIM拡散力場という霊的エネルギーのようなものが高い濃度で街中に広がっている。
能力者230万人分のAIM拡散力場が相互干渉を重ね束ねられてしまった結果に生み出された人工の天使。
無意識と無自覚の相互干渉。
それによって生み出された怪異。
491: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:32:27.65 ID:gCvSpXMk0
「でもだからって何で吸血鬼になるんだよ?」
「じゃあなぜ委員長は天使ルックなんじゃ? 十字教の聖典や伝承に基づいた存在ではあるまい?」
起源は学園都市に住む人の無意識と無自覚なのだから。
その問いかけこそ目の前の敵、エンジェル羽川に対する矛盾だ。
「儂もさきほど、委員長に噛みついてから確信を持てたわい。それまではあくまで仮定での話としてアロハの小僧と話しておったのじゃが」
「血の味か?」
「まぁ同族の味を忘れるわけがないからのう」
そう、思えば羽川が闘うときに使ってきたバトルスキルには既視感があった。
睨んだりする眼力での正体不明な力とか、物質想像能力とか。
「じゃあなぜ委員長は天使ルックなんじゃ? 十字教の聖典や伝承に基づいた存在ではあるまい?」
起源は学園都市に住む人の無意識と無自覚なのだから。
その問いかけこそ目の前の敵、エンジェル羽川に対する矛盾だ。
「儂もさきほど、委員長に噛みついてから確信を持てたわい。それまではあくまで仮定での話としてアロハの小僧と話しておったのじゃが」
「血の味か?」
「まぁ同族の味を忘れるわけがないからのう」
そう、思えば羽川が闘うときに使ってきたバトルスキルには既視感があった。
睨んだりする眼力での正体不明な力とか、物質想像能力とか。
492: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:33:55.30 ID:gCvSpXMk0
私の存在は0と1だけで表現する事が出来る域にはいないと言っていたが、それは違う。
もし、完全体の忍であれば?
たった今地球を七週半してきた!とか
相対性理論は儂が破ったとか
昔、神にならんかと誘われたことがあるとか
時間移動してみたりとか
そんな理論に適わない不可能なことでもやってしまうだろう。
天使になっていても不思議じゃない。
そしてこの世界には完全体の吸血鬼が複数いないとも限らないのだから。
もし、完全体の忍であれば?
たった今地球を七週半してきた!とか
相対性理論は儂が破ったとか
昔、神にならんかと誘われたことがあるとか
時間移動してみたりとか
そんな理論に適わない不可能なことでもやってしまうだろう。
天使になっていても不思議じゃない。
そしてこの世界には完全体の吸血鬼が複数いないとも限らないのだから。
493: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:38:13.07 ID:gCvSpXMk0
「敵役のお約束として手出ししなかったけど、お話は終わったかな? 阿良々木君?」
「羽川、お前なんで僕の名前・・・?」
「知ってるよ。 だってこの人格、羽川翼はあなたの世界にいる、本物を参考にしているわけだし」
パチモンだよと。
「そ、そんな馬鹿な!! だってお前、僕の知ってる羽川よりもおᘄぱい大きいじゃないか!! そのおᘄぱいがパチモンなはずないじゃないか!!」
衝撃波がとんできた。
「羽川、お前なんで僕の名前・・・?」
「知ってるよ。 だってこの人格、羽川翼はあなたの世界にいる、本物を参考にしているわけだし」
パチモンだよと。
「そ、そんな馬鹿な!! だってお前、僕の知ってる羽川よりもおᘄぱい大きいじゃないか!! そのおᘄぱいがパチモンなはずないじゃないか!!」
衝撃波がとんできた。
497: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:41:04.14 ID:gCvSpXMk0
「今日一の顔で驚愕しておᘄぱいって叫ばないで!! まぁそうね。 正確には私は最初、吸血鬼でさえなかったの。
ただの能力者230万人が脳波リンクして作り上げた幻だった。 形さえ無かった。
それでも脳波リンクから無意識に溢れ出た膨大な思考や情報の量だけは蓄積していった。 そんな中偶然に、時間移動の研究についての情報を拾った。
拾ったというよりは、膨大な量の情報を繋ぎ合わせたら勝手に辿り着いただけなんだけどね。
で、好奇心から試してみた」
「・・・・・・そして行き着いた先が儂らの世界じゃったと?」
「ん~そういうことになるんだけど。 厳密に言うと、今のあなたたちがいた世界以外なら何度も行ったことがあるわよ。
それでも何十万通りと試してきたけど、どの世界にもあなたたちは変わらずそこに居た。
そして必ず怪異もそこにあった。
残念なことにまだ学園都市がある世界には辿り着けていないのだけれどね。
でも、そうして何度も試すうちに、自分の人格が、容姿が、自分の核や軸となる部分が形成されていった」
ただの能力者230万人が脳波リンクして作り上げた幻だった。 形さえ無かった。
それでも脳波リンクから無意識に溢れ出た膨大な思考や情報の量だけは蓄積していった。 そんな中偶然に、時間移動の研究についての情報を拾った。
拾ったというよりは、膨大な量の情報を繋ぎ合わせたら勝手に辿り着いただけなんだけどね。
で、好奇心から試してみた」
「・・・・・・そして行き着いた先が儂らの世界じゃったと?」
「ん~そういうことになるんだけど。 厳密に言うと、今のあなたたちがいた世界以外なら何度も行ったことがあるわよ。
それでも何十万通りと試してきたけど、どの世界にもあなたたちは変わらずそこに居た。
そして必ず怪異もそこにあった。
残念なことにまだ学園都市がある世界には辿り着けていないのだけれどね。
でも、そうして何度も試すうちに、自分の人格が、容姿が、自分の核や軸となる部分が形成されていった」
498: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:43:32.19 ID:gCvSpXMk0
「この力もそう。
忍ちゃん・・・あなたがまだキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードだったころのものが深く参考になっているわ。
まぁ、今羽川さんの姿になっているのは、羽川 翼という人間の異常性に私が感銘を受けたからでしょうね。
どの可能性の世界においても、怪異とともに必ず存在していた羽川 翼は私からみても私以上に異常だったのだから。
そして怪異の存在しないこの世界には、なぜか彼女の存在だけがなかった。
それも後押ししたのかもしれないわ。 私がこの世界での羽川 翼であることに」
羽川は戦意のない穏やかな声で、それでもはっきりと説明してくれた。
忍ちゃん・・・あなたがまだキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードだったころのものが深く参考になっているわ。
まぁ、今羽川さんの姿になっているのは、羽川 翼という人間の異常性に私が感銘を受けたからでしょうね。
どの可能性の世界においても、怪異とともに必ず存在していた羽川 翼は私からみても私以上に異常だったのだから。
そして怪異の存在しないこの世界には、なぜか彼女の存在だけがなかった。
それも後押ししたのかもしれないわ。 私がこの世界での羽川 翼であることに」
羽川は戦意のない穏やかな声で、それでもはっきりと説明してくれた。
499: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:45:18.26 ID:gCvSpXMk0
「忍ちゃんは始めから気づいていたの?」
「気づいていた、というわけではないがの。ただ、儂と同じ力を揮う『天使』なんてものは信じて無かっただけじゃ。
それで、あのアロハの小僧には吸血鬼の可能性もあるということで伝えておいた。
そうしたらあの小僧、おもしろいものを儂に渡しおった」
忍は胸元に手を突っ込み、引き抜く。 胸が揺れる。
その手には拳銃。
「この中には、姫神という吸血殺しの小娘の血を練りこんだ銃弾が装填されておる。 銀よりも、おそらく対吸血鬼仕様の武器でこれ以上はないじゃろ?」
「それが奥の手・・・どうしても拳銃じゃなきゃなのか?」
「なんじゃ?」
「そんな痛そうなことしなくても!! どうせ撃ち込むなら座薬とかじゃだめなのかよ!?!? 僕は羽川の眼球を舐めることの次に羽川に座薬入れるのが夢なんだ!!!!!」
「殺してバラして並べて揃えて晒してしまうぞ、お前様」
「気づいていた、というわけではないがの。ただ、儂と同じ力を揮う『天使』なんてものは信じて無かっただけじゃ。
それで、あのアロハの小僧には吸血鬼の可能性もあるということで伝えておいた。
そうしたらあの小僧、おもしろいものを儂に渡しおった」
忍は胸元に手を突っ込み、引き抜く。 胸が揺れる。
その手には拳銃。
「この中には、姫神という吸血殺しの小娘の血を練りこんだ銃弾が装填されておる。 銀よりも、おそらく対吸血鬼仕様の武器でこれ以上はないじゃろ?」
「それが奥の手・・・どうしても拳銃じゃなきゃなのか?」
「なんじゃ?」
「そんな痛そうなことしなくても!! どうせ撃ち込むなら座薬とかじゃだめなのかよ!?!? 僕は羽川の眼球を舐めることの次に羽川に座薬入れるのが夢なんだ!!!!!」
「殺してバラして並べて揃えて晒してしまうぞ、お前様」
503: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:50:04.82 ID:gCvSpXMk0
「詰みじゃな」
「ちょ、ちょっと待て!!」
僕は羽川と忍の間に割り込んで叫ぶ。
「今度はなんじゃお前様? バンパイアハンターSの邪魔をするでない」
「Sってつくだけで不思議と第二期作品みたいに聞こえる!! じゃなくて!! え? この羽川のどこが危険なんだよ!?」
「さっきも言ったと思うけど、私には常に膨大な量の情報が流れ込んでくる。 でも正直、最近はその処理が追いつかないのよ。
それに少し前には暴走して学園都市を崩壊手前まで破壊してしまうし・・・・・・。
これ以上・・・・・・私を野放しにしておけば、今度は学園都市だけじゃない・・・・・・・・・・世界を巻き込む恐れだって・・・・・・ある」
だから、私はここにいちゃいけない、と。
「ちょ、ちょっと待て!!」
僕は羽川と忍の間に割り込んで叫ぶ。
「今度はなんじゃお前様? バンパイアハンターSの邪魔をするでない」
「Sってつくだけで不思議と第二期作品みたいに聞こえる!! じゃなくて!! え? この羽川のどこが危険なんだよ!?」
「さっきも言ったと思うけど、私には常に膨大な量の情報が流れ込んでくる。 でも正直、最近はその処理が追いつかないのよ。
それに少し前には暴走して学園都市を崩壊手前まで破壊してしまうし・・・・・・。
これ以上・・・・・・私を野放しにしておけば、今度は学園都市だけじゃない・・・・・・・・・・世界を巻き込む恐れだって・・・・・・ある」
だから、私はここにいちゃいけない、と。
504: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 22:51:45.71 ID:gCvSpXMk0
「そんなの分かんねえじゃねえか!! お前がここにいちゃいけない理由にはならないだろ!!」
「なるよ !!私にはそれだけの力がある・・・・・・下手をすると完全体の忍ちゃん以上に!! だから私は消えたかった!!
自分じゃどうにもならないから!! だから、わざと貴方たちにコンタクトをとった!! わざわざ真宵ちゃんも呼び寄せて!!
貴方たちなら私を消してくれると思ったから!! こんな居場所なんてどこにもない世界から私を消してほしかったから!!!」
この羽川は自分を消して欲しくて僕たちをこの世界に呼んだ、と。
そうか、全部だったのか。 こいつは僕たちと闘う前から最初からそうするつもりだったのか。
でも涙ながらにそう言った。
そう言いやがった、こいつは・・・・・・っ!!
「・・・・・・ふざけるな・・・・・・・・・・ふざけるんじゃねえ!!!!!」
僕は羽川に叫ばずにはいられなかった。 沸点の高さには定評のある僕でさえ、我慢できなかった。
「なるよ !!私にはそれだけの力がある・・・・・・下手をすると完全体の忍ちゃん以上に!! だから私は消えたかった!!
自分じゃどうにもならないから!! だから、わざと貴方たちにコンタクトをとった!! わざわざ真宵ちゃんも呼び寄せて!!
貴方たちなら私を消してくれると思ったから!! こんな居場所なんてどこにもない世界から私を消してほしかったから!!!」
この羽川は自分を消して欲しくて僕たちをこの世界に呼んだ、と。
そうか、全部だったのか。 こいつは僕たちと闘う前から最初からそうするつもりだったのか。
でも涙ながらにそう言った。
そう言いやがった、こいつは・・・・・・っ!!
「・・・・・・ふざけるな・・・・・・・・・・ふざけるんじゃねえ!!!!!」
僕は羽川に叫ばずにはいられなかった。 沸点の高さには定評のある僕でさえ、我慢できなかった。
509: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:19:17.36 ID:gCvSpXMk0
「お前に居場所はあるのかだと。あるに決まってんだろ。消える以外に道はあるのかだと。あるに決まってんだろ!!
勝手に諦めてんじゃねえ!!
そうだよ、そうだよ!! 人は勝手に助かるだけさ。 死ぬのだってきっとそうだろうぜ!!
だけどな!! 人は一人で勝手に助かるだけでも!!
助ける側にそんな事情は関係ねぇだろ!?!?
僕たちは、今ここにいる僕たちはお前を助けるために立ち上がったんだ!!
悩んでいるなら頼れよ!! 助けて欲しいなら言えよ!!
居場所がないなんて笑わせんなよ!! こうやってお前のこと思ってるやつらがいるのに!!
それなのにお前はそれさえも否定してしまうのかよ!!!!!
僕たちはお前を否定しないし、自分が消える覚悟で世界のことを考えることができるような優しいやつをいらないなんて思わない!!
もし、お前がそんなことを考えているなら、僕はそれを否定する!! そんな幻想をぶち壊す!!」
勝手に諦めてんじゃねえ!!
そうだよ、そうだよ!! 人は勝手に助かるだけさ。 死ぬのだってきっとそうだろうぜ!!
だけどな!! 人は一人で勝手に助かるだけでも!!
助ける側にそんな事情は関係ねぇだろ!?!?
僕たちは、今ここにいる僕たちはお前を助けるために立ち上がったんだ!!
悩んでいるなら頼れよ!! 助けて欲しいなら言えよ!!
居場所がないなんて笑わせんなよ!! こうやってお前のこと思ってるやつらがいるのに!!
それなのにお前はそれさえも否定してしまうのかよ!!!!!
僕たちはお前を否定しないし、自分が消える覚悟で世界のことを考えることができるような優しいやつをいらないなんて思わない!!
もし、お前がそんなことを考えているなら、僕はそれを否定する!! そんな幻想をぶち壊す!!」
510: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:25:27.97 ID:gCvSpXMk0
心渡や上条君の幻想殺しや忍の持っている銃を使えば簡単に消すことはできるだろう。
けれど、それでは、羽川は救われない。
それじゃあ駄目だ。
「わ、私はいてもいいの? 消えなくてもいいの?」
「ああ。みんなそれを望んでいる。 だから生きろ!」
僕は羽川の手をとる。
泣き崩れる彼女を支えるために。
しかしそれはできなかった。
バンッ!!!
「やれやれじゃな」
忍は羽川を撃った。
けれど、それでは、羽川は救われない。
それじゃあ駄目だ。
「わ、私はいてもいいの? 消えなくてもいいの?」
「ああ。みんなそれを望んでいる。 だから生きろ!」
僕は羽川の手をとる。
泣き崩れる彼女を支えるために。
しかしそれはできなかった。
バンッ!!!
「やれやれじゃな」
忍は羽川を撃った。
511: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:29:36.43 ID:gCvSpXMk0
「・・・・・・は? おい、おい!!! 冗談じゃねえぞ!! おい忍!!」
「うるさい。 聞こえておる。 なんじゃ?」
「おま、お前!! なんで撃ちやがった!!!」
僕は忍の胸倉を掴む。
その時忍のおᘄぱいが僕に当たるが、それを揉みしだく気にはなれなかった。
「落ち着け、お前様。 何をそこまで慌てておる?」
「だってお前、それで撃ったら忍は・・・・・・・」
忍野が奥の手だと託すほどのもの。
最終手段として託されたもの。
ならば抜かりは無いだろう。 容赦もないだろう。
あの効率的で常に適切な流れを守る男が託したものならば。
「うるさい。 聞こえておる。 なんじゃ?」
「おま、お前!! なんで撃ちやがった!!!」
僕は忍の胸倉を掴む。
その時忍のおᘄぱいが僕に当たるが、それを揉みしだく気にはなれなかった。
「落ち着け、お前様。 何をそこまで慌てておる?」
「だってお前、それで撃ったら忍は・・・・・・・」
忍野が奥の手だと託すほどのもの。
最終手段として託されたもの。
ならば抜かりは無いだろう。 容赦もないだろう。
あの効率的で常に適切な流れを守る男が託したものならば。
516: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:33:08.26 ID:gCvSpXMk0
吸血殺しの弾丸。
羽川を消すためだけのもの。
でもそれは、適切であってこの場合あくまで最適ではないはずだ。
だって羽川は消えたくないといったのだから、ここに居たいと願ったのだから。
その可能性を消し去ることのどこが適切なのだろうか?
「しのぶ!!!!!!」
僕は忍を殴る。
「くっ・・・・お前様、分かっておらんようじゃの?」
「それはお前だろう!?!?」
「あ・・・・ら・・・らぎ・・・・・・・くん・・・・・」
羽川の声が途切れ途切れになる。
やばい、このままじゃ!!
羽川を消すためだけのもの。
でもそれは、適切であってこの場合あくまで最適ではないはずだ。
だって羽川は消えたくないといったのだから、ここに居たいと願ったのだから。
その可能性を消し去ることのどこが適切なのだろうか?
「しのぶ!!!!!!」
僕は忍を殴る。
「くっ・・・・お前様、分かっておらんようじゃの?」
「それはお前だろう!?!?」
「あ・・・・ら・・・らぎ・・・・・・・くん・・・・・」
羽川の声が途切れ途切れになる。
やばい、このままじゃ!!
518: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:34:58.03 ID:gCvSpXMk0
「はっはー! 阿良々木君。 君は本当に元気がいいねえ。 この世界の主人公が気絶していることをいいことに説教なんて」
この場に似合わない声が響く。
「何かいいことでもあったのかい?」
しかしその言葉はこの場に不釣合いすぎて、僕は彼をも殴り飛ばしたくなった。
「んなこといってる場合じゃないだろ!?!? 羽川が、羽川が!!!!!」
「大丈夫だよ、阿良々木君。 彼女は消えはしない」
「はっ?」
「よく見てみることだね、彼女を」
そう言われて僕は羽川に駆け寄る。
そこで気が付いた。
羽も金色の粒子のようなものもすべて消えている。
「こ、これって・・・・・・」
この場に似合わない声が響く。
「何かいいことでもあったのかい?」
しかしその言葉はこの場に不釣合いすぎて、僕は彼をも殴り飛ばしたくなった。
「んなこといってる場合じゃないだろ!?!? 羽川が、羽川が!!!!!」
「大丈夫だよ、阿良々木君。 彼女は消えはしない」
「はっ?」
「よく見てみることだね、彼女を」
そう言われて僕は羽川に駆け寄る。
そこで気が付いた。
羽も金色の粒子のようなものもすべて消えている。
「こ、これって・・・・・・」
519: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:37:29.11 ID:gCvSpXMk0
「そう、彼女の能力だけを削ぎ取ったんだよ」
よく見ると羽川の身体には弾痕もなかった。
「というか、彼女を倒すだけなら、消滅させるだけなら、こんな吸血殺しの弾丸なんて使わなくても上条君の幻想殺しで触れるか、
君のその刀で致命傷でも負わせてしまえば僕としても簡単なんだけどね。でもそれじゃあ駄目なんだ。
僕は以前の説明で彼女が暴走する寸前といったけど、あれは本当は大げさに言いすぎなんだよ。
それこそ暴走寸前であれば、今言った手段をとっていただろうけれど、それこそあくまで最終手段さ。
僕だって彼女について調べていないわけじゃない。
例えば、彼女が行っていた時間移動だって。
例えば、第三次世界大戦中や九月三十日の彼女の行動だって。
暴走どころか、人間のために闘ったんだよ彼女は。
そういう意味では彼女を消滅させる理由にはならないし、それをしなければならないほどの悪意なんて彼女にはない」
よく見ると羽川の身体には弾痕もなかった。
「というか、彼女を倒すだけなら、消滅させるだけなら、こんな吸血殺しの弾丸なんて使わなくても上条君の幻想殺しで触れるか、
君のその刀で致命傷でも負わせてしまえば僕としても簡単なんだけどね。でもそれじゃあ駄目なんだ。
僕は以前の説明で彼女が暴走する寸前といったけど、あれは本当は大げさに言いすぎなんだよ。
それこそ暴走寸前であれば、今言った手段をとっていただろうけれど、それこそあくまで最終手段さ。
僕だって彼女について調べていないわけじゃない。
例えば、彼女が行っていた時間移動だって。
例えば、第三次世界大戦中や九月三十日の彼女の行動だって。
暴走どころか、人間のために闘ったんだよ彼女は。
そういう意味では彼女を消滅させる理由にはならないし、それをしなければならないほどの悪意なんて彼女にはない」
521: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:41:55.34 ID:gCvSpXMk0
「ど、どういうことだよ?」
「そういうことだよ。 分からないかい阿良々木君? つまり僕は端から彼女を消す気なんてなかったのさ。
まぁそれには彼女を無理矢理消してしまうことで、彼女の中の力がそれこそ暴走してしまうのを恐れたからというのもあるんだけどね」
端から消す気はなかった。
始めから能力を削ぐだけのつもりだった・・・と。
つまり、この戦いはそれを行うためのもの。
「忍野、これはお前のシナリオだったのかよ・・・?」
「いやぁ僕もそこまで何でも知ってるわけじゃないさ。 それこそ委員長ちゃんの領分だよ。
ただ、彼女が吸血鬼じゃないかって確率に賭けてみただけだよ。 その確率は高かったし、忍ちゃんのおかげで確信できたしね。
■■ちゃんの血液を練りこんだ弾丸なんていう回りくどい手段になっちゃったけど」
確率は高かったか・・・。
よく言うぜ。 こいつが動くときは断言できるほどの確信があった時だけだろうに。
「そういうことだよ。 分からないかい阿良々木君? つまり僕は端から彼女を消す気なんてなかったのさ。
まぁそれには彼女を無理矢理消してしまうことで、彼女の中の力がそれこそ暴走してしまうのを恐れたからというのもあるんだけどね」
端から消す気はなかった。
始めから能力を削ぐだけのつもりだった・・・と。
つまり、この戦いはそれを行うためのもの。
「忍野、これはお前のシナリオだったのかよ・・・?」
「いやぁ僕もそこまで何でも知ってるわけじゃないさ。 それこそ委員長ちゃんの領分だよ。
ただ、彼女が吸血鬼じゃないかって確率に賭けてみただけだよ。 その確率は高かったし、忍ちゃんのおかげで確信できたしね。
■■ちゃんの血液を練りこんだ弾丸なんていう回りくどい手段になっちゃったけど」
確率は高かったか・・・。
よく言うぜ。 こいつが動くときは断言できるほどの確信があった時だけだろうに。
522: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:43:25.70 ID:gCvSpXMk0
「相変わらず、見透かしたようなことをしてくれるなお前は」
「はっはー! 嬉しいねえ。 最高のほめ言葉だよ阿良々木君」
「っと・・・・・忍」
「なんじゃ?」
忍はその忍野のシナリオを事前に聞いていたのだろう。
だから撃った。 むしろ羽川が自分から消えたくないといったから撃ったのだろうな。
適切な処置としてでなく、助けるための最善を尽くす為に。
「その、殴って悪かった」
「はっはー! 嬉しいねえ。 最高のほめ言葉だよ阿良々木君」
「っと・・・・・忍」
「なんじゃ?」
忍はその忍野のシナリオを事前に聞いていたのだろう。
だから撃った。 むしろ羽川が自分から消えたくないといったから撃ったのだろうな。
適切な処置としてでなく、助けるための最善を尽くす為に。
「その、殴って悪かった」
523: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:47:42.25 ID:gCvSpXMk0
「よい、ただお前様が悪いと思うなら、後でそれなりに儂に礼を尽くさねばならぬな?」
「なんだよ? 頭ならいくらでもなでてやるぞ?」
「それだけでは足りぬ!! この儂を殴ったんじゃ。 その更に上、儂の胸を撫でるくらいはせぬと許さぬ」
「まじで!!!!!!!! いいの!?!?!? 撫でます!! 撫でさせてください!!」
どうしよう、こいつを完全体に戻してあの魔乳を撫でたい。
世界滅亡と僕の命を賭けなくてはいけないだろうけれど、この際それは本望な気がしてきた!!
「阿良々木君・・・・・」
「いててててっ!!!!!」
僕の腕の中で支えられている羽川に頬をつねられた。
なぜ*首じゃないんだ!! と叫べるほど僕のヘン夕イ沸点は超えていたが自重した。
というか、これ腕の中の羽川もノ一ブラで今にもはだけそうなんですけど・・・・・・
どうしよう、どうすればいいの? ちくしょおおおおおおお!!まじでどうにかしてやりたい!!
「なんだよ? 頭ならいくらでもなでてやるぞ?」
「それだけでは足りぬ!! この儂を殴ったんじゃ。 その更に上、儂の胸を撫でるくらいはせぬと許さぬ」
「まじで!!!!!!!! いいの!?!?!? 撫でます!! 撫でさせてください!!」
どうしよう、こいつを完全体に戻してあの魔乳を撫でたい。
世界滅亡と僕の命を賭けなくてはいけないだろうけれど、この際それは本望な気がしてきた!!
「阿良々木君・・・・・」
「いててててっ!!!!!」
僕の腕の中で支えられている羽川に頬をつねられた。
なぜ*首じゃないんだ!! と叫べるほど僕のヘン夕イ沸点は超えていたが自重した。
というか、これ腕の中の羽川もノ一ブラで今にもはだけそうなんですけど・・・・・・
どうしよう、どうすればいいの? ちくしょおおおおおおお!!まじでどうにかしてやりたい!!
525: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/08(火) 23:51:04.47 ID:gCvSpXMk0
「阿良々木君、ありがとう・・・・・」
ぽつりと羽川は呟く。
「なんだよ? 僕は何もしてないぜ?」
「ううん・・・・・阿良々木君は私に居場所があるって・・・・・・生きろって言ってくれた」
涙ぐみながらぽつりぽつりと呟く。
「ああ、そうだ。お前はこうしてここにいる。何度でも言えるよ、お前はここに居てもいいんだって」
「でも・・・・・・いずれ私は・・・・・本当に暴走するかもしれないよ?」
「そのときはそのときだ。そうなったらまた僕たちを呼びにこい!! 駆けつけて何とかしてやる!!」
「・・・・・うんっ、ありがとう阿良々木君」
彼女は最後に笑顔でそういい終えると、僕の腕の中から消えた。
ぽつりと羽川は呟く。
「なんだよ? 僕は何もしてないぜ?」
「ううん・・・・・阿良々木君は私に居場所があるって・・・・・・生きろって言ってくれた」
涙ぐみながらぽつりぽつりと呟く。
「ああ、そうだ。お前はこうしてここにいる。何度でも言えるよ、お前はここに居てもいいんだって」
「でも・・・・・・いずれ私は・・・・・本当に暴走するかもしれないよ?」
「そのときはそのときだ。そうなったらまた僕たちを呼びにこい!! 駆けつけて何とかしてやる!!」
「・・・・・うんっ、ありがとう阿良々木君」
彼女は最後に笑顔でそういい終えると、僕の腕の中から消えた。
530: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:01:01.21 ID:yZyYd2mh0
後日談、というか今回のオチ
僕と忍と八九寺は神社にいた。
「朝帰りさん」
「ああ、今は朝五時半か・・・・・。やることやりおえて帰るくらいの時間だよなこれ。しかも僕両手に花だし!!
幼女二人って、嬉しいなあ!! 僕の人生ハッピーエンドすぎるじゃん!!」
「お前様、そこは否定せぬとアニメ二期に響くぞ。 というか、さすがに八歳じゃお前様を受け止められんから
十五歳くらいの身体にしてもらわねばな!!」
「私は永遠の十歳なんですけど、危ないですかね?」
「って!!お前らつっこめよ!! ちなみに僕の名前は阿良々木だ!!」
僕と忍と八九寺は神社にいた。
「朝帰りさん」
「ああ、今は朝五時半か・・・・・。やることやりおえて帰るくらいの時間だよなこれ。しかも僕両手に花だし!!
幼女二人って、嬉しいなあ!! 僕の人生ハッピーエンドすぎるじゃん!!」
「お前様、そこは否定せぬとアニメ二期に響くぞ。 というか、さすがに八歳じゃお前様を受け止められんから
十五歳くらいの身体にしてもらわねばな!!」
「私は永遠の十歳なんですけど、危ないですかね?」
「って!!お前らつっこめよ!! ちなみに僕の名前は阿良々木だ!!」
531: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:03:46.86 ID:yZyYd2mh0
「つっこむのはお前様じゃろ? え?もしかして受けなの?」
「朝帰りさん、幼女に責められるのが趣味なんですか・・・・・」
「そういうつっこむじゃねえよ!! なにこのキャラ殺し!!」
「「失礼、噛みました」」
「違うわざとだ」
「「噛みまみた」」
「わざとじゃない!?」
「そういってお前様は幼女にくわえさせるプレイが好みなんじゃな。 ではお前様のためにあまんじて噛もう!!」
「お前は神原かっ!!!!!」
「こほみおにふぃひゃんのほっひふへ、まよふぃのくふぃにはひはない~~~っていうのですか阿良々木さん!!」
「ああああああああああ!!!!!!! やめてやめてやめて!!!!!!! ちょっとむらむらしてきたから!!!!!!」
「むららぎさんの面目躍如ですね!!」
「好きに言ってくれ・・・・・」
「朝帰りさん、幼女に責められるのが趣味なんですか・・・・・」
「そういうつっこむじゃねえよ!! なにこのキャラ殺し!!」
「「失礼、噛みました」」
「違うわざとだ」
「「噛みまみた」」
「わざとじゃない!?」
「そういってお前様は幼女にくわえさせるプレイが好みなんじゃな。 ではお前様のためにあまんじて噛もう!!」
「お前は神原かっ!!!!!」
「こほみおにふぃひゃんのほっひふへ、まよふぃのくふぃにはひはない~~~っていうのですか阿良々木さん!!」
「ああああああああああ!!!!!!! やめてやめてやめて!!!!!!! ちょっとむらむらしてきたから!!!!!!」
「むららぎさんの面目躍如ですね!!」
「好きに言ってくれ・・・・・」
534: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:07:25.11 ID:yZyYd2mh0
学園都市での天使(吸血鬼)をめぐる騒動を片付けた僕たちは元の世界に帰ってきた。
消えた羽川については、過剰な分の力を削ぎ落としたため目に見えない姿になった。
忍野の言う天使のいる空間という場所に帰ったらしい。
今回の一件は終わってみると、現実に対して足が地につかないような体験だった。
でもまぁ、学園都市だの超能力だの魔術だのっていっても、
今の僕を取り巻く環境と大差はないかもしれない。
僕は少しだけ、彼女―――学園都市にいる羽川 翼のことを考えた。
そしてそれを本物の羽川自身だけでなく、忍に重ねてしまう。
正確にはキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードへ重ねてしまう。
春休みの彼女に少し似ていた気がするから。
どうだろう。
言っておいてあれだが、ひどく曖昧だ。
消えた羽川については、過剰な分の力を削ぎ落としたため目に見えない姿になった。
忍野の言う天使のいる空間という場所に帰ったらしい。
今回の一件は終わってみると、現実に対して足が地につかないような体験だった。
でもまぁ、学園都市だの超能力だの魔術だのっていっても、
今の僕を取り巻く環境と大差はないかもしれない。
僕は少しだけ、彼女―――学園都市にいる羽川 翼のことを考えた。
そしてそれを本物の羽川自身だけでなく、忍に重ねてしまう。
正確にはキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードへ重ねてしまう。
春休みの彼女に少し似ていた気がするから。
どうだろう。
言っておいてあれだが、ひどく曖昧だ。
535: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:10:01.53 ID:yZyYd2mh0
ただ、
今の僕は人生は個人のものという考え方ではない。
人が人の中で生きている以上、人と人との繋がりのある世界で生きている以上、
人に認められることには価値があると考えられるようになったから。
だからこそ、向こうの羽川に手を差し伸べられたのだと思う。
駆けつけてくれる仲間がいて、それを信じろと言えたのだと思う。
改めてそれを再認識できた。
彼女もそれを分かってくれてたならいいと思う。
それさえ分かってもらえれば今回の僕の物語を締めくくるに十分な成果とオチになる。
「あーっ!! 高校生活もあと半年ないけど友達増やそうかなー!!」
「お前様・・・・・・儂はいつまでも傍におるぞ・・・・・・・・」
「阿良々木さん、やめてください。切なくなってきました・・・・・・・」
とりあえず、僕にとってそれが幼女から哀れまれなければならないほどの幻想なわけがないと信じたいが。
~fin~
今の僕は人生は個人のものという考え方ではない。
人が人の中で生きている以上、人と人との繋がりのある世界で生きている以上、
人に認められることには価値があると考えられるようになったから。
だからこそ、向こうの羽川に手を差し伸べられたのだと思う。
駆けつけてくれる仲間がいて、それを信じろと言えたのだと思う。
改めてそれを再認識できた。
彼女もそれを分かってくれてたならいいと思う。
それさえ分かってもらえれば今回の僕の物語を締めくくるに十分な成果とオチになる。
「あーっ!! 高校生活もあと半年ないけど友達増やそうかなー!!」
「お前様・・・・・・儂はいつまでも傍におるぞ・・・・・・・・」
「阿良々木さん、やめてください。切なくなってきました・・・・・・・」
とりあえず、僕にとってそれが幼女から哀れまれなければならないほどの幻想なわけがないと信じたいが。
~fin~
536: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:11:41.93 ID:bjpDMnlE0
乙なんだよっ
538: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:12:43.55 ID:I93QRaNQP
乙
最後のほうは禁書空気だったなwww
最後のほうは禁書空気だったなwww
547: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:17:43.30 ID:+CiUVzNn0
乙、つばさエンジェル面白かったぜ
567: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/09(水) 00:54:49.25 ID:EviftlTC0
こりゃ面白かった
西尾文体は書いてて楽しそうだなー
西尾文体は書いてて楽しそうだなー
572: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/09(水) 01:26:26.47 ID:5EFC2nyxO
幻物語 そげぶものがたり
573: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/02/09(水) 01:31:04.64 ID:yIl7P1xmO
>>1乙、楽しかったわ
>>572
ワロタwww
>>572
ワロタwww
引用元: 阿良々木「・・・・・・学園都市?」
撫子「暦お兄ちゃんと1日だけ恋人になれるの?」
2020-02-01
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 10:55:11.79 ID:EMHyvpK6O
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4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 11:47:35.78 ID:EMHyvpK6O
撫子「どうして?」
暦「僕には恋人がいるからな」
撫子「そんなのは知ってるよ、でも、状況を考えたほうがいいと思うよ」
暦(縛られている……手も足も。しかも、鉄の鎖で。戦場ヶ原の時のように、ちょっと吸血鬼化しようとほどける鎖じゃない。昼間だから、忍は寝ている。この状況はぶがわるい)
暦「僕には恋人がいるからな」
撫子「そんなのは知ってるよ、でも、状況を考えたほうがいいと思うよ」
暦(縛られている……手も足も。しかも、鉄の鎖で。戦場ヶ原の時のように、ちょっと吸血鬼化しようとほどける鎖じゃない。昼間だから、忍は寝ている。この状況はぶがわるい)
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 11:57:46.61 ID:EMHyvpK6O
暦「恋人にはなれないぞ、例え僕を縛っても。僕の心は戦場ヶ原一筋だ」
撫子「ん?」
撫子「でも、撫子ね、扇のお姉ちゃんから、もらっちゃったんだ。この薬をちょっとでも使うとね、暦お兄ちゃん撫子のこと、好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで仕方なくなっちゃうんだって。」
撫子「ん?」
撫子「でも、撫子ね、扇のお姉ちゃんから、もらっちゃったんだ。この薬をちょっとでも使うとね、暦お兄ちゃん撫子のこと、好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで仕方なくなっちゃうんだって。」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 12:08:41.32 ID:EMHyvpK6O
暦「そんなもの使ったって、僕は、」
撫子「いま、撫子しゃべってるんだからさ、ちょっと口塞いじゃうね」
ッチュ
暦「お、、お前、いま僕に」
撫子「撫子、初めてチューしちゃった//// 」
暦「しかも、今、口に」
撫子「あ、バレチャった?即効性だからすぐ効くと思うよ。あとね、なんかすごい工ッチな気持ちになるんだって。撫子に工ッチな気持ちになってくれるなんて、嬉しいなあ」
撫子「いま、撫子しゃべってるんだからさ、ちょっと口塞いじゃうね」
ッチュ
暦「お、、お前、いま僕に」
撫子「撫子、初めてチューしちゃった//// 」
暦「しかも、今、口に」
撫子「あ、バレチャった?即効性だからすぐ効くと思うよ。あとね、なんかすごい工ッチな気持ちになるんだって。撫子に工ッチな気持ちになってくれるなんて、嬉しいなあ」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 12:32:59.24 ID:EMHyvpK6O
暦「惚れ薬とか媚薬とかそんなのあるわけないだろ」
撫子「へー、じゃあ、試してみようかなあ。撫子の描いてる漫画みたいに」
暦「おい、お前、どこ、触って」
撫子「えー、なんでー。あ、今、工ッチな声出した。暦お兄ちゃん可愛いなあ。撫子、暦お兄ちゃん、だーいすき」
ドク
暦(おかしい。なんだこの気持ちは、、こんな、千石に。)
撫子「あれ、いま、すごい反応したけど、どうしたのかな。」
暦「ふっ。千石、いい気になるなよ。お前にいいことを教えてやる。」
撫子「ん?なあに?」
暦「男ってのはなあ、恋人じゃなかろうと、可愛い女の子に工ッチなことをされると、欲情しちゃう生き物なんだよ!」
撫子「へー、じゃあ、試してみようかなあ。撫子の描いてる漫画みたいに」
暦「おい、お前、どこ、触って」
撫子「えー、なんでー。あ、今、工ッチな声出した。暦お兄ちゃん可愛いなあ。撫子、暦お兄ちゃん、だーいすき」
ドク
暦(おかしい。なんだこの気持ちは、、こんな、千石に。)
撫子「あれ、いま、すごい反応したけど、どうしたのかな。」
暦「ふっ。千石、いい気になるなよ。お前にいいことを教えてやる。」
撫子「ん?なあに?」
暦「男ってのはなあ、恋人じゃなかろうと、可愛い女の子に工ッチなことをされると、欲情しちゃう生き物なんだよ!」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 12:48:36.02 ID:EMHyvpK6O
撫子「ははは、暦お兄ちゃんは、やっぱかっこいいや。だけど、もうそんなこと言ってられないよ。薬には、力がなくなる効力があるからね。っていうか、いまの暦お兄ちゃんは、もう、きっと私より力ないんじゃない。クラピカとウヴォーさんみたいに。」
暦「待て、千石、その例えは、微妙だ。なぜなら、クラピカは」
撫子「うるさいよ、暦お兄ちゃん、あんまり言うと、ズボン脱がしちゃうよ」
暦「待て、千石、その例えは、微妙だ。なぜなら、クラピカは」
撫子「うるさいよ、暦お兄ちゃん、あんまり言うと、ズボン脱がしちゃうよ」
14: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 12:57:23.30 ID:EMHyvpK6O
暦「やめろ、千石」
撫子「ん?」
暦「僕は、夢みるDTだ」
撫子「さすがにそれは暦お兄ちゃんでも気持ち悪いよ」
暦「う、ちょっと傷つくな」
撫子「だから、罰として、ズボンおろしちゃいます。」
暦「お、おい、待て」
撫子「おい、暴れるな、ズボンが脱がせにくいだろうがってやつだね」
暦「まて、その言葉は、おまえ知らないはずだろ!そして、パンツだ!!」
撫子「もう、うるさいなあ。だって撫子なんにもは知らないもん。知ってることだけだもん」
暦「アレンジするな!」
撫子「ん?」
暦「僕は、夢みるDTだ」
撫子「さすがにそれは暦お兄ちゃんでも気持ち悪いよ」
暦「う、ちょっと傷つくな」
撫子「だから、罰として、ズボンおろしちゃいます。」
暦「お、おい、待て」
撫子「おい、暴れるな、ズボンが脱がせにくいだろうがってやつだね」
暦「まて、その言葉は、おまえ知らないはずだろ!そして、パンツだ!!」
撫子「もう、うるさいなあ。だって撫子なんにもは知らないもん。知ってることだけだもん」
暦「アレンジするな!」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 13:06:40.67 ID:EMHyvpK6O
撫子「ツッコミがいまいちなので、パンツも脱がしちゃいます。」
ビローン
撫子「暦お兄ちゃん態度は大きい割に、ここは、あんまり」
暦「おい、それ以上いうなよ」
撫子「えいっ、つんつん」
暦「おい、足で。しかも、擬音を口に出すな」
撫子「しゅっ、しゅっ」
撫子「あ。また、工ッチな声出して、暦お兄ちゃんは、こんな風に足で踏まれたりして喜んじゃうヘン夕イさんなんだあ」
ビローン
撫子「暦お兄ちゃん態度は大きい割に、ここは、あんまり」
暦「おい、それ以上いうなよ」
撫子「えいっ、つんつん」
暦「おい、足で。しかも、擬音を口に出すな」
撫子「しゅっ、しゅっ」
撫子「あ。また、工ッチな声出して、暦お兄ちゃんは、こんな風に足で踏まれたりして喜んじゃうヘン夕イさんなんだあ」
20: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 14:57:07.35 ID:AdgqxIfpO
撫子「暦兄ちゃんにチャンスをあげます。
ここで問題です。暦お兄ちゃんが大好きな女の子の名前は?」
暦「戦場ヶ原ひたぎだ」
撫子「かぷっ」
暦「おい、お前、」
撫子「ちゅぱちゅぱ」
暦「いや、それはさすがにまずいって、」
撫子「もう、撫子がせっかく都条例にひっかからないように、可愛い声で誤魔化してあげてるのに」
暦「やってることは完全にアウトだ。」
撫子「ん?ちゅぱちゅぱ」
暦「やめ」
撫子「ちゅぱちゅぱ」
撫子「それでは、次の問題です。私が大好きな人は誰でしょう?」
暦「さあな、僕にはわからないな」
撫子「あーあ。もう、怒っちゃった。あと、この部屋なんか暑いなあー(棒)、脱ぎ脱ぎしなきゃね」
暦「おい。お前」
撫子「ぬぎぬぎ、ぬぎぬぎ」
撫子「さあ、ここに、撫子の抜きだてのブラとパンツがあります。」
暦「ふっ。わかってないな。千石。僕は、そんな黒の下着なんかに興奮はしない。僕が興奮するのは純白の白だ!」
撫子「へー。じゃあ、いまの言葉信じるね。嘘ついたらだめなんだよー」
暦「ど、どういう意味だよ?」
ここで問題です。暦お兄ちゃんが大好きな女の子の名前は?」
暦「戦場ヶ原ひたぎだ」
撫子「かぷっ」
暦「おい、お前、」
撫子「ちゅぱちゅぱ」
暦「いや、それはさすがにまずいって、」
撫子「もう、撫子がせっかく都条例にひっかからないように、可愛い声で誤魔化してあげてるのに」
暦「やってることは完全にアウトだ。」
撫子「ん?ちゅぱちゅぱ」
暦「やめ」
撫子「ちゅぱちゅぱ」
撫子「それでは、次の問題です。私が大好きな人は誰でしょう?」
暦「さあな、僕にはわからないな」
撫子「あーあ。もう、怒っちゃった。あと、この部屋なんか暑いなあー(棒)、脱ぎ脱ぎしなきゃね」
暦「おい。お前」
撫子「ぬぎぬぎ、ぬぎぬぎ」
撫子「さあ、ここに、撫子の抜きだてのブラとパンツがあります。」
暦「ふっ。わかってないな。千石。僕は、そんな黒の下着なんかに興奮はしない。僕が興奮するのは純白の白だ!」
撫子「へー。じゃあ、いまの言葉信じるね。嘘ついたらだめなんだよー」
暦「ど、どういう意味だよ?」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 17:59:51.19 ID:I7ayiMwrO
撫子「あ、そうだ。ついでにストッキングもぬぎぬぎ。」
撫子「まず、この抜きだてブラで暦お兄ちゃんの目を隠します。落ちないように、ガムテープで止めるのがポイントです。」
暦「待て」
撫子「そして、次にストッキングをまいて、鼻を塞ぎます。そして、最後に私のお兄ちゃんのおかげで湿ってるパンツをお兄ちゃんの大事な部分にかぶせます。はい、できあがり」
暦(これは、相当にやばい。目隠しプレイってのもヤバいが、薬がおそらく抜群にきいてる、むちゃくちゃドキドキしてる。ヤバいってこれ!!)
撫子「仕上げは撫子の生足でこすりこすり」
暦「うっ」
撫子「あれ?どうしたの?」
暦「僕がこんなのに」
撫子「悔しい。でも、感じちゃうってやつだね!」
暦「それは、男女逆のリアクションだ!それに、まだ」
暦(あ……)
撫子「まだってなにかなー。まあ、撫子はこのまま我慢して、パンパンに膨れあがったそれを放置してあげるってのも悪くないんだけどねー。撫子も、もう我慢できないや。」
撫子「仕上げはやっぱり合体かなあ。ふふふ、暦お兄ちゃんと、やっとひとつになれるね。」
撫子「まず、この抜きだてブラで暦お兄ちゃんの目を隠します。落ちないように、ガムテープで止めるのがポイントです。」
暦「待て」
撫子「そして、次にストッキングをまいて、鼻を塞ぎます。そして、最後に私のお兄ちゃんのおかげで湿ってるパンツをお兄ちゃんの大事な部分にかぶせます。はい、できあがり」
暦(これは、相当にやばい。目隠しプレイってのもヤバいが、薬がおそらく抜群にきいてる、むちゃくちゃドキドキしてる。ヤバいってこれ!!)
撫子「仕上げは撫子の生足でこすりこすり」
暦「うっ」
撫子「あれ?どうしたの?」
暦「僕がこんなのに」
撫子「悔しい。でも、感じちゃうってやつだね!」
暦「それは、男女逆のリアクションだ!それに、まだ」
暦(あ……)
撫子「まだってなにかなー。まあ、撫子はこのまま我慢して、パンパンに膨れあがったそれを放置してあげるってのも悪くないんだけどねー。撫子も、もう我慢できないや。」
撫子「仕上げはやっぱり合体かなあ。ふふふ、暦お兄ちゃんと、やっとひとつになれるね。」
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 19:03:39.69 ID:I7ayiMwrO
ひたぎ「それは無理よ」
暦「戦場ヶ原!」
撫子「暦お兄ちゃん、え、、なんで……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
時は3時間程前に遡る。
僕は、千石に呼び出されて、千石の家にいこうとした時だった。
戦場ヶ原が電話がかかってきた。
戦場ヶ原「もしもし、阿良々木くん」
暦「お、戦場ヶ原か?どうした?」
戦場ヶ原「あなた、あのあの子の家に遊びにいくそうじゃない。」
暦「それがどうした?」
戦場ヶ原「いえ、なにかいやな予感がするのよ。だから、その子の家に行って1時間程したらメールをちょうだい。それを安全信号のようなものとみなすわ。」
暦「わかった。けど、さすがに大丈夫だと思うけどな」
戦場ヶ原「まあ、それでも、一応ね。じゃあ、切るわ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
千石の家に招待されて、
いつものなにげない馬鹿話をして一時間がすぎていた。
さすがに安心して、大丈夫だよ、とメールを送った30分後、僕は千石が出してくれた紅茶を飲み気を失った。
それから、冒頭のシーン。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
ひたぎ「最初のメールを見てから、電話したのにずっと出ないし、おかしいと思ったのよ。まあ、阿良々木君の家に妹の月火さんがいてくれて良かったわ。家の場所はわかったからね」
暦「良かった。安心したよ」
ひたぎ「で、そこの泥棒蛇さん」
撫子「ふふふ、でも、これで、このナイフを暦お兄ちゃんに刺せば、さすがにいまの暦お兄ちゃんなら、、え」
ドス
ひたぎ「あまりに、うるさいから気絶させちゃったわ。貝木の時に、あなたを監禁したときよりは手加減したつもりだったのだけど。多分、このへんに、あ、あったわ。おそらく、これがその鉄の鎖の鍵ね」
暦「ありがとう。戦場ヶ原がいなかったら、大変なことになっていたかもしれないからな」
ひたぎ「まあ、そうでもないんだけどね。その件に関しては、後でゆっくり聞かしてもらおうかしら。あと、その格好、なんとかしてくれる?」
暦「あれ、ヶ原さん、、ちょっと怖いなあ。どうしちゃったのかなあ」
ひたぎ「ふふふ、まあ、この子はもうじき起きると思うから服を着させて、ベッドに寝かしてあげましょ、さあ、帰るわよ」
暦「戦場ヶ原!」
撫子「暦お兄ちゃん、え、、なんで……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
時は3時間程前に遡る。
僕は、千石に呼び出されて、千石の家にいこうとした時だった。
戦場ヶ原が電話がかかってきた。
戦場ヶ原「もしもし、阿良々木くん」
暦「お、戦場ヶ原か?どうした?」
戦場ヶ原「あなた、あのあの子の家に遊びにいくそうじゃない。」
暦「それがどうした?」
戦場ヶ原「いえ、なにかいやな予感がするのよ。だから、その子の家に行って1時間程したらメールをちょうだい。それを安全信号のようなものとみなすわ。」
暦「わかった。けど、さすがに大丈夫だと思うけどな」
戦場ヶ原「まあ、それでも、一応ね。じゃあ、切るわ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~
千石の家に招待されて、
いつものなにげない馬鹿話をして一時間がすぎていた。
さすがに安心して、大丈夫だよ、とメールを送った30分後、僕は千石が出してくれた紅茶を飲み気を失った。
それから、冒頭のシーン。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
ひたぎ「最初のメールを見てから、電話したのにずっと出ないし、おかしいと思ったのよ。まあ、阿良々木君の家に妹の月火さんがいてくれて良かったわ。家の場所はわかったからね」
暦「良かった。安心したよ」
ひたぎ「で、そこの泥棒蛇さん」
撫子「ふふふ、でも、これで、このナイフを暦お兄ちゃんに刺せば、さすがにいまの暦お兄ちゃんなら、、え」
ドス
ひたぎ「あまりに、うるさいから気絶させちゃったわ。貝木の時に、あなたを監禁したときよりは手加減したつもりだったのだけど。多分、このへんに、あ、あったわ。おそらく、これがその鉄の鎖の鍵ね」
暦「ありがとう。戦場ヶ原がいなかったら、大変なことになっていたかもしれないからな」
ひたぎ「まあ、そうでもないんだけどね。その件に関しては、後でゆっくり聞かしてもらおうかしら。あと、その格好、なんとかしてくれる?」
暦「あれ、ヶ原さん、、ちょっと怖いなあ。どうしちゃったのかなあ」
ひたぎ「ふふふ、まあ、この子はもうじき起きると思うから服を着させて、ベッドに寝かしてあげましょ、さあ、帰るわよ」
28: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 19:18:20.93 ID:I7ayiMwrO
後日談というか、今回のオチ。
僕は、忍にどうして今回一度も
出てこなかったか聞いてみた。
興奮は感じとったが危険とかピンチは全く感じんかったから、の一言。
戦場ヶ原と僕はというと、
私の愛が足りなかったようね、
と言って、千石の以上にお仕置き(ご褒美)があったのは、また、別の話で。
たまには、こんな物語もあっていいのかもしれないな。
完
僕は、忍にどうして今回一度も
出てこなかったか聞いてみた。
興奮は感じとったが危険とかピンチは全く感じんかったから、の一言。
戦場ヶ原と僕はというと、
私の愛が足りなかったようね、
と言って、千石の以上にお仕置き(ご褒美)があったのは、また、別の話で。
たまには、こんな物語もあっていいのかもしれないな。
完
33: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 21:31:48.19 ID:ghK/YQ+pO
乙
もうちょい欲しいよね
もうちょい欲しいよね
34: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/04(日) 22:05:40.58 ID:emtaQbr0o
おつおつ
すごいよかったけど確かにもう少し長くてもいいんだぜ?
なでこのシーンを続けるとかガハラさんのお仕置きシーンを書くとか(ゲス顔)
すごいよかったけど確かにもう少し長くてもいいんだぜ?
なでこのシーンを続けるとかガハラさんのお仕置きシーンを書くとか(ゲス顔)
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/07(水) 13:26:48.04 ID:0CnEfaZfO
乙です
>>14この辺のやり取りは面白かった
>>14この辺のやり取りは面白かった
阿良々木「戦場ヶ原をフッてみる」
2020-01-13
6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/24(金) 23:31:10.57 ID:nM/XeAzX0
戦場ヶ原「あら阿良々木君、何をふざけたことを言ってやがるのかしら」
阿良々木「すまない戦場ヶ原」
戦場ヶ原「謝らないで。ところで何を言ったの」
阿良々木「僕と別れてくれないか」
戦場ヶ原「そう、細胞分裂したいのね。わかったは、チェンソーでいいかしら」
阿良々木「それは僕が真っ二つに分かれるってことだろうが!というかチェンソーがあるのか!?」
戦場ヶ原「コンビニに売っているわよ、知らないの」
阿良々木「少なくとも僕が行くようなコンビニにはない!」
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9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/24(金) 23:36:51.75 ID:nM/XeAzX0
阿良々木「戦場ヶ原、僕はお前のそういうところにもう付いていけないんだ」
戦場ヶ原「どういうところかはっきりと言いなさい。そういうところ、阿良々木君の悪いところよ」
阿良々木「ツン過ぎてデレが少ないところだよ!」
戦場ヶ原「大好きよ阿良々木君」
阿良々木「いきなりデレた!?」
戦場ヶ原「てへり、どう?」
阿良々木「かわいくないっ!いきなり頭をこつんとしてベロを出したところで無表情なお前ではかわいくないっ!」
戦場ヶ原「あら失礼ね。こんなに尽くす彼女は他にいないわ、そうこの宇宙のどこにも」
阿良々木「規模がでかい!!」
10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/24(金) 23:40:02.86 ID:nM/XeAzX0
戦場ヶ原「私のどこが悪いのかしら」
阿良々木「さっき言っただろ。僕はそう、もっと普通な恋人が欲しいんだ」
戦場ヶ原「普通とは何かしら。阿良々木君、あなたはもしかして自分の思う、考える全てが普通だとでも思っているの」
阿良々木「別にそうじゃない。でもな、眼球に鉛筆の先を突き立てられる彼氏の身にもなってみろ」
戦場ヶ原「不満かしら」
阿良々木「不満しかねぇよ」
戦場ヶ原「もっとハードなプレーがいいのね」
阿良々木「そうじゃない!!もっとソフトにしろ、むしろ優しくしろっ!!」
16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/24(金) 23:46:28.77 ID:nM/XeAzX0
戦場ヶ原「それよりも阿良々木君、わたしはうまいぼぉが食べたい気分」
阿良々木「露骨に話題を変えてきた!」
戦場ヶ原「私が好きなのは、お好み焼き味よ。知ってたかしら」
阿良々木「知らない!というかうまいぼぉの話題なんてした覚えがないんだが」
戦場ヶ原「そんな、うそ、知らないなんて……」
阿良々木「そこまでショックを受けることか?」
戦場ヶ原「いいえ、別にどうでもいいわ……でも、一番好きなのは阿良々木君よ」
阿良々木「キュンとこない!!無理やり過ぎる言葉運びで胸にキュンとこない!!」
戦場ヶ原「ねぇ、そんなことより」
阿良々木「そんなこともどんなこともない。戦場ヶ原、俺はお前とはいっしょに居られないんだ」
20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/24(金) 23:49:39.76 ID:nM/XeAzX0
戦場ヶ原「どうして、なぜ。本当に私には理解できないの」
阿良々木「なぁ戦場ヶ原。お前は本当に心当たりがないのか」
戦場ヶ原「ないわ」
阿良々木「即答かよっ!!」
戦場ヶ原「強いて言うなら……大丈夫よ阿良々木君。確かにあなたと比較すると、釣り合いが取れないのかもしれないけれど」
阿良々木「僕の容姿のことを言ってるんだな!?そうなんだな!?」
戦場ヶ原「体重の話しよ」
阿良々木「体重で釣り合う恋人ってどうなんだ!?」
24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/24(金) 23:53:52.51 ID:nM/XeAzX0
戦場ヶ原「……阿良々木君」
阿良々木「なんだよ」
戦場ヶ原「今夜は帰さないわよ」
阿良々木「かっこいいこと言った!?」
戦場ヶ原「ふふん」
阿良々木「……戦場ヶ原、どうすれば僕の話を聞いてくれるんだ?」
戦場ヶ原「そうね。キス、しましょう阿良々木君」
阿良々木「お、おい戦場ヶ原……いきなりそんな寄ってくるな……」
戦場ヶ原「どうしてかしら。私たちは恋人よ、キスくらいなら私にだってできるわ」
阿良々木「とりあえず落ち着け!」
戦場ヶ原「……」
27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/24(金) 23:56:32.48 ID:nM/XeAzX0
戦場ヶ原「仕方ないわ。今だけは言うことを聞いてあげる、感謝なさい阿良々木君」
阿良々木「あーありがとう戦場ヶ原っ!」
戦場ヶ原「なによその態度。割と本気で傷つくのだけれども」
阿良々木「すまん。確かに少し悪かった」
戦場ヶ原「じゃあもっと私を大切にしなさい」
阿良々木「はい、そうしま……じゃない!!」
戦場ヶ原「……ちっ」
阿良々木「いま舌打ちしたのか!?戦場ヶ原、恐ろしい子!!」
32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 00:00:02.82 ID:DpK0G6630
阿良々木「とにかく、別れないか僕ら」
戦場ヶ原「いやよ」
阿良々木「どうしてなんだ。自分で言うのもなんだが、僕みたいなさえない男は他にたくさん――」
戦場ヶ原「あなたはばかだったわね。阿良々木君ほどの男の子なんてそう居ないわ」
阿良々木「吸血鬼属性のことを言っているのか」
戦場ヶ原「鈍感もここまでくると凶器かしら。鈍器で殺害できるレベルね」
阿良々木「僕の鈍感さで人を殺してしまうのか!?」
戦場ヶ原「少なくとも」
阿良々木「否定しろよ!!」
33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 00:03:30.97 ID:DpK0G6630
阿良々木「そう、そこなんだ戦場ヶ原」
戦場ヶ原「そことはどこを指して言っているの。もしかして、いやだわ、厭らしい……」
阿良々木「やめて、そんなゴミを見るような目で机の上から見下さないで!!」
戦場ヶ原「もっと見下してあげる」
阿良々木「天井の柱にまで登るくらいか!?というか落ちたら危ない!!」
戦場ヶ原「心配してくれているのね、嬉しいわ」
阿良々木「誰だって心配する、降りてくるんだ戦場ヶ原」
戦場ヶ原「優しく受けてとめて」
阿良々木「飛び降りる予告をするな!」
34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 00:07:20.87 ID:DpK0G6630
阿良々木「とにかくだ戦場ヶ原。その僕を罵倒する数々の暴言が耐えられなくなってきたんだ」
戦場ヶ原「…………」
阿良々木「だから、別れよう。きっと僕らは上手くいかない」
戦場ヶ原「あら、目にゴミが入ったかしら。目薬を差してくるわ」
阿良々木「ああ、それくらいなら」
戦場ヶ原「いやよ、別れたくないわ」ウルウル
阿良々木「だから露骨すぎるぞ戦場ヶ原!?」
戦場ヶ原「女の涙は武器なのよ、知らなかったのね」
阿良々木「偽者の武器なんて通用するか」
戦場ヶ原「…ええ、偽者よ。でも阿良々木君にならもしかするとと思って」
阿良々木「その自信はどこから来るんだ!?」
36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 00:12:55.68 ID:DpK0G6630
阿良々木「別れよう、戦場ヶ原」
戦場ヶ原「これで5度目の別れ話です」
阿良々木「どこかの帰国子弟がボーカルのバンドグループの数字ばかりのタイトルの歌詞の一部を引用したような言い方をするな」
戦場ヶ原「私の答えは、いやよ」
阿良々木「……どうすれば別れてくれるんだ」
戦場ヶ原「阿良々木君と今別れてしまうと、きっと他の女の子達が黙っていないと思うの」
阿良々木「まさか。僕はモテない非実在的青少年だぞ」
戦場ヶ原「その鈍感さ、何度も言うけれど人を殺すわよ。少なくとも私が死にそう」
40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 00:17:41.81 ID:DpK0G6630
戦場ヶ原「逆に問いかけるわ。どうすれば別れないで済むのかしら」
阿良々木「残念ながらその選択枝はどこにもない」
戦場ヶ原「待っていればバッドエンドを回避できるっていう」
阿良々木「そんな都合のいい展開はない」
戦場ヶ原「ご都合主義って知っているかしら阿良々木君」
阿良々木「真に残念だがこれは現実だ。ジャプの週刊誌の主人公のような展開は用意されていない」
戦場ヶ原「なら私は私なりの方法で阿良々木君を引き止めるしかないのね」
阿良々木「お前はどうしてそこまで意固地になっているんだ」
戦場ヶ原「あなたが好きだから」
阿良々木「……」
戦場ヶ原「キュンとしたかしら」
阿良々木「認めたくないが、認めるしかない……」
41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 00:22:17.10 ID:DpK0G6630
戦場ヶ原「そう」
阿良々木「しかしだ、これはあくまでも数字にすると1キュンだ。今までの数え切れないツンに比べると些細なものでしかない」
戦場ヶ原「でも阿良々木君、考えてもみて欲しいの。私と別れるということはこのキュンを味わうことができなくなってしまうのよ」
阿良々木「キュンを頂く前にお前の暴言に僕が潰されてしまいそうだ」
戦場ヶ原「大丈夫、工作なら得意よ」
阿良々木「そういう問題じゃねぇ!というか僕の心はもっと繊細だ!」
戦場ヶ原「何を言っているのかしら、あなたの肉体の話をしているのよ」
阿良々木「暴言だけで潰れる僕の肉体!工作程度で治されてしまう僕の肉体ってなんなんだ!!」
43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 00:27:00.65 ID:DpK0G6630
戦場ヶ原「……えと」
阿良々木「そろそろ僕は帰りたいのだが」
戦場ヶ原「何を言っているの阿良々木君。まだ話しは終わっていないのよ」
阿良々木「二人の関係はもう終わりそうだけどな」
戦場ヶ原「お願い、待って、もう少しだけでも話しをしましょう」
阿良々木「……」
戦場ヶ原「お願い……します、阿良々木君」
阿良々木「お前のそんな顔、初めて見た」
戦場ヶ原「それもそうよ。なんだか、今行かせてしまうと、もう元の関係には戻れない気がするのよ」
阿良々木「……わかったよ戦場ヶ原。でも、家に電話くらいはさせてくれ。もう夜中に差し掛かる時間帯だ」
戦場ヶ原「わかったわ」
46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 00:32:06.30 ID:DpK0G6630
阿良々木「電話をしてきた。火憐ちゃんがすごく怒ってた」
戦場ヶ原「……どうかしら」
阿良々木「っておい戦場ヶ原!なんでお前下着姿になってんだ!」
戦場ヶ原「腹を割って話しましょう阿良々木君」
阿良々木「だからって腹を見せる必要はない!風邪を引かれたら困るから、早く服を着てくれ!」
戦場ヶ原「本当にそれでいいのかしら。女の子の下着姿なんてそう易々と見られるものでもないと思うのだけど」
阿良々木「……服を着るんだ戦場ヶ原。それだとマジメな話しができないだろ」
戦場ヶ原「わかったわ阿良々木君。だからそう怒らないで欲しいの」
阿良々木「ああ。ってどうしてパジャマなんだ!?」
戦場ヶ原「もう布団も敷いてあるわ」
阿良々木「既成事実を作ろうとしている!」
48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 00:37:12.98 ID:DpK0G6630
戦場ヶ原「ねぇ阿良々木君、今日はどんな日だったかしら」
阿良々木「お昼過ぎに待ち合わせして、買い物行って」
戦場ヶ原「あまり面白くなかった映画を見て、晩御飯をいっしょに食べたわ」
阿良々木「普通のデートだな、客観的には」
戦場ヶ原「阿良々木君とのデート、すごく楽しかったわ」
阿良々木「その間、遅刻もしていないのに遅刻扱いにされ、買い物では我侭を言われ、ポップコーンは思わせぶりなあーんだけだった」
戦場ヶ原「え」
阿良々木「晩御飯なんて、僕が作ったのに美味しいとも言ってくれなかった」
戦場ヶ原「それは全部照れていたのよ、理解して」
阿良々木「いま素直になられても信用できないぞ戦場ヶ原」
戦場ヶ原「いま素直にならないと、阿良々木君を手放してしまいそうだからよ」
52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 00:42:47.26 ID:DpK0G6630
阿良々木「もう僕はお前がわからないんだ。だから僕はお前といっしょに居ても」
戦場ヶ原「それ以上言うと、ホッチキスで口内を刺すことになるのだけど」
阿良々木「はは、そういえば最初もそんな出会いだった気がする」
戦場ヶ原「ふふふ、ええ、そうだったわ」
阿良々木「……」
戦場ヶ原「……」
阿良々木「なぁ」
戦場ヶ原「いや、別れるなんて絶対にいや。もしそうなると、私はあなたを殺すしかない」
阿良々木「神原でも殺し切れない僕をどうやって殺すんだ」
戦場ヶ原「一生かけてでも殺してみせるわ」
阿良々木「まるでストーカーみたいだな」
戦場ヶ原「いいえ、スナイパーよ」
阿良々木「命の危機がより高まった!」
53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 00:49:34.04 ID:DpK0G6630
阿良々木「……」
戦場ヶ原「ココアでも入れましょうか」
阿良々木「いいや結構だ」
戦場ヶ原「そう……」
阿良々木「……せんじょう」
戦場ヶ原「じゃあトランプをしましょう阿良々木君」
阿良々木「そんな空気じゃないと僕は思う」
戦場ヶ原「……そう」
阿良々木「いつまで話題を反らすつもりなんだ戦場ヶ原」
戦場ヶ原「いつになく強気ね」
阿良々木「お前を相手にしているんだからな。これくらい強気にならないと話しができない」
戦場ヶ原「買い被られたものね。私だったその辺りにいる普通の女の子なのよ」
55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 00:55:37.21 ID:DpK0G6630
戦場ヶ原「今だって必死にあなたを引き止める術を考えているの」
阿良々木「……」
戦場ヶ原「素直じゃない、ひねくれた私がだめかしら。それとも、ツンばかりで暴言が多い私がだめなのかしら」
阿良々木「それは」
戦場ヶ原「両方とも、よね。いいえ、もしかすると、もっと何かがあるのかもしれない」
阿良々木「……」
戦場ヶ原「我侭なところ? めんどくさいメンヘラ女なところ? ねぇ、お願い、教えて……下さい……」
阿良々木「いろいろと理由はあるんだが、最大の理由はお前がもう信じられないんだ」
戦場ヶ原「阿良々木君に嘘を言ったことなんてないわ」
阿良々木「そうかもしれない。いや実際にはお前の言う通りだ。僕はお前に嘘をつかれたことがない。でも、だからこそ、罵倒や暴言も事実と受け止めたとき、お前の愛が信じられない」
戦場ヶ原「そんな」
阿良々木「何でも言おう、改めて言わせてもらう。別れよう、戦場ヶ原」
60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 00:59:02.40 ID:DpK0G6630
戦場ヶ原「……目薬を差してきます」
阿良々木「また目にゴミが入ったのか」
戦場ヶ原「……」
阿良々木「おい、少し目薬やりすぎじゃないのか」
戦場ヶ原「黙りなさい。あまりに大きなゴミが入ってしまったせいで」
阿良々木「……戦場ヶ原?」
戦場ヶ原「だめ、ゴミが取れないの。目薬が足りないなんて初めての経験ね」
阿良々木「もう止めろ。逆に目に悪いっ!」
戦場ヶ原「なっ!? 離しなさい阿良々木君っ!」
66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 01:06:03.10 ID:DpK0G6630
阿良々木「もしかして、泣いているのか?」
戦場ヶ原「……目にゴミが入っただけ、何度も言わせないで」
阿良々木「だが」
戦場ヶ原「離しなさいっ! もう、これ以上惨めな思いをさせないで、私を見ないで」
阿良々木「……」
戦場ヶ原「お願い阿良々木君、本当にお願い。私と別れるなんて言わないで」
阿良々木「……無理だ。お前の涙を見ても、それが本当なのかどうかさえ解らない」
戦場ヶ原「私が解らないというなら、それなら少しづつ私を教えてあげるから」
阿良々木「……」
戦場ヶ原「私の好きな食べ物も、ブランドも、本も、趣味も、なにもかも教えるから。好みが合わないというならあなたに合わせる。あなたが好むものがあるなら、願うものがあるなら精一杯叶えてみせる手に入れてみせる」
阿良々木「……僕が欲しいのはそういうものじゃない」
戦場ヶ原「……初めて、今までで初めて阿良々木君が解らなくなってきた」
67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 01:10:06.26 ID:DpK0G6630
戦場ヶ原「……阿良々木君」
阿良々木「どうした戦場ヶ原、僕の手を掴んでどうするつもりなんだ」
戦場ヶ原「……」
阿良々木「戦場ヶ原! どうして胸に持っていく必要がある!」
戦場ヶ原「……ねぇ阿良々木君、私の胸、鼓動が激しいのわかるかしら」
阿良々木「……」
戦場ヶ原「今日は、最初のうちは大好きな阿良々木君とのデートで胸が高鳴っていたわ。でも今は…、あなたと別れるのが怖くてこんな風になってしまったの」
阿良々木「戦場ヶ原……」
戦場ヶ原「お願い阿良々木君、もう一度だけチャンスを下さい。あなたが望むものを与えられるように努力する……」
阿良々木「……」
戦場ヶ原「……阿良々木君」
94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 01:17:41.11 ID:DpK0G6630
阿良々木「別れよう」
戦場ヶ原「……」
阿良々木「もう、戦場ヶ原も解っているだろ。もとには戻れない」
戦場ヶ原「……」
阿良々木「今までありがとうな、こんな冴えない奴を好きになってくれて」
戦場ヶ原「……」
阿良々木「……離してくれないだろうか」
戦場ヶ原「……や、よ」
阿良々木「……戦場ヶ原?」
100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 01:22:13.58 ID:DpK0G6630
戦場ヶ原「いや、いやに決まってるわ……うぅっ……」
阿良々木「で、でもだな」
戦場ヶ原「だってこんなの……私が一方的に悪いみたいで……ひっく……でも、じ、実際には……私が……」
阿良々木「ごめんな」
戦場ヶ原「謝らないで……うぅ、ひっく……阿良々木君は悪くない……から……」
阿良々木「……もう、お互い辛いだけだと思うんだよ」
戦場ヶ原「いやぁっ……おねがいです、おねがいします……おねがいだからぁ……ひっ、うぅぅ……あぁ」」
阿良々木「……」
戦場ヶ原「好きなの、あなたが好きで、あなたに会えるだけで毎日幸せで、それだけでいいの……」
108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 01:26:53.88 ID:DpK0G6630
阿良々木「……もうやめよう戦場ヶ原」
戦場ヶ原「―――っ!!!」
阿良々木「さよならだよ」
戦場ヶ原「いやっ、おねがい、行かないで!」
阿良々木「でも安心しろ、当分は誰かと付き合ったりはしないからさ」
戦場ヶ原「そうじゃないっ!! わたしが、わたしが阿良々木君の隣にいられないなら、それなら……」
阿良々木「……ああ、そうだよな」
戦場ヶ原「……あなたを殺すわ」
阿良々木「はは、まさかカッターナイフで……元カノに腹を……引き裂かれるなんてな…………」
118: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 01:30:23.61 ID:DpK0G6630
戦場ヶ原「……」
阿良々木「……」
戦場ヶ原「……うぅ、あああ……ぁぁ、ひっく……うぅうぅう」
阿良々木「ごめんな、この程度じゃ死なないんだよ僕は」
戦場ヶ原「……いいえ、死んだわ……わたしが好きだった阿良々木暦は死んだ、死んでしまったから……」
阿良々木「……そうか」
戦場ヶ原「もう帰って……ゾンビは怖いわ……」
阿良々木「ああ、帰るよ。戦場ヶ原」
戦場ヶ原「……さようなら」
阿良々木「……さようなら」
happy end
130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 01:35:01.75 ID:DpK0G6630
>>108から
阿良々木「……もうやめよう戦場ヶ原」
戦場ヶ原「―――っ!!!」
阿良々木「さよならだよ」
戦場ヶ原「いやっ、おねがい、行かないで!」
阿良々木「でも安心しろ、当分は誰かと付き合ったりはしないからさ」
戦場ヶ原「そうじゃないっ!! わたしが、わたしが阿良々木君の隣にいられないなら、それなら……」
阿良々木「……ああ、そうだよな」
戦場ヶ原「……あなたを殺すわ」
阿良々木「…………」
阿良々木「……もうやめよう戦場ヶ原」
戦場ヶ原「―――っ!!!」
阿良々木「さよならだよ」
戦場ヶ原「いやっ、おねがい、行かないで!」
阿良々木「でも安心しろ、当分は誰かと付き合ったりはしないからさ」
戦場ヶ原「そうじゃないっ!! わたしが、わたしが阿良々木君の隣にいられないなら、それなら……」
阿良々木「……ああ、そうだよな」
戦場ヶ原「……あなたを殺すわ」
阿良々木「…………」
136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 01:37:44.32 ID:DpK0G6630
戦場ヶ原「……」
阿良々木「……」
戦場ヶ原「……」
阿良々木「……なぁ、僕はてっきり刺されるかと思っていたんだが」
戦場ヶ原「ふふ、そんなこと……できるはずないわ……ばか」
阿良々木「どうしてなんだ戦場ヶ原」
戦場ヶ原「いい加減に理解しなさい。私は阿良々木君が好き、愛しているの、傷付けたくなんてないの」
阿良々木「戦場ヶ原?」
139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 01:42:22.17 ID:DpK0G6630
戦場ヶ原「きっとこのカッターナイフで刺してしまうと、阿良々木君の心まで傷つけてしまいそうだと思ったのよ」
阿良々木「……」
戦場ヶ原「阿良々木君はお人よしで優しいから、きっと私の全部を受け入れてくれるから。このカッターナイフだってきっと真っ直ぐ受け入れてしまうわ」
阿良々木「……戦場ヶ原」
戦場ヶ原「そうして私の失恋をまっすぐ受け入れてしまって、自分ばっかり背負い込んで……」
阿良々木「それこそ僕を買いかぶり過ぎだ」
戦場ヶ原「……ねぇ阿良々木君、どうして私と別れたいって思ったのかしら」
阿良々木「だからそれは何度も言っているだろう。お前の暴言とか」
戦場ヶ原「嘘はよくないわ阿良々木君」
140: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 01:46:43.71 ID:DpK0G6630
戦場ヶ原「あなたはわたしを甘く見ているのね。私は、阿良々木ストーカーなのよ、あなたの知らないことなんて何一つないわ」
阿良々木「それは違うな戦場ヶ原。僕は素直な気持ちでお前と別れようと思ったんだ」
戦場ヶ原「……いいえ違うわ。そんなの、阿良々木君が言うような言葉ではないもの」
阿良々木「……」
戦場ヶ原「何が怖いのかしら。本音を言う事?それとも、自分のこと?」
阿良々木「だからっ!」
戦場ヶ原「正直に話してちょうだい」
阿良々木「それは命令なのか?」
戦場ヶ原「お願いよ。私の命を懸けてもいい」
阿良々木「……」
142: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 01:48:57.59 ID:DpK0G6630
阿良々木「どうしてそんなことに命を懸けられるんだお前は」
戦場ヶ原「それはね、あなたを誰よりも、何よりも信じているからよ」
阿良々木「……」
戦場ヶ原「別に阿良々木君は気にしなくていいわ。遺書には彼氏にふられて自殺しましたって書くもの」
阿良々木「はは。それだと僕に対する世間の目が厳しくなってしまうな」
戦場ヶ原「そうなりたくなかったら、正直に理由を話しなさい」
阿良々木「……わかったよ、言うよ」
144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 01:51:20.49 ID:DpK0G6630
阿良々木「実は僕はすごく怖がりだ」
戦場ヶ原「そうなの」
阿良々木「そして自分のことばかり考えている最低な奴だ」
戦場ヶ原「私ほどではないけど?」
阿良々木「あはは。あとさ、僕って吸血鬼属性だろ」
戦場ヶ原「ええそうね」
阿良々木「……きっと、あと数百年以上は生きるだろう」
戦場ヶ原「……」
148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 01:54:54.74 ID:DpK0G6630
阿良々木「そうするとさ、きっと将来、周りには誰もいないんだよ」
戦場ヶ原「……ええ」
阿良々木「もちろんお前もだ。羽川も神原も千石も、八九寺だってどうなるかわからない」
戦場ヶ原「そうね」
阿良々木「妹たちや、僕の両親もいない」
戦場ヶ原「ええ」
阿良々木「そして何よりも苦痛なのは、お前がいなくなることなんだ」
戦場ヶ原「……」
152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 01:59:23.50 ID:DpK0G6630
阿良々木「これ以上さ、お前を好きなると……別れが怖いんだよ」
戦場ヶ原「……阿良々木君」
阿良々木「きっと、生きている限りはお前を忘れられない。記憶だって色あせさせない自信がある。今までだって、お前との思い出は大事にしてある」
戦場ヶ原「やばい、かっこよすぎ……」
阿良々木「だからって、僕は将来自殺をする訳にもいかない。僕一人の命じゃないから」
戦場ヶ原「……」
阿良々木「だから、これ以上お前を好きになる前に、別れてしまえばって……はは、本当に僕って最低な奴だ、臆病者だな」
戦場ヶ原「そうね、その通りだわ」
阿良々木「ああ、そうだ……」
158: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 02:03:43.67 ID:DpK0G6630
阿良々木「これでわかっただろ。僕がお前と別れたい理由をさ」
戦場ヶ原「わかったわ」
阿良々木「じゃあ、これでさよならだ」
戦場ヶ原「あなたは何を言っているのかしら?」
阿良々木「……は?」
戦場ヶ原「そんなあなたの身勝手な理由で別れるとでも思っているのかしら。このど低脳は本当にどうしようもないわ。あなた本当に人間?」
阿良々木「いや、吸血鬼だ。というか突然元気になったな戦場ヶ原……」
戦場ヶ原「元気じゃないわ。というかこれは照れ隠し」
阿良々木「はぁ?」
戦場ヶ原「そんな、数百年先の未来まで続く愛の告白を受けて喜ばない女なんていないわ。少なくとも私は嬉しいと思うけれど」
阿良々木「……お前って本当に変わっているよな」
160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 02:07:47.19 ID:DpK0G6630
戦場ヶ原「それに、これで二度目よ。あなたの前で泣いてしまったの」
阿良々木「確かに」
戦場ヶ原「一度目はまぁいいとしましょう。でも、今回のは許せない。忘れなさい、私が泣いてしまったこと」
阿良々木「なんでだよ」
戦場ヶ原「……私は普通の人間だもの、あと70年くらいすれば死ぬかもしれない」
阿良々木「……」
戦場ヶ原「だから、私の残りの人生において、あなたの前だけでは笑顔であり続けるわ」
阿良々木「どうしてだよ」
戦場ヶ原「そうすれば、あなたは私と過ごした幸せな記憶を胸に抱いて生きていけるじゃない」
阿良々木「……戦場ヶ原」
戦場ヶ原「悔しいかしら。一度は泣かしたはずの女が、常に笑顔でしか思い出せなくなってしまうなんて」
阿良々木「……ああ、悔しいさ!」
164: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 02:11:25.77 ID:DpK0G6630
戦場ヶ原「だから阿良々木君、わたしと今別れるなんて言わないで頂戴」
阿良々木「戦場ヶ原、お前」
戦場ヶ原「私が死んでしまった先でも、私を思い出す度に幸せな気持ちになれるように呪いをかける必要があるんだもの」
阿良々木「……そうか、俺は呪われる必要があるんだな」
戦場ヶ原「ええそうよ、その通りよ。だから、これからもずっと宜しくお願いするわ」
阿良々木「そこまで言われてしまったら、僕も言い返すことができなくなるな。ああ、よろしく。死が二人を分かつそのときまで」
169: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 02:13:52.97 ID:DpK0G6630
―――――
――――――――・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
~~~数百年後~~~
忍「カカ、お前様、どうしたんじゃ? 空ばかり見上げてにやにやしおって」
暦「ああ、昔のことを思い出していたんだよ」
fin
170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 02:14:30.24 ID:5314hu6Q0
乙、面白かった
178: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 02:16:18.86 ID:nBLpCCbYO
斎藤さん神谷さん脳内再生余裕
177: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/02/25(土) 02:16:09.58 ID:g04403fM0
乙
いいバッドエンドだった
でもアララギさんの生き方は死に急いでるよな、体質込みでも長生きできる気がしない
いいバッドエンドだった
でもアララギさんの生き方は死に急いでるよな、体質込みでも長生きできる気がしない
183: PRまーみん ◆DQBsFF3IrQ 2012/02/25(土) 02:18:03.80 ID:W4ETxOt1O
乙でした
ガハラさんの色んな一面が見れて可愛くて仕方なかったよ
また書いてね
ガハラさんの色んな一面が見れて可愛くて仕方なかったよ
また書いてね
引用元: 阿良々木「戦場ヶ原をフッてみる」
「翼物語」?もしもあららぎくんが私の恋人だったら?
2019-12-09
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/25(日) 23:00:56.49 ID:TLyNfEfkO
もし、?だったら。
人は願いをこめて、そう言うことがある。
この物語は私の願いが、
秘めた想いが、
形になったもの。
もし、私があららぎくんの恋人だったら。
きっと……それは……
翼物語 開幕
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1422194456
人は願いをこめて、そう言うことがある。
この物語は私の願いが、
秘めた想いが、
形になったもの。
もし、私があららぎくんの恋人だったら。
きっと……それは……
翼物語 開幕
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1422194456
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2: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/25(日) 23:08:56.16 ID:TLyNfEfkO
暦「なあ、月火ちゃん、それはどうなんだろうか?やっぱり僕はHさんのことが好きなんだろうか?」
月火「どうなんだろうね。でも、お兄ちゃんが一番、その人の胸をサワリタイって思うんなら、恋なのかもね」
月火「試しに私のでも触ってみる?」
暦「いや、そんな胸に興味はない」
月火「もう、そりゃそうだよー」
暦「えい」
月火「いや、いまなんで揉んだの」
暦「油断させてみた」
月火「たしかに油断してた」
暦「でも、やっぱりHさんのおᘄぱいに比べたら全くドキドキしないな」
月火「してたらドン引きだよ、もう下らない話するなら、私部屋もどるよ」
暦「ありがとな」
暦(羽川翼……か……)
月火「どうなんだろうね。でも、お兄ちゃんが一番、その人の胸をサワリタイって思うんなら、恋なのかもね」
月火「試しに私のでも触ってみる?」
暦「いや、そんな胸に興味はない」
月火「もう、そりゃそうだよー」
暦「えい」
月火「いや、いまなんで揉んだの」
暦「油断させてみた」
月火「たしかに油断してた」
暦「でも、やっぱりHさんのおᘄぱいに比べたら全くドキドキしないな」
月火「してたらドン引きだよ、もう下らない話するなら、私部屋もどるよ」
暦「ありがとな」
暦(羽川翼……か……)
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/25(日) 23:20:35.19 ID:TLyNfEfkO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ひたぎ「私、あなたのことが好きよ」
暦「ごめん、僕には好きな人がいるんだ」
ひたぎ「それは誰?と聞いてもいいかしら」
暦「羽川だよ。羽川翼」
ひたぎ「そう……」
暦「戦場ヶ原」
ひたぎ「もう、冗談に決まってるじゃない」
「だって、そんな、私が、、だって」
暦「ごめんな、戦場ヶ原」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
月火「お兄ちゃん大丈夫?」
暦「おはよう、月火」
月火「うなされてたよ、ごめんなって」
暦「そうか、ごめんな」
月火「あんまり無理しないでね」
暦「ああ」
ひたぎ「私、あなたのことが好きよ」
暦「ごめん、僕には好きな人がいるんだ」
ひたぎ「それは誰?と聞いてもいいかしら」
暦「羽川だよ。羽川翼」
ひたぎ「そう……」
暦「戦場ヶ原」
ひたぎ「もう、冗談に決まってるじゃない」
「だって、そんな、私が、、だって」
暦「ごめんな、戦場ヶ原」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
月火「お兄ちゃん大丈夫?」
暦「おはよう、月火」
月火「うなされてたよ、ごめんなって」
暦「そうか、ごめんな」
月火「あんまり無理しないでね」
暦「ああ」
4: 月火「お兄ちゃん大好き」火憐「私のほうがな」 2015/01/25(日) 23:26:26.99 ID:TLyNfEfkO
暦(なんでこうなった………)
5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/25(日) 23:40:22.28 ID:TLyNfEfkO
ひたぎ「羽川さん」
翼「どうしたの?」
ひたぎ「ちょっと恋バナしない?」
翼「うん、わかった」
ひたぎ「あなた、あららぎ君のことすき?」
翼「急になにいいだすの?」
「わたしがあららぎくんなんて、私は、」
ひたぎ「ムリに言いたくないなら言わなくてもいいわ、ただ、あららぎ君は本気よ」
翼「そんな私なんかを」
ひたぎ「本当は気づいてるんでしょ」
翼「……」
ひたぎ「ふふ、乙女の顔してるわよ」
翼「もう//// 」
ひたぎ「ちなみにどこが好きなの」
翼「優しいとこ、可愛いとこ、いざってとき頼りになって、王子様みたいなとこ」
ひたぎ「合格ね。あなたにならあららぎくんをとられてもかなないわ」
翼「ありがとう、戦場ヶ原さん」
翼「どうしたの?」
ひたぎ「ちょっと恋バナしない?」
翼「うん、わかった」
ひたぎ「あなた、あららぎ君のことすき?」
翼「急になにいいだすの?」
「わたしがあららぎくんなんて、私は、」
ひたぎ「ムリに言いたくないなら言わなくてもいいわ、ただ、あららぎ君は本気よ」
翼「そんな私なんかを」
ひたぎ「本当は気づいてるんでしょ」
翼「……」
ひたぎ「ふふ、乙女の顔してるわよ」
翼「もう//// 」
ひたぎ「ちなみにどこが好きなの」
翼「優しいとこ、可愛いとこ、いざってとき頼りになって、王子様みたいなとこ」
ひたぎ「合格ね。あなたにならあららぎくんをとられてもかなないわ」
翼「ありがとう、戦場ヶ原さん」
6: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/26(月) 06:44:47.97 ID:lFEOx8Y/O
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ひたぎ「で、どうするの?」
翼「なにが?」
ひたぎ「告白のことに決まってるじゃない」
翼「え、、私から言うの?」
ひたぎ「あのおとこは、鈍いのかわざと鈍いふりをしているのかわからないけど、ストレートにいかないとだめよ」
翼「わかった。でも、やっぱり告白するなら、ロマンチックな感じがいいなあ」
ひたぎ「まあ、そのあたりはあなたに任せるわ。頑張ってね」
翼「うん」
ひたぎ「で、どうするの?」
翼「なにが?」
ひたぎ「告白のことに決まってるじゃない」
翼「え、、私から言うの?」
ひたぎ「あのおとこは、鈍いのかわざと鈍いふりをしているのかわからないけど、ストレートにいかないとだめよ」
翼「わかった。でも、やっぱり告白するなら、ロマンチックな感じがいいなあ」
ひたぎ「まあ、そのあたりはあなたに任せるわ。頑張ってね」
翼「うん」
8: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/26(月) 14:35:25.84 ID:lFEOx8Y/O
翼「でも、どうして応援してくれるの?」
ひたぎ「あなた以上にあららぎくんにふさわしい人間はいないと思うもの。それが本心よ」
翼「……」
ひたぎ「なにか失礼なこと考えてない?」
翼「いや、てっきりなにかうらでもあるのかと」
ひたぎ「あなた以上にあららぎくんにふさわしい人間はいないと思うもの。それが本心よ」
翼「……」
ひたぎ「なにか失礼なこと考えてない?」
翼「いや、てっきりなにかうらでもあるのかと」
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/26(月) 15:16:06.73 ID:lFEOx8Y/O
戦場ヶ原「あなたじゃなかったら、奪いとってでも、私に心を向かせるわ」
翼「そっか。ありがと」
戦場ヶ原「ただ、あのブラコンたちには
気を付けたほうがいいかもね」
翼「まあ、それも恋人になれたらの話なんだけどね」
戦場ヶ原「大丈夫よ、羽川さんなら」
翼「そっか。ありがと」
戦場ヶ原「ただ、あのブラコンたちには
気を付けたほうがいいかもね」
翼「まあ、それも恋人になれたらの話なんだけどね」
戦場ヶ原「大丈夫よ、羽川さんなら」
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/27(火) 06:36:43.84 ID:gkF5IoATO
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
暦「羽川!!!!」
翼「あららぎくん……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
暦(なんだ………夢か。最近よくこの夢をみる。羽川が僕の前から姿を消す。死んでしまったり、消えしまったり、とにかくいなくなってしまう夢。羽川を意識するようになってからだ)
暦(いつからだろう、羽川を好きになったのは。羽川を助けたいと思うようになったのは。羽川を僕のことをどう思っているんだろう。)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
翼(戦場ヶ原さんはきっと弱い私を押してくれたんだと思う。だからこそ精一杯答えなきゃいけない。戦場ヶ原さんに対してもあららぎに対しても)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あららぎくんへ
昼休みが始まったら屋上へきてください
私はあららぎ君の机にその手紙をいれた
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
暦「羽川!!!!」
翼「あららぎくん……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
暦(なんだ………夢か。最近よくこの夢をみる。羽川が僕の前から姿を消す。死んでしまったり、消えしまったり、とにかくいなくなってしまう夢。羽川を意識するようになってからだ)
暦(いつからだろう、羽川を好きになったのは。羽川を助けたいと思うようになったのは。羽川を僕のことをどう思っているんだろう。)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
翼(戦場ヶ原さんはきっと弱い私を押してくれたんだと思う。だからこそ精一杯答えなきゃいけない。戦場ヶ原さんに対してもあららぎに対しても)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
あららぎくんへ
昼休みが始まったら屋上へきてください
私はあららぎ君の机にその手紙をいれた
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/27(火) 06:58:20.15 ID:gkF5IoATO
暦「僕があの手紙に気づかなかったらどうするつもりだったんだ?」
羽川「気づいてくれると思ったよ。だって、あららぎくんだもん」
暦「………。」
羽川「あららぎくんのこと好きだよ」
暦「え」
羽川「戦場ヶ原さんにもとられたくない、誰にもとられたくない」
暦「羽川………」
羽川「私、意外に嫉妬深いみたい」
暦「そうか………」
羽川「ここで少し考えさせてくれなんて言わないでね」
暦「それはわかってるよ。いまでも、ずいぶんかっこわるいしね、男として」
羽川「気づいてくれると思ったよ。だって、あららぎくんだもん」
暦「………。」
羽川「あららぎくんのこと好きだよ」
暦「え」
羽川「戦場ヶ原さんにもとられたくない、誰にもとられたくない」
暦「羽川………」
羽川「私、意外に嫉妬深いみたい」
暦「そうか………」
羽川「ここで少し考えさせてくれなんて言わないでね」
暦「それはわかってるよ。いまでも、ずいぶんかっこわるいしね、男として」
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/28(水) 06:45:24.39 ID:wN0lRT+9O
暦「僕でいいのか」
翼「うん」
暦「羽川、僕の彼女になってくれないか?」
翼「………。はい」
翼「でもあららぎくん、ほっといたらすぐほかのこのとこいっちゃいそうだから。気を付けなきゃ。」
暦「信用されてないな」
翼「ずっと私だけみてね」
暦「ああ」
翼「そばにいてね」
暦「ああ」
翼「恋人になってくれてありがとう」
暦「僕の方こそ」
翼「ありがとう」
一部 完
翼「うん」
暦「羽川、僕の彼女になってくれないか?」
翼「………。はい」
翼「でもあららぎくん、ほっといたらすぐほかのこのとこいっちゃいそうだから。気を付けなきゃ。」
暦「信用されてないな」
翼「ずっと私だけみてね」
暦「ああ」
翼「そばにいてね」
暦「ああ」
翼「恋人になってくれてありがとう」
暦「僕の方こそ」
翼「ありがとう」
一部 完
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/28(水) 07:06:17.92 ID:wN0lRT+9O
《おうちデート 翼編》
暦「なあ。なんか怒ってないか?」
翼「なにいってんの?あららぎくん。ついに日本語がしゃべれなくなったの?」
暦「ひど!ってか、なんでそんな戦場ヶ原チックなんだよ。ちょっとびっくりしたわ。完全に怒ってんだろ」
翼「あららぎくんみたいな彼女に優しくない下等生物に怒ったりするわけないじゃない」
暦(なんかいいなあ。羽川の毒舌も)
暦「下等生物って。羽川の口からでるとは思わなかったよ」
翼「………。ごめんなしゃい」
翼「ごめんなさい」
暦(ちゃんと謝るとこは可愛いな。しかも、ちょっと焦ってるし)
暦「ごめんな。なにがあったのか教えてくれよ」
翼「電話」
暦「羽川さん?」
翼「どうして1回も電話もめーるもないの!?」
暦「え?なんのはなし?」
翼「あららぎくんからの、電話とかメールがほしいなあ………って」
暦「なんだそんなことか」
翼「………」
暦「ごめんって。明日から毎日時間できたらちょっとでも、電話するから」
翼「明日?」
暦「今日からでした」
翼「よろしい」
暦(………)
翼「あ、いま、面倒くさいって思った?」
暦「思ってないって。でも、羽川、彼女になると違うんだな」
翼「それだけあららぎくんが好きなんだよ」
暦「そっか//// 」
翼「あ、照れてる?」
暦「まあ、僕のが好きだけどね」
翼「//// 帰る//// 」
暦「送ってくよ」
翼「うん//// 」
《完》
暦「なあ。なんか怒ってないか?」
翼「なにいってんの?あららぎくん。ついに日本語がしゃべれなくなったの?」
暦「ひど!ってか、なんでそんな戦場ヶ原チックなんだよ。ちょっとびっくりしたわ。完全に怒ってんだろ」
翼「あららぎくんみたいな彼女に優しくない下等生物に怒ったりするわけないじゃない」
暦(なんかいいなあ。羽川の毒舌も)
暦「下等生物って。羽川の口からでるとは思わなかったよ」
翼「………。ごめんなしゃい」
翼「ごめんなさい」
暦(ちゃんと謝るとこは可愛いな。しかも、ちょっと焦ってるし)
暦「ごめんな。なにがあったのか教えてくれよ」
翼「電話」
暦「羽川さん?」
翼「どうして1回も電話もめーるもないの!?」
暦「え?なんのはなし?」
翼「あららぎくんからの、電話とかメールがほしいなあ………って」
暦「なんだそんなことか」
翼「………」
暦「ごめんって。明日から毎日時間できたらちょっとでも、電話するから」
翼「明日?」
暦「今日からでした」
翼「よろしい」
暦(………)
翼「あ、いま、面倒くさいって思った?」
暦「思ってないって。でも、羽川、彼女になると違うんだな」
翼「それだけあららぎくんが好きなんだよ」
暦「そっか//// 」
翼「あ、照れてる?」
暦「まあ、僕のが好きだけどね」
翼「//// 帰る//// 」
暦「送ってくよ」
翼「うん//// 」
《完》
18: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/29(木) 21:34:33.97 ID:hYuuRGKwO
《一枚上手な彼女》
暦(よし、僕達付き合って3ヶ月だし、そろそろいいんじゃないかな。羽川を無視し続けたらどうなるか。さあ。)
学校
翼「ねえ、あららぎくん」
暦「………」
翼「あれ、あららぎくん?」
暦「………」
翼(どうしたのかな、聞こえてるよね。私を無視する作戦かな)
翼「話聞いてくれたらおᘄぱい触らせてあげる」
暦「どうした?羽川」
暦(よし、僕達付き合って3ヶ月だし、そろそろいいんじゃないかな。羽川を無視し続けたらどうなるか。さあ。)
学校
翼「ねえ、あららぎくん」
暦「………」
翼「あれ、あららぎくん?」
暦「………」
翼(どうしたのかな、聞こえてるよね。私を無視する作戦かな)
翼「話聞いてくれたらおᘄぱい触らせてあげる」
暦「どうした?羽川」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/29(木) 21:47:13.88 ID:hYuuRGKwO
《つばさ》
翼「あららぎくんってさ」
暦「なんだ?」
翼「私のこと、名前で、呼ばないの?」
暦「いいの?」
翼「恋人じゃん」
暦「いやあ、でもなあ、」
翼「好きだよ、こよみ」
翼(//// )
暦「ごめん、もう1回言って」
翼「やだよ、もう言わないよ、恥ずかしい」
暦「そっかあ、でも、」
「僕のほうがもっと好きだよ」
翼(//////// )
翼「はいはい////// 」
完
翼「あららぎくんってさ」
暦「なんだ?」
翼「私のこと、名前で、呼ばないの?」
暦「いいの?」
翼「恋人じゃん」
暦「いやあ、でもなあ、」
翼「好きだよ、こよみ」
翼(//// )
暦「ごめん、もう1回言って」
翼「やだよ、もう言わないよ、恥ずかしい」
暦「そっかあ、でも、」
「僕のほうがもっと好きだよ」
翼(//////// )
翼「はいはい////// 」
完
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/31(土) 09:44:26.52 ID:bcww30oGO
《浴衣》
翼(最近、可愛いって言ってもらってない。でも、今日はお祭りいくから浴衣も着る。それに髪も美容師さんに頼んだし、絶対可愛いって言ってくれる………はず………)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
翼(あららぎくん、まだかなあ、あと15分か)
暦「お、早いな。羽川」
翼「うん。暦くん//// 」
暦「じゃあ。いくか」
翼(あれ、誉めてくれない。気づいてないのかな)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
暦「なあ、羽川、これやろうぜ」
翼「射的?ああ、いいね」
暦「なにか欲しいものあるか?」
翼「あの猫の人形がいいなあ」
暦「おっけー」
暦「一発目、、、あ、、はずした。二発目、、落ちた、。なんか落ちたぞ」
翼「わー、すごい暦くん」
店員「はい、こちら商品になります」
翼「ん?これって、、クールな黒髪美少女、スレンダーな浮気相手はあなたの」
暦「!!ちょっと待てって。偶然だよ!」
翼「すごいね、偶然で工ッチな本落とせちゃうんだ、私を落としたみたいに」
暦「うまいこといったつもりか!」
翼「まあ、あららぎくんも男の子だもんね」
暦「いや、違うからな。あ、でも、あと一発あるから。、、、ほら、当たった」
店員「はい。こちら商品です。あざーしたー」
暦「はい。これ、やるよ」
翼「//// ありがと、大事にするね」
翼(最近、可愛いって言ってもらってない。でも、今日はお祭りいくから浴衣も着る。それに髪も美容師さんに頼んだし、絶対可愛いって言ってくれる………はず………)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
翼(あららぎくん、まだかなあ、あと15分か)
暦「お、早いな。羽川」
翼「うん。暦くん//// 」
暦「じゃあ。いくか」
翼(あれ、誉めてくれない。気づいてないのかな)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
暦「なあ、羽川、これやろうぜ」
翼「射的?ああ、いいね」
暦「なにか欲しいものあるか?」
翼「あの猫の人形がいいなあ」
暦「おっけー」
暦「一発目、、、あ、、はずした。二発目、、落ちた、。なんか落ちたぞ」
翼「わー、すごい暦くん」
店員「はい、こちら商品になります」
翼「ん?これって、、クールな黒髪美少女、スレンダーな浮気相手はあなたの」
暦「!!ちょっと待てって。偶然だよ!」
翼「すごいね、偶然で工ッチな本落とせちゃうんだ、私を落としたみたいに」
暦「うまいこといったつもりか!」
翼「まあ、あららぎくんも男の子だもんね」
暦「いや、違うからな。あ、でも、あと一発あるから。、、、ほら、当たった」
店員「はい。こちら商品です。あざーしたー」
暦「はい。これ、やるよ」
翼「//// ありがと、大事にするね」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/31(土) 10:00:22.76 ID:bcww30oGO
翼(いざって時に頼りになるんだから。しかも、最後に猫の人形あてちゃうし、、本当、ずるいなあ)
暦「ちょっと見せたいものがあるんだ、ついてきてくれないか」
翼「うん、見せたいものって?」
暦「それはみてのお楽しみ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
暦「こっから先は、目つむってくれないか」
翼「あ、うん。」
暦「じゃ、、」
翼(あ、手握られてる。あららぎくんの手、大きいなあ//// )
暦「よし。ついた。もう、目開けていいよ」
翼(え、、すごい、綺麗。こんなとこあったんだ)
暦「どうかな?」
翼「こんな綺麗な景色が見れるなんて」
暦「ちょっと横になってみよっか。あ、浴衣よごれないようにバッグにシートもいれてきたからさ」
翼「準備いいね。夜空がこんなに綺麗なんて。はじめからこれを見るためだったんだね」
暦「まあな、今日のために髪まで切って、浴衣まで来てくれたのはびっくりしたけどな。にあってるよ、すごい綺麗だ。大和撫子って感じで」
翼「もう、誉めすぎだよ//// でも、気づいてるなら、最初に言ってよ!」
暦「ごめんな。正直いうと、あんまり可愛くて、恥ずかしかったんだ」
暦「僕、あららぎこよみは、羽川翼が翼のことを愛してます」
暦「ちょっと見せたいものがあるんだ、ついてきてくれないか」
翼「うん、見せたいものって?」
暦「それはみてのお楽しみ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
暦「こっから先は、目つむってくれないか」
翼「あ、うん。」
暦「じゃ、、」
翼(あ、手握られてる。あららぎくんの手、大きいなあ//// )
暦「よし。ついた。もう、目開けていいよ」
翼(え、、すごい、綺麗。こんなとこあったんだ)
暦「どうかな?」
翼「こんな綺麗な景色が見れるなんて」
暦「ちょっと横になってみよっか。あ、浴衣よごれないようにバッグにシートもいれてきたからさ」
翼「準備いいね。夜空がこんなに綺麗なんて。はじめからこれを見るためだったんだね」
暦「まあな、今日のために髪まで切って、浴衣まで来てくれたのはびっくりしたけどな。にあってるよ、すごい綺麗だ。大和撫子って感じで」
翼「もう、誉めすぎだよ//// でも、気づいてるなら、最初に言ってよ!」
暦「ごめんな。正直いうと、あんまり可愛くて、恥ずかしかったんだ」
暦「僕、あららぎこよみは、羽川翼が翼のことを愛してます」
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/31(土) 10:06:39.33 ID:bcww30oGO
翼(//// )
翼「私、羽川翼は阿良々木暦を愛してます」
暦「なんか照れ臭いな」
翼「でも、いいね、こういうの」
暦「来年も、ここにきて同じ景色を二人でみような」
翼「はい//// 」
こうして僕らはお互いを抱き締め、肌のぬくもりを感じあい、そして、唇を重ねた
この日は僕達の記念日となった
完
翼「私、羽川翼は阿良々木暦を愛してます」
暦「なんか照れ臭いな」
翼「でも、いいね、こういうの」
暦「来年も、ここにきて同じ景色を二人でみような」
翼「はい//// 」
こうして僕らはお互いを抱き締め、肌のぬくもりを感じあい、そして、唇を重ねた
この日は僕達の記念日となった
完
36: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 19:12:23.85 ID:VLUM0RAcO
《イチャイチャ》
翼「どう思う?」
ひたぎ「どう思うっていわれても、よくそんなのろけ話を仮にも振られたわたしにできるわね」
翼「ごめんなさい」
ひたぎ(まあ、そんなに思ってないんだけど、拗ねると可愛いのよね、この子)
翼「だってこんな話、話せる人いないし」
ひたぎ「まあ、要するにあららぎくんが最近かまってくれないと。もっとキスとかイチャイチャしたいと、そういうことね。でも、それを自分から言うのは恥ずかしいと。へー、なるほどね。私から言えることはひとつね」
翼「なに?」
ひたぎ「甘えんな」
翼「え?戦場ヶ原さん?」
ひたぎ「あららぎくんは、こっちからぐいぐいいかないと、だめなの。話があるからってなにかと思えば、スタバなんかに呼び出して、完全に教室で、できた話よね」
翼「えっと、ごめんなさい」
ひたぎ「あんまり、もたもたしてると私がとっちゃうわよ」
翼「え、、それは、困る」
ひたぎ「冗談よ。まあ、でも、他のこにとられないよう注意することね。じゃあ、お金は置いてくわね」
翼「はい、気をつけます。でも、今日はありがとね。私頑張る!」
ひたぎ(とったりしないわよ、ってそれより、あなたとあららぎくんの間に入り込める過ぎませんなんてないもの。よっぽどなにかないかぎり)
扇(はい、忍野扇です!いいこと聞いちゃいました。おもしろくなってきましたよ~。どうやってあららぎ先輩に近づこっかな~)
翼「どう思う?」
ひたぎ「どう思うっていわれても、よくそんなのろけ話を仮にも振られたわたしにできるわね」
翼「ごめんなさい」
ひたぎ(まあ、そんなに思ってないんだけど、拗ねると可愛いのよね、この子)
翼「だってこんな話、話せる人いないし」
ひたぎ「まあ、要するにあららぎくんが最近かまってくれないと。もっとキスとかイチャイチャしたいと、そういうことね。でも、それを自分から言うのは恥ずかしいと。へー、なるほどね。私から言えることはひとつね」
翼「なに?」
ひたぎ「甘えんな」
翼「え?戦場ヶ原さん?」
ひたぎ「あららぎくんは、こっちからぐいぐいいかないと、だめなの。話があるからってなにかと思えば、スタバなんかに呼び出して、完全に教室で、できた話よね」
翼「えっと、ごめんなさい」
ひたぎ「あんまり、もたもたしてると私がとっちゃうわよ」
翼「え、、それは、困る」
ひたぎ「冗談よ。まあ、でも、他のこにとられないよう注意することね。じゃあ、お金は置いてくわね」
翼「はい、気をつけます。でも、今日はありがとね。私頑張る!」
ひたぎ(とったりしないわよ、ってそれより、あなたとあららぎくんの間に入り込める過ぎませんなんてないもの。よっぽどなにかないかぎり)
扇(はい、忍野扇です!いいこと聞いちゃいました。おもしろくなってきましたよ~。どうやってあららぎ先輩に近づこっかな~)
37: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 20:40:07.58 ID:VLUM0RAcO
扇「私の大好きなあららぎ先輩じゃないですか~」
暦「扇ちゃんじゃん、どうしたの?」
扇「どうしたもこうしたもないですよ~、あららぎ先輩に用があってきたんですよ~」
暦「え。僕に?」
扇「そうですよー。えっとですね、実は~」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
暦「扇ちゃんじゃん、どうしたの?」
扇「どうしたもこうしたもないですよ~、あららぎ先輩に用があってきたんですよ~」
暦「え。僕に?」
扇「そうですよー。えっとですね、実は~」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
38: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/03(火) 23:57:06.03 ID:lCZxSOKfO
暦「いいよ。そんなことなら」
扇「ありがとうごさいます!あららぎ先輩」
暦「まあ、でも、僕にも都合ってものがあるからさすがに、毎日は厳しいかもね」
扇「それはわかっていますよ」
暦「じゃあ、連絡待ってるから」
扇「あららぎ先輩は本当に優しい先輩ですね。どーもでーす」
扇(まあ、その優しさがいつか身を滅ぼしますよ)
扇「ありがとうごさいます!あららぎ先輩」
暦「まあ、でも、僕にも都合ってものがあるからさすがに、毎日は厳しいかもね」
扇「それはわかっていますよ」
暦「じゃあ、連絡待ってるから」
扇「あららぎ先輩は本当に優しい先輩ですね。どーもでーす」
扇(まあ、その優しさがいつか身を滅ぼしますよ)
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/05(木) 12:27:33.28 ID:OMpnUuKgO
翼「どうしたの?扇ちゃんでいいのかな?」
扇「どうもです。いえいえ、阿良々木先輩のことで少し話があったんですよ」
翼「阿良々木くん?」
扇「はい。単刀直入に、いいますね。阿良々木先輩、頂いてもよろしいですか?」
翼「……。なにをいいだすのかと思えば、阿良々木くんは私のじゃないわよ。彼氏ってだけだみもの」
扇「ははは。さすがですねー、余裕ですねー。でも、いつまでそういってられますかねー。胸が大きいだけの何もしてくれない女の子と、一緒にいて楽しい女の子どっちがいいですかね」
翼「だから別に、、阿良々木くんは……」
扇「まあ、今日の放課後とか6時ぐらいにきてくれれば、駅前のモスバーガーに阿良々木先輩といるんで一緒に勉強しましょうよ」
翼「時々、阿良々木くんが一緒に帰れないって理由あなただったのね……へー、まあ、聞かなかったかのも私だしね」
扇(まあ、口止めしてましたし、あれ、口調がいつもの余裕はどこにいったんですかね)
扇「まあ、来たかったら来てください、じゃあ、失礼します」
扇(来てくださいね、羽川先輩……)
扇「どうもです。いえいえ、阿良々木先輩のことで少し話があったんですよ」
翼「阿良々木くん?」
扇「はい。単刀直入に、いいますね。阿良々木先輩、頂いてもよろしいですか?」
翼「……。なにをいいだすのかと思えば、阿良々木くんは私のじゃないわよ。彼氏ってだけだみもの」
扇「ははは。さすがですねー、余裕ですねー。でも、いつまでそういってられますかねー。胸が大きいだけの何もしてくれない女の子と、一緒にいて楽しい女の子どっちがいいですかね」
翼「だから別に、、阿良々木くんは……」
扇「まあ、今日の放課後とか6時ぐらいにきてくれれば、駅前のモスバーガーに阿良々木先輩といるんで一緒に勉強しましょうよ」
翼「時々、阿良々木くんが一緒に帰れないって理由あなただったのね……へー、まあ、聞かなかったかのも私だしね」
扇(まあ、口止めしてましたし、あれ、口調がいつもの余裕はどこにいったんですかね)
扇「まあ、来たかったら来てください、じゃあ、失礼します」
扇(来てくださいね、羽川先輩……)
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/05(木) 16:30:49.29 ID:4FRr8JgDO
暦「えー、この問題前に教えなかったっけー」
扇「すいません、私、こういった問題苦手なんですよー?PとCの違いがいまいちわからなくてですねー」
暦「まあ、数学Aはわかんないと辛いよね」
扇(まあ、そうでもないですけどねー。むしろ数Cの行列とかのがもっと分かりづらいんですが……学校ではまだやってないですしね。う~ん、6時までまだ15分前か……)
暦「だから、ここはこうやって」
扇「あ、、なるほど、そうでしたね、思い出しました」
扇(あ、羽川先輩きました。ちょっと早いですが)
扇「そのキーホルダー可愛いですね、ちょっと見せてくださいよー」ぶち!
暦「ひもでとめたのに、ちぎれちゃったじゃん」
扇(羽川先輩が私達に気づきましたね)
扇「返しませんよー」
扇(こうやってちょっと上にあげて、先輩はとりかえそうとする、そして、すかさず)
扇「だめですよー、あ、ちょっと、先輩、ん。あ、目痛い」
暦「どうしたの?」
扇(あ、見てますね羽川先輩)
扇「ちょっと目にごみがはいったみたいで」
暦「え、どれ?」
扇「えっとですねー」
扇(これぐらい近づけば角度的に……)
暦「なにもついてないよ」
扇(羽川先輩、涙目で、どっかいっちゃいましたね)
扇「大丈夫だったみたいです。じゃあ、続けましょうか、数学」
ひたぎ「おい、そこの」
暦「なんでお前がここにいんだよ」
ひたぎ「彼女を泣かすような最低男に、お前とか言われたくないんだけど」
暦「なんの話だ?」
扇「すいません、私、こういった問題苦手なんですよー?PとCの違いがいまいちわからなくてですねー」
暦「まあ、数学Aはわかんないと辛いよね」
扇(まあ、そうでもないですけどねー。むしろ数Cの行列とかのがもっと分かりづらいんですが……学校ではまだやってないですしね。う~ん、6時までまだ15分前か……)
暦「だから、ここはこうやって」
扇「あ、、なるほど、そうでしたね、思い出しました」
扇(あ、羽川先輩きました。ちょっと早いですが)
扇「そのキーホルダー可愛いですね、ちょっと見せてくださいよー」ぶち!
暦「ひもでとめたのに、ちぎれちゃったじゃん」
扇(羽川先輩が私達に気づきましたね)
扇「返しませんよー」
扇(こうやってちょっと上にあげて、先輩はとりかえそうとする、そして、すかさず)
扇「だめですよー、あ、ちょっと、先輩、ん。あ、目痛い」
暦「どうしたの?」
扇(あ、見てますね羽川先輩)
扇「ちょっと目にごみがはいったみたいで」
暦「え、どれ?」
扇「えっとですねー」
扇(これぐらい近づけば角度的に……)
暦「なにもついてないよ」
扇(羽川先輩、涙目で、どっかいっちゃいましたね)
扇「大丈夫だったみたいです。じゃあ、続けましょうか、数学」
ひたぎ「おい、そこの」
暦「なんでお前がここにいんだよ」
ひたぎ「彼女を泣かすような最低男に、お前とか言われたくないんだけど」
暦「なんの話だ?」
44: 1 2015/02/07(土) 08:56:34.29 ID:i1AQlfcAO
ひたぎ「羽川翼はあなたのような最低イチャイチャ男をいまさきほど見て耐えられなくなってでていったのよ。はやくいけ、そんな顔してないではやくいけ。いますぐ。左にいったから、まだ間に合うかもしれない」
暦「ありがとう。戦場ヶ原」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
扇「もう、なんでばらしちゃったんですか~~」
ひたぎ「おそらく、羽川さんに対して、私をすごく可愛がってくれる的なことを言って煽って、さらにわざとイチャイチャしてるタイミングを見せたってとこかしら」
扇「さすがですね~。戦場ヶ原先輩」
ひたぎ「言っておくけど無駄よ。あの二人はこの程度じゃどうにもならないわ。逆に、いままで以上にイチャイチャするだけよ。あと、私はあの二人の友達でもあるのよ。わかったら下らない真似はやめなさい」
扇「はーい。まあ、戦場ヶ原先輩にかないっこないですからねー。じゃあ、これから二人でどこか行きますか?」
ひたぎ「遠慮しておくわ」
暦「ありがとう。戦場ヶ原」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
扇「もう、なんでばらしちゃったんですか~~」
ひたぎ「おそらく、羽川さんに対して、私をすごく可愛がってくれる的なことを言って煽って、さらにわざとイチャイチャしてるタイミングを見せたってとこかしら」
扇「さすがですね~。戦場ヶ原先輩」
ひたぎ「言っておくけど無駄よ。あの二人はこの程度じゃどうにもならないわ。逆に、いままで以上にイチャイチャするだけよ。あと、私はあの二人の友達でもあるのよ。わかったら下らない真似はやめなさい」
扇「はーい。まあ、戦場ヶ原先輩にかないっこないですからねー。じゃあ、これから二人でどこか行きますか?」
ひたぎ「遠慮しておくわ」
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 09:04:43.68 ID:i1AQlfcAO
暦「翼!!!」
翼「……。暦くんの馬鹿……」
暦「ごめんな」
翼「扇ちゃんのが可愛いもんね」
暦「そんなこと僕が1回でも言ったか?」
翼「……。言ってない……。でも、実際、扇ちゃんのが可愛いし……」シュン
暦「いつもの冷静な羽川さんはどこにいったんだよ……」
翼「私だって、いっぱいいっぱいなんだよ……」
暦「おᘄぱいいっぱい?」
翼「最低」
暦「いや、冗談だって」
翼「……。暦くんの馬鹿……」
暦「ごめんな」
翼「扇ちゃんのが可愛いもんね」
暦「そんなこと僕が1回でも言ったか?」
翼「……。言ってない……。でも、実際、扇ちゃんのが可愛いし……」シュン
暦「いつもの冷静な羽川さんはどこにいったんだよ……」
翼「私だって、いっぱいいっぱいなんだよ……」
暦「おᘄぱいいっぱい?」
翼「最低」
暦「いや、冗談だって」
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 09:25:31.07 ID:i1AQlfcAO
翼「でも、扇ちゃんとキスしてしたし、イチャイチャしてたし」
暦「キス?」
暦(あー、なるほどな。もしかして、あのときか。だから、こんなに怒ってんのか、可愛いなあ)
暦「キスはしてないよ。あの時、翼からもらったキーホルダーとりあげられて、取ろうとしたら目にごみが入ったって言われて顔近づけたら……ってなんか疑ってない?」
翼「だって暦くん、結構前科あるし、彼女いようが他の女の子とキスしてそうだもん」
暦(あれ……おかしいな。僕、信用ないのかなあ……)
翼「だって、暦くん、あんまりイチャイチャしてくれないし、あんまり可愛いって言ってくれないし、それに」
暦(もう、これはするしかないな)
暦「えい」チュ
翼「!!」
暦「翼!」
翼「//// はい//// 」
暦「僕は翼のこと、一番可愛いと、思ってるし、誰よりも愛してるから。他の女の子とちょっとイチャイチャしてようがきにすんな。僕が世界で一番幸せな女の子にしてやるから!」
翼「//// 良かった。良かったよぉ。でも、でも……すっごい心配したんだよ!暦くんが私のこと、好きじゃなくなったのかなって」
暦「ごめんな、心配させて」
翼「バカバカバカバカ!」ポカポカ
暦(可愛いわ……。こんな可愛い彼女を心配させてたなんて、僕、最低だな。もう、絶対ヤキモチなんかやかせーね………………多分……)
翼「私のことだけ見てね」
チュ
暦「当たり前だ!」
完
暦「キス?」
暦(あー、なるほどな。もしかして、あのときか。だから、こんなに怒ってんのか、可愛いなあ)
暦「キスはしてないよ。あの時、翼からもらったキーホルダーとりあげられて、取ろうとしたら目にごみが入ったって言われて顔近づけたら……ってなんか疑ってない?」
翼「だって暦くん、結構前科あるし、彼女いようが他の女の子とキスしてそうだもん」
暦(あれ……おかしいな。僕、信用ないのかなあ……)
翼「だって、暦くん、あんまりイチャイチャしてくれないし、あんまり可愛いって言ってくれないし、それに」
暦(もう、これはするしかないな)
暦「えい」チュ
翼「!!」
暦「翼!」
翼「//// はい//// 」
暦「僕は翼のこと、一番可愛いと、思ってるし、誰よりも愛してるから。他の女の子とちょっとイチャイチャしてようがきにすんな。僕が世界で一番幸せな女の子にしてやるから!」
翼「//// 良かった。良かったよぉ。でも、でも……すっごい心配したんだよ!暦くんが私のこと、好きじゃなくなったのかなって」
暦「ごめんな、心配させて」
翼「バカバカバカバカ!」ポカポカ
暦(可愛いわ……。こんな可愛い彼女を心配させてたなんて、僕、最低だな。もう、絶対ヤキモチなんかやかせーね………………多分……)
翼「私のことだけ見てね」
チュ
暦「当たり前だ!」
完
47: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 09:44:59.07 ID:e330drdfO
ひたぎ「私、とんだピエロね。ってか、羽川さん、あなた、チョロすぎよ」
翼「え?戦場ヶ原さん?いつから?」
ひたぎ「あなたが胸をつきだして、おᘄぱいいっぱいのあたりからよ」
翼「最初のほうじゃん!ってかそんなこと言ってないし!つきだしてないし!」
ひたぎ「私の胸だけ見てね」
翼「私のことだけ、見てねだし。あ//// 言わせないでよ 」
暦(///// )
暦「もう、その辺でさ、」
ひたぎ「なにが他の女の子とイチャイチャしてもきにすんな!よ……。どさくさ紛れに。普通なら全く、紛れないんだけど。」
翼「あ……」
ひたぎ「いま羽川さんヘブン状態だから仕方ないわね」
暦(ヘブン状態って……)
ひたぎ「羽川さん、またこの男は懲りもせず、ハーレム主人公並みに他の女の子とイチャイチャするわ。あなただけのその武器を使って、お仕置きしなさい」
翼「うん、わかった//// 」
暦(こうして、僕は翼から幸せなお仕置きを受けた。ああ、こんなお仕置きなら……おっと、そろそろしめないとな。これからも、僕達の旅は続いていく。僕達の冒険は始まったばかりだ!)
胸物語 完
翼「こら!」
暦「失礼、わざとです。じゃあ、今度こそ、」
翼物語 完
翼「え?戦場ヶ原さん?いつから?」
ひたぎ「あなたが胸をつきだして、おᘄぱいいっぱいのあたりからよ」
翼「最初のほうじゃん!ってかそんなこと言ってないし!つきだしてないし!」
ひたぎ「私の胸だけ見てね」
翼「私のことだけ、見てねだし。あ//// 言わせないでよ 」
暦(///// )
暦「もう、その辺でさ、」
ひたぎ「なにが他の女の子とイチャイチャしてもきにすんな!よ……。どさくさ紛れに。普通なら全く、紛れないんだけど。」
翼「あ……」
ひたぎ「いま羽川さんヘブン状態だから仕方ないわね」
暦(ヘブン状態って……)
ひたぎ「羽川さん、またこの男は懲りもせず、ハーレム主人公並みに他の女の子とイチャイチャするわ。あなただけのその武器を使って、お仕置きしなさい」
翼「うん、わかった//// 」
暦(こうして、僕は翼から幸せなお仕置きを受けた。ああ、こんなお仕置きなら……おっと、そろそろしめないとな。これからも、僕達の旅は続いていく。僕達の冒険は始まったばかりだ!)
胸物語 完
翼「こら!」
暦「失礼、わざとです。じゃあ、今度こそ、」
翼物語 完
引用元: 「翼物語」?もしもあららぎくんが私の恋人だったら?
月火「お兄ちゃん、私と、もう一度キスしてよ」
2019-10-11
1: 8 ◆H3qqj7wCjc 2016/04/24(日) 13:36:15.78 ID:P7OSXOlE0
夏休みのある日
月火「お兄ちゃ~ん…起きてる…わけないか」
暦「いや起きてるぞ」
月火「何で起きてるの!?」
妹の阿良々木月火が僕の部屋を訪ねて来たのは深夜1時過ぎだった。
確かに普通は寝てると思われる時間だが、僕は吸血鬼体質のせいで夜は寝付くのに時間がかかる。
そして朝は弱いという何ともし難い体質だ。
暦「どうしたんだ?月火。怖い夢でも見たのか」
月火「…えっと…まぁそんなところかな?」
暦「でもお前ってそんなたまか?」
月火「今日はたまたまそんな日だったんだよ」
暦「はぁん…で、何しに来たんだ」
月火「私もうぶるっちゃって、お兄ちゃんに添い寝してもらわないと収まらないなぁって」
暦「…つまり?」
月火「今晩は一緒に寝てください!いや寝ろ!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1461472575
月火「お兄ちゃ~ん…起きてる…わけないか」
暦「いや起きてるぞ」
月火「何で起きてるの!?」
妹の阿良々木月火が僕の部屋を訪ねて来たのは深夜1時過ぎだった。
確かに普通は寝てると思われる時間だが、僕は吸血鬼体質のせいで夜は寝付くのに時間がかかる。
そして朝は弱いという何ともし難い体質だ。
暦「どうしたんだ?月火。怖い夢でも見たのか」
月火「…えっと…まぁそんなところかな?」
暦「でもお前ってそんなたまか?」
月火「今日はたまたまそんな日だったんだよ」
暦「はぁん…で、何しに来たんだ」
月火「私もうぶるっちゃって、お兄ちゃんに添い寝してもらわないと収まらないなぁって」
暦「…つまり?」
月火「今晩は一緒に寝てください!いや寝ろ!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1461472575
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2: 8 ◆H3qqj7wCjc 2016/04/24(日) 13:38:04.32 ID:P7OSXOlE0
何で命令されてるんだ…
暦「添い寝なら火憐ちゃんにしてもらえばいいだろ」
月火「いやでも火憐ちゃんぐっすりで起こすのも悪いかなぁって」
暦「僕を起こすのはいいのか!?」
月火「私だってお兄ちゃんが起きてるとは思わなかったよ!だからその時は勝手にベッドに入ってやろうと画策してたんだけど」
だったら火憐のベッドに起こさない様に勝手に入れば良かったのでは。
暦「…はぁ、わかったよ。優しい優しい暦お兄ちゃんが月火ちゃんと添い寝してやるよ」
暦「添い寝なら火憐ちゃんにしてもらえばいいだろ」
月火「いやでも火憐ちゃんぐっすりで起こすのも悪いかなぁって」
暦「僕を起こすのはいいのか!?」
月火「私だってお兄ちゃんが起きてるとは思わなかったよ!だからその時は勝手にベッドに入ってやろうと画策してたんだけど」
だったら火憐のベッドに起こさない様に勝手に入れば良かったのでは。
暦「…はぁ、わかったよ。優しい優しい暦お兄ちゃんが月火ちゃんと添い寝してやるよ」
3: 8 ◆H3qqj7wCjc 2016/04/24(日) 13:38:54.15 ID:P7OSXOlE0
暦「じゃあこっち来いよ」
月火「もうベッド入ってる」
暦「速っ!?」
そんなこんなで添い寝スタート。
暦「なぁ、怖い夢ってどんなの見たんだよ?」
月火「…えーっと…何か私の上半身が吹っ飛ばされる夢…よく覚えてないけど…」
暦「……そっか」
本当にあったことだから笑えない。
記憶は飛んでるみたいだけど心のどこかに…
月火「あれ?いつものお兄ちゃんならこんな話したら笑ってくると思ったのに」
暦「人の夢の話ほどつまらないものはないからな。見る夢も将来の夢も人に言うもんじゃねぇよ」
月火「プラチナむかつく。お兄ちゃんから聞いたくせに」
月火「もうベッド入ってる」
暦「速っ!?」
そんなこんなで添い寝スタート。
暦「なぁ、怖い夢ってどんなの見たんだよ?」
月火「…えーっと…何か私の上半身が吹っ飛ばされる夢…よく覚えてないけど…」
暦「……そっか」
本当にあったことだから笑えない。
記憶は飛んでるみたいだけど心のどこかに…
月火「あれ?いつものお兄ちゃんならこんな話したら笑ってくると思ったのに」
暦「人の夢の話ほどつまらないものはないからな。見る夢も将来の夢も人に言うもんじゃねぇよ」
月火「プラチナむかつく。お兄ちゃんから聞いたくせに」
4: 8 ◆H3qqj7wCjc 2016/04/24(日) 13:40:05.75 ID:P7OSXOlE0
少し経って月火がこんなことを聞いてきた。
月火「…ねぇ、お兄ちゃん…彼女出来たんだよね」
暦「ん?あぁ、ちゃんと今度紹介してやるよ」
月火「……うん」
何だ今の間は。
月火「ねぇ、お兄ちゃん」
暦「あん?」
月火「こっち向いて寝てよ。背中向けてたらお兄ちゃんの顔が見えない」
暦「何で僕の顔を見る必要があるんだ。いつも見てるだろ」
月火「…ねぇ、お兄ちゃん…彼女出来たんだよね」
暦「ん?あぁ、ちゃんと今度紹介してやるよ」
月火「……うん」
何だ今の間は。
月火「ねぇ、お兄ちゃん」
暦「あん?」
月火「こっち向いて寝てよ。背中向けてたらお兄ちゃんの顔が見えない」
暦「何で僕の顔を見る必要があるんだ。いつも見てるだろ」
5: 8 ◆H3qqj7wCjc 2016/04/24(日) 13:41:27.73 ID:P7OSXOlE0
月火「……そうだね、いつも見てる。家族だもん」
暦「あぁ」
月火「……」
黙ってしまった。
何か気に障るようなこと言っただろうか。
暦「ひゃう!」
いきなり後ろから腹を撫でられた!
何すんだこしょぐったい!
月火「ふふ…凄い腹筋…」
暦「おい」
月火「ごめんねお兄ちゃん。でも今は誰かに、触れていたい」
なぜそれが腹筋なんだ。
暦「あぁ」
月火「……」
黙ってしまった。
何か気に障るようなこと言っただろうか。
暦「ひゃう!」
いきなり後ろから腹を撫でられた!
何すんだこしょぐったい!
月火「ふふ…凄い腹筋…」
暦「おい」
月火「ごめんねお兄ちゃん。でも今は誰かに、触れていたい」
なぜそれが腹筋なんだ。
6: 8 ◆H3qqj7wCjc 2016/04/24(日) 13:42:25.94 ID:P7OSXOlE0
月火「お兄ちゃん知ってる?」
相変わらず僕のお腹に手を当てたままで。
暦「何をだ…」
月火「阿良々木月火が実は重度のブラコンだってこと」
暦「…知ってるよ」
月火「何で知ってるのよ!プラチナむかつく!」
暦「何でそこでいきなりキレるんだよ!?」
一通り腹筋を触り終え満足したのか月火は手を離した。
今は夏なので結構暑苦しかったのだ。
しかし、
暦「…今度は何抱きついてんだ。僕は抱き枕じゃねぇぞ」
月火「お兄ちゃんがこっち向いてくれるまでずっとこうしてやる」
暦「つーかもう寝ろよ!寝付けないからこの部屋来たんじゃないのかよ!」
相変わらず僕のお腹に手を当てたままで。
暦「何をだ…」
月火「阿良々木月火が実は重度のブラコンだってこと」
暦「…知ってるよ」
月火「何で知ってるのよ!プラチナむかつく!」
暦「何でそこでいきなりキレるんだよ!?」
一通り腹筋を触り終え満足したのか月火は手を離した。
今は夏なので結構暑苦しかったのだ。
しかし、
暦「…今度は何抱きついてんだ。僕は抱き枕じゃねぇぞ」
月火「お兄ちゃんがこっち向いてくれるまでずっとこうしてやる」
暦「つーかもう寝ろよ!寝付けないからこの部屋来たんじゃないのかよ!」
7: 8 ◆H3qqj7wCjc 2016/04/24(日) 13:43:51.21 ID:P7OSXOlE0
月火「…さっきから地味にお兄ちゃんにおᘄぱい当ててるのに何で無反応なのかな?」
暦「妹のおᘄぱいなんておᘄぱいとは言わないんだよ」
月火「この前揉んできたくせに」
暦「お前の胸が僕の手を揉んだんだ」
月火「私の初チューも奪った」
暦「妹とのキスなんてカウントに入らない」
月火「ふーん、そんなこと言っちゃうんだ…」
暦「は?」
月火「…じゃあさお兄ちゃん、私と、もう一度キスしてよ」
暦「妹のおᘄぱいなんておᘄぱいとは言わないんだよ」
月火「この前揉んできたくせに」
暦「お前の胸が僕の手を揉んだんだ」
月火「私の初チューも奪った」
暦「妹とのキスなんてカウントに入らない」
月火「ふーん、そんなこと言っちゃうんだ…」
暦「は?」
月火「…じゃあさお兄ちゃん、私と、もう一度キスしてよ」
8: 8 ◆H3qqj7wCjc 2016/04/24(日) 13:44:47.30 ID:P7OSXOlE0
暦「何言ってんだお前!寝ぼけてんのか!?」
びっくりしたー。
まさかこいつからこんなこと言われるなんて。
月火「兄妹でのキスはカウントに入らないんでしょ?」
暦「……」
月火「ねぇ!」
暦「い、いや…あの時はノリというか…今こうして改めてとかはちょっと…」
月火「ノリで妹の初ちゅーを奪ったの!?」
…言い返せない。
あれ?ひょっとして僕って最低?
月火「カウントしないんだったら一回も二回も同じだよね?」
びっくりしたー。
まさかこいつからこんなこと言われるなんて。
月火「兄妹でのキスはカウントに入らないんでしょ?」
暦「……」
月火「ねぇ!」
暦「い、いや…あの時はノリというか…今こうして改めてとかはちょっと…」
月火「ノリで妹の初ちゅーを奪ったの!?」
…言い返せない。
あれ?ひょっとして僕って最低?
月火「カウントしないんだったら一回も二回も同じだよね?」
9: 8 ◆H3qqj7wCjc 2016/04/24(日) 13:46:07.70 ID:P7OSXOlE0
月火「…それに、ほら…こういう時に練習しておけば、彼女さんとのキスにも役立つかも…」
暦「生憎だが、僕は既に彼女との初ちゅーは済ましてあるんだよ」
月火「は?何それむかつく。私だって蝋燭沢くんとのキスはまだなのに」
暦「蝋燭沢?誰だそいつは」
妹の唇を奪うかもしれない輩だと?
今すぐにでも殺しに行かなければ。
月火「いいから、して、今すぐして」
暦「あのなぁ」
月火「してくれないとおᘄぱい揉まれたこととか羽川さんに全部言っちゃうから」
…何て酷い条件を出すんだこの妹は…。
暦「生憎だが、僕は既に彼女との初ちゅーは済ましてあるんだよ」
月火「は?何それむかつく。私だって蝋燭沢くんとのキスはまだなのに」
暦「蝋燭沢?誰だそいつは」
妹の唇を奪うかもしれない輩だと?
今すぐにでも殺しに行かなければ。
月火「いいから、して、今すぐして」
暦「あのなぁ」
月火「してくれないとおᘄぱい揉まれたこととか羽川さんに全部言っちゃうから」
…何て酷い条件を出すんだこの妹は…。
11: 8 ◆H3qqj7wCjc 2016/04/24(日) 13:48:11.12 ID:P7OSXOlE0
暦「わかったわかった。いいからその抱きついてる腕を解けよ。そっち向くから」
月火「うん。よかった…」
月火が腕を解いた。
振り向く。
暦「近っ!?」
月火「ん…」
月火が目を閉じてこっちを向いていた。
少し頬が紅潮していた。
着物もはだけて妙に色っぽい。
あれれ?僕の妹ってこんなに可愛かったっけ?
暦「……」
月火が少し震えていた。
僕はそっと月火の肩に手を置いてやる。
月火「あ…」
そして唇を重ねた。
月火「うん。よかった…」
月火が腕を解いた。
振り向く。
暦「近っ!?」
月火「ん…」
月火が目を閉じてこっちを向いていた。
少し頬が紅潮していた。
着物もはだけて妙に色っぽい。
あれれ?僕の妹ってこんなに可愛かったっけ?
暦「……」
月火が少し震えていた。
僕はそっと月火の肩に手を置いてやる。
月火「あ…」
そして唇を重ねた。
12: 8 ◆H3qqj7wCjc 2016/04/24(日) 13:50:44.66 ID:P7OSXOlE0
暦「ほら…これでおしま…」
言い終わる前に月火がもう一度唇を重ねてきた。
暦「お、おい…」
そのまま、舌を…
――――――――――――
実際は数秒にも満たない時間だっただろう。
しかし随分と長い間そうしていた気がする。
月火「ぷはぁ…お兄ちゃんの初ベ口チューゲット♪」
暦「ば…馬鹿!兄妹のキスで舌を入れるやつがあるか!!」
月火「ふふーん、どう言われたって、これでお兄ちゃんが妹にベ口チューしたって事実は取り消せないんだよ」
月火は楽しそうに。
月火「既成事実ってやつだよね?」
暦「…やっぱりお前馬鹿だろ…」
言い終わる前に月火がもう一度唇を重ねてきた。
暦「お、おい…」
そのまま、舌を…
――――――――――――
実際は数秒にも満たない時間だっただろう。
しかし随分と長い間そうしていた気がする。
月火「ぷはぁ…お兄ちゃんの初ベ口チューゲット♪」
暦「ば…馬鹿!兄妹のキスで舌を入れるやつがあるか!!」
月火「ふふーん、どう言われたって、これでお兄ちゃんが妹にベ口チューしたって事実は取り消せないんだよ」
月火は楽しそうに。
月火「既成事実ってやつだよね?」
暦「…やっぱりお前馬鹿だろ…」
13: 8 ◆H3qqj7wCjc 2016/04/24(日) 13:53:17.51 ID:P7OSXOlE0
月火「…今度…彼女さん紹介してくれるんだよね?」
暦「…ベ口チューしたとか言わないならな…」
月火「聞きたいこといっぱいあるんだよね。お兄ちゃんのどこがよかったのかとか」
暦「ははっ、きっ即答してくれるよ」
月火「そっか…」
少し切なそうな顔で。
月火「お願いだから、勝手に1人で大人にならないでよね?」
暦「?」
月火「ーーーーよ、お兄ちゃん」
月火が最後に何と言ったのかは、聞き取ることが出来なかった。
暦「…ベ口チューしたとか言わないならな…」
月火「聞きたいこといっぱいあるんだよね。お兄ちゃんのどこがよかったのかとか」
暦「ははっ、きっ即答してくれるよ」
月火「そっか…」
少し切なそうな顔で。
月火「お願いだから、勝手に1人で大人にならないでよね?」
暦「?」
月火「ーーーーよ、お兄ちゃん」
月火が最後に何と言ったのかは、聞き取ることが出来なかった。
14: 8 ◆H3qqj7wCjc 2016/04/24(日) 13:57:50.26 ID:P7OSXOlE0
終わりです。
何か唐突に月火とのイチャイチャを書きたくなりました。
この時間帯きっと起きていていた忍はやっぱり2人を見ていたんですかね?
何か唐突に月火とのイチャイチャを書きたくなりました。
この時間帯きっと起きていていた忍はやっぱり2人を見ていたんですかね?
15: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/24(日) 13:59:48.23 ID:TsLZpVAmO
忍ちゃんが嫉妬するお話を書いてもいいですのよ?
16: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/04/24(日) 14:36:22.91 ID:oT+ESb8vO
月火ちゃんかわいい
火憐「私と兄ちゃんは血がつながってないらしい」月火「私、結婚できるじゃん!」
2019-09-29
4: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/31(土) 20:41:26.80 ID:9NdMnV1uO
火憐「おい、月火ちゃん、兄ちゃんは私のだ」
月火「頭おかしいんじゃない。第一、お兄ちゃんは私のだからね」
暦「なんでおまえら、血がつながってないってわかったのにそんな反応なんだよ。まあ、僕は、別に義妹なんて萌えるだけなんだが」
火憐「さすが兄ちゃんだ。とりあえず、私とえᘄちしようぜ!」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1422704370
月火「頭おかしいんじゃない。第一、お兄ちゃんは私のだからね」
暦「なんでおまえら、血がつながってないってわかったのにそんな反応なんだよ。まあ、僕は、別に義妹なんて萌えるだけなんだが」
火憐「さすが兄ちゃんだ。とりあえず、私とえᘄちしようぜ!」
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5: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/31(土) 20:50:03.44 ID:9NdMnV1uO
暦「なにいってんだ?」
月火「お兄ちゃん、相手にしなくていいよ。それより私の部屋でイチャイチャしよ」
火憐「あ、兄ちゃん、あれみて」
暦「ん?どれのことを」
チュ
火憐「どう?//// 」
暦「いや、別に//// なんとも」
火憐「でも、照れてるよね」
暦「照れてない////なんとも思わないしな 」
火憐「でも、私はそんな兄ちゃんが大好きだよ」
暦「//// 」
暦「照れてない//// 」
火憐「私、なにも言ってないよ」
暦「火憐ちゃんのくせに//// 」
月火「ちょっとコンビニで千枚通し買ってくる」
火憐「ストップストーーップ、月火ちゃん、コンビニで千枚通しは売ってないから」
暦「問題はそっちじゃないがな」
月火「お兄ちゃん、相手にしなくていいよ。それより私の部屋でイチャイチャしよ」
火憐「あ、兄ちゃん、あれみて」
暦「ん?どれのことを」
チュ
火憐「どう?//// 」
暦「いや、別に//// なんとも」
火憐「でも、照れてるよね」
暦「照れてない////なんとも思わないしな 」
火憐「でも、私はそんな兄ちゃんが大好きだよ」
暦「//// 」
暦「照れてない//// 」
火憐「私、なにも言ってないよ」
暦「火憐ちゃんのくせに//// 」
月火「ちょっとコンビニで千枚通し買ってくる」
火憐「ストップストーーップ、月火ちゃん、コンビニで千枚通しは売ってないから」
暦「問題はそっちじゃないがな」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/31(土) 21:40:23.96 ID:9NdMnV1uO
月火「えい」ぎゅー
暦「月火ちゃん?」
月火「お兄ちゃんずるいよ、私にも優しくして」
暦「わかったよ」
月火「じゃあ、なでなでして」
暦「そんなんでいいの?」
月火「お兄ちゃんのなでなで好きだから」
暦「はいはい」
月火(なでなで気持ちいい。あ、火憐ちゃんが羨ましそうにこっち見てる)
火憐「私にも」
暦「ん?」
火憐「私にもしてよ」
月火「まだだよー」
暦「月火ちゃんも火憐ちゃんも彼氏いるだろ」
月火「そこのでっかいほうの発情妹はラブラブな彼氏がいるみたいだけど、私はいないよ」
火憐「うそつけ!」
暦「どっちにしろ僕のなかではいないことになってるけどね」
火憐「それもどうかとは思うけど」
月火「お兄ちゃんは、私と月火ちゃんどっちが大事なの!」
暦「そんなの決まってるだろ!どっちも大事だ。命にかえても守ってみせるさ」
火憐「兄ちゃん、かっけー」
月火「お兄ちゃん//// ってことは、私が一番ってことか」
火憐「いや、どう考えても私だろ」
暦「お前ら、話聞けよ」
暦「月火ちゃん?」
月火「お兄ちゃんずるいよ、私にも優しくして」
暦「わかったよ」
月火「じゃあ、なでなでして」
暦「そんなんでいいの?」
月火「お兄ちゃんのなでなで好きだから」
暦「はいはい」
月火(なでなで気持ちいい。あ、火憐ちゃんが羨ましそうにこっち見てる)
火憐「私にも」
暦「ん?」
火憐「私にもしてよ」
月火「まだだよー」
暦「月火ちゃんも火憐ちゃんも彼氏いるだろ」
月火「そこのでっかいほうの発情妹はラブラブな彼氏がいるみたいだけど、私はいないよ」
火憐「うそつけ!」
暦「どっちにしろ僕のなかではいないことになってるけどね」
火憐「それもどうかとは思うけど」
月火「お兄ちゃんは、私と月火ちゃんどっちが大事なの!」
暦「そんなの決まってるだろ!どっちも大事だ。命にかえても守ってみせるさ」
火憐「兄ちゃん、かっけー」
月火「お兄ちゃん//// ってことは、私が一番ってことか」
火憐「いや、どう考えても私だろ」
暦「お前ら、話聞けよ」
13: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/31(土) 22:37:44.56 ID:9NdMnV1uO
月火「でも、なんだかんだ言って私だよね。暴力妹より和服妹だよね」
火憐「だれが暴力妹だ、だれが」
月火「じゃあさ、お互い一日だけ遊んで、お兄ちゃんに決めてもらうってのはどうかな」
火憐「よし。のった!絶対負けねー」
暦「おい、僕を置いて話を進めるな」
火憐「悪いけど兄ちゃんに拒否権はねーぜ」
暦「なんでだよ」
火憐「だって私たちを」
月火「こんなに好きにさせちゃったんだから」
暦(//// )
火憐「照れてるみたいだな」
月火「お兄ちゃん可愛い」
火憐「ちなみにどっちがさきにデートするんだ?」
火憐「だれが暴力妹だ、だれが」
月火「じゃあさ、お互い一日だけ遊んで、お兄ちゃんに決めてもらうってのはどうかな」
火憐「よし。のった!絶対負けねー」
暦「おい、僕を置いて話を進めるな」
火憐「悪いけど兄ちゃんに拒否権はねーぜ」
暦「なんでだよ」
火憐「だって私たちを」
月火「こんなに好きにさせちゃったんだから」
暦(//// )
火憐「照れてるみたいだな」
月火「お兄ちゃん可愛い」
火憐「ちなみにどっちがさきにデートするんだ?」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/02(月) 20:16:57.46 ID:v4CFeDWiO
月火「じゃあ、しょうがないから後はゆずるよ、私はさきでいいよ」
火憐「後はゆずるよっておかしいよね、まったくゆずってないし」
暦「なあそのまえにさ、もう一回聞くからな。お前ら彼氏いるんだろ」
月火&火憐「いるよ」
月火「でも、まあ、お兄ちゃんと結婚できるんならねー」
火憐「そりゃあ、兄ちゃんを選ぶよ」
火憐「後はゆずるよっておかしいよね、まったくゆずってないし」
暦「なあそのまえにさ、もう一回聞くからな。お前ら彼氏いるんだろ」
月火&火憐「いるよ」
月火「でも、まあ、お兄ちゃんと結婚できるんならねー」
火憐「そりゃあ、兄ちゃんを選ぶよ」
23: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/02(月) 21:00:30.67 ID:UMyTzMTZO
暦「でも。デートって面倒臭いよね」
火憐「えい」ぎゅ
月火「えい」ぎゅ
暦「火憐ちゃん痛い」
月火「痛いってよ。はなしてあげたら」
火憐「月火ちゃんばっかり。どうせ私はお姉ちゃんだもん」
月火「あーあ、拗ねちゃった」
火憐「にいちゃん…いじわるだ」
暦「なあ、火憐ちゃん」
火憐「僕の大好きな火憐ちゃんって言って」
月火「僕の大好きな火憐ちゃん」
火憐「違う。月火ちゃんじゃない」
暦「僕の大好きな」
火憐「うんうん」
暦「月火ちゃん!」
火憐「……うぅ、ひどいよ。にいちゃん」
月火「泣いちゃったよ。どうすんのお兄ちゃん」
暦「ちょっとからかいすぎたかな」
火憐「えい」ぎゅ
月火「えい」ぎゅ
暦「火憐ちゃん痛い」
月火「痛いってよ。はなしてあげたら」
火憐「月火ちゃんばっかり。どうせ私はお姉ちゃんだもん」
月火「あーあ、拗ねちゃった」
火憐「にいちゃん…いじわるだ」
暦「なあ、火憐ちゃん」
火憐「僕の大好きな火憐ちゃんって言って」
月火「僕の大好きな火憐ちゃん」
火憐「違う。月火ちゃんじゃない」
暦「僕の大好きな」
火憐「うんうん」
暦「月火ちゃん!」
火憐「……うぅ、ひどいよ。にいちゃん」
月火「泣いちゃったよ。どうすんのお兄ちゃん」
暦「ちょっとからかいすぎたかな」
25: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/02(月) 21:09:15.76 ID:UMyTzMTZO
暦「火憐ちゃん。こっちおいで」
火憐「どうせまたいじわるするんだろ」
暦「可愛い火憐ちゃんにそんなことするわけないだろ」
月火(いやいやさっきまでしてましたけど、まあ、面倒だから言わないけど)
火憐「可愛い?」
暦「可愛くないわけないじゃん」
火憐「兄ちゃん!」
月火(ちょろすきでしょ、言ったら面倒だから言わないけど)
暦「火憐ちゃん」
なでなで
火憐(兄ちゃんがなでなでしてる//// )
火憐「兄ちゃん」
月火(いいなあ、ってかイチャイチャしすぎ)
火憐「どうせまたいじわるするんだろ」
暦「可愛い火憐ちゃんにそんなことするわけないだろ」
月火(いやいやさっきまでしてましたけど、まあ、面倒だから言わないけど)
火憐「可愛い?」
暦「可愛くないわけないじゃん」
火憐「兄ちゃん!」
月火(ちょろすきでしょ、言ったら面倒だから言わないけど)
暦「火憐ちゃん」
なでなで
火憐(兄ちゃんがなでなでしてる//// )
火憐「兄ちゃん」
月火(いいなあ、ってかイチャイチャしすぎ)
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/02(月) 21:26:44.97 ID:UMyTzMTZO
月火「ちょっと!!」
火憐「どうした下の妹」
月火「イチャイチャしすぎ!!」
火憐「いままで私がゆずってあげたんだから、お姉ちゃんにゆずれよ月火ちゃん。なあ、暦」
月火(ついに暦とかいいだした)
暦「そうだ!!」
月火「どうしたのお兄ちゃん?」
暦「恋人プレイして僕をドキドキさせたほうが勝ちってのはどうかな」
火憐(我が兄ながら)
月火(発想があれだが)
火憐(だけど、)
月火(その勝負)
火憐&月火「乗った!!」
火憐「どうした下の妹」
月火「イチャイチャしすぎ!!」
火憐「いままで私がゆずってあげたんだから、お姉ちゃんにゆずれよ月火ちゃん。なあ、暦」
月火(ついに暦とかいいだした)
暦「そうだ!!」
月火「どうしたのお兄ちゃん?」
暦「恋人プレイして僕をドキドキさせたほうが勝ちってのはどうかな」
火憐(我が兄ながら)
月火(発想があれだが)
火憐(だけど、)
月火(その勝負)
火憐&月火「乗った!!」
27: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/02(月) 21:33:15.37 ID:UMyTzMTZO
暦(こうしてどちらも僕を同じぐらいドキドキさせたのでこの勝負は引き分けとなった)
暦「やっぱり妹っていいよな!」
完
暦「やっぱり妹っていいよな!」
完
引用元: 火憐「私と兄ちゃんは血がつながってないらしい」月火「私、結婚できるじゃん!」
ひたぎ「兄さん、早く起きなさい」翼「もう、お兄ちゃん起きて」暦「なんだこれ。」
2019-08-26
1: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/05(月) 12:06:19.77 ID:p23XQNHaO
説明しよう。
朝起きたら、戦場ヶ原のおそらく小学校高学年ぐらいであろう戦場ヶ原の姿があった。そして、月火や火憐と同じ制服を着ている羽川の姿があった。
なんだこれ……。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1420427179
朝起きたら、戦場ヶ原のおそらく小学校高学年ぐらいであろう戦場ヶ原の姿があった。そして、月火や火憐と同じ制服を着ている羽川の姿があった。
なんだこれ……。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1420427179
関連
ハルヒ「SOS団で恋の暴露大会をするわよ!」
【朗報】わたてんさん、ケムリクサを超えてガチで覇権へ
【ラブライブサンシャイン】善子「運命の引力」
【悲報】Twitterで3年前に「令和」を予言してたものがいたwwwwwwwww
3: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/05(月) 12:47:53.52 ID:p23XQNHaO
暦「おい、そこの戦場ヶ原ひたぎ、悪い冗談はやめろ」
ひたぎ「なにを言ってるのだめ兄さん、私は阿良々木ひたぎよ」
ひたぎ「なにを言ってるのだめ兄さん、私は阿良々木ひたぎよ」
9: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/05(月) 16:17:24.78 ID:eKZvs/d2O
翼(お兄ちゃん。大丈夫かなあ、とても冗談を言ってるような感じがしない)
翼「お兄ちゃん、大丈夫?」
暦(可愛い、いや、それよりも)
暦「いや、その、羽川。じゃない、翼ちゃんでいいのかな。お前たち、今、年はいくだ?」
翼「私は15、中学3年生、ひたぎちゃんは12才の小学校6年生だよ」
暦(なん……だと……。僕が驚いた点は3つあった。まず、彼女たちの年齢、そして、もうひとつは、年齢が変わったのにもかかわらず西暦も日付も今日であるということ、そして、もうひとつ、羽川翼、いまは阿良々木翼だが、羽川翼の胸が中学3年生にあるにも関わらず、僕の知る羽川翼の胸そのものだったのだ……)
翼「お兄ちゃん、大丈夫?」
暦(可愛い、いや、それよりも)
暦「いや、その、羽川。じゃない、翼ちゃんでいいのかな。お前たち、今、年はいくだ?」
翼「私は15、中学3年生、ひたぎちゃんは12才の小学校6年生だよ」
暦(なん……だと……。僕が驚いた点は3つあった。まず、彼女たちの年齢、そして、もうひとつは、年齢が変わったのにもかかわらず西暦も日付も今日であるということ、そして、もうひとつ、羽川翼、いまは阿良々木翼だが、羽川翼の胸が中学3年生にあるにも関わらず、僕の知る羽川翼の胸そのものだったのだ……)
10: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/05(月) 16:29:32.02 ID:eKZvs/d2O
翼「それと、お兄ちゃん、違うでしょ。」
暦「ごめん、なにかちがった?」
翼「翼ちゃんじゃなくて、つーばーさ!翼ちゃんなんて恥ずかしいじゃない。」
暦「ごめん、翼。で、ひたぎ」
ひたぎ(////////
暦「イタイッ! え、違った?」
ひたぎ「なんで、私が兄さんにそんな呼び方されなきゃいけないのよ、恥ずかしい」
翼「あれ?なんで恥ずかしいのかなあ。ひたぎちゃん、この前、翼姉さんいいなあって言ってなかっけ?」
ひたぎ「翼姉さん?じゃあ、私も翼姉さんが兄さんが部屋にいないとき、ごっそり」
翼「わ~わ~わ~。それは反則だよ!ひたぎちゃん!」
暦「ごめん、なにかちがった?」
翼「翼ちゃんじゃなくて、つーばーさ!翼ちゃんなんて恥ずかしいじゃない。」
暦「ごめん、翼。で、ひたぎ」
ひたぎ(////////
暦「イタイッ! え、違った?」
ひたぎ「なんで、私が兄さんにそんな呼び方されなきゃいけないのよ、恥ずかしい」
翼「あれ?なんで恥ずかしいのかなあ。ひたぎちゃん、この前、翼姉さんいいなあって言ってなかっけ?」
ひたぎ「翼姉さん?じゃあ、私も翼姉さんが兄さんが部屋にいないとき、ごっそり」
翼「わ~わ~わ~。それは反則だよ!ひたぎちゃん!」
11: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/05(月) 16:57:01.88 ID:eKZvs/d2O
暦「で、僕は、今、高校三年生ということでいいのかな?」
ひたぎ「そうよ。くだらない冗談言ってないで。ご飯たべて。幼馴染みさんが迎えにくるわよ。」
暦(幼馴染み?あれ、僕、そんな幸せだったっけ)
翼「まあ、料理を作ってるのは私なんだけど。じゃあ、支度ができたら、降りてきてね。」
ひたぎ「兄さん、あんまり、翼姉さんにでれでれしないで。兄妹なのにみてて不愉快だわ。じゃ。」
暦(いったい誰なんだ幼馴染みって。まさか、老倉育じゃないだろうなあ。まあいい。とりあえず僕は、羽川の手料理を楽しむことにしよう。仮に美味しくなくてもね。)
※老倉育は、アニメにはまだでてません。
ひたぎ「そうよ。くだらない冗談言ってないで。ご飯たべて。幼馴染みさんが迎えにくるわよ。」
暦(幼馴染み?あれ、僕、そんな幸せだったっけ)
翼「まあ、料理を作ってるのは私なんだけど。じゃあ、支度ができたら、降りてきてね。」
ひたぎ「兄さん、あんまり、翼姉さんにでれでれしないで。兄妹なのにみてて不愉快だわ。じゃ。」
暦(いったい誰なんだ幼馴染みって。まさか、老倉育じゃないだろうなあ。まあいい。とりあえず僕は、羽川の手料理を楽しむことにしよう。仮に美味しくなくてもね。)
※老倉育は、アニメにはまだでてません。
12: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/05(月) 17:33:37.60 ID:eKZvs/d2O
暦(そして、もうひとつ気づいた。吸血鬼で、なくなっていた。脱いだ自分の裸をみて。もしかしたらこの世界は、怪異や吸血鬼とは無縁の世界なのかもしれない。だとしたら、それは、僕にとって、幸せなのだろうか)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
リビング
暦「おはよう翼、もう食べていいのかな。」
翼「遅いから、冷めちゃったよー。もう1回あっためる?」
暦「いや、せっかく翼が作ってくれたんだし」
翼「別に気にしなくていいのに、はい、どうぞ」
暦「ありがとう」
ひたぎ(イライラ)
暦「では、いただきます」
翼「召し上がれ」
暦「うまい!すっげーうまいよ!翼!もう、僕、翼の料理食べれるなら結婚しなくても」
暦「痛ッテー、なにすんだ!」
ひたぎ「別に」
翼「やきもちやいて可愛いんだから」
ひたぎ「ねー兄さん、翼姉さんね、」
翼「ごめんなさい。私が悪かったわ。ひたぎちゃん」
ピンポーン
翼「あ、そろそろ来たんじゃない?お兄ちゃん出てあげて」
暦「わかった」
暦(いったい誰なんだ。僕の幼馴染みは……)
ガチャ
???「おはよう、暦」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
リビング
暦「おはよう翼、もう食べていいのかな。」
翼「遅いから、冷めちゃったよー。もう1回あっためる?」
暦「いや、せっかく翼が作ってくれたんだし」
翼「別に気にしなくていいのに、はい、どうぞ」
暦「ありがとう」
ひたぎ(イライラ)
暦「では、いただきます」
翼「召し上がれ」
暦「うまい!すっげーうまいよ!翼!もう、僕、翼の料理食べれるなら結婚しなくても」
暦「痛ッテー、なにすんだ!」
ひたぎ「別に」
翼「やきもちやいて可愛いんだから」
ひたぎ「ねー兄さん、翼姉さんね、」
翼「ごめんなさい。私が悪かったわ。ひたぎちゃん」
ピンポーン
翼「あ、そろそろ来たんじゃない?お兄ちゃん出てあげて」
暦「わかった」
暦(いったい誰なんだ。僕の幼馴染みは……)
ガチャ
???「おはよう、暦」
19: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/05(月) 19:01:54.46 ID:eKZvs/d2O
暦(なんとそこには、忍野忍がたっていた。それも、高校生ぐらいの麗しい姿でありながら、僕と同じ学校の制服を着ていた。忍がいるんならこの世界のこといろいろ聞けるかもしれない。ていうか、可愛すぎるだろ!)
暦「おはよう、忍。いろいろ聞きたいことはあるが。そのまえに、なんで高校生の姿なんだ?あと、なんで僕とのペアリングが切れてるんだ?そしてなぜ僕は吸血鬼じゃなくなったんだ!」
忍「ペアリング?吸血鬼?どういうこと?暦にしてはおかしいなこと言うね」
暦「え、じゃあ、忍野、、忍野メメは?」
忍「お父さんがどうかしたの?っていうか、暦ほんとに大丈夫?」
暦(吸血鬼という単語を聞いてもなにも反応しない上に、いなくなった忍野は、忍の父親だった……。え、だとしたら、忍野は結婚してるのか。すごい世界だな……)
ひたぎ「最近ちょっとおかしいのよ、兄さん時間ないわよ?」
忍「じゃあ、行こ、暦。遅刻しちゃうよ」
暦「おはよう、忍。いろいろ聞きたいことはあるが。そのまえに、なんで高校生の姿なんだ?あと、なんで僕とのペアリングが切れてるんだ?そしてなぜ僕は吸血鬼じゃなくなったんだ!」
忍「ペアリング?吸血鬼?どういうこと?暦にしてはおかしいなこと言うね」
暦「え、じゃあ、忍野、、忍野メメは?」
忍「お父さんがどうかしたの?っていうか、暦ほんとに大丈夫?」
暦(吸血鬼という単語を聞いてもなにも反応しない上に、いなくなった忍野は、忍の父親だった……。え、だとしたら、忍野は結婚してるのか。すごい世界だな……)
ひたぎ「最近ちょっとおかしいのよ、兄さん時間ないわよ?」
忍「じゃあ、行こ、暦。遅刻しちゃうよ」
22: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/05(月) 20:05:15.78 ID:p23XQNHaO
学校
暦「はあ。疲れた。いろいろ聞きたかったのに。お前、なんでそんなに速いんだよ」
忍「それよりさ、なんで朝変なこといったの?ほんとに大丈夫?暦とは、小さいときからずっと一緒で見てきたけど、今日の暦はちょっとおかしいよ」
暦(幼馴染みってすげぇ。なんか安心感があるというか。癒される)
忍「ちょっと、暦聞いてる?」
暦「あ。ごめんごめん。なにせ僕たちは結婚の約束をしたなかだもんな!」
忍「え//// 」
暦(あれ、僕の中では、幼馴染みといえば、小さい頃に結婚の約束が定番だと思っていたんだが、まさかそれは漫画だけの世界とでもいうのか……)
暦「忍?……」
忍「覚えててくれたの?!嬉しい!!キャー!こよみー」
暦(抱きつかれてしまった!胸が!胸が!あれ?僕の彼女って誰だっけ?もう、この世界が正義なんじゃないかな)
きーんこーんかーんこーん
???「あー、今から授業を始める」
暦「え、、なんで、、なんで」
貝木「どうした阿良々木、騒がしいな、席につけ」
暦「だって、お前、」
貝木「教師に向かってお前とは、、まあいい。とにかく席につけ。授業がはじめられん」
暦(どうなってんだ……)
暦「はあ。疲れた。いろいろ聞きたかったのに。お前、なんでそんなに速いんだよ」
忍「それよりさ、なんで朝変なこといったの?ほんとに大丈夫?暦とは、小さいときからずっと一緒で見てきたけど、今日の暦はちょっとおかしいよ」
暦(幼馴染みってすげぇ。なんか安心感があるというか。癒される)
忍「ちょっと、暦聞いてる?」
暦「あ。ごめんごめん。なにせ僕たちは結婚の約束をしたなかだもんな!」
忍「え//// 」
暦(あれ、僕の中では、幼馴染みといえば、小さい頃に結婚の約束が定番だと思っていたんだが、まさかそれは漫画だけの世界とでもいうのか……)
暦「忍?……」
忍「覚えててくれたの?!嬉しい!!キャー!こよみー」
暦(抱きつかれてしまった!胸が!胸が!あれ?僕の彼女って誰だっけ?もう、この世界が正義なんじゃないかな)
きーんこーんかーんこーん
???「あー、今から授業を始める」
暦「え、、なんで、、なんで」
貝木「どうした阿良々木、騒がしいな、席につけ」
暦「だって、お前、」
貝木「教師に向かってお前とは、、まあいい。とにかく席につけ。授業がはじめられん」
暦(どうなってんだ……)
26: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/05(月) 23:39:45.99 ID:KlWYmNwDO
暦「にしてもあいつに教師なんかできんのか……」
忍「あの人、かなりすごいよねー。いまは数学の教師やってるけど、前は物理や化学の教師だったとか。実は弁護士バッチ持ってるとか。東大だとかハーバードだとか、いろいろ噂はあるけど、誰一人本当のとかは知らないらしいんだよ。でも、どの教科を聞いても答えられるのに、歴史だけは苦手らしいよ。まあ、それも本当かはわかんないんだけど」
暦「でも、人に教えるのとかは苦手だろ」
忍「そうでもないらしいよ。だまされたと思ってやってみろが口ぐせらしいけど。笑っちゃうよね。詐欺師みたい。でも、騙されたみたいに解けるらしいんだって。それに意外と生徒からの信頼はあついらしいよ」
暦(騙されたみたいにね……)
暦「じゃあ、僕もちょっと質問しにいってみようかな。」
忍「あの人、かなりすごいよねー。いまは数学の教師やってるけど、前は物理や化学の教師だったとか。実は弁護士バッチ持ってるとか。東大だとかハーバードだとか、いろいろ噂はあるけど、誰一人本当のとかは知らないらしいんだよ。でも、どの教科を聞いても答えられるのに、歴史だけは苦手らしいよ。まあ、それも本当かはわかんないんだけど」
暦「でも、人に教えるのとかは苦手だろ」
忍「そうでもないらしいよ。だまされたと思ってやってみろが口ぐせらしいけど。笑っちゃうよね。詐欺師みたい。でも、騙されたみたいに解けるらしいんだって。それに意外と生徒からの信頼はあついらしいよ」
暦(騙されたみたいにね……)
暦「じゃあ、僕もちょっと質問しにいってみようかな。」
29: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 18:35:41.44 ID:ZrZ5egxZO
暦「おい、貝木、、、先生。どうして詐欺師じゃない、、んですか?」
暦(教師としてこいつに敬語を使わなければならないのが、非常にやりにくい)
貝木「急に何をいいだすかと思えば。俺は、教師だ。それを疑うやつはいないだろう。あとな、別に詐欺師じゃなくても人は騙せるぞ。ひとは、生きているうちに、知らず知らずのうちに騙しあっている。別に人を騙しているのが、詐欺師だけってわけじゃない。」
暦「そうですか。わかりました。」
暦(性格はそんなに変わらないようだ。そして僕はなかなかどうしてこいつが苦手のようだ)
貝木「質問はそれだけか、阿良々木。くだらないことは考えるな、勉強しろ。」
暦「わかりました。失礼します」
暦(教師としてこいつに敬語を使わなければならないのが、非常にやりにくい)
貝木「急に何をいいだすかと思えば。俺は、教師だ。それを疑うやつはいないだろう。あとな、別に詐欺師じゃなくても人は騙せるぞ。ひとは、生きているうちに、知らず知らずのうちに騙しあっている。別に人を騙しているのが、詐欺師だけってわけじゃない。」
暦「そうですか。わかりました。」
暦(性格はそんなに変わらないようだ。そして僕はなかなかどうしてこいつが苦手のようだ)
貝木「質問はそれだけか、阿良々木。くだらないことは考えるな、勉強しろ。」
暦「わかりました。失礼します」
30: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 18:48:58.44 ID:ZrZ5egxZO
忍「授業終わったあと、なに質問してたの?本当に行くとは思わなかったからびっくりしたよ。」
暦「ちょっとな。でも、まあ、聞きたいことは聞けなかったけどな」
暦(そういえば、神原は、神原駿河はどこにいるんだろう)
暦「神原駿河を知っているか?」
忍「神原先生?」
暦(え、、いま、なんて)
暦「ごめん。もう1回言ってもらっていいかな。」
忍「だから、神原先生でしょ。保健室の神原駿河先生。」
暦(なん……だと………)
暦「ちょっとな。でも、まあ、聞きたいことは聞けなかったけどな」
暦(そういえば、神原は、神原駿河はどこにいるんだろう)
暦「神原駿河を知っているか?」
忍「神原先生?」
暦(え、、いま、なんて)
暦「ごめん。もう1回言ってもらっていいかな。」
忍「だから、神原先生でしょ。保健室の神原駿河先生。」
暦(なん……だと………)
32: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 19:03:18.82 ID:ZrZ5egxZO
暦「実際、どうなんだ?神原先生は、人気はあるのか?」
忍「男子生徒には、最初は工口可愛いとかいわれて人気はあったが、それでも、最近は、ひいている生徒がほとんどかな。」
暦(リアルだな……)
忍「でも、やはり一部の女子生徒から抜群の人気はあるし。なんだかんだで、慕われているよ」
暦「良かった。じゃあ、ちょっと、行ってこようかな」
忍「男子生徒には、最初は工口可愛いとかいわれて人気はあったが、それでも、最近は、ひいている生徒がほとんどかな。」
暦(リアルだな……)
忍「でも、やはり一部の女子生徒から抜群の人気はあるし。なんだかんだで、慕われているよ」
暦「良かった。じゃあ、ちょっと、行ってこようかな」
40: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/06(火) 20:52:48.20 ID:ZrZ5egxZO
保健室
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ガラガラ
暦「おい。神原」
暦(さすがに先生に向かって、まずかったか)
神原「どうした阿良々木。やりたくなったか?
いま誰でもいないから、ベッドは空いている。心配するな」
暦「ツッコムところはそこじゃない!」
神原「ツッコムところって……まあ、そうだな//// 」
暦「顔を赤らめるな!」
暦(こいつ、本当にぶれないな……先生だってのに)
神原「ちなみに、あの子は元気か?」
暦「誰だ?」
神原「君の実妹のひたぎちゃんに決まっているだろう!!!!怒こるぞ!学園祭いらい見てない!ひたぎちゃん成分がたりない!」
暦「あ、授業なんで。失礼しまーす」
暦(まあ、実際、口リがはらさんの破壊力は異常だからな。)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ガラガラ
暦「おい。神原」
暦(さすがに先生に向かって、まずかったか)
神原「どうした阿良々木。やりたくなったか?
いま誰でもいないから、ベッドは空いている。心配するな」
暦「ツッコムところはそこじゃない!」
神原「ツッコムところって……まあ、そうだな//// 」
暦「顔を赤らめるな!」
暦(こいつ、本当にぶれないな……先生だってのに)
神原「ちなみに、あの子は元気か?」
暦「誰だ?」
神原「君の実妹のひたぎちゃんに決まっているだろう!!!!怒こるぞ!学園祭いらい見てない!ひたぎちゃん成分がたりない!」
暦「あ、授業なんで。失礼しまーす」
暦(まあ、実際、口リがはらさんの破壊力は異常だからな。)
41: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/07(水) 00:08:27.36 ID:M86bwuFhO
暦「あー、なんか疲れるな、あの人」
???「楽しそうですね、阿良々木先輩。私の大好きな阿良々木先輩。」
暦「お前、扇ちゃんか?」
扇「いやあ、面白いことをおっしゃいますねー、阿良々木先輩。この学校に私以外、忍野扇なんていませんよー。あ、ちなみに、私に関しては、阿良々木先輩の知るちゃんとした、高校一年生の忍野扇ですよー」
暦「ちゃんとしたって、それどういう意味だよ」
扇「あはは、まあ、焦らないでくださいよー。あと、心配しなくても、今回は、私なんにもしませんから、安心して下さい。」
暦「そうか、わかった」
扇「あ、そうだ、阿良々木先輩、よく人は、夢のような話とか、物語とかいうじゃないですかー。でも、それって、誰に対しての言葉なんでしょーね。」
暦「おい、扇ちゃん、それって、」
扇「アアーソロソロジカンダーイカナキャー」
暦(あ、もう、いなくなっちゃった)
???「楽しそうですね、阿良々木先輩。私の大好きな阿良々木先輩。」
暦「お前、扇ちゃんか?」
扇「いやあ、面白いことをおっしゃいますねー、阿良々木先輩。この学校に私以外、忍野扇なんていませんよー。あ、ちなみに、私に関しては、阿良々木先輩の知るちゃんとした、高校一年生の忍野扇ですよー」
暦「ちゃんとしたって、それどういう意味だよ」
扇「あはは、まあ、焦らないでくださいよー。あと、心配しなくても、今回は、私なんにもしませんから、安心して下さい。」
暦「そうか、わかった」
扇「あ、そうだ、阿良々木先輩、よく人は、夢のような話とか、物語とかいうじゃないですかー。でも、それって、誰に対しての言葉なんでしょーね。」
暦「おい、扇ちゃん、それって、」
扇「アアーソロソロジカンダーイカナキャー」
暦(あ、もう、いなくなっちゃった)
43: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/07(水) 01:55:40.45 ID:pS2OpDrsO
>>42え?入れちゃダメなの?
45: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/07(水) 03:42:14.74 ID:9IEBMavoO
暦(そういえば、この世界のことだんだんわかってきてはいるんだけど、彼女と呼べるような人間はいるんだろうか)
???「こよみくん、こよみくん、僕は最愛のこよみくんに優しく話かけた」
暦「おかしいなあ、幻聴かなあ」
暦(例えば、忍に僕の彼女は誰なのか聞いたとしよう。仮に彼女だったとしたら、なんとなくその問いは地雷のようが気がする。それは僕にでもわかる。じゃあ、誰に聞くのが一番いいんだろうか)
???「いやあ、ここまで彼氏に無視されるとは思わなかったなあ。じゃあ、しょうがない。アンリミテッド」
暦「待て!いきなり危険な技を使おうとするな!」
???「こよみくん、こよみくん、僕は最愛のこよみくんに優しく話かけた」
暦「おかしいなあ、幻聴かなあ」
暦(例えば、忍に僕の彼女は誰なのか聞いたとしよう。仮に彼女だったとしたら、なんとなくその問いは地雷のようが気がする。それは僕にでもわかる。じゃあ、誰に聞くのが一番いいんだろうか)
???「いやあ、ここまで彼氏に無視されるとは思わなかったなあ。じゃあ、しょうがない。アンリミテッド」
暦「待て!いきなり危険な技を使おうとするな!」
46: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/07(水) 03:58:28.06 ID:9IEBMavoO
余接「どうも、あなたの彼女、斧乃木余接です。高校2年生です。ちなみに今回の夢物語から離脱できる、キーパーソンになる人物です。」
暦(相変わらずメタだなあ。)
暦「そのまえに、なんで黒髪なんだよ」
余接「あんな緑の髪で編入できるわけないだろ。どこの不良だよ。それに、この髪は、こっちの世界の暦にやってもらったんだ。僕は気に入っている」
暦(すげー似合ってるなあ)
暦「すげー可愛いと思うし」
暦(あ……)
余接(////////)
余接「やめてくれ暦、さすの僕でも照れる//// 」
暦(あの斧乃木余接が、無表情キャラじゃなくなってる。恥ずかしがってるのに、頑張ってクールを演じようとしてる。可愛い!可愛すぎる!あれ?ほんとに僕の彼女って誰だっけ?この子なんじゃないかな)
暦(相変わらずメタだなあ。)
暦「そのまえに、なんで黒髪なんだよ」
余接「あんな緑の髪で編入できるわけないだろ。どこの不良だよ。それに、この髪は、こっちの世界の暦にやってもらったんだ。僕は気に入っている」
暦(すげー似合ってるなあ)
暦「すげー可愛いと思うし」
暦(あ……)
余接(////////)
余接「やめてくれ暦、さすの僕でも照れる//// 」
暦(あの斧乃木余接が、無表情キャラじゃなくなってる。恥ずかしがってるのに、頑張ってクールを演じようとしてる。可愛い!可愛すぎる!あれ?ほんとに僕の彼女って誰だっけ?この子なんじゃないかな)
51: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/07(水) 13:05:38.65 ID:t/n8JXS60
暦「ちなみにさ、この世界の暦の、斧乃木ちゃんはどこを好きになったの?」
余接「暦くん、しれっとすごいこと聞くね。わかった教えるよ。
最初の印象は、ただのヘン夕イ野郎だった。出会いがしらにパンツを見られちゃったしね。
でも、そのことがきっかけってこともあってね、いやいやだったけど話すようになって、
僕が数学を苦手なことを話したら、一生懸命教えてくれた。
友達のことで悩んでいたときも自分のことみたいに一緒に考えてくれた。
きわめつけはあれだっかな。僕がくだらない男たちにいちゃもんをつけられていたときなんだけどね。
ちょっとは僕も悪いんだけど、そのとき、いってくれたんだ。
---------僕はヘン夕イだ。だけど、女の子を傷つけるようなお前たちよりは100倍ましだ。
こんな可愛い女の子を守れるんなら、ぼこぼこにされるぐらい安いもんだ-----------
で、そのあと、あろうことかそいつら暦くんに殴りかかろうとしたから、
僕がちょっとそいつらにお仕置きしてあげたよ。
あのときの暦くんはほんとにかっこよかった。
っていうか、そんなこといわれたら、惚れても仕方ないよね。
というより本人にこういうことを話すのが僕としてはすごく恥ずかしいんだけど////////」
暦(でも、この斧乃木ちゃんが好きなのは僕じゃない。
だからこそ僕はこの斧乃木ちゃんに言わなければいけないことがある)
余接「暦くん、しれっとすごいこと聞くね。わかった教えるよ。
最初の印象は、ただのヘン夕イ野郎だった。出会いがしらにパンツを見られちゃったしね。
でも、そのことがきっかけってこともあってね、いやいやだったけど話すようになって、
僕が数学を苦手なことを話したら、一生懸命教えてくれた。
友達のことで悩んでいたときも自分のことみたいに一緒に考えてくれた。
きわめつけはあれだっかな。僕がくだらない男たちにいちゃもんをつけられていたときなんだけどね。
ちょっとは僕も悪いんだけど、そのとき、いってくれたんだ。
---------僕はヘン夕イだ。だけど、女の子を傷つけるようなお前たちよりは100倍ましだ。
こんな可愛い女の子を守れるんなら、ぼこぼこにされるぐらい安いもんだ-----------
で、そのあと、あろうことかそいつら暦くんに殴りかかろうとしたから、
僕がちょっとそいつらにお仕置きしてあげたよ。
あのときの暦くんはほんとにかっこよかった。
っていうか、そんなこといわれたら、惚れても仕方ないよね。
というより本人にこういうことを話すのが僕としてはすごく恥ずかしいんだけど////////」
暦(でも、この斧乃木ちゃんが好きなのは僕じゃない。
だからこそ僕はこの斧乃木ちゃんに言わなければいけないことがある)
52: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/07(水) 18:29:14.26 ID:pS2OpDrsO
暦「余接、僕をもとの世界に戻してくれ」
余接「さっきはああいったけども、心配しなくても、大丈夫だよ。夢はいつかさめるものさ。今日ぐっすり寝て明日になれば元通りだよ」
暦「そっか。わかった」
余接「あ、もうひとつ、いい忘れてたことがあった。この世界の千石撫子にはむやみに関わらないほうがいい。もし、帰れなくなる理由があるとすれば、それが千石撫子だから」
余接「さっきはああいったけども、心配しなくても、大丈夫だよ。夢はいつかさめるものさ。今日ぐっすり寝て明日になれば元通りだよ」
暦「そっか。わかった」
余接「あ、もうひとつ、いい忘れてたことがあった。この世界の千石撫子にはむやみに関わらないほうがいい。もし、帰れなくなる理由があるとすれば、それが千石撫子だから」
60: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/07(水) 21:22:49.87 ID:LUB0LeZCO
暦「ちなみに、どうして千石に関わらないほうがいいんだ?」
余接「正直いうと、僕も詳しくは知らないんだ。ただ、知っているかぎりで話すと、暦と千石撫子は以前恋愛関係にあったんだ。要するに元カノだよ。彼女の嫉妬や束縛で、暦もかなり苦労したらしいよ。まあ、はやりのヤンデレってやつだよ。」
暦「わかった。とにかく会わないようにするよ。」
余接「正直いうと、僕も詳しくは知らないんだ。ただ、知っているかぎりで話すと、暦と千石撫子は以前恋愛関係にあったんだ。要するに元カノだよ。彼女の嫉妬や束縛で、暦もかなり苦労したらしいよ。まあ、はやりのヤンデレってやつだよ。」
暦「わかった。とにかく会わないようにするよ。」
67: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/07(水) 22:00:37.60 ID:LUB0LeZCO
暦「じゃあ、そろそろ時間だから僕は帰るね」
余接「なにを言ってんだバカ野郎」
暦(あれ、なんでこんなに罵倒されてんだろ)
余接「僕は暦の彼女なんだぞ、なに1人で帰ろうとしてるんだ」
暦「というか彼女ということは、余接ちゃんのパンツ見放題じゃないか」
余接「なにをいってるんだ、さっさと帰るぞ//// 」
暦「顔赤いし、口調おかしいけど大丈夫?」
余接「うるさい//// 」
余接「なにを言ってんだバカ野郎」
暦(あれ、なんでこんなに罵倒されてんだろ)
余接「僕は暦の彼女なんだぞ、なに1人で帰ろうとしてるんだ」
暦「というか彼女ということは、余接ちゃんのパンツ見放題じゃないか」
余接「なにをいってるんだ、さっさと帰るぞ//// 」
暦「顔赤いし、口調おかしいけど大丈夫?」
余接「うるさい//// 」
71: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/07(水) 23:24:51.82 ID:LUB0LeZCO
下校途中
暦「あのさあ、余接と影縫余弦の関係って、どうなってるんだ?」
暦(一般には普通の女子高生だから、いないという可能性もあったけど、一応聞いておきたい)
余接「養子として育てられたんだ。」
暦(意外にリアルだった。じゃあ、余接と結婚したらあの人がお義母さんになるわけか、ちょっと怖いな)
余接「そういえばさ、今日、帰ってくるね」
暦「ん?帰る?」
余接「いや、君のお姉さんたちだよ」
暦「お姉さん?!聞いてないぞ!」
暦(それをさきに言え!お姉さんってことは好きなだけ甘えられるじゃないか!あれ、お姉さんたち……たちって言ったか)
余接「大学のこととかいろいろ教えてもらいなよ、じゃあ、僕は、こっちだから。今日はありがとう、暦」
チュッ
暦(いま、頬に柔らかい感触が……)
余接「暦と帰ったときはいつもしてたから。その……あまり照れられるとこっちが恥ずかしいというか、じゃ!」
暦(恥ずかしいならしなきゃいいのに……走って
いってしまった)
暦「あのさあ、余接と影縫余弦の関係って、どうなってるんだ?」
暦(一般には普通の女子高生だから、いないという可能性もあったけど、一応聞いておきたい)
余接「養子として育てられたんだ。」
暦(意外にリアルだった。じゃあ、余接と結婚したらあの人がお義母さんになるわけか、ちょっと怖いな)
余接「そういえばさ、今日、帰ってくるね」
暦「ん?帰る?」
余接「いや、君のお姉さんたちだよ」
暦「お姉さん?!聞いてないぞ!」
暦(それをさきに言え!お姉さんってことは好きなだけ甘えられるじゃないか!あれ、お姉さんたち……たちって言ったか)
余接「大学のこととかいろいろ教えてもらいなよ、じゃあ、僕は、こっちだから。今日はありがとう、暦」
チュッ
暦(いま、頬に柔らかい感触が……)
余接「暦と帰ったときはいつもしてたから。その……あまり照れられるとこっちが恥ずかしいというか、じゃ!」
暦(恥ずかしいならしなきゃいいのに……走って
いってしまった)
73: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/07(水) 23:47:58.23 ID:LUB0LeZCO
暦(で、千石にも会わずに無事帰ることができた。このまま夜ねれば起きたらもとの世界にもどれるわけだ。だけど、このまま戻るのももったいないが気がする。
1 口リひたぎちゃんがちょっと生意気だったので無視してたら、涙目で素直になって可愛かった
2 翼ちゃんにコイバナしてるふうを装ってセクハラしてたら、案外照れてて、可愛かった
これを実行するほかない!!
1 口リひたぎちゃんがちょっと生意気だったので無視してたら、涙目で素直になって可愛かった
2 翼ちゃんにコイバナしてるふうを装ってセクハラしてたら、案外照れてて、可愛かった
これを実行するほかない!!
75: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 00:21:18.65 ID:T+oXdbBoO
暦(あれ、でも僕、忍の家とか番号とかわかんないけど、幼馴染みってことなら、翼(妹)に聞けばわかるんじゃないか……)
暦「あのさあ、忍の番号消えちゃったから教えてもらいたいんだけど、いいかな」
翼「ん、どうしたの、急に?はい、これだよ。」
暦「ありがとな、翼」
翼「はーい」
暦「もしもし、忍か?」
忍「え、、暦?どうしたの?急に?」
暦「いま、家にいるんだけどさ、その会いたい、、というか、別にいまじゃなくてもいいんだけどさ、」
忍「わかった、すぐ行くね」
ピンポーン
暦「早すぎだろ!」
忍「だって、家隣じゃん!」
暦「そっかあ。じゃあ、まあ、僕の部屋あがっておいてよ」
忍(いつもはあがらしてもらえないのに。というか、いついらいだろう、暦の部屋入るの……)
ガチャ
暦「なんか飲むか?」
忍「いや、大丈夫だよ。っていうか嬉しかったなあ、暦に呼んでもらえて。やったー。」
暦(可愛い。姿は17才のくせして大人っぽいのに、子どもみたいだ。)
暦「あのさあ、忍の番号消えちゃったから教えてもらいたいんだけど、いいかな」
翼「ん、どうしたの、急に?はい、これだよ。」
暦「ありがとな、翼」
翼「はーい」
暦「もしもし、忍か?」
忍「え、、暦?どうしたの?急に?」
暦「いま、家にいるんだけどさ、その会いたい、、というか、別にいまじゃなくてもいいんだけどさ、」
忍「わかった、すぐ行くね」
ピンポーン
暦「早すぎだろ!」
忍「だって、家隣じゃん!」
暦「そっかあ。じゃあ、まあ、僕の部屋あがっておいてよ」
忍(いつもはあがらしてもらえないのに。というか、いついらいだろう、暦の部屋入るの……)
ガチャ
暦「なんか飲むか?」
忍「いや、大丈夫だよ。っていうか嬉しかったなあ、暦に呼んでもらえて。やったー。」
暦(可愛い。姿は17才のくせして大人っぽいのに、子どもみたいだ。)
84: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 22:28:37.22 ID:Xdbj6wrUO
忍「わたし、きいたよ」
暦「なにを?」
忍「こよみがいつもの暦じゃないってこと。扇ちゃんから」
暦(あやつ……)
忍「でもね、暦は暦だから。私が8才の時引っ越してからずっと一緒だった暦だから」
暦「ありがとう。じゃあさ、変なこと聞くけど、僕って、どんなやつだった?」
忍「うーん。ヘン夕イだよ。」
暦(どこの世界でもそこはぶれないな)
忍「だけど、いざってときは頼もしくて、辛いときにはそばにいてくれて、私のことを大事にしてくれる人。あ、ごめんね、こんなこと本人にも言ったことないんだけどね」
暦(なんて声をかけたらいいんだろう)
忍「えへへ」
暦「え、ちょっと」
暦(後ろから抱きしめられてしまった)
暦「あの、胸あたってますけど」
暦(17才といえど、この胸の破壊力)
忍「いいよ、小さい時は一緒にお風呂にも入ってたし」
暦「なにを?」
忍「こよみがいつもの暦じゃないってこと。扇ちゃんから」
暦(あやつ……)
忍「でもね、暦は暦だから。私が8才の時引っ越してからずっと一緒だった暦だから」
暦「ありがとう。じゃあさ、変なこと聞くけど、僕って、どんなやつだった?」
忍「うーん。ヘン夕イだよ。」
暦(どこの世界でもそこはぶれないな)
忍「だけど、いざってときは頼もしくて、辛いときにはそばにいてくれて、私のことを大事にしてくれる人。あ、ごめんね、こんなこと本人にも言ったことないんだけどね」
暦(なんて声をかけたらいいんだろう)
忍「えへへ」
暦「え、ちょっと」
暦(後ろから抱きしめられてしまった)
暦「あの、胸あたってますけど」
暦(17才といえど、この胸の破壊力)
忍「いいよ、小さい時は一緒にお風呂にも入ってたし」
85: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 22:42:58.60 ID:Xdbj6wrUO
忍「私の口調がおかしいから、男子にからかわれてたときだって、怒ってくれたんだよ」
暦「口調?」
忍「うん。だけど、そのことで、暦に迷惑かけたくなかったから。やめるようにしたんだ。
あ、ずっとこうやってぎゅってされてやじゃない?」
暦「こんな金髪美少女に抱きしめられていやなやつはいないよ。」
忍「ありがと//// 」
忍「こよみ?」
暦「なに?」
忍「暦も、やっぱりさわりたいの?」
暦「え?なにを?」
忍「もう、わざとやってるでしょ。」
暦「口調?」
忍「うん。だけど、そのことで、暦に迷惑かけたくなかったから。やめるようにしたんだ。
あ、ずっとこうやってぎゅってされてやじゃない?」
暦「こんな金髪美少女に抱きしめられていやなやつはいないよ。」
忍「ありがと//// 」
忍「こよみ?」
暦「なに?」
忍「暦も、やっぱりさわりたいの?」
暦「え?なにを?」
忍「もう、わざとやってるでしょ。」
86: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 23:00:38.67 ID:Xdbj6wrUO
暦「えっと、その肉塊のこと?」
忍「照れ隠しなんだろうけど、さすがにいやだなあ」
暦「ごめん。けど、いいの?」
忍「暦が喜んでくれるならいやなわけないじゃん//// 」
暦(なんだこの可愛い生き物)
暦「では、失礼します。」
暦(柔らかい、想像以上に)
忍「結構恥ずかしいね//// 」
暦(この恥ずかしがっている顔が余計にそそるということに本人はおそらく気づいてない)
忍「もう、いいかな//// 」
暦(このまま、手が滑って、顔をうずめてしまっても大丈夫なんじゃないか。僕は天才かもしれない。よし、滑ったならしょうがない。)
忍「照れ隠しなんだろうけど、さすがにいやだなあ」
暦「ごめん。けど、いいの?」
忍「暦が喜んでくれるならいやなわけないじゃん//// 」
暦(なんだこの可愛い生き物)
暦「では、失礼します。」
暦(柔らかい、想像以上に)
忍「結構恥ずかしいね//// 」
暦(この恥ずかしがっている顔が余計にそそるということに本人はおそらく気づいてない)
忍「もう、いいかな//// 」
暦(このまま、手が滑って、顔をうずめてしまっても大丈夫なんじゃないか。僕は天才かもしれない。よし、滑ったならしょうがない。)
88: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 23:15:48.28 ID:Xdbj6wrUO
暦「あーてがすべったーー」
忍「ちょっと、やめ」
暦「あ」
暦(手が滑りすぎて、顔を胸に埋める作戦が、かなり不自然な形でスカートの中に顔をうずめてしまった。ラッキースケベの素質が僕にもあったことがわかったが、当然、一発叩かれて、そのあと、恥ずかしそうに一言言い残して、でていった)
忍「いい感じだったのに、バカ……//// 」
(そのあと、申し訳なかったから、ミスタードーナツを持っていったら、メールで一言、ありがと♪と、来ていた。どうやら、機嫌は治ったようだ)
忍「ちょっと、やめ」
暦「あ」
暦(手が滑りすぎて、顔を胸に埋める作戦が、かなり不自然な形でスカートの中に顔をうずめてしまった。ラッキースケベの素質が僕にもあったことがわかったが、当然、一発叩かれて、そのあと、恥ずかしそうに一言言い残して、でていった)
忍「いい感じだったのに、バカ……//// 」
(そのあと、申し訳なかったから、ミスタードーナツを持っていったら、メールで一言、ありがと♪と、来ていた。どうやら、機嫌は治ったようだ)
89: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/08(木) 23:41:09.34 ID:Xdbj6wrUO
その頃
忍「ただいまー」
メメ「どうしたんだい、忍ちゃん、嬉しいことでもあったかい?」
忍「え、なんで?」
メメ「どうせ、あららぎくんだろ」
忍「そうだけど、でも、あいつヘン夕イだし」
メメ「いやあ、あららぎくんも男だねー。でもね忍ちゃん。可愛いからこそ、いじわるしたかったり、工ッチなこともしたい、男ってのは、そういう馬鹿で単純な生き物なんだよ。きっと、あららぎくんは忍ちゃんのことが大事なんだよ」
忍「そうかなあ、うん、そうかも。そう思えてきた。えへへ、大事かあ。うんうん、許してあげよ」
メメ(わが娘ながらあららぎくんに対してチョロすぎやしないかい。まあ、あららぎくんには借りがあるからね。今のあららぎくんではないけどね。これで、ドーナツあげたぐらいで機嫌が治ったなんて思われたらやだけども、まあ、どっちでもいいか)
忍「ただいまー」
メメ「どうしたんだい、忍ちゃん、嬉しいことでもあったかい?」
忍「え、なんで?」
メメ「どうせ、あららぎくんだろ」
忍「そうだけど、でも、あいつヘン夕イだし」
メメ「いやあ、あららぎくんも男だねー。でもね忍ちゃん。可愛いからこそ、いじわるしたかったり、工ッチなこともしたい、男ってのは、そういう馬鹿で単純な生き物なんだよ。きっと、あららぎくんは忍ちゃんのことが大事なんだよ」
忍「そうかなあ、うん、そうかも。そう思えてきた。えへへ、大事かあ。うんうん、許してあげよ」
メメ(わが娘ながらあららぎくんに対してチョロすぎやしないかい。まあ、あららぎくんには借りがあるからね。今のあららぎくんではないけどね。これで、ドーナツあげたぐらいで機嫌が治ったなんて思われたらやだけども、まあ、どっちでもいいか)
100: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/09(金) 23:36:48.10 ID:C1Rrla5aO
コンコン
ひたぎ「ねー、兄さん、また、あのCD借りてもいい?」
暦(可愛い。けど、心を鬼にするんだ。涙目可愛いひたぎをみるためだ。多少の僕のキャラ崩壊もしょうがない。)
ひたぎ「あれ、兄さん?」
ひたぎ「ちょっと、勉強してるからって、無視しなくても。」
ひたぎ「兄さん?」
暦「チッ」
暦(ちょっと舌打ちわざとらしかったかな)
ひたぎ「え、、」
暦(おー、ショックうけてへこんでる。可愛い可愛い)
ひたぎ「ついに日本語までわからなくなったのかしら、このゴミ兄さんは」
翼「あら。どうしたの?ひたぎちゃん。あ、ちょっと、兄さん、私出掛けてくるから。」
暦「うん、わかった。翼ちゃん可愛いんだから、気を付けるんだよ。なんなら途中までついていこうか?」
翼「もう、大丈夫だよ。」
ひたぎ「……」
暦(あ、ヤバい。泣きそう)
ひたぎ「もう!兄さんなんて、知らない!バカ」
暦(あ、自分の部屋に行っちゃった)
翼「ちょっとどうしたのひたぎちゃん泣いてたじゃない?喧嘩?あのこ、強がっててもまだ12才なんだよ。それにお兄ちゃんのこと大好きだし。わかってるでしょ。私が帰ってくる前には仲直りしとくんだよ」
暦(なんか僕が悪いみたいな言い方だなあ。)
暦「まあ、心配しなくても、大丈夫だから。行っておいで。ちゃんと優しくするから。」
暦(よし、もうひといきだ!!)
ひたぎ「ねー、兄さん、また、あのCD借りてもいい?」
暦(可愛い。けど、心を鬼にするんだ。涙目可愛いひたぎをみるためだ。多少の僕のキャラ崩壊もしょうがない。)
ひたぎ「あれ、兄さん?」
ひたぎ「ちょっと、勉強してるからって、無視しなくても。」
ひたぎ「兄さん?」
暦「チッ」
暦(ちょっと舌打ちわざとらしかったかな)
ひたぎ「え、、」
暦(おー、ショックうけてへこんでる。可愛い可愛い)
ひたぎ「ついに日本語までわからなくなったのかしら、このゴミ兄さんは」
翼「あら。どうしたの?ひたぎちゃん。あ、ちょっと、兄さん、私出掛けてくるから。」
暦「うん、わかった。翼ちゃん可愛いんだから、気を付けるんだよ。なんなら途中までついていこうか?」
翼「もう、大丈夫だよ。」
ひたぎ「……」
暦(あ、ヤバい。泣きそう)
ひたぎ「もう!兄さんなんて、知らない!バカ」
暦(あ、自分の部屋に行っちゃった)
翼「ちょっとどうしたのひたぎちゃん泣いてたじゃない?喧嘩?あのこ、強がっててもまだ12才なんだよ。それにお兄ちゃんのこと大好きだし。わかってるでしょ。私が帰ってくる前には仲直りしとくんだよ」
暦(なんか僕が悪いみたいな言い方だなあ。)
暦「まあ、心配しなくても、大丈夫だから。行っておいで。ちゃんと優しくするから。」
暦(よし、もうひといきだ!!)
101: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/09(金) 23:53:43.59 ID:C1Rrla5aO
コンコン
ひたぎ「ねー、兄さん、そのさっきはとりみだしてしまって悪かったわ」
ひたぎ「あの、最近、私も兄さんに対してひどいこと言っちゃってたかもしれない」
ひたぎ「なにか理由があるなら言って。私、気を付けるから。だからね、」
ひたぎ「嫌いにならないで、お兄ちゃん」
暦(あ、お兄ちゃんって言った。ここまで可愛くなるのか)
ひたぎ「無視しないでよ、、お兄ちゃん」
ひたぎ「私のこと、嫌いになっちゃった?」
暦(あ。もう無理だ)
暦「ひたぎ!」
ひたぎ(あれ、私お兄ちゃんにぎゅってされてる。嬉しい、嬉しいよー。え、でも、なんで?)
暦「ごめん、ひたぎ。本当は、ひたぎの可愛いとこが見たくて、わざとイタズラしたんだ」
ひたぎ(え、、、じゃあ、お兄ちゃんは、、私を、、、私を、、)
ひたぎ「さみしかったよー、つらかったよー」
暦(強がってても、このこはまだこどもなんだな。誰だこんな可愛い子をいじめたのは)
ひたぎ「ねー、兄さん、そのさっきはとりみだしてしまって悪かったわ」
ひたぎ「あの、最近、私も兄さんに対してひどいこと言っちゃってたかもしれない」
ひたぎ「なにか理由があるなら言って。私、気を付けるから。だからね、」
ひたぎ「嫌いにならないで、お兄ちゃん」
暦(あ、お兄ちゃんって言った。ここまで可愛くなるのか)
ひたぎ「無視しないでよ、、お兄ちゃん」
ひたぎ「私のこと、嫌いになっちゃった?」
暦(あ。もう無理だ)
暦「ひたぎ!」
ひたぎ(あれ、私お兄ちゃんにぎゅってされてる。嬉しい、嬉しいよー。え、でも、なんで?)
暦「ごめん、ひたぎ。本当は、ひたぎの可愛いとこが見たくて、わざとイタズラしたんだ」
ひたぎ(え、、、じゃあ、お兄ちゃんは、、私を、、、私を、、)
ひたぎ「さみしかったよー、つらかったよー」
暦(強がってても、このこはまだこどもなんだな。誰だこんな可愛い子をいじめたのは)
103: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/09(金) 23:57:51.21 ID:C1Rrla5aO
ひたぎ「じゃあ、もうイジワルしない?」
暦「いや、それは……」
ひたぎ「……」
暦(あ、また、泣きそうになってる)
暦「うそだって。もうしないから」
ひたぎ「お兄ちゃん、なでなで」
暦(甘えてる、この可愛さ反則だろ)
暦「いや、それは……」
ひたぎ「……」
暦(あ、また、泣きそうになってる)
暦「うそだって。もうしないから」
ひたぎ「お兄ちゃん、なでなで」
暦(甘えてる、この可愛さ反則だろ)
104: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/10(土) 00:13:52.18 ID:ox5ZjAx6O
??「なにしてはるんどすか?」
暦「ん?なんのことかな。ってか月火!でも、大人っぽいじゃん」
月火「なに弟にくせに、呼び捨てにしてんの?もう、私、大学二年生だよ」
??「ひたぎちゃんをいじめるなんて生きて帰れると思うなよ、暦」
暦「ってか、なんでお前まで!火憐!」
火憐「おい、口には気を付けろよ。私は、月火ちゃんより2つもうえなんだぞ。ってか、その前に、お前、ひたぎちゃんになにしたんだ?」
暦「いえ。なにもしておりませんよ、お姉さん」
ひたぎ「暦兄さんに、イタズラを、、、ぐす、、でも、お兄ちゃんにもきっと理由が
」
月火「イタズラ?ん?どういうことかな?」
火憐「詳しくは、署で、聞こうか。暦さんよお」
暦(こいつら、妹でいるより姉のがやっかいだ)
ひたぎ「べー」
暦(ちっ、可愛いな)
暦「ん?なんのことかな。ってか月火!でも、大人っぽいじゃん」
月火「なに弟にくせに、呼び捨てにしてんの?もう、私、大学二年生だよ」
??「ひたぎちゃんをいじめるなんて生きて帰れると思うなよ、暦」
暦「ってか、なんでお前まで!火憐!」
火憐「おい、口には気を付けろよ。私は、月火ちゃんより2つもうえなんだぞ。ってか、その前に、お前、ひたぎちゃんになにしたんだ?」
暦「いえ。なにもしておりませんよ、お姉さん」
ひたぎ「暦兄さんに、イタズラを、、、ぐす、、でも、お兄ちゃんにもきっと理由が
」
月火「イタズラ?ん?どういうことかな?」
火憐「詳しくは、署で、聞こうか。暦さんよお」
暦(こいつら、妹でいるより姉のがやっかいだ)
ひたぎ「べー」
暦(ちっ、可愛いな)
108: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/11(日) 06:19:53.29 ID:3DKXrQDmO
ひたぎ「私のお兄ちゃんだからいじめないで」
火憐「そうか、ひたぎちゃんがいうならしゃーねーな」
暦(どんだけ甘いんだこいつは……
そして、最後にやるのは、やっぱりこの人、羽川翼ちゃん、いまは妹、実妹です。セクハラするほかないな。そのためにはこの場を逃げる!
火憐「いや、ひたぎちゃんがよくても、やっぱり許せねー、正義の心が言っている。おい、暦!」
火憐(いなくなってやがる、まあいいや)
コンコン
暦「はいるぞ!」
翼「え、、、」
暦(そこには、着替えている途中の羽川がいた。)
暦「あ、えっと、ありがとうございました」
暦(いやあ、またしても失敗、よし、違うことを考えよう。逃げるが勝ち)
翼「兄さん、ここで逃げたら、兄さんが私とひたぎちゃんにしたひどいこと詳しくと忍さんにいいつけるよ。っていうか、まず、私が許してあげないよ」
暦「怒ってます?」
翼「いや、、全然怒ってないから。ん。聞こえなかった?全く怒ってないよ」
暦「そうだな、妹の裸なんて、見てもなんも思わないよな、俺たち、兄妹だし」
暦(翼がにっこり近づいてきた)
翼「へー、、そうなんだ。そっか、そっか、ふーん。私の気持ち知っててそういうこと言うんだ」
暦(わたしの気持ち?!え、どういうこと?)
火憐「そうか、ひたぎちゃんがいうならしゃーねーな」
暦(どんだけ甘いんだこいつは……
そして、最後にやるのは、やっぱりこの人、羽川翼ちゃん、いまは妹、実妹です。セクハラするほかないな。そのためにはこの場を逃げる!
火憐「いや、ひたぎちゃんがよくても、やっぱり許せねー、正義の心が言っている。おい、暦!」
火憐(いなくなってやがる、まあいいや)
コンコン
暦「はいるぞ!」
翼「え、、、」
暦(そこには、着替えている途中の羽川がいた。)
暦「あ、えっと、ありがとうございました」
暦(いやあ、またしても失敗、よし、違うことを考えよう。逃げるが勝ち)
翼「兄さん、ここで逃げたら、兄さんが私とひたぎちゃんにしたひどいこと詳しくと忍さんにいいつけるよ。っていうか、まず、私が許してあげないよ」
暦「怒ってます?」
翼「いや、、全然怒ってないから。ん。聞こえなかった?全く怒ってないよ」
暦「そうだな、妹の裸なんて、見てもなんも思わないよな、俺たち、兄妹だし」
暦(翼がにっこり近づいてきた)
翼「へー、、そうなんだ。そっか、そっか、ふーん。私の気持ち知っててそういうこと言うんだ」
暦(わたしの気持ち?!え、どういうこと?)
112: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/13(火) 07:00:47.51 ID:Dy1Wso5lO
翼「じゃあ、乙女の裸をみたのにひどいことを言ったばつとして、お兄ちゃんには私のいうことを聞いてもらいます」
暦「ん?もんでほしいって?」
翼「お兄ちゃん?」
暦「なんでもないです」
翼(実は私、扇ちゃんから、お兄ちゃんがいつものお兄ちゃんじゃないとはきいてます。つまりチャンス!!)
暦「ん?もんでほしいって?」
翼「お兄ちゃん?」
暦「なんでもないです」
翼(実は私、扇ちゃんから、お兄ちゃんがいつものお兄ちゃんじゃないとはきいてます。つまりチャンス!!)
113: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/13(火) 17:15:51.40 ID:p9tiCPfoO
翼「わたしはね、お兄ちゃんに告白したんだよ。お兄ちゃんも同じ気持ちだって言ってたわゆ」
翼(1日ぐらいいいよね)
暦「え、でも、僕の彼女は余接ちゃんって」
翼「余接さんとは、私たちの関係がばれちゃったからじゃない!だから、そのためにはお兄ちゃんは…………なのに、そのことも忘れてイチャイチャ、もう我慢できない!」
暦(やべー、思ったより、すげーどろどろしてる。昼ドラじゃん。昼物語だ!)
翼(えー。信じてる。うん、お兄ちゃん単純だな。でも、本当のお兄ちゃんも時々私の胸みてるし、試しに抱きついたら優しくしてくれるかも//// )
翼(1日ぐらいいいよね)
暦「え、でも、僕の彼女は余接ちゃんって」
翼「余接さんとは、私たちの関係がばれちゃったからじゃない!だから、そのためにはお兄ちゃんは…………なのに、そのことも忘れてイチャイチャ、もう我慢できない!」
暦(やべー、思ったより、すげーどろどろしてる。昼ドラじゃん。昼物語だ!)
翼(えー。信じてる。うん、お兄ちゃん単純だな。でも、本当のお兄ちゃんも時々私の胸みてるし、試しに抱きついたら優しくしてくれるかも//// )
114: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/13(火) 19:21:23.40 ID:p9tiCPfoO
翼「いうこと聞かないお兄ちゃんはこうだ!えい!」
こうだ!
こうだ!
116: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/14(水) 14:20:53.79 ID:SZ+okFYmO
暦「あの、胸あたってるよ」
翼「うん」
翼「だって妹の胸なんてみてもなんとも思わないんでしょ」
暦「いや、あれは冗談で」
翼「ふーん。そっかあ。じゃあ、許してあげる」
暦(顔は笑ってるのに。目が笑ってない。許してない)
翼「じゃあ、ちょっと目瞑って」
暦「うん」
翼「うん」
翼「だって妹の胸なんてみてもなんとも思わないんでしょ」
暦「いや、あれは冗談で」
翼「ふーん。そっかあ。じゃあ、許してあげる」
暦(顔は笑ってるのに。目が笑ってない。許してない)
翼「じゃあ、ちょっと目瞑って」
暦「うん」
118: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/14(水) 18:03:05.43 ID:BJp+7qZKO
翼「お兄ちゃん、大好き」
暦(みみもとで優しい声でささやかれた)
暦「目開けてもいい?」
翼「だーめ、ふー」
暦(なんか気持ちいい)
暦(みみもとで優しい声でささやかれた)
暦「目開けてもいい?」
翼「だーめ、ふー」
暦(なんか気持ちいい)
120: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/14(水) 19:08:37.03 ID:BJp+7qZKO
翼「ベッドで横になって」
暦「はい」
翼「リラックスしてね。あとは、こうやって」
暦(これは膝枕じゃないですか。そうですよね。翼さん)
翼「はーい、暦ちゃーん、気持ちいいですかー?」
暦(気持ちよくないわけないだろ、でも、なんかあれだから無視)
翼「聞こえないみたいなので、顔をこっちにむけちゃいます」
暦(これは!しかもすげーいいにおいする。どうしようちょっとドキドキしてきた)
暦「はい」
翼「リラックスしてね。あとは、こうやって」
暦(これは膝枕じゃないですか。そうですよね。翼さん)
翼「はーい、暦ちゃーん、気持ちいいですかー?」
暦(気持ちよくないわけないだろ、でも、なんかあれだから無視)
翼「聞こえないみたいなので、顔をこっちにむけちゃいます」
暦(これは!しかもすげーいいにおいする。どうしようちょっとドキドキしてきた)
122: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/14(水) 19:24:50.28 ID:BJp+7qZKO
翼(ていうか、私すごいことしてない?まだ大丈夫だよね。工ッチなことしてないよね)
翼「えい」
暦(顔に柔らかいものがあたってる)
翼(もうやめたい!これすごい恥ずかしい。なんで私やってんだろ)
暦(どうしようちょっとぐらいなら目開けても)
翼「いま、目あけたら、タバスコを流しこむから」
暦(えぐい!)
翼「えい」
暦(顔に柔らかいものがあたってる)
翼(もうやめたい!これすごい恥ずかしい。なんで私やってんだろ)
暦(どうしようちょっとぐらいなら目開けても)
翼「いま、目あけたら、タバスコを流しこむから」
暦(えぐい!)
123: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/14(水) 19:37:01.00 ID:BJp+7qZKO
暦「心を読むな!」
翼「どうせ妹の胸なんてみてもなんとも思わないんでしょ」
暦「するよ、すげー今だってドキドキしてるよ!」
翼「本当に?」
暦「ああ」
翼「本当に本当?」
暦「当たり前だろ」
翼「だって、いつもなんだかんだいってひたぎちゃんにばっかり優しいじゃん。ずるいよ、ひたぎちゃんばっかり。どうせ、私は、都合のいい委員長ちゃんだもん」
暦(なんか現実の羽川も思ってそうだな。ってかヤキモチやいてて可愛いな)
暦
翼「どうせ妹の胸なんてみてもなんとも思わないんでしょ」
暦「するよ、すげー今だってドキドキしてるよ!」
翼「本当に?」
暦「ああ」
翼「本当に本当?」
暦「当たり前だろ」
翼「だって、いつもなんだかんだいってひたぎちゃんにばっかり優しいじゃん。ずるいよ、ひたぎちゃんばっかり。どうせ、私は、都合のいい委員長ちゃんだもん」
暦(なんか現実の羽川も思ってそうだな。ってかヤキモチやいてて可愛いな)
暦
124: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/14(水) 19:45:06.63 ID:BJp+7qZKO
暦(それより羽川に比べて翼ちゃんのが子供っぽい気がする。妹だからか)
翼「じゃあ、私のことさ、えっと、」
暦「好きだよ」
翼「//// ,え、もう1回いってもらっていい?」
暦「大好きだよ」
暦「本当に可愛いと思うし、すげー大切だよ。好きじゃないわけないだろ」
翼「あの、実は、私、お兄ちゃんのこと
暦「まあ、妹としてな」
翼「好き…………え?」
翼「じゃあ、私のことさ、えっと、」
暦「好きだよ」
翼「//// ,え、もう1回いってもらっていい?」
暦「大好きだよ」
暦「本当に可愛いと思うし、すげー大切だよ。好きじゃないわけないだろ」
翼「あの、実は、私、お兄ちゃんのこと
暦「まあ、妹としてな」
翼「好き…………え?」
128: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/14(水) 23:13:22.01 ID:BJp+7qZKO
翼「ん?ちょっと聞こえにくかったからもう1回いい?」
暦「いや。だから、妹として」
翼「ん?」
暦(近い近い)
翼「どうしてそういうことするの?だってわざとだよね?」
暦(なんかいまにも泣きそうだ。ってか泣いてないか)
翼「わたしの気持ち、知っててそういうことするの?私はお兄ちゃんに大事にしてもらいたいから、頑張ったって褒めてもらいたいから頑張ってるだけで、普通の女の子なんだよ!ひどい、ひどいよ……」
暦(あれ、もしかして。ってかもしかしなくても……俺、最低なのかもしれない……)
暦「いや。だから、妹として」
翼「ん?」
暦(近い近い)
翼「どうしてそういうことするの?だってわざとだよね?」
暦(なんかいまにも泣きそうだ。ってか泣いてないか)
翼「わたしの気持ち、知っててそういうことするの?私はお兄ちゃんに大事にしてもらいたいから、頑張ったって褒めてもらいたいから頑張ってるだけで、普通の女の子なんだよ!ひどい、ひどいよ……」
暦(あれ、もしかして。ってかもしかしなくても……俺、最低なのかもしれない……)
130: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/14(水) 23:29:56.06 ID:BJp+7qZKO
暦「ごめん」
翼「やだ」
暦「ごめん」
翼「じゃあ、私のこと、好き?」
暦「好きだよ」
翼「妹としてでしょ?」
暦「いや、妹としてじゃない」
翼「え?」
暦「家族として。僕は、翼ちゃんを、イタイ!もの投げないで!ごめんって」
翼「……」
暦(すねちゃった。けど、可愛いなあ)
翼「やだ」
暦「ごめん」
翼「じゃあ、私のこと、好き?」
暦「好きだよ」
翼「妹としてでしょ?」
暦「いや、妹としてじゃない」
翼「え?」
暦「家族として。僕は、翼ちゃんを、イタイ!もの投げないで!ごめんって」
翼「……」
暦(すねちゃった。けど、可愛いなあ)
133: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/15(木) 22:11:06.37 ID:sUY/BIAhO
暦「すねてんの?」
翼「すねてない」
暦「本当に?」
翼「うるさい。ぎゅってして」
暦「はいはい」
暦(かわえーー)
翼(お兄ちゃんじゃないのにお兄ちゃんだ。やっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃんだ)
暦「これでいい?」
翼「うん」
翼「私がいいっていうまでね」
暦「わかった」
翼「離さないでね」
暦(羽川も兄がいたらこんな感じなのかな。)
暦「翼さあ、」
翼「なに?」
暦「実は強がっててお姉ちゃんぶってるけどひたぎちゃんよりさみしがりやでやきもちやきだよね」
翼「……」
暦「違った?」
翼「でてって!もう、お兄ちゃん絶対部屋入れてあげない!」
暦「ごめんって」
翼「すねてない」
暦「本当に?」
翼「うるさい。ぎゅってして」
暦「はいはい」
暦(かわえーー)
翼(お兄ちゃんじゃないのにお兄ちゃんだ。やっぱりお兄ちゃんはお兄ちゃんだ)
暦「これでいい?」
翼「うん」
翼「私がいいっていうまでね」
暦「わかった」
翼「離さないでね」
暦(羽川も兄がいたらこんな感じなのかな。)
暦「翼さあ、」
翼「なに?」
暦「実は強がっててお姉ちゃんぶってるけどひたぎちゃんよりさみしがりやでやきもちやきだよね」
翼「……」
暦「違った?」
翼「でてって!もう、お兄ちゃん絶対部屋入れてあげない!」
暦「ごめんって」
134: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/15(木) 22:34:18.02 ID:sUY/BIAhO
翼「じゃあ、ちゅーして」
暦「兄妹でキスするやつなんていないだろ!」
暦(あれ、こころあたりがある)
翼「いいから、はい。いま、私、無防備だよ。ベッドに横たわって、お兄ちゃんの力なら好き放題だよ」
暦「いいのか?」
翼「これ以上は恥ずかしいから言わせないで」
暦「兄妹でキスするやつなんていないだろ!」
暦(あれ、こころあたりがある)
翼「いいから、はい。いま、私、無防備だよ。ベッドに横たわって、お兄ちゃんの力なら好き放題だよ」
暦「いいのか?」
翼「これ以上は恥ずかしいから言わせないで」
135: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/15(木) 23:41:47.48 ID:sUY/BIAhO
暦「じゃあ、失礼します」
翼「ちょっと待って」
暦「どうしたの?」
翼「えっと、優しくしてね」
暦「いや、キスするだけでしょ」
翼「え?」
暦「え?」
ひたぎ「楽しそうだね、なにしてんの?」
暦(このタイミングでひたぎちゃん登場きました。あ、ちょっと空いてる。なるほどね)
翼「ひたぎちゃんいつからいたの?」
ひたぎ「質問に答えてほしいなあ。あ、私、いま、無防備だよ。好き放題だよだっけ」
翼「……」
暦(あー、これは恥ずかしい。可愛いけど)
暦「いってあげればよかったのに。じゃあ、僕は、帰るね」
ひたぎ「なにいってるの?続けてよ。お兄ちゃんと、工口バサ姉さん。あ、間違い、翼姉さん」
暦(ひたぎちゃん、恐ろしい子!)
翼「え?冗談だよね」
ひたぎちゃん「え?冗談ってなにが?」
翼「……」
暦(うわちょっとかわいそうになってきた)
暦(ひたぎちゃん)
ひたぎ(なに?)
暦(ちょっとやめてあげて)
ひたぎ(じゃあ、私をいじめたぶんも含めてあとでお仕置きね)
暦(はい)
ひたぎ「もう、冗談だよー。ビックリしたなあ。冗談でやってたんでしょ」
翼「そうだよー。あ、私、勉強しなきゃ。だから、二人ともはずしてね」
ひたぎ「ほら、お兄ちゃんいくよ」
暦「うん」
翼「ちょっと待って」
暦「どうしたの?」
翼「えっと、優しくしてね」
暦「いや、キスするだけでしょ」
翼「え?」
暦「え?」
ひたぎ「楽しそうだね、なにしてんの?」
暦(このタイミングでひたぎちゃん登場きました。あ、ちょっと空いてる。なるほどね)
翼「ひたぎちゃんいつからいたの?」
ひたぎ「質問に答えてほしいなあ。あ、私、いま、無防備だよ。好き放題だよだっけ」
翼「……」
暦(あー、これは恥ずかしい。可愛いけど)
暦「いってあげればよかったのに。じゃあ、僕は、帰るね」
ひたぎ「なにいってるの?続けてよ。お兄ちゃんと、工口バサ姉さん。あ、間違い、翼姉さん」
暦(ひたぎちゃん、恐ろしい子!)
翼「え?冗談だよね」
ひたぎちゃん「え?冗談ってなにが?」
翼「……」
暦(うわちょっとかわいそうになってきた)
暦(ひたぎちゃん)
ひたぎ(なに?)
暦(ちょっとやめてあげて)
ひたぎ(じゃあ、私をいじめたぶんも含めてあとでお仕置きね)
暦(はい)
ひたぎ「もう、冗談だよー。ビックリしたなあ。冗談でやってたんでしょ」
翼「そうだよー。あ、私、勉強しなきゃ。だから、二人ともはずしてね」
ひたぎ「ほら、お兄ちゃんいくよ」
暦「うん」
136: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/15(木) 23:57:24.09 ID:sUY/BIAhO
後日談、というか今回のオチ
結局このあと僕は、ひたぎにお仕置きされて、ベッドに入ってぐっすり寝ておきたら、妹たち、月火と火憐に起こされた。要するにこれはただの夢だったのだ。壮大な夢オチだったのだ。
八九寺「どうも、まよいです!今回出させてもらえなかったから、登場です。というより、なんで私が出てないんですか?」
暦「あれ、何でだろ。でも、これってただの夢オチだったの?」
八九寺「まあ、そこは難しいとこですね。パラレルワールドかもしれませんし。枕返しなんて妖怪も日本にはいますからね。とりあえず、いっておくと、あそこで、千石さんに会ってたらまぢでヤバかったですね」
暦「そっかあ。じゃあ、このへんで」
八九寺「私はもうちょっとアララギさんといたかったです」
暦「夢物語、完だな」
八九寺「人の夢って儚いですね」
完
結局このあと僕は、ひたぎにお仕置きされて、ベッドに入ってぐっすり寝ておきたら、妹たち、月火と火憐に起こされた。要するにこれはただの夢だったのだ。壮大な夢オチだったのだ。
八九寺「どうも、まよいです!今回出させてもらえなかったから、登場です。というより、なんで私が出てないんですか?」
暦「あれ、何でだろ。でも、これってただの夢オチだったの?」
八九寺「まあ、そこは難しいとこですね。パラレルワールドかもしれませんし。枕返しなんて妖怪も日本にはいますからね。とりあえず、いっておくと、あそこで、千石さんに会ってたらまぢでヤバかったですね」
暦「そっかあ。じゃあ、このへんで」
八九寺「私はもうちょっとアララギさんといたかったです」
暦「夢物語、完だな」
八九寺「人の夢って儚いですね」
完
156: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/22(木) 01:08:46.40 ID:CcYBaNqgO
番外編
女の子「阿良々木くん、彼女が来てるよ」
暦「え?僕に彼女なんて」
女の子「いるじゃない可愛い後輩の女の子が。あのこよ。」
撫子「ひどいなあ、こよみん。撫子悲しいよ」
暦(こよみん!?)
暦(そう言えば、千石撫子には気を付けたほうがいいってたっけ)
撫子「じゃあ、今日私の家で待ってるよ」
女の子「阿良々木くん、彼女が来てるよ」
暦「え?僕に彼女なんて」
女の子「いるじゃない可愛い後輩の女の子が。あのこよ。」
撫子「ひどいなあ、こよみん。撫子悲しいよ」
暦(こよみん!?)
暦(そう言えば、千石撫子には気を付けたほうがいいってたっけ)
撫子「じゃあ、今日私の家で待ってるよ」
157: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/22(木) 01:17:17.36 ID:CcYBaNqgO
暦(そういえば、さっき余接が……)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
余接「暦くんの最初の印象はね、優しい人だなって。僕が数学を苦手なことを話したら、一生懸命教えてくれた。出合いはちょっと変なんだけどね。友達のことで悩んでいたときも自分のことみたいに一緒に考えてくれた。 僕がくだらない男たちにいちゃもんをつけられていたときなんだけどね。 ちょっとは僕も悪いんだけど、そのとき、いってくれたんだ。
---------僕はヘン夕イだ。だけど、女の子を傷つけるようなお前たちよりは100倍ましだ。
こんな可愛い女の子を守れるんなら、ぼこぼこにされるぐらい安いもんだ-----------
で、そのあと、あろうことかそいつら暦くんに殴りかかろうとしたから、 僕がちょっとそいつらにお仕置きしてあげたよ。 あのときの暦くんはほんとにかっこよかった。 というより本人にこういうことを話すのが僕としてはすごく恥ずかしいんだけど////////しかも、そのあと僕はふられてしまったんだ。1つ年下の千石撫子のことが好きだからって。悲しかったなあ。あのときは。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
余接「暦くんの最初の印象はね、優しい人だなって。僕が数学を苦手なことを話したら、一生懸命教えてくれた。出合いはちょっと変なんだけどね。友達のことで悩んでいたときも自分のことみたいに一緒に考えてくれた。 僕がくだらない男たちにいちゃもんをつけられていたときなんだけどね。 ちょっとは僕も悪いんだけど、そのとき、いってくれたんだ。
---------僕はヘン夕イだ。だけど、女の子を傷つけるようなお前たちよりは100倍ましだ。
こんな可愛い女の子を守れるんなら、ぼこぼこにされるぐらい安いもんだ-----------
で、そのあと、あろうことかそいつら暦くんに殴りかかろうとしたから、 僕がちょっとそいつらにお仕置きしてあげたよ。 あのときの暦くんはほんとにかっこよかった。 というより本人にこういうことを話すのが僕としてはすごく恥ずかしいんだけど////////しかも、そのあと僕はふられてしまったんだ。1つ年下の千石撫子のことが好きだからって。悲しかったなあ。あのときは。」
158: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/29(木) 22:25:11.64 ID:hYuuRGKwO
撫子「あ、こよみんきてくれたんだ、ようこそ、今日親帰ってくるの遅いから」
暦「まあ、彼氏だしな」
撫子「わー、嬉しい」
撫子「じゃあ、とりあえず私の部屋入ってよ」
暦「やっぱり部屋結構綺麗だな」
撫子「じゃあ、いつものやつやって」
撫子「じゃないと、暦くんの大事な女の子たちがひどい目にあっちゃうよ」
暦(なるほどな、そういうことか。こいつが彼女って理由も、余接がヤバいって言ってたわけも)
暦「わかったよ。やるよ」
撫子「やらせていただきますだよね」
暦「やらせていただきます」
撫子「はい、よくできました」
暦「まあ、彼氏だしな」
撫子「わー、嬉しい」
撫子「じゃあ、とりあえず私の部屋入ってよ」
暦「やっぱり部屋結構綺麗だな」
撫子「じゃあ、いつものやつやって」
撫子「じゃないと、暦くんの大事な女の子たちがひどい目にあっちゃうよ」
暦(なるほどな、そういうことか。こいつが彼女って理由も、余接がヤバいって言ってたわけも)
暦「わかったよ。やるよ」
撫子「やらせていただきますだよね」
暦「やらせていただきます」
撫子「はい、よくできました」
161: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/30(金) 06:32:53.84 ID:wCbAT2EkO
撫子「はい」
暦「なんだよ、それ」
撫子「あれ、暦くん撫子の足とかふとももを嗅いだりなめたりするの好きだよね」
暦(こいつ。いかれてる)
暦「ああ、好きだよ」
撫子「わー、撫子嬉しいなあ、早く舐めて」
暦(なんで俺が)
撫子「下手くそ」
暦「いてっ」
暦(こいつ、顔蹴りやがった。性格までやばいな)
暦「なんだよ、それ」
撫子「あれ、暦くん撫子の足とかふとももを嗅いだりなめたりするの好きだよね」
暦(こいつ。いかれてる)
暦「ああ、好きだよ」
撫子「わー、撫子嬉しいなあ、早く舐めて」
暦(なんで俺が)
撫子「下手くそ」
暦「いてっ」
暦(こいつ、顔蹴りやがった。性格までやばいな)
162: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/30(金) 06:43:18.29 ID:wCbAT2EkO
撫子「もう、いいや。全部脱いで」
暦「は?」
撫子「は?じゃないよ、お仕置きしてあげるんだよ」
暦「わかったよ。脱げばいいんだろ」
撫子「ん?」
暦「脱がせていただきます」
暦(さすがにこういう状況でも、脱ぐってのは恥ずかしいな)
暦「脱いだよ」
撫子「なにいってんの?下着も脱いでよ。脱がせてあげようか」
暦(脱ぐしかねーな)
暦「脱いだよ」
撫子「はい、よくできました。じゃあ、これで、目隠して」
暦「なんだよ、それ」
撫子「ん?撫子のはいてたストッキングだよ」
暦(こいつどうにかしろよ)
暦「は?」
撫子「は?じゃないよ、お仕置きしてあげるんだよ」
暦「わかったよ。脱げばいいんだろ」
撫子「ん?」
暦「脱がせていただきます」
暦(さすがにこういう状況でも、脱ぐってのは恥ずかしいな)
暦「脱いだよ」
撫子「なにいってんの?下着も脱いでよ。脱がせてあげようか」
暦(脱ぐしかねーな)
暦「脱いだよ」
撫子「はい、よくできました。じゃあ、これで、目隠して」
暦「なんだよ、それ」
撫子「ん?撫子のはいてたストッキングだよ」
暦(こいつどうにかしろよ)
164: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/31(土) 18:48:18.13 ID:9NdMnV1uO
撫子「察しがいい暦くんならもう撫子が何がいいたいかわかるよね、あ、ちなみに目隠しって、すごい気持ちいいらしいよ」
暦「知らないよ、でなにをすればいいんだ?」
撫子「じゃぁ、そうだなぁ、今からそれを使って自分で慰めて」
暦「は?」
撫子「は?ってなに?」
暦「いってぇ、なにすんだ」
撫子「まぁ、いいや、はやくやってよ」
暦「わかったよ」
・
撫子「あ、本当にやってる、男の子が自分でしてるとこ初めてみた」
暦「普通そうだろ」
撫子「さっきから、口の聞き方がなってないなぁ、それやりながらさ、
~~~~~~~~~とかいいながら、やってよ」
暦 (………。まじでいってんのか、やるしかねーのか)
暦「撫子、好きだよ、撫子ぉ、撫子を想像してするの気持ちいいよぉ」
暦「知らないよ、でなにをすればいいんだ?」
撫子「じゃぁ、そうだなぁ、今からそれを使って自分で慰めて」
暦「は?」
撫子「は?ってなに?」
暦「いってぇ、なにすんだ」
撫子「まぁ、いいや、はやくやってよ」
暦「わかったよ」
・
撫子「あ、本当にやってる、男の子が自分でしてるとこ初めてみた」
暦「普通そうだろ」
撫子「さっきから、口の聞き方がなってないなぁ、それやりながらさ、
~~~~~~~~~とかいいながら、やってよ」
暦 (………。まじでいってんのか、やるしかねーのか)
暦「撫子、好きだよ、撫子ぉ、撫子を想像してするの気持ちいいよぉ」
165: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/01/31(土) 18:50:44.04 ID:9NdMnV1uO
撫子「わ~~~~wwww暦君ほんとにいったwwwwヘン夕イがいるよwwwwwwwwここにwwww」
暦(言わせたくせにこいつ………)
暦「はぁはぁ、撫子、、、」
撫子「ちょっとひくよ、暦くん、じゃぁ、ご褒美に撫子の唾液を顔とか下にかけてあげる。そして感想を聞かせてね。あ、変なこといったら、ただじゃおかないからね」
暦「う、、気持ちいいです。撫子さんの唾液がぬるぬるして顔にかかって、僕のアソコもすごい気持ちいいです」
撫子「へ~wwwwやればできるじゃん。撫子の奴隷のくせに。奴隷が次言うべきことわかるよね」
暦「僕を、、もっといじめてください」
撫子「 わーwwwwww本当にいったwwwwww」
撫子「じゃぁ、お望みどおりにいじめてあげる。ドMの暦くんwwwwwwww」
167: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/02(月) 19:55:42.74 ID:v4CFeDWiO
暦(さすがにこれ以上されたら僕も我慢できるかわからないな)
撫子「じゃあ。どMの暦くんには撫子のキックをプレゼンットッー」
暦「イッッッッテーー、痛い痛い痛いまぢで痛い」
撫子「わーwwすごい勢いでのたうちまわってる」
暦(こいつ、、許さない)
撫子「なにその目」
暦「お前、いい加減に」
撫子「えいっっ」
暦「イッッッッーー、」
暦(我慢だ、ここで声をあげたらこいつの思うつぼだ)
撫子「あ、我慢できたんだ、じゃあ、撫子の濡れたアソコで顔ふさいで息できなくしつあげる。そして、こうやって、手をふさいじぇえばー」
ガチャ
暦「んん、んむーー」
撫子「本当に面白いねー、そんな苦しそうにしてたらもっといじめたくなっちゃうなにしてあげよっかなー。アッ、、気持ちいい、。そうだ、舌使って撫子を気持ちよくしてよ、それぐらいできるでしょ。奴隷にも」
撫子「アッ、、、いい、、アッ、、、うまいね、暦くん」
撫子「じゃあ、せっかくだから合体しちゃおっか」
撫子「じゃあ。どMの暦くんには撫子のキックをプレゼンットッー」
暦「イッッッッテーー、痛い痛い痛いまぢで痛い」
撫子「わーwwすごい勢いでのたうちまわってる」
暦(こいつ、、許さない)
撫子「なにその目」
暦「お前、いい加減に」
撫子「えいっっ」
暦「イッッッッーー、」
暦(我慢だ、ここで声をあげたらこいつの思うつぼだ)
撫子「あ、我慢できたんだ、じゃあ、撫子の濡れたアソコで顔ふさいで息できなくしつあげる。そして、こうやって、手をふさいじぇえばー」
ガチャ
暦「んん、んむーー」
撫子「本当に面白いねー、そんな苦しそうにしてたらもっといじめたくなっちゃうなにしてあげよっかなー。アッ、、気持ちいい、。そうだ、舌使って撫子を気持ちよくしてよ、それぐらいできるでしょ。奴隷にも」
撫子「アッ、、、いい、、アッ、、、うまいね、暦くん」
撫子「じゃあ、せっかくだから合体しちゃおっか」
169: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 10:52:41.71 ID:AAbScwAMO
撫子「せーの」
暦「うっ」
暦(なんだこの感覚……)
撫子「暦くんが撫子の中に……いいよ……すごく。じゃあ、撫子が動くね。あん……あ、、、あん、、、あ、、いいよ、暦くん」
暦(だめだ、気持ちよすぎて、なにも考えられない)
ガバッ
撫子「え?暦くん」
暦「もう。お前は俺のもんだ」
撫子「//// 嬉しい//// 本当は、撫子、暦くんにいじめられたかったの//// 」
こうして僕たちはお互いにお互いの虜となった。
暦「まあ。こんな終わり方も、ありかもな。完全に不完全燃焼だけど」
完
暦「うっ」
暦(なんだこの感覚……)
撫子「暦くんが撫子の中に……いいよ……すごく。じゃあ、撫子が動くね。あん……あ、、、あん、、、あ、、いいよ、暦くん」
暦(だめだ、気持ちよすぎて、なにも考えられない)
ガバッ
撫子「え?暦くん」
暦「もう。お前は俺のもんだ」
撫子「//// 嬉しい//// 本当は、撫子、暦くんにいじめられたかったの//// 」
こうして僕たちはお互いにお互いの虜となった。
暦「まあ。こんな終わり方も、ありかもな。完全に不完全燃焼だけど」
完
170: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/02/07(土) 12:54:38.88 ID:u5GA5qet0
切り替わり早すぎワロタ。
アララギ=サンはモテモテですね(白眼)
アララギ=サンはモテモテですね(白眼)
引用元: ひたぎ「兄さん、早く起きなさい」翼「もう、お兄ちゃん起きて」暦「なんだこれ。」